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2012-01-31 第180回国会 参議院 予算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十四年一月三十一日(火曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員の異動  一月三十日     辞任         補欠選任      西村まさみ君     平山 幸司君     三原じゅん子君     佐藤 正久君      横山 信一君     石川 博崇君      大門実紀史君     紙  智子君      荒井 広幸君     舛添 要一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         石井  一君     理 事                 植松恵美子君                 川上 義博君                 武内 則男君                 徳永 久志君                 有村 治子君                 礒崎 陽輔君                 山本 一太君                 浜田 昌良君                 小野 次郎君     委 員                 石橋 通宏君                 大久保 勉君                 大塚 耕平君                 小西 洋之君                 櫻井  充君                 谷  亮子君                 谷岡 郁子君                 外山  斎君                はた ともこ君                 林 久美子君                 姫井由美子君                 平山 幸司君                 広田  一君                 牧山ひろえ君                 蓮   舫君                 赤石 清美君                 猪口 邦子君                 片山さつき君                 片山虎之助君                 川口 順子君                 佐藤 正久君                 佐藤ゆかり君                 末松 信介君                 西田 昌司君                 丸山 和也君                 山崎  力君                 山田 俊男君                 山谷えり子君                 石川 博崇君                 草川 昭三君                 竹谷とし子君                 中西 健治君                 紙  智子君                 福島みずほ君                 舛添 要一君    国務大臣        内閣総理大臣   野田 佳彦君        外務大臣     玄葉光一郎君        財務大臣     安住  淳君        農林水産大臣   鹿野 道彦君        経済産業大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣原子力        損害賠償支援機        構))      枝野 幸男君        防衛大臣     田中 直紀君    副大臣        財務大臣    藤田 幸久君        防衛大臣    渡辺  周君    大臣政務官        財務大臣政務官  三谷 光男君    事務局側        常任委員会専門        員        藤川 哲史君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○予算執行状況に関する調査  (環太平洋パートナーシップ協定及び外交防衛  等に関する件)     ─────────────
  2. 石井一

    委員長石井一君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  予算執行状況に関する調査についての理事会決定事項について御報告をいたします。  本日は、環太平洋パートナーシップ協定及び外交防衛等に関する集中審議を行うこととし、質疑往復方式で行い、質疑割当て時間は百八十分とし、各会派への割当て時間は、民主党新緑風会三十五分、自由民主党たちあがれ日本・無所属の会六十分、公明党三十六分、みんなの党十九分、日本共産党十分、社会民主党護憲連合十分、新党改革十分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。     ─────────────
  3. 石井一

    委員長石井一君) 予算執行状況に関する調査を議題とし、環太平洋パートナーシップ協定及び外交防衛等に関する集中審議を行います。  これより質疑を行います。広田一君。
  4. 広田一

    広田一君 民主党新緑風会広田一でございます。本日は外交安全保障等集中審議ということでございますので、よろしくお願いを申し上げます。  まず、イラン情勢についてお伺いをいたします。  イラン情勢緊張の度が高まっているところでございますが、その主な経緯は、昨年の十一月、イラン核計画に対しましてIAEAの理事会が深刻な懸念を表明する決議といったものを打ち出しました、採択をしました。これを受けて米国イラン石油化学分野などにおける制裁措置を発表したところでございます。日本もこれに同調をしました。  昨年十二月には、米国国防授権法案といったものを可決をして、三十一日にオバマ大統領署名をし、一月一日から発効ということでございます。  その主な内容は、原油取引を行う外国金融機関については、イラン以外から十分な原油を確保できる場合のみ制裁対象というふうに、厳しいものになっております。それに対してイランの方からは、この原油輸出に関する制裁がなされた場合はホルムズ海峡を封鎖する、そういった旨の警告が出ました。  そこで、まず玄葉大臣にお伺いをしますけれども、このイラン警告意図といったものは一体何なのかということでございます。  この二月には、イランの方はホルムズ海峡で大規模な演習を予定をしているというふうにお聞きしますし、こういったものはこのイランの断固たる意思の表れであるのか、それとも単なる脅しなのか、はたまた物理的封鎖といったものが本来の目的ではなくて、原油価格高騰、これを狙ったものなのか、そして、そもそもイランホルムズ海峡を封鎖する能力があるのか、こういった事柄に対しまして、現時点で日本情報収集をした結果、このイラン警告などをどのように受け止めているのか、御見解をお伺いをいたします。
  5. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) まず、イランの核問題は、そもそもを言えば二〇〇二年、まさに十八年にもわたる未申告の核が発覚をしたと、核開発がですね、そこから始まるんだというふうに思います。  今、ホルムズ海峡を封鎖するというふうにイランが言っている、その意図という話でありますけれども、その意図を私の立場で推測して申し上げるというのがどこまで適当かというのはあろうかと思います。今、広田委員がおっしゃったような様々な見方、例えば原油価格高騰を狙っているのではないか、あるいは脅しではないか、あるいはその能力たるや本当にあるのか、ないのか、あるとすれば短期ではないのか、もっと長期にわたるものではないか、様々ございます。私は私の見方がありますけれども、この場で申し上げない方がいいと思うんです。  ただ、いずれにしても、このイランについては、挑発的な行動を慎むように強く求めているところでございます。  イランの外相にも書簡を送ったりなどなど、我々としても、圧力を強めつつも国際的な協調というものを大切にしながら、一方で対話の道を閉ざさず様々なレベルで働きかけをしていくということが大切だというふうに考えております。
  6. 広田一

    広田一君 どうもありがとうございます。  確かに、玄葉大臣が言うように、外務大臣立場で今回の海上封鎖の件についての見解を述べること、それはおのずから限界があろうかというふうに思います。  一方で、やはり安全保障危機管理の要諦の一つといったものは、最悪の事態想定をしてそれに備えるということだと思います。今回の件で申しますと、ホルムズ海峡が封鎖された場合、そしてアメリカ軍等武力衝突が発生した場合、我が国にとってどのような影響が出るのか。もし機雷等々がばらまかれたのならば、海上自衛隊掃海艇に来てほしい、そういったお話にもなるかもしれません。  また、アメリカの今回の制裁措置について、これがもし我が国に対して発動された場合どうなのか。これについては、安住大臣も、そうならないように、例外措置になるように働きかけ等々をしているのは十分承知の上でございますけれども、これについても、もし制裁対象になったら日本にとってどのような影響が出るのか。そうならない場合に、先ほど玄葉大臣がおっしゃったように、ありとあらゆる外交ルート、特に今イランについては長年にわたっての友好関係がございますので、その人脈等々を駆使して、イランが交渉のテーブルに着くように働きかけを強めていただいているんだろうというふうに思うところでございます。  よって、お話あったように、圧力対話、こういったものを駆使しながらも、是非とも政府としてイラン情勢について万全の体制を期すように強く要請をしたいというふうに思います。
  7. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 事実関係だけを申し上げれば、ホルムズ海峡通過原油、これは日本ではもう八五%ホルムズ海峡を通過しているという事実がございますから、仮に、仮にそういう事態になった場合は日本経済に多大な影響、もちろん世界経済に多大な影響があるということは間違いありません。ただ、それが短期であるか中期であるか長期であるか、そういった問題もあるだろうというふうに思います。  同時に、今、広田委員様々指摘をしていただいたようなありとあらゆる想定というものを当然ながら私としてはしております。そのときにどういうことが私たちとしてでき得るのか、なし得るのか、また、そうならないようにするためにどうすべきかということも含めて、当然適切に対応しなければならない。また同時に、短期の、いわゆるイランに対して制裁を効果的に行う必要があるということがあるわけです。これがいわゆる国防授権法という形でイラン制裁法案アメリカから出てきたと、それに対してどう対応するのかということがございます。  まずは、国際的な協調によって圧力というものを強めていく。先ほど申し上げたように、どこかの段階でやはり、あるタイミングで対話というものをしていかなければならないと思いますけれども、その国際的な協調を図っていく上では効果的な制裁でなければならないわけです。つまりは、仮にイランからの原油を減らして、原油価格が上がってイラン外貨準備が上がるなんてことがあれば効果的ではないということでありますから、効果的な制裁にしていくためにどういう運用がよいのかということも含めて米国と緊密に連携をしていると。  二月二日から、関係者が二月二日に米国に行って、更にこの運用、解釈の問題について協議をしてきます。我が国経済にも当然影響ありますから、世界全体を見ながらも我が国経済への影響を最小化できるように、できる限りなくすように、これは原油だけではなくて非原油取引も同じでありますけれども、そのための協議というものを行っていきたいと、これは例外措置の適用も含めてということでございます。
  8. 広田一

    広田一君 御答弁にございましたように、是非米国国防授権法につきましては、オバマ政権運用方針についてしっかりと把握をして対応してもらいたいというふうに思います。これは単に制裁する米側も無傷でいられる問題ではないというふうに思いますので、このことについて、繰り返しになりますけれども、危機感を持って万全の体制で臨むよう強く要請をしたいというふうに思います。  次に、東日本大震災における自衛隊任務活動に対する評価についてお伺いをいたします。  この未曽有の大災害、国難に対しまして、警察、消防の皆さん同様、自衛隊陸海空初統合任務部隊といったものを編成をして、最大で十万六千人規模隊員を投入して任務を完遂をしたところでございます。  一言で自衛隊任務と言っても、大変幅広いものがございます。  蓮舫さん、パネルをよろしくお願いします。(資料提示)前大臣に何をさせているんだという野田総理のそういうお顔でございますけれども、よろしくお願いを申し上げます。  このパネルにございますように、自衛隊任務というものは大変幅広いものがございます。まず第一には、何よりも人命救助を行うということでございます。そして、その次には、それと同じぐらいの敬意を払って御遺体捜索収容を行う。また、発災直後には、食べ物がない、飲物がない、また灯油がない、そういったことを踏まえて物流・輸送支援も行ってまいりました。さらに、しばらくたちますと、温かい食べ物が食べたいとか、またお風呂に入りたい、こういうニーズが出てまいりますので、入浴支援であるとか給食支援、また道路の啓開、そして、今回は複合事態ということで福島第一原発原子力災害対処、こういったものに携わったわけでございます。その結果、人命救助は一万九千二百八十六人、また御遺体収容は九千五百五人等の実績が上がったところでございます。  ふだんはなかなか目に触れることのできない指揮官能力の高さ、また隊員たち士気、規律、練度の高さ、これが遺憾なく発揮をされたんだろうというふうに思います。  一方で、こういった任務が完遂できたのは、現場隊員の頑張りのみならず、兵たんを担った隊員たち事務官皆さん、また留守の部隊を守ってくれた皆さん、そして自衛官家族皆さん、被災しながらも隊員たちを支えてくれました、そういった皆様方の支えによってこの任務を完遂することができたというふうに思います。  自衛隊の強さと優しさ、これについて多くの国民が実感をしたところでありますし、私自身国民の一人として頭が下がる思いであり、また誇りに感じるところでございます。また同時に、隊員被災者皆さんから力をもらいました。  次のパネルお願いします。  これが、「うみちゃんからの手紙」ということでございます。「じえいたいさんへ」ということでありますが、このうみちゃんというのは、我が高知県の第五〇普通科連隊第一四施設中隊捜索活動をしました大川小学校、悲劇の小学校というふうに言われております、全校生徒百八人のうち七十四名が亡くなりました、そこで生き残った児童の一人でございます。  ここに書いていますように、「日本をたすけてください。いつもおうえんしています。じえいたいさんありがとう。」、こういう手紙隊員の心に大変響きまして、多くの隊員がこの手紙をコピーをして胸のポケットに入れて任務に当たったということでございます。  今日ほど国民皆さんとそして自衛隊の距離が近づいたことはない、これは多くの皆さんが感じられているというふうに思いますし、北澤元防衛大臣会議のたびにこのことをおっしゃっておりました。  そこで、野田総理にお伺いしたいと思うんですけれども、総理自身百里基地航空観閲式などで自衛隊隊員皆さんに直接的にこの東日本大震災に関する感謝言葉述べられておりますけれども、改めて今回の東日本大震災における自衛隊活動についての評価、お伺いをしたいと思います。
  9. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 昨年の東日本大震災に際しまして、広田委員が御指摘がございましたけれども、自衛隊は十万人を超える体制を組んで、そして人命救助行方不明者捜索、それから救援物資輸送被災者生活支援、これは給食、給水、入浴など様々ございました。さらには、原発事故への対応など、幅広い活動を全力で行いました。  私も、百里基地で、観閲式一つエピソードを御披露させていただきましたけれども、六歳の男の子が行方不明になっているお母さんが何としても息子を捜してほしいということで、隊員皆さんがその自宅近くを徹底して捜して、結局見付かったのはウルトラマン人形でございましたが、そのウルトラマン人形を渡すとお母さんは何度も泥を拭いながら感謝しながら帰ったとか、こういうエピソードたくさんあります。  そこに込められているのは、私は、自衛官皆さんがまさに勇気と真心を持って被災地活動をしたということでございまして、その活動は高く評価をされるべきだというふうに思いますし、私も総理として誇りに思っている次第でございます。  今後も、日本国民を守るために、隊員一人一人が緊張感を持って任務、訓練に精励するように期待をしています。
  10. 広田一

    広田一君 どうもありがとうございます。  今の総理のお言葉隊員にもう大変響いたと思いますし、士気が高まるというふうに思うところでございます。  一方で、今回の任務は、自衛隊員にとっても心身共に大きな負担を強いるものでございました。ある隊員報告では、母親が自分の子供を守るように覆いかぶさって亡くなっている親子の御遺体を発見したときには涙が止まらなかった、こういった報告も出ております。  このように、現場においてもメンタルヘルスしっかりとやってまいりましたけれども、体の疲れというものは時間が来れば癒やすことができます。しかしながら、心の方はそうではございません。よって、中長期的な視点に立ったケアが大変重要であり、部隊に帰ってからの取組が私は大変大切だというふうに思います。  それは、個々の隊員のみならず、自衛隊精強性といったものを維持する上でも重要な課題だというふうに思いますので、そこで副大臣にお伺いしますけれども、うつ病であるとかPTSD、その発症状況についてお聞きしますとともに、今省内におきまして派遣隊員ケア推進チーム、これが設置をされておりますけれども、これらの取組についてお伺いをしたいというふうに思います。
  11. 渡辺周

    ○副大臣渡辺周君) 今御指名でございますので、お答えさせていただきます。  大変過酷な状況の中で隊員たち活動したことについてメンタルヘルスの御心配をいただきましたこと、防衛省自衛隊を代表して御礼を申し上げたいと思います。  結論から申しますと、PTSDにかかったという今事例はございません。ただ、この過酷な現場を経験されて、今は発症していないけれども、今後定期的にチェックをして、メンタルヘルスチェックをしっかりやっております。三十項目を超えるチェックリストに記入をして、そして、その後変化はなかったかということで、心配な方についてはちゃんと専任のカウンセリングを受けるということをきめ細かくやっております。  そして、二十四年度の予算では、臨床心理士を今年度比二十六人増という形で、既卒、新卒の臨床心理士を増員するなどして、この国家的危機とも言える本当に未曽有の大災害に直面をし、そしてまた、そこの現場従事をした隊員たちが、これから先も今回のことを経験に、たとえ身体は頑強であっても精神にどのような影響を与えるかということを常に念頭に置きながらしっかりとしたメンタルヘルス体制を取っていく、このことはお約束を申し上げたいと思います。
  12. 広田一

    広田一君 どうもありがとうございました。  私事で恐縮でございますけれども、私も東日本大震災の中で体重が五キロ減りました。多くの議員皆さんから、御心配を掛けましたけれども、妻だけは、出会ったころに戻ったのでリバウンドしないようにと、こういうふうに言われて、彼女なりの優しい言葉をいただいたわけでございますけれども、自分も先ほど副大臣が御紹介いただいたメンタルヘルスチェックをさせていただきました。私の場合も、実はぎりぎり正常だったわけでございます。本当に現場に出ている隊員等々は、私なんか以上に心身負担、察するに余りあるものがあるわけでございます。  一方で、自衛隊という組織といったものを考えたときに、やはり今回の東日本大震災で、国民皆さんからは非常に屈強で心身共にタフだというイメージができたというふうに思います。そして、自分部隊からそういったPTSD等々が出ることについてもなかなか公にしにくい、また上に上がりにくい、そういった状況も予想されるわけでございます。  そこで、田中大臣にもお伺いしたいと思うんですけれども、田中大臣就任早々、非常に現地現場に足を運びまして、福島などに行って直接派遣された隊員からお話を聞いたというふうに承知をしているところでございます。是非とも大臣自身が率先垂範して、部隊の司令等々がメンタルヘルスチェック、これが受けやすい環境をつくれるように大臣自身のお取り計らい、よろしくお願いしたいと思いますが、御所見をお伺いいたします。
  13. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 広田議員にお答え申し上げます。  十六日に防衛省に着任をいたしましたけれども、現地の様子を伺うということで郡山の駐屯地に参りました。千二百名の隊員皆さん方がこの震災対策で十二月まで、一人平均大体延べ五か月から六か月、この震災のために日夜努力をしていただいたという大変有り難いお話をいただきまして、私もその努力に対して心から感謝を申し上げたところでございます。  その中で一、二申し上げますと、一つは、松島の方に派遣をされてそして遺体収容をしたという方々もいらっしゃいますし、また原発事故自衛隊発電車を急遽福島原発に運転をしていったと、ただ、着いた途端に一号機の原発が爆発したということで、もう残念ながら自分の役割が若干の差で果たせなかったという悔しい思いをされておられた方々もいらっしゃいますし、避難をその後されたと、こういう状況でございました。また、女性の自衛官でございますけれども、やはり家族の御理解がないとできないと、こういうことで、家族に説得をして従事をした、こういう状況お話をいただきまして、私も、大変自衛隊皆さん方努力をし、そしてまた国民皆さん方、また広田議員からも大変高い評価をいただいたということで大変有り難く思うわけでありますし、引き続き、私も防衛大臣として、自衛官皆さん方と共々、先頭に立っていろいろな仕事に、国民の生命と財産を守る、平和と安全を守っていく、そのために頑張ってまいりたいと思う次第でございます。
  14. 広田一

