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2012-03-27 第180回国会 参議院 外交防衛委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十四年三月二十七日(火曜日)    午後一時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         福山 哲郎君     理 事                 風間 直樹君                 広田  一君                 佐藤 正久君                 島尻安伊子君                 山本 香苗君     委 員                 加藤 敏幸君                 北澤 俊美君                 佐藤 公治君                 榛葉賀津也君                 田中 直紀君                 山根 隆治君                 猪口 邦子君                 宇都 隆史君                 岸  信夫君                 山本 一太君                 山本 順三君                 山口那津男君                 小熊 慎司君                 山内 徳信君                 舛添 要一君    国務大臣        外務大臣     玄葉光一郎君        防衛大臣     田中 直紀君    副大臣        外務大臣    山根 隆治君        防衛大臣    渡辺  周君    大臣政務官        外務大臣政務官  加藤 敏幸君        防衛大臣政務官  下条 みつ君    事務局側        常任委員会専門        員        矢嶋 定則君    政府参考人        内閣官房東京電        力福島原子力発        電所における事        故調査検証委        員会事務局長   小川 新二君        内閣官房原子力        安全規制組織等        改革準備室長   森本 英香君        内閣大臣官房        審議官      幸田 徳之君        警察庁長官官房        審議官      沖田 芳樹君        文部科学省国際        統括官      倉持 隆雄君        資源エネルギー        庁原子力安全・        保安院審議官   根井 寿規君        海上保安庁次長  桝野 龍二君        防衛省防衛政策        局長       西  正典君        防衛省運用企画        局長       松本隆太郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○外交防衛等に関する調査  (北朝鮮による「人工衛星」打ち上げ予告への  対応に関する件)  (弾道ミサイル等への対処に関する件)  (防衛大臣の職責に関する件)  (核セキュリティに関する件)  (福島第一原子力発電所事故への対応に関する  件)  (ODAに関する件)  (在外公館の整備に関する件)  (普天間飛行場移設問題に関する件)     ─────────────
  2. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外交防衛等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房東京電力福島原子力発電所における事故調査検証委員会事務局長小川新二君外八名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 外交防衛等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 広田一

    広田一君 民主党・新緑風会の広田一でございます。  当委員会につきましては、不十分ではございましたが、答弁では何度か立たせてもらいましたが、質問では初めてでございますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。  まず、北朝鮮によります、括弧付きでございますが、「人工衛星」の打ち上げについてお伺いをしたいと思います。  この発表につきましては、強く抗議をし自制を求める決議が先週の三月二十三日の参議院会議において全会一致決議がされたところでございます。これに対しまして野田総理は、政府として、北朝鮮発射を行わないよう強く自制を求めること、また米国、韓国を始めとする関係国などと緊密な連携に努め、事態を注視しつつ、冷静かつ適切な対応を取るという旨の所信を述べたところであります。その後の参議院予算委員会におきまして、公明党の山本理事質問に対しまして、冷静かつ適切な対応の中に参議院が求めました万全の体制を構築することも含まれると明言をしたところでございます。  無論、北朝鮮弾道ミサイル発射自制し断念するのが一番でございますが、そのためには、何よりも北朝鮮に対して発射自制を求める働きかけ、これを継続、強化することが重要でございます。野田総理も、核セキュリティサミット出席機会をとらえて働きかけをするとの決意表明もあったところでございます。  そこで、まず玄葉外務大臣にお伺いをしますけれども、既に全力を挙げて事に当たっているとは思いますが、特に今回のこの参議院決議を受けましてから自制を求める働きかけを何をどう具体的にされたのか、若しくはされようとしているのか、このことを含めて決議に対する大臣所信をちょうだいしたいと思います。
  6. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 参議院決議を受けまして、まず、例えば外務省ではアジア大洋局長韓国に派遣をして緊密に連絡を取り合うなど、今後とも関係国と緊密に連携を取りたいと思っておりますし、現在、野田総理がソウルに核セキュリティサミットに行っております。時間の制約はあるんですけれども、もう既にオバマ米大統領、そして中国の胡錦濤国家主席、そしてあとはインドのシン首相などとは懇談をして、いわゆる発射の問題で連携確認をしているところでございます。
  7. 広田一

    広田一君 では、引き続きまして、全力を挙げて取り組まれるよう強く要請をしたいというふうに思います。  次に、防衛大臣にお伺いをいたします。  本日、防衛省防衛会議開催をしまして、いわゆる準備命令を発出したと承知をしているところでございます。その命令概要も含めまして、ミサイル発射に備えて万全の体制を構築する中心となる田中防衛大臣所信をお伺いをしたいと思います。
  8. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 防衛省といたしましては、参議院決議の趣旨も踏まえ、北朝鮮発射した場合に備え、国民の生命、財産の安全を確保するため万全の措置をとることが必要と考えております。このため、本日、弾道ミサイル等破壊措置準備のための命令を各部隊指揮官に発令したところであり、弾道ミサイル等破壊措置命令実施に向けた準備を開始することといたしました。  準備命令概要につきましては以下のとおりでございます。航空隊司令官には、PAC部隊の具体的な展開候補地調査実施などの命令実施のための準備を命じました。また、自衛艦隊司令官には、BMD対処能力を有するイージス艦等による準備を命じております。西部方面総監には、当該飛翔体落下時の被害を局限するために必要な措置に関する調査を命じたところでございます。  引き続き、安保会議準備を進めまして、今週中には開催ができるように努力をしていくという段取りで臨んでおるところでございます。
  9. 広田一

    広田一君 引き続き、万全の体制を取られるよう、よろしくお願いを申し上げます。  これに関しまして一点御指摘をしたいというふうに思いますが、いわゆる今回の準備命令について、前回の〇九年においてはこのことについては公表をしておりません。しかしながら、今回は公表をするというふうな形になったわけでございます。対応が異なっているわけでございますが、公表をしない理由公表をする理由、双方に説明責任が求められるというふうに思います。このことについては指摘をしておきますので、是非よろしくお願いをしたいと思います。  次に、北朝鮮によるいわゆる人工衛星の打ち上げの意図についてお伺いをいたします。  前回、〇九年四月五日のミサイル発射について、防衛省は、弾道ミサイル性能向上に必要となる技術、すなわち推進部大型化、多段階推進装置分離姿勢制御、また推進制御等について、〇六年のテポドン2の発射失敗と比較をしますと、北朝鮮弾道ミサイルの長射程化を進展させたと考えられると分析をしていると承知をしているところでございます。  それから三年が経過したわけでございますけれども、この間、更なる技術向上が図られた可能性があると考えますけれども、軍事技術的な観点から今回の発射意図をどう認識しているのか、防衛省にお伺いをいたします。
  10. 西正典

    政府参考人西正典君) お答え申し上げます。  今般のいわゆる人工衛星の打ち上げの意図、また目的でございますが、これは、北朝鮮が極めて閉鎖的な体制を取っております国であり、防衛省として断定的なことを申し上げることは困難でありますことを先生も御承知のことかと思います。  他方一般論として申し上げますと、弾道ミサイルであれ、また人工衛星であれ、その開発のためには、先生指摘のように、多段階にわたる推進装置及びその分離技術、また姿勢制御、それから推力制御、こういった技術の実験、開発、必要となってまいります。これはいずれでも共通でございます。  ですので、発射目的が那辺にあるにせよ、私どもといたしましては、今回北朝鮮発射するものに関しましては、弾道ミサイル開発のために必要となりますこういった技術を検証し得る機会というふうに考えております。また、発射によりまして北朝鮮弾道ミサイル開発の進展をチェックすることも可能ですし、また彼らなりに進展した結果を検証し、納得するということもあろうと思っております。  防衛省といたしましては、こうした観点から、引き続き、その情報収集分析に努めてまいる、このように思っております。
  11. 広田一

    広田一君 確認なんですけれども、つまりは、例えば命中精度向上であるとか更なる長射程化、こういったことの向上が検証できると判断をして決心したと理解してもよろしいんでしょうか。
  12. 西正典

    政府参考人西正典君) 長射程化の問題に関しましては推力にかかわってくることですので、今回のミサイル発射を見ることによって相当分かると思います。  他方命中精度の問題、これは弾道弾の場合、再突入能力に懸かってまいります。ですので、再突入に関して、これは今回の弾頭がどういう形のもので、それをまた人工衛星として軌道に乗せるのか、それともリエントリーを図るふうにするのか、それによって技術の出方が違ってまいります。再突入を図る技術、それ自体全く別の難しい技術でございますので、私どもそういった能力に関して注目をしておりますけれども、今回の衛星発射の中で彼らがそういった技術を検証するのかどうか、そこまではちょっと私ども分かりかねております。
  13. 広田一

