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2012-04-02 第180回国会 参議院 予算委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十四年四月二日(月曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員の異動  三月三十日     辞任         補欠選任      櫻井  充君     大久保潔重君      谷岡 郁子君     松浦 大悟君      外山  斎君     江崎  孝君      蓮   舫君    はた ともこ君      猪口 邦子君     岩城 光英君      中西 祐介君     牧野たかお君     三原じゅん子君     長谷川 岳君      中西 健治君     桜内 文城君      大門実紀史君     井上 哲士君  四月二日     辞任         補欠選任      江崎  孝君     外山  斎君      山本 博司君     石川 博崇君      横山 信一君     加藤 修一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         石井  一君     理 事                 植松恵美子君                 川上 義博君                 武内 則男君                 徳永 久志君                 有村 治子君                 礒崎 陽輔君                 山本 一太君                 浜田 昌良君                 小野 次郎君     委 員                 石橋 通宏君                 江崎  孝君                 大久保 勉君                 大久保潔重君                 大塚 耕平君                 金子 洋一君                 小西 洋之君                 谷  亮子君                 外山  斎君                 友近 聡朗君                はた ともこ君                 林 久美子君                 姫井由美子君                 広田  一君                 牧山ひろえ君                 松浦 大悟君                 岩城 光英君                 片山さつき君                 片山虎之助君                 川口 順子君                 佐藤ゆかり君                 末松 信介君                 西田 昌司君                 長谷川 岳君                 牧野たかお君                 丸山 和也君                 山崎  力君                 山田 俊男君                 山谷えり子君                 石川 博崇君                 加藤 修一君                 竹谷とし子君                 山本 博司君                 桜内 文城君                 井上 哲士君                 福島みずほ君                 荒井 広幸君    国務大臣        内閣総理大臣   野田 佳彦君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣行政刷        新))      岡田 克也君        総務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策、地        域主権推進))  川端 達夫君        財務大臣     安住  淳君        文部科学大臣   平野 博文君        厚生労働大臣   小宮山洋子君        農林水産大臣   鹿野 道彦君        経済産業大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣原子力        損害賠償支援機        構))      枝野 幸男君        国土交通大臣        国務大臣     前田 武志君        環境大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣原子力        行政))     細野 豪志君        防衛大臣     田中 直紀君        国務大臣        (内閣官房長官) 藤村  修君        国務大臣        (復興大臣)   平野 達男君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        自見庄三郎君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(「新し        い公共」、防災        、少子化対策、        男女共同参画)        )        中川 正春君    副大臣        財務大臣    藤田 幸久君        経済産業大臣  柳澤 光美君        防衛大臣    渡辺  周君    大臣政務官        総務大臣政務官  福田 昭夫君        文部科学大臣政        務官       城井  崇君        文部科学大臣政        務官       神本美恵子君        厚生労働大臣政        務官       藤田 一枝君    事務局側        常任委員会専門        員        藤川 哲史君    政府参考人        原子力委員会委        員長       近藤 駿介君        原子力安全委員        会委員長     班目 春樹君        原子力安全委員        会委員      久住 静代君        内閣原子力安        全委員会事務局        管理環境課長   都筑 秀明君        総務省情報流通        行政局郵政行政        部長       福岡  徹君        消防庁長官    久保 信保君        厚生労働省社会        ・援護局長    山崎 史郎君        資源エネルギー        庁原子力安全・        保安院長     深野 弘行君        環境省総合環境        政策局長     白石 順一君    参考人        日本銀行総裁  山口 廣秀君        東京電力株式会        社取締役社長   西澤 俊夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成二十四年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○平成二十四年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○平成二十四年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付) ○委嘱審査報告書に関する件     ─────────────
  2. 石井一

    委員長石井一君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  この際、田中防衛大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田中直紀防衛大臣
  3. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 三月二十六日の予算委員会での私の答弁について一言申し上げます。  自民党の宇都隆史委員からホルムズ海峡における機雷掃海に関する御質問に対し、機雷掃海につきましては、当然、紛争中は武力行使と一体化するおそれがあるわけでありますから、今の状況ではできないわけでありますけれども、それがやはり紛争が終結をしたというような状況にありましたら対応が可能になるということでございますとの答弁をいたしました。  この答弁には説明不足の点がありましたので、改めてこの趣旨を御説明させていただきます。  この答弁は、法的観点から一般論として、外国による武力行使の一環として敷設されている機雷を除去することは、自衛権発動の三要件が満たされていない場合には、憲法第九条が禁止する武力行使に当たるため許されない、他方、一般に、遺棄された機雷などの場合には、我が国船舶安全確保観点から自衛隊法第八十四条の二に基づき除去することが可能であるとの趣旨を述べたものです。     ─────────────
  4. 石井一

    委員長石井一君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成二十四年度予算案審査のため、本日の委員会日本銀行総裁山口廣秀君及び東京電力株式会社取締役社長西澤俊夫君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 石井一

    委員長石井一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 石井一

    委員長石井一君) 平成二十四年度予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。  本日は、震災原発エネルギー等に関する集中審議を行うこととし、質疑往復方式で行い、質疑割当て時間は四百十三分とし、各会派への割当て時間は、民主党・新緑風会百四分、自由民主党・たちあがれ日本・無所属の会百五十分、公明党七十分、みんなの党三十五分、日本共産党十八分、社会民主党護憲連合十八分、新党改革十八分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。     ─────────────
  7. 石井一

    委員長石井一君) 平成二十四年度一般会計予算平成二十四年度特別会計予算平成二十四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、震災原発エネルギー等に関する集中審議を行います。  これより質疑に入ります。大久保潔重君。
  8. 大久保潔重

    大久保潔重君 おはようございます。民主党大久保潔重です。  年度が替わりました。新年度もどうぞよろしく御指導のほどお願い申し上げます。  年度をまたいでも、参議院予算審議がいよいよ大詰めであります。今日は、先ほど石井委員長申されました震災原発エネルギーということでテーマをいただいておりますから、集中審議トップバッターとして質問をさせていただきます。  昨日の新聞記事の第一面、これを見まして大変危機感を感じました。東海沖から四国沖に連なる海底の溝、いわゆる南海トラフで起こる巨大地震について内閣府の有識者検討会発表した報告書で、まさにこれ、西日本地域に大きな衝撃が走ったわけであります。関東以外でも東日本大震災と同規模マグニチュード九クラスの地震可能性震度七の分布全国で十県、震度六弱以上が九州から関東まで広範囲で分布をしております。津波においても、最大で三十メートルを超える津波が押し寄せる地域もあるとの予測であります。  そこでまず、防災担当大臣中川大臣お尋ねをします。昨日のあの内閣府の有識者検討会報告を受けて、まずその内容をどうとらえられているのか、お聞かせください。
  9. 中川正春

    国務大臣中川正春君) おはようございます。  昨日の新聞検討会そのものは土曜日にあったんですけれども、南海トラフ巨大地震モデル検討会、これは専門家によって、まずこれは第一次の報告でありますが、出されました。  我々、この報告前提としてしっかりとらえなければいけないことは、我々の対応それから想定ということが二つのレベルでなされてきた、あるいはなされているということです。  今回、やられたのは、ふだんいろんな防災対策検討している、いわゆる百年級の津波ですね、それを前提にした従来からの対応、これは堤防を、防波堤を造ってそれを防ぐということを前提にしてなされてきた、そういう海岸保全施設建設ということを想定をした防災対策、その百年級津波ということと、それから今回は、この百年級ではなくて最大級といいますか最悪事態想定をして、これまた予測ではなくて、五つ地震と十一のパターンというのをそれぞれ考えてみて、それで言わば千年級あるいは万年級、万が一という言葉がありますが、それを想定して一番最悪事態津波あるいは地震が起こるとすればどういうところを考えていかなければならないか、そういう想定の中で出されたということであります。  ですから、言い換えれば、これは堤防津波が越えてきたときに、そうした最悪事態を考えたときにどういう対策を立てなければならないかということ、これを前提にした考え方でありまして、住民等避難を軸に、ハザードマップあるいは土地利用都市計画あるいは避難施設防災施設等々、こういうのを組み合わせて、かつソフト的、ソフト事業というのも防災教育中心にして組み立てて万が一に備えるということ、これを想定した今回の話だということ、これを理解をしなければならないということだと思います。  ですから、非常にショッキングな数字が出ているんですけれども、これ、冷静にとらえて、そこを最悪事態として想定して、また、それを超えてくる、専門家によるとそれを超えてくることも考えながらこれをとらえていくということが大切だというふうに思っております。
  10. 大久保潔重

    大久保潔重君 科学的に起こり得る最大規模地震津波想定をされて発表されたということですね。東日本大震災反省、やはり災害を過小に見積もっておったと、これが大きく犠牲を拡大したという、そういう反省の上にも立っているんだろうと思います。  中川大臣は、この発表後に記者会見で、今ちょうど申されたような都市計画防災教育避難訓練などソフト面も含めた防災計画見直しが必要で、国もしっかり支援するというようなコメントを出されております。  もう少し具体的にその支援策、ハードだけじゃなくてソフト面での国の支援策について触れていただければ助かります。お願いします。
  11. 中川正春

    国務大臣中川正春君) これからそれぞれの自治体においても、想定最悪ということを前提にして、計画の練り直しというか、そういうものが始まってくるというふうに思っています。  まず、避難体制の充実ということからいきますと、津波浸水予測図検討、これをやっていくわけですが、これの支援、それからハザードマップ作成、これを支援していくということ、それから津波避難計画作成、これもやっていくわけでありますが、国としては、津波防災ワーキンググループを、夏までにこのグループ中心にして計画のガイドラインというものを作っていって地方に示していきたいというふうに思っています。  それから、津波避難を円滑にするための交通ルール見直しや、そのための標識の検討、これを考えていく。それに対して、交通管理者による再検討、これが必要になってくると思っています。  それから、避難施設整備でありますが、これについては、避難路それから避難階段等整備、それからもう一つ津波避難ビル、これの整備促進指定促進、それからビルの耐浪化そして耐震化、こういうものを税制の措置とかあるいはPFI等々組み込みながら新しい仕組みを考えていくということ。  それから、町づくりの中では、二線堤ということ、これは東日本でも今言われておりますが、堤防のもう一つ奥に道路や鉄道等々を活用した形の二線堤などの津波防護施設整備、あるいは人命の保護、津波被害の軽減を図るために津波防災地域づくり法等々に基づく推進をしていくということ。あるいは津波避難を軸にした土地利用計画の策定、これもそれぞれの地方で始まってくるというふうに思います。都市計画部局での検討対応をこれからしていくということになると思います。  それから、もちろん耐震化それから耐震改修促進をしていくということ。それからもう一つ防災施設強化ということになりますが、これは、海岸管理者、これは堤防そのものもどのように見直していくか。これは局部的にいろんなケースが出てきますので、全国一律ということではなくて、その局部的な部分地方自治体連携しながら対応していくということがあると思います。それから、重要構造物強化して、その対策をしていく。これは、それぞれ施設管理者の中で新しい仕組みが出てくるということです。  あと、ソフト面では防災教育、これを充実させていくということであります。さっき申し上げたように、この部分が非常に大事なところだというふうに思います。  そうした具体的な政策をしっかりそれぞれの地域連携をしながら進めるということを考えております。
  12. 大久保潔重

    大久保潔重君 この検討会の今後のスケジュール、あるいはこの中央防災会議、これの今後のスケジュール等について御説明をいただきました。最後に地方自治体との連携ということも言われましたので、もう既に地方自治体は動き出しているところもたくさんございます。そういう意味での国の支援というのを非常に求めておられると思いますから、よろしくお願いしたいと思います。  今回の、最大規模想定でありますので、当然、もうこの津波が来たときに今の既存の防潮堤、これだけでは防ぎ切れません。いかにどう避難するか、逃げるかということも大事であります。  また、その震源の設定が若干内陸側に来ておりますから、当然もう地震があった直後に、早い到達時間で津波が押し寄せてくるということも考えられます。そうなると逃げ切れないということも考えられるし、三十メートルを超えていると、これは高知県でありますけれども、避難タワー避難しても本当に安全かどうか、これも担保が取れないという状況でありますね。  そういう意味も含めて、今後はそういう自治体、高台への集団移転というのも具体的に検討に入ってくるだろうと思いますから、そういう意味では、是非国としても支援をしていただきたいというふうに思っております。  それから、先ほど五つ地震ということをシミュレーションを描かれたということであります。これは東海東南海南海という大きくもう三つの地震を、当然これはそれぞれに特措法という立法措置というのもあるわけでありますが、これもうばらばらではやっぱり良くないんじゃないかなとこれは思っております。恐らく大臣もそのように考えておられると思うんですけれども、今後は、その立法措置も含めて統一化といいますか、そういう部分も是非前向きに考えていただきたいと思いますが、これ、いかがでございましょう。
  13. 中川正春

    国務大臣中川正春君) これまでの前提では、東海地震の場合はある程度予知ができる、予知をして、それがされたときに緊急事態想定してどのように全体を動かすかという、そういう想定東海地震というのはなされている。だから、その予知ができない東南海とか南海とは違った性質の法律になっているわけです。  そういうことも踏まえて、新たにこうして連動という形でそれぞれ出てきたわけでありますので、特に災害対策、どのように地域がそれに対して備えていくかというようなことを前提にして、できる限り分かりやすく一本化をしていくということが望ましいんだろうというふうに思います。だから、予知ということとうまく整合性を持たせながら対応していきたい、考えていきたいというふうに思っております。
  14. 大久保潔重

    大久保潔重君 東海予知できる、しやすいということであります。  次に、首都直下型地震に対しての質問に入らせていただきます。朝から物騒な話、続けておりますが、国家危機管理でございますから、よろしくお願いいたしたいと思います。  文部科学省研究グループが三月三十日に公表した首都直下型の東京湾北部震源とするマグニチュード七・三の予測震度、最近判明した首都圏地下構造で、発生領域の深さが従来よりも約十キロメートル浅い位置にプレート境界があるとして計算をされております。したがって、従来は最大震度六強と言われていたのが震度七に変更をされました。  震度六強と震度七でありますと、その被害状況が随分これまた変わってきます。耐震性の低い鉄筋コンクリート建物、これ、多くは倒壊するんじゃないかというふうにも言われております。先日の参議院内閣委員会でも、実は私、それを想定して、衆議院参議院及び国会図書館耐震性について質問したばかりであります。  東京には、いわゆる立法行政、司法という三権のみならず、金融経済情報、報道、外国の大使館、さらには皇室などが一極に集中しております。特に、この行政中枢機能を考え、首都直下地震切迫性に鑑みれば、いかなる事態が発生した場合でも業務を停止しない、あるいは即座に復旧できる防災面での強化に加え、万が一停止した場合の首都中枢機能バックアップ確保が必要であると考えております。東日本大震災の教訓を生かし、二度と想定外の言い訳をしないためにも、政府バックアップ体制整備に直ちに着手すべきと考えます。  そこで、前田国土交通大臣お尋ねをいたします。  国交省が昨年暮れに設置した東京圏首都機能バックアップ検討会、この二次取りまとめ案が三月二十二日に示されました。今後のいわゆるこの首都圏首都機能バックアップ推進策について前田大臣の御見解をお尋ねいたします。
  15. 前田武志

    国務大臣前田武志君) 大久保委員にお答えいたします。  委員もう御指摘のとおり、この直下型、震度七ですか、というようなことになると、当然御指摘のような中枢機能が損なわれてそして機能しなくなるというおそれがあるわけですから、直ちにそのバックアップ体制が立ち上がって国家緊急事態対応できるということが重要な喫緊の課題であって、そのために、委員も御指摘のように、昨年末から検討会を立ち上げて、三月二十二日の第五回検討会での議論を踏まえて、バックアップ体制を構築するに当たり検討すべき基礎的な論点とその考え方内容とする取りまとめ作業を行っているところであります。近日中にそれを発表する予定でございます。  もちろん、この検討作業というのは内閣官房内閣府と連携して進めているわけでございます。行政中枢機能バックアップ体制の構築は広く全府省庁にかかわる課題であり、その具体化に当たっては、検討会取りまとめを踏まえつつ、政府全体として鋭意取り組んでいくべきと考えております。国交省としても積極的に更に取り組んでいくつもりでございます。
  16. 大久保潔重

    大久保潔重君 国交省がこのような検討会取りまとめをされたということは評価をされるべきことだと思います。その上で、今後、内閣官房あるいは内閣府なのか、全省庁的に連携をしてこのバックアップ体制というのの検討を前向きに進めていただきたいというふうに思っております。  実はこれは、民主党首都中枢機能バックアップワーキングチームというのがございまして、そのワーキングチームも、つい先日、これは三月十二日の部門会議発表されましたが、中間報告ということで発表をしました。内容は、かなり具体的な内容に踏み込んであります。これ、中川大臣、御覧になられましたでしょうか。  民主党のいわゆるこの首都中枢機能バックアップワーキングチーム取りまとめ中間報告について、防災担当大臣、どのように受け止めて、そしてその実現をどのように図っていこうと今考えておられるのか、お尋ねしたいと思います。
  17. 中川正春

    国務大臣中川正春君) それぞれで非常に熱心に議論をしていただいて取りまとめをしていただいておること、感謝を申し上げたいというふうに思います。  政府全体としては、昨年の十月に、有識者による首都直下地震に係る首都中枢機能確保検討会というのをやりまして、これの報告書取りまとめていただきました。その中で、いわゆる首都中枢機能維持のための政府全体としての業務継続計画、これを確立をしていくということ、それから被害想定シナリオの抜本的な見直しをするということ、それから脆弱点発見のための評価、検証の仕組みの確立をしていく、それから官民一体となった連携体制の強化、実践を想定とした訓練体系の整備、こういうことを総合的に煮詰めていかなければならないということであります。  この夏ごろをめどに、改めてトータルで、先ほど国交省の方で検討していただいたバックアップも含めて、あるいは民主党の方から出していただいた、あるいはまた様々な専門家検討会から出していただいておりますものを総合的に議論しながら、ワーキンググループを設定をいたしまして、夏ごろをめどにこの首都中枢機能確保のための対策中間報告を総合的に出していきたいというふうに思っております。  そんな中で、非常に具体的な提案をいただいたということ、検討項目の中の一つにしっかり位置付けながら議論をしていきたいというふうに思っております。
  18. 大久保潔重

    大久保潔重君 この民主党首都中枢機能バックアップワーキングチーム中間報告では、バックアップ拠点の候補場所も、望ましいということで明記をされております。様々な要件というか理由を挙げて、候補場所にふさわしい、社会経済活動の要として様々な民間中枢機関、これは日銀である、もう日銀は既にその候補地として作業を進めておりますが、NHK、金融機関、大企業の本社、本店等、それから当然行政の機関といいますかそういうのも含めて、まず大阪に整備すべきではないかというふうなこの提案がなされております。  今日はパネルを準備することができませんでしたが、皆さんには資料を配付をさせていただいています。  東京と大阪、この東京の霞が関、大手町周辺と大阪のこの中心市街地の同じ面積の中にこれだけ重要な様々な機関があるということで比較をしておりますが、こういうバックアップ拠点を東京以外に移すと具体的に明記をされたことに対して中川大臣のコメントをいただきたいと思います。
  19. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 先ほど御指摘ありましたように、大阪については日本銀行やNHKあるいは大企業の本社、本店等が集積をしておりまして、また中央省庁の地方出先機関、これもあることなどから、東京圏外のバックアップ拠点の候補地の一つというふうになり得るものという御指摘、今後の検討に当たって十分に参考にしていきたいというふうに思っております。  いずれにしても、今回の中央防災会議の下のワーキンググループ、先ほど申し上げたように、その検討会で、全体のバックアップの在り方も含めて、あるいはそれが一拠点になるのか、あるいは複数になるのか、またどういう機能をそこで付与していったらいいのか等々含めて、政治のリーダーシップを発揮しながらしっかりとした方向性をまとめていきたいというふうに思っております。
  20. 大久保潔重

    大久保潔重君 一拠点に限らず複数の案も含めて、政治のリーダーシップということであります。その辺も含めて、今度はより具体的にバックアップ拠点としてこういう提案もなされております。現地災害対策本部となる場所を活用することも現実的な選択肢であるということであります。  私は個人的に、今既にこれは東京立川市にも防災センターありますが、何か心もとない感じがしております。本来、これは内閣府が急いでやるべき問題かなというふうにも思っておりまして、そういったところも含めて、いわゆる現実的な現地災害対策本部となる場所についての中川大臣の見解をお聞かせください。
  21. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 提案を具体的にいただきましたのは、大阪の合同庁舎第四号館ということだと思います。これは、東南海南海地震や近畿圏における大規模地震の発生時の政府の現地の拠点として今の計画の中では位置付けられているということであります。中央防災無線設備の設置などによって非常時の通信手段の確保等が図れるということ、それから平成二十二年には国の地方出先機関の参集すべき要員を集めた研修などここで実施をしてきたという実績があります。  しかし、政府全体のバックアップということになると、こうした機能だけではなくて、さらに多方面で考えていかなければならない部分が多く出てくると、そういうことも前提になりますので、先ほど申し上げたように、政府全体としてのバックアップの在り方については他の地域における拠点の確保の必要性も含めて総合的に考えていきたい、そしてできるだけ早くそうした方向性と結論を得ていきたいというふうに思っております。
  22. 大久保潔重

    大久保潔重君 是非それをスピード感を持って取り組んでいただきたいと思います。  まあいろいろなクリアすべき条件もありますが、全てパーフェクトにということはなかなか難しいと思います。それぞれ候補となる拠点となればメリット、デメリットが考えられますが、まずは場所を決めて、それにのっとって話を進めていくということも重要になってくるだろうと思いますし、当然、デメリットがあれば複数の拠点というのも考えるわけであります。  総理にお尋ねをいたします。この首都直下地震というのは、明日とも知らずいつ起こるか分かりません。そういう意味で、首都東京が仮に広域的に被災し首都中枢機能が機能不全に陥った場合というのは、これはもう国家の存亡にかかわる問題であります。このいわゆる首都機能バックアップ体制を、一例として大阪挙げさせていただきましたけれども、首都圏以外の場所で早急に構築すべきと思います。総理の御見解をお尋ねいたします。
  23. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) おはようございます。  首都中枢機能バックアップの体制については、第三次補正予算で調査費を計上させていただき、内閣官房でも検討していただいていますし、先ほど前田大臣もお話をされたとおり、国交省の中での検討も進んでおります。また、中川大臣が御説明したとおり、この夏までに一定の方向性を出すような議論もさせていただいておりますが、政府を挙げてこのバックアップ機能をどうするかについての検討を鋭意進めているところでございます。党からの御提言もございました。バックアップの候補地なども含めまして、多角的な検討を深めていきたいというふうに考えております。
  24. 大久保潔重

    大久保潔重君 今後の国としてのスケジュール感というのも御説明もいただきましたし、ただ、総理に申し上げたいのは、やはりもうある程度場所を特定してそしてその方向で進めていく。民主党の提案にも六つの理由がありましたけれども、全ては網羅できないと思うんですね。  仮に大阪、いろんな意味での条件はそろっています。先ほど言いましたような、中枢機関がある、府省の地方部局がある、交通網も発達している、それから大きな既存の施設もある、システムエンジニア等高度な専門性を持っている人材も確保できる、いろいろあります。しかし、この自然災害の蓋然性というのは決して低くないわけであります。関東首都直下型が起こると同時に、近畿圏だってそれは十分起こり得るわけですから、そういう意味での複数拠点というのは当然これは検討していかなければいけませんし、より具体的に場所をもう特定して話を進めていかなければかなりスピード感を持てないんじゃないのかなと、このように考えております。  実は、この副首都建設構想、石井予算委員長が以前提案をして、これ党派を超えて、また各界からも賛同を得ていると聞き及んでおります。是非引き続き、この大きな副首都構想、これを推進していくとともに、当面切迫する非常事態に備え、東京圏以外でのバックアップ体制構築、これをお願いしたいと思いますが、いま一度総理の発言をお願いしたいと思います。
  25. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) 候補地についてはいろんな御意見があると思うんです。その候補地の問題とかコストの問題とか実現可能性なども含めまして多角的な検討を更に進めていきたいというふうに思います。
  26. 大久保潔重

    大久保潔重君 先ほどの答弁でも政治的な判断も含めてということがありましたので、是非そこは強いリーダーシップでもってとにかく話を先に進めていただくということでお願いをしたいと思います。  次に、東京電力福島第一原発質問を移します。  あの福島第一原発の事故から一年余りが経過をいたしました。昨年十二月に野田総理から事故の収束宣言らしきものが出されましたけれども、これは単に原子炉の冷温停止状態のステップツー、これが達成されただけなのかなという感想を持っておりまして、国内外に疑念を与え国民の不信を高めたことは、私が総理に申し上げるのは大変おこがましいんでありますけれども、猛省すべきことではないかなというふうに思っております。  事故原因についても、現在、国会や政府の事故調査委員会で調査をされており、これ、初動の政府対応、あるいは全交流電源喪失の原因も新たな事実が分かりつつあります。本当に現在のサイト内の状況が冷温で安定しているのか、タンクに貯蔵されている十二万トンを超える汚染水の問題、格納容器のいわゆる破損の問題、建屋間の止水の処置、建屋から流れ込む地下水への対応、さらには、これは、四号機の燃料プールには多くの使用済燃料があります。この次のステップでの安全確保と早期の取り出し、先ほどまた東海地震の話もさせていただきましたけれども、いわゆるアウターライズ地震による巨大津波による二次的な被害の懸念、敷地内の除染や水素爆発で飛散した瓦れきの回収と処理、作業員の安全確保とともに福島県民の長期にわたる健康管理と生活再建支援、賠償問題など、課題は山積みであります。そういう中で、最終的な事故の収束、廃炉までに要する期間は極めて長期にわたります。  世界でも前例のないこの福島第一原発、この事故の収束に向けた、事業の遂行に向けた総理の御認識と決意をお伺いしたいと思います。
  27. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) 東京電力福島第一原発の廃炉に向けた取組は、昨年の十二月に決定した中長期のロードマップに従いまして政府東京電力が一体となって取り組んでいかなければいけないというふうに思いますが、大久保委員指摘のとおりに、廃炉に至るまでというのは大変長い期間を要するというふうに思いますので、そのロードマップ自体も継続的に見直しをしていかなければいけないというふうに考えておりまして、特に仮設設備を恒久的設備に更新していくことなど信頼性向上対策についても、速やかに中長期ロードマップを改訂し、的確に進捗管理を行う旨、三月三十日の原災本部において報告を受けております。  また、廃炉に向けた取組は、多くの作業がこれまで経験をしたことのないような技術的な困難性を伴うということから、産業界やあるいは研究機関の協力も得つつ、国内外の英知を結集して進めることとしており、既に原子炉内からの燃料デブリの取り出し準備、放射性廃棄物処理、処分などに係る研究開発プロジェクトについて平成二十三年度補正予算で開始をしたところでございます。  今後とも、中長期ロードマップに沿って、発電所の安全維持に万全を期しながら、廃炉に至る最後の最後まで全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
  28. 大久保潔重

    大久保潔重君 本当にこの福島第一原発、これが収束しないと福島の再生というのはあり得ないと思っています。これこそまさに、総理を始め、我々も含めて命懸けで取り組むべき問題だと思います。本当に、専門でない私が考えただけでもこれだけ課題があるわけでありますから、大変な作業だとは思います。  細野大臣も手を挙げられたので、是非今私が申した今後の課題についての対応についてお聞かせいただければ幸いです。
  29. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 今総理からも御答弁ありましたけれども、廃炉に向かってはまだまだ課題が極めて、もう本当にたくさんあるというふうに思っております。  先ほど大久保委員が、例えば水の問題であるとかデブリの問題であるとか、あと瓦れきの問題であるとか、そういったことを御指摘をされました。また、そうした作業をするときに、作業員の皆さんの環境をしっかりと維持をして守っていくということも極めて重要であるというふうに思っております。  そうした課題一つ一つを克服するためには、これは東京電力に任せておくということはできませんので、政府としてもしっかりと体制をつくってこの廃炉に向かったプロセスをやり抜く覚悟が必要であると、まさに政治家が命を懸けるべきテーマだというふうに思っております。  大変今いろいろ御配慮をいただいた上で御発言をいただきましたが、若干政府の立場を改めて説明をさせていただきますと、廃炉に向かっては様々なトラブルがあり得ますので、それをとにかく減らして確実にやる作業が必要であると。一方で、事故そのものをどう考えるかということに関しては、冷却機能を多重化をいたしましたので、再び冷却ができなくなって皆さんに避難をしていただくという事態はこれは解消したということで、事故そのものについての収束を皆さんに御報告をしたということでございます。  したがって、サイトの中でもう一回そういう本当に深刻な事態になることはないというふうに評価をしておりますが、一方で課題は山積をしておりますので、それは直視をした上で政府としてしっかりと対応してまいりたいと考えておるところでございます。
  30. 大久保潔重

    大久保潔重君 昨年のちょうど七月七日にも、同じくこの予算委員会で私も質問をさせていただきました。当時はまだステップツー達成しておりませんでしたので、とにかく原子炉の火種を冷却するということで冷却水を掛けてかなり汚染水がたまっている、汚染水の処理を是非、外国産ではなくて国産の技術を生かしてやっていただきたいということで、細野大臣からも非常に心強い答弁をいただいたわけであります。やはり国産のメーカーのいわゆる汚染水処理で格段に効率が上がったということでありますし、是非それは進めていただきたいと思います。  それから、瓦れきも、放射性物質にいわゆる汚染されていない瓦れきの処理というのも、大臣、総理始め政府の皆さん方が随分動き出して、これは全国自治体にもお願いをしたりして進めていく。そうはいっても、なかなか自治体の受入れというのも非常に、これ、いろんな事情がある地域もございますし、また、その余力が、これは瓦れきの処理の余力がそもそも少ないという地域もございますので、その中でいわゆる放射性物質に汚染されていないと言われている宮城、岩手の瓦れきの処理も、これはもう私も個人的に提案をさせていただいておりました。民間の、いわゆるセメント、製紙会社等々の民間の力を是非活用してやっていただきたいということで提案をさせていただいて、そのように少しずつ進んでいるということを非常に感謝を申し上げたいと思います。  それで、放射性物質に汚染されている瓦れき、これもこれからどう対応していくか。これとてやはりその除染が必要になってきます。その除染をしてやはり一キロ当たりのベクレルが抑えられれば、これは普通の瓦れきとしての処理もできるのかなという気がいたしておりますから、その除染の作業も含めて、是非内外の英知を集めて取り組んでいただきたいというふうに思います。民主党原発事故収束対策PTの二次報告も、つい先日、三月二十七日に出ておりますから、是非そこも踏まえた取組をお願いしたいと思います。  原発の安全規制と再稼働についてお尋ねしたいと思います。  先日、原子力安全委員会において、関西電力大飯原発三、四号機の一次評価のストレステストが問題ないとする確認結果を決定したという報道がなされました。しかし、今日の新聞では、それに対しての国民の多くの皆さんが非常な不安を抱えているという報道もなされております。  さっきちょっと触れました、私は昨年七月の予算委員会において、九州電力玄海原発の再稼働の問題で、ちょうど菅総理がストレステストを再稼働の条件としたのを受け質問をしたという経緯がございます。しかしながら、政府内でこの間、ストレステストの基準、再稼働の際の取扱いが十分に検討されているかが、私たちを含め国民の皆さんに対し十分に理解が得られたとは言い難い状況にあると思います。  今後、原子力安全規制の新体制を構築する中で、事故の検証を踏まえてどのように対策を講じていくのか、また、国民に対してどのように理解を得ようとするのか、細野大臣お尋ねしたいと思います。
  31. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 原子力安全規制の体制というものについては、やはり国民の信頼を今失墜をしておるところでございますので、できるだけ早くこれを新しくしていきたいと思っております。  そのやはり第一の目的は、原子力推進をする、エネルギーを供給する立場と規制を分けるということでございます。今、枝野大臣がその両方をやっておりまして、非常に難しい立場でやられている。安全をまず最優先でということでやっているわけですが、それでも供給についても責任を持つ大臣が規制をやり続けることは、これは国民に対してもやはり世界に対しても、私はいろんな、それこそあらぬ疑念を招きかねないというふうに思います。それが第一でございます。そういう考え方の下で原子力組織制度改革法案を今国会に提出をさせていただいておりまして、その中で放射線から人と環境を守る安全規制の制度と防災体制をできるだけ早くつくりたいというふうに考えているところでございます。  そこで、国民に対してということでございますが、事故の検証が国会の事故調査委員会を含めて精力的に行われております。したがって、そこで出てくる様々な知見というものは、それをその時々にしっかりと反映をしていくことは必要であるというふうに思っております。したがって、まずは推進サイドからはっきり分けた形での規制機関を立ち上げさせていただいて、その中で順次組織をしっかりと強化をし、さらには規制を強くしていくという形での国民の理解というものを得ていきたいというふうに考えているところでございます。
  32. 大久保潔重

    大久保潔重君 それでは、枝野経済産業大臣に続けてお尋ねしたいと思います。  今、細野大臣も触れられましたけれども、原子力組織制度改革法案、これの審議が遅れておりまして、成立がまだできていない状況であります。本来、四月から原子力規制庁発足という予定がございましたけれども、大きくずれ込むことになりました。当面は、ですから、現行の保安院、安全委員会が存続をしながら、過渡的にこの原子力規制、安全確保についての作業が進めていかれるというふうに思っております。  過渡期であっても、原子力安全確保について空白時間があってはならないと思います。当面の原発の安全規制、それから、今後原子力規制庁が発足したとして、現にある原発の再稼働あるいは将来のエネルギー問題について政府としてどう道筋を付けておられるのかも含めて、枝野大臣お尋ねしたいと思います。
  33. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 御指摘のとおり、原子力施設の安全の問題は空白が許されない問題でございます。何度も申し上げておりますが、稼働していない原発だからといって安全なわけではありません。そこには、つい先日まで稼働していた燃料棒等があれば、冷却が止まればいずれメルトダウンに至るという状況であるのは止まっている原発でも同様でございます。  したがいまして、規制庁が四月一日発足に間に合いませんでしたので、保安院において、これは昨年の原発事故を防げなかった、あるいはその後の対応等に対して国民の皆さんから大変な御批判をいただいている、そのことの自覚を十分にしながら、したがって、より気を引き締めて安全対策に当たってきているところでございますが、これについては規制庁発足までしっかりと取り組んでいくように改めて指示をしたところでございますし、私もその所管大臣としてそうした気持ちでやってまいりたいと思っております。
  34. 大久保潔重

    大久保潔重君 民主党のPTでも指摘をしております。例えば一つ、地元、先ほど国民の御理解ということで、地元の御理解、その地元の定義すらはっきりしていないわけであります。  私の地元、九州電力の玄海原発というのは実は佐賀県でありますが、もういわゆる過去のEPZ、五キロ、八キロ圏内に実は長崎県の松浦市、もっと広げて三十キロ圏内には壱岐市、平戸市、佐世保市といったところもあるんですけれども、どうしても行政区が違うものですから、いろんな意味での蚊帳の外にされてきたというような感が否めません。そういう意味で、国民の皆さんに対する説明、理解、地元に対する対応というのも、そこら辺りもきちっと丁寧にやっていただく必要があろうかなというふうに考えております。  最後に、もう時間もありませんので、エネルギー基本計画についてここでお尋ねいたします。  私は、ちょうど二年前の六月に、これ地球温暖化対策基本法案について参議院の本会議質問をいたしました。これは一旦廃案になりました。その後、再提出されましたけれども、以降、全く国会審議がなされていないという状況であります。この法案に関しては、各党、各業界の様々な意見があり、温暖化対策への対応や排出量削減目標の取扱いなど、なかなか意見がまとまらない状況であります。  さらに、昨年十二月のCOP17では、我が国は二〇一三年度から京都議定書第二約束期間に参加しないということを表明をしております。  従来は、この温室効果ガス排出削減の道筋を決めるに当たって、二酸化炭素を排出しないということで原発の活用というのを重要な要素としてこの法案あるいは現在のエネルギー基本計画の中にうたわれておりますが、昨年の三・一一東日本大震災後、劇的に状況が変化をいたしました。是非、今後の原発、再生可能エネルギーの取扱い、さらには京都議定書第二約束期間に入る二〇一三年以降の問題も含めて、この温暖化対策と多種多様なエネルギーの将来、方向性について環境省内で検討されている状況についてお示しいただきたいと思います。
  35. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 大久保委員には、温暖化の問題についてこれまでも非常に前向きな提案を度々いただいておりまして、心より感謝を申し上げます。  御指摘の二〇一三年以降の地球温暖化対策につきましては、これはエネルギー問題とやはり表裏一体でございますので、エネルギー・環境会議の場におきまして春ごろには選択肢を提示をし、そして国民的な議論を得て今年の夏ごろには決定をするという方針を持っているところでございます。  環境省では、エネルギー・環境会議の基本方針に基づきまして、中央環境審議会地球環境部会と、その部会の下に設けました二〇一三年以降の対策・施策に関する検討委員会において、地球温暖化対策の選択肢の原案を現在検討しているところでございます。  その中で、非常に重要なテーマでございます自動車、住宅・建築物、産業、エネルギー供給といった分野ごとに、一層の省エネルギー推進であるとか再生可能エネルギーの拡大、分散型エネルギーシステムへの転換などの検討を行っておりまして、それらの結果を既に対策の強度に応じて三段階に整理をしております。春ごろと申し上げました春がもう来ておりますので、その整理をしたものに基づいて、そろそろやはり選択肢についても提示をしていかなければならない時期であると考えております。環境省としては三段階ということで申し上げましたが、できるだけレベルの高いものをしっかりと提示をすることが重要だというふうに考えているところでございます。  その一方で、原子力についてはやはり考え方を転換をしていかなければなりませんので、これまでのように原子力に頼った温暖化対策ということではなくて、これは資源エネルギー庁の方ともしっかりと、会議とも連携をしながらレベルを下げていくと、その中でも温暖化の問題どう対応するのかという選択肢をできるだけ早い段階で国民にお示しをしたいというふうに考えているところでございます。
  36. 大久保潔重

    大久保潔重君 是非、いろんなスケジュールがずれ込んでいるような状況でございますから、しっかりとそれは取り組んでいただいて、早くにその方向性を国民の皆さんにお示ししていただければ幸いでございます。  私はこれで質問を終わります。ありがとうございました。
  37. 石井一

