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2012-06-19 第180回国会 参議院 外交防衛委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十四年六月十九日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         福山 哲郎君     理 事                 風間 直樹君                 広田  一君                 佐藤 正久君                 島尻安伊子君                 山本 香苗君     委 員                 石井  一君                 加藤 敏幸君                 北澤 俊美君                 佐藤 公治君                 榛葉賀津也君                 山根 隆治君                 猪口 邦子君                 宇都 隆史君                 岸  信夫君                 山本 一太君                 山本 順三君                 山口那津男君                 小熊 慎司君                 山内 徳信君                 舛添 要一君    国務大臣        外務大臣     玄葉光一郎君        防衛大臣     森本  敏君    内閣官房長官        内閣官房長官  齋藤  勁君    副大臣        外務大臣    山根 隆治君        防衛大臣    渡辺  周君    大臣政務官        外務大臣政務官  加藤 敏幸君        文部科学大臣政        務官       城井  崇君        経済産業大臣政        務官       中根 康浩君        防衛大臣政務官  下条 みつ君    事務局側        常任委員会専門        員        矢嶋 定則君    政府参考人        内閣法制局第一        部長       近藤 正春君        外務大臣官房参        事官       山野内勘二君        海上保安庁次長  桝野 龍二君        防衛省防衛政策        局次長      黒江 哲郎君        防衛省地方協力        局長       山内 正和君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○外交防衛等に関する調査  (国の防衛の諸施策に関する件)     ─────────────
  2. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外交防衛等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣法制局第一部長近藤正春君外四名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 外交防衛等に関する調査のうち、国の防衛の諸施策に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 広田一

    広田一君 おはようございます。民主党・新緑風会の広田一でございます。どうかよろしくお願いを申し上げます。  まず、森本大臣、この度の御就任、本当におめでとうございます。  大臣におかれましては、これまでも、北澤大臣、また、不肖私が事務局長を務めさせていただいております民主党安全保障研究会議、この第一回の総会でも御講演いただくなど、これまでも御指導を賜ってまいりました。森本大臣の高い識見、経験、知見、これを遺憾なく発揮をされまして、日本防衛力向上地域の安定、そして世界の平和に貢献されますことを心から御期待を申し上げますとともに、党といたしましてもでき得る限りのバックアップ、御支援をしていきたいというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  本日は、先般の森本大臣所信的発言に主に基づいて御質問をさせていただきたいというふうに思いますが、その前に、MV22オスプレイ配備問題についてお伺いをしたいというふうに思います。  この問題は、民間出身大臣が直面をしました極めて政治的な問題だというふうに認識をしているところでございます。このMV22オスプレイ配備につきましては、これまでも研究開発当初の墜落事故が相次いだということで、沖縄皆様方を中心といたしまして、この配備について強い懸念の声が根強くあるのは御承知のことだというふうに思います。  この配備がいよいよ目前に迫った中、四月にはモロッコにおいて、また先般はアメリカフロリダ州において墜落事故が起きたところであり、これを踏まえて、先日も沖縄宜野湾の方で市民大会が開かれ五千人を超える方々抗議活動をした、こういった状況にあって、県民皆さんがこの問題について大変な関心があり、懸念を持たれているということでございます。  こういったことを踏まえて、まず事実確認でございますけれども、先ほど若干触れました、米国フロリダ州において米空軍の、これはCVなんですけれども、22オスプレイが訓練中に墜落をした件、これは特殊作戦部隊の隊員五名が負傷した事故でございますけれども、この事故原因を含めまして、最新の状況について御報告をいただきたいと思います。
  6. 森本敏

    国務大臣森本敏君) 在日米軍、特に海兵隊が新しく開発をし、運用を決め、さらに中東湾岸一定作戦に使用したオスプレイという新しい型式飛行機に現在のCH46というヘリコプターを換装する、入れ替えるという計画を持って、これを日本側通報してきたことは先生承知のとおりでございます。  この飛行機が、去る四月十一日ですか、モロッコにおいて事故を起こし、この事故調査がまだ完全に終わらないところに、先週六月十三日、米国本土フロリダで、これは空軍が使用している型式オスプレイ事故を起こしたことについても各種報道が行われているとおりでございます。  そもそも、こういう飛行機開発及び運用に際し、この種の事故が重なっていることによって日本地元方々に大変大きな心配あるいは懸念が広がっていることを担当の大臣として大変憂慮し、かつ、この問題は、深くこの事件というもののありようについて受け止め、私は、今回、この二つの、特に二つ事故について極めて重く受け止めております。  フロリダ事故については、既に米空軍の中に現地事故調査委員会が設けられ、負傷したと言われる乗員の聞き取り調査を含め、事故調査が進んでいると承知しております。  我が方は、いろんなチャンネルを通じて、できるだけ速やかにこの事故調査結果について暫定的なものであっても日本側通報してくれるよう依頼し、先週、パネッタ国防長官にも、これは、このモロッコ事故の後で、フロリダ事故の前日でございましたけれども、このオスプレイ事故調査については、事故調査の結果、判明次第、日本側通報するよう強く申し入れたところです。以来、アメリカ側には、ワシントン、日本などいろんなチャンネルアメリカ側に申し入れ、アメリカ側もこの事態を非常に重く見て、これが地元に与える深刻な影響を十分に認識し、できるだけ早く日本側事故調査報告を、暫定的なというか中間的な報告なりとも日本側通報しようとして努力しているものと承知しております。  まだ空軍事故調査が続行されていますので、どのような事故調査が行われているか、必ずしもつまびらかにしませんが、今までの空軍のこの種の事故調査の手続を考えますと、できるだけ早い時期に事故調査結果が第一報を日本側に知らされることになると思っており、そのことに現在は期待しておるところでございます。  なお、まだアメリカ側から本当のこの事故原因について、一般的な報道以外、通報を我々に、通報ではなくて、我々は知り得るところにはありませんが、少なくとも現地部隊はこの事故によって飛行停止という措置を行っていないと承知しております。  今のところは以上でございます。  いずれにせよ、この問題は、できるだけアメリカ側に、事故の結果について判明次第、速やかに日本通報するよう求め、アメリカ側もこれを約束しているので、現在はこの状態を待っているというところでございます。
  7. 広田一

    広田一君 大臣の方から丁寧な御説明を賜ったところでございます。森本大臣の方からお話がございましたように、この問題につきまして大変大臣自身危機感懸念を持っているということが十分に理解をすることができました。そして、今回の事案につきましては、米側からの報告というものを単に受け身で待つのではなくて、積極的に働きを掛けている。パネッタ長官との御紹介もございましたし、大臣自身ルース大使であるとか、また藤崎駐米大使も、カーター副国防長官にも話をしているということであります。事務方皆さんも様々なルート、人脈を使ってこの情報提供等を求めているということでございますので、今後とも是非受け身ではなくて日本側から積極的な情報提供を求める努力を続けていただきたい、このように思うところでございます。  この問題につきましては、民主党といたしましても近く党としての見解を出すことになろうかというふうに思うところでございます。昨日も防衛部門会議コアメンバー会議が開かれて、この問題が議題となったところでございます。  私たちが最も懸念をすることは、今回のこのフロリダまたモロッコ墜落事故、これについて沖縄皆さんに説得できる十分な情報がないままにいわゆる接受国通報、これがなされた場合の問題でございます。こういったときに出てくる課題、問題というふうなところについて私たちも強い危機感を持っているところでございます。  折しも、沖縄はこれから二十三日に戦没者追悼式があり、また野田総理出席をされます。先ほど御紹介したように、先般は宜野湾の方で市民大会があったわけでございますが、今後、県議会が開催をされ、この問題が議論するに、移って、県民大会というものも開催をされるのかもしれません。そういった状況でございますので、先ほど申し上げた懸念が現実のものとならないように是非とも御配慮を願えればと、このように思っているところでございます。  一方で、昨日のコアメンバー会議の中でも、私たち共通項となったところは、やはり先ほど大臣の方からもお話がございましたように、今回のあのMV22オスプレイ配備というものはCH46の換装であります。これはやはり遅滞なく進めていかなければなりません。これがもし大幅に遅れるというふうなことになりますとこの地域抑止力に空白が生じることにもなりかねませんので、このことも一方できっちり踏まえながらの対応をしていかなければならないというふうに思っております。  いずれにしましても、このオスプレイ配備問題については対応を決して誤ってはいけない、これを誤ることによって今後の沖縄における米軍基地の縮小、負担の軽減、また様々な議論にも大きな影響が出てくるんではないかなと、このように思うところでございます。  こういった中で、やはり沖縄県民皆さん信頼を得る、これが非常に大事だというふうに私自身思っております。それは、やはり足下からしていかなければならないわけでございます。  こういった中で、去る七日、民主党沖縄県連、先ほど来お話がございますように、四月のモロッコ墜落に関しまして森本大臣が、できれば配備前に全ての事故調査の結果が提供されることが望ましいが、必ずしもそうならないことはあり得るという御発言に対しまして強く反発をして、辞任要求が出ているところでございます。これは、非常に沖縄県会議員選挙が厳しい逆風の中の選挙であり、終盤戦に入る段階でこの大臣発言に敏感に反応しますのは、私自身も現在、党の選対委員長代理をやっておりますので一定理解もするところでございますが、同時に、この手の話について、厳重抗議ということだったらまだしも、大臣自身真意といったものを確認をせずに一方的に辞任要求をするというのは残念であります。  いずれにしましても、今回のこの問題というものは、双方意思疎通が十分にできていなかったのが問題であり、その意味でも党本部の責任も重いというふうに思っているところでございます。  以上を踏まえまして、是非防衛省といたしましては、今回の森本大臣発言真意を伝える努力をしていただきたいと思いますし、同時にまた、沖縄県連の方からこのオスプレイ問題等について例えば面会等の要請があれば誠意を持って対応していただきたいと思いますが、御見解をちょうだいしたいと思います。
  8. 森本敏

    国務大臣森本敏君) オスプレイ事故が続いて起きて、沖縄皆様がこの飛行安全性というものについて大変大きな心配あるいは懸念を持っておられることを十分私は承知しております。今日はこのことについて県知事及び宜野湾市長が直接御意見伺い、私のところに、いろいろと沖縄現状を踏まえて私のところにおいでいただき御意見をいただけるものと考えております。  しかしながら、今回私が就任直後に申し上げた発言をもって沖縄県民蔑視であるという趣旨で辞任を求める緊急声明を出されたのは承知しておりますけれども、私は沖縄県民を蔑視した覚えもなく、そのような意図もなく、いささか私の真意をきちっと御理解いただけてない部分があり、これはまだ就任直後、沖縄皆様のところに行って直接お話を申し上げる機会がまだできてなかったのでそういう御反応を受けたのではないかと思いますが、今進んでいるアメリカ事故調査の結果が暫定的というか中間的なものであっても、我が方に届けられたら、できるだけ時期を見て速やかに沖縄に行って県知事説明を申し上げるとともに、沖縄県民方々に直接この問題について我々がどう考えているかということについて御説明も申し上げ、誤解も解くという努力をしていきたいと、このように考えております。
  9. 広田一

    広田一君 先ほど大臣発言されましたとおり、大臣自身沖縄県民皆さんを蔑視されているということは到底ありませんし、むしろ沖縄の誇りといったものを大事にしながらこの問題等々にも取り組んでいただいていることを十分理解しているところでございますので、是非とも、先ほど来のお話がありましたように、直接的にも県民皆さん大臣真意が伝わるような御努力、これからも重ねていってもらいたいというふうに御要望を申し上げたいというふうに思います。  それでは、所信的発言に基づいて、以下御質問をしたいと思います。  まずは、日米安全保障体制についてお伺いをしたいと思います。  大臣は、所信的発言の中で、日米同盟につきましては我が国安全保障政策の重要な柱の一つとして位置付けていらっしゃいます。今後とも、地域の平和と安定のため、日米同盟というものは深化、拡大をしていかなければならない、そして加えて、これまでの成果といったものを更に実りあるものとするよう努めながら、戦略的な観点から日米防衛協力のあるべき姿を模索し、実現する旨述べているわけでございます。  これまでの我が国は、専守防衛、他国の脅威とならない、こういった方針の下、抑止力につきましては、核抑止力アメリカ依存、また通常戦力による抑止力につきましても、空母とか弾道ミサイル巡航ミサイルなどのいわゆる攻勢能力につきましても、これも米国依存をしているところでございます。  昨今、アメリカは大変厳しい財政状況、そして我が国は、今社会保障と税の一体改革党内取りまとめをしておりますけれども、その根底の問題意識は危機的な日本財政状況であります。こういった中で、一方で、大臣所信発言にもございましたように、北朝鮮の動向は目が離せませんし、中国の台頭は著しいなど、我が国を取り巻く安全保障環境といったものは一層厳しさを増している中であります。  こういったことを踏まえまして、大臣自身、今後の日米安全保障体制の中で我が国が保持すべき抑止力とは一体何なのか、このことについての御見解をお伺いしたいと思います。
  10. 森本敏

    国務大臣森本敏君) 先生指摘のように、冷戦が終わったものの、我が国を取り巻く東アジアの情勢は大変厳しく、その中で我が国我が国としての防衛力を整備しつつ、体制を整え、かつ日米同盟に基づく日米安保体制というものを確実で信頼性のあるものにし、これを併せて日本の重要な安全保障及び防衛政策の柱としているということは従来から説明申し上げてきたとおりであります。  日本防衛力お話しする前に、日米同盟というのはいろいろな側面がありますけれども、しかし周辺状態に鑑みれば、アメリカ国防戦略も、そのときのアメリカの置かれた国際環境並びに国内の諸事情に合わせて質的に、かつ柔軟に変わっていく、質が変わっていくということがあるわけで、そのアメリカ国防戦略の中でアメリカアジア太平洋の安定のために果たそうとしている役割日本が果たすべき役割とを、役割分担を見極めながら双方にそれぞれ長所とするところを行いつつ、相互に補いつつ、この地域の安定のために、いわゆる共同運用体制といいますかインターオペラビリティーを強化してこの地域の平和と安定のために果たしていく、これが言わばある種の動的防衛協力ということだと思います。  それをやるためには、我が国防衛力そのものがこの日米同盟をより充実するための基礎としてなくてはならないものであって、我が国防衛力については、既にお示ししてあるとおり、新防衛大綱に基づいて動的防衛力をどのようにこれから進めていくかという考え方に立って、東アジア周辺各種事態に対して常に柔軟にかつシームレスに対応できる体制を取るとともに、常続不断情報収集警戒監視に努め、日本防衛力を最も有効に日本防衛のために使えるよう必要な体制を整え、対応能力向上するということに努めることによって日米同盟と併せて我が国の安全を維持できるということになるのではないかと、かように考えているわけでございます。
  11. 広田一

    広田一君 どうもありがとうございます。  今の大臣の御答弁を踏まえまして、次に、防衛大綱、新中期防についてお伺いをしたいと思います。  これにつきましては、かつて私も予算委員会の場で述べさせていただきましたけれども、今回の政権交代の大変大きな意義一つは、この新防衛大綱、新中期防策定をしたことだというふうに思っております。我が党は、残念ながら、政権を担う前までは、党内において右から左まで、私のようにちょっと右まで含めて安全保障についてはばらばらではないか、こういったような御指摘をいただいてきたわけでございます。そういった中で、非常に、十年先の安全保障環境、これを見通すのはなかなか難しいものがありますけれども、それを見通しながら極めて現実的な大綱策定をしたということは大変意義のあることだというふうに思っているところでございます。  そういった中で、新防衛大綱特徴は、一つ動的防衛力といったものを打ち出したこと、もう一つ南西地域防衛力強化というものを打ち出したことが特徴だろうというふうに思うわけでございます。  一言で南西地域というふうに言いましても大変長うございまして、距離にして約千三百キロ、青森県から山口県までがすっぽり入る大変長い距離があります。そうした中で数多くの島、島嶼が存在するわけでございまして、我が国防衛力防衛を考えた場合に、この島嶼防衛というものは我が国防衛力脆弱性を示している、こういった指摘もある中で、残念ながらこれまでは先島諸島から西については自衛隊の施設がない、こういう現状が続いてきたわけでございます。  これを何とか改善をしていかなければならないというふうな取組をしているわけでございまして、今回の新中期防におきましても、旧型の固定式三次元レーダーを更新をするであるとか与那国島の方に沿岸監視部隊を配置をする、さらには初動担任部隊についても、これも新中期防中に着手をしたいというふうに考えております。さらには、航空輸送能力、これを向上するためには第一五旅団というものを改編をしていく、また那覇基地戦闘部隊を一個から二個飛行隊へ増強する、こういった陸海空の取組等々を進めているわけでございます。  このような具体的な施策等は着実に実施をしていかなければならないというふうに思いますが、それを踏まえた上で、先ほど聞きました抑止対処という観点、これは言い換えますと、抑止といったものが十分機能するためには対処のための実力、これを備えていかなければならないということであります。  先ほど申し上げたように、南西地域防衛の肝の一つ島嶼防衛というふうなことであれば、これにつきましては、北澤大臣の御指導の下、防衛力実効性向上のための構造改革、この取りまとめをいたしました。その中に、不測事態への実効的な対処のための展開、こういう記述があります。これは一見すると分かりにくいんですけれども、これは言い換えれば島嶼部奪還のことを意味するというふうに私は理解をいたしております。  この島嶼部奪還というものを実効たらしめるためにはどうするのか。これは、やはりアメリカ海兵隊協力といったものを得ながら、万一敵に占領された場合は、島嶼を海、空から総合的に攻撃でき、なおかつ陸自の着上能力向上を含めたこの島嶼奪還能力、これを保持すべきというふうに考えますけれども、この点についての大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  12. 森本敏

    国務大臣森本敏君) 先生指摘のとおり、我が国は、大変多くの島々、六千八百以上の島々で成る国でありますけれども、今議論になっているいわゆる南西方面というのは、鹿児島の南からいわゆる先島諸島の端まで、およそ千二百キロメートル余をどのようにして守っていくかということを、我々は、南西方面防衛、特にその中でも島嶼防衛と呼んで、この点を今回できました新しい大綱並びに中期防の中で特に重点事項として挙げて、この防衛力整備強化を図っているところでございます。  基本的に言えば、このように島々が連なる海域、地域というものを常に有効に守るためには、常続不断警戒監視機能というものを強化し、あり得べきリスクとか危険というものが近寄るとき、これをできるだけ早期に発見して対応できる能力を常に持っていることがまず大事です。その上で、その必要な防衛力を、まさにその起こり得るリスクというものに有効に対応できるように迅速にかつ柔軟に機動展開し、必要な対応ができるような体制を常に取っておく。そのためには、もちろんいろいろな輸送能力が必要であることは言うまでもありません。  しかしながら、我々は国の防衛任ずる者ですから、たとえ島一つといえども周りの国に侵されるということがあってはならず、周りの国から我が国固有領土を一ミリ、一センチといえども侵されないように万全の体制を取るという必要があり、万が一そのような事態になっても、確実にこれを奪還するという能力をも常に備えておかなければならないわけで、これはどちらかというとアメリカに頼るというよりか、我が国が第一義的に自らの手で行う気概とその能力を示す、これが一番大事なことだと思います。  そのためには、我が陸上自衛隊海上自衛隊などに、いわゆる上陸用能力着上陸能力を日ごろから演練し、訓練し、その能力と装備を持たせて、場合によって島嶼部にいろいろな危険が及んだとき、我が国の領域を確実に我が国の手で守るというための機能を備え、必要がある場合にアメリカ側協力支援を得ることがあるかもしれませんが、しかし、まず我が国固有領土でありますので、我が国が第一義的にいかなる手段をもってもこれを守るというための体制を整備する、これが我が国防衛のありようであろうと思います。そのための施策を今確実に進めているということであると考えております。
  13. 広田一

    広田一君 先ほどの、我が国が持つべき、保有する抑止力とは何かという質問をさせていただいたんですけれども、先ほど言ったように、核抑止力等々はアメリカ依存しているわけでございますが、私は、島嶼部防衛のための抑止力というものはやはり我が国で保持をしていかなければならない、そのための具体的なものとして奪還能力を保有するということはやっていかなければならない課題だろうというふうに思っておりますので、是非ともこの点に関しましての先ほどの御答弁あったような大臣のリーダーシップ、是非ともよろしくお願いをしたいと思います。  それでは次に、陸上自衛隊の定員について特出しで記述があったわけでございます。  御承知のとおり、自衛隊の定員というものは削減が続いております。五一大綱から一六大綱の間に二万五千人削減をされました。それに対して、新大綱におきましては千人の減であります。削減幅でいいますと二十五分の一にこれは踏みとどまっているわけでございますが、しかしながら、残念ながらこの削減傾向というものは続いているわけでございます。  昨年の東日本大震災の教訓、これは本当に陸海空自衛隊皆さん、危険を顧みず任務に精励をしていただきました。しかし、これがもし更なる長期化をした場合の持続性は一体どうなのか、そしてこの災害対処をしているときにテロや他の複合事態が発生した場合に十分な対処をすることができるのか、即応性の面で課題がないのか、こういった種々の問題点が浮上したというふうに思っております。  そういった意味で、この定員の問題につきましては、東日本大震災といったものを踏まえてその前提といったものが変わったんじゃないか、こういった認識等々も持つべきだというふうに思っております。こういったことは今後の防衛省設置法の審議の中においても私は影響をしてくるんではないかな、このように思うところでございます。  一方で、定員というのは、言うなれば椅子でございます。この椅子を確保することも大事なのかもしれませんけれども、より重要なのはその椅子に座る人であります。つまり、実員の確保がより重要だというふうに思っているところであるわけであります。  こういった中で、特に自衛隊特徴として、定員と実員との乖離が甚だしいということであります。平成二十四年度におきましても何と一万八千五百十七人の定員と実員の乖離がありまして、これを縮めていくというのが私たち政治の大きな役割ではないかなというふうに思います。平成二十四年度につきまして、防衛省は、この実員増の要求百九名、これを増加をして第一線の部隊配備をする、こういう要求をしましたけれども、残念ながら財務省等から却下をされたわけでございます。  じくじたる思いがあるわけでございますけれども、こういった現状を踏まえつつ、むしろこれを教訓にしまして来年度の実員増に向けてどのように取り組んでいくのか、決意も含めてお伺いしたいと思います。
  14. 森本敏

    国務大臣森本敏君) 自衛官の定員増という問題に関しての御質問ですけれども、まさにその防衛大綱に基づいて動的防衛力を構築し、大規模災害あるいは特殊部隊による攻撃などいろいろ予測困難な事態に即応するためには、実際に配置する人員数の基準となる自衛官の実員を確保し、充足を向上していくということが不可欠であると、この点については十分認識しております。  このため、新大綱及び中期防に基づいて人事制度改革を含む構造改革を進め、第一線部隊において実員を確保しつつ、練度の高い隊員を十分に配置するということにしているところでございます。今年度の予算においても、陸上自衛隊の定員については、大綱、中期に基づいて効率化あるいはその合理化を図る一方で、陸上自衛隊の実員は削減せず、人員の配置転換によって第一線部隊の人員を確保すると、このように方策を進めているところでございます。  いずれにしても、このような方法を取って実効性のある動的防衛力を整備しようということに努めているところでございます。
  15. 広田一

    広田一君 そうしますと、この実員増の要求についてはまだするかどうかは決めていないと、こういう理解でよろしいんでしょうか。
  16. 森本敏

    国務大臣森本敏君) どのようにこれから人員を進めていくかということについては、二十四年度の予算は今御説明申し上げたとおりでございますけれども、それ以降の問題については、これから現在の大綱及び中期防に基づいて必要な実員を確保するということに努めながら、どのような人員増をこれから要求するかということについては現在検討中でございます。
  17. 広田一

