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2012-02-06 第180回国会 参議院 予算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十四年二月六日(月曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員の異動  一月三十一日     辞任         補欠選任     はた ともこ君     金子 洋一君      平山 幸司君     友近 聡朗君      佐藤 正久君    三原じゅん子君      石川 博崇君     山本 博司君      紙  智子君     大門実紀史君      舛添 要一君     荒井 広幸君  二月三日     辞任         補欠選任      大久保 勉君     梅村  聡君      大塚 耕平君     中谷 智司君      櫻井  充君     松浦 大悟君      友近 聡朗君    はた ともこ君      赤石 清美君     林  芳正君     三原じゅん子君     脇  雅史君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         石井  一君     理 事                 植松恵美子君                 川上 義博君                 武内 則男君                 徳永 久志君                 有村 治子君                 礒崎 陽輔君                 山本 一太君                 浜田 昌良君                 小野 次郎君     委 員                 石橋 通宏君                 梅村  聡君                 金子 洋一君                 小西 洋之君                 谷  亮子君                 谷岡 郁子君                 外山  斎君                 中谷 智司君                はた ともこ君                 林 久美子君                 姫井由美子君                 広田  一君                 牧山ひろえ君                 松浦 大悟君                 蓮   舫君                 猪口 邦子君                 片山さつき君                 片山虎之助君                 川口 順子君                 佐藤ゆかり君                 末松 信介君                 西田 昌司君                 林  芳正君                 丸山 和也君                 山崎  力君                 山田 俊男君                 山谷えり子君                 脇  雅史君                 草川 昭三君                 竹谷とし子君                 山本 博司君                 中西 健治君                 大門実紀史君                 福島みずほ君                 荒井 広幸君    国務大臣        内閣総理大臣   野田 佳彦君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(「新し        い公共」、少子        化対策男女共        同参画、行政刷        新))      岡田 克也君        総務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策、地        域主権推進))  川端 達夫君        法務大臣     小川 敏夫君        外務大臣     玄葉光一郎君        財務大臣     安住  淳君        文部科学大臣   平野 博文君        厚生労働大臣   小宮山洋子君        農林水産大臣   鹿野 道彦君        経済産業大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣原子力        損害賠償支援機        構))      枝野 幸男君        国土交通大臣        国務大臣     前田 武志君        環境大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣原子力        行政))     細野 豪志君        防衛大臣     田中 直紀君        国務大臣        (内閣官房長官) 藤村  修君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣消費者        及び食品安全)        )        松原  仁君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(金融)        )        自見庄三郎君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣経済財        政政策科学技        術政策))    古川 元久君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(防災)        )        平野 達男君    副大臣        内閣府副大臣   中塚 一宏君        財務大臣    藤田 幸久君        農林水産大臣  岩本  司君        防衛大臣    渡辺  周君    大臣政務官        法務大臣政務官  谷  博之君        財務大臣政務官  三谷 光男君        経済産業大臣政        務官       柳澤 光美君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  山本 庸幸君    事務局側        常任委員会専門        員        藤川 哲史君    政府参考人        内閣府政策統括        官        村木 厚子君        財務省主計局長  真砂  靖君    参考人        日本銀行総裁   白川 方明君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成二十三年度一般会計補正予算(第4号)(  内閣提出衆議院送付) ○平成二十三年度特別会計補正予算(特第4号)  (内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 石井一

    委員長石井一君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成二十三年度第四次補正予算案審査のため、必要に応じ政府参考人出席を求めることとし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 石井一

    委員長石井一君) 御異議ないと認め、さよう計らいます。     ─────────────
  4. 石井一

    委員長石井一君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成二十三年度第四次補正予算案審査のため、必要に応じ日本銀行総裁白川方明君参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 石井一

    委員長石井一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 石井一

    委員長石井一君) 平成二十三年度第四次補正予算二案に関する理事会決定事項について御報告をいたします。  本日及び明日の午前の質疑総括質疑方式で行い、質疑割当て時間は二百三十七分とし、各会派への割当て時間は、民主党・新緑風会八十分、自由民主党・たちあがれ日本・無所属の会八十五分、公明党三十二分、みんなの党十六分、日本共産党八分、社会民主党護憲連合八分、新党改革八分とすること、質疑順位につきましてはお手元質疑通告表のとおりでございます。     ─────────────
  7. 石井一

    委員長石井一君) 平成二十三年度一般会計補正予算(第4号)、平成二十三年度特別会計補正予算(特第4号)、以上二案を一括して議題といたします。  これより質疑に入ります。脇雅史君。
  8. 脇雅史

    脇雅史君 いよいよ参議院予算委員会総括質疑ということで、今日からあしたの午前中まで、やや長丁場でございますが、野田総理、どうぞよろしくお願いをいたします。そしてまた、閣僚皆様方も、やや長いですけれども、途中で行方不明になどならないようにしっかりとお願いを申し上げます。  野田総理は、年が明けてから、この日本の難局を乗り切っていくに当たって正心誠意、不退転の決意でやっていくんだと再三述べられておられまして、私どももお聞きをいたしておりまして、その決意のほどはよく感じることができます。しかし、決意が幾ら良くても、中身がなければしようがないんですね。正心誠意とおっしゃいますが、残念ながらその誠意の方は私どもの方に伝わってこないんです。  例えば、お辞めになった山岡前大臣、立派な方だと思うんですが、しかし、誰が考えても消費担当大臣消費者庁担当大臣、これはどう見ても適材適所ではないんですよ。それは多くの方に聞いても皆さんそうおっしゃいます。しかし、野田総理はずっとそれは適材適所だと言い続けておられた。そこに言葉の誠が見られません。  また、この間の本会議での我が党の中曽根会長質問に対して、それは総理民主党大会における参議院に対する発言でございますが、おかしいのではないかということについても一切誠意ある回答は見られませんでした。ですから、なかなか信じられないんですね。  これは野田総理だけではなくて、民主党の歴代の総理方々、みんな言葉が軽いといいましょうか、言葉が躍っているように思えます。例えば、CO2を二五%削減するとか、あるいは脱原発だとか、どんどんどんどん言葉だけ出てくるんです。本来、結論が先にあるのではないのです。しっかりと内部で討論をし、議論をし、吟味をして、そして我が国の取るべき方向を定めていく、そしてしかるべき手続を取って進めていくというのが本来の姿なんですが、最初言葉だけなんですよ。だから、幾らしゃべっていても信頼できない、そういうことが民主党の基本的な体質にあるように思うんです、失礼ながら。  そこで、私もこの二年半の皆様方の様々な言動を本当に疑問に思うことが多いんです。今日は一つずつそれを検証していきたいと思っています。私の後に、次が林先生礒崎先生片山先生ということでだんだんに予算については質問をしてまいりますが、私は今申し上げた点に絞って質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。  そこで、まず憲法でございますが、総理、御就任なされてから憲法は何度ぐらいお読みになっていますでしょうか。
  9. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 全体を読んだということはありません。ただ、折につけ必要な条文を確認をしたということはありました。
  10. 脇雅史

    脇雅史君 お忙しいですから、全部読むなんということはあり得ませんし、問題になったときにお読みになればいいと思うんですが。  それでは、憲法七十三条はお読みになっていますか。
  11. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 読んでおりません。
  12. 脇雅史

    脇雅史君 七十三条というのは実は大変大事な条文だと思っているんですが、法制局の方、ちょっと読んでいただけませんか。私は資料一でお配りしてありますので皆さんには分かるんですが、ラジオをお聞きの方もおられるでしょうから、七十三条を読んでみてください。
  13. 山本庸幸

    政府特別補佐人山本庸幸君) 「内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。 一 法律を誠実に執行し、国務総理すること。 二 外交関係を処理すること。 三 条約を締結すること。但し、事前に、」、以下、省略いたします。「四 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。 五 予算を作成して国会に提出すること。 六 この憲法及び法律規定を実施するために、政令を制定すること。」、以下、省略します。「七 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。」でございます。
  14. 脇雅史

    脇雅史君 ありがとうございました。  その今の第一項は、特に第一号は「法律を誠実に執行し、国務総理すること。」。誠実に執行するということを、総理、どのように解釈されていますか。
  15. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) まさに、文字どおり法律に基づいて誠実に執行するということを心掛けるということであります。
  16. 脇雅史

    脇雅史君 それでは、内閣法はお読みになっていますでしょうか。
  17. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 内閣法個別の条文云々ではなく、全体を読んでいるということではございません。
  18. 脇雅史

    脇雅史君 憲法は、法律を誠実に執行しろと言っているんですね。法律を読まずに誠実に執行することは可能なんでしょうか。
  19. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 内閣が行う仕事はたくさんあります。いろいろ個別法に基づいて、もちろん上位法である憲法に基づいた個別法に基づいて内閣として仕事をしてまいりますが、私がその一つ一つ仕事法律の裏付けを全部読んで対応するんじゃなくて、それぞれの担当閣僚あるいは政務三役あるいは各府省法律に基づいて仕事をしているというふうに思います。
  20. 脇雅史

    脇雅史君 内閣法に言う主任大臣はどなたか総理御存じなんでしょうか。いや、知らなかったら知らないでいいですよ。
  21. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 内閣総理大臣だと思います。
  22. 脇雅史

    脇雅史君 そのとおりですね。  それでは、内閣府の設置法はお読みになったことはありますか。
  23. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 内閣設置法全体を読んだということはありません。
  24. 脇雅史

    脇雅史君 内閣官房主任大臣総理大臣、それから、お読みになっていないとおっしゃっているんで、それは御存じでしょうから、内閣府の主任大臣もやはり総理大臣ですね。  では、一般方々内閣官房って一体何するんだろう、内閣府って何するんだろうと思われると思うんですが、総理内閣官房内閣府をどのように使い分けていらっしゃるんでしょうか。  総理にお聞きしているんです。総理主任大臣なんだよ。(発言する者あり)
  25. 石井一

    委員長石井一君) それじゃ、まず……(発言する者あり)いや、まず答弁して、答弁して。
  26. 枝野幸男

    国務大臣枝野幸男君) 法令解釈担当大臣も命じられておりますので、法令解釈担当大臣としてお答えを申し上げますが、内閣総合調整にかかわる役割のうち、一定の恒常性を持つものについては内閣府において、そしてアドホックなものについては内閣官房において主に処理するという使い分けがなされております。(発言する者あり)
  27. 石井一

    委員長石井一君) ちょっと、ちょっと帰ってくれ。ちょっと、ちょっと待ってくれ。(発言する者あり)答弁しますか。(発言する者あり)  それでは、恐縮ですが、議場整理のため、脇雅史君、もう一度御質問願います。
  28. 脇雅史

    脇雅史君 私は法令解釈をお尋ねしているのではありません。総理がどのように運用されているかをお聞きしているんです。内閣官房内閣府をどのようにお使い分けなされているかということです。
  29. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 私の頭の中では、内閣府の中にはそれぞれの所掌、分掌があります。必要に応じて総合調整しなければいけないようなときは内閣官房仕事を負わせると。例えば行政改革全体等は内閣府でやっていました。行政刷新官房事務担当したりと、そういう何か使い分けをしてきているというふうに思っております。
  30. 脇雅史

    脇雅史君 内閣官房内閣府と似たような仕事を大変な人数を掛けてやっていらっしゃる。それをうまく使いこなすにはきちっとした理念が要ると思うんですね。元々、法令上の決まりはあるんです。決まりに基づいてしっかりやってほしい。現実にしっかりやっていないように見えるから、私は申し上げているわけであります。  それでは、少し具体例に行きます。  国家戦略室ですね、国家戦略室はどこにある組織ですか。
  31. 古川元久

    国務大臣古川元久君) 内閣官房設置されております。
  32. 脇雅史

    脇雅史君 それでは、内閣法の二十二条、ちょっと読んでいただきたいんですが。
  33. 山本庸幸

    政府特別補佐人山本庸幸君) 二十二条でございますが、「内閣官房所掌事務を遂行するため必要な内部組織については、政令で定める。」ということです。
  34. 脇雅史

    脇雅史君 それでは、国家戦略室政令で定まっているんですか。
  35. 古川元久

    国務大臣古川元久君) お答えいたします。  政令内閣官房組織令というのがございまして、そこの第十二条に「この政令に定めるもののほか、内閣官房内部組織に関し必要な細目は、内閣総理大臣が定める。」となっておりまして、この内閣総理大臣決定によって戦略室設置をされております。
  36. 脇雅史

    脇雅史君 細目なんですか、この戦略室というのは。細目で定めるものなんですか。いいかげんな答えはやめてくださいよ。
  37. 古川元久

    国務大臣古川元久君) これは、ちゃんと法令に基づいて、そして政令に基づいて総理決定できちんと定められているというものでございます。
  38. 脇雅史

    脇雅史君 資料二にこの内閣官房組織図、これはホームページから取ったものですね、立派にその国家戦略室というのが上から二番目に書いてありますよ。これが細目なんでしょうか。大体ここで黄色で書いてあるやつは、これは政令で書いてあるわけですね。このまさに国家戦略室政令で定めるべきものだというふうに見えますね。  要は、先ほどの、憲法で誠実に法律を執行しなさいと言っているわけです。それは、内閣法できちんと政令で定めなさいと書いてあるんだから、素直に読めば、誠実に読めば当然政令でやるべきでしょう。へ理屈国家の運営をやってはいけないんですよ。あなたの言うのはへ理屈なんだよ。  総理、どうですか。  あなたは主任大臣じゃないんだから。
  39. 古川元久

    国務大臣古川元久君) へ理屈というんじゃなくて、これは委員、大変恐縮でございますが、そういう細かいことで言われるわけじゃなくて、これは全体として内閣として決めた話であって、別に法令に反しているような話ではございません。  逆に言うと、もう少し中身の話で是非議論をしていただきたいと思います。(発言する者あり)
  40. 石井一

    委員長石井一君) 何か総理、補足しますか。(発言する者あり)  速記を止めて。    〔速記中止
  41. 石井一

    委員長石井一君) 速記を起こしてください。それじゃ、古川担当大臣、もう一度。
  42. 古川元久

    国務大臣古川元久君) ちょっと言葉が過ぎたかもしれませんけれども、ここの部分法令に反するものではなくて、きちんとそれは法令に基づいて総理大臣決定によって設定をされたというものでございます。(発言する者あり)
  43. 石井一

  44. 古川元久

    国務大臣古川元久君) 言葉が過ぎた部分はおわび申し上げます。
  45. 石井一

    委員長石井一君) 脇君、質疑を続行してその点を指摘してください。
  46. 脇雅史

    脇雅史君 私は総理にお聞きしているんですが、今のように、法律の体系というのは法律があって政令事項があって規則があるんです。政令に定めたものの中で規則に委ねるものは書いてあるんです。政令で定めるべきものを細目といって規則で決めるなんてことはあり得ないんですよ。あなたの答弁は全く間違っています。これはささいなことではありません。法治国家としての原点です。
  47. 古川元久

    国務大臣古川元久君) 言葉が過ぎた部分はおわびを申し上げますけれども、これは法令に基づいてきちんと内閣総理大臣決定によって設置をされた組織であるということであります。
  48. 脇雅史

    脇雅史君 総理大臣がこの組織を決める権限はないんです。総理
  49. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) この国家戦略室設置根拠は、先ほど古川大臣が御説明したとおり、内閣法二十二条及び内閣官房組織令十二条の規定であります。十二条の規定は、「この政令に定めるもののほか、内閣官房内部組織に関し必要な細目は、内閣総理大臣が定める。」と書いてありますが、これを根拠にして国家戦略室をつくりました。ここで方向性が出る国家戦略についての方向性については、最終的には閣議意思決定をいたします。閣議意思決定したものについては個別の省庁が法令に基づいて対応するということでございますので、私は問題はないというふうに理解をしております。
  50. 脇雅史

    脇雅史君 もうあきれて物が言えませんね。全く解釈論が間違っています。  それでは、もう一つお聞きしましょう。その内閣府の組織令冒頭を読んでみてください。法制局、どうぞ。
  51. 山本庸幸

    政府特別補佐人山本庸幸君) 内閣官房組織令の十二条でございますか。
  52. 脇雅史

    脇雅史君 最初冒頭部分
  53. 山本庸幸

    政府特別補佐人山本庸幸君) 最初、そうですか。ちょっと手元にはございません。
  54. 脇雅史

    脇雅史君 そんなもの出てこないの。組織令ぐらいすぐ出るでしょう。この内閣出ないの。それでは貸してあげるよ。これ読んで。組織令ぐらいは出るでしょう、すぐ。冒頭部分でいいから。
  55. 山本庸幸

    政府特別補佐人山本庸幸君) ちょっと突然のお尋ねでございまして、申し訳ございません。  内閣官房組織令の第一条、「内閣官房に、次の三室を置く。」……
  56. 脇雅史

    脇雅史君 第一条じゃないです、冒頭部分
  57. 山本庸幸

    政府特別補佐人山本庸幸君) はい。  「内閣は、内閣法第十六条第二項及び第十七条の規定に基き、この政令を制定する。」ということになります。
  58. 脇雅史

    脇雅史君 今、第十六条第二項に基づいてと読んだんですね。この政令なるものは、内閣法第十六条第二項に基づいて定めているとおっしゃいましたね。これ、うその資料を渡したんじゃないんです。ホームページなんです。  じゃ、内閣法十六条第二項って何ですか。
  59. 山本庸幸

    政府特別補佐人山本庸幸君) 現在の内閣法十六条は「内閣官房に、内閣官房長官補三人を置く。」という規定でございまして、多分それは制定文でございまして、その後改正をされまして、その条項が移動したというふうに考えます。
  60. 脇雅史

    脇雅史君 またあきれちゃうんですが、これ、内閣府のホームページに堂々と載っているんですよ。  私読んでみて、今言った内閣法を読んでみたら、十六条第二項に基づいてどうやって政令が制定されるんだろうかと思って、全く意味が分からない。どうするんですか。教えてくださいよ。
  61. 山本庸幸

    政府特別補佐人山本庸幸君) 一般的に法令を作るとき、法律が書かれる、その法律根拠に当然政令が作られるんですけれども、その政令を作るときに、えてして最初のときに作ったままの制定文が書いてあって、その後法律改正され、あるいはその政令改正された後、その改正後の条文を書くべきところを書いていないということがよくあるわけでございます。  ちょっとそれを、根拠を少しチェックさせていただきたいと思います。
  62. 脇雅史

    脇雅史君 今の答弁では国家は成り立ちませんよ。法律を変えたら全て関連条項変えるんでしょう。それで内閣は大変な内部で意思調整するんですよ。できていないからこうなっている。これは民主党内閣になってからだけじゃない。自民党の終わりのころから内閣官房とか内閣府がたるんでいるんですよ。だからこんな、法制局もそうだ、こんなばかなことを、今のばかな答弁があったら国家は成り立ちませんよ。どうするんですか、これは。  総理総理
  63. 山本庸幸

    政府特別補佐人山本庸幸君) 私ども仕事を行うに当たりまして、いわゆる黒本といいます大きな法令全書を使って、約百冊ぐらいありまして、それに従って仕事をしているわけでございますが、そこのいわゆる編集の問題でもございます。その編集は、えてしてそこの制定したときの制定文をそのまま書いてあって、その後、慣習として、その本体が動いてもそれを動かさないということになっていると思います。多分、現在の内閣官房のその組織令は、ホームページはそれをそのまま取ってきたんじゃないかと思っております。
  64. 脇雅史

    脇雅史君 これ、真面目に法律読んでいったらつながらないじゃないですか。そんなばかな話はあり得ないんですよ。全部直す。今コンピューターの時代ですからね、関連条文全部ぱっと直せますよ。早く直してくださいよ、陳謝して直してくださいよ。あなた主任大臣なんだから。
  65. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 根拠はあるということは、その法制局の今の答弁のとおりなんです。ただ、問題はその編集の問題等でありますから、そこはきちっと対応を早急にしなければいけないというふうに思います。
  66. 脇雅史

    脇雅史君 これは編集の問題ではありません。法律言葉が命なんです。一字一句間違っちゃいけないんですよ。そういう緊張感のない答弁だから、こんないいかげんな内閣、こんないいかげんな国になってしまうんですよ。こういう大事なことを、古川さんなんかささいなことだと言っているんだよ。法律の字句が違っていいの、この一つ一つの字句が違っていいんですか。あり得ないでしょう。担当大臣枝野さん、ちょっと言ってあげてください。変わってもいいの、こんないいかげんなことでいいんですか。
  67. 枝野幸男

    国務大臣枝野幸男君) 法令解釈論といたしましては、それぞれの法令は何年何月何日に改正されたと、その時点における他の法令規定が前提になっておりますので、現在のような運用が法令の解釈上問題になるとは思いません。ただ、御指摘のとおり、法令法制局などの専門家だけが使うものではありませんので、そうした意味では不便というか分かりにくい点があるというふうには思います。  ただ、法令解釈担当大臣でありますが、内閣法制局に対する私は指揮権がございませんので、あります総理官房長官と御相談をさせていただいて、国民の皆さんに分かりやすい解釈ができるような運用について努力したいと思います。
  68. 脇雅史

    脇雅史君 今、大変な答弁ですよ。最新の法令、まあ改正しますわね、改正に基づいて、そこで全部の法令を直すんじゃないんですか。直さないのがあって、あちこち見なくちゃいけないようになっているんですか、古い法律も見ながら。違うでしょう。法律を変えたときに全て変えるんでしょう。変えるのが義務です。あなたは、変えなくてもいいと言った。  法制局長官、いいのか、それで。
  69. 山本庸幸

    政府特別補佐人山本庸幸君) 少し問題を整理して御説明いたしますが、法令本体は、法令の題名から、したがって以下つながっている条文、これが法令の本体でございます。何か改正があれば必ずそれを完璧に全部直すということは普通やっております。  そして、制定文は、恐らくこれは、かねてからさっき申し上げたようなその運用をしてきたというのは、これは歴史的事実を示すものということで、それを作ったときの歴史的状態でそのまま固定されていて、その後それは、特にそれまで触ることはしないというのがこれまでの経緯でございます。  それで、それは要するに……(発言する者あり)  それで、もう一つ申し上げますと、要するに制定文というのは作ったときのその当時の状態を示すものでありまして、法令としての効力は題名以下の法令の本文であるということでございます。
  70. 脇雅史

    脇雅史君 今の答弁によれば、政令だけ読むと、そこに書いてある条文というのは、昔変えたやつ、いろんな様々な条文が混在しちゃっているということがあり得るということなんですね。
  71. 山本庸幸

    政府特別補佐人山本庸幸君) それは、法令を制定する前の一番、何といいますか、その根拠法令を制定したときの根拠を示すだけでございまして、法令そのものは、法令以下の、その題名以下の本文ということでございますので、それは完全に整合性があるように作られております。
  72. 脇雅史

    脇雅史君 それでは、昔の十六条第二項と十七条の規定というのを教えてください。どういう条文ですか。わざわざ根拠として昔のやつ取っておいたんだから、教えてよ。分からないんだ、昔の法律が。だから教えてくださいよ。
  73. 山本庸幸

    政府特別補佐人山本庸幸君) それは、内閣府、内閣組織令を作ったときの状態でございまして、そのときの条文に戻らないと分からないわけでございますが、その後組織令改正されて、それで条文がずれたということで、ですから題名以下の本体のところは間違いなく、そして制定文のところはそれを作ったときの状態がそのまま残されているのがこれまでの慣行といいますか、ということでございまして、そこまでは私どもは特に改正していないということでございます。(発言する者あり)
  74. 石井一

    委員長石井一君) 内閣法制局長官質問に直接的に簡潔に答えていただきたいと存じます。
  75. 山本庸幸

    政府特別補佐人山本庸幸君) 普通、組織令、そういう政令を書くときは、その前に必ず、新設するときはその制定文を書くわけです。その制定文は書いたときの、その組織令を作ったときの状態でそのまま残されるということでございます。そして、それはあくまでも制定文でございまして、法令本体の効力としては、題名以下の各条、これが完全に実効を有するわけでございまして、昔のその経緯までは私どもはそこに書いていないということでございます。  それで、お尋ねにつきましては、多分その作ったときの法律政令の状態、これが必要だと思います。それから、その後、一部改正を行った、その一部改正を行ったときの状態、この二つが必要だと思いますが、ちょっと今手元にございませんので、誠に申し訳ございません。
  76. 脇雅史

    脇雅史君 じゃ、至急提出してください。すぐ調べて提出して。(発言する者あり)いや、答弁要らない。  次へ行きましょう。まあ、余り、いいかげんであるということがよく分かりましたが。  内閣府の組織図皆さんにもお配りしています。私ずっと読んでいったんですが、全て法律規定されています。そして、例えば十八条に経済財政諮問会議というのがありまして、右の上から二番目ですね。全てみんな法律で決まっているんです。ここに書いてあるのは全部決まっているんです。なぜか沖縄振興審議会だけ、ちょっと法律で私見当たらなかったんで、私の見逃しかもしれませんが、後で教えてください。大した話ではないです。  それなのに、ここの中に税制調査会とか地域主権戦略会議とか行政刷新会議とか、そういうものはないんですよね。私は、ここの右に並んでいる全て法律で定められた組織と比べて軽いものではないと思うんです。何でここに出てこないんでしょうか。(発言する者あり)総理大臣
  77. 石井一

    委員長石井一君) それじゃ、岡田副総理
  78. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 私は行政刷新会議担当でございます。
  79. 脇雅史

    脇雅史君 税制調査会は関係ない。
  80. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 行政刷新会議につきましては、我々も国会に法案を提出をして法定していただきたいということをお願いしていた時期もございます。しかし、残念ながら、御審議いただけないということで法律で定めるには至っておりません。閣議決定行政刷新会議設置しているということでございます。
  81. 脇雅史

    脇雅史君 法律規定しなくちゃいけないと思っていたと言うんだから、やっぱり法律で決めるべきものだという意識はあるみたいですね。法律がなかったらできないんですよ。閣議でそんなものをつくっていいという根拠はどこに書いてあるんですか。
  82. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 法律規定することができれば、私はその方がより良いというふうには考えます。しかし、閣議で設定することが否定されているわけではございません。  行政刷新会議議論された事項について行政刷新会議で執行するということであればともかく、最終的には閣議決定をし、その上で執行されるものでありますので、そういう意味で、行政刷新会議そのものは法律で定めなければならないということではございません。
  83. 脇雅史

    脇雅史君 今の御答弁だったら、ここで全部法律で定める必要はないですよ。全部閣議で決めりゃいいんですよ。それでは駄目だと。  要するに、国会に対してきちんと説明しなくちゃいけないから、憲法の精神からしても全部法律で決めることに我が国はなっている。だから、あなた方も法律を作ろうとしたんでしょう。法律が通らなかったらできない。いいかげんなこと言っちゃ駄目ですよ。  どうですか、総理。あなたは行政刷新だけだから。税制調査会もあるから、総理、どうですか。
  84. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 行政刷新会議も、それから国家戦略会議、それから税調、地域主権戦略会議は、今副総理答弁されたように閣議決定根拠にしております。
  85. 脇雅史

    脇雅史君 どこに法律書いてあるの。
  86. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 閣議決定においても、その後、方向性を出したときには最終的には閣議で決めていく、そして各府省できちっと法律に基づいて執行していくということによって特段の問題はないというふうに思います。
  87. 脇雅史

    脇雅史君 そんなことだったら全部要らないんです、閣議で全部やりゃいいという論理なんですよ。日本の法制度はそうなっていないんですよ。いいかげんにしてくださいよ。  全部これ、きちんと法に基づいて処理をしていただきたいと思うんですが、総理、どうですか。
  88. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 委員の御意見を聞いていてよく理解できないところは、法律に基づいて設置することになっていると言われますが、その根拠を是非お教えいただきたいと思います。
  89. 脇雅史

    脇雅史君 逆質問なんかあり得ないんですが、国家行政組織法とか内閣設置法でこれが全て法律で設定されている。全て法律なんですよ、ここに書いてあるのは、審議会等も。  何で法律で決めているんですか、これらは、じゃ。法律で決めなくちゃいけないから決めているんでしょう。同じようなものが法律で決めても決めなくてもいいなんて、これは国家成り立たないじゃないですか。
  90. 枝野幸男

    国務大臣枝野幸男君) 内閣法律法律上の組織に基づいて行政行為を行う、これについては、内閣が替わっても政権が替わっても、それについて国会の議決をいただかないとにかかわらずに設置をされると、こういう法律上の拘束力があります。ただ、国家行政組織法等においても憲法においても、内閣法律によらない法令上の根拠に基づく行政組織的なものを用いて一般行政事務を行うことについては憲法で否定をされているものではございませんし、そのことがなければ行政事務は動きません。  一方で、例えば憲法は、租税法定主義など国民の権利義務に直接関係する例えば税については、これは法律で定めなければならないという規定を置いておりまして、行政組織などの扱いについて憲法は明確に区別をしております。
  91. 脇雅史

    脇雅史君 全く違いますよ。法律に基づかないで行政やっていいわけないんです。全てきちっとやるんです。あなた方は間違っていますよ。もうこれは、ここで時間が無駄だからもうやりませんが、大変な思い違いだということを申し上げておきます。  それで、行政刷新会議は何で法律で定めないか、もう一回言ってください。
  92. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 先ほど言いましたように、必ずしも法律で定める必要はございません。しかし、でき得れば、これは内閣の中で重要な組織でございますので、会議でございますので、我々としては法律で決めることを一旦はお願いをしたところでございます。
  93. 脇雅史

    脇雅史君 衆議院でちゃんと通して参議院へ送ってくればいいんですよ。衆議院に圧倒的多数があるんでしょう。送ってくる気もないのによく言いますね。あきれてますよ。  それから、行政刷新会議民主党の議員がその行政の一部分担当しましたよね。これは明らかに国会法の三十九条に違反していると思いますが、これはどうですか。
  94. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 民主党の国会議員が具体的な議論に参加をしたことは事実でありますが、それで何かを決定したということではございません。
  95. 脇雅史

    脇雅史君 ああいう場所で人を集めてやるということは行政行為なんです。国会議員は、立法府はそこへ参加してはいけないというのが三十九条の法律の精神なんです。  憲法には、法律を誠実に執行しろと、先ほど申し上げましたように書いてあるんですよ。ですから、この国会法を誠実に執行しようとしたら、これはどう考えたって国会議員はそんなチームに参加できるはずがないんですよ。それはもう詭弁なんです、詭弁と言い訳。政府が詭弁で行政をやってどうするんですか。国政は堂々とやらなくちゃいけないんですよ。この法律の精神にそんなことが読めますか。
  96. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) そこは、考え方、解釈の異なるところだと思います。(発言する者あり)今から御説明します。  まず、事業仕分、提言型政策仕分の国会議員評価者は、行政刷新会議の議長である内閣総理大臣が指名した者でございます。行政刷新会議は、内閣設置法に基づく行政組織ではなく、その役職等は官職に当たるものではないことから、国会議員を評価者に指名し、その参集を求めることは、国会法第三十九条との関係で問題が生ずるものではないというふうに考えております。
  97. 脇雅史

    脇雅史君 これはもう抜本的におかしいですよ。  本来、行政法で、法律できちんと定める行政組織を定めずにおいて、それで法律で定めていないからいいんだと。これ、定めてやらなくちゃいけないものを定めずにやって、だからいいんだという、もうむちゃくちゃな論理なんですよ。国家がこんな運営はしていいはずがありません。これはもう重大な問題として、今までもずっと言い逃れ、へ理屈ばっかりでこの内閣やっているんです。そのことをきちっと指摘しておきたいと思います。  それからもう一つ、税制調査会の設置根拠条文を教えてください。
  98. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) 今の税調は、二十一年の九月二十九日の閣議決定において決定をしております。
  99. 脇雅史

    脇雅史君 根拠条文を教えてください。
  100. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) 閣議決定における内容については、まず、総理大臣の諮問に応じ、租税に関する制度について調査審議をするために内閣府に税制調査会を設置する旨書かれております。そのほかは、構成要員それから運営方法等について規定を設けております。
  101. 脇雅史

    脇雅史君 これ、財務大臣じゃなくて、内閣府に置かれているんですから総理なんですね、主任大臣は。  内閣府に置いている根拠を教えてください。
  102. 古川元久

    国務大臣古川元久君) これ、税制調査会の庶務については、財務省及び総務省の協力を得て内閣府が行うということになっております。国税に関する制度の企画立案を行う財務省と地方税に関する制度の企画立案を行う総務省とともに、内閣府が両省の連絡調整を行いながら税制調査会の運営を行っているという形になっております。
  103. 枝野幸男

    国務大臣枝野幸男君) 先ほど来、憲法七十三条の第一項第一号をお読みになっておりますが、憲法七十三条は「内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。」となっておりまして、その一号に「法律を誠実に執行し、国務総理すること。」となっておりまして、この憲法七十三条に基づき閣議において決定したものでございます。
  104. 脇雅史

    脇雅史君 他の一般行政事務の定義を教えてください。
  105. 枝野幸男

    国務大臣枝野幸男君) この話をし出しますと、行政法のまさに一つの大きな論点でございます。立法や司法についてはその範囲について明確に定義ができますが、社会の複雑化の中において、行政は国民生活の向上、国益、国民益の保護のために立法、行政以外の機能について果たしていくということになっているのが一般的な解釈でございます。
  106. 脇雅史

    脇雅史君 解釈論をする気はないんですが、基本的に、みんなこれまで法律で定めてやってきたことはやっぱり法律で定めるべきなんですよ。国会としてもそう思います。あるとき急に法律なしでやってみたり、法律は出したけれども通らないから法律なしでやっているというのは、まさしく異常としか言いようがありません。  それから、さっきの根拠条文教えてください、内閣府に置いている根拠条文財務省じゃないんだよ、内閣府。
  107. 古川元久

    国務大臣古川元久君) 先ほど私御説明を申し上げましたが、内閣府は庶務を担当、これ置いているといいますか、これは、税制調査会は閣議決定に基づくものであって、内閣設置法上の行政組織ではございません。内閣府がやっているのは、この税調の庶務の部分内閣府の担当としてやっているというところでございます。
  108. 脇雅史

    脇雅史君 根拠もなしに、どこに置いてあるか分からないと。民間の人も入っているんですよね。どこにあるか分からない会議なんですか、調査会というのは。
  109. 枝野幸男

    国務大臣枝野幸男君) ですから、それは先ほど私がお答えしましたとおり、憲法七十三条柱書きに基づき閣議決定したものでございます。
  110. 脇雅史

    脇雅史君 そんな権限は内閣にないですよ。とんでもない話です。もうとんでもない話だということだけ指摘して、もうやめます。重要な事項について、やはりきちんと検討して、きちんと法律を作って、手続にのっとって進めるべきですよ。あなた方は間違っています。  それでは、八ツ場ダムについて、二年半ほど前にいきなり停止を命令しましたよね、命令したというか実際止めたわけですが、どういう根拠に基づいて、どういう手続を経て止めたんでしょうか。  総理内閣総理にお尋ねします。
  111. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 八ツ場ダムの事業停止の手続についてのお尋ねでございますけれども平成二十一年の十月に、当時の前原国土交通大臣の判断により八ツ場ダムの本体工事の入札契約手続を中止をいたしました。この手続の中止については、特定多目的ダム法等の法令に基づく特定の手続は取っていないと承知をしております。
  112. 脇雅史

    脇雅史君 八ツ場の予算を執行するというのは、憲法七十三条に基づいて、様々な法令に基づいてやろうということは決定されて、お金を使うこと自体が憲法七十三条による誠実な執行なんですよ。それを何の根拠もなしに一大臣が勝手に一人で決めたんですか。もう一回答弁してください。
  113. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 中止の前段階としてのダム本体工事に関する入札契約手続の取りやめを判断したものでございますので、この時点で直ちに法令に基づく手続を取る必要はなかったというふうに承知をしています。
  114. 脇雅史