    広田一君 いずれにしましても、更なる情報収集等を含めて警戒監視の方もよろしくお願いを申し上げます。  次に、今回の発射北朝鮮政治的意図について外務省にお伺いをしたいところでございますけれども、昨日の質問通告したときには、なかなか答弁しづらいというふうなお答えが来たところでございます。  これは、北朝鮮の国内的にいえば、四月十五日が故金日成主席生誕百周年になって国威発揚的な意味はあろうかと思います。しかしながら、今回発射をすることによって三回目の米朝の対話の成果、これに冷や水を浴びせることにもなりかねませんし、また現在、韓国総選挙が直前でございますので、韓国世論が非常に硬化していく、こういったところも考えられるわけでございます。  そういうことを勘案した場合に、なぜこの時期にこのようなことをするのかというふうな意図については、是非、外務省としましてはきちんと情報収集をし、分析をし、評価をして取り組んでいるというふうに理解をしておりますので、どうか、申し上げにくいということは重々承知をしておりますので、この意図についても、しかしながら十分検証していただきますように、よろしくこの点についてはお伺いをします。  次に、関係諸外国の対応状況、これについては是非御答弁お願いをしたいと思っております。  この北朝鮮が設定しました発射イメージ落下海域、これを見ますと、落下海域の一に近いのが韓国でございます。そして、落下海域二に極めて近いのがフィリピン、そして上空を通過するのが台湾であります。そうしますと、我が国同様、それらの国々等も同様に危機感切迫感を持って事に当たっているというふうに考えられますけれども、それぞれの政府、議会、軍、どのような対応を図っているのか、外務省にお伺いをいたします。
  14. 山根隆治

    ○副大臣山根隆治君) 最初の御質問、お伺いしますという言葉が最後に残っていたんですけれども、御質問になったのかなと思っておりますけれども北朝鮮意図をどういうふうに分析するかということでございますが、委員が既にお話もありましたように、防衛省の方からもお話ございましたように、北朝鮮側意図や狙いといった点につきましては云々することは差し控えたいという立場でございますので、御理解いただきたいと思います。  金正日国防委員長が亡くなったときに、この国は一体どうなっていって、何が起こるのかということの心配というのは世界各国が共有したわけでございますけれども、そのとき私たち外務省といたしましては、やはりアジアに位置する、アジア北朝鮮という風土といいましょうか、というところから、民族性からも考えても、いろいろな節目節目での何が起こり得るかということに注目したいということも私自身からも発信させていただいたところでございます。  やはり、先般の北朝鮮自身発表の中でも、金日成生誕百周年を迎えて人工衛星を打ち上げるということを述べているわけでありまして、委員も先ほど触れられましたけれども、四月十五日には金日成国家主席生誕百年、そして二十五日には朝鮮人民軍創建八十周年といった節目を迎えるわけでございますので、そうした折々にも私たちは目を離すことができないだろうと、注目していきたいというふうに思っているところでございます。  さて、二つ目の御質問でございますけれども、それぞれ近隣の国々においてはどのような対応をするのかということにつきましては、個々の国々のいろいろな公的な発表がありますので、それを基に御答弁させていただきたいと思うんでありますけれども韓国外交通商部及びフィリピン外務省は、今回の北朝鮮による人工衛星と称するミサイル発射予告に対して、それぞれ深刻、重大な懸念を表明をされておられます。かかる発射が行われれば国連の安保理の決議に違反であるということで、北朝鮮に対して発射を中止するよう求めている立場表明というものがあります。  そしてまた、台湾についてのお尋ねもございましたけれども台湾については、現在まで、ぎりぎりのところまで確認をいたしましたが、何らかの立場表明しているというふうには承知をいたしていないところであります。
  15. 広田一

    広田一君 どうもありがとうございました。  次に、田中防衛大臣は、〇九年四月の発射経緯教訓を踏まえて今回の事案対処する旨の発言をされているところでございます。前回の最も大きな反省点は一体何だったのか。その大きな反省点は、それは発射前日の四月四日の発射情報誤報情報伝達の不手際であったというふうに思われます。  そこで、この背景と経緯、そして分析結果について、防衛省にお伺いをいたします。
  16. 松本隆太郎

    政府参考人松本隆太郎君) お答え申し上げます。  前回ミサイル発射における誤報についての御質問でございますけれど、前回のそのミサイル発射事案に際して、発射情報誤報については、守るべき情報伝達の手順を怠ったことによるものであり、いわゆるヒューマンエラーだというふうに考えております。具体的な経緯は次のとおりでございます。  まず、誤報があった四月四日、飯岡にありますFPS5レーダー探知情報を受けた際に、SEW米軍早期警戒情報でございますが、これが伝達されていなかったにもかかわらず、航空自衛隊航空隊司令部担当官が、飯岡ミサイル探知、それからSEW入感連絡いたしました。続きまして、この連絡を受けた防衛省中央指揮所担当官が同じ情報マイクで報告したところ、SEW確認されていない状況運用企画局管理職クラスの職員が発射をアナウンスいたしました。さらに、この連絡を受けました官邸危機管理センター連絡官が、統幕連絡幹部発射マイクでアナウンスして、センターへの情報伝達を行いました。  このような誤報が生じた具体的な原因につきましては、まず防衛省中央指揮所におきます早期警戒情報SEWでございますが、これを確認しないままやってしまったということと、それから防衛省中央指揮所官邸危機管理センターに派遣された防衛省連絡官との間でやはりSEWがあったということを確認しなかったということ、それから航空隊司令部からの不正確な情報伝達という複数の人為的なミスが重なったものと分析しております。  そういう意味合いから、私ども、こういった教訓等を踏まえまして、発射情報確認の徹底や、官邸への伝達手段の改善、あるいは情報伝達訓練定例的実施、こういったものをやりまして再発防止策に取り組んでいるところでございます。
  17. 広田一

    広田一君 どうもありがとうございます。  御答弁にございましたように、今回の誤報原因人為的ミスヒューマンエラーということでございますけれども、そうであるとするならば、これも御答弁最後の方にもあったように、その再発防止策の一番の策は一体何なのか、それは訓練の定期的な実施ということになるわけでございますけれども。  そこでお伺いをしたいと思いますが、特に今回の事案対処する関係部局担当官のそういった訓練実施状況、これについてお伺いをしたいと思います。
  18. 松本隆太郎

    政府参考人松本隆太郎君) 訓練実施状況についての御質問がございましたが、関連する部署の間でこういった訓練を、人事異動機会をとらまえまして訓練を行っているところでございます。こういった訓練を通じて、人工衛星発射される場合において適切な情報伝達を行い得るというふうに考えておりますが、一応、そのデータは必ずしも正確なものが残っているわけではないんですが、大体省内で大規模な訓練を年二回程度実施しているところでございます。
  19. 広田一

    広田一君 その年に二回の訓練について、今回の事案対処する関係者等々は参加をされているという理解でよろしいんでしょうか。
  20. 松本隆太郎

    政府参考人松本隆太郎君) 今回の事案が、仮に発射されるであろう四月十二日以降予定されているわけですが、破壊措置命令等が出た場合には、現在の担当者間で当然のことながらこういった訓練をやらさせていただきたいと考えているところでございます。
  21. 広田一

    広田一君 ちょっと私の質問には十分には答えてはいただいてはいないと思うんですけれども、いずれにしましても、これまでの訓練対処教訓等成果が問われるということでございますので、万全を期して取組を進めていただきたいというふうに思います。  次に、今回の対処の位置付けについてお伺いをいたします。  今回の事態を、まず弾道ミサイル発射として認識をするのか、それとも人工衛星打ち上げ用ロケットとして認識して対応するのか、これにつきましては、閣議決定をされております弾道ミサイル等に対する破壊措置に関する緊急対処要領の1の(1)、これに基づいて決定する必要があると思いますけれども、現時点での所見をお伺いをいたします。
  22. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 防衛省、どなたがお答えになられますか。田中防衛大臣
  23. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 弾道ミサイル発射人工衛星打ち上げかの判断に関する御質問ですが、防衛省としては、発射が行われた後に得られた諸情報を総合的に勘案し、弾道ミサイル発射人工衛星打ち上げかを判断することになると考えております。  一方、一般論として申し上げれば、弾道ミサイル人工衛星かを判断するための要素として、例えば、地球周回軌道上の物体の存否、地球周回軌道に乗せ得る速度あるいは飛翔形態弾道ミサイルは放射線を描いて飛翔するわけでありますが、人工衛星打ち上げの場合は一般軌道が平たんで水平飛行段階が存在すると、こういうことが考えられるわけでございまして、そのような違いを判断をして対処すると、こういうことで考えております。
  24. 広田一