    委員長石井一君) 以上で大久保潔重君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  38. 石井一

    委員長石井一君) 次に、金子洋一君の質疑を行います。金子君。
  39. 金子洋一

    ○金子洋一君 おはようございます。民主党の金子洋一でございます。よろしくお願いいたします。  私は、日ごろから円高・デフレ脱却というテーマで活動をさせていただいております。今日は、先ほど大久保議員からすばらしい質疑がございましたので、そちらとは極力重ならない形で、経済的な側面からエネルギー原子力問題について質疑をさせていただきたいと存じます。  まずは、エネルギー原子力発電問題についてでございます。  現在は、国内の原子力発電所、これ五十四基ありますうちに一基だけ動いている状態であります。これも五月には停止をする予定でございます。各社ともこれを火力発電で賄うために長期計画停止中のプラントを稼働させている。しかし、こうした古いプラントは発電効率も非常に悪く、またトラブルも起きかねないという状態でございます。  この不安定な電力供給に対して、一部の皆さんは、電力供給が逼迫をするであろう今年の夏に対しましても昨年の夏と同様に、例えば工場に対して昼間ではなく夜間に操業をしろとか、あるいは木曜と金曜日に休業をして、そして土曜、日曜に操業をしろと、そういった御主張をなさる方もおいでです。しかし、一部の産業だけに過剰な負担をしわ寄せをすることは、これは公平ではないと私は考えております。  私は、昨年の七月に当時の菅直人内閣総理大臣に対しまして、十一名の仲間、吉良州司衆議院議員や長島昭久衆議院議員とともに、体制を一新して、新たな体制の下で新たなエネルギー政策原子力政策に取り組むべきだということで、申入れを行いました。  その内容は、原子力政策については当時の安全対策の不備がこれは明確にあったと。そして政策推進機関である経産省と、そしてそれをチェックをする機関である原子力安全・保安院が同一の大臣の指揮下にあることはこれは不適切であったこと。そして、中長期的には再生可能エネルギーの普及促進を行っていくべきである、その一方で同時に、夏冬の電力需給逼迫時期についてはこれは早急な対応が必要であるということを申し述べさせていただきました。今もその考えは全く変わっておりません。  現在、国内の製造業は円高・デフレの下で電力不足という大変厳しい状況にさらされております。電力供給について国内の物づくり産業が直面する窮状を十分に認識をした上で、電力供給について需給問題を早期に解決をする、そうした適切なエネルギー政策をつくり上げるのだという明確なメッセージを政府が発出する必要があると考えております。  そこで、まず経産大臣お尋ねをいたします。  まず最優先の課題は、今年の夏の安定供給であると考えております。そして、電力システムの改革の問題、これも大変重要な問題だとは思いますけれども、これはまた別に中長期的にきちんと議論をしていくべきだと考えております。国民や生産現場の不安を解消をするためには、経済的な効率性と両立させた形でこの夏の電力の需給の逼迫に対応していく必要があると思います。  その点を踏まえていただきまして、今年の夏の電力供給を確保する方策についていかがお考えでしょうか、経産大臣、お願いをいたします。
  40. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) この夏の電力需給については、仮に原子力発電所の再起動がなく二〇一〇年の猛暑並みのピーク需要となった場合には、有効な対策を講じないと約一割の需給ギャップが生じる見通しであるというのを昨年の秋にまとめております。その後、供給力の積み増しについて各電力事業者を促すとともに、予算や規制改革等を通じた努力あるいは省エネ促進策を進めております。    〔委員長退席、理事川上義博君着席〕  また、この夏の具体的な需給見通しについては、これまで以上に正確な情報を把握する必要があることから、電気事業法に基づいて罰則付きの報告徴収を電力会社に掛けたいというふうに思っております。つまり、電力を隠していたら罰則を掛けるということでちゃんと全部出せと。その上で、経産省だけではなくて、第三者の専門家からの検証を受ける機会を設けて、隠している供給力がないかどうか、あるいは見逃している供給力がないかどうかということを詳細に検討させたいと思っておりまして、こうしたことを今月中鋭意進めまして、連休前後までをめどに対策とともに取りまとめてお示しをしたいというふうに思っております。
  41. 金子洋一

    ○金子洋一君 ありがとうございます。  隠している電力がないのかどうかというチェックをきちんとしていただきたいと思っております。  しかしながら、火力発電を再稼働することによりまして、我が国のLNGや原油の輸入量というのは急増をいたしました。そのこともありまして、昨年の我が国の貿易収支、これは第二次石油ショックの直後以来三十一年ぶりに赤字に転落をいたしました。  資源エネルギー庁の計算によりますと、原子力発電所が一年間全て停止をした場合の追加的な燃料費は約三兆円であるということであります。このことは、この数字は、二〇一一年の貿易赤字全体が二兆四千九百二十七億円でございますから、これと比較をいたしましても、それより大きい数字になっております。そして、二〇一〇年の貿易収支は六兆六千三百四十七億円の黒字だったわけですけれども、その約半分にも当たるという大変大きな数字であります。これ、我が国が発行しております国債の信認も、これは経常収支の黒字に支えられておるところも大きくございます。ですから、こういった経常収支の悪化が、これはできるだけ避けなければならないというわけであります。  同時に、燃料費の高騰も相まちまして、電力会社の収支も急激に悪化をしております。電力供給が不安定であることに加えて、電力料金が値上げをされるということになりますと、我が国の国民生活への悪影響はもとより、産業の空洞化すら招いてしまうということが考えられるわけであります。  また、ちょっと話題がずれるわけですけれども、原油やガス、石炭といった化石燃料に対して課税をする地球温暖化対策のための税につきましても、この時期これだけエネルギー価格が高騰しているわけですから、我が国の産業や経済に過度の負担とならないように十分配慮をしていく必要があると私は考えております。  さて、電力を安定供給するということは大変重要なことであります。そこで、総理と経産大臣にそれぞれお尋ねを申し上げます。  中長期的なエネルギー政策については再生可能エネルギーの比重を高めていく方向でいくべきだと私は考えておりますけれども、特にこの夏の需給逼迫に対応するためには、これは十分に安全を確認して、そして地元と十分に話し合った上で早期に原子力発電所の再稼働を実現すべきではないかと考えますが、総理と経産大臣、御所見をお願いをいたします。
  42. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 電力の需給やあるいはその燃料代等による経済等に与える問題というのは大変重要であると思っておりますが、それ以上に、原発事故が起こった場合の影響の方がより大きい、その程度は比較にならないと思っております。したがいまして、まずは、原子力発電所の安全性の確認とそれについて地元の皆さんを始めとする住民の皆さんの一定の理解が得られるかどうかということが重要であります。  今、大飯発電所の二つの原子炉については専門家による検討が済んだ状況でございますが、まだ今の段階で私自身その内容に納得をしているわけでもありませんし、それで国民の皆さんに納得をいただけると得心をしているわけではありません。今、今日もこの国会終わりましたら、しっかりと鋭意それを読み込もうと思っております。  先ほどの御指摘のとおり、今私は原子力の安全とそれから電力需給と双方の所管をしておりますが、まさにあの原発事故を踏まえれば安全を優先しなければなりませんので、大変恐縮ですが、今のお尋ねに対するお答えは、私自身がこれで国民の皆さんに一定の御理解をいただけると得心をした時点でお答えさせていただきたいと思います。
  43. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) 今、枝野大臣お答えしたとおりだと思いますが、心配をされる今年の夏の需給の問題は、これは間もなく具体策出すと思いますけれども、基本的には供給力を積み増していくのと、それから需要を減らすためのいわゆる省エネの徹底ということになると思いますが、その上で、原発の再稼働については、これはあくまで安全性のチェックというのが最優先だろうと思います。  したがって、従来からそのプロセス申し上げておりますけれども、あのIAEAのレビューを受けたストレステストを行い、それを保安院、そして安全委員会がそれぞれチェックした後に、地元の理解などが得られているかどうかを関係閣僚で総合的に政治判断をするというプロセスをしっかり、安全性のチェックという観点を大事にしながら判断をしていきたいというふうに思います。
  44. 金子洋一

    ○金子洋一君 ありがとうございます。  私も安全性について妥協をしろというふうには全く考えておりません。地元の皆さんの中には、原子力規制庁の発足がなければこれは到底受け入れられないとおっしゃるところも多いわけであります。私は別に、特定の原子力発電所を、どこをどうせよというふうに申し上げるつもりはございませんけれども、日本全体のことを考えますと、やはりどうしてもこの問題は避けて通れない問題であろうと考えております。  電力関連の質問はここまでといたしまして、次に、石油製品関連の御質問をさせていただきたいと思います。  被災地では、電気やガス、こういった供給網が寸断をされる中で、分散型エネルギーであります石油製品が、移動ですとかあるいは暖房用のエネルギーとして活用をされてきました。もとより関東より寒い地域でありますので、依存度が元々高かったわけでありますけれども、供給ネットワークの分断にも耐えて何とか使用し続けることができたわけであります。  そういった性格も十分踏まえまして、また今、エネルギー基本計画が中長期的なエネルギー政策の指針として検討の大詰めを迎えております。このエネルギー基本計画でも、平時のことだけではなく、こういった緊急時の震災のような状況想定をして、十分意識をして策定をお願いをしたいなと思っております。  この大震災を機に、備蓄強化災害時の石油製品の供給確保に向けて石油備蓄法などの改正案が提出をされておるところであります。そして、そこで、全国のこれは病院ですとかあるいは公立の学校、そういった公の施設に対して、震災の教訓を生かして自家発電の装置を設置をする、あるいは、設置をした装置も、これはメンテナンスをしておりませんと、いざ動かそうとして、実際に全く物の役に立たなかったという例も震災のときに起きてしまっておりましたわけですから、メンテナンスも十分にやると、そういったことも義務付ける、そういった対策を行うべきではないかと私は考えておりますので、それぞれ、病院と学校につきまして、厚労省、文科省、お答えをお願いを申し上げます。
  45. 藤田一枝

    大臣政務官藤田一枝君) 災害時の医療機関における電力確保対策というのは、委員指摘のとおり、大変重要な課題でございます。  そこで、平成二十三年度は、第一次補正予算と第三次の補正予算、合わせて計三十八億円を計上いたしまして、全国災害拠点病院、救命救急センターなどの自家発電設備の整備に対する補助を行っているところでございます。  また、今お話がございましたメンテナンスの義務付けでございますけれども、災害拠点病院については、本年度、この四月一日から新たに指定要件というものを整備をいたしまして、その中で、病院の基本的機能を維持するために必要な設備について自家発電機等により電源が確保できること、また非常時に使用可能なことを平時から検証するよう求めておりまして、災害時に確実に作動できるよう取組の強化を図ったところでございます。  今後とも、災害時に備えた対策を進めてまいりたいと考えております。
  46. 城井崇

    大臣政務官(城井崇君) お答えを申し上げます。  公立学校施設につきましても、子供の安全確保はもとより、災害が起こったときの地域の応急避難場所としての防災拠点としての役割も果たすために、防災機能の強化は極めて重要であるというふうに考えております。  文部科学省におきましても、平成二十四年度予算案におきまして防災機能強化事業を創設をいたしました。避難所に指定された学校への自家発電設備の整備等への支援をすることというふうにいたしております。  また、御指摘のメンテナンスにつきましてですが、東日本大震災の教訓を踏まえた有識者会議の緊急提言におきましても、教育委員会防災担当部局が連携をし、自家発電設備の整備そして維持管理等の防災機能の向上を図っていくことが必要との指摘がございます。これを踏まえまして、地方公共団体に通知をし、そうした設備の整備そして維持管理を今促しているというところでございます。  今後も引き続き、地域状況が少し違うところもございますので、地方公共団体の要望をしっかり踏まえながら、公立学校施設の防災機能の強化をしっかり推進してまいりたいというふうに思います。
  47. 金子洋一

    ○金子洋一君 どうもありがとうございました。十分な対策をよろしくお願い申し上げます。  また、災害時の石油製品の安定供給のために地域の石油組合と地方自治体等の間で災害時石油供給協定が結ばれるということも増えてまいりました。その支援内容といたしましては、これ、災害対策本部や災害拠点病院などに長期に非常用発電機の燃料を備蓄をするということは難しくなりますので、あらかじめ指定しておいた場所に重要な施設に緊急時に優先的に供給をする、あるいは、緊急通行車両、これは様々な車両が我々の概念よりも広く取られるわけでありますけれども、そういったものへの燃料供給などが挙げられるわけであります。  そのためには、燃料を輸送をするルートの打合せですとか、あるいはそれぞれの建物の給油口の形がどういう形でどういう規格でどこにあるのかといった日ごろからの細かい打合せが必要になってまいります。こうした情報共有の活動というのは、業者の側から見るとこれは全く採算に合うものではございません。コストが掛かる一方であるということになります。しかし、こうした取組もやはり維持可能なものにしなければならないというふうに考えます。  そこで、また経産大臣お尋ねをしたいんですが、災害時の石油製品の安定的な供給のために地域の石油組合と地方自治体との間で災害時石油供給協定を締結する際には、地域の石油サプライチェーンを維持する観点から、平時の石油製品調達における官公需適格組合との受注拡大を協定に盛り込むように取り組むべきではないかと考えるんですが、お考えをお聞かせください。
  48. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 御指摘のとおり、石油、灯油あるいはガソリン含めた様々な石油製品について、災害時に、避難所であるとか、あるいは役所の車を動かすためのガソリンが足りなくなったということもございました。災害時の石油供給協定を自治体の皆さんと地元の石油組合の皆さんで結んでいただくということは大変重要だと思っております。ただ、それだけでは、実はそもそも、なかなか今、地元のガソリンスタンドとか灯油等を扱っている業者さん自体が減っているという状況にありまして、平時のサプライチェーン自体がなかなか維持ができない。そうした中で、じゃ有事のときだけ何とかしてくれと言われても対応できないという声があるのは御指摘のとおりでございます。  したがいまして、既に、これ北海道のようでございますが、石油組合との協定の見直しの中で、域内の中小企業者等に対する受注機会の確保を協定に盛り込む動きが出ております。経産省としても、今のような視点に立って、協定等により継続的な供給体制を構築する場合には、平成二十三年の六月に閣議決定された中小企業者に対する国等の契約の方針に準じて地域の官公需適格組合等を積極的に活用するよう、私の、経済産業大臣の名前で各自治体の長に対し要請を行ってきているところでございます。これについては、より一層強く働きかけを進めてまいりたいというふうに思っております。
  49. 金子洋一

    ○金子洋一君 どうもありがとうございます。よろしくお願い申し上げます。  続きまして、こうして供給を確保した石油製品を使う運輸面に話を移したいと思います。  大災害時には輸送のほとんどをトラックが担い、そして人員についてもバスが担うという形になってくると思います。災害発生時に地方公共団体から緊急輸送の要請を受けた場合に協力をするという、災害時人員・物資輸送協定といったものを結ぶケースも大震災後に特に増えてきているということでございます。このように、トラック事業者にせよバス事業者にせよ、災害時に大変重要な役割を果たすわけであります。  そこで、各都道府県のトラック協会ですとかバス協会に対してこれまで交付をされてきております運輸事業振興助成交付金についてなんですけれども、昨年の八月の法律の成立後には、都道府県から各種の各都道府県の協会に対して交付をする都道府県の努力義務が課せられたわけであります。しかしながら、依然として交付金を全額給付をしない自治体がございます。  そこで、運輸事業振興助成交付金についてお尋ね申し上げますが、都道府県から各協会への全額の給付を確実に行うべきではないかと考えておりますので、この点につきまして、まず福田総務政務官お尋ねをしたいと存じます。
  50. 福田昭夫

    大臣政務官(福田昭夫君) お答えをいたします。  先生の御指摘のとおり、運輸事業の振興の助成に関する法律においては、交付金の交付については都道府県に対して努力義務が課されているところでございます。こうした法的枠組みの下で、各都道府県における実際の交付額は、総務省令により算定される交付基準額を目安として、災害時に備えた緊急輸送体制の整備やトラック・バス事業の安全対策などに必要な事業量等を踏まえて各都道府県において判断され、最終的に各団体の予算で定められるものと理解をいたしております。  総務省といたしましては、法の施行後、各都道府県に対し、総務大臣通知や各団体の財政担当部長が出席した会議などを通じて法の趣旨や制度創設の経緯などについて周知に努めているところでございます。  今後とも、法の趣旨や運輸事業振興助成交付金の創設経緯などについて十分な説明を行い、各都道府県における適切な対応を要請してまいりたいと考えております。
  51. 金子洋一

    ○金子洋一君 ありがとうございます。  ただ、やはり目安とかめどという言葉は非常に曖昧で、どのくらいその言葉を信用していいのかという大きな問題というのがどうしても出てきてしまうと思います。  そこで、出す側であります前田国土交通大臣に同じことをお尋ねをしたいと存じます。是非とも積極的なお答えをいただきたいと思います。
  52. 前田武志

    国務大臣前田武志君) 委員指摘のように、昨年の平成二十三年に運輸事業の振興の助成に関する法律ができました。その背景としては、御指摘のように、軽油を燃料とする自動車、特にトラック輸送ですね、それからまた公共事業の大きな担い手であるバス、そういった運輸事業に与える影響に鑑み、費用の上昇の抑制を抑え輸送力を確保するためにこういった制度が設定されたわけで、今までは通知で行っていたのを法律化したということは、この重要性に鑑み、是非この制度というものを徹底させたいという背景でございます。    〔理事川上義博君退席、委員長着席〕  現状については、先ほど福田政務官からもまたその取組の方向についてありましたが、国交省としましては、都道府県においてこの法律の趣旨を十分理解して、そしてこの算定された額の全額を交付するように努めてまいりたいと思います。  国交省としても、総務省と連携してしっかりと進めてまいります。
  53. 金子洋一

    ○金子洋一君 ありがとうございます。  たしかこの法律には見直し規定もあったと思いますので、是非ともこういった規定も十分に活用をしていきたいなと思っております。  続きまして、震災時の交通の要となります道路についてお尋ねをいたします。私は神奈川県ですので、首都圏について取り上げさせていただきます。  首都圏直下地震が発生をいたしますと、一都四県を対象に、例えば食料ですと七千五百万食、あるいは飲料水一万六千五百トンといった大量の物資が運び込まれるということになっております。ところが、昨年の我々の経験からいたしますと、現状では、道路が渋滞をしてしまいましてどうしようもならないということになってしまうだろうということが容易に予測をされるわけであります。一体どれだけの道路が震災後も利用可能か、甚だ心もとないところがございます。  そこで、震災に備えましてまた国交大臣お尋ねを申し上げますけれども、東京外環ですとか圏央道といった首都圏の環状道路の早期整備というのが、これは大変重要になってくると思うんですが、そちらへの決意を是非ともお聞かせをいただきたいと存じます。
  54. 前田武志

    国務大臣前田武志君) 昨年の大震災のときの反省として、規格の高い道路がしっかりとつながっていたかどうかで、その後の救出活動あるいは復旧復興に至る過程で非常に大きな差が出てくるわけであります。それが実証されたと思います。例の東北大震災におけるくしの歯作戦というような、あの南北の幹線道路、その幹線道路から三陸の沿岸に至るくしの歯、そういったものを一週間、四、五日以内に交通可能にしたというのが大きなその後の救援あるいは復旧に役に立ったということが実証されました。また、十二号台風という紀伊半島を直撃したあの大災害のときにも同じようなケースがあったんですね。  首都直下型ということになってきますと、この東京首都圏というのがもう既に交通は相当整備されたと思いがちでありますが、実は致命的な欠陥があります。それは環状道路がきちっとつながっていないということで、これはもう世界の首都においてこういうような状況はないんですね。そういった意味では、まさしく委員指摘されるように、圏央道あるいは外郭環状、これをきちっと早くつながないと、もし想定されるような事態になったときには非常に大きな支障が生じるだろうと予測をされます。  そういった意味で、できるだけ早く、いわゆるミッシングリンクとも言われますが、つながっていないところをつなぐということをしっかりやってまいりたいと思います。
  55. 金子洋一

    ○金子洋一君 ありがとうございます。  神奈川県の話ばっかりで恐縮なんですが、首都圏環状道路は神奈川県の中は総延長が僅かに数キロ、三キロとか五キロぐらいしかございませんので、早期の整備を是非ともお願いをしたいと存じます。  続きまして、被災地で重要となる機能であります郵便局ネットワークについてお尋ねをしたいと思います。  この被災地での復興につきまして、現場の声を聞いてまいりますと、残念なことに分社間の連携がうまくいかない、あるいは、そもそも被災地の局舎を再建しようにも、何分社化するか分からないので、これも分からないために部屋割りすら設計できないという状況にあるといいます。そこで、こうした被災地での郵便局ネットワークの再建につきまして、現在日本郵政の方でどういうふうに取り組んでいるのか、総務省にお尋ねをしたいと存じます。
  56. 福岡徹

    政府参考人(福岡徹君) お答え申し上げます。  日本郵政グループにおきましては、今回の大震災によりまして、当初、郵便事業株式会社の六支店、二十一集配センター、郵便配達の拠点でございますが、これらが、また、郵便局株式会社、こちらの方は窓口でございますが、直営郵便局が百六局、委託によります簡易郵便局三十二局が全壊、半壊、浸水等の被害を受けまして、営業を停止したところと聞いてございます。  その後、郵便局株式会社におきましては、建物の修繕や移転あるいは仮設店舗を設置するなどによりまして、現在、直営郵便局では七十局、またいわゆる簡易郵便局では十一局が窓口を再開しているところでございます。  また、このほか、移動郵便車、車両によります移動郵便局の開設、外部の施設を借りての郵便物等の区分、また仮設住宅付近にポストを設置するなどによりましてサービスの提供に努めているところと伺っております。  なお、先生御指摘ございましたように、このように業務の復旧等に全力を注いでいるところでございますが、分社化によりまして郵便事業会社と郵便局会社が別々の会社に分かれたといったようなことから、店舗を設置するなどに際しまして逐一会社間の調整が必要になり、迅速かつ円滑な対応にも支障が生じている面があるやにも聞いているところでございます。
  57. 金子洋一

    ○金子洋一君 ありがとうございました。  先週の金曜日に自民、公明、民主の三党が共同で郵政民営化法の改正案を国会に提出をいたしました。この改正案では、郵便局会社と郵便事業会社が一つの会社になるということで、郵便事業会社の社員であります配達員さんが郵便貯金などを取り扱えるということになるわけであります。  また、凍結をされていた日本郵政グループの株式の売却も可能になるということであります。政府保有の日本郵政関連株は総額で八兆五千億円にも上るというわけであります。復興財源として速やかにこれを利用するためにも、この改正案をできるだけ早くこれは可決、成立をさせていかなければならないと考えております。  さて、残り二十分になりましたが、震災からの経済的復興について話題を変えさせていただきたいと思います。  震災は、言うまでもなく日本経済全体に大きな悪影響を与えております。まずは、これは円安を進めて輸出を増やすということが経済的な復興の第一歩になると思います。そして、この円安を実現するためにはインフレ目標政策であるとか量的緩和政策であるとか、そうした、アメリカでは信用緩和政策と言われますけれども、こうした金融政策を駆使することが必須の条件になってまいります。  そこで、まず安住大臣お尋ねをいたします。震災後、数次の補正予算、そして為替介入の総額はそれぞれ何兆円になりますでしょうか。また、復興国債の二十三年度の発行額は幾らになりますでしょうか。
  58. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) 平成二十三年度の補正予算の財政需要を単純に合計いたしますと、一次が約四兆、二次が約一兆九千、三次が十二兆一千、第四次は先般上げていただきましたけれども二兆五千ですから、トータルで二十・七兆でございます。  それから、復興債については第三次補正において十一・六兆円を発行いたします。  為替介入については、三月、八月、昨年ですね、十月と行いまして、合計合算額は十四兆二千九百億円でございます。
  59. 金子洋一

    ○金子洋一君 ありがとうございます。  これだけ大変大きな財政の出動が行われているというわけであります。もちろん、人によってはこれもっと出すべきだという議論もあるでしょう。実際に私も、震災の直後に、日銀による国債の直接引受けで二十兆円ぐらい資金を直ちに賄うべきだというふうに考えまして、様々な形で運動をさせていただきました。まあ、空振りに終わりましたけれども、させていただきました。ですから、いろんな思いはございます。  ただし、これは、政府が二〇一〇年の六月に閣議決定をいたしました財政運営戦略に基づいて今後強力に財政再建を進めようとこれは決意をしている以上、今後取れる景気刺激策というのは、財政政策では原則としてなくて、金融政策にならざるを得ないわけであります。言い方を変えますと、これから財政政策というのは景気刺激策として使うとプライマリーバランスの黒字化というのはとても難しいんだよということになろうかと思います。  我が国では金融政策の主体は日銀であります。そこで、日銀の政策が果たして信用できるのか、クレディブルであるのかということが大変大きな問題となってくるわけであります。  そこで、安住大臣に、恐縮ですが、もう一度お尋ねを申し上げます。  二月十四日に日銀が行いました金融緩和の中で物価安定のめど一%の明示というのがございました。こちらを実質的なインフレ目標だというふうに安住大臣はお考えになるでしょうか。
  60. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) 私は、インフレターゲットそのものは様々解釈があるのはもう金子さん一番御存じなわけですけれども、私は、消費者物価の対前年度比上昇率一%を目指して、それが見通せるようになるまで強力に金融緩和を推進していくとしているわけですね。そういう意味では、この目指す物価上昇率と時間軸を明確にしていますので、これは実質的にインフレターゲットを設定されたものだと私は受け止めているとコメントをしております。
  61. 金子洋一

    ○金子洋一君 大臣、ありがとうございます。  それでは、日銀の山口総裁にお忙しい中おいでいただきましたので、お尋ねを申し上げます。  先日の財金委員会でも西村副総裁に私からお尋ねをいたしましたが、この物価安定のめど一%の明示という政策、これは大変に大きな効果があったというふうに私は評価をしておりますが、副総裁の評価はいかがでしょうか。
  62. 山口廣秀

    参考人山口廣秀君) お答えいたします。  二月の私どもの政策決定会合におきまして御指摘のような政策決定を行ったわけでありますが、それ以降の金融資本市場の動きを見ますと、三つあります、特徴点は。国債金利がまず残存二年から五年といった期間のものを中心に低下しているというのが一つでございます。それからもう一つは為替相場でありますが、円安方向の動きになっているというのがございます。それからもう一点は、株価も上昇しているということでございます。  特に為替相場や株価の動きについて市場参加者の見方というのを聞いてみますと、やはり欧州債務問題をめぐるリスクの低下とか、あるいは米国経済の改善の動きといったような世界的にやや明るい材料が見られ始めていると、このことが指摘されることが多いわけでありますが、加えて、私どもによる政策姿勢の明確化、一段の金融緩和といったことも市場から好意的に受け止められているものというふうに理解しております。  ただ、これはもう釈迦に説法でありますが、金融政策の効果を考える場合には、企業の資金調達コストがどうなるのか、あるいはコマーシャルペーパーですとか社債の発行環境などがどう変化していくのか、そして、その結果として企業の設備投資態度やあるいは雇用の態度がどう変化していくのかといったようなことを総合的に評価していく必要があると思っております。  その意味では、二月の私どもの措置は、市場参加者やあるいは企業経営者のマインド面を中心に相応の効果があったというふうに見ておりますが、政策効果全体について確定的な評価を行うにはなお時期尚早だというふうに思っております。  いずれにしても、私どもとしては、二月の決定会合で決定しました金融緩和スタンスの明確化と追加緩和、さらには三月の決定会合で決めました成長支援のための資金供給の増額によって、我が国経済が早期にデフレを克服し、物価安定の下での持続的な成長を実現していくことを非常に強く期待もしておりますし、それに向けて最大限の努力を払っていきたいと、かように思っております。
  63. 金子洋一

    ○金子洋一君 ありがとうございます。  ただ、物価安定のめど一%を明示したこと以外はこれまでも続けておられた政策そのものでありますので、物価安定のめど一%という政策がこれはやはり大きな効果を持ったものであるということは、私はこれは否定できないんだと思います。  そして、一部の人々は、インフレ目標政策を取れば、これは、物価が仮に上がったとしても、直ちに金利が上昇をして、そして長期金利が上がって国債価格も下落をしてしまうというようなことを言っておりましたけれども、こうしたことは実際に起きたんでしょうか、起きなかったんでしょうか、簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  64. 山口廣秀

    参考人山口廣秀君) これまでの国債価格の動向、国債金利の状況を見る限りは、おっしゃられるような事態は生じていないということだろうと思っております。
  65. 金子洋一

    ○金子洋一君 そうなりますと、この物価安定のめど一%という政策は大変よく効いたというふうに評価すべきではないかと私は思うんです。せっかくこういった新たな取組をなさったのに、いや、何とかかんとかですという留保条件をたくさん付けて、自らその政策効果を減殺してしまうようなことというのは、これは日銀さんにとっても残念なことでありますし、我が国にとっても大変残念なことであろうというふうに思います。  特に、白川総裁は、その二月十四日の当日の記者会見で、これまでと特に変わったことではありませんというような発言をしておられましたけれども、これは大変まずいと思うんですね。ですから、堂々とインフレ目標政策の一種類を導入をしたんだと、これは効いたんだということを国内外に大きな声で発信をしていただきたいと存じます。  さて、ちょっと切り口を変えさせていただきます。先ほど安住大臣からも御説明をいただきました為替介入についてなんですが、為替介入で市場に投入をされた資金についてであります。  この資金、ベースマネーの動きを日銀から発表された数字を見ておりますと、結局、市場から吸い上げてしまったのではないかというふうに見て取れるわけです。不胎化されてしまったのではないかと見て取れるわけですが、副総裁、これは本当のところどうなんでしょうか。
  66. 山口廣秀

    参考人山口廣秀君) お答えいたします。  先生も御承知のとおり、金融市場では、為替介入に伴って供給されました円資金のほかに、銀行券の受け払いですとか、あるいは財政資金ですとか、あるいは期末のための資金需要ですとか、様々な資金が取引されております。膨大な額と言っていいんだろうと思っておりますが、マネタリーベースはこうした様々な資金の動きを反映して日々大きく変動しております。  したがって、為替介入資金だけを取り出して、それが不胎化されたか、非不胎化されたかといったことを議論いたしましても、実のところ、観念的にはそういう議論は十分成り立つわけでありますが、実際に、特に実務的にそうした数字を捕捉することは事実上難しいということであります。  私どもとしては、そうした中で、為替介入によって供給された円資金も十分活用しながら金融市場に潤沢に資金供給を行ってきていると、このことは間違いない事実でありますので、是非御理解いただきたいというふうに思います。
  67. 金子洋一

    ○金子洋一君 副総裁、そうはおっしゃいますけれども、一月のベースマネーの平均残高が百十九・〇兆円です。そして、二月の平均残高は百十二・四兆円です。六兆六千億円も減っております。これは非常に重大なことです。  なぜかと申しますと、二月の十四日にめど一%の政策、これはインフレ目標の一変型であるというふうに市場関係者は受け取って、大きな効果が、円高が収まり、そして株高がもたらされ、そして金利も安定をしているということがもたらされたわけでありますけれども、実際にはその二月に日銀がやっていたことというのは、市場からマネーを吸い上げていたということになるわけです。  インフレターゲットをやるよ、これから金融緩和していきます、追加的な金融緩和策の中の一環として出しますと言っているそばからベースマネーを引き揚げてしまったのでは、これは、こういうことが何回も続くようですと、今後、日銀が何を言ってもこれは信用できないというような市場の反応が出てきてしまうんじゃないでしょうか。いかがでしょう。
  68. 山口廣秀

    参考人山口廣秀君) お答えいたします。  私どもの金融政策は、現在はマネタリーベースを直接のターゲットとしているということではございません。あくまでも金利操作を中心に据えて政策を行っております。そして、その金利操作といいましても、短期の金利についてはほぼ限界に近いところまで低下してきておりますので、長めの金利への働きかけということを中心に行っております。  そうした長めの金利への働きかけという緩和スタンスについては微動だにしておらないということでございます。
  69. 金子洋一

    ○金子洋一君 確かに、名目金利をこれ以上下げるということは難しいというのはよく分かります。しかし、インフレ目標の一変型なんですから、実質金利を物価を上げることによって下げることはできるわけであります。  ですから、ちょっと副総裁のおっしゃることというのは、私には理解いたしかねるというのが本音のところでありますけれども、この点につきましてはまた財金委員会などで続きはさせていただきたいなと思っております。要するに、問題は、日本銀行がやっている政策が果たして信用できるのか、市場関係者がどう判断をするのかというところになるんだと思います。  そこで、過去の日本銀行政策判断が果たして正しかったのか、そして正しいのか誤っていたのかということをきちんと総括をしているのかということについて、あと六分ですけれどもお尋ねをしたいと思います。  二〇〇〇年のゼロ金利の解除、そして二〇〇六年の量的緩和の解除など、過去の金融引締めへの出口戦略、これはどうしても早過ぎたというふうに私は考えております。二〇〇〇年のゼロ金利の解除は、まだ消費者物価はずっと継続的にマイナスであったのにもかかわらず、デフレ懸念の払拭が見込めるということでゼロ金利を解除してしまいました。瞬く間に景気が悪化をして、翌年、量的緩和政策を取らざるを得なくなりました。その量的緩和政策も二〇〇六年の三月、解除をいたしましたが、これ、同じ年の八月にCPIの基準改定がありまして、その基準改定の後の数字を見ますと、これはもう全くプラスの物価上昇率にはなっていないということが事実としてあるわけであります。  こうした二つの政策判断、正しかったと副総裁お考えでしょうか、それとも誤っていたとお考えでしょうか。
  70. 山口廣秀

    参考人山口廣秀君) お答えいたします。  まず結論からでありますが、先生が御指摘になった局面における私どもの政策運営については、当時の判断としては適切なものであったというふうに思っております。  もう少し具体的に申し上げますと、ゼロ金利を解除いたしました二〇〇〇年八月でありますが、日本経済は回復傾向が明確になっておりました。その段階では先行きについても緩やかな回復が続く可能性が高いというふうに見込んでおった状況であります。そういう中で私どもは金融緩和の程度を微調整するためにゼロ金利の解除を行ったということでございます。  一方、二〇〇六年三月の量的緩和政策の解除についてでありますが、いわゆる三つの過剰、企業部門における三つの過剰ですね、設備の過剰、雇用の過剰、負債の過剰と、こういったような構造問題への対応にめどが付いていく中で経済・物価情勢が着実に改善していく、先行きもそうした改善傾向が続く蓋然性が高いという判断を踏まえて実施したものであります。その後も、二〇〇七年にかけて金利水準の調整を行ったわけでありますが、その際には、極めて緩和的な金融環境を維持するように非常に慎重な調整を進めたということでございます。  したがいまして、結論は先ほど申し上げたとおりでありますが、もちろん日本銀行の歴史を遡ってみた場合に、私どもの政策判断に全く誤りがなかったということではないというふうに思っていることも事実であります。したがって、金融政策運営に対する様々な御批判、御意見に対しては謙虚に耳を傾けながら適切な政策運営を心掛けてまいりたいと、このように思っております。
  71. 金子洋一

    ○金子洋一君 我が国の金融政策というのは、信頼されるものにしなくてはなりません。これは、一日銀の組織の意向によって左右されるべきではないわけであります。そういったことを考えますと、政府日本銀行政策協約、アコードを結ぶことによって、例えば物価上昇率などの数値目標を共有をするという手段が考えられるわけであります。  こうしたアコードを締結をすることによって、インフレ目標や量的緩和政策などの金融政策を駆使をした形でのデフレ脱却を強力に推進すべきではないかと私は考えるんですが、この点につきまして総理の御見解をお聞かせいただきたいと存じます。
  72. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) デフレ脱却をしなければいけないという問題意識は、これは日銀と共有をしているというふうに思います。  その問題意識を共有している中でいかに連携をしていくかということだと思いますけれども、先ほど御議論がありました日銀の二月の金融政策決定会合における中長期的な物価安定のめど、こういう目標を自ら設定をされたわけでございますので、その設定に基づいてしっかりその実現に向けて御努力をいただけるものと思いますし、そのために適切、果断な金融政策を講じていただけるものと強く期待をしておりますし、そのための緊密な連携はこれからもやっていきたいと思います。
  73. 金子洋一

    ○金子洋一君 ありがとうございました。  質疑時間、二分残っておりますが、これで終了させていただきます。ありがとうございました。
  74. 石井一

    委員長石井一君) 以上で金子洋一君、民主党・新緑風会の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  75. 石井一

    委員長石井一君) 次に、岩城光英君の質疑を行います。岩城君。
  76. 岩城光英

    岩城光英君 私は、福島を中心とした被災地の立場に立って質問をいたします。  まず、去る三月二十七日、ソウルで開かれました核安全保障サミットについてであります。この問題につきましては、後ほど牧野議員から質問がありますので、私は一点だけ総理におただしをいたします。  この場で日本の総理が何を話をするかということは世界中から注目されておったものと私は思います。国の威信を懸けて原発事故の原因や経緯を明らかにし、そして再発防止に向け安全策を講じているということを明確に発信すべきだったと思っております。  ところが、ランチセッションで、原発事故からの教訓についての総理の発言、この内容を聞いて唖然といたしました。三つの教訓の第一に、想定外想定する、第二に、現場をおろそかにしてはならない、第三に、安全確保は不断の取組であると、こう話をされました。人ごとのような言葉、無責任な言葉にあきれてしまいました。事故収束に向け率先して取り組む気概も示されておりません。そして、具体的にこんなこともおっしゃっているようです。現場に着いても電源プラグの形状が異なって接続できなかった。全ての電源が失われた場合にどうするかという問いに対して、電源車を配備するといった当然の答えを用意しておくことができなかった。  国民として恥ずかしい思いであります。こんなことも知らなかったのかと全世界から言われているでしょう。ましてや、今不自由な生活を送っている福島の県民からはとても信じられない言葉であります。総理はどうお考えになるでしょうか。
  77. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) 最初にその三つの教訓を言いました。これは、むしろ政治的なステートメントだと思いましたので、政治家としての教訓として申し上げたつもりでございます。各国のリーダーがいらっしゃる中で、そういうまず基本的な認識をお示しした後に、当然のことながら、その後は国内における取組のお話あるいは国際的な取組に対する貢献の話などは具体的にお話をさせていただいております。  その上で、更に補足をするところで、国としてのレポートも提出をしておりますので、これらのことを通じまして、まさに我が国における教訓、知見というものを国際社会と共有できたものというふうに思いますし、議長を務められた李明博大統領からも大変率直なお話でございましたという評価もいただいております。
  78. 岩城光英

    岩城光英君 総理の演説の結びでこうお話しされていますね。人間の記憶の風化は最大の敵である、知見と教訓を語り継ぐことは歴史に対する責任、こう強調されました。噴飯ものですね。事故後の様々な会議の議事録はあるんでしょうか。今ごろになって慌てて当時の記憶、これをたどって不正確な記録を作っているのが現状ではないでしょうか。  これ以上、私は申し上げません。この後は、牧野議員にお願いいたします。  さて、総理、総理は就任当初、福島の再生なくして日本の再生なしと、こうおっしゃられました。私も信じたいと思いました。でも、今、福島県民始め日本の国民の思い、どうでしょうか。総理の頭には、念頭には、消費税のことしかないんじゃないか、それから福島始め被災地のことが忘れ去られようとしている、こういう思いであります。  一点、お伺いします。簡潔にお答えください。  今、私たちは、過去に経験したことのない事態に直面していると思っております。まして、福島県だけで十六万人以上の方々が県内外に避難している。これは言わば非常事態であると思いますが、いかがでしょうか。
  79. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) 福島の再生なくして日本の再生なしという気持ちは今も変わりません。そのために、この間、復興のための特措法も成立させていただきましたし、枠組みもだんだんできてまいりました。  その中で、今最優先で取り組まなければいけないのは、賠償であり、除染であり、そして住民の皆様の健康管理だと思います。こういう取組をしっかり強化をすることによって、私の言ったことがまさに行動に移されておるというふうに皆様に御理解をいただけるように全力を尽くしていきたいというふうに思います。(発言する者あり)
  80. 石井一

