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2012-03-26 第180回国会 参議院 予算委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十四年三月二十六日(月曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員の異動  三月二十三日     辞任         補欠選任      蓮   舫君     水戸 将史君      磯崎 仁彦君     赤石 清美君      中山 恭子君     藤井 孝男君      丸山 和也君     宇都 隆史君     三原じゅん子君     佐藤 正久君      竹谷とし子君     石川 博崇君      山本 香苗君     荒木 清寛君      横山 信一君     山本 博司君      松田 公太君     小熊 慎司君  三月二十六日     辞任         補欠選任      小西 洋之君     広田  一君      外山  斎君     松浦 大悟君      林 久美子君     小見山幸治君      水戸 将史君     蓮   舫君      大門実紀史君     紙  智子君      吉田 忠智君     山内 徳信君      荒井 広幸君     舛添 要一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         石井  一君     理 事                 植松恵美子君                 川上 義博君                 武内 則男君                 徳永 久志君                 有村 治子君                 礒崎 陽輔君                 山本 一太君                 浜田 昌良君                 小野 次郎君     委 員                 石橋 通宏君                 大久保 勉君                 大塚 耕平君                 金子 洋一君                 小見山幸治君                 谷  亮子君                 谷岡 郁子君                 外山  斎君                 友近 聡朗君                はた ともこ君                 姫井由美子君                 広田  一君                 牧山ひろえ君                 松浦 大悟君                 水戸 将史君                 安井美沙子君                 蓮   舫君                 赤石 清美君                 猪口 邦子君                 宇都 隆史君                 片山さつき君                 川口 順子君                 佐藤 正久君                 佐藤ゆかり君                 末松 信介君                 西田 昌司君                 藤井 孝男君                 山崎  力君                 山田 俊男君                 山谷えり子君                 荒木 清寛君                 石川 博崇君                 山本 博司君                 小熊 慎司君                 紙  智子君                 山内 徳信君                 舛添 要一君    国務大臣        内閣総理大臣   野田 佳彦君        外務大臣     玄葉光一郎君        財務大臣     安住  淳君        農林水産大臣   鹿野 道彦君        経済産業大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣原子力        損害賠償支援機        構))      枝野 幸男君        国土交通大臣        国務大臣     前田 武志君        環境大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣原子力        行政))     細野 豪志君        防衛大臣     田中 直紀君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣消費者        及び食品安全)        )        松原  仁君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣経済財        政政策科学技        術政策))    古川 元久君    副大臣        財務大臣    藤田 幸久君        防衛大臣    渡辺  周君    大臣政務官        防衛大臣政務官  神風 英男君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  山本 庸幸君    事務局側        常任委員会専門        員        藤川 哲史君    政府参考人        防衛大臣官房長  鎌田 昭良君        防衛省防衛政策        局長       西  正典君        防衛省運用企画        局長       松本隆太郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○平成二十四年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○平成二十四年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○平成二十四年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     ─────────────
  2. 石井一

    委員長石井一君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  平成二十四年度総予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。  本日は、外交及び安全保障等に関する集中審議を行うこととし、質疑往復方式で行い、質疑割当て時間は四百十三分とし、各会派への割当て時間は、民主党・新緑風会百四分、自由民主党たちあがれ日本・無所属の会百五十分、公明党七十分、みんなの党三十五分、日本共産党十八分、社会民主党護憲連合十八分、新党改革十八分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。     ─────────────
  3. 石井一

    委員長石井一君) 平成二十四年度一般会計予算平成二十四年度特別会計予算平成二十四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、外交及び安全保障等に関する集中審議を行います。  これより質疑を行います。徳永久志君。
  4. 徳永久志

    徳永久志君 民主党徳永久志でございます。  本日は、外交防衛集中審議ということで、トップバッターを務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  あの東日本大震災から一年が経過をいたしました。総理は、本委員会の場におきましても、この震災について決して忘れてはならない、風化をさせてはならないと力強くおっしゃっていただきました。  もう一つ地震の件で私たちが忘れてはならない、風化をさせてはならないものがございます。それは、ちょうど一年前、東日本大震災のほんの少し前の二月二十二日に起こりましたニュージーランドでのクライストチャーチ市の大地震でありました。この大地震におきまして、日本人の留学生、若い命が、二十八名の命が奪われたわけであります。それぞれ英語を学んで世界に雄飛しようという高い志を持って学んでいた彼らの無念さを思うとき、また、そうした肉親の、高い志を実現させてやろうと送り出した御家族の無念な思いというのは本当に胸に迫るものがあるわけであります。私たちは、決してこうした方々思いを忘れることなく胸に刻み込んでいきたいというふうに思います。  また、御家族方々からすれば、まだまだ分からない点がいっぱいある。例えば、そうした肉親の命を奪ったCTVビル倒壊原因究明、真相を何としても知りたい。あるいは、その原因究明に至っては、もしかすれば補償の問題も発生をするかもしれない。また、行方不明者安否確認に要した遺留品の見分等々、まだまだ課題が残されております。御家族方々へのきめ細かなサポートがこれからも必要だというふうに思いますけれども玄葉大臣、いかがでしょうか。
  5. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) おはようございます。  徳永委員がおっしゃるとおり、昨年二月の二十二日、クライストチャーチ地震によりまして、邦人二十八名を含めて百八十五名の方々が亡くなられました。徳永委員が当時政務官で、現地対策本部長でいらっしゃったというふうに思います。改めて犠牲者方々の御冥福をお祈り申し上げたいと思いますし、被災者及び御家族支援にこれからもしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。  具体的に、外務省の中に、領事局家族支援チームというものを設置をして、連絡、相談のための担当者を配置しながら、本年二月の追悼関連行事への出席を含めて、犠牲者の御家族現地を訪問をされる際の各種の支援、そして先ほどお触れになられたニュージーランド側補償見舞金、そして遺留品返還などの手続の支援、そして事故調査にかかわるニュージーランド側よりの伝達内容情報提供などを実施をしてきているところであります。  私も、直接、特にこのビル倒壊原因についてしっかりと情報を伝えてほしい、究明してほしい、こういう話をしたこともございましたけれども、今後、こういったビル倒壊原因に関する王立委員会による公聴会の開催及び最終報告書提出が予定されています。しっかりと情報を正確に家族側お伝えをするなど、御家族の要望に応じて引き続き適切な支援をしてまいりたいというふうに考えております。
  6. 徳永久志

    徳永久志君 それでは、引き続ききめ細かなサポートをよろしくお願いを申し上げたいと思います。  現代外交を考えるときに、伝統的に日米、日中、日韓といった二国間関係の強化を通じてそれぞれの課題を解決するというのがありますけれども、もう一方で、国連に代表される国際的な枠組み多国間の枠組みを活用して重層的に課題を解決していくということが一つの特徴になっているというふうに考えています。  私たちが位置するこのアジア太平洋地域におきましても、幾つかの多国間の国際的な枠組みが存在をするところであります。  パネルを御覧をいただきたいと思います。(資料提示)  私たちが、特に特徴的なのが、なじみがありますのがAPEC、赤い枠で囲んだ部分であります。アジア太平洋経済協力と。これは、そもそも一九七八年に大平正芳総理環太平洋連帯構想を呼びかけたことがきっかけだと言われております。このAPEC加盟をする二十一の国と地域広域経済圏化を目指すものとしてFTAAPアジア太平洋自由貿易圏構想があります。こうした構想に向けて、例えば二〇一〇年の横浜APECでは、FTAAP実現に向けてTPPなど現在進行形の取組を発展をさせることが重要だと合意をされているところでもあります。  そこで、TPPについてお伺いをしてまいりたいと思います。  現在の政府立ち位置TPP交渉参加に向けて関係国との協議を進めている段階だということでありますけれども、基本的な部分をまず総理確認をさせていただきたいと思います。  TPP日本バラ色の未来を約束をする打ち出の小づちではありません。一方で、日本を破滅へと導く地獄への一里塚でもないと思います。TPPの実際の効果が発揮をされるのは恐らく十年、二十年先ということになるだろうと思いますけれども、その際に、日本国益にとってプラスか否かで判断をされるべきだというふうに考えています。  総理は、本委員会におきましても、再三にわたって何が何でもTPPに入るんだというわけではないということをおっしゃっておられますけれども、この点について総理の御認識確認をさせてください。
  7. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 徳永委員指摘のとおり、TPPFTAAPへの一つ道筋だと思います。まさに、貿易投資ルール作りアジア太平洋地域においてどういうものを定めていくかということでありますが、今御指摘のとおり、関係国交渉参加に向けて協議をさせていただいておりますが、その際、それぞれの国が我が国に何を求めてくるかということをしっかり把握をし、情報収集に努め、それを広く国民的な議論に供して、そして最終的には、もちろんこれは地獄に落ちるなんていうことを選択してはいけないわけでありますし、必ずしも全てがバラ色かどうかは分かりませんが、総合的に見て、我が国にとってあくまで国益視点に沿ってTPPについて結論を得るというのが基本的な姿勢であります。
  8. 徳永久志

    徳永久志君 次に、TPPメリットについて伺いたいと思います。  経済効果がよく議論をされます。昨年、農林水産省と経済産業省とが極端に偏った前提に基づいて試算を出しておりました。政府としては、今現在は、内閣府が示しましたおおむね十年間で実質GDPが二・七兆円増えるというものを採用しているというふうに理解をしているところであります。  しかし、私、個人的には、こうした数字で計算できる効果というものに余り大きな意味はないのではないかというふうに考えています。経済効果にはモデルには当てはまらない部分があって、そちらの方が重要な場合もあります。これからの国益プラスになる、今先ほど総理は御答弁されました。貿易投資ルール合意をされ、実施をされるならば、そのモデルに当てはまらない部分が重層的な効果として現れてくるのではないかというふうに考えているところであります。  TPPメリットを一言で言うならば、今ほど総理もおっしゃっていただきましたが、貿易投資ルール作りにあるというふうに私も考えております。  もう一度御答弁をいただきたいと思います。
  9. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 内閣府のモデルで一定の試算を出させていただいておりますけれども、これはあくまで今交渉参加している九か国を前提にしています。その後、我が国と同様にカナダやメキシコも交渉参加に意欲を持って今臨んでおりますので、そういう広がりを考えたり、あるいは、これは当然閉ざされたものではありませんので、APEC加盟のエコノミーが全て入れるように門戸は開いています。いずれ中国が入っていただくことも当然期待をされますし、その他の国も含めますと、まさにFTAAPへの道筋の中でそのルールメーキングにイニシアチブを持っていくということは、私は当面の試算よりもはるかに大きな効果が出てくるのではないかというふうに考えていますが、いずれにしても、関係国協議を今やっているところで、予断を持って今何か言う段階ではございませんけれども、そういう期待値もあるということは御理解をいただきたいというふうに思います。
  10. 徳永久志

    徳永久志君 そういう総理方針の下、今事前協議を進めているところでもあります。  昨年十一月の本委員会で私質問させていただいたときに、是非、事前協議段階から省庁横断型の特命チーム構成をして事に当たるべきだと申し上げてまいりました。みんなの党の方からも同様の提案がなされたところでもあります。  現在、どのような体制でこの事前協議に臨まれているのか、古川国家戦略担当大臣、御説明をいただきたいと思います。
  11. 古川元久

    国務大臣古川元久君) 今委員から御指摘がございましたとおりに、政府として全ての府省一体となって検討を進めて、我が国全体の視点から国益に立って判断をしていく。そのため、昨年末に省庁横断型の体制内閣官房に構築をいたしました。  具体的に申し上げますと、私が議長となって官房長官及び関係大臣構成員とするTPP交渉参加に向けた関係国との協議に関する関係閣僚会合設置をいたしまして、その下に、国家戦略担当内閣府副大臣であります石田副大臣議長として、官房長官を始めとする関係大臣構成員とします幹事会設置し、また政府代表を置くことといたしました。そして、幹事会の下には、竹歳内閣官房長官事務局長といたします総勢七十名規模の閣僚会合事務局を置いて、TPP交渉参加に向けた関係国との協議のために、その下に国別協議チーム設置をいたしております。そして、この国別協議チーム担当者が中心となって、内閣審議官を始めとして、関係省庁関係者一体として束ねて派遣して、協議情報収集に当たっているというところでございます。
  12. 徳永久志

    徳永久志君 そういう体制で今やっていただいているわけでありますけれども、昨年秋の段階で、TPP議論がなされたときによく言われたのは、政府情報提供不足をしている、説明不足だということを盛んに言われました。  ただ、参加国決め事として、オブザーバー出席は認めない、あるいは合意文書等参加国以外には開示をしないという決め事がある中で、その当時は事前協議にも参加をしていない、そういった段階説明不足だと言われても、かなり政府方々も御苦労をなされたのではないかと推察をいたします。  現在、TPP交渉参加国九か国との事前協議情報収集を一巡された段階だということでありますので、一巡してみて、その概略を、どのような結果が得られているのかについて古川大臣から御説明を願いたいと存じます。
  13. 古川元久

    国務大臣古川元久君) 九か国との協議が一巡いたしまして、既に基本的な支持が得られたと考えられる国、これ大体六か国がある一方、引き続き緊密に連携を取り合っていくこととなった国、これはオーストラリア、ニュージーランド米国でございますが、そういった国もございます。  こうした関係国との協議の結果得られた情報によりますと、例えば交渉妥結時期等につきましては、六月か七月に実質合意すべく交渉を加速化していると、そういった見方がある一方で、七月の合意は極めて難しいとか実質妥結時期は誰にも分からないと、そういった見方もあるなど、現時点交渉参加国間で共有された確たる見通しがあるわけではないというふうに認識をいたしております。  そのほかの情報についても、まとまっている部分もありますが、見受けられますけれども、そうでない部分、かなり多いというふうな印象を持っておりまして、これについては先日、党のPTなどでも紹介をさせていただいて、また外にもお伝えをさせていただいておりますけれども、こうした今までの協議を通じて知り得た情報についてはできる限り出せるものはお示しをさせていただくと、その上で、引き続き関係国との協議を通じて各国我が国に求めるものについて更なる情報収集に努めて、そして十分な国民的議論を踏まえて、あくまで国益視点に立ってTPPについて結論を得てまいりたいというふうに考えております。
  14. 徳永久志

    徳永久志君 それでは、具体的に二点余りお聞きしていきたいと思います。  その前に、ちょっと総論部分をもう一度総理確認をさせていただきます。  まず、このTPPを含めて経済連携に関する大方針として、包括的経済連携に関する基本方針がございます。これは、センシティブ品目について配慮を行いつつ、全ての品目自由化交渉対象とし、交渉を通じて高いレベル経済連携を目指すというものであります。ここでポイントとなりますのは、センシティブ品目への配慮と全ての品目自由化交渉対象とするという関連性だと思います。  総理はこの点について、本委員会答弁におきまして、まずは勝ち取るべきは勝ち取り、守るべきは守ると述べた上で、国民保険を柱とした医療制度日本伝統文化、美しい農村が壊されることはあってはならない旨のことを述べておられるところであります。私なりに解釈をさせていただきますと、私の記憶が間違いでなければ、例えばガット・ウルグアイ・ラウンドの際にも、最初に全品目テーブルにのせた結果、米の自由化がなくなったという事例から分かりますように、まずは全品目交渉テーブルにのせる、そして医療伝統文化、美しい農村、守るべきものを守るということを目指していくというふうに理解をしているものでありますけれども総理の御見解をお願いをいたします。
  15. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) TPP交渉への参加に当たりましては、全ての品目交渉対象とすることが求められるというふうに考えておりますけれどもセンシティブ品目関税の実際の扱いについてはその交渉の中で決まっていくものと承知をしています。  政府としては、先ほど徳永委員が御指摘のとおり、一昨年の十一月に取りまとめました包括的経済連携に関する基本方針に基づきまして、センシティブ品目について配慮を行いつつ、全ての品目自由化交渉対象とし、交渉を通じて高いレベル経済連携を目指す、これが基本的な方針であり、姿勢でございます。その上で、私の言葉も引用していただきましたけれども世界に誇る日本医療制度日本伝統文化、美しい農村、そうしたものは断固として守り抜き、そして勝ち取るものは勝ち取るべく、まさに国益を最大限に実現をするために全力を尽くしていきたいというふうに考えております。
  16. 徳永久志

    徳永久志君 そこで、今総理お触れになられました関税撤廃原則についてであります。TPPというのは全品目関税撤廃原則ということでありますけれども、この点、この原則について事前協議で得られた情報はどのようなものにあるのか、古川大臣にお聞きします。
  17. 古川元久

    国務大臣古川元久君) お答えいたします。  関税撤廃原則につきましては、長期の関税撤廃などを通じていつかは関税をゼロにするというのが基本的な考え方であるという意見や、全品目関税撤廃原則他方、全品目テーブルにのせることは全品目関税撤廃と同義ではないと、そういう話や、九〇%から九五%を即時撤廃し、残る関税についても七年以内に段階的に廃止すべしとの考えを支持している国が多数あると、そういう情報、またTPPは包括的な協定を目指しているという話、また包括的自由化TPP原則であり、全品目関税撤廃を目指して交渉を行っていると、こういった様々な意見があったというふうに承知をいたしております。他方で、センシティブ品目扱いや除外については、各国内容が異なる発言があったというふうに私どもとしては承知をいたしております。  こうした九か国との協議の一巡の中で、TPP協定において、最終的に即時撤廃がどの程度になるのか、また段階的にどれくらいの時間を掛けて撤廃するのかと、さらには関税撤廃の例外がどの程度認められるか等については、これは現時点では明らかでないというのが現状私どもが得た情報でございます。
  18. 徳永久志

    徳永久志君 要するに、まだ固まった状況ではないと。交渉の入口としては全品目関税撤廃ということでありますけれども、出口の部分最終結論で全品目関税撤廃されるとは今のところは限らないというような状況だというふうに理解をさせていただきます。  次に、このTPPで懸念される点としてよく出されますのが、混合診療が全面解禁されて公的医療保険を受けられる範囲が縮小されてしまうのではないかという部分でもあります。この公的医療保険について、事前協議段階でどのような情報となっておりますでしょうか、古川大臣お願いします。
  19. 古川元久

    国務大臣古川元久君) この点については、アメリカから要求されるのではないかと、そうした懸念が示されているわけでございますが、二月七日に行いました米国との協議におきましては、米国側から、公的医療保険制度を廃止し、私的な医療保険制度に移行する必要があるとの情報も流れているようだが、米国が他のTPP交渉参加国にそのようなことを要求していることはないと、そうした旨の発言がございました。
  20. 徳永久志

    徳永久志君 そもそも、医療のようなサービス分野の交渉では、サービス貿易に対する無差別待遇などのルールを定めるとともに、市場アクセスの改善でありまして、各国が国内の規制や制度をつくり運営することを妨げるものではないというふうに理解をいたしております。WTOのサービス貿易に関する一般協定、GATSにおきましても、公的年金や社会保険制度は適用の対象から除外をされているというふうに理解をしております。  したがって、TPP交渉において、日本医療保険制度の変更を迫られることはないのではないかと私は理解するものでありますが、古川大臣の見通しをお聞かせください。(発言する者あり)
  21. 古川元久

    国務大臣古川元久君) TPP協定交渉におきましては、先ほどもちょっと米国の話も申し上げましたけれども、現在、営利企業の医療参入や公的医療保険制度の在り方そのものについては議論対象となっていないというふうに承知をいたしております。  また、三月一日に東京で開催された米国アジア・ビジネスサミットにおいてカトラー米国通商代表補が、TPP日本や他の国に自国の医療保険制度の民営化を強いるものではない、混合診療を含め、民間の医療サービス提供者を認めることを要求するものではない、そうした趣旨の発言を行っていたものというふうに承知をいたしております。  この国民保険制度の意義というのは、これは国民が平等に一定の負担割合で有効性、安全性が確立された医療サービスを受けることができることにあるというふうに考えております。今後、この交渉の中で関係国から新たな提案がなされる可能性も排除されるわけではありませんけれども、仮に交渉参加した場合に、これは交渉の中で国益を最大限追求することは当然のことでありまして、この国民保険制度を守るということは総理も最初のところからずっと申し上げていることでございますので、我が国の安心、安全な医療が損なわれないように対応してまいりたいというふうに考えております。
  22. 徳永久志

    徳永久志君 よろしくお願いをしたいと思います。  ここで確認をしておきたいのは、先ほどちょっと後ろの方からも話がありましたけれども、よく米韓FTAの話も出されます。あるいは、米国との交渉において本当に大丈夫かという声も上がっております。TPPというのは多国間、マルチの交渉でありまして、二国間、バイの交渉ではないということであります。  すなわち、九か国が参加する交渉においては、たとえアメリカとはいっても一国の国内制度やルールがそのまま共通の制度やルールになるということは考えにくいのではないかと。アメリカとの関係でいえば、日米二国間で議論する課題と、TPPという多国間で議論する課題というのは明確に区分けがなされて行われるものだというふうに理解をしているところでもあります。  こうした多国間、二国間の交渉の違いを含めて、この辺りについて玄葉大臣の御見解を賜りたいと存じます。
  23. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 今、米韓FTAの話がございました。私は、二国間のFTAとはいえ、米国が直近で結んだFTAですから、やはり参考になると思います。  ただ、おっしゃるとおり、マルチとバイが、じゃ同じかといえば、それは違うところが当然出てくると。それは徳永委員が今おっしゃったとおり、自国に有利なルールを一方的に押し付けるということについて、それを行いにくいという側面はあると思います。つまりは、例えば我々が仮に一旦交渉に入ったときに困難な要求を突き付けられ、そのときに共通の利害を有する国と共に交渉する、そういうことは当然出てくるわけです。これは対米だけではない、むしろ日米で組んで交渉する場合もあるわけでありまして、そういう意味でバイとマルチは当然違ってくるということだと思います。
  24. 徳永久志

    徳永久志君 ここまでちょっとまとめさせていただきますと、TPP一つ道筋とするFTAAPを通じて、このアジア太平地域において地域を律するルール貿易投資ルール作りに参画していく、そのことが日本にとって死活的に重要な問題になるということを是非確認をさせていただきたいと思います。(発言する者あり)
  25. 石井一

    委員長石井一君) 御静粛に願います。
  26. 徳永久志

    徳永久志君 続きまして、日本は言うまでもなく海洋国家であります。資源の多くを中東等に依存する以上、いわゆるシーレーンの確保であるとか、あるいは安全確保というのは大変重要な課題となっております。また、海はアジア太平洋をつなぐ公共財という言い方もできるかと思っています。先ほどは、TPPなどにおいて貿易投資ルールを作っていくべきだと申し上げましたけれども、もう一つアジア太平洋地域において考えていかなければいけないのは安全保障、特に海洋、海の安全だというふうに考えているところであります。  現在、アジア太平洋、特に東シナ海及び南シナ海の安全保障環境について、海の安全も含めて、現状認識玄葉大臣にお聞きしたいと思います。
  27. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 一言で申し上げれば、我が国を取り巻く安保環境は厳しさを増しているというふうに思っています。つまりは、北朝鮮による大量破壊兵器、そして弾道ミサイル開発は我が国に対する脅威というふうに言ってよいと。また、中国の透明性を欠いた国防力の増強、特に内訳が分からないといった面がある、そういったことについて私は指摘をしなければならない。  特に、今、東シナ海、南シナ海という話がございましたけれども、南シナ海は、あえて幾つか申し上げますけれども、一昨年の九月以降、中国の漁業監視船の尖閣周辺の頻繁な航行、そして中国海洋調査船、これはEEZの中で我が国に同意なく海洋調査と疑われる活動を行っている事例、あるいは中国海軍艦艇が沖縄本島と宮古島の間の公海上を東シナ海から太平洋に向けて通過する活動、こういったことが見られると。また、南シナ海でありますけれども、いまだに領有権の確定していない島、そして境界未画定の海域、こういったものが存在することは御存じのとおりでありますけれども、まさにこの領有権を主張する国の間で資源探査などをめぐって緊張が高まる事例が発生をしているということでございます。  これらは、アジア太平洋地域の平和と安定に直結する国際社会共通の関心事項であるというふうに思っておりまして、この地域のシーレーンの安定は、我が国のみならず地域の経済活動に直結をする重要な問題であるというふうに考えております。
  28. 徳永久志

    徳永久志君 厳しい現状認識玄葉大臣から御説明をいただきました。  ここで、気になる点を一つだけ、ちょっと外れるかも分かりませんけれども、昨年八月に中国の空母ワリャーグが初めて試験航行を実施をし、中国の空母運用計画が本格的に動き出すのではないかと言われております。さらに、中国は、ほかの用途の船だったのを改修をしてワリャーグという空母を造ったわけですけれども、上海の造船所では国産の空母の建造にも着手をしているという言い方もされております。  中国が空母を保有をし運用するとなりますと、地域の安全保障環境にどのような影響があるというふうに分析をされておられるのか、田中防衛大臣に伺いたいと存じます。
  29. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 中国の空母保有の影響についての御質問でございますが、中国は中古空母ワリャーグの改修やその試験飛行、艦載機パイロットの育成など、空母保有に向けて必要な技術の研究開発を進めてきていると認識をいたしております。  他方、中国は、これまで空母保有の具体的な目的や今後の建造、配備計画等を明らかにしておりません。このような中国の軍事や安全保障に関する不透明性は、我が国を含む地域、国際社会の懸念事項となっております。中国には、国際社会の懸念を軽減するためにも、空母保有の具体的な目的等を含めた各種の情報開示を通じて軍事に関する透明性の向上を図ることを期待されております。  今後とも、中国による空母の保有が地域の安全保障環境に及ぼす影響も含め、中国軍の近代化の動向につき引き続き注目するとともに、日中防衛当局間の海上連絡メカニズムの構築など、不測の事態回避や信頼醸成を図っていくことが必要であると思っております。
  30. 徳永久志

    徳永久志君 大臣おっしゃいましたけれども、中国の空母が例えば南シナ海を担当をする部隊に編成をされた場合には、やはりその地域の紛争国に対して圧倒的な軍事力というものを誇示することになって、それがひいては地域の軍拡競争に結び付くのではないかという懸念もするところでもありますので、是非そういった部分の透明化につきましても求めていただきたいというふうに思います。  これまで、海洋の安定、海の安定につきましては、グローバルに海軍力を展開できる唯一の国でありますアメリカと利益を共有をする日本を含めた国々が協力することによって保たれてきたという側面があるというふうに思います。しかしながら、このアジア太平洋地域でも、周辺海域への進出を究める中国の行動様式というものは、既存のそういったものとは相入れない部分も少なからずあるというふうに思います。だからこそ、こういった部分について認識を共有する多国間でこの問題について議論を重ね合っていくということが重要だと思います。  もう一度パネルを御覧をいただきたいと思いますけれども、この濃い紺色で囲んだ部分、ARF、ASEAN地域フォーラムというのがあります。これもしっかりとこの部分についての議論をこの枠組みの中で行っていこうということだろうというふうに思っておりますけれども、こうしたARFの場において海洋の安全についてどのような議論がこれまでなされていて、どのようにされていこうとされるのか、外務大臣にお聞きしたいと存じます。
  31. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 今、徳永委員がお示しをいただいたこのARFというのは、先ほどAPEC、まさにこれ経済の枠組みを御紹介いただいたわけでありますけれども、ARFは御存じのように政治、安保の政府間の枠組みで最も広い枠組みでございます。これらを有機的にそれぞれ活用していくことが大切であるというふうに思っています。  まさにどのようなことが行われたかという事実関係だけ申し上げれば、昨年七月にARFで閣僚会合が開かれましたけれども、海洋に関する問題が活発に議論されたということでございます。これはたしか〇二年だったと思いますけれども、南シナ海に関する行動宣言、デクラレーションのDでありますけれども、DOCができたと。  これから大切なことは、COC、次の段階に進んでいくことだと。今度は具体的にガイドラインを作って宣言にとどまらず行動していく、そしてまさに国際法を遵守していく、そういったルールにのっとった行動を取っていく、そのことを具現化する、そのことが大切であるというふうに考えております。
  32. 徳永久志

    徳永久志君 ありがとうございます。  中国のことをずっと特出しをして話してまいりましたけれども、もちろん海洋をめぐる中国の政策の全てが非妥協的で高圧的であるというわけではありません。国際社会の安定のためにその力を振り向けていることもまた事実でありまして、例えば、アデン湾での海賊対処活動に対する評価というものには高いものがあるというわけでもあります。要は、中国がその増大する国力を地域の安定、国際システムの安定に振り向けるようにしていくということが重要だと思います。  海洋は、アジア太平洋地域を結ぶ公共財ということであります。ですから、資源やエネルギーと領土をめぐる紛争の予防あるいは平和的解決、航行の自由の保障といったルールを絶えず確認をして、そして必要なら新たなルールを作っていくと、そういったことを例えばこのARFの場などを活用しながら進めていくことが必要だというふうに思っておりますけれども総理の御見解をお伺いしたいと存じます。
  33. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 徳永議員の御指摘のとおり、アジア太平洋地域を連結する公共財が海洋であるという認識は、まさにそのとおりだというふうに思います。  その上で、私も、昨年の十一月に開催されました東アジア首脳会議、EASですね、これバリで開催されましたけれども、この会議において、紛争の平和的解決、航行の自由、国連海洋法条約を含む国際法の遵守といった海洋に関する基本的なルールの重要性について参加国の間で共有されるべきとの趣旨を強調をさせていただきました。その会議において採択された首脳宣言には、我が国の働きかけも踏まえまして、国際法の遵守や尊重や紛争の平和的解決といった原則確認をされた次第であります。先ほど御指摘をいただいているARFであるとかこういったEASであるとか、こういう国際会議を通じて海洋に関する取組を積極的に我が国も主導していきたいと考えております。
  34. 徳永久志

    徳永久志君 今、海洋の安全についてもしっかりと取り組んでいきたいという総理の御答弁をいただきました。  アジア太平洋地域には、中国を筆頭にいわゆる新興国が多数存在をします。こうした新興国は、増大する国力、勢いというものを背景にして、これまでの既存のルールや規範、制度を変更させようとする圧力を加えてくるということも考えられるんだろうと思います。そうした新興国の力、勢いを取り込みながら、安定した地域秩序をいかに形成をしていくのかが問われているんだろうというふうに思っております。  ここまで、TPPを通じて貿易投資ルール作りをしよう、また、ARFなどの場を通じて海洋の安全、海の安全を中心に安全保障のルールを考えていこう、必要ならばその新しいルールを作っていこうということを述べてまいりました。そして、この二つのルール確認をし作っていくことによって、日本が位置するアジア太平洋地域の平和と安定、そして繁栄の土台、基礎をつくっていこうというふうに考えているところであります。  総理は、財界人との会合の席だったでしょうか、アジア太平洋憲章を制定をしたいということを述べられたという記事を読みました。まさしく、あのチャーチルとルーズベルトが大西洋憲章を制定をしたように、やはりこのアジア太平洋憲章を制定をして、そして特にその根幹となる貿易投資ルール作り、そして海の安全の部分をしっかりとした上でのアジア太平洋憲章を制定をして、そして地域の平和と安定、繁栄の土台をつくっていくということを日本が主導していくべきだというふうに考えていますけれども、是非総理のアジア太平洋憲章構想について御披露いただきたいと思います。
  35. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 憲章という言葉を使うと引く人もいるかもしれないので、余り憲章という言葉は、その場で使ったかどうかはちょっと分かりませんが、考え方の御説明をしたんです。  それは、一つは、アジア太平洋地域というのは大きなチャンスのある地域です。そこで貿易投資ルール作りルールメーキングに深くかかわっていくことの意義は大きいということ。それからもう一つは、さっき委員から御指摘のとおり、海洋をめぐるルール、これも大事です。アジアの東端に存在し、太平洋の西端に存在し、アジア太平洋地域においては要である日本がこういう様々なルールメーキング、秩序づくりに主導的にかかわっていくことは極めて意義が大きいと思います。  ルールというのは、チャンスをつくるためのルールもあると思います。ピンチに備えてのルールもあります、安全保障上のいろんなルール。それからもう一つは、やっぱり低炭素型社会をつくっていくということもこれは日本がイニシアチブを取っているわけで、そういう様々なルールとか秩序をつくっていく上で、当然日米連携しながら、当然中国にも入ってもらいながら、広く参加を呼びかけながらそういうルールメーキングをしていくことの意義は大変私は大きいと思いますし、そのことは先般の施政方針演説でも触れさせていただいたことでございますので、しっかりそのことは追求をしていきたいというふうに思います。
  36. 徳永久志

    徳永久志君 ありがとうございます。  この四月のゴールデンウイーク前後には訪米をされる予定もあるというふうにお聞きしておりますので、是非その辺りをしっかりと野田ドクトリンという形でオバマ大統領とも共有をしていただくようにお願いを申し上げたいと思います。  それでは、古川大臣にはこれ以上質問ありませんので、御退席いただいて結構でございます。
  37. 石井一

    委員長石井一君) 御退席願います。
  38. 徳永久志

    徳永久志君 続きまして、話題を変えまして、松原拉致担当大臣にお越しをいただいておりますので、若干お聞きをしておきたいと思います。  松原大臣とは長い付き合いをさせていただいておりまして、まさしく国会へ議席を得られてから一貫して拉致問題の解決に向けて精力的に取り組んでおられるところであります。そして、今回、拉致問題担当大臣に就任をされて、家族会の方々からも大変な期待を受けておられるということでもありますので、是非、精力的なお取組を期待をしたいというふうに思っております。  そうした中で、就任をされて二か月が経過をしているわけでありますけれども、その際、様々な形で北朝鮮に対してメッセージを発出をされてこられました。それを是非、概括する形でこの場で御説明をいただきたいと思います。
  39. 松原仁

    国務大臣(松原仁君) 徳永委員にお答えをいたします。  本年の一月十三日に、野田総理から、スピード感を持って北朝鮮側と接触をし、そして実効性ある対話を行い、拉致問題の早期解決を目指すべきだという御指示をちょうだいいたしました。その後、様々な機会に北朝鮮側に対して幾つかのメッセージを記者会見等を通じて発してきたところであります。  その全てをこの場で申し上げることはなかなか時間的に申し上げられませんが、幾つか代表的なメッセージとして申し上げたことをお伝えしたいと思いますが。二月十七日の予算委員会においては、総理出席のこういった集中の審議でございましたが、その場面において、総理の御発言で、拉致問題の解決なくしては日朝国交正常化はあり得ない、これは基本方針であります、明確にしておきたいという御答弁総理からなされました。それを受ける形で、私は、この場で申し上げたことは、拉致問題は風化をしないと、この問題は、その関係者がいらっしゃるうちがその問題解決が可能性のある時期であって、関係者が本当におられなくなってしまったらばこの問題は永劫に解決することはできないだろうと。ということは、総理のこの段階における答弁とかみ合わせれば、文脈上、極めて北朝鮮はこの問題を重大視して、日朝国交正常化が必要だと思うならば早期に解決をするべきだということを私はこの二月十七日に申し上げました。  その後、記者会見で私が幾つか申し上げたことは、三月二日の記者会見では、我々は従来から、拉致被害者は生存している、全員の帰国が必要であるということを主張してまいっております。しかし、仮に北朝鮮が、再調査の結果、彼ら、つまり北朝鮮が既に死亡しているとしていた方々が実は生存をしていたという従来の主張を変えたとしても、それは新指導者の下に拉致問題の解決への前進と考えると、あえて批判することなくそれは前進と考えるということで、一つのメッセージを発出をしたところであります。  また、私のこの予算委員会発言等を含め、北朝鮮の朝鮮中央通信が個名を挙げて批判をしてまいりました。そのことに関して、私は、日本側に例えれば、人道支援理解を示すならば、それは拉致問題の前進、拉致問題の一定の解決というものが不可欠だろうというふうに申し上げました。拉致問題の全く解決に向けた進展が見られない段階では人道支援は極めて困難であり、この進展が多くの関係者合意の中で一定の解決が見られたとされる状態になれば、それは人道支援が可能になるだろうということをあえて踏み込んで発言をしたわけであります。  さらに、この北朝鮮のミサイル、いわゆる衛星発射の今回の事案に関しては、今回の打ち上げについては、国連決議違反になる指摘もある中、北朝鮮が国際社会に受け入れられるためには自制的行動を取ることが求められると、このように発言をしたところであります。
  40. 徳永久志

    徳永久志君 もうちょっと時間が参りましたのでこれで終了をさせていただきますが、日ロ関係についても大臣にお聞きしたかったんですけれども、申し訳ございません。  それでは、以上で終わります。ありがとうございました。
  41. 石井一

    委員長石井一君) 以上で徳永久志君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  42. 石井一

    委員長石井一君) 次に、川上義博君の質疑を行います。川上君。
  43. 川上義博

    ○川上義博君 おはようございます。  今日、冒頭に、通告はしておりませんですが、野田総理が二十四日の都内の講演で発言されているんですね。消費税増税の法案について、これがうまくいかなければ、政治生命を懸けてやるんだと、命を懸けてもやるんだということがありましたが、私は、野田内閣の終えんというのは民主党の終えんだと思っているんですよ。だから、党内で今こそ一致結束をしなければいけない時期だと思っているんです。これは本当にそう思っているんですね。だから、党内でのいろんな議論はありますけれども、最終的には野田内閣の下で一致協力するということは私は必要なことだと思うんですよ、絶対的に。  だから、そういった意味で総理にお伺いしたいんですけれども、政治生命を懸けるということは、私の常識からいえば、あるいは世間の常識なんですけれども、これは、駄目であれば解散か総選挙なんですね。これはどうしてもそのように理解せざるを得ないんですけれども、その辺りは総理、御認識はどうでございますか。
  44. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 私ども内閣の最大の使命というのは、復興であり、原発事故との戦いであり、日本経済の再生であるということはずっと申し上げてまいりましたが、一方で、大震災が発災する前からの大きな課題としてこの一体改革があったというふうに思います。  その一体改革については、昨年八月末の民主党の代表選挙の際に私は最優先の公約として掲げさせていただきました。したがって、民主党の掲げているマニフェストも、これは一つ一つ、いろんな余りにも限界が出てまいりましたが、丁寧に国民の生活第一という観点から実現をしていく、この姿勢は持ちながらも、一方で、私は、民主党の多くの同志の皆さんに、それは当然、背景として国民の皆様がいらっしゃる中で公約として掲げたことでございますので、その意味で、常に不退転の決意でこれを実現しようと思っていることは改めて皆様に御理解をいただきたいと、そういう趣旨の下で講演をさせていただいたということでございます。  当然のことながら、こうした思いを皆様に共有をしていただきながら、これまでの素案、大綱もその思いの共有の中でみんなで知恵を出してまいりました。引き続き、同じようにみんなで一緒にこの法案を提出をして成立に向けて努力をしていきたい、そのように強く思っている次第であります。
  45. 川上義博

