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2012-03-23 第180回国会 参議院 予算委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十四年三月二十三日(金曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員の異動  三月二十一日     辞任         補欠選任      佐藤ゆかり君     渡辺 猛之君      山田 俊男君     青木 一彦君      渡辺 孝男君     草川 昭三君      寺田 典城君     中西 健治君      井上 哲士君     山下 芳生君      又市 征治君     福島みずほ君  三月二十二日     辞任         補欠選任      櫻井  充君    はた ともこ君      林 久美子君     中谷 智司君      安井美沙子君     外山  斎君      青木 一彦君     山田 俊男君      赤石 清美君     磯崎 仁彦君      片山虎之助君     中山 恭子君      渡辺 猛之君     佐藤ゆかり君      草川 昭三君     山本 香苗君      山本 博司君     横山 信一君      中西 健治君     松田 公太君      山下 芳生君     田村 智子君      福島みずほ君     山内 徳信君  三月二十三日     辞任         補欠選任      中谷 智司君     林 久美子君      広田  一君     安井美沙子君      田村 智子君     大門実紀史君      山内 徳信君     吉田 忠智君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         石井  一君     理 事                 植松恵美子君                 川上 義博君                 武内 則男君                 徳永 久志君                 有村 治子君                 礒崎 陽輔君                 山本 一太君                 浜田 昌良君                 小野 次郎君     委 員                 石橋 通宏君                 大久保 勉君                 大塚 耕平君                 金子 洋一君                 小西 洋之君                 谷  亮子君                 谷岡 郁子君                 外山  斎君                 友近 聡朗君                 中谷 智司君                はた ともこ君                 林 久美子君                 姫井由美子君                 広田  一君                 牧山ひろえ君                 安井美沙子君                 蓮   舫君                 磯崎 仁彦君                 猪口 邦子君                 片山さつき君                 川口 順子君                 佐藤ゆかり君                 末松 信介君                 中山 恭子君                 西田 昌司君                 丸山 和也君                三原じゅん子君                 山崎  力君                 山田 俊男君                 山谷えり子君                 竹谷とし子君                 山本 香苗君                 横山 信一君                 松田 公太君                 大門実紀史君                 吉田 忠智君                 荒井 広幸君    国務大臣        内閣総理大臣   野田 佳彦君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣行政刷        新))      岡田 克也君        総務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策、地        域主権推進))  川端 達夫君        財務大臣     安住  淳君        文部科学大臣   平野 博文君        厚生労働大臣   小宮山洋子君        農林水産大臣   鹿野 道彦君        経済産業大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣原子力        損害賠償支援機        構))      枝野 幸男君        国土交通大臣        国務大臣     前田 武志君        環境大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣原子力        行政))     細野 豪志君        防衛大臣     田中 直紀君        国務大臣        (内閣官房長官) 藤村  修君        国務大臣        (復興大臣)   平野 達男君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣消費者        及び食品安全)        )        松原  仁君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        自見庄三郎君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣経済財        政政策科学技        術政策))    古川 元久君    副大臣        内閣府副大臣        復興大臣    中塚 一宏君        財務大臣    藤田 幸久君        厚生労働大臣  辻  泰弘君        防衛大臣    渡辺  周君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  山本 庸幸君    事務局側        常任委員会専門        員        藤川 哲史君    政府参考人        内閣官房地域活        性化統合事務局        長        和泉 洋人君        金融庁証券取引        等監視委員会事        務局長      岳野万里夫君        厚生労働省年金        局長       榮畑  潤君        資源エネルギー        庁原子力安全・        保安院長     深野 弘行君    参考人        日本銀行総裁   白川 方明君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○平成二十四年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○平成二十四年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○平成二十四年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     ─────────────
  2. 石井一

    委員長石井一君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  平成二十四年度総予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。  本日は、経済財政等に関する集中審議を行うこととし、質疑往復方式で行い、質疑割当て時間は四百十三分とし、各会派への割当て時間は、民主党・新緑風会百四分、自由民主党・たちあがれ日本・無所属の会百五十分、公明党七十分、みんなの党三十五分、日本共産党十八分、社会民主党・護憲連合十八分、新党改革十八分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。     ─────────────
  3. 石井一

    委員長石井一君) 平成二十四年度一般会計予算平成二十四年度特別会計予算平成二十四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、経済財政等に関する集中審議を行います。  これより質疑を行います。川上義博君。
  4. 川上義博

    川上義博君 皆さん、おはようございます。  今日、まずAIJ投資顧問の問題について、金融庁からどうも登録取消し等の発表があったようでありますけれども、この具体的な事実関係と今後の対応をまず説明をしていただきたいと思います。
  5. 中塚一宏

    ○副大臣中塚一宏君) お尋ねのAIJ投資顧問及びアイティーエム証券につきましては、証券取引等監視委員会が本年の一月から調査をいたしておりました。また、AIJ投資顧問につきましては、二月に業務改善命令業務停止命令発出をしておったところでございます。検査の結果、虚偽告知等法令違反が認められたと。昨日、三月二十二日、行政処分を行うように金融庁に対して勧告が行われました。  具体的には、AIJ投資顧問に関しましては、虚偽の事実を告げて投資一任業務締結勧誘を行う行為、さらに顧客虚偽内容運用報告書を交付する行為虚偽内容事業報告書を作成、提出する行為忠実義務違反アイティーエム証券につきましては、虚偽の事実を告げて金融商品取引契約締結勧誘を行う行為等が認められたところであります。  こうしたところから、監視委員会勧告に基づきまして、本日、三月の二十三日早朝、AIJ投資顧問登録取消し、そしてアイティーエム証券に対する業務停止命令発出をするとともに、両社に顧客資産の保全が円滑に進むよう業務改善命令発出をしたところでございます。当局が監督する金融機関につきましてこのような法令違反が認められたということについては極めて遺憾に思っております。  再発防止策ということでありますけれども調査は更に継続をするわけなんでありますが、本日までのところで分かったことから申し上げれば、投資一任業者による虚偽運用報告虚偽勧誘等があった、投資一任業者による改ざんの行為というものがあり、第三者によるチェックの機能が妨げられたと、こういった問題が明らかになってまいりました。金融実務を踏まえた上で、実効性のある再発防止策を幅広く検討する必要がある、そう思っています。  いずれにいたしましても、証券取引等監視委員会の今般の検査結果、投資一任業者に対して今一斉調査も行っております。その結果を踏まえまして、あらゆる選択肢を排除をすることなく、関係省庁とも緊密に連携をしながら、金融庁証券取引等監視委員会、総力を挙げて再発防止に取り組んでまいります。
  6. 川上義博

    川上義博君 一斉調査という話がありましたが、実は今日、NHKだったかテレビで、今までは証券検査やっていたんですね、今日実は早朝に強制力のある犯則調査を行ったという報道がありましたが、今後、これは必要があればというか、刑事告発視野に入れてやられるのかどうか、これをお答えいただきたいと思います。
  7. 岳野万里夫

    政府参考人岳野万里夫君) 御質問強制調査につきまして、監視委員会から御説明を申し上げます。  証券取引等監視委員会は、本日、金融商品取引法違反嫌疑AIJ投資顧問株式会社ほか関係先に対しまして強制調査に着手いたしました。証券取引等監視委員会は、証券検査のほかに金融商品取引法上の犯則事件調査権限を持っておりまして、本日、強制調査に着手したわけでございます。  一般的なことを御説明申し上げますが、強制調査証拠物の差押えを行うものでございまして、犯則嫌疑者等への質問調査は任意の調査ということで進めることとされております。  一般的に犯則調査の進行について申し上げますと、私ども調査がある程度進行した段階捜査当局と合同の強制調査が行われ、その段階で被嫌疑者の逮捕などが行われた上で、私どもからの刑事告発、それから検察官による刑事訴追を求める起訴が行われることとなっておるのが一般的でございます。  本件につきましても、事案重大性悪質性に鑑みまして、私どもといたしましては全力事案解明に努め、刑事告発を目指して全力を挙げていきたいと思っております。
  8. 川上義博

    川上義博君 今、刑事告発をするという、実質的にはそれを視野に入れているという答弁がありましたが、今回は金商法違反だけではなくて詐欺罪刑事訴追をする事案であると思うんですね。したがって、この点に関してはどのようにお考えになっているか、答弁をお願いしたいと思います。
  9. 岳野万里夫

    政府参考人岳野万里夫君) 今先生から詐欺罪というお話がございました。詐欺罪刑法二百四十六条に定める罪でございますが、こういった刑法上の罪につきましては証券取引等監視委員会犯則調査権限対象外となっております。ただし、先ほど申し上げましたように、私ども犯則調査は必ず捜査当局連携して行っていくものでございますし、私ども自身金融商品取引法犯則事件調査しかやらないということではございませんで、当然、事案に応じまして捜査当局連携していくのが通常のやり方でございます。  本件につきましても、事案重大性あるいはその内容に鑑みまして、金商法違反事件という範囲にとどまらず、あらゆる可能性視野に置いて、捜査当局連携して全力で全容の解明に取り組み、政府全体としてきちっとした厳正な対応を行っていくというふうに考えております。
  10. 川上義博

    川上義博君 要するに、捜査当局連携してやるということでありますから、詐欺罪で立件する可能性は大だという認識でよろしいですね。
  11. 岳野万里夫

    政府参考人岳野万里夫君) 繰り返しになりますが、詐欺罪での立件や告発ということは監視委員会所管外ではございますが、先ほど申し上げましたように、全力捜査当局連携して取り組んでまいる所存でございます。
  12. 川上義博

    川上義博君 厚労省、来られていますか。  実際の被害に遭った年金基金等に対して今後どのような対策を講じられるのか、これをお聞きしたいと思います。
  13. 榮畑潤

    政府参考人榮畑潤君) 厚生年金基金などの企業年金につきましては、企業が自主的に設立、運営してきていただいたところでございまして、仮に様々な諸事情で積立不足が発生した場合にも、まずは企業事業主一定期間かけて掛金というのを拠出していただいて穴埋めしていくというのが基本でございます。  したがいまして、今回、基金に加入していない厚生年金の被保険者との均衡という観点等々から、厚生年金本体保険料で穴埋めすることであるとか、さらに税金で穴埋めするということは、現段階考えられないところでございます。  ただしでございますが、現下の厳しい金融経済情勢等ございますから、掛金段階的に引き上げていくことをより実施しやすくするような措置を講じておるとか、掛金の引上げの開始自体をちょっと一定期間、時間を掛けて進めていく等々、事業主掛金増緩和にも一定配慮措置を講じてきておるところでございます。今後とも、こうした配慮措置を活用して、できる限り円滑に御負担していただけるよう丁寧に対応していくとともに、必要に応じてこれらの措置延長ども検討していかなければならないと思っています。  また、それとともに、併せて再発防止ということも大事なことでございます。現在、各厚生年金基金資金運用体制などに関する実態調査も進めておりますから、これらの実態調査の結果等も今月中に取りまとめたいと思っております。そういうところもよく考えまして、企業年金資産運用財政の在り方についても検討を行って、遅くとも六月までに結論を出したいと思っております。  以上でございます。
  14. 川上義博

    川上義博君 代行運用する制度をつくったんですね。だから、この代行運用で今のこういう実態があるわけでありまして、政府はこの代行運用制度をつくった責任というのはやはり免れないと思うんですね。それが一つ。  先ほど答弁で、穴埋めは税金では考えていないと、中小企業ができるだけ今後掛金を上げたりして考えてもらいたいというんだけれども中小企業なんかはそんなに、大企業じゃあるまいし、中小企業はそういう体力ありませんよ。ね、局長、そんな体力ないですから。だからもっと、そういう答弁じゃなくて、もう少し考えなきゃいけないと思うんだね。  もう一度答弁お願いします。
  15. 榮畑潤

    政府参考人榮畑潤君) 今の御指摘でございますが、企業年金、特に厚生年金基金は、言わば厚生年金で申しますと報酬比例部分の一部を代行してその上に三階部分を構成しているという構成でございますが、その厚生年金報酬比例部分自体国費が入っていないというところでございまして、そういうものとの均衡から考えると国費で穴埋めしていくというのはなかなか困難であろうかと思います。  ただしかし、一方で、先ほども申しましたが、企業事業主の方々に掛金で御負担していただく際につきましても様々な言わば負担の緩和についての配慮措置というものを講じておるところでございまして、こういうふうなところにつきましては、丁寧に各企業に御助言もさせていただくとともに、必要に応じこれらの措置延長なんかも検討していかなければならないと思っておるところでございます。
  16. 川上義博

    川上義博君 まあAIJ問題はこれで。あとまた誰かが追及するでしょうが。  日銀金融政策のことでお伺いをしたいと思います。  一昨日、総理は参院の本会議で、日銀政府との緊密な連携の下で、ここが重要なんですけれども果断金融政策運営期待していると。これは結構強い口調で力強く発言されたわけでありますが、日銀に対して具体的などのような金融政策期待されているのか、お答えをいただきたいと思います。
  17. 石井一

    委員長石井一君) ちょっと待って。  中塚大臣、御退席結構でございます。
  18. 川上義博

    川上義博君 退席されて結構です。
  19. 石井一

    委員長石井一君) それでは、岳野政府参考人も退席いただいて結構です。
  20. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) おはようございます。  何よりも円高の克服とデフレからの脱却、この問題意識日本銀行と共有することが大事だと思います。もちろん政府としても、あらゆる政策を総動員をしながら今申し上げた課題を乗り越えていかなければなりませんが、その中の一つとして、日本銀行と緊密に連携をしながら対応するということが重要な柱になるだろうと思います。  その中で、先般の二月十四日の金融政策決定会合におきまして、中長期的物価安定のめどを新たに導入をしてCPI上昇率を一%を目指して強力に金融緩和推進をしたこと、それから三月十三日においても成長基盤強化を支援するための資金供給を二兆円程度拡充したところであって、こうした問題意識を共有しながら私は果断な今対応をしていただいていると思います。  その果断内容を私があれこれ明示することは妥当ではないと思いますが、問題意識を共有する中で日本銀行がこうした適時適切な対応をすることを強く期待をしている次第であります。
  21. 川上義博

    川上義博君 いや、日銀の二月の政策は、それの後に総理果断金融政策期待しているとおっしゃったんですね。だから、日銀がやっていること、日銀がやった政策で結果的には少し円安になった、株も上昇したと。だから、そのより一層の、期待しているというのは、より一層の金融政策CPI上昇、そういう政策を、より一層の円安あるいはデフレ脱却をしなければならない。だから、日銀には何を期待して、何をすればいいのか、日銀が。そのことをおっしゃっていると思うんですよ、果断なというのは。  もう少し具体的にお願いを申し上げたい。総理総理に。
  22. 古川元久

    国務大臣古川元久君) 総理のおっしゃった趣旨をもう少しかみ砕いて申し上げますと、日本銀行が中長期的な物価安定のめどとして当面、消費者物価上昇率一%を目指すと、それが見通せるようになるまで強力に金融緩和推進すると決定したわけでございますので、政府としては日本銀行に対して、まずはこの消費者物価上昇率一%の早期の実現に向け、金融資産の買入れを含めた柔軟かつ果断金融政策運営期待していると。決めたことをしっかり実行していただきたいということを期待をしているということでございます。
  23. 川上義博

    川上義博君 決めたことをしっかり果断なく、果断なくというのはおかしいんだけど、より大胆に思い切ってやってもらいたいというのが我々の意思なんですね。だから、是非その辺り連携してやってもらいたいと思うんですが。  日銀総裁、今日来られています。野田総理発言についてどのようにお考えになって、先ほど話があったんですけど、更なる金融緩和をやはり考えているのか。国民は期待していると思うんですね。その辺り総理発言とともに御答弁をお願いしたいと思います。
  24. 白川方明

    参考人白川方明君) お答えいたします。  総理の御発言自体について私がコメントするというのはこれは大変僣越でございます。  日本銀行は、デフレから脱却し、物価安定の下での持続的な経済成長を実現していくということが大変大事な課題だというふうに思っております。  そうした強い思いから、従来からも強力な金融緩和政策を実行しておりますけれども、先般二月には、先ほど総理からも御紹介ございましたけれども、強力な金融緩和の更なる措置をとりましたし、それから三月には成長力強化支援措置、これを日本銀行として対応しました。  デフレからの脱却というのは、大変重たい課題でございます。いつもこの席でも申し上げていますとおり、そうした姿を実現するためには、成長力強化していくというしっかりとした取組と、それからそれを支える金融面からの取組、この両方が不可欠でございます。成長力強化それ自体については、日本銀行としてできることはそう多くはございませんけれども、しかしこの面でも先般措置を実行いたしました。それから、金融についても、先ほど申し上げたとおりでございます。  そういう意味で、政府日本銀行認識を共通にしているというふうに思っておりまして、今後ともそうした構えでしっかりと政策を行っていきたいというふうに思っております。
  25. 川上義博

    川上義博君 先ほど金融政策、二月十四日、二月に金融政策を行ったという話がありましたが、これは、日銀総裁日本経済の回復にこの政策効果があったんだと、株価円安が進んでいると。今、実際そうなんですね。だから、日銀金融政策においてこれが効果があったとお考えになっていますかということなんです。
  26. 白川方明

    参考人白川方明君) お答えいたします。  まず最初に、日本銀行の行っています政策は、それが最終的な目的のために効果があるというふうに信じて実行しております。  そう申し上げた上で、金融市場の動向についてお答え申し上げますけれども、二月の決定会合後の動きを見ますと、国債の利回りは中短期のゾーンを中心に低下しています。また、そうした下で、為替相場円安方向株価上昇しております。  しかし、私ども、一昨年の十月に資産買入れ基金を設けまして買入れを増やしてまいりました。一昨年この制度をつくりまして、昨年は三月、八月、十月と三回にわたって増額をしました。それから、この二月にまた増額をしたわけでございますけれども、しかし、過去のこの五回の例を見てみますと、緩和後の市場動き局面ごとに異なっております。  二月の金融緩和につきましては、欧州債務問題をめぐりましてリスクが低下していく、それから、米国経済の方を見ましても、個人消費あるいは雇用を中心に明るいデータが出てきているということで、世界的に投資家リスクを取っていこうという感じに変化をしてまいりました。そうした下でのこの日本銀行政策も、もちろん効果があったと思いますけれども、そういう意味で、これは全体としての経済環境、その下での日本銀行政策ということだというふうに思っております。  いずれにせよ、日本銀行としては、しっかりとこの政策を遂行していきたいというふうに思っております。
  27. 川上義博

    川上義博君 先ほど日銀総裁、大変いいことをおっしゃったんですね。本当に私びっくりしたんですけれども、この金融政策効果があったとはっきりおっしゃったんですね。これは極めて画期的な発言だと思うんですが。  それでは、一ドル例えば百円とか日経平均一万五千円の水準までもう引き上げなければいけないと思うんですね。これぐらいの水準にするためにはより一層の金融政策をやらなくちゃいけないんじゃないですか、効果があったとおっしゃったんだから。これはやはりもう、QE1、QE2というのをアメリカやっていましたけれども、もう一回考えなければいけないんじゃないですか。国民は大変喜びますよ、経済も活性化しますよ。
  28. 白川方明

    参考人白川方明君) 先ほど答弁をもう一度繰り返して申し上げたいと思いますけれども日本銀行の行います金融政策は、これは最終的に効果が上がっていくということを期待して、信じて政策を行っているということを申し上げているわけでございます。  金融市場動きそれ自体は、これは日本銀行政策一つの要素でございますけれども、様々な要素によって決まってまいります。したがって、過去五回を見ても、その都度実は増額を、今回と同じように十兆円増額した後でも実は先ほどのようなマーケットに変化が出ないときもございますし、今回のようなこともございます。  いずれにせよ、この金融政策効果は、これは効果が発揮されるまでには時間がかかります。そういう意味で、最終的な我々の目指している姿、これをしっかり見据えて、強力な金融緩和政策をやっていくという意味において私は効果があるというふうに申し上げました。  それから、私はもう一つのことを申し上げましたけれどもデフレから脱却をしていくためには、成長力強化というしっかりとした取組と、それからそれを支える金融面取組、この両方が必要でございます。金融緩和政策だけで実現するわけではございませんけれども、しかし、金融政策もこれはしっかりとした役割を果たしていくと、そういう思いを先ほど申し上げた次第でございます。(発言する者あり)
  29. 石井一

    委員長石井一君) 静粛に願います。
  30. 川上義博

    川上義博君 強力な金融政策効果があると信じているというか、そう思っていると、でも金融政策だけではなかなか大変だとおっしゃったんだけど、金融政策で実体経済を動かすことができると。ベースマネーの伸び率が実際に名目GDPの伸び率と相関性があるとよく言われておるんですよ。だから、金融政策を強力にやるというのが本当に必要なことだと思うんですよ。まずやってみるということですよ。やってみて誰が損害を被るんですか。損害を被る人は別にいないと。みんな喜ぶと思う。  だから、まず具体的に聞くと、日銀は残存期間の短い国債を一生懸命購入しているんですけれども、残存期間の長い国債を購入しなければいけないんですね。長期の国債を買いオペを行うと、これが必要だと思うのでありますけれども日銀総裁、どうですか。
  31. 白川方明

    参考人白川方明君) お答えいたします。  まず最初に、マネタリーベース、中央銀行の供給するお金とそれから名目GDPに関する御発言がございました。  日本銀行は、現在、これはこの席でも再々申し上げていますとおり、強力な金融緩和の結果、このお金の量という面では先進国の中央銀行の中では最も多く供給しております。その上で、この量の増加だけでは実は金融緩和の度合いが計れないということは、これはバーナンキ議長も繰り返し繰り返し申し上げているところでございます。  金融政策効果は、中央銀行の行動が金利に働きかける、その下で企業なり家計が支出を行っていく、その二つの段階に分かれます。その最初の段階、この金利という面で、私どもは強力な金融緩和をやった結果、随分とこれは低い金利になっております。これは欧米と比較しても一目瞭然でございます。その上で我々としては、日本銀行としてできる手段を最大限使って努力をしておりますし、今後とも取り組んでいきたいというふうに思っております。  それから、長期の国債の件でございますけれども、これは、日本銀行の買入れ、二種類の買入れを行っております。一つは、資産買入れ基金を設けて、この下で残存二年以下の国債を買っているということと、それから、いわゆる成長通貨オペという形で国債を買って、この世界では長期の国債、先生がおっしゃっている期間の長い国債も買っております。そうした様々な方法を使って資金供給を行っているということでございます。  それから、何もコストはないではないかということでございますけれども日本銀行は今、年間四十兆円のペースで国債の買入れを行っております。これはもう大変な金額でございます。もし万が一にもこれが中央銀行による国債のファイナンスであるというふうに受け取られますと、かえって長期金利が上がってしまいます。その場合には、今度は我々が目的としております、経済活動をしっかり支えていくという目的にも実は矛盾する面も出てまいります。そういう意味で、私どもは非常に積極的な政策を行っておりますけれども、同時に細心さも意識して、両方のバランスを取りながらしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。
  32. 川上義博

    川上義博君 まあこれからも。  一つ、ツイストオペというのがあるんですね。これをやると効果があるとよく言われていて、FRBも国際決済銀行もこれは効果があると言っているんですよね。FRBもやっているんです。  先ほど金利が下がったとおっしゃるんですが、金融緩和をすれば金利は下がるんです。特に長期金利が下がる。だから、金融緩和効果というのは、長期金利が下がって投資が増大して円安になって輸出が増えてGDPが増えるという、こういうのが金融政策なんですよ。だから、それをより一層やっていただきたいなと、そのように思っているんですよ。それに日銀はこたえなければいけないと思うんですね。  それと、ツイストオペ、おやりになるかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  33. 白川方明

    参考人白川方明君) お答えをいたします。  日本銀行金融政策は、毎月行っております金融政策決定会合で、その時点で新たに判明した内外の経済データ、金融指標のデータ、これを詳細に点検し金融政策を決定していくという作業、これはきっちりと行っております。  私どもの基本的な金融政策のスタンスということは、これは再々申し上げていますとおり、当面一%、これを目指して、これが見通せる状況になるまで実質的なゼロ金利政策を続けていくということと、それから資産買入れ基金による買入れ等を通じて強力な緩和政策をしていくというスタンスを明確にしております。  それから、ツイストオペに関する御質問でございます。  これはもう先生十分御存じのことだと思いますけれども、長期の国債を買うと同時に短期の国債を売るという政策でございます。これはFRBが昨年の秋に導入をした政策でございます。  海外の中央銀行の政策について私がコメントをするということは適切ではございませんけれども日本の今のこの文脈で考えますと、長期国債を買うことによる長期金利の低下効果と、それから短期国債を売ることに伴う短期金利の上昇効果、この両方がございます。で、短期金利を上げていくということは、今のこの局面では私はやっぱり適切ではないというふうに思っております。  いずれにせよ、日本銀行は長期国債の買入れも含めて強力な金融緩和政策を現に行っていますし、基本スタンスは先ほど申し上げたとおりでございます。
  34. 川上義博

    川上義博君 だから、何で短期が上がるのかというのがよう分からないんですけれども、いずれにしても、最近、日銀は一生懸命買入れのペース、上がっておるんですね。これは大変評価を私はしたいと思いますけれども、より一層早くこの枠に達するように、市場とフレンドリーな形でと前、副総裁はおっしゃっていましたけど、対話をするとおっしゃっていましたけど、より早くスピードをアップして買入れオペをやっていただきたいなと、そのように思いますけれども、どうですか。
  35. 白川方明

    参考人白川方明君) 日本銀行は、本年の十二月末までにこの資産買入れ基金による買入れ、このめどを達成していくということで、今の残りの金額は十九兆円ございます。これは資産買入れ基金による買入れでございます。  この世界では、長期国債の買入れも行っていますし、それからFRBの行っていませんリスク性の資産の買入れも行っています。それから別途、別途ですけれども、長期国債の買入れ、これ年間二十一・六兆円のペースで行っております。この金額は非常に大きな金額でございますけど、こうした買入れを着実に進めていきたいというふうに考えております。
  36. 川上義博

    川上義博君 一つ先ほどの話で、中長期的な物価の安定のめど、当面は一%を導入したと。日銀はいろんなところで、これインタゲではないとおっしゃっているんですね。ところが、財務大臣は、これはもう実質的にはインフレターゲットだと認識しているんだとおっしゃっているんですが、なぜ見解が違うのかということであります。
  37. 白川方明

    参考人白川方明君) 私どもが行っています政策でございますけれども政策の枠組みでございますけれども、目指すべき消費者物価の姿について、これは当面一%をめどとするということを言っております。  従来、私どもは、先生御案内のとおり、理解という言葉を使っておりました。これは、九人の委員それぞれが目指すべき物価上昇率に若干の差がある、そういう中で全体の数字をまとめて表現するとこういうことになるということで、理解という言葉を使っておりました。理解という言葉からは日本銀行としての組織としての意思が感じられないという御批判もちょうだいいたしました。我々として、日本銀行のスタンスを最も明確に表す方法は何かということを考えた場合に、我々はめどという言葉を使いました。  なぜ目標という言葉を使っていないかというお尋ねだというふうに思いますけれども、インフレーションターゲティングという言葉が人によって様々な意味合いで使われております。時としてでございますけれども、これは目標とする物価上昇率を達成するために機械的に政策運営していく、それをインフレーションターゲティングあるいはターゲティング、目標というふうに、そういう意味合いで使うこともございます。私どもとしては、今回、先進国が多く経験したように、この物価の安定は非常に大事でございますけれども、しかし、短期の物価上昇率だけを見ていきますと、結果として経済の大きな変動を許してしまったという苦い経験がございます。  そういう意味で、私どもは、機械的ではないという意味を込めて実はめどという言葉を使いました。めどという言葉を使っていますけれども、しかし、どの中央銀行も、日本銀行めど、それから欧州中央銀行は定義、それからFRBはゴール、それからイギリスはターゲット、それぞれ言葉は違いますけれども、しかし、考えていることは基本的に同じで、物価の安定を中長期的にしっかりと実現していくということでございます。この点においては、日本銀行もこれは全く違いはございません。
  38. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) 私は、やっぱり今までの理解とめどは違うと思っております。  確かに総裁御指摘のとおりなんですね。インフレターゲットというのは、それぞれの国によって、また人によって使う言葉は違いますが、今回、日本銀行は、消費者物価の前年比一%を目指して、それが見通せるようになるまで強力な金融緩和推進していくとしておりますから、そうした意味では、実質的なインフレターゲットを設定されたものと私は受け止めていると申し上げました。  やはり、目指す物価上昇率と、それを見通せるまでという明確な時間軸を設けたわけですから、そうした積極的な措置をしていただくということで、私としては、やはり実質的にこれはインフレターゲットの設定だというふうに判断いたしました。
  39. 川上義博

    川上義博君 今、日銀総裁が、考えていることは同じなんだとおっしゃったんですね、考えていることは同じ。これはまさにいい答弁だったと思うんですよね。だから、インタゲだとか、そうじゃないとかという、ゴールズとかですね。そうじゃなくて、言葉が重要ではなくて、いいですか、物価の上昇率を金融政策の目標として明確に位置付けることが重要なんだということだと思うんですよ、言葉ではなくて。だから、考えていることは同じだという、そういう意味日銀総裁の今の御発言は私は大変価値のある発言だと思いますが、どうですか。
  40. 白川方明

    参考人白川方明君) 自分で自分の言葉について価値があるとか言うのはちょっと僣越かなというふうに思いますけれども。  日本銀行金融政策の目的、これは法律の上で明確に書かれておりまして、物価の安定を通じて国民経済の安定に資するというふうにはっきりうたっております。私自身、総裁に任命されて以来、このことを強く胸に留めて、肝に銘じて政策を行っております。その際、物価の安定というのが大体どういう状況なのか、この数値的なイメージがないと、そうは言っても分かりにくいということでございます。そういう意味で、私どもとして、適切な運営をやっていくためにどういう形で数字を出すことが一番望ましいのかについて考えて、今回の政策に、今回の発表に至ったものでございます。  もとより、日本銀行のこのコミュニケーションについて、これがベストだということで、もう今後一切変化がないということはもちろんございません。各国の中央銀行を見ても、日本銀行を見ても、これは常に見直しを行ってまいります。日本銀行として、最適な政策運営の枠組みの下でこの物価安定についてもしっかり努力をしていきたいというふうに思っております。
  41. 川上義博

    川上義博君 本当に、今日は日銀総裁といろんな大きな議論をしようと思ったんですけれども、ある程度納得のいく答弁でありましたので、納得いかなかったら日銀法の改正まで行こうと思ったんですよ。日銀法の改正とか、日銀の職員の皆さんの天下りとか給与体系とか、そこまでやろうかなと思ったんですが、それはもうやめます。  だから、是非とも、日本の国家国民のために、より一層の果断金融政策をやっていただく、最後にその決意を述べてください。
  42. 白川方明

    参考人白川方明君) 私の決意ということでございますけれども日本銀行法に定められたこの使命、その使命達成に向けて全力を尽くしていくということで、これは従来もそうでございますけれども、しっかり取り組んでいきたいというふうに思っております。
  43. 川上義博

    川上義博君 それでは、総理にお伺いしたいと思うんですけれども、我々は政権交代という大きな波をつくったんですね。これはもう日本の政治史上画期的なことであったと思いますが、この波を継続していかなければいけない。だから、継続するその意思というのが大変重要だと思うんですが、実は源実朝の金槐和歌集に、これは私は高校時代から大変好きな歌だったんですね。下の句の方が大変好きだったんですけど、「大海の磯もとどろに寄する浪」というのがあるんです。これからが重要なんですけれども、「われてくだけて裂けて散るかも」というんですよ。「われてくだけて裂けて散るかも」。(発言する者あり)
  44. 石井一

    委員長石井一君) 静粛に願います。
  45. 川上義博

    川上義博君 例えば、マニフェストも譲歩に譲歩を重ねて、何だってマニフェストを実行していないんじゃないかと国民の皆さんから指摘をされている。このマニフェストは、私は国民の皆さんの期待が、希望が本当に多く詰め込まれていたマニフェストだと思うんですよ。このままいけば本当に割れて砕けて散ってしまうかもしれないなという危惧が本当に私はあるんです。まだまだ頑張っていると思うんですね。  もう一つは、社会保障と税の一体改革もそうなんですけれども、しきりに野党に協力を求める、そういうことは大切だと思うんですけれども、まず足下を固めなければ野党も対応をしてくれないと思うんですよ。足下をしっかり固めるというのが必要だと思うんですね。特に自民党は民主党が分裂するのを、淡い期待かどうか知りませんけれども、分裂を待っているんです、漁夫の利を狙っていると思うんですよ。  だから、要するに私が何を言いたいのかといいましたら、足下を固めるということをまず総理にやっていただきたいなと、そのように思いますが、御答弁をお願いします。
  46. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 基本的には川上委員の御指摘のとおりだというふうに思います。社会保障と税の一体改革も、あの素案を作ったときも、大綱を閣議決定したときも、丁寧な議論をしながら、いわゆる熟議というものをやってきた上で結論を出してきていますし、今、法案提出に向けての閣議決定に至るその段階でありますけれども、今も連日党内において闊達な御議論をいただいております。  議論は大きな政策については私はあると思います。この一体改革だけではなくて、これからも大きなテーマについてはそれぞれ御意見があると思いますが、活発な議論を経た後にきちっと結論を出すという、そういう政治文化をつくっていかなければなりません。その政治文化をつくるためにもやっぱり丁寧な議論を踏まえていくということであって、その上で割れたり散ったりということはあってはならないと思っていますので、その御指摘はまさに基本的には全く同じ考えでございます。
  47. 川上義博

    川上義博君 今、党内、議論をしていますね、党内、もう深夜まで、一生懸命やっているんですね。そこで総理は、その議論に参加をする、場合によっては参加をする、その時期が来たらするというおつもりがありますか、どうでしょうか。
  48. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 昨年の暮れに素案の議論をして党の御了承をいただいたときも、私もちょうどインドから帰ってきた直後でございましたけれども、五時間議論に参加をして、その素案の決定に向けて自分なりに努力をしたつもりでございます。  その素案と今回の大綱とそれからこれから作る法案って、大枠は基本的には同じでございますので、その中で今御議論いただいていると思いますので、基本的には今政調会長中心におまとめいただける方向だというふうに思いますが、もちろん、私が必要ならば、当然のことながらいつでもそれは対応させていただきたいというふうに思います。
  49. 川上義博

    川上義博君 先ほど足下を固めるのが先決だと申し上げましたが、岡田副総理は大連立の話をしたこともないと、総理もそれは否定的なんですけれども、一般論として大連立の選択肢を排除されていないのかどうかということがある、選択肢として。  それと同時に、大連立の意味というか価値、これは、政策の実現につながるとかというのはあるんですけど、与党にプラスになるのかマイナスになるのか、政権運営にとって本当にプラスになるのかどうなのか、その認識をちょっとお伺いしたい。その二点。
  50. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) まず、今の執行部として、大連立を一つの方針として野党の皆さんと協議をしているということは、これは事実としてありません。ただ、いろんな法案とか予算通す際に与野党協議をしていかなければなりませんので、その様々なレベルのコミュニケーションはこれはあってしかるべきだというふうに思いますが、大連立を呼びかける、それに対してノーという回答があったとかと、そういう事実は基本的には私はないというふうに思っています。  その上で、じゃ、大連立の将来の可能性も含めてのお尋ねだと思いますけれども、私は、与党のためにというよりも国民のために政治を前進させていくという中で一つ可能性としてはあると思いますが、現実的には私は今困難ではないかというふうに思っています。
  51. 川上義博

    川上義博君 ところで、今年金のいろんな議論をやっているんですけど、自民党は、年金の抜本改革案を示さないと、これは最低保障年金も含めていると思うんですけれども、消費税法案には賛成できないと言っているんですね。消費税法案の成立と引換えに話合い解散というのが成立する、まあ話合い解散というのは何をもって話合い解散という、あうんの解散ですか、話合いではなくて。この成立と引換えにそういったものが成立するとお考えでしょうか、そういうものがあるかもしれないとかね。
  52. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 話合い解散の定義というのはちょっとどう定義したらいいか分からないんですけれども、私自身の思いで言うと、一体改革も含めて、あるいは復興等々、様々なやらなければいけないことをしっかりやり抜いた上で適切な時期に解散をするということが基本であって、それ以上何も考えておりません。
  53. 川上義博

    川上義博君 やり抜いた時期にその先は解散があると、国民の皆さんに信を問うということだろうと思いますが、社会保障と税の一体改革はなぜやらなくちゃいけないのかと。社会保障の機能強化と維持のために安定財源の確保が必要で、同時に財政健全化の達成だと。同時に達成だということなんですけれども、本当にそれが達成できるんですかということなんですね。  本当に同時に達成できるのかということを総理にお伺いしたいと思います。これは副総理に。
  54. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 委員御指摘のように、今回、消費税を五%引き上げさせていただくということになりますと、我々考えておりますのは、社会保障の充実にそのうちの一%相当分、二・七兆円、そして現在の制度の安定化、例えば国民年金、基礎年金の国庫負担三分の一を二分の一に引き上げる、その安定財源はまだ準備できておりませんのでそういったこととか、毎年毎年社会保障費は一兆円以上増えてまいります。そういったことを賄うために残りの四%、十・八兆円ということを考えているわけでございます。  そのことによって財政面でどうかということでございますが、二〇一五年度中に財政構造としては基礎的財政収支赤字の対GDP比半減目標、これは達成するということでございます。しかし、逆に言いますと、残りの半分はまだ残ったままであるということでございます。
  55. 川上義博

    川上義博君 社会保障費が、少子高齢化も進展していく、社会保障費も増大していく、GDP比の関係もある、だからこういった取組を、更なるというか、取組を行っていかなければいけないということですよね。
  56. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) まず、今回の措置をとらなければ、もうこれはやはり社会保障制度を持続していくことは非常に困難だというふうに思います。そういう意味で是非これはお願いしたいと思います。  その後、先ほど申し上げましたプライマリー赤字というものを消していくためにどうするかということは、それは例えば経済成長はどうなるか、成長による税収増ということも期待できます。そして、歳出削減を一層行っていくということも考えられます。もちろん、歳入を増やすという道もある。これは別に消費税に限った話ではございません。そういったことについては、やはりまず五%消費税上げを達成したときにもう一度御議論いただくことではないかというふうに思っております。
  57. 川上義博

    川上義博君 だから今、プライマリーバランスを赤字を何とか解消していく、それから社会保障を持続していきたいと、五%の後また考えなければいけないと。だからこれは、今の説明によると、どうしても更なる増税があることがあるんだということを聞こえるんですね、言っていることが私は聞こえるんですけれども、増税は考えていないと、今の段階ではね、ということでいいんですか、それとも増税も考えているんだということなんですか、更なる。
  58. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 率直に申し上げて、現時点では具体的なことは決まっていないと言うべきだと思います。  それはやはり、先ほど申し上げましたように、これからデフレ脱却経済成長がなされれば、税収はある程度上がることも予想されます。それから、これは社会保障も含めて歳出削減についてどう考えていくかということの議論も必要だと思います。例えば社会保障についても、もう一度より効率化していくということも考えなければいけないのではないかというふうに思っております。  そういったことでどこまで賄われるのか。賄えないとすれば歳入増と。歳入増というときに、それは消費税以外の増税ということも当然あり得るわけで、そういったことはこれからまさしく国会で御議論いただくことであって、今どうだと決め付けるその必要はないし、そうすべきではないと。現時点ではその方針を出す必要は私はないというふうに思っております。(発言する者あり)
  59. 石井一