    委員長石井一君) 静粛に願います。
  81. 岩城光英

    岩城光英君 我慢をしているけれども、将来に希望、展望が見えるかどうかなんですよね。それが全く見えないから皆さん困惑しているんですよ。今、賠償の問題、除染の問題、健康管理の問題おっしゃいました。万全に対応していますか。していないじゃないですか。全てが後手後手に回っている。こういう状態で何で今みたいなことをおっしゃられるんですか。私はとても心外であります。  と同時に、四月一日、昨日、田村市と川内村の一部が警戒区域から解除されました。これも最初何とおっしゃいました。去年の十一月十五日に私がこの場で総理におただししましたときには、総理は、ステップツーが実現した後、速やかに検討してまいりたい、関係省庁が最大対応してまいりたい。で、三月三十一日までには対象となる十一市町村を新たに再編する、そういう考え示されましたけれども、それもたった二つの市、村だけであります。なぜこんなに遅れているんですか。総理にお聞きしています。経産大臣呼んでいません。経産大臣呼んでいません。経産大臣呼んでいません。
  82. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 委員も福島でいらっしゃいますから、事情は十分御承知だというふうに思いますが、まさにそれぞれの区域の見直しについては地元の自治体の皆さん、そして住民の皆さんのコンセンサスを得ながら進めていきませんと、大変重要なことでございます。  先ほど御指摘いただきました除染であるとか健康管理であるとか、あるいは賠償であるとか、そうした物事も全て絡んでくる問題でございますので、そうした事情を地元の皆さんに丁寧に御説明をして、首長さんやあるいは自治体の皆さんのコンセンサスを得ながら進めてまいりたいというふうに思っております。(発言する者あり)
  83. 石井一

    委員長石井一君) 静粛に願います。内閣総理大臣野田佳彦君。
  84. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) 御指摘のとおり、三月三十日、原災本部におきまして、川内村、田村市及び南相馬市の警戒区域の解除及び避難指示区域の見直しを決定をしたところでございます。このように、区域見直しの調整が進んだ市町村がある一方で、引き続き区域見直しの調整が必要な市町村もあります。  これは委員も御指摘のとおり、これまで区域見直しのめどとしていた三月末というのは、一つのめどとしてお示しをしてきたことはそのとおりでございますし、私も国会の中でそういう答弁をさせていただきましたけれども、区域の見直しは各市町村の復興における基礎となるものでございまして、住民のコンセンサス形成も重要でありますので、急ぐ余りに調整がおろそかということもできません。  したがって、今回は三市町村でございましたが、引き続き市町村との十分な協議を進めて調整を精力的に進めていきたいというふうに考えております。
  85. 岩城光英

    岩城光英君 先ほどの質問は、総理大臣に通告をしておりましたし、経産大臣、私は出席要求をしておりません。なぜここにいらっしゃるんですか。(発言する者あり)
  86. 石井一

    委員長石井一君) 静粛に願います。ちょっと待て、ちょっと待て。いやいや、これは……(発言する者あり)  速記を止めてください。    〔速記中止〕
  87. 石井一

    委員長石井一君) 速記を起こしてください。  委員長から一言申し上げます。  経済産業大臣は、指名されておりませんが、今日の集中審議の指定大臣であります。(発言する者あり)  いや、それでは、十分間休憩いたします。理事会を開きます。十分間休憩をいたします。    午前十時五十五分休憩      ─────・─────    午前十一時十七分開会
  88. 石井一

    委員長石井一君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  まず、委員長から一言申し上げます。  先ほどの質疑の中で、私は枝野経済産業大臣を指名いたしました。原子力経済被害担当大臣になっておりますので、避難区域の見直しについて最も担当しておる大臣であると思考したからであります。そして、その後、総理の答弁を求めたいと、このような議事を整理したわけでございます。  しかし、その後、総理の答弁のさなかに枝野経済産業大臣が自席より発言をしたことは、これは参議院の品位を汚し、そしてその参議院規則五十一条にも反する行為ではないかというふうに思います。  ついでに申し上げますが、この参議院委員会は騒々しい。今後、厳しくこれは注意をするということを申し上げておきたいと思います。  理事会で協議をいたしました結果、今後、続きます岩城委員、そして末松委員、それからもう一人、長谷川委員質疑の間は、指定大臣であります……(発言する者あり)あっ、牧野委員、四名のこの質疑中は、指定大臣ではありますが、本委員会におきましては枝野大臣の退席を願いたいと、このように思いますので、御了承をいただきたいと思います。     ─────────────
  89. 石井一

    委員長石井一君) 平成二十四年度予算三案を一括して議題とし、震災原発エネルギー等に関する集中審議を行います。  休憩前に引き続き、質疑を行います。岩城光英君。
  90. 岩城光英

    岩城光英君 大臣が自席から感情的になって激高し、いわゆる切れた発言をされる、本当に私も経験したことがございません。私たちは、被災地の一日も早い復興を願って、その目的を一つに持ってしっかりと議論をしていきたいと思っております。  さて、まだ対象となる十一市町村のうち八つの町村はいつ再編されるか、その時期さえも示されておりません。  こんな問題がございます。避難対象地域のある町長のお話ですが、除染や賠償、それからインフラの整備、そういったものをパッケージとして考えていっていただかないと困ると、そして、単純に放射線量の多い少ないで分けるのではなく、そういった町あるいは集落一体となって考慮してほしいと、こういうお考えにはどう対応されますか。
  91. 平野達男

    国務大臣平野達男君) まず、警戒区域の見直しに当たりましては、まず放射線量を基本に見直すということで今進めております。今回、予定より遅れたということにつきましては、その放射線を基本とした区域の見直しに当たって、まだ自治体とのきちんとしたその詰めがなされていないということによるものだというふうに是非御理解をいただきたいと思います。  あわせて、放射線で区域を見直しをした後に、除染等々の工程表も示されておりますが、除染をやるということになると思います、必要な場所につきましては。しかし、委員がおっしゃったのは、除染をやったからといってすぐ帰還できるわけではございません。インフラの問題、雇用の問題等々ございます。そういったものについてどういうことをやらなければならないのか、今鋭意詰めているところでございます。  あわせて、私の方から申し上げたいのは、やはり長期にわたって帰れない区域も出てくるということでございます。そういった地域に対してどういう支援をするか。これは、帰還という問題よりは、むしろ長期にわたって避難されている場合にどういう支援をするかという別のカテゴリーといいますか、別の観点検討しなければならないということでございまして、賠償と併せましてこれも今鋭意検討中だということでございます。
  92. 岩城光英

    岩城光英君 今お話のありました、長期にわたってお帰りになることができない地域があるだろうと。その場合、将来帰還するに当たって、かつての町の、あるいは村のコミュニティーをしっかりと保っていく、これが大事だと思っております。  浪江町の商工会の松崎会長から復興試案というものが出されております。ただいまのコミュニティーの件に触れまして、具体的には復興住宅街と、こういったモデルをつくっております。人口二万人から三万人、場所は、いわき市、南相馬市、二本松市、田村市と双葉郡の隣接地と、こうなっております。そのほかに、それぞれの町村がいろんなプランをお立てになっております。仮の町と言われるものもございます。その場合、国はどういう支援策ができるのか。一つ地方自治体の中に別な自治体ができるという、これは地方自治法も想定していない状態になるわけでありますね。  総務大臣にお伺いします。こういった町の支援策として、現行法で対応できるのか、あるいは新たに法律を作って対応すべきなのか、どうお考えでしょうか。
  93. 川端達夫

    国務大臣(川端達夫君) 今御指摘のように、将来帰還できるということの中で、その前段階として、今、仮の町という言葉で言われておりますが、いろんな議論がされ、アイデアが出されていることは承知をいたしておりますし、これが、その皆さんの思いの中で、いろんな幅広の議論でございます。同時に、受入れの、受入れというか、移られる部分の市町村の条件もあるということで検討する課題が随分ありますが、何とか、そういう思いがいかに実現できるかということで、法整備が必要ということであればそういうことに対応していくべきだというふうに思っていますが、今まだ具体に個別の市町村から、こういうことをやりたいんだけどできるだろうかというまだ御提案はございませんが、いろんな意見が出ていることは十分承知をしておりますので、そういう部分は担当大臣含めてこれからの大変大事な検討課題だというふうに思っておりまして、いろんなことで必要な部分対応できるようにしていきたいというふうに思っております。
  94. 岩城光英

    岩城光英君 平野復興大臣は、この問題について関係局長の協議会を立ち上げて、それで検討しているとおっしゃっていますよね。総務大臣のお話と微妙に異なっておりますけど、政府の中の統一した見解というのはどうなんですか。
  95. 平野達男

    国務大臣平野達男君) まず、仮の町ということにつきましては、これは大熊町もそういった見解を持っているということについては承知をしております。  その前に、委員、その仮の町ということを考える場合に、まず大熊町の方々あるいは双葉町の町民の方々、被災している方、今避難されている方々がこれからどのような選択をするかということをきちっとやっぱり把握することが必要であります。  その把握するに当たっては何が必要かといいますと、まず賠償をどのように考えるかという問題、それから、帰還した場合に地域の社会がどういう地域になるんだろうか、これは雇用の問題も入ります、こういったものについてある程度の、ある程度ではない、かなりしっかりとした具体的な情報を提示して、被災者の方々に、避難されている方々に今後どのような選択をされるかということをこれは自治体と、関係自治体とで一緒になって聞いていかなければならないというふうに思います。そういった意向がある程度集約された段階で仮の町というのはどういう規模になってくるのか、こういったことが決まってくると思います。  それが決まった段階で、じゃ、どこにするか、どこにその仮の町をつくるか、そこから関係自治体がどういう立場になるのか、あるいは移転先の自治体との様々な協議が始まってくるというふうに思います。まだ総体的にその自治体機能がどうなるかというところまで議論が行く前に検討して決めていかなければならない課題が様々あるということは、是非御理解をいただきたいというふうに思います。今、そのことを関係局長を集めてやっているということでございます。
  96. 岩城光英

    岩城光英君 これは地方自治、これの根幹にかかわる問題でもありますので、総務省としっかりと連携を取って対応をしていただきたいと思います。今、食い違いが生じているとも私も受け止めております。  それと、例えば受入れ自治体、ここに対して何の情報も行っていないんですよ、これは。例えばいわき市、今現在、双葉郡の方々が二万人以上いわきにお住まいであります。これからもっともっと増えようとしております。市としても双葉郡の皆様方の帰還への支援、これを図っていきたいと考えているわけでありますけど、でも、警戒区域の解除の問題、再編の問題とか、そういったものは周辺の自治体には何ら示されない。これは民主党政府の、政権の一番苦手なところだと私は思っていますよ。周りの方々にも説明して詰めようとしない、直接向き合った方にも説明が足りない、こういったことを注意していただかないと物事進みません。そのことを申し上げておきます。  そして、周辺市町村になるべく早く幅広い情報を提供する、また、例えば、そういった仮の町とかそういう制度設計する場合には、受入れ自治体の要望あるいは様々な事情、こういったものを十分に考慮してお話を聞いて、そして詰めていく、それを約束してください。
  97. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 岩城委員のおっしゃいましたように、もし仮の町をつくるということでございますれば、そしてまた候補地が決まるということでございますれば、そのまず以前にその候補地となる予定の市町村にはきちんとお話をしまして、そしてこういう形の仮の町になるだろうというある程度の骨格を示して、様々な意見を伺って、仮の町の実現する以前に、まずは受入れ側の自治体の体制づくりということをしなければならないというのは委員のおっしゃるとおりだと思います。  今委員のおっしゃった方向できちっと連携を取りながら、そしてまた政府の中でも関係省庁との連携を取りながら、復興庁がそこの部分、司令塔となってやっていくようにしたいというふうに思います。
  98. 岩城光英

    岩城光英君 次の質問に移ります。  中間貯蔵施設の問題ですが、三月十日に、それまでロードマップでは一か所造るとしていたのを三か所にするという案を示されました。また、その立地場所を双葉、大熊、楢葉とされましたが、その理由は何ですか。
  99. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 御指摘のとおり、昨年の十月二十九日に、私ども、中間貯蔵施設等についての基本的な考え方というのをお出しをしておりまして、その中で、一か所程度確保するという、そういう表現をしておりました。この中間貯蔵施設はいろんな御負担を掛ける施設ですので、できる限り御負担を掛けないようにということで数を限定的にとらえていたところでございます。その中で、幾つかの理由がございまして、やはり一か所では難しいという、そういうことを今考えております。  その一つは敷地面積の問題でございます。この中間貯蔵施設は、単に貯蔵だけではなくて、運搬をしたものを分別して減容化をする、そして貯蔵するという多様な要素を含みます。そのときに、研究開発の要素もございますので、そこはこの中間貯蔵施設の中では前向きな要素だというふうにはとらえておりますが、それでもやはりそういった広大な面積が必要となります。  当初は、若干、それを面積で計算をしておったところがあるんですが、実際に様々な想定をしてまいりますと、その場所が例えば浸水域になっていたりですとか地すべり地であるとか軟弱地盤ということは避けなければなりませんので、なかなか一か所にそういう地域確保しにくかったと。さらには、河川が流れていますと河川の流れを変えなければならないということにもなりますので、それもやはり好ましくないという、この敷地面積の問題が一つございました。  もう一点は、運搬車両によるアクセスの問題がございました。かなりの大量の土壌を運び入れることになるわけですが、やはりそれが渋滞になり、そしてサイトの中の作業にも支障を来すということは、これは避けなければなりません。そのアクセスの問題を考えたときに、一か所ということになりにくかったということでございます。  そして最後に、自治体の皆さんと様々な話をさせていただく中で、これはもう率直に申し上げると、一つ自治体の皆さんだけにその御負担をお願いをするということにはなかなかしにくかったと。つまり、この除染の土壌だけではなくて、廃棄物の問題も浜通りにはございます。この廃棄物の問題も含めて、やはりいろんな御負担をそれぞれお願いをしなければならない現実がございますので、この中間貯蔵施設についても、個別の自治体の御負担だけに頼るということではなくて、ある程度それぞれの皆さんにお願いをしなければならないのではないかという考えに至ったということでございます。  ただ、いずれにしても、自治体の皆さんに大変な御負担をお掛けをすることでございますので、国が勝手に決められることではございませんので、とにかく丁寧にお願いをさせていただきたいというふうに考えているところでございます。
  100. 岩城光英

    岩城光英君 初め一か所と言って、それが三か所になる、それでまた信頼関係が、国と自治体の信頼関係が壊れていくんですよね。そういったことを何回繰り返しているんですか。初めからしっかりとした見通しを立てて、そして話をしないから、会うたびに違う話持ってこられましたら首長さんたちは本当に困惑されるものと思います。  最終処分場もそうですよ。今回もまた、県外に最終処分場を持っていく、最終処分するということを法制化することを確約されたと、三月十日に、そのように伺っておりますけれども、この問題も、前にも、去年の十一月十五日に申し上げましたが、普天間の問題と同じくなってしまうと、そういう私は危惧を持っております。しっかりとした見通しを立てないうちに発言をしてしまう。  最終処分場、法制化いつされるんですか、それでどこに持っていくんですか。
  101. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) この中間貯蔵施設につきましてはやはり法制化が必要だというふうに思っておりますが、この法制化というのは国が勝手にするわけにはいきませんので、今まさに福島の皆さんと様々な協議を、話合いをさせていただいているところでございますので、それがある程度見えてきたところで法制化ということを具体的に図っていかなければならないと思っております。  その中で、福島の皆さんからは、やはりこの中間貯蔵施設を最終処分場にはしないようにという御要望がずっとございました。これは非常に悩ましい問題なんでありますが、やはりこれだけの負担を今福島の皆さんにお願いをしている以上は、やはり最後、安全に減容化をできて運搬ができる状況になった場合には、その最終処分は違うやり方を考えるべきではないかという、そういう考えに至ったわけでございます。  様々な検討はしております。最終処分の在り方、どういったところであれば最終処分場を造ることができるのか検討はしておりますが、まだめどが立っているという状況ではございません。したがって、福島の皆さんと中間貯蔵施設の協議を進めていく中で、法制化の段階で、どのようにすれば福島の皆さんに納得をしていただける中間貯蔵施設を造らせていただけるのか、それを見極めた上で判断をしたいというふうに考えているところでございます。
  102. 岩城光英

    岩城光英君 今の話を聞いて、昨年の十一月の段階と全く進んでいない。本当に私は驚いております。果たして政府に政権担当能力があるんでしょうか。そういう疑問をますます深めております。  この問題は地元の住民の方々の感情の問題もあります。将来帰還しようとしているところに中間貯蔵施設を造られる、それがそのまま最終処分場になってしまうんじゃないかと、こういうおそれは皆さんお持ちになっているわけです。それを大臣は、いや、最終処分は県外にするんだと、法制化もすると、そうおっしゃられているわけです。それなら、その話を早く詰めていかなかったら、中間貯蔵施設というのも、この話もまとまりませんよ。私はそう危惧しております。総理を筆頭に政府一丸となってこの問題に当たっていただきたいと思います。  さて、様々な除染が県内でされておりますけれども、例えば公共施設の除染に携わっている作業員によりますと、屋外のみならず室内においても放射線、これが検出されることがあります。換気扇や窓のすき間など外気に通じる部分があれば必ず室内に侵入してくると、こういうことでありますね。ですから、屋外の放射線量は比較的低くても、空調設備の内部フィルターは外気を浄化するためその濃度は徐々に高くなってくる、結果として、濃度の濃くなったフィルターが放射能汚染源となってしまっている、こういった状況にあるようです。  放射性物質汚染対処特措法に基づいて自治体では環境の汚染を前提として除染計画を立てておりますが、室内のこの除染については想定外であります。これらの問題に、どうとらえ、どう対処されようとしていますか。
  103. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 除染の、特に今、自治体にやっていただいているそういう地域でございますけれども、私どもガイドラインでお示しをしておりまして、そういう地域においては、例えば住宅の屋根であるとか雨どいであるとか側溝であるとか外壁であるとか、そういったところを除染をすることで室内についても放射線量を下げることができるというふうに考えております。ただ、具体的に、状況によって室内が必要なのかどうかというのの見極めは、これはしなければならないというふうに思っております。  ちなみに、若干御質問と違いますが、川内村は、つい先日までほとんど住民の方おられませんでしたので国が責任を持って除染をする場所でありましたが、そこの公共施設においては中の除染をされておられまして、私、現場に立ち会いました。住民の皆さんが除染をされていて、ここをきれいにして帰ってくるんだということを非常に本当に前向きにやっておられたことに強い感銘を受けて帰ってまいりました。  したがいまして、特に線量の比較的高い地域、国が直接やる地域においては、住民の方、長くお住まいになっていませんので、中についても必要なところは除染をしていかなければならないというふうに思っておりまして、そこについてはもちろん費用は国が負担をするという形になっております。
  104. 岩城光英

    岩城光英君 三月二十二日に参議院の環境委員会大臣は、学校の教室内の除染の具合はどうかという質問に対しまして、基本的に室内ということに関していうと問題ない状況にあると、こう思っていると答弁されています。でも、今お話しされたとおりでありますので、これはしっかりと対応策を詰めていってください。いろんな懸念することがまた起きてくるかも分かりません。しっかりと対応をお願いします。  次に、避難されている地域の伝統文化とかお祭りとか行事、そういったものを何とか継承する方法を国に考えてほしいということであります。  私は、相馬野馬追というあの地方の有名な祭事がございます。自分も二度ほど出陣をいたしました。地元の皆様方がその伝統をしっかり守っていこうときずなを深めながら取り組んでいることに頭の下がる思いであります。今年何とかこの行事が、野馬追が復活していただきたいと願っておりますが、そういう思いを地域の方々、それから被災した神社の神職あるいは氏子の皆さん、お寺の住職や檀家の皆様方が持っておりますけれども、これ、散り散りばらばらになっているからなかなかできない。  これをやはり将来戻ったときにまた復活できるように、例えば写真とか映像などそういった記録を取っておく、資料を収集する、データベースを作成する、こういったことを取り組むことを国が率先して支援していくべきだと思いますが、大臣、いかがですか。
  105. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 今、岩城先生御指摘部分、特に被災地における伝統行事や文化継承の支援と、こういうことで、私はやっぱり地域の宝であると、こういう認識の下に、また被災した住民の方々を元気付けることにもつながっていくと、こういうことで、文科省としてはできる限り支援をしていくと、こういう考え方で、二十三年度におきまして、特に被害が大きい地域、福島県、宮城県、岩手県に対して五十二件の補助金を交付をいたしているところでございます。  特に、二十三年度、そういう観点から見ますと、採択いたしましたのが約八百件以上、こういう観点で採択をいたしておりまして、二十四年度予算案につきましてもそういう思いで、特に先生おっしゃるように、被災されてその地域で長く住まなきゃならない場合にも、その地域でふるさとのことを思い、そういう行事をするときにも支援をしていくと、また戻られたときにそのことをしっかりと復元できるような手だては文科省としてもしっかりやってまいりたいと、かように考えております。
  106. 岩城光英

    岩城光英君 こういった伝統文化を守るための行事、こういったものは地域のまとまりをつくる核でもあります、しっかりと伝承できるように。いろんな難しい問題がございます。これは憲法二十条の問題もあります。その辺のところを踏まえながら、文科省が先頭に立ってしっかりと後押しをしていく仕組みをつくっていただきたいと思いますし、伝統芸能保存会とか自治会、青年会、そういった、あるいは学識経験者の組織を立ち上げて検討していただくことを御提言申し上げます。しっかりと御検討願いたいと思います。  さて、復興庁、それから復興交付金の問題について、残された時間質疑をいたします。  復興庁はワンストップ対応が可能だという触れ込みで発足いたしましたけれども、果たしてワンストップ行政になっているのでしょうか。総理、どうお考えでしょうか。
  107. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) 委員が御指摘のとおり、復興庁のいわゆる存在意義というか目的というのは、被災地における御要望をワンストップで受け止めて、そして、縦割りを排して迅速的確に対応するということでございました。基本的にはそういう精神の下で機能させているというふうには理解をしています。  何か御指摘があれば、いただきたいというふうに思います。
  108. 岩城光英

    岩城光英君 ある人が、行政関係者ですけれども、自治体の、こんなことを言っていました。大きなラッパみたいなものだと、ラッパ。入口は広くて何でも受け入れるけど、急に細くなってしまう、そして長く続くと。要するに、何でも対処可能、自由にいろんなことができる、そこで復興庁を窓口として何でもできると、でも、結局、事業を実施する官庁、そこの思惑もあっていろんなことが二重になってしまう、ワンストップじゃないと、今までの補助金と同じだということなんですよ。  例えば、復興庁のヒアリングの後、各省庁から照会事項が来る、関係省庁との協議を終えた事業についてもまた復興庁との協議が必要になる、とてもワンストップと言えないと、こういう状況であります。申請書類が余りにも多過ぎる、こういった指摘もございます。  これは少し復興庁自体が、復興交付金の問題、そういったもの、あるいは特区の問題を踏まえて実動する場合に、やはり本当の意味でのワンストップのためには復興庁自体に権限がなければなりませんし、この辺のところは一つ指摘しなければいけないと思います。  同時に、人員体制の問題もございます。今二百九十人でしたか、平野大臣、そうですね、これで果たして足りますか。
  109. 平野達男

    国務大臣平野達男君) まず、四月一日時点でありますけれども、復興庁、復興局含めまして三百十名ということになっております。そのほかに、いわゆる併任等々を掛けていただいている方を含めて約二百五十名ということで、五百六十名体制ということになっております。  人数、十分かという御指摘でございますけれども、まずこの体制でしっかりやっていきたいというふうに思っております。
  110. 岩城光英

    岩城光英君 復興庁は十年間の限定の省庁であります。しかも、最初の五年間は重点期間です。十年たてば復興庁の職員もまた元の省庁にお戻りになるわけですから、ですから、そういう意味で、この五年間に限っても重点期間ぐらいは人材を結集して万全な体制を構築すべきだと思いますが、今後十二分に御検討いただきたいと思っております。  とにかく、各省に勧告できるとされていますが、その法的強制力はございません。そういう意味で本当に司令塔、この役割を果たせるのかどうかと非常に疑問でありますけれども、でも、今が正念場だと思いますので、総理の指導の下、しっかりとした復興庁を中心とした復興に向けての早期体制をつくっていただきたいと、こう要望をいたします。  それで、関連して復興交付金の問題ですけれども、これも、使い勝手がいい、地元負担がゼロということで期待されていたんですが、大臣もいろんな委員会でお話を伺えるとおり、様々な問題がございますね。例えば、市町村が実施主体との規定が、条例制定、利用者公募などを経ることによって事務手続が遅くなる、迅速な対応を取れない、こういったこともあります。  具体的に申し上げますと、被災地農業復興総合支援事業、これは市町村が事業実施主体となっております。農業用施設等を整備することにより被災地域の早期の営農再開を目指すものでありますが、ここは、市町村が事業実施主体であると規定していることがスピード感あふれる復興の足かせとなっているんですね。  なぜならば、整備対象施設は地方自治法上不動産に該当するものがほとんどであり、公有財産なんですね。そうしますと、条例又は議会の議決がなければ貸し付けることができない、そういう手続を踏まなければいけないわけであります。ですから、市を経由せず直接事業主体に交付金を出すようにすればそういう時間のロスがなくて済みますので、こういった点も一つ検討いただきたいと思っております。  それと、もう一つ、復旧対応のため災害復旧事業を用いたところ、その後交付金が示されたので、そのまま事業をしようとすると補助金は返金をしなければいけない、こういう事態も出てきますね。このことも重要な課題であります。  そのほか、海岸保全施設の整備海岸堤防整備ですね、それから河川の堤防、こういったもののかさ上げなどは災害復旧において措置されるので基幹事業に位置付けられておりませんけれども、関連事業を行う場合には、非常にこれは手間の掛かることになりますので、こういった海岸堤防整備とか、あるいは河川管理施設の整備、そういったものの基幹事業への追加が必要になってくるものと思っております。  それと、もう一つ提案させていただきますが、多くの自治体の市役所とか役場が地震被害が発生しました。でも、自治体の本庁舎に関しては、国の災害復旧メニューにより応急回復に要する経費が補助されるだけで、新たに整備することあるいは耐震補強もできませんね。こういった問題、出先機関の庁舎にあっては、そもそも災害復旧メニューの対象外であります。  こういったところも何とか、災害対応の拠点となる施設でありますので、復興交付金で対応していただけるように、これも様々な自治体から要望がありますので御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  111. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 今委員から御指摘いただいた点につきましては、しっかり検討したいというふうに思います。  ただ、災害復旧事業は災害復旧事業として、これは各省が独自の政策として対応している面もございます。そこと復興交付金をどのように連携させるかという御指摘もいただきましたけれども、まず、災害復旧事業は災害復旧事業でできるだけ対応していただいた方が多分被災自治体も楽でございますから、そこの点についてはある程度の仕分をしながらやるということもちょっと頭に入れながら検討を進めたいというふうに思います。  それから、市庁舎につきましては、これは自治体の意向もございますし、また総務省さんの意向もありまして、総務省でしっかりこれは対応するという決意をちょっと持っておりまして、ここは今の、ここの部分については復興交付金の対象から外した経緯もあるということは御理解をいただきたいというふうに思います。
  112. 岩城光英

    岩城光英君 様々な問題があるんですよね。例えば、土地区画整理事業とそれに伴う埋蔵文化財、これの発掘調査において、国交省所管の土地区画整理事業で計上するのか文科省の埋蔵文化財発掘調査事業なのか、その辺の担当する省の見解が異なって自治体が非常に迷ってしまう、そういう問題もありますので、この辺ちょっと制度設計をもう一度見直すことも含めて抜本的に検討していく必要があろうと思います。よろしくお願いします。  時間が迫っておりますので、最後の質問に移らせていただきます。あと二分だそうです。  SPEEDIの問題ですね。適切な方向への避難誘導をしなかった政府の責任、誰が取るんだということです。もう何度もこの場で議論されていますから、質疑されていますから詳しくは申し上げません。  浪江町の住民の方々が原発から二十五キロ以上離れた津島地区に数日間避難していました。でも、SPEEDIの予測によれば、そちらに放射性物質が拡散して長く延びていたんですね。これは大変なことです。  SPEEDIの予測結果を活用しなかったこと、その理由については、予測前提となる放射性物質の放出量が現実と懸け離れていると考えられたという言い訳であります。その責任も看過できません。でも、それ以上に看過できないのは、適切な安全な方向に避難誘導しなかった国の責任なんですよ。誰も責任取ろうとしない。どうしてなんですか。総理のお考えをお示し願います。
  113. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) その避難の誘導については、その都度の情報に基づいて政府としては懸命に取り組んだと思いますけれども、今委員指摘のSPEEDIの活用については、政府事故調の中間報告においても、現に得ていた結果を公表していれば地方自治体や住民はより適切な避難経路を選ぶことができたというふうに指摘をされております。  こうした指摘を真摯に受け止めるとともに、原子力安全委員会の防災指針の見直しに係る中間取りまとめを踏まえまして、SPEEDIの活用の仕方も含め、適切な避難誘導の在り方について検討をしてまいりたいというふうに思います。
  114. 岩城光英

    岩城光英君 避難されている地域の首長さんが、日本政府日本政府、それが、これほどいろんな時間が掛かっている元凶は日本政府だと、そう悔しがりながらおっしゃっていました。  先ほども申し上げましたとおり、政権担当能力がない、これが明らかになっております。速やかに今の政権の座を降りていただきたい、そうお願いして、質問を終わります。
  115. 石井一

    委員長石井一君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  116. 石井一

    委員長石井一君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  平成二十四年度予算三案を一括して議題とし、震災原発エネルギー等に関する集中審議を行います。  休憩前に引き続き、質疑を行います。岩城光英君。
  117. 岩城光英

    岩城光英君 昨年三月の大震災では、地震津波により東北地方が大きな被害を受けました。ともすれば、津波による被害、それが大きく注目を浴びております。映像によっても流される割合がはるかに多い。ですけれども、地震による被害というのもかなり大きなものがあるんですね。  それで、平野大臣、この復興交付金の事業認定第一回目に当たっては、津波被害からの復興に資する事業、これが優先されたように伺っておりますけれども、この辺はどうお考えになりますか。
  118. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 復興特別委員会等々でも、あるいは予算委員会等々でも何回か答弁申し上げましたけれども、災害からの復旧復興でございますから、基本的には災害復旧事業が特に公共施設等々の復旧については基本になります。  しかし、津波ということに関しては、津波の被災地域に元どおりの町づくりをするというわけではなくて、むしろ高台移転とか何かをするという、別な場所で新しい町づくりをするということになりますと、これはもう災害復旧事業では対応できません。そういう意味で、いろんな補助制度を使って新たな町づくりをするという意味で、別な意味災害復旧という意味で復興交付金制度をつくったということであります。  一方で、地震地域につきましては、これは基本的には災害復旧事業が基本だというふうに思っております。ただ、その中でも、災害交付金の中で、災害復旧事業は現況復旧ですから、地域全体のときに、復旧するときに災害交付金が出ない、復興交付金を使いたいという地区もございますので、それは個別の地区ごとに相談しながら、計画作りをしながら、交付金で適用するものが妥当だということであれば交付金を交付すると、こういう形で臨んでいるということでございます。
  119. 岩城光英

    岩城光英君 福島の中通りの方でも大規模な面的に地震被害を受けているところがございます。そういったところは対象になるということでよろしいんですね。
  120. 平野達男

    国務大臣平野達男君) どのような復旧計画を作るか、あるいは復興計画を作るかによって変わってきますが、繰り返しになって恐縮ですけれども、基本的に、例えば須賀川市の藤沼ダム等々に関していいますと、これは基本的にはやっぱり災害復旧事業ではないかというふうに思います。つまり、被災したダムをもう一回復旧させる、それから周辺の施設も復旧させるということが基本になりますので、これは災害復旧事業ではないかというふうに思います。  ただ、面的に何かあの地域の中でも、例えば移転が起こるとか、どうしても地域の復興のために道路が必要だというようなことがあれば、繰り返しになって恐縮ですけれども、個別の計画の策定の段階で協議しながら決めていくということになると思います。
  121. 岩城光英

    岩城光英君 いわゆる熟度が高まればということだと思います。その辺のところは二回目以降の申請時で十分に考慮していただきたいと思います。  それから、同じ市内でも沿岸部の校舎の耐震化、これは認められているけど内陸部は認められない、こういう例もあるんですね。これはどうお考えになりますか。
  122. 平野達男

    国務大臣平野達男君) これは明確な線を引いて、こっちからこっちというふうに引いているわけではございません。ただ、沿岸部の津波で被災された地域は、その地域のみならず自治体全体が相当傷んでおりますから、将来をにらんでの復興計画の段階では、内陸部のように例えば一部地震地域でやられているというところよりは幅広くやはり復興交付金で、たとえその地域が、その施設が被災されていなくても、自治体全体が被災されているという観点に立って復興計画の中ではできるだけやっぱり幅を広く採択していくというか、復興交付金の対象にするようには心掛けております。
  123. 岩城光英

    岩城光英君 極力柔軟に対応すべきだと思いますし、私の提言は、やはり五省四十事業の枠組みに縛られておりますけど、これを本当に被災した自治体が望むような、望むような事業ができるような、そういう仕組みに改めるべきだと思いますし、また、省庁の垣根を越えまして基幹事業の所管省庁以外の事業にも充当できるよう、これから検討していただきたいと思っております。  最後の質問に移ります。  これは全国各地から、総務省を通じて全国の市町村から応援の職員がそれぞれの被災自治体に派遣していただいております。大変有り難いことだと思っております。感謝を申し上げます。御自宅を離れて遠くの市町村で復旧の業務に当たっていただき、本当に有り難いことだと思っております。  ただ、被災三県の派遣職員、この状況を見ますと、岩手県は要望に対して一〇〇%の充足率、宮城県は六五%になるんですね。福島県は残念ながら四七%と、要望してもその半数ぐらいしかおいでいただけない。まあ原発の事故がありましたから、いろんな事情が分かります。でも、それでは、それでなくても自治体の職員の数が足りなくて四苦八苦しながら、皆さん本当に苦労しながら、役場の職員、市役所の職員、取り組んだわけでありますので、この辺のところも国が指導力を発揮して、福島に要望どおりの職員を派遣していただけますよう何とかリーダーシップを発揮していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  124. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 福島県は今委員がおっしゃったとおりであります。  引き続き、市長会、町村会あるいは知事会等々に、総務省とも連携して、あるいは国交省等とも連携しながら職員の派遣に鋭意努力してまいりますし、国の方もできるだけ体制強化をして被災の自治体支援に当たってまいりたいというふうに思っております。
  125. 岩城光英

    岩城光英君 終わります。
  126. 石井一

    委員長石井一君) 以上で岩城光英君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  127. 石井一

    委員長石井一君) 次に、牧野たかお君の質疑を行います。牧野たかお君。
  128. 牧野たかお

    牧野たかお君 自由民主党・たちあがれ日本・無所属の会の牧野たかおでございます。  私は、今質問を終わられました岩城委員に続いて質問させていただきたいと思っております。  まずは、先月二十六日、二十七日、ソウルで行われた核の安全保障サミットについて伺いたいと思いますが、総理、今、日本が置かれている状況の中で最も直近の懸案事項というのは何だと思いますか。
  129. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) あの震災からの復興と原発事故との戦い、これが大きな課題だというふうに思っております。
  130. 牧野たかお

    牧野たかお君 私はお答えしていただけると思ったんですが、私が思うには、直近のやっぱり懸案事項というのは、予告の初日が四月十二日、あと十日余りに迫った私は北朝鮮のミサイル発射のことが今直近の最大の懸案事項ではないかと思っております。  それで、総理はこのサミットにお出かけになりましたけれども、そのサミットでは、アメリカ、韓国、中国、ロシアの各国首脳が公式会談を行って、それぞれの首脳が一斉に北朝鮮のミサイル発射を止めるように強い声明を出しました。残念ながら、総理はそうした声明も出されませんでしたし、公式会談もされなかったと思います。  なぜそういう結果に終わったんでしょうか。
  131. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) 私自身は、いわゆる核セキュリティ・サミットの公式の会議の中で北朝鮮の問題に触れたのは私、逆に私だけでございます。そのことは明確に、人工衛星と称するそうしたミサイル発射をしようとしていることについて、これについては明らかに安保理決議違反であるということ、これについては国際社会が連携して強く自制を求めていかなければいけないことなどを明確にこの国際会議の舞台で言ったのは私だけでございます。  加えて、それぞれ、オバマ大統領であるとか李明博大統領、あるいは中国の主席であるとかインドの首相であるとか、あるいはメドベージェフ大統領とか、個別の会談の中でもその認識を共有するそういうお話はさせていただきました。
  132. 牧野たかお

    牧野たかお君 今の個別の会談というお話ですが、報道によると、数分以内、全てが数分以内の立ち話ということだったんですが、どうして事前に公式会談等を申入れができなかったんでしょうか。
  133. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) 本当は前日からフルに行っていればそういうことは可能だったと思いますが、大事な集中審議が入っておりました。それを終わってから行ったときには十時に向こうに着ということでございましたので、そういう個別の会談を取ることはできませんでしたし、加えて、午前中はいっぱいいっぱいの会が、お昼はワーキングのランチ、そこでも発言をしておりますが、その合間を縫ってのいわゆる意見調整ということでございました。
  134. 牧野たかお

    牧野たかお君 国会審議のせいといいますか、それを理由にされていますが、自民党の国対の委員長以下、今、後ろにいらっしゃると思いますが、民主党さんからも政府からも参議院の審議の日程調整をしてくれという申入れは事前に全くなかったそうです。ですので、ちゃんと事前にそういう申入れがあれば、出れるように当然のことながら我が党も対応したと思いますが。私は、そっちよりも、国会審議というよりも、当時民主党内で消費税についての党内調整が行われておりましたので、そっちの方が心配で時間が取れなかったんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  135. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) 確かに国内でもいろんな判断をしなければならない場面がずっと続いてはおりましたけれども、でも、これは大事なサミットでございましたので、極力大事な会議には出て、そして発言をするという趣旨の下で日程取りをさせていただきました。
  136. 牧野たかお