    広田一君 どうもありがとうございます。引き続きよろしくお願いを申し上げます。  次に、国際的な安全保障環境の改善のための取組についてお伺いをいたします。  我が国安全保障政策の基軸は、言うまでもなく日米同盟でございます。これを中心といたしまして日米韓、また日米豪、対ASEAN、またインドというふうに、同盟友好国との連携、ネットワークといったものを深化、強化することが我が国安全保障政策上極めて重要でございます。その中の国の一つオーストラリアでございます。  このオーストラリア東日本大震災におきましてもC17輸送機といったものを派遣をし、空軍を中心に多大な貢献をしてくださいました。そのオーストラリアとは二〇一〇年五月に、自衛隊オーストラリア軍が国連の平和維持活動とか人道的な支援、また災害派遣共同等で行う場合に、それぞれが水とか食料とか燃料とか、こういった物品、役務というものを相互に融通できるような協定を結んでいこうということで、日豪ACSAというものに署名をしたわけでございます。  オーストラリア国会の方は、昨年の三月にこの国内手続といったものを終了しております。しかしながら、我が国はいまだ防衛省設置法改正案が成立をしていないため、これを執行することができません。これは私は外交上大変問題があるというふうに思っております。無論、この改正案につきましては様々な論点、議論がございますので一概には言えませんけれども、これは野党の皆さんの御協力を得て、今国会、必ず成立をさせていかなければならないというふうに思います。  そこで、田中大臣にお聞きをしたいんですけれども、この防衛省設置法改正案成立に向けての決意と、あわせて、オーストラリアとの重要性を見たときに、玄葉大臣とも連携をしていただきながら、この日豪の2プラス2、これを私は年度内に開催すべきというふうに思いますが、これについての御所見も併せてお伺いをいたします。
  15. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) オーストラリアとの防衛協力は重要だと思っております。議員が御指摘のように、日豪ACSA発効のための防衛省設置法等の一部を改正する法律案、早期に成立を図っていきたいと防衛省思っておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  オーストラリア関係は、私も相馬ケ原の部隊に参りましたときに、サマワで御一緒をして、そしてまた大変オーストラリアから高い評価日本自衛隊はいただいたと、こういう報告を以前受けたところでございますし、ますますオーストラリアとの防衛協力というのは大事になってきておるところでありますので、是非この法案を成立を図って、この2プラス2の会議もできるだけ早く行いたいということでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  16. 広田一

    広田一君 是非とも、この2プラス2、年度内に実現するようにあらゆる努力を図ってもらいたいというふうに思います。  一方で、中国、ロシアなどの周辺諸国との相互理解、また信頼の醸成の強化も喫緊の課題でございます。特にお隣の中国、極めて重要な国であります。御存じのとおり、中国とは尖閣の問題であるとか東シナ海のガス田の問題、いろいろな懸案事項等があるわけでございます。しかしながら、この日中の防衛交流といったものは余り知られておりませんけれども、非常に近年活発に行われているところでございまして、昨年の十二月も海自の艦艇の「きりさめ」が青島を訪問をいたしております。また、佐官級の交流といったものも十年来に行われているところでございます。この日中の防衛交流というものを促進することは、信頼の醸成といったところにもなるんですけれども、とかく不透明だというふうに言われております中国の防衛政策、この透明化を図る上でも私は大変重要だというふうな認識を持っております。  折しも、今年は田中大臣の義理の父上である田中角栄元首相が日中国交正常化を果たして四十年の節目の年になります。この年に田中大臣防衛大臣という要職に就かれたのはこれはまさしく天命だろうというふうに思いますので、是非この天命に従いまして、この日中防衛交流、これをあらゆるレベルで促進をしてもらいたい、田中大臣のリーダーシップを発揮してもらいたいというふうに思いますが、これについての御所見をお伺いをいたします。
  17. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) お答え申し上げます。  防衛政務官の時代に広田先生が大変日中防衛交流に御努力いただいたと伺っておりまして、引き続き御指導をお願いを申し上げたいと思います。  私は、中国とは、軍事力が中国は増強しておる、しかし不透明だと、こういう状況もございまして、私は海上連絡メカニズムの構築を最優先で取り交わしたいと、こういうことで今省内にお願いをしておるところでございますので、中国に参りましてお話を申し上げるときには、この構築がめどが立って、そして調印ができるような形になりましたら中国に行きたいと思っておりますので、防衛省も更なる努力をしていければと思っております。  中国とは、人の交流あるいは経済の交流、そしてまた多くの関係があるわけでありますが、四十周年に当たって、やはり両国が日中国交回復をした原点をまた再認識をして、そしてしっかりと信頼関係を築いていくということが大事だと私は認識をいたしておるところでございます。
  18. 広田一

    広田一君 中国との信頼関係をつくるためにも田中大臣の果たす役割は大変大きいというふうに思いますので、是非とも頑張っていただくようによろしくお願いをいたします。  次に、新防衛大綱についてお伺いをいたします。  民主党は政権を担うまでは、党内には右から左まで、私のようにちょっと右を含めて、安全保障政策はばらばらであると、こういうふうに言われていたわけでございますけれども、しかしながら、残念ながら国民も同様なイメージを持たれていたんだろうと思います。その民主党が、今後十年間の国際安全保障環境を見据えて、背広組、制服組の皆さんの英知も集めながら極めて現実的な防衛大綱を作成したことは、取りまとめたことは、私は政権交代の大きな意義の一つだろうというふうに思っているところでございます。  しかしながら、この新防衛大綱につきまして、閣議決定から一年以上もうたっております。午前中の衆議院の質疑におきましても、この防衛大綱を変えるように、見直すようにというふうな御質問も飛んでおりましたが、実はこの防衛大綱について、いまだに衆参本会議で俎上に上って議論をしておりません。これは自戒を込めて言えば、国会の怠慢であるというふうに言わざるを得ません。是非ともこの議論を推し進めていくことが、我が国を取り巻く安全保障環境が極めて不透明なときに私は大変重要なことだろうというふうに認識をしているわけでございます。  そういった中で、いろいろなポイント等々があろうかとも思いますが、その一つが南西地域をこれから重視をしていくということだと思います。動的防衛力というふうに運用面に焦点を当てて、機動性、即応性を重視した新しい防衛力構想を打ち出しました。  その中で、南西地域というのは一言で言いましてもぴんときません。距離にして種子島から与那国島まで千三百キロございます。千三百キロというのは、青森県から山口県がすっぽり入る距離になるわけであります。そこに数多くの有人、無人の島々が存在するわけでございますけれども、特に宮古島から西については、自衛隊部隊がないということで防衛の空白地域というふうに指摘をされているところであります。その意味でこの島嶼部の防衛というものは、我が国安全保障のウイークポイントと言っても過言ではございません。  そういった中、南西地域の防衛、これ、大変財政厳しいときではございますけれども、充実強化をしていかなければならないわけですが、防衛省としてどのように取り組んでいくのか、田中大臣にお伺いをいたします。
  19. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) お答え申し上げます。  二十二年の大綱、そしてまたそれに伴う制度改正ということで予算編成をしてきておるところでございます。  南西地域の防衛力強化についてお話を申し上げますと、議員も今お話をしていただきましたとおり、我が国防衛体制の中で鹿児島から南西に向かっての島嶼地域の防衛が不足しておると、こういうことでございますので、中期防衛の中で、南西地域の島嶼部における陸自部隊を配置して警戒監視及び対処体制を整備するということを基本にいたしておりますし、また、与那国島への沿岸監視部隊の配置等に必要な用地の取得等の実施で二十四年度に約十億円の予算を計上させていただいておるところでございますし、南西地域の対策につきまして着実に前進を図っていきたいと思っておりますので、御理解をいただきたいと思います。  また、大綱と中期防の中の動的防衛力につきましては、今までのこの防衛力を運用をしっかりと図っていくと、こういう対策を講じてきておるわけでございますし、それに伴う潜水艦の建造あるいは輸送機、戦闘機の取得等の経費も計上して充実を図っていくという状況にございますので、御理解をいただきたいと思います。
  20. 広田一

    広田一君 それでは、最後の質問になりますけれども、パネルの方をよろしくお願いします。  こういった動的防衛力を構築をするために、省内において構造改革推進委員会、こういったものが設置をされております。それぞれ重要なテーマがあるんですけれども、その中で肝が、統合による機能強化、部隊等の在り方、この検討が重要であります。すなわち、統幕長は、今回の東日本大震災でもそうだったんですけれども、防衛大臣を軍事専門的な立場から補佐をすると同時に、大臣からの命令を執行する立場にもあります。非常に業務が多岐にわたったとき、有事や複合事態のときにどういった対応ができるのか、これが論点になるわけであります。  そういう中で、やはり統幕機能というのは、統合機能というものは今後強化をしていかなければなりません。具体的には、第一にはシームレスかつグレーゾーンの事態想定をして、常設の統合司令部、これを創設することについての是非等々、いろいろな論点があるわけでございます。そういった中でも、先ほど申し上げた島嶼部への攻撃、こういったものを見据えたときに、有機的、機動的に展開できる能力、海兵隊的機能といったものを創設するかどうか、これについても考えていかなければなりません。  その意味で、これからの防衛省、本当に重要な立ち回りをしていかなければなりませんので、動的防衛力といったものを実現するためにも、この統合機能の強化、部隊の在り方について、ロードマップに従って速やかに方向性を打ち出すことを心から御期待を申し上げ、また田中大臣のリーダーシップを期待して、私の質問を終わりたいというふうに思います。  どうもありがとうございました。
  21. 石井一

    委員長石井一君) 以上で広田一君、民主党新緑風会質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  22. 石井一

    委員長石井一君) 次に、佐藤正久君の質疑を行います。佐藤正久君。
  23. 佐藤正久

    佐藤正久君 自由民主党、元自衛官の参議院議員佐藤正久です。  まずは、田中防衛大臣、御着任おめでとうございます。  最初に言っておきますが、自衛隊災害派遣感謝すると言っておきながら、この国会に自衛隊の削減する法案、これを出してきたのは菅前首相と北澤元防衛大臣ですよ。実際、現場で連隊長から、佐藤さん、人が足らない、人がいたらもっと多くの人を助けることができた。白い防護服着て原発に入る自衛官から、佐藤さん、一体、俺たち何か悪いことしたんですか、何で削減なんですか。これが現場の声です。しかも、防衛省自身も首都直下型とかあったら人が足らないと言っておきながら、削減ですよ。我々は当然反対です。だから、さきの臨時国会で我々はその削減法案に反対をして廃案になったんですよ。  しかも、今度の二十四年度の予算、また同じ削減法案を出してきます。今の予定だと、自衛官の定員を二百七十四名、予備自衛官を三百四名削減する法案を出してくるのはあなた方ですよ。トータル六百名をまた削減をする。全然違う。我々は、オーストラリアとのACSA、賛成ですよ。でも、そのACSAと自衛官削減を一緒に併せて出してきたから我々は反対なんです。弁当の詰め合わせが悪いんですよ。これを切り離したら賛成しますよ、ACSAは。  さらに、インド洋もそうですよ。今回、イラン関係、インド洋をやめてしまったから情報が入ってこないんですよ。まさに、インド洋における海上自衛隊の補給基地はホルムズ海峡そのものですよ。しかも、フロリダのタンパ、中央軍からも連絡員排除されてしまった。このツケは物すごい大きい。民主党自身に大きな反省を私は求めたいと思いますよ。まずそういうことを最初に指摘しておきたいと思います。  また、田中大臣、やっぱり大臣の残念ながら着任後のいろんな発言のおかげで、こんな防衛知識のない人が防衛大臣で大丈夫か、あるいは民主党政権は国防を軽視しているといった心配とか怒りの声が聞かれます。今日はそういう声にしっかりと対応して答弁をいただきたいと思います。  今月十五日のテレビ討論、南スーダンの武器使用基準について聞かれた大臣は、武器輸出三原則と、こう答えてしまった。司会者も気を遣って四度聞き直したんですよ。でも、最後まで大臣はその意味が分からなかった。二十五年間国会議員をやっていて、武器使用基準を分からない、これは分からないというよりも余りにも不勉強、素人そのものですよ。そんな人が国を守る防衛大臣。これは国民をばかにしているといっても仕方がない。武器使用基準、これは隊員の武器の使用を縛る重たい政治決定ですよ。隊員の命も懸かっているんですよ。あなたがとんちんかんな答弁をした一月十五日、まさに南スーダンに派遣隊長が入ったその日ですよ。武器使用基準も分からない大臣が上にいる、やっぱり不安になったと思いますよ。  大臣、釈明は要りません。私ではなく隊員家族に、心配を掛けた隊員家族に謝罪をお願いいたします。
  24. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) お答え申し上げます。  NHKの対談につきましては、南スーダンの問題について問いがあったところでございます。当然、武器使用の問題については変更なしということでお答えを申し上げたところでありますが、司会の方が南スーダンのことを続けてお話があったものですから、私は、武器輸出三原則に基づいてこれから検討をする基準の緩和によって、この派遣した方々が道路の舗装等、使った機具については、こういうものは将来武器輸出三原則から例外基準を設けて、そしてそのままつくっていくと、こういうお話を申し上げたところでございまして……(発言する者あり)
  25. 石井一

    委員長石井一君) 皆さん、静粛に願います。
  26. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 私の真意はよく聞いていただきたいと思っておるところでございます。
  27. 佐藤正久

    佐藤正久君 今の大臣言葉でやっぱり隊員家族はがっかりしたと思いますよ。  大臣は武器使用基準の重みを分かっていない。ソマリア沖での海賊対処、海賊がいる船内に突入する隊員の気持ち分かりますか。最初に突入した隊員は撃たれる可能性が高いんですよ。ぎりぎりのところでやっているんですよ。武器使用基準、南スーダン、これには日本のNGOの方もおられます。自衛隊の目の前、二十メーター先で日本のNGOが銃撃を受けた、あなたは日本のNGO、日本人を守れと命令しますか。
  28. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 武器使用の問題につきましては、今、自己保護の問題、あるいは保持する機械のその対応と、こういうことで今最低限の武器使用になっているわけでございます。その中でPKOが派遣されておるわけでありますし、今回の南スーダンにつきましても変更なしで対応をしていくということでございますが、各党、当然武器使用についてはこれから検討をしていかなきゃいけない。民主党もそうでありますが、自民党においてもいろいろ検討をしていただいているわけでありますから、御提案がありましたら政府としても、防衛省としてもしっかりと検討をしていければと思っております。(発言する者あり)
  29. 石井一

    委員長石井一君) 田中大臣、もう一度質問してください、簡潔に、そして簡潔に答弁してください。どうぞ佐藤さん。
  30. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣、聞いてください。いいですか。二十メーター先で日本人が撃たれている。あなたは日本人を守れと命令しますか。
  31. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 今の体制では、指示はできないと思います。
  32. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣、武器使用の重み分かりますか。日本人が目の前にいて守れない、この痛み。だから、自民党はこの改正法案を一年半前に出しているんです、国会に。ずっとそれをつるしたまま審議しないのは民主党じゃないですか。先ほど、国民に謝罪するというよりは大臣として改正に取り組みますと、そのぐらい言ったらどうなんですか。全くできていない。大臣、国を守るためにはそういう武器使用も大事、これから質問する日米同盟も非常に大事なんですよ。  大臣、いいですか。日本には陸海空軍の米軍がいます。沖縄には海兵隊もいます。聞いてくださいよ。この沖縄の海兵隊、これが在日米軍になかったら抑止力として十分ですか、不十分ですか。その理由とともにお答えください。
  33. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) お答えを申し上げます。  日米同盟によって我が国の抑止力は維持されておるわけでありますが、沖縄の海兵隊もその抑止力の一部であるということは間違いないわけでございます。
  34. 佐藤正久

    佐藤正久君 質問に答えてください。  それで、沖縄の海兵隊がいなかったら在日米軍としての抑止力は十分ですか、不十分ですかと聞いているんですよ。
  35. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 沖縄の海兵隊だけでは不十分だと思います。(発言する者あり)ああ、ごめんなさい。自衛隊と、自衛隊も当然でございます。(発言する者あり)
  36. 石井一

    委員長石井一君) それじゃ、ちょっと止めろ。    〔速記中止〕
  37. 石井一

    委員長石井一君) 速記を起こして。  田中防衛大臣
  38. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 沖縄の海兵隊がなければ不十分であります。それは、日米同盟があって抑止力があるわけでありますから、その前段を申し上げて、そしてお答えをしているわけでありますから、沖縄の海兵隊がなければ抑止力がないというのは先生も御理解いただけると思うんですよ。
  39. 佐藤正久