    委員長石井一君) 御静粛に願います。
  60. 川上義博

    川上義博君 先ほど、社会保障と税の一体改革、総理ですね、総理は年度内に閣議決定をして法案を出すと。本当に年度内に出されるわけでございますか。
  61. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) あの平成二十一年の税制改正法附則百四条に基づいて、これは年度内に提出する義務がありますので、きちっと年度内に提出をしたいと考えております。
  62. 川上義博

    川上義博君 その百四条をもって本年度内の提出の根拠にされているんですね、百四条で。先ほどは義務だとおっしゃったんですよ。この規定は「措置を講ずるものとする。」と書き込まれておるんですね、「措置を講ずるものとする。」。講じなければならないとなってないんですよ。これは義務規定なのか何なのか。義務規定に準ずるもの、これは義務なんだと本当におっしゃるのかどうかなんです。要するに講じなければならないと書いてないですね。これを、このお考えを、先ほど義務とおっしゃいましたから。
  63. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 法律上そう書いてあります。今、川上委員が御指摘のとおりの書き方でありますけれども、これについての解釈を、例えば、平成二十三年一月の自民党の谷垣総裁の御質問に対して本会議で菅総理答弁が、税制抜本改革法案を提出することを政府に義務付けているものであり、政府としては法律を尊重してしかるべき対応すべきものと考えているという答弁をされていますし、それから、中川秀直議員の質問主意書に対して、政府として平成二十三年度までに消費税を含む税制の抜本的改革の具体的な内容を定める法案を国会に提出することを政府に義務付けているものと考えているというふうに過去に答弁をしてまいりましたので、基本的には私はこの姿勢を踏襲をさせていただいております。
  64. 川上義博

    川上義博君 じゃ、義務だと。じゃ、それでは、義務規定とすれば、この法案がずれ込んで四月に提出されれば法律違反になるということになってしまうでしょう。これはそのように解釈してよろしいんでしょうか。これは義務であれば法律違反になる、四月になれば。
  65. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) しなければならないと、ものとするというのはどう違うのかということでございますけれども、しなければならないというのは、一定行為をやっぱり義務付ける場合を申し上げておりまして、ものとするは、若干弱いニュアンスを表し、一般的な原則あるいは方針を示す規定の術語として用いられることが一般的には多いと。しかし、行政機関としての行為一定の拘束というものを与えることに用いられるということがあるというふうに思っております。(発言する者あり)
  66. 石井一

    委員長石井一君) いや、ここのところは非常に重要な議論だと思いますので、国民の皆さんも聞いておられますから御静粛に願います。
  67. 川上義博

    川上義博君 だから、総理は義務なんだという答弁をされているわけですから、だから法律上は義務規定だと。したがって、四月にずれ込めばこれは法律違反になるんじゃないですかと、このように質問しているわけでありまして、総理、どうお考えですか。
  68. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 私は、だから従来からそういう今解釈の下で年度内に提出しなければいけないと考えてまいりましたし、そのことはこの予算委員会等でも答弁として申し上げてまいりました。これは何度も繰り返して言ってきております。したがって、年度内に提出するよう全力を尽くしたいと思います。(発言する者あり)
  69. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) 違うことではございません。行政機関に対して一定の拘束を与えるということに関しては同じでございます。
  70. 川上義博

    川上義博君 じゃ、安住さん、安住財務大臣、その法案概要、民主党に今たたき台になっている法案概要の附則の十八条だったでしょうか、景気の弾力条項というのがある。これに数値目標を入れるというのは法律になじまないということをおっしゃったんですね。  数値目標を入れた法律は今までなじまないというか存在していないのか、例があるのか、法制局長官にちょっとお尋ねします。
  71. 山本庸幸

    政府特別補佐人山本庸幸君) お答え申し上げます。  法律自体において定量的な目標を掲げているというものはそんなに多くはございませんで、調べた限りでは二、三ございます。  一つが、財政構造改革の推進に関する特別措置法、平成九年ですが、平成十七年度までに財政赤字の対国内総生産比を百分の三以下とすること。次が、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律、平成十八年でございますが、平成二十二年度の国家公務員の年度末総数を、平成十七年度それの百分の五以上の純減とすること、そういった例がございます。
  72. 川上義博

    川上義博君 じゃ、今の答弁で、財務大臣はなぜなじまないという見解を持ったのかということと、長官、これに数値目標を設けることは法制上可能なのかどうかということをお伺いしたいと思います。
  73. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) 経済状況に係る弾力条項については、法律成立後、消費税率引上げに当たっての経済状況の判断を行うとともに、経済財政状況の激変にも柔軟に対応できるよう、経済状況等を総合的に勘案した上で、引上げの停止を含め、所要の措置を講ずるとする旨の規定を設けることは今検討はしております。  この規定に関してですけれども、名目・実質成長率、また物価動向など種々の経済指標を確認するとともに、経済指標に表れないものも諸要素を総合的に判断する必要があると。ですから、具体に機械的な要件を、経済指標として具体的な数値とした機械的な要件を当てはめることはやっぱりなじまないのではないかと私は申し上げたわけです。  それで、今、法制局長官からも、川上先生、ありましたけれども、これは国家公務員の定数の百分の五以上とか、本当に限られた二例ですけれども、それらのこととしてはありますが、やはり定量的にこの経済的なものを数値として位置付けるというのは法律上はやっぱりなじまないのではないかというふうに私は申し上げたわけであります。(発言する者あり)
  74. 山本庸幸

    政府特別補佐人山本庸幸君) 最後、もう一つ実は例がございまして、中央省庁等改革基本法、平成十年がありました。これは一の府省の内部部局として置かれる局の数を十以下とするということでございまして、先ほどの百分の五でもそうですが、いずれも政府行為の、何といいますか目標みたいなものになるわけでございますが、いろいろと書くべき法律の状況とかそれによっていろいろと違うと思いますので、とりわけ今回の税制改革法、税制抜本改革に関するこの検討中の法案でございますが、先週来、民主党でも議論が行われておりますので、そういう党の御意見も踏まえながら全体的に考えるべきものではないかと思います。
  75. 川上義博

    川上義博君 これであと一問で、もう一度質問しますと、例えば地球温暖化対策促進法、これは京都議定書の目標達成計画として温室効果ガスの排出抑制量など細かな目標を立てることを求めているんですね。これを見れば、今回のこの法案でも数値目標が立てられるはずなんですよ。  さっき片山さんが言っていましたけれども、できなくはないと、できなくはないがなじまないということなんでしょう。だから、できなくはないということで頑張ればできるということじゃないですか。
  76. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 委員、今の地球温暖化の話は、数字を挙げて、それに向けて政府が様々な施策をして努力すると、そういう意味での目標値です。今議論されているのは、ある数字になったら、じゃ消費税の引上げをやめるという、その数字を決めるということで、数字の性格は違うと思います。  私は思いますが、じゃ、どういう数字があり得るのかと。例えば経済成長、名目、実質、あるいは生産水準であれば鉱工業生産とか、あるいは雇用であれば失業率とか有効求人倍率とかいろんな数字がある中で、やっぱりそういったものを総合的に判断して、最後は政治が決めることだと私は思うんですね。ですから、一つ特定の数字を挙げて、これを満たしたらやる、満たさなければやらないというのは、私はそれはやはり政治が決めるという観点からいっても少し違う話ではないかというふうに思うわけです。  よく速報値と確報値があります。例えば、速報値を見たら条件を満たしていないからやめたと、しかしその後、確報値が出たら実はできたということだって考えられるわけで、やはりこれは政治が全体の数字を総合的に判断して決める、そしてその決めたことについては責任を負うということだと私は思っております。(発言する者あり)
  77. 川上義博

    川上義博君 私もやじに反応するわけにいきませんけれども、後でちょっとトリガーの話を、あれは百六十円になればやると言ったんですね。だから、それは後のこととして、取りあえず交付国債。  野党は、年金財源に交付国債を充てるのは赤字国債発行を少なく見せようとする粉飾まがいであるとさんざん指摘されているんですね。年金交付国債の発行は財政健全化の観点から問題だとする指摘もありました。このことについてどうお考えになりますかということなんです。もうはっきりと、いや、そうじゃないと、今までの交付国債も何とかやっているんだと、預金保険機構の対応に対してもやっていると、そういうものじゃないということを明確にここでおっしゃっていただきたいと思います。
  78. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) この二か月間、この交付国債は国会の一つの論点になっておりますけれども、私どもとしては、これは自公政権時代から引き継いだ年金法の趣旨を踏まえて、消費税引上げにより財源を確保した上で、将来の歳出を約束していかなければならないと。同時に、赤字公債のように二十四年度に必要となる財源を市場から調達するために発行するということでは年金交付国債は違いますので、そうした点では私は妥当な措置だというふうに思っております。  そもそも、この二・六兆円の、三六・五から二分の一へ引き上げる段階、この引上げそのものは、岡田副総理も再三申し上げておりますけれども、今の年金制度を維持するためには必要な措置であったことだと思います。しかし、残念ながらその時点で、恒久財源をうたいながらも、なかなかその恒久財源を確定することができませんでした。そういう中にあって、この三年間、自民党政権下からでございますが、この臨時財源というものをやりくりをして今日まで来ております。しかし、御存じのように東日本大震災があって、今回はそうした意味では、一般財源で税外収入等を含んで賄うというふうなことが実質的には非常に厳しい状況になりましたものですから、何か別の方法、工夫というものを考えなければならないということで交付国債を発行いたしました。  交付国債は、御存じのように消費税を償還財源にしますということなんですね。そして、そういう点では自民党の谷垣総裁も、方法論としてはつなぎ国債ではあるけれども、消費税をこれにやっぱり充当するということに対しては、さきの二十九日、党首討論において、これは野田総理との間でそうした認識は共有をしているということの発言もしていただいております。  ですから、そういう点では、この交付国債を粉飾という言葉で批判をされる方もいらっしゃいますけれども、私は、交付国債は決して国民に隠しているわけではなくて、財源をあらかじめ確保をしてこれで充当をしていくと、これを永久にやると言っているわけではございません。消費税法案が成立をするまでの間、これを使わせていただいて行うということでございますので、私としては、最も今この選択肢として、二兆六千億円を賄って国民の皆さんの年金を安定化させるためには必要な措置であるというふうに思っております。
  79. 川上義博

    川上義博君 だから、まあよく分かりました、問題はないと。問題はそんなに、問題はないと。  二十五年度のときも、質問があったんですけれども予算委員会で、過去の質問。もう一回、二十五年度予算編成でもし二分の一になる財源がなければやはりもう一度考える、問題がなければ考えていいと思うんですね。それら辺りはどうですか。
  80. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) 再来年度のことについてはまだ正式に決まったわけではございません。今年度、交付国債でやる、そういうことで、運用収入相当金も含め約三兆円ということで、それの言わば支払についても明示をする法案を出させていただきます。  その次の年はどうなるんだということでございますけれども、これは是非、私どもとしてもいろんな方法は考えますけれども、与野党で是非話合いをしていただきながら、自民党の御提案は、国債でしっかりこれは表に出して、そして国民にしっかりお願いしなさいと、ただ、その代わり償還財源としての消費税というのはあり得るよということは言っていただいておりますので、私は十分、交付国債と方法論は違いますけれども、恒久財源としての消費税については一致をしておりますので、次年度以降についてはまだ決めておりませんので、是非話合いをさせていただきたいというふうに思っております。
  81. 川上義博

    川上義博君 これは私の推測なんですが、あくまでも私の推測ですけれども、特例公債法を成立させる条件として、野党は、年金の今の交付国債を撤回しろと、撤回したら特例の公債を賛成というか、協力するということを……(発言する者あり)私の推測なんですね。その場合、二者択一ということがあれば、どうされますか、どうするおつもりですか。総理
  82. 石井一

    委員長石井一君) 御静粛に願います。
  83. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) これは何を言っても批判になりますので、そういう貴重な御提言があるということは承っておきます。
  84. 川上義博

    川上義博君 これは言っていくことが意味があるんじゃないかと思って私は申し上げたんですが。  さっきトリガー条項の話がありましたが、今ガソリンが、ガスも含めて、重油も含めてもう大変高騰をしているんですね。これからも多分高騰が続くと思うんですね。だから、我が鳥取県の皆さんに聞けば、これが続く限りもう外には買物に行かないと。ガソリン代がこれほど高ければ、もう外に出ないし観光にも行かない、買物もしない。そうすれば、デフレのこの状況にもかかわらずより一層消費が冷え込むわけなんですね。  復興財源へのためにガソリン税を引き下げる仕組みを凍結したわけでありますが、これ以上高騰が続けば何かの対策考える必要があると思うんですね。凍結解除をするのか、あるいは別途ほかの対策考えるのか。これは国民の皆さん、物すごく関心があると思うんですが、これを是非御答弁をお願いを申し上げたいと思います。
  85. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) まず、今の原油価格について様々な要因はあると思います。G20でも議題にもなりました。地政学的な今のリスクもありますし、それからやはり金融緩和における資金が様々な投機に走っているというような指摘もあります。現実にガソリンの価格、製品が上がっているということも、我々としても十分政府として懸念をしているところであります。  トリガー条項については、今御指摘がありましたように、これは昨年、被災地の復旧復興、そういうものの財源等含めて、これは別途法律に定めるまで御指摘のような停止をさせていただくことになりました。率直に申し上げまして、この財源としては、一年間のアベレージで発動がもしされるとやはり一・八兆円近い財源が、言わば財政に影響があります。  そうしたことも勘案すると同時に、短期の変動なのか、ガソリン価格がですね、長期であるのかというのは、もう川上さん御存じのとおり、これは少し見ないと分かりませんので、注意深く価格変動動向等は監視をしていきたいと思っております。
  86. 川上義博

    川上義博君 だから、注意深く、まあ短期ということは私は今の中東情勢ではあり得ないと思うんですよね、結構これは長期になると思うんですが、しばらく価格変動を注視をしてみたいと。  その結果は、何らかの対応を全くやらないのか、やはり何か考えなきゃいけないのかということなんですね。やっぱり考えなきゃいけないと思いますよ。民主党の政策というのはそこがあったんですから、国民の生活が一番大切なんだというものがあったんですからね、これはやらないといけないと思うんですね。もう一度答弁をお願いします。
  87. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) 長期に例えばもう予想を超えるような価格で需給のバランスが大幅に崩れたり、そういうことがあれば十分注意をしないといけないし、何らかの措置というのは政府もまた議会でも検討しないといけないということだと思いますが、例えばG20でも産油国の代表からは、需給のバランスが決して崩れていることがこの価格変動を招いているのではないということを数字を含めて説明があったんです。  そうした点では、やっぱり資金の投機的な動きというのも監視をしないといけませんので、そういう意味で、もしそういうことがあればやっぱり価格の変動というのは短期にかなり動く可能性はあると。ですから、そういうことをよく見ながら、御指摘がありましたので慎重に対応させていただきたいと思います。
  88. 川上義博

    川上義博君 もう時間が大体来ましたからこれ最後の質問にいたしますが、昨日、郵政改革法、歩み寄って何とか今国会で成立するという見通しが立ったように聞いていますが、私は、私も郵政民営化法を反対して、当時の小泉総理に自民党から出ていけと言われて出ていったんですよ。  それで、ずっと選挙区回っていますと、中山間地の本当にマージナルというか周辺部は何もないんですよ。近くに小中学校の廃校があった、そして農協の廃屋がある。ただ一つ光がともっているのは郵便局なんですよ。その郵便局で、高齢のお母さん方が私が行ったとき三人ぐらいいらっしゃったんですね。郵便局が大切だと、これは是非守ってもらわないと我々はもう里の方にも行けないし、ここでこれがよりどころなんだと、基本的な生活のよりどころなんだとおっしゃったんですよ。私もまさにそう思うんですね。  だから、郵便局は本当に大切だと思いますが、それは、総理、その辺りの御感想をお伺いしたいと思います。
  89. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) これは、委員御指摘のとおり、山間部のみならず離島等においても、従来の郵便局の業務以外にも様々な手続面のサポートを含めて郵便局の果たしてきた役割は大変大きかったと思います。  そういうものが今壊れかけている中で、どう立て直しをしていくかという議論があって郵政改革法案を提出をさせていただきましたけれども、今三党間でようやく合意ができたというふうに私も承知をしております。早期に御審議をいただいて成立を図っていかなければならないと考えております。
  90. 川上義博

    川上義博君 それで、実は郵貯の話なんですが、郵貯の預貸率はほぼゼロ%に近いんですね。資金の運用先というのは今需要は物すごくあると思うんです。中小企業もそうだし、東北地方もそうなんですね。資金の需要先たくさんあると思うんですね。このところに郵貯の資金を活用するということを考えた方がいいんじゃないかと思うんですよ。  私は前から、もっとこの郵貯資金を国営ファンドにして運用した方がいいというように私はかねてから思っていたんですけれども、この郵貯の資金を、財投の改革は実施したということでありますけれども、財投融資で再び積極的に活用すべきではないのかなと思うんですよ。これ、本当にそう思っているんですね。  自主運用が原則だとおっしゃるんですが、財投を、投融資をこれを使うという、その辺りの御見解を、何か岡田副総理が、何か御意見ありますか。
  91. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 御指名でございますので。  今のお話、自主運用を制限するということになりますと、これは今の形からむしろ公社とかそういった形にまで戻さないと難しいことではないかと。一〇〇%民営化するかどうかということについては横に置くとして、一定の民間の資本を入れて株を売却していくという考え方に立ったときに果たしてなじむのかという議論が残ると思います。
  92. 川上義博

    川上義博君 最後に。  民主党はこれからも一枚岩になって足下をしっかり固めて、これからどんな、難問山積ですけれども立ち向かっていくと。それは、その先にあるのは国民の皆さんのやはり生活なんだと、所得も水準も上げるということなんだという決意を総理に最後にお答えいただいて、私の質問を終了させていただきます。
  93. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 政府・与党が一丸となって国民の生活が第一という理念の下で様々な政策を具体的に実現できるように、これからも全力を尽くしていきたいというふうに思います。
  94. 石井一

    委員長石井一君) 以上で川上義博君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  95. 石井一

    委員長石井一君) 次に、はたともこさんの質疑を行います。はたともこさん。
  96. はたともこ

    ○はたともこ君 民主党のはたともこでございます。委員長を始め皆様、今日はどうぞよろしくお願いいたします。  では、まず、野田総理にお伺いをしたいと思います。    〔委員長退席、理事武内則男君着席〕  現在、民主党では、社会保障と税の一体改革について連日合同会議が開かれて激しい議論が交わされています。その中で、二〇〇九年のマニフェストにも明記されている税と保険料を一体的に徴収する歳入庁の設置が議論をされています。私は社会保障と税の一体改革のためには歳入庁の設置が不可欠だと思っておりますが、総理、端的に伺います。歳入庁の設置を一体改革の中で、できれば今国会で実現していただきたいと思うのですが、御決意をお聞かせいただきたいと思います。
  97. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 歳入庁については、最近、毎年度税制改正大綱の中に位置付けさせていただいて、検討するという形になっていますけれども、特に先般、岡田副総理の下に実務的な検討を行う作業チームを立ち上げまして、今本格的な作業に着手をしてきたところでございます。  その検討に当たりましては、まず第一に、国民年金保険料等の納付率向上につながるのか、要は国民の年金に対する信頼回復の視点からの検討と、それから二つ目は、社会保険行政、税務行政全般の効率性確保に資するか、行政効率化の視点ということ、それから三つ目が、今後導入が見込まれるマイナンバー、給付付き税額控除、新年金制度などにとってふさわしい体制か、新制度への対応という視点、こうした視点から検討を進めていくことになっておりますが、四月ごろには中間報告を行うこととさせていただいております。  歳入庁については、これらの基本的な考え方、視点を踏まえて、歳入庁の創設による税と社会保険料を徴収する体制について、国民の皆様の視点に立った徴収体制を構築する観点から、しっかり取り組んでいきたいと考えております。
  98. はたともこ

    ○はたともこ君 よろしくお願いいたします。  私は、昨年の十二月二十九日の合同総会で、僣越ながら総理に対して発言をさせていただきました。少なくとも二年間は名目三%、実質二%の成長を実現して、三年目もそれが見込まれるときに法案を提出する。また、二〇〇九年マニフェストの補助金改革、天下りの根絶などで六・一兆円の無駄削減の約束を実行する。さらに、法案提出前に必ず総選挙で国民の皆様の審判を受ける。これらを前提に消費税を増税するのなら、月七万円の最低保障年金の実現のためにすべきであると申し上げました。  結果的には、最低保障年金の法案を来年の国会に提出することが素案、大綱に明記されることとなりましたが、残念ながら、その後一向に民主党内でも政府でも最低保障年金の議論が進んでおりません。  そこで、再び僣越ながら総理に御提案なのですが、月五万円全額税負担の基礎年金と現行月一万五千円の年金保険料を組み合わせることによって月七万円の最低保障年金を実現できるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。総理の御見解をお聞かせいただけないでしょうか。
  99. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 一体改革の大綱に盛り込んだ新しい年金案というのは、これはちょっと長い間の民主党内の議論の蓄積を踏まえて、その集大成として書いてあるものでございまして、それは、基本構想はもう御理解いただいていると思いますが、所得比例年金と最低保障年金を組み合わせたものでございます。その中で、今新たな御提起として、最低七万円を保障することで、高齢期に少なくともこれ以上は受給できるという年金額を明示して高齢期の生活設計を立てられるようにするという点で、その点については共通をするというふうに思います。  ただ、一方で、御提案は、一律に税を財源として五万円支給するとした場合、これまで真面目に年金保険料を納めてきた人とのバランスの問題、公平感の問題が出てくるんではないかと思います。また、これまでの保険料納付実績を年金水準に反映しなくていいのかという大事な議論も出てくると思いますので、そういうことを是非党内で議論いただきたいと思いますが、ただ、もう既にこの大綱の中には新しい年金の姿、骨格は提示をしていますので、それを踏まえた御議論をしていただければ有り難いというふうに思います。
  100. はたともこ

    ○はたともこ君 党内での更なる議論、私の提案も含めまして議論していただくことを期待いたします。  次に、日本経済にとって重要な電力問題について伺いたいと思います。  昨年の夏、玄葉当時の国家戦略大臣は、全ての原発が停止した場合でも夏に電力不足も料金値上げも起こさせないことが政府の方針であると言明されました。古川現国家戦略大臣も昨年十月に、私も同様の認識を持っておりますと国会答弁をされ、昨日も内閣委員会での私の質問に対して、基本的にその方針であると答弁されました。  そこで、直接の担当でいらっしゃる枝野経済産業大臣も同様の御認識であられるのか、お伺いをいたします。
  101. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) この夏の電力需給については、これも御承知だと思いますが、昨年のたしか十一月だったと思いますが、平成十年の猛暑並みのピーク需要で有効な対策を講じなかった場合には約一割の需給ギャップが生じるという試算をしています。今、予算や規制改革を通じた供給力の積み増しと省エネの促進等により需給ギャップを埋めるための最大限の努力をしているところでございます。  したがって、国民の皆さんには相当な省エネの御協力をいただかなければならないと。これは具体的に、更なる、より具体的な需給の見通しを立てた上でお願いをしていきたいと思っておりますが、そうした中で何とか乗り切りたいと。私からは少なくとも、一律、強制の電力使用制限令は何とか回避したいし、回避できる可能性はあるということでございますが、今後、詳細に更に詰めてまいりたいと思っております。
  102. はたともこ

    ○はたともこ君 この問題は再稼働と切り離して、電力不足も料金値上げも起こさせないということを是非実行していただきたいと思います。  今現在、大きな問題となっておりますのが東京電力の料金値上げと関西電力の電力不足の問題です。  まず、東京電力の料金値上げ問題ですが、企業、法人の皆さんは大変お怒りでいらっしゃると思います、混乱されていらっしゃると思います。この問題を枝野大臣はどのように対処されるおつもりなのか。企業、法人向けでなく、今後の家庭向けも含めて、経済産業大臣として東京電力の経営合理化などで料金値上げなどさせないでいただきたいと思いますが、枝野大臣の御見解をお伺いいたします。
  103. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 東京電力は特に原子力損害賠償支援機構法に基づき支援を受けているところでありますので、他の電力会社以上に徹底的な経営合理化が求められているし、これは支援をするに当たっての大前提であると思っております。  今、今春をめどに策定する総合特別事業計画を東京電力と原子力損害賠償支援機構で策定をしているところでございますが、これに当たって、私も先月十三日、東京電力の西澤社長に対して、需要家の負担の最小化を図るため、経営合理化の上積みと需要家に対する徹底的な説明責任を果たすとともに、電気料金の総原価の洗い直しの結果を自由化料金にも遡及的に反映することを求めたところでございます。  今、こうした指示に基づいて徹底した合理化に向けた議論を両者でしていただいているところでございますが、その結論を待って、例えば総合特別事業計画を認可できるのかどうかということを判断してまいりたいと思っております。
  104. はたともこ

    ○はたともこ君 企業、法人の皆さんは、できればPPS、新電力に切り替えたい方がたくさんいらっしゃると思います。しかし、PPS、新電力は供給力が不足しているとも言われています。PPS、新電力の供給力を増やすことは政府の方針だと思いますが、どうやっていつまでにどのくらい増やしていくのか。私は少なくとも二割以上のシェアが必要だと思いますが、五十キロワットの枠を取り払って電力自由化を更に進めることも含めて、枝野大臣の御見解を伺いたいと思います。
  105. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 私、申し上げていつもおりますが、自由化といいながら、結局ユーザーの側には供給者を選択する自由が事実上ないにもかかわらず、料金の値上げだけ自由になっているというのは本当にゆがんだ自由化であると。このゆがんだ自由化の構造は変えていきます。  そのために、総合資源エネルギー調査会に電力システム改革専門委員会を設置をいたしました。そこには、その設置に当たって論点を示しておりまして、小売分野の選択肢拡大のために供給者や電源の多様化が重要であること、そのため発電分野の規制の見直しや卸電力市場の活性化などが必要ではないかと、こういう観点で御議論をいただいております。  ただ、これは電力システムそのものを変えていきませんと、単に自由にしたら入ってくるかというと、現状の自由化部門も、一応いつでも誰でも入れることにはなっているけど入れていないということですので、まさに参入を後押しするような仕組み、なおかつ、その自由化の際に、実はアメリカが自由化のプロセスでブラックアウトを起こしましたが、あれは中途半端な自由化をしたせいで起こったことなので、しっかりやればそういった問題は起きませんが、しかし、まさにしっかりとブラックアウトなどを起こさないようなシステムをつくるのに若干の検討の時間を今いただいているところでございます。
  106. はたともこ

    ○はたともこ君 次に、関西電力の電力不足問題について伺います。(資料提示)  今日はお手元に資料を配付させていただいておりますけれども、まず二ページを開けてみていただきたいのですが、関西電力が三月二日に公表した三月十二日から三月十六日までの需給見通しでは、供給力は二千二百四十八万キロワットで、二百十一万キロワット、八・六%の不足となっていますが、一ページ目を見ていただきたいのですが、三月十五日の実績値の供給力は二千六百五十八万キロワット、四百五十三万キロワット、二〇・五%の余裕が実際にはありました。  見通しと実績で、供給力に四百十万キロワット、余裕度でマイナス八・六%からプラス二〇・五%、差引き二九・一%もの差があるのは、幾ら何でもおかしいのではありませんか。見通しの数字は電力不足を誇張してPRするためにわざと低く見積もった虚偽、まやかしの数字ではないかと私には思えますが、枝野大臣、いかがでしょうか。
  107. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) まず、現状のこのずれについて関西電力からヒアリングをした関西電力の説明について申し上げると、一般水力について渇水時を想定した堅めの評価で出していると。それから揚水発電については、節電の効果で電力に余裕があると、その間に水を上に揚げておいて足りないときの供給に回せるということなので、様々なその前段階、前日とか前々日とかそういう段階における需給の関係によって上積みができたということが説明であります。  確かにこれ、堅めに見積もらなきゃならないということは私もそのとおりだと思いますし、揚水についてはなかなか見積りが難しい、直前になると難しいのは認めた上で、ただ、例えば一般水力の評定が、過去三十年間の状況から、出水が低かった下位五日間の平均値を月単位で評価するということだそうでございまして、こういうやり方が果たして現実的であるのかと、もうちょっときめ細かく、ダムにどれぐらい水がたまっているのかとかというのはある程度の直前の段階で想定できるわけですから、今後、この夏に向けて需給見通しの作成方法や根拠について更に改善を求め、なおかつ分かりやすく情報提供をしていくように促してまいります。
  108. はたともこ

    ○はたともこ君 是非よろしくお願いいたします。  では、次のパネルをお願いいたします。  もう一つ、お配りした資料の三ページ目を御覧いただきたいのですが、二月二十九日の供給力実績を見ていただきたいのですが、二千七百三十六万キロワットです。エネルギー・環境会議が昨年十一月一日に公表した今年の夏の需給見通しに掲載されている、パネルは来夏となっていますが、今年の夏のことですね、に掲載されている関西電力の昨年夏のピーク需要は二千七百八十四万キロワットです。下の段で、今夏ピーク実績となっておりますのが、昨年夏のピーク実績、二千七百八十四万キロワットです。二月二十九日の供給力実績は二千七百三十六万キロワットからすると、あと四十八万キロワットで昨年夏のピーク需要を満たすことができるのです。  中部電力、中国電力、東京電力等からの融通や、揚水、自家発等の更なる活用で関西電力はこの夏、原発ゼロでも十二分に乗り切れるのではないかと思うのですが、枝野大臣、いかがでしょうか。
  109. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) これは今のパネルにも多分書いてある、赤字で書いてあるとおり、昨年は一昨年に比べれば猛暑の度合いが低かったということと、関西地区では数値目標付きの節電のお願いをして、その効果が大きく現れています。  上の段の、一番の方の需給ギャップの出発点のところは、一番需要の多かった年の節電努力とかのないものをベースにしています。ですから、相当な節電の御協力をお願いをすることがかなり大前提になります。  それから、節電の御協力をお願いしても、やっぱり特別寒い日とか特別暑い日のリスクをどう考えるのかということについては、これは一定の考慮が必要だろうと。  それからもう一つ、供給力の方なんですが、これは特にやっぱり水力と揚水がポイントになりまして、まさに、一般的に水が足りる状況に夏なっているのかなっていないのか、それから全体の需給の変動によって揚水をどれぐらい活用できるのかということによって、二月二十九日の二千七百三十六万キロワットを安定的に確保できるのかということについては詳細な検討が必要だというふうに思っています。  ただ、先ほど申しましたとおり、強制的な一律の電力使用制限令はできれば使いたくないし、その可能性はあると思っておりますし、できれば計画停電などもしたくないと思っていますので、最大限節電をどの程度きちっとした形で見込めるのかと、それから供給力の積み増しについては最大限の努力をして、その上で最終的な需給見通しを立てたいと思っています。
  110. はたともこ

    ○はたともこ君 パネルはもう結構です。  私は、原発なしでも十分に乗り切れる、融通で乗り切れると思っておりますので、是非検討していただきたいと思います。    〔理事武内則男君退席、委員長着席〕  さて、原子力に代わるベースロード電源として、私は天然ガスコンバインドサイクル発電が最もすぐれていると思いますが、枝野大臣、この夏までに策定されるエネルギー基本計画で、LNG・MACC、すなわち最新型天然ガスコンバインドサイクル発電はベースロード電源としてきちんと位置付けられるということでよろしいでしょうか。
  111. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) エネルギー基本計画については、最終的には経済産業大臣権限で決めることになっていますが、今、総合資源エネルギー調査会で、これは原発についての立場について幅広い皆さんに、まずはその前提としての御議論をお願いをしている途中ですので、その御報告をいただいた上で最終的に私の責任で決めたいと思っておりますから、余り予断を与え過ぎてはいけないかなと思っておりますが。  御指摘の天然ガスによる発電、しかも、効率を高めたMACC等のコンバインドサイクルは大変重要な今後の電源であるという認識は私も持っておりますし、また多くの委員の皆さん持っておられるというふうに思っておりまして、これを、環境への影響等を踏まえながらどの程度今後増やしていけるのか、専門家の皆さんの調査会における議論を踏まえて最終的に判断してまいりたいと思っております。
  112. はたともこ

    ○はたともこ君 昨日、古川大臣にも内閣委員会でお伺いいたしましたが、原発の輸出ではなく、このLNG・MACC、また石炭のUSC、そしてアドバンストUSC、さらにはIGCCなどの日本の先端的発電設備、技術、ノウハウを世界中に展開していくことを日本の国家戦略とすべきではないかと思っております。  外貨準備のファシリティーの活用も含めて是非御検討いただきたいのですが、最後に、総理の御見解をお伺いしたいと思います。
  113. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 今、はた委員から御指摘いただいたところは、日本が強みを持つまさに環境配慮型の技術だと思います。積極的に海外展開を図っていきたいと思います。
  114. はたともこ

    ○はたともこ君 以上で終わります。  ありがとうございました。
  115. 石井一

    委員長石井一君) 以上で、はたともこさん、民主党・新緑風会の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  116. 石井一

    委員長石井一君) 次に、礒崎陽輔君質疑を行います。礒崎陽輔君
  117. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 おはようございます。自由民主党の礒崎陽輔でございます。  昨年の三月二十九日、予算委員会の締めくくり総括質疑でこの席で質問に立ちました。東日本大震災後初めての予算委員会でありました。菅総理以下閣僚の皆さんは防災服を着ていました。私は災害対策の総司令官である菅総理がヘリコプターに乗って原発を視察したのはおかしいのではないかと、総理が東京電力まで出かけていってどなり散らしてどうする気か、水素爆発はベントと海水注入の遅れが原因ではないかと質問をしました。  国難のときに政府をいじめてけしからぬという御意見もたくさんいただきましたが、しかし一年をたってみて、最近の報道を見ますと、私が指摘したことはほとんど事実であったということが分かってまいりました。住民の避難の在り方を含め、政府の初動対応のミスが現在の大きな原子力災害をもたらしたのであります。当時の責任者である枝野大臣や細野大臣予算委員会大臣席に座っていることに違和感を感じる国民も私は少なくないと思います。このことは今、国会の検証委員会で調査中です。その結果を待って、またしっかりと質問をさせていただきたいと思います。  しかし、どうしても一点だけ申し上げたいことがあります。私は小泉内閣で安全保障担当の内閣参事官をやっておりました。当時、有事法制をやっておりまして、そのころから都道府県知事の意見を聞いて法案の作成をやっておりました。そのとき都道府県知事が一番、これだけは礒崎さん、ちゃんとやってほしいと言われたのが、要は原子力発電所をどうやって守るかということであります。そのとき私は原子力保安院といろんな話をしました。核ミサイルが来たらどうするんだと、まあ、それはなかなか難しいなという話もありました。じゃ、通常爆弾の攻撃には耐えるのかと言ったら、当時の原子力保安院は通常爆弾の攻撃には耐えられると言ったんであります。今回の被害を見て、まさに今言ったようにだまされた感じが私がするわけでありますが。  ちょっと少し古い話でありますけど、当時の内閣官房に、原子力保安院が通常爆弾による攻撃に耐えられるという答弁をしていたと、説明をしていたということを確認できますでしょうか。
  118. 深野弘行

    政府参考人(深野弘行君) お答えをいたします。  今の点につきまして、当時のこの有事法制にかかわっておりました保安院側の課長や担当者に確認をし、また当時の資料も確認をいたしましたが、当時、原子力発電所が通常爆弾等による武力攻撃に耐え得るという説明をしたという記憶やあるいは資料は残っていないということでございます。
  119. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 言うた言わぬはしようがないですが、私が証人になります。私にそういう説明をしておったわけであります。  では枝野さん、経済産業大臣にお伺いしますが、今の段階原子力発電所は通常の爆弾攻撃に耐えられるとお考えでしょうか。
  120. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 原子力発電所の原子炉等の重要施設については、爆弾等の攻撃を想定した設計は行われていない、ただ、一般的には相当の程度の堅固さを有する施設であるということでありますが、原子力発電所の安全が原子炉や建屋などの中心的な施設のみならず冷却系や電源等の施設に依存をしていると、今回の事故の教訓の大きなポイントの一つでもあると思っております。  こうした施設は爆弾等の攻撃に対する脆弱性を有しているというふうに認識をしておりまして、こうした脆弱性を踏まえた上で、立入り制限区域の設定や建屋内の主要設備の防護を求めるなどの対策強化してきているところであり、同時に、警察庁、海上保安庁、防衛省など関係機関との緊密な連携の下に爆弾等のテロなどの備えに努力をしているところでございます。
  121. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 まさにそのとおりでありまして、いわゆる原子炉の格納容器はある程度の強度があるんだと思いますけど、無残に破壊されたあの建屋、建屋の中にはいっぱいパイプラインがある、これも全部むき出しであります。そして、一番大切だった非常用の電源装置は、これは耐力度がS、A、B、Cとあるんですよ、Sが一番強いんですね、もちろん。Bランクのタービン建屋の地下にこの非常電源装置は設置されておった。その補助燃料タンクは、写真で見たら分かるとおり、海辺にまさにむき出しであったと。電気を供給する鉄塔も極めて脆弱であります。全くこれは、私は原子力保安院にだまされたと今思っておりますけれど。  それで、電力供給車を今、だから電力会社が山の上の方に置くと言っておるんですけど、山の上に置くと今度は爆撃には耐えられないんですよね、爆撃に耐えられぬ。上空からの攻撃にも備える必要があると思います。  田中防衛大臣、自衛隊としては、テロや有事に備えて、あるいはテロや有事のときにどんなことが自衛隊ができると考えているんでしょうか、また行おうと考えているんでしょうか。テロと有事は少し話が違うので、テロと有事で分けてお話しください。
  122. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) お答えいたします。  原子力発電所の警備については、第一義的には公共の安全と秩序の維持を責務とする警察において実施していますが、原子力発電所へのテロ攻撃等であって一般の警察力をもって治安を維持することができない緊急事態が発生した場合には、自衛隊法第七十八条に規定する治安出動により自衛隊が警察と緊密に連携して対処、対応することとなります。  また、外国の武装工作員による原子力発電所への攻撃等が我が国に対する組織的、計画的な武力行使に該当する場合には、自衛隊法第七十六条に規定する防衛出動により自衛隊が対応することとなります。  また、その攻撃がやはり武力攻撃事態ということになりましたら、自衛隊、これは内閣の判断であるわけでありますが、国民保護法によりましてその武力を排除するということも視野に入れて対処することが必要だと認識をいたしております。
  123. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 全く具体性のない答弁でありますね。P3CとPAC3間違えたらしいですけどね、大臣。もうちょっと真剣に考えてもらわなきゃ困りますよ。今、もうこれはまた月曜日の外交防衛のときの集中審議で追加で質問いたしますけど、今もあなた、北朝鮮が衛星の打ち上げとはいえ、ミサイルをまた打ち上げようとしているときに、日本をしっかりと守らなきゃ私はいかぬと思います。  今後のいろんな原子力行政どうするか、これは皆さんとお互いに話していかなきゃなりませんけど、総理、やっぱり津波だけじゃないですよね、地震と津波だけじゃない。テロや有事、これにしっかりと備えた原子力の安全性の確保を私らがやっていかなきゃならぬと思いますが、総理の御見解をお伺いいたします。
  124. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) まさに礒崎委員の御指摘のとおりで、津波や地震だけの対応ではこれは不十分だと思います。事業者の役割もありますが、政府としては、先ほど、今防衛大臣答弁ありましたけれども、警察、海保と連携しながら自衛隊がどういう役割を果たすのか等々、しっかりと対応を練っていかなければいけないと思いますし、その議論の発端というか契機となるのが、国会のお許しを得て来週出席させていただく核セキュリティ・サミットだというふうに思います。その議論を深めてまいりたいというふうに思います。
  125. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 いや、核セキュリティ・サミット、今あって、私も後で言おうと思ったんですけど、いや、今言ったようにソフトだけじゃないんです。対応だけじゃなくて、やはりいろんなものがむき出しなんですよ、今の原子力発電所は。もう少しやっぱりしっかりとしたシールドをする、いわゆるさっき言った通常爆弾ぐらいに耐える、それぐらいの構造も考える必要があると思います。今すぐにやれと言うかどうかは別ですけど、ちょっと経産大臣、どうですか。
  126. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 昨年の三月十一日より以前の対応策については申し上げませんが、三月十一日の原子力発電所事故を踏まえた対策として、昨年十二月に原子炉等規制法に基づく関係省令を改正をいたしまして、立入り制限区域を設けてフェンス、カメラ等を設置すること、それから建屋内にある主要な設備の周囲に破壊防止のための障壁等を設置すること、それから、コンピューターシステムを外部ネットワークシステムから遮断すること、これは遮断されていたんですが、法律上もきっかりと明記をしたということですが、建屋内にある主要な設備の具体的な中身については、これは防護上の観点から発言は控えさせていただきたいと思いますが、こうした省令改正をして、御指摘いただいたようなことに対するハード面の対応も進めているところでございます。  さらに、この三月には、昨年二月に公開されたIAEAの核物質防護勧告を踏まえて、やはり関係省令の改正をすべくパブリックコメントを進めておりまして、防護本部の二重化や、これはヒューマンの方でございますが、二人ルールの実施等を実施しようということで準備の最終段階に入っております。更にこうした努力を進めていかなければならないと思っております。
  127. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 そういうことも含めて、やっぱりちゃんとシールドしないと私は最終的には危ないと思いますよ。これは是非御検討をいただきたいということで、テロ・有事対策もしっかりとやっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  金融財政の本論に移りたいと思います。  民主党の川上理事が私の前段の質問をほとんどやってくれましたので、節約をしてやらせていただきたいと思います。  消費税の問題から聞いてまいりたいと思いますけれども、国民新党の亀井代表がもうはっきりと法案には反対だと言っております。  自見大臣、閣議では反対なされるんでしょうか。
  128. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 亀井代表は綿貫代表の後を継いで今、国民新党の党首でございまして、そういった意味で、三十年以上のやっぱり保守政治家としての見識と懐の深さを持った人でございまして、そういった意味で、彼は党首としての責任でいろいろ発言しておるのは新聞、テレビ等でお聞きしておりますけれども、まだ党では実は正式にはこれ話をしておりませんので、そういったことを含めてこの法案に賛成するかしないかということをお聞きでございますが、今の時点で賛否について仮定のお話をさせていただくのは、礒崎先生のせっかくの質問でございますけれども、お答えするのは適当でないというふうに思っています。  ただし、一つ、国民新党はですね、もう先生御存じのとおり、綿貫さんのときから、立党のときからやはり郵政改革の推進ということはもう一丁目一番地でございますから、そういったこともこれは大変党としては大事なことでございますから……(発言する者あり)
  129. 石井一