    広田一君 大臣、確かにそのとおりだというふうには思いますけれども対処要領に基づけば、これについては決定をした上で対応していくというふうな考え方になっているというふうに思いますので、これは省内においてもきちっと情報収集等をされた上で対応されるというふうに思います。無論、これが衛星発射なのか弾道ミサイルであるのか等々については、事後において分析、検証した上で発表されるというふうに理解をするところでございますけれども、是非よろしくお願いをしたいと思います。  次に、今回、対処範囲をどこまでと設定をするのかについてお伺いをいたします。  これについては昨日の参議院予算委員会でも質疑がなされたところでございますし、このことについては、今回、党内におきまして安全保障研究会議北澤大臣が会長の中で、第一回目の講演会勉強会折木前統幕長の方もこのことについての指摘をしたところでございます。  このPAC3の展開について、田中大臣の方からは南西地域首都圏については言及があったわけでございますけれども、その他の九州や西日本、こういった地域はどう考えるのか、答えられる範囲で御所見をお伺いをしたいと思います。
  25. 渡辺周

    ○副大臣渡辺周君) PAC3の配備先については今後いろいろ調査が必要でございまして、これ陸上経路状況とか電波状況とか、こうしたものをあらかじめ調査を行うことにしております。  御存じのとおり、この発射台だけじゃなくて、発射装備だけではなくて、電源車もあればレーダー装置も必要でございます。ファイアユニット、FUと呼ばれるこの一固まりがかなりのボリュームになりますので、当然その適地というものを考えていかなければならない。今言われているようなところにつきまして、候補地として沖縄本島、宮古島、石垣島、それから首都圏と、このようなところで展開をすることを念頭に行っておりますが、その中の細部についてはまだ申し上げたような調査が必要でございます。  それから、それ以外のじゃ土地についてどうなのかというふうに問われれば、今のところ、委員が御指摘になったようなところを今想定して配備をするということには至っていないということをこの場で申し上げたいと思います。
  26. 広田一

    広田一君 副大臣の方から御答弁をちょうだいしたところでございますけれども、特に九州の方々については、やはり今回については相当大きな不安を持たれているんじゃないかなというふうに思いますので、この点はしっかり踏まえた上で対応されますようによろしくお願いを申し上げたいと思います。  次に、運用態勢についてお伺いをいたします。  〇九年四月の場合は、当時の三月十二日の北朝鮮予告から、弾道ミサイルなどの破壊措置命令を発出したのは十五日後の三月二十七日でございました。それに基づいて対処態勢、つまりPAC3の移設の完了であるとか、作動点検、また隊員の訓練など、こういったものが終わったのが四月三日であります。四月五日にミサイル発射をされたところでございます。  この当時の状況と比べまして、今回は、先ほど副大臣の方からお話がございましたように、離島のため、装備品なんかは海上輸送をしなければなりませんし、また、PAC3の展示を私自身も以前習志野で視察をしたことがありますけれども、ランチャーはもちろんのこと、射撃管制装置レーダー装置であるとかアンテナ・マストのグループ、また電源車、これを展開するためには二百メートル掛ける二百メートルという敷地が副大臣がおっしゃったように必要とされます。そのほかにも、視界の確保をしなければいけないとか、部隊間の通信連接の確保など展開先の要件を考えたならば、島の場合は適地が限られるわけであります。さらに、前回と比べると地元調整に手間取る可能性もあるわけであります。  こういったことを総合的に勘案をして、四月十二日をタイムリミットとして逆算しつつ考えますと、今回、準備命令といったものを前回より四日早く出したこと、これは適切だと評価をするところでございますけれども、その上で、安全保障会議やそれを受けての破壊措置命令については、私はやっぱり前回より前倒しで、大臣の方から今週中というふうなお話もございましたけれども、できるだけ早く対処する必要があるんではないかなと思いますけれども、この点についての御所見をお伺いをいたします。
  27. 渡辺周

    ○副大臣渡辺周君) 前回のときは、東北、盛岡と秋田に配備をいたしました。そのときは陸路で輸送をできたわけでございますけれども、今回は南西諸島という遠隔地であるということを考えまして、当然、輸送手段も今細部を最終的に詰めているところでございますけれども、それから、現地の、港から例えば適地に輸送をするということ、様々考えますと、やっぱり時間は少しでも欲しい。当然、設置した場合には、そこでシミュレーションというかリハーサルといいましょうか、当然、本番に備えて、様々な不具合がないように万全を期すわけでございますので、一日でも時間がやっぱり欲しいということで、今回前倒しで、準備命令が今日大臣から出されまして、そして三十日にまた改めての措置がされるわけでございますけれども、当然、準備命令が出たということで、各部隊にはその準備に入っていただくということで、一日でも早く不測の事態に備えられるように対応したいということで、今回このような措置経緯に至った次第でございます。
  28. 広田一

    広田一君 是非ともよろしくお願いします。  最後に、省庁間の調整についてお伺いをしたいと思います。  今回の事案は、言うまでもなく、政府が一丸、一体となって取り組む必要があります。それは、大臣間の連携はもちろんですけれども、作戦を完遂するためには、運用上も必要不可欠なのが省庁間の調整だろうというふうに思っております。  例えば、今回も、考えてみますと民間航空路の空域管理であるとか、PAC3の運用に伴う必要な電波の使用許可、さらには地元警察との連携、こういったことなどが挙げられると考えますけれども、この省庁間調整の課題を防衛省としてどう整理されているのか、お伺いをいたします。
  29. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 本日、北朝鮮による飛翔体の発射に備え、弾道ミサイル等破壊措置命令実施に向けた準備命令を発出し、航空隊司令官に対しPAC部隊の具体的な展開候補地調査実施を命じる等、PAC配備に向けた準備を進めているところでございます。  その一環として、PAC3の展開に当たり、国土交通省、ランチャー展開地付近の空域の調整、総務省、レーダー使用に係る電波使用承認の調整、また警察庁には展開に伴う警備要領等の調整等を実施する必要があることから、現在、担当課を通じ関係省庁等と調整を行っております。  調整状況については確たることを申し上げる段階ではありませんが、北朝鮮が飛翔体を発射した場合に備え、連携をして国民の生命、財産の安全を確保するというために万全を期したいと思います。
  30. 広田一

    広田一君 まさしく大臣がおっしゃったように、万全を期して取り組んでいただきたいと思います。  本日は、このほかにもODA大綱の改定等について質問通告をさせていただいておりましたが、この件につきましては、後日、福山委員長から詳しく御指導いただいた上で質問をしたいというふうに思いますので、以上で質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  31. 佐藤正久

    佐藤正久君 自民党の佐藤正久です。  弾道ミサイル対処について議論する前に、動的防衛力について伺います。  昨日も予算委員会の方で舛添委員が動的防衛力、お話しされましたけれども防衛大臣、これまでの日本の防衛力で動的でない防衛力ってありましたか。防衛大臣、あったかないか。
  32. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 基盤的な防衛力の整備をしてきたところでございまして、それは我が国の保有する防衛力の基礎的な整備をしてきたところでございますけれども、その運用について、今回、動的防衛力という概念を出したわけであります。  したがいまして、言葉としてあるいは方針として転換したような形になりますけれども、今までの基盤的な防衛の整備というものが、いわゆる通俗的に言えばハード、そしてまた動的防衛力というのはソフトと、こういうことで、面的な形のものを動的防衛力で対処、そしてまた南西地域防衛ということからいいますと、我が国の……(発言する者あり)ああ、済みません、すぐ終わります、それぞれの整備をしていこうということで今努力をしておるところでございます。
  33. 佐藤正久

    佐藤正久君 全然頭の中が整理されていないからぐちゃぐちゃでしょう。あったかどうかを聞いているんですよ。  明確に、これまでの防衛力で動的でない防衛力はあったか、なかったか、明確にお願いします。
  34. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 私の認識では、今まであったというふうに認識をいたしております。
  35. 佐藤正久

    佐藤正久君 今まで、防衛力の中では動的でない防衛力はあったというのが大臣の認識だと。  私は違うと思いますよ。今までは基盤的防衛力あっても、それぞれ有事に、何回も言う、部隊を運用するんですよ。部隊を運用して、そこの正面に充当するんですよ。動的でない防衛力で、基盤的防衛力、そこだけで動くわけないじゃないですか。だから、最初の基礎配置、事前配置の意味と動的、全然違いますよ。全く分かっていない。  しかも、基盤的防衛力というのは、単にエキスパンドだけではなくて力の空白の部分も埋めるという側面もあります。今、南西諸島防衛、空白地帯だと。空白がゆえに、動的防衛力構想の中で与那国島の配置とか今やろうとしているじゃないですか。これも空白を埋める、ある意味今までの基盤的防衛力構想の側面と同じじゃないですか。大臣、違いますか。簡潔にお願いします。同じか違うか、それだけお願いします。
  36. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 同じか違うかというお話でございますけれども、私は、今までいわゆる我が国の防衛力というものを整備していく段階で、そういう面ではいろいろな防衛の整備……(発言する者あり)今までの装備品の充実を図ってきたわけでございますけれども、その運用が新しい安全保障環境の中でもっと展開をしていかなきゃいけないと、こういうことで動的防衛力というものが位置付けられたわけでございます。
  37. 佐藤正久

