○川口順子君 私は、
自由民主党・たちあがれ
日本・
無所属の会を代表して、ただいま
議題となりました
内閣総理大臣野田佳彦君
問責決議案について、
賛成の
立場から討論を行います。
本
問責決議案は、全野党のうち、我が会派と公明党を除く他の七会派によって
提案されたものであり、
内閣総理大臣野田佳彦君が問責に値することについては、我が会派も完全に一致しております。
ただし、問責の理由については、我が会派は、
社会保障と消費税及び国会運営の
立場からのみ
提案理由としている七会派とは異なり、より広範かつ重大な問責理由があると
考えています。
以下にその理由を申し述べます。
この問責は、野田総理に対する問責であると同時に、
民主党政権の三年間への問責であります。
民主党政権はこの三年間に何をしたのか。端的に言えば、それは
我が国の歴史の、
我が国の政治の、
経済の、そして外交の、修復し難いレベルまでへの毀損です。先人たちが戦後営々として積み重ねてきたものを毀損したのです。後世の歴史家たちは、この三年間を、
日本を衰退への道にいざなったと語り継ぐことでしょう。
デフレ、高齢化、震災復興、
竹島や尖閣をめぐる摩擦、
国際社会における
我が国の存在感の回復など、現在、
解決を迫られている課題が山積しています。野田政権及び
民主党には、それらを
解決に導くための国家運営能力、すなわち与党力が絶対的に欠如しています。また、責任感もありません。
二十八日、野田政権は、全野党が欠席する中、
衆議院選挙制度改革法案を
衆議院本
会議で強行
採決しました。選挙制度は民主主義の土台ですから、政権党が単独で自らに都合の良い制度をつくることをやってはいけません。野党との間で合意をつくる努力を放棄し、自民党提出の法案を無視し、参考人からも意見を聞かず、数の力で押し切りました。これは、民主主義の土台づくりを非民主主義的手法で行うという、憲政上許されない暴挙です。
過日、我が参議院自民党は、三年間の
民主党政権の問題点を総括した冊子を公表しました。国家運営能力の欠如に加え、統治能力の欠如、危機管理能力の欠如など、
民主党政権の問題点を客観的に列挙しただけで四十ページ以上になりました。
とりわけ、外交の失態は目を覆うばかりです。
民主党政権が成立してから日米同盟
関係は劣化し、
尖閣諸島の
領土問題化を許し、
韓国大統領の
竹島訪問やロシア大統領の北方
領土訪問を阻止できませんでした。
民主党政権にこれら懸案を
解決する力はないと断ぜざるを得ません。
先日、
竹島、尖閣などの問題がある重大なときになぜ今問責
決議かと
民主党国対
委員長がテレビで述べました。とんでもない認識です。そのような重大なときだからこそ、外交を立て直すために、
日本を立て直すために、一日も早く
民主党政権に去ってもらわなければならないのです。これ以上この政権を存続させることは
我が国にとって有害であります。
民主党政権の問題を指摘するのは我が会派だけではありません。米国のアーミテージ元国務副長官、ナイ・ハーバード大学教授ら超党派の知日派が書いた
報告は、日米同盟は現在危機に直面しており、
日本は一流国家であり続けるか二流国家に成り下がることを選択するのかについて意思決定をしなければならないと厳しく述べています。そして、日米同盟の評価は
日本が十全なパートナーであるかどうかに懸かっていると強調しています。
もう一つ、我が党が大きな問題だと思うことは、
民主党が約束を守らない政党だということです。
そもそも、
民主党の作ったマニフェストは最初から実現不可能でした。それを実現すると
国民を欺いて政権を取りました。そして、当然の結果としてマニフェストでの
国民との約束をことごとくほごにしました。その上で、マニフェストにない消費税増税に政治生命を懸けるという野田総理を誕生させたのです。
本来は、この時点でマニフェストを
撤回し、
国民の信を問うべきでした。しかし、野田総理は、そうしないばかりか、消費税の増税はマニフェストに違反しないと強弁しています。
野田総理は、就任時の
所信表明演説で「正心誠意」という言葉を使われました。意を誠にして心を正す、その心を忘れた野田総理と
民主党に政権を担う資格はありません。
民主党がここまでひどいと思わなかったけれど、野田総理はよくやっている、それなのになぜ
問責決議案かという意見があります。
考えてみてください。野田総理は、
社会保障と税の一体改革を、与党内の造反のため、野党の支援がなければ通せなかったのです。こんな総理がよくやっている総理でしょうか。
野田政権は、
民主党との間で政策を一元化する力がありません。与党の議員をそのまま決定に従わせることもできません。最近の離党騒ぎがまさにそれを表しています。
決められない政治の正体は、まず
民主党が与党として機能していないことです。その党首が野田総理なのです。自分の党を統治できない総理には政策を実行する力はありません。多数を持っている
民主党がその党首を支えられず、野党が支えて初めて政策が前に進むのは、正しい、
国民にとって分かりやすい議院内閣制でしょうか。私は、
衆議院を解散し、
国民の信を問い、第一党の党首が総理に就くのが
国民にとって最も分かりやすい政治であると
考えます。
さて、
問責決議案について、拘束力のない単なる
決議だと思われる方もいらっしゃるようですが、本当にその程度の意味合いのものでしょうか。立法府である参議院の決定で
法律ができるのですから、問責
決議は非常に重いものなのです。これは、野田総理に問責を出した以上、二度と野田総理を参議院にお迎えすることはないという意思表示であります。
民主党が九月の党首選で再度野田総理を総裁に選んで、次の国会でまたお願いしますと言われても、参議院はそれを認めるわけにはいかないという断固たる決意の表明であることをここに申し上げます。
野党としての三年間、我々自民党は、反省すべきところは反省し、改善すべきところは改善して、虚心坦懐、研さんを積んでまいりました。与党力を持っています。再び政権に復帰する準備はできています。
一刻も早く政権担当能力のある政権を樹立しなければなりません。今なら間に合います。
繁栄への道を歩むことができます。政治への信頼を取り戻し、
経済の力を取り戻すことができます。そして、
国際社会における
日本のリーダーシップと存在感、盤石な日米同盟を取り戻すことができるのです。
以上を申し上げて、私の
賛成討論といたします。(
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