    広田一君 確かに、非常に人件費の増加を伴わない範囲内でという厳しい制約が掛かっているわけでございますけれども、しかしながら、今回の東日本大震災の教訓、またこれからの今後のことを見据えた中で、定員の議論はあろうかと思いますけれども、やはり実際の実員のところの確保については、これは大手を振って要求できる分野でもあろうかと思いますので、是非ともこれについての取組も進めていただきますようによろしくお願いを申し上げたいと思います。  それでは次に、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処活動についての記述がございましたので、これに関してお伺いをしたいと思います。  私もかつてジブチの方を訪問させていただきました。実際、P3Cの方にも乗りまして現状を視察をしたところでございます。現地は十二月でも四十度を超える大変過酷な環境の中でも、隊員諸官は航行の自由を守るという高い使命感に燃えまして任務に精励をしていた姿を見て、大変頭が下がった思いがございます。  そのジブチに行く前に、私自身もマナーマの対話にも参加をさせていただきまして、当時、アメリカの第五艦隊のフォックス司令の方からも日本の活動に対して称賛の言葉がございました。実際、国際社会におきましてもこの日本の海賊対処活動が高く評価されていること、このことを実感をしたところでございます。  その一方で、一昨年の十月に日之出郵船の「IZUMI」がケニア沖で乗っ取られました。その後、海賊の母船となって使用された後、四か月ぐらいたって解放をされたというふうな事案があったところでございます。その際、当然の問題意識として出てくるのが、いわゆる日本関係船舶といったものが海賊に乗っ取られた場合に自衛隊として一体何ができるのかということでございます。  そこで、やはりお伺いしたいことは、海賊対処法上は、乗っ取られた民間船舶の奪還や人質の救出といったことはできることになっております。可能であります。しかしながら、これまでの国会での御答弁というものは、基本的に船舶の奪還であるとか人質の救出といったことは想定をしていないという、こういう御答弁があります。海賊対処活動を始めて約三年がたちます。新拠点の活動も整備をされ、これらを踏まえますと、まだまだ海賊との戦いというものは長期戦が予想されるわけでございます。そういったことを考えますと、不測の事態といったものはむしろ私たちは想定をしなければならないんじゃないか。海賊対処における人質の救出の在り方については、私は避けては通れない問題だというふうに認識をしているところでございます。  そこで、大臣にお伺いをしたいのは、これまでのような人質の救出等は想定をしていない、こういった考え方はもうそろそろ転換すべきではないか、このように思いますけれども、御所見をお伺いをいたします。
  18. 森本敏

    国務大臣森本敏君) 先生指摘のように、自衛隊による海賊対処としては、護衛艦による民間船舶の護衛等を実施することによって海賊行為を抑止し又は海賊を退散させるということを原則として活動してまいりました。  二十一年三月に活動を始めましてから今日まで、延べ二千七百隻の民間船舶の護衛を実施してきており、これらの民間船舶は一隻も海賊の被害を受けておりません。  しかしながら、今先生指摘のように、海賊に民間船舶が乗っ取られるような場合に、この民間船舶の奪還あるいは人質の救出を行うということは現在の海賊対処法に基づいてできるのかということになりますと、法的にはもちろん可能でありますけれども、現実の問題としては、人質の奪還、救出については、乗っ取られた民間船舶の乗員あるいは乗客の生命あるいは財産への影響をトータルで考えつつ、個別の事案に状況に応じて対応するということであります。  その場合、いろいろな諸条件を念頭に置いて慎重に対応することが必要であると考えており、この法律に基づいて、確かに可能ではありますけれども、この行動をすぐに行うかどうかということは、まさに状況を見ながら対応していくということを今後も続けないといけないというふうに考えております。  その意味で、先生の御指摘は十分に理解するところでございますけれども、今のところ、法的に可能であるというこの行動に、すぐに条件なしにこの活動をするということには至っていないというところでございます。
  19. 広田一

    広田一君 どうもありがとうございました。  無論、今大臣が御答弁されたように、乗っ取られた民間船舶の乗員、また乗客の生命が一番大事であります。これを一番に考えていかなければなりませんし、また実際にこれを遂行するにしても、事前の準備であるとか武器の使用基準の整理もしていかなければなりませんし、作戦を実際実施するのは海自の特別警備隊員だというふうに思いますが、この訓練等々もあります。多くの課題があることは承知をしているところでございますが、是非とも問題意識としては引き続き持っていただいて御検討をしていただければというふうに思います。  以上をもちまして、まだまだちょっと質問したいこともございますけれども、私の質問を終わらさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  20. 佐藤正久

    佐藤正久君 自由民主党佐藤正久です。  元航空自衛官の森本大臣防衛大臣就任、誠におめでとうございます。敬意を表しまして、今日は迷彩のネクタイをしてまいりました。また、玄葉大臣は同じ福島県出身ということでもあり、バックグラウンドが近い両大臣とこの委員会でかみ合う議論をしたいなというふうに思っております。よろしくお願いします。  まず最初に、防衛大臣の所信にありました危機管理、この万全について質問をいたします。  一般に危機管理は、現状を冷徹に評価をして、そして最悪のケースに備えないといけないと言われております。森本大臣も、菅内閣の原発対処、これについては論評や書籍で、脱原発宣言問題や、あるいは一人で決めた浜岡原発停止もパフォーマンスが過ぎると批判されておりますが、森本大臣、菅内閣の原発対処、危機管理の観点から、及第点、これ、あげられますか。
  21. 森本敏

    国務大臣森本敏君) こういう問題は、危機管理の観点から及第点を差し上げるかどうかというのはトータルで考えないといけないので、一つの事象をもって全てを判断するということは難しい問題で、また、危機管理というのは、実は、危機が起きる際、それを未然に防ぐためのいろいろな措置、英語で言うとプリベンションというものと、実際に起きた後での被害局限のための措置というものとがコインの裏表のような役割を果たしながら危機管理という活動が行われるわけでございます。  したがって、そのとき善かれと思ってやったものが結果としてまずいことになると、危機管理というのはその結果がどうなるかということによるわけでございまして、そのときうまく済めばそれでよいというものでもなく、その後に起こるいろいろなリスクだとか危険というものに対応するためにきちっと未然に手を打っていくという問題と、繰り返しになるが、実際に起きた後にできるだけ速やかに被害を局限し、元の状態に修復し必要な措置をとるということが常に裏腹になって活動できる、活動しなければならないものなので、したがって浜岡原発の処置というものが正しかったかどうかというのは、今後の日本の原発政策を含むエネルギー政策全体を後から振り返ってそのときの決断が正しかったかどうかということが判断できるものであり、トータルでその問題を見ないといけないので、現時点でこの決断が正しかったかどうかというのは今の段階では一概には申し上げられないと私は思っているわけでございます。
  22. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣、これ委員会ですので、もっと端的な答弁をお願いします。  それで、残念ですけれども、やっぱりこれまでの論評だとかなり厳しく批判をされておられます。実際に昨年出された本によっても、菅内閣の原発対処、明らかに民主主義の原則に反している、どこかの独裁国のように極めて非民主主義的です、日本政治史の中でも最も民主主義的ではない政党が民主党であると言っても過言ではないということまで述べられて、厳しくこの原発対処を危機管理の観点からも批判されておられます。内閣に入っても、やっぱり実際命が懸かっている問題ですから、それはそれとして冷静に対応していただきたいと思います。  昨日、新たな事実が判明いたしました。アメリカのエネルギー省が昨年三月十七日から十九日、米軍機二機を使用して原発から半径五十キロ圏内の放射線強度を測定し、その結果を政府は、菅内閣は持っていたんですけれども、それも公表もせず、また避難計画にも使用しなかったと。外務省はこの米軍情報を入手し、外務省から保安院には三月十八日と二十日、文科省にも二十日にそれぞれメールで送っております。外務大臣、この事実はいつ承知されましたか。
  23. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 今の事実そのものについて私が承知したのはいつかということであれば、それはまさに質問通告を受けて改めてこのことについて担当者から話を聞いたというのが率直なところです。
  24. 佐藤正久

    佐藤正久君 森本大臣、これが実態なんですよ。担当が分かっていても、大事なその測定結果を大臣が分かったのが一年三か月過ぎた昨日と。これは余りにもおかしいと思いますよ。  外務大臣、この測定結果で、中を見ると、毎時百二十五マイクロシーベルト超の高い線量地域があった。これは八時間滞在すれば年間の被曝線量を超える値です。でも、実際に菅内閣がそこにいる飯舘村とかあるいは浪江の津島地区の支所の方々に避難を命じたのは四月に入ってからですよ。福島県出身の国務大臣、そして外務大臣として何か責任を感じませんか。
  25. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) これは誤解のないように申し上げますと、私が知ったのはいつかということだったので率直なところを申し上げたので、恐らくですよ、推測ですが、当時は外務大臣にも報告がなされたのではないか。つまり、私はこのときに外務大臣ではございません。御存じのように、外務省は、報告を聞いたところによれば、そのときに文科省や保安省に連絡をしたと。かつ、公開も可能かというふうに尋ねられ、公開も可能であるということも含めて担当省庁に連絡をしたということになっています。  ただ、おっしゃるように、福島県出身者としてどう考えるのかという話であれば、いわゆる政権全体としてそのことが公表されなかった、そのこと自体については私は遺憾だというふうに思っています。
  26. 佐藤正久

    佐藤正久君 外務大臣、これは外務省が米政府から得た情報なんです。これはSPEEDIは推測値でしたよね。今回のやつは、でも今回、実測値なんです。この重みというのをやっぱり外務大臣としても真剣に考えていただかなきゃいけないと。実測値で出ているんですよ、百二十五。若干誤差があるにしても、高い線量地域に福島県民がいる。外務省職員、見ただけで分かるじゃないですか。それを、ただ所掌事務的に保安院に上げたらいい、あるいは文科省だったら、うちは、外務省は関係ないということでは済まされないんです。これが森本大臣がいつも言われる縦割り行政の弊害なんです。外務省が米国からもらったら、外務省からも並行して官邸に上げたっていいわけですよ、そうでしょう。これは実測値なんですよ。非常に重たい。  玄葉大臣としては、これは非常にやっぱり外務省としても責任を感ずるべきだと私は思いますが、いかがでしょうか。
  27. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 先ほど、私、率直に申し上げましたけど、まさに政権全体として遺憾であるということは、どこどこの責任であるということを私は人に押し付けるというつもりはありません。それぞれ関与したところ全体が反省すべきは反省しなければならないというふうに思います。
  28. 佐藤正久

    佐藤正久君 実際、大臣御存じのように、原発さえなければと書き置きをして自殺された方もおられますし、実際、一時帰宅のときに首をくくられた方もおられます。一週間目に私自身も、もう避難生活に疲れた、もう先が見えないと、原発地域に入って自殺をして自分の思いを伝えたいという人までやっぱりおられるわけですよ。今回もこの命ということを考えた場合、放射能におびえながら生活していくことを考えた場合、そこがやっぱり縦割りで、自分のルートでやったからいいというものではなくて、やっぱり生データですから、それはもっと真剣に考えてもらいたいと思います。  経済産業省、何か釈明ありますか。
  29. 中根康浩

    大臣政務官(中根康浩君) お答えを申し上げます。  釈明というよりも、まず事実関係を含めて申し上げますと、昨年三月十七日から二十日にかけてアメリカ・エネルギー省が実施した空中モニタリングの結果が外務省を通じて文科省及び原子力安全・保安院に送付されていたにもかかわらず公表されてこなかったのは事実でございます。また、原子力安全・保安院から官邸への送付についても確認はできておりません。  こうした情報が原子力災害対策本部事務局長である保安院長も含め原子力災害対策本部内で適切に共有、活用されてこなかったことは誠に遺憾であると存じております。
  30. 佐藤正久

    佐藤正久君 実際、人命が懸かっているんですよ、遺憾というものじゃないですよ。  文科省、釈明ございますか。
  31. 城井崇

    大臣政務官(城井崇君) お答え申し上げます。  事実関係でありますが……
  32. 佐藤正久

    佐藤正久君 事実関係はいいですよ。
  33. 城井崇

    大臣政務官(城井崇君) 文部科学省としては、DOEから昨年三月十七日—十九日に実施した航空モニタリングの結果について、三月二十日に外務省から情報提供されたものであります。また、本件情報は、文部科学省より二日前、十八日に外務省から原子力災害対策本部事務局である原子力安全・保安院にも提供されているものであります。文部科学省としては、当該結果が非常に有益な情報だと考え、公表するように米国側に依頼してほしい旨、三月二十一日に外務省に対し依頼をしたところ、当該結果は三月二十三日に米国側から公表されたものであります。  なお、文部科学省で今回の事故については省内検証を今進めております。平野文部科学大臣の御指示を受けて詳細な検証を進めておるところでありますけれども、今後も、政府事故調、そして国会事故調等の対応を踏まえて改善に努めていくところでありますが、今回の情報の取扱いについてであります。特に、各省庁の役割分担、そしてその判断主体というものがあったものの、文部科学省として情報に接する立場としておった者としての取扱いはどうだったかといったときに、ここは深く反省すべきだというふうに考えております。
  34. 佐藤正久

    佐藤正久君 当たり前ですよ。遺憾という面じゃなくて、自分でやっぱり反省しないといけないんですよ。役所というのは所掌事務に基づいてやるから、その間におっこっちゃうんですよ。それが森本大臣がずっと大臣就任前から言われていたことなんです。所掌事務で全部やるから、所掌事務に書いてないことやらないんですよ。それをやるのがやっぱり政治家なんです、政務三役。そこが、上の方まで上がっていなかったのかもしれませんけれども、これは本当に真剣に反省していただかないといけない。  外務大臣、もう経産大臣あるいは文科大臣連れて福島の方に行って、やっぱり謝ってくださいよ、結果として。これ本当に、推測データではない実データですから、これは。外務大臣、やっぱり福島の出身の国務大臣として関係大臣連れて、今やっぱり責任がある、反省の言葉を福島の方に行って述べる覚悟はありませんか。
  35. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 今までの経緯をお聞きをしていくと反省すべき点が確かにあって、非常に痛恨の極みのところが率直に言うとあります。ただ、それを、例えば三大臣地元に行く云々ということについて、今私の方から申し上げるというのは控えたいというふうに思います。
  36. 佐藤正久

    佐藤正久君 それが今までの民主党内閣の失敗点なんです。安全と安心は違うんです、安全と安心は違います。幾ら民主党政権が放射能を含めて安全だと言っても、安心しないんですよ、福島県民は。大臣承知のとおりです。いっぱい聞いているでしょう。これだけ数字が二転、三転して、百ミリから二十一に変わったりした。SPEEDIも公表しなかった。今度は米軍の実測データも公表していないと。これで誰が安心しますか。そういう話なんです。  沖縄問題もそうなんです、安全と安心は違うんです。だから、そういう面でどうやって安心を担保するか。しゃくし定規でやったって無理なんですよ。そこがやっぱり汗のかき方が足らないということをまず指摘しておきたいと思います。  同じように、福島の第一原発、第二原発、今の状況を、森本防衛大臣、危機管理の観点から今の福島の原発の状況を問題ないと思われますか。
  37. 森本敏

    国務大臣森本敏君) 防衛大臣としてその原発の現在の状態を詳細に把握していませんが、いずれにせよ、この原発の事故が発生して以来、周辺方々が大変お困りになって、日々の生活でいろんな面で苦しんでおられるということは、これは大臣というよりむしろ国民として非常に深刻に考えており、この感情を私は共有しているものです。
  38. 佐藤正久

    佐藤正久君 防衛大臣、掌握してください。掌握してください、第一原発、第二原発の状況。それは、防衛省事務方もしっかりそこの辺りは防衛大臣情報を入れなきゃ駄目ですよ。福島の再生なくして日本の再生なし、これは言われているんでしょう、野田総理の方針として。原発が安全じゃなかったら帰還できないじゃないですか。再生できないんですよ。  今、大臣、どうなっているか。今警戒区域、そこには数か所に警察がいるだけで、誰でも中へ、原発に近づけるんです。森本大臣も近づけますよ。私も近づけます、いないんですから。田んぼもあれば畑もある、生活道路もある。誰でも、テロリストでも宗教団体でも誰でも近づける。今、四号機、非常にみんな心配していますよね、四号機、むき出しになっている。これに航空機のテロ、これがあった場合、防衛省、速やかに対応できますか、今の状態で。
  39. 森本敏

    国務大臣森本敏君) この原発に対する各種のテロ、あるいは先生が御指摘のような航空機の攻撃があったらどうするのかということについては、政府内というよりかはむしろ、まず原子力委員会その他のところでかなり真剣に検討しており、対策について現在鋭意進めているというふうに私は了解しております。  また、私も大臣になる前、この種の研究会や施策に深くかかわってきましたし、これはニュークリアセキュリティーという問題で既に韓国でも議論をしてきましたけれども、テロリストの侵入に備えた原発の警備については第一義的に警察において実施しておられるところでありますけれども、自衛隊も、緊急事態が発生した場合には自衛隊法に基づいて治安出動等により自衛隊と警察が緊密に連携するということにしており、このためのいろいろな共同訓練を進めているところでございます。
  40. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣、自分の言葉で言われた方が多分大臣の評価は上がると思いますよ。  航空機テロ一つ取っても、御存じのとおり、例えば福島空港からそういう飛行機が飛び立った、航空自衛隊はスクランブル発進できないじゃないですか。自民党は民主党政権に対して、治安出動をまず掛けておいて、すぐ国内の航空機に対しても対応できるように対処すべきだと申し入れていますよね、大臣承知のとおり。航空自衛隊のスクランブル発進は大概領空侵犯措置ですから、九・一一のような国内には無理なんですよ。四号機のあの状況、中間にある、浮いているんですよ、燃料棒が。それがもしもやられてしまったら、もう地震じゃなくてそういう航空機でやられてしまったら、あと冷やしようがないんですよ。それは本当に福島県に安全だから帰還してくれと言えるんですか。東京電力に任せる、あるいは警察に任せて航空機対応できますか。  危機管理、想定外というのはもう誰も聞きたくありませんから、福島県民は。その辺りを真剣にならないと、森本大臣の言葉とは思えません。警察に任せるではなくて、せっかく森本大臣が内閣に入ったわけですから、そこはしっかりと提言をしていただきたい。安全じゃないのに帰れるわけないんですよ、みんな不安なんですから。帰れ、帰れと言ったって、原発が、みんな四号機見れば不安だと思っている、テロに対して不安だと思っている。誰でも入れる、みんな不安ですよ。玄葉大臣が一番分かっていると思います、もう福島県の人間ですから。あれはやはり東京電力に任せるんではなくて、国が前面に出ないと駄目だ、危機管理は。  例えば、私が行ったとき、一号機から三号機見てびっくりしました。確かに水は回っている、電源も準備している。だけど、ポンプはどうなんですかと聞いたら、一号機から三号機のポンプがトラック一台に乗っている。これやられたらどうするんですか、予備があります、どこにあります、隣に置いてある。これが危機管理。どうなっているんですか。電力会社に任せるとこうなっちゃうんですよ。  玄葉大臣、御存じのように、あの応急堤防、蛇かごと一トン土のうでしょう。あれで同じような津波が来たときにもつわけないじゃないですか。何で国土交通省が前面に出てそういう応急堤防を造ろうしないんですか。一年三か月ですよ。何が危機管理だと言いたいですよ。本当に福島県民なめるなと言いたいですよ。もう一年三か月たったら、それこそ国が前面に出て、東京電力はその収束に専念する、周りは国が全部面倒を見るのをやらなかったら、みんな怖くて帰れませんよ。四号機のあの映像を見たら、みんな福島県民、やっぱりおびえちゃいますよ。風評被害まで広がってしまう。そこは国が前面に出てやる。  玄葉大臣、御所見をお伺いします。
  41. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) あの当時、私は国家戦略担当大臣でありましたけれども、おっしゃるような例えば大きな津波が来た場合のことについて原子力災害対策本部で私からも提起をいたしました。四号機の燃料プール等についても様々な提起をしております。そういった中で、今の佐藤委員の問題意識について私として共有する部分がございます。  ですから、やはりその都度その都度、実は私としては担当大臣に提案をしたり私の問題意識を伝えたりということをしておりますけれども、必ずしも結果が十分伴っているわけではございませんから、今後もでき得る限りの努力をして結果を伴うようにしたいというふうに思っております。
  42. 佐藤正久

    佐藤正久君 玄葉大臣、せっかく危機管理のプロの森本防衛大臣が着任されたわけですから、それは連携してやっぱりやってくださいよ。福島県の出身の閣僚は玄葉さんだけなんですから。今、どんどん温度差が広がっているんですよ、東京と福島の。聞かれているとおりです。やっぱりそれは玄葉大臣が真剣に汗かかなかったら、国務大臣として。お願いします。  じゃ、資料一を見てください。  これは大飯原発の発電所の航空写真です。これ御覧になって分かりますように、大島半島の先端に大飯原発があります。途中、県道二百四十一号線、トンネルが二か所あります。さらに、この二百四十一号線は橋で結ばれているんですよね。その先に、そのトンネルと原発の間に集落があるんですよ。このトンネルがもしもゲリラによって破壊されたら、この集落の人たちは逃げようがないんですよ。こういう状況、今回の大飯原発について、これはどうやって対応するんだと、これは住民に説明していますか。  資料二をめくってください。  これは大飯原発の近くのところです。これも同じようにトンネルが二か所で結ばれている。これもやられたら、もう孤立しちゃうんです。自衛隊、警察、消防が陸路で行きたいと思っても行きようがない、これが実態なんですよ。予備の避難経路も進出経路もないんです。確かに、原発の安全対策、起きないようなことをやるのは当然大事です。でも、万が一起きてしまったときにどうやって住民を避難させるんだ、どうやってその収束のために自衛隊や警察、消防はそこに行くんだということも考えておかないと、それは危機管理としては十分と言えないですよね。  森本大臣、この航空写真を見て、大飯原発の安全確保、危機管理上どういうふうな所見をお持ちでしょうか。
  43. 森本敏

    国務大臣森本敏君) 確かに先生おっしゃるように、こういう地形の中で大変深刻なテロ等が攻撃をされると、これは本当に住民の安全を確実に守るためには、相当綿密な警備計画を日ごろから作り自衛隊と警察で連携をして対応しないと、一人一人の安全を確実に確保するということは、この地図を見る限りは確かに言えるのではないかというふうに思います。
  44. 佐藤正久

    佐藤正久君 防衛大臣御存じのように、原発のテロ、これは緊急対処事態に認定される可能性があります。事態が認定されたら、国民保護等派遣は自衛隊に命令される可能性があります。まさに防衛大臣の所掌なんですよ。この場合、場合によっては海上保安庁じゃなくて海上自衛隊、海から救出もあるかもしれない。さらに、この若狭地方というのは国道二十七号線一本なんですよ。非常に弱い、海に近く山が迫っている国道二十七号一本のところにいっぱい集落がある。住民が避難したらとてもその現場には進出できないという元々弱い地形の上に、二重でこの半島にはこの一本しかないんです。そういうこともしっかり考えながらやらないといけない。  だから、福井県知事も近隣の知事も、テロ、ゲリラ対処を一番心配しているんですから、再稼働のときに。その部分を言うのは、危機管理のやっぱりプロの防衛相であり警察庁長官辺りが言わないと、しっかり説明ができなければ安心できないんです。安全と安心は違いますから、いかにそういうものを具体的な形で安心をさせていくか、これがやっぱり大事なんですよ。  しかも、防衛大臣、この大飯原発から舞鶴の海上自衛隊の基地、二十七キロです。今政府は、民主党政権は、三十キロ圏内を避難の重点地域にすると言いました。このお隣の高浜原発、高浜原発から舞鶴海上自衛隊基地、たった十三キロです。日本海側には舞鶴しかないんですよ、まともな海上自衛隊の基地が。であれば、やっぱりいざというときに逃げるわけにいかない。であれば、第一原発の免震重要棟のような、ああいう地震が起きてもしっかり大丈夫だ、あるいは外から悪い空気が、汚い空気が入ってこないような与圧装置とか、そういうものをしっかり、舞鶴の海上自衛隊の基地強靱化計画を作らなければ、いざとなってからでは遅いんですよ。舞鶴の海上自衛隊に対する期待って物すごい高いですから、現場は。  大臣、そういう面で、やっぱり舞鶴の海上自衛隊の基地の施設整備、これは重点的にやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  45. 森本敏

