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2012-04-16 第180回国会 参議院 北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十四年四月十六日(月曜日)    午後一時三十分開会     ─────────────    委員異動  三月二十六日     辞任         補欠選任         安井美沙子君     風間 直樹君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         大塚 耕平君     理 事                 徳永 久志君                 広野ただし君                 塚田 一郎君                 山谷えり子君     委 員                 有田 芳生君                 大野 元裕君                 加賀谷 健君                 風間 直樹君                 川合 孝典君                はた ともこ君                 柳田  稔君                 石井 浩郎君                 関口 昌一君                 中山 恭子君                 松村 龍二君                三原じゅん子君                 浜田 昌良君                 柴田  巧君    国務大臣        外務大臣     玄葉光一郎君        国務大臣     松原  仁君    内閣官房長官        内閣官房長官  長浜 博行君    副大臣        文部科学大臣  高井 美穂君    大臣政務官        文部科学大臣政        務官       城井  崇君        防衛大臣政務官  下条 みつ君        防衛大臣政務官  神風 英男君    事務局側        常任委員会専門        員        矢嶋 定則君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に  関する調査  (北朝鮮ミサイル発射に関する件)  (日朝交渉に関する件)  (北朝鮮ミサイル発射に関する国連安保理の  対応に関する件)  (拉致問題への取組に関する件)  (北朝鮮に対する追加制裁措置に関する件)  (特定失踪者問題に関する件)  (朝鮮学校への高校無償化適用に関する件)     ─────────────
  2. 大塚耕平

    委員長大塚耕平君) ただいまから北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会を開会いたします。  この際、玄葉外務大臣から発言を求められていますので、これを許します。玄葉外務大臣
  3. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 参議院北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会の開催に当たり、四月十三日の北朝鮮による人工衛星と称するミサイル発射に関して御報告いたします。  我が国を含む関係各国が、北朝鮮に対し発射自制を強く求めてきたにもかかわらず、今回、北朝鮮発射を強行したことは、我が国を含む地域の平和と安定を損なう安全保障上の重大な挑発行為と言わざるを得ません。また、今回の発射は、弾道ミサイル技術を使用したいかなる発射も行わないことを北朝鮮に義務付けた国連安保理決議第一八七四号を始め、第一六九五号及び第一七一八号といった累次の安保理決議違反するものであり、日朝平壌宣言にも違反し、かつ、二〇〇五年九月の六者共同声明趣旨にも反するものです。さらに、国際社会において見られていた北朝鮮との対話を通じた問題解決に向けた動きにも逆行するものです。  このような観点から、今回の発射は、我が国として容認できるものではなく、北朝鮮に対して厳重に抗議し、遺憾の意を表明します。  我が国としては、北朝鮮に対し、関連する国連安保理決議の即時かつ完全な履行を求めるとともに、明確な国連安保理決議違反である今回の発射に対して、国連安保理がしかるべく対応を取ることを含め、米国韓国、中国及びロシアとの協力を強化し、他の関係国国際社会との連携を更に進めます。また、この機会に改めて、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の解決に向け具体的な行動を取るよう、北朝鮮に強く求めます。  我が国主権にかかわる重大な問題であり、基本的人権侵害という普遍的な問題である拉致問題の解決に向けて、引き続き粘り強い努力を行います。  大塚委員長を始め、本委員会の皆様の御支援と御協力を心よりお願い申し上げます。     ─────────────
  4. 大塚耕平

    委員長大塚耕平君) 委員異動について御報告いたします。  去る三月二十六日、安井美沙子君が委員を辞任され、その補欠として風間直樹君が選任されました。     ─────────────
  5. 大塚耕平

    委員長大塚耕平君) 北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 広野ただし

    広野ただし君 民主党新緑風会広野ただしでございます。  今、玄葉大臣からもお話があったとおり、四月の十三日金曜日に北朝鮮弾道ミサイル発射、結果は失敗はいたしましたけれども、北東アジアの平和と安定を揺るがす、もちろん安保理決議等にも違反をする、こういうことでございます。  こういう中にあって、衆議院においても、また参議院会議、本日、ミサイル発射に抗議する決議をさせていただいております。日本は、そういう意味では外務大臣始め大変な、発射自制することについて努力を払ってこられたというふうに思うんですが、私は、政府全体としてもうひとつ、もっと真剣に真剣にこの発射自制に対してトップ総理がもっと動くべきではなかったのかと思っております。  というのは、これはやはり、東日本大震災復旧復興、こういうことは、あるいは原発の対応というのはまさに内なる国難対応する問題であります。そして、このミサイル等についての対応は外からの国難ともいうべきものに対応すると、こういうことでありますから、もちろん国連、そしてまた六か国協議メンバー等中心にして、またG8においてもいろんな働きかけをして、やったと、大変な御努力玄葉大臣自らがされているわけですが、私はもう一つ、何か全てが間接的なんですね。日本北朝鮮との間は千キロ以内なんです。もう千五百キロ以内に全部が入ってしまうと。こういう状況の中、国民がまさに不安におののくと、こういうことでありますから、この平和と安定、防衛ということについてもっと直接的な何かそういう努力がなされていいんじゃないかと。そしてまた、総理がもっと、例えば三月の二十六、七ですか、核セキュリティサミットというのがありました。もっとトップがもう先頭に立って対応すべきではなかったかと、こう思っておりますが、その見解をちょっと伺います。
  7. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) ただいまの御指摘は、発射自制を求めるに当たって、もっとトップも含めて動くことができたのではないかと、こういう問いだというふうに思いますけれども、この間、自制を求める動き、さらには仮に発射が強行された場合の対応も含めて、外交的な働きかけででき得る働きかけは最大限行ってきたというふうに、私自身はそう考えています。  この間、日中韓外相会談寧波でありました。二国間の会談も行いました。また、G8がワシントンでございました。その中でも当然取り上げられましたし、また同時にG8の声明も出しました。また、二国間の会談等でもそれぞれこの問題について、まずは、おっしゃるとおり発射自制を求めるということでまずは動くということで一致をして動いてきました。  お尋ねの核セキュリティサミット総理がソウルにいらっしゃる時間が短くて、やや、もっとほかにできることがあったのではないかという御指摘については、日程の取り方も含めて、働きかけ、つまり国会への働きかけも含めて反省すべき点はあるんだろうというふうに思っていますが、私としてはでき得る最大限の働きかけを行ってきたし、これからも行っていきたいというふうに考えております。
  8. 広野ただし

    広野ただし君 玄葉大臣は本当に先例を踏み込んでやられたという感じがいたします。  しかし、例えば百年前の日露戦争のことを考えますと、あの巨大なロシアに対して日本が小国であった。あのときに、桂太郎内閣、そして小村寿太郎外相と、そして高橋是清が日銀副総裁なんですね。で、戦費調達から始まって、そして、もちろん日英同盟をまずやる。そして、戦費調達、また軍艦の入手、そして仲介、仲裁国のところまで考えてやっていく。そしてまた、世論のつくり方、アメリカによる世論のつくり方、そしてまたロシアにおいての、何といいますか、反政府行動等についてもいろんな工作をすると。様々なことをやっているんですね。やっぱり、あのときの極東の、日本ロシアに対する国難ともいうべきことに対して大変なやはり先人たちは苦労をしてやっているんです。  その中で、日朝ルートがもう、もちろん外交関係ありませんけれども、これはいろんな秘密ルート等をつくって直接コンタクトをする道が何かないだろうかと。これは拉致問題解決においても大変大きなことなんですね。全てが間接的なんです。ここのところを何かもう一つ踏み込んでやってもらわないと、拉致問題を始めこの核、ミサイルの問題、日本に対して大変な主権侵害であるし、また国防の問題から、防衛の問題からいってどうなっているんだろうという点が、やっぱり国民皆さんがどうも隔靴掻痒だ、日本がちゃんとやれないのかと、こういう思いがどうしてもあるんですね。  ですから、その点について両大臣に伺いたいと思います。
  9. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 広野先生おっしゃるように、それは北朝鮮の特にミサイルの問題というのは、核の問題もそうでありますけれども、日本にとっては直接の脅威韓国にとってもそうであります。最近、米国と話していて、とにかく米国にも直接の脅威なんだということを私は議論で実は使うようにしているんですけれども、最近、オバマ大統領はそのような発言をし始めているように聞いております。やはり、直接の安全保障、直接の脅威であるということを踏まえながら、我々として他国への働きかけというものを行いたいというふうに思っています。  今の御質問趣旨は、近くにある国なんだから直接もっとやれないのかということでございますけれども、これにつきましては、ちょっとこの場で申し上げれる内容じゃないものですからお答えを差し控えたいと。御意見として承っておきたいというふうに思います。
  10. 松原仁

    国務大臣松原仁君) 御質問でありますが、北朝鮮国交のない相手でありますから、私としても、国交正常化交渉等外交については一元化を堅持しつつも、北朝鮮との接触は多元的に行っていくことが不可欠であると今までも強調してまいりました。したがって、委員指摘のように、様々な接触ルートは模索するべきだろうというふうに思っておりますが、どちらにしても具体的に述べることは差し控えたいと思います。  拉致被害者に関する情報収集や多元的な接触も含め、我が国としてできる全ての可能性を検証しながら果敢に取り組んでいくという決意で関係各方面と協力をしていきたいと、このように思っております。
  11. 広野ただし

    広野ただし君 是非、あらゆる手段を、またあらゆるルートを使ってやっていただきたい。これ拉致問題も、もう二〇〇五年以降、ある意味小康状態というか、ずっと時間を空費しているんですね。そしてまた、ミサイル、核という、もう日本にとって直接的な脅威になっている。今回は三月十六日に予告をしているから、まだいろんな形で国民皆さんがそういう準備行動的なことができるわけですけれども、安全保障全体を考えますと、北朝鮮がどんな行動に出るかはこれ全く予期せざることなんですね。  ですから、しかも千五百キロ以内、もう全て弾道ミサイルの中にあるという範囲なんですから、そういう面では、やはり政府全体として、玄葉大臣はやっておられると私は思っておりますが、政府全体として日本防衛という、また国民の安全ということを考えたときに、もう一つ外交努力、全体としてやってもらいたいなというふうに要望しておきたいと思います。  そして、もう一つ防衛省からもお見えでございますが、今度のミサイル発射に伴いまして四十二分間の空白だとか遅れですとか、こういうことが言われているわけであります。国民の安全ということを考えたらば、私は、未確認、まあ二重チェックというのは確かに大切でしょうけれども、未確認情報ではあるけれどやはり発射されたという情報がある、ですから国民皆さんに、冷静に、かついろんな準備行動に入ってもらいたいというような発表の仕方もあったんではなかろうかと思うんですが、この四十二分間の遅れの問題についてお答えをいただきたいと思います。
  12. 神風英男

    大臣政務官神風英男君) 今般のミサイル発射事案についての発表遅れの御指摘でございますが、防衛省としては、SEWという情報早期警戒情報アメリカからもたらされます。我々も、それを受け取った瞬間に中央指揮所というところに駆け付けて事態を、推移を見守っておりました。通常SEW入感という形で早期警戒情報がもたらされるわけでありますが、その通常で申しますと、これSEW情報の中には、発射の場所、また発射方向発射時刻発射弾数落下予想地域あるいは時刻、おおよその落下時刻等が含まれているのが通常であります。ただ、今回の場合には、その発射弾数落下予想地域時刻が一切報告が、表示がございませんでした。そういう点で、通常SEW入感情報と違っていた面がございます。ちょっとその確認に時間を要したと。  確かに、先生指摘のように、SEW入感の段階で何らかの飛翔体発射をされたと、それを情報を得たということを最初にこれは御報告しておけばよかったのかなと私も思っておりますが、ちょっとそれを確認して、また日本側FPS5あるいはFPS3改、そういったレーダー、あるいはイージス艦レーダー等と総合しながら、今のSEW入感がどういうものであったのかというのを確認をしている作業がちょっと時間が掛かったものですから、そういう状況になったという状況であります。
  13. 広野ただし

    広野ただし君 やはり大きな組織を動かすというときは確かにいろんなことがあるでしょう。そして、二重チェックだとか三重チェックというのもあろうと思うんですが、国民を守るんだという観点に立てば、やはり何らかの情報を得たらできるだけ早くそれをお伝えをする、しかしパニックにさせるわけじゃないんですね、ということをやっぱりやっていかないと、これは本当に国民を守るということになるだろうかという点があろうと思いますので、是非これをまた反省の点にしていただいて次からの対応にしっかりと当たっていただきたいなと思っております。  それと、このミサイル失敗があって、核実験の問題であります。豊渓里という実験場核実験可能性があるのではないかということが言われておりますが、ミサイル失敗を受けて、やはり名誉挽回といいますか、威信を高揚するために核実験可能性は高まったというふうに私は思っておりますが、まず外務大臣にその見解を伺います。
  14. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 御存じのように、〇六年そして〇九年、それぞれミサイル発射の後、核実験を、国連における動きがあるにもかかわらず行ってきたわけであります。今この場で、今後核実験があるのかと言われて、私から答えられることは、この場で予測することは難しいとしか答えられません。ただ、情報収集分析をして注視をしているということは間違いございません。今大切なことは、更なる挑発行為抑止をするためにどうするかということに現時点全力を挙げなければいけないのではないかというふうに考えて今行動をしているところでございます。
  15. 広野ただし

    広野ただし君 ミサイルはやるわ、そしてまた次の核実験が、もちろん自制すべきということで各国にも働きかける、また先ほど言いましたような、どうしても間接的なものになってしまうんですが、国連中心にやっていくにしても、この両方がなされたときは、更なる制裁措置というものを国連全体として、また日本独自にもしっかりとやるべきじゃないかと思いますが、そのことについての見解を伺います。
  16. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 現時点は、この場では、先ほど申し上げたように、まずは更なる挑発行為を防止をする、抑止をするということに全力を挙げたいというふうに思っております。  ただいまの広野先生の御意見は、貴重な御意見としてしっかり承っておきたいというふうに思います。
  17. 広野ただし