    委員長石井一君) 御静粛に願います。
  130. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) そういったことで、しっかり頭に置きながら、消費税のこともこれまた大変大事な話でございまして、竹下内閣あるいは橋本龍太郎内閣でも……(発言する者あり)
  131. 石井一

    委員長石井一君) 静粛に願います。
  132. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 我々は経験させていただいたわけでありますから、そういったことを、しっかり民意等も踏まえて、表面的、多角的に検討させていただく、論議を尽くしていく必要があるというふうに思っております。  これは、私もやっぱり二十七年国会議員をさせていただきましたが、大変消費税も大事な問題でございますから、今日はテレビ中継もございますから国民の前でしっかり答えさせていただくというところでございます。(発言する者あり)
  133. 石井一

    委員長石井一君) 自見金融大臣、党の政策は重要でありますが、質問者に答えていただきたいと存じます。
  134. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 全く無駄な答弁は、大臣、しちゃ駄目ですよ。ただ、今言ったのを要約すれば、要は亀井代表はいろいろ言っているけれども、まだ党で決めたわけではない。今も賛成も反対も言わなかったから、まあ反対する可能性もあるということだと私は思います。そういう答弁だったと私は思います。  これまでの委員会でも逆進性の緩和ということが言われておりますけれども、私、逆進性という言い方は本当はおかしいと思いますよ。消費税はほとんどの所得で比例的なんですね、累進的ではないけれども比例的。ただ、一番低い所得層のところで少し相対的な負担が言わば逆進的に見える、ここをどうするかという問題。そこは、仮に消費税を上げるのなら私と皆さんのところで意見は一致しておるわけでありますけれども、もうこの対策は今民主党の中でもいろいろ議論されておるようでありますけれども、民主党の中で話は決まりましたか、安住大臣
  135. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) 今、礒崎先生から御指摘あったところが最大の論点の一つになっておりまして、昨日も十一時過ぎまでそれぞれ熱心な議論をいただいております。それで……(発言する者あり)あっ、十二時過ぎですか。  礒崎先生が御指摘のように、並行してずっと掛かっていきますが、トータルとして見たときに低所得者にその負担比率が高くなると、この負担比率の高さに対してどういうふうにサポートをするかということですから、テレビを御覧になっている皆さんから見ると、逆進性という言葉に対して少し説明やっぱり足りないかなと思っております。  それで、具体的には、これはマイナンバー制度の導入によってある程度そのフローの所得を把握させていただいたところで税額控除それから給付というのがありますが、その前段階の、今まで余り明確には申し上げませんでしたが、私としてはやっぱり八%の段階から何らかの対応というものは必要にはなろうと思っております。
  136. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 そのマイナンバー制度動き出す前に、総理が簡易な給付措置をやるという、これ予算措置でやるとこの前総理答弁しましたけど、本当に予算措置で、総理、できますか。
  137. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 簡素な給付措置は、やり方は、今ちょうど党内でも議論されておりますけれども、法律に基づく制度とするのか予算上の措置とするのかについてもこれは検討を今していただいているところですが、消費税を導入したとき、あるいは三%から五%に引き上げたときに臨時福祉給付金という形で予算上の措置として講じられたこともかつてはございました。今、そういうことも踏まえながら、法律としてやるのか予算上の措置とするかは議論をしているところでございます。
  138. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 この前は予算措置だと総理言ったような気がしたんですけどね。  これは、でも、なかなか難しいんですよ。確かに予算で、一方的な給付だったら可能かもしれない、単年度のね。だけれども一定限の相手側の行為も要るんだったら、なかなか予算だけでは難しいと思いますよ。  今、安住大臣の方からマイナンバー制度という番号制度ができればやると言いましたが、この措置はいつからどのような形でやるんですか。
  139. 石井一

    委員長石井一君) 古川担当大臣。(発言する者あり)簡単に御答弁願います。
  140. 古川元久

    国務大臣古川元久君) 番号は平成二十七年から導入の予定でございます。
  141. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) 番号制度が、正式に成立をして、制度設計できた段階からやるということになると思います。(発言する者あり)簡易な方でなくて……
  142. 石井一

    委員長石井一君) 質問してください。
  143. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) 要するに、マイナンバー制度が成立をして、そして二〇一五年に消費税が引き上がるという話とほぼ同時期にできれば、制度設計をできればその段階からやれるのがベストだと思います。
  144. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 今消費税議論しているのに、この一番大事なところ決まっていない。これ、民主党の人、怒らないかぬですよ、こんなの。大事な話でしょう。これはセットで議論しなきゃ、我々からしたら議論する気ありませんよ、いつどうやるか。  ただ、これ、マイナンバー、マイナンバー言うけど、できますかね。マイナンバー法というものを政府が法案出していますけど、その第五十六条にこう書いているんですよ。市町村長は、政令で定めるところにより、当該市町村が備える住民基本台帳に記載されている者に対し、その者の申請により、その者に係る個人番号カードを交付しなきゃならぬと。これ、任意交付なんですよね、カードは。これはどうやって、任意交付のカード、将来はこれ年金にも使う、国民の健康保険証にも使う。健康保険証が、カードを持っている人とカードを持っていない人がいる、こんなばかな法律がありますか。こんなもんで給付はできると思いますか。安住大臣、どう考えますか。
  145. 古川元久

    国務大臣古川元久君) 今ちょっと委員から、これ、番号の話、非常に大事なものですから。健康保険証までカードで、番号でというお話がありましたが、今のところは、現金で、お金のところを考えていまして、そこまで、健康保険証とかなんかまでカードでということは考えていないということは、ちょっときちんと確認をさせていただきたいと思っております。  その上で、その上で、今おっしゃったカード、マイナンバーができたときのカードについては、これは基本的に皆さん方に、今総務省の方で検討もいただいておりますけれども、国民全員に、皆さんに配付をする、そういう方向で検討をいたしております。
  146. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 おかしいよ。いや、安住さん、よく聞いてくださいよ。任意交付なんですよ、これは。申請があった人に配ると書いている。こんなカードでどうやって所得を把握できるんですか。安住大臣、答えてください。
  147. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) これから自治体とも話合いをさせていただきますが、法定資料制度に基づいてフローの所得について、できるだけこれで把握をさせていただいて……(発言する者あり)ですから、自治体とよくお話、話をさせていただいて、できるだけこれをやっぱりフォローしていくということに尽きると思うんです、今は。(発言する者あり)
  148. 石井一

    委員長石井一君) それじゃ、速記を止めて。    〔速記中止〕
  149. 石井一

    委員長石井一君) それじゃ、速記を起こしてください。  もう一度、質問を明確にしてください。
  150. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 明確にしたと思いますけどね。要は、このカードは任意交付なんですよと、自分が欲しいという人だけに交付すると、あなた方がもう閣議決定して国会に出している法律には書いていて、任意交付をしておって、どうして国民全体の所得が把握できるんですか。それを教えてくださいって言っているんですよ。
  151. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) それは、古川大臣から付け加えさせていただきますけれども、任意交付のカードと、所得全体を把握する、要するにそういうカード、カードでなくて制度、番号制度というのは、これは、番号制度は今私が申し上げたようにフローの部分は把握をさせていただくと、しかし、交付をするそのカードの所有については任意というふうな私は判断だと思っております。
  152. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 いや、おかしいよ、それは。だって、例えば、今から銀行に行ったら、銀行の通帳を作るのに番号を書かなきゃ、それは金融資産把握できないわけでしょう。要らないって言ったら、どこからその番号をもらうんですか。
  153. 古川元久

    国務大臣古川元久君) 今の法案の中では、銀行に行くときに、銀行口座を作るのにですね、礒崎議員もひょっとしたらアメリカにいらっしゃったかもしれませんが、アメリカなどだとソーシャル・セキュリティー・ナンバーが必要なんですが、今の法律の立て方では、そこのときに番号を必要とするとか、そういうことは求めておりません。  ですから、今、安住大臣が申し上げましたけれども、要は、番号を使って、今税務署だとかあるいはばらばらになっているそういう所得の情報とかを、あるいは社会保険料の給付状況とか、そういうものを行政機関内でこれは番号を使ってまとめていくと、そのことによって所得を今まで以上に全体的に適正に把握をしていくような状況にしていこうということであって、そのことと、カードを持っているか持っていないかということと所得を把握するというのは、これはまた別の問題だということは御理解をいただけると思いますけれども。  ちゃんとその番号を使って、それは行政機関内での情報をまとめていくというところで共通番号を使わせていただくということでございます。
  154. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 これは全く答弁になっておりません。国民の皆さんは分からないと思いますよ。  要は、銀行で口座を作るときに本人が番号を書かなきゃ、今から口座はできなくなるわけでしょう。だから、カードと番号制度が違うのはいいけど、じゃ、その番号をどこから、誰からどうやってもらったらいいか、大臣答弁してくださいよ。
  155. 古川元久

    国務大臣古川元久君) 先ほど申し上げましたけれども、今の提案させていただいた法律の中で、口座を作るときにこのマイナンバーをちゃんと申告をしないと口座ができないとか、そういうふうなことは考えておりません。
  156. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 じゃ、金融資産をどうやって、大臣、把握するのか。財務大臣に聞きます、じゃ。
  157. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) いや、ですから、カードを持つことは任意ですよね。だから……(発言する者あり)いやいや、ですから、フローの、カードを、把握するために新たに個人個人の番号というものを一つにしまして、そこで把握をするということになります。(発言する者あり)
  158. 石井一

    委員長石井一君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  159. 石井一

    委員長石井一君) それでは、速記を起こして。  古川担当大臣、明確に答えてください。
  160. 古川元久

    国務大臣古川元久君) 先ほどから申し上げておりますけれども、番号はちゃんと全員に決めるんです。しかし、カードについては、委員御指摘のように、法律の中ではこれ任意交付という形になっています。今の法律の立て付けの中では、利子所得とかそういうものについてまでこれを集めるということにはなっていません。これは今、これまでの国会審議の中でも、こういう利子所得までを含めて番号でこれを集めるべきじゃないかという議論は出ています。  私は、これは国会の中での、法案を出して、まさに御議論をしていただければいいというふうにお願いをさせていただいておりますけれども、それから、今の法案の中ではそうした形になっておりますので、番号を預金口座とかを作るときに必要としてはいないわけです。ですから、カードを持っていないからといって別に預金口座が作れないとか、そういうわけではありません。番号を使って……(発言する者あり)はい、まあちょっと聞いてください。それから、私どもは、番号を使って、先ほども申し上げましたが、これは税情報であるとかあるいは社会保険料の情報とか、それは今役所ごとでばらばらになっています、その情報を一元的に管理をしていくと、まとめていくという形になるということであります。
  161. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 全然答えにならぬと思います。  じゃ、安住大臣、あなたが言うフローの所得というのは何か、全部言ってください。
  162. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) いわゆる源泉分離課税を対象にした法定制度に基づくものだというふうに思います。ですから、給与所得、それから不動産譲渡、例えば海外送金、株式譲渡、配当、それらのものがあると。  確かに、その御指摘は、ストックの部分について把握ができない、今度の制度ではできないのではないかというもので、そういう御指摘であれば、確かにそういうところはあります。
  163. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 いやいや、例えばコンビニでアルバイトするときに、今から源泉徴収するときに、アルバイトの人ですよ、私の番号はこうですと、そこのコンビニの店長さんに見せなきゃ、今から源泉徴収のときの把握もできないじゃないですか。それを任意交付でできますかと聞いているんです。じゃ、コンビニのアルバイトの場合はどうなのか、言ってくださいよ。
  164. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) ですから、そのアルバイトの方が仮に学生さんで、ふるさとが例えば大分県大分市だとしましょう。そのときに、所得として申告をしてもらって、多分その住民票なり、まだ、制度設計のことは私の所管じゃありませんけど、そこでナンバーを手続をしてもらえば、カードはないけれども、それは対象になるということだと思います。
  165. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 いえ、そうしたら、でも任意交付だから、アルバイトやる人は、任意交付だけれどカードを勝手に作って持ってこいと、持ってこなけりゃコンビニでアルバイトさせないと、そういう設計にするつもりですね。
  166. 古川元久

    国務大臣古川元久君) さっきから申し上げておりますけれども、番号はきちんと全員に振るんです。ですから……(発言する者あり)いや、これは、番号をきちんと皆さん方にちゃんとお伝えをする。ただ、カードを交付するかしないかということと番号をきちんと振るかどうかという、これは別の問題なんですね。  私どもが今申し上げているのは、これは法定調書で、税制上、法定調書で必要としているもの、ちゃんと税務署にきちんと提出してもらう、そういう法定調書については、これはちゃんと番号を振ってもらうという形になっております。(発言する者あり)
  167. 石井一

    委員長石井一君) 古川さん、安住さんに申し上げますが、カードを任意であるのになぜ全員が持っているのかということを礒崎さんは聞いているんですよ。それじゃ、もう一度明確に答弁してください。
  168. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) じゃ、ちょっと私の方から丁寧に。  市町村長は、法定受託事務として、住民コードを変換して得られるマイナンバーを定め、書面により本人にまず通知をするということです。それで、任意によりそのカードを取得する方もおられますけれども、そうでないような方々については申請、届出を行って事務処理上の処理を行うことになります。そして、それについて、個人情報保護に十分配慮をしながら、例えば自宅のパソコン等からの情報提供や確認などもできるような仕組み等も考え、なおかつ法人についてもそういうことをしていきたいというふうなことを考えているということです。
  169. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 総理も勉強してもらえば分かると思うんですけどね。いろいろ言うけど、相当この政府の提案した番号法というのは欠陥法なんですよ。これでそんなものできない。さっきやらないと言ったけど、年金までは今入っているんでしょう。将来は国民健康保険というのは、次の、今議論しているんですから、考えていないような、うそを言っちゃ駄目ですよ。今、厚労省で真剣に健康保険に使うことも考えている。それが任意交付、こんなばかなことはないと思うんです。  総理、いろいろ知らないでしょうけど、少しこれは総理、勉強をして、おかしい法案をちょっと直してもらいたいと思うんですけど、総理、いかがですか。──いや、総理総理
  170. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 番号制度については、基本的には御理解をいただきながらの御質問だというふうに思いますので、そういう御提起なども含めて、これは何よりも国民の皆様の御理解と信頼が必要でございますので、そういう御提起なども含めながらよりいいものを練っていきたいというふうに思います。
  171. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 時間がないからもうやめますけどね。要は、このICカードの立派なカードを持っている人と持ってない人で、健康保険で病院に行ったときにこのICカードを出す人と何かこんなぴらぴらの紙を持っていく人がある、そんなばかなことはない、あるはずないんですよ。今のところが、内閣官房の提案している法律というのはそれだけできが悪いということだけは私は申し上げて、民主党の中でも毎日議論をしておるようですが、その中でもよく議論をしていただきたいと思います。  もう少し消費税の中身の問題行きますがね。この前、総理、この委員会の質問で、GDPのグラフと税収のグラフがよく似た形をしておるのに、これはよく似ていますねという問いに対して何かけげんな顔をしておられましたけど、税収弾性値という言葉は御存じですね。
  172. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) けげんな顔をしていましたですか、そんなに。  税収弾性値、あのグラフの線の行き方の理解の仕方だと思いますので、税収はそういうふうに動くと、成長によって動くということだと思います。
  173. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 別に私は引っかけ質問なんかしませんから、素直に答えていただいて結構ですけどね。  今、政府は弾性値幾らだと言っていますか、総理
  174. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) 一・一でございます。
  175. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 ちょっと小さ過ぎるような気はいたしますがね。一以上であることは間違いないんですよ。たしか、最近お顔を見ませんけど、与謝野前大臣は三・一ぐらい言っていたと思いますね。昨日のこの公聴会でも大分議論があったんです。四は行き過ぎだという議論もあれば、四ぐらいあっても不思議じゃないと言いますけど、じゃ、例えば二だとすると、これ安住さん、どういうことですか。
  176. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) 成長して、経済成長すればそれだけ税収が上がっていく割合を示していますから、それは税収が大幅に増えるということになると思います。
  177. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 いや、もうちょっとちゃんと説明してほしかったけど。要は、税収弾性値が二ということは、GDPの上がる割合が一だったときに税収の方はそれよりも二ぐらい上がると、割合でね、そういうことですよね。これが非常に大事なんですよ。皆さんの議論はやっぱり景気回復というのは本当に入ってないと思うんですよ。  もう一度、岡田副総理、さっきの質問にもありましたけど、五%のうち一%が新しい福祉に使って、あとの四%は既存の福祉に使う、そういうことでよろしいですね。
  178. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 御指摘のように、一%分は子ども・子育て始め新しい施策のために、残り四%は既存の制度を持続可能にするために行うものでございます。
  179. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 ここが本当に国民に理解してもらわなきゃならぬのです。国民の皆さんは、将来の老後あるいは子育て、そんなことに備えて五%全部福祉に使うと今民主党は言っておるものだから、五%全部福祉が良くなるんだと思っていますよ。違うんですよ。今の岡田副総理答弁を前提にしても、五%上げて一%だけを新しい福祉の需要に使う、あとの四%は要は赤字国債の穴埋めに使う、そういうのが皆さんの発想なんですよ。それが私はもったいないと思うんですよ。自民党も一〇%までは上げようということを、参議院選でもそう言って戦いました。ただ、自民党は、それは全部新たな福祉の需要に使う。そうしないともったいないじゃないですか。皆さんのところは、五%のうち四%は赤字国債を減らす。減らないんですね、七百数十兆円はそれでも減らないんで、それはそのままおいておいて、新しい赤字国債を減らすために使う。非常にこれはもったいない感覚であるわけです。  なぜ税収弾性値の話をしたかというと、総理、やっぱり景気回復をやってGDPが増えれば税収が上がるんですよ。今なぜ赤字かというと、一つには、六十兆円あった税収が四十兆円に減っている。ちょうど二十兆円なんですよ。確かに減税も中にはありますけどね。そこのところをもう一回増やすという景気回復の、これを入れていかないと、そして、消費税のうち、五%のうち四%は財政再建に使うと。だから、うちの西田昌司さんが貧乏神内閣と言うんですよ、皆さんのことを。  意味がないじゃないですか、せっかくの虎の子をそんなものに使ったら。国民に本当に五%の消費税をお願いするんであったら、五%全部を新たな福祉の増加に使うと、そう総理考えませんか。
  180. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 委員おっしゃるようなことができれば、それは非常に理想だと思います。しかし、社会保障制度について一方でかなり削ってきたのは、例えばかつての小泉政権だったんではないでしょうか。  結局、新しいことはやりたいけれども、しかし、今委員は赤字国債を減らすためにとおっしゃいましたが、そういう面があることは事実ですけれども、同時に社会保障制度を持続可能にするためにということでもあるわけで、もし四%分を社会保障制度の持続可能のためにということで充てない、新しいことに充てるとすれば、結局その分また別途借金を重ねなければいけないということになって、それはやっぱり持続可能じゃないと私は思います。  委員おっしゃるように、経済成長をして税収が増えるということは当然期待しなければいけないことですが、それは私はやはり、一〇にした後のその次のステップ、先ほど議論に出ていましたが、そこでもし税収が思う以上に上がるということであれば、それは増税はその分少なくて済むわけですから、そういうことで考えるべきで、今の財政の置かれた状況から見ると、全部新しいことにやるというような余裕はちょっと私にはないのではないかというふうに思っております。
  181. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 そこが民主党政権の問題なんですよ。それで、附則でまた、今後五年間、その後五年間でまた税を上げる。多分それは消費税を一五%に増すということを念頭に置いた規定だと思いますけど、それでプラマリーバランスを達成しようと。これ、全部赤字補填に消費税を使うということじゃないですか。それがおかしいんですよ。  やっと日銀もやる気になって成果が出てきた。さっきも川上さんが言ってくれたように、円安になって株価も上がってきた。これも遅過ぎたんですよ。遅過ぎたからまた原油の値上げとかぶさって、本当に運の悪い、日銀はそうなんですけどね。  日銀総裁にちょっと聞きますけど、あなたはこの一年間私に、内需がないから、お金は潤沢に供給しているから、内需がないから景気回復に役立たぬと言ったんですけど、ちゃんとやればできるじゃないですか。謝ってほしいと思いますよ、これまでの答弁を。私にじゃないですよ。これまで多くの企業が、あなた方がデフレを是正しないからたくさんの企業が倒産しているんですよ。このテレビを見ている国民の皆さんに、日銀がちゃんと金融緩和をやるのが遅過ぎたと私は謝罪してほしいと思いますが、総裁、どうですか。
  182. 白川方明

    参考人白川方明君) お答えいたします。  先ほど質問に対するお答えと重なる部分は御容赦いただきたいわけでございますけれども、最初に、日本銀行として、デフレから脱却し、物価安定の下での持続的経済成長の実現、これに最大限努力をしております。  マーケットの動きでございます。一昨年の十月に資産買入れ基金を設けまして、それ以来、四回買入れの増額を図りました。去年は三回引き上げ、今年は二月に引上げを図りました。その都度のマーケットの反応を見てみましても、これは毎回異なっております。今回と同じように、十兆円買った後の反応は、今回とむしろ逆なケースもございました。今回は委員が御承知のとおりの反応でございます。  私どもとしては、今回のこの動きにつきましては、幾つかの要因がございますけれども一つの大きな要因は、やはり十月あるいは十一月、十二月を底に、欧州の債務情勢がやはりこの解決に向けて前進が見られているということでございます。それから、米国の経済についても一定の改善が見られる。  そういう下で、今、世界のお金が大変動いております。内外の投資家リスクを少し取れるというムードに今変わってきております。そういう中で、従来は安全資産として消去法的に買われていた円から、そうでない資産に今動くということでございます。この一か月間あるいは二か月間のマーケットを見ても、毎日、世界全体のリスクがどういうふうに変化しているか、それによって刻々変化しております。  そうしたことが示しますとおり、大きな環境の変化とそれから日本銀行政策姿勢、この二つの部分。そういう意味で、日本銀行としては、これまでもそうでございますけれども、今後ともしっかりと責任を果たしていきたいというふうに思っております。
  183. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 もう追加の質問しませんけど、ヨーロッパとアメリカがさっき言ったインフレターゲットは二%なんですよ。日本だけ一%。もういつやるのも腰が引けている。十兆円増やしたのは良かったけど、十兆円すぐ買うのかと思ったら、年度末までにゆっくり買うんだと。もうちょっと積極的に日銀はやってもらわなきゃいかぬと思います。  私、心配していますのは、もう年度末であります、決算期が近づいております。また多くの地方の企業が倒産するんではないかと私は心配しております。今こそ日銀が頑張らなきゃいかぬ。  国土交通大臣一つ聞きますけど、やっぱり直轄事業を見ると、本当にゼネコンに落ちているのが多いんですよ。ゼネコンが悪いとは言いません、ゼネコンもたくさんの従業員いるから、ここも頑張ってもらわなきゃいけませんけど、もうちょっと細かく、県内企業でも、全県で見るんじゃなくて、県内のもう少しブロック、市町村ごとぐらいに細かく発注して、もうちょっとやったらどうですか。  今回の沖振法の議論でも、もう直轄事業と補助事業。沖縄では補助事業は九割が地場企業であります。直轄事業は四割何ぼですよ。それだけ地場に金が落ちてないんですよ。せっかく金を使うんだから、もう少し地域に優しい直轄事業でやってもらいたいと思うんですが、大臣、いかがですか。
  184. 前田武志

    国務大臣(前田武志君) お答えいたします。  確かにこの官公需法というのに基づいて、なるべく地域の地場の業者、これが言わば地域の安全を守ってくれておりますし、地域経済の担い手ですから、そういうふうに努力はしているのですが、先生御指摘のようなところがあります。  私自身の考えですが、要は直轄事業が、地元で発注するときに、今までのやり方がどうしてもゼネコン全て一括して受けて、それをまた下請、孫請と、どうしてもそこから抜け切れられないで来ているように思うんです。要するにコンストラクションマネジメントという考え方で、地域の専門業者にちゃんと渡る、逆にそういうふうにきちっとやればトータルのコストも安くできるというふうになるかと思うんで、今そういうような体制ができないかどうか、これまた実はプロジェクトチームみたいなものを発足させているところでございます。
  185. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 前田大臣期待したいと思います。  さっきも話がありました。地域は郵便局と農業と建設会社なんですよ、本当の地域は。それをやっぱりちゃんと守らなけりゃ日本全体が守れなくなる、私はそう思いますから、是非よろしくお願いをしたいと思います。  さっきの話に戻りますけど、ちょっと今、だからデフレが直ってきています。ここでやっぱり景気対策を打つ、その政策を出さなきゃ駄目です。消費税上げて、その八割方は全部赤字補填に持っていくんだと、そういう考えじゃなくて、ここで景気対策をやってGDPを上げて、さっき言った税収弾性率を使って、そこで財政再建もやっていく。そういう発想に、総理、立ってもらえませんか。
  186. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) そのためにもこの平成二十三年度、四つの補正予算を成立をさせていただきました。その執行をしっかりやりながら復興需要を顕在化させていくと同時に、今御審議をいただいているこの来年度の予算についても三・八兆円規模の復興予算措置が入っていますので、これも一日も早く成立をさせていただくことが、まさにそうしたデフレ脱却へ向けての私は大きな一歩になるというふうに思いますので、御協力をお願いをしたいというふうに思います。
  187. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 私にはそれが見えてこないんですよね。前回言いました、大体、来年度予算四十兆円赤字ですよ。そのうち二十兆円は国債費。これはプライマリーバランスとは関係ない。あとの二十兆円を、もうそれを埋めるのに、五%消費税上げたら十兆円埋まりますと、もう五%上げたら二十兆円。もうこの財務省の図式がもう見え過ぎるぐらい見えている。それじゃ駄目なんですよ。  今我々のやらなきゃならぬのは、やっぱり、この前も言いました、一に景気回復、二に財政再建、そして福祉の充実もしっかりやろうじゃありませんか。そういうふうに、やっぱり、やっているやっているじゃなくて、今からもっと景気回復に頑張りますと、そういう総理の決意をもう一回お聞きしたいと思います。
  188. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 一体改革と経済の再生は包括的に進めていかなければなりません。委員の御指摘のとおり、しっかり経済対策も講じていきたいというふうに思います。
  189. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 それが全く、さっきから言っておるように、まあうそと言ったら失礼だけれども、要は社会福祉の充実と財政再建、一遍にはできません。同じ金ではどっちかしかないんですよ。それはさっき岡田副総理の言った、二割は新しい福祉に充てる、あとの八割は、私が翻訳したんでは、赤字国債を減らすと、そういう構造に今の消費税議論はなっておるんですよ。そういうことじゃ……(発言する者あり)いや、間違っていないですよ。そうなんですよ。  だから、そういうことじゃ日本の景気回復ができないから、もう一つしっかりとやらないとまたたくさんの倒産が日本で出るということを申し上げて、今日の経済財政議論を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  190. 石井一

    委員長石井一君) 以上で礒崎陽輔君質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  191. 石井一

    委員長石井一君) 次に、磯崎仁彦君質疑を行います。磯崎君。
  192. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 自由民主党・たちあがれ日本・無所属の会の磯崎仁彦でございます。もう一人の磯崎でございます。よろしくお願いします。  私、今までの質問、そしてその答弁を聞いておりまして、消費税の導入に当たりましていかに準備が整っていないかということを痛感をいたしました。もうすぐに法案を提出するという時期に今来ているわけでございますけれども先ほどの礒崎委員質問答弁を聞きましても、マイナンバー制度につきましてはほとんど何も詰まっていないということが私は露呈したのではないかというふうに思っております。更に言えば、逆進性と言うかどうかは別にしまして、所得の低い人に対してどう対応していくのか、これは法律で対応するのか、予算なのか、これについてもいまだに決まっていないという状況でございます。私は、基本的にはこういうものは全てセットで提案をしていくというのが筋ではないかというふうに思います。詳しい内容については後ほど質問をさせていただきたいと思います。  先ほど礒崎委員の方から話がありました、ちょうど三月の二十九日に締めくくり総括で話をしたという話がありましたが、私もこの質問に立ちますのがちょうど一年ぶりでございます。昨年の三月の二十八日、ちょうど三月の十一日の大震災後に、私、民間企業に二十七年おりまして、最後の三年間は危機管理をやっていたということから、危機管理についての質問をさせていただきました。三月の十一日の大震災が起きて、その後の対応を見る中では、私は危機管理が当時の内閣、私は今も変わっていないと思いますが、いかに危機管理の体制が取れていないのかということを質問をさせていただきました。指揮命令系統が一元化されていない問題、あるいは情報がきちんと入ってきていない問題、こういったことについて質問をさせていただきました。更に言えば、当時の内閣危機管理監ですかね、の役割というのは非常に見えていないということも話しました。  そして、私は、究極の話としましては、危機管理の要諦というものは、最悪の事態をどう考えるのか、最悪の事態を考えて危機管理に対応する、私はこれが要諦だというふうに思っておりました。ただ、質問した中では、最悪の事態をどこに置いているのか、これが明確でない。私は、あの危機管理の失敗というのは、そこが明確になかったというのが危機管理がきちんとできなかった最大の原因ではないかというふうに思っております。  そして、もう一つ、やはり昨年の三月の十一日のあの大震災を踏まえて、私は、これを教訓としてどう生かしていくか、これが非常に重要ではないかというふうに思っております。  自民党は、先月、二月の二十四日にこれからの政策ビジョンというのを打ち出しまして、それを踏まえて、来年度、平成二十四年度の予算案、これを自民党であればどう作っていくのか、そういうことを提案をさせていただきました。その中で、これから、やはり昨年の大震災を踏まえて、強い、強靱な日本をつくっていかなければいけない。私は、その危機管理の側面というのは二つあるということを一年前にも申し上げました。  一つは、危機が発生したときに、それに対してどう的確にスピーディーに対応していくのか、危機の対応というのが一つの要素でございます。もう一つは、やはり予防の要素、これを忘れてはいけないというふうに思っております。今、私も香川県出身でございますけれども、南海・東南海・東海、この三連動の地震というのが非常に高い確率で予想されると。これを踏まえて、やはり私どもは、これが起これば今の状況の中では非常に大きな損害がある、更に言えば多くの人命も失われる可能性がある、じゃ、そうした中で、やはり事後復興ということだけではなくて事前復興という考え方を私ども自民党としては提案をさせていただいております。  これは、質問としてはこれまで事前に通告をしておりませんけれども、今日の流れの中でこのような質問をさせていただきましたけれども、その事後復興、事前復興ということにつきまして、何かお考えがありましたらお伺いをしたいというふうに思います。  総理、お願いします。
  193. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 去年の三月末における委員の御質問を思い出しておりました。危機管理の御指摘をいただきましたけれども、その後も政府事故調で中間報告が出てきたり等々いろいろございまして、原発に関連しても、それらを一つ一つ受け止めながら対応していきたいと思いますが、特に南海トラフの問題を含めて、これから起こり得ることについて事前にきちっと対応しなければいけません。  今回の大震災の教訓からたくさんの知見が出てまいりました。それらはその都度反映しなければいけませんけれども、一方で、これ、いつ起こるか分からないわけでございますので、現段階でできることは、中央防災会議の下で防災政策の検討推進会議を開いております。災害に関するいろんな法制度ございますが、そういうものの今まさに白紙からの見直しをさせていただきながら、そういう対応ができるように、これは御党の問題意識とかなり近いところだと思いますけれども、それは是非実現をしていきたいというふうに考えております。
  194. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) 自民党からは、国土強靱化政策として八兆円強の予算措置をということで御提案をいただきました。これは復興も含めてということでございます。  今、我が方が提案しているのは、大体四兆六千億前後のこの公共予算と、さらにこれ、震災復興で全国防災を含めると三・八兆足していくと、そういう点ではかなり類似した数字ではないかと思います。全国防災事業については、復興特別会計に盛り込んで毎年これをしっかりやるようにという自民党の御指摘もありましてこれを盛り込んでおりますので、毎年確実に、特に三連動地震等々、非常に防災意識が今高まっているような地域に対する予算措置について、十分私どもとしても配慮をしていきたいと思っております。
  195. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 是非とも強化を、国土強靱化のために予算を使っていただきたいというふうに思っております。  先ほど日銀総裁に対する質問がありましたので、ちょっとその関係質問をさせていただきたいと思いますけれども先ほど来、この二月の十四日の中長期的な物価安定のめどの導入、それを一%に設定をしたということ、そして緩和強化ということで、長期国債を対象として十兆円の資産買入の基金を積み増したという話。そして、この三月の十三日には成長支援資金供給の拡充、これも図ったというお話がありました。それと、あと、先ほど答弁等々の中で、日銀白川総裁からは、このデフレ脱却していくためには二つの視点が必要なんだというお話がありました。一つは成長の強化、もう一つ金融政策、これで後押しをしていくんだというお話だったかと思います。  ただ、一つ私は、重要なことをおっしゃっていたのは、この成長の強化というものは、これは日銀としてできることは多くないんだという、そういうお話がございました。まさにこの成長のための資金供給、これは一つの方策ということだと思いますけれども、これを逆に裏返せば、日銀としてできることはここまでなんだと、じゃ、あとはどこがするんだという、そういう話かと思います。それについて、総裁の御意見がありましたらお答えいただきたいと思います。
  196. 白川方明

    参考人白川方明君) 今議員御指摘のとおり、成長力強化とそれから金融面からの下支え、この両方が必要でございます。  金融面からの下支えにつきましては、最終的にお金を貸しますのは、これは民間の金融機関でございます。そういう意味で、金融機関自身の目利きの力、それからそれを支える日本銀行金融政策、そういうものを含めて金融からの下支えというふうに申し上げました。  一方、その成長力強化でございますけれども、これは第一義的には、何よりも民間企業が様々なことにチャレンジをしていくということでございます。そうした民間企業の活動を規定する環境づくりという意味では政府の役割も大きいというふうに思っております。  私、中央銀行の総裁という立場で個別の具体論に入ることは、これは不適切だというふうに思いますけれども、しかし、幾つかの柱ということはいろんな場で申し上げております。  一つは、企業が挑戦していくためのイノベーションのための環境づくりということで規制の緩和であるとか、あるいは、今、将来の財政に対する不安がありますと、現役世代、若い世代がやっぱり将来のことを思い、支出に対して消極的になってくる、そのことがまたデフレにも悪影響を及ぼしていくということで、財政の健全性、バランスを維持していくということも大事なことでございます。  そうした様々な努力、これが必要だということで、日本銀行は、この面でできることはもちろん全くないと言っているわけではございません。今先生から御指摘の成長基盤強化支援、これはしっかり取り組んでいきたいというふうに思っております。
  197. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 確かに民間企業が元気にならなければいけないということでございますけれども、やはり環境を整備するという意味では政府の役割というのは私は非常に大きいんではないかというふうに思っております。そういった意味では、政府の方で今のこの状況で十分なのかどうなのかということについて御答弁をいただきたいと思います。
  198. 古川元久