    佐藤正久君 全然そんな、私、質問は、不十分か十分か、その理由も併せて聞いているんですよ。これが実は一番の肝なんですよ。  鳩山首相はこれが分かんなかったから、辞める直前になって、辺野古に戻して、学べば学ぶにつけ沖縄の海兵隊の抑止力の意味が分かりましたと言ったんですよ。これが分かっていなかったら意味ないんですよ、説明できないんですよ。  じゃ、大臣、ちゃんと国民に答えてください。沖縄の海兵隊の普天間基地、これは本州移転ではなぜ駄目なんですか。大臣防衛大臣ですよ、防衛大臣。何やっているんですか、外務大臣は。基本的な問題です。
  40. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) お答えを申し上げます。  日米で2プラス2で合意に至ったわけでございますので、日米合意が大前提であるということをまず申し上げながら、その中で私は、話し合われたことは、やはり地理的に私は沖縄という地位が地政学的に考えて必要ではないかということが一つあると思いますし、またこの十五年間の歳月を掛けて検討をしてきた問題でございますから、そういう面で確かに民主党政権になりまして県民の皆さん方に大変御迷惑を掛けたことは事実でありますけれども、今は十五年のこの成果を何とかこの解決の糸口にしていきたいというのが私の立場でございます。
  41. 佐藤正久

    佐藤正久君 もう全然質問の意味も分かっていないし、答えもとんちんかんぷん。今の答えで、日米合意があるから。これで沖縄の人納得すると思いますか。全然分かっていない。全部一体、地上部隊と一体の話もしなければ、全く基礎的な問題も分かっていない。これが野田総理が太鼓判を押した、防衛知識が十分だ、経験が十分だ、誰もそう思いませんよ。今の答えで沖縄の人納得すると思いますか。全然納得できない。あなたとはまともな政策議論は、してもかなり難しいというふうに思いますよ。  じゃ、次は田中大臣の姿勢についてお伺いします。  じゃ、写真をお願いします。(資料提示)この写真を見てください。これは大臣が沖縄県知事の前で役人が準備した挨拶文を読み上げている姿です。  総理、これは情けなくないですか。防衛大臣という政府の代表が、政府方針とは異なる県外移設を主張している知事の前で答弁資料を読み上げた挨拶、過去の大臣、誰もやっていませんよ、こんなことは。私は思わず、菅前首相が胡錦濤国家主席との会談の中でメモを見ながら会談をした、そしてひんしゅくを買ったあの姿を思い出してしまいましたよ。  総理、いいですか。通常、初めて会社を訪問をして、そして自分を売り込むときに、答弁資料を読みながら挨拶をする、これで本当に信頼関係ができると思いますか。顔を洗って出直してこいと言われますよ。多分、大臣のこの姿を見て、多くの沖縄の方々も、この人では普天間移設無理だなと思ったと思いますよ。  大臣、内局の方も、あるいは沖縄防衛局の方もみんな一生懸命やっているんですよ。であれば、沖縄に着いたその日、事務次官と早い時間から飯食ってるんであれば、その時間を使ってその挨拶文を徹夜をしてでも暗記をする、そういう真摯な姿勢があって当たり前でしょう。こういうふうな不遜な態度で信頼関係、これは生まれると思いますか。絶対無理だと思いますよ。  また、大臣、その中で、沖縄の言葉、命どぅ宝という言葉を使いましたよね。これはどういう意味でしょうか。また、なぜこの言葉を使ったんでしょうか。
  42. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 命どぅ宝という言葉でございます。  それは、御説明申し上げますが、仲井眞知事はわざわざ防衛相に私が就任いたしましたら上京をしていただきまして、面会をさせていただいたところでございまして、その中で、私が訪問をするときには挨拶だけではなくて政策的な問題につきまして陳情を申し上げると、こういうお話をいただいたわけでございますので、それに従って私はしっかりと、資料を見たことは間違いありませんが、政策について間違いない回答を申し上げたということでありまして、それ以後、沖縄県とは更なる進展を図っていこうということで話が進んでおるわけでありますので、信頼関係は、私が努力をしてまた県民の皆さん方あるいは知事との関係を深めていく。顔合わせ、人合わせ、そして力合わせをしていく、心合わせもして、そしてこの解決の糸口を何とかつくりたいと、こういう状況でありますので、御理解をいただきたいと思います。  沖縄の皆さん方は長年そういう面ではいろいろなことに遭遇しているわけでありますから、命どぅ宝というのは、命を大切にしていく、そしてまた平和を望むと、こういう沖縄の精神というものを私は学んだわけでありますので、更なる接触を深めてこの実情を理解をしていくということでお話を申し上げたところでございます。
  43. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣、この命どぅ宝、これは実は反戦平和運動の方とかあるいは反基地運動、まさに今回、辺野古移設を反対している方もよく使っている言葉なんですよ。今回、辺野古推進派の方々が、大臣がわざわざこの言葉を使った、結構違和感を持っている人も多かったんですよ。そういうことを分かった上でやっぱり使わないといけない。  大臣、次の質問に行きます。  大臣はキャンプ・シュワブに行かれたことがありますか。行ったとしたら、それはいつでしょうか。
  44. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 私は行っておりません。
  45. 佐藤正久

    佐藤正久君 これ本当ですか。初めてこの前、沖縄の方に大臣として行かれましたよね。なぜあのときに行かなかったんですか。今もう環境影響評価書も出しているわけでしょう。にもかかわらず、担当大臣がキャンプ・シュワブ、辺野古、行ったこともない。これで沖縄県の方に説明できると思いますか。  しかも、今回、行こうと思えば行けたじゃないですか。沖縄に到着した当日、ヘリコプターを使えば十分行けたし、早い時間から事務次官と食事、酒を飲んでいるんだったら行けたはずですよ。その辺の大臣の姿勢がやっぱりおかしいと思いますよ。なぜ行かなかったんですか。
  46. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 予定が許せば来週行こうかと、こういうふうな予定を立てておりました。  何といっても、やはり沖縄県の皆さん方、そしてまた知事との面談ということがまず最優先であるということでございましたので、前の日は泊まりましたけれども、いろいろと政策の問題につきましても事務局と話をして、そして次の朝の会談に臨んだところでございます。
  47. 佐藤正久

    佐藤正久君 それは全然違いますよ。美術館とか行っているじゃないですか、前の日。行こうと思えば行けたんですよ。本当に沖縄のことを考えるなら行けるはずですよ。元々の計画には美術館はあった。普天間の視察もなかったんですよ。  普天間はこの前、二年前に一緒に行きましたよね。一番、大臣が行っていないのは辺野古であれば、そこに行くのが焦点じゃないですか。あなたの姿勢が間違っているんですよ。そんなに食事が大事なんですか。全然違うんですよ。だから、あなたは論戦能力だけではなくて、心も軸もないんですよ。それを言っているんですよ。  大臣、また、二年前に一緒に普天間第二小学校行きましたよね。聞いてください。行きましたよね。そのときに、知念校長から毎年避難訓練をやっているというふうに説明受けました。どんな避難訓練をやっているか、覚えていますか。
  48. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 沖縄訪問につきましては、戦没者の慰霊に献花をさせていただいて、そして沖縄の歴史館に寄りまして歴史を見て、そして臨んだところでございます。そういう……(発言する者あり)  それで、知念校長様から、一緒に視察したときに、避難訓練をしておると、非常に騒音に悩まされておる普天間第二小学校の実情を私は伺いましたので、その問題につきまして、私はこの二十九日は訓練がある、なければいいということで対処をしたところでございます。
  49. 石井一

    委員長石井一君) 田中大臣に申し上げますが、質問はどういう訓練をしているのかという質問ですから、端的に、分からなければ分からない、そういうことをおっしゃっていただきたい。
  50. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣、聞いてください。これはアメリカの航空機が落ちたときの、そのための避難訓練をやっているんですよ。一緒に聞いて、そう言ったじゃないですか。大臣がそういうことを認識していれば、小学校の屋上の上にはヘリが来るのはそんなに多くないとか、そんな発言出てこないはずなんですよ。本当にその辺の軸がない、上っ面なんですよ。しかも、献花だって新潟だけでしょう。自分の生まれたところの石川県も、あるいはあれだけ世話になった福島県にも行っていないんですから。  また、騒音問題についても多くの時間を割いて説明を受けましたよね、あのとき。大臣は今回、嘉数高地でヘリ騒音に言及したようですけれども、前回説明受けたように、騒音はヘリだけではなく、FA18戦闘機のタッチ・アンド・ゴーもあるんですよ。  大臣、なぜ普天間基地にないFA18が普天間に来ていると思いますか。
  51. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 訓練につきましては、当然二年前にお話を知念校長から伺ったわけでありますので、私は最優先にこの普天間の飛行場の騒音対策をやるということでお話を申し上げたわけでありまして、少ないとか多いとか、そういう意識で申し上げたわけではございません。  それから、F18は岩国の方から普天間の方に行っておると。嘉手納の方に行って……
  52. 佐藤正久

    佐藤正久君 嘉手納じゃないですよ。
  53. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 普天間の方に行っております。
  54. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣、F18じゃない、FA18ですからね。  それで、これは同じ海兵隊なんですよ。だから来ているんですよ。  その騒音問題のことも本当、あのとき聞いたんですよ。大臣が今度、避難訓練のその重さ、あるいはこの前説明を受けたように場周経路のところにヘリが飛ぶ可能性もあるとか、あるいはFA18の話を聞いていれば、あんな不用意な発言を、小学校の屋上に降りてくるヘリが少ないんじゃないかとか、あんなふうにならないんですよ。  あなたは本当にそういう意味で、参議院の外交防衛委員長といったときのあのときの重みが分かっていない。参議院としても何のための視察だったかと。委員長がそのぐらいの知識あるいは記憶あるいは覚悟であれば、絶対これは解決しませんよ。私はあなたにはあの普天間は無理だと思います。  さらに、あの普天間に一緒に行ったときに、日米の国旗とともに国連の国旗がありましたよね。あれを見てどう思いましたか。
  55. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 前段の学校の件については、私は騒音については最優先に取り組むということで私は視察をしたところでございます。  国連旗につきましては、朝鮮戦争の問題が継続をしておるということもありましてそこに国連の国旗があるということは認識をいたしております。
  56. 佐藤正久

    佐藤正久君 いろんなことの要因を考えながら普天間基地の移設というのはやらないといけないんですよ。  もう一つ伺いしますけれども、大臣のやっぱりセンスなんですよ。  今回やっぱりテレビ討論で大臣は、答弁資料に書いてあった参考事項、六月に埋立申請とか年内に埋立工事着工と、あんなのを読んでしまった。もう官僚は慌てたと思いますよ。今どういう時期か。まさに環境影響評価書を出して意見を求めようというときに、意見を求める求めないにかかわらず六月に埋立申請とか年内着工と交渉担当大臣が言ってしまってどうするんですか。全く、こういう人が交渉なんかできないと思いますよ。  しかも、大臣環境影響評価書、御覧になったことありますか、どのぐらいのものか。あれを作るためにどれだけの人がかかわったか。  しかも、今回は、なぜか朝早く出しただけではなく、その前に宅配便使いましたよね。あの公文書、信書とも考えられるものを宅配でやったら、これは郵便法違反じゃないですか。  大臣見解をお伺いします。
  57. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) NHKのインタビューがありました。そのときには埋立申請は六月ということは私は一切言っておりませんので、訂正をしていただきたいと思います。  手順からいいまして、そのまま行けば年内というめども考えられるようなことはあるということでありますが、大前提として沖縄の皆さん方の御理解がなければこれは先に進まないのは先生も御存じでありますから。そういう面では私は申し上げたところでございます。(発言する者あり)
  58. 佐藤正久

    佐藤正久君 質問に答えてください。
  59. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 申し訳ございませんでした。  環境評価の申請書につきましては、私は聞いておりますのは、沖縄の方で混乱が起こってはいけないと、こういう状況下での、であったようでありますが、私は、この問題につきましてはもう少し適切な申請をするべきであるということを申し上げているところでございます。(発言する者あり)
  60. 石井一

  61. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 混乱がないように信書で、宅急便で送り、そしてまた局の者が深夜に持っていったと、こういう状況でございます。
  62. 石井一

    委員長石井一君) 田中防衛大臣に申し上げます。  佐藤委員が質問をしておりますことに簡単にお答えいただきたい、お願い申し上げておきたいと思います。
  63. 佐藤正久

    佐藤正久君 これは信書でしょう。今大臣も信書って言いましたよね。信書を宅配便でやったら、これは郵便法違反ですよ。実際、裁判でも負けているじゃないですか。だって、これ出して、それから四十五日、九十日の返答の意見のあれが発生するわけでしょう。それを、信書を宅配便でやる、これはおかしいでしょう。もう一回お願いします。
  64. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 私はそのとき当事者でなかったものですから、事実については後で確認をいたしますが、荷物で郵送したことは間違いございません。
  65. 佐藤正久

    佐藤正久君 これについてはまた聞きますけれども、大臣大臣に対する最後の質問です。  大臣、ファミリー企業の代表をいろいろやっているようですけれども、お辞めになりましたか。
  66. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) お答え申し上げます。  当然、辞職をいたしております。
  67. 佐藤正久

    佐藤正久君 最後に、野田総理に確認します。  今までの大臣とのやり取りを聞いて、総理が今まで強弁していた、最高の布陣だ、この内閣は、しかも田中大臣防衛の知識や経験や防衛政策能力があると言われていましたよね。今でもその考えに変わりはありませんか。
  68. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 閣僚の任命に当たりましては、それぞれの政治家のこれまでの経験とか蓄積等々を踏まえて総合的に選任をさせていただいております。  田中大臣につきましては、外務政務次官も務めたり、そして参議院の外交防衛委員長なども務めて、そういうことを踏まえて適材として判断をいたしました。就任直後においていささか緊張している向きはあるかもしれませんけれども、しっかりと職責を果たしていただきたいと考えております。
  69. 佐藤正久

    佐藤正久君 いや、誰が見ても、大臣がこの普天間問題を解決できるか。今年は本当に、今大事な、日米関係含めて、日中関係含めて本当に大事な時期ですよ。誰も総理が今言った言葉信用する人間はいないと思いますよ。  今後とも、大臣の資質、総理の任命責任、これは厳しく追及していきたいと思います。  以上で終わります。
  70. 石井一

    委員長石井一君) 次に、山谷えり子君。山谷さん。
  71. 山谷えり子

    山谷えり子君 自由民主党山谷えり子でございます。  民主党政権になってから二年四か月、閣僚五十三人任命されました。そしてまた、野田政権になって四か月、五人の閣僚が替わりました。  今の田中防衛大臣佐藤正久議員のやり取りを聞いておりましても、これは沖縄の皆様のみならず、日本国民、いや国際社会での日本の地位を低下せしめるという意味で本当に大きな問題だというふうに思っております。経済界の皆様も本当に心配していらっしゃるんです。国は大丈夫か、国債の格下げにもつながっていくかもしれない、日本に投資して大丈夫か。私はある国の大使から真顔で尋ねられました。日本というのは、防衛大臣、素人で済む、そういうポストなんですか。世界ではそういうふうに日本の国を見てしまっているということでございます。  佐藤議員の質問にまだ田中防衛大臣お答えになっていらっしゃらない部分で、沖縄海兵隊の存在の意義、本州に海兵隊が移ったらどうか、その考え方、駄目なのかいいのか、それから存在の意義ですね、教えてください。
  72. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 我が国は日米安保を持っておるわけでございまして、その中で、先生も御存じのとおり、米軍が日本に駐留しているところでございます。  陸海空がありますが、アメリカの場合、海兵隊も大きな戦力でございますし、また沖縄で長年活動をしていただいているわけでありますので、日本の抑止力、そしてまたアジア太平洋の安全というものからして沖縄の海兵隊が必要であると、なくてはならない状況にあるということは間違いないと思います。
  73. 山谷えり子

    山谷えり子君 なぜ本州では駄目なんでしょうか。
  74. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 地政学上の問題が当然あると思います。しかし、今は日米合意をいたしておりますから、大前提でこの今の移設の問題については取り組んでいくということは御理解をいただきたいと思います。
  75. 山谷えり子

    山谷えり子君 抽象的で。ちょっと具体的な理由で教えてください。
  76. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) じゃ、こういうお答えでよろしいんでしょうか。沖縄は、米本土やハワイなどに比較し朝鮮半島や台湾海峡といった潜在的紛争地域に近い位置であると同時に、我が国の周辺諸国との間に一定の距離を置いているという地理上の利点があることでございますので、沖縄が最適であるというのが長年の状況でございます。
  77. 山谷えり子

    山谷えり子君 本当にもういろいろ複雑な気持ちです。  南スーダンのPKOで、二十メートル先の日本人を助けられるか、助けられないか。防衛大臣は助けられないというふうに言われました。まあそのとおりなんです。非常に国際スタンダードでない形で日本はオペレーションを強いられているわけですが、では、南スーダン、どこの軍隊が日本というかその施設部隊を守ってくれているんでしょうか。
  78. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) お答えいたします。  現地で国連と連絡を取ってきておるところでありますが、今のところどこと一緒にやっていくかということは決まっておりません。
  79. 山谷えり子

    山谷えり子君 決まっているはずですから、役人さん、教えてさしあげてください。
  80. 渡辺周

    ○副大臣渡辺周君) 今、現状は、バングラデシュの部隊等に警護をお願いしているというところでございます。
  81. 山谷えり子

    山谷えり子君 みんな体を張って物すごい覚悟で行っているんです。
  82. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) バングラデシュが撤退するというお話もあったわけでありますが、今、隊が到着をいたしましてバングラデシュと一緒にやっておるということであります。その後の対応はまだ決まっておらないということでございます。
  83. 山谷えり子

    山谷えり子君 自分の間違いの答弁を今言い繕ってカバーしたわけですが、発言撤回してください。間違えましたというふうに認めていただきたいと思います。(発言する者あり)
  84. 石井一