    佐藤正久君 この辺の議論はまだ、今度、実は大綱、中期を民主党政権は国会にまだ報告していないんですよ。これから多分、本会議等でも始まると思いますけれども、この部分、議論これからですから、とことんやりますけれども。今、大臣は、過去に動的でない防衛力はあったと明確に答弁されました。私は違うと思いますし、基盤的防衛力構想は物買いだけじゃないんですよ。全然分かっていない。  舛添委員の昨日の質問に対してのやり取りの中でも、ちょっと違うなと、大臣分かっていないなと思っていました。そのために今ちょっと前振りとしてこれやらせていただきましたけれども、この辺が分かっていないと今後の中期防衛力整備計画や見直し、できないんですよ。しっかり勉強してください。  次に、弾道ミサイル対処について伺います。  今配付した資料、これを御覧ください。この中で、弾道ミサイルなどに対する破壊措置というのが自衛隊法第八十二条の三で、これで行われます。その中で三項から一項に行く場合があるんですよ。この真ん中に、我が国に飛来するおそれがあると認められるに至った場合は三項から一項の方に移るんだと。大臣、これ、どういう兆候が出たときに三項から一項に移るんでしょうか。
  38. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) ミサイル発射のなされたときの様々な状況によってこの対応が変わってくるということになると思います。
  39. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣、何を言っているんだ、これ、発射される前の話ですよ。発射された様々な状況じゃないでしょう。これ、おそれの場合で、おそれがあると認めるに至った場合に三項から一項に移って対処するんでしょう。何があった場合ですか、全然違うじゃないですか。しっかり、これ大事な部分ですから、これは弾道ミサイル対処、整理して答えてください。必要があったら止めてもいいですから。大事な部分です。
  40. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) いわゆるこのミサイル発射が我が国に向けて飛来するという弾道ミサイルであるということであれば第一項が採用されるわけでありますけれども、これは、おそれのあることであった場合には三項が対応されるわけでございます。(発言する者あり)
  41. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 速記止めてください。    〔速記中止〕
  42. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 速記を起こしてください。  よろしいですね、防衛大臣
  43. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 弾道ミサイルなどが我が国に飛来するおそれがあるとまでは認められない場合でありますが、その場合には緊急対処要領に従い、あらかじめ防衛大臣破壊措置命令をするわけでございます。  しかし、その事態に至るまでに我が国に飛来するおそれがあるというふうに至った場合には、当然、先ほど言いましたように第一項に参りまして、そして対処の対象が自衛隊法第二十条の三の一になるということであると思います。(発言する者あり)
  44. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 速記止めてください。    〔速記中止〕
  45. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 速記を起こしてください。
  46. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 付け加えさせていただきますが、最初に申し上げましたのは、人工衛星の落下の軌道が判明し、数日中に我が国に落下する可能性が高まった場合が一つございます。それから、数日中に弾道ミサイルが我が国に向けて発射される可能性が高いという情報が事前に得られた場合と、この二つのケースによりまして、この弾道ミサイル等が我が国に飛来するおそれがあると認められる場合という状況に立ち至った場合にはこちらの対処になるということでございます。
  47. 佐藤正久

    佐藤正久君 それを最初から言えばいいんですよ。しかも、それはもう二つだけじゃなくて、などですよ、今までの多分政府見解は。いろんなケースがあるんですよ。じゃ、この三項から一項に行く。でも、そんなに簡単に現場の部隊はいかないんですよ、そんな簡単に、今から三項から一項に行くと。  じゃ、聞きますけれども、八十二の三項のあらかじめ了承を得た破壊措置命令と、それから三項から一項に移った場合の内閣総理大臣の承認を得て命令する破壊措置命令、これは同じですか、それとも違うんですか。
  48. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 同じかどうかというのは、済みません、内容は同じだと認識しております。
  49. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣、全然違うでしょう。状況が変わったんでしょう。初めからこういう対応を予想してやっていた。ところが、状況が変わって、今言ったようにいろんなパターンがあるんでしょう。そういう人工衛星の落下の軌道が判明して落ちる場合とか、弾道ミサイルが落ちてくる場合とか、今言われたじゃないですか。状況によって対処要領は多分変わる場合ありますよ、これ。だから、もう一回わざわざ内閣総理大臣の承認を得て破壊命令を出すわけでしょう。全部が同じだったら、変える必要ないじゃないですか。答弁修正してください。違いますよ。
  50. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 破壊命令をするということで、破壊をすることは同じであるわけでありますけれども、確かに手続としては、いわゆる内閣の総理大臣の承認を得て私が破壊措置命令をするということになるわけであります。
  51. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣、しっかりしてください。手続じゃないんですよ。あなたは運用部隊の指揮官なんです。状況が変わったら部隊の配置だって変わる可能性あるんですよ、内容が、部隊展開を含めて。だから、ここからこういうふうに横に移るんでしょう。同じ場合もあれば、多分違う場合の方が多いですよ、部隊運用ですから。命令命令だ、手続が変わる、部隊の運用も変わる。破壊措置の中身が変わる可能性あるんですよ。  大臣、本当に同じなんですか、破壊措置の中身が。違う場合あるんじゃないですか。
  52. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 私が航空隊司令官に破壊の命令をするわけでございます。したがいまして、当然この態勢は、航空隊司令官の下において当然その状況が刻々と変わっていくということはこれは当然予想されるわけでありますが、私のこの指示の状況からいえば手続が若干変わるということになるわけでありますけれども、それは指示をいたしまして、現場の方の実動部隊の中でその対応は万全な形を取っていくということになるんだと思います。
  53. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣、余りにも今、北朝鮮の今回のケースに頭引きずられてませんか。これ一般論の話しているんですよ。いろんなパターンがあるんですよ。もうしっかり、もう一度これ、多分後でほかの同僚議員からもこれ質問してもらうと思いますので、しっかり事務方含めて整理してください、これ。大変なことですよ。いろんなパターンがあるんだから、破壊措置の中身も変わってくるはずなんです、部隊運用が変われば。  じゃ、次また聞きますけれども、この八十二条の三の一項と三項、これの国民への公表についてはどういう考え方を持っているんですか。一項と三項の二つパターンありますよね。公表については、国民への公表はどういうふうな考えなんでしょうか。
  54. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 内閣総理大臣の承認を得るわけでありますから、閣議決定になります。閣議決定になりましたらその手続が行われるわけでありますが、第三項におきましては、当然その緊急対処要領に従い防衛大臣破壊措置命令をすると、こういうことがございます。その、については私自身判断をして対応するということになるわけでございます。
  55. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣質問に答えてください。公表について聞いてるんです、公表するかどうか。全然答えてない。
  56. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 一項は公表しますが、三項については公表は控えたいと思います。
  57. 佐藤正久

    佐藤正久君 じゃ、三項はなぜ公表を控えるんでしょうか。
  58. 渡辺周

    ○副大臣渡辺周君) 三項の場合は、二〇〇九年の際には公表をしております。これは、大臣判断で三項については公表することもあるという認識でございます。
  59. 佐藤正久

    佐藤正久君 私が聞いたのは、なぜ三項は原則公表しないかと聞いたんです。
  60. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 時間掛かるようでしたら整理していただいて、時計、時間を止めますが。
  61. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 事態が急変し、我が国へ弾道ミサイルなどが飛来するというおそれもあるわけでありますので、私はこの事態においては、公表できる時期はあるかもしれませんが、私は控えたいというふうに思っております。(発言する者あり)
  62. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 速記止めてください。    〔速記中止〕
  63. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 速記起こしてください。
  64. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) どうも失礼いたしました。  これは相手のあることでございますので、発射を、確かに通告はいたしておるわけでありますけれども、決してそれが守られるかどうかということは確かなわけではありません。したがいまして、事態が急変して、我が国へ弾道ミサイルなどが飛来するということも万が一あるかもしれません。そういうことを考えましたら、やはりこのケースは発表することもあれば、公表発表しないこともあるという事態を想定しなければいけませんので、私は、するかしないかということはやはり大臣判断に委ねられておるというふうに認識をいたしております。
  65. 佐藤正久

    佐藤正久君 全然説明責任果たしていませんよ。  じゃ、さっきは原則公表しないと言った。今度は公表することもあれば公表しない、これは大臣の方の一任だと。どっちなんですか、原則公表しないんですか。公表する場合もあれば公表しないこともある、両方ともイーブンなんですか、どっちなんですか。
  66. 渡辺周

