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2012-04-24 第180回国会 参議院 総務委員会 第11号
公式Web版
会議録情報
0
平成
二十四年四月二十四日(火曜日) 午前十時二分開会 ─────────────
委員
の
異動
四月十九日
辞任
補欠選任
外山
斎君
行田
邦子
君
熊谷
大君 岸
宏一
君 四月二十三日
辞任
補欠選任
世耕
弘成君
岩井
茂樹
君
石川
博崇
君
谷合
正明
君 四月二十四日
辞任
補欠選任
岩井
茂樹
君
宇都
隆史
君 ─────────────
出席者
は左のとおり。
委員長
藤末
健三
君 理 事 江崎 孝君 吉川 沙織君
片山さつき
君
金子原二郎
君
木庭健太郎
君 委 員
相原久美子
君 加賀谷 健君
行田
邦子
君 主濱 了君 武内 則男君 難波 奨二君 林
久美子
君 礒崎
陽輔君
岩井
茂樹
君
宇都
隆史
君
片山虎之助
君 岸
宏一
君
中西
祐介君 藤川 政人君 山崎 力君
谷合
正明
君 寺田
典城
君 山下 芳生君 又市
征治
君
森田
高君
委員
以外の
議員
発議者
中西
健治
君
衆議院議員
発議者
武正
公一君
発議者
田島 一成君
発議者
山花 郁夫君
発議者
森山 裕君
発議者
赤澤
亮正
君
発議者
斉藤 鉄夫君
国務大臣
総務大臣
川端 達夫君
国務大臣
自見庄三郎君 副
大臣
内閣
府副
大臣
中塚 一宏君
外務
副
大臣
山口 壯君
外務
副
大臣
山根 隆治君
大臣政務官
総務大臣政務官
森田
高君
事務局側
常任委員会専門
員 塩見 政幸君
政府参考人
内閣官房内閣参
事官
奈良 俊哉君
総務省情報流通
行政局郵政行政
部長 福岡 徹君
参考人
東洋大学経営学
部教授
石井
晴夫
君
一般社団法人
全
国地方銀行協会
会長
中西
勝則
君
社団法人生命保
険協会会長
筒井
義信
君
郵政産業労働組
合中央執行委員
長
廣岡
元穂
君
日本郵政株式会
社取締役
兼代表
執行役社長
齋藤 次郎君
日本郵政株式会
社専務執行役
高橋 亨君
日本郵政株式会
社専務執行役
佐々木英治
君
日本郵政株式会
社専務執行役
中城 吉郎君
日本郵政株式会
社専務執行役
斎尾
親徳君
日本郵政株式会
社常務執行役
篠田 政利君 ───────────── 本日の会議に付した
案件
○
郵政民営化法等
の一部を
改正
する等の
法律案
(
衆議院提出
) ○
郵政民営化
の確実な
推進
のための
日本郵政株式
会社
、
郵便貯金銀行
及び
郵便保険会社
の
株式
の
処分
の
停止等
に関する
法律
を廃止する等の
法律
案(第百七十六回
国会中西健治
君
発議
)(継続
案件
) ○
政府参考人
の
出席要求
に関する件 ○
参考人
の
出席要求
に関する件 ─────────────
藤末健三
1
○
委員長
(藤末
健三
君) ただいまから
総務委員会
を開会いたします。
委員
の
異動
について御報告いたします。 昨日までに、
外山斎
君、
熊谷大
君、
世耕弘成君
及び
石川博崇
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
行田邦子
君、
岸宏一
君、
岩井茂樹
君及び
谷合正明
君が選任されました。 ─────────────
藤末健三
2
○
委員長
(藤末
健三
君)
郵政民営化法等
の一部を
改正
する等の
法律案
及び
郵政民営化
の確実な
推進
のための
日本郵政株式会社
、
郵便貯金銀行
及び
郵便保険会社
の
株式
の
処分
の
停止等
に関する
法律
を廃止する等の
法律案
の両案を一括して議題といたします。 本日は、両案の
審査
のため、四名の
参考人
から御
意見
を伺います。 本日御
出席
いただいております
参考人
の
方々
を御紹介いたします。 まず、
東洋大学経営学部教授石井晴夫参考人
でございます。 次に、
一般社団法人全国地方銀行協会会長中西勝則参考人
でございます。 次に、
社団法人生命保険協会会長筒井義信参考人
でございます。 次に、
郵政産業労働組合中央執行委員長廣岡元穂参考人
でございます。 この際、
参考人
の
方々
に、
委員会
を代表して一言御挨拶を申し上げます。 本日は、御多忙中のところ当
委員会
に御
出席
をいただき、誠にありがとうございます。
参考人
の
皆様
から忌憚のない御
意見
を拝聴し、今後の
審査
の
参考
といたしますので、是非ともよろしくお願いいたします。 ありがとうございます。 次に、議事の進め方について申し上げます。 まず、お一人十分程度で、
石井参考人
、
中西参考人
、
筒井参考人
、
廣岡参考人
の順に御
意見
をお述べいただき、その後、
委員
からの
質疑
にお答えいただきたいと存じます。 また、
発言
の際は、挙手をしていただき、その都度、
委員長
の許可を得ることになっておりますので、御了解いただきたいと思います。 なお、
参考人
、
質疑者
とも、
発言
は着席のままで結構でございます。よろしくお願いいたします。 それでは、まず
石井参考人
にお願いいたします。
石井参考人
。
石井晴夫
3
○
参考人
(
石井晴夫
君) 皆さん、おはようございます。 御紹介いただきました
東洋大学
の
石井晴夫
と申します。よろしくお願いします。 本日は、このような場で
郵政民営化法等
の一部
改正法
に対する
意見
を陳述させていただきます
機会
をお与えいただきまして、まずもってお礼申し上げます。 現在、参議院には、民主党、自民党、公明党の共同で提案されました
郵政民営化法
一部
改正法案
と、みんなの党から提案されました
郵政民営化
を着実に
推進
する等の
法案
の二つの
法案
が
一括審議
の
対象
となっていると聞いております。私は、このうち、三党から共同提案されました
郵政民営化法
の
改正法案
に対しまして、賛成の
立場
から
意見
を陳述させていただきたいと思います。 現在の
郵政民営化
が施行されまして、はや五年が経過しようとしております。この間、
郵政民営化
に関しまして様々な課題あるいは
問題点
等々が
新聞等
で報道されております。 かつての
日本
の
郵便局制度
は、
世界
に類を見ない、ある
意味
で最も成功した
ビジネスモデル
ではないかと思います。その理由は、後ほど触れますが、
小規模郵便局
による
地域密着経営
、三
事業一体経営
によるところが大であると思います。これは、特に
地域
によっては、
郵便
、
貯金
、
保険
の
窓口
のほかに、
情報
の
発信源
として、あるいは
コミュニティー
の
拠点
として極めて重要なものであります。
地方
の
時代
とよく言われておりますけど、今後とも
地域活性化
や安心した
地方
での
生活
を実現するためには、この
コミュニティー
としての、
拠点
としての
郵便局
を維持していくことが必要であります。このような
観点
に立ち、今回の
法案
について
意見
を述べさせていただきます。 今回の
法案
におきましては、まず第一に、
縦割りサービス
の弊害の要因となっていました
郵便局会社
と
郵便事業会社
を合併させることであります。このことによって
経営
の
効率化
を促進させ、
利用者利便
の
向上
を実現するものである。 第二に、
金融
の
ユニバーサルサービス義務
を
日本郵政株式会社
、持ち株でありますけど、と合併の
日本郵便株式会社
に法的に
提供
を
義務
付ける。これにより、特に
過疎地
を含む
地方
においても
郵便
、
貯金
、
保険
といった
国民生活
に必要不可欠な
サービス
が
提供
されることが保障され、安心して
生活
できる基盤がつくられる。 第三に、
銀行法
、
保険業法
が全面的に適用されるゆうちょ
銀行
並びに
かんぽ生命
、この
金融
二社でございますが、に対する
上乗せ規制
につきましては、
政府
の
間接関与
の
度合い
に応じて
規制
を緩和する内容となっています。しかし、これは単なる緩和ではなく、
一定
の
条件
を付すことにより、他の
民間金融機関
との
競争条件
の
公平性
を両立させたものであります。 つまり、
民営化
という
基本路線
は踏襲しつつも、各般の
配慮
がなされた
制度設計
になっていると考えます。これにより、
民営化
でもって
サービス
が低下したという
国民
の声にこたえつつ、地元の
郵便局
の将来に対する
国民
の不安を解消するとともに、
日本郵政グループ
の
経営陣
が明確な
経営方針
を示し、職員が一丸となって
経営
や
サービス
の
向上
を目指すことを可能にし、あわせて、
日本郵政
が
企業価値
の
向上
を図ることによって、
政府保有株式
の売却によって
復興財源
を
確保
する、こういったことが可能になるものと高く
評価
しております。 後ほど総論でも申し上げますが、申し上げましたとおり、少し細かいところを補足したいと思います。 まず、
郵便局ネットワーク
の維持を
念頭
に置いた
制度設計
の
必要性
についてでございますが、
郵政事業
の大きな特徴の
一つ
は、先ほ
ども
申し上げましたように
小規模郵便局
の
役割
です。
全国
の
郵便局
の約半数は二、三名で営んでいる
郵便局
でありますが、ここでは三
事業一体
による
経営
により設備、
人員等
の
効率化
を実現し、ひいては
過疎地
も含めた
郵便局
の
設置
を可能にしているものであります。
郵便
、
貯金
、
保険
のどれが欠けても、
郵便局ネットワーク
は維持することができません。 私は、今の
ビジネスモデル
が
国民負担
が最も最小のものであると
評価
しております。今後、この
小規模郵便局
を将来にわたっていかに維持し、どのような
役割
を発揮させるのか、
郵政事業
が将来
発展
する
事業
となり得るかの重要な要素となっています。 この点、今回の三
党提出法案
については、三
事業一体
としての
観点
から三
事業
の
ユニバーサルサービス提供義務
が明確化され、また、
サービス提供体制
としては
郵便局
の
設置義務
が引き続き課せられております。このような
意味
で、
郵便局ネットワーク
を維持しつつも、
面的提供体制
が引き続き維持される
制度設計
になっているものと考えられます。既に
民間金融機関
の
店舗
が撤退したり、また
民間店舗
があったとしても
中心部
にしか存在しないような
地域
においては、今回の三
党提出法案
により、
国民生活
に必要不可欠な
郵便
、
貯金
、
保険
が引き続き利用することができるようになり、
地域活性化
にも大きく寄与するものと期待しています。 次に、
金融
二社の
経営
の
自由度
と他の
民間金融機関
との公正な
競争条件
、
競争関係
について申し上げます。
金融
二社は、直接の
義務
ではありませんが、
ユニバーサルサービス
の
提供主体
として、
日本郵便株式会社
に
窓口業務
を委託することになります。この点いろいろな
意見
もありますが、
過疎地
も含めた
全国
津々浦々に
設置
された
郵便局
を通じて
サービス提供
を行うというこの
コスト
は、
金融
二社にも大きな
コスト負担
になっておりますし、
コスト負担
を強いるものでございます。そのため、今後、
ユニバーサルサービス
が円滑に
提供
されるためには、
ユニバーサルサービス
を下支えするための
経営
の
自由度
が不可欠でございます。 今回の三
党提出法案
においても、
金融
二社の
新規業務
上の
上乗せ規制
が課せられることになっております。
上乗せ規制
の
根拠
の
一つ
として、よく言われる
暗黙
の
政府保証
ということが
報道等
で見受けられます。
金融
二社につきましては、
民営化
後は
一般
の
民間金融機関
として
銀行法
、
保険業法
の適用を受けており、破綻した場合は他の
民間金融機関
と同様の
破綻法制
による処理がなされるものと思います。この点においては、
田中郵政民営化委員長
からも、
預金者
、
加入者等
の
誤解
に基づくものとの
発言
があります。したがって、このような
預金者
、
加入者等
の
誤解
については
政府等
においても一刻も早く払拭することにより、
金融
二社が他の
民間金融機関
と対等に競争できるような
環境整備
が望まれると考えております。 この点、私は、
暗黙
の
政府保証
が
規制
の
根拠
となっていること自体納得しておりませんけど、今回の
法律案
においては、当初は
新規業務
については
認可制
であります。そして、
政府
の
金融
二社に対する
間接的関与
の
度合い
を考慮して
一定
の制限はありますが、
経営
の
自由度
が生かされる
制度設計
になっていると、このことは
一定
の
評価
をしております。 三点目は、
経営
の
自由度
です。 今回の三
党提出法案
においては、
日本郵政株式会社
及び
日本郵便株式会社
に
上場企業並み
の
情報公開義務
を課すとともに、
国営時代
には丼勘定との批判がありましたが、これに対処するために
郵便
、
貯金
、
保険
を実際に行う
日本郵便株式会社
に
区分別収支
の
公表義務
を課した点は
評価
できます。
経営
の
透明性
、特に
郵便
と
金融
二社との間の
内部相互補助
の監視は、今まで述べましたが、他の
民間金融企業
との
競争条件
の
公平性
を担保する上で重要なものであります。
郵便
は
郵便法
において
独立採算
が原則となっており、
金融
二社は、
銀行法
、
保険業法
上の、よく言われるアームズ・レングス・ルールがございます。この点、今回の
法律案
では
経営
の
透明性
を
確保
するための
措置
も講じられており、
国民
、株主の目線から
経営
の実態が監視できるものとなっております。
最後
に、以上が三
党提出法案
に対する私の
意見
でございますけど、どうか、
国民共有
の財産であります
郵政事業
、あるいは
ラストリゾート
としての
地域
の
郵便局
をいかに維持していくのか、そのためには何をなすべきかを
念頭
に置き
総務委員会
の
先生方
には御
審議
いただければ大変有り難いと思います。また、
日本郵政
の
経営陣
の
方々
には、
民間的経営手法
を十分に導入し、この大きなポテンシャルを有する
郵便局ネットワーク
をいかに活用していくか、常に
利用者
や
地域住民
の
立場
に立って考え、
事業
を運営していただきたいと思います。 時間でございますので以上でございます。ありがとうございました。
藤末健三
4
○
委員長
(藤末
健三
君)
石井参考人
、ありがとうございます。 次に、
中西参考人
にお願いいたします。
中西参考人
。
中西勝則
5
○
参考人
(
中西勝則
君) おはようございます。
全国地方銀行協会
の
会長
を務めております
静岡銀行頭取
の
中西
でございます。 本日は、このような貴重な
機会
を設けていただき、誠にありがとうございます。
地域金融機関
を代表いたしまして
意見
を述べさせていただきたいと思います。 これまで
地銀界
では、
郵政改革
に関し三つの
観点
が重要であることを一貫して主張してまいりました。 一点目は、
経営規模
の
縮小
についてでございます。 ゆうちょ
銀行発足
後、
平成
十九年十月以降となりますが、のこの
状況
を見ますと、
貯金残高
は、若干減少しているものの昨年末時点でなお百七十六兆円を超える
残高
があり、
地方銀行
六十四行の
預金合計額
が約二百十七兆円であることと比較いたしましても、依然として巨大な
規模
にあるものと我々は認識しております。 二点目は、公正な
競争条件
の
確保
についてでございます。
政府出資
が残っている限り、
民間金融機関
と公正な
競争条件
の
確保
は不可欠であるとともに、あくまでも
民営補完
に徹するべきであると考えております。 三点目は、
地域
との
共存
についてでございます。 私
ども地方銀行
は、
地域密着型金融
への積極的な
取組
を通じて
地域経済
を守り、その成長に貢献することを
最大
の使命としております。こうした中、ゆうちょ
銀行
が現状の
規模
を維持したまま、また公正な
競争条件
が
確保
されないまま
地域
の
中小企業金融
や
個人向けローン等
へ本格的に参入するなら、
地域金融機関
による
中小零細企業
や
個人
のお客様へ安定的に
資金供給
を行っていく仕組みを壊しかねず、
地域経済
に大きな
混乱
をもたらすおそれがあります。こうした
事態
を招くことのないよう、今申し上げた点を踏まえ、
地域
との
共存
を図っていくことが重要であると考えております。 さて、二〇〇七年十月に
郵政民営化
が実施されましたが、その本来の
目的
は、国際的に類を見ない
規模
に肥大化した
郵貯事業
を段階的に
縮小
し、将来、
国民負担
が発生する
懸念
を減ずるとともに、
民間市場
へ
資金還流
を通じて
経済
の健全な
発展
を促すことにあると認識しております。したがいまして、本
国会
で、
一定
の
政府関与
を残したまま
金融事業
の
規模
、
業務範囲
の
拡大
を志向する
郵政改革法案
に代わり現行の
郵政民営化法
の
改正
を議論していただくこととなったことは、本来の
改革
の
目的
にかなうものと
評価
をしております。 しかしながら、今回の
改正案
につきまして、私
ども地方銀行界
が
懸念
を抱いている点並びに要望させていただきたい点も幾つかございます。具体的には、
金融
二社の
新規業務規制
、ゆうちょ
銀行
の
預入限度額
、
金融
の
ユニバーサルサービス
の三点であります。
皆様
に私
ども
の考え方を説明し、今後の御
審議
にお役立てていただければと思います。 それでは、一点目の
金融
二社の
新規業務規制
について申し上げます。
金融
二社の
新規業務規制
につきまして、
一定
の
政府関与
を残したまま
届出制
に移行する場合には、
民間金融機関
との公正な
競争条件
が
確保
されず、
金融
二社の
業務範囲拡大そのもの
が
民業圧迫
につながるおそれがあると考えております。
改正法案
の
規定
では、単なる
届出
ではなく、他の
金融機関等
との
競争関係
への
配慮義務
と
郵政民営化委員会
への
通知義務
を課すとともに、
内閣総理大臣
及び
総務大臣
による監督上の命令の
対象
となることとされております。公正な
競争条件
が
確保
されるためには、これらの
規定
に基づく
新規業務
の
届出書
上に、他の
金融機関
との
競争関係
やそれに
配慮
してどのような
措置
を講じたかについて
金融
二社がきちんと記載する必要があると思います。あわせて、
郵政民営化委員会
が
検証
した結果、適正な
競争関係
の
確保
に支障があると判断した場合には、
政府
は
金融
二社に
当該業務
を行わせないことが必要であると考えております。 また、
届出制
に移行した後は、これまで以上に
郵政民営化委員会
が非常に重要な
役割
を担うこととなります。
金融
二社の
新規業務
の
届出等
に対し
公正中立
な
検証
が行われ、
第三者機関
としての
チェック機能
が有効に機能するためには、
郵政民営化委員会
の人選が適切に行われる必要があると思います。また、
郵政民営化委員会
が公正な
競争条件
の
確保等
について
検証
を行う際には、私
ども民間金融機関
にも
意見
を申し述べる
機会
をいただきたいと考えております。 なお、これに関連して、
改正法案
において、
金融
二社の
株式処分
の期限が撤廃され、その全部を
処分
することを目指し、できる限り早期に
処分
するとの
規定
が盛り込まれております。この点に関しましても、
株式
の二分の一以上の
処分
により
届出制
に移行した後は、
処分
が進まないといった
事態
が生ずることのないよう、
日本郵政株式会社
は
金融
二社の
株式
の全部
処分
に向けた具体的な
取組方針
を示すとともに、
政府
と
郵政民営化委員会
がその
履行状況
を
検証
し、本
規定
の遵守を促す必要があると考えております。 次に、二点目のゆうちょ
銀行
の
預入限度額
について申し上げます。 仮に
日本郵政
が
金融
二社の
株式
を保有し、間接的に
政府関与
が残る期間に
預入限度額
が引き上げられるとしたなら、
規模
の小さな
金融機関
や
経済状況
の弱い
地域
にとりわけ大きな
影響
があると思います。さらに、一たび
金融
不安のような
経済環境
となれば、
民間金融機関
から
政府出資
の残るゆうちょ
銀行
への大きな
預金シフト
が起こり、先ほど述べたような
地域経済
の
混乱
につながることが大いに
懸念
されるところであります。
郵政民営化法
では、
預入限度額
については、他の
金融機関
との間の
競争関係
に
影響
を及ぼす
事情等
を勘案して政令で定めることとされております。
衆議院郵政改革特別委員会
の
附帯決議
では当面は引き上げないこととされていますが、本
規定
を踏まえ、
日本郵政
が
金融
二社の
株式
を保有している間は
限度額
を引き上げないことを改めて御
審議
の中で明確にしていただきますようお願い申し上げます。 三点目の
金融
の
ユニバーサルサービス
について申し上げます。 基本的な
インフラ
である
金融サービス
を
全国
においてあまねく展開することが重要であることは、私
ども民間金融機関
も十分に認識しております。しかしながら、
公的関与
が維持されるならば、その
ネットワーク
を私
ども民間金融機関
も使用可能としていただけるなど、公平な取扱いが必要と考えております。
最後
になりますが、本法の
改正
後も、
民間
に委ねることが可能なものはできる限りこれに委ねるとの
郵政改革
の
基本理念
は維持されます。先ほど述べた
新規事業規制
や
預入限度額
を始めとする各論点につきましても、何とぞこの
基本理念
に基づき
審議
いただきますようお願い申し上げます。 簡単ではございますが、私からは以上とさせていただきます。ありがとうございました。
藤末健三
6
○
委員長
(藤末
健三
君)
中西参考人
、ありがとうございました。 次に、
筒井参考人
にお願いいたします。
筒井参考人
。
筒井義信
7
○
参考人
(
筒井義信
君)
生命保険協会会長
を務めております
日本生命社長
の
筒井
でございます。今日は貴重な
機会
をいただきましてありがとうございます。 初めに、
簡易保険事業
の沿革について触れさせていただきます。 そもそも
簡易保険事業
は、当時の
民間生保
が取り扱っていなかった
小口
、
月掛
、無
診査
の
生命保険
を
提供
するために、すなわち
民業
の
補完
を
趣旨
として創設をされたものでございます。その後、
民間生保
も
小口
、
月掛
、無
診査
の
生命保険
を取り扱うことが認められました。しかし一方で、簡保の
加入限度額
が年を追うごとに引き上げられてきたこと、国による
保険金等
の
支払保証
や
納税義務
の免除など
民間生保
にはない
優遇措置
を背景に、
民業補完
の
趣旨
を逸脱をして肥大化してきたという経緯がございます。ちなみに、現在の
かんぽ生命
の総資産は九十六兆円でございます。これは
業界最大手
である
日本生命
の約二倍であり、
世界最大
の
生命保険会社
となっております。 当
協会
は、このような
簡易保険事業
に対しまして、
民業補完
の
役割
は既に終えており、本来的には
縮小
、廃止すべきであるということ、仮に
民営化
するのであれば、官業としての
優遇措置
を全て撤廃をし、
民間生保
との
競争条件
を完全に
同一化
をすることが必要であると主張してまいりました。 そういう中で、二〇〇七年十月に
郵政民営化
が実施されました。当
協会
は、この
郵政民営化
に賛同をし、
かんぽ生命
を
特別会員
という形で当
協会
の一員として受け入れてまいりました。この結果、
かんぽ生命
は、御
契約者保護
や
モラルリスク排除
の
取組
などにつきまして
生命保険業界共通
の
インフラ
を活用することが可能となっております。その後、二〇〇九年の
郵政改革
の
基本方針
を閣議決定した以降は、
郵政改革関連法案
が示され、
郵政民営化
の見直しの議論がなされてまいりました。 当
協会
は、健全な
生命保険市場
の
発展
の
観点
から、
民間生保
との適正な
競争関係
を阻害しないための公正な
競争条件
の
確保
及び
保険
の引受け、支払等の適切な体制整備、これらが重要であること、またこれらが実現しないのであれば、
かんぽ生命
の
加入限度額
引上げや
業務範囲
の
拡大
は容認できないということを繰り返し主張してまいりました。 今般、この
郵政改革関連法案
に代わりまして、
かんぽ生命
の
株式
の全ての
処分
を目指した
郵政民営化法
改正案
が提出をされました。これは郵政見直し本来の
趣旨
に沿うものであり、完全
民営化
に向けた方向感が改めて明確化をされたものと認識をしております。 しかしながら、この
郵政民営化法
改正案
につきまして、公正な
競争条件
の
確保
の
観点
から当
協会
が
懸念
をしている点について三点お願いを申し上げたく存じます。 一点目は、
かんぽ生命
への間接的な
政府出資
についてでございます。
改正案
では、
かんぽ生命
の
株式
の全ての
処分
を目指し、できる限り早期に
処分
をすることとされております。しかし、
株式処分
の明確な期限が付されていないために、
政府出資
が恒久的に続いて、
政府
が何らかの支援を行うのではないかという消費者の認識を招くことで公正な
競争条件
が
確保
されない
懸念
がございます。
生命保険
文化センターが実施しているアンケート調査では、今後、
かんぽ生命
に加入しようと考える方のうち約三割の方が、
かんぽ生命
を選んだ理由につきまして、
政府
が間接的に株を保有しており安心できるからと回答をされ、また約四割の方が国営
事業
として運営をしてきた伝統があるからと回答をされている事実がございます。この結果からも、
政府出資
が残ることにより、
利用者
が
政府保証
を期待する可能性は依然として少なくないと考えられます。また、
民間生保
募集人・代理店にとって、この
かんぽ生命
の信用力は同等の
競争条件
にはない脅威であると認識をしております。さらに、
民間生保
の新契約実績では
かんぽ生命
の
限度額
である一千万円以下の契約が総件数の約八四%を占めておりまして、既に相当な部分において
かんぽ生命
と競合をしております。 このように、
かんぽ生命
が
民間生保
と同一市場で競合している
状況
に鑑みれば、
法律
上適切な期限を付すなどして早期に
かんぽ生命
への
政府出資
の解消を
義務
付ける
措置
を講じていただくべきだと考えております。 二点目は、
かんぽ生命
の
業務範囲
規制
及び
加入限度額
規制
についてでございます。 まず、
業務範囲
拡大
の手続につきましては、
かんぽ生命
の
株式
の二分の一以上を
処分
した後は
認可制
が
届出制
に移行することとされております。この点について、本来は
政府出資
が存続する間は
認可制
を維持すべきであると考えております。仮に
届出制
へ移行する場合におきましても、事前に
民営化
委員会
において
民間生保
との公正な
競争条件
を阻害しないことが厳密に確認をされるべきであると考えております。 また、
加入限度額
につきましては、先般の衆議院における
附帯決議
において当面は引き上げないと示されておりますけれ
ども
、この
加入限度額
の引上げは、
政府出資
が解消をされるまでは認められるべきではないと考えております。 さらに、
業務範囲
及びその
加入限度額
に関する
規制
については、そもそも
かんぽ生命
の
株式
の二分の一以上を
処分
した後は関係
大臣
の決定により全て撤廃できるとされております。この点についても、本来は、
かんぽ生命
の全
株式
の
処分
によりこの
上乗せ規制
の撤廃がなされるべきであると考えております。仮に関係
大臣
の決定により
上乗せ規制
の撤廃が行われる際には、少なくとも、
政府出資
の
法律
上適切な期限を付しての解消が
義務
付けられるとともに、公正な
競争条件
が
確保
されていることが前提となるべきと考えております。 三点目は、
生命保険
の
ユニバーサルサービス
の
義務
付けについてでございます。
改正案
では、
日本郵政
及び
日本
郵便
に
生命保険
の
ユニバーサルサービス
を
義務
付けることとされております。しかし、業界全体で
全国
の
民間生保
の
拠点
や代理店の営業
ネットワーク
は十一万か所に及び、約二十四万名の営業職員と約八十七万名の代理店・募集人の合計百十一万名が
全国
を網羅をしております。
日本生命
のケースで申し上げますと、約一千九百か所の自社営業
拠点
及び約三万五千か所の代理店の営業
ネットワーク
を有しております。これらの募集人は個々に担当する
地域
を持つなど、常時お客様とコンタクトを取れる体制としておりまして、
郵便局
が所在する市町村の九八・八%をカバーをいたしております。過疎や離島のためにカバーできていない市町村についても、お客様のお求めに即応をし、
全国
百七支社の担当職員が訪問する体制を構築できております。 したがいまして、我が国の
生命保険
の
ユニバーサルサービス
は既に
民間生保
の
取組
で実質的に実現をされており、
日本郵政グループ
にそれを
義務
付ける必要があるのかどうか、十分な
検証
が必要だと考えております。 なお、
改正案
では、
政府
は
ユニバーサルサービス
の
確保
が図られるよう必要な
措置
を講ずるとされております。その際にも、
民間生保
にはない税制優遇を行わないなど、
かんぽ生命
と
民間生保
の間の公正な
競争条件
の
確保
に是非御
配慮
を賜りたく存じます。 以上、三点におきまして、
改正案
の御
審議
に際しましては適切な
制度設計
を図っていただくことをお願いを申し上げます。
最後
になりますが、
かんぽ生命
が
郵政民営化
の本来の
目的
に沿って完全
民営化
をされ、
民間生保
と同じ
条件
の下でお互いに切磋琢磨をし、お客様の利便性
向上
と
生命保険市場
及び
経済
社会の
発展
に寄与していくことを期待をして、私の
意見
を終えさせていただきます。 ありがとうございました。
藤末健三
8
○
委員長
(藤末
健三
君)
筒井参考人
、ありがとうございました。 次に、
廣岡参考人
にお願いいたします。
廣岡参考人
。
廣岡元穂
9
○
参考人
(
廣岡
元穂
君) 皆さん、おはようございます。
郵政産業労働組
合中央執行委員
長の
廣岡
でございます。今日は、本
委員会
において
郵政産業労働組
合に
意見
を述べる場を設けていただき、誠にありがとうございます。 郵産労としては、これまでも、
郵政改革
推進
室のヒアリングを始め様々な
機会
で
利用者
、
国民
の視点から
郵政民営化
、民営・分社化を
検証
し、
国民共有
の財産である
郵便局ネットワーク
と
金融
と通信の
ユニバーサルサービス
を守る
立場
から
意見
を述べてまいりました。その主な内容は、民営・分社化による
サービス
低下などの弊害を直ちに改善し、三
事業
の一体
経営
を行い、利潤追求ではなく公益を
目的
とした
経営
とすること、そのためにも
株式
売却を行わないことなどであります。 二〇〇五年の郵政
国会
で
郵政民営化法
が可決、成立しましたが、参議院において
附帯決議
が付され、その第一項では、
郵政事業
を
国民
の貴重な財産であると
規定
し、
郵便局ネットワーク
が維持されるとともに、
郵便局
において
郵便
、
貯金
、
保険
の
サービス
が確実に
提供
できるよう、関係法令の適切かつ確実な運用を図り、現行水準が維持され、万が一にも
国民
の利便性に支障が生じないよう、万全を期することを
義務
付けました。しかし、二〇〇七年十月に実施をされた
郵政民営化
の結果は、
先生方
も御存じのように、簡易
郵便局
の閉鎖、ゆうちょATMやポストの撤去、各種手数料金の値上げ、時間外
窓口
の閉鎖などなど、
利用者
、
国民
への
サービス
が低下をしています。 昨年三月十一日、東
日本
を襲った大震災により、更に
問題点
が浮き彫りになっています。 郵産労は、
郵政事業
研究会に参加する大学の教授、弁護士とともに、昨年九月、気仙沼、陸前高田、宮古の現地を視察をしてまいりました。被災地では、民営・分社化の弊害が更に深刻なものとなっています。詳しい内容についてはお手元にお配りをさせていただいています
郵政民営化
抜本見直しに向けた
意見
書Ⅲに書かれているとおりであります。 また、現地調査では、現在の
郵政事業
は
国民
のための公的
事業
から大きく変質していることを実感をしました。例えば、阪神・淡路大震災のときには、宅配業者が引受けを停止する中、小包だけが引受けを続行し、住民の皆さんから大変な感銘を受けました。しかし、今回はこの引受けを停止してしまいました。大手宅配業者が災害ボランティア配達、被災地や仮設住宅に荷物の引受所を設けているのに対し、
郵便事業会社
は、一部を除き、仮設住宅にポストの
設置
や臨時引受所、これを設けていませんでした。 また、企業の社会的責任という点では、
民間
企業よりも遅れていると言わざるを得ません。それは、大手宅配業者が配達料金を変更することなく、宅配便一個につき企業の利益から十円を寄附しているのに対し、
日本郵政
は八十円に二十円の寄附金を上乗せし、百円の震災復興切手を発行するなど、
利用者
に転嫁をしている点からも明らかであります。 このように、郵政民営・分社化は、
郵政事業
をより企業的
経営
へと変質をさせ、
郵便局ネットワーク
と
生活
インフラ
を破壊し、被災地や
過疎地
、離島の住民
生活
の利便性を後退させ、高齢者を始め
国民
の安定した
生活
基盤そのものに打撃を与えています。 今回
審議
される
郵政民営化
改正法案
は、現行の
郵政民営化法
と比べ、
郵便局会社
と
郵便事業会社
が統合、合併する、この点では一歩前進だというふうに思っています。しかし、改定案では、ゆうちょ、かんぽの
金融
二社に
ユニバーサルサービス
を課していないだけでなく、全
株式
の
処分
を目指すということになっています。これでは、
金融
二社は文字どおり利益第一、もうけ本位の
金融機関
となってしまいます。将来にわたって安定的な
金融サービス
を
提供
できなく、おそれがあると考えます。したがって、
郵政産業労働組
合としては、この