    国務大臣森本敏君) 誠に議員御指摘のとおり、海上自衛隊の舞鶴というのは大変大きな機能を持っているわけで、そういう意味では、陸上自衛隊海上自衛隊だけではなくて陸上自衛隊等含めて、この大飯原発の周辺のテロ対策を警察と共になっていろんな計画を作り訓練をしておくべきこと、これはもう危機管理の観点からいうと、先生指摘のとおり当然のことであります。この点についても大臣として十分に意を払って今後対応を考えて指導していきたいと、このように考えております。
  46. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣、警察の訓練もいいんですが、やっぱり基盤整備なんです、基盤整備は時間が掛かりますから。これを早くやらないと間に合わない。基盤整備はいかがでしょうか。
  47. 森本敏

    国務大臣森本敏君) 原発の安全を確保するために必要な基盤の整備についても、部隊にどのようなことができるか、できるだけ速やかに検討していきたいと、このように思います。
  48. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣、ありがとうございます。  やっぱり自衛官の定数もそうなんですよね。先ほど、広田委員からもありましたけれども、やっぱり昨年、防衛省が出された震災の教訓でも人が足らないと出ております。実際、森本大臣も、昨年三月二十三日の参議院の予算委員会の公聴会でこう言われています。今の陸上の要員は明らかに国家の要請には満たない、足らない、定員そのものが不足しているという事態だと述べておられます。  先ほど、充足を上げる、これは当たり前ですけれども、でも、今までずっとだまされてきたのは、定数を下げる、充足がいっときは上がります。でも、また今度、充足率が掛かってまた下がるんですよ。この繰り返しなんです。みんな分かっていますから。そんなちょっといっときの充足率上がるというんじゃなくて、本来、定数で自衛隊って戦うんです。災害派遣が本来任務じゃありませんから。定数に基づいていろんな装備品があるわけでしょう。定数で考えないといけないと。そういうまやかしには絶対乗ってはいけないと私は思います。  当然、自民党は、森本大臣の公聴会の答弁どおり、この定員の削減には大反対です。昨年は三百名の削減の法案がこの国会に出されました。この参議院の方で廃案になりました。今年はまた現役六百名、予備自衛官約三百名削減という法案が出ております。これは公聴会で言われた大臣の考えとも違う。これは大臣、やっぱりここは一度、この提出した法案を取り下げて、政府、与野党一緒になって、どういう定数がいいんだというものを議論して出し直す、いかがでしょうか。
  49. 森本敏

    国務大臣森本敏君) いや、全く自衛隊の定員と実員の乖離をどのようにこれから解決していくかということについては防衛省自衛隊の大変大きな問題で、先生の御指摘は誠に的確なものであると考えますし、また必要な人員を確保して我が国防衛力をきちっとしたものにするということについては、特にその中でも実際に配置する人員数の基準となる自衛官の実員を確保して充足を向上していくということが不可欠であると考えますので、この点については今後とも努力をしていきたいと、このように考えます。
  50. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。是非やっていただきたいと思います。  ただ、もう一点だけ、昨年の震災に関する防衛省の教訓事項、まだ中間報告なんです、大臣。中間報告なんです。これは森本大臣のやっぱり知見、プロの目から見た形でそれをしっかり作って、中間報告その二でも最終報告でもいいですけれども、しっかり出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  51. 森本敏

    国務大臣森本敏君) 昨年の東日本大震災の教訓については、教訓の取りまとめということで中間的な取りまとめを行って公表したとおりでございます。その結果をいろいろ実際の施策に反映するために努力をしているところですが、先生指摘のように、最終報告を行うと、できるだけ速やかにこの報告を行うということにしたいと考えます。
  52. 佐藤正久

    佐藤正久君 あと、両大臣オスプレイもそうなんです。安全と安心は違うんです。幾ら米軍が安全だと言っても、なかなか国民、とりわけ沖縄県民の方は今安心しておりません。その件でこれから若干質問いたしますけれども、米軍の考え方、米軍のオスプレイ沖縄への配備計画、米軍は今年末までに沖縄に十二機、来年十二機配備するという計画を示しておりますけれども、これは現時点では変更がないということでよろしいでしょうか、外務大臣
  53. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 現時点では変更がないかということでありますが、そもそもまだ接受国通報がなされているわけでは御存じのようにございません。今回の事故を受けて、現段階で配備についての影響を申し上げれるという段階ではないというふうに考えています。
  54. 佐藤正久

    佐藤正久君 それは違うと思います、大臣。今年末までに配備するということは明言していますよ、米軍の方は。  防衛大臣、いかがですか。
  55. 森本敏

    国務大臣森本敏君) 確かに、アメリカ側が今年後半に配備をするという計画については説明をしており、これまた公表しているわけでございますが、外務大臣のお答えの趣旨は、その具体的な日程その他についてはまだ確定していないという趣旨を述べられたものだと理解しております。
  56. 佐藤正久

    佐藤正久君 外務大臣、だから防衛省は政務官を岩国の方に派遣して説明したわけですよ。今年末までに沖縄配備するという前提の下に、その環境整備のために、安心を、理解を得るために。だから、そういう状況なんです。  ただ、沖縄方々がやっぱり心配なのは、日本政府はアメリカ情報だけでそれは安全だというふうに我々に説明するんじゃないかと、やっぱりそれを心配しているんですよ。防衛大臣アメリカ情報だけで安全だというふうに沖縄の方に説明するおつもりでしょうか。
  57. 森本敏

    国務大臣森本敏君) いや、そのようには考えておりません。我が方にはこの種の航空機の専門家も各幕にそろっておりますし、現在、防衛省の中でオスプレイについては専門的な技術評価をできるチームというのを組んでおりますので、アメリカ側からいずれ暫定的あるいは中間的な報告、最終報告が行われたら、その中身を技術的に我が方として評価をし、実際にこの航空機が日本の中で運用される際、どのような安全が確保されるのかということについては、我が方として独自の技術的評価を加えていきたいと、このように考えております。
  58. 佐藤正久

    佐藤正久君 防衛大臣、今防衛省の中でそういうチームがあると、それは非常にいいことだと思います。ただ、できれば今から何人かをやはりアメリカの方に派遣をして、何とか向こうの事故調査に、メンバーに入れてもらってやらないと、なかなか安心ってできませんよ。アメリカから出たこのペーパー情報だけを見て評価、これはなかなか多分沖縄の方は安心できないと思います、安全と安心は違いますから。日本政府としてここまでやったんだということを見せるためには、やっぱり外務大臣と連携しながら、何とかアメリカの方にそういう事故調査の中にやっぱり入れてもらうと。難しいと思いますよ。でも、そのぐらいやらないと、なかなか信用していただけないと思います。いかがでしょうか。
  59. 森本敏

    国務大臣森本敏君) このフロリダ事故が発生して以来、いろんなチャンネル、ルートを使ってアメリカに、事故調査の内容、たとえ中間的な報告なりとも我が方に通報していただくようアメリカに強く申し入れ、アメリカ事態の深刻さを理解し、その旨約束しております。  先生指摘のように、それではアメリカ側に人を派遣すればいいではないかということの御指摘でございますけれども、原則としては、航空機の事故が起きた場合、事故調査委員会なるものは、これは空軍であれ海軍であれ海兵隊であれ、元々極めて軍の中及び政治のあらゆる側面から全くインディペンデントに干渉できない、他の人が触ることのできないぐらい純粋、厳正に秘密を守りながら事故調査が行われるものであり、これはどの国であれそのような原則を守っているわけであって、それは我が国において同様の事故調査が行われる場合でも他の一切の人が手を出せない、これが原則であります。  しかしながら、それはそれとして、その他のルートを使って我が方が必要な情報アメリカ側から入手できないか、いろんな現在チャンネルを模索してアメリカ側に打診をしているところでございます。
  60. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣、ありがとうございます。  やっぱり普通のやり方だともう納得できない状況になっています。後でこの件については島尻委員からも質問あると思いますけれども、普通のやり方じゃ、もう安心というのは多分確保できないというふうに思います。  二点提案させていただきますけれども、一つは、やっぱり野田総理とか、あるいは仲井眞知事あるいは宜野湾市長等がオスプレイに乗ってもらわないといけないと思います。リーダーが乗らないと安心なんか県民、国民に伝えられませんから。実際にオバマ大統領はアフガンやイラクで乗って安心感を一応アピールしている。非常に、それは決定打ではありませんけれども、やっぱりリーダーが自分からそういう安全性を身をもって示さないと、なかなか難しいところがある。  あともう一つアメリカの場合、オスプレイ大臣御存じのようにVIP輸送に使っていますよね。ホワイトハウスのVIP輸送に使っていて、シークレットサービスとか、あるいはホワイトハウスのスタッフあるいはホワイトハウス詰めのプレスとか、みんなそれを運んでいるんですよ。だったら、日本政府も要人輸送のためにオスプレイを買えばいいんですよ。日本政府が俺たちが使って安全だと言わないのに沖縄やってください、全然説得力ないですよ。もうかなり要人輸送機古くなっていますから、オスプレイをうちもアメリカと同じ要人輸送に使うということを範を示さないと、なかなかいかないと思いますよ、安心感は。  いかがでしょうか、防衛大臣
  61. 森本敏

    国務大臣森本敏君) 既に衆参両院議員の先生方の中にも、あるいは日本のメディアの人の中にも現にオスプレイに搭乗して、安全といいますか、この飛行機の搭乗した感触というのを自ら体験された方も随分おられるところです。私は機会に今まで恵まれませんでしたけれども、是非とも搭乗して自ら体験をしてみたいというふうに考えていますが、まだその機会が訪れていません。  先生指摘のように、確かに沖縄県知事に乗ってもらうというのは、これは知事の意向もあり、乗るということが沖縄方々にどれだけ説得力を持つのかということは、これは知事の御判断なので私としては何とも申し上げられませんが、オスプレイ日本配備しろというお申出は佐藤先生のお申出として確かに承りました。よく考えてみたいと思います。
  62. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  次に、丹羽大使の尖閣諸島発言について伺います。  大臣は、丹羽大使のインタビュー記事が出た後、大使と直接お話をしましたか。
  63. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 直接、私の名前で注意をするようにというふうに局長に指示をしました。
  64. 佐藤正久

    佐藤正久君 要は、直接話していないんですよね。やっぱりこれは、これだけ大きな問題であれば大臣自ら私は話すべきだと思っています。  やっぱりこれは、今回の丹羽大使の件は大臣の見識が問われているんですよ。これは、本当に日本の主権が問われている問題を、こういう曖昧なまま非常に弱い注意だけで済ます、これは許されないと思います。実際に中国のメディア、うまく使っていますよ、非常に。やっぱりこれは国益を私は完璧に損ねている。一度やっぱり呼んで、そして事情を聞いて、そして私は更迭すべきだと思います。  大臣日本の方に大使を呼んで、実際どういう発言をしたか、これからの出処進退について伺う意向はございませんか。
  65. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) これは、事実関係が、これ記事なものですから明らかなんですね。ですから、私は、この事実関係がもう出た時点で呼び戻す云々ということも、おっしゃるように選択肢としてはいろいろあるんでしょう。ただ、事実関係が明らかであるので、そういう意味で、その事実に基づいて処分を行ったということでございます。
  66. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣が呼ばないんであれば、当委員会に丹羽大使の参考人招致を求めます。
  67. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 後刻理事会で協議いたします。
  68. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣、大使はやっぱり発言、いろんなことを言っていますよ。日中関係に危機を及ぼすとか、あるいは過去十年間の努力を水泡に帰すようなことは許されないとか、また、購入前の上陸調査は日中間の外交上の問題を引き起こしかねないと言っている。  これは、何で自分の国の島を上陸調査するのに中国大使が自ら外交問題にするのか。これは絶対やっぱり国益を害していますし、日本の政府見解とは違う、立場をわきまえない発言だと思いますが、いかがでしょうか。
  69. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) そこはおっしゃるように、政府の見解と違うわけです。つまりは、インタビューには領有権の存在そのものがないのであるということを言うべきであったわけで、そういう観点から、私もこの記事を見たときに、直ちに注意をするようにという指示をしたということで、もう一つ言えば、私もそのときに大使がどういう反応を示すかということについて言わば注視をしていたわけでありますけれども、そのときに深い反省の意を表したということをもって私としてそういう対応をしているということでございます。
  70. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣、全然甘いですよ。  さらに、こんなことも言っているんですよ。これは丹羽大使は、尖閣諸島購入による日中間の危機は日中ビジネスに影響を与えるということも発言している。これをとらえて新華社通信はこう書いているんですよ。伊藤忠商事の会長から中国大使になった丹羽大使は尖閣諸島購入による生起する危機は日中間の商業関係に影響を及ぼすと警告したというふうに報じられているんですよ。まさに主権より商売が大事、そういう商売大事な大使として扱われているんですよ。  セオドア・ルーズベルトの名言がありますよね、外交とは大きなこん棒を背負いながら猫なで声でやるものだと。この報道を見ると、丹羽大使は左手にそろばんを持ちながら猫なで声の外交をやっている、そういうふうに取られても仕方がない。主権より商売が大事なのかとみんな思いますよ、この記事見たら。我が国の国益を守る立場の大使としては極めて不適切。尖閣諸島の東京都の購入は日中関係に、ビジネスに大きな影響を及ぼす、これは絶対看過できない。私は大使として適切ではないと思っています。  官房副長官、もうこういう大使が国益を損ねる発言は一個じゃないんですよ。二個、三個、四個、五個ぐらいあるんですよ、見ていると。これはやっぱり、外務大臣がやらないんであれば、内閣として一回日本に呼んで、やっぱりそれはその真意というものをしっかりただして処分をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  71. 齋藤勁

    内閣官房長官(齋藤勁君) 御指摘の件につきましては、るるこの間、衆参の委員会等でも質疑があったことを私自身承知をしております。ただいま委員から御指摘があったことについては承らさせていただきたいというふうに思います。
  72. 佐藤正久

    佐藤正久君 副長官、これは国会でも参考人招致強く求めていきますから、そういうふうに官房長官にお伝えください。  また、日本政府は在京シリア大使を追放しましたよね。私からすると、この丹羽大使こそ追放してほしいぐらい、ペルソナ・ノン・グラータと。中国が大好きな大使ですから中国に行ってほしいぐらい。本当にふざけていますよ、今回の発言というのは。日本政府の立場とも違う、自分の立場というのをわきまえていない、この二つをもって私は更迭にすべきものだというふうに思います。  例えば、田母神空幕長、彼は、日本は侵略国家だったのかと題する論文を応募して、結果、防衛省から航空幕僚長の任を解く人事を行われました。今ここにそのペーパーがありますけれども、その理由は、これは政府見解に明らかに異なる意見を述べている、また、航空幕僚長として不適切であるということで降格されたんです。同じじゃないですか。政府見解と違う、立場をわきまえていない、まさに大臣答弁と同じじゃないですか。ましてや、田母神空幕長は国内問題でしょう。今回は外交問題ですよ。どっちが重いか、どっちが国益上大事かと、火を見るよりも明らかじゃないですか。何でこういうことが起きてしまうのか、不思議で仕方がない。  外務大臣、やっぱりこれは主権を害した、火を見るよりも明らかでしょう、大臣も言われたように。立場をわきまえていない。日本政府の立場とも違う。この政府の答弁書としても、現時点においては召還とか処分は考えていないと言っていますけれども、大臣、御存じのとおり、今いっぱい使われているんですよ、大使の発言が、中国内で。どんどん広まっているんですよ。大使が中国にいる限り、どんどん使われるんですよ、これは。広まっているんですよ。現時点で考えていなくても、これからの中国のこの発言の扱い方、使われ方によっては、やっぱりこれは処分すべきと考えますが、いかがでしょうか。
  73. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) まず一つは、おっしゃるように、現時点において更なる措置をとることは考えていないということを繰り返し申し上げているということでございます。  どういう取り扱われ方がするかということでありますが、私が指示をし注意を行った、言わば日本政府が処分をしたということによって、私は一定の態度というものは示し得ているというふうに思っています。  それと、先ほど田母神さんの話が出ていましたけれども、私は、一点大きく違うのは、私もつまびらかに承知しているわけではありません、田母神さんの件を、今初めてこの場で出されたんで。ただ、果たして彼がどこまでそのことについて納得をし、反省をしたのかという点について、私は違うというふうに思っています。今の丹羽大使が私の注意に対して納得していないということであれば全く話は別でありますが、深い反省の意を表していると先ほど申し上げましたけれども、そういうことを踏まえているということでございます。
  74. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣、多分認識していないのは、この航空幕僚長の解任は、納得するもなく、話も全然しないうちに一方的に防衛省が決めたんです。それで決めて、その後、降格させてからいろいろ懲戒がどうのこうの、それから始まったんです。関係なく、防衛省は何も聞かずに、もうこの事実をもって、立場をわきまえない、政府見解と違うということで降格したんです。  さらに、東郷ロシア大使、これは外務省は同じように、政府と、外務省と違う外交をやったということで、立場をわきまえないということで、外務省における譴責に関する規則に基づいて、その中では最も重い厳重訓戒に処分したんです。  東郷大使の場合が厳重訓戒で、今回は単なる口頭注意なんです。これも全然違う。厳重訓戒ですか、今回。違うでしょう。東郷大使よりも軽いんですよ、今回。  さらに、今までの例を、外務省の例をずっと私は見ました。だから、そう考えても、どう考えても甘過ぎる。これは、民主党が丹羽大使は政権交代のコストだと言って任命しましたよね、当時の岡田大臣、明確に言っていましたから。政権交代のコストだと言ったからこうやったのかと。扱いが全然違うんです。  福島の四十四連隊長は、美辞麗句だけでは同盟は維持できないと、ましてや信頼してくれなどという言葉だけではできないんだと言って、これは立場をわきまえない、外交、政治をないがしろにしているということで、これは注意処分を食らっている。全然、外務省はめちゃくちゃ甘い。  官房副長官、やっぱりこういうふうに公務に対してのこの基準が余りにも曖昧過ぎる。トリプルスタンダードです。いかが思いますか。
  75. 齋藤勁

    内閣官房長官(齋藤勁君) 今回の丹羽大使の発言を通じての政府としての対応につきましては外務大臣が答弁したとおりでありまして、さらにまた、官房長官も逐次国会の中で発言をされているというふうに思いますし、政府としての統一見解だというふうに思います。  個別の案件については政府としてお答えさせていただいておりますので、どう政府として、それではどうすべきだということについて、もう少し委員の方から御提言があればそれはそれなりのお答えをさせていただくと思いますが、今個別の案件については大臣がそれぞれお答えさせていただいたとおりでございますので、現時点では差し控えさせていただきたいと思います。
  76. 佐藤正久

    佐藤正久君 非常に、公務員から見ると民主党は自分に甘く公務員に冷たいというふうに映っていますよ。非常にそこはしっかりやらないと、やっぱり民主党が任命した丹羽大使がここまでのことをやっても単なる口頭注意。でも、そもそも、外務大臣、丹羽大使に懲戒処分できますか。できないでしょう。
  77. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) これはもうたしか、国家公務員法の懲戒処分の適用は元々この特別職にはできないというふうに承知しています。
  78. 佐藤正久

    佐藤正久君 だから、更迭とかそうじゃないといけないんですよ。官房副長官、これは非常に問題なんですよ。大使は幾ら秘密を漏らしても、政府見解と異なることを言っても懲戒処分できないんです。内閣情報官も危機管理監も、幾ら秘密を漏らしても懲戒処分できないんです、特別職国家公務員だから。外務大臣が秘密を漏らしても、特別職の国家公務員だから処分できないんです、法的には。大臣規範という規範だけですから。公務員には厳しくても、特別職には非常に今そういう部分甘くなっている。  でも、防衛省だけは違うんです。防衛省の政務三役は、防衛秘密、特別防衛秘密についてはしっかりと縛りが掛かっていて法的に罰せられるんです。外務省も公安調査庁も秘密扱いますよね。でも、そこは罰せられない。おかしいでしょう。しかも、防衛省の場合は十年以下とか五年以下のやっぱり懲役の罰則規定がある。一般公務員は一年以下ですから。いろんな面が、この辺が、非常にこの辺の整合性が取れていない。  官房副長官、内閣として非常にこれは大きな問題だと思うんです。今報道で、実際に、筒井前農水副大臣が秘密を漏らしたかもしれないという報道ありますよね。だけど、彼は政務三役だから、特別職だから法的に罰せられないんですよ、何も。これは本当にいいんでしょうか。検討をする考えはございませんか。
  79. 齋藤勁

    内閣官房長官(齋藤勁君) 委員御指摘のとおり、特別職には様々な種類の職が含まれていることも御案内だと思います。改めて私自身も、様々な特別職の罰則等についても調べさせていただいているところであります。  いずれにしましても、現在の法体系では、個々の職の性格に合わせ、必要に応じて個別の法令によって措置をしてきたことは事実でございます。現に、特命全権大使、あるいは裁判所職員、防衛省の職員等の特別職については、個別の法令に服務規定そして罰則規定を設けてはいるところであります。  特別職の守秘義務について、現在の政府の考え方につきましては、個別の法令等に措置されているものについては各組織において法令遵守を徹底する、そして政務三役においては大臣等規範が閣議決定されていることから、この趣旨をよく踏まえ対応することにより、厳正な服務規律の確保に取り組んでいきたいと考えております。  これが現段階での政府の考え方でございますけれども、今佐藤委員から御指摘があった点については、官房長官の方と、また官邸の方とも協議をさせていただきたいと思います。
  80. 佐藤正久

    佐藤正久君 やっぱりこれは、別に与野党関係なく、ここは非常に穴があるんですよ。今回の筒井副大臣の疑惑、あるいは丹羽大使含めても、懲戒処分できない、こんなばかな話はないわけで、そこはいろんな面でそういう、やっぱり球を持つというか、範囲をしっかり我々として確保すると、政治として、大事だと思いますので、検討をよろしくお願いします。  以上で質問を終わります。
  81. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 自由民主党の宇都隆史です。  まずは、森本防衛大臣防衛大学校の先輩でもあり、また航空自衛隊の大先輩でもあります森本大臣と、この国権の最高機関である国会において、我が国防衛問題、これに関して意見交換ができることを私は心から光栄に思っております。与えられた時間が短いですので、より深い、多くの議論をしたいと思いますので、是非簡潔な御答弁をお願いいたします。  まず第一点目に、シビリアンコントロール、この件について議論させていただきます。  このまず定義の再確認ということでさせていただきたいんですが、いわゆる主体と客体が何なのか、誰が何をどのように統制するのかという話です。私の認識から先に申し上げますと、政治学者のルイス・スミスによれば、政治の軍に対する民主的手段を持った統制というふうにうたっております。つまり、私の解釈では、主権者たる国民が、官僚も含めた軍の行政組織を、民主的な選挙によって選ばれた国会議員によって構成される議会と内閣をもって統制する政治優越の仕組み、このように解釈していますが、森本大臣、いかがでしょう。
  82. 森本敏