    脇雅史君 もうとんでもない話ですよ。  法律に基づいて執行する義務があるんですよ、あなた方は。それをやめるんだったら、やめる手続もありますよ。内閣法一般行政の中止手続ってあるんですよ、知っていますか。内閣法、主務大臣、どうぞ。
  115. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 内閣法の中にはそういう規定はあるかと思いますが、先ほど申し上げたとおり、この八ツ場ダムに関しては、中止というその前段階の入札あるいは契約手続の取りやめの判断でございます。
  116. 脇雅史

    脇雅史君 全くの詭弁で、現実にダムの工事を止めたんですよ、本体はね。それで、本体が止まったことによって完成が遅れているんです。二年半遅れるでしょう。遅れたことによって実質的な損害を受けた人もいるんです。この損害の賠償は誰が払うんですか。
  117. 前田武志

    国務大臣(前田武志君) 脇委員が誠にこれはもう専門家でございますので、要は、総理がお答え申し上げたように、事業の中止の方向性を示したものであって、法令に基づく手続は行っておりません。  そして、八ツ場ダムにかかわる法令に基づく計画が個々の工事の実施時期を具体的に定めているものではないことから、御承知のように、河川法であり、あるいは特ダム法であり、あるいは水資源開発法ですか、そういった法令に基づく計画が個々の実施計画を具体的に定めているものではないものですから、本体工事の入札契約手続を年度の途中において取りやめるに当たって、法令に基づく手続を直ちに取らなければならなかったものではないとの考えに基づくものであったと承知をしております。
  118. 脇雅史

    脇雅史君 誠に苦しい答弁で、実は協定書も交わして何年までに完成させるということは決めているんですね。それを執行していくのが内閣の責務なんですよ。ほかの事業者に対しても責務なんです。発電だって、早くできれば早くお金が入るんですから、まさに皆さんに損失を与えているんです、事実上止めたんですから。その止めた責任はこれから皆さん方に来るということだけはちゃんと覚えておいてください。  それから、例えば浜岡も全く何の根拠もなしにやりましたね。皆さん方は、全て先に結論だけあって根拠ないんです。きちんと検討をして、そして結論を得て、国家としてそれをきちんとした手続に基づいて行う、これはもう政府の使命ですよ。皆さん方は、政治主導と称してきちんとした行政のプロの意見を聞かない。行政もだんだんプロでなくなってきていると、今日の話聞いていますとね。ゆゆしき問題で、日本国家が今壊れようとしているんじゃないかと思うんです。  プロの意識はきちんと尊重されなければいけませんし、素人同然で何も知らない人が法律も読まずに政治主導だと称して、全部官僚を排除して政務三役だけで決めるなんという、そういう間違った政治主導が全ての根源なんです。もう既に皆さん方もお気付きでしょうが、こんな内閣はこれだけでもう失格なんです。いろいろ詭弁を弄していますが、私は間違いなく憲法違反だと思っています。そのことを指摘して、次に移ります。  国の出先機関の廃止の件でございますが、今どんな状況になっているんでしょうか、総理
  119. 石井一

    委員長石井一君) まず、総務大臣川端達夫君。
  120. 川端達夫

    国務大臣(川端達夫君) 今までの経過で、地方でできることは可能な限り地方で自主的にきめ細かくやるという国の形が望ましいという議論が過去ずっとありました。  そういうことを踏まえまして、平成二十二年六月に改革の諸課題に関する取組方針を決めた地域主権戦略大綱を、そして同年十二月末に出先機関の事務・権限のブロック単位での移譲について平成二十四年通常国会に法案を提出するなどの具体的な道筋を示したアクション・プランを、これはそれぞれ閣議決定をいたしまして、また、昨年十二月末には地域主権戦略会議において広域的実施体制の枠組み、方向性を取りまとめたところでありまして、この方向性においては、「移譲を受けようとする具体的意思を有する関西、九州両地域の意向を踏まえ、経済産業局、地方整備局、地方環境事務所を当面の移譲対象候補として、」、中略、「検討を行う。」としているところでありまして、これに沿って現在は、三機関の事務・権限を対象に、国の関与を始めとする諸課題について具体的な検討を行っているところであります。  以上です。
  121. 脇雅史

    脇雅史君 このアクション・プランで具体的にどんなことが決まっているんでしょうか。
  122. 川端達夫

    国務大臣(川端達夫君) 大約は今申し上げたところでございまして、大きく言いますと三つの分野でありまして、一つは、今までからやってまいっております議論はずっとそれぞれ続けてまいりましたけれども、今申し上げたブロック単位の移譲に対する方向性を決めて検討することと同時に、全国的にハローワークや道路、河川の、その地域で集結する部分に関して権限が移譲できないかということを議論して進めていくこと等々でございます。
  123. 脇雅史

    脇雅史君 組織を廃止する方向でやっていると、総理なんかはもうこれは廃止するんだとかなり強く言われていますが、出先の組織を廃止するということは、国家がその県を管理することを放棄をするということですから、道路と河川について言えば、例えば国道は要らないと、全部県道になるのか。河川でいっても、全部一級河川は要らなくなって、全部一つの水系でその地域の人たちが管理すればよいという考えなんでしょうか。
  124. 川端達夫

    国務大臣(川端達夫君) アクション・プランで国の出先機関の原則廃止に向けてということで決めた部分で、この言葉の解釈としていろいろな受け止めがあることは事実でありますが、今までずっと一貫して議論しておりますのは、河川、道路含めましての法体系を根本的に変えるということは想定をしておりません。  そして、現在、整備局あるいは経済局ありますが、そのものを組織をそのまま維持をする中で、国の機関として所属している部分を、例えば広域連合というものの下に、そのまま権限、組織を持ったままそちらに移行するということを想定しておりますので、国道がなくなって県道になるとか一級河川がなくなってということを考えているわけではございません。
  125. 脇雅史

    脇雅史君 国家が一連の出先機関までひっくるめて国家組織として今管理をしている河川あると思います。そうでない部分もありますね。出先がなくなるということは管理しないということなんですよ。同義語なんです。法律、河川法や道路法に基づいてこれは管理の形態がきちんと決められているわけですが、出先がなくなったら管理できないんですよ。  ですから、皆さん方は個別法は変えないなんて言っていますが、そんなことはあり得ないんです。個別法を変えずに出先だけ持っていくといったって、持っていった出先は国じゃなくなっちゃうんですから、法律規定が必ず変わるんです。どうですか。
  126. 川端達夫

    国務大臣(川端達夫君) できるだけ地域でできることはということの大きな流れの中で、今お話しのように全く変わらないということはないと思います。  ただ、そのときに、現状の機能を組織としてそのまま移管をするという中で、権限に関してどう整理するかということで、多分、整備局ですと千数百条項あると思います。これをそのまま渡しても特段に問題のないものもありますが、そのまま渡すと重大な支障が生じる部分もたくさんあるというふうに認識をしております。この部分は、実際にその権限がどういうふうに整理をすれば地方に渡してもいいのか、あるいは国としてしっかり持たなければいけないのかは、今まさに詳細にわたって議論を始めたところでございます。
  127. 脇雅史

    脇雅史君 詳細にこれから考えるといったって、どういう仕事の仕方をするのか、そのことを決めてそれにふさわしい組織をつくるんですね。やめると決めて、やめることに合わせて仕事を考えるんじゃないんですよ。  およそ地元でやればいい仕事と、国家的見地からやる、国家観といいましょうか、そういう仕事が世の中にあるのであって、河川なんか目先だけでやっていいわけがないんですよ。道路でもそうです。仕事全体をどのようにやるのかということの精神を書いてあるのが河川法であり、道路法であるんです。そのことの配慮、検討なしに先に組織をなくした方がいいんだなんという、そんなことはあり得ないんですよ。  総理、どうですか。
  128. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 今進めようとしている、原則として出先機関を廃止をしていくということの検討でありますけれども、基本的な考え方というのは、国と地方が別々に行っていた公物管理の主体を一元化することによって行政効率を向上させるということ、それから、例えば地域の産業振興策に合わせた道路整備が可能となることは、関連行政との一体化による行政サービスの向上が可能となるとともに、地域の声を反映を行政にしやすくなる、そういった利点がある中で、どういうことができるかということを今、川端大臣の下で検討していただいているということであります。
  129. 脇雅史

    脇雅史君 今のは基本的に認識が間違っていますね。  今の、例えば河川管理というのは、河川法によって、ある水系は直轄で国が管理します、全部やるわけにいきませんから一部は県でお願いしますよ、市町村でお願いしますよという分担管理をしているんですね。家事でいえば、洗濯は私がやります、掃き掃除は私がやりますと、家族でみんなで分けますよ。これは一体化で一人でやった方がいいということないでしょう。みんなで適正な分担をしてやった方がいいんです。そのことをきちんと決めて、役割分担を決めているのが河川法なんです。  前田大臣、河川法の管理体系をちょっと教えてあげてくれませんでしょうか。
  130. 前田武志

    国務大臣(前田武志君) これまた専門の脇委員が一番御承知のはずでございまして、今、川端大臣が御説明いたしましたように、まさしく今そこのところを検討を進めているところと承知しておりまして、私の方からは、この出先機関、特に地方整備局の持っている現場力、統合力あるいは即応力、こういったものを損ねるようなことがあってはならない。むしろ大災害の言わば教訓に照らして強化するような格好で国と地方、しかし、ブロック単位のそういう地方の自治というものもこれまた非常に大きな役割を担っていく時代でありますから、そこをどういうふうにいい形にするか、今検討が進んでいると承知をしております。
  131. 脇雅史

    脇雅史君 例えば、淀川でいえば、私はもう今の方向であれば、国がやらないというんですから国の管理というのは全てなくなると思っているんですが、仮に一部国を残すとしたら、国が残り、そして広域行政体が残り、府県が残り、市町村が残ったら、今より一つ多くなって余計ややこしくなるんですよ。  管理というのはもっときちんと考えてほしい。今、一体どんな管理がなされていて、どんな問題があるのか、そのことをきっちり踏まえて問題を解決するんです。ただ単に国から地方へ、官から民へじゃないんです。あれは間違いなんです。官でやるべきことは官、民でやるべきことは民、その間があるんです。全部違うんですよ。国でやるべきことは国、地方でやるべきことは地方。地方でやるほどいいということじゃないんですよ。このことは大きな間違いを今犯してきたんです。きちっと反省をして、本当にしっかりとした国家観を持って、河川や道路はどういう管理をするのがいいのか。ただなくせばいいんだなんていうばかな論理、そこに従ってほしくない。  そして、一部の声の大きい人が渡せ渡せと言っていますが、それでは困る、国に是非やってほしいという方もたくさんおられますね。陳情行っていると思います。皆さん方は、地方の声を聞くと言いながら、自分と同じ方向の声は聞きますが、違う方の意見を聞こうとしていません。そんなことではなくて、本当にこの国の将来を考えて、災害時のことも考えて、住民のことを考えて、どういう管理をするのがいいのか、是非間違いのないように対応していただきたいと思いますが、もうすぐなくなりますからそんなこと言ってもしようがありませんが、皆さんはしっかり、少なくともいる間はそういう精神でお願いしたいと思います、総理
  132. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) この基本的な国と地方との関係の在り方なんですが、私どもの基本的な考え方というのは、まずは基礎自治体が担うべきものは基礎自治体が担う、それができないものは広域的に処理をしていく、広域的に対応していく、その広域的に自治体間で対応できないものは国が行うという、いわゆる補完性の原理を貫徹しながら国と地方の役割を考えていきたいというふうに思っています。  この出先機関の原則廃止についても、そうした原則の下で考えながら、ただし、委員が御指摘のとおり、個別の事務や権限の移譲について不都合が生じ得るような場合についてはしっかりと検討させていただきたいというふうに思います。
  133. 脇雅史

    脇雅史君 基本的な原理が、考え方が間違っているというふうに指摘をしておきたいと思います。  大変たくさんの質問を用意していたんですが、時間がないので飛ばして聞きますが、公務員の給与の話でございますが、人勧制度はなぜ実施しないんですか、人事院勧告ですね。
  134. 川端達夫

    国務大臣(川端達夫君) この度、昨年の六月に公務員の平均で七・八%減額するという給与の臨時特例法を提出させていただきました。これは、危機的な国家財政状況にあることと同時に、東日本大震災の財源に資するという趣旨で法律を出させていただきました。その後、人事院勧告が出ました。人事院勧告は、公務員の基本権の制約として、代償措置として尊重すべきものであるという基本方針の下に、この二つの状況の中でこの法案との部分内閣で検討いたしました結果、水準において、そして賃金カーブの平準化において大きく言えば内包しているという判断の下で人事院勧告を出さないことに決定したところでございます。
  135. 脇雅史

    脇雅史君 そういういいかげんなことをこの内閣閣議で決めちゃうんですよ。人事院勧告に基づいて給与というのは一人一人に渡されるんですよ。勧告を実施した場合と実施しない場合では、もらう金が違うんですよ。トータルで合えばいいというものじゃないんです。内包しているなんていいかげんなことが何で言えるんですか。  そして、何で勧告を実施しないんですか。実施できない理由は全くないでしょう。金が要るんなら大変だけれども、減らすんだから、まずやればいいじゃないですか、すぐにでも。なぜやらないんですか。
  136. 川端達夫

    国務大臣(川端達夫君) これも詳細にわたって検討いたしました。単なる〇・二三%ですか、の人事院勧告の民間準拠の部分だけですと、この額に関しての部分でありますが、賃金カーブの経過措置を廃止するという部分で人によって七・八%を大きく上回る一〇%を超える減額になるということが起こりますので、これを調整しようとしますと人勧で大きく減額された部分をまた補正するという、結果的に人勧を中身として保障しないことになるという、いろんな検討の結果、そういうことにさせていただいたところでございます。
  137. 脇雅史

    脇雅史君 大変残念なことに時間が来てしまいましたが、今の答弁でもいかにいいかげんかと、やることは全くすぐできるんですから。本当に法律や制度を無視してむちゃくちゃな内閣だなということを改めて思います。  そして、最後になりますが、これまでいろいろ述べてきましたが、この内閣は本当に憲法の下に法律を執行するという意味でふさわしくない内閣だと思っています。欠陥内閣と言うしかほかはありません。民主党政権の基本的な、本質的な欠陥として、今まで言ってきたように、法律によらない、そして言葉が軽い、責任を取らない、基本政策自体も間違っている、それから皇室を大変に軽視している、そういうことが挙げられます。この今の我が国が置かれている重大な局面を乗り切っていくには全くふさわしくない内閣だと思います。一刻も早く退陣されることを要求いたします。  私が退陣を言うのは、ただ単に自民党に政権を取り戻したいということではありません。今の我が国は、本当にきちんとした国家観に基づいて堂々たる政府、実行できる政府をつくる必要があると思います。自己の利益のためではなくて、国家国民のために、ここにおられる国会議員の皆様方も是非このことを御理解いただいて、御尽力、御努力をお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  138. 石井一

    委員長石井一君) 次に、林芳正君。
  139. 林芳正

    ○林芳正君 脇委員に続きまして質問を続けたいと思います。  まず、今の脇委員とのやり取りを聞いておりまして本当にいいかげんだなという気がいたしたんですが、もう一つ、菅前総理を思い出しました。菅前総理は、日本憲法にはどこにも三権分立というのが書いていないので日本は三権分立ではないと、こういうふうに、これは参議院の財政金融委員会の議事録に残っておりますが、おっしゃっておりますが、野田総理は、日本は三権分立であるかどうか、どうお考えでしょうか。総理のお考えを聞きたいと思います。(発言する者あり)
  140. 石井一

    委員長石井一君) どうです。  それじゃ、まず枝野担当大臣……(発言する者あり)まず答えさせて。
  141. 枝野幸男

    国務大臣枝野幸男君) 国家権力の体制について、一般的に三権分立ということがよく言われます。  ただ、大学レベルの憲法の教科書の、一般的に言いますと、実は三権分立と日本憲法についての解釈、書いてありません。むしろ、権力分立原則と書いてあります。これは、同じ権力分立原則でも、アメリカのような大統領制度のような完全に行政府と立法府が分かれている三権分立と、我が国やイギリスのような議院内閣制の場合の権力分立では、同じ権力分立原則でも性格に違いがあるということから、大学レベルの憲法の教科書では一般に三権分立ではなくて権力分立原則というのが普通であるというふうに承知をしております。
  142. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) いわゆる一般的に、感覚としては、三権分立の国というのは定着をしていると思います。権力分立の在り方は、今、枝野大臣答弁したとおりでありますけれども一般的には三権分立が定着をしているというふうに理解をしております。
  143. 林芳正

    ○林芳正君 この問題、深入りしませんが、菅前総理は、三権分立、また三権の間の抑制と均衡はないというところまで明言をされておられます。野田総理は少し違うようなので安心をいたしましたが。  私が、役所の皆さん、遅くまで働くと申し訳ないなと思って金曜日のお昼に通告を全部させていただきましたが、その後、実は大きな動きがあっております。米軍再編についてであります。外務大臣からはもう夕方、突然のぶら下がりというのがあったようなので、防衛大臣、恐縮ですが、この普天間の大きな問題ですけれども、普通であれば2プラス2やいろんな協議を経てやっていこうというような大きな話だと思いますけれども、田中大臣、この間の経緯についてどういうふうに認識されておられますか。
  144. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) お答えいたします。  日米間での合意に達したという事実は防衛省としては受け止めておりません。この問題につきましてこれから話合いを始めるということを確認をいたしておるところでございます。他方で、日米間において、普天間飛行場の移設とグアム移転を共に進めるための方策について柔軟性を持って米側と協議していくというようなことにつきましては報告を受けておるところでございます。
  145. 林芳正

    ○林芳正君 報告を受けているというのは、外務省から報告を受けているんでしょうか。防衛大臣はこの協議には全く入っていないということですね。防衛大臣にお聞きしています。
  146. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 防衛省の事務局から聞いております。
  147. 林芳正

    ○林芳正君 質問は、協議には入っておられないんですねという質問です。
  148. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 協議には入っております。
  149. 林芳正

    ○林芳正君 政府全体として協議に入っているということじゃなくて、防衛大臣が協議に入っておられるかと聞いています。
  150. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 防衛大臣としてはこれから入っていくわけでありますが、事務局はこの問題につきまして入って協議をこれから始めていこうということを報告を私は受けたところでございます。
  151. 林芳正

    ○林芳正君 防衛大臣入っていないということです。  で、事務方は入っていたかどうか今の御答弁で判然としませんが、田中大臣は沖縄に行かれておりますので、当然、事務方でもし入っていたとして、また事務方から報告を受けていたとしたら、沖縄に行かれたときに知事にはこの話をされておられますね。
  152. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 私が沖縄に参りますときには、その段階ではないというふうに私は判断をいたしまして、知事には申し上げておるところではございません。
  153. 林芳正

    ○林芳正君 その段階ではないというのは、もうアメリカと決めてしまってからでないと沖縄には言えないということでしょうか。
  154. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 事務方からは、これから少し煮詰めて、そして協議に入るかもしれないと、こういう報告は受けておりましたけれども、具体的に知事に申し上げるという段階ではないというふうに私自身が判断をして議題にいたしませんでした。
  155. 林芳正

    ○林芳正君 もうこの週末で大筋合意という見出しになっちゃっているんですよ。だから、それはマスコミが先走ったのかもしれませんけれども、やっぱり今からこういう協議があるかもしれないという段階から事前に沖縄とは緊密に連絡を取っておきたい話だと思うんです。  これは朝日の二月五日付けですが、知事は、「あれ本当なの? 政府に問い合わせ中ですから。すいません」と、このようなコメントしかできないんですね。いつもそうなんですけれども、沖縄の人の気持ちとかいろいろ口ではおっしゃるんですけれども、そこの一番大事なところが抜けているんではないかと。  今度も、二月十三日に何か正式な発表をすると、こういうふうにされておられますけれども、これは、アメリカの大統領が一般教書演説をされると、向こうが言っちゃうからしようがないからそれに合わせてこちらは言わざるを得ないと。2プラス2や安全保障会議といったことをそれまでにやるおつもりがあるんでしょうか、田中大臣
  156. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) この問題は、今、田中大臣もお話がございましたけれども、抑止力を維持しながら沖縄の負担をどう軽減していくかという観点でこの在日米軍再編について日米両政府で静かに、まさにまだ協議中なわけでありますけれども、協議をしていこうと、そういうことになって協議をしているという状況でございます。  その内容については、現時点では詳細に明らかにできる段階ではありませんけれども、沖縄の負担をできるだけ軽減をしていく、そういう可能性を追求していく、同時に、普天間の問題について、丁寧にですね、丁寧に説明をしていかなければならない、そういう観点で協議をしていかなければならないのではないかということで、この間、緊密に日米のまさに共同作業としてさせていただいていると、そういう状況にございます。  沖縄とどういう連絡を取り合っているのかということでございますけれども、全く取っていないということではございません。ただ、どの段階でどういう形で取り合うのが適当かと、あるいは適切かということを考えながら沖縄県ともよく協議をしていきたい、調整をしていきたい、そう考えているところでございます。
  157. 林芳正

    ○林芳正君 十三日に発表する前に2プラス2や安全保障会議を開く予定がありますかという質問です。
  158. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) おっしゃったとおり、アメリカは大統領の一般教書が二月十三日辺りに出てくるということでございます。それは、つまりは来年度の、つまりは二〇一二年の十月からの予算案についての大統領の考え方が示されるということでございますので、日米両政府とも一定の方向性、一定の方向性についてはできるだけ早く出したいというふうに考えていまして、ただ一方、詳細にわたっての結論というのはやはり時間を掛けてやっていかなければならないというふうに考えております。  2プラス2を行うのかということでございますけれども、現実にもう既に様々な連携を取っている状況でありますが、したがって2プラス2、つまりは国務長官、国防長官そろって、外務大臣防衛大臣そろってそこで発表するという形にはなりませんけれども、そこはよく連携を取って、私と田中防衛大臣と米側、例えば一九九六年の橋本総理もモンデール大使と合意をしたという経緯がありますけれども、どういう形で発表していくかということについて、あるいは方向性を出していくかということについては現在検討しているところでございます。
  159. 林芳正

    ○林芳正君 2プラス2は、発表のための儀式として聞いているんではなくて、実質的にそこで調整とか交渉とかそういうことをやらないんですかと聞いているんです。  大臣、田中大臣はまだ一度も協議には入っておられないと、2プラス2もやらないと、十三日には向こうが発表しちゃうからこっちも発表すると、沖縄にはまだ何にもほとんど言っていないと、こんなことでこの大きな話が動くということが決まって本当にいいんだろうかと。  北海道新聞なんですが、既にアメリカの方から普天間を当面現状維持するしかないとの考え方を日本側に伝達、固定化はやむを得ないとの認識を示したことが五日分かった、日米関係筋が明らかにしたという記事まで出ているんですよ。こんなことが本当に決まっているとすれば沖縄との関係というのはもう絶望的になると思いますが、外務大臣外務大臣はいつごろからこの協議をされているんですか。それで、田中大臣はまだ入っていないとおっしゃっていたけれども、ずっとなぜ外務省だけでやっているんですか。
  160. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) まず、普天間の固定化というのは絶対にあってはならないというふうに考えています。このことについて、辺野古の移設について、日米両政府とも完全な形でコミットしていると。  ただ、それぞれをめぐる状況というのが現実にある中で、共に、つまりはグアムへの移転と普天間の移設を共に進めることについて知恵を出していかなければならないのではないかということで、それは、私とクリントン長官、私が訪米したとき、十二月十九日だったかと思いますけれども、そのときもそういう話を実はいたしました。静かにそこから協議を始めようじゃないか。もっとも、その以前からも一定程度、非公式な意見交換みたいなのはありましたけれども。ですから、その中で防衛省の方も入っていただくということは当然でございますし、それは、アメリカはアメリカでペンタゴンに大いに関係するわけですから。ただ、そういうふうに不断に議論をしてきているというふうに御理解いただければというふうに思います。
  161. 林芳正

    ○林芳正君 今大事なことをおっしゃって、外務大臣はもう十二月から向こうの国務長官、カウンターパートとやっておられたと。その間、一度も防衛相同士の、防衛大臣同士の話はないということでよろしいですね、田中大臣
  162. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 私が着任して以降、私はございません。ただ、前大臣がどういう形で接触があったかは私は確認をいたしておりませんが、私はございません。
  163. 林芳正

    ○林芳正君 ちょっと今のは驚きましたけれども、前の大臣がこんな大事なことで向こうの国防長官と何かやっていたかどうかを知らないというのは、ちょっと大臣、取り消された方がいいと思いますけど、いかがですか。
  164. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 前大臣も直接はないと聞いておりますが、事務方から報告はしているということでございます。
  165. 林芳正

    ○林芳正君 今の答弁と先ほどの答弁違うんで、先ほどの答弁は間違っていたということでよろしいですね、大臣
  166. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 確認をしておらなかったということは間違いでございまして、訂正をいたします。
  167. 林芳正

    ○林芳正君 この一言一句、沖縄の方のみならず、いろんな方が聞いておられるんです。すごく責任感の薄さというのを私は痛感をして残念になりましたけれども、もうここまでの報道が出ております。  総理、政府全体として普天間固定化は絶対させないとここで言明してください。
  168. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 今静かに行われている協議というのは、抑止力を維持をしながら沖縄の負担軽減を具体的に進めていくためにどういう知恵を出そうかということでございます。その中で、今御指摘のあった普天間の固定化につながるんではないかという御懸念があるということは承知をしていますので、そういうことのないように政府として全力で協議を進めていきたいというふうに思います。
  169. 林芳正

    ○林芳正君 十年ぐらいは固定化で、その先が固定化じゃないから固定化じゃないとか、静かにというのは、こそこそ隠れて議事録を取らないとか、そういうことでないようにお願いをしておきたいと思います。  予算の話に移りたいと思いますが、新年金制度、実は昨日も民放の番組で私出てまいりまして、民主党の方二人来られておりました。お二人とも例の試算を出すべきだと。政調の幹部です。二人ともそうおっしゃっておられました。  総理、この試算出すおつもりはないということですが、今でもそのお考えですか。
  170. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 昨年の春に行った試みの計算、試算については、これまでも御説明をしてきたとおりでありまして、いわゆる調査会の幹部の一部が発注をして作ったものでございます。その想定、試算の在り方、前提の置き方等々についてはいろんな議論があるかと思いますが、党全体でこの試みの計算を共有していたわけではございません。したがって、どういう取扱いにするかについては今党内で検討中であるということであります。
  171. 林芳正

    ○林芳正君 政調の幹部がそこまでおっしゃっておられるんだけれども、まだ出さないと。せっかく、これ全国の方がテレビで見ていらっしゃいます。もうこういうふうにあるんです。これは日経BPという雑誌に出ていたものをそのまま持ってきましたけれども、ほぼマスコミ全社、ほぼ、いろんな方がこれ持っておられて、もうこれで議論が進んでいて、昨日のテレビでも、成長率の見通しが一%、賃金上昇率が二・五%、運用利回りが四・一%ということで、非常に楽観的な見通しですねと。もう世の中の議論はそこまで行っているんです。  ですから、ここで出して、これを私が出すんじゃなくて総理が出されて、こういう案は一度やってみた、これは党のオフィシャルではないけれども、今あるのはこれだけだからこれでどうだろうかということをやれば、もうそれが与野党協議に代わる、ここでの本当の議論ができるんじゃないんですか。なぜ出さないんですか。
  172. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) まず、今総理が述べられたように、その試算、いろいろメディアでは伝えられておりますが、これは党として決定したものではないんですね。そういうことについての認識がなかなか正確には伝わっていないということを我々は懸念しております。  ですから、昨年、私は幹事長をやっておりましたが、もちろん幹事長に上がってきた話ではございません。党として、政調も含めて、何か決定したということではございません。そういった正式なものではないという認識がないままに、何か民主党が決めたものであるかのように伝えられたということは大変不本意に思っているところでございます。そういった誤った認識があるということで、我々その発表を控えさせていただいていると、党の方でそういうふうに判断しているところでございます。
  173. 林芳正

    ○林芳正君 ですから、そういう前提で作ったものですと言って出せばいいわけでしょう。野田総理は既に大学の講演で、もうもっと上がるかもしれないって正直におっしゃっているんですよね。なら、その野田総理の発言というのは何に基づいて、これがまだ決まっていないというのなら、そうならない可能性だってあるということでありませんか。野田総理、いかがですか。総理
  174. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 私が大学の講演で申し上げたのは、二〇一五年までは一〇%の引上げで、ずっと先のことを、上げるか上げないかというのはそれは明確に言えないという意味で、可能性の一つとして示唆をしましたけれども、この試算を前提に、あるいは特定の試算を前提にお話をしたわけではございません。  もうこういう形で資料でも出されていますし、メディアの方も持っていますし、多くの議員の方が持っていますけれども、先ほど副総理答弁にあったとおり、このいわゆる資料を基に党の政策の方向性議論したことがないんですね。だから、それを公表したからといって、じゃ、そういうことを我々が説明の責任を負えるのかというとそうではないという意味で、ただし来年に新しい年金の制度の法案を出そうとしているわけでありますので、きちっとした人口推計であるとか、例えば賃金の上昇率とかいろいろありますけれども、我々がきちっと納得をしたものを前提とした試算を置きながら議論に供することは責任ある議論だというふうに思っております。  そういう意味で、これの扱いについては現在党内で検討中であるということであります。
  175. 林芳正

    ○林芳正君 資料をお配りしておりますが、これ、去年の春ぐらいなんですね。去年の春にもこういう試算をしてみたけれども、結局余りに数字が大き過ぎて引っ込めてしまったと。  資料の九ですが、既にもう二十三年の五月十八日に、これについて十六、十七日に議論をしたというふうになっていますね。私、これ使おうと思って、実はその後の予算委員会で聞こうと思って、使おうと思っていたんですが、全く議論していないというのは本当ですか、野田総理。  古川さんその場にいらっしゃったって衆議院でおっしゃっているんだけど、議論をして、十六、十七の両日、抜本改革調査会で新制度案について議論したと、その後数字が大き過ぎるんで引っ込めたと、こういうふうに記事がなっていますが、全く一切議論していませんか。
  176. 古川元久

    国務大臣古川元久君) 担当大臣ではございませんが、その場におりましたので。  数字については、先ほどからずっと申し上げておりますように、役員の本当に一部の中で頭の整理をするためにいろんな仮定を置いて出してみてくれという段階であると。党の中で議論をしたのは何かといえば、それは年金制度の新しい姿について、例えば二分二乗方式にするとか、仕組みの中身について、これは党の調査会の方で議論をいたしました。  その記事で書いてある議論をしたということは、それは数字の話じゃなくて、制度の仕組みについて議論をしたということだというふうに思います。
  177. 林芳正

    ○林芳正君 同じこの朝日新聞ですが、最後の段に、調査会では支給範囲などをめぐり異論が続出し、厚労省に別の案での再試案を指示した、新制度の本格的な設計は六月に先送りされると。六月って、今年の六月じゃなくて去年の六月なんですよ。  だから、もうずっとこれ、多分岡田党首のころから、私、岡田さん気の毒だと思うのは、三%消費税要るって岡田さんのときは正直におっしゃっていたんですよ、その後なくなっちゃったんですが。少なくとも、与党になってから、去年のもう五月の段階でこれをまず出して議論して、それからもう一年弱たっているんですね。いつ試算できるんですか。
  178. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) これは党の方の話になるんですね、党の制度ですから。したがって、党の方でいろいろ御議論されることになると思いますが、我々来年には法案を出すというふうに申し上げておりますので、そこに合わせるタイミングでは数字も必要かというふうに考えております。
  179. 林芳正

    ○林芳正君 来年の法案を出すまでにはこういうのが出てくると、だからそれまでは出さないということですか。
  180. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 林委員、これ非常に大事な話だと私は思うんですね。大事な話というのは、この年金についてやはり与野党でしっかり話し合うということは非常に重要なことだと思うんです。  先ほどお話いただきましたように、私は、民主党代表であった二〇〇五年に……(発言する者あり)静かにしてください。二〇〇五年に、この年金の改革案、そして、そのために消費税の引上げが将来必要になるということを申し上げました。そして、その参議院選挙終わった後、与野党で協議するための機関の設置を、我々は野党ですが、与党にお願いしてつくっていただきました、衆参合同の委員会。そこで秋までに一定の結論を出すという小泉総理のお約束をいただいて議論を始めましたが、残念ながら郵政解散でそれが極めて中途半端に終わってしまったということであります。その後、実は私個人になりますが、自民党の有志の皆さんと一緒になって年金改革の抜本改革について議論をして、一つの成案を出しました。  つまり、やはりこういうものは超党派でしっかり議論、国民の立場に立って議論しなきゃいけない問題。ですから、是非年金制度のこれからの在り方について与党、野党を超えて議論する場をおつくりいただきたいと、そういうふうに思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
  181. 林芳正

    ○林芳正君 我々から見た事実関係は、一緒にやって、皆さんがこの紫の線の新しい制度に固執をされたと。我々は、この現行制度①と②、青い点線ですが、基礎年金と厚生年金、そして国民年金、基礎年金のみの方ですが、今の被用者年金を一元化して、国民年金との大きな統合というのはまだ検討課題だと。この一番大きな溝が埋まらなかったんです。  したがって、我々の案はまさに①、②で、そしてあのとき、保険料も上げなきゃいけない、それから、今苦しくなっている、一番の問題になっているこの三分の一を二分の一に引き上げる、マクロスライドで給付も減ることがあると、三方一両損で厳しい案を決断したんです。選挙も少し負けましたよ、それで。そういうことまでやって我々の案は今ここにあるんです。  だから、案は我々のはしっかりしているんだから、それじゃ駄目で一つにするというのなら、きちっと数字を入れて、岡田さん、もし詳細な設計ができないというんなら、せめて、どの所得層から最低年金七万円が減っていって、最低年金七万円がゼロになるのは幾らのところですと。これは詳細じゃありませんよ、制度の骨幹です。それすら来年まで出せないんですか。
  182. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) この年金の問題は、我々の認識は、今の制度にいろいろ限界があるという認識に基づいているわけですね。  まず、現在の年金は基本的に、厚生年金、共済年金もそうですが、同じ職場で四十年間働き続け、そして夫婦の中の一人が働くということを念頭に置いてつくられた制度。しかし、今は職業もどんどん変わるし、そして夫婦共働きが基本であると。国民年金の方も、自営業者を念頭に置いてつくられた制度、そして自営業者は資産もあると、生活も比較的安定しているという、そういう仮定の上でつくられている。しかし、現実には、今国民年金には自営業者以外の方もたくさん、特に非正規で働いておられる方が加入しておられますし、自営業者そのものも安定した生活というには程遠い状況になりつつある。そういう新しい社会の変化を反映して、年金制度、今の年金制度に基本的に手を加えなければいけないのではないか、それが我々の考え方でございます。  具体的に言うと、やはり国民年金、加入しておられない方が非常に増えてきて、このまま行くと無年金者あるいは年金が極めて少ない方が将来多数発生しかねないと、そういうことにトータルで対応していくために我々は年金制度の抜本改革が必要であると、こう申し上げているわけです。  しかし、我々の制度は決して甘い、バラ色のものではありません。その図が正しいかどうかは別にして、その図も示しておりますように、今年金を受け取っておられる方も下がる可能性があると。所得のある一定以上の人は、今、今というか、現行制度より下がる方がかなり出てくる可能性のある、所得の少ない方は一律七万円ということで確保されますが、そこはメリットなんですが、しかし年金の額が下がる層がかなり出てくる可能性があるというデメリットもございます。  そういうことも含めて、これはどっちがいいかということは机の上に並べてみて率直に議論したらいいと。我々の制度が絶対いいと言うつもりはありません。バラ色では決してありません。  それから、もう一つ申し上げておくべきは、今委員が御指摘になったマクロ経済スライド、これは先般衆議院でも私申し上げたんですが、確かに我々厳しく批判をいたしました。しかし、ちょっと私個人の意見として言わせていただくと、もう少し、厳しい中であの制度を出されたそのことについて率直に評価をすべきであったと、そういうふうに考えております。  そういうことも含めて、お互いこれ国民の立場に立った議論が必要だと思いますので、数字、どういう数字を出すか出さないかということは、これは党の方でいろいろ今議論をしておりますが、実のある議論を与党、野党で是非していただきたいというふうに思っております。
  183. 林芳正