    ○川上義博君 これ以上、与党でありますから余り総理にこれ以上言いませんけれども。  次に、今度、今夕、核セキュリティ・サミットに出席されますね。今夕、セキュリティ・サミットに出席されるんですね。そこで、当然、我が国は、広島、長崎経験しているわけなんで、福島も経験しているわけなんですね。だから、この核に対する強い意思を表明したメッセージを出す必要があると思うんですね。その辺りは総理、どのようなメッセージを考えていらっしゃいますか。
  46. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 核セキュリティ・サミット、ソウルで開かれますが、今日のこの予算委員会集中審議が終わった後にソウルに向かいたいというふうに思っています。  その際に、特に私の方からメッセージとして打ち出したいと思っていることでありますが、これは川上委員指摘のとおり、唯一の戦争で被爆国となった日本でありますので、核兵器のないそういう安全な世界実現に向け、国際社会の先頭に立ってこれまで核軍縮に取り組んでまいりました。その姿勢というものを改めて打ち出すと同時に、また、今般の原発事故は自然災害に起因するものでありますけれども、核テロの観点からも、原子力施設の脆弱性が浮き彫りになったと思います。そのことの認識とこれらの我が国の経験を踏まえまして、今回のサミットにおいては、事故から得られた知見と教訓を核セキュリティー強化のために国際社会と共有していくことが日本の役割と考えております。  また、我が国自身が核セキュリティー強化のために国内でとってきた一連の具体的な措置を説明をしたいと思います。  さらに、核テロの脅威はグローバル化しており、国際的な協力が不可欠である、こういう観点から、今回のサミットにおいては、我が国が開設をした核不拡散・核セキュリティ総合支援センターの実績などを踏まえて、更なる国際協力と関係国との連携強化のために具体的なイニシアチブを示したいと思います。  また、先般、国会で決議がございましたので、北朝鮮が予告した人工衛星と称するミサイルの発射について、我が国から北朝鮮が発射を行わないよう強く自制を求めていること、時間の制約はありますが、今回のサミットの場も、本件について我が国の考え方を多くの国々と共有できるように働きかけを強めていきたいと考えております。
  47. 川上義博

    ○川上義博君 先ほど徳永議員の方からアジア太平洋憲章の話がありましたが、このアジア太平洋の新たな地域協力の在り方ですね、先ほどルールメーキングとおっしゃったんですけれども、その中身をアメリカの大統領、今年の春に行かれるのであれば、その考え方をアメリカの大統領に表明されるのかどうか、それをお伺いしたいと思います。
  48. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) まだ訪米の時期が固まっているわけではないんです。今調整中です。もし訪米可能になったときの成果物の出し方の文書、これもまだ固まったわけではございませんが、私の思いとしては、先ほど徳永委員とのやり取りがあったように、日米がしっかり連携をしながら、アジア太平洋地域における、ピンチを切り抜けるためにも、チャンスを切り開くためにも、いろんな秩序とルール作りがあると思います。そこはしっかり共同してやっていこうと。  当然、その後に中国等に門戸を開きながら、そのルールに多くの国々に参加してもらうことが望ましいんですが、そういう主導的な役割を果たしていこうという思いは、どういう形にするかどうかは別として、議論はさせていただきたいなと思いますし、日米同盟を深化させる、それは安全保障、経済、その面もあるし、文化・人的交流もあると思います。そういう観点からも議論を行っていきたいというふうに思っております。
  49. 川上義博

    ○川上義博君 野田ドクトリンという表現がありましたが、先ほど、これは一説によると対中封じ込めという見方も一方であるわけなんですね。対中封じ込めじゃないのかというこの見方に対して、中国側にどのような説明理解を求めていかれるんだろうかという心配があるんですね。その先に中国訪問、訪中はお考えになっているかどうか、その後ですね、ということをお伺いしたいと思います。
  50. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 決して封じ込めということを考えているわけではございませんし、ちょうど日中国交正常化四十周年というこれは大きな節目の年でございますので、私は、かねがね中国の発展は日本にとっても地域にとってもチャンスであると申し上げてまいりました。そうした観点から、戦略的互恵関係も、これも深化をさせていかなければいけないと思います。  訪中の時期は、これは五月中旬になると思いますが、日中韓のサミットがございます。その際に、既に投資協定についてはもう実務的に協議が終わりましたので、今度は日中韓のFTAの交渉スタートの議論になると思います。というように、ルール作りというのは別にアメリカだけとやるわけではなくて、日中韓というこの大きな枠の中でも議論をさせていただきますので、決して封じ込める意図は全くございません。
  51. 川上義博

    ○川上義博君 それでは、防衛大臣にお伺いしますが、来月、北朝鮮がミサイル、人工衛星と称していますけれども、発射をすると。この発射に対して破壊措置命令をいつ下命されるのか、命令を出すのか、そしてこの命令は、措置命令というのは自衛隊法八十二条の三の一項なのかあるいは三項なのか、どちらの命令でしょうかということをお伺いしたいと思います。
  52. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 破壊措置命令の発出に関する御質問でございますけれども防衛省・自衛隊としては、北朝鮮がいわゆる地球環境衛星を発射した場合に備え、国民の生命、財産の安全を確保するため万全の措置をとることが必要と考えております。  このような観点から、防衛省・自衛隊としては、数次にわたる関係幹部会議を開催をいたしました。現在、PAC3やイージス艦の展開について、平成二十一年度の例を踏まえつつ検討を行っているところでございます。私は、国民の心配がないように、近々準備命令を出したい、そしてまた、その後速やかに、先生言われるように、破壊措置命令を出すことを決断をしたいと思っております。  また、この手続でございますけれども我が国に弾道ミサイル等が飛来するおそれがあるときには、防衛大臣は自衛隊法第八十二条三項一項に基づき、内閣総理大臣の承認を得た上で自衛隊に弾道ミサイル等破壊措置を命ずることができるわけでありますが、しかし、事態が急変し、総理の承認を得るいとまがない緊急の場合に、先生がお話のありました、防衛大臣が自衛隊法第八十二条の三の三項に基づいてあらかじめ内閣総理大臣の承認を得て、緊急対処要領に従い、改めて総理の承認を得ることで自衛隊に破壊措置を命ずることになるわけでございまして、今回も前回の例を参考にして対処したいと思っております。
  53. 川上義博

    ○川上義博君 前回のことも参考にしてということは、まあ三項の命令というのが多分可能性が高いということだろうと思いますが、そこで、三項の緊急対処要領、この概要と手続はどのようになっているのかということをお伺いしたいと思いますが、今回も石垣だとか沖縄の周辺にPAC3を配備するという話でありますが、首都圏は配備するというお考えがあるのかどうか、併せてお伺いしたいと思います。
  54. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 緊急対処要領の概要についての御質問だと思います。  自衛隊法第八十二条の三の第三項が緊急対処要領でございますが、事態が急変し同条第一項の内閣総理大臣の承認を得るいとまもなく我が国に向けて弾道ミサイル等が飛来する緊急の場合において、自衛隊の部隊が弾道ミサイル等の破壊に対処するための要領でございます。  同第三項では、あらかじめ、防衛大臣が緊急対処要領を作成をいたしまして、内閣総理大臣の承認、閣議決定をしていただきまして対処するわけでございます。緊急対処要領では四項目などを規定をしておりまして、防衛大臣が同条第三項に基づき命令を発出できる場合、あるいは措置の対象とする弾道ミサイル等の範囲及びその破壊方法、そしてまた、措置を実施する自衛隊の部隊の行動の範囲、あるいは関係行政機関との協力に関する事項などについて規定をいたすところでございます。  先生のお話のあります首都圏においても、ペトリオットを考えているかということでございますけれども、前回の例に倣いまして、やはり首都圏においてもこの配備をしていくということは同様の考えで今進めておるところでございます。
  55. 川上義博

    ○川上義博君 先ほど沖縄のことを言いましたが、沖縄は長いですね。だから、そのどこにロケットが飛翔していくかというのを、やはり大体予測できるわけですね。だから、そこで配備をするという可能性が高いと思うんですけれども、今具体的にどこにどう配備するかというのはどのようになっていますか。
  56. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 沖縄を含む南西諸島に飛来すると、こういうことが予想されております。  御存じのとおり、その地域におきましては、皆さん方の安全、安心を確保するためにペトリオットPAC3は配備をしていくと、これは報道でも出ておりますけれども、そのような方向で今意見交換、そしてまた内々の準備を進めてきておるわけでありますが、当然自治体の皆さん方によく御説明を申し上げて、そして御了解を得ながら、その準備をこれから防衛省として、そしてまた私として準備命令を出させていただくということになると思いますし、緊急対応ということで、その準備が滞りなく行われるべく今進めてきておるということを御理解をいただきたいと思います。  沖縄を含めて南西諸島の配備ということも念頭に置いておるところでございます。
  57. 川上義博

    ○川上義博君 次に、南スーダンPKO、のことでお伺いしますが、先週も議論があったんですけれども、ジュバあるいはその周辺での活動に今限定しているのは武器使用制限が不十分だからではないのかなと。ジュバ以外での活動を求められた場合は、この武器使用制限を見直す必要があるのかないのかということを大臣にお伺いしたいと思います。
  58. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 武器使用権限が制限されておるということで、今のジュバの地域を決めておるわけではございません。  御存じのとおり、昨年の十二月、国連からの要請もございまして、数回現地視察をいたしまして、施設部隊等を派遣することを閣議決定をしたところでございます。その実施計画の中に、やはり当面はジュバでの活動を期待しているという国連側の発言もございました。また、施設活動のニーズあるいは部隊展開、後方支援、衛生環境等検討した上で、ジュバを拠点といたしまして、今第一陣が参りまして宿営地の整備をしておるわけでありますが、近々また第二陣を派遣をするわけでありますが、まずジュバを中心としてその任務を果たしていただくということでございますので、この実施計画に基づいて、今武器使用権限は現状のままで対応できると、こういう判断で派遣をいたしておるところでございますので、決して武器使用の権限の制約によってこの派遣が狭められておるということではございません。  さらに、活動についてはまた新たな展開の中で検討されるものと理解をいたしております。
  59. 川上義博

    ○川上義博君 ジュバ以外で要請されたら。
  60. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) ジュバ以外に要請されましたら、また政府全体として検討をしていければと思っております。
  61. 川上義博

    ○川上義博君 だから、ジュバ以外であれば、部隊だとか治安だとか兵たんとか、そういったものを検討してやるということでありますけれども総理、いろんな武器使用制限の見直しが今議論されているのでありますけれども、見直す必要があると、やはり武器使用制限はね。協力法を見直すんだというお考えがあるのかどうか、少しお伺いしたいと思います。
  62. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) PKO法につきましては、国際平和協力業務の範囲及び従事する自衛官の権限を含めまして、国連PKO等に対する協力の在り方全般にわたりまして法改正の要否を含め今検討を行っているところでございます。  したがって、現時点で具体的に何をどうするか、今、特に武器使用権限に限ってのお尋ねがございましたが、現時点で、今その内容について具体的に申し上げる段階ではございません。
  63. 川上義博

    ○川上義博君 次に、オスプレイ、先日も議論になりましたが、この配備に関して、アメリカの方は基地内で環境影響評価を実施すると、国内では簡易な環境レビューしか行わないという問題の指摘が何度か指摘されたんですね。このことについて、防衛大臣、どのようにお考えになっていますか。
  64. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) オスプレイの配備に伴う環境評価についての御質問ですが、米国内における環境影響評価については、国家環境政策法に基づき必要な場合、環境影響評価を行うことが義務付けられていると承知をいたしております。  一方で、米国外において、ホスト国の主権との関係から国内法である国家環境政策法は適用されませんが、一定の場合には米国政府は国外においても環境への影響を適切に検討、評価する環境レビューというものを行っているということを承知をいたしております。  環境レビューにおいては、米国内における環境影響評価と同様、環境への重大な影響が認められた場合は影響を緩和するための適切な措置が講じられるものと承知をしておるところでありまして、オスプレイのことでございますけれども我が国の環境影響評価法では、一般に我が国国内の飛行場において離着陸する飛行機の機種の変更は環境影響評価の対象とはされておりません。したがって、普天間飛行場へのオスプレイMV22配備については環境影響評価は必要にはなりません。  いずれにしても、引き続き得られた情報を基に関係自治体の方々が安心できるよう丁寧に誠意を持って御説明してまいりたいと私は考えております。
  65. 川上義博

    ○川上義博君 先ほど、環境レビューにおいて環境への重大な影響が認められた場合とおっしゃったんですけれども、環境への重大な影響というのは具体的にどんな場合でしょうか。
  66. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) この環境への重大な影響というのは、やはり特に皆さん方が、地域の方が御心配されておりますのは騒音対策だと思っております。その点、やはり理解をしていただくように私も丁寧に御説明を申し上げたいと思いますし、アメリカからそのデータをしっかり入手して、そして誤りなき御説明をしていくことが大事だと思っています。  騒音においても、生活に更に影響がないように万全の体制をしいて臨みたいと思います。
  67. 川上義博

    ○川上義博君 F35Aの購入問題でありますけれども、購入がなかなか困難になった場合の影響、そしてその対応、これは前にあったんですけれども、防空体制に問題はないのかどうか、改めて、ちょっと私も曖昧だったものだから改めて具体的にお伺いしたいと思います。
  68. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) F35Aが予定どおりに納入されない場合の影響及び対応についての御質問ですが、今後、減勢していく予定のF4の後継であるF35Aはステルス性や状況認識能力に優れた機体であり、仮に納入が遅れた場合であって何らかの対応も行わない場合には、我が国周辺では多数の国が軍事力を近代化していることから、地域のいわゆるパワーバランスに影響を与える可能性があるというふうに考えております。  領空侵犯への対応も含め我が国防衛体制に万全を期していくためには、大綱に定められた戦闘機二百四十機体制を維持する必要があると考えております。このため、防衛省としては、当省の要求する期限までに提案内容どおりの機体が納入されることが必要と考え、全力を挙げてその対策に臨んでおるところでございます。
  69. 川上義博

    ○川上義博君 先般の話も、機体の単価が九十九億円よりも高くなるのではないかと。その場合は調達をどうするのかという議論がありましたが、先般の報道では、この機体が米ドルで一・五三億ドル、これは米軍の調達の単価というふうに報道されているんですけれども、このことと、日本が九十九億円で本当にいいのかどうか、これを改めてお伺いしたいと思います。
  70. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 機体単価が高くなった場合の対応についての御質問ですが、今般の選定に当たっては、提案要求書による提案者に提案内容の厳守を求めているだけではなく、本年一月下旬には、米空軍参謀長より、提案内容を厳守する旨の航空幕僚長あての誓約書を受領をいたしておるところでございます。また、昨年十二月中旬には、開発責任者より、米国政府は提案書に記載のとおり機体を納入する旨のレターも受領をしております。さらに、防衛省においても、本年二月中旬に防衛省経理装備局長よりケンドール国防次官代理へ書簡を送り、提案価格の厳守等を要請してきておるところでありますので、現時点では契約手続は終了しておりません。  また、調達価格も確定していない段階であるため、防衛省としては、当省の要求する期限までに提案内容どおりの価格で機体を納入するよう引き続き米国へ要請してまいる所存でありますし、また事務方に今週米国に行ってその折衝を引き続き始めるように、そしてまた提案書の内容を厳守すべく、この話をしていく予定になっております。
  71. 川上義博

    ○川上義博君 外務大臣、これも通告していませんけれども、先ほど北の話がありましたが、北の関係者日本関係者というか誰かがモンゴルで接触したという報道があるんですね。  これは、政府としては何か具体的に把握されているようなことはありますか。
  72. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 政府間で日朝間の対話が行われているということはございません。
  73. 川上義博

    ○川上義博君 その中で、日本人妻の一時帰国とかそういう議論があったような報道がありましたけれども、私が承知していますのは、かねてから、ずっと従来から、北側は日本人妻の自由往来かあるいは一時帰国をやるんだと、やってもいいという意思は再三表明していると。だから、今更新しく始まったわけじゃないんですね。  だから、例えばそれをやる場合は、人道の問題ですから、日本赤十字とか向こうの赤十字と、赤十字同士が窓口になってこの問題はやっていく必要が、これは有効ではないのかなと個人的にはそう思っているんですけれども、その辺りはどのようにお考えでございましょうか。
  74. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 川上議員は北朝鮮の状況に大変お詳しいということを私自身承知をしているところでございます。  今お話があったいわゆる御指摘の点については、一言で言えば、人道上の問題としてそれはそれとして重要な問題で、様々な機会をとらまえて我々として対話を求めていくということがよいだろうというふうには思っています。
  75. 川上義博

    ○川上義博君 時間が相当残っていますが、これから皆さんが議論されるだろうと思いますのでこれでやめますが、田中大臣、世間の皆さんは田中大臣が非常にかわいそうだと、ああいう細かなことまで聞くようなこともあると。(発言する者あり)
  76. 石井一

    委員長石井一君) 静粛に願います。
  77. 川上義博

    ○川上義博君 それをみんな、私、いろんな人に聞くと、是非頑張ってもらいたいと、そういう世間の声というのがあるわけでありますから、最後に頑張るという決意を述べて、答弁お願いしたいと思います。(発言する者あり)
  78. 石井一

    委員長石井一君) 御静粛に願います。
  79. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 粉骨砕身、業務に専念をして努力をしてまいりたいと思いますし、安全保障そしてまた国防、防衛、大変重要な問題でございます。国民の生命、財産を守っていくために先頭に立って頑張ることをお話を申し上げたいと思います。
  80. 川上義博

    ○川上義博君 要するに、国会での答弁の能力と実際に有事の場合の指揮の能力は全く別ですから、これを申し上げて、私の質問終わります。  ありがとうございました。
  81. 石井一

    委員長石井一君) 以上で川上義博君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  82. 石井一

    委員長石井一君) 次に、小見山幸治君の質疑を行います。
  83. 小見山幸治

    小見山幸治君 皆さん、おはようございます。民主党・新緑風会の小見山幸治でございます。徳永委員、川上委員に続きまして、民主党・新緑風会を代表して質問させていただきます。  まずは、先ほど川上委員からも少し質問がございました。今日から二日間の日程で韓国ソウルで開催されます第二回核セキュリティ・サミットについて、その目的、概要について、玄葉外務大臣にお尋ねをいたします。
  84. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 今御指摘のとおり、今日、総理が行かれるということでございますけれども、この核セキュリティ・サミット、二回目でございます。  一回目はワシントン、二〇一〇年ということでありますので、それ以降どういった取組をそれぞれの国が行ったか、そして今後将来に向けた取組の方向性、そして原子力安全と核セキュリティーの関連性等について議論される予定でおります。  具体的に四つ申し上げたいと思います。一つは核兵器そのものの盗取、つまり盗まれたという場合の問題、そして盗んだ核物質からの核爆発装置の製造の問題、そして三つ目にダーティーボム、これはいわゆる放射性物質を散布する装置のことだと思いますけれども、その製造の問題、そして原子力施設や放射性物質の輸送船等に対する妨害、破壊行為、これらを四つの脅威ということでIAEA挙げてございますので、これらの脅威に対してしっかりと連携をして解決をしていくということを今回サミットで確認し、さらに日本としても具体的なイニシアチブを幾つかの面で提案をしたい、また取っていきたい、そう考えているところでありまして、本日、韓国に総理が行かれて、あした演説をされるということでございます。
  85. 小見山幸治

    小見山幸治君 今、玄葉外務大臣から、IAEAが想定する核テロリズム四つの脅威についてのお話がございました。その中で、やはり特に我が国においては、脅威となるのは原子力施設へのテロ行為であります。  そこで、田中防衛大臣にお尋ねをしたいと思います。原子力発電所へのテロ対策に関し、防衛省・自衛隊はどのような取組を行っていますでしょうか。
  86. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 原子力発電所のテロ対策に関する防衛省・自衛隊の取組についての御質問ですが、テロリスト等の侵入に備えた原子力発電所の警備については、第一義的には公共の安全と秩序の維持を責務とする警察において実施しておりますが、一般の警察力をもっては治安を維持することができない緊急事態が発生した場合には、治安出動により自衛隊が警察と緊密に連携して対処することとなります。  具体的には、警察と自衛隊の部隊の行動及び連携要領に係る調整を円滑に行うための共同調整所を設置した上で、小銃や機関銃等を装備した自衛隊部隊が、武装工作員等の鎮圧や施設の警備、検問などの各活動を警察部隊と共同して実施することとなります。    〔委員長退席、理事川上義博君着席〕  このため、これまでも警察との共同訓練を行ってきたところでありますし、自治体とも協力をいたしまして、今自衛隊あるいは警察、自治体と共同訓練を行っておるところでありますし、原子力発電所のある県においては積極的に共同訓練をするということで今進めてきておるところでございます。
  87. 小見山幸治

    小見山幸治君 先ほど玄葉外務大臣からもお話がありましたけれども、第一回目の会議は米国ワシントンで行われまして、その際も鳩山総理出席されておられます。今回は、核セキュリティー及び原子力安全分野に関心が高まっている中で、東京電力福島第一原子力発電所の事故から一年という節目で開催されます。元々、このサミットではテロリストからいかに核物質を守るかということが論点でございましたけれども、自然災害で原子力施設が破壊される事態が起き、原子力施設の安全性についても議論されると聞いています。その意味において、この会議における我が国が果たす役割は非常に重要だと思っています。  そこで、野田総理大臣は、先ほどもお話がありますように、この予算委員会が終了しましたら韓国へ行かれサミットに出席されるわけでありますけれども、改めてお伺いしますが、原発事故を昨年経験した立場に立った上で世界に向けてどのようなメッセージを発信されるのか、お伺いをしたいと思います。
  88. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 今般の東京電力福島第一原発の事故というのは、原因は自然災害でございましたけれども委員の御指摘のとおり、核テロの観点からも原子力施設の脆弱性というのが浮き彫りになったと思います。例えば、電源が喪失すると大変なトラブルになるということですが、これは自然災害だけではなくて、テロの対象としてそうなった場合とか想定をしなければいけないというふうに思います。などなど、今回のサミットを機会に、事故から得られた知見と教訓を核セキュリティー強化のために国際社会と共有をしたいと考えています。また、我が国自身が核セキュリティー強化のために国内で取ってきた一連の取組についての御説明をさせていただきたいと思っています。核テロの脅威はグローバル化してきておりますので、国際的な協力も不可欠でございます。  こうした観点から、今回のサミットにおいては、我が国が開設をした核不拡散・核セキュリティ総合支援センターの実績なども踏まえまして、更なる国際協力と関係国との連携強化についての具体的なイニシアチブを示していきたいと思いますが、ちょうど、折しも、これ先ほどもお話ししましたけれども、北朝鮮の予告した人工衛星と称するミサイルの発射について、我が国としてこれは明確に国連の安保理決議違反であることをしっかりと主張し、そして北朝鮮が発射を行えないように強く自制を求めるとともに、恐らく、多分五十数か国のリーダーが来られると思いますので、国際社会とこの問題意識を共有をして一緒に働きかけるような、そういう試みもやらさせていただきたいというふうに思います。
  89. 小見山幸治

    小見山幸治君 是非日本のリーダーシップを発揮していただきたいと思います。  そこで、この問題についてもう少し質問しますが、このサミットには、今お話がありました、多くの世界各国の首脳が集まると聞いています。今おっしゃったように、北朝鮮問題で米中首脳会議や米韓首脳会議が開催されるわけでありますけれども、そういう意味で、様々な北朝鮮問題を始めとする問題に対して解決に向かう意味において、せっかく多くの首脳が集まるわけですから、総理もそういう意味で個別会談を予定されておられるのかどうか、もし予定されておられるのであれば、どこの国とどういう内容についてお話をされるのか、お聞きしたいと思います。
  90. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) これは、小見山委員が先ほどおっしゃっていただいたように、また実は委員会で猪口先生からも提案いただいたんですけど、総理御自身の強い意思もあって、今回、この核セキュリティ・サミットに出たときに、いろんな会談の場、極めて時間の制約、実はございます、ありますけれども、そういった場を活用して、今回のいわゆる人工衛星と称するミサイル発射の問題について基本的な認識をそれぞれの国で共有し合えるように、自制を求められるように、そういう努力を行いたいというふうに考えているところでございます。
  91. 小見山幸治

    小見山幸治君 是非充実した韓国訪問にしていただきたいと思います。  続きまして、核関連で、この核セキュリティ・サミットには参加をしていないイランの情勢についてお尋ねをしたいと思います。  昨年十一月、IAEA理事会は、イランの核開発に深刻な懸念を表明する決議を採択いたしました。十二月の米国議会においては、更なるイランに対する制裁措置を行うべく、米国国防授権法が成立いたしました。我が国も、欧米各国とともに、安保理決議に基づき制裁措置を行い、この過去五年間にイラン産原油の輸入量を四割削減してきました。しかし一方で、そうはいっても、イランは今でも重要な原油の供給元であります。サウジアラビア、UAE、カタールに次ぐ第四位の原油供給国でもあり、現在でも約一割、イランから原油を輸入しているわけであります。  こうした中、イランは、昨年末、ホルムズ海峡を封鎖する警告をいたしました。現に、昨年から今年にかけてホルムズ海峡で軍事演習も行われています。日本の輸入原油の八割以上はこのホルムズ海峡を通っていくわけでありますから、万が一湾岸情勢が緊迫した事態になれば、我が国にとっても極めて深刻な事態になるのではないかと私はそう思っています。  そこで、イランにとっても日本は中国、インドに次ぐ第四位の原油輸出国でもあり、かねてから親日的な国であると聞いております。独自の外交ルートを活用してでも早期に平和的解決をすべきと考えますが、どのような対策が取られているのか、玄葉外務大臣にお尋ねをいたします。
  92. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) おっしゃるように、先ほど、日本はイランから原油を輸入している、しかも輸入元としては四番目だと、こういうお話がありました。しかも一〇%だという数字もございました。それより更に大きな話は、ホルムズ海峡全体で何か事態が発生したといったときに、ホルムズ海峡からだと八割ということでございますので、これは大変深刻な事態になるということでありまして、当然そういったことにならないように外交的、平和的に解決をしていかなければならないということでございます。  そのために様々な働きかけが必要になりますが、まず今は効果的な制裁を行っていく。そして、どこかの段階で具体的に働きかけをしていくんですが、これまでも働きかけを行っています。  例えば私が、年始ですか、中東へ行っていたころは、ホルムズ海峡を封鎖する、こういう挑発的な発言などがあって、我々は一斉に、挑発的な言動を慎むべきであると明確に何度も言ってきましたけれども、最近はイランのそういった言動はなくなってきているというふうに思いますし、また、イスラエルに対する働きかけも一方では必要でございますので、様々な働きかけを外交ルートを通じて、また直接私が書簡で大臣に出すとか様々行っておりますけれども、今後とも引き続き行っていきたいというふうに考えております。
  93. 小見山幸治

    小見山幸治君 是非万全の対策を講じていただきたいと思います。  また、一方でこの問題はガソリンの値上げを引き起こしています。  今年に入り、一リットル当たりガソリンは十二円上がっているわけであります。この値上がり傾向はこの状態が続けば今後も続くと予想されておりますし、さらに、これは電気料金の値上がりにもつながることも予想されます。また、私の地元岐阜県の電力を賄っている中部電力の四割はホルムズ海峡を通過するカタール産の天然ガスに依存しています。このことはまさに私たちの生活に大きな影響を与えているわけでありますけれども、経済・エネルギー政策の観点からどのような対策が取られているのか、緊急時の対応、中長期的取組等、枝野経済産業大臣にお伺いをしたいと思います。
  94. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) お答え申し上げます。  まず、現状でも原油価格が上がっているという状況にございます。これは、実は需給の関係からいくと必ずしも現時点で逼迫をしているという状況ではありませんで、これは産油国の皆さんなどとも協議をしている中で、むしろ投機的動き、これに対して、これは国際社会が協力していかに抑えていくのかという努力を進めているところでございます。  それから、確かにホルムズ海峡に不測の事態が生じますと、原油とそれから石油ガス、LPGですね、それから天然ガス、LNG、いずれもホルムズ海峡を通過して輸送しているウエートは大変高うございますので大変深刻な状況になる、エネルギー価格の上昇という問題が生じてまいります。そうした場合に至った時点ではもとよりでございますが、従来から、IEA、国際エネルギー機関、そしてその加盟国と協議をして、備蓄を備えていること、そして備蓄の放出等について、万が一の場合についてはIEA等としっかりと協議をしていくこと等を備えているところでございます。  量的な問題からいきますと、実は原油そのものの備蓄は一定程度ございますが、御指摘のLNGが、これ備蓄がなかなか困難な性質もあり、全体としてはホルムズ海峡に依存している比率が二割にとどまりますが、特定の電力事業者においてはホルムズ海峡のLNGに対する依存度が高いということございますので、これについては十分そのことを認識しながら、事前に可能なこと、そして万が一の場合に機動的な融通含めて対応をしなきゃならないということの準備は進めているところでございます。    〔理事川上義博君退席、委員長着席〕  中期的には、段階的にやはり中東への依存度をいかに下げていくのかということが大変重要な観点だというふうに思っていますが、一方で気を付けなければならないのは、大変困難な時代も含めて、そして現在、そして万が一の場合においても、中東産油国の皆さんは大変日本に対して、エネルギー供給の安定について、この間も御尽力いただきましたし、そして現時点でも、ホルムズ海峡などの緊迫の状況を踏まえて交渉している中でも大変我が国に対して好意的な対応をしてきていただいておりますので、そのこと、これまでの各国の努力については十分考慮しながら、一方で、いかに供給源を分散化するかということで、特に、原油はなかなか分散化は難しいんですが、LNGについては、御承知のとおり北米のシェールガスの産出で供給量が世界的には大変大きくなっているということの中で、アメリカ合衆国あるいはカナダからのLNGの輸入に向けた努力を進めております。  昨日も、私もカナダの国際貿易大臣と会談をいたしましたが、その折にもカナダからのLNGの輸出についての期待感を示しまして、それについては好意的なお答えをいただいているところでございます。  以上でございます。
  95. 小見山幸治

    小見山幸治君 是非、この件につきましても万全の対策を講じていただきますように重ねてお願いをしたいと思います。私も、このような問題を考えると、こういった世界情勢に左右されない、海外依存度を減らしたエネルギーのベストミックスを構築すべきだと考えていますけれども。  そこで、そのような状況を考えると、やはり原子力エネルギーについての議論を先送りするわけにはいかないわけでありますが、ただいまの枝野経済産業大臣の御答弁の中には原子力エネルギーについてのお話はございませんでしたけれども、少しその辺につきましてもお話をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
  96. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 中長期的なエネルギーの在り方を考えた場合には、昨年の三月十一日の原発事故を受けて、今、内閣としては、原子力への依存度を最大限低減するという大きな方針の下で、経済産業省ですと総合資源エネルギー調査会、そのほかにも原子力委員会等幾つかの機関がございますが、この大きな方針の下で、具体的な今後のプロセスそして目標について、幅広い国民各層の御意見を踏まえながら検討しているところでございます。  現在その検討の途中でございますので、大きな方向はともかくとして、具体的なことについて予断を与えるようなことを申し上げるべきではないかというふうに思っておりますが、エネルギーの安定供給、そして原子力の依存度を下げる、それからCO2の問題、価格の問題、様々な要素を踏まえた幅広い御議論を今いただいているところでございまして、夏にはこれについての結論を出したいということで、各省も連携しながら議論を急いでいるところでございます。
  97. 小見山幸治

    小見山幸治君 今、原子力エネルギーについては大臣からお話がございました。しかしながら、原発事故から一年が過ぎたにもかかわらず、いまだこの問題の解決に向けた安全確保の新たな体制ができておりません。本来なら、先ほどお話しした、今日から始まる核セキュリティ・サミットにおいても、日本は事故から一年後に、その反省に基づいて原子力規制庁を設置したという力強いメッセージを発信しなければいけなかったのではないかと私は思っています。  残念ながら、原子力規制庁設置法案はいまだ国会では審議すら始まっていません。今回の事故を踏まえた結果、なぜ環境省の外局が望ましいのか、地球温暖化対策という面では環境省も原子力推進官庁になり得るわけで、規制と利用が分離されていないのではないか、IAEAの安全基準に反しているとの議論もあります。こういった問題について、細野原発担当大臣にお尋ねをしたいと思います。
  98. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) 今回の事故を受けまして、日本原子力規制の在り方、そして組織の在り方はもう根本から信頼を揺るがされることになったというふうに承知をしておりまして、できるだけ早い段階で、新しい規制機関の下で放射線から人と環境を守るという、そういう体制をつくらせていただきたいというふうに思っております。  中でも、先ほど来、小見山委員指摘をされております核セキュリティーというのは非常に重要な課題でございまして、既に警察庁であるとかさらには防衛省で様々な取組をしていただいているところでありますが、やはり規制庁の中に人を出していただいて、具体的なセキュリティーの強化をできるだけ早い段階でさせていただきたいというふうに思っておりまして、その体制の準備もこれまで進めてまいりました。  国会事故調を始め様々な御議論があることはしっかりと受け止めていかなければならないというふうに思っておりますが、まずは新しい機関を立ち上げて、そこでの規制の強化に入らせていただいて、その上で、様々な御意見もいただいた上で、年末までにしっかりとした組織をつくるということで是非国会の御議論をいただきたいと、そのように思っております。  御指摘の、推進と規制の分離の問題でございますが、推進というのはいわゆるエネルギー、原子力政策の推進ということでございますので、我が国においては経済産業省の下で資源エネルギー庁がやる形になっております。環境省は、そういった意味での直接のエネルギーの推進官庁ではございません。その中で、今環境省が最も力を入れてやっておりますのは除染でございます。これは、この事故の残した問題に対して正面から向き合うということでやっておりまして、こういう事故を二度と起こしてはいけないという、そういう強い思いを環境省は持っておりますので、そこの推進サイドと分かれていないのではないかという、そういう御批判は私は当たらないと思っております。  また、IAEAについても今お話をいただきました。私自身も、IAEAを含めた様々な専門家とはこれまでも議論をしてまいりまして、例えば国際社会ということでいうならば、メザーブ元NRC委員長、ラコステ・フランスの原子力安全庁とも意見交換を行ってまいりまして、我が国のこの制度の在り方については私は基本的な理解を得られているものというふうに思っております。  なお、最後に、先日、イギリスの原子力規制局のウエイトマン博士と電話会談を行いました。この方は、昨年五月にIAEAの対日調査団の団長として来られまして、非常に重要な教訓を残してくださった団長さんであります。この方と日本原子力規制庁の改革案について議論いたしましたところ、原子力の推進機関や不当な政治的影響からの構造的な独立性を確保しているという御見解をいただいたところでございますので、そこの国際社会との私は基本的な方向性という意味でそごはない、むしろ沿ったものであるというふうに考えているところでございます。
  99. 小見山幸治

    小見山幸治君 今年の十二月には、福島県で原子力安全に関する国際会議が開催されます。そこでも日本世界に強いメッセージを示す必要があります。今回の事故の経験を踏まえた取組を国際社会にしっかり発信することは我が国の責務でもあります。そして何より、国民の皆さんの安心、安全の暮らしのために、福島第一原発のような重大な事故を二度と起こさず、その芽を摘むためにも原発の安全規制を担う組織の再編を急がねばなりません。そのことは野党の皆さんにも異論はないわけでありますから、速やかに審議に応じていただき、お互い知恵を出し合い、実効性のある組織をつくってまいりたいと思っております。  最後に、野田総理大臣にお考えをお聞きし、質問を終わりたいと思います。
  100. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 今般の原発事故、そしてその対応についての教訓を踏まえますと、規制と利用の分離の観点から、原子力安全・保安院の原子力安全規制部門を経産省から分離するとともに、これまで政府に分散をしていました原子力安全規制に関する事務を一元化する必要があるというふうに思います。  原子力規制庁は、このような考え方の下で、今回のような事故の再発防止を最重要の使命として、原子力安全確保の新しい体制を構築するために設置しようというものでございます。小見山議員がずっと御指摘をいただいたとおり、国民の不安にこたえるためには、新たな組織の下で一日も早く放射線から人と環境を守る、そういう規制制度と防災体制を整えることが急務であるというふうに思います。  こうしたことから、国会において関係法案を早期に御審議をいただいて、是非とも早期に原子力規制庁の発足を実現をさせていただきたいと改めて私からもお願いをさせていただきたいと思います。
  101. 小見山幸治

    小見山幸治君 どうもありがとうございました。  質問を終わります。
  102. 石井一

    委員長石井一君) 以上で徳永久志君、川上義博君、小見山幸治君、民主党・新緑風会の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  103. 石井一