    広野ただし君 少なくとも、米朝協議がありました、米朝協議において、食糧支援二十四万トンですか、核濃縮の、濃縮活動の停止ですとか、あるいはミサイルの問題、核実験の問題、こういうことが守られないときはやはり食糧支援というものは凍結をする、あるいは中止をするという考え方がアメリカにはあると思いますが、日本としてそのことをまず強く要請をしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
  18. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 基本的には栄養支援というのは人道的なものだろうというふうに理解をしておりますけれども、米朝合意について私がとやかく申し上げる立場というか、直接的な言及は避けたいと思うんですが、ただ、もう米国側も、ミサイル発射がなされるということになれば、いわゆる米朝合意にある栄養支援ということについて、当然ながら考えざるを得ないんだという趣旨のことも言っているというふうに承知しています。
  19. 広野ただし

    広野ただし君 やはりヨーロッパの北朝鮮に駐在している外交ルート等から聞きますと、制裁措置が全体的には効いていないと。もう平壌には高級車は走るわ、いろんな状況になっているということなんですね。そういう中において、やはり日本は特に大きな拉致の問題を抱える、また近い国なんですから、この制裁措置がしっかりと国際的になされるようにやっていくべきだと、こう思いますので、再度答弁をお願いします。
  20. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) いわゆる制裁措置の中には、おっしゃるように、国連安保理制裁委員会というのがあって、その制裁委員会の下で決められた制裁措置というものがございます。それに加えて、例えば日本などが独自に行っているような制裁措置もあるということであります。  各国国連安保理で決められた制裁措置について実際にしっかりと履行されているのか、実施されているのかということについては、これは非常に大切な点でございます。御指摘はよく私は分かります。ですから、そういったことがきちっとなされなければならないし、なされるように働きかけをしていかなければならないと、そう考えております。
  21. 広野ただし

    広野ただし君 それでは、残余の時間を同僚議員に譲ります。よろしくお願いします。
  22. 有田芳生

    有田芳生君 民主党新緑風会有田芳生です。  北朝鮮の新体制は、政治的経験がほとんど、未知数というよりもない金正恩氏、それを象徴体制としながら、身内、そして軍が中心となりながら今後進んでいくものだというふうに思われます。  その権力基盤が強いのかどうかということについてはここで議論をする予定はありませんけれども、まずこのミサイルの問題で一つ確認しておかなければいけないのは、これは、北朝鮮の今回発射をして失敗をしたミサイルについては、韓国政府によれば、約七百億円、日本円にして掛かっていると。これは、北朝鮮の昨年度の年間予算額約五十七・三億ドルの七分の一を飛ばして失敗した、あるいは、年間輸出額からすれば、十五・一億ドルですから、その五六%、つまり年間輸出額の半分以上をあの失敗ミサイルで失ったという状況。これまた、食料不足ということは皆さん承知のとおりですけれども、年間食料というものを、四十万トン足りないとすると、今回のミサイル失敗したことによって、何と北朝鮮食料不足の六年分、それが一挙に吹っ飛んでしまったというような韓国政府などの分析もあります。  御承知のように、北朝鮮の核、ミサイルの開発というのは特に一九九〇年代後半に向けて行われていき、そして、その一方で約二千四百万人いる北朝鮮国民の三百万人が餓死したというふうに推定されております。つまり、国民が大変な生活状況食料事情があるにもかかわらず、北朝鮮政府は核、ミサイルというものを開発する中で国民が飢えて亡くなっていくという、とんでもないそういう人権状況。しかも、北朝鮮国内においてはそういうことに対して批判の声を上げることができず、もしそういう兆しを察知されてしまえば、全国六か所にある政治犯収容所に今でも二十万人の人たちが捕らわれて、命さえもが危ないような状況で必死で生きている。そういう北朝鮮人権感覚基本的人権欠如民主主義欠如というものが、やはりこれまで、一九七〇年代以降、日本人に対する拉致問題に対する人権感覚の全くの無視というところにつながっているというふうに私は考えております。  そういう点から、今日は金正恩象徴体制の下で私たちが党派を超えて拉致問題をいかに解決していかなければいけないかという点に絞って質問をしていきたいと思いますが、まず前提としてお二人の大臣に伺いたいのは、拉致に関してと同時に、北朝鮮に関する情報について重要なことを玄葉大臣あるいは松原大臣の下で情報共有をされて、それがその上で野田総理大臣に伝えられているというように私は理解しておりますが、それでよろしいでしょうか。お二人からまず伺いたいと思います。
  23. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 結論だけ申し上げれば、最もセンシティビティーなところにつきましては私と松原担当大臣二人で、しかも二人だけで話をして、総理に上げるということをしております。
  24. 松原仁

    国務大臣松原仁君) 拉致被害者に関する情報、私は拉致担当でありますから、については、その出所が明らかになることにより情報提供者等に不測の事態が生じるおそれがありますから、その取扱いについては極めて慎重を期す必要があります。今、玄葉大臣がおっしゃった、その意味においてであります。  その上で、拉致被害者及び北朝鮮情勢に係る情報については関係府省間で適宜情報共有を図っており、当然のことながら、外務大臣やまた官房長官とも、総理を含め、綿密に情報共有を図っているところであります。  以上であります。
  25. 有田芳生

    有田芳生君 その上で、もう一度お二人にお聞きをしたいんですけれども、拉致被害者家族に日常的にお話を伺っておりますと、松原大臣も本当に、例えば横田滋さん、早紀江さんの御自宅まで伺って大臣就任後にお話をされたりしております。一方、玄葉大臣とは、横田夫妻に関してはちょっと立ち話程度の御挨拶なんだというようなお話がありましたけれども、まず玄葉大臣お願いをしたいのは、早紀江さんたちに、外務大臣お忙しいから今例えば拉致被害者家族懇談をしても形式的なことになってしまったら、それじゃ駄目ですよねというふうに話をしましたところ、いや、そういうことであっても、時間を取っていただいて玄葉大臣にも自分たちの気持ちをお伝えしたいんだというふうにおっしゃっておりました。  ですから、お忙しい中であることは十分承知の上なんですが、今からでも横田夫妻を始めとして拉致被害者家族とも懇談をしていく機会をつくっていただけないかということと同時に、松原大臣へのお願いということについて言えば、やはり先ほど、語れない情報が多いだろうということは推測はできるんですけれども、ただ、日常的に、定期的に拉致被害者家族と例えば懇談を持つというようなこと、例えば、昨年の委員会でも質問させていただきましたけれども、横田めぐみさんの生存情報について韓国週刊朝鮮などから情報が出てきた場合、そういうことについての分析なり一定の見解なり、そういったものを拉致被害者家族に定期的にお伝えをしていくという、そういうシステム、そういうものを今後積極的につくっていただけないかというお願いなんですが、お二人から御意見を伺いたいと思います。
  26. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) もし、今おっしゃったように、もっと外務大臣と話がしたいとおっしゃっていただいているということであれば、喜んでお話をさせていただければというふうに思っています。  ちなみに、最初、外相になってからは官邸で野田総理と一緒にお会いをして、その後、憲政記念館の写真展は行かせていただきましたが、直接はいらっしゃらなかったと思います。あと、山岡当時大臣が開かれた、これは山谷さんの御提案もあって行った、これは違う、山岡担当大臣主催のレセプションが行われた際、十二月ですか、昨年、御出席された十七名の家族会の方々と懇談して、私は最初から最後まで実はおりました。かなりじっくり話聞けたなとは思いました。あとは、これは山谷さんの提案だったんですけど、内々ですね、十二月十六日に外務省の飯倉公館に在京の各国の大使館の大使の方々をお招きをして映画の「めぐみ」というのを上映をしました。そのときもおいでをいただいてお話をさせていただいていました。  でも、冒頭申し上げましたように、もっとじっくりお話をということであれば、喜んでお話をさせていただければというふうに思っています。
  27. 松原仁

    国務大臣松原仁君) 委員指摘のそういったものは、更に必要であればつくっていきたいと思っております。  拉致問題の解決を図る上で拉致被害者家族の心情に触れることは極めて重要であり、御家族の切実な思いを拝聴するように努めております。その際、この問題は時間との闘いであり、実効性ある対話を一刻も早く実現し、拉致被害者の一日も早い救出を願う思いを共有させていただいているところであります。  具体的には、在京の御家族とは折に触れ懇談をいたしておりますほか、地方の御家族についても、御家族上京の際の機会をとらえ懇談機会を設けさせていただいております。また、地方公共団体との共催による国民の集い等で地方に赴く際には、特定失踪者も含め地元の御家族とお会いをさせていただいております。  今後とも、あらゆる機会をとらえ、御家族の方々とは意見交換等に努めてまいりたいと思います。あわせ、このような機会を多くの国民の皆様に知っていただき、拉致問題が引き続き重要な問題であるとの認識を持ち続けていただくよう心掛けております。  委員指摘の部分は極めて重要だと思っておりまして、この間も横浜の集会に私も時間があってこれは行ったときに、その場では横田さんが、滋さんがお話をしておりましたし、様々な機会に触れ合う機会をつくりたいと、寄り添う形で頑張っていきたいと思っております。
  28. 有田芳生

    有田芳生君 是非ともお願いをしたいと思います。  先ほど申しました週刊朝鮮の記事で横田めぐみさんが生きているんではないかというような報道がありますと、例えば横田滋早紀江さん御夫妻のところにまずマスコミが問合せをしてきて、そこで知ることになる。それは仕方がないと思うんですが、しかし、時間がたっても政府の方からその情報についてのある程度の分析などについて教えられなかったという残念な思いをおっしゃっていましたものですから、そういったところもまだまだ十分な意思の疎通ができていないのかなというふうに思ったものですから、今後は是非ともよろしくお願いしたいというふうに思っております。  それで、拉致の問題をいかに解決していくかということですが、韓国の新聞などではもう既に報道がされており、日本でも週刊文春が報じましたが、昨年の十月八日、金正日総書記が亡くなる約二か月前にいわゆる遺訓というものが書かれたという報道がありましたが、これは韓国の国情院などから何か確認はされておりますでしょうか。松原大臣、よろしくお願いします。
  29. 松原仁

    国務大臣松原仁君) 御指摘の報道があったことは承知をいたしております。  拉致問題対策本部としては、北朝鮮について常に重大な関心を持って注視しており、様々な情報源からの情報収集分析して、その動向の把握に努めております。御指摘の、いわゆる金正日の遺訓とされるものの件についても、その真贋を含め、情報収集分析に努めているところであります。  政府としては、全ての拉致被害者の生存を前提に情報収集分析、その他の取組を行ってきておりますが、今後の情報収集の支障を来すおそれがあることから、情報収集の具体的な内容、収集源についてのコメントは申し上げられないことを御理解いただきたいと思います。
  30. 有田芳生

    有田芳生君 私が韓国のその入手筋から話を聞いたところによりますと、やはり北朝鮮の高官、複数ルートから流れてきたもので、いわゆる金正日遺訓のごく一部の四十項目だけが新聞などに出たというふうに理解をしております。  これの真贋についてはもちろん十分慎重な検討がなされなければいけないと思いますが、その遺訓の中に、外国との関係においてこのように書かれております。アメリカ、中国、ロシア日本の四大国との関係を良好にしなければいけないと。その前提の上で、日本との関係をどのようにしていくかということについて、この遺訓なるものにはこう書かれております。日本との政治的問題解決において、過去清算と拉致者問題を同時に解決する戦略を立てて執行していかなければならない。  つまり、彼らが言う過去の清算と拉致問題というものを同時に解決する戦略を立てると、そういうような文章になっているんですが、この遺訓そのものが本物かどうかということはさておいて、北朝鮮の中でそういった二つの問題を同時解決するというそういう声を発する高官などもおりますけれども、その路線について、玄葉大臣、どのように評価されますでしょうか。
  31. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 不幸な過去を清算するということと拉致の問題ということを同時にというお話でありますけれども、我々の基本的な方針は、まず日朝平壌宣言というのがありますねというのが第一、そして拉致と核とミサイルを包括的に解決しましょうねということであります。その上で、不幸な過去を清算して国交正常化ですから、余り仮定の話にどこまでお答えするかということがありますけれども、同時達成ということであれば、今私がお話を申し上げたことと大きな矛盾があるわけではないというふうに考えています。
  32. 松原仁

    国務大臣松原仁君) 遺訓の話が続いておりまして、様々な遺訓についての話があろうかと思っております。私のところには四十ではなくて六十項目という話もあったりするわけでありますが、そういったことも含め、真贋の精査をしているということであります。
  33. 有田芳生

    有田芳生君 今、玄葉大臣が言及をされた日朝平壌宣言、二〇〇二年九月十七日、小泉訪朝によって結ばれたものですけれども、やはりこの平壌宣言というものが原点になるとするならば、これは小泉政権以来、所信表明演説などでも毎回引用をされておりますけれども、もう一度ここで、平壌宣言の原点を確認する上で、一体どういう中身だったのかということを玄葉大臣からお話し願います。
  34. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) これは全て読むと大変だと思います。まさに、不幸な過去の清算のことも書いてございますし、国際法を遵守する、互いの安全を脅かす行動を取らないことを確認をする、日本国民の生命と安全にかかわる懸案事項についてこの遺憾な問題が今後再び生じることがないよう適切な措置をとるとか、あるいはミサイル発射のモラトリアムを二〇〇三年以降も更に延長していくこと等が書いてあるというふうに理解をしています。
  35. 有田芳生

