○梅村聡君
民主党の梅村聡です。
今日は、持続可能な
経済社会と
社会保障の
在り方ということですけれども、まず、ここ数年、
社会保障の
分野がよく言われることが、国の負担という見方と、それからもう
一つは、
雇用の受皿で
経済波及効果が大きいんだと、そういうことがよく議論をされるんです。私も、例えば国会図書館ですとか、あるいは
経済学者の皆さんにも、本当にそういう事実があるのかと。具体的には
投資を
社会保障に対して増やしたときに、その
投資額に見合った
雇用なり
経済波及効果があるのかということを調べると、実は
日本全体としてのはっきりとしたエビデンスを示していただけることというのはなかなかないんですね。
つまり、ある市では道路工事とこういう
社会福祉と施設を造ったときにはこういう
雇用の差が生まれましたという局地的な話はあるんですが、この
日本国全体のエビデンスというのがもう
一つ薄いんですよね。つまり、これ、もちろん概念としては
理解はできるんですけれども、検証していくということがまだまだ弱いんではないかなと思っています。
具体的には、
社会保障であっても、どういうビジネスモデルに対して公的資金を入れることがよくて、こういうビジネスモデルに対しては民間に任せた方がいいという、その線引きというか切り分けということがまだまだコンセンサスが得られていないんじゃないかなと。逆に言えば、先ほど
コンクリートから人へという話がありましたけれども、もしそれを行うのであれば、どの
分野でそれを集中的に行っていくのかということをもう少し私は具体的に検証していく必要があるんだと。それなしに、
社会保障だからこれは
雇用なんだ、税収なんだということの大ざっぱな議論から少し抜け出していく必要があるんじゃないかなと思っています。
具体的に言えば、例えば介護というのは、これは介護保険はありますけれども、しかし、現実的には営利が入ってくる
世界なんですね。
医療というのは、これは自由診療もありますけれども、原則的には非営利であると。ところが、
医療と介護が
現場では出会うわけですから営利と非営利のせめぎ合いになってくると。じゃ、具体的にどういうモデルがいいのかということを、これ、介護保険というのは歴史は十年しかないんです、
医療保険というのは五十年あるわけですから。ですから、こういった具体的な
分野分野の検証ということをこれから行っていくことが必要ではないかなと考えております。
それから、先ほどから
生活保護の話も出てきております。
これは、
一つ考えなければいけないことは、これ、どうして今話題に上っているのか。もちろん、昭和二十五年の
制度以来、受給者が二百九万人という過去最多を更新したという面もあるんですが、しかし、もう
一つ大きなことは、
国民の中で非常にその不満といいますか、納得ができないという声が多いことがやっぱり
一つ大きな課題なんだと思っています。
余り具体的な金額の話をするのもどうかと
思いますが、
国民側の
意見は、
年金は毎月一万数千円を四十年間払い続けても基礎
年金が六万五千円だと、住宅扶助も含めれば、
生活扶助、合わせると、じゃ、都市部が十三万円だと、どうして二倍の開きがあるのか、これが純粋な
国民側の
意見です。
これに対して、
政治も行政もこれまでの説明は、
年金は保険だと、それから
生活保護はナショナルミニマムだと、それから最低賃金というのは労働基準法の中で定められる基準なんだと、こういう説明をしてきたんですけれども、しかし残念ながらそれはやっぱりプロの議論でして、納税者たる
国民からいえば、それは行政側の、仕組みの側からの説明であって、我々の納得というところの心には響いてこないと、こういうことなんだと思うんですよね。
先ほども
お話しいただきましたけど、私は、やはりこの
生活保護の問題、今、四五%の受給者の方が六十五歳以上の
高齢者であります。じゃ、この
高齢者と
生活保護がなぜ結び付くのかと。これは、低
年金であったり無
年金の問題と切り離せないわけですね。そうしますと、やはり年齢で区分するということの是非はあるかと
思いますが、六十五歳以上の方の低
所得者
対策、
生活保護対策と六十五歳未満の方とは、これは一定違う仕組みであることはしかるべきであるし、それから
年金政策との整合性ということも取っていかなければならない。そう考えると、
社会保障の
政策の決定の仕組みをやっぱり見直していく時期にあるのではないかなと。こういった
一つ一つの具体的な議論ということをこれから是非与野党垣根を越えて行っていきたいと
思いますし、また、この
調査会でも具体論を取り上げる機会を設けていただければと思っております。
私からは以上でございます。