    牧野たかお君 田中防衛大臣に来ていただいていますが、田中防衛大臣は、先月三十日、この北朝鮮のミサイルについて、日本に飛来した場合の破壊措置命令を出されましたけれども、PAC3とイージス艦の中距離ミサイル、これで日本全土を有事の際にはカバーできるというふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  137. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) お答えいたします。  今回の北朝鮮の人工衛星と称するミサイルの発射に関しましては、諸情勢を総合的に勘案すれば、我が国に飛来するおそれがあるとまでは認められないと考えられておる一方、事故等の事態が急変した緊急の場合には万全を備えるという必要がありますので、八十二条の三の三項に基づいて弾道ミサイルの破壊措置をするところでございます。  そうしまして、イージス艦、そしてまたPAC3を配備をいたしました。予想どおり対応しておりますけれども、発射方向が当初の予想と異なる場合には、内閣といたしまして、全国瞬時警報システムのJアラートが自治体の無線に対応いたしますので、その情報を基に自衛隊といたしましても緊急の場合には災害派遣をするということで全国対応をしてきておるところでございます。(発言する者あり)
  138. 石井一

  139. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 万全の体制で全国対応をしていくということで御理解をいただきたいと思います。
  140. 牧野たかお

    牧野たかお君 いや、その万全の努力をするのは当たり前なんですが、物理的にカバー、本当に全部、日本の領土全体をカバーし切れますかと私は聞いたんです。(発言する者あり)
  141. 石井一

    委員長石井一君) 静かに、静かに。
  142. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 今のイージス艦、そしてまたPAC3の配置からいって、全国をカバーすることはできるわけではございません。しかし、予想どおりに来たときには、また、我が国の地域に落下するようなことがありましたら破壊命令でやるわけでありますが、そのほかの地域におきましては、各全国対応をしていくということで当方も準備をさせていただいております。
  143. 牧野たかお

    牧野たかお君 簡潔に、カバーできないというふうにおっしゃってくださればそれで結構だったんですが。  要するに、必ずしも物理的にカバーできないとするならば、やっぱりこれは政治的圧力で北朝鮮がミサイルを発射するのを止める、阻止するというのが一番私は最優先されると思うんですよ。だから、やっぱりそこで総理に強い姿勢で私はサミットに臨んでいただきたかったということを申し上げたかったわけでございます。  それで、あとは、その中で総理がブリーフィングしたといいますかステートメントを出したその三つの教訓ということでありますが、(資料提示)先ほど岩城委員もおっしゃいましたけれども、大きな教訓といっても、想定外想定する、現場をおろそかにしない、安全確保は不断の取組、まさに当たり前なことだと思いますけれども、これで本当にそこの出席された各国の首脳は教訓としてお感じになったんでしょうか。
  144. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) 教訓については、今御指摘のようなことを柱として御説明をしましたけれども、加えて、その下にも資料で書いていただいておりますけれども、日本のこれまでの取組であるとか、あるいは、これは国内の取組だけではなく、国際社会とのいわゆる連帯、貢献での取組とかも含めての御説明を全体的にさせていただいておりまして、それについては、議長役の李明博大統領からも大変率直な意見を聞くことができたという、そういう評価をいただいております。
  145. 牧野たかお

    牧野たかお君 その今、下の方に書いてある取組というのは、これはもう今までに日本が教訓から学んで実行しているというよりも、これから取り組んでいくという途中段階の話ではないかというふうに私は思います。  それと、教訓という言葉、私がちょっと違和感を持ったのは、原発事故を起こしてしまった国の代表として行かれて、政府が、まあ自民党政権時代も含めて、原子力発電所の安全管理についてもっと国がしっかり監督しなかった、それとか、その事故が起きてしまったときに、先ほどお話がありましたように、SPEEDIを使わずに避難誘導がうまくいかなかった、そういう反省点を各国に言うなら分かるんですが、事故を起こした当事国の代表が、教訓というのは人に教えることですから、ちょっと何か教訓という言葉はそういう場でお使いになる言葉ではないんじゃないかと思いますが、いかがでしょう。
  146. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) いや、これはだから、今回の原発事故の原因というのは自然災害ですけれども、だけど一方で原子力施設の脆弱性、これはテロに対しての脆弱性というものが浮き彫りになったと思います。その共通点ということは、例えばこれ想定外想定する、当たり前のことということでございましたけれども、やっぱり安全神話に浸り過ぎていたことは大きな総括だと思います。これは我が国にとって教訓なんですよね。ということを、まあ一つ一つ申し上げませんけれども、それを国際社会と共有をしていただこうというのが最大の目的でございましたので、そのことを申し上げたということであります。
  147. 牧野たかお

    牧野たかお君 政府がホームページに出した記者会見の資料で、ステートメントのコメントという、中身が書いてあるんですけれども、それを読ませていただきましたけれども、中身については、この上の大きな教訓の中の、細かいこといっぱい書いてあるんですが、結局、施設の改善点はいっぱい書いてあるんですよ。  ところが、さっき私が申し上げたみたいに、政府として何を反省をして、ほかの政府に、これは私たちは気付いていなかったけれどもこれを自分たちの戒めとして今していますので、こういうことを是非知っていただきたいと言うなら分かるんですが、そういうことを政府の資料に、出している資料に載っていなかったんですよ。だから、改善点はあくまでも施設だけであって、政府のその行政としての要は教訓なり反省点というのが私はなかったと思いますが、そうじゃないんですか。
  148. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) 核セキュリティー強化のための取組は、例えば電源装置の補強であるとか、そういう設備の話等々言っております。ただ、教訓の話は、これは個別の設備だとかそういう話じゃなくて、まさにこれは政府としての反省、教訓であります。そこは基本的な認識で持ちながら御説明をしたつもりでございます。
  149. 牧野たかお

    牧野たかお君 もし本当にそうだったら、これ内閣官房内閣広報室が出しているホームページの資料ですけれども、そういうこと何も書いていないですよ。だから、もし本当に総理がそういうお話をされて、それが正しいとするならば、このホームページの中身を変えた方がいいと思いますよ。それを言っておきます。  それで、原発の私は原点の話に戻りたいと思いますけれども、まず、福島第一原発から一年たちました。私は、一年間、本当に福島の出身の、これは政党関係なく、それぞれの議員の皆さんが切実に訴えている復興特での質問とかそういった場面で、本当に大変なことだったなというふうにつくづく感じています。私の静岡県も、遠く離れていますが、原発の放射性物質のせいでお茶とか乾燥シイタケとかいろんなものが風評被害に遭って、本当さんざんな目に遭いました。  そういうことを考えますと、私は、この原発事故、確かに事故を、事前の津波に対する備えができていないということを考えれば防ぐことは不可能だったかもしれませんけれども、あの水素爆発さえなかったら、こんなに大きな被害被害がこれだけ拡大するということは私はなかったと思っております。総理はどういうふうにお考えですか。
  150. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) あの地震発生直後の対応については、大変深刻な事態であるというそういう認識の下で、その都度その都度、情報に基づいて懸命に政府としては、例えば原子炉の冷却であるとか避難についてそれぞれ全力で取り組んだというふうには思います。思いますけれども、各事故調を含めまして、当時の事態の認識であるとか対応について十分ではなかったという指摘については、これは真摯に受け止めなければいけないというふうに考えております。
  151. 牧野たかお

    牧野たかお君 私は、もちろん、いろんな立場の方が一生懸命、緊急事態ですので、対応しようとしたことは間違いないと思っておりますけれども、私は今も、一つのことが水素爆発の原因と関係が非常に深いということを思っています。  それは何かといいますと、今このパネルにしてあるのは、三月十二日の、事故の翌日ですけれども、その未明から水素爆発までの出来事を時系列に並べました。当初は時系列に並べたくても全然その資料がないというか、東京電力の方も何時何分というのが出てきませんでした。それが十二月に中間報告という形で出ましたので、その出ている記述を基に私は並べてみましたけれども。  一時半に、もう電源がないですから、手動ベントを開始することを、これは政府の方も了解して決定をいたしました。それから準備が始まったんですが、ずっと下がっていくと、七時ごろ、正確に言うと着いたのは七時十一分ごろらしいですけれども、上空を飛んでいた時間は分かりませんので七時ごろというふうにしていますが、菅直人総理、当時の総理が、上空とそして地上を約一時間、福島第一原発に行って視察をしました。そして、それの後、菅直人総理が現地を離れた後に、当時の現地の原発事務所の所長の吉田さんがベントの操作を、手動の操作を始めるように指示をしました。  それを単純に考えただけで私は、視察に行った直後からその操作が、現場に行かせてそれの操作が始まったということは、視察にもし行かなければもっと早くベントの作業が、そしてベントの操作が私はできていたのではないかということを強く思っています。  本当は枝野大臣に聞くつもりでいたんですが、当時の官房長官でいらっしゃいましたので。ところが不穏当発言で退席になりましたので、細野大臣、当時補佐官で官邸にいらっしゃったと思いますけれども、これは何回か国会でも質問が出ましたが、官邸側から東電の本社なり東電の現地事務所なりにベントの作業、要するにベントの操作ですね、ベントをして放射性物質が外に出るのを菅総理の視察の後にしてくれというような要請だったり指示がなかったんでしょうか。
  152. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) それはございません。むしろ、今御指摘の四時とか五時とかいう時間帯というのはベントをやるという指示が出ていたわけですけれども、まだできていないということで、なぜできないのかという議論東京電力の担当者と私ども官邸の中でやっておった最中でございますので、総理が行くのでベントはしばらく遅らせてくれというような要請を少なくとも当時の政府からしたという事実はこれはございません。
  153. 牧野たかお

    牧野たかお君 そこはこれまでも平行線であったと思いますけれども、実はその中間報告の中で私は今までなかった記述を発見をしました。それは、そこに、そのパネルに書いてありますけれども、午前四時半ごろ、中央制御室のホワイトボードに、正確に読みますと、四時三十分、現場作業禁止、津波、部長指示という記述がありましたけれども、これは中間報告で、要するに津波のおそれがあるので現場の作業を禁止するという記述があったのですが、これはどういうことかと東電に何回か確認したところ、実は一枚のホワイトボードの写真があって、そこに書いてあるから、まあ中間報告書、あそこへ置いてきちゃいましたけれども、重たいものですから、その中に載せたということで、実はそのホワイトボードの写真の写しを入手したんですが、残念ながら今日の持込みの締切りに間に合わなかったものですから、パネルと配付資料にできなくて本当に残念ですけれども、今申し上げたことが書いてあります。  それで、要するに、じゃ私は、書いてある午前四時三十分、現場作業禁止、津波、部長指示というのは誰が指示して誰が書いたんですかということを問い合わせたところ、一年たった今でも誰が指示をしたのか、誰が書いたのか分からないと。じゃ、このホワイトボードの一部の写真があるんだけれども、ホワイトボード全体の写真はあるのかといったら、それがどこにあるか分からないと。たまたまホワイトボードの一部の写真があったのでということで、そこの中間報告に記述したということで、写しは私もらったんですが。  それで、実は津波って書いてあるんですけれども、津波があったかどうかというのも調べました。  福島原発のそこの地点で地震が観測されたのは、午前二時五十六分に震度四、マグニチュード四・四の地震でございまして、これは津波ももちろん、新たな津波も発生していない、しかも四時半までの間に一時間半もあるということは、要はこの四時半のボードに書いた時間の前は地震がなかったんですよ。だから、非常に私は不自然な表示だなと思っていて、ひょっとしたら津波と書いてあるけれども、視察に関連して四時半に建屋内の作業等を、操作等をするのは禁止というふうに書いたのかなという、そういう疑問が湧いております。  今のは本当に現物を見せずに言っているものですから臨場感というか現実感がないかもしれませんが、それについて、今私が拙い説明だったかもしれませんが申し述べたこと、総理、どんなふうに感じますか。
  154. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) ちょっとそのホワイトボード等も見ていませんし、今の御説明一つの推測をされているということはよく分かりましたけれども、ちょっとその因果関係は現段階でちょっと私が説明できる状況ではございません。
  155. 牧野たかお

    牧野たかお君 それは確かにそういうふうにお答えをされるんではないかなと予想していたものですから、本当に間に合えばよかったなと思っておりますが。しかし、どう時系列で並べても、私は、六時間半も準備で、要は作業が、一番早い弁は、九時に行って、九時十五分にベントは、一つ目は、一番先端の方ですけれども、ベントができているんです、開いているんですよ。そして、二番目に行った班が放射能の数値が高いものですから戻ってきて、元々原子炉の近くの弁を開けようとしたけれどもできなかったから、それに代わる近くの弁を午後の二時に開けてベントが、要は入口と出口のところのベントが開いて、二時からベントができたんですが、残念ながら僅かな時間だったですから、そこで水素爆発が一時間半後に起きてしまったと。  仮に、これが一時間前とか二時間前からもしベントをやっていたら水素爆発は防げたかもしれないんですよ。もし防げたとすると、本当にこれだけの被害は起きなかったわけですよ。これが本当に視察に関係したとするとするならば、政府の私は重大な過失だと思いますよ。そして、もし仮に中止命令、中止の指示や要請があったとしたら、これは中止や要請をした人は刑事責任を問われますよ。それだけの大きい話だと思いますけれども、この解明を私はやっぱり政府としてもやるべきだと思いますけれども、総理、いかがですか。
  156. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) これは、先ほど細野大臣も当時の状況をお話しされたと思いますけれども、大体この時間帯は、なぜベントを早くやらないのかという、そういう意識を持っていたというふうに私も聞いておりますので、そのちょっとボードの話よく分かりませんが、この時間帯の問題意識というのは早くベントやってほしいと、なぜやらないのかというところで政府内の中では対応していたというふうに思います。
  157. 牧野たかお

    牧野たかお君 それは、そう考えた政府の人もいらっしゃると思いますよ。しかし、そうではない意思が働いた可能性だってあるわけじゃないですか。だから、しっかりこれは解明をしていかないといけない。これは、どの政権が時の政権だろうと、必ずこれは解明していかなきゃいけない問題だと思いますよ。政府がもし結果的に関与することになっていたとするならば、これだけの被害を出した責任というのは、これは本当に日本政府の責任になりますので、しっかり私は解明を、私たちもしていきますが、政府も努力をしていただきたい。そしてまた、政府にしても、国会の事故調の皆さんにも、ここのところは解明に努力していただきたいと思います。  最後に、この件で一点だけ質問しますけれども、私は、今申し上げたみたいに、あの菅総理の視察というのは本当に重大な私は過失だと思いますが、野田総理だったら、あの時点で、一分一秒を、本当に処理のため、事故の対応のために、もう本当に貴重な時間であるその現場に、野田総理だったらあの時点で視察に行かれますか。
  158. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) 総理が現場の、現地視察したことなども含めまして、例えば民間事故調の報告書においては、官邸による現場への介入の問題点が指摘をされているということは承知をしています。一方で、その報告書でも併せて言及をされているのは、東電の撤退拒否などについては、これは、でも一定の効果があったということもございました。  当時、トップとしてどういう情報が入っているかによって私は判断が違うと思いますので、御批判もあることも承知をしていますけれども、これはしっかりと検証していかなければいけないテーマだというふうに思います。
  159. 牧野たかお

    牧野たかお君 今のは優等生的なお答えだと思いますけれども、私は野田総理に、今総理やられていますが、一国の最高責任者が、現場が混乱していて本当にさっき申し上げたみたいに一分一秒その対応に追われているときに、総理大臣が行くべきだと思いますかということを聞いています。
  160. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) 一般論としての危機管理では、責任者はやっぱり基本的には大所高所からの判断を、あらゆる情報を集めて決断をするということだと思います。  でも、その一般論は私は当時の菅総理も分かっていたはずだと思います。にもかかわらず、そういう判断をしたということには、それなりの理由があったのではないかというふうに思います。
  161. 牧野たかお

    牧野たかお君 この問題は一言言わせていただいて終わりますが、私は今のお答えは認識が違うと思いますよ。(発言する者あり)
  162. 石井一

    委員長石井一君) 声が聞こえません。
  163. 牧野たかお

    牧野たかお君 要するに、ほかの有事といいますか、ような話ではなくて、これは水素爆発を防ぐために、もう現場で一分一秒を争ってその操作をするための準備をしている、そして、もっと言えば、もう操作ができていたかもしれない、行かなければ。だから、そういう現場に行くこと自体が、この水素爆発を起こすような本当に間違った選択だと私は思っております。その点についてどうかというふうに伺いましたけれども、多分答えは同じでしょう。だから、もういいです。次の質問に行きます。  次は、当面の電力需給について。  先ほど、午前中、民主党の金子委員質問をされました。同じ党内ということで、思いは多分同じだと思いますけれども、ちょっと私の方がきつい言い方になるかもしれませんが、まず、枝野大臣が不穏当発言でいなくなっちゃいましたので副大臣に来てもらいましたけれども、お答えできなければどうしようかなと思っておりますが、エネルギー・環境会議で、先ほど枝野大臣答弁されましたけれども、今年の夏の電力需給の見通しだと、全国、まあ沖縄県を除いた原発がある九電力管内では、六月から八月まで千七百万キロワット不足、全国でいうと九・二%のマイナス、そして、元々原発に電力の四九%を依存していた関西電力では六百万キロワットの不足、これは関西電力全体だと一九・三%の不足になりますが、この予測は五か月たった今でも変わらないのでしょうか。
  164. 柳澤光美

    ○副大臣(柳澤光美君) どうも、牧野委員にお答えをさせていただきたいと思います。  委員が御指摘のとおり、七月の、去年、二十九日に第一回目の予測をしておりまして、委員指摘のとおり、約一割、千七百万キロワット弱の不足になると。これは、仮に原子力発電所の再起動がなくて、二〇一〇年の猛暑並みのピーク需要となり、有効な対策が取れなかった場合という条件にしております。  今、引き続き、予算を組み、規制改革等を通じた供給力の積み増しあるいは省エネの促進に取り組んでおりまして、電力需給ギャップを埋めるための最大の今努力をさせていただいております。こうした取組により、電力使用制限令を出さないで済む可能性は十分にあるというふうに今考えておりますが、その場合には、本当に相当な節電をお願いしなければならない。  なお、この夏の具体的な需給見通しについては、これまで以上に正確な情報を把握する必要があることから、電気事業法に基づく罰則等の報告徴収を電力業者に掛け、第三者の専門家の検証を受け、ゴールデンウイーク前後には報告をさせるスケジュールになっております。
  165. 牧野たかお

    牧野たかお君 丁寧な答弁ですが、済みません、なるべく簡潔にお願いいたします。  それで、今副大臣がおっしゃった中でいうと、実は、私はこの見通しはすごく甘いと思っているんですよ。なぜかというと、この上の方にあるその供給力という中に、実は、電力会社以外に再生可能エネルギーだとか自家発電が、十一月に決めた時点よりも半年間の間に二百三十三万キロワット増えるという期待の数字が入っているんですよ。  あれから五か月たちましたけど、この供給力の元々期待をして入れた二百三十三万キロワットというのはどこまで要するに確保できたのか。あと二か月で六月が始まっちゃいますが、ひょっとしたら、その二百三十三万キロワットって全然増えていないんじゃないですか。(発言する者あり)
  166. 柳澤光美

    ○副大臣(柳澤光美君) はい、簡潔に。  実は、電力会社による供給対策、火力発電の増加や緊急発電関係で約四百九万キロ、今、プラスが確保をする予定になっています。それから、いわゆる主体的な供給力の強化の二百三十三万キロ、ほぼその方向で何とかできるんではないかなということで今精いっぱい努力をさせていただいております。
  167. 牧野たかお

    牧野たかお君 今のことは努力をされているみたいですが、今時点ではまだそのところに達していないということですよね。
  168. 柳澤光美

    ○副大臣(柳澤光美君) 電力会社から罰則付きの報告を全部上げさせる、それから第三者の専門家に全部調べてもらうということで、三月三十日までの状況を全部今集約をしています。それを専門家がゴールデンウイーク、できれば前に、その前後で出していただくということでお願いをしています。まだ今のところは把握していません。
  169. 牧野たかお

    牧野たかお君 多分お答えが全然違う方向のお答えで、私が言ったのは、電力会社の関係の電力じゃなくて、電力会社以外の電力で要するに、自家発電と再生可能エネルギーで要するに六月までに二百三十三万キロワット、十一月の、去年決めた、予測した時点よりも増やす、増えるはずだというのが入っているんですが、それがどうなったかということを聞いていますが、それもまた、まあ分かりました、多分まだデータとして把握されていないんじゃないかと思います。  それで、総理に伺いたいんですが、先ほどもありましたけれども、今の状態というのは各電力会社が、原発も止まっていますので、要は老朽化した火力発電所を、一回止めていた火力発電所なんかを再開をして、それをフル稼働で動かしていて今の状態が何とか維持しているわけですけれども、これは本当に綱渡りみたいなものだと思います。  それともう一つは、先ほどもありましたけれども、要はLNGとか石油とかそういったものの要するにコストアップ分があります。それが年間三兆円以上掛かっていると。ですので、本当に今、辛うじて何とかこの状態を保っているという状態なんですけれども、本当にこの状態いつまで続くというふうに、もつというふうに思いますか。この状態を何とか持ちこたえていけるのはいつまでだというふうにお考えですか。
  170. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) 先ほど経産の副大臣もお答えをさせていただきましたけれども、需給の見通し、去年の段階でやったとき、ギャップが約一割ぐらいあること、その穴を埋めるために供給力の積み増し、今、火力発電のお話もございましたけれども、供給力の積み増しとそして省エネ等の需要を抑制するということによって何とかあの一昨年の夏のピーク時ぐらいのものでも対応できるような努力をして、連休前までにその具体策のレビューを行うということを行っているということで、そのときの具体策でしっかり対応していきたいというふうに思います。
  171. 牧野たかお

    牧野たかお君 先ほど総理は、もうパネル替わっちゃいましたけど、想定外想定をするというふうにおっしゃいましたけれども、ゴールデンウイーク前にその見通しをもし立てたときに、全然これは何やっても需要に追い付かないやという話になったときに、どうするつもりですか。  それともう一つは、さっき申し上げたみたいに老朽化の火力発電所が今フル回転していますので、当然機器の故障もありますし、それと火力発電所自体が要は不測の事態に陥る場合も私はないとは言えないと思います。ですが、そういったリスクも考えた中で、私は、当面の需給の要はちゃんと計画を作らなきゃいけなかったにもかかわらず、この五か月間、私何にもしていないと思いますよ。  それで、先ほどの原発稼働の話も金子さんの方からありましたけれども、さっきのお答えで、まずその原発稼働のちょっとお答えについてもう一回私の方で質問をさせてもらいますけれども、枝野大臣と総理は、おっしゃったのは、安全性が確立された後に地元の皆さんの理解を得られてから政治的判断をされるとおっしゃいましたけど、私、順番逆だと思いますよ。誰が考えても、一番最初、安全性が確認されるのが一番ですよ。しかし、地元の皆さんに理解が得られてからじゃなくて、私は二番目が政治的判断で、稼働させるのかどうかということを政治的判断で決めた後でもし稼働させるというなら、政府が、大臣が、そして総理が、地元の皆さんに理解をしていただきたいというふうに、その理解を求めていくのが私は順番として正しいと思いますけれども、さっきのお答えはちょっと私は逆じゃないかと思いますが、いかがでしょう。
  172. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) 今停止中の原発を再稼働させるためのプロセスは、要はIAEAのレビューを受けた手法でストレステストを行って、福島のような規模地震津波があった場合にどれぐらいのいわゆる余裕があって炉心溶融にならないようになるのかということをチェックをする、それを保安院がチェックをし、そして安全委員会が確認をする。その安全確認のプロセスについて、改めて関係閣僚がきちっと安全確認できているかどうかということをチェックをするんですね、最後に、総合判断。その中で、地元の理解を含めてどういう形で説明をしていくのか等々を含めての判断をいわゆる四大臣でしていくということでありますし、地元に対応した後にももう一回そういう判断もするというプロセスをたどるということであります。
  173. 牧野たかお

    牧野たかお君 私は、エネルギー政策というのは国の骨幹にかかわる話だと思っております。ですので、これは総理が、消費税をそれこそ自分の政治生命、内閣の命運を懸けて法案を成立させたいというふうにおっしゃっていますけれども、その消費税を成立させるというか、総理大臣がそこまでの要するに命運を懸けてやるというのと同じぐらいの重さの私は大きな政治課題だと思いますよ。  今までの話をずっと聞いていても、これまでの委員会の審議聞いてきても、枝野大臣も野田総理もそれに対する覚悟というのが全然伝わってこないんですよ。だから、総理大臣が、そして経産大臣が覚悟を示さなければ、国民の皆さんはみんな、元々事故で不信や不安を原発に対しては持っているところに、やっぱりトップがはっきりとしたその覚悟を示さない限り、誰もそんなもの、うんと言いませんよ。これは、それぞれの原発がある地元の首長さんたちもそうですけれども、国がやっぱり責任を持つと、法律なら原子炉等規制法を変えて、国の責任をはっきり明示した上でやらなきゃいけないと思うんですよ。だから、そういうことを先にやらないでいろんなことを言っても、これはなかなかうまく進まないというふうに思います。  それと、それを含めて、やっぱり野田総理には、鳩山総理、菅総理と続いた、私は、危機意識がないとか先の見通しがないとか難しい課題を先送りにするという体質からいいかげんもうそろそろ脱していただきたいというふうに申し上げて、私の質問を終わります。
  174. 石井一

    委員長石井一君) 以上で牧野たかお君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  175. 石井一

    委員長石井一君) 次に、末松信介君の質疑を行います。末松信介君。
  176. 末松信介

    ○末松信介君 自由民主党の末松信介でございます。今日は、大変限られた時間でございますので、早速質問に移りたいと存じます。  私は、首都直下型地震東南海地震対策についてお伺いをいたします。  去る一月の三十日、総理の所信に対する代表質問をいたしました。若干納得のいかない答弁でございましたので、今日、御無理を申し上げまして時間をちょうだいしたわけであります。  私、思い出しますのは、実は阪神・淡路大震災が起こる前年、平成六年の七月でありますけれども、地球から数億キロ離れた木星にあるすい星が衝突をいたしました。シューメーカー・レヴィ第九すい星というんです。ある学者は、きちっとそのすい星が木星に当たる日時、もう何時何分まで正確に当てることができたんです。しかし、私たちが今立っているこの地下の岩盤がいつ崩れて地震を引き起こすことになるかということは実は分からなかったと。同じ科学でもえらい矛盾があるなという、そういう思いをいたしたことがございます。  東大の地震研究所が、四年以内に七〇%の確率で震度七の地震が起こるという、そういう予測を立てておられます。最近では三十年で七〇%という話も出ておりますけれども。  この発表、昨年九月だと思うんですけれども、総理、聞かれまして、どのように受け止められているかということ、それとどういう対策を御指示なさっておられるかということ、このことをまずお聞きをしたいと思います。
  177. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) 委員指摘のとおり、宇宙のいろんなことが解明されつつある中、我々が住んでいる地球の息遣いがまだよく解明できていないということは全くそのとおりだというふうに思います。その中で、今御指摘のように、政府地震調査研究推進本部は今後三十年以内の南関東におけるマグニチュード七程度の地震発生確率を七〇%と推定をいたしました。これ、三十年以内と言いましたけれども、あした起こってもおかしくない、今起こってもおかしくないということだというふうに思います。  このような切迫性が高いとされる首都直下地震については、中央防災会議におきまして平成十七年に首都直下地震対策大綱を策定するなど、これまでも対策は進めてきているんですけれども、しかし、今般の東日本大震災の教訓も踏まえて、従前の想定をはるかに超える巨大地震にも耐え得る防災対策が必要との考え方の下で、首都直下地震についても、被害想定見直し首都中枢機能の継続性の確保、帰宅困難者対策などの対策強化することとしております。  また、首都直下地震対策を含め幅広い防災対策の充実強化を図るため、中央防災会議の下に防災対策推進検討会議を設置をし、防災対策に係る法制度や災害対応、体制の在り方などについて検討を進めているところでございます。  こうした検討を経て、今年夏ごろを目途に首都中枢機能確保のための当面の対策などを取りまとめることとしており、その上で来年の春ごろを目途として新たな首都直下地震対策の全体像を取りまとめ、迅速に防災対策の充実強化を図ってまいる所存でございます。
  178. 末松信介

    ○末松信介君 総理は今、来年の春ごろと言われたんですよね。地震は明日あるかもしれないんですよね。民主党政権の速度でやってくるわけじゃないんですよ。  じゃ、一つ、通告していませんけれどもお聞きをしたいんですけれども、昨年の三月十一日、ここ決算委員会中に大地震が起きました。東北で多くの方が亡くなられました。もしこの建物が壊れたら、国会はどこで召集するんですか。
  179. 石井一

  180. 末松信介

    ○末松信介君 できたら総理から……(発言する者あり)
  181. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 私が担当なんです、はい、防災の。  それぞれの危機対応という前提の中で想定をしているんですが、官邸機能あるいは国会についても、ここが倒れた場合、これは市ケ谷の防衛省の中にある対策室といいますか、そうした本部機能を可能にする施設として指定をしてあります。それから、それが倒れた場合には立川にそういうことを想定をしてということで、まあ順番にあるんですけれども、恐らく国会自体もそういう中で、同じような形で想定をしていくということになると思います。(発言する者あり)
  182. 末松信介

    ○末松信介君 今、中川大臣から御答弁をいただきましたけれども、市ケ谷にしても立川のバックアップ基地にしましても、これは政府想定であります。確かに、国会の、この国会議事堂が倒れたら、国会で決めておかなければならないことかもしれないんですよ、これ。  もう一度ちょっと、総理から御答弁ください。
  183. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) さっきの中川大臣のお答えは政府だと思います。  国会は、これは東京で召集をしていますので、その場所をどうするか、これはなくなった場合には、やっぱり国会の中で御判断いただくことではないかというふうに思います。恐らく、東京で召集ですから、東京の中でどこかということの検討を国会でされるのではないかなというふうに思います。
  184. 末松信介

    ○末松信介君 今、野田総理からお話がありましたけど、それほど首都東京、この首都圏が破壊された場合、それに代わる体制というのが整っていないこれ証拠ですよ、きちっと答弁できないということは。  今、危機管理都市推進議員連盟の会長はどなたですか。御存じですか。超党派の国会の危機管理都市推進議員連盟の会長の名前、言ってください。
  185. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) 石井一委員長でございます。
  186. 末松信介

    ○末松信介君 予算委員長が最も注目している今日の質疑ですよ。きちっとやっぱり準備されて、頭の中を整理して御答弁をいただきたいと、私はそのように思っております。  それで、今回発表されました首都直下型地震、歴史が間違いなく語るように、いつか必ず起こるわけなんですよね。福島の原発事故は、識者の方、一部の方はこれは危ないという警告を何度も発せられましたけれども、結局、その対応をまさか起こるまいと怠ったために、実は起きてしまったわけであります。  このような心配から、一月の三十日に私は代表質問で、この首都直下型地震が起きた場合のバックアップ体制についてお尋ねをしました。でも、総理の答弁を自席で聞いていたんです。私の周辺の議員もみんな驚いたんですよ、余りにも緊迫感がない。誰が考えたって、それ官僚の方が書かれた答弁ですよ。その後、民主党の姫井さんや公明党の横山さんや、皆さん同じ質問をされましたけれども、必ずコスト、実現可能性検討と、この三つばっかりなんですよ。  私が一月三十日に質問して、それから二か月たっても同じなんです。三か月、四か月たって尋ねても同じ答弁をされますよ。  私は、総理に申し上げたいことは、政治主導でしょう。少なくとも自分の言葉で、副首都をつくるとか、最低限バックアップ都市は大阪に持っていくんだという、そのことぐらいは私は総理大臣の意思で決めるべきだと思うんですよ。検討会とか懇話会とか審議会というのは、これは全部隠れみのですよ、隠れみの。責任を転嫁するためにつくられたものですからね。政治の意思が必要なんです。総理のお考えをもう一度お尋ねします。
  187. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) 首都中枢機能バックアップをどう図っていくかと、その問題意識は持っておりますので、だから第三次補正予算で調査費を付けて、そして検討するようにしているわけでございます。内閣官房でも検討しているし、国交省の中でも前田大臣の下で御検討いただいております。そして、防災対策推進会議の下にこれは一つワーキングチームをつくって、これは夏ごろまでに方向性を出すことになっておりますので。  そういう検討をしっかり幅広くやっていただきながら、それを踏まえて対応するということは、別にこれ私が、こういう話じゃなくて、様々な御意見があります、幅広い観点が必要でございますので、そういうものを踏まえて対応さしていただきたいというふうに思います。決して後ろ向きではございませんで、こういう審議会等をつくるのは一つの手法でございます。そこは御理解いただきたいというふうに思います。
  188. 末松信介

    ○末松信介君 総理のお話も理解はできるんですね。でも、この夏までとか来年の春までとか。だから、私が申し上げたいのは、今すぐできることは何かということですね。じゃ、明日あるいはあさって起きた場合に、できることは一体何であったかということは必ず問われると思うんですよ。だから、総理の言われる速度で地震は来ませんよと、それは中長期的におかれて、まず、大阪の合同庁舎の四号館ですか、今日お話がありましたけれども、資機材を入れてバックアップができる機能体制というものを取られるべきじゃないか。そんなに私は大きな費用が掛かると思えないんですよね。石井委員長だって、今うなずいておられますよ、これ。いや、本当、そうですよ、私はそう思うんです。  もう一度総理の御答弁を求めます。私、間違ったこと言っていると思えないんです。
  189. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) だから、別に後ろ向きではないんですよ。やらなければいけないというふうに思っております。一定の時期にはもう結論を出さなければいけないと思いますけれども、例えば、前、この国会の中で首都移転のための委員会がありました。そのときも三つぐらい候補地があった中で、慎重な検討が行われた中で、途中でなくなったんですね。  これ候補地の問題は、一つの御意見はあると思いますけれども、様々な御意見ございます。そういうものを含めての検討を進めて、一定の時期には結論を出さなければいけないというふうに思います。
  190. 末松信介

    ○末松信介君 それでは、首都直下型地震がどれほど恐ろしいものであるかということを過去の歴史からして、今、山本一太先生にちょっと提示いただいたんですけれども、これを御覧いただきたいんです。(資料提示)  これは太平洋戦争と、もう一つは過去の地震による被害を見たものです。実は太平洋戦争、これ、関東震災は貨幣価値が違いがありますので、このことは念頭に置いていただきたいと思うんです。日本のストック、資産を一〇〇とした場合に、第二次世界大戦では国の二五%の資産が失われた、破壊されてしまったんです。関東震災は幾らかといったら、国の資産を一〇〇とした場合に九%が破壊されてしまったんです。阪神・淡路大震災、どれほど大きいものだと私も思ったんです、経験者として。でも、〇・九%であったんです。今回の東日本大震災というのはどれだけといいましたら、国全体の資産を一〇〇とした場合には一・四から二・二なんです。  この隣はGDPに対しての毀損率です。戦前はやはり日本経済、まだまだ弱かったんですね。実に日本のGDPの一〇〇%近い八六%もこれ失われたということです。阪神・淡路と東日本では二%、三から五%ですから、必ず日本は復興は私はできると思うんです。我慢すればできるというのは数字上明らかなわけなんです。  これを見て、総理どう思われます。関東震災は九%壊れるんですよ。だから、東日本大震災、大勢の方が苦しんでおられます、亡くなられました。阪神・淡路大震災も同じです。でも、そのもう十倍からの大きな影響を受けるんです、被害を受けるんですよ。だから明日起こってもいいように考えてほしいと言うんですけれども、春だ夏だというスケジュール感でもっておっしゃっておられる。総理、このストック毀損額、表を出しましたけれども、これを見てどのように思われますか、お答えください。
  191. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) 大変分かりやすい資料をお示しいただきましてありがとうございました。東日本大震災、資本ストックの毀損額、それからいわゆる全体に占める比率等々、大きな被害でありますけれども、大きな被害でありますけれども、本当にみんなで頑張れば、復興復旧、これはしっかり対応できる、そういう思いの下でやっていかなければいけないなというふうに思いました。(発言する者あり)
  192. 末松信介

    ○末松信介君 西田さんがおっしゃったように、首都直下型を見た場合に、ほっておけない大きな話なんですよ。これを見て、特に首都直下型地震については被害が余りにも大きなものが想定されますので、どうされますかということ。(発言する者あり)
  193. 石井一

    委員長石井一君) 静粛に願います。
  194. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) だから、あした起こったときにおいては、平成十七年に作ったときの対応策でこれはやるしかないと思います。ただ、東日本大震災の教訓を踏まえての対応は、今様々なレベルで検討を進めているものもございます。ということで対応をするということでございます。
  195. 末松信介

    ○末松信介君 じゃ、ちょっとバックアップ体制の話、少し戻しますけれども、時間なくなってまいりましたので。  これ、国土交通省、東京圏中枢機能バックアップに関する検討会、二次とりまとめ、三月二十三日に出たものです、出されたものです。バックアップ体制が機能を発揮するためには、その場所は東京圏と同時に被災する可能性が低いことが不可欠であると。同時に被災の可能性については特定の要因を想定しないと具体的な検討ができないが、現実的な判断要素としては、東日本大震災のように、広域巨大地震津波、さらには原発事故との複合といった事態想定する必要があると。まずは東京圏と同時被災の可能性が低いこととなっていますので、もう既に立川とかいった話じゃないんですよ。立川もやられるかもしれぬという前提で考えてほしいということを言ったんですけれども。  私は、大阪のこのバックアップ機能を持たせるということについては、ここで明確に御答弁をいただいた方がいいと思うんです。それから、今後は副首都構想とかいうのが進んでいくと思うんですけれども。総理、ちょっとお考えを述べてください。
  196. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) いや、ですから、夏ごろまでに検討結果を出すということになっているわけですので、その検討会をやっているときに私が今方向性を出すというのは妥当ではないと思います。
  197. 末松信介

    ○末松信介君 ならば、結局、検討会が決まったことは参考にされるというよりも、検討会で決まったことをお守りになっていかれるというように考えさせていただいてよろしいんですか。政治家としての意思はないんですね。全て審議会、検討会、懇話会といった方針が政府の意思なんですね。
  198. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) 大事な観点だと思いますが、丁寧な議論も必要だと思うんです。その議論を踏まえて夏ごろまでに打ち出すということでございますので、そのとき出てきたものについては、それを真摯に受け止めて対応していきたいというふうに思います。
  199. 末松信介

    ○末松信介君 もう質問時間が二分となりました。今日は二十分しか時間をいただけませんでしたので突っ込んだ議論はできないんですけれども、とにかく日本の危機に対する管理というのは私はやっぱり甘いと思っています。  最後に、この質問で締めくくりたいと思います。  緊急時、総理の職務継承順位についてお尋ねをいたします。総理が職務を果たせなくなったときに職務継承順位はどうなっていますか。手際よく御答弁願います。
  200. 藤村修

    国務大臣(藤村修君) 順位が決められておりまして、総理の次に第二順位というんでしょうか……(発言する者あり)第一順位というんでしょうか、副総理、岡田副総理です。それから、第三順位が……(発言する者あり)第二順位が私、官房長官であります。第四、五、六と……(発言する者あり)三、四、五と、その他、閣僚で今順位を決めております。
  201. 末松信介

