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2012-02-29 第180回国会 参議院 憲法審査会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十四年二月二十九日(水曜日)    午後一時二分開会     ─────────────    委員の異動  二月十五日     辞任         補欠選任      大野 元裕君     増子 輝彦君      徳永 久志君     藤原 正司君     はた ともこ君     直嶋 正行君      松野 信夫君     大島九州男君      桜内 文城君     松田 公太君      森田  高君     亀井亜紀子君  二月二十八日     辞任         補欠選任      藤原 正司君     水戸 将史君  二月二十九日     辞任         補欠選任      大島九州男君    はた ともこ君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         小坂 憲次君     幹 事                 江田 五月君                 鈴木  寛君                 中村 哲治君                 松井 孝治君                 川口 順子君                 中川 雅治君                 西田 昌司君                 魚住裕一郎君                 江口 克彦君     委 員                 足立 信也君                 大久保潔重君                 川上 義博君                 今野  東君                 芝  博一君                 那谷屋正義君                 直嶋 正行君                はた ともこ君                 白  眞勲君                 姫井由美子君                 広野ただし君                 福山 哲郎君                 藤末 健三君                 前川 清成君                 増子 輝彦君                 水戸 将史君                 礒崎 陽輔君                 衛藤 晟一君                 中曽根弘文君                 藤井 孝男君                 藤川 政人君                 古川 俊治君                 丸山 和也君                 山谷えり子君                 白浜 一良君                 谷合 正明君                 西田 実仁君                 松田 公太君                 井上 哲士君                 福島みずほ君                 亀井亜紀子君                 舛添 要一君    事務局側        憲法審査会事務        局長       情野 秀樹君    政府参考人        内閣官房内閣総        務官室内閣総務        官        原  勝則君        人事院事務総局        職員福祉局長   桑田  始君        総務省人事・恩        給局長      田中 順一君        総務省自治行政        局長       久元 喜造君        法務省民事局長  原   優君        法務省刑事局長  稲田 伸夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基  本法制に関する調査  (憲法改正手続法附則における検討条項につい  て)     ─────────────
  2. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) ただいまから憲法審査会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査のため、本日の審査会に、幹事会協議のとおり、内閣官房内閣総務官室内閣総務官原勝則君外五名を政府参考人として出席を求め、その説明聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査を議題とし、憲法改正手続法附則における検討条項について政府から説明聴取した後、質疑を行います。  まず、内閣官房総務省及び法務省から、選挙権年齢等を定める法令規定について説明聴取します。  なお、御発言着席のままで結構でございます。  それでは、初めに内閣官房から説明聴取します。内閣官房内閣総務官室内閣総務官原勝則君。
  5. 原勝則

    政府参考人原勝則君) それでは、着席して御説明をさせていただきます。  お手元資料の一から三まで内閣官房として提出させていただいております。この資料に基づきまして、私、政府全体として検討の取りまとめを行っている内閣官房立場から御説明を申し上げます。  御案内のとおり、平成十九年五月に公布されました日本国憲法改正手続に関する法律附則第三条におきまして、法律の施行までの間に、選挙権を有する者の年齢を定める公職選挙法成年年齢を定める民法その他の法令規定について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるものとされたところでございます。これを受けまして、政府といたしましては、資料の一にございますように、平成十九年五月、各府省事務次官等をメンバーとした年齢条項見直しに関する検討委員会を設置し、二十歳以上などの規定を有する法令年齢条項について総合的な検討を行ってまいりました。  しかしながら、平成二十一年十月の法制審議会答申におきまして、民法成年年齢引下げについては直ちにこれを行うことは適当ではないこととされたこともあり、大変申し訳ありませんが、国民投票法が施行された平成二十二年五月までには法制度上の措置を講ずるに至らなかったところでございます。  政府におきましては、その後も引き続き関係法令についての検討を進めるとともに、法制審議会答申において指摘された消費者教育など、成年年齢引下げに向けた環境整備のための施策を推進してまいりました。去る二月二十四日には年齢条項見直しに関する検討委員会を開催し、各府省における検討状況等についてフォローアップを行ったところでございます。  現時点での検討状況でございますが、資料の二を御覧いただきたいと思います。  公職選挙法民法を始めとしまして、法令上二十歳以上などの年齢に関する条項を有する対象法令数現時点で三百三十八であり、内訳として、法律が二百四、政令が三十七、府省令九十七となっております。  二ページをお開きください。  全体の九割の法令法制上の措置について現時点で各府省庁における検討が終了しております。このAの欄の数でございます。なお、現在も検討中の法令数は、資料のこのBの欄でございますけれども、具体的に申しますと、少年法未成年者喫煙防止法等若年者健全育成に関する法令児童福祉法等福祉に関する法令等が残っております。  対象法令は三百三十八と数が多いものの、公職選挙法選挙権民法成年等の文言を引用しており、公職選挙法民法見直しに伴い年齢が自動的に引き下がるもの、あるいは二十歳等の規定があっても選挙権年齢成年年齢とは関係なく別の理由年齢が定められており据置きとするもの、こういったようなものも多数ございますので、実際に法案として法律改正をする数につきましてはそれほど多くはないということでございます。  具体的には、資料二のこの二ページ目のAの欄の括弧書きでございますけれども、合計でいいますと(10)となっていますが、法律でいえば十本になっておりますけれども、既に検討が終了している法令のうち現段階において具体的に改正方針が決まっている法令は、法律が十本、政令三本、府省令五本となっております。  次に、資料三を御覧いただきたいと思います。  法制審議会指摘されました民法成年年齢引下げに向けた環境整備についてでございますが、内閣府による子ども若者育成支援のための総合的な取組や、法務省による法教育、財務省による租税教育、それから二ページ目になりますが文部科学省による学校における消費者教育、三ページ目にございますけれども金融庁による金融教育、四ページ目の消費者庁による消費者教育などが現在行われているところでございます。  今後の対応でありますが、先週開催した年齢条項見直しに関する検討委員会において協議が行われ、主な合意事項として次の三点が確認されたところでございます。  一点目、総務省法務省との間で意見が異なっている公職選挙法民法少年法対応方針について早急に内閣官房とこれらの関係省庁との間で調整を行う。  二点目、その他いまだ検討中の法令については速やかに結論を出す。  三点目、既に検討済み法令については、横並びや理由整理等を引き続き進めるということでございます。  いずれにしましても、政府といたしましては、憲法改正手続法附則第三条の趣旨を踏まえまして、関係省庁の密接な連携の下に、関係法令についての検討を加速させるとともに、成年年齢引下げに向けた環境整備のための施策を積極的に推進していくこととしております。  以上でございます。
  6. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 次に、総務省から説明聴取します。総務省自治行政局長久喜造君。
  7. 久元喜造

    政府参考人久元喜造君) 総務省から選挙権年齢引下げに関する検討状況について御説明を申し上げます。  日本国憲法改正手続に関する法律案国会審議においても取り上げられていたところでありますが、選挙権年齢引下げについては、民法上の判断能力参政権判断能力とは一致すべきであること、諸外国においても成年年齢に合わせて十八歳以上の国民投票権選挙権を与える例が多いこと等から、選挙権年齢民法成年年齢等は一致させることが適当であると考えられるところであります。  平成十九年五月の日本国憲法改正手続に関する法律の成立を受けて、政府においては、内閣官房副長官を委員長とする年齢条項見直しに関する検討委員会が設置され、公職選挙法成年年齢を定める民法その他の法令年齢条項について検討が行われてきたところであります。  民法の定める成年年齢については、平成二十一年十月の法制審議会答申において、十八歳に引き下げるのが適当としつつも、消費者被害の軽減などの環境整備が必要であり、現時点で直ちに引下げを行うことは適当でないとされたところであります。  こうしたことなどから、日本国憲法改正手続に関する法律が施行された平成二十二年五月までには、公職選挙法成年年齢を定める民法その他の法令規定について、必要な法制上の措置を講ずるに至らなかったところであります。  総務省といたしましては、選挙権年齢引下げのための法的措置については、内閣官房等とも連携し、法律体系全体の整合性を図りながら適切に対処してまいりたいと考えております。  以上でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
  8. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 次に、法務省から説明聴取します。法務省民事局長原優君。
  9. 原優