    有田芳生君 そこで、平壌宣言の評価について伺いたいと思うんですが、今簡単にお触れになりましたけれども、この平壌宣言の最終項目、例えば、ミサイル発射のモラトリアムを二〇〇三年以降も更に延長していく意向を表明したと。だけど、それ以降ミサイル発射をしている。今回も失敗をしている。じゃ、この日朝平壌宣言というのはもう死文化しているじゃないかという評価をされる方もいらっしゃいます。一方で、横田めぐみさんの偽遺骨問題が大きな政治問題になったときに北朝鮮側に日本政府が反論を出したときには、この平壌宣言の文言である、例えば、日朝間に存在する諸問題に誠意を持って取り組む、そう書いているんだからきっちりと遺骨問題についても態度を表明すべきだと。  だから、ここで一般論としてもお聞きをしたいのは、例えば二月二十九日に米朝の合意がなされました。そこでも、食糧二十四万トンの支援も含めてですけれども、ウラン濃縮、ミサイル発射モラトリアムというような文言がありましたけれども、幾つかの米朝の合意があった中で、ミサイルの問題は裏切った、とんでもないことをした。かといってアメリカ政府は、いや、二・二九合意というのは破棄しますとは言わないですよね。言っていませんよね。食糧は支援しないけれども、合意は破棄したものとは発表しない。そう考えたときに、外交文書とか外交宣言において、一部とんでもないことを、違反行為をしたときにどう評価するかというのは、その時々の政治的判断だという理解でよろしいんでしょうか。  そのことも含めて、いまだ日朝平壌宣言というものは有効であるという判断を政府がなさっているのかどうか、まずそのことを確認したいと思います。
  36. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 冒頭の私の発言で、今回の発射というのは日朝平壌宣言違反すると、こういうふうに発言をしたわけであります。ただ、それでは、今、有田委員が言われたように、この日朝平壌宣言の有効性は失われたのかと問われれば、私は失われていないというふうに考えます。これは、政治的に非常に重みのある文書であるというふうに私自身考えていますし、日本政府としてもそう考えているということでございます。  したがって、我が国としては、日朝平壌宣言を全体として履行することが北朝鮮との間の諸懸案を解決日朝関係を前進させる上で最も効果的なやり方であり、引き続き北朝鮮が同宣言において確認した事項を誠実に実施するよう強く求めていきたいというふうに考えております。
  37. 有田芳生

    有田芳生君 そうすると、拉致問題をこれから真剣に解決に向かわせるためにも日朝平壌宣言が原点にあると、そういう理解でいいかと思うんですが、そのときに、小泉純一郎元首相訪朝の教訓というものを振り返ってみなければいけないというふうに私は考えております。  これは、アメリカの元国務長官のヘンリー・キッシンジャーが去年、アメリカで「オン・チャイナ」、中国へという本を出して、最近岩波書店から「中国」という本の上下巻で発売をされましたけれども、歴史的な米中国交回復、それが行われるときにやはり様々な表に出ない交渉がなされていた。これは驚いたんですが、キッシンジャーによると、一九七一年にホワイトハウスでニクソン大統領とあと一人しか知らない状況の下で中核チームというものがつくられて、キッシンジャー元国務長官も含めて五人の人たちが中国に入っていく。そのときも、いろんなマスコミが付いてくるわけだから、外交団として出発するんだけれども、その中核チームというのは当時のベトナムのサイゴン、それからバンコク、それからインドなどを通じて、もうこのまま一緒に付いていったってしようがないなとマスコミが思った状況の下でパキスタンから中国に入っていって周恩来との会談などを始めていって、そのことが翌年の米中国交回復につながったという非常に刺激的な中身を、恐らく初めて発表されたというふうに思うんですが、日本においても、小泉訪朝に至る教訓というものを今これから拉致問題を解決するために生かすとするならば、これはお二人の大臣に伺いたいんですが、小泉訪朝が一定の成果を達成したという前提の下で、どのような教訓を今振り返っていらっしゃいますでしょうか。お二人から。
  38. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) どういうお答えを期待しているかということもございますけれども、結局、諸懸案を解決する場合は最終的には対話が必要になるという、最終的にはですよ、ということだと思うんです。それが適当な時期、適当なやり方で行われなければならないということが一つあります。  それと、あくまで一般論で申し上げれば、時として水面下で、今おっしゃったように、米中の話をされたように、静かな形で相手側との交渉を進める必要がある、そういうケースというものは一般論として申し上げれば考えられるということではないかというふうに思っています。
  39. 松原仁

    国務大臣松原仁君) 私は前もこの委員会でもしかしたら申し上げたかもしれませんが、基本的には、一つは、アメリカによる北朝鮮に対しての強い圧力があったと思っております。いわゆるならず者国家と称してまさに武力攻撃辞さずというぐらいのイメージが一方にあって、そのことに対して北朝鮮が何とかこの状況を打開したいと。そのときにアメリカとの同盟国である日本に対して一定の働きかけをしようとするのは、当然彼らの行動の在り方としてあっただろうと思っております。この強烈な圧力というかむちがあって、そしてその一方において日朝平壌宣言というものが結果として生まれるわけですが、日朝国交正常化という大きな北朝鮮にとってのメリットがあったと。  この両方が相まったときに私は小泉訪朝というのは効果があったのであって、もしあの段階で、ブッシュ大統領による強烈な、北朝鮮に対していわゆるテロ支援国家指定であるとかならず者国家であるとかというああいう言辞が強烈になされなかったら、私は全く事態は違っただろうと思っております。私は、その後、様々な関係者とごく最近まで議論をしてきてもこの確信は変わらないし、多くの方がそのことを指摘をしているところであります。  その上で、そういう全体のフレームワークと別に二つぐらいのポイントがあるのかなと私は思っておりまして、一つは、やはりこの議論が、まさに今、玄葉大臣お話があったように、静かな形で行われた。ということは、バイで行われたということであります。日朝のバイによって行われたということが静かな形でという意味だろうと私は認識をいたしております。  その一方で、北朝鮮の中で一番どこが権力を持っているかということの認識があって、やっぱりそれは当時においては国防委員会というものを交渉の相手にしたということも一つの成果だったのではないかと。これは私の私見も交えてでありますが、あえてお答えを申し上げるところであります。
  40. 有田芳生

    有田芳生君 松原大臣が今お話しになったように、アメリカが非常に厳しいならず者国家という態度を堅持する状況の下で、当時、拉致被害者の一人である蓮池薫さんも、どんどんどんどん経済状況が厳しくなっていって、そしてアメリカとの関係が本当に社会レベルでも、指導員レベルではなくて一般のレベルでも不安になっていったときに物事が動いたんではないかというふうに拉致被害者のお一人として評価をされていますから、そういう意味では、今後の米韓日が連携した強力な体制の下で北朝鮮と対していかなければいけないというのは前提だというふうに思っております。  と同時に、今、水面下ということになりますと、これは二〇〇二年の九月十七日に小泉訪朝が実現をしますが、その前、八月の中旬に小泉首相は金正日総書記にあてて親書を出していて、それを受け取った北朝鮮側が前向きな、積極的な対応をしたことによって訪朝は実現したわけですけれども、そこに至る静かな環境の下での、松原大臣の言うバイでの北朝鮮日本との交渉というのは、やはり一年間にわたって田中均アジア大洋州局長当時が中国の大連や東南アジアを含めて秘密裏に、情報が漏れない環境の下で物事を進めていったということがやはり大きな要因の一つだというふうに思っているんですが、その水面下の二十五回の交渉というのは玄葉大臣確認されていますでしょうか。
  41. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) これまでの経緯は承知をしておりますけれども、そのことをこの場で政府として述べるということは控えなければならないというふうに思っています。
  42. 有田芳生

    有田芳生君 松原大臣が先ほどの発言の中で、国防委員会との交渉が大きな成功の理由の一つだったということをおっしゃいました。  そこで、その水面下の交渉について、私は非常に最近気になっている一つですけれども、小泉元首相の秘書官だった飯島勲さんが単行本やあるいは雑誌の中の発言で、当時日本側が交渉をしていたいわゆるミスターX、ミスターXというのは飯島さんの表現だと高級官僚でも何でもありませんと、大した相手じゃないんだというようなことをしきりにおっしゃっているんですけれども、玄葉大臣、このミスターXなる者についてどういう御認識をされていますでしょうか。
  43. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 先ほど申し上げましたけど、この間の経緯は当然承知をしております。ただ、当時、北朝鮮のどのような人物と個別の接触を行ったかなどについて明らかにするというのは、今後の協議に支障を来すということがありますので、お答えは差し控えなければならないというふうに思っています。
  44. 有田芳生

    有田芳生君 そうした様々な努力の下で拉致問題の一定の成果が達成できたのが小泉訪朝だというふうに思いますが、今後、金正恩体制の下でどのように拉致問題を進めていくのか、一刻も早く拉致被害者日本に取り戻すのかという点において、ミサイル発射失敗と同時に、先ほどもお話が出ていましたように、追加制裁というものをどのように考えていくのかというのは極めて現実的な課題になってくるというふうに思います。  国連安保理の議長声明の中でも、恐らく今日採択されるんでしょうか、追加制裁というよりも、むしろこれまで各国が行ってきた制裁について加える、追加をするという意味での議長声明が採択されるというふうに聞いておりますけれども、日本の方向として、追加制裁というものは、先ほど広野委員の御発言に対して回答をいただきましたけれども、新たに追加をして制裁することを考えるのか、今ある制裁の中からその範囲を広げるのかというのはどのように理解したらよろしいんでしょうか。あるいはどのように計画をされていますでしょうか。
  45. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) これは国連安保理でどういう対応を取るかといったときに、制裁委員会というのがもう既にできています。その中で、これまでの制裁に新たに加えるか加えないかとか、何といいますか、更新するかどうかとかという議論がなされ得るということは考えられるわけであります。ただ、今、私もどういう経緯かは当然ながら承知していますけど、まだ予断を持ってこの場で国連安保理がどうなるということを申し上げることはできませんので避けたいと思いますけれども、まずその国連安保理でどうするかという問題が一つあります。  それともう一つ日本が独自でどうするんだという議論はまたこれ別の話としてあるんだろうと。この後者の方については、まさに総合的に判断をしなければならないテーマであるというふうに思っています。
  46. 松原仁

    国務大臣松原仁君) 北朝鮮が新しい体制に移行した中で、それに対して拉致問題をどう取り組んでいくのかと、こういう御趣旨だと思っております。  今般の北朝鮮によるミサイルと見られる飛翔体発射については、北朝鮮当局は結果として衛星軌道に乗らなかったことをあえて公表したところであります。こうした姿勢は従来の北朝鮮とは異なるものと認識をいたしております。  こうしたことの変化を含めた体制の変化の中で、十年前に北朝鮮が死亡していると発表した拉致被害者が実は生きていたと発表したとしても前向きに受け止めたいと考えております。今回、北朝鮮が率直に飛翔体発射失敗を認めたように、拉致問題についてもゼロベースで前向きな対応を期待しているところであります。  現時点まで、金正恩体制は基本的に金正日国防委員長がしいた路線、すなわち遺訓政治が行われていると認識しておりますが、新体制国際社会に受け入れられる努力、特に我が国にとっては、拉致問題の解決に向けた真摯な対応を示すならば、我が国としてもこれに積極的に応じていく用意があり、北朝鮮はこの点を正しく理解することを引き続き北朝鮮に対して期待したい。逆に、今回の失敗により北朝鮮が更なる冒険主義に向かわないことを強く求めたいと思います。  拉致問題の解決のためには、アメリカ韓国を始めとする関係各国とも綿密に連携していくことが重要でありますが、何よりもまず我が国自身が積極的に問題解決の道を探っていく努力を行っていく必要があると考えております。
  47. 有田芳生

    有田芳生君 もう少し具体的にお話を伺いたいと思いますが、経済制裁これまでも日本が力強く行ってきたわけですが、平成十八年三月六日の予算委員会参議院予算委員会ですね、こういう発言をした方がいらっしゃいます。  経済制裁ということをよく言われますけれども、これは一国だけである程度効果があることと、国際情勢全般を見ないと効果に限界があるという点があります。中略しますが、韓国も中国も北朝鮮に対する支援体制ははるかに強化されています。そういうときに日本だけが経済制裁を強めていって効果があるかという問題も考えなきゃいけない。あるいは、こうその後に述べております。我々としては、北朝鮮側と対話なしにこれからの様々な問題は解決できない。制裁をすれば、懲らしめれば日本の思うとおりいくかというと、そういう問題ではないんだと。そういう点も総合的に考えながら、難しい相手だけれども交渉していかなければならない相手が北朝鮮であると。これは当時の小泉純一郎首相の発言なんです。  実際に調べてみますと、日本北朝鮮との貿易実績は、経済制裁が強められる中では、今ではゼロですよね、輸出も輸入も。ところが、韓国、中国との貿易がどのようになっているのか、玄葉大臣、どう認識されていらっしゃいますでしょうか。
  48. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) これはまとめてまいりましたので読ませていただきますが、日朝間の貿易額につきましては、二〇〇〇年に約四億六千万ドルあったということでありますが、有田委員が今述べられたように、二〇一〇年は実績なしになったのに対し、同時期、つまりは二〇〇〇年から二〇一〇年ということでありますが、中朝の貿易額は約七倍、約四億八千万ドルから約三十四億七千万ドルに、南北の貿易額は約四・五倍、約四億三千万ドルから十九億一千万ドルに増加したというのが事実関係であります。  我が国の対北朝鮮措置に関しては、これまで実施してきた各種措置を通じて、我が国北朝鮮の間の人、物、金の往来は相当程度縮小してきており、北朝鮮の厳しい経済状況を併せ考えた場合、北朝鮮に対して一定の効果を及ぼしていると考えています。  また、韓国は、安保理決議等に基づく措置、これは着実に実施しています、韓国。中国に対しても、着実な実施を働きかけているというのが現況でございます。
  49. 松原仁

    国務大臣松原仁君) 制裁が効果があるかないかという議論でありますが、私はかなり効果が出ているという認識を持っております。そのことがこの制裁を解除しろという強い様々な力になって、様々なところでそういった主張がなされているわけで、日本北朝鮮に対して科している様々な経済制裁を含め、極めて私は効果が出ていると思っているわけであります。
  50. 有田芳生