    国務大臣森本敏君) いや、基本的な趣旨は御指摘のとおりだと思います。  そもそも文民統制というのは日本でつくった言葉ではありませんで、アメリカの長い民主主義の歴史の中で、軍が自分で動き出さないように政治がまさに軍に優先してこれをコントロールできる制度を民主主義のシステムの中で確保しようとしてきた考え方、システムでありまして、まさにその先生指摘のとおり、民主主義国家における軍事に対する政治の優先、このように考えてよいのではないかと思います。
  83. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 ありがとうございます。  大臣が今おっしゃったように、このシビリアンコントロールという法の趣旨、政治のシステム自体が輸入されたもの、しかしながら戦後に、果たして文民とは何なのか、その統制の意義、本旨とは何なのかというのは余り議論されないままに輸入されたような気がいたしております。  六月十二日の衆議院の予算委員会大臣は石破委員の質問に対して、確かにシビリアンコントロールという観点からいうといろいろな問題があると思いますがという発言をなさいました。この意図とするところは何でしょうか。
  84. 森本敏

    国務大臣森本敏君) これは、民間人、すなわち立法府の人間でない者が国務大臣になった場合、どのように文民統制を確保するとはいっても、政治家としての背景、あるいは党あるいは立法府とのいろいろな政策上の調整の機能が、一民間人である場合、他の国会議員と比べて明らかにレベルが低いということであるわけで、そのハンディキャップを背負ったままこれを理解しつつ職務を遂行する際、通常の議員の方々国務大臣になった場合とはおのずから違うという認識を述べたものでございます。
  85. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 私は、大臣が、いろいろな問題があると思いますがの後に付け加えた言葉が、日本の政治制度の中では私は十分に確保できるという言い方をされたので、このいろいろな問題というのは、見識がない前々、前大臣のことを言われたのかなと思いながら、でも今そうではないと、政治的調整機能として政治家よりもハンディがあるんじゃないかというお話を聞いてそこは理解をいたしました。  しかしながら、私これ個人としては、民主的手段を通じて主権者から信託をされていない一般の民間人が我が国防衛相に就任するということにやはり抵抗感があります。その理由は、防衛大臣補佐官と大臣の違いって一体何なんだろうと、そこなのです。  大臣のように見識も非常に高く、元々軍に属していた、内情を知られている方であれば、防衛所掌に関していろいろな、何というんでしょうか、本質をついた政策提言はできると思うんです。しかしながら、補佐官と大臣の違い、まず一点目は人事権そして予算の執行権を持っているということです。つまり、これは国家における軍政に対して大きな影響力を保有するということであります。  もう一つ、当初、森本大臣就任されたときに、民主党政権の言い分といいますか、解釈としては、自衛隊の最高指揮官は内閣総理大臣であるから問題はないというような、こういう発言もありましたけれども、確かに防衛出動、治安出動に関しては総理大臣の発令権限であります。しかしながら、災害派遣あるいは原子力災害派遣に関しては、これは防衛大臣の所掌事項、発令権限を持っている事項でありまして、つまり防衛大臣就任するということは、部下隊員の生命、命をこういう災害派遣に関しては掌握できると、生殺与奪権を持つということにおいて、その責任の所在は一体どうなんだろうかと、あるいは一般の民間の方にそういうのを負わせることが本当に適切なんだろうかという、こういう国としての政治の正統性、憲政の常道に外れるんではないかというところに疑問を感じるわけです。  内閣法制局、今日はいらっしゃいますか。法制局にちょっと、この防衛省人事に関する基準、つまり文民とは何かということに関して、法に合致するか合致しないか、抵触するかどうかだけお答えいただきたいんですけれども。  例えば、制服自衛官のトップ、統合幕僚長までやられたような方が、退職した翌日に防衛大臣に任命される、これは法的に問題がありますか。
  86. 近藤正春

    政府参考人近藤正春君) これまで憲法第六十六条第二項の文民の定義につきまして、政府としての解釈は、現職の自衛官はその地位にある限りこの文民ではないと、あと、あわせて、かつての旧職業軍人の経歴を有する方で、軍国主義的思想に深く染まっていると考えられる方も文民ではないという、こういう二つの文民でない方の例を御説明をして解釈を確定してきております。  それで、今お話しのように、元自衛官ということで、非常に極めて特殊な例をお話ございましたけれども、過去に自衛官であって現に国の武力組織たる自衛隊を離れておられるという方については、やはり自衛官の職務を行っていない以上、一応そこは文民という扱いに法律上はなるというふうに考えられます。
  87. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 私は、決して元自衛官が就いてはならないという、こういう発言の趣旨で申し上げているわけではないんです。元自衛官が民間に下野して防衛相に起用される、この先鞭を着けたことに関しては非常に有意義なことであるとは思っています。  ただし、米国を見てください。国防長官、一般の方が就いていますけれども、軍を退役して十年間という縛りが米国安全保障法の中であるわけですね。そうでなければ、軍を退役してすぐとなると、やはり軍に対する影響力というのを非常に強く持っているわけですよ。やはりそういうところも、我が国は文民の定義というのを余り議論されてこなかった面だと思います。  もう一つ内閣法制局、外国の元軍人が日本に帰化した以降この防衛相に任命される、法的に問題ありますか。
  88. 近藤正春

    政府参考人近藤正春君) ちょっと突然の事例のケースでございますけれども、基本的には、日本の公務員というのは、国家公務員、当然国民、国籍を有する者でなければいけないところであって……
  89. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 国籍は持っているんです。帰化している。
  90. 近藤正春

    政府参考人近藤正春君) ということで、今の方も日本人であると、現実にということであれば、法律的に日本人の方であればなれないということではないというふうに法的にはなるんだろうと思います。
  91. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 これは国籍条項の話をしたかったんですけれども、実は国籍条項も明確には法文化されていないんです。これまでもいろんな裁判等でも争われて、ただ、それは外国の方が日本の公的な公務員に就くのは、当然の法理であるという決着で就けれないという話にはなっているんですが、やはりこの辺りも非常にグレーなところで、今言っただけでも、そんなのは当然ではないだろうというところ、この辺りもやはり議論をすべきではないところなのかと思っているんです。  もう一つは、あえて、もうこれはグレーゾーンで答えられないと思いますから聞きませんけれども、例えば予備自衛官だったら、じゃどうなのかと。軍をリタイアして、ふだんは軍属には属していないんだけれども、予備役、これは今後、自衛隊のコンパクト化といいますか、より限られた予算の中で実際に動かなければならないときに、しっかりとした実力を備える集団として予備役という考え方が必要になってくると思いますけれども、予備役にいる間は就けれないということになってくれば、やはりこれはまた問題を生じるんではないかと思います。  私がここで申し上げたいのは、つまり、これまでは不文律として時の総理が適切な人事を行ってきておりました。しかしながら、常に総理がこういう判断力が高い人が就くとは限らないということは代々の民主党政権によって明らかにされたわけであります。立法府においてシビリアンコントロールの定義と文民の規定、これはやっぱりいま一度議論されるべきではないかなと、その意義は大きいと私は考えております。かといいまして、しかし森本防衛大臣が不適と申し上げているわけではありませんので、是非頑張っていただきたいと思います。  さて、では森本防衛大臣、その森本防衛大臣防衛施策の基本的なスタンスについて議論させていただきたいと思うんですが、これまで森本防衛大臣は、安全保障施策に対して、これまで民主党が行ってきた安全保障施策とは若干異なる、もっと端的に言えば批判的な立場を続けてこられました。そこで、森本大臣民主党政権に入閣することによって、これまでの民主党防衛政策のどの辺りが一体変更したんだろうか、そこのところを確認したいと思います。残念ながら、これまで行われた衆議院の安全保障委員会、そして先ほどまでの佐藤正久委員の質疑の中では、この国会答弁による防衛施策の変更という点は見られなかったように思います。  まず一点目です。日米のこの同盟、拡充、深化の具体策として集団的自衛権の行使、これを可能にすべきであるという論調をこれまでなさっていましたが、これに関して、森本防衛大臣民主党防衛施策の変換はございますか。
  92. 森本敏

    国務大臣森本敏君) 就任後、衆参両院の予算委員会等で答弁申し上げたとおり、私は任期を通じて、いわゆる集団的自衛権問題について政府が取っておる見解、こののりを越える、変える考えはありません。しかしながら、これも国会で申し上げたところですけれども、現在の日米同盟というものの中で、日本アメリカにどのような協力ができ、日米がどのような役割分担をするのかということは質的に量的にこれから充実し拡充する必要があると考えており、そもそも集団的自衛権問題というのは、我が国と密接な関係にある国との関係において生ずる自衛権行使の問題なので、それはアメリカだけとは限りませんが、特に密接なる関係のある国としてアメリカとの同盟関係を充実させるということは、まず、集団的自衛権という問題を考える以前に極めて重要な問題であり、これをどのようにしてこれから充実させていくかということをまず就任中の私の仕事として取り組んでいきたい、このような趣旨を申し上げたつもりです。
  93. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 それは、評論家としての森本教授が政治家としての防衛大臣になって、国家としてすべきことと実際にできることの違いが改めて分かったということなんでしょうか。これまでも森本大臣は、「日本防衛再考論」という御著書の中で、日本防衛に関する二つの大きな制約要件、集団的自衛権が行使ができないということ、そして日本の領域外では武力の行使ができないということ、これを挙げております。この根本にあるのは、もう憲法改正があるというのは自明の理である、ただし一足飛びにそこには行けないので段階的にやっていくべきだと、その第一段階は集団的自衛権の解釈整理、まずこれからやらなければならないというのを述べておられます。  今、御答弁にもありましたように、衆議院の安全保障委員会の中でも、集団的自衛権の行使というのは、日米同盟の深化の中では、まずできることをやった上のずっとその先にあることだと、ここ辺りがやはりかなり矛盾してきているんではないかなと思うんです。  では、このずっと先にはやはり憲法改正というのがあるんですけれども、野田総理が言われる、憲法改正は優先課題とは考えていない、この考えにも大臣として同じ歩調でいらっしゃるということでしょうか。
  94. 森本敏

    国務大臣森本敏君) いや、私はまだ就任して二週間しかならないのですが、今の総理が取り組んでおられるものはもう説明する必要がないと思いますが、まず消費税及び社会保障の一体化改革、これを進める。恐らくその次は、いわゆる選挙制度改革というものに取り組む。その先に、自分が政治生命を懸けてどのような仕事に取り組むかということについて、まだ総理は御自分の御所見を全て述べられているように私は受け取っておりません。
  95. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 野田総理森本防衛大臣を任命されたときに、私は、任期の残りの期間でとうとう野田総理も覚悟をお決めになったんではないかなという期待感も持ったんです。是非、そこの部分は総理とよくよく御意見を合わせていただいて、評論家であった時代から森本大臣が言われていた信念ですね、我が国防衛政策のとげを抜くというこの信念をやはり曲げずに、政治家として不作為のそしりを免れないようにやっていただきたいと、このように思います。  もう一点、南西方面防衛力強化の具体策として、この件で、防衛大綱中期防の早期見直しをすべきではないかという御持論を展開されておりましたけれども、この件についての御意見伺いたいと思います。
  96. 森本敏

    国務大臣森本敏君) 南西方面防衛というのは、大綱、中期の中で特に重視している我が国防衛政策の根幹を成すものの一つです。  政府の外にいたときには、この日本防衛大綱中期防というものが、これから南西方面防衛というものを強化するときに、恐らくその見直しをどこかでしなければならず、場合によってはそれを前倒ししなければならないのかなと考えていました。それは実際、個々の政策の中身を、やはり政府の中に入ってみて初めて分かる部分というのがあるわけで、一国民として全ての政策の中身が分かるわけではない、それはもう先生方も御理解いただいているとおりであります。  これから政策を進めてきたその中身についてブリーフィングを受けながら、私は、今の大綱、中期というものがいずれの近い将来見直す必要があるのか、そして、その必要があるのかどうかの前に、それをもう少し前倒ししなければならないのか、これを自分で突き詰めてみたいというふうに考えています。まだ私は二週間で、その全体像がまだつかめていませんので、私自身、結論を導き出すに至っておりません。
  97. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 南西方面防衛力強化というのは、これはもう言うに及ばず、非常に重要なことであると思っています。ただし、今回のこの大綱中期防の中でそれが具体的に表れるところというのが実際にどこがあるんだろうかというと、与那国島の部隊配置の実現等は大臣も当初の所見の中で述べられましたけれども、これにしたって、二十七年度末までにたった約百人の沿岸監視隊を置くだけです。対馬にいるような、実際に島に攻めてこられてそれを排除できるような実戦部隊ではなくて、情報の監視であったり、いわゆるいろんな船舶の監視、こういうのをするだけのたった百名の部隊が行くというだけで防衛力強化とうたっている。これはある意味、国民に対して、やっているやっていると言いながら実質のところを見せていない。非常に、何というんでしょう、表面上の防衛力整備に映って私にとってはなりません。  森本防衛大臣が、そもそもこの大綱中期防を早期に見直すべきだと言った理由には、実は二つしっかりお述べになっているんです。これは大臣のメルマガの中で述べられているんですけど、動的防衛力を実際に担保するために、海兵隊機能を備えるような部隊であるとか、あるいは防衛力を機動展開させるのに必要な輸送能力であるとか、そういうところがうたわれていないと、実際にそれが担保されていないのに動的防衛力というのはうたえるのかと、だからこそこれを早期に見直していくべきだということを述べられておったわけです。  ですから、中に入って具体的なものが見えなかった云々ではなくて、私は外にいられた森本教授だからこそまさに本質をついたところだと思いますので、これは中に入って、いろんなところは、現実路線は見えてくるとは思いますけれども、そこの信念を曲げられることなく、やはり大切な部分は大切な部分として見直しをするということに対して積極的におやりになった方がよろしいかと、このように思います。  森本防衛大臣に対する防衛政策の基本スタンスに関する質問はこれで終わります。  続きまして、F35の取得に関する問題点、これに関して議論させていただきますが、まず納期に関する問題です。  二〇一二年三月の米国国防総省から出されましたSAR、セレクテッド・アクイジション・レポートですが、これによると、F35Aのブロック3が米空軍に引き渡しされるのは二〇一七年の八月、つまり我が国が求めている一六年度末、二〇一七年の三月までには実戦配備型のブロック3は存在しないというふうな報告書が提出されております。  防衛省にお尋ねしますけれども、契約予定の航空自衛隊用のF35が一七年三月までに間に合うという根拠、これ、どのように担保しておられるんですか。
  98. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) 御指摘のブロック3のこの開発完了目標が二〇一七年の八月から二〇一八年の二月で、それでは二〇一七年の末の納期に間に合わないではないかという御指摘だと思います。  この点について、五月の二十三日にアメリカを訪問しました神風政務官がベンレット中将、F35のプログラム責任者と意見交換をしまして、こちらから提案内容の遵守を要請したところ、このようなお答えをいただいています。ベンレット中将からは、F35プログラムに係る技術上の課題の網羅的検討を行い、課題を克服するために必要な期間とコストに十分な余裕を持って計画を見直したため、価格、スケジュール、性能のいずれについても防衛省の期待に沿えるものと考えているというお答えをいただいております。  また、翌日、ロッキード・マーチン社を神風政務官が訪問されまして、そこで開発の進捗状況や量産に向けた製造設備増強の状況説明を受けて、年産の生産が数十機アップしたというようなことをいただいて、今御指摘のような昨年末の時点でのSARの報告書にありますような状況をただしたところ、五月に訪問した神風政務官はそのような回答を受けて帰ってきたということでございます。  ですので、この点については、私は、アメリカとのこれまでの信頼関係を鑑みれば、何とかその納入時期までにこのブロック3も含めて納入されるのではないかということで、我々としては引き続き契約の遵守を求めていくところでございます。
  99. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 今の防衛大臣の答弁を聞いておりますと、信頼に足る同盟国であるから口約束で十分であると、それを議会として納得してくれというふうにしか取られないわけです。もしかしたら何らかのものを交わしているのかもしれない、それは今まだ表にできないということなのかもしれません。ただ、そこはやはり口約束だけというのは非常に我々議会人としては心配になるわけです。  性能の問題に関しても質問しますけれども、このF35、ブロック3の完成形ですね、これが米空軍に引き渡されるのは、先ほど申しましたとおり、一七年の夏、八月になるわけです。しかし、それでいきなり使えるようになるわけではなくて、米空軍としては今度はこれを飛行運用テストというのをやります。実際に実戦に足るだけの能力を備えているのかというのを軍でテストするわけですね。そのテストの終了が一九年の二月。つまり、それまでは米国として、米空軍として、この戦闘機は実用に足るという開発ナンバーが取れたような状況にならないわけなんです。  これ以前において我が国としてはこれを購入することになるわけですが、二〇一九年二月までは、我が国の防空体制の穴を埋めるだけの実用機、つまり作戦機には組み込まれないという意味でよろしいですね。
  100. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) 御指摘の点について、私どもとしては、十二個飛行隊体制を二百六十機体制で維持していく上で、まさにF35Aが今のようなスケジュールでいきますと間に合わない。じゃ、いつなんだと聞かれますと、この間も、先般も衆議院の委員会でそのような御質問の想定、問いがございましたけれども、平成三十年代の前半、平成三十年代の前半を我々としてはこれは部隊配備するということを念頭に考えておりまして、ですので、今、納入されてからその後、様々な試験飛行等のことを考えますと、そのようなスケジュール感で進めているということでございます。  それから、さっきの質問の中で口約束とおっしゃいましたけれども、来週には、六月の末には、二十九日にはLOAを署名することになっております。その中には、これ、一枚のペラ紙じゃなくて、引合受諾書というんですか、日本語では。このLOAは三十ページから四十ページぐらいになるものでございまして、当然、納入時期の問題でありますとか出荷予定の時期ですとか納入時期とか、そういうもの以外にも、エンジンだとかミサイルの発射ランチャーだとかというものの装備品の単価に至るまで、価格に至るまでしっかりと積算したものがここに書き込まれておりまして、かなりのものが文書として交わされるということは御理解いただきたいと思います。
  101. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 もう二つ質問をさせてください。  二〇一六年度末に我が国はこれを受領、取得するわけですけれども、それまでにこの開発が完成していなくても我が国はその開発していない四機分を購入していくということなのでしょうか。それが一点目。  そして、もしそうだとしたら、その後に開発が完了した部分のところ、これに対する改修事業というのは、米国側がこの契約の中に含まれて改修してくれるのか、それともまた別途契約しなければならないのか、この二点を教えてください。
  102. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) 前半の質問についてはそのとおりでございますが、改修というような点については、もし間に合わなかった場合の、例えば先ほどのようなシステムが間に合わなかった場合どうするのかという御指摘だとすれば、その改修の経費についてはこれは応交渉の部分でございますけれども、この点について今この時点でどちらが負担するというようなことはちょっと申し上げにくいわけでございますけれども、その点については、今後その点についても、そういう必要が生じた場合にはどのように交渉するかということは今後の様々な事務レベルの協議の中でやっていくことだということでございます。そこの点で、そのぐらいの答えで現時点では勘弁いただきたいと思います。
  103. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 二点目の改修経費の話に関しては、同盟国であるからとかではなくて、ほかの機体との、機種選定の条件として、一六年度末に間に合うという条件でやっていたわけですから、これは厳しく調整をして、もし改修が必要になったときの経費はそちら持ちだということでやっていただきたいと思います。  一点目の質問、もう一回確認するんですけれども、一六年度末に間に合わなければ、間に合わなくてもその四機分は購入すると、そのとおりですと先ほど言われましたけれども、それでよろしいんですか。
  104. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) 当初どおりの、我々が要求したそのとおりでしたら、今御指摘のような、これ仮定の話ではありますけれども、間に合わない場合でもそこは導入をすると、方針には変更がないということでございます。
  105. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 御答弁ありがとうございます。  それはきっとこういう意味なんだと思うんです。米国は、国防総省がSARによって、二〇一七年の八月をもってこのバージョン3、完成機を納入させると、空軍に納入させると言っているわけですから、つまり、米空軍が納入する完成バージョンの機体と我が国が仕様書で求めている、我が国が完成形と認めるバージョンはレベルが違うという、こういう認識なんだと思います。  先ほどLOAの締結の話をしましたのでLOAのことに関して質問しますけれども、先ほど、納期であったり性能の話であったり予算のこと、細かく明記されるというお話聞きました。では、これはLOAを締結した後は公表されるものなんでしょうか。
  106. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) どこまで、先ほど三十ページから四十ページぐらいのものになるということは申し上げましたが、全てをこれ、いろいろ性能面のこともございますのでどこまで発表できるかですが、サマリーという形で、何らかの形ではこれは当然、議会でありますとかあるいは納税者の皆さん、専門家の皆さんの御指摘がいただけるようなものは、御判断いただけるようなものは公表することを考えております。
  107. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 二十九日までの締結ということなので、まだ交渉の時間がもう少しあります。それで、もし出したときに、価格、性能、納期に関してできるだけぎりぎりの交渉をして、要は、機種選定に落とされた会社が不公平だということが出ないような交渉を是非防衛省として全力で取り組んでいただきたいと思います。  このF35にかかわる国内生産、技術基盤の育成に関しての質問をします。  これは、森本防衛大臣もこの育成に関しては、国内の防衛産業の貢献と努力がなければ国家の防衛は成り立たないというお話を前々から信念として言われているように存じ上げております。  防衛省の方にちょっと説明をしていただきたいんですが、このF35Aの後方支援体制、ALGS、オートノミック・ロジスティックス・グローバル・サステーナメントですか、これはどういうやり方なんでしょうか。ちょっと説明をしていただけますか、簡潔に。
  108. 渡辺周

    ○副大臣(渡辺周君) このALGSと呼ばれる後方支援体制について、手元の資料を読ませていただきますと、これは民間企業が全世界的な枠組みで在庫管理等をし、官側が必要とする部品等を全世界からより安価な価格で一定の期間内に供給する仕組みということでございます。  今、防衛省としてこの導入に関心を持っている場合でありますけれども、いろいろ有事の際の対応とか含めて検討を始めているところでございます。
  109. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 これは委員の先生方もお分かりになったでしょうか。つまり、経費削減の一環の考え方として、部品を常に使うかどうか分からないのをたくさん購入していると、これはコストが高くなるものですから、必要なときだけもらうと。だから、調達もしないし、補給に関してもふだんはもう民間会社に任せておくという考え方なんです。  ただ、これが国内企業であればいいんですけど、このF35に関しては、F35を使用する全ての国において、この会社、ロッキード・マーチンが部品も何も常に持っておくと。故障した、必要になったといったときにロッキード・マーチンから渡されるというようなシステムなんだそうです。今までこういうのをやったのはない、新しい仕組みだと思うんですけど、これ、有事のことを考えたら、非常に危険な補給統制システム、後方支援体制だと思うんですけれども、この件に関して防衛大臣、御所見をいただけませんか。
  110. 森本敏