法案
に反対の
立場
から
意見
を述べさせていただきます。 その理由の第一は、
金融
二社には
金融
の
ユニバーサルサービス義務
がないだけでなく、全株
処分
、こういった
事態
になったら、採算の取れない
地域
から撤退する危険性があるからです。採算性を重視し、利潤を追求をする
民間金融機関
は、二〇〇〇年から二〇一〇年、この十年間で九千七百八十六
店舗
減らしています。また、
民間金融機関
では、ATM引き出し手数料、通帳再発行の有料化、さらには口座維持手数料を取っています。 第二に、社会・
地域
貢献基金の廃止です。
全国
に広がる
郵便局ネットワーク
の維持には多額な費用が掛かります。明治四年以来、
郵便
、
貯金
、
保険
、三
事業
の一体的
経営
によって効率的な
サービス
の
提供
を可能とし、離島や山間部を含め、
全国
に二万四千七百の
ネットワーク
を築いてまいりました。しかし、民営・分社化に伴い、今でさえ業務委託手数料、それに係る消費税、預金
保険
料負担などがある
金融
二社が完全
民営化
になった場合、
過疎地
の
郵便局
から撤退をするおそれがあると考えます。
郵便局ネットワーク
確保
のため
郵政民営化法
に
設置
をされていた社会・
地域
貢献基金の制度が廃止されることにより、
過疎地
の
郵便局
を守るべき財源の
根拠
が失われるのではないでしょうか。 第三に、
民営化
法では、
郵便
業務を行う営業所を
郵便局
として定義をしていました。改定案では、
郵便
、
貯金
、
保険
の
窓口業務
を行うものとなっています。これでは、
貯金
や
保険
を扱っていない営業所は
郵便局
とはみなされなくなります。
規制
緩和が著しい
金融
分野では収益につながらない
店舗
の撤退が
拡大
され、
郵便局
しか
金融機関
がない
地域
が
全国
に生まれています。
国民
の
金融サービス
を受ける権利が後退し、こういう中で、今回
郵便局
の定義から外される営業所、この多くが
過疎地
にあり、
郵便局ネットワーク
は崩壊につながっていく可能性があります。 第四が、労働環境の整備の問題です。
日本郵政グループ
会社
には二十万人を超える非正規労働者が働いていますが、その多くは、正社員と同じように基幹的な業務を担いながら、平均的な収入では正社員の三分の一、諸休暇や手当等、待遇面での格差が存在をします。こうした雇用実態について
政府
は
郵政改革
素案で、高い非正規雇用率と給与水準が低いことなどが社員のモチベーションや安定的な
サービス提供
の面で問題となっていると指摘し、当時の亀井
郵政改革
担当
大臣
は
国会
で、
郵政改革
の柱として希望する人全員の正社員化を答弁し、社会的な関心事となりました。非正規労働者は
政府
の積極的な政策を歓迎し、期待と希望を持って意欲的に仕事に取り組むようになりました。しかし、この
郵政改革
の
基本理念
が今回の改定案からはなくなり、非正規社員のモチベーションは低下せざるを得ません。
最後
に、良識の府としての参議院におかれましては、こうした労働環境の整備はもとより、
国民
、
利用者
の視点から郵政民営・分社化を
検証
し、
国民共有
の財産である
郵便局ネットワーク
と
金融
と通信の
ユニバーサルサービス
を守る
立場
から真摯な御議論を切にお願いをし、
郵政産業労働組
合を代表しての
意見
とさせていただきます。 ありがとうございました。
藤末健三
10
○
委員長
(藤末
健三
君)
廣岡参考人
、ありがとうございました。 以上で
参考人
の
方々
の
意見
陳述は終わりました。 これより
参考人
に対する
質疑
を行います。
質疑
のある方は順次御
発言
願います。
林久美子
11
○林
久美子
君 民主党の林
久美子
でございます。
参考人
の皆さん、本日は、大変お忙しい中、こうして御参加をいただき、大変御示唆に富んだ御
意見
を賜りまして、どうもありがとうございます。 限られた時間でございますので、早速お伺いをしてまいりたいと思います。 まず、
石井参考人
にお伺いをいたします。 昨年の三・一一の東
日本
大震災から一年余りが経過をいたしました。先ほど
廣岡参考人
から少しお触れをいただきましたが、
石井参考人
も今回、東
日本
大震災とこの
郵政民営化
の
改正法案
についての御考察をなさっていたかと思います。改めて、そうした
観点
から今回の
郵政民営化
の
改正法案
についての御見解を、そして
評価
をお伺いをしたいと思います。
石井晴夫
12
○
参考人
(
石井晴夫
君) ありがとうございます、大変重要なところを御質問いただきまして。 東
日本
大震災におけるあの
状況
というのは、昨年も私も何度か被災地にお邪魔しまして、それで
状況
を見てまいりました。雑誌にも書いてもいるんですけれ
ども
、とにかくこういう大震災あるいは大災害のときに何が重要かということを痛切に感じさせられました。それはなぜかというと、やはり生きていかなければならないと。生きるためには何が必要か。生きるためには、まず水、食料なんですけれ
ども
、それと同時に、やはりどこかにつながっているというその
コミュニティー
へのよく言われるきずな、
ネットワーク
だと思います。 それで、一番必要だったのは、被災地で、やはりお金なんですね。現金がもうみんな流されてしまっている、お金がない、お金どうしたらいいのかということで、いろんな手だてが必要になりました。 特に、
郵便局
では
全国
からいろいろ募金が寄せられたんですけど、募金はやはり団体に入ってそれから配られるという、もう大変な時間が掛かってしまって手元に届かない。もう明日何をあるいは買わなきゃいけないか。それで、我々も、私も被災地に送ったんですけど、現金書留でやはりその急場しのぎのお金を、支援金を送ると。これは大変に感謝されて、現金書留の配達の
外務
員の
方々
はやはり津波で流された
方々
の御自宅に行って、もちろん何もないわけですけど、そこに
一つ
でもメモがあったり、あるいは手書きで何か書いてあれば、そこの被災地がどこにあるのかということを確かめて、ところが被災地も
混乱
している、そしてまた、その被災地の中でとにかく避難所も転々としていると。そういう中で、手書きのボードの中で
郵便局
員がいろいろ探し当てて、何とその現金書留はほとんどの
方々
に届いたという。あて名、名あて人どころじゃないですね、最終的にその方が特定されれば、
個人
が特定されれば、どこにいてもいろんなルートを使って届けられたと。これ、感動しました。そういうことがやはり、こう言っては失礼ですけど、
民間
企業、純然たる
民間
企業ではなかなかできないということだと思います。 それで、全体的なやっぱりこういう
日本
の災害時におけるリスク管理、このためには、やはりこの
郵政事業
が、
郵便
と
貯金
と
保険
を何とか守っているというその安心、安全の
郵便局ネットワーク
はどうしても必要だということを痛切に感じました。 そういう中で、いろんな問題が起こっておりますけど、そういった問題についてはまた細かいところも申し上げたいんですけど、時間の関係がありますので述べられませんけど、とにかく、この災害国
日本
において、この
郵便局ネットワーク
は何としても必要だというふうに思います。 以上です。
林久美子
13
○林
久美子
君 ありがとうございます。 まさに、
コミュニティー
の
拠点
としての力が今回も発揮をされたということなのかなと思いながら伺わせていただいておりました。 同じく
石井参考人
にお伺いしたいんですが、今回、先ほど来お話がありましたけれ
ども
、
ユニバーサルサービス
が
義務
付けられるということでございます。
コミュニティー
を維持するという
意味
でも非常に重要なことかと思いますが、これは裏を返せば、採算の取れない
地域
についても
コスト
も含めて引き受けるということなんだと思います。こうしたことの現状の一方で、先ほど来、
民業圧迫
ではないかという御
懸念
もあるようですけれ
ども
、この点についてはいかがお考えでしょうか。
石井晴夫
14
○
参考人
(
石井晴夫
君) ありがとうございます。 ここら辺、やっぱり今先生御指摘のように、
ユニバーサルサービス
というのは、
全国
あまねく公平に低廉な料金で画一的な
サービス
を行うことでございます。ですから、当然、
全国
画一ということになりますと、もうかるところもそうですけど、もうからないところの方が圧倒的に、先ほ
ども
申し上げましたように、
郵便局
二万四千
ネットワーク
、二万四千局ありますけど、このうちの二万局は直営店、約四千局が簡易局、四千数百局ですけど、そういう中で、やはり不採算の
小規模郵便局
が圧倒的に
日本
は多いということでございます、御承知のとおりですね。そういう
コスト
を、やっぱり
ユニバーサルサービス
を
義務
付けるということは大変な
コスト負担
を強いるということになります。ですから、全体的な中で、
日本
のバランスの取れた、やはりこのリスクをヘッジしていくということが一番必要だと思います。 当然、
民業圧迫
だとかいろんな、
ユニバーサルサービス
には
コスト
が掛かりますので、その
コスト
を維持していくために利益を出さなきゃいけない。これはもう当然のことです、
株式
会社
ですから。ですから、利益を出すためには当然やはり健全
経営
をなさなければならないですね。赤字ばかりではもう
事業
が成り立ちません。ですから、そのときに、ある
一定
の
経営
の
自由度
を与えて、その中で全体的な採算、収益の、先ほど私申し上げませんでしたけど、
皆様
方にお配りをいたしました、
東洋大学
の研究年報の小論をお配りしてございます。この中でも、現状の
郵政事業
の
経営
状態の厳しさ、これはもう本当にこの五年間で考えられないような
状況
に陥ってしまっているというふうに思います。 御存じのように、アルフレッド・チャンドラーというアメリカの
経営
学者がいるんですけど、五年ほど前に亡くなりましたけど、この方は、チャンドラーの命題といって、組織は戦略に従うというもう有名な言葉があるんですね。ところが、この
郵政民営化
のやはり五年たって
検証
して、組織は戦略に従うんじゃなくて、
事業
は組織に従ってしまっているこの
郵政民営化法
であったというふうに私は思います。 それはなぜかというと、もう五分社化ありきで、その中でその分社化した企業にそれぞれの仕事を分け与えたと。これはあり得ないことですよね。今の
民間
企業がやっているような合従連衡あるいは戦略的な提携、そういったものが何もできていないということでございますので、やはりそういう、
民業圧迫
どころではなくて、今の
状況
というのはもう
郵政事業
への手足をもがれた
状況
だというふうに思っております。 以上でございます。
林久美子
15
○林
久美子
君 ありがとうございました。 では、続きまして、
中西参考人
にお伺いをさせていただきたいと思います。 御存じかと存じますが、現在、
全国
を見渡しますと、
郵便局
以外の
金融機関
が全くないという市町村が
全国
で二十三あるというふうに言われております。少子高齢社会がこうして進んでいく中で、非常に
地域
によっては過疎化が急激に進行しているということを考えたときに、やはり
ユニバーサルサービス
、
全国
どこでもしっかりとした
サービス
が受けられるということは重要かというふうに思いますが、こうした
状況
を踏まえて、お考えを
ユニバーサルサービス
についてお聞かせいただけますでしょうか。
中西勝則
16
○
参考人
(
中西勝則
君)
ユニバーサルサービス
につきましては、
民間金融機関
といたしましても必要なことだということには変わりございません。ただ、社会的な要請だとか社会的な負担の大きさ、こういったものを鑑みてやっていくことがまず大事だというふうに考えております。 その上で、この
ユニバーサルサービス
を行うとすれば、そこに
公的関与
があるとすれば、その門戸を郵政だけではなくて我々
民間
にも開いていただければ、よりいい
サービス
ができるというふうに考えております。
林久美子
17
○林
久美子
君 ありがとうございます。
民間
にも開いていけばいい
サービス
ができるというお話でございましたけれ
ども
、
中西参考人
、そして
筒井参考人
共に、
金融
と
保険
は
民業
を
補完
する
役割
であるという御主張であったかと思います。 その際に、その
規模
について、
小口
貯金
にやっぱりしていくべきではないかとか、あるいは少額の
保険
にやはりどちらかというとシフトをしていくべきではないかというお考えかと思いますけれ
ども
、具体的に、それでは、じゃ
規模
としては一体どれぐらいを想定をしておられて、どれぐらいの
規模
であればお二人がおっしゃるような公正な
競争条件
が
確保
されているというふうにお考えになるのか、
中西参考人
と
筒井参考人
にお伺いをいたします。
中西勝則
18
○
参考人
(
中西勝則
君)
規模
につきましては、その
経営
の在り方だとか、それから
経営
の質だとか、そういったものが大変重要になると思います。したがいまして、この場で数字等によりまして
規模
を明確に言うことはちょっと難しいと思います。ただ、何かあったときに国なり
民間
の、みんなで
民間
の市場が守られる
規模
にあるということが、
金融
のシステムを守っていけるだけの
規模
であるということが大変重要であると考えております。
筒井義信
19
○
参考人
(
筒井義信
君) さっき申し上げましたが、簡易
保険
の一千万円以下のところのマーケットは、私
ども
民間
も実は相当重なっておりまして、
民間
の八四%は一千万円以下でございます。その部分でもうほとんど実質同一市場で競合している、その中で
政府出資
のある簡易
保険
が
民業圧迫
をしているというふうな認識でございます。 ですから、そういう中で、九十六兆円の総資産を持っているというこの現状の
規模
自体をもう前提にしますと、今更
小口
にしろとかいうことはほとんど不可能だと思っております。 したがいまして、申し上げたいことは、もう完全に同じ土俵の上に立って競争していただきたい。
政府出資
とか
納税義務
だとかあるいは監督
規制
だとか、こういうことを全て同一にして、自由に競争して、自由に戦略の展開をされて競争していけばいいじゃないかと、こういう
立場
でございますので、
規模
感的にどのところが適正かという
意見
については
中西参考人
と同じ
意見
でございます。
林久美子
20
○林
久美子
君 ありがとうございました。 様々な御
意見
をお持ちでいらっしゃるということかと思いますけれ
ども
、その上で、
最後
に
石井参考人
、これまで割と、どうしてもこの郵政の
事業
というのはその都度その都度で形態が変わったり、非常に不安定な
状況
に置かれてきたということが過去あったと思います。これからしっかりと歩んでいただかなくてはならないと思いますけれ
ども
、将来を見据えたときに、今回の制度上の枠組み等々含めて、これで十分であるというふうにお考えかどうかをお聞かせいただきたいと思います。
石井晴夫
21
○
参考人
(
石井晴夫
君) 今回の三党の提出
法案
でございますが、やはり完全に全てそれでこの今までの
民営化
法に基づく
事業
が根本的に改善されるかというと、かなりの部分は改善すると思いますけど、セカンドベストだというふうに私、
個人
的に思っております。 結局は、これまでずっと橋本行革から今日まで受けて、やはり
郵政事業
を取り巻くこの組織形態から様々な議論において、この
郵政事業
はなぜこれだけある
意味
では批判をされ、そしてまたこれだけ重要な
役割
を担っているのに様々な
問題点
というものが指摘されているのかということでございますが、一番大変なのはやっぱり
郵政事業
に携わる職員の皆さんだと思うんですよね。結局は、先行きが見えない、自分の組織は一体どうなるのか、これは
経営
者も同じだと思うんです、
郵政事業
のですね。ですから、ビジョンを示さないということが私は
最大
の
郵政事業
にかかわる
方々
の悲劇だと思います。
経営
者も
経営
責任を問われるということを言っているんですけど、結局は
経営
者もビジョンを示さないんですね。もう僅かな期間で
経営
形態がどんどん変わったりなんかしている、それに付随して職員もどんどんどんどん変わるものですから、フロントライン、現場の
状況
というものも変わってしまう。ですから、非常にそういう
意味
では先行き不透明だということがモチベーションを低下させることにつながってしまうと。 ただ、今回の三党の提出
法案
というのは、それを根本的に変えるということでは私はかなり前進した成案であるというふうに思っております。今回の共同提案に至る過程の中で相当また三党間で御議論があったというふうに思っております。そういう中でできた
法案
でございますので、これをきちっとこれから進めて、やはり
経営
者もしっかりとした
経営
ミッションを受けて、そのビジョンを示して、職員と一丸となって、この新しい
サービス
向上
と、そしてまた
国民
から本当に安心、安全とされる
サービス
を
提供
していただきたいというふうに思っております。
林久美子
22
○林
久美子
君 ありがとうございました。終わります。
片山さつき
23
○
片山さつき
君 今日は地銀協それから生保の代表に来ていただきましたが、
中西
頭取とは静岡でもよくいろんな議論をさせていただくんですが、先ほどから議論が出ておりまして、
民間金融機関
も農協も全部撤退しちゃった、二十三の町村がそうなっていると。それは確かにそうでございますが、その場合に、じゃ、そこで、競争がないんだと、競争がないから、
日本郵政
が
金融
二社の
株式
をまだ全部売り切っていなくても、かなり
政府関与
が色濃く残っていても、そこだけは随契で
限度額
を引き上げてもいいんじゃないかという議論をされる方がおられるんですよ。 今日の頭取の、
会長
の発表を聞いておられると、
地域
における
金融
システム不安の問題とそれは全く違う問題があると。それから、電電公社がNTTになったとき、これは私、関与をしておったんですが、アクセスラインは誰のものかという議論になりました。アクセスラインは公社のときにつくったから
国民
のものだと。それで、今までは頑として認めていなかったんですが、電話回線を開放し、局舎を開放し、
民間
にそれを、ですから
民間
の電話
会社
がいろいろいるわけですね。 じゃ、これからどうしていくかということを考えたときに、仮に、もう基金もないわけですから、
ユニバーサルサービス義務
の掛かるこの
法案
ですので、万が一のときは公的な関与をしても
ネットワーク
は支えるわけですよ。その支えたところに、じゃ入っていけるのは本当にゆうちょ
銀行
と
かんぽ生命
だけなのかと。そうすると、この八五年の電電公社からNTTと似たような議論になります。 先ほど、頭取、
会長
は、
全国
の地銀、第二地銀、信金、信組、そしてJA、全部同じ気持ちで、そういう場合はやはり
機会
均等でなければおかしいとおっしゃったんですが、この
預入限度額
の問題、特に
過疎地
の問題についてどのようにお考えになるか、まずお聞かせ願いたいと思います。
中西勝則
24
○
参考人
(
中西勝則
君)
過疎地
につきましては、我々、全てが利益を中心に引いたということではありません。
サービス
がほかのところからもできる、ほかのツールでもできるというようなところからも考えながらやったところもあります。 全てがそうではありませんですけど、そうした中で、我々が
地域
の信頼がなければ成り立たないという
地域金融機関
として、単にそこから逃げたわけではございませんし、またそこを
補完
するものを考えながらやってまいりました。また、今そうしたところに対して
ユニバーサルサービス
をするということであれば、同じ土俵に上げていただければ我々
民間
もよりいい
サービス
ができると確信しております。
片山さつき
25
○
片山さつき
君 ありがとうございます。 生保
協会
に伺いたいと思います。 かんぽも今
加入限度額
の問題を非常に危惧されているという御
意見
発表でした。確かに、一千万円以下の契約が八四%となると競合する部分も非常に大きいわけですが、この
民業
を圧迫されているという
状況
をどのような
状況
とお考えになるかと。特に、
株式
の保有について、二分の一を売った後、インセンティブがなくなるというような
意見
も非常に多かったわけですが、それじゃいけない、
民営化
の
趣旨
が徹底されないからそうはならないようにということで考えているわけですが、間接的な持ち合いが行われるという可能性は概念としてあるわけです。
民間
でも、生保、
金融機関
はダブルギアリングは利きますが、持ち合いを五%程度はやっておりますし、
事業
会社
が持つということになると、二割を超えると大口
規制
になりますから相当きついことになりますが、仮に二分の一ルールをクリアするがために、
日本
郵便
、共有
会社
あるいは他のグループ
会社
に売ってしまうことによって、じゃ、今度は
新規業務
は
届出
なんだから、かんぽにつきましてももっと
加入限度額
を上げるとか、あるいは新商品を出すとかいうことになると、そういうような概念的可能性が否定できないという
懸念
もありますが、その辺につきまして具体的にどうお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
筒井義信
26
○
参考人
(
筒井義信
君) 御指摘のようなケースであっても、やっぱり
金融
二社、私
ども
では
かんぽ生命
に対しての間接出資というものは解消されたことにはならぬというふうに認識をしております。すなわち、いざというときには
政府
が何らか支援をするんじゃないかという、言わば
暗黙
の
政府保証
というのは依然として残っておりまして、これは公正な
競争条件
は
確保
されないということはもう依然としてあるということだと考えております。 したがいまして、
過疎地
についての
限度額
ということについても私は全く同様であるという
意見
でございます。
片山さつき
27
○
片山さつき
君 ありがとうございます。 かんぽの場合はより、先ほどの御発表ですと、百十万人の方が
全国
で
生命保険
を売っているという
状況
の中で、どこまでアクセスがあるのかないのかという問題は
貯金
以上に非常に微妙な問題でもあると思うので、私
ども
も、この
民業圧迫
懸念
についてはきっちりとこの
委員会
の
審議
を通じてそういった
懸念
が生じないようにさせていただきたいと思っております。 さらに、
政府
の関与が残った場合に
新規業務
に出ていくかどうかの問題でございます。これは、実は三月十六日の予算
委員会
で、
地域
の
金融機関
の
経営
状態につきまして、日銀総裁をお呼びしてお伺いさせていただきました。 今、国債金利は非常な低金利でございます。しかし、二%、三%に上がるということは想定外ではない状態です。仮に二%になった場合に、
地域
の
金融機関
の資本は二兆円以上が毀損すると。全部が全部ということではないが、個別的にはかなり注視しなければならない状態になるというふうに総裁ははっきりと言っておられました。 その場合に、住宅ローンあるいは
小口
のローン、
個人
ローンというのは、しっかり
地域
を見ている
地域
の
金融機関
にとってはこれは優良資産でございますね。そこに
政府
の関与が残ったままゆうちょ
銀行
が入ってくるということになると、結局その分国債という資産からの乗換えになると。国債の金利が上がるかもしれない
状況
の中で、
最後
は、
一つ
の大きな
金融
というパイの中で金利が上がるかもしれない国債というばばの押し付け合いになり、住宅ローンや
小口
ローンという優良資産の取り合いになると。このような悲惨な
状況
は決してよろしくないではないかという議論を予算
委員会
の方でさせていただいたところでございます。 今まさに住宅ローン等は
地域
ではかなりたたき合いになっておりまして、異常な低金利を提示してこられる方もおられるわけですが、その辺りについて、
一定
の
政府関与
が仮に残ったまま、ゆうちょ
銀行
がその
規模
を強みとして住宅ローンや
個人向けローン等
に本格参入してくることは
地域
の
金融
システムにどのような
影響
を与えると思われるか、地銀協にお伺いしたいと思います。
中西勝則
28
○
参考人
(
中西勝則
君) 両面からちょっとお話をさせていただきたいと思います。
一つ
は、資金の調達、預金の方でございますけど、
暗黙
の
政府保証
があるということは拭い切れませんので、もし弱い
地域
若しくは景気の大きな減速が起きたときに、ゆうちょの方に資金がシフトするということが
一つ
考えられます。 もう
一つ
は、今お話がありました住宅ローン若しくは企業に対する貸付けでございますが、小さな
地域
の
金融機関
におきましては、先ほど話がありましたように、金利の大きな変動、そうした問題、その他景気の悪いときに起こる企業の倒産等による貸出金の償却、こういったものによりまして大変なダメージを受けます。こうした中で、
金融
をやっていくために、要するに
地域
で中小企業、零細企業、
個人
に資金をしっかり循環させるためにも、我々、大きな、もう巨大な
金融機関
若しくは
暗黙
の
政府保証
のある
金融機関
と戦うことは大変難しいことだと思います。そうしたことによりまして
地域
の
金融
が乱れること、これを大変
懸念
しております。
片山さつき
29
○
片山さつき
君 ありがとうございました。 生保
協会
の方にもお伺いいたします。 生保
協会
として、仮に
かんぽ生命
がその
株式
の二分の一
処分
後、
新規業務
が
届出制
となった場合に、もちろん、従来型の今扱っている商品の
加入限度額
の
拡大
とともに、新たな商品、今競争になっております第三分野及び第三分野的特約といったようなもの、いろいろ考えられると思います。もちろん
民営化
がうまくいくためにはそういういい商品を考えていただいてどんどん利益を得ていただくことも大事なんですが、大事なんですが、今言ったような
状況
の中で生保業界としてはどのようなスタンスというかお考えでいらっしゃるか、改めてお聞かせいただきたいと思います。
筒井義信
30
○
参考人
(
筒井義信
君) やっぱり本来は、二分の一未満の
株式
が残った段階でも全てこれは
認可制
を維持していただきたいというのが私
ども
の本来のお願いでございます。 新しい商品が出て二分の一未満でも出資が残っていますと、やっぱりこれは絶大な信用力になって、
利用者
の強い加入動機が発生してくるという
意味
において、やっぱり脅威でございます。私
ども
民間
にはない脅威でございます。 仮に
届出制
に移行した場合であっても、是非お願いしたいことは、
一つ
は、この
郵政民営化委員会
で適正な
競争関係
を阻害しないということがしっかりと確認をされるべきだということ。二つ目は、いわゆる
民間
への
配慮義務
だとか、こういうことに違反した場合に関係
大臣
が直ちにその業務を停止をしていただきたいということ。三つ目は、当該
郵政民営化委員会
のメンバー構成、引き続き中立なものになるように担保していただいて、厳密にここで
審議
をし、そのプロセスを公開をしていただきたいと。そういったお願いをいたしております。 以上でございます。
片山さつき
31
○
片山さつき
君 ありがとうございます。 私
ども
も、いろいろな全体のバランスの中でこの三党の共同提出
法案
を考えていく上で、
金融
二社の
株式
の二分の一以上を
処分
した後のこの
金融
二社の
新規業務
などに係る
届出制
がどういう性格のものになるのかということを一番議論し、今後の議論の中でも配意してまいりたいと思っているわけですが、これは単なる
届出
ではないと。ほかの
金融機関
などとの
競争関係
への
配慮義務
、それから
郵政民営化委員会
への
通知義務
を課すとともに、
内閣総理大臣
及び
総務大臣
による監督上の命令の
対象
としているんだという立て付けをした上で、さらに、これらの
規定
に基づいて、
郵政民営化委員会
が対等な
競争条件
の
確保
のためにきっちりと事前の
検証
、
評価
、そして関係
大臣
によって必要ならば是正命令権限があると、これが紙の上のものではなくて有効に機能することとなるようにやるという考えでおるわけですけれ
ども
、その上でも、やはりこの
郵政民営化委員会
の構成と機能が非常に重要でございます。 従来は、田中直毅
委員長
の下で、関係する業界、利害関係が生ずる業界の団体はほぼ
意見
を言う
機会
が一応ございました。ただ、それは強く担保されていたかというと、そこまでのことではないんですが、今回このように
法律
をこの部分
改正
することによって、よりその
必要性
は強くなるんじゃないかというふうに我々も思っておるわけですが、
郵政民営化委員会
の構成と運用方法、そしてそこで関係する
民間
業界が
意見
を述べる
機会
の
確保
につきまして、地銀協それから生保
協会
、両方に再度お伺いしたいと思います。 まず、
中西参考人
からお願いいたします。
中西勝則
32
○
参考人
(
中西勝則
君)
郵政民営化委員会
につきましては、人選について、多面的な
意見
をそこで集約できるような公正な人選をまずお願いしたいというふうに考えております。 二番目といたしましては、我々、郵政の
金融
二社と
民間金融機関
との公正な
競争条件
の
確保
ができるということを
検証
を行う際には、必ず我々
民間金融機関
にも事前の
意見
を申し述べる
機会
を与えていただければというふうに思っております。
筒井義信
33
○
参考人
(
筒井義信
君)
郵政民営化委員会
は、もう先生御指摘のとおり、公正な
競争条件
を
確保
するための調査
審議
を行う、もう極めて重要な機能を担っていただかなければいけないという認識でございます。 御要望はもう今の
中西参考人
とほぼ重なっておりますが、
委員
の構成を
公正中立
な第三者によっていただきたいということが一点でございます。二点目は、
委員会
の
審議
におきまして
生命保険会社
等広く
意見
聴取を行っていただきたいということと、厳密に調査
審議
をしていただきたいということ、そして
審議
のプロセスを公開をしていただきたいということでございます。 以上でございます。
片山さつき
34
○
片山さつき
君 それでは、お時間ですので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
木庭健太郎
35
○
木庭健太郎
君 本日は、四人の
参考人
の
方々
、この
郵政改革法案
について貴重な御
意見
をいただきまして、心からまず感謝を申し上げたいと思います。 まず、
筒井参考人
にお尋ねをしたいと思います。
限度額
引上げの際に問題となる
民業圧迫
という点についてでございます。先ほ
ども
ちょっとお尋ねがあっておりましたが、政令で定めることとされる
限度額
の水準については、
民業圧迫
の
懸念
がないことが前提であるというふうに私たちも考えております。この
民業圧迫
の
懸念
について生保
協会
としてどうお考えになるのか教えていただきたいし、さらに、先ほどの御答弁の中で、
政府
の
暗黙
の保証というようなものがあるんだというような点を御指摘されましたが、なかなか
一般
の方にはこの
暗黙
の保証というのは分かりにくい点があるので、もし解説していただけるなら、その点も教えていただければと思います。
筒井義信
36
○
参考人
(
筒井義信
君) 私
ども
の
意見
のまず第一は、やはり
政府出資
の問題が
民業圧迫
にかかわる第一の問題だと思っております。やはり、
政府出資
が続きますと、
政府
がいざというときには
保険
契約の
保険
金の支払を保証してくれるだろうという期待を加入者に抱かせる、これを
暗黙
の
政府保証
というふうに私
ども
は申し上げております。それでいくと結局公正な
競争条件
が
確保
されないということになりますので、
民業圧迫
の
懸念
を払拭するためには、まずはこの
政府出資
の解消というものが第一の
条件
になると考えております。 このほかに、例えば消費税を非課税にするといった
措置
でありますとか、あるいは監督
規制
を
民間
と同じレベルにしないでありますとか、こういったことについては絶対にされてはならない、全て同一
条件
で行われるべきだというふうに考えております。 以上でございます。
木庭健太郎
37
○
木庭健太郎
君
中西参考人
も同じように
暗黙
の保証という点を指摘され、同じようなお考えでしょうか。解説いただければ、よろしくお願いいたします。
中西勝則
38
○
参考人
(
中西勝則
君)
金融機関
、我々とりわけ
銀行
におきまして一番重要なことは信用でございます。預金を預かっているわけなんでございますが、この預金の保証につきましては同等の今保証になっておりますが、この機関が潰れるかどうかということに関しましては、
政府
の関与のある間は
一般
の人たちは潰さないのではないかという、そういう
暗黙
という
意味
での
暗黙
という言葉を使わさせていただきました。関与して潰さないのではないかと、そういう気持ちを持つということです。
木庭健太郎
39
○
木庭健太郎
君 再び
筒井参考人
にお尋ねをいたします。
改正案
では、この
新規業務規制
に関して、
金融
二社の
株式
の二分の一以上の
処分
後は認可から
届出制
に移行することとされていると、この点についても御
意見
がございましたが、私
ども
、今回の
法案
で、
届出
に当たっては、
民間
への
配慮義務
、
郵政民営化委員会
への通知、
郵政民営化委員会
からの
意見
に基づく
大臣
命令、こういった点をある
意味
では
規定
の中に盛り込まさせていただきました。 公正な
競争条件
の
確保
という
意味
では、これらのことは、私
ども
は
一定
の成果を上げることができるのではないかと思いながらこういったことを
規定
に盛り込みましたが、これについてのお考えについて、まず
筒井参考人
から伺っておきたいと思います。
筒井義信
40
○
参考人
(
筒井義信
君)
届出制
が単に事務的な
届出
に終わらないという形で御
配慮
をいただいているものと認識、そしてまた
評価
もさせていただいております。ただ、本来は、