    委員長石井一君) 次に、佐藤正久君の質疑を行います。佐藤君。
  104. 佐藤正久

    佐藤正久君 私は、自由民主党、元自衛官、福島県出身の佐藤正久です。  私は、元自衛官として、野田内閣の危機管理、これに大きな疑問を持っております。その代表例が防衛大臣人事です。自分は安全保障の素人だ、素人がやるのが本当の文民統制だと言われた一川大臣、今度は資料を見なければ委員会答弁ができない田中大臣、後ろから多くの役人がメモを入れるから二人羽織とかあるいは千手観音とかマスコミにやゆされる。  国民の皆さん、見てください、政府側の答弁席。今日は外交・安全保障の集中審議外務大臣はちゃんと後ろの席から前の席に座っている。防衛大臣は前の席ではなく後ろの方に逃げている。なぜ質問者に向き合わずに、そして役人の方に寄り添っているのか。  大臣、どうして前に来れない何か理由あるんでしょうか。
  105. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) いつもは後ろの方におります。集中審議ということで、防衛大臣も質問ということで出席の要請がありました。したがいまして、近くに来ておるところでありますし、そういう面ではしっかりと質問を聞いて、そして答弁をいたしたいと思います。
  106. 佐藤正久

    佐藤正久君 だから、大臣、どう考えても不自然なんです。玄葉大臣が前に来ている。前に、そこに座ればいいじゃないですか、空いているんですから。このような恥ずかしい振る舞いを見ているから、多くの国民はやっぱり不安感を持ってしまうんですよ。  三月十四日の私と大臣との本委員会での質疑、情勢が不安定なシリア、これに派遣中のPKO部隊、その中断、撤収は野田総理大臣ではなくフィリピンの司令官にやってもらう、このような腰を抜かすようなびっくり答弁。さらには、派遣もされていないヨルダンに隊員が派遣をされているという答弁までされました。隊員の安全確保に万全を期すとあれほど家族に約束をしたのに。それを受けて、野田総理もここで謝罪をし、適材適所のつもりで任命したがと任命責任も認めました。  田中大臣、そのシリア、ついに今月二十一日に大使館が閉鎖されました。一方で、PKO部隊は活動中です。そのシリアでPKO部隊と政府とをつなぐ役割の連絡調整要員、これには防衛省の職員もいますけれども、現在どうなっていますか。
  107. 石井一

    委員長石井一君) まず、着席の問題ですが、田中大臣、前へ座ってください。それで、防衛庁の役人は少し声を出してもいいから、資料をあげるなり何なりしてください。  田中さんが後ろへ座っているのは定位置に座っているんでありまして、大体常にそういう委員会運営をやっております。今日に限って余り激しい攻撃を加えないでやっていただきたいと思います。  議事を進行いたします。(発言する者あり)  それで、田中防衛大臣、今の質問を聞いておりましたか。シリアの問題。
  108. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 在シリア大使館の一時閉鎖によるUNDOF派遣部隊等の隊員の安全確保と、それから連絡調整員のことでありますが、シリアの大使館に一名派遣をいたしておるところでございます。
  109. 佐藤正久

    佐藤正久君 今、シリアの方にはもういないということですか。
  110. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) シリアの大使館に武官を派遣をいたしておりまして、今退避いたしましたので、シリアには連絡員はおりません。
  111. 佐藤正久

    佐藤正久君 今活動が継続中なのに大使館がなくなった、連絡調整要員もいない、そういう状況なんですよ。どういう対策を行っていますか。
  112. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 当然、外務省と連携を取っておるところでございますし、今、シリアにおいて、国連によると、これまでの死者数が少なくとも七千五百人以上とされております。したがいまして、大使館が撤退をした中にあってこの活動が安全に行われているかどうかというのは、私からも指示をいたしまして、そして防衛省の中で事務方が連携を取っておるところであります。  したがいまして、日々非常に緊張した中にありまして、今安全な活動が行われておるという報告を受けておるところでございます。
  113. 石井一

    委員長石井一君) ちょっと田中大臣玄葉大臣の隣に座ってください。それで、役人の皆さん、前に座って。前へ出てもいいよ。
  114. 佐藤正久

    佐藤正久君 委員長、時間もったいない。  田中大臣、十四日にこの委員会で私が質問したとき、なぜ私が質問したか。それは、近々に大使館が閉鎖されるという情報があったから、その隊員の安全確保のために質問したんですよ。十四日の時点で田中大臣は大使館が近々閉鎖されるという情報をお持ちでしたか。  田中大臣、田中大臣に聞いているんです。
  115. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 私は認識をいたしておりました。新聞に一部報道がございましたし、外務大臣にもそのような事態になるのかということをお尋ねをしまして、今、大変そういう状況下に立ち至っておるということも私は聞いておりました。
  116. 佐藤正久

    佐藤正久君 総理、これが野田内閣状況なんですよ。大使館閉鎖情報を事前に持っていながら撤収の、中断や、計画の、誰も答えられない。撤収計画も見ていなかったと。その結果、総理が謝罪したんですよ。  大使館が閉鎖されるという情報を持っているんだったら、しっかり対応を取る、これが大臣の仕事でしょう。今、答弁の中でも全然対策が取られていない。しっかりやっているように言っておりますと。それは大臣の仕事じゃないんですよ。これが実態なんですよ。本当びっくりします。  じゃ、大臣、大使館が閉鎖された、情勢は一段上がりました。我々も、イラク派遣中は、自爆テロ等もサマワでありましたから活動時には武器弾薬を携行していました。シリアの派遣隊員、現在も自爆テロが発生したダマスカス、あるいはザバダニに任務で出かけています。武器弾薬の携行はどうなっていますか。
  117. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) UNDOFの派遣のことだと思いますが、武器は携帯をして行っております。先生御指摘のように、大変シリア情勢は緊迫をしておりますし、ダマスカスには水や食料というものを隊員が輸送したり取りに行ったりしておるわけでありますので、そういう活動の中で危険がないように日々注視をするということで防衛省が対応しておるところでございます。
  118. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣、本当に隊員がダマスカスへ行くときに武器弾薬を携行していますか。間違いありませんか。それでいいですか。もう一回念を押します。武器弾薬を携行して行っているんですね。
  119. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 通常のものは携帯しているということでありますが、今どういう状況かについては私から申し上げるわけにはいきませんが、お話がございましたら、私も確認はしていければと思います。
  120. 佐藤正久

    佐藤正久君 通常は武器弾薬を携行していないんですよ。それを変えるというのは相当大きな判断で、大臣と司令官の調整をしないといけないはずなんですよ。大臣が知らなくて本当に大丈夫ですか、それ。間違っていたら後で訂正した方がいいと思いますよ。  田中大臣、そもそもこの大使館に派遣される前後で派遣隊長と電話で話をされましたか。
  121. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 隊長とは私は話をしておりませんが、統幕長に話をして、日々この活動に支障があってはいけないということで、連絡を常々取るようにということは指示をいたしておるところでございます。
  122. 佐藤正久

    佐藤正久君 国民の皆さん、これが現状なんですよ。びっくりしますよ。大使館が閉鎖される、総理府の連絡調整もいない、隊員だけが活動している、そういう状況大臣が全然電話もしない。私は、イラク派遣中もそれは度々大臣に電話していましたよ。向こうからも来ました。どういうふうに考えているんですか。それで本当に隊員の安全確保図れますか。武器を携行しているかどうかも分からない。非常に曖昧答弁。  それでは、この前、撤収計画を読まれると言いましたよね。今こういう状況です。緊急時の撤収で大事なのは、自衛のための火器と、それとやっぱり車両ですよ。特に夜間、シリアの方にイスラエル側から武器とかあるいは車両、増加配置していますか、今。
  123. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 撤収計画につきましては、私はこの資料について報告は受けましたけれども、幕僚長がこの内容については、撤収計画については責任を持って現場とやっていくと、そういうことでありますので、私は撤収計画の表紙はしっかり報告を受けましたけれども、この内容については、これはこの判断が下された場合には対処をするということでありますので、その点は怠りなくやっていただいておるということで、私は統幕長以下、信頼をしておるところであります。
  124. 佐藤正久

    佐藤正久君 国民の皆さんびっくりしますよ、これ。大臣が中身読まなくて、どうやって判断できるの、事前に。  前回のこの委員会大臣は明確に、議事録見てください、撤収計画読むと言ったんですよ。総理大臣大臣に読ませると答弁したんですよ、委員長も覚えているとおり。それを今、読んでいないと。表紙を見ただけ。総理、これをどう思いますか。総理が読む、命ずると言ったじゃないですか。やっていない、どういうことですか、総理総理が読ませると言ったんです。
  125. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) それは、内容については、それの御説明することは差し控えたいと思いますし、表紙だけという表現はちょっと誤解を生んで大変申し訳ございません。表紙及び内容について、確実に計画は立ててあると、こういうことで報告を受けたところでございます。
  126. 佐藤正久

    佐藤正久君 中身を読んでいないんですよ。報告を受けているだけです、今の答弁も。それは、うそは駄目ですからね。  総理、全然前と違うじゃないですか。総理は明確にここで隊員家族に申し訳ないと謝罪されて、大臣にそれは計画を読ませると言ったじゃないですか。総理、御見解お願いします。
  127. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 個別に、PKOを派遣するたびにその都度撤収計画は作るはずです。そのことの内容はつまびらかにすることはないんですが、それはやっぱりリーダーとして読まなければ私はいけないと思いますが、今のちょっと読み方よく分かりませんが、しっかり読み込んだ上で対応しなければいけないというふうに思います。
  128. 佐藤正久

    佐藤正久君 総理、これは全然適材適所じゃないじゃないですか。前回も、総理も任命責任、若干認めました、適材適所と思ったがと。これは前回の議論からの全然反省がなされていない。総理も今、やっぱり中身は読むべきだと。当たり前ですよ。  総理、これ本当に、総理家族に約束しましたよね、隊員の安全には万全を期すと。万全じゃないじゃないですか。自衛官のせがれとして恥ずかしくないですか、こんな状況で。本当に防衛大臣、適材適所だと今でも思っていますか。任命責任を考えませんか、総理
  129. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 決して、先ほど大臣、全然読んでいないという答えではないと思います。しっかりと自分なりにも、ざっと目を通したのか読み方は分かりませんが、読んだ上でしっかり、事務局もサポートをしているというふうに思いますので、私はそこは当然のことながら、派遣されている隊員の皆さん、御家族の皆さんのために万全を期していきたいというふうに思います。
  130. 佐藤正久

    佐藤正久君 もう全然、多分誰も国民は信用していませんよ。今大臣答弁、多分後で訂正答弁あると思いますけれども、武器の携行を含めて、あるいはその内容についても。全然万全じゃないですよ。大使館が閉鎖されたこの重み、全然分かっていないんですから。閉鎖される情報があったら、それに対して手を打つのが危機管理でしょう。備えあれば憂いなしなのに、憂いなければ備えなしになっているんですよ。それが野田内閣なんです、今。  じゃ、この問題についてはまた引き続きやりますけれども、今は喫緊の課題の人工衛星あるいは弾道ミサイル対処について話を移します。資料三を見てください。  日本の周辺国は弾道ミサイルを保有しています。これは防衛白書から抜粋した対処の流れ図です。防衛大臣、じゃ、見てください。この向かって左側ですが、弾道ミサイルが日本に来るおそれがある場合、その場合でも、防衛出動で対応する場合と破壊措置で対応する場合があるんですよ。この判断のポイントは、発射関連情報とか兆候の入手、そしてその評価ですよ。聞いてください。宣戦布告があれば別ですけれども、宣戦布告がない場合、大臣、どのような情報、兆候で七十六条の武力対処でやるのか、八十二条の三の一項の破壊措置でやるのか、決めるのでしょうか。どのような情報、兆候で判断して七十六条か八十二の三の一か決めるのか、教えてください。
  131. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 資料で御説明申し上げます。  弾道ミサイルなどへの対応の流れでございますが、この八十三条の、八十二条の三の一と、三の関係でありますが、防衛省におきましては、情報本部がございます。各国との連携も含めて情報を入手してきておるところでありまして、実際にこの事態が発生をするという状況にありましたら、判断をして、そして対応していくということでございます。(発言する者あり)
  132. 石井一

    委員長石井一君) それじゃ、速記止めてください。    〔速記中止〕
  133. 石井一

    委員長石井一君) 速記を起こしてください。  それでは、防衛大臣田中直紀君。
  134. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 防衛出動をする場合には、自衛権の三条件がございます。そういう面では、緊急な場合あるいはその対応がそのほかの手段で行使できないという状況にありましては防衛出動というものが考えられるわけでありますので、その事態を対応するというのが防衛出動になるわけでございます。
  135. 石井一

    委員長石井一君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  136. 石井一

    委員長石井一君) それでは、速記を起こしてください。  もう一度答弁を求めます。防衛大臣田中直紀君。
  137. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) お答えいたします。  この武力攻撃に当たると認められる場合といたしましては、攻撃の意図の明示あるいはミサイル発射の切迫した状況ということでございまして、対象となる事態におきましては、総理大臣が、我が国に対する外部からの武力攻撃が発生したということの中で明白な危険が切迫していると認められた事態に対して、我が国防衛するために必要であるということを認めた場合に自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができるわけでありまして、認められる状況、この状況に立ち至った場合が状況でございます。
  138. 佐藤正久

    佐藤正久君 余りにめちゃくちゃ。ひどいですよ。私は、宣戦布告があった場合は、これはできると言っているでしょう。宣戦布告がない場合、どういう情報や兆候に基づいて、あなたがそれを判断しなかったら誰が判断ですか。あなたは防衛大臣なんですよ。  七十六条の防衛出動でやるのか、八十二条の三で弾道ミサイルへの対処をやるのか。まさに、その兆候、こういう兆候を見付けなさい、情報部隊に命ずるのはあなたなんですよ。どういう兆候か明確にお願いしますよ。
  139. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 近々安全保障会議を開催していただく、安保会議をですね、安保会議を開催していただくということになるわけでありますが、その中にこれからの状況の中で、私は八十二条の三条三項というものが、前回活用をされたわけでありますので、今の状況からして、私はこの防衛出動まで至っていないという認識に立っておるところでございます。
  140. 佐藤正久

    佐藤正久君 余りにもひどいですよ。私は、今回の北朝鮮のことを聞いているんじゃないんですよ。この兆候を聞いているんですよ。全然答弁していないじゃないですか。(発言する者あり)
  141. 石井一

    委員長石井一君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  142. 石井一

    委員長石井一君) 速記を起こして。  田中防衛大臣に再度の答弁を求めます。田中防衛大臣
  143. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 今までの判断からは、現実の事態においてどの時点で相手が武力攻撃に着手したかについては、そのときの国際情勢、相手国の明示された意図、攻撃の手段、態様等様々な事情を勘案して総合的に判断する必要があるので、個別具体的には判断すべき、一概には言えないわけでございますけれども、今回の場合には、いわゆる防衛出動をするかどうかというこの判断は、今情報本部で日々情報収集をいたしておるところでございます。  したがいまして、北朝鮮が今回この衛星を発出するという状況下の中で、今その状況を注視している、情報収集をしておるところではございまして、その判断は、我が国を攻撃をするという意図が明らかになった時点ではこの防衛出動をするということでございますので、今のところその出動をするという状況にはないということを御説明を先ほど申し上げたところであります。
  144. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣、私は今回の北朝鮮の状況を何も聞いていないですよ。弾道ミサイル対処の一般的なことを聞いているんですよ。全然分かっていないじゃないですか。これは一番基本事項なんですよ。まさに情報本部が兆候を集めている。それは、あなたがこういう兆候を集めろって命じなかったら判断できないんですよ。全く思考過程が逆ですよ。  総理、今のこの状況見てどう思いますか。この田中防衛大臣で本当に破壊措置命令を含めてできると思っていますか。
  145. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 今、北朝鮮の問題と一般の話とちょっと混同されたところがあったかもしれませんけれども、基本的には、いわゆる攻撃の意図があるかどうか、あるいはミサイル発射の切迫性等々総合的な判断をするということで、総合的な判断をしっかり防衛大臣にしていただきたいというふうに思っております。(発言する者あり)
  146. 石井一

    委員長石井一君) 静粛に願います。
  147. 佐藤正久

    佐藤正久君 全然、国民の皆さん、見てください。誰が見ても田中大臣で今回のミサイル対処含めて、あるいは実際、本当、どれだけの今ミサイルがあると思っているんですか、周辺国に。全然できていませんよ。まさに、こういう兆候を見付けなさいというふうに命令するのがあなたなんですよ。それに基づいて状況判断するんですから。上がってきた情報見て状況判断するんじゃないんですよ。こういうふうに決まっているんですから、やり方が、法律で。それは、全くあなたじゃ無理だ。  では、今回の北朝鮮の人工衛星について伺います。  その軌道が外れたり、落下物の可能性があるということの可能性はゼロではありません。沖縄の嘉手納基地には米軍のPAC3があります。大臣、北朝鮮の人工衛星や落下物が嘉手納基地付近に降ってくる可能性がある場合、米軍はPAC3を発射することはあり得ますか。
  148. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 第一義的には、我が国の領土でありますから我が国が守っていくということが大前提でございます。今米軍と連携を取っているわけでありますが、そういう事態になった場合に米軍がPAC3を発射するということまではお話は伺っておりません。これから、そういう飛来があったということについては、やはり米軍とは密接な連携を取っていこうということで、ルース大使とも話をして、事務的に進めていただいておるということが状況でございます。
  149. 佐藤正久

    佐藤正久君 話になりませんよ。大臣、話にならない。いいですか。これは……(発言する者あり)うるさい。私がしゃべっているんですから。  防衛大臣、今、米軍基地に行くこのミサイルは第一義的には我が国が対応すると言いましたよね。これは集団的自衛権の関係で問題ないんですか。
  150. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 集団的自衛権の問題には抵触はしないと思います。我が国の領土を守っているわけでありますから、これは我が国が第一義的に防衛するということは間違いありませんし、その方針で進むところでございます。しかし、米軍の状況につきましては、事務方で連携を取ってきておるわけでありますから、その内容はこれから報告があると思います。
  151. 佐藤正久

    佐藤正久君 この辺の議論は非常にグレーなところあるんですよね。米軍基地に向こうがミサイルを撃つ、これを、そういうのを分かっていて自衛隊は本当に撃っていいのかどうか。海上における艦船、アメリカのイージス艦に対してミサイルが来る、それを我が国の海上自衛隊が撃っていい。同じ話ですからね。大臣、本当に今のを分かって言っているかどうか。これは外交防衛委員会で明日また徹底的にやりますけれども、時間の関係で。そこ、しっかり勉強してくださいよ。  しかも、米軍とまだ調整をしていない。遅いですよ。沖縄の方に落下するかもしれない、配置するかもしれないと言っているんでしょう。米軍はPAC3あるんですよ。個別的自衛権で撃つ可能性ありますよ。でも、その場合、落とした場合、その破片は基地の外に降ってくるんですよ。しっかりそこは考えて調整してください。  さらに、大臣、北朝鮮はノドンミサイル、これは百発以上持っているというふうに言われています。さらに、中国の弾道ミサイル、これは更に数が多いと言われています。これは、多数のミサイルから数隻のイージス艦と僅かのPAC3でどうやって日本を守るんですか。座して死を待つんでしょうか。どういうふうにして日本を守るのか、お考えをお聞かせください。
  152. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) ちょっと、お話の中に座して死を待つと、こういう表現がございました。確かに、憲法上いわゆる専守防衛でありますけれども我が国が、今言われましたように、国会でも議論になったと私は聞いておりますが、座して死を待つというような、攻撃があった場合には、憲法上、これは我が国にとっても大変急迫した問題でありますから、憲法上においてもこれに応戦するということは可能であるということを私は認識をいたしております。
  153. 佐藤正久

    佐藤正久君 全然答えていないですよ。  これは、憲法上はいいですよ。どうやって守るんですかって聞いたんですよ。
  154. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 我が国自身も抑止力の強化を図ってきておるところでありますし、御存じのとおり、イージスシステム搭載護衛艦について、いわゆる四隻配備をしておるところでありますし、ペトリオットPAC3というものも今あるわけでございます。そのほか、陸海空、その近代化を図ってきておるところでありますので、私はまずそういうことに対応していくと。しかし、確かに、先生が御指摘がありますように、専守防衛でありますから、攻撃をするまでのその装備はしておらないのも事実でありますけれども、しかし、その体制はやはり念頭に置いていかなきゃいけないということで進めてきておるところであります。
  155. 佐藤正久

    佐藤正久君 多分、国民の方、何にも分からないと思う、今の。数隻のイージス艦と、誰が考えても、僅かのPAC3で多くのミサイル対応、これは難しいって誰も分かっているんですよ。どうやってそれを守っていくか。だから日米同盟があるんでしょう。何でそこを大臣が答えないんですか。  だから、うちはそこの矛の部分はできない、敵のミサイル基地等をたたくという場合によっては、場合によっては日米同盟は機能するかもしれないんですよ。それは、巡航ミサイルや航空機や、場合によっては地上戦力がある。在日米軍の中で唯一の地上戦力、地上打撃力、これが沖縄の海兵隊なんですよ。だから、今、海兵隊を沖縄に何とかお願いしますと言っているんでしょう。防衛大臣がそこを説明できなくて、沖縄県民に抑止力なんて全く説明できないですよ。  いいですか。ミサイル対応というのは、イージス艦、PAC3だけではなくて、足らない部分は今言ったようにやっぱり敵のミサイル基地をたたくというのも一つは有効な手段なんですよ。そこを今アメリカにお願いしている部分もあるわけでしょう。全くあなたの答弁では私は納得しないし、国民もますます不安になる。  だから、野田内閣の危機管理に私は大きな疑問があると言っているんですよ。本当に、田中大臣、あなたの今までの答弁聞いた限りでは、弾道ミサイル一つ取ってもとてもあなたには任すことができない、強く思いますよ。この基本的な防衛省の法理論も分かっていない。あなたが頭の体操をやるとか何かのんきなことを言っていますけれども、極めて不謹慎ですよ。  総理、今の答弁聞いても、田中大臣にミサイル対応できますか。本当にこれが適材適所ですか。もう一度お願いします。
  156. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 今いろいろな想定のお話ございましたけれども我が国を守るために、基本的には専守防衛、盾の部分はまず日本がやらなければいけないと思います。一方で、矛としての役割は、当然これは日米同盟をしっかり機能させることが何よりも大事だと思いますし、その意味は私は防衛大臣も御理解をいただいているというふうに思います。(発言する者あり)
  157. 石井一

    委員長石井一君) それじゃ、内閣総理大臣
  158. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 今、御理解をいただいているものというふうに申し上げました。御理解をいただいていることは、前提は、私はその職責を果たしていただけるものと思っております。
  159. 佐藤正久

    佐藤正久君 誰が見ても適材適所じゃないですよ。だって、日米同盟の根幹も分かっていない。抑止力のことを言うかと思ったら全然言わない。どうやって対応するかも基本も分かっていない。これでどうやって我が国の平和と独立、国民の生命、財産を守るんですか。全然駄目ですよ。  原発の対処もそうですよ。私は福島ですけれども、この原発対処に非常に怒りを持っています。非常にぬるい。自民党は原発警備に自衛隊を活用すべきと提言を政府に行っています。野田内閣のストレステストとか再稼働にはゲリラやテロ対処は一切入っておりません。テロリストは警察の所掌、でもゲリラ・コマンドーは防衛大臣防衛省の所掌ですよ。  ゲリラ対処を所掌する防衛大臣として、再稼働、とりわけ大飯原発の再稼働についてどのような意見具申を総理にされましたか。
  160. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 防衛省といたしましては、自治体あるいは関係のところからの要請があればこれは対処していく立場でございまして、今お話があればそれは適切に……(発言する者あり)意見具申はいたしておりません。
  161. 佐藤正久

    佐藤正久君 だから、さっきから聞いていて本当に、備えあれば憂いなしじゃないんですよ。何かあったら、自治体からあったら、要請があったらやるとか、本当に憂いなければ備えなしが野田内閣なんですよ。全然危機管理の基本がなっていない。どうしてゲリラ対策、意見具申しないんですか。コーヒー飲みながらだってできますからね。何でやらないんだと。  総理、今、この前も答弁あったように、多くの原発において、外部電源とかあるいは冷却水を回すポンプ、あるいは取水口、脆弱だ、やり取りがありました、一般論として。  それでは、総理に聞きます。茨城とか福島空港から小型航空機が福島第一原発の電源とか第二原発の電源の方に近づいている、これ、航空自衛隊、スクランブル発進できますか。自衛隊の最高指揮官としてお答えください。(発言する者あり)
  162. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) それは、ちょっと意図等をはっきり把握しないと何とも言えない話だと思います。
  163. 佐藤正久

    佐藤正久君 できるわけないじゃないですか。スクランブルというのは外国の航空機に対してやるんですよ。全然考えていないんですよ。これは九・一一のようなことも考えたら、極めて想定しておかないといけない事態なんですよ。だから、我々は今提言をしているんですよ。政府の方に出しています。航空自衛隊が対応すべきはこういうふうにした方がいいと出しているんですよ。今、非常に脆弱な状態なんですよ。このままだと、またあったら、大臣、電源喪失しますよ。福島の再生なくして復興なしと言いながら、何にも手を打っていないんですよ。  防衛大臣、福島原発の警戒区域の監視状況を見ると、ゲリラ、あるいはテロリストでもいいですよ、入ろうと思えば簡単に原発に入れる状況だと思いませんか。これは危機管理の専門家ならずとも誰でも感じることなんですよ。誰でも入れる状態。これに対して、大臣、本当にいいと思っていますか。防衛省の最高責任者として、今の二十キロ圏内、警戒区域の警備状況、どう認識していますか。
  164. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 御指摘のとおりだと思います。  警戒区域につきましては、防衛省は今、私は、山林の火災が発生してはいけないということで、まず連携を取って取り組んできておるところであります。消防省とも連携をして、そしてまた警察の治安の関係について私は連携を取ってきておるところでありますし、警戒区域につきましてまた警察から要請があれば、防衛省として万全の体制を組むことは考えていければと思います。
  165. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣、全然危機感ないですよ。警察はテロですよ。ゲリラは大臣なんですよ。今言った小型航空機で電源に突っ込む、地上部隊が連携して原発に入って予備電源車やあるいは電線を壊してしまったら、また電源喪失状態ですよ。そういうことを備えておくのが自衛隊なんですよ。何もやっていないじゃないですか。火災、それが一番優先順位が高い事項なんですか。最悪のケースを考える、これは第一原発の所長も言っていましたよ、冷却水が回らない状態、これが最悪のケースなんですよ。そのためにどういう手を打つ、これが危機管理でしょう。何にもやっていないじゃないですか。  大臣、今まで警戒区域とか原発の方に見に行かれましたか。行ったか行かないだけ、それだけ答弁お願いします。
  166. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 私は行っておりません。
  167. 佐藤正久

    佐藤正久君 全然行っていないんですよ。普通だと行きますよ。私が大臣になったらば心配になって行きますよ、どうだと。そこがあなたの危機管理が甘いんですよ。意識がない。守ろうとしない。  あなたは、まだ自分の実家のいわきの方にも震災後一回も行っていないそうですね。だから、いわきの方に行けないから原発の方に入らないんじゃないんですか、そういう話もあるぐらいなんですよ。何で行かないんですか。何か行けない理由でもあるんですか。行ってくださいよ。
  168. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 私は、元々は相馬が実家でございます。選挙区はいわきもありましたし。しかし、いわきにも友人がおりますので、日々その状況は連絡をいただいておりますし、私も気に掛けておるところでございます。  当然、要請があれば、そしてまた、今原子力対策本部に防衛省も派遣をしておりますので、一つ一つ防衛省としてやるべき問題について報告を受け、対応をしてきておるというのを認識をしておるところでございます。
  169. 佐藤正久

    佐藤正久君 昔は相馬かもしれないけれども、今はいわきでしょう。そんないいかげんな逃げの答弁をしないでくださいよ。  それで、最後、総理、今までの話を聞いて、実は本当に私、福島原発の今の状況を憂えているんですよ。テレビが入っているから細部言いませんけれども、今一号機から三号機までの冷却水を回しているポンプ、どうなっているか後で確認してください。びっくりしますよ、青くなりますよ、本当に。東京電力に任せていい分野と、やっぱりそれなりのゲリラ、テロの専門の人間が行って見てあげないと。細部はこれ以上言いませんけれども。  野田内閣、非常に危機管理甘いんですよ。だから、自民党は原発警備についての提言出していますよ。田中大臣がこんな感じですよ。しかも、民主党にもそんなに危機管理に詳しい人がいないかもしれない。だったら、党利党略、これは関係なく、自民党の提言を踏まえて、原発警備、自衛隊の活用を踏まえてもう一度見直すべきではありませんか、総理
  170. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 今御指摘いただいた、冷却水のところはちょっとよく調べさせていただきたいというふうに思いますし、また後でちょっと詳しく教えていただければと思いますが。  そのことだけではなくて、やっぱり原発の問題は、それは自然災害の対応だけではなく、テロ、ゲリラへの対応ということについて緊張感を持って対応しなければいけないというふうに思います。先にお気付きの点があるならば是非教えていただいて、我々も取り入れていきたいというふうに思います。
  171. 佐藤正久

    佐藤正久君 でも、その責任者が田中大臣なんですよ。二か月たっても全然原発の方に行かない。普通じゃないですよ。普通、一番日本で脆弱な部分どこか、ゲリラに狙われたら一番やばいところはどこか、最悪のケースを考えるのが防衛省なんです、元々。最悪のケースに備えつつ最善を目指せ、プリペア・フォー・ザ・ワースト、ホープ・フォー・ザ・ベスト、これが基本ですよ。全然分かっていない。  大臣、今、原発の近くには自衛隊の基地とかいっぱいあるんですよ。例えば舞鶴の基地、高浜原発から十六キロですよ、大飯原発から二十六キロですよ。今、三十キロ圏内、避難計画を作るというそういうときに、舞鶴の基地がその避難区域に入っていたらどうやって舞鶴の基地機能を維持するんですか。これは、原発対応だけではなく防衛上も大きな問題じゃないですか。大臣の所見をお伺いします。
  172. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 大事な問題だと思います。  防衛省といたしましては、原発問題については、自治体とそしてまた警察も共同訓練を行っておるわけでございまして、その中から、私は自衛隊の緊急の対応というものを具体的にやっていくということで今進めておるところでございます。
  173. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣、全然分かっていない。施設の話を言っているんですよ。だから、これは今回、第一原発は免震重要棟があったから、あれがあったから対応ができた部分があるんですよ。気密性を持つような施設を造るとか、いろいろ予算、これは財務大臣も元防衛大臣ですから、調整したら多分、そういう気密性のためのやっぱり最低限の施設なんか予算付けてくれますよね。うんとうなずいていますね。だから、そういう部分、しっかりそこでやるのが大事なんですよ。  いいですか、大臣、これでは、本当に大臣が素人過ぎて、本当に考えない。備えあれば憂いなしは危機管理の基本です。憂いなければ備えなしでは駄目なんですよ。だから、全然そこが分かっていない。  最後に、グーグルマップについて総理に聞きます。(資料提示)  これは、グーグルジャパンで竹島を検索すると住所がウルルン郡になるんです。これは今まで韓国の住所になるんですよ。外務省にもずっと言ってきました、修正してくれと。でも、低いレベルでの申入れしかしないからこのような状況になっている。  次、お願いします。  次は、これグーグルのUSAです。グーグルのUSAでも同じように韓国の住所になっているんですよ。これは、グーグルジャパンだけではなくやっぱりグーグル本社の方にも、ワシントンの大使館を通じながら、これは早く直さないと。おかしいと思いませんか。大臣は、やるやると外交防衛委員会で言いましたよね。全然直ってないですよ、半年過ぎても。
  174. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) まず、今のお話は確かに我が国の基本的立場と相入れませんので、十一月三十日、去年、まず修正を要請をしました。十一月三十日にハングル表記はグーグルマップの地図、航空写真から削除されたことが確認をされたんですが、今おっしゃった問題がまたあったので、もう既に三日前に申入れをいたしました。  引き続き、高いレベルも含めて、今おっしゃったような御指摘踏まえて修正を求めていきたいというふうに考えております。
  175. 佐藤正久

    佐藤正久君 野田内閣の危機管理、全然備えあれば憂いなしになっていない、憂いなければ備えなし、大きな問題だと。防衛大臣のやっぱり不適格性というものを指摘して、私の質問を終わります。  以上です。
  176. 石井一

    委員長石井一君) 以上で佐藤正久君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  177. 石井一

    委員長石井一君) 次に、山谷えり子さんの質疑お願いいたします。山谷さん。
  178. 山谷えり子

    山谷えり子君 自由民主党山谷えり子でございます。  今日は外交防衛集中審議でございますが、私、午前午後とわたりますので、よろしくお願いいたします。  集中審議の前に一点確認したいことがございます。それは皇室制度に関する有識者ヒアリングなんですけれども民主党政権というのは本当に、天皇陛下、御皇室の皆様、国柄への理解というものが、敬意というものがないと思います。数々の御無礼をお働きでございます。  それで、現在、今上陛下、百二十五代でいらっしゃいます。お父さん、お父さん、お父さん、お父さんとたどっていくと第一代の神武天皇にたどり着く。万世一系、男系でずっとつないできているこの美しい国柄を重く受け止めるというふうに野田総理は何回か答弁でお答えになっていらっしゃいました。  その一方で、女性宮家創設ということも言っていらっしゃるんです。女性宮家と言った場合、皇位継承の問題に絡んできます。私はその点を詰めまして、先週、藤村官房長官は、宮家という定義は曖昧だし、今後使わないようにしたいというふうにお答えになられたんですね。野田総理も同じお考えでしょうか。
  179. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 女性皇族が御結婚をされた場合の話でどうしようかという議論をしてきて、昨年の十一月ぐらいですか、女性宮家という形で報道で扱われるようになりました。それに沿って私どもも言葉を使った嫌いがあると思います。その点は山谷委員から先般、官房長官に御指摘ございましたが、私もその点はよく十分注意して、言葉遣いを気を付けていきたいというふうに思います。
  180. 山谷えり子

    山谷えり子君 内閣官房参与に任命なさいました園部逸夫さんですね、ヒアリングにも同席なさる、この方は元々、女性・女系天皇論者でありまして、十七年の有識者会議でもそのような報告書を座長代理としてまとめられた。また、昨年の末にも新聞のインタビューに答えて、女性宮家を創設した場合、女性皇族の配偶者や女系となるその子供を皇族に含めるかどうかの議論が生じるだろう、これは難しい問題だと。確かに難しい問題です。そして、その後、仰天しました。だけど現段階議論する必要はないと。こんなむちゃくちゃな方はおかしいと思いませんか。
  181. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 園部先生については、小泉内閣のときにもいろいろ御見識を示されていたとは承知をしておりますが、今回は様々なお立場の方から公平にお話を聞いていただくということが園部先生の今回の役割でございますので、その点は私は踏まえていただけるものというふうに思っております。
  182. 山谷えり子

    山谷えり子君 そうしますと、政府としては野田総理は女性宮家創設という言葉は使わないし、宮家とは全く関係ない問題だと。  そもそも宮家というのはどういう法的な存在なんでしょうか、どうなんでしょうか。
  183. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 法的な制度としては位置付けられていないというふうに私は思っています。独立して一家を成す皇族に対する一般的な呼称だというふうに思います。
  184. 山谷えり子

    山谷えり子君 それはどなたのおぼしめしによりそのようなことになるのでしょうか。
  185. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) おぼしめしといいますか、これ天皇陛下のおぼしめしによって皇族に対してその宮号というのは賜るものであるということで理解をしていますし、その意味では現在は六宮家だということでございます。
  186. 山谷えり子

    山谷えり子君 今、野田総理は全く理解していらっしゃらなくて、後ろから答弁書をもらってお答えになられたんですね。  本当にその程度の内閣でございますので、国論を二分するような議論にはなさらないように、慎重に、敬意を持って、私どもは自民党政権のときにこのような本当に重い問題はしなければならないと思っておりますので、全く理解のない民主党政権は議論を進め過ぎるべきでないというふうに思っております。そのことを御自覚いただければというふうに思います。  さて、先ほど佐藤同僚議員が、グーグルマップに竹島は韓国の領土として書かれていると。竹島の日というのは閣議決定されていますでしょうか。総理
  187. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 北方領土の日というのは閣議決定されていますけれども、竹島の日というのはそういう閣議で決めたということはございません。
  188. 山谷えり子

    山谷えり子君 政府はオールジャパンで竹島問題の解決に取り組んでいくと言っていらっしゃいます。それならば、二月七日北方領土の日、閣議決定、二月二十二日島根県が決めた竹島の日、これを早速に閣議決定していただきたいと思います。いかがですか、総理
  189. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) これは、そういう日をこれまでも、島根県はそういう日をつくりました、国としてその議論はまだ十分されていないと思うんです。というのは、北方領土は間違いなく領土の四島の帰属の問題があります。だけど、この竹島についてはもう我が国固有のまさに領土である、歴史的にも国際法的にも。ということを踏まえると、どういう考えに持っていくかということはちょっといろんな議論があるのではないでしょうか。
  190. 山谷えり子