    委員長石井一君) それじゃ、ちょっと速記を止めて。    〔速記中止〕
  85. 石井一

    委員長石井一君) 速記を起こしてください。(発言する者あり)  静粛に願います。
  86. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 訂正をさせていただきます。  今はバングラデシュ等に警護してもらっておるというような状況でございます。
  87. 山谷えり子

    山谷えり子君 陳謝はいかがでしょうか。
  88. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) そこまで理解をしておらなかったことは大変申し訳なく思っております。
  89. 山谷えり子

    山谷えり子君 TPPについて野田総理にお伺いいたします。  TPPに関してはもう最初から本当に訳が分からなくて、つまり、全ての物品、サービスを自由化交渉のテーブルにのせると野田総理は言ったとアメリカのホワイトハウスは発表したわけですが、野田総理は言ってないと言って、そしてホワイトハウスの発表もいまだに訂正してもらえていないという、これはやっぱり国際社会では言ったということになるわけですし、国内という視点でも私たちは言ったというふうに理解せざるを得ないわけでございます。それから、交渉参加に向けて協議に入ることも、閣議で決定もしてなければ、報告もしてなければ、何の文書もないんです。あの東日本大震災のときに、原発事故のときに政府にたくさんの会議が立ち上がりましたが、何と大事な会議の十の会議に議事録がないというのとこれは同じことなんですね。  本当に、交渉、説明して、そして納得していただくとお話しになられました。先月、アメリカの通商代表部の方がいらっしゃいまして経済産業省の通商政策局長とお話しなさった。それから、内閣府の副大臣もシンガポールに行ってお話しなさいました。それから、これに関する事務局体制七十人、もう既にできています。そして、関係閣僚会議も開かれています。  でも、議事録あると言うんですが、細かいことは何にも発表されていないんです。少し説明していただけますか。どんな進行状況になっているんでしょうか。
  90. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) まず、関係国との協議状況でございますけれども、一月十七日にベトナム、十九日にブルネイ、そして二十四日にペルー、二十五日にチリにおいて、我が国から派遣をされた関係省庁、関係者がそれぞれ政府のTPP交渉担当者との間で交渉参加に向けた協議を行いました。これら四か国の協議は全体として非常に前向きなものであり、我が国のTPP交渉参加への関心を歓迎する旨の表明がございました。  そのほか、例えば米国との関係でございますが、米国との間でも二国間経済関係全般について随時意見交換を行ってきているというところでございます。  それで、関係閣僚会議に関するお尋ねもございましたけれども、例えばTPPに関する関係閣僚会合については、昨年の十二月十三日に第一回目を開催をいたしました。同会合では、TPP協定交渉に関するマレーシアからの情報収集の結果報告であるとか、TPP交渉参加に向けた関係国との協議のための体制などについて議論をしまして、議事録についても作成をさせていただいております。
  91. 山谷えり子

    山谷えり子君 いつどこで何があったかということと議題しか発表されてなくて、中身まで発表、十分じゃないんですね。  例えば、米国から、先日、軽自動車の規格廃止、日本は優遇しているからそれをやめろとか、それから米国車輸入枠の設定、これを求められたというふうにありますが、それは事実ですか。
  92. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) TPPの関連で正式にそうした申入れはいただいておりません。
  93. 山谷えり子

    山谷えり子君 そうすると、あの報道は間違いということなんでしょうかね。それとも、非公式にあったことを報道はしたということなんでしょうかね。
  94. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 米国国内においても様々な御意見があるようでございまして、そうしたことについて米国内でいろいろと御議論がなされているということ、それからTPPとは別の問題として、二国間の通商問題として従来から様々な御意見があること、それは承知をしております。  ただ、TPPに関して、具体的にその前提条件などということでお話を受けたことはございません。
  95. 山谷えり子

    山谷えり子君 TPPの交渉参加条件として、現在の交渉参加国が既に合意したことはそのまま受け入れること、現在の交渉参加国で設定した自由化の水準を下げないことというのがあります。これでは日本が幾ら主張しても、もう決まったことについてはお手上げだということですね。  以前の野田総理の説明とは違うと思いますが、いかがですか。
  96. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 現在、今御指摘をいただいたことについて参加国間で合意がなされているという事実はないというふうに私自身承知しています。そういう情報収集結果でございます。
  97. 山谷えり子

    山谷えり子君 政府の役人が言っていて、報道されていて、それを全部否定していくって、もう議論にならないですよ。  だって、情報を公開して皆さんと議論しましょうって十一月におっしゃったでしょう、昨年の。こんなのおかしいです。誠実に答えてください。
  98. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) いやいや、現時点でですね、全ての参加国が今指摘をされた二つの点について全て合意をしているというふうには、まだ我々の情報収集の中ではそういった情報は得ていないということでありまして、そのことは現時点では事実でございます。  ただですね、ただ、このTPPという交渉が、確かに基本的には全ての物品をテーブルにのせる、交渉の中で本来勝ち取るべきは勝ち取り、あるいは守るべきは守ると、そういう類いのものであるということは一般的には言えるというふうに思います。
  99. 山谷えり子

    山谷えり子君 アメリカと韓国のFTAの合意内容をめぐって、今韓国は揺れているんですね。こんなはずじゃなかった。李明博の政権基盤も危なくなるんじゃないかというぐらいのものでございます。  例えば、年間輸入台数が二万五千台以下の場合、米国の安全基準だけ満たせば問題がないというようなものも入っております。それから、米国企業が期待した利益を得られなかった場合、韓国がFTAに違反していなくても、米国政府が米国企業の代わりに国際機関に対して韓国を提訴できるとか、とてもとても不平等条約なんですね。  例えば、特区を三つつくってアメリカの病院がそこに病院を建ててアメリカの自由診療できると。それに対して、アメリカが不利益を被った場合、保険会社がですね、米国は提訴できるという意味の分からないことまであって、これはISD条項ですが、毒素条項というふうに韓国では呼ばれておりまして、本当にこのようなことが日本で行われるのではないかということを心配しておりますので、私たち議会人としては今どの程度のことが行われているのか説明していただかなければ、あなたたちの交渉能力にもかかわってくるんです。政府の交渉能力を高めるために私たち議会人は議論しようじゃないかと言っているんですから、野田総理、今の態度でよろしいと思っていらっしゃるんですか。野田総理にお伺いします。総理です。
  100. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) まず、米韓の関係については、当事国でございませんのでそれについての評価は避けたいというふうに思いますが、我が国に一方的に不利になるような不平等な条約を結ぶつもりは全くございません。  それから、今交渉参加している九か国から順次情報収集を始めておりますが、例えば、アメリカとはまだやっておりません。そして、当然アメリカの国内において様々な御意見があるということは報道等でなされていることは承知をしておりますが、正式にアメリカから何か我が国に対してTPPに向けて具体的な提起をされているものではございませんので、したがって、何か報告をできることがあるわけではございません。それぞれの各国との間で情報収集したことについては、これ、ただ、外交交渉でございますので相手国との関係で公開できる部分と公開できない部分ございますが、最大限公開できるように努力をしてまいります。
  101. 山谷えり子

    山谷えり子君 今の答弁、本当に官房長官時代に原発事故の後の答弁を思い出して涙が出そうでございます。  年次改革要望書というのを自民党政権時代もずっとアメリカは送ってきました。本当に厳しい要望書でございました。それを、私たち自民党は巧みな交渉能力できちんと国益を守るためにやってきたんです。だから日本の富が保たれている。(発言する者あり)
  102. 石井一

    委員長石井一君) 静粛に願います。
  103. 山谷えり子

    山谷えり子君 しかしながら、民主党政権では交渉能力がない、あるいは議事録もない、そうした政権に今の状態を任せるのは非常に不安だということをお伝えさせていただきたいと思います。  それから、一月二十四日、野田総理の施政方針演説の中で気になる表現がございます。日朝関係については、引き続き日朝平壌宣言に則って、核、ミサイルを含めた諸懸案を包括的に解決しとおっしゃられて、拉致という言葉が抜けているんです。これは、小泉内閣から菅内閣まで、拉致、核、ミサイルを含めた諸懸案を包括的に解決しと、これはキーワードだったんです。なぜ抜いたんですか、拉致を。
  104. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) よく読んでいただきたいんですけれども、その前のパラグラフに特出しをして拉致問題を書いています。拉致問題は、我が国の主権にかかわる重大な問題であり、基本的人権の侵害という普遍的な問題です、被害者全員の一刻も早い帰国を実現するため、政府一丸となって取り組みますと。いわゆるパッケージで書くよりも、その前に拉致問題を重視する形で書いていると。諸懸案の中には、核、ミサイルと拉致が当然入ってくるということは、これ解釈として成り立つということでございます。
  105. 山谷えり子

    山谷えり子君 野田総理はそういうふうに官僚にだまされたんです。  六者会合の議題は、拉致、核、ミサイルと三つなんです。ですから、ここから拉致を抜くということは、六者会合でもう拉致を議論しなくても日朝国交正常化交渉のそこの部分に入っていいんだという、そういうメッセージなんですよ。それが分からないんですか。野田総理お願いします。
  106. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) それは相当な誤解であります。むしろ、拉致を特出しをして前に書くように指示したのは私でございます。私の施政方針演説でございますので、私がそう主張した中で書いた文章であります。
  107. 山谷えり子

    山谷えり子君 ですから、やっぱり国際政治に疎くていらっしゃるんですよね。  ですから、拉致、核、ミサイルと、これはもう一度確認させていただきます。そういう思いなら、そういうことですね。そして、六者会合の議題から拉致は決して抜かないとここで明言してください。
  108. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) そのとおりでございます。山谷委員の御指摘のとおり、六者会合の中でしっかりと拉致の問題も対応していくということでございます。
  109. 山谷えり子

    山谷えり子君 拉致、核、ミサイルを包括的にという、今もう一度おっしゃってください。
  110. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 拉致も含むと申しましたのは、核、ミサイル、拉致ということでございます。
  111. 山谷えり子

    山谷えり子君 金正恩体制に対して、北朝鮮に対してですね、日本から拉致した被害者全員の身の安全図るべしという決意をおっしゃってください。
  112. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) まさに新しい体制へと移行いたしましたけれども、当初に私も指示をいたしましたが、徹底した情報収集を行うということと関係国との協議を行うということ、そしていざというときに万全な体制で臨むと、こういうこと、不測の事態を含めて、この指示をしておりますが、関係国との協議の中では、特に中国等についても邦人の安全確保についていわゆるサポートの要請をしたりしました。我が国として、邦人の安全、しっかりと守っていきたいというふうに思っております。
  113. 山谷えり子

    山谷えり子君 北朝鮮に対して身の安全を守れとおっしゃってください。
  114. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 直接今交渉していることではありませんが、当然、この国会の審議で今申し上げる中で、しっかりと邦人の安全確保は強く要請をしたいというふうに思います。
  115. 山谷えり子

    山谷えり子君 朝鮮半島でもしも有事が起きた場合、拉致の被害者を、邦人を日本自衛隊は救出することができません。  自民党は拉致の被害者あるいは韓国にいらっしゃるいろいろな日本人を救出するための自衛隊法の改正を出しておりますが、何年たっても審議に応じてくれません。今おっしゃったということは、今国会で審議に応じてきちんと成立させるということですね。
  116. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 在外邦人の安全確保は、もちろんこれは国として大変重要な課題でございます。責任だと思います。平素から関係省庁と連携をして、事態に応じて速やかに在外邦人の安全確保を図ることができるように、その体制につき不断に検証する必要があると考えております。  在外邦人の保護に関し、自衛隊派遣先の外国においてどのような活動を行うかについては、これは様々な観点から議論し検討することが重要であると考えております。
  117. 山谷えり子

    山谷えり子君 それでは先送りでちっとも答弁になっていないんです。北朝鮮、いろいろ体制変わっております。  防衛大臣、いかがですか。
  118. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 今総理お話ししたとおりでございます。
  119. 山谷えり子

    山谷えり子君 日本は海洋国家でございます。EEZという国連海洋法条約で決められた二百海里、三百七十キロの基点になる島が九十九あります。そのうち三十九に名前が付いてなかった。私、何回も内閣委員会で指摘しまして、やっと三十九の島に名前を付けようということになった。  一月十六日、藤村官房長官が記者会見したその次の日に、中国の共産党機関紙人民日報は、それは核心的利益を損なうことだというふうに言った。そしてまた、昨日、中国の外務省の報道官も、もしも日本が、尖閣諸島の付近にまだ四つ島の名前が付いていないのがあります、この四つの島に三月末までに名前を付けるならば、それは違法で無効な行為だというふうに報道官が言われました。  これに対して、野田総理はどういうふうにお考えですか。
  120. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 言うまでもなく、尖閣諸島は歴史的にも国際法上も我が国の固有の領土であります。しかも実効的に支配していると。更に言えば、領土問題は存在しないというのが我が方の立場であります。  おっしゃったとおり、中国側からの外交上の申入れがありましたけれども、それは中国側の独自の見解に基づくものでありまして、日本国政府としては、日本国政府の立場を伝え、当然中国からの申入れについては拒否していると、そういう状況でございます。
  121. 山谷えり子

    山谷えり子君 しっかりと名前を付けていただきたいと思います。  そしてまた、自民党は、国境離島、特定離島に関する、あるいはEEZの基点に準ずる島を守るための法律を今出そうとしております。これも是非民主党は審議に応じていただきたいというふうに思います。また、尖閣諸島、東シナ海、五島列島まで領海侵犯来ておりますので、領域警備に関する自衛隊法の改正も出そうとしております。  この三つの法律は大変に重要な法律だと思いますので、野田総理、前向きに私たち議員立法を受け止め、あるいはむしろ閣法で出してほしいんですよ。いかがですか、その辺は。政府はなぜそういうことをやらないんですか。姿勢をお聞かせください。
  122. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 政府としても、我が国の周辺海域における情勢の変化に対応いたしまして、海上保安庁が担う領海警備業務を的確に遂行するための法案を今国会に提出をすることとしております。  領海侵犯については、今般の法改正によって、領海で停留あるいは徘回等の不審な行動を取る外国船舶に対して迅速に退去を命ずることが可能となるものと考えており、更なる措置の在り方については、今の御提起の問題も含めてでありますが、改正法の運用状況を勘案をしながら関係省庁と引き続き検討を行っていきたいというふうに思います。
  123. 山谷えり子

    山谷えり子君 今の法改正は、野田総理がおっしゃられたのは、例えば尖閣諸島に七人の中国人が島に上陸したことがあった、そのとき海上保安庁は何もできなくて沖縄県警にお願いして逮捕してもらったということがあるので、海上保安庁もそれができるようになる、あるいは立入検査なくても退去命令が出せる、その程度の改正なんですよ。これは今の現状に全く合ってないんです。ですから自民党は、自衛隊法の改正で領域警備、きちんと守る法律を提案しているわけでございます。  それから、野田総理は以前、質問主意書で、A級戦犯と呼ばれた人たちは戦争犯罪人ではないというような質問主意書を提出していらっしゃいますけれども、この根拠を教えてください。
  124. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 根拠といいますか、そのいわゆるA級戦犯と言われている人たちの法的な立場の確認をすると、そういう趣旨の質問主意書を出したことがございます。それは、いわゆる国内法的にはこの問題は私は決着を付いてきたんではないかという意識があったものですから、当時、小泉総理が靖国を参拝されたときに、そのときに改めてその法的な立場を確認をしたいという趣旨から主意書を出させていただきました。そこから出てきた政府の答弁というものを、今私は政府の立場でございますので、尊重していきたいと考えております。
  125. 山谷えり子

    山谷えり子君 菅総理はA級戦犯は戦犯だとおっしゃられたんですが、私は野田総理がおっしゃられることが正しいというふうに思います。サンフランシスコ講和条約で日本が主権を回復した後に関係諸国ときちんと法的な問題は整理し終わっている、また、国会決議でも戦犯ではないという形で整理し終わっているわけですから、野田総理はいみじくもこのままA級戦犯と言い続けるのでは人権侵害だとまでおっしゃられているわけですから、その思いを強く持ち続けていただきたいと思います。  しかしながら、一方で、内閣総理大臣の靖国神社参拝は国際政治的な利害を踏まえて最終的な判断がなされるべきと言っているんですね。そうなんでしょうか。追悼、慰霊というのは国際政治的な利害を超えたものだと思います。なぜこのようにお考えになられるんですか。
  126. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 国際関係を含めて諸般の事情を考えた中で、やはり合理的な判断をせざるを得ないということだと思います。
  127. 山谷えり子

    山谷えり子君 追悼、慰霊は主権的な問題でございます。今の答えは全く総理としての資格がないというふうに思います。  今年は、古事記千三百年、主権回復して六十年でございます。(発言する者あり)
  128. 石井一

    委員長石井一君) 静粛に願います。
  129. 山谷えり子

    山谷えり子君 四月二十八日、私たちは主権回復六十年をお祝いする、これもまた自民党は議員立法を出しております。これに対しても審議に応じていただきたいというふうに思います。  日本人はすばらしい民族でございます。自立心にあふれ、周りの幸せを感じる、考える、まず考える、自分のことよりも。しかしながら、民主党は依存的で隠蔽体質でばらまきで、このような政策を進めていったら日本の国柄が壊れてしまう、大変に心配しております。今国会、充実した審議をしながら心して日本を守っていきたいと思います。  ありがとうございました。
  130. 石井一

    委員長石井一君) 以上で佐藤正久君、山谷えり子さん、自由民主党たちあがれ日本・無所属の会の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  131. 石井一

