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渡辺孝男君 ただいま
議題となりました移植に用いる
造血幹細胞の適切な提供の
推進に関する
法律案の草案につきまして、その
趣旨及び主な
内容を御
説明申し上げます。
造血幹細胞とは、骨髄、臍帯血などに多く含まれている血液の元となる細胞です。全身を流れる血液中に薬を投与することにより
造血幹細胞を誘導し、成分献血と同じ手法によって採取する末梢血幹細胞も移植に利用されております。
造血幹細胞移植は、血液のがんと言われる白血病等に有効な治療法です。これにより、通常の抗がん剤投与よりも強力な治療が可能になるほか、造血機能の回復、免疫系異常の是正などの治療効果が期待できます。
造血幹細胞移植の現状につきましては、国民の
皆様の御理解と
関係者の御努力により、
平成二十三年末で、骨髄移植、末梢血幹細胞移植のドナー登録者数が約四十万人、臍帯血の公開数が約三万個となっています。一方、
平成二十三年度の骨髄移植の新規患者登録数が約二千二百人であるのに対して、移植件数は約千二百件にとどまっております。今後、
高齢化などに伴って移植のニーズが増加することが予想されることから、更なる
造血幹細胞の提供の促進を図ることが必要であります。
また、現状においては、骨髄バンクが骨髄、末梢血幹細胞のドナーのあっせんを行い、また、臍帯血バンクが臍帯血の調製等を行っておりますが、これらバンクの業務は、患者やドナーの健康にかかわるものであり、適切に業務が行われることを担保するための規制が必要であります。また、これらバンクの財政運営は不安定なものとなっており、法整備によって財政運営の安定を図ることにより、
造血幹細胞の安定的提供を図っていく必要があります。
本案は、これらの点に鑑み、移植に用いる
造血幹細胞の適切な提供の
推進を図り、もって
造血幹細胞移植の円滑かつ適正な
実施に資するため、
造血幹細胞の適切な提供の
推進に関し、基本理念等を明らかにするとともに、講ずべき
施策の基本となる
事項や、骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業及び臍帯血供給事業について必要な規制及び助成等について定めるものであります。これにより、移植を希望する患者の方々にとって、病気の種類や病状に合った最適な移植が行われるとともに生活の質の改善が図られることが期待されます。
次に、本案の主な
内容について御
説明申し上げます。
第一に、基本理念として、移植に用いる
造血幹細胞の提供の促進が図られなければならないこと、その提供は任意にされたものでなければならないこと、移植を受ける機会の公平性に配慮されなければならないこと、
造血幹細胞の安全性が確保されなければならないこと、提供者の健康の保護及び臍帯血の品質の確保が図られなければならないことを定めております。
第二に、国、地方公共団体は、
造血幹細胞の適切な提供の
推進に関する
施策を策定、
実施すること、
造血幹細胞提供関係事業
者等は、
造血幹細胞の適切な提供の
推進に積極的に寄与するよう努めること、医療
関係者は、国、地方公共団体の講ずる
施策に
協力するよう努めること等の責務を定めております。
第三に、
厚生労働大臣は、
造血幹細胞の適切な提供の
推進を図るための基本
方針を策定、公表することとするとともに、国民の理解の増進、
造血幹細胞の提供に関する情報の一体的提供、
造血幹細胞提供関係事業者の安定的な事業運営の確保など、
造血幹細胞の適切な提供の
推進のために国等が講ずべき
施策について定めております。
第四に、骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業及び臍帯血供給事業を許可制とし、業務遂行上必要な義務を課すとともに、事業費について国による補助の
規定を設けることとしております。
第五に、ドナー登録、
造血幹細胞提供関係事業者間の連絡調整、
造血幹細胞に関する情報の一元的な管理、提供等を行う
造血幹細胞提供支援機関を全国に一つ指定することとしております。
なお、この
法律は、公布の日から起算して一年六月を超えない
範囲内において政令で定める日から施行することとしております。また、施行後三年を経過した場合において、この
法律の施行の
状況等を勘案して必要があると認められるときは、
検討が加えられ、その結果に基づいて必要な
措置が講ぜられるものとしております。
以上がこの
法律案の草案の
趣旨及び主な
内容であります。
何とぞ
委員各位の御賛同をお願い申し上げます。