    ○林芳正君 事前に与野党協議なんて言わないでこういう議論をすればいいんですよ、テレビの前で。  率直に言っていただいたと思います。かなりの人は今より給付は下がります、バラ色じゃありませんと、これが第一点ですね。  それから、昨日、櫻井政調会長代理は、案としてはいいと思うけれども、しかし、移行を考えるといろいろな議論をしなきゃいけないと、こうおっしゃっていました。確かに、我々、明治維新で今から年金をゼロからつくるというのならいろんな案があると思うんですよ。だけれども、これをずっとやってきて何年も掛かって、もう旧制度で払っている人がいるんです。それを何年も掛けて移行する。その移行ができるかどうかということも併せて議論をしなきゃいけない。そのことはどうですか。
  184. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 今の想定では、四十年ほど掛けて完全に移行するという、その間、二つの制度が並立するということはあります。ですから、即効性があるかといえばそういうことでは確かにございません。しかし、他方で、今の制度、人口がこれだけ減っていく中で賦課方式を加味した今の制度が果たしてどこまでもつのかということも併せ考えていかなければならないというふうに思います。我々の制度も、積立てではありませんので同じような問題がないわけではありませんが、現行制度よりはそういった人口構造の変化というものに比較的耐え得る制度ではないかというふうに思っているわけです。
  185. 林芳正

    ○林芳正君 そこで、やっぱり、さっき私が言った二つの数字は、来年の法律出すまでと言わずに今すぐにでも何通りか出していただけないと議論が進まないと思うんですね。この七万円がどこまで七万円のままで上積みされて、どこでゼロになるのかと。これは詳細設計ではないと思うんです。  それが、何年も掛けて今移行をされるとおっしゃったんですが、確かに全部移行し終わった後で消費税が七%とか五%とか上がると、こういう試算なんですけれども、保険料の方は、払う方の保険料、これは何十年後に上がるんじゃなくて、制度が切り替わったらもうそこから上がるというふうに考えますが、いかがですか。    〔委員長退席、理事川上義博君着席〕
  186. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 保険料、それは自営業者のことを言っておられるのかと思いますけれども、自営業者の方は今国民年金の保険料を払っておられるわけでございます。そこの部分は基本的にその所得比例部分のところに振り替わっていくと。今の国民年金は定額でございます。その定額ではなくて所得比例年金ということですから、所得に応じて一定の割合で保険料を御負担いただくと、こういう形に変わってくると思います。
  187. 林芳正

    ○林芳正君 正直にお答えいただきました。  今、国民年金保険料幾らかお分かりですか、月額で。
  188. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) 平成二十三年度の国民年金保険料は月額一万五千二十円でございます。
  189. 林芳正

    ○林芳正君 まあ岡田さんは自営業じゃないんでお払いになっていないかもしれませんが、これだんだん上がっていくんですね、一万五千二十円から一万六千幾らまで。  それで、今、岡田先生が正直におっしゃっていただいたように、この国民年金で今一万五千二十円払っていらっしゃる方は、この制度にもしなったら所得比例の中に入っていくと。保険料率幾らですか、民主党さんがおっしゃっているやつ。
  190. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) お答えする前に、私、国民年金ですので、昨日も税務申告の資料をちょっと整理しておりまして、私のうちでは私と妻とそして長男は国民年金加入でございます。数字は見たんですが、ちょっと覚えておりませんで、失礼をいたしました。  で、御質問は何でしたっけ。
  191. 林芳正

    ○林芳正君 保険料率。
  192. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 保険料は、そういったことはこれからの制度設計なんですね。ですから、一五はマックスということですけれども、基本的にこれどういうふうに制度設計するかということは、つまり所得比例年金の部分ですね、それはこれからいろんなケースを考えるということであります。
  193. 林芳正

    ○林芳正君 私、今ちょっとびっくりしたんですが、所得比例は民主党さんの素案には、どんな職業の方もどんな収入の方も一律一五%だと書いてあるんです。これ、違うんですか。
  194. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) 素案の中では原則的にその所得比例年金は一五%程度としておりますけれども、今定額で払っていらっしゃる国民年金の皆様がどういう形で、それをいきなり全部掛けるようにするのか、激変緩和で経過措置を置くのか、そのことも今党の方で検討されていると承知しています。
  195. 林芳正

    ○林芳正君 素案にはそう書いていないので、一五%だとみんな思っていますよ。  例えば、所得をどうやって把握するかという大きな問題もあるんですが、平均で、例えば四百万円の収入がある自営業の方を取りますと、一五%ということは六十万円ですよ。十二か月で割って一月五万円です。ですから、一万五千二十円払っている人が今の民主党の案だと、新しい案では五万円払うということです。こういうふうになってしまって本当にいいんでしょうか。
  196. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) 計算されるとそういうことになると思いますが、五万円払えばそれに比例した年金が受けられるようになりますし、その年金の控除なども受けられますので、そういう意味では出して損をするだけということではないというふうに思います。  ただ、先ほど申し上げたように、いきなりそれを全額払っていただくのか、経過措置として何らかのことを考えるのかということはあるかと思います。
  197. 林芳正

    ○林芳正君 また次々と大事な御答弁が出るので、やっぱりこういうところでやるのはいいことだなと思うんですが、たくさんもらえるからたくさん払ってもらってもいいんだという答弁は大変重いと思うんですね。  自営業の方とそれから被用者の違いというのがやっぱり余り頭にないのかなと思うんですが、全国の自営業者、この制度に入っていらっしゃる方、千九百万人強いらっしゃるんですが、テレビで見ておられて、余計なお世話やめてくれと、こういうことだと思いますよ。  国民年金基金というのがあるんです。掛けたい人は二口目、三口目、国民年金基金入ってくださいと。だけど、自営業の方は定年もないから自分で一口を払って、その代わりこういう給付だという制度に入っていらっしゃるんですよ。だから、全くサラリーマンとは違うんです。だから、たくさん取ってもたくさん後でもらえるからいいでしょうなんというのは年金の基本論からしておかしいと思いますけど、小宮山さん、いかがですか。
  198. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) 先ほど岡田担当大臣もお話しされたように、今、国民年金は自営業者の方だけではなくてほかの低収入の方たちも入っていらっしゃいますので、今言われた方だけ、ことだけではないというふうに考えております。
  199. 林芳正

    ○林芳正君 自営業者の方だけじゃないけど、自営業者の方もいるんですよ。自営業者の方もいるんだから、その自営業者の方が何で急に、これ国民年金基金というのは一万五千円ずつ上がっていくんじゃないんですよ。  例えば、二十歳だと、これ資料八に付けておきましたけれども、掛金は男性では六千三百五十円、二口目以降は三千百七十五円ですから、五万円払うというのはもう十口ぐらい掛けるような話なんですよ。そんな余計なことを何で政府に言われて強制的に入らなきゃいけないんですかという話なんですよ。そこを分かっていますか。厚労大臣。(発言する者あり)
  200. 川上義博

    ○理事(川上義博君) いや、時間は大丈夫だから。だから、まず岡田副総理に。
  201. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 今、林委員が言われたことは、実は年金の本質論、年金というのはどこまでカバーすべきかということだと思うんですね。従来は、先ほど言いましたように、自営業者とそうでない働く皆さんを分けて、自営業者は低額の国民年金、低い国民年金だけでした。
  202. 林芳正

    ○林芳正君 違う。国民年金基金がありますよ。
  203. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) いや、基金は選択ですから。  それはなぜかというと、やっぱり自営業者の方は比較的資産もあるし安定しているという、そういった仮定がかつてはあったと思います。しかし、今国民年金の現実は、自営業者の方自身もより厳しいそういう経済状況に直面しておられる方が多いし、しかも、国民年金に加入しておられる方のかなりの部分は、いわゆる従来型の自営業者の方ではなくて非正規で働いておられる方など、そこに数でいうと重点が移ってきていると。そういう中で、一体この国の年金制度というものがどこまでカバーすべきかと、こういう議論であるというふうに思います。  先ほど申し上げましたように、従来型の自営業者という概念だけにとらわれて国民年金を論ずるべきでは必ずしもないし、もし、いや、そんなにたくさん年金、所得比例で必要ないというなら、それは自営業者に限らず一般の被用者についても同じような議論が展開し得るわけで、やはり一定程度は国がきちんと見るということが私は年金制度の根本にある考え方であるというふうに思っています。    〔理事川上義博君退席、委員長着席〕
  204. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) 今国民年金に入っていらっしゃる方は、自営業者が四割、そして所得の低い非正規の方々などが四割、そして無職の方が二割なんですね。だから、そういう意味で、先ほどからお話あるように、どういう考え方でこれからの年金制度を考えていくか、そのことについては御党ともいろいろと考えていきたいと。  私どもというか民主党の考えている今の一元化というのは、低年金や無年金の方々をなるべく手厚くして公平な制度にしようということでやっていますが、それと今の制度を延長していくことと、どちらにしても、これから掛けた割に受け取る給付の額が下がっていくということにはマクロ経済スライドの考え方からしてもなっていくわけですから、どういう考え方を基本に組み立てていくかということだと思いますので、是非そういう意味で、案を出していただいて、民主党の方も案を出すと思いますので、協議をしていただければと思っています。
  205. 林芳正

    ○林芳正君 あのね、今のは取り消してください。案を出していただいて。案はあるんです。今のは案なんですよ。それをやっていたんですよ、さっき言ったように。岡田さんが評価してくれたじゃないですか。聞いていたんですか。取り消してください、今のは。
  206. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) 具体的な協議の場を持って、その中で案を検討するという意味で申し上げました。案は、そういう案を出していらっしゃるということは承知をしております。(発言する者あり)
  207. 石井一

    委員長石井一君) 静粛に願います。
  208. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) ですから、その基本的な考え方から、それぞれの党が考え方をぶつけ合ってきちんと協議をする場が必要だというふうに考えております。
  209. 林芳正

    ○林芳正君 ですから、私が言ったのは、今の案は、我々の基本的な考え方に基づいて、自営業の方と被用者の方は違うからまず被用者年金一元化をするという基本的な考え方でやっているんですよ。無年金、低年金の対策はもうやっているじゃないですか。そこはもう素案に入っておるでしょう、与謝野さんが書いたんだから。我々と一緒ですよ、そこは。違うところはここだけなんだから、だから議論しているんです。だから、今の対案を出してくれというのは撤回してください。
  210. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) 対案を出してということは撤回をさせていただきます。  具体的な、建設的にどうしたらいいかということをそれは議論ができていけばいいという意味で申し上げました。
  211. 林芳正

    ○林芳正君 あのね、こんな試算も出せなくて、おまえは対案を出せ、建設的な議論をしよう、できるわけないじゃないですか。この数字出してくださいよ、じゃ、今。
  212. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) 再三申し上げているように、この数字は、党の方の調査会……(発言する者あり)事実を申し上げています。調査会の幹部の方からいろいろな仮定を置いた上でこう試算をしてほしいということで、実務を厚労省でいたしました。そのことを、その試算を出すかどうかは党が判断されることだと思っています。
  213. 林芳正

    ○林芳正君 政府としての案はないということですね、じゃ。この大きな案についての政府としての案は今ないということですね。
  214. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) 新しい年金制度につきましては、党の御議論から幾つかの案が示されるかもしれませんが、それが出た段階で厚労省としては検討をさせていただきます。  今厚労省では、その移行期間も長く掛かりますので、当面の年金制度の改善案は、これはこちらの厚労省の方で作らせていただいています。
  215. 林芳正

    ○林芳正君 今大変大事なことをおっしゃって、党から三つか四つ出てくるかもしれないから今の段階では政府の案はないと。  ないものが何で素案に入って閣議決定しているんですか、閣議了解しているんですか。あの素案の中にはこれをやると書いてあるんですよ、来年の法案出すって。だから、ないというのはおかしいんじゃないですか。厚労大臣に聞いています、厚労大臣がおっしゃったことですから。
  216. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) 先ほど数字を出してとおっしゃいましたので、そのことは今厚労省としては持っていないと。ただ、素案は政府と与党で決定したものでございますので、先ほど申し上げた保険料率が一五%程度とか、最低保障年金は七万円にするとか、そういう素案に盛り込まれているものは、これは政府と与党で協議をしているものでございます。ただ、数字についてはまだそれはないということを申し上げました。
  217. 林芳正

    ○林芳正君 もう言っていることがころころ変わるので、今の、厚労大臣ね、テレビ見ておられる方、特に自営業の方は、今の厚労大臣答弁で、ああそうかと、新しい制度になったらいいなと思うと思いますか。
  218. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) それは国民の皆様全ての方に対して、どういう考え方でやるのか、それは決まりましたらそこのところはきちんと御説明をしていくと。今どういうことを議論しているかということについても分かりやすくしたいと思いますが、今具体的な数字をとおっしゃいましたので、そのことはまだないというふうに申し上げただけです。
  219. 林芳正

    ○林芳正君 藤井元大蔵大臣が税と社会保障の一体改革の意味を説かれて、それが最初民主党の文書で読んで、私はなるほどなと思ったのは、こういうサービスをやるからこういう値段、税なり保険料なりというのを一緒に示さないと、サービスの方だけ示せばそれはどんどんやれということになる、お金が幾らあっても足らない、だからこれぐらいの御負担でこれぐらいのサービスやるというのを一緒に出すから一体改革だと。  七万円配りますということだけ言って幾ら掛かるかは後で出しますというのは一体改革の名に値しないと思いますけれども、厚労大臣、いかがですか。
  220. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) 今回お示ししている二〇一五年度に一〇%という、その中身はしっかりと出しております。これも再三申し上げているように、新しい年金制度については、来年、国会に提出をするように今党で検討をされているところですが、そこの部分で税金が必要になるのはもっと先の、移行期間の先のところでございますので、今二〇一五年度に一〇%とお願いしている分については一体改革の中身もしっかりお示しをしてございます。
  221. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 是非、この我々の社会保障・税一体改革、その中にこの年金の抜本改革も確かに書いてございます。しかし、今回の、これは次のステップの問題として考えているわけで、ですから、そういう意味ではこの二つの一体改革そのもので書いた消費税五%に引き合う様々な維持のための、あるいは改善のための御提案の問題と年金の抜本改革の問題と、問題は二つありますから、それぞれについてやっぱり与野党でしっかり協議していただきたいというふうに思います。  是非、国会で議論することももちろん大事ですけれども、より深く議論するためには、専門家の間で議論することは私は非常に大事ではないかというふうに思っております。できるだけ、法案にする前にいろいろな自民党の今までの経験に基づいた御意見もいただいて、それをなるべく反映していきたいというふうに考えているところでございます。  なお、数字の話ですね、先ほど来御指摘ですが、これは党が決めることですが、もちろん、党が決めるというか、前提としては、それは党で正式に決定したものではない暫定的なものであるという、そういう前提で申し上げますが、私からも党の方とよく相談をして今後の対応について考えたいというふうに思います。
  222. 林芳正

    ○林芳正君 ちょっと混乱をしてきてしまったので。素案というのは、あれを今から閣議決定されると、あそこに入っているんですよ。しかも、入っている書き方が、与謝野さんがお決めになったときは将来の検討だと書いてあったけれど、今回のやつではちゃんと来年法案を出すと書いてあるんですよ。だから聞いているんです。あれ削除してくださいよ、じゃ、素案の中から。それで、それは別途やりましょうというのならまだ筋が通っていると思いますけれども、あれも一緒に認めてください、協議しましょうということになれば、その中身をきちっと数字を出して議論するのは当たり前だと思いますけれども、それが来年の法案提出まで出てこないというのはあり得ない話だと思いますが、いかがですか。
  223. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) ですから、議論しないと言っているわけではなくて、そのことも含めてしっかりと与野党で議論させていただきたいということでございます。そういったことを踏まえて法案の形になると。法案という意味は、今年出す法案の形になるということでございます。
  224. 林芳正

    ○林芳正君 一五%も一律ではないかもしれない、それから、どこの所得から七万円が減り始めて、七万円がゼロになるところもないと、これでは案と呼べないと思います。そのことを指摘して、財政運営についてちょっと、残り時間が少なくなってまいりましたが。  当初予算、もう既に閣議決定されていると思いますが、この年金の絡みで例の二・六兆円、三分の一を二分の一にするための財源ですが、交付国債ということを出すというふうになっております。  これは、やはり財政運営戦略というのをお決めになった総理としてはじくじたるものがあるんではないかと思いますが、私の資料で、まず最初にお決めになった財政運営戦略、このとき総理はたしか財務大臣だったと思いますが、資料二の七ページというやつです。「財政健全化への取組は正直であることを第一とし、国の会計間の資金移転、赤字の付け替え等に安易に依存した財政運営は厳に慎む。」と、こう書いてありますが、この交付国債でやるというのは、これに違反していると思いませんか、総理
  225. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 財政運営戦略をおととし閣議決定したときは副大臣でございましたから、当然かかわりは持っておりました。  その際で、消費税引上げによる財源を確保した上で将来の歳出を約束するということでございますので、赤字国債のような財源調達機能として考えているということではないという意味において交付国債は位置付けは別だというふうに認識をしています。
  226. 林芳正

    ○林芳正君 それでは、そのときに、十ページになりますが、二十三年度の新規国債発行額について、平成二十二年度の予算の水準、これは去年ですから一年ずれていますが、新規国債発行額というふうにここで定義をされておりますが、この新規国債発行額には交付国債は含まれないということですか。
  227. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) 含まれないという認識でございます。
  228. 林芳正

    ○林芳正君 なぜ含まれませんか。
  229. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) 交付国債の発行は、国の将来の支払を約束するというあらかじめ定めた財源を元に債務を負担する行為でございます。いわゆる財政法の四条また四条における特例措置である特例公債とは違うというふうに私どもとしては認識しております。
  230. 林芳正

    ○林芳正君 特別会計の法律で国債と公債の違いを書いてあった法律があると思うんですが、特別会計に関する法律三十八条、「この節において「国債」とは、公債、借入金、証券、一時借入金、融通証券その他政令で定めるもの」ということで、得意のその他政令ですが、交付国債を列挙しております、特別会計に関する法律施行令ね。ですから、特別会計法には少なくとも国債には交付国債は入っているんですが、その国債という定義とここの国債の定義は何で違うんですか。
  231. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) どこが違うのかと。これは、国債という名前が付いているので何か市中に発行する国債のように思われますが、言わば国が保証をしてお金を交付するということですから、我々としては国債だというふうな認識はないということです。
  232. 林芳正

    ○林芳正君 我々というのはどういうことでしょうか。  財政法四条には、国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入をもって、その財源としなければならないと。ただし、公共事業費、出資金及び貸付けの財源については、国会の議決を経た範囲でと。すなわち、公債又は借入金と書いてありますから、公債といえば、そういう今大臣がおっしゃったようなのは入らないと。  一方、さっきのは法律ですよ。特別会計に関する法律で国債の定義しているんです。だから、普通、法律で定義をしてあったら、その定義を持ってくるか、法律に違ったことを言うんだったらちゃんとそこに書くべきだと、こういうふうに思います。  今年お決めになった、あっ、去年ですね、中期財政フレームの改訂版の、資料三ですが、下に二ページと入ってあるところで、今度は四十四兆円のことを決めておりますけれども、新規国債発行額(復興債を除く)とちゃんと書いてあるんですよ。だから、こういうふうに復興債及び交付国債を除くとここで書いておけばいいじゃないですか。何でここに書いていないんですか。
  233. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) 復興債は、委員御存じのように、財源調達のために言わば発行すると。そういう点では、交付国債は財源を調達するために発行するものではないので、そこは明確に判断ができるというふうに思っております。
  234. 林芳正

    ○林芳正君 特別会計に関する法律の定義とは違うことをやっているということですね、これは。
  235. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) 一般会計で繰り入れてこの交付国債をやっているということもありますから、一般会計法に基づくものだけではないということです。
  236. 林芳正

    ○林芳正君 一般会計法というのはどういう法律でしょうか。
  237. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) 一般会計の中でこれを、交付国債を……(発言する者あり)まあ財政法ですね、行うということでございます。
  238. 林芳正

    ○林芳正君 やじが教えちゃったようでございますが。  特別会計に関する法律というのに書いてあるこの定義は、特別会計の中で通用するルールじゃないんです。全体に当てはまるんです。ここで国債の定義をしているんですよ。だから、これと違ったことをやるんだったらここに書いておくべきだし、復興債は書いてあるんだから。この八月に決めたときには交付国債を出す予定がなかったから書かなかったんじゃないんですか。
  239. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) それは事実でございます。協議はしていましたけれども、明確にそこで方針を出したわけでもないし、実は臨時国会において、たしか宮沢先生からここで御質問をいただいたときもまだ決定はしていなかったんで、ここはかなり厳しく追及はされましたけれども、四十四兆円の枠の中で何とか収めたいということはありましたけれども、なかなか、恒久財源でこれを充てていくという理念に基づけば、やはり消費税等を充てていかなければならないと。これは、自公政権の中からもずっと御指摘をいただいていたことでございましたので、そうしたことから交付国債において今回対応させていただいたということでございます。
  240. 林芳正

    ○林芳正君 それなら四十四兆を四十六・六兆にするというのが正直な取組ですよ。ここに書かずに、これは四十四兆じゃないという詭弁をやるとギリシャのようになりますよ。  そのことを申し上げて、終わります。
  241. 石井一

    委員長石井一君) 次に、礒崎陽輔君
  242. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 自由民主党礒崎陽輔でございます。  田中防衛大臣、秘書官を更迭したそうですが、どういう理由ですか。
  243. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 萬浪秘書官が務めていただいてきたところでございますが、体調不良ということがございました。ちょっとお休みをされたこともありましたので、相談をいたしまして、経験のある秘書官に今日から務めていただくと、こういうことになりました。
  244. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 この政権、役人に責任を全部押し付ける癖があります。そういうことじゃないんでしょうね。  一月三十一日の本予算委員会で、田中防衛大臣が突然行方不明になりまして、十五分間委員会を空席し、与党の理事によって本院の議員食堂で発見されたと、そういう前代未聞の不祥事がありましたけれども、田中防衛大臣、議員食堂でコーヒーを飲んでいたのは事実ですね。
  245. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) 委員会中に席を外して時間が掛かりましたことを心からおわびを申し上げたいと思います。  一月三十一日に、徳永理事にお話をして席を外したところでございますが、大変風邪ぎみでございましたので、その薬を飲んで戻ろうかと、こういうふうにいたしましたところ、大変時間が掛かってしまったというのは、大変私の不徳の致すところでございます。  一日前にこの参議院の医務室で薬をいただいたわけでありますが、自分で保持するところを持たしておったということで、一つは場所を探すということがございました。もう一つは、私自身がその薬を飲んでトイレに行った時間が掛かりましたので、大変申し訳ないと思います。(発言する者あり)  コーヒーにつきましては、二階に行きましたのは、薬を飲むために、水があったわけでありますが、私は日ごろの癖で、あそこに行きましたら、ただ座るんではなくてコーヒーを頼むという精神でございました。飲んだかどうかは私も分かりませんが、今後は、この委員会があります、そしてまた在籍期間は国会内ではコーヒーを飲むことはしないという決意でこれから臨みたいと思うところでございます。
  246. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 十五分の行方不明。例えば、朝鮮半島からミサイルが飛んでくるのは僅か八分でありますよ。大変な、防衛大臣が十五分もいないなんかいうのは大ごとだと思います。  国務大臣の議院への出席義務というのは、憲法六十三条に決められておる憲法上の義務であります。それをサボって食堂に行ってコーヒーを飲んでいた、これだけであなたは辞任に値すると思いますが、辞任の考えはございませんか。
  247. 田中直紀

    国務大臣(田中直紀君) この行為につきましては大変申し訳なく思っておりますので、心からおわびを申し上げたいと思います。  今後、誠心誠意仕事に努めてまいりたいと思う次第でございますので、御理解をよろしくお願い申し上げます。
  248. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 余り不毛な議論を続けている余裕はございませんが、日本の安全保障のためにも田中防衛大臣の早期辞任を求めて、本論に入りたいと思います。  まさに国難のときであります。これは総理がおっしゃるように、まず東日本大震災の復旧復興、これが第一ですね。そしてまた、今豪雪であります。これも大変でありますが、これについて政府で更に御尽力を賜りたいと思いますが。  さて、その災害の話は除きまして、今国民が一番何に困っている、苦しんでいると総理はお考えでしょうか。
  249. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 今の災害を除くという意味においては、やっぱり国民の皆様が一番望んでいることは、円高・デフレ対策をしっかり講じて経済の再生をしてほしいという思いが一番強いのではないかと認識をしております。
  250. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 国民が今一番苦しんでいるのは不景気だと思いますね。その先言っていただけたから、不景気の原因は今総理のおっしゃったように円高・デフレだと思います。円高・デフレ対策というのを政府はやっておるんでしょうか。古川国務大臣
  251. 古川元久

    国務大臣古川元久君) お答えいたします。  まさに円高・デフレ、この脱却は極めて重要な課題だというふうに認識をいたしておりまして、円高への総合的な対応策というものを昨年まとめました。そして、平成二十三年度第三次補正予算においても円高対策を行って、その着実な実行に努めております。  その具体的な成果といたしましては、例えば先週金曜日には、立地補助金約二千億円の採択先二百四十五件が決定をいたしました。またエコカー補助金、この三千億円もこの第四次の今補正予算お願いをいたしております。  今の円高に対する痛みを緩和すると同時に、この日本の産業構造を為替相場に左右されないようなそうした強靱な経済にしていく、そうした意味での、こうした立地補助金などを先端の技術を持っているようなところ、そうしたところに与えていくということもやっていきたいと思っております。  さらには、この円高をむしろメリットとして活用する部分も必要だということで、海外の資産をJOGMECなどを通じて買収したり、また企業のMアンドAを促進するために外為の資金を活用したり、そういったこともやっております。
  252. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 今、古川大臣は昨年十月に発表された円高への総合対応策のことを言っておるんだと思いますけど、これ見ても、言わば対症療法しか書いておらぬのですよ。円高を止めることは何も書いていない。円高止めることを何かやっていますか。
  253. 古川元久

    国務大臣古川元久君) 今も申し上げましたように、このメリットの部分とそしてデメリットの部分、攻めと守り、そうしたものをしっかりとやっております。また同時に、これは為替、これは財務大臣の方でございますけれども、為替の急激な変動に対してはこれは断固たる措置をとるということで、必要に応じて為替介入なども行っているところでございます。
  254. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 いや、結局、今の政府は何にもやっていないと思いますよ。今国民、大企業も中小企業も苦しんでいるのが円高ですよ。円高を止めなきゃいかぬ。確かに、急激にこの前円高になったとき為替介入をした、それは良かったとは思いますが、その後またじりじりじりじりじゃないですか。  根本的に、古川さん、じゃ、円高を止めるには何をやったら止まりますか。
  255. 古川元久

    国務大臣古川元久君) 様々なこれは要因があって、これだけやってすぐ円高が是正できるというようなことは、これは委員も御承知だと思います。  特に今の状況は、言わば世界的に円以外の通貨に対する信用が落ちていて、不美人競争といいますか、円が決して状況から見たら強くなるはずがないのに、ユーロやドルの方の価値が下がるということで、結果的にこれは円が高くなってしまっているという状況がございます。また、そうした通貨安をまさに利用しようとするような動きも各国によってはないわけではありません。  したがいまして、私も、先日ダボス会議に行きましたときに競争政策が大事だという話がありました。そのときに私がはっきり申し上げたのは、自国の通貨を安くして、そしてそれで競争力を高めようとするような、そうした不公正な競争条件の強化を図るべきではないと。やはりこれは、公正な中での、フェアな中での競争をしていかなければいけないということは申し上げました。  これは財務大臣ども海外に行ったときにも申し上げると思いますが、こうしたことを日本政府としてもしっかり申し上げていきたいというふうに思っております。
  256. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 結局何も答えていない。  ただ、古川大臣答弁気を付けて言わなきゃいけませんよ。今の発言は、新聞が書いたら円高容認と取られますよ。そんな答弁ですよ、あなたのは。根本的にそこに手を入れていかなきゃならぬ。国民が苦しんでいる原因の一つは円高ですよ。  じゃ、デフレ対策何やっていますか、政府は。
  257. 古川元久

    国務大臣古川元久君) デフレ脱却については、これは、我が国経済に対する民間部門の期待成長率を高めると、こういうところが極めて重要でございます。我が国の潜在成長率を高めて民間部門の投資意欲を引き出すということをやっていかなければいけません。  そうした観点から、新成長戦略をつくり、グリーンイノベーションやライフイノベーション、こうしたものをつくって新たな市場を創出をしていく、またアジアの成長力を取り込むということもやっておりますし、またさらには、さきに特区の指定もいたしましたけれども、特区制度などを導入して、この新規の事業が立地していく、そういう中で成長力の強化を実現をしていかなければいけない。ですから、成長力の強化に資するような、そうしたイノベーションの実現に向けて様々な環境整備を行っているところでございます。  また、金融政策につきましても、日本銀行との間で密接な連携を行って、これは財政、金融両面からデフレ脱却に向けても全力を挙げているところでございます。
  258. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 デフレ対策もよく分かりません。  まあイノベーション、イノベーションと古川さんは言うけど、それは、それも大事ですよ。長期的にはそれでもいいかもしらぬけれども、今、地方の経済見てください、大変なことですよ。今すぐに円高・デフレ対策を取らぬと私悪いと思うんですよ。  総理にそこで一つだけ経済認識をお伺いしたいんですけれども、デフレで景気がいいということあると思いますか。
  259. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) いや、デフレ下の中では景気回復、経済成長というのは難しいというふうに思います。
  260. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 いや、そう総理に言ってもらって安心しましたよ、デフレでも成長ができるんだと総理が思っているんじゃないかと私は疑っておりましたので。それはそうでしょう。  そうしたら、消費税増税は後で議論をしますけれども、そういうことの前に、やっぱり政府としてしっかりと円高・デフレ対策を取るべきと思いますが、総理、いかがですか。
  261. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) それは御指摘のとおりだと思います。  今回、一体改革でお願いをさせていただきますけれども、あわせて、しっかりと経済成長をさせていかなきゃいけない、経済の再生をしなきゃいけない、これは当然のことながらやっていくテーマだと思っております。
  262. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 総理は、復興増税をやる、消費税増税をやる。財政再建も非常に大事な課題でありますけれども、こういうときに蓮舫さんに言ってもらわなきゃいかぬのですよ、一番じゃなくてもいいんじゃないですかといって。やっぱり一番は景気回復ですよ。二番が財政再建。お金がないとか福祉も重要ですが、それが三番目。これが大事なんですよ。今の総理の姿勢じゃ、一番目が財政再建、二番目が福祉、そう思っておると思いますけれどもね。やっぱり景気回復、それが一番。そのためには円高・デフレを止めていくことが大事なんだと私は思いますが、そこのところが全然今の政府からは見えてこないんだと私は思います。  古川大臣、円高対策の中で政府は日銀と緊密な情報交換を行い連携を取ると、そういうこととされていますけれども、どんなことをやっていますか。
  263. 古川元久

    国務大臣古川元久君) お答えいたします。  さきにも総理官房長官、財務大臣、それから私と、また日銀総裁、副総裁、お二人とで意見交換もいたしました。また、総裁には月例で経済報告にも来ていただいておりますし、また国家戦略会議のメンバーとして参加もいただいております。随時意見交換、情報交換をして、一日も早くこのデフレ下から脱却をしなければいけないと、そういう認識を共有して、それぞれの立場でしっかりそれぞれのやるべきことをやるということを、連絡を密にして情報交換、そして意思を合わせて行動をいたしております。
  264. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 さっきから全く具体的な話がない。情報交換したら円高止まるんじゃないですよ。  白川日銀総裁、会議から急遽帰っていただきまして、ありがとうございました。  私もここずっと一年間、日本銀行に金融緩和を求めてまいりましたけれども、結局、大幅な追加的な金融緩和措置が講じられていません。そのため、円高に十分な歯止めが掛かっていないと私は考えるんでありますけれども、確かに総裁は、内需がないから金融緩和だけでは景気回復にならない、そういうことを何度もおっしゃいました。仮に、それはじゃ是としましょう。ただ一方で、円高・デフレ対策にも金融緩和というのは全然効かないですか。
  265. 白川方明

    参考人白川方明君) お答えいたします。  日本銀行は、金融緩和、これをこの一年間に限ってみましても、去年の三月、それから八月、それから十月と三度にわたって金融緩和の強化を行いました。  現在の経済の情勢、それからデフレの問題、それから円高の問題についても、これは先生と同じように私どもとして大変厳しい問題だというふうに認識しております。そうした認識の下に、日本銀行としては強力な金融緩和を行っております。  少し具体的な話をさせていただきたいんですけれども、まず実質的なゼロ金利、これを導入しております。それから、この実質的なゼロ金利政策を、今後物価の安定が展望できるときまで、つまり消費者物価の上昇率にして二%以下で、中心は一%という数字をはっきり示して、こうした姿が実現、展望できるまでこれはゼロ金利を続ける、つまり将来の政策まで約束をしているということを行っております。  それから、資産買入れ基金を設けまして、海外の中央銀行では行っていないようなCP、社債、REIT、ETFの買入れも含めてこれを行っておりまして、これから先、また年末にかけて更に十二兆円の買い増しを行っていくということを行っております。  それからもう一つ、昨今の欧州の金融情勢に現れていますように、金融市場の安定が崩れますと、これは経済がおかしくなってまいります。したがって、この面でも、円もそうですしドルもそうでございますけど、日本銀行として流動性供給の万全の体制を組んでおります。  いずれにしましても、経済の状況をよく点検してしっかり政策に取り組んでいきたいというふうに思っております。
  266. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 そういつもおっしゃるけれども、正直に言ってますけど、ゼロ金利を続けると言うんですけど、サムエルソンの教科書に書いておる流動性のわなのような状態じゃないですか。効かないんですよ、そんなものは。そんなことは初歩的な経済学でも分かるでしょう。基金の方もやっておるというが、基金の枠を増やしただけで、買取りそんなに増やしてないじゃないですか。  アメリカの連邦市場公開委員会というのがありまして、二%のインフレターゲットを設定いたしました。日銀はそれはインフレターゲットではないともみ消しに躍起になっておりますが、日本もしっかりとインフレターゲットをつくってやるべきだと。これは総裁に言うのかどうか知りませんけど、総裁、どう思いますか、これを。
  267. 白川方明