    政府参考人原優君) 法務省における民法成年年齢引下げに関する検討状況について御説明いたします。  日本国憲法改正手続に関する法律附則第三条の規定及び平成十九年十一月に開催されました政府年齢条項見直しに関する検討委員会における検討を踏まえまして、平成二十年二月に法務大臣から法制審議会に対し民法成年年齢引下げ当否等について諮問がされ、その諮問について検討するために設置された専門部会である民法成年年齢部会において調査審議が行われました。  民法成年年齢部会においては、各種専門家、有識者からの意見聴取や、高校生、大学生等との意見交換を実施したほか、平成二十年十二月に取りまとめました成年年齢引下げについての中間報告書パブリックコメント手続に付すなどして、国民の幅広い意見聴取しながら検討が行われました。  そして、合計十五回の調査審議の結果、平成二十一年七月、民法成年年齢部会において、民法成年年齢引下げについての最終報告書が取りまとめられました。  法制審議会総会においては、民法成年年齢部会調査審議の結果を踏まえて二回の審議が行われ、平成二十一年十月、法務大臣に対して答申が行われました。  法制審議会総会答申の概要を申し上げますと、答申は、民法の定める成年年齢については、これを十八歳に引き下げるのが適当であるが、現時点成年年齢引下げを行うと消費者被害拡大など様々な問題が生ずるおそれがあるため、引下げ法整備を行うには若年者自立を促すような施策消費者被害拡大のおそれなどの問題点の解決に資する施策が実現されることが必要であるとした上で、民法の定める成年年齢を十八歳に引き下げる法整備を行う具体的時期については、関係施策効果等若年者を中心とする国民への浸透の程度やそれについての国民意識を踏まえて判断するのが相当であるとしております。  ちなみに、世論調査によりますと、成年年齢を十八歳に引き下げることに約八割の国民反対している一方で、一定環境整備が進めば成年年齢引下げ賛成という者が六割を超えるという結果が出ております。  民法成年年齢引下げを行う場合の問題点を解決するための施策としては、消費者被害拡大のおそれ等の問題点を解決する観点からは、消費者庁による消費者行政充実に向けた取組のほか、改訂がされた学習指導要領に基づく消費者教育法教育金融経済教育等充実に向けた取組等が行われているところでありますし、また、若年者自立を援助する観点からは、新しい青少年育成施策大綱子ども若者育成支援推進法内容を踏まえた若年者の総合的な支援に向けた取組等がされているところでありますが、これらの関係施策効果が実際に現れ国民の間に浸透するのにはある程度の期間を要するものと考えられます。  法務省といたしましては、法制審議会答申をも踏まえて法教育充実などに努めてきたところですが、引き続き、関係省庁とも連携を図りつつ、民法成年年齢引下げに必要な環境整備に努めてまいりたいと考えております。  なお、公職選挙法選挙年齢を引き下げるためには、民法成年年齢も同時に引き下げなければならないという議論がございます。  法務省といたしましても、公職選挙法選挙年齢民法成年年齢は、特段の弊害がない限り一致させることが適当であると考えております。しかし、民法成年年齢を直ちに引き下げることについては、消費者被害拡大などの様々な問題が生ずるおそれがあるとされていますし、そもそも公職選挙法選挙年齢民法成年年齢は、その立法趣旨が異なり、理論的に見ても、また諸外国立法例を見ても、必ずしも一致する必要がないものと承知しております。  このような観点を踏まえますと、まずは公職選挙法選挙年齢引下げを先行させることによって民法成年年齢引下げに向けた国民意識を醸成した上で、国民理解が得られた後に民法成年年齢を引き下げるということが、年齢条項見直しに関する作業を前に進めるための有力かつ現実的な選択肢の一つではないかと考えております。  以上でございます。
  10. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 引き続き、総務省及び人事院から、公務員政治的行為制限について定める法令規定について説明聴取します。  まず、総務省から説明聴取します。総務省自治行政局長久喜造君。
  11. 久元喜造

    政府参考人久元喜造君) 地方公務員法における政治的行為制限に関する検討状況について御報告を申し上げます。  政治的行為制限規定する地方公務員法第三十六条におきましては、職員選挙又は投票時の行為に関して、公の選挙又は投票において特定の人を支持し、又は反対する目的をもって、公の選挙又は投票において投票をするように、又はしないように勧誘運動をすること、署名運動への積極的な関与、金品の募集への関与、文書を庁舎に掲示するなど、地方公共団体庁舎、施設、資材、資金の利用を禁止しております。こうした現行法規定は、憲法改正国民投票を念頭に置かないで制度設計されております。  附則第十一条につきましては、国家公務員法地方公務員法の定める一般的な公務員政治的行為制限について、国民投票運動の自由の確保と公務員政治的中立性観点から、憲法改正国民投票法上いかなる特則を設けるべきかという問題として国会において議論されてきたと承知をしております。  総務省といたしましては、憲法審査会における議論を見ながら、その状況に応じ、関係府省とも連絡調整して適切に対応してまいりたいと存じます。
  12. 小坂憲次

  13. 桑田始

    政府参考人桑田始君) 人事院からは、日本国憲法改正手続に関する法律附則十一条、公務員国民投票に際して行う憲法改正に関する賛否勧誘その他意見表明制限されることとならないよう、必要な法制上の措置を講ずるものとするとの規定と、現行国家公務員制度における政治的行為制限関係につきまして御説明をさせていただきます。  私ども、国の行政に携わります一般職国家公務員は、その職務の遂行に当たりまして、国民全体の奉仕者として政治的に中立立場を維持し、一部の政党政治的団体に偏することがないようにすることが求められております。このため、一般職国家公務員は、国家公務員法第百二条及び人事院規則により、一定政治的目的をもってする政治的行為制限されております。  具体的には、規則政治的目的政治的行為をそれぞれ限定的に列挙した上で、あくまで規則に掲げられます政治的目的をもってする政治的行為制限するという形を取っております。  実際、制限対象となります政治的目的としては、衆参両院議員選挙又は地方公共団体の首長、議会の議員選挙期間中の特定候補者に対する支持反対でありますとか、特定政党に対する支持反対が掲げられています。しかしながら、地方公務員法と異なりまして、公の投票における支持反対政治的目的として規定されておりません。  したがいまして、国民投票に際して行う憲法改正に関する支持反対については、人事院規則における政治的目的として掲げられている項目には該当しませんので、国家公務員法が定める政治的行為制限対象とはなりません。  一方、国民投票運動と称しまして、実質的に特定政党への支持反対目的としたビラや政党機関紙の配布、署名運動デモ行為の企画といったものにつきましては、現行制度上の政治的目的を持つ政治的行為に該当し、制限対象とされることになるものと考えております。  以上でございます。
  14. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 以上で政府からの説明聴取は終了いたしました。  これより質疑に入ります。  本日の質疑は、あらかじめ質疑者を定めずに行います。質疑を希望される委員は、お手元にある氏名標を立ててお知らせください。そして、会長の指名を受けた後に発言お願いいたします。発言が終わりましたら、氏名標を横にお戻しください。  質疑の時間が限られておりますので、委員の一回の発言は三分以内でお願いをいたしたいと存じます。発言時間の経過につきましては、終了の時間になりましたらベルを鳴らしてお知らせいたします。答弁者におかれましても、できる限り簡潔に答弁お願いいたします。  なお、御発言着席のままで結構でございます。  それでは、発言を希望される方は氏名標をお立てください。  福島みずほ君。
  15. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党福島みずほです。本日はありがとうございます。  公務員政治的行為についてお聞きをいたします。  憲法改正の発議の日から投票日までの間は、国民投票運動憲法改正に関する意見表明行為については、国家公務員法地方公務員法の適用はしないとの考え方はありますが、この立論は取れないんでしょうか。  先ほど人事院の方から、国民投票運動政治的行為に当たらないという御説明がありました。それはそのとおりだと思います。ただ、今の御説明で、政党を応援するというようなことであれば、それは政治的行為に当たるという説明がありました。  ただ、ちょっと私も分からなかったんですが、デモやいろんな形もあると思います。公務員主権者の一人ですから、主権者立場として、例えばチラシを配ったりデモに行ったりということはよくあり得るわけで、限定的に特定政党を応援するものでなければ政治的行為に当たらないというふうにすべきではないでしょうか。  また、市民的、政治的国際人権規約、ILO百五十一号条約ユネスコ条約、教員の地位に関する勧告によれば、公務員政治活動を保障することは国際的ルールでありますけれども、このこととの整合性をどう整理をされるんでしょうか。  公務員に対する政治的行為制限、禁止は、憲法二十一条の制約は一般的に必要最小限にするべきです。公務員職務、権限の性質や内容などに応じた分類が必要であり、実質的な見地からの検討が必要だと考えますが、いかがでしょうか。  つまり、社民党とすれば、公務員政治活動は本来的には自由であるべきである、というか、制限は極めて謙抑的であるべきである。そして二つ目は、基本的に憲法改正運動政治的行為に当たらない。これはさっき、人事院の見解と一緒なんですが。ですから、この禁止される行為については極めて限定的にすべきではないか。権力を持っている人がその権力を濫用し、地位を利用してやることは、公務の中立性を害するので、これは良くないと思います。しかし、普通の、一般のというか、公務員主権者であり、主権者としてどういう国が、どういう憲法がいいのか、私はこう思うと言うことは、当然、憲法上の表現の自由、思想、良心の自由、活動の自由を持っているわけですから、それについての活動はさっきおっしゃった政治的行為に当たらないという意味でおっしゃってくださいましたが、制限できる場合も極めて制限的であるべきだということについての御教示をお願いいたします。
  16. 桑田始

