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2012-03-22 第180回国会 参議院 文教科学委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十四年三月二十二日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         野上浩太郎君     理 事                 鈴木  寛君                 那谷屋正義君                 橋本 聖子君                 水落 敏栄君     委 員                 神本美恵子君                 斎藤 嘉隆君                 谷  亮子君                 藤谷 光信君                 森 ゆうこ君                 上野 通子君                 熊谷  大君                 義家 弘介君                 草川 昭三君                 山本 博司君                 柴田  巧君                 横峯 良郎君    国務大臣        文部科学大臣   平野 博文君    副大臣        文部科学大臣  奥村 展三君        文部科学大臣  森 ゆうこ君    大臣政務官        文部科学大臣政        務官       城井  崇君        文部科学大臣政        務官       神本美恵子君        経済産業大臣政        務官       中根 康浩君    事務局側        常任委員会専門        員        古賀 保之君    政府参考人        内閣大臣官房        少子化青少年        対策審議官    伊奈川秀和君        金融庁総務企画        局参事官     三井 秀範君        総務大臣官房審        議官       米田耕一郎君        総務省自治行政        局公務員部長   三輪 和夫君        法務大臣官房審        議官       岩尾 信行君        文部科学大臣官        房文教施設企画        部長       清木 孝悦君        文部科学省初等        中等教育局長   布村 幸彦君        文部科学省高等        教育局長     板東久美子君        文部科学省研究        開発局長     戸谷 一夫君        文部科学省スポ        ーツ・青少年局        長        久保 公人君        厚生労働大臣官        房技術総括審議        官        矢島 鉄也君        厚生労働大臣官        房審議官     石井 淳子君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    岡田 太造君        気象庁予報部長  西出 則武君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○教育文化スポーツ学術及び科学技術に関  する調査  (文教科学行政基本施策に関する件)     ─────────────
  2. 野上浩太郎

    委員長野上浩太郎君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  教育文化スポーツ学術及び科学技術に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣大臣官房少子化青少年対策審議官伊奈川秀和君外十三名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 野上浩太郎

    委員長野上浩太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 野上浩太郎

    委員長野上浩太郎君) 教育文化スポーツ学術及び科学技術に関する調査のうち、文教科学行政基本施策に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 藤谷光信

    藤谷光信君 おはようございます。民主党藤谷光信です。  先週行われました平野文部科学大臣の所信に関し、質問をさせていただきます。  本年三月二日、少子化社会対策会議において、子ども子育てシステムに関する基本制度法案骨子が決定されました。いよいよ法案が提出されるという段階になっておりますが、残念ながら、小さいお子さんを抱える保護者の方や保育所幼稚園現場の皆様などは新しい制度に対して多くの不安を感じておられます。これは、幼保一体化目的制度設計内容に関するギャップや疑問、政府からの説明がまだ現時点では不十分であることに起因していると考えています。  私は、先日の本会議を始め幼保一体化について何度も質問させていただいておりますが、保護者現場皆さんの不安を少しでも解消すべく、今なお残されている課題について幾つか質問をさせていただきます。  一月三十日の本会議におきまして私は、幼保一体化検討においては、チルドレンファースト理念を持った幅広い確固たる視点を持たなくてはならないことを強く申し上げ、野田総理平野文部科学大臣見解をお伺いいたしました。それに対して野田総理は、「子供は、社会の希望であり、未来をつくる力であります。」、「チルドレンファースト理念にのっとって、子供最善利益を考慮し、幼児期学校教育保育の更なる充実向上を図るとともに、全ての子供が尊重され、その育ちがひとしく確実に保障されるよう取り組んでまいります。」と答弁されました。また、平野文部科学大臣も、「幼児期は、生涯にわたる人格形成基礎を養う重要な時期であります。」、「義務教育及びその後の教育基礎を養う質の高い幼児教育、全ての子供に保障する、こういう考え方に立っておるところであります。」と答弁されておられます。  これを聞きまして私は非常に心強く思った次第でありますが、三月二日の基本制度法案骨子もそのお考えを踏まえたものであるのか、平野文部科学大臣幼児教育幼保一体化に対する思いをお聞かせください。
  6. 平野博文

    国務大臣平野博文君) おはようございます。よろしくお願いいたします。  今、先生の方から、本会議で答弁したその思いと、この法案骨子を含めてその考え方は同じなのかと、こういう御指摘、御質問でございます。  私も、一月の三十日の本会議においても答弁させていただきましたとおり、幼児期は生涯にわたる人格形成基礎を養う重要な時期である、こういう認識に変わりはございません。この時期にこそ質の高い幼児教育を保障する、こういうことは極めて重要である、この認識に立ってございます。そういう下に、今月二日に少子化社会対策会議におきまして、子ども子育てシステムに関する基本制度及び法案骨子として政府として決定をいたしたところでございます。  文部科学省としては、幼保一体化を含む子ども子育てシステムの実現により、義務教育及びその後の教育基礎を養う質の高い幼児教育を全ての子供に保障していきたいと、かように考えているところでございます。
  7. 藤谷光信

    藤谷光信君 子ども子育てシステムの大きな課題一つに、総合こども園について株式会社等参入を認めたことが挙げられます。現在、構造改革特区制度を活用して株式会社立学校は、小学校から大学に至るまで計二十七校設置されています。しかし、残念ながら赤字を抱える学校も多く、教育活動についても十分ではない例が見受けられるなど、問題点も多く見られます。また、一方では、学校法人の設立を目指す株式会社立学校もあります。そもそも株式会社目的一つ配当を追求することにあり、その点において、子供最善利益を追い求める教育とは相反するものであると思います。  政府考え総合こども園制度においては、株式会社やNPOの参入特区という形ではなく、全面的、全国的に認められています。株式会社は既に保育現場への参入もしており、待機児童の解消のためには株式会社立総合こども園参入はやむを得ないという考えもあるのでしょうが、総合施設教育機関を名のる以上は、やり直しの利かない教育という重要な場面において子供たちを実験の道具に使うことがあってはなりません。株式会社立において、仮に役員要件を設けたり株主への配当制限を行ったりすることで総合こども園継続性安定性に一定のめどが立つとしても、幼児教育段階のみ株式会社参入を全面的に認めることは、学校教育体系全体の整合性という観点からは大きな矛盾を抱えています。現時点では、幼児教育段階だけですが、学校教育において全面的に株式会社参入を認めることは、学校位置付け公教育在り方を根本から変えかねない非常に大きな制度変更のはずです。  先日の本会議において野田総理は、「新システム実施主体である地方公共団体など、関係者と十分に意見交換を行って検討を進めてまいります。」と答弁されましたが、学校教育関係者もまさに新システム関係者であり、十分な意見交換議論が必要であると私は考えています。  私は、構造改革特区結論を待ち、中央教育審議会において十分な議論を行ってからその総合こども園への株式会社等参入在り方や是非について結論を出しても決して遅くはないと思います。特区を活用した株式会社立学校で見られたような教育の質の低下に直結する問題が生じること、またそれらによる園児心理状況を非常に心配しているのですが、平野大臣はどのようにお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。
  8. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 特に先生総合こども園への株式会社参入についてのいろんな問題があると、こういうことに対する御指摘、御質問でございます。  まず、総合こども園は、園の創設など、幼保一体化検討に当たっては、中央教育審議会等々におきましても議論をちょうだいし、その結果を踏まえて内閣府の子ども子育てシステム検討会議にも御報告してきたところでございます。  御指摘特区における株式会社立学校においては、学校運営教育活動において不適切な事例があったと、こういうことについても私どもとしては承知をいたしております。そういう中にありまして、総合こども園は、学校児童福祉施設の双方の位置付けを有するものと、これ先生十分御認識をいただいていると思っておりますが、そういう中にあって、児童福祉の側面での社会的要請、いわゆる待機児童等々含めてのそういう要請を踏まえて株式会社参入を認めているということにいたしておりますが、この場合でも、万が一この場合でも、学校教育を担うふさわしい公共性永続性確実性をしっかり担保していくということが極めて大事であると、このように考えております。  したがいまして、総合こども園株式会社参入に当たっては、参入段階におきまして、基準に適合する設備や運営に必要な資産を本当に有しているのか、役員が関する知識、経験を有している等々の要件をしっかり課していきます。  二つ目は、運営段階におきましても、区分経理あるいは総合こども園経営等以外の事業への資金の流出等々の部分を含めまして、しっかりと制限をしてまいりたいと、かように思っているところであります。安易に撤退することのないように、撤退段階におきましても総合こども園の廃止に関しては都道府県の許可制をしっかり要すると、こういうこともきっちり規制を課すことといたしております。  また、先生いつも御心配いただいておりますが、教育の質を確保する、こういう観点におきましては、認可の際には学校としての基準児童福祉施設としての基準を併せ持つ基準をしっかり適用すること、こういうことが一つ二つ目は、教育内容につきましては、幼稚園教育要領と同様、国としての基準をしっかり作らせていただく。学校教育理念教育内容特徴などの情報をしっかり開示すること、あるいは教育内容の改善のための自己評価をしっかり義務付けると、こういう考え方に立っております。  これらを含め、厳正に運用することにより、営利追求のために総合こども園運営がゆがめられる、こういうことのないように、また、教育の質の低下が起こることのないように、また最後に、園児悪影響が及ぼすことのないようにと、こういう厳しい考え方で接してまいりたいと思っております。なお、子ども子育てシステムにおきましては、新制度施行から一定期間経過した後に制度全般にわたり見直し、万が一にも公教育悪影響が懸念される事態となれば適切にしっかり見直してまいりたい、かように考えているところでございます。
  9. 藤谷光信

    藤谷光信君 どうもありがとうございました。  大臣の積極的かつ慎重な姿勢というのを高く評価する次第でございますが、更に続けて質問させていただきますけれども、教育基本法には、「私立学校の有する公の性質及び学校教育において果たす重要な役割にかんがみ、国及び地方公共団体は、その自主性を尊重しつつ、助成その他の適当な方法によって私立学校教育振興に努めなければならない。」と書かれてあります。  私立幼稚園では、建学精神に基づき個性豊かな教育が行われており、現在は私学助成によりその振興が図られております。また、子ども子育てシステムにおいても、幼稚園こども園指定を受けないことは許容されるというふうになっております。  しかし、もしこども園指定を受けない幼稚園について、現在の私学助成水準が下げられるようなことがあれば、それは総合こども園移行しないことに対するペナルティーとも感じられますし、私学重要性をうたった教育基本法精神にも反しかねません。  総合こども園指定を受けない幼稚園に対する私学助成は現状と比較してどのような水準となるのか、文部科学省見解をお示しください。
  10. 平野博文

    国務大臣平野博文君) じゃ、指定を受けない幼稚園があった場合に、今までの私学助成についてはどうなんだと、こういう御質問でございます。  私立幼稚園に対する機関補助としてある現行私学助成は、幼稚園運営にかかわる経常的経費への補助である一般補助と、各園の特徴のある取組、具体的には預かり保育でありますとか、子育て支援でありますとか、特別支援教育の多様なニーズに対する取組等々に関する補助である特別補助と、この補助には二つ体系があると考えております。  御指摘指定を受けない私立幼稚園については、現行水準基本にし、これまでと同様の私学助成継続をさせていただくと、こういうふうに考えているところでございます。
  11. 藤谷光信

    藤谷光信君 民主党政権では、家庭状況にかかわらず全ての意志ある高校生等が安心して勉学に打ち込める社会をつくるため、高校無償化制度創設しました。家庭状況に左右されることなく子供たち最善教育を受けることのできる環境づくりは、まさにチルドレンファースト理念にふさわしいものです。また、幼保一体化目的につきましても、家庭経済状況保護者の就労の有無など、それぞれの家庭が置かれている状況にかかわらず子供たちが皆ひとしく質の高い幼児教育を受けられるような環境整備が必要であるとうたっています。  一方、現在の幼保に関する国費負担には相当な差があります。子ども子育てシステムの現在の制度設計では個人給付という制度設計になっているものの、通う園の種類によって国費投入の差が設けられたままでは、保護者金銭的負担も差が付いたものとなってしまう可能性が残っています。  利用者負担については、利用時間が異なることを踏まえた設定にすることは必要ですが、基本的な考え方としては、幼保、公私の別にかかわらず、総合こども園であるか否かにかかわらず、公平性確保されるべきだと私は思っております。  また、幼稚園などから総合こども園への移行に関して、基本制度では、財政措置一体化により、満三歳未満児受入れを含め、幼稚園及び保育所等総合こども園への移行を促進する、こう書かれており、財政措置によるインセンティブを与えることとされていますが、仮にその内容幼稚園などと総合こども園との間で不合理な差を設けることだとすれば、子ども子育てシステム理念一つである全ての子供が尊重され、その育ちがひとしく確実に保障することに反しかねません。  そこで、総合こども園への移行を促すインセンティブとは具体的にはどのようなものとなるのかお示しいただくとともに、国費投入を行う際の公平性確保について見解をお示しください。
  12. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 総合こども園への移行を促すインセンティブと、こういうことでございます。  幼稚園総合こども園につきましては、幼稚園は満三歳以上の子供に四時間程度を標準とした学校教育提供する施設である一方、総合こども園学校教育に加え、小学校就学前の保育を必要とする子供に対しても長時間の保育提供する施設である、このことからその機能一つの違いがございます。ただし、学校教育を行う点については基本的には共通をいたしていると、こういうことでございます。財政支援についても、こども園指定を受けることにより、幼稚園総合こども園と同様のこども園給付を受けることになります。学校教育に係る部分については同様の取扱いになると考えておるわけでございます。  幼稚園から総合こども園への移行インセンティブとしては、こども園給付においてゼロ歳児から二歳児の保育に関する経費を見込んだ単価設定を行うことや調理室施設を支援することなど、主に幼稚園総合こども園への移行に伴う必要な保育機能を強化するための経費を保障すると、こういうことで一つインセンティブ考えておるところでございます。
  13. 藤谷光信

    藤谷光信君 いろいろと、幼稚園場面福祉場面等もいろいろありますので議論がいろいろあると思うんですが、大事なところでございますし、それから、あらゆる人の意見をしっかりくみ上げて前に進まなければいけないと思っておるわけでございます。  この幼保一体化の大きな目的一つには、質の高い学校教育保育一体的提供というのがあります。私は今日質問をしますのに、株式会社立総合こども園を始めとする新しい制度を導入することによって幼児教育の質の低下を招いてはならないと、その強い危機感からの思いでございますが、大臣もいろいろと御苦労いただいておるようでございますけれども、その総合こども園についての国の基準は、検討段階においては幼稚園保育所基準の高い方に合わせるとされていましたが、実質的には低い方の基準に誘導されつつあるのではないかという指摘もありますし、そういう懸念もあります。  法案骨子では現行基準基礎としてと書かれておりますが、幼児教育の質を維持するためには引き下げることがあってはならないと思います。それは幼稚園保育園も私は同じだと思うのでございますが、せっかくこういう大きな命題を抱えて進むのでございますので、幼保一体化というのは前政権の自民党・公明党政権のときからずっと幼保一体化という大きな、手を挙げながらやってきたわけでございますが、そこで質の低下があってはならないと、そういう意味で、これは保護者幼稚園保育所現場先生たちも、みんな誰も質の低下を望んでいるわけじゃありませんので、その点をしっかり踏まえて前へ進んでいただきたいと思います。  総合こども園というのは法令上の位置付けも有する学校でございます。ですから、学校としての最低基準である現行幼稚園設置基準を満たす施設であるということが当然総合こども園認可の際の要件となるべきものだと私は思っております。ですから、総合こども園創設により今以上に幼児教育の質が上がることはあっても、下がることがあってはなりません。  総合こども園創設後の幼児教育の質の担保について、平野文部科学大臣のもう一度その決意をお伺いしたいと思います。
  14. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 先生が本当に信念を持っておっしゃっている意味は非常に私としてもよく理解をいたしております。幼稚園教育水準現行水準は、上がることはあっても下がることは絶対ないだろうなと、そういう強い御質問でございます。私は、先生と同じ、同感でございます。  そういう中にありまして、特に、先ほども申し述べましたが、幼児教育の、幼児期における教育というのは生涯にわたっての人格形成のやっぱり基礎を養うところなんだということを改めて私は認識をする中におきまして、今先生指摘のあったことは肝に銘じたいと思っております。特に、質の高い幼児期学校教育を全ての子供に保障していくんだ、繰り返しになりますけれども、そういう思いでもございます。  また、学校教育保育に関する財政措置一体化してこども園給付創設をすると、こういうことで、学校教育保育を一体的にやっぱり創設をする、総合こども園創設をしていく、こういうことでございます。  こども園認可の際の基準については、学校としての基準児童福祉施設としての基準を併せ持つ基準を適用し、要は学校教育保育の質を更に高めるように確保していくんだと、こういうことでございます。  総合こども園における教育内容につきましては、幼稚園教育要領と同様、国としての基準をしっかり設けさせてもらいます。  先ほどの答弁もいたしましたが、そういうことを含めて、私は、幼児期教育は生涯にわたる人格形成基礎だということを踏まえながら、文科省としても幼児教育の質の確保と更なる向上に向けてしっかりと取り組んでいく決意でございます。よろしくお願いしたいと思います。
  15. 藤谷光信

    藤谷光信君 どうもありがとうございました。しっかり頑張っていただきたいと思っております。  それでは、次の質問に移ります。  昨年三月十一日、私は決算委員会地震などの災害などが起きたときに今の法律や体制では本当に迅速に対応できるのかなどと質問をしました。その数時間後に東日本大震災が起きたのです。第一委員会室で座っておるときに、午後、皆さんも皆同席されていましたが、地震を経験しました。  震災後、私は何度も被災地に入り、議員の皆さん方もたくさん現場に入られました。国会では、震災からの復興なくして日本の再生はないという信念の下で、被災地子供たち若者たち勉学を断念することのないよう、活動してまいっております。これ、皆同じ考えでございますが、また、宗教関係者は、寺院神社などを避難所として開放して、炊き出し、生活物資などの供給や義援金、瓦れきの処理や亡くなられた方の葬送の儀礼をボランティアで行っておりまして、そして、家族や住む家の仕事をなくした人々への心のケアや当面住める家の提供などを行ってまいりました。そして、この西本願寺関係私立学校においては、学費免除をして学生の受入れ生活費を負担しての震災孤児皆さん受入れなど、多くの宗教関係者が多岐にわたる活動を行ってまいりました。  また、東北地方は我が国の中でも地域コミュニティーが強く残っている地域でありますが、寺院神社などの宗教施設地域コミュニティーの拠点の一つとして重要な位置付けを占めてきたことが改めて見直されました。  そこで、文部科学省としての宗務行政責任者でおられます平野文科大臣は、東日本大震災後、宗教関係者の果たした役割について感想をお聞かせいただきます。
  16. 平野博文

    国務大臣平野博文君) いろんな方々から、今、藤谷先生が御指摘いただきましたように、それぞれの宗教団体方々が本当にいろんな役割を果たしていただいている、こういうことについてよく耳にいたすところでございます。  この度、特に、東日本大震災におきましては、宗教界では神社寺院教会等避難場所として提供をいただいておりまして、宗派を超えていろんな被災者方々を受け入れてくださっているということも聞き及んでおります。また、いろんな意味で、ボランティアで炊き出し、物資の配給、義援金を寄附をしていただいたり等々、被災者に寄り添った支援活動を展開をし、現在もまだなお復興に向けて御支援をいただいていると、こういうことについては承知をいたしております。  このような宗教界活動に対しまして私は心から感謝を申し上げたいと思っておりますし、文科省といたしましても、今後も東日本大震災からの復興に尽力してまいりたいと考えております。  宗教につきましては、人の心をやっぱり安定させ、また、日本の精神文化向上させるために不可欠であるとともに、神社寺院教会等、我が国における宗教法人の存在は、国民一人一人の生活に深く定着をし、大きな役割を果たしている、こういう基本の下に、今回の東日本大震災に大きな御理解と貢献をいただいていると、こういうふうに認識をいたしております。
  17. 藤谷光信

    藤谷光信君 ありがとうございました。  それで、今の神社とか仏閣は、平素は公の支配に属しない、公の補助も受けないわけでございますが、各所を回ってみまして、お宮等はちょっと高台にありまして避難するのに非常に効果があったようでございますが、お寺さんが大体壊滅的な影響、まあ古いものが多いですから、流れたり潰れたりしておりますが、やはり、この地域コミュニティーの場の大きな過去の歴史から役割を果たしてきた神社とか仏閣というのは、いずれはまたそういう整備をされていくでしょうけれども、その辺のところを文科省としても温かく見守っていただいて御支援をいただきたいと思っております。  そして、今回の東日本大震災というのは、私たちに自然の脅威を、人間の知を超えた自然の脅威をまざまざと私たちは見せ付けられました。そして一方では、人間というものがいかに弱いものであるかということも思い知らされたと私は思っております。そして、この一年間、被災地皆さんはもちろん、多くの国民が、生や死、あるいは命の大切さ、そして人と人とのきずな、感謝し合う、助け合う心、その大切さを再認識し、改めて考えた一年だと私は思っております。  今、高校野球が始まりましたが、あの開会式の選手宣誓でもよく触れておりましたけれども、大変尊いことだと私は思っておりますが、一方では、教育現場では例えば学校で時々テレビなどで給食の場面やら見ますと、いただきますをしないところがあったりしまして、いただきますをするかせぬかというのはいろいろ考えがあるでしょうけれども、やっぱり、感謝の気持ちといいますか、なかなか物差しでは測れない部分があるわけでございますが、そういうことの部分小学校では本年度から新しい学習指導要領に基づく教育が実施されておりまして、この未曽有の災害を経た今、私は、学校教育における命の教育在り方について再考し、充実を図るべきじゃないかと私は思っております。  平成十八年の教育基本法改正の際に前政権への対案として提出された民主党の日本国教育基本法案では、「生の意義と死の意味を考察し、生命あるすべてのものを尊ぶ態度を養うことは、教育上尊重されなければならない。」と明記されました。  私は、一月三十日の本会議野田総理に、教育には、単に知識や技術だけでなく、土台としての人間形成に大切な命のかけがえのなさとつながり、あらゆる存在との響生と一体感、きずなや感謝の気持ちを育むなど命の教育が大切だということをお尋ねしましたのですが、是非、この東日本大震災から一年がたった今、学校における命の教育の必要性について大臣のお考えをお聞かせいただきます。また、今後こういう心の教育を積極的に推進されるお気持ちがあるのか、併せてお尋ねしたいと思います。
  18. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 命の教育の大切さ及び現状の私自身の認識と、今後どういうふうにとらまえていくのかと、こういうことでございます。  特に、命の大切さや感謝し合う心、こういうことを育むことは、いつの時代にあっても、また社会が変化しても教育において一番大切にしていかなければならないことだと思っております。特にこの大震災を経た現在、こうした心の教育重要性に改めて思いを致しているところでございます。  文部科学省としては、改正教育基本法学校教育法が改正されまして、教育の目標として命を尊ぶ態度を養うことが明記されたことを踏まえ、平成二十年に小学校、中学校の新学習指導要領の改訂を行い、生命の尊重に関する教育等の充実を図ってきているところでございます。  具体的には、道徳教育におきまして、小中学校の発達段階に応じて、各学年を通じながら生命がかけがえのないものであることを知り、自他の生命を尊重する、こういうことが一つ。多くの人々の善意や支えにより日々の生活や現在の自分があることに感謝をする、それにまたこたえていくということに対する指導を今行おうとしているところでございます。  今後とも、新学習指導要領に基づく道徳教育の一層の推進を進めていく中で、命の教育や心の教育の充実に努めてまいりたいと思っていますので、先生の日々の知見もまた御指導いただきますことをお願いいたします。
  19. 藤谷光信

    藤谷光信君 ありがとうございました。  与えられた時間がもうちょっとしかありませんので、もう一点質問をさせていただきます。  先日、私は、この委員会で岐阜県のスーパーカミオカンデへ行きまして、日本の最先端の科学技術、世界最先端でしょうね、ノーベル賞が出たわけでございますから、そこを見させていただきまして、大変感動したんでございますが、民主党政権が発足しまして、ライフイノベーションという健康大国戦略というのを見据えた中に医療イノベーションというのも発足させてありました。  特にがんへの取組というものが叫ばれておりますが、今なぜそういうことを申しますかといいますと、文科省が中心になってしております中に、陽子線や重粒子線の放射線を利用した、加速器を利用した放射線治療のことでございますが、鹿児島県の指宿にはもうやっておりまして、大変な技術でございますが、これはお金が相当掛かるということも聞きました。これは文部科学省が指導してやっておられるそうでございますが、是非、巨大な装置も要ります、大きなコストも掛かりますけれども、なかなか普及が進まず、技術的にもがん細胞以外の正常組織へのダメージを減らすことなどまだまだ改良されるべき点があると、一回の治療に三百万円も掛かるということも言われておりますが、国民の健康を考えれば早く普及させるべき重要な研究開発であると考えますが、文部科学省の今後の取組をお伺いいたします。
  20. 神本美恵子

    大臣政務官神本美恵子君) 藤谷先生の御質問にお答えいたします。  私も、政務官に就任しましてすぐに千葉県の放医研に視察に行ってまいりまして、そこでこの重粒子線治療の現場も見せていただきまして、先生指摘の放射線を用いた治療に係る研究開発の重要性を改めて認識したところでございます。  御指摘のように、放射線治療というのは、ほかの外科手術や抗がん剤の治療に比べると、臓器が温存できて身体機能が持続可能であることや、身体的負担が少ないために社会復帰が早くなって罹患前により近い生活レベルを維持することができるというような特徴がございます。放射線治療の中でも重粒子線を用いた治療は、特に難治がんの治療や手術の難しいがんへの期待が非常に高まっております。  先ほど申しましたその放医研においては、この重粒子線を用いた治療研究を推進しているところでございますが、おっしゃるように、確かに非常に大きな設備が必要でありますし、その設備のためのコストも掛かるということで、小型かつ低コストの重粒子線がん治療装置の実現に向けて研究しておりまして、その成果が群馬大学において実現をしているところでございます。加えて、他機関への治療装置の普及に当たっては、放医研における人材の受入れ、職員の当該機関への派遣など、人材育成にも支援をしてきているところでございます。また、同研究所で開発されているこの治療方法というのは、世界をリードする技術としても高く評価をされているところであります。  重粒子線がん治療を始めとする放射線治療は人類にとって大きな恩恵をもたらすことが期待されていることから、ライフイノベーション、中でも医療イノベーションということで、今後とも治療技術の高度化に向けて着実に研究開発を努めてまいりたいと思います。
  21. 藤谷光信