    参考人白川方明君) お答えいたします。  FRBは、先生御指摘のとおり、先般、これは英語で言いますとロンガー・ラン・ゴール、より長期的な目標という形で物価の上昇率について二%という数字を定めました。日本銀行も、中長期的な物価安定の理解という形で、先ほど申し上げました二%以下のプラスで中心は一という数字を出しております。  これは私が言っているわけではなくて、バーナンキ議長自身が記者会見で、これは記者の質問に答える形で、これはインフレーションターゲティングではありませんということを申し上げている。これは日本銀行の解釈ではなくて、議長自身が言っていることでございます。  言わんとするところは、金融政策はこれはもちろん大変重要な政策でございます。物価の安定、これは中央銀行の金融政策の目標でございますけど、同時に、日本銀行法は国民経済の健全な発展ということを最後のところに書いていまして、つまり景気についても配慮をすると。それから、これはFRBについても、景気についても書いてございます。  したがいまして、物価だけを見ていくわけではない、最終的に物価安定の下での持続的な経済の成長を実現していくように金融政策をしっかりやっていきますという意味において、これは日本銀行もFRBも非常に似ております。私の感じでいきますと、むしろFRBが現在日本銀行が行っている政策の方にむしろ近づいてきたというふうな私は認識を持っております。
  268. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 日銀はバーナンキさんのいつも都合のいいところだけ引用するんです。バーナンキさん、いろんなことを言っていますよ。あなた方は都合のいいところだけいつも言う。今日はちょっと時間の関係で余り経済議論は入りませんけど、これだけ長期に円高・デフレの不景気が続いております。二十年もデフレが続いておる国は日本だけでありますよ。ついに、そして貿易の経常収支も赤字になってしまいました。  何回も議論をしましたけど、白川総裁、ぼちぼちあなたの責任を考えるべき時期じゃありませんか。それについてはどうお考えですか。
  269. 白川方明

    参考人白川方明君) お答えいたします。  日本銀行の金融政策の目的は、これは物価の安定を通じて国民経済の健全な発展に資するということでございます。それからもう一つ、金融システムの安定をしっかりするということを掲げております。そうした仕事を負託されています日本銀行の責任はこれは大変重いというふうに思っております。  そうした認識の下に、私もそうでございますし、政策委員会、政策を決定しますのはこれは政策委員会、九人の合議でございますけれども、そういう責任感と緊張感を持って職責にこれからも努めてまいりたいというふうに思っております。
  270. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 白川総裁に厳しいことを言うのはもう酷だけど、これだけ円高が直らない、これだけデフレが続いている、それで国民が不景気で苦しんでいる、日銀はゼロ金利だけであと何にもしない。もう日銀政策委員はおかしいですよ、政策委員会は。あなたが責任を取るべきだと思いますけど、お辞めにならぬというのであれば、日銀法の再改正を与野党で議論をして進めていくべきだと私は考えております。まあそれはそこまでにいたしましょう。  社会保障と税の一体改革、先ほどの林委員に続いてやりますけど、これについて、小沢一郎元代表と鳩山由紀夫元代表・総理が話をして反対だと言っておるじゃないですか。その辺、その辺と言ったら失礼だけど、若手の議員が言っておるんじゃありませんよ。総理はこの前の本会議の所信表明で、自民党は協議に入らぬからけしからぬと、我々の二総理、福田総理と麻生総理言葉まで紹介して我々を非難したんだけど、あなたのところの小沢さんと鳩山さん、これは反対と言っておるじゃないですか。消費税増税にも反対すると。場合によっちゃ不信任案も賛成するかもしらぬと。これで自民党に説教している場合ですか。野田総理、いかがですか。
  271. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 福田総理、麻生総理のお言葉を引用したことは、別にそれに基づいて批判をしたんじゃなくて、問題意識を共有しているという意味で使わさせていただいたということであります。  その上で、我が党においては、昨年の六月において社会保障と税の一体改革、これは政府・与党で成案を決定をいたしました。そして、それを踏まえて、昨年末に党の中で社会保障と税の一体改革の素案を合意し、そして一月六日に政府・与党のいわゆる改革本部でこれを決定をしていますので、政府・与党としてはこの方針をしっかり堅持して実現をしていくということであります。  党内になお慎重な御意見があることも承知をしていますけれども、こういうプロセスを経ながら意思決定をしてきていることに瑕疵はございませんので、最終的にはどなたも従っていただけるものと確信をしています。
  272. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 そんな手続を経ておるのにかかわらず、もう一度言いますけど、元代表、総理の二人が反対であると言っておるんですよ。これを我々が一緒に議論をして、後で自民党は賛成したけど民主党が反対したなんかいうことになんて、絶対そういうことにはなりませんね、総理
  273. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 政府・与党としてきちっとプロセスを踏んで意思決定をしておりますので、当然そのことをもって責任を持って野党の皆様に呼びかけをさせていただいております。  したがって、いろんな個人としての意見があるのかもしれませんが、意思決定で、あるいは行動する場合には全員一致して行動していきたいというふうに考えておりますし、そのための党内の掌握、そしてリーダーシップを発揮していきたいと考えております。
  274. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 ちゃんとリーダーシップを発揮するんだったら、あなた、会うべきですよ。我々に協議しようといったって、民主党の中が、もう一回言いますけど、若手議員が言っておるんじゃないんですよ、代表経験者が反対だと。消費税を引き上げる法律が出たら反対すると言っておって、我々に協議しましょう、協議しましょうという話にはならぬでしょう。どういうふうにあなたがリーダーシップを発揮して両代表にもう一回話をするんですか。もう一回言ってください。
  275. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) どういうお話をしたかどうかというのは報道でしか知りませんけれども、きちっとどなたもこの党の方針に従って行動していただけるように促していきたいと思いますし、必要とあるならば、どなたでも説得をしていきたいというふうに考えております。
  276. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 必要、不必要じゃなくて、失礼だと言っておるんですよ。あなた、本会議で自民党が協議をせぬからけしからぬといって、我々の先輩の言葉を引用してまで我々を非難したんです。まあそれが、どうこう言うつもりは僕はないけどね。そうしたって、あなたのところのお膝元がこれだけ火が付いておって、失礼だろうと言っておるんですよ。そんなものしっかりやらぬで、よその党を批判している場合じゃありませんよ。  その社会保障と税の一体改革。これは議論したって私はいいと思うんですよ。いいと思うけど、先ほど年金の話が出たけど、年金だけじゃないんですよ。これ、国民の皆さん、自民党が協議せぬからけしからぬと思っている方はたくさんおられると思うけど、中、一回見てくれると分かるんですよ、数字どこにも入っていない。社会保障と税の一体改革というのは、社会保障、プラスマイナスはあるでしょうけれど、これだけをするから税金をこれだけ上げさせてもらうというのが社会保障と税の一体改革なんでしょう。  これ、岡田副総理、数字も全然入っていないのに、年金だけじゃないですよ、ほかも全然数字入っていませんよ。どうやって議論せいっていうんですか。
  277. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 今回、我々、消費税五%引上げ、それによって二〇一五年度平年度ベースで十三・五兆円程度の増収を予定しているわけでございます。そのうちの一%相当分については制度の中身の充実と安定化のために使うということでございます。残りの四%については今の社会保障制度を守るための社会保障の安定化として使うということで、ここは数字を挙げて御説明しているところでございます。  より詳しく申し上げますと、その一%分、つまり消費税に直すと、税額に直しますと二・七兆円程度、そのうち子ども・子育て対策で〇・七兆円程度、医療・介護の充実で一・六兆円弱程度、年金制度の改善で〇・六兆円程度でございます。  四%の部分につきましては、年金の国庫負担二分の一への引上げ、これで一・一%程度、二・九兆円、それから残り二・六%程度は次の世代への負担のツケ回しの軽減ということでございます。なお、〇・三%程度、つまり〇・八兆円程度につきましては、消費税引上げに伴う社会保障支出の増に充てるということにしております。
  278. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 確かに増税のところは詳しいんですよ。増税何のためにするかとか一生懸命書いている。私言っているのは、この前半何にも数字が入っていないでしょうと言っているんですよ。社会保障はいろいろと考えりゃいいから、それは御党にも専門家がおるんだろうし、我が党にも専門家がおるから、一つ一つ個別の問題は社会保障の専門家同士で議論すりゃいいけれど、今消費税を上げるのにどのくらい掛かるのかという議論をしているのに、これ個々のところの数字を挙げないと議論にならぬじゃないですか。それを言っておるんですよ。もう一回。
  279. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 今申し上げましたように、子ども・子育て対策で〇・七兆円程度、医療・介護の充実で一・六兆円弱程度、年金制度の改善、これは低所得者への加算、受給資格期間の短縮などでございますが、これで〇・六兆円程度、こういったことで約二・七兆円、消費税収一%程度を充てるということでございます。  残りの四%につきましては、先ほど申し上げたように、年金国庫負担二分の一、これで二・九兆円程度、その他、次の世代へのツケ回しの回避、つまり毎年毎年一兆円以上支出が増えていきますので、そういったことに充てるために七兆円程度、消費税引上げに伴う社会保障支出の増、つまり年金や診療報酬などの物価上昇に伴う増で〇・八兆円程度ということで、何に使うかという内訳は明確に示しているつもりでございます。
  280. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 それなら、質問を変えますけれども、例えば消費税一〇%にしたら福祉予算全部賄えるんですか、地方の分も含めて。安住さん、どんな議論があったんですか。どのくらい上がれば福祉全部賄えるんですか。
  281. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) 今年度の国庫負担、来年度予算のですね、だけで交付国債の部分を、つまり年金の二分の一を除いても二十六兆強でございますから、その中で計算をすれば、この税収が入ったからといって全てを賄えるということではないと思います、地方分も含めてですが。
  282. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 そうなんですよ。自民党の部会で政府の説明が来たとき、あれからちょっと岡田さんが変わったので少し言い方変わったかもしらぬですけど、大体一四%と聞いています、私はね。だから一〇%では足らぬのですよ。だから、今回の五%をどう考えるかという議論をしっかりせないかぬと思うんですけど、同じような答えしかくれないので、じゃ、次の話に入りますけどね。  安住大臣、それじゃ、簡単に話ししましょう。さっき言ったように赤字国債四十四兆円ですよね、四十四兆円、粉飾財源の交付国債二兆六千億円、合わせて四十六兆六千億円。ただ、建設国債が六兆円あります。これ引くと大体赤字は四十兆円と言っていいと思うんですよ。消費税は一%二・五兆円として十二兆五千億円。国の取り分が三・四四%で八兆六千億円。地方交付税の、まあこういうことは余り言わぬ方がいいけれど、跳ね返りを考えれば十兆円ぐらいの国の取り分だと思うんですよ。  ここを国民によく教えてくださいよ。四十兆円赤字があるんですよ。消費税を五%上げても十兆円しか増えないんですよ。あとの三十兆円、安住さん、どうするんですか。
  283. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) 国債の発行額は減るのかということになるんですけれども、経済成長もいろんな前提として考えた場合、国債の発行額というのは、そういう点からいえば急激にその分減るというわけではないと思います。
  284. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 何か話が通じぬのだけど、だから、それはおいておかないと。だから、今この追加的なところは私もおいて話を、今の現在の予算で言っておるわけですよ。今の予算でもう仮に消費税五%上げたってまだ十兆円ぐらい足りませんねと言っておるんですよ、いや、三十兆円足りませんねと言っておるんですよ。この三十兆円どうするんですかと聞いておるんですよ。教えてくださいよ。
  285. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) いや、ですから、将来へのツケというか、言わば国債でということになると思います。
  286. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 じゃ、消費税何%にしたら赤字がなくなるんですか。
  287. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) 例えば、どういうふうに説明していいかちょっと分かりませんが……(発言する者あり)いやいや礒崎先生、ただプライマリーバランスでお話をするのか、それとも借入金も含めて、国債の償還財源も含めて全部を賄うのにどうするかという御質問なのかがちょっと分からないので、私申し上げておるわけでございます。  それからいえば、国債の償還のお金というのは二十二兆弱になりますよね。毎年毎年どうしたってこれは増えていきますので、その分を除いたとしてのプライマリーバランスでいえば、しかし消費税が、仮にこれは財政の話であるわけじゃなくて社会保障の充実ということでやって、結果的にはそれで一〇%、つまり五%増税という形をすれば基礎的財政収支の言わば改善にはつながるということは事実でございます。
  288. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 あのね、そこをごまかして。  私も少し助け船出しますけれども、さっき言った、四十兆円赤字がある、そのうち二十兆円が国債費なんです、確かに。プライマリーバランスのときは国債費は除いて考えるから、まあプライマリーバランスの達成には二十兆円の赤字でいいわけだ。だけれども、今言ったように、五%上げても十兆円でしょうと言っておるわけですよ。まあ、さっきの三十兆円を少し減らしましょう。二十兆円引いたけど、あと十兆円足らぬじゃないですか。これをどうするのかと聞いているんですよ。
  289. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) これは、この先様々な与野党で議論をさせていただければと思いますけれども、現時点では、やはり税収を上げていくために様々な努力をやっぱりして、基幹税である所得税や法人税、そうしたものも上げながらこのギャップを言わば改善をしていくということになると思います。
  290. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 あなた方、でも二〇二〇年にプライマリーバランスを達成すると言っておるんでしょう。どうやったら達成するんですか。  だから、あなた、この前民放に出たときおっしゃっていたけど、二〇一五年までに取りあえずと言いましたが、取りあえず五%消費税上げさせていただいて、後のことはそのとき考えると言ったけど、後のことをどういうふうに考えるんですか。
  291. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) 後のことはそのときになってしっかり考えたいと思います。
  292. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 こんなことで消費税の増税が議論されたら大ごとじゃないですか。それプラスこれが乗るんですよ。今これ、私はおいておくと言ったんです。社会保障・税の一体改革、おいておくと言ったんです。おいておくんでも十兆円足らぬのでしょう。  プライマリーバランスの二〇年達成は、じゃ放棄するんですか。
  293. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 二〇一五年までに国民の皆様にお願いして、国、地方の消費税率を段階的に引き上げていく。それによって、それだけじゃありません、いろんな努力をしなければなりませんが、そのことによって財政運営戦略に書いてあるいわゆるプライマリーバランスの赤字を半減をすると。そのゴールは、いろいろ御理解をいただければ、何とか道筋として立つと思うんです。  一方で、二〇二〇年には、これは黒にしていくんですね。プライマリーバランスをバランス取っていくということによって二〇二〇年以降は債務削減につながるというのが基本戦略でありますけれども、それはその後考えると言っている財務大臣の意味は、その二〇一五年までの道筋は今回お願いしますが、その都度、毎年中期財政フレームで年央にその都度目標達成をするための手段を考えていくんです。  ということは、二〇一五年以降も二〇二〇年までの目標を当然中期的に考えなければいけないんですけれども、中期財政フレームを回しながら、何としても二〇二〇年には、当然道としては、歳入改革の道もあります、無駄を削る行革の道もあります、成長にお金を使うという増収の道もあります、こういうあらゆる道をしっかりとたどりながら、検討しながら、二〇一五年まず目標達成、二〇二〇年目標達成という順路をたどっていきたいと考えております。
  294. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 私がさっきから言っておるのは、もうこの歳出の増要素は今無視して言っておるんですよ、私は。今でも十兆円足らぬでしょうと言っておるんですよ。総理は五%の消費税を一里塚だと言っていますけれども、一里塚があるたびに増税されたら国民たまりませんよ、そんなのは。そういうことでしょう。だから、五%上げたって、まあプライマリーバランスを達成するのでもまだ十兆円足らない。じゃ、それを認めてください。
  295. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) プライマリーバランスを二〇二〇年という意味で御指摘であれば、五%の消費税をもってプライマリーバランスが黒字化するというのは厳しいというふうなことは事実でございます。
  296. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 じゃ、もう一個、国民の皆さんに分かっていただくために聞きますけれども、プライマリーバランスが達成したら、国債残高、今七百兆円の国債残高はどうなるんですか。
  297. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) 減ることはございません。
  298. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 もっと分かりやすく言わないと、私がしゃべると時間が減りますから、あなた、もっと詳しく説明してください。
  299. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) つまり、プライマリーバランスがプラマイ仮にゼロになっても、これまで昭和五十年から積み上げてきた公債発行残高がだんだん減っていくわけではないと。つまり、借金はそのまま残って残念ながらしまうと。ただ、プライマリーバランスがプラマイゼロになれば、これは小泉政権下でもこれを目標にずっとやってきたわけですから、そこでやれば、結果的に借金の言わば返済に充てる国債の発行をやるだけで何とかいけるということでございます。
  300. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 今日申し上げたいのは、この増要素があるんです、社会保障のね。今日はそれを無視しても、四十兆円の赤字なんですよ。そのうち二十兆円が国債費であります。あと二十兆円足らぬのです。二十兆円のうち、今回五%消費税を上げても私は十兆円ぐらいだと思います。だから、十兆円足らないんです。あと、プライマリーバランスだけでは国債は減らないんですよね。やっぱり四十兆円全体で考えなきゃならぬ。  そうすると、総理はさっき認めていただいたけれども、財政再建だけでは我が国の経済も財政も、どうしてもやっぱり景気回復が大事でしょう。だから、そのためにこそ、今国民が一番苦しんでいるのが円高・デフレじゃありませんかと。  だから、もうちょっと総理がリーダーシップを発揮して、日銀法でリーダーシップを発揮できないんだったら日銀法をみんなで改正して、国民がこれだけ一番苦しんでいるまずこの円高・デフレ、これをしっかりと止めていく、それをやることが私は第一、財政再建は第二だと思うんですけれども総理、もう一度御答弁ください。
  301. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 何よりも、やっぱり景気をきちっと回復させて経済の成長を安定軌道に乗せるということが、これは去年からも、我が内閣の使命というのは震災からの復興と原発事故との戦いと経済再生と言ってきました。この姿勢は変わらないし、特に来年は一定の復興需要があるかもしれませんが、予断を持たずにしっかりと経済運営をして成長軌道に乗せていきたいというふうに、今年ですね、その上で、その上でですが、その優先順位になりますけれども、おととし、新成長戦略と財政運営戦略は同時に閣議決定をしています。成長も果たさなければなりませんが、財政規律を守っていないという国と見られることも大変危ういと思いますので、そこはしっかり気を付けていかなければいけないというふうに思います。
  302. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 総理、分かってほしいのは、さっきの古川大臣みたいにイノベーション、イノベーションと言っていてもしようがないんですよ。それも大事ですよ、国の力は今付けていくのはもちろん大事でありますけれども、地方経済はもうそんなことを言っておる暇ないんですよ。地方にイノベーションなんか言っていてもしようがないんですよ。今すぐこの不景気を直す、それはどうするのかと。円高とデフレを止めるしかないんだということを、総理きちっと分かってもらって、ここで一生懸命みんなでそこをやる、日銀を叱咤激励する、そしてやらせる、そんなふうにしないともう日本経済どんと落ち込んでしまいますよ。それがなぜあなた方には分からないのか、残念です。もう一度御答弁ください。
  303. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 経済対策としては、今般御審議をいただいている四次補正にも入っています。円高への対応であるとか、あるいはタイの洪水への対応とか、中小企業金融支援とかという対応をしながら、そして、この後御審議をいただくことになる新年度の予算についても様々な項目が入っておりますので、まずは、この御理解とそして成立に御協力をお願いをしたいと思いますし、また、必要に応じて随時やらなければいけないことも出てくるかと思います。そのときには機敏に対応したいと思いますし、金融政策は専らこれは日本銀行でございますが、問題意識をしっかり共有をして、政府としてやるべきこと、日銀としてやるべきこと、お互いに整理しながら協調していきたいというふうに考えております。
  304. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 口で言うのは簡単だけれども、今の民主党政権が経済対策をやってくれると思っている人はどこにもいませんよ。もうちょっとしっかりとやってもらわなきゃならぬ。もう今日はこれだけ言ったんだから、ちょっとやってもらいましょう。  雇用のことをちょっとお聞きしますけれども、もう一昨年になりましたか、同一労働同一賃金の原則、これは細川厚生労働大臣、しっかりと研究すると言ったんですけれども、その後、厚生労働省、どんな研究してくれましたか。
  305. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) これは、正規と非正規の労働者の処遇の格差について、雇用形態による均等処遇についての研究会、これを昨年、今年度にかけて一年間掛けてやりまして、EUの諸国の法制などをいろいろと研究をして、日本にそれを反映させるということをいたしました。私も、労働関係の副大臣でしたのでほとんど毎回出席をさせていただきました。  それで、七月に内容の報告を昨年取りまとめまして、これによって、EU諸国では、合理的な理由なく正規労働者と非正規労働者を不利に取り扱う、これを禁止をしております。ですから、日本の法制の中でもこの考え方を取り入れていきたいということで、それに基づいて、今国会に有期労働契約の法案、それからパートタイム労働政策の見直しについても法案が提出されるように今検討を進めているところでございます。
  306. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 何かいろいろやっているだけの弁解だけしていて、何をするかよく分からぬのだけれども日本はやっぱり、国民は皆平等というのが価値なんですよ。だから、全く同じ労働をしておきながら、派遣だから安い給料で済むと、こういうのはやっぱり倫理的におかしいと思う、私は。  皆さんは労働者の政権なんだから、そんなことこそしっかりやるべきじゃありませんか。総理、どう思いますか。
  307. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 基本認識は全く同じでございます。
  308. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 じゃ、具体的にどうするんですか。それじゃ、小宮山さん。
  309. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) 今、正規と非正規についての格差を是正ができるようにということで、派遣法もその一端だと思っておりますが、さっき申し上げたように、有期労働についての法制を改正をしようということでこの国会に提出をさせていただこうとしておりますし、特にパートタイム労働の中で、やはり日本ではまだ均等・均衡処遇という形になってしまっていますが、何とかそれを均等の方向に近寄せるようにということで、今法案を作る検討を進めているところでございます。
  310. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 今言いましたように、国民の苦しいところにやっぱり手を当てていかなきゃならぬ。私がさっき言ったように、不景気が一つであります。円高・デフレがそうであります。それから、今言ったような派遣の人たちの格差待遇であります。こういうことをしっかりとやっていく。そういうことをやらないうちに、お金足らないんです、消費税だけやったって。まず景気回復をやらないと足らない。  そういうことをちょっと午前中申し上げまして、午前中の質疑はこれで終わりたいと思います。
  311. 石井一

    委員長石井一君) 残余の質疑は午後に譲ることといたし、午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十三分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  312. 石井一

    委員長石井一君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成二十三年度第四次補正予算二案を一括して議題とし、質疑を行います。  脇雅史君の関連質疑を許します。礒崎陽輔君
  313. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 それでは、午前中に引き続き、質問をいたします。  今、国家公務員の給与引下げ問題、これ与野党で協議をいたしておりまして、私も近く決着させたいと思っておるわけでありますけれども、この国家公務員給与の引下げは一体何のために行うのか、総理からお答えください。
  314. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 今、礒崎委員にも実務者として御協議いただいていますこの給与臨時特例法案なんですが、東日本大震災というまさに未曽有の国難に対処するためのいわゆる財源を確保するという意味から、臨時異例の措置でございますけれども国家公務員の給与をマイナス七・八%削減をさせていただき、その財源とさせていただきたい、そういう趣旨で御審議をお願いをしている法案でございます。
  315. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 最初は七・八%だったんですけれども、今の与党の提案ではそれに人勧乗せるので平均八%に今変わっておるわけでありますけれども、この説明が、今総理の言った復旧復興財源になるというのはよく分かるのでありますけれども、何か消費税増税の言い訳とか、それから皆さんのマニフェストの国家公務員人件費の二割カット、ここまでもおかしいし、さらに労働協約締結権と絡めようとする人たちもおるんですけれども、これは二年間の暫定措置でありますから、二年たったら給与はこの法律では戻るんですよね。  あとの今言った三つは私はおかしいと思うんですが、総理、いかがでしょうか。
  316. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 御審議をお願いをしている意味は、先ほど私が答弁申し上げたとおりでございまして、復興財源に資するために国家公務員の人件費を抑制をする、削減をするということであります。  社会保障と税の一体改革では、これは国民の皆様に御負担をお願いをするという意味から、しっかり行政改革の取組をやっています、あるいは政治改革の取組をやっています、そういうことをやらなければいけないという意味で、同時に一体に対応していこうと、そういう趣旨でお話をさせていただいているということであります。
  317. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 だから、その二割カット、二割じゃないですね、いわゆる今回の給与カットというのはあくまで復旧復興財源であります。特に今、与党と協議していて心配なのは、労働協約締結権の議論をしなきゃおかしいというのが時々おるんですよ。  いや、これは百歩譲っても、恒久的な給与カットだったら分かりますよ。自民党も今、私もそちらの公務員改革の責任者もやっておりますから、これは我々のときに出した公務員改革基本法にも書いていることですから、私も重く受け止めて今議論はしておりますけれども、今回のカットはあくまで二年間の暫定措置でありますから、そのときに恒久的措置として労働協約締結権の議論をしろというのは、甚だこれは理屈の通らぬ話だと思いますが、そこを民主党の議員の皆さん総理からちゃんと教えてあげていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  318. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 給与法自体は先ほど来の御答弁のとおりでございますし、その関連で公務員の人件費二割カットとの整合性のお話がございましたけれども、これは復興財源として扱って、期限が来たら戻る話でありますが、二割カットにするためにはどうするかは、引き続きこれは行革推進本部の中で公務員の人件費も含めて対応していきたいというふうに思います。  その上で、今お尋ねのいわゆる四法案の中に労働協約権についての規定見直しをするという法案がありますが、これ、給与法は給与法で御審議いただき、この公務員制度改革の関連法案についても併せて御審議をいただければ大変有り難いというふうに思っております。
  319. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 総理答弁なら分かるんでありますけれども、何か暫定措置で労働協約締結権という話がいつも民主党の方から出るんです。これは、何回も言いますけれども、二年間で戻るのでありますから、二年間で戻るのに恒久的な措置ができないということは私は言っておきたいと思います。  それで、今総理の御答弁の中にもありました、人件費の二割削減、これは民主党のマニフェストですね。岡田副総理が今度はまたそれも担当なさるということでございますけれども、どういうふうにこれを進めるお考えでしょうか。
  320. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 委員御指摘のように、一月三十一日に閣議決定行政改革実行本部を設置をいたしました。政府一丸となって改革を実行していく体制を構築したものでございます。  その中で、総人件費削減についても、公務員の計画的な削減の推進、公務員の人事・給与制度改革の推進、こういった諸改革について、その具体的な道筋を立てた上で着実に実行していく考えでございます。
  321. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 二割削減って大変だと思うんです。いや、どうするんですか。いやいや、だから具体的に今、具体的にまでではないけれども、どういう方法で二割もカットするのか、教えてください。
  322. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) もちろん今まで一部下がってきたものもございますが、基本的なことは、これは数字が先行するというよりはしっかりと実現できる見通しを持って進めていきたいというふうに考えておりますので、今申し上げました計画的な削減の推進、これは数の削減ですね、そして人事・給与制度改革の推進、人事体系の見直しや、あるいは退職後の在り方とか、六十歳後の定年を延長した場合の在り方とか、そういったことについて一つ一つしっかりと議論をし、そして実現していきたいというふうに考えております。
  323. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 午前中の議論から民主党の提案には数字がないんですよ。どうしてそういうことができるのかと。  じゃ、仮にできるとしたら、私が今までの経験で思うんだけれども、二割カットしようと思ったら給与で一割カットして定数で一割カットする、こんなことしか無理だと思いますけど、どうですか。
  324. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) まあいろいろ議論があり得ると思います。そういったことも、まだ実行本部設置されたばかりでありますから、しっかりと議論を行って、そして地に足の付いた改革をやっていきたいと。しかし、私、会見でも申し上げておりますが、これを実行するためにやや乱暴なことも含めてやるということも申し上げているところでございます。
  325. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 総理は、消費税増税のためにはみんなで痛みを分かち合わにゃならぬと、その一つに公務員改革もあると言っていますよ。間もなく消費税の引上げ法案も出すんでしょう。今のような、岡田副総理のようなスピード感でいいんですか。
  326. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 二割削減については、この間、本部をつくりましたけれども、その本部の中でしっかり議論をして実現可能性のある案をしっかり編み出していきたいというふうに思いますが、今回の一体改革の法案と併せて行政改革を進めているという意味においては、特別会計の改革であるとか独立行政法人改革とか、ほかのいろんな項目がありますので、そういうもの、あらゆるものをしっかり行革として実現をしていきたいというふうに考えております。
  327. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 よく分からぬのですけれども、消費税増税の、じゃ議論を始めるまでに今の二割カットの大体見通しは出してもらえますか。
  328. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) どこまでやるかということはこれからの議論ですが、もちろんその出来栄えによって国民の皆さんの消費税引上げへの理解というものが影響されるわけですから、しっかり車の両輪として詰めていきたいというふうに考えております。
  329. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 総理、消費税増税の議論までに二割カットの大方のところを出してもらえますかと今聞いたんです。
  330. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) もちろん、先ほど言いましたように、消費税を引き上げるという場合に国民の理解がこれは必要不可欠でありますから、国民の理解が得られるような結果をしっかり出していきたいというふうに考えております。
  331. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 答えてない、答えてない。総理総理
  332. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 二割削減の道筋と必ずしも私はこれはセットではないと思いますが、不断の努力で行政改革をやっていくと。特会改革もやる、独立行政法人改革もやると。二割に向かって努力をするという中での行政改革の姿は、当面の段階では必ずやっていきたいというふうに思います。
  333. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 大分態度が後退してきたと思います。  国民に五%の消費税増税をやるときは公務員の二割削減もやると言っていて、今聞いたら、それまでに出すかといったら出せないと、そういうような趣旨の答弁じゃないですか。あなた方の言っているのは全く私はまやかしだと思いますよ。そんなことで本当に国民に消費税の負担を求めることはできるんでしょうか。  総理、もう一度いかがでしょうか。
  334. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 行政改革の道筋はきちっと打ち出していきたいと思います。具体的に消費税を実施する、引上げするとき、二〇一四年四月でありますが、それまでには公務員の人件費二割削減の姿というのも当然併せて出てきているということが前提であります。
  335. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 朝から数字も何にもないんですよ。自民党が協議をしないからけしからぬという、この今人件費の問題も協議していますけれども、数字を出して議論をしましょうよ、政府なんですからね。野党ならば、それは数字のないようなふわんとした話を言うかもしらぬけれども、あなた方は政府・与党なんだから、しっかりとした数字目標を示さなきゃならない。そんなにそれも、公務員の人件費ですね、人件費の見通しも出せない中で、早く早く消費税の上げるのを出すのは私はおかしいと思いますよ。そんなのはもっとゆっくりと議論をして、経済情勢もしっかり考えてやるべきだと思いますので、もうちょっとしっかりとしてほしいと思います。  以上で終わります。
  336. 石井一

    委員長石井一君) 次に、片山虎之助君。
  337. 片山虎之助

    片山虎之助君 片山虎之助でございます。  会派構成が変わりましたので、今までとは違う、早めに私は質問をさせていただくことになりました。よろしくお願いいたしたいと、こういうふうに思います。  この予算委員会の論戦は、国民の皆さん大変関心を持って御覧いただいておりますから、私はいつもお願いするんですが、できるだけ分かっていただくように分かりやすく申し上げますので、答弁も分かりやすく丁寧に、今日は丁寧で結構ですから、よろしくお願いいたしたいと思います。  そこで、まず、総理野田政権ができて五か月なんですね。野田さんの姿勢が変わったということを盛んに言われている。あなたは、低姿勢で安全運転でドジョウのように泥臭く実直にと、こういうことだったでしょう。しかし、最近は大変高姿勢というのかな、強気というのか、踏み込んだ発言があるし、時々は参議院を恫喝したり。何か自信が付いたんですか、居直ったんですか。御感想をどうぞ。
  338. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) そんなに特段私変わったという意識はないです。説明は今の御指摘のとおり丁寧を心掛けていきたいというふうに思いますし、去年と今年で特段自分が変わったということはありませんし、参議院を恫喝する気持ちなんて全くありませんので、そこは是非御理解をいただきたいというふうに思います。
  339. 片山虎之助

    片山虎之助君 特に消費増税問題では、総理、相当気負って入れ込んでいますよ。いやいや、本当に。ハイテンションですよ、あなた、消費増税問題について。  これは、長い歴史から見ると、平成元年に竹下総理のときに入れたんですよ、三%、御承知のとおり。平成九年に村山さんから続いて橋本さんのときに三パーが五パーになるんですよ。相当苦労されたんですよ。歴史に名前が残っているといえば残っているでしょう。選挙は大敗ですよ、どちらも直近の選挙で。やっぱり歴史に名を残そうというお考えですね、消費税で。
  340. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 私の認識は、いわゆる竹下元総理が実現をしたとき、あるいは村山内閣から橋本内閣にかけてのときよりも日本の財政事情ははるかに厳しくなってきていると思いますし、特に社会保障を持続可能なものにするために、いつまでも赤字国債を垂れ流しすることによって、将来世代からまさに前借りしながら社会保障サービスをやっていくということはもう困難であって、しかも欧州の危機などもあるように、財政規律もしっかりと守っていくという姿勢を考えたときには、やっぱり安定した財源を確保、これ待ったなしの状況だという思いでございますので、歴史に名を残すというよりも、まさにこれは歴史的な決断を今しなければいけない、そういう思いの下で推進をさせていただいているということであります。
  341. 片山虎之助

    片山虎之助君 この問題はもう少し後でやりますが、総理に苦言を少し。  総理は人事が下手ですね。いやいや、私は本当にそう思う。特に、不適任な人を選んで不適所に置くんですよね。適材適所と逆のことやっているんじゃないですか。五か月おられて、政権を持っておられて、辞職が一名、問責二人、改造でプラス三人ですよ、問責含めて。六人替わっている。今も問責有力候補が大勢おられる。いや、困ったものですよ。  人事というのはもっと神聖なものですよ、やっぱり。なった人よりもならせた人の方が責任が重いんですよ。任命責任感じていますか。
  342. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 私なりにそれぞれの閣僚の政治的な経験とか蓄積を踏まえて、私なりに適任と判断をしながらこれまで人選をしてきたつもりでございます。  それについての御批判は、それはとらえ方によってはそれはいろいろあると思いますので、甘んじてお受けしたいと思いますけれども、選任をしたそれぞれの閣僚においてはきちっと使命感を持って緊張感を持って職責を果たしていただきたいと考えております。
  343. 片山虎之助

    片山虎之助君 その大臣がおかしければ、国民は信頼しませんし、役所は大変なんです、本来の仕事より。イメージは落ちるし、もっと真面目で真摯に考えてもらわないと。人事権は総理にあるんでしょう。誰かほかの人に譲っているんですか。自分にあるんなら、今までの全てを反省してください。もう一度お願いします。
  344. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 閣僚の選任はもちろん私の責任の下でやっております。私が最終的に全て判断をしているということでございますので、御批判は甘んじてそれは受けなければいけないというふうに思いますが、引き続き、それぞれの職責を緊張感を持って果たしていただきたいというふうに考えております。
  345. 片山虎之助

    片山虎之助君 そこで、民主党政権二年半ですよ。民主党政権がいつも言われるのは、とにかく内閣がばらばら、司令塔がない、指揮命令系統が乱れているというのかな。会議や本部をつくるのがお好きで、つくりまくるんですよ。先ほども総理行政改革実行本部って、実行をわざわざ付けるのは実行できないからなんですよ。実行を付ける本部なんて珍しい。しかし、行政刷新会議や今までの会議は全部残っているじゃないですか。  そこで、今度副総理をお決めになった。官房長官と副総理はどういう閣内のまとめをやるんですか。私はこれで進むと思った。それがむしろぎくしゃくしているという話が聞こえてくる。総理、いかがですか、これも任命責任ですよ、あなたの。
  346. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 任命責任、もちろん私にありますけれども、岡田副総理、いわゆる副総理というのは、やっぱり大所高所から国政全般について助言をしていただくというのが基本です。その上で、今回大変重要な政策と考えている社会保障と税の一体改革とそして行政改革を主に担当していただくという役割分担になっています。その上で、官房長官はいわゆる総合調整を全体的にやっているということで、お二人の機能はきちっと分化して役割分担はしていると私は思っております。
  347. 片山虎之助