    有田芳生君 確かに、今回のミサイル打ち上げの失敗についても様々な原因が議論をされておりますが、その中の一つとして、やはり経済制裁が効果を発揮をして、日本からの部品が、いい物が使えなかったんで、北朝鮮国内にある古い物を使ったんで圧力に耐え切れなかったという、そういう評価をなさる方もいらっしゃいますから、そういうことも冷静に今後評価、判断をしていかなければいけないと同時に、やはりこの貿易の推移を見ていると、その中でもどのような効果的な経済制裁というものを今後進めていくのかということが非常に大事だということを確認をしたいというふうに思っております。  もう時間ですので、最後に一言お伝えをしたいんですが、前にもこの委員会で御紹介をしましたけれども、新潮社という出版社のPR誌に「波」という毎月出ている小冊子ですけれども、そこに拉致被害者の蓮池薫さんが「拉致と決断」という連載をずっとなさっております。  その中で、私は今でも忘れない一節なんですけれども、自分は北朝鮮に行って日本にもう帰ることができないと思ったと。最初はもう悲しくてしようがないから日本式に手を合わせて指導員にお願いをしたんだけれども、そのときに指導員というのは蔑みの目で私を見ていたというふうに蓮池さんは書かれております。その蓮池さんが、もう日本に帰るのは難しいから、ならばここに同化をして一生懸命子供たちを守って頑張って暮らしていこうというふうに思っていた。だけど、北朝鮮の経済状況もあって私たちは幸せにも国に帰ることができた。そして、蓮池さんがおっしゃっているのは、だけど、自分たちが国に帰った、子供たちも国に帰ったということを今でも取り残されている拉致被害者たちは、自分たちはいつ日本に帰れるんだろうかと今でも毎日思っているというふうに書かれているんですよね。  やはり、横田めぐみさんを始めとした拉致被害者の方々が毎日毎日そういう思いでいらっしゃるということを考えれば、やはりあらゆる機会をとらえて、松原大臣の言うあらゆる手段を通じてでも拉致問題というものを解決しなければいけない。そのために本当に党派を超えて頑張っていきたいという私の決意も含めて、質問を終わらせていただきたいと思います。
  51. 山谷えり子

    山谷えり子君 自由民主党山谷えり子でございます。両大臣、誠に御苦労さまでございます。  四月十三日朝七時四十分、北朝鮮ミサイル発射いたしました。本日、参議院の本会議ミサイル発射に抗議する決議を全会一致で採択をいたしました。国際社会の明確な意思を示すために国連安保理決議を目指すように、そしてまた我が国独自の追加制裁ということも記されております。  朝七時四十分に発射されたときに、アメリカ早期警戒情報SEWがその兆候をキャッチいたしました。日本はこれ持っていないんですね、残念ながら。そして、アメリカから防衛省の幹部たちに、いろいろなところから情報が行っていると思います、同じ時刻に、イージス艦にもPAC3にも空自のレーダーにも入ったというふうに思っています。宮古島は照明弾を発射いたしました。八時になりますと、アメリカ韓国のニュースが当局の発表としてこのことを知らせました。  しかし、日本政府は誠に間抜けなことに、八時三分になりまして、全国の自治体に流すエムネットというものの中で、北朝鮮人工衛星と称するミサイル発射したとの一部報道があるが、我が国としては発射確認していませんと八時三分にわざわざ誤報を流したんですね。それで、野田総理のところに情報が行ったのは八時十六分ですね、正しい情報が。つまり、三十六分掛かっているわけです。そして、広野委員もおっしゃったように、空白の四十二分と言われていましたが、田中防衛大臣が記者会見したのが八時二十三分ですね。そして、その七分後に官邸で藤村官房長官が記者会見をした。  その午後に、私は拉致問題の自民党の特別委員会の事務局長として、官邸で藤村官房長官にお会いしました。最初のシミュレーションでは、官房長官が官邸で記者会見するのが初めの記者会見だとしていたのに、何で田中防衛大臣が先にやっちゃったのかなと言っていましたね。これ段取りはそうだったんじゃないですか。なぜ田中防衛大臣は暴走して、暴走して官房長官の前に記者会見をしたんでしょうか。  今日本当は大臣、副大臣に来てほしかったんですが、政務官からということですので、誰が記者会見しようよと判断したんでしょうか。いかがですか。
  52. 下条みつ

    大臣政務官(下条みつ君) 先生の方からの記者会見行うことについて御質問でございますが、当時は、私も大臣共々、第一報を受けて、防衛省にある指揮所といいまして、下の方に入りまして、その段階の中で、非常に緊迫した段階の中で官邸と連携を取ってきたというふうに認識しております。  政府全体としては一元的に官房長官が会見されるものと認識しておりますが、発射確認後、我が国の領域への影響は一切ないということをできるだけ早く公表したいという、その結果として、防衛省の所掌の範囲内で防衛大臣の記者会見を行わさせていただいたと、そういうことと認識しております。
  53. 山谷えり子

    山谷えり子君 四十三分後というのはちっとも早いと思いませんね。それから、最初に官房長官が記者会見をするというお約束を田中防衛大臣は破ったといいますか、全くそういう認識が政府として統一されていなかったという、本当にこの内閣は危機管理ができるんだろうかということを、国民全体というか世界にその愚かな状態をさらしてしまったんではないかと思っております。深く反省していただきたいと思います。  さて、四月十三日の午後、官邸に、官房長官に、自民党の拉致問題対策特別委員会、私、事務局長として、追加制裁についていろいろ要請をしてまいりました。このペーパーは当然、松原大臣お持ちですよね、事前にレクをしておりますので。その中で、新たな安保理決議の採択を目指すこととか、あるいは北朝鮮に持っていくお金、今届出ですが、下限額、その金額を引き下げること、また一回当たり及び年間の上限額を設定することというのが記されておりますけれども、松原拉致問題担当大臣は制裁というのは非常に有効であると、そして追加制裁も考えていくべきであるというような考えをお持ちと報道で発表されております。それから、お金に関しても何か言及があったと報道では言われているんですけれども、この報道は、首かしげていらっしゃいますけれども、余り正しくないんでしょうかね。
  54. 松原仁

    国務大臣松原仁君) 制裁という議論でありました。  北朝鮮に対する措置は、核、ミサイルのほか、北朝鮮拉致問題への誠実な対応を取っていないことも含めて、従来は制裁の理由として実施をしてまいりました。今回の事態を受け、拉致問題担当大臣として、私としては、追加制裁を求める拉致被害者の御家族の気持ちも踏まえ、発射が行われた十三日の閣僚懇談会の場において、追加制裁を行うべきと、総理官房長官を含む閣僚の皆様に強く申し上げたところであります。  いずれにしても、今回の事態国連安保理決議への違反であり、国際社会動きを主導しながら連携し、政府全体として北朝鮮に対する対応を総合的に勘案して最終的な判断を行うことになると考えております。  なお、私としては、御質問の、おっしゃっている意味は再入国の不許可の拡大と携帯持ち出しのことだろうと思っておりますが、こういったことについても内閣全体で検討されるものと考えておりますが、拉致問題に関する戦略分科会、今回七つの分科会できておりますが、その場においても議論をしていきたいと考えております。
  55. 山谷えり子

    山谷えり子君 松原大臣は以前、拉致議連の事務局長でいらっしゃいましたから、私たちが追加制裁について事細かく分析しながら、メニューもきちんと出しながら議論しているそのプロセスに事務局長としてかかわられているんですから、是非対策本部での議論をリードしていただきたいと思います。  今、私はお金のことを言いましたが、再入国の不許可のことはまだ言っておりません。これから言います。  再入国不許可の範囲を北朝鮮当局と密接な関係にある朝鮮総連副議長五名にも拡大することというこの追加制裁ですけれども、これに関してのお答えはいかがでしょうか。
  56. 松原仁

    国務大臣松原仁君) 今既に申し上げましたが、これに関しても、内閣全体で検討されるものと考えておりますが、戦略分科会において議論していきたいと思っております。
  57. 山谷えり子

    山谷えり子君 この場ではそのような答えしかできないのかもしれませんけれども、是非、大臣、せっかく大臣になられたんですから、しっかり私たちがこれまで行動してきたことを実現していただきたいと思います。  玄葉外務大臣は先ほど、何をすべきかと、まずは更なる挑発をさせないことだということで、国連安保理決議に明確な厳しい文言を入れたものを働きかけるというようなことに関してはかなりトーンダウンされた物言いをなさったような気がいたします。  安倍内閣と麻生内閣のときは、核実験ミサイル発射に関して、武器の禁輸とか北朝鮮に出入りする船の貨物調査とか、それから金融制裁とか、具体的なことを書いて、関係各国は何をすべきかまで書いたんですよ。これ、安倍内閣のとき、私は補佐官で官邸にいました。あの日のことはよく覚えています。前々からもうシミュレーションをして、みんな緊張していました。シーファー大使に来ていただこうとか、細かいことを全てきちんとやり遂げて、そして、外務省は実は安保理決議の文案に反対したんです、こんな厳しい文案出したら中国が乗ってくるわけがない、拒否権発動されるよと。しかし、日米の連携の中で、いや、このボールでいってくれということで働きかけたんですよ。まず外務省は最初邪魔するんです、失敗すると恐ろしいから。  ですから、そうした経験値に基づいてのことかもしれませんけれども、やはり政治判断、政治決断でリードしていくのは外務大臣のお役目なんですから。さっきの答弁を聞いていたら、全く外務省にほにょほにょほにょと抱き締められて、これ決議まで持っていこうという気概があるのかどうか不安になりましたけれども、いかがでしょうか。
  58. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 現実にどういう外交働きかけをしているか、どういう例えば安保理で形式、内容、タイミングについて我が国の主張をしているかということについて、私は外で具体的に語ったことはこれまでありません。国際社会発射が強行されれば明白な安保理決議違反であるわけだから、適切に安保理も含めて対応するんだと、しかるべく対応するんだと、このことをずっと繰り返して申し上げてきたわけです。その姿勢に全く変わりはありません。  そういう意味では、私として求めてきたこと、求めているものというのは変わりません。ただ、今まさに安保理において、国際社会で確固たるメッセージを出すべく調整が行われているということでございます。
  59. 山谷えり子

    山谷えり子君 拉致問題を抱えている日本でございます。一番最初にリードし、一番高い球を投げながらリードし続け、実現させてほしいと思います。議長声明では全くぬるい、効果がありませんので、きちんとした安保理決議を目指していただきたいと思います。  北朝鮮に出入りする船舶への貨物検査というのが安保理決議に入れられていたんですけれども、日本としては、この北朝鮮に出入りする船舶のリスト、どのようにどう動いているか、これがあるんでしょうか。松原大臣お答えください。
  60. 松原仁

    国務大臣松原仁君) そのリストに関しては、現在ここには持ち合わせておりません。
  61. 山谷えり子

    山谷えり子君 ここに持ち合わせていないのは、それはそれでいいんですけれども、しっかりと、これ、船の名前ころころ変わったり、私どもも一部はフォローしておりますけれども、フォローし切れない部分があります。ですから、政府として、きちんとリストをいつも持ちながら貨物検査、アメリカなどはよくやっております、そうしたことも、拉致問題を抱えている我が国でございますから、しっかりと機能させていただきたいと思います。  さて、野田総理は二十九日から訪米なさると聞いております。松原大臣も三十日ぐらいから訪米を考えているとも聞いておるんですけれども、いかがでしょう。
  62. 松原仁

    国務大臣松原仁君) まだそういう話にはなっておりません。
  63. 山谷えり子

    山谷えり子君 毎年のように、拉致議連、家族会、救う会、訪米しております。拉致議連、家族会、救う会、今回は五月の六日ぐらいからまた訪米しようと思います。  去年は松原さんは事務局長として一緒に行ってくださいました。あのとき、内閣府の東祥三副大臣が同行をしてくれました。今年も是非私たちと一緒に、松原大臣アメリカに行ってほしいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  64. 松原仁

    国務大臣松原仁君) 私は、今まで行ける機会は必ず行ってアメリカ側に日本拉致問題に関する基本的な立場を説明し、また様々な事柄について、例えばテロ支援国家指定解除のときには、御案内のように、クリストファー・ヒルとも激しい議論をしてまいりました。その思いは変わりませんが、あとは日程上の問題で今調整をしているところであります。
  65. 山谷えり子

    山谷えり子君 そうなんです。去年一緒に行ったときも、松原大臣は舌鋒鋭くアメリカ当局、議員たちに迫っておられました。財務の担当者には、金融制裁がいかに効くものであるか、更にもっとやろうじゃないかと。あるいは、テロ支援国家の再指定やってほしいというようなことを外交委員長などにも訴えた。あるいは、食糧支援というのがいかに機能しないかと、むしろ幹部のぜいたくや核、ミサイルの開発に使われてしまうんだから、食糧支援やめてほしいなどと私たち働きかけてきました。そして今回、ミサイル発射です。  その後に訪米なさる、これは改めてこの路線で恐らく松原大臣働きかけを強めてくださるものというふうに思いますけれども、今の答弁はそういうことでございますね。
  66. 松原仁

    国務大臣松原仁君) どちらにしても、まだ未定の話でありますので、それ以上申し上げられません。
  67. 山谷えり子

    山谷えり子君 今年も「すべての拉致被害者を救出するぞ!国民大集会」、四月二十八日開かれます。これも毎回のように私も松原大臣も出席しているところでございますが、今年はデービッド・スネドンというアメリカの青年ですね、中国雲南省で拉致された疑いがあるということで、このワシントンの北朝鮮人権委員会拉致の報告書にも書かれております。ケント・ギルバートさんもアメリカに行ってスネドンさんの御両親にいろんな状況を聞いてきている。このアメリカ北朝鮮人権委員会でスネドンさんを拉致ではないかと認定している。これをリードしたのがチャック・ダウンズという首席担当官です。松原さんも私も非常に懇意にしながら議論を進めてきた人でございます。  アメリカ、このスネドンを政府として正式に認定していくという、この働きかけというか意見の交換はなさいましたでしょうか。
  68. 松原仁

    国務大臣松原仁君) チャック・ダウンズ氏とは、この間も例の「Taken!」という雑誌のときに来られましたが、このお話は承ってはおりません、直接には。
  69. 山谷えり子

    山谷えり子君 もしアメリカに行かれるなら、是非スネドンさんの御家族ともお会いして、といいますか、この集会に実はスネドンさんの兄弟二人が来日なさいます。二十七日から三十日までいらっしゃいますので、是非日本でお会いになられて、そして、もしワシントンにいらっしゃるならば、この件を是非テーマとして働きかけをしてほしいと思っていますが、いかがでしょうか。いらっしゃるときにはお会いくださいますでしょうか。
  70. 松原仁