政府出資
が少しでも続く間は
認可制
を維持していただきたいというのが本来の気持ちでございます。 仮に
届出制
に移行する場合には、三つありまして、
民営化
委員会
でしっかり事前の確認をしてほしいということ、二つ目は、違反した場合は関係
大臣
が即刻業務の停止を行っていただきたいということ、三つ目は、
民営化
委員会
の構成を中立、透明にしていただきたいということでございます。 先生御指摘のとおりでございますが、そのことに期待をし、しっかりとこのことをまた担保をしていただきたいということでございます。 以上でございます。
木庭健太郎
41
○
木庭健太郎
君
中西参考人
からも、じゃ、同様のことをお伺いしておきたいと思います。
中西勝則
42
○
参考人
(
中西勝則
君) 今、
筒井参考人
が申し上げたとおりでございますが、それに加えまして、もし
届出
ということになりました場合には、
届出書
上に、他の
金融機関
に対する
影響
のないこと、またそれがどのような
措置
でそうなったか、どのような
措置
を講じたかということを書面に記載をしていただきたいなというふうに思っております。
木庭健太郎
43
○
木庭健太郎
君 再び
筒井参考人
にお伺いしたいんですが、
ユニバーサルサービス
ということがいろいろ議論をされているんですが、この
生命保険
の場合、これを
ユニバーサルサービス
として
義務
付けているというような国がどこかあれば、もし御存じであれば
筒井参考人
の方から教えていただきたいし、先ほどの説明でほぼ明らかにはなっていると思うんですが、
生命保険
については
金融
過疎は生じないと先ほどおっしゃいましたが、よりもう少し具体的に御説明なさるならば、詳細にその点についても御説明をいただいておければと思います。
筒井義信
44
○
参考人
(
筒井義信
君) まず、海外の事例でございますが、私
ども
が調べておる限り、欧米の主要先進国で
保険
の
ユニバーサルサービス
を
義務
付けている国はございません。イギリスは既に
郵便
保険
廃止済みでございます。それから、フランス、イタリアはもう既に
民営化
を完了しております。アメリカには、州営で、州が運営している基金がございますが、これは州の範囲にとどまっておりまして、米国全体にわたるものでもなく、金額も一万ドルという非常に少額のものにとどまっております。 二点目の
金融
過疎のところでございます。 恐縮です、
日本生命
の事例で申し上げますと、五万名の営業職員が一千九百か所の営業
拠点
で働いております。代理店の
ネットワーク
も三万五千か所ございます。個々にしっかりお客様を担当しておりまして、常時コンタクトが取れる体制にしております。
郵便局
が所在する市町村の九八・八%をこれでカバーをしております。ただ、今問題になっております過疎のところは若干確かにございますが、これもお客様のお求めがあれば、お電話なりメールなりをいただければ、
全国
の百七支社の
サービス
専門職員が随時訪問していくと、そういう体制を取ることができております。
保険
の方はちょっと
銀行
とは異なる業務でありまして、例えば、
保険
の加入でありますとか
保険
金の請求は日常的に発生する業務ではございませんので、過疎や離島においてもその場にその
拠点
がなければならないということは常時必要ではないと考えておりまして、近隣の
拠点
からそういう
サービス
をお求めに応じてお届けできる体制を築くことが重要であると、そのように考えております。また、過疎の
地域
でも
民間生保
が
郵便局
を代理店として
保険
を供給していく、そのことで
生命保険
の
サービス
を
提供
することが可能でございます。今も実はそのような形で一部、
郵便局
との代理店提携というものを実施をしておるところでございます。 以上でございます。
木庭健太郎
45
○
木庭健太郎
君
中西参考人
にお伺いをしたいと思います。 これは第百七十四
国会
の衆議院
総務委員会
で当時の原口
総務大臣
が、
郵政改革
三
法案
の
審議
の中で
金融
社会権という考え方を紹介しています。つまり、一部の人たちだけが
金融
の決済権を持ってしまうと社会は弱くなってしまう、だから、全ての
過疎地
においても
金融
の決済機能、まさに全ての人に
金融
の社会権を保障できる、こういうことを
念頭
に私たちは
改革
を進めているというふうに当時の原口
総務大臣
はおっしゃっておりました。 この
金融
社会権という考え方について
中西参考人
はどうお考えになるか、御
意見
をお聞かせください。
中西勝則
46
○
参考人
(
中西勝則
君) 私、
金融
社会権ということについて詳しく存じませんが、
金融
の決済とかそういった権利につきまして、
一般
の人たちが適正にどこでも受けられるということは大変重要なことであるとは考えております。また、現在では、決済権につきましても、
銀行
のみならずいろいろの業態で許可が出ております。また、ネットその他においての決済も最近は大変多くなっております。いろいろな形でこういったものが順次整えられていっているのではないかというふうに考えております。
木庭健太郎
47
○
木庭健太郎
君 もう一問、
中西参考人
に。 これは今年の三月七日でしたか、田中直毅
郵政民営化委員会
の
委員長
が報告についての記者会見をやっているんですね。その中で、現在の
金融
二社の
規模
は問題としながらも、こうおっしゃっています。今後とも
小口
の
貯金
あるいは少額の
保険
を国が関与して
国民
に供与すべきだという意思決定が行われれば、それはそういう
規模
の問題としてローカルルールはあり得るという見解を述べております。 この見解についての所見を
中西参考人
から伺っておきたいと思います。
中西勝則
48
○
参考人
(
中西勝則
君) この田中先生の
意見
につきましては、私
ども
同じ主張をしていると考えております。
小口
化若しくは
規模
の
縮小
の上、民営を
補完
する形に郵政がなるということであれば我々は賛成できるかというふうに思います。そこで、官業の関与を残さない中であればまた公正な競争の
条件
の中に乗せていただきたいというふうに考えております。
木庭健太郎
49
○
木庭健太郎
君
石井参考人
に
最後
に一問だけちょっとお伺いします。
郵政事業
に関しては
問題点
が大きく私
ども
二つあると思っています。
一つ
は、
郵便局
における
金融
の
ユニバーサルサービス
をいかに
確保
するかということとともに、もう
一つ
は、やっぱり万国
郵便
条約で
ユニバーサルサービス
を
義務
付けられている
郵便
事業
の赤字体質をどのように克服するかだと考えております。これらの問題について、なかなか難しい問題を抱えていると思っております。今回こういった
法案
を作ることで、一応その前者の部分、
一つ
の
ユニバーサルサービス
の部分についてはある程度形ができ上がったと思うんですが、この赤字体質という問題についてはまだまだ難しい点があると思っておるんですが、結局、
郵便
事業
は
平成
二十一年度決算においてこれ七年ぶりに赤字を計上したというようなこともあるようで、二十二年度決算も二年連続赤字。
石井参考人
に
最後
にお伺いしたいのは、この原因、どんなふうに分析して、どういうふうにすればこれが解消できるのかというようなことについて御
意見
を伺って、私は質問を終わります。
石井晴夫
50
○
参考人
(
石井晴夫
君) ありがとうございます。
郵便事業会社
の
経営
状況
は大変厳しい
状況
にございます。この間、いろいろ
民営化
以降、例えば日通ペリカンとの統合の失敗だとかいろんな、例えばオランダのTNTとの業務提携の失敗、いろんな負の整理のために相当の資金を供与しております、
提供
しています。結局は、時間がございませんのでトータルでは申し上げませんけど、かなりの失敗もあり、そしてまた全体的な市場構造が変わってきているということはもう御存じのとおりでございます。ですから、そういったことを立て直すために今回の三党の提出
法案
というのが成ったと思うんですね。それで、結局は、根本的な問題というのは、今の
事業
スキームの中ではもう
企業価値
を高められないところまで
日本郵政グループ
の
経営
というのは来ていると。 それで、
金融
二社の
ユニバーサルサービス
の話が先ほど来ずっと出ておりますけど、やはり
日本郵政
を支えている、
日本郵政
本体の方に行く配当金というのは八割方はもう
金融
二社の配当金ですね。そういうところで支えられている。それも
ユニバーサルサービス
の維持するための追加的な
コスト
を負担しているということだと思います。ですから、
経営
の
自由度
はある程度高めないと、収益構造の多角化というのはもう図れない
状況
にございます。ですから、とにかく
企業価値
を高めなければ今の
状況
の中では何もできませんですよね。ですから、今回の合意、それから
法案
提出というのは私は大変価値があるものだというふうに考えております。 ありがとうございました。
木庭健太郎
51
○
木庭健太郎
君 ありがとうございました。
寺田典城
52
○寺田
典城
君 みんなの党の寺田
典城
でございます。よろしくお願いします。 私は、小泉
改革
の中での
郵政民営化
というのは賛成でございました。それで、
民営化
になってから五年になりました。あの当時、御存じのとおり、
日本郵政
の垂直分業として四社化でございますね。これはやはり
郵政事業
を運営するためには一体感が欠けるということは事実でございまして、今回、三党合意の中で、三つの
会社
にする、そして一体感を持って効率的な運営をすると、そういう
法律
についてはよくまとめてくださったなと、そうは思っています。これは
事業
会社
サイドから見た場合ですよ、そういうことだと思うんです。郵政の職員の
方々
も、恐らく
民営化
というのは反対だという人は余りおりませんでした、私も事情をいろいろ聞きましたけれ
ども
。 それで、ただ、私の反対なのはなぜかというと、私は反対なんですよ、なぜかというと、
平成
二十九年まで全ての株を売却すると、
金融
二社のですね、こういう取決めがありました。
事業
というのは目標設定されてお互いに考えるのが
事業
ですから、これを五年後にしっかりと株を売却するという
法案
はなぜできなかったかなと。恐らく、
日本郵政
にとっても、この
事業
設定、できないと思うんですよ、いつ売れるかとか。まあ可及的速やかに売りなさいというだけのことなんですね、全株売却を目指すというだけのことですから。私は、その点、心配です。それで、
民間
関係も恐らく、それがあるとすれば、どのように対抗していくかというと、お互いに考えると思うんですよ。
日本郵政
も考えるし、
民間
も考えると思うんです。これがないということは、すごく
懸念
するわけですから、そういう点では私は心配しております。 まずそれを前提に述べてですが、それで
石井参考人
にお聞きしますけれ
ども
、公益
事業
の
民営化
というのは最終的にはどういう状態を目指すのか、今回のその
郵政民営化法
案というのはそういう
観点
からひとつどう
評価
するのか、答えていただきたいと思います。
石井晴夫
53
○
参考人
(
石井晴夫
君) ありがとうございます。 二つのケースがあると思います。
一つ
は完全
民営化
、完全売却のスキーム、スキームどおりにやる。それからもう
一つ
は、
一つ
の
事業
であっても、こういう分社化した場合に、あるいは
地域
分割でもそうなんですけど、二つのパターンがありまして、完全売却する分社化後の
会社
と、全く
政府
が一〇〇%持っている特殊
会社
のままである、これは
一つ
のグループの中でそういう形態がございます。例えば、市場がまだ成熟化しないで成長の段階にある
情報
通信、先ほどお話が出ました、こういった問題については、NTTのケースですね、こういったものは、東西
会社
を除いては市場が成長していますので、売却はかなり、国際競争上も売却をしてかなりの競争のスキームの中に入っていくと。 しかし、まあJTの場合にはたばこ耕作の問題もありますけど、これは別にして、JRの場合は完全に、本州三社は完全売却が終わっております。しかし、三島とJR貨物は全く売却されておりません。これは何を
意味
するかというと、やはり収益源があってまだ成長する、例えば整備新幹線ができてもっと収益源が出てくるというようなところというのは売却も可能ですけど、JR九州は新幹線ができましたのでいわゆる財政状態はよくなってきています、ただ、四国それから北海道、貨物、これについてはこれからも特殊
会社
であり続けなければならない、
経営
安定基金に基づく経常利益を出していかなければならない、そういう
状況
にあると思います。 ですから、パターンとしては、大きく分けて、欧米では完全
民営化
のスキームと、それからまた特殊
会社
になっても特殊
会社
の中で更にそれを細分化していく、それから
日本
も、そういうJR本州三社と貨物、あるいは三島とNTTのケースというのは、これは分けて考える必要があると思います。ですから、これはマーケットと、それからまたその
役割
だと思うんですね、
競争条件
。で、競争があるところとないところ、それからまた、先ほどの
金融
二社の場合には競争は確かにございます。それから、様々な
状況
がありますけど、やはり問題は、
ユニバーサルサービス
で
全国
津々浦々の
国民
、
利用者
……
寺田典城
54
○寺田
典城
君 短くしてください。
石井晴夫
55
○
参考人
(
石井晴夫
君) はい、済みません。守っていくということだと思います。 以上です。
寺田典城
56
○寺田
典城
君 ちょっとJRの話も出ましたけれ
ども
、JRは
地域
独占ですね。NTTは競争があります。だから、JRについては、そういう
地域
独占についてはやっぱり
懸念
しています、私は。 それで、郵政の今日は話なんですが、
郵便
事業
は大きな赤字になっていますね。公益
事業
というのは受益者負担の大原則があるわけなんですが、要するに、それを
金融
二社から委託料で穴埋めしているというような形をどう見ていますか、短く答えてください。
石井晴夫
57
○
参考人
(
石井晴夫
君) これもやはり、今回の
郵政民営化
のスキームの中で初めてそういう
金融
二社からの受託、
銀行
はそういう、代理店とかそういうのはないですよね。生保、損保というのは、先ほど来お話がありましたように、特に損保はそういうことがあります。ですけど、今回の、
郵政民営化
のスキームそのものというのが今までなかった、特に
金融
、ゆうちょ
銀行
ですね。ですから、非常にそこではいろんな形でひずみが出ているというふうに私
個人
的に思っております。
寺田典城
58
○寺田
典城
君
郵政事業
というのは、
日本郵政
というのは巨大企業ですね。職員は二十万人、非正規が二十万人、四十万人ぐらいいますね。そして、何というんですか、私ら歴史を見ていると、この
事業
というのは非常に簡保も郵貯も含めて分かりやすいですよ。これがすごさじゃないのかなと思います。分かりやすいですね。それと
郵便
との一体性ですね、すごい強いと思います。 ですから、私はそういう点ではすごく、ある面では、株を全部売ってしまった場合、どのような行動をするのか。
会社
は帰属意識がありますから、お互いにですね、つながりもありますから。そういう点の中で、それこそそういう歴史もあるでしょうし、ある人に聞けば、○○
銀行
だとか○○生命だと言ったってドア開けてもらえないんだけれ
ども
、
郵便局
ですと言うとドア開けてくれるという、そういうその歴史ですね。 その中で、
民業圧迫
懸念
と先ほどから出ていますけれ
ども
、実際の営業現場において具体的にはどういう問題生じているかというのをひとつ地銀と生保関係からお聞きしたいと思うんですが。
中西勝則
59
○
参考人
(
中西勝則
君) 先ほ
ども
申し上げましたけど、今先生の方からありましたように、信用の問題なんですね。特に、
金融機関
のうち
銀行
というのは信用が生命でございます。そうしたものを、国が関与している間は、どうしても
民間
の普通の
一般
の人々はそれを基に企業のことを考えます。そうしたことによって、今、戸を開けるだとか開けないだとか、こういったことも含めて、事象が起こるかというふうに思っております。
筒井義信
60
○
参考人
(
筒井義信
君)
日本生命
ですと言ってドアを開けてもらえないということも多々ございます。
郵便局
ですとドアを開けていただけることもございます。
日本生命
ですと言ってドアを開けていただいても、うちはかんぽさんですからと言って断られるケースもございます。このかんぽさんという言葉に私は国の信用力が非常に凝縮されているというふうに感じております。 したがって、
政府
がバックにあるこの信用力が非常に極めて大きなものがあって、
利用者
にとって強い加入動機になっているということは厳然たる事実だと考えております。また、何よりも、業界で働く二十四万人の営業職員、八十七万名の代理店の募集人、この人たちにとっての自分らにはない脅威だというふうに感じております。 したがいまして、完全売却ということに向けて、株の完全売却ということに向けてやはり適切な期限というものを付けていただきたいという御要望でございます。 以上でございます。
寺田典城
61
○寺田
典城
君 どうもありがとうございました。
政府
のバックがあるといったって、今の
政府
というのは信用なんかそんなにないですよ、それは、率直に言って。
政府保証
なんていったって、こんなに赤字の、一千兆円も借金ある
日本
丸が、親方日の丸じゃないから、もうそれは
郵便局
に勤めている人方も分かっているんですよ。ただ、後ろにそういうような、制度は一番恐ろしい、
法律
を変えられると恐ろしいと思います、
限度額
の引上げとか何とか、こうするとかということなんですけれ
ども
。だけれ
ども
、実態論からいくと、この
会社
を小さくしなさいなんか言えるわけでもないでしょうし、実態論からいくとね、
法律
、そういう
法律
を作らなきゃならない。簡保はやめなさいだとか預金もやめなさいとかと言えるのかとか、そういうこと。 だから、やはり
民間
はもう少し準備しなきゃならぬと思うんですよ、率直に言って、ここまで来た以上は。限りなく速やかですから、自民党さんと公明党さんと民主党と組んでやれば来年だって全部売れるでしょう、恐らく。やる気があるかないかのことなんでしょうけれ
ども
。 それで、
ユニバーサルサービス
の
提供
は自分たちでも可能ということで、これは法
規制
すればみんな可能でしょう、恐らく。だけど、私は二社の、何というか、二分の一売ったから
届出制
とか、それはこれからの課題の中でやっていくんでしょう。それよりも、
民間
企業がビジネス上どう対抗していくのかという、その具体論が見えてこないんですよ。その辺が心配なんです、私。それこそ
中西
さんと
筒井
さんからそういう意気込みを、やっぱり今やってやるんだと、それが
日本
の活性化にもつながると思うし、
日本郵政
も強くなると思うし。何というか、NTTが強くなったのは、KDDIだとか孫さんのソフトバンクがあるから強くなったんであって、JRが今意外と頭を抱えているのは相手がいないからですよ。それから、電力
会社
がみんなあのような
状況
というのは競争がないからですよ。だから、お二方の意気込みを聞きたいんですが。
筒井義信
62
○
参考人
(
筒井義信
君) 国の信用をバックにという
状況
が仮に続くという前提の下で、恐縮ですが
日本生命
個社としてお答えをさせていただきますと、やはり営業職員という中核的なチャネルを持っております。それ以外にもいろんなチャネルを擁しておりまして、これはお客様の属性やニーズに応じてしっかり組み合わせたり融合することで更にチャネルの
ネットワーク
を強化し、拡充をしていきたいと考えております。 加えて、はっきり申し上げれば、
かんぽ生命
を上回る商品や
サービス
をしっかり開発をして、先ほど申し上げたいろんなチャネルにこれを乗っけてお客様に供給をしていくと、こういう戦略を強力に取り組んでいく、そのように考えております。 以上でございます。
中西勝則
63
○
参考人
(
中西勝則
君) 私
ども
も、公正な競争の下であれば確実により
サービス
のできるようなことが開発できるかというふうに思いますし、
ユニバーサルサービス
という
観点
からいいますと、先ほど代理店の話が出ましたんですけど、代理店だとかそういったものも駆使しながら一番いい方法を選んでいけるというふうに考えております。
寺田典城
64
○寺田
典城
君 何というんですか、これからは客にとってはやっぱり価値のあるというか、分かりやすさとか、そういう点を強く求められるんです。だから、そっちの方が選択されると思う。だから、そういうのが強くなる。我が家みたいに親子で選挙に出てるといえば、女房はあちこち気を遣うけれ
ども
、お客はそういうことないということをあれして、やっぱり今私からいうと、
民業
の人方がもっと頑張らない限りは大変なことになるんじゃないのかなと思って心配しております。 以上です、私から。
山下芳生
65
○山下芳生君
日本
共産党の山下芳生です。
郵政産業労働組
合の
廣岡
元穂
中央執行
委員長
に伺いたいと思います。 郵産労が出しておられるこの
郵政民営化
抜本見直しに対する
意見
書Ⅲを拝見いたしますと、東
日本
大震災の被災地における
郵政事業
について調査をされたとあります。先ほど少し言及されたんですが、大震災で果たされた郵政三
事業
の
役割
、片や、郵政の民営・分社化による弊害などがどのように現れているのか、もう少し詳しくお話をいただければと思います。
廣岡元穂
66
○
参考人
(
廣岡
元穂
君) お答えいたします。 昨年三月十一日に東
日本
を襲った大震災、これによって
郵政事業
も甚大な被害を受けています。死者、行方不明六十一名、百七十五か所の営業所で崩壊等がありました。しかし、社員は公的
事業
で働く、こういった使命感から全力を挙げて奮闘してきました。陸前高田では八つあった支店のうち七つ流されてしまいました。しかし、山崎公民館というところを借りて、一人一人口伝えに山崎公民館に社員が集まって仕分をしながら、三月二十日からは営業を展開する。さらには、気仙沼市でも大谷
地域
で一斉に津波でやられました。
郵便局
も五つ流され、簡易
郵便局
が
一つ
流されています。こういう中でも非正規社員が八キロも歩いて
郵便事業会社
に通う、さらに女性の社員が十キロを自転車で通ってくる、こうしたライフライン、
郵便
事業
を
確保
する、こういった
役割
を果たしてきたというふうに思っています。さらに、移動
郵便
車、被災地へ赴き、
利用者
、住民の皆さんに
サービス
を
提供
する、こういったことを公的機関として果たしてきたんではないかというふうに考えています。 しかし一方で、
意見
書パートⅢの一ページにも書かせていただいていますけれ
ども
、
郵便事業会社
の移動
郵便
車が避難所に赴きました、しかし
郵便
は届けても、
貯金
二十万円まで簡易に支払える、こういう制度があったんではないか、何でできないんだという声が上がっています。さらに、津波で
郵便事業会社
の車、バイク、自転車が流されて営業が困難。こういう中で、
郵便局会社
が使っていた
かんぽ生命
の渉外員が持っている自転車、これすら貸していただけないという
状況
にもなっています。さらに、
郵便
配達員が避難所に行きますと、
貯金
を下ろしてほしいという声が上がります。しかし、これについても、
会社
が違う、こういう
立場
から要望にこたえられない。このように、民営・分社化の弊害が明らかになってきた。 このことについては
日本郵政
の齋藤社長も、
郵便事業会社
と
郵便局会社
の連携が余りにもうまくいっていない、これについては何とかしなきゃいけない、このように記者会見でも述べている。こういった実態にあるというふうに思っています。 以上です。
山下芳生
67
○山下芳生君 ありがとうございました。 公的機関としての強みと、それから民営・分社化によってその強みに障害がもたらされているということが被災地での活動を通じて浮き彫りになってきたという御
発言
だったと思います。 もう一度、
廣岡参考人
に伺いますが、
政府
は郵政の
株式
を
処分
して震災復興の財源に充てるとされております。私は、
復興財源
というのは、不要不急の大型公共
事業
の中止、米軍への思いやり予算の見直しなど歳出の削減と、あるいは証券優遇税制を見直すなど歳入の見直しによって捻出するべきであると考えているわけですが、
廣岡
委員長
、
参考人
は、この郵政の
株式
を
処分
するということについてどのように考えておられるんでしょうか。
廣岡元穂
68
○
参考人
(
廣岡
元穂
君) 今まで
郵政事業
三
事業一体経営
の下で効率的な
経営
をしてまいりました。しかし、今、分社化の下で、例えば
郵便貯金銀行
、この
銀行
が新たに負担を強いられている金額、一年間で千五百七十一億円も新たな負担が強いられる。こういう
状況
の中で、いわゆる
金融
の
ユニバーサルサービス
そのものが
提供
できなくなる危険性があるというふうに考えています。 そういう
意味
で、一〇〇%株を売却をする、完全
処分
するということイコール
民間
企業に文字どおりなるわけですから、
金融
の
ユニバーサルサービス
を
提供
する
根拠
が失われてしまう。したがって、
利用者
、
国民
にとっては甚大な被害をもたらすものにつながるんではないか、このように考えています。 さらに、UPU加盟国の中で
株式
会社
形態を取る国が三十二か国ありますけれ
ども
、このうちの二十七か国、ここが
金融
の
ユニバーサルサービス
を守るということも含めて国営なり準国営という
経営
を行っているというふうに聞いています。したがって、全株放出ということにつながると、例えば簡易
保険
を扱っている
過疎地
、こういったところでは大変な問題になるんではないか、このように考えています。 以上です。
山下芳生
69
○山下芳生君 もう一問、
廣岡参考人
に伺います。
日本郵政グループ
は、現在、
日本
で
最大
の非正規雇用労働者を擁する企業となっております。非正規雇用労働者は、しかしながら郵政の基幹業務を支え、誇りを持って働いておられます。私も当事者から直接何度も
意見
を聞いておりますけれ
ども
、労働
条件
が余りにも劣悪で、待遇改善は急務だと考えております。非正規雇用労働者の正社員化を私も強く求めておりましたけれ
ども
、まだこれは緒に就いたばかりと言わなければなりません。 非正規雇用労働者の待遇改善、正社員化について、
廣岡参考人
の考えを聞かせてください。
廣岡元穂
70
○
参考人
(
廣岡
元穂
君) お答えいたします。 今、郵政グループ
会社
には二十万人を超える非正規労働者が働いています。まさに基幹的
役割
、正社員と全く同じ仕事をしながら、同等の責任を押し付けられています。しかし、働いている労働
条件
、年次有給休暇についても、計画年休が取れない、病気休暇が取れない。さらには、年収二百万と言われる労働者がこのうち六四%いる。これは
会社
発表で言われている数字であります。こうした人たちが安心して働ける、こういった環境をつくるために、
政府
は、
郵政改革
素案、この理念の中に労働
環境整備
を盛り込み、
国会
でも努力をされてきました。この結果、二〇一〇年十二月一日、八千四百三十八名が正社員になる大変大きな成果を生んできたというふうに思っています。 しかし、先ほどの議論にありますように、
郵便事業会社
が大変な赤字の
状況
になっている。これは一千億円からの赤字、当初そういう
状況
にありました。これは、西川元社長が毎月五十億円、六十億円という赤字、この企業をつくっていくという、日通との統合にこの問題が始まりました。そういう
意味
で言ってしまえば、
経営
者の責任で
郵便事業会社
が赤字に陥った。これを、非正規労働者の働いている労働時間、さらには勤務日数、これを削って、これに応じない人は雇い止めをする、こうしたことが現実に今
郵便局
の中で起こっています。こうした
事態
は一刻も早く改善すべきだと、このように考えています。 この間、
政府
が進めてきた貧困と格差をなくす、こうした
立場
でのこの
郵政改革
の一方の旗頭として正社員登用があったわけですけれ
ども
、これがなくなってしまう、このことによって大変な
状況
になっていくのではないかな、このように考えています。労働組合としては、非正規社員の雇用の安定、劣悪な労働
条件
の抜本的な改善を目指して大いに奮闘してまいりたい、このように考えています。 以上です。
山下芳生
71
○山下芳生君 ありがとうございます。 続いて、
筒井参考人
に伺いたいと思います。 先ほど、
かんぽ生命
が二分の一以下であっても、
政府
の出資があることは私
ども
には脅威でありますと、こうおっしゃっておられました。この脅威とは一体どういうことか、なぜ脅威なのか、何が脅威なのか、もう少し詳しく教えてください。
筒井義信
72
○
参考人
(
筒井義信
君)
会社
、
保険
会社
もそうでございますが、現場で働く二十四万人の営業職員、あるいは代理店で募集をする八十七万人の募集人、彼らが現場でお客様と相対している中で、やはり
かんぽ生命
の持たれておるその信用力というものが脅威であるということでございまして、お客様との競合上、やはりかんぽさんに負けてしまうというケースが重なっているということが事実としてございます。更に申し上げれば、彼らの自分たちの
生活
、今後の
生活
というものに対してもやはり一種の脅威を持っているという
意味
で申し上げました。 以上でございます。
山下芳生
73
○山下芳生君 この脅威という言葉を聞いておりまして、私は、
生命保険会社
の
経営
サイドから見た脅威というのはよく分かるんですが、しかし、
利用者
の側から見ると、今おっしゃられた脅威というのは、逆に言うと、安心であり信頼であるんじゃないかと思うわけですね。やはり
国民
にとってこの安心感というのは非常に大事だと思います。庶民を
対象
とした
小口
の
貯金
であり
保険
を安心できる制度としてつくるというのは、私は、これは競争政策とはまた別に、社会としての選択の問題ではないかなと、そういうことがあっていいんだというふうに思うわけであります。 しかも、公社
時代
、三
事業一体
で
経営
されていたときには税金の投入は一円もなかった。税金投入一円もなしに、しかしながら
郵便
事業
もそれから
貯金
も
保険
も
ユニバーサルサービス
を維持していたわけであります。職員のお給料も、税金は一円も投入されずにそこから支払われていたわけであります。そういう
意味
では、非常に合理的かつ効率的な
経営
形態であったのではないかと。何でこれをわざわざ
民営化
する必要があるのかという思いから私
ども
は反対し、今も反対しているわけですけれ
ども
。
廣岡
委員長
に聞きますけれ
ども
、そういうかつての公社
時代
などの
経営
形態というのが私は効率的、合理的だったというふうに思うのですが、その点での御認識と、それから
石井参考人
にも、その点どう御認識されているか、伺いたいと思います。
廣岡元穂
74
○
参考人
(
廣岡
元穂
君) お答えいたします。 郵政三
事業一体経営
、このことによって効率的な
事業
運営を行うことができたと。したがって、言ってしまえば
ユニバーサルサービス
コスト
を捻出することができたというふうに考えています。 今、民営分社化の下で、
郵便貯金銀行
は一年間約一千五百億円からの新たな持ち出しをしています。
かんぽ生命
も四百八十億円程度の持ち出しとなっています。
郵便事業会社
でも百七十億円、こういった金額を合わせると、年間二千二百二十三億円程度の新たな経費が掛かってきています。こういう
事業
が民営・分社化をしたことによって
経営
を圧迫をされ、さらには
ユニバーサルサービス
コスト
を出せない
状況
になっている、こういった点からも、三
事業一体経営
をやることによって健全
経営
になるものと、このように考えています。 以上です。
藤末健三
75
○
委員長
(藤末
健三
君)
石井参考人
、お願いします。 もう時間が来ていますので、簡潔にお願いします。
石井晴夫
76
○
参考人
(
石井晴夫
君) はい。 三
事業一体経営
ということの中で、非常に私も、このワンカウンターで三
事業
を一体的に
サービス
してこれだけ効率のいい
サービス
を
提供
できているというのは、これは
世界
にありません。
日本
だけです。それで、
日本
を見習って韓国も同じような三
事業一体
をやりたい、中国も同じように郵貯も簡保も始めたと。 そういう中で、やはり、どうしてあえて、じゃ、ばらばらにしてやるのかと、税金も一切入っていないで、そういう批判は
民営化
のときにたくさん海外からもありました。そういう中で今回の民営・分社化が行われてしまいましたので、また
最大
限、そういう健全
経営
ができるような形のスキームをこれから取っていただければというふうに思います。 以上です。
山下芳生
77
○山下芳生君 終わります。
又市征治
78
○又市
征治
君 社民党の又市です。 今日は各
参考人
の皆さん、本当にお忙しい中わざわざお運びいただいて、心からお礼を申し上げたいと思います。 そこで、まず初めに
石井参考人
にお伺いしたいと思うんですが、先ほどからの提案、被災地を始め現場に入っていただき、そして、そうした実態の把握と分析の上に今日も御提言いただいていることには心から敬意を表したいと思います。 そこで、ずばり、もう一度改めて、七年前、足掛け七年前になりますけれ
ども
、
民営化
法が強行採決されて、そして四年半前、
民営化
が進められてまいりました。ずばりその後の、この当時の
民営化
の狙いというのは何だったというふうに先生は見ておられるのか、そして、四年半たってみて、
国民
目線から見てそれは一体全体うまくいったというふうに思われるかどうか、この点をまず考えをお聞かせいただきたいと思います。
石井晴夫
79
○
参考人
(
石井晴夫
君) ありがとうございます。
民営化
のときには、やはり、先ほどお話ししましたけど、うまくいっているものをどうして、税金も一銭も入っていないものをばらばらにして、そして複雑怪奇なマトリックス的な分割するのか、これは私も衆議院で申し上げさせていただきましたが、まずそういう問題。それで、これはもう強行採決されましたので今日に来ているわけですけど、あのときに指摘したことがそのままやはり事実、現実になっていると。今日の