    政府参考人桑田始君) 先ほど申し上げましたように、一般職国家公務員政治的行為制限につきましては、人事院規則政治的目的は限定的に掲げておりますので、国民投票における賛成反対というのは政治的目的として掲げられておりませんから、政治的行為制限対象にならないところでございます。こういう点につきましては、日本国憲法改正手続に関する法律附則十一条において、公務員国民投票に際して行う賛否勧誘その他意見表明制限されることとならないようということには合致していると、整合していると理解をしております。  ただ、先生が今御指摘がありました、国民投票運動と称して実質的に政党でありますとか特定候補者支援するという行為につきましては、個々のケースがそれぞれ政治的行為制限に抵触するか否かにつきましては、運動の態様など個別具体的に判断する必要があるとは思っております。  いずれにいたしましても、先生が御指摘のように、国民投票運動期間中に政治的行為制限に関する規定を適用しないというようなことにつきましては、そういう考え方もあろうかと存じますけれども、これはいずれにしましても、現行制度におきます国家公務員政治的行為制限内容を踏まえた上で、憲法審査会において御議論いただきまして、その御議論を踏まえて必要があれば法制上の措置が講ぜられるものというふうに理解をしております。
  17. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) よろしいですか。  それでは次に、井上哲士君。
  18. 井上哲士

    ○井上哲士君 共産党の井上哲士です。  公務員政治的行為制限に関しては、今の説明も、専ら現行国家公務員法を前提に、その適用をどこまで除外するのかという議論であります。しかし、必要なのは、国家公務員が職場と関係ない自宅近くで休日に政党のビラを配布することまで刑罰をもって禁止をするという、国際的にも例がなく、憲法が定める言論、表現の自由にも反する現行の国家公務員法人事院規則の改定だと思います。  元々、国公法と人事院規則による政治活動の規制は一九四八年にGHQが押し付けたもので、当時の政府や法務官僚ですら抵抗したにもかかわらず、力ずくで制定されました。その後の情勢の変化によって、一九五〇年制定の地方公務員法では政治活動に対する刑罰規定が外されたという経過が国家公務員と地方公務員で違いが生まれたことの訳です。  欧米各国の公務員政治活動を見ますと、原則として刑事罰による規制はありません。そして、公務員の職場における中立性は認めても、職務外の政治活動については自由であり、それを前提にして例外的、限定的な規定にとどめていると承知をしております。  日本のように広範にかつ刑事罰による規制をしている国は見当たらないと思うのですが、その点、まず人事院に、欧米諸国の中で日本のように広く政治活動を刑罰で禁止しているような国を把握しているかどうか、お尋ねをいたします。  もう一点。そういう下で国際人権規約委員会が二〇〇八年の十月に、この国公法に基づくビラ配布弾圧事件に関して、日本政府に対し、表現の自由及び選挙運動の自由に対するあらゆる不合理な制限措置を撤廃しなければならないという勧告をしております。それから、二〇一〇年三月の東京高裁の判決は、憲法で保障された言論、表現の自由は高く評価をした上で、一般公務員が勤務時間外に行う政治活動に刑罰を科すことは憲法違反だという明示をいたしました。さらに、判決は、我が国の国家公務員に対する政治的行為の禁止規定は欧米諸国に比べて広範に過ぎることは憲法上問題があるというふうに指摘をして、公務員政治活動の規制の在り方について再検討されるべき時代に来ていると、こういう判示をいたしました。  人事院としては、こういう勧告や判決をどのように受け止めて、国公法や人事院規則政治活動規制についてどういう見直し検討をされているのか、その二点をお尋ねいたします。
  19. 桑田始

    政府参考人桑田始君) 最初の主要国におきます制限でございますけれども、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツにおきましては、国家公務員政治的行為制限する場合においては、刑事罰ではなく懲戒処分がなされているものと承知しております。もちろん、一部、アメリカなどで職員に対し政治活動や政治献金を強制する行為に対して刑事罰が一部科されているということは聞いておりますけれども、基本的には懲戒処分となっております。  その刑事罰につきましてですけれども、これは猿払事件の最高裁判決におきましても、国民全体の共同利益を損なう行為を行う公務員に対して制裁として刑罰をもって臨むことを必要とするか否かは、国民全体の共同利益を擁護する見地からの立法政策の問題と判示をされ、合憲と判断されているところでございます。  さらに、先ほど御指摘ございました国際人権規約委員会から示された見解や東京高裁の判決については承知しておりますけれども、現在、御指摘の東京高裁の判決のほかに、同じ東京高裁におきまして、現行の政治的行為制限について合憲との判断が示された別の案件もありまして、共に現在上告中というふうに承知しております。  それらの動向につきまして、引き続き私どもとしては注視していきたいと考えているところでございます。
  20. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 中川雅治君。
  21. 中川雅治

    ○中川雅治君 国民投票年齢要件につきましては、当初、国民投票年齢要件は国政選挙と同様にすべきであるという自民党と、異なる年齢要件を規定しても支障はないとする民主党の間で意見が違っていたと聞いております。国民投票と国政選挙年齢要件が異なっているというのは、同じように国の行く末にかかわる選択をするわけですから、両者は年齢要件は同じにすべきだというように考えます。  私は、当初、共に十八歳に引き下げることに賛成してよいと考えていたわけでありますが、今では、やはり選挙権国民投票権を十八歳以上に引き下げることについてはかなりちゅうちょしております。国の行く末を決める選挙権国民投票権は、高校を卒業してやはり二年くらい様々な経験を積んで世の中のことを分かってからにすべきではないかと思い始めております。日本の子供たちは、以前の子供たちに比べて本当に幼稚だという声は非常に強いように思われます。  二月十八日付けの産経新聞にジャーナリストの細川珠生さんの意見が載っていましたが、「選挙権を得て政治に参加する意味や責任も、社会との接点の中で教えていかなければならないだろう。そこで初めて、選挙権を十八歳以上に引き下げる意味が出てくるのだ。」とありまして、「「十八歳は大人である」と自覚できるために、社会全体ですべき努力はまだまだたくさんある。」と述べられております。  私も全く同感でありまして、選挙権国民投票権を十八歳以上に引き下げるのであるならば、そのための教育や学習の機会を、単に授業という形だけでなく、家庭でも学校でも職場でも、更に社会全体で広げていく努力をすべきであると考えます。  また、公選法と民法が一致する必要はないとして、投票権を先行して十八歳に引き下げることができるとするのは賛成できません。少年法で保護されるような人に対して、国の行く末を決める投票権を与えるのはどうかと思います。やはり、多くの主要国で選挙権年齢成年年齢は同じであることも踏まえて、同時に改正する必要があると思います。  法務省説明では、自分のところは引下げはなかなか難しいだろう、だから選挙権の方をお先にどうぞと、こういうようなことでございますが、自分の所管以外はまあやってくださいというような、そういうふうな感じに聞こえました。  やはり両者は一致すべきだという総務省考え方が正しいと思いますが、できれば一致する方がいいというふうにやっぱりお考えなのか、それとも先にやってくれということをあくまでおっしゃるのか、もう一度お聞きしたいと思います。
  22. 原優

    政府参考人原優君) 先ほども御説明いたしましたとおり、法務省としましても、公選法の選挙年齢民法成年年齢は、特段のことがなければ一致させるのが相当であるというふうに考えております。
  23. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 次に、姫井由美子君。
  24. 姫井由美子