    国務大臣松原仁君) スネドン氏については、米国NGOによる報告書において、その失踪に北朝鮮が関与していることが強く疑われる旨指摘されております。スネドン氏の両親は米国政府に捜索を依頼していることも承知しております。  これまでも日本以外の国の方で北朝鮮によって拉致された被害者がいることは明らかになっており、従来から各国との間で綿密な連携をしているわけでありますが、この四月二十九日、そのときにいらっしゃるのであれば、時間が合えばお会いしたいというふうに思います。
  71. 山谷えり子

    山谷えり子君 かなり細かくいろいろフォローして委員会としては認定したので、アメリカ働きかけて、アメリカ人も拉致されているんだということを詰めていただきたいと思います。  松原大臣はこの特別委員会で、今年は勝負の年であると、特定失踪者に特に言及をなさって、拉致可能性を排除できない事案、特定失踪者、三回にわたって、短い発言の中で三回にわたって言及をしていただきました。また、今月末でしょうか、納品が、「すべての拉致被害者の帰国を目指して」という政府拉致問題対策本部のパンフレットに特定失踪者をきちんと書き記していただいた。大変な進み方だと思っています。  是非、更に進めて、政府に専門調査会、拉致対策本部に特定失踪者を調査する専門調査会という部署をつくってほしいんですけれども、いかがでしょうか。
  72. 松原仁

    国務大臣松原仁君) これまで政府として、北朝鮮当局による拉致可能性を排除できない事案について、国内外の捜査、調査を進めております。御指摘の点については、現在、認定分科会において、特定失踪者問題についても関係府省間で情報交換、意見交換をしているところであり、その中で関係者等からの意見の聴取も検討してまいりたいと思います。私自身、先般、荒木さんが集めて、特定失踪者の御家族の方と意見交換をしたところであります。  また、委員指摘の専門部署の設置については、御指摘趣旨を強く受け止め、まず特定失踪者問題を専属的に担当する職員を指名することというふうに考えております。今日から指名していきたいと思っております。その上で、今後の組織の在り方については引き続き研究、検討してまいりたいと、このように思っております。  いずれにしても、拉致問題対策本部事務局、警察等の関係機関が連携を図りつつ、事案の真相解明のために取り組んでいきたいと思います。
  73. 山谷えり子

    山谷えり子君 特定失踪者の家族の皆様から面会の様子を聞きまして、大変に心強かったと感謝していらっしゃいました。  その上で、さらに、三組ぐらい家族を、三組ぐらいを三か月に一回ぐらいきちんとしたヒアリングをしていただける場所をつくっていただけないかということですが、いかがでしょうか。
  74. 松原仁

    国務大臣松原仁君) そういう機会を、頻度の問題や具体的なスケジュール感というのは全体の中で考えなければいけませんが、そういう機会は私もつくる必要はあろうかと思っております。
  75. 山谷えり子

    山谷えり子君 特定失踪者が二十四人、人権救済申立てというのを三月二十三日までに行っておりますが、これは野田総理松原拉致問題担当大臣に対して行っているわけですけれども、せめてこの二十四人は、例えば山本美保さんも入っていらっしゃいますし、青森の木村かほるさんとかも、本当にこれまでずっといろんなことを積み上げてきた方たちが入っていらっしゃいますので、せめてこの二十四人全員はヒアリングをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  76. 松原仁

    国務大臣松原仁君) いわゆる十六人、平成十六年に十六人が、最初に荒木さん等によって日弁連を含めて救済申立て、行われたわけであります。御案内のとおり、十六人のうちの三人は、一人は松本京子さんで、二人は朝鮮籍の姉、弟ということで、十六分の三は日本の警察によって拉致認定をされておるわけであります。国籍問題がありますので、いわゆる認定被害者とは違う扱いが二人おりますけれども。  したがって、私は、この十六名というのは確率からいって極めて拉致事案の様相が濃いものであるという認識を持っておりまして、それだけのものを特定失踪者調査会の方で絞り込んで、今度は二十四名、プラス八名でということでありますから、今委員指摘の点については、前向きにというよりはもう是非個別に、五人、六人の少人数の割当てにしても会っていきたいと、このように思っております。
  77. 山谷えり子

    山谷えり子君 力強い答弁、ありがとうございました。  それから、家族が高齢化していることから家族のDNAデータを取っておいてほしいというような要望があるんですけれども、それについてはいかがでしょうか。
  78. 松原仁

    国務大臣松原仁君) 現在、特定失踪者も含め北朝鮮による拉致可能性を排除できない事案について、拉致問題対策本部事務局は、警察等の関係機関と綿密に連携を図りつつ調査を進めているところであります。DNA鑑定のためのサンプル提出を御家族に求めることについては、警察の捜査等の状況も踏まえ、個別の事案に即して検討しているところであります。  そして、国家公安委員長として、今後とも、これは個別の事案になりますが、捜査上の必要性を勘案し、試料採取を行っているのが現状でありますが、今後とも、告訴・告発事案を中心に、拉致可能性を否定できない方の御家族からDNA型鑑定のための試料を収集することについて最大限取り組むように指導してまいりたいと思います。  別の表現を使うならば、御家族拉致可能性を否定できない中で、試料を提供され、告訴、告発をされたときには、特定失踪者等の本人確認のためにDNA型鑑定をするように、国家公安委員長として警察庁を指導していきたいと思います。
  79. 山谷えり子

    山谷えり子君 期待しておりますので、どうぞスピードを持ってお願いしたいと思います。  それから、以前から自民党は自衛隊法の改正案を出しているところでございます。朝鮮半島で雪崩のようなことが起きたときに、これも実は松原大臣とは、おととしの十一月ですか、延坪島の砲撃の前でしたけれども、韓国に行きまして、韓国に説明してまいったところでございます。今の法体系ですと、外務大臣総理の承認を得て、防衛大臣が自衛隊、安全である場合、確認して輸送に出すというようなことになっておりますけれども、必ずしも安全でないからこそ自衛隊の輸送機で日本人を輸送しなければならないと。拉致の被害者、あるいは韓国でビジネスしていらっしゃる方、今四万五千人ぐらいいらっしゃるんでしょうか、観光客一万五千人ぐらいいらっしゃるんでしょうか、どのように輸送するか、どうしても自衛隊法の改正が必要でございます。  拉致議連として働きかけましたところ、民主党政権としてはなかなかやってくれないんです。菅総理は、大いに議論しようじゃないかと拉致の被害者家族皆さんの前で言って、みんなすごく喜んだのに、一週間か二週間後に撤回してしまいました。今回こそは是非これを成立させたいんです。  拉致議連といたしましては、先日、民主党の中井拉致問題対策本部長が是非説明に来てくれと言うので、私参りましたけれども、自衛隊法の改正、これ是非内閣として乗って、今国会で成立させたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  80. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) その問題意識は、今の法体系からすると、私は理解をいたします。その上で、今、現時点、私たちは、そういった事態になったときに遺漏なきようにどうするかということで今対策を考えていると。これは韓国にしても北朝鮮にしてもということだと思います。  自衛隊法改正全般をどうするかということについては、今私の責任でお答えをするというわけにはまいりませんので、政府の中で検討していかなければならないだろうと、そういうふうに思います。
  81. 松原仁

    国務大臣松原仁君) 自民党から自衛隊法改正案が提出されていることは承知をしておりますが、拉致問題に関しては、いかなる場合においても拉致被害者を含めた邦人の安全確保が極めて重要であります。  政府としては、状況に応じた対応に遺漏なきを期すのが当然であると考えておりまして、そのおっしゃっている意識は非常に理解をするところであります。
  82. 山谷えり子

    山谷えり子君 松原大臣も理解する、そして玄葉大臣も法体系から理解できるところだということですので、期待しております。  イラン・イラク戦争が起きたときに、サダム・フセインが、四十八時間以後、この上空を飛ぶ飛行機は撃ち落とすと言った。各国は輸送機を出して、あるいはいろんな航空機を出して自国民を自国にそれぞれ連れ戻したと。しかし、日本は自衛隊機を出せなかった。つまり、この自衛隊法の改正がないと出せないわけですね。そして、民間機も嫌がったと。結局どうしたかと。トルコの民間航空機が、二百五十人でしたか、日本人を乗せて日本にお届けくだすったんですよ。こういうことをずっとほっておいたということはもう本当にあってはならないことですし、今まさに北朝鮮状況、このような状況でありますので、法律をお通しいただきたいと思います。  朝鮮学校の無償化に関しては、これはもう延坪島砲撃以前に戻ったどころか、もう完全に言語道断な話だということで、もうないことになったと私は理解しますが、拉致問題担当大臣はいかがでしょうか。
  83. 松原仁

    国務大臣松原仁君) 朝鮮学校無償化に関する問題に対しては、私は、拉致被害者家族の切なる思いを踏まえ、これまでも慎重に対応すべきであるということを述べてまいりました。今般の北朝鮮によるミサイルと見られる飛翔体発射を受け、私としてはその思いを更に強くしているところであります。  いずれにしても、朝鮮学校無償化に関する問題については、総理から指示を受けて文部科学省が厳正な審査を行っているところであり、その結果を踏まえ政府全体として適切に判断されることになるものでありますが、本件は閣議にかかる事項ではありませんけれども、政府として判断される際には私としても意見を述べさせていただく所存であります。
  84. 山谷えり子

    山谷えり子君 しっかりと意見を述べていただきたいと思いますし、もう二十四年度予算に朝鮮学校の無償化が満額入っちゃっているんですよね。しかし、全くあり得ないということを主張していただきたいと思います。  先ほどの自衛隊法の改正ですが、今日、防衛務官がいらしてくださっていますので、今の自衛隊法ですと安全を確認して防衛大臣が命令するということになっておりますが、必ずしも安全でないから輸送機を派遣するわけですから、この自衛隊法の改正案についてどのようにお考えか、お聞かせください。
  85. 下条みつ

    大臣政務官(下条みつ君) 先生おっしゃっているとおりでございますし、また御党から提出いただいたいろんな自衛隊法について、十分に私どもも吟味させていただきながら対応させていただきたいというふうに思っております。  以上です。
  86. 山谷えり子

    山谷えり子君 今回のミサイル発射で、韓国分析によれば七百億円ぐらい掛かったと。これは北朝鮮の八割の人々の最低の一年間食料を賄えるだけのものです。本当にとんでもない、平和を乱すことをしたわけでございますし、私たち拉致問題を抱えているわけでございます。しっかりと国際社会に向けて、リードする立場で拉致問題の解決、そして核・ミサイル問題の解決へ向かっていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  87. 大塚耕平

    委員長大塚耕平君) 速記止めてください。    〔速記中止〕
  88. 大塚耕平

    委員長大塚耕平君) では、速記を起こしてください。
  89. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 自由民主党の塚田一郎です。  早速、先日の北朝鮮ミサイル発射に伴う政府の大変な迷走について御質問したいと思うんですが、今日は長浜官房副長官にお越しをいただいております。  なぜ、アメリカ早期警戒情報SEWが七時四十分ごろ入電をしたにもかかわらず、四十分以上の時間を政府の正式な発表に要したのかということ、これについてまず御説明願いたいと思います。
  90. 長浜博行

    内閣官房長官(長浜博行君) 先生指摘のように、四月十三日の金曜日の七時四十分ごろに北朝鮮から何らかの飛翔体発射をしたという早期警戒情報SEWの受信が確認をされたところでございます。その後、情報収集を行いまして、当該飛翔体が洋上に落下した模様だということで、我が国に対する影響はないと考えたところでございます。  時間が掛かったというところでございますが、八時三十分の時点では、発射に関しては確認中であるけれども我が国領域への影響はないものと考える旨の情報をエムネットを使って伝達をしたところでございます。その後、安全保障会議等々を開きながら、随時、官房長官記者会見等々で情報発表していったところでございます。
  91. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 もうそれ自体が非常に遅いわけでありまして、何でそんなに時間が掛かったのかということを今日は少し詳しくお伺いしたいと思っているんですが、一番の問題は、資料に付けさせていただきました、資料三の一でありますけれども、これは八時〇三分に政府から発信をされたというエムネットの文章であります。「北朝鮮が、人工衛星と称するミサイル発射したとの一部報道があるが、我が国としては、発射確認していません。」と。これが非常な大きな混乱を地方自治体に対しても国民に対しても生じさせたわけですよ。もうテレビではどんどんどんどんミサイル発射したという報道が流されているわけです。韓国のテレビ、そしてまた日本のメディアもそれを追って報道しているにもかかわらず、政府の唯一の一番初めに発表されたこの八時〇三分の内容が、発射確認をしていないと。  これは非常に混乱を招いたと思うんですが、なぜこのような文章をこの時点で発信されたんですか。
  92. 長浜博行

    内閣官房長官(長浜博行君) 先生おっしゃられるとおり、当初の確認SEWによって確認をしたところでございます。この八時三分の時点での対応においては、我が国に飛来する飛翔体発射確認されていないとの趣旨でエムネットに先生がおっしゃられるとおり情報発信を行いました。その時点においては、何らかの飛翔体発射があったということは確認をしましたけれども、それが我が国に向けて飛来していないことは把握をしていましたけれども、七時四十分に発射された飛翔体がいわゆる画像で見ていた大きなあのミサイルであるのか、あるいは数発撃たれるような形での短距離ミサイルである、この可能性というのはその時点においては把握ができなかったわけでございます。  今後更に当該ミサイル発射される可能性が排除できないことから、危険が去ったとのメッセージとむしろ受け取られないよう、北朝鮮人工衛星と称するミサイル発射したとのおっしゃられるとおりの一部報道はあるが、我が国としては発射確認していないという形での文案を発表したところでございます。
  93. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 この文章は、どなたが作成をして、官房長官総理等の確認を取って発信をされたものですか。
  94. 長浜博行

    内閣官房長官(長浜博行君) この第一回目の文章は、危機管理センターの長であるところの危機管理監によって発信をされた文章でございます。総理官房長官と話し合いながら文章ができたというものではないと承知をしております。
  95. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 そうすると、これは米村さんとお読みするんでしょうか、内閣危機管理監が文章を作って、官房長官総理の決裁をなしに発信をしたということでよろしいんですね。
  96. 長浜博行