    山谷えり子君 そういう答えをするから実効支配、韓国が強化してくるんですよ。昨年一年間、何が起きたんですか。竹島でファッションショーは開かれるわ、音楽会は開かれるわ、四十人泊まれる宿泊施設は造られるわ、ヘリポートは造られるわ、今大きな防波堤と海中公園まで造ろうとしていますよ。それから、竹島の横一キロには海の上に十五階建ての海洋科学基地を今組み立てているところですよ。閣議決定するのは当たり前じゃないですか。もう一回おっしゃってください。
  191. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 竹島の日を設けてそれを閣議決定すべきであると、こういう御提案だと思います。一つの考え方だと思いますけれども、どうしたらこの竹島という、まさに我が国固有の領土ではあるけれども、領土問題、これは存在をしています。この領土問題を平和的に解決していくかということについて、まさに最終的なそういった目標、そのことから踏まえてどういう手段がいいかということでそれぞれ総合的に検討していかなきゃいけない課題だろうというふうに考えています。
  192. 山谷えり子

    山谷えり子君 民主党はさきの衆議院選挙で在日大韓民国民団の皆様にポスター張りをしてもらったり証紙張りをしてもらったり、物すごい、物すごい……(発言する者あり)そうです、外国人地方参政権、選挙権までお約束して、そして千葉の民団の会でも野田総理は、皆様の御支援でもってこういうことになった、つきましては政権交代を機に両国の関係を深めたいと言ったんです。深めたいということは、向こうに引っ張られるということなんですか。  四月十一日に憲政記念館で竹島問題の早期解決を目指す東京集会を開きます。それは、今の政権が全くオールジャパンの体制をつくってくれないからなんです。主催は、私が会長をしております超党派の領土議連九十六名。民主党も三十数名入ってくださっていますよ。それから、竹島・北方領土返還要求運動島根県民会議ですね。  招待状を出して、届いていると思いますけれども、来てくださいますね。
  193. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 政府の対応については検討中でございます。  おっしゃるように、それぞれ超党派でそういった御案内をいただいているということは承知をしていますけれども、先ほど申し上げましたように、最終的な目標を達成するためにどういう形がよいのか、そのことを踏まえて考えていかなければならない。私自身も、外交演説も大平外相以来だということでございましたけれども、あえてああいう形で触れたわけです。  それぞれがそれぞれ、どういう方法がよいかということは、それは様々な御提案をいただければと思います。今の点については政府で検討中だということでございます。
  194. 山谷えり子

    山谷えり子君 溝口善兵衛島根県知事は、閣僚がこの四月十一日、憲政記念館に来てくださってお話をしてくださることが重要だと言っていらっしゃるんですね。近いですよ、本当に。三分も掛かりません。是非、四月十一日、憲政記念館でこの閣僚の皆様と総理とお会いをしたいと思います。  さて、人工衛星と称する弾道ミサイルが北朝鮮から発射されようとしております。昨日の韓国当局の発表では、ミサイル本体が東倉里の発射基地に運ばれた。日本政府も当然把握していらっしゃると思います。発射台はもう五十メートルという物すごい大きさなんですよね。  これ、燃料注入の準備が始まるときはどのように、田中大臣、把握されますか。
  195. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 防衛省といたしましては、情報本部があります。それで、発射台の状況についてはいろいろな手段で把握をするところでありますし、その把握はこれからできるんではないかと思います。
  196. 山谷えり子

    山谷えり子君 東倉里の発射基地の燃料補給の装置はどこの場所にありますか。
  197. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 今までの基地ではない基地でございますが、その近くに補給するというものはあるんではないかということは考えられるわけでありますが、具体的なことについては今お話しする状況ではございません。
  198. 山谷えり子

    山谷えり子君 そこの場所は偵察衛星で捕捉できる場所ですか。
  199. 石井一

    委員長石井一君) 渡辺副大臣、あなた分かるか。渡辺副大臣。(発言する者あり)いや、私、ちょっと指名させてください、これはやや細部にわたることですから。どうぞ。
  200. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) 報道は承知をしております。地下にいわゆる燃料補給基地があるということを報道されていることは承知をしておりますし、また、ここから先は防衛機密に触れる部分ですから大臣が申し上げたように詳細には申し上げられませんけれども、当然、五十メートルの東倉里の発射台にそのような弾道ミサイルが立てかけられて、どのような形で進行しているかということについては、様々な周辺情報を我々としては最大限把握をして、その前兆をつかめるように最大限の努力をしていくところでございます。
  201. 山谷えり子

    山谷えり子君 そうなんです。燃料注入は地下で行われるという最新式。しかも、短時間で自動で行われるという。  田中大臣、私、事前通告これしてるんですが、なぜ副大臣が代わりに。私、副大臣は要求しておりません。おっしゃってください、今の。何でこうなるんでしょう。
  202. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 私からどの程度のお話をしていいかということは、防衛省としての立場もございますが、先生には、そういう話がございましたら、私も相談をして先生には御説明を申し上げるという機会を設けたいと思います。
  203. 山谷えり子

    山谷えり子君 そうしますと、副大臣は答えられるけれども大臣は答えられないということなんですね。ちょっと意味が分かりません。  今の燃料注入に関しては、佐藤同僚議員がおっしゃられた、自衛隊法第七十六条の、我が国にミサイルなどが飛来するおそれがあると認められる場合で武力攻撃に当たると認められる場合というふうに解釈してよろしいんでしょうか。
  204. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 今のところ、攻撃の意図があるというふうには認識をしていないわけでありますので、防衛出動をするということは今のところ考えておらないのが状況でございます。
  205. 山谷えり子

    山谷えり子君 今のところ、弾道ミサイルなどが我が国に飛来するおそれがあるとは認められないから七十六条ではなく八十二条の三の三項でいくということなんですね。この判断はどうしてなさったんですか。
  206. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) これからの判断だということになります。  前回の場合には、八十三条の、二条でありますが、今は三条の三項ということになりますが、これからの状況でございますけれども、万全な体制を組みつつ、そしてまた手順を踏んで、そして判断をしていくということでございます。
  207. 山谷えり子

    山谷えり子君 八十二条の三の三項でやるという方針であるようでございますが、では、いざというときにこの迎撃の命令を下すのは、どこでどなたがなさるんでしょうか。
  208. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 私が判断をすることでございます。
  209. 山谷えり子

    山谷えり子君 PAC3、イージス艦のSM3が失敗してPAC3、これを大臣が命令なさるんですか。瞬間的なことを言っているんですよ。
  210. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 前回もそうでありますが、航空総隊司令官が、私から指示をいたしておきまして、そして判断をするということになるわけでございます。
  211. 山谷えり子

    山谷えり子君 そうなんです。航空総隊司令官がなさるんです。当然、いろいろな打合せをお話しなさっていらっしゃると思います。今、どこからその命令をなさいますか、その方は。
  212. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 齊藤という司令官とお会いしております。そしてまた、今、府中でございますが、今月中に横田に異動するということでございますし、私は大臣室から直接ないしは幕僚長を通じて話をするということにも準備をいたしております。
  213. 山谷えり子

    山谷えり子君 先日は島尻議員の質問に十分に答えられなかったんですね、田中大臣は。今日は答えられると思います。  必要と判断するという根拠を教えてください。
  214. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) やはり、実際に必要なということは、我が国の領土に、領空にその侵犯があるというような判断の下に判断をするところでございます。
  215. 山谷えり子

    山谷えり子君 それは内局の方あるいは制服の方、どのような状況の中でその判断なさるんですか。
  216. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 先ほど、航空総隊司令官が指示するわけでありますが、このBMD、統合任務部隊司令というものを設置をして、そして兼務をしていただくわけでありまして、その統合任務部隊と内局との連絡もございますし、省内としてはいろいろなチャンネルで連携を取りながら、実動部隊と、そしてまた内局と、そしてまた統幕長傘下と、そしてまた私ども政務三役が連携を取るわけでありますが、最終的には私が判断をして指示をするということになります。
  217. 山谷えり子

    山谷えり子君 本当にちょっとよく分からないんですが、もう一回すっきりと国民に分かるように御説明ください。
  218. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 今、外交努力をいたしておりますし、周辺の状況あるいは北朝鮮の状況などを、政府としてあるいは防衛省として総合的に判断をして、必要な場合には対処するということになるわけでございます。
  219. 山谷えり子

    山谷えり子君 何を見て状況として判断するのか、背広、制服組、どのような役割を果たしているのかと、整理を聞いているんです。
  220. 石井一

    委員長石井一君) それじゃ、一度、渡辺副大臣
  221. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) 第一義的には、早期の警戒衛星が、これ当然監視をしています。そして、赤外線を探知して、その赤外線を探知したもので当然瞬時にその軌道、角度等を計算しますから、そうすると、どの飛翔経路を通ってどこに着弾するであろうかということについては、コンピューターでかなり早い時間に計算できますので、当然その飛翔の航路を計算して所要の措置をとることが考えられます。そのときには、当然、在日米軍それから日本の航空総隊司令部と情報を共有して、イージス艦や南西諸島等に配備されているPAC3とも情報を共有しますので、それによって対応をすることが検討をされております。
  222. 山谷えり子

    山谷えり子君 今フラッシュがばばっと光っているんですが、本当に大臣の代わりに副大臣が御答弁になる。フラッシュが万光放つ委員会総理一人は孤独にありて。人事を丸投げするからこういうことになるんですよ。恥ずかしいと思いませんか。党内融和がこの結果なんですか。いかがですか、責任は。
  223. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 決して人事、丸投げをしたということはございません。私なりの適材適所の判断をしました。その責任については、私が任命責任は負っておりますけれども、私の判断でございます。(発言する者あり)
  224. 石井一

    委員長石井一君) ちょっと静粛にしてください。
  225. 山谷えり子

    山谷えり子君 本当に適材適所という、もう一回辞書を調べて私、本当に理解したいと思います。理解できません、今の状態では。  一昨年、私、拉致議連の副会長をしておりまして、韓国でみんなで、仲間で行きました。そして、政府の幹部、国会の幹部、そして与党の幹部、いろいろな方と議論いたしまして、朝鮮半島で雪崩のようなことが起きるかもしれないというふうに言われました。救出のための自衛隊法改正の御検討をお願いいたします。──いや、それでは、次にいたします。午後にいたします。ありがとうございました。
  226. 石井一

    委員長石井一君) それでは、午前の議論はこの程度にいたします。  残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することにいたします。休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  227. 石井一

    委員長石井一君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  平成二十四年度総予算三案を一括して議題とし、外交及び安全保障等に関する集中審議を行います。  休憩前に引き続き、質疑を行います。山谷えり子さん。
  228. 山谷えり子

    山谷えり子君 自由民主党山谷えり子でございます。  田中防衛大臣にお伺いします。午前からの積み残しなんですが、朝鮮半島で雪崩のようなことが起きた場合に、拉致の被害者を助け出さなければなりません、また、韓国にいる日本人を輸送しなければなりません。今の自衛隊法では、外務大臣が要請し、総理が承認し、防衛大臣が命令を下すということになっている。ところが、安全が確保された場合という条件が付いているんです。これは非常に矛盾がありまして、安全じゃない、必ずしもないからこそ自衛隊が輸送に行くわけでありますから、自民党は自衛隊法の改正案を出しております。田中防衛大臣は、現行法を改正しなければ、自民党案を今検討していただけているとは思いますけれども、いかがお考えですか。
  229. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 防衛省・自衛隊は、自衛隊法第八十四条の三に基づき、邦人等の輸送の依頼が外務大臣から防衛大臣に対しましてありましたときに、輸送の安全が確保されているということを認められた場合に在外邦人等の輸送を行うことができるという、先生の御指摘のとおりだと思います。  自民党案につきまして改正案は承知をしておるところでございますけれども、在外邦人の保護に関し、自衛隊が派遣先の外国においてどのような活動を行うかについては様々な観点から議論し検討することが重要だと思っておりますし、先生御指摘のような北朝鮮の情勢あるいは韓国との関係、こういうことをこれからも議論をさせていただきながら自民党案のことは理解はしていきますけれども、今のところ、この法案について賛成するということはできない状況でございます。
  230. 山谷えり子

    山谷えり子君 自民党はそれでその法案を出しているんですよ、改正案を。見殺しにするということですか、今の答弁では。日本人救い出せない、見殺しにするということですか。
  231. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 見殺しにするということではございません。もっと運用を考えていくことは必要だと思いますが、例えば先般の東日本大震災がございました。中国の皆さん方が東北におられましたけれども、民間の新潟空港から皆さん方は一時避難されたわけであります。  そういうふうに、官民一体各国との友好関係なり、あるいはその関係を活用しながら最大限努力をしていくということで現在は対応してきておるところでありますが、先生の御指摘のことは国会でも大いに議論をしていく必要のある課題ではないかと私は認識をいたしております。
  232. 山谷えり子

    山谷えり子君 田中防衛大臣、あの有名な一文がありますね。「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」、このことに関しては共感なさいますか、それともおかしいなと思われますか。
  233. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 憲法の平和主義を前文でうたっておるということでございますし、その前提というものを理解をしつつ、憲法が成立をしておるわけでありますが、しかし憲法議論の中では、前文においてもそれぞれこの必要性については、あるいはこの認識ということについては憲法学者でも議論があるわけであります。  これから憲法調査会の中でいろいろと議論をされることではないかと思います。(発言する者あり)
  234. 石井一

    委員長石井一君) あなたの見解を問うておるようであります。どうぞ。
  235. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 憲法を尊重いたしますが、防衛大臣といたしましては、万が一の緊急のことについては常に念頭に置いて対処をしていかなければいけないというふうに認識をいたしております。
  236. 山谷えり子

    山谷えり子君 平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して。北朝鮮は弾道ミサイルを発射する、拉致をした、そして今の自衛隊法では、朝鮮半島で雪崩のようなことが起きても、田中防衛大臣は助けに行くための法改正をする気がないということですね。  いいです、田中大臣に聞いているんです。
  237. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 国会で大いに議論をしていくべき課題だと思っておりますので、私もその認識を持って臨みたいと思います。
  238. 山谷えり子

    山谷えり子君 大臣は、せっかくその大臣のポストにいらっしゃるんですから、問題意識をしっかり持って議論をリードしていただきたいと思います。ただ座っていればいいというものじゃないんですよ。  尖閣に関して、EEZ、排他的経済水域の基点となる九十九の島のうち残り三十九の島の名前を付けてくださいました。そして、二十三を国有台帳に記入してくださいました。しかし、尖閣の周りの四つ、これがまだ未記入で登記は済んでおりません。総理、これ登記早く済ましていただけますね。  いや、総理です。
  239. 前田武志

    国務大臣(前田武志君) 今の事実関係だけ申し上げます。  山谷委員の御指摘でございます。昨年八月に実施した離島の国有財産化は、要するに当該離島の周辺に所有者が明確な離島がない無主のものについて実施したものであります。  ただし、久場島の周辺の三島と、それから大正島の一島ということだと思いますが、久場島の所有者である民間人が久場島の一部として所有していると認識しておりますし、また、大正島の一島についてはこれはもう国有しておりますから、その国有財産と認識をしているわけでございます。大正島周辺の一島については、以前は名称がなかったため国有財産の台帳上には載っておりませんでしたが、三月一日の名称付与を受けて、国有財産であるということを明確にするため、三月二十三日に台帳に明記したところでございます。
  240. 山谷えり子

    山谷えり子君 それでは、もう早速に四島明記してくださったということで、ありがとうございます。  ところで、昨年十一月、玄葉外務大臣は、大変仲の良い記者たちとの懇談会で、尖閣は中国に差し上げればいいとおっしゃられた。これを山本一太さん、国会で追及なさいまして、一〇〇%事実無根、週刊新潮を訴える、謝罪してもらう、謝罪がなければ訴えると、法的措置をとるとおっしゃられましたが、週刊新潮は謝罪しましたか。
  241. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 今やり取りを行っておりまして、謝罪しておりません。
  242. 山谷えり子

    山谷えり子君 そうしたら訴えればよろしいじゃないですか。
  243. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 全て用意してございます。
  244. 山谷えり子

    山谷えり子君 謝罪してほしいというのは一回しか言ってこなくて、全然その後リアクションがないということは、これは事実なんじゃないでしょうか。
  245. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 一〇〇%、そういったことはございません。
  246. 山谷えり子

    山谷えり子君 訴えてほしいと思います。証人がいらっしゃるんです。私、その証人からお話聞きました。今日来てもいいというふうにおっしゃられましたので、また次回、機会がありましたら参考人としてお呼びしたいと思います。
  247. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 是非連れてきてください。もうどんなことあっても言っていませんので、全ての記者が否定しております、そこにいた記者ですよ、十七、八人か十人くらいいたんじゃないでしょうか。全員に聞き取っていただいて結構でございますし、どうぞその方を連れてきていただければと思います。
  248. 山谷えり子

    山谷えり子君 十七、八人もおりませんし、ではそれは、じゃ、後ほどまた引き続きやりたいというふうに思います。  それから、中国の日本の大使館が建築基準がちょっとおかしかったということで、なかなか建築許可が下りなかったと。そこで、中国は日本大使館に口上書というものを出すように求め、その口上書を外務大臣はオーケーして出させたと。他の国に対してこんなことやっていません。その口上書というのは、中国は公邸、領事館を造るのに広い土地が欲しい、東京や新潟や名古屋の土地について便宜を図ってほしいと。まあ新潟は既に売られてしまって、玄葉さんがどうしてこんなに広いのが必要なのかと今更ながら言っているという間抜けな状況でございますが、二月二日、衆議院の予算委員会で土地の要請はあったと、中国から、答弁していらっしゃるんですよ。具体的にどんな要請でしたか。
  249. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) これは、中国側から、在日公館施設のための土地の取得も含め種々の要望が出されていたということであります。ただ、そういったことに対して私は絶対に駄目であるという指示をいたしております。したがって、これはたしか二〇〇八年、政権交代前のことでありますけれども、通報しなければいけなかったそのミスに付け込んだのかどうなのか分かりませんけれども、様々なかなか物事が進んでいないという中で、まさに今おっしゃったように口上書は出しましたけれども、この口上書というのは他国に対するものと全く同じ立場を表明しているということでありまして、関連の国際法に従って国内法令の範囲内で協力する。ですから、例えば、じゃ、中国以外の国から同じように口上書を出してくれと言われれば出したいというふうに思います。他国と同じ扱いをしているということであります。
  250. 山谷えり子

    山谷えり子君 ほかの国には出していない、中国にだけ出した、しかも土地に対しての要請があった、断ったにしてもあった。それでは、その具体的な口上書を出していただきたいと思います、文書を。
  251. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) これは、衆議院の委員会にしっかりその中身については出させていただいております。口上書そのものを、つまり、これは外交上の政府間の文書のやり取りでありますけれども、そのまま出すということはこれは普通考えられないことは御理解いただけるとおりでありまして、ですから、他国に対するものと同じことをしていると。  先ほど申し上げましたけれども、元々これは政権交代前にいろんなことがあった、それに対して付け込もうとした、だけれども、付け込まれるようなことをしなかったというのが私は正しい認識じゃないかというふうに思いますよ。
  252. 山谷えり子

    山谷えり子君 尖閣に是非、港を造り、あるいは自衛隊が常駐をして守ってほしいんですが、今の口上書の件は今の答弁じゃ納得できません。是非、理事会でお諮りいただきたいと思います。
  253. 石井一

    委員長石井一君) その御提案の件は理事会で協議いたします。
  254. 山谷えり子

    山谷えり子君 田中防衛大臣にお伺いします。三月十六日に尖閣付近で中国の国家海洋局の調査船海監五〇が領海侵犯をいたしました。このとき、自衛隊は何をしていらっしゃいましたでしょうか。(発言する者あり)
  255. 石井一

    委員長石井一君) 田中防衛大臣。(発言する者あり)速記をちょっと止めて。    〔速記中止〕
  256. 石井一

    委員長石井一君) 速記を起こして。  ただいま大臣席で答弁をしたのでなく、私語を発しております。閣僚席で私語を発するのはやめてください。(発言する者あり)  それじゃ、恐縮ですが、外務大臣、今の件について一言御発言を願います。
  257. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) いわゆる、そのものではありませんけれども、その内容について記したものを参議院の予算委員会の理事会にも出させていただきたいというふうに思います。
  258. 山谷えり子

    山谷えり子君 本当に座ったまま、お行儀悪いんですよ。衆議院に出したからいいじゃねえかと。それ、やっぱり立派な外務大臣の態度とは思えませんですね。  さっきの質問は田中防衛大臣、いかがでしょう。
  259. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 中国の海監五〇の領海侵犯事案についての防衛省の対応でありますが、防衛省・自衛隊としては、引き続き我が国周辺海域における警戒監視活動に万全を期してきておるわけでございますし、海上保安庁を含む関係省庁と緊密に連絡して、遺漏なきように対応してきたところでございます。  一般的に、他国の船舶が法令に違反して領海に侵入した場合には、第一義的には海上の安全と秩序の確保を任務とする海上保安庁において対処することとなっておりますが、平素から我が国周辺海域において警戒監視を強めるという形で来ておるところでございます。
  260. 山谷えり子

    山谷えり子君 そういう質問はしておりません。  三月十六日、尖閣周辺、海監五〇が領海侵犯していた間、自衛隊は何をしていましたか。
  261. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 私はたしか衆議院の安保委員会出席をいたしておりました。それで、私がこの領空侵犯の事案というものを報告を受けましたので、直ちに私は指示をして、海上保安庁から、連絡を取りながら、警戒監視を強めるように、そしてまた空からの監視もするということで対応をしてきたわけでありますので、御質問の趣旨に合うんだと思いますが。
  262. 山谷えり子

    山谷えり子君 空からは何で見ていらしたんですか。
  263. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) P3Cでございます。
  264. 山谷えり子

    山谷えり子君 しっかり守っていただきたいと思います。  さて、お手元に資料があると思います。  アメリカのニュージャージー州に設置されたいわゆる従軍慰安婦記念碑に刻まれているものでございますが、軍と下半身というのはいつの時代でもどこの国でも大変に悩ましい問題でございます。歴史に対して謙虚でなければいけませんけれども、しかし事実でないことにはきっちりと説明、発信していかなければならないと思います。  野田総理、恐縮でございますが、これ外務省の仮訳なんですが、四行ほどお読みいただけますでしょうか。
  265. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) ちょっと仮訳をそのまま読めということでございますので、そのまま読ませていただきますが、一九三〇年代から四五年までの間、日本帝国政府の軍によって拉致された二十万人以上の女性と少女を記憶にとどめ、慰安婦として知られる彼女たちは、誰も見過ごすべきではない人権の侵害に耐えた、我々はこのような人類に対する罪の恐ろしさを忘れまいというふうに記されております。  この碑が立ったということについて、我々もしかるべき関係者の皆さんに申入れを行いました。この市は、一万七千人くらいの町なんですけれども、三分の一は韓国系であると。これは全米で一番多い町であります。ですから、これから引き続き状況を注視しながら適切に対応したいというふうに思っています。
  266. 山谷えり子

    山谷えり子君 総理に伺います。日本帝国政府の軍によって拉致された二十万人以上の女性と少女、軍によって拉致されたと、これは事実でしょうか。
  267. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 日本政府の軍によって拉致された二十万人以上、こういう数値とか経緯とか含めて根拠がないのではないかと思います。
  268. 山谷えり子

    山谷えり子君 根拠がなければ、ワシントンにロビイストがいないのは日本だけなんですよね、韓国は精力的にやっていらっしゃいます。これ、外交戦略の中できっちりと事実を説明していくというような外交を考えていただきたいと思います。  続いて、二枚目なんですが、これはソウルの日本大使館前に造られた平和の碑という少女の像の前なんですが、文章はこうなっています。  二〇一一年十二月十四日、日本軍性的奴隷問題を解決するための水曜デモが、一九九二年一月八日に日本大使館前で最初の集会を行ってから千回目を迎えた。この平和の碑は、水曜デモの精神と深い歴史を記念して立っているものであると。  この水曜デモには、民主党の国会議員さんたち、入れ替わり立ち替わり参加していらっしゃるんですよね。  それで、民間事業者が当時一般紙にも広告を出して、慰安婦募集、月給は幾ら幾ら、行き先はどこどこ、年齢はこのぐらいというようなことはございました。しかし、拉致、アブダクションということもありませんでしたし、セックススレーブということはなかったんですね。ジャパニーズ・ミリタリー・セクシュアル・スレーバリーって、こういうのはあったんですか、総理、お答えください。外務大臣じゃないです。
  269. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 経緯とか実態についてはいろんなお話がありますけれども、このことが正確なことを記されているかというと、大きく乖離しているというふうに思いますし、この碑を建てたことについては、大統領にも早く撤去するように私の方からも要請をいたしました。
  270. 山谷えり子

    山谷えり子君 ところが、大統領は、昨年十二月十七日、京都の日韓首脳会談で、第二、第三の像ができるぞと言われている。どういうふうに説明なすったんですか。
  271. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 相手の大統領がこの慰安婦の問題についての懸念を私に伝えたことは事実ですが、どれぐらい何を言ったかということはこれはコメントを控えたいというふうに思いますが、我が国は、法的にはもう決着しているというその立場は明確にお伝えをしております。
  272. 山谷えり子

    山谷えり子君 法的に決着しているというのは、一九六五年の日韓基本条約のことをおっしゃっていらっしゃるんですね。今、うなずいていらっしゃいます。  しかし、それでも道義的にはどうかということでアジア女性基金というのがつくられて、民間の皆様が寄附なさって、そして女性の皆様にお金をお渡しすることができました。歴代総理、何代にもわたって謝罪をしております。この認識は同じくしていただけますでしょうか。
  273. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 一貫して、その一九六五年の日韓基本条約によって法的な立場はもう決着していることは歴代政権申し上げてきています。  その上で、一つの考え方、人道的な支援として、アジア女性基金、かつての政権下の中で民間の御協力もいただいてつくり、そして今もそのフォローアップをしてきているということは事実でございます。
  274. 山谷えり子

    山谷えり子君 それから、軍や官憲による強制的な連行という資料は見付からなかったんです。平成九年の国会の答弁でも内閣官房外政審議室長が言っていらっしゃいます。それから、平成十九年の政府答弁もそうでございます。  今の野田内閣も同じでしょうか。
  275. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 政府がかつて調査をいたしましたその調査結果を基本的に踏まえていると。  おっしゃるように、証拠は出ていないけれども、ただ否定はできないと、こういうことだと思います。
  276. 山谷えり子

    山谷えり子君 証拠は出ていない、どういうことですか、それ。
  277. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 河野官房長官談話はどういうことを書いてあるかといえば、慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められる事例が数多くあり、さらに、官憲等がこれに加担したこともあったことが明らかになったと。当時の朝鮮半島は我が国の統治下にあり、その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われたというふうに河野官房長官の談話には記してあるというふうに承知しています。
  278. 山谷えり子

    山谷えり子君 本当に、証拠はないけど否定できないって、おかしな答弁はなさらないでください。国家の名誉を守ることが大事でございます。  いろんな大臣つくっていらっしゃるんだったら、国家名誉回復担当大臣をおつくりになられたらいかがですか、野田総理
  279. 石井一

    委員長石井一君) それじゃ、最後に、玄葉大臣、一言で総括してください。先ほどのあなたの発言に対して。
  280. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 政府の基本的な立場は、河野官房長官談話のとおりでございます。
  281. 山谷えり子

    山谷えり子君 では、終わりにします。
  282. 石井一

    委員長石井一君) 以上で山谷えり子さんの質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  283. 石井一

    委員長石井一君) 次に、宇都隆史君の質疑を行います。宇都君。
  284. 宇都隆史

    宇都隆史君 自由民主党宇都隆史です。  本日は、我が国が抱えている防衛政策の根本的な大問題点、これまでの各政権が全て先送りにしてきたことです。このことをしっかりと審議をさせていただきながら、国民の皆さんに、今この現状において我が国がいかに危うい状況にあるか、このことを確認させていただきながら、野田総理がなぜ田中大臣を任命したのか、そのことについてお聞きしていきたいと思いますが。  総理、まずお聞きします。総理がお書きになったこの「民主の敵」、この本で書かれている民主の敵とは何を指しているんですか。
  285. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) その本は、一昨年、政権交代の前の総選挙の直前に著したものでございますけれども、敵というのは、ずっと既得権益があって、それを優先するシステムが続いていることをいわゆる民主の敵と位置付けているということであります。
  286. 宇都隆史

    宇都隆史君 恐らくは、この民主党の政権交代の大きな力になったのもそこにあったと思うんですよ。今まで大事なことを、一番やらなければならないことをどんどん先送りにしてきた政権、その背信行為が民主の敵なんじゃないか、そこをだから変えようというつもりで政権の座に立ったはずなんですね。この本の中でも野田総理は、集団的自衛権に関して、第四章自衛官の倅という項で、集団的自衛権の解釈を乗り越えられるか否かが肝だと、これはやはり認めるべきだと。そして、こうも書いています。国民の生命と財産を守るための法整備は政治家として最低限の仕事だと、このように言われているんです。  しかし、今、この国家のトップの座に、そこにお座りになって、考え方は変わりましたね。これまでの予算委員会等の答弁聞いていると、かつての意見は政治家一個人としての意見だが、今、総理になって、歴代の政府解釈に全く同調しているわけです。今日はその点を追及させていただきます。  田中防衛大臣、まず冒頭、質問通告しておりました専守防衛についてから入りますけれども我が国防衛の基本指針である専守防衛、それと軍事用語としての戦略守勢、この違いを明確に述べてください。
  287. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 専守防衛と戦略守勢との違いについての御質問でございます。  専守防衛とは、相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使し、その対応も自衛のために必要最小限にとどめ、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢をいうものであり、我が国防衛の基本的な方針でございます。  お尋ねの戦略守勢という用語は、我が国防衛力の運用において専守防衛と同じ意味において使用したものである旨、従来から国会答弁でなされておるところでございます。
  288. 宇都隆史

    宇都隆史君 我が国は、政府の解釈としては一貫してこの専守防衛というのは戦略守勢と同じような意義であるという解釈をしているんですけれども、私は根本的にここが間違っていると思うんです。  専守防衛という我が国防衛基本方針は、別にこれは閣議決定されたものでもありませんよね。法律で決まったものでもありません。ある一定のところから国会議論で……(発言する者あり)憲法なんかで決まっていないですよ、書かれていないですよ、こんなことは。専守防衛という用語は、あるときから、昭和四十五年からですけれども、この防衛白書の中に出てきて、さも我が国の閣議に諮ったような、オブラートに包んだような漠然とした概念で進んでいるんです。本来の軍事的な合理性の、軍事用語で言う戦略守勢であれば、戦略的に一定の期間防衛に特化した行動を行っても、ある一定の期間において戦術的に攻撃を行ったりいろんなオプションを捨てるものではないはずなんです。  防衛大臣、では、専守防衛、今の解釈の延長で考えたときに、緒戦において我が国が攻撃を受けたと、我が国に対する不正の侵略があった、それ以降に対して相手の敵国の領土等に対する攻撃というのは可能になるんですか。
  289. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 政府は、従来から、あくまでも法理上の問題として、ほかに手段がないと認められるものに限り、誘導弾等の敵基地をたたくことは憲法が認める自衛権の範囲内に含まれるとの考え方を示しているところでございますので、先生の言われることにつきましては、憲法での範囲内ということの対応であるというふうに理解をいたしております。
  290. 宇都隆史

    宇都隆史君 もう一度確認しますが、緒戦において攻撃を受けた場合については、敵国に対する攻撃は憲法の範囲内で許されるということでよろしいんですね。
  291. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 当然、基地に攻撃をするということは憲法上許されておるという行為でございます。
  292. 宇都隆史

    宇都隆史君 今、国会において新たな解釈を述べていただいたんだと思います。これまでは、弾道ミサイル等に特化して、この場合については先制攻撃等、先制攻撃ではないですね、敵の策源地攻撃、これに関しては解釈上認められるんではないか、あるいは憲法上否定はされていないんではないかという解釈がありましたけれども、その他の敵の基地を攻撃するようなことは、これは憲法上は許されないのではないかという解釈だったですけれども、今、田中大臣は許されるという答弁をいただきました。それでよろしいですか。
  293. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 補足いたしますが、我が国現時点において敵基地攻撃を目的とした装備体系を有しておらず、御指摘のような敵基地に対しては軍事的に有効な攻撃を行うことは極めて困難でありますが、かかる攻撃が憲法上許される自衛の範囲内に含まれるか否かは、具体的な状況に即して自衛権発動の三要件に該当するか否かに照らして判断されることでございます。しかし、憲法上はこれは認められる行為であるということでございます。
  294. 宇都隆史

    宇都隆史君 憲法上も、先に攻撃を受けた場合については、敵国の航空基地であったり港湾であったり、そういう戦力発揮場所を攻撃することはできると答弁今いただきました。  それともう一つ我が国は……(発言する者あり)
  295. 石井一

    委員長石井一君) ちょっと、御静粛に願います。
  296. 宇都隆史

    宇都隆史君 総理、よろしいですか。  総理、今の答弁政府解釈としてよろしいんですね。(発言する者あり)
  297. 石井一

    委員長石井一君) 御静粛に願います。
  298. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 恐らく、今、田中大臣答弁は、昭和三十一年の鳩山一郎、当時の総理の御答弁をベースにしたお話をされて、法理上は可能であるという答弁をされているんですね。法理上可能というお話をされていますが、その後防衛大臣説明したとおり、現実の自衛隊の装備の在り方としては、敵基地攻撃を目的とした装備体系の保有は考えていないというのが、ずっとこれも政府の一貫した答弁であります。
  299. 宇都隆史

    宇都隆史君 そこで、我が国はそういう装備体系を保有していない、整備をしていないというお話、今お二人からもありましたけれども、先日、三月十二日の予算委員会において、山本一太委員からの大臣に対する質問、F35の質問でした。どうしてこのF35のステルス機、これが欲しいんですかという質問に対して、田中大臣はこう答えているんですね。専守防衛にとってやはり非常な状況にあると、こういう答弁をいただきました。  ステルス機を持つというこの装備体系と専守防衛、どういう関連性があるんですか。
  300. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) F35Aはステルス性を保有をいたしております。そういう中から、敵機が襲来するという中にあって、やはりこちらから先に確認をする、そして守っていく、攻撃をする、侵略をすればスクランブルをする、攻撃をすると、こういうことでありますし、もう一つ、やはり今、安全保障環境の中でF35を保有することは、このネットワークの情報がございまして、F35については、敵に対する総合的な形で対応しているということによりまして、我が国にとって専守防衛を果たす上での大きな機種であるということで認識をいたしております。(発言する者あり)
  301. 石井一

    委員長石井一君) ちょっと問題を整理してからやってくださいよ。ちょっと問題を整理してからやってください。  それじゃ、田中防衛大臣
  302. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) ステルス性と専守防衛についての御質問でございます。  ステルス性は空対空戦闘において先に敵を発見して撃破するために不可欠な能力であり、敵基地攻撃とは関係のない任務においても極めて重要な要素でございます。F35Aは、ステルス性に優れていることのみをもって選定されたわけではございません。その他の総合的な機能を持っておるわけでありますし、今後想定される状況に対処するための能力を最も総合的に備えているということから、我が国の専守防衛にとって大事な機種であるということでございます。
  303. 宇都隆史

    宇都隆史君 ですから、今大臣がお答えになったことは、先日の外交防衛委員会でも空自の運用と合わないというお話をしたじゃないですか。確かに、見えない航空機と見える航空機が空対空で戦えば見えない方が勝つに決まっているんです。でも、見えない航空機をどうやって管制して防空戦闘するんです、お答えください。
  304. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) お答えいたします。  そういうケースは確かに、先生御専門でありますから、あることはございますが、今、F35A、これは大変情報のネットワークが非常に優れておるということでございまして、そういう面では、このF35を中心として更なる基地との連携あるいは情報を取って、敵よりも早くこのF35が対応できるようなそういう体制をこれから組んでいくという中にあってのF35Aの購入でありますから、総合的に、この情報の中で先生が言われるような御心配はないということで私は認識をいたしております。
  305. 宇都隆史

    宇都隆史君 大いに心配ですよ。今、国民の皆さんも大いに心配になっていますよ、我が国の運用を全く分かっていないんですから。それで新しい航空機買って運用なんかできないでしょう。  私は、あのとき大臣が、これは専守防衛にとって非常に必要な状況にあると言ったときにこういう解釈をしたんですよ。最初大臣が言ったように、我が国は敵の基地を攻撃するような装備体系にないから、だからF35のようなその可能性のある兵器を事前に購入していって、法理論上それが可能になるときにはそのオプションも持てるように装備を進めていくんだと。もし、それを思っていながら、ただ表面上は無知を装っていたんだとしたら非常にすごい戦略家だなと思ったんですよ。私はそのことが聞きたかった。ただ、大臣はそれも、敵の基地の攻撃も法的には制限されないなどとおっしゃいましたから、きっとそういうことも可能性として秘めているんでしょう。  このパネルを御覧ください。(資料提示)これは防衛白書から出したものです。何が書かれているかというと、我が国の陸海空の戦力を一としたときに周辺諸国の戦力がそれぞれ我が国の何倍に当たるかというのを出しているわけです。  グラフを可視化的にこうやって、視覚的に見ていただいても分かると思いますが、韓国であったり台湾であったりよりもずっと小さな戦力しかないわけですよね。片や、今、我々の安全に対して非常に危機感を我々が覚えている北朝鮮、あるいは軍事力を年々伸ばしている中国というのを見ていくと、もう陸上戦力だけ見ても我が国の七倍、あるいは中国に至っては十一倍もの戦力を持っているわけです。航空戦力ももちろん三倍以上です。この三倍以上の勢力が数に言わせて攻めてくる、こういう状況になったときに一体どういう防御をしようと考えているんですか、防衛大臣
  306. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 先生の御指摘のような安全保障環境になった場合のことは、まずは我が国としてもその対応をしていかなきゃいけないというふうに認識をいたしておりまして、大綱、中期防でその整備をしていくということは間違いないわけでございます。  しかし、いざというときには、先生も御存じのとおり、ガイドラインで日米の協力ということがございますし、攻撃力についてはその中で考慮していただくということが日米のガイドラインで決めていただいているわけでありまして、日ごろやはり日米の共同訓練を始めとして連携を図っていくということも一方必要だと思っています。  しかし、このような状況に対しては、やはり我が国も真剣に防衛力のことを考えていくということを認識をしていきたいと思います。
  307. 宇都隆史