    国務大臣森本敏君) この制度そのものを日本側としてどのように受け止めるかというのは、実はまだ省内で検討しているところでありまして、結論を今申し上げるような段階にはないということでございます。
  111. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 防衛大臣の御答弁から、非常に問題点としては認識しているというような意味を受け取りました。  是非これは、平時においては確かにいいんです、コストダウンというのは。ただ、有事を考えたときに、これは完全にその補給側の方に我が方の補給統制能力を牛耳られるということにもつながりかねませんから、よくよく慎重な議論を進めていっていただきたいと思います。  最後に、このF35に関して、先ほど副大臣からもありましたとおり、平成三十年度からの実運用を目指しているということですから、現在から六年間はこのF35が実運用されることはないわけですよね。つまり、C1契約ですらそれですから、次の契約、次の契約というのはその後にずれ込んで、この六年間の穴をどうやって埋めていくかというのが重要になってまいります。  そこで一つ提案なんですけれども、この価格であったり納期であったり、あるいは性能がまだ安定していないF35は、C1のこの四機分に関してはこのまま進めるとしても、しばらくこの調達が可能となるデータがそろうまでの間はF15の近代改修、これのペースアップをどんどんと進めて、まず南西防衛の穴を、空の穴を防ぐ、このやり方は私は非常にコスト的にもあるいは防衛の本質的にも間違った方向ではないと思うんですけれども、こういう考えに関してはいかがでしょう、防衛大臣
  112. 森本敏

    国務大臣森本敏君) 我が国はF4が減勢する、この減勢分の補充をするためにFXという作業を行い、F35Aを選択したわけです。この選定に基づいて、我々は日本が希望する、期待するペースで予定どおりの能力、性能を持っておる飛行機を計画どおり納入することに全力を尽くしたいと思います。  しかしながら、先生指摘のように、同時に、F15の近代化というものを同時に進めるということは、これは日本の防空のために是非とも必要であり、それはF35という飛行機を導入するかしないかとにかかわらずF15の近代化というものを引き続きやっていく、この方針に変わりはありません。
  113. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 是非ペースアップをして前向きな御検討をいただきたいと思います。  時間も限られてまいりました。最後の原発テロに関する質問をいたします。  この外交防衛委員会において前田中大臣から、三月二十七日の私の質問に対して、省内に原発を自衛隊が守るための法的措置を考えるプロジェクトチームをつくることを約束いたしますという答弁をいただきました。現在、省内にこのようなプロジェクトチームは存在いたしますでしょうか。あれから約三か月たっております。
  114. 下条みつ

    大臣政務官(下条みつ君) お答えさせていただきます。  先生承知のとおりで、一義的には警察が対応、そして緊急時に対して私どもが連携していくということでございますが、そういう観点から、現在、内閣官房を中心に、警察庁、防衛省が参加して検討している段階であります。また、今月の十四日でございます。実際の原子力発電所施設を舞台として、四国電力伊方発電所において警察と自衛隊が共同訓練を実施しております。  これらのいろんな進捗状況や共同訓練の成果を踏まえて、関係省庁とタイアップしてこれからも検討していきたいというふうに思っております。
  115. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 様々な努力をしているということに関しては十分認識しておりますが、御答弁いただいたのは防衛省内にという話をいただきました。これ決して、安全保障観点だけで並行して防衛省が進めるということに何ら問題はないはずです。  先ほども佐藤委員の方からもありましたとおり、防衛省でなければ分からない観点というのは必ずそこにあるはずです。これは御答弁いただいたので、実行しなければこれは行政府の怠慢であるとしか取れませんので、国会で答弁したことは必ずそれを実現させていくということでお願いをしたいと思います。  最後でございますので、森本防衛大臣にエールを送って終わりたいと思いますが、大臣が御就任したことに対する国民の関心は非常に高いと思います。しかしながら、まだ就任後間もないのでその評価は未知数というところが現状なんではないかと。是非森本防衛大臣には、戦後最大の宿題である防衛政策に対する、これにメスを入れるような、一刀両断するような名刀になっていただきたいと、間違っても野田政権のアキレスを隠すためのイージスにならないようにお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  116. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時十五分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  117. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、外交防衛等に関する調査のうち、国の防衛の諸施策に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  118. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 自由民主党島尻安伊子でございます。  冒頭、これ通告外なんですけれども、外務省にお尋ねをしたいと思うんですが、答弁者として山野内官房参事官、来ていただいていると思います。御答弁いただきたいというふうに思うんですけれども。  米国ニューヨークのナッソー郡というところのアイゼンハワーパーク内に新たに第二の慰安婦碑が建立をされるということでございます。現地の二十日にはこれの除幕式が行われるということでございまして、しかも光州市長の出席も得る中でこの除幕式が行われるということでございます。  日本外務省として、これはきちんと毅然たる態度を取らなければならないというふうに思っておりまして、今日は外務大臣、御出席いただいていないんですけれども、山野内参事官、ちょっとこの辺に関して御答弁いただけないでしょうか。それで、きちんとまた大臣にお伝えいただきたいと思います。  我が国対応としてどういうことをなさるおつもりなのか、御答弁いただきたいと思います。
  119. 山野内勘二

    政府参考人山野内勘二君) 山野内でございます。  先生指摘の件につきましては、詳細を確認中でございますけれども、米国ニューヨーク州ナッソー郡において、韓国系米国人団体、ナッソー郡、さらに韓国光州市が慰安婦問題に関連する碑を設置したという情報に接しております。二十日に除幕式が行われる模様ということも承知しております。  政府といたしましては、いわゆる従軍慰安婦問題についての我が国の一貫した立場に基づきまして、地元のしかるべき関係者に対し申入れを行う所存でございます。状況を注視しつつ、適切に対応してまいりたいと思っております。
  120. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 申入れをするということでございますが、これは正式な大臣の声明ということでよろしいですね。
  121. 山野内勘二

    政府参考人山野内勘二君) ニューヨーク総領事館から地元関係者に対し申入れを行う所存でございます。
  122. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 これで十分だとは私は思っておりませんで、しかもこれ、二つ目なんですね。一つ目のときの詰めが甘かったからこういうことになっているのではないかというふうに思いますけれども、改めてこの点に関しての御答弁いただきたいと思います。
  123. 山野内勘二

    政府参考人山野内勘二君) 先ほども申し上げましたけれども、政府としましては、この問題についての我が国の一貫した立場に基づきまして適切に対応してまいりたいと思います。
  124. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 その米国、北米総領事ですか、からの、ニューヨーク総領事へのアポイントが取れていないというふうにも聞いておりまして、これはもうこの際、やはり外務大臣からの声明ということで出さないとらちが明かないのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  125. 山野内勘二

    政府参考人山野内勘二君) 委員御指摘の点も踏まえまして、適切に対応すべくしっかり検討して対処してまいりたいと思います。
  126. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 大臣対応でやるということをこの場でお約束いただかないといけないんだと思いますが、いかがでしょうか。
  127. 山野内勘二

    政府参考人山野内勘二君) 本件につきまして、正直申しまして、まだ大臣と十分相談できておりませんので、そういう御指摘があるということを踏まえましてしっかり対応してまいりたいと思います。
  128. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 きちんと対応していただくように強く申し上げたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。  それでは、質問、続けていきたいというふうに思います。  防衛大臣森本大臣、御就任、誠におめでとうございます。  午前中もありましたけれども、沖縄の立場からはオスプレイ配備について、その今日は御質問をさせていただきたいと思いますけれども、就任直後にまさかあのような沖縄の、しかも民主党の国会議員のああいった姿での抗議というものをお受けになるとは夢にも思わなかったのではないかというふうに思っているところでございますが、先日、日曜日、六月の十七日でございます、宜野湾市において市民大会開催されましたけれども、この模様はインターネット上で中継をされていたということでございますが、これは大臣、御覧になりましたでしょうか。
  129. 森本敏

    国務大臣森本敏君) インターネットで見ておりましたが、先ほど院内でといいますか、で宜野湾市市長、沖縄県知事とともに宜野湾市長においでいただき、この集会、五千二百名以上の方が集まって決議文を出したと、決議文は後日送っていただくということですが、この模様について市長から直接お伺いいたしました。
  130. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 そのときに、大臣、率直にどういうお話をされたんでしょうか。
  131. 森本敏

    国務大臣森本敏君) 普天間飛行場があるまさにその地元で、五千二百人ものたくさんの方々が集まって、このオスプレイ安全性というものに大変大きな懸念を市民の方々がまとまって決議文を出されたということを大変強く受け止めて、深刻に受け止めて、この問題について大臣としてできるだけのことをしたいということを市長とお話をし、また申し上げました。
  132. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 もう大臣も重々御承知だと思いますけれども、このオスプレイ配備は、昨年の六月、米国防総省が、現在配備されているCH46を今年、二〇一二年の遅くからという表現を私は聞いておりますけれども、MV22オスプレイに換装するという発表でございます。しかし、そのかなり前から、このオスプレイについての安全性については疑問視されていたわけでございます。  事実、配備を発表した後でも、今年の四月にモロッコ墜落をした。で、米兵二人が死亡している、二名が重傷をしているということ。それから、先日、六月の十四日には、米国フロリダ州で墜落、米兵五名が負傷しているということでございます。  大臣、こういった背景を持つオスプレイ配備地元が許すというふうにお考えでしょうか。
  133. 森本敏

    国務大臣森本敏君) 沖縄海兵隊が現在持っているCH46というのは、ともかく四十年以上使用しておりまして、大変機材としてもう古くなっており、今回オスプレイに換装することによって海兵隊能力機能を格段に向上するというアメリカ側の要望は、それは我が国安全保障にとっても極めて重要な措置の一つであるというふうに考えます。  他方において、この航空機は開発の途上で幾つかの問題を持ち、この問題を是正しながら開発がずっと続き、かなり時間を掛けて実用が決定をされ、既に海兵隊がこれを中東湾岸作戦に使い、空軍も調達を決めてこれを導入し現在使っているということであります。開発途上に起きた幾つかの大きな事故については開発途上で問題を是正されたというふうに理解していますが、運用が始まってもなおこのような事故が起こっているということを我々は大変重く受け止めています。  御指摘のように、こういう事故を起こした飛行機が導入できると思うのかという問いかけでございますけれども、アメリカ事故というものがもたらす運用上の問題については極めて深刻に受け止めており、これをまた他国に配備するということについては、国防省を始め、極めて政治的に重大な問題だと受け止めているので、そう簡単に彼らが判断をして、あるシステムを他のシステムに換装するなどというふうに軽々しく考えていないと私は思います。  いずれにせよ、今回の事故についてはまだ原因がはっきりしませんし、現に今事故調査が進行しているところなので、この事故調査の結果を我が方にできるだけ速やかに手に入れて、暫定的なるともこの事故調査の結果を我々としても分析し、航空機の安全について確かめてみたいと、このように考えております。
  134. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 今、大臣、くしくもおっしゃっておりましたが、私も、その説明の中でCH46はかなり古いと、それよりはオスプレイの方がよっぽど安全なんだという説明を受けてまいりましたけれども、このように立て続けに墜落となると、その説明の信憑性というところにもかなりの疑念が出てまいります。  この度のフロリダでの墜落の前日も実は防衛省沖縄説明に回っていたという事実がございます。正直、防衛省皆様、もう本当に私も一方では防衛省皆さんが一生懸命頑張っていらっしゃる姿というのは見て知っているつもりでありますけれども、正直、この墜落を受けて、防衛省皆様も内心安全性というものについて疑念を持たれたのではないかというふうに思っております。それに対して、いろいろと正直なところというのは大臣言えないかもしれませんけれども、その中で米国側の対応というものも余り、何というんでしょうか、打てば響くようなものではないというふうに私は理解しておりまして、この点のところ、大臣、いかがでしょうか。
  135. 森本敏

    国務大臣森本敏君) 今先生指摘のように、防衛省フロリダ事故の前に沖縄方々にいろんな説明をして回っているのは、そもそもオスプレイについての環境審査の報告書をアメリカ側から入手していましたので、これを日本語にして、この内容について説明をして回っているところに今回のフロリダ事故が、アメリカの日にちでいうと六月十三日に発生したわけであります。  確かに事故が続いているので、極めて不安感が広がっている、これは誠にそのとおりで、私もこの問題は大変重く受け止めています。しかし、この事故というのは、真にどこからその事故が発生しているのかということをできるだけ科学的に、冷静、客観的にこれを突き止め、機体に根本的な欠陥があるというのであれば、これは相当まだこの飛行機安全性というものにいろいろな問題があると言うことができますが、その他の原因、例えばそれを運用する際の単純な人的なミスというものが原因であるかどうかということは、この事故報告そのものを受け止めて、我々としてよく分析しないといけないので、我々は非常に慎重にこの分析をやろうと考えています。  しかし、いずれにせよ、まずアメリカが行っている飛行安全の事故調査というものがどのようなプロセスで進み、どの時点で我が方に必要な情報が入ってくるのかということについて大きな関心を持っていますので、いろんなチャンネルを通じてアメリカ側にできるだけ早く情報を提供するよう申し入れているところです。
  136. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 官房副長官にお聞きをいたします。  フロリダ墜落事故を受けて、外務防衛、官房長官の三閣僚会談で、オスプレイ配備の手続を当面留保するということになったようでございますが、これは事実でしょうか。
  137. 齋藤勁

    内閣官房長官(齋藤勁君) 午前中の質疑でもオスプレイの件についてのやり取りがございました。私自身も神奈川県民でございまして、長く在日米軍基地と共に向き合ってきた中で、沖縄県民方々の万分の一かも分かりませんが、その痛み、受け止め方について、それなりに認識をしているつもりであります。  そういう意味で、今お尋ねのオスプレイにつきまして、私は、基本的に、同盟国は同盟国としての積極的なやっぱり情報を開示、そのことについて私はアメリカ側に求めていく、そういう姿勢がまず基本的にあるべきだろうというふうに、やっぱり言いたいことは言っていくということが大切だろうというふうに思っております。  その上で、今お尋ねの件でございますけれども、十五日、三大臣会合、確かにございました。そこでは、このオスプレイ配備見合わせを決定をしたという事実はございません。この会合では、今般の事故について米側情報提供を強く求めていくということ、申入れをしていくということ、ということで、今、防衛大臣からもお話ございましたように、そのことをもちまして今後の対応を検討するということで一致をしているというふうに聞いております。
  138. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 でも、副長官、これ留保するということになったということは事実ですね。
  139. 齋藤勁

    内閣官房長官(齋藤勁君) 留保ということは、会見でも官房長官申し上げてないというふうに思いますけれども。
  140. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 ここに会見のペーパーがございますけれども。  そうしますと、留保ではないと、今、ではないというふうにおっしゃいましたけれども、じゃ、留保ではなくて見合せでもないということは、もう最初に事が起こったときの、当初、防衛大臣がおっしゃっていた淡々と進めると、計画どおりに進めるということをおっしゃっておりましたけれども、そちらの方向性で行くということなんでしょうか。
  141. 齋藤勁

    内閣官房長官(齋藤勁君) 口足らずの点がありましたらお許しをいただきたいんですけれども、十五日午前の記者会見で、地元への説明配備に向けた手続を当面留保するとしておりましたが、そういう意味でいいますと、現在、防衛省を中心に行っています説明が、十三日から行っているパンフレットあるいは環境レビュー等の、いまだ説明していない自治体について継続しているということであり、配備に向けた新たな手続ではないと。そういう意味でお受け止めいただければ有り難いというふうに思います。
  142. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 でも、この会見の中で、この質問の中で、あくまで、もう一回申しますと、地元への説明等の配備に向けた手続を当面留保すると、これが今の時点での一番正確な発言と、ちゃんとおっしゃっておりますけれども、それでも留保ではないとおっしゃるわけですね。
  143. 齋藤勁

    内閣官房長官(齋藤勁君) 十五日午前の官房長官の記者に対します回答ですけれども、今、島尻委員もお持ちかも分かりませんが、改めて申し上げさせていただきますと、現在、日本政府として、今、事実関係を把握すべく米国政府にできるだけ速やかな情報提供を求めているところであり、その間は、地元への説明等、そこで、配備に向けた手続を当面留保することとしたい、そのことは昨日申し上げさせていただきました。それから、閣議後に三大臣防衛外務、そして官房長官で短い打合せをしたのは、これらのことを確認し、共有したということであります、ということであり、ということは事実でございます。  そして、今私が答弁させていただきましたのは、そのことに対し、防衛省が行っている説明について、今説明をしていない自治体に対し継続しているということであって、配備に向けた新たな手続ということではないというふうに、そういう意味でのことを申し上げさせていただいております。
  144. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 配備に向けた新たな手続ではないということですね。ということは、配備に向けた新たな手続は留保するということでよろしいですね。いや、副長官ですよ。大臣はまた聞きますから。
  145. 齋藤勁

    内閣官房長官(齋藤勁君) 配備に向けた手続は、今まだ、先ほど午前中のやり取りもございましたように、正式にいついつということについてまだ米側から政府に来ているわけでは、予定としては、確かにこの間、ずっとスケジュール的にもそれなりに念頭に置いて私ども政府として対応しておりますが、具体的に配備ということについて、そのことを米側からスケジュールの点も含めまして受け止めて、そして沖縄県とやり取りをしていることではないということについて改めて申し上げさせていただきたいと思います。
  146. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 そうすると、オスプレイ配備の手続を止めるという認識でよろしいですね。
  147. 齋藤勁

    内閣官房長官(齋藤勁君) 手続そのものをまだしているわけではないわけですね、手続そのものを。
  148. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 しているでしょう。
  149. 齋藤勁

    内閣官房長官(齋藤勁君) いやいや、手続って、どこを、狭義の意味でここを、今いろいろな手続の意味というのを、理解の仕方があると思うんですけれども。
  150. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 じゃ、まとめてもう一度御答弁いただきたいんですけれども、十五日の会見で官房長官地元への説明等の配備に向けた手続を当面留保するということをおっしゃったというのは事実だと副長官が今おっしゃっております。それと、じゃ、この発言を受けて、もう一度説明をしていただきたいんですけれども、この官房長官がおっしゃったことは、すなわちオスプレイ配備への手続を止めるということそのものですよね。いかがですか。
  151. 齋藤勁

    内閣官房長官(齋藤勁君) 繰り返しになりますけれども、このオスプレイの手続というのは、広い意味で狭い意味でありますが、全体的な、オスプレイ配備というのは、次期ヘリコプターの、後継機としてはもうアメリカ側でもう決まっていることは事実です。そして、日本政府として受け止めていることは、これは事実でございます、それは。  しかし、具体的に更に細部にわたってスケジュールの点について沖縄県と話合いをしてスケジュール化する中で、今ここで申し上げました留保するということについて、配備に向けた手続を留保するということは、安全性ももちろん確認をしなきゃなりませんし、そして沖縄県側ともお話をしなきゃなりませんが、何かこの流れがストップをするということではなくて、安全性確認をしながら、そして、しっかりとした政府として根拠を持ちながら沖縄県と向き合っていく中でということは、この間、この間、様々な関係大臣も含めまして答弁をさせていただいているところでございまして、そこの姿勢については従来と変わっておりません。
  152. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 今副長官がおっしゃった安全性の確保、あるいは沖縄との意見のすり合わせ等々おっしゃっておりましたけれども、それがないと配備ができないという、そういう意味に私はとらえているんですけれども、ということは、その安全性の確保が確保できない限りはオスプレイ配備への手続は止めるという認識でよろしいわけですね。
  153. 齋藤勁

    内閣官房長官(齋藤勁君) 大変極めて重い実は御質問であり、重いまた私は答弁だというふうに先ほどからこの場で、今お答えさせていただいております。  冒頭お答えさせていただきましたのは、私は、与野党を別にして、政府、またそれぞれいろいろ立場はありましても、日本国民の生命、財産を守っていく、そして国防ということ、そして国防に関することで、そのことがやはりいささかなりとも不安とかのことを生じてはならないというのは、私はそれぞれ共通することだと思います。  そして、同盟国に対し、しっかりとした不安感を解消すべき情報提供を今求めているという最中であります。今後、これらのことが同盟国間でやはりしっかりとした受け止めをするということ、この過程の最中であるということについて是非受け止めいただきまして、今後どう、これから当然、米国側の方からしっかりとした説明なり情報提供があろうと思いますが、その時点その時点で最良なやはり結論ということが大切ではないかというふうに思っているところであります。
  154. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 大変分かりづらい御答弁なんですね。ということは、米国からの情報がきちんと提供されない限り、されるまではこの配備についての手続は留保するということでよろしいんですね。
  155. 齋藤勁

    内閣官房長官(齋藤勁君) これは、この間長く培ってまいりました日米関係ですから、日本が、政府そして沖縄県民方々から指摘されたことについてはしっかり情報提供が、私ども政府にいる一員として私はされるというふうに思っているところでございます。そのことを、私ども政府一丸となって関係省庁と連携を取りながら、また官邸等も含めて対応してまいりたいというふうに思います。(発言する者あり)
  156. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 島尻安伊子君、もう一度やり取りしてください。  防衛大臣、御答弁されますか。森本防衛大臣
  157. 森本敏

    国務大臣森本敏君) 先ほど申し上げましたとおり、現在アメリカ側で行われている航空事故調査、これはある程度最終結論が出るまで時間が掛かると思いますが、取りあえず暫定的、中間的であってもこの事故調査の内容について日本側是非とも通報していただきたいということをいろんなチャンネルを通じてアメリカ側に申し入れているところです。  アメリカ側事態の深刻さを非常に認識していて、確かに航空事故調査というのは第三者が介入することができない独立の機関でやっているわけでございますけれども、国防省を始めとして、この事態の深刻さに鑑み、できるだけの協力をするということを既に約束しております。  我が方は、この事故の事実関係が分からない段階ではとにかくまず地元方々説明のしようもなく、まずアメリカ側からの情報を待ってその後の対応を検討するという趣旨を申し上げたのであって、したがって、配備を見合わせるなどということを、という趣旨で先ほどの発言理解していただきたいと思います。  つまり、アメリカ側からまず情報を受け取り、これの中身をよく審査し、それが誠に飛行安全の面で重大な問題がないかどうかということを我が方として独自に審査し、その後の対応はその内容を見てから考えたいということで、まず、事実関係が分からない段階では、この問題について配備を見合わせるとか見合わせないとかということはまず決めないという趣旨のことを先ほどから申し上げているつもりです。
  158. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 ですから、最終結論は時間が掛かるかもしれない、だけれども中間報告としてもうでき得る限り早くその事故調査についての情報を上げてほしいと、これは米側に対しておっしゃっているわけですよね。そうすると、中間報告にしても何にせよ、その情報が入るまでは、それまでは、例えば沖縄に対しての説明オスプレイに対する説明ということはもうストップするということですね。
  159. 森本敏

    国務大臣森本敏君) 事故調査を行っているのはアメリカなので、まず、安全調査を行っているアメリカ側から情報をもらわないで我が方が自分の憶測で地元にこの事故について説明するというのはおよそ不可能なので、まずアメリカ側から情報提供を待って、それを地元説明しつつ我が方として対応を考えたいと、こういう趣旨で申し上げているわけでございます。
  160. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 そうなると、先ほどいただいた官房副長官からの答弁は全然違うということになりますよ。  そうすると、じゃ、防衛大臣がおっしゃった、その事故後の調査あるいはそのある一定情報が得られるまでは我が国として動きようがないというふうなことでございましたけれども、副長官、そういうことでよろしいんですか。
  161. 齋藤勁

    内閣官房長官(齋藤勁君) 防衛大臣と私、回りくどくて申し訳なかったのは私自身の答弁で、全く違ったことを申し上げている実はつもりはないんですけれども。  主体的にはアメリカ自身が今その調査をしている、そのことについての情報提供を求めている。そのことについて今私たち自身が何も得ていない中で、そのことについて、オスプレイのことについて沖縄県民方々に、あるいは今、あるいは山口県岩国も同様かも分かりませんけれども、そのことに持つものがないということをお話しさせていただいているつもりだというふうに思います。
  162. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 まあ、後で速記を起こしていただければ、御自分で何を御答弁なさったのかというのはもう明らかですから、どうぞお読みください。  防衛大臣、ということは、見合わせる、あるいは留保するということも、ある一定米側からの情報がないとそれさえも今何とも言えないという御答弁だったと思うんですけれども、それでは、ある一定のその情報というものが米国より得たときに、その内容いかんによってはこのオスプレイ配備を見合わせる、あるいは留保するということもあり得るということですね。
  163. 森本敏

