○金子原二郎君 自由
民主党の金子原二郎です。
自由
民主党・たちあがれ日本・無所属の会を代表して、いわゆる
復興特別会計設置
法案等五
法案について、
総理並びに関係大臣に
質問いたします。
先週の三月十一日で震災から一年がたちました。改めて、亡くなられた方の御冥福をお祈りいたしますとともに、被害を受けられた方にお見舞いを申し上げます。
まず、震災からの
復興について
お尋ねいたします。
震災から一年もたってようやく
被災自治体に対する
復興交付金の配分が始まりました。しかし、余りにも遅いのではないでしょうか。まず
総理に、なぜ
復興交付金の配分までに一年も掛かったのか、もっと早くできなかったのかという点についてお伺いをします。
復興交付金については、
被災自治体から不満の声が上がっております。七県七十八
市町村からの約三千九百億円の申請に対し、認められたのが約六割、五十九
市町村の二千五百億円だというものであります。
宮城県の村井知事は、これでは
復興庁ではなく査定庁だと怒りを表明されました。仙台市長の奥山市長も、申請内容と比べ厳しい査定結果で、事務量も膨大だったとおっしゃいます。
このことについて
総理は
予算委員会で、
説明不足があった、反省したいと答弁されましたが、
説明不足とは何でしょうか。
復興交付金は使い勝手が悪く、査定も厳しいと最初から
説明しておけばよかったというのでしょうか。
説明すれば問題解決になるのでしょうか。一体どんな
説明不足をしていたのか、
総理から具体的にお答えをください。
また、
復興交付金の使い道について、もっと柔軟に使えるようにしてほしいというのが
被災地の声であります。交付金の使い勝手や査定の厳しさに対しては、批判の声が多くありますが、改善するお考えはないのか、平野大臣にお伺いします。
私も昨年十一月に
被災地を回りましたが、
被災した
自治体はどこも人手不足で、
復興交付金の申請にゆっくり時間や労力を掛けている余裕などありません。とにかく目の前の仕事を
処理するのが精いっぱい、いや、それすら全く追い付いていないのが
現状であります。
被災自治体への職員の派遣も行われておりますが、まだまだ足りておりません。
被災自治体への更なる人的支援について検討するお考えはないのか、平野大臣にお伺いします。
次に、
瓦れき処理の促進についてお伺いします。
総理は、
瓦れきの
処理について国が前に出ると表明し、
法律に基づいて都道府県に要請を行う
方針を示されました。このこと自体は一歩前進でありますが、
被災地からの悲鳴や
全国的な厳しい声にようやく重い腰を上げたという
状況で、
対応が後手後手に回っている感は否めません。
瓦れき処理は、
復興の第一歩です。これが進まなければ、その後の
復興も進みません。今後、各都道府県に対し、
政府がどのような要請をし、どのような支援をするのか、具体的にお示しください。また、いつまでに
瓦れきの
処理を終わらせるのか、
総理から明確な
見通しをお示しください。
次に、来
年度予算案に計上されている
地方への
一括交付金についてお伺いします。
そもそも、
一括交付金は、二〇〇九年の
民主党のマニフェストにおいて、国のひも付き補助金は廃止して、
地方の自主
財源に転換するとしたことを具体化するものであります。このマニフェストにおいては、さらに、インデックス二〇〇九の中で、
地方向けの
補助金等は、中央官僚による
地方支配の根源であり、様々な利権の温床となっているとして、これらの補助金を全て廃止し、基本的に
地方が自由に使える
一括交付金に改めるとしております。
こうした考え方に基づき、
平成二十三
年度は五千百億円余の
一括交付金を
創設し、
平成二十四
年度はその質、量を
拡充し、八千三百億円を超える
一括交付金を
内閣府に
予算計上しております。これにより、各府省の所管にとらわれず、
地方公共団体が自主的に選択した
事業に対して交付金が交付されるということであります。特に、
地方公共団体が期待しているのは、
平成二十四
年度は前
年度に比べて使い勝手を格段に良くする旨を
総理が
国会において
説明されているからであります。
しかしながら、現場の
地方公共団体から、現在もなお、マニフェストで約束されたような
自由度の高い交付金ではなく、使途や
対象事業が限定されていることから、結局は、補助金の寄せ集めにすぎず、使い勝手が極めて悪いとの批判も多く寄せられています。
さらに、
平成二十四
年度は、
対象団体を
市町村まで
拡大すると言ったにもかかわらず、
政令指定都市までの
拡大にとどまった点や、
総額についても一兆円に届かなかった点など、
一括交付金は中途半端な改革と評価せざるを得ません。
本来、
民主党が提唱する
地域主権改革は政策の一丁目一番地と位置付け、
地域のことは
地域に住む住民が責任を持って決められるようにする改革と位置付けるのであれば、曖昧な制度設計にとどまるのではなく、主張されることを着実に
実現していくことが重要であります。
目指すべきは、
地方公共団体にとって
自由度が高く、簡素な事務手続による