経営
状況
から見れば、今、
日本郵政グループ
の
経営
状況
というのは本当に厳しいし、後のない
状況
だと思います。 そういう中で、やはり今
問題点
になっているところは、先ほど来
先生方
からの御指摘もありました、そういうところというのはやっぱり一日も早く改善しなければ、私はこの
経営
状態は本当に更にスピードを増して厳しい
状況
になってくるというふうに思っております。
又市征治
80
○又市
征治
君 ありがとうございました。 そこで、今日は、郵貯、簡保にも
ユニバーサルサービス
の
確保
が必要だ、そして
地域密着経営
が不可欠じゃないかという
趣旨
、述べられたというふうに思います。 私も、今お話ありましたように、今後の郵政三
事業
、特にゆうちょ、かんぽは、ほうっておけばこれは
銀行法
や
保険業法
の縛りによって普通の
銀行
や
保険
会社
になってしまう。しかも、ゆうちょ、
かんぽ生命
は新参者で一番出遅れでありますから、現に三
事業
ばらばら
経営
で業績が悪化をしているように、何の特徴もないままでは既存の
銀行
、
保険
会社
との激しい競争に敗れていってしまうだろうと、こう思います。 今もおっしゃったように、私は、七年前のこの
郵政民営化
、その背後の外資の狙いというのは、まさにそのこと、つまり郵貯、簡保弱体化、あるいは消滅をさせて、それらが保有していた
国民
からの資産というものを、資金というものを吐き出させて他の
銀行
や
保険
会社
あるいは外資に分散させる、こういう狙いがあったんではないかというふうに思えてしようがありません。私たちもそういうふうに主張してまいりました。 しかし、それでは庶民が困る。とりわけ農山村、へき地などの
地域
や弱い資金力の人たちあるいは中小企業が
ユニバーサルサービス
を受けることができなくなって困る、こういうことだと思うんですね。 そこで、これからの
経営
の問題ですけれ
ども
、その際に、お金を預けたり引き出したりというのは、これはとりわけ農山村なんかの人々は大変欲しがっているわけで、
銀行
や農協がどんどん撤退をしていっているという、こういう
状況
があるわけですから困るという問題はもちろんあるんですが、もう一面で、借りる面が大事ではないか。その
意味
で、
石井参考人
が述べておられますように、ゆうちょ、かんぽが今後生き残るためには
地域
密着型の
経営
がやっぱり私も不可欠だと思います。それは、まさに
国民
に利用されるゆうちょ、かんぽの特徴であり、
経営
の存続と
発展
の生命線ではないかと、こう思うんですが。 私
ども
社民党が一昨年の十二月に十八項目にわたって
郵政改革
に関する申入れを行いました。その中で、今の件で言うならば、資金面では、
国民
個人
や
地方
公共団体あるいは年金基金などの公共団体が積極的に郵政の株を買って
経営
参加をしてもらうということ。また、融資面では、集めた資金の
一定
部分をその集めた
地域
に還流をする。このことは非常に大事で、その集めた金を全部大都市にというか東京に持ってきますという話じゃ、これはもう駄目ですよ。既存の
地域金融機関
、すなわち
地方銀行
や信金、信組などとの連携を図って融資をするというのはしっかりとやるべきだ、こういうことな
ども
提言をしてまいりました。 今申し上げた今後の
経営
の問題について、
石井参考人
の、今申し上げたことも含めてお考えをちょっとお伺いしたいと思います。
石井晴夫
81
○
参考人
(
石井晴夫
君) 先ほどの社民党さんのその提言、私も見ました。これはそのとおりだと思います。 というのは、やはり今
地方
公共団体が
インフラ
を、戦後、やはり高度
経済
成長のときにありとあらゆるライフラインの設備、施設の建設、そういったものをやったのが、これ五十年、六十年たってほとんどが今更新の時期に来ております。ですから、物すごい何十兆円という資金需要が今必要なんですよね。それの手当てというのが全くできていない、
地方
公共団体では。ですから、そういうライフライン、
インフラ
のそういう資金に供与する。そしてまた、
地方
公共団体と一体となって、これは一番最初は郵政官署法の
法律
でできましたけれ
ども
、
郵便局
におけるワンストップ
サービス
ですね、そういう
地域
の
拠点
としての要するに行政
サービス
、そういったものも、これだけ
平成
の大合併で
地方
公共団体の
窓口
がなくなっている中で、
郵便局
の
役割
というのは、私は新たな
役割
がここで出てきていると思います。 ですから、そういう中で、やはり
民間金融機関
と違ったゆうちょ、かんぽの資金の利用というのは、まさに先生御指摘のとおり、新たな
役割
というのは私はできてきているというふうに思います。
又市征治
82
○又市
征治
君 ありがとうございました。 次いで、郵産労の
廣岡
委員長
にお伺いをしたいと思います。 先ほ
ども
ありましたように、皆さん方がお出しになっているこの
意見
書Ⅲ、斜め読みをいたしました。この中で、先ほ
ども
お話がありましたけれ
ども
、大震災で被災した局舎の再建にも触れておられますね。労働組合として
経営
再建をも強く主張されていることには、これは敬意を表したいと思います。 すなわち、現在の四分社体制のままでは被災した局舎の再建が大変だ。
郵便事業会社
の配達センターは
郵便局会社
の
郵便局
に併設されているけれ
ども
、例えば宮城県の大谷ですか、この配達センターなどが津波被害で現在も再開に至っていない、こういうふうに書かれています。また、
郵便局会社
を見ると、現在八十一の局が営業できない
状況
にあり、また再開した局はその多くが仮
店舗
による営業で大変に資金が掛かる。そしてさらに、簡易
郵便局
の局舎は基本的に局長の自前であり、局舎と自宅を全て喪失した局長さんは大変だ、国からの財政支出、支援が求められる、こういうふうにありますね。また、特定
郵便局
の問題もある。これらの津波によって失われた私有地の、局用地も含めて、局舎の再建には
政府
がやっぱり公共
事業
として責任を負うべきだと主張をされております、これはいろんな
意見
があるんだろうと思うんですけれ
ども
。また、ポストや出張所の整備、移動
郵便
車の活用、配達員の受付
サービス
の拡充や、社員を増やして住民への声掛けなど余裕のある体制を求められております。 こうした主張をなさる現実をもう少し説明いただきたいと思うんですが、とりわけ、先ほ
ども
あったように、私
ども
もこの
委員会
、去年、女川の視察に行ってまいりました。そのときに現場でもお聞きしましたけれ
ども
、やっぱり三
事業
が一体でないために、何のことはない、無駄な金が掛かって、そして結局は、お年寄りたちが、何とか私の年金を下ろしてもらいたい、こう言っておられるのに、今それは
銀行法
の違反になりますからできません、こういう格好で断らざるを得ないという悩み、そういうことまでを言っておられました。 ということは、つまり、その
事業
を維持しようとすれば人を増やさざるを得ない。今までだったらみんな総合担務でやれたものが、そうできなくなっている、こういう無駄な問題もあるんですが、そんなことを含めて、今、皆さん方が主張なさっている現実をもう少し御説明をいただいたらと思います。
廣岡元穂
83
○
参考人
(
廣岡
元穂
君) お答えいたします。 私たち、被災地に行って、仮設住宅、避難所を訪問してまいりました。確かに、避難所に入っている人たちは
一定
の
生活
ができるという
状況
にありますけれ
ども
、ばらばらに避難所に入れられた、したがって
地域
の
コミュニティー
、これがなくなってしまった。私たちは、いろんな今海外に行って調査をしていますけれ
ども
、
郵便局
があって、役場があって、そしてこの町が形成をされていく、こうした中心に町役場や
郵便局
が座っているというふうに思っています。こういう公共
事業
が果たしている
役割
が津波によってみんな持っていかれてしまった。これを再建するためには新たに
コミュニティー
をつくっていかなきゃいけない。この中心に何が座るべきかということが求められているというふうに思います。 今、海外では、ニュージーランドではキウイ
銀行
という国営の
銀行
を復活をさせる、そしてフランスでは国営の生保、これを
ユニバーサルサービス
として位置付ける、こうした
規制
改革
に逆行するといいますか、
規制
緩和を直していくという
世界
的な流れになっています。そういう
意味
で、私たち郵産労としては、こうした住民の
生活
、さらには
生活
できる保障、これをするために、あらゆる
機会
に
郵便局
を活用すべきだということでこの
意見
書パートⅢをまとめたものであります。 以上であります。
又市征治
84
○又市
征治
君 ありがとうございました。
最後
に、生保
協会
筒井参考人
にお伺いしたいと思いますけれ
ども
、先ほど来の御主張なさっている問題、大変これは失礼なことを申し上げますけれ
ども
、聞いておりまして、一言で言わせていただくならば、
民営化
以前からの御主張は変わらないわけで、
かんぽ生命
への
政府出資
は間接的であってもこれは困ります、あるいは
株式
は完全に売却して
民間
の
生命保険市場
に吸収統合すべきだと、こういうお話でありますし、その場合、
保険
金
限度額
の引上げは駄目だ、新規
事業
の展開も認められないと、どうもこのように御主張なさっているように思えてなりません。 そして、大変にかんぽは脅威だ脅威だと、こうおっしゃるんですが、これは私は、これ
銀行
の、本当は
中西
さんにお聞きした方がよかったのかもしれませんけれ
ども
、現実に
銀行
はあの
金融
危機のときに公的資金をどんどん投入いただいているわけですよね。それで、片一方では、今度は
郵便局
は脅威だ脅威だとおっしゃる、これはいかがかと。今、がん
保険
などは外資系が大半をまあ制してしまっているようですけれ
ども
、そういう新規参入者やあるいは新商品は外資であれ何であれ歓迎だけれ
ども
、
かんぽ生命
がそこに手を広げることは許せないみたいに聞こえてしようがないんですが、ここのところ、もうちょっと説明いただけますか。
筒井義信
85
○
参考人
(
筒井義信
君) 私
ども
の主張は、元々
小口
であったわけですけれ
ども
、今や
小口
の分野においても
民間
とほとんど完全に競合してしまっているという
状況
でございます。しかも、そこの
競争条件
が同一かというと完全に同一にはなっていない、そのことを問題視をいたしております。その根源はやはり
政府出資
の存在にあって、その
政府出資
がお客様の加入動機に大きな信用力を与えているというふうに考えております。 したがって、この
政府出資
について、株の完全売却を適切な期限を設けていただきたいというのが要望の一番のポイントでございます。 以上でございます。
又市征治
86
○又市
征治
君 本来ならばもう少しやりたいんですが、私の持ち時間がもうなくなりましたから、中途半端に終わりますからここで終わりたいと思います。 ありがとうございました。
藤末健三
87
○
委員長
(藤末
健三
君)
参考人
に対する
質疑
はこの程度といたします。
参考人
の
方々
におかれましては、長時間にわたる貴重な御
意見
を誠にありがとうございました。
委員会
を代表しまして厚く御礼申し上げます。 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。 午後零時十二分休憩 ─────・───── 午後一時三十分開会
藤末健三
88
○
委員長
(藤末
健三
君) ただいまから
総務委員会
を再開いたします。
委員
の
異動
について御報告いたします。 本日、
岩井茂樹
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
宇都
隆史
君が選任されました。 ─────────────
藤末健三
89
○
委員長
(藤末
健三
君)
政府参考人
の
出席要求
に関する件についてお諮りいたします。
郵政民営化法等
の一部を
改正
する等の
法律案
外一案の
審査
のため、本日の
委員会
に、理事会協議のとおり、
内閣官房内閣参
事官
奈良俊哉君外一名を
政府参考人
として
出席
を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんでしょうか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
藤末健三
90
○
委員長
(藤末
健三
君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
藤末健三
91
○
委員長
(藤末
健三
君)
参考人
の
出席要求
に関する件についてお諮りいたします。
郵政民営化法等
の一部を
改正
する等の
法律案
外一案の
審査
のため、本日の
委員会
に、理事会協議のとおり、
日本郵政株式会社
取締役兼代表
執行役社長
齋藤次郎君外五名を
参考人
として
出席
を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんでしょうか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
藤末健三
92
○
委員長
(藤末
健三
君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
藤末健三
93
○
委員長
(藤末
健三
君) 休憩前に引き続き、
郵政民営化法等
の一部を
改正
する等の
法律案
及び
郵政民営化
の確実な
推進
のための
日本郵政株式会社
、
郵便貯金銀行
及び
郵便保険会社
の
株式
の
処分
の
停止等
に関する
法律
を廃止する等の
法律案
の両案を一括して議題とし、
質疑
を行います。
質疑
のある方は順次御
発言
願います。
行田邦子
94
○
行田邦子
君 民主党の
行田邦子
です。よろしくお願いいたします。 今日、こうしてようやく参議院におきましても郵政の
法案
が
審議
されることとなりました。これまで協議に当たられた
法案
提出者の
皆様
に敬意を表したいと思います。 それでは、まず初めに、
法案
提出者に伺わせていただきます。 今回の
改正法案
の重要な点というのは、それは何といっても、
郵便
だけではなくて郵貯、簡保といった三
事業
の
ユニバーサルサービス
を
義務
付けたことにございます。この点につきましては、撤回された
郵政改革法案
の内容がそのまま盛り込まれたような形となっておりますけれ
ども
、
法案
提出者の法
改正
の意図についてお聞かせいただけますでしょうか。
武正公一
95
○
衆議院議員
(
武正
公一君)
行田
委員
にお答えをいたします。 今回、
政府
提出
法案
、これを取り下げて、三党で
民営化
法の
改正案
提出、これは昭和三十年代以来初めてというケースでございます。分社化の弊害、特に震災発災後はやはりそれが現れたという指摘ございます。また、今日に至る二年間、やはり
改革
法案
、そして今回
民営化
法案
と、
審議
が事実上なかなか行われなかったという中での今回の提出と相なっております。 今御指摘の、特に
金融
に
ユニバーサルサービス義務
、これは現行法ではございませんので、
民営化
法の
改正
でそれを盛り込んだ点がございます。 なぜ重要かという点、四点を申し述べますと、
過疎地
域における
金融サービス
の
役割
が大きいということが一点。二点目、
地方
は高齢者の利用が多いという点。三点目、
金融
二社からの
窓口業務
委託がなくなりますと小
規模
局の維持が困難という点が三点。四点目は、
金融
ユニバは、
サービス
確保
、
郵便局ネットワーク
の維持の両面から必要な制度であるという四点でございます。 そこで、今回、
金融
ユニバの
確保
を
法律
上
規定
、担保し、
郵便
、郵貯、簡保の役務が
利用者
本位の簡便な方法により
郵便局
で一体的に利用できるとともに、将来にわたりあまねく
全国
において公平な利用が
確保
され、
国民
の利便に資するものとしたものでございます。 また、
政府
提出の
改革
法案
に盛り込まれておりました
郵便局ネットワーク
の維持、公益性及び
地域
性が十分発揮されるよう必要な
措置
を講ずると新たに
改正法案
に明記をいたしました。 また、
郵政事業
についての
情報
公表が盛り込まれまして、例えば
平成
二十二年度有価証券報告書等公表資料について、NTT、NTTドコモ、NTTデータ、
日本郵政
、
郵政事業
株式
会社
それぞれ比較をいたしますと、それぞれの文書の分量は、百七十六ページ、百七十六ページ、百四十ページ、三十七ページ、十二ページということで、
改正法案
成立後、こうした公表資料も有価証券報告書と同様なものとなることを強調したいと存じます。 以上でございます。
行田邦子
96
○
行田邦子
君 ありがとうございます。 こうして
金融
二
事業
についても
ユニバーサルサービス
が
義務
付けられたわけですけれ
ども
、一方、
金融
二社の
株式
については、その全部を
処分
することを目指し、二社の
経営
状況
、
ユニバーサルサービス
責務の履行への
影響
を勘案しつつ、できる限り早期に
処分
するものとすることというふうになっております。こうした
状況
の中、
政府
、総務省におきまして、
ユニバーサルサービス
の
確保
のためにどのような
措置
をとられますでしょうか。
森田高
97
○
大臣政務官
(
森田
高君) お答え申し上げます。 ただいま先生御指摘されましたとおり、今次の
法案
におきましては、
金融
二社の
株式処分
に関しまして、全株を
処分
することを目指し、そして同時に
ユニバーサルサービス
の責務への
影響
を勘案しつつ、そしてできる限り早期に
処分
するというふうにあるわけでございます。 私
ども
総務省としましては、この
法案
の中での
金融
二社の
株式処分
のいかんにかかわらず、
金融
ユニバーサルサービス
の
確保
について、
日本郵政株式会社
あるいは
日本郵便株式会社
に対して責務として課されているものであるということを前提として
取組
を行ってまいりたいと思っております。 具体的には、
日本郵政
及び
日本
郵便
の
事業
計画の認可の
審査
あるいは
日本
郵便
の
銀行
窓口業務
委託契約及び
保険
窓口業務
委託契約並びに
郵便局
の
設置
にかかわる
届出
を通じて、
貯金
、
保険
の基本
サービス
が
全国
の
郵便局
で引き続き円滑に
提供
されるかを確認することになります。そして、最終的には、
事業
計画の認可、そして監督上の命令というもので担保できると考えております。
行田邦子
98
○
行田邦子
君
法案
の第七条の三には、
政府
は、
ユニバーサルサービス
の
確保
のために必要な
措置
を講ずることというふうになっておりますので、総務省におきましても適切な
措置
を講じていただきたいと思います。 それでは、自見
大臣
に伺います。
金融
の
ユニバーサルサービス
確保
といった視点から、検査監督について伺いたいと思います。 現在、
全国
二万四千六百の
郵便局
のうち約半分以上が二人局、三人局といった小
規模
な
郵便局
になっていて、こうした小
規模
な
郵便局
が言ってみれば
郵政事業
を支えているという
状況
です。一方、こうした
郵便局
の検査監督につきましては、都市
銀行
や
地方銀行
と同じ基準、同じ方法での検査監督になっています。このことが業務の支障となるという指摘もございます。 今回の
法案
が成立すれば、
金融
の
ユニバーサルサービス
が
義務
付けられるわけですので、これを支える
郵便局
の検査監督についてもその
規模
やまた
事業
の特性といったことに
配慮
すべきと思いますが、いかがでしょうか。
自見庄三郎
99
○
国務大臣
(自見庄三郎君)
行田
議員
にお答えをいたします。
金融
行政を所管する
金融
庁その他の行政機関等においては、検査監督に当たりましては、当該
金融機関
の
規模
、特性等を踏まえて、先生も今申し上げましたけれ
ども
、特性をしっかりと踏まえながら、機械的、画一的な取扱いとならないように適切に対応を行っているところでございます。 小
規模
な
郵便局
の検査及び監督においても、
国会
での論議や、
郵政事業
にかかわる基本的な役務の
確保
、
ユニバーサルサービス
でございますが、この場合、先生の御
意見
にもありましたように、そういった、に関する
規定
が設けられた
趣旨
に鑑み、できるだけ業務の円滑な遂行に支障が生じないように
配慮
していくべきものであるというふうに考えております。
行田邦子
100
○
行田邦子
君 是非、
配慮
をお願いしたいと思います。 もう一問伺います。 五分社化によって、様々な業務のロスとか非
効率化
といったことが指摘をされています。そして今回は、
郵便局会社
と
郵便事業会社
が合併することになりました。この合併の期日についてなんですけれ
ども
、
法案
では、「公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日」というふうになっておりますが、そのめどをお聞かせいただけますでしょうか。
自見庄三郎
101
○
国務大臣
(自見庄三郎君) お答えをいたします。 再編のために
日本郵政グループ
において合併に必要な手続を行い、また
サービス
水準が低下しないようにシステムの所要の調整等を含めた準備をする必要があります。
法律
の成立にもよりますが、今回の
改正
の成果を一日も早く
国民
にお示しするためには、早期の再編として、可能であれば十月一日にも実施することが望ましいと考えております。今後、
日本郵政グループ
における進捗
状況
を聞きながら、
政府
として最終的に判断していくことになるというふうに判断をいたしております。
行田邦子
102
○
行田邦子
君 可能であれば十月一日にもといった御答弁をいただきました。十・一を目指してこれから
会社
においては合併業務を行うことになると思いますが、今日は
日本郵政
さんもお越しになっていますけれ
ども
、この合併業務に際しては、是非、現場で
混乱
が生じないように、各
郵便局
に業務の段取りや、また
情報
が行き渡るように
配慮
をお願いしたいというふうに思います。 それでは、
日本郵政
さんに伺います。 この五分社化が四分社化になることによってこれまで指摘されてきた様々な弊害が相当程度解消されると思いますけれ
ども
、その点の認識を伺いたいと思います。済みません、簡潔にお願いします。
中城吉郎
103
○
参考人
(中城吉郎君) お答え申し上げます。 現在、
郵便事業会社
におきましては、一昨年の宅配便
事業
統合以降急激に悪化した損益
状況
や
郵便
物数減少という
経営
課題を克服するために、収支改善に徹底的に取り組んでいるところでございます。 分社化で組織が分かれたことによる非効率性の解消につきましては、
郵便
支店と
郵便局
や、
郵便
事業
株式
会社
の支社と
郵便局
株式
会社
の支社の統合により、段階的に管理体制や人事、会計などの共通部門のスリム化が相当程度可能になるものと考えているところでございます。
行田邦子
104
○
行田邦子
君 ありがとうございます。 四分社化によって業務が更に
効率化
されて、また
経営
の改善も期待されるところであります。 それでは、
最後
の質問になります。
外務
副
大臣
にお伺いしたいと思います。 本
改正法案
について、アメリカ
政府
や、また欧米の
生命保険
協会
などから
意見
が出されています。WTO協定などの国際約束の内外無差別となっていないのではないか、あるいは対等な
競争条件
が
確保
されていないではないかといった
意見
になっております。この点について伺いたいと思います。 昨年の十一月の
総務委員会
においても自見
大臣
にこの点質問させていただきましたけれ
ども
、改めて
外務
副
大臣
に伺います。WTO協定等の国際約束と本
改正法案
との整合性について見解をお願いいたします。
山口壯
105
○副
大臣
(山口壯君) 今、
行田
議員
が御指摘になられたように、この六日に、米国
生命保険
協会
等、あるいは米国、カナダ、欧州、メキシコの計十六団体が連名で今回の
改正法案
に
懸念
を表明する声明を出したことは、そのとおりです。ポイントは、対等な
競争条件
の
確保
だと思っています。 今回、民主党、自民党、公明党の三党により提出されたその作成過程において、この対等な
競争条件
の
確保
ということについても十分議論が行われたものと我々は承知しています。この同
法案
については、これがWTO協定を始めとする国際約束との整合性、これはこれまでも
確保
してきていますし、またこれからも
確保
していくと、そういう考え方です。 そして、私たちもよくUSTR等と話をするわけですけれ
ども
、USTRはアメリカの議会の一部の機関ということで、議会の
方々
の
意見
に
影響
されるわけですけど、その中で、確かに
保険
についていろいろと言ってきています。私がよく申し上げるのは、例えば、新しい商品を開発するという場合に、アメリカの
会社
だったら
金融
庁長官のオーケーが出ればそのまま営業できるわけですけれ
ども
、この
かんぽ生命
については
金融
庁長官の認可に加えて
総務大臣
の認可なりあるいは
届出
なりということが余分に必要なんだと、非常に手間掛かるんだと、対等
条件
からいったらむしろ
かんぽ生命
の方が大変なんじゃないかというようなことも申し上げております。
行田邦子
106
○
行田邦子
君 ありがとうございます。 本
改正法案
では、同種の業務を営む
事業
者との対等な
競争条件
に
配慮
した内容となっておりますので、この点、しっかりと引き続き説明していただきたいと思っております。そしてまた、
政府
におきましては毅然とした態度で対応していただきたいというふうに思います。 今回の
郵政民営化
改正法案
ですけれ
ども
、
株式
会社
化されたその
会社
が公益性の高い
郵政事業
を行うといったときに大きなテーマとなるのが、やはり、その
事業
の公益性と、そして企業としての効率性、この二つをいかに調和していくかということかと思っております。
効率化
の方は引き続きやっていただきたいと思いますけれ
ども
、この公益性といったことについてもしっかりと、今日、
日本郵政
の
会社
の方いらっしゃっていますので、是非ともそこも
配慮
していただきたい、このことをお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
難波奨二
107
○難波奨二君 民主党の難波奨二でございます。 私は、あの九七年の橋本行革以来、この郵政の
経営
形態問題、労働組合の
立場
ではございましたけれ
ども
、中央におきまして対応をしてまいりました。常に政治対立の象徴としてこの郵政の問題というのは語られてきたわけでございますが、現在、微妙な
国会
の
状況
の中にありまして、全党全会派の
委員
の皆さんがこのようにこの
委員会
に
出席
されまして
審議
されますこと、感慨深く思います。 同時に、今回の
議員
立法として
法律
を提出していただきました自由民主党の森山先生、そして
赤澤
先生、公明党の斉藤先生、我が党の
武正
先生、そして田島先生、山花先生、本当に難しい大変な御苦労の中で三党の中で合意を得ていただきましたこと、心から敬意を表しますとともに、御礼を申し上げたいというふうに思います。 郵政の
民営化
の意義の中にありますのは、
民営化
によって、
国民
、
利用者
の皆さん、そしてそこに働く者、
会社
、そして
最後
は国にとっても
民営化
することによって果実が得られるんだと、こういう議論を経まして郵政の
民営化
は実行されました。しかし、納税という部分を除きましては、申し上げた各方面への果実の享受というのはなかった、そして
経営
というものが非常に厳しい
状況
に置かれたということ、そして
国民
の皆さんへの
サービス
の低下というものも起きた、働く者のマインドも低下をした、そういう現状を見て三党が合意をいたしまして今回の修正の議論、結果になったというふうに理解をしておるところでございます。 常に政局として扱われてきたこの郵政の問題でございますけれ
ども
、民自公、この三党で合意をしたことの
意味
というのは政治的に非常に大きいというふうに思っておりますし、そして、これをもってそうした政治の場における対立というものは終着をいたしまして、
日本郵政
が、自立的な、そして成長、
発展
あるビジョンというものを構築して
国民
の皆さんにより一層すばらしい
サービス
を
提供
できる、そういう
会社
になるんだろうというふうにも思います。また、同時に、働く者も使命感そして達成感というものが感じられる、そういう新生郵政ができることを切望をするところでございます。 今回の
民営化
の修正に当たりまして、重ねて各党各会派、そして
発議者
の皆さんに御礼を申し上げまして、質問の方、入らせていただきたいというふうに思います。 まず一点目でございますけれ
ども
、
金融
ユニバの担保と
株式
の売却の関係でございます。
金融
ユニバを安定的に
確保
をするためにはいろんなオプションがあるというふうに考えられますけれ
ども
、しかし現実的には、その実効性というのは非常に困難性が伴うものだというふうに想定をしておるところでございます。 しかし、今回の修正によりまして
金融
二社に
ユニバーサルサービス義務
を課したということになりますと、今回の第七条の解釈でございますけれ
ども
、
日本郵政株式会社
は、
金融
二社
株式
の全部の
処分
というものを目指しつつ、まず何よりも
郵政事業
に係る基本的な役務の
確保
というものを第一義にいたしまして、その責務の確実な履行というものを担保しつつ
金融
二社の
株式
を売却すべきと、このように解釈するところでございますが、
発議者
の方からその御見解いただきたいと思います。
山花郁夫
108
○
衆議院議員
(山花郁夫君) まず、提出者それぞれ御紹介をいただき、謝辞もいただきましたことを御礼を申し上げたいと思います。 また、難波
委員
におかれましては、岡山の
郵便局
に就職をして以来、この課題に本当に熱心に取り組まれていることに敬意を表する次第でございます。 今御指摘ございましたとおり、今回の案によりまして、
日本郵政株式会社
は
金融
の
ユニバーサルサービス
ということが法的に
義務
付けられることとなります。
金融
二社の
株式
を
処分
する際に具体的に何を勘案するかということについては、一義的には
株式処分
の時点における
日本郵政株式会社
の
経営
判断に委ねられるという認識をいたしておりますが、現時点でどういうことが想定されるかと申しますと、
株式処分
の時点における
金融
二社の
経営
状況
やその後の
経営
の見通し、そして、今御指摘がありました
金融
ユニバ
確保
の見通し、また、
株式
市場の動向がどうであるかということ、さらには、
政府
による
日本郵政株式会社
の
株式処分
の動向であるとか、
日本郵政株式会社
や
日本郵便株式会社
の
経営
状況
等が考えられるところでございます。ただ、これは全くの
経営
判断に委ねるということではありませんで、
処分
の時期とか量などについて特殊
会社
として
一定
の説明責任が求められると考えております。 今
委員
が御指摘になりました七条のところでございますけれ
ども
、「次条に
規定
する責務の履行への
影響
等を勘案しつつ、」という修辞句がございまして、次条というのは七条の二、そこに今御指摘がありました貯保についてのユニバの
規定
も掲げられているということでありますので、この
金融
のユニバの
確保
の見通しということは
株式
の
処分
における重要な判断要素の
一つ
であるというふうに考えております。
難波奨二
109
○難波奨二君 今御答弁いただきましたように、株は三社の株の売却ということになるわけでございますけれ
ども
、
株式
市場から
評価
をされる
会社
をつくっていくということが眼目でありましょうから、
会社
の方もしっかり頑張っていただきたいというふうに思います。 次に、
新規業務
の関係でございますけれ
ども
、午前中からも、生保業界あるいは
銀行
業界からも御
意見
を聞いたところでございます。十分、そうした関係の業界にも
配慮
した内容になっておるというふうに私は思っておりますけれ
ども
、しかし、この
規制
というものが、異常な形で
規制
というものが掛かってまいりますと、
自由度
を持った
経営
というものが非常にできないわけでございますし、
会社
もその成長の戦略を描くというのが非常に困難になってくるわけでございます。過度の
規制
というものをなくしていくことも重要であります。 そこで、この
新規業務
の在り方と
規制
の関係につきまして、
法案
発議者
並びに自見
大臣
の方にお伺いしたいというふうに思います。
田島一成
110
○
衆議院議員
(田島一成君) お答え申し上げます。 今回の案におきましては、現行の
郵政民営化法
の基本的な枠組みでございます公正かつ自由な競争を促進するという理念でございますとか、他の
金融機関等
との対等な
競争条件
を
確保
するといった考え方を維持しております。したがいまして、
金融
二社の
新規業務
に関しましても、他の
金融機関
との対等な
競争条件
を
確保
するために、同業他社への
配慮義務
でありますとか
民営化
委員会
への通知や監督上の命令といった、今
委員
が御指摘いただきましたような仕組みを講じているところでもございます。ただし、公正かつ自由な競争の促進という理念も維持しておりますので、
改正
後の
新規業務
に関する
規定
が競争制限的に運用されるということは
郵政民営化法
の
基本理念
に反することになります。 したがいまして、
新規業務
の認可申請及び
届出
があった場合には、
改正
後の
郵政民営化法
の
規定
に従いまして、
内閣総理大臣
及び
総務大臣
におきまして適切に判断していただきたいと考えているところでございます。
自見庄三郎
111
○
国務大臣