    国務大臣森本敏君) アメリカ事故調査の結果が事実関係として我が方にもたらされて、それを我が方として独自に分析評価した結果その後の対応を検討するという趣旨を先ほどから申し上げているとおりです。
  164. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 そうすると、ある一定米国事故調査の結果ということを大臣繰り返しお述べになっておりますけれども、どの程度の事故調査ということをお考えなのか。例えば、先ほども御答弁の中でおっしゃっておりましたけれども、このオスプレイについての設計上の欠陥ではなくて原因はパイロットの操縦とか人的ミスの可能性が高いという御答弁をなさっておられました。もし本当にそうであると、熟練したパイロットたちが間違えやすい理由と、そういった理由が明らかにならないといけないと私は思いますし、それに対して、その再発を防ぐためにどんな対策が講じられたかということが明らかにならないと今後それこそ安全性の担保というのは取れないんだというふうに思っておりますが、どの程度の事故原因が究明されるということを大臣はお考えになっていますか。
  165. 森本敏

    国務大臣森本敏君) 米軍の、この場合、米空軍ですが、米空軍事故調査というのがどのような基準で行われ、今回の事故調査の結果が例えば我が方にもたらされたとき、その中身がどういうものであるかということはなかなか予断しにくいところです。  しかし、一般論を申し上げると、通常、事故調査の中間的な報告というのは、事故が起こった環境条件といいますか、どういう任務をもってこの飛行機運用され、それぞれの乗員がどのような責任を持ち、どのような状況でその飛行機事故が起き、それを防ぐことができなかったかどうか、そして、乗員が米軍が決めたマニュアルどおりに運用していたかどうか、それから、その航空機の機器やシステムやあるいは全体の、何といいますか、航空機そのものの運用がいわゆる設計に期待されたように本当に作動したのかどうか、その結果として真の事故原因は何であるのか、それを乗員が防ぐことができなかったのかどうか、マニュアルに違反したとしてもどの程度違反したのか、それはいわゆるリーガルに考えると通常軍法に掛かるような問題であるのかどうか、あるいはその他の機種の整備やパイロットの通常のオペレーションに取り入れることのできるような改善点あるいは是正点があり得るのか、そういう非常に広範なチェックポイントを基に事故調査というのは通常行われるものです。  これは一般論を私は申し上げているのであって、今回の飛行機についてこのような調査が行われているということを特定して申し上げるのではありません。そのうち、どの部分が取りあえずの結論が導き出されて我が方に通報があるのかということは申し上げにくいんですが、予断を許さないと、必ずしも確定できないと。本当にこちらに届けられてみないと何とも申し上げられぬ。ただ、我が方にも専門的知識がある程度ありますので、その中身を見て我が方として独自の分析評価ができるのではないかと、このように考えております。
  166. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 大変頼もしい御答弁をいただいたんではないかと思っております。大臣、その今おっしゃった詳細について、米軍側には最低でも今大臣がおっしゃった項目について是非その回答をいただきたい、それについての調査をしていただきたいということを主体的に我が国防衛大臣として米軍の方に是非申し上げていただきたいと、言っていただきたいというふうに思っております。  ちょっと時間もせっているんですけれども、最後にこのオスプレイに関しては一つ確認をさせていただきたいんですけれども、今お述べになったプロセスですね、ある程度アメリカの方から情報が来なければ、この次の段階、つまり見合わせる、あるいは留保するという先ほどの議論でありますけれども、それについてもまだ確定ができないということでございましたけれども、そういった我が方のプロセスを超えて、米軍がこのオスプレイ配備について進めてしまうということはありませんね。
  167. 森本敏

    国務大臣森本敏君) それはないと思います。通常、他国に配備するときに必要な手続を経てアメリカ配備するのであって、そのような手続なしに米国が他国にこの種の航空機を配備することはないと、このように考えております。
  168. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 もう最後の質問になるというふうに思っております。一つだけ、AAFESという、高齢者従業員の三十時間パートタイム導入ということについて急いで質問させていただきたいと思っております。  この件で地元に大変な不安が広がっております。これは、高齢者従業員制度、公的年金との連携を図るということで、六十歳定年を超えた従業員が年金支給開始年齢まで雇用を継続する制度でございます。給与について定年時の七〇%ということを日米間で確認をしているという事実がございますが、来月、七月一日の高齢従業員の採用時に、AAFESにおいて、経費節約、節減の観点から、週所定勤務時間を四十時間から三十時間に引き下げる計画があるということでございます。  この事実関係をひとつお聞きしたいと思っております。この件に関して防衛省としては今後どのような対応を取っていくのか、お聞かせいただきたいと思います。
  169. 森本敏

    国務大臣森本敏君) AAFESというシステムがあることは承知しております。本年七月一日から採用を希望している六十歳以上の従業員については、二月上旬にAAFESから所定の勤務時間を三十時間とする旨の通告を受けていることも事実でございます。  この問題については、日本側の労務費負担減があるのかどうかということについては一定の減があるわけでございますけれども、しかし、この従業員の給与の取扱いについては現在部内でどのような取扱いができるのかということを検討しているところでございまして、このシステムそのものの中でどのような扱いができるのかということについて当方は問題意識を持っていて、この問題に現在取り組んでいるところでございます。
  170. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 この導入、七月一日からの運用ということでございますので、時間がございません。速やかにこれを撤回するよう強く求めたいというふうに思っております。  三分あるようですので、もう一つ。申し訳ありません。沖縄県北谷町の白比川というところのFEコンパウンドという施設がございまして、それに対しての地元から返還要求がございます。今回、2プラス2の中でいろいろな土地の返還がございましたが、このFEコンパウンドの地区に関しては条件付と速やかに返還の二つの色が混ざっておりまして、地元としては是非早く返還をお願いしたいということでございますけれども、この事実関係について御質問いたします。
  171. 山内正和

    政府参考人山内正和君) お答え申し上げます。  委員御質問沖縄県北谷町に所在しますキャンプ瑞慶覧の一部土地についてでございます。  本年四月の2プラス2共同発表におきましては、キャンプ瑞慶覧の施設技術部地区内の倉庫地区の一部が、必要な手続の完了後速やかに返還可能となる四つの区域の一つとして日米間で確認され、米軍再編の一事業として今後取り組むこととしております。このキャンプ瑞慶覧の施設技術部地区内の倉庫地区の一部については、当該地区に海兵隊の倉庫が所在するため他の場所に代替の倉庫を提供する必要があるものの、提供すべき施設が限定されており、早期に実施が可能と見込まれるため、他の三区域と同様、必要な手続の完了後速やかに返還可能となる区域として確認されたものでございます。  防衛省といたしましては、本件土地につきましては河川改修用地として早期の返還が要請されているという事情もよく承知しておりますので、早期の返還に向け速やかに努力して今後まいりたいというふうに考えております。
  172. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 速やかによろしくお願いしたいと思います。  質問を終わります。ありがとうございました。
  173. 山本香苗

    山本香苗君 公明党の山本香苗でございます。  森本大臣、御就任おめでとうございます。大臣におかれましては、これまでの経験また専門的な知見を生かしていただきまして、我が国安全保障政策また防衛政策をきちっと前に進めていっていただきたいと思っております。  さて、この間、二代問責大臣が続きまして、まともな議論ができませんでした。大臣防衛大臣になられる前の話でございますが、大臣は当時、この状況をどう御覧になっておられましたか。
  174. 森本敏

    国務大臣森本敏君) 二代にわたる私の前任者について当参議院で問責を受けられたことは承知しておりますけれども、それぞれ両大臣とも自分の職務を懸命に果たそうとして努力をしてこられたんだろうと私は思いますし、残念ながらそのような評価を受けなかったことは私個人としては大変残念なことだなと、このように私は受け止めております。
  175. 山本香苗

    山本香苗君 大臣になられると随分と答弁が変わられるものだなとちょっと残念に思いますが、具体的に質問してまいりたいと思います。  今日は大臣の所信的挨拶ということでございますので、基本的には森本大臣から御答弁いただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  先日の大臣の所信的挨拶の中で、米国アジア太平洋地域を重視する政策を打ち出すなど国防戦略を変化させていると、そのことについて大臣、言及されました。このアジア太平洋地域に軸足を移すというこのアメリカの新たな国防戦略の背景、ここに何があると大臣はお考えになっておられますか。
  176. 森本敏

    国務大臣森本敏君) アメリカという国は、独立戦争の後、いわゆるニューフロンティアというものが終わって太平洋に目を向けてみたとき、既に太平洋の向こう側にある中国は、当時十九世紀列強の進出を受けて、いわゆる欧州列強が中国の中に入り込んでいました。アメリカは遅れてここに入ってきました。遅れたアメリカとしてアジア太平洋政策を進める際、アメリカが取ろうとした基本的な考え方は、いわゆるオープンドアポリシーというか、いわゆる門戸開放政策というものでした。我が国も、十九世紀の中ごろ、この門戸開放政策の波を受けて黒船が日本にやってきて日本の鎖国が終わったんだろうと思います。  以来、アメリカは、この約百五十年以上もの間、アジア太平洋というものに持ってきたアメリカの最も重視した国益は米国経済、米国経済にどのように裨益するか。つまり、アジア太平洋における米国の経済的利益を追求すること、この一点にあったと思います。この基本的なプライオリティーは今日でも変わっていないと思います。  今日、アメリカアジア太平洋に大変な額の貿易と投資を持っており、かつ雇用を持っており、オバマ政権になってからアジア太平洋政策を特に重視する旨を明らかにしてきました。二〇〇九年十一月、オバマ大統領初めての訪日の際、サントリーホールで行ったスピーチにそのことがよく表れていると思います。しかし、アメリカはその時点ではまだイラク、アフガン戦争にどっぷりつかっており、その持っているアセットをアジア太平洋政策に使うことができませんでした。  やがて、二年ほどたって、すなわち昨年ごろからゆっくりとアメリカはイラクから手を引き、アフガニスタンの束縛から手を引き、本格的にアジア太平洋に目を向けることができるようになり、昨年十一月のキャンベラにおける演説、今年一月五日のオバマ大統領の新しい国防戦略に見られるごとく、アジア太平洋に本格的に目を向け、アメリカアジア太平洋に戻ってきたんだろうと思います。  このときにアメリカが考えた背景要因は二つで、一つは、やはりアジア太平洋にゆっくりと出てくる、いわゆる専門的な言葉で言うとA2ADといいますか、いわゆるアクセス拒否、エリア拒否というものを主体に海洋に出てくる中国の進出というものを非常に深くアメリカが考えていること。もう一つは、極めて深刻な財政難。この財政難の中で国防費をどのような優先課題に割り当てるかということを真剣に考え、グローバルに見た場合、アジア太平洋にその優先課題を向けることがアメリカの真の国益になると考えて、アメリカアジア太平洋政策を重視して進めてきているのではないかと、このように考えております。
  177. 山本香苗

    山本香苗君 今も大臣がお触れになりましたけれど、やっぱり中国というものの存在があるんだと思います。今月の一日から三日、渡辺副大臣が出ておられましたシャングリラダイアログにおきまして、パネッタ国防長官は、この新国防戦略が中国への挑戦であるという見方は否定していましたけれども、やはり中国の軍拡や、また海洋進出に対する警戒感からきているということは間違いないことではないかと思っております。  このように、アメリカアジア太平洋地域をぐっと重視してくる、そして中国は台頭してくると、そういう状況の中で、尖閣諸島や、また我が国の数々の島々の軍事的、戦略的な重要性というものはぐっと増してきていると思います。  しかし、これらの島々防衛につきましては、今日、午前中から午後にかけての質疑の中でもありましたけれども、果たして十分な手が打たれているのかなと。防衛大綱に書いてありまして、南西諸島防衛強化ということは打ち出されてはいるけれども、現状どうなのかなと。  大臣の率直な御答弁をいただけますか。現状認識について伺えますか。
  178. 森本敏

    国務大臣森本敏君) 日本安全保障にとって、南西方面防衛強化するというのは日本防衛政策の大変大きな課題の一つです。新大綱及び新中期防に基づいてこの事業を現在進めているところですが、国家の防衛というのはこれは何をもって十分であるかということは、その時々の安全保障環境と、それから我が方が持っているアセットといいますか資産、それには国内事情もありますし、予算もありますし、世論の支持というものもありますし、全ての所要に全ての満足せる、必要十分な満足せる資産を投じるということはしょせん無理であり、どれぐらいの資産を投じることが最も効率的で効果的な防衛をなし得るのかということを常に見極めつつ、見極めつつ政策を進めているということであります。  それで十分なのかといったら、私は防衛の任に任ずる者として、十分この持っておる資産で我が国防衛を確実なものにするよう最大限の努力をしておりますし、また、そのように考えておりますと言わざるを得ないわけですが、正直なところ、今の防衛力で、全く、いかなる脅威に対しても確実にこれを排除し、防衛できるに必要十分かと言われれば、必ずしも私はそれは十分ではない、今後努力しなければならないこともありますし、また、防衛費をこれからもう少しお認めいただく必要があると。  いずれにしても、これから防衛政策を進める際、どのような将来展望に立った脅威見積りを行い、その下で日本防衛力を最も有効に使用できるかということに意を尽くしながら防衛政策を進めていくと、こういうつもりでおります。
  179. 山本香苗

    山本香苗君 今後努力したいということがあるということですが、大臣、ここはみんな応援団でございますので、しっかりと、こうしたい、ああしたい、こうすべきだ、ああすべきだということを、是非具体的にありましたら御答弁ください。
  180. 森本敏

    国務大臣森本敏君) いや、我が国防衛計画、防衛予算というのは全て国会で御審議をいただいて、その下で我が国の政策を進めておりますので、これから我々として要望したいものは、来年度以降の防衛予算あるいはこれからの防衛政策の中で具体的に先生方にお願いをしようと思っております。
  181. 山本香苗

    山本香苗君 じゃ、ちょっと御答弁が来ないので具体的に聞きたいと思いますが、先ほどお話あったように、南西諸島の地形、長い、こう長く続きますよね。そういうことを考えて、既存の施設以外にも、例えば、自衛隊が平時、有事に使用できる空港、港湾施設を整備しておこうという観点から、新たなアクセス拠点みたいなものを造るというお考えはございませんか。
  182. 森本敏

    国務大臣森本敏君) 今のところ平成二十四年度予算は、これはこの予算どおり執行しようと思いますが、来年度以降、現在の新大綱中期防の中で、更に南西方面防衛力強化するためにどのような施設整備があり得るのかということは部内で検討するつもりでおりますし、またそれだけではなく、これから、アメリカが持っている施設・区域と日本防衛省自衛隊が持っているいわゆる駐屯地施設等を、どのように共同使用を進めながら、限られた施設、限られた駐屯地を有効に使うことができるのか、この点についてもいろいろな検討をしてみたいと、このように考えております。    〔委員長退席、理事広田一君着席〕
  183. 山本香苗

    山本香苗君 ということは、今ないということですね。  多くの専門家が指摘されておりますとおり、こうした、中国は、そうした尖閣だけではなくて様々な我が国島々に対して、初めから武力攻撃レベルで触手を伸ばしてくるというわけではないと。それ以下のレベルで繰り返し繰り返しやってくるだろうと。事実、一昨年の中国漁船衝突事件以降も中国漁船が、監視船や巡視船が尖閣周辺に来て領海に侵入してきているわけですね。そうした中で、今日は海上保安庁来ていただいていますけど、海保だけではもう手が負えないという状況になっていると伺っております。  そこで、是非、私は重要だと思うのは、この防衛行動と警察的活動という、警察的行動というんですか、そこのところが、自衛隊と海上保安庁の任務の活動の間にすき間を生まない体制ということが重要だと考えているんですが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
  184. 森本敏

    国務大臣森本敏君) いや、誠にこれは御指摘のとおりだと思います。日本の領域を守るためには、自衛隊だけではなく、海上保安庁あるいは警察、全ての国の機関が極めて密接に連携して最終的に我が国の領域の保全、領域の防護ができるわけであって、自衛隊だけで全てのことができるというわけではないと思いますし、また法的にもそうなっておりません。    〔理事広田一君退席、委員長着席〕  ただ、中身をよく詰めないで私が申し上げると非常に良くないのですが、私は、海上保安庁も実は今の体制、今の予算、今の装備では、やはり周りの国、特に中国から近寄ってくるいわゆる海軍でない国家機関、それが海監であれ、漁政であれ、そのようなものに有効に対応できるのには必ずしもまだ十分ではないのではないか。海上自衛隊も充実させ、陸上自衛隊もいわゆる着上陸侵攻に対応できるいろいろな演練と訓練の能力向上を図る必要がありますが、その前に、まず海上保安庁にやっていただく仕事が大変大きく、この面での能力向上を図ることも我が国防衛にとって非常に重要なことであるというふうに私は考えております。
  185. 山本香苗

    山本香苗君 海保はもちろんそうなんですけれども、防衛大綱におきましては、動的防衛力による迅速かつシームレスな対応ということが強調されておりますよね。この動的防衛力による迅速かつシームレスな対応といった場合に、自衛隊と海上保安庁の任務活動の間のシームレスな対応というものは組み込まれているんですか。
  186. 森本敏

    国務大臣森本敏君) これは、シームレスな対応というのは、特に海上保安庁と自衛隊の間のつまり相互連携というのは、今の大綱、中期の構想の中で十分に組み込まれていると考えております。  特に、例えば情報の共有については、必要な情報をお互いに共有し、そして、第一義的にまず海上保安庁でやっていただく仕事と、その後、海上保安庁のみでは対応できないものについて自衛隊対応することを想定に入れながら、常に自衛隊と海上保安庁が連携を密にするための訓練や演習を行って、相互の能力にすき間がないように取り組んでいるということでありまして、そこは海上保安庁と自衛隊の間に何か大きなすき間があるように思われると、そこは事実に反するんだろうと思います。
  187. 山本香苗

    山本香苗君 シームレスな対応だけじゃなく、動的防衛力というものを構築するに当たって、海保というものの存在も入れた上での考え方ですかと聞いたんですが。
  188. 森本敏

    国務大臣森本敏君) これは、海上保安庁の機能を我が方として十分に念頭に入れて動的防衛力というものを構想しているわけでございます。
  189. 山本香苗

    山本香苗君 私は、海上保安庁というのは、この南西諸島防衛の重要な要素だと考えるべきだと思うんです。  具体的に、じゃ、その海保と自衛隊のシームレスな対応、どう具体的に実現されるんですか。
  190. 森本敏

    国務大臣森本敏君) 繰り返しになりますけれども、他の国の船舶が我が国の領海等において不法行動を行うときは、第一義的に海上保安庁がこれに対処するということになり、それでは対応できないときに海上自衛隊がその任務を負って自衛隊法に基づいて海上警備行動等を行うということで、常にその両方の組織がそれぞれの法的根拠に基づいて、まさに切れ目なく、トータルで有機的に活動できるように計らっており、それを大綱の中に盛り込み、しかもそれを平生から訓練をし、情報を提供し、お互いに情報を共有をしながら相互に緊密に連携して活動しているということであり、その点は、我が国島嶼防衛のために自衛隊と海上保安庁の連携については大きな問題はないというふうに考えております。
  191. 山本香苗

    山本香苗君 ということは、ここの部分を、海保と自衛隊のシームレスな対応を実現するといった部分で新たな法整備は必要ないとお考えなんですか。
  192. 森本敏

    国務大臣森本敏君) 今の法体系で双方の連携をより緊密に活動させれば、新たな法的な枠組みは必要はないと考えております。
  193. 山本香苗

    山本香苗君 大臣は、「海外事情」という雑誌の今年一月号において、中国艦艇から日本の海上保安庁の巡視船に実弾が撃ち込まれたようなケースで日本が自衛権を行使するに当たっての法的措置については十分な担保ができているわけではなく、そうした法体系をつくることにより、周辺における緊急事態に柔軟に武器を使用できる法的権限を新たに設置することになる、それが自衛隊を有効に使用し、抑止力実効性を高めるための手段になるであろうと述べておられました。覚えておられると思います。  今国会に提出されている法案には、森本大臣が述べておられたような内容は、次長、含まれていないですよね。
  194. 桝野龍二

    政府参考人(桝野龍二君) 今委員御指摘の海上保安庁で今国会へ出さしていただいている法案がございますが、これは遠方離島の陸上で発生した犯罪に海上保安官が対処できる仕組みを導入するなどを内容としているものでございまして、委員御指摘のような内容は含まれてはおりません。  いずれにいたしましても、私どもは、先ほど大臣からもお話ございましたが、防衛省、とりわけ海上自衛隊との連携は大切だと思っておりまして、日々の想定な訓練、いろんな共同の訓練等を含めましてこの関係の連携を深度化をしていきたいと思っているところでございます。
  195. 山本香苗

    山本香苗君 大臣、書かれていたことはまだ法案の形になっていないんですが、防衛大臣になられました。大臣として今後こうしたことを、おっしゃっていたことを検討して対応するというお考えはございますか。
  196. 森本敏

    国務大臣森本敏君) よく検討します。
  197. 山本香苗

    山本香苗君 やるといったような表情で言っていただいたような気がするんですが。  今、お手元に資料を配らせていただいておりますが、実は今回、いろいろと海上保安庁、検討いたしましたけれども、今回法律出してまだ通ってはいないので、これはなるべく早くしたいと私たちも思っているわけですけれども、法案が通ったとしてもまだまだ課題はたくさんあるわけです。  その中で、お配りさせていただきました国連海洋法条約の無害通航と国内法の関係の一覧表がございます。この表の中に二か所ほど、適用し得る国内法令のところを見ていただきますと、取り締まる国内法なしというところが二か所あるわけなんです。  二か所目の調査・測量活動というところは、これは外務省が対応するということできちっと決まっておりますし、既にもうガイドラインができております。しかし、一項目めの防衛・安全を害する情報収集というところは、どこが対応するべきかすらはっきりしていないと。ここはどこが対応すべきなのかと考えたときに、私は防衛省が中心となって対応すべきではないかと考えますが、森本大臣、いかがでしょうか。
  198. 森本敏

    国務大臣森本敏君) 国連海洋法条約では、一般に領海における無害通航が認められておりますけれども、沿岸国の防衛又は安全を害することになるような情報の収集を目的とする行為というのは無害通航ではないと、無害通航ではない通航だというふうにされています。  したがって、先生指摘のように、我が国防衛又は安全を害するような情報収集への対応については政府全体としてどのように対応していくかということを検討すべき問題であると、このように私は受け止めております。
  199. 山本香苗

    山本香苗君 いえ、政府全体で御検討いただくのは当然のことなんですけれども、防衛省がここはやるんだということをお考えになったらどうですかと申し上げたんですが。
  200. 森本敏

    国務大臣森本敏君) いや、我が防衛省としてもこの問題は極めて関心が強く、また我々の所掌に深くかかわる問題なので、関係省庁といいますか、では当然ですけれども、政府全体として検討する際、防衛省として特にいろんな考え方を示しながらリードして検討していきたいと、このように考えております。
  201. 山本香苗

    山本香苗君 よろしくお願い申し上げます。  桝野次長はここまでで結構でございますので、委員長、お取り計らいのほどよろしくお願い申し上げます。
  202. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 桝野次長、どうぞお引き取りください。
  203. 山本香苗