    国務大臣古川元久君) お答えいたします。  今、日銀総裁からもお話ございましたけれども政府日銀一体となって、一日も早いデフレから脱却、そして安定的な経済成長に向かっていくと、そうした取組を行っているところでございます。  政府においては、二年前に新成長戦略というものをつくって、とにかく新しい成長を実現させていくと。グリーンイノベーション、ライフイノベーションと、その二つの分野でイノベーションを実現をして、そして新たな成長を目指していくと。二〇年までで名目で三%程度、実質で二%程度の、そうした成長が実現できるような状況をつくっていくと。  これは、震災を受けまして、まさに震災の復興復旧、また福島の再生、こうした被災地の復旧復興の過程の中で、この新成長戦略でやろうとしていたこと、そうしたものを重点化する、あるいは前倒しをしてやっていくと。特区制度を新成長戦略の中で設けて、既に認定があって今年から本格的に動いていくと思います。この特区制度を更に深掘りをした、五年間実質的に法人税を無税とするような復興特区というものも設けさせていただきました。こうした制度を、仕組みを十分に活用していただくと、そうしたこともやらせていただいております。  また、規制・制度改革、これも様々な形でやっていかなきゃいけないということで、特にエネルギー・環境分野、この分野については、今月末にも新たな規制改革の案をしっかりお示しをして、その部分でも日銀連携して、しっかり政府の方でもやれることをやってまいりたいというふうに考えております。
  199. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 先ほど来の政府の、大臣の皆様方の答弁を聞いておりますと、消費税を八%に上げる、そして一〇%に上げる、これで、プライマリーバランスにつきましては後ほどまたお伺いをしたいと思いますけれども、何となく、まずそれをやるんだと、それで十分でなければその先のことをやるんだといったような答弁のニュアンスにどうも聞こえました。ただ、やはり私は、同時並行的にやる、若しくは、やはり消費税を導入するためには景気がある程度良くなければ、非常に疲弊をする、逆に疲弊をするということかと思います。  そういった意味では、そういうものは、これをまずやって、それで駄目であれば更にこれをやるんだということではなくて、まさに一緒にやる、更に言えば、やはり景気の良くなることをまず率先してやるという、そういう順番をやはり見極めなければいけないんじゃないかというふうに思いますけれども、それについてはいかがでしょうか。
  200. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 先ほど答弁いたしましたが、委員の言われることはそのとおりなんですね。ですから、景気拡大のための成長戦略を始めとする、あるいは金融政策をしっかりやっていくことと、そして税を、増税を、今回上げさせていただくということは並行してやっていかなければいけないということであります。  ただ、ここで問題なのは、景気対策をやるということは重要なんですが、その結果として税収が増えることを前提に物事を組み立てるというのは少し違うのではないかということであります。そういったことを繰り返してきて現在の大きな借金ができているわけで、私は、うまく経済成長ができて、今までずっと二十年ぐらい高い成長ができていないわけですから、そういったものができて税収が上がれば、それはそれ以上の増税は必要ないという議論にもなるかもしれませんが、やっぱりそれは実際見極めないといけないのであって、初めからそれを当てにしてやるというのは私は国民にとって決していい結果にはならないと、そういうふうに確信をしているところでございます。
  201. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 今ちょっと私理解できなかったんですが、当てにしてやらないということは、それは税収増を当てにしてやらないという、そういう今の御答弁でございますか。
  202. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) プライマリーバランスの赤字半減というために増税を行うということを今考えているわけです。もちろん、ある程度の経済成長、税収増というのはあります。しかし、経済成長が突然今までのトレンドから比べて高くなって、税収も弾性値が二だから更に上がって、したがって増税が必要ないとか少なくて済むと、そういう楽観的な前提には立つべきではないということを申し上げているわけです。
  203. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 プライマリーバランスの詳細については後ほどですけれども、私は、今の消費税を一〇%にすることによって二〇二〇年度のプライマリーバランスが均衡するということでは今の想定でもないわけでございます。  そうなりますと、何をもってそのプライマリーバランスの赤字を減少していくかということになると、やはり一つ大きな要素としては、成長してプラスの方に循環をしていく、これを期待するしかないんではないかというふうに思うわけです。  それからすれば、その政策をできるだけ早く取らなければいけない。それについては御同意いただけるんではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  204. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 先ほど説明しておりますように、成長戦略、経済成長を上げるための政策は当然やらなければいけないという前提です。  ただ、私が申し上げておりますのは、消費税一〇%上げてもなおかつプライマリー赤字は残るわけで、それが幸いにして経済成長がたくさんできて税収が上がれば、一〇%以上先のことは経済成長の、増える税収であるいは穴埋めできるかもしれない、つまり追加的な税制措置というのは要らないかもしれないと。それは我々も期待するところであります。ですから、そのことを今決める必要はないということは言っているわけです。  しかし、少なくともプライマリー赤字を半減するというところまでは、それはある程度消費税を上げていかないと達成できないと。余り楽観的なことに基づいてやってきた結果が今日の大きな借金であり、我々は次の世代にこれ以上負担をかぶせるわけにはいかないというふうに考えております。(発言する者あり)
  205. 石井一

    委員長石井一君) ちょっと場内が少し騒ぎますよ。国民の皆さんがよく聞いておられます。これ、非常に重要な議論をやっておられます。いい質問をされておりますから、政府答弁もしっかり聞いてやってください。
  206. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 今の御答弁を聞きますと、私は、二〇一五年度のプライマリーバランス、これは政府の先日の試算を見てもこれが達成できるというふうになっているのかどうなのかというのは非常に疑問なんでございますけれども、それをちょっとおいておくとしましても、やはり五%の消費税でプライマリーバランスをゼロにすると、で、そこをまず見極めた上でその先だというふうに私はどうも岡田副総理答弁を聞くと聞こえてしまうんですね。  ただ、やはりできることを今やらなければ、そのときになってやはり赤だと、だからそのときに考えるということでは、いろんな政策効果が出てくるというのは、今日やってあした出てくるという話ではありませんので、やはり仕込みということも必要だと思いますので、今から、当然のことながら、今景気が回復をして二〇一五年の段階でマイナス、GDP比で三じゃなくて二になればいい話でございますので、できれば今の時点で、当然のことながら、そのデフレ解消のためにやるべきことはとにかくやるという、そういう姿勢が政府には必要なんじゃないでしょうか。
  207. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 先ほど来申し上げているように、そのことは必要だということを申し上げているわけです。  ただ、問題は、その結果として税収が上がる、そのことは期待されますが、しかし、税収が現に上がる前からそのことを前提にして、税収が上がるからそれでやっていけるというふうに考えるのはいかがなものかと。  委員も民間企業の経験がおありになるから分かると思いますが、新しい例えば商品を開発してそれを売る、その結果によって利益が上がると。しかしそれは、利益が上がるかどうかはやってみないと分かりませんから、やっぱり利益が最初から上がる前提で全体の計画を立てるということでは必ずしもないと思うんですね。  是非そこは、実際に具体的に政策をやっていくということと、それがうまく成功して経済成長ができて税収も上がる、現に上がるということは、それは少し分けて考えないと、余り楽観的なことばかりで物事を組み立てていって、そして現在のこの財政の状況があると、私はそういうふうに考えております。
  208. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 どうも岡田副総理、私の、言われていること、お互いに誤解があるのかもしれませんけれども、私は、その政策を取ることによって必ず税収が上がるから、そのことを期待しているということではなくて、それはもう上がるに当然こしたことはないと。ただ、今の状況の中では政策が私はきちんと取れているというふうに思っておりません。ですから、上がることを期待はして、ただ、なるかどうかというのは別ですけれども、とにかくやはり政策をきちんと早め早めに打っていくと。その政策というのが今この時点で十分なのかということについては、私は、先ほどの国土の強靱化の話にしましても、まだまだやるべきことは政府に残されているんじゃないかということを申し上げております。(発言する者あり)
  209. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 今、委員がおっしゃった考え方はそのとおりです。今、会場でやじが大分飛んでいますが、委員のおっしゃった考え方はそのやじとは全然違うというふうに私は受け止めております。  そして、問題は、今やっている政策がそれが十分かどうかと、そういう御質問であれば、そのことは議論すべきだというふうに思います。ただ、委員も整理されたように、今いろんな政策をやったからといって当然税収が上がるというふうに言って組み立てていくと、それは間違いだというふうに考えています。
  210. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 それに関連しまして、今民主党の党内で消費税の法案についての議論が深夜まで連日行われているというふうに聞いております。その中で、例えば、仮定の話に立ちまして、先ほど岡田副総理言われたように、二〇一五年の段階でまだまだやはり、先を見通したときには二〇二〇年でプライマリーバランスはゼロになるというところまでは行かないと。そうなったときに、一つのやはり方策として、今政府の中では更なる消費税の増税ということについてはお考えの選択肢としてはあるんでしょうか。
  211. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 先ほど委員も御指摘のように、経済成長がどうなるか、その結果として税収がどのぐらい上がるかということは、現時点では見通せません。そこがどのぐらい出てくるかによって、それからもう一つは歳出削減、これは社会保障も含めて私はきちんとやるべきだと、見直すべきだと思いますが、歳出削減がどれだけできるかと。そういったことの結果として、それでも足らざれば、それは税制上の措置ということが必要になる、それは必ずしも消費税に限られない、いろんなことが考えられる。今の段階で必ず消費税を上げますというふうに決め付ける必要はないというふうに思っております。
  212. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 もちろん私もそう思っておりますけれども、ただやはり再度申し上げておきたいのは、やっぱり今の時点でとにかくやれることは全てやらなければいけない、これはもうまさしくお考えも同じだと思います。歳出の削減についても、これもやはりどんどんやらなければいけない。そして、経済が良くなるために何をしなければいけないか、環境の整備ということもやっぱりきちんとやっていかなければいけない。やはりこのことをきちんとやり切るということを、消費税のこの議論をしているときにきちんとやっぱり我々としてはやらなければいけないんじゃないかというふうに考えております。  それでは、あとは午後ということでお願いいたします。
  213. 石井一

    委員長石井一君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十三分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  214. 石井一

    委員長石井一君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  平成二十四年度総予算三案を一括して議題とし、経済財政等に関する集中審議を行います。  休憩前に引き続き、質疑を続行いたします。磯崎仁彦君
  215. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 それでは、午前中に続きまして質問をさせていただければというふうに思います。  午前中は、それまでの質疑等を踏まえて、なかなか今の政権の中で消費税導入についての準備が十分整っていないんじゃないかということを冒頭申し上げました。そして、プライマリーバランス、これが二〇一五年の段階、そして二〇二〇年の段階、これで目標を持っているわけでございますけれども、それに対してどう対応していくかということを質問させていただきました。  それに関連しまして更に質問させていただきたいと思いますけれども、まずプライマリーバランスについてでございますけれども、資料をちょっと開けていただきたいと思いますが、一番最後の資料三でございます。  これは、一月の二十四日の内閣府が発表しました経済財政の中長期試算というものをそのまま写しにしたものでございますけれども、今日、先ほど議論をしました内容からしまして、目標としましては、二〇一五年度、この段階で、国・地方、そして国、それぞれについての目標が対GDPで二〇一〇年比で二分の一、半減ということ、そして二〇二二年で均衡を取るというのが財政目標になっていたかと思います。  そして、これまでの答弁等々の中で、二〇一五年については達成、二〇二〇年については達成しないという、そういうお話があったかと思いますけれども、二〇一五年の達成ということについて、数字を見る中ではなかなか達成とは言えないんじゃないかというふうに理解をしておりますが、それについてまず御説明をいただきたいというふうに思います。古川大臣に、じゃ。
  216. 古川元久

    国務大臣古川元久君) お答えいたします。  二〇一五年度において、確かに、おっしゃいましたように、消費税の今引上げが一四年の十月ということになっております。そういう意味では、若干、対GDP比の赤字二分の一というところに達していないわけでありますが、平年度にならしていきますと、この大枠としては大体ほぼ達成をできているんではないかというふうに考えております。  いずれにいたしましても、その二〇一五年度に向けて、成長戦略であるとか更なる歳出の抑制、歳出カット、そうした歳入改革だけでなくて歳出改革、そして先ほど来から議員もお話しになりましたような成長戦略、経済成長と、そうしたものを三つやっていくことによってこの財政運営戦略の実現に向けて全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
  217. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 平年化していくというのはなかなか、ちょっと私、理解難しいところがあるんですが、二〇二〇年度、これは明確に国・地方が対GDP比でマイナス三%、そして国だけを見てもマイナス三・一%ということだろうと思いますが、この三%という数字は具体的に金額に直せばどれぐらいの数字になるんでしょうか。
  218. 古川元久

    国務大臣古川元久君) 経済財政の中長期試算におきます慎重シナリオでは、二〇二〇年度の国・地方並びに国の基礎的財政収支赤字の金額は、三%が十六・六兆円程度、三・一%が十七・四兆円程度というふうになっております。
  219. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 かなり大きな数字がまだということかと思います。  そして、一つ確認をしておきたいんですが、このプライマリーバランス、これが均衡を取るというふうになると、それで、それ以降均衡で続いていけば財政赤字は増えないんじゃないかというふうに理解している方もいらっしゃるかと思いますけれども、この均衡したときに、その財政赤字といいますか、国のいわゆる債務残高、これがどうなるのかということについてちょっと御説明をいただきたいと思いますけれども
  220. 古川元久

    国務大臣古川元久君) プライマリーバランスが均衡しても、それだけで債務残高が減るわけではございません。やはりそのためには財政収支を黒字にしていかなければいけないというところがございます。そういった意味では、基礎的財政収支のプライマリーバランスを達成しただけで財政赤字が減っていくということではなくて、更なる努力をしていかなければ赤字自体は減らないということでございます。
  221. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 済みません、ちょっと私の質問が舌足らずだったと思いますが、これは、いわゆる利払いについては、これは入っていないわけでございますよね。ですから、プライマリーバランスに均衡が取れても、また下の大きな固まりが減るということではなくて、更に利払いについては増えていくという、その辺のところをきちんと理解しておく必要があるということで質問させていただきましたが、それで間違いありませんか。
  222. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) 利払い費は増え続けるというふうに予想されます。
  223. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 そういった意味では、プライマリーバランスがゼロになったとしても、今の利払いで、九兆円ないし十兆円ぐらいが利払いということかと思いますので、均衡から更に黒字が進んでいかない限りはそういったものが更に増えるということになろうと思いますので、それから見てもかなりな努力が必要だということになろうかと思います。  そういった意味では、午前中お話をさせていただきましたように、この消費税ということだけではなくて、やっぱり経済が上向きになっていって税収が増えていくということが、やっぱり我々としてもきちんとやっていかなければいけないということにつきましては、これは間違いなく共通の認識ではないかなというふうに思っております。是非ともお願いをいたします。  そういった意味では、総理先ほど午前中も岡田副総理の方に伺いましたけれども、この二〇二〇年のプライマリーバランス、まだ十六兆円ないし十七兆円、今のままでいけば赤ということになりますけれども総理のそれをいわゆる均衡させていくということについての決意、どうやっていくのかということについて回答いただきたいと思います。
  224. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 委員の御指摘のとおり、二〇一五年度においていわゆるプライマリーバランスの赤字が半減というところまでは今回の一体改革の中で見通して対応できるんですが、二〇二〇年にそのプライマリーバランスを均衡化するためには、これ財政健全化の道は、いつも申し上げるんですが三つの道がございます。  一つは歳出削減の道、もう一つは成長分野にお金を投じまして増収を図っていく、税収が入ってくるようにするということ、そしてもう一つは歳入改革。歳入改革は、これは消費税だけじゃなくて全ての税目についての検討が必要だと思いますが、そういうものを総合的に判断をしながら、二〇二〇年に財政運営戦略に基づいていわゆるバランスを取っていくということを図っていかなければならないと考えております。
  225. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 それでは、消費税に関連してちょっと質問をさせていただきたいと思いますけれども一つめくっていただきまして資料二をちょっと見ていただきたいと思いますが、ここにはいわゆる国民負担率というものをずっと経年で記載をさせていただいております。これは財務省のホームページから取ったものでございますけれども、これで平成二十四年度、これは来年度でございますけれども、見通しで、いわゆる国民負担率というのは、国民が負担している税金、それから年金や医療保険などのいわゆる社会保険料、こういったものが国民所得に対してどのぐらいの割合を占めているかというのを示すのがいわゆるこの国民負担率というふうに言われております。  そして、平成二十四年、これは国民負担率を見てみますと、三九・九%という数字になっております。さらに、今一般的に言われておりますのは、今まさに国、地方、長期の債務残高を抱えているということで、この財政赤字、これを加えたものがいわゆる潜在的な国民負担率ということで、本来であればこれを負担をしなければいけないんだけれども、結局将来世代に回しているということで、やっぱり国民負担率という意味からすれば、この潜在的な国民負担率、これを見ていくべきでないかという、そういう議論があります。  そういう意味で、平成十六年に年金の大改革が自公政権の下で行われました。そのときに、いわゆる骨太の方針というものが、小泉改革についてはいろいろ評価がございますけれども、出されたときに、この国民負担率についての議論がされたというふうに聞いております。  どういう議論かといいますと、当時の財務省と厚生労働省、この二つの省がこの潜在的な国民負担率五〇%をめぐって攻防をしたと。財務省の方は五〇%にとどめるべきだと、厚生労働省は、とどめた場合にはなかなかその制度が成り立っていかないということでもめたという話を聞いておりますけれども、最終的には、財政経済運営と構造改革に関する基本方針二〇〇三、これ、いわゆる骨太の改革二〇〇三というふうに言われるものでございますけれども、この中に、将来世代に責任が持てる財政の確立という項目がありまして、この中で、潜在的国民負担率で見て、その目途を、めどを五〇%程度としつつ、政府の規模の上昇を抑制すると、こういった内容のものがこの中で盛り込まれているということでございます。  それに関連しまして質問させていただきたいのは、今、消費税の八%、さらには一〇%、これに増税をしていくということが今議論をされているわけでございますけれども、この八%あるいは一〇%に消費税を引き上げた場合に、当然のことながら更にこの国民負担率というのは上がっていくというふうに想像されますけれども、この八%、一〇%にすることによって国民負担率はどのぐらいになるのか、数字があれば御回答いただきたいと思います。
  226. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) このお示しの資料は、平成二十一年度国の財務書類についてということで、聞くところによりますと、森内閣のときに、より分かりやすく財政を透明化をしようということでこの財務諸表を作ったと。あっ、この書類のことね、はい、分かりました。  それで、その中の資料の二のところで、先生のお示しになった……(発言する者あり)ああ、国民負担率、国民負担率については、先生の質問にお答えをすると、機械的な計算をしてということでございますが、潜在的でなくて国民負担率の方ですね、三%を引き上げた場合には二・二、五%の引上げの場合は国民負担率は三・七という計算になります。
  227. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 ありがとうございます。  そうなりますと、この平成二十四年の段階で、潜在的な国民負担率、これが五一・二ということで五割を超えていると。この平成二十一、二十二、二十三、二十四と四年にわたってもう五〇%を超えるという数字になっております。  この骨太の、このときの数字からいえばかなりな負担になっているということでございますけれども、この国民負担率ということにつきましては、どのような考え方といいますか、そういったものをお持ちでございましょうか。
  228. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 今、消費税を上げたときの機械的な計算として財務大臣申し上げたとおりですけれども、ここで委員が取り上げておられるのは潜在的な国民負担率の話であります。  ですから、消費税を上げることによって赤字の部分が税に置き換わるというところがありますので、この今ある平成二十四年五一・二に、今の言った二・二%とか三・七%を足すということでは必ずしもない。  あえて言えば、先ほど一%は充実のために使わせていただくと申し上げましたので、その一%分は負担率に跳ね返りますが、そのほかの部分は、国民負担率そのものには跳ね返っても、委員が今取り上げておられる潜在的国民負担率には跳ね返ってこない議論ではないかと、基本的にはそう考えております。
  229. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 これは私もきちんと数字を見たわけではございませんので何とも言えませんけれども、ただやはり、かなりな高水準で維持していくというのは間違いないんだろうというふうに思っております。  そういった意味では、今、例えば消費税の議論をするとか、あるいは年金の議論をする、社会保障の議論をする、そういったときに、この国民負担率というものを何らかの形で念頭に置くと。これは、全く無視して話を進めていくか、ある程度この国民負担率というものを念頭に置いて議論するかによって、やっぱり考え方というのは若干変わってくるところがあろうかと思いますけれども、この国民負担率ということにつきましては、議論の中では、話題といいますか、一つの指標としては出ているものでございましょうか。
  230. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 国民負担率そのものをとらえて議論したということは今回はないと私は思います。  ただ、これはどういう国家を、福祉国家を描いて、例えば北欧諸国のように高い負担で高い給付という姿を思い描いていくのか、あるいは中福祉中負担なのか、あるいは福祉は少なくて負担も少ないと、そういう考え方の問題だと思います。基本的に私は中福祉中負担型の国家を目指していくということだろうと思います。
  231. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 もちろん、この国民負担率と、当然のことながら負担と給付というものが当然バランスがあるわけですので、高負担で高福祉という国もあれば、少ない負担で受給も、受給といいますか給付も少ないという国もあるわけでございますので、そこは相関関係かと思いますけれども、純粋に潜在的な国民負担率五〇というこの数字について自体、どれぐらいの水準にあるのかというふうにお考えでございましょうか。
  232. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) これはOECDの加盟国でやっぱり比べる以外の指標というのはないわけですけれども、今、日本でいいますと、大体今委員の御指摘のような数字になりますが、これが極端に高いとなると、やっぱりルクセンブルクなんかは租税負担率で五四、それから社会保障負担率で二五、スウェーデンになりますとこれが五〇と一二と、こういうふうな数字になっています。  なお、視点として非常にそういう見方もあります。ただ一方で、こうした統計を見ていると、国民負担率が高くても経済成長率を堅調に推移している国もあるということも、何か事実として言えるのではないかと思います。
  233. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 ありがとうございます。  まさしく、この国民負担率だけで議論できる問題ではないというふうに思っておりますけれども、国民所得に対する割合ということでございますので、やはりこの比率が非常に高くなると負担はかなり大きくなるというのは事実かと思いますので、指標としてはきちんと念頭に置いて議論をしていく必要はあるんだろうというふうに思っております。  それから、社会保障・税の一体改革の中で、これから税制を抜本的に改革をしていくということが議論になってくるわけでございますけれども、私は、そのときにやっぱり幾つか議論する論点があるんだろうなというふうに思っております。  そのときに、この国民負担率をどれだけ置いていくかというのはあろうかと思いますけれども、例えばその中で、先ほど申し上げましたように、国民負担率というのは税と社会保険料というもので成り立っているわけでございますので、じゃ、税なのか社会保険料なのかということについても、社会保障というものを考えるときには、税負担の方がいいのか、保険料を徴収すればいいのか。これは、全く同じ方から徴収することもあれば、対象が違っているということもありますので、その辺のこともやはり考えていく必要があるんだろうというふうに思いますし、あと、よく言われますけれども、税の中でもいわゆる直接税と間接税の話もあります。  これは、これまでの税の推移を見ましても、直接税というのは法人税あるいは所得税、これは税制の改革があったにしろ、やっぱり非常に景気に左右されるということがあろうかと思いますので、まさにこれを、消費税というのは非常に、やっぱり景気の変動に余り左右されないというのが間接税の考え方かと思いますので、一般的には間接税の方がいわゆる安定した財源ということになるということもあろうかと思いますので、今後の中では、いわゆる直間比率的なものも検討の中には入れていくという話もあろうかと思いますし、もう一つは、先ほど来出ておりますように、やはり消費税を導入するときに、私冒頭申し上げましたように、これまでの議論を聞く中でも、いわゆる所得の再配分といいますか、高額の所得者といわゆる所得の低い人、これをどう考えていくのかというのが、なかなか今の中で十分な議論ができていないという話もさせていただきました。  そういった意味では、これから抜本的な改革をしていく中でも、この税の所得の再分配といいますか、これをどう考えていくかというのも当然のことながら大きな議論になって、これを一緒にやらない限りは、なかなか抜本的な改革というのも不十分なものになってしまうんだろうというふうに思っております。  そういった意味では、先ほど来申し上げております今回の消費税の改革の中の、なかなかまだ議論が十分に進んでいないというその内容も含めまして、これからの税の抜本改革に当たってこういう観点をと、私が今申し上げた四点も含めて、抜本改革に当たっての論点、ポイントといいますか、それについて、今考えていることがあれば答弁をいただきたいというふうに思います。
  234. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 委員の御指摘、おおむね私も問題意識を共有するところでございます。特に、税の中の直接税か間接税か、やはり景気の変動に影響を受けにくい消費税、そこにやはりこの社会保障の財源を求めていくというのは私は必要なことであるというふうに考えております。そういう観点から今回の五%引上げということも出てきているわけでございます。  それから、所得の再分配という観点で申し上げますと、実は、税でいただいてそれを社会保障に使うと、私は社会保障以外に使わないということを明確に申し上げているわけですが、そのこと自身が所得の再分配であるということも是非国民の皆さんにも御理解いただきたいと思います。医療にしろ介護にしろ、あるいは国民年金、基礎年金にしろ、基本的にはこれは定額といいますか、所得の多い少ないに応じてサービスの中身が変わるわけではございません。したがって、所得の多い人も少ない人も同じサービスを受けるということですから、税でいただいたものをそういう形で相対的には所得の少ない方に厚く配分するということになるわけですから、それ自身が所得の再分配機能を持っているということだと思います。  それから、税とそれから社会保障の問題について言われました。  私は、この点については、今回の一体改革以降の問題としてもよく議論しなければいけないことだというふうに思っております。社会保険というのは、基本的にある意味では自律的にやっていくということだと思います。税というのはもう少し薄く広く、例えば所得の少ない方に厚めに配分するとか、給付をということになるんだと思います。余り拠出金のような形で、本来働く世代のためにつくられた社会保険が高齢者のために使われるということになりますと、だんだん自律性が失われてまいりますので、そこのところをよく考えなければいけない点ではないかと。中長期的にはそういう問題があるというふうに考えております。
  235. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 まさに自助自立というのは私どもが強調しているところでございますので、そこは大前提に置かなければいけないというのは、まさしくそのとおりだと思います。  そして、これはちょっと通告はしていなかった話ですけれども、今の話の流れの中で、私は所得の再分配というのを考えるときに、どうしても我々と民主党さんの立場とが違うのは、これは例えばいろんな政策を取るときに所得制限を入れるのかどうなのかという、これがいろんな制度の中で出てまいります。あるものは所得制限を入れるというものも、我々は結構、所得制限を入れるということの制度が多いわけでございますけれども、民主党さんの政策の場合には、基本的に所得制限なしに同じようにやっていきましょうと。これは制度によったら私はあるものもあるんだろうというふうに思います。  ただ、やはり所得の再分配というふうな考え方、それから今の財源が非常に限られているということからすれば、何を守るために、何をするためにこの政策をやっていくのかということからすれば、今のこの世の中においてはやはり所得制限というものをある制度についてはきちんと入れていくと。これがやっぱり我々の考え方と皆様方の考え方の基本的に大きな根本的な違いではないかというふうに思っておりますけれども、これについてはいかがでございましょうか。
  236. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 所得制限を入れるということは、私は基本的に必要なことだと思います。  ただ、子供にかかわるもの、それについては、やっぱりそれは親の所得で、子供の所得じゃないんですね。ですから、子供にとってはそれは平等であるべきだと。親が所得があっても少なくても、子供にとってはそれは同じですから、子供についてはそういう所得制限は余りなじまないんじゃないかと、基本的にはそう考えております。もちろん、これは法律を作っていくためには各党で協議しなければなりませんから、協議の結果そうはなっていないわけですけれども、基本的な考え方としてはそういうことであります。(発言する者あり)
  237. 石井一

    委員長石井一君) 西田やじ将軍、ちょっと声が大きいですから、御静粛に願います。
  238. 磯崎仁彦

    磯崎仁彦君 子供というものはよく社会が育てるという話をしますけれども、私は、やっぱり家庭でまず育てるというのが基本的な考え方だと思いますので、そこはちょっと岡田副総理と違うところではあります。  最後に、こういう言葉があります。危うきに臨み節を守り心改むることなしと。私はこういう姿勢が非常に重要だろうというふうに思っておりますので、是非ともその姿勢で頑張って、頑張ってというか、これから取り組んでいただきたいというふうに思います。  ありがとうございました。
  239. 石井一

    委員長石井一君) 以上で磯崎仁彦君質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  240. 石井一

    委員長石井一君) 次に、佐藤ゆかり君の質疑を行います。  ちょっと速記を止めて。    〔速記中止〕
  241. 石井一

    委員長石井一君) 速記を起こして。  小宮山厚生労働大臣の到着を待つため、暫時休憩いたします。    午後一時二十六分休憩      ─────・─────    午後一時五十分開会
  242. 石井一

    委員長石井一君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  この際、小宮山厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小宮山厚生労働大臣
  243. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) 衆議院本会議のため遅参をいたしまして、委員会に大変御迷惑をお掛けしたことを心からおわびを申し上げます。  今後はこのようなことがないよう、十分注意したいと思います。     ─────────────
  244. 石井一

    委員長石井一君) 平成二十四年度総予算三案を一括して議題とし、経済財政等に関する集中審議を行います。  休憩前に引き続き、質疑を続行いたします。佐藤ゆかりさん。
  245. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 自由民主党の佐藤ゆかりでございます。  委員会がこのように、私の質問時間遅れました。小宮山大臣が、通告をしておりましたが、時間どおりにこの委員会の部屋に来ていただくことができなかった。誠に遺憾でございます。また同時に、ほかの野党の方々にもやはり同じように迷惑を掛けました。これは厳重に反省をしていただきたいと思います。  それでは、質疑に入らさせていただきます。  今日は、AIJの問題について質疑をさせていただきたいと思います。  ちょうど今日、この日はAIJ投資顧問に対して政府強制調査に入った日でありまして、その日にこの質疑に立つと、そういう機会をいただいたわけでございます。AIJについては、この委員会でも、今週の早め、月曜日の一般質疑で我が党の西田昌司議員も質疑をいたしました。その中で、自見金融担当大臣の御答弁には、いささか事の切迫性が御理解いただけていない、本当にのんき極まりない御答弁を感じたわけであります。  そこで、もう一度そのことについて復習をしてみたいと思います。  法と証拠に基づいた調査が必要という言葉を盾のごとく何回も繰り返され、そして自見大臣は、自分には強制調査権がなく、任意調査しかできないと繰り返すのんきぶりの答弁をされました。しかしながら、今日、この同じ週に強制調査証券取引等監視委員会によります単独強制調査が入るという事実は、十七日の時点で一斉にメディアが報道していたわけであります。そして、自見大臣が西田議員に対して答弁に立たれたのは十九日であります。  なぜ、強制調査に入る予定であるということを答弁で言われなかったのですか。
  246. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 先生今御指摘のように、今日、また、証券等監視委員会から、本日、金曜日でございますが、強制捜査に着手したというふうに聞いておりまして、そのことは、更なる事実関係解明が進むことを期待しているというふうに今日、朝、記者会見で申し上げました。  先生、よく先生もお分かりのように、要するに……(発言する者あり)いやいや、これは非常に大事なところなんですよ。証券等監視委員会は独立性があるんですよ。ですから、幾ら私が金融大臣といえども、この監視委員会に指示、命令はできませんで、あくまで今日は、向こうが上がってきたからそういうふうに私は言っております。  ただし、新聞、テレビはいろいろ、どこから漏れたか知りませんけれども、載っておりますけれども、(発言する者あり)それはきちっと答えていますよ。非常に大事なところですよ、ここは。私はそう思いますよ。やっぱり法治国家ですから、法律に従って、けしからぬ人は何とかだかんとかだって、それは私は気持ちとしては分かりますよ。ただし、やっぱり、きちっと私は行政の長として、監視委員会でございますから、監視委員会から私は着手したと聞いておるわけでございまして、是非、今日、監視委員会の事務局長もおりますから聞いていただきたいと思います。
  247. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 私の質問に簡潔にお答えください。  なぜ、十九日の西田議員の質疑に対して、自見大臣は、強制調査が入る件に言及をされなかったのですか。国民が固唾をのんで待っている答弁だったんです。
  248. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) はっきり言って、法治国家において、法律上私は金融庁を今所掌させていただいているわけでございますから、今さっき言った独立委員会に対して、幾ら大臣といえども、それを事前に言ってはやっぱり私は独立性の違反になりまして、それはマスコミはいろいろ報道しますよ。それは私も今まで経験いろいろありますけれども、それはマスコミの言論の自由ですからいろいろ報道しますが、私の口からは少なくとも、独立機能のあるこの監視委員会が何日にどうするというようなことを、予言を前もって言うことは、私は厳に慎むべきだと思っていますよ。
  249. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 答弁できちっと大臣の立場、金融庁を所管している大臣でありますから、やはり国民の前できちっと言っていただくことが逆に国民に安心を与える、そういう配慮をきちっと金融担当大臣としてしていただくべきであったと私は思います。  そして同時に、この十九日の月曜日の答弁では、自見大臣は、AIJ投資顧問の浅川社長には十分に任意調査に協力をしていただいていると、そのように答弁をされておられます。その言葉は撤回されませんか。
  250. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) これは誤解のないように申し上げておきますけれども、浅川さんは、それは個人的には私も、もうこんなことをして、倫理上、道徳上許せる人じゃないと私は思っていますよ。しかし、国務大臣としては、やはりあくまでこれ被犯則者でございますから、まあまあ、その当時はまだ調査に応じていただいている方ですから、やはりどんな方でも人権があるわけですから、やはりそこは私はきちっと、当然、西田さんから、逃亡したらどうなんだとか、あるいは中にはそういった御質問をいただきましたが、やはりそこは法治国家の長であればきちっと法律に従って、どんな人でも逆に人権というものがあるわけですから、そのことはきちっと、法治国家を守ることが、前もって、私は評論家でもマスコミでもございませんから、きちっと言う必要があると思っていますよ。
  251. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 簡潔に答弁をいただきたいと思います。繰り返し同じことを二回、三回、時間を使わないでいただきたいと思います。  それで、自見大臣にお伺いしたいと思いますが、もし、月曜日の時点での答弁で浅川社長が任意調査に対して十分に協力的である、この御答弁を撤回されないのであるならば、既にその時点でマスコミは一斉に十七日に単独強制調査に入るということは報道していたわけですよ。そして、大臣が、任意調査で浅川氏が協力的で十分にやってくれているという答弁であるならば、なぜ今日強制調査に入る必要があるんですか。
  252. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) いや、正しいことはきちっと何回でも私は言いたいと思っています。  監視委員会というのは、もう先生はよく、金融の御専門家でございますから、三人の独立した委員会になっておりまして、今検事さんと弁護士さんと会計士さんでございまして、これは法律上、ここは私が何もありませんから……(発言する者あり)いやいや、だからやっぱりそこの決定に従って私に勧告が来るわけですから、だから幾らマスコミが事前に書いたからといって、私は法治国家の国務大臣として、マスコミでも予想屋でもございませんから、ここで発言することは責任を持ちますから、独立した委員会の人たちがきちっと法律等に従ってやってくることしか、私は少なくとも公式の場では言えません。
  253. 石井一

    委員長石井一君) 自見大臣、あなたのお気持ちは分かりますが、質問者の聞いていることに直接、簡潔に御答弁いただきたいと思います。
  254. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 なぜ今日強制調査に入る必要があったのですか。もし、任意調査で浅川社長に十分に協力をいただいていると、強制調査に入るマスコミ一斉報道の後に御答弁でそう言われております。それでは、なぜ今日強制調査に入る必要があったのですか。自見大臣、もう一度簡潔に一言でお話しください。
  255. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 一言で言えば、監視委員会の判断でございます。
  256. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 野田総理、今の御答弁聞いておられたと思いますが、証券取引等監視委員会では単独強制調査に入るということを十七日の日にもう既に発表し、マスコミは一斉報道していました。そして、あなたの下で働く自見金融担当大臣は、任意調査で十分に協力をいただいているというふうにいまだに御答弁をいただくわけであります。この不一致、どのように整理をされますか。
  257. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 不一致じゃなくて、これは制度的な枠組みに十分配慮することが必要だというふうに思っております。金融庁の下に、その設置法に基づいて合議制の機関として独立してその職権を行使するというのが証券監視委員会でございまして、証券監視委員会が事前に強制調査するということは、これは公表していなかったと思います。メディアは報道していましたが、それはそれでありますので、先ほど来の自見大臣の御答弁で私は別に問題はないと思います。(発言する者あり)
  258. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 そうです、そのとおりなんですよ。強制調査に入る前に発表なんかしちゃいけないんです。していないと思いますよ。  じゃ、何でマスコミが一斉に報道したんですか。誰がリークしたんですか。こんな大事なことをリークしていいんですか。お答えください。
  259. 石井一

    委員長石井一君) ちょっと、証券取引監視委員会岳野事務局長、簡潔に御答弁、経過を説明してください。
  260. 岳野万里夫

    政府参考人岳野万里夫君) 監視委員会から御説明申し上げます。  先ほど来御説明申し上げておりますとおり、証券取引等監視委員会金融庁の中に設けられた合議制の機関でございまして、金融庁設置法第九条によりまして、委員会の委員長委員は独立してその職権を行うということで、法律的に制度がございます。  したがいまして、犯則調査に関する意思決定につきましては監視委員会が行っておりますが、この件につきまして事前に発表するとかリークするとか、そういったことはいたしておりません。新聞報道も一斉に報道されたということではなくて、相当前から、いつごろ監視委員会犯則調査に入るだろうという推測報道は相当前からばらばらと出ているところでございますので、一切リークですとか発表とかはいたしておりません。本日朝、犯則調査に着手した上で、大臣にも御報告し、皆様にも公表しているところでございます。
  261. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 私は全てネットニュースも見ましたし、十七日時点で判明したということで一斉に横並びでマスコミは報道をしています。これは一体誰がリークをしたのか、これは責任重大だと思いますよ。  時間がありませんから次に行きたいと思いますが、ただ、この間、一月にこの検査に入ってからほぼ二か月近く任意調査をずっと続けてきたわけであります。しかしながら、事の性質からいきますと、これは刑事告発にも匹敵するほどの潜在的な問題なわけであります。  投資信託法では、当然ながら、顧客からお預かりをした預かり資産については、その預かる目的のためだけにしか運用してはいけないんです。ですから、今回、この年金の二千百億円、消えた年金財産、ほとんど六十億円ぐらいしか残っていないとか、様々な数字がもう既に二月には報道ベースで出ているんです。  それしか消失して残っていないと分かっていながら、そして、そうであるならば、刑事事件になりつつあると、そういう予測が十分に認識としてされつつありながら、なぜこの二か月間ずっと金商法違反の範疇で任意調査を続けてきたんですか。自見担当大臣、お願いします。(発言する者あり)
  262. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) まず、先生、冷静に申し上げます。  二月十七日に監視委員会により、本日、一月から実施しているAIJ投資顧問検査の過程で当社における顧客資産の運用状況について疑義が生じている旨の連絡を受けました。この連絡を受け、異例の対応でございますが、急遽十七日金曜日に当社に対して報告徴求命令を出し、そして、二月二十三日に当社より報告を受領の後、投資家保護の観点から業務改善命令と、二十四日でございますけれども業務停止命令、これはもう非常に、先生もうお分かりのように、発出して、即日、全ての投資一任業者に対して一斉調査を実施する旨発表し、実質は二月、ちょっと時間が掛かりますから、水曜日に報告徴求命令を出したわけでございまして、本日が、発生した原因については、現在、監視委員会等が、当日は検査中でございましたが、昨日終わりまして、今日新たに、今日十一時から新聞記者会見を金融庁でさせていただきましたが、新たに強制調査をさせていただいたわけでございます。(発言する者あり)
  263. 石井一

    委員長石井一君) 調査の経過を答えたと思いますが、質問者はなぜ任意調査を続けてきたのかと聞いておられますから。大臣、いかがですか。  事務局長、あなた、ちゃんと的確に答えろよ。はい、どうぞ。なぜ任意調査を続けてきたのか。
  264. 岳野万里夫