    内閣官房長官(長浜博行君) そのとおりでございます。
  97. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 まずこれ自体が私は非常に驚いてしまうわけですが、官房長官がこれだけ重大な内容を確認せずに、危機管理監の独断の判断で、しかもこのような問題のある内容の電文を発信したということは、私はゆゆしき問題だと思います。確認をされていなかったとしても、情報が入っているわけですから、発射確認していませんなんて文言になるはずないんですよ。普通だったら、こういう情報があるけれども今確認中であるというような、少なくともそういう表現にするべきですよ。そうでなければ混乱を来すに決まっているじゃないですか。いろんな情報を発信しているというけど、政府はあたかも発射がなかったかのような内容がこの文章なわけですよ。  なぜこんなような文章になったのかということについて、私は政府は全然説明できていないと思うし、さらにそれが官房長官確認をしていなかったということは大問題だと思いますが、副長官、どうお考えですか。
  98. 長浜博行

    内閣官房長官(長浜博行君) 今申し上げましたとおり、この第一報の時点の中においては、官房長官も記者会見で述べているとおりでありますが、SEWにおいての確認は取れておりますが、我が国情報としての確認が取れていない、いわゆるダブルチェックという言葉を使っておりますが、そういう状況の中での正確な、ある意味で正確な状況を報告をし、そして、先生の場内配付をいただきました資料によりますこの八時三十分の二報においては、「確認中であるが、我が国の領域への影響はないものと考えられる。」というような形になっているわけでございます。  また、先生がおっしゃられた、問題である問題でない等々含めての検証につきましては、本日、北朝鮮ミサイル発射事案に関する危機管理の対応の検証というチームを立ち上げて、先生の御質問趣旨にあるような部分の中においての検証作業を開始することとしております。
  99. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 その後の文章は正確な情報が入ってくればそう変わっていくのは当たり前の話で、最初の情報が大事なんですよ。この早い時点でどういう情報国民に流すか、そこの精度が一番重要なところでありますから、その点についてきちっとした検証をしていただかなきゃいけないということであります。  官房長官が記者会見などでもおっしゃっていることでありますけど、実は防衛大臣から官房長官に八時〇三分ごろに電話連絡があり、SEW情報だけでなくレーダー情報なども総合して、日本への飛来を示すレーダーもその後なく、我が国に安全を脅かす事態を生じていないということをこの同じ時点で伝えていらっしゃるわけじゃないですか。にもかかわらずこのような電文が発信をされたということは、私は政府内の情報連携が全くなっていないというふうに思うんですが、副長官、いかがですか。
  100. 長浜博行

    内閣官房長官(長浜博行君) 先生のおっしゃることに関してでありますが、SEW情報そのものにおいても、早期警戒情報でも、通常発射場所、発射方向発射段数、発射推定時間、落下予想地域等が含まれるわけでありますが、この七時四十分に得たSEW情報では発射段数、落下予想地域等が不明であった。こういう状況の中においては、七時四十分の時点の中におけるそれぞれ韓国等の報道等があったことは承知をしておりますが、こういった形の判断をしたものというふうに存じているところでございます。
  101. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 それでは、政府がダブルチェックとして確認ができたのは、どのような方法をもって、どの時点で確認ができたんですか。
  102. 長浜博行

    内閣官房長官(長浜博行君) これは、その後、安保会議等を開く過程の中において、各国からの情報、あるいは、現在報じられているとおり、地球の、まあ日本からいう水平線の下の段階の中では把握できない。把握できているところのレーダー情報等々を集めた段階の中において確認ができたわけであります。  特に、十一時の時点での画像といいますか、委員の皆様方が見ておられた、あの本体が既になくなっている状況の中において、十一時五分に開かれた安全保障会議を開催した時点の中において正式に発射をされたということを確認をしたわけでございます。
  103. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 そうすると、日本独自のレーダーなど、あるいは日本イージス艦などによる確認は最後まで取れなかったということでよろしいんですか。
  104. 長浜博行

    内閣官房長官(長浜博行君) 今の質問に関しましては、落下をした地点が今申し上げたような形での日本レーダー情報の中で把握ができなかったという状況の中においては、委員のおっしゃるとおりだというふうに思います。
  105. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 それでは防衛務官にお尋ねをしますけど、防衛省米国イージス艦の追尾情報確認したのはいつですか。
  106. 下条みつ

    大臣政務官(下条みつ君) 先生、今の話の流れの中で、正確な時間等はちょっと防衛問題また同盟の関係お話しできませんが、最初飛翔して、それが例えば、これはプロの話になるんですが、ダミーでいろいろミサイル発射することも可能性の中に含まれていると。幾つかの情報の中で最終的に、今官房副長官からありましたけれども、正式な情報はやはりイージス艦の、米国が公海にありますので、その段階で確認し、そんな情報の中で私どもは判断させていただくまで時間を要したということであります。
  107. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 いや、報道等では、十分後ぐらいに米国イージス艦の追尾情報が入っているんだと、それで発射失敗したということは確認できているはずだということになると、いずれにしても八時ぐらいの時点においてはダブルチェック日本レーダーは捕捉できなかったかもしれないけれども、アメリカの早期警戒衛星の情報、さらにはそのアメリカ、同盟国であるアメリカイージス艦の追尾の状況等によってどういう状況であったかということは判断できたはずなわけですよ。にもかかわらず、延々と時間がたっていって、最後、しようがないから、どこかで見切り発車のような形で防衛大臣がこれまた官房長官がやるはずの記者会見をやってしまったというのが今のお話の私は状況のてんまつじゃないかと思うんですが、こういうこと自体が非常に我が国の危機管理の脆弱さを示していることになるわけですよ。  政府にとっては非常に大きな問題を起こしていると思いますが、副長官、御認識はいかがですか。
  108. 長浜博行

    内閣官房長官(長浜博行君) 今私が御説明をしたような状況の中において先生が問題意識を感じておられる部分に関しましては、先ほど申し上げました検証委員会の中で検証し、公表をしてまいるところでございます。
  109. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 もう少し別の角度でお伺いしますが、今回の時系列を見ていろいろ情報を整理をしていくと、アメリカの早期警戒衛星が確認をして、その後に韓国のいわゆるイージス艦がこれを探知をしているわけです。したがって、韓国は早い時期に報道等もなされていると。アメリカも同じように報道もあったわけでありますけれども、自国の恐らくイージス艦で捕捉をして追尾をしているというところまでは早い段階で分かっているわけですね。ところが、我が国レーダーは残念ながらこれを捕捉ができなかったために時間がたっていったと。  であるならば、同盟国の米国情報もさることながら、韓国の国防軍との情報連携ということが必要ではなかったかということが問題提起されるわけですが、この点について、防衛務官、いかがですか。
  110. 下条みつ

    大臣政務官(下条みつ君) 各外国との防衛情報の交換についてはちょっとここでは申し上げられないと思いますが、いずれにしても、私どものイージス艦は私どもの国を守るために私どもの領海で配置していたと。それ以外の部分については、韓国にとっては真横を通過するのをレーダーでキャッチできる、またイージス艦米国はその真横にいたのでキャッチできたと。その中の総合的な判断の中で今回の時系列になったというふうに私どもは認識しております。
  111. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 このお話はまた明日以降、外交防衛委員会あるいは予算委員会等でも議論をされると思いますが、きちっとやはり私は対処をしていただく、検証をまずして、こういうことの起こらないように何としてもしていただかなければならないと思いますが、一番大事なことは、日本がやはり静止衛星を持っていない、独自の早期警戒の仕組みを持っていないということなんです。  これは質問通告はしていませんので御意見で結構ですが、外務大臣、例えばですよ、安全保障上を考えたときに、日本はやはりこういう独自の静止衛星なりを持ってきちっとした形で情報を把握できるようにするべきだと思いませんか。政府を代表してお考えをお聞かせください。
  112. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 今の塚田委員の御指摘につきましては、私はやはり情報収集のための衛星というのは大切だというふうに思っています。かつて私、野党だったときに、いわゆる内閣府の持つ情報収集衛星を進めるべきだという立場に立っていたわけでありますけれども、今回の御指摘は、早期警戒衛星を持つべきだと、こういう御指摘だというふうに思います。  私は、今後検討していくべきだと思いますけれども、これまた私が代表して申し上げる立場にないものだから、政府全体としてやはり検討していかなければならない課題だろうというふうに思っています。
  113. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 それは問題提起をさせていただきます。  時間もたってまいりましたので、次に国連安保理対応でありますが、先ほども山谷議員との議論がございました。そう遠くない時間に恐らく議長声明になるという可能性が高いと思いますけれども、そもそも、では日本国として何を今回目指すべきだったのか、目指してきたのかということをやっぱり外務大臣からしっかりと今の段階でお話しできる範囲で御説明をいただきたいと思うんですが。  まず、端的に伺いますが、決議、私は制裁決議が一番いいと思いますが、少なくとも非難決議を目指していって結果として議長声明になるというのと、最初から議長声明でいいというのでは全然違うわけでありますが、その点についてどのように考えられてきたんですか。
  114. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 今この時点、まだ安保理対応決まっておりませんので、私の方から申し上げることは差し控えたいと思いますが、私はもう一貫しておりまして、やはり確固たるメッセージを出さなければならないということであります。具体的な形式も内容も、この間各国の外相に話をし、働きかけをしてきました。でき得る最大限の外交努力を払ってきたというふうに申し上げても過言ではないというふうに思っています。  まだ予断を持って申し上げることはできませんので、これ以上申し上げませんけれども、ただ、先ほど山谷さんの質問の中に二〇〇九年決議だったと、こういう話ありますが、二〇〇九年は議長声明でございます、核実験が行われて初めて決議になっていますので。  大事なことは、形式も確かに大事です。大事です。あとは内容ですね。どんな内容の、それぞれの形式の下でどんな内容のものになるのかということが大事でありまして、タイミングもそうですね。良い内容のものができるだけ早くできるのがいいに決まっているわけでありまして、私はこのことについてでき得る最大限のことを行ってきて、良い方向に向かっているというふうに思っています。
  115. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 外務大臣が良い方向に向かっているというのは、納得いく内容になるだろうということを多分ニュアンスとしておっしゃっているんだと思いますけれども、それは多分今聞いても個別のことはお答えできないということになるんだと思いますが。  外務大臣、最近、強い非難だけではなく、更なる挑発行為をいかに抑止するかという観点対応されるべきとコメントされていますよね。これがその内容ということのニュアンスだと思うんですね、そういう発言をされているわけですから。この辺り、少し具体的にお話しいただけませんか。
  116. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) それ以上なかなか決まるまで申し上げにくいんですけれども、やはり大事なことは、まずはやはり更なる挑発行為、特に核実験、〇六年も〇九年も、〇六年は確かに決議なんですよ。その後、結果としてまた核実験を行っているわけです。〇九年は議長声明なんですね。内容についての評価はそれぞれあるかと思います。思いますが、またその後核実験をして決議になっているんですね。その後、ちなみにミサイル撃った後は、何と、あれですよ、〇九年のときはたしか議長によるプレス向け発言で終わっちゃっているんですね。  だから、私はどういう意味を込めて申し上げたかといえば、やはり更なる挑発行為に対して確固たる姿勢で臨まないといけないと、そういう意味を込めて申し上げたということでございます。
  117. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 御発言いただけないのは致し方ないかもしれませんが、更なる挑発行為というのは次の核実験ということをどのように抑え込んでいくかということだと思いますが、そういう認識でいいですか。
  118. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 更なる挑発行為の中には、おっしゃるように核実験というのは入っております。
  119. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 分かりました。とにかく今進んでいる過程でありますけれども、最大限の日本としての発言力、特に中国がキーでありますので、そこに対してしっかりとグリップをしていただきたいと思います。  次に、朝鮮学校の無償化について、先ほども議論がありましたが、松原大臣は答弁書を読む感じでございましてはっきりいたしませんので、もう少し突っ込ませていただきますけれども、そもそも、文部科学務官お越しいただいていますが、今、無償化手続、朝鮮学校に対してどのようになっているか、簡潔で結構です、お答えください。
  120. 城井崇

    大臣政務官(城井崇君) お答えを申し上げます。  朝鮮学校につきましては、規定に基づき厳正に審査を行っているところであります。現時点では具体的な審査終了の時期について述べられる段階にはないという状況であります。
  121. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 まだこのミサイル発射に至っても審査中と。驚くばかりであります。そもそも我々はこの朝鮮学校に対する無償化適用は認められないということを強く申し上げているわけでありますけれども。  それでは具体的にお伺いしますが、二〇一〇年十一月の延坪島砲撃事件後、我が国を含む北東アジア地域全体の平和と安全を損なうものであり、不測の事態に備え、万全の態勢を整えていく必要があるとして、手続は政府により停止をされました。それではお尋ねをしますけれども、この今まさにミサイルが飛んできたと、日本に、上空を飛んだかどうかは別として、こういう新たなミサイル発射という状況は、まさにここで書かれている北東アジア地域の安全と平和を損なうような事態じゃないですか。その状況の中で今どうなっているかということをお尋ねをしたいわけでありますけれども、まず外務大臣にお尋ねをしますが、今のこの状況、まさに平和と安全を損なう事態だと思われませんか。
  122. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 今回の事態でも分かるように、北朝鮮というのは、もうその行動を確定的に予測することができないと、こういうことだと思います。
  123. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 同じ質問を、松原大臣お願いいたします。
  124. 松原仁

    国務大臣松原仁君) 既に私は、私の趣旨は、先ほど申し上げたように、拉致被害者家族の心情等を察するときに、そもそも論としてこういった無償化という問題は慎重にするべきだということを申し上げました。  今回のこういったことを受け、私は更にその思いを強くしているということであります。
  125. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 その思いというのは、無償化適用すべきでないということですね。
  126. 松原仁