    山本香苗君 次の質問に移らせていただきます。  北朝鮮が我が国に向けてのノドンミサイルを二百基は配備をしているというようなことが言われておりますけれども、基本的なことで申し訳ございません、北朝鮮からミサイル攻撃を受けた場合に、どうやって国民の生命、財産を守るんでしょうか。
  204. 森本敏

    国務大臣森本敏君) これは、仮に先生指摘のように我が国に対して北朝鮮がミサイル攻撃を行うという場合に、我が国に対する武力攻撃が発生し、自衛権発動の三要件が満たされる場合には自衛権の発動が可能となります。したがって、武力攻撃が発生した場合には、我が国として必要な措置をとるということで、現時点では、まずミサイル防衛のシステムを最も有効に活用しながら米国と連携して情報収集に努め、警戒監視を行って、必要なミサイル防衛機能させるということによって我が国の安全を守ると、このように措置をするのが現在の我が国の法体系で認められたシステムであろうというふうに考えます。
  205. 山本香苗

    山本香苗君 一挙に何か所からも撃ち込まれた場合はどうなるんでしょうか。
  206. 森本敏

    国務大臣森本敏君) 我が国のミサイル防衛全体を機能させても、なおそれでは防ぎ切れないというような攻撃が一度に行われる場合、相当アメリカ協力を求めないといけないような事態が発生するのではないかというふうに考えます。
  207. 山本香苗

    山本香苗君 多くのミサイルが撃ち込まれた場合、対応するのは不可能であります。そのうちの一つが原子力発電所に撃ち込まれたらもう一巻の終わりです。何の手だてもできないと。もちろん、この間のように北朝鮮が予告をしていながらもいつミサイルが発射されたかも分からないというのは、もう論外です。  こうした政府の稚拙な対応というのは横に置いておいたとしても、今回の事件の対応において我が国安全保障政策の欠陥も明らかになったという指摘がなされています。  五月二十日の読売新聞の「地球を読む」の欄で、北岡伸一政策研究大学院大学教授が次のように述べていらっしゃいます。我が国安全保障政策防衛中心であることに異論はないが、防衛だけで日本が守れるだろうか。専守防衛政策が主として防衛なのか、防衛のみなのか、よく考える必要があると指摘されておりました。  つまり、専守防衛はよしとしても、その内容が主として防衛なのか、それとも防衛のみなのか、このように問題提起をされていたわけなんですが、森本大臣はどのようにお考えになられますか。
  208. 森本敏

    国務大臣森本敏君) 我が国防衛政策は、あくまで専守防衛という原則を守って今まで我が国防衛力機能させてきたところであり、また、我が国防衛政策も専守防衛という憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略を取ってきたことはもう先生承知のとおりであります。  しかしながら、国際法上は、我が国が攻撃を受けた場合、我が国において急迫不正の侵害が行われ、その手段として、例えばミサイル攻撃が行われたような場合、このような攻撃を防ぐのにやむを得ない、真にやむを得ない必要最小限度の措置をとることは、これは国際法上からも、あるいは日本の法理上からも自衛の範囲に含まれ、これは可能であるということだと思います。そのための手段を持つかどうかというのは、これは法理の問題ではなく我が国の政策上の問題であるというふうに考えておりますが、いずれにせよ、我が国防衛を行う際、従来の専守防衛だけで全ての国家の防衛ができるのかどうかということは、常に我々として見極めながら国家の防衛政策を進めていかなければならない、これは国として当然の責務であるというふうに考えております。
  209. 山本香苗

    山本香苗君 改めてお伺いしますが、専守防衛というのは何を根拠にしてどういう解釈で出てきているのか、政府参考人の方からお願いします。
  210. 黒江哲郎

    政府参考人(黒江哲郎君) 専守防衛の根拠と解釈ということでございますけれども、専守防衛という概念につきましては、相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使すると、その態様も自衛のための必要最小限度にとどめると、さらに保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るということで、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢を言うということがこれまでの政府解釈でございます。ですから、根拠ということでございますれば、日本国憲法の精神にのっとったものであるということでございます。
  211. 山本香苗

    山本香苗君 まさに昭和五十六年の長官答弁そのまま読まれたんですけれども、違ってもまた問題なんですが、相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使しと、防衛のみということなんですが、既に昭和三十一年の政府見解で、自衛隊はそのための能力は有していないけれども、ほかに適当な手段のない場合においては、座して死を待つのではなく、一定の制限の下で攻撃的行動を行うことは法理論上自衛の範囲に含まれ、可能だという答弁があるわけですよね。  ということは、すなわち、先ほど大臣は国内のことと国際法上のこと二つ分けて御説明いただいて、国際法上はできるんだというお話はありましたけれども、我が国の憲法の中においても、昭和三十一年のこの政府見解で、すなわち防衛のみではないという幅のある答弁をしているのじゃないんですか、違うんでしょうか。
  212. 森本敏

    国務大臣森本敏君) いや、私は、先ほど答弁したのが間違っておれば、私の申し上げたのは、国際法上からも認められており、当然我が国の憲法上法理的に自衛の範囲の中に含まれ、したがって法的には可能であるという考え方を申し上げたつもりです。
  213. 山本香苗

    山本香苗君 ということは、我が国の専守防衛という考え方は防衛のみではないということですか。
  214. 森本敏

    国務大臣森本敏君) ちょっと済みません。
  215. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) じゃ、山本香苗君、もう一度お願いします。
  216. 山本香苗

    山本香苗君 先ほど、主として防衛なのか防衛のみなのかという話からすれば、防衛のみではないということなんですかと。
  217. 森本敏

    国務大臣森本敏君) いや、繰り返しになりますけれども、我が国において急迫不正の侵害が行われ、例えばその手段として我が国に対して現に攻撃が行われた場合、その攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、例えばミサイル攻撃を防御するのに他に手段がないと認められる限り敵の例えば基地をたたくということは、国際法上からも自衛の範囲に含まれ、我が国の憲法解釈上も法理的には自衛の範囲に含まれ、したがって可能であるという解釈を説明申し上げたとおりであります。
  218. 山本香苗

    山本香苗君 ちょっと角度を変えていきましょう。  安全保障上の新たな脅威であるサイバー戦争についてちょっと考えてみたいと思うんですが、我が国へのサイバー攻撃が武力攻撃事態に当たる場合は自衛権行使が可能という見解がまとめられたと報道されておりましたけれども、そもそもサイバー戦争では、我が国に、先ほどから武力攻撃を受けたときにという話ですけれども、攻撃があったという事実がすぐには分からない。それ以上に、誰が攻撃を仕掛けたというのが特定するのが難しいわけです。攻撃の仕組みが実際に動き出すまでには十分な時間があるけれども、他方で攻撃を受けた方は、それが判明したときにはもう既に大きな被害を受けていて能力を奪われてしまっているという可能性が高いわけです。つまり、サイバー戦争においては、攻撃する側が有利で守るだけというだけでは必ず負けると。  つまり、サイバーの脅威に対して、大臣が先ほど来御説明していただいているような内容だったとすると、攻撃を受けた場合という話であれば、国民の生命、財産というのは守れないんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  219. 森本敏

    国務大臣森本敏君) サイバー攻撃というお話でしたが、サイバー攻撃というのは具体的にどういうことを言うのか、これに対してどのような手段を取り得るのかということは、まだ国際法というか、国際社会の中では確定していないというふうに私は理解しています。
  220. 山本香苗

    山本香苗君 いえ、ですから、確定している、しないの前に、そういった実際に事態は起きているわけですけれども、今の状況、そうした状況の中で専守防衛というのは通用するんですかと聞いているんです。
  221. 森本敏

    国務大臣森本敏君) いや、先ほど申し上げたように、サイバー攻撃が行われた場合、これが武力攻撃事態に該当するかどうかということについては、まだ国際法上は確定しておらず、一概に申し上げることは極めて困難で、したがって、いずれにしても、いずれかの事態が武力攻撃事態に当たるかどうかということについては、個別具体的な状況を踏まえて国が判断すべきものであるというふうに考えております。
  222. 山本香苗

    山本香苗君 サイバーだけに限った話じゃなくて、ミサイルにおいてもサイバーにおいても新たな脅威が増大する中で、この専守防衛ということ自体は維持しつつも今日的な意義ということを考えるということは意味があるのではないかなと思って御質問させていただいたんですが、ちょっと思うような答弁が返ってこなかったので、また別の機会に、更に理論武装させていただいて挑ませていただきたいと思います。  次に、自衛権の解釈についてお伺いしたいと思います。  先日、山本一太委員の御質問に、予算委員会森本大臣、お答えになられた答弁です。ちょっと引用させて、読ませていただきます。  集団的自衛権というのは同盟関係における協力をどのように自衛権というものを行使して行うのかという問題であって、私が特に政権の中にいる間重視しているのは、今の日米同盟をどのようにその範囲においても拡充し充実させるか、そのことによって本来集団的自衛権が持っている役割の多くを今の憲法の枠の中でできるのではないかと、かように考えているわけでありますと答弁されておられました。  この大臣の答弁を、昨日からもう何回も何回も繰り返し読みました。大変失礼な言い方で申し訳ないんですが、私の頭が悪いのか、何回読んでも全く分からないんですね。というのも、一番の私が引っかかるのは、自衛権の解釈、憲法解釈というのはもうぎりぎりのところまで来ているんじゃないんですか。大臣のおっしゃるように拡充し充実させるなんて、憲法解釈の変更なしに本当にできるんですか。
  223. 森本敏

    国務大臣森本敏君) 私が答弁したのを何度もお読みいただいたと聞いて、私なりに感激しましたが、随分この答弁は、私は私の頭の中に物事を整理してお話し申し上げたつもりです。ちょっと長くなると委員長に怒られそうですが、これ一言だけ、この私が申し上げたことを、具体的にある一つの例を挙げて申し上げてみるとお分かりいただけると思います。  例えば、我が国が今のガイドラインの下で作った周辺事態法という法律があります。この法律は、周辺事態が発令されたときに日本が、日本の領域外といいますか、つまり一般国際法で言う、例えば領海以外のところで何ができるかということについては、この法律の別表に公海上における米艦船への海上輸送と書いてあります。この一項目だけができることになっています。つまり、裏返して言うと、これ以上のことはできないということです。  日本が同盟関係の下でアメリカ協力できる分野というのは、実に広範な分野にわたっております。情報提供から、例えば後方といっても、後方には補給も調達も修理も輸送も補給もあります。それ以外に、例えば警戒監視、哨戒任務、防空任務、その他、各種類に及ぶ協力が同盟協力というものの全体像を構成しているんだと思います。  さて、その一つを例えば例に取りましょう。  仮に海上輸送といった場合、今の法律でこの海上輸送は、公海上における米艦船に海上輸送、括弧して人員、物資のみ、つまり武器弾薬は含まない。武器弾薬を含むと、御承知のとおり憲法解釈上の一体化議論が起こるということです。仮に、その輸送を公海上でやる場合、今の憲法の枠の中で法律が定めた協力がどこまでで、これを更に乗り越える、今の憲法の枠の中で乗り越えるのに、まだできることがあるのではないかと。  先生の御指摘だと、全部、それ以上のことは集団的自衛権に入ると言われていますが、私はそう考えていません。今の憲法の枠の中でまだできることがそれぞれの分野についてあるのではないかと。それをどのように充実させ、充実しても、もうここからはどうにもならなくて、あふれるばかりに水がコップからこぼれるという状態は必ずあるんだろうと思います。そのコップからこぼれるところが、まさに国内でいうと集団的自衛権問題として取り扱われる。私が考えている日米同盟強化というのは、その個々の分野の中で、何をどの程度これから充実させることができるのか、それをまず突き詰めてみたいと。しかる後に集団的自衛権というのはその先にあるのではないかと、そういう趣旨を申し上げたんです。  何度もお読みいただければ、私が意味していることが十分にお分かりいただけると思います。
  224. 山本香苗

    山本香苗君 済みません、何か授業を受けているような感じになってきたんですが。  具体的に、まあ言ってみたら、まだすき間があると。具体的に何を拡充し充実させるというところまではまだはっきりしていないということですか。大臣の頭の中であるんじゃないんですか。
  225. 森本敏

    国務大臣森本敏君) それぞれの分野において、こちらがやりたいと思ってもアメリカがそういう協力は求めてはいないということもあり、アメリカがまさに同盟協力の下で、このような状況下ではこのような協力をしてほしい、こちらも、今の法律ではどこまでできる、ここからはできそうにないので、今の法律を改正して憲法の範囲の中でできること、憲法の範囲ではできないこと、これをそれぞれの分野において整理をし、アメリカ側と話をするという時期がいずれの日にか来るのではないかと思います。  それがいつになるかは、私にはよく分かりません。いろんなこれから検討もしてみたいと思いますし、アメリカともいろんな話をしてみたいという趣旨のことを抽象的に一言で申し上げると、今お読みいただいた答弁のようになったということでございます。
  226. 山本香苗

    山本香苗君 何かすごく御答弁を聞いていて、分かるような分からないようなというのが正直なところなんですが、ちょっと違和感を感じますのは、大臣、もちろん日米同盟は非常に大事なものです。我が国外交の基軸です。ですが、日米同盟をうまくいかせるがために何かじゃなくて、我が国を守るためにという観点から物を考えていかないと、大臣の御答弁が何か違ったように取れてしまうところを感じるわけなんです。  説明の仕方として、同じことに行き着くのかもしれませんが、説明の仕方として、何かこう日米同盟の深化というところが目的であって、それは手段である。我が国を守るというところの防衛我が国防衛を更に強化していくための手段であるはずなのに、何かこうちょっと、いろんなところでお話しされているのを聞くにつけ、ちょっと違和感を感じるのはそこなんです。  もう一つだけ、二分ありますから、あと一つだけ聞きたいんですが、さっき大臣がおっしゃった答弁の中で、集団的自衛権が持っている役割の多くということをおっしゃっていたんですけど、これは何なんですか。
  227. 森本敏

    国務大臣森本敏君) 私が申し上げようとしているのは、先生指摘のように手段と目的が逆転しているのではないかというのは、私の頭の中の整理は必ずしもそうではありません。日本の国益を追求するために日本がどのようにアメリカ協力をし、アメリカにも日本協力をさせ、お互いの役割分担を高めることによって結果として日本安全保障を高めるためには、まず、日本アメリカに対してできないことが多過ぎる、それは今後是正すべきであって、アメリカはいろんなことができるが、日本ができないことというのが多過ぎて、結果として同盟というのが必ずしも十分バランスの取れたイコールな同盟関係になっていない、この欠陥を是正することは我が国安全保障に極めて重要だと考えているわけです。  ついでながら言うと、これは同盟関係だけの問題ではありませんで、その他の国々で特に密接な関係にある国との協力においても同様のことが考えられ、いわゆる集団的自衛権問題を日米同盟だけで考えるのはこれはバランスの取れない議論であるというふうに思います。  いずれにせよ、トータルで日本安全保障のために日本の国益に最も見合った日本固有防衛戦略はどういうものであるかということを確定し、しかる後にどこの部分をどの程度、アメリカを含め他の緊密な国との協力を進めていくかということは我が国がこれから考えなければならない極めて重要な安全保障課題の一つであると、このように考えております。
  228. 山本香苗

    山本香苗君 時間が参りましたので、本当はもうちょっと質問を用意していたんですが、ここで終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  229. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 みんなの党の小熊慎司です。  先週末、私もよわいを一つ重ねまして、ただ年を取るということだけではなくて、しっかりと、(発言する者あり)ありがとうございます、人間的にも成長して質問をさせていただきますので、大臣、どうぞよろしくお願いします。また、委員長、差し入れありがとうございます。誕生日プレゼントとして受け取らせていただいて、しっかり質疑をさせていただきます。  まず初めに、昨年の三月十一日、大震災、そして原発事故、この際には自衛隊皆さんにおかれましては、大変これは任務外の、通常業務外の役割も果たしていただいて、震災の復旧復興に向けて尽力をいただいたところでありますし、また、とりわけ当時の政務官でありました広田委員においては、特に原発事故で規制をされた二十キロ圏内への捜索活動といったものに尽力をいただいたところでありますが、残念ながら、三月十一日に大震災が起きたわけでありますが、二十キロ圏内の自衛隊の活動は四月の末、五月の連休に入ってからというような状況でもありました。こうした自衛隊の大震災、原発事故に対する活動について端的に総括、まあ全てが総括されるわけではありませんが、現時点での総括をお聞きしたいと思います。
  230. 下条みつ

    大臣政務官(下条みつ君) 先生、お答えさせていただきたいと思います。  御承知のとおり、事故対応としてはヘリ、消防車による水投下、放水等が、これが三月十七日から二十一日までと、また航空機による放射線量、温度測定が三月二十日から四月二十六日を実施させていただきました。また、発電所の周辺地域については、行方不明者の捜索、住民避難支援、航空機モニタリング、福島県内四か所の町村役場の拠点除染、住民の一時立入り支援のための除染所の運営、これは最大九か所等々でございます。  自衛隊が持てる能力を最大限に発揮したものと認識しており、平素からの訓練の積み上げと同時に、対処するように今後とも努力向上させていただきたいというふうに認識しております。
  231. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 ありがとうございます。  あの時点ではあれが最大限だったというふうには思いますが、大臣の所信の中でも、動的防衛力の構築に努めると、これは自衛隊運用に焦点を当てているわけでありますけれども、この動的防衛力の中には大規模災害等も含まれているというふうに認識をしております。この部分に関して、そうなると、今後、やはりあり得ないことが起きたというような言葉はもう使えないわけでありますから、こうした原発事故対応する体制整備もこの際しっかり検討してこなければならないと思っています。  今日の質疑でも、原発に関するテロの対応といったこともありますが、とりわけ私は、災害、実際の原発事故災害において、現状あれで仕方なかったかもしれませんけれども、やっぱり宮城や岩手で震災後に、一週間後、十日後に発見された人たちがいて、残念ながら福島県では二十キロ圏内は捜索活動が行われなかった。私も、二十キロ圏内、二週間後に入りましたけれども、そこの惨状を見たときに、この瓦れきの下に人がいるんじゃないかというような思いもやはりありました。  やはり、国民の生命と財産を守る、そうした自衛隊であってほしいというふうに思います。そういう意味では、今回の事故の反省も踏まえ、こうした大規模災害にもきちっと対応していくというふうに言及をしているわけでありますから、こうした動的防衛力の中にしっかりと原発事故対応といったものも体制が取れるように入れていくべきだと思いますが、御所見をお伺いいたします。
  232. 下条みつ

    大臣政務官(下条みつ君) 温かい御指導ありがとうございます。  御承知だと思いますけど、核・生物・化学、NBC兵器使用については、化学防護車、除染車、生物偵察車等を装備する化学部隊が現在十七個部隊、約九百四十名有しております。今おっしゃっていただいた部分で、今後について更に装備を充実するということで、例えば二十三年度の三次補正におきましては、無人航空機四機、無人車両二両、またNBC偵察車の取得を九両、六十三億、さらにイージス艦「こんごう」へのNBCのフィルター装置の装備、これを補正予算で要求させていただき、また、さらに二十四年度の予算においても、化学防護衣の取得、これは四百八十二組、新線量率計セットの取得、これ九十八組、さらに、これはまた、二十三年は「こんごう」ですけど、イージス艦「ちょうかい」へのNBCフィルター装置の装備等々を要求させていただいております。  最大限に発揮できると同時に、防衛大綱中期防に基づき、必要な体制の維持、構築に更に努めてまいりたいという所存でございます。
  233. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 当時は、国際救助隊でさえ福島県は相馬市にシンガポールの五人と犬五匹しか来なかったんですね。今の装備で、トモダチ作戦とよくアメリカの方も言っていただいて、いや、私もありがとうございますとは言いますけれども、福島県はトモダチ作戦なんて一つもやっていないんですね。もちろん、アメリカ政府、またアメリカ大使館、ルース大使以下、様々な御支援も福島県はいただいておりますが、肝心のこの命を直後に救うという活動においてはなかなか足りていなかった。装備がない中でも、福島県警は、これは福島県警本部長の英断の下に捜索活動に入っているわけですね。  今政務官が言われた装備でそうした捜索活動といったものは可能なんでしょうか。確認させてください。
  234. 下条みつ

    大臣政務官(下条みつ君) できる限り可能に対応できるように対処したいと思います。(発言する者あり)できる限り可能に対処できるように装備を充実させていただいております。
  235. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 今の装備はちょっと二つに大きく分けなきゃいけない。原発事故そのものへの対処できる装備と国民の命を守っていくという装備にしっかり分けて整備体制というのはやっぱりやっていかなきゃいけないと思うんですが、今言われた装備、細かく言われたんですけれども、おおむね原発事故の方で、災害救助とか地域住民の捜索活動とか救助活動といったものの装備では少し足りないような気がします。  防護服とか何十着と言っていますけれども、御承知のとおり、あの双葉郡、それは田舎だといったって何万人もいたわけですよ。これではまだ足りていないんじゃないんですかね。再度答弁をお願いします。
  236. 下条みつ

    大臣政務官(下条みつ君) おっしゃっているとおりのところもあるとは思います。完全に全部十分に充足されていないというふうな認識もありますが、その装備の中で最大限に先般は対応させていただいたというふうに承知しております。
  237. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 先般ではなくて、今後、ではどうしていくかということではもっと必要なんじゃないんですか。先ほどの定員の問題もありましたけれども、やっぱりこれもう三月十一日経てしまった上では、通常業務以上のことを自衛隊方々にやっていただきました。これはもう国民が、全世界がしっかり見ていますから、あれは通常業務以外で、今後は通常業務しかやりませんというわけにはやっぱりいかないと思うんですね。  新たな任務をしっかり自衛隊が取っていけるように、定員の問題、装備の問題も含めて、これは逆に国会でもしっかり、そういう意味では予算獲得からそういったことから、我々もしっかり支援をしていくというか支持をしていかなければいけないと思っていますけれども。  そういう意味では、先ほど佐藤委員が言われたとおり、安全、安心という意味では、一たび何か起きたときに、いや、自衛隊なかなかそこまでしかできませんよということではまさに国民の安心につながっていかないというふうに言わざるを得ませんし、また、日ごろ国民の命を守っていく自衛隊が、そこはちょっと守備範囲としては弱いんですというふうに言わざるを得なくなってしまいますから、これはやっぱり万全の体制でやっていただきたいと思いますし。  次、ちょっと大臣にお伺いしたいんですけれども、これはある意味、今の警戒区域というところは、領土を失われたんですよ、奪われたんですよ、東電と国の責任において、放射性物質というものによって。何もほかの戦争とかいろんな紛争で領土が奪われるという話とは別に、これも私は領土を奪われたというふうに思っていますよ。  こうしたものを守るという一つの任務が自衛隊にあるわけです。県警だってあんな軽装備で一生懸命やったんですよ。やっぱり、よくよく私も現場を見てみれば、自衛隊以上の装備を持っている部隊というのはなかなかない、あり得ない。そういう意味ではしっかりと、ここはまさに放射能というものに戦争を仕掛けられたというふうに私は思っていますから、そうした認識の下で、大臣、これどういうふうに考えますか、原発事故対応というもの。
  238. 森本敏