一括交付金制度を設計していくことと考えますが、今後の
一括交付金に対する
総理のお考えをお伺いします。
次に、
地方債の元利
償還金に対する交付税
措置についてお伺いします。
一番分かりやすい事例は、元利
償還金の全額を交付税に算入することとされている
臨時財政対策債であります。
本来、
臨時財政対策債は、
地方交付税として
総額を
確保すべきものであるにもかかわらず、国の厳しい
財政状況を勘案して、
地方交付税の代替として
臨時財政対策債を
地方公共団体に
発行させた上で、その
償還について一〇〇%基準
財政需要額に算入して、国が最終的に責任を持つとされるものであります。
しかしながら、
臨時財政対策債は
平成十三
年度から
発行が始まり、
平成二十二
年度末の
発行残高は三十一兆円を超えており、近年、雪だるま式にその残高が
拡大しております。
地方公共団体においては、こうした
現状に危機感を抱いており、当初の約束どおり、最終的に国が責任を持つことができないのではないかという不安の声が上がっているところであります。
そこで、
地方交付税により
措置することとした
臨時財政対策債について、国の悪化した
財政状況を理由に、約束をほごにし、
地方公共団体に借金を付け替えるといったようなことはしないこと、すなわち、
臨時財政対策債の
償還については、最終的に国が責任を持つという明確な
決意表明を
総理にお願いしたく、お考えをお伺いします。
国家公務員の給与削減についてお伺いします。
先月末に、人事院勧告を
実施した上で、
東日本大震災からの
復興財源を
確保すること等を
目的として、国家公務員の給与引下げを行う
法律が
成立しました。この
法律の施行により、国家公務員の給与は、二年間、平均七・八%という大幅な引下げが行われます。この
法律は、我が党と公明党、
民主党の三党
協議の結果を受けたものであり、昨年六月に
政府から
提出された閣法を基に議員立法で
成立しました。
しかしながら、国家公務員の給与については、本来、使用者である
政府が責任を持つべき
事項であり、閣法を修正すべきだと考えます。閣法を修正しなかったのは、
政府の責任放棄ではないでしょうか。どうして閣法を修正することができなかったのか、閣法を修正しなかった理由とともに、使用者としての
政府の責任について、
総理の
見解をお伺いします。
また、今回の給与削減は
復興財源の
確保を
目的にしておりますが、本当にそうなのでしょうか。これまで、国家公務員の給与については、労働基本権制約の代償として人事院勧告を踏まえて見直されてきました。今回、
東日本大震災からの
復興財源の
確保が必要であるとして、極めて異例のこととして国家公務員に大きな
負担をお願いすることになったわけでありますが、その前提となる閣法の
目的について、
政府の
説明は最後まで一貫しませんでした。
閣法が
提出された当時の片山総務大臣は、
平成二十二年十一月の段階で公務員の給与の引下げ
方針は決めており、最初から震災の
復興財源のためにやろうとしたわけではないと
説明していたかと思えば、川端大臣は
東日本大震災の
復興財源であることを強調した
説明をされてきました。その場に応じて
法律の
目的すら都合よく変えてきているのであります。
しかも、
民主党の前原政調会長は講演で、今回の
法律による二年間の期限が切れた後の国家公務員の給与について、これだけひどい
財政状況を考えれば元に戻せるはずがない、
国民が許さないといった発言の報道がありました。また、安住大臣も給与削減継続の
可能性を示唆したとの報道もありました。
こういったことを見ますと、今回の公務員給与の引下げは、初めから
震災復興を
目的とした時限的なものではなく、国家公務員の総人件費二割削減という
民主党のマニフェストを
実現することが真の
目的で、これはそのための第一歩でないのかと疑わざるを得ません。
総理は、これらの発言についてどのようにお考えでしょうか。
総理、率直に言って、今回の国家公務員給与の大幅引下げはマニフェストの
実現目的であって、
復興財源の
確保はあくまでも名目だったのではないですか。
総理の正直な答弁を求めます。
これでは、給与を削減される国家公務員もやる気を失うのではないでしょうか。そもそも、ある程度の給与引下げはやむを得ないと考えますが、七・八%もの大幅な引下げは本来行われるべきではないものであります。国家公務員にも家庭があり、生活があります。そのことを考えれば、常識の範囲を超えた引下げは公務員の人生設計にも大きな
影響をするのでないかと考えますが、このことについて
総理はどのように考えているのでしょうか。
総理の御
見解をお伺いします。
次に、給与カットの
地方公務員の給与への波及についてお伺いします。
今回の国家公務員の給与カットに際し、
政府は、
地方公務員の給与については自主的かつ適切に
対応されるように期待するとの旨の通知を行っているところであります。
一方で、
地方公共団体においては、既に独自に定数の削減や給与カットなどの行革に積極的に取り組んできております。その実態を把握している総務省だけに、こうした