    政府参考人岳野万里夫君) 証券検査犯則調査という権限を独立して行使させていただいております監視委員会事務局の方から御説明をさせていただきます。  なぜ任意調査を続けていたのかということでございますが、私ども事案に応じまして、証券検査、これは強制調査ではないという意味で、任意の行政検査でございます。それから、犯罪捜査のための犯則調査、これにも任意調査強制調査とがございます。強制調査証拠物を差し押さえるもの、犯則調査における任意調査というのは嫌疑者に対する質問調査などでございます。  このように、私どもの場合に、行政的な手段と犯罪捜査という二つの手段を持っております。これをどのように戦略的に組み合わせて、どういうタイミングで発動していくかというところが一番私どもにとって重要だと思っております。(発言する者あり)そのように思っておりますが、それを今説明しているところでございます。(発言する者あり)はい。  それで、私どもといたしましては、まず今回、問題が発覚したときに、行政検査を続けるのか、もちろん犯則調査に切り替えるのか、そういった判断は当然しておりまして、今回の事案の場合に……(発言する者あり)いや……(発言する者あり)事案によっては直ちに犯則調査に切り替えるというものもございますが、本件の場合には、実際に取引をして、運用をして、年金基金から集めたお金をデリバティブ取引で運用して損失を出しているということらしいということでございまして、まずはそういったことで事案解明を進めるために何がいいかということでございます。  それから、もう一つ考えなければいけないことは、年金の資産に関する民事上の問題がございまして、なるべく早く実態解明して、年金基金、年金資金を運用されている皆様の今後の資産の保全、取戻し、そういったことにもつなげる必要があるということでございまして、なるべく早く行政検査を継続したということでございます。  現在、検査を終了した時点で状況が整いましたので、今度は犯則調査に本日着手したということでございます。
  265. 石井一

    委員長石井一君) 岳野政府参考人答弁が長過ぎるし、言い訳過ぎるよ。なぜ続けたのかと言うたら、それはもっと簡潔に答えられるはずです。もしそれをやるんなら、もう二度と指名しませんよ。
  266. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 ありがとうございます、委員長。  なぜこだわり続けたかというところがポイントだと私は思っております。  実は、厚労省もこれ遅いんです、動きが。実は厚労省からも、厚労省側がこの年金基金の資産を受益者のために保全をする通達を出すわけでありますが、三月二十二日、昨日時点でようやく重い腰を上げて、厚労省も資産保全を請求することを年金基金に要請をしたわけであります。何と昨日です。  小宮山厚労大臣、なぜこんなに遅いんですか。(発言する者あり)
  267. 石井一

    委員長石井一君) ちょっと静粛に願います。静粛に願います。
  268. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) 資産保全のための法的手続を取るよう各基金に通知をしておりまして、現時点でおよそ八割から九割が弁護士への委任手続をしていると承知をしています。(発言する者あり)
  269. 石井一

    委員長石井一君) それじゃ、小宮山厚生労働大臣
  270. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) 昨日になりました理由というのは、金融庁といろいろと調整をした結果、昨日いたしまして、その結果、八割から九割が弁護士の委任手続をしているということでございます。
  271. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 要するに、厚労省厚労省で受益者の資産を保全する義務がありますから、適切な通達を金融庁と連動してやる必要は全くないんですよ。金融庁金融庁で遅い、厚労省も口裏合わせのように遅い、これでは本当に国民の行政に対する信頼を勝ち得ることはできないと思いますよ。十分に注意をしておきたいと思います。  そして次に、いわゆるこのAIJ投資顧問の問題を受けて、投資顧問会社に一斉に、金融庁検査調査票を配付して、検査に入ったわけであります。この検査調査票というのは配付資料にもあるわけでありますけれども、これで、自見金融担当大臣、今回のような詐欺まがいの事件というのは発覚することができるんでしょうか。
  272. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 財政金融委員会でも御答弁申し上げましたが、これは第一次調査でございまして、二百六十五の全投資一任会社に出したんでございますが、当然これ私、これでまた第二次をやりますので、きちっと、私はこれで、もし法律に違反するところがあればきちっとやっていけるというふうに当然確信いたしております。
  273. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 今、自見大臣が、きちっとこれで詐欺まがいの金融行為についてもきちっと摘発ができる、きちっと検査をしていけることができると、そういう御答弁をいただいたんですが。  配付資料、パネルを御覧いただきたいと思いますが、(資料提示)これは実は、AIJ投資顧問の報告書、投資顧問会社要覧を基に作ったものであります。  実際にどういうテクニックを使ってAIJがこの粉飾をやっていたかという点なんですけれども、自見担当大臣、この表の下の仮想シナリオの方にタコ配当という言葉がありますが、これ極めて今回重要な鍵となるテクニックだと思います。タコ配当というのは何でしょう、皆さんに御説明をお願いします。
  274. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) タコ配当というのは、それは業界用語でしょうけれども、利益がないところに、タコが自分の足を食うようにマイナス収益時にも元本の切り崩しで支払う配当金だというふうに、先生、説明が書いてありますが、そういうことだということをちゃんと私も説明を受けております。
  275. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 説明書きを読まないと、やはり御存じないということなんだと思いますけれども。  ただ、これは極めて今回大事だと思います。要は、どういうことかといいますと、この二〇〇四年度から契約の預かり資産二百五十六億円、そしてずっと右に行きまして、二〇一〇年度、二千百一億円程度、預かり資産というふうに書いてありますけれども、実際は、結局こういう詐欺まがいの事件というのは、預かり資産を預かっても、例えば何の運用もしないで放置をしていた、銀行預金に放置をしていても報酬を取るわけであります。  要するに、預かり資産から収益で何%上がったと虚偽の高い利回りを報告して、そして裏で高い報酬をその報酬のテーブルにのっとって取るわけであります。そして、その高い利回りを公表していますから、その利回りは払わなければいけませんから、高い利回りを支払うために高い利回りを記載し続けてお金を集めようとする。そして、仮に運用をして、この表の場合ですと想定でマイナス二〇%が実際の収益率だと想定した場合を計算しておりますけれども、そのようにマイナスの利回りで、実は大損を出している場合でも高い収益率を公表して、お金をどんどんどんどん集めて残高を高く公表し、そして自分たちはこの高い報酬スケジュールのテーブルにのっとって取っていくと。ですから、一旦うそを始めると、どんどんどんどん、高い利回りを書き続けて、新しいニューマネーを入れ続けないと回っていかなくなる、詐欺のビジネスなんです。  その基本的な役割を果たすのがこのタコ配当、要するに、収益が上がっていないから実際は元本から切り崩して配当金を出していくわけであります。ですから、もう気が付いてみたら、実際にやっているかは分かりませんけれども、気が付いてみたらもうほとんど二千百億円の中身がなくなっている、消失してどこに行ったか分からない、そういう状況になっているわけであります。  自見大臣、もう一度伺いますが、こういうテクニックというものを今回の調査票を通じた二回の検査で摘発できるんでしょうか。
  276. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 先生に一言申し上げますけれども、今日十一時からきちっと記者会見いたしておりまして、先生、大変想像力豊かに、知識が御博学でございますけれども、その表を作っておられますけど、少なくとも調査した結果の正確な表がございますので、数字がございますので、今日は金融庁の責任において、あるいは証券等監視委員会の責任において二時間ほど記者会見させていただいたんで、その結果によりますと……(発言する者あり)いやいや、ちょっと待ってください。ちゃんと、少なくともこのデリバティブ取引、損益、純資産の推移というのを、表を今日は出しておりましたけれども、少なくとも……(発言する者あり)いやいや、聞いていませんって、今日十一時に発表したんですから。(発言する者あり)  だから、それだと、ちゃんと、要するに、記者会見して、きちっとして、これ、デリバティブで取引をしたけれども、だんだんだんだん……(発言する者あり)損益を来ているということでございまして、千九十二億円ですね、毎年毎年、利益が出たということを、今日、やっぱりきちっと朝八時からの記者会見でそう言ったわけでございますから、是非その辺もテークアウトしていただきたいと思っています。(発言する者あり)
  277. 石井一

    委員長石井一君) それじゃ、自見大臣、今回のような調査でタコ配当というのが判明するのかと、こういう質問ですから、それに直截に答えてください。はい、どうぞ。
  278. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 今回の一斉調査では、全ての投資一任業務を行う者についてまず第一次調査をしたわけでございまして、業務の概要に関する情報を直近時点に修正するほか、新たな顧客属性や外部監督の有無など追加的な情報を収集するもので、この結果を踏まえ、さらに必要に応じて詳細な運用状況を把握するための第二次調査を行うわけでございまして、そういった中で、私は、これ、第二次調査と併せて、不正をしておるとかはこれで発見できるものだというふうに私は信じております。
  279. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 最後の一言で十分だったわけでありますから、これほど時間を数分無駄にされて、これ審議妨害です。委員長、厳重に注意をしていただきたいと思います。  そして、次の問題に行きたいと思いますが、このAIJの問題というのは本当に国民的に大きな問題になっておりまして、中小企業の方々からすれば、やはり大事な年金資産を失ってしまって、補填ができないから連鎖倒産とか、これから様々な問題が出てくるわけであります。もう少し、政府としては配慮の利いたきちっとした答弁を簡潔にしていただきたいと思いますが。一つ、今回、この問題で国民的に関心があるのは、本当にケイマン諸島のファンドなどが安全なんだろうかという、そういう疑問も上がっているわけであります。  いろいろな政党でプロジェクトチームが立ち上がっているようでして、民主党さんでも立ち上がっていると聞いていまして、規制強化の方向で検討も進まれているということも漏れ伝わってきます。我が自民党でもプロジェクトチームを立ち上げまして、私も事務局長をさせていただいているところであります。  そこで、自見担当大臣にお伺いしたいと思いますが、国民の皆さんも大変ケイマン諸島のことは気掛かりと思いますが、一部に報道されています、このAIJ投資顧問のお金がアイティーエム証券を通じて、そこから先ブラックボックスでどこに行ったか分からないけれども、どうもケイマン諸島に行っているようだと、ファンドに行っているようだと。さらに、ケイマン諸島を経由して中国や香港に行っているんじゃなかろうかと、そういう観測も流れているわけであります。  自見大臣、これはどういう流れで中国に行くのでしょうか。国民に分かりやすく少し自見大臣のお考えを、最近のグローバル的資金の流れもある中で、ケイマンを通じてどういうふうに中国に回るのか、金融担当大臣としての御高説を少し手短にいただきたいと思います。
  280. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 佐藤ゆかり議員、よく、もう御専門でございますから、いわゆるケイマン諸島に対してどのように対処していくかと。  いわゆるクロスボーダーの金融証券取引の増加などにより、国内市場の公正性、透明性の確保の上で、国際的な協力と連携強化がこれまで以上に重要な問題となっております。そういった中で、証券取引等監視委員会においても、ケイマン諸島に限らずいろいろなほかのタックスヘイブンという国があるわけでございますが、そういった海外の投資ファンドを通じた違法行為実態解明について、海外の証券規制当局との間で多国間あるいは二国間の情報交換をいたしまして、今度の調査でもお世話になったというふうに聞いておりますが、そういったことを活用して、連携を図ることで密接な協力関係を、協力しているということでございます。  やはり私は、もう御存じのように、アメリカはリーマン・ショックの後、金融規制、金融規制強化法というのを作ったんですけど……(発言する者あり)いやいや、それで、実際は、今私が聞いている、八十億ぐらいのお金が残っているんだけれども、一部は香港にお金があるというふうに突き止めているというふうになっております。  だけど、そこら辺は今ちょっと、時間がいただければ説明申し上げますが、全部は分かっておりませんけれども、今までのいろいろな任意調査でもしっかり、香港にお金があるということをまた金融庁からも、金融庁といいますか、証券監視委員会から香港の方に参りまして、お金があるということを確認を、八十億だったと思いますが、確認させていただきます。
  281. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 本当に、お分かりにならないんであれば、きちっと分からないというふうに簡潔にお答えいただければ次に進めるんです。是非御協力をもう本当にお願いしたいと思いますが。  ただ、これ、総理、今聞かれましたように、自見大臣は、なぜお金が日本から、AIJ投資顧問からアイティーエム証券を通じてケイマン諸島、そして中国若しくは香港に回るかという、そのメカニズムを金融担当大臣が御存じないわけです。ですから、どういうふうに回るかというからくりが、やはり金融の専門家としてこういうことが分からないと、水際規制をどうやって打っていいかと、その対策も打てないわけですよ。ですから、その仕組み、マネーの流れ、それはやはり金融担当大臣しか分からないんですから、それはしっかり自見大臣にやっていただかなければいけないし、勉強していただかなければいけない。  いかがですか、野田総理、今の自見大臣の御答弁
  282. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) いや、ケイマンから香港までのお話は大臣お話しされましたし、もっと時間を掛ければ説明できるとお話しされていましたので……(発言する者あり)
  283. 石井一

    委員長石井一君) 静粛に願います。
  284. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 押さえていらっしゃると思いますし、もっと詳しくということだったら証券監視委員会の事務局長から、実務をやっていますから御説明させればと思います。
  285. 石井一

    委員長石井一君) 自見金融大臣、あなたはもう非常に金融にも国際問題にも明るい人です。紙を見ずにこの質問に答えて、それで答えられぬ場合は知らぬと言ってください。その方がいいです。
  286. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 野田総理、自見大臣はケイマン諸島からアジアにどういう形でどういうテクニックでお金が流れているかということは全くお答えいただいていないんです。要するに、把握していないということなんですね。そうすると、どこをどうやって水際規制したらいいのか、どうやって日本人の国民財産を不正な利用から守ることができるか。そのことは、メカニズムが分からないとまさに対処のしようがないわけであります。そのことを自見大臣は御答弁いただいていないんですね。  やはりこれ、非常に気になることですが、過去十年間──いや、もう時間が、恐らくお答えいただけないんで多分駄目だと思いますが。  ケイマン・ファンドは、もうこの十年間、かなりその残額もファンドの立ち上げ数も増えてきたわけです。一体どういうことが起きているかというと、例えば中国にビジネスを進出したい、香港に出したい、特に中国です、中国に出したい人がお金を集めたい。ケイマンであれば、私募ファンドで中身は明かさなくていい、外部監査も要らない。ですから、ケイマン諸島に、タックスヘイブンでもある、このファンドを立ち上げて、そしてAIJ投資顧問のようなところを通じてお金を集めて、ケイマン・ファンドに入れるわけです。そして、ケイマン・ファンドから向かう先、運用先は、中国のビジネスの立ち上げやそういうものの貸付けに使われていたり、そして、そこで事業が止まってしまえばもうその日本人の財産もなくなってしまうと、そういうことになっているわけであります。  ですから、お金集めするテクニックとしてケイマンを使っているんです。そして、ケイマンで立ち上げたファンドをニューヨークのストックエクスチェンジや欧州の証券取引所で上場して名前を売って、世界各国でそのファンドを買わせてお金集めをして、中国に貸し付けたりしてなくなっている事件があるんです。そういうことを自見大臣、御存じでしたか。
  287. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 当然でございますが、あらかたは理解しております。  今度の場合、AIJ投資顧問会社とAIAファンド管理会社、これはバージン諸島にございますが、この二つが虚偽の基準作成を、基準価、基準の価額を作成をしたというところが全ての虚偽の始まりだというふうに思っておりますし、ほかのところには、なかなかしっかりした銀行、あるいは例えば世界で第六番目の監査事務所からちゃんと監査なんか受けておりますけれども、これは非常にある意味で巧妙に、その二つだけが虚偽のこの基準価額を作成をして、非常に巧妙に、ある意味で、こういったことを、このバージン諸島あるいはケイマン諸島を悪用したスキームだということでございますが、先生よくお分かりのように、私もこんなところ二十七年やっていますから、いろいろタックスヘイブンを利用して中国に投資するというビジネスがあるということは当然拝聞をいたしております。
  288. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 巧妙にとか、そういう表現はよく使われますが、やはり具体的にどういうふうにワークしてこういう詐欺が行われるかということをしっかりと理解した上で、政策につなげていっていただかなければいけないというふうに思います。  さて、時間も限られていますので、少し厚生年金基金そのものの問題の方に話を移りたいと思います。  この基金の積立て問題なんですが、実はリーマン・ショックが二〇〇八年九月十五日に起きました。そして、その後、やはり指定基金とされた基金の数が急増しているのが現状であります。やはり市場が劣化をして大幅な下落を得て年金資産もかなり減少したわけであります。指定基金は、三年間連続して、厚生年金代行部分の最低責任準備金九割を下回る状況が三年間続くと指定になる、あるいは直近の一年間、八割を割れると指定になる。ですから、リーマン・ショックが二〇〇八年九月十五日に起きて、二〇〇八年、九年、一〇年、そうすると一〇年のときの指定基金の数がやはりデータを見ると急増している、三十件、四十件増えていると、そういう状況であります。  さて、リーマン・ショック以降、基金の積立て不足、急増していますが、厚労省はどのような対応を取られましたでしょうか。小宮山大臣、簡潔にお願いいたします。
  289. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) 厚生労働省といたしましては、毎年度、各基金から提出される決算報告書などによりまして各基金財政状況を把握していますけれども、御指摘のように、近年の経済情勢の悪化によりまして総合型厚生年金基金では財政が悪化していると認識しています。特に、代行部分の給付に必要な最低責任準備金を保有していないいわゆる代行割れ状況にあります厚生年金基金は、リーマン・ショック後の平成二十一年三月末時点で全体のおよそ八割、直近の平成二十三年三月末時点でもおよそ四割となっています。  このため、これまで積立て水準が著しく低い厚生年金基金を、今御指摘のように、指定基金として指定をして健全化計画を作成をさせています。掛金の引上げ等による積立て不足の解消を求めるなどの取組を進めてまいりました。また、現下の厳しい金融経済情勢を踏まえて、掛金段階的な引上げを実施しやすくするということを今年の四月に実施をし、また、掛金の引上げの開始を一年間遅らせることができるという措置平成二十五年三月末まで、これは事業主の負担の緩和にも一定の配慮をしてまいりました。  一方で、積立不足により解散できない基金への対応として、昨年八月に成立した年金確保支援法により、積立不足分を分割納付できる特例措置を導入しています。
  290. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 そうですね。いろいろやっておられるようですが、実は、今大臣がおっしゃられましたこの特例解散ですね、昨年の八月に改正法が通りました。これで分割納付ができるようになったわけでありますが、実はこれが大変な悪法なんです。小宮山大臣、これでどれだけの中小企業の年金基金の方々がお困りになっておられるか。大変な改悪をされてしまったわけでありますが。  これはどういうことかといいますと、解散時に一括でこの不足部分を払う企業は一括納付できますが、分割でしかできない本当に財務が弱体化した中小企業は分割をして納付ができるようになったわけであります。しかしながら、法律的な間違いをそこでやってしまわれたのは、全員一括納付をして終わったと思った会社まで連帯保証を負わされていると、そういう法律の枠組みになっている。ですから、分割納付で、行く末、数年後に事業に陰りができて倒産してしまった、そして全て残額を払うことができないその倒産会社の部分まで一括納付をして全て済んだ会社が責任を負わされてしまう、それがこの民主党政権になって昨年八月通された特例解散の法律なわけでございます。  ですから、解散したくてもますます解散できなくなってしまったと。連帯保証は大変困るということで、どんどんどんどん任意脱退で健全な企業はどんどん先に脱退してしまう、残された弱者連合だけでとても解散できない、そこで行き詰まって連鎖倒産になってしまっている中小企業の例が多いんです。  特に、今、私も耳を疑うようなことを聞いてまいりました。基金を解散したいと、それでも何とかその陰りが出る前に、健全なうちに基金を解散して問題をしのぎたい、そういう中小基金団体がたくさんありますけれども、複数の基金、これは匿名にしてくださいということですが、基金の解散の申出を厚労省に申出をしました。事前相談書を提出。しかし、国の基準に該当せずという訳の分からない理由で厚労省がことごとく解散の申出を却下したと。そして、解散できないうちに数年たって、本当に財政が赤字になって、そしてばらばらになって、今は積立不足を背負ってどうしようもない、これから連鎖倒産になってしまう、そんな厚生年金基金の話が幾つも私の耳に入ってきているわけであります。  厚生労働大臣、この瀕死の努力で、何とかやっていこうという努力に対して、厚労省はどういう基準で解散を拒否したのでしょうか。一応、私のところに紙がありますが、解散理由の基準について、基金の五割以上の加入中小企業が赤字でない限りは解散させないと、そういう理由で断られたという基金がたくさんあるわけでありますが。しかし、厚生労働省が発表している解散理由の基準というこの紙があります。これによりますと、その条件に該当しない場合でも、基金設立後の事情変更等により運営を続けていくことが困難であれば解散できると書いてあるんです。なぜ五割以上のルールにこだわったんですか。
  291. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) それは、やはり受給権を保護する必要があるということから、ここに規定がありますように、きちんと客観的な基準で慎重に対応しているところです。
  292. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 受給権保護というのは、もう何か盾を取ったように使われる言葉でありますが、しかしながら、こんなことで解散できなくて負担ばかり背負わされて、そして、実際連鎖倒産が起きているんです。そして、連鎖倒産すれば雇用は失われ、受給権どころじゃなくなるんですよ。そのこと、お分かりになりませんか。
  293. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) それは、十五年前に法改正が行われまして、私どもは指導監督をするという立場になりましたので、ガイドラインでもって可能なことはこれまでもしてきております。  ただ、今回、このような事態が起きましたので、このガイドラインでは不十分だということで、今、実際にその天下りの状況を含めた調査を今月いっぱいで完了いたしますので、それを基にして、四月なるべく早く有識者にお集まりいただいて、どのような形で対応できるかということを検討し、六月をめどにもっと強化したものをお示しをしたいというふうに思っております。問題意識は強く持っております。
  294. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 実際にこれ、厚労省が足を引っ張って基金を解散させてもらえないという思いが中小企業の方々にはたくさんあるんです。そういう声がメールでも電話でも私のところにたくさん来るようになりました。そのことは十分に認識をしていただきたいと思いますし、その理由として、社保庁のOBの方々が基金の専務理事、常務理事に就いておられる、そして自分たちの天下り先のポストを失いたくないから基金を解散させないと、そんな邪魔もしていると、そんな話まで入ってきているんですよ。それは特にリーマン・ショックが発生した後の財政悪化で起きているんですね。そういうことは十分に反省をしていただきたいというふうに思います。  さて、こういう状況でありますから、野田総理、この社保庁のOBが基金解散を阻止するような、足を引っ張っている問題、いろいろあります。そういう意味で今後、来月、社会保障・税一体改革でありますが、被用者年金一元化法案を民主党政権は出されるというふうに聞いていますが、是非、職域加算廃止を入れるべきではありませんか。行政として幾ばくかの責任を取るべきではありませんか。
  295. 石井一

    委員長石井一君) それじゃ、これで質問を終えると思いますが、内閣総理大臣
  296. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 検討します。
  297. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 ありがとうございました。
  298. 石井一

    委員長石井一君) 以上で佐藤ゆかりさんの質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  299. 石井一

    委員長石井一君) 次に、中山恭子さんの質疑を行います。
  300. 中山恭子

    中山恭子君 自由民主党・たちあがれ日本・無所属の会の中山恭子でございます。  今日は、日本経済全体を復活させるための前向きの議論、明るい未来をつくるための議論をしたいと思っております。  ただ、その前に一言申し上げます。  本委員会でも指摘されたところでございますが、政府主催の東日本大震災一周年追悼式に天皇皇后両陛下の御臨席を仰ぎました際、司会者から、両陛下が御入場になる際、御退席なさる際、参列者は着席のままでいてくださいとの指示がなされました。立ち上がってお迎えするのが日本では自然な気持ちですし、世界でもそれが通常の礼儀であると思いまして、あのとき、野蛮な国に来たような居心地の悪い時間を過ごしました。  一昨日、三月二十一日、政府は閣議決定なさった答弁書で、この所作について内閣府と宮内庁の事務方の協議によって決定したとしていますが、これは非常に無責任な回答であると思っております。  御皇室に対する崇敬の念は、私たち日本人にとって誰から教えられることもなく、二千六百七十二年にわたって連綿と続く歴史の中で自然に抱いてきたものであり、貴重な文化、文化的な遺産でもあります。着席のままで両陛下をお迎えすることに何とも言えない違和感を覚えるのは理屈ではありません。日本が持つ文化とは異なっているから違和感を覚えるのだろうと感じております。  民主党政権になってから、御皇室に対する所作においてこのような違和感を感じさせることが何度もあります。私は、日本が未曽有の困難と言うべき状況にある今、最も頼れるのは日本の人々が古来培ってきた広い意味での文化、風土であると考えております。  日本が紡いできた歴史、伝統、文化のすばらしさは、くしくも被災された東北の人々の、人を思いやり、秩序正しく、礼儀を重んじる姿によって証明されました。国際社会の信頼と尊敬を得、平和を維持していくために、この日本の文化を失ってはいけないと強く願っております。  今回のような礼を欠いたありようが当たり前のこととならないよう、前例とならないよう、総理始め政府の皆様に心からお願い申し上げます。  では、デフレ……
  301. 石井一

    委員長石井一君) 答弁はありませんか。一言。
  302. 中山恭子

    中山恭子君 あっ、そうですか。はい。
  303. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 私は、皇室をまさに大切にする思いは委員と同じく強く持っている思いでございますが、少しちょっと誤解があるようでございます。  民主党の政権になってから、こういう例えば座ったままお迎えをするということが始まったわけではございません。かつての政権のころから着席で迎えるケースと、そして起立してお迎えをするケースとがございました。その都度、宮内庁と協議をしているということで、政権交代があったからこういうことが起こっているということは違うということは是非御理解ください。
  304. 中山恭子

    中山恭子君 ごく最近といいましょうか、あれは民主党政権だったでしょうか、非常に陛下に無理強いをなさるとか、十二時に開会するとか、いろいろな何とも言えず違和感を覚えるような動きがごく最近もずっと続いておりますので、先ほどのような感じを申し上げました。  では、まず、デフレ脱却につきましてですが、日本にとって喫緊の課題は、やはりデフレ脱却経済の再生であると考えております。昨今の議論を見ておりますと、消費税増税問題、公務員給与削減や人員削減など、大震災から一年たって復興もこれからというのに、縮小均衡の議論が先行し、明るい未来というものが全く見えてまいりません。  今年四月二十八日、講和条約が発効してから六十年を迎えます。日本の社会のあるべき姿を考え日本が持っている活力を生かし切る政策を取るときであると考えます。  私は、日本にはまだまだ成長の可能性が十分残されていると考えておりまして、GDP、現在五百兆円を切ってしまっておりますが、このGDPそのものを、日本経済全体を拡大する、七百兆円、八百兆円、場合によっては、できれば一千兆円にまで持っていく、そのためにはどうしたらいいかをみんなで知恵を出し合って、政策を企画立案していく時期であると考えております。  まず、被災した東日本復興というものを国家プロジェクトとして、少なくとも今後百年耐え得る堅固で安全な地域をつくるということをまず第一に考えてはいかがでしょうか。日本が持つ最先端技術を駆使して、安心して住める、快適に住める、企業が集まる、世界各地から多くの人々が訪ねてくる、そのような地域を国家プロジェクトとしてつくっていくというアイデア、つくっていくということを政府として考えていただきたいと思っております。  公共事業というものを大胆に展開してこのようなプロジェクトを、地域の方々の意見は聞きながら、国が率先して行うということはお考えになりませんでしょうか。安住大臣、いかがでしょうか。
  305. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) 昨日も財務金融委員会でいろいろ御提言をいただきまして、ありがとうございました。  私どももこの復興に関しては、自民党、公明党、我々と、復興予算、これは特別会計において予算措置いたしました。それで、なおかつ、ここには全国防災ということで、防災に強いやはり国づくり、これは自民党から見れば国土強靱化、公明党から見れば防災ニューディールとなりますが、私どももそういう点では同じ感覚を持ってこの予算措置をしております。  ですから、額の多寡としてはまだまだ不十分という御指摘はあると思いますが、例えば、先般、昨日も私お話しさせていただきましたが、老朽化した公共施設についての再投資、さらには、先生よく御提言いただきますコンパクトシティーなんかをやる場合に共同溝を設置したりとか、これは二百億円規模の事業費等を付けておりますけれども、新たな視点に立って、高齢化社会に向けた日本の公共投資については、十分これから効果のある対策というものを考えていきたいと思っております。    〔委員長退席、理事川上義博君着席〕
  306. 中山恭子

    中山恭子君 是非、この東日本復興というものをしっかり行っていけば、コンパクトシティーで共同溝を必ず持つようなそういう美しい町づくりができてくれば、またこれ、このこと自体ちょっと規模が全く違うと思っておりまして、まあ十年間で二百兆くらい掛かるのではないかという思いがございますが、この動きそのものが日本経済復興につながっていくと思っております。  また、日本の社会インフラ、今大臣おっしゃいましたように、戦後造られたもの、上水道、下水道、橋、港湾施設、河川管理、全てが更新時期に来ております。この更新を全国にわたって広げていけば、これも大いに日本経済の復活につながっていきますし、技術革新、電池の研究などについてももちろん当然進めていただきながら、日本復活を目指していっていただきたいと思っております。もちろん、耐震、免震の、建築の構造を変えていくということも当然必要なことであると思っております。  財源についていろいろどう扱うか、あるかと思いますが、これはあらゆるアイデア、あらゆる可能性を検討してよろしいかと思っております。返済する必要のない日銀引受国債の発行、政府の支出権発動、いろんなことを考える、検討する価値があると思っております。  明治維新のとき、日本は近代化を遂げるために先人たちはいろんな工夫をし、苦労してきております。明治維新のとき、一から近代国家を建設するために当時の維新政府はどのような手を打ったか御存じでいらっしゃいますでしょうか。また、日露戦争の戦費が全く払底してきたとき、戦費調達を始め、あの勝利を得るまでどのような対策を打ったでしょうか。また、戦後、何もない焼け野原から立ち上がってくるとき、オリンピック開催を前にして日本が打った手はどのようなものであったか。お答えいただければと思います。
  307. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) 大蔵省御出身の先生には私の知識は比べ物にもなりませんけれども、分かる範囲で申し上げますと、明治四年の新貨条例というのがあります。このときは、政府紙幣、国立銀行券等を大量に発行いたしました。ただ、そのときは藩札や旧貨幣、私札がありまして、大変なインフレが起きてしまったと。そういう副作用はありましたが、結果的には西南戦争当時も含めて紙幣発行によってこれを賄ったと。  それからもう一つ、例えば関東大震災、さらに太平洋戦争等についても、そういう意味では、その後の大変なインフレはありましたけれども、大量紙幣発行によると。ただし、それは政府券とか軍票、様々なものが混在をし、混乱を招いたことはあったというふうに聞いております。  なお、オリンピック前のことについてはむしろ先生に御説明いただいた方が、当時大蔵省でおられたわけですから。たしか、IMF、世銀からの借入れによって公共事業を起こしたというふうに記憶しております。
  308. 中山恭子

    中山恭子君 日露戦争のときには増税もありました。ただ、それだけではなくて、国際社会からの借入れをしております。これはほとんどユダヤ系からの借入れでございました。それから、今、オリンピック前の高速道路の建設、新幹線の建設なども、これは世界銀行からの借入れでございます。こういったことをベースにして日本というものの経済が拡大してきているということでございまして、考えるということ、いろんな可能性があるということを是非お認めいただきたいと思っております。  今日はもう一つ、エネルギー問題で、福島の原発事故があって、原子力発電所に関して多くの方々が漠然とした不安を抱いておりますし、原発の再開をどうするのかという大きなテーマを抱えております。今月九日、北海道泊原発を視察してまいりました。また、以前、伊方原発を視察し説明も受けておりますが、私自身は決して原発の専門家ではありません。ただ、そうであるからこそ御質問いたしたいと思っております。  政府は、ストレステスト、シビアアクシデントへの対応の確認等を行い、それがクリアされれば、あとは政治判断をするというように報道されておりますが、一般の人々は、政府の政治判断に対して非常に不安を持ったままであるということでございます。時間がありませんのでこちらで申し上げますと、なぜかというと、民間事故調、政府事故調、どの報告書を見ましても、今回の福島の原発事故については、初動の段階で、何というんですかね、人災であると。例えば、全電力が止まってもメルトダウンは起きないという、そういうシステムが取られていたと。IC、非常用復水器を正しく機能させていれば違った状況になっていたはずだという報告が出ております。このハードを使い切れなかったというソフト面のミスであれば、この点についてアメリカのNRC等を参考にして、管理についてもっと徹底した形を取っていただきたいと思っております。この点はまた後で議論していただきたいと思います。
  309. 川上義博

    ○理事(川上義博君) 以上で中山恭子さんの質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  310. 川上義博

    ○理事(川上義博君) 次に、山本香苗さんの質疑を行います。山本香苗さん。
  311. 山本香苗

    山本香苗君 公明党の山本香苗でございます。  つい先ほどの参議院本会議におきまして、「北朝鮮による「人工衛星」の打ち上げ発表に抗議し強く自制を求める決議」が全会一致で可決されました。この決議において、参議院は、政府に対し、発射に備えて万全の体制を構築し、あわせて米国や韓国を始めとする世界各国、国際機関と連携して、北朝鮮に対して発射の自制を求める働きかけを継続強化するとともに、北朝鮮が国際社会の声に真摯に耳を傾け、発射を自制することを強く求めました。  この決議に対して、総理は、北朝鮮に強く自制を求めると述べられましたが、万全の体制を取るとはおっしゃいませんでした。国民の生命、財産を守るため、発射に備えて政府として万全の体制を取る、総理、この場ではっきりと国民に対してお約束していただけませんか。
  312. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 一つには、先ほどお話をさせていただいたとおり、自制を求めることは、これは当然必要だと思います。その上で、万全という言葉は使いませんでしたけれども、冷静かつ適切な対応を取っていくということの中には万全を期すという意味も入っているということで御理解いただきたいというふうに思います。
  313. 山本香苗

    山本香苗君 さて、質問の方に入っていきますが、東日本大震災から一年が過ぎました。我が国の再生のためには、まず被災地の復興復旧、これに全力を尽くさねばならないと思っております。  まず最初に、前田国土交通大臣にお伺いいたします。  被災地におきましては、昨年末ぐらいから建設工事、特に建築工事、この入札において、全て、またほとんどの業者が辞退するために、入札が中止になったり、入札に参加しても価格が折り合わず不調となるケースが多発しております。こうした深刻な事態を受けて国土交通省は二月中旬以降からいろいろと対策を取っておられますが、現状はどうでしょうか。
  314. 前田武志

    国務大臣(前田武志君) お答えいたします。  山本委員御指摘のとおり、不調というのが随分と問題になりました。特に、現地においては、額の小さなもの、五千万以下だとかそういうものになると四九%とか五〇%というふうに聞いております。  関係の、関与する、もちろん国交省が中に入って、自治体それから業界も入って協議会でずっと続けてきまして、手を打ったわけでございます。  幾つかあります。技術者や技能者を確保するための復興JV制度。これは、地元の業者をメーンにして、そして地元外の優良業者とJVを組ませるとか、それから、一か所の現場に一人の主任技術者というのが原則になっているんですけれども、それを主任技術者の兼任を可能にするような制度。それから、何といっても予定価格ですね。これも、現地というのは随分と、今までは工事が少なくなってきて専門家、技術者が少なくなっていたところに急に発注が随分と集中したために単価がどんどんどんどん上がってきているというようなこともあります。その労務単価の改定というものもやりました。  大体二月の半ばごろまでにこれらの措置を全部やりまして、通知を出し、今まさにそういうことで発注が進んでいるところなので、その実際の効果がどうなっているかというのはもう少し様子を見たいと思いますが、かなりの手は打ってきたつもりでございます。
  315. 山本香苗

    山本香苗君 かなりの手を打っていただいたんですが、なかなか現状は厳しい状況でございます。平野担当大臣の御地元の岩手の釜石でも、同一の工事で三回入札やっても駄目だったという事例もございます。また、安住大臣の御地元の宮城のある市では、来年繰越しする事業のうちの六割が入札不調が原因だと、そういうことも伺ってまいりました。  そして、この入札中止をした場合は、もう被災自治体では、改めて設計内容を見直しが必要かどうか精査しなくてはならなかったり、業者へもう一回告知したり通知したりしなくちゃいけない、事務が多く掛かる、時間が掛かると。本当に大変なんです。  また、被災地の建設会社からは、今の入札環境では契約に至るまでの社内整備ができないと。会社として万全な施工体制を築こうにも単価が安く作業員を確保しにくいと。通常の工事における作業環境ではなく、資材調達も思うように確保しにくく、また復旧作業などは被災で壊れたものを修復、補修するために、熟練した作業員、技術者を必要とするために人材を確保しにくい。また、さっき復興JVの話をされましたけれども、仮設の飯場が認められたんだが単価が低過ぎると。そして、被災した建設会社が抱える問題点を本当に把握して行っているとは到底思えない。こういう厳しい声が上がっております。  そこで提案申し上げます。復興庁が窓口になっていただいて、被災地の自治体と建設会社から意見を吸い上げていただいて、被災地の状況をタイムリーに対策に反映させるような仕組みをつくっていただきたいと思うのですが、平野大臣、いかがでしょうか。
  316. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 現場では、大口で発注したものについては比較的落札の率が、落札すぐしていただけると。小口で分散したものについてはなかなかもう不調だということで、市町村が非常に苦労しています。そこの発注の仕方、単価の問題なのか、あるいは業界全体としての、地域全体として人の手当てが間に合わないのか、そういった問題につきましては、昨年十二月末に国土交通省において連絡協議会が設立されまして、こういったこと……(発言する者あり)ええ、分かりました。趣旨は、復興庁はしっかりその窓口にもなって、国交大臣と、国交省と連絡取って、市町村の負担にならないような仕組みに是非これ考えていきたいというふうに思います。
  317. 山本香苗

    山本香苗君 ありがとうございます。  協議会の中に市町村は入っていないんですね。  前田大臣、今の平野大臣の御答弁を受けて、それでよろしいですか。
  318. 前田武志

    国務大臣(前田武志君) 現場のこういったことについては国交省の責任も重いわけでございますから、しっかり平野大臣連携してやらせていただきます。
  319. 山本香苗

    山本香苗君 ありがとうございます。  復旧復興工事はこれからが本格化でございます。是非しっかりと連携していただいて、現地の正確な状況を踏まえて対策を更に講じていただきたいと思います。    〔理事川上義博君退席、委員長着席〕  続いて、小宮山厚生労働大臣に伺います。  今回の大震災におきましては、仮設住宅の寒さ対策など、こうした政府による支援というのは後手に回りました。そのために、政府の支援が待ち切れずに、自分で例えば暖房器具を購入したり風除室を設置したりした方もおられます。無料で暖房器具が支給されると知っていたら自分で買わなかった、自費で買ったり払った分を払い戻してもらいたい、こういう声はいまだに被災地でよく聞かれることです。  岩手県議会で我が党の議員がこのことについて、自費購入分の払戻しできないのかと県当局に聞きましたら、国の制度上できないという答弁だったそうです。  そこで、小宮山労働大臣にお伺いしますが、なぜ駄目なんですか。
  320. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) その寒さ対策などが後手後手に回ったことは本当に申し訳ないと思っています。  御指摘の点ですが、災害救助法による救助は、流通機能ですとか経済などの混乱によって商品などから食料ですとか生活用品が購入できない状況にある中で、確実に救助が行われるようにという趣旨で現物給付ということになっています。このため、被災された方が商品から購入したものに対してその費用を後からお払いする、キャッシュバックをするということは、この災害救助法の趣旨から難しいということなんですね。  この取扱いは、民間賃貸住宅の借り上げによる仮設住宅、これに入居された方も同様なので、この公平性の観点からも御理解をいただければと思っています。
  321. 山本香苗