    国務大臣松原仁君) そういうことであります。
  127. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 はっきりお答えいただきましてありがとうございます。  松原大臣に、大臣就任後に、救う会新潟の高橋会長の御面会で御同席をしたときにお話をしたんですが、政府全体の動きが大事なんですよ。松原大臣だけが頑張っても駄目なんです。政府全体として野田政権がこの問題にどう臨んでいくかということを示さないと、問題の解決の前進にはならないんです。  したがって、この高校無償化は、文部科学省が今検討していますなんていうことでは駄目だということを我々はずっと申し上げているわけで、政府として一貫した態度を対北朝鮮で取っていくということが、拉致問題、そして核、ミサイルという懸案事項の解決にとって不可欠なんであります。  その認識を改めてお伝えをしたいわけでありますが、もう一度、玄葉外務大臣お答えお願いしたいんですが、そういうことも踏まえて今、松原大臣はおっしゃっていただいたわけですが、外務大臣としてということよりも、お考えを聞きたいんですけれども、無償化というのはもうやめるべきだと思いませんか。
  128. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) これはあくまで教育上の観点から政府としては客観的に判断するという立場を取っているというふうに理解をしています。
  129. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 これが政権内で方向性が一致していないことの表れであります。国税、いわゆる国の税金をもってなされる無償化に、教育上の問題あるでしょう、しかし北朝鮮はこのような行為を続けている。しかも、先ほど大臣がおっしゃったとおり、不確定な要素がたくさんある。次、何をするか分からない。少なくとも延坪島に対する砲撃で停止をしたものを、我が国にとっての安全保障上の脅威が更に高まっている段階で停止をしないなんてことは私はあり得ないと思いますが、文部科学務官、お考えがあったらお聞かせください。
  130. 城井崇

    大臣政務官(城井崇君) お答えを申し上げます。  少なくとも現時点で、総理から今回の審査を止めよという指示については、今のところまだ受けていない状況であります。そうした状況を考えますと、基本的には厳正な審査を徹底的にやらせていただくということを続けるということになろうかというふうに思います。
  131. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 文部科学省は、菅総理が最後にどさくさ紛れに指示をした、もう一度審査をしろという指示を従って今でもやっていかなければならないという認識に立っているようですが、官房長官はいらっしゃいませんが官房副長官はお見えでございますので、政府として今申し上げてきたような議論を考えて、もうここは少なくとも、この無償化手続は停止、私はもう適用はやめると政府は判断をすべきだと思いますが、いかがですか。
  132. 長浜博行

    内閣官房長官(長浜博行君) 今、外務、文科、あるいは拉致担当大臣からも発言があったわけでございますが、その発言を参考にしながら、かつ、今また手元にありますが、今日午後本会議でなされた北朝鮮による弾道ミサイル発射に抗議する決議案、この重さを重要に受け止めて対応させていただきたいと思っております。
  133. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 参考にするということなので、松原大臣、頑張ってください。松原大臣が大きな発言力を持っていただければ、私はこの状況というのは間違いなくこの無償化はないというふうになると思っておりますので、改めてこの問題について松原大臣の決意をお聞かせください。
  134. 松原仁

    国務大臣松原仁君) 政府全体としてこの件は適切に判断されることになりますが、本件は閣議にかかる事項ではありませんが、政府として判断される際には私も意見を述べさせていただきたいと思っております。
  135. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 松原大臣とは同志として拉致議連で何度も同じ行動を取ってまいりました。期待をしておりますということを最後に申し上げます。  もう時間が少し、残り僅かになりましたので、先ほど追加制裁のお話もあったんですが、今朝も救う会、家族会からファクスをちょうだいいたしました。ミサイル発射を受けて、北朝鮮へ送金と現金持ち出しの全面禁止、全ての在日朝鮮人への北朝鮮を渡航先とする再入国不許可という実効性のある制裁を発動すべきであるというふうに文言が書かれておりました。  改めて、先ほどいろいろお話があったわけでありますけれども、少なくとも再入国の不許可については朝鮮総連副議長に拡大をすべき等の具体的な追加制裁を取るべきだと考えます。松原大臣、いかがですか。
  136. 松原仁

    国務大臣松原仁君) 先ほども御答弁申し上げましたように、十三日の閣僚懇において私個人は、こういった北朝鮮飛翔体発射したと、ミサイルと思われる飛翔体発射したことを受けて追加制裁を発動するべきであるということをあえて申し上げたところでありますが、最終的には内閣全体で判断することというふうに理解しております。また、その判断したときには様々なメニューも議論されると思っておりますが、これは内閣全体で議論することと認識をいたしております。
  137. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 山谷委員質問に関して先ほど外務大臣からお話があったんですが、手元の資料だと二〇〇九年は安保理決議第一八七四号というふうな資料があるんですが、その点、確認できたらお答えください。
  138. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 二〇〇九年の話でいえば、四月の五日に人工衛星が打ち上げがあって、四月の十三日に議長声明、五月の二十五日に核実験が実施され、六月十二日に決議一八七四、そしてミサイル七発発射が七月四日、七月六日に議長によるプレス向け発言と、こういうことになっています。
  139. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 間違いだったらあれですが、先ほど二〇〇九年は決議じゃないと外務大臣が御発言をされたやに伺ったので、その点の訂正をお願いしているんです。
  140. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) いやいや、訂正する必要はなくて、先ほども申し上げましたけれども、人工衛星、いわゆる人工衛星と称するミサイルが打ち上げられて、その後、安保理での対応は議長声明だったんです。そして、核実験が行われて決議があったということで、先ほど私そう言ったはずです。
  141. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 分かりました。その点はちょっと話のかみ合わなかった点があったかもしれません。  もう時間になりましたので、今日はこれで終わらせていただきますけれども、非常に大事な今局面に来ておりますし、どうも昨日辺りの報道を見ていると、北朝鮮もかなり慌てていろいろなことをし出しているようにも思えます。新たな軍事パレードで長距離ミサイルも公開をされたりしているわけでありまして、非常にこれからも重要な局面が来ると思います。核実験もやる可能性が高いと思いますので、引き続きしっかりとした対応お願いして、今日の質問を終わります。  ありがとうございました。
  142. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。  最初に、先ほど広野委員質問されました、北朝鮮が今回のミサイル発射失敗を受けて核実験に踏み切る可能性、またそれをどう抑止するかという問題でありますけれども、これにつきましては既に玄葉大臣が先ほど答弁で、二〇〇六年、二〇〇九年、それぞれミサイルの後、核実験を行った、国際社会からの抑止の声もありながらもと。この場で予測することは困難、注視をしているという話がありました。まさに注視すべき問題です。  先ほど広野委員もおっしゃいましたように、北朝鮮我が国は千キロ、千五百キロ。で、ノドンミサイルは既に千キロ、千数百キロの射程距離で、これはもう既に一九九三年五月二十九日に試射済みであります。よって、我が国にとって危機は、今回のテポドン改良型の技術ではなくて、これはアメリカにとって危機かもしれませんけれども、ICBMにつながりますから、我が国にとって一番の危機は何かというと、核弾頭化ができてしまうかどうかが一番の危機であります。それをするための実験こそが核実験なわけですから、そういう意味ではこれをいかに抑止するかというのが重要であるわけでありますけれども、これにつきまして先ほど玄葉大臣が、更なる挑発行為抑止するために行動しているという答弁がありました。じゃ、具体的にこの核実験を行わせないために我が国としてどのような行動をしているのか、御答弁いただきたいと思います。
  143. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 先ほど申し上げたのは安保理の関連の話で、安保理のこれから対応が決定されるわけでありますけれども、やはりその中には更なる、おっしゃったとおりの核実験を含む挑発行為抑止するための内容、考え方というものが盛り込まれていくべきなのではないかということであります。  これは、我が国だけではなくて、おっしゃるとおり、核実験、特にいわゆる小型化の技術とか、そういったことが非常にやはり脅威になりますので、ミサイルだけでも大変な問題、おっしゃったとおり、スカッド、ノドン、これは実際にもう配備済みの話であります。テポドン2とかあるいはムスダン系とか様々ミサイル技術についてはある中で、さらに核という問題、二回もう既に核実験を行っているわけでありますから、どのようにしたら核実験を止められるのかということについて、これは我が国だけではなくて関係各国と率直な意見交換、議論も各外相としているところでもございます。
  144. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 今外務大臣から安保理決議に向けての交渉のいろんな話がありましたが、これについては、一説には制裁決議なり非難決議に中国が少し後ろ向きであると、そう言われています。なぜ中国が後ろ向きだと思いますか。
  145. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 二国間の外相間のやり取りを詳しく紹介することはできませんけれども、ただ、あえて言えば、中国もそれは朝鮮半島を非核化する、平和と安定を望んでいる、これはもう全く同じなんですね。しかし、それに至る手段とかツールという意味で必ずしも一致しないということがございます。それは、中国は中国の見方あるいは中国としての考え方というのが背景にあるんだろうというふうに思います。
  146. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 今、中国も朝鮮半島非核化については同じ意見であると。そうだと思います。  しかし、昨日の「日曜討論」でも中国の専門家が言っていましたけれども、制裁なり非難ということまでいってしまうと逆に孤立化を深めてしまって、逆に核実験に行かせてしまうという中国は見方をしているとか、それは正しいとは思いませんけれども、そういう見方をしているかもしれない。しかし、そうであるとしても、少なくとも朝鮮半島非核化については日本も中国もほかの国とも意見が一致をしているわけですから、少なくとも核実験を断固自制させるための決議はこれは求めるべきじゃないでしょうか。
  147. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 今内容のことで余り深く入った議論はちょっとしにくいんですけれども、いずれにしても、中国も核実験をやめさせたいと考えていることは間違いないというふうに思っていますので、その上でどういう方法がよいかということについて各国と今連携をしていると、そういうことでございます。
  148. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 安保理の会合が十三日に開かれて、この北朝鮮の問題については話合いだけだったんですが、その日に決議一つされているんですね、シリアに関しては。つまり、安保理では、北朝鮮の問題もある、シリアも問題がある、イランも問題があると、そういう中にあって米中がどういう立場を取るかという、こういうカードになっているわけですよ。そういう意味では、アメリカ頼みだけじゃなくて、日本自身がいろんなカードを私は持つ必要があると思っています。  その意味で、今回、北朝鮮ミサイル事案失敗の中で、新たな動きも、大きな変化もありました。一つは、マスコミ、メディアをあれだけ参加させた。二番目には、北朝鮮自身は今まで失敗と認めないのに失敗を認めた。そして、それに対して市民も割と冷静な反応をしていると報道も逆にしている。そういう意味では、圧力は掛けつつも、対話のカードも、なかなかアメリカ頼みというわけにも、アメリカにもそれは強く行動することを求めますが、日本自身も何らかのカードを持つ必要があると思っています。  ある意味では、これだけマスコミも入れながら、市民も反応するんであれば、外交ルートは何せないものですから、いわゆるパブリックディプロマシーというのかな、市民に語りかける、こういう外交をそろそろ日本北朝鮮にすべきだと思っているんですよ。これはなぜかというと、今回、核セキュリティサミットのときに、オバマ大統領韓国外国語大学で講演されましたよね。こういうことをおっしゃっているんですよ。  ここ韓国にて、平壌の指導者たちに直接語りかけたい、米国はあなたの国に敵意は持っていない、我々は平和にコミットしている、そして関係を改善する措置をとる用意がある、よって北朝鮮の母や子供たちのために栄養援助を行ったのです、しかし、あなたたちが行っている挑発的行為や核兵器を追い求めることが、あなたたちが求める安全保障を実現できなかったことは明らかであり、逆にそれを危うくしてしまったと、こう非難がいっぱい書いてあって、最後に、平壌の指導者たちに言いたい、あなたたちの前に選択肢がある、あなたたちが行わなければならない決断です、本日、私たちは言う、平壌よ、平和を追求し、北朝鮮の人民により良い生活を与えるための勇気を持てと。  これが、仮の私の訳ですけれども、オバマ大統領自身が語りかけている。多分これは何らかの形で伝わっているんですよ。しかも、相手は金正恩と言っていないんですよ。平壌の指導者たちと複数形なんですね。そういうふうに、伝わる相手が徐々に北朝鮮も独裁といいながら変わり始めている。そういうときにあって、今こそ日本がメッセージを出すべきなんだと私思っているんですよ。  そういう意味では、どういうメッセージかというと、拉致、核、ミサイルの問題に包括的解決行動北朝鮮が示せば、日朝平壌宣言の精神に基づいて、我が国として国交正常化、経済協力についての協議を再開する用意があることについて明確なメッセージをかなりハイレベルで出すタイミング、特に、もしかすると今は、ミサイル失敗をした、次に挑発ということじゃなくて、しかも変化もあるかもしれない、金正日の死去の中で、そういうタイミングだと思いますが、それぞれ、外務大臣拉致担当大臣見解をお聞きしたいと思います。
  149. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 今起きている、あるいは今回のミサイル発射失敗で起きている北朝鮮の内部の変化始め、様々なことに注意を払っていかなきゃいけないんだろうというふうに思います。その上で、先ほど有田委員質問にもお答えをいたしましたけれども、日朝平壌宣言違反であると、しかしこれは極めて重要な政治的な重みのある文書であるがゆえに有効性を失っていないというのは、私は一つのメッセージではあるだろうというふうに思います。拉致、核、ミサイル、包括的に解決する、そして不幸な過去を清算をして正常化交渉というのが我々の基本方針でありますので、これは私は変えないでいくということが我が国としては取るべき政策ではないかというふうに考えています。
  150. 松原仁