    委員長石井一君) 次に、浜田昌良君の質疑を行います。浜田昌良君。
  132. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。  本日は外交についての集中審議でございますが、私からは二点質問したいと思っております。  一点は、イランの核疑惑に対する我が国の対応の在り方、もう一点は、TPPの参加の是非を判断する上で、野田総理は国益の視点と何回もおっしゃっています。じゃ、何が国益の視点なのかと。この二点について今日は質問したいと思っております。  まず一点目でございますが、イラン制裁問題でございますが、これにつきましては安住大臣が、一月十二日、ガイトナー米国財務長官からのイラン原油輸入削減要請につきまして、イラン核開発の問題は看過できない、早い段階で計画的に削減していく行動を取っていきたいと、こう発言された。しかし、ガイトナー長官自身は金融制裁からの日本の銀行の適用の除外を明言しなかった。安住大臣がそう発言されたときに、確かにこのイランの輸入原油の代金は年間一兆円ですよ。その八割から九割はA社がやっているわけです。あと残りはB社と。その金融機関のリスクは考えられたかもしれませんが、それによってホルムズ海峡が閉まってしまうかもしれない、国民生活のリスク、どの程度考えられたんでしょうか。またあわせて、このアメリカ制裁の正当性、どういうふうに踏まえられたのか、はっきり答えていただきたいと思います。
  133. 安住淳

    国務大臣安住淳君) ガイトナー長官が一月に訪日なさったときの時点でいえば、既に欧州諸国もこの核開発について激しい、厳しい批判をして、また制裁措置に対して共同行動を取るというふうな状況でガイトナー長官も訪日をなさって私と会談なさいました。    〔委員長退席、理事川上義博君着席〕  今先生御指摘のように、我が国では約一〇%弱のイランからの輸入量でございますけれども、私がガイトナー長官に申し上げたのは、これまで五年間、約四〇%の原油削減率で来ました。今後、これはやっぱり国際的な今の核開発に対する懸念というものについて共有をしている認識を持っているということであるならば、今後削減されていく方向に我が国もやはり行くということを私は認識として申し上げましたが、先生御指摘のように、邦銀の影響というのは、非原油部門では十二月の時点の国防授権法は六十日という期限でございましたので、非常に影響が大きゅうございます。一兆円はイランと邦銀の決済取引でございますが、邦銀がアメリカの国内で取引をしているのはその五倍に当たる額に及びます。  そうしたことを考えれば、やはりガイトナー長官との話合いの中ではそうしたことについての適用除外、例外化というものを私も強く求めましたし、ホルムズ海峡を含む安全保障や国際状況を十分勘案しながらも、過去のアベレージで四〇%削ってきたその流れに言わば逆に言うと逆行するような方向は我が国は取り得ないということは申し上げたつもりでございます。
  134. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 今、安住大臣がおっしゃったことは、正しくない点が一点ありますね。確かに非原油部門の制裁の期限は六十日です。しかし、原油部門は百八十日ですよ。それは間違っていますよ。そういう意味で、そんなに急いで発言することはなかった。事務方は、その日は向こうの出方を見るというのが合意だったと新聞にも載っていますよ。今回も全く勇み足。  確かに、核開発の拡散は国際社会が一致協力して防がなきゃならない、特に我が国は唯一の戦争被爆国ですから先頭に立たないけない。分かっていますよ。しかし、そもそも今回のアメリカ制裁のやり方が、国際法、国内法から見て本当に正当性があるのか、また、本来のイラン核開発断念という目標に対して効果があるのかという問題があるわけですよ。  それで、まず外務大臣にお聞きしたいと思うんですが、アメリカの金融制裁は、今までの国連決議、四度されているんですが、それに基づくものなのか、また、なぜイランは四度の国連決議を無視してきていると思っているのか、大臣見解をお聞きしたいと思います。
  135. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) おっしゃるように、制裁を含む国連安保理決議は四回なされていると。たしか〇六、〇七、〇八、一〇だと思いますけれども。  それで、有権解釈は、これ米国の法律ですから率直に言って現段階で我々にでき得るという状況にありませんが、ただ、CISADAという御存じの米国の対イラン制裁法、これが一昨年七月、大統領が署名した法律、これは言わば先ほど申し上げた一〇年六月に採択された安保理決議等の根拠に基づくものと位置付けているというふうに承知をしています。  その上で、何でイランはこの安保理決議を守らないのかということでございますけれども、私もイランの外相に書簡を出したりしておりますけれども、イランの言い分は、平和利用は認められているのであると、この一点張りであると。ただ、先ほど広田委員との質疑の中でも申し上げましたけど、事の発端は二〇〇二年に、十八年にわたる核開発、これ未申告であったというところから始まっているということをやはり理解をしていかなければならないのだろうというふうに考えているところでございます。
  136. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 今外務大臣が一昨年のアメリカ制裁については国連決議の関係があるとおっしゃいましたが、今回の幅広いこれだけのいわゆる輸入、金融の制裁については根拠はないですよ、どう見たって。  もう一点ですが、なぜイラン核開発を続けるのか。これはもう、一面はっきりしているのはイスラエルの存在ですね。つまり、NPT、核不拡散条約の枠外であの国は自由に開発しているじゃないかと、国際査察も受けていないじゃないかと、アメリカは一切何も言わないじゃないかと、なのに、なぜうちだけという、これが源流にあるというわけですよね。こういう源流の問題を解決しないとイラン米国の衝突の問題というのはなかなか解決しない。力の制裁はどうしても暴発を招くと。その暴発で一番影響を受けるのは国民なんですよ。  次の問題ですが、じゃ、この国内法としての正当性。アメリカの金融制裁は、国防授権法、権限を授けると書くんですね、国防授権法という法律、耳慣れない法律に基づくものですが、この法律はどういう法律なんでしょうか。また、今までにこのような制裁措置が盛り込まれたことがあるのか。また、なぜこのような制裁内容がこの時期に盛り込まれたと外務大臣はお考えですか。
  137. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 今質問のあった国防授権法の中身ということでありますけれども、これは二〇一二年度の国防授権法でありますけれども、イランの中央銀行等と相当な金融取引を行った外国の金融機関に対して制裁を科す、これが一つ。もう一つは、原油取引を行う外国金融機関については、イラン以外から十分に原油を確保できる場合には制裁対象とすると。主な内容はこの二つだと思うんです。  その上で、過去こんなことがあったのかという問いでございますけれども、一九九四年国防授権法、このときは、旧ユーゴの紛争だというふうに思いますが、セルビアとモンテネグロに対して資金の支出を禁じる制裁というのが含まれていると。また、二〇〇七年度には、イランと取引を行っている国への制裁強化を盛り込もうとした動きがあったけれども法律としては成立しなかったというふうに承知をしているところでございます。  イランによる核問題をめぐっては、昨年十一月のIAEA理事会での決議、これは広田委員指摘にもありましたけど、あるいは在米のサウジアラビア大使暗殺計画などがまたあって、これは議会が、まあ余り背景を私の立場で言うのはどうかと思いますけれども、基本的に事実関係を言えば、議会の意向を受けてこのような形になっているというふうに理解をしています。
  138. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 今、一九九四年、旧ユーゴについては盛り込んだ例があるとおっしゃいましたが、この国防授権法、ナショナル・ディフェンス・オーソライゼーション・アクトという、本来、予算の権限を与えるという、それが本来の法律なんですよ。この制裁なんて本当薄い、一ページなんですよ。そういう議員立法でかなり、かつその大統領の裁量が大きいという無理筋の法案ですよ、こんなのは。  じゃ、なぜこの時期にこういう法案が盛り込まれたのかと。これについては、元イラン大使孫崎享さんですね、外務省の情報調査局長もされましたけれども、こうおっしゃっています。    〔理事川上義博君退席、委員長着席〕  ある雑誌のインタビュー。十一月の大統領選挙に資金的、動員的大きな影響力を持つイスラエル・ロビーの圧力を受けたものだと。つまり、何かというと、パレスチナに資金的援助を行っているイランの資金源たる原油輸出を止めようというのが目的だと、こうおっしゃっているんですよ。  じゃ、三点目の問題ですが、じゃ、アメリカ制裁イラン核開発断念という目標に本当に効果があるのかという問題。外務大臣にお聞きしますが、このような措置でイラン核開発を断念しますか。
  139. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 本質的な話だと思うんですけれども、効果的な制裁という言い方を申し上げました。効果的な制裁圧力対話ということだと思っています。じゃ、効果的な制裁たり得るためにはどうすればいいのかといったら、やはり一番は国際協調であると。で、原油価格を安定させると。ただ、残念ながら、もう既に表に出ていますからいいと思いますけれども、インドは取引を継続すると言っている、中国の問題もあるという中でどうやって効果的にしていくのかということも含めて、私は、昨年訪米したときからかなり率直な意見交換をクリントン国務長官ともしていると。  したがって、今回の国防授権法運用の問題についても率直な意見交換をしてきたし、今も、今度は事務レベルで二月二日に米国に行って二回目の協議を行いますけれども、やはり効果的な制裁たり得るようにこちらも能動的にそちらにもかかわっていくということはやっぱり必要だと思うんです。同時に、どこかのタイミングでイランに対して、伝統的な友好関係というのはありますから、そういった関係を生かして働きかけを行っていくと。両面必要なんだろうというふうに考えています。
  140. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 今外務大臣がおっしゃったようにやはり力の制裁だけじゃ駄目ですね。力の制裁だけではホルムズ海峡閉鎖というリスクが高まるという副作用が出ると。この副作用は、アメリカ自身はもう中東依存度ほとんどないんですよ、原油の、余りない。日本は今原発が止まっているんですよ。まさに副作用を一番受ける国なんですよ。そういう意味では第三の道、これを探るべきなんですね。  今、一番国際社会がしなきゃいけないのは、イラン核開発のそのものの阻止じゃないですか。そのためには、実は二〇一〇年五月の核不拡散条約、NPTの運用検討会議で大きなステップが踏み出された。何かというと、この中東非核化につきましては九五年に中東決議ってあったんですね。つまり、これはNPTに入っていないイスラエルに対してもいわゆる国際査察をするんだと、それで非核化をしていこうという決議がエジプトやイランの提案によってなされているんですよ。  これについてはずっと今までお蔵入りだった。しかし、これについては、国際会議をいよいよ本年、二〇一二年にしようという、場所もフィンランドでするというのが決まっていたんですよ。ところが、何とこのEUが禁輸をします。フィンランドはEUの一員です。よって、この国際会議自身が今危ぶまれているんですよ。こういうイラン、イスラエル、アメリカという為政者が角を突き合わせているというときに、日本が一体誰の声に一番耳を傾けるのか今問われているんですよ。  パネルを見ていただきたいと思います。(資料提示)これは私は、それぞれの国の国民、民の声に一番耳を傾けるべきだと。お手元示しましたのは、昨年十一月にイスラエルの世論調査、これはアメリカのメリーランド大学及びイスラエルのデハフ研究所で行ったものであります。  質問一でありますが、結局イランは核兵器を開発すると思うかというと、イスラエルの方々は九割はすると思っているんですよ、もう。じゃ、二つの選択肢のうちどちらがイスラエルにとって望ましいかと、つまり、イスラエルとイランの両国が核兵器を共に持たないが六五%、両国が共に持つが一九%しかないんですよ、もうイスラエルの人も。また、イスラエル及びイランを含む全ての中東諸国が核施設の国際査察を受け入れるべきと思うか、賛成が六〇%。さらに、こういう査察制度が施行されればイスラエル及びイランを含む全ての中東諸国は核兵器を持たないことをコミットすべきか、六三%ですよ。このような内容のとおりの中東非核地帯条約を支持するか、これも六四%。  これはイスラエルだけじゃありません。ちょっとデータは古いですが、下のイラン米国、二〇〇七年のワールドパブリックオピニオンの世論調査でありますけれども、これも、イスラム諸国、イスラエルを含む中東非核地帯を賛成しますかという問いに対して、イラン国民は七一%が賛成、アメリカ国民でさえ七一%の賛成じゃないですか。まさにこのイスラエル、イラン、またアメリカという国民の声自身は中東非核化を望んでいるんですよ。  特に、我が国イランとの長年の外交関係があります。総理、「おしん」という番組、御存じでしょうか。三十年前、NHKの朝のドラマありました。もうイランではすごい人気で、三回も放送されて、毎回視聴率が八割から九割というんですよ。日本人を見るとイラン人は、女性見ると、おしん、ジャパン、おしん、ジャパンと言う。それは、本当に苦労をして苦労をして苦労をして幸せをつかんだ日本の女性に対する尊敬ですよ。  また、東洋のシンドラーというのを御存じでしょうか。杉原千畝さん、この方は第二次大戦のときに、外務省に反対されながらもビザを切って、多くの方々の、ナチス・ドイツからの迫害を受けたユダヤの方々の命を救った。その方の今記念碑はイスラエルのエルサレムの丘にありますよ。まさに両国から共に信頼されている国は日本なんですよ。  まさにその非核化の一歩が進もうとしているこの国際会議、今危ぶまれています。まさに野田総理は今回の施政方針演説で、この中東問題、平和的、外交的な解決に努力することを基本とおっしゃった。そうであるならば、この中東決議の第一歩としての国際会議に向け日本自身が能動的役割を果たす、これを明言していただけますか。具体的に開催を是非、この北欧での開催が無理だったら日本での開催も考えてほしいんですが、いかがでしょうか。
  141. 石井一