    ○副大臣渡辺周君) 第三項の、我が国に飛来するおそれがあるとまでは認められない場合でも、我が国がこれBMDの態勢を取るわけでございます。そうしますと、当然、周辺国が我が国がどのような手のうちでミサイル防衛をするかということが分かってしまうので、これ原則公表とか非公表とかということではなくてケース・バイ・ケースによる判断だと思いますが、第一項の場合は、当然、これは我が国に直接攻撃ということにみなされるわけでございます。我が国にこれは物理的な損害を与えるわけですから、当然、国民に対してこういうことがあるということは公表するわけでございます。  一つには、当時、このBMDシステムの議論がされたときに、果たしてこれを公表することによって我が国の防空システムの態勢が、相手国に手のうちを見せてしまうことが果たしていいのだろうかという議論があったということは根底にあったと思いますので、そこはケース・バイ・ケースだと理解しております。
  67. 佐藤正久

    佐藤正久君 これまでの政府答弁を私、調べました、何回か。基本的に公表しないと言っているんです。ケース・バイ・ケースじゃないんですよ。基本は三項は公表しないと。理由は、やっぱりこちらがどういう態勢を取ってしまったか敵に分かってしまうから、だから三項は非常に慎重に、公表しないと。ただ、前回のようなミサイル発射、〇九年のときは例外として公表したということじゃないんですか。防衛大臣、違いますか、防衛大臣。本当に今聞いて不安になりますよ。  防衛大臣、ここは大事な部分です、ポイントなんです。明確に答えてください。じゃ、なぜ原則公表しないものを今回準備命令の段階から公表したんですか。そこ、お願いします。先ほど広田理事からも質問ありましたけれども、なぜ今回は実施命令の前の準備命令の段階からこれを出したのか、なぜ今回、命令の段階から公表するというオプションはなかったのか。その二つ、お答えください。
  68. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) これは私が判断をいたしました。というのは、前回は、これも予告をいたしましたけれども前回と飛翔体のコースが違うわけでございまして、明らかに新たな態勢を組まなきゃいけないということが第一の理由でございます。  そしてまた、先生も御指摘でありましたけれども、これは事態に間に合わなきゃいけないということであります。明らかに先方の自治体の皆さん方にも御説明をして、そして受け入れていただくわけでありますから、その手順を踏まなきゃいけないわけでありますが、私はこの準備命令によって、新たな違った展開の中でのこの状況でございますので、万全を期したいということで私が判断をしたということでございます。
  69. 佐藤正久

    佐藤正久君 今の大臣のこの答弁は、今回、実施命令でなく準備命令から出したのは、今回は前回よりも、先ほど防衛大臣から話がありましたように、輸送の問題もある、いろんな、前回よりも更に前倒しで準備をしないとこれは対応が取れないと。それも、やっぱり表に出ない形での準備はできないということから、こういう準備命令から、これから出したということでしょう。そういうことを丁寧に言えばいいのに、全然分からない。日本語、自分が理解していないから説明できないんですよ。  もう一つ、この準備命令の、じゃ、今回の北朝鮮事案について聞きますけれども、これを見ると、首都圏にもあるいは南西諸島の方にも配備をすることを検討しているというふうに副大臣大臣委員会答弁されています。でも、この準備命令の中を見ると、西部方面総監は、被害を局限するため、落下した場合のための必要な調査とかあるいは準備実施しなさいと書いてあるんです。何で首都圏を担当する東部方面総監に対しての準備は要らないんでしょうか。東方、首都圏にも万が一のことを考えてPAC3を準備するんでしょう。だから、両方に万が一のことを考えて落下した場合の対応を取るのが普通なのに、何で西方だけが入って東方は抜けているんでしょうか。
  70. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 整理に時間が掛かる場合には速記止めますが。  速記止めてください。    〔速記中止〕
  71. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 速記を起こしてください。
  72. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) どの用紙で御質問されているか分かりませんが、東部方面総監にも私からはこれは、内容的なことについて余り公表するということについては確かにちゅうちょされるわけでありますが、ちょっと御心配があったということで御質問があったんだと思いますが、私からは東部方面総監にも指示をいたしておることは間違いございません。
  73. 佐藤正久

    佐藤正久君 これは委員会質疑にならないですよ。これは防衛省が我々みんなに配った今日のペーパーですよ、お知らせペーパー。弾道ミサイル等に対する破壊措置等の準備に関する自衛隊一般命令についてと、配られているじゃないですか。その別紙に、西方は準備しなさいと、東方総監は入っていないんですよ。首都圏の方にもPAC3を配置するのであれば、同じように東方にも落下した場合のことを準備しろと命ずるのが普通でしょう。何でそういう差を付けるんでしょうか。
  74. 渡辺周

    ○副大臣渡辺周君) 今日配った別紙の五と六でどう違うのかということでございますが、首都圏防衛は、これは五の東部方面総監及び中央即応集団司令官は所要の準備実施せよということで、これは当然読んでいるわけでございます。  六番の被害を局限するためということについては、これはここに書いてございませんけれども、当然幾つかの今後PAC3を配備することを想定しておりますけれども、そうでなかった場合にどうするのかということ、それ以外のところに対して万全を期すためにどうするのかということで、これは西部方面総監に対して、今後、ここには書いてございませんが、被害を局限するための万全の対応を取れということをここに書いたわけでございます。これ以上言えなくて申し訳ございません。
  75. 佐藤正久

    佐藤正久君 いや、説明が全然理解できませんよ。首都圏にもPAC3配置するんでしょう。南西諸島の方にPAC準備するんでしょう。だって同じように、これ何のために配置するか、万が一のことを考えて配置するんでしょう、打ち落とすために、来たときに。そのときは、やっぱり当たったら落下物があるわけですよ。だったら同じように、いろいろ同じなんですよ、PAC配備するということは。そのための被害局限のために災害派遣という形で陸上自衛隊準備するわけじゃないですか。前回もそうですよ。  何でここだけ、PAC3を首都圏配備しないなら分かりますよ、同じように東部方面総監及び西部方面総監はというふうに書かないんですか。防衛大臣防衛大臣ですよ。自分で出した命令でしょう。
  76. 渡辺周

    ○副大臣渡辺周君) 当然、蓋然性が、首都圏に比べて南西諸島の場合は蓋然性が高いということでこういう書きぶりになっているわけでございますが、(発言する者あり)いや、それは可能性としては当然こちらの方が高いわけでございます。  ただ、首都は、昨日、私、予算委員会の場で申し上げたように、首都を守るということにおいて、当然ここには市ケ谷の中央指揮所もあれば、昨日移りました航空総隊司令が横田にもございます。ですから、目と耳をふさがれるようなことがあるということは万々が一もないように、当然そこも含めて首都圏防衛をするわけでございますが、南西諸島においては、もし万が一宮古島と石垣島に配備をしたことによって、でも、もし万が一破片等があるいは別のところに落ちてきて何らかのことがあった場合に最大限の対応ができるように、このような形で西部方面総監には少し詳しく所要の準備実施せよと書いたわけでございます。
  77. 佐藤正久

    佐藤正久君 田中大臣、これは部隊運用のペーパーじゃないんですよ。これ何のペーパーか分かります、お知らせペーパーですよ。  さっきの目的の中に、普通発表しないことを事前に住民に知らせるためのペーパーでしょう。そのペーパーで、首都圏の方に配置をするのに、そこに落下した場合の対応のことを書いていない。全然広報の目的と違っているじゃないですか。これはお知らせペーパーですから、これは部隊運用の今言った細かいことじゃないんですよ、そうでしょう。  防衛大臣、これはやっぱり丁寧に、誤解を招くのであれば修正した方がいいですよ、お知らせペーパーは。運用ペーパーじゃないんですから、お知らせペーパーですから。いかがですか。
  78. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 確かに、いわゆる関東圏と南西地域の落下ということからいえば、誰が考えても差があるということでこういうお知らせを表現をしたんだと思いますけれども、確かに配備する地域において更なる対応が必要であれば、私は付け加えることはやぶさかではないと思っております。
  79. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣防衛省って危機管理官庁で、最悪のケースに備えて準備するのが防衛省ですよ。蓋然性でそれでお知らせされたらたまったもんじゃないですよ。当たり前の基本が分かっていないんじゃないですか、大臣。自分が出した、これ、お知らせペーパーですよ、自分のね。  さっき言ったように、普通は三項の、八十二の三の三は外に出さないんですよ、運用の細部が分かってしまうから。それでも、その一部分はこういうふうにお知らせとしてやる、さっき言った住民の関係もあるから。だから、そういうものに限って書くのが普通なんです。ところが、こういう細かいのをいっぱい書くことによって、逆に不安をあおってどうしようもないじゃないですか。  これ、お知らせペーパーですからね、命令の別紙を付けているんじゃないんですよ、そうでしょう。これはもうこれ以上言いませんけれども、情けなくなりましたよ。しっかり修正すべきは修正して、お知らせペーパーですから、しっかり広報の目的に合致するように、それは修正を私はすべきだと思います。強く求めて、次の質問に移ります。  次、沖縄に、今回のケースです。沖縄の方にPAC3を配備するかもしれない。当然、米軍も嘉手納基地にPAC3があります。アメリカの艦船に対して敵からミサイルが飛んできた、それに対して日本の海上自衛隊は、あるいは航空自衛隊はそのアメリカの艦船に向かっているミサイルを撃ち落とす。これは、防衛大臣、やっていいんでしょうか。防衛大臣です、防衛大臣。海上自衛隊の話なんですよ。
  80. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 嘉手納の、嘉手納の……
  81. 佐藤正久

