○桜内
文城君 現実に可能だということをこれからお示ししたいと思っております。
よく積立方式を採用する際の問題点として、今、岡田副総理もおっしゃったように、現実的なのかというところがあります。よく、よくといいますか、以前、以前というか、歴史上、カエサルが「ガリア戦記」の中で、人は自分の見たいと思うものしか見えないという言葉を述べておりますが、逆に言えば、しっかりとこういった
国会の場で数字でもって
議論をする、ちゃんと見えるものとしてそれを
実現していくということが必要だと思いますので、そういった意味で、今回の我々のスキームについて簡単に御
説明申し上げます。
ちょっと次のフリップ、よろしいでしょうか。これは、現在、直近の
厚生労働省が試算しております財政再検証の数字をほぼそのままここに掲載しております。
厚生労働省の仮定といたしまして、物価上昇率一・〇%、実質賃金上昇率一・五%、そして運用利回りといいますか割引率が四・一%という形で計算がされておりまして、割引前の、これは過去給付債務といいまして、これまで
保険料として支払われてきて政府が
約束している分、あるいは既に高齢者となって
年金を
受給している
方々に政府が払うことを
約束した、その債務が一体幾らかということなんですが、割引前の数字、これは本当に目を覆いたくなるような話ですけれども、合計しますと二千二百六十三兆円、これどうするんだというふうに、まさに
実現性を危ぶむ、その大本になる数字かと思います。
これを
厚生労働省の方では現在価値に割り引いておりまして、よく
厚生労働省の
説明の中で使われる数字としまして、過去勤務債務として
厚生年金が八百三十兆円、そして
国民年金が百二十兆円、こういった数字が実際に我々の
議論の大前提として言われておるところでございます。
ただ、この物価上昇率一%、実質賃金上昇率一・五%の仮定なんですけれども、これでもって給付を増やしていくという仮定なんですね。で、
先ほど申しましたように、私どものスキームによれば、新勘定というのは完全に積立方式に移行しておりますので、そういった意味でいえば、運用利回り、後ほど述べますが、二・一%というのを考えております。
ですので、こういった、それとは全く関係ない物価上昇率あるいは実質賃金上昇率一・五%という影響を排除したら一体どうなるのかということで、次のフリップになりますけれども、これで
厚生労働省からいただいた数字を、この仮定を置き換えて計算してみました。そうしますと、割引前の金額といたしまして千三百九兆円ということになります。
これでも大変大きい金額ですので、どうするんだということなんですけれども、じゃ、それを二・一%で今回割り引いております。もちろんこの割引率二・一%が適当かどうかというのはありますけれども、これは三十年物の国債、我が国が、政府が発行している国債の五年平均の数字が二・一三〇%ですので、それで取りあえず二・一%で割引率、運用利回りを置いてみようと。我が国で最も長期の国債ですので、これをベースにして考えてみようということでございます。また、
厚生労働省の中での試算としてもみなし運用利回り、ちょっとややこしい話なんですけれども、二・一%という数字を使っていらっしゃいますので、これをベースにして割り引いてみますと、そうすると、この過去給付債務というのが九百二十二・一兆円という形になります。
最後の、四枚目のフリップですけれども、これをどう処理していくのかという図がこの給付と財源の図でございます。今申しましたように、過去期間に係る給付債務九百二十二兆円、それに対しまして、財源として積立金、今実は減っておりますけれども、これは前回の財政再検証の折に
厚生労働省が前提としました積立金の総額二百一兆円、ということは、差し引きまして七百二十一兆円を百年間でどうやって償還していくのかという話になります。
これが実際に可能かどうかということを、これはフリップ用意してございませんが、
皆様のお手元には新勘定・旧勘定資金収支予測表という形でお示ししております。これによれば、旧勘定の方で過去勤務債務を毎年給付していく、一方で新勘定の方では積立てがなされていって、それが六十五歳になったらば少しずつお戻ししていくと。
この場合の、新勘定で積立方式に移行した場合、大体どのぐらい給付がなされるのかというのは、簡単に申しますと、例えば、二十歳から六十歳まで四十年間、月収の一八・三%、これは今の
厚生年金の
保険料率ですけれども、これで払ったとしまして、六十五歳から平均
年齢と思われる八十五歳までの二十年間これを給付していくということにいたしますと、約、現役時代の月収の四割を給付することが可能になるであろうということでございます。
もちろん、これ
内閣府の方で作られた資料なんですが、積立方式の問題点というのが述べられております。三つありまして、一つ目ですけれども、積立方式には想定を超えたインフレや賃金上昇が起こった場合にこれをどうするんだという問題が生ずる。ですけれども、これは恐らく、積立方式になったからということよりも、そういった経済変動が起こった場合に福祉的な給付を別途どうやって行っていくのかという話だと思います。
そしてもう一つ、積立方式にした場合に、積立金が
先ほどお示ししましたとおり八百兆円、これは積立ての取崩しを想定しておりませんので、この中では、大変大きいんですけれども、八百兆円とかそこらになるおそれもありますけれども、おそれといいますか、それだけ積立金があるというのは悪いことではないんですが、郵貯が以前三百兆円の郵便貯金をしっかりと運用していたということも考え合わせれば、あながちこれは不可能な話ではないというふうに考えます。
そしてもう一つ、
先ほど岡田副総理もおっしゃいましたが、二重の負担というものをどう処理するのか。
先ほど申しましたように、実際の数字が見えなければこれをコントロールすることもできないんですけれども、数字をしっかりとこのように計算していけば、百年でもってきれいにこの暗黙の債務を償却していくことが可能だということをお示ししたいと思っております。
これについて、岡田副総理、御覧になった感想をお聞かせください。