    片山虎之助君 もっと分かりやすい、国民から見てなるほどというようなことにしてくださいよ。あなたは重量感ありますよ、太っているから。しかし内閣には重量感も安定感もない、それが定評ですよ。是非そこをしっかりすることをお願いしたいんですが。  そこで、総理、施政方針演説で麻生元総理やそれから福田元総理言葉を引用されましたね。これは異例なんですよ。入れられたお気持ちは私分かりますよ。しかし、あのとき野党だった民主党はどういうことをしたのか反省されましたか。反対に次ぐ反対で法案も人事案件も全部潰して、福田さんも麻生さんも問責決議を突き付けられたんですよ。まあそのうちお辞めになりましたけれどもね、ほかの要因を含めて。  そこの反省がなければ、自分が与党になったから、政権を取ったからどんどんどんどん協力しろなんて、そんなこといくわけがない。こういうねじれが常態化すると、野党のときの立ち居振る舞いが政権与党の在り方を決めるんですよ。どういう反省がありますか。
  348. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 麻生元総理、そして福田元総理のかつての施政方針演説の部分を引用させていただいたのは、これは先ほど午前中も答弁申し上げましたとおり、私なりのこの一体改革についての問題意識を共有しているその共感から出ている言葉でございます。  それを使うならば、じゃ、おまえたちが野党時代のことを反省しろという御指摘は、それは一つよく分かります。我々もやっぱりやり過ぎた部分があったと思います、思います。ただし、これはお互いになんです。こういう形で与党、野党替わるようになりました。我々は野党時代のことを反省すべき点はあると思います。そのことは、お互いにもう与党、野党を経験したんで、我々は今、野党時代の風景を忘れてはいけない、忘れてはいけない。同じように、やっぱり野党の皆さんも与党を長い間経験されたんですから、その原風景を忘れないでお互いにかみ合う議論をしていきたいなと、そういう思いであの演説を引用させていただいたということであります。
  349. 片山虎之助

    片山虎之助君 総理、順序がまず逆なんですよ。総理の方が総括、反省しないと。それで、成熟した与野党の関係を私はつくっていくべきだと思うので、言われることは半分賛成ですけど、しかしそれは順序が違う。まず総括して反省して、それからですよ。そういうふうに思います。  そこで、総理、もう一つ。  これは、あなたが前の選挙で、衆議院選挙で街頭演説でやったマニフェストのことですよね。書いてあることは命懸けでやる、書かないことはやらないでいい、これがルールだと、こう言われましたね。私は、マニフェスト、マニフェストと重用し過ぎると今思っているんです。こんなものはと言っちゃいけませんよ。マニフェストは大切ですけれども、修正しようが訂正しようが直そうが落とそうが、それは勝手だと思う。  しかし、マニフェストの根幹にあるようなものを直して、それで何の釈明も謝罪もないというのは私は間違いだと思いますよ。政権交代のときのマニフェストは、無駄を省いて十六・八兆円を捻出して、これで全部マニフェストの政策を賄いますと、消費税は要りませんと、こういうことなんですよ。あなたが言われるように、消費税を上げておいて、四年後にやるから、政権が四年間で過ぎるから、こんな、だからそれはマニフェスト違反でないなんというのは、基本的にもう考え方が私は間違いだと思うが、いかがですか。
  350. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) ユーチューブで今随分私が流れている、演説が流れているそうでございますけれども、私が申し上げたかったのは、従来の背中に張るようなこう薬みたいに剥がれるような公約では駄目で、もっときちっと国民とのお約束は守っていかなければいけないと、そういう趣旨のマインドを申し上げさせていただいた次第であります。  その中で、マニフェストについては、去年の八月に当時の岡田幹事長の下で中間総括をさせていただきました。その中で、できたものがある、残念ながらできないものがある、整理をさせていただいた中で、できていないものについてはこれからまだ任期中にしっかり努力していかなければなりませんけれども、ただし、その総括の部分で、見通しの甘さがあったことについては率直に書いて、そのことについてはおわびをさせていただいております。  無駄遣いの徹底は、これまでも行政刷新会議、事業仕分などを通じて努力をしてまいりました。これも不断の努力でこれからもやっていかなければいけないと思いますが、今御指摘の十六・八兆とか、ちょっと数字に比べれば結果を出せていないということは事実でありますが、これからも無駄削減の努力はやっていきたいというふうに考えております。
  351. 片山虎之助

    片山虎之助君 見通しの甘さは当たり前なんですよ。見通しの甘さの上に全体の認識がおかしいんですよ。だから、これを直すのなら、もう一遍仕切り直しが必要、私は国民にきちっと説明をすべきだと。  これも後から申し上げますけれども総理が言われたことがまさに巨大なブーメランになって返っていると、こういうことを今盛んに言われていますよね。総理、それについて、マニフェストについてのあなたの言われたことを取り消すお考えはありますか、ありませんか、街頭演説で。
  352. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) マニフェストで申し上げたこと、そしてマニフェストに対する私の思いは基本的には変わりません。大事な約束であり、そしてこの任期中にはなるだけのことをやっていきたいというふうに思っております。  思っておりますが、例えば書いていないことをやらないというのはルールだと言ったところは確かに言い過ぎだったというふうに思います。書いていないこともやらなければいけないこともあります。それはやっぱり、その時々における政策の優先順位を決めて、現実政治に、国民生活のために対応するのが政治の役割だと思いますので、余り紋切り型で物を言ったところについては反省をしなければいけないというふうに思います。
  353. 片山虎之助

    片山虎之助君 いや、だから普通のマニフェストに載せるような項目はいいんですよ。根幹でしょう。十六・八兆円出す、無駄を省く、二百七兆円を見直して十六・八兆を出すと、消費税は要りません、少なくとも四年間、この政権の間は消費税のお世話になりませんと。これはもう根幹なんですよ、皆さんのマニフェストの。その根幹を変えるのなら、それだけの手続誠意を示さないと。あなたは正心誠意と言っているじゃないですか。正心も誠意もないと思いますよ、私は。
  354. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) マニフェストの理解ですが、消費税ですね。ですから、十六・八兆をやるから消費税要らないという言い方はマニフェストの中では決してしていないわけですね。十六・八兆で我々の新しい政策をいろいろやっていくと。消費税については、我々の任期中に上げないということを申し上げたところで、議論もすべきでないという、そういう議論も党内に一時ありました。  実は二〇〇九年の代表選挙で、鳩山さんと私で代表選挙をやったときにこのことが議論になりました。やはり議論すらしないのはやっぱりおかしいと、議論はするんだと、しかし任期の間に実際にその負担が増えるようなことはしないと、こういうことで整理した経緯がございますから、マニフェストに書かれていることはそういうことで御理解いただきたいというふうに思います。
  355. 片山虎之助

    片山虎之助君 いや、それはやっぱり私はどうしても詭弁、こそく、小細工に聞こえますよ。  そこで、総理、消費増税については不退転の決意だと、とことんやり抜くと、あなたは言われましたね。これからどう進めるんですか。退路を断っているんですよ、あなたは、政治的には。どう進められますか。
  356. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 一月の六日にいわゆる素案をまとめさせていただきまして、それについて御議論をいただくように、今与野党協議を呼びかけさせていただいております。引き続き、与野党協議実現できるように努力をさせていただきまして、その協議を経た後にいわゆる大綱として閣議決定をし、そしてそれに基づいて法案作成の準備に入っていきたいと思いますし、その法案については、今の法律に基づいて今年の三月末まで、年度末までに法案を提出をし、その暁に御審議をいただいて、その成立に向けて全力を尽くしていきたいというふうに考えております。
  357. 片山虎之助

    片山虎之助君 私は、これを打開するには、新しい年金制度の財政試算を含めて全体像を、こうなったら相当先の話ですよ、難しいんだけれども、できるだけ早く示すことがまず一つ。  それから、皆さんがおまとめになった一体改革の素案というのが気に入らないんだけれども、これを閣議決定して、与党の責任で閣議決定して、それに基づく関連法案を作って国会に提出することが二つ目。  それで、三つ目は、マニフェストについて、消費税を言わなかったこと、しかし今回は消費税を中心にするということについてちゃんと国民に謝罪をする、野党の了承を取ることですよ。その上で与野党協議に入れるかどうかですよ。入れなければ行き詰まりますよ、あなたの政権は。六月末が会期なんだけれども、そのときどうやるか。私は、解散権を使って、選挙前か選挙後の与野党協議を野党に約束してもらって、それを打開するしか道はない。簡単に言うと話合い解散ですよ。そういうお考えがありますか。
  358. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 法案を提出し、そしてその成立に全力を期すということは、これは先ほど申し上げたとおりでありますが、解散云々についてはこれは軽々に話す話ではないというふうに思っております。
  359. 片山虎之助

    片山虎之助君 与野党協議をどうやって進めるんですか。それしか、今私が言ったようなことしかないんじゃないですか。一体改革の素案を与野党協議なんて乗ってきますか、野党が。そんな妙な片棒、妙なことはありませんが、片棒担ぐことにはそれは乗りませんよ。
  360. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 委員もよくお分かりの上で言っておられることではありますが、やはり今の状況を長く続けるわけにはいかないと、社会保障制度を持続可能にしていくためにも消費税を引き上げることは避けられないと、それは自民党もさきの参議院選挙でそのことを踏まえて一〇%ということを言われたはずでございます。そういう思いが共通にあれば、これは必ず話合いができるはずであるというふうに考えております。  各党それぞれ御意見ありますが、党というよりは各個人を見ますと、やっぱりここは協力して消費税の引上げについて議論をし、そしてそれに見合った社会保障制度の中身議論して、そして国民の信頼にこたえるべきだと、そういう声は私は国会議員の中にたくさんあるというふうに確信をしておりますので、是非、御党におかれましても、しっかりと中で御議論いただき、国民の立場に立って中身の話合い、特に社会保障制度については、一旦法律にしてからまた直すというのはなかなか大変なことでございますから、しっかりとあらかじめ議論をして、そしてその上で消費税の引上げと社会保障の一体改革、これを是非実現させていただきたいと、こう思っております。
  361. 片山虎之助

    片山虎之助君 いや、反省がないんですよ、反省がない。責任を感じていない。もしそれをやるんなら、そのための手続が要るんですよ、そのためのお互いの信頼が要るんですよ。その努力をどこにしていますか。打開できませんよ。打開できなかったらどういうことになるかなんだ。  そこで、もう一つ。  総理、この消費増税やるには身を切る努力ということが言われているでしょう。今日も大変な議論がありました。国会議員の定数削減と国家公務員の給与の、まあ二割か何かは知りませんが、二割に近い縮減は、これは今は国民のある意味ではコンセンサスになりつつあるんですよ。これをしなくて消費増税なんかできませんよ。どうお考えですか。
  362. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) それは片山委員の御指摘のとおりだというふうに思います。行政改革をしっかり政府が取り組んでいるのか、そしてまずは隗より始めよで、定数削減を含めて政治改革やっているのか、そのことをよく今国民は注視をしていると思いますので、国民の皆様に社会保障を支えるための安定財源として御負担を、消費税をお願いをするとするならば、当然このようなこともしっかりと対応していく、この国会中に結論を出していくということは、これは必要だというふうに考えております。
  363. 片山虎之助

    片山虎之助君 それなら、国会議員の定数削減と国家公務員の給与の削減、縮減でもいいんですが、それの施行日の後でなければ消費増税は実行しないと、消費増税の法案の施行はしないと約束できますか。
  364. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 施行日云々というよりも、そのことに対して結論をこの国会中に出すと。行革もやります、政治改革もやりますということを国民にお示しすることが大事だというふうに思います。
  365. 片山虎之助

    片山虎之助君 お示ししてもできなきゃ一緒なんですよ。だから、それが覚悟なんですよ。両方の改革をやった後に消費税を上げますと、施行日を。だから、今、あれでしょう、二〇一五年の四月と二〇一六年の十月でしょう。仮にそこから消費税を上げるとすれば、その前までにその今の二つの、改革の中身はともかくとして、やるということを約束を、具体的に法律の施行という形をきちっと整えられますかと言っているわけですよ。
  366. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) これは、特に国会議員の数の方は、これはまさしく国会の中で御議論いただくことで、政府がその実施まで約束するわけにはいかないというふうに思います。したがって、まさしく国会で与野党で御協議いただき、そして是非結論を得ていただきたいというふうに考えております。  公務員の方も、法案をいろいろ出すということはできますが、最終的にこれを可決するかどうかというのはこれは国会がお決めになることなので、まあ実施までと言われると、それは無理があるというふうに思います。
  367. 片山虎之助

    片山虎之助君 岡田さんが出てくるのがいいのかどうか、私もよく分からぬのですがね。  そこで、公務員の給与で、地方公務員なんですよね。今度の消費税は地方ももらうんですよ、御承知のように。そうなると、理屈としては、消費税の前提として公務員の給与を縮減するんなら、地方公務員もしないとおかしいということになる。ただ、地方は独自に今まで国家公務員以上に切り込んできているところもたくさんある。そういうことはどうお考えですか。まあ、ちょっとついでと言っちゃいけませんが、総務大臣
  368. 川端達夫

    国務大臣(川端達夫君) 地方公務員の給与については、もう御案内のとおり、地方公務員法で独自にやるということが原則でありますが、国がそういうことに関しては、国及びその地方公共団体の職員の分は周辺の状況を見極めてしっかり独自に決めるという法の立場であることは御案内のとおりでございます。  そういう中で、社会保障と税の一体改革の中で、地方の福祉、社会保障と国の社会保障両々相まって支えていくという共通の認識の下で配分を決めました。そういう意味では、そのことに関して、地方がその分の消費税の一定額から配分されるということでございますので、しっかりとその分を踏まえてやっていただくということが前提でありますけれども、地方公共団体における行政改革については、今委員御指摘のように、これまで独自の給与削減措置や国を上回る形での率の定員削減等も独自に取り組んできておられます。  国家公務員に関する措置は国の立場で自ら行うというものであるのに対して、地方公務員に関しては地方自治体に取組を求めるものということで、そこの立場は違いますけれども、しっかりやっていくという共通の認識の下に、地方の実情に即して丁寧に議論をお互いにやってまいっていきたいと思っております。
  369. 片山虎之助

    片山虎之助君 言多くしてよく分かりませんわな。まあ時間がありませんから、そこでもう一つ、消費増税をやるには景気の回復というか景気の好転なんですよね。  平成九年に橋本政権のときの三パーを五パーにしたときは、今より経済状況がはるかに良かったんですよ。ところが、ほかのこともありましたよ、あのときは。あれをやったおかげで、景気はどっと悪化するんですよ。後の小渕政権以降が大変な景気対策をやることになったんですよ。今よりは良かったんですよ、あのときは。  そこで、今やることは、今日も質問が今までありましたけれども、まずデフレや円高の克服であり、そのための内需の拡大なんですよ。今一番必要なのは、民間が、金はあるんですよ、そこそこに、金融緩和もあって。今、GDP比で日本の民間の資金は、貯蓄はプラス一〇%だという。日本はプラス一〇%。ギリシャはマイナス七%なんですよ。少なくともそういう資金情勢からいうと、ギリシャと日本は月とスッポンなんですよ。ところが、民間がみんな借金返しや貯金に行って、それを有効需要として回さない。  それで、そのときに国や地方自治体もそれをやったらどうなりますか。景気が悪化するだけですよ。悪化したときに増税しても増収はないじゃないですか。まず、そのためには思い切った景気の回復を図らにゃいけませんが、なるほどずうたいは四次補正も来年度当初も膨らんでいますよ。しかし、それが本当に景気対策として、経済対策として有効かどうか私は疑問を持っておりますが、どういうお考えですか、総理
  370. 石井一

    委員長石井一君) それでは、まず古川戦略大臣、簡単に御答弁いただきたい。
  371. 古川元久

    国務大臣古川元久君) 委員おっしゃるように、とにかく経済再生に向けて全力を尽くしていかなければいけないと思っています。それは、総理もいつも、財政健全化と経済再生、これは車の両輪だと。まして、とにかく、少なくとも二〇一四年の四月まではこれは消費税を上げるわけではありませんから、この二年間はとにかく経済再生に取り組むということで、今様々な施策、円高など総合対策もやっておりますし、またデフレ脱却に向けて政府も頑張っています。日銀にももっとこれは頑張ってもらわなきゃいけないと思っていますが、そうしたこともやっております。  さらには、これ復興需要がこれから発現してまいりますが、それを早期に発現をさせるような状況をつくっていくと同時に、今おっしゃった、民間のやっぱり投資意欲をどう引き出していくかということは極めて重要なことでありまして、これは新成長戦略、さらにはそれを再強化した日本再生のための基本戦略、そうしたことも一つ一つ実現をしていく、これが昨年の三次補正、そして今回お願いをしている四次補正、そしてさらには二十四年度予算、そういう中にも盛り込まれておりますので、そうしたことを一つ一つ着実に実行してまいりたいと思っております。
  372. 片山虎之助

    片山虎之助君 四次補正というのは昭和二十二年以来ないんですよ。大震災だから、私はしようがないと思うけれども、もう既に十九兆円になっていますわ。集中投資期間の五年間は、これは財源がありますよ。これから上積みやったらどうするのか。まあ時間がないからもう聞きませんけれどもね。  そして、こういうときには、民間が引っ込んでいるときには、財政が出ていくか、民間を引っ張り出さにゃいかぬのですよ。財政が出ていくためには、今の四次や来年度当初予算では私は経済対策として不十分だと思うので、経済対策に特化した補正を組む覚悟がありますか。あるいは民間資金を引き出すためのインセンティブを与える投資減税だとか大幅な規制緩和だとか、そういうことの用意がありますか。
  373. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) 今、四次の審議をしていただいておりますので、まずこれをしっかり上げて、先生、本予算をまずしっかり執行するということはやっぱり非常に重要なことだと思います。お給料のことも、それからそれぞれの地域経済のことも、昨年は、例えば公共事業の執行も、大震災のこともありまして五%執行停止を十月まで続けていたんですね。そういうことがあって、やっぱり活性化というのになかなか足かせになりました。  今、復興の予算も、皆さんのおかげで特別会計でやりますので、これをきちっとやって、その上で、本予算は地域のそれぞれの公共事業等にしっかり充てていきたいというふうに思っております。
  374. 片山虎之助

    片山虎之助君 四次まで復興で予算を組みながら、執行率を言わないじゃないですか、幾らやっているか。ほとんど繰越しじゃないですか。執行体制も整っていますか、人的に。どうしていますか。どなたが答えるか。総理
  375. 石井一

    委員長石井一君) それじゃ、平野復興担当大臣
  376. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 執行体制、国と地方、両方ありますけれども、国は国でしっかりとしたこの体制が整っていると思います。特に、災害復旧についてはスケジュールをしっかり示しました。そのスケジュールにのっとって、海岸堤防の復旧あるいは港湾の復旧、漁港の復旧、これは進みます。  問題は被災する自治体の取り組む事業でございまして、これはもう絶対的なマンパワーの不足というのはこれはずっと指摘され続けておりまして、これは今、自治体間の協力、それから今、川端大臣も、現地に職員を派遣して実情を更に把握するとともに、それを把握した上で各自治体にまでお願いをする、また国も必要な応援をすると、そういう形で体制はしっかり整えてまいりたいというふうに思っておりまして、執行体制そのものに対しては万全を期したいというふうに思っております。
  377. 石井一

    委員長石井一君) 最後に、野田内閣総理大臣
  378. 片山虎之助

    片山虎之助君 いや、最後はもうちょっと残っている。
  379. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 今般、四次補正お願いしていますが、これまで成立させた三次までの補正、全て基本的には年度内に執行できるように、今、平野大臣から御説明がございましたけれども、万全を期していきたいというふうに考えております。
  380. 石井一

    委員長石井一君) 残っていないけど、許します。簡潔に。
  381. 片山虎之助

    片山虎之助君 国民は消費増税はやむを得ないと思っているんですよ。しかし、今のメディアの世論調査を見ると、どんどんどんどん反対が増えているんですよ。それは何でかと思いますか。身を切る努力が足りないこともあるけど、政治の不信なんですよ。その責任は私は政府と与党にあると思いますよ。猛省をしてください。それがなければ消費増税なんかできません。  終わります。
  382. 石井一

    委員長石井一君) 以上で脇雅史君、林芳正君、礒崎陽輔君及び片山虎之助君の自由民主党・たちあがれ日本・無所属の会の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  383. 石井一

    委員長石井一君) 次に、中谷智司君の質疑を行います。中谷君。
  384. 中谷智司

    中谷智司君 皆さん、こんにちは。民主党中谷智司です。  今日は、野田総理を始め、閣僚皆様方と真剣な議論をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  昨年は東日本大震災という国難ともいうべき大震災が発生をいたしました。そして、私の住む徳島県でも台風の被害がありました。この台風の被害は、徳島県以外、全国各地で大きな被害がありました。そして、今、今年に入っては、日本海側を中心として大雪の被害が出ています。  野田総理、この災害に対する対策を真剣に打ち込んでいただきたい、早く打ち込んでいただきたい、そういうふうに思っています。お願いいたします。
  385. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 中谷委員御指摘のとおり、昨年の十一月以降、日本海側を中心に平年を上回る積雪があり、地域によっては平年の二倍以上の大雪となっております。この雪害によりまして、二月三日時点で六十三名の方が亡くなられるなど、大規模な人的、物的被害が生じているところでございます。まずは、お亡くなりになられた方に心からお悔やみを申し上げるとともに、被害に遭われた皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。  政府では、今月の二日に大雪対策に関する関係閣僚会議を開催をし、私から各閣僚に対しまして三つの指示をさせていただきました。一つは、被害情報の共有、集約に遺漏なきを期し、人命救助を第一に救出・救助活動を始めとする災害応急対策に全力を挙げること、二つ目に、地方自治体と緊密に連携をし、被災地域の道路、ライフラインの確保に万全を尽くすこと、そして三点目に、地域住民の皆様の目線に立ち、政府一丸となって生活支援、復旧対策に当たることでございます。  財政措置についても万全を期すということでありまして、例えば地方公共団体の除雪、排雪、こういう経費については、普通交付税の措置額を超える場合に特別交付税措置により対処すること、あるいは場合によっては予備費の活用、こういうことも含めて対策に、財政によって何かができないということのないようにしたいと思います。  降雪量が特に多い中山間地域等では高齢者の方々も多く、地域ぐるみできめの細やかな対応が必要とされるところでございますので、政府としては、引き続き地方自治体と緊密に連携しながら可能な限りの対策を講じてまいりたいというふうに考えております。
  386. 中谷智司

    中谷智司君 丁寧に御説明をいただきまして、ありがとうございました。  被災された方々は本当にお苦しみになられていると思います。今言ったような対応を迅速にお願いをいたしたいと思います。  野田総理は施政方針演説で、野田内閣がやらなければならないこととして、東日本大震災の復旧復興、福島原発事故の収束、そして日本経済の再生を挙げられました。これらは全て大変重い課題で大変難しい課題です。野田総理は、どういうふうな覚悟をお持ちになって、どういうふうな姿勢でこれらの難しい課題に取り組もうとしているか、そのことをお聞かせください。
  387. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 御指摘のとおり、昨年の九月に野田内閣が発足をしたときに申し上げさせていただきましたけれども、我々が取り組まなければいけない大きな三つの課題は、震災からの復旧復興、そして原発事故との戦い、経済の再生であります。これは引き続き今年もその取組を強化し、そしてその事業をスピードアップしていきたいというふうに思います。  特に、被災地においては、これはやっぱり三次の補正にわたりまして、復旧から復興に向けてだんだん本格的な対策を講じるようにしてまいりましたけれども、何といっても、福島に生まれてよかったと、あるいは宮城に生まれてよかった、岩手に生まれてよかったと、いずれの日にか思っていただけるような日本をつくっていきたい。そのためには、国民の皆様にも御理解をいただいて復興財源等で御協力いただきますけれども、被災地の再生を通じてまた日本を元気にしていきたい、そういう思いを込めてしっかりと仕事をしていきたいというふうに思います。
  388. 石井一

    委員長石井一君) ちょっとお待ちください。     ─────────────
  389. 石井一

    委員長石井一君) この際、御紹介いたします。  本日、マレーシア上院議長御一行が参議院を訪問されまして、ただいま本委員会の傍聴にお見えになりました。  御起立の上、拍手をもって歓迎の意を表したいと存じます。    〔総員起立、拍手〕
  390. 石井一

    委員長石井一君) 御着席ください。     ─────────────
  391. 石井一

    委員長石井一君) 質疑を続行いたします。
  392. 中谷智司

    中谷智司君 野田総理から大変思いのこもったお言葉をいただきました。そして、非常に大きな覚悟を持ってこういった大変難しい課題に取り組んでおられることが伝わってまいりました。  今日は、野田総理日本の経済のことについてお話をさせていただきたいと思います。つまり、野田総理が私たちの国日本をどういう国にしていこうか、そのことがなかなか国民の皆様方に伝わっていないと思います。もっともっと国民の皆様方野田総理やあるいは野田内閣の考えを伝えて、そして国民の皆様方の御支援をいただいて応援をいただかなければ、こういった難しい課題は解決をできないと思っています。  パネルに出していますけれども、(資料提示)今の日本のことをもう一度、皆様方御存じだと思いますけれども、改めておさらいをしたいと思います。私たちの国日本は、人口減少の時代へと突入しようとしています。そしてもう一枚、そして既に少子高齢化の時代に突入をしています。人口が減り、十五歳から六十四歳の生産年齢人口も減って、以前のような成長を見込みにくい時代を迎えて、経済や財政や金融やあるいは年金、医療、介護、こういったことが大きな問題となって今噴出をしてきています。午前のこの予算委員会議論でも、経済のことなどあるいは社会保障のことなど、議論がありました。  こうした状況の中で、野田総理がどういうふうな国をつくろうとしているのか。例えば、希望ある国をつくろうとしている、あるいは経済成長をして豊かな国をつくろうとしている、あるいは社会保障制度を充実をさせて安心ある国にしたい、そういうふうな言葉を是非とも野田総理のお言葉でお話をいただきたい、そう思います。
  393. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 私自身は、希望と誇りある国をつくりたい、この国に生まれてよかったと思える国というのが希望と誇りのある国だというふうに思います。  そういう国をつくるために、今、当面の国難、先ほど申し上げた震災からの復興とか、原発事故への対応とか、経済再生に努めていかなければなりませんけれども、あくまで理念としては、この国に生まれてよかった、そういう国をつくるためには経済政策をしっかり講じ、そして雇用対策をしっかり講じ、社会政策をしっかり講じ、あらゆる政策動員をしなければいけないというふうに思います。少なくとも、働こうと思えば働けるという社会、仕事のある社会、そして希望すれば結婚をし家庭を持てるという社会、そして社会に貢献しようという、自分の居場所、出番のある社会、そういうチャンスに満ちた社会をつくることがまさに希望と誇りの持てる社会だ、国だというふうに理解をしています。
  394. 中谷智司

    中谷智司君 今、野田総理から希望と誇りというお言葉をいただきました。国民の皆様方は、野田総理に対するイメージというのは、多分真面目で手堅い、しかしなかなか前向きな意見をお話しになられない、そういうふうに思っておられるんじゃないかと思います。私自身は、野田総理は朴訥で誠実で、今のお人柄が大変すばらしいと思っておりますけれども、国民の皆様方にはその野田総理の人物やお人柄が伝わっていない。もっと言えば、どんな国をつくろうとしているか、どんな経済成長をしようとしているか、そういうふうなことが伝わっていないと思います。  野田総理のお言葉で、特に今日は経済のこと、社会保障と税あるいは財政健全化、これももちろん大切ですけれども、どんなことで私たちが生活をし、仕事をし、そして利益を得て、そして人生を歩んでいくのか、こういうふうなことをお話をいただきたいと思います。
  395. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 若い世代の知らない社会だと思うんですが、今もまたパートスリーが上映されていると思いますけれども、「三丁目の夕日」という、私は映画が大好きなんですね。それは単なる大人のノスタルジアじゃなくて、あの鈴木モータースの社長のようにばりばり希望を持って仕事をしていた、家族も従業員も今日より明日は良くなろうという、そういう希望を持っていた時代というものを私はもう一回つくりたいと思うんです。  もちろん、あの高度成長期のように毎年一〇%成長なんということは、それは途方もないことであります。しかし、少なくともこの失われた二十年というのは、少なくとも失われた二十年、ここ二十年に生まれた人たちは、特に若い人たちは、高度経済成長も知らない、バブルも知らない人たちは、今日より明日が良くなるという実感を持ったことがないし、常に不安を持っていると思います。それを取り除いていくということがまず大事だというふうに思います。そのための、先ほど申し上げたとおり、経済政策や社会政策というものをしっかり講じていくことが大事だと思っております。
  396. 中谷智司

    中谷智司君 今、不安を取り除くと言ってくださいましたけれども、経済に対して野田総理は施政方針演説の中で、中小企業、農業あるいは環境・エネルギー、そして医療・介護、こういったことをお話をされていますけれども、具体的にどういうふうな政策を打ち込んで経済成長をしようとしているか、その件についてお聞かせください。
  397. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 基本は新成長戦略を加速させて日本再生戦略を、これを年央までにまとめますが、例えば新成長戦略に出てくるのはライフ・イノベーション、グリーン・イノベーション。ライフ・イノベーションの分野でいうと、例えば医療・介護の分野においては潜在的な需要がまだいっぱいあります。少なくともこの十年間で雇用は百五十万人吸収してきたと思います、新たに。一方で、じゃ土建業界はどうかというと、百万人減ってきています。  というように、医療・介護と健康の分野においてイノベーションを興していく。iPS細胞を生かして対応するとか、介護ロボット云々とか、いろいろとイノベーションの分野はいっぱいあると思います。そういうところに力を入れていこうというのが一つ。  ただし、これは人口減少の時代でありますので、内需だけではやっぱり日本の成長を図るということは難しい面もあると思います。外需も取り込んでいかなければいけません。内需を創出し、そして需要を満たしていくということも大事ですが、外の需要も積極的に取り込んでいくことが必要であります。そのためにも、経済連携を進めていくとか、あるいはいわゆるアジアでもこれから中間層増えてまいりますから、その巨大な中間層に光を当てる、あるいは膨大なインフラ需要がある、だからパッケージ型インフラを輸出するとか、そういう外需、内需それぞれ需要をつくり、そして取り込んでいく取組をしていきたいというふうに思います。
  398. 中谷智司

    中谷智司君 そういったお話をもっともっと国民の皆さんに伝えていくべきだと思います。  今、内需あるいは外需というお話をされましたけれども、両方とも全て取り込んでいく、そして経済成長をしていく、そういう認識でよろしいでしょうか。
  399. 石井一

    委員長石井一君) 野田内閣総理大臣。(発言する者あり)  それじゃ、まず古川戦略大臣
  400. 古川元久

    国務大臣古川元久君) これは、まさに内需ももちろん拡大していかなきゃいけません。総理からもお話がありましたように、医療・介護の分野とか環境・エネルギーの分野、言わば今までここは規制や様々な要因の下に市場の拡大が抑制されていた部分あります。そうした分野について思い切った規制改革を行うことなどによって市場を拡大していく、そういった意味で内需の拡大は大事です。  同時に、やっぱりアジアの成長というものに取り組んでいかなきゃいけない。そういった意味では外需の拡大も目指していく。  内需、外需共にやっぱり拡大を目指していくというのが政権としての方針でございます。
  401. 中谷智司

    中谷智司君 今、古川大臣からお話がありました。内需も外需も取り込んでいくというお話でした。    〔委員長退席、理事川上義博君着席〕  新成長戦略の中で二〇二〇年に名目成長率三%、実質成長率二%という数字を立てておられますけれども、これは先ほど私がお話をした人口減少、そして少子高齢化、もちろん内需だけを考えていれば大変難しい数字だと思いますけれども、この件について達成可能、できるんでしょうか。
  402. 古川元久

    国務大臣古川元久君) 先ほどの図表でもありましたけれども、やっぱり労働力人口が減少していくと、これは明らかに成長にマイナスに寄与します。そういった意味では、従来の過去の延長線上の中で数字を積み上げていくだけでは、これは二〇二〇年までの平均で名目三%程度、実質二%程度という目標を達成するのは、これは容易なことではありません。  しかし、だからこそ、これ供給面でいいますと、生産性を大きく上昇させるということが極めて重要になってまいります。この生産性を大きく上昇させるにはどうしたらいいかといったら、やっぱりこれは今までの枠にとらわれないような、そういう新たなイノベーションを実現できるような環境をつくっていく。  例えば、新しい企業が生まれてくると。この二十年ぐらいを考えてみますと、廃業の割合の方が多くてやっぱり創業が少ないんですね。今の大企業も最初はやっぱり小さな企業だったわけであります。そういった意味では、新しい企業が生まれてくる、そこから新しいまた市場も生まれてくる部分あると思います。そうしたこともやっていかなきゃいけません。  また、企業再生も大事なんですね。従来のビジネスモデルにやはりこだわっていてなかなか新しい時代に対応できない、そういったところを再生させることによってまたここが成長力を取り戻すということがあります。そうした生産性の向上を実現するというのが一つ。  あと、労働力人口が減少する部分ですね。じゃ、日本でもうこれは人口が減るから仕方がないのかといえば、まだやっぱり女性の力というものは十分生かされていない部分があります。女性をもっと活用できるようなやっぱり環境をつくっていく。あの子ども・子育てのプランを作っているのも、まさにこうした女性の活力を活用していこうということでありますし、高齢者の方々も、これももうリタイアして労働人口ではないというふうに考えるのではなくて、お元気な方々にはやっぱり働いていただくということで、マイナス面を少なくするのと同時にプラスに生産性の向上をさせる、そのためのあらゆる政策を取っていく。  特区制度なんかまさにそういうことでありますけれども、そうしたことによってマイナスの面を少しでも減らしプラスを伸ばす、そのことによって是非二〇二〇年の目標を実現をしてまいりたいというふうに思っております。
  403. 中谷智司

    中谷智司君 私が申したいのは、決して政府の経済政策が間違っているというのではなくて、今、世の中の環境が余りにも厳しい。人口減少、少子高齢化、そして先ほどから議論に出ている円高・デフレ、こういった環境の中で成長していくというのは非常に難しい。  その中で、例えば、政府もやっていますけれども、自動車やあるいは住宅といった経済波及効果の高い政策を打ち込んでいく、あるいはアジアを始めとする海外の成長を取り込んでいく、そういったあらゆる手を打ち込んでいかなければならない。しかし、それでもなかなか経済成長というのは難しい。だから、古川大臣が経済演説の中で言われたイノベーションに期待をしています。だからこそイノベーション、先ほどいろんなお話をしてくださいました。その中でも古川大臣がこれぞというのがあれば是非ともお話を聞きたいんですけれども
  404. 古川元久

    国務大臣古川元久君) まあイノベーションというのは、非常に、技術革新という、まあ単純に訳すとそういうふうに訳されがちなんですけれども、もっと広い意味なんですね。今までの発想を変えていく。先ほどもちょっと企業再生なんかで申し上げましたけれども、従来の枠にとらわれないそうした新しい業種が入ってきて、今までの古い業種のところにある技術を使っていく、そうしたことも一つのイノベーションなんです。  また、特区において今度五年間、まあ復興特区においては五年間法人税無税というようなことも実現をすることになりました。こうしたところで規制も緩和をしたりして、ここで新しい事業が生まれてくる、その中からやっぱり生まれてくるんだと思います。  イノベーションそのものを政府が実現することはできませんが、大事なことは、やっぱりイノベーションが実現しやすいような環境を提供することはできるんですね。ですから、新しく事業をやろうとする人たちに資金を提供するぐらいのファンドをつくっていくとか、様々な、要するにイノベーションをやりたい、何か新しいことをやろうとする人たちに、そこにインセンティブを与えていくと、やっぱりこれが一番私たち政府としてやっていかなければいけない大事な政策だというふうに思っております。
  405. 中谷智司