    佐藤正久君 嘉手納です。
  82. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) PAC3のことについてちょっと触れられましたから、私は、沖縄の領土でございますので、第一義的には我が国が対応するということになるわけでございます。したがいまして、海上の方も、領海であれば私は我が国が、イージス艦が防護するということだと思います。  そのほかの地域につきましては、やはり日米間でその対応について協議をするということになるんだと思います。
  83. 佐藤正久

    佐藤正久君 じゃ、まだそれは決まっていなくて、協議するんですか、今から。それでいいんですか。
  84. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 私はそれでいいと思っております。
  85. 佐藤正久

    佐藤正久君 私は今、船の話聞いているんですよ、船の話。これもそのときに海上自衛隊が、米軍の艦船に向かってくるミサイルを海上自衛隊、航空自衛隊が撃ち落とすかどうかは、これは協議するんですか。それでいいんですか。(発言する者あり)
  86. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  87. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 速記を起こしてください。
  88. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 領域内ならばよいということでございます。また、公海上は集団的自衛権の問題もあり、公海上は集団的自衛権の問題もありできないと、現時点ではできないということでございます。
  89. 佐藤正久

    佐藤正久君 じゃ、もう一回整理しますけれども、領海内でまだ有事になっていない場合、有事なら分かりますよ、有事でない場合も、海上自衛隊、航空自衛隊がアメリカの艦船に対して攻撃できるんですか。(発言する者あり)
  90. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 田中防衛大臣、よろしいでしょうか。田中防衛大臣、よろしいでしょうか。  速記を止めてください。    〔速記中止〕
  91. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 速記を起こしてください。
  92. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 攻撃が我が国に対する武力攻撃となり得るかどうかということでございますし、組織的、計画的な武力行使と認定されるかどうかという問題があるということでございます。  いずれにいたしましても、我が国領域外における特定の事例が我が国に対する武力攻撃に該当するかどうかにつきましては、個別の状況に応じて十分判断をして対処するということでございます。
  93. 佐藤正久

    佐藤正久君 多分、ほとんど理解していないんでしょうね。  いいですか、昨日議論したように、防衛事態を認定するというのは結構大変なんですよ。宣戦布告する、こんなのはめったにないケースで、宣戦布告は余りやらないんですよ。そういうケースもいっぱいあるんですよ。そういう中で、防衛事態を認定する前、一番グレーなゾーンで情勢緊迫感が一番難しいんですよ。そこを仕切るのが防衛大臣なんですよ。いいですか。武力攻撃事態が認定される前に、じゃ、そういう船、米軍の船があった、これに対してミサイルを我々が撃って落とせるかどうか、これ今から協議するとか、そんなんじゃ話になりませんよ。  今回の沖縄のPAC3についても、米軍PAC3についても、それはしっかりと法解釈をして、こういう理由だから、今武力攻撃事態じゃないですよ、こういう理由だからアメリカの嘉手納基地に落ちる飛翔体を航空自衛隊PAC3やイージス艦で撃ち落とすんだということを国民に説明しないと駄目なんですね。そうでしょう。  じゃ、どういう法理論で、今回沖縄の嘉手納基地に落下してくる飛翔体を自衛隊が撃ち落とすことができるんでしょうか。  田中さん、大臣が答えなきゃ、そんなものは。
  94. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 嘉手納基地の、嘉手納基地のこの落下物につきまして……(発言する者あり)大変失礼しました。これは我が国の領土でございますから、我が国がPAC3を使って破壊すると、こういうことでございます。
  95. 佐藤正久

    佐藤正久君 じゃ、大臣、今、自衛隊が米軍基地を、平時ですよ、警備できるのは、警護出動とか、命令がなければできないんですよ。  じゃ、米軍の方に撃たれたやつは、米軍基地がありますよ、在日米軍基地。これに対して、そういうものがあったらいつでも撃っていいんですね、そうしたら。本当にそうですか、今の理屈だと。我が国にあるから、我が国にある米軍基地は、それに対してのそういう落下物があればうちは撃ち落とせると、そういう理屈でいいんですか、本当に。
  96. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 今のケースでございますけれども、これは破壊命令を出すわけでありますから、そういうケースに遭遇した場合には、我が国の領土内でありますから自衛隊が第一義的に対処すると、こういうことは私はそのとおりでありますが、ではその、それに対して日米間で今協議をしているわけではございません。しかし、恐らく議題にはなるんだと思います。したがいまして、日米協議の中でそういう事態になった場合にはどう対処していくかということは協議の対象になってくると思っております。
  97. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣、早く協議をしてくださいよ。  それはそれとして、いいですか、法的な部分は本当に詰めが甘いですよ。今回のような、今回のケースに限って言うと、恐らく、これは向こうから落ちてくるものは嘉手納基地に命中するというのは分からないんですよ、ある程度幅があるから。多分、余りその内容は言えませんけれども、ある程度の範囲に落ちるだろうということしか分からないはずなんですよ。だから、それは当然自分の国に落ちるという可能性もあるから撃ち落とせるだけであって、米軍基地に本当に落ちるというのは分かっていたら、それは落とせるかどうかは、これは本当に議論しないといけない問題だと思いますよ。大臣説明、全く法理論的に私は理解できないんです。その辺辺り、本当にしっかり詰めてくださいよ、本当に。  いいですか、大臣、もう一回言いますけれども、今回、日本の周辺には弾道ミサイルを持っている国はいっぱいあるんですよ。いいですか。それを、日本も少ない予算の中でも一生懸命今まで弾道ミサイル対処を必死になってやってきて今の体制になったんですよ。でも、それはまだ十分とは私は思っていませんよ。多分大臣もそう思っていないと思いますよ。まだ開発中のものもある。  そういう中で、じゃ今回のような場合は、そういう、これは非常にレアケースの一つとして、それでもどういうふうに対処をする、日米でいろいろやる、本当にいろんなことを詰めるいいチャンスでもあるんですよ、本当に。いいチャンスでもあるんです、日米で、含めて。そういうことを大臣が真剣に、基本の法理論とか、そういう、今までの国会答弁がどうだったとか理解しなくて、協議にならないんですよ。これは本当に今、防衛省田中大臣の、本当大事な局面ですよ。四月の十二から十六に落ちてくるかもしれない。国民の命を守り抜かないといけないんですから。  それにおいて、今のような答弁では全然私はもう無理だと思いますよ。防衛大臣自ら出処進退を明らかにすべきだと思いますけれども大臣のお考えをお伺いします。
  98. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 本日、準備命令を発出したところでございます。  いよいよこの準備が開始されるわけでありますから、その中で私は日米の連携というものも含めております。今お話がありましたような嘉手納の対応につきましても、これからは当然具体的に話が、協議をされるというふうに報告を受けておるところでございますので、いろいろなケースが想定されると思いますけれども、この発表から今日まで、私は一つの段取りをしっかりと適切に対処してきたところでありますし、確かに先生からも御指摘がございました。いろいろなケースを想定しながら対処していくことは、これは必要なことだと思っています。  しかし、前回のコースとまた違った公表がされたわけでありますので、まずその対応をして、これから遺漏なきように対処していくということで御理解をいただきたいと思います。
  99. 佐藤正久

    佐藤正久君 ほかに質問いろいろ準備したんですが、まさかこれでこんなに紛糾すると思わなかったんですけれども、時間が来ましたので、今日の質問を終わります。
  100. 山本一太

    山本一太君 防衛大臣、今、佐藤委員の方からいろいろ質問があって、正直申し上げると、はっきり答えていただいていない点がいっぱいあると思うんですけれども、一番大事なことだけ、これは本当に国民の皆さんにとっても大事なので、一つだけちょっと、もう一度御答弁をいただきたいと思うんですね。  弾道ミサイルへの対応の流れという、この紙あります。対処三項、この自衛隊法第八十二条の三、対処第三項から第一項に行くケースがあるという話がありました。我が国に飛来するおそれがあると認められるに至った場合、これは一体どういう兆候があった場合にこの場合に相当するのかということについて、これ、とても大事なことなので、大臣の言葉でもう一回分かりやすく説明してください。
  101. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 二つのケースがあると思います。数日中に弾道ミサイルが我が国に向けて発射される可能性が高いという情報が事前に得られた場合ということでございます。それからもう一つは、人工衛星の落下の軌道が判明し、数日中に我が国に落下する可能性が高まった場合と、この二点でございまして、そのほかのケースもあると思います。これは代表的なケースだと思いますが、そういうケースがあった場合には三項から一項に移行するということになるわけでございます。
  102. 山本一太