    ○末松信介君 そうですね。私もちょっと調べさせていただいて、まあ御答弁をいただきたかったんですけれども、一番目は岡田副総理、二番目、藤村官房長官、三番目は農林水産大臣ですね、鹿野さんですね、四番目に川端総務大臣ですね、五番目が田中防衛大臣と。  アメリカでは、法律によってその順位は公職で十八番目まで決められているんです。日本内閣法によって、内閣法九条によってできるとなっているんですね。承継者を決めることができるとなっているだけなんですよね。  私は、三・一一のこととか、いろいろなことが今後、国際的な危機も起きるかもしれません。法律でもってきちっと順番を、もっときちっとした人数で私は順位を決めていくべきだと思うんですけれども、総理の答弁をお願いします。
  202. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) 一つの御見解だとは思います。ただ、全部で五人、順番付けている人も全て例えば職務できないような状況のときには、残った国務大臣で順位を付けるというルールもありますし、全部国務大臣がいなくなるような状況の中では、国会で早急に首班指名してつくるという一応ルールにはなっております。
  203. 末松信介

    ○末松信介君 最後に申し上げます。  阪神・淡路大震災東日本大震災から得た教訓というのは、一つ想定外という言い訳はできません、二つ目は、仮定の質問に答えられないという、かつて吉田茂さんが言いましたけれども、災害対策については仮定の質問に答えられないということはないということ、このことを申し上げて質問を終わります。  ありがとうございました。
  204. 石井一

    委員長石井一君) 以上で末松信介君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  205. 石井一

    委員長石井一君) 次に、長谷川岳君の質疑を行います。長谷川君。
  206. 長谷川岳

    長谷川岳君 自由民主党長谷川岳です。  今日は、まず東京電力の値上げについて伺いますが、総理、東京電力、企業向けの電気料金、四月一日から一七%平均で値上げると発表いたしました。このことに対して、感想をよろしくお願いいたします。
  207. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) 基本的には、値上げをお願いする際には、きちっと東電自らが経営の合理化に徹底して努めているかどうか、そこをチェックすることが肝要だというふうに思います。
  208. 長谷川岳

    長谷川岳君 東京電力に投入される国費、これは要請分も含めて幾らあるか、伺いたいと思います。経産省、お願いします。簡潔に。
  209. 柳澤光美

    ○副大臣(柳澤光美君) お答えします。  三・五兆円になります。
  210. 長谷川岳

    長谷川岳君 つまり、国民が大株主だというような認識でよろしいでしょうか。
  211. 柳澤光美

    ○副大臣(柳澤光美君) お答えします。  まだ資本注入はしておりません、現状では。
  212. 石井一

    委員長石井一君) 柳澤さん、その大臣席へ座ってくれ。はい、そこへ掛けてくれ、どうぞ。
  213. 長谷川岳

    長谷川岳君 この三・五兆が、公的資金を受けた場合は、これは大株主になるのかということを伺っています。
  214. 柳澤光美

    ○副大臣(柳澤光美君) まだ現状では注入しておりませんが、注入したところで検討することになると思います。
  215. 長谷川岳

    長谷川岳君 今日は東電の西澤社長にも来ていただいておりますが、この今回の値上げについて、需給調整契約と称している企業が全部で千二百二十三社いらっしゃいます。ここの需給調整契約と称して安価な電気料金を支払っていた企業、これは今回の値上げでどうなりますか。値上げされますか、端的にお答えください。
  216. 西澤俊夫

    参考人西澤俊夫君) この度の値上げにつきまして、説明が十分でなくて皆さんに申し訳なく思っております。  先生の御質問でございますけれども、今回の自由化部門の値上げにつきましては、燃料の値上げの分を、そこから経営の合理化分を差し引いた分を一律で皆さんにひとしく御負担願っているものでございます。  以上でございます。
  217. 長谷川岳

    長谷川岳君 じゃ、もう一度確認しますが、この需給調整契約の企業にも値上げはお願いをしていると、公平にお願いしていると、それでよろしいですか。
  218. 西澤俊夫

    参考人西澤俊夫君) 公平にお願いしてございます。
  219. 長谷川岳

    長谷川岳君 ちなみに、これから国立大学あるいは政府機関、これは電気料金一七%値上げどうなっていますか。
  220. 西澤俊夫

    参考人西澤俊夫君) 電気料金はもう公平の原則でやっておりますので、全てのお客様に今回の分はお願い申し上げているところでございます。
  221. 長谷川岳

    長谷川岳君 もう一点、私伺いたい点があります。  東電は、今回、スマートメーターの国際入札をしようとしています。御存じですね。これはいろんな意見がありまして、互換性がない、あるいは低機能のメーターでスマートメーターとはとても言えないという議論が出ておりますが、この仕様は国際的な基準、標準化を考えておりますか、社長に伺いたいと思います。
  222. 西澤俊夫

    参考人西澤俊夫君) スマートメーターにつきましては、二月の二十八日に支援機構さんとともに公表させていただいておりますけれども、国際入札を含めたオープンな入札を予定してございます。その基準につきましても、いろんな意見を国内外から聞きまして、国際的な基準もそこに取り入れていこうという方向で今進めてございます。
  223. 長谷川岳

    長谷川岳君 どうもこのスマートメーターの入札に当たっては、発送電分離や、あるいは日本の発電事業の競争の促進に非常に悪影響を与えるという指摘を多くしておりますが、この件について経産大臣、お答えをいただきたいと思います。経産省。
  224. 柳澤光美

    ○副大臣(柳澤光美君) スマートメーターの導入は、御指摘のとおり、コストダウンや取引の透明性の観点から、オープンな形で実質的な競争で入札を行うというのを原則にすべきだというふうに考えております。  今、東京電力社長からありましたように、原子力損害賠償支援機構と東京電力において、オープンな入札に向けて仕様書あるいは意見募集の海外企業にもするという方向を進めていただいております。これらの意見が仕様に反映され海外企業も参入可能なものとなることは、調達コストの削減のみならず、スマートメーターの国際標準化にもつながるというふうに考えております。
  225. 長谷川岳

    長谷川岳君 経産省、ちゃんと調査をしていただいた方がいいと思います。これ、スマートグリッドの進歩が著しく遅れるんではないか、そんな指摘がたくさん出ておりますので、一応この件についてもう一度調べていただくようにお願いしたいと思いますが、いかがですか。
  226. 柳澤光美

    ○副大臣(柳澤光美君) 委員指摘のとおり、このスマートグリッドという極めて重要な基盤でありまして、導入の加速化を図る観点からも、昨年七月のエネルギー・環境会議において、五年で総需要の八割を政府目標として掲げて官民で取り上げる取組に入っております。スマートメーター及び需要家と電力会社とをつなぐ通信システムは、近年世界的に技術革新が進んでいる分野であり、海外も含め、優れた技術や標準を取り込むことで調達コストを下げつつスピードが図れるというふうに考えておりますから、御指摘のとおり、もちろん十分確認はさせていただきたいというふうに思っております。
  227. 長谷川岳

    長谷川岳君 入札だけをして国際入札だという話にはなりませんから、しっかりもう一度調べ直してください。よろしいですか。
  228. 柳澤光美

    ○副大臣(柳澤光美君) きちんと調べさせていただきます。
  229. 長谷川岳

    長谷川岳君 続いて、瓦れき処理について伺いたいと思います。  三月二十六日に開催された札幌市の上田市長定例記者会見において、岩手及び宮城にある震災瓦れきが放射性物質に汚染されていると思っていますかという記者の質問に対して、上田市長は、はい、思っていますと、海岸線の瓦れきというのは津波で来ているのでしょうからね、当然付着していると思いますと回答しています。  私、非常にこれ残念に思っています。この上田市長の、岩手県、宮城県の瓦れきは放射能に汚染されているという発言について、細野大臣、どのように思われますか。大臣は、三月十三日の読売新聞インタビューでは、岩手、宮城の瓦れきは放射能の問題は一切ないと、正確な情報を伝えることはこれからもやっていくと言ったばかりなんですね。ところが、その二週間後にこの市長の発言です。どのように感想、ありますか。
  230. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 済みません、発言を直接、私確認をしておりませんので、その発言に対してということは、私の方で感想めいたことを申し上げるのは控えたいと思います。  ただ、宮城県、岩手県の廃棄物については、我々が考えているレベルよりも相当低いレベルでございますので、広域処理をしていただくことが処理を進める上で重要であるというふうに考えております。
  231. 長谷川岳

    長谷川岳君 大臣、政令指定都市に対して瓦れき処理の要望を出していますよね、直接。なぜ政令指定都市のこういった発言を注目していないんですか。
  232. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) それぞれの都道府県や政令市には要請を出しておりますので、それぞれの地域でどういった検討がされているのかというのは、私どもとして把握できるところは把握をしております。ただ、今、市長さんのお話ですか、個別の発言については承知をしていないということを申し上げたということでございます。
  233. 長谷川岳

    長谷川岳君 もう一度、伺いたいと思います。
  234. 石井一

    委員長石井一君) 細野大臣、発言に対する対応を答えてください。
  235. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 私どもは、広域処理をしていただく都道府県であるとか政令市に対しても、これは要請であったりとかいうことをする立場でございます。したがって、できるだけ事実に基づいてしっかりお伝えをするような努力は継続していかなければならない、誤解があるとすれば、それは解いていかなければならないと考えます。
  236. 長谷川岳

    長谷川岳君 大臣、あなたはこの予算委員会でも二年間で瓦れきの処理をすると明言しているんですよ。これ、非常に厳しい期間的な話ですよ。  それをやるに当たって、政令指定都市の市長はどういう反応をしているか、もっと敏感に考えるべきだと思いますが、いかがですか。
  237. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 個別に、自民党の皆さんにも随分働きかけをしていただきましたので、動きがある自治体については一つ一つきちっと情報を取ってやっておるんです。ただ、北海道の場合にはまだその段階まで行っておりませんので、個別の、お一人お一人の発言までは私自身もフォローしているということではありませんでした。  最後までやり切るのが私の責任でございますので、発言がどういったものかということについては確認をした上で、必要に応じてしっかりと御説明することはやりたいと思います。
  238. 長谷川岳

    長谷川岳君 北海道新聞が三月七日に発表した全道世論調査は、岩手、宮城両県の瓦れき処理に対して、放射性物質のレベルが国の基準以下であれば受け入れてもいいという回答をしている方が八割にも上っているんです。しかし、上田市長は、放射線の恐ろしさを十分理解した上での判断なのかと、あるいは絶対に安全が担保されるまでは瓦れきは受け入れないと、国の基準に非常に不満、不信感を抱いています。  政府対策への不満、それから疑念が重なったということもあると思いますが、改めて、細野大臣、これ、札幌市長に対して何らかのアクションを起こすかどうか、伺いたいと思います。
  239. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) どういう御発言があったのかということは確認をいたします。  それで、国の考えていることと自治体の首長の皆さんで考えていること、具体的に、例えば札幌市長さんのお考えと私どもとで違うようであればしっかりと説明をさせていただいて、御理解をいただきたいというふうに思います。
  240. 長谷川岳

    長谷川岳君 しっかりとアクションを起こすという認識でよろしいですか。
  241. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 要請文は既に出させていただいておりますので、しっかりと御説明はさせていただきたいというふうに思います。
  242. 長谷川岳

    長谷川岳君 それともう一つ。瓦れき処理の費用について総理は全額国が負担するというふうに発言をされましたが、これ新たに埋立地を造る必要があった場合、市町村の持ち出しがないようにしっかりと予算措置をするのかどうか、改めて伺いたいと思います。総理。
  243. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) 瓦れきを受け入れていただける自治体があって、その既存の処分場を最大限活用することを前提とした上で、受入れに伴い将来必要となる処分場建設や拡充については支援をしていきたいと考えております。
  244. 長谷川岳

    長谷川岳君 これは全額負担という考えでよろしいですか。
  245. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 受け入れた場合に、そこで減る分について新しく拡充するということに関しては当然全額負担をするという考え方です。
  246. 長谷川岳

    長谷川岳君 二年間という中で最大限の努力をしていただきたい、私たちももちろん協力をさせていただきます。  次は、拙速過ぎる組織案ということで、原子力規制庁について伺いたいというふうに思います。  まず最初に、四月発足に間に合いませんでした。大臣、一言見解を。
  247. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 今日は四月の二日でございますので、この時期に規制庁が発足していないということは大変残念でございます。  依然として、推進側と規制側が同居をしているという状況は私は好ましくないというふうに思いますし、また原子力の規制部門が分散をしているという、このことも国際的にも様々なことがこれまで言われてまいりましたので、これは改めなければならないというふうに考えております。
  248. 長谷川岳

    長谷川岳君 大臣、そんなことは分かっています。自民党でもみんな分かっています。  しかし、今回の発足に当たって、やはりあなたの組織のつくり方、そういう大臣のリーダーシップ、私はやっぱり問題にしなければならないというふうに思います。  パネル一を皆さんにお配りをさせていただいていますが、御覧になっていただきたいんですが、(資料提示)今回、私たちが原子力規制組織の中で重要なポイントとしている点は何点かありますが、そのうちやはりこの問題だけはポイントにしなければならないということで書き出しました。  一つは、原子力災害対応が政治家の独断によって滞るリスク、これ、私、菅直人リスクと呼んでいます。もう一つあるんです。有事の際の迅速な対応が司令塔なき組織構成によって滞るリスク、これを私は班目リスクと呼んでいます。これ、非常に大事なポイントなんです。原子力規制組織をつくるときに、この二つのリスクをどのように抑えていくかというのが非常に大切だというふうに思います。  その点で、八月の閣議決定後、大臣、本当にこれ国民的議論をしっかり行ったという認識はありますか。これ政府の中の広範な検討をしたという認識はありますか。大臣に伺いたいと思います。
  249. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 特にこの原子力の規制機関に関しましては、推進サイドからはできるだけしっかりと独立させなければならない、さらには、ばらばらになっている組織を一元化しなければならない、そして、先ほど御説明する時間がありませんでしたけれども、危機管理ができるような組織をしなければならない、この三つは当初から私ども打ち出しておりましたし、それについては、私は国民的な理解は得られているのではないかと考えております。  その上で、どのように具体的な運営をしていくのかということについて、外局という形にさせていただいて、そして専門家である原子力規制庁長官に委任をするという、そういう形で、是非国会でも御理解をいただきたいというふうに考えているところでございます。  専門家による会議も、昨年、随分やりまして、それも全て公開をいたしましたので、この期間の中で最大限国民の理解が得られるように、理解を得られるように努力をしてきたと、そんな思いでございます。
  250. 長谷川岳

    長谷川岳君 大臣、一月三十一日の法案の閣議決定ですよ、もう二月ですよ。で、四月一日に施行、これって僅か二か月のスケジュール感、こんなのありですか。
  251. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 確かに法案を出したのは一月なんですけれども、考え方は既に八月の時点で相当お示しをしているんです。そして、その途中のプロセスも、それこそ有識者の皆さんにいろいろ御議論をいただいて、もうできる限り公開をしているんです。そして、年末には、さらに法案のもうほぼ全ての原型に当たるようなものをお示しをして、皆さんにしっかりと見ていただける状況になっておるんです。  ですから、一月の末に法案が出たからといってそれで短いではないかということではなくて、去年の夏から、更にその前でいうならば、IAEAの報告書を出したのは六月ですから、去年の六月の時点から新しい組織はつくらなければならないということで、もうかれこれ本当に一年近くにわたってやってきているということを是非御理解をいただきたいと思います。
  252. 長谷川岳

    長谷川岳君 個別にそれでは質問させていただきますが、原子力規制庁は、自民党の中でも独立性の高い三条委員会にすべきだという考え方もあります。それは、大臣の下に置かれた組織では、政治の介入というものの危険性というのは極めて高いからです。  大臣、今まで様々なインタビューに対して、大臣は政治からの独立という強調しています。伺いますけれども、当然、政治家である大臣からも極力独立していると考えてよいですか。短めにお願いします。
  253. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 独立性を言う場合に、まず第一の独立性は推進側からの独立なんです。エネルギーの安定供給であるとか原子力推進サイドから、日本の場合には中途半端な形で実質的には同居していたと、独立していないというのが最大の問題なんです。  ですから、今御質問の独立性については、その面においては完全な独立性が確保できるという形になっています。その上で、政治からどう、それこそおかしな方向での影響を排除するかという議論は確かにあるわけであります。そこは法律的に委任をする形で原子力規制庁の長官が様々な判断をしていくという、そういう立て付けにこの法案はなっております。
  254. 長谷川岳

    長谷川岳君 大臣、例えば原子力規制庁の課長級、参事官級の職員採用に当たって大臣自ら面接される、これって政治からの独立性を阻害するものじゃないですか。短めにお願いします。
  255. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) それは、いや、短めにとおっしゃるのでできるだけ短くしますけれども、いずれも大事な質問をしておられるので一言で答えろというのはこれは無理なんです。是非そこは御理解ください。  私が確認をしているのは、どれぐらい本気で規制に取り組むかです。ですから、原則ノーリターンとしていますから、それこそ途中で考え方が変わったり親元に帰りたいと言われたら困るわけですね。規制に本気で取り組むかどうかというところを確認をするために面接をしたいと申し上げているということでございます。
  256. 長谷川岳

    長谷川岳君 そんな子供の組織じゃありません。  大臣、殿試という言葉知っていますか。知っているか知らないかで結構です、知らないなら知らないで。殿試という言葉を。(発言する者あり)殿に試すという字です。
  257. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 殿試ですか。言葉としては存じ上げていますが、説明せよと言われると困ります。済みません。
  258. 長谷川岳

    長谷川岳君 殿試というのは、中国の科挙で、最終面接の試験官を皇帝自らが務める。これは、皇帝に一生恩義を感じて皇帝権の強化につながったというのがこれ殿試です。  まさにこれ、大臣やろうとしているのは、大臣が人事権をフル活用して、大臣による影響力を規制庁内で最大限高めることにつながりませんか。
  259. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 多分、長谷川委員もよく御存じだと思うんですけれども、各省の職員は採用のときに、どこの省庁に入るかというのをそれぞれの省庁とそれぞれ、それこそ面接をして決めているんですね。ですから、今度、ノーリターンというのは実はそんな生易しいことではなくて、経済産業省に入っている人間はもう経済産業省に帰れませんよと、原子力規制に本当、骨をうずめてくださいよという話なんです。文部科学省から来る人間についても、文部科学省とはもう決別をしてノーリターンでしっかりやってくださいよということなんです。  これまでいろんな新しい組織できてきましたけれども、そういうことがきちっとけじめを付けられずに来ていて、結局親元から影響力を及ぼされている組織がたくさんありますから、そういうふうにしたくないので、そこはしっかりけじめを付ける方法として今私が申し上げたようなやり方を取らせていただいているということでございます。
  260. 長谷川岳

    長谷川岳君 それでは、そういうことを考えるならば、あなたがやるんじゃなくて、原子力規制庁長官及び三条委員会委員長なりのトップが直接考え方を伝えるべきではないかと私は思います。  もう一つ大事な点があります。野田総理、この原子力規制庁に当たって、今回その組織の肥大化、焼け太りというのはないかどうか、ちょっと総理に確認したいと思います。
  261. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) 肥大化、焼け太りという視点でございますか。原子力の安全規制をするための人員を必要な規模つくろうとしているというふうに認識をしていますので、肥大化ではないというふうに思います。
  262. 長谷川岳

    長谷川岳君 それでは、原子力組織改革法に埋もれた国家行政組織法の改正について伺いたいというふうに思います。  これによると、環境省の副大臣、政務官、今回の規制組織に合わせて一名ずつ増員するという話があります。間違いありませんか。
  263. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) それは間違いありません。御説明した方がよろしいですか。はい、じゃ。
  264. 長谷川岳

    長谷川岳君 これは何のための考え方で入れていますか。
  265. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 危機対応に当たるには、大臣、副大臣、政務官の三人の体制ではこれは不可能であるというふうに考えたからであります。  具体的には、原子力規制庁の発足後は、原子力災害現地対策本部の本部長等の役割を環境省の政務が分担して担う形になります。今回の場合には経済産業省がその役割を担いました。現地に行くということになると、当然そこに完全にフルにかかわることになりますので、そういった人員は一人一人一人ということでは難しいという、そういう事情がございます。  さらに、もう一つ申し上げますと、人員も非常に増えておりますし、今仕事は環境省、原子力規制以外も……(発言する者あり)
  266. 石井一

    委員長石井一君) もうちょっと静粛に願います。
  267. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 瓦れきの広域処理もあります、除染もあります、中間貯蔵もあります、人員も増やしています。その中で、私どもも全国説明に回っておりますが、副大臣、政務官はいろんなところへ行っておりますので、その仕事も、今政務三人では本当に厳しい状況でございます。  そこも併せて、副大臣、政務官について増員を是非させていただきたいということでございます。
  268. 長谷川岳

    長谷川岳君 大臣、私たちもこれ調査済みなんですよ。副大臣、政務官、そんなに忙しくありません。  これで、伺いますけれども、もう一回聞きます。これは瓦れき処理をする担当の副大臣、政務官なんですか、それとも原子力行政にかかわる副大臣、政務官なのか、はっきりしてください。
  269. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 増やさせていただきたいと考えた一つのきっかけというのは、これは原子力について危機管理をやりますので、その体制をつくるためには増員が必要であるということであります。  加えて、予算規模、さらには、それこそ様々な首長さん方への説明、先ほども例を挙げられましたけれども、そういったことも含めて現状を対応するのは非常に難しいということでございまして、政府内でその調整をさせていただいて増員をお願いしたところであります。そういう意味では、両方をやらせていただきたいということです。
  270. 長谷川岳

    長谷川岳君 そうであれば、原子力規制行政のために副大臣あるいは政務官増員を求めているというんであれば、政治からの独立というのは担保されないんじゃないですか。  もう一つ聞きます。もしも瓦れき処理という部分でいうんであれば、環境省の除染担当は三年の期限付の任用なんですよ。それから、復興庁も十年で廃止しますよね。なぜここだけ恒久的措置なんですか、伺いたいと思います。
  271. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) まず、独立性の方をおっしゃいましたけれども、政府には国民の命を守る責任があるわけです。ですから、例えば今回もオフサイトとオンサイトのことというのはそれこそ一緒に考えていかなければならない面があるわけです。ですから、オンサイトはもう専門家に任せます。これは有事においても基本的には変わりません。しかし、それこそそのことによってオフサイトに影響がある場合は、そこはそれこそ国民の命を守るために政治がしっかりとやらなければならないところであります。オンサイトにも若干例外として自衛隊に関して中に入ってもらわなければならないようなケースがありますが、そこは、技術者だけ、専門家だけで全部やり切れる、そういう災害というのは、事態ではないということであります。  ですから、そこの部分についてしっかりと政治家が関与する部分が有事においてはあるということで増員をお願いしたところでございます。
  272. 長谷川岳

    長谷川岳君 全く説得力ありません。  私、これ、もう一つ問題があると思うんですよ。細野大臣地域主権改革で地方の環境事務所、そして人員や事務所の借り上げコストを削減せよと言っていますよね。民間でいえば社員あるいは支店をリストラせよと言っているんですよ、あなたは。と言いながら会社役員増やしますと。これ、矛盾しませんか。今、こういう御時世ですよ。
  273. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) そこは矛盾をいたしません。原子力規制をやる場合に、それぞれの規制機関が東京だけにいては仕事できませんから、そこはサイトの中も含めて地方でやるわけですね。瓦れきも、もちろん東京でもやりますけれども、今の広域処理ということを考えると、地方の組織も動かしていかなければならないというふうに考えています。ですから、分権できるものは分権して、地域主権の時代ですから、事務所の在り方自体もそれこそ柔軟に対応していく必要があるというふうに思っていますが、今この災害、さらには原発の事故を受けて国に求められている役割は極めて大きいですから、そこについてしっかり果たすという意味で組織の方向性が間違っているというふうには私は考えておりません。
  274. 長谷川岳

    長谷川岳君 パネル二をちょっと御覧になっていただきたいと思います。これ、皆さんの方にもお配りをさせていただいていますが、これ、政務三役の一人を何人の役人の方で面倒を見るかという視点で各省庁の総定員数に対する政務三役の割合を算出したんです。このように考えると、これ見ていただきたいんですが、環境省、計二名の政務増員というのは明らかに行き過ぎだというふうに思いますが、いかがですか。(発言する者あり)
  275. 石井一

    委員長石井一君) 御静粛に願います。
  276. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 恐らくこれはかなり省庁を特定のものに限定して選んでおられるんだというふうに思うんですが、例えば例を一つだけ挙げますと、文部科学省とか、そういう例えば中央に主な官僚の皆さんがいてやっている役所、そして今環境省のこの役所の形、そういったものを比較をしたときに、私は全体の中で環境省の政務が、特に本当にこれから大きな仕事を担うことになりますので、そういう人数が入ること自体はおかしなことではないというふうに考えております。
  277. 長谷川岳

    長谷川岳君 もう一度繰り返しますけれども、原子力規制組織の重要なポイント、原子力災害対応が政治家の独断によって滞るリスクというのは、この今の細野大臣説明では全く解決していません。  もう一つ伺います。これは岡田副総理に伺いますが、行政改革を担当する岡田副総理に伺いますけれども、民主党地域主権改革と矛盾していませんか。これ、削減しようとしている公務員の、本来ならば新規採用枠を増やすべきであって、私はやはり地方環境事務所を守る、これを優先すべきではないかと思いますが、いかがですか。
  278. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 私、注意深く聞きましたが、今委員質問の御趣旨が理解できません。
  279. 長谷川岳

    長谷川岳君 片方で公務員の新規採用を抑える、あるいは地方環境事務所とか含めて、地域主権改革の中でどんどん地域の人員を増やす中で、このように一方的にコストが掛かるような、政府の中に役員を増やすという考え方というのは、今の民主党考え方と矛盾しませんかと聞いているんです。
  280. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 結局、それは政治家のこの政府における役割をどう考えるかという根本的な問題だと思います。  我々は、政治主導というのは別に政治家何でもかんでもやるということではありません。もちろん官僚を使いこなしてやっていくということではありますが、やはりそういった原子力についての非常に危機的対応を政治家が責任を持って担っていくという体制は、私はそれは必要なことであって、先ほど来、何といいますか、政治からの独立ということが一方で言われていますが、それは規制と推進を分けなきゃいけないという意味で言われていることであって、いざというときのために政務三役がしっかり対応するということは、私は必要なことだと思っております。
  281. 長谷川岳

    長谷川岳君 政務三役が十分だという認識の中でこういった余分な形で増員をするというのは、私は全く納得いかない、そのように思います。  国内で唯一稼働している北海道の泊原発について伺いたいというふうに思いますが、地域から再稼働への最低条件、様々な形で要望を受けておりますが、地元からの要望を基に事業者の責任とそれから政府の責任と分けて表にしています。事業者の責任としては、防潮堤の設置、フィルター付きベントの設置、あるいは淡水貯蔵設備の設置、こういった要望は全部事業者の中でやりますという話は受けております。  政府の責任として、各項目についてお尋ねしたいと思いますが、この⑤番、福島と同規模の事故が起きた場合のSPEEDIによる拡散予想及びそれを基にした防災計画というのが私は政府の責任の一つとしてあるのではないかと思いますが、このSPEEDIによる拡散予想、文部科学省は、公開する情報をやはり住民説明会に充てる、あるいは防災計画の中に盛り込むようなことを国として積極的に推進していますか、伺いたいと思います。
  282. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 議員の御指摘は、SPEEDIをもっと積極的に使えと、こういうことですが、このSPEEDIの情報についての公表云々につきましては、マニュアルに沿って対策本部なり安全委員会がしっかりとトータルを見て公表していくべきだと考えております。
  283. 長谷川岳

    長谷川岳君 言っている意味が分からないですね。  SPEEDIは今回の福島の事故で全く機能しなかったんです。せめて今ある地域原子力が福島と同等の事故があった場合どのような影響を受けるかというのは、やはり最悪情報を公開して、みんながやっぱり防災意識を高く持つ、そのためにこのSPEEDIというのを役立てることが必要ではないですか。いかがですか。
  284. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 事前のマニュアルも含めて、SPEEDI、マニュアルもこれも間違っていたというふうに思いますし、その運用においても私は問題があったというふうに思っています。だからこそ、それをしっかりと使えるような体制をつくらせていただきたいんです。原子力規制庁の下にSPEEDIについては機能を一元化します。残念ながら、防災計画防災指針もこれまで法定化されていませんでした。これは、私、法の不備だと思います。これも新しい規制庁の下で法律として定めさせていただきます。  ですから、今はこれまでの問題をもう一度本当に洗い直してやり直さなきゃならないんだけれども、組織が今までのままでばらばらですから、それやり切れていないんですよ。ですから、そこを是非御理解をいただいて、長谷川委員、そういう問題意識を持っていらっしゃるんであれば、新しい組織をつくって、そこでしっかりやるということに御協力をいただきたいというふうに思います。
  285. 長谷川岳

    長谷川岳君 細野大臣原子力規制庁をやりたいからって余り出しゃばらないでください。これ文科大臣に聞いているんですよ。SPEEDIをちゃんと積極的に活用して、地域の皆さんとリスク、そしてこういう防災意識を高めていく必要はもっと必要じゃないですかと聞いているんですよ。
  286. 平野博文

    国務大臣平野博文君) SPEEDIの活用については、今現在、原発の設置県並びに近隣県について、SPEEDIの端末を置いて防災を含めて使うときには使えるようにしてありますから、私は有効な部分としてはいいと思います。
  287. 長谷川岳

    長谷川岳君 じゃ、何例公表、各地域でどれぐらいの例、例としてどこが実際これ使って地域防災計画を充てていますか。
  288. 平野博文

    国務大臣平野博文君) いや、全体というよりも、これは地域防災計画想定する上において、必要であれば、それぞれの自治体から要望があればSPEEDIを出しておると、こういうことであります。
  289. 長谷川岳

    長谷川岳君 大臣、逃げていますよ。SPEEDIを使って文科省の責任でどこまで地域と一緒に積極的に情報を公開していくかという話を聞いているんですよ。自治体の要望があればオープンにします、話聞いていません、そんな話。(発言する者あり)
  290. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 例を出しましょうか。  例えば、先般でいきますと、京都の方から要請がありまして、それについては出しておりますし、あくまでもこれは地方公共団体の防災訓練に伴って、それぞれ必要な放出量に応じたSPEEDIのデータを提供していると、こういうことでございます。
  291. 長谷川岳

    長谷川岳君 今後、追及をさせていただきます。これはもう全く文科省は逃げていますので。全地域でそういうことをやるべきだというふうに私は思います。  それから、オフサイトセンター、今この泊原発は現在二キロの場所にありますが、これは平均して西北西の風、東の風が吹くと、万が一事故が起きた場合、オフサイトセンターは機能不能になります。まだ、政府、移転場所さえ決まっていないという状況ですが、いかがですか。
  292. 柳澤光美

    ○副大臣(柳澤光美君) 委員指摘のとおり、今、福島のオフサイトセンターは県庁に持ってきました。この前、原子力安全委員会でも確認をしまして、十分、災害の影響の小さい交通の便のいいところに移そうという方向になっています。
  293. 長谷川岳

    長谷川岳君 つまり、オフサイトセンターの移転の場所、決まっていないんですよ。  それから、もう一つ聞きます。  UPZの地域によって、この拡大による市町村の防災無線の整備をやっぱりやっていかないといけない。総務省では、二十四年度当初の予算措置をしていますか、これ総務省に伺いたいと思いますが。
  294. 川端達夫

    国務大臣(川端達夫君) 従来から、同報系のデジタル方式は、従来は起債充当率九〇%、交付税算入率五〇%という支援でありましたけれども、東日本大震災の教訓を踏まえて、緊急防災・減災事業に関しては、起債充当率を一〇〇%、交付税率算入七〇%を創設して、地方財政措置支援の拡充をしているところでございます。
  295. 長谷川岳

    長谷川岳君 つまり、自治体の三割負担というのは今までありましたけれども、それがなくなるという認識でよろしいですか。
  296. 川端達夫

    国務大臣(川端達夫君) 今まで五〇%だったものを七〇%にしたということでございます。
  297. 長谷川岳

    長谷川岳君 ですから、その三割の自治体負担をゼロにすべきじゃないかという質問です。
  298. 川端達夫

    国務大臣(川端達夫君) 従来五割であったのを七割、要するに五割負担を三割にしたという改善でありますけれども、これは同報デジタルだけではない、いろんな、メールでやるとかいろんな自治体のニーズがございますので、この部分、実情の御要望を踏まえて対応してまいりたいというふうに思っています。
  299. 長谷川岳

    長谷川岳君 これは全額負担にすべきだというふうに思います。もう一回、総務大臣検討してください。よろしいですか。
  300. 川端達夫

    国務大臣(川端達夫君) 実情を踏まえて前向きに検討させていただきます。
  301. 長谷川岳

    長谷川岳君 最後に伺いますけれども、避難道路の確保、新設について、国土交通大臣、やはりこれは非常に大切なことだと思いますけれども、別枠での予算措置、考えていますか。
  302. 前田武志

    国務大臣前田武志君) この避難道路の重要性というのは、先般の震災で十分に認識をしているところでございます。  道道になるかと思いますが、これについては対応策を前向きに考えてまいります。
  303. 長谷川岳

    長谷川岳君 とにかく、今見ていただいたパネルのように、事業者の責任というのは国は非常に要望は強く出していますが、肝心な政府の責任がなかなか決まっていないというところにこの地域自治体の悩みがある、それだけはお訴えさせていただきたいと思います。  最後になりますけれども、北海道寿都町の自然再生エネルギー、いよいよ再生エネルギー法が施行されますけれども、この既存施設に対する方法、それについて、最後、伺いたいと思います。
  304. 柳澤光美

    ○副大臣(柳澤光美君) 検討させていただきます。
  305. 長谷川岳

    長谷川岳君 よろしくお願いします。  これで質問を終わります。
  306. 石井一

    委員長石井一君) 以上で岩城光英君、牧野たかお君、末松信介君及び長谷川岳君、自由民主党・たちあがれ日本・無所属の会の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  307. 石井一

    委員長石井一君) 次に、加藤修一君の質疑を行います。加藤君。
  308. 加藤修一

    加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。  まず初めに、総理にお願いいたします。  昨年、再生可能エネルギー特別措置法が大修正して成立したわけでありますけれども、今年の七月から動き始めます。固定価格買取り制度の導入については、一九九九年ごろから自然エネルギー促進議員連盟で議員立法でと思い、取り組んでまいりました。また、二〇〇〇年の後半からは公明党の元代表太田昭宏氏が本会議において何回か取り上げ、必要性を主張してきております。  そこで、質問ですが、自然エネルギー全国に偏っておりますが、地域資源を活用し地域を元気にする地域分散型の自然エネルギーを大普及させるべきでありますが、ドイツでは自然エネルギーの雇用は約三十七万人と、一方、原子力は約四万人と試算されております。地域雇用の拡大からも自然エネルギーを大普及すべきでありますが、そこで、風力発電の促進について伺います。  法アセス、アセスメント法がこの風力発電について昨年の十月に閣議決定されておりますが、厳密に言いますと、このアセスメントをやるためには三年は掛かると、こういうふうに言われております。  一方、この法律によりまして、いわゆる自然エネルギーといいますか、再生可能エネルギー促進法の関係でありますけれども、これは三年間はこの再生可能エネルギーの集中導入期間になっているわけですよね。一方で、環境アセスをやって三年間掛かると。そうすると、三年間は風力発電が導入できないような状況が出てくる可能性が十分私は考えられると思っておりますが、この辺についての見解をよろしくお願いいたします。
  309. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 御指摘のとおり、この三年間は再生可能エネルギーを導入する極めて重要な時期でございまして、その期間に風力発電所についてもしっかりと設置を進めていく必要があると考えております。  ただ、現実問題として、全く新しく風力発電を造る場合というのは、この三年間に設置まで行くのは調査も含めて現実には難しいところがございますので、現在、既に設置が検討されているもの、例えばNEDOのマニュアル等に基づきアセスを行っている事業については法を移行させる、経過措置を講ずることが最も重要であるというふうに考えておりまして、そういう措置を講ずることとしているものでございます。  さらに、今後新たにアセスを実施する事業につきましては、三年以内というのは難しい面があるかもしれませんが、このアセスが迅速に進むように最大限しっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
  310. 加藤修一

    加藤修一君 NEDOアセスの話が出ましたが、それにかかわる件数は現在何件と考えていますか。
  311. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 大変申し訳ございません。ちょっと御通告いただいていなかったものですから、手元に数字が私のところにはございません。
  312. 加藤修一

    加藤修一君 六十数件あるんですね。いわゆる激変緩和措置ですよ、移行措置。それをするために六十数件はあるというふうに言われておりますけれども、この辺について、いわゆる激変緩和措置、移行措置、これをやると、そういうことで百数十万キロワット、あるいは二百万キロワットを超えるかもしれないわけですよね。この辺については、より一層環境省は積極的な対応をしていただきたいと思っておりますが、どうですか。
  313. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 経過措置の中で迅速にそれが事業化できるように最大限しっかりと取り計らってまいりたいと思っております。  アセスというのは環境省にとって極めて大事なテーマでございますので、もちろんしっかりやらなきゃならないわけでありますが、一方で、気候変動の問題を含めて日本の自然全体を考えていくならば、これはアセスをやると同時に再生可能エネルギーを迅速に導入するのは極めて重要であると思っております。そういう観点から、経過措置をしっかりとしていくという立場で臨んでまいります。
  314. 加藤修一

    加藤修一君 経過措置はしっかりやっていただくということなんですけれども、ただ、問題なのは、これは電力会社が導入するに当たって制限を加えているわけですよね。系統が安定しづらいということで、あるいは乱されるということで、場合によっては最近ほとんどくじなんですよ。くじで、最低限のところに入る人だけをくじで選んでいるという話なんですね。こんな方式をやっているところは世界広しといえども日本ぐらいですよ。    〔委員長退席、理事武内則男君着席〕  私は、やはりそういった容量を拡大させること。あるいはこの容量の言い値というのはもう全く一方的に一般電気事業者からの通告なわけですよ。これは情報開示も含めてしっかりやるべきだと思いますけれども、どうでしょうか。
  315. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) まず一言だけ。午前中の様々なやり取りについては、委員の皆様に御迷惑掛けたこと、おわびを申し上げます。  その上で、今のお尋ねでございますが、御指摘のとおりでございまして、今そうした風力を始めとして自然エネルギーをしっかりと系統に本格的につないでいくためのことも含めたシステム改革の議論を鋭意進めているところでございまして、夏をめどに具体的な提案をできるように取りまとめたいと思っております。
  316. 加藤修一