    宇都隆史君 結局、防衛大臣答弁は、いざとなればアメリカ頼みで守ってもらうという話なんですよ。  最高指揮官、どうやって守らせるんですか、現場の自衛官に。これだけの兵力差、多勢に無勢がある中で、どうやって守れという指示を出すんですか。
  308. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 基本的にはいわゆる質、量に置いた防衛力、従来の基盤的防衛力の整備という考え方を改めて、運用のダイナミズムによって動的防衛力という観念の下に新しい防衛計画を作りました。大綱を作りました。新中期防を作りました。  それを踏まえながら、これ、一挙に全部というお話はちょっと今極端な事例だと思いますけれども、そうならないための外交努力をしながら、まず専守防衛は、今の範囲の中で動的防衛構想をしっかりと着実に進めていくということ、それに加えて、日米同盟を深化をさせながら、我が国のまさに国の独立と安全を守るということでございます。
  309. 宇都隆史

    宇都隆史君 多勢に無勢の中で運用の妙と精神力で乗り越えようなんて、そんなの大戦と一緒じゃないですか。さきの大戦と一緒じゃないですか。  そうではなくて、私が言いたいのは、今、専守防衛という枠組みで手足が縛られているわけですよ。先ほど総理も別の答弁の中で言いました。アメリカの矛に対して日本の盾と言いましたよね。本当にいつまでも盾でいいのかという話なんです。我々も状況においては矛をやらなきゃいけないんじゃないのかと。その縛りを外してやることがまず現場を楽にすることなんじゃないんですか。(発言する者あり)ちょっと黙っていてください。  じゃ、続けて、専守防衛における作戦可能範囲を防衛大臣にお聞きしたいと思います。  この専守防衛における作戦可能範囲、領域及び周辺地域に限定されるんですか。そうではないですか。
  310. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 我が国が自衛権の行使として我が国防衛するため必要最小限度の実力行使することのできる地理的範囲は、必ずしも我が国の領土、領海、領空に限られるものではなく、公海及び公空にも及び得ますが、武力行使の目的をもって自衛隊を他国の領土、領海、領空に派遣することは、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって憲法上許されないと考えております。  仮に、他国の領域における武力行動で自衛権発動の三要件に該当するものがあるとすれば、憲法上の理論としては、そのような行動を取ることが許されないわけではないと考えております。
  311. 宇都隆史

    宇都隆史君 では、シーレーンはこの専守防衛の範疇に含まれるんですか。
  312. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) シーレーンと専守防衛についてのことでありますが、政府としては、従来より、我が国に対する武力攻撃が発生した場合に、周辺数百海里、航路帯を設ける場合においては、おおむね一千海里程度の海域において、自衛の範囲内で海上交通の安全を確保し得ることを目的に海上防衛力の整備を進めてきたところであります。現大綱においても、このような地理的な範囲における海上交通の安全を確保する能力を維持することといたしております。  こうした防衛力の整備の考え方は、当然に専守防衛の基本的な考え方に沿って行われるものでございます。
  313. 宇都隆史

    宇都隆史君 では、ホルムズ海峡の件で、我が国の原油の八割を輸入に頼っているあそこを機雷で閉鎖された場合、これは我が国に対する自衛の範疇で機雷を掃海する、これは可能なんでしょうか。防衛大臣お願いします。あくまで防衛オプションとしてそれが可能なのか、お伺いします。
  314. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 機雷の掃海につきましては、当然、紛争中は武力行使と一体化するおそれがあるわけでありますから、今の状況ではできないわけでありますけれども、それがやはり紛争が終結をしたというような状況にありましたら対応が可能になるということでございます。
  315. 宇都隆史

    宇都隆史君 今の状況ではできないと言いましたけれども、今紛争が起こっているんですか、もう既に。
  316. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 今紛争が起こっておりませんけれども、これは武力行使と一体になるようなことはできないという理解でございます。
  317. 宇都隆史

    宇都隆史君 ありがとうございます。  武力行使と一体になるような派遣はできないけれども、ホルムズ海峡に機雷を敷設されれば、これは我が国にとっても甚大なことなので、掃海することは法理論上不可能ではないという答弁を今いただきました。  次の質問です。  専守防衛において、有事の際に我が国の陸上戦力、防衛大臣、聞いていてください、有事において我が国の陸上戦力が作戦する作戦エリア、戦域はどこですか。
  318. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 有事の際の我が国の陸上戦力の作戦エリアについての御質問ですが、陸上自衛隊は、上陸を行おうとする敵の部隊に対しては、我が国の海岸付近に配置した戦車、火砲等により水際で上陸を阻止するとともに、敵部隊を水際や上陸直後に撃破できなかった場合等においては、内陸部に配置した部隊等により敵の更なる侵攻を阻止することになります。  他方で、我が国に侵攻する敵は、海や空を経て我が国に部隊を上陸することになるため、その侵攻を阻止するためには、陸上での対応に先立ち、周辺海空域において敵を早期に発見して撃破することが重要となっております。  こうした点について、防衛大綱、中期防において、周辺海空域の安全の確保をするため、情報収集、警戒監視能力の向上や防空能力の向上等を図ることにして対処をしてきておるところでございます。
  319. 宇都隆史

    宇都隆史君 結局、今答弁をいただいたように、我が国が武力事態が起こって戦う戦場というのは、我が国の海岸線あるいは野山なわけですよね。つまり、専守防衛という言葉を使うと国民の皆さんには非常にいいように聞こえるかもしれないけれども我が国は、いざとなったら本土決戦をするというのを初めから決めているんですよ。  陸上戦力が我が国は非常に多いですよね。前回の大綱でも、陸上戦力を減らして空海戦力にウエートをシフトしようというようなことを動的防衛力ということでうたっています。  しかしながら、我が国はこれだけ長い海岸線を持っているんですよ。我が国の海岸線は、トータルすると二万九千七百五十一キロ、世界第六位の海岸線です。それだけ守らなきゃいけないから陸上戦力が多くなるのは当たり前なんですよ。二百メーターを一人で守っている計算になるんですよ、そのまま配置すれば、無休無息というか、休みなしで。だから、そういうような状況で陸上戦力を多くしている。  だから、もしこれを大綱の中で減らすという話をするのであれば、やはり我が国の領土、領海の中で戦うというだけではなくて、限りなく外で戦ってということをやはり考えていくべきではないかと思います。  防衛大臣、もう一問。今、北朝鮮からのミサイル関係で非常に沖縄についてもシビアになっていますけれども我が国が現有しているペトリオットミサイル、日本全国をくまなくカバーすることができる数があるんですか。
  320. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 今、ペトリオットPAC3の配備状況は、第一高射群が入間でございます。第二高射群は春日、第四高射群が岐阜、そして高射教導隊が浜松にございます。したがいまして、今回の事案につきましても、全国で配備が終わっているわけではございませんので、地域によっては再配備をこれからしていくということによって対処していくというのが状況でございます。
  321. 宇都隆史

    宇都隆史君 私はそういうことは聞いていません。先ほどの質問は、日本全国をくまなくカバーできるだけのペトリオットシステムがあるんですかという話をしたんです。
  322. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 残念ながら、ございません。
  323. 宇都隆史

    宇都隆史君 じゃ、有事の際に関しては、政経中枢あるいは戦力発揮基盤である航空基地の周りに固めるわけですよね。弾道ミサイルが我が国の上空を通るからといって、今回のように宮古の向こうの方に配備するとかいうことはかなわない、そういう地域が出てくるということですよ。  最高指揮官として、総理、これは政治的なパニック、いざとなったときにどう考えます。いざ有事の際には守れるエリアと守れないエリアが出てくるんですよ、空。このとき、どう考えますか。
  324. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) PAC3のみをもって弾道ミサイルの脅威から日本全国を防護することを想定しているものではなく、SM3搭載のイージス艦と組み合わせて活用することにより、我が国のいずれの地帯、地点に弾道ミサイルが飛来しても対処できる体制を構築しているところでございます。
  325. 宇都隆史

    宇都隆史君 大臣、そんなうそを言っちゃ駄目ですよ。弾道弾なんというのは、いつどの方面に撃つというのが分かっているから、あらかじめイージス艦を配置して、その方向にビームを撃ってつかまえるんじゃないですか。いつ来るか分からないようなのをSM3が海から撃てるから大丈夫なんて、そんなうその答弁したら国民に対する背信行為ですよ、そんなうそは。  最高指揮官として、先ほどの質問に答えてください。いざとなったときのこの政治的なパニック、これをどう考えますか。だから、専守防衛を変えるという話をしているんですよ。
  326. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) PAC3とSM3の組合せをしながらまさに万全を期すというのが今の現体制です。ただ、これはどこまで安全なのか、全てカバーできるか等々、あるいは突然の対応とか含めると、それは着実にその整備をしていくということだと思いますが、現時点は、この組合せの中で最大限防御するということが私どもの務めだというふうに思います。
  327. 宇都隆史

    宇都隆史君 専守防衛の質問、これで終わりますけれども、結局、私が言いたかったのは、専守防衛という枠組みに縛られて我が国の領土、領海を戦場にする限り、今の防衛力、防衛予算では守り切れないということを言っているんです。もっともっと増やして、もう日本全体を要塞化して、スイスのように全員がそこに、戦力発揮基盤になるような体制を取らなければ守れないんですよ。だったら、もっと戦略的に、戦術的なオプションというのを法的にも緩めるようなことをしなければ、先ほど大臣、座して死を待つのかと、座して死を待つようになったときには行動を起こせるんだと言いましたけれども、まさに、その座して死を待つのかで前に突き進んだのがさきの大戦なんですよ。その備えをするために、総理が言われた、いざとなったときの国民の生命と財産を守るための法整備を日ごろからしていきましょうという話を今しているんです。  集団的自衛権についての質問をします。  防衛大臣、一般的自衛権発動の要件、国際法的な一般的要件を教えてください。
  328. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) お答えいたします。  国際慣習上の自衛権発動の要件についての御質問ですが、国際法上、一般に自衛権の発動が認められるのは、国家又は国民に対する外部からの急迫不正の侵害があること、そして、侵害を排除するのに他に適当な手段がないこと、必要最小限の実力行使にとどまることの三つの要件であると承知しております。これは、我が国憲法第九条の下で認められる自衛権発動の三要件と基本的には同じ考えでございます。
  329. 宇都隆史

    宇都隆史君 今、防衛大臣が言われた三つの緊急性、非代替性、そして均衡性というのは、確かに三つはそうなんですけれども大臣、今おっしゃられたのは一般的な、国際的な三要素ではなくて、我が国における三要素を今言われたんだと思います。一点間違いがあります。頭に我が国及び国民に対する攻撃があった場合って付けましたよね。それが付いていると集団的自衛権は認められないじゃないですか。それは、だから我が国の三要件なんです。国際的には、我が国じゃなくても、その三つがそろえばやれるんですよね。だから集団的自衛権が備わっているんです。  では、我が国の法理論上、集団的自衛権が認められない理由は何ですか、教えてください。
  330. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) お答えいたします。  集団的自衛権が国内法上認められない理由についての御質問ですが、集団的自衛権とは、国際法上、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止することが正当化される権利と解されております。  政府としては、集団的自衛権の行使は、自衛のために必要最小限の範囲を超えているため、すなわち、我が国に対する武力攻撃の発生との要件が満たされないため、憲法を含め国内法上許されないと解してきているところでございます。
  331. 宇都隆史

    宇都隆史君 つまり、政府解釈としては、先ほどの三要件のどれを満たさないと言っているんですか、大臣
  332. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 先ほども申し上げましたけれども我が国に対する武力攻撃の発生との要件が満たされないためでございます。
  333. 宇都隆史

    宇都隆史君 では、大臣、集団的自衛権と集団安全保障、この違いを教えてください。
  334. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 集団的自衛権は、国連憲章において個別的自衛権と集団的自衛権が認められておるところでありますが、我が国は行使はしておらないのが集団的自衛権でございますし、集団的安全保障は、多国間との……(発言する者あり)集団安全保障は、国々と連携を取って安全保障を確立をしていくという状況だと思います。
  335. 宇都隆史

    宇都隆史君 もう少し端的に言ってください。二者においてはどこが違うんですか。  通告していますよ。
  336. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 集団的安全保障とは、国際法上、武力の行使を一般的に禁止する一方、紛争を平和的に解決すべきことを定め、これに反して平和に対する脅威、平和の破壊又は侵略行為が発生したような場合に、国際社会が一致協力してこのような行為を行った者に対して適切な措置をとることにより平和を回復しようとする概念であり、国連憲章に具体的な措置が定められていると承知しております。
  337. 宇都隆史

    宇都隆史君 三度目の質問です。違いを端的に答えてください。
  338. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 先ほど申し上げましたのは集団的安全保障でございます。  集団的自衛権とは、国際法上、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止することが正当化される権利と解されているところでございますので、その形からいいますと、国にとって集団的自衛権というのは、他国との関係もございますけれども我が国は行使するかしないかという論点があるわけでありますが、集団的安全保障については、連携してそれで対処していくということで、その違いは主体が違うということでございます。
  339. 宇都隆史

    宇都隆史君 主体が違うというのは、何が違うんですか、大臣
  340. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 主体というのは、国としてのいわゆるその持っておる権利というものが一つありますが、しかし、集団的安全保障というのは国際社会が一致協力して適切な措置をしていくということでございますから、そういう面では、いわゆる個体と集団、いわゆる多数の協力ということの主体が、概念が違うということでございます。
  341. 宇都隆史

    宇都隆史君 総理、最高指揮官として教えてください。集団的自衛権、我が国は行使できないと、憲法上行使できないとしています。それと集団安全保障、これはどう違うんでしょう。
  342. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 今防衛大臣がずっと説明したとおりだと思うんですけれども、集団的自衛権、そして個別自衛権、要は、我が国を守る、あるいはいわゆるもう一つの当該国を守るということです。これが集団的自衛権だと思います。  集団的安全保障は、国際社会の一つのチームの中で、それからはみ出すものがいた場合に対する、いわゆる制裁につながるような動きだと理解をしています。
  343. 宇都隆史

    宇都隆史君 今総理に御答弁いただいて、それが一番私もしっくりくる答弁で、要は国際基調、平和をつくる枠組みなのか、それともあくまで軍事同盟なのかと、そういう違いですよね。  ちょっとポンチ絵を出してください。左側の方に出しているのが集団安全保障です。国連のようなのを想像してもらったらいいですよね。その枠組みにいる人間がみんなその集団安全保障に属するわけです。誰か一人がその秩序を守らないようなことをやった場合については、みんなで制裁をする。つまり、みんなで制裁をするときの敵といいますか、制裁される側はこの枠組みの中にいるというのがこの集団安全保障の概念ですよね。だから、外の人間に対してというのではなくて、全てを抱き込んで同じ秩序を守らせる、それが集団安全保障じゃないですか。  片や集団的自衛権というのは、ある一つ一つの国々が同盟を組んで、自国の攻撃とみなしたと同じように攻撃を加えるわけですよね。この絵であれば、Aという国が攻撃を加えられたら、Cという国は自国の攻撃とみなして攻撃を加える、これが同盟じゃないですか。だから、敵というのは必ず外にいるんですよね。この枠組みの中にはいないんですよね。  そこで、じゃ、同盟とこの集団的自衛権の関連を確認したいんですけれども、集団的自衛権が発動されない同盟って存在するんですか。これ、総理に是非お聞きしたいです。軍事同盟ですよ。
  344. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 世界の事例を全部掌握をしているわけではありませんけれども、普通は双方で守り合うというのが同盟だと思います。その意味では、日本の場合は少し異例の体制になっているというふうに思います。
  345. 宇都隆史

    宇都隆史君 それがよく言われる日米同盟の片務性というやつですよね。普通の同盟ではない、もう極めてイレギュラーなものですよね。  防衛大臣、この片務性があるからこそ存在しているもので、今大臣を多分最も困らせているもの、頭を悩ませているものだと思うんですけれども、何ですか。
  346. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 日米安保条約の五条、六条の関係でございますけれども我が国をアメリカは守っていただいているわけでありますが、我が国は基地を始めとする施設を提供しておるということでこたえておるところでございます。  したがいまして、片務性があるか双務性かということでありますが、我が国我が国を守っていただいておる代わりに基地の提供をしておるということによってこの日米安保条約が成り立っておるということでございます。
  347. 宇都隆史

    宇都隆史君 そうなんですよね。我が国は、片務性、守ってもらう、アメリカが攻撃されても我が国は自国の攻撃とみなして攻撃をしない、そういう片務性を持っている代わりに日米安全保障条約の中において基地の提供義務等々の様々な義務を負っているわけじゃないですか。そのことをよく考えたら、民主党がさきの選挙で言ったみたいに、少なくとも国外だ県外なんて話は出てこないはずなんですよ。その話をもし持ち出そうとするんであれば、集団的自衛権をまず認めるという話の前提に立たなきゃおかしくないですか、防衛大臣。だって、義務があるんですよ、その。
  348. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 集団的自衛権は、我が国は保持はしておりますが行使をしないと、こういうことで、憲法の下で今日を迎えてきておるところでございます。  集団的自衛権については国会でも議論になっております。そういう中にあって、やはり幅広く議論をしていくことは大事だと思っておりますが、私は、集団的自衛権の行使というものはしていかないという方針の下に今対応しておるところでございます。
  349. 宇都隆史

    宇都隆史君 結局、この日米同盟というのは極めて危うい状況のままで進んできているわけですよね。この片務性を全員が理解しているはずなのに、そこに誰も手を付けようとしない、そこの座に座った方は。この集団的自衛権がとげだということは御本人も分かっている。分かっているのに、その席に座ったらそのことからは常に先に、避けて通る、それがずっと続けてきているのがこの日本の政治じゃないですか。  総理は自分の御著書の中でも、この集団的自衛権に対してはこう言われているんですよ。いざというときは集団的自衛権行使に相当することもやらざるを得ないことは現実に起こり得る、御自分で言われています。  北朝鮮有事の邦人救出の話、先ほど山谷議員がしました。では、邦人救出をする我が方に能力があるか。その危険な状況のときに自衛隊を派遣することはできません。では、アメリカに頼むこともオプションとしてあるかもしれません。アメリカに邦人救出を頼んだ、そしてその輸送機が戻ってくる、中にたまさか邦人は乗っていなかったとしましょう。その戻ってきしな、どこか、大陸かどこかから来た彼我不明機に追っかけられて今攻撃を受けそうになっているという状況下の中で、我が国の戦闘機、近くにいた、ちょうど対領空侵犯措置中だった。何らかの措置がとれるんでしょうか、最高指揮官、お答えください。
  350. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 日本人が乗っているか乗っていないかとか確認の問題があるし、いわゆる周辺事態になったのかどうか含めて、ちょっと総合的な判断でないとできないというふうに思います。
  351. 宇都隆史

    宇都隆史君 武力事態にもまだなっていない極めてグレーな状態、そして邦人も乗っていない、この限定だったらどうですか。アメリカの国民しか乗っていないアメリカ機、これが攻撃を受けている。朝鮮半島有事、いつあるか分かりませんよね。御自分が言っているように現実に起こり得るかもしれない。そういうときに、我が方は分かって攻撃ができるような状況にあってもできない、そのときに政府としてどうするんでしょう、今の現状だったら。
  352. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) まだ少しグレーゾーンの話だとは思うんですね。思いますけれども、今のお話の条件だと、基本的には日本としては集団的自衛権の行使ができないという政府の解釈が今あって、現時点ではそれは今変えていないということでございますので、何かをするということは困難な今の御指摘はシミュレーションだと思います。
  353. 宇都隆史

    宇都隆史君 恐らくこのシチュエーション、まだ何も議論もされていない、決まっていないので誰も判断できないと思います。その状況の中でもし米軍機が落とされれば、その瞬間に日米同盟は雲散霧消ですよ、消えますよ、そんな状況の中で守ってもらえないような日米同盟であれば。  私、そのことを危惧した上で、最後、総理にお伺いしたい。この民主の敵を排除するために、今その政権の座に着いて、集団的自衛権がとげであるということは分かっている。もう一度これ真剣に、限定的であっても検討の余地があるということで議論を進めませんか。
  354. 石井一

    委員長石井一君) 野田内閣総理大臣。時間が来ております。
  355. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 私は、従来の政府解釈を今のところ踏まえて、現時点では解釈変えないという内閣総理大臣としての立場でありますが、議論としてはいろんなケースを備えてのしかるべき議論があってはいいではないかというふうに思います。
  356. 宇都隆史

    宇都隆史君 時間にもなりましたので終わりますけれども、最後、そういう政治的な大決断をしていただけなかったことに我々若い世代として非常に失望を覚えます。この国の未来に対して夢を抱けない、そういう総理の下で国家運営をしちゃいけないということを最後に申し上げて、終わります。
  357. 石井一

    委員長石井一君) 宇都隆史君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  358. 石井一

    委員長石井一君) 次に、藤井孝男君の質疑を行います。藤井君。
  359. 藤井孝男

    藤井孝男君 自由民主党たちあがれ日本・無所属の会の藤井孝男でございます。  私の持ち時間は十五分という非常に限られた時間でありますので、答弁される総理始め、率直に、簡潔に答弁を願いたいと思います。  そしてもう一つ、田中防衛大臣、質問攻めに遭っておりますが、私の時間では質問いたしませんので、どうぞ、限られた時間ですが、少し次に備えて、トイレはちょっとどうぞ行って結構ですけれども、充電していただきたいと思っています。  私は、まずイランの問題について、ペルシャ湾の問題について集中的に質問をさせていただきたいと思います。  午前中にもこの問題について外務大臣から答弁もございました。このイランの核開発をめぐる緊張というものは、私は大変、日に日に緊張感、緊迫感は増していると、そういう認識でございます。そしてまた、このペルシャ湾の状況というのは、世界にとってもまた我が国にとっても大変な大きな影響を受けることも事実でありますけれども、まず、今のイスラエル、米国、イラン、そしてこれにかかわるペルシャ湾岸、ホルムズ海峡のこの緊張、こういう状況について、まず基本的に野田総理の今の状況認識をお伺いいたしたいと思います。
  360. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) イランの核開発をめぐる問題については、これは国際社会とともに我が国もその懸念を共有をしています。特に、ホルムズ海峡を通って、多くの原油、LNG等々、エネルギー源を頼っている部分がございますので、そういう意味からも大変憂慮をしていますし、今やるべきことは、国際社会と協調をして、対話と圧力の部分の中では圧力の部分効果的な制裁を一緒にどういう形でやっていくのか、我が国としてどういう対応をするのか、そうしたものを国際社会と協調をしながらいかに対話に持ち込んでいくのか。  そういう国際社会のチームの一員として役割を果たしていくことも大事ですし、とりわけ日本については経済等の影響も心配をされますので、そういう自覚を持って独自の働きかけもやっていかなければいけないと考えております。
  361. 藤井孝男

    藤井孝男君 今総理答弁のとおり、大変ポイントをしっかりと把握されているというふうに認識しておりますけれども。  私は、この問題、先ほどやり取りがありましたけれども、今総理からも答弁ありましたように、ホルムズ海峡を通過する、そしてそれによって日本の天然ガス、石油は八割以上頼っている。ここがもし不幸にして戦争状態になった場合又はホルムズ海峡が封鎖された場合は、大変な影響を受けることはもう御承知のとおりだと思います。  そこで、私は大きく分けて二つ、日本に対する大きな影響は二つあると思うんですね。まず一つ目は、今総理自身がお答えになりました。日本の経済に対するまさに石油、天然ガス、エネルギーを絶たれるわけですから、その大半を、この影響が非常に大きいということが一つ言えるわけですね。  ということは、これは、もっとはっきりと言いますと、日本そのものの、国民の生活基盤そのものが根幹的におかしくなる、崩れてしまう。と同時に、産業基盤、これはもう物づくりである製造業ばかりでなく、農水産業あるいはサービス業、運輸、あらゆる産業の基盤が崩れるということがまず一つ目の大きな私は影響だと思っております。  二つ目の影響は、我が国の先ほど来安全保障の問題等々についていろいろやり取りがありました。これは、我が国の安全保障にも重大な影響があるというのが私は二つ目にあると思っています。  それは、実を言いますと、ペルシャ湾のことなものですから、大変遠くな出来事だというふうにみんな、国民もどうしても思いがちなんですね。ですから、なかなか緊迫感ない。それよりも、やっぱり消費税だとか、あるいはデフレ脱却だとか、また震災復興だと。これも私は大変大事な課題だと思いますけれども、しかし、そのホルムズ海峡にもし紛争という、残念ながら戦争状態ということになった場合に、まさに日本がエネルギーを絶たれるということでありますから、そういう中で何が起きるかと。そうすると多分、もう一方では、アメリカ軍が中東に派遣される、そしてアメリカ軍の大半がペルシャ湾、中東に移動するということになりますと、むしろ東アジアが軍事空白になりかねないということであります。  先ほど、この尖閣列島の問題について山谷委員からも質問ありましたけれども、最近の中国公船あるいは軍事関係の航空、そういった中国の艦船、公船等々の要するに領海侵犯あるいは出没というのは、これは目に余るものがあると思うんですね。もう一つ。中国の高官の一人が、さきに、いわゆる尖閣諸島、列島の海域で軍事演習を行うということを断言しているんですよね。こんなことをもし日本が黙認する、容認することになれば、まさに尖閣諸島そのものの実効支配を認めざるを得ないというような状況になりかねない。  こういう、私は二つ目の、東アジアにおける安全保障、我が国の領土領海が脅かされるという問題、経済的な基盤と同時に、こういう私は認識を持たなきゃいけないということでありますけれども、この点について総理のコメントがあればお聞かせいただければと思います。
  362. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 基本的な危機感、認識は先生と一緒でございまして、一つは経済の問題であって、国民の暮らし、そして産業の基盤に大変大きな影響があるということと、それからもう一つは、今安全保障の観点からの御指摘がございましたけれども、今、アメリカは基本的には二正面の作戦は困難な状況の中で、中東に力を注がなければいけないときの空白が出たときの対応ということも含めて様々な懸念が出てくることは、まさに先生の御認識と全く同じでございます。
  363. 藤井孝男

    藤井孝男君 実はもう一つ、私はさっき二つと言いましたけれども、もう一つ、イランと日本関係について申し上げたいと思うんですね。  これは歴史的にも、イランという国は古代ペルシャ帝国から営々として築かれた、私は世界の中で最大のイスラム国家だと思うんですよ。確かにイラク戦争もありました、サダム・フセインもいました、リビアの紛争もありました、カダフィという、二人の独裁者がいましたけれども、しかし私は、彼らはイスラム国であり、あるいはイスラム教徒であったかもしれないけれども、二人の共通する私の個人的な認識は、基本的に彼ら二人は社会主義者だと私は思っているんですよ。  しかし、この一方の大イスラム共和国と言われるイランと本当にアメリカが戦争をやるつもりでいるのかどうかということを自分なりに考えてみますと、私は、アメリカは本気では、本心では戦争を起こしたくない、オバマ大統領もそういった発言によって、ネタニヤフ総理との首脳会談でもそういったことを自制を促していると。また、私は、イランも決して戦争をやりたがっているというふうには思っていません。それを避けるためには、私は、日本とイランのやっぱり関係というのは、非常に私は歴史的に友好な関係があると思うんです。  一つだけ、ちょっと具体的な例を時間がありませんから簡単に申し上げますけれども、昭和二十八年、一九五三年に、出光興産という会社がある、出光佐三という創始者がいたんですよ、社長さんで、その会社の日章丸というタンカーを当時イランに送りまして、イランから石油を満載して日本の川崎港に帰港させた。このことだけ聞けば、なに当たり前のことじゃないかと思いますけれども、当時、イランの政府は、一方的に議会で、当時全権を握っている、販売、生産、全てを握っている英国のアングロ・イラニアン会社というものを持っていたんです、全権を持っていたんです、そこに対して一方的に国有化を宣言したんです。そして、このことを発表したために今度、英国が怒りまして、ペルシャ湾に軍隊を派遣したんですよ、海軍を。そして、イランからもし石油を買う国があれば、それは盗品を売買したということになって拿捕するぞと、こういうことを警告したんです。昭和二十八年、一九五三年。そのときに、当時の独立系の出光興産がひそかにタンカーを送って、そしてイランのアバダン港に入港させて、熱狂的なイランの国民の歓迎を受けて、そして、機雷が埋まっている、あるいは拿捕されるかもしれない、英国海軍が、そういったことを縫って日本に帰港したという、こうした事実が実はあるんですよ。    〔委員長退席、理事武内則男君着席〕  そうした一つの例ですけれども、このように、日本とイランとの関係というのは非常に友好的な、そして感情が非常に、お互いに侵略もしたこともない、侵略されたこともない、そういう関係ですから、この際、日本の独自外交というのが私は試されているんじゃないかと思っているんです。単に日本の利益のためじゃない、あるいは世界の混乱を避けるために、いわゆる軍事力を背景とした外交はなかなかできない日本でありますから、今こそそういう友好的な関係において、総理、私は、日本の独自外交をあらゆるパイプを通じてやるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  364. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 今、藤井先生が、もう結論から申し上げるとおっしゃったとおりでありまして、特に出光興産の話をされました。なかなか日本人でもこれを御存じの方はいらっしゃらないと思います、一九五三年の事案。英国が海上封鎖をして、それを言わば突破して日章丸行ったと、そういった関係から伝統的な友好関係が確かにあるのは事実です。  米国は御存じのように国交を断絶したり、あるいはイギリスだって今大使館を閉鎖しているはずです。日本は引き続き大使レベルで維持しているということもございますので、もちろん、私もまずは書簡で昨年十二月に働きかけをいたしましたけれども、しかるべきタイミングで、ハイレベルでしっかり対応したいというふうに考えております。  ありがとうございます。
  365. 藤井孝男

    藤井孝男君 今外務大臣答弁の中にありましたように、今、総理、アメリカとイランの外交関係は断絶状態なんですよ。また、ヨーロッパ、イギリス、フランス始めイランとの関係も断絶状態なんですよ。今、トルコが積極的にイランとの関係を何とか平和的外交を通じて解決したいというふうに思っています。  しかし、私は、西側先進諸国の中で、制裁も私は協力すべきだと思っていますけれども、一方で、今、こうした日本とイランとの関係の中で、やっぱり日本がここでイランとの外交、そしてそのことが結果的にイスラエルを自制させ、イランの核開発についても自制させる、そのことで日本外交のやっぱり実力を発揮できる。そして、私は、西側諸国の先進国の中でそれが発揮できるのは日本だけだと思っているんですよ。今こそそういった外交力を発揮するということが結局世界の大混乱を避けることになり、そして日本の経済、国民生活、そして日本の、東アジアの安全保障、そういったことをやっぱり私はこれから積極的に進めること。  今晩、総理はソウルの核のセキュリティ・サミットに出席されますね。オバマ大統領と会談する機会等あるかどうかは知りませんけれども、そしてまた、イスラエルがこの会議に招待されています。イランはもう招待されていないという、このことについて何も私はコメントするつもりはありませんけれども、こういうときこそ、イランの首脳、どなたが来るか分かりません、あるいはオバマ大統領と、そして日本が自分たちの国で、この日本という国が独自の外交手段をもってこのペルシャ湾の緊張感を少しでも平和的に解決していくように努力するんだという、そういうメッセージを私は発信すべきだと思っていますが、いかがでございましょうか。
  366. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) イランをめぐる情勢について、近々だと思いますけれども、EUの3ですね、ドイツ、イギリス、フランス、プラス3でアメリカ、ロシア、中国、この六か国協議が行われると思いますが、その中で、特にアメリカについては、日本が独自のこれまでのパイプがあることなどを含めて、日本としてやれることについて率直にちょっと意見交換をした上で六か国協議に臨んでもらうような形がいいのではないかと思っておりますので、ただ、ちょっとまだタイトな日程で二国間の時間が取れていないんです、アメリカと。だから、立ち話みたいな状況になるかもしれませんが、先生がおっしゃったようなメッセージは伝えたいというふうに思います。
  367. 藤井孝男

    藤井孝男君 そうですね、時間的にはタイトなスケジュールですから、とてもゆったりとした会談は不可能だと思いますけれども、しかし、せっかく五十何か国の首脳が来られるわけですから、韓国主催でありますけれども日本のいわゆる外交力を発揮できる、そういった絶好のチャンスだと思っているからこそ私は申し上げているわけであります。  もう時間がだんだん参りましたからこれ以上質問いたしませんけれども総理、あなたはとにもかくにも日本内閣総理大臣なんですよ。先ほど来いろんな質問がありました。しかし、最後はあなたのリーダーシップ、あなたの識見、あなたの決断によって、日本の経済、国民生活、そして日本の国際社会における信頼というのも増すわけですから、どうか、そういう意味で、あなたが今こそ日本のいわゆる日本力を高めるために、あるいは日本の責任、あるいは自覚というものを目に見える形で私は実行すべきときではないかと思いますので、そのことを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  368. 武内則男

    ○理事(武内則男君) 以上で藤井孝男君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  369. 武内則男

    ○理事(武内則男君) 次に、荒木清寛君の質疑を行います。荒木清寛君。
  370. 荒木清寛

    荒木清寛君 まず、総理に北朝鮮の弾道ミサイル発射への対応についてお尋ねをいたします。  北朝鮮は、三月十六日、弾道ミサイルを発射すると発表いたしました。四月十二日から十六日の間に発射をするという予告でございまして、こうした挑発的な行為は北東アジア地域の安全保障環境を悪化させるとともに、我が国に対する直接的な脅威である、このように深刻に受け止めております。  そこで、総理、今回の予告、また、これがもし万が一といいますか、発射された場合に、我が国の北朝鮮外交あるいは我が国の安全保障の問題にどういう影響を与えるのか、まず総理認識をお尋ねします。
  371. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 荒木委員指摘のとおり、四月の十二日から十六日のこの間において、いわゆる衛星とは言っていますが、ミサイル技術を使って飛ばそうとしているわけでございますので、これは、いずれにしても発射が強行されるようなことがあるならば、国連安保理決議に明確にこれは違反をするものであり、我が国を始めとする地域の平和と安定をこれは損なうおそれがあるというふうに思っておりますし、強行されることは誠に遺憾であります。そういうことのないように、今日もソウルに向かいますけれども、国際社会と連携をしながら北朝鮮に強く自制を求めていくということが今は何よりも大事だというふうに思います。  自制を求めていきながらも、万々が一にも飛ばすようなことがあるならば、先ほど来議論がありましたけれども我が国の南西諸島の上空を通る可能性がありますので、それに対しては万全の体制で備えていきたいというふうに考えております。その後のことについては、これはじっくり検討をさせていただければというふうに思います。    〔理事武内則男君退席、委員長着席〕
  372. 荒木清寛

    荒木清寛君 その後のことはじっくり検討していただきたいんですが、北朝鮮外交は圧力と対話、これが外交指針であると思いますが、もしそうなった場合にはこの圧力を更に強めていくという、そういうことはもう総理もきちっと考えておられますね。
  373. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 当然、まずは自制を求めて、それが起こらないことに力を尽くすことになりますが、残念ながら安保理決議違反という形で強行されるような事態があるならば、それについてはあらゆるペナルティーを科していくべく知恵を出さなければいけないというふうに思っています。
  374. 荒木清寛

    荒木清寛君 次に、外務大臣にお尋ねをいたします。  二月二十九日に米朝合意がなされました。これは核関連活動の停止と食糧支援に関する合意でありまして、ウラン濃縮活動の停止ということもあり、私は意義があったと思いますが、これをもうほごにするような今回の暴挙でございます。一体どうなっているのか。あるいは、北朝鮮内部における方針の分裂があるのではないかという分析もあり得ましょうし、そうでなければ、どうしてこの合意をしたはなから、ミサイルを撃つよ、こんな予告になるのか。この辺は、外務省としては、大臣としてはどういう分析を、情報を得ておられますか。
  375. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 荒木委員がおっしゃるように、米朝合意をした、我々も基本的に歓迎をして、ただし具体的行動が確保されなきゃ駄目だと、こうずっと言い続けたわけです。  せっかく米朝対話したのになぜこういう行動を取るのか、あるいは取ろうとするのかということ、つまり、北朝鮮側の意図について、当然ながら外務省として分析を行っています。ただ、私の立場でどういう意図か、背景かということをこの場で申し上げるというのは控えた方がいいだろうというふうに思っています。  様々な推測は成り立つだろうというふうに思っておりますが、今総理がおっしゃいましたけれども、まずは自制を求めていく。そして、米朝対話のあの米朝の合意ですね、あれについても、米国自身がもうこれはインコンシスタントであると、相入れないと、約束とですね、そういうふうに言っておりますので、仮にミサイルの発射がなされたというふうな事態になれば、これは安保理の対応も含めて、まだ予断は許しませんけれども、様々な対応について、日米韓始め、六者のパートナー始め、それぞれ国際社会連携して考えていかなきゃいけないと、そういうふうに考えております。
  376. 荒木清寛