    委員長石井一君) それじゃ、まず外務大臣
  142. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 大変建設的なすばらしい御提案をいただいているというふうに思っています。  今配っていただいたこのイスラエルでの世論調査の、イスラエルとイランの両国が核兵器を共に持たない、六五%というこの質問には、非常にいろんなものを教えてくれるというふうに思います。  おっしゃった中東、非大量破壊兵器の地帯をつくるという二〇一二年の国際会議ですが、確かに危ぶまれています。つまりは、まさに当事国であるイスラエルそしてイランが参加するのかという問題があると。ですから、私として今考えているのは、日豪、日本オーストラリアがイニシアチブを取っているNPDIなどでこの問題を取り上げて、どういうふうにしたらこの会議が開催できるかということについて検討したいなと。  非常に浜田委員から、まさに軍縮、熱心に本当によく国際社会全体を御覧になったいい質問をいただいて、参考にさせていただきます。ありがとうございます。
  143. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) イランもイスラエルも国内の今政局がちょっと微妙な問題それぞれ抱えています。妙にエスカレートしてくると本当に大変なことになると思いますので、外交的、平和的解決を目指すと言いましたが、対話圧力がありますが、特に日本の場合は、これまでの御指摘のように、長い間の関係がある中で働きかけの工夫の仕方はいろいろあるかと思います。それをまず全部出し切るということが必要だと思いますし、今御指摘のあった先ほどの資料も大変興味深い世論調査の結果だと思います。  我が国は唯一の戦争のいわゆる被爆国でございますから、非大量破壊兵器地帯設置に向けて是非先頭になっていきたいと。今外務大臣が具体的に日豪の関係でも言っておりましたけれども、二〇一二年中にその国際会議が開催できるように主導的な役割を果たしていきたいというふうに思います。
  144. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございます。  情けは人のためならずという言葉があるんですね。この非核地帯というものの考えが広まっていくと、実はもう一つ懸念のこの朝鮮半島の問題があるわけですよ。これについても、東アジアの非核地帯という考えがあります。これについていかに国際世論をつくっていくのか、まさに金正日が死去した今このときに、どういう世論をつくるか重要なときに、こういう日本の役割をすれば、アラブの幾つかの国は北朝鮮とも深い仲でありますから、大きな力になると思いますので、是非お願いしたいと思います。  次に、TPPの問題に入りたいと思います。  これにつきましては、野田総理は施政方針演説で述べておられますけれども、その真意をまず聞きたいと思います。つまり、まずFTAAPですね、アジア太平洋自由貿易圏というのがあると、これとこのTPP、環太平洋パートナーシップ協定、TPPとその上にあるアジア太平洋自由貿易圏、FTAAP、この関係、どちらが目的でどちらが手段と考えるでしょうか。
  145. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) いわゆるFTAAP、アジア太平洋における自由貿易圏、これはAPECの加盟をしているエコノミーが全て入れるような、今エコノミー二十一ありますけれども、そういうアジア太平洋における自由貿易圏をつくるというのがこれ目的であります。  そこに至る道筋は、御指摘のあったTPP、これ今九か国が交渉参加しておりますが、あるいはASEANプラス6とかASEANプラス3とか、道筋はいろいろあろうかと思いますが、それにたどり着いていくための手段がTPPというふうに理解をしています。
  146. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 今、野田総理が明確におっしゃいましたですけれども、いわゆるFTAAP、アジア太平洋自由貿易圏、これをつくっていきたいと、その手段としてTPPがあり、日中韓FTAあり、またASEANプラス6もあると。そういう構成になっているわけですよ。そうすると、逆に言えば、アジア太平洋自由貿易圏ができないような偏ったTPPは、その障害になっちゃうんですよね。そういうことなんですよ。  このデータ見ていただきたいんですが、これは何かというと、確かに安全保障というのは日米基軸なんですが、経済問題についてはやはりおかしなことはおかしいとアメリカに言っていく必要があると思います。それが今までの日米経済摩擦での日本努力だったわけですよ。  これは、左上に書いてあるのがGDPのデータ、名目GDP。これを見ますと、国を見ると、上から、アメリカからブルネイまでの九か国が今TPPに参加して協力しているという、その国がありまして、その下、一部ダブっていますけれども、ASEANの十か国があると。その下に日本、カナダ、メキシコという、今回TPPに参加したいという三か国のデータ。そして、その下の三つがいわゆるASEANプラス6で入ってくる中国、韓国、インドと。こういう二十一か国のデータですね。  左上を見ていただくと、名目GDP、赤い棒グラフを見ますと、もうアメリカが断トツなんですよ、十四兆ドル。このTPP参加国の九か国、あとのデータはほとんどもう棒グラフが見えないくらい、こういう状況なんですね。ほかの八か国の平均を見ると約三千億ドルですから、それの約五十倍ぐらいの規模アメリカ。どうしてもアメリカの意見が横行しやすいというのが現状のTPPの中の国の構成ですよね。  ところが、緑のグラフは何かというと、貿易依存度、つまり各国の輸出、輸入の合計をGDPで割ったもの。つまりこれは、どれぐらい国際貿易がその国の経済影響を受けやすいかというもので見ると、一番大きいのがシンガポールで約四倍なんですよ。その次が、マレーシアが一・七倍、ベトナムが一・六五倍。今回まだTPP入っていませんけれども、タイが一・三五倍と。  実はこの貿易依存度で見ると一番小さい、つまり海外の貿易が余り国内経済影響を受けないという国がアメリカなんですよ、二八・八、つまり二九%。二番目が日本なんですよ、二九・三と。そういう国が角を突き合わせるんじゃなくて、まずはこの緑の国々の意見をどう盛り込むのかが大きなポイントなんですね。  三番目、右のデータですけれども、右はこれは人口なんです。つまり、今は経済規模大きくないけれども、将来の経済規模を示す一つの指標が人口ですよ。どうしても一人当たりのいろんなGDPであったりとか、また生活のレベルが上がってきますから。そう見ますと、圧倒的に中国が十三億人、インドが十二億人、その次がアメリカで三億人ですが、四番目はインドネシアの二・三億人、これは入っていないんですね、まだTPP。その次が日本の一億二千万人、これはどんどん減っていくかもしれませんけれども。これを、どういう国の意見をうまく入れていくのか、また将来の発展、アジア太平洋の発展というならば、右下の中国、インドが入りやすい、またインドネシアが入りやすい、そういうTPPでないと、結局目的は達成できないんですよ。  あと、右上の黄色い表を見ていただきたいんですが、実は各国ともセンシティブという非常に微妙な分野を抱えています。例えばオーストラリア、医薬品給付制度。これは、薬の値段を安く抑えようと。ところが、これはアメリカが反対しているわけですよ、製薬メーカーが。一方ではまた、いわゆるISDS条項。これもアメリカが、あるたばこ会社がオーストラリアのたばこの表示がおかしいじゃないかと、健康に問題、落とせというのを自分協定がないから言えないから、その会社、子会社が香港にある、香港とオーストラリアは自由貿易協定がある、訴えている、これはやめてほしいと言っていると。  同じように、ニュージーランドには国営銀行あるんですよ。キウイ銀行って知ってますか。キウイなんですね、ニュージーランドはキウイの大生産国ですから。国営銀行が、いわゆる郵貯みたいのがあるんですよ。また、シンガポールには政府系企業、マレーシアも政府調達、ベトナムも国営企業という問題がある。この辺をうまく解決できなければ、将来中国が入ってこれないんですよ。  同じように、カナダでは砂糖とか乳製品、また、いわゆる畜産分野の供給管理政策やっています。同じようにメキシコは穀物、トウモロコシが、日本の米みたいなもんですよ、これについてセンシティブ分野を持っているんですよ。  じゃ、何でこれだけ非常にセンシティブ分野がありながらも、このTPPの最初の原型、パシフィックフォーという四か国が二〇〇六年に結んだときになぜ完全自由化を原則にしたと、その経緯については外務大臣、どう認識されておられますか。
  147. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 経緯というのは、一言で言えば、いわゆるP4という四か国が最初に始めたときに、まさに原則として全ての品目について即時又は段階的に関税を撤廃ということを決めてスタートしたということなんだろうというふうに思います。  先ほどの浜田委員の分かりやすい説明を聞きながら改めて思うのは、結局TPPにしろ、先ほど例えばインドとかも含めて、中国とかも含めて巻き込んでいかないと駄目なんだと、こういうお話だったと思います。私もそのとおりだと思うんです。  TPPについて協議に入るということを総理がおっしゃった、それで日中韓のいわゆる投資協定などは前に進んでいるという側面も私はあるというふうに思うんです。プラス、ASEANプラス3、ASEANプラス6、6になると、今おっしゃったようなインドも含めて入ってくるということで、これは相互に刺激し合いながら進めていくものではないかというふうに考えているところでありまして、そのときにP4が、私、最初に高いレベルの経済連携を行っていこうと決めた詳細な経緯は存じ上げません。知りませんけれども、ただ、私は、日中韓も含めて……(発言する者あり)はい、短くやります、やはり一定程度高いレベルの経済連携に関与させていく、そういう必要性は私はあると思うんです。  ですから、そういう意味では、それぞれセンシティブ品目を抱えていると、多様性のある中でどういうふうにルールを作るか、日本も入ってルールを作るというのは一つの有力な考え方だと思います。
  148. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 正しく認識してほしいんですけれども、二〇〇六年、パシフィックフォーが集まったとき、つまりこの四か国って、特殊というか非常に貿易構造が特別だったんですね。つまり、シンガポールって農業ないんですよ。ニュージーランドはほとんど畜産、ブルネイは石油ばっかし、チリは資源がほとんどなんですよ。よって、競合する分野がないから原則自由化は良かったんですよ。そういうちまちまやっていたものに急に大きなこの巨人が入ってきた、そして二十一部門全部完全自由化と言い出したという構図になっているわけですよ。  そういうときに、じゃ、このアジア太平洋、どういうルールで進めていけばいいかと。二十一か国あるんですが、実はこのうちアメリカは十二か国と既に自由貿易協定を持っています、一応このTPP全部九か国と前提した上で考えれば。日本は十三か国なんですよ。一番多いのは実はASEANなんですね。ASEANは、十か国以外に青くかきましたオーストラリア、ニュージーランド、日本、中国、韓国、インド、既にASEANとのEPAはできているんですよ。まさに、ASEANの意見を吸い上げて、それをアメリカに突き付ける、これが日本の役割じゃないんですか。  まさに、これ赤い棒を見ると、アメリカが長男かもしれない、しかし、次男は日本じゃないですか。賢弟愚兄という言葉御存じでしょうか。長男があほうを言ったら、次男がいさめるんですよ。それを、次男が同じあほうを言ったら一家離散ですよ、そんなのは。まさにその役割を果たしていかないと、総理がおっしゃったこのFTAAPというアジア太平洋の自由貿易というのは実現できないんです。  まさにこれ、今後の交渉の方針として、確かに我々自身の国益、権益も重要です。あわせて、ASEANの国々の意見、また中国、韓国の意見、これを十分に反映させていって今の基本的枠組み自身を変えさせていく、これを交渉の基本としていただけませんか。
  149. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 基本的なFTAAPを実現するための戦略という意味では、私は委員の御指摘のとおりだというふうに思います。  日本は、一つは、ASEANを含めたこちらのアジア中心のいわゆる広域連携の動きの中でも、これはしっかり軸足を持ってやっていかなければいけない。このことは、TPP交渉参加に向けて協議に入ると言った瞬間から、ある意味、日中韓もASEANプラス6の議論も加速しつつあります。その中で主導的な役割を果たしながら、その議論を逆にTPPに持ち込んでいくということもあり得るというふうに思います。私どもがいわゆる太平洋地域とアジア地域の両方に軸足を持っていることによってFTAAP全体のルール作りに貢献できると、そういう視点を持って臨んでいきたいというふうに考えております。
  150. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 もしアメリカがそんな生ぬるいTPPなら日本が入らなくていいとおっしゃったら、日本は名誉ある撤退をすればいいんですよ。  実は、カナダはそう一遍しているんですね。カナダは、実は畜産分野の供給管理政策があった。それをアメリカがおかしいと言った。おかしいと言われるんなら、二〇一〇年十月に撤退したんですよ。それで、撤退して、交渉の中心を赤いところから緑のところ、そしてオレンジのところに重心を移せばいいんですよ。それでアジア太平洋のものを、ルールを作っていく。まさに日本外交じゃないですか。  しかし、一つ残念な新聞記事がありまして、中国はこのTPPに関して脅威を感じて、日中FTAを急ぎたいというメッセージが出された。しかし、何と野田総理は、昨年十一月十二日のAPEC首脳会合のときに、全く、日中韓、日中のFTAもTPPもちゃんと胡錦濤主席に説明していなかった、全く触れなかったと。これ事実なんでしょうか。私は、そのときに、日本はTPP参加へ向けて協議を開始するけれども中国の経済連携もスピードアップしようと、あわせて、中国の意見があるならTPPに反映したいから意見を言ってほしいと、こう言うべきだったんじゃないですか。いかがですか。
  151. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) まず、ホノルルのAPECで胡錦濤主席との会談の中では、国際経済であるとかグローバル経済についての課題について互いに協力をしていくという、いわゆる大局的な見地からの意見交換をいたしまして、個別のテーマに突っ込んだ話はしているわけではありません。  ただし、その後のバリにおける東アジア首脳会議のときに、温家宝首相に、日中韓のいわゆるFTA、あるいは投資協定の促進等々の議論を重ねて行いましたし、昨年の末に両首脳とお会いしたときには明確に、今御指摘のあった日中韓のあのFTA、そして投資協定の促進については会談で議論をして、基本的には早期に進めていこうということで合意をしているということでございます。
  152. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 今日は、イラン制裁、またTPPについて質問をさせていただきましたが、本年は外交の年です。三月にはロシア大統領、十一月にはアメリカ大統領、十二月は韓国大統領選挙がある。中国の指導部交代もある。そういうときにあって、どうしてもこういう交代がある、選挙があると、自国民にはあめ玉、外国にはやり玉という、こういう議論になりがちなんですよ。そういうときに、そういうピンチをいかにチャンスにするのか、その外交の基本、それは何だと思いますか。まさに信頼とビジョンですよ。その信頼とビジョンが全く野田政権にはない。  もう一度、一から出直してほしいと申し上げて、私の質問を終わります。
  153. 石井一

    委員長石井一君) 以上で浜田昌良君、公明党の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  154. 石井一

    委員長石井一君) 次に、中西健治君の質疑を行います。中西君。
  155. 中西健治

    ○中西健治君 みんなの党の中西健治です。  まず、TPP、FTA等に関してお尋ねいたします。  私、さきの臨時国会で、TPP参加に賛成の立場からということでありますが、政府の交渉体制について、法律に基づいた交渉チームを設置して司令塔となる責任者を任命するべきであるということをこの委員会でも、そして本会議でも何度も御提言を申し上げました。  そして、十二月中に、藤村官房長官の記者会見では、政府の代表を置いて交渉を担当させる、その人選は年明けになるということを表明されていたというふうに理解しておりますけれども、まず総理にお伺いいたしますけれども、政府代表を置くという理解でよろしいでしょうか。
  156. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 政府としては、関係する全ての府省が一体となって検討を進めて、我が国全体の視点から国益を判断をしていくために省庁横断型の強力な体制をつくろうということで、これ内閣官房に構築をいたしました。  具体的には、国家戦略大臣を議長としまして、官房長官及び関係大臣を構成員とするTPP交渉参加に向けた関係国との協議に関する関係閣僚会議と、こういうものを設置をし、その下に石田内閣府副大臣を議長として、官房副長官ほか関係大臣を構成員とする幹事会を設置し、そして今、中西委員指摘の政府代表を置くことといたしました。政府代表の人選を今鋭意進めているところでございます。
  157. 中西健治

    ○中西健治君 藤村官房長官は年明けというふうに言っていたわけですが、一月、もう今日は末日ということですので大分時間がたっていますけれども、どうして、それも四か国との交渉も、協議も始まっているということですけれども、どうして迅速に政府代表を決めないんでしょうか。
  158. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 関係国との協議を行う政府代表については、当面、ハイレベルの代表を置いてまでという協議のまだ段階ではないということでありますけれども、いずれにしても人選は進めさせていただきたいというふうに思います。
  159. 中西健治

    ○中西健治君 仄聞するところによると、人選が難航しているというふうにも聞いておりまして、それはひょっとして、党内に深刻な対立、このTPPに関して深刻な対立があるので憎まれ役にもなりかねない、だからなり手がないということなんじゃないでしょうか。
  160. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 今おっしゃったようなことでは全くございません。総理が述べたとおりでございます。
  161. 中西健治

    ○中西健治君 総理は増税には大変強い関心を持っていらっしゃるようですが、このTPPの問題も当然のことながら大変重要な問題ということであります。そして、十一月のこの委員会でも説明が足りないというようなことについて集中砲火を浴びたということだと思いますので、是非とも政権の発信力を高めていただきたい。その中では、やはり政府の司令塔、政府の代表というのも即刻決めるべきであるというふうに私は思っているということを申し上げて、次の質問に移らせていただきます。  次の質問は、日本オーストラリアのEPAについてでありますけれども、先月、久々に会合が行われたということで、前に進むということでありますけれども、オーストラリアは言うまでもなくTPPの協議国の一つでもあるということですけれども、このTPP交渉参加というのが見えてきているというフェーズの中でどうして今あえて日豪EPAを進めていこうと考えているのか、外務大臣にお聞きしたいと思います。
  162. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) TPPにつきましては、例えば野心的な目標ということで今年いっぱいとオバマ大統領は発言をされると。あるいは実質合意を七月にとかいうお話もあるという中で、率直に言えば、いつ交渉がまとまるか分からない、そういうのが今のTPPの現状だと思います。そういう中で、そういう中で……(発言する者あり)いや、私の答弁だけさせて。委員長。(発言する者あり)
  163. 石井一

    委員長石井一君) 速記止めろ。    〔速記中止〕
  164. 石井一

    委員長石井一君) 速記を起こして。  防衛大臣に申し上げます。  あなたは出席を要請されておる本日の大臣でありますから、答弁の要請がなくても着席をお願い申し上げます。  質疑を続行いたします。中西君。(発言する者あり)何だよ、それでいいじゃないか。ちゃんと、だから……(発言する者あり)  それじゃ、防衛大臣田中直紀君。
  165. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) どうも申し訳ございませんでした。(発言する者あり)
  166. 石井一

    委員長石井一君) いや、まあまあ、謝罪しているんだからいいだろう、そこまでやらなくても。  それでは、田中直紀君、もう一度御答弁を願います。
  167. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) どうも申し訳ございませんでした。ちょっと風邪ぎみで鼻水が止まらなかったもので、ちょっと薬を事務所から持ってこさせて、それで帰ってきたので、大変申し訳ございませんでした。(発言する者あり)
  168. 石井一

    委員長石井一君) それじゃ、玄葉光一郎外務大臣
  169. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 先ほど答弁の途中でございましたので。  TPPはいつまとまるか分からないという状況の中で、やはりEPAはEPA、二国間で着実に進めていくというのがやはり我が国全体の国益にかなうものというふうに考えています。  一つだけせっかくなので御紹介したいのは、我が国独自のEPAの、独自の要素というのが一つありまして、つまりは進出企業、現地の進出企業の関係者を含む両国の官民関係者が一堂に参加して協議の枠組みをつくるという、いわゆるビジネス環境整備という、そういったものも含めてEPAというものを日豪でも進めていくと。仮にTPPが交渉まとまっていくとなれば、その間には調整規定なりなんなりが置かれていくだろうというふうに思います。
  170. 中西健治

    ○中西健治君 今こうしてお聞きしているのは、TPP交渉国と二国間の交渉もある程度同じような時期に進めてしまうということによって、どちらの国にも賛成派、反対派というのがいるわけです、その中で議論が交錯してしまうのではないか、若しくはあらかじめ反対の意見が非常に強くなって次のものが進まなくなる、そうした懸念があるのではないかというふうに思っているからです。  ということは、オーストラリアとの交渉において、牛肉ですとか乳製品ですとか米ですとか、こうしたものを日本はセンシティブ品目として適用除外とするつもりでしょうか。
  171. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) そういったセンシティブ品目についても、農林水産大臣もいらっしゃいますけれども、まさに政府一体となって、我が国も含めて、当然ですけれども、二国間ですから、受け入れられるような案になるかどうかという、そういう交渉をしているということでございます。
  172. 中西健治

    ○中西健治君 これについてもきっと大きな議論というのが沸き上がってくるということになるのではないかと思います。  ちょっとお聞きしたいのは、この二国間と多国間、使い分けをどのようにしようと考えているのか、戦略があるのかということについてお聞きしたいと思います。  アメリカはもうバイはやらない、二国間はやらないから、アメリカと自由貿易協定をやろうとするとTPPしかないんだということで、日米FTAではなくてTPPを目指すというような理解というのは非常に多いんじゃないかと思いますけれども、ということは、アメリカはとにかくバイはやらないという戦略を持っているということですが、我が国はそのバイとマルチについてどういう使い分けをしていくのか、戦略を持っているんでしょうか。
  173. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 本来は国家戦略担当大臣かもしれませんけれども、答えるのはですね。  これは、つまりは、いわゆるTPPもバイもマルチも同時並行で進めることで刺激し合うと先ほど申し上げました。おっしゃるように、アメリカの場合は、バイはもうやらないと、永遠にかどうかは分かりませんけれども、TPPに今集中しているという状況です。  ただ、私たちの国は、御存じのように、いわゆるFTAのカバー率というのがたしか韓国の半分、しかも、カバーが半分というだけではなくてタリフラインというのが非常に低いというのが現状でありますので、かなりスピード感を持っていかないといけないと。そういうときに、私は、先ほど申し上げたように、TPPが協議に入るというふうに言って日中韓が前に進み始めた、相互に刺激し合う、まさに戦略的、多角的にこういった問題を考えていくべきだというふうに考えています。
  174. 中西健治