    加藤修一君 容量不足でありますから、そういった意味では送電線の容量を拡大させるということも一つだと思うんですね。そういう意味では、この送電線の容量というのは一般電気事業者の仕事になっていますので、私はやはり再生可能エネルギーを拡大、導入していくためには公的な送電線の整備をすべきであると、公共事業としてやるべきだと、このように考えておりますが、この辺についてはどうですか。
  317. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 一つは、今申し上げたシステム改革の中で、必要なところ、特に送電網の脆弱なところで特に風力については期待ができるものですから、どういうシステムが組めるかということも検討をしているところでございますが、一方で、やはり圧倒的に送電網が脆弱なところが非常にポテンシャルのあるところだということで、これについては、全体の制度とは別に例外的に公的に後押しをするやり方が取れないかどうか、というか、むしろ取るべきであるという方向で具体的なポテンシャル等の調査と制度設計をしているところでございまして、全体のシステム改革とは別に、これもできるだけ早く具体的な提案をできるように今議論を急がせているところでございます。
  318. 加藤修一

    加藤修一君 それと同時に、送電線の自由化ということも極めて重要な観点でありますので、そういった面についても更に一層努力していただきたいと思います。  次に、規制緩和と構造改革の観点から、風力発電の設置の関係ですよね、農地の一種についてはなかなか厳しいというふうに聞いておりますが、大臣、この辺についてはどうでしょうか。
  319. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 基本的には、今後、関係市町村なり関係の人たちというのとよく打合せをしながら、当然再生可能エネルギーというふうなものを推進していかなきゃならないわけでありますけれども、優良農地というものを確保するということも一面においては非常に大事なことでございますので、よく話し合って対処してまいりたいと思っております。
  320. 加藤修一

    加藤修一君 これは、私は調べた範囲では、前は青森県も比較的この農地の転用については寛大で、いわゆる地域資源を積極的に利用しようということで風力発電の立地展開をずっとやってきたわけですよ。そして、孫さんが休耕田を使ったそういう自然エネルギー促進しようという話の中で何か仙台の農政局が、こんなことをやっているのは青森県だけだと、そういう弾力的な運用をやっているのは、けしからぬと。そういう、ばかりじゃないんで、秋田もやっていますよ、あちこちやっておりますよ。これは農政局が指導して、今までやってきたことを、許してきたことを、つまり農地転用をやってきたことについて駄目だと、こういうふうに言っているわけですよ。  これは是非私は善処をすべきだと思っています。
  321. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) この点につきましては、青森県がいわゆる解釈をちょっと違っておった、そういう認識をたがえておったというようなところでございまして、そういうふうなところから農林水産省といたしましても改めて指導をさせていただいたということでございまして、決して規制の強化とかというようなことを目的としてそういうふうな見直しを求めたということではございません。
  322. 加藤修一

    加藤修一君 いや、現に今までやってきたことがやれなくなったという話なんですよね、一つは。それから、農水省は、今国会においては再生可能エネルギー推進するようなそういう法律だって出しているじゃないですか。非常にやっていることと言っていることが矛盾していますよ。
  323. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 正確に申し上げますと、青森県は、いわゆる土石その他の資源の採取を目的とした農地転用については第一種農地においても認めますと、こういうふうなことでございますけれども、その解釈といたしました土石その他の資源の採取というふうなものは、土石を例示して挙げておりまして、採取できるものというものは鉱物資源というふうに限定されておりまして、風力にはこれは該当しないというふうな、こういう解釈であったわけでありますけれども、これを、言わば青森県においてだけはこれは風力も入ると、こういうふうな解釈に立ったところでございますので、それは違っておりますよという指摘をさせていただいたわけであります。  なお、法案を提出させていただいておりまして、そういう法案というふうなものの成立というふうなものをいろいろこれからもお願いをしなきゃいけないわけでありますけれども、優良農地というものも確保するというふうなことも大事なことでございますので、そういう中で、この再生可能エネルギーというものを推進する上でこの農地の活用というふうなものも関係団体とよく話し合って対処をしてまいりたいと思っております。
  324. 加藤修一

    加藤修一君 二種、三種はもう都会に近いわけですから、風力発電所を立地することは極めて厳しいですよ。ですから、農地の一種についてはやはりそういった弾力的な運用というのはしかるべきだと私は思っておりますので、是非これは積極的に取り入れていただきたいことを強く要望しておきたいと思います。  それでは次に、原発のそもそも論でありますけれども、核廃棄物の問題になります。  使用済燃料棒、これ六十数%、今各サイトの方で埋まってきているわけでありますので、このままほっておくと十年ぐらいには満杯になってしまうわけであります。あるいは、再処理とプルトニウムの関係についてもなかなか厳しい状況に至っていると。  例えば、フィンランドは、最終処分場の関係についてはまあ十万年は耐えられると、そういう最終処分場を造っているわけですね、核の廃棄物の関係については。十万年ですよ、皆さん。これはなかなか大変な話で、そのぐらいの強固なものを造らないと対応できないというのが核の廃棄物だと。高レベル放射性廃棄物の関係にも当然なってくるわけでありますけれども、これは日本はトイレのないマンションだというふうに原発が言われたときあるわけです。この辺についての処理、処分というのは明確に決まっていないと。この辺について御見解を示していただきたいと思います。
  325. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 御指摘の放射性廃棄物、特に高レベルのものの処分については、私も大変重要な課題であると認識をしております。既に高レベル放射性廃棄物は発生をしておりますので、これをいかに将来世代に負担を掛けないで最終処分を安全に行うかということは大変大きな課題であるというふうに思っているところでございます。  現在、御承知のとおり、原子力発電を含む今後のエネルギー政策についてゼロベースでの検討を行っているところでございますので、こうした議論の中で、直ちに最終処分場を決めるということは残念ながらできる状況ではございませんので、そうした状況も踏まえて、原子力発電を含む今後のエネルギー政策議論を進めてまいりたいというふうに思っております。
  326. 加藤修一

    加藤修一君 今大臣は、将来世代に負担を掛けないという話がありました。まさにそのとおりだと私は思うんですね。これはどこを探すかというよりは、もうこれ以上そういう廃棄物を排出しないという方向を取らざるを得ないと私は思っています。  日本マグニチュード二以上の地震、これは世界の二〇%発生するわけですよね、日本で。あるいはマグニチュード七以上は一〇%発生すると。あるいは四つのプレートが来ているわけです。そういうところで、先ほどの話に若干戻りますけれども、千年に一回、あの東日本大震災のやつが千年に一回と、仮にそうするならば、十万年に耐えられるものを造るということは、その間に日本には百回はそういう大地震が起こるという話になっちゃうんですよ。あるいは、南海トラフだって、皆さん最近のレポート見ますとそういう極めて厳しい報告がなされているわけでありますので、日本においては私はそういうものを設置するというのはなかなか厳しいと。  それから、将来世代に負担を掛けない、まさにそのとおりで、私は世代間の倫理問題であると。いわゆる現世代がどんどん使って、その請求書はたくさん出てくると。その請求書を将来世代に渡すような形なんですよ。勝手に将来の皆さんが考えてくださいと、そういうことではいけないと私は思います。これは政治の役割として、しっかりそこはけじめを付けていくことが大事だと思っておりますので、改めてまた、再度見解を求めます。
  327. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 御指摘の問題意識は、私も全く同じ問題意識を持っております。だからこそ、原発への依存度をできるだけ早く限りなく下げていくという大きな方針は政府として示しているところでございますが、そうしたことの中で、既に出ている高レベルの放射性廃棄物をどうやって安全確実に処理をするのかということ、そして、どういうタイムスパンで原発への依存度を引き下げていくのかということについては、今まさに技術的なことも含めて鋭意検討しているところでございます。
  328. 加藤修一

    加藤修一君 六月にはリオ・プラス20という、リオ・サミットから二十年ということで、その中のメーンのテーマというのはやはり持続可能性ですよね、それも地球の持続可能性ということについて議論がなされると。あるいは幸福というのは一体何であるかと、どういうことが幸福であるかというそういう関係の指標についても議論がなされるというふうに聞いております。そういう意味では、決して原発をどうするかということとそういった問題とは関係がないとは私は言い切れないと思っております。  それで次に、原発の再稼働の関係について、IAEAが日本に調査団を送ってよこして、最終的に七勧告、四助言というのを発表いたしたわけでありますけれども、これについての見解をまず求めたいわけでありますけれども。  ただ、これ七つの勧告ですよ、皆さん、勧告。もう一つは助言、こうしなさい。両方ともそうだと思いますけれども、この七プラス四の十一の勧告、助言ということは、なかなか厳しい判断をIAEAはしたというふうに私は理解しておりますけれども、政府はどうでしょうか。
  329. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 一月末にレビューを受けたIAEAからは、まず勧告の前段で、ストレステストに関する保安院の指示及び審査プロセスが基本的にIAEAの安全基準と整合していると結論付けられるという御指摘をいただいています。そして、緊急安全対策の迅速な実施や審査プロセスの透明性が良好事例として紹介されているところでございます。  その上で、御指摘をいただきましたとおりの勧告と助言をいただいておりますが、ストレステストのプロセスとそれ以外の規制活動の全般的な有効性を向上させると考えられる課題を特定し、勧告がなされたものと承知をしております。  IAEAの指摘には、審査書の記載の適正化など、現時点で、つまりストレステストのプロセスの中で対応可能なものと、二次評価において対応すべきもの、ストレステスト後に中長期に取り組むべきものが含まれておりまして、いずれの指摘についても真摯に受け止め、可能なものから順次実施をしてまいりたいと考えております。
  330. 加藤修一

    加藤修一君 この勧告、助言の関係については、そのうちの一つ、勧告三については、近隣の利害関係者を参加させるべきであると。近隣という定義も非常に広がりがある言葉だと私は思いますし、こういった面についてどう考えているかというのが、政府としてどう考えているかというのが非常に大事だと思います。  それから、許容安全余裕の定義が明確にされたいということですから、逆に言うと明確になっていないということですよ。そういう勧告なわけですよ。そこは明確に私は政府はしっかりととらえていただきたいというふうに思います。  それから、助言の中には、二次評価が適切な時期までに完了し、評価され、規制当局の審査によって確認されることを確実にすべきであると。で、一次評価は終わっております。じゃ、二次評価は昨年の七月に出して十二月に終了するというふうになっておりますけれども、どうなんでしょう、ここは。
  331. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 現時点で、残念ながら二次評価はどの事業者からも報告がなされておりません。  私自身、直接、なぜ二次評価が出ないのかと、急がなければいけないじゃないかということで調べましたが、一次評価は実は原子炉ごとの評価でございます。そして、二次評価はサイトごと、つまり三基、四基、五基あれば、それ全体について評価をするという、こういうプロセスになっておりまして、それぞれの炉ごとが各サイトごとに出た上で全体について評価をするという、こういう手順になっております。  それからもう一つは、これは更に努力をさせなければいけないと思っておりますが、残念ながら、今国内においてストレステストを適切に行う技術力を持っている、そういった関係事業者の数が大変足りないというのは間違いありません。  そうしたことの中で、これは安全にかかわることですから最大限急いでいただいているところでございますが、このIAEAの指摘も踏まえて、二次評価についてできるだけ急げるように、最大限の努力をさせるよう促してきておりますし、更に促してまいりたいと思います。
  332. 加藤修一

    加藤修一君 これ、七月に出して十二月にという締切りをやったわけですよね。そういうことを想定しないで、全く関係なく出したということですか。いいかげんな指示の仕方ですね、これは。
  333. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) これについては御批判を甘んじて受けなければいけないだろうというふうに思っております。    〔理事武内則男君退席、委員長着席〕  どれぐらいのスピードで一次評価、二次評価ができるのかと、最大限急がせなければならないと、一方でなかなかそのスピード、困難が多いということについては、私、違う立場でありましたけれども聞いておりましたが、やはり報告時期のめどについては、実際の処理能力というものを十分に測った上で指示をしなければいけなかったという御批判は甘んじて受けたいというふうに思っておりますが、ただ、同時に、できるだけ急ぐべきことでございますので、さらに各事業者あるいは関係事業者には最大限急ぐように求めてまいりたいと思っております。
  334. 加藤修一

    加藤修一君 それじゃ、保安院はこの審査の手引書を作成しておりますか。
  335. 深野弘行

    政府参考人(深野弘行君) お答えいたします。  手引書と呼べるかどうかは別にいたしまして、基本的にこういう視点で一次評価、二次評価をやるというものにつきましては事業者の方にお伝えをしてございます。
  336. 加藤修一

    加藤修一君 業者というのは事業者のことですか。一般電気事業者の関係ですか。
  337. 深野弘行

    政府参考人(深野弘行君) ストレステストは、まず電気事業者それぞれが自らのプラントについて自己評価をすると、それを保安院の方で受けて評価をするという、そういう段取りになっておりますので、お伝えをしたのは電気事業者でございます。
  338. 加藤修一

    加藤修一君 これは、二次評価はいつまでにやるんですか。いつまでにやるんですか。
  339. 深野弘行

    政府参考人(深野弘行君) 先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、元々は昨年の七月に、十二月末までに行うということを申し渡したわけでございますが、二次評価については、プラントの全てが評価がそろわないとできないといったこともございまして、全体作業が遅れているというのが現状でございます。
  340. 加藤修一

    加藤修一君 六か月で出てこなくて、更に延ばしていていつ締切りになるかも分からない。こんな悠長なことでよろしいんですか。
  341. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 御指摘はごもっともだというふうに思っておりますが、先ほど申したとおり、一つには、事業者が炉のメーカー等の関係事業者と協力をして実際にストレステストを行うわけであります。これ自体が正確を期さなければなりません。残念ながら現に、一次評価ですが、ストレステストの報告を受けましたら、百か所を上回るような誤記等があって事実上差し戻した案件もございます。そういったいいかげんなものであっては困るということは、安全にかかわることでございますので御理解いただけるかというふうに思っております。  で、時期についてでございますが、先ほど申しましたとおり、各炉ごとに一次評価をやった上で、全体について、サイト全体について行うということでございまして、例えば大飯原発については、一号機、三号機、四号機に関する一次評価が出されており、現在、二号機の一次評価に関する作業を実施していて、この二号機の一次評価に関する作業が済めば、全体、つまり大飯発電所全体についての二次評価の作業に入れると。  その際には、この一次評価のプロセスで出てきている様々なデータその他がべースになりますので、できるだけこうした作業を急がせたいというふうに思っております。
  342. 加藤修一

    加藤修一君 南海トラフ巨大地震想定見直しがありました。その中には、最大は高知県の三十四メーターという話がありました。再稼働ともこれかかわってくる話ですよ。もう再稼働はまず厳しいというふうに考えなければいけない。いつ起こるか分からないんですよ、皆さん、いつ起こるか。  そういうことを考えるならば、一次も二次も早急にやらなければいけない。それは資源がないという、人手がないという話かもしれませんが、あちこち集めてやらねばいけないということは、これ火を見るより明らかじゃないですか。そういう緊迫感が私は内閣の方から伝わってこないと、そう断言せざるを得ないでしょう。  それから、二〇〇二年にIAEAは防災指針を見直したと。なぜ見直したか。これは、チェルノブイリの大事故、あるいはゴイアニア被曝事故、そういったことを踏まえて重大事故に対する原子力防災対策の基準を定めたわけでありますけれども、二〇〇六年の三月からは内閣原子力安全委員会がこの導入に着手したと。しかし、最終的には、その国際基準に対応した防災指針というのを作ることができなかったというんですよ。なぜできなかったか。これは、経済産業省の原子力安全・保安院、ここも本当は規制をやるところですけれども、この規制をやるところが、原子力への不安を増大するとか様々な理屈を付けて、寝た子を起こすなというようなかなり極めて厳しい言い方をして圧力を原子力安全委員会に掛けたという話なんですね。これは本当にとんでもない話なんですよ。  私は、今日は原子力安全委員会の久住委員に来ていただいております。あるいは、都筑課長に来ていただいておりますので、その辺のてんまつを明確に答弁をしていただきたいと思います。よろしくお願いします。
  343. 久住静代

    政府参考人(久住静代君) お答え申し上げます。  先生御指摘のごとく、二〇〇二年にIAEAはGSR二という基準を出しましたが、それに加えまして、二〇〇六年、平成十八年には、GSG二・〇のドラフト段階の議論でございますDS一〇五と私どもが呼んでおりました文書をまとめまして、ほぼ固まったという状況でございました。それを踏まえまして、私どもは、国際基準をどのように取り入れればよいかという検討を始めるということで、防災指針検討ワーキンググループを立ち上げました。これが二〇〇六年の三月でございます。  五月になりまして、安全・保安院の幹部から昼食会の申入れがございまして、昼食会の場で当時の保安院長から安全委員五人に対しまして、ジェー・シー・オーへの対策が落ち着いてきたときになぜ寝た子を起こすんだという強い抗議がございました。これに対して、防災部会を担当しておりました私は、チェルノブイリの反省を踏まえて、国際的に防災対策の充実が検討されてきた、国内においても地方自治体の方々を含め安全委員の動向をウオッチされている、安全委員会として見て見ぬふりはできませんと反論いたしました。  しかし、その後も事務局に対して、先生御指摘のごとく、社会的混乱を惹起する、国民の不安を増大するおそれがある、あるいは財政負担の増大が懸念される等のため、検討を凍結していただきたいという申入れが度々ございました。実施部隊を持たない審議会である安全委員会は、実施部隊から全く協力を得られないと判断いたしまして、二〇〇九年の段階でPAZの有効性の記載のみにとどめざるを得なかったというのが実情でございます。しかし、その後も検討は凍結せず、委託調査や関係者との勉強会を実施し、実施部隊の協力を誘導することに努めてまいりました。二〇一〇年には、安全委員会の当面の施策として検討の再開を決めたところでございます。  とはいえ、取りまとめが大変遅れましたことは大変申し訳なく、心から反省いたしております。安全委員会が実施部隊を持たなかったことに加えて、組織、人事を含めて独立性が十分でなかったということは否めません。どうぞ今後の体制の議論に生かしていただきたいと存じます。
  344. 石井一

    委員長石井一君) 参考人におかれては、簡潔に要を得た御発言を願いたいと存じます。
  345. 都筑秀明

    政府参考人(都筑秀明君) お答えいたします。  先ほど久住委員が申し述べたとおりの経緯でございます。  以上です。
  346. 加藤修一

    加藤修一君 それじゃ、今の答弁の中にありましたが、寝た子を起こすなと言った保安院の院長は誰でしょう。
  347. 深野弘行

    政府参考人(深野弘行君) 当時は広瀬研吉が院長を務めておりました。
  348. 加藤修一

    加藤修一君 広瀬研吉氏については環境委員会でも二回ほど参考人として来るように申し上げましたが、なかなか出席はかないませんでした。この予算委員会におきましても当初予定しておりましたが、しかしなかなか出てこないということで、委員長、これ参考人として是非この委員会に呼んでいただきたいことをお願い申し上げます。
  349. 石井一

    委員長石井一君) 御要望につきましては理事会で協議いたします。
  350. 加藤修一

    加藤修一君 それから、保安院にお尋ねしますけれども、保安院も、例えば過酷事故の関係、シビアアクシデントの関係でありますけれども、これは法規制をしなければいけない、しかしこの法規制を先送りにしたということでありますけれども、これはなぜ先送りにしたんですか。いわゆるシビアアクシデントに対する対応でありますから、もちろん一般電気事業者はその義務にこたえなければいけない、コストは上がってくるということになると思います。  それから、先ほどの関係についても、最終的に二〇一二年の三月二十二日に、いわゆる新しい防災のための新指針を六年遅れでまとめることができたわけですよ。これは、ただ、二〇一一年の三月十一日という事故が終わった後なんですね。もし事故の前にこういう基準ができていたならば、今回のような中でもっと軽微に、軽く受けるところも出てきた可能性は十分私は考えられるんです。そういう国際基準をおろそかにしてきたというのが今の保安院であると私は思いますし、あるいは、しっかりと規制しなければいけない規制委員会が腰砕けになってしまったと、言い方は強いかもしれませんが、規制委員会の在り方としては非常に残念な思いです。残念などころじゃございませんよ、これは、人の命にかかわる問題でありますから。  以上、答えてください。
  351. 深野弘行

    政府参考人(深野弘行君) お答えをいたします。  まず、最初のシビアアクシデント、過酷事故の関係でございます。  これにつきましては、日本でこれについての取組を始めましたのは平成四年、一九九二年でございます。そのときから、これは法律に基づく要求ではなくて行政指導に基づくものとして進めてきたものでございます。その背景としては、これにつきまして、いろんなタイプの原子炉が国内にもございまして、そういったものにできるだけ弾力的に対応するためにはこれがいいのではないかと、そういう考え方で進めてきたということを承知しております。  その後、平成二十一年ごろに、これにつきまして、諸外国で過酷事故についての要求が次第に法制化される、あるいはIAEAの基準などもございますので、そういうことを背景に検討いたしました。その中では、法律に基づく要求とするということについても入れて選択肢として検討したものでございますけれども、その検討の結果が出る前に昨年の震災になってしまったということでございます。  それから、この背景でございますけれども、やはりこれは、私ども、大変申し訳なく思っておりますし、重々反省をすべきだと思っておりますが、やはり内に向き過ぎて国際的な動向について注意が不十分であったということは、これは反省をしなきゃいけない、そのように考えております。  それから二点目の、今回の防災指針の関係でございます。これは、仮に深刻な事態が起こったらもう直ちにその周辺三キロなり五キロの者が避難をすると、そういう仕組みを導入するということがその眼目でございまして、仮にこれが入っていれば何時間か避難が早くできた可能性はあるというふうに考えております。
  352. 加藤修一

    加藤修一君 まさにそういうことであります。  先ほどの二〇〇六年の関係で、でき上がったのが二〇一二年ということでありますけれども、保安院の圧力がなく防災指針の見直しが二〇〇六年にスタートしていたならば、三十キロ圏内の住民は、三月十一日夜の時点で避難、屋内退避ができ、甲状腺被曝を防ぐ安定沃素剤も服用できていた可能性がある、このように断言していいと思っておりますけれども、安全委員会の課長、どうですか。
  353. 都筑秀明

    政府参考人(都筑秀明君) お答えいたします。  二〇〇六年、IAEAの考え方が導入されていましたならば、東京電力福島第一原子力発電所の事故への対応においても、より迅速かつ適切な防護措置の実施ができたものと考えております。
  354. 加藤修一

    加藤修一君 また確認したいと思っていますけれども、安全委員側の方としては、事故前は、事故前ですね、三・一一の事故前は規制される側の事業者が政策決定に介入することがまかり通っていたと、まかり通っていた。確認します。
  355. 都筑秀明

    政府参考人(都筑秀明君) お答えいたします。  防災指針の策定に当たりましては様々な方々からの意見を聴取しておるところでございまして、その過程でいろんな意見をいただいているところでございます。
  356. 加藤修一

    加藤修一君 環境委員会のときの答弁と大分トーンダウンしておりますけれども。  この二〇〇六年の関係については電事連も相当強い要求出しているわけでありますので、私は電事連の事務局長を参考人として要求いたします。委員長、よろしくお願いいたします。
  357. 石井一

    委員長石井一君) その件についても、同様、協議させていただきたいと存じます。
  358. 加藤修一

    加藤修一君 それでは、せっかく班目委員長の御出席をお願いしておりますので、委員長には、この三番目の表でありますけれども、これは原子力業界が、いわゆる企業とか団体というその原子力業界でありますけれども、政府関係委員会にお金をばらまいてきたと。総額、知っている範囲では四千八百万円程度だというふうに言われておりますが、班目委員長委員長になる前に四百万円を受け取っていると、代谷委員は三百二十万円を受け取っていると。  果たしてこういうことで中立的な審査とか判断ができるんでしょうか。政府、どうですか。
  359. 班目春樹

    政府参考人(班目春樹君) ただいまお話があったのは、いわゆる奨学寄附金のことだと思います。奨学寄附金というのは、規則にのっとって企業等から大学へ研究支援のために寄附されるものでございます。その支出に関しましても大学の方で適切に管理されているというふうに考えてございます。  ただ、このような研究支援というものが安全審査に万が一にも影響を与えないように、原子力安全委員会におきましては、自己申告でどのようなところから共同研究なり資金援助をもらっているのかということについて提出していただき、利害相反のないように最大限の配慮をしておるところでございます。
  360. 加藤修一

    加藤修一君 細野大臣はこの関係について、ある議員が罷免すべきだと言ったときに答弁しておりますけれども、大臣はどう考えておりますか。
  361. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) こうした委員のこの寄附の関係というのは原子力規制そのものの信頼性にかかわりますので、もう一度しっかりと新しい規制機関の下ではルールを作った方がいいだろうというふうに思っております。そういった意味で、これまでのやり方とはやはりしっかり変えていくということは極めて重要だということでございます。
  362. 加藤修一

    加藤修一君 この罷免の関係については、細野大臣は、「原子力安全委員会は法に基づいた非常に強力な組織になっておりまして、委員の任命についても厳格な規定がございます。原子力安全委員は五名おりますけれども、この五名については総理が指名をし、国会が同意をする形になっておりまして、心身の支障や著しい法の趣旨に反した行動がない限りそういう罷免をすることはできないという、そういう仕組みになっておりますので、任期を全うしていただくというのがこの制度の趣旨だというふうに理解をしております。」というふうになっておりますが、ただ、設置法の関係を考えてまいりますと、第七条には、「内閣総理大臣は、委員長若しくは委員が心身の故障のため職務の執行ができないと認める場合又は委員長若しくは委員に職務上の義務違反その他委員長若しくは委員たるに適しない非行があると認める場合においては、両議院の同意を得て、これを罷免することができる。」と、そういうふうに書いているわけでありまして、以前に細野大臣が発言したように罷免ができないという話では決してないわけであります。  やはり、事業者を指導する役割を担っているわけでありますから、そういう極めて重要なポジションにいる方はしっかりと対応していくことが私は大事であると思います。原子力関連企業から金をもらっていた原子力安全委員長というのは、全くそういった意味では冗談にもならない、公務員倫理に反するんではないかと、私はそのように考えております。政府のお考えをよろしくお願いします。
  363. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 今御紹介いただいた七条は、二つのことを罷免することができるという前提にしております。一つは、心身の故障のため職務の執行ができないと認められる場合、これは心身の支障ですので、この寄附は当然該当いたしません。次に、又はでございますが、委員長若しくは委員に職務上の義務違反その他委員長若しくは委員たるに適しない非行、これは法違反に準ずるものでありますから、これも解釈上この寄附というのは当たらないというふうに思っております。  この寄附の在り方については、果たしてどういった姿が国民から受け止められるのか、根本的な議論が必要であるというふうには思っておりますが、現状、この制度の中で、しっかりと様々な、例えば避難区域の見直しなどのそういう業務政府として行う場合に安全委員会に重要な役割を担っていただく必要がございますので、この任務はしっかりと果たしていただきたいというふうに考えているところでございます。
  364. 加藤修一

    加藤修一君 話がちょっと変わりますけれども、先ほど規制庁の話が出ました。非常にこれは独立性の観点からも極めて重要なことだと思っておりますが、私はうちの斉藤鉄夫幹事長代行が、高い独立性を持つ三条委員会として原子力規制委員会を設置して規制する計画にすべきである、これは昨年の八月に表明しておりまして、井上幹事長は公式発言として、新たな規制組織には、独立性、中立性、専門性、そして強い規制権限などが求められますと、そのためには、内閣から独立した地位が与えられている独立行政委員会として設置すべきと考えますと、このように九月の十五日に発言しているわけであります。  私は、様々な関係がございますけれども、要はやはり分離を当然しなければいけない、規制と利用の分離の関係でありますけれども、そういった意味では、これから様々な議論になってまいりますので、一つの提案をさせていただきたいと思います。  第一に、やはり原子力安全規制行政が通産省の人事と予算に縛られないようにすること。さらに、規制される側から、情報データに依存しないように、技術、審査の独立性を確保するように独立行政法人を含めた制度改革をすべきであると。経産省との人事交流を認めない、あるいは官民癒着が生じる可能性のある公務員の再就職を禁止すること。あるいは特別会計制度の見直しが必須であると。それから、安全規制の強化のためには、これらを促すような組織づくりを目指さなければならない。欠かすことのできない重要な行政組織は国会の統制を受けるべきという国民主権の原理が大事であると。  そもそも、原子力の研究、開発及び利用は民主的な運営の下に行うというのが原子力基本法の建前であり、原子力行政の組織、人事に国会の統制ができるだけ及ぶ制度設計をすべきであります。その意味で、内閣設置の三条委員会とする案というのを評価しなければいけないなと思ってございます。  さらに、人事院制度を参考にし、次の五つを基本原則として加えることを提案をさせていただきたいと思います。  第一には、基本原則として内閣の所管ということであります。内閣の所管の下に原子力規制委員会を置く。これにより原子力規制委員会は人事院並びにその格の高い行政委員会として位置付けられ、強い独立性と権限が確保されることになります。  第二に、委員の任命であります。委員長及び委員は、人格高潔で、原子力行政の民主的な運営に理解があり、原子力利用における安全の確保に関し高い識見を有する者のうちから、内閣が両議院の同意を得て任命する。これにより、例えば電力会社から金をもらっている学者は排除されることになる。また、これまで無視されてきた地震学者の就任が当然となります。  第三は、宣誓の義務であります。委員長及び委員は、両議院の議長の面前において宣誓書に署名してからでなければ、その職務を行ってはならない。これにより、委員長等にその職務の重大さを自覚させるとともに、両院同意の際に慎重な手続を取るよう配慮を促すことになります。  第四に、事務総長の関係でありますが、委員会の事務を処理させるため、委員会に事務総局を置き、事務総長は委員長の職務執行の補助者となり、その一般的監督の下に委員会の事務上及び技術上の全ての活動を指揮監督する。これにより、迅速な事務処理が確保され、特に非常時において高い効果が期待できることになります。  第五に、二重予算であります。委員会は、経費の要求書を国の予算に計上されるよう内閣に提出し、内閣がそれを修正する場合は、修正前後の要求書を国会に提出する。これにより、委員会予算確保が容易となり、委員会の独立性の強化に資することになります。また、アメリカの原子力規制委員会のように、国家予算に大きく依存しないように、規制する対象の事業者から手数料を集めることも一つの考えとしてあります。  さらに、一般国民、消費者保護の観点から、行政による監督や規制執行を補完するものとして内部告発者保護制度を導入して、規制と企業のいわゆる法律を守る遵法活動との間の好ましい相互関係がつくられるように考えるべきであります。  以上のような仕組みであれば、委員会の独立性が確保され、委員会の運営について民主的統制が働くとともに、平時のみならず非常時においても機動的な対応が可能になると考えることができます。  以上、長く引用いたしましたが、私の提案でございますので、これはこれからの規制庁の様々な審議の中でお互いに議論を深めてまいりたいと、このように考えておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。  以上でございます。
  365. 石井一

    委員長石井一君) この際、竹谷とし子さんの関連質疑を許します。竹谷さん。
  366. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 公明党の竹谷とし子です。  東日本大震災から一年が過ぎました。先日の予算委員会で被災者生活再建支援金の件を指摘させていただきました。それは、お二人暮らしだった方が、一人は住民票を移動していなかったため単身扱いとなり七十五万円を受領、後日、二人暮らしということが証明でき、改めて複数世帯として百万円を申請されました。差額の二十五万円を心待ちにされていましたが、役所から届いたのは、まず支給済みの七十五万円を返還せよとの書面でした。そこには、期日までに返還しなければ年一〇%以上の遅延金を付すとの文言まで記載されていました。  行政の配慮ない対応で被災された方の心がくじかれる、こんな例は少なくありません。しかし、予算委員会で取り上げさせていただき、その場におられた財務大臣が力添えくださり、差額分を支給する制度にすぐに変更することができました。また、既に請求書を送付されていた方には返還する必要がないとの連絡を個別にしていただくことを約束していただきました。  公明党は、復興の理念に人間の復興を掲げています。それは、建物や道路、橋ができ、町が再建しても、そこで暮らしておられる皆様が安心して生活ができる、そして将来に夢と希望を持てるようになってこそ真の復興と言えるからです。そのために、国会議員自ら被災地に飛び込み、被災された方々に寄り添い、皆様の心の支えとなって働き続けていきたいと決意をしています。  今被災地に通わせていただく中で、被災された方々の御経験からたくさんのことを学ばせていただいています。その中で最も痛感をしていること、それは自助、共助、公助の力をフルに発揮して、マグニチュード七・三、最大震度七とも想定される首都直下地震東海東南海南海の三連動地震に備えなければならないということです。そこで、本日はその視点から質問をさせていただきます。  公明党では、今から備えることの大切さを多くの皆様にお伝えする活動を精力的に行っています。パネルを御覧ください。(資料提示)これは防災力チェックシートです。例えば、地震で停電になったら復旧までに何日掛かるか御存じでしょうか。東京では復旧目標は六日です。水道はどうでしょうか。復旧まで三十日がめどとなっています。総理は、御自宅から一番近い給水拠点はどこにあるかすぐにお答えになることはできますか。これは答弁は結構です。知らないというのが多くの方で、私も最近知りました。そういった、いざというときに知っておいていただきたいことをまとめた防災力チェックシートを今東京中心に配布させていただいています。  次のパネルを御覧ください。これはポケット防災ハンドブックです。折り畳めば財布に入るサイズになります。皆様は、奥様や御主人、お子さんなどの連絡先がすぐに分かりますでしょうか。携帯の電池がなくなると身近な方の連絡先すら分からない人は少なくありません。私も家族の携帯電話番号を思い出せませんでした。ここに災害時緊急連絡先、これを記入しておけば安心です。それらの情報とともに、震災直後にすること、当日にすることなどをまとめています。おかげさまで、チェックシートをやってみると知らないことがたくさんありましたとか、百円ショップで必要なものをそろえましたなど、使える防災グッズとして喜んでいただいています。  自助が個人の防災力だとすれば、共助は地域防災力です。この共助の取組も同時に進める必要があります。  仙台のNPOの方が、女性の視点から今回の震災避難生活や復興に向けての取組について調査をされました。多くの自治体で女性への配慮がなく、御苦労された実態が明らかになっています。しかし他方で、東松島市などでは、避難所の間仕切りや女性用の更衣室などが避難直後から設置されるなど、比較的配慮がなされていたという調査結果が出ています。伺ってみると、東松島市では、これまでの大災害で活動してきたみやぎ災害救援ボランティア主催の泊まりがけのワークショップに参加した我が党の議員の提案で災害に備え取り組んできていたということでした。当然、この大災害で様々問題は発生し続けましたが、自治体やボランティアの応援を受け入れる体制も比較的混乱が少なく進んでいました。  東日本大震災から一年が過ぎた今、全国の市区町村で防災訓練が実施されていますが、そのやり方、内容は様々で、行政と一部の方々だけで行われているケースも少なくありません。実際に避難所となる学校に地域の方が集まって、防災訓練、ワークショップを実施すれば、体育館の広さはどれくらいか、トイレはどこにあるか、体育館以外の避難所として使える教室はどれか、備蓄品は何がどれだけあるか、何が足りないかなど、具体的なことが分かり、知恵を出し合うことができます。  先日閣議決定された平成二十四年度総合防災訓練大綱には、地域の実情に合わせた効果的な防災訓練を実施するように求められ、学校等において地域住民と一体的に取り組む訓練を推進することが明記されていますが、単に盛り込んだだけでは不十分です。宿泊を伴う防災訓練を実施したり、高齢者、障害者など支援が必要な方々の視点で実際の避難所となる場所を点検してみるなど、市区町村が新しい形でより効果的な防災訓練やワークショップが実施できるように国が具体的な防災訓練のモデルケースやマニュアルを早急に作成すべきと考えますが、防災担当大臣、いかがでしょうか。
  367. 中川正春

    国務大臣中川正春君) 非常にきめの細かい大事な視点を御示唆をいただいたということで感謝を申し上げたいというふうに思います。  先ほど、御指摘のように、二十四年度の総合防災訓練大綱、これを二十九日に、先週の、発表いたしまして、この訓練を通じて、それぞれ自助、共助が実際に何をなすべきかということが一人一人しっかりと考えていけるそういう機会、それと同時に、ワークショップという御提案ありましたけれども、実際に避難場所についてそれぞれがしっかり確認ができるような、そういうことをしていくようにということで指示を出しました。  しかし、御指摘のように、指示を出すだけということではなくて、しっかりこれをフォローしていきながら、地方自治体連携をして実際にそれを取り組んでいくというところまで頑張っていきたいというふうに思います。
  368. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 防災訓練のモデルケースやマニュアルの整備、よろしくお願いいたします。  いざというときのために、地域防災拠点である学校を使っての訓練やワークショップを行う、これを是非進めていただきたいと思います。しかし、実際に地域住民やNPOが学校を使いたいとなったときに、学校側になかなか受け入れていただけないというお声もいただいています。  学校施設の使用については、地方自治法や学校教育法、また政令等で校長や教育委員会等の裁量が広く認められていますが、学校は地域防災拠点です。公明党の強い主張で学校の防災力を高めるための予算も付けていただきました。教育に支障のない限り、学校を使った防災のワークショップ、防災訓練のために学校を開放していくべきと考えますが、文部科学大臣、いかがでしょうか。
  369. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 基本的には、先ほど防災大臣からお話がございました。特に私どもとしては、地域のコミュニティーの拠点は学校であると、こういう観点、また御党の方からも強い御要求もございまして、我々としてはその考え方については全く同感でございます。  したがいまして、文科省におきましても、三月の九日に、学校防災マニュアル、特に地震津波被害等の作成の手引を今もう配付をいたしておりまして、具体的に、積極的に学校の中において実践的なそういう行動を起こせる訓練をするようにと、こういうことでございます。なかなか消極的なところがございましたら、是非言っていただいたら私の方から強く求めていきますので、よろしくお願いします。
  370. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 心強い御答弁、ありがとうございました。是非よろしくお願いいたします。  日ごろから地域住民の方のつながりが強い東北地方でも、被災された方の生活を支えるのは容易なことではありません。同じような大災害が大都市圏で起きたらと想像すると、多くの人が不安になると思います。  今、市区町村では、災害時に特に支援が必要な高齢者や障害者の方々の要支援者名簿の作成に取り組まれつつあります。しかし、要支援者リストが作られても、それを支える支え手側がいなければ支援することはできません。そこで、自主防災組織をあちこちで立ち上げて育成することが重要になります。とはいえ、隣に誰が住んでいるか分からないような大都市でゼロから立ち上げることは簡単ではありません。  東京都では、地域において自主的なレスキュー隊を立ち上げたり見守りケアなど様々な活動をされている団体をまずは東京都が認定し、さらにその活動を表彰して広げていくという取組を開始します。四月十五日には第一回の認定式が行われます。先日、三鷹市に伺ったときに、学生さんから六十代の方々までみんなで協力をして長年地域の夜回りをされている方々にお目にかかりました。その活動は地域に定着し、我が家の前も是非通ってほしいという依頼まであるそうです。小さな取組かもしれませんが、このような地域の力こそがいざというときの防災力に直結します。  自助、共助の力を高めるということは、いざというときの行政の負荷を軽くするということに直結します。有り難いことです。国でも、東京都を参考にしながら自主防災地域防災力アップに取り組むべきと考えますが、防災担当大臣、いかがでしょうか。
  371. 中川正春