    山本香苗君 今、現物給付と言われました。なぜ現物給付じゃなきゃならないんですか。
  322. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) 先ほどその理由申し上げたんですけれども、この災害救助法の救助、この法律の規定によって、現物給付を原則としつつ、例外として現金給付ができるという形になっています。  これは、災害時に、先ほどのような状況で自ら購入ができない状況にある、あるいはライフラインの混乱によって食事を作ることができない、このような被災された方に対して確実に物資や食事などが行き届くようにするためなんですね。  その被災者への現金給付としては、被災者生活再建支援制度がありまして、居住する住宅に大きな被害のあった世帯に対して最大三百万円が支給されるというような仕組みはあります。  なお、この災害救助法を含めた災害法制全般の見直しにつきましては、私もメンバーに入っております、全閣僚等がメンバーの防災対策推進検討会議で今検討していまして、この件も今検討課題になっていますので、そうした御意見も受けて現実的な対応ができるように検討を進めていきたいと思っています。
  323. 山本香苗

    山本香苗君 大臣は今、現物給付というのが法律に基づくとおっしゃいましたけれども、災害救助法をもう一回見てください。現物給付という明文規定はございません。  それに、災害救助法第二十三条の二項はこのように書いています。救助は、都道府県知事が必要があると認めた場合においては、前項の規定にかかわらず、救助を要する者に対し、金銭を支給してこれをなすことができる。金銭給付もできると規定しているんです。  災害救助法という法律は、災害に際して被災者を保護することを目的としている法律です。であれば、できる限り被災者の立場に立った運用をすることこそが求められていることだと思います。被災者の前に立ちはだかるような運用を直ちに見直していただきたいと思いますが、厚生労働大臣、いかがでしょうか。
  324. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) その災害救助法の中には、現物給付とは確かに書いてありませんが、現物給付に当たることが列挙してございまして、その中で、今御指摘の、きちんとその効果があるという、例えば埋葬を行う代金とか、そうしたものについては現金給付ができるというふうに書いてございます。  この件については、今申し上げたように、今、これから先のことについて検討していますので、その中で、御意向も受けまして、現実的な対応ができるように対応考えていきたいと思っています。
  325. 山本香苗

    山本香苗君 今が大事なんです。これからのことじゃないんです。今運用を見直していただきたいと申し上げているんです。  今日の朝日新聞のある記事を見て目が留まりまして、盛岡総局の木瀬公二さんという記者さんが書いた記事なんですけれども、その中に、「東日本大震災の被災地では、不思議なことが起こる。求める物が目の前にありながら、被災者に届かない。法律や公務員の義務を守り続けるとそういうことが起きる。どこかが間違っている。」。いろんなその後に事例を書いておられます。そして、「法律や公務員の規律は本来、人が人らしく暮らすための「道具」であるはずだ。なのになぜ機能しないのか。」と。結論として、秋田県横手市に住む九十七歳のジャーナリスト、むのたけじさんという方の言葉を引いて、「人が法律の家来になっているからだと。」、「法律を使う主人公になれ」、こういうふうに結論付けておられます。  これから、これからとおっしゃいましたが、法律上ちゃんと規定してあるんです。まさにこの災害救助法の所管である厚生労働大臣として、今までの運用を見直してやるという決断をしていただきたいと、よく考えていただきたいと思っております。  近い将来、東南海・南海地震、三連動型の地震や首都直下型地震など、大規模な災害が高い確率で起こることが指摘されております。このような大規模災害が発生した場合は膨大な数の避難所や仮設住宅が必要になります。そして、避難生活を長期にわたり強いられる可能性が高い。こうした事態を解消するためには、あらかじめ仮設住宅、これを現物給付という、こういう選択肢だけではなくて、被災者の側に選択の余地がある金銭給付だとか一定の使用目的に限定したバウチャー制度、そういった選択肢を制度化しておくということが必要じゃないかなと思います。  今回の震災で、先ほど厚生労働大臣御紹介いただいたように、民間賃貸住宅の借り上げという形での仮設住宅の提供を地方公共団体が行う場合、つまり、契約者が地方公共団体であれば仮設とみなすという特例措置がとられました。この特例措置についても、本来は、被災者、被災自治体の手間暇を考えれば、なぜ被災者自身が契約者では駄目なのかという思いがありますが、しかし、今まで何が何でも現物給付とやってきた運用からして、まあ一歩前進かなと思うところはあります。  総理にお願いしたいんですが、災害が起きる前にあらかじめ仮設住宅の現物給付以外の選択肢をきちっと、今回の特例措置で置いておくんじゃなくて制度化しておくと、それによって行政による支援待ち、こういった状態から被災者の自立的な取組を促すことができるんです。コストもトータル見たときには抑制できるんです。早速、制度化、始めてみませんか。
  326. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 先ほど厚労大臣が御説明したとおり、現状においては現物給付は災害救助法、もちろん、できる規定があって一部金銭給付できるところありますけれども、一方で、基本的に現金給付は被災者生活再建支援法、これは数少ない現金給付できるスキームでございます。これをうまく今は使い分けながら対応することが必要だと思いますけれども先ほど来、今回の震災の教訓を踏まえて、中央防災会議の下で防災対策の検討推進会議が開かれていますが、その中で災害法制全般の見直しを行っていますので、委員の御指摘の点はその中での議論の中でしっかりと進めていきたいというふうに思います。
  327. 山本香苗

    山本香苗君 三月七日の日に、今総理がおっしゃっていただいた検討会議の中間報告が公表となりました。その中に、先ほど来より議論させていただいております災害救助法のことも書いてございます。しかし、この災害救助法について、明確に改正するとか、そういったことは書いてございません。  前回の予算委員会におきましては、平野復興担当大臣に災害対策基本法の改正はしていただくことをお約束していただきました。今回は、災害救助法の方の改正を抜本的にやるとしっかりとお約束をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  328. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 災害救助法につきましては、委員から様々な指摘、今指摘いただいた点も含めて、そのほかに例えば要請主義というものがございまして、これは市町村、県が健全だという前提に今立っています。ところが、東日本大震災は市町村自体が機能不全に陥ってしまいました。これは今の災害救助法の中では想定していなかった事態と言っていいかと思います。こういった点も含めまして、先ほど来、小宮山大臣、あとは総理からも御答弁がありましたけれども、防災対策推進検討会議の中で引き続きこれ検討しまして、見直すべきところは見直すということでやっていきたいというふうに思います。  ちなみに、各県知事からも災害救助法については何点かの指摘を受けておりまして、こういった点も踏まえて検討していきたいというふうに思っております。
  329. 山本香苗

    山本香苗君 おっしゃるとおり、要請主義もそうですが、もう広域に避難者が今回のように出た場合もそうですし、また事態がこれだけ長期化することにも対応できない、想定されてないと、そういういろんな課題があります。また、そもそも厚生労働省が所管というのは私はおかしいと思うんですよ。内閣府がしっかりと一体に、災害対策、防災対策取るためには所管替えも必要かなと思っております。  続きまして、我が党が二月に提案いたしました経済政策の防災・減災ニューディールを踏まえて質問させていただきたいと思います。  学校施設の耐震化についてお伺いしますが、学校は子供たちが一日の多くの時間を過ごす学習と生活の場であるとともに、地域住民にとって災害時の地域の防災拠点としての役割を担っています。その安全性の確保は住民の命や財産を守る上で欠かせません。  このため、我が党は一貫して学校施設の耐震化に取り組んできました。平成十三年九月に党の女性委員会に学校施設改善対策プロジェクトを地方議員と一緒に立ち上げて、翌年八月には党の文部科学部会内に学校施設耐震化推進委員会というものを設置して、国と地方の連係プレーで耐震化を推進してまいりました。毎年毎年、地方の要望にこたえられるだけの事業費は確実に確保するとともに、平成二十年に地震防災対策特別措置法を改正して、公立小中学校の耐震化事業の国庫補助率を二分の一から三分の二に引き上げ、地方自治体の負担の軽減を図りました。また、各学校施設の耐震化の診断を義務付けて、そしてその結果の公表を義務付けて、住民の皆さん方の関心を高める、そういう仕組みもつくってまいりました。  平成二十一年の夏に自公政権でまとめた概算要求では二千七百七十五億円を学校施設整備費として計上しまして、地方の事業計画に合わせ、約五千棟分の耐震化事業の予算を確保しておりました。しかし、その直後の政権交代後、千七百億円削られまして、二千八百棟分の耐震化があわや凍結かという事態になりまして、地方の方から何とかしてもらいたいという声が数多く寄せられました。  そこで、我が党の政調会長や、また当時の富田文部科学部会長らが官邸に乗り込んでいきまして、当時の鳩山首相に学校の耐震化のために予備費の活用を強く要請をいたしました。衆参文科委員会でも全会一致で予備費を活用せよという決議が行われて、どうにか平成二十二年度も国のせいで地方の耐震化事業が遅れるという事態は免れることができました。  しかし、ほっとしたのもつかの間です。平成二十三年度当初予算で学校施設整備費はたった八百五億円しか計上されず、このままだと地方の耐震化事業がストップしてしまうと、そういう悲痛な知らせを地方議員から受けました。そのために、第一次補正予算編成に当たって、我が党から学校施設の耐震化事業のために三百四十億円の積み増しを強く要請して、当時の玄葉政調会長にはすんなり受け入れていただきました。また、第三次補正予算においても、我が党の要請を受けて当初より六百億円が積み増しされて、来年度予算とそしてその第三次補正と合わせて地方の全ての要望に応じられる額は確保されたんです。  こうした一つ一つの地道な積み重ねによって、現時点で学校施設の耐震化率は約八五%まで引き上げられて、全国の自治体のほぼ半分で耐震化一〇〇%が達成するところまで来ました。今後、一〇〇%を目指して、もちろん我が党を挙げて、国、地方の議員合わせてしっかり頑張りたいと思いますが、総理、今の話を聞いておられて、考えるところ、思うところ、ございませんか。(発言する者あり)
  330. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) いや、よく聞いておりました。  これまで数次にわたる御提起、御党からございまして、そういうことを踏まえて学校耐震化についての予算措置等をやってまいりました。いろいろ曲折はありましたけれども、常に熱心に取り組んでこられたこと、そして私どもも懸命に受け止めてきたというふうに思っております。  今御審議をいただいている平成二十四年度予算が成立をすれば、その中にも入っておりますので、そうすると学校耐震化率が九〇%に乗ります。ということで、早期の成立に是非お力をお貸しいただきたいというふうに思います。
  331. 山本香苗

    山本香苗君 耐震化事業はもちろん進めてまいりますが、またそれはそれで違う別の話だと思います。  東日本大震災におきましては、学校で照明カバーや内壁が崩落し、児童生徒がけがをする事故が起きました。また、学校ではございませんでしたけれども、九段会館のホールの天井が落下して、お二人がお亡くなりになられました。非構造部材の落下は、軽微に見えても危険なことに変わりはないんです。速やかな非構造部材の耐震対策が必要です。文部科学省の調査によりますと、非構造部材の点検すらしていないという公立小中学校が全国に一万三十九校あります。これは、全公立小中学校の三四・七%に当たります。取りあえず危険な箇所を認識するというのが一番大事なわけでございます。  そこで、平野大臣にお伺いしますが、点検未実施校を平成二十四年度末にはゼロにすると。点検未実施ゼロ作戦、やってみませんか。
  332. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 先ほど総理からもきっちりやっていると、こういうことでございますし、私、御党の衆議院の先生からも、特に防災、減災についての具体的な提言、また地方議員の皆さんと一緒に現場を歩いて調査してきた結果も踏まえながらしっかりやらなきゃならないと、こういうふうに御答弁をしてきたところでございます。  加えて、今先生御指摘の、構造体についてはそういう方向で動いておりますが、特に非構造部材の耐震対策と、こういうことについてはまだ、先生御案内のとおり不十分でございます。  そういう意味で、二十四年度までに何とかゼロ作戦でやれと、こういうことでございますが、私どもとしては今、地方自治体とのこれ連係プレーでございますから、地方自治体の御要望があるものについては全て受け入れていくと、こういう気持ちで今対応をいたしておるところでございます。そういう中にあって、本当にこの点検をしっかりやるということについての啓蒙啓発も含めて、こういうふうに点検をしてもらいたい、こんなことも併せて今、啓蒙啓発でより推進できるように取組をさせていただいておるところでございます。  そういう中で、地方公共団体の方から御要望があれば全てお受けをしていきたいと、かように考えています。
  333. 山本香苗

    山本香苗君 何かよく分かったような分からないような答弁なんですけれども、しっかりやるという姿勢をまず出していただくことが大事なんです。
  334. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 一言、全てやると、こういうことでございます。
  335. 山本香苗

    山本香苗君 じゃ、次のお話なんですけど、どう点検していくかということなんですが、こちらのパネルを見ていただきたいと思いますし、(資料提示)皆さん方、お手元の方の資料を見ていただければと思うんですが、パネルの方は体育館の中なんですけれども、非構造部材と言われて、ぱっとよく分からない、天井とかそんなものかなぐらいだと思うんですが、いろいろ結構ありまして、内壁、外壁だとか窓ガラスだとか、そういったものが非構造部材に当たるわけなんですね。  物によっては教職員の方でも目視でできます。ですが、天井など、足場を組んだりしなくちゃいけませんし、内壁も素人の方がぱっと見て分かるようなものじゃないわけです。ですから、建築士などの専門家に点検を依頼しなくちゃいけません。一件当たりの点検費用どれぐらい掛かるのか、今いろんな地方自治体に聞いてみましたら、大体数十万から数百万、結構幅がございます。  それで、来年度から創設されることになりました学校の防災機能強化事業、ここでは、工事と一体で行われる場合は点検費用も補助対象、しかし点検だけだと補助対象外というんです。点検だけでも補助対象にしてください。さっき点検全部やるとおっしゃったじゃないですか。
  336. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 自治体の御要望を含めて、私は、先生がおっしゃるとおり全てやらせていただきますと、こういうことでございます。  ただ、今先生の御質問は、点検だけでもできないのかと、こういうことでございますが、元々点検というのは改善をするための点検でございます。そういう意味では一体として対応したいということでございますが、ただ、点検もしていくための一つの前提だと、こういうことを考えますと、トータルとしてそういう補助をしていく、こういうことについては私は知恵を絞って対応したいと思います。
  337. 山本香苗

    山本香苗君 またこのことについては後日質問いたしますので、よろしくお願いします。やったかどうかということを聞かせていただきますので。  前田国土交通大臣にお伺いしますが、たしか社会資本整備交付金の中で学校施設の非構造部材の点検費用を見ることができることになっていたと思うんですが、どうでしょう。
  338. 前田武志

    国務大臣(前田武志君) もちろん、学童、児童の安全を守るというのはもう一番大事なことでございますから、結論的に一言で申し上げれば、効果促進事業の対象になります。もちろんその前提条件いろいろありますが、今、平野大臣、知恵を絞ってやると、こう言っておりますから、文部科学省とも連携をし、自治体に働きかけてしっかりとやらせていただきます。
  339. 山本香苗

    山本香苗君 力強い御答弁、ありがとうございます。  非構造部材の点検というのは一回ぽっきりでは終わらないんですね。定期的にやっぱり行っていく必要があります。学校保健安全法第二十七条では、学校点検というのを法律で義務付けています。この法定点検の中に、非構造部材の点検も位置付けて定期的に実施する仕組みというのをつくるべきではないかと思いますが、平野大臣、いかがでしょうか。
  340. 平野博文

    国務大臣平野博文君) おっしゃるとおりでございます。  今現実的にも学校保健安全法の中には、施設等々につきましては全ての事項を含めて学校安全計画を策定して実施すると、こういうことでございますので、私は、基本的にはこの中に含まれていると、こういうふうに理解をいたしております。それを踏まえて各自治体が具体的に方向性を出してもらえれば、今先生御指摘の部分は包含されていると、こういうふうに認識をいたしております。
  341. 山本香苗

    山本香苗君 確認をいたしますが、要するに、事実上、法定点検の中に入っているということですか。
  342. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 文部大臣が定める施設整備基本方針の中に、早い時期に耐震化を完成させると、五年間の間にですね、建設物自体のみならず、天井や外材等の非構造部材の耐震化を促進をすると、こう書いてございますから、私はこの中に含まれていると、法定化されていると、こういう理解でございます。
  343. 山本香苗

    山本香苗君 今まで法定点検の中に入っていたのにやっていなかったということになるわけですか。
  344. 平野博文

    国務大臣平野博文君) このことを踏まえて、各自治体が具体的計画を進めていく中にこういうことを考えていただいたら、そこに明記されればこの法令に基づいて作業が進んでいくと、こういうことだと御理解いただきたいと思います。
  345. 山本香苗

    山本香苗君 ちょっと事前に聞いていた話と違うものでいろいろ確認させていただいたんですが。というのが、学校保健安全法においては、点検というものは法的に義務付けているけれども、何を点検するかというのは各学校で決めることになっているんだという話だったわけです。  しかし、今日の文部科学大臣の御答弁からすると、法定点検の中のきちんと項目の中に入っているものだと、本来やっていなくちゃいけないものだというような御認識を言われたんですが、それでよろしいですか。
  346. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 今私申し上げたことを踏まえて、学校の計画の中にこれをやりますと、こういうことを明記していただければ、私はその法令に従って処理が進んでいくと。学校で具体的に、今回の天井についてはこうすると、こういうことを書いていただければこのスキームに乗っていくと、こういうことでございます。
  347. 山本香苗

    山本香苗君 書いていただくようにというか、書いていただかなかったら入らないという話ですから、きちんと書いていただくように文部科学省としてしっかり指導していただくということでよろしいんですね。  点検を実施しても対策をしていないと、未実施のまま放置するようなことがあってはならないと思います。点検しても対策を実施していない学校というのは今一万三百十一校ありまして、全ての公立小中学校の非構造部材の耐震化率というのはたった二九・七%なんです。三割切っているわけです。非構造部材の耐震対策は、平均一件当たり約二千四百万円だそうです。国の補助率というのは三分の一です。  非構造部材の耐震対策を促進するためには、三分の二のこの地方負担を更に軽減するという措置が必要だと思いますが、総理、具体的な答弁をよろしくお願いいたします。
  348. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 今、二九・七%というお話がございましたけれども、非構造部材の耐震化単体での補助というのは平成二十年度からスタートをいたしましたものでございます。その後、その補助裏への地方財政措置については逐次努力をしているところでございまして、例えば、二十三年度当初予算においては地方負担の七五%について地方債の充当が可能となっておりましたけれども、二十三年度第三次補正予算においては地方負担の全額について地方債の充当が可能であるようになりました。かつ、その元利償還金の八〇%が後年度に交付税措置がとられるようになりました。  このように、これまでも努力をしてまいりましたけれども、今後については、自治体の御要望等々を踏まえながら、適切にその支援の在り方というものを考えていきたいというふうに思います。
  349. 山本香苗

    山本香苗君 自治体の要望はあるんです。是非対応していただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  次に、総合特区制度についてお伺いをさせていただきたいと思います。  国際医療交流の拠点づくり、「りんくうタウン・泉佐野市域」地域活性化総合特区、いわゆるりんくう特区ですね、このりんくう特区は、大阪府と泉佐野市が共同申請をして、昨年の十二月二十二日の日に特区の指定を受けました。指定された理由は何なのか。また、指定を受けた後、総合特区が実現に至るまでのプロセスを、和泉局長、よろしくお願いいたします。
  350. 和泉洋人

    政府参考人(和泉洋人君) 総合特区の指定に当たりましては、客観性、透明性を確保するために各分野の専門家による評価を行ったわけでございますが、御指摘の国際医療交流の拠点づくり、いわゆる「りんくうタウン・泉佐野市域」地域活性化総合特区につきましては、関西国際空港の活性化を図りながら国際医療拠点づくりの先駆的な取組になると、こういった評価で指定を受けたものでございます。  今後の目標実現に向けたプロセスでございますが、現在、規制の特例措置などに係る地方からの独自の提案につきまして、その実現に向け国と地方の協議に入ったところでございます。既に全総合特区出席による国と地方の協議会を開催するなど、鋭意進めております。  今後は、こういった協議を加速しまして、現在、この特区は医療関連の観光者に対応する通訳案内士の特例措置のみを盛り込んだ計画が認定されておりますが、そういった特例措置を追加しまして中身の充実を図ってまいりたいと、こう考えております。
  351. 山本香苗

    山本香苗君 今、和泉局長がおっしゃっていただいたとおり、今、国と地方の間で協議が始まっていますが、これがなかなかうまくいっていないんです。  このりんくう特区の一番の肝はどこかといいますと、民間事業者による仮称、りんくう医療出島センターというものの整備で、その中核を担うのは、動脈にカテーテルを通して血液を止めてがん細胞の育成を抑える動脈塞栓術という、高度のがん治療ですね、これを専門とするゲートタワーIGTクリニックなんです。ちょうど偶然にも一昨日の日経新聞で大きく紹介をされておりましたけれども、このクリニックにはもう国内外から多くの患者さんが来られています。そして、増大する患者ニーズに今対応できない状況となっていると伺っております。  そこで、スピード感を持って病床を整備するために、りんくう特区のこの枠組みの中で、国と協議、同意を不要とする特定病床の設置手続の緩和、これを提案しているんですけれども厚労省は頑として認めてくれないと大阪府から伺っています。小宮山大臣、なぜ認めていただけないんでしょうか。
  352. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) 頑として認めていないということではないと思います。ちょっと、なるべく短く説明をさせていただきますが、このりんくうタウン特区、これは御説明のように、がん治療を行う診療所を増床をして、平成二十六年四月に高度がん医療拠点を整備するものだと。その際に、今言われたように、特例的に、病床過剰地域で病床を増やすための国への協議を不要としたいという御要望があるということを承知しています。  ただ、全体に医師の不足とか地域偏在がある中でこの特区の中にこういう仕組みをつくると、そこにお医者様が必要になるわけですので、その増床の規模が適当な水準であるかは確認をする必要があります。  ただ、このところ、この中で、この全国知事会からの御要望を受けて、客観的なデータに基づいて増床数を算定できるものについては、あらかじめ算定式をお示しをして速やかに審査をするということを今全国知事会の方に御提案をしているところなんです。  ですから、その提案者である大阪府と十分協議をいたしまして、この特例病床制度の運用について、この改善をなるべく速やかにできるような方向で話合いを続けますので、頑として拒否をしているというのではなくて、どうやったらお医者さんが足りない中でここを充実して速やかにできるかということを今検討していますので、そこを御理解いただければと思っています。
  353. 山本香苗

    山本香苗君 一緒に前向きに対応していただけるという御答弁だったようにも聞こえるんですけれども、しかし、今、全部透明化を図ると先ほど和泉局長の話がありましたけれども、プロセスの透明化を図る中で、厚労省と大阪府のやり取りがきちんと書面でホームページでも見れるような状況になっているわけです。そこに載っている理由は、短く要約して言うと、今、大臣の御答弁の中にもちらっとありますが、こういう規制緩和をそこの特区の中ですると、そこにお医者さんが集まってしまうと、そうすると他の地域が医師不足になるから困るんだみたいな、そういうことを事前のレクでもお伺いしました。  しかし、関西空港対岸のこのりんくうタウン周辺含めた泉州地域というのは、大阪が御地元の平野大臣、よく分かると思いますけれども、ここ、医師不足の地域なんですよ。お医者さんが不足しているエリアで集まってしまった方がいいですね。実際、泉州地域の医師数というのは、人口十万人当たり百八十六・九人、府内の二百五十六・九人、全国平均で二百二十四・五人、これより大きく下回っているわけです。解消します。  ですから、是非ともここのところを認めていただきたいと思うんです。それに、今、増床を予定している数というのも五十程度なんですね。物すごい数のお医者さんが集まってくるような何百ということをやらせてくれということを言っているわけじゃないわけなんです。りんくう特区の総事業費の約百二十億円です。財政状況がめちゃめちゃ厳しい大阪の中で、来年度、平成二十四年度予算で十億円計上しています。財政健全化団体でもある泉佐野市も思い切って補助をすると伺っています。  しかし、大半は民間の資金なんですね。病床の増床が認められるかどうか、認められるとしても何床認められるのか、いつ認められるのかと、こういう状況だと、なかなか民間事業者としては、土地を取得したり、また、建設ということに着手ができないわけなんですね。  実は、特例措置もあるんですよということも厚生労働省から伺ったんですが、特例措置にしたってどっちにしたって、今申し上げたようなところは不透明ではっきりしないわけなんです。だから、今回特区の中で認めてくださいと言ってきているわけなんで、そこの趣旨はよく分かっていただけたと思います。  とにかく、このりんくう特区の一番核となるこの提案が認可されなかったら、この計画自体が駄目になっちゃうわけなんですね。頓挫してしまいます。計画では、平成二十四年度に土地を取得した上で工事に着工して、平成二十六年度に開業することになっています。となると、今年の四月末までを目途に結論を得るべく進められている第一次の国と地方の協議の場において国の同意を得て認可されなきゃ間に合わないわけなんです。そして、認可されたら、今年の秋をめどに今度は大阪府の医療審議会に諮るんですね。  先ほど厚生労働大臣は予想に反していい御答弁していただいたんですけれども、地域が官民一体となって本気で取り組んでいるんです。国がその妨げになることはあってはならないと思います。  このりんくう特区を指定されたのは、内閣府の長たる内閣総理大臣なんです。是非とも四月末までに小宮山大臣とうまく手を握っていただいて認可していただくよう、総理、お約束していただけませんでしょうか。
  354. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) 予想に反してと言われましたけれども、私は、この医療について先進的にやるところは精いっぱい後押しをしたいと思っておりますので、これはしっかり期限に間に合うように、地域の皆さんの御意向も受けて積極的に取り組ませていただきたいと思います。
  355. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 今回は総合特区、三十三か所指定したんです。その指定書を一つ一つ私は手交をさせていただきました。そのときの思いは、やっぱり地域の発展や日本経済成長につながってほしいという思いを込めて指定をしていますので、きちっと国と地方が協議をしながら大きく前に進むようにしなければいけないと思いますし、厚労大臣もよくその点はお分かりいただいていると思います。
  356. 山本香苗

    山本香苗君 約束がしっかり守られることを見守っていきたいと思います。  このりんくう特区のもう一つの肝は、医療通訳なんです。医療通訳というのは、医療の現場でお医者さんとか医療従事者と外国人のコミュニケーションを手助けするものなんですが、関西空港の対岸にあるりんくう総合医療センターでは、増加する外国人診療に対応するために、医療通訳の組織的な育成というのに早くから取り組んでまいりました。現在では、質の高い医療通訳が多数育ってきておりまして、一昨年には、りんくう国際医療通訳翻訳協会、IMEDIATAというNPOも設立をされました。  実践力には定評があって、他県を旅行中の外国人がわざわざ受診しに来られることもあるそうです。外国語が話せるだけでは医療通訳とは言えません。高い医療に関する知識もスキルも必要になってくるわけなんですね。そして、質の確保が何よりも重要です。そして、質を確保しようとすれば、レベルの見える化というものが必要となってくるわけです。このりんくう特区では、培ったこのスキルやノウハウを役立てたいということで、医療通訳認定制度の創設というものを提案しております。  この医療通訳の問題につきましては、経済産業省が今までも大変前向きに取り組んでいただいていることは重々承知をしておりますが、更なるスピード感を持って、そろそろ具体的な成果を出していただきたいと思うんですが、枝野大臣、いかがでしょうか。
  357. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) これまでの取組を御評価いただいたことに感謝を申し上げ、更にこの医療通訳の充実といいますか、推進に向けて努力をしてまいりたいというふうに思っております。  ただ、特区制度との関係になりますと、ここはなかなかどうしたらいいんだろうと若干迷いがございまして、この医療通訳さんの認定制度を、特区というのは限られたエリアについてだけ適用するから特区なわけですから、じゃ、この地域においてはこの認定制度が適用されますと、ほかの地域に行ったら駄目ですということでは多分意味がないんだろうし、だけど特区の趣旨からすれば、まさにこの地域でだけ適用されることだから特例として先行するということでございますので、特区の中で国が認定制度をやるというのはなかなか難しいのかなと。  ただ、日本全体としての認定制度を急ぐということについての趣旨は私も全く同感でございます。ただ、一点だけこれについて留意しなきゃならないのは、制度はつくったけれども、それを一生懸命勉強して合格された方はいても、それが飯の種にならないと、ビジネスにならないということでは、一生懸命勉強された方にかえって御迷惑を掛けるということになりますので、自律的かつ継続的に有償サービスとして成り立っていく、そのベースをつくっていくということと同時並行が必要だろうと。  そういった意味では、この特区が非常に成果を上げていただければ、まさにその土台として大きな意味を持つと思っておりますので、しっかりと各論について、更に当省としても地元の自治体の皆さんとも御相談をさせていただきながら進めてまいりたいと思っております。
  358. 山本香苗

    山本香苗君 医療通訳の基盤、機能の拡充ということは、本当に国際医療交流の推進を始めとして、観光やビジネスなどインバウンドの回復、促進に向けた基盤整備としてもう必要不可欠なものですよね。  このために、総合特区では、今おっしゃったような医療通訳の活躍の場を広げるためにも、遠隔医療通訳ネットワークへの構築支援だとか、また急患外国人に係る未収金補填制度の創設なども併せて提案しておりますので、是非よく地元と、関西の方とも連携取っていただいて、いい形でできるようにお願いしたいと思っております。  最後に総理にお伺いしたいと思いますが、私は、この総合特区というのは構造特区とよく間違われることがあるんですけれども、そもそも違うと。構造特区というのは全国展開を前提としているけれども、総合特区はいわゆる一国二制度みたいな形、その特区でだけ認められる、だからしっかりそこでやるんだ、だから国がわざわざ要件決めて、条件決めてそこで指定するんだという形になっているわけです。  ですから、しっかりとその趣旨を各省庁、結構間違って言って、規制緩和とかに応じないようなケースもあります。趣旨をしっかり徹底していただいて、是非このりんくう特区も早く実現できるように総理の御尽力を賜りたいと思いますので、最後に総理の御決意をお伺いして、横山議員に渡したいと思います。
  359. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) さっきの答弁でも触れましたけれども、りんくう特区も含めて三十三指定させていただきました。私は、それぞれすばらしいアイデアがあるし、これからの日本の未来を切り開く地域の発展につながる大きなチャンスになると思っていますので、それぞれの省庁もその地方の動きというものをよく理解しながら、しっかりとその効果が発現できるようにしていきたいというふうに思っております。
  360. 石井一

    委員長石井一君) 関連質疑を許します。横山信一君。
  361. 横山信一

    横山信一君 公明党の横山信一でございます。  公明党は二月八日、総合経済対策の一環として、物価安定のための長期目標の設定や資産買入れのための基金の拡充など、金融対策強化政府に提言をいたしました。あわせて、金融緩和を実施する間の需要拡大対策として、震災後の公共施設の防災機能の強化対策として老朽化した社会資本を再整備する防災・減災ニューディールを提案をしております。  国交省では、高齢期に入った社会資本の長寿命化対策を施しております。その進捗率を見ると、海岸保全施設が五一%、道路、橋が四一%なのに対し、下水道の長寿命化計画策定率は僅かに四%と極端に遅れております。そうしたこともあって、関係団体からは政府に盛んに要請あるいは提言が出されております。ところが、一括交付金化された公共事業予算というのは、平成二十二年度そして二十三年度の二年間で実に約三割削減をされております。この状態では、自治体では計画的な下水道事業に大きな支障を来しているという、そうした現状がございます。  国は使い勝手のいい社会資本整備総合交付金でどうぞ更新してくださいと言うわけですけれども、自治体の方では、そう言われても予算がこれだけ削られているととても事業予算を確保することはできないということで、増額を国に要請をしてきます。ところが、今度は国の方では、一括交付金化されているので下水道更新にどれぐらいお金が掛かるのか分からない、だから予算の付けようがないと、こうしたことが今繰り返されているという現状になっておりまして、こんな無責任な話はないわけであります。  結局、そのしわ寄せはどこに来るかといえば、それは国民生活に来るわけであります。国民が被るということになるわけであります。社会資本整備をできないようなシステムをこの一括交付金でつくり上げてしまった、そういうふうにも言えるわけでございます。  政府は危機意識を持って社会資本整備に取り組む必要があると考えますけれども、まず総理にお答えいただきたいと思います。
  362. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 政府全体の公共事業関係費については、これは一括交付金に移行した額を含めますと、平成二十四年度予算においては、厳しい財政状況の中で対前年度比で三角三・二%の水準を確保しています。さらに、全国防災対策費を加えた場合には、対前年度比でプラス二・四%という数字になります。  また、社会資本整備総合交付金や地域自主戦略交付金等の交付金制度の導入によりまして地方公共団体の自由度は高まっており、地方公共団体が主体となって地域社会に必要な社会資本整備を効率的に行うことができるようになったと認識をしていまして、社会資本整備がやりにくくなったというよりは、やりやすくするための工夫をしてきているつもりでございますが、今後も、これらの交付金制度などを活用して、真に必要な社会資本整備については戦略的に推進をしてまいりたいと考えております。
  363. 横山信一

    横山信一君 そういうふうに御答弁をされるんだろうなというふうにも思ってはおったんですが、要するに国としては、使いやすくしましたよと、そして増額もしておりますよと言っているわけですが、総額としてはぐっと減っているわけです。ですから、自治体としては、これじゃ工事ができないんだと、だから要請が来ているわけです、何とかしてくださいと。この二十四年度についても、下水道協会を始めとして全国各地の団体から、下水道の更新事業ができないという要請が来ているわけです。この現実をしっかりと受け止めていただきたいわけでございます。  ちょっと時間がないので先に進んでまいりますけれども、今下水道の例を申し上げましたが、これは同じように、上水道でも同じような状況が生まれております。上水道についても、一九六〇年代を中心に、五〇年代、六〇年代を中心に整備をされて、今急速にこれから更新期を迎えるわけでありますけれども、そうしたこの上水道の工事に対しての更新資金というものの確保が非常に難しいわけでございます。  これについてどのように考えているのか、お伺いいたします。
  364. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) 委員御指摘のように、水道施設につきましては、高度経済成長期以降、急速に整備をされました。その施設の計画的な更新が全国の水道事業者にとって重要で喫緊な課題だというふうに思っております。あくまで一つの試算ですが、今後およそ四十年間で三十九兆円ぐらいが必要だというふうな推計もございます。  そうした中で、厚生労働省といたしましては、水道事業者が中長期的な視点に立って水道施設の老朽度を診断をして更新時期を把握する一方で、そのための資金を確保するための財政計画を立てるアセットマネジメント、資産管理を実施することを促すために、平成二十一年七月に手引を策定をしています。  引き続き、水道事業者がアセットマネジメントを実施しまして、必要に応じて水道料金を見直して資金を確保し、水道施設の適切な更新が図られるように支援をしていきたいと考えています。
  365. 横山信一

    横山信一君 アセットマネジメントというのは、実際にこれから更新事業をするかどうかということをまずどうするかという、そういう判断の手前にいるものですから、実際にその更新資金を確保をどうしますかというふうにお伺いしたんですけれども、要するにまだ全然めどが立っていないという、そういうふうに受け止めてよろしいんでしょうか。
  366. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) ですから、具体的には、最後に申し上げたように、必要に応じて水道料金を見直すなどして、資金をしっかりと調達をした上でこれを更新していくということだと考えています。
  367. 横山信一

    横山信一君 要するに、水道料金を見直すということは、それは国民に負担を求めていくという、まあ税金ですから押しなべて考えていかなきゃいけないわけですけれども、工事をするので水道料金を上げますということを理解を求めていくという手続が必要になってくるわけですけれども、それはその自治体の住民の理解も必要になってくるわけですよね。  ですから、言うのは簡単なんですが、水道料金を上げますよと言っているのと同じことですから。ですから、十分に計画をしっかりと立ててやっていただきたいと。しかもそれは急がなくちゃいけないということであります。  先に進んでまいりますが、この水道事業の安定的な水の供給で最も重要になるのは水源地の確保でございます。とりわけ、近年注目をされておりますけれども、外資による水源地の買占め、これが非常に問題になっておりますが、安全保障の観点からも非常に重大な問題でございます。  外国資本による水源地買占めを防止するには、地方の取組によるところが大変に大きいのが現状でございます。全国の森林面積の二二%を占めている北海道では、水源地内における土地取引に対して来年度から事前届出制を導入する予定でございます。こうした動きというのはほかの県もございまして、埼玉県、長野県、群馬県などでも同様な検討が進められているというふうに聞いております。    〔委員長退席、理事川上義博君着席〕  こうした地方の取組に対して、安全保障の観点から国としても何らかの支援があってもいいのではないかと思うわけですが、いかがですか。
  368. 前田武志

    国務大臣(前田武志君) この外国人による森林等の取得、特に水源に関して非常に大きな課題となって、各党で検討をしていただいた経緯がございます。  こうやって自治体がやっておられることについての支援ということなんですが、この水源地のそういう討議の中で、一つは去年の森林法の改正の中にかなりの改正が盛り込まれまして、届出の義務というのがこの四月一日から施行されます。また、国土交通省の方におきましても、現在は国土利用計画法に基づく届出が一ヘクタール以上が対象になっておりますが、土地取引に関する国土交通省の取組としては、二十四年四月施行で登記情報の面積を問わず全て届出をするということを施行することにしております。  いずれにいたしましても、実際にこの利用目的というものをはっきりさせるということが重要だというふうに考えておりまして、その方向に今各省連携して動いているところでございます。
  369. 横山信一

    横山信一君 私は地方の取組に支援は考えないんですかというふうに伺ったんですが、これはどうですか。
  370. 前田武志

    国務大臣(前田武志君) 地方の方については、直接国土交通省としてどうこうというわけじゃないんですけれども、地籍調査等を含めて、そういった側面的な応援というものはさせていただきたいと思います。
  371. 横山信一

    横山信一君 ここは重要な問題なんですが、地下水の法的な位置付けとか、いろいろな問題があるわけです。こうしたことに対しては、やはり国として真剣に考えてもらいたいということでございます。  外国資本による土地買占めを防止するには、実効的な方法としては、やはり公有地化をしてしまうということがあろうかと思うんですね。しかし、厳しい自治体財政の下では、この水源地の土地取引に対して財源を確保するというのは非常に難しいというのが現状でございます。  そこで、安全保障の観点から、水源地の公有地化の地方財政措置として森林以外の土地も地域活性化事業債の対象にすると、こうしたことの検討をされてはどうかと思うんですが、いかがでしょうか。
  372. 川端達夫

    国務大臣(川端達夫君) お答えいたします。  水源地の保全は水資源確保という観点から大変重要であることは、私もそのとおりに思っております。  そういう中で、今お触れいただきました地域活性化事業債というものは、本来、循環型社会形成のための基盤整備、あるいは国土保全対策のための森林取得などということで、地方公共団体が行う地域活性化のための基盤整備を対象としております。そういう意味で、地球環境保全の見地から保全活用を図るという意味での森林の取得については、その森林が水源地においても当然活用ができるという仕組みになっておりますし、それに伴っての交付税措置もとられているところでございます。  そういう趣旨のものでございますが、森林以外の地にこの起債対象を拡大できるかどうかについては、今この趣旨自体は申し上げたような趣旨でありますので、国土保全という観点でないことから始まっておりますので、公有地化による水源地の保全の必要性をどういうふうに考えるのか、地方公共団体の意見も十分聞きながら検討をしてまいりたいというふうに思っております。
  373. 横山信一