    国務大臣森本敏君) 自衛隊が始まって以来、この種のいわゆる原発事故というものに対して自衛隊が持っておる装備で本格的に取り組んだ、私は初めての事例であったと思います。大変教訓も多く、かつ今後改善すべき点が幾つか残ったことは確かでございます。  国内のこの種の極めて深刻な事態に今後自衛隊として、今まで少し装備や知見など足らなかったものをこれから補い、改善し、できるだけこの種のリスクというか危険に対応できるように自衛隊としてもその能力向上を図りたい、このように考えております。
  239. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 是非、この原発事故はまだ収束をしていませんし、現在もだから領土を奪われたまんまでありますから、いわゆる今後においては、除染とか、先ほど佐藤委員も指摘した四号機の問題とかもありますから、今でもしっかり自衛隊が、これ予算計上しっかりしていただいて、現時点でも的確な対応ができるような方策をすぐ行っていただかなければいけないと思いますので、早期の検討をお願いをいたします。  関連して、所信の中に、国際緊急援助活動等についても言及をされておりますが、先ほど言ったとおり、こうした原発事故で国際救助隊は福島県相馬市の五人しか来ていないんですよ。じゃ、自衛隊も国際救助へ行きました。でも、原発事故で行きましたとき、いや、なかなか駄目ですというわけにもやっぱりいかないと思うんですね。  そういう意味では、そこまで国際援助活動もしっかりやっていくという意味では、しっかりこういう原発事故対応を取れる部隊を明確に自衛隊の中につくって、それは定員とか予算の問題もありますけれども、是非これは防衛省の方から御提言をいただいて、国際的に貢献できるような体制整備も併せて、これ国内の対処だけではなく、国際的な対応、これは日本は脱原発依存か、脱原発か原発推進かまだよく分からない状況、政治状況にはありますが、私の党は脱原発依存と明確に言っていますし、さはさりながら、世界各国には原発が多数あります。福島県での事故、またそれに相応するような事故が起きないとも限りません。それは、他国で起きても近隣で起きればこれは日本にも不利益を被るわけですから、そうした他国の原発事故対応するということも自国民を守るということにもなります。  そういう意味でも、国際的な援助活動の際にも活動できる、そうした原発対応部隊も必要だというふうに併せて提言をさせていただきますが、御所見をお願いします。
  240. 森本敏

    国務大臣森本敏君) 自衛隊は、海外において大規模な災害が発生した場合に、その被災国の要請を受けて、必要な場合、外務大臣と協議をして、自衛隊をいわゆる国緊法に基づいて国際緊急援助隊に従来から派遣して活動するということをやってまいりました。  しかしながら、先生指摘のように、現時点で国際緊急援助活動というものの活動としていわゆる原発の事故対応自衛隊が海外で行うということは、第一義的に今はまだ想定していません。しかしながら、御指摘のように、アジア諸国にはどんどんと原発が増えてくる、いついかなる事故が起こるかも分からないということもありますので、我が国自衛隊能力向上を図りつつ、これは自衛隊だけではできませんが、関係省庁と十分に検討して、今後、いわゆる国緊法に基づく国際緊急援助隊活動としてどのように取り組むのかということについては政府部内で検討していきたいと、このように考えております。
  241. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 現時点で、楢葉のJヴィレッジで青森の部隊が除染のことをやっています。これも、だから大変なんですよ、青森と行ったり来たりで。だったら、もう二十キロ圏内に常設して、先ほど知見を高めなきゃいけないと大臣も言いましたから、しっかり知見を高めて、もう常設の部隊にして、それも予算をしっかり獲得してやっていただくということが、これは国際的な信用、安心を高めるためにも、これは自衛隊役割の方向性の一つだと思いますので、是非その点も併せてお願いをさせていただきます。  次に移りますが、日米同盟の深化、拡大、これはしっかりしていかなければいけないというふうに私も思います。  それで、今までグアムとか様々なところで海外での共同演習とかもありましたけれども、昨今、初めてになるかというふうに私は認識していますが、サイパンでの演習も取り組んでいくということでありますけれども、今後の日米同盟の深化、拡大という中で、とりわけこういった海外での演習等というのはどのような方向で進んでいくのかお示しください。
  242. 森本敏

    国務大臣森本敏君) 日米同盟を深化させるために、日米がそれぞれ役割分担を決め、その中で日米間で協力できる内容を、いろいろな方面から共同演習、共同訓練を行うというのは、これは同盟を深化させるために是非ともやらなければならない手段というか手だてであり、従来から日米間でこの問題に取り組んできました。  近年では、これをできるだけ日米だけではなくて、例えば日米・韓国、日米・豪州、あるいはこれからは日米・インド、日米・ASEANなど、日米・ASEANについては既にASEAN中心に多国間の訓練に取り組んできていますけれども、つまり、日米の同盟を基軸とする能力向上を図るため、できるだけ多国間の演習や訓練を拡大する、こういう方向で能力向上を図るように取り進めたいと、このように考えております。
  243. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 大臣が私の質問を先取りしてしまったんですが、そういった意味では、アジア太平洋地域の安定に向けた取組として多国間の防衛協力・交流を図っていくということも所信で述べられていますが、多国間というのは今言われた、韓国、オーストラリアとかは二国間でやっていくということを言及していますが、多国間はインドとかASEANといった国々という認識でよろしいんでしょうか。プラスアルファするところはありますか。
  244. 森本敏

    国務大臣森本敏君) いや、この種の多国間訓練というのは我が国の国益に合致するということが非常に重要で、単に多国間で訓練や演習をやればよいというものではなく、どのような訓練をしてどのような能力向上を図るかということについて明確な我が方に基準をきちっと作って、しかる後に、個々の訓練がいかなる目的でどのような能力向上を図れるのかということを念頭にこれから進めていくということです。  従来、日米安保体制に基づいて、日米間で各種の共同訓練、共同演習を続けてきたことは確かですが、今日、アジア太平洋全域を見渡すと、二国間だけというより、むしろ多国間で、日米が軸になってその他の国を含めた多国間訓練を進めることによって、地域の安定のためにいろいろな能力向上し、かつ結果としてそれが抑止力向上に寄与するという方向を目指して訓練を目指していきたいと、このように考えており、またこれが正しいやり方なのではないかというふうに思います。
  245. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 とりわけ、このアジア太平洋地域というのはデリケートな問題も含んでおりますし、過日、石井一会長を先頭に日本・フィリピン友好議員連盟でフィリピンを訪れたときに、また議連の活動とは別に、自民党の先生方とコーストガード、フィリピンのコーストガードをちょっと視察をさせていただきました。折しも、巡視船を日本が供与をするというニュースが流れたところであって、非常に意を強くしていた、フィリピン側がしていましたけれども。  やはり、フィリピンと中国の問題でもなくて、この手の問題はやはりアジア全体の問題として安定化を図っていかなきゃいけないというのは、フィリピンと我々日本の議員とも共有をしたところでありますので、やはり今大臣おっしゃられたとおり、これは単純な話ではないというふうに思いますから、しっかりとやるべきことをやっていく、正しいことをしっかり行っていくということが大切だというふうに思いますし、とりわけフィリピン側は、日本の活動の評価と、あと期待は大きかったということはこの場をお借りしてお伝えさせていただきます。  次に移ります。普天間の問題ですが、ちょっと古い話になってしまいますが、一九九六年、橋本政権下において、高知県の宿毛港湾も一つの選択肢に上がって、これはまた消えたわけでありますけれども、さらには、二〇〇七年、八年、地元が、全て一致したわけではありませんが、誘致活動に少し声を上げたところでもあります。かつては連合艦隊が停泊していた有数な天然の港湾でもありますし、また、二〇〇七年ですね、大臣と石破茂議員、民主党の長島昭久議員が、「国防の論点」というPHP研究所の月刊誌で、雑誌で、これは別に普天間のことに絡んではいないんですけれども、佐世保だけでは事足りないんだと、やっぱり宿毛湾も非常にこれは港湾として有用性があるということを大臣はその当時言及をされております。  九六年度も頓挫して、二〇〇七年、八年、地元でも盛り上がって、頓挫はしているわけではありますけれども、やっぱり沖縄の負担軽減ということを、あらゆる選択肢を検討するという意味においては、この宿毛湾ということに関して、大臣は当時は非常に有用性を研究されておりますので、改めて、この宿毛湾というものの評価、また、この沖縄の負担軽減の選択肢に入ってくるのかどうか、可能性だけでも聞かせていただきたいと思います。
  246. 森本敏

    国務大臣森本敏君) 宿毛湾を普天間飛行場の代替というコンテキストで考えることは、普天間の代替施設の要件、満たすべき要件を必ずしも満たさないので、現時点で適切だとは考えてはいませんが、宿毛湾は米軍が日本のいろいろな施設・区域を使うときに使用可能な一つの候補地ではないかなとかつて考えたことがあり、現に私も宿毛湾に国会議員の方々と見に行って、これが天然の良港であり、今お話しのように連合艦隊がここに、さきの大戦の前後ですか、宿毛湾という天然の良港を連合艦隊がすっぽり入って使っていたということをも承知していますので、そういうことがあり得る港が、何もこの湾だけではなくて日本にまだ相当あるということは承知しています。  ただ、今の時点でこれが在日米軍にアベイラブルというか、利用可能な施設であるかどうかということについては、これはまだ全く私の個人的な印象だけであって確定されたものではなく、ただ、施設そのものの整備の状態から見てこれは現実問題として非常に難しいなという印象を持って帰ったわけであります。
  247. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 もちろん地元でも賛成、反対があって、賛成派は、いわゆる港湾だけではなくという意味では、四国西南空港整備とセットでやったらどうかということで賛成している方々がいるということでありますので、これはもちろん地元のコンセンサスも得なければなりませんし、そういう意味では地元意見の集約というのも大事かと思いますが、大臣が我が党の勉強会に来ていただいて、高知県ではありませんけれども、隣の宇和島の桜内議員のこうした提案に対して、そのときも前向きな提案として受け止めていただいたものですから、今日質問をさせていただきました。  いずれにしても、いろんな手だてを講じてこの沖縄の基地の問題は解決をしていかなければならないということは私も認識をさせていただいておりますので、今後とも議論をさせていただきたいというふうに思いますし、また最後に、是非、この原発事故領土問題だというような、ある意味、意味合いで今後、大臣も先頭に立って対応お願いしまして、質問を終わらさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  248. 山内徳信

    山内徳信君 社民党・護憲連合の山内徳信でございます。  森本大臣も戦中世代です。私も戦中世代でありまして、随分もう戦中世代は少なくなってきたなと、こういう感じもいたしますが、私は、通告はしてございませんが、大臣の憲法認識について共有をしておきたいと思いましてこの場で最初にお伺いいたしますが、かつて大臣は、テレビを通しまして、集団的自衛権は合憲であるという趣旨のお話をされたことがございました。現在、野田政権防衛大臣という立場にございます。憲法九十九条は憲法尊重擁護義務がうたわれておりますが、現在、防衛大臣は、集団的自衛権は合憲であるという御認識でいらっしゃるのかどうかをあらかじめ伺っておきたいと思います。
  249. 森本敏

    国務大臣森本敏君) いわゆる集団的自衛権という問題は、我が国の憲法解釈上これを使用することが許されていないということを理解しております。
  250. 山内徳信

    山内徳信君 現在の憲法上はそれは許されていないと、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますね。──はい。  それでは、質問通告では五番目に通告してございますが、これも沖縄の実態を共通認識をしておく必要があると思っての質問でございます。それは、やはり富士山を飛行機から、乗って雲の上から富士山を見る人と、あるいは麓から、富士五湖辺りから見る人では、富士山についてのやはり見方あるいは偉大さ、これ違うんだろうと思います。  そういうこともありまして、本土の皆さん方、あるいは防衛省外務省の官僚の皆さん方が、沖縄の基地の実態はやはり基地を維持する、あるいは米軍の配備を円滑に進めるという雲の上から見ておるんですね。ところが、沖縄の人々は六十七年間も基地の被害を受け続けてきておる。そういう立場からの認識の違いが余りにも大き過ぎる。  そういう意味で、質問の五番目は、復帰後四十年たっておりますが、この四十年の間に在沖米軍基地から発したアメリカ軍の飛行機が何度も墜落事故を起こしておりますが、その状況は数字の上ででもよろしゅうございます、それは掌握をしておく必要があると思っての質問でございます。どうぞ、ヘリコプターが何件、固定翼の飛行機が何件墜落したかということを大臣の口を通して明らかにしておいていただきたいと思います。どうぞ。
  251. 下条みつ

    大臣政務官(下条みつ君) 先生、お答えさせていただきます。  本土に復帰した四十七年以降、米軍機の墜落事故は、県の統計によれば計四十三件であります。その内訳は、ヘリコプターが十六件、固定翼機は二十七件だと承知しております。  米軍に対して、隊員の教育は安全管理の徹底を今後とも引き続き努めてまいるように働きかけていきたいというふうに思います。
  252. 山内徳信

    山内徳信君 今、下条さんから件数のお答えがございました。ヘリコプターが十六件、固定翼が二十七件の合計四十三の米軍機が墜落事故を起こしておるわけです。その実数をお聞きになって、大臣はこれは異常とお感じになられたのか、これが普通とお感じになられるのか、お気持ちだけ承っておきたいと思います。
  253. 森本敏

    国務大臣森本敏君) これは、過去四十年にわたる事故のトータルの数字を県が明らかにしたものですが、全体を比較しないで印象を申し上げるのはなんなんでございますが、明らかに本土にある在日米軍機の機数と沖縄配備されている機数とを考えてみても、この事故の件数は大変大きい数字だなという印象を持っております。
  254. 山内徳信

    山内徳信君 復帰前の墜落事故二つだけ、是非大臣にも知っておいていただきたいと思って申し上げます。  一つは、現在のうるま市、かつての石川市の宮森小学校に一九五九年の六月三十日に墜落いたしました。小学校にジェット機が、嘉手納飛行場を飛び立ったジェット機が学校に墜落したんです。もちろん、その手前の民間住宅も全部焼き払って、学校の校舎にぶつかって止まったんです、機体は。  それからやっと六十年、五十年の歳月がたって初めて遺族の人々が口を開いて、あのときの体験を語り始めたんです。もっと前に、その体験を本にしたいというかつての石川市民が動いたんですが、君たちは、なぜうちの娘、息子が死ななければいけなかったのかと、そういうことを県民全体としても市民全体としても食い止め切れなかったから、今あなた方に語る気持ちにはなれないと、そういうふうに追い返されたという話を私は聞いておるんです。  私は、その日の午後、すぐ現場に駆け付けてまいりまして、その小学校の門の横に私の友達が住んでおりまして、彼は生きておるかなと思って行きました。幸い、死ぬことはありませんでしたが、全体として百二十名ほどの死傷者が、けが人を含めて、死傷者が出たんです。ですから、これは、こういうことを沖縄の人は知っておるんです。  ベトナム戦争のころ、今の嘉手納町の少し東の方の屋良という地域がございまして、そこに、爆弾を満載していたB52がベトナムに飛び立とうとして離陸できずに、そこで滑走路の横に滑ってきまして、積んでいる爆弾を全部爆発するんです。午前四時ごろだったと記憶しておりますが。そして、周囲の多くの人々は戦争が始まったと、弾薬庫に敵の爆弾が撃ち込まれてきたんだというふうにしか受け止めることできぬで、みんな外へ外へと逃げていく状況があったんですね。  そういうことをまず是非知っておいていただいた上で、通告の一番目の、十七日のこれ日曜日でございましたが、普天間飛行場へのMV22オスプレイ配備反対の市民大会が開かれました。市長が実行委員長でございました。県知事はメッセージを送っておられました。そして、市内の議会、各種団体長が副実行委員長を務めて、そして青年代表は大学生、高校生代表は女生徒でございましたが、みんな悲痛な訴えをしておるんです。聞いていても、聞いておる人がたまらないほどのそういう悲痛な訴えをやっております。そして、老人クラブの代表の方は、私たちが生まれた墳墓の地はあの普天間飛行場の中にある。集落も幾つもあったわけです。私たちはそこに帰りたいと。生きておる間に戦前生まれた墳墓の地に帰りたいと、帰してくれと。そこにオスプレイが来たら、ますます普天間の返還は難しくなると。こういう悲痛な訴えでございました。  そして、私は、外交防衛委員会としても、普天間の滑走路のすぐ先の方に普天間第二小学校とあるんです。そこの児童たちは、校舎は防音校舎ですが、グラウンドはそのままですから、体育の時間は飛行機が飛び立つ、飛行機が着陸をするときは、その運動場、グラウンドにしゃがんでうずくまって耳をふさいでうつむいておるんです。これは恐怖の中にさらされておるんですよ。そういう状態があの普天間飛行場の周囲、宜野湾市ということになるわけです。  ですから、ラムズフェルドが来られて、彼は飛行機からそこを見たときに、これは大変だと、すぐ動かせとおっしゃった。そういうふうにして大きな動きになって日米は、橋本総理、モンデール大使は、五年ないし七年の歳月をかけて動かそうと、これが日米合意なんです。危険から、恐怖から人々を救おうというのがやはり普天間のスタートなんです。ところが、それから十六年の歳月がたっております。  したがって、是非、民間から入られた大臣、そしてそれについての知見を持っていらっしゃる大臣、ところが、安全保障論、抑止力論、地理的優位性を云々をして、ひたすら沖縄に押さえ込んでおくと。日本全体あるいはアメリカを含めて、太平洋を含めて考えていくならば、普天間は必ず外に移せる場所があると。ないと言うならば、防衛省が、外務省が、それは日本の政治、とりわけ官僚たちの怠慢であると。私は、新しく就任された森本防衛大臣にはそういうふうに指摘を申し上げます。  したがって、官僚たちも、自分たちが進めてきたものを何が何でも辺野古、辺野古と言っておると、あと二十年になります、あと二十五年たちます。そういうふうなことでは政治が存在するという意味が問われます。政治、政府が存在する意味が問われると思います。そういうことを是非森本大臣は肝に銘じていただきたいと思います。  そして、今の私の訴えに対して、宜野湾市を訪ねたい、第二小学校を訪ねたい、ヘリコプターが墜落した沖縄国際大学辺りを訪ねたい、訪ねたい、そういうお気持ちになられると思いますが、お気持ちをちょっと伺っておきましょう。
  255. 森本敏

    国務大臣森本敏君) お話を非常に深刻に承りました。沖縄がずっと復帰前、復帰後以来、米軍の存在というものに皆様方の生活あるいは安全というものが脅かされ、今日に至っていることを大変私も重く受け止めています。  今回のオスプレイ事故もそうですが、今日の昼、ちょうど昼の休みの時間、宜野湾市長が直接おいでになり、今回の市民大会の内容、五千二百名の方々がどのような訴えをしたのかということをつぶさに市長からもお伺いし、決議案は後で送っていただくということのようですけれども、直接、市長から訥々とお話伺いました。  決して私は、普天間の合意をひたすら沖縄に押し込んでいくなどということは全く考えておりません。どのように沖縄方々理解をしていただきながらこの問題を一歩でも進めていくのかということについて、真摯にこの問題を受け止め、この問題について取り組んでいくつもりです。  先月、沖縄国際大学に行って、前の学長と、何度も行くたびにお会いするんですが、実は来月、沖縄国際大学の大きな講堂を使って市民の方々に普天間問題を聞いていただく手だてをやって、我部教授と私が共同議長でやるという約束をして帰ってきたところ、今回大臣になってこの希望は果たせないのですが、今回は、今の問題の、オスプレイ事故についてアメリカ側からしかるべき情報がもたらされたら、これをもって沖縄県知事宜野湾市長を始め宜野湾市を中心に沖縄に行って皆様に率直に語りかけ、問題の所在を直接私の口から説明したいと、かように考えているところでございます。
  256. 山内徳信

    山内徳信君 これが十八日の地元紙の大会の写真でございます、これが。そして、これは新報でございますが、タイムスも同じように大会の模様を写真にしております。防衛省にも沖縄の新聞は届いておると思いますから、是非目を通していただきたいと思います。  私は、政治の責任、行政の責任は、人々の生命と財産と安全を守るのが一番であると思います。そういうものができない政治は、政府は、そういう政府の名に値しないとあえて強く申し上げておきます。そして、日本が、私は日本は民主主義社会と思っておるんです。そういう民主主義社会でありますから、是非、世論とか民意を大事にする、これが民主主義社会の基本だと思います。民意を尊重されるお気持ちはございますか、大臣
  257. 森本敏

    国務大臣森本敏君) 民主主義下において、民意を大事にし、民意をいかに政治の場に実現していくかということは、これは政治家の皆様のみならず、我々役所で政策を担当している者のひとしく持っておる重要な責務であると、かように考えております。
  258. 山内徳信

    山内徳信君 今回のオスプレイ配備を契機にして、そして六月の十日の沖縄県議会議選挙の後の各党代表は、みんな意見が一致しました。オスプレイ配備反対で一本にまとまっておるんですよ。そういうふうに、県民意思はもう一本化が実現をいたしました。恐らく、今日要請に来られた沖縄県知事宜野湾市長さんも、これは強い要請だったと思います。  そこで、私は申し上げます。私は、アメリカの民主主義、アメリカのあの人権を大事にしようという、あの国は私は好きなんです。私はアメリカにも何名か友人がおるんです。そこで申し上げますが、そういう日米関係、皆さんの言葉は日米の深化とか、日米同盟の深化とおっしゃるんですが、やはり私たちは、日本国民とアメリカ国民が人間として尊敬し、信頼し合えるような関係でなければいかぬと思います。沖縄は植民地みたいなものだから、沖縄アメリカ軍が占領したその島だから、六十七年たっても六十八年たっても依然として強引に押し付けようとするならば、第二の島ぐるみの闘いが始まるということを森本大臣にあらかじめお伝えをしておきたいと思います。  私は、第一の島ぐるみというと、あの朝鮮戦争が始まると同時に沖縄の基地は戦後どんどんどんどん拡張されていったんです。そのときに彼らは、反対をする人、この家に火を付けるな、ブルドーザーでこの石垣を壊すなと言ってこう立ちはだかると、彼らは銃を持ってきたんです。彼らはブルを持ってきてどんどん壊していったんです。そのときに当時の沖縄の人々は、ブルの前に、戦車の前に、銃剣の前に立ちはだかったんです。これが第一回目の島ぐるみの闘争です。  そして、第二回目の今回の島ぐるみの闘争に入らないようにするためには、是非民意を尊重してください、沖縄の声を尊重してください。尊重することが民主主義の政治なんです。そういうふうなことをお願いを申し上げます。  今のことについて、是非コメントをいただいておきたいと思います。
  259. 森本敏

    国務大臣森本敏君) アメリカは、まさに先生の御指摘のとおり、民意を重んじる民主主義国であります。そのことにはもう一点の疑念もないと思います。しかし、同時に、アメリカの民主主義というのは、多くの国民の安全、多くの国民の平和を守るために、いかなる脅威、いかなるリスクにも断固として対応して国家と地域の安定を守る、このことについても同時に極めて強い覚悟を持っておる国であると思います。したがって、民意というものと国家の安定、国民の安全をどのようにして守るために、二つの大きなテーマを調和させながら政策として進めていくかということを非常に重視している国であると私は理解しております。  その意味において、民意だけでアメリカが動いているというふうには私は考えてはいません。民意をできるだけ尊重しながら、アメリカにとってはアメリカの国益を、日本にとっては日本の国益を追求する、そこにどのように折り合うのかということがまさにその政策の大きな課題で、政策の選択というのはその真ん中に存在するんだろうと思います。  私にとっては、とにかく沖縄方々の民意を尊重すると同時に、今、先ほどからお話があったように、市街地の中にある危険性の高い普天間飛行場を一日一分でも早く日本側に返還してもらう、これを実現するためにどのような努力があり得るのか、これを自分の任期を通じて追求していきたい、かように考えているわけでございます。
  260. 山内徳信

    山内徳信君 終わります。ありがとうございました。
  261. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後三時十八分散会