    国務大臣中川正春君) いざとなったときに、その地域コミュニティーがしっかり立ち上がってそして対応していくという、そういう体制をつくっていくということ、これは東日本の大震災の中でも非常に大きな教訓として私たち肝に銘じていかなければいけないということだと思います。同時に、それをふだんからそうした人間関係をつくっていく、あるいはまた、いろんな先ほどの御指摘のあったような取組の中で制度として、システムとして組み込んでいくということ、これをやっていくことが大切だというふうに思います。  実は、避難における総合的対策推進経費ということで、この二十四年の予算案の中に四千五百万円を組み込んで、その取組について取組指針というのを作っていくということにしておりまして、都道府県あるいは市町村向けに避難所の運営あるいはまたコミュニティーのそうした運営に対してしっかりとした対応をしていきたいというふうに思っております。
  372. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 是非、東京都の取組を全国に広める、そういった支援をしていただきたいというふうに思います。  次に、これは通告をしていないのですが、総理にお願いです。  障害者の方々が災害時にどんな支援が必要か記載したヘルプカードという制度があります。今は市町村により様式も呼び方も異なっています。そこで、東京都は、まずヘルプカードの様式を統一して、市区町村に全額補助し、普及する事業を検討しています。マタニティマークと同じように、国も同じ様式で全国に広めることで、見えない障害を持っている方にも周りの方はどんな支援が必要か明確になります。国も是非、東京都と連携して取り組むべきだと思います。  通告はしていませんが、総理、いかがでしょうか。
  373. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) 今回の大震災の中の教訓、いろいろあると思います。女性の視点が足りなかった、あるいは障害者の配慮というのも一つ大きい要素だったと思います。  東京都の取組をちょっとよく勉強させていただきたいというふうに思います。
  374. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。  次に、パネルを御覧ください。  中央防災会議の現時点での首都直下地震被害最大予測では、東京の焼失家屋は四十一万軒、一都三県では六十五万棟に上ります。阪神・淡路大震災の実に九十倍です。自然災害の発生自体を食い止めることはできませんが、日ごろの備えで減災、つまり災害時に発生し得る被害を少しでも減らすことは可能です。  東京都では七千ヘクタール、東京ドーム千五百個分に及ぶ木造住宅密集地域、いわゆる木密地域災害時に緊急輸送道路となる幹線道路の耐震化に取り組んでいます。  パネルを御覧ください。これが木密地域です。一旦火災が出ると被害が広がり、また震度七の地震ではほとんど全ての建物が一瞬にして倒壊するという予測もあります。今年一月、この対策を更に加速するため、東京都は十年プロジェクトを策定し、特に必要性の高い木密地域について、最大六分の五の補助をして、不燃化、耐震化を進めることにしました。その費用は一兆円とも言われています。  木密地域災害時緊急輸送道路の防災対策が必要なのは東京都だけではありません。首都圏近郊の神奈川、埼玉、千葉や大阪など、都市部の共通の課題であります。  国はこれまで、個人の家屋や建物の不燃化、耐震化への公的補助は個人の資産形成に公的資金を出すこととして消極的でした。しかし、一旦地震が起きてしまえば、多くの命と生活が奪われ、復旧復興には莫大な費用が掛かります。災害が起きる前に備えることが命と財産を守り、さらに将来の政府の歳出の削減にもつながります。  都市部の木密地域、緊急輸送道路などの耐震、不燃化、また高台移転など、災害による人的、物的、経済的損失を最小限に抑えるための予備的な対策に今国が強力に取り組むべきと考えます。国交大臣にお考えを伺います。
  375. 前田武志

    国務大臣前田武志君) お答えいたします。  委員指摘のとおり、直下地震がいつ何どき起こるか分からないという状況の中で、実は耐震化というのが随分と遅れております。危機感を持っておりまして、省内においてもこの対策についてスピード感を持って直ちにやれることから着手するように指示を出しております。  委員指摘のことについて具体的に申し上げますと、今までの密集市街地の整備改善については、社会資本整備総合交付金によって建築物の耐震、防火改修、除却などに対して支援を行っているところであります。建築物の耐震診断・改修への補助を行う地方公共団体についてもこの交付金で支援をしているところであります。特に緊急輸送道路の沿道の建築物の耐震化については、特に補助率をアップするということを考えております。三分の二の補助率に二三%から上げるということです。さらに、耐震改修については、平成二十三年度の第三次補正予算において、今後の大規模地震災害に備える観点から緊急輸送道路沿道の建築物についての支援の重点化を図ったところであり、平成二十四年度予算においても引き続きこれらの措置を継続し、都市の防災対策強化に努めてまいります。  社会資本整備総合交付金に加えて、全国防災事業についても、この沿道については、沿道の緊急耐震改修ですか、これについては使えるようにいたしております。
  376. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 是非、社会資本整備総合交付金とまた別枠に、大災害に備える予防的な対策に力を入れていただきたいとお願いを申し上げます。  国や地方自治体が耐震・不燃化に取り組むといっても一定の時間が掛かります。今大地震が起きて、木密地域であちこちで火災が起きれば大きな被害につながります。その対策として消防バイクの配備、活用を提案したいと思います。パネルを御覧ください。これが消防バイクです。私も試してみました。  木密地域でも駆け付けることができます。渋滞した道路でも迅速に現地に到着できます。これ、まず消防バイクの有効性、活用方法を消防庁で研究して、大都市圏の消防署や消防団に配備をしていただきたいと考えます。消防庁のお考えをお伺いいたします。
  377. 久保信保

    政府参考人(久保信保君) 御指摘のように、木密地域での火災あるいは地震が起きたときの救急救助といった観点から見ますと、消防活動用のバイク、これは有効ではないかと考えておりますので、各消防本部に対しまして、その有効性等につきまして適切な助言をしてまいりたいと考えております。
  378. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 よろしくお願いいたします。  最後に一点だけ、税金の無駄をなくすための総理のリーダーシップを期待して質問いたします。  公明党の指摘を受けて提出中の改正国政選挙の執行経費基準法案、突然の鳩山総理の辞任で審議未了となって廃案となっています。来年秋までに衆参両院の選挙は必ずあります。この改正案を通せば、百五十億円もの選挙費用を確実に削減できます。これを国民の皆様に負担増をお願いする前に通すべきだと思います。総理、いかがでしょうか。
  379. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) 現在、国会において継続審議となっています今の改正法案でございますが、平成二十二年秋の臨時国会に再度提出したものでありますが、効率的な選挙執行と選挙経費の節減を定着させるためにもできる限り早い成立をお願いをしたいと考えております。
  380. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 終わります。ありがとうございました。
  381. 石井一

    委員長石井一君) 以上で加藤修一君、竹谷とし子さんの公明党の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  382. 石井一

    委員長石井一君) 次に、桜内文城君の質疑を行います。桜内君。
  383. 桜内文城

    ○桜内文城君 みんなの党の桜内文城です。  本日は、東京電力福島第一原発の事故、そして、それに対する政府対応等に関係しまして、政府の責任、そして東京電力の経営陣の責任といったことについて主にお尋ねをいたします。  まず最初に、現在の東京電力福島第一原発の現状等について経済産業大臣お尋ねいたします。  先般、これは報道ですけれども、二号機の格納容器内で七十三シーベルト、もうこれはほぼ即死レベルとされるような大変高い放射線量が測定されたというものがありました。また、その前には、温度計が壊れた、故障したですとか、いろいろとたまにこういった報道が、昨年十二月に事故収束宣言を政府がお出しになった後も、本当に大丈夫なのかなというようなことが言われております。  今現在、どういったふうに現状を御覧になっているのか、枝野大臣のお考えをお聞かせください。
  384. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 御指摘の一号機から三号機の原子炉内の状況でございますが、昨年十一月にシミュレーションを発表いたしましたとおり、炉心が損傷していることが推定され、これは専門家の間でもこの認識は共有をされております。また、温度計について故障も生じてはおりますが、冷却がなされているという状況については把握をしているところでございます。ただ、例えば炉内のどの部分にどういった燃料が落ちているのかとか、それから中の放射線量等については、まさに順次これからどうやって把握をしていくのかということについての技術開発も含めて進めているところでございます。  ただ、冷却が続いている限りは、新たに放射性物質が大量に出て、新たな避難をお願いをしなきゃならないという状況にはならないという、こういう状況は確認をしていますので、今後安全に廃炉にしていくためにも、中の状況をいかに安全に把握をしていくのか、まずはこのことに全力を挙げているところでございます。
  385. 桜内文城

    ○桜内文城君 ありがとうございます。  それから、外部にいまだに放射性物質の流出が止まっていないといいますか、完全には収束していないとも聞くわけですけれども、これについてはどの程度把握されていますでしょうか。
  386. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) これについては、普通のきちっとした状態の原子力発電所の場合の基準がですが、敷地境界で年間一ミリシーベルト以下であるということが要求されている基準でございますが、これについては今の福島の第一原子力発電所の状況もそういった状況に抑えられています。  若干、水の循環のところからの水漏れで御心配をお掛けをしております。これについては、更なる安定化のための指示をして、順次より恒久的な設備に入れ替えつつあるところでございますが、今申し上げたような線のところから大きく超えるような、海等へのことについても、今のところは生じていないと。  したがいまして、できるだけ今の状況をしっかりとキープをしつつ、恒久的な設備で水の循環をしていくように急いで進めてまいりたいと思っています。
  387. 桜内文城

    ○桜内文城君 何でこういうふうに最初にお尋ねしたかといいますと、昨年の四月十五日のこの参議院予算委員会で、当時官房長官でいらした枝野大臣から、例の工程表を初めて公表していただいたときに、政府としては東京電力が作成した工程表をきちんとフォローアップするというような言い方をされました。私自身は、その後の予算委員会等でも指摘させていただきましたけれども、やはりこれだけの大事故である以上、政府がもっと主体的にその責任を果たすといいますか、この事故をしっかりと抑え込み、そして廃炉に向けた道程も形作っていくということが必要ではないかと考えております。  今日も幾つかの質疑の中で政府の責任という言葉、あるいは事業者の責任ということも言われております。ただ、やはり私、常に聞いておりまして違和感を感じることがあるんですけれども、責任を果たすというような大変耳触りのいいことも答弁でよく聞くわけですけれども、やはり責任って一体何かということだと思うんです。自分自身が、まさにその政府なら政府が、この事故に対してどういうふうな責任の範囲を設定し、そして、まさに元々の国政の目的でもあります国民の生命、自由、財産を守っていく、そのために政府が果たすべき責任は一体何なのか。また、これは単に言葉の上で責任を果たしますというだけでは全然足りない話で、実際にどのような行動を起こしていくのか、そしてまたそのための意思決定を行っていくのかというのが問われるんだと思っております。  先般、参議院の復興特におきまして指摘させていただいたんですけれども、これ、去年の予算委員会あるいは復興特でも私、再三指摘してきたことなんですけれども、原子力東京電力福島第一原発の敷地内ですね、もちろん廃炉に向けた研究開発ですとか技術開発ですとか、それももちろん必要なんですけれども、今の設置されております防潮堤ですとか、あるいは本当に傾いているんじゃないかとまで言われております四号機の補強ですとか、そういったものを今現在、これまでのところ、この一年間というもの、政府の昨年度でいえば一次から四次までの補正予算、あるいは来年度予算におきましても一円たりとも付いていない、残念ながら。  もちろん、先般復興特で平野大臣からお答えいただきましたけれども、廃炉に向けて電力基盤高度化等対策委託費ということで十五億円程度予算が計上されておるところでありまして、もちろんこれは評価すべきことだと思うんですけれども、実際には、(発言する者あり)ええ、私が是非ここで指摘したいのは、原発事故収束担当大臣、細野大臣いらっしゃいますけれども、無任所大臣でいらっしゃいます。無任所大臣ということは、財政法二十三条でもちまして、予算書の形式がそうなんですが、行政組織というものがないと具体的な予算というものが付けられないというのが現状の現行法の法制度の在り方になっております。  そういった意味で、国が責任を持って総力を挙げて対処するためには、例えば福島第一原発を事業分離して、敷地とプラント自体を事業分離して、これを国が国有化して対処していく、こういった方法も考えられるかと思うんですけれども、その点についてどうお考えでしょうか。
  388. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) まず、基本的な考え方なんですけれども、東京電力福島第一原子力発電所の廃止措置に関して発生する費用をどこが持つべきなのかというところが一つスタートとしてあろうかと思います。そこは、廃止そのものについては国が非常に大きな責任を持つんだけれども、費用負担についてはやはり東京電力がしっかり持っていくという立て付けにしなければならないのではないかと考えております。  そして、もう一つはやはり人材です。先ほど御指摘をされた、例えば四号機のプールの補修などは、私も補佐官をやっていたときからずっと見ておりますし、実質的には国がこれはやるべしとやって、そして東京電力がやる形になりました。ただ、実際にこの作業をやるということになると現場に精通している作業員が必要でございまして、関連をした企業の人材も含めて、そこはやはり東京電力がこれまで培ってきた様々なリソースを最大限活用する必要があると。そういった意味では、やはりこれからも、廃止措置において人的、また財政的な面も含めて東京電力に大きな責任を担ってもらわなければならないというふうに考えております。  ただ、この廃止に向かっての責任という意味では、特に国民から見た場合に、さらには対外的な見方、見られ方というのを考えたときには政府に極めて大きな責任がございます。そこで、政府東京電力中長期対策会議というところで中長期のロードマップを作っておりまして、その座長には枝野大臣と私、二人が座ってやっているということでございます。  やがては、私はどちらかというと安全にやり切れるかどうかという規制サイドから、に特化をしてやるべきだというふうに思っておるんですが、特にこの一年は、まあ無任所ということでありますけど、実際に東京電力とかなり具体的なやり取りをしなければならなかった期間が長うございますので、そういった意味で、そういう役割を果たしてきたということであります。  最後、そこをやり切るための財政的な問題についてやはり後押しをいたしますのが原子力損害賠償支援機構でございまして、廃炉に向かっての費用がしっかり確保できるようにこの機構がしっかりと東京電力に対しての取組をサポートする。そういう意味ではお金の面でサポートする体制は併せてしっかりとつくっているところでございます。
  389. 桜内文城

    ○桜内文城君 そのような考え方も確かにあろうかとは思うんですけれども、この間、新聞にもあったように、東京電力がまさに資本注入を政府に対して支援要請したと、それから賠償機構に対して八千四百五十億円のこれまた要請をしてきている。全部で三兆四千億ですか、既にそういったものを含めて政府に対して要求してきているということは、逆に言えば、もうこの東京電力、実質的には債務超過かつ破綻というのはこれはもう誰の目にも明らかな状態でありまして、そのときに、こういった原発事故の収束、廃止というものに向けてそういった一民間企業、そして実質的に破綻状態にある会社に任せるのがいかがなものかと。  そういった意味で、もっと私は国の関与というものをより強めていくべきだと考えますけれども、その点、もう一度お答えをお願いいたします。
  390. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 国が関与を強めるべきであるという御見解に関しては私も全く同じ意見でございます。  現実問題として、ロードマップもステップワンからステップツーに移る段階で、政府もロードマップの当事者となりました。そして、中長期会議東京電力に任せるわけではなくて、政府の閣僚たる枝野大臣と私が共同議長という形で、その下に東電が作業するという形になっております。  ですから、実質的な関与をしっかり強め、財政的にもバックアップをする、この関与もしっかりした上で、実際の人的な部分であるとか実際の費用の出し手ということにおいては東京電力がしっかりとやり切るということが、役割分担としては少なくとも今の段階では考え得る一番いい案ではないかと、いいやり方ではないかというふうに考えているところでございます。
  391. 桜内文城

    ○桜内文城君 先ほど後ろからもお話があったところですけれども、やはり、こういった東京電力の今の現状というものを客観的に見ますと、普通に考えれば一〇〇%減資の上、国有化していくと。これは東電全体についてもそうですし、少なくとも、事故の収束に向けた政府の取組という意味でいえば、せめて事業分離の上、東京電力の福島第一原発のプラント及びその敷地というものはもっといち早く国有化していくというのも一つの案だと思います。  ところが、残念なことに、これは監督省庁ということで枝野大臣にお聞きしますけれども、事故から一年もたってこういう状態にありながら、経営陣がまだ残っている方がたくさんいらっしゃる、会長を始め。東京電力の経営陣の責任というのは、一体どうお考えになっているのでしょうか。
  392. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 今、東京電力と原子力損害賠償支援機構との間で総合特別事業計画取りまとめに向けた検討が行われております。この計画の中においては、経営責任の明確化に関する事項がしっかり盛り込まれるよう求めているところでございまして、計画の認定申請があった場合には、御指摘のような視点でも経営責任の明確化がなされているかどうかということを判断した上で認可するかどうか決めたいというふうに思っております。
  393. 桜内文城

    ○桜内文城君 そしてまた、今言われているところを、もちろんこれから計画が出てきてからということであるかと思うんですけれども、何で、一〇〇%減資の上、もう一円なりで国有化していくと、こういうふうな発想になぜならないんでしょうか。私、不思議でたまらないんです。  JALの会社更生法適用のときも、当時、会社更生法を適用しながら上場維持とか何か変な話がたくさんあったりしたわけですけれども、今回、さっき言いましたように、政府の責任というのを明確化する上で、東京電力の経営陣の責任というのももう当然、まずイの一番に明確化していく必要があると思うんですけれども、こうやって一年もたって、これから計画出てきてから考えますという状態じゃないんじゃないでしょうか。  もう一度、枝野経済産業大臣、お願いします。
  394. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 一〇〇%減資をするためには債務超過を認定をしなければなりません。債務超過の認定をするということは、いわゆる法的処理をするということになります。  この場合、私も、法的処理が賠償や廃炉やあるいは国民負担の最小化に向けて適切であるならばそれが望ましいと、実は一貫して思っています。  ただ、法的処理をした場合、ここは社債を大量発行しているという大変な大きな問題がありまして、御承知のとおり、社債は一般財産に対して優先権がございます。つまり、賠償債権よりも社債権者が優先をするというのがこの社債発行会社についての特徴でございます。債務超過を認定をするような状況になってそういうことになれば、つまり、賠償についてはほとんど東京電力から支払われないということになって、これは国民負担、全て税金になります。それから、まさに法的処理をした後は、廃炉についてこれからどれぐらいのお金が掛かっていくのか、これも全て税金になります。  これは最終的には、この費用は税金なのか電気料金なのかという国民負担ということになることは、それは否定しませんが、じゃ、そのときに、福島も含めた全国民の皆さんが負担をすべき費用なのか。それとも、東京電力のユーザーの皆さん、これも直接の責任があるわけではありませんけれども、まさに東京電力の電気を供給するための福島の原子力発電所で起きた事故であるということを考える。それから、国民負担の最小化という観点からは、電力供給という事業は一定の利益を上げながら継続していく事業でありますので、それを長期にわたってそうして得た利益によって税金とか電気料金とかという国民の直接の負担を最小化するということを考えるならば、これは、法的処理というやり方は一見良さそうなんですけれども、賠償、廃炉、そして国民負担の最小化という観点から残念ながらなかなか採用できないということで、今のようなスキームで進めているところであります。
  395. 桜内文城

    ○桜内文城君 一見もっともらしく聞こえると言ったら失礼な言い方なんですけれども。  今、ある種、国民負担ですとか、それを最小化する、もちろんその観点は必要なんですけれども、それによって東京電力の経営陣の責任が明確化されていないんですよ、この一年間。結局、賠償債権、これを人質に取ったような形で、変な話ですよ。こういう賠償債務を負った会社の経営陣が賠償債務が大きいからといって、居座ると言ったら失礼ですけれども、そういう状態に実際なっている。  そういう意味でいえば、政府の責任を明確化するためにも、そして東京電力の経営陣の責任を明確化するためにも、賠償という問題とそれから経営責任を明らかにするということは、これは別の問題ですので、ここはしっかりと監督官庁として指導すべきなんじゃないでしょうか。
  396. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 済みません、資料を持ってきませんでしたから、どこまでの範囲か正確に記憶をしておりませんが、今、社長、会長等は、ある意味当然だという御指摘あるかもしれませんが、無報酬で仕事に当たらせておりますし、また総合特別事業計画において、一義的には申請主義で、申請してきたものを審査するわけでありますが、東京電力の経営者の居座りを許すようなことに、認可するつもりは全くありませんので、もう少し時間をいただければ、東京電力の役員については替わっていただくつもりです。
  397. 桜内文城

    ○桜内文城君 無報酬なのはもうこれは当然の話であります。    〔委員長退席、理事川上義博君着席〕  責任を明らかにするというのは、これは具体的には首にするということです、株主の側から。それが会社法あるいは通常の責任を取るという意味でありますので、そういった意味では、これは東電の在り方をどうするのか、それがひいては、私自身は、先ほどから細野大臣も申しておりますけれども、せめて原発事故の起こったサイト及びプラントは一日も早くこれは国が国有化した上で、でないと、こういった実質的に破綻した会社が世界的な知見を集める、あるいは廃炉に向けた技術開発をやっていく、これはほとんど無理な話ですので、現実的に。そういった意味では、国が、例えば原研ですね、元の、原子力研究開発機構ですとか、そういった技術者の方あるいは国際的なネットワークというものを通じて、それを集めるためにも、そういった知見を集めるためにも、せめてプラントの国有化、これは事業分離の上やっていくべきだと私は考えます。これは意見として申し述べておきます。  続きまして、この議事録あるいは議事概要等についてこれもお聞きいたします。  これも責任ということに関係してくる話なわけですけれども、特に今回のこの予算委員会での質疑に当たりまして、民主党政権の誰がどうだということは余り言うつもりはありません。ただ、やはり、今再稼働するかどうかというのがまさに地元の理解を得られるかに懸かってきている中で、政府のこれまでの事故対応に対する責任、あるいはこれから安全基準をどのようにしていくのか、これに関する政府の責任、これを明らかにしない限り、どうにも政府が言っていること信じられないという話ですと、再稼働なんか誰も認めたくないですよ。  そういった意味で、今回の議事概要が三月九日になってようやく、記憶を呼び覚ましながら作りましたと出てきました。こんなことで本当にいいんでしょうか。今回、私、特に原子力災害対策本部、それから統合対策室についてお尋ねしますので、また枝野大臣、お願いいたします。
  398. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) この原子力災害対策本部の議事の記録を残す責任は、原子力安全・保安院が事務局をこの本部について務めておりましたので、原子力安全・保安院において適切な資料を直ちに作っていなかったことについては、大変申し訳なく思っておるところでございます。  その結果として、三月九日に議事内容整備して公表を行ったところでございますが、関係省庁を含め関係者から収集した資料、相当なメモ等が出てまいりました。そういったものを踏まえて、当時の原子力災害対策本部における議事のやり取りはおおむね再現できたと、私も出席をしていた当事者でございますが、あの議事概要を私自身も見ましてそういう認識をいたしております。  ただ、こうしたことが遅れたことについては、国民の皆さんに不信を招いたことでありますので、今後こうしたことのないよう、公文書管理の所管である岡田副総理の下、原因分析や改善策が議論され、またそれはできるところから実施をしておりますので、経済産業省としても再発防止に取り組んでまいりたいと思っております。
  399. 桜内文城

    ○桜内文城君 私、これは二月の初めに質問主意書をこの件で出しました。その答弁書の中で、「公文書管理法においては、行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程及び実績が把握できる文書の作成が求められているものの、」ということです。「議事概要等の作成が一律に求められているものではなく、また、事後に作成することも許容されており、」という、大変法の趣旨を無視するような強弁をしております。皆さん、閣僚でいらっしゃるので閣議決定に署名もされたと思うんですけれども、こんなことを言っていたら、公文書管理法、事後にいつ、どういうふうに作ってもいいという話になってしまうじゃないですか。  これだけの大事故の政府対応に関する文書が一年もたってようやく出てきた、それも議事概要ということですね。タイミングも一年もたって遅過ぎるということがありますし、もう一つ内容的にも、私、拝見させていただきました。総理主宰の原子力災害対策本部、幾つか私も議事概要見ましたけれども、当初から玄葉当時の国家戦略担当大臣からメルトダウンの可能性指摘ですとか、これは三月十二日夜の第四回の会合でも菅総理からもそういった指摘がなされているんですが、その指摘に対してどういうふうなやり取りが行われたか、全くないんですね。なかなかその内容が把握できない、ということは誰がどういう意思決定したのかも把握できない。一年たってこの状況ですよ。  そういうふうな政府を信頼して、再稼働もう大丈夫ですと仮に言ったとしてですよ、枝野経済産業大臣が、これ、国民は信頼できますか。これ、もっと詳細なものをきちんともう一度作り直すなりしないことには、政府に対する信頼、そして今後の夏に向けた電力需給というふうに今日も指摘がありましたけれども、これ再稼働なんてとても無理ですよ。でも、これは政府がまさに自らの責任を明らかにしていく、この姿勢が今問われているんじゃないでしょうか。
  400. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 私自身、全て、むしろ記憶力がいい方ではありませんので、全てのことを正確に記憶しているわけではございませんが、あらかじめその十二日の第四回の菅総理の発言等について御指摘いただいておりますが、原子力災害対策本部の当時の議事は、そこで関係大臣その他から問題意識、危惧して注意しなければならない点というものの御指摘はこの菅総理の発言を始めとして幾つかございましたが、そこで専門家ではない閣僚間でやり取りをするということはほとんどなくて、そうした御指摘を踏まえて、関係機関に下ろして、例えば総理は、チェルノブイリ型はあり得るのか、メルトダウンはあり得るのかというような、総理、御発言をされておりますが、総理からそういう疑問、指摘踏まえて、その後実務ベースでしっかりとそうしたことについてのチェックを行うと、こういうやり取りが基本でございまして。    〔理事川上義博君退席、委員長着席〕  そういった意味では、実は私の認識では、あの議事概要については、概要でございますが、当時のあの原子力災害対策本部でのやり取りはおおむね再現をされているというふうに思っております。
  401. 桜内文城

    ○桜内文城君 いや、むしろそれが問題なんですよ。ある種、政府危機管理のボードメンバーが集まって、そこで専門性がないから決められませんでした、そんな話じゃ駄目なんですよ。政権担当能力、統治能力、それがないというのを告白されているようなものですよ、今の御答弁は。(発言する者あり)いや、結構です。これは指摘として言わさせていただきます。  ちょっと時間が大分押し迫ってきたので、次に、復興予算等、実際、今日この委員会は二十四年度予算の審査ということなので、予算案についてお伺いいたします。  まず、復興特別会計というのが新しくできまして、私もそれ詳細に見させていただきました。復興庁、できてこれは大変喜ばしいことなんですけれども、復興庁自体の予算が二兆円ちょっとという形で、この復興特別会計予算、詳細に見ていきますと、その他、大変言い方失礼なんですけれども、一般的かつ経常的な経費というものがたくさん計上されております。一兆七千四百二十九億円というのがありまして、この中には、例えば離島振興費、私も離島振興法の議連におりますので大変喜ばしいんではありますけれども、小笠原の離島振興費が付いておるですとか、あるいは沖縄のこれは学校の耐震化、これも喜ばしい話であるんですが、これが復興特会にわざわざぶち込むようなものなのかと。まあ、うがった見方をしますと、今回の平成二十四年度予算というのは、例の基礎年金の国庫負担分、二・六兆円分の交付国債ということで、歳入歳出予算から言わば簿外に、まあ飛ばしですね、言い方悪いですけれども、こういうふうな予算の編成されております。  私も元々大蔵省におりましたので同期の主計官とかやっておる者と話しても、第一・一般会計と第二・一般会計みたいな、ちょっとこれIMFの人とかに恥ずかしくて説明できないねというのが本音のところみたいなんですけれども、その辺、大臣はどういうふうにお考えでいらっしゃいますでしょうか。
  402. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) 桜内さんの同期の人の書いた部分も少し読ませていただきたいと思います。主計官でずっとみんな大体同じぐらいの年で活躍していますけれども。  復興に関しては、みんなの党はたしか反対でしたけれども、我々、自民党、公明党、私どもで、全国防災、今、桜内さん御指摘した多分沖縄の問題も、これ、全国防災事業は今回の予算で四千八百億円ほど盛り込みました。それは賛否はあるかもしれません。ただ、これは直接復興地に、被災地の予算とは関係ないのではないかという御指摘ですが、やはり東日本大震災の教訓、それからやっぱり緊急性、即効性、こうしたものを全国で必要なところはこの予算を使わせていただいてやった方がいいんではないかと、そういうふうなコンセンサスを得ましたので、河川事業や水産関係の予算等はこの中に入っております。  あと、交付国債は粉飾ではございません。
  403. 桜内文城

    ○桜内文城君 今回の予算で特に復興関連という意味でいえば、これ野田総理にお伺いしたいんですけれども、政権としての復旧復興に向けた行政の態度、姿勢ということでお伺いしたいんですが。  私、昨年の今ごろから二重ローン問題の解決に向けて、政治家として、どうしてもこれはいち早くやらなくちゃいけないということで昨年の今ごろからずっと他党の皆さんとも協議を重ねて努力を続けてまいりました。昨年七月二十九日に、参議院で我が党の修正も入れられて、野党全員賛成、残念ながら民主党の方々は反対されたんですが、法案が通りまして、ただ、残念ながら、そこから三か月、民主党の反対によりまして、四か月ですかね、衆議院でたなざらしにされた挙げ句、最も肝となると私どもが考えていた被災者の救済、それに資する条文が削除されて衆議院で可決されてしまったと。そのときに民主党の方々が強くおっしゃっていたのは、中小機構の余ったお金二千億円を活用して産業復興機構というのをつくるからこれで十分じゃないかという話でした。  その産業復興機構、この三月末までに一体何件、かつどの程度の金額で活用されたか御承知でしょうか。
  404. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 被災六県の産業復興相談センターにおいては、三月二十三日までの統計でございますが、八百六十三社の事業者の相談に対応し、債務の返済期間の延長など金融機関と条件変更について合意したものが二十三件、債権買取り件数については、その後三月三十日に岩手の復興機構において債権買取りが四件決定されておりますので、三月末時点で合計十一件となっております。
  405. 桜内文城

    ○桜内文城君 僅か十一件、金額にして、大臣言われませんでしたが、十億円、これ簿価ですね、買取り金額七億四千万。  昨年、民主党の方々、野田総理の側近と称される方が復興特でもお話しになりましたけれども、金融機関に対する補助金は許せない、モラルハザード許せない、だからこの野党案は認められないというふうにおっしゃったんですが、結局、昨年の金融安定化法に基づく金融機関に対する六百五十億円の資本注入があったにもかかわらず、このていたらくですよ。  私はその当時から主張しておりましたが、民主党政権というのは復興を後押しする気構えが全くないんじゃないか、むしろ復興の邪魔をしているんじゃないかと特にこの二重ローン問題の関係では思うんですけれども、総理の復興に対する姿勢をもう一度お尋ねいたします。
  406. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) 産業復興機構による実績は今大臣から答弁したとおりでございますけれども、例えば事業者の再生の可能性をしっかり判断したりとか、債権者間の調整などを行うためにはある程度の時間を要するというようなこともあるということは是非御理解をいただきたいと思います。  その上で、東日本大震災事業者再生支援機構について、政府としては昨年十一月に支援機構法が成立する前から設立準備室を立ち上げ、設立に向けた準備を全力で進め、二月二十二日に設立、三月五日より業務を開始したところでございますので、こうしたものとしっかりと共同をしながら再生支援に向けての対策を更に強化をしていきたいというふうに思います。
  407. 桜内文城

    ○桜内文城君 時間がないので、最後に一つだけ、これも大ざっぱな質問で恐縮ですが、総理にお尋ねします。  今日、せっかく配付資料を二つ用意いたしました。これは、三月八日に衆議院予算委員会に対して我が党から修正動議として出したものであります。大変大胆にやってきておりまして、一般会計でいいますと歳入歳出で三十兆円がさっとカットしていく。それから、お手元に四枚のいわゆる財務諸表、バランスシート等、こういったものを付けております。  私、この委員会のタイトルにもありますように、総予算について国会で議論をするのであれば、まさにこういった数字に基づく議論が本当は必要だと思っております。そしてまた、今、社会保障、税というのも、消費税というのも大変な大きな問題になっておりますけれども、これもきちんと制度設計について数字に基づく議論というのが必要だと思っております。  残念ながら、私ども弱小野党ですので、修正動議も全く顧みられずに政府案が通りそうなわけですけれども、今後は是非、政治家同士でこういった総予算についてしっかりと数字に基づく議論をさせていただきたいと思っております。それに対する財務大臣及び総理のこれからの抱負についてお伺い、最後、いたします。
  408. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) 残念ながら、みんなの党の賛成はなかなかできませんでしたけれども、桜内さんは新潟大学におられたときから我々も大変、我が党としても公会計の在り方、提言をいただいておりました。私は一つの、やっぱり予算審議を充実させるための一つ考え方であるというふうに思いますので、できるだけ分かりやすい資料をお出しさせていただいて議論をさせていただきたいというふうに思います。
  409. 石井一

    委員長石井一君) 野田総理、最後一言で締めくくってください。
  410. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) 数字に基づいた議論は大いに結構だと思いますし、今回、大胆な御提起だと思いますが、例えば消費税の全部地方移管というと、医療も年金も介護も全部地方へ任せるのかも含めて、その妥当性とか実現可能性を含めて大いに議論したいというふうに思います。
  411. 桜内文城

    ○桜内文城君 終わります。ありがとうございました。
  412. 石井一

    委員長石井一君) 以上で桜内文城君、みんなの党の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  413. 石井一

    委員長石井一君) 次に、井上哲士君の質疑を行います。井上君。
  414. 井上哲士

    井上哲士君 日本共産党井上哲士です。原発の再稼働について質問をいたします。  政府は、東電の福島原発事故の究明も終わっていないのに、関西電力の大飯三号機、四号機について近く再稼働に向けた政治判断をしようとされております。関電が行ったストレステストの一次評価を保安院が妥当と評価して、それを安全委員会が確認をしたことによるものであります。  そこで、原子力安全委員会の班目委員長、来ていただいておりますが、三月九日に決算委員会で私が質問した際に、ストレステストの一次評価だけでは不十分だと答弁をされました。そして、保安院の判断を安全委員会として確認をした三月二十三日の会見で、今後はもうちょっとちゃんとした実力値を評価するような現実的な評価をしていただきたいと述べられております。これどういう意味なのか。そして、安全委員会としてこの大飯原発の安全性を確認し、再稼働は妥当だと、こういう判断をされたのでしょうか。
  415. 班目春樹

    政府参考人(班目春樹君) まず、現実的な評価でございますけれども、これは昨年の七月の時点で原子力安全・保安院の方で定めた計画、そして原子力安全委員会もこれを妥当と認めていますが、その中に、一次評価においては許容値、設計の際の許容値等と比べてどれだけの余裕があるかという評価をすることになっています。二次評価においては、なるべく過度な保守性を排して、なるべく実力値というか、現実的な評価をしていただきたいということになっていますので、それのことについて申し上げたわけでございます。  それから、定期検査中の原子力発電所の再稼働の問題につきましては、これは法令上も、原子力安全委員会がその妥当性について判断する立場ではないと承知してございます。
  416. 井上哲士

    井上哲士君 いや、安全委員会として大飯原発の安全性を確認をされたのですかということをお聞きしております。
  417. 班目春樹

    政府参考人(班目春樹君) 安全委員会といたしましては、保安院の方で確認した結果について精査させていただきました。その結果、今回の事故の後、原子力安全・保安院の方で緊急安全対策等の実施を指示してございますけれども、それがプラントの頑健性を高めるという意味において、特に自然外力、設計の想定を超える自然外力に対する頑健性を高めるという上で一定の効果があるというところまでは確認してございます。
  418. 井上哲士

    井上哲士君 一定の効果があるということでありますが、一次評価で十分であると、こういう考えですか。
  419. 班目春樹

    政府参考人(班目春樹君) 原子力安全委員会といたしましては、昨年の七月の六日に経済産業大臣あてに要請した原子力発電所の総合的安全評価としては、これは一次評価と二次評価がセットだと思っておりますので、是非二次評価までしていただきたいというふうに考えてございます。
  420. 井上哲士

    井上哲士君 一次評価では不十分だということであります。  枝野大臣は、テレビ番組等でも、安全について政治判断するつもりはない、安全については専門家の皆さんに専門的、技術的に客観的に判断をしていただくと、こういうふうに述べられました。しかし、今も安全委員会ありましたように、一次評価では不十分だということであります。大臣自身も決算委員会答弁で、ストレステストで安全性が確認をされたものではないと、こういうふうに言われました。にもかかわらず再稼働について政治判断をするということになりますと、これ、安全性の確認ができていなくても再稼働をするのか、そうでないというならば、安全性そのものについて政治判断をするということになると思いますが、どうなんでしょうか。
  421. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 安全性については政治判断いたしませんし、そもそもできません。  まさに、原子力安全・保安院が行った緊急対策とその確認、そしてストレステストの一次テスト、それに対するIAEAや原子力安全委員会の評価というものを踏まえて、安全性が確認されたものと受け止められるのかどうか、そして、そのことを周辺住民の皆さんを始めとする国民の皆さんの一定の理解を得られるのかどうかという、客観的安全性ではなくて、それについてしっかりと確認できているのかどうかということについて今精査しているところです。
  422. 井上哲士

    井上哲士君 IAEAは、審査手法について確認をしましたけれども、安全だというお墨付きを出したわけではないんですね。  再稼働を急ぐ関西電力が評価をした、それを保安院と安全委員会が二重チェックをしたということでありますが、保安院がそもそも電力会社と一緒にやらせをやってきたということであります。そして今日も、先ほども議論になりましたけれども、二〇〇六年に、原子力安全委員会が原発の重大事故を想定して国の原子力安全指針の見直しに着手したら、保安院が、原子力安全に対する国民の不安を増大するおそれがある、財政支出が増えるといってこれを、導入を凍結するように再三文書で要請をしていたということも明らかになりました。こういう保安院のチェックではとても信用できないということで安全委員会との二重チェックにしたわけでありますが、その安全委員会も、一次評価だけでは不十分であると、こう言っているわけですね。  総理、お聞きしますが、これでどうして専門家による安全確認ができたと言えるのかと。結局、関電がやった安全宣言を政府は追認をするだけではないかと私は思うんですね。今朝の毎日新聞の世論調査でも、実に八四%が政府のこの安全審査は不十分だと回答しております。こういう国民の声、総理、どう受け止められますか。
  423. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) 国民には様々な御意見があることは承知をしておりますけれども、あくまで私どもは、IAEAのレビューを受けた手法によって事業者がストレステストを行い、それに対して保安院とそして安全委員会がチェックをする、それがきちっと安全性の確認になっているかどうかということをしっかりと把握をした上で、先ほども大臣答弁をされたように、地元理解が進んでいるかどうかも含めながら、最終的な判断をしていくということでございます。
  424. 井上哲士