    ○中西健治君 今、外務大臣から国家戦略担当大臣という言葉もありましたけれども、これ、ちょっと総理に確認したいんですが、こうした自由貿易協定ですとか通商政策全般の全体の戦略を描いている人というのは国家戦略担当大臣なんですか。
  175. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) いわゆる交渉としては外務大臣が担当したり、あるいは経済産業大臣がというのはありますけれども、いわゆる高いレベルの経済連携を戦略的に動かすというその担当は国家戦略担当大臣でございます。
  176. 中西健治

    ○中西健治君 それであれば、この集中にもいなければならない人なんではないかなというふうに思うわけですが、また、何でいないのかちょっとよく分からないなという気がいたします。(発言する者あり)要求というよりも、これがTPPに関する集中なんであれば、当然出ている大臣なんではないかというふうに思います。  次の質問に移らせていただきます。韓国と中国とのことについてお伺いしたいと思います。  今月の九日、韓国の李明博大統領と胡錦濤国家主席との間で中韓FTAの締結交渉に向けた準備に入ることで合意されました。早ければ今週にも交渉が始まるという見通しを示したという報道がなされていますが、一方、十二月の十八日の日韓首脳会談では、韓国側は、経済問題の前に従軍慰安婦問題を話さなければならないということで、六十分の会談中、四十分をその問題に使った、そして、日韓のEPAの交渉再開の議論は進まなかったというふうに理解しておりますが、今後の日韓EPAの展望につき、政府の見解を教えてください。
  177. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 先般の、首相もいらっしゃいますけれども、首脳会談では確かに政治面の話がかなり大きかったというのは率直なところではないかというふうに思います。ただ、だからといって、日韓EPAに対して交渉が、あるいは我々の姿勢が後ろ向きになったのかといえば、全くそうではなくて、我々としては当然進めていかなければならないというふうに考えております。  同時に、その前に恐らく日中韓の投資協定というものがまとまっていくのではないか、その先には日中韓のFTAというものが見えてくるのではないかというふうに考えています。
  178. 中西健治

    ○中西健治君 その日中韓のFTAですけれども、この中韓のFTAが日中韓のFTAより先行してしまうリスク、それについてはどうお考えでしょうか。
  179. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) ここは今、国内手続に入っているという状況だと聞いていまして、確かに中西委員が言うように、ここは注視をしながら日中韓で話をしていかなければならないまさにテーマであるというふうに認識をしています。その中で、先ほど申し上げたようにまずは投資協定をまとめたいと、そう考えているところであります。
  180. 中西健治

    ○中西健治君 日韓のEPAというのは韓国にとって余りメリットがないので、現状一向に動いていないという理解をしておりますが、そうなりますと、日中韓FTAに関しては韓国がサボタージュをすることによって全然進まないということも考えられるわけですが、そうしたときの戦略というのも考えていらっしゃるでしょうか。
  181. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) いろんな見方というのはできるだろうというふうに思いますけれども、我々としては、先ほど申し上げたようなことをしっかり達成するために、一歩一歩着実にまずは投資協定というふうに考えています。
  182. 中西健治

    ○中西健治君 対中の、この場合は戦術ということになると思いますが、中国をしっかり引きずり込むという戦術をしっかりと政府は持っていなければいけないんだろうというふうに思います。  日韓関係についてですが、先ほどの日韓首脳会談もそうですが、これまで日本は朝鮮王朝由来の古文書の引渡し、昨年いたしました。そして、昨年の十月には日韓スワップ協定、これの限度額の大幅な引上げということもやりました。韓国に対して最大限の配慮をしてきたのではないかと思います。  しかしながら、この間の日韓首脳会談では、韓国内の事情が何にせよ、日本が解決済みとしてきた問題を大きく取り上げられてしまって、我が国は何かを得ることができたのでしょうか。いろいろな配慮をして、結局何も得ていないのではないか。  我が国の得ている国益について、総理にお伺いしたいと思います。
  183. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 先般の京都での会議は、確かにその政治的な問題に時間を割くということがございました。ただ、その前に私がソウルに行ったときは、これは日韓のFTAについて、EPAについて前進をさせようという、そういう意思疎通をしておりますので、この流れは基本的には生きていると思います。  その上で、日韓のスワップは、これ日韓だけではなくインドともやりました、スワップの拡充。やっぱり欧州発の危機をアジアで止めるためには、アジアにおいては地域における金融協力というのは間違いなく必要です。チェンマイ・イニシアチブの強化であるとか、こういう二国間の通貨スワップとか、そういう一環でやってきているということでございます。  今御指摘のあった慰安婦の問題は、確かに先般の京都では相当、李明博大統領は今まで四年間ずっと触れてこなかったんですけれども、今回は触れられました。ただし、私どもの方からも、もうこの問題は決着済みであることは明確に申し上げておりますし、あのソウルにおける、日本の大使館前における碑についても撤去するように、これは強く要請をしているところでございます。
  184. 中西健治

    ○中西健治君 会談内容の詳細というのは私の方も理解しておりますが、総理の方からは李明博大統領にこれからも人道的見地から知恵を絞るというようなことを最後に言っているということのようでございますが、この人道的見地から知恵を絞るというのはどういう意味でしょうか。
  185. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 既にこの問題は解決済みであるということが明確でまずあります。前提としてそれがあるということでありますが、更に理解を深めるために何ができるかということを考えるということを申し上げました。
  186. 中西健治

    ○中西健治君 ギブとテークのバランスが非常に悪いのではないかなという気がいたします。まあやられっ放しという感が非常に強いわけですが、続いて中国についてお伺いいたします。  昨年末の日中首脳会談で、日本当局による中国の国債への投資ということが合意に至ったようでございます。外国為替特別会計において最大で百億ドル、日本円に直すと八千億円弱購入するということのようですけれども、安住財務大臣外交上も必要であろうと思っているというコメントを発表されておりますけれども、この中国国債を購入することの是非、流動性のない債券ですから、これを外為特会で購入することの是非というのはまた別の機会に財務大臣と議論をしたいというふうに思っておりますが、今日は外務大臣に、こうした国債、中国の国債を購入することによって何を得ようとしているのか、それについてお伺いしたいと思います。
  187. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 基本的に、戦略的互恵ということを言っているわけでありますから、経済面における互恵関係というものを強化をしていくそのうちの一つだということだと思います。既に中国は日本の国債を持っているわけでありますけれども、日本は中国の国債を持っていないと。そういう中で、まさに経済関係を強化できる、相互に国債に投資できる環境を整備する、そういう観点からのものだというふうに理解をしています。
  188. 中西健治

    ○中西健治君 そうした漠とした答えが返ってくるのではないかなというふうに思っていたわけですが、より具体的に今後の、日中のFTAということもあるわけですけれども、そうしたものについての戦術という位置付けはないんですか。
  189. 安住淳

    国務大臣安住淳君) 購入額はまだ公表をする段階ではございませんけれども、やはり中国側も日本国債を保有しておりますし、我々としても中国の言わば人民元の国際化というのはやっぱり是非やっていただきたいと思っておりますし、今後我が国の進出企業がやはり中国に進出する中で人民元の国債保有というのは我が国にとってはメリットもあるし、経済的な関係もやっぱり強めたいということは正直ございますので、購入を決めさせていただきました。
  190. 中西健治

    ○中西健治君 これまでのお話を伺っていると、どうも場当たり的なちょっと外交というところに終始している感もありますし、もちろん外交は相手のあることですから自分たちでペースは決められないということもあるかと思いますが、大きな戦略は必要だと思います。  そこで、最後に総理にお伺いいたします。  FTAAPということが目標であるならば、バイとマルチをどのように使い分けるつもりなのか。あともう一つ具体的に、ASEANプラス6を実現するに当たって日本はどのようにリードしていくつもりなのか、お伺いしたいと思います。
  191. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 高い経済レベルの連携を行っていくときに、いわゆるマルチでの交渉をやっていく、あるいはバイでやっていくこと、そういうことを含めて、日本はちょっと残念ながら近隣の国に比べると周回遅れでございましたから、いずれも、両方とも推進をしていきたいというふうに考えている次第であります。  それから、ASEANプラス6についての取組ですが、昨年十一月のASEAN関連首脳会議で、日中の共同提案を踏まえて、ASEAN諸国と関係国との間で新たに三つの作業部会、物品貿易、サービス貿易及び投資、この三つの作業部会が設置されることになりました。こういう議論を具体的にやっていきたいというふうに考えております。
  192. 中西健治

    ○中西健治君 どうもありがとうございました。  これで終わります。
  193. 石井一

    委員長石井一君) 以上で中西健治君、みんなの党の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  194. 石井一

    委員長石井一君) 次に、紙智子さんの質疑を行います。紙智子さん。
  195. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  最初にお願いしておきますけれども、時間が十分間ということですので、御答弁簡潔にお願いをしておきたいと思います。  TPP参加に向けた事前協議をめぐって野田総理にお聞きします。  総理は、TPP交渉参加については、国民にきちんと情報を提供し、十分な国民的議論を経て結論を得ると言われました。しかし、ニュージーランド政府の公式発表によって、これ、交渉内容については、途中経過は限られた対象にしか明らかにせず、協定発効後四年間は秘匿されるという合意があると、このことが明らかになりました。  先日の衆議院での我が党の委員長への答弁でこのことはあなた自身も認められました。その上で、相手国が非公開として提供する文書はその国の意向を尊重するのは通常の慣行に沿っているんだと、で、協議で得られる情報については出せるものは出していくというふうに述べられました。  しかし、これでは国民は納得できないわけですよ。出せるものは出すと言うんですけれども、相手の国が出せないものは国民に明らかにしないということになるんでしょうか。──総理に聞きました。(発言する者あり)
  196. 石井一

    委員長石井一君) まあ、それじゃ一言で簡単に。時間が十分ですから。
  197. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) はい。  もう以前から申し上げておりますけど、条文案というのは参加国間でそれぞれ出さないという申合せがあるということであります。テキスト、条文案です。
  198. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) これ、本会議でも御答弁させていただいたんですけれども、ニュージーランドの外務貿易省のホームページに、御指摘のとおり、TPP交渉中のテキスト及び交渉の過程で交換される他の文書を秘密扱いする旨の記述が記載をされているということでございますが、一般に、外交交渉においては、交渉相手国が非公開として提供する文書については当該国の意向を尊重することは当然であると考えます。実際、この記述においても、これは通常の交渉の慣行に沿った扱いであるとされております。  その一方で、TPP交渉参加国政府は一貫してTPP交渉に関する透明性の向上に共に尽力してきている旨記載をされているところでございます。  いずれにしましても、交渉参加に向けて協議を行っている段階であり、協議を通じて得られる情報について、さっき申し上げたように交渉相手国のいろいろ立場もありますけれども、得られるものについて出せるものについては出していくという姿勢を行い、国民的な議論に供していきたいというふうに考えております。
  199. 紙智子

    ○紙智子君 昨日の本会議の答弁と同じものを読み上げているだけだと思います。今の答弁ですと、APECのときにあなたが明言をされたきちんと情報公開をするという約束、これ果たせないということじゃありませんか。  そして、相手が出せない情報というのは、日本にとってはこれ不利なことですよ。国民的な十分な議論を行う、そのための前提となることが崩れるということですよ。あなたはそれを分かっていたのに、結局これ、きちんと情報公開するということをおっしゃってきたんですか。これは国民をだますことになりませんか。
  200. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) これ基本的には、テキストについては以前から出てきませんと。ただ、それぞれの国に情報収集に行っています。それを整理して情報というのをきちっと出していきますので、そういう意味では……(発言する者あり)いや、国会であっても、あるいはそれぞれの党の部門会議あるいは部会、そういったことでもいいんですけれども、また、これから各地を古川大臣中心に歩かれるということも恐らくあるのかもしれません。そういう意味で、それぞれにおいてしっかり情報を出していくということでございます。
  201. 紙智子

    ○紙智子君 外務省流の理屈だと思いますけれども。  これは、大事な情報を隠したまま交渉を進めれば必ず矛盾を来すことになるんですよ。  韓国で、米韓のFTAを締結をして、これ批准に至る過程でも、議会にもそれから国民にも明らかにならない部分があったわけですよ。そういう中で今、大統領選挙にかかわるような、揺るがすような大変な問題になっていることを御存じだと思うんですね。ラチェット規定、一度決めた自由化は後で気が付いて駄目だと思って変えようと思ってもできないとか、それから、さっきもお話ありましたけれども、ISD条項ですね。これは、米国の企業の投資を守るために相手の国の政府を訴えたり自治体を訴えることができるという中身です。これが後から分かって問題になって、それで今、交渉をやり直せと国会決議が上がっていることを総理御存じですよね。
  202. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 米韓の両国間の関係について私がどうのということは差し控えたいと思いますが、そのような国会での決議が出ているということは承知をしております。
  203. 紙智子

    ○紙智子君 日本と無関係じゃないんですよ。  だって、先日、総理、バーシェフスキー元米国の通商代表は、これ日本経済新聞のインタビューで何と言っているかというと、日本との関係では韓国から引き出した以上の譲歩を求めたいと、こういってコメントしているんですよ。にもかかわらず、その中身が国民に明らかにならないというのは、これ本当に許されることなんでしょうか。私はおかしいと思いますよ。  そして、実際に米国は何を日本に対して求めているのかということで、総理、事前協議に際して米国の通商部で、日本との物品とサービス貿易に関する関税の撤廃及び非関税障壁の撤廃などについて、これ米国の国内の業界などからの意見公募をやっていますよね。パブリックコメントですね。これ、十三日までに百十三件出されたことが公開をされました。  これは総理、お読みになりましたか。
  204. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) ざっと資料というか結果を目を通させていただいております。  御指摘のとおり、一月の十三日に、米国政府官報告示による意見募集、いわゆるパブリックコメントが締め切られまして、期日までに百十三件の意見が提出をされたと承知をしています。これらの意見は米国政府に対して提出されたものであり、米国の方針は、今次意見募集の結果も踏まえて検討されるものと承知をしています。中にはいろんな意見がありますが、全体として肯定的な意見が大勢であったというふうに思いますし、ただし、この肯定的な意見であっても、米であるとか食品添加物を含め、関税、非関税障壁等への対応を求める意見が付されていると、そういう傾向もございましたし、パブリックコメントの中からは日本の団体が出しているものも、そういうものも散見をされました。
  205. 紙智子

    ○紙智子君 私も読みましたけれども、驚くべき中身ですよね。  今一部触れましたけれども、日本への要求というのはあらゆる分野にかかわっていますよ。そして、例えばその中でも、今紹介ありましたけれども、全米精米連盟は全ての米の関税をなくして残留農薬検査についても緩和すべきだということを言っています。それから、全米の酪農連盟は乳製品の関税を撤廃するとともに食品の添加物認証システムを緩和すべきだということを要求していますよ。それから、ウォルマート・ストア、ここも米や乳製品その他の食料品など関税を撤廃すれば自分たちの売上げの利益が上がるんだというふうに言っていますよ。全米商工会議所、ここも政府調達から農業や医薬、医療器具に至るまで市場開放を要求すると。  みんな、ですから言っていることは、自分たちの利益を上げるためにもう言いたい放題なんですよね。これは日本にとってはどれも到底受け入れることはできないものですよ。総理、これに対してどう対応するのかと。  ちょっと具体的に言います。抽象的な答弁困りますから言いますけれども、米はこれ重要品目としてしっかり守るということをやれるのか、あるいは乳製品について守るのかどうか。それから、食品の添加物の認証、承認システムですね、これについて緩和するという要求を拒否するのか。これらについてどういう立場で対応されるのか、総理にお聞きします。(発言する者あり)
  206. 石井一

    委員長石井一君) いやいや、あと一分ですから総理にお答えいただきますか。
  207. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) パブリックコメントですから、いろいろな業界やお立場からいろんな御意見出されるものは承知していますが、例えば食品添加物のお話もございましたが、それが今の交渉参加している国の間で議論になっているという話はありませんし、パブリックコメントはいろいろなのが出ますけれども、それが全てTPPの議論になっているということではないし、そこは整理をしてお考えいただきたいと思います。  米などについてのいわゆるセンシティブ品目については配慮しつつ、高いレベルの経済連携に臨むというのがこれ一昨年の十一月の閣議決定でございます。
  208. 紙智子

    ○紙智子君 断固として守るというふうに言っていただきたかったんですよね。なぜそこを言えないのかと。私は、抽象的なことではこれ終わらない話なわけです。  結局、米国の多国籍企業が日本の農産物の関税の撤廃だけじゃなくて非関税障壁も含めてこれ撤廃を要求していると、さらに政府調達や保険や郵政などへの参入も強く求めているんですよ、その中に、見ますと。そして、自社の利益になることを語っていると。  どれを取っても、これ米国の利益にはなるけれども、日本の利益を損なうことは明らかだと。そうである以上、TPP参加をはっきりとこれやめるということを決断をされるように強く求めて、質問を終わります。
  209. 石井一

    委員長石井一君) 以上で紙智子さん、日本共産党質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  210. 石井一