    山本一太君 正直言ってよく分かりませんが、これ以上これを突っ込んでいくとどんどん、多分審議が止まると思いますので、私も随分細かい質問を用意してきましたし、また佐藤正久委員質問の追撃もいっぱい書いたんですけれども、今日はあえてそれ、ここでやめます、このままずっと答弁が止まるだけなんで。  防衛大臣にお聞きしますが、これ、本当に大事なことなんでお答えください。  大臣は、今この国難の状況の中、安全保障上の問題が山積している中で御自分は防衛大臣としてきちっと職務が果たせると、それだけの十分な能力があるというふうに御自分でお思いでしょうか。端的に答えてください。
  103. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 一つ一つ私はその課題について準備をし、そしてまた進めてきておるところでございます。確かに、知識においては皆さん方に比べて、その面では足りないところもあるかもしれません。しかし、私は全力を挙げてこの防衛大臣としての判断をしなければいけない、そしてまた決断をしなければいけない局面において、最善の情報収集を、そしてまた私の能力を発揮をいたしまして、そして適切に判断をし、そしてまたその時々で判断をしていくということで今努めておるところでございます。  今回の北朝鮮の件につきましても、今日この準備命令を発出をいたしました。私は、前回に比べて早めに出せたことはよかったと自分は判断をいたしておりますが、これからもこの件につきまして、始め、それぞれの一つ一つの事案について適切に判断をしていくということで御理解をいただきたいと思います。
  104. 山本一太

    山本一太君 私、田中大臣のお人柄がいいことも知っていますし、一生懸命なさっているのかもしれませんが、防衛大臣が皆さんに比べて知識は足りないかもしれないけれどもなんて言うんだったらば、それは大臣を受けるべきでは私はないと思います。  昨晩、これまでの大臣答弁、ずっと見てきました、議事録、ほとんど読んできたんです。沖縄、普天間移設問題についての答弁、あるいは北朝鮮政策、ミサイル防衛についての答弁、あるいはホルムズ海峡の問題についての大臣答弁。何度見ても納得できない答弁が山ほどあって、大臣が御自分の言葉でしゃべろうとするときは、本当に申し訳ないんですけれども、よく日本語として意味が分からない。私、大変申し訳ないんですが、大臣のお人柄とかについていろいろと何かもう言うつもりもありませんし、一生懸命やっておられるのかもしれませんが、防衛大臣としては不適切だと思います。国益を考えたら、隣に渡辺大臣だっていますよ、ほかにもっと安全保障の問題に詳しい方もいますよ。  防衛大臣、これから北朝鮮からミサイルが飛んでくるかもしれないと、その破壊措置命令防衛大臣が出すわけですから、国民の安全を担っている防衛大臣ですから、はっきり言って国益を考えたら御自分で辞任をしていただきたいと思います。総理がいまだに田中防衛大臣は適材適所だというふうに言い張っておられて、田中大臣を交代させないのであれば、大臣は国益を考えて是非ここで辞めていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  105. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 私は、今覚悟を持ってこの職務を遂行しておるところでございます。そういうことを先生から御指摘をいただいたことは不徳の致すところでございますけれども、私はこの職務を全うすると、そしてまた皆さん方に、国民の皆さん方の安全をしっかりとこの職務を通じて積み上げていくという決意を持って、覚悟を持って臨んでおることを御理解をいただきたいと思います。
  106. 山本一太

    山本一太君 私は、田中防衛大臣に、申し訳ないんですけれども覚悟があるとは全然思っていません。  昨日の参院予算委員会の議事録をずっと読んでいたんですが、与党の川上筆頭理事からこういう質問がありました。答弁能力と有事の指揮能力は全く別だと、与党の理事がそういうふうにおっしゃいました。細かいことまで聞かれてかわいそうだという声が私の周りにあると。それを聞いて田中大臣が、喜々とされて、粉骨砕身業務に専念したいというふうにおっしゃいました。  大臣、与党の理事から答弁能力と危機管理能力は別だと。これ、答弁能力が全くないというふうに言っているのと同じだと思うんですよね。これについてはどういうふうに受け止めておられますか。
  107. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 私も、同僚からそういう発言があったということについては、大変緊張感を持ってこれからも取り組んでいかなきゃいけないというふうに認識をしたところでありますし、更なる粉骨砕身、対応をしていくと、業務に邁進するということで答弁をしたところでございます。
  108. 山本一太

    山本一太君 田中大臣が覚悟とか緊張感とかおっしゃるんで、この細かいちょっと質問は今日はやめて、大臣のその職務に対する姿勢についてこれからちょっと伺いたいと思います。  大臣、私、これでも十六年半政治家をやってきました。外交、安全保障の分野を中心にやってきましたが、これだけ委員会答弁が紛糾して、委員会が審議がストップする大臣って初めてです。  例えば、参院予算委員会の口火を切った三月十二日の基本的質疑、私の質問のときに七回速記が止まりました。十五分中断がありました。理事が委員長の席に行った回数、二十回を超えています。その後、佐藤委員が、たしか三月十四日の一般質疑質問に立ちました。これは南スーダンのPKOの問題だったんですけれども、このときも七、八回止まって、もう二十回近く中断しました。これ、今まで見たことありません。  特に、与野党の理事懇談会で、自民党の方から、予算委員会の運営上、今の大臣答弁だと委員会がスムーズに進まないので、更迭してくれるように委員長の方から官邸の方に頼んでくれと、そういう要請をして、各党理事から異論が出なかったんです。  大臣、この点において、大臣さっきおっしゃいました、ほかの人に比べると少し知識が足りないというふうにおっしゃいましたけれども防衛大臣として十分に責任を果たすだけの知識が自分にはあるというふうにお思いでしょうか。ちゃんと答えてください。
  109. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 知識が足りない面もあれば、知識が私の方があるというものも私はあると自負をいたしております。  委員会の運営につきましては、皆さん方の、委員長を始め理事、委員の皆さん方の御努力をいただいているわけでありますし、確かに与野党の中で、委員会が中断したという、その審議の中でしたことは間違いありませんけれども、それはやはり私自身も反省すべき点はありますが、その反省を基に更なる努力をしてくるということで御理解をいただきたいと思っております。
  110. 山本一太

    山本一太君 今の日本の状態は、防衛大臣に更なる努力をしていただく余裕は私はないと思います。  私、防衛大臣として田中大臣が不適切だと思う理由が四つあります。一つは、防衛問題、安全保障政策についての基礎的な知識がないことです。二つ目は、大臣防衛大臣としての自覚と緊張感がないことです。三つ目は、田中大臣には防衛大臣、2プラス2のメンバーだという当事者としての認識がないことです。四つ目は、これから、ミサイル防衛の話もそうです、沖縄の問題もそうです、防衛省が中心になって沖縄側と交渉しなきゃいけない、国民に安全保障の問題をしっかりと分かってもらわなければいけないときに、田中大臣には説明能力がない、コミュニケーション能力が不足しているということです。  大臣、ここでお辞めにならないというんであれば、これから一つ一つ伺っていきますので、私の懸念を払拭してください。自分が防衛大臣としてふさわしいということをちゃんと答弁で立証していただきたいと思います。  まず、知識の欠如、常識の欠如。これ、驚くべき過去の答弁、発言の数々ですよね。  初期、大臣になられたばっかりのとき、例えばNHKのインタビューか番組で、PKOの五原則と武器輸出三原則を混同したということがありました。あるいは、例の辺野古の埋立許可について時期をしゃべっちゃって陳謝、訂正したということもありました。  それだけじゃありません。その後、うちの佐藤委員質問参議院はクイズなんか一回もやっていませんから、例えば、何でアメリカの海兵隊が沖縄にいるのか、なぜ本土でなければいけないのかということについて大臣は答えられませんでした。玄葉大臣が代わりに答えたんですけど、日米合意をしたあの普天間移設先が辺野古である理由、これも大臣は答えられずに、最後は官僚の書いた答弁の紙を一枚持ってきて、これでいいんでしょうかと言って質問されました。  この間の予算委員会、F35Aの私は質問をいたしました。衆議院で石破前政調会長が十分に議論をした話ですから、当然答弁していただけると思ったんですけれども、F35Aを調達する可能性が一〇〇%じゃないって言うから、じゃF35が入らなかったときに防空体制どうするのかという質問についても全く答えられませんでした。  そして、これからミサイルが飛んでくるかもしれないというときに、ミサイル防衛の法的な枠組みも分かっていない。  これで、大臣、是非私を説得していただきたいんですが、大臣のどの部分の知識が強いんでしょうか。大臣、本当にこれで防衛大臣としての十分な知識があるというふうにお思いなんでしょうか。
  111. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 今例示に出されました件については、私もその時点で私の知識の範囲内で対応をしたところでありますが、しかし、最初に言われましたNHKの件につきましても、決して、そういう報道はありましたけれども、私は混同はいたしておりませんよ。武器の輸出の問題もちょっと触れたということでございます。  したがいまして、私は、抑止力の問題にしても、あるいは沖縄の問題につきましても、そんなに混同をして話しておるわけではございません。先ほど、本土という話がちょっと出ましたけれども、その点との比較というのはどの時点でのお話か私は定かでございませんが、F35Aの問題につきましては、これは提案内容を厳守するということで今アメリカと折衝をし、努力をしてきているわけでありますし、その前提で今また防衛省といたしましてアメリカと折衝が始めてきているわけでありまして、したがいまして、私は、一つ一つ現象を言われますけれども、一つ一つ私は、確実な成果が出るように省内で掌握をして、そして仕事をやって積み重ねてきているわけであります。
  112. 山本一太

