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西田実仁君 公明党の
西田実仁でございます。
今日は、消費税そのものにつきまして御質問させていただきたいと思います。
将来的にはこの消費税が基幹税となっていくことは自明ではないかと思っておりまして、また、今回、民主党の中からも大量の離党者が出るほどの大論争の末に十七年ぶりに消費税を引き上げるということでありますから、この際、懸案事項を一気に解決すべきであって、問題を先送りすべきではないというふうに思っております。すなわち、あるべき消費税
制度というものをしっかりと確立をしていかなければならないと。
私
自身が考える懸案事項といたしましては、消費税の持つ逆進性の克服ということであり、また公平な税
負担、さらには転嫁問題と、この三つについて特に懸案事項で、これをきちんと解決すべきであるという
考え方でございます。
そこでまず、私の方からは、この逆進性
対策ということで、軽減税率の問題を取り上げさせていただきたいと思います。
公明党は、この三党協議で、新たに低所得の方々に対する
対策として軽減税率というものを
検討すべきであると主張させていただきました。三党の合意によりまして、八%に引き上げる段階でこの軽減税率若しくは簡素な
給付措置ということが
検討の対象になることになりました。
ヨーロッパでは、もう言うまでもなく、食料品などの生活必需品に加えまして、新聞や書籍あるいは雑誌などにも軽減税率を適用するのが標準的となっております。
そこで、私ども、なぜ八%の段階から軽減税率を必要とするのかということについて、三点、パネルを使いながら申し上げさせていただきたいと思います。(
資料提示)
まず初めに、何といっても、この
委員会でも何度も
指摘されましたけれども、軽減税率というのは非常に分かりやすいということでございます。分かりやすいがゆえに、三党合意の後のいろんな新聞の世論調査を見ましても、例えばこの七月十六日付けの読売新聞、あるいは六月二十八日付けの東京新聞、いずれも軽減税率を導入すべきかどうかとの問いに対しまして、七割以上の方々が導入すべきであると、こういうふうに言っておられる。これはまさに、毎回毎回の食品等を買う際に、軽減税率になれば分かりやすいという、そういう象徴ではないかというふうに思うわけであります。
一方、もう一つの選択肢であります簡素な
給付措置というものがなかなかイメージしにくいというのがありまして、軽減税率は分かりやすいんだけれども、簡素な
給付措置は分かりにくいというか、イメージがつかめないという、こういう問題点もあるんではないかというふうに思います。まず一点目は分かりやすさということであります。
しかし、重要なのはこの二点目の逆進性の緩和ということでございまして、私は今日ここを強調させていただきたいと思っておりますが、エンゲル係数というのはもうよく
国民の皆さんも御存じのとおりであります。消費支出に占める食料品の比率でありまして、経済的なゆとりを示す指標として定着しております。
全体の年間収入を五等分いたしました五分位別のエンゲル係数を比較してみましたところ、まあエンゲル係数は所得が少ない方々ほど高くなるというのはよく知られている事実であります。実際に、ここには二〇〇八年と二〇一一年、比較をさせていただいている、二〇〇八年が水色、二〇一一年が赤のエンゲル係数をそれぞれ、下の方に、一番左は全体の平均でありますけれども、その後、一、二、三、四、五というふうに書かせていただいているのは、五分位別のエンゲル係数ということでございまして、低い順から所得の高い順に、年間収入の高い順に並んでいるわけであります。
ここで、是非注目していただきたいのは、二〇〇八年と二〇一一年を比べたという理由でありまして、リーマン・ショックが起こった後、実は所得の少ない方々ほど急激にエンゲル係数が伸びているという、上がっているという事実でございます。第一分位の方々はプラス〇・九九%、そして第二分位の方は〇・六八、その後順次、一番所得の多い第五分位というところについては〇・一一の上昇でございまして、これは、所得が全体的に下がる、一方で食料品価格は、国際市況がこの十年で三倍になっていることに表れているように非常に上がっている。これによってエンゲル係数は所得の少ない方々ほど急激に今上昇しているということでありまして、その意味で、生活の格差というものは、このリーマン・ショック以降非常にこのエンゲル係数に端的に表れているように大きくなってきているということでございます。そこに今後消費税が掛けられていくことになりますと、それだけ物価は上昇していくということになりますので、この低所得の方々と高所得の方々の生活格差というものは更に広がっていくんではないか、このように懸念されるわけでございます。
逆に申し上げますと、食料品等に軽減税率を掛けますと、低所得の方々ほど消費税による
負担軽減率が大きくなるということになる、これが三枚目のパネルでございます。
ここで、二〇一一年の家計調査に基づきまして、まあ家計調査はいろいろな費目がございますけれども、ここでは一番広く、食料という支出がございますけれども、この家計調査の二〇一一年の
データから、食料支出に五%、据置きですね、その他の消費に八%課税した場合に、低所得の方々、つまり食料に軽減税率を掛けるという前提になっているわけでありますけれども、その
負担軽減率は、一番所得の少ない第一分位、二〇一一年では年間収入が三百三十七万円までの方々でありますけれども、この方々の、本来は三%、五から八%ですから三%全体としては
負担増になるわけでありますけれども、食料に軽減税率を掛けた場合には〇・八四%
負担軽減というものが行われるという、結果的に、本来三%全体でアップするところが二・一六%であるという、所得の少ない方々ほど
負担軽減率というのが大きくなっているということでありますので、先ほど申し上げました、ここ数年、大変にエンゲル係数が急上昇、所得の少ない方々ほど伸びているものを、その
負担を軽減するという意味でも、食料品等に軽減税率を掛けることが、いかにその逆進性を緩和し、また生活格差が広がるばかりのところを抑えることになるのかということを示しているのではないかというふうに思うわけでございます。逆に言えば、五から八%に上げる段階から全部軽減税率をやらずに行いますと、そもそもこの低所得の方々のエンゲル係数がここ数年急上昇しているところに更にその
負担増がもっと襲いかかってくると、こういうふうになってしまうわけでございます。
この二つ目が逆進性の緩和ということでありまして、三つ目は世界標準ということをあえて言わせていただきたいと思います。
一部には消費税が一〇%を超えてから軽減税率導入をというような声もあるようでありますけれども、国際的に見ても、食料品に一〇%を掛けているところというのはないんですよ。OECDの加盟諸国で標準税率が二〇%未満、軽減税率を導入している国は十か国ございますけれども、そこに、食料品に一〇%の消費税を掛けているところは皆無であります。それらの国々の食料品の軽減税率の単純平均を示したところ、四%です。つまり、今世界にある軽減税率を掛けているところに関しては、特に食料品に関しては平均で四%、まあ五%
程度のものというのが世界標準でありまして、一〇%を超えてから食品に軽減税率を掛けるとなると、据置きというふうに考えられますと一〇%ということになってしまうわけでありますので、我々は、公明党としては、八%へ上げる段階からこの軽減税率をきちんと導入することを
検討すべきと、このように申し上げさせていただいているわけであります。
そこで、今私、三点にわたりまして、分かりやすさと、そして逆進性の緩和、さらには世界標準、この三つの点を挙げさせていただきましたけれども、逆進性
対策としての軽減税率についてどのように認識をされているのか、じゃ、岡田副
総理にお聞きしたいと思います。