(自見庄三郎君) 今後の
金融
二社に対する業務
規制
の在り方については、ただいま提出者の御答弁の
趣旨
に沿って、実際の
届出
の際にも、例えば、
金融
二社が具体的にどのような
配慮
をするかヒアリング等を通じて把握といいますか、今提出者も御答弁のとおり、競争制限的にならないような制度を適切に運用してまいりたいというふうに思っております。
難波奨二
112
○難波奨二君 質問のちょっと順番を変えさせていただきまして、今日は、お忙しい中齋藤社長にもおいでをいただいております。 確かに、
郵政事業
の今の現状というのは、制度の仕組みの問題というものが大きかったということも事実でございますけれ
ども
、一方では、
日本郵政グループ
並びに各社の
経営
というものが本当に適切に行われてきたのかということも、こういう指摘も多いわけでございますが、私も一緒に仕事をさせていただきましたけれ
ども
、その感というものは強く思っておるところでございます。
民営化
後のこの
経営陣
の責任、このこともやはり重く受け止めていただきたいというふうに思います。 そして、やっぱりその解消のためには、
民営化
して今四年半を経過したわけでございますけれ
ども
、この四年半というものを的確にそして公正にやはり
検証
をしていただきまして、今後
法律
が成立した後の新しいこの
日本郵政グループ
の在り方について御検討されるべきじゃないかというふうに思います。 この
法律
が成立した後に
日本郵政グループ
がどのように変わっていくのか、そして今後どのようなビジョンというものを描いていかれようとしているのか、齋藤社長のお考え、決意、含めてお聞きしたいというふうに思います。
齋藤次郎
113
○
参考人
(齋藤次郎君) 今度御成立をいただく
法案
におきまして、
郵政民営化
の
目的
は、
株式
会社
に的確に
郵政事業
の
経営
を行わせるための
改革
ということにされております。したがいまして、
郵政事業
の
経営
を預かる者としては、
法律
の
趣旨
をまず踏まえてしっかりと
経営
を行っていくというのが第一であるという具合に考えております。 具体的に申しますと、民営・分社化による弊害でございます組織、人事の非効率とか、あるいは指揮命令系統が複雑でなかなか
会社
間調整が難しいとかそういう問題、それから具体的に、細かいことでございますけれ
ども
、
郵便
外務
員が配達中に通帳をお預かりすることができないというような実務上の不便とか、そういうものはまず解消されるので、こういう
会社
統合のメリットを
最大
限に発揮して、早期にそういう不便、分社化の弊害というものの解消に努めるというのがまず第一だと思います。 それから第二は、今度の
法律
で、
貯金
、
保険
の
ユニバーサルサービス
を
全国
の
郵便局
を通じて
提供
するということが新たな
義務
として課されております。したがいまして、これを踏まえまして、お客様の
生活
に密着した
郵政事業
の一体的な
提供
、
郵便
、
貯金
、
保険
の一体的
提供
が可能となるように体制の整備を行っていかなきゃならぬと。 さらに、
株式
の
処分
に向けた
取組
も再開されるわけでございますので、東
日本
大震災復興支援の
観点
からも
日本郵政
株の
株式
の
処分
が期待されているわけでございますので、市場や投資家から
評価
されるための内部統制の仕組みを再構築するとか、一層の収益性を
向上
するとか、安定的な財務基盤を構築するとか、新規
事業
、先ほ
ども
御議論がありましたけれ
ども
、新規
事業
をなるべく、進出をなるべく認めていただくとか、あるいはそのほかの企業との提携関係を強化するとか、いろいろ多くの課題がございますけれ
ども
、基本的には、そういう郵政グループの
企業価値
を高めて、今までベクトルがどちらかといえば下向きであったものを上向きにするということがまず基本的な課題であると思っております。そのために、私
ども
郵政グループは全社を挙げてこれから懸命に努力していきたいと考えております。
難波奨二
114
○難波奨二君 もう少し力強い御決意をいただきたかったというのが本音でございます。是非、社長、私は社長の御苦労も十分承知をしております。しかし、やっぱり
経営
者というものは
経営
哲学というものをしっかり持って、
国民
の皆さんから本当に期待を受けておる
事業
でございますので、そうした
経営
者としてのリーダーシップというものを、やっぱり強く臨んでいただきたいというふうに思いますし、そして何よりも、
国民
の皆さんにもっともっと強いメッセージを発していかないと
国民
の皆さんの
評価
はいただけませんよ。是非そのことはお願いを申し上げておきたいというふうに思います。
最後
の質問になりますけれ
ども
、今回の法
改正
によりまして、公益性そして
地域
性の発揮というものが条文に盛り込まれたわけでございますけれ
ども
、
全国
津々浦々にありますこの
郵便局
の
ネットワーク
の活用というものをもっともっと広くすべきじゃないかというふうに思います。 是非、そういう
意味
で、総務省の方から、
郵政事業
そして行政
サービス
を担う庁としてのお考えをお聞きしたいと思います。
森田高
115
○
大臣政務官
(
森田
高君) お答え申し上げます。 もう先生御承知のように、
郵便局ネットワーク
は、今日では、伝統的三
事業
に加えまして、一部の局におきましてはワンストップ行政
サービス
を執り行うなど、もう
地域住民
から親しまれて、まさに
国民共有
の財産であるという認識でおります。 今次の三党共同提案に
規定
されておりますように、総務省といたしましても、
郵便局ネットワーク
が今後もその公共性、
地域
性が発揮できるように、そして
ユニバーサルサービス
の安定的な
提供
とともに
地域
の住民の
方々
が安心して
生活
できる基盤となってほしいと考えておりますし、現場の
方々
もまた、御承知のとおり、一万人以上の
方々
が防災士の資格を取られたりして
地域住民
の安全性の寄与に貢献しようという気持ちも持っておられることを承知しております。そういう中で、どういうことをやっていくかということ、これは我々にも考えはありますが、ただ、主体的な判断というものは、これは
日本
郵便
の
経営
判断というものに属すると思いますので、それはそれとして、しっかりと行政として見てまいりたいと思っております。 そして、公共性、
地域
性を発揮する際に、総務省として、新規
事業
とかいろんなことが出てくると思いますが、そういった際に、まず積極的に
意見
交換して、中立という基本的
立場
をわきまえながら、しかし支援できるように心掛けたいというふうに思っております。
難波奨二
116
○難波奨二君 早期成立を心から切望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
礒崎陽輔
117
○礒崎
陽輔君
こんにちは。自由民主党の礒崎陽輔でございます。 まず、
法案
提出者の
皆様
には、大変難しい御協議を短時間の間に、かつ双方相当譲り合っていただいて、いい案をまとめていただきました。心から感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。 郵政の
民営化
を後退するものではないかと言う人もいますけれ
ども
、私はそのようには考えておりません。三年ごとに
郵政民営化
は見直すことになっておりまして、ちょっと遅くはなりましたけれど、今回、実情に合った形で郵政の見直しを行うのではないかと私は思うわけであります。 今日の議論も聞いていても、また私
ども
の党内議論でもそうだったんですけど、
郵政民営化
の
推進
派の人そして慎重派の人、ちょっとその
株式
の保有の割合の問題にこだわり過ぎていると私は思います。割合に関係なく、もう既に、ゆうちょ、かんぽ、それぞれ
民営化
のされた
会社
でありまして、
株式
の割合はそう大きな話にはなるのではないと私は考えております。だからこそ、今回の
金融
ユニバーサルサービス
の
義務
付けは
金融
会社
側にはできなかったんですよ。それを
郵便
会社
側にやったというのは、まさにそういう
観点
から、
金融
の
民営化
ということはしっかりやっていこうという精神からそういう私は
改正案
になったのではないかと思うんです。 そういうことを理解しつつ、やっぱり今回の中で、特に郵政の
推進
派の人には何か、ややびっくりしたのは、二十九年の
株式
売却期限の二十九年という数字がなくなったことであります。私もここはいずれ当たらなければならない、今の
株式
の低迷が予想される中で当たらなければならない課題だとは思っておりましたけど、例えばこの二十九年を少し延ばして、五年延ばすとか十年延ばすとか、あるいは二十九年度までにしておいて
一定
の留保
条件
を付けて、これこれこういう
条件
が整わない場合には延期できるんだとか、そういう法制の在り方もあったのではないかと思うわけでありますが、その辺の経緯を教えていただければ幸いでございます。
赤澤亮正
118
○
衆議院議員
(
赤澤
亮正
君) 礒崎
委員
の御質問にお答えをいたします。 先ほど短い時間の中で協議をまとめてというお話をいただきましたときに、一様に提出者の中から、短くなかったんだよなと、協議十二回ありましたので。いずれにいたしましても、努力を認めていただきまして誠にありがとうございます。 郵政にも法令にも大変詳しい礒崎
委員
ですので、回答も
委員
の想定の範囲内のものになってしまうとは思いますけれ
ども
、今回の案では、
金融
二社の
株式
については文字どおり全部を
処分
することを目指し、両社の
経営
状況
、
ユニバーサルサービス
責務の履行への
影響
などを勘案しつつ、できる限り早期に
処分
するということを
義務
付けて、この
規定
の
趣旨
に沿って
日本郵政
が
経営
判断により
ユニバーサルサービス
確保
の責務を履行する仕組みということになっております。
委員
御指摘の、
株式
売却期限の延長や
一定
の留保
条件
を付けることについては、三党協議の場でも様々な議論、例えば、期限を残した場合には、現下の
株式
市場、結構低迷している中で、期限が近づくと買いたたかれて株価が低迷しないかなど様々な議論があったところでございます。 しかしながら、結論において、要すれば、
日本郵政
の
経営
判断に
一定
の制約を加えることになり、
ユニバーサルサービス
の
確保
と両立させることは難しいのではないかということで、期限を残すことにはしなかったという結論に至ったものでございます。
礒崎陽輔
119
○礒崎
陽輔君
長い時間御議論をいただいてそういう結論に至ったということでございますので支持はいたしたいと思いますが、その辺はよく御説明を引き続きいろんなところで行っていただければと考えておるところでございます。 先ほど言いましたように、
金融
ユニバーサルサービス
、ゆうちょとかんぽだけ考えれば、これは三
事業一体
と言っていたわけですね。今回、そのゆうちょとかんぽという仕組みも外して
金融
ユニバーサルサービス
を
郵便局
で行うという形の法制になったわけでありますけれ
ども
、それをさっき言ったような事情で
民間
企業側には課せられないんですね。したがって、これは半官半民の形にある
郵便
会社
なんですね、今回は、
郵便
会社
側に課そうということになったわけであります。 先ほどの質問の中でもありましたけれ
ども
、
法律
的には私それで非常にいいと思うんですが、やや
法律
的にも今言ったような事情でウルトラC的なところがありますので、これだけで三
事業一体
、
金融
ユニバーサルサービス
が担保できるのかなと心配する人も多いと思うんですが、これを担保するのは、一体今後どういうふうに考えて、間違いなく三
事業一体
、
金融
ユニバーサルサービス
の担保としていただけるのでしょうか。
赤澤亮正
120
○
衆議院議員
(
赤澤
亮正
君)
委員
の御指摘のとおりでございます。 今回の案において
金融
ユニバの責務を負う
日本郵政株式会社
は、ユニバの
確保
への
影響
などを勘案しつつ全部を
処分
することを目指し
処分
するとされていることから、
金融
ユニバの
確保
に支障がないように
金融
二社の
株式
を
処分
しなければならないものである。基本的には、
金融
ユニバを維持するための具体的な方策は、この
規定
の
趣旨
を踏まえ、
日本郵政株式会社
の責任と
経営
判断において検討されるべきものであります。 しかしながら、一方で、まさに
委員
御指摘のとおり、それだけで十分当該
サービス
を担保できるのかということが提出者の中でも大いに議論となりまして、
委員
の御指摘も
念頭
に置きながら、最終的には第七条の三に、
政府
においても、
金融
ユニバの責務の履行の
確保
が図られるよう、必要な
措置
を講ずるものと
規定
したところでございます。
礒崎陽輔
121
○礒崎
陽輔君
協議の中で
政府
についても
一定
の責任を与えていただいた、今そういう御答弁をいただいたと思います。これは非常に大事だと思います。あえて何をするのかは今日は聞きませんけど、やはりこの
サービス
全体をきちっと担保するのは
最後
は
政府
でありますから、
政府
の方もよく聞いていただいて、そういう時期には、必要な時期には必要な判断をしていただきたいということをお願いをいたしておきます。 さらに、その点で心配なのが、さっきもちょっと、かんぽは
民間
の
保険
と比べて大変だというような
外務
省の御答弁もありましたけど、ある
意味
、
郵便
貯金
が、あるいは簡保
事業
が引き続き
郵便
事業
の重荷を負うんじゃないかという心配があるんですね。ここは正直なところ、そういうところもあると思うんですよ。 これはまた今までとは少し違った方法ですが、引き続き
金融
二社には手数料を負担してもらわなければならない。もちろん、その手数料は適正ですかと聞けば、それは適正な手数料ですよということしかお答えはできないと思うんですけどね。ただ、ここは非常に問題なわけで、将来やっぱり一〇〇%
株式
を放出して完全
民営化
したときに、株主代表訴訟なんかで、この手数料はちょっと高過ぎるんじゃないかななんかいって訴訟が起こされる、そんな心配が私はなきにしもあらずだと思うんですね。 そうならないように、やはり
経営
をまず
郵便
側にしっかりやってもらうのがまず一番であろうと思いますが、その辺について、提案者の中で、提出者の中でどういう御議論があったのか、お聞かせ願いたいと思います。
赤澤亮正
122
○
衆議院議員
(
赤澤
亮正
君) 現在、
郵便局会社
の収入の多くを
金融
二社からの委託手数料収入が占めております。今回の案は、
金融
二社からの継続的な委託を担保することで、将来にわたる
郵便局ネットワーク
の維持に資するものでございます。
金融
二社及び現行では
郵便事業会社
が支払う委託手数料の額については、事務費用、それから営業戦略などを勘案して算定していると伺っているところでございます。 今回の案では、
金融
二社から
日本郵便株式会社
に対して支払われる委託手数料に関連をいたしまして、
銀行
・
保険
窓口業務
契約の
届出制
、そして
日本郵便株式会社
の
事業
計画の
認可制
を通じて区分収支の結果などと対比の上、委託手数料が適切かどうか行政としてチェックをする仕組みを併せて講じているところでございます。 以上のように、
金融
二社が支払う手数料に関しては様々な
措置
が講じられておりまして、これらの制度を適切に運用することで御
懸念
の問題が生じないようにしてもらいたいというふうに考えているところでございます。
礒崎陽輔
123
○礒崎
陽輔君
その辺が非常に大事な議論なんですね。率直に言って、そこのところが今後の大きなまだ課題だと思います。 三
事業一体
、
サービス
面の三
事業一体
はもう大歓迎でありますけれど、今の
郵便
の実態を考えれば、ずっとやっぱり今までの長い間郵貯に
経営
的には寄りかかっていた、そういう性格がやっぱりあると思うんですね。それがやはり今回の
法律
で少しでもすっきりするようになればいいと思いますが、この辺は少しまだ議論が私は残されているだろうと思いますので、関係各党でよくこの辺も議論が進めばと考えているところでございます。 じゃ、今の
経営
の問題に少し入ってまいりたいと思います。
日本郵政
の方にお伺いしたいんですが、
郵便
の
改革
、
郵政改革
、いろんな暗い側面もあって、いろんな大議論もあったんですが、明るい話としては、
郵便局
がもっと明るい
郵便局
になるんだということ。明るい
郵便局
というのは、いわゆるワンストップ化が進んで、コンビニ化が進んで、多くの
国民
、住民が
郵便局
に通うようになって、いろんな人が
郵便局
に来て、いろんな
サービス
が
提供
できる、そういうワンストップ化ということがあったと思うんですが、これは当初の
状況
、予測されたとおりに私は全く進んでいないと思います。 全くやっていないことはないと思うんですね。一生懸命やっているところもあると私は聞いておりますけど、
郵便局
全体を見たら、まだそのワンストップ化、コンビニ化が進んでおるというような
状況
じゃありませんけれど、一体どうしてこれが余り進んでいないのかという、どういう障害があるのかということと、そして、あるいは今後それに対して一生懸命取り組むお考えがあるのかと、取り組むお考えがあるのならばどういうふうにお取り組みしていただけるのかということを齋藤社長にお伺いいたしたいと思います。
齋藤次郎
124
○
参考人
(齋藤次郎君) 私
ども
、いわゆる
郵便局
のワンストップ化とかコンビニ化という方向について懸命に努力をしていることは確かでございます。ただ、実際には種々の難しい点がございます。 具体的に申しますと、例えば公共
サービス
を受け付けるということでございますけれ
ども
、その場合、当然、手数料がある程度掛かるわけでございまして、これにつきましては、実は
地方
公共団体の受託を取り扱っておりますけれ
ども
、なかなか
コスト
面で折り合いが付かないという問題が現実にございます。ただ、今懸命に努力をしておりまして、二十三年三月末現在は約四千局がそういう扱いをするようにまで進んでおりますので、今後この方向を一生懸命進めてまいりたいと思います。 また、年金加入記録の交付業務を請け負うということも国との契約でやっておりますけど、これも二百四局で今試行的にやっておりますけど、これも実は予算の問題がございます。ただ、これも今後懸命に努力をしてまいりたいと思っております。 また、その他の
新規業務
としては、カタログの販売
事業
とか店頭の販売
事業
とか総合
生活
取次ぎ
サービス
とか広告
事業
については、全ての
郵便局
で扱っております。これにつきましても懸命に努力をして、やや順調に伸びているとは申しますけれ
ども
、何分、基本的な
郵便
、それから
貯金
、
保険
の
事業
の
推進
に伴う委託手数料のウエートが高いものですから、まだまだウエートは小さいわけですけれ
ども
、私
ども
は、これから私
ども
郵政グループの仕事を
国民
のライフサイクルに合わせて、出生からお亡くなりになるまでの間あらゆる面でサポートする企業に育てていきたいと思っておりますので、その
意味
で、このワンストップ化とかコンビニ化というのは重要な仕事だと思っておりますので、これからも懸命に努力していきたいという具合に考えております。
礒崎陽輔
125
○礒崎
陽輔君
今の過疎化の
状況
を考えたら、市町村も合併をしたし、農協も合併したし、商工会も合併した。本当に頼れるのは
郵便局
だと私は思います。だから、なかなか難しいこともあるかもしれませんけど、社長、難しいと言わぬで、どうかしっかり、今言ったワンストップ化、コンビニ化頑張って、
郵便局
変わったなと思われるような新しい
郵便局
目指して頑張っていただきたいと思います。 さっきのお話に少し戻りますけど、やっぱり
金融
二社の
株式
は私は売却してもらわなきゃならぬと思うんですね。今回、決して売却しないと決めたわけじゃない。そうすれば、今すぐ売れば
株式
が低迷して私は売れないと思います。それは率直に思うけれ
ども
、今後どうやって株価を維持するか、これは
経営
良くするしかないと思いますけれ
ども
、やはりどういう工程で
日本郵政
の判断として、特に
金融
二社を中心とした
株式
を売っていくのか、これをやっぱりはっきりと
国民
に示していかないと、ずるずるずるずる行ってしまう。今回の
法案
でも、別に売却しなくていいということを決めたわけでは決してないわけでありまして、全部売却の方向で議論を進めようということを決めたわけでありますから、その辺の今後の
株式
売却の見通し、工程、そういうものを明らかにしていく責任が
日本郵政
にあると思いますが、社長、いかがでしょうか。
齋藤次郎
126
○
参考人
(齋藤次郎君) 御指摘のとおりでございまして、本
法律
が成立しました後、まず、私
ども
郵政
株式
会社
の
株式
の売却、これは
政府
保有でございますから、これにつきましては、
政府
ともよく相談をしながら、できるだけ早期に売却できるように工程表も作っていかなければならないと思います。そのためには、今いろいろなベクトルが負の方に向いているのをまず正の方向に転換するためにあらゆる努力をするという、言わば収益性の
確保
の問題がございます。 それから、さらには、市場の動向をどう判断するかといういろんな問題がございますけれ
ども
、
株式
上場に際しては、まず中期の
経営
計画というのを作らなきゃなりません。したがいまして、そのための中期ビジョンの策定、中期
経営
計画の策定ということをまずやり、それに合わせてどういう過程で、できるだけ早期に
株式
を売却するための工程表も作らなければならないと思っています。それは今後私
ども
に課せられた非常に重要な課題だと思っておりますので、それを達成するために懸命の努力をしていくことをここでお約束したいと思います。
礒崎陽輔
127
○礒崎
陽輔君
お話を伺っていて、きちっとやっぱり
経営
を固めることが大事です。それは私もそう思いますが、やっぱり
民営化
に期待する
国民
の気持ちがあったわけですね。その中で新しい
郵便
事業
が展開されることを
国民
も願っていたわけでございまして、やはり
経営
を固めて、昔の三
事業
でいいというのであれば何をやったか分からぬわけでありますから、ここはしっかりと
民営化
の方向は私はぶれないでやっていただきたいと思うんです。 そこで、
総務大臣
にお伺いいたしますけれ
ども
、そういう今社長のおっしゃることも分かることがあるんでありますが、やっぱり
民営化
の成果を出すように国としてもしっかりと指導していく責任があると思うんです。
国民
があれだけ期待した
郵政民営化
、今回、今の
状況
にあって少し調整はしましたけれ
ども
、方向性は私は変えるべきではないと思うわけであります。それに対して、まださっき言ったようなワンストップ化、コンビニ化も含めてなかなかまだ成果が出ていない
状況
でありますから、総務省として、この
状況
をどう認識して、今後どういう方向に持っていくというように指導していこう、あるいはお互い話し合っていこうと考えているのか、
総務大臣
にお伺いしたいと思います。
川端達夫
128
○
国務大臣
(川端達夫君)
民営化
の
趣旨
という
意味
でいえば、自由な、いろんな制約を可能な限り取り払う中で、
民間
の
経営
手法、
コスト
意識をしっかり認識する中で、健全な利益が出る
経営
体質を持つこと、そして、それが
利用者
にとっても
自由度
拡大
の中で多様な
サービス
が
提供
され、利便性が
向上
されると、この期待は非常に大きいというふうに思います。 そういう中で、いろんな
検証
の結果、今日、いろいろ御議論いただいて
議員
立法の形でこういう
法律
が出され、そして今
審議
できている
状況
まで至った関係者の皆さんに、私も担当者としては大変感謝を申し上げたいというふうに思います。 そういう中で、御指摘のように、やはり
民営化
の成果の実感というのが
国民
はまだ十分というよりも余り感じていない部分も多くある。むしろ、いろんな不自由が起こったということがいろいろ言われました。それは今回の法
改正
、成立されれば大きく改善をされるというふうに思いますし、
経営
の方向も体制もはっきりするということでは、
経営
としてしっかりその部分は社長以下頑張っていただきたい。 同時に、もう
一つ
の社会的責任という
意味
で、
地域
性、社会性の
向上
と同時に、
ユニバーサルサービス
の
確保
というのも大きな使命として残されております。これは両立させなければいけないということでの仕組みでありますが、困難も多いというふうには思いますが、これを乗り越えてこそ、この
郵政事業
が今日を迎えた部分、これから進んでいく大きな責任と使命だというふうに思います。 私は滋賀県出身ということで、近江商人というのが有名であります。近江商人が江戸
時代
に、普通、商人というのは質素倹約とか誠心誠意とか言うんですけど、三方よしということを家訓として語り継いできました。売手よし、売って当然もうけなければいけない、利益を出さなければいけないと、売手よし。買手よし、これは、買手は適正な値段でいいものを手に入れたという買手よし。普通これで終わりなんですけど、近江商人は、そして世間よしと言いました。まさに
郵政事業
はこの世間よしという使命を負っているということをしっかりと我々としては、この健全な
経営
と適切な
サービス
、ユニバーサルを含めた
提供
と同時に、世間、社会に対していかに存在が
評価
されるかという、この三つの
観点
でしっかりと監督指導してまいりたいと思っているところでございます。
礒崎陽輔
129
○礒崎
陽輔君
私は
郵政民営化
の方向は正しかったと思いますが、ただ、この過程において、政治的、
経済
的、あるいはいろんな面で社会的なしこりを残してまいりました。今回のこの
法律
の成立によってそのしこりが解けて、しっかりといい方向へ進むことを皆さんとともに期待をして、質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。
片山虎之助
130
○
片山虎之助
君 ありがとうございます。それでは質問を始めます。時間が短うございますので、端的に簡潔にひとつ御答弁をお願いいたしたいと思います。 私は、この郵政見直し
法案
が三党の共同提出でここまで参りまして、近々に成立するということに、大変
個人
的な思いとしてはうれしく思っているんです。ほっとしているんです。 そういう昔話をすぐやるのは年のせいでもあるんですが、十年前に私が
総務大臣
のときに、国営
事業
であった
郵政事業
を
日本郵政
公社に直したんですよ。あれから十年ですよね。その間、いろんなことがありました。もう長くなるから言いませんが、
郵政事業
がもみくちゃになった、ある
意味
ではね。今の
状況
は私は大変中途半端だと憂えておったんです。
経営
はうまくない、
サービス
は低下する、職員の皆さんのインセンティブはなくなる。こんなことで、長い間の国の財産とも言ってもいい、資産とも言ってもいい
郵政事業
がこれでいいのかなと。やっとこれがここで一段落するというのか、いい方に向かう、大変私はそれはうれしく思っているわけであります。 そこで、まず総論としての質問をさせていただきますが、この
法案
が成立すればどう変わりますか。今の
郵政事業
はどう変わる、端的に言って。
国民
にはどういうメリットがある。提案者、お願いします。
森山裕
131
○
衆議院議員
(森山裕君) 片山先生に簡潔にお答えをいたします。 今回の
改正案
のポイントは、大きく二点あると思っております。まず
一つ
は、
郵便事業会社
と
郵便局会社
が分社化しておりますので、その弊害というものが解消できるということが
一つ
あると思います。もう
一つ
は、
金融
ユニバーサルサービス
が
確保
できるということであろうと思います。この点によりまして、多様で良質な
サービス
の
提供
を通じた
国民
の利便の
向上
及び資金のより自由な運用を通じた
経済
の活性化等が図られるものと理解をいたしております。 以上でございます。
片山虎之助
132
○
片山虎之助
君 いろいろ議論はありますが、これ以上は言いません。 そこで、今日もずっと議論になっておりますね。今回の見直し
法案
の
一つ
のポイントは
金融
に
ユニバーサルサービス
を
義務
付けることですよね、
一つ
は。そのために、これまでの
政府
提案では三分の一超の
株式
を保有することになっておったんです。それをやめるわけでしょう。今度の見直し
法案
では、場合によっては、最終的には
経営
判断なんだけれ
ども
、全部売れると、できるだけ早く売れと、こういうことでしょう。そうしながら、同時に
ユニバーサルサービス
を
義務
付けるんですよ。そこが一番のポイントで、どうやって、それじゃ、
経営
判断によってはもう全部売っちゃおうと、こういうことになるかもしれない。その場合に、
ユニバーサルサービス
の担保ができますか。いろいろ先ほ
ども
御答弁ありましたけど、分かりやすく言ってください、端的に、提案者。
赤澤亮正
133
○
衆議院議員
(
赤澤
亮正
君) これまで様々な御指導をいただいております片山
委員
の御質問にお答えするのは大変光栄でございます。また、先ほど述べられた本当にあの熱い郵政に対する思いは、私
ども
共有をするところでございます。 御指摘のとおり、今回の案では、全部
処分
することを目指し、
処分
すると書いてありますが、あくまで
金融
ユニバの
確保
に支障がないようにということですので、
経営
判断で売ってしまってから
確保
できないというようなことを今おっしゃったけど、そうならないように
経営
判断をきちっとしてもらわなきゃいけない。 具体的なお尋ねは、
金融
ユニバの
確保
に支障がないように、
金融
二社の全ての
株式
を
処分
することがあり得るのかということだと思うんですが、私
ども
は、将来的には、
郵便貯金銀行
、
郵便保険会社
以外の
銀行
、
保険
会社
を関連
銀行
、関連
保険
会社
とするような場合でありますとか、あるいは
郵便貯金銀行
、
郵便保険会社
の新たな株主が
日本郵政
の出資を受けた関連
会社
である場合など、
金融
ユニバの責務を果たす上で支障がないと
日本郵政
が判断し得る場合には、
金融
二社の全ての
株式
を
処分
することも想定されるというふうに考えているところでございます。
片山虎之助
134
○
片山虎之助
君 それがまたいろいろ議論があるんですが、
処分
する可能性は残るわけです、全部の。しかし、
処分
しなくてもいいわけでしょう。そこは
経営
判断なので、その
経営
判断の中心になるのは何ですか。
赤澤亮正
135
○
衆議院議員
(
赤澤
亮正
君) そこは、今
処分
しなくてもいいんでしょうという御指摘があったので、ここはちょっとお答えしておかなきゃいけないのは、これ努力
義務
にしたとかいろいろ言われますが、明確に、できる限り早期に全株
処分
を目指して
処分
をするという明確な
義務
は掛かっております。そのことは指摘をさせていただきます。
経営
判断の上でどのように考えていくかということでありますけれ
ども
、これは御質問の
趣旨
正しくとらえているかどうかですけど、
一つ
には
ユニバーサルサービス
の
確保
ということはもちろん大きなポイントとして入ってまいります。あわせて、これは
株式
を売ることで得られる資金を有効な資源として活用して
会社
の更なる
事業
の展開を図るというようなことも考えられますし、その辺のことは、私から逐一申し上げるよりは、
会社
の
経営
判断に委ねられているということだと思います。
片山虎之助
136
○
片山虎之助
君 そこで、この
日本郵政
の
株式
の売却は、震災の
復興財源
ということをある程度想定されている、予定されているわけですよね。そうなると、高く売れる方が私はいいと思うので、高く売れるというためには
日本郵政
の
企業価値
が、グループの
企業価値
が高くなきゃいかぬ。高くなるためには、三
事業
が健全でですよ、そういうことでなきゃいかぬ。いろんな業務も可能性としてはやれるということでなきゃいかぬ。
新規業務
に出ていけるということなんですよ。そういうことが企業の価値を高めて、高く売れるので、そこでできるだけ
民間
とイコールフッティングにしなければなりませんが、しかし、そこはいろいろ考えないかぬ、いろんな制約を被るんだから。特に、
ユニバーサルサービス
を
義務
付ける、
ネットワーク
を維持しろというのは大変
コスト
が掛かるわけなので。 そこで、そのいろんな
規制
をやっていますよね、例えば、株を五割以上売るまでは
新規業務
に進出するには
認可制
だとか、
民間
そうじゃないでしょう、五割を過ぎたら
届出
でもいいとか。これについてはアメリカその他ではいろいろ言っていますよ。いろいろな文句というのか、いろいろなことを言っておるけれ
ども
、しかし、そこのところは私はできるだけトータルでの
自由度
を与えた方がいいと思うんですよ。余り
民間
と差があっちゃいけませんよ。そこのところはどうお考えですか。
赤澤亮正
137
○
衆議院議員
(
赤澤
亮正
君) 大変多くの論点について御指摘をいただきましたが、やはり
自由度
を高めていくということで、郵政の、特に
日本郵政
の株、これはもう三分の一超を残してできる限り早期に
処分
するということは当初の
民営化
法案
と変わらない、ここはもう
復興財源
に充てられるということで、本当にそこは急ぐ。 そのためにも、郵政グループ全体としての
企業価値
を高めるために少しでも
自由度
が必要であるという議論はそのとおりでございますが、一方で、これは他の
金融機関
とのイコールフッティング、当初からありました議論、
民業圧迫
のおそれといったようなものも、これについてはきちっとした
配慮
をしていかなきゃいけないというバランスの中で考えていくべきものであるというふうに理解をしております。
片山虎之助
138
○
片山虎之助
君 そこで、今回は五社が四社になる、
郵便局会社
と
郵便事業会社
が一緒になりますよね。正規社員が二十万の巨大
会社
ですよ。この巨大
会社
が十分に機能していくためには、
一つ
はガバナンス体制をきっちり整備することと、もう
一つ