    横山信一君 是非使えるように御検討をお願いしたいというふうに思うわけです。  次の質問に移りますが、(資料提示)先ほど山本議員の方からも紹介がありましたが、この表にまとめましたように、東日本大震災が発生して、改めて大地震があった後には様々な、その引き続きといいますか、大規模な地震が高い確率で想定をされているという状況でございます。その中には、首都直下地震、あるいは東海地震、東南海地震、あるいは南海地震が三十年以内に高い確率で起きるということが予想されているわけです。そしてまた、先日もテレビの報道で、マグニチュード九以上の地震があった後には火山噴火が連動する場合があるといったことも報道されておりましたけれども、いずれにしても、防災というのは、とりわけ首都圏、そして太平洋ベルト地帯、人口が密集しているGDPの高い、経済活動の高いこの地域をどうやって守り、そしてまた、そこにある機能をどう分散化していくかということは非常に重要な視点になってきております。  そういう意味で、国交省においても昨年から首都機能のバックアップについて検討をされておりますし、また、委員長交代されましたけれども石井委員長も御著作等で発信を続けられております。私の地元北海道におきましても、バックアップ拠点構想が策定をされております。こうした各界からの提案を政府として受け止めて、新たな制度の枠組みや支援策を打ち出すときではないかというふうに考えるわけですが、いかがでしょうか。総理、どうでしょうか。
  374. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 首都直下地震、直下型地震などの緊急事態が首都東京で発生した場合、政府金融機関、情報通信などの首都中枢機能が途絶することなく確保されることが必要でございます。首都の政府中枢機能の分散、バックアップ機能の設置については、コストや実現可能性などの様々な観点から検討をしていくことが必要だと思います。  内閣官房においては、第三次補正予算を活用して首都機能のバックアップに係る基礎的な調査を実施しているところであり、また、国土交通省の検討会においても現在取りまとめ作業が行われているところと承知をしています。また、ちょうど今日、御質問いただいた本日から首都直下地震対策局長会議を開催をいたしまして、首都中枢機能の確保について政府横断的に取り組むべき対策を夏までに取りまとめる予定でございます。  これらの内容等も踏まえ、政府全体で首都機能のバックアップに取り組んでまいる所存でございます。
  375. 横山信一

    横山信一君 国は国として今総理がおっしゃったようにどんどん進めているということは歓迎すべき、評価すべきところだと思うんですが、同時に、地方も様々な形で自分たちでそのバックアップの役割を持てないかという、そういう議論が始まっているということであります。そういう意味で、国と地方が同時進行しているというこの状況をうまく活用して、そうした地方の取組なんかもうまく取り入れられるような形を、仕組みをつくっていただきたいと思うわけです。  具体的な例を取り上げてこのバックアップのお話を進めたいんですが、中長期的に見れば、純国産である再生可能エネルギーの割合を増すということは非常に重要でございます。本年七月からも固定価格買取り制度が実施をされて、いよいよこの普及拡大が本格化するわけですが、この普及の大きな障害になっているのが送電網の脆弱さでございます。  私の地元の北海道を例に挙げますと、陸上風力ポテンシャルというのは、実はこの北海道だけで一億四千万キロワット、約ですね、非常に高いポテンシャルを持っております。ところが、この風力発電の適地、ほとんどが送電網が未整備地域という、そういう現状にあると。そしてまた、更にもう一つ申し上げると、北本連系、津軽海峡にある北本連系の容量は六十万キロワットしかないということで、ポテンシャルは高いんだけれども、これではなかなか発電したもの、あるいはするにもしようがないという現状があるということで、いよいよ本格的な再生可能エネルギーの普及に当たって、国を挙げて公共的な観点から送電網の整備に関与をすべきではないかというふうに思うわけですが、この送電網、新たな公共事業に位置付けることはできないか、これは経産大臣にお伺いいたします。
  376. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 大規模風力の重要性、そしてこの大規模風力を実現をするためには、御指摘のとおり、その適した地域が送電網の脆弱な地域が多い、北海道もその有力な一つでございます。したがって、本来電気事業者が整備すべき送電網について、大規模風力の適地で特に送電網が脆弱な地域については何らかの対応策を取れないだろうかということで、この具体的な検討に既に入っておりまして、導入ポテンシャルの調査などを既に着手をしているところでございます。  それに加えて、北本連系線のような全国規模での地域間連系線の強化も同時に必要であり、それを推進してまいりたいということは全く同じ意見でございます。ただ、その上で、いわゆる公共事業としてやるとなると、国がやるわけですから国有、あるいは国が地方自治体にお金を出すということは都道府県有の送電がなされるということですので、従来、電力については民間でやってきたという電力システム全体の構造の変化ということが必要になるわけでございます。    〔理事川上義博君退席、委員長着席〕  今、電力システム改革についてもゼロベースで専門的な検討をしていただいておりますので、選択肢にはなり得るのではないかと思いますので、専門的な検討の方に国会でそういう御指摘をいただいたということは伝えて、検討の俎上へのせてもらいたいと思っております。  いずれにしても、送電網を強化するということについては、手法はともかくとしてしっかりと推進をしてまいりたい、ここは全く同意見でございます。
  377. 横山信一

    横山信一君 私企業の電力会社に任せるというよりは、これはもう国家的な規模として是非公共事業に位置付けていただきたいと思います。  最後、大急ぎでちょっと質問させていただきますが、災害時多目的船でございます。東日本大震災があって、この災害時多目的船の重要性というのは認識されたわけでありますが、今年度で予算は切れてしまいます。この後どうしていくのか、お伺いをいたします。総務大臣に。
  378. 石井一

    委員長石井一君) 総務大臣ですか。
  379. 横山信一

    横山信一君 いないか。じゃ、総理でお願いいたします。(発言する者あり)
  380. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 恐縮です。  東日本大震災において医療施設や行政機能も津波によって大きな被害を受けたところでございまして、これを踏まえて、本年一月以降、民間の有識者により構成される災害時多目的船に関する検討会を開催をいたしまして、広域的被害をもたらす大規模な自然災害の対応を想定して、海上からの災害応急対策に必要な機能を有した船舶の在り方などについて調査、検討を行ってきているところでございます。  検討会では、陸、空からの災害対応との関連で、海上からのアプローチをどのように位置付けるか、運用スタッフをどう確保し、どのように教育訓練を行うのか、平時の活用をどう考えるのか等々の観点から議論を行っております。また、母港の選定についても、地理的条件や港湾能力等について議論が行われているところでございますが、検討会では三月中に議論を取りまとめる予定でございますので、その取りまとめを踏まえて対応していきたいというふうに考えております。
  381. 横山信一

    横山信一君 終わります。
  382. 石井一

    委員長石井一君) 以上で山本香苗さん、関連質疑横山信一君の公明党の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  383. 石井一

    委員長石井一君) 次に、松田公太君の質疑を行います。松田君。
  384. 松田公太

    松田公太君 みんなの党の松田公太です。よろしくお願いいたします。  早速ですが、野田総理、最近二十年間の主要各国のそのリーダーの顔ぶれ、覚えていらっしゃいますでしょうか。お手元に資料がございますので、御覧になっていただければと思いますが。(資料提示)アメリカ、フランス、四名ですね。オバマさん、今年大統領選があります。サルコジさんも大統領選があります。二枚目、こちらイギリス、ドイツ、キャメロン首相、脱原発のメルケル首相。そして、こちらアジアになりますけれども、李明博大統領、こちらも大統領選が今年ございます。そして台湾、馬総統、選挙があったばかりですので、更に四年間任期が延びたということになります。次のページが日本ということになるわけですが、御覧のとおり、二十年間で十四名のトップ交代があったということになります。  私は、実はシンガポールに二年間住んでおりました、ちょうど福田総理、麻生総理、そして鳩山総理に替わるときでしたけれども。シンガポールは御存じのように、いろんな国々からいろんな方々が集まってきます。そして、政治の話になると大体言われるのが、ところで日本総理大臣、今誰だっけと、これを聞かれてしまうんですね。  今年、私、実はダボス会議に行かせていただきました。枝野大臣古川大臣いらっしゃいますが、お越しいただきましたけれども、残念ながら野田総理はいらっしゃることできませんでしたね。私はダボス会議で、懇親会のときだったんですけれども、ある国のリーダーの方に、ところで日本総理大臣は今年来ないのと言われました。私が残念ながら来れないんだという話をしましたら、そうかと、でも来年になったら多分替わっているだろうから、別に来なくてもいいんじゃないか、このように言われてしまったんです。非常に悔しかったんですね。私は、もうそろそろ日本総理大臣がこうやってころころ替わるような状況を変えたいなというふうに思っています。それと同時に、日本総理大臣はなかなかリーダーシップを発揮できないというふうに言われておりますが、この状況も変えたいと、このように思っているんですね。  日本のトップはなぜかリーダーシップを発揮できないのに、よく首長では、地方自治体の、リーダーシップを発揮されている方多いですよね。例えば、最近で言うと維新の会の橋下さん、大阪市長なんかがそうだと思います。なぜそうなるのか。これは考えてみたら簡単なことだと思うんですね。やはり、市長、県民か若しくは市民からか直接選ばれているんです。ところが、残念なことに総理大臣は直接国民から選ばれていない。  やはり、何か新しい政策に取り組む、新しいことにチャレンジする、それを推し進めなくちゃいけない、改革をしなくちゃいけない、このようなときは、住民、国民の後ろ盾があるかどうか、民意があるかどうか、これは大きな違いになってくるんじゃないかなというふうに思うんです、私は。ですから、私は新しい仕組みを日本は導入するべきだというふうに思っておりまして、国民が首相を選ぶプロセスに参加するべきなんじゃないかなというふうに思っております。  そこで野田総理総理は国民が首相選びのプロセスに参加することについてどのように思われるか、お答えいただければと思います。
  385. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 私が政府を代表して国際会議に出るようになったのは、最初は財務大臣のとき。そして、財務大臣になって、総理になってなんですが、その都度、カウンターパートの方と御挨拶をするときに、まず後ろにいるベテランの通訳の方に気付くんです、相手の方が、元気っていう感じで。その後に、シェルパをやるような役所の方も大体二、三年は一緒じゃないですか。次、元気ってなって、最後にハウ・ドゥー・ユー・ドゥーなんですよね。  確かに、やっぱりリーダーがころころ替わるということは私良くないと思います。非常に弊害が多い。お互いに厳しい交渉をするときも、相手の人となりとか癖とか分かってようやく踏み込んだ議論ができると思うんですが、そういう関係構築をするには、やっぱりころころ替わることは私は良くないと思います。  そのためには、今ちょっといただいた資料で見ると、やっぱり大統領制の国はこれ任期が決まっていて、自分の思うとおりいかないときには拒否権も使えるという、そういう構造があります。一方で、じゃイギリスなんかはこれは議院内閣制ですけど、事実上一院制じゃないですか。ねじれないんです。等々、システムがやっぱり違います。  去年の秋が私にとって、国会のお許しもいただいて、G20やAPECやあるいはバリ島の会議も出ました。これ、三週間続いたんですね。三週間続いたときに、ほかの首脳もふらふらだと言っていました。外交日程、こんなきついのは久しぶりだねと、一か月半や二か月の間にこの三つの国際会議やるのはあるけど、三週間連続はふらふらだってオバマさんも李明博も言っていましたが、その間彼らは国会に呼ばれていません。私は毎日呼ばれていました。ということは、やっぱり日本のリーダーが摩耗する仕組みになっているのではないかと思います。  これまでは、これまで個人のリーダーシップ論に片付けがちだったんですが、どうしたらいいかということを私も、まあ今私がこうなったからこういう愚痴る意味ではなくて、どなたがリーダーになっても、日本を代表してきちっと仕事ができる仕組みを与野党で考えていくべきときが来ているのではないかなというふうに思います。  その上で、首相公選制の話は、これはちょっと憲法論にかかわることなんで、現行憲法を遵守する義務があって、そのトップに立つ行政の長として私がどうのこうのと言うことは、コメントすることはできませんが、何とか、やっぱり日本のリーダーがきちっと、国際交渉の舞台にがんがん元気に出ていく状況をどうつくるかについては、胸襟を開いた議論がこれからできればというふうに思います。
  386. 松田公太

    松田公太君 実はみんなの党では、内閣総理大臣の指名に係る国民投票制度、この新しい法案を今作っております。これは、実は憲法改正が必要としない、その首相公選に国民が参加する仕組みなんですね。これを来週か再来週には提出したいというふうに思っておりますので、提出されましたら、これがやはり日本の主権者である国民の手に政治を戻すことになる一歩になると私は思いますので、是非真摯に前向きに御検討いただければというふうに思っております。  続きまして、消費増税についてお話をしたいと思います。  お三方は、もう既に消費増税についてはいろんな話、議論、もうされ尽くしているかもしれません。今日、私は、バック・ツー・ベーシックで基本的な話をさせていただきたいなというふうに思っております。せっかくテレビを御覧の方もいらっしゃいますので、分かりやすい話を是非したいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  みんなの党では、結党以来、二年半ほど前から、増税をやる前にするべきことがあるだろうという話をずっとしてきております。これは未来永劫増税しなくてもいいよと言っているわけではないんです。今やるべきではない。じゃ、なぜ今やるべきではないか。これは二つ大きな理由があると思います。  その一つ目の理由は、やはり今景気が悪いということだと思うんですね。デフレがずっと続いてしまっている、こんな中で消費増税をしてしまったら、九七年のもう再現になってしまう。御存じのように、九七年、税収どんどんそれ以降下がっていますよね。景気にもいろんな意味で非常に悪い影響を与えたというふうに私は思っております。  私自身は、一九九六年に脱サラをしまして九七年から経営者をしておりますけれども、やはり九七年、非常につらかったんですね、たった二%でも。コーヒー一杯で十円もうかるか十円もうからないかというビジネスをやっていたわけです。消費増税で二%、五%になって、例えば三百円のコーヒーが三百十五円になってしまったら、もうそれだけで明らかにお客様の数が減るんですね。例えば、三百人一日にお客様が来ていて一割減ってしまう、二百七十人になってしまう、もうそれだけで、例えば損益分岐点を割ってしまって赤字になってしまうという企業はたくさんあるんです。今ぎりぎり、ぎりぎりでやっている会社が非常に多いんですね、今の世の中。  野田総理は、消費増税をこのような景気のタイミングですること、どのように景気に影響を与えるかとお考えか、是非お聞かせいただければと思います。総理ですね、総理
  387. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) もちろん、景気に対する配慮をしながらの判断をしなければいけないというふうに思います。大綱を作った際にも、経済の好転を条件としていくということになっています。したがって、今御議論いただいている一体改革、御議論いただいているのは党内でありますけれども、その議論でも、今の経済との関連で大きなやっぱり議論が広がっているという状況なんですけれども、上げるときに非常に経済が落ちていくような状況の中、例えばリーマン・ショックの後とか、これは当然上げるべきではありません。その辺は総合的な判断が必要だと思います。  ただ、今議論していることは、これはどこかではその消費税の引上げ、社会保障に充てるための財源として、いろいろな税目ありますけれども、社会保障に充てるためには消費税が必要ではないかという御認識一定程度御理解をいただけると思うんですよね。それをいつからやるかということでありますが、やるタイミングについては経済の条件をどう考えるか、それが今一つのテーマになっていますが、その一体改革の詰めをやらさせていただいております。  もちろん、歳出削減をやり抜かなければいけない、これは間違いありません。これはやらなければいけないと思います、政治改革も行政改革も。経済の再生もやらなければいけません。だけど、全部条件が整ってからこの議論をするんだったら、私は待ったなしの状況に間に合わないんではないかという思いがございますので、そこのちょっと時間軸の差があるかもしれませんが、先送りできないテーマだと考えております。
  388. 松田公太

    松田公太君 今具体的に、経済にどのような、景気にどのような影響を与えるかということはお答えいただけなかったわけですが、岡田副総理、いかがでしょうか。どのように思われますか。
  389. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 今総理も言われたように、今何が一番問題かといいますと、やっぱり将来に対する不安感だと思います。社会保障制度もこのままでは、例えば年金がもらえなくなるんじゃないかとか、医療や介護も、特に若い世代は将来自分たちが高齢者となったときに一体どうなっているのかと。そういう不安感の中で今蓄えをする。つまり、消費をせずに貯金をするということがかなり広範に起こっていて、そのことが私は景気、経済の成長の足を引っ張っている。したがって、そういう不安感を取り除くことこそが私は中長期的に見て日本経済成長に資すると、そういうふうに考えております。
  390. 松田公太

    松田公太君 今も岡田副総理にも、どのような景気に影響を与えるかということをお答えいただけなかったわけですけれども、ストレートにですね。  実は私、以前、チェーンストア協会で講演をさせていただいたことがありまして、その当時に、お父様の卓也名誉会長と、またお兄様の元也社長ともお話をさせていただいたことがあるんですが、多分お二人は全く違う見解を持っていらっしゃると思いますよ。小売業界で一生懸命やってきたあの二人。是非、岡田副総理に家族会議をやっていただきたいなというふうに思うんですけれども、じっくり話をしていただければ、ああ、消費増税しちゃいけないなというふうに感じるんじゃないかなというふうに思いますが。  今、岡田副総理から不安感という話がありましたけれども、その不安感、この話は安住大臣も何回もされていると思います。やはり税と社会保障の一体改革をすれば不安感を払拭できると、ある意味ですね。ですから、それが消費にはいい影響を与えるんじゃないかという話ございます。  実は私、各省庁に、いろんなところに連絡をして、今消費増税をしたらどのような景気に影響を与えるか、どのような試算をされているんですかという話をさせていただきましたところ、こういう試算をしていますということで、これ御覧になったことあると思いますが、内閣府の出されている経済財政の中長期試算ですね、これが出てきました。  安住大臣は、先ほども言いましたが、プラスの影響を下手したら与えるんですよと。実際この中を見ていますと、消費増税をしたら、何かあたかも一瞬景気が、しないときに比較しても良くなるかのような、そのような試算、指標が表れているんですよね。実際、そうですね。  私がちょっと非常に疑問に思ったのは、もしかしたら、岡田副総理が今おっしゃったようなこと、そういったプラスに影響を与えるというような不思議な観測がこの指標の中に含まれているのかなというふうに思ったんですが、これについてはいかがでしょうか。
  391. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) 昨日、たしか財務金融委員会で中西さんかな、答弁をしたんですけれども、私も、消費税の影響は消費マインドからいうと決して小さいとは全く思っておりません。小さなお子さんからお年寄りまで、松田さんのお店へ行っても、コンビニエンスストアへ行っても、それは五%から一〇%になるわけですから、そうした点では消費に対して我々決して軽んじているわけではないんです。  ただ、平年化していったり、その前後の消費、駆け込み需要等々を考えると、平年でならしたときのインパクトは、やっぱり統計上は、後で古川大臣から御説明あると思いますが、そう極端に下がったり上がったりというのはないんじゃないかと。  九七年の例ございました。政府側から見れば、消費税を上げただけで非常に景気が落ち込んだというよりは、やっぱりアジアの経済危機や、あのときは山一問題、拓銀、北海道拓殖銀行問題等々あったわけですから、そうしたことがあってやはり言わば負の連鎖というのが続いたのだと思います。  岡田副総理が申し上げましたように、これは松田さんもいずれは消費税必要だということはおっしゃっていただいています。社会保障の不安感をどうやって拭っていくか、また子ども・子育てに対する施策の充実をどう図っていくか、こうしたこともやっぱり総合的に勘案すると。  なお、財務大臣として言わせてもらえば、世界は、日本財政再建に対するやっぱり具体的な行動というものを今は市場は求めておりますので、こうしたこともやっぱり総合的に勘案しないといけないんではないかと思います。
  392. 古川元久

    国務大臣古川元久君) お答えいたします。  この試算は、これは一定のモデル、過去の経済主体の動向に基づいて計算しているものであります。  今何か、消費税を上げると成長するというふうに、何か意図的にやっているんじゃないかというような御質問がございましたけれども、今、安住大臣からもお話がありましたように、過去の事例の検証を踏まえますと、引上げ前に税率一%当たりGDP比で〇・二%程度の駆け込み需要があると。その分は上乗せになりますから、その分は少し成長したかのように見えます。その後、しかし引上げ後には同額の反動分も差し引いております。ですから、そういった意味では、消費税の引上げ前と後で、少し成長率が上に上がる、そして下がる分もありますが、全体として見ると、それほどそんな大きな影響を与えるものではないだろうというのが試算に基づいた例でございます。  一点、先ほど松田委員からもダボス会議のお話がございましたけれども、やっぱりここの財政に対する健全化、健全性を保っていくことで非常に重要なことは、私がラガルドIMF専務理事などと一緒に出たエコノミック・アウトルック、その場にも松田委員もいらっしゃったんじゃないかと思いますけれども、そのときに議論の中心になっていたのは欧州の政府債務危機の話でありましたが、ラガルド専務理事は、欧州も大変だけれども、もっと財政赤字でいえば日本の方が大きいんだと、そういうこともそういう場で言っておられるわけであります。  そういった意味では、やっぱり財政の、日本のような膨大な財政赤字がある状況、やはりこれをきちんと政府がちゃんとマネジメントしていく、財政健全化に向けて政府でこれまで決めてきた財政運営戦略をきちんと実行していくと、やっぱりそういう姿を示していくということが、先ほど岡田副総理も申し上げましたように、中長期の安定的な経済成長のためにも必要なことであると。  そういった意味で、目の前のデフレ脱却に向けて、経済再生に向けて全力を尽くすと同時に、中長期の安定的な経済成長に向けて財政の健全化もしっかりやっていく、これは両方取り組んでいかなきゃいけない問題だというふうに考えております。
  393. 松田公太

    松田公太君 私は本当に楽観的過ぎると思いますね。一瞬駆け込み需要があって上がって、その後それほど落ち込まないという考え方は、経済をやってきた人間からするともう本当におかし過ぎる、もう肌感覚を全く持っていらっしゃらないというふうに思いますね。もう本当にこの常識を無視したようなこの試算結果、この中身について議論し始めたらもう本当に何時間あっても時間が足りないと思います。  後日、またこれについてはお話をさせていただきたいと思いますが、これに関連してあともう一つだけお聞きしたいんですが、もし仮に、百歩譲ってこの経済財政の中長期試算、このようにいくとします、いくとしますね。これに関連して、じゃ、税収はどうなるか、このような試算は出されているんでしょうか。野田総理、お願いします。
  394. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) 税収というのは、消費税収を中心にほかのものを動かさないということを前提に考えれば、消費税は一%当たりの税収の年間のアベレージは、余り景気の変動にかかわらず一定収入がありまして、二兆大体五千億前後でございますから、それを経年で掛けていけば税収の見積りというのはあります。  ただ、一方で、景気の動向によって法人税収や所得税収はかなり動きますので、一概にはなかなか言えないものがあります。
  395. 松田公太

    松田公太君 いや、本当にそのとおりだと思うんですよね。ですから、そういう意味でいろんなシミュレーションをしているのかという質問なんです。  例えば、会社で一つの商品の値段を上げようという話をしたら、当たり前ですけれども、その値段を上げたことによって売上げが上がるのか下がるのか、利益が上がるのか下がるのか、お客さんは増えるのか減るのか、そういう試算をするわけですよね。ですから、いろんなシミュレーションをしないと駄目だと思うんですね。  ですから、消費増税はそれは一定になると思いますけれども、それによって景気にどのような影響を与えるか。これがベースでもいいんですけれども、これをベースに、じゃ、所得税はどうなる、法人税はどうなる、そのようなシミュレーションをしているかということが私は聞きたいんですけれども、それはありますか。
  396. 古川元久

    国務大臣古川元久君) 先ほども申し上げましたけれども、これは一定の試算モデルをつくって計算をしているわけでございます。過去の経済主体の行動、そうしたものに基づいて計算をして、その出した結果というのが今お示しをさせていただいている中長期試算であるということでございます。
  397. 松田公太

    松田公太君 いや、これ見ると、具体的に税収が、じゃ、どうなるかというのはないですよ。ないですよね、どのようなパターンが考えられるかという。それを私は出していただきたいと思うんですね。是非それをつくって、もしないんであれば、国民に開示していただきたいと思うんですね。それを国民が見て判断材料の一つとできるんじゃないかなというふうに思うんです。  何回も会社の話をしてしまって恐縮ですけれども、どんな会社でも何かやるときにシミュレーションをつくらないということはあり得ないですよ。もう取りあえず売上げ、今厳しいから値上げしようなんていうことでスタートする会社ないと思うんですね。ましてや、これは国民に大きな負担をお願いするような話ですから、しっかりとしたシミュレーションをつくって、是非開示をしていただきたいというふうに思います。  私、ちょっとこれはうがった見方かもしれませんけれども、もしかしたらそのような細かいシミュレーションを出されていないのは、実際はやはり皆さんも、消費増税したら九七年の後のようにトータルの税収がどんどん下がり続けるかもしれない、このような懸念を持っていらっしゃるんじゃないかなというふうにも思ったりするんですね。  ですから、後で責任論に発展したくないのでそういうシミュレーションをつくっていないのかなというふうにも思ってしまいますが、これは義務だと思いますので、是非そのようなシミュレーションをしっかりとつくって、いろんなパターンで国民に開示をしていただきたいと思います。  続きまして、消費増税、今なぜしちゃいけないか、もう一つの理由、これはもう当たり前の話ですけれども、まだやるべきことをしていないということなんですね。まあ私も経営者時代に実は会社潰しそうになったこと、何回かありました。本当に皆さんがいつもおっしゃるように、今、国は大変なんだと、もう本当に惨状下の状態になりつつあって、なっていて、一千兆円もの借金があって大変なんだという話をしているように、それが事実だというふうに皆さん思っていらっしゃるんだとしたら、もっとやるべきことがあるんじゃないかなというふうに思います。  じゃ、どういうことができるか、これもちょっと会社に例えてお話をさせていただきますけれども、まずは、当たり前のことですけれども、これ一番簡単だと思いますが、子会社とかにへそくりを隠し持っていたとした、ため込んでいたとした。単体決算ではそれは分からないかもしれませんけれども、連結決算にしたらそれが出てくるわけですね。そういったへそくりが出てきたら、そのへそくりをまず使う。国でいうところの特会や独法、特殊法人、そういったところにたまっている埋蔵金というふうに言われているものです。まずこれを使っていただく。  例えば、復興のときも、みんなの党は、増税によらない復興をやりましょうということで、いろんな試算をして百五兆円ものお金がこれ使えるじゃないかということを発表させていただいたわけです。ところが、そういうお金を使わずに、やはり増税を中心とした復興の話になってしまった。非常に残念でなりません。  また、皆さんがいつもおっしゃるように、千兆円の負債があるというならば、それに対して六百五十兆円もの資産があるということも事実ですよね。そのうちの五百兆円が金融資産なんです。そういった資産を使って例えば借金を返済する。今、日本は一年間で大体十三兆円もの金利を払っているわけです。その例えば半分を借金を返済することが金融資産でできれば、もうそれだけで六、七兆円の経費削減になるんですよ。それができれば、もう消費増税二%、三%したのと大体同じような数字になってしまうんです。そういうこともせずに増税だ増税だと話をしているのが私はおかしいんじゃないかなというふうに思ってしまいます。  そして次に、企業だったらどうするかという話を続けさせていただきますが、ちょっと時間が余りありませんので、売掛金があったらどうしますか、これ回収しに行きますよね。未回収のお金があったら、当たり前ですけれども、必死になってそれを回収しに行く。これがいわゆる我々が今言っております歳入庁、これを設置してくれという話になるわけです。  税金に関しては国税庁があります。ところが、残念なことに年金や医療保険、これはなかなか回収し切れていない、だとしたら歳入庁をしっかりとつくって回収しに行きましょうと。未回収入金があるんですから回収しに行きましょうという話、何でこれができないのか。私は本当に不思議で仕方がないんです。  また、制度的なことを話しても、例えばこれ会社で、もう一度言いますけれども、一人の方が債務者だとします。その人からお金を回収したいとなったら、会社の中でわざわざ回収Aチーム、回収Bチームとつくりますか。ばらばらでその一人の人に向かって回収をしに行きますか、若しくは一つの法人に対して、しませんよね。ですから、効率化の意味も含めて、是非くっつけて歳入庁をつくるべきだ、これはもちろんマニフェストにありましたが、三年たっても、民主党のマニフェストにありましたが、実行に移していただいていないので、みんなの党としてこの歳入庁の法案を提出させていただいた次第でございます。  是非これも積極的に取り組んでいただければと思います。歳入庁、我々の試算でいうと、これを実現できれば年間で約十兆円もの財源、これを捻出できる。十兆円といったら、もう消費税四%ですよ。さっき言った話と併せて、もう消費増税する必要がないじゃないですか、そのぐらいの話だと私は思っているんです。ですから、それも積極的にやるべきだというふうに思います。  引き続き、ちょっと時間がないのでお話をさせていただきますが、もしそれでも赤字が続く、大変だということになったら何をするか。効率化を図った、借金を一部返済した、売掛金も一生懸命回収している、それでも赤字が続くような場合は何をするか。社長や役員が自分たちの給与をカットするわけですよね。自分たちはボーナスを受け取らないわけです。当たり前のことだと思います。社長が大変だ大変だ、みんな、うちの会社大変だぞと言いながら今までどおりの高給を取っていたら、説得力が全くないですよね。社員たちは大変だということを信じてくれないですよ。ですから、これは非常に重要なことだと私は思っています。  これについても、もう今、最近になってやっと、これアリバイづくりのように三百万円歳費からお返ししましょうというお話が出ています。しかもたった二年間、なぜか。なぜか二年間だけ返しましょうという話が出ておりますが、これはみんなの党として、歳費の三割カット、歳費というのは給与ですね、そしてボーナス、ボーナスの国会議員の五割カット、これはもう何回も何回も法案として提出しております。六回提出しています。今国会も提出しております。このぐらいしっかりドラスチックにやらないと国民に示しが付かないと思うんです。  野田総理、これについてはどのように思われますか。これはやろうと思ったらすぐできることなんじゃないかなと思うんですね。覚悟さえあればできることだと思いますよ。野田総理、お願いします。
  398. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) いろいろ御指摘いただきました。  まず、歳入庁自身については、これをつくるということについて、今、私の下で、政府で検討を具体的に行っているところであります。  ただ、委員がおっしゃった十兆円のお金が出てくるという話については、私はそれは過大だと思いますが、仮にそれが過大でないとしても、私よく分からないのは、健康保険や厚生年金、そこでその収入が上がるということで、それは税金ではないんですね。ですから、そこで厚生年金や健康保険の収入が上がれば、それはむしろ保険料下げるというそれぞれの判断に、組合の、なるかと思うんですけれども、国に入るわけではありませんので、それがあるから消費税を上げなくていいということには全くつながらない話だというふうに考えております。  それから、あと百五兆円使えるとか五百兆円の資産があるというのはちょっと私よく理解できませんので、また詳しく教えていただければと思いますが、私にはそういうことが可能だというふうには思えないわけであります。  最後に、歳費の問題はそれは国会で、御党のお考えはよく分かりましたが、我が党も三百万円ということで決めておりますので、是非、各党間で話し合っていただければいいというふうに思います。  社長その他がというお話ありましたが、総理は既に三割カットをこれもう実施しておりますし、我々閣僚は二割カットを実施しているところでございます。
  399. 松田公太

    松田公太君 野田総理にちょっとお聞きしたい。
  400. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 議員歳費の問題を政府、閣僚の立場から言うのはどうかとは思うんですが、民主党の代表として申し上げると、民主党の幹事長が役員会で議員歳費三百万円を削減をするという提案をし、役員会で了承されたと聞いています。  今、何か二年間と決めたというお話がありますが、決めていません。これはそれぞれ各党と、御意見があると思いますので、まだ、態度を決めている党と未定の党がありますので、その期間の問題とか額等はこれからの交渉だというふうに思っております。
  401. 松田公太

    松田公太君 繰り返しになりますけれども、やっぱり三百万じゃ足りないと思うんですよね、もし国民にこれだけの負担をお願いするんであれば。若しくは、繰り返しになりますけれども、(発言する者あり)いやいや、党内でやることじゃないんですよ、これはみんなで考えるべきですよ、これは。(発言する者あり)いやいや、もう議会かもしれませんけれども、実際は党の代表者じゃないですか。(発言する者あり)
  402. 石井一

    委員長石井一君) 質疑をやってください。
  403. 松田公太

    松田公太君 私は、もっと徹底的にこれをやるべきだ。よくそういうことを言う人いるんですよ。我々が三割カット、五割カットと言うと、何でじゃ三割なの、何で四割じゃないんだ、何で六割じゃないんだと、これはやはり気合の問題なんですよ。(発言する者あり)いやいや、そうなんですよ。もし、じゃ、会社が大赤字だったら、社長が、じゃ、自分の給与を三割カットします、五割カットしますと言ったら批判しますか。しないですよね。そこまでやっぱりやっているんだと、それだけ厳しいんだというメッセージにもなるわけです。これは本当に覚悟さえあればできることだなというふうに私は思いますので、是非もう一度、私どもが何回も何回も提出しております法案、これを是非推し進めて一緒に協力していただければというふうに思います。  続けます。  そこまでやっても赤字が続くようだったら何をやるか。これは、次は、社員の皆さんに頭を下げて給与をカットさせてくださいというお願いをするわけです。皆さんに頭を下げて、申し訳ないと、今、国が、会社がこういう状況だと、何とか潰さないために協力してくれと、みんなの給与を二割だけ削減させてくれと、その代わり、頑張ってもう一度再建できたときにはしっかりとみんなの給与、ボーナス上げるから一緒に頑張ろう、今この厳しい状況を乗り越えようと、こういう話をするんじゃないかなというふうに思います。  今年になって七・八%という話になっていますが、元々マニフェストにはやはり二割削減があったわけです。これを、人件費として、是非これを実現していただければというふうに思うんですね。これもなかなか待っても動かないんで、みんなの党で公務員の人件費二割カットの法案を出させていただいています。もう待ってもなかなか約束したことをやってくれないんで、仕方ないんで、これは我々みんなの党で次から次へと法案として提出させていただいているんですね。是非これについてももう一度考えていただければと思います。  そして最後、そして最後です。  そこまでやっても赤字が続くようだったらどうするか、会社だったら。そこで初めてお客様の方を向いて頭を下げて、商品の値上げをさせてくださいというお願いをするんです。ここまで徹底して我々はやったと、ところが、例えば原価が上がってしまってもうどうしようもない、申し訳ないけれども商品をあと何%上げさせてくれと、消費者、お客様に頭を下げてお願いをして値上げをさせていただく。我々でいうと、消費税、国民の皆さん、本当に申し訳ない、我々、一生懸命ここまでやったけれども、見てくださいと全てを開示して、でもこれ以上どうしようもないんだと。ですから、例えば、あと消費税を、五%じゃなくてもいいかもしれない、二%、一%上げさせてくださいと、これを上げれば、私は個人的には、税と社会保障というよりも、例えばプライマリーバランス、この改善にもう少しでつなぐことができるんですと、そうやって頭を下げてお願いするべきことじゃないかなというふうに思うんですね。  これが本来のあるべき姿じゃないかなというふうに思いますが、野田総理、いかが思われるでしょうか。
  404. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 基本的には身を切る改革をしっかりやり抜いてお願いをするというスタンスは、委員と私は同じであります。  例えば議員歳費の話がありました。これはちょっと政党間の調整があります。御党は一つ考えがありますが、各党いろんな考え方があります。我が党もまとめました。じゃ、定数削減も是非お願いをしたいということです。加えて、国家公務員の給与削減は今度行いました。今は、定数の、定員の問題、新規採用の手控え等をやろうとしています。こういうこと、それだけじゃなくて、特別会計の改革であるとか、あるいは独立行政法人の改革とか、今メニューとして挙げているものは、消費税を引き上げるのが、今お願いをしているのは二〇一四年の四月が最初です。それまでの間にメニューとして挙げている政治改革や行政改革はしっかりやり抜いていって、その上でお願いをするというのが基本的なスタンスであるということでございますので、そこは御理解をいただきたいというふうに思います。
  405. 松田公太

    松田公太君 いや、でも、私はやっぱりおかしいと思いますよ、順番が。まず、今言ったような話を最初にしっかりとやるべきだと思うんですね。決まっていないじゃないですか。社会保障に関しても全然、どのような制度設計を行うのか、細かい点全く決まっていないですよね。分からないですよ、国民の皆さん。  ですから、野田総理、これは本当お願いなんですけれども、この税と社会保障の一体改革、これをもう本当に白紙に戻していただきたいと思うんですね。これを白紙に戻して、もう一度ゼロから作り直して、そしてそれをしっかりと国民に提示をして、例えば、特に社会保障の改革の部分、これが分からないですから、これをしっかりと提示をしていただいて、そしてそのときは、国民に提示をしながら、解散をして国民に信を問うていただきたいというふうに思うんです。それが本来のあるべき姿だと思います。  そう申し上げて、私の質問とさせていただきます。どうもありがとうございました。
  406. 石井一

    委員長石井一君) 以上で松田公太君、みんなの党の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  407. 石井一

    委員長石井一君) 次に、大門実紀史君の質疑を行います。大門君。
  408. 大門実紀史

    大門実紀史君 今日は、私も税の問題について質問をいたします。  我が党はもとより消費税増税には反対でございますが、特に今のこのデフレ不況の下で消費税の増税など、景気も財政も悪化させるまさに自殺行為だというふうに言わなければなりません。同時に、被災地の復興にとっても大変な打撃になります。  パネルを御覧いただきたいと思いますけれども、(資料提示)消費税が一〇%になったら、被災三県、岩手、宮城、福島でどれくらい増税になるかというものを最新の二〇一〇年度決算に基づいて試算をいたしました。  消費税の増税額は三県合計で五千六百三十七億円。ちなみに、この三県の住民税の合計は三千七百四十一億円でございます。今でも住民税だけでも重いと皆さん思っていらっしゃるところに、それを大幅に上回る負担がのしかかるということでございます。この間の新聞の投書を見ても、被災地の方々から、消費税増税やめてほしいと、もう今は復興最優先で考えてほしいという声が毎日のように新聞に載っております。  配付資料の二枚目でございますが、今月十二日付けで、岩手県の陸前高田市から野田総理あてに消費税増税反対の意見書が提出をされております。中身は書いてあるとおりでございますが、要するに、大震災から一年が経過したけれど、まだ復興は緒に就いたばかりだと、市内経済も回復の兆しを見せつつあるけれども、再開の見込みが立たない事業者が大変多いと。こういう中で、消費税増税は被災者にとって大きな負担になる、消費税増税は被災地復興に大きな影響を及ぼしかねないというようなことが述べられておりまして、消費税増税やめてほしいという意見書でございます。  これは総理あてに出された意見書でございますので、野田総理に伺いたいと思いますが、これは決して陸前高田だけじゃなくて、被災地全体の声だというふうに思います。今、本気で被災地のことを考えるならば、この消費税増税、きっぱりと断念すべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  409. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) こういう一つの議会からこういう御提起があったということは受け止めたいというふうに思います。  一方で、これは、私ども内閣は昨年の九月二日に発足をしましたけれども復興というのは我が内閣の最大かつ最優先の課題一つであります。そのことをしっかりとやり抜いていくということは是非被災地の皆様にも御理解をいただきたいというふうに思いますし、特に、二月に復興庁が旗揚げをしました。こういう組織であるとか、復興特区、復興交付金といった、こういう制度もつくっていただきました。復興に向けての加速度を上げた取組をしていくということでございます。  その上で、社会保障と税の一体改革は、被災地の皆さんにおける社会保障を充実をさせていく、安定化させていくという意味においても、これも待ったなしの状況だというふうに思っておりますので、当然、これは、最初に消費税の引上げをお願いするのは二〇一四年の四月でありますが、その間にもできるだけ復興についてはスピードアップをしていきたいというふうに考えております。
  410. 大門実紀史