    井上哲士君 国民にはいろんな意見があるという話じゃないんですよ。八四%がこれは不十分だと回答しているんですね。圧倒的多数の声ですよ。  京都府議会が全会一致で意見書を出しておりますが、ストレステストは机上の調査にすぎず、再稼働の判断材料とするのには余りにも不十分だと、こういうふうにしております。にもかかわらず、地元への政治的判断をした上で同意を求めるという流れのようでありますけれども、根拠のない安全判断の押し付けは許されません。  さらに、地元とは一体どこなのかという問題であります。福島原発の事故で、その被害というのは立地市町村にとどまらない、はるかに広いということが明らかになりました。政府は事故を受けて防災重点地域を三十キロまで拡大をし、さらに、自宅避難中心になる放射性沃素防護地域を五十キロ圏というふうにしております。大飯原発から五十キロといいますと、四十五万人の住民が住んでおりまして、滋賀県も京都府も含まれるわけですね。  にもかかわらず、藤村官房長官が先日、再稼働と防災のこととは内容が違うということで、地元を拡大するということを否定をする発言をされております。しかし、被害が予想される自治体が同意を条件に求めるのは私は当然だと思います。なぜ、総理、再稼働と防災というのは別なんですか。総理。
  425. 石井一

    委員長石井一君) それでは、枝野事実関係担当大臣を。簡潔にお答えください。
  426. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 官房長官の発言は、地元の範囲を狭めるという趣旨だったというふうには思っておりません。防災のための視点と再稼働に当たっての地元と言っている話は別の次元の話で、再起動の理解を求める範囲が何かで機械的に決まるわけではないという趣旨を述べたものだと承知をしております。  あえて申し上げれば、例えば緊急時防護措置を準備する区域、UPZという範囲がありますが、例えば、その中の人たちがおおむね賛成をして、それからすぐそばの人たちが物すごく反対をしているというときに、じゃ、地元も含めた国民の皆さんの一定の理解が得られたと評価していいのかというと、私は評価できないと。したがって、何らかの線のここから内側さえオーケーならオーケーです、ここから外の人は関係ありませんと、そういう線引きをするつもりはありません。  したがって、私は繰り返し、地元の皆さんを始めとする国民の皆さんの一定の理解と申し上げています。
  427. 井上哲士

    井上哲士君 立地自治体は同意が必要なんですよ。そういう同意が必要な地元に、こういう京都や滋賀などが上げている声にもこたえるべきじゃないかということを聞いております。
  428. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 再稼働について、三月十一日まで、これ再稼働について地元の同意必要だったでしょうか。  まさに三月十一日のことを受けて、従来、非常に狭い範囲の地元の同意で様々な原子力政策動いてまいりましたが、大変広範囲にわたって様々な影響を及ぼす、そして、あえて言えば、国民生活が影響を受けているということで、全国民が影響を受けているということでありますので、どこかの限られた地域のところの人さえオーケーならあとの人たちは関係ないという視点に立たないということで、地元を含めた国民の皆さんの一定の理解が必要だということを申し上げているんです。
  429. 井上哲士

    井上哲士君 だったら、そんな一定の理解などと言わずに、同意が必要だと言ってくださいよ。  一体どういう不安の根拠があるのか。東電の福島原発事故では、風に乗って遠く離れた地域でも高い放射能の被害がありました。同じようなことが起きるわけであります。  京都府は、大飯原発に隣接する関電の高浜原発で福島第一原発と同様な事故が起こった場合の放射性物質の拡散予想を先日公表いたしました。(資料提示)これが一月の予想図でありますけれども、高浜原発のすぐ東側、十キロばかり離れたところに大飯原発があるわけであります。これは、今日も議論になりました、文部科学省にSPEEDIを使って予測をしたものであります。  それで明らかになったのは、季節によって風向きが違って被害が随分変わるということなんですね。この予測は福島第一原発事故並みの放射性沃素が排出をされたと仮定して、二十四時間でどれだけ累計被曝があるかということを月ごとに典型的な風向きなどによって試算をしております。京都府が避難区域としている五百ミリシーベルトを超えた地域は濃いオレンジ、屋内退避区域としている五十ミリシーベルトを超えた地域は薄いオレンジで表しております。  一月は西から風が吹くんですね。そうしますと、屋内退避地域は福井県を越えまして滋賀県の高島市に入ります。SPEEDIはこの原発中心に九十二キロ四方しか予想できませんから切れていますけれども、明らかにこれは琵琶湖にまで達しております。これは非常に重要な予測資料なんですね。福島では活用されずに、高い汚染地域避難をするということが起こったわけでありますけれども、これ事前にこういうことができるわけであります。  そこで、文部科学大臣、来ていただいていますが、これは地方自治体の要請待ちではなくて、全ての原発についてこういう予測として資料を作って、是非国会にも提出いただきたい。そして、これ今九十二キロ四方しか出ませんけれども、もっと広い範囲に汚染が行くわけでありますから、そういうふうにできるようにするべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  430. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 先ほど来もこの当委員会でのSPEEDIの情報の提出の仕方と、こういうことで御議論ございましたが、私どもとしては、基本的な考え方としては、災害対策基本法に基づいて地方公共団体が地域における防災の取組を計画を策定する、それに対して支援をしていくという観点から、これまでも地方公共団体からの御要望に応じてSPEEDIの計算結果の提供を行ってきたと、こういうことでございます。  今委員指摘のように、国があらかじめ前提条件をつくって予測計算を出すということは私は現時点では適切ではないと、かように思っております。  なぜならば、どのような規模の事故を想定をしてどのような地形の中でやるのかということはやっぱり地域によって違うと、こういうことですから、その地方公共団体の御要望に応じて対応してまいりたいと、こういうふうに思っています。  二点目、九十二キロ、こういうことでございますが、これをより精度アップしようということで今検討をさせております。
  431. 井上哲士

    井上哲士君 これは地形を勘案して予測しているんですから、今のお話はおかしいんですね。  私は、これは非常に重要な資料でありますから、是非当委員会に、予測をして資料を出していただきたい、協議をいただきたいと思います。
  432. 石井一

    委員長石井一君) それじゃ、資料の提出につきましては協議をいたします。
  433. 井上哲士

    井上哲士君 さらに、三月はどうなるか。これは北から風が吹きます。そうしますと、屋内退避地域は京都市の右京区、亀岡市、綾部市、南丹市が入ります。さらに、五十キロをはるかに越えて京都府の南部まで屋内退避地域が広がっていくわけですね。  次に、五月はどうか。五月の場合は東から風が吹きます。そうしますと、舞鶴市は避難地域になり、宮津市、伊根町、京丹後市が屋内退避地域に入ります。二月は北北西の風が吹きまして兵庫県も範囲に入ります。これは、隣接する大飯原発で事故があれば同様の被害が予想されるわけですね。  私は、こういう被害を受ける可能性が具体的に示されている滋賀県や京都府などの周辺の地方自治体、地元の皆さんが同意抜きの再稼働はあり得ないと、こういう声は、上げるのは当然だと思いますが、総理、この声にどうおこたえでしょうか。
  434. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 井上委員と私は余り考え違っていないんじゃないかと思うんです。私も、だから、どこかの何キロ、例えば五キロとか十キロとか三十キロで線を引いて、その内側さえ良ければいいという視点には立ちませんと。まさに、影響を受ける範囲というのは季節や風向きによっていろいろ違ってきますし、それは相当広域に及ぶということがありますから、ですから、影響を及ぼす可能性のある自治体の皆さん、住民の皆さんというものの一定の理解が得られることがまさに条件だということを申し上げているわけでありまして、したがって、滋賀県や京都府からもストレステスト一次評価について詳細の説明を求められて、これ保安院に説明をさせていますが、そこでいろいろ御指摘をいただいたことについてはしっかりと対応をしていきたいと思っております。
  435. 井上哲士

    井上哲士君 一定の理解ではなくて同意が必要だと、こういうことが言えませんか。
  436. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) これも早い時期から申し上げておりますが、住民の皆さんの一定の理解といったときに、首長さんや議会というのは民主的なプロセスを踏まえて選ばれている皆さんですから、当然、住民の皆さんの一定の理解を評価、判断する上で大変重要なものだというふうに思っておりますが、しかし我々は、国会議員もそうですけれども、じゃ、選挙で選ばれているから全ての民意を忠実に反映しているというわけではないのが間接民主主義ですから、したがって私は、もちろん従来から同意が必要ということで、首長さんの必ず同意が必要だというプロセス等があることは承知していますが、むしろ、幅広く周辺住民の皆さん始めとする国民の皆さんの一定の理解が得られているかどうかを判断する必要があると思っています。
  437. 井上哲士

    井上哲士君 今朝の毎日の世論調査は、大飯原発の再稼働反対六二%です。さらに、地元の声はどうか。先ほどの京都府議会の決議に加えまして、福井県の越前市、それから滋賀県の県議会もこの再稼働に対して反対の意見書を決めております。  国民の声、地元の理解ということであれば、こういう下での再稼働はあり得ないと思いますが、総理、いかがでしょうか。
  438. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) 地元の理解を含めて、国民のそういう御意向なんかも踏まえながらの判断だというふうに思いますので、私どもが行け行けで何でもやろうとしているということはありません。あくまで安全性の確認をした上で、その確認が妥当であるならば御説明はしなければというふうに思いますけれども、何でもかんでも再稼働するという姿勢ではないということは是非御理解いただきたいと思います。
  439. 井上哲士

    井上哲士君 事故究明も途中のまま、安全確認も世論も無視をして再稼働するようなことは絶対あってはなりません。今やるべきことは事故原因の徹底究明と、そして原発からの撤退の決断、原発に頼らないエネルギー政策を示すことだと申し上げまして、質問を終わります。
  440. 石井一

    委員長石井一君) 以上で井上哲士君、日本共産党質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  441. 石井一

    委員長石井一君) 次に、福島みずほさんの質疑を行います。福島さん。
  442. 福島みずほ

    福島みずほ君 ドイツ政府の倫理委員会は、福島原発事故を機に、リスクと利益のバランスを考える立場を取っても原発は事故のリスクが余りに大き過ぎるとして脱原発へ大きくかじを切り、全原発を停止をしました。  原発は事故のリスクが余りに大き過ぎるとしたドイツの判断について、総理はどうお考えでしょうか。
  443. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) ドイツは停止をしたんでしょうか。停止を決めたんじゃないんでしょうか。  まさに我が国も、原発事故を踏まえて、これから原子力への依存度を引き下げていくべきだということで議論をしています。そのスピードや最終ゴールについては様々な御意見のあるところでございますが、リスクとベネフィットを考えたときに、原発への依存度はできるだけ早く、できるだけ大きく引き下げていくべきだと考えております。
  444. 福島みずほ

    福島みずほ君 原発再稼働についてお聞きをいたします。  原子力の保安院は、第一次ストレステストに関して意見聴取会を行いました。私も傍聴に行きました。二人の科学者、井野さんと後藤政志さんが大反対で、大きく異議を何回もその会議で言っていました。にもかかわらず、保安院はそれを無視し、見解をまとめました。科学者が、科学者が安全性に問題ありと言っているにもかかわらずそれを踏みにじるのは、三月十一日前と同じではないでしょうか。そして、原子力安全委員会班目委員長さんですらストレステストだけでは不十分だと、第一次ストレステストでは不十分だと繰り返し発言をしています。  三月二十三日の原子力安全委員会の結果報告、確認については、例えばこうあります、非常用電気ディーゼルについては、これについて防護策が十分取られていない、つまり、全電源、全交流喪失があり得て、防護策が十分取られていない、これが原子力安全委員会の三月二十三日の見解です。  安全性は確認されていないんですよ。安全性が十分だと科学者も言っていないんですよ。だとしたら、なぜ政治が安全だと言えるんですか。
  445. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) まだ安全だと判断しておりません。様々な今のような経緯等について、原子力安全・保安院や原子力安全委員会での議論の経緯や、そこからの報告書を今精査をしているところでございます。
  446. 福島みずほ

    福島みずほ君 今どう思われますか、枝野さん。
  447. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 精査の途中でございますので、まだ判断をしておりません。
  448. 福島みずほ

    福島みずほ君 科学者たちが意見を言っている中で、これで十分だと思いますか。
  449. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 保安院における審査の過程で、公開の場で外部の専門家の意見を聞きました。そこで提起された論点についてきちっとした答えが返されているのか、それとも意見の聞きっ放しで答えが示されていないのか、その辺りのところをしっかりと読み込み、もちろん専門家ではありませんので必要なところについては専門家に更に意見を聞くことも含めて、今しっかりとそのプロセス含めて精査をしております。
  450. 福島みずほ

    福島みずほ君 保安院が呼んだ専門家が意見聴取会で異議を述べ続けたということが重要です。  ドイツは、科学者たちは日本原発よりも安全だと確認をした、しかし政府の倫理委員会は全員で、にもかかわらず政治的には原発を止めようと判断をしました。今の日本で科学的に安全だということが十分確認されていないのに政治判断をするのは明確に間違っていると思います。  枝野さんは今精査中だとおっしゃいました。よもや、科学者から聴取会で異議が出たにもかかわらず保安院がまとめたような状況で、原子力安全委員会のあの確認報告記者会見のブリーフィングを見て、あれだけ疑義が出ているにもかかわらず、世界的には通用しないだろうと班目さんはおっしゃっています。こんな中でよもやゴーサインの政治判断が出るわけがないと確信をしております。どうかそれはよろしくお願いします。  次に、このパネルを見てください。(資料提示)  これは、京都府が自らSPEEDIを使って行った結果です。セシウムも沃素も広範囲に広がっています。京都府の右京区、左京区、そして琵琶湖にも大きく掛かり、月によっては兵庫県にも大きく広がっています。これで、京都は、京都市は第二次世界大戦中、米軍の空爆を免れた世界の大事な宝物、世界遺産です。もし大飯原発に事故が起きれば、世界の宝物に本当にセシウム、沃素が降り注ぎます。琵琶湖は千四百万、近畿の人たちのための水がめ、そこに沃素やセシウムが降り注ぐというのがこれがSPEEDIの結果です。この結果を見て、地元のことをこの委員会でやってきました。京都府、京都市、大津市、滋賀県、兵庫県、これは地元でしょうか。
  451. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 何度も申し上げておりますとおり、私は地元だけでいいと申し上げておりません。地元の皆さんを始めとする国民の一定の理解が必要だと。もちろん、例えば原子力発電所の立地町とか立地県という方の意向は物すごく重要だというふうに思いますが、それ以外も広範に原子力事故が、もし大きな事故が起きれば影響を及ぼすことが今回の教訓でございますから、したがって、既に滋賀県や京都府にはストレステストの御報告を申し上げて、なおかつそこで様々な御意見を伺ってまいりましたので、それに真摯に対応しなきゃいけないと思っておりますし、それから、今地名が挙がりました皆さんが入っておられる関西広域連合もいろいろと御意見をまとめているというふうに承知をしておりますので、そうした御意見も、地元を始めとする国民の皆さんの一定の理解ということを評価する上では重要な要素であると思っております。
  452. 福島みずほ

    福島みずほ君 枝野さんがそうおっしゃるということは、ずっと行政交渉をしているときに、保安院や原子力安全委員会は全部地元の同意というふうに私たちに言ってきたんですね、私にも言ってきました。その同意が必要な地元というのは、今の枝野さんの見解だと、国民はもちろん入ると、国民の意向は大事だ、国民が世論調査でこれだけ原発再稼働に六二%反対している、重要ですよね。でも、地元の範囲をやっぱり確認したいんです。この期に及んで地元と言えないのか。でも、今のだと、含む、含まれるの関係ですから、私の理解で、京都府、京都市、大津市、滋賀県、兵庫、大阪、地元ということでよろしいですね。
  453. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) これは本当に本質的な話だと思っていまして、やっぱり三月十一日の東京電力の事故の教訓というのは、大変広範囲にわたって万が一大きな事故が起こったら影響を及ぼすと。そうした場合に、あえて申し上げれば、日本全国にあの福島の事故は直接、間接の影響を及ぼしています。そういう意味では日本全国が地元だと思います。
  454. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、私が聞きたいのは、これははっきり、さっきのあるように、私は、京都府、京都市、とりわけ神社があるような京都市の人たち、全部これ降るんですよ。だとしたら、自分たちに異議申立ての権利があるのかどうかということをみんな知りたいんですよ。水がめを抱える滋賀県大津市が、本当に自分たちが異議申立てをしたらその権利はあるんだなと。  じゃ、質問を変えます。  大津市、滋賀県、兵庫県、大阪府、京都府、京都市、少なくとも議会は全部決議、多くの議会出していますよね。私たちは原発再稼働、今の時点でとっても認められない、だとしたら、原発再稼働できないということでよろしいですね。
  455. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 今の時点では認められないということなら私もそうです。なぜなら、今、原子力安全・保安院と安全委員会等のやった専門家の皆さんの分析評価というものを精査している途中で、それについて得心を得ていませんから。  したがって、もし得心が得られて、そういったことを説明をさせていただくことにもしなった場合、そうした説明を聞いていただいた上で御理解いただけるのかどうかということになりますので、現時点では私も今、再稼働には反対です。
  456. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、やっぱり地元の範囲聞きたいんですよ。滋賀県議会は、福島第一原子力発電所事故の原因究明等がなされていない中での、条件ちゃんとはっきりしていますよ、原因究明等がなされていない中での再稼働を認めないことを求める意見書、採択しているんですよ。広域連合だって同じようなこと言っているじゃないですか。既に今の時点でこのことを議会は採択しているんですよ。だから知りたい。地元でいいですね。
  457. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) あえて聞かれれば、日本中地元です。
  458. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、納得しません。日本全国地元だとしても、私が滋賀県の知事だったら、京都市民だったら、守りたいですよ、自分の意見聞いてくれるのか。どうですか。
  459. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) ですから、滋賀県と京都府からは、説明に来るように、そして意見を聞くようにとお申出がありましたので、させているところでございますし、今後もそういった御要請が、全ての、率直に申し上げます、全ての市町村から求められたときに全部対応できるのかということはありますが、県や県に準ずる政令指定都市などから説明を求められれば説明に行かせますし、また、そこでは意見を伺ってまいります。
  460. 福島みずほ

    福島みずほ君 説明では駄目なんです。行政交渉をたくさんやってきました。この間、保安院も原子力安全委員会もはっきり地元の同意って言っているんですよ。地元の同意がなければ再稼働はできません。だから地元にこだわるんです。日本国民全体なんていう話じゃない。どこが地元かが重要なんです。  じゃ、逆にこういう質問で、枝野さん、どうですか。滋賀県、大阪府、兵庫県、そして京都府が地元であるということに経済産業大臣は反対されないということでよろしいですね。
  461. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 繰り返し申し上げておりますとおり、地元の皆さんを始めとする国民の皆さんの一定の理解が得られなければ再稼働はいたしません。その場合においては、どこかで線引きをして、ここの内側さえオーケーなら大丈夫とか、この外側は関係ないとかという、そういう線引きを私はすべきでないと思っておりまして、もちろん、より近い、より影響の多いところほどよりその発言は重いというふうに思っております。
  462. 福島みずほ

    福島みずほ君 全国って、要するに、より要件を、ハードルを高くされているというふうに私は理解しますが、この期に及んで地元がどこか言えないというのはおかしいじゃないですか。だって、政府は建前上は、保安院も、それから原子力安全委員会の意見も聞いたことになっているんですよ。残っているのは政治判断と地元の同意、だから地元の範囲が重要なのに、全国だって言われたって仕方ないじゃないですか。  どこの地元が言えるんですか。私は地元なんですかという地元の声に答えてくださいよ。はっきり言ってくださいよ。
  463. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 本当に、例えば五キロなり十キロなり五十キロなりという線を引いて、その内側の人はオーケーです、その外側の人たちは関係ありませんという性質のものなのかといえば、それは私は、実際、この原発事故の、福島の影響を考えても、そういう性質のものじゃないと思うんです。  もちろん、より大きな影響を受ける、より影響を受ける可能性のある方ほど、そうした皆さんの声というのをより重く受け止めなければならないということは私も当然の前提だというふうに思っておりますが、しかし、じゃ、どこかで、じゃ、三十キロで切ったらいいんですか、五十キロで切ったらいいんですか、私はそういう問題ではないということを繰り返し申し上げているんです。
  464. 福島みずほ

    福島みずほ君 私は、京都府と京都市と大津市と滋賀県と大阪府と兵庫県に限れなんて言っているんじゃないんですよ。最低でもここは入りますねと。  例えば、京都府は何でSPEEDIができたか。文科省はなかなか出さないけれど、京都府は十キロ圏内だから、SPEEDIの端末を持っているから、京都府自ら計算したんですよ。十キロ圏内だということの京都は、SPEEDIの端末を持っている京都府は少なくとも地元でしょう。  枝野さん、私もどこかだけに狭めようなんてけちな根性は持っていないですよ。広い方がいいと思っていますよ。だけど、お聞きします。京都府は地元でしょうか。滋賀県は地元でしょうか。私はそれだけがと言っていませんよ。
  465. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 今のお尋ねにどうお答えしても、じゃ、どこはどうなんですかと全部聞かれたときに、じゃ、どこで線を引くのかと言われたら、先ほど申したとおり、全て日本中の皆さんが原発事故が起きれば影響を受ける可能性はあるので、どこから先は関係ないということは逆に言えません。  そうした意味では、あえて申し上げれば、原子力発電所により近い皆さんほど万が一の場合の影響は大きいわけでありますし、あるいは地形や天候等によって……(発言する者あり)
  466. 石井一

    委員長石井一君) 静粛に願います。
  467. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 地形や天候等によって影響を受ける可能性の高い地域の皆さんというのは、まさに地元を始めとするの地元の要素が強い皆さんとして重く受け止めなければならないと思っています。  そうした意味では、京都や滋賀県というのは、まさに具体的に事故が起こった場合に影響を受ける可能性の高い地域であるという認識はいたしております。
  468. 福島みずほ

    福島みずほ君 じゃ、なぜこう言うかというと、最後、もう地元の同意というところの段階に来ているわけですよ、政治判断と地元の同意。私は、保安院と原子力安全委員会の結論を、あれはおかしいと思いますが、しかし、あとは政治判断と地元の同意で、地元の範囲が重要だからこう聞いているんですよ。テレビ見ている人だって、うちは地元かと、みんな思いますよ。  枝野さんが狭めないというふうに言うのは分かります。でも、最後におっしゃったでしょう。私もずっと、地元の同意、地元の同意というところで行政と交渉をしてきました。今、最後、枝野さんおっしゃったのは、非常に影響がある滋賀県や京都も地元に含まれるという、重く受け止めなければならないというのは、少なくとも京都やそして滋賀県が同意が必要な地元であるという理解でよろしいですね。
  469. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) まず、済みません、保安院がもし適切でないことをレク等で御説明していたらおわび申し上げますが、私は一貫して同意とかという言葉使っておりません。地元の皆さんを始めとする国民の皆さんの一定の理解が必要であると。  その場合に、地元の範囲はどこかとか地元に入るのかと聞かれたら今のようなお答えになりますが、大飯原発について、現に滋賀県知事と京都府知事からは説明を求められ、説明を伺いました際に様々な御意見を提起をされておりますので、このお二人の理解を得られないと地元を始めとする国民の皆さんの一定の理解を得たことにはならないというふうには思っております。
  470. 福島みずほ

    福島みずほ君 じゃ、どう考えても地元ですね。分かりました。  それから、言っておきますが、行政交渉する中で地元の同意という言葉を聞いていますよ。地元の同意って何度も聞いていますよ。少なくとも、関西のいろんな自治体は多く決議を出していますから、地元の同意取れないですよ。今の段階で原発再稼働するというのはおこがましいんですよ。できないんですよ。冒頭言ったドイツの倫理委員会、リスクと経済を考えた場合には、どう考えてもリスクが大きい、その今現状なんです。  今日そこまで言ってくださいましたので、地元の同意がどうしても必要な地元はSPEEDIのこの広範囲な中から、枝野さんだって狭めない狭めないとおっしゃったから、ありがとうございます。SPEEDIの結果、広がるところは、セシウムやそして沃素が降り注ぐところは地元であるという、地元の同意だというふうに理解をします。  最後に、東電、やっぱりひどいと思います。電力料金の値上げを始め、殿様商売で本当にひどい。それで、枝野さん、これについて、国有化ということも私はあるとき必要だと思いますが、二分の一以上の議決権を取得する、それから鼻血も出ないぐらいやらなくちゃいけない、発送電分離を必ずやって改革をやらなくちゃいけない、どうですか。
  471. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) まず、既に東京電力から機構に対して一兆円の資本注入の申請が出ております。これ、まだ機構でどういう精査をするか分かりませんが、もしこの規模で資本注入の申請があれば、当然、今の様々な資本構成から考えれば、二分の一を大幅に超える株主になりますので、当然のことながら二分の一を超える議決権を握ります。  それから、二つ目は何でしたっけ。
  472. 福島みずほ

    福島みずほ君 発送電分離。
  473. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 発送電分離については、これは正確に言いますと、送電部門の中立化はさせます。つまり、これは御承知だと思いますが、例えば通信部分については資本分離していません、NTTの東西は。資本分離しておりませんが、一定程度の中立公正化によって、auであったりソフトバンクであったりも、NTTと、ドコモと同じ条件で利用できるということによって通信はまさに競争条件が整いました。こうしたことにはいたします。
  474. 福島みずほ

    福島みずほ君 今日は地元の範囲を大変広くさせていただきましたので、地元の同意がなければ原発再稼働はできない、それから、検証で決して原発を利潤追求をする中で再稼働を急がないように、再稼働するなということを申し上げ、質問を終わります。
  475. 石井一

    委員長石井一君) 以上で福島みずほさん、社会民主党護憲連合質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  476. 石井一

    委員長石井一君) 次に、荒井広幸君の質疑を行います。荒井君。
  477. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 御苦労さまでございます。  社会的包摂ワンストップ相談支援事業というのが今度の予算、三次補正でございました。私はこれは大変評価しております。これを、河北新報、三月二十八日のコラムでしょうか、「河北春秋」というのがあります。  失業、貧困、子供虐待やドメスティック・バイオレンス、パワーハラスメント。この社会が以前から抱えていた問題が、震災を機に一気に噴き出したと言える。格差は広がる一方だ。孤立する人につながりたいと昨秋より、よりそいホットラインが開設された。多様な分野の支援団体が連携し、どんな悩みも一つのダイヤルで受け止める無料相談電話だ。今月には対象を被災地から全国に広げ、二十四時間体制を敷いた。こういう中身であります。(資料提示)パネルにそのよりそいホットラインの電話がありますが、電話番号お間違えないようにしていただきたいわけですけれども。  どうぞ、政府として、このよりそいホットラインのような、疎外しない、みんなでつながっていこう、きずなという言葉もありました、助け合っていこう、こういう相談支援事業について、今後ともしっかり取り組むべきではないかと厚労大臣にお願いします。
  478. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) 委員に社会的包摂ワンストップの相談支援事業、御評価いただいてありがとうございます。本当に今、家族の構成も地域状況も変わりましたので、そういう意味で、孤立化をしない、問題を抱えた方に寄り添って悩みに耳を傾けて問題を解決するワンストップ型の相談支援、これが重要だと考えています。今御紹介いただいた電話相談ですとか地域センターでいろいろな支援事業を行って、とにかく居場所と出番が全ての人にある、そのような形の社会ができるように努めていきたいと思っています。  このため、二十四年度は、事業対象地域を今御紹介いただいたように被災地中心から全国に広げまして、その実施体制を強化したいと考えています。これはNPOを始めいろいろな団体の方に御協力いただいていますので、そうした協力依頼とか周知など、この事業を多くの方が利用できるように更に推進をしていきたいと思いますので、応援していただければと思います。
  479. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 今日はテレビ中継ですので、あえてこのパネルも国民の皆さんにもお知りをいただきたいと思って掲示をさせていただいた次第です。いいものはいいわけです、野田総理。悪いものは悪いわけですね。  次に、また、日出ずる国のモデルというので皆さんに資料をお渡しさせていただいております。以前にもこの提案を何遍にもわたり申し上げておりますが、各、財務大臣、そしてまた経産大臣環境大臣もお目通しいただいていると思います。総理も官房長官も見ていただいていると思うんです。  その中で、点々で書いてありますけれども、今回はその中をちょっと取りますと、先ほど来から、今日は原発エネルギー問題でもあります。  例えば、こういうやり方があるわけです。電気自動車。これから日本、CO2問題、エネルギーがない、いろんな課題をしょった日本の解決策ですね。世界に競争力を広める日本経済成長の象徴でもあります。そして同時に、このソーラーパネルというのも地上エネルギー、さんさんと降り注ぐこの太陽エネルギーを使わない手はない。そして、太陽エネルギーは夜、太陽が沈めばなくなってしまいますから、蓄電池で蓄電をしていくわけですね。これら三つは非常に相性がいいんです。直流です。家電のエコポイントのようなポイントで、例えば電気自動車を買った方はソーラーパネルを、ソーラーパネルを買った方はまた自動車、あるいは今度は蓄電池と、こういうふうに回していくわけですが、小口、分散、自立の時代に入ったと三・一一は我々に教えていただいているんだと思います。  メガソーラーで相変わらず電力を起こして皆さんに売りますという時代はもう終わりました。自分が自立して自分が使う電気をこれを起こしていく、こういう発想です。そうすれば、今度は電力会社に、枝野大臣、払わなくて済むんですよ。払わなくて済んだ分でソーラーパネルを造ったり、いろんなことできるわけです。そして、先ほど、原油高になったから競争力が下がるというふうに言いますけれども、家庭部門は三割を占めていますから、そのところが自立してこれが自分で電気を起こせるようになるというふうになれば、これは解決の一助になるわけですね。一遍にはできませんが、これをやるべきだと。  お金どこでしょう。財務大臣、お金どこにあるか。簡単です。エコカー補助金はそのまま残したとしても、エコカー減税があるんですよ、二千四百億円。この二千四百億円を続けていただきますと、かなりの部分のこれができるようになるんです。エコカー減税は、実は地方自治団体が一番困っているわけです。地方自治で自治体、市町村に入ってくるお金が減税で入ってこないんですから。そういう観点もありますから、どうぞこの問題について御検討をいただきたいとお願いをしてずっとまいりました。  そこで、官房長官、検討していただけるって前から、総理からも経済産業大臣からもいただいているんですが、どこの役所でどう検討していただいているんでしょう。
  480. 藤村修

    国務大臣(藤村修君) 経済産業省マターだと思います。  それで、今いろいろ検討されているというふうには聞いておりますが、その検討の中で、例えば御指摘のソーラーパネルあるいは電気自動車、それぞれそれなりの高額商品であります。そうすると、高額なものというのに家電などのエコポイントというものをそのまま採用できるのかどうか、高額商品のソーラーパネルあるいは電気自動車などはむしろエコ補助金といいますか、そういうやり方もあるのではないかというふうな検討も、これ経産省の方で今やっていただいているということではございます。
  481. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 前からも申し上げていますが、いろいろな形をとにかく考えて工夫をしていくということですから、まあ経済産業省の方でやっているというんでは寂しい話なんですね。それはどうしてかというと、検討しますっておっしゃっているわけですから。検討しますは検討しないし、やると言ったマニフェストはやらないし、やらないと言ったマニフェストはやるというんでは、これはどうしようもない話なんですね。  例えば、自見郵政担当大臣、ここに九月九日、二〇〇九年、三党合意、民主党、社会民主党、国民新党の資料がございますけれども、この中で郵政事業の抜本的見直しというのを言っております。今度は、民主党、自民党、国民新党入っているのかなと思ったら、公明党さんの三党でこの共同提案をしたということですが、なぜ国民新党さんはこの郵政民営化見直し法案に、これを共同提出されなかったか、その理由をお聞かせください。
  482. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 荒井先生御存じの今般提出されました郵政民営化法の改正法案については、国民新党は提出者になっておりませんというふうに承知いたしております。  その理由は、衆議院の郵政特がございまして、この理事に我が党は数の関係で入っておりませんので、ですから、民主党とそれから正式な理事間の協議をやるというふうに委員会で決められたようでございまして、民主党と自民党と公明党とが公式には協議をしたわけでございますけれども、今、民主党と国民新党と連立を組んでおりますので、しっかり民主党との間で情報というか、問題点は共有しているというふうに思っております。
  483. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 私たちは御一緒にこの問題で除名されたり新党をつくってまいりましたけれども、やはり、自見大臣、消費税も、これも三党合意違反ですよね。  消費税の三党合意文書、今日私は持ってまいりましたけれども、まさに三党合意の違反ですよ。消費税率の据置き、現行の消費税五%は据え置くこととし、今回の選挙において負託された政権担当期間中において、歳出の見直し等の努力を最大限行い、税率引上げは行わないと。全く、三党合意にもマニフェストにも、総理、これは違反をしているんですよ。  ですから、亀井代表が、国民新党代表がおっしゃるのは、単にこの消費税率を上げるということだけではなくて、郵政民営化、この法律を直していくという中にやはり一つの問題点を感じて言っているのではないかと思うんですが、総理、郵政はあしたやらせていただきますが、この消費税率の据置き、これについて総理は三党合意違反と思われますか、そうじゃないと思われますか。
  484. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) 今の荒井委員の読まれたとおり、民主、社民、国民新党の三党政策合意は、現行の消費税五%は据え置くこととし、今回の選挙において負託された政権担当期間中において、歳出の見直し等の努力を最大限行い、税率引上げは行わないとなっておりますので、衆議院議員の任期満了後の増税は合意違反ではないと思いますし、亀井代表とも私、何度もお話をしましたが、消費税引上げについては反対というお話はありましたが、この三党合意についての言及はございませんでした。
  485. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 総理、国民目線というのは、民主党ですね、今の説明で国民の皆さんはどういう目線で御覧になったと思いますか、総理。国民の皆さんは、先ほどの公約違反ではない、三党の合意違反ではないとおっしゃるわけですが、国民の皆さんはそれで納得されていると思いますか。
  486. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) 私どもの民主党のマニフェストには記載をしていなかったわけですけれども、そのときに、基本的には歳出削減、全力で尽くすと、消費税を引き上げる際にはそれは国民の信を問うというのが、これは多くの私どもの議員の問題意識だったというふうに思います。  そのことも踏まえて、このいわゆる三党政策合意をやっているわけですが、文字どおり読んでいただくならば、これは任期中に引き上げるわけではございませんので、この三党の合意違反でもマニフェストの違反でもないというふうに思います。  ただし、そのことの説明はしっかり国民の皆さんにしなければいけないと思います。社会保障の改革の必要性であるとか、あるいは財政健全化も待ったなしであるということは国民の皆様に御説明をしなければいけないとは思います。(発言する者あり)
  487. 石井一

    委員長石井一君) あと残り五分です。非常に重要な議論でありますから、やじは慎んでください。
  488. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 亀井代表のお話も聞きたいし、そして福島党首もいらっしゃいますが、昨日もこれは全く三党合意違反であると両人が言っておられますよ。  自見大臣、三党合意違反ではありませんか。
  489. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 荒井先生御存じのように、国民新党の立党の精神は、やはり行き過ぎた市場原理主義による郵政民営化が、それを是正することが党の一番大きな目的でございまして、それをきちっとやっぱり基本的な精神を引き継いだのが、今回の、自民党も賛成していただいた、民主党、公明党も非常に精力的にやっていただいた、そして、国民新党と民主党とは今連立政権でございますから、しっかり意見を交換しつつ、この案は国民新党としても正式に議員総会で了承した案でございます。
  490. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 何と言っていいか、自見大臣、野田総理、分からないですね。やっぱり普通、国民目線でいったら、言っていないことをやるんですから、もう一回、本当の民主党ならば、消費税率をアップしますということを掲げて、国民の皆さんに一生懸命説明されて選挙をやるべきじゃないですか。私ども新党改革も、条件付ですが、消費税率はこれは言及しなくちゃいけない、上げざるを得ない、私もそう言って選挙をやってきましたよ。選挙をやって国民の皆さんに御説明するのが筋ではありませんか、総理。
  491. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) なぜ社会保障と税の一体改革が必要なのかについては、ここで、国会での御議論も程なく始まるだろうとは思いますけれども、国民の皆様にもしっかりと御説明をしていきたいというふうに思います。
  492. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 消費税は上げないと言ったのに上げるから、国民の皆さんは、またこのお金はどこに使われるのかな、こう思っているんではありませんか、総理。私は、その点を深く総理に心に刻んでいただきたいと思います。そして、解散をして、私どもは政界再編以外に答えが出せないのではないかと思っているんですが。  最後に、総理、これはどなたのお話でしょうか。まず、違憲状態を一日も早く解消しなければならないというのが最優先の課題であります。これは、二月二十五日以降、憲法違反状態になっている衆議院の一票の定数是正改革の問題であります。  総理、どのような解決策で臨まれますか。
  493. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) 違憲状態であると同時に違法状態にもなっております。したがって、一票の格差是正というのは、早急にまさに知恵を出して解決しなければいけないというふうに思います。  その問題は最優先であるという問題意識を持ちながら、一方で、これについては定数削減と選挙制度改革とを一体的に結論を出すというのが今いわゆる各党での協議の中での議論だと承知をしていますので、早急に与野党間の合意が得られるように、結論が出るように強く期待をしたいというふうに思います。
  494. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 委員の皆さんにお配りをしています。三月七日、まず、政府民主党の比例八十を撤回する。撤回すれば、〇増五減で一票のこの違憲状態を脱することができるんです。  そして、総理自身が言っているんですよ、国会のこの参議院のQTで、党首会談で。どう言っているか。〇増五減ですから、私は区割り審議会で御議論いただいてもそんなに時間は掛からないと言って、その間に定数削減をやっていけばいいんだと言っているんですよ。  〇増五減、今すぐにやるべきではありませんか。選挙をやると民主党は負けるから、これをもってやらないということを言っているのではありませんか、総理。
  495. 野田佳彦

    内閣総理大臣(野田佳彦君) 自分たちの選挙のことを考えて言っていません。基本的には、今、樽床いわゆる幹事長代行が座長でこの与野党協議をしていますが、御党も含めてそれぞれの党の御意見をヒアリングをして、それを踏まえて意見を集約していくということでございますので、そのプロセスの途中にあると思います。
  496. 石井一

    委員長石井一君) 締めくくってください。
  497. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 もう各党とも、それなりに言っていることははっきりしているんです。八十減をすれば少数政党が機会を失うんですから、これだけは外していただければ〇増五減はやれるという意見も非常に各党にあるんです。  総理が民主党内でリーダーシップを示さないので、国会自身が言ってみれば違憲状態をつくっている、こういう泥棒が泥棒を言っているような話になってしまうんです。しっかりこれはやっていただきたい。
  498. 石井一

    委員長石井一君) いや、それ答弁を求めるんですか。もう時間が来ていますから、御注意しましたように。議論は尽きたと思います、あなたに対する。  以上をもって荒井広幸君の質疑は終了いたしました。(拍手)  これにて震災原発エネルギー等に関する集中審議は終了いたしました。     ─────────────
  499. 石井一

    委員長石井一君) この際、御報告いたします。  本委員会は、平成二十四年度予算三案につきまして、内閣委員会外十四委員会にその審査を委嘱いたしておりましたが、各委員長からそれぞれ審査概要について報告書が提出されましたので、お手元に配付しております。  つきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  500. 石井一

    委員長石井一君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  次回は明三日午前九時三十分から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十四分散会