    藤谷光信君 どうもありがとうございました。
  22. 斎藤嘉隆

    ○斎藤嘉隆君 民主党・新緑風会の斎藤嘉隆でございます。  冒頭、大臣にお伺いをしたいというふうに思います。  今年の五月二十一日、実は国内で、数十年あるいは数百年に一回と言った方がいいかもしれませんけれども、自然界の大変大きなイベントがございます。何のことかお分かりになりますでしょうか。
  23. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 事前に通告をいただきましたので承知をいたしておりますが、日本全国、ほぼ全国に近い状態での金環日食があると、こういう日だというふうに承知をいたしております。
  24. 斎藤嘉隆

    ○斎藤嘉隆君 通告を差し上げる以前に恐らく大臣は御存じだったというふうに思いますけれども、今お話しをいただきましたように、五月二十一日の朝でございますけれども、国内の広い範囲で金環日食があります。太陽に月が重なって、太陽の周囲だけがリングのように光る、極めて神秘的な現象だというふうに思います。国内では実はこれ二十五年前に沖縄で見ることができました。今回は九州から本州、北は被災地福島辺りまで、人口でいえば八千万人ぐらいの方々が直接見ることができるということです。ちなみに、東京都内でこの金環日食が見ることができるのは、次回は三百年後ということになります。  これ、震災で傷ついた本当に我が国に対する、僕はある意味で自然からの鎮魂というか、すばらしい贈物だなというふうに思います。まさに天の配剤だというふうに思っています。当日、晴天になることを心から願うばかりでありますけれども。  これ、今余り報道を実はそんなにされていないんですね。一部、インターネットのニュースなんかで少しずつ出始めています。僕は宇宙や天文に関心が高まる大変大きなチャンスだというふうに思っています。子供たちに理科教育ですとか宇宙への夢を抱かせるような、そんな教育機会に是非していけたらなというふうにも思いますし、多くの子供たちに多分一生に一度の機会でありますから見せてやりたいなというふうにも思います。  ただ、留意すべき点も考えると幾つかあるというふうに思います。  これは時間が朝、例えば東京でいうと、日食の最大の、最もきれいに見えるのが朝の七時三十四分ということで、例えば小学生、中学生でいえば、ひょっとしたら登校中かあるいは登校直前かという時間帯ですから、学校で集団で指導するということはちょっと難しい状況かなというふうにも思います。移動中であれば安全面へのいろんな配慮も必要だと思います。子供たちは見ると思います、きっと、そんな、事前に知っていれば。  いろいろ留意をすべき点があるというふうに思いますし、もう一つは眼精疾患が非常に危惧をされます。これは天文学会ですとか眼科医の皆さんからは、観測用のグラスを用いないと、その状況で日食を見た場合に日食網膜症というような病気を発症する、そんなおそれがあるということ、そんな声が上がっています。  こうした幾つかの課題があるんですけれども、これから恐らく大きな大きな話題になって全国でもいろんな形で報道されてくると思いますけれども、このことについて現段階文部科学省として何らかの対策なり配慮なりをされてみえるのか、その点をまずお聞きをしたいと思います。
  25. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 今議員が御指摘いただきましたように、金環日食ということについて、科学的なそういう現象面は非常に子供にとって有益であろうと、こういうことでございます。  しかし、様々な課題があるので、それについて十分留意をしているのか。私、今議員からそういう御質問をいただいて思いました。私、小学校のときに、私らのときには下敷きというのがありまして、下敷きでこうやって、目にどんな影響を受けるかを知らずに下敷きでよく生活の知恵で見ていましたけれども、今改めて、私、今回の件は委員御指摘のように不適切な方法によって観測すると目の障害につながると、このことはやっぱりきちっと子供たちに、また教育現場に指導徹底をすると、こういうことは私はしていかなければならない。  その上に立ちますが、特に自然現象を通じて子供たちが自然科学に興味、関心を持ち、基礎的素養を身に付ける、これをいい機会にすることが重要だろうと、こういうふうに思っております。文部科学省としても、今回の金環日食も子供たちの自然や科学への興味、関心を高めるための最大の機会であるという、こういう認識に基づきまして、各学校教育機関に関連する教育活動が積極的に展開されることをまず期待をいたしております。  一方、先ほど申し上げましたように、子供たちの安全を十分に確保して実施していただく、こういうことで、文部科学省としてもその注意喚起を今現在行っていると、こういうことでございます。  今後とも、このような機会を通じながら理科や宇宙に対する興味、関心をより持っていただくように私どもとしても積極的にとらまえてまいりたいと、かように思っております。
  26. 斎藤嘉隆

    ○斎藤嘉隆君 これ、自治体が主体になって、あるいは学校現場が主体になって対策を講じていくというのは当然でありますけれども、全てをそちらに任せるのではなくて、今大臣も言われましたように、宇宙開発の一端を担う文科省でありますから、そんな意味からも必要な配慮、どのようなものが必要であるのかと、一層省内で論議をしていただきたい、このことをまずお願いを申し上げたいというふうに思います。  次に、若干というかかなり話は変わりますけれども、奨学金事業などについて、以前もこの委員会議論させていただきました、今日もお伺いをしたいというふうに思います。  政権が替わりまして、奨学金の貸与人員の大幅な拡大がなされてきました。また、来年度の予算につきましてもその旨盛り込まれております。また、大学生の授業料減免などについても、今回新たな予算の中で二万八千人の対象拡大が計画をされています。  そこで、大臣にお伺いをしたいというふうに思いますが、奨学金事業ですとか、あるいはこのような授業料減免の拡大等についてその意義、また、文科省としてどんな社会をこういったことを通じて目指そうとしていらっしゃるのか、根本的な理念をお伺いをしたいと思います。
  27. 平野博文

    国務大臣平野博文君) これもう先生も御案内のことだと思いますが、私は、学びたいという意欲を持つ生徒、学生には、経済的な理由によって学ぶ機会を失うということがないように私はしていかなきゃならないと、こういうことがこの奨学金制度の私基本だろうというふうに思っております。  といいますのは、私も、私の経験からばかり言って恐縮ですが、私の子供には、親の収入の制限がありますから、私学に行くんだったら家から通えるところ、国公立に行くんだったら下宿してもいいわと、こういうふうに、経済が非常に厳しい中、そういううちの家訓として子供に指導してきたところであります。しかし、子供にとりまして親の経済の状況というのは余り関係ないわけでありますから、学びたいところで学ばせてやるというのが心情だろうというふうに思っております。  したがいまして、私は今回の奨学金事業というのは、意欲と能力のある学生が経済的理由で就学を断念することのないように高等教育を受けられる、こういう環境を整備する、こういう意味一つの方法としての制度で、極めて重要であると、こういうふうに認識をいたしております。  また、私ども政権におきまして、そういう重要性に鑑みまして、授業料を減免したり、できるだけ経済的負担が掛からないようにこれからも充実に努めてまいりたい、かように考えております。
  28. 斎藤嘉隆

    ○斎藤嘉隆君 本当に、思いというか御見識をお伺いして、全く思いは同様だなというふうに思います。  そんな中で、新年度から恐らくそういった思いを具体化をしていくといった一つの施策として、所得連動返済型無利子奨学金といったものがスタートをしようとしています。これ、文科省皆さんは出世払い型奨学金というふうにもおっしゃっておみえでありますけれども、この制度について、どのような制度であるのか、いま一度簡単に御説明をいただきたいと思います。
  29. 板東久美子

    政府参考人板東久美子君) お尋ねの所得連動返済型無利子奨学金制度についてでございますけれども、これは今先生の御質問のように、将来の奨学金の返済の不安ということを軽減をいたしまして、予見性を持って意欲ある学生が安心をして進学をできるようにということを担保いたしまして、こういった進学機会の充実を図っていくということで導入しようというものでございます。  具体的な要件といたしましては、低所得世帯、これは例えば給与所得世帯でございますと年収三百万円以下ということを考えておりますけれども、その学生を対象といたしまして、そして奨学金の貸与を受けた本人が卒業後に一定の収入、これも年収で三百万円に達するまではということを考えておりますけれども、その間は返済期限を猶予するというものでございます。今申し上げましたように、低所得者世帯の子供を対象とし、そして将来の収入が一定金額に達するまでということで返済期限を猶予するという制度でございます。
  30. 斎藤嘉隆

    ○斎藤嘉隆君 これは、現行においても低所得者については五年間の返済の猶予が申出によって認められているというふうに思います。この五年間が更に延びて、今局長のお話だと、年収三百万以下のいわゆる低所得のうちは未来永劫返済の義務が生じないというか、返済に悩むことがないと、そんな状況が生まれるんだということだというふうに今聞きました。また、私、これ学力基準という非常に高いハードルがないこともこの制度の大変大きな利点ではないかなというふうにも思っています。  私、大変すばらしい制度だと思いますし、更に中身を充実をさせていかなければいけないなというふうに思っていますけれども、そこで、大臣にちょっと、御通告はしていませんけれども、大臣、出世払い、出世払いと言うと、一般的に、大臣、どんなイメージでいらっしゃいますか、出世払いという言葉。
  31. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 出世ということは、いろんな切り口で出世ということを言うわけですが、私はやっぱり、野田総理がおっしゃっておられる分厚い中間層にやっぱり是非なってもらいたいと。こういう意味で、ある一定の所得が、収入がやっぱり取れる状態を私は、出世という表現が金銭だけで測られるものでありませんから言えませんが、この場合の意味合いでいきますと、ある一定のやっぱり所得が取れるようになった段階一つの形として言っているんだろうと私は認識をいたしております。
  32. 斎藤嘉隆

    ○斎藤嘉隆君 大変実直にお答えをいただきましたけれども、私、出世払いというと、お金を貸すんですけど返済は要しないと、世間一般では、出世払いでと言うと、まあまあいいからねという感じかなというふうにも思うんですけど、ちょっとそこが、実はこの制度はそうではないんですね。そうではなくて、これ、債務が消えることは制度上はないんですね。何が言いたいかというと、年収三百万を超えるような状況になると、たとえ二十年後であっても、三十年後であっても、四十年後であっても、その時点から返済が実は始まるんです、制度上。ここのところは、当然制度としてはそうなんだろうというふうに思いますけれども、いろいろ、そのことも含めて、制度の改善、充実というのはやっぱり検討していくべきだというふうに思います。  幾つかちょっと御提言をしたいというふうに思います。特にこれはお答えは要しませんけれども、例えば、これ返済義務が生じる所得というのを今三百万というふうにおっしゃいましたけれども、これ社会のいろんな実態に合わせてこれからある程度流動的にしていく必要があるんじゃないかなというふうに思います。オーストラリアなんかだと今四百万円ぐらいなんですけど、毎年実は変わるんです。そんな状況検討していくべきだと思いますし、例えば無理して前倒しで返済をした場合に何らか例えばインセンティブがあってもいいんではないかなというふうにも思います。また、これはよく言われますけど、公益性の高いような職種に就いた場合に一定の返済の減額があるとか、いずれも先進的なこういった事例を行っている国ではもう既に導入をされているような制度だというふうに思いますので、是非、これはあくまでもマイナンバー制の導入が一つの前提になろうかというふうに思いますけれども、詳細な制度設計制度の充実を私はお願いをしたいというふうに思います。  あわせて、これもちょっとお伺いをしたいというふうに思いますけれども、今回は大学生向けのこれ奨学金、所得連動型の奨学金でありますけれども、既に各都道府県に移管をされている高校生向けの奨学金、こういったものについても、この所得連動の基本的な考え方、あるいは給付型の考え方、こういったものを含めて導入を高校生向けにも進めていくべきだというふうに思っていますけれども、このことについて何らかの対応なり措置をされていらっしゃるのか、お伺いをしたいと思います。
  33. 森ゆうこ

    ○副大臣(森ゆうこ君) お答えいたします。  まず、この所得連動型の奨学金の制度創設に関しましては、昨年の臨時国会で先生から御質問をいただきまして、その際には細かいところまでやり取りはなかったわけですけれども、通告の段階でオーストラリア等の先進事例等も先生の方から御紹介をいただきまして、私どもの方で検討させていただきました。  そういう意味で、先生のそういう御質問を契機に、出世払いと言ってはいけないのかもしれませんが、所得連動型の無利子奨学金ということで制度を今詳細を設計しているところでございますので、先ほど例示をいただきました様々な例等も今後参考にさせていただきたいと。まずは、いろいろな御提言に対しまして感謝を申し上げたいというふうに思います。  マイナンバー制度の導入を前提に所得に応じて様々な返済の方法という御提案でございます。御案内のとおり、政府・与党社会保障改革検討本部における社会保障と税の一体改革の一環としての社会保障、税番号に関する議論を踏まえて、奨学金事業の所得連動制度在り方については今後の検討課題ということになっておりますので進めてまいりたいというふうに思っております。  今御質問のございました高校生向けの奨学金についてどうするのかということでございますけれども、先生が御指摘になりましたように、高校無償化によってもなお負担増となる世帯や低所得世帯への対応は極めて重要であると考えておりまして、文部科学省といたしましては給付型奨学金を概算要求してきたところであります。しかし、残念ながら、財源の確保等に課題がありまして、予算計上が見送られたという経緯もございます。  このために、各都道府県に設置されております高校生修学支援基金につきまして、二十三年度第三次補正におきましては、二十六年度まで延長、そして積み増しをいたしまして、低所得世帯の生徒等に対して所得連動返済型の奨学金制度を整備することを基金取崩しの条件とする実施要領の改正を行ったところでございます。我々としては、制度改正の趣旨や支援措置の内容について十分説明を行いまして、制度導入に対して各都道府県に十分な働きかけを今後も行ってまいりたいというふうに思っております。  また、この高校生修学支援基金の拡充はもとより、奨学金制度の更なる充実に向けまして、今後とも予算の確保に努めてまいりたいと思いますので、是非御支援を賜りたいと思います。
  34. 斎藤嘉隆

    ○斎藤嘉隆君 ありがとうございます。いろんな拡大の仕方がある。僕が今申し上げたように、高校生についても拡大の方向を模索をしていくべきだというふうに思っています。  私、愛知県なんですけれども、前もお話ししたかもしれません。二十二年度の奨学金の返還状況というのは実は六五%ぐらいなんです。本当に返済率が悪いんですね。返済できないんです、若い人たちが。国ではこういった形を導入をした、しかし、じゃ県が行っている高校生についてはなかなか進まないという状況はやはり早く改善をしていくべきだというふうに思っています。  もう一つ、あえて申し上げると、国や都道府県では実は給付型の奨学金制度というのはありませんけれども、市町村なんかが主体で行っている奨学金の中にはもう既に給付型の奨学金が実はあるんですね。国や都道府県が行っていないものを市、町が先行して行っているという状況も実はございます。  私は、この所得連動返済型の奨学金制度というのが給付型の奨学金制度へのある意味一つのステップでもあるんじゃないかなというふうに思っています。高等教育、特に、の社会的なコストというのは非常に高いものがありますけれども、僕は、将来的に税収などで社会が得ていく便益が必ず上回る、本当にこれは未来への先行投資だというふうに思いますし、絶対にマイナスではないというふうにも思いますので、是非そんな観点検討を進めていっていただきたいというふうに思います。  そんな中で、もうあと一、二点お聞きをしたいというふうに思いますけれども、これ高校や大学の学費を将来的に無償にしていくということを定めた国際人権A規約第十三条がございます。これ、今、日本はいろんな状況の中でこの批准を留保しているという状況がございます。聞くところによると、日本とあとマダガスカル、二国だけだというようなことも聞いておりますが、今回のこうした所得連動型の導入や、いわゆる授業料の減免、こういったことの拡大の状況を踏まえて、この留保撤回に向けた動きですとか方向性というのは何かあるんでしょうか。そこをお伺いしたいと思います。
  35. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 今議員御指摘部分については、今までなぜ留保してきた、そういうことに対して、昨今留保の撤回に対する動きが起こってきたと、こういうことでございます。特に、国際人権A規約第十三条の二の留保撤回については、我が国が留保しているのは後期中等教育及び高等教育における無償教育の漸進的な導入の部分でございます。  しかしながら、世界のそれぞれの国々の状況を見ますと、日本とあと一国であると、こういうことも含めて、この留保撤回については、外務省におきまして、我が国が規約上負う義務と大学の授業料減免への支援や奨学金事業等の経済的負担軽減との関係について外務省としても精査を今日までしてまいりました。後期中等教育に係る部分についても併せて検討を行い、その結果として留保を今撤回する方向で調整を進められていると承知をいたしております。早期留保撤回に向けて、外務省における検討に引き続き協力するとともに関係諸施策の充実に努めてまいりたいと、かように考えておるところであります。
  36. 斎藤嘉隆

    ○斎藤嘉隆君 ありがとうございます。  この件については最後にもう一つだけちょっと気掛かりな点がありますので、御指摘をさせていただきたいというふうに思います。  今後、いわゆるJASSOの在り方検討に関する有識者会議が開催をされて、この奨学金事業の在り方についてもそこの場で話し合われていくというふうに聞いています。行革でございますので、必要な機能の整理は当然図りつつも根本にある学生への支援を充実をしていくんだという、先ほどから大臣が本当に心を込めておっしゃっていただいている、そういった役割を損なうことのないような是非議論をこの場でもしていっていただきたいというふうに思っておりますけれども、その件については、現在の状況なり、もしお話しいただけることがあればお願いしたいと思います。
  37. 森ゆうこ

    ○副大臣(森ゆうこ君) ありがとうございます。  JASSO、独立行政法人日本学生支援機構の在り方につきましては、今年の一月に閣議決定されました独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針によりまして、法人の在り方等について今年の夏までに結論を得ることになっております。この御指摘を踏まえまして、私どもの方では近々有識者による会議におきましてこれを立ち上げる予定でございますけれども、ここで日本学生支援機構について、法人の機能を整理した上で奨学金事業等の各事業の在り方も含めた具体的な検討を行うことにしております。  組織の整理統合というだけではなく、当然それは組織を存続させるとか廃止するということは目的ではなく、特にこの奨学金事業等、学生支援機構のやっておりますこの事業がきちんと効率よく、しかも充実して行われると、その結果として学生さんたちが本当に学ぶ機会をきちんと確保できるということが何よりも重要であるというふうに考えておりますので、そういう方向で検討をさせていただきたいというふうに思っております。
  38. 斎藤嘉隆

    ○斎藤嘉隆君 ありがとうございました。是非そのような観点での御議論をお願いをしたいというふうに思います。  まだ少し時間がありますので、最後にもう一点、別の話題でお聞きをさせていただきたいというふうに思います。  せんだって、二十代前半の若い母親が二人の子供を自宅に放置をして、数十日間、で、亡くなるという大変痛ましい事件がありました。懲役三十年という判決が下って、大変大きく報道をされたかというふうに思います。もうこれ家庭教育力の低下という一言では片付けることのできないようなある種事例だというふうに思いますし、何というか、言いようのない、困難な、厳しい状況を感じます。家庭やこういった親子を社会全体でどうやって支えていくかという非常に今大きな課題になっているというふうに認識をしています。  これもお聞きをしたいんですが、文科省の方で家庭教育支援の推進に関する検討というのをかなり精力的に続けていらっしゃるというふうにお聞きをしていますが、議論の進捗状況とその内容について少し御説明をいただきたいと思います。
  39. 森ゆうこ

    ○副大臣(森ゆうこ君) 御質問ありがとうございます。  今、先生がおっしゃったとおり、先般、三十年という判決が出ましたけれども、本当に痛ましい事件であったと思いますし、その事件を契機に、いわゆるネグレクトという言葉が社会全般に改めて注意喚起、注目をされたというふうに思っております。  文部科学省では、昨年、平成二十三年五月に、家庭教育支援の推進に関する検討委員会を設置をいたしまして、家庭教育支援に関する現状と課題及び今後の取組についての検討を行っているところでございます。この検討委員会におきましては、家庭教育について、親子の育ちを支える人間関係の弱まりや、現代の子供社会性や自立心などの育ちをめぐる課題など、家庭環境の多様化や地域社会の変化により、先生も今ほど言及されましたように、家庭教育が困難な社会となっている、家庭教育が困難な社会になっているという、そういう現状分析がなされております。  このようなことから、家庭教育支援に当たっては、子供の誕生から自立までの切れ目のない支援や、孤立しがちな家庭を訪問するなどのアウトリーチ型の支援、福祉等の関連分野との連携が課題として挙げられておるところでございます。このような認識を踏まえまして、この検討委員会におきましては、親の育ちを応援することや支援のネットワークを広げていくことなどの基本的な方向性の下、具体的な方策として、親の育ちを応援する学びの機会の充実、親子と地域のつながりをつくる取組の推進、また支援のネットワークをつくる体制づくりなどが指摘されているところでございます。  この検討委員会の報告書は、今月下旬、もうすぐでございますけれども、まとめられる予定でございまして、文部科学省といたしましては、まとめられた後、報告書の趣旨を踏まえまして、厚生労働省等の関係省庁と連携を図り、家庭教育支援のより一層の充実に取り組んでまいりたいというふうに考えております。  私も児童養護施設それから児童相談所等々過去に何回か視察もし、担当者の皆さん意見交換をし、また厚生労働委員会等でもいろいろ提言をしてまいったところでございますが、子供たち、親からネグレクトされる、虐待を受ける子供たちには応援団がいないわけですので、しっかり社会で支えていく、そのために私どもとしても、厚生労働省と、繰り返しますけれども、しっかり連携をして、何とかそういうこの間のような事件が起きないように全力で取り組んでまいりたいというふうに決意をしているところでございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
  40. 斎藤嘉隆

    ○斎藤嘉隆君 家庭教育力が低下をしたというふうに一般的によく言われますけれども、本当にそうなのかどうかというのは議論が必要だと思います。  今、副大臣おっしゃいましたけれども、家庭教育が困難な今時代なんだというふうに思います。そんな中で、家庭というのがある意味二極化をして、一部の保護者が、親として子供を育てるには精神的にも経済的にも環境的にも困難な状況にあると、そういう認識をすべきだというふうに思っていますので、どうもそういう方向での議論が今回は進むのではないかなと。  単に家庭地域教育力を回復をさせる、かつての時代に戻せばいいというような議論では僕はないというふうに思います。時代はもう変わっておりますし、変容していますので、その中で、今の時代に合った家庭地域社会在り方というのを、是非文科省皆さん主導をして議論をしていっていただきたいというふうに思います。  そんなお願いも最後にさせていただいて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございます。
  41. 義家弘介

    義家弘介君 自由民主党義家弘介です。  本日は、三月九日でしたか、行われた決算委員会の続き、教育の正常化について、そして教育再生を進めていく適格性について、項目を分けて質問をさせていただきます。  私、昨日も現場先生方と夜、懇談いたしました。その先生方は今の教育に非常に大きな不満を持っていて、誇りを持って我々が子供たちと向き合える、そういう教育現場をどうやったらつくっていけるのか、非常に子供を中心とした前向きな、我々の子供たちにかかわる人間の責任、それを自覚した、本当に有意義な会合であったと思っております。  よく、義家は口が開けば日教組、日教組と言っていると、もういいかげんやめてくれというような声も聞かれます。しかし、この問題、ずっと議員になってからこの委員会でも指摘し続けました。こういう問題が起こっている、こういう問題が起こっているということを一つ一つ具体的例示のまま示してまいりましたけれども。つまり、もし本当に教育の再生を行おうとしたならば、その教育の再生を止めている要素というものをしっかり検証した上で、それが間違ったことであれば間違っているとしっかりと整理して、それが伸ばしていくものだったら伸ばしていくというふうに整理して、この基礎段階を私は安倍内閣以降ずうっと行っている、そんなふうに認識しております。  そういう意味で、先日の質疑でもそうでしたけれども、果たして現在の文科省民主党政権にその教育再生をするためのスタートライン、基礎をしっかりとつくり上げるんだという意識があるのかないのか、答弁を聞いていると疑問と思わざるを得ません。  例えば、先般、神本政務官の後援会及び民主党の支部の所在地についてお聞きしました。その所在地は、一ツ橋にある日本教育会館というところに事務所が置かれているわけです。私は、政治的中立を担保した上で、教育基本法に基づいて教育行政を行っていくのであれば、まずこういうところの中立が求められるという意味でこの質問をしたわけですけれども、それに対して平野大臣の答弁、ちょっと私は驚きましたね。建物の所有団体とそこに入っている団体とは違うわけですから、それがイコールとは私は思いませんというふうに言いました。  これ、財団法人日本教育会館が持っている、管理しているビルに、運営しているビルに日教組の本部が入り、そして神本政務官の事務所が入っている。しかし、それはあくまでも、建物の所有者とそこに入っている団体は違うというわけですけれども、この財団法人、所轄は文部科学省なわけですね。  そして、中の理事構成がどうなっているのかということをこれ、同じく委員会の中で世耕委員、上野委員も指摘しましたけれども。まず、今日、本日、私がこうして質問いたすのが何か一つの区切りみたいな感じがしないんでもないんですが、役員としては、トップが日教組の中央執行委員長、中村譲氏ですね。本日付けで中村譲氏は退任するということですけど、皆さん議論からいったら、本日付けで退任したのでこれからは関係ない等々また言われるのかなと思いますが。あるいは、あの教員採用・昇進不正事件で大きな問題になった大分県教組出身の日教組の書記長である岡本氏、あるいは元日教組の書記局次長、それから教職員共済生活協同組合常任理事、それから東京都高等学校教職員組合の執行委員長、日教組の副委員長などなどがずらっとこの会館を運営する財団の理事に名を連ねています。まさにこれは、私、決算委員会でもこれは日教組会館じゃないですかと言ったわけですけれども、まさにこれ、日教組の日教組による日教組のための会館なわけですよ。例えば、図書館も併設しているというけど、じゃ、その図書館、どんな内容の書類、書物が収められていて、どのように開放されているのか、そういうもろもろを検証したとしても、教育正常化を求めていく政務官がこの会館内に事務所を置いて、そして間違った教組の動きは間違っていると進めていきますよと言ったって、これは何の説得力もないわけですね。  それから、神本政務官は、北教組からも献金、選挙の前に五十万ほどの献金もらっていますけれども、これも多くの閣僚あるいは責任ある立場の人が、例えば原口当時の総務大臣はNTT労組からもらっていたのに対して、総務大臣がそういう労組からもらっていたらあらぬ疑いも掛けられるからこれは返金しようと、あるいは、野田総理も、脱税や違法な疑いのある企業からもらっていた献金、これも返金しようと言った。しかし一方で、同じように団体として告発され有罪判決を受けている北教組からの献金は、答弁で、パーティーの相応の対価だから関係ないと言うわけですね。  しかし一方で、今、文部科学省が何を指示しているかといえば、私の委員会での指摘から会計検査院が北海道に入りました、そして勤務時間中の組合活動がどうなっているのか等々についての調べが行われて、昨年の秋に様々な違法な状況が明らかになったわけですね。それを受けて、文部科学省は、北海道の全教職員に同じような項目、方法で調査を行ってくださいと指示しているわけ、教育委員会に指示しているわけですね。にもかかわらず、その指示している側の政務官が、政治資金規正法で有罪判決を受けた北教組から五十万円の献金をもらっている。これ、返さなくていいのか悪いのか、これ、我々、民主主義国家ですからね、国民は一体どう思うのかといったら、それはおかしいでしょうと思うに決まっているわけですよ。  教育正常化を求める文部科学省が、教育正常化を求められる側の組織代表で、そしていまだに日教組に事務所を構えていて、政治団体である日政連にいまだに属していて、そして調査をしてくださいというわけですから、これは明らかな矛盾が生じていると思っております。  まず、平野文部科学大臣にお伺いします。  この神本政務官の、日教組の本部が入っているビルで、日教組の幹部たちが財団として理事に役員として名を連ねているところに政務官が事務所として入っている、まして組織代表である政務官が、まして日教組の政治団体である日政連の議員である政務官が入っているということについてもう一度御見解をお願いします。
  42. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 義家先生、いろいろお調べになられての御指摘でございますが、私、改めて、今、神本政務官と一緒に仕事をさせていただいておりますが、行政の政務官という立場で公平中立に政務官の職を果たしていただいていると私は理解をいたしております。  その上で、今御指摘の日本教育会館と、こういうことで、その会館が所有しているところに神本政務官並びに政党支部でしたかね、神本さんの支部の事務所があるということについて、日教組本部と同じ建物の中にあるから一緒じゃないかと、こういう御指摘でございますが、私、改めて義家先生から御指摘ありましたが、法人格は違う、これはやっぱり教育会館という建物の所有者がそれぞれたな子にその部屋を、空間を貸している一つ部分を神本政務官が借りているんだと、こういうことでございますから、日教組本部とあたかも一体的になっていると、こういうところの御指摘には当たらないんだと私はまず思います。  その上で、じゃ、会館についての運営は日教組と一体じゃないかと、こういうことですが、これは財団法人として必要な理事会、ガバナンスをきちっとしかれて運営されているものですから、そこについては、私、義家先生の御指摘には当たらないと思います。  ただ、先生がそういうふうに御指摘される、こういうことについては極めて私は残念なことであると思います。もし、先生指摘されて、神本政務官が日教組の組織と同じ行動を取ってやっているという、こんなことであるならば、私、大臣としてしっかり、そういう事案が出てきたならば、私はしっかりとチェックをし、対処したいと、かように思っているところでございます。
  43. 義家弘介