    委員長石井一君) 次に、福島みずほさんの質疑を行います。福島さん。
  211. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  TPPについてまずお聞きをいたします。  二〇一一年、去年の十二月十四日、米国下院の歳入委員会貿易小委員会でTPPに関する公聴会が開かれました。そのときの議事録がこれです。(資料提示)  この議事録を見て私は本当に驚きました。恐ろしいです。この中でマランティス米国通商代表部次席代表は、TPP参加の国々で条文案はほぼできていると言っております。TPP交渉への参加九か国は既に協定のほぼ全ての章の統合条文案を策定しておるというふうに言っております。もうつまりでき上がっているんですね、条文案は。  日本政府はこの条文案を入手しているんでしょうか、あるいは中身について承知をしているんでしょうか。
  212. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 条文案がまずできているとおっしゃいましたけれど、本当に全ての条文案ができているとはとても思えません。幾つかについてできている可能性はあると思います。  その上で、先ほど申し上げましたけれども、条文案、テキストは参加国以外は共有しないという申合せがあるということであります。
  213. 福島みずほ

    福島みずほ君 マランティス通商代表次席はこう言っています、これには重要な貿易及び貿易関連問題の大半が含まれている、幾つかの分野では条文案はほぼ完成している。  条文案ができているのを中身を知らないんだったら、日本政府はお間抜けですよ。そして、そのことを知っているにもかかわらず国民に言わないとしたら、これは背信行為です。  そして、もう一つ重要なことは、条文案はできていないところもあるけれども、ほぼできているところもあるわけですよね。だとしたら、日本は後から参加をしていくわけですから、後から参加をしていって条文案を日本に有利なように変えることが本当にできるんでしょうか。
  214. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 結局、交渉のスピードの問題によるということです。だから、ルールメーキングに我々が参画をする、そのタイミングで交渉に参加すればまさに我々の交渉の中で勝ち取るべきは勝ち取る確率が非常に高くなっていくということだと思います。  米国米国で、米国政府の要求はあります。だけど、二国間の交渉ではありません。これは多国間の交渉ですから、それは利害を共有する国々と共に交渉するということもそれぞれの問題によってはあるということで、まさに交渉事であるということです。
  215. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、違うんですよ。マランティス米国通商代表部次席は、統合条文案をほぼ全ての章で策定していると言っているんですよ。アメリカとだけではなくて、条文案はほぼできているじゃないですか。後から加わって、これどうやって日本に有利に変えることができるんですか。  次に、マランティス次席代表はこの公聴会でこう言っています。同じ労働条件、同じ環境基準を他の全ての国々に求めるのですかという質問に対して、マランティス次席代表はそうですと言っています。例外や別のアプローチを認めることはないのかという質問に、ないと答えています。日本の労働条件、環境基準が下がることはないんでしょうか。
  216. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 公聴会でそういう発言をされているのは事実です。ただ、まさに交渉の中で我々は勝ち取るべきを勝ち取り、守り抜くところは守り抜くということですし、同時に、事前の協議で解決するべき分野もあるだろうと。米国については早期に事前協議協議入りを開始したいというふうに考えております。
  217. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、労働基準、環境基準は同じにすると言っているんですよ。  これは、小泉政権時に、割増し賃金を払わないホワイトカラーエグゼンプション、解雇自由の原則は日本に要求されました。社民党はこれを廃案に追い込みましたが、こういうことが出てくるんじゃないか、労働条件や環境基準が下がるんじゃないか。総理、これ下がらないということでよろしいですか。
  218. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) ですから、これは米国政府の考え方でありまして、まさに米国政府の考え方を公聴会で述べているということであって、米国政府の考え方が全て交渉のルールになる、そんなことはありません。
  219. 福島みずほ

    福島みずほ君 じゃ、言質を取ります。労働条件、日本の労働条件、環境基準は下がらないということでよろしいですか。あるいはその言質取っているんですか。
  220. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 日本立場をしっかり主張して、そして交渉を通じて勝ち取るものを勝ち取り、守るべきは守っていくということであります。
  221. 福島みずほ

    福島みずほ君 労働条件、環境基準は下がらないという理解でよろしいですね。
  222. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 日本の基準を下げて、それを劣悪なものにしていくという考え方は持っておりません。
  223. 福島みずほ

    福島みずほ君 同じ公聴会でカリフォルニア州選出の議員はこう言っています。農業、自動車、保険など多くの業界から日本が長く続けている障壁について聞いてきている、例えばカリフォルニア州北部という私の選挙区にとって非常に重要な品目である米は約七〇〇%の関税に直面している、日本の差別的な政策に対する強い懸念に対してどう対処していくか説明いただきたい。次席代表はこう言っています。TPPのコンテクストの中でどのようにこれらの懸念を位置付け、最高の形に持っていくかということだと、大変感謝をするというふうに、公聴会ではそうなっています。  日本の米がまさにターゲットじゃないですか。
  224. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) それは、米国政府あるいはその議員さんの考え方でございます。もちろん、様々なセンシティブ品目が扱われる可能性というのはあります。ですけれども、我々は、先ほどから申し上げているように、勝ち取るべきものは勝ち取るということをきちっと申し上げているということでございます。
  225. 福島みずほ

    福島みずほ君 まさに何を勝ち取るのか。条文案がほぼできているところがある、できていないところもあるとおっしゃいましたので、中身について国民に説明できる範囲で説明してくださいよ。公聴会開いてくださいよ。特別委員会開こうじゃないですか。
  226. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) センシティブ品目について参加国間で合意が得られているという状況にはないというふうに私は承知をしています。ですから、まさにこれからであるということです。
  227. 福島みずほ

    福島みずほ君 米のことは、米がターゲットじゃないかと聞きました。総理、米、日本の米、守るということでいいですか。
  228. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) それぞれの議員の選挙区事情で臨んでいることはあるかもしれませんけれども、アメリカにおいても。でも、それによって振り回されるということはないと、そのように頑張っていきたいというふうに考えております。
  229. 福島みずほ

    福島みずほ君 振り回されないということではなくて、日本の政府として日本の米を守る、よろしいですか。
  230. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) センシティブ品目について配慮しながら対応するという基本的な姿勢の中で対応していきたいと思います。
  231. 福島みずほ

    福島みずほ君 配慮しながら対応するのではなくて、公聴会、よくも日本がTPPに入るなと、たくさん今まで抵抗していたのによく入るなという議論をしているんですよ。だから、日本の国会議員として心配しているんです。配慮なんかじゃ駄目なんです。守ると言ってくださいよ。それがなかったら離脱してくださいよ。
  232. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 総理は既にもう美しい農村を守り抜くとはっきりおっしゃっているということが一つ。  それと、まず参加するのにはそれぞれ今交渉参加している国々の同意が必要なんですね。そういうこと相まって、どのタイミングでどういうことを私たちが表で言うかということは非常に大事な話で、あえて我々はまさに抽象的にそういうことを今申し上げているということであります。
  233. 福島みずほ

    福島みずほ君 日本の農村を守ると言いながら、米守れないんじゃないかと心配しているんですよ。だから、今の段階で言えなかったら最後まで言えないですよ、悪いですけど。  だから、初めから守ると言ってくださいよ。
  234. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 守るべきものは守るということです。
  235. 福島みずほ

    福島みずほ君 守るべきものに米が入っているということでよろしいですね。
  236. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) センシティブな品目の中には守るべきものがいろいろあるというふうに思います。
  237. 福島みずほ

    福島みずほ君 何を守るかというのが言っていただけないからこの公聴会のを見て不安なんですよ。米を守る、言ってくださいよ。
  238. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 個別にどういう要求があるか等々を踏まえながら毅然と対応していきたいというふうに現段階では思っている中で、個別のものを想定しながら今から何か決め打ちをするということではありません。その中で守るべきものは守るということであります。
  239. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、守ると言ってくださいよ。米を守ると言ってくださいよ。
  240. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 現段階で交渉品目がどういうことになるかということはまだ予断を許さない状況ですので、その中で守らなければいけないものは必ず守っていくということであります。
  241. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、明らかに交渉品目になるんですよ。そして、もう統一条文案もほぼできている。できていないところもありますよ。そこに日本が入っていって有利に日本がなるんですか。それはできないじゃないですか。つまり、国民はクライアントじゃないですか。国民に対して説明できないことを約束しないでくださいよ。  ですから、今日ここまで言っても、というか、アメリカのその公聴会の記録は、日本のというか、私にとっても大変衝撃的でした。ここまで言われている、ここまで統合条文案ができている、これを後から入って変え得るのか。今日ここまで聞いても米を守るとも言えないじゃないですか。だったら、美しい日本の農村を守るなんてできないですよ。  今日は、辺野古の件と、それから再稼働するなということと両方聞きたかったんですが、後日に任せます。  野田内閣、TPP参加、きちっと公聴会なり特別委員会を開いてください。よろしくお願いします。
  242. 石井一

    委員長石井一君) 以上で福島みずほさん、社会民主党護憲連合質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  243. 石井一

    委員長石井一君) 次に、舛添要一君の質疑を行います。舛添君。
  244. 舛添要一

    舛添要一君 野田総理、昨年末、韓国そして中国の首脳と精力的に首脳会談をこなされました。ただ、私は日本外交について非常に二つばかりのことを懸念しております。特に、韓国とか中国、ロシア、いずれも難しいお隣の国です。  そこで、まず最初なんですけれども、非常に耳触りのいい言葉を発することによって本当の問題の解決を遠のかしていないのかというのが実は私の懸念であって、外交官は、ともすれば共同コミュニケ作るときそういう言葉を作りたがる。だけど、我々政治家が外交やるときには、そこはきちんとチェックしないといけないと思います。  現実に今から私が言う言葉をお使いになったかどうかは別として、例えば、我々は韓国、非常にいい関係を持ちたいと思っています。だから、常に未来志向の日韓関係という言葉を使うんです。それから、先ほど玄葉外務大臣おっしゃったように、これは二〇〇八年の福田総理と胡錦濤主席との間で決まったことですけれども、戦略的互恵関係。そうすると、この言葉を使ったらそれで全部片付いたようになる。私は中国の外交当事者と相当やり合ったときも、今度、向こう逃げるときに、いや戦略的互恵関係でやりますからと。  さあそこで、日韓首脳会談で、私は、じゃ未来志向はどういう話があったのかと。先ほど来議論になっていますけれども、従軍慰安婦の問題出てくる。しかし、そのまさに総理が会談なさっているときに、我々にとって一番の日韓にとって懸念である北朝鮮金正日総書記が死亡したと。情報収集能力、日韓どうなっているんだろうか、そういうことが非常に懸念でありますし、戦略的互恵関係、じゃ、なぜ尖閣列島話さないんですか、なぜガス田の共同開発について話さないんですか。  そういうことについて、この二つの首脳会談について率直に反省すべきは反省することも含めて、総理の御見解をお伺いしたいと思います。
  245. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) まず、じゃ日中の方からちょっとお話ししたいと思いますけれども、昨年の暮れに、これ戦略的互恵関係の話はしました。会うたびに、ホノルルでも、あちこちでやります。これはある意味、呪文のようにお互い唱えながら、個別に懸案起こることはあるんです。だけど……(発言する者あり)ちょっと呪文、ちょっと適切じゃなかったかもしれません。何と言ったらいいでしょう、理念、ごめんなさい、理念、理念、失礼いたしました。理念というか、基本的な原則を確認をしながら、何回もそれを唱え続けることによってその意識を深めるという意味もあると思うんです。  その上で、去年の暮れの会談の中では六つのイニシアチブというのを私の方から提案をして……
  246. 舛添要一

    舛添要一君 それはもう分かっています。
  247. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 分かっていますか。  ということで、具体的に戦略的互恵関係を深める議論はしてきているということであります。  その際に、例えば日中の海上捜索とか救助、いわゆるSAR協定の原則合意とかそういう具体的な踏み込んだ議論もさせていただいたということであります。  日韓については、これは京都の会議は、先ほどもちょっと御指摘がありましたけれども、今まで李明博大統領が触れてこなかった従軍慰安婦の問題等の議論は出ましたけれども、それまでの前後においては、これはまさに未来志向の特に経済面での強化、一方で、あと安全保障についてもかなり突っ込んだ議論ができるようになってきているという状況でございます。
  248. 舛添要一

    舛添要一君 もう一つ情報収集能力の欠如についてはどう御判断ですか。
  249. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) 御指摘の、日韓のいわゆるシャトル外交で李明博大統領と京都でお会いしているそのときにそういう進展があったという、動きがあったということを両国とも知らなかったということは事実であります。その他の関係国も恐らく驚いた国が多かったというふうには思いますが、その意味では反省をしなければいけないと、インテリジェンス、情報収集という意味においては大いに反省しなければいけないというふうに考えております。
  250. 舛添要一

    舛添要一君 まさに先ほど総理が呪文とおっしゃったけれども、本当に呪文になっちゃっているんですよ。これ、中国の首脳も同じことなんです。都合が悪いとその言葉で逃げる。だから、日本外交官も優秀ですからそういう言葉を作り出すんです。いろんな賢人会議、ワイズマンの会議といっても、何かそういうものを作り替える。だけど、私たちはそれを前にして、しかし現実の問題をどう進めて解決するかというのが政治家の仕事だと思うんです。  そこで、もう一つ私が懸念していますのは二国間の関係、これは韓国であれ、ロシアであれ、中国であれ。特に日本と中国は世界第二と第三、三位と二位ひっくり返しましたけれども、GDPで、経済大国ですから。この二つの国が、ただ両国関係だけではなくて国際社会で責任を共有するということをやらない限り、本当の二国関係の改善はならないと思っています。  そこで、問題がイランなんですよ。それで、先ほど来、同僚の議員から質問ありましたけれども、それは、安住さん、国債持ち合うのもいいですよ、しかし、これが戦略的互恵関係じゃないんです、こんなものは、私に言わせると。中東の解決について日本と中国が共同してやるというスタンスがないというのは、最大の中東外交についての私は欠陥だと思っているんです。  なぜか。二年前さんざん、我々はアザデガンから撤退しました。それは、核開発許しちゃ駄目です。EU、アメリカ協調して断固としてイラン核開発を放棄させないといけない。ウランの濃縮だって、そんなものは武器造っているんじゃない、もう言いたいことを言っている。場合によってはホルムズ海峡を閉鎖するなんてことを言っていますけれども、しかし、我々がアザデガンから撤退する、我々が石油の禁輸に応じる。誰がその抜け駆けをして後に入ってきたか。中国なんですよ。そうすると何の意味も持たなくなってくる。  だから、ここは是非この次首脳会談をおやりになるときは今のようなことをしっかり言って、中国は抜け駆けしちゃ駄目ですよと。それからアメリカに対して中国ほっておくんですかということを言わないと、今サウジに行く、UAEに行く、もうなりふり構わず中国は石油を買おうとしている。こういうことでありますし、私は、ロシアも同じですよ。ロシアだって、じゃイランに対してどういう態度を取っているか。恐らくこの危機が長期化するのを待っていますよ、原油の値段上がりますから。  そういうことについて、二国間関係だけじゃなくて日中両国が国際政治について共同で責任を負う、このことを是非総理のリーダーシップでおやりいただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  251. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) まず二国間の関係では、私いつも中国首脳に申し上げるのは、中国の発展は我が国にとってチャンスであるという言い方をしています。そういう二国間関係でいこうということと、お互いに、舛添委員指摘のとおり、世界で二番目、三番目に大きい経済大国同士になりました。ということは、地域の問題、グローバルな課題について意見交換をしながら連携していきましょうという、そういう話は何回もしてきている中で、例えば最近では欧州の債務危機への対応なども日中間で議論をずっとするというようなこともあります。  御指摘のようなイランの問題も含めて、様々な課題について議論できるようにしていきたいというふうに思います。
  252. 舛添要一

    舛添要一君 玄葉大臣、簡潔にお答えいただきたいと思います。  私は、先般の日ロ外相会談、大変成果上がったと高く評価をしております。その中で、外務大臣、ロシアの外務大臣とこのイランの問題について御議論なさいましたか、なさいませんでしたか。
  253. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 二、三十分くらい昼食を食べながらこの議論をいたしました。
  254. 舛添要一

    舛添要一君 そのポイントは何ですか。
  255. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 最終的にイラン核開発を断念させるという点についてはもちろん一致をしているわけでありますけれども、そのためのアプローチ、タイミングも含めた手段の違いがあったわけです。  したがって、私からはラブロフ外相に、IAEAともっと密接に連携をしていただけないかと、こういう話をしたり、様々お互いの認識をすり合わせながら議論をしたということでございます。
  256. 舛添要一

    舛添要一君 先ほど安住財務大臣に対しても同僚議員から質問ありましたけれども、ガイトナーさんとの会談について、これは邦銀に対する制裁云々の話がある。ただ、そのときタイムリミットが六月なのか何なのか。それから、イランにしても、国会で即時に禁輸だという議論もある。  どうも日本国外務省が、総理、きちんとあらゆる方面から情報を取って総理に上げて総理の御判断を仰ぐんだと、そういうことが十分なっていないように思いますけれども、官邸にちゃんと、今私が申し上げたようなアメリカ情報、イラン情報、イラン国会情報、ロシア情報、全部総理の下に行っているんでしょうか、どうでしょうか。その上で御判断なさらないと大変な過ちをする可能性があると思いますが、いかがでしょうか。
  257. 野田佳彦

    内閣総理大臣野田佳彦君) イランについて、殊にそのイランについてという意味においては、諸外国の動向であるとか、特にそのイランの国内情勢であるとか、イスラエルの情勢とか含めて、様々な情勢分析は報告として上がってきて私の判断材料になっているということでございます。
  258. 舛添要一

    舛添要一君 非常にイランと我々は友好的な関係を保ってきました。日本が調停外交をやれるぐらいの思いで外に向かって出ていっていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  259. 石井一

    委員長石井一君) 以上で舛添要一君、新党改革質疑は終了いたしました。(拍手)  これにて環太平洋パートナーシップ協定及び外交防衛等に関する集中審議は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十分散会