    姫井由美子君 ありがとうございます。  それぞれ、いわゆる三つの宿題のうちの二つですので、一つずつ聞きたいと思います。  まず、選挙権年齢の十八歳以上引下げですけれども、現在の世界の大勢が十八歳で選挙権を与えており、G8等では十八歳で選挙権が与えられていないのは日本だけという現状の中で、私はやはり十八歳以上になるような環境整備を進めていくべきではないかと思います。  先ほども今の子供は幼稚だと言われましたが、今のままではどんどん幼稚の年齢を引き上げてしまいますので、私は是非、例えば住民投票等で十八歳以上に引き下げられた例が愛知県高浜市にもありますけれども、早くからやっぱり社会、政治の勉強等をすることによって投票率や、あるいはこれからのいろいろな意味で少子高齢化への対応、あるいは若者の政治的、社会化の意義、あるいは世界の潮流に日本も合わせるという意味では私は是非必要ではないかと思いますので、十八歳からできるような環境整備というところでの御意見を伺いたいと思います。  そして、公務員政治的行為制限ですけれども、公務員については、政治的基本権の制限と労働基本権の制限と、それぞれ基本的人権の制約という共通点がございますが、労働基本権の制限の場合は社会権に属し、その本質は経済的自由権に近いものであると思います。そして、その職務内容に応じた制限態様の区分が行われていることと、人事院勧告という制度によって代替措置も講じられていることが私はその大きな違いではないかと思います。  一方、政治的基本権の制限は、いわゆる中立性が求められることは分かりますけれども、精神的自由権に属する権利であり、代替措置を行うことが不可能であります。もちろん、公務員として身分に対し政治的影響を受けないということが保障されているからには、その保障の代償として政治的基本権の制限を享受しなければならないことは分かりますけれども、やはり公務員といえども一国民としての権利、人権というものを鑑み、代替措置を講ずることがない制限はやはり不当な扱いであると考えざるを得ませんし、せめて労働基本権の制限のようなきめ細やかな措置、例えば職務時間中とそれ以外を区別する、そして一定の政治行動、活動を区分する、また職員地位や権限に応じて規制の程度に差異を設ける等の、そういったことも考えられるのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  25. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 挙手を願います、答弁者桑田職員福祉局長
  26. 桑田始

    政府参考人桑田始君) じゃ、二問目の方の政治的行為制限の方につきまして。  先生指摘のように、国家公務員にも憲法で保障されます表現の自由は認められるところでございますけれども、他方において、やはり国の行政というのは法規の下に民主的かつ能率的に運営されるべきものであることから、一般職国家公務員につきましては、職務遂行に当たって国民全体の奉仕者として政治的に中立立場を維持し、一部の政党や政治団体に偏することがないようにすることが求められておりますので、国家公務員法百二条及びこれに基づく人事院規則によって政治的行為制限を設けられております。  これは、先ほど申し上げました猿払事件の最高裁判決においても合憲とされておりまして、先ほど先生から御指摘がありました政治的行為制限するに当たりまして、公務員の種類や職務権限、勤務時間内外、国の施設の利用の有無等を区別することがなかったとしても、制限目的制限される政治的行為との関連性において合理性を失うものではなく合憲というのが最高裁の猿払事件での判決において出されているところでございます。  以上でございます。
  27. 原勝則

    政府参考人原勝則君) 投票権年齢引下げに向けました環境整備ということでございます。  民法の成人年齢引下げに必要な環境整備は今日資料の三でお示ししているようなものをやっておりますけれども、これに加えまして、学校教育におきましていわゆる主権者教育というようなものを今取り組んでございます。  教育基本法及び学校教育法では、「主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。」というふうに教育の目標の一つとして掲げられております。こうした目標を達成するために、従来より、民主政治や政治参加、法律の仕組み等についての教育については、小中学校の社会科や高等学校の公民科を中心に行ってきたところでございます。また、新しい学習指導要領においては、社会の変化を踏まえ社会参画という視点を重視して、社会生活を営む上で大切な法や決まり、これは小学校でございます、それから国民の司法参加、これは小学校から高校まで、について教育の充実を図っているところでございます。  今後とも、各学校の創意工夫を生かし、学校や地域の協力を得ながら、児童生徒が将来主権者として積極的に社会に参画するような教育を進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。
  28. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 前川清成君。
  29. 前川清成

    ○前川清成君 民主党の前川清成と言います。  成人年齢選挙年齢のことなんですが、法務省は、一致することが望ましいけれども、必ずしも一致する必要がないというふうにおっしゃいました。これに対して総務省は、一致するべきだと、こういうふうにおっしゃって、その理由を二つ挙げられました。一つ目がちょっとよく聞き取れなかったんですが、要するに、年を重ねるにつれて知的能力が成熟していくというのはそのとおりなんですが、ただ、そのどちらに優劣があるとか、どちらに上下があるとかというわけじゃないんですが、その判断の対象が異なります。民法の成人年齢というのは専らその取消しの規定と相まって財産行為のことですし、選挙年齢は誰を自分たちの代表に選ぶかということですので、その点で理論的には一致する必要はないのではないかなと思います。  それと、総務省二つ目理由として挙げられたのは、諸外国も一致していると、こういうふうにおっしゃって、法務省は諸外国は一致していないと、こういうふうにおっしゃるので、この場合の挙証責任としては、ちょっと総務省の方から一致している例を教えていただきたいというのが一点、まあ二点かな。  それと、あと法務省の方にお尋ねしたいのは、法制審の答申の中で、二十歳から十八歳に引き下げるのは適当であるけれども、それに伴って消費者被害拡大するんだと、こういう説明がありましたが、本当にそうなんだろうかと。振り込め詐欺に代表されるように、むしろ消費者被害というのは高齢者に広がっているのではないかと。若年層に消費者被害があると言うのであれば、民法で未成年取消しが使われたケースというのはどの程度あるのか。  この三点をお尋ねしたいと思います。  以上です。
  30. 久元喜造

    政府参考人久元喜造君) 総務省は、選挙権年齢成年年齢は一致すべきであるというふうに考えてきたわけですが、その理由について改めて説明させていただきたいと思います。  理論的に、また憲法上の要請として、これが両者を必ず一致させなければならないとまでは言えないだろうと思います。また、理論的にも、先ほど前川委員がおっしゃいましたように、理論的に必ずこれが一致すべきであるというふうにも理論的に一〇〇%説明できるものでもないだろうと思います。  つまるところ、これはどういうような制度の沿革をたどってきたのか、またどういうような議論が行われてきたのか、また諸外国はどういうような制度を取っているのかということから説明されるのではないかなと思っております。  沿革になりますけれども、昭和二十年に選挙権年齢が二十五歳から二十歳に引き下げられておるんですけれども、そのときの堀切国務大臣の答弁では、満二十年に達しました青年は、民法上の行為能力を十分に持っておりますのみならず、国政参与の能力と責任観念とにおきましても欠くるところがないという説明がされておりまして、この答弁国民投票法におきましても引用されておりまして、提案者からの説明では、このときの戦後間もないころの改正について、民法上の判断能力参政権判断能力とは一であるべきだという前提で、提案理由の中で書かれて引き下げられている経緯があるので、我々としては、成人年齢に合わせて選挙年齢選挙年齢国民投票年齢は同じ参政権だから、やはりこれを合わせることが国民理解がしっかりと受け止められると、こういうような趣旨答弁がなされております。  それから、諸外国の動向でありますけれども、我が国以外のG8の各国の投票年齢につきましては基本的には十八歳で一致していると考えております。基本的にと申し上げましたのは、アメリカが選挙権年齢は十八歳ですけれども、成人年齢は各州によって異なっておりますし、カナダも同様であります。  ただ、これは連邦制国家におきましては、元々成年年齢選挙権年齢も各州ごとに違っているというのが実態でありまして、そういう制度を取っておりますので、それは必ずしも我が国には当てはまらないのではないかというふうに考えます。  その上でアメリカについて申し上げますと、アメリカは一九七一年の憲法修正二十六条で、合衆国又はいかなる州も年齢十八歳以上の合衆国市民の投票権を奪い又は制限してはならないというような憲法修正条項が入っておりました。一方で、成人年齢は各州ごとに異なっているわけでありますが、五十州中十八歳としているところが四十六州でありまして、大部分の州は一致していると。  したがいまして、諸外国におきましては、連邦国家、そのほか一部の国家を除きますと、大部分の国で選挙権年齢と成人年齢は一致しているというふうに私どもは考えております。
  31. 原優