    義家弘介君 日教組の活動と一体となってやってきたわけですよね、教師として、そして日教組本部の専従として、そして今議員として二期目をやっているわけですけれども、しかし今は違うわけです、政務官なんですよ。  私は神本政務官とは考え方が違います。しかし、神本政務官教育に対する情熱を否定するものではないんです。  例えば、昨年、教員定数の問題で、もう忘れもしない三月三十一日ですね、私の四十回目の節目の誕生日は、神本政務官と二、三時間ずっと二人でこの問題についてどう考えるのかということを部屋で激論をしたことがありますけれども、政務官は口々に、まず最初に出てくるのは権利ではなかったわけです、当時の話は。とにかく子供たちにとっていい環境をつくるために私は議員活動をしてきたと、だからこの定数の問題というのはしっかりと理解してくれと。私は反対の立場で、むしろ教科担任制を進めていくべきだから、この一律の小学校低学年の定数というよりは、平均学級人数が三十人を欠けている現状だから、五、六年生とか、あるいは学校がこういう授業をしたいというところに先生たちが加配されていく方針がいいんじゃないか。この話をずっと二時間も三時間も行っていて、神本先生が、元々学校現場先生ですけれども、非常に子供たちのことを考え一つ一つの政策をやっている、その部分についてはよくよく理解していますし、私は認めているんです。  しかし一方で、今、教育行政の文部科学省の責任のある立場として、日教組の様々な問題は、先ほども言いましたが、出してきました。それは、問題は問題として対処していかなければならないし、文部科学省にできること、県の教育委員会、市町村の教育委員会がしなければならないこと、学校現場が、管理職がしなければならないこと、様々ありますけれども、その要職に就いたわけですから、少なくとも日政連を辞めて日教組本部から出て、本当に誰の目から見てもしっかりとした、そことは決別して、一旦。  もちろん、昔からの一緒にやってきたグループですから、それは完全なる決別とはいかない、共有しているものもたくさんあるでしょうからね。でも、それはそれとして、まず、責任ある文部科学省の政務官だからこそ、その会館を出て御自分で事務所を構えて、そして正常化に向けて、私は是々非々で、いけないことは元仲間であってもやっぱりいけないと思いますと、こういうすばらしい研修もありましたというような政治活動を是非とも私は求められているというふうに思っています。  神本政務官、もう一回お伺いしますけれども、今、文部科学務官としてお答えください。政務官として、事務所それから後援会、そして民主党の比例の事務所、それから日政連の所属、これについて、今、政務官という立場にいるからこそ、そこと一線を画すという意思はないですか、それともありますでしょうか、お答えください。
  44. 神本美恵子

    大臣政務官神本美恵子君) 昨年の三月三十一日、私もしっかりと覚えております。自民党国対の中にお邪魔をさせていただきまして、定数改善について何とか四月一日から実現できるように、日切れ扱いでもありますので御協力をということでお話をさせていただいて、長時間聞いていただいて、先生もまた学校現場の御経験もある方ですので、そういう点では本当に協力できるところがあるんだという思いで今日まで参っております。  お尋ねの件でございますが、その前に一つ、北海道教職員組合から五十万円の献金という、これはパーティーという対価、これ予算委員会でも総理からも答弁していただきましたけれども、政治資金規正法に基づいて収支報告にも挙げておりますパーティーの対価として受け取ったものでございますので、いわゆる献金とは違うということを改めて一言、繰り返しですけれども、申し上げたいと思います。  それから、政務官になったのだから、教育会館から事務所を引き払う気があるのかという、それから日政連議員を辞めるべきではないかという御質問でございますけれども、私は政務官になりまして、行政府の一員として、教育基本法はもとより、あらゆる関係法律に基づいて仕事をしていくという、この決意は昨年の九月から持たせていただいておりますし、事務所が教育会館にあるからといって、日教組という一つ考え方を、行政の一員としてやる仕事にその影響を受けるとか、あるいは文科省の職員の方にその影響力を行使するとか、そういうことは全くございませんので、今先生がお尋ねになった、事務所を出ていくか、日政連議員を辞めるかということについては、今直ちにそういうことをするつもりはございませんとお答えしたいと思います。
  45. 義家弘介

    義家弘介君 日教組の思いに基づいた影響力を文科省に対して行使するかしないかではなくて、神本政務官は、これまでの政治活動として、日教組の組織代表の現在として、日教組そのものなわけですよ。それをバックボーンとして民主主義の中で選ばれ、今、議席をもらっているわけですね。  しかし、教育行政というのは日教組だけではないわけです。いろんなものをやっていかなきゃいけない、文化事業も科学技術もあらゆるものを。それから、組合も日教組だけじゃないわけです。様々な組合もあるわけですね。その全てに対してかかわる責任のある立場として、特定の団体、それが出身母体であっても、特定の団体のところに事務所を置き、そして先ほど、あれはパーティー券を日教組に購入してもらったお金で、いわゆる献金ではありませんと言いましたが、これも、やはり先生として政治資金規正法の枠組みの中で言っても、これ子供たち分からないですよね。だって、五十万円手元に入ったと、政治団体に五十万円手元に入ったということについては、パーティーであろうが献金であろうが同じなわけですから。これが違うと言ったって、いやいや、このお金は入っているじゃないか、そうしたら、お金をもらっていて本当にきちっとした調査ができるんだろうかというクエスチョンが付くというのは、これ当然のことなんですよね。  例えば、そうですね、これ日教組のホームページの中にもありますけれども、二〇一一年の十月、政務官が就任した後ですね、日教組の中村讓執行委員長、岡本書記長、小西清一副委員長らが文部科学省を表敬訪問して様々な意見交換をしていますけれども、この人たちもまさに大臣は違うと言っている財団法人の役員の方たちであって、日教組の重要な役職の方たちの中で、それを迎えている一人が神本政務官なわけですね。私はどこの団体が来ても会いますよと言うかもしれませんけれども、しかし、今の教育は駄目だと思っている人がそのことのみを見たら、やはりこれは日教組の政策を実現していくために入っているんだというふうに誰が見ても感じるわけですよ。  だからこそ、私は、これはどこの政権であろうとも、教育正常化というのはしていかなければならない。この北海道であったようなこと、これ、全部犠牲になるのは子供たちですから。だから、どこの政権が担当しようとも、教育正常化はしっかり進めていかなきゃいけない。  その意味で、今重要な地位にある神本政務官は、しっかりと線引きをするか、あるいは政務官をお辞めになるか、私はどっちかだと思うんですね。日教組が大事で、組織代表だから、この理念の下でここと一緒にやっていきますと言ったら、まず政務官を辞めていただいて、その日教組の組織代表である議員として活動していく。あるいは、文部科学行政で行政府として責任ある教育再生をしていくと言うのならば、今度は教組とはしっかりと線を引いて、区別して、ほかのあらゆる団体と完全に変な疑念を持たれないような形で行政を進めていく。私は、政治家というのはそういう決断ができなければならないと思っているわけです。  例えば、文部科学大臣、これは決算委員会でも質問しましたが、大臣規範、これは平成十三年の一月六日に閣議決定されたものです。この大臣規範はどのような目的の下で決定されたものか。細かい項目は結構です。どのような目的の下で決定されたものか、お答えください。
  46. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 今、義家先生ありましたように、平成十三年に閣議決定をされたものでございます。  いわゆる大臣規範というのは、国務大臣等の公職にある者が政治的中立性を確保するために閣議決定をし、大臣規範としたものであります。具体的には、服務規程ということで何点かございます。これも申し上げましょうか。  一つは、営利企業等の兼職の禁止ということでございます。いま一つは、公益法人等の役員の兼職の禁止、ただし、報酬のない名誉職についてはその限りにはあらずと、こういうこと。パーティーの開催の自粛、関係業者からの接待、贈物、便宜等々の受領の禁止、政治的中立性が求められている職員に対する一部の利益のための影響力の行使の禁止、一部の政治的目的のための職員の任命権濫用の禁止と、こういう部分が規範としてなっていると、こういうふうに認識いたしております。
  47. 義家弘介

    義家弘介君 全くそのとおりでございまして、国務大臣等の公職にある者として清廉さを保持して政治と行政の信頼を確保するためには、例えば総務大臣がどこどこの会社とつながっているとか、あるいは厚生労働大臣がどこどこの施設運営しているとか、こういう状況になると国民の信頼は損ねると、そのような思いで、国民全体の奉仕者として公共の利益のためにその職務を行うということを明らかにするためにこの規範ができたわけですよね。  もちろん、この規範の中で、この目的と、それから中の内容、兼職については違うわけです。例えば、先ほどから出している日教組は営利企業ではない、営利企業ではないからそこにいてもいいのか、いけないのかというような、こういう議論を私はするつもりないんですね。教育というのは営利じゃないですから、元々。つまり、文部科学省は営利でやる役所じゃないわけ、もちろんどこの省庁もそうですね、そうじゃなきゃならないわけですけれども。  だとして、特定の団体の本部の、そしてその本部を運営しているのが特定の団体の役員たちなわけです。そこに事務所を置いてそこに入っていたら、国民全体の利益のためにやるというよりは、誰が見ても、国民から見ると、ある特定の団体のイデオロギーであったり、あるいは政策であったりのためにやっているという疑いが必ず掛かってくる。だからこそ、私は、文部科学務官を続けるのであれば、この大臣規範の趣旨や目的にのっとった上でそちらの団体とは線を引く、あるいは線を引くことはおかしいというならば、今度は政務官を辞めてそちらの団体の組織代表として議員活動をしていくという、どちらかが本来問われなければならないものであろうと思っているわけです。こちらもやるけれどもこちらもやる。  しかし、本当に教育行政というのは説得力がなければ進まないんですよ。教師がいいかげんなことをやっていて、どんなに生徒にやれやれ、やれやれと言ったって、言うこと聞かないのと同じなわけですね。だからこそ、覚悟を持ってどこかに線引きをしていただきたい。  そして、予算委員会質問でも、予算委員長が混同と思われるようなことは注意するようにとか、官房長官もそういう状況が国民に対して見えるようなことがあるならば考えるようにという発言がありましたけれども、平野大臣、改めて、そういった発言も含めてどちらかに線を引くべきだというふうに私は思うわけですけれども、説得力ある文部科学行政を進めていくためにはどちらかにしっかり線を引くべきだと思いますが、もう一度、大臣、お答えください。
  48. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 義家先生がおっしゃっている、基本的にこの規範に基づいてそれぞれ政府にいる役職の人間は常に線を引いてやらなきゃならないということについては、全く私、同感だと、こういうふうに思っております。  したがいまして、神本政務官も、政務官になった以上、日政連の議員であるとか日教組の出身であるとか、そういうものはきちっと精査を、精査をするというのは、活動、自らの政務官としての役職においてけれんみなくきちっと、私は、線引きをされて今任務に就いておられると私は思っております。
  49. 義家弘介

    義家弘介君 政務官、現在も日政連所属の議員で間違いないですね。
  50. 神本美恵子

    大臣政務官神本美恵子君) はい。今もそうです。
  51. 義家弘介

    義家弘介君 もう一度お聞きしますが、大臣、今も日政連の議員なわけです。線を引く、引かないって、感情論の問題じゃなくて、国民全体の奉仕者として国民が見たときにどうなのかということなんですよね。私はこう思っています、私は線を引いているつもりですでは駄目なわけですよ。例えば我々は立法府に属していますが、法律というのはつもりじゃ駄目なんですね。この法律を守っているつもりですか、つもりじゃないかじゃなくて、違法なのか、違法じゃないかという問題は、当然法律というのは問われるわけですよ。  是非、大臣の方からもう一度しっかり話をして、私は、今、北教組の入っている調査というのは、先日指摘した沖縄のPTAのお金の問題も含めて今日やりますけれども、やっぱり重要な問題なんですよ。で、そこに組合が絡んでいるんです。そこに日教組が絡んでいるんですよ。そこに対して調査をして、正常化のためにあらゆる働きかけを今文部科学省平野大臣をトップとしてやっていかなきゃいけないんですね。その中で、そういう疑念が残っているんだったら、ああ、この内閣は本当にやる気ないんだというふうに思われたときに、ああ、やる気がないんだ、じゃこの辺まではいいか、この辺まではいいか、結局その被害を被るのはいつも子供たちなわけです。  ですから、私は、今しっかりと決断して、今この委員会で別に答えを出せとは言いませんけれども、しっかりとやはりこの部分整理して、大臣がトップなわけですから、自分の権限と思いを持って、しっかりと、もう一度神本文部科学大臣政務官としっかりと話をした上で、本当にこの大臣規範の目的にのっとって、しっかりとした政治的中立を確保した文部科学行政を私は大臣としてやっていくんだという意思をしっかりと示していただきたいと思います。  で、自由民主党はそういうところには非常に厳しくて、そういうのが出ると必ず内輪で大問題になってかんかんがくがく議論が行われるところでありますが、私はこういう意味での民主党の体質というのは非常にやっぱり甘いと思うんですよね。  もちろん仲間意識ってあるでしょう。これは自民党だってあるし、どこの政党だってあるんですよ。このぐらい許してやれよって思うようなことだっていっぱいありますよ。例えば以前なら、例えば漢字を読み間違えたというのが延々と新聞で出ると。漢字なんか誰でも読み間違えるだろうというようなことが殊更テレビ入りの審議でもぼんぼんぼんぼん出てくると。あるいはカップラーメンの値段幾らですかというようなね。  まあこれは今の我々もまた反省しなければならないことがいろいろあると思いますけれども、しかし、この仲間内をかばうという前提の前に、皆さんは責任ある文部科学行政を担っていく、そして教育正常化を進めていかなければならない人々ですから、この辺の線は明確に付けていただくことを強く強く要望して、次の質問に移らさせていただきます。  保護者から非常に勇気のある告発の中で、PTAの会費が先生方の日当として、裏手当として受け取られていたというもの、これを決算委員会の中で追及させていただきました。  ちなみに言えば、もう一回繰り返しになりますが、一応議事録に残しておきますが、教師はその職務の特殊性もありまして、勤務時間管理がなじまないため、時間外手当を支給しないこととして、前提として、そして給特法を根拠として、教員の職務と勤務態様の特殊性を勤務時間の内外をまたがって包括的に評価して一律に支給される手当として本給の四%、これを時間外手当、残業分とみなして上積みしている。このお金はほかの手当やボーナスにも跳ね返りますから、少ない少ないと言いますけれども、まあ当然、物すごい頑張っている先生にしてみたら当然少ないですよ。しかし一方で、かなりの額である、これ国民的に見てもかなりの額であるということはこれ間違いないお金が付いている。  そのほかにも、義務教育等教員特別手当で、これ条例によっても違いますけれども、原則的には給料の一・五%程度の定額、あるいは特殊勤務手当として、まあ複式学級を持ったら幾ら幾ら、非常災害時には一日幾ら幾ら、修学旅行の引率をしたら幾ら幾ら、それから対外運動競技等の引率をしたら幾ら、入試の事務をしたら幾ら、あるいは主任手当として幾らという形で、一つ一つ法律に根拠のあるプラスの上乗せ分というものが存在しているわけですね。  これに対して、本来職員の業務である、例えば子供に勉強を教える、子供の小論文指導をする、進路指導をするなんというのは、これは時間外とか時間内とか、そんな議論は元々ないんですね、この四%上乗せ分がある限りはですね。  に対して、各項目で、例えば駅前に立ったら千円とか、あるいは夏期講座一こまやったら九十分で四千五百円とかというお金がPTA会費から出ていた。  この質問をしたときに、私、驚いたんですね、民主党の人たちのやじに。PTAがいいと言っているんだからいいだろうと言うんですね。私、これで本当に立法府の議員なんだろうかと思ったわけですよ。PTAがいいと言おうが言うまいが、違法なことは駄目なんですよね。やっちゃいけないことはやっちゃいけないわけです。まして、この告発というのは、PTAが、これはおかしいだろうと、今まで我々に何の開示もなく丼のようにどんどんどんどん支給されていたこのシステムはおかしいだろうという声が出た。しかし、そのとき、大臣は突然でと言っていましたけれども、何と教育委員会が認めていたらいいと言ったんですね、あのとき。  私、ちょっとびっくりしましてね、教育委員会が認めていたらPTA会費から教員にお金を手当として出していいんですか、大臣。もう一回お聞きします。
  52. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 議員の、あれは予算委員会でしたですか、決算でしたか。
  53. 義家弘介

    義家弘介君 決算です。
  54. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 突然の御指摘ございまして、私も本当、びっくりしたことはそのとおりでございます。  ただ、私が申し上げましたように、教員という特殊性の中にあって、そういう活動については、ある一定の部分につきましては、もちろん公務員という規範がございます。しかし、教職員という場合においての部分では、教育委員会の許可を受けてする行為については認められるということを申し上げたところでございます。
  55. 義家弘介

    義家弘介君 この辺の認識の違いなんですよ。つまり、大臣がその辺についてどういう考え方を持っているかということが実は核心なんですけれどもね。  ちょっと、じゃ、現場教員をずっとされてきた神本先生に是非お聞きしたいですね。  学校で遅刻が多くなっちゃって、朝、みんなで早出をして校門に立った。これ、PTA会費からもらうってどう思いますか、神本政務官
  56. 神本美恵子

    大臣政務官神本美恵子君) 私の経験では、朝や帰りの登校指導、下校指導というのは、みんなで持ち回りでやっておりましたので、それに報酬を受けるとかいう発想は、私が経験した二十一年の学校現場ではございませんでしたので、ちょっと何とも申し上げられません。
  57. 義家弘介

    義家弘介君 神本先生、もう少しお伺いします。  例えば、先生小学校先生でしたけれども、中学受験したいから、先生、ちょっと放課後勉強見てくれると言って、子供を残して中学受験用の指導をしたと。もちろん先生としての業務もありますから、七時ぐらいまで教えたと。これ、お金を取る、PTAからお金をもらう、これはどうですか。──いいです、はい。  あり得ないんですよ、こんなことは。教員が責任の下で、教員の責任の範疇なんですよ、補習授業をすることも早朝授業をすることも。それから、論文指導をすることも進学指導をすることも、これ、教員の仕事としての責任の範疇なんですよね。それを、一回行ったら何千円、一回行ったら何千円なんていう形でお金を取ること自体、その部分には既に四%と一・五%、上乗せ分の残業手当分が出ているわけですよ。つまり、別からそれ相応のお金を取るということは裏手当なんですよ。二重支給なんですよ。だから、この問題についてはきちっと調べなきゃいけませんよという話をしました。  例えば、これも決算委員会指摘しましたが、一月三十一日現在で一千三百四十二万二千円が先生方に別途PTA会費からお金が支払われている。報道によると、月二十万円もらっている先生もいるわけですよ、本給のほかにですよ。  という状況になっていくと、頑張っている先生、やっていられないじゃないですか。本当に日夜生徒たちのために走り回っている教師がいるんですよ。一方で、組織的にですよ、歴史的にこのようにPTAから集めたお金を、何々をやったら幾ら、やらなかったら協力しないよ、だからこれは組合問題だと言っているのはそういうことなんですよね。  我々は協力しませんよというなあなあの中で、一度問題になったけれども、やってくれる人がいなくなっちゃうから苦肉の策でその問題に蓋をしたわけですよ。しかし、保護者の負担は全く変わっていないわけですね。非常に言葉を選ばず言えば、ぼったくりバーみたいなものですよね。今日は無料ですよと、高校は無料ですよと入って、補習授業をやってもらいたいなら一こま幾ら、玄関立ちしてもらいたいなら一こま幾ら、家庭訪問してもらいたいなら一回幾らなんていう形でPTA会費から取って、最後は、それしっかり出ていないから推薦は出しませんよ、それしっかり出ていないから駄目ですよなんていう論理がまかり通るような高校だったら、皆さんが標榜した高校無償化の理念とだって完全にそごがあるわけですね。  この内容、追跡調査、どの程度文部科学省として現時点把握しているか、教えてください。
  58. 布村幸彦

    政府参考人(布村幸彦君) お答えいたします。  先日の御指摘をいただいて以来、文部科学省として、沖縄県の教育委員会に対しまして、実態の把握を行い報告するよう求めたところでございます。現時点ではまだ全体としての御報告は来ていないところでございますけれども、御指摘のありました県立高校におきましては、教育委員会の許可なく勤務時間内外にPTAから報酬を得て補習授業等を実施している実態があるということ、あるいは、これを踏まえて、県教育委員会として全ての県立高校の状況を把握するための調査を開始したという報告を受けているところでございます。
  59. 義家弘介

    義家弘介君 大体、この教育委員会、県の教育委員会も変なことを言っているんですね。今までは兼職届を出ていなかったから、これからは兼職届を出すようにというわけです。  文科省、しっかり見解を述べてください。学校内で、いいですか、公の建物というのは税金で建てられている学校ですからね。自分の勤務する学校内で、自分の本来教えなければならない子供たちに、授業カリキュラムと違う補習授業なり進路指導なりをして、それ兼職って言うんですか、文部科学省の定めている。どうなんですか。
  60. 布村幸彦

    政府参考人(布村幸彦君) 一般論というお答えになりますけれども、PTAの方々からの依頼に基づいて補習を行うという位置付けで、それを受けて学校の本務として位置付けて行う場合におきましては、先生がおっしゃられたとおり、教員としての給与あるいは教職調整額等、給与を得ておりますので、給与以外の報酬を受領することはできないという制度になります。  また、学校の本務として位置付けない場合として、PTA主催の補習授業、それで生徒が希望制で、希望された生徒が参加すると、そういったケースが該当するかと思いますけれども、このような場合には、教員の任意の職務外活動という位置付けになる場合があります。この場合におきましても、勤務時間内外の職務を包括的に評価するものとして教職調整額が支給されているということを踏まえて、社会通念上は適切な範囲で行われる必要があるという考えがまずございます。その上で、報酬の有無、勤務時間の内外の状況に応じて兼業、兼職の手続を行う、あるいは職務専念義務の免除を行う、そういう必要性があるかどうかは任命権者として教育委員会が判断するという手続になろうかと思います。
  61. 義家弘介

    義家弘介君 文部科学省がそんな姿勢でどうするんですか。これ、学校でやっているんですよ。じゃ、国会の職員がこの場所を使って別の収入を得るアルバイトできますか。何を言っているんですか、文部科学省が。  例えば、あなたたち、例えばですよ、このお金以外の特殊手当の運用に関することも昭和四十八年に出している。例えばこう言っているんですよ、林間学校等が自校の施設利用して実施された場合であっても特殊勤務手当の支給には該当するかと言ったら、校内で実施されるものは原則的には該当しないと解されると言っているでしょう。何を言っているんだよ。この補習授業、校内でやっているんですよ。PTAからの、PTA主催って、PTA知らないんですよ、誰が主催しているのかさえ。だからおかしいって寄せてきているんですよ。何であなたがそんないいかげんな答弁するんですか。
  62. 布村幸彦

    政府参考人(布村幸彦君) 今回の沖縄県の、先生に御指摘いただいたケースでは、元々はPTA主催という形で二十年前以上からスタートしていたようでございますけれども、現時点ではその主催者が誰かと、あるいはその報酬の支払がどういうところかという、相当曖昧な状態で運用されているということは報告を受けておりますので、関係法令に照らして適切かどうかしっかり把握した上で必要な指導はしていくことになろうかと思います。
  63. 義家弘介