    中谷智司君 おっしゃるように、イノベーションというのはもちろんそんなに簡単なことじゃないんだと思います。考え方と考え方、あるいは人と人、あるいは国と国、いろんな組合せがあった中で、これは本当に難しいと思うんですけれども、多分そこに化学反応が起こったときにイノベーションというのが起こるんだと思います。  そこで、野田総理にも古川大臣にも、そしてここにいらっしゃる皆様方にも是非ともお願いをしたいんですけれども日本という国は新しいものが出てくるときになかなかそれを受け入れにくい風土があると思います。しかし、新しいものができるときにはそれをきちんと受け入れる、そういうふうな体制をつくっていくということも非常に大切だと思いますけれども古川大臣、その点に関してはどういうふうにお考えでしょうか。
  406. 古川元久

    国務大臣古川元久君) まさにおっしゃるとおりで、やはり人間、どうしても過去の延長で、特に我々の世代は過去に言わば右肩上がりを経験しています。しかし、さっきから総理もおっしゃっているように、このバブル崩壊からの二十年に生まれた子供たちは、そして若い世代はそういう右肩上がりを経験していないんですね。やっぱりこうした人たちに、ああ、頑張ればできるんだ、ああ、こういう成功例があるんだという、やっぱり私は一つでも二つでも具体的な事例を見付けていくということが、こういう人たちがまた原動力になって次の時代を築いていくんだろうと思うんですね。  そういう中では、我々の世代、過去そういういい時代を経験した者は、ある種やっぱりそれにとらわれることなく、ここはやっぱり、今時代が大きく変わっているわけでありますから、あえてそこは、自分たちにとって厳しいことであっても、次の時代に進むためにはこれは乗り越えていかなきゃいけないことだと、そういう変化に伴う様々な痛みというものは、それは次の世代に対してこの社会をちゃんとバトンタッチをしていく者の務めとして、それはやっぱり受け入れていくということが必要ではないかというふうに思っております。
  407. 中谷智司

    中谷智司君 今、古川大臣がお話をしてくださいましたけれども、私も全く同感でして、今までこの日本をつくってきてくださった先輩方の知識や経験というのは非常に重要だと思います。しかし、今時代が大きく変わろうとしている中で、多分その成功体験が場合によっては邪魔になってしまう、そういうふうなこともあるんだと思います。だからこそ、野田総理最初にお話をされました、若い方々のお話をされました、若い方々にチャンスを与えられる、そういうふうな国づくりをしていかなければならないと思います。今はむしろ、若い方々は大変苦しい中でもがき苦しみながら頑張っておられます。そういったことに是非とも取り組んでいただきたいと思います。  そして、午前中にもお話がありましたけれども、円高とデフレのことについても私も少しお話をさせていただきたいと思います。  この円高については、米国の景気後退懸念やEUの信用不安があり、日本の経済が相対的に評価をされていて円高になっている。円高というよりも、むしろドル安やあるいはユーロ安というのが正しい表現かもしれません。そして、政府も為替介入をして円高基調を変えようとする。もちろん、取組としては大切ですし、こういった姿勢を国民の皆様方あるいは産業界に示していくというのは大切ですけれども、これが簡単に円安の方向に変わるわけではありません。  ということは、私たちが一方考えなければならないのは、円高のときには円高メリットをきちんと取り込んでいく、円安のときには円安メリットを取り込んでいく、こういうふうな柔軟な政策を打ち込んでいかなければならない、そういうふうに思っていますが、総理はどのようにお考えでしょうか。
  408. 川上義博

    ○理事(川上義博君) 古川担当大臣、まず。
  409. 古川元久

    国務大臣古川元久君) おっしゃるように、やはり円高への対応というものをこれは守りと攻めと両方やらなければいけないと思っています。したがいまして、昨年まとめました円高への総合対応策におきましても、やはり守り、痛みの部分にこれ手当てをしていくという部分。そして、攻めとしては、為替相場に左右されない、為替が上下しても同じ値段でちゃんと出せると、もうけが減るということのない、やっぱりそういうオンリーワンの技術を持ったような企業を育てていく、そのための立地補助金なども拡充をさせていただきました。そうしたこともやらせていただいております。  また、この機会に円高を利用して、将来的な日本にとっての重要な資源の獲得であるとか、さらには将来成長が見込まれるような企業をMアンドAをしていく、そうした資金も外為特会を利用して大きくこれを拡充をして用意をさせていただいております。  こうした攻めと守り両方を行うことによって、中長期的にはこうした為替構造に左右されない強靱な経済構造をつくっていくということが大事だというふうに考えています。
  410. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 今の大臣答弁なんですが、やっぱり為替というのは両面あると思うんです。円高によって苦労する業界、特に輸出型の物づくり、製造業、特にそこに連なっている中小企業などは御苦労をされます。したがって、中小企業に対する金融支援などはこれ強化していくということ。それともう一つは、さっきの説明のとおり、攻めていく分野、円高によって今チャンスという産業もありますよね、そこをやっぱり資源とか企業とかをどんどん買収できる仕組みというものを併せてやっていく。  どっちかというと、為替というと苦しい方の悲鳴がいっぱい入ります。それにはこたえなければいけません。それは強靱な経済をつくってその為替に対応できるようにするということと、今言ったように、守りのところで一番困っているところを手助けをするという政策と、一方で、余りこれ声が出てこないんですが、プラスになっているところ、今申し上げたように、そのメリットを生かした、今回の場合だとやっぱり海外の資源等々をもっと買い求めて日本が取得できるというような体制をつくること、両面この円高の対策というのはあるというふうに思います。
  411. 中谷智司

    中谷智司君 今お話しくださいましたけれども、おっしゃるとおり、海外に事業を展開をしている輸出型の製造業はこの円高で大変苦しんでおられます。しかし、その中でも努力をしながら抵抗力を付けています。  中小企業はなかなかそういうわけにもいかない。こういった企業に対してはきちんとした痛みの緩和をしなければならない。これはもう政府が今やってくださっていますけれども、それに加えて、やはり円高のときにはきちんとしたメリットを政府としては取れるようにして、そしてそれをきちんと企業に還元してあげる、こういうふうなことを考えていかなければならないと思います。  そして、午前中の話の中でも出ましたけれども、今世界中の国が自国の経済を良くするために、さながら自国通貨安合戦をしています。しかし、その自国の通貨が安い、そして経済が良くなっている、そういった国でも、この日本の国の通貨が高いことについては多分懸念をしている面もあると思います。だからこそ、この円高メリットを使って日本政府としても政策を打ち込んでいかなければならない、経済対策をしなければならないと思っています。しかし、聞くところによると、まだまだこの点においては中国や韓国と比較して日本は弱いように思います。  その点については、枝野大臣、どういうふうにお考えでしょうか。
  412. 枝野幸男

    国務大臣枝野幸男君) 経済産業大臣として答弁させていただきます。  御指摘のとおり、この円高、苦しい面もたくさんあるだけに、そのメリットを生かさなければならない。特に我が国は資源小国でありますし、昨年の電力の状況を踏まえますと、石油等の地下資源、それからレアメタル、いずれにおいても、この機会にできるだけの資源を確保するべく、私も九月に就任以来、省内そしてJOGMECなどに最大限のことをやるようにという指示をしてやってきております。  なかなか目立たないんですけれども、例えば本年度だけでも、カナダのシェールガス田の買収、マレーシア、先ほど国会議員団の方がいらしていただいていましたが、石油、天然ガスの探鉱、それからインドネシアの石油、天然ガスの探鉱、ここまではもう既に出資済みでございます。ベトナムのドンパオ鉱床、これはレアメタル等も期待できますが、こちらとインドのレアアースプロジェクトを調整中でございます。さらに、二十三年度三次補正、それから二十四年度予算案において合計一千四百億円規模の資金を確保いたしておりまして、もちろんこれ、お金があればどこでもやればいいということじゃなくて、可能性の高いところを長期にわたって権益を確保するということでございますが、最大限やりたいと思っております。  また同時に、地下資源だけではなくて、日本はいつもやられる側なんですが、これまでは。日本の技術を持っている会社を海外に買収されるという不安に我々はずっとさらされてきたわけですけれども、逆に、今の通貨の状況では、海外の技術のある企業を日本が買収してその技術を取るということが十分可能な状況にあります。これについても、金融支援などの形でそうした意欲のある企業の背中を押して積極的に進めてまいりたいと思っております。
  413. 中谷智司

    中谷智司君 枝野大臣がおっしゃられたように、資源にも様々あります。レアメタルやあるいはレアアースを始め、こういったものは日本の技術の進歩にも非常に密接にかかわっていて、こういう資源を買い取るとともに日本の技術を進歩させるということもできますし、今資源高が進んできています。つまり、円高を超える資源高になってしまうと円高メリットが生かせなくなってきます。そういう意味では、こういうものは打つべきときには早く打つ、迅速に打つ、そういうことが必要ですので、迅速かつ大胆な対応をしていただきたい、そういうふうに思います。  そして、ここにいらっしゃる皆様方議論をしていますけれども、やはり円高とそれとデフレというのが今日本の経済の課題になっています。  もう一度、とりわけ私の地元の徳島の企業の方々も、このデフレを何とかしてほしいというお話をいただきます。改めて政府のデフレに対する対策についてお話しいただけますでしょうか。
  414. 古川元久

    国務大臣古川元久君) デフレからの脱却と円高への対応が現下の最も重要なこれは、経済でですね、政策として対応していかなきゃいけないという認識は我々政府として持っております。  デフレ脱却につきましては、これは需給ギャップの縮小に向けた努力が必要でございまして、こうした観点からも、先ほどから申し上げております円高への総合的対応策も含めた平成二十三年度第三次補正予算、これをとにかく一日も早くちゃんと執行していけるようと、そういうふうに今各省を督励しているところでございまして、具体的な成果としては、先週金曜日に立地補助金約二千億円の採択先二百四十五件を決定をいたしました。  こうした第三次補正予算の実行によって実質GDPでいいますと一・七%程度の押し上げ効果が見込まれますし、また、今御審議をお願いしております第四次補正予算におきましてもエコカー補助金約三千億円等を盛り込んでおります。そういった意味でもこれを早期に成立をお願いしたいと思っています。  またさらに、デフレ脱却のためには、これは我が国経済に対する民間部門の期待成長率を高めることが極めて重要であります。そういった意味で、新成長戦略、さらにはそれを強化した日本再生のための基本戦略、これを一日も早くしっかりと着実に実行していくということが重要だと思っています。  さらには、これはデフレ脱却のためには金融政策も重要でありまして、繰り返し申し上げておりますが、日本銀行との間で政府と一体となってデフレ脱却に向けて取り組んでいるところでございますが、政府においてもできる限りのことをやっております。日本銀行においても更なる努力を期待したいというふうに思っております。
  415. 中谷智司

    中谷智司君 古川大臣がお話をされたその経済対策、新成長戦略や日本再生の基本戦略といったことがなかなか国民の皆様方に伝わっていません。ここにいらっしゃる閣僚皆様方、是非ともこういったことを、きちんと国民の皆様方に伝わるような形で、民主党政権はこんな経済対策を打っているんだということをもっともっと言っていただきたいと思います。  私の地元徳島県、もっと言えば、多分ここにいらっしゃる皆様方の中でも、地方と言われる地域の経済を支えているのは言うまでもなく中小企業です。そして、今日の議論の中でも出てきていましたけれども、中小企業は本当に厳しい状況の中で一生懸命頑張られています。そして、言うまでもありませんけれども、中小企業の経営者とお話をすると、資金繰りのこと、仕事のこと、そして人材のこと、こういったことで悩まれています。  その中でも、資金繰りについては、今回の第四次補正予算で七千四百十三億円の予算が盛り込まれました。今までの資金繰り対策について政府はどういうふうな見解を持っているのか、そしてこれからどういうふうな資金繰り対策を打ち込もうとしているのか、その件についてお話しください。
  416. 枝野幸男

    国務大臣枝野幸男君) リーマン・ショック後、中小企業などに対する資金繰り対策として緊急保証などを実施しまして、これは二年半で延べ二百二十万件の保証等を実施をいたしました。また、御承知のとおり、東日本大震災に対応して一次補正、三次補正で直接間接に、間接にというのは、つまり三県あるいは茨城以外のところを含めてでありますが、影響を受けた中小企業を対象とした東日本大震災復興緊急保証などの資金繰りを行って下支えをしているところでございます。  それに加えて、今回、タイの洪水であるとか、それから円高が長期化をしているということを背景にして、この年度末にしっかりと乗り切ることができるようにということで四次補正においてセーフティーネット貸付けや保証など、予算規模で七千四百億円余り、事業規模で九兆円余りの予算お願いをしているところでございます。さらには、この国会に中小企業金融円滑化法を一年延長する法案を提出いたしております。  ただ、これを、これまでお金をしっかり出すということをやってまいりましたが、お金をしっかりと出すだけではなくて、こういった保証などが必要な企業の皆さん非常に厳しい状況にありますから、どうやってこれを乗り越えていくのかという知恵などが必要になっていくと、助言などが必要になっていくということでございまして、そうした中小企業の経営力強化を図るために、高度かつ専門的な経営支援を行う金融機関やあるいは税理士さん、税理士事務所、こうした皆さん、実は中小企業の経営実態、非常によく詳細知っておられます。こうした皆さんを中小企業に対する経営支援機関に位置付けることで、そして、そこと中小企業庁、経済産業省もしっかり連携をして、様々な知恵とかあるいは政府の持っている様々なツール、そうしたものがより現場に伝わるようにと、こういったことの法案の今検討をしておりまして、何とかこの国会に提出させていただきたいというふうに思っておりまして、金と知恵、ノウハウ、両面で中小企業を支えてまいりたいと思っております。
  417. 中谷智司

    中谷智司君 経済産業省は、この資金繰り対策については補正予算のたびにかなり積極的にこの資金繰りの支援をしてくださっています。その点に関しては評価できると思うんですけれども、しかし、それだけの資金繰り、金融支援をしても、やはり中小企業の経営者の方々とお話をすると、それでも資金繰りで困っているというお話をされます。つまり、なかなか中小企業の資金繰りというのは永遠の課題になっている、そういったことも考えてこの金融支援をしていただきたい。そして、枝野大臣がお話をされたような知恵だとかいろんな応援をしていただきたいと思います。  それともう一方、お金を貸してくれるという環境にあっても、やはり仕事がない、そして利益が出せない、そういう中ではお金を借りてもなかなか前に進まない、だからお金を借りにくい、そういうふうなお話があります。  もちろん、仕事をつくっていくのは企業の経営者の努力やあるいは従業員の方々の努力というのが大切なのは言うまでもありませんけれども、国でできるような仕事をつくるための政策というのは幾らでもあると思います。その件についてどういうふうな取組をしているか、お話をいただけますでしょうか。
  418. 枝野幸男

    国務大臣枝野幸男君) 中小企業の仕事をつくるということでは、新事業の展開や海外販路の開拓、それから技術開発に対する支援を行ってきております。  平成二十四年度の政府予算案でも、新事業の促進支援のために二十億円。例えばこれ農商工連携などございまして、私も視察に行きましたが、いわゆる野菜工場を中小企業の皆さんが、最初は小さな資本で始めていらっしゃって、いろんなノウハウをうまく生かして大変効果的な、農業にも役に立つと思いますけれども、中小企業の事業として成功させている例もございます。  それから、中小企業の海外展開ということで、二十四年度予算案では二十七億六千万円を計上しております。例えばこれも、江戸小紋という非常に昔からの伝統的な手染めの織物があって、国内でなかなか販路が広がらない。ところが、これをいろんな小物にちょっと加工してヨーロッパに持っていって、これ日本が、これは前政権のときにやっていただいた成果だと思いますが、ヨーロッパの見本市などに持っていったら物すごく評価を受けて、その工場だけではなくて地域までが活性化をしていると、こういう例もございます。さらには、戦略的な基盤技術強化ということで、これは百三十二億円の予算を計上しております。こういった形で、それぞれの知恵を生かして、力を生かして販路、ビジネスの機会を拡大をしていくこと。    〔理事川上義博君退席、委員長着席〕  それから、国などの調達ですね、公共調達、これも官公需法に基づいて、中小企業者に対する国等の契約の方針を閣議決定しております。中小企業の国からの受注機会の増大を図るための措置、定めておりますが、これについては、私の方から各地方公共団体の長に対しても文書で要請し、これはWTOとかいろんな関係ありますが、その範囲内で最大限中小企業に対して発注をしていただけるような、こういったやり方について周知を図っているところでございます。
  419. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 中谷議員から中小企業のことを大変実地に即した御質問でございました。  経産大臣が中小企業政策、中小企業庁もございますけれども、私は、民間の中小企業を対象とした民間金融資本が、金融機関が私の所掌でございますので。  これは御存じのように、二年半前に政権交代するときに六つの共通公約を立てました。その一つが、中小企業の貸し渋り、貸し剥がしを防ぐというようなこと、中小企業に視点を置いた、中小零細企業に置いた金融政策をするということが政権として公約の一つでしたから、私の前任の亀井静香金融大臣が中小企業金融円滑化法案を作らせていただきました。  これは、実は貸付条件の変更を、きちっと相手の中小企業、零細企業、それはもう銀行は大変多くのノウハウを持っておられますから、民間金融でございますから、そういったことをきちっと考えて、四百二十万社、二千八百万人の方が今中小企業で職を得ているわけですから、これ、貸付条件の変更をしなさい、九五%以上の、百数十万件の申込みをもう既に実施しておりまして、そういう意味で、リーマン・ショックの後、三年前でしたけれども、普通であればもう少し倒産件数は多いんですけれども、これは非常に倒産件数が減ったのはこの中小企業金融円滑化法案のプラスの影響だということもある一部では言われておりまして、しっかり、これは中小企業でございますが、金融の方は私が担当でございますから、経産省あるいは中小企業庁としっかりなって、もう一年、中小企業金融円滑化法案、出口戦略をしっかりしたものを延長するということを決めさせていただいたわけでございますから、中小零細企業の方々の気持ちに立って、しっかり先生の気持ちを体してやらせていただきたいというふうに思っております。
  420. 中谷智司

    中谷智司君 自見大臣からも心のこもった御答弁をいただきまして、ありがとうございました。全国の中小企業の皆さんが本当に喜んでおられると思います。  枝野大臣からも、中小企業の皆さん仕事を増やす政策をいろいろとお話をしてくださいました。  前田大臣の管轄の、例えば、先ほど住宅というお話をしましたけれども、住宅も、住宅エコポイントや住宅取得の際の贈与税の非課税枠の拡大や、あるいはフラット35、あるいは造る側の建築確認の簡素化だとか、こういったことにも取り組んでいただいています。  こういった波及効果のある政策を次々と打ち込んでいくことも重要ですし、枝野大臣が官公需法のことをお話をしてくださいました。おっしゃるとおりで、この官需についてはできる限り中小企業の仕事になるようにしていただきたいですし、地方自治体にまで配慮をしてくださっている。この地方自治体の仕事というのは、まさに中小企業に合った、どちらかといえば規模の小さなもので、むしろ中小企業にとってはこういうふうな地方の仕事の方が合っているんじゃないかと思いますので、是非ともこういった取組を続けていただきたいと思います。  そしてもう一つ、やはりこれも枝野大臣のお話にありましたけれども、中小企業の販路の開拓をしてあげるということが大切だと思います。  中小企業、全国にある中小企業は本当にすばらしい技術をたくさんお持ちになっておられます。しかし、なかなか営業力がない。だから、いいものを作っても広まっていかない。こういったところに対する取組も非常に重要だと思いますけれども、特に非常に難しいアジアあるいは海外への販売支援、販路開拓支援というのはどういうふうなことをされているでしょうか。
  421. 枝野幸男

    国務大臣枝野幸男君) 先ほどもお話をいたしました、海外での展示会への出展を中小企業庁として支援をする等の形の販路の開拓支援を更に強化をしてまいりたいというふうに思っておりますし、また、そうした企業に対する資金の面の支援のお話も先ほど申しました。さらには、中小企業は海外で資金調達することが販路を本格的に拡大する上で必要であるということで、このための法案も検討しているところでございます。  更に言えば、やはり中小企業であればあるほど、海外で仕事をしようとしたときに言葉の問題や現地の情報等についてありません。したがって、非常にジェトロが期待をされていますし、実際にいろいろ頑張ってくれておりますので、独立行政法人はできるだけ小さくしなきゃならないというニーズが一方であることを十分踏まえながら最大限の効率化をして、中小企業が海外で販路を拡大するためにジェトロが更に力を発揮できるように、これは私の方から強く指示をしているところでございます。
  422. 中谷智司

    中谷智司君 私の地元の徳島の中小企業も、例えば中国に行きたいだとかそういうふうなお話をされています。しかし、枝野大臣がお話をされたように、本当に海外に出ていくというのは中小企業にとってはいろいろな問題があって非常に難しい。しかし、できるところからそういった取組をしていって、海外の成長を是非とも、日本の大企業はもちろんのこと、中小企業にもその利益を持ってこれるような取組をしていただきたいと思います。  そしてもう一つ、これも永遠の課題です、中小企業にとっては。やはり人材。今、日本の大企業に入ろうと思ってもなかなか入ることができない。雇用では非常に、特に若い方々が困っています。  しかし、逆に今、中小企業はそういった人材を求めています。先ほどから申し上げていますけれども、中小企業は本当にすばらしい技術を持っていたり、すばらしいものを作ったりしている。しかし、その中小企業のすばらしさがそういった働こうとしている方々に伝わっていないから、そういった方々が中小企業で働こうとしてくれない。  つまり、マッチングの問題なんかもありますけれども、こういったすばらしい優秀な人材を中小企業に入っていただいて、そして大きく活躍をしていただいて中小企業をむしろ大きな企業に伸ばしていただけるような、そういうふうな取組も必要だと思いますけれども、その件に関してはどういうふうにお考えでしょうか。
  423. 枝野幸男

    国務大臣枝野幸男君) ここは厚生労働省あるいは文部科学省とも連携、役割分担しながらやっているところでございますが、特に中小企業向けということで、まさにインターンシップを通じたマッチング、それからそうしたマッチングをウエブサイトを利用して進めていくこと、あるいは合同就職説明会の開催などを進めているほか、地域の中小企業団体が地域の大学と連携することの支援を行っております。  これについては、まさに今時代の大転換期でございまして、私自身、地元の大学なども含めてできるだけ若い皆さんに、今の大企業が三十年後で大企業であり続ける蓋然性と、今の中小企業が二十年後、三十年後に、大になるかどうかは別として、優良企業である蓋然性ということをしっかり考えてもらえば、むしろ中小企業にチャレンジすることの方が、その会社に入って三十年後の勤めている先の職場というのはいい職場である可能性が高いというのが今大きな時代の転換期における日本の客観的な状況であると、そのことを是非若い人たちに、より積極的に伝えていくということを少し組織立って進めていきたいというふうに思っております。
  424. 中谷智司

    中谷智司君 おっしゃるように、本当にすばらしい人材が是非とも、むしろ中小企業に集まっていただいて、大きくならなくてもいいと思います。大きくなるのを目指す会社もあれば、その規模のままですばらしい優良な企業であり続ける、こういうふうなことも大切だと思います。中小企業にすばらしい人材が集まるような、そういうふうな政策を是非とも取り続けていただきたいと思います。  そして、もう一つ私が心配をしているのが、先ほど人の世界では人口減少、少子高齢化というお話をしましたが、この企業の世界でもなかなか新しい企業ができていかない。むしろ、老舗の企業がずっと頑張っておられる。これはこれで本当にすばらしいことなんですけれども、なかなか起業ができていない。こういった起業や創業に対する取組についてお聞かせいただけますでしょうか。
  425. 枝野幸男

    国務大臣枝野幸男君) こういったところの支援としては、一つには金融政策ということで、中小企業庁の所管では日本政策金融公庫による新創業融資制度、あるいは信用保証協会による創業関連保証などを実施しておりまして、平成二十三年度十二月末時点で二万五千件、千三百億円の実績がございます。  ただ、これについてもやはりお金の問題も非常に大きいですし、またお金も、スタートのところだけではなくて、さあ拡大しようというときに、非常に大きな規模が出てくるのに、そこが手に入らなくて拡大できないとか、様々な課題があります。もう少し、創業から企業が成長していくプロセスに合わせて、よりきめの細かい金融とそれからノウハウについての提供をしていかなきゃならないということで、これについても中小企業庁を中心に更に深掘りをしていく今検討をするように指示をしているところでございます。  また、御承知だと思いますが、エンジェル税制を拡充しておりまして、これの活用も、平成十九年度百二十九人だったところ、平成二十二年度は七百四十八人となっている。効果は現れていて、これを爆発的にするために今のようなことを更に深掘りしたいと思っております。
  426. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 今、枝野経産大臣からございましたが、アジアが今から、先生御存じのように、非常に経済発展をするということで、中小企業にもアジアのその発展のメリットを甘受するということは非常に大事でございまして、ところが、もう先生御存じのように、徳島でもいろいろ地元の中小企業にお話を聞くと、やっぱり徳島の地方銀行あるいは信用金庫、信用組合とは親しいんだけれども、アジアに行ったときに自分のもう親しい銀行がないと、不安だということをよく聞かれると思います。  それからもう一個は、やっぱり売れ筋がどこかと、どこがいいんだということを、そういう情報がないのが中小企業でございまして、昨年、経産大臣と私と、JBICとジェトロ、これと組みまして、それから地方銀行にも今、実はこの前、インドネシアの二番目の大きい銀行の頭取が来まして、その枠に乗るって言うんですよ、一緒に。JBIC、ジェトロが強力にバックアップしまして、お金と売れ筋、そういったところ、国を挙げてこのアジアに進出したい意欲のある中小企業をしっかり応援をするという、そういう仕組み、システムを昨年つくらせていただきましたので、是非、今日テレビを見ておられる、まあひとつうちも、こういった、厳しいんだけれども、ちょっとアジアに打って出ようという方がおられると思いますが、是非そういうことも近くの金融機関あるいは県庁、商工会議所、商工会等々にお問合せをいただければ大変有り難いなというふうに思っております。
  427. 中谷智司

    中谷智司君 自見大臣、改めて心のこもった御答弁をいただきましてありがとうございました。そして、私の地元である徳島のお話もしてくださってありがとうございました。是非とも自見大臣枝野大臣そろって徳島に来ていただいて、企業の皆さんにお会いをしていただきたいと思います。  私は、やはり地方を守っている、支えているのは中小企業、そしてもう一つは第一次産業だと思います。野田総理も第一次産業、農業が非常に重要だとおっしゃってくださっています。今回の第四次補正予算では、千五百七十四億円もの予算が食と農林漁業の再生に組まれています。  私の地元である徳島県も、スダチ、サツマイモ、レンコン、ニンジン、大根、ネギ、梨、イチゴ、ミカンなどなど本当にすばらしい農産物がたくさんありますし、もちろん日本にはこれ以上にすばらしい農産物がたくさんあります。  そうした中で、野田総理は施政方針演説でも農業の大切さをお話をされていましたけれども、産業の中でどういうふうに農業を位置付けをされているのか、お話しいただけますでしょうか。
  428. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 基本的に、日本の国の再生ということを考えたときには、大都会だけが活性化が図られるというふうなことでは真の日本の再生にはつながりません。やはり全国、地域社会全体が活力を生み出していくということが必要であります。そのことを考えたときに、やはりいかにして地域に新たな雇用を含めたところのエネルギーを生み出していくかというふうなことだと思います。  今日の円高等々の状況を見ますと、なかなか今までのように地域社会に雇用の場の創造というのもそう簡単にいかないということを考えたときには、第一次産業というものをいかに地域社会に定着をさせていくか、こういうふうなことが非常に重要になってきたと思います。そのことを踏まえて、食と農林水産業の再生というふうな基本的な考え方をしっかりととらまえて、そして基本方針を打ち出し、行動計画を打ち出して、そのことを実施していくというふうなことがこれからの日本の国の再生に結び付くものと、このような考え方に立っておるところでございます。
  429. 中谷智司

    中谷智司君 力強いお言葉をいただきました。  具体的にどういうふうな農業に対して政策を打って、そして食料の自給率を向上させていこうとしているか、鹿野大臣のお話をいただけますでしょうか。
  430. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 基本的にはやはり安定ということだと思います。そういう意味で、農業の生産にいそしんでいただくためには、やはり農業者の方々が安定した一つの姿をつくり出す、そういう意味で戸別所得補償制度というものをこれからも継続していきたい。  そして、同時に、今日の日本の国の農業、農村の実態というものは、高齢化あるいは後継者不足、そういうような問題を抱えているわけであります。そういう意味で、二十四年度の予算案の中におきましても、新規就農者、若い人に是非第一次産業、農業にいそしんでもらうと、そういう意欲を持った人には七年間にわたってしっかりと手を打っていきますよと、こういうことであります。これは初めてのものであります。世界においてもこのような施策を行っている国はございません。  それから、やっぱり何といっても六次産業化の推進、このことをどうしてもやっていかなきゃならないと思います。これは御承知のとおりに、第一次産業は一次産業、そして加工、二次、そして流通、これは三次、この一と二と三を足しても六、掛けても六というようなことから我々は六次産業化と、こういうふうに申し上げておるわけでありますけれども、各地域においてもこのことをもう実践されて成功されているところもございます。このことをやはりきちっと定着していただくというような体制をつくる、このことに対して我が政府がしっかりと支援をしていくというふうなことだと思います。  特に農業者の方々にとっては、自分で値段を付けることができない、こういうようなことに対するやはりいろんな思いがありました。しかし、この六次産業化によって、自分たちで生産をして、加工して、流通に乗せていくということならば新たな意欲が出てくると、こういうことであります。女性の方々にも、よし、やってみましょうと、こういうふうな気持ちも出てくると思います。そういうことがこれからの日本の国の地域社会の再生、そして食料自給率の向上にも私どもは結び付くものと考えておるところでございます。
  431. 中谷智司

    中谷智司君 鹿野大臣から本当に細かに、そして力強いお言葉をいただきました。  おっしゃるように、農業というのは、皆さん一言で言われますけれども、例えば農産物によっても全然違いますし、地域によっても全然違います。そして、規模によっても全然違います。しかし、そうした中で、やはり農業者の皆さんが言われていることが、鹿野大臣がお話をされていた後継者、担い手のこと、そして、いかに農業をもうかる産業、もうかる仕事にしていくか、このことで非常に農業者の皆さんはお困りになられていますし、苦しんでおられます。  私も、週末、地元に帰るとその農家の皆様方とお話をさせていただく機会があります。そこで、鹿野大臣がお話をされた担い手に対しての、例えば今回の第四次補正予算であれば、農の雇用事業として二十三億円組んでいただいていますし、来年度予算の中では新規就農総合支援事業として百三十六億円組んでいただいています。つまり、新しく農業をやろうとされる方の支援をしようとしている、これは本当に皆さん喜んでくださっています。だからこそ、この予算を成立をさせて、一刻も早くこれが農業者の皆様方に広がっていくように取り組んでいただきたいと思います。  そしてもう一つ、私が是非とも鹿野大臣にお伺いをしたいことがあります。  これは、先ほど、農業者の所得を上げる、もうかる農業にするために六次産業化というお話をされました。あるいはブランド化、こういったことによって農業をもうかる産業へと変えていかなければならないんですけれども、実際にどの程度農業者の皆さんの所得を上げようとされているか、その件について大臣の御見解があれば是非ともお聞かせください。
  432. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 具体的にどの程度というふうなことは、それぞれの地域によっても、また取り組んでいく方々によっても違ってくるわけであります。ただ、私は、今一番大事なことは、よし、やってみましょうというこの意欲を持ってもらうことが大事だと思うんです。  過般、仙台に私参りましたときに女性の方々とお話をさせていただきました。そうしたらば、その女性の方々が、とにかく六次産業化に取り組んでいきたい、こういうふうなことでございました。私はそのときに、三人の方が一緒になって取り組んでいただけば政府としてもいろんな面で御支援させていただきますよと、こういうようなことを申し上げたところでございます。  そういう意味で、いろんな形の中で、それぞれの取組というふうな中で基本的にやってみましょうというふうな気持ちになっていただくというふうなことが非常に大事なことだと、そのことを意識しながら私どもも政府といたしましてできるだけの支援をしてまいりたいと思っておるところでございます。
  433. 中谷智司

    中谷智司君 おっしゃるとおり、農業者といっても、先ほども申し上げましたが、農産物によっても違いますし、規模によっても違いますし、その農家の方々が若いかあるいはお年を召されているか、このことによっても違うと思います。例えば、高齢者の方は、なかなか今までのやり方を変えようと思っても変えられない、だからほんの少しでも所得がアップすればそれが喜びになるでしょうし、若い方々は、例えば効率化を進めるだとかあるいは六次産業化を進めるだとか、いろんな新しいことにチャレンジをして所得を増やしていただければいいと思います。  そういった意味でも、今農水省が取り組んでおられる様々な政策があります。ただ、この政策もなかなか地元の農業者の方々にまで広まっていません。こういった政策をきちんと全国各地にまで広げるような取組が必要だと思いますけれども、この件についてはどのようにお考えでしょうか。
  434. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 非常に大事な点を御指摘いただきました。  このことにつきましては、農林水産省、私ども反省するところが多々ございます。当然周知していただいているものだと、こういうふうなことが周知してなかったというふうなことも多々ございました。そういう意味では、農業政策について私どもとしては現場主義を貫くというような考え方でできるだけ丁寧に説明させていただく、そういうことで、過般、一月でございますけれども、地方ブロック会議を開きまして全国で十か所説明会を催させていただきました。  これからも、まさしく地方農政局あるいはまた管理局というものがございます。そしてまた、本省からも含めて御用聞きというふうなことが大事なんだよということを私申し上げているわけでありますけれども、私どももそういう気持ちの中に立って、農業者、第一次産業の皆様方にこの農林水産省の施策が分かっていただくように、これからもできるだけの努力をしてまいりたいと思っております。
  435. 中谷智司

    中谷智司君 ありがとうございます。  そういった様々な取組、そして資料なんかも是非とも簡素化をして、農業者の方々が提出をしやすいような、そういうふうな取組をしていただきたいと思います。  最後に、総理日本の農業者の皆さんに向かって、是非ともこれから農業を再生していくんだ、そういうふうな思いをお話をしていただけますでしょうか。
  436. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 農業は、例えば食品業界なんかを含むと大変裾野の広い業界になると思います。加えて、食料の安定供給という重要な役割を担い、かつまた、いろんな課題がございますけれども、いわゆる国土保全、環境保全という多面的な機能も持っているという大変重要な分野だと思います。  この農業をきちっと再生をしていくこと、担い手不足とかいろんな課題がありますが、成長産業として発展し得る可能性も十分あると思います。その魅力を引き出すために、鹿野大臣からるるお話がございましたけれども、六次産業化であるとかこういう取組をやっていくこと、これはまさに補正予算でも委員御指摘のとおりに一定額が入っています。そして、本予算の中にも一兆二千億ほど、この食と農林漁業再生の関連の予算も入っています。こうした取組を含めて、食と農林漁業の再生、政府挙げて取り組んでいきたいというふうに考えております。
  437. 中谷智司