    政府参考人原優君) 前川先生から法務省の方に二つお尋ねがございました。  まず、成年年齢を十八歳に下げることによって消費者被害等が拡大するんじゃないかというその点でございますが、法制審議会部会におきまして、消費者トラブルの現状に詳しい弁護士の方あるいは国民生活センターの理事等のヒアリングをしております。  そのヒアリングの結果を御紹介いたしますと、消費生活センター等に寄せられる消費者相談、確かに二十歳前後の件数というのは高齢者に比べれば少ないんですが、寄せられている相談の中で二十歳になるとやっぱり件数が急増するという特徴があるという、こういう御指摘がございました。それから、悪質な業者が二十歳の誕生日の翌日を狙って取引を誘いかける事例も多い。あるいは、携帯電話やインターネットが普及しておりますので、若年者が必要もないのに高額な取引を行ってしまうリスクも増大しているとか、若年者の場合には学校等で消費者被害が連鎖して広がる特徴があると、こういうことが指摘されまして、現在、二十歳で成年としておりますので、未成年者取消し権の存在が悪質業者に対して、こういった若年者に対する契約を勧誘しない、そういう抑止力になっているという御指摘があったことでございます。  それから、二番目の未成年者取消し権の件数ですが、申し訳ございませんが、法務省としては把握しておりません。
  32. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 次に、舛添要一君。
  33. 舛添要一

    ○舛添要一君 これまでの議論とも重なりますけれども、法務省の原民事局長にお伺いいたします。  先ほどの御説明を聞いていましても、国民投票法検討状況、若干サボっているというか、怠慢じゃないかなと。つまり、やらないことのエクスキューズが多過ぎるような感じがしてなりません。  というのは、例えば、若年者の今の消費者被害のお話で自立ということをおっしゃいましたけれども、かつて戦前の普選運動のときにこういう考えで主張する方がおられました。どういう人に選挙権を与えるか、まさに自立という概念からいったときに、世帯主選挙権という話がありました。それは、男女、老若男女を問いません。十七歳であったって自分で一生懸命稼いで家族を面倒を見ている、これは選挙権を与えるべき、男も女も変わりありません。そういう考えのちょうど裏になるわけです、今の自立云々という話をすると。  ですから、私はやっぱり、そんなことを言っても切りがないんで、やっぱり原則的には民法上の成年と選挙権参政権、これは一致すべきであると、そういう観点からきちんと前に進めるべきであるというふうに思っています。  いろんな様々な消費者教育含めておやりになっていると先ほど政府から説明がありましたけれども、じゃ、何年教育すれば十八歳でまともな判断能力持つ若者が生まれるのか。十八歳で一生懸命働いて生計を立てている若者と、二十七歳で大学院生でそれでも親のすねをかじっている人がいますけれども、どっちが正当な判断できるんだろうかというようなことになると、私は、先ほど御説明いただいた法制審の答申にしても、本当に国民を納得させるだけの理論的な整合性があるかというと、ちょっと疑問に感じるんですね。  だから、理論的に見てもということをさっきおっしゃったり、諸外国立法例を見てもということをおっしゃいましたけれども、それならばやはり少し理論の再構築をする必要があるんではないかなと、そういう思いをいたしましたので、何か御所見があればお願いいたします。
  34. 原優

    政府参考人原優君) 法務省におきましては、いわゆる国民投票法附則規定等を踏まえまして、法制審議会法務大臣から諮問をいたし、法制審で十分な議論をしていただいたつもりでございます。  この民法成年年齢の問題は国民生活に大きな影響を与える問題でございますので、やはり国民各層の意見を十分踏まえて議論をする必要があるということで、部会の構成員も非常に各層からの人に来ていただきましたし、先ほど御紹介しましたように、ヒアリングをやったり、あるいは部会のメンバーが十八歳になって成年になるであろうという高校生、大学生と面談してその意見を聞くということで、本当に慎重な議論をした結果、この十八歳に引き下げること自体についても賛否は分かれましたけれども、最終的には、選挙権年齢が十八歳に下がるのであればやっぱり成年年齢も同じ十八歳に下げるのが適当である、しかし、下げるに当たっては様々な問題があるということで、その環境整備が必要であると、こういう結論になったわけでございますので、一応私どもとしてはできるだけの調査審議はしたつもりでございます。
  35. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 江口克彦君。
  36. 江口克彦

    ○江口克彦君 ありがとうございます。  選挙年齢について教えていただきたいんですけれども、先ほど十八歳は幼稚じゃないかというような御意見もありましたけれども、幼稚という定義はどこでしたらいいのかという、じゃ、二十歳は幼稚じゃないのかというと、今、結構幼稚な人もいるんじゃないだろうかというふうに思うんですけれども。  私は、十八歳で選挙年齢を考えた方がもうこの時期いいんじゃないだろうかなというふうに思っているということです。それは、もう今までの情報手段と全然違うわけですから、インターネットとかそういうようなこともありますし、勉強することができる。あるいはまた、学校でもこのごろ憲法問題について力を入れて教育しているんじゃないだろうかというふうに思うということですね。  それからもう一つは、そういう責任というものを持たせればやっぱり責任を自覚するというのが人間だというふうに思いますし、私はそういう意味で、選挙年齢を十八歳に引き下げるというのは、そうすべきではないだろうか。同時に、成年年齢選挙年齢も十八歳に下げるということは、このところの犯罪というものを考えてみても必要なことではないだろうかというふうに思うんでありますけれども。  そこで、お尋ねしたいんですけど、選挙年齢を二十歳にしている、二十歳以上にしているという国は具体的にどういう国なのか、そして何か国あるのかということです。これが第一点です。  それから第二点は、憲法改正国民投票法で十八歳というふうになっているわけですけれども、この十八歳になった理由というのは何なのかということをちょっと教えていただきたいということです。  また加えて、最後ですけれども、民法年齢引下げを直ちに行うべきではないという、そういうようなことで、それは消費者トラブルとかどうのこうのという御説明がありましたけれども、じゃ、アメリカとかイギリスとか、あるいはまたドイツとかは十八歳、その十八歳でそういうトラブルはないのか、少ないのか、その辺についてもお教えいただければと思います。よろしくお願いします。  以上です。
  37. 久元喜造

    政府参考人久元喜造君) 主要国におきましては、選挙権年齢、G8の各国は全て十八歳というふうになっているというふうに承知をしております。  二十歳以上、二十歳あるいは二十一歳という国は、これは国立国会図書館の調査になりますけれども、百九十六か国中十三か国というふうに承知をしております。その後、若干資料調査時点から変動はあるかもしれませんけれども、それぐらいで、かなり例外的な状況ではないかなというふうに受け止めております。
  38. 江口克彦

    ○江口克彦君 具体的にどこの国になりますか。
  39. 久元喜造

    政府参考人久元喜造君) 例えば、この資料の時点でいいますと、カメルーン、それからクウェート、コートジボワール、サモア、それからシンガポールが二十一歳という資料になっております。それからチュニジア、それからバーレーン、フィジー諸島、あとモロッコといったような国でございます。
  40. 原優

    政府参考人原優君) 江口先生から、アメリカやドイツで成年年齢引下げでトラブルがあったかという御質問でございます。  具体的なことは承知しておりませんが、例えばアメリカですと、ベトナム戦争を契機としまして、徴兵年齢が十八歳でございますので、政治的に意見を述べることができないのはおかしいという、そういう議論が起こって選挙年齢が十八歳に下げられ、私法上の成年年齢も併せて引き下げられたということでございますが、先ほど総務省局長から御紹介がありましたが、アメリカは選挙年齢十八歳でございますが、成年年齢は州によって十九あるいは二十一のところもございます。  それから、ドイツにおきましても、選挙年齢は一九七〇年に引き下げられましたが、成年年齢が下げられましたのは一九七四年ということで、成年年齢引下げの方が後になっているわけでございまして、このようにほかの国でもやっぱり成年年齢引下げについては問題があるということで、まず選挙年齢引下げを先行しているところもある、そういう事情でございます。
  41. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 次に、今野東君。
  42. 今野東