    義家弘介君 本来、PTAの主催で始まったといっても、例えばPTAが主催しても、いいですか、四%分の残業見合い分出しているわけですよ、その平日の朝及び放課後に、本来PTAが主催しようがしまいが、生徒たちの授業をして、あんたのお金から金くれよって、これおかしいでしょう。違法なんですよ。そして、まして兼職届も出していないから違法のダブルなんですよ。そして、それを出さなければ協力してくれないという先生方が管理職に圧力を掛ける、これだって組合問題として是正しなければならない問題なんですよ。それをPTAの合意の下で二十数年前に始まったと聞いている。誰から聞いたんですか。PTAから聞きなさいよ。PTAでそんなこと言っていないわけですから、私に情報を寄せてくれた方、一つも聞いていない。開校時から始まったと言うけれども、開校時にはPTAはいないんですよ。  そして、どこまで本当か知りませんけれども、その募集要項にはそれに協力してくれる生徒のみ入れるというような話だったなんという、そんな声まであるんですよ。もしそれがそうだったとしたら、高校受験、公立学校の受験の在り方としてはおかしいでしょう。私立で寄附金幾らくれるなら入れてやるけれども、これ以下だったら入れてくれないなんということも私はおかしいと思いますが、公立学校で、条件付で、お金の負担するかしないかで合否の判定するなんということが本当に保護者たちに言われているとおりあったとしたら、これは物すごくゆゆしきことですよ。  そしてさらに、夏期講座ね、これも私が指摘したら早速ごまかしの書類とかがどんどん出ましたけれども、夏期講座代としてかなりの額が計上されているわけですが、夏期講座の時間割を見れば、夏休み中の勤務時間内にやっているわけですよ。夏休み期間中の勤務時間内に教室を使って、夏期講座をやって、一人頭幾らってもらっている。そして、向こうの言い分は、いやいや、それは資料代としてもらっているんだって言うんですね。それもうそなんですよ。資料代は別途取っているわけですからね。  例えば、今年の夏だけで出てきているお金、夏期講座の幾つも額ありますけれども、その中の一つの数字だけ言えば、夏期講座の資料代と称するお金だけで六十七万八千円ですよ。どんだけ資料が掛かるんですか、六十七万八千円って。そして、一人一人の教員に一万五千円の手当が支払われているんですよ。それは資料を買ったって、誰が聞いたって資料じゃないわけです。だから、これは本当にゆゆしき問題だからしっかり調査してくださいと、私は、大臣も命令して、文部科学省がしっかり現地に入って、この事実の把握というのに努める、私はそういう責任さえあると思っていますよ。  さらに、新しい問題出てきているじゃないですか。これは和歌山県です。和歌山県の県立高校は、PTA会費の名目で本来県が賄うべき教員の出張費、それから校舎の修繕費、これがPTA会費から充てられていたというんですよ。これ、和歌山県の監査委員などの調査で初めて発覚して、昨日一部でも報道されましたけれどもね。本来、校務に携わる臨時教員の賃金も保護者からの徴収金が充てられていたと。何と全県立高校三十一校四分校の多くで、県内外で開かれる各教科の指導法などの研究会に出向く出張費も保護者が出していると。つまり、組合の研修でも保護者に出させるなんという会計があるわけですよ。  さらには、本来は管理費で賄うための学校の壁や窓ガラスの修繕も保護者徴収金が充てられていたと。それから、会議室のエアコン、先生方の、会議室のエアコンの設置もPTA会費から充てられていた。さらに、校舎や門、扉を施錠する臨時職員、本来それは学校に来ているんだから職員が施錠すりゃいいのに、自分たちは休みたいからこういうのを雇うんでしょうね。臨時職員の賃金もPTA会費から充てているという話なわけですよ。年間数千円から二万数千円のPTA会費をもらっていますが、多い学校では年間四千万円も集めていると。そして、こういう支出が一千万円以上に上る学校もあるというわけですね。  まず、ちょっと総務省にお伺いします。地方財政法二十七条の三、どういう規定ですか。
  64. 米田耕一郎

    政府参考人米田耕一郎君) お答えいたします。  地方財政法第二十七条の三、「都道府県は、当該都道府県立の高等学校施設の建設事業費について、住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、その負担を転嫁してはならない。」、こういう規定でございます。
  65. 義家弘介

    義家弘介君 これだって違法なんですよ、だから。法律違反でしょう、地方財政法の二十七条違反なんですよ。PTAから集めたお金をこの施設の建築やそういうものに対して住民に負担を転嫁してはならない。PTAは住民ですからね。これだって違法なんですよ。  更に言えば、学校教育法第五条、学校の設置者は学校経費を負担する。本来設置者が負担しなきゃいけないお金をPTAから流用して、それを個別現金で支払っていくというのは、これはとんでもないことなんですね。  決算委員会でも聞きましたが、法務省、もう一回、刑法百九十七条、賄賂、これについて、どういうものを定義してその百九十七条は定めているのか、お答えください。
  66. 岩尾信行

    政府参考人(岩尾信行君) お答えいたします。  刑法百九十七条は、「公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の懲役に処する。」というふうに規定されておりまして、ここでいう賄賂とは、一般に公務員の職務に対する不法な報酬としての利益をいうとされております。
  67. 義家弘介

    義家弘介君 つまり、教育公務員の職務、生徒指導をする、授業をする、生徒管理をする、それに対して別個のお金を取っているわけですよ。私はこれに該当すると思っていますよ。  最高裁で、この公務員に対しての賄賂に対しての最高裁判決あります。中学校教員に対する保護者からお金が支払われていたという最高裁の判例の中では、それは、一審では三件分が有罪となったんですが、最後は有罪とはならなかったわけですけれども、こういうことがなされた。たとえ報酬であっても、卒業時に五千円程度なら社会通念上賄賂には当たらないという理由で無罪になったわけです。  しかし、今回のケース違うでしょう。組織的に、歴史的に、確信犯的に、一つ一つの職務に関する講座を持って、現金で丼勘定に、保護者にさえ開示されず、一回やったから幾ら判こを下さい、一回やったから幾ら判こで、はい、現金支給です。多い人は月二十万ですよ。これは、まさしく刑法で定めている賄賂に該当すると思っているんですよ、私。だからこそ、教育の信頼、教育無償化と言うなら、その教育の信頼を取り戻す、まず、私は何度も言っているとおり正常化が先だと思っているんですね。正常化した上で、そうじゃなかったらざるに水注いでいるようなものなんですから。  本当に後期中等教育が、きちんと子供たちの将来に責任を持ち、子供たちの成長に責任を持った形で担保されているのか。そして、高校に通わせる親の本音は、本当に進学できるかしらと、本当にしっかりとこれから羽ばたいていってくれるかと。学校に対してはかなり負い目というか、子供を人質と言ったら言い過ぎかもしれませんけれども、子供の進路を預けられているんですね。親はどうしようもないんですよ。だから、学校の教師というのは真剣に向き合っていかなきゃいけないし、それの区切りがないから時間外手当分を上乗せして、一般の公務員よりかなり優遇された労働条件の中でやっているわけです。私は、それはいけないと思っていないんですよ。頑張っている先生はそれ以上に頑張っていますから、事実、応援していかなきゃならないと思っていますよ。しかし、こういう違法な状況が一方であるならば、これは保護者の信頼なんて勝ち取れるわけがない。  皆さんは全ての子供が経済的理由で云々と言っていましたけれども、PTA費を払えない経済的理由のある子は受けれないんですよ、この講座。そうでしょう。入口無償化にしたって、PTA会費年間数万円も払えないような家庭の子は、どんなに学ぶ意欲があって進学しようと思っても講座を受けれないんですよ、希望制ですから。というような状況なわけです。  是非とも、今この機会に日本中の高校で類似の件がないかどうかということを是非とも検証していただきたいんですね。というのは、これ、今始まったことだけじゃないんですね。例えば、岐阜でも起こっていたわけじゃないですか。県立高校四校のPTA会費が、何と教職員組合に余ったお金回されているんですよ。これも発覚した事実で、とんでもない問題だといって事件化しているわけですよね。PTAはそんなためにお金を出しているんじゃなくて、子供の環境のために出しているわけですよ。  そもそも、教師とはこういうことがあっていいのか悪いのか。これは、明らかに悪いんです。それを文部科学省は何だか玉虫色に引っかかったように説明する。あるいは、文部科学大臣は、教育委員会が認めれば云々と言うけれども、教育委員会が認めるか認めないか以前の問題なんです。教師の責任として、目の前の子供、言ってみれば交番の人に、済みません、お巡りさん、道を教えてください、いや、自治会から三千円持ってきてくれたら案内してあげるけど、三千円持ってこなかったら案内しないから、取りあえず地図見ておいてって言っているようなものじゃないですか。大臣の答弁も、義家さん、三千円くれるなら答弁するけど、三千円くれなかったら答弁しませんよって言っているようなものじゃない。そういう話なんですよ。そんなことがまかり通ってしまっていることが私は悲しくてしようがないんですよね。だって、親はそんなこと全く知らされてこなかったわけですから。  これ、恐らくこの沖縄とか和歌山とかだけではなく、いろんなところで実は起こっているかもしれません。だからこそ、文科省はそういう事実はないかと。ないならいいんですよ。そういう事実がないかと。そして、あったものについてはしっかり適正に処理しなかったならばならないと。また、これ、例えば刑事告発されたらこれが裁判になるんですよ、大変な問題になっていくんですよ。こういうことも踏まえてしっかりと教育を正常化させていただきたい。  これは平野大臣の、今のこの事件が起こった中のトップとして、やはり不退転のリーダーシップでしっかりと調査していっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  68. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 今先生、類似の件として和歌山の案件も挙げていただきました。私、和歌山出身ですから、私の出身の高校がこの中に入っているかどうか非常に心配でございますが、これはまあ個人的なものとして。  改めて、法令上の問題は法令上の問題として、やっぱり社会通念で先生がそういう指摘があるような部分が、今るる御指摘いただきました。重く私は受け止めてしっかり役所として調査をさせ、その結果を踏まえて厳しく対処したいと、かように思っております。
  69. 義家弘介

    義家弘介君 どうもありがとうございました。
  70. 野上浩太郎

    委員長野上浩太郎君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時一分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  71. 野上浩太郎

    委員長野上浩太郎君) ただいまから文教科学委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、教育文化スポーツ学術及び科学技術に関する調査のうち、文教科学行政基本施策に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  72. 上野通子

    ○上野通子君 自由民主党の上野通子でございます。  本日の午前中には同僚の義家議員から日教組の件についてお話がありましたが、義家議員は、いつも日教組のことにかかわっているので、義家というと日教組と見られるというお話をしていましたが、最近では、上野通子というとまたSPEEDIかと思われていますが、申し訳ございません、今日もSPEEDIについて質問させていただきたいと思います。多分義家議員もそうだと思うんですが、私も信念がありまして、やはりおかしいなと思うところがあったら、とことんやはり調査して検証して分析していくことが当たり前だと思います。このことについてもそういう思いでさせていただきたいと思います。  まず、先日三月十五日になりますが、参議院の予算委員会の方でこの東日本大震災直後のSPEEDIの運用について質問させていただき、その際に初めて平野大臣から御答弁をいただいたわけですが、どうにもその際の答弁が腑に落ちないところがございましたので、再度質問させていただきたいと思います。どこかといいますと、SPEEDIの公開をめぐる昨年三月十三日から十六日にかけての文科省の動きでございます。  先日の予算委員会政府側からの御説明はいただきましたが、三月十四日に在日米軍から外務省に対して放射性物質の拡散状況に関するデータ提供要請があって、外務省と文科省で協議をした結果、SPEEDIのデータを在日米軍に提供したいということにしたと、そういうことでございますね、大臣、もう一回お答えください。相違ありませんか。
  73. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 先生、この前予算委員会での米軍へのSPEEDIの情報の提供についてと、こういうことでの御質問がございました。改めて、同じ御答弁になるかも分かりませんが申し上げます。  SPEEDIの試算結果の提供については、原子力災害対策マニュアルに基づいて、文部科学省としては原子力対策本部の事務局であります原子力安全・保安院を始めとする関係府省庁に対してSPEEDIのデータを三月十一日午後、発災以降送っているわけでございます。そういう流れの中で、外務省を通じて米軍にそのSPEEDIのデータを、提供を依頼がございました。したがいまして、三月の十四日だと思っておりますが、外務省を通じて米国に資料を提供したというのが事実でございます。  これをなぜ公表しなかったかとか、こういう御議論がいただいておりますが、これは文科省としては関係府省に送らせていただくというマニュアルに沿って提供したものであるし、外務省からそういう要請がありましたので、外務省にお届けをしたというのが最初のデータの提供部分でございます。
  74. 上野通子

    ○上野通子君 ありがとうございます。  しかしながら、事実は、米軍には送ったが国内では公表しなかったという、それは国民にとって事実であり、それがなぜそうなったのかということが今私たちのとても不審に思うところでもあります。まして、この文科省もかかわっている、しかも文科省というのは教育分野である、子供たちのことを一番に考えなきゃならない。そんな中で、無駄に被曝した住民の中には多くの子供たちも含まれていたんです。そのことを私たち文教委員会でも重くとらえなければいけないと思います。  一方で、文科省は昨年の三月十五日の政務三役の会議、これについてはやはり平野大臣から予算委員会では、これは正式でない会議だというお話がありましたが、改めましてここで打合せ的な会議と言わせていただきますが、そこでSPEEDIや、もっと広範な予測ができるワールドSPEEDIですね、WSPEEDIのデータを見て、そこには放射能に汚染された気流が首都圏に掛かる可能性指摘されていたので、それを御覧になって、一般にはとても公表できない内容であると判断したというようなことが書いてありました。  大臣、このことをもちろん、この間のメモですが、御存じですよね。そして、当時大臣や副大臣だった方がどういう意味で公表できないと判断したのでしょうか。前大臣や前副大臣からの御説明や引継ぎはございましたか。
  75. 平野博文

    国務大臣平野博文君) かなり、私のところでの引継ぎの部分でいきますと、その部分は、事故調査委員会の中で、そういうものがメモとして、その当時あったもの何でもいいから出せということで出されたもので、そのメモが新聞報道等々で出回ったものだというふうに私は理解をいたしております。  そのメモの中を見ますと、これはきちっとそこに、政務三役会議という会議ではありませんでした。政務三役を含めた関係者の打合せの会議だというふうに私は承知をいたしておりますが、その中で取られたメモで、それが、このメモが事実であるかどうかという確認も取れておりませんし、事実関係にかなり誤認があると、こういうふうに私は承知をいたしておるところであります。
  76. 上野通子

    ○上野通子君 実は、今日の資料として用意しました皆さんのお手元の二ページ目を御覧ください。資料のメモでございます。このメモを作成したのは、文科省で放射能問題に対応したEOC、放射線班ですね、その班長です。そして、先ほど質問内容のことも中ほどに書かれておりますが、SPEEDIやワールドSPEEDIの予測結果が関東及び東北地方に放射性雲が流れるという結果を見て、そこの政務三役は恐らく拡散状態が広がっているということを感じ、とても公表できるものではない、別途標準的なものを用意することとなったと判断したのだと思われます。  私としては、このメモは非常に重要なものだと思っています。その理由は、この三月十五日のその打合せ会議こそ文科省がSPEEDIの情報隠蔽を決めた打合せ会議であり、それを裏付ける確かな証拠だと思うからです。  ところが、平野大臣は先日の予算委員会で、今もそうおっしゃいましたが、正確性に欠けるメモだという見解をおっしゃいました。私も、正確であるかも含めて、実はメモについて事前に文科省から御説明を受けました。会議のメンバーは当時の高木大臣を始め政務三役、三月十五日は正式な政務三役会議ではなく、打合せ的なものであった。でも、政務三役はこの日確かに話合いをしている。  つまり、正式会議ではないが、問題なく打合せをして、大切なことは、その会議文科省の政務三役がSPEEDIの情報を公開しないことを決め、原子力安全委員会に責任転嫁をすることで口裏を合わせてやっていたということだと私は思いますが、この流れ、そういうふうな大筋の流れで間違いないでしょうか。
  77. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 上野先生ね、そこは少し決め付けないでいただきたいと思いますが、これは、公表をしないということをそこで意思決定をしたとか、そういう会議体では実はございません。いろんな意見交換をされたものであると、こういうことでございます。  もう一つは、いろんな役所がいろんなデータを取っておりますが、それをむやみやたらにそれぞれ出しますと混乱だけが起こるじゃないですかと。こういうこともあり、そういう意味では、評価結果については対策本部の方で判断されるということですから、そういうことに出すことについては控えましょうと、こういうことだと思います。  もう一つは、ワールドSPEEDIについて一つ申し上げておきますが、これはまだ機構における研究開発の代物でございます。したがって、これがどういうふうになっていくかどうかということについてはいろいろまだ検証過程があるということですから、多分、これは多分です、私、そこの現場にいませんでしたから。多分そういうものを出したってその状態が本当に正しいものかどうかというのは、研究開発中ですから、そういうものを使って研究開発していることは事実でありますが、そういう判断を一部一方ではされたのではないかと私は推測をいたします。
  78. 上野通子

    ○上野通子君 今大臣はこのメモに当たっての御答弁いただきましたが、それでは、このメモは正確なものでないと何度かおっしゃっていますが、正確なものではないというのは、どの辺が正確なものではないのか、間違っているのかというのをもう一度お伺いしたいと思います。
  79. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 何点か私の聞き取りにおいてはございます。一つには、先ほども申し上げましたが、政務三役との省内打合せの概要が記載されておりますが、出席者の一人が作成したものであり、他の出席者への確認がされておらず不正確な記述もあると、こういうことでございます。具体的には、SPEEDIの試算結果については政務三役が一般に公表できない内容と判断とされておりますが、発表の要否については具体的な決定はされなかったと、こういうふうに私は、事務方に調べさせますと、そういうことでございます。  したがって、今改めて我が省内で政務官を中心として一連の今聞き取りを正確にし、改めてこのSPEEDIの一連の調査を今させているというのが今事実でございます。
  80. 上野通子

    ○上野通子君 大臣、このメモはどういうメモと言えますか。非公式なメモですか、そうではないですか。
  81. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 私は非公式なメモだと認識をいたしております。
  82. 上野通子

    ○上野通子君 違います。この文書は政府の情報公開制度によって公開が決定された行政文書です。そして、メモを作成したのは文科省の放射線の班長です。そこまでは間違いないことです。しかしながら、そのメモに対して大臣がメモ内容を否定するというのは、私としてはおかしい気がしますが、いかがでしょうか。
  83. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 確かにこれは、このメモについては、非公式なものなのかどうかということについては、先生おっしゃるように、これは本当にどうなのかということでございますが、私はそういうふうに認識をいたしております。
  84. 上野通子

    ○上野通子君 この文書が政府の情報公開制度によって公開が決定された行政文書であるから、このときに、私がメモの説明をお願いしたときに、文科省から来ていただいてきちんと事実であるということで説明をしてくださったんですが、それでは、私はそこで正確でない話を聞いたんでしょうか。それとも、事実でないこともあるかもしれないということを前提にこの話を文科省の方は私にされていったんでしょうか、説明を。
  85. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 議員、申し訳ありません。どなたが、この当事者ですか、どなたが議員のところへ行かれて、これは事実であるというふうに申し上げたのかどうかは、ちょっと私は分かりませんが、あくまでも、情報公開法に基づいて請求された資料ではございますけれども、個人の取ったメモであると、こういう私は位置付けのものだと私は思っております。
  86. 上野通子

    ○上野通子君 ありがとうございます。大切なのは、その場で情報隠蔽というか、情報を隠そう、これは言わない方がいいということが決断されていた、もしかしたらそうであるということが、文科省のそこにいらした方とか、その後そういうふうに扱うよということを聞いて事務方の方が客観的に認識されたということにあると私は思いますが、どうでしょう。
  87. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 私は、正式書類ということであるならば、出席している方々がこれは公式メモとして確認をして、これをきちっとドキュメントしていくというのが公式な私は会議録だ、こういうふうに思っておりますし、そういう流れの中で、やっぱり意思決定を下していないのに意思決定をあたかも下したような御発言というのは、私、新聞等々の報道ではですよ、そういうふうに書かれているのは極めて遺憾だと、こういうふうに思います。
  88. 上野通子

    ○上野通子君 あの震災の後の、皆さんも御存じだと思うんですが、原発事故の対応は本当に大変なもので、政府の一員として皆さんも大変な思いをされて、何を始めたらいいか、どうしたらいいかも分からない状況だったと思います。  その中で、SPEEDIという情報があったというのを皆さんが理解するのが大変遅れたというのは私も認識していますが、その中で、やはり当時のことを申し上げて、政府、SPEEDIの情報を隠し切れなかった一つの例が、初めて原子力安全委員会の班目委員長が記者会見で発表したのが三月二十三日の夜でした。  私は、翌日の午前中にこの委員会でSPEEDIについて質問をしたわけです。当時の高木大臣はそのとき状況は余りよく把握しておられなくて、代わりに鈴木副大臣が御答弁をしていただいたという経緯もありますが、答弁の最後に、文科省が知り得る限りのことにおいては全ておっしゃったと、これが以上ですと、文科省が知り得る、知る限りにおいては以上ですということを最後に鈴木副大臣は御答弁されたんですが、その時点というのは三月二十四日なので、その時点は、ですから、このメモの事実や非公開にしてきた経緯というのは御存じだったと思うんですよね。でも、それを全く、私の質問に対して、もう一年たちますが、おっしゃらなかった。そういう事実は事実だと私は思います。  そして、私は、この鈴木副大臣の答弁が、いつもすごく滑らかにされる方なので、私の質問に対しては余り滑らかではなかったような実感があって、これはどうしたのだろうという思いがあって、何かあるのではないかと思いました。そういう思いもあって、更に、このメモですね、このメモについて文科省の方に補足説明をいただきました。ちょっとその補足説明でお話あったことを話させていただきます。  三月十三日に米軍から要請があって、文科省は三月十四日からSPEEDIの情報提供を始めました。翌日、十五日には、茨城県内で放射能の測定値が急上昇する事態が発生し、それを受けて文科省がモニタリングに奔走し、一部ではSPEEDIも活用したそうです。そして、当日の成果を夜の記者会見で発表し、そのときに記者団からSPEEDIに関する質問も出されました。それで、文科省の事務方として、SPEEDIについて政務三役にも報告しなきゃいけないという思いで報告したのが、紛れもなく三月十五日の政務三役への報告を兼ねた打合せ会議、この会議だったということです。これが事実であると文科省から私は説明を受けました。  もう一度、平野大臣に同じことをお伺いしますが、多分、したいんですが、答弁は同じだと思います。当事者ではなかったですから、大臣は。で、結構ですので、何か私に対して、どうしてもここは絶対という反論がございましたらどうぞ。
  89. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 反論というよりも、今政府でもそうですし、国会の事故調でもそうですし、また、文科省のSPEEDIに関しての部分というのは今検証をしております。その検証結果は私は真摯に受け止めたいと思いますが、私は今まで、就任させてもらい、担当の部局ともこの問題については、報道等々されておりますから、その都度、このときの事実はどうだったんだということを聞き取りをし、その聞き取ったものを委員会なりマスコミの記者会見で報告をさせていただいております。  確かに、SPEEDIについて国民になぜ公表しなかったんだと、改めてそういう強い御要求があるということも知りました。しかし、私どもとしては、防災マニュアルに基づいて、公表については政府の意思決定の下に出していくことが情報として混乱しないと。そのことで文科省としては、あえてそのことをなぜ文科省が積極的にそのことを公表しなかったんだと、こういう責めについては私はもう真摯に受け止めなきゃいけませんし、私どもがもっと政府にこれは公表すべきだと、しないと決定してもすべきだというアクションを起こしたのかと、もっと起こすべきだったんじゃないかという御指摘があるならば、それは真摯に受け止めたいと思いますが、やっぱりこういうものは、大本営が発表してきちっと国民の皆さんに信頼あるデータとして出していくということが一番こういうガバナンスとしては大事なことだと思っておりますし、そのことによって、文科省が表に出さなかったことは隠蔽だという先生の御指摘に対しては、少しちょっと御理解が違うのではないかと私は思っております。
  90. 上野通子

    ○上野通子君 大臣を責めているわけでもなく、ただ、私としては、もう過ぎてしまったことかもしれない、でも、それをそれで、そういうことだったんだで、分からないでうやむやにしようじゃ、やっぱり駄目だと思うんです。きちんと分析、検証をして、なぜこの最初の事故が起きたときにすばらしいSPEEDIというシステムが使えなかったのか。もしか使っていたら、これ世界で初めてのことだと思います、どこでも原発の事故起きていないですから、こんなに大きいの。そのときにどれだけSPEEDIが有効活用できたかと、それこそ文科省はすばらしいということになるんですね。  だから、それができなかったというならば、それを過去に遡ってしっかりと検証して、もう二度とそういう失敗を起こさないように、万が一また原発事故が起きるかもしれないじゃないですか。そのときに、この事故の検証というのはすごく大事なんですね。そのときに、これはちゃんと検証をしていないと、どういうふうにしていいかまた分からない。同じ過ちが起きる可能性だってあるんです。そんなことは二度と日本としても許されないと思いますので、どうかしっかりと検証、今の御答弁ありましたように、いろいろとこれからもSPEEDIのことをやってくださるということなので、やっていただきたいなと本当に思っています。  では、続いてなんですが、まだあるんです。先に進みます。  メモの後半部には三月十六日の政務三役会議のことが記載されています。その日のテーマはSPEEDIをめぐる政府部内の役割分担だったことが書かれています。私は、昨年、本委員会や復興特委員会でこのことを何度となく質問をして、なぜなら、政府の中でSPEEDI運用の責任を担っているのがどこの部署なのかと判然として分からなかったんです、最初、本当に。それで、ちょっとそのことに関する資料を、一ページ目、御覧ください。これは、この文科委員会での高木大臣の答弁と、先ほどメモの中の資料と、それから班目委員長の答弁ですが、それぞれSPEEDIの運用に対しての言い分が書かれています。  まず、昨年五月十七日の本委員会質問した際に、当時の高木大臣は、三月十六日に官房長官の指示を受けて、文科省はモニタリング、原子力安全委員会は評価、政府の原子力災害対策本部は評価に基づく対応という形で分担することになったという趣旨の答弁をされました。そのとき高木大臣は、この役割分担によってSPEEDIの運用が一元化されたのではなく一体化したという、一体化を図ったともおっしゃっていたんですね。実は、私はこの答弁、ちょっとおかしいなと思ったんですが、それに、東日本大震災が十一日に発生したその五日後にばたばたと部署替えをしたという思いしか私はなかったんですね。元々所管が文科省だったのに、所管替えをしなくちゃならないという思いでやりましたとこのときに言われて、何でなんだろうという思いがありました。  そして、でも、それがこのメモを見て、その疑問が晴れたわけです。真ん中の部分ですが、御覧ください、資料の一ページ目ですね。官房長官と文科大臣がどんな話をしたのかが分かります。そしてまた、三月十六日の文科省の三役会議で、鈴木副大臣の提案で、当省は影響の評価は行わないことになったのであるから、評価がないSPEEDI等の公表は意味がないので、今後SPEEDI及びワールドSPEEDIの運用は原子力安全委員会において運用、公表する、今後と言われていますね、ことが合意された、このような経過があったようです。本来ならもっと、大臣、副大臣いらっしゃるので真相をお聞きしたいところですが、このメモのこの部分によって原子力安全委員会がSPEEDIの運用と公表の責任を持たされたということが理解できると思います。  続いてですが、少しずつSPEEDIの情報公開の謎が解けてきたというところで、御答弁は結構ですので、先日、三月一日の衆議院の予算委員会で、我が党の梶山弘志議員が、このときのSPEEDIの所管替えについて質問しました。これに対して原子力安全委員会の班目委員長が答弁したのが、この一ページの最後のところの資料の部分です。読み上げます。  三月十六日に官房長官の方から指示があったのは、モニタリングについての実施は文科省で行いなさい、その評価は安全委員会で行いなさいということであって、SPEEDIの移管については一切、官邸の方からは指示は受けてございません。にもかかわらず文部科学省の方から、ある意味では文部科学省の中で決定して、SPEEDIは安全委員会の方でこれから運用することにしてもらいたいというふうな話があったと承知してございますと、これは班目委員長が述べたことです。こういう答弁です。  まさに、文部科学省が自ら決定して安全委員会が押し付けられたという趣旨だと私は思いますが、文科省のこの先ほどのメモと一致することを班目委員長は御答弁されたんだと思います。これを大臣は本当に文科省のために御答弁されているんだと思うんですが、否定をされても、信用できるかどうかというのがちょっと疑わしいところになると思うんですが、大臣、ここまでいろいろと私が話してきまして、この経過をどう思われますか。
  91. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 運用の問題を含めて、三月十六日にその当時の文科省と政務三役が官邸の官房長官の下でこれ以降の役割分担について整理されたことは先生の御指摘のとおりでございますね。そのことを受けまして、モニタリングの部分について文科省やりなさいというところについてはありましたけれども、そういう流れの中で、モニタリングデータの評価を行うことになった原子力安全委員会という組織があることも先生よろしゅうございますね。そこに、SPEEDIのオペレーター二名を派遣をしていることも先生御理解いただいていますね。そういうことから、実際、これからは安全委員会の下でSPEEDIをどう使ってどういうふうにするかというのはそこで判断をされるというふうに、官邸を含めて調整された結果として、そういうオペレーターを二名出しますと、こういうことで話をした部分だと私は理解します。  そういう中で、安全委員会委員長が、私としては、昨年の三月十六日に文部科学省からSPEEDIオペレーターの派遣を受け入れ、SPEEDIによる直接計算を開始したと承知していると、こういうふうに私は認識をいたしておりますし、委員長自身もそのことについては御理解をしているという、こういう答弁もございますから、少し先生の御指摘とは違うのではないかと私は思っております。
  92. 上野通子