    荒木清寛君 先般、今回の発射阻止等に備えて我が方のアジア大洋州局長を韓国に派遣をし、下打合せをしたわけでありますけれども、今後、この発射阻止に向けましては、韓国との連携強化、そして北朝鮮に影響力のある中国との連携強化、圧力を掛けてもらう、そして何よりも日米関係、こういう外交的な連携を取っていかなければいけないわけでありますけれども、そうした外交努力についての指針を改めてお尋ねします。
  377. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) このミサイル発射の予告が、たしかあの当日、十二時にあったと思います。私からもう十二時五分には次官に対して、あらゆる情報収集と他国との連携ということを話しました。言うまでもなく、そのとき米国は実は夜中だったんですが、もうすぐ連絡を取り合いました。委員がおっしゃっていただいたとおり、韓国には二十三日、アジア大洋州局長を派遣をいたしました。中国、ロシア、これはやはり北朝鮮に影響力ありますので、非常に大切であります。当日既に、次官から大使を通じて、もう当日から中国に対する働きかけを始めているということでございます。  まず、この六者のパートナーの基本的認識の共有というものが極めて大切だというふうに考えておりますので、今、日米韓、基本的認識共有しております。中国、ロシアも、言わばこの安保理決議に関しては明確に実は違反という言葉を使っていなかったりも実はするんですけれども、ここの認識をきちっとすり合わせていくということは、おっしゃるように大切なことであるというふうに考えております。
  378. 荒木清寛

    荒木清寛君 次に、防衛大臣にお尋ねをいたします。  北朝鮮は、二〇〇六年、二〇〇九年と立て続けに核実験を強行しまして、その結果、安保理の制裁決議が採択されたわけであります。特に、二〇〇九年の実験ではほぼ予定どおりの爆発を実現したと思われておりまして、すなわち、起爆装置の精度が向上したのではないかと、こういうことでございます。さらに、二〇一〇年の十一月、北朝鮮は、アメリカの科学者等に対し、ウラン濃縮施設及び軽水炉建設現場を公表しました。稼働状況は不明でありますけれども、それ以外にもウラン濃縮をしている施設があるのではないかと言われております。  ウラン型の開発は兵器用に転用しやすいというのは御承知のとおりでありますし、しかもなかなか衛星による監視や追跡も難しいということで、各国の懸念が強まっているところでございます。そういう中で、今回の米朝合意でウラン濃縮を停止をするということは注目したわけでありますけれども、またそれもほごにしようとしている。  もちろん、これは、今回はテポドン型のミサイルの発射の予告だと言われておりますけれども日本に届くミサイルはもう既にノドンというのが配備をされているわけでありまして、そういう状況を併せて考えますと、もう時とともに、この北朝鮮のこうしたいわゆる国際ルールを無視をした行いによって日本の安全保障上極めてそういう重大な事態に入っているのではないか、このように私は危惧するわけでございますが、防衛大臣としては、この一連の北朝鮮の動き、このことが我が国の安全保障上極めて深刻な事態を来しているという、そういう認識はありますか。
  379. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 北朝鮮の核廃絶の状況、そしてまたその対応についての御質問だと思います。  北朝鮮の核問題は、我が国を含む地域の安全保障に重大な影響を及ぼす問題であるのみならず、大量破壊兵器の不拡散の観点から、国際社会全体にとって深刻な課題だと思っております。防衛省としても、引き続き核開発関連の動向に関し重大な関心を持って情報収集、分析に努めてまいりたいと思います。また、弾道ミサイル関連の動向につきましても引き続き重大な関心を持って情報収集、分析に努めていきたいと思いますし、国民の生活の安全、安心を確保する観点からも、その万全を期してまいりたいと思います。  今回の北朝鮮の件につきましては、防衛省といたしましても、今ありますPAC3あるいはイージス艦の配備をして対処をしていくという決意でございます。
  380. 荒木清寛

    荒木清寛君 午前中の答弁であったわけでございますけれども、今回、もしミサイルが打ち上げられて、それが我が国の領域下に落下する可能性がある場合には対応措置を講ずるということでございましたが、具体的にはイージス艦あるいはPAC3についてどういう配備をして国民の安全、安心を確保していくのか、改めて説明してください。
  381. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) お答えをいたします。  弾道ミサイル防衛システムは、イージスシステム搭載護衛艦による上層防衛とペトリオットPAC3による下層防衛から、多重防衛の考え方の下、平成十六年から整備をしてきておるところでございます。  PAC3の整備につきましては、政治経済の機能が集中している地域の周辺に所在する既存の高射部隊から整備をし、現状に応じて適切な地域に機動的に移動、展開をして対処するとの考えでございまして、南西地域のPAC3への配備、そしてまたイージス艦への配置ということを考えまして今回対処をするということでございますし、準備命令も近々防衛省として発令をするということで今検討を進めておるところでございます。
  382. 荒木清寛

    荒木清寛君 具体的にこのPAC3については平成二十一年の例に倣い首都圏にも配備をしていく、こういうことでよろしいんですか。
  383. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 先生御指摘のように、首都圏でございます。前回も配備をいたしました。その例に倣って今対処を検討をいたしておるということでございます。私としては、配備をしていくということで考えておるところでございます。
  384. 荒木清寛

    荒木清寛君 北朝鮮の通告によりますと、今回の落下区域は黄海及びフィリピン東方海域ということでございまして、前の例とは違いますですよね。当然、この南の方に打ち上げると言っているわけでありますけれども、これは首都圏の方までそれは打ち上げ損じる可能性があるという、こういう情報を得ているわけですか。  どうして首都圏なんですか。そういう意味でいえば、むしろ関西圏なり中京圏なり、そちらの方が近いわけでありまして、なぜあの首都圏にそのPAC3という先ほどのお話になったのか。これは国民が非常に不安に思うことでもありますので、説明してください。
  385. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) お答えをいたします。  PAC3は今三個高射群がございまして、また、教育所要分で計十六個の高射群が配置されておるところでございます。  その中にありまして、今言われました南西地域のところに配備をしようということの検討が進んでいるわけでありますが、そのほかに現存するところも全国にあるわけでありますし、関東地区の入間にも今配備がされておるところでございますので、そのようなものを活用しながら全国的にも対処をする。しかし、その対応は、今急がれておりますのは、衛星が飛来するこの南西地域、沖縄を含む南西地域の配備というものも急いで対処をしておるということでございますので、首都圏のことにつきましては、前回も配備をいたしておりますので、そのようなことを引き続き考えております。
  386. 荒木清寛

    荒木清寛君 いただいた資料によりますと、確かに入間に配備はされておりますが、岐阜や浜松にも配備されておりますから、十分これは中京、関西地域に対応は可能ですね。南西地域から一番遠いと思われる東の東京に、首都圏に配置し、関西や中京方面は現にそうした基地に配置があるのに活用しないのか、私は午前中の答弁、非常にちょっとびっくりしましたので、もう一度説明してください。
  387. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 防衛省の中で関係幹部会議を数回開いております、意見交換をいたしておりますし、先生の御指摘は、そういう意見も出ておったと思います。可能な限り今の体制の中で配慮ができればというふうに思いますが、今の段階で確たる回答はできませんが、検討に値するお話でもあろうかと思いますので、私も認識をいたしてまいります。
  388. 石井一

    委員長石井一君) 渡辺副大臣、まだはっきり的確に答えていない点を補足してください。
  389. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) 大臣答弁を補足をしますと、一つには、やっぱり首都でございまして、政治と経済の中枢であるということ。併せて申し上げれば、例えば市ケ谷の防衛省の中央指揮所でありますとか在日米軍でありますとか、もし万が一不測の事態が同時進行的に起こらないとも限らないということを考えれば、その際には首都圏を防衛するということは一つの選択肢として考えられる。ただ、最終的に配備すると決まったわけではございません。そのことについては検討中でございます。  ほかの町と東京との優先順位がどうこうという話で大臣は申し上げたわけではないと思いますが、あくまでも二〇〇九年の例に倣って、やはり不測の事態に備えるべく、これは首都をまず守るということで検討されているという状況でございます。
  390. 荒木清寛

    荒木清寛君 もちろん首都だけ守ればいいという話ではありませんですから、様々な可能性を含めて今後、まだ時間がありますから検討してもらいたい、このように考えます。  この問題の最後に総理にお尋ねをいたします。  今日、ソウルに旅立たれまして、旅立つといいますか行かれまして……(発言する者あり)失礼いたしました。核セキュリティ・サミットに行かれるわけであります。これは、前から予定されていた、オバマ大統領のプラハ演説がきっかけとなっての非常に重要な会合でございますが、非常にそうした意味では時期が符合して一つのチャンスになるわけでございます。ここで北朝鮮のミサイル発射問題についてどう日本として外交努力をし、成果を得ていくのか。先般は、オバマ大統領は非武装地帯まで行かれまして北朝鮮に圧力を掛けた。それはそれで一つの強い外交であると思っておりますが、野田総理として、この核セキュリティ・サミットでどういう日本を代表しての外交をするのか、特にこの北朝鮮の衛星発射予告問題についてどういう振る舞いをされるのか、ここで説明を求めます。
  391. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) あしたの午前中のセッションでリードスピーカーを務めることになります。基本的には、東日本大震災、原発事故の教訓を踏まえて核テロにどう備えるかということが基本的な趣旨でありますが、このタイミングでございますので、やっぱり北朝鮮のミサイル発射について国連安保理決議違反であることを明確に申し上げて強く自制を求め、加えて、各国との協調によってそのまさに自制を実質的に担保できるように議論を深めていきたいと思いますし、その会議の場だけではなくて、バイ会談まではつくれませんけれども、二国間の立ち話等はいろんな場面でできると思いますので、そういう働きかけも併せてやってきたいというふうに思っております。
  392. 荒木清寛

    荒木清寛君 このミサイル問題について一番、韓国に次いで日本は安全保障上の一つの問題があるわけでありますから、バイ会談できないというのでなく、是非日米会談はやっていただきたい、このように思います。  もう一つ、今回は、この会合におきましても東京電力福島第一原発の事故を踏まえた日本の対応についても当然議題となり、また日本説明を求められ、議論にもなるのではないか、このように思っておりますが、そうした中で、私は、先般の総理の施政方針演説は、一言で言えば脱原発依存、なるべく原発への依存を低くしていくという、そういう表明であったと思います。そうした姿勢をこのサミットでもはっきりと私は発言されるべきだと考えますが、いかがですか。
  393. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 今日の晩まで掛けていろいろと、例えば発表する文言についてはきちっとチェックしていきたいと思いますが、基本はやはり、今回の原発事故は自然災害が起因だった、原因だったんですけれども原子力施設の脆弱性ということはやっぱりテロに対してもあるということであるんですね。そのことを踏まえて、しっかりと教訓と知見を国際社会と共有してもらうためのメッセージが中心になるということでございますし、その上で、先ほどの北朝鮮の問題をめぐる言及もしたいと思います。ちょっと今トータルに整理をさせていただいているところでございます。
  394. 荒木清寛

    荒木清寛君 この核サミットの会場周辺ではデモも起きている、これは原発を推進する国の集まりではないかという、そういうグループのようでございますけれども、いろんなことを考えて、私はこの日本のエネルギー政策についても、今整理をされているということですが、きちんとしたコメントをして、発言をしていただきたい、このように要請をいたします。  次に、TPP問題でございます。  総理は三月二十四日の講演で、TPPをビートルズに例えると日本はポール・マッカートニー、ポールのいないビートルズはあり得ない云々という、こういう発言をされました。要するに、日本としては、政府としては、もうTPPへの交渉参加を決断をした、こういう趣旨の講演なんですか。
  395. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) まさに今、交渉参加している国々、関係国協議を行っているところでございますので、その講演でも申し上げました、現時点において予断を持って何か決定するという方向ではありませんということを申し上げた上で、TPP参加をする場合のメリットについてお話をしたということでございます。  これはあくまで、もう何回もこの国会でも答弁をさせていただいておりますが、関係国我が国に求めるものは何なのかということをしっかりと把握し、その情報については広く国民的な議論に供しながら、最終的にはあくまで国益視点に立ってTPPについて結論を出すという、その前提がありますので、その上での話をさせていただいたということであります。
  396. 荒木清寛

    荒木清寛君 私は、我が国貿易立国でありますので、TPPというこの自由貿易枠組みについてはしっかりと議論をしなければいけないと考えますが、しかし、いろいろ影響が及び得る分野に対して対策をせずに見切り発車をするということについては断固反対でございます。  そうした意味では、菅前総理の唐突なTPP発言以来、混乱が続いていると思います。この国を二分するような議論になっているとある意味で言えますけれども、時間がたてども全くその議論が深まっていかない、こういう印象でございます。懸念が募るばかり。私は、これは、この大事な問題についてやはり民主党政権のやり方が稚拙であった、このことを指摘をせざるを得ないわけであります。それは、菅総理発言も誠に唐突でありましたし、また、当時の前原外務大臣については、日本のGDPにおける第一次産業の割合は一・五%、この一・五%を守るために九八・五%という大部分のものが犠牲になっているのではないかと思いますと、こういう発言をして更に混乱をし、また、今回、様々な国民との対話集会も昨日終わったと承知をしておりますけれども、そこでも十分な説明がされているとは思えません。  まず、こうした議論の混乱に至ったことについては、率直に説明不足等について政府として反省をし、おわびをするところからいかないと議論が深まらないと思いますが、総理、いかがですか。
  397. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 交渉参加に向けて協議に入る前のいろんな議論の過程のときに、情報が足りないとか説明不足とかという御指摘をいただきました。そのことについては真摯に反省をさせていただき、今後、関係国協議をしていく中で入ってくる情報については可能な限り国民の前に提示をして、国民的な議論に供するということを心掛けていくことは重ねてずっと申し上げてきているとおりでございますし、後で担当大臣からお聞きしていただければと思いますが、そういうつもりでいろんな説明会とか等々に取り組んでいるところでございます。
  398. 荒木清寛

    荒木清寛君 このせっかくの説明会をされたことは評価されますが、しかし、いろいろ聞いていますと、余り評判が良くないといいますか、TPPメリット、デメリットについての説明は不十分極まりないとか、情報公開という点からも不十分であるとか、貿易自由化の必要性というそういう抽象論ばかりが前に出た会合であった等々のことで、いま一歩成果が上がったとは思えないわけでございます。  そこで、今日、国家戦略担当大臣等を始めお呼びをしておりますのでお尋ねをいたします。  混乱の一つの原因が、当初、政府の中で、平成二十二年秋にメリット、デメリットを発表したわけでありますけれども、農林水産省、経済産業省それぞればらばらのことを言って、一体国民としてはどの数字を信頼していいのやらということも混乱の原因の一つであろうと思います。  そこで、このTPP参加へのメリット、デメリットについて、今は政府の統一的な試算が確定をしているのか、古川国家戦略担当大臣に尋ねます。
  399. 古川元久

    国務大臣古川元久君) お答えいたします。  確かに試算につきましては、委員から御指摘あったように、農水省やあるいは経産省からの試算というのが出ましたけれども、これは最終的に内閣官房でマクロ経済分析による試算、これ関係府省と調整したシナリオに基づきまして、広く国際機関によって活用されるモデルを使用して行ったものでありますが、これを政府としての統一的な見解とさせていただいております。  これによりますと、仮に既に交渉参加しています九か国とともに我が国TPP協定参加し、物品貿易について一〇〇%自由化した場合、我が国実質GDPが二・七兆円分底上げされるというふうな結果を得ております。
  400. 荒木清寛

    荒木清寛君 当初、この二十二年秋の段階では、農林水産省は、参加した場合のデメリットについて実質GDPがマイナス七・九兆円減少、経済産業省は、逆に参加しなかった場合には実質GDPが十・五兆円減少、こういうことでばらばら感があったわけでありますけど、今言われたこの二・七兆円増という、内訳と言うとあれですけど、これは農林水産の分野でこれほどのマイナスがあって、経済産業の分野でそれを上回る幾らのプラスがあったのか、どういう内訳になっているんですか。
  401. 古川元久

    国務大臣古川元久君) 農林水産省が行った試算は、このTPP参加国だけじゃなくて、全世界関税が一〇〇%撤廃をされて何も措置をとらなかった場合という、そういう仮定を置いて試算をしているものであります。  今回、今回といいますか、内閣官房で、政府としての、日本経済全体に与える効果として試算をいたしました。このモデルというのは、GTAPモデルという、現時点でこれは国際的にも認められているモデルを使って試算をしたものでありますので、この農水省のと、あと経産省のを足して調整したとかそういうものではなくて、これは国際的に認められている、そうしたモデルに基づいて試算した結果であるというふうに御理解をいただきたいというふうに思います。
  402. 荒木清寛

    荒木清寛君 そうマクロ的に言われてもなかなか国民には理解しにくいところですが、それでは、鹿野農水大臣に、当初、グローバルに全てこの関税をゼロにした場合の試算として七・九兆円減少という試算を出したということであって、それは確かにちょっと過大見積りであったか、このように思います。しかし、TPP参加をした場合、原則関税が撤廃されるわけでありますから、その場合の農業に与えるデメリットは幾らになる、このように試算をしているのか。逆に、きちんとこの対策を打った上でTPP参加するにはどのぐらいの規模のそういう農業政策を打たなければいけないという、そういう算段をしているのか、大臣の見解を尋ねます。
  403. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 今、荒木先生から言われたとおりに、TPPというのは原則関税撤廃ということでありまして、そういうことになりますと、当然、仮にの話でございますけれども参加した場合は、農林水産関係に多大な影響を及ぼすということになってくるわけであります。  そういう中で、今関係国といろいろと協議をいたしておるわけでありますけれども、この関税撤廃品目でいいますと、九〇から九五%をまず直ちに関税撤廃すると、そして、それ以外の品目については七年以内に残りのものも関税撤廃をすると、こういうふうなことの考え方を持っている国が多いというふうなことも聞いておるところでございますので、そういうようなことの中で、じゃ、どれだけの影響があるかということになってきますと、関係国の、その国々の第一次産業・産品について、言わば輸出力どの程度持っているのか、生産力どの程度持っているのかというようなことをどういうところに仮定として設定するかというふうなところがなかなか困難なところもございまして、今勉強をいたしておるというふうなことでございます。
  404. 荒木清寛

    荒木清寛君 もう政府としては交渉参加に向けての協議ということで一歩を踏み出しているわけですね。  それで、私もいろいろ勉強をしますと、当初、農水省は、こうしたものに入ると自給率が四〇%が一三%にまで落ちるというふうなことも言っておられたわけであります。したがって、きちんと食料自給率を維持するために、所得補償なりの対策をするには、ある先生は年間四兆円ぐらいの、そういう予算規模が必要ではないか、あるいは二、三兆円要る、そのように言っておられる関係者もいるわけでありまして、大体そういうボリュームであるという認識で間違いないんでしょうか、対策を打つとした場合ですね。
  405. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 今先生がお触れいただいた試算は、全世界に対して関税撤廃をした場合に何も施策を行わない場合は、いわゆる第一次産業・産品について四兆五千億、そして自給率が一三%まで下がりますと、こういうことであります。  TPP関係国というふうなことに限っては、今申し上げたような事情もございましてなかなか設定しにくいところもございますが、今勉強させていただいておるというふうなことでございます。
  406. 荒木清寛

    荒木清寛君 やはりこの議論を聞いておりましても懸念は拭えないわけです。  総理、最後にお尋ねしますが、お隣の韓国は、このアメリカとのFTA交渉に際しまして、最終的には国会で大乱闘になって批准されたというふうなことでありますけれども、しかし、先にきちんと農業は農業で対策をし、国内農業のために九兆円の農業・農村総合対策を講じたということでございます。先対策・後開放というふうに言われているそうでございますけれども、きちんと対策を打った上で米韓FTAに署名をした、それでもあれだけの国会での最後の状況になったわけでございます。  しかるに、日本は今TPPに前向きになっておりますけれども、鹿野農水大臣にお聞きしましても、どういう農業対策を打つのかまだ勉強中という誠に心もとないことでございまして、これではやはり見切り発車と言わざるを得ないのではないかと私は思います。  したがって、もちろん自由貿易は大事でありますけれども、そうであれば、一気にTPPということではなくて、いろんな諸条件を柔軟に交渉できる二国間FTAを積み重ねていくとか、そういう戦略的な対応を取るべきではないでしょうか。
  407. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) これは、だから、TPP交渉参加するかしないかは別としても、農業の再生というのはやっていかなければいけないわけでございますので、その観点から農業の競争力の強化、体質改善等を考えて、昨年の十月に、我が国の食と農林漁業の再生のための基本方針と行動計画を定めました。これらに基づいて着実に農業の競争力の強化、体質強化、地域振興に取り組んでいきたいと思います。  加えて、今、バイの関係でのEPAも積み重ねていったらどうかというお話でございますが、昨日もカナダと日加のEPAを交渉開始することについても合意をいたしました。幾つかの国が入る多国間のやつも高いレベル経済連携、模索をしていきますけれども、バイの関係、二国間においても、これは可能なところとはどんどんとこの交渉をしていきたいというふうに考えております。
  408. 荒木清寛

    荒木清寛君 総理TPPに前向きでありますし、施政方針を見ますと、日韓・日豪EPA交渉の推進、EUとのEPA及び日中韓やASEANを中心とした広域経済連携の早期交渉を目指すということで、全部やるという、そういう戦略になっているわけですね。  しかし、これは限られた外交資源の中での交渉でありますから、やはり日本としての戦略、優先順位をもう少しはっきりした方がいい、このことを申し上げまして、次にPKO協力法の見直しについてまず総理にお尋ねいたします。  PKO協力法の見直しは私も大事な課題である、このように思います。しかし、もう様々な今国難とも言える状況の中で、もう様々課題のある中では必ずしも優先順位は高くない、このように思っておりますが、なぜ政府は、総理はこの国会にPKO協力法改正案を提出するという、そういう方針をお決めになったのか、御説明願います。
  409. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) PKO法については、国際平和協力業務の範囲、そしてこれに従事する自衛官の権限を含めまして、国連PKO等に対する協力の在り方全般にわたりまして法改正の要否も含めて今検討を行っているというところでございまして、現時点でまだその具体的な内容をお話しできる状況ではございませんが、要否も含めて検討をしているということでございます。
  410. 荒木清寛

    荒木清寛君 それでは、田中防衛大臣にお尋ねしますが、その見直しの対象一つに、現在は認められていない駆け付け警護が議論されている。先般は、総理もこのことについて見解をお述べになりました。なぜこの駆け付け警護ということが今この議論対象になっているのか、それが求められるような国際平和協力の現場の状況なのか、そして、その駆け付け警護ということについては憲法上あるいは現行法制上どういう問題点があるのか、御説明願います。
  411. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) PKO法改正による文民や他国軍隊の要員を防護するための駆け付けを含む警護を可能にするかどうかについての御質問だと思います。  政府は、PKOの在り方に関する懇談会において幅広い課題を検討の基礎として整理し、昨年七月に中間取りまとめとして公表いたしました。また、PKOに派遣された自衛官自身の生命又は身体の危険が存在しない場合に、当該自衛官の所在地から離れた場所に駆け付けて文民や他国軍隊の要員を防護するために武器を使用することは、憲法九条の禁ずる武力の行使との関係で慎重な検討が必要であるという状況でございます。  現在、こうした背景も踏まえつつ、現場の意見を聞きながら、今回のPKO改正法案、要否についてはまだ決定をいたしておりませんが、検討をしておるということでございますが、関係府省庁間で議論し、所要の検討を進めていければということでございますけれども、この件につきましては、現場の方からいいますと、なかなかそういう面では、準備をすると、防衛省としては相当な訓練だとかあるいは体制を組んでいかなきゃいけないと、こういうことも指摘をされておるところでありますので、防衛省としても更なる検討を深めていきたいと思っております。
  412. 荒木清寛

    荒木清寛君 要するに、これまでの国際平和協力活動の展開の中で、駆け付け警護ができないことによる不便といいますか、そういうものがあったんですか。あったからこういう俎上にのっているんでしょう。違うんですか。
  413. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) 実際このPKOで派遣されてから二十年がたちまして、この間いろいろ具体的に問題となったことにつきまして、派遣された現場の部隊、経験者からも聞きました。  一つの例として、東ティモールに派遣をされたときに、実際、部隊から離れたところというよりも、邦人の方が暴徒に囲まれるようなケースがございまして、救出依頼があった、避難の支援を自衛隊がしなければならなかったというケースがございまして、そういう意味では、現場でこの避難を支援するような形での自衛隊の法的な根拠がはっきりしていないという問題点が出されたことは事実でございます。  そういうことも念頭に置いて、この改正の議論の中で一つのテーマとして取り上げられているところでございます。
  414. 荒木清寛

    荒木清寛君 実際、そういう事例の中で不都合があったということは分かりましたが、大臣は責任者なんですから、そのぐらいのことは勉強しておいてもらいたいと思いますが。  それでは、その上で、憲法第九条との問題と言われましたけど、この点は公明党としても非常に慎重にといいますか厳格にやっていかなきゃいけないと思っておるんですが、この憲法第九条との関係では、この駆け付け警護というのはどういう問題になってくるんですか、どこに疑義が生じてくるんですか。
  415. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) この駆け付け警護につきましては、確かにそういう事例があったことも事実でありますけれども、しかし、我が国の武力一体としてしていくということがどう分けられるかということでございまして、大変危険なところに駆け付けまして、そのときにその自衛隊員が同時に自分の危険を感じた場合には救出できると、こういうこともあるわけでありますけれども、しかし、その認定というものが一つ大変難しい、憲法上どちらに一体になるというような現象もあるということで、大変そういう面では微妙な行為であると、こういうことでございますので、私も更なる憲法上の問題についても含めて検討をして、そして対応したいと思っております。(発言する者あり)
  416. 石井一

    委員長石井一君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  417. 石井一

    委員長石井一君) 速記を起こしてください。
  418. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) PKOに派遣された自衛官自身の生命又は身体の危険が存在しない場合に、当該自衛官の所在地から離れた場所に駆け付けて他国軍隊の要員を防護するために武器を使用するということは、憲法九条の禁ずる武力の行使との関係で慎重な検討を要する場合があるということでございます。
  419. 荒木清寛

    荒木清寛君 総理、いずれにしましても、こうした重要な問題ですから、もう少し内閣体制を立て直してから検討すべきであると考えますが、いかがですか。
  420. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 今の駆け付け警護の問題については、今大臣説明のとおりであって、国際紛争の解決をする手段として武力の行使をするようなことになるならば、それは九条に抵触をするわけでありますけれども、ただ、例えば文民がヘルプと言っているときに、あるいはその近くのほかの外国の軍隊が何か危険なときに、襲っているのが犯罪集団だとか暴徒だったらこの九条に抵触するということはないわけで、そういうことも含めて、どういう場合にはできるのか、できないのかということの検討を今行っているということで、これは防衛大臣だけではなくて、全て各府省によってそれぞれ知恵を出しながら議論をしているということでございます。
  421. 荒木清寛

    荒木清寛君 いずれにしましても、防衛大臣が先ほどのような答弁では私は非常に不安であります。  最後に、経済産業大臣にお尋ねをいたします。  私は、今後の中小企業の海外進出支援として、このBOPビジネスの活用というのを是非進めていただきたい、このように思っております。ネクストボリュームゾーン、次の新中間層として途上国のBOP層、主に低所得者層でございますけれども、これが世界人口の七二%を占め、五兆ドル規模の極めて大きなそういう市場になると言われております。  具体的に、中小企業の方が自らの技術を生かして途上国の水環境修復に役に立ちたい、いろいろアプローチしてようやく足掛かりを得たということがございました。政府として、なかなか中小企業、言葉の問題あるいは人脈の問題、市場調査の問題、自らがそうしたBOP層に直接アプローチができないわけでありますので、経済産業省あるいは政府としてしっかりこの中小企業のBOPビジネスを支援をしていただきたい、このことを要請します。
  422. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 御指摘のBOPビジネスは、途上国の低所得者層の皆さんが抱える社会的課題の解決に資するという社会的意義があり、同時に中小企業の海外展開の機会としても大変重要であると思っております。  先日、三月九日に中小企業海外展開支援大綱を改訂したところでございますが、ここにおいても、ジェトロによるBOPビジネスに関する情報提供現地パートナーの紹介、ビジネスプランのコンサルテーションなどの支援、それからJICAによるBOPビジネスの事業可能性調査への支援などを明記をしているところでございまして、この大綱に従って積極的に支援をしてきているところでございますが、委員の御指摘も踏まえて、更にこれを後押ししてまいりたいと考えております。
  423. 荒木清寛

    荒木清寛君 最後に、総理もこの中小企業の海外支援について政府として本気で取り組んでいただきたい、この決意をお伺いします。
  424. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 海外の需要を大いに取り込んでいくためにも中小企業の海外展開は政府としてもしっかり後押しをしていく決意でございます。
  425. 石井一

    委員長石井一君) 関連質疑を許します。石川博崇君。
  426. 石川博崇

    石川博崇君 こんにちは。公明党の石川博崇でございます。荒木議員に続きまして関連の質疑に立たせていただきます。本日は、このような機会をいただきまして、感謝申し上げます。  私、地元は大阪でございますが、地域を回っておりましてよく言われます、日本外交、大丈夫かねと。もうこの二年半、普天間基地の移設をめぐる問題、また尖閣諸島をめぐる中国との関係、あるいは竹島、北方領土等の問題等々ございますが、やはりこの日本外交力の劣化、そして国際社会における日本のプレゼンスの余りの低下は、この二年半、著しいのではないかというふうに、私自身、元外務省の職員として大変危惧をしているところでございます。  そこで、今日は、この日本外交の劣化、低下というものが象徴的に現れているのが私はイラン情勢における日本外交力というものではないかというふうに感じておりまして、本日の委員会でもこれまで何度か質疑がございましたが、併せてより深掘りする形で取り上げさせていただきたいというふうに思っております。  残念ながら、日本のエネルギー安全保障上も大変重要なこのイラン情勢、そして今、日本の国内ではガソリン代が大変高騰をしております。もし万々が一、ホルムズ海峡閉鎖というようなことになった場合に与える日本の経済への影響というものも非常に大きなものがある。こうした危機感というものが、果たして野田総理野田内閣にあるのかということを基本認識から伺わせていただきたいというふうに思っているんですが。  日本世界の中で唯一の被爆国でございます。そしてまた、昨年の福島における原発事故というものも踏まえて、核開発という問題に対しては、日本は、軍事面であれ、平和利用の側面であれ、世界中の中で最も言葉を、声を発信していかなければならない、イランの核開発を断念させるために世界の中で先頭に立って旗を振っていかなければならない、そういう役割を私は担っているというふうに思います。  こういった面で、非常に今の日本の政権の外交努力というものは不十分ではないかというふうに思いますが、総理、所見をお聞かせいただければというふうに思います。総理お願いします。
  427. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) このイランの核開発の問題というのは、唯一の被爆国であるという意味からおいても、これは何としても自制を求めていくということは、全く私は御意見は同意いたします。加えて、経済的な影響も大変甚大でございます。国民の暮らしにも様々な影響が出ますので、このイランの核開発問題については国際社会と懸念を共有をしております。  その中で、今やるべきことというのは、対話と圧力があると思うんですが、今はやっぱり効果的に圧力を掛けながら対話の場に引き出していきながら、彼らにいかに自制を求めていくかということが大事だと思います。  そういう取組を今させていただいておりますし、何もやっていないのかということではなくて、詳しくは外務大臣から御説明あると思いますが、外務大臣からの書簡であるとか、外務省の様々なレベル、あるいは外務省だけではなくてほかのチャンネルも通じながら、イランへの直接的な働きかけも行わさせていただいておりますし、加えて、関係をする様々な国々、先般は、イスラエルの副首相兼国防相が来られたりとか、クウェートの首長が来られたり、そういう機会においても我が国の立場をしっかり御説明をし、そして周辺国との協力関係連携を模索をしているということでございます。
  428. 石川博崇

    石川博崇君 今現在の情勢というものは非常に日に日に深刻度を増しております。  今年二月三日付けのワシントン・ポスト紙は、この四月から、来月ですね、来月四月から六月にかけてイスラエルがイランを攻撃するかもしれないと、単独攻撃を行う意向についてのアメリカの国防大臣の意向というものを報じました。これに対してイラン側は、報復措置としてホルムズ海峡の閉鎖ということにも言及した軍の司令官がおります。  こうした状況の中、イラン側は、二月十五日には、これまで進めてきたウランの濃縮活動の遠心分離機の最新型を導入して二〇%までのウランの濃縮を実現が、開発が成功したということも発表しておりまして、イスラエル、そして欧米諸国とイランとの間の緊張関係というものは非常に高まっていて、圧力も強まっている中にあります。  もし万々が一、このワシントン・ポストの報道のように、イスラエルがイランを単独攻撃し、そしてイランが万々が一ホルムズ海峡閉鎖ということに至った場合、日本の経済に与える影響というものは非常に甚大なものがあるというふうに考えますが、この我が国が輸入する原油の八割以上が通過するホルムズ海峡の閉鎖というものがもし仮にあった場合、我が国のエネルギー安全保障、そして日本の経済に与える影響というものをどのように認識されているか、御所見をお聞きしたいと思います。
  429. 石井一

    委員長石井一君) 外務大臣玄葉光一郎君、まず、あなた簡潔にやっていただいて、次に経済産業大臣
  430. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 石川委員から、日本野田政権のイランの問題に対する外交が間違えているというふうに聞こえる質疑でございましたけれども、私はそれは当たっていないというふうに思っております。  大事なことは、まずは国際協調です。効果的な制裁を行っていくことです。そして、まさにタイミングを見ながら対話を行っていく。先ほど藤井先生が御指摘をいただいたように、日本というのは確かに伝統的な友好関係がございます。そういった関係を活用してあらゆるレベルで働きかけを行う。ただ、今はまずは国際協調の側面、制裁局面であると、私はそう認識をしています。  ですから、様々な、これから枝野大臣からもお話があると思いますけれども、様々な経済的な影響、イラン産原油の輸入を削減するということはあるにもかかわらず、国際協調を優先をしていると。しかも、そのときに国防授権法にしてもEUの保険、再保険の問題にしても、日本の経済に最小限のインパクトになるように我々としてはこの間働きかけをし、功を奏しているというふうに考えています。
  431. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 万が一ホルムズ海峡に不測の事態が起こった場合の影響でございますが、御指摘のとおり、原油については約八割、それから石油ガスについても、この方が多いですね、九割ぐらいのものがホルムズ海峡を通って日本に来ているという状況でございます。これらについては国内に一定の備蓄がございます。この備蓄について、万が一の場合には国際エネルギー機関加盟国との連携をしつつ、適切に放出をしていく等の措置が必要であろうということを考えております。  一方、LNGは二二%程度がホルムズ海峡経由なのでございますが、一部、特定の電力事業者においてはここへの依存度が非常に高いということがございますので、これについても大変心配をしておりまして、一義的には民間事業者の努力でございますが、その点注視をして、できるだけ、あらかじめその供給源の分散化等を促しているところでございます。  定量的に影響がどの程度かということについては、これ、なかなか具体的に測ることは難しいと思っておりますが、万一の場合は相当なインパクトのあることは間違いございませんので、それを最小化できるように、あらかじめ準備をできることはしておきたいと思っております。
  432. 石川博崇

    石川博崇君 今、玄葉大臣、圧力と対話、対話と圧力でやっていらっしゃる。そのこと自体は私は間違っていると申し上げてはおりません。外交努力が非常に不十分だということを申し上げております。  具体的に言わせていただきたいと思います。  先ほど、玄葉大臣、国際協調のお話をされました。これは制裁のお話だというふうに思います。ところが、国際協調といいながら、今、日本は果たして協調できているでしょうか。私は、今、日本は国際的なこのイランに対する圧力から乗り遅れている、あるいは後付けで追いかけている、そういう状況であるというふうに認識をしております。  具体的に申しますと、先ほど玄葉大臣も申し上げられましたアメリカの国防授権法、イランの中央銀行との取引を行っている外国の金融機関をアメリカ国内における取引が行えないようにするという国防授権法でございました。これが出て、日本政府としてはさて困ったと。イランと今原油取引をやっている日本の金融機関、この日本の金融機関がアメリカの国内で取引が行えなくなってしまうではないか、これを何とか制裁対象から外してほしい、そういう懇願外交をやっているわけじゃないですか。  そしてまた、この間、イランのテジャラット銀行の制裁を、アメリカとそしてEUが制裁措置を決めました。日本は、例えばプラント産業あるいは自動車関連産業、イランへ輸出をしております。この取引の窓口になっているのは、まさにこのイランのテジャラット銀行でございます。このテジャラット銀行が制裁されたとき、日本が行っているこの輸出関連産業、プラント産業、一体どうやって銀行と、どの銀行を使って取引を今後するんですか。  まさに、アメリカ、EUがやっているこういう制裁措置、日本が全く話し相手になっていない。だから、日本の産業界が困るような状況になっている。本来であれば、日本がしっかりとイランの核開発をこうやったら断念させられる、そういう外交努力を旗振ってやっていれば、日本意見をアメリカもEUも聞いてきますよ。そういうことをやっていないから、日本が取り残された状況でこの圧力というものが行われていて、後から後付けで日本が困らないように懇願外交を行っている。これが圧力の面です。  もう一つの対話の面で申し上げたいと思います。  対話の面、いろいろなレベルで働きかけをやっているとおっしゃいました。また、いろんな外交ルートで働きかけをやっていらっしゃるとおっしゃいました。じゃ、お伺いしますが、日本外務大臣で最後にイランを訪問された外務大臣はどなたですか。玄葉大臣民主党政権になってから四人目の、この二年半で四人目の外務大臣でいらっしゃいますが、この四人の外務大臣一人でもイランに行かれましたか、働きかけされましたか。
  433. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) まず、基本的認識が私違いますね。つまり、まず国際協調があって、そしてそのときに、懇願外交と先ほどおっしゃいましたけれども、まず国際協調を行って、我々は今、化石燃料の需要は増大をしているわけですね。そういう中でもイラン産原油を四割削減をして、これからも更に削減していく方向だということの中で、私は確かに十二月の日米の外相会談のころから、国防授権法について、国際協調します、しますけれども慎重な運用をしていきましょうという話をしてきました。私はそのバランスが功を奏しているというふうに思っていますよ。EUの保険、再保険の問題も今働きかけをしています。  それと、今の、じゃ、イランにいつ行ったんだと。これは中曽根先生、中曽根弘文外務大臣が二〇〇九年五月、これは調べましたらば、外交関係開設八十周年のときということでございます。  これは、確かにどういう働きかけをイランに対して行うかというのは、それはいろいろな御提言いただいてももちろんいいんです、それは当然。それは、私は今のところ、先ほど申し上げたように、結局タイミングというのはすごくあるわけで、どういう手段でいつ行うのか、誰が行うのかということだと思います。  イスラエルに対しても、先ほど総理からお話がございましたけれども、バラク副首相兼国防相とも私も一時間半、二時間くらい会談いたしましたけれども、そのときも自制をイスラエルに対して求めました。  ですから、そういった様々な働きかけを当然行っていくということでございます。
  434. 石川博崇