    ○今野東君 ありがとうございます。  私は公務員の皆さんの権利について考えてみたいと思いますが、参議院は不要だとする自治体の長が職員の思想調査のようなものを行おうとしたり、あるいはメールをチェックをするようなことを行ったりしております。対象は地方公務員ですけれども、これは公務員バッシングというある意味流行に乗った、大変危うい行為だと思っております。  参議院憲法調査会が平成十七年の四月にまとめた日本国憲法に関する調査報告書に、憲法二十条、二十一条について、このように書いております。「精神的自由権は、個人の尊厳のみならず民主主義を守る上でも不可欠な自由であり、フランス人権宣言以降の近代憲法の人権カタログの中でも、中核的な位置を占めてきた。日本国憲法も精神的自由については詳細な規定を置いているが、特に、表現の自由や政教分離は、一層の発展が求められる領域と言われている。」とありますけれども、これに逆行したことが平然と行われようとしているということに危機感を抱いております。  参議院は、五年前の平成十九年五月十一日に、日本国憲法改正手続に関する法律案を議決する際に十八の附帯決議を行っていますね。その一つが、「公務員等及び教育者の地位利用による国民投票運動の規制については、意見表明の自由、学問の自由、教育の自由等を侵害することとならないよう特に慎重な運用を図るとともに、禁止される行為と許容される行為を明確化するなど、その基準と表現を検討すること。」というものでした。  今指摘をさせていただいた公務員を取り巻く状況の大きな変化の中で、この附帯決議に込められた自由の侵害をしないという点について、総務省あるいは人事院はどういう整理をされてきたんでしょうか。  もう一点が国際機関との関係であります。  ILO結社の自由委員会は、日本の公務員に労働基本権を付与すべきだと六回も勧告を行ってきました。一昨年六月の中間報告でも、公務員の労働基本権の付与、団体交渉権及び団体協約締結権の保障など、五つの項目についての勧告について、前年に続いて強調しております。  国民投票運動公務員という枠組みでの論議に終始しないで、労働基本権をも持っていない日本の公務員の置かれた状況について、より深い議論が必要だと私は思っておりますけれども、その点については総務省人事院はどのように考えているんでしょうか。
  43. 久元喜造

    政府参考人久元喜造君) 地方公共団体一般職職員も、当然のことながら憲法で保障されました思想、信条の自由は、これはしっかりと確保される必要があろうかと存じます。同時に、公務員には法令と上司の職務命令に従う義務があるわけでありまして、この間の調和をどういうふうに取っていくのかということにつきましては、これは様々なこれまでの判例の蓄積なども行われております。  そういう点を勘案しながら、それぞれの地方公共団体の任命権者において適切に判断されるべきであろうというふうに考えております。
  44. 桑田始

    政府参考人桑田始君) 先ほど来御答弁させていただいておりますけれども、公務員におきましても表現の自由というものにつきましては尊重されるわけでございますけれども、やはり一般職国家公務員地位の特殊性に鑑みまして、国民全体の奉仕者としての役割がございますので、それで一定制限を受けるということで、国家公務員法並びに人事院規則によって政治的行為制限が行われているものと思っております。  なお、ILOにつきまして御質問がございましたけれども、労働基本権の制約にかかわりましては、それの代償措置として人事院勧告というものが措置されているというふうに理解しております。
  45. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 次に、谷合正明君。
  46. 谷合正明

    ○谷合正明君 公明党の谷合です。  十八歳選挙権について伺いたいと思います。  国民投票法憲法を争点としますので、より幅広く民意を吸い上げると。つまり、十八歳投票権というのは本則どおり推進していくべきであると考えておりますし、また民法成年年齢を引き下げていくということも理解するわけでありますが、しかし民法成年年齢引下げについては、先ほど来ずっと議論になっているとおり、様々な各方面に影響を及ぼしていくために議論も百出しております。  ここから私見でありますけれども、国民投票を十八歳以上とするためには、公職選挙法改正のみを最低条件として考えていかないと事態は進まないのではないかなと。これは法務省さんの立場と同じになるかもしれませんが、公職選挙法規定民法をリンクさせてしまうと動かなくなってしまうんではないかという思いを持っております。時間的な検証をする余裕というものもさほどもうないのではないかと。  先ほど、内閣官房法務省総務省のこの見解の相違について早急に取りまとめ整理していくという話がございましたけれども、今どういう観点で具体的にどういう検討状況検討というか、整理をされていくのか、そのポイントとまたスケジュール感を示していただきたいと思っております。  また、今の議論の中には入っていないのかもしれませんが、成年後見制度で被成年後見人になると、事理弁識能力を欠くという要件に当てはまりまして選挙権を自動的に剥奪されてしまうという民法規定がございます。公職選挙法でもこの被成年後見人には選挙権がないということになっているんですね。  これは、ただ実際に、障害者の方等で、二十歳になってから投票に行っている、しかし、被後見人になって選挙権がなくなった、剥奪されたという方もいらっしゃいます。これは明確に私は、今まで選挙に行っていた方が投票権を奪われてしまうということの憲法違反ではないかと考えているわけでありますが、こうしたことも実は十八歳選挙権議論と同様に投票権拡大という意味で、これまで女性参政権であるとか、あるいは昔は生活保護に当たる人は選挙権がなかったわけですけれども、今の私は議論では、被成年後見人のこの選挙権の剥奪の問題も議論対象に加えていくべきじゃないかと思っているわけですが、その見解について伺いたいと思います。
  47. 原勝則

    政府参考人原勝則君) 内閣官房におきましては、先ほど申し上げましたように、先週検討委員会を再開いたしまして、内閣官房総務省法務省等々が中心になって、選挙年齢と成人年齢、あるいは少年法の適用年齢、こういったものについての整理がやっぱり一番中心になるだろうということで、そこを特に重点的に検討をしていきたいということで一応確認がされております。  また、具体的にそれではどういった方向でやっていくのかというようなことについては、申し訳ございませんがこれからの作業でございまして、議員が御指摘になったような考え方ももちろんあると思いますし、あくまでも同時にやっていくべきだという御意見もございますので、これから精力的に調整をしたいと思っております。したがいまして、具体的にスケジュールということについてはまだ現段階では申し上げることはできません。
  48. 久元喜造

    政府参考人久元喜造君) 最初に、先ほどの答弁で、おわびを申し上げながら訂正させていただきたいと存じます。  江口先生の御質問でございますが、国会図書館の資料で、二十歳以上の選挙権年齢を定めている国、これ百九十六か国中十三か国というふうに申し上げましたけれども、十九か国でございます。訂正させていただきたいと存じます。  それから、今御質問いただきました成年被後見人についてでございますが、これらの方々につきましては、心神喪失の状況にある者ということで厳格な審判を経まして成年被後見人となり、公選法の規定に基づいて選挙権を有しないということとされております。その実際の運用につきましては議論もあるところでありまして、現在訴訟係属中というような案件もありますので、私どもはそういうような司法の状況を見ながら、私どもは現行の制度、合理的なものというふうに考えておりますけれども、また必要な検討を行っていきたいというふうに思っております。  ただ、この成年被後見人制度があるから、例えば民法上の成人年齢とは別に公選法上の選挙権の要件として別の観点を入れるべきかどうかということにつきましては、私どもはそこはなかなか、先ほど申し上げましたようなこれまでのいろんな古くからの議論の積み重ねや、また諸外国状況から見ますと、そのことをもってそういうような立論にはならないのではないかというふうに考えております。  いずれにいたしましても、今日も両方の、総務省考え方、また法務省考え方、それぞれ違うわけでありますので、内閣官房でその条件整備の在り方を含め政府の中でしっかり検討がなされると思いますし、総務省もそういう観点からそういう検討作業に積極的に参画をしていきたいというふうに考えております。
  49. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 現在札の挙がっている方をもって質問の要求は停止をさせていただきます。(発言する者あり)  時間を見て考慮させていただきます。  それでは、次に魚住裕一郎君。
  50. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。  先ほど民事局長からお話しいただきましたけれども、この法制審議会答申がよう分からぬのです。先ほども前川さんからもありましたが、要するに、民法の定める成年年齢は十八歳が適当だということでありますけれども、消費者保護というそういう施策が前提だと、こういうような内容であったわけでありますが、内閣総務官の方から示された資料三の、いろいろな施策のあれが御紹介いただいています。  ただ、例えば法務省法教育の推進、二十三年度当初予算八百三十二万、二十四年度予算案六百十六万ですか、これで本当にこの答申に載っているようなしっかりした消費者教育法教育をやろうという、本当にその姿勢になっているのか、ほかの内閣府あるいは財務省、あるいは消費者庁を見ても、他の省庁に任せておいてはこの答申趣旨にも沿わないんじゃないのかと私は思わざるを得ないんでございますが、その点についてまず第一点。  それから、第二点目、わざわざ刑事局長もお見えでございますので、刑事局の観点からこの十八歳投票制についてお考えがあれば御答弁をいただきたいと思います。
  51. 原優