    ○上野通子君 事実は、三月十六日まではそれではどこの所管だったかというと、文科省の所管だったわけですよね。先ほど大臣は三月十一日から変わったようなこともおっしゃったんじゃないかと思いますが。
  93. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 所管は、SPEEDIは今も現在、文科省の所管であることは事実ですよ。SPEEDIを使ってどう運用してやるかという運用形態の責任は安全委員会に十六日から移しましたと、こういう理解をしていただきたいと思いますが。
  94. 上野通子

    ○上野通子君 運用と公表は移したということですか。
  95. 平野博文

    国務大臣平野博文君) その運用して得られたデータについての公表は対策本部であります事務局の方で御判断をいただくということで、文科省としてはそれについては公表しないと、こういうことでございます。
  96. 上野通子

    ○上野通子君 まだちょっと疑問が残りますが、先に進みます。  SPEEDIのみならず、事故当時の政府の対応は、先ほどから申し上げていますように、ちょっと信じられないようなことも、いいかげんなところもあったような気が私はしてなりません。政府は様々な意思決定をした会議の議事録さえ取るのを忘れてしまっています。これは言い逃れができない事実であると思います。  そして、現在、政府の事故調や国会の事故調や、そして民間事故調は既に、ここにございますが、もう検証済みましたが、進めているところで、皆さんが大変な手間と暇を掛けて詳細に事故当時のことを検証しているわけですが、ちなみに文科省としても独自の調査はなされていると聞きましたが、どのような形でどのぐらい進んでいますか。
  97. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 私どもも、やっぱりそういう御指摘がございますから、省内でしっかりとその事実関係を確認をすると、こういうことで、城井政務官の下に、しっかりと今検討結果を出すように、関係者に対するヒアリングも含めてしっかりしたものを出したいと思います。  そのことの結果として私が今御答弁申し上げたところにそごがもし起こるとするならば、私としてはやっぱりしっかりおわびをしなきゃいけないと思っていますし、私もこういう先生方から御質問あったときには、きちっと現場方々との状況を把握して、いかに正確に付すかということで努力していることだけは御理解ください。
  98. 上野通子

    ○上野通子君 実は、その政務官をリーダーに検証チームを結成して、そこで復旧復興の取組に関する中間的な検証結果を取りまとめたと聞きましたので、どのような取りまとめ、中間ですね、中間取りまとめがどのようになっているかということをちょっと調べさせていただきましたが、びっくりしたのは、余りにもちょっと簡単な何枚物でした。特にSPEEDIに関してはほとんど何も記述がありませんでした。私としては一年たっているのにたったこれだけかと大変残念に思ったところなんですが、文科省のホームページには、引き続きSPEEDIの計算結果の公表など更に深掘りして検証を行うテーマについては独断でやると、継続して検証すると書いてありましたので、今後の検証結果を取りまとめる、それを期待したいと思っております。  期待はしているんですが、では正式な検証結果はいつごろ公表するお考えですか。
  99. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 中間報告につきましては、今少し詳細が私のところになかったものですから聞きましたが、SPEEDIについては、深掘り、先生指摘のようにしていないということもあり、年度末をめどに結果を出したいと、こういうふうに思っております。
  100. 上野通子

    ○上野通子君 年度末、もうすぐですね。分かりました。そのときには是非ともお声掛けてください。是非見せていただきたいと思います。もちろんSPEEDIの検証をするということでしたね。──はい、ありがとうございます。  SPEEDIの情報公開の失敗を二度と繰り返さないためにも、今回の原発事故直後のSPEEDIの情報非公開を、誰がいつどのようにどんな理由で判断したのか、この事実は解明されなければまた同じ過ちを繰り返す可能性があると思います。大臣、誰がいつどのようにどんな理由でこのSPEEDIの情報公開の真実を公表しなかったか、御存じだったらお答えください。文科省には関係ないということではないと思いますので、よろしくお願いいたします。
  101. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 先ほども私少し述べましたが、SPEEDIのシステムを活用した国民への情報提供につきましては、現地対策本部が機能不全に陥っていたことからその役割を原災本部又は保安院が果たすべきだったが、原災本部、保安院はSPEEDI情報を広報して発表するという発想はなかったと、こういうことであり、一方文科省は、広報活動に対する一義的な責任は、先ほどマニュアルに沿って申し上げましたが、なかったけれども、私申し上げましたように、SPEEDIを所管する省として原災本部に助言をするとか積極的に働きかけるとか、そういうことはしていなかったことも事実でございます。  したがいまして、今先生の御指摘でなぜ隠しているんだみたいなことになるならば、私は、そういうことではなくて、もっとやっぱり文科省として積極的に働きかけていく、さらには広報していくという、こういう御批判に対しては真摯に受け止めなきゃならないと、こういう認識でございます。
  102. 上野通子

    ○上野通子君 それでは、この辺もしっかりと文科省の中での検証の中に入れていただきたいと思います。もう一度繰り返しますが、誰が、いつ、どのように、どんな理由で公表をしないような方向に判断したのかということですね。  そして今、保安院の方が責任が重いようなふうに私は聞いていて感じられたんですが、保安院だけじゃなくて、大きく言えば国、政府の責任だと私は思います。ですので、そこのところも何かございましたら。
  103. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 議員御指摘のとおりだと思います。  役所の縦割りの部分で、ここは俺の責任でないよと、ここは経産だよ、保安院だよと、こんなことを言ったって、国民から見れば何をやっているんだということに私はなると思います。これは私も政府の一員として、そのことを十分受け止めながらしっかりと検証したいと思っていますし、文科省は経産省と違うから俺のところは関係ないよと、こんなことは言うつもりありません。しかしながら、役割分担としてどんな役割を組織として果たし得たのかというところはしっかりと検証した上で御報告をしたいと、かように思っております。
  104. 上野通子

    ○上野通子君 国の責任の下、このような人災を二度と起こさないようによろしくお願いしたいところですが、一つお聞きしたいことは、今も政府事故調や先ほどお話ししました国会事故調が調査中ですが、できれば文科省としての調査を、SPEEDIの、三月末までとか言わないで一日も早くしていただいて、それを、その実態を政府事故調や国会事故調での検証に利用していただくと、反対に。そこで検証していただくという、そういうふうなことを反対に取ればいいと思うんですが、いかがですか。
  105. 平野博文

    国務大臣平野博文君) それぞれの事故調査会の役割というのがございますから、余り文科省からこうですよと言うよりも、当然、それぞれの事故調査委員会から文科省のかかわった人は呼び出されてしっかりと御報告していますから、それぞれやっぱり客観的に調査されることが好ましいし、その結果の帰趨として、今委員御指摘のように、二度とこういうことが起こさないように、起こったときには適切に対応できるような仕組みづくりをより充実させることが私は肝要かと思っております。
  106. 上野通子

    ○上野通子君 最後にもう一度繰り返します。  SPEEDIに関しては、政府がどう言い訳しようと、結果的に避難誘導に活用できたのに活用されなかったということは明らかです。そのことは各事故調の報告書の中でもはっきりと指摘されています。この事故発生初期の対応の失敗を認め、教訓とし、万が一再び原発事故が起きたときに二度と同じ失敗を繰り返さないためにも、真実を記録として残すことは政府として重大な役目であると思います。あわせて、当時の政府の行動が人災につながってしまったことは明らかです。このような人災も二度と起こすことがないようにしっかりと文科省として検証していただき、子供たちの未来を築くということを絶対忘れないでいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。  以上で質問を終わります。
  107. 熊谷大

    ○熊谷大君 平野大臣にお尋ねします。  昨日、午前中はどちらにいらっしゃっていましたか。
  108. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 私は、大阪の甲子園に行っておりました。
  109. 熊谷大

    ○熊谷大君 何も問い詰めるとか、そういう話ではございません。  私は、昨日の午前中、本会議が参議院の方で入っておりましたので、残念ながら石巻工業高校の阿部翔人君の選手宣誓をちょっと聞けなかったんですけれども、私は、選手宣誓、彼の行った宣誓、この文章をちょっと今朝読んだんですけれども、非常に名文中のこれは名文なんじゃないかなというふうに思って今日読んでおりました。  ちょっと一節を紹介させていただきたいんですけれども。  東日本大震災から一年、日本は復興の真っ最中です。被災をされた方々の中には、苦しくて心の整理が付かず、今も当時のことや亡くなられた方を忘れられず悲しみに暮れている方がたくさんいます。人は誰でも答えのない悲しみを受け入れることは苦しくてつらいことです。しかし、日本が一つになり、その苦難を乗り越えることができれば、その先に必ず大きな幸せが待っていると信じています。だからこそ、日本中に届けます、感動、勇気、そして笑顔を。見せましょう、日本の底力、きずなを。我々高校球児ができること、それは、全力で戦い抜き、最後まで諦めないことです。今、野球ができることに感謝し、全身全霊で正々堂々とプレーすることを誓います。  これを、大臣、間近に聞かれてどのような感想を持たれたか、お聞かせください。
  110. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 私も、国会での答弁がたまたまその時間帯がなかったということもあり、特に今回、被災地の方からも何校か頑張って選抜の甲子園大会に出られると、そんな思いも含めまして、何としても我々としても、あの球児の今日までの厳しい中でも頑張ってあそこまで、甲子園まで上がってきたと、この思いを私自身も共有しながら国民の皆さん全体にそのことを伝えたいと。私、挨拶の中でもあえて伝えました。  彼が宣誓をされたんですが、やっぱり涙の出る思いで、我々大人がもっとしっかり頑張らなきゃならないと、こういうふうに決意をさせていただいたところでございます。
  111. 熊谷大

    ○熊谷大君 まさしく大臣のおっしゃるとおり、大人が頑張らなくてはいけない、その背中でしっかりと復興を担っていかなければならないということを私も本当にそのように感じた次第でございます。  その中、同時に、昨日の夕刊でしょうか、震災の関連死が六百人を超えるという、大変痛ましい、そして我々は反省しながらその事実を重く受け止めていかなければならないことも事実でございます。  そんなさなか、一年を振り返りまして、先ほど上野委員からもありましたが、SPEEDIの問題、また、私は本日、健康調査の問題について質問をさせていただきたいというふうに思っております。  では、質問に入ります。  宮城県の地元の新聞社で河北新報社というのがあります。昨年の三月の十三日に、小さな記事ですが、宮城県の女川原発の敷地内にあるモニタリングポストで放射性物質を検出したと小さく掲載されておりました。それについて分かっていることを、保安院、お答えください。
  112. 中根康浩

    大臣政務官(中根康浩君) 熊谷議員からの女川原発の状況についての御質問にお答えを申し上げたいと思います。  昨年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震により東北電力女川原子力発電所では、一号機から三号機は自動停止し、地震及びその後の津波により電気設備や冷却用海水ポンプ等の一部に被害は出たものの、十二日未明までには全ての原子炉が冷温停止となり、外部への放射性物質の放出はありませんでした。しかしながら、十二日二十三時ごろから、東京電力福島第一原子力発電所の影響によるものと思われる放射線量の上昇が女川発電所で確認をされ、通報基準である毎時五マイクロシーベルトを超えたことから、十三日十二時五十分に原子力災害対策特別措置法第十条に基づく通報が東北電力から経済産業省になされたところでございます。  これを受け、東北電力においては、原子力事業者防災業務計画に定める第一緊急体制を発令し、放射線量の監視を強化し、関係者にもその状況を通報、連絡していたところでございます。  女川発電所周辺の放射線量は、三月十三日一時五十分に最大毎時二十一マイクロシーベルトを観測いたしましたが、その後、線量は下がり続け、三月十五日二十三時二十分に通報基準である毎時五マイクロシーベルトを下回り、五月十七日ごろから毎時〇・二一マイクロシーベルト程度で安定した状態が継続したことから、六月十三日、東北電力は第一緊急体制を解除したということでございます。  以上です。
  113. 熊谷大

    ○熊谷大君 ありがとうございます。  原子力災害対策特別措置法では、その十条通報でございますが、十条通報というのはどういうもので、もうちょっと詳しくお願いしたいんですけれども、それが発出されたならば国、各自治体はどのように対応しなければならないのか、教えてください。
  114. 中根康浩

    大臣政務官(中根康浩君) 原子力災害対策特別措置法第十条におきましては、原子力事業所の区域の境界付近において毎時五マイクロシーベルト以上の放射線量が検出されたこと等の事象が発生した場合は、原子力事業者は直ちにその旨を国及び関係自治体に通報しなければならないとされております。  また、原子力災害対策特別措置法第十五条におきましては、第十条の規定により受けた通報において、毎時五百マイクロシーベルト以上の放射線量が検出されたこと等の事象が発生した場合は、内閣総理大臣は直ちに原子力緊急事態宣言を発するものとされているところでございます。
  115. 熊谷大

    ○熊谷大君 女川で検出されたのはあくまでも十条通報レベルで、十五条は福島ということでよろしいですか。
  116. 中根康浩

    大臣政務官(中根康浩君) はい、そのとおりです。
  117. 熊谷大

    ○熊谷大君 この、先ほどおっしゃられた第一緊急体制、この第一緊急体制というのはどのような体制なのでしょうか、教えてください。
  118. 中根康浩

    大臣政務官(中根康浩君) 原子力事業者防災業務計画というものが女川原子力発電所において東北電力によって作られておりまして、その第二章、原子力災害予防対策の実施、第一節の別図二の一というところに原子力防災組織の業務分掌という表が作られておりまして、そこの、原子力防災管理者、発電所長が本部長となって、情報班というところがあって、そこの九項目めに、原子力災害合同対策協議会における緊急事態、応急対策についての相互協力という項目、あるいは総務班というところ、それから広報班の異常事態が発生した場合における当該異常事態に関する広報、技術班の四、異常事態が発生した場合における当該異常事態に関する情報の収集、こういった項目に当てはまった場合に第一緊急事態ということに当てはまるということでございます。
  119. 熊谷大

    ○熊谷大君 ちょっとよく分からなかったんですけれども、とにかく緊急体制に備えて情報収集又はしっかりとモニタリングするということだというふうに思うんですけれども、その第一緊急体制、十条通報が発出されて第一緊急体制がしかれて、その事実、どのくらい宮城県民に当時しっかりと伝えられたのか、情報が伝達されたのかという、これ、分かりますか。
  120. 中根康浩

    大臣政務官(中根康浩君) 女川原子力発電所から自治体に通報がなされているということでございます。
  121. 熊谷大

    ○熊谷大君 自治体は十条通報でしっかりとやらなければいけないんですけれども、それが各自治体の住人又は県民にどれくらい知らしめられているのかということを確認しているんですけれども、分かりますか。分からなければ分からないで結構ですので。
  122. 中根康浩

    大臣政務官(中根康浩君) 今この場ですぐに詳細な数字をお示しすることができませんので、後ほど御報告するようにいたします。
  123. 熊谷大

    ○熊谷大君 確認します。  女川原発では、女川原発自体は何の損傷もその地震では受けなかったけれども、漏えいもなかったけれども、どうも福島第一原発の水素爆発の起因によって出てきた放射性物質をその敷地内のモニタリングで感知したと、検出したと、その数値は五マイクロシーベルトから最大二十一マイクロシーベルトまで上昇した、これでよろしいですか。
  124. 中根康浩

    大臣政務官(中根康浩君) 今、熊谷議員御指摘のとおりでございます。
  125. 熊谷大

    ○熊谷大君 それでは、教えていただきたいんですけれども、福島第一原子力発電所から女川原発までどのくらいの距離がありますか。
  126. 中根康浩

    大臣政務官(中根康浩君) 申し訳ありませんが、具体的な、正確な数字を今すぐに申し上げることができませんが。
  127. 熊谷大

    ○熊谷大君 これも昨日打合せしていたはずなんですけれども、大体百二十キロあります。その百二十キロ離れているということをどのように解釈したらいいのかということが私もちょっととても悩むわけなんでございますが、まずは、この百二十キロの距離を放射性物質が北上してきた。当然これは風の影響、とてもあると思います。  気象庁、このときの風の流れはどのようになっていたか教えてください。
  128. 西出則武

    政府参考人(西出則武君) 当該時間帯におきまして、気象庁のアメダスでは、地震、津波等によります大規模な停電、回線障害等により東北地方の沿岸部を中心に風の観測データが得られておりません。しかしながら、気象庁では、周辺のアメダスでありますとか上空の風の観測データなどを活用して一時間ごとの風の推定を行っております。これによりますと、三月十二日二十三時前後、福島県から宮城県の沿岸部ではおおむね北北東の方向へ向かう風が吹いていたというふうに推定されます。
  129. 熊谷大

    ○熊谷大君 北北東。これはなぜこういうことを聞くかというと、先ほど上野委員からもありましたように、当時SPEEDIが全く情報を取れなかったものですから改めて気象庁さんに確認をしているんですけれども、北北東ということは、北に向かっていったということでよろしいですか。
  130. 西出則武

    政府参考人(西出則武君) 福島県から宮城県の方に向かう南寄りの風という意味でございます。
  131. 熊谷大

    ○熊谷大君 今の説明からたどっていくと、もちろん風に県境はございませんよね。
  132. 西出則武

    政府参考人(西出則武君) そのとおりでございます。
  133. 熊谷大

    ○熊谷大君 風でございますので、風に任せて縦横無尽に放射性物質が拡散していっている、又は流れに乗っていって各地に放射性物質をぱらぱらと置いていくということ、で、福島原発から約百二十キロ離れた女川原発の敷地内でも検出されたと。値は低い、といっても第一緊急体制を取らなければならない状態だった。その緊急体制が解除されたのは六月、つまり三か月以上もたってのことであったわけでございます。  この三月から六月の間、何があったかといえば、宮城県県南でセシウム、丸森町で五月に牧草からセシウムが検出されております。記憶にある方も多いと思います。続いて、県北の大崎市、栗原市、ここで稲わらからセシウムが検出をされております。栗原市は福島第一原発から約百五十キロ離れているところでございます。この風が北へ向かって吹いて、野外に人が当時いる状態であったとしたらどういう状態になったか。風は何も上、空の上だけに吹いているわけではありませんよね。地上にも、陸地にも吹いているわけですよね、気象庁予報部長、お答えください。
  134. 西出則武

    政府参考人(西出則武君) 今、先ほど御説明したのは主に地上付近の風という意味でございます。
  135. 熊谷大

    ○熊谷大君 ありがとうございます。  皆様に是非当時を振り返っていただきたいんですけれども、三月十一日当日、発災以降、しばらく停電をしていて、重要な情報源であるテレビがほとんど見られない状態でありました。その情報源が得られないときに、ここが非常に重要なところなんですけれども、被災地では食料を求めて長い行列が商店の前につくられておりました。商店という商店の周りには、皆行列を成してお店に食料を求めて待っている人の姿が多く見受けられました。つまり、多くの人が野外にいたと、屋外にいたということでございます。  この事実、どのように認識されますでしょうか。経産省、お答えください。
  136. 中根康浩

    大臣政務官(中根康浩君) 食料につきましては、その時点では放射性レベルが基準以上のものになっていなかったという認識でございます。
  137. 熊谷大

    ○熊谷大君 食料の放射性レベルについて言っているんじゃなくて、その当時、風が吹いて、南から北に流れているときに、屋外に食料を求めて商店の前に並んでいる人がいましたと。その状況についてどのように思われますかということをお尋ねしているんです。どうぞお答えください。
  138. 中根康浩

    大臣政務官(中根康浩君) 申し訳ありませんでした。  屋外で人が行列を成していると、その間に放射性物質を吸引してしまうのではないかというおそれがあったということは恐らく推測されるところだろうと思います。
  139. 熊谷大

    ○熊谷大君 今の話を聞いて、平野大臣、どのように聞いておりましたか。
  140. 平野博文

    国務大臣平野博文君) その当時の状況というのは私も正確に掌握はいたしておりませんが、そういう事実認識に基づいて、そういう風が吹いている、そういう意味で、福島の水素爆発が起こったということでいきますと、どれだけの量がどういうふうになっているかということは承知をいたしておりませんが、そういう意味で、外に並んでおられるということについて言いますと、ある意味、放射性物質に触れているということは可能性はあると私は認識いたします。
  141. 熊谷大

    ○熊谷大君 そういった状況で、官房長官は、人体に影響がないということを繰り返し発表をしておりました。  この前、予算委員会でも紹介させていただきました保健便り、ある県南の、宮城県の南部の学校小学校が出した保健便りの一節ですね。ちょっとまた読ませていただきます。保健室の利用状況についてでございます。  四月から七月二十日現在の保健室利用状況では、内科的症状で延べ人数四百六十九名が利用しました。内科的症状では、頭痛、腹痛、鼻出血の順に多く、鼻出血というのはこれ鼻血のことですね、外科症状では擦り傷、打撲、虫刺されが順に多かったということで書いてありますが、平野大臣、この事実もう一度、どのようにお考えになりますでしょうか。
  142. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 特にそれは放射能に浴びたから云々ということじゃなくて、やっぱり精神的なストレス、やっぱり自らの心配を含めてそういう健康診断を受けようと、こういう精神的なストレスを含めての症状の結果がそういう数字なのかなと、こういうふうに私は思います。
  143. 熊谷大

    ○熊谷大君 大臣、おっしゃるとおりで、心配なんです。心配なんです。それをさっきの予算委員会でも問うたわけでございます。  そのとき大臣は、非常に私は踏み込んだ内容を答弁してくれたなと、いわゆる学校でしっかりと義務教育期間に健康調査を宮城県であってもしていただけないかということを私はそのとき質問でさせていただきました。平野大臣は、このように申しております。議員御指摘のようにいろんな心配があるということですから、私どもとしては放射線から子供を守る、こういう考え方に立っております。具体的にそういう御要望が出てくればその時点で対応していきたいと、かように考えておりますというふうにおっしゃっております。  その考えは変わっておりませんね。
  144. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 先生からのそういう御指摘を含めて、私自身は文科省としてやっぱり子供を守っていくと、こういう視点でございます。  そういう意味におきまして、当然これは文科省が直接ということよりも当該の自治体の御協力なければできませんし、自治体のやっぱり御要望を踏まえて対応したいということを御答弁申し上げました。
  145. 熊谷大

    ○熊谷大君 さっきも申し上げましたが、自治体からは意見書も含めて様々な形で要望が上がっております。  私は後日文科省に確認をしました。大臣がこういう答弁したからしっかりと対応してくれということを話しましたら、何と返ってきたかというと、各学校単位での検査は、機器、専門医等特殊なので全部というのは現実的に難しい、県より要望が出されれば文科省として考えなければならないと。  事実上これどういうふうに受け止めたらいいですかね、大臣
  146. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 自治体というのは公共団体のことも含めてだと私は思っていますが、やっぱりこれは私どもとしては、そういう御心配があるということでやるならば、やっぱり県民を守る、各市町村が村民、町民を守ると、こういうことでやっぱり県としっかりと連携を取ってもらって私どもの方にそういう御要求を、実は三県から、こういう御要望ということは具体的なところはないんですが、そういう健康の心配についてと、こういう御要望がございます。  ただ、これは先生も御案内のとおり、あらゆる医療機器をそろえていくというのはなかなか不可能なことでございますが、できる限りそういう御心配をなくしていくという知恵はやっぱりそういう意味では絞らなきゃならないと思っていますし、是非、先生におかれても地元の方からそういうお声があると、県の方を含めて御指導いただければ、私どもとしては、それは県の問題だと、こんなことでやるつもりはありません。やっぱり子供を守っていくためにお互いに知恵を絞ってやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。
  147. 熊谷大

    ○熊谷大君 ありがとうございます。  もう大臣おっしゃるとおりで、とりわけ子供たちというのは非常に感受性が強いというふうに言われております。その中で、情報が閉ざされた中、屋外に食料を求めて親御さんと一緒に不安ながら付いていって、そういった気流の流れの中にいたということも事実でございます。そうした状況に置かれたら、親としては、保護者としては、やっぱり自分のことはまだよくても、小さな子供のことだから、何とかその子供の健康調査のみはしてほしいと。しかも、丸森町は非常に積極的に細野大臣にも入っていただきましたので、国の補助が入った点もあります。しかし、県南の方では、これなかなか全体的な動きにまだならなくて、不安を抱えているんだけれども調べられないという状況が続いております。  それはなぜかというと、国に放射線量の安全基準を明確化してほしいというようなことを県は要望で出しております。しかし、残念ながら、なかなか申し込んでもその基準の明確化をしてくれない又は基準値を出してくれないということで、業を煮やして各自治体が、宮城県有識者会議を開催いたしまして、事故被害対策実施計画を策定しております。その要項の中でも、健康不安への配慮として、原発事故に伴う健康不安払拭への取組について、引き続き、国の責任と判断において、健康への影響や対応方針などについて早急に示すように求めますというふうに書かれているんですね。  これ、地域の要望とか県の要望とかということじゃないですよね。国がしっかりとした基準を出してほしい、示してほしいということですよね。いかがでしょうか。
  148. 平野博文