は
透明性
の
確保
ですよ。
透明性
については
情報
公開か何かの
規定
があるようですけれ
ども
、ガバナンス体制の方の見直しはどうされますか。これは、
日本郵政
、御答弁ください。
齋藤次郎
139
○
参考人
(齋藤次郎君) 確かに、先生がおっしゃるように、巨大化に伴う御心配であろうかと思います。これは釈迦に説法みたいなことになって恐縮でございますけれ
ども
、私
ども
は実は、かつて
日本郵政
公社
時代
に、更に
郵便
と
保険
も含む一体としての
経営
を、完全な
民営化
会社
ではございませんが、企業体としての
経営
という実は経験を持っておりまして、そのノウハウを今後とも生かしていきたいという点が第一でございます。 それから、今までは分社化の弊害ということで、両社の指揮命令系統が複雑であったり、あるいは間接
コスト
がいろいろあったり、指揮命令がなかなか行き届かなかったりということがありますけど、これはむしろ、これが統合されますとその点が非常に
効率化
されますので、ガバナンスの点でも有利な点があると思います。したがいまして、先生の御心配の点をよく踏まえて、ガバナンスには遺漏がないようにしていきたいと、そこの点はしっかりやっていきたいと思っております。
片山虎之助
140
○
片山虎之助
君 齋藤社長というのは、私昔からよく知っているんです。ぼそぼそっと言うけど、やるときはばさっとやるんですよ。あなた、ばさっとやってくださいよ、答弁はぼそぼそで結構ですけれ
ども
。 そこで、今の
郵便局
で、
小規模郵便局
、二人ないし三人というのが半分以上なんですよ。これが一番、この
郵便局
の存在が大変これは重要なんですね。
地方
や過疎、辺地というのは本当にこの
小規模郵便局
、頼っているわけなんで、これをどうやって効率的に、これがやっぱり五社体制でややこしい
民営化
なものだから大変機能していない面があったんですよ。これをどうやって効率的に機能させるか、そういうことがこれからのポイントだと思いますけれ
ども
、どうですか、齋藤さん。
齋藤次郎
141
○
参考人
(齋藤次郎君) 今御指摘の小
規模
な三名以下の
郵便局
というのは、実は二万四千のうち九千八百五十一局、約半数あります。したがいまして、この小
規模
な
郵便局
をいかに効率的に運営するかというのは確かに非常に重要な視点でございます。 実は、従来、個局単位といいますか、
郵便局
単位で活動しておりましたけど、これを今度、今年度から言わば
改革
をするというか、革命を、ちょっと革命的な変更を行おうと考えておりまして、
一つ
は、
郵便局
を十とか十五とか支部単位にまとめてエリア単位の
郵便局
運営を行おうということで今制度
改革
を始めております。これは、それぞれの小
規模
な
郵便局
がいるエリア全体をとらえて、ある地区に重点的に運営を行うとか、あるときはその個局の人員をそちらの方に応援してもらうとか、エリア全体として
郵便局
運営をやっていこうということで、それを今年度から始めることにいたしておりますので、その点は御期待いただきたいと思っております。
片山虎之助
142
○
片山虎之助
君 そこで、この
小規模郵便局
の
金融
検査なんですよね、
金融
庁というのは厳重ですから、余りごしごしやられると
小規模郵便局
は困っちゃうんですよ。
金融
庁、どうですか。
中塚一宏
143
○副
大臣
(中塚一宏君) お答えいたします。 従来より
金融
庁におきましては、検査監督は当該
金融機関
の
規模
とか特性を踏まえて対応しているところでございます。先生お尋ねの、その小
規模
の
郵便局
がいわゆる
銀行
代理業ということである場合においても、
銀行
代理業者自身への監督はこれは所属
銀行
に対する監督に重点を置くと、まずは所属
銀行
への監督を通じて
銀行
代理業が営む
銀行
代理業に係る業務の適切かつ健全な運営が
確保
されるように監督を行うということになっております。 いずれにいたしましても、
国会
での議論や
郵政事業
に係る
役割
の
確保
に関する
規定
が設けられたという、そういう
趣旨
に鑑みまして、できる限り業務の円滑な遂行に支障が生じないように
配慮
してまいりたいと、そう考えております。
片山虎之助
144
○
片山虎之助
君 もう時間がなくなってきましたんですが、
日本
がこの郵政見直し
法案
が
審議
に入りましたら、四月六日にアメリカで、米国
生命保険
協会
だとか商工会議所の連合会みたいなところが、まあ抗議声明なんでしょうかね、共同声明を出したんですよ。アメリカさんはこの
保険
、かんぽを中心に郵政に大変な関心を持っているんですよ。USTRの次席か代表か知りませんが、アメリカの関係業界や連邦議会は大変な関心を持っているというのは、慎重にやれということなんですね。それは、今の公的な関与を残しながらいろんなことをやらせるのはいかぬと。彼らはがん
保険
や住宅などいろいろなことを考えているのかもしれませんよ。そういうことのあの共同声明見ますと、大変な、中に
誤解
もいっぱいあるんですよ。そういうことをちゃんと私は晴らす必要があるんで、TPPに入る入らないは別ですよ、まあ向こうはTPP参加交渉ということを前提に今いろいろなことを言っているんだけれ
ども
、これは
日本
政府
としての何らかの対応を取る必要があると思いますけれ
ども
、
総務大臣
、どうでしょうか。 それから、近々に野田さん行かれるんでしょう、アメリカに、二十九日か何か知りませんが、来月早々まで。是非、その妙な
誤解
あるいは偏見というのが仮にあるとすれば、それは晴らすことが日米関係のために必要だと思いますけれ
ども
、どうでしょうか。
川端達夫
145
○
国務大臣
(川端達夫君) 御指摘のように、この
審議
が
日本
で動き出してから以降は、今お触れになりましたが、米国
生命保険
協会
等十六団体連名の共同声明のほか、関係団体のいろんな
懸念
の意向が表明されております。同時に、
政府
間においても、これは四月の十日、ワシントンDCに玄葉
外務
大臣
が訪問のときにカーク通商代表と会談を行った中でも、
保険
の部分で強い関心があるという旨の表明がありました。こういう部分と、また一方で、TPPに関する事前協議の部分での
政府
間事務レベル協議等々でも、
保険
に関しては関心があると。これは、米国としては、いわゆる関係業界団体のいろんな
意見
聴取を踏まえて
政府
として対応しながら引き続き
日本
とは協議をしたいということのお話があります。 先生御指摘のように、
誤解
等々に関しては解かなければいけないというのは確かに非常に大事なことであります。総理がどういう形でというのはまだ詳細に我々把握している段階ではありませんけれ
ども
、総理云々を前提とせずにでも、事務方含めては正しいことはしっかり伝えてまいりたい。 同時に、今回の三党協議においても、この
民間
のものを圧迫、
民業圧迫
をしないという前提の中の
制度設計
として、いろんな、先ほ
ども
御議論ありました制限
条件
とか
配慮
事項等々、かなり手間暇掛けた形を取っております。 そういうことで、WTOには抵触しないという
政府
の基本的な姿勢も含めて、
誤解
を解くことも含めて、粘り強く丁寧に対応してまいりたいというふうに思っております。
片山虎之助
146
○
片山虎之助
君 もう終わりますが、早急な成立を祈って終わります。頑張ってください。終わります。
片山さつき
147
○
片山さつき
君 今、TPPあるいはWTOとの関係で、最近のUSTRの
保険
分野には関心があるという
発言
、あるいは海外十六団体からの反対声明等、いろいろな議論が今もありましたが、私も長年日米交渉をやってまいりまして、ちょっと認識甘いんじゃないのかなという感じが非常にしております。 このままでは、特にかんぽの問題が、野田総理がもう信念を懸けておやりになるとおっしゃっているTPPの問題の阻害要因になるという話がかなり顕在化しておりまして、恐らくこのゴールデンウイークの総理訪米の間にもTPPの進展はないのではないかと言われておりますが、これは我々自民党としても、この
郵政民営化法
の
改正案
をまとめていく上で大変苦渋の選択もしましたし、衆議院では進次郎君が造反したり、いろいろ犠牲も払ってやっているわけですよね。 その上で、米国との交渉はこれは政権与党しかできないんですね。ですから、初めからこれはもう三〇〇%
外務
省がきちっとその部分は責任を持つと言っていただかなければおかしいんですが、
外務
省、いかがなんでしょうか。
山根隆治
148
○副
大臣
(山根隆治君) 御質問ありがとうございます。 先生の御指摘でございます。これは、私
ども
は様々な米国内における業界の声というものも聞くことがあるわけでありますけれ
ども
、私たちはアメリカ
政府
との協議の中で、それらの米国内における様々な声、業界の声等を聞かれて、それを把握された上での交渉ということで私たちはアメリカ
政府
と交渉をしていくということになるわけであります。
片山さつき
149
○
片山さつき
君 ちょっと今のお答えでは、とても何らかの判断や責任を持っているという感じが見えないんですが、まあちょっと今日は時間があるので、
総務大臣
に次はお聞きしますが。 ここに電電公社を
民営化
したときの参議院の逓信
委員会
の
附帯決議
がございます。昭和五十九年、ここに、いささかも疑惑を招くことなく、
株式
が特定の
個人
、法人へ集中せず、広く
国民
が所有できるようにやるんだと、売却は、ということになっておりまして、実際、NTTが上場してから六回全部公募なんですよ。私も五次と六次は担当しておりましたが、これが実はいろんなバイアスに対するブロックになってくれたんですね、広い
意味
で。 ですから、当然、
国民
の貴重な財産という
意味
では電電公社の資産にしても郵政の資産にしても同じですから、今後、
日本郵政
の株を三分の一までは、三分の一は保有
義務
がありますから、売っていく。それから、このゆうちょ
銀行
、
かんぽ生命
にしても、これも郵政三
事業
のころからの
国民
の貴重な財産ですから当然同じ理念が適用されるわけでございまして、少なくとも
政府
としては、基本としてはこれは広く
国民
に株を持っていただく、そういう形が原則なんだよという見識を示すべきではないかと思うわけでございます。 今回の
改正
でもこの百六条は変えていないんですね。それから、
平成
十七年の延々とした
郵政民営化法
の議論のときにも、この参議院の
委員会
の
附帯決議
でも、ほかの
民間金融機関
の例と同等に、同様にのレベルでは
経営
判断で株の持ち合いはできると、これは先ほどの議論からも。ただ、さすがにそれを超えて、二分の一売り切るまでの、上場もしないとか、あるいは上場をしてもどうせ二、三回に分けなければ吸収できませんから、そのうちの一回、二回分ははめ込みだ、クロスホールディングだということになると、これは今の
金融
のルールでダブルギアリングですから自己資本から引かれちゃうし、それから
日本
郵便
がそれを持つということになると、二割持ったら大口株主になって
金融
規制
の下に服しますから、大体そういうことが現実にできるとも思えないんですが。 そういった疑念も晴らす上で、第一条の
目的
、
民間
に委ねるべきものは
民間
にとの
郵政改革
の
基本理念
を変えていないわけですから、その範囲内での持ち合いしか認められないのではないかと思いますが、
総務大臣
としての御見解を伺います。
川端達夫
150
○
国務大臣
(川端達夫君)
日本郵政
の
株式
とともに、ゆうちょ
銀行
、それから
かんぽ生命
の
株式
が
国民
の貴重な財産であることは御指摘のとおりであります。したがいまして、その
処分
に当たっては、
国民
全てが平等に購入できる
株式
上場の形を取ることが重要であると認識をしております。 御指摘のいわゆるグループ内での
株式
持ち合いにつきましては、例えば
日本郵政株式会社
がその一〇〇%子
会社
である
日本郵便株式会社
に対し
金融
二社の
株式
を市場を通さずに直接相対で譲渡するようなことは、
日本郵政株式会社
の
金融
二社に対する関与が実質的に断ち切れたとは言い難く、
上乗せ規制
の緩和解除を狙った脱法的な行為との批判を免れず、適切ではないというふうに思っております。 しかしながら、
一般
の
民間
企業は
金融機関
の
株式
を関連する
法律
の範囲内において
経営
判断により取得可能であり、
日本郵政グループ
についても、御指摘の
附帯決議
にあるとおり、他の民有
金融機関
の例と同様に、市場を通じて
法律
の範囲内で可能な
株式
の取得するところまでは許容されるものと考えております。
片山さつき
151
○
片山さつき
君 今の
総務大臣
の答弁は記録に残す
意味
でも非常に大きいです。つまり、原則上場だと、東証に上場するんだと。そのためにはいろんなことを満たさなければいけない。その上で、
日本郵政
、
日本
郵便
、そしてその指示による市場を通さないような不透明な株の持ち合いはないと、これをきちっとアメリカに説明すると大分違うのかなと。その辺が非常に曲解されておりますし、今の答弁がなければ今日ここまでの議論でもそのことは一回もクリアになっていませんから、今の
総務大臣
の答弁は非常に大きかったと思いますので、
外務
副
大臣
への再質問はしません。 次に、じゃ、もう一回
総務大臣
にお伺いしますが、二〇〇九年の政権交代後、株の売却を凍結してしまったということが、私は非常に
自由度
を高める上でもビジネス展開の上でもマイナスだったと思っております。今ここでこの
法律
によりそれが解除できるのは一番大きな進歩、進展でございますが、当時の亀井
大臣
によって、この
経営陣
の中に官庁OBの比率が非常に増えたんですね。官庁
時代
は大変優秀な官僚の
方々
ばかりだったと私も思わないわけではありませんが、ただ、この二年間の間に、
民間
との提携ビジネスとか、具体的にどういうプラスの収益効果をおもたらしになったと見ておられるんでしょうか。その辺から考えて、やはりもう
民営化
するというこの
法案
が通るわけですから、天下りの弊害を除き、
民間
経営
にたけた
経営陣
とするということを監督
大臣
として是非言っていただきたいと思います。
総務大臣
。
川端達夫
152
○
国務大臣
(川端達夫君) 御指摘のように、
日本郵政株式
処分
凍結法の施行の後は、
金融
二社の
新規業務
への進出が実質行えなくなりました。したがって、この分野の
新規業務
となるような提携ビジネスは行えておりません。 そういう中で、
民間
との提携ビジネスの具体例としては、
郵便
事業
株式
会社
と
株式
会社
ニッセンとの包括提携、あるいは
郵便
事業
株式
会社
と楽天オークションやeBay、これは米国のオークション
会社
との、通販
事業
との提携などが挙げられておりますが、大変大きな収益の貢献ということの
評価
は、そこまでは言えないというふうに思っております。 御指摘のように、余り弊害というのがある場合には、それは是正をしなければならないのは当然のことでございまして、
民営化
の意義の
一つ
に、
民間
の
経営
手法と
経営
感覚と
コスト
意識含めたものでしっかりと
経営
が、先ほど申し上げた収益が上がるように体質改善をし、ビジネスを広げていくというのが
趣旨
でございますので、
民間
的な
経営
に秀でた者が登用されることは望ましいと私は考えております。
片山さつき
153
○
片山さつき
君 本件は我が党も共同提案者でございまして、こうして
審議
を行っておりますが、現在参議院では防衛
大臣
、国土交通
大臣
への問責が可決されておりまして、そのことの重みを
内閣
の一員として、
総務大臣
、どうお考えかをお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
藤末健三
154
○
委員長
(藤末
健三
君) 時間が過ぎていますので、簡潔にお願いいたします。
川端達夫
155
○
国務大臣
(川端達夫君) 参議院のハウスの問責の決議というのは極めて重いものだというふうに認識をしております。その
意味
を踏まえて、反省すべきことは反省しなければならないというふうに受け止めております。
木庭健太郎
156
○
木庭健太郎
君 公明党の
木庭健太郎
でございます。
発議者
の
皆様
方、おまとめにこの
改正案
をなられ、そして参議院でも今日こうやって
質疑
ができると。先ほどの理事会で、この
法案
につきましては木曜日にもう一度
質疑
をさせていただき、そこで決着を図ろうというところまで参りました。これまでの御努力に心から敬意を表し上げるとともに、今日は、細かい点幾つかございますが、ちょっと
質疑
をさせていただきたいと思います。 まず、この法
改正
をするときに、みんなでやらなくちゃいけないねという話になった
一つ
の理由は、やはり民営・分社化によって現場には様々な
問題点
も出てきた、現場のそういう悲鳴のような声に対してもやはりこたえなければならないという視点があったというふうに私
個人
は理解をしております。例えば、次のような
問題点
が指摘されておりました。 例えば、総合担務、いわゆる
利用者
の利便性
向上
のために
外務
職員が一日の勤務の中で
郵便
、
貯金
、
保険
の三
事業
を担当すると、これは廃止をされました。また、
郵便
事業
株式
会社
は
金融
二社の業務委託を受けていないことにより、配達途中の
郵便
集配社員に
貯金
の依頼等ができなくなった、これが
一つ
でございます。二つ目は、
郵便
物の不着、つまり届かないという申告について、
郵便局
に問い合わせても、配達を行っているのは
郵便
事業
株式
会社
であるため要領を得ないということが頻繁に起こってきた。三つ目は、運送
事業
の登録を受けていない
郵便局
株式
会社
の社員は小包の集荷ができず、機動的な集荷
サービス
が期待できなくなった。こういったことが実際の現場で起こってきたわけでございます。 それでは、今回のこの法
改正
によって以上のような
問題点
はどのように解消されて、言わば
国民
にとってどのような利便性が
確保
されるのか、
発議者
からお伺いしておきたいと思います。
斉藤鉄夫
157
○
衆議院議員
(斉藤鉄夫君) 木庭
委員
にお答え申し上げます。 初めに、三党の実務者に対しましてねぎらいのお言葉を賜り、心から感謝を申し上げます。 先ほど
委員
が御指摘になりましたような
問題点
がございました。今回は、合併して生まれる
日本郵便株式会社
におきまして総合担務が可能となるというふうに法
改正
いたしました。したがいまして、先ほど御指摘にあったような
問題点
、いずれも解決をいたします。 例えば、
郵便局
の
窓口
まで出向くのが難しいお年寄りが、自宅まで
郵便
物を配達に来た社員に
貯金
の取扱いを依頼するということも可能でございます。また、
地域
の実情に詳しい
郵便局
長さんに気軽に小包の集荷を依頼するということも可能でございます。また、
郵便局
に行ったときにどの
窓口
でも
郵便
の取扱いについて的確な説明を受けられると、このような具体的な改善点があると思っております。
木庭健太郎
158
○
木庭健太郎
君 そういったことになるわけで、
法案
に即してお聞きしますが、
郵政民営化法
第七条に二項を新設しました。そこには、
郵政事業
に係る基本的な役務として、
郵便
の役務、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の決済の役務並びに簡易に利用できる
生命保険
の役務が挙げられておりますが、それぞれ具体的内容を分かりやすく説明をしていただきたい。 例えば、ゆうちょ
銀行
では現在、国債や投資信託の販売を行っていますが、これは含まれるのかどうか、簡易
生命保険
法が廃止された現在において簡易に利用できる
生命保険
とは何か、他の
民間
の
生命保険
との違いは何か、こういった点を教えていただきたいと思います。
斉藤鉄夫
159
○
衆議院議員
(斉藤鉄夫君)
ユニバーサルサービス
を具体的にどういう範囲のものとするかにつきましては、今後、総務省令で定められるわけでございますけれ
ども
、基本的な考え方は、たくさんその業務があるということと、
国民生活
に密着しているという、この二点かと思います。 したがいまして、
銀行
代理業では預金の受入れ、それから為替、振替、それから
保険
に関しましては
生命保険
、終身
保険
や養老
保険
の募集、
保険
金の支払事務といったものが
ユニバーサルサービス
として考えられる。 したがいまして、お尋ねの国債の販売とか投資信託の販売、それから
保険
の分野では、年金
保険
の支払や第三分野の
保険
というのは
ユニバーサルサービス
の
対象
ではないのではないかと、このように考えております。 また、簡易に利用できる
生命保険
でございますが、これは他の
民間
の
生命保険
とに明確な違いがあるわけではございませんけれ
ども
、例えば今
郵便局
で広く取り扱われている、いわゆる無
診査
保険
などは比較的取扱いが簡易なものということで、こういうものを
念頭
に置いております。
木庭健太郎
160
○
木庭健太郎
君 続いて、
郵政民営化法
の第十九条第一項第一号を
改正
して、
郵政民営化委員会
による三年ごとの
郵政民営化
の進捗
状況
についての総合的な見直しを、今回の法
改正
では、総合的な
検証
に改めるというふうにされております。その理由を明確にしていただきたいのと、見直しと
検証
、どのように異なるのか、分かりやすく御説明いただきたい。
斉藤鉄夫
161
○
衆議院議員
(斉藤鉄夫君) 見直しというのは、実際に見直して変更を実行することでございます。
検証
は、現実のどこにどういう
問題点
があって、これをどういうふうに
改正
すればいいかという
意見
を言うまで、こういうふうな違いを我々認識しております。 見直しはあくまでも
国会
がやること、やはり
郵政民営化委員会
としては
検証
というところまでが本来の業務、仕事ではないかと。ただし、その
検証
においてこういうふうに見直すべきだという
意見
を言うことについては、これは当然していただきたいと期待するところでございます。
木庭健太郎
162
○
木庭健太郎
君 ということは、これまで一応三年を単位としていろいろなものを
検証
し、そしてその上で何を見直すべきかを問題提起をすると言っていたところを、今回の場合は
検証
にとどめておいて、あと、その次の仕事については
国会
へお任せするというようなことになるんでしょうか。
斉藤鉄夫
163
○
衆議院議員
(斉藤鉄夫君) そのとおりでございます。
木庭健太郎
164
○
木庭健太郎
君 次に、
日本郵政株式会社
に積み立てることとされている社会・
地域
貢献基金に係る制度を廃止するわけでございますが、これも理由をはっきりお知らせしていただきたいのと同時に、これまでの積立金四百五十億円余はどうなるかについても御説明をいただいておきたいと思います。
斉藤鉄夫
165
○
衆議院議員
(斉藤鉄夫君) 前回の
郵政民営化
の議論におきまして
ユニバーサルサービス
が
規定
されたのは
郵便
事業
だけでございます。しかしながら、
金融
二
事業
につきましても
ユニバーサルサービス
は必要だという認識の下で、この社会・
地域
貢献基金をつくり、実質的に
ユニバーサルサービス
をサポートしていくということにしたわけでございますが、今回の
法案
では、
日本郵政
と
日本
郵便
に
金融
二
事業
についても
ユニバーサルサービス
を
義務
付けました。したがいまして、この基金は必要なくなった、廃止するということにするところでございます。 これまで積み立てられてきた四百五十億円でございますが、これは、新しいこの
法律
が施行される期日の年度において益金として取り扱い、きちんとした払うべき税金を払い、その後は
日本郵政株式会社
において
事業
資金として自由に使えるという形になります。
木庭健太郎
166
○
木庭健太郎
君 次に、
郵政民営化法
第八条、これ二号を新設するわけですね。
日本郵政株式会社
及び
日本郵便株式会社
は、
郵政事業
についての
国民
の理解を得るため、その
経営
状況
等に関する
情報
を公表するものと。先ほ
ども
情報
公開の話があっておりましたが、まさにそこが
一つ
の視点だろうとは思いますが、改めてこの
規定
を新設した理由についてもお伺いしておきたいと思います。
斉藤鉄夫
167
○
衆議院議員
(斉藤鉄夫君)
民営化
されたとはいえ、国営そして公社という非常に公的なものも受け継いでいるわけでございます。したがいまして、
一般
の
株式
会社
よりも
透明性
の高い
経営
を
確保
して
国民
の理解を得られるようにしなければならないというのが基本的な考え方、理由でございます。 ゆうちょ
銀行
それから
郵便保険会社
につきましては、
一般
会社
として業法の
規定
によって必要な
情報
、例えばディスクロージャー冊子の公表等が行われているところでございます。また、持ち株
会社
であります
日本郵政株式会社
、そして
日本郵便株式会社
、特殊
会社
でございますけれ
ども
、同様に
上場企業並み
に必要な
情報
の公表を
義務
付けることとなるものと理解しております。
木庭健太郎
168
○
木庭健太郎
君 もう
一つ
、この
郵政民営化法
の附則第三条、第四条ですね。
郵政民営化
のための
情報
システムの開発が大幅に遅延するおそれがあり、かつ、そのための
郵政民営化
の円滑な実施に著しい支障を生ずるおそれがあると認めるときは、
法律
の施行を半年延期するという旨が
規定
されております。
郵政民営化
関連の六法が公布されたのが
平成
十七年十月二十一日であり、
民営化
の実施が十九年十月一日だから、二年間の余裕があったことになります。そのときでさえ、こういった言わば危機管理条項のようなものがございました。本
法律案
の原則的な施行日は、先ほどから何か話があっておりましたが、公布日から一年を超えない範囲内において政令で定める日というふうになっております。危険条項はございません。 確かに、前回の
改正
のときと比べて今回がどうかというふうに言われれば、それは今回の
規模
の方が少ないとはいうものの、例えば、
郵便局
株式
会社
が
郵便
事業
株式
会社
を吸収合併するわけですね。
郵便局
株式
会社
が
日本郵便株式会社
に商号を変更するようなことが行われるわけです。こういった本当に
情報
システムの変更を一年以内で実現できるのかなということは極めて危惧も抱きますし、万が一のためにそういう延期を可能とするような
規定
が必要だったんではないかというような気持ちもございます。 この危機管理条項を設ける必要を認めなかった理由というのも伺っておきたいと思います。
斉藤鉄夫
169
○
衆議院議員
(斉藤鉄夫君) 前回の危機管理条項を設けた経緯でございますけれ
ども
、当時の公社総裁の生田総裁から、システム変更は大
規模
なものになると想定されるけれ
ども
、それに相応する期間が短く、
民営化
の実施に間に合うかどうか深刻な
懸念
があるという旨が公社総裁から表明されまして、それもそのとおりだなということで、この危機管理条項が設けられたという経緯がございます。 今回の場合は、確かに
郵便局
株式
会社
と
郵便
事業
株式
会社
を合併して
日本郵便株式会社
とするわけですので
情報
システムの変更が必要になりますけれ
ども
、前回の場合は一社を五社に分割する大
規模
な変更であった、それから新たに
銀行法
等の業法に対応する必要があった、それから新たに法人税等の課税関係の処理を必要とすることとなったということがございましたが、今回は二社合併であり、五社体制が四社体制になるわけで、それほど大
規模
な変更ではないと。それから、既に存在するシステムを十分活用できる、ほとんどが活用できるということで、
利用者
の迷惑に掛からないよう対応できると、こういうふうに我々認識してこの危機管理条項を置かなかったものでございます。
木庭健太郎
170
○
木庭健太郎
君 それでは、ちょっと自見担当
大臣
に、第百七十九回
国会
成立の東
日本
大震災からの復興ための施策を実施するために必要な財源の
確保
に関する特別
措置
法、これにおきましては、
日本郵政株式会社
の
株式
について、
経営
状況
等を勘案しつつ、できる限り早期に
処分
するものとする、附則第十四条でございます、定めております。 東
日本
大震災の復旧復興のための財源の
一つ
として、
政府
保有の
日本郵政株式会社
の
株式
の
処分
への期待が高まっているのも事実でございます。つきましては、
政府
はこの
日本郵政株式会社
の
株式
の
処分
について、どのようなスケジュールで取り組んでいくのか、また、
日本郵政株式会社
はどのような準備を行うのか、答弁をいただきたいと思います。
自見庄三郎
171
○
国務大臣
(自見庄三郎君) 木庭
議員
にお答えをいたします。
政府
が保有する財産の
処分
にかかわる事項でありますので財務
大臣
の所掌に関する事項でございますが、
一般
論として申し上げれば、
日本郵政
の
株式
の売却収益は、今先生からもありましたように、東
日本
大震災の
復興財源
に充てることとなっており、いわゆる
復興財源
確保
法において、
日本郵政株式会社
の
経営
の
状況
、収益の見通しその他の事情を勘案しつつ
処分
の在り方を検討し、その結果に基づいて、できる限り早期に、三分の二でございますけれ
ども
、
処分
するということが定められております。 この
規定
に基づきまして、
政府
としましては、所管の省庁、特に財務省でございますけれ
ども
、おいて、
日本郵政株式会社
の
経営
の
状況
あるいは収益の見通し等を注視しつつ、
株式処分
の在り方を検討していくものと考えております。 また、
日本郵政株式会社
においては、
株式
の
処分
に向けて
企業価値
を
向上
させるために必要な
経営
努力を期待をさせていただきます。
木庭健太郎
172
○
木庭健太郎
君 およそ、この
日本郵政株式会社
の
株式
の売却によって売却額はどのぐらいになると想定をされていらっしゃいますか。
自見庄三郎
173
○
国務大臣
(自見庄三郎君) 繰り返しになりますけれ
ども
、
政府
が保有する財産の
処分
に関する事項では、財務
大臣
の所掌に属するものでございますが、
一般
論として申し上げれば、
株式
の価格については
日本郵政グループ
が
経営
状況
や将来性あるいは投資家の
評価
、市場の実勢等の様々な
観点
で形成されることから、現時点では売却見込額を見積もることは困難であるというふうに
一般
的には認識いたしております。 ただし、一体どれくらいなのかということをよく質問いただくわけでございますが、これは
一つ
の考えとしては、
日本郵政株式会社
の連結純資産の額をベースにその三分の二を売却するとして機械的にこれを算出しますと、六・八兆円の売却益になるということでございまして、これは
一つ
の全く試算でございまして、見込額ではございませんけれ
ども
、そういった計算もできるのではないかというふうに思っております。
木庭健太郎
174
○
木庭健太郎
君 自見
大臣
、話を質問通告の最初のところに戻します。何をお聞きしようとしているかというと、自見
大臣
の肩書は何でございましょうか。肩書です。
自見庄三郎
175
○
国務大臣
(自見庄三郎君) 私は、
郵政事業
の抜本的な見直し及び
改革
を
推進
するための企画立案及び行政各部の所管する事務の調整を担当する
国務大臣
に任命されているというふうに認識いたしております。
木庭健太郎
176
○
木庭健太郎
君 そういうことは、この
法律
、つまり
郵政民営化法
第十四条第一項に定める
郵政民営化
担当
大臣
とは異なるという理解でよろしいわけですね。
自見庄三郎
177
○
国務大臣
(自見庄三郎君) 任命の際、総理から
郵政民営化
担当との明示的な指示はなかったわけでございますけれ
ども
、任命の内容を見る限り、
郵政民営化
担当
大臣
としての職務も私は行い得るというふうに認識をいたしております。 しかしながら、
郵政事業
を五分社化し、期限を定めてゆうちょ、
保険
の全株
処分
義務
を課すといった
郵政民営化
の定義と現
政府
の政策方針とは異なっているときがございまして、
政府
としては、新たな政策方針の下に
郵政民営化法
の廃止及び
郵政改革
関連
法律案
を提出し、立法府の御判断を仰いでいる
状況
にあったこと、また、郵政
株式処分
停止法により
郵政民営化
の
推進
が事実上停止されていることなどにより、結果的に
郵政民営化
担当
大臣
としての職務を積極的に行う局面はなかったものであったというふうに認識をいたしております。
木庭健太郎
178
○
木庭健太郎
君 どうもお話を聞いていると、
郵政民営化
担当
大臣
というのは、どうもそういう明確な
規定
をした者がいらっしゃらないように感じます。 自見
大臣
の前の亀井
大臣
も含めてですが、政権交代して以降、どうもこの
郵政民営化
担当
大臣
というのはお話を聞いていると
設置
されていなかったととらえるしかないと思うんですが、いかがでしょうか。
自見庄三郎
179
○
国務大臣
(自見庄三郎君) 御質問でございますが、鳩山
内閣
以来、
郵政民営化
担当
大臣
を命ずるとの明示的な指示がなされたことはございませんが、任命の内容を見る限り、
郵政改革
担当
大臣
が
郵政民営化
担当
大臣
としての職務を行い得るものだというふうに考えております。
木庭健太郎
180
○
木庭健太郎
君 行い得るものだというのと命ずるというのは根本的に違っていると思います。 私は、申し訳ないですけれ
ども
、民主党は
民営化
という問題に対していろんな認識を持っていらっしゃったんでしょうが、やはり
法律
的にはきちんとその担当、
法律
には担当
大臣
を置くと書いてあるわけです。ところが、それが現実的には命じられた人がいなかった。つまり、
郵政民営化
担当
大臣
は実は空席のままずっと推移をしていたというふうにとらえるしかないと思うんです。そうなると、これはやっぱり
法律
そのものを軽んじているととらえるよりも、むしろ憲法違反にも当たるような、そんな話になりかねないのではないだろうかという危惧をいたしますが、この点について
内閣
官房に伺っておきたいと思います。
奈良俊哉
181