    政府参考人原優君) この民法成年年齢を引き下げるための環境整備につきましては、法務省のみならず関係省庁が協力をしていただきましていろんな施策をやっているところでございます。  この資料三にあります表を見ますと、金額的には少ない金額ではございますが、各省庁としてできる限りのことをやっているものと承知しておりますし、法務省としても、法教育に力を入れるということで、学校等に法務省職員を派遣したりして法教育授業をするということで、契約についての法的な考え方を幼い段階から身に付けていただくように最大限の努力をしているところでございます。
  52. 稲田伸夫

    政府参考人(稲田伸夫君) 私の方からは刑事法の観点ということで申し上げますと、少年法の問題につきまして若干申し上げさせていただきたいと思います。  御案内のとおり、少年法は、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して保護処分を行うことなどを目的としているところでございます。  したがいまして、少年法を何歳で適用するかということは、結局、当該少年を少年法という保護処分を前提としたもので扱うのか、あるいは一般の成人と同じように刑事裁判という形で取り扱うのかというその分水嶺になるわけでございまして、言わば刑事司法全般におきまして成長過程における若年層をどのように取り扱うかと、こういう問題であろうというふうに考えております。  そこで、仮にその公選法、民法年齢が引き下げられた場合にこれをどうするかということが当然問題になるわけでございますが、今も申し上げましたように、少年の保護ということをどこまでの年齢で行うかということにつきましては、選挙年齢あるいは民法の成人年齢の在り方を見ながらも、少年法固有の目的、固有の観点を含めて検討していく必要があるのではないかというふうに考えているところでございます。
  53. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 次に、亀井亜紀子君。
  54. 亀井亜紀子

    亀井亜紀子君 私は、成人年齢選挙権年齢は一致することが望ましいと思っています。けれども、選挙権年齢が仮に十八歳に引き下がったとして、それに合わせて成人年齢も引き下げるべきかといいますと、やはりこの年齢条項に関する法令の多さから考えても余り現実的ではないと思います。  では、どういう場合に選挙権年齢と成人年齢を分けて論理的に成り立つかということを考えてみたんですけれども、日本の歴史を振り返りますと、やはり納税者に対して初めに選挙権が与えられました。ですので、十八歳が幼稚で二十歳は大人かというとこれも言い切れませんし、十代できちんと働いて税金を納めて社会参加している者もおります。  ですから、一つの考え方として、十八歳から二十歳までの若者に、納税者に限るというような、何か条件付で認めるような方向というのはかなり無理がありますでしょうか。また、そのような議論というのは全く今まで出なかったのでしょうか。お伺いいたします。
  55. 久元喜造

    政府参考人久元喜造君) 突然のお尋ねでありますので不十分なお答えになるかもしれませんが、かつて諸外国の例で、一定年齢までは必ず選挙権が与えられて、例えば兵役を全うした者には別途選挙権が与えられるというような制度は、海外では存在したというふうに考えられます。  ただ、我が国におきましては、成年の普通選挙憲法上保障されておりますので、一定若年者に対して納税者要件を課するということは憲法と抵触するおそれが強いのではないかというふうに取りあえずは考えます。
  56. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) また時間がありましたら。
  57. 亀井亜紀子

    亀井亜紀子君 はい。
  58. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 次に、増子輝彦君。
  59. 増子輝彦

    増子輝彦君 ありがとうございます。民主党の増子輝彦でございます。  私は、選挙権についてちょっとお伺いをしたいと思うんですが、民法七百三十一条によりますと、婚姻ができる年齢は、男性が十八歳以上、女性が十六歳以上となっております。この婚姻が認められるということは、自立できるということ、あるいは一定の人格識見を持っているということがみなされるというようなことの要件が私はこの中に含まれているんだろうというふうに考えているわけであります。  婚姻というのはやっぱり人生の中において、いわゆる人間にとって大変大きな一つのこれは行為でありますから、この十八歳及び十六歳という年齢から見ても、私は成人年齢選挙権年齢が一致すべきだと思っています。そういう意味では、十八歳の選挙権年齢を有することに合わせて、成人年齢をこのような形で民法七百三十一条に合わせて、男性の婚姻が認められることのできる十八歳ということに合わせることができないのだろうかと、その辺の見解をひとつお聞きをしたいと思います。  それからもう一点、法務省民事局から出ておりますこの成人年齢選挙権年齢の一致の問題について、いろいろな関係施策効果が実際に現れ国民の間に浸透するにはある程度の期間を要するものと考えられると書いてございますけれども、このある程度の期間というのは一体どのぐらいの期間を想定しているのかということについて教えていただければ有り難いと思います。  と同時に、同じように三ページの四の、ここにもやはり、「民法成年年齢引下げに向けた国民意識を醸成した上で、国民理解が得られた後に民法成年年齢を引き下げるということが、」ということが書いてございますが、この国民理解が得られるということはどのぐらいの程度の期間をお考えになり、また国民理解とはどのようなことを考えているのか、この点についてお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  60. 久元喜造

    政府参考人久元喜造君) 今の御質問は、婚姻をした未成年者につきましては成人と同等にみなされるという規定があるので、選挙権につきましても、二十歳未満の者について婚姻をした者について選挙権を与えるべきではないかと、こういう御指摘だというふうに理解をいたしました。  断定的なお答えは避けたいと思いますけれども、選挙権憲法上保障された国民の権利でありまして、その要件は、法の下の平等など、そのほか普通選挙権が保障されるという先ほどの規定などとも勘案いたしまして、これは憲法上の権利でありますので、例えば一定の者について年齢で要件をたがえるということにつきましてはやっぱり憲法との関係が出てくるのではないかというふうに考えられます。  御指摘でありますので、憲法学者などの意見も聞きながら研究をさせていただきたいというふうに存じます。
  61. 原優

    政府参考人原優君) 成年年齢を引き下げるために必要な環境整備、これは今各府省で積極的に取り組んでおりますけれども、やっぱりいろんな施策をやっても、それが現実に国民の皆さんの間に浸透して効果が出るというのは、ここに書きましたようにある程度の期間が掛かるとしか言いようがないわけでございまして、具体的に何年でその効果が出るかというのは、これは我々の努力次第にもよることがあるかもしれませんが、なかなか難しいということでこういった表現になっているわけでございます。  したがいまして、政府年齢条項に関する検討委員会でも、そういう施策がどの程度国民の皆さんに浸透しているかについての議論は今後されていくと思いますし、一つの方策としましては、もう一度世論調査をしてみまして、この成年年齢引下げあるいは選挙権年齢引下げについて国民の皆さんがどういう意向を持っておられるかを調べてみるのも一つの方策ではないかというふうに考えております。
  62. 増子輝彦

    増子輝彦君 会長、今ちょっと答弁に誤解がありましたので、よろしいでしょうか。
  63. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) それでは、増子輝彦君。
  64. 増子輝彦

    増子輝彦君 私が申し上げたのは、男性が十八歳で婚姻ができる、女性が十六歳以上でできるということについて、結婚した者にだけ選挙権を与えるとか、そういうことじゃないんです。あくまでも婚姻が認められた憲法上の権利の中で、十八歳の婚姻はできるということは、自立はできる、あるいは人格識見を持つとみなされるという、成人として十分なる資格を有するのではないだろうかと。ですから、十八歳という成人年齢に引き下げて、なおかつ選挙権も十八歳で与えるということで一致することは可能ではないだろうかということの質問でありまして、お聞きをしたいことでありまして、結婚した者にだけ与えるということではありません。そこのところ、誤解のないように。
  65. 久元喜造

    政府参考人久元喜造君) 申し訳ございません。理解が十分ではなくて、おわびを申し上げます。  今の御指摘のような観点選挙権年齢を考える際に例えば憲法との関係で問題が出てこないかというようなことも含めて研究させていただきたいと存じます。
  66. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 次に、川口順子君。
  67. 川口順子