    国務大臣平野博文君) これは国という立場で受ければそういうことになろうというふうに思います。これはもちろん政府として、文科省として云々というよりも政府としてどう対応するかということにかかわろうかと思っております。  私ども、この委員会におきましても、特に学校の関係については、特段私の責務においては、やっぱり子供さんをしっかり守るための知恵をみんなと協力して出していきたいということは、私、再三申し上げてきているところでありますが、このレベルだったら大丈夫であるとか、これはなかなか言いづらい部分があるわけであります。したがって、厚生労働省含めて一定の基準政府として決めて、その基準を決めるということと同時に、よりその基準値をいかに少なくしていくかというのは、いろんな環境整備、ハード、ソフト含めてやっていくということが今求められているわけであります。  文科省としても、そういう思いでは、学校環境においては一ミリシーベルトと、こういうことを言っておりますが、それよりも更に少ない数値でなるようにこれからも努力をしていかなきゃならないと、こういうふうに思っています。
  149. 熊谷大

    ○熊谷大君 大臣思いというのはよく分かるんですけれども、もう一年たっているんですよね。しかも、文科省は最初二十という数字をぼんと出してしまったんですよね。それ以来、保護者皆さんからはなかなか、本当に大丈夫だろうかという、事信頼、信用という点では、まだその信用を獲得するという段階には至っていないわけです。  その中で、思いがあってというふうな大臣の答弁があるよりも、じゃ、しっかり義務教育機関では健康調査をしますと。心配なところ、地域の親御さんの意見をまとめてくれればというふうにおっしゃっていましたが、要望が出てくればというふうにおっしゃっていましたが、しっかりと学校で対応しますと。学校というのはコミュニティーの中心地ですから、特に田舎に行けば行くほど。そういうところを大臣が積極的に発言をして、そして乗り出していかないと、これはやっぱり親御さんは不安で不安でしようがない、また不安が増加していくだけだと思います。  さらに、給食で、今学校の給食をまだ取らない、子供たちに食べさせないという親御さんも多くございます。特に、牛乳に関しては、牛乳は飲ませない、飲ませないでくれという親御さんも多々いらっしゃいます。  そういったことで、本当にその不安解消というところにその今の大臣の御答弁でつながるのか、私は大変疑問だというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。
  150. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 大変、ちょっと奥歯に物の挟まったような言い方に聞こえたかも分かりませんが、文科省としては、これは文科省単独で云々というのはなかなかかないません。しかし、学校施設提供したりしながら、しっかりと県並びに地方自治体と連携をしながら、そういう健康不安について、やっぱり文科省としてできることはやっていきますというメッセージは私は出していきたいと思っております。
  151. 熊谷大

    ○熊谷大君 具体的に、メッセージだけじゃなくて、具体的にどういうふうにするんですか。  というのは、大臣大臣、ちょっと聞いてください。大臣、僕は所信の中ですばらしいと思って聞いたのは、やっぱりチルドレンファーストだと、その理念を持ってやるというふうな、おっしゃった。でも、今のその後ろ向きな答弁だと、私はチルドレンレーターという感覚でしかとらえられないんですよ。その腰の重さですよ、腰の重さが今どういうふうになっているかというと、ちょっと一例紹介をします。  先日、仙台市内でベラルーシ製のホール・ボディー・カウンターを置いて内部被曝の数値を出すという測定所がこれオープンしたんですね。そこは何も検査はしません。検査はしません。医療行為ももちろんしません。ただ機材を置いて、そこで代価を払って測定値を出す、数値を出すということです。食品の放射性の検査も出す機材も置かれております。ただ機材を置いて、どうぞ測定してくださいというような測定所なんですけれども、この測定所を開設された方は善意でもちろん行っております。開設して二日で八十件以上の問合せがありました。子育てをしている親御さん、妊婦の方からの問合せが圧倒的に多かったということです。  ちょっと、この問合せの件数の多さ、そして開設者にお会いしに行ったときも事務所では電話が鳴りっぱなしという状態でございます。これをどういうふうにとらえるかなんですね。そちらにお座りの大臣皆さん、執行部の皆さんはもうお分かりだと思うんですけれども、不安なんですよね。この不安を取り除くのが行政の役割、しなきゃいけないことなんです。これ、もし、この測定所を開設した人は善意でやっているから今いいと思いますよ。でも、これ、国がしっかりとてこ入れしてやらないと、これ悪意を持った人が出てきたらどうなりますか。物すごく悪影響になると思いませんか。測定して、あっ、これはまずいですよ、じゃうちのもの、これ健康食品買ってくださいとか、そういうふうな、出かねないですよ。簡単に想像できるじゃないですか、任せていれば、それは不安なんだから。さらに、食品、食材の検査もできるということで、もし、これ上の数値が出た、どうやって処理するんですか。どこに管理すればいいんですか。もしかしたら、ただそこら辺に捨てていくかもしれませんよ、任せていたら。  こういうことこそ公とか国が、政府が、行政が率先して大臣、やらなきゃいけないことじゃないですか。
  152. 平野博文

    国務大臣平野博文君) そういう悪意に満ちたことがもし行われるとしたら、それはとんでもないことだと思っています。基本はやっぱり、そういう不安に対して適切に、その不安解消に向けてどういうアクションプランを作ってやるかということに私は基本は尽きるんだろうと、こういうふうに思います。  そういう中で、私どもの文科省としては、学校施設を使っていただく中で、例えば学校施設を貸し出すとかそういうことを含めて、子供さんの健康の部分は当該県と、あるいは自治体と相談しながら、御要求に合わせて、具体的に御相談あれば進めていくということは検討したいと思っています。
  153. 熊谷大

    ○熊谷大君 具体的に学校施設を貸すというのは大変踏み込んだ発言だというふうに思うんですけれども、その先なんですよね、先。  結局は、場所を貸したとしても、それを検査する人、測る人、そしてその測った結果出てきた数値を評価する人、これいないと何にも回っていかないわけですよ。ただ学校は場所を貸します、どうぞ測ってください、でも評価する人いません、その数値だけ見てもどういうふうに判断したら、分からない。これどういうふうにすればいいんですか。
  154. 平野博文

    国務大臣平野博文君) それにつきましては、今、例えば福島だったら福島県立医大の中で、そういう健康調査のデータを含めて、本当に大丈夫なのかというチェックも掛けておりますし、また、私どもの政府の機関でも、そういう数値が出てくればどういう状態なんだということについてしっかり支援、協力はしていかなければならないと、こういうふうに思っています。
  155. 熊谷大

    ○熊谷大君 大臣、今、福島医大の方のお話言及されましたが、その福島と宮城、栃木もそうだと思います、県境でそれが区切られているから今こう問題に私は挙げているんですよ。  先ほど気象庁の方にも答弁していただきましたが、当時の風の状態だったら、それはやっぱり県境で区切らないでいただきたいんですよ。そこで政治が、行政が何か県境で区切ったりするから、我々は非常に不安を持つし、保護者皆さん、親御さんは事子供に関することだから不安になるんですよ。何か放射能イコール福島、これは福島にとっても良くないことだと思います。でもそれを、等式、イコールで結ぶことを是非やめていただきたいと。これは文科省ができること、それは県境で何か政策とか行政の仕組みを区切るんではなくて、やっぱり広域で見られるから役割又は価値があるんであって、そこをしっかりと大臣にやっていただきたいんですよ。
  156. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 議員の御指摘はよく分かりました。  これもまさに地方公共団体にしっかりとそのことを言っていただいて、公共団体から具体的にこういうことだということであれば我々できることはやらせていただくと、こういうことでよろしゅうございますか。
  157. 熊谷大

    ○熊谷大君 何かこう、地方公共団体からと、なぜ平野大臣からということができないんですかね。
  158. 平野博文

    国務大臣平野博文君) これは、やっぱり何をおいてもその地元のことが一番よく分かり、地元の実態を一番つかんでおられるのは地方公共団体ですから、そこの要請をしっかり御要望を受けてやらせていただくというのが私は基本だからそういうふうに申し上げているところであります。
  159. 熊谷大

    ○熊谷大君 本当に大臣、ここは本当に大臣のその率先力を、いわゆるリーダーシップを見せてほしいんですよ。  もちろん、地域のことは、民主党さんは地域主権だ地域主権だと、地域で決められることは地域でということをおっしゃっていますが、でも、やっぱりこういった広域にまたがる災害というのは地域でまばらに又は基準を決められたら逆に困るんですよ。そこを国が表に、総理も瓦れき処理では国が一歩も二歩も前に出てということをおっしゃっています。だから、事放射能の健康調査に関しては、文科省又は政府が一歩も二歩も三歩も前に出ますよということを表明しなきゃ僕はいけないと思うんですよ。いかがでしょうか。
  160. 平野博文

    国務大臣平野博文君) あくまでも、私は申し上げることは、決して国が後ろへ引いているということではなくて、やっぱり地方公共団体がしっかりその現実を踏まえてもらって、我々国としても一体となって物事を解決をしていくと、この姿勢が一番大事だろうというふうに思っていますから、そういう意味では一体となって対応するように努力したいと思います。
  161. 熊谷大

    ○熊谷大君 意見書も議会で採択されているわけですよ。やっぱり国が積極的に関与してほしいと。子供たちの健康影響の調査の実施については、これもまた繰り返しになりますが、国の責任と判断において健康影響調査の実施の必要性や対応方針について明確な基準を早急に示し、調査を実施することということ出ているんですよね。それを地域の実情、地域が一番分かっているからと。これ、地域はもういつでもレディーの状態になっているんですよ。あとは国がどういうふうに出るか又はちゃんと基準を出してくれるかということを残念ながらこれは待っているしかないんですよね。  ここでやっぱり一歩も二歩も前に出ていただかないと、どうしてもこれは進まないんですよ。子供たちはどんどんどんどん時間だけがたってしまうことを待ってしまうし、どんどんどんどん不安が広がっていく。  まあちょっと関連付けるのはおかしいかもしれないですけれども、震災の関連死、出ましたよね、六百人以上。しかも、それがやっぱり復興が遅い又は震災の検証をしっかりしていない、そういうところからきている、国が一歩も二歩も前に出ていないところからきているんですよ。僕はそういうふうにとらえています。それは文科大臣にもしっかりと踏まえて行政というものをやっていただきたい。いかがでしょうか。
  162. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 委員から、今の現状を見ると国がもっとしっかりと前へ進めろと、こういう御指摘だと思います。これは十分であるということは私自身思っておりません。いろんな課題がこれからも出てこようと思っていますから、より先生の御指摘を踏まえながら、関係省庁と十分連携して国がもっと前へ出るように私も努力してまいりたいと、かように思います。
  163. 熊谷大

    ○熊谷大君 ありがとうございます。  済みません、時間がなくて、キャリア教育等々、就労支援、若者の就労支援等々にもちょっと取り扱いたかったんですけれども、今回はごめんなさい、あと次回にまたさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  164. 山本博司

    ○山本博司君 公明党の山本博司でございます。  本日は、文教科学委員会におきまして初めて質問をさせていただきます。  大臣の所信に対する質疑ということで、震災対策、また武道の必修化、発達障害の方々の支援、時間がありましたら子ども子育てシステム課題等におきまして、大臣始め担当の方々の所見を伺いたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  まず初めに、震災対策ということでお伺いをさせていただきます。  東日本大震災から一年を超えましたけれども、今でも被災地の皆様、大変厳しい状況に置かれております。一日も早い復興を目指しまして、国の責務を果たすべきと考えます。  文部科学省におきまして把握できた今回の震災による学校等における合計死者数六百四十四人、行方不明者は八十九人に上がると言われております。この中でも、死者及び行方不明者が最も多かったのが宮城県、特に石巻市立大川小学校では、避難の遅れから全生徒の約七割に当たる七十四名の生徒と十名の教職員の方々が津波被害により死亡、行方不明となっております。  今回の震災では、学校施設の倒壊などに起因する死亡報告はなく、津波による被害が主要因であったと考えられておりまして、教訓として今後の防災対策に生かさなくてはならないと思います。  間もなく四月となり新学期が迎えますけれども、現時点でこの被災三県の生徒などの他県また県内での受入れ状況、どうなっているのか、また、先日は宮城県気仙沼市の南気仙沼小学校が津波の影響で閉校することが報道されておりましたけれども、このような学校の統廃合、どのような状況なのか、報告をいただきたいと思います。
  165. 布村幸彦

    政府参考人(布村幸彦君) お答えいたします。  岩手県、宮城県、福島県の幼児、児童生徒で、昨年九月一日現在でございますけれども、被災により他の都道府県の学校において受入れをいただいている数、岩手県から受け入れていただいた数が三百十三人、宮城県からが一千七百二人、福島県からが一万一千九百十八人の計一万三千九百三十三人となっております。  また、この三県において、同じ県内の学校での受入れの数でございますけれども、岩手県内が八百十三人、宮城県内が二千八百九十六人、福島県内で六千四百五十人、計一万百五十九人という数字となってございます。  また、岩手県、宮城県、福島県の各教育委員会による学校の統廃合でございますけれども、各県内における被災による学校の統廃合の数につきましては、岩手、福島両県においてはゼロ、なしでございます。また、宮城県におきましては、石巻市の小学校一校、気仙沼市の小学校一校の計二校が被災により廃止され、それぞれ市内の他の小学校に統合されるということがこの四月一日現在で決定しているというふうに承知しております。
  166. 山本博司

    ○山本博司君 今報告がありましたように、三県から他県に一万三千九百三十三人という形で、県内でも一万百五十九人、多くの方々が被災をされて県外等に行っていらっしゃるわけですけれども、このデータが半年前の八月末に把握をされているということで、これは最新の情報という形では把握していなかった理由は何かありますでしょうか。
  167. 布村幸彦

    政府参考人(布村幸彦君) この被災三県につきましては被災に関する業務が多忙という実態から、調査の実施に当たりましては、学校教育委員会等への御負担が大きいということから、なかなか頻繁には把握ができないという状況でございます。  今後は、新たに避難の必要が生ずるなど児童生徒の就学機会の確保について改めて確認すべきという事態が生じた場合には必要な調査の実施を検討していきたいという状況でございます。
  168. 山本博司

    ○山本博司君 今、様々な形で御苦労されていらっしゃると思うんです。それで、御報告をいただいた中には、数は分かるわけですけれども、例えば、それぞれ山形県が一番、千三百六十二人とか全国様々あるわけですね。特別支援学校方々も福島からは九十何人とかですね。それぞれやはり課題はあるんではないかと思うんですけれども、何か共通の課題とか、そうしたこれを吸い上げる際に何かそういったことに関することは把握されたんでしょうか。
  169. 布村幸彦

    政府参考人(布村幸彦君) 児童生徒が学校を移らざるを得ないという状況の下でございますので、被災の状況についても個々いろいろあろうかと思いますけれども、受け入れる学校に当たりましての受入れ体制の整備のために教員を増やす必要があるとか、あるいは児童生徒の心のケアという観点からカウンセラーの相談体制を整備すると、そういう現場の諸学校あるいは教育委員会の要望を踏まえて、特に被災三県については御要望に沿って対応するという努力を重ねてきているところでございます。
  170. 山本博司

    ○山本博司君 いろいろ報告を受ける形の中で、やはりきめ細かく、それは現場の市町村、県は一生懸命ケアされていると思うんですね。やはり国である文部科学省として全体的にそうした方々が一体どうなって、どういう支援が必要なのかという視点は私は忘れてはいけないと思います。
  171. 森ゆうこ

    ○副大臣(森ゆうこ君) 御指摘ありがとうございます。  そういうことで、私もこの日曜日に平野復興担当大臣と一緒に、私の地元でありますけれども、新潟県も山形県に次いで受入れをしておりますので、その受入れ自治体、県知事を始め各首長からお話を伺ってまいりました。また、被災者御自身の、避難者御自身の皆さんの御意見等も伺ってまいったところでございます。  先生も多分御案内だと思うんですけれども、避難を受け入れている自治体には、内閣府の復興関連の予算で被災者の支援センターというものができておりますので、そういうところでも今それぞれの実際どういう支援を必要としているのか、私の方でも聞き取り調査をさせていただきたいなというふうに思っておりまして、きめ細かく、そして避難者に寄り添った形でまた文部科学省としても支援をしてまいりたいというふうにお約束を申し上げてきたところでございます。
  172. 山本博司

    ○山本博司君 是非ともやはり国としてのかかわり、大事でございますので、お願いをしたいと思います。  次に、先日の平野大臣の所信の中で、この震災の教訓を踏まえつつ未来に向かうための復興教育を支援すると、このように言われておられました。この復興教育、具体的にどのようなことを行うのか、また被災した生徒たちにどういったことを教えるのか、確認をしたいと思います。いかがでしょうか。
  173. 森ゆうこ

    ○副大臣(森ゆうこ君) お答えいたします。  東日本大震災の教訓を踏まえまして、被災地の復興とともに、我が国全体が希望を持って未来に向かって前進していけるようにするための教育、そのような教育を進めることが重要であると考えております。  このような教育を復興教育ととらえまして、被災地における自治体やNPOなどの多様な主体による特色ある教育支援の取組や、また今後必要となりますカリキュラムの作成などを支援する復興教育支援事業を実施しているところでございます。  その復興支援事業におきましては、例えば震災体験や科学的知見を踏まえた防災教育、そして復興に向けた町づくりを担う人材の育成、町づくりは人づくりでございますので、そういう意味地域振興と自らの生き方を考えるキャリア教育、また、被災地被災地以外の学校による部活動ボランティア活動等の交流を通じた心の教育など、様々な活動が展開されているところでございます。  こうした復興教育が推進されるよう支援を行いますとともに、その成果を被災地のみならず全国的に発信していく、そして日本が元気になっていくんだというメッセージを強く伝えていくことが重要であると考えております。
  174. 山本博司

    ○山本博司君 大事なこれもやはり事業だと思います。  やはり、五十四団体という形に今なっているわけですけれども、そういう意味でいったら、被災地を中心とした形でございますからまだまだ予算の規模が少ないですからこれからだと思いますけれども、そうした全国に散らばっていらっしゃる方々の支援という意味では大変重要な施策だと思いますので、しっかりお願いをしたいという点でございます。  続きまして、学校の耐震化ということでお聞きをしたいと思います。  公立学校の耐震化につきましては公明党も促進を強く訴えておりまして、平成二十三年度第三次補正予算で千六百二十七億円、平成二十四年度予算案では千二百四十六億円、予算措置がされました。これが完了しますと耐震化率が九〇%になって、平成二十七年までに一〇〇%を目指すという目標に大きく近づくわけでございます。特に、第三次補正には特例的な地財措置が付されておりまして、自治体負担を軽減した上で、耐震化だけでなく防災機能向上にも活用できることから、できるだけ早く執行されることが望ましいと思います。しかし、各自治体で補正予算編成をしなければなりません。厳しい日程の中で対応できない可能性もあります。  そこで、現在までの執行状況、御報告をいただきたいと思います。
  175. 清木孝悦

    政府参考人清木孝悦君) 公立学校の耐震化についてのお尋ねでございますが、二十三年度第三次補正予算につきましては、予算額の約七割を既に執行したところでございます。  なお、残額につきましては二十四年度に繰り越しまして、二十四年度予算案と併せまして地方公共団体の耐震化、二十四年度に計画している全ての事業に対応していけるようにしてまいりたいというふうに考えております。
  176. 山本博司

    ○山本博司君 是非とも、その執行を含めてお願いをしたいと思います。  この耐震化に関しまして、今回は天井材とか照明器具、外壁の落下など、非構造部材の被害及びこの落下に伴う人的な被害が数多く震災で発生をいたしました。この非構造部材の被害は人的被害を生じさせる可能性がありまして、学校施設が災害時の避難所としての機能をする際にも大きな障害になるために、この非構造部材の耐震化の必要性が指摘されております。こうした非構造部材の耐震化につきまして、地方自治体からも強い要望がございます。早急に対応をすべきと考えますけれども、この点いかがでしょうか。
  177. 森ゆうこ

    ○副大臣(森ゆうこ君) ありがとうございます。  御指摘のように、学校施設子供の安全確保はもとより地域の防災拠点としての役割を果たすために、構造体だけではなく天井材や壁、照明等の非構造部材の耐震化も重要であると考えております。  このため、昨年、公立学校施設整備に関する基本方針を改正いたしまして、非構造部材の耐震化の重要性を追記したところであります。これまでも非構造部材の耐震化に対して補助を行ってまいりましたけれども、二十四年度予算案においても地方公共団体からの要望を踏まえた所要額を計上しております。二十四年度地方要望額が百六億円、二十三年度第三次補正予算で七十億円、二十四年度当初予算で三十六億円ということで、地方からの御要望はこれでしっかりとおこたえができるというふうに思っているところでございます。今後も引き続き必要な支援を図り、非構造部材の耐震化を推進してまいりたいと、このように考えております。
  178. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。  次に、防災教育についてお聞きをいたします。  釜石の奇跡というのは防災教育重要性を示しております。この防災教育、自公政権時代に防災教育のモデル事業として、群馬大学の片田敏孝大学院教授が中心となりまして、釜石市において小中学生に直接、防災とは何か、津波が発生した際にどのように対応するのかということを教えられました。この教育を受けたことによりまして、皆さん御存じのように、釜石市の小中学生のほとんど、九九・八%が救われたということでございまして、大変貴重な体験をされたと思います。  この防災教育は釜石市だけでなくて、私のふるさとの地元の愛媛県新居浜市でも実施されておりました。この地域は平成十六年に台風被害が甚大だった地域で、愛媛大学と共同でこの小中学生の防災意識の向上に取り組んでおりました。このモデル事業の予算、平成二十二年度で打ち切られてしまいまして、十分な成果を発揮しないままに終了してしまったわけでございます。打ち切った理由は、所期の目的を達成したと、こういうものでございました。  今回の震災を踏まえまして本年度の第三次補正にも組まれ、二十四年度の予算、先ほどありましたけれども、少し取り入れられました。しかし、一度打ち切られた事業って継続されていないわけでございます。こうした意識啓発という課題というのはなかなか結果が見えにくい、そういうこともありまして、粘り強く行う必要があると思います。また、一つの世代だけに教育するのではなくて、継続的に行うべきでございます。  中央教育審議会学校安全部会でも、この防災教育重要性に対しまして昨日答申が出されたところでございますけれども、この防災教育予算、更なる拡充が必要である、私はそう思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  179. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 議員御指摘のように、この防災教育在り方について、過去の部分、経過を含めて我々としては打ち切ったという、結果的には事象面としてはそうなることかも分かりませんが、改めて私どもとしては、児童生徒に災害時に自らやっぱり危険をしっかり予測する、安全な行動ができる判断を身に付けてもらう、こういうことが防災教育に大変重要であるということでもございます。それが先ほど議員御指摘観点だろうというふうに思っております。  したがいまして、地域におけるコミュニティーや災害時の拠点としての機能を有している学校地域と連携して防災教育を行うということは、先生指摘のように極めて重要なことだと認識をいたしております。  したがいまして、この二十四年度の予算案におきましては、新たに実践的防災教育総合支援事業として予算を計上をしてございます。全国におきまして、生徒児童自らが命を守り抜くための主体的な行動をする態度を育成をする、被災地へのボランティア活動を通じて安全な地域づくりに貢献する意識を高める教育の手法等々を開発して防災教育の充実を図るとともに、学校の防災マニュアル、特に危険等発生時の対処要領や避難訓練などに対するチェック、助言を行える外部の有識者を学校の方にも派遣をし、学校地域の防災関連機関との連携体制を構築すると、こういうことでございます。  いずれにいたしましても、学校等におきます教職員にもしっかりと講習会を各都道府県で実施をしていただくための予算も計上をさせていただいているところであります。このほかにも、第三次の補正予算におきましては学校防災マニュアル作成の手引ということで本年度中に全学校に配布をし、防災教育のより一層の充実に努めてまいる決意でございます。  以上でございます。
  180. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。  昨日、この中央教育審議会、答申が出ました。安全教育の時間確保を含めた様々な大事な内容だと受け止めております。このことを報告いただきたいと思います。
  181. 久保公人

    政府参考人(久保公人君) 御指摘の答申は、「学校安全の推進に関する計画の策定について」でございまして、これは学校保健安全法に基づきまして国が学校安全の推進に関する計画を策定する前提といたしまして、昨年九月に文部科学大臣から中央教育審議会へ諮問いたしまして、それを踏まえまして昨日三月二十一日に答申をいただいたものでございます。  その中では、防災教育を含む安全教育、安全管理の二つの側面から課題と方策がまとめられますとともに、学校安全施策全体としてより実証的な取組を目指すとの方向性が示されてございます。  防災教育につきましては、安全に関する教育の充実方策といたしまして、東日本大震災の教訓を踏まえました、主体的に行動する態度を育成する防災教育の充実、それから教育課程の改善を含めました安全教育に関する時間の確保、緊急地震速報を活用するなどの避難訓練の在り方などについての御提言があったところでございます。  今後、文部科学省といたしましては、この答申を踏まえまして、学校安全の推進に関する計画の策定をできるだけ速やかに進めるとともに、更なる防災教育の充実に努めてまいりたいと考えております。
  182. 山本博司

    ○山本博司君 この議論の中でも、現在の授業時間では非常に不十分であるということで、保健体育とか各教科の学習だけでなくて、学校教育活動全般の中に総合的に実施をしていくことが重要で、ホームルームとか特別活動などのそういうことも工夫して対応すべきであると。特に、片田教授は、釜石のときにも、算数の時間に津波の速度のことをやったというようなことで大変御苦労されているわけですけれども、具体的に短期的にはそういったことをどうしていくかという問題。それから、中長期的には、安全科とか防災科といった教科の創設も含めて、これは教育課程の改善ということも視野に入れて具体的にどうするか。この点、大臣いかがでしょうか。
  183. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 昨日私、中教審の会長から答申をちょうだいをいたしました。特に、二つございまして、一つスポーツについての点でございます。一つは今先生指摘学校の安全と、こういうことでございます。  いろいろ、全体の教科の問題でありますとかいろんなことはございますが、答申をしっかり受け止めて、具体的にどう対応していくかということはしっかり文科省としても受け止めていきたい、またそのことを進めてまいりたいと、かように考えております。
  184. 山本博司