    国務大臣松原仁君) 金正恩体制が生まれて、金正日国防委員長が死んだ後、この状況は現在まではその遺訓政治がどちらにしても続いていると。遺訓政治という言葉をどういうふうにとらえるかといういろいろな議論があります。大きく見れば金日成の遺訓が続いているという議論もあるかもしれないけれども、短期的に一定のスケジュール感を持ってこういうことをやりなさいという指示が、さっき有田さんの質問で四十項目とかあったという話もありますが、これも含めてそれは一つの遺訓政治であります。その精神はずっと続くのかもしれません。  私は、今回の状況も含めて、現段階では金正日国防委員長の遺訓政治が続いているというふうに思っております。一定の段階になった段階でその金正恩がまさに彼の手で政治を始めるスタンスが訪れるかどうか、それを我々は注視をしているわけでありますが、私はその可能性はあるだろうと思っております。例えば、今回のミサイル飛翔体と称されるミサイル失敗したことをこのように認めるということもなかなか想定をしていなかったことでありまして、こういったことも含め、かなり違った新しい体制が生まれる可能性もあると私は思っているところであります。  こうした中で、委員おっしゃるとおり、従来と違ったメッセージを出すということも、私は、従来は明らかに厳しい対応をしながらという議論でありましたが、それだけでいいのかどうかということも含め、注視をする必要も一方にあろうかと思っております。  メッセージという観点からいけば、私はこの間、北に対して私なりのメッセージを出してきました。一つは、北朝鮮が具体的行動を取らなければ北朝鮮に対する圧力は強まることがあっても弱まることがないと。これは私の基本的な考え方でありまして、拉致問題は、被害者御家族が生きている間に解決すれば解決できるけれども、被害者御家族が亡くなってしまったら永久に解決できないと。永久に解決できないということは、永久に私は日朝国交正常化には影を落とすと私は思っております。  しかし、その一方において、北朝鮮が大胆な決断をしてこの拉致問題に対して一定の進捗というものをきちっと見せるならば、我々はそれに対して、我が国としても人道支援を始めとする前向きな対応は可能になるということもあえて言っているわけでありまして、そういったメッセージに対して新しい金正恩体制が、彼が遺訓政治を超えたところで一定の方向性を出すことは、それは期待はしているということであります。
  151. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 今まで外務省は、具体的な進展がないような対応はしないんだということを言ってきました。しかし、それでどんどん時間がたっていくと核弾頭は完成していくんですよ。拉致家族もどんどん年を取っていくんですよ。再調査を開始すると言ってからもう五年たつんですよ。そういう意味では、そろそろ積極的なメッセージ、金正恩体制になったがゆえに揺り動かすくらいのメッセージを日本は出すべきだと思いますね。  その一つとして、この前の予算委員会でも言いました北東アジアの非核地帯の問題、これについては、今までの外務省の考えは、北が核放棄をしなければ条件がないからできないんだと、こういうステップ、段階論でした。これをやっていたらいつまでたってもできない。しかし、あと二年、三年たったら小型弾頭化できちゃうんですよ、もう。そういうのであれば、北東アジア非核地帯と北朝鮮の非核化は同時達成すべきだと、こういうことを強くメッセージを出すべきだと思いますが、外務大臣、いかがですか。
  152. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) これは、たしか、実は岡田外相が野党時代に議連をつくっていまして、最初私がその事務局長だったものですから承知しているんです。結局は、何というんですか、北朝鮮がまず核を放棄してくれないとということにはなるんですけれども、その手段として使えるか使えないかということなんだと思うんですね。だから、その使えるのか使えないのかということは私は検討してみたいというふうに思っています。
  153. 大塚耕平

    委員長大塚耕平君) 時間が参っております。
  154. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 これはもう質問しませんので。  是非検討していただいて、もう時間がそれほど残っていないと。いわゆる小型弾頭化の問題もそうですし、拉致の問題についてももう五年調査が、再調査されていないんですから、そういう意味では、この金正恩体制の中で新たな展開を外務大臣また拉致担当大臣お願いしまして、質問を終えさせていただきます。
  155. 柴田巧

    ○柴田巧君 みんなの党の柴田巧です。  この委員会委員皆さんの問題意識がかなり似通っていますので、一番後に質問するのも非常にやりにくいところがあるんですが、また重なる部分もありますけれども、お許しをいただいて、しばらくお願いをしたいと思います。  先ほどからお話がありますように、今回のこのミサイル発射の強行を受けて、追加制裁措置をしっかりやるべきだということは当然のことであります。松原大臣もおっしゃいましたが、これまでの制裁も確かに効き目があったのは事実でしょうけれども、とはいえ、政府発表によれば、去年の十二月から今年の二月にかけても一億三千万円余り日本から北朝鮮に持ち出されている。まあ実際はもっとたくさんあるだろうという指摘でありますが、そういったことなども含めて、先ほどからお話がありますように、資金の規制の問題、あるいは北朝鮮関係の深い朝鮮総連の副議長などの再入国不許可の問題などなど、しっかり実効性のある措置をとっていかなきゃならぬと思っております。  このことについてお聞きをしようと思っていましたが、先ほどから答弁、お聞きをしました。これはこれで結構でありますが、いずれにしても、私の調べで間違いがなければ、十八年のときは、ミサイル一回目の発射のときは、七月五日に発射されてその日に制裁措置発表されておりますし、前回のときは、四月五日に発射されて四月十日にはそういう制裁措置発表されているわけで、やはり一部報道によれば、余り制裁を強化すると拉致問題等解決の糸口がなくなるんじゃないかと心配する向きもあるようですが、やはりこういうものはなるべく早期にしっかりとした措置をとるべきだと思いますが、もし、いつごろまとめられるというものがあれば、拉致担当大臣お答えをいただければと。先ほどの内容は大体分かりました、お考えは分かりました。
  156. 松原仁

    国務大臣松原仁君) 大変恐縮ですが、同じ答弁の繰り返しで恐縮でありますが、十三日の閣僚懇の場で、追加制裁を行うべきと、総理官房長官を含む閣僚の皆様に進言をしたところであります。  いずれにしても、今回の事態国連安保理決議への違反でもあり、国際社会動きを主導しながら連携し、政府全体として北朝鮮に対する対応を総合的に勘案して最終的な判断を行うことになると理解をいたしております。  以上です。
  157. 柴田巧

    ○柴田巧君 いずれにしても、先ほどからあることを是非盛り込んでいただいて、早期にやっぱり出していただきたいと思っておりますが、日本が独自に制裁措置を強めるのはもちろんのことですが、やはりこれは北朝鮮に対する強固な包囲網をつくっていくということが大事なことだと思います。とりわけアメリカとの連携をやはり強めていくということが、実効性をより高めて、いろんな意味でプレッシャーを掛けていくということは間違いないと思うわけですが、御案内のとおり、一九八七年に大韓航空機の爆破事件後、アメリカ北朝鮮をテロ支援国家に指定をしたわけで、その後、マカオなどでの北朝鮮の資金が凍結されるなど、相当のやっぱり制裁効果があったものと思います。  ただ、その指定を解除、二〇〇八年、ブッシュ政権の最後にですね、なって今日に至っておるわけですけれども、やはりこの金融・経済制裁をより効果たらしめていくためにも、アメリカとの連携を強めていく、そのためにはテロ支援国家への再指定を私は今回のミサイル発射を受けてやっぱり強く我が国としても求めるべきだと思いますが、外務大臣の御見解をお聞きをしたいと思います。
  158. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) テロ支援国家の再指定の話でありますが、たしか、当時どういう経緯で解除になったのかといえば、二〇〇七年の二月以降に北朝鮮のテロ国家指定解除の可能性を示しながら北朝鮮と交渉を推進をしてきたと、北朝鮮との交渉をですね。あのときに、我が国としては、この指定解除を効果的に利用することが肝要と考えて米国との間で相当緊密に協議をしたと。米国は、そのような日米間の協議も踏まえながら、二〇〇八年十月、停滞していた六者会合プロセスを再度動かすことが重要であるとの判断から指定解除を行ったものと、こういうふうに理解をしているわけでありますけれども、今解除してしまっているわけですから、もうカードには現時点ではならない話なわけでありますけれども、いわゆるその解除を解くというカードはないわけでありますけれども、いずれにせよ、今のような要望、あるいは日本側で様々な考え方があるということは米国承知をしていると、知っているということであります。  ここはどういう有効な方策を取るべきか、これはもう最終的にはもちろん米国米国なりの判断でありますけれども、緊密に連携をしたいというふうに考えています。
  159. 柴田巧

    ○柴田巧君 でき得れば、再指定というところに行けばなおさらいいと思いますが、少なくとも今、残念ながらと言うべきか、アメリカ日本には北朝鮮に対してやっぱり温度差が正直あると思います。こちらは非常に強行にといいますか、プレッシャーを掛けようとしても、若干、やっぱり幾分、アメリカの方はいろんな理由で、要因で甘さも見られるところがあるわけで、その温度差を少なくとも解消していくという努力は外務省としてもしっかりやっていただかにゃならぬと思いますし、いずれにしても、アメリカ韓国、あと、ほかの国々と足並みをそろえてこの制裁措置がしっかり講じられていくようにお願いも期待もしていきたいと思います。  さて次に、今日は文科省の副大臣も来ていただいておりますが、先ほどからもお話が出ておりますけれども、朝鮮学校への無償化の問題について取り上げたいと思いますが、まずその前に、十二月に、昨年末に金総書記が死去した後、いろいろ報道などによると、かなり朝鮮学校の思想教育が強化されているというふうに言われております。学校を利用して金総書記の追悼式典がなされた、あるいはそこに児童生徒が動員されたということもありますし、今年の一月、二月には故金総書記や金正恩氏をたたえる歌劇を披露しに百人余りの子供たち北朝鮮に行ったといったことなどなど、かなり思想教育が強化されていると思っておりますが、文科省としてはこの実態をどのように把握をしているのか、またこのことについてどのような認識を持っているのか、まずお聞きをしたいと思います。
  160. 高井美穂

    ○副大臣(高井美穂君) 御指摘の点ですが、私も報道等では拝見をいたしましたけれども、これが現在どのようなことなのかというのは、定かに、つぶさに承知はしておりませんが、いろんな規定に基づいて、重大な法令違反があるのかどうか、また申請書類等が虚偽に該当し得るものかどうかなどという観点から、しっかり今いろんな点から審査を行っている最中でありまして、その点に関しては、今明確に答弁することは困難でございます。
  161. 柴田巧

    ○柴田巧君 これはやっぱりしっかり実態を把握するということは極めて重要なことだと思いますが、なされていないというのは非常に遺憾なことだと思いますけれども、いずれにしても、そういったことを含め、先ほどからも、城井政務官帰られましたが、厳格に徹底的に審査をしているんだということでありますが、大切な公金を支出をするということになるわけですから、今申し上げたように、形式的な、あるいは中途半端な審査であっては基本的にならないというのは間違いないと思いますし、その財務や朝鮮総連との関係等々どうなっているのか、あるいは反日教育や拉致事件の教育内容どういうふうになっておるのかということを徹底的にやっぱり副読本あるいは何かの調査を対象にしながらやるべきだと思いますが、どのように調査をやっておられるのか。  そして、先ほども答弁若干ありましたが、もう結論を、まあ結論は明らかだと思いますが、もう結論を出すときに来ていると思いますが、そこら辺はどうなのか、改めてお聞きをしたいと思います。
  162. 高井美穂

    ○副大臣(高井美穂君) まさに御指摘のとおり、厳正に審査を行っている最中でございます。まだ審査終了がいつになるのかについてはちょっと述べられる時期ではございませんが、まず、審査再開直後に直近の状況に基づく申請書類の再提出を求めたということがありまして、全十校について書類の内容確認とか実地調査等をしっかり行って、必要に応じて追加書類の提出も求めたりしております。それに、ハングルで記載された各教科書、教材等の内容についても職員が確認、翻訳等もしているところであります。  審査に関係し得るもの、報道等にあった点も確認をしている、まさに必要な確認を厳正に行っている最中でございますので、是非その点は御理解いただければと思っています。
  163. 柴田巧

    ○柴田巧君 審査再開されてもう半年余りもたって、そんなにたくさん学校もないわけで、何をずらずらと、ぐだぐだとやっているのかなというのが正直な感想なんですが、あと何を調べることが正直あるんだろうと思うほどですけれども、もう、その北朝鮮そして朝鮮総連の強い影響力の中にあって、しかも今回の事案があって、出すべき答えはといいますか、当初から答えは明らかだと私も思っているわけですが、やはりこれを機に、この審査の適用、無償化適用をやっぱりしっかり断念するというか、やめるということを明確にすべきだと思いますが、改めて御意見を聞きたいと思います。
  164. 高井美穂

    ○副大臣(高井美穂君) この外国人学校の審査については、外交上の配慮ということではなくて、あくまでも教育上の観点から客観的に判断するということで統一して厳正な審査を行っている最中でございますので、しっかり今後とも厳正な審査を継続していきたいと思っております。
  165. 柴田巧

    ○柴田巧君 全く納得できない答弁なんですが、いずれにしても、先ほどからも議論がありました、今も申し上げましたが、もうそういう答えをはっきり出すべき時期に来ていると、あるいは国民的なコンセンサスが私はできていると正直思いますが、是非そういう方向にやっていただけますように、また改めて文科委員会でもお聞きするかもしれませんが、よろしくお願いをしておきたいと思います。  次に、先ほど特定失踪者の問題もございましたが、先般も十一月の委員会でも質問させていただきました。この特定失踪者の問題を、もっと内外にはっきり問題の所在といいますか、こういったことがあると、存在しているということを外務省としてもしっかり知らしめるべきだということを申し上げてきたわけで、若干、正直、変更された部分もあります。日本語版では若干増えた部分もあるんですが、残念ながら、英語版等ではまだ今までのとおりになっておりまして、十二分に海外などへのPR、PRというか情報発信につながっていないと思います。やはり外務省の公式なそういったホームページやリーフレット、パンフレット等々で明記がされていないとそういう問題が存在しないのだというふうに受け止められてしまうと思います。  したがって、日本版はやや変更、訂正といいますか、なりましたが、英語版も早急にこの面はしっかり明記、詳細に追加措置をすべきだと思いますが、外務大臣の御見解をお伺いします。
  166. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 日本語版、御指摘もあり、外務省としても考えて、おっしゃっていただいたとおり、特定失踪者のこともこのパンフレットに載せたところ、加筆をしたところであります。英語版に限らず、外国語版、今作成中でございます。
  167. 柴田巧

    ○柴田巧君 是非、早急にしっかり取り組んでいただいて、平壌に在外公館を持つ国々、そういったところに、いつ何どき特定失踪者の皆さんが、あるいは拉致被害者皆さんもちろんですが、逃げ込んでこられる、保護を求めてこられるか分かりません。そういう対応をしっかり迅速にやっていただきたいと改めて申し上げて、また、今年は言うまでもありません、日朝会談拉致を認めて十周年ということになります大きな節目の年です。地方議会からも拉致問題の解決を求める意見書が三十二も上がってきました。しっかりそのことを受け止めて、国としても対応をやっていただきたいことを申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  168. 大塚耕平

    委員長大塚耕平君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時六分散会