    大門実紀史君 まだ被災地はそれどころじゃないんですよ、まだ復興の緒にも就いていない段階でございますので。総理、そもそも税金というのは、被災者とか庶民から取るんじゃなくて、負担能力のあるところからまずきちっと取るべきだというふうに申し上げたいと思います。  パネルを御用意いたしましたけれども、これは、アジア太平洋地域で金融資産を百万ドル以上、いわゆる昔でいえば億万長者でございますが、今は八千万円ぐらいですね、保有する富裕層人口の推移でございます。  中国の富裕層が注目されておりますが、日本もこの富裕層が急速に増加をしております。二〇一〇年で約百七十四万人に増えてきているわけでございます。この百七十四万人の方々が持っている資産総額は三百三十兆円。日本全体の個人金融資産が今一千四百七十一兆円と言われておりますので、つまり、人口でいきますと僅か一・四%の人々が日本金融資産全体の二二%を持っていると、こういう状況でございます。  我が党は、証券優遇税制の廃止あるいは所得税の最高税率の引上げとともに、やっぱりこういうふうに富が偏在しているわけですから、新たな税制としてこういう富裕層、百七十四万人全部でなくてもいいんですけれども、この中の更に富裕層でもいいんですが、そういう富裕層の資産に対してもうそろそろきちっと課税をする、アメリカでもそういう動きになっておりますので、そういうことを検討すべきだと思いますが、これは財務大臣、いかがでしょうか。
  411. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) 昭和六十年から平成二十二年までの例えば給与収入の統計を見ても、私もちょっと気になっているのは、よく総理は分厚い中間層の復活ということをおっしゃっているんですが、こういう総理の御主張の背景には、今、大門先生が言うように、所得が高くなっている人の比率が高くなる一方、三百万円以下、二百万、百万の年収の方々もこれは増えていると。ということは、結果として中間層が細っていく傾向というのはございます。これは、社会全体の問題もあると思いますし、また、御提起のように累進税率をどうするのかという問題も出てくると思います。  ですから、そういう点では、今回、四〇%の最高税率を四五%に引上げは行いましたけれども、今後、こうしたやはり所得の乖離、資本主義社会ですからある程度頑張った人がそれだけの富を得るのはやむを得ないにしても、今後この累進税率と所得再配分をどうやっていくかということはやはり議論をしなきゃいけない一つ課題だと思っております。
  412. 大門実紀史

    大門実紀史君 とにかく、こういう富が偏在しているわけですから、こういうところに手を付けなきゃいけません。  もう一つは、こういう資産家とか企業に増税すると海外へ逃げると、資産フライトという話が絶えず脅しのようにされるわけですけれども、そんなこと各国でみんなで税の引下げ競争をやったら、それぞれ自分の首を絞めるだけですね、税収がそれぞれの国減って。もうそろそろ国際連帯で、みんなで協調して税の引下げ競争はもうストップすると、むしろみんなで税を上げていくと。そうすれば、競争条件の問題ですから、財源も生まれますし、いいわけです。  同時に、同時に大事なのは、今日もお話ございましたけど、国際的な脱税行為を許さないことです。いわゆるタックスヘイブンの問題でございます。租税回避地なんですけれども、タックスヘイブンというのは、税金をゼロにしたり、あるいは極端に低い税率にしている国とか地域のことでございます。  例えば、今日も話が委員会で出ていましたが、AIJ投資顧問、あるいはオリンパスが所得隠しで使ったのがケイマン諸島でございますけれども、ケイマンは法人税などの直接税がゼロの国でございます。ただ、タックスヘイブンというのは、ケイマンのような極端な国だけじゃなくて、日本の場合ですと、外国で法人税の実効税率が二〇%以下の国はタックスヘイブンだと、地域はタックスヘイブンだというふうにしておりますので、幅広い概念でございます。  何をしているかというと、そういうタックスヘイブンにペーパーカンパニーをつくるわけですね。ペーパーカンパニーをつくって、そこに日本企業、個人投資家などはこういうペーパーカンパニーをつくったり、あるいはファンドをつくる、証券口座をつくって課税逃れをしているわけでございます。そのペーパーカンパニーの数が、このグラフにしましたけれど、急速に増えておりまして、二〇〇六年の三千四十一が二〇一〇年の四千四百七十と、莫大な金額の課税逃れが行われているわけでございます。これは事実上の脱税行為でございます。  金融庁も国税庁も全部は把握しておりませんけれど、例えばケイマン諸島だけで証券投資と直接投資で約四十七兆円のお金が流れ込んでおります。それが、利益を上げても上げてもほとんど課税されないと。国税庁がつかんでいるのはわずか八百何十億だけで、ほとんど把握されていないと。莫大な金額の課税逃れが行われているわけでございます。  今まで日本はこういうタックスヘイブン、課税逃れに対してどういう対策を打ってきたか、財務大臣、お願いいたします。
  413. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) ペーパーカンパニーという言葉は国としては使ってはいませんけれども、今、先生の御指摘のその表でいうと、外国の子会社の合算税制というのはあるわけです。つまり、我が国の税負担に対して、言わば税負担の低い水準にある子会社を親会社である内国法人の所得に合算をするというふうな課税制度です。これに対しての適用はやってきたわけでありますから、その分でいえば、適切な課税はその分は行われたと。  しかし、様々、マスコミ報道等を含めて、いわゆる所得の把握をうまく世界のそれぞれの主要国がどうもできていないのではないかという指摘はありますので、そうしたことに対しては、やはり外国の税務当局ともこれはしっかりと話し合いながら対応していかなければならない課題であると思っております。
  414. 大門実紀史

    大門実紀史君 いろいろおっしゃいましたけれど、もちろん外国との協調も必要なんですが、まずその国がやれることはやるべきだと思います。  そういう点で、日本はこのタックスヘイブン対策が大変遅れてきた上に、民主党政権になって逆に規制緩和をやってきております。二〇一〇年に、タックスヘイブンとみなす基準、先ほど二〇%と言いましたが、それまでは二五%だったんです。ところが、それを二〇%以下の国だけが、それだけの低い税率の国だけをタックスヘイブンとしたと。  これによって、ここにございますけれども、中国などアジア四か国にあるペーパーカンパニー、この部分、大体この辺の国は実効税率でいくと二〇%から二五%の間でございますから、二〇%以下だけがタックスヘイブンということは、タックスヘイブンじゃなくなったわけですね。したがって、今おっしゃいました合算税制もないし、このペーパーカンパニーが増えているにもかかわらず野放しになっているということになったわけでございます。こういう、何といいますか、規制をするどころか、規制緩和を民主党政権のときにしたわけでございます。  それに比べてアメリカというのは、世界的な大企業とか大金持ちが多い国ですけれども、このタックスヘイブンには大変厳しい国でございます。アメリカがタックスヘイブンとみなす基準というのは税率は三一・五%以下、それ以下のところは全部タックスヘイブンだといって、いろいろ課税の取締りをやろうと、幅広くやるわけですね。日本はさっき言ったように二〇%以下の国だけで、狭いわけですよ。アメリカはそれぐらい厳しいわけです。  さらに、今年の二月の二十二日、アメリカがタックスヘイブンへの課税強化策を打ち出しました。一つは、ちょっと専門的ですけれども、要するに海外のこういう子会社の所得に一定基準で必ず課税すると、ミニマムタックス制度ですね。もう一つは、知的財産の所有権をこういうタックスヘイブンに移転させたら、それはもう意図的だということで上乗せ課税をやるということですね。  ほかにもございますが、もう一つ注目すべきなのは、これはタックスヘイブン対策ではないんですけれども、産業空洞化対策でもあるかと思いますけれど、アメリカが今回乗り出そうとしているのは、企業が海外移転をする、これにブレーキを掛けると。日本はもう好き放題やっていますが、アメリカはブレーキを掛けようとしています。どうやるかというと、企業が生産拠点を海外に移転するための経費について損金に認めない、つまり税金を掛けますよとやるわけですね。逆に、海外から生産拠点をアメリカの国内に移した場合、その場合は税額控除、つまり税制上優遇しますと、こういうことまで踏み出しているわけですね。  日本だけが海外に逃げる、海外に逃げるといって、もう税の引下げ競争ばっかりやっているわけですけれども、アメリカはもうここまで踏み出してきているということなんですね。こういうことこそやっぱりアメリカからきちっと学ぶべきだと、今こそ学ぶべきだと思いますが、いかがですか。
  415. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) 大門先生の御指摘の話というのは、二十二年改正だと思います。  このときの事情というのは、やはり日本企業の海外進出に対して、日本の場合はやはり企業形態が子会社等を設立をしていくということから、やっぱりそういう意味での法人税の負担水準というものを少し緩和をさせてあげた方が競争力が付くという要望がかなりあったので、これは対応しました。その結果として、御指摘のとおり、いわゆるトリガー税率は二〇%以下にしたと。  今御指摘のそのペーパーを見ましても、その結果として、確かに中国などアジア四か国で大体四百社、約四百二十程度ですか、これについては御指摘のように言わば税回避が起こるのではないかという御指摘があります。他方、今アメリカ合衆国のことについて御指摘がありまして、これは海外に進出するアメリカ企業のやっぱり形態も違うとはいえ、やはり租税回避行為に対して厳しい監視をしなければならないということについては、これは国際会議、G20等でも出始めている議論の一つでございます。  ですから、今後私どもとしても、決して税逃れをする企業のために便宜供与を図るなんということは毛頭考えておりませんので、適正な課税をしていただくためにどうするかということは考えていきたいと思っております。
  416. 大門実紀史

    大門実紀史君 総理のお考えもお聞きしたいと思います。
  417. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 先ほどのアメリカの取組なんか大変参考になりました。今後、私どもの議論にも生かしていきたいというふうに思います。
  418. 大門実紀史

    大門実紀史君 消費税増税ばっかり、もうそれ以外眼中にないような状態に今入っておられますけど、もっとやるべきこといっぱいあって、本当焦ることないですよ。やっぱり経済は大事ですからね。財政だって逆に悪化する場合もありますので、こういう税の引下げ競争をやめるということ。そして、やっぱり税ですから、負担能力のあるところにきちっといただくということをやれば、私は消費税増税しなくともいろんな財源は生まれてくると。  我が党はそういう試算を具体的に出して、衆議院の委員会で志位委員長から野田総理にうちの提案をお渡ししておりますので、今の話だけではなくて、もっとうちの提案をきちっと勉強してもらって、いろんな方法があるということを学んでいただきたいということを申し上げて、今日は終わりたいと思います。
  419. 石井一

    委員長石井一君) 以上で大門実紀史君、日本共産党質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  420. 石井一

    委員長石井一君) ここで一言申し上げます。  今日も参議院の予算委員会らしい、いい議論が続いております。ただ、午後、委員会が中断いたしましたために、今五時直前でございますが、五時にNHKの中継が途切れます。これはもう本当にこれから質問をされる社民党の吉田議員と改革の荒井議員に対しては委員長としても深くおわびをいたしますが、国民の皆様に申し上げます。これから二人の質疑は今晩NHKで十一時過ぎから中継が行われますので、どうか熱心にこの参議院の予算委員会に注目をいただきたい。これを国民の皆様に申し上げまして、吉田君の質疑に入ります。吉田忠智君。
  421. 吉田忠智

    吉田忠智君 社会民主党・護憲連合吉田忠智でございます。是非、夜の中継を見ていただきたいと思います。  原発再稼働に絞って質問をさせていただきます。  社民党は、国民の生命、安全、美しい国土を出発点に再稼働問題を考えていますが、原発の再稼働は日本の将来の環境・エネルギー政策経済構造を左右する重要な問題でもあります。なぜ原発再稼働が必要なのでしょうか。  昨年十一月の政府試算では、節電なしで二〇一〇年の記録的猛暑に基づく過大な需要と、そして三・一一以後の自家発電シフトや再生可能エネルギー発電の導入も反映しない過小な供給から、西日本では九・二%の電力不足をはじき出しています。一方、権威のある環境エネルギー政策研究所などの試算ではプラス一〇・二%と、この夏、電力不足は生じないことが明らかにされているわけであります。午前中、はた委員の資料にもありましたが、関西電力単体でも供給力を過小に出しているという印象を強く私は受けました。関西電力を始めとする電力会社救済以外の理由はあるのでしょうか。  総理にお伺いしますが、再稼働の必要性についての政府見解をまず求めます。
  422. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 恐縮ですが、政府として原発の再稼働を求めるということはまだ決めておりません。  今日、原子力安全委員会が、大飯の原子力発電所二基について報告があったということを承知しておりますが、これからしっかりとこれらを読み込みまして、もちろん安全性の確認をするのは専門家の皆さんですが、そうした皆さんの専門家の御判断が普通の専門家でない国民の視点から見ても理解できるものであるのかどうかをしっかりと検証し、その上で、安全性がもし確認できた場合に初めて再稼働の必要性があるかどうかを判断をしてまいります。
  423. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 今の大臣答弁に尽きますけれども、あくまで安全性が確認されるかどうか、再稼働の条件はその一点であります。そのためにストレステストを事業者が行って、保安院が確認をし、そして安全委員会が確認をし、というダブルチェックを経た後に、地元の理解が進んでいるかどうかも含めて、四閣僚によってまずすり合わせをするというところでございまして、あくまで安全性が確保されるかどうかという視点であります。
  424. 石井一

    委員長石井一君) 吉田委員、赤になっても大目に見ますから、しっかりやってください。
  425. 吉田忠智

    吉田忠智君 ありがとうございます。  今年の夏のきちんとした需給見通しを示すべきだと、まずそのように思いますが、その点については、経産大臣、いかがですか。
  426. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) これは御指摘のとおり、しっかりやらなきゃいけないと思っています。  確かに、昨年の十一月にエネルギー・環境会議で最終的に整理をした見通しで、全国ベースで約一割の需給ギャップが生じる見通しをお示ししましたが、午前中の質疑でもお答えいたしましたが、こうした見積りの在り方について、そもそもそのこと自体もしっかりと精査をしたいと思いますし、さらには、この間、供給量の積み増しの努力、それから、節電についてできるだけ御無理を掛けない範囲でどこまで節電をお願いできるのか、ある程度の御無理をお願いすればどの程度節電できるのかといったことについて、詳細な検討、分析調査を進めているところでございまして、こうしたことを踏まえて、できれば連休前後ぐらいまでには需給の見通しをお示しをしたいというふうに思っております。
  427. 吉田忠智

    吉田忠智君 遅いですよね。半年近くたって、また直近の情報を反映した試算を示さないのは極めて不誠実だと思います。  委員長、少なくとも三・一一以降の状況を反映した試算を予算委員会に早急に提出するように求めます。
  428. 石井一

    委員長石井一君) はい、理事会で協議をいたします。
  429. 吉田忠智

    吉田忠智君 先ほど政府の見解を求めたわけでありますが、いわゆる政府が言うところの再稼働の前提としてのストレステストは、保安院と安全委員会がチェックをするということであります。  先ほど枝野大臣からお話もありましたが、本日午後一時から安全委員会が臨時に会議を開いて、おおむね妥当との判断を決定するという報道がありました。  三月十四日の予算委員会で、我が党の福島党首の質問に対しても、安全委員長は大体こういう趣旨で発言をされておられました。今後も安全対策の継続的な検討が必要などとする意見を付けた上で、おおむね妥当との判断を決定すると。それ、逆にしますと、おおむね妥当との判断を決定するが、今後も安全対策の継続的な検討が必要と。今後も安全対策の継続的な検討が必要なのに、それをこれから再稼働に向けて判断ができるのかどうか、そのことも極めて疑問でございます。そして、四月一日の発足は断念したようでございますが、政府はあくまでも近々原子力規制庁を発足させる方針であります。  この再稼働について、今度発足をする、なぜ規制庁に判断をさせないんですか。
  430. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) まず、安全委員会の見解については、今日出てきたものをまだ私読んでおりませんので、しっかりと読ませていただいて、どういう御趣旨であるのかを判断したいと思いますが、一般論として申し上げたいと思いますが、従来の原子力政策の間違いの大きな一つは、いわゆる安全神話に乗っかっていて、何か、一度何かの基準をクリアすればこれはもう安全なんだということで、継続的に安全性をチェックしたり、あるいは安全性を高めたりという努力を結果的に怠るような結果になってきたということが私は一つの大きな教訓だと思っております。  そうした意味では、安全性は確認をしても、常により高い安全性に向けた努力を進めていくという趣旨であれば、これは当然のことだというふうに思っているところであります。  その上で、何でしたっけ……(発言する者あり)規制庁の話でありますが、これはそもそも昨年の七月に実は従来の手続では玄海原発について再稼働の要件が整っておりました。しかし、三月十一日の事故を踏まえて、より安全性についてしっかりとした手順確認をするということの中で、今回のストレステスト等の手順を新たに加えて、こういう手続で安全性を更に確認しなければ再稼働しないということを決めたものでございまして、むしろ、その後時間を掛けて丁寧に、つまり後ろを切らずにやってきた結果として今の時期になっているということでございますので、元々が規制庁の在り方等について決める決めないということを関係なく、安全性をしっかり確認する手段としてこういったプロセスを取ってきたということであります。
  431. 吉田忠智

    吉田忠智君 この度の未曽有の原発事故で、やっぱり原子力安全委員会、原子力安全・保安院、国民の信頼を大きく失墜しているわけですよね。国民の皆さんの信頼はありませんよ。そういうところに少なくとも再稼働の判断をさせるということ自体が間違いであると思いますし、大飯原発は地震随伴現象である原発背後の斜面の崩壊についても評価は終わっていないんですね。これは大飯だけではありません、かなりの原発がその評価が終わっているわけではありません。まさに再稼働ありきじゃありませんか。(資料提示)  このパネルのとおりですけど、その政治判断の問題です。今月に入って判断のステージが一段階増えました。総理が再稼働の先頭に立つと述べた十一日の会見で、安全委員会の後、まず四閣僚が安全性と地元合意を得る進め方を確認をする、そしてその後、地元に説明して、地元の判断の後、再び四閣僚が判断するという段取りが明らかにされたわけであります。二度の四閣僚判断はそれぞれどのように異なるのか、何をどのように判断するのでしょうか。  特に、地元に先立って四閣僚が判断するのは、地元の判断を尊重するとしていた政府の約束をほごにして、政府の判断を押し付けて地元判断を形骸化させるもので、許されることではないと思います。この手続は撤回すべきだと思いますが、いかがですか。
  432. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 最近になって新しいプロセスが加わったという印象を与えているとすれば、従来の説明が不十分であったということを反省しなきゃいけないと思っておりますが。  地元の皆様にもし再稼働のお願いというか御説明政府として上がるとすれば、今日まで進んできた専門家による技術的な安全性の確認をしっかりと政府全体のものとして共有をし、そして同時に、もし安全が確認されるならば、再稼働の必要があるのかどうかということ、これはもう政治がしっかり判断しなきゃいけないことになりますが、そのことをしっかりと判断をし、その必要があるということになったときに初めて政府全体の意思として地元の皆さんにそのことを御説明をするというのは、ある意味当初から想定をしていたプロセスでございます。  その上で、それを受けて、地元の皆さんの一定の御理解が得られるのかどうかということを判断し、それが得られないということであれば、地元の皆さんを始めとする国民の一定の御理解ない中で再稼働するつもりはございませんので、まさに地元を始めとする国民の皆さんの一定の理解があるかどうかを最終的に判断をさせていただくと、こういうことでございます。
  433. 吉田忠智

    吉田忠智君 地元の定義について、三月十四日の我が党の福島党首の質問に対して明言をされませんでした。この定義、範囲も大問題なんですね。  パネルを出していますが、東京電力福島原発事故で三十キロ圏外でも深刻な放射線被曝が生じた教訓から、新たな防災指針では、昨日安全委員会で了承したということでありますけれども、防災対策の区域を三十キロ圏まで拡大をすることを了承したということでございます。  大飯の三十キロ圏内の滋賀県は独自に試算した拡散予測データから再稼働に反対していますが、官房長官は、地元は数値的、機械的に判断できるものではない、再稼働と防災の三十キロは連動しないと述べ、地元は十キロ圏に限る方針と報じられております。  住民が被曝する危険があるかどうかで地元の範囲を判断すべきです。都合よく政治判断などと言うべきではありませんよ。文部科学省は自治体の要請があればSPEEDIを出すという方針なのですから、地元の範囲はSPEEDIの数値を基にきちんと科学的に判断すべきです。  官房長官、SPEEDIで被曝線量五十ミリシーベルト以上の地域か、少なくともUPZ、防災地域三十キロ圏の自治体は地元として判断を求めるべきと考えますが、いかがですか。
  434. 藤村修

    国務大臣(藤村修君) まず、朝日新聞だったと思うんですが、これ、大阪本社社会部で、私の発言のかぎ括弧をややこれ変えて報道されたことが、滋賀県知事、それをお読みになって、その後の発言にあったんですが。  私は、今EPZとおっしゃいましたが、これ、三十キロ圏内、防災の関係ですよね。このことと……(発言する者あり)UPZですね、このことと、何も、連動するしないということを言っていないんです。  私が言っていることは、再起動に関して具体的に御理解をいただく範囲については、どの範囲のあるいはどの程度の理解かなどなど、それらをあらかじめ数値的、機械的に判断できるものではなく、最終的にはそれは政治レベルで判断していくこととなると、このように発言をしています。  それから、今のSPEEDIの話ですね。SPEEDIの影響が確認できる地域の範囲や緊急時防災措置を準備するUPZの範囲によっては、再起動の際の地元の理解の範囲が機械的にこれ決まるものではないと、このように考えています。
  435. 吉田忠智

    吉田忠智君 政府の言い方が変わってきているんですよね。  従来は、安全性については機械的に判断できるものではないという言い方をしていたんです。ところが、最近になって、地元の範囲は機械的に判断できないということにすり替わってきているんです。官房長官の今の答弁もそうでしたけど。十キロという三・一一までの指針を持ち出す。官房長官は、そういう、真意が伝わっていないというふうに言われましたけれども。  今回の東京電力の事故でも、楢葉町や川内村、飯舘村など大きな被害を受けた自治体を地元から除外するような感覚、判断なんですよね。国民の生命、健康被害の危険性から地元の範囲を導くべきではないか、そのように考えます。  滋賀県の嘉田知事も言われていますよ。関西の千四百万人に飲料水を届ける琵琶湖、この水源を預かる責任を肝に銘じて、滋賀県の知事として、自治体の首長としてやっぱり行動しなけりゃならない、判断しなきゃならない、そのように言われているわけであります。  その地元の範囲、そのことをしっかり、やっぱりこの三十キロ、UPZ三十キロというものを念頭に置いた再稼働の判断をすべきじゃありませんか。
  436. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) まず、地元の範囲といいますか、私はいつも、地元の皆さんを始めとする国民の皆さんの一定の理解と申し上げています。これについては機械的に判断できるものではないと、これは一貫して同じことを申し上げ続けてきているところでございます。  そして、したがって、機械的に判断できるものではありませんので、一定範囲から外側の人は関係ないとかということも全く考えていません。あえて申し上げれば、全ての国民の皆さんに一定程度の御理解をいただかなければ、例えば、仮に地元が是非再稼働してくれと言っても、遠い地域の皆さんが絶対にやめてくれという声が圧倒的多数であれば、それは再稼働できないと、すべきでないというふうに思います。  したがって、これはまさに総合的、政治的に判断するしかないということで、何か特定の地元の範囲ということを考えて判断している、考えているわけではありません。
  437. 吉田忠智

    吉田忠智君 昨日の経済産業委員会の質疑において、経産大臣が滋賀県知事のところに説明に行かれると、そのような答弁をされたというふうに聞きましたが、説明に行かれてどうされるんですか。
  438. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 私がではなくて、保安院に対してストレステストの結果等について説明を求めてこられましたので、当然のことながら、全ての国民の皆さんから御説明の要求があれば、保安院の人間行かせるというわけにはいきませんが、四十七人しかいない各県を代表する方から御要請がありましたので、説明に行くのは当然のことでございます。まさに説明を求められたので説明しに行くということです。
  439. 吉田忠智

    吉田忠智君 三十キロ圏ですから、もちろん滋賀県だけではありませんで、京都府も掛かるわけであります。その説明に行かれた後、この三十キロ圏の自治体、特に知事や市町村長の皆さんの同意が前提となりますが、再稼働には、その点はいかがですか。
  440. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 四十七都道府県に分かれている、四十七分の一で国民のある意味では一定の代表をされている方からの御要請があったので、その御要請に応じて説明に行くということ、それ以上でもそれ以下でもございません。  説明を求められれば、例えば大飯原発について、北海道知事であれ沖縄県知事であれ、知事から求められれば説明に行かせます。
  441. 吉田忠智

    吉田忠智君 じゃ、そろそろまとめます。  説明に行かれるだけではなくて、しっかり同意が前提ということをまず申し上げたいと思います。  民主党の原発事故収束対策プロジェクトチームも、再稼働は時期尚早との提言を昨日正式決定されたということでございまして、与党内でも再稼働について慎重な対応を求める声が強まっている、そのように聞いております。  政府の皆さんの再考を強く求めますし、社民党は現状の再稼働には強く反対することを強調して、質問を終わります。  ありがとうございました。
  442. 石井一

    委員長石井一君) 以上で吉田忠智君、社会民主党・護憲連合質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  443. 石井一

    委員長石井一君) 次に、荒井広幸君の質疑を行います。荒井君。
  444. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 今の社民党さんに続けさせていただきたいと思います。  官房長官行かれましたけど、総理、やっぱりこれはね、ハードのテストだけじゃないんです。飯舘村は四十キロですよ、五十キロですよ。それでも避難したんです。そういう地元の同意、理解なくして稼働するというのは、経産大臣、これはおかしい。
  445. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) ですから、繰り返し申し上げておりますとおり、地元の皆さんを始めとする国民の皆さんの一定の御理解がなければ再稼働はいたしません。
  446. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 総理の賢明な判断を待ちます。  さて、そこで、どうして私そういうことを言うか、申し上げます。国が本当に国民、被災者を守れるのかという観点で、実は三月二十一日の予算委員会で、これはテレビ中継ではありませんでしたけれども、厚労大臣、厚生省にお尋ねをしました。よく私どもは言われるんです。原発で直接亡くなった方はいないんじゃないですかと言われるんですけれども、本当でしょうか。この点について、関連死というような形で分けてしまう考え方があるんです。しかし、原発災害はそういうものではありません。関連そのものが原発災害のこれは死亡ととらえるべきではないかと思いますので、改めて、三月二十一日に厚生省にお願いしていますから、そういう意味を含めて何人ぐらいが亡くなっている、このように把握をされているか。  国家公安委員長、警察の方で知っているならば、それ報告してみてください。
  447. 松原仁

    国務大臣(松原仁君) お答え申し上げます。  委員御指摘の原発災害による死亡の実態に関しては、警察においては把握をいたしておりません。  なお、東日本大震災後、発災後一年が経過した本年三月十一日現在、福島県内で震災に係る地震や津波等で亡くなられた方は一千六百五名であります。この中には、福島第一原子力発電所タービン建屋内で亡くなられた方二人が含まれていると報告を受けております。  なお、この二名の方は津波による死亡であるとされたものと承知をいたしております。
  448. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 お亡くなりになった方に御冥福をお祈りしますが、国家公安委員長、原発関連で分からない。  厚労大臣、お調べいただきましたか。
  449. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) 先日も答えさせていただいたように、原発の構内で作業していた方については把握をしておりますが、御指摘の点につきましては、復興庁が中心となって東日本大震災での災害関連の死亡一般について一定のメルクマールを示して市町村や関係省庁との協力を得て調査を実施すると聞いておりますので、厚生労働省としてもこれに協力をしていきたいと思います。
  450. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 私が申し上げて、今度は厚生省から復興庁が調査を始めると。何と国民の命を考えているんだと私は言いたいんです。そういうときに再稼働の再も私は頭に浮かばない。よろしいですか、私たちは地元だから言うわけではありませんよ。  例えば、新聞の力を借りましょう。東京新聞、三月十二日の東京新聞で双葉病院の院長の鈴木先生のお話があります。十三日で衰弱でお一人亡くなった。このときは救助が来ていません。十四日、移動の中のバスで三人が車内でお亡くなりになり、体育館で十一人がお亡くなりになっている。自分が知っている方々、ほかの特養を含めて四百三十六人が、その三月三十一日まで五十人が亡くなってしまったと。本当に残念だと。そして、毎日新聞三月四日付け、福寿園という特養がありますけれども、この二月までです、この二月までで九十六人のうち二十六人の方が避難先で亡くなってしまったと。こんなむごいことがいっぱいあるんですよ。  そういう手だて、この方々を救えなかった、そして、そういう数字を知らない、把握していない、これでどうして国家としての国民の命を預かっていると言えますか、総理。今、私が申し上げたことでどのような感想を持たれますか。
  451. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 今、その現場の病院を預かる立場の先生のお話ということでございますけれども政府としては、先ほど国家公安委員長、厚労大臣、それぞれの調査に基づいての判断をしたということですが、被災地でそういう声があったということは受け止めさせていただきたいというふうに思います。
  452. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 総理、国民目線でいったら、そしてまた、この原発災害ということでいったら、こういう方々が犠牲者なんですよ。こういう方々が直接の犠牲者なんですよ、原発災害というものは。  厚労大臣に、そういう観点でその一つの認定の仕方というのをしっかりしてくださいとお願いしましたけれども、御検討に入っていただいていますか。
  453. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) 先ほど答弁させていただいたように、この度、復興庁が発足いたしましたので、そちらでメルクマールを設定をして、これまで分かっていないのは本当に大変申し訳ないと思います。ただ、これまでそういう把握をしていなかったので、復興庁でそういう形で把握をするということですので、そこに最大限協力をしていきたいと思っています。
  454. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 福島県に恐らく聞かれましたけれども、福島県で把握されていましたか、厚労大臣。福島県にも聞かれたと思いますが、福島県は把握していましたか。どうぞ。事務方の方でもいいですよ。
  455. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) 災害弔慰金の支給という形で福島県は審査件数が七百五十ということはございますが、これ以外は福島県の方も把握をしていないと思います。
  456. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 残念ながら、福島県もおかしいんですよ。こういう問題点を、私は本当に亡くなった方々の立場を考えつつ、今再稼働しているときに申し上げておきたいと思ってこの席に立たせていただいているわけです。そして、三月十一日の追悼式典にもその方々が当然含まれての総理の追悼の言葉でもあったと私は理解したいんです。  次に移ります。  成長戦略、今日は経済財政でございますからそのことに行きたいんですけれども、マテリアルフローコスト会計、このマテリアルフローコスト会計というのは足掛け三年掛かりました。〇八年から、自民党の時代から、公明党・自民党政権のときからマテリアルフローコスト会計というのを国際標準にしようと。よく我々ISOという言葉を聞きますけど、ISO14051番を取りました、九月十五日。日本発のものであり、大変私は評価をしておるわけですけれども、この会計にはどんな評価が今、国際的になされているんでしょうか、御説明願いたいと思います。
  457. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 御指摘いただきましたマテリアルフローコスト会計は、製造工程において廃棄、排出されてロスとなる原材料やエネルギーを金額換算するシステムでございまして、先生始め皆様方の御尽力もあって、昨年九月、国際標準が発行をいたしました。  コストの削減や環境負荷の低減を図るものでございまして、そういった意味では、これから環境に対してますます価値が問われている状況の中で一定の評価をいただいているからこそ、国際標準として認められたものというふうに承知をしております。
  458. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 非常に簡単に言いますと、目、例えばこのレンズなどを加工してくる前に原材料から始まりますけど、今まで捨てていたというんですね。捨てていたものがあったんだけれども、何でこんなに捨てていたんだろう、このマテリアルフローコスト会計を見ると、そうした原材料の無駄が見えます。捨てていたんだったら、利益が上がる、捨てていたものさえ眼鏡のレンズに加工できたら、もっと廃棄物は少なく、そしてレンズは作れるんじゃないかと、こういうことになるわけですね。これがマテリアルフローコスト会計ということです。  こういう観点に立てば、私が今度のTPPについて申し上げたいことにつながりますが、まず、企業の価値を測るのは有価証券報告書ですね、財務大臣。有価証券報告書で大体、お金を貸します、あるいは投資をします。上場企業が専らこの義務付けを行います。企業の通信簿です。その株を買おうかなというふうにもなります。その企業の、そして物を買おうかなというふうに、気にもなる。しかし、それはガバナンスを含め、いろいろなものは入っていますけど、非常にこれからの重要なものは、今のような、原材料を大切に使うし、例えば原発でつくっている電気を使わない、こういう節電の考え方のも取り入れながらやっていかなくちゃいけないわけです。マテリアルフローコスト会計は、言ってみればその中の原材料の部分なんです。  今度は節電もする、石油も使わなくなる、そういったものを併せて環境会計、環境報告書ということで世界に先んじて我が国はこれを努力化している、一部義務にしているところもあるんです。こんなことをやったらよっぽど金が掛かっちまう、企業としてはマイナスだという声もあるんですが、これをやることによって企業価値が高まり、融資が受けられたり、あるいは投資をもらったり、消費者がそういう社会貢献をしているそういう会社のものは購買しようということにもなってくるわけですね。  こういう観点に立っていくと、日本が有価証券報告書とマテリアルフローコスト会計なども含めた会計報告書、こういうものを一緒に出さないとその企業の価値は決められませんよと、こういう仕掛けにしていくということが私は大きな、原発を含めたエネルギー危機にも役立つこと、日本の競争力、企業の競争力が上がること、こう考えているんですけれども、戦略大臣はどうお考えになりますか。
  459. 古川元久

    国務大臣古川元久君) 委員御指摘のように、環境に配慮した企業活動が積極的に行われることは重要であるというふうに思いますし、また、そうしたものが大変評価される時代になってこなきゃいけないと思います。  そういった意味では、こうした企業活動が社会的に評価される仕組みづくりについて、委員御指摘のような有価証券報告書と環境会計報告書をセットにして企業の技術力と環境力を評価する制度を含める、こういうものを考えるということは、私は一考に値するというふうに思っています。  その場合に、今委員からも御指摘もございましたけれども企業の負担なども十分に配慮しつつやはりこれは考えていくべき問題ではないかというふうに考えております。
  460. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 TPP二十一分野、昨日、第二回目の二十一分野の交渉の過程を民主党に報告をされたと聞き及んでおります。この二十一分野にこのようないわゆるマテリアルフローコスト会計などを含めた、競争市場の公平化、平等化という観点で、二十一分野の中にはこれらが取り込まれる分野がありますか。企業会計に環境会計を入れるというような分野はあるんでしょうか。
  461. 古川元久

    国務大臣古川元久君) これは、TPP協定交渉にかかわらず、貿易交渉において一般的にこうした問題について議論はされていないというふうに承知をいたしております。
  462. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 野党の先生方からも、また民主党、与党の一部からも言われているんです。これこそ二十一分野の競争政策に入れるべきなんです。あるいは社会貢献にかかわるような分野に入れるべきなんです。日本発のマテリアルフローコスト会計というものを一方で武器にしながら、日本が最も進んでいます、世界中に、こういう考え方やらなけりゃ行き詰まるんじゃないかと、アメリカの皆さん、交渉前の交渉でそういうことを提起する。アメリカはほとんどやっていませんから。こういう武器を持ちながらTPP交渉の交渉を進めるということでなければ心もとないなと思っているんですが、どなたがお答えになりますか。
  463. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) TPPの場であるかどうかは別としても、国際的にこうした環境に配慮した形の企業価値、企業評価というものを共有をしていくということは我が国にとって大変重要なことだと思っております。  ただ、現状では、先ほど御指摘いただいたマテリアルフローコスト会計についても、平成十六年からモデル事業を実施を始めておりますが、現時点で国内で導入企業数が約三百社でございます。  それから、実は環境関係の報告書、各企業の報告書を環境報告書プラザというサイトにして、なおかつ英語版も作ってこうしたことの情報発信に取り組んでおりますが、現在まだ八百三十五企業登録しているにとどまっているところでございまして、まず、世界に対して何か言っていく前に、国内においてこうしたことをしっかりと普及をさせていくということが大変重要なことであるというふうに思っています。国内でしっかりと普及ができた上で、国際的に、これを他国も導入し、ちゃんとそういう視点で比較をしようということが初めて言っていける。ただ、その国内普及については更に努力を加速してまいりたいと思っております。
  464. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 通信の世界でLRICというのがあるんです、大臣。通信網を開放するために、最新の投資をした場合と今まで既にやっていた投資の仕方では、今までの方がお金掛かっています、技術力が弱いですから、今入れた方が安いんです。それで、日本の通信市場を開放しろ、当時私は自民党の部会長でしたけど、そういうことをある州だけでやっていながら言ってくるのがアメリカなんですよ。  日本も国内市場を整えながら、やっぱり時間を読んで、それを訴えていく。そして、それは世界の理にかなうんだから、自信を持ってやっていくということが総理、必要なんです。  時間がなくなりましたからまた続きはやりますが、そういう観点に立ってTPPも交渉前交渉をするならやってもらいたい。これもまた心もとないなというのを私は申し上げておきたいと思います。  ホール・ボディー・カウンターについてお尋ねをしたいところがあったんですが、ホール・ボディー・カウンター、これは五台だけというのがこの間の参議院予算委員会でのお話でした。あるいは経済産業委員会でだったでしょうか。五台だけ新しくする。間に合わないんですよ、スピード的に。  同時に、福島県だけではないんですよ、与野党で今協議をしていただいていますけれども、内部被曝の調査をする、今アメリカのものなどを使っているんですけど、国産で、そしてできれば福島県の方々に働いてもらう形で量産化して、そして全国で心配な方々に、病院に設置をするということを考えたら、健康管理と競争政策と雇用と、一石三鳥ではありませんか。いかがでしょうか。
  465. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) ホール・ボディー・カウンターについては、現在の生産はいわゆる受注生産方式になっていると承知をしております。現在のところ、被災地を含む全国の原子力発電所や被曝医療機関等の需要に対して国内メーカーの生産能力が不足をしているという状況にはないというふうに承知をしております。  もちろん、公的な機関において更に短期間で大量に発注すべきではないかということの御議論はしっかりと進めてまいりたいと思っておりますが、いずれにしても、これは需要の見通しや生産能力を踏まえた上でメーカーが生産増産体制をつくるのかどうかというのが基本のところであります。その際に、生産設備を増設するに当たっては、最終的には経営判断でございますが、補助金や税制優遇等の復興支援策を活用して、例えば福島に造っていただくことを誘導するとか促すとかということ、これはあり得ると思っておりますが、現時点ではメーカーにそういった御要望がある、御希望があるということは承知をしておりません。
  466. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 まとめます。  南相馬市立病院、あるいは東大から坪倉先生、そしてまた高橋産婦人科先生始め、みんなお医者さんたちも心配しています。それは数が圧倒的に足りません。まとめて国が発注すればラインに乗るんですよ。  もう時間がありませんので、次の機会に総理にお尋ねするのは、エコカー補助金などを含めて今三千億ぐらいいろいろなことをやっております。これを電気自動車や蓄電池のエコポイント化をしてそれぞれ買い換えられるような、家電のエコポイントのようなものをやったらいいんじゃないかということをお聞きしたいんですが、続きといたします。
  467. 石井一

    委員長石井一君) 以上で荒井広幸君、新党改革質疑は終了いたしました。(拍手)  これにて経済財政等に関する集中審議は終了いたしました。  次回は来る二十六日午前九時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十七分散会