    ○山本博司君 それは、具体的にどういうスケジュール感でやられるんでしょうか。
  185. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 新しい学習指導要領におきましては、防災教育を含む安全に関する指導については、体育、保健体育といった各教科だけでなくて、特別活動を含めた学校教育活動全体を通じて行っていこうと、こういうことでございます。そういう中で、いただきましたので、具体的に今先生、じゃどういうスケジュール感でやるのかということですが、それをしっかり踏まえて、それが実践でき得るような制度設計をどう組み込めるかということを検討してまいりたいと思います。
  186. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。  片田教授も、この東日本大震災が起きてから日本列島の地下の状況は著しく変わっていると。今、首都圏の直下型地震にしても、また三連動、四連動の地震にしても、日本全体がそうした形での防災ということの意識があるわけでございます。  そういう中で、子供は十年で大人になり、片田教授の言葉には、更に十年で親になると。やっぱり、そういうスピードを持って地域防災力の向上のための防災教育ということを是非とも推進をしていただきたい、そういう思いで見守ってまいりたいと思います。  続きまして、武道の必修化につきましてお伺いをさせていただきます。  平成二十四年度に新しい中学校学習指導要領の全面実施に伴いまして武道の必修化が実施をされます。生徒の礼を重んじる態度を育み、体力を向上させるのが目的ということで、この四月から中学校一、二年の体育の授業での武道が必修になるわけでございます。  柔道については、過去、中高校の部活動でも死亡事故が起きて、保護者からの不安の声が上がっております。私もお会いをさせていただきました。この柔道につきましてはそうした不安があるということでございますけれども、必修化される中学校における武道の授業に当たっては、安全の管理を徹底をする、また安全に指導できる体制にする必要がございます。  三月九日に局長名で武道必修化に伴う柔道の安全管理の徹底の依頼文が出されております。この中で、柔道授業の安全な実施に向けてと題する手引が示されましたけれども、その概要を御説明いただきたいと思います。
  187. 奥村展三

    ○副大臣(奥村展三君) 山本先生、どうもありがとうございます。  御案内のとおり、平成二十年に指導要領の改訂に伴いまして三年間いろいろとこの基礎をつくり上げて、いよいよ新年度からスタートさせていただきます。  今お話しのように、非常に保護者方々も御心配をなされまして、私どもも、文科省といたしましてもいろんな分野からお聞かせをいただいております。先日も、被害を受けられました保護者皆さん方がお寄りになりまして、二十八年間で百十四人の方が亡くなっております、そして二十七年間で約三百名近い方々が何らかのけがをなされたり、あるいは後遺症があるというようなことで、そういうことを踏まえてしっかりとしたものを作り上げてほしいという保護者皆さんの願いがありました。それを受けまして、今委員仰せのとおり、しっかりとしたものを作り上げ、安全を期していかなければなりませんので、局長名で出させていただいております、「柔道の授業の安全な実施に向けて」というものを出させていただきました。  その内容でございますが、武道必修化の意義あるいは目的や、中学校における柔道事故の状況等に述べたところでございます。それで、練習環境の安全確認、外部指導者の協力や指導者間の意思疎通、授業計画の組立て等々によります授業に入る前の安全管理のポイントもそこにうたっております。授業中の具体的な留意点や、万が一の場合に対処をしっかりできるように、実際の授業中の安全の管理ポイントというように分けまして、段階的に分かりやすく実はそこに組み込ませていただいたところでございます。  さらに、特に事故、頭を打つ場合がありますので、そういうことにおきまして、社団法人日本脳神経外科学会の協力を得ながら、脳しんとうや加速損傷といった、指導者の方々に知っておいていただきたい医学的知識についても盛り込んでいるところでございます。  各学校の、手引を十分に活用いただいて柔道の授業がしっかりできますように、これからも我々といたしましても、各教育委員会、特に市町村の教育委員会皆さんの御協力がなければなかなかこれはできませんので、ということは指導者、外部の指導者におきましても、地方の市町村の教育委員会がしっかり把握をいただいて、連携を取っていただくという体制が整っていかなければならないというように思っておりますので、連携を取っていきたいと思っております。
  188. 山本博司

    ○山本博司君 私も、中・四国の教育委員会、また柔道を教えていらっしゃる方にもお話を聞かさせていただきました。一クラス四十人ぐらいで一人で見るというようなことも含めると、見える範囲を含めてしっかりそうしたことをやっていかないと非常に厳しいという問題等もございます。ふざけて実際そこから事故が生ずるということもございます。  今回、こうした保健体育の教員が教えるということで、柔道経験のある方は少人数、受け身も練習したことのないという教員が教える場合が出るわけでございます。そういう場合で、この専門知識の不足とか経験不足を補うためのやはり指導力向上の研修とか事故が発生した場合の応急対応、今回やっぱり脳を防ぐ医療研修ということも大変必要ではないかと思う次第でございます。  愛知県の教育委員会では六日間の講習で黒帯が授与されたというふうな報道も一部出て、安全性の担保がどうなのかというふうなこともございますけれども、こうした教員への研修内容、これをやっぱりどうやっていくかと、大事な点ですけれども、いかがでしょうか。
  189. 久保公人

    政府参考人(久保公人君) 武道の必修化に当たりまして、指導に当たる教員が十分な知識を持って対応できるようにこれまで様々な通知あるいは研修を実施してまいったところでございます。  特に、教員が医学的な知識を持って指導に当たることも大変重要であると考えてございまして、教育委員会や関係団体等で行っておられます講習会などにおきましても、事故防止や応急処置への対応という観点から医学的な知識についての講習なども行っておる例は多いと認識しているところでございます。  また、文部科学省が関係団体と連携いたしまして今回の必修化に備えまして開催してきました研修会におきましても、その狙いをできるだけ取り上げてきたところでございます。  今回、さらに、柔道の授業を安全に進める上で留意していただきたい事項について、先ほど先生指摘の、「柔道の授業の安全な実施に向けて」という手引を作成しましたが、その中でも、応急処置だけでなく、頭部損傷などに関する医学的な知識を盛り込んでおりまして、今後の教育委員会等の研修会に当たりまして、十分参考にしていただくように働きかけてまいりたいと考えております。
  190. 山本博司

    ○山本博司君 是非これは県とか市町村に任せるのではなくて、しっかり文科省としてのフォローもお願いしたいと思います。  この柔道の授業を開始する時点におきましては、一定の指導歴、また研修歴を持った教員が指導に当たるということが体制になっておりますけれども、体制が確保できない場合、適切な外部指導者の協力を得ることになっております。  しかし、私も回りましてお話を聞きますと、クラブ活動では、剣道とか柔道では外部のOBの方々を入っていただくということは非常に好ましいと考えているんですけれども、授業という、外部の人が教育現場に入るという観点から少しちょっと抵抗のあるような声もございまして、その件では全くそういったことを考えておりませんというふうなことも言われたケースがございました。  やはり、多くの方々、特にそういう柔道とか剣道等の警察関係の方とか、しっかりそうしたことでやっていらっしゃる方が入っていくということも大変大事な視点だと思いますので、こうした外部人材の活用を推進をしていくという意味で、この点いかがでしょうか。
  191. 奥村展三

    ○副大臣(奥村展三君) ありがとうございます。山本先生、御指摘いただいたとおりでございます。平野大臣も関係団体に、警察だとかあるいは柔道連盟だとか、そこにお出向きいただきまして、御協力要請をしていただいたところでございます。  特に、先日も陳情の中にあったんですが、市町村におきましては、全然柔道をした方が地域におられないとか、あるいは剣道の指導者もおられないとか、そういう中学校区があると。そういうところはどうしたらいいんだというふうなお話がございました。  やはり、先ほど私が答弁申し上げましたように、市町村の教育委員会に非常な御尽力を賜って、我々当然いろんなお願いをするわけでございますが、そこから県なら県あるいは市町村なら市町村でしっかりとした外部の指導者を把握いただいておくということが大事だというように思います。  それと、柔道をやっていたから俺が教えてやろうと言って行かれてしまって、全然部外者がある意味では授業の中に入ってこられるというおそれもあります。そういうことを、一つの節度をしっかり持たなければなりませんので、私が今担当課に申し上げておりますのは、指導員制度、やはり指導員として教育委員会が認めた、そうした指導員の方々が授業に一緒に入っていただいて、保健体育科のそういう教員が指導をして、そしてそこに補助していただくと、そういう体制をしっかり構築をしていくということが大事だと思っておりますので、今、山本委員がおっしゃったように、より以上そういう外部の指導者との連携を密にした体制を整えていきたいというように思っているところでございます。
  192. 山本博司

    ○山本博司君 是非ともお願いしたいと思います。  また、万が一事故が発生した場合、その場で応急措置を行うこと、また応急措置を行うことでけがや病気の悪化を防ぐということは大変重要でございます。そのためには、AEDの設置とか応急措置のとれる体制の整備ということも考えなくちゃいけないと思います。その上で、骨折とか脱臼とか頭部打撲等に関しましては、医療機関とか地域の柔道整復師などの連携が大変重要になるかと思います。  こうした事故が発生する前から地域関係者方々と連携しながら協議会のようなネットワークを構築することも、これは万が一事故が発生した場合にも有効であると考えます。こうした地域の連絡体制、どのようになっているでしょうか。
  193. 奥村展三

    ○副大臣(奥村展三君) ありがとうございます。いい御指摘をいただきました。  特に、学校の場合は学校医の先生方、それぞれおられるわけでございますが、それと地域の医療機関との連携ですね、そういうようにしっかりとした連携が取れるようにしてまいりたいと思っております。そして、それぞれの学校、全ての学校におきましてマニフェストをしっかり作って、マニュアルだとかいろんなものを作って、そして医療機関との連携をもしも事故が起きた場合はどのようにするんだということをひとつ全員が把握ができるように作り上げていきたいというように思って、お願いをしていきたいというように思っております。  ですから、やはり医師会あるいは歯科医師会等々、そういう医療関係の皆様方にも協議会、今おっしゃったような形を是非作り上げていっていただいて、そして、あってはならない事故ですが、もしものときにはそういうような体制をしっかり整えていくというマニュアルをしっかり作り上げていきたいというように思っているところです。
  194. 山本博司

    ○山本博司君 この手引等でもそうでございますけれども、脳しんとうとか加速損傷、頭部が激しく揺さぶられることでの静脈が切れて血液等出るという、様々、脳に対する私たちのことはよく分からない部分があると思います。  私は、実は交通事故とかスポーツ事故で軽度外傷性脳損傷、MTBIと言いますけれども、脳のこれは神経繊維が切れていくという部分ですけれども、そういう形で、実際、軽度ですけれども、後で目まいとか日常生活の中でも支障が出てくることが出ました。こういうのは画像に映らないという問題があります。ですから、こういう、ただ脳を打っても大丈夫だといってそのままになってしまうと、様々な問題があるということもございますので、しっかりこうした地域の医療体制ということをお願いをしたいと思います。  最後に、大臣にお聞きしたいと思います。  今後、万が一事故が発生した場合には、二度と同じような事故が起こらないような事故情報の収集とか原因の分析、検証などが必要ではないかと考えます。教育現場での部活動などの柔道事故の被害者団体の方からは、中立的な第三者による事故調査委員会の設置の義務付け等も要望されております。また、三月九日の通知でも、各学校での柔道の授業の指導計画や事故が発生した場合の対応策を再点検するよう都道府県の教育委員会にも要請され、準備が整わない場合は四月からの授業の開始を遅らせるよう通知もしております。  もし教師も保護者も不安の中でスタートするのであれば、事故情報の収集、検証などのこうした体制も必要ではないかと考えますけれども、大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
  195. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 先生が今までずっとこの安全性についての御指摘、大変ありがとうございます。  特に、武道に限らず、やっぱり生徒の安全性確保というのは極めて重要でもございます。そういう中にあって、この四月から必修と、こういうことでございますので、これまでの体得した情報の収集を更に検証を加えながら、万全の体制で今先生指摘の情報収集、さらには検証体制を確立すべく臨んでまいりたいと、かように思っています。  そういう意味で、体育活動中の事故防止に関する調査研究協力者会議というものを二十三年の六月に設置をいたしておりまして、体育活動中でのこれまでの事故について、その分析、さらには今後の安全対策を検討をいただいているところでございます。  また、柔道につきましては、学校教育委員会等が指導者や指導計画等の対応をいま一度再検討した結果報告をこの五月にいただきたい。要は念には念を入れたいと、こういう思いでございます。その際に事故の発生状況も報告をいただくとともに、あってはならないことでございますので、私は生半可な中途半端な状態でこの必修の柔道の指導についてはやってもらいたくない。したがって、先ほど奥村副大臣が御答弁いたしましたが、どうしても教育環境においては外部の方が入ってくることについて好ましく思わないとかいろんなことがありますが、第一義は子供の安全を重視をするということで、経験多くの方々に御協力いただきながら、本来の武道をなぜ必修にするかと、こういう大きな目的のために私はより安全サイドに立って実行してまいりたい、かように考えているところでございます。
  196. 山本博司

    ○山本博司君 もう是非、大臣、この柔道、大変武道の必修化というのは大事でございますので、そういう安全面ということを確認をしながら推進をお願いしたいと思います。  それでは、残りの時間、発達障害の方々特別支援教育ということでお聞きをしたいと思います。  先日の予算委員会でも、総理にこの発達障害の方々の支援ということでお聞きをさせていただきました。やはり私も全国を回っている中で、発達障害、自閉症とか学習障害とかADHD、そういう方々の御家族、また支援者、多くの方の声を行くたびに聞くわけでございます。  実際どのぐらいの人数がいるかというのは、平成十四年のこの調査、約六・三%、小中学校ですか、六十八万人というふうに言われておりますけれども、それ以来実態が分からなかったのでございました。今ちょうど文科省におきましてそうした実態調査を取り組んで、具体的にその施策を進めていこうというふうにお聞きをしております。その実態調査、いつごろ発表されるんでしょうか。
  197. 布村幸彦

    政府参考人(布村幸彦君) ただいま山本先生から御指摘をいただきました発達障害のある児童生徒に関する実態の把握の調査につきましては、昨年の十二月に専門家の方々による協力者会議を設置をさせていただきまして、この一月に各都道府県、市町村の教育委員会調査の協力依頼をし、調査をスタートし、今月中には調査の結果を回収をしていきたい。そして、四月以降に全国で五万四千人の児童生徒の一人一人のデータを入力、集計、分析をし、何とか秋までには結果を取りまとめて公表をし、施策に反映させるよう努めていきたいというふうに考えております。
  198. 山本博司

    ○山本博司君 この発達障害者の方々、特に発達障害のJDDネットという家族会の方、支援団体の方々、自閉症協会の方々、障害者自立支援法の改正、また基本法の改正で障害者の定義に発達障害という形が明確になりました。それが施策にどう反映していくかということで、学校教育法にも発達障害という形の明記をして支援をやっていただきたいという声がございます。  この点、ちょっと質問を飛ばしましたけれども、大臣、いかがでしょうか、この辺り。
  199. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 今議員御指摘のように、発達障害という言葉は入っておりません。  私は、しかし、これだけのいろんな方々の事象がありますし、特に私、この問題については早期に発見をすればやっぱりより回復が早いということでございます。なかなか学校現場では気付かない、あるいは家庭子育てしている中でもなかなか気付く母親がいない等々ございますので、やっぱりしっかり早期に発見できるように、私は、この秋ぐらいをめどに、もう一度今先生指摘のあるようなところを一度まとめて、今後、先生指摘のあるような方向性を見出せないかどうかを私は検討してみたいと、かように考えています。
  200. 山本博司

    ○山本博司君 大臣、是非ともよろしくお願いしたいと思います。制度制度のはざまで大変な御苦労をされている方々でございますので、そうした学校教育の中での支援の在り方考えていただきたいと思います。  それで、やはりこの自閉症とかそういった方々、発達障害の方々は早期発見、早期療育というのが大変大事でございます。ところが、三歳児健診という形で、最後の健診ですから、実際はそれ以降、コミュニケーションとか、自閉症の方々はそれ以降はっきり分かってくるということもございまして、世田谷等の例では、約七千人ぐらいが毎年出生するわけですけれども、そうした方々に対しての四歳六か月の発達相談事業ということで、七千世帯に全てこうした発達障害の方の気付きのシートを出したりとか、また相談・療育センターとか相談支援室を五か所で、しっかりそうした形の支援であるとか、また地域での連携ということを取っているわけですけれども、厚労省、済みません、今日来ていただいていますので、この早期発見のための具体的な施策ということではいかがでしょうか。
  201. 岡田太造

    政府参考人(岡田太造君) 発達障害の方々の支援につきましては、平成十六年に成立しました発達障害者支援法に基づいて、乳幼児期から成人期までのライフステージに応じた支援の充実に取り組んでいるところでございます。  御指摘の発達障害の早期発見、早期支援の問題でございますが、御指摘のとおり、一歳六か月健診であるとか三歳児健診というような乳幼児健診が非常に重要な機会だというふうに思っていますので、そこでの早期発見を進めるためにも、マニュアルの作成とかアセスメントツールを活用するというようなことに取り組んでいるところでございます。  また、平成二十三年度から、各市町村の事業といたしまして、発達障害者などに関して知識を有する専門員が保育所であるとか幼稚園などを巡回して、施設のスタッフや御両親に対して、障害の早期発見、早期支援のための助言を行うというような巡回支援専門員整備事業というのを二十三年度から始めているところでございます。二十四年度予算案におきましても、実施自治体の数の拡大を図るなどをすることとしているところでございます。  引き続き、文部科学省など関係省庁と連携しながら、早期発見、早期支援を含めた発達障害者支援施策の充実、推進に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  202. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。  そして、学校教育の中でこうした発達障害の方々の支援という意味では、支援員の方々の不足ということが言われております。特に、私も鳥取を回りまして定時制の高校の校長先生にお会いしましたら、約一五%の方が発達障害の方であるというお話を聞きまして、大変そうした支援制度がない、また、香川県の校長先生とお話ししましたら、やはり高校の支援の体制がないので、一人の発達障害の方を今後どうするかということでけんけんがくがくの議論をしながら、なかなか支援体制がないのでやめざるを得ないという方もいるということもございます。  こうした支援員の方々、やはり学校教育の中での支援ということをしっかりやっていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
  203. 森ゆうこ

    ○副大臣(森ゆうこ君) 先生の御指摘のとおりだというふうに思います。  特別支援教育支援員の配置に係る経費につきましては、平成十九年度から小中学校で、それから平成二十一年度からは幼稚園で、これに加えまして、今お話のありましたように、平成二十三年度からは新たに高等学校で地方財政措置が開始をされまして、高等学校における特別支援教育の体制が充実強化をされているところでございます。二十三年度より地方財政措置ということで、約五百人ということで措置をしてございます。  実際の配置につきましては、やはり報告を見ますと、地方財政措置であるため、各地方公共団体の判断によることからちょっとばらつきがございます。文部科学省としては、各都道府県に配置状況を通知し、配置の充実を促しているところでございまして、障害のある児童生徒等に対して適切な支援がなされるよう今後とも努めてまいりたいというふうに思っております。
  204. 山本博司

    ○山本博司君 最後に、高校、大学の入試ということで、大学で、アメリカでは学習障害、LDの方々は十八万人と言われております。日本では六十三人ぐらいの形ですから、こういう学習障害、発達障害の方々の支援という意味では大変進んでいるわけです。  例えば高校入試等でも、読み書きをするとか様々な支援ということが言われるわけですけれども、こういった点での取組はいかがでしょうか。最後にお聞きします。
  205. 森ゆうこ

    ○副大臣(森ゆうこ君) ありがとうございます。  今ほどお話がございました、やはり大学生全体に占める障害のある方の割合というのは、今お話しになりました米国と比べてみますと、まだまだサポートが足りない分、学生さんの数が、割合が高くないのかなというふうな印象を持っておるところでございます。  で、高校入試でよろしいですか、大学とおっしゃった……
  206. 山本博司

    ○山本博司君 両方、両方です。
  207. 森ゆうこ

    ○副大臣(森ゆうこ君) 両方ですね。  高校入試における発達障害のある生徒さんへの対応につきましては、生徒さんがその力を十分に発揮するように、公平性基本としつつ、可能な限り配慮を行うことが重要であるというふうに考えております。文部科学省では、平成十九年に通知を出しました。「各学校は、障害のある幼児児童生徒が、円滑に学習や学校生活を行うことができるよう、必要な配慮を行うこと。 また、入学試験やその他試験などの評価を実施する際にも、別室実施、出題方法の工夫、時間の延長、人的な補助など可能な限り配慮を行うこと。」、こういう通知を出してございます。それで、それを受けて、平成二十三年度におきましても出願の際に配慮の申請のあった生徒につきましては、障害の状態に応じた配慮が都道府県の判断において行われているというふうに承知をしております。引き続き、地方公共団体に対して取組を促してまいりたいというふうに思っております。  また、大学についても先ほど御指摘があったところでございます。  独立行政法人日本学生支援機構が行った調査によれば、発達障害の学生が千百七十九名在籍しておりまして、そのうち八百八十三名が支援を受けております。今、各大学では、学生からの支援の申出を受けまして、相談の上、具体の支援内容を決めていると承知をしているところでございます。先進的な支援を行っている大学等を拠点校、これ九校ございますが、拠点校として、全国の大学等からの支援方法等の相談に応じております。引き続き充実してまいりたいと思います。  ありがとうございました。
  208. 山本博司

    ○山本博司君 以上です。ありがとうございました。
  209. 柴田巧

    ○柴田巧君 みんなの党の柴田巧です。よろしくお願いします。  今日は三月二十二日ですが、四月になると入学シーズンを迎えます。しかし、今年は、一月の十四、十五に行われた大学入試センター試験で大変なトラブルが相次いだところであります。  御案内のように、地理歴史、公民で問題冊子の配付が遅れるなどのミスが続いて、あるいは再試験でもミスが起こりましたけれども、影響を受けた会場は八十一会場とも聞いておりますが、受験生の数で言うと四千数百名、五、六百人は影響を受けたのではないかと言われております。これは、大学入試センター試験としては過去最大規模のミスだということになるわけですけれども、受験生の将来にも言わばかかわる大変な問題であって、徹底的なこの経緯、原因の究明と再発の防止を図っていかなければならない、と同時に、この機会に入試の在り方、体制、運営の方法や大学入試のそのものを見直す契機にしなきゃならぬのではないかと、そう考えるわけで、そういう観点から、以下質問をしていきたいと思います。  とにもかくにも、今回は、先ほど申し上げましたように試験方法が変わったというのが一番の原因なんだろうと思われますが、今年から、これまでと違って地理歴史、公民から時間を空けずに全十科目から二つ選んで計百二十分で解答するということになったわけで、本来ならば計二冊が、地理歴史と公民の選んだ計二冊の問題が試験開始とともに配られるはずであったんですが、これが監督者が十分理解していなかったということが一つあろうと思われますが、恐らく受験生は大変動揺したことだと思います。  私は共通一次第一期生ですから昭和五十四年に受験した者ですが、大きく受験が変わる、制度が変わるというのは大変不安に覚えるものです。ましてや、当日受験会場へ行ったら、先生に言われた、あるいは予備校等々、塾の先生から言われたのとは全く違う状況に置かれるということはかなり精神的にも負担を掛けてしまったのではないかと思いますが、万全の体制で試験に臨ませるというのがこの入試センターの本来の仕事だろうと思いますと、先ほど申し上げましたように、徹底的なやっぱり原因の究明、それから再発の防止、まずやるべきことだと思っております。  そこで、まず大臣には、今回のこの事態をどのように受け止められて、また文科省としてもこの事故の再発防止にどのように取り組んでいかれるのか、まずお聞きをしたいと思います。
  210. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 今回のセンター試験のトラブル、さらには再発防止、どうするんだと、こういう御質問でございます。  改めまして、私は、平成二十四年の大学入試センターの試験につきましては、従来、同一試験内に設定され、受験できなかった科目選択が可能になるように、地理歴史等におきまして百二十分で二科目を受験できる方法に、より柔軟に対応できるようにと変更をさせていただいたわけでありますが、このことにより、地理歴史及び公民において、開始時間の遅延、さらには試験問題の配付ミスが生じたこと、これが一番でございます。  二点目は、東日本大震災で被災をいたしました受験生をバックアップするために新たに試験場として設置いたしました気仙沼高等学校試験会場において、英語のリスニングの機器の輸送遅れ等により開始時間が二時間遅れたと。  こういうことで、特に今、大学入試を受けられる方が五十数万人とも言われている中で大変な御迷惑を掛けたと、こういうことで、これ受験生始め、一番、これから大学試験を受けるんだという緊張のある中でのこういうトラブルについては、本当に受験生には申し訳なく思っているところでございます。  そういう中にありまして、私どもとしては、決してこういうことが起こっちゃいけないんだと、そういう思いを含めて、大学入試センターにおいて徹底した原因究明と再発防止の取組を、対策を取り組むために検証委員会等々を設置をいたしまして、三月下旬を目途に検証報告を取りまとめるために今検証を進めているところであります。これに当たりまして、私、入試センターの理事長を文科省にお呼びをいたしまして、極めて遺憾なことだということと同時に、徹底した再発防止をしてもらいたいと、こういうふうに強く要請したところでございます。  さらに、文部科学省におきましても、お隣におります森副大臣、城井政務官並びに外部有識者から成る、また文科省としては別の視点で検証委員会を今設置をいたしておりまして、既に三回の委員会を開催をしております。これにつきましても、四月下旬を目途に再発防止策を取りまとめると、こういうことで、いずれにしましても、二度とこういうことが起こらないように、私としては万全な体制で臨んでまいりたいと、このように思っております。
  211. 柴田巧

    ○柴田巧君 それぞれに検証委員会をおつくりになって再発防止に取り組んでおられるということは当然のことだと思っておりますが、特に文科省の方は、その委員の方々も公表し、議事も公開をされてやっておられるのは承知をしておるところですが、しかし一方で、その大学入試センターの方の第三者委員会は、大学、高校の関係者や弁護士さんや、あるいは危機管理の専門家などが入られて八人かな、で構成されておるようでありますが、委員長の青山さんというのは高校協会長でありますが、この方は氏名は公表されていますが、ほかの方は氏名が公表されていないということであります。  この第三者委員会というのは、いろいろな不祥事が企業や官庁で起きた場合に立ち上がるわけで、どういう人選にするか、あるいはいかに公開性を高めるか、透明性を高めるかというのが一つのやっぱり大きいポイントなんですね。本当にミスを起こさせないために、再発を防止するために、そこに一つはやる気が表れてくると私は思うんですが、残念ながら、公表されると、委員がミスをした大学をおもんぱかってとか、あるいは関係者から直接意見が伝わったりして自由な議論の妨げになるという理由で公表されないようでありますが、本当にこういうことで再発防止策がしっかりできるのかどうか、大変私は疑問に思うわけであります。  物によっては、肉体的な圧力が加わるというものもあるかもしれませんが、今回のこれに関しては命を狙われるような話にはならないだろうと思われますし、本来、堂々とやっぱり意見を開陳してもらう、述べてもらうというのが本筋であって、そういうことができない人であればそもそも委員に指名する必要がないんじゃないかと思いますが、いずれにしても、この独立性、中立性がこんなことで本当に確保できるのか。検証の名にこのままでは値しないんじゃないかと思いますが、大臣のお考えをお聞きをしたいと思います。
  212. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 委員御指摘の点は私も理解をいたしますが、センターの方で検証委員会ということですから、その主体的な判断はセンターでやっていただくことが私は基本だろうというふうに思っております。  こういう委員会の中には、非公開、公開、いろんな観点がありますが、しかし少なくとも、委員が御指摘のように、本当に透明性がしっかりと確保されるということが一番好ましいわけでありますので、決して非公開だから事実がゆがんでやられているということには私はならないと思っておりますし、報告書の発表時には議事内容及び委員も併せて報告されるということでございますので、私はきっちりとやっていただけるものと期待をいたしておるところでございます。
  213. 柴田巧