    石川博崇君 今御説明がありましたとおり、イランに最後に訪問した外務大臣は麻生政権下の中曽根、当時外務大臣でございました。  外務省から資料をいただきまして、私は唖然といたしました。民主党、政権交代されてからイランに行かれた政治レベルの方は誰一人いらっしゃいません。二〇一一年五月に政府代表が、事務方ですよね、事務方で行っていらっしゃる方がお一人だけでございます。政治レベルは誰一人行っていない。対して、自公政権時代どうであったかということを見ますと、公平性の観点から同じ二年半で区切って政権交代前の二年半で考えますと、二〇〇七年から政権交代までの間イランを訪問した政治レベル、十回ですよ。同じ二年半で自公政権が十回。民主党政権になってからイランを訪問した政治レベルは誰一人いない。  日本とイランの伝統的友好関係、様々な対話のチャネルがありました。これまで日本はイランに対して核開発を断念すべきだということを本当に様々なレベルで働きかけをしてきました。イラン側からすると、やっぱり欧米諸国に対して非常に不信感があるんです。様々な歴史的な不信感もあります。欧米諸国がやっている制裁措置というものは非常にダブルスタンダードではないかというような思いもあります。そういう中で、日本のような国がやはり核開発は駄目なんだということを直接行って話をしていく、これは非常に大事な観点だと思いますが、残念ながら、民主党政権になってからそうした具体的な働きかけをされていない。  ハイレベルでしっかりと働きかけていただくべきだというふうに……(発言する者あり)やっているという声が今場外でもございましたが、じゃ、玄葉大臣、例えばいろんな国際会議に行かれていると思います。そのマージンでイランの外務大臣と外相会談やったことありますか、あるいは電話会談一回でもやったことありますか。
  435. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 事実関係だけ申し上げますけれども、昨年一年間でいえば、外務審議官のイラン派遣、次官級協議局長協議ということでございます。  それで、それで……(発言する者あり)
  436. 石井一

    委員長石井一君) 静粛に願います。
  437. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) ただ、大臣が行けばいいという問題ではありません。つまり、どのタイミングでどういう形で働きかけをするかというのが大事な話であって、むしろ行って利用される可能性だってあるわけですよ。つまり、本当にそういった局面、局面というのを見ながら行っていくのが私は外交だと思いますよ。外務省にいたという石川さんらしくないと思いますよ、私は。(発言する者あり)
  438. 石井一

    委員長石井一君) 場内がちょっとやかましいですよ。静粛に願います。
  439. 石川博崇

    石川博崇君 やっぱり対話と圧力、両方大事なんです。圧力だけではやはり、北風の話もございます、やはり対話の窓口をどう確保していくのか。欧米諸国にはなかなか難しい面を日本として役割を担っていく、そして、イランとの対話をしながら直接核開発の断念を働きかけていく、その姿勢が欧米諸国にも評価されるわけです。イランと欧米諸国の間の橋渡しも日本は賄える。そういう役割を担えるのが、先ほど藤井先生もおっしゃっていました、独自の外交をしていかなければならない、この日本が果たせる非常に重要な分野、これがイランの核開発の問題だと思います。  国際社会においてはこのイランの核開発の問題、非常に深刻な問題です。日本にとって北朝鮮の核開発が非常に深刻な問題である、あるいは、ある以上に、イランの核開発の問題について欧米諸国の抱える懸念というものは非常に大きいものがある。日本にとって、北朝鮮の核開発を断念させるために国際社会の協力を得なければいけない、そのためにも、国際社会にしっかりと協力をしながら、日本が先頭を切ってイランの核開発を断念させる努力を、汗をかいていく、これは非常に大事な役回りだと思います。  以上のこれらのやり取りを聞いていて、野田総理、もし御所見ありましたらいかがでしょうか。
  440. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 対話と圧力が必要であって、特にその対話の部分日本はこれまで独自のいろんなパイプをつくってきたと、そういうものをフル回転させていくべきだという、その御認識は私も共有をさせていただきたいと思いますので、今いろいろ御批判もいただきましたけれども、その御批判も甘んじて受けますが、しっかりとイランには働きかけを日本としてもやるようにしていきたいというふうに思います。
  441. 石川博崇

    石川博崇君 それで、非常に状況が深刻になってきている中、もし万々が一このホルムズ海峡が閉鎖されたときに、どういう体制を取って、どういう対応をするのかということをしっかりと検討していただかなければならないと思います。  そこで、田中防衛大臣にお伺いいたしますが、もし万が一そのホルムズ海峡が閉鎖された場合、自衛隊として現行法制度上とり得る措置というものはどういうものがあるか、御説明いただけますでしょうか。
  442. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) お答え申し上げます。  仮にホルムズ海峡が閉鎖された場合に自衛隊のとり得る措置についての御質問だと思います。  イランの核問題をめぐる情勢への対応については、平和的、外交的解決に向け、外交努力を始めとして政府全体としてこれに当たるべきであると考えております。現段階では防衛省・自衛隊としては何らかの対応を行う必要がある状況にあるとは認識しておりませんが、政府全体の対応の中で防衛省・自衛隊としてとるべき措置があれば適切に対応してまいります。
  443. 石川博崇

    石川博崇君 いや、防衛大臣、私の質問聞いていらっしゃいましたでしょうか。もし万が一ホルムズ海峡が閉鎖されたときに、現行法制度上、自衛隊はどういう措置をとることができますかと、それを御説明くださいと。
  444. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) いろいろと検討をしておるということは頭の体操であるんだと思いますが、現段階において、自衛隊が直ちに何らかの対応を行う必要がある状況にあるとは認識しておりません。また、御指摘のような自衛隊の活動については、その前提となる現地の具体的な状況我が国周辺の情勢等も踏まえて検討する必要があるため、現時点においてお答えすることは困難でございます。  あえて法的観点から一般論として申し上げれば、以下のとおりでございます。  機雷掃海については、一般に、遺棄された機雷などの場合には、我が国船舶の安全確保の観点から、自衛隊法第八十四条の二に基づき除去することが可能でございます。また、対潜哨戒を含む警戒監視については、一般に、我が国周辺における自衛隊の警戒監視活動は、防衛設置法第四条第十八号により、我が国防衛という防衛省の所掌事務の遂行に必要な調査及び研究の一環として実施しているところでございます。  外国艦船に対する洋上補給については、共同訓練等に際して実施されるものを除き、現時点においてこれを実施し得る法的根拠は存在しておりません。我が国の警察権の行使として行うタンカーを含む我が国船舶の護衛については、海上保安庁では対処できない場合には自衛隊法第八十二条の海上警備行動として自衛隊が行うことは可能でございます。  こういう状況でございますが、何といっても外交的、平和的な解決を今努力をしておるということを御理解いただきたいと思います。
  445. 石川博崇

    石川博崇君 防衛大臣じゃなくて、棒読み大臣ですね。本当に資質を疑います。時間が参りましたので、以上で終わります。  今日はどうもありがとうございました。
  446. 石井一

    委員長石井一君) 以上で荒木清寛君、石川博崇君、公明党の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  447. 石井一

    委員長石井一君) 次に、小熊慎司君の質疑を行います。小熊君。
  448. 小熊慎司

    小熊慎司君 みんなの党、福島県の小熊慎司でございます。  福島県ということで、私も、会津が、福島県が生んだ伊東正義先生の流れをくむ国会議員として、それは玄葉大臣も同じであります。また、残念ながら、田中防衛大臣、今、棒読み大臣とも言われてしまいましたけれども、今、名前を出させていただきました伊東先生の座右の銘に誠実という言葉があります。誠実な答弁期待して質問に移らさせていただきます。  震災から一年がたちました。いまだ原発も収束をしておらず、しかし、我々福島県人は県民一丸となって復興に努めていこうと新たに誓い合った次第であります。それまでの頑張ろう福島から、福島から始めようという、私も今日バッジを付けておりますけれども、その新たなスローガンの下で、今年を復興元年にしようという誓いの下で今頑張っているところであります。不幸にして起きてしまったこの大震災、原発事故、こうしたものをしっかりと検証しながら、その知見をこれからの社会、世界のためにこれを生かしていかなければなりません。  そこで、玄葉大臣委員会の所信でも述べましたけれども、国際的な原子力安全の向上に、こうした検証を踏まえて、知見を踏まえて取り組んでいかなければならないというふうに言及をされました。それは具体的にどのように取り組んでいくのか。  そしてまた、その際は、さきの国会でも原子力協定、我が党は反対をいたしましたけれども、また与党の中においても反対をされた方いました。脱原発という立ち位置でこの国際的な原子力安全を目指すのか、それとも原発推進容認という形で目指していくのか、その辺を明確にしながら日本の取組について総理にお聞きをいたします。
  449. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 脱原発か原発推進容認かという今二者択一の問いかけでございますが、中長期的には原発への依存度を極力抑えていくという方向の、これ脱原発依存という姿勢であるということをまず申し上げておきたいというふうに思います。そういう姿勢の中で臨んでいくということでございます。
  450. 小熊慎司

    小熊慎司君 そうであるならば、さきの国会で、先ほど述べました原子力協定等はやはり慎重に対応していかなければならなかったのかというふうに思っております。  今後、日本また被災三県でも予定をされていますけれども、大規模自然災害に関するハイレベルな国際会議であるとか、この後の今日旅立たれます核サミット等で、こうした原子力の安全といったものをしっかりと、そうした原発推進ではない立場で総理発言をしていく新たなもし指針等が発表される予定があるんでありましたら、総理答弁を求めたいと思います。
  451. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 原子力発電所の事故の教訓を世界原子力安全の向上のために生かしていくということが歴史的な責務であるという認識の下で、IAEAとして事故を踏まえた行動計画を推進をしておりますので、ここに対して、今回の事故の状況や得られた知見、教訓を取りまとめて、昨年の六月と九月、二度にわたって報告書を提出し、これらの情報を国際社会と共有をしてまいりました。  それから、御承知のとおり、本年の十二月に福島でIAEAとの共催で原子力安全に関する閣僚会議を開催をいたしますので、これを目標にしまして、今回の事故の教訓を踏まえた安全性を高めていくという視点からの安全性強化のための国際的な取組について、我が国として様々な情報や提供をしていきたいと思っております。
  452. 小熊慎司

    小熊慎司君 今の答弁ですと、これは原子力前提として維持をしていくということですか。
  453. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 先ほど野田総理がおっしゃられました脱原発依存は、我が国として原子力発電所への依存を最大限引き下げていくという、今の内閣としての姿勢を示したものであります。一方で、国際社会においては、それぞれの主権国家としての責任と判断の下で原子力発電所を今後も活用していくという国が少なからずあるということは間違いありません。  そうしたことの中で、我が国が今回の事故も含めて得た情報や知見、教訓というものをしっかりと提供していくことによって、世界における、どこの国においても事故の起こらない方向への努力というものに貢献をしていくということでございます。
  454. 小熊慎司

    小熊慎司君 福島県はこの新たなスタートを切るときに、今回の震災の教訓を踏まえて、自然の脅威への備え、そしてまた科学技術の力への過大な評価、そして原子力を扱うことの難しさを挙げて、二度とこのようなことを起こしちゃいけないと。今回の原発事故だけではなくて、私も県会議員の時代に事故隠し、データ改ざんという東電の不祥事に遭遇しましたけれども、そのときから想定外という言葉を保安院も東電も使い続けて、結局は、福島県民からすれば、この原子力行政というのはオオカミ少年のようなことを繰り返してきたというふうに言わざるを得ません。  そういった経験を踏まえれば、やはり国際的にも、安全性を高めるではなくて、国際的にも脱原発ということをしっかりと打ち出して、そして、政府でも出しているグリーン成長、こちらの方でしっかりと日本の成長戦略また国際的な情報発信といったものをしていくべきだと思いますけれども、改めて答弁お願いいたします。
  455. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 先生が地元が福島であられるというお立場も含めて、今のような御主張をされるお気持ちは私もほぼ共鳴するものでございます。一方で、エネルギー政策は各国の安全保障とも結び付いている政策分野でございますので、基本的にはやはりそれぞれの主権国家が主権国家としての責任と判断でエネルギー政策を決めていくところだろうと思っております。  私は、我が国がまさにこの原発事故の教訓も踏まえて脱原発依存というものを着実に現実的に進めていく、そしてそれが可能であるということを国際社会に示していくということが何よりもの、何というんでしょう、世界が原発への依存度を低めていく方向に向かっていく上での最大の責任と貢献だろうというふうに思っております。  一方で、その間、やはり今回の事故を含めて、技術については、日本の技術に対して原発を当面は使うという世界の多くの国々からその技術についての期待がされているし、そのことが安全を高めるという意味で役に立つということであれば、それについても協力をするということは決してダブルスタンダードではないし、何よりも私は、繰り返しますが、脱原発依存を着実に目に見える形で進めていくことが大事だと思っております。
  456. 小熊慎司

    小熊慎司君 私も県会議員時代は原発推進、容認をしてきました。そうした事故を踏まえても、してきてしまった反省があります。維持しようとするとどうしてもこれは止まらない、拡大するという懸念も持っています。しっかりと、日本の今回の経験が、これがまさに全世界的な脱原発につながっていくように力強く進めていくことをお願い申し上げて、次の質問に移ります。  国際的な風評被害、これは福島県だけではなくて日本全体を覆っています。そういった中においても、外務省の取組の中で、昨年の十二月に、大変ニューヨーク総領事館にもお世話になりましたけれども、私の地元の福島県の商工会議所青年部連合会が、ブルー・スカイ・プロジェクト・イン・ニューヨークということで福島の物産展やまた様々な行事を外務省の支援によってこなしてまいりました。その後でまた、アメリカでも大変な好評をいただきましたので、今度四月にはワシントンでのストリートフェアでの福島物産展の開催にさせていただくことになりました。  とにかく科学的知見に基づかない誤解をしっかりと解いていく、これが風評被害においては大事なことだというふうには思います。しかしながら、政府のこれまでの取組といったものはまだまだ私は満足いくものではありません。  昨年の七月には、フランス大使館が通常はこの東京で行われるフランス革命記念日をあえて福島の郡山市で行っていただいた。また、過日、議員としてではなくメダリストとしてでありますけれども、谷亮子さんが会津の柔道大会に来られて、その際、フランス大使館の支援もいただいたわけでありますけれども、様々なイベントで日本以外の国が福島県のこうしたイベントに協力をいただいております。  しかし、私の承知しているところであれば、福島県で政府主催の様々な会合又はイベントといったものが、今後、いろんな会議が予定はされてますけれども、非常に、これまでなかったということを考えれば、やっぱり福島が、これは警戒区域とかいろんな地域はありますけれども、安全だと言っているところでしっかりと政府がそうした風評被害払拭のためにイベント開催等をやっていかなきゃいけない。  これは、外務省、方針は打ち出していますけれども、いまだ実績がないというふうに思いますが、今後の中で、外務省として風評被害を払拭するためにこうしたイベント、国際会議等の誘致をもっとやっていくんだという、そういう取組についてお伺いをいたします。
  457. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) まず、風評被害の対策について、小熊さんにいろいろと駆け回っていただいて、アメリカにも行っていただいたり、そのことに対して御礼を申し上げたいと思います。  ただ、今実績がないと言われましたけど、現実には再生可能エネルギーのまず国際会議を先般福島で開いたところでございます。さらには、ハイレベルの自然災害に対する閣僚会議を宮城と岩手と福島で、たしか七月だったと思いますけれども、開きたいと。さらには、IAEAと共催で原子力安全に関する会議を十二月に、これも恐らく五十か国ぐらいの閣僚がいらっしゃると思います。そういったことを積み重ねていくということが私は一つは大事だろうというふうに思っています。  ただ、そのことだけではやはり足りなくて、先ほどおっしゃっていただきましたけど、なかなか科学的合理性だけでは見ていただけないというところがあるんですね。チリとかカナダとかはもう輸入規制を解除してくれました。米国はもう日本とほぼ同様の水準に緩和をしてくれました。私だけではなくて、在外公館も相当それぞれ頑張っていて、ただ、問題なのは、この間、台湾も香港も実はかなりの解除をしてくれたんですね。問題は中国、韓国などが厳しい。実は、中国、韓国は、福島もあるいは宮城も岩手も結構観光客で来ていただいたりしていたのに、厳しい規制だということがありますので、働きかけを強めなきゃいけない。    〔委員長退席、理事川上義博君着席〕  そのときには、私、最近申し上げているのは、例えば小熊さんが出身の会津、〇・〇八から〇・一四くらいなんですね、空間の放射線量が、マイクロシーベルト・パー・アワーなんです。これはどこと大体同じですか、実はソウルも上海もニューヨークも同じなんですね。そういうシンプルなメッセージの出し方というのを心掛けるようにという指示を今外務省の方にもしているということでございます。
  458. 小熊慎司

    小熊慎司君 今大臣が言われたとおり、これ輸入規制の問題であれば、台湾、緩和しましたけれども、逆に食べ物じゃなくて二次製品がまだ解除になっていなかったり、本当に、努力はされているんでしょうけど、結果が出ていない。  また、中国とも先日、全人代のメンバーとこの参議院の方で日中議員会議というのをやりましたけれども、この輸入規制について私も言及をしましたら、結局は、日本と基準が違うんだとか、あと、やっぱり汚染されたものは入れられないんだということを言うんですが、十都県にまたがって中国は輸入規制を掛けている。去年輸入解除をしたのは山梨と山形です。山形より遠い青森はまだ規制が掛かっている。全然科学的根拠がない。やっぱりこれは政治的に利用されている。そういう意味であれば日本外交力が試されていると言っても過言ではないというふうに思います。  そこで、その全人代の方々には夜のレセプションで私は地元のお酒を持っていって、大丈夫だから飲んでくれと言ったら、しっかり飲んでもらいましたよ、何の問題もないと言って。やっぱり地道な努力と同時に、これは科学的根拠を示しながらですけれども、やっぱりこれは日本外交力が問われているところでありますし、この中で、一つはやはり誤解を招いているとしか言えません。誤解を招かないような情報発信が必要だというふうに私は思います。  その誤解のある情報発信になってしまうんじゃないかという一つの一例が、環境大臣にこの後質問させていただきますけれども環境大臣も先日は選挙区の皆様五百人を福島の方に旅行に来ていただきまして、私の地元の会津でも大変喜んでおりました。ありがとうございました。一回限りじゃなく、これからも是非よろしくお願いをいたします。  その中で、この環境省が作ったパンフレットがあります。これは災害廃棄物のパンフレットです。福島はまた別の仕組みでやってもらっていますから、これは岩手、宮城ということですが、このパンフレットの表紙に「東北の一日も早い復興のために」って、岩手と宮城しか書いていないんですよね。これは、うがった見方かもしれませんけど、福島県って東北じゃないんだと、やっぱり別物なんだと、まさにうがった見方かもしれないけど、そのぐらいセンシティブなんです、今、福島県民は。  そしてまた、次のこの中身を見ると、これは過日、私の地元福島県の相馬市長ともちょっと話合いをさせていただいたんですが、この中身の中の右側の真ん中に、「岩手県及び宮城県沿岸部の空間放射線量は高くありません。」となっているんです。こうした政府説明が、結局は、県一くくりであったり、科学的知見に基づかない判断に結び付いてしまうんじゃないかという私は懸念を持っています。  この件について、我が党の水野賢一議員も先日の環境委員会で言及をしました。大臣も、それを作るときに悩んだと言いましたけれども。こう書くことは、裏返して言えば、福島県の沿岸部の空間放射線量は高いですと言っているようなものだろうと相馬市長も言っていましたよ。  こうした表現が結局は誤った放射線知識、イメージにつながってくるというふうに私は思うんですが、これ、環境大臣、どうですか。
  459. 細野豪志

    国務大臣(細野豪志君) このパンフレットを作るときには大いに悩みました。私にとって福島というのは今最も大事な県民の皆さんですので随分悩んだんですが、悩んだ末にそうしたパンフレットの書き方をさせていただきました。  二つ理由がございます。  まず一つは、福島県の場合には、発生をした災害廃棄物が通常の排出量の約三年分ということでございまして、十一年分の岩手県、そして十九年分の宮城県と比べると数量が、それと比較をするとということでございますけれども、少のうございます。したがって、域内で処理をできるということで今国が直接取り組んでいるというのが、これが一つ理由でございます。  もう一つの理由は、このパンフレットは、やはり広域処理をやっていただくことを検討していただく皆さんに見ていただいて、やろうというふうに言っていただかなければならないという、そこはございました。したがって、このパンフレットを福島の皆さんが見たらどう思われるのかなということは、随分考えた末に、そこも含めて全て受入れを検討をということになってしまったときに、実際は浜通りの瓦れきが多いものですから、そこの瓦れきも含めた広域処理ということになってしまうと受入れがなかなか進まない面があるのではないかという、そういう懸念をしたというのが、これがパンフレットを作ったときの経緯でございます。  そこで、福島の瓦れきについては、これは国が責任を持って仮設の焼却施設を造り、そして処分場も造り、そこでしっかり処理をしていくと。そして、レベルの高いものについては中間貯蔵をさせていただいて、最終的には、これは逆にいろいろ厳しい声もあるんですが、福島県外で、濃いものについてはしっかりとそれこそセシウムを取り除いて、それについては処理をさせていただきたいということをお願いをさせていただいております。  福島の皆さんには、本当にこういうパンフレットを作っているということ自体心苦しいわけでありますが、被災地全体で処理をするということのために是非御理解を賜りたいと思います。  それで、最後にもう一点付け加えますと、二千二百万トンという我々が処理をしなければならない廃棄物の総量の中にはあえて福島を入れております。福島の瓦れきの処理が進んでおりませんので、パーセンテージがどうしても上がらないわけですが、それでも、我々の責任は福島も含めてあるんだということを明示的に示すために、これは数の中に入れているということも併せて御報告を申し上げたいというふうに思います。
  460. 小熊慎司

    小熊慎司君 過日の環境委員会の中の答弁でも、大量に発生をしている岩手、宮城のものに限って広域処理をということを申し上げなければ、逆に受け止める側が放射性物質の問題について心配をされて進まないということがありましたので云々というのがあるんですが、だからこれをしっかりと数字だけで言っていけばいいんですよ。県でやるから、逆に福島県だけじゃなくて宮城や岩手のものが放射性物質に汚染されているんじゃないかという心配を、宮城だから大丈夫ですということは根拠になりませんということです。  そういう言い方をするから、日本の基準といったものが国際的にも信用されない。結果として風評被害につながっている、輸入規制緩和にならないということで、あくまでも、こういう大ざっぱな何々県とかじゃなくて、しっかりとした科学的知見に基づいて、あくまでも徹頭徹尾やっていくことが重要だということを言っているんですよ。  今やっている処理が間違っているということではなくて、だから、広域処理をお願いするときも、宮城のものだから大丈夫です、岩手のものだから大丈夫ですといっても、それは根拠になりませんよ。何ベクレルだから大丈夫ですとか、そうすれば、福島県内だって放射線低いところがいっぱいあることは分かっていますよね、大臣も。こういう真摯な、誠実な姿勢がなくて大ざっぱにどかんとやるから信頼が生まれないんですよ。そうしたことを引き起こしているということを是非自覚していただいて、今後の是正の対応を求めて、次の質問に移らさせていただきます。    〔理事川上義博君退席、委員長着席〕  次に、先週、参議院でも決議をいたしましたけれども、いわゆる北朝鮮のミサイルの問題。環境大臣もう結構です。ミサイルの問題ですけれども、経産大臣も結構です、済みません。これは、まさに日本防衛が問われている問題でもあります。ですから、参議院でも決議をいたしました。とりわけ、今のこの民主党政権になってから、特に沖縄の皆さんには大変な御心痛をお掛けしているところでありますけれども、今回の北朝鮮のミサイルも、沖縄の方面に関しては大変な懸念を沖縄県民の方は持っておられるというふうに思います。  そこで、しっかりと沖縄県民の信頼を取り戻していく、しっかりと沖縄県民の心に寄り添うという意味では、このミサイルの対応について、そうした沖縄県の皆さんにとりわけ心配を掛けないというような、そういった対応を防衛省としてしていますか、どうですか。
  461. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 近々、防衛省といたしましても準備命令を発出するという段階に来ております。そのためには、今度、南西地域に今回は衛星というものが発射されるということでありますので、そういう意味では自治体の皆さん方にまず御説明を内々させていただいて、そしてこの、今ありますPAC3あるいはイージス艦の配備を進めていくということでございますけれども、これはいろいろ物理的な条件もございますが、急がなければいけません。  したがいまして、自治体の皆さん方あるいはその関係者方々に御理解をいただきながら速やかに配備をしていくことによって、県民の皆さん方、沖縄県民の皆さん方始め地域の皆さん方の御理解そしてまた安心を深めたいと思っておりますので、手順を踏んで着実に進めていければと思っております。
  462. 小熊慎司

    小熊慎司君 二〇〇九年のこのミサイル発射のときは東北上空を飛んでいったんですね。日本海側に落ちるのもそれは大変なことなんですけれども、これ太平洋側に落ちた。東北人の我々としては、寝ているときに顔の上をまたがれたような気分でしたよ。  そういう意味では、何の事故もないからよかったというような対応でもよくないんです。発射されて沖縄地方のあの辺の海に落ちることだけでもこれは日本防衛としては大変な問題だと思うんですけれども、そういった認識の下に対応していただけますか、大臣
  463. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 先生の御指摘のとおりでございます。我が国の領土に、そしてまた地域に被害があってはいけないわけでありますので、万全な体制を組んで、そして対処していくということが基本的な方針でございます。
  464. 小熊慎司

    小熊慎司君 外務大臣、余りレクチャーそこで、隣でしているのも、逆に大臣があれですから。  そういった、本当に大臣、分かっていますかね。今のその、申し訳ないですけど、外務大臣が耳元でささやいたのを見ていても、本当に日本防衛大丈夫かというふうに心配になりますよ。さっきの質疑の中でも、ホルムズ海峡の機雷の撤去、専守防衛だみたいなことを大臣おっしゃいましたけれども、機雷の撤去、専守防衛でいいんですか。そんな解釈で私、機雷撤去できていいとは思いませんよ。  これ、最高責任者の総理、これ専守防衛なんですか、機雷撤去は。どうですか。
  465. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) これ、先ほど法的整理ということで、法的観点からということで田中防衛大臣がきちっと整理したと思います。つまりは、おっしゃるように、例えば武力行使の一環として敷設された機雷、これはやはり武力行使に当たるという整理をさっきされたというふうに理解しています。
  466. 小熊慎司

    小熊慎司君 それでは、防衛大臣、これは専守防衛ではないんですね。先ほど宇都議員に答弁されたのは訂正をされるんですか。田中大臣、お答えください。
  467. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 外国による武力攻撃の一環として敷設されている機雷については、自衛隊法第八十四条の二、基づいて除去することは、憲法第九条が禁止する武力の行使に当たるため許されないという見解でございます。
  468. 小熊慎司

    小熊慎司君 端的にお答えください。専守防衛ではないんですね。どっちですか。さっきの宇都議員に答弁されたのは訂正されるんですか。端的にお答えください、専守防衛なのか防衛じゃないのかということ、そして先ほど宇都議員に答えたのは間違いだったというふうに。(発言する者あり)
  469. 石井一

    委員長石井一君) 静粛に願います。
  470. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 専守防衛の概念では、その話をしておるつもりはございません。
  471. 小熊慎司

    小熊慎司君 じゃ、先ほどの宇都議員の、対する答弁は訂正をされるということですね。委員長、整理してください。
  472. 石井一

    委員長石井一君) 機雷撤去は専守防衛に値するのかということを聞いておられるので、そうじゃないと答えたのなら、さっきのは訂正するということを言うてください。田中直紀君。(発言する者あり)いやいや、すぐ答弁して。(発言する者あり)  速記を止めて。    〔速記中止〕
  473. 石井一

    委員長石井一君) 速記を起こして。  田中防衛大臣、今の混乱に対してちょっと明確にお答えをいただきたいと存じます。
  474. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 専守防衛とは、相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使し、その態様も自衛のために必要最小限にとどめ、保持する防衛力も自衛のために必要最小限のものに限るなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢をいうものであり、我が国防衛の基本的な方針でございます。  先ほど申し上げましたこの機雷掃海についてはこの概念に当たりませんので、憲法九条が禁止する武力の行使に当たるため、許されないところでございます。(発言する者あり)
  475. 石井一

    委員長石井一君) それじゃ、議事録は精査します。
  476. 小熊慎司

    小熊慎司君 じゃ、しっかりと精査をお願いいたします。  次の質問に移りますが、この原発事故は、また大震災の知見は、これ防衛省・自衛隊の中でも高めていかなければなりません。二十四年度の予算の中でもこの原発事故災害に対応していくという予算も付いておりますし、先ほど来指摘をされているこの原発のテロの対応といったものも自衛隊に新たに必要になってくるというふうに思います。  あの震災直後、福島県には国際救助隊は相馬市のシンガポールからの五人、犬五匹だけの展開でありました。トモダチ作戦、米軍にも大変感謝をしなければなりませんが、福島県では展開をされませんでした。様々な捜索活動が行われてきましたけれども、石巻では昨年の三月の二十日、九日目にも救出された命がありました。しかし、残念ながら、福島県のこの二十キロ圏内、三十キロ圏内は捜索がなかなか進みませんでした。  私も、外交防衛委員会の中で早期の捜索活動を度々要求をしてきて、当時の広田政務官、真摯に対応していただいたわけでありますけれども、自衛隊の皆さんが装備がないということで、それは隊員の命、安全も大事ですから、ないということで、結局、三十キロ圏内に入ったのが昨年の四月十八、そして二十キロ圏内には五月一日、五月三日は十キロ圏内に入りましたけれども、それより先に福島県警、松本県警本部長以下警察官七百名は、三月の十七日に二十キロから三十キロ圏内に入っているんです。県警で十分な装備があったかといえば、そうではありません。そしてまた、四月三日には十キロから二十キロ圏内に入り、四月十四日には十キロ圏内に警官三百名が、県警の皆さんが入っておられます。  まさに、こうした活動を見れば、やはり自衛隊、本当にこれ戦争以外で、私、二十キロ圏内、領土が奪われたと思っていますよ、こういったものを守っていかなきゃいけない。自衛隊の任務、これまで原発対応がなっていなかった。しかし、この知見を踏まえて、しっかりとこれからこうした原発災害、二度と福島のようなことが起きてならない。  この今提示している写真も、(資料提示)これ、私、警戒区域になる前でしたから、まだ緩やかなころですから、入って浪江町の請戸港のところですけれども、これ、浪江町の馬場町長、私の県会議員の同期ですから、とにかく心配だと、見てきてくれと、しっかり自衛隊に入るように言ってくれということで、三月の二十七日に入りました。  後ろの方に、この車両の後ろ、正面から見ると、写真で見ると左側ですけれども、大きな大木があります。これは自衛隊が多分サンプリングか何かしているんですけれども、この後の写真なんですが、ちょっとお願いします。この大木があったがためにこれ以上先に進めなかったんです。それからその後、四月の七日に入りましたら、これ、この先の交差点のところなんですけれども、大木が撤去されていて、これ県警がやったんですかと言ったら自衛隊がやったと言うんですよ。しっかりと入ってやっているんですよね。  様々な混乱がありましたけれども、やっぱり、もしかすると直後から自衛隊が入れるような体制があれば、宮城や岩手で震災が起きてから何日もたっても助かった人たちがいると思えば、この請戸地区だけじゃなくてほかのところでも、もし自衛隊の皆さんが早期に入っていれば助かった命があったのかと思うと、私も一政治家として大変じくじたる思いで、今後このようなことがないようにしなければなりません。  二十四年度の予算を見ると、原発事故災害の予算付いておりますけれども、まだまだ不十分だと思います。今後の除染活動も、二十キロ圏内、自衛隊の方もやっていただきました。そうしたことも考えれば、廃炉まで三十年、四十年掛かると言われているんです。三十年後、四十年後、私もいないかもしれない。しかし、こうした長い取組の中であれば、これはもう常設のこうした原発事故対応の自衛隊の部隊を福島県にしっかり設置して、今後二度とこうした悲劇が起きないようにすべきだと思いますが、答弁お願いいたします。
  477. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 今後、福島第一原発あるいは警戒区域内での周辺における不測の事態が生じた場合におきましては、自衛隊は要請がなされた場合、災害派遣あるいは原子力防災派遣の枠組みにより適切に対応してまいりたいと思います。  また、福島第一原発周辺の環境モニタリングに際し、文部科学省等からの支援要請があれば、必要に応じ関係省庁連携し、航空機及び艦艇を使用し関係間の協力の枠組みでモニタリング支援を行ってまいりたいと思います。  先生御指摘のように、三月十一日の大震災に当たりましてはそれぞれの御指摘があったわけでございまして、今防衛省といたしましては、まずその検証を行っておりまして、そして二十四年度の予算を要求をさせていただいておるところでございます。この経験を更に検証をして、そしてこの福島県の原発事故に対して遅れがないように今後の対応を全力を挙げて整備をしていくと、こういうことで努力をしていくことを御報告を申し上げたいと思います。
  478. 小熊慎司

    小熊慎司君 残念ながら心には響きませんでした。福島県民も全国民もそうだと思います。残念です。  以上で質問を終わります。
  479. 石井一

    委員長石井一君) 以上で小熊慎司君、みんなの党の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  480. 石井一

    委員長石井一君) 次に、紙智子さんの質疑を行います。紙さん。
  481. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  TPP問題について質問いたします。  野田総理、今、農業団体だけではなくて、医師会、有識者の皆さんの間からもTPP参加に向けての懸念が広がるばかりです。TPP事前協議参加の表明に際して、関係各国との協議を開始し、各国我が国に求めるものについて更なる情報収集に努め、十分な国民的な議論を経た上で、あくまで国益視点に立ってTPPについての結論を得ていくという、この方針は何もお変わりありませんね。  総理総理
  482. 古川元久

    国務大臣古川元久君) 担当大臣としてお答えをさせていただきます。  もうこれは総理が十一月の記者会見でも申し上げたとおり、今議員から御指摘のあったように、そうした方針に変わりはございません。
  483. 紙智子

    ○紙智子君 ところが、このTPP交渉の責任者である古川大臣は、民主党経済連携プロジェクトチームの会議において、経済連携協定国益にかなうか否かについては交渉結果によるものだと、交渉妥結した後で最終的には国会に協定の締結をするか否かの判断をいただくことになると。この協議段階国民の不安の声や懸念を相手にぶつけるんではなくて、参加先にありきだと、嫌だったら国会で否決すればいいんだと言わんばかりの発言をしているやに聞いておりますけれども古川大臣、本当ですか。
  484. 古川元久

    国務大臣古川元久君) これは一般論として、これは経済連携協定行った場合には、これはまさに今委員から御指摘のあったように、これは最終的に国益にかなうかどうかについては交渉結果によるものであって、そしてまた、最終的には国会で当然、協定でございますから、御判断をいただくことになるということを申し上げたわけでございまして、別にTPPに関して申し上げたわけではございません。
  485. 紙智子

    ○紙智子君 私のところにある資料を見ますと、どう読んでもこれはTPPに関して今の趣旨で言っているんじゃないかというふうにしか読み取れないんですよ。まあそれはそのままで、この後またいろいろやりますけれども。  次に、総理にお聞きします。  時事通信社の配信によりますと、二十四日、おとといですけれども、都内の講演で総理は、環太平洋経済連携はビートルズだとおっしゃったと。日本はポール・マッカートニーで、ポールのいないビートルズはあり得ない、その上で米国はジョン・レノンだと、この二人がきちっとハーモニーしなければいけないと述べて、日本交渉参加への決意を重ねて表明したというふうに伝えています。  こうなりますと、あらかじめ総理日本参加することが絶対に不可欠だと言っているに等しいんじゃないですか。国民との議論を踏まえて判断するという発言と違うんじゃないでしょうか。いかがですか。
  486. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) あくまでTPP交渉参加に向けて関係国との協議をすると、その情報についてはしっかり国民お伝えをしながら、国民的な議論をもって国益に沿って結論を出すということで、予断を持ってお話をすることではないという前提でお話をしています、その場では。  ただし、余り、悲観論が多く流れているときに、日本が入らなくてもいいと、我々が卑屈になってお願いして入っていくという状況ではないという意味でビートルズの話をさせていただきました。
  487. 紙智子

