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礒崎陽輔君 二回目ありがとうございます。
先ほどはちょっと
一般論を申し上げましたので、今の
緊急事態の各論を少し申し述べたいと思います。
まず、昨年の
東日本大震災のときに
国民保護法の適用ができたらよかったねという話を自後よく聞きます。なぜ
国民保護法の適用があったらよかったかというと、菅前
総理が、
災害対策本部と
原子力災害対策本部、二つの本部があって大変だったという答弁を
国会でもよく答弁していたんですけれども、例えば
国民保護法であれば、武力攻撃事態
対処本部で一本化しております。
原子力災害が起きても武力攻撃事態
対処本部が一緒に
対処する、そういう形になっています。
それから、今回はかなり広範な避難をしていただきました。
都道府県の区域を越える避難も含め、広域避難は
国民保護法の方にきちんと書かれております。そのほか、廃棄物処理法の特例であるとか墓地埋葬法の特例とか、全部
国民保護法には入っているわけでありまして、ちなみに申し上げれば文化財保護法の特例まで入っておりまして、本当にこれは、これは
憲法というより法律でもできることでありますけれども、
国民保護法を
災害にも適用するということを考えてもいいんではないかと私思います。そういうことを総合的にやるためにも、
憲法上の根拠を置くというのが一点であります。
それから、緊急政令について何回も御
議論があっております。これも前回申し上げましたけれども、現行
法制の中に、
災害対策基本法の中に一件、
国民保護法の中に二件、既にあります。現行
法制にあるから
憲法改正しないでいいじゃないかという御
意見ももちろんあるでしょうけれども、これも
憲法の
規定があった方がいいことは言うまでもありません。
先ほど治安維持法の話も出ましたけれども、そんな怖いものではありませんで、現在ある緊急政令は、
一つはモラトリアムであります。いわゆる支払停止ですね。すぐにお金がなくて困るだろうから支払しなくてもいいよというモラトリアムの
規定と、もう
一つは、外国からの救援の受入れということで、多分これ通関の特例、すぐに物を入れてもいいよというような特例を決めるようなことでありまして、決してそんな怖いことを緊急政令で決めているわけじゃないわけであります。
そして、なぜ
憲法上の
規定が必要かということは、一点は、先ほどの
国民保護法とも
関係あるわけでありますけれども、
国民保護法を作るときに
国民へいろいろお願いしなきゃならぬことがある、それを全てやはり
現行憲法では
国民の協力としか
規定できなかったわけです。これではなかなか
国民の
生存権が守れない。やはり
国民に少し嫌でも言うことを聞いてもらわなきゃならない場合がある、それをやっぱりきちっと書き込まなきゃならない。今の
現行憲法下では
国民の協力としか書けなかったところに
憲法の限界があると、それは
現実の問題であります。そしてまた、裏からいえば、私はそんなに
人権制限があるとは考えないのでありますが、そのことをきちっと
憲法上も、そういう
緊急事態であっても
人権の制限は最小限にすべきだということもきちんと書き込む、それも
憲法上必要であろうということがあります。
したがって、その
意味で、やっぱり
国民に対して一定の指示ができるということ、それで、それについては
人権の制限は極力小さなものにすると、そういう
意味でも
憲法規定が必要であると思います。
それで、どうしても
憲法を
改正してもらわなきゃならぬ理由は
一つあります。それは、
国会議員の任期の延長であります。昨年は統一
地方選挙に当たりましたから、
地震後、
地方議員の任期を延長して、選挙を延期したのは皆さん御承知のとおりでございます。
国会議員の任期や選挙は、これは
憲法に書いていますから、これは法律で延長することはできません。この一事で、もし例えば去年の衆議院議員の任期あるいは
参議院議員の任期が三月や四月にあったら、大変なことに私はなっていたと思います。これはもう法律では絶対できないわけでありまして、
憲法改正が必要な大きな私は理由であると思います。
以上が、
幾つか申し上げましたけれども、
緊急事態の
法制が必要な理由でございます。
これについて、戒厳令の研究もしたらどうかという御
意見がありました。その研究をなさることは私は否定しませんが、私は全くそのようなものとは考えておりません。
緊急事態の宣言というのは、あくまで
緊急事態の何ができるかということもきちんと全部
憲法に書き込み、その細かいことは全部法律の留保、法律の委任をして書くわけでございまして、何か
緊急事態の
法制というと怖いことをするものだという頭で考え出すと、これは大変なことになります。決してそんなことを考えるのでなくて、あくまで先ほど言いました
基本的人権の尊重を根本、根底に置きながら、緊急時の
幾つかの特例を書く、それが私は
緊急事態の
法制であると思いますので、是非そういう検討をお願いをいたしたいと思います。
以上です。