    ○柴田巧君 今そういう御答弁でしたが、後々公表するなら前もって公表して何の差し支えも私は出てこないのではないかと、特にこういう類いのものは本来は公開すべきものだろうと、そこで自由活発に議論を展開してもらって、あるべき受験、入試体制というものを論じてもらえば、再発防止策を論じてもらうのは私は筋だと思いますが、甚だ遺憾だということを改めて申し上げておきたいと思います。  いずれにしても、今回は前代未聞のトラブルが生じたわけでありまして、しかも現段階で分かっているだけでも、極めて単純なミスの連続というかが起きているわけですね。手引に二冊同時の記載がないとか、あるいはこれ何回も周知、シミュレーションをしながらあの結果になってしまっているということであって、受験生、そして社会全体に与えた影響も極めて甚大だと私は思います。  したがって、やはり私は、このいろんな原因究明、再発防止策が出た後になるんだろうとは思いますが、関係者へのやっぱり厳格な処分というものがあってしかるべきだと、やはりそういう緊張感を持ってやってもらわないと、先ほど申し上げましたように、役目を果たせないわけですから、私は厳格な処分というのはあってしかるべきだろうと思っておりますが、そこら辺はどういうふうな御認識でしょうか。大臣にお聞きをします。
  214. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 委員御指摘のとおり、今回の事案については私は重く受け止めております。特に、この大学入試の問題につきましては、入試センター及び大学との共同事業と、こういう格好になって開催しているわけでありまして、大学の職員の立場でいうと、本来業務でないものを応援をしているとか、いろんなことでございますが、要は、受験生が本当に迷惑になる、こういうことでは極めて緊張感が欠けていると、こういうふうに私自身は認識をいたしておりまして、それぞれの検証結果を踏まえて適切に、今議員御指摘観点も踏まえて対応されるものと私は思っております。
  215. 柴田巧

    ○柴田巧君 是非、そういう方向でしっかり厳格な処分というものを御検討いただきたいと思います。  この大学入試センターは、御存じのように、この収入というのはほとんどいわゆる検定料等々で賄われているわけですね。今、運営交付金は入っていないわけで、いわゆる受験生、あるいは実際払っているのは受験生の親御さんだと思いますが、そういった受験料で賄われているところなんですから、そういうしっかり意識を持って、緊張感を持って受験生が万全の体制で受験できるやっぱり仕組みをつくってもらう、できないならばやっぱり処分を考えざるを得ないのではないかと思いますので、強く求めておきたいと思います。  そこで、いずれにしても、この先ほど申し上げましたように、いろいろ見直しをこの機会に考えてもいかなきゃならぬのではないかと思っております。  大臣もインタビュー等に答えられて、その大学入試センターの抜本的な見直しについても研究をされているところでありまして、この機会にどういうふうにこの入試の在り方あるいは入試そのものを見直すか、大事な視点だと思っております。  そこで、ちょっとやや細かく詳しくお聞きをしたいと思っておりますが、今回、独法改革でこの大学入試センターも大学評価・学位授与機構と統合されるということになって、これは二十六年四月から発足するということになるわけでありますが、これはまあこの試験のトラブルが起きる前から決まっていたということでもありますが、となってくると、これが統合した暁には、これは試験の名称とかあるいは試験の中身というのが変わってくる可能性が高いということなんでしょうか。  まずこの点、確認をしたいと思いますが、いかがですか。
  216. 平野博文

    国務大臣平野博文君) この問題、いわゆるトラブルがあるから再発防止の入試システムをどういうふうにするかという観点と、もう一点はやっぱり大学改革をしていくと、こういう観点と、両方あると思っております。  したがって、大学改革をしていかなきゃならないというのは、やっぱりこの社会改革をしていく中での大きな一つの方策であるというふうに考えておりまして、特に高大接続をもう少し、どうした方がいいのか、一気通貫の方がいいのか、どうしたらいいのかという、こういう問題も併せてやっぱり十分検討していくと。  やっぱり国民の皆さんの御議論を踏まえながらやっぱり進めていく中にあっての大学入試の在り方ということも併せて、中教審等々を含めて私は議論を進めていただこうと、かように考えているところでございます。
  217. 柴田巧

    ○柴田巧君 それから、この入試体制、運営在り方も今までどおりで本当にいいのかどうかというのはやっぱり再考の余地があると思われますね。  こんなに制度が変わるごとに、あるいはそうでなくてもいろんな不祥事がたまに起きる、試験ごとに起きるわけですけれども、であるならば、もっと、例えばですが、民間のノウハウなどを活用するということもあってもいいんじゃないか。そっちの方がもっと使命感を持って上手にやられるんじゃないかと思ったりしますが、そういったことなど、その運営の方法などの見直しということはどういうふうに今のところお考えになっておられますでしょうか。
  218. 森ゆうこ

    ○副大臣(森ゆうこ君) ありがとうございます。  先ほどお話がございました今回のセンター試験のトラブルについての検証委員会では、センター試験の改善策も議論いたしますけれども、今後のセンター試験の在り方に関するまず課題の論点整理をさせていただきます。  で、その後、今大臣からもお話がございました、そのセンター試験も含めた大学入試の在り方、これにつきましては、省内に設けました今大学改革タスクフォースというのをやっておりまして、まず少し工程表というものを近々まとめさせていただく。  その後、引き続き改革のためのいろんな方策というものを議論をしていきまして、法律改正等、そういうものが必要なものについては中教審等でも御議論をいただくということで、今先生の御提案のありましたような民間の試験等の利用についても、今実際にやっております検証委員会でもそういうお話も、御意見も出ているところでございまして、それも今後検討の中に入っていくのではないかというふうに思っております。
  219. 柴田巧

    ○柴田巧君 いろんな観点から見直しをやっていただきたいと思いますが、我々がしばしばこれまでも指摘しましたように、今回の独法改革というのは非常に生煮えの部分があって、二つ一つにしたけれども、いわゆる天下りポストがそのままだというようなことなど、受験生は二の次で、そういったところだけしっかり温存されるということのないようにしっかり改革はしていただきたいと思っております。  で、この問題の最後にということになると思いますが、この大学の入試の中身そのものですね。御案内のように、マークシート方式でセンター試験というのはやってきたわけです。しかし、今やセンター試験だけで、本来は第一次でやって、二次で大学個別の試験をするということであったわけですが、一次は基礎的な学力を見るという、試すということでありましたけれども、最近はセンター試験の結果だけで選抜するところが増えたり、さらには、推薦やAO入試など事実上の教科学力試験がない方式も増えてきているわけですね。  これがゆえに、非常に今、最近の子供たちというか、大学生の論理力というか、論述力というのは非常に世界的にも落ちてきていることが指摘をされているわけで、この前も大学生の数学基本調査が発表されましたが、大学生の四人に一人が小学校で習う平均の意味がよく分からないとか、中高レベルの問題でも読解や論理力を証明するようなものには間違った答えが多いというのが出てきているわけで、これはゆとり教育のあれもあるんでしょうけれども、大学入試自体が記述式が極めて少なくなっているということが大きな影響を与えていると思います。全体としてこの論述力の軽視というのはやっぱり否めないわけで、ディベート力がこれから更に国際社会の中で求められる中で、やっぱり大きな見直しが必要じゃないかと。  大臣も所信の中で、「自らの考えを積極的に発信するなど、グローバル社会で活躍していける人材の育成が必要」だとお述べになっているわけでありまして、そういう観点も含めて、この大学入試そのもの、これは日本の将来にも言わば直結をしていく問題だと思いますが、この機会に見直す必要性があるんじゃないかと思いますが、その点はどのように考えておられますか、お尋ねをします。
  220. 森ゆうこ

    ○副大臣(森ゆうこ君) 先ほどもお話を申し上げましたけれども、先生指摘のように、大学入試がどういう形で行われるのかということについては、それは非常に大きな点、問題だというふうに思います。  しかし、大学教育に関しましてはそれだけではない部分もありますので、我々としては、大学改革、大きな結果を出していく、その大学改革全体の中で大学入試試験についても見直していくということで、先ほど御説明させていただいたような手順でしっかりと取り組んでまいりたいと思いますが、先生からの大変重要な御指摘をいただきましたので、また私どもの方でしっかりと受け止めさせていただきたいというふうに思いますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
  221. 柴田巧

    ○柴田巧君 大臣、よろしくお願いします。
  222. 平野博文

    国務大臣平野博文君) ここは非常に大事なところで、森副大臣も答えましたが、やっぱり一旦大学に入学すると自動的にある時期出て行くと、こういうことではなくて、しっかり大学で学んだことの成果を出させると、こういうことが非常に大事なんだろうというふうに私は思っています。  先ほど議員が御指摘のように、例えば理数系で入ったけれども物理やっていないとか、こういうことも起こり得る可能性がありますから、こういう目的で入った、そのために、例えば四年で卒業するときにやっぱり学習成果がしっかり現れるようにきちっとしていくことと同時に、やっぱりグローバル化した時代でありますから、そこに十分に対応でき得る人材を出していくことがこれからの日本の支えを、人材を、国づくりに私はつながっていくと、こういう視点も大事だろうと私は思っていますので、頑張りたいと思っております。
  223. 柴田巧

    ○柴田巧君 是非、この問題を機に、いろいろと大学入試の中身も含めて、もろもろ改革につなげていっていただきたいと思います。よろしくお願いします。  それでは、ちょっと時間がかなりなくなってきましたので、防災教育について何点かお聞きをしたかったのですが、これは最後に一つだけお聞きをしたいと思います。  先ほど、お隣の山本先生からも御質問がありましたが、やはり大臣もお述べになっておられるように、防災教育の充実が求められる中、昨日も中教審から、防災科の創設などを目指すべきだという趣旨の答申も出されました。やはり子供たちを介して家庭地域にこの防災教育重要性は広がっていくものですし、将来大人になったときに次の世代にも伝わっていくものだと思いますし、ややもすると、災害がないとみんな忘れてしまうので、やはりこれは継続的にやっていくためにも教科化が必要だと思います。  先ほどの答弁では、余り積極的な御答弁ではなかったような感が受けましたけれども、改めて、そういう方向をしっかり目指していくべきだ、教科化を目指していくべきだと思いますが、大臣の御答弁を、改めてですが、お願いをしたいと思います。
  224. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 先ほど、私、かなり積極的にやるつもり、こういう答弁をさせてもらったわけですが、改めて地域社会の中での学校位置付け、私はやっぱりコミュニティーの拠点であると。こういうことから、地域社会と一緒に連動した防災教育在り方と、学校の中での生徒にしっかり防災教育を取り入れていく、取り入れていく以上は教える教員にもしっかりそのことを研修してもらうと、こういうことを前提として私は取り組んでいかなきゃならないと、こういうふうに思っております。
  225. 柴田巧

    ○柴田巧君 是非しっかり、学校で、あるいは地域子供たちの命を一つもなくさないと、災害によって、そういう意識でしっかりやっていただきたいと思いますし、その防災科の実現を目指して、またいろいろ御努力をいただきたいと思います。  時間がなくなってきましたので、最後の質問にさせていただきます。  大臣も次世代がん研究の重要性指摘をされました、この前の所信の中で。あわせて、それを担うがんの医療人、高度な知識や技術を持つ、そういった者を育成していかなきゃならぬという時代になっていると思います。  既に文科省として、十九年度以降から、がんプロと言っておりますが、やってきて、いろんな成果も上がってきていると思いますけれども、その中で、私の地元といいますか、この前もこの委員会で富山大学を視察をしたところでありますが、富山大学など北陸三県の大学などによって、これまでもがんプロをやってきました。その成果の下に、これから新たに、正式には高度がんプロチーム養成基盤形成プランというのをやっていくということになったわけですけれども、これまでいろんな、他の地域には見られない取組もやってきたところでありますが、そういった活動を踏まえ、どのような成果が出ることを期待をしているのか、また、文科省としても、このプログラムをどう支援をして、また、がんの高度な医療人の育成のためにどう取り組んでいくのか大臣にお聞きして、最後にしたいと思います。済みません。
  226. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 議員御指摘のように、この問題は、がん対策基本法という法律を皆さんで作っていただきました。そのことを踏まえながら、我が国のやっぱり死因第一位の疾患でもあると、こういうところから、がんプロフェッショナル養成プランと、こういうことを進めてきたわけでございます。  本事業により、これまで九十五の医療系の大学において、がん医療にかかわる医師や看護師、薬剤師等を受け入れて、日本で特に不十分とされている放射線療法、化学療法、緩和ケア等にかかわるがん専門医療人の育成に大きな役割を果たしてきたものと思っております。  そういう意味では、二十四年度予算案におきましては、これらの実績を踏まえて、今、先ほど委員御指摘のこういうことをこれからも更に進めてまいりたいと思っております。特に、委員からも強い御要望もあり、地元の富山大学におきましてもしっかりとその予算、枠組みも含めて進めると、こういうことでございます。特に、がんプロフェッショナル養成プランの中では、新たなコースを設置をいたしております。これも多くを申し上げませんが、それと、恒常的な教育研究基盤の確立と、こういうことで、これからも積極的に進めてまいると、こういうことで進めさせていただきたい、かように思っております。
  227. 柴田巧

    ○柴田巧君 ありがとうございました。終わります。
  228. 横峯良郎

    横峯良郎君 新党大地の横峯です。今日はよろしくお願いします。もう長い時間、ちょっとお疲れになったと思うんですけれども。  まず、学校の土壌の、校庭の汚染された土をどのように、大臣は今汚染されたところはもうないというふうに一回は言われているんですけど、どのようにその処理されたのかと。どのように持ち出したとか、シートを掛けたとか、いろいろあると思うんですけど、ちょっとそれを伺いたいと思っているんですけど。
  229. 城井崇

    大臣政務官(城井崇君) お答えを申し上げます。  学校における除染の実施状況に関してでありますけれども、校庭そして園庭の空間線量率が毎時一マイクロシーベルト以上の学校を対象として、設置者の希望に応じて土壌処理への財政支援を行うなどによりこれまで除染を推進してきたところであります。  実施状況でありますが、警戒区域そして計画的避難区域内を除く福島県内の学校のうち、設置者から国庫補助申請、予定を含むものでありますけれども、そのあった全ての学校、三百九十校ありますけれども、におきまして、校庭等の土壌処理が完了しているというふうに把握をいたしております。  また、除染により発生をした汚染物の扱いでありますけれども、環境省が取りまとめた除染関係ガイドラインにおいて保管の方法等が示されておりますけれども、仮置場の確保を含めて環境省を中心に調整が進められているものというふうに承知をしておりまして、その動向を今後注視をしてまいりたいというふうに思っています。
  230. 横峯良郎

    横峯良郎君 例えば掘った土を、汚染された土をどのようにしたのかと。例えば、盛ってシートを掛けたとか、それは今どうなっているのかということですね。持ち出すにしても持ち出せないわけですから。我々は、今、汚染された土はあったわけですから、それをどのように処理されたのかと。その辺が余り出てこないものですから、ちょっとそれをお聞きしたいなと思うんですが。
  231. 城井崇

    大臣政務官(城井崇君) これまでにも実際に校庭、園庭での除染を進めるに当たって、例えば線量を減らしていく観点ということで申しますと、まとめて地中に集中的に置く方法でありますとか上下を置き換えるでありますとかという方法をお示しするというところもございますし、また、先ほどの汚染物の取扱いということに関しては環境省が中心に取り組むということでありますけれども、そうした部分で今取組を進めさせていただいているところであります。
  232. 横峯良郎

    横峯良郎君 いや、何というんですかね、子供たちが汚染された土の中でいるわけで、我々も心配しているところで、どのようにそれが処理されたかということをただ簡単に聞いただけのことなんですよ。それが今手元にあると思うんですけど、そのようにされたということですよね。  もう一遍、簡単でいいですので。
  233. 城井崇

    大臣政務官(城井崇君) 失礼いたしました。  少し詳しくお話しさせていただきたいと思います。  実際に大規模な仮置場の搬入の話でありますけれども、側面を遮蔽をいたしまして搬入をし、覆土等によりまして遮蔽を完了するということ、そして二つ目のエリアへの搬入を行い、また二つ目のエリアの遮蔽を完了するといった形で進められているというふうに承知をいたしております。
  234. 横峯良郎

    横峯良郎君 今日はなぜそれを聞いたかといいますと、学校で、我々は放射線について知ったのは長崎、広島の原爆で、小学校のころ学校の本にも出ていましたよね、被爆されて川でという、そういうのがあったんですけれども、今の子供たちというのは放射線について学ぶときに、やっぱり三月十一日のあの震災ので知ると思うんですよね。ましてや、今回、ちょっと大臣にもお聞きしたいんですけど、放射線の副読本というのを、「放射線について考えてみよう」ということで、こういう本が出されたんですね。この本をお読みになったと思うんですけれども、その感想をちょっとお聞かせ願えますか。
  235. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 横峯さんとこういう立場で質疑をさせてもらうということは大変残念でございますけれども、その副読本につきましては、私、読ませていただきました。小学校、中学校を含めて、子供さん用と教える教員用とに分けて発行したものでございます。やっぱり放射線というのはこういうものなんだということをしっかり理解をしてもらおう、こういうこと、その代わり、理解というのは、こういう利便性もあるけれどもこういうリスクもあるんだよということを、やっぱりしっかり現実を知るという、こういうことが大事だということで、そういう副読本を作らしていただいております。
  236. 横峯良郎

    横峯良郎君 だから、大臣、これは私はちょっと甘いんじゃないかと。  小学生向きの、小学生用の六年生までの本なんですけど、例えば、簡単にこういう、これは何を写していると思うとか、スイセンからも、スイセンの花ですね、ここからも放射線は出ているよとか、例えば、何ですか、宇宙からも空気からも食べ物からも放射線は出ているよと。こういうふうに、レントゲンもこうできるんだと。ちょこっとだけ、ウランから、石からも放射線が出、キュリー夫人がこうこうしたんだと書いてあるんですけど。  せっかくと言ってはなんなんですが、これ、震災の後にできている本なんですよね。こういう、あってはならないということで教訓として副読本というのを出したと思うんですけど、それが全然生かされていないと思うんですよね。今の小学生って、私も小学生いっぱい生徒がいるんですけれども、この副読本を見ても何か全然その怖さというか、震災のことも書いていないし、やっぱりそれに続けて、やっぱりそれのためにこれを出したと思うんですよね。もうちょっとインパクトがあった方がいいと思うんですけれども、ほかにまた書物が出ていればと思うんですけど出ていないものですからね。それをちょっとお聞きしたいと思うんですけど。
  237. 平野博文

    国務大臣平野博文君) そういう視点での副読本ということは先生指摘のようにあるかもしれませんが、我々としては、文科省としては、正しい理解をしてもらうと、こういう視点で出したものでございます。放射線とはこういうものです、ただしこういう場合にはリスクもありますよということも、少なくとも分かりやすくしたつもりでありますし、教職員が、教員がそれを含めてしっかりと教えていただくことが大事であろうというふうに思っております。教員用の副読本も実はございます。
  238. 横峯良郎

    横峯良郎君 分かりました。  ちょっと、本当にもう時間がないもので、ちょっと次に行かしてもらいます。義家先生はいつも日教組について伺われるんですけど、私は例のごとく「もんじゅ」についてお伺いします。  もう毎回に政務官大臣も替わられるものですから、前は与党の立場として質問をしたんですけれども。大臣は所信の中で、「もんじゅ」については安全性の確保を図った上で、ここは分かるんです、議論の方向性を見据えて適切に対応してまいりますと、これがちょっと分からないんですよね。議論の方向性を見据えて適切に対応してまいりますと、これがなかなか意味が分からなくて、もう一回教えていただければと思うんですけど。
  239. 平野博文

    国務大臣平野博文君) これは、もう先生は一貫してこの「もんじゅ」について陰に陽に御発言されている、このことについてもよく承知をいたしておりますが、私は今そういうことを述べる立場にあるかどうか分かりません。私は、「もんじゅ」を推進をしてきた立場で私はございました。なぜならば、やっぱり資源のない国でございますから、よりエネルギーを安定した供給体系としてとらまえていくと、こういう意味におきまして再生利用をやっぱりしていくんだと、こういう考え方の下に、一つは使用済燃料をどういうふうに有効的に使うんだということで始めた部分一つの原型炉としての「もんじゅ」だったと思います。  しかし、先生指摘のように、もうこれ四十年たっていろんな事案が起こっていることも事実でございます。したがって、今それだけの研究開発のデータベースというのは私は貴重なデータベースだと思っていますが、今政府におきまして改めてエネルギーと環境会議というのが一方で議論をされておりまして、これからの原子力行政、エネルギー問題についてどうあるべきかという結論を待って、私ども、「もんじゅ」の所管としてどうあるべきかということについて検討したいと、検討させてもらうと、こういうことを私は申し上げてきたところでございます。
  240. 横峯良郎

    横峯良郎君 四十年間、今大臣が言われましたようなことをずっと言われてきたんですよね、四十年間。では、やっぱりこれは、毎日、日額にすると大体五千万から六千万、我々の税金が投入されております。今大臣も言われましたように、四十年間やってきて去年の三月の十一日に原発による事故が起きたと。それを再処理する施設を造って、世界でも並行して各国と並んでずっとやってきたんですけれども。ところが、今やっているのは、この研究、「もんじゅ」を進めているのは、ほとんどやめているんですね、各国、もう御存じだと思うんですけれども。なぜかというと、四十年たっても何もできていないと、何もなっていないと。あったのは事故ですね。ナトリウム漏れだとか、そういう事故はぼんぼんあるんですけれども。  じゃ、これをいつできるんですかと言ったところ、二〇五〇年と言われていたんですね。それからまた一週間ぐらいして、いや二〇四〇年だと。ということは、二〇四〇年ということは、今二〇一二年ですので、どこからこのような数字が出てくるのかと。それまでに、今消費税云々と、上げよう云々と言っている中で、民主党は、その前にやることがあると。一日五千万も六千万も二〇四〇年までずっと使われるわけですよ。誰がどう考えても、誰がどう考えても、もうやめた方がいいと思うんですね。  それで、「もんじゅ」というこれを四十年間今していると。ところが何にも、事故が起こっても何にもならなかったと。何かそれが研究結果が生かされて、その事故に対しての何か対応ができたとか、そういうことも全くないと。それで四十年間もう野放しにされて、政府はもう全く、そして大臣が言われるように、議論の方向性を見据えて適切に対応してまいりますと、それをずっと言っているんですよね。  小学生のこの副読本にもし載せたら、皆さん反対、小学生はみんな反対すると思います。やめましょう、それはと。消費税を一〇%にするより、先にやることがあると、これじゃないですかと。私は常にそう思っているんです。事故が起きたから「もんじゅ」のことを言っているんじゃないんですね。その前からずっと言っているんですけれども、ずっと言ってきているんですけどね。  大臣、じゃ例えば今断念した場合、具体的にどのような不都合が生じるのかということを一番聞きたいと思うんですけれども。
  241. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 断念したときにどういう状態が起こるかということですが、先ほど世界の国々が全部やめているということよりも、この核燃サイクルという考え方の技術は今中国でもやろうとしておりますし、インドでもやろうとしております。確かに先進国等々、アメリカ等々におきましてはそういう方向性は見出していませんが、研究開発はずっと持続的にやっておるところであります。  私は、「もんじゅ」につきましては今日までの、今の「もんじゅ」で大体十七、八年だと思います、二十年弱だと思いますが、それなりに大きな研究開発の成果配分としては私はあろうと思います。しかしそれ以上に、横峯先生は金がこれだけ掛かっておるじゃないかと、こういう御指摘ですから、その御指摘はしかし真摯にやっぱり受け止めながら、まずは今現時点では、今ある「もんじゅ」についての安全確保をしっかりするとともに、今政府としてこれからのエネルギーについてどうあるべきか、こういう方向性をしっかり見据えて「もんじゅ」の取扱いについては結論を見出すと。これが、大体この夏、七、八月ごろにはその結論が出ると聞いておりますから、その方向性を踏まえて私は対応したいと、こういうふうに思います。
  242. 横峯良郎

    横峯良郎君 もう毎回同じことを聞くんですけれども、今大臣は、とにかく「もんじゅ」をやめる、見直すということはないということでよろしいですか。
  243. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 見直すことはないということは、私申し上げていません。政府としての方針に従ってどう対応するかということですが、まず前提は、やっぱり安全確保をしっかりするということが国民に不信を抱かせないことになろうと思っていますから、まずは安全確保だと、かように思っております。
  244. 横峯良郎

    横峯良郎君 安全確保というのはもう当たり前のことですので、でも当たり前のことがもう四十年間できてないんです。一か月、二か月、一年、二年でできないことが四十年間もできないと。もっと更にまたこれからも、二〇四〇年まで延々として続くと。結局それが、我々は国会議員やっていまして、例えば年金の問題がありましたよね。年金で、前は三千億という金をグリーンピアなどの箱物を造っていたと。しかし、あれと私は全く一緒じゃないかと思います。かれこれもう四十年もやっていて、誰もそこで止めることができないと。私が考えれば、止めて次のステップにいけばいいと思うんですよ。四十年たっているということは、四十年前の車をいまだに運転しているようなものなんですよ。  我々も、例えば原子力に対して素人ですから、でも素人の我々が考えていろいろ勉強していろいろ聞いてみても、調べてみても五〇〇%私は無理じゃないかと思うんです。平野大臣は、その四十年の中で、私はいつも思うんですけれども、今民主党政権の中で是非これを、日本の、画期的に、もうやめて新しいスタイル、もっとお金の掛からないことに、大震災を踏まえた上での今の大臣ですので、是非やっていただきたいと思うんですけれども。
  245. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 先生おっしゃる意味もよく分かっております。今回の福島の原発の事故を踏まえて、やっぱり我が国の原発依存に対する国民の皆さんの意識、気持ち、また御理解の度合いを含めてどうなのかということも十分踏まえながら、しかしながら、一方では安定したエネルギーの供給ということも経済活動、国民生活を営む上においては大事な視点でございます。  したがいまして、代替エネルギーを含めてこれからのエネルギー問題のあるべき部分をしっかり、短期的にはこうする、中長期にはこうするという方向性を明確にした上で、「もんじゅ」についてはどうなんだということを私は結論を出したいと、こういうふうに思っております。  したがって、先生おっしゃる本当に大丈夫なのかと、こういう御指摘は真摯に受け止めておかなければならないと思っています。真摯に受け止めながら、今申し上げたような考え方できちっと対処していきたいと、かように思います。
  246. 横峯良郎

    横峯良郎君 是非、私期待しておりますので、よろしくお願いします。  終わります。
  247. 野上浩太郎

    委員長野上浩太郎君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時五十七分散会