    ○川口順子君 自民党参議院議員の川口順子でございます。  二つ質問をさせていただきます。  まず、内閣に対してですけれども、今般、年齢条項見直しに関する検討委員会の設置要領を改正していただいて、年齢条項見直しにこれから拍車を掛けて行うという雰囲気がございまして非常に結構かと思うんですが、先ほど伺いましたら、今後のスケジュールについては今お話しできる段階にはないということで、何やらこのヒアリングがあるので改正をしていただいたのかなと勘ぐりたくもなるようなことでもございますが、質問は、もし今の段階でいつごろ答えを出す等のスケジュールについて分からないということでありましたら、それではいつごろまでにスケジュールをお決めになるか、お聞かせをいただきたいと思います。政務三役でなければ答えられないということであれば、そのようにお答えいただいて結構でございます。  それから、二番目の質問ですけれども、法務省に対してでございますが、環境整備が必要だということで、それはそうかなという気もいたしますけれども、環境整備に向けていろいろやっているということで資料三で予算のデータも出していただきましたが、これよく読んでみますと、必ずしも成年年齢を引き下げるということを目的として行っているということよりは、むしろ今の若者に対して様々な教育をやっていくための一般的な予算であるというふうにも取れる予算でございます。  そこで、法務省に対しての質問は、それでは環境がどのようにもう整備されたかどうか、すなわち、これら予算の成果が上がっているかどうかというのをいつごろどのように評価をなさるおつもりか、お聞かせをいただきたいと思います。  以上です。
  68. 原勝則

    政府参考人原勝則君) 政府といたしましては、憲法改正手続法の三条、附則三条を踏まえまして速やかに法制上の措置を講ずるということが私どもの責務であると考えておりますので、できるだけ早く方針を決めまして対応していきたいと考えております。ただ、先ほども言いましたように、具体的にスケジュールということになりますと、今のところ、まだ検討会でそこまで議論が煮詰まっておりません。これ、私ども政務三役の主導の下で会議をやっておりますので、お答えとしては今以上のことは多分申し上げられないと思います。
  69. 原優

    政府参考人原優君) お尋ねのありました環境整備についての評価の点でございますが、これは法務省だけで評価するということがなかなか難しい情勢でございますので、内閣にあります年齢条項見直しに関する検討委員会で各省庁の協力も得てどれだけの環境整備ができているのかということを評価していくことになるだろうというふうに考えております。
  70. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 次に、中村哲治君。
  71. 中村哲治

    ○中村哲治君 民主党の中村哲治です。  本日は一人一回の発言しかできないということもありましたので、同じ会派の議員が更に質問したいというような内容も含めて質問をさせていただきたいと思います。
  72. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 一回じゃなくてもいいですよ。
  73. 中村哲治

    ○中村哲治君 前川先生、いいみたいですけど。  まず一つ目の質問は、久元総務省局長に伺います。  今、原局長法務省からの局長のお話もありましたように、選挙年齢と成人の成年年齢とが同じくなるのは望ましいとしても、どちらかを先に動かすことはできないのかといえば、諸外国の例を見てもそうではないと。ということであれば、成人年齢を先に動かすということは十分論理的にあり得るということだと思います。沿革的な理由を申されました。二十五歳から二十歳に下げるときに、民法成年年齢を参考にして二十歳にしたと。ということでございましたけれども、更に十八まで下げられないという理由にはならないと思われます。  その点、谷合先生の質問にもあったかと思うんですけれども、更になぜ十八歳に下げることはできないと考えていらっしゃるのか。民法が先に変わらないといけない、同時に変わらないといけないのは、外国でも必ずしもそうとは言えないと、もう少し柔軟に考えていいのではないかというのが前川先生意見でしたから、それはなぜなのかということをお願いいたします。  二点目は、原局長にですけれども、今、先ほどの御答弁であれば、再び法制審にかけて民法改正諮問をする、そのような法務大臣の決断というのは、各省が集まって内閣府に設けられる検討委員会の結論が出ないと法務省はそういうことができないということでしょうか。  三つ目は、稲田刑事局長なのですけれども、先ほど、少年法は固有の目的観点があるということですので、先に成人年齢等が下がってから後で考えるという、そういう御趣旨でよろしいでしょうか。  ありがとうございました。
  74. 久元喜造

    政府参考人久元喜造君) 先ほどは沿革と諸外国の例ということで申し上げましたけれども、理論的にこれが必ず一致しなければならないというものではなかろうというふうに思われます。  考え方といたしまして、経済的、社会的に自立し得る私法上の主体としての判断能力、そして国民の代表を選定する主体としての判断能力、これは基本的には一致するということが必要なのではないかというふうに私どもも考えておりまして、そういう考え方というのは、これまでの沿革や諸外国法制度の変遷などを見ましても大方の了解が得られているのではないかということが一つでございます。  もう一つは、一つの考え方といたしまして、法制審議会民法成年年齢部会報告書では、これを一致させる理由といたしまして、より責任を伴った選挙権の行使を期待できるということ、そして法制度としてシンプルであり、また若年者に社会的、経済的に大人となることの意味を理解してもらいやすいことといったようなことが挙げられておりまして、こういうような理解は私どもも共有をしているというところでございます。
  75. 原優

    政府参考人原優君) 法制審議会でこの問題を議論いたしましたときに、成年年齢を十八歳に引き下げることについては賛否両論がありました。非常に厳しい議論をいたしましたけれども、最終的な答申の段階では、一定環境整備が整えば十八歳に引き下げるのが適当であると、こういうことで結論が一致しました。  この環境整備につきましては、法務省だけでできる問題ではございません。先ほど来話が出ておりますように、内閣官房あるいは文部科学省、あるいは消費者庁関係省庁がそれぞれ取り組んでいるわけでございますので、そういった各省庁でやっていただいている施策がどの程度国民の皆さんの間に浸透し、国民意識が変わってきているのかということは法務省単独ではなかなか判断することが困難でございますので、そういった検討の場、これは内閣でいえば年齢条項見直しに関する検討委員会が適当ではないかということで先ほどの発言をさせていただいた次第でございます。
  76. 稲田伸夫

    政府参考人(稲田伸夫君) 先ほど申し上げましたように、少年法をどうするかということにつきましては、少年の健全な育成という観点という別な観点から検討する必要があるというふうに考えているところでございまして、ただその際に、先ほど申し上げましたが、公選法の選挙年齢でありますとか民法年齢、特に民法行為能力の年齢が幾つになるかということはやはりかなり大きな要素として見ていかなければいけないというふうに思います。  したがいまして、その少年法だけ先にというのは今の状況の中でなかなか考えづらい状況かなというふうには思っておりますが、その辺も含めて検討はしていかなきゃいけないとは思っております。
  77. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 先ほど来御質問された方も含めまして御発言がございましたらお受けいたしたいと思います。  亀井さん、よろしいですか。──それでは、お一人挙がっておりますので、現在立てられた方をもって終了いたしたい。那谷屋正義君。
  78. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 済みません、非難を浴びながら一言だけ言わせていただきますけれども。民主党の那谷屋でございます。  今、それぞれ調査をされて検討されているということは分かるんですけれども、今ちょっとここで話をしていたんですけれども、この問題は二十歳を十八に引き下げることの意味合いがもっと議論されなきゃいけないのかなというふうに思っているわけで、十八にすることによって一体、例えばその個人によって、あるいはこの日本にとってどういうメリット、デメリットがあるのかという、そういう議論が本来必要なのではないかというふうに思うんですけれども、そういった議論がこれまでの検討の中で行われていたのかどうか、もしあればお聞きしたいと思っています。済みません。
  79. 原優

    政府参考人原優君) 法制審の方で少し議論がありましたので紹介させていただきたいと思いますが、この民法成年年齢は、何歳から一人で契約をできるかというその契約年齢を画する基準であるとともに、親権の保護を受ける年齢を画する基準でもありますので、言わば世間一般に言えば大人と子供の境を画するということでございますので、今二十歳という年齢を十八歳に引き下げるということは、十八歳から大人として扱う、社会的それから経済的にも一人前の存在として扱うということですので、若年者を将来の国の在り方の中心として位置付けるという、そういう姿勢を国として示すという点で好ましいのではないかと、そういう議論が行われた次第でございます。
  80. 小坂憲次

    会長小坂憲次君) 御発言も尽きないようでありますが、本日の調査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十二分散会