○
政府参考人
(奈良俊哉君) お答えいたします。 現
法律
上、
郵政民営化
担当
大臣
は、
内閣総理大臣
の命を受けて、
郵政民営化
に関し
内閣総理大臣
を助けることをその職務とする
国務大臣
をいうとございます。したがいまして、
郵政民営化
担当
大臣
という名称の発令が必ずしも必要というわけではございません。 自見
郵政改革
担当
大臣
におかれましては、任命の際、総理から
郵政民営化
担当との明示的な指示はございませんが、任命の内容を見る限り、
郵政民営化
担当
大臣
の職務を行い得る内容になってございます。 他方、
郵政事業
を五分社化し、期限を定めて
貯金
、
保険
の全株
処分
義務
を課すといった
郵政民営化
の定義と
政府
の政策方針は異なるものであって、
政府
としては、新たな政策方針の下で
郵政民営化法
の廃止を含む
郵政改革関連法案
を提出し、立法府の御判断を仰いでいるという
状況
にございましたこと、そしてまた、郵政
株式処分
停止法により
郵政民営化
の
推進
が事実上停止されているということにより、結果として
郵政民営化
担当
大臣
としての職務を積極的に行う局面はなかったということであると認識してございます。
木庭健太郎
182
○
木庭健太郎
君 そうしますと、今回、
政府
提出の
郵政改革
の三
法案
が撤回されました。さらに、今
郵政民営化
のこの
改正案
が
審議
をされ、先ほど申し上げたように成立の見込みでございます。成立しても、このような状態のまま、つまり
郵政民営化
担当
大臣
というものを明確に定めないまま、今の自見郵政、まあちょっとよく分かりませんが、何とか担当
大臣
なんでしょう、
改革
担当なんでしょう。でも、少なくとも、今回もう一度
政府
が
法案
を撤回され、こうやって
民営化
のこの
改正案
が成立する以上、今後もこのまま空白にするのは私は許されないと思います。 ここはきちんと
郵政民営化
担当
大臣
というのを明確に任ずるべきだと思いますが、発令予定はございますか。
奈良俊哉
183
○
政府参考人
(奈良俊哉君)
郵政民営化法
を存置させ、郵政
株式処分
停止法による
株式処分
停止が解除されるとの立法府の御判断がございますれば、これを前提に
法律
の執行体制を構築することが必要であると、このように認識してございます。 自見
郵政改革
大臣
については、任命の内容を見る限り、
郵政民営化
担当
大臣
の職務を行い得る内容になってございます。したがいまして、自見
大臣
が
改正
後の
郵政民営化法
を担当する場合には、特段の新たな発令は要せず、速やかに
改正
後の
郵政民営化
に関する職務に取り組んでいただくことが可能であると、このように認識してございます。
木庭健太郎
184
○
木庭健太郎
君 私はそれは勝手な解釈だと思いますよ。
法律
にきちんとその担当する
大臣
を命ずると書いてあるわけですから、勝手な名前を付けて、それで、それも流用できるというのは、考え方として、行政の
国会
に対する在り方としておかしいと思いますよ。軽視していると思いますよ。どう考えますか。
奈良俊哉
185
○
政府参考人
(奈良俊哉君) もとより、官報に掲載されております
大臣
の発令内容を十分に勘案し、あと、もとより、
郵政民営化法
上は、
郵政民営化
担当
大臣
は「
内閣総理大臣
の命を受けて、
郵政民営化
に関し
内閣総理大臣
を助けることをその職務とする
国務大臣
をいう。」とございまして、
郵政民営化
担当
大臣
という名称の発令が必ずしも必要というわけではないと認識しており、現在の自見
大臣
に対する発令内容に鑑みて判断していきたいと、このように考えてございます。
木庭健太郎
186
○
木庭健太郎
君 まあ、これ以上言わないでおきますが、自見
大臣
、そういうことなんですよ。やっぱりちょっとおかしいんです、そこは。 やはり、今後、形が変わっていくわけですから、そこは、自見
大臣
も私が何を言いたいのかよく分かっていらっしゃると思いますので、そこはそこできちんとした判断を是非していただきたいし、できれば、ちょっと私はその解釈自体、納得はできていないんですが、よく自見
大臣
とともに、
内閣
官房とともに、もし
法律
が通った後どうされるかについては再検討を是非なさった方がいいんではないかと思いますが、どうでしょうか、御
意見
ありますか。
自見庄三郎
187
○
国務大臣
(自見庄三郎君) 私は、
郵政事業
の抜本的な見直し、今さっきも申し上げましたけれ
ども
、及び
改革
を
推進
するための企画立案及び行政各部ですね、これは総務省とか
金融
庁とかいろいろな省にまたがっておりますし、国土交通省にもまたがっているかと思います。その行政各部の所管する事務の調整を担当する
国務大臣
に任命されておりますので、任命の際、総理から
郵政民営化
担当との明示的な指示はなかったけれ
ども
、私は、この任命の内容を見る限り、
郵政民営化
担当
大臣
として職務を私が行い得るというふうに確信をいたしております。
木庭健太郎
188
○
木庭健太郎
君
委員長
、何か私としては、答弁が非常に
法律
の
趣旨
とも違う面があるし、ある
意味
では勝手な解釈であるような部分を感じます。 私が特に指摘したのは、これまではこれまでで、そんなことがあったならあったで、ともかく今回
法律
が成立するのでそれに合わせてきちんとした方がいいんじゃないかと申し上げているんですが、是非、理事会においても少し……(
発言
する者あり)答える。じゃ、答弁、はい、どうぞ。
自見庄三郎
189
○
国務大臣
(自見庄三郎君) と私は確信いたしておりますけれ
ども
、せっかく
木庭健太郎
先生の御指摘でございますから、この
法律
が通れば、官房長官始め関係各位と相談をさせていただきたいというふうに思っております。
木庭健太郎
190
○
木庭健太郎
君 じゃ、よくいろいろ御相談してください。 それで、実は二十六日、
委員会
があるようでございますので、二十六日あります、
委員会
が。そのときもう一回お聞きしますので、よくしておいていただきたい。ああ、もうこれ時間たちました。 以上をもちまして、私の質問を終わります。
寺田典城
191
○寺田
典城
君 みんなの党の寺田でございます。よろしくお願いします。 私は、
郵政事業
というのは、要するに、
事業
会社
ですから、早く
民営化
の方向について結論出すべきであるということで、そういうことで主張してまいりました。郵政関連
事業
各社の明確な目標設定することによって
事業
が成り立つわけですから、その
法律
も備わっていないということで、このままいったら
郵政事業
駄目になっちゃうんじゃないかということで、そのようなことで
懸念
しておりましたけれ
ども
、今回ようやく
法案
が
審議
されることになりましたことについては
評価
させていただきたいと、そう思いますし、特に自民党にとりましては苦渋の選択であったのかなと、率直にそう思います。 しかし、三党合意の
目的
としたために、何というんですか、
法案
が玉虫色の部分が多うございます。私は、名付けて曖昧模糊
法案
というふうな形で思っております。ですから、この
法案
には反対でございます。 幾つかの論点を明らかにしていくために、衆議院が提出しました
郵政民営化法
改革
法とその対案としてのみんなの党が提出しました
郵政民営化
推進
法と対比させながら、ひとつ論点を整理していきたいと、そう思っています。 皆さん御承知のとおり、
平成
十六年ですか、
郵政民営化
の
基本方針
ということで閣議決定されて、要するに
事業
が市場原理の下で自立することということになっております。準備期間としては、二〇一七年九月まで最終的な
民営化
は三段階の在り方で提言されていますけれ
ども
、それで、
法案
提出の
中西
議員
にお聞きしますけれ
ども
、要するに
民営化
の最終的なゴールというのはどのようなイメージというか状態を示すのか、ひとつお聞きしたいと思います。
中西健治
192
○
委員
以外の
議員
(
中西
健治
君) 寺田
委員
がおっしゃられたとおり、宙ぶらりんにしておくべきではない、そして何らかの方向性を出すべきだ、結論を出すべきだというのは、ここにいらっしゃる
委員
の
方々
、あと
法案
提出者の
方々
と同じ思いなんではないかというふうには思っております。 その中で、我々が考えている
民営化
の最終形というのは、既存の
法律
もそうですし提出されている各
法案
もそうですが、
郵便
事業
、そして
郵便局
に対しては
政府
の関与と、
政府
保有というのは残り続けるわけですけれ
ども
、その中で
政府
の関与は極力排していく、自立していくということが最終形になっていくんだろうと思います。
郵便
事業
に関して言うと、やはり効率性を重視するということになるかと思いますし、あと
郵便局
に関しては、その効率性の上にやはり収益源の多様化、グループ内の商品、
サービス
だけではなくて、グループ外からも商品、
サービス
を取り扱うということによって
経営
の自立を図っていくということが必要になるだろうというふうに思っておりますし、
金融
二社に関しては、既存の
法律
にあるとおり、期限を定めて完全売却をして完全に自立するということが最終的な形になるだろうというふうに思います。 そんな中で、何といっても大事なのが
経営
力ということだと思います。今のこの二年半の
会社
の
経営
を見てみると、その
経営
の力そしてガバナンスがかなり弱っているのではないかということなので、そこを改めるようにしていかなければいけないだろうというふうに思っています。
寺田典城
193
○寺田
典城
君 今回、衆議院の
法案
の言う、要するに、想定どおりに、衆議院の方にお聞きしたいんですが、
株式
会社
が形成できるのか、予定どおりの、想定どおりのですね、それから想定どおりの
経営
ができるのか、その辺は私ちょっと疑問に思っていますんで、いかにお考えになっているか、お聞きしたいと思います。
武正公一
194
○
衆議院議員
(
武正
公一君) 寺田
委員
にお答えします。
株式
の売却についてでよろしいでしょうか。 まず、
日本郵政
の
株式
売却については……
寺田典城
195
○寺田
典城
君
経営
の方針というか、その……
武正公一
196
○
衆議院議員
(
武正
公一君)
民営化
についてのお考えですか。
民営化
についての、
衆議院提出
者の。
寺田典城
197
○寺田
典城
君 はい。
武正公一
198
○
衆議院議員
(
武正
公一君) じゃ、ちょっと、田島
委員
ということで。
田島一成
199
○
衆議院議員
(田島一成君) 申し訳ございません。 今、参議院の提出者の方にも御質問をいただきましたけれ
ども
、私
ども
も、国の関与をやはりできる限り抑えていき、
民間
企業と同一
条件
で自由な
経営
を可能とするものという説明でありますとか、また、職員を非公務員化すること、そして資金の流れを官から民へと転換をしていくこと、そして従来は免除されておりました税金を納めることというような、これまで
郵政民営化
関連
法案
の
審議
がされているころからずっと言われ続けてきたものがやはりこの
民営化
の説明ではないかというふうに承知をしているところでございます。
法律
の定義にはなかなかこの
民営化
というものがございませんので、具体的に説明することはちょっと難しい部分ではありますけれ
ども
、こうしたことを踏まえながら、この
民営化
法の枠組みを維持した上で、
金融
ユニバの
確保
でありますとか四社体制に改めていくことということを今回盛り込ませていただいたところでございます。
寺田典城
200
○寺田
典城
君 それでは次に移りたいと思いますが、郵政ホールディングスですね、
金融
二社の
株式
をいつまで売却するのか。郵政ホールディングスの大株主であるのは、
日本
は、国はですね、要するに、
金融
二社の
株式
売却をどのように実現、遂行するつもりなのか、ひとつ
森田
政務官にお聞きしたいと思います。
森田高
201
○
大臣政務官
(
森田
高君) お答え申し上げます。 先生御承知のとおり、国は確かにホールディングスの大株主ではございますが、売却の主体的判断を行うのはもう
日本郵政
ホールディングスそのものでありますし、その
経営
者の判断によるというふうに思っております。 ただ、法文の中で、
ユニバーサルサービス
責務の履行への
影響
を勘案しつつというところが一番重要なところであるというふうに思っておりますので、国、特に私
ども
総務省としましては、三
事業
の
ユニバーサルサービス
の実態がどのようなものであるかということをきっちりと把握しながら、その中で、
会社
に関しても適時適切に助言を与えるなどして注視してまいりたいというふうに思っております。
寺田典城
202
○寺田
典城
君 郵政
株式
会社
の齋藤社長、ホールディングスの齋藤社長にお聞きしますけど、可及的速やかって、その部分、株を速やかに
処分
せよというのが
法律
の
趣旨
ですね。目指すと、その全部の
処分
を目指すと
規定
しております。郵政ホールディングスはそういう、どういう行動をするのか、その考えを聞かせていただきたいなと思います。
齋藤次郎
203
○
参考人
(齋藤次郎君) 今回の法の
規定
では、全部を
処分
することを目指して、ゆうちょ
銀行
及び
かんぽ生命
保険
の
経営
状況
、
ユニバーサルサービス
確保
の責務の履行への
影響
等を勘案しつつ、できる限り早期に
処分
するという具合になっておりまして、まさにこの字句どおり、今後その両
会社
の
経営
状況
がどうなるか、それから
ユニバーサルサービス
、この責務の遂行ができるかどうかということを二つの重大な要素としつつ、その他の点も勘案しながら、どういう具合に実施していくかということをこれから考えるということでございまして、今その売却の時期とか何かについて具体的な構想を持っているわけではございません。
寺田典城
204
○寺田
典城
君 これから、まだ
法律
通っていないですからと言うんだけれ
ども
、それは心の準備は齋藤社長、なさっていると思うんですが。 私は、郵政ホールディングス自体がこの
金融
二社の株をいついつまでに売るというような目標設定をしっかりすべきだと思うんですよ。二〇一七年までという当初の
法律
ならもう五年ありますよ。目標設定することが、ある面では
日本郵政
という
会社
が自立できるわけですし、
会社
の成長にも私は
事業
会社
ですからつながると思うんです。私は、それだけ強い
会社
でもあると、そう思っているんです。また、それによって、
民間
もある面では、何というんですか、国を、関与しているとか
暗黙
の形で保証しているとかというそういう、
民間金融機関
がそういう言葉も出なくなると思うんです。お互いにフェアに戦うということがある面では
国民
に対する
サービス
の
向上
にもつながるし、私はいい結果出ると思うんですよ。 その辺の、
日本郵政
というのはそれこそ歴史もあります。
国民
から聞くと、やはり
生命保険
だって、それから
貯金
だって分かりやすいってはっきり言いますし、
郵便
事業
と一体になってやっているということでそういう信頼関係も確実にありますから、何というか、やる気になればちゃんと自立してしっかりしたいい
会社
になれると思うし、それによってホールディングスの株も高く売れると思うんで、その辺の要するに社長の意気込みというんですか、そこを具体的にもう少し聞きたいんですが、いかがですか。
齋藤次郎
205
○
参考人
(齋藤次郎君) 大変有り難い御激励と思いますけれ
ども
、とにかくこの
法案
が成立した後、私
ども
はまず全体、郵政グループの今後の言わば中期ビジョンみたいなものを新しく決めたいと思っております。それに基づいて、具体的にはいろいろな市場の動向とか将来の展望を見直した上で具体的な道筋を考えていかなきゃなりませんので、今の段階で何年何月までに売るということを明確に申し上げることは正直なところ大変難しいと思っております。 ただ、方向性としては、先生がおっしゃるように、
株式
会社
全体として郵政グループの
企業価値
を高めるということがまず基本であろうという具合に思っております。
寺田典城
206
○寺田
典城
君 今の
日本
の国というのは、大きな震災もありました、円高もあります、
経済
の今の現状では相当厳しいと思うんですが、郵政ホールディングスの
株式
を、先は
金融
二社だと、想定どおり売ることが可能なのか、その辺は
金融
の専門家であります
中西
議員
から、この株まともに売れると思うか、その辺の率直な、そして、何か高く売るというんですか、そういう場合、価値のある売り方をする場合は、
企業価値
を高く売る場合はどうしたらよいのか、その辺をお考え聞きたいと思いますし、そうですね、そうしたいと思います。
中西健治
207
○
委員
以外の
議員
(
中西
健治
君)
金融
の専門家ということでしたけれ
ども
、郵政の株が幾らで売れるのかというようなことについては、ここにいらっしゃる方も、自見
大臣
も先ほど分からないという答えでしたけれ
ども
、やはり市場が決める、最終的には投資家が判断するということになってまいります。 今売れるかどうかということについては、かなり難しいだろうと私自身は思います。というのは、この二年半、凍結法の後、二年数か月たっているわけですけれ
ども
、やはり
郵政事業
全体の
企業価値
が著しく毀損しているのではないかというふうに思っております。
株式
売却凍結法によって、この二年半で、売るための準備ということが行われなかったということでかなり
機会
損失が大きいだろうというふうに思っているのと、天下りの
経営
者によって有効な手だてが打たれなかったということも大きな原因になっているんじゃないかと私自身は思います。 そして、これまで、ペリカン便とそしてゆうパックの統合のときの
混乱
ですとか、あと、非正規社員を正規社員にしたはいいけれ
ども
、その後、また人員を減らす及び新卒の採用を取りやめるといったような
経営
の迷走ということもありましたから、
企業価値
はかなり損なわれているというふうに私自身は思っております。 そして、となりますと、
企業価値
を高めることが今求められているということになってまいります。
経営
力を高めるということを先ほど申し上げましたけれ
ども
、そのためにはやはり企業
経営
経験を持っている人が
経営
に当たるべきなんではないかというふうに思っておりまして、我々が提出させていただいた
法案
というのは、天下り
規制
、この郵政の
経営陣
に対しての天下り
規制
という条文も入れておりまして、その中で、そうした
経営陣
の下で期限を区切って
効率化
をやっていく、そして全株売却に向けて進んでいくということが必要だと思います。期限を区切るということが大変大きなポイントになると思います。
寺田典城
208
○寺田
典城
君 世の中は、何というんですか、天下りが良くないという形で言われます。確かに、ある面では天下りするために法人をつくるというのは一番良くないことだと思うんです、それは。ですが、私は、公務員の能力はある面ではいい部分は活用して社会に貢献していただいた方がいいんじゃないのかと。 私の
民間
、五十歳までの
民間
のときは、市のOBだの県のOBだとか、それから、県庁のOBですね、国のOBだとか、いろいろ自分が勉強のために採用したことはあるんですが、ある面では、企業にとってはある面ではプラスにもなるし、これだけ今、各省庁回っていると、上がつっかえちゃって大変だと、上の人が多分行くところないという、その中では、ある面では、公務員の能力というんですか、早めに就職させるとか、早めに退職させるとか、それからある面では
民間
で活用するとか、オープンにもう少し、何というか、フランクに考える社会が必要じゃないのかなと、私はそうあえて、天下り、うちの代表は絶対天下り駄目だって言うんですけれ
ども
、私は渡辺代表の解釈役として少ししゃべらせていただきますけれ
ども
。 それで、そういうことで、それから、特殊法人とか独立行政法人だとか、そういうのだったらあれなんだけれ
ども
、こういう営業、
事業
会社
だったら貸借対照表、損益計算書と全部出ますから、まして、今度は株が売れるとなったら、もう社長なんか駄目なことしたらもうそれこそアッパーカット食らうぐらい社会からやられますよ、それは。だから、それだけやっぱりある面では社長になるというのは厳しいというような
事態
なので、齋藤社長、頑張ってひとついい
会社
に、NTT並み以上の株が売れるように頑張っていただきたいなと、そう思います。 それで、
一つ
疑問符なんですが、衆議院の
法案
提出者で、
金融
二社の
株式
を持ち続けるままこのホールディングスの株が売れるのかということなんですよ。この辺ははっきりしないと、私は株を買う人方にとっても大変なことだと思いますよ。その辺を方向付けをはっきりさせる。いかにそれを、三党合意で出てきたものですから、その辺をどうお思いなさるか。
武正公一
209
○
衆議院議員
(
武正
公一君) 今回、三党が合意した大きな理由というのが、昨年の
復興財源
確保
法十四条で、この
株式
、
日本郵政
の
株式
売却益を復興のその財源に充てると、これはやっぱり合意形成に大きな
役割
果たしたと思うんです。ですから、これについては、先ほど来
ビジネスモデル
の話もあり、できるだけ高値で売れるようにということで努めるということになりますので、当然、この
民営化
の方向性は堅持されておりますので、やはりすさまじい
経営
努力というものが欠かせないというふうに思っております。 時期については、先ほど来お話ありますが、できるだけ早期に
処分
することは望ましいんですけれ
ども
、収入を
最大
化する、そして
国民負担
を減らす
観点
から、この両方の要請にこたえられるよう知恵を絞っていただきたいというふうに思っておりまして、私はやはりこのことを実現をしていくことが要請をされているというふうに思っております。
金融
二社の
株式
についても、その時期についてもお尋ねだというふうに思いますが、やはりこれは、
処分
の時期等については全く
経営
判断に委ねられているものではなくて、
一定
の説明責任を果たす必要があると、
会社
にとってですね、というふうに考えております。
法律
の要請を踏まえて適切に
処分
が進められるよう
会社
には検討していただきたいというふうに考えております。 以上です。
寺田典城
210
○寺田
典城
君 ホールディングスの株を売る場合、やっぱり国もそうです、ホールディングスの
会社
もそうなんですが、株を買う人方が錯誤というか間違いを起こさないようにこれをすることが務めだと思うんですよ。ですから、もう少しその辺は、ホールディングスも苦しいでしょうけれ
ども
、もう少し方向性とか何かを言って物を売れるようにするべきだと思いますよ、それは。それは考えていただきたいな、三党でもね。その辺をよろしくお願いしたいと思います。 次に移ります。あと五分しかありません。
一つ
、
金融
二社の
株式
、もし全株売却した時点で
郵便
事業
というのは採算取れるかということです。一兆円近い、何というんですか、
金融
の二社から委託料を受けて成り立っております。その辺について
政府
サイドではどう見ていらっしゃるか、その辺をちょっと担当の方からお聞きしたいと思います。
福岡徹
211
○
政府参考人
(福岡徹君) お答え申し上げます。
金融
二社の全株が売却されまして、仮に
金融
二社が相当数の
郵便局
に
金融
窓口業務
を委託しなくなったということを想定をいたしました場合、まずは、やはり特に小
規模
な
郵便局
でございますが、現在の
郵便局
におきましては、人員、設備の効率的な配置ができているといったこと、こういったものができなくなる。それから、今御指摘がございましたように、現在も
郵便局会社
の一兆二千億円程度の収益の約六分の五が
金融
二社から委託手数料によって占められていると。そういう事実から考えますれば、そのような
状況
になれば、現在の
郵便
事業
が引き続き採算を取れるとか、あるいは
サービス
水準を維持していくということは、これはなかなか困難ではないかなというように考えられます。 なお、ちなみに、総務省といたしましては、これは極端な例でございますが、現在の
郵便局
をそのまま全て維持することを前提として、
金融
二社が
窓口業務
の委託をこれもう完全に中止したというようなことを前提といたしまして、二十一年度決算データに基づいて、これは機械的な試算でございますが行いましたところ、
郵便
事業
全体としては、二十一年度の決算データの数字でございますが、三千三百億円程度の赤字になるのではないかと、これは一度試算をして公表したこともございます。
寺田典城
212
○寺田
典城
君 齋藤社長は、ホールディングスの社長は、揺りかごから墓場まで総体的に
サービス
できるような形の企業にしたいと言っていらっしゃいます。それから
政府
は、要するに、この
郵政事業
は受益者負担が原則ですから、間に合わなければ
郵便
料金を上げるとか上げないとかというのもどうなのか、そういうことも検討せざるを得ないんじゃないのかなと思いますし、ホールディングスの方はそれこそ
郵便
事業
の採算、単独で
事業
採算を考える、要するにそのようなことも検討なさっているのかですね。 要するに、
郵便
事業
はこの
金融
二社を売却、完全売却して
事業
が成立するのか、その辺はどう思っていらっしゃいますか。社長の方からお聞きしたいと思います。
齋藤次郎
213
○
参考人
(齋藤次郎君) 今度の
法律
で、
郵便
と
貯金
と
保険
の三つが
ユニバーサルサービス
として我々企業グループとして維持していかなきゃならぬということでございますので、これが一〇〇%株を
処分
する、しないにかかわらず、その三
事業
は我が郵政企業グループ全体としてはその
サービス
を維持していかなきゃならぬという、これは
法律
上の責務を負ったわけでございますので、したがいまして、仮に完全売却して、結果その
サービス
の維持が不可能ということになれば、これは完全売却できないということになりますので、いずれにせよ、その三つの
サービス
を維持した上で郵政企業グループ全体が黒字として将来とも
発展
していくということを前提にしなければなりませんので、それを全ての前提として考えていくということは基本であるんじゃないかという具合に考えております。
寺田典城
214
○寺田
典城
君 あと時間ないんですが、完全売却、要するに不可能と、
事業
が不可能とすれば売却ができないという表現なさいました。これは重大な表現ではないのかなと思います。ただ、
事業
の責任者としてはその
意味
もよく理解できます。その辺はこれからの要するに課題じゃないのかなと思いまして、質問を終わらせていただきます。 以上でございます。どうもありがとうございました。
山下芳生
215
○山下芳生君
日本
共産党の山下芳生です。 まず、自見
大臣
に質問をいたします。
郵政民営化
の要求というのは、私は元々、日米の大手
金融機関
から出てきたものだと思っております。三百兆円を超える
郵便
貯金
と簡易
保険
、
国民
の
金融
資産を日米の
民間金融機関
に明け渡せと迫ったのが
郵政民営化
の出発点だと思っております。
郵政民営化法
の
審議
の際に、したがって私
ども
は、
郵便
や
金融
の
ユニバーサルサービス
を損なって
国民
サービス
を低下させる、さらにはアメリカや財界の要求にこたえるものであって
国民共有
の財産が食い物にされる、これ百害あって一利なしだと断固反対をいたしました。残念ながら、
民営化
されて、現在、現実はそのとおりになっているんじゃないかと、こう考えております。そうした
事態
を受けて、民主党政権は
民営化
について抜本的に見直すとしてきたわけであります。 そこで、自見
大臣
、
政府
が提出していた
郵政改革
法における
郵政改革
とは一体何だったんでしょうか。
自見庄三郎
216
○
国務大臣
(自見庄三郎君) 山下
議員
の御質問でございますけれ
ども
、
政府
が提出した
郵政改革法案
では、第一条でその
目的
を定めておりまして、ここでは、
郵政改革
について、その基本的な理念及び方針及び国等の責務を定めるとともに、
郵政事業
の実施主体の再編成、当該再編成後の実施主体に関して講ずる
措置
その他
郵政改革
の実施に必要な事項を定めることにより、これを総合的に
推進
することを
目的
としておりました。 ここでいうこの
郵政改革
とは何かと、こういうことでございますけれ
ども
、
法律
上の定義によりますれば、
郵政改革
とは、
郵政民営化
により
郵政事業
の実施主体が
日本郵政株式会社
、
郵便
事業
株式
会社
、
郵便局
株式
会社
、
郵便貯金銀行
、
郵便保険会社
及び独立行政法人
郵便
貯金
・簡易
生命保険
管理機構に分割されるとともに、
日本郵政株式会社
がその保有する
郵便貯金銀行
及び
郵便保険会社
の
株式
の全部を
処分
することとされたこと等の結果、
郵政事業
の
経営
基盤が脆弱となり、その役務を
郵便局
で一体的に利用することが困難になるとともに、あまねく
全国
において公平に利用できることについての
懸念
が生じている
事態
に対処して、
郵政事業
の
経営
形態を見直し、
郵政事業
に係る基本的役務が
利用者
本位の簡便な方法により
郵便局
で一体的に利用できるようにするとともに、将来にわたりあまねく
全国
において公平に利用できることを
確保
するための
郵政事業
の抜本的な
改革
をいうとしていたのがあの
目的
でございます。
山下芳生
217
○山下芳生君 全部読んでいただきました。 要するに、
郵政民営化
によって二つのことが行われた、分社化と、それから
金融
二社の
株式
の全部を
処分
すること。それによっていろんな
懸念
が生じているからこれを見直すんだというのが元々自見さんたちが出された
法案
の内容なんですね。 ところが、今度出されている
法案
は、そういう
趣旨
からは程遠いものになっております。
金融
二社の全
株式
の
処分
を目指すということになっておりまして、これは小泉政権の
郵政民営化
路線を私は継承するものにほかならないと、こう思っております。 そこで、提案者の方に伺いたいと思いますが、
法案
では
郵便局
の定義が変更をされることになっております。どう変わるかといいますと、現行の
法律
では、「「
郵便局
」とは、
会社
の営業所であって、
郵便
窓口業務
を行うものをいう。」と、こうあります。これが今回の
法案
では、「「
郵便局
」とは、
会社
の営業所であって、
郵便
窓口業務
、
銀行
窓口業務
及び
保険
窓口業務
を行うものをいう。」と、こうなっておりまして、三
事業
を全部やるものが
郵便局
だという定義に変わったわけであります。 そうなりますと、
郵便
、
貯金
、
保険
の三
事業
のうちいずれか
一つ
でも行っていない簡易
郵便局
は、
法律
上、
郵便局
ではなくなるということになります。そうなりますと、あまねく
全国
において利用されることを旨とした
郵便局
の
設置義務
の
対象
ではなくなるということになるわけで、これでは多くの簡易局が
郵便局
の定義から外されて、
全国
の
郵便局ネットワーク
の維持が、その保障がなくなるんじゃないでしょうか。
斉藤鉄夫
218
○
衆議院議員
(斉藤鉄夫君) 御指摘のとおり、今回の
法律
の立て付けで、三
事業
を一体的に行っているところを
郵便局
と定義し、その
郵便局
を
全国
にあまねく置くと、それで
ユニバーサルサービス
を
確保
するということに定義したわけでございますが、これは、これまで
郵便
事業
しか
ユニバーサルサービス
を
法律
で
義務
付けていなかったことに加えて、今回、
金融
二
事業
も加えた三
事業一体
の
ユニバーサルサービス
を
義務
付けたがゆえの
法律
上の立て付けでございます。 それは私たちでも、できれば今、簡易
郵便局
、
保険
だけやっていないという簡易
郵便局
たくさんございます。そういうところに三
事業一体
で
事業
をやっていただいてということはもう理想でございますが、現実問題としてそれは非常に大きな負担を掛けることになる。そういう
意味
において、簡易
郵便局
におきましても、今回はきちんと簡易
郵便局
というものを
法律
に定義して、その上で、三
事業
を
提供
していない簡易
郵便局
についてもそのユニバ責務を履行していく上で重要な一役を担うと、このように
日本郵政
と
日本
郵便
に
義務
付けたという形の
法律
の立て付けになっております。 したがいまして、これは具体的にはどういうことかといいますと、三
事業
を行わない局も
総務大臣
への
届出
対象
に加えておりまして、
総務大臣
から
日本郵便株式会社
に対し適時適切に監督が及ぶようにしているということで、仮に
サービス
水準を落とすような廃局が行われるおそれが生じても、これを阻止することは可能であると、このように考えております。
政府
においては、今後とも引き続き簡易
郵便局
の置局
状況
を適切に把握するとともに、少なくとも現行の
サービス
水準を低下させることのないよう行政において必要な
措置
を講じていただきたいと、このように強く我々提案者としても
政府
に要請しているところでございます。
山下芳生
219
○山下芳生君 提案者の意思は分かりました。ただ、
法律
上、
郵便局
ではなくなるということになっちゃうわけで、そうなると、
法律
上、
全国
あまねく置局の
義務
から外れちゃうということもまたこれは事実なんですね。 そこで、もう
一つ
提案者に伺いますが、私は、直営の
郵便局
がない
過疎地
を中心に今は簡易局が
設置
されていて、住民の皆さんのこれはライフラインになっていると思います。提案者の皆さんは簡易局の果たされているこうした
役割
についてどう認識されているのか、ここを伺いたいと思います。
斉藤鉄夫
220
○
衆議院議員
(斉藤鉄夫君) 今の御質問の前に、前の御質問に対してのことでございますが、今回我々は、いわゆる
政府
が提案した
郵政改革
法の中にはこの簡易
郵便局
の位置付けはなされておりませんでした。それで、今回我々は、簡易
郵便局
の位置付けをきちんと行い、そこの長は簡易
郵便局
長と称することができるという形で
法律
上に位置付け、三
事業一体
の