    ○紙智子君 なかなか理解し難い発言なんですけれども国民には繰り返し、情報を収集して十分な議論を踏まえて結論を得るというふうにおっしゃっているんですけれども、やっぱり早く参加を決めたいと、この思いがやっぱりにじみ出ているんじゃないかというふうに思うわけですよ。  それで、三月一日に外務省が発表しています「TPP交渉参加に向けた関係国との協議の結果」、これは米国以外の八か国の話ですけれども、そのまとめでも、市場アクセスについては、例外なき関税撤廃実現し、種々のセンシティビティーへの対応として七年以内に段階的撤廃により対応することが基本的な原則として全ての交渉参加国合意されていると。  総理センシティブ品目について配慮するというふうにおっしゃってきたんですけれども、こういう経過を見ますと、このセンシティブ品目について配慮などということはあり得ないんじゃありませんか。総理
  488. 石井一

    委員長石井一君) 古川担当大臣。簡潔に。
  489. 古川元久

    国務大臣古川元久君) これは大事な話でございますので、今委員からお話があった部分でございますけれども関税撤廃原則については政府の方できちんとこれは、本当に皆さんが、センシティブなところでありますからきちんとお伝えをさせていただきたいと思っていますが。  これ、長期の関税撤廃などを通じて、最終的には関税をゼロにするというのが原則とされている模様である。また、九〇から九五%を即時関税撤廃し、残る関税についても七年以内に段階的に関税を撤廃すべきとの考え方を支持している国が多数ある中で、即時撤廃率をより低くすべきとの提案もある模様。交渉は今二国間ベースで行われており、関税撤廃原則の具体的内容についての九国間の合意はいまだない模様であると。また、センシティブ品目扱いについては、関税の撤廃、削減の対象としない除外や、扱いを将来の交渉に先送りする再協議原則として認めず、十年以上を含む長期間の段階関税撤廃というアプローチを取るべきとの考え方を示す国が多いが、合意には至っていないと。そういうようなレポートがあります。  ですから、そこのところはまだ、九〇から九五%の即時関税撤廃を求める、そういう国が多いわけでありますけれども、まだそれが固まっているわけではないというのが今得ている情報でございます。
  490. 紙智子

    ○紙智子君 さきの文書の中では、さらに、包括的自由化TPP原則であり、全品目関税撤廃を目指して交渉を行っているんだというふうにはっきり言っているわけですよ。  ですからこれ、これまで総理は守るべきは守るというふうにおっしゃってきたわけで、じゃ、米はこの関税撤廃からは外れるんですか、対象から外れるんですか、いかがですか。  総理総理総理に聞いています、総理に。米は外れるんですか。
  491. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) わざわざ担当大臣を呼んでいただいているんで詳しくは担当大臣答弁していただければと思いますけれども、あくまで国益に沿っての対応ということで、守るべきものは守る、勝ち取るべきは勝ち取るという中で、個別の話を今どうという話ではございません。これから交渉の中で、今申し上げた姿勢の中で交渉していくということでございます。
  492. 紙智子

    ○紙智子君 米については外れるんですか。それについてはっきりとおっしゃってください。
  493. 古川元久

    国務大臣古川元久君) 今の協議の私どもが得ている情報は、全ての品目についてテーブルにのせるというところについては合意があるようでありますけれども、最終的に除外が認められるかどうかとか、そういうことについてはまだ今の時点では明らかになっていないというふうに承知をいたしております。
  494. 紙智子

    ○紙智子君 今の、全然曖昧な答弁だったんですけれども、現実には何が起きているかということですよ。  それで、大手スーパーの西友が三月十日から輸入米を国産米の三割安で販売を始めました。元々これ輸入米として、ミニマムアクセス米というのは国産米に影響を与えないと、こういう約束で七十七万トン輸入して、その中の一部は民間同士の売り買いということで扱われてきました。今までは、主食として店頭で売るのは全体でも百トンぐらいだったんですよね。ところが、今回は西友だけでも一千トンと十倍になっているわけです。ミニマムアクセス米の歴史の中で、やっぱりこれ、初めての事態ですよ。  その背景には、西友と提携しているアメリカのTPP推進の急先鋒である大企業で、これはかねてから日本への流通市場への進出を狙っているウォルマート、この戦略があるわけですけれども、こういうやり方でこれからどんどんスーパーの店頭に持ち込まれることになったら、日本の米はもろにこれ影響を受けるんじゃありませんか。農水大臣、いかがですか。
  495. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) SBS米は、まさしく主食用として消費されているというふうなことでありますけれども、基本的には、その数量に見合ったものを海外の援助等、あるいは主食用以外の用途に向けて、いわゆる需給に影響ないようにしておるわけでございまして、これからもSBS輸入米が国内の主食用のお米の需給に影響ないようにしていきたいというのが基本的な考え方でございます。
  496. 紙智子

    ○紙智子君 もう一度、ちゃんと質問の意味に答えてください。  今実際に起こっていることは御存じだと思いますけれども、こういうやり方でどんどんスーパーの店頭に持ち込まれていったら、日本の米はもろに影響を受けるんじゃないですかと。
  497. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) SBS米というふうなことにつきましては、御承知のとおりに十万トンという枠を設けておるわけでございますので、それを拡大するという考え方に今立っているわけではございません。
  498. 紙智子

    ○紙智子君 いや、だから、今までは百トン、せいぜい百トンですよね。やっぱり市場を、影響を与えないということで、実際に店頭販売するというのはごく僅かだったわけですよ。それが、今回いきなり千トンになり、今十万トンの枠とおっしゃいましたけど、これまでは加工用だとかいろんなところに回されていて、直接スーパーには乗らなかったわけですよ。それが今度、じゃ、十万トンの枠があるからって、拡大することになってしまいかねないという心配があるわけですよ。  これについて、いかがなんですか。
  499. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 昨年のお米に比べまして、大体、今日の、相対取引等々も含めて二割くらいいわゆるお米の価格が上がっておると、こういうふうなこと、それを受けて店頭にも並ぶようになってきた。また、低価格志向ということもございましょう。それだけに今後の動向については注視をしていかなきゃなりませんけれども、基本的には十万トンという枠を超えるようなことの私どもは考え方を持っておりませんということを申し上げます。
  500. 紙智子

    ○紙智子君 この事態を見て全国の生産者の皆さんがどんな思いでいるかと思いますよ。だって、さんざんWTO移行のとき約束したんですから、もうミニマムアクセス米にして決して市場を侵すようなことをしませんと、影響を与えませんと、もう固くそのことは繰り返し繰り返し言われてきたんですよ。それが今崩されようとしているわけですよ。  そして、ウォルマートのやり方のように、今アメリカの圧力ということでも強まっていて、パブリックコメントでも露骨にそのことを言っていますよね。ですから、そういうことが強まってくれば、それを放置すれば、今大臣が超えるつもりはないと言ったけれども、この十万トン枠、この外国産米がスーパーの店頭にどんどん並んでいくとも限らないわけですよ。  この十万トンといえばどれだけの量なのかということですけれども、面積に換算しますと、それだけ生産するためには大体一万六千ヘクタールの耕地面積が必要ですよ。大体一万六千ヘクタールの面積というと、群馬県や静岡県の作付面積に匹敵するものですよ。国内の農家が不安を感じないわけがないわけですよ。  これについて、本当に私はもう、それで平然として、きちっとした歯止めを掛けないというふうなつもりなのか、伺います。
  501. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 平成五年におきまして閣議決定いたしております。それは、いわゆる米のミニマムアクセス導入に伴う転作の強化を行わないと、こういうようなこと等々も含めてきちっと対処しているわけでございますから、米の需給というものに影響を及ぼさないようにこれからも取り組んでいくということでございます。
  502. 紙智子

    ○紙智子君 だから、及んでいるそういう現状認識について、やっぱり真剣に受け止めていただきたいと思うんです。  総理センシティブ品目配慮するというふうに言うんですけれども、こういう事態ですよ、現実に。実際に進みつつあるということですよ。農家や医師会などがこの間心配したとおりのことが進んでいるわけです。にもかかわらず、あらかじめ参加を決めて、そして先に参加ありきで対応しているように私には思えてならないんですけれども、いかがですか。
  503. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 参加ありきではございません。交渉参加に向けて関係国との協議を行って、ほぼ今一巡を二月中に終わりましたけれども、基本的支持をいただいたのが六つの国、残りの三つについては引き続き協議をしていますし、その際については、何でもかんでも交渉参加するわけではございませんで、先ほど来申し上げている、最終的には国益視点に立って判断をしていきたいと思いますが、医師会が云々というお話ございましたけれども医療保険などは特に今この議論に上っているわけではございませんし、少し誤解を呼んでいるところもあるのではないでしょうか。
  504. 紙智子

    ○紙智子君 医療保険の話は議題に上っていないと言うんですけれども、これは日本に対して刺激を与えないために抑えているということだってあるわけですよ、新聞報道によりますとね。実際に国民保険制度は守るんだというふうにこの間総理言われましたけれども、その形は残しながら、混合診療という形で実際に保険が使えないものと使えるものとを併せて導入するということになっていくと、結局、結論としては、形は残ったままだけれども実質的には本当にお金持ちしかかかれないような状況になるんじゃないかという、その心配が大きいからこそ、この間、日本医師会も含めて、薬剤師会も含めて、これについては正式に反対だと、参加をするべきでないということを述べているんですよ。これについてどうですか。
  505. 古川元久

    国務大臣古川元久君) 先ほど総理からもお話がありましたように、公的医療保険制度の在り方そのものについては議論対象になっておりませんし、また、営利企業の医療参入、そして混合診療の全面解禁、そういったものも議論対象にはなっておりません。  先日、アメリカのこのTPP交渉などを担当しておりますカトラー通商代表補が、三月の初めに東京で開催された米国アジア・ビジネスサミットにおきましても、TPP日本や他の国の国民医療保険制度を民営化することを強いるものではないというふうに明言をいたしております。
  506. 紙智子

    ○紙智子君 そういうことは今、表向きはそういうふうになっていますけれども、これから先の心配というのが非常に大きいわけですよ。薬価の問題なんかも結局、ジェネリック医薬品については価格をとにかく安くならないようにするために、いろいろその相談をめぐっては、アメリカの薬剤の関係の皆さんは日本のその話合いに参加させてほしいということも要求されているんじゃないですか。そういうことも含めて今後のこと考えると、今はそう言っていますけれども、大変心配だというのが多くの皆さんの声ですよ。いかがですか。
  507. 古川元久

    国務大臣古川元久君) そうした懸念の声をよく伺うわけでございますけれどもTPP協定は、これは今日の議論でも行われていますけれども、これ多国間の交渉でございます。確かに、アメリカからの一部でそういう声があるということは承知をいたしておりますけれども、ある国の主張が一方的に、これはこの多国間の中で通るということは、なかなかこれ想定し難いわけでございます。  そしてまた、仮に日本交渉参加するような場合には、これは交渉の中で国益を最大限追求することは当然のことでありますし、総理が最初から申し上げているように、この国民保険制度を維持し、我が国の安心、安全な医療が損なわれないように交渉することは当然の前提でございますので、そうしたことの不安がないようにしっかり、仮に交渉参加する場合にはの話でございますが、行ってまいりたいというふうに考えております。
  508. 紙智子

    ○紙智子君 なかなかこれは国民の皆さんも理解できないと思いますよ。  それで、この間、各地で説明会ですとかシンポジウムをやられていますけれども、肝心要の聞きたいことに答えていないというのが現場からの批判なんですよ。ですから、本当にそういう意味では、結局国民理解得ないまま進めようとすることに大反対でありまして、私はこの際、きっぱり参加についてはやめるべきだということを強く申し上げまして、質問を終わります。
  509. 石井一

    委員長石井一君) 以上で紙智子さん、日本共産党質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  510. 石井一

    委員長石井一君) 次に、山内徳信君の質疑を行います。山内君。
  511. 山内徳信

    山内徳信君 社民党・護憲連合山内徳信でございます。  私は、今日は総理大臣と憲法問題を中心とした基本的な問題を確認をし合っておきたいと思っております。  沖振法と軍転法の法案が、衆議院、参議院の審議を経て年度内成立の見込みが立ちました。  そこで、確認しておきたいことがございます。  それは、政府は過去において、あめとむちという言葉に象徴されるように、振興策と国庫補助金を理由に基地を押し付けるという手法を取ってまいりました。そのことがかえって沖縄の人々の心を傷つけ、反発を受けて今日に至っております。  民主党政権になって、振興策をもって基地を押し付けるものではないと幹部の方々は何度も明言をしておられました。そこで、基地問題と振興策はリンクするものではないという確約を、総理大臣、なさっていただきたいと思います。どうぞ。
  512. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 沖縄振興とこの基地の問題はリンクするものではございません。むしろ沖縄はアジアのゲートウエーとして潜在的に発展する可能性が大きいと思っています。むしろ日本の成長戦略の一環として位置付けて沖縄の振興を図っていきたいと思っておりますので、そのことと基地の問題はリンクするものではなく、あめとむちという考え方ではございません。
  513. 山内徳信

    山内徳信君 私は、この場で幾つかの憲法の条文を出しながら総理認識確認をしておきたいと思います。  憲法第十一条には、国民は、全ての基本的人権の享有を妨げられない、この憲法が国民に保障する基本的人権は侵すことのできない永久の権利であると規定されております。  そこで、沖縄の人々は日本国民として基本的人権は保障されておるという認識でございますか、その基本的人権は若干侵されておるという認識ですか、いかがですか。
  514. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 基本的人権というのは、どの地域に住んでいらっしゃる方であろうともこれは守らなければいけないものでございますので、侵されているというその御認識があるのかどうか分かりませんが、政府としては、当然のことながらこの人権は守っていかなければいけない、どの地域に住んでいても、それは押しなべて全ての人の人権を守っていかなければいけないと考えております。
  515. 山内徳信

    山内徳信君 沖縄の人は人権が無視されておると、基本的人権も否定されている面が多々あると、こういう認識に立っておるわけでございます。  そこで申し上げますが、憲法第十三条の、生命、自由、幸福追求の権利がうたわれております。  総理は一度、宜野湾市の普天間第二小学校に行かれましたね。御覧になっていませんか。地上から行くと行かれたと思いますが、ヘリコプターに乗ってはやはり小学校には行けぬわけです。行かれた外務大臣防衛大臣いらっしゃいますが、一緒に聞いておいていただきたいと思います。あの小学校の児童生徒たちは、あれで人権が保障されておるという政府認識であるならば、それは全く間違っておりますよ。  そして、幾つか事例を申し上げますと、嘉手納飛行場の爆音訴訟の問題、普天間飛行場の爆音訴訟の問題、そして十五年間もひたすら辺野古に造る造るといって名護市民のコミュニティーを分断をさせ、そしてその間に、十五年間に市長が四名になるわけです。お二人は亡くなっていったわけですね、その心労の余りに。そういうふうに人々を分断をして、名護市民を分断して、それでもなお基地を押し付けると、それが日本政府の実態でございます。したがって、そういう実態を見たときに、それはとても人権を守っておるということにはならぬのです。  外務大臣防衛大臣も聞いておいていただきたいと思います。高江のヘリパッドを造る。造らぬでもあるわけですよ、返還されないところに。そこの生態系を無視して多様な生態系そして豊かな自然を破壊することが、今の日本のどの県で許されておりますか。そのことは既に国連の方でも問題になっておることを指摘を申し上げておくわけでございます。  もし、そういうふうに自然破壊とか、十五年も十六年も押し付けて何かを造ろうとしておる県が沖縄以外にありましたら、おっしゃってください。
  516. 石井一

    委員長石井一君) 答弁は。
  517. 山内徳信

  518. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) いろいろなちょっと御指摘があったと思うんですけれども、国土面積の中に占める割合が〇・六%という沖縄県に米軍の専用施設が七四・数%という形で大変沖縄の皆様に大きな御負担を掛けていることは、これは間違いございません。それは事実としてあるというふうに思います。そのための軽減をしていかなければいけないということで、今、日米協議を始めているところでございますけれども、そのことと、例えば先ほどの憲法十三条の話含めて、そのことによって我々が憲法違反の、基本的人権を侵している、守ろうとしていないということとは、これはちょっと話が違うのではないかというふうに思っております。
  519. 山内徳信

    山内徳信君 憲法違反ではないと言って総理は逃げようとしていらっしゃるような感じを受けますが、改めてこれはまた別の機会に深めていきたいと思います。  憲法第十四条には、法の下に平等であると、こういうふうにうたわれておりまして、これは、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において差別されないと、こういうふうにうたわれておるわけです。国会議員も内閣も裁判所も天皇陛下も摂政も含めて、憲法九十九条は憲法を尊重し擁護する義務が与えられておるんです。  ところが、自分たちは、ここにヘリパッドができるとこれは今の生活環境が破壊されると言って地域の人が座り込んで、道路に、そういうものに対して沖縄防衛局は仮処分を提起をして、そして裁判に発展していっておるわけです。  国家がこういうふうに山の中で静かな生活を求める人を裁判に訴えるということは言語道断ですよ。これが許せると思うんですか。こんなことをやったら、あんた方が言っている信頼の回復とか丁寧にというその言葉がむなしく響くんです。そういうことがあってはいけないということを私は申し上げるわけでございます。  そして、法の下の平等に、私たちの立場から見ると、県民の立場から見ると、これはやはりおかしいと、法の下の平等とは言えないと、こういうふうな認識に立っております。それについては先ほど答弁がありましたから、答弁は前のもので私は受け止めておきますが。  そこで、総理大臣、もうそろそろ決断をする時期に来ていますよ。日本政府は、自公政権から回り回って今の民主党政権も、そして辺野古が唯一有効な場所だと総理はおっしゃいましたね。それに対して沖縄県民は、県民挙げて一本になって反対と言っておるわけです。知事も、辺野古じゃ駄目と、よそに持っていってくださいと言っているんです。  私は、一月の二十一日から二十八日までアメリカへ行ってまいりました。そして、連邦議員にもシンクタンクにも補佐官たちにも、百二十名ほどに会ってきました。アメリカの政治状況が変わっておることをやはり総理大臣はきちっと受け止めて、そして、日本政府が辺野古、辺野古と言っておるんですとアメリカの何名かおっしゃっておるんです。  玄葉大臣、頭横に振るのはおかしいですよ。あんた方、アメリカの有力なそういう国会議員さえだましておるじゃないですか。あとしばらく待っていてください、あとしばらく待っていてくださいと、そのうち日本政府は必ず頑張りますからという趣旨のことをおっしゃっていますよ。その人のお名前はやはりその人の名誉のために私は明らかにはこの場でしませんが、そういうふうなことを言うということは沖縄の民意を否定しておるということじゃないか。あなた方が言っていなければ、いろんな交渉に行く役人がおるでしょう、そういう人が言っておるのかもしらぬ。  そして、この名前を申し上げると皆さんびっくりすると思いますが、私に、山内団長、私は訪米団長として行ったんで、山内団長さん、沖縄は以前からずっと差別されてきましたねと、それじゃいかぬですという指摘をアメリカの有力議員がおっしゃるんですよ。何ですか、これは。  そこで申し上げますが、沖縄の状況もアメリカの状況も変わりました。ところが、辺野古は、辺野古、辺野古と言っておるのは日本政府だけなんですよ。そうでしょう。そういう状況を見たときに、十五年掛かっても十六年掛かっても、あと十年掛かってもできないようなものを、これが政治として政策として推進をするというのは、これは政治の怠慢であると。切り替える必要があるじゃないですか。頭を切り替える必要がありますよ。いつまでも辺野古、辺野古とおっしゃらぬようにして、そういう怠慢だと指摘されないようにすることです。  もう一つ申し上げましょうね。こういうことを構造的差別と言うんです。あるいは政治的差別と言うんです。違うとは言わせませんよ。  そして、あと五分ありますから少し具体的なことも申し上げましょうね。構造的差別について少し、そうでなければ、ない、構造的差別をしておるならば、しておるとおっしゃってください。  ああ、玄葉さんはあした。あなたらの取ってある。
  520. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 先ほどの基本的人権の関連、憲法との関連でもお話をさせていただきましたけれども、沖縄の皆様に大きな御負担を掛けていることは事実であります。その負担軽減を図っていかなければならないと思いますが、それが構造的差別であるとか政治的差別であるとか、そういう背景はないということは是非とも御理解をいただきたいというふうに思います。
  521. 山内徳信

    山内徳信君 踏んでおる者には踏まれておる人の痛みは分からぬのです。千葉と東京で生活しておる人には、差別をする側でございますから、ここは。だから……(発言する者あり)痛みは、痛んでおる人々の気持ちが分からない。厳しく言わないとあなた方は気付かぬのです。厳しく言うのを有り難いと思わぬといかぬでしょう。  じゃ、一つ具体的に申し上げましょう。この間、山口県の岩国市の方にアメリカ側から海兵隊の追加配備を打診してきた。顔色を変えて総理大臣玄葉大臣もお断りすると言った。そして、岩国市民や山口県民に対して安心してくださいとおっしゃったね。なぜ沖縄の人々にも、辺野古の基地は造らぬ、高江も生態系を崩してそういうところにヘリパッド造らぬから安心してくださいとなぜ言わぬのですか。言わない。言い過ぎということはないでしょう。  そういうふうにして憲法の精神に立つならば、そういう目に見える努力をしてほしい。目に見える努力というのは、やはりそれは何かというと、少なくとも大きなテーマになっておるのは普天間飛行場でしょう。これを県内移設と言って沖縄県内に押し付けたところに誤りがあったんですよ。実現性がなかったんですよ。それを、今度はひたすらそれを押そうとする。そんなむちゃくちゃに押すのは、もはや政治ではないんです。  違いますか、総理大臣。沖縄に対するやり方と岩国に対することについて、どういう思いでいらっしゃいますか。聞いておきたいと思います。
  522. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 岩国については、既にロードマップで厚木の空母艦載機の移駐という大きな負担を負っていただくことになっていることを考えれば、これ以上の御負担を改めてお願いをするということではないという意味で、そういう報道が事実と違って出ましたので早期に否定をしたということでございまして、それが逆に沖縄だけに負担を押し付けるという話ともうリンクする話は全くございません。  その上で、先ほど、いろんな御指摘いただいていますけれども、沖縄の強い思いはよく分かりますが、でも、じゃ、千葉県や東京がその上に乗っかって押し付けてという表現は、それはちょっと勘弁してください。そういう意識は全く、地域によって差はないというふうに思います。
  523. 山内徳信

    山内徳信君 時間ですから、あと一点と思いましたが、これで終わります。  ありがとうございました。
  524. 石井一

    委員長石井一君) 以上で山内徳信君、社会民主党護憲連合質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  525. 石井一

    委員長石井一君) 最後に、舛添要一君の質疑を行います。舛添君。
  526. 舛添要一

    舛添要一君 今日は、野田総理防衛の基本問題、防衛構想についてちょっと議論をしてみたいというふうに思います。  今日の委員会、二人の元自衛官の同僚が質問しました。しかし、私は、この場で聞いていますと、政府側の答弁、これは十分納得のいくものではなかったような気がします。それは、やっぱり我々政治家が反省しないといけないのは、特に日本において戦後、安全保障、国防、こういう問題についてしっかりと議論をしてこなかった嫌いがあると思うんですね。  それで、例えば、民主党政権になって、防衛計画の大綱、これはもう国防の基本方針なんですけれども、動的防衛力という概念を出されたんです。何度も私、防衛白書を読みましたけれども、ちょっと腑に落ちないところもあるんです。それで、この動的防衛構想というのは、政権交代があったから、つまり、きちんと民主党のトップの方々議論をリードしてやったのか、それとも防衛官僚が作ったものをただ判こ押しただけなのか、どちらなんでしょう。
  527. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) これはかなり政治主導で議論をしました。これまでの基盤的防衛力という概念、基本的な構想と違って、動的防衛力という、まさにダイナミズムにも注目をした形での大きな計画を作っていこうということ、それについてのいろんな具体論というのはかなり政治主導で、党内でも意見がありましたが、政府内でも、当時の外務大臣防衛大臣財務大臣も入っておりました、などなど関係する大臣が集まりながら、随分夜中まで激論を交わしながら練っていったものでございます。
  528. 舛添要一

    舛添要一君 ただ、やっぱり国民が安全保障をしっかり考えるために、どうも動的防衛力というのはよく分からない。動的の反対は静的ですね。ダイナミックの反対は英語でスタティックですね。それじゃ、今までの基盤的防衛力整備構想というのは静的であったから動的に変えたんでしょうか。
  529. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 動の反対は静なんですけど、必ずしもその二極においてじゃなくて、まさに基盤的防衛力が防衛力の存在があることによって抑止力になっているという考え方だったんですよね。そうではなくて、陸海空いろいろ運用しながらダイナミズムを持って、それを持って機動的に対応していこうということもこれは防衛の質を高めていくことであると、そういう……(発言する者あり)まあまあ当たり前かもしれませんが、七六大綱からこういう修正の話はあったわけですから、そういう議論も踏まえてやってきたということであります。
  530. 舛添要一

    舛添要一君 基盤的防衛構想というのは一九七六年の大綱でうたわれました。中心になって作った防衛官僚は久保さんという次官です。私がちょうどヨーロッパで安全保障の勉強を終わって帰ってきたときだったものですから、相当議論をした。しかし、ヨーロッパの防衛の感覚からすると、何だこれはと、全く分からない。しかし、よく議論しますと、基盤的防衛力整備構想というのは、小学校の子供程度の学力しか日本防衛力ないから全部底上げしようと、国語も算数も社会も理科も、そういう観点であったわけです。  当然、そのときには財政制約があり、それから歴史的、政治的制約がある。財政制約は、もう財務大臣おやりになったから既にお分かりのとおりですけれども、歴史的、政治的制約というのは、例えば核について言うと、我々は広島、長崎の制約があります。そういう中で、相当抑えられた予算の中で底上げしていくと、そしてそのときは、小規模限定的な侵略に対しては我が国の軍事力、自衛力で対応するけれども、あとは米軍の来援を待ってと、こういうことだったんです。  さあそこで、私が今二つの制約を申し上げました。その二つの制約の下で、じゃ、今回の動的防衛構想というのはどういう位置付けでおやりになったんでしょうか。  もし分かりにくけりゃもっとはっきり言いますけれども、要するに予算は増やせない、その中でどうするか、要するに陸海空の予算の取り合いになったんではないでしょうか。
  531. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 当然のことながら、必要な装備だとか人員とかという議論があります。その規模の話もありました。一方で、財政の制約がある中でいかに効率化図っていくか、あるいは運用の問題でそこは工夫できないかどうか、そういう議論はもちろんございました。
  532. 舛添要一

    舛添要一君 じゃ、ちょっと別の角度からお伺いしますけれども、今日、北朝鮮の弾道ミサイル発射について相当議論がありました。中国の尖閣諸島への活動の活発化についても議論がありました。  この北朝鮮の軍事力、中国はもちろん核兵器持っている、北朝鮮も核の開発をしています。そして中国は、投射能力、プロジェクション能力を増そうとしてすごい軍拡をやっていますね。こういう二つの国の軍事力は我が国及び周辺諸国にとって脅威でしょうか、脅威でないでしょうか。私は脅威だと思います。総理はどうですか。
  533. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 脅威は、いわゆる御指摘のあったような国の実力、これもあると思います、実力。あとは、その意思だと思います。それを見ながらの総合的な判断だと思いますので、ストレートに実力があるから脅威というのではなくて、実力があることについては、何と表現したらいいんでしょうか、懸念を有するということではないでしょうか。
  534. 舛添要一

    舛添要一君 そこが基盤的防衛力整備計画と動的防衛構想の決定的な違いだと私は思うので、決定的な違いの一つ。  つまり、もう前から脅威とは何ですかと言ったときに、ケーパビリティー、能力と、インテンション、意図、今おっしゃったとおりですよ。だけど、軍事力を、兵力構成を考えるときには、ミサイル飛んでくるんだから迎撃ミサイル、PAC3を持たないといけなくなるわけですよ、そうでしょう。そうすると、軍事力を考えるときに、意図なんか考えないで相手の能力に対応できる抑止力を持つということが必要じゃありませんか。そうじゃないと、北朝鮮も中国も、我々は平和友好国家であって、人工衛星であって、よその国を侵略する意図は全くありませんと言う。そっちを信じてやっていていいんでしょうかということなんです。
  535. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) だから、その周辺国が、今ちょっと個別の国を挙げましたけど、意図がないと言うほど楽観はもちろんできないわけでありますし、不透明な形でそのいわゆる国防力を増強し続けている国もある、海洋活動を活発しているということもある、相変わらず核、ミサイル、一生懸命開発することに熱心なところもあるということのそれぞれの意図を非常に楽観視するということは、政治としては避けなければならないということは間違いございませんけれども、でも、ストレートにその意図が明白であってその能力があるから脅威というところまで飛躍的に持っていくのはちょっと政治的にはよろしくないというふうに思います。
  536. 舛添要一

    舛添要一君 政治的なことを申し上げているのではなくて、純軍事的な対応ということを申し上げておるわけであります。  ですから、私はやっぱり防衛白書を読んでいて引っかかるところがあったんです。というのは、動的防衛構想と基盤的防衛構想のどこが違いますかというコラムがあります。後でゆっくり御覧になってください。そうしたら、動的防衛構想は脅威にのみに対応しないと書いてある。それは基盤的防衛構想をやったときだって脅威にのみ対抗したわけじゃないですよ。じゃ、脅威のみじゃなくて何をもってやるんですかが書いていないんです。  ですから、そういう白書にシビリアンのトップである防衛大臣であるとか総理大臣が簡単にサインしちゃ駄目だと思うんですけど、いかがでしょうか。
  537. 石井一

    委員長石井一君) いい議論が続いております。委員の皆さん、今、正五時です。あと十分残っておりますが、中継が継続しております。非常に本質的な議論をやっておられますから、真面目にひとつお聞きいただきたい。御協力をお願い申し上げます。
  538. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) だから、脅威云々、今ちょっと、そのコラムは後で僕もよく見たいというふうに思いますけれども、脅威が明確にあるからの備えというのももちろんあると思います。  だけど、さっき言った、懸念という言葉言いましたが、懸念に対する備えというものもしっかりやっていくということでありますので、その意味では、行き着くところについては、いろんなことを想定しながらやるわけでございますので、やらなければいけないきちっとした質、量とそしてダイナミズムというものをしっかり持っていくということだと思います。
  539. 舛添要一

    舛添要一君 動的、静的という言葉を私は使いたくないのは、簡単に言うと、陸上自衛隊というのは静的なんですよ。それで、海上というのは一番これは、空もそうですけれども、ダイナミックなわけです。  だから、今一番大事なのは、統合運用、ジョイント運用ということがきちんと陸海空の中でできているのか。予算が規模は限られている。本当に中国なんてどんどん軍拡しているわけですよ。その中でどこを削るかの話になってきている。  そうしますと、例えば南西諸島、これ地域的に南西諸島が今問題になりますけれども、もう九十ぐらいある人が住んでいる島のうちの四つか五つしかたしか基地がないはずですよ。じゃ、そういうところに陸上自衛隊をどう配置するか。海の輸送船が必要ですよ。そういうことをジョイントでやる防衛構想というのがきちんとこの中に入っているのかどうなのかというのを問題にしたいんです、まず。
  540. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) かつての冷戦構造のころのいわゆる基盤的防衛力ではなくて、今、南西諸島のお話が出ましたけれども、そういうところに機動的に対応できるような、その視点は私は統合運用の面では入っているというふうに思います。もちろん足りない点があるのならば御指摘いただきたいと思いますが、そちらに持っていこうという工夫、努力はしていることは間違いないというふうに思います。
  541. 舛添要一

    舛添要一君 それと、もう一つ大きく欠けているのは、二、三年前に議論したんでしょうから、動的防衛構想については、そこまで及ばなかったのかもしれませんですけれども、米軍の戦略との統合というのをどうするか。  今、御承知のように、ジョイントエアシーバトルという構想が出てきています。これに対抗してというか、今度は逆に中国なんかはA2ADと、つまり、アンタイアクセスとエリア・ディナイアルということで、簡単に言うと、第七艦隊含めて日本を救援に来るアメリカの艦船が横須賀に入りたいというときに、それを邪魔して拒否すると、こういうのを中国がやっているわけですけど、どうこの動的防衛構想を見ても、今言ったアメリカのエアシーバトル概念、ジョイントエアシーバトルコンセプト、こういうものとどこでどうドッキングしているのかが分からないんですよ。  それで、今日も議論ありましたけれども、じゃ、弾道ミサイル飛んできますよ、自衛隊の対応もありますよと。どういう形で米軍は対応するのか。  ですから、今日は時間が限られていますから問題の指摘にとどまると思いますけど、是非こういう、ただ単に動的防衛力、もう言葉言ってそれで終わりにするんじゃなくて、国会議員の中にも今日の同僚のように自衛官の出身の方もおられますし、まさに国の安全保障というのは与野党を超えた基本的な問題なので、どうですか、総理、与野党できちんと今言ったようなことが、議論する場をおつくりになったらいかがでしょうか。
  542. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 非常にいい御指摘をいただいたと思いました。  というのは、A2ADで、中国含めてそういう戦略持っている国があることに対して、統合エアシーバトル構想というのをアメリカは持っています。ただ、まだ構想なんですよね、構想。陸海空あるいは宇宙、サイバー含めてのその統合を考えていこうというアイデアではあるんですけれども、まだそこは具体的には詰まっていないと思います。  だけど、このアメリカの持っている構想日本が作った防衛計画のこの防衛の大綱と、あるいは中期防含めて、その相乗効果が出てくるようにしなければいけない。それがようやく日米での本当に、何というか実のある関係というか、同盟の深化につながると思います。そういう議論を是非、与野党の垣根を越えて大いにしていきたいというふうに思います。
  543. 舛添要一

    舛添要一君 かつて日米関係でGNPの一%以内に防衛費を抑えるということがあって、コストの議論ばかりが、やっていた時代がありました。それから、途中でロール・アンド・ミッションという、どういう役割分担をするかという議論になってきたわけですけれども。その後、この日米協力というのが本当に深化してきたかというと、私は、これは政治家の責任でもあると思うんですけれども、自衛官というか、防衛官僚と政治家との間の溝がある意味で埋まっていないんじゃないかなと。だから、非常に悪い言葉で言うと、民主党の政権になった、これでまあ政治主導じゃなくて役人主導でいろんな作文ができるなと、そういうような感じでやられているような気がしてならないんです。  私は、やっぱりそれじゃシビリアンコントロールにならないんで、もう一度今言ったような点について総理の、まさに自衛隊の最高司令官ですから、自分が政治主導でこの問題を解決するぞということの決意を是非お述べいただきたいと思います。
  544. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 先ほどの冒頭のころのやり取りにもございましたけど、大綱を作るときは相当にそれを政治主導でやってきていることは事実でございますし、これからもいわゆる安全保障、防衛の問題についてはきっちりとやっぱり政治主導で議論をしていくという文化は維持をしていきたいというふうに思いますが、その際に、やっぱり一つの党内だけの議論政府内だけの議論じゃなくて、今日、本当に、最近いろんな議論参加していただいておりますが、短い時間で大変示唆を受けましたので、そういう議論を大いにさせていただきたいというふうに思います。
  545. 舛添要一

    舛添要一君 先ほどのA2ADというのは、中国だけじゃなくてイランについても同じように言えると思うんです。だから、今日はそれぞれ委員方々が北朝鮮の弾道ミサイルの話をなさったり中国の話をなさったり、それから外交の専門の方たくさんおられますからイランの話もなさいましたけれども、やっぱり私は一番欠けているのは日本自らの防衛戦略構想がないということだと思っています。  というのは、アメリカの庇護の下でいればいいと。だから、もう思考停止、何かあったらアメリカが助ける。だけど、恐らくアメリカも困っているのは、どこまで日本がやってくれて、どういう形で共同で対処するんだろうかということであると思いますので、是非これは、私は、かつてなかなかこの自衛隊、自衛官の皆さんを税金泥棒なんて失礼なことを言っていたような雰囲気ではできなかったけれども総理のそばに陸海空の制服が常に付いていると、常にこういうことがアドバイズできるというような体制にしておかないと、全く軍事の発想は違いますから。  それと、あのアメリカのNSCのようなことをしっかり、そういう組織をつくる必要があると。先ほど来もたしか田中防衛大臣から、いや、それはいずれ安保会議で議論することになっていますからというような、そういう御答弁があったように思いますけれども。何かあったときにやっぱりきちんとやる。それは、我々が政権に就いているときでも社会保障については社会保障国民会議とかいうようなことでやったわけですよ。  なぜ安全保障は、内政で失敗してもそう簡単に国は滅びません、しかし外交防衛で失敗して、ましていわんや戦争になったら国は滅びますから、是非野田総理のリーダーシップで、今言った軍事のプロの意見がすぐ聞ける体制を整えておく、そして国家全体の防衛構想を作る、こういうNSCのようなもの、国会安全保障会議のようなものをつくられると。そして、我々はそういうことについて、国の基本ですから協力するのはやぶさかではないんで、是非総理の決断でいい防衛構想を作っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  546. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) やっぱり現場をよく分かっている制服の方の御意見を踏まえて、今日もずっと議論ありましたけれども、あのPKOの関連で、武器使用の基準の問題、警護の在り方等々、こういうのはやっぱり現場の声をよく聞いた上で判断を私もしたいと思っています。その上で、日本版NSC、基本的に賛成でございますので、そういう議論を大いにさせていただきたいと思います。
  547. 舛添要一

    舛添要一君 終わります。  NHKの放送を延長していただきまして、ありがとうございました。委員長に感謝いたします。  ありがとうございました。
  548. 石井一

    委員長石井一君) 以上で舛添要一君、新党改革質疑は終了いたしました。(拍手)  これにて外交及び安全保障等に関する集中審議は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時九分散会