    中谷智司君 今日は、様々なことを野田総理を始めここにいらっしゃる閣僚皆様方議論をさせていただきました。今の日本は、言うまでもありませんが、東日本大震災、そして福島原発事故、この大きな難題、苦しみを私たちは乗り越えていかなければなりませんし、人口減少、少子高齢化の中で野田総理がお話をされているような行財政改革や社会保障制度の改革、あるいは経済成長を進めていかなければなりません。是非ともこれからも私どもも共に頑張ってまいりたいと思いますので、日本のために全力で仕事に取り組んでいただきたいと思います。  ありがとうございました。
  438. 石井一

    委員長石井一君) 次に、松浦大悟君。松浦君。
  439. 松浦大悟

    松浦大悟君 民主党松浦大悟です。  今日は、豪雪災害対策について、それから再生可能エネルギーについて、そして私が当選以来取り組んでまいりました自殺対策について質問をさせていただきたいと思います。  まず、豪雪災害対策についてなんですが、私、秋田県ですけれども、秋田県で先日、玉川温泉で雪崩によって三人の方がお亡くなりになりました。今年は本当に断続的に雪が降り続いておりまして、各自治体も追加の補正を行って除排雪を行っておりますけれども、財政運営が大変厳しい状況になっております。  先ほど総理に御答弁をいただきましたので、今度は防災担当大臣にお話を伺えればと思います。今年の豪雪災害対策についてどのような取組をしているか、聞かせてください。
  440. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 委員御指摘のように、今年も日本海側を中心に記録的な大雪となっております。全国レベルの平均値で見ますと過去の大雪に比べるとそんなに高くはないんですが、地域的に見ますと過去の記録を上回るような積雪が記録、観測されていると、そういう地域がございます。  人的被害も出ておりまして、ちょっとデータが古くて恐縮なんですけれども、二月三日時点で六十三名。今、昨日、おとといも何人か報告がございましたので、六十名を超える方々の犠牲者が出ております。こういった犠牲になられた方々の御冥福を私もお祈りを申し上げたいというふうに思います。  特に、こういった犠牲の中には高齢者の割合が非常に高くて、約七割という状況になっております。政府としては、先ほど総理からも報告がございましたけれども、二日に大雪対策に関する関係閣僚会議を開催しまして、総理から指示をいただきまして、三つの指示をいただきました。その指示に基づいて、今関係自治体等との連携を取りながら各省庁の対策を進めているということであります。  私も、昨日、上越市と妙高市にお邪魔をしてまいりました。地域のこれまでの様々なつながりの上に地域特有の取組をしていましたし、また新潟県として、幸い北の方が雪が少なくて南の方が多いという中で、職員あるいは建設業界、北から南に移動してもらってそれで除雪に当たるという、そういう対策もやっておりました。  宿題もいただきました。一点、何といっても財政支援であります。特に特別交付税、それからあと社会資本整備の積み増しみたいな、そういったものの要望を受けましたので、このことについては川端大臣それから前田国土交通大臣にもお願いを申し上げたとおりであります。  それからあと、中長期的な課題として、何といっても中山間地域、高齢化が進んでおります。人口減少と高齢化、こういう中での災害対策どうあるべきか。その中の一つの中で廃屋ということがあちこちで問題になっているというような指摘も受けました。こういった問題につきましては、かねてから指摘されている面もございますけれども、今回の災害対応を含めまして中長期的な観点でしっかり検討しなければならない課題だというふうに認識をしております。  引き続き、現地の状況をしっかり把握しながら豪雪対策進めてまいりたいというふうに考えております。
  441. 松浦大悟

    松浦大悟君 今も特別交付税措置しっかりやってもらいたいという要望があったというお話でしたけれども、総務省の方にも各自治体から要望が上がっていると思います。  総務省として、これは大丈夫ということをお伝えいただければと思います。
  442. 川端達夫

    国務大臣(川端達夫君) まず、お亡くなりになられた方の御冥福をお祈りするとともに、今なお被害に遭っている方にお見舞い申し上げたいと思います。  本来、普通交付税におきまして積雪の度合いに応じて標準的な所要額というのは元々積んであるわけでございますが、実際の所要額がその措置額を超えるということがもう当然に予想される地域がたくさん出ております。そういう意味では三月分の特別交付税で更に対処をしたいというふうに思っています。  特別交付税三月分については、現在、三月中下旬に交付決定を目途として算定作業中でありますが、特に今年度は、台風被害以外に今回の豪雪により除排雪費が例年に比して多額に上るものと見込まれております。地方公共団体の財政運営に支障が生じることなく安心して除排雪に取り組んでいただけるよう、その実態を的確に把握して所要額を措置してまいりたいというふうに思っております。
  443. 松浦大悟

    松浦大悟君 今の言葉を聞いて安心した自治体もたくさんあると思います。  次に、国交省に国道などの道路の除雪についてお話を伺えればと思うんですが、除雪費というのは上限があるということをかつて聞いたこともあるんですけれども、今年はこういう大変な豪雪ですので、上限ということではなくて、しっかりとした措置をしていただきたいのですが、いかがでしょうか。
  444. 前田武志

    国務大臣(前田武志君) 松浦委員にお答え申し上げます。  直轄国道の方についてはもう万全を期して今やっておりますが、道府県の国道関係ですね、これについては社会資本整備総合交付金、留め置き分がございまして、これを今必要に応じてどんどん出しているところでございます。  更に申せば、市町村関係で、今の状況というのは非常に厳しい状況になっておりますので、道路局関係で今まだかき集めて最後は特別に処置をするというぐらいの意気込みで今やっているところでございます。
  445. 松浦大悟

    松浦大悟君 ありがとうございます。  それから、農水省、鹿野大臣に伺いますけれども、秋田県の横手市は去年も大変な豪雪でリンゴの枝折れが物すごかったんです。それで、今年、その修復したところがこの豪雪でまた裂け始めているということで、果樹農家の皆さんが本当に悲鳴を上げております。この果樹被害というのは雪解けをしてからじゃないと被害の全体像が分からないということもありますので、是非大臣の口から農家の皆さんにお言葉をいただければというふうに思います。
  446. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 今回の豪雪、大雪に対しまして、農林水産省内におきましてもこの大雪に対する対策本部を開催をいたしました。そして、とにかく実態をしっかりと把握をして、それに対して万全の策を講じていくと、こういうようなことを指示しているところでございます。  共済金の早期支払、あるいはまた損害評価を迅速に行う、あるいはまた融資の問題、あるいはその貸付金に対して償還猶予してほしいということも関係金融機関にも依頼をいたしておるところでございます。また、この大雪に対するいろんな技術指導というふうなことについても積極的に対処するというようなことをいたしたいと思っております。  そういう意味で、雪が解けてみないとなかなかこの災害の実態つかめないということもございますけれども、これから、今日の段階でこの被害が、災害が拡大しないようにということも含めて、今後万全の策を取るべく努力をしてまいりたいと思っております。
  447. 松浦大悟

    松浦大悟君 ありがとうございました。去年は秋口まで掛かったケースもあったというふうに聞いておりますので、長い目でしっかりとした対策を取っていただければというふうに思います。  さて、厳しい冬を越えますと雪国にも暖かな春がやってまいります。こちらのパネルを御覧ください。(資料提示)  総理、これは穏やかな日本海ですけれども、白い風車がずらっと並んでおります。これは秋田県の海岸沿いに千基の風車を建てようというプロジェクトなんです。風の王国プロジェクトといいます。秋田県の海岸沿いというのは大変に風が強くて、寒風山ですとか能代市の風の松原ですとか、風の名前の付くところも多いんです。この風を利用して再生可能エネルギーに有効活用していこうという、そういうプロジェクトなんです。それで、これを始めたのが秋田市のモードスタジオQという美容院を経営している山本久博さんという方なんです。この方は、美容師の全国大会でも優勝をした美容師としても一流の方なんですが、昔から大潟村でソーラーカーラリー大会を開催するなど再生可能エネルギーに取り組んでこられた方なんです。  どうしてこの山本さんが秋田で千基の風車を建てようというふうに思ったかというと、エコだとかクリーンなエネルギーということもあるんだけれども、それ以上に秋田に若い人の働く場所をつくりたい。今、どこの地域も同じような状況だと思うんですけれども、若い人に働く場所がない、どんどん県外に出ていっているという状況があります。これを何とかしたい。風車を建てることで地元に働く場所をつくっていく、そして電力を売ることによって地域経済を潤していく、活性化していく。  総理、今、秋田県の米の生産額がちょうど一千億円であります。しかし、それと同じ額の一千億円が県外に光熱費として支払われているという状況なんです。このプロジェクトが成功しますと、この風力発電で八百億から一千億円の収入があると言われているんです。今、東京都が東電が値上げをしてけしからぬということを言っていますけれども、もしこの事業が成功すれば、東電から高い電力を買っていただかなくても、秋田からこのクリーンなエネルギーを幾らでも買っていただくことができるようになると思うんです。  総理、今回、総理の施政方針演説では再生可能エネルギーについてはほとんど言及がありませんでしたけれども、中長期的に原発への依存度を低くしていくためにはどうしてもこの再生可能エネルギーを広げていかなければならないというふうに思います。総理の再生可能エネルギーに懸ける決意を聞かせていただけないでしょうか。
  448. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) いわゆる脱原発依存として中長期的に原発への依存度を極力抑制をしていく、低めていくという、そういう試みをする際にはどうしても欠かすことができないのは再生可能エネルギーの大々的な普及だというふうに思います。そういう意味では、今御指摘いただいたこの秋田県のプロジェクト、私は美容院経営者の方がチャレンジされているとは知りませんでしたけれども、こういう夢のあるプロジェクトが全国各地から次々と出てくることは基本的には喜ばしいことだというふうに思います。  それを推進をする意味からも、本年七月から施行する固定価格買取り制度であるとか、あるいは送電網の整備であるとか、あるいは立地に関する規制の見直しであるとか研究開発支援など、政策の総動員をしながら、今の御指摘の再生可能エネルギーの普及に力強く推進をしていきたいというふうに思っております。
  449. 松浦大悟

    松浦大悟君 先々週、風の王国プロジェクトの皆さんに話を聞いてきたんですけれども、今地方ではローカル線がどこも赤字路線になっていますよね。そのローカル線の線路脇に風車を建てていく。そうすると、ローカル線のその横で風車が発電をするわけです。その電力を売ることでそのローカル線の経営に助けになる、それからその電力で電車を動かすこともできるようになると思うんです。国交省に聞いたところ、そういうことに対する規制はないので、こうした考え方は十分に可能だということをおっしゃっていました。  国交省の中で全国のローカル線全てに乗ったという方がいらっしゃるんですね。その方が言うには、ローカル線というのは、それを廃線にしてしまうと、それを利用していた御高齢者の皆さんが外に出にくくなってしまう、外出する機会が減ってしまうんだ、だから、なるべくローカル線というのはなくさない方向で考えた方がいいんだと。私もそのとおりだというふうに思いました。この風力発電のまだまだ大きな可能性を秘めているプロジェクトについて、私も応援していきたいというふうに思っております。  それで、経産省に伺いますけれども、風力発電を増やすために、大手電力会社と風力発電所をつなぐ送電線の建設費用を支援する制度を検討しているということを聞いていますけれども、これはどういう支援制度になるのか、聞かせてください。
  450. 枝野幸男

    国務大臣枝野幸男君) お答えいたします。  まず、前提として、現在の電力供給システムの下では、送電線は電力事業者が実施を、造るということが原則になっております。これがいいのかどうかということはこれは別の議論として議論をしてまいりたいと思っておりますが、ただ、そうした中において、風力発電、大変この再生可能エネルギーの中でも大きな期待をしている分野でございますが、もう秋田は典型でございますが、その非常に良好な立地というのは、数、場所は限られています。特に大規模にやるのに適した地域は限られていて、なおかつそうした地域はどちらかというと過疎地域が多くて、送電網自体が元々脆弱であると。そうすると、せっかく風車を建てていただいても、送電線がつながらないということではなかなか実際に増えていくことにはならないだろうということで、ここについては例外的に支援をしていく必要があるというふうに判断をいたしまして、例外的、地域限定的に送電網の充実策を進めていこうと思っております。  ただ、具体的なやり方は、先日新聞報道もされていますが、先日私から事務方に指示をしたところでございまして、できるだけ早い方が、固定価格買取り制度の導入が始まりますので、できるだけ早い段階で具体的な方針を示したいというふうに思っておりますので、もう少しお時間下さい。
  451. 松浦大悟

    松浦大悟君 先日の新聞報道によりますと、山の中の風力発電所に対しては公的支援を行うというふうには書いてあったんですけれども、海岸線の風車ですとかあるいは田園地帯にある風車、それから洋上発電ですよね、そうしたものに対しての支援というのも今後検討していただければというふうに思います。  それから、あわせて、東北地方をそのモデルの、支援の仕組みをつくっていく地域にしていきたいということなんですが、潜在的に全国で考えたときにどれぐらいの適地があって、将来風力でどれぐらいの電力量を目指そうとしているのか、これを聞かせてください。
  452. 枝野幸男

    国務大臣枝野幸男君) 報道、山だけのように見えているようなことのようですが、全くそういう限定はありません。むしろ、適地であって、なおかつ脆弱な地域ということで考えておりますので、海岸であったりとかということ、当然対象になり得るということで御理解をいただければというふうに思っております。  ただいまの御指摘でございますが、実は風力発電の適地については、エネルギー・環境会議のコスト等検証委員会の報告書で、現在の接続、送電網などとの関係で考えると一千万キロワット程度の導入可能性があるというのが推計でございます。ただ、今申しましたとおり、その送電網そのものを強化をしていく等でより潜在的な、何というんでしょう、可能性というものを拡大することができると思っていまして、例えば保安林、国立自然公園などの外側でいろいろな線が十分にあるという想定なら、例えば一つの推計として一億万キロワットなどという数字も出ていますが、ここはまさに送電網との関係であります。  まずはこの一千万キロワット、現在の送電網でもできるところをいかに最大限やっていくか、そして同時に、今の送電網を強化するということをやっていくかということでございます。  さらには、このエネ環会議等においても、更にこうしたことについての見通しということについて進めていただこうというふうに思っています。
  453. 松浦大悟

    松浦大悟君 ありがとうございます。  それから、再生可能エネルギーを普及していくためにもう一つ、規制緩和をしていかなければならないのではないかという問題意識を持っております。この規制によってなかなか再生可能エネルギーが新規参入できにくいという状況があるだろうというふうに思うんです。  例えば国有林や保安林へ風車や地熱発電所の設置をするときに、これがなかなか困難になっていると。五ヘクタール以上の国有林の貸付けは、風力や地熱発電所が市町村の振興計画に位置付けられ、なおかつ発電量の半分以上を東電や東北電力などの一般電気事業者へ売らなければならないという規制があると。ただ、市町村の振興計画というのは通常五年ごとの改定ということになっておりまして、今すぐに参入しようというときにその改定時まで待たなければいけない、スピード感を持ってこれは参入できないという問題があります。それから、売電先規制も固定価格以上の買取りを期待した業者の参入を妨げることになるだろうというふうに思います。  これらの規制については、昨年の七月二十三日に規制緩和の方針が閣議決定されたと。平成二十三年度中に措置されるとされているんですが、もう年度末が近づいてきておりますけれども、この規制改革というのは実現できるんでしょうか。
  454. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 今の案件につきましては、規制・制度改革に係る追加方針というものに沿いまして、議会の同意を含めた市町村の同意でも可能とする方針と、こういうふうな考え方に立っております。そのことを年度中に林野庁長官のいわゆる通知を改めて、改正をして出してまいりたいと、こう思っております。
  455. 松浦大悟

    松浦大悟君 ありがとうございます。  風力発電というのは、どうしても低周波の問題などもあって住宅地からやや離れたところに造らなければならないと。そうすると、どうしても国有林だとか保安林だとかそういう場所を確保しなければいけないということになるだろうと思っておりますので、この規制緩和が進みますことを期待をしております。  それからもう一つ、地熱についてお話を伺えればと思います。  地熱というのは、再生可能エネルギーの中では比較的安定性が高いというふうに言われております。この地熱発電は、発電と蒸気生産を同一の事業者が行う場合と別々の事業者が行う場合とがあります。別々の事業者が行う場合、年額賃料三十万円以下の国有林しか借りることができないというふうになっています。三十万円以下というと大体二ヘクタール程度でありまして、これは通常の蒸気生産に必要な面積を大きく下回るものでしかなくて、結果的に地熱発電事業を断念せざるを得なくなっているという現状があります。  なぜそうなっているかというと、他の国有財産の賃料形態と横並びにしておきたい財務省がなかなか首を縦に振らないというふうにも聞いているんですけれども、地熱発電を推進するためにこの規制というのを大幅に緩和すべきだと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
  456. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 御指摘の随意契約の要件につきましては、公共用、公用又は公益事業など、政令で定める場合には該当することが必要と、こういうふうなことになっているわけでありますけれども、現在、今御質疑をいただいたことにつきましては、経済産業省の協力を得ながら財務省及び農林水産省内で対応を検討中でございまして、これも二十三年度中に整理を行うと、このような考え方に立っておるところでございます。
  457. 松浦大悟

    松浦大悟君 財務相、財務省がなかなか首を縦に振らないという実態というのはあるんでしょうか。
  458. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 再生可能エネルギーにつきましては、安住財務大臣が非常に理解のある大臣でありますから、私どもの考え方を取り入れてくれるものと思っております。
  459. 安住淳

    国務大臣(安住淳君) 秋田のことですから、よく勉強させていただきます。
  460. 松浦大悟

    松浦大悟君 ありがとうございます。期待をしております。  さて、続きまして、小水力発電に移りたいと思います。  小水力発電といいますのは、農業用水路を利用した地産地消型のクリーンなエネルギーであるというふうに思います。ますますこれから推進すべきであるというふうに考えています。土地改良区の中にはもう既に先行して、小水力発電を導入しているところもありまして、売電した利益で所属する農家の負担を軽減させているところが幾つもあります。私のところの秋田県にも、由利本荘市の西目地区に西目土地改良区の西目発電所という有名なところがあります。  昨年成立し、今年の七月から施行される再生可能エネルギー特措法の適用が、七月以降から新たに発電を始める施設のみが対象となっているために、実は、これまで先行して進めてきた事業者はこれまでと同じ低い買取り価格になってしまうということがあるんです。このままでは整備の修繕や更新に支障が出るので、新規事業者と同じ買取り価格にしてほしいという声が相次いでおります。これは小水力に限らずほかの新エネでも同じ状況で、十八日には、風力発電やバイオガスを使った発電に取り組む自治体などでつくる団体が事業を継続できる買取り価格を要望する声明を発表したというふうに聞いております。  試行錯誤の末に先行して新エネを始めた既存の事業者が低い買取り価格のままで苦しみ、事業継続できないということがないようにしなければならないと思うんですが、この対応についてはいかがお考えでしょうか。
  461. 枝野幸男

    国務大臣枝野幸男君) 御指摘のとおり、過去に設置されて現在運転している発電設備については、通称RPS法、電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法の適用を、認定を受けております。今度施行されます再生可能エネルギー特別措置法では、附則十二条において、そうした発電設備については引き続きRPS制度を適用することが法律上明定をされております。  ただ、御指摘のような既存設備の取扱いについて配慮を求める声があることは承知をしておりまして、あえて申し上げれば、そうした御主張に一理ある側面も否定できないというふうに思っておりますが、一方で、こういう法律にしたことにも一つ一定の理由があります。行政の立場からは、当然のことながら、この法律規定に違反しない形で既存設備に配慮する方法について検討してまいりたいと思っております。     ─────────────
  462. 石井一

    委員長石井一君) この際、御紹介いたします。  本日、コロンビア共和国上院外交委員会御一行が参議院を訪問されまして、ただいま本委員会の傍聴にお見えになりました。  御起立の上、拍手をもって歓迎の意を表したいと存じます。    〔総員起立、拍手〕
  463. 石井一

    委員長石井一君) 御着席ください。     ─────────────
  464. 石井一

    委員長石井一君) 質疑を続行いたします。
  465. 松浦大悟

    松浦大悟君 引き続き小水力発電についての質問でありますけれども、農業用水路で小水力発電を行おうとする場合に、土地改良区がかんがい用水として既に水利権の許可を受けている農業用水路を使い、水量を減少させるなどの影響を与えずに水路の落差などを利用して発電を行うわけです。これまでと同じ水量しか使わず、河川に戻る水量も全く同じなのに、小水力発電を行う場合は発電用の水利権を新たに取得しなければならないということになっております。しかも、その手続が非常に煩雑で、関係者と協議を始めてから取得するまでに何年も掛かっているという状況があります。その手間へのちゅうちょから、なかなか小水力発電に参入できないというようなことも言われております。  今国会、農水省から農山漁村再生可能エネルギー法案が提出される予定となっており、様々な手続の簡素化ですとかワンストップ化が図られるということになっておりますけれども、水利権については、これもまた国交省が譲らず、法案に含まれていないとも聞いております。小水力発電の推進のために水利権の規制を緩和すべきだと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
  466. 前田武志

    国務大臣(前田武志君) お答えします。  譲らないということは決してございませんでして、特に、委員御指摘のように、秋田のケースもありましたが、自然エネルギーというのは中山間地域、小水力の場合には特にそうだと思います。  ということになりますと、その発電量がどうこうという以上に、その地域においては雇用も継続的に発生いたしますし、何よりも地域において自分たちがその環境の先鞭を着けてというようなことで、その地域の振興という意味においては非常に大きな意味を持っているものですから、随時いろいろ規制緩和をやっておりまして、例えば申請書類の簡素化等についても相当緩和をすることになっております。  ざっと見て、水力発電の計画の概要から始まって関係河川使用者の同意書に至るまで、大きな書類が七つぐらいあるようでございますが、そのうちの五つについてはもう不要というふうにさせておりますし、もう既に先年度におきましても総合特区法もありましたし、水利使用許可権限の移譲等もありました。更に申せば、申請書作成のためのガイドブック等も作成いたしましたし、相談窓口の設置というのも先年度に措置を講じております。
  467. 松浦大悟

    松浦大悟君 ありがとうございました。様々な措置を講じていただいているということがよく分かりました。  いずれにしましても、再生可能エネルギーを普及していくためには、様々な規制があって、それを改革することによってこれが普及していくのだということを是非進めていただければというふうに思っております。  続きまして、自殺対策の問題に移りたいと思います。  私も、大学生のときに友達を自殺で亡くしています。彼は弁護士になりたいといっていつも勉強していました。なぜ自殺をしたのかは分かりません。どうして気付いてやれなかったのかという思いが今でも胸にしこりとなって残っております。  こちらのグラフを御覧ください。日本の自殺者数、十四年連続三万人を超えています。これはアメリカの二倍、イギリスの三倍の自殺率です。一番右側、二〇一一年を御覧ください。去年の自殺者数は三万五百八十四人。あれだけの大震災があったにもかかわらず、去年に比べて千百六人減りました。過去十四年では一番少ない数となりました。これまで自殺対策にかかわってこられた民間団体の皆様、関係者の皆様の努力が少しずつ実り始めているのではないかというふうに思っています。ただ、これは去年と比べれば確かに千百六人減ったということになるんだけれども、しかし、全体で見れば新たに三万五百八十四人増えたんだと考えなければならないと思っています。  次のグラフを御覧ください。  このグラフを見てお分かりになりますように、自殺者というのは毎年毎年こうして積み重なっていくんです。なぜなら、失われた命は戻らないからです。この十四年間で四十五万人を超える方たちがお亡くなりになっています。このことを私たちはしっかりと認識をしておかなければならないと思っています。  今日は経済産業省から柳澤光美政務官に来ていただいております。柳澤政務官は、あの自殺対策基本法を作りお亡くなりになった山本孝史議員の遺志を引き継ぎ、これまで自殺対策を引っ張ってこられました。私も、昨年は民主党の自殺対策推進PTとして、座長が柳澤議員、そして事務局長を私が担当させていただきました。  自殺は経済的な要因と非常に関係があるというふうに思います。経産省として中小企業に対してどのような取組をしているのか、また柳澤議員自身の自殺対策についての御所見を伺わせていただければと思います。
  468. 柳澤光美

    大臣政務官(柳澤光美君) どうも質問ありがとうございます。  松浦委員には、秋田出身ということで、実は秋田県が一番自殺者が多い県でして、ただ、県を挙げて、あらゆる関係機関、民間団体、そして秋田医科大学の皆さんも連携をしていただいて、自殺者が確実に減っている県の取組としてはモデル県になります。  松浦委員にも今度は中央のPTにも参加をしていただきました。最初のグラフにありますように、実は二〇〇九年、政権交代をして、着実に自殺者は減ってきてはおりますけれども、実は減っているとはいいながら、積み重なっているわけです。  昨年一月にPTを立ち上げまして、一月、二月、三月と千名を超える減少が実現できました。ところが、三月十一日のあの東日本大震災で四月、五月、六月とまた千名近い自殺者が増える、大変心配をしました。しかし、おかげさまで、トータルでは秋以降着実に減少に進みまして、千百六人減って三万五百八十四人。本来三万人を何としても切りたい、自殺者に目標をつくってはいけないという声もあったんですが、何としても切りたいという思いでやってきましたが、切り切れませんでした。  実はこの取組は、山本孝史先生の遺志もあって、参議院の厚生労働委員会超党派の皆さんで自殺対策を推進する議員有志の会もございました。それから、去年こうやって大きく変化したのも、NPO法人の皆さん、特に内閣府の参与をされたライフリンクの清水会長が中心に全国のネットワークもできました。それから、もう一つ大きいのは、昨年七月に京丹後市の中山市長が中心に……(発言する者あり)
  469. 石井一

    委員長石井一君) どうぞ答弁を続けてください。簡潔にやってください。
  470. 柳澤光美

    大臣政務官(柳澤光美君) いいですか。  市区町村の連絡協議会もできました。  そして、もちろん、経産省としても、中小企業の対策を含めて着実に減少をさせてきています。一割以上、三千名いたのが、一〇年には三千名を切ることができました。  是非、皆さんお願いがございます。この取組だけは是非、せっかくの機会をいただきましたから、思いを述べろということでございますから、党派を超えて、国を挙げて是非御協力をいただきたいということをお願いをさせていただきます。  ありがとうございました。
  471. 松浦大悟

    松浦大悟君 ありがとうございました。  今、柳澤政務官がおっしゃったように、自殺者というのは一年間の中で一番三月に多くなるんです。まさにその三月がそこまで近づいてきております。なのに、関係閣僚が集まる自殺対策タスクフォースは去年の七月四日以降、一度も開かれていないんです。一月二十五日に開かれる予定だったのもキャンセルになってしまいました。  岡田大臣、自殺担当大臣ですけれども、こういうことでいいのかどうか、お聞かせいただければと思います。
  472. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) まず、松浦委員先ほど御指摘のように、多少昨年自殺された方の数が減ったとはいえ、三万人を超える、そういう状況が続いておりますので、ここで気を緩めることなく更に対策を前に進めていかなければいけないというふうに考えております。  タスクフォースの開催は確かに少し時間が空いておりますので、よく閣内で調整をして開催をしていきたいというふうに考えております。
  473. 松浦大悟

    松浦大悟君 是非一日も早くタスクフォースを開いていただき、自殺対策を進めていただければというふうに思います。  自殺対策といいますと、自殺対策推進会議というのがございまして、いわゆる有識者会議でございますけれども大臣、この自殺対策推進会議で一月の二十三日にどのような議論があったか御存じでしょうか。こちらのパネルを御覧ください。「あなたもGKB47宣言!」、これが今年のキャッチフレーズだということが自殺対策推進室から発表をされたんです。GKB47というのは、ゲートキーパー・ベーシックの略ということなんだそうですけれども、明らかにAKB48をもじったものです。これは人の生死と向き合う自殺対策の言葉としてふさわしくないのではないかということで、複数の委員から反対の声が上がりました。しかし、自殺対策推進室は、もう決まったことだからということで取り合ってくれませんでした。その後、それまで自殺対策に取り組んできた多くの団体が、このキャッチフレーズを撤回してほしいと抗議をしてきております。  GKBというのは若い人たちの間ではゴキブリを意味する言葉なんです。政府は、GKB47、ゴキブリは死ねと言っているのだという中傷も今拡散しているところです。  GKB47は自殺対策の言葉として余りにも不適切だと思うのですが、大臣、これを撤回していただけないでしょうか。
  474. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) まあいろんな見方があり得るというふうに思います。しかし、これは昨年九月の自殺予防週間終了後に検討に着手して、昨年十一月、当時の政務三役で決定したものでございます。そういった議論を経てはいるものの、必ずしもそのことが、何といいますか、議論の過程に十分に関与されなかった委員の方もいらっしゃって、先日いろいろ議論が出たというふうに聞いております。  方針としてはもう既に昨年十一月に決めておりますので、これを様々な意見があるからといって直ちに撤回するというふうには考えておりません。
  475. 松浦大悟

    松浦大悟君 大臣、様々な意見ではなくて、七十二団体の民間のこれまで自殺対策を引っ張ってきた団体の皆さんが反対の声を上げているんです。これから読ませていただきます。  分かちあいの会・ネモフィラの皆さん。アイドルを想像させる言葉で自殺問題をばかにしている、遺族の気持ちを逆なで、真剣に考えてほしい。  岩手自殺予防センター。被災地としてこれからが支えることの重要性が増している中、一生懸命支えるために活動している人たちを真剣に見詰めているのでしょうか、中央政府の考えが理解できません。  秋田こころのネットワーク。これは二十九団体が加盟しておりますけれども、自殺対策は国民の命を守る神聖な闘いです、このような関係団体を愚弄するキャッチコピーには断固として反対です。  グリーフケア・アンド・ピアサポート福島れんげの会の皆さん。人集めのイベント広報とは違います、その一言で心が温かくなるような言葉選びをしてほしいです。  自殺対策に取り組む僧侶の会の皆さん。三月にせっかく自殺対策強化月間を設けて、自殺、自死について啓発を進めようというのに、GKB47は、一、分かりづらく、二、ばかにした感じがし、三、一緒になって取り組もうとするやる気をそぐものだと思います。  NPO法人ザフトの皆さん。誰もが理解できない言葉を使用することは、キャッチフレーズとして意味を成していない、無駄なことだと思います。流行にとらわれず、誰もが分かるはっきりした言葉を望みます。  グループアットホームの皆さん、うつの当事者会、御家族も含む。ですから、数多くの方が希死念慮を抱いているときには、毎日をどのように生きていこうかと苦慮され、その苦労たるや大変なものです。  NPO法人心に響く文集・編集局の皆さん。ゲートキーパーになり希死念慮者を発見した場合、どこに引き継げばよいのでしょうか。  自死に向きあう関西僧侶の会の皆さん。私たちが接する自死遺族の方々からも、このキャッチフレーズで国の対策に不信感を募らせているのをひしひしと感じています。どうかこのおちゃらけのイメージを払拭していただけますことを切に願っています。  そのほか、NPO法人多重債務による自死をなくす会コアセンター・コスモスの皆さん、NPO法人白浜レスキューネットワークの皆さん、NPO法人国際ビフレンダーズ大阪自殺防止センターの皆さんなどなど、七十二団体の皆さんが反対をされているんです。  これは、現場で活動する民間団体が反対しているのは、名称に対する違和感だけではないんです。そもそもこのキャンペーンには、自殺対策において最も必要なことが抜けているんです。何だか分かるでしょうか。それは、死にたくなるほどつらくなったときに、どこに相談すればよいのかという情報です。あるいは、生きるのがつらい、死にたいと相談されたときに、どこにどう相談を持っていけばいいのか、どう対応すればいいのか、そういう情報です。相談しましょう、気付きましょうというメッセージは、自殺対策においてはほとんど意味を成さないんです。  仮に、大臣がゲートキーパーになって、死にたいという相談を受けたとき、どうされますか。困るんじゃないでしょうか。みんなにゲートキーパーになってもらいたいというんですが、じゃ、相談されたら、その人どうするんですか。そこから先がないんですよ。  東尋坊で自殺防止活動に取り組んでいる茂幸雄さんは、こうおっしゃっています。ゲートキーパーになり、希死念慮者を発見した場合、我々はどこに引き継げばよいのですか。まずはこの問いに答えてからにしてほしいと思います。自殺念慮者の引取り機関、すなわち、その基盤ができていないのに看板だけを掲げて先走りすると、国民は迷い、さらに、裏切られた感情を抱き、死に追い込まれることになると思います。  それから、北海道カウンセリング協会の皆さん。GKB47騒動が起こり、その後、関係各所との話の中でもこの話題を組み込んでお話をしておりましたが、GKB47を使用する事業等には参加しない旨北海道主務官庁等の賛同も得られております、道としては使用するつもりはないと担当者からお話をいただいております、こうおっしゃっています。  大臣、どうでしょうか。
  476. 村木厚子

    政府参考人(村木厚子君) 経緯について御説明をさせていただいてよろしゅうございますでしょうか、委員長
  477. 石井一

    委員長石井一君) どうぞ。(発言する者あり)御静粛に願います。
  478. 村木厚子

    政府参考人(村木厚子君) 平成二十三年度の自殺対策強化月間のキャッチフレーズ、「あなたもGKB47宣言!」でございます。  我々は、ゲートキーパー、すなわち、悩んでいる人に気付き、声を掛け、話を聞いて相談窓口など必要な支援につなげ、見守る人になっていただくこと、このことを主な訴求ポイントとしてキャッチフレーズを作りました。  ゲートキーパーという言葉は、この自殺対策の分野では大変大事に、大切にされてきた言葉でございます。平成十九年の自殺対策大綱、閣議決定でも、このゲートキーパーを養成をするということが既に決まっているものでございます。平成十九年の閣議決定にゲートキーパーを養成をするということが決められております。この間、ゲートキーパーを養成をするための教材、研修、そういったことを一生懸命やってまいりました。  その中で、先生方からも御指摘があるように、ゲートキーパーという言葉そのものがなかなか皆さんに認知をしていただけないということもあり、今回の広報啓発の中でゲートキーパーという言葉を……(発言する者あり)
  479. 石井一

    委員長石井一君) 静粛に願います。
  480. 村木厚子

    政府参考人(村木厚子君) きちんとキャッチフレーズの中に入れてお伝えをしてはどうかということを私ども議論をしまして、今回のキャッチフレーズを決めたところでございます。  昨年の九月に事務的な検討をし、昨年十一月に当時の政務三役で御相談をして決定をさせていただきました。その後、関係団体、この運動を一緒にやっていただく医師会ですとか薬剤師会ですとか、いろんな団体ともこのキャッチフレーズとお伝えをしたい中身についていろいろ議論をし、是非協力をするということで、たくさんのポスターを作ったり、宣言を既にしてくださった団体もあるところでございます。(発言する者あり)はい。そういうことで、関係団体の中にも、たくさん協力をして、既に実際にアクションを起こしてくださっているところもたくさんあるということでございます。  賛否両論があるということでございますが、先ほど御指摘いただいた一月の会議でも、違和感があるという言い方で、その後、私ども事務方から丁寧に趣旨や狙いを御説明をして、それ以上の議論はその場ではなかったということも併せて御報告させていただきます。
  481. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) まず、委員皆さんお願いしたいと思いますが、我々政務三役は多少のやじにも慣れておりますし、それにかかわらず答弁をいたしますが、是非、政府の人間に対してそこはよく十分に考えた上でやっていただきたいと私からお願い申し上げておきたいと思います。(発言する者あり)はい、私に幾ら言っていただいても結構です。
  482. 石井一