ユニバーサルサービス
という全体の
法律
の立て付けですから、確かに三
事業
を行うところとは差が出てきますけれ
ども
、現実問題としてその簡易
郵便局
についても水準を低下させることのないように、例えば総務省令できちんとそこは定めなさいという形に、これは後で是非
政府
に聞いていただきたいと思いますが、そういう形にして、決して簡易
郵便局
を軽視しているものではないということを改めて申し上げたいと思いますし、この簡易
郵便局
というのは離島や
過疎地
で本当に、ほとんどの局は、
保険
はやっていないけれ
ども
郵便
と
貯金
はやっているというところがほとんどでございまして、田舎の、また
過疎地
の大きな
金融
決済機能を果たしていると、このように位置付けております。 今回も、この
貯金
分野で基礎的
金融サービス
を
提供
している局が大半を占めているように、三
事業
を
提供
していない簡易
郵便局
についても
日本郵政
及び
日本
郵便
が
ユニバーサルサービス
を履行していく上で重要な一役を担うものと位置付けているところでございます。
山下芳生
221
○山下芳生君 後で
大臣
に
政府
としてどうするかについては聞きたいと思いますが、その前に川端
大臣
に簡易局の
役割
について認識を伺いたいんです。 私、何年か前に和歌山県旧花園村の中に一か所だけあった簡易局を訪ねたことがあるんです。この旧花園村というのは、非常に山の上の方にありまして、行くだけでももう車でジグザグの道路をかなり走らないと行けないところなんですが、この簡易局が、高齢を理由に前任者の方がお辞めになっていて一時休止されていたんですが、村の人たちが何とか再開をと要請されまして、若い女性が後継になられてまた開局されたというところに行ったんですが、
過疎地
で高齢者が多い中、年金の受取や引き出し、それから公共料金の払込みなど、まさに村民の
生活
に欠かせない命綱としての
役割
をこの簡易局が果たされているということを目の当たりにしてまいりました。 非常にこうした
役割
重要だと思いますし、こうした簡易局の存続がない限り、
全国
の
郵便局ネットワーク
を維持することは困難だと思いますが、
総務大臣
、いかがですか。
川端達夫
222
○
国務大臣
(川端達夫君) 簡易
郵便局
につきましては、この三
事業
を
提供
していない局も含めて、今
委員
御指摘のように、
国民生活
に必要不可欠な
郵政事業
の基本的な
サービス
を
提供
していく上で重要な一翼を担ってきていただいたというふうに認識をしております。特に、今御指摘のように
過疎地
においては、簡易
郵便局
が全
郵便局
中の約二六%、四分の一ぐらいを占めているという現状にあります。 したがいまして、簡易
郵便局
が果たしてきたこの大きな
役割
は今回の
改正
によっても変わることがなく、
過疎地
を含めた
全国
的な
郵便局
の
ネットワーク
を維持していく上において簡易
郵便局
の存在は欠かせないものと考えております。
山下芳生
223
○山下芳生君 そこで、どのぐらい
役割
を
過疎地
において果たしておられるのかと、簡易局がですね。ちょっと数字を
日本郵政
に聞きますが、簡易
郵便局
は現在
全国
で四千六十九局あると承知しております。そのうち約八割、三千四百二十九局が
保険
募集を行っていないと、三つとも全部やっているわけじゃないということなんですね。これは衆議院の
審議
でも明らかになりました。
郵政民営化法
の
審議
のときも、この
過疎地
における
郵便局ネットワーク
、
金融サービス
をどう維持するかが大きな問題になったわけですが、そこで、
民営化
法で言う
過疎地
において、営業中の直営局数それから簡易局数、何局あって、そのうち
保険
募集を行っていない簡易局、幾つあるかお答えください。
斎尾親徳
224
○
参考人
(
斎尾
親徳君) 現在営業中の
過疎地
の
郵便局
は、
平成
二十四年三月末時点で直営
郵便局
が五千四百三十四局、簡易
郵便局
が千九百四十五局となっております。また、
過疎地
の簡易
郵便局
のうち
保険
募集を行っていない簡易
郵便局
は千七百三十局となっております。
山下芳生
225
○山下芳生君 今あったように、
過疎地
にある簡易局千九百四十五局のうち九割は
保険
募集を行っていないということになりまして、しかし
郵便
や
貯金
はほとんどやっているわけですね。 ところが、今度の
法案
では、
法律
上、三
事業
をやっていないということで
郵便局
の定義から外れていくわけですが、
総務大臣
、これでは
過疎地
のほとんどの簡易局が
郵便局
の
設置義務
の
対象
でなくなるんじゃないかと、こういう心配、どうされますか。
川端達夫
226
○
国務大臣
(川端達夫君) この
法律
の位置付けでいいますと、形式的に申せば、
改正
後の
日本郵便株式会社
法第六条、
会社
は、総務省令で定めるところにより、あまねく
全国
において利用されることを旨として
郵便局
を
設置
しなければならないとの
規定
の
郵便局
の
対象
からは外れることとなります。
山下芳生
227
○山下芳生君
法律
上外れることになると。外しちゃ、実態的に外したら僕は駄目だと思うんですけどね。 そこで、現行の省令、
郵便局
の
設置
基準にはこうあります。「
会社
は、
過疎地
については、法の施行の際現に存する
郵便局ネットワーク
の水準を維持することを旨として」と、こうあるんですね。
郵便局
の今までの
ネットワーク
は簡易局であれ何であれ維持するんだというふうに現行の
郵便局
の
設置
基準、省令はそうなっているんですが、
郵便局
でなくなっちゃうとなると、この
設置
基準のままではなかなかつらい
状況
になるわけです。 そこで、川端
大臣
、私は、今度の
法案
がこれ可決、仮に成立いたしますと、新たな総務省令で
郵便局
の
設置
基準というものを作ることになると思いますが、私はこの新たに作られる省令、
郵便局
の
設置
基準の中に三
事業
全部行っていない簡易局も含めると、少なくともそう読めるようにきちっとこれは省令を作るということがどうしても必要だと思いますが、その点、いかがですか。
川端達夫
228
○
国務大臣
(川端達夫君) 先ほ
ども
御指摘もあり御答弁申し上げましたように、この形式上の定義からは外れる簡易局においても、
郵政事業
の一体的な
サービス提供
においては大きな
役割
を今まで担ってきていただいていることと、またこれも御指摘にありました、
過疎地
においてはその比率が極めて高いということも踏まえまして、
郵便局
の
設置
基準を定める総務省令におきましては、この
法律
が成立した後に定める総務省令において、三
事業
を行っていない簡易局もその
対象
に含めた形で
規定
することを考えております。
山下芳生
229
○山下芳生君 今明確に御答弁ありましたので、
法律
上、形式上外れるからといって外れてもいいみたいなことにならないように、それはきっちり省令で担保していただきたいと思います。 残りの時間で
金融
の
ユニバーサルサービス
について質問をします。 民主党の提案者の方に伺いますが、
法案
は、国が
日本郵政株式会社
の
株式
を三分の一超保有し、
日本郵政
は
金融
二社の全
株式
の
処分
を目指すとされております。これで
金融
の
ユニバーサルサービス
の
確保
が担保できるのかということなんですが、取り下げられた
郵政改革法案
の衆議院での
審議
を見ますと、
金融
二社の
株式
を三分の一超保有することで
経営
上重要な事項に係る決議を単独で阻止可能になると、したがって、
金融
二社が定款変更を行う場合に拒否権を発動できる、その拒否権を発動することによって定款で
金融
の
ユニバーサルサービス
を
確保
していくんだと、こういう説明だったんですね。 ところが、今度の
法案
では、
金融
二社の全
株式
の
処分
を目指すと、こうなっているわけですから、これでは、
金融
二社の三分の一超の
株式
を
日本郵政
が保有することによって担保すると説明していたことからいっても、担保できなくなるんじゃないかと、こうなりますが、いかがですか。
山花郁夫
230
○
衆議院議員
(山花郁夫君) 今回のこの提出をいたしております衆法ですけれ
ども
、まず前提として、
金融
の
ユニバーサルサービス
の
確保
の責務ということを
日本郵政株式会社
と
日本郵便株式会社
に課した上で、三
事業
を行う
会社
の営業所を
郵便局
と位置付け、
全国
の置局
義務
、今御議論があったところでありますが、これを課しているということ。また、
銀行
と
保険
窓口業務
契約を事前に届けさせるなどの仕組みには、まず前提としては変わりはございません。 ただ、その上で、今御指摘があったのは、
郵政改革
法の方では、三分の一保有をすることによって、株主総会での特別決議で三分の二超ないと決議できないのに対し、三分の一保有をしていればそれが阻止できる、だから
ユニバーサルサービス
についてはこれで担保できているのだと、そこの仕組みのところについての御指摘でございます。 これについては、三党間でいろいろ議論をしていく中で、例えばこの
ユニバーサルサービス
を
提供
する
銀行
、
保険
会社
というのは、
郵便貯金銀行
と
郵便保険会社
だけでは実はなくて、第二条のところで、ほかに関連
銀行
とか関連
保険
会社
というものも定義として入ってございます。 したがいまして、先ほど
赤澤
委員
から別の
委員
に対する答弁でありましたように、
郵便貯金銀行
とか
郵便保険会社
以外の
銀行
とか
保険
会社
が関連
銀行
、関連
会社
となるようなケースであるとか、あるいは
日本郵政
の出資を受けた関連
会社
がゆうちょ
銀行
、
郵便保険会社
の新たな
株式
となるようなケースであれば、三分の一を超えて
処分
をしたとしても
ユニバーサルサービス
を
確保
できるというようなケースも、これは想定であって具体的にどの
会社
がという、もちろんそういう話ではありませんけれ
ども
、そういうこともございまして、全部を
処分
することを目指しとありますけれ
ども
、
経営
状況
であるとか
ユニバーサルサービス
責務の履行への
影響
等を勘案しつつという、こういった
条件
を入れた上で、その
趣旨
にのっとって
日本郵政株式会社
がその
経営
判断により
ユニバーサルサービス
確保
の責務を履行するというような仕組みとなってございますので、したがって、
ユニバーサルサービス
については、ちょっと当初の
政府
提出の
法案
とは違った形にはなっておりますけれ
ども
、
確保
できるものと認識をいたしております。
山下芳生
231
○山下芳生君 私は、長年一緒にやってきたゆうちょとかんぽが手を引いたのに、別の
金融機関
が私がやりますよというところが果たして現れるのかと、そう思いますね。 それで、ちょっともう
一つ
別の角度から聞きますが、現在、
金融
二社から
郵便局会社
への業務委託料というのは、ゆうちょが約六千三百億円、
保険
が約四千億円、合わせて約一兆円の委託料となっておりますけれ
ども
、これなくなったら
日本郵便株式会社
の
経営
が成り立つのかと。これ、試算されていますか、提案者の方。
山花郁夫
232
○
衆議院議員
(山花郁夫君) 今御指摘がありました金額については御指摘のとおりで、
郵便局
株式
会社
の
経営
については収益の約八割が
金融
二社からの委託料収入でございます。 先ほど別の
委員
の
質疑
であったと思いますけれ
ども
、提出者として試算を行ったということは行っておりませんが、総務省から
平成
二十二年九月に、
金融
二社が
窓口業務
の委託を完全に中止をした場合には
郵便
事業
は三千三百億円の赤字となるとの試算を公表しているものと承知をしておりますし、先ほ
ども
そのような答弁があったと記憶をいたしております。
山下芳生
233
○山下芳生君 そういうことなんですよね。もし
金融
二社から委託がなくなったら、これは
郵便
事業
の
事業
が立ち行かなくなると、これはもう明らかだと思うんですよ。 そこで、私は、
全国
の
郵便局ネットワーク
を維持し
金融
の
ユニバーサルサービス
を
確保
するためには、
金融
二社の継続的な業務委託の担保がやっぱり必要だと思うんですが、これが本当にできるのかということなんですね。これはもう今、先ほどの答えがまた同じように返ってきたらつらいので、もうこれは飛ばしますが、もう提案者の方に聞くのはやめておきます。現在ではこれ、
義務
がないということなんです。 そこで、三分の一超だって重要な事項に係る決議を単独阻止できるにすぎないわけで、もうそれもゼロになるわけですからね。これ本当に、大変これは担保がないということになると思うんですが。
最後
に、これ、私、何分までですか。(
発言
する者あり)五分まで。もう終わりですね。 じゃ、次の
機会
に譲るとしますが、残り、またあさって聞きます。
世界
の流れはそういう
株式
の全売却とは全く違う流れで、
金融
の
ユニバーサルサービス
も含めた
ユニバーサルサービス
を担保するというのが主流なんだということは次やりたいと思います。 以上です。
又市征治
234
○又市
征治
君 社民党の又市です。 二〇〇五年の八月に、郵政の
民営化
をやれば
経済
も財政も
地域
も外交も全て良くなる、こういううたい文句で
郵政民営化法
が強行採決をされて、以来足掛け七年、法施行から四年半がたちました。私もその
委員会
におりましたけれ
ども
、しかし、結果は
国民
にとって何
一つ
いいことはなくて、このうたい文句が極めて誇大宣伝であったということは今や衆目の一致するところだろうと思うんですね。 我が党はその後、
国民
新党やあるいは民主党の皆さんと一貫してこの
民営化
の持っておる
問題点
、これを指摘をし、その
改正
に取り組んでまいりましたけれ
ども
、今回、三党の提案には私たちが指摘をしてきた、あるいは申し入れてきたこういう内容も大筋包含をされておりますので、その
意味
では提案者の皆さん方の御努力に心から敬意を表すると同時に、この
法案
には賛成をいたしたいと思います。 その上で、郵政三
事業
を本当に
国民
、
利用者
のために再生をさせる
立場
から、幾つか確認の質問を行いたいと思います。 初めに、我が党は、この
株式
売却凍結
法案
が成立をいたしました二〇〇九年の十二月、目指すべき
郵政改革関連法案
に盛り込む内容を十八項目にわたって、当時の原口
総務大臣
と亀井
郵政改革
担当
大臣
に、二〇一〇年
郵政改革
のための申入れとして提言をいたしました。まず、基本法において郵政三
事業
の資産、
ネットワーク
、文化が
国民共有
の財産である旨を宣言をすべきだということを提案をいたしました。これは三
事業
の一体性と
ユニバーサルサービス
を
確保
するに先立つ言わば原理原則を述べたものでありますけれ
ども
、具体のレベルで言えば、三
事業一体
運営及び財政的連結の効果を発揮をし、
ユニバーサルサービス
の
向上
に資するように求めたわけでありますが、この点は今回の皆さん方が提案をいただいた
法案
の第七条の二に相当するんだろうと、こう思いますけれ
ども
、三
事業一体
性と
ユニバーサルサービス
の
確保
については、私たち、我が党との認識とほぼ一致するんだろうと思いますが、どのような御論議の結果この第七条の二ということになってきたのか、もう少しそこらのところはお伺いをしたいと思います。提案者側。
森山裕
235
○
衆議院議員
(森山裕君) 又市
議員
にお答えをいたします。 御党が二〇〇九年の十二月十八日、二〇一〇年
郵政改革
のための申入れをしておられますが、我々は三党協議に当たりまして改めてこれを読まさせていただきました。十分に認識としては共有できたものだと思っておりますし、そこに書かれておりますことの実現に向けて
法律
を作り、御提案を申し上げてきたところでございます。 具体的に申し上げますと、郵政三
事業
が
国民共有
の財産であるとの認識に基づきまして、第七条の二第一項において、三
事業
を一体的に利用できるようにするとともに、
ユニバーサルサービス
を
確保
し、
郵便局ネットワーク
が維持されることを明示いたしました。あわせて、第二項において、
利用者
ニーズを踏まえ、
地方
公共団体からの委託を通じるなどして
地域住民
の利便の増進に資する業務を幅広く行う
拠点
として
郵便局ネットワーク
が活用されるなど、公益性及び
地域
性の発揮についても
規定
をしているところでございますので、御理解をいただきたいと思います。
又市征治
236
○又市
征治
君 大変ありがとうございました。 三
事業
の一体性と
ユニバーサルサービス
の
確保
については共通認識だという御回答でございました。 次に、
株式
の売却の問題ですが、我が党はさきの申入れの中ではこのように述べております。
政府
の持ち株比率は主要
事業
の議決など
会社
を完全に支配できる比率を常時保有しとありますが、これはちょっと
意見
が違うところもあるようですけれ
ども
、続けて、その上で、
株式
公開の
国民
的意義に鑑み、
国民
個人
、
地方
公共団体、年金基金など公的機関が適切な比率を保有するよう誘導し、
会社
の全
国民
的な運営と監視を保障すること、なお外国資本による保有については適切な
規制
を設けること、このように提言をいたしました。この点は、一面、売却を御主張なさる
方々
とも共感をいただけるのではないかと、こう思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。
武正公一
237
○
衆議院議員
(
武正
公一君)
委員
御提案のとおり、国有財産である
政府保有株式
を始め
日本郵政グループ
の
株式
を長年にわたり
国民共有
の財産として築き上げられたものであり、その
処分
に当たっては、
国民
全てが平等に購入できる
機会
を設けることが重要と考えております。
金融
二社の
株式
について、その
処分
方法は、一義的に
日本郵政株式会社
が
法律
の
規定
の
趣旨
を踏まえ
一定
の説明責任を求められる中で判断すべきものであります。 その前提で提案者の考えを申し上げれば、
金融
二社の
株式
が相当大きな額となることを踏まえれば、現実に
処分
を行うため、
金融
ユニバの責務の履行を果たすために上場後に相対で
処分
することはあり得るものであり、
委員
御提案の件も含めて
日本郵政株式会社
において検討していただきたいと思っています。 また、御提案の中にもございましたが、
金融
分野においては、やはりWTO協定上、外資
規制
を設けることはできないものと承知しております。
又市征治
238
○又市
征治
君 さて、
ユニバーサルサービス
といえば、三
事業
が
全国
津々浦々で行われることでありまして、そのためには
郵便局
の数を維持することは欠かせないわけであります。そこで、今、私の前者、山下
議員
からも相当問題を指摘をされましたが、ちょっと私もこの点について言うと、この
法案
で曖昧になっているちょっと不満なところであります。 つまり、この
法案
では、あまねく
全国
に置くべき
郵便局
について定義が変えられて、三
事業
を行う局、これはおよそ七百局になるんでしょうか、これが
郵便局
になって、簡易
郵便局
のうち約三千三百局は三
事業
を行わない、行っていないことから
郵便局
ではなくなり、置局
義務
というものの
対象
から外れる、こういうことになる。これで一体
ユニバーサルサービス
が
確保
できるのかという
懸念
が出されているわけでありまして、何でここのところをさっきから回りくどい御説明をなさるんだろうかという気がしてならぬわけであります。 今回の
改正
でなぜこの郵貯、簡保についても
ユニバーサルサービス
が明記をされ、法定されることになったか。大変これは前進なわけですけれ
ども
、まさに
会社
が訴えているように、過疎化によって他の
金融機関
の撤退、あるいは郵貯、簡保を含めた小
規模
金融サービス
の
提供
のない
地域
が増えてきているわけでありまして、これの
国民
の権利あるいは利便性というものを守るべきだ、だからこそ皆さん方も七条の二をお書きになったんだろうと思う。そうすると、一体全体この三
事業
を行わない簡易
郵便局
というものは今後
郵便局
でないということになるのかどうか。そうさせてはならないんだろうと思うんですけれ
ども
、一方で、七条の二の後段にあるように、将来にわたりあまねく
全国
において公平に利用できる、こういう
郵便局
が必要だと、こう言っている。この点は改めて、さっきからもう何度もありましたが、斉藤さんでしょうか、もう少し明確にまとめて言ってもらうのと、あわせて、
総務大臣
からこの点の省令できちっとやりますということについての明確な答弁も求めておきたいと思います。
斉藤鉄夫
239
○
衆議院議員
(斉藤鉄夫君) 又市
議員
にお答えいたします。 先ほど山下
議員
にお答えしたことと基本的に同様の答弁になるんですけれ
ども
、今回は、三
事業一体
の
ユニバーサルサービス
ということが今回の
法案
のまさにポイントでございます。そういう
意味
で三
事業
を行うところを
郵便局
と定め、そしてそれを
全国
あまねく置くということで
ユニバーサルサービス
を
義務
付けたわけでございますけれ
ども
、そういう
意味
では、三
事業
を行っていないところについては三
事業
を行った上で居続けてほしいということを言うかどうか。現実問題は、先ほど山下
議員
からもお話がございましたように、
過疎地
で、もちろん
郵便
と
貯金
はやっている、しかし
保険
はなかなか、いや、できないというところがほとんどでございまして、そういうところに
保険
までやれということが果たして現実的かどうかということも議論、この三党で本当に議論をいたしました。 結果といたしまして、ここは総務省令で、このいわゆる簡易
郵便局
については今の水準を落とさない、で、きちんと
総務大臣
への報告事項とする、そしてここはもう総務省としても全力を挙げて、国としても全力を挙げてこの簡易
郵便局
の置局水準を維持していくということで、実質的にこの簡易
郵便局
についても
ユニバーサルサービス
を実施してもらうという形態にしたものでございます。
川端達夫
240
○
国務大臣
(川端達夫君)
郵便局
の定義という部分は、今斉藤
委員
の方からお触れになったように、三
事業
全部を
義務
付けるという
意味
ではこういう
法律
の立て方になりましたけれ
ども
、実質的に三
事業
をやっていない二
事業
だけの簡易局を中心とした部分も、特に
過疎地
も含めて大変大きな
役割
を担っていただいていることを踏まえまして、
郵便局
の
設置
基準を定める総務省令においては三
事業
を行っていない簡易局もその
対象
に含めた形で
規定
することを考えております。
又市征治
241
○又市
征治
君 是非明確にそれはしてもらって、不安のないようにしていただきたいと思います。 そこで、これからはちょっと
会社
側に幾つかお伺いをしておきたいと思うんですが、我が党は一方で、先ほど申し上げた申入れの中で、公益的
事業
にふさわしい企業モラルあるいは雇用モラル、特に社員の約半数、二十万人に上る郵政の非正規労働者の処遇改善やあるいは正規社員化を提案をいたしました。 これは、亀井前
大臣
も、そしてまた現の自見
大臣
も、誇りを持てる働きざま、このことに向けて処遇改善に大変御努力をいただいてきたと思っています。しかし、残念ながら
会社
側の、依然としてここらのところは改まっていないというべきか旧態依然たる処遇というべきか、そういうのが見受けられます。例えば、非正社員の一万四千人に上る雇い止め、あるいは労基法違反を指摘をした労働組合幹部を六十歳再雇用制度から事実上締め出すなどという事象が訴えられております。 そこで
会社
に伺いますが、
郵便
事業
の赤字は、確かにペリカン便との統合の失策であるとか、あるいは信書便の長期にわたる減少傾向、さらには三
事業
分割によったために
コスト
高になったことなどが原因なんでしょうけれ
ども
、それらはそこに働く人々に何の責任もないわけですよ、これはね。赤字だからといって首を切ったり、不当労働行為まがいのこういう対処は許されない。このことについて見解を伺っておきます。
中城吉郎
242
○
参考人
(中城吉郎君) お答え申し上げます。
郵便事業会社
の
経営
につきましては先生御指摘のように大変厳しい
状況
にございまして、本年度の営業黒字の必達とその後の
経営
再建を着実なものにしていくためには、労使が協力して社員一丸となって取り組んでいく必要があるというふうに考えております。 先生から御指摘いただきました施策のうち、六十五歳以上の期間雇用社員の雇用更新の上限年齢につきましては、年金の支給開始年齢や高年齢者雇用安定法の
規定
等から見て社会的に六十五歳が勤労の
一つ
の目安になる時期であるというふうに考えられること、また
一般
的に加齢に伴い業務運行に困難を伴う場合があるとされていることから、
民営化
時に関係労働組合と労働協約を締結して導入して、
平成
二十三年四月一日から適用したものでございます。 また、高齢再雇用制度につきましても、高年齢者雇用安定法に基づいて継続雇用制度として導入しておりまして、その選考過程で必ずしも全員が合格するわけではございませんが、関係労働組合との協約に定める選考基準にのっとり公正に実施しているところでございまして、そういう
意味
では、労使協調して社が一丸となって今
経営
の改善に向かって取り組んでいるところでございます。
又市征治
243
○又市
征治
君 まるで何も誤りはなかったと言わんばっかりのそんな答弁、聞きたくないんだよね。 私のところへ正社員からも、相変わらず管理職によるノルマの締め付けの具体例、あるいは小さなミスで過酷な解雇や賃金ランク下げ、特定の部下の優遇など、職場の労働環境を乱すような対応、こういった問題、幾つも苦情や不満が寄せられていますよ。具体的に挙げますか。ましてや、常に解雇や格下げにおびえるような非正規労働者は推して知るべしですよ。
政府出資
一〇〇%の
会社
で、これ亀井さんもこのこと言ったじゃないですか、そういう
会社
で、約半数の非正規労働者を抱えざるを得なかった事情はあったにしても、しかしこのようないびつな労働環境やあるいは実態があることは極めて問題がある、私はずっとこのことを申し上げてきた。残念ながら改まっていない。 本当に、新しくそういう
意味
でこの
法律
ができる、新たなスタートを切っていく、そのときに、職場に正常な人間関係を築いて、ひとしく労働者に人間らしい労働と賃金を保障する、労使一体となって郵政全体の
コスト
を稼ぎ出せるように努めて、郵政三
事業
の
発展
とユニバの
確保
を図るべきだということなんで、このことにまともにどうせ答弁ないから、ここのところだけ指摘しておきます、これは。次回にまたやりますよ。そういう問題。具体の例を挙げろと言うんなら、いつでも挙げますから。もうちょっとましな答弁をしなさいよ。 そこで、次に移りますが、今回の
法案
には、郵貯、簡保の
ユニバーサルサービス
が明記されたことは先ほどからも申し上げているように
評価
をいたすところですけれ
ども
、我が党は、郵貯、簡保のユニバは、
地域経済
界との協調、連携なくしては維持
発展
はできないんではないか、こう考えて、前述のあの申入れの中でも具体的に幾つか提言をいたしました。例えば、
地方
ブロック又は都道府県単位で
地域
諮問
委員会
を置いて、住民、
利用者
の要望を反映をさせるべきじゃないかとか、あるいは郵貯、簡保の利用の多くが利殖を
目的
としない
生活
資金的な預入、掛金あるいは払出しである実態に鑑みて、
窓口
料金の低廉を維持すること、また郵貯・簡保資金の運用ルールは安全確実を旨とするとともに、
一定
割合を域内還流させ、
地域経済
の均衡ある
発展
に資するよう、そしてその際、既存の
地域金融機関
との連携を図って融資はこれら
金融機関
に対して行うなど
共存
共栄を図ってはどうかなどなど提案をしてまいりました。 つまり、
地域
の
金融機関
とは、
貯金
ではこれ競合するわけでしょうけれ
ども
、ゆうちょ、かんぽの方は、融資のノウハウは非常にそういう
意味
ではないというか弱いというか、こういう
状況
にあるわけでしょうから、そういうことの特色というものを生かしていく。あるいはまた、
郵便局
がコンビニ業に転出するというのは、この
郵政民営化
のときの掛け声だったんですね。そういうことはあったけれ
ども
、しかし、あちこちでこれは問題としてぶつかる、こういうことがあります。 そこをうまく協調して
地域経済
に溶け込むことによって、郵貯・簡保
事業
も
発展
できるんではないかと、こう思うんですが、この点、
日本郵政株式会社
のこのことについての見解をしっかりお伺いしておきたいと思います。
齋藤次郎
244
○
参考人
(齋藤次郎君) ただいま先生御指摘のとおり、郵貯、簡保の
事業
というのは、これまでも
地域
に溶け込みまして、その運用も
地方
債を
対象
にすると、
地方
になるべく気を遣って運営していることも確かでございます。まさに、
地域
のお客様の役に立つことによって
発展
してきたと私
ども
も考えております。 したがいまして、今後とも、どのような
サービス
が必要とされるかなど
地域
の
方々
の御要望を把握して、
地域
との関係を大切にすることを第一にしてやっていきたいという具合に考えておりまして、御指摘のことを十分に加味してやっていきたいと思っております。
又市征治
245
○又市
征治
君 是非、そこらはこれからの大問題になっていくんでしょうから、当然そのことはお考えになっているだろうし、提案者側の皆さん方もそこらのところをかなり御議論なさったんだろうと推察をいたしますけれ
ども
、しっかり取り組んでいただきたい、こう思います。 さて、かつて、かんぽの宿のたたき売り問題が大変大きな問題になりました。私もこの
委員会
やその他予算
委員会
、決算
委員会
などでもこの問題を取り上げて追及をいたしました。結局、この事件は、
民営化
を利用した特定
会社
との癒着によるものだったということになるんだろうと思いますし、それで、
国会
で大問題になってストップをいたしました。 今回の
法案
では、このかんぽの宿などの取扱いは
経営
判断ということにされておりますけれ
ども
、約四十億円の赤字があるわけでありまして、そういうことだとすれば、
経営
判断とすれば、廃止、売却の可能性もあるということになろうかと思うんです。 我が党としては、先ほ
ども
申し上げた申入れの中で、かんぽの宿その他土地建物等の資産活用に関するルールを、これは法定をすることが必要ではないかということを実は申し入れておりました。具体的なことを言えば、本来
目的
での使用。そして、次いでは、
地方
公共団体等による公益的利用というものを優先をする。三番目には、売却の場合は第三者による適正
評価
、あるいは使用
目的
制限、買戻し特約等を作るべきではないかということなどなど、提言をいたしてまいりました。 やっぱり、何といっても、このかんぽの宿そのものは国の、あるいは
郵便局
の
事業
だからという信用で地元の住民の皆さんやあるいは地権者の協力を得て立ち上げたところが多いわけでありますから、親しみやすい保養施設として長年利用されてきた、そういうこともあります。国営、簡易
保険
の原資によって形成された資産なわけですから、法
改正
が成っても、初心に立ち戻って公益的利用を優先すべきだ、このように考えますが、
会社
側の現時点の見解を伺っておきたいと。これが
一つ
。 もう
一つ
。東京、大阪、名古屋などの大都市の局舎の高層化についても申入れの中で、この公益的な利用又は収益の公益的な利用を担保することということを求めてまいりましたが、これはその後どのような推移になっているのか。 この二点について
会社
側の説明をお聞きしたいと思います。
篠田政利
246
○
参考人
(篠田政利君) 又市先生から御質問いただきました、最初にかんぽの宿につきまして私から御説明をさせていただきたいと思います。 かんぽの宿につきましては、本
法案
が通りますと、いわゆる売却凍結法の解除が行われまして、
会社
の
経営
判断で運営をしていくということになります。現時点で、かんぽの宿の今後につきまして
会社
として具体的な方向性を持っているわけではございません。御指摘いただきましたように、残念ながら宿泊
事業
部門は赤字を抱えておりますので、懸命に赤字の改善に取り組んでいきたいと考えているところでございます。 その上で、先生お尋ねがございました、仮に将来一部の宿等につきまして譲渡、廃止を検討するというような場合には、先生御指摘ございましたように、国営
事業
として
郵政事業
の中で形作られてきた資産でございますので、慎重な取扱いをしていきたいと、このように考えているところでございます。
斎尾親徳
247
○
参考人
(
斎尾
親徳君) 大都市の局舎の高層化につきましては、
郵便局会社
は、
民営化
後、保有する不動産を活用した不動産
事業
を展開しておりまして、現在、先生御指摘の東京、大阪、名古屋の各中央
郵便局
の局舎等を活用した再開発
事業
を進めておるところでございます。 御質問の公益的利用につきましては、これらの不動産
事業
に当たりましては、商業施設だけではなくて、例えば旧東京中央
郵便局
敷地内に建設中のJPタワーにおきましては、
郵便局
、国際カンファレンスセンター、国際的な学術・文化の総合ミュージアム、国際ビジネス・観光
情報
センター等を
設置
するなどいたしまして、地元自治体とも密接に連携を取りながら、
地域
、社会に貢献する施設としているところでございます。 また、収益の公益的利用につきましては、これらの不動産
事業
は、現在の
郵便局会社
、そして
郵便事業会社
と統合してできる新しい
会社
にとって新たな
経営
基盤となって、自立した
経営
の実現に資することを
目的
として行っているものでありまして、引き続きこの
目的
が達成できますよう、鋭意
事業
を進めてまいりたいと考えているところでございます。
又市征治
248
○又市
征治
君 終わります。
藤末健三
249
○
委員長
(藤末
健三
君) 本日の
質疑
はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後四時三十分散会