地方独自の人件費削減の
取組を踏まえて、
地方公共団体への期待感にとどめた表現としているのではないかと推察されるところであります。
そこで、
政府としては、今後、
地方公共団体の人件費への波及をどのように考えているのかということをより明らかに明示していただく必要があると考えます。すなわち、
平成二十四
年度の
年度途中や
平成二十五
年度以降において、国家公務員への臨時
特例措置と同様の
措置を
地方公共団体に対して要請や強制をすることは考えていないのか、また、
地方公共団体に給与の削減を強制させるため、
地方財政計画において
地方交付税の
総額の
見直しを行うなど、
財政上の
措置をとることを考えていないのかという点について、
総理と財務大臣のお考えをお伺いします。
次に、国家公務員の採用削減についてお伺いします。
最近、岡田副
総理が、国家公務員の
平成二十五
年度の新規採用を
平成二十一
年度と比較して七割削減するという、各府省に要請したと報じられておりますが、これが事実だとすれば非常にゆゆしき
事態だと考えます。既に各府省では、採用抑制が続いているところにより、中間管理職に比べて実動部隊である若手職員の数が少なく、アンバランスな人員配置が常態化しております。この
状況で更に新規採用を七割削減すれば若手職員の
負担が過重になり、通常業務さえ支障を来すおそれがあります。
新規採用の七割削減というのは、こうした現場の実態を無視してマニフェストで掲げた人件費二割削減を無理やり強行しようとする愚策にほかなりません。それよりも、法
改正が必要でありますが、各省で早期退職者を募集する、人手不足に困っている
被災自治体に大量に職員を移籍させるなど、世代間のバランスを崩さずに人員を削減する方法を追求すべきでないでしょうか。岡田副
総理のお考えをお伺いします。
次に、
市町村合併への支援策についてお伺いします。
政府は、
平成の大合併を強力に推進するために、交付税における合併算定替えと合併
特例債
発行の二つの優遇
措置を用意しました。また、県が独自に合併に対して
財政支援を行うなど、国と県が一体となって
市町村合併を支援したことによって、
全国三千二百三十二あった
市町村が千七百二十七まで再編されたことは御
承知のとおりであります。
ところが、合併が始まるや、三位一体改革も同時に始まったために、交付税が増えるどころか、大幅に減少してしまいました。特に、政権交代以来、
臨時財政対策債を組み合わせた交付税の増額
措置がなされておりますが、そこで行われておりますのは、合併団体、非合併団体の区別のない増額であり、合併団体の努力が報われる支援とはなっていないのであります。
その結果、
市町村は血のにじむような努力をして合併したにもかかわらず、合併団体ほど厳しい
財政状況に陥り、新しい町づくりどころか、更なる行革を取り組まざるを得なくなっているのが
現状であります。合併してよかったという声が住民から聞こえてこない、むしろ、人口が減ったとか、周辺
地域がひどく寂れたなどの声が聞こえてくる
状況になっているのであります。
合併に関する障害除去に関する
措置である合併算定替えは、合併を推進する上で効果的であったと考えられますが、この
財政上の
特例措置も、十年間の
特例期間を
経過すると優遇
措置が減少することとなります。同規模の団体同士を比較した場合に、合併をしなかった団体の方が合併した団体よりも
地方交付税が多くなるといった
事態が生じかねない懸念があります。
合併
特例債の
発行期限
延長法案がさきの臨時
国会からの継続審議となっておりますが、合併算定替えについても、合併
市町村が合併する際に
計画した新しい町づくりを達成し、住民が合併効果を十分に実感できるまで
延長するなど、合併
市町村に対して
財政的な支援があってしかるべきと考えますが、
総理のお考えをお伺いします。
最後になりますが、
民主党政権となって二年半がたちました。
民主党政権が
予算を編成するのも、二十四
年度で三回目となるわけでありますが、さきの総選挙で
民主党がマニフェストに掲げた政策がもはや
実現不可能であることは誰の目から見ても明らかであります。
我が党が、
財政面は無論、
国民のニーズから見て、より効果的な政策に転換させるべく粘り強く
協議した結果、高速道路の無料化や子ども手当などの政策の
見直しは徐々に行われてきておりますが、一方で、
国民に対する具体的な
説明や謝罪はいまだに行おうとせず、既に破綻しているマニフェストに固執するがゆえに物事が前に進まない面があるのではないでしょうか。
仮に、
東日本大震災が発生しなかったとしても、そもそも、無駄の削減と
予算の組替えで十七兆円もの
財源を捻出することは不可能だったわけであります。
見通しが甘かったことを
国民の
皆様に率直にわびた上で、前に進むべきではないかと
思います。最後に
総理のお考えをお伺いしまして、私の
質問といたします。
御清聴ありがとうございました。(
拍手)
〔
内閣総理大臣野田佳彦君
登壇、
拍手〕