    委員長石井一君) 静粛に願います。
  483. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) そこで、松浦委員に申し上げたいと思いますが、確かにGKB47ですか、その言い方については賛否両論あるかもしれません。しかし、去年の十一月に既に決めたことで、松浦さんは与党でありますので、これはやはりその以前にいろいろと与党として御意見を言っていただく機会はなかったんでしょうか。基本的には、国会のこの場でというよりは、事前に与党と政府の間で調整すべき話だったのではないかと。そして、もう既にこれは動き出している話だということも申し上げておきたいと思います。
  484. 石井一

    委員長石井一君) この際、委員長として一言申し上げます。  まず、ここで議論をしておることは自殺という厳粛なる人間の死に関する問題であります。そのことで激しいやじを浴びせるということは、自殺者の家族その他の皆さんに対してもどれだけの影響を与えるか、国会の品位を問われる問題であるということを申し上げたい。  それと同時に、今いろいろ議論をされましたが、松浦大悟委員の主張、非常に胸に迫るものがあります。政府としては、過去の経過はいかであれ、再度この名前について検討することを僣越ながら委員長として要請しておきたいと思います。
  485. 松浦大悟

    松浦大悟君 委員長、ありがとうございます。  岡田大臣、これは自殺対策推進会議でいきなり発表されて、それで現場の皆さん、みんな反対の声を上げているんです。聞いてもらえなかったんです。そういう経緯があります。今まで現場を引っ張ってきた方たちがそっぽを向いてしまったら、民主党がこれまでやってきた自殺対策、信頼を失ってしまいます。政府の信頼を失ってしまいます。どうかこれを撤回していただきたいんです。  藤村官房長官、藤村官房長官はあのお亡くなりになった山本孝史議員と同期でいらっしゃって……(発言する者あり)
  486. 石井一

    委員長石井一君) 静粛に願います。
  487. 松浦大悟

    松浦大悟君 あしなが育英会でも一緒に活動をされてこられたと聞いております。あしなが育英会は、いわゆる病気や事故で親御さんを亡くされたお子さん、その中には自殺で親を亡くされたお子さんも含まれています。そうした方々の支援を行うところです。藤村官房長官も多くの御遺族の皆さんからそのお気持ちを聞いてこられたことだというふうに思います。もし御遺族の皆さんがこの言葉を聞いたら、どんな思いになると思われますか。  藤村官房長官、実は山本孝史議員の奥様からメッセージをいただいております。山本孝史議員の奥様、山本ゆきさんから抗議の言葉が届いています。読ませていただきます。民主党参議院議員だった夫、山本孝史がその成立に命をささげた自殺対策基本法の理念を踏みにじるもの、政府に猛省、撤回をお願いします。  どうか官房長官、これを撤回していただきたいんです。官房長官のお考え、聞かせてください。
  488. 藤村修

    国務大臣(藤村修君) 民間の活動で、あしなが育英会というところで私ももう学生時代からこの運動に参加した一人でありまして、学生で同期で一緒に活動したのが山本孝史参議院議員でございました。  私、先般、記者会見のときにこのことが出たときには、私自身は大変違和感を感じ、この自殺という大変重い事態について、ややキャッチフレーズ的なもの、非常に違和感を感じたところではございますが、今は自殺対策の担当、岡田副総理でございますんで、その下で、今の言葉など、重く受け止めさせていただきたいと思います。
  489. 松浦大悟

    松浦大悟君 総理、自殺対策基本法第二条には官民連携の理念というのがうたわれております。これは、自殺対策に取り組む全国の民間団体がこれだけ反対するGKB47、これを政府が強行的に展開するのなら、これに大きく反していると言わざるを得ません。  また、第七条には「自殺者及び自殺未遂者並びにそれらの者の親族等の名誉及び生活の平穏に十分配慮し、いやしくもこれらを不当に侵害することのないようにしなければならない。」とうたわれています。  GKB47というキャッチフレーズを聞いて、御遺族の皆さんや希死念慮に苦しんでいる皆さんが政府は命を弄んでいると憤りを感じているこの状況を、私は政府は重く受け止めなければならないと思っています。  総理、撤回していただけないでしょうか。
  490. 石井一

    委員長石井一君) それじゃ、岡田担当大臣。(発言する者あり)後で答えてもらいます。
  491. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 先ほど委員長が検討しろというお話でございました。政府の中でいろいろ議論してみたいと思います。しかし、もうこれ、かなりポスターも張られたり、動き出している話でもあるんですね。そこもよく考えていただきたいと思います。  そして、松浦議員、お気持ちはすごく分かります。だけど、それは本当は政府・与党の中で議論すべき話だと私は思います。そこも是非お考えいただきたいと思います。
  492. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 見た瞬間、私も率直に言うと違和感を感じました。ただ、いろいろともう手配をして準備しているところもあるということなんですが、御批判をいただいている部分は、これは率直に受け止めてきちっと御説明しながら、本来ならば過ちを改むるにはばかることなかれだと思います。どういう形で対応できるか、ちょっと研究をさせていただきたいというふうに思います。
  493. 松浦大悟

    松浦大悟君 ありがとうございます。  現場の声をしっかりと受け止めて自殺対策に取り組んでいただければというふうに思います。  多くの民間団体の皆さん、これから東京に上京して反対声明の記者会見を開く予定であるとも伺っております。今日、事前にその抗議声明の案を私いただいておりますけれども、これをこれから岡田大臣の元に届けるという運びになっているそうです。是非とも真摯な対応をよろしくお願いを申し上げます。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  494. 石井一

    委員長石井一君) 次に、梅村聡君。梅村君。
  495. 梅村聡

    梅村聡君 民主党梅村聡です。  本日は、第四次補正予算、そしてそれに関連する社会保障と税の一体改革についての質問をさせていただきたいと思います。  まず、冒頭ですけれども、この社会保障と税の一体改革、この委員会でも朝から議論が続いております。午前中も年金の制度の議論ということがございました。野田総理に是非お聞きしたいのは、今、消費税率それから行財政改革、この話題が非常に表によく出ているわけでありますが、私は社会保障制度そのもの、中身議論ということもこれはしていかなければならないと考えております。  その中身については、時代に合わないもの、システムとして改築していかなければいけないもの、こういったものは抜本的に見直すと、こういったことが必要だと思っておりますが、この点につきまして総理の見解をお願いいたします。
  496. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 社会保障というのは、国民の暮らしあるいは経済も含めて、それを支える大きな柱だというふうに思います。  その上で、例えば昭和三十六年から始まった国民皆年金、国民皆保険、社会保障制度の根幹でありますが、基本的にはこの制度が導入されたことによって、老後を安心して暮らせる基盤ができたとか、あるいは病気になったとき保険証一枚で医療機関で診療できるとか、その制度自体は私は評価できる、世界の各国に比べても相対的には私は評価できる制度だと思うんです。  ただし、その社会保障を支える基盤が今足下から揺らいできている。一つは急速な高齢化で毎年一兆円以上自然増が発生しているということ、極端な少子化もまだ歯止めが掛からないということで、これよく話題になりますけれども、人口の構造が、昭和三十六年当時、制度導入当時は一人のお年寄りを多くの人が支えるまさに胴上げ型だったけれども、今は三人で一人を支える騎馬戦型になって、二〇五〇年には一人が一人を支えるというマンツーマンの肩車型になると。  肩車型になったときの支える側は大変です。病気になったら、その人が貧乏だったらどうするかということを考えると、社会保障の中でも老後の問題、これまでの支えられる側じゃなくて、支える側のまさに子育ての支援だとか、あるいは若い人の就労だとかということを含めた全世代対応型にしていかなければいけないという、そういう要請もあるし、今の年金や介護とかなんかは、既存の制度を守っていくためにもこれも相当にてこ入れしていかなければいけないという状況で、まさに国民の暮らしに直結をしているこの社会保障を持続可能なものにしていくために今議論が必要だということだというふうに認識をしております。
  497. 梅村聡

    梅村聡君 制度をどうしていくかということと、それから政策をどう決めていくかということ、この二つが両輪の柱になっているんだと思っています。  それで、今日は幾つか例を挙げて考えていきたいと思うんですが、昨年末、診療報酬、介護報酬、これの同時改定がございました。これについては、財政が厳しい中で、一方で医療や介護をどうしていくのかということが問われた改定であったと思います。  これは小宮山大臣にお聞きしたいと思いますが、診療報酬というのは、これ医療ですが、二年に一度の改定、そして介護は三年に一度の改定と。二〇一二年は六年に一度、二と三の最小公倍数ですね、六年に一度の同時改定だということになりますが、この同時改定というものの狙いと意義、単体の改定とは違って同時改定の狙いを御説明いただければと思います。
  498. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) 今回、社会保障改革の中で、医療・介護についてはやはり医療の提供体制を、どこに住んでいても在宅あるいは身近なところの施設の中で医療と介護が同時に受けられるように、そこの機能は分化しながら連携を強化していく、地域包括ケアというような形も取っていきたいと。そういうことを考えるためには、今回同時改定であったということが有効に生きたかというふうに考えています。
  499. 梅村聡

    梅村聡君 それでは、まずそもそも論なんですが、介護報酬の改定というのはなぜ三年に一度と決まっているのでしょうか。経緯を、背景を教えていただきたいと思います。
  500. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) 介護サービスの事業者に払われる介護報酬、これは市場価格の動向ですとか高齢者人口の伸び率などの社会情勢、こうした変化を踏まえて決定をされますが、市町村が策定をする市町村の介護保険事業計画、これが三年ごとに改定をされるので、それに合わせて三年ということも一つあるかと思います。ただ、三年の法的な根拠というものはございません。
  501. 梅村聡

    梅村聡君 今御説明いただいた一つは、介護保険事業を、これは市町村それから都道府県で三年を一期として策定すると。それからもう一つは、介護保険法の中に、三年間財政的にきちんと賄えるだけの保険料率を決めると、こういう文言がありますから、三年に一度改定をしろという根拠は直接書いていないんですが、この辺りに三年という根拠がちりばめられているんだと思っています。  それでは、逆に診療報酬です。こちらは二年に一度となっておりますが、これはどういう背景で二年に一度と決まっているのでしょうか。
  502. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) 診療報酬改定の方は通常二年に一度行われていますけれども、健康保険法など根拠規定があるということではなくて、慣例として二年に一度行われているものでございます。
  503. 梅村聡

    梅村聡君 ありがとうございます。  根拠法ではなくて、恐らく過去に、例えば人件費であったり運営費であったり、こういったものが高度経済成長時代はどんどん変わってきた、ですから二年に一度改定をしなければきちっとコストが賄えないと、ですから慣例ということだと思います。  そうしますと、先ほど大臣の方から、今非常に重要になっているのは医療と介護の連携だというお言葉がありました。ところが、二年に一度の診療報酬の改定と三年に一度の介護報酬改定がこのまま進めばどうなるかといいますと、二年後には診療報酬の単独改定がやってきます、三年後には介護報酬の単独改定がやってきます、四年後には診療報酬の単独改定がやってきます、六年後には同時改定がやってきます。  私、これを考えると、これから高齢化社会で医療と介護の連携が本当に重要であれば、診療報酬改定を三年に一度に合わせれば毎回実は同時改定ができますし、医療と介護の連携というのはより緊密にできるのではないかなと素朴に感じるんですが、この点についていかがでしょうか。
  504. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) 委員がおっしゃるような考え方もあるかと思います。一つそのメリットとしては、同時にやることによって、介護報酬とそれから診療報酬、ここは医療機関とか支払機関がシステム上改修の負担が少なくなるというようなメリットもあるかと思うんですね、事務的には。ただ一方で、新しい例えば手術などの医療技術、これが三年に一度の改定だと、そこの市場実勢価格を踏まえた薬価の改定、これが一年遅れるというようなデメリットもあるかというふうに思います。  ただ、おっしゃったような観点から、一緒にするということのメリットもございますので、医療関係者ですとか保険者、それから被保険者など、御意見をいろいろ踏まえて検討していく必要があるというふうに考えます。
  505. 梅村聡

    梅村聡君 いろんな経緯もありますし、システムを変えるというのは、やはり現行とのずれということは常に意識をしなければいけないと思っています。  しかし、今回の医療と介護の連携は、それぞれの現場とかあるいは患者さんに、連携をしてください、連携が重要だということをメッセージで出されるわけですよね。そうすると、私は、やはり霞が関もその掛け声に合わせて率先して連携するということが私はあっていいんじゃないかなと思っています。  もう一点申し上げますと、これ二年、三年だけでの問題ではなくて、診療報酬というのは中医協で、厚生労働省でいえば保険局になります。介護報酬は介護給付費分科会の老健局、こういう形になっています。私は、この二つの決め方、これももちろん歴史がありますが、ここはきちっと連携をして、場合によっては共同の会議体をつくるとか、連携をするその場をつくるとか、そういった努力も年限を合わせると同時にやることが必要ではないかなと、このようにも感じておりますが、いかがでしょうか。
  506. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) これも委員の御指摘のとおりのところがあるというふうに思います。今おっしゃった中医協とそれから介護給付費分科会、以前はお互いに検討状況の報告をしていたんですが、今回、平成二十四年度の同時改定では合同で会を開催をいたしまして、先ほど申し上げた地域包括ケアシステムなどいろいろなことを一緒に会議をいたしました。  今後、もっとその連携を取った会議の在り方についても検討させていただきたいと思います。
  507. 梅村聡

    梅村聡君 この問題意識は、改定をします、改定ということはこれは国民にとっていいメリットが生まれる、医療にしても介護にしてもですね、ところが、二年に一回だったら、どういうことが今起こっているかというと、改定をして、一年間データを取って、医療機関の経営状況だけ見て、もう次スタート、改定をしないといけないんですね。私は、改定をしたその成果が国民にどうメリットがあって、どういう良さがあって、悪さがあってということを検証した上で次の改定なり予算立てということをしていかなければ、本当の意味での国民のための医療や介護がつくれないんじゃないかと、そういう問題意識を持っております。  ここで、総理に感想をお聞きしたいんですが、医療保険というのは、先ほどおっしゃっていただいたように五十年間の歴史があります。一方で、介護保険というのは今十二年目ですかね、というものである、後付けでできたものであると。しかし、これが本当に連携が必要だということであれば、しっかりシステムを抜本的に見直して国民にとって一番メリットのある制度をつくるべきだと、私はそのように考えておるんですが、野田総理の御見解をお伺いしたいと思います。
  508. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 先ほど厚労大臣答弁をされたように、同時にすると、三年に一回という形にすることによるメリットと、場合によってはデメリットもあるということだったんですが、むしろ委員のお話を聞いていると非常に説得力のある御説明でございますので、よく厚労省内で検討をしていただきたいというふうに思います。
  509. 梅村聡

    梅村聡君 やはり一つ一つの点数とか評価ではなくて、今までの政策の決め方が本当に良かったのかどうか、こういう検討も私は一体改革の中で是非進めていただきたいと、そのように思っております。  補正予算中身について戻りたいと思います。  今回の四次補正予算の中には、子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例の積み増し、延長として五百二十六億円が計上をされております。これは昨年も補正予算の基金事業として行われていましたから、今回の四次補正予算が出るまでは、各地方自治体から財源が枯渇するのではないか、あるいは保護者の皆さんから来年度の実施はどうなのかと、こういう危ぶむ声が出ていたのが事実であります。  そういったことから考えますと、こういった予防接種事業は、こういう補正予算であるよりもむしろきちっと予防接種法を改正して、財源問題は考えないといけませんが、定期接種にきちんと位置付けることによってやっていくことが私は重要だと思っておりますが、現在の予防接種部会の議論あるいは予防接種法改正に向けての見通しをお伺いしたいと思います。
  510. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) 今年は、来年度については予防接種法の改正が間に合わないので、つながるように基金でいたしましたけれども、今、予防接種部会の中で予防接種法にしっかりと位置付ける方向で検討をしておりますので、検討をなるべく急がせまして、早くにその予防接種法に位置付ける形にしていきたいというふうに思います。
  511. 梅村聡

    梅村聡君 今回は、続けるためにはこれで良かったかと思いますが、私は、やはりそこの抜本的な政策の立て方ということを考えていただければと思います。  続いて、がんの問題を少し取り上げたいと思います。  今年平成二十四年度は、がん対策基本法が施行されて五年目に当たります。このがん対策基本法には、がん対策推進基本計画、これを少なくとも五年に一度見直すことであると、そのように記載がされております。  先週二月一日に開催されましたがん対策推進協議会、こちらで提示をされた新たな基本計画の素案には、がん登録の推進という言葉があります。  そもそもこのがん登録というのはどういうものなのか、そして日本におけるがん登録の現状がどうなっておるのか、大臣から御説明をお願いいたします。
  512. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) がん登録というのは、がんの種類ごとの患者の数、治療内容、そして生存期間などのデータを収集、分析をして、がん対策の基礎となるデータを得るという、そういう仕組みでございます。  がん登録は、医療機関が院内がん登録によって集めたがん患者のデータを都道府県ごとに地域がん登録によって集計をしています。現在、地域がん登録、これは四十五道府県で実施をされていまして、東京都と宮崎県がまだ行っていないのですが、二十四年度中に全都道府県が開始をする予定になっています。  ただ一方で、医療機関に院内がん登録を行うという、これが義務付けになっていないということ、また患者の生存期間の調査が困難だということ、そして道府県が地域がん登録を行う体制にばらつきがある、こうした理由から全てのがん患者のデータが得られていない、またデータを得るまでに相当の期間を要する、このような問題点がありますので、患者さんの個人情報の保護の観点を踏まえながら改善を図っていく必要があるというふうに考えています。
  513. 梅村聡

    梅村聡君 海外でのがん登録の状況というのはどうなっておるでしょうか、御説明をお願いいたします。
  514. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) オランダ、スウェーデン、韓国、ニュージーランド、アイルランドでは、国が全国的ながん登録を直接実施をしています。一方、アメリカ、カナダ、フランス、オーストラリアなどでは、州などの地域単位でがん登録を実施して得られたデータを最終的に国で取りまとめています。  また、がん登録の根拠になる法整備の状況については、アメリカ、オーストラリア、韓国などでは、がん登録に特化した法律根拠としています。一方、カナダなどでは、統計法のような一般的な法律根拠としてがん登録を実施をしています。  がん登録については諸外国でも幅広く導入をされていますが、とにかくこれはがん対策に活用をし、そしてがん対策の進捗状況、これを把握する上でも不可欠なものとして各国ともいろいろな方法で位置付けられているというふうに思います。
  515. 梅村聡

    梅村聡君 ありがとうございます。  海外でも、がん登録という法律そのもので行っている事業であったり、あるいは一般法でやられているとか、いろんな形があるというふうにお聞きをしております。  実はこれ、先ほども自殺対策で山本孝史参議院議員のお名前が出てきましたが、私は参議院の大阪選挙区でして、私の前の議席は山本孝史参議院議員であられました。山本先生は、このがん対策基本法、これに、成立に非常に御尽力をされた方でして、今のがん登録の問題をもう一度整理しますと、日本はあくまでも都道府県単位での登録であると。そうしますと、例えば患者さんが県をまたいで動けばこれはもう一切分からなくなってしまいますし、それから都道府県によってこのフォーマットもばらばらであると。要するに、最終的に日本にどれだけの患者さんがおられて、どんな治療をされて、そしてその治療の成果がどうだったのか、これを国全体としてまとめて統計を取るということが今非常に難しい、そういう状況だと思っています。  私も、実はこの質問をするに当たって、山本孝史さんの本をもう一度読み返しをさせていただきました。そうしますと、こういう記述がございます。がんの罹患率あるいは生存率等を正確に把握することが適切ながん対策を推進するのに不可欠ですと。日本では、罹患率や生存率は全国的ながん登録制度がないために正確には把握できていません。国は、院内がん登録や地域がん登録を進めて、全国集計する体制を一日も早く整備すべきですと。こういう記述がございます。  私は今日一枚ボードを持ってきたんですが、(資料提示)よく五年生存率という言葉が使われます。こういう治療をした場合にこういうがんの方は五年間どれだけ生存されているかという率でありますけど、この言葉が、実は今の日本ではどういう状況かといいますと、宮城、山形、新潟、福井、長崎、大阪、たった六府県のデータで全国推計をしているんです。ですから、真の数字じゃないんです、今。これだけでしか推計が出せない状態なんですね。これはなぜかというと、全国できちっと統計を一元的に分析する、そういった形にはなっていないし、そういう法律もありませんし、そういう状況なわけです。  野田総理にお伺いしたいと思うのですが、この状況を見ていただいて、全国できちっとがんの統計を集めて、そして分析をして、そしてがん対策、がんの戦略に生かしていくということの必要性についてどうお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。
  516. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 確かに、資料で御提示いただいているような、五年生存率の根拠が六府県のみの登録情報とは私も承知しておりませんでした。これは、やはりまず医療機関がきちっとデータを集めるということに徹するということと、それから、やっぱりいわゆる生存率等を把握していくということは、その生存期間を正確に把握するための調査体制をどうつくるかということだと思います。そういう体制整備と併せて、正確なデータに基づいた議論ができるような環境整備をしていくべきだろうというふうに思います。
  517. 梅村聡

    梅村聡君 小宮山大臣、もしコメントがございましたらお願いいたします。
  518. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) これはどなたが御覧になっても、六府県のみで推計でやっているというのは、この制度自体がきちんとした制度として整っていないということだと思います。  このため、平成二十四年度からの次期がん対策推進基本計画、ここでも引き続き重点的に取り組む予定ですが、このままの形でやっていって推進すればできるものなのか、先ほど御質問がありましたように、諸外国のように何らかの法的な根拠付けをやってやらなければできないのか、早急に検討をしたいというふうに思います。
  519. 梅村聡

    梅村聡君 いずれにしても、この体制整備というのは私はもう先進国の中では日本が一番遅れていると思いますので、是非与党としても取り組んでいきたいと、そのように思っております。  そして、もう一つ、補正関連の質問としては、生活保護制度の内容について質問をしたいと思います。  今回のこの四次補正予算にも、生活保護費等負担金等として千三百三十九億円が計上されています。今年の当初予算、本予算では、国と地方の生活保護関連負担が全部で三兆四千二百三十五億円。ですから、この二つを足しますと、今年度、三兆五千億円を超える、社会保障の中でも非常に大きな部分を占めていると考えています。これは、十年前が約二兆円であったことを考えると、この十年間で二倍に膨れ上がったと、そのように考えております。  今日、少し質問する前提として、これは制度だけの問題ではありません。やはり雇用政策、産業政策が必要だと思っていますし、それから、単なる財源の問題でもありませんし、給付を削ればいいという問題でもありません。しかしながら、私が今日質問をするその狙いは、これはやはり今、不正受給の問題、あるいはモラルハザードの問題、さらには、受給をしたけれども、そこからもう一度抜け出す、こういったインセンティブが今の制度の中では働いていない、このことについてきちっと議論をしなければ幾ら財源を付けても根本的な解決にはならない、そういう問題意識を私は持っております。  その中では、今回、一体改革の中でも生活保護の改革ということが書き込まれていますし、それから、昨年十二月には国と地方の協議の場の中間取りまとめ、こういったものもなされました。  私は、地元大阪で有権者の方とお話をしていますと、こういう声を聞きます。四十年間、基礎年金満額全て保険料払っても、現在、六万五千七百四十一円。一方で、七十歳以上の単身者の方が生活保護を受給された場合、住宅扶助とも合わせて十万一千七十円から十三万七百六十円。約二倍の開きがある。こういう声があるんですが、厚労大臣、こういう声に対してどういう御説明をされるでしょうか。
  520. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) 今、委員が御指摘になったような疑問の声が国民の皆さんから上がるというのも非常に理解ができます。  ただ、これは元々制度の仕組み方が違うもので、生活保護というのは、その最低限度の生活水準を保障できるように、五年に一度実施される全国調査を基にしてその数値を出していると。基礎年金の方は、収入とか資産にかかわりなく保険料を納めた期間に応じて給付を受けるという、その仕組みの違いがあるのかというふうには思います。  ただ、今御指摘いただいたように、この生活保護の問題とそれから基礎年金のこと、それから最低賃金のこと、いろいろなことを連動して考え合わせないといけないということはそのとおりだと思いますし、おっしゃったように、生活保護、長く受けているとそこから抜け出せなくなる。ですから、なるべく早期に、今第二のセーフティーネットとして求職者支援法なども作っていますので、そちらの方へ導いていくのに、なかなか役所の方だけでやっているのでは難しいので、韓国やイギリスでやっているような社会的な事業をやっているNPOとか、そうしたところとも連携をして、なるべく仕事に結び付けていく、そのような支援戦略を立てていきたいと、そういう形に戦略を立てることに今計画をしているところで、この秋口からそれをやっていきたいというふうに思っています。
  521. 梅村聡

    梅村聡君 理屈の説明としては僕はそれでいいんだと思います。理屈と言ったのはどういうことかといいますと、一つは、国民の間で理解はできても納得できないという気持ちがあるわけですね。それからもう一つは、今、生活保護を受給されている方の四五%、約半数は六十五歳以上の方なんです。ですから、年金制度とのその差で、じゃ、一度生活保護をもらった方がもう一度元に戻るというインセンティブが働かないわけですね。あるいは、最低賃金とほとんど一緒ということは、その元の状態に戻ろうというインセンティブがないわけなんです。  ですから、私は、もし国の姿勢が何でも生活保護で全部、駄目だったら全て見ますという思想で社会保障をつくるのであれば、私は今の縦割りのやり方で構わないと思います。でも、日本の社会保障ってそういう仕組みじゃないですよね。自助、共助、公助でそれぞれが努力をして、そして保険というセーフティーネットを持って、そして病気や不幸なことでどうしても支えなければいけない方は生活保護で支えるという、基本はそういう形なんだと思っています。  そういうことから考えると、この最低賃金や基礎年金やあるいは生活保護の受給ということをこれはセットで、先ほども老健局と保険局の話をしましたが、生活保護の基準は社会・援護局ですよね。最低賃金は労働基準局、年金は年金局、こういう形になっているわけですよ。ですから、私はこの問題を考えるときに、やはりしっかりと、生活困窮者対策をどうするのか、低所得者をどうするのかと、そこをセットで議論をしないと、これはこういう制度でこの金額でいいんだということをいつまでも言い続けると、やがてその思想自体が変わってきてしまうと私は思うんですが、是非この総合的な議論ということを行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  522. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) 今回の社会保障の一体改革の中でも貧困・格差対策というその項目を設けまして、今言われましたように、これは関係省庁の関係部局間もそうですし、関係省庁全体で一体となって制度横断的にこれを検討するという方針を持ってやっています。  先ほどもちょっと申し上げかけたんですけれども、関係省庁とも協力しながら今年の秋ごろをめどに取りまとめをして、その生活支援戦略という形で横断的に検討をして、何とか生活保護ではなくて自立して生きていただけるようにということ。それからまた、生活保護の中で一番支出が多いのは医療扶助ですので、ここのところをできるだけジェネリックが使える、後発医薬品を使っていただけるように、いろいろその周知、広報を始め、そこでなるべくお金が掛からないようにしていくと。幾つかのことを併せて考えていきたいというふうに考えています。
  523. 梅村聡

    梅村聡君 今、医療扶助のお話が出ましたけれども、この生活保護費の約半分が医療扶助になります。  私はもちろん、これいろいろな問題がありまして、例えば医療機関の中にもいわゆる不正な受給をやっていく医療機関ですとか、こういうものが大阪市なんかでも実際摘発をされている。こういったことについては、やはりしっかりレセプトチェックも含めて取り組んでいかなければならないと思っております。  その中で、今回、岡田行政刷新担当大臣にお伺いしたいと思うんですが、昨年十一月に行われました提言型政策仕分の中でもこの生活保護の問題が取り上げられました。これは私が一昨年の十一月にもこの委員会で質問をさせていただいたんですが、いわゆる生活保護受給者の方の医療費の窓口負担の問題であります。  私は、今の生活保護費は、これ最低水準の生活費でありますから、ここから窓口で払ってもらうというのは、これは実質上はかなり厳しいのは重々承知なんですが、しかし、ここで提言をされた内容は、翌月に償還をすると、翌月でもいつでもいいんですが、償還するという前提で、やはり窓口で一部自己負担をしてもらうことを検討すべきじゃないかと、こういう主張をされました。  私は、ここについてもいろんなお声をいただいていまして、やっぱり年金の少ない方でもやりくりの中で医療費というものは窓口で負担をしていただいていると。もちろんそれが命にかかわること、受診抑制になってはいけないんですが、しかし、一方で医療というものは無限ではありません。資源は有限なんです。医療というのは限られた資源です。それを好き勝手に、ただだからということで頻回受診が行われたり、これは医療機関側の問題もあります。しかし、そういうことを考えれば、私は償還を前提とした窓口自己負担というこの提言ですね、刷新会議での、これは一理あるかと思います。  党内でも議論しました。やっぱり賛否両論出ました。出ましたが、やはりこういうことを考えたときに、私は、この提言をきちっと厚生労働省に求めていただくということはこれからもしていただけるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  524. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 今、梅村委員御指摘のように、昨年十一月の提言型政策仕分で生活保護費の急増の要因、その半分を占める医療扶助であるということで、三つのことを指摘がございました。指定医療機関に対する指導の強化、それから後発医薬品の利用の促進、三番目に、今委員御指摘の翌月償還を前提とした一部自己負担の検討でございます。  この三つの点について、今、担当省庁である厚生労働省の中で議論していただいているというふうに考えております。我々としては、その結果をしっかりとフォローアップしたいというふうに考えております。  委員御指摘のようにこの問題は非常に微妙な難しい問題を含みますが、私もある県の知事と話をしましたときに、この無料化ということがやはり必要以上の過剰な医療を招いているのではないかという御指摘もございました。そういう面はなきにしもあらずだというふうに思います。  他方で、年金生活者の方ですと一定の資産がある場合もあるかと思いますが、生活保護の場合にはもうぎりぎりの中での最低限の生活保護費ということを考えると、翌月償還とはいえ自己負担を一時的に払うというのは論理的にはなかなか難しい問題でございます。  そういうこと全体を踏まえてどういう姿がいいか、よく検討してまいりたいと思います。問題意識は私も共有しております。
  525. 梅村聡

    梅村聡君 ありがとうございます。  何回も申し上げますが、これお金の問題で言っているわけではなくて、やはりモラルをどう守っていくかと、そういうことに尽きることだと思いますので、いろんな形でしっかりモラルを守れた制度というのをつくっていきたいと、そのように思っております。  そして、もう一つ、これも一昨年十一月にもお話をしたんですが、いわゆる年金と生活保護では背景が違うと、背景が違うということは、これは例えば収入調査、資産調査、こういったものをきっちり行っていくということが私は必要だと考えています。  今、こういう受給を申請された方が福祉事務所に来られたときに資産や収入を調査するのは、これは生活保護法二十九条で定められておりますが、現実的にはこれどうやっていますかといいますと、今、金融機関の支店に個別照会をしているという状況であります。これを是非本店にきちっと、金融機関に一括照会をして、そしてきちっと口座を、全員の方じゃなくても結構です、調べる必要がある方ですけれども、一括照会ができるような形にすべきであると、私は一昨年もこのことを申し上げました。  今回の国と地方の協議の中間報告の中でも、金融機関に対する資産調査については本店への一律照会が可能となるよう関係団体へ要請ということがはっきりホームページ上明記されていますが、この点についての金融関係団体との調整は現在いかがでしょうか。
  526. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) 今御紹介いただきましたように、昨年の国と地方の協議の中間取りまとめでも、より効率的で正確な調査方法として金融機関の本店に複数支店分の口座の状況を一括して照会できるようにならないかと御指摘を受けています。現在、関係団体と交渉中で、一部の団体からは前向きなお返事をいただいているところです。  円滑な資産調査のために有効な手段の一つですので、引き続き調整を進めていきたいと思います。
  527. 梅村聡

    梅村聡君 これは中間取りまとめ、国と地方の協議の場でもしっかり明記されたことですので、是非調整をお願いしたいと思います。  これ、今、資産と収入調査についてお聞きしましたが、同時に就労支援、自立支援ということも大きなテーマであります。これ、申請者の方の職歴、就労先等、資産、収入以外の調査項目についても、頑張っているのは現場の市町村ですから、是非市町村にその調査権限を与えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  528. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) 今御紹介いただいたように、現在は明示的に本人の同意を得ることとされている調査の項目に勤務先での状況などが明確に示されていなかったと、そのためになかなか個人情報保護の観点から難しいというお話も伺っていまして、勤務状況などを追加する、そのことを今検討をしているところでございまして、生活保護受給者の方の職歴、勤務状況などの把握が円滑に行えるように今検討をしておりますので、これを追加する方向でやっていきたいと思っています。
  529. 梅村聡

    梅村聡君 ありがとうございます。  これ、やはり自治体が実施主体でありますから、やはり自治体が一番きっちり円滑に取り組めるようなそういう仕組みづくりが必要だと思っております。  大阪でいえば、大阪市は今十八名に一人が受給者という、そういう町になっています。前の平松前大阪市長、そして現在の橋下大阪市長、共にこの問題についてはしっかり取り組んでいきたいというメッセージを出されていますし、そして、何よりも頑張っているのはやはり市役所の職員の皆さんですね、あるいは福祉事務所の最前線の現場の方です。ですから、そういう方々の声を、意見を是非取り入れていただきたい。今回の中間取りまとめにはそのことをしっかり声を取り入れていただいたこと、これはもう非常に有り難く思っております。  それに加えて、今度秋に向けて、生活支援戦略ですか、先ほど御説明いただいた、この取りまとめも同時にこれからされていくんだと聞いております。ここにも是非地方の現場の声を取り入れていただきたい。秋にまとめるからといって、まとまったものでどうだというのではなくて、やはり最初の段階からいろんな政令市、市町村、そういった担当者の声を入れていただくということを是非お願いしたいわけでありますが、大臣の御答弁お願いいたします。
  530. 小宮山洋子

    国務大臣小宮山洋子君) 現場の地方の声もしっかり伺いながら作っていきたいと思っています。
  531. 梅村聡

    梅村聡君 ありがとうございます。是非その方向お願いをしたいと思います。  今日は少し時間が早まったんですけれども、診療報酬、介護報酬の問題、あるいは生活保護の問題、いろいろさせていただきました。  実は今日、私が申し上げたかったのは、個別の政策ではなくて、その政策を決めるためのプロセスをもう一度きちんと見直すということが生活保護制度改革の中でも必要なのではないかと。過去の経緯からいけば、これはそれほど大きな路線転換というのはなかなか難しいわけですけれども、しかし、今の政策決定のプロセス、考え方が本当に時代にマッチしているのかどうか、こういったことを見直すというのも私は一体改革の議論の中で必要だと考えておるわけですが、この点について野田総理の見解をお伺いしたいと思います。
  532. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 御指摘のとおり、これは生活保護の問題だけではなくて、いわゆる貧困・格差対策全般としてとらえながら、年金はどうするか、あるいは生活保護はどうするか、厚労省の中にはいろんな局があるかもしれませんが、一体として総合的に議論をしながら結論を出していくべきだという、そういうプロセスをたどらなければいけないということは委員の御指摘のとおりだというふうに思います。
  533. 梅村聡

    梅村聡君 ありがとうございました。  そういう形で、与野党が話し合うときも、是非こういったところの議論から私はスタートをして、そしてコンセンサスを得ていく、このことを是非与野党一緒になってやっていきたいということを最後に申し上げまして、私の質問とさせていただきます。  ありがとうございました。
  534. 石井一

    委員長石井一君) 以上で中谷智司君、松浦大悟君、梅村聡君、民主党・新緑風会の質疑は終了いたしました。(拍手)  残余の質疑は明日に譲ることといたします。  予算委員会質疑は常に超過いたしまして、今日は、しかしながら皆さんの協力によりまして三十分以上短縮することができました。相当NHKにお返しができたと思っておるわけであります。  次回は明七日午前九時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十五分散会