    山本一太君 もう結構です。
  113. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) はい。今、何点かいろいろと例示を出されましたから。  今回の北朝鮮の問題についても、私は日々緊張感を持って、それで今日までやってきたわけでありますし、準備を早めるということで私は準備命令を本日発出したわけでありますから、決してこれ遅れているわけではありません。そういう面では、手落ちがあったというふうには思っておりません。その辺は御理解をいただきたいと思います。
  114. 山本一太

    山本一太君 あのね、そういう認識を持っている国民はいませんよ。大臣の認識が間違っていますよ。じゃ、何で、ちゃんと答弁していたらこんなに止まるわけないでしょう。全ての委員会が止まっているんですよ。さっきも質問答弁が全然一致していませんよ。  それから、大臣、覚悟っておっしゃいますが、予算委員会のときに後ろの席におられた。外交防衛の集中審議なんだから主役として最前列にいるべきなのに、後ろの席にいて、ずっとその後ろを二人羽織みたいに防衛省の役人がくっついていた。委員長から注意されて最前列に田中大臣が移ったんですね。とても大臣としての覚悟があるとは私は思えません。  大臣、今、的確にやってこられたって言っていますけれども、例えば、防衛大臣になるためには、渡辺大臣のような少なくとも安全保障についての知識があるのが当たり前ですけれども、例えば不十分なところがあったとする、みんな死に物狂いで勉強しますよ。例えば、今日、佐藤委員の方からあったミサイル防衛の話、聞かれるって分かっているわけですよ。沖縄の普天間の話聞かれるって分かってるわけですよ。それでも答弁できないということは、一体どういうことなのかと思います。もう長々答弁されるから結構ですけれども。  一つお聞きしたいと思いますが、緊張感と自覚を持ってやってきたということなんですけれども、私、一つちょっと、今日、大臣に注文したいことがあります。  この間の予算委員会で、三月十四日の一般質疑で、佐藤委員から南スーダンのPKOの問題が提起されました。そこで、PKOの緊急撤収計画を読んでいるかどうかって田中大臣質問をしたら、読んでないということでした。そこから始まって、ずっとPKO撤収に関する迷走答弁が続いて、野田総理が謝ったんですよ。野田総理田中防衛大臣のために陳謝したんですよ。そして、この撤収計画については本人が読むだろうとはっきり言いましたよ。私が言わなくても必ず読むでしょうと言いました。  昨日の答弁で、表紙だけ読んで、表紙だけしか読んでないというのはどういうことなんでしょうか。そこに防衛大臣としての自覚とか覚悟の何があるんでしょうか。その理由を教えてください。
  115. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 撤収計画につきましては、これは確かに、そういう事態を迎えるということも御指摘があるかもしれませんが、私は、今撤収をするという事態にはないというふうに報告を受けました。そして、その中で、その中で、これは統幕長が責任を持って実動部隊としてこの計画は対処をすると。  そしてまたこの計画自体は……(発言する者あり)ええ。で、私は防衛大臣として統幕長と話をしまして、責任を持ってこの撤収計画は、私は読まなくても実行はいたします。しかし、その事態に立ち至る、あるいはそれを判断する、また国連がそういう動きがある、そういう状況になりましたら、私は、撤収するかどうかということの判断にまず力点を置いたわけでありまして、決して撤収をするということが、内容が先行するわけではありません。  まずは、今撤収すべきところであるかということを判断をするということで、私はしっかりと統幕長に、そういう事態が立ち至ったら、また内容のことについては精査をし、そしてまた実行できるかどうかということに指示をするということで話をしたわけでありますので、決して私は細部にわたって読まないというわけではありませんが、しかし考え方としてはそのような順番をして臨んだところであります。(発言する者あり)
  116. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 防衛大臣、簡潔に御答弁いただきますようによろしくお願いします。
  117. 山本一太

    山本一太君 今日ここで、本当は随分細かい質問準備してきましたが、ちょっと切り替えて、大臣のその認識というのを伺ったんですけれども、ここまでの何十分間かで、私が大臣決定的に欠如しているものがあると申し上げて、それを大臣答弁で証明していただいたと思いますよ。  まず、安全保障問題についての知識の欠如。ミサイル防衛の法的な枠組みもよく分かっていないということ。それから、説明能力答弁能力もほとんどありませんよ。全然まとめる能力もないし、何言っているかよく分かりません。そのことも今日はっきり分かりました。大臣としての私は覚悟がないこともはっきり分かりました。  私が一つ不満なのは、当事者意識がないことですよ。玄葉大臣、横で今ちょっと寝てらっしゃいましたけど、目つぶって。
  118. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 寝てない、寝てないよ。
  119. 山本一太

    山本一太君 あの沖縄の問題。パッケージ切離し論ってありますよね、グアムの移転を先行させようという。まあ、目つぶっていただけで寝てないと言っていますけど、寝てた感じでした。  そのグアム移転を先行させるという話。あれ、防衛大臣、最初から全然、全然相談を受けてないじゃないですか。パネッタ国防長官がたしか日本側に余分な負担をさせるみたいな話をしたときに、外務省からパネッタ国防長官に確認をしたんですよ。それ普通はカウンターパートでしょう、あなたの。あなたが、普通は、防衛大臣だったら、パネッタ国防長官に確認するべきところを、何で外務省確認するんですか。全く当事者能力ないじゃないですか。  この切離しの話について、どう思います。本当に当事者としてやってきたんでしょうか。
  120. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) いや、一月の三十一日に就任したときには、西局長はアメリカに行かれておったわけであります。帰られた後、私が報告を受けました。その折衝の中で、切離しについては先行して、まずこの考え方を、その協議を始める、始めたということでございまして、ほかのところはこれからの折衝でありますが、切離しを始めたという報告を受けました。それで私は、大変早く結論を私も認識をしたわけでありますので、たしか参議院委員会だったと思いますが、質問をいただきましたので、最初に私は国会でこの普天間の切離しを委員会では説明をしたということでございます。
  121. 山本一太

    山本一太君 北澤防衛大臣がここにおられるので、御本人を前にちょっと言うのも何かと思うんですけれども北澤防衛大臣だったら私はこういう展開はなかったと思いますよ。防衛大臣、元防衛大臣が、北澤防衛大臣、二月末の毎日・世論フォーラムで、この在日米軍再編のロードマップ見直し協議について、沖縄の意向を体して米側と交渉する路線を築けば大きな転機になったと、そうならずに残念だと発言されたというふうに報道されています。  玄葉大臣が米国との協議開始を発表したと。鬼の首を取ったみたいに、大臣は得意げじゃないと言っていますけど、俺がもうこのパッケージをやったんだみたいな顔で、私にはそう見えました。発表したときも、これはやはり、何日か待てば、もうちょっと見直しをのんでくれというふうにアメリカ側からなったんじゃないかということで、北澤大臣が、ちょっと戦略性を欠いているんじゃないかというふうに批判をされていますよ。  防衛省の中の防衛官僚の人たちの気持ちとか考え方というものをきちっと、田中大臣、分かっているんでしょうか。この元大臣の発言、どういうふうに思われますか。当事者意識があるんですか、あなたに。一言でいいです、もう。
  122. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 北澤大臣がどういうふうな形で対処したかということは私はまたお話伺いますが、私はこの現状の中で、今の状況の中で最善のものを対応して、そしてまた最適な決断をしていくということで私は臨んでおることを御理解いただきたいと思います。
  123. 山本一太

    山本一太君 私は、一川前防衛大臣に対しても、田中防衛大臣に対しても、何の個人的な恨みもありません。でも、一川前防衛大臣、残念ながら、就任直後のぶら下がりインタビューで、いや、俺は素人だと、素人だからシビリアンコントロールだということを言って内外に誤ったメッセージを発信し、その後もブータン国王を招いた晩さん会に欠席したり沖縄少女暴行事件についてよく知らないと言ったり、いろんな発言や失策が続いて、結局、問責を受けて事実上更迭されました。  私は、参議院予算委員会でもここでも参議院の問責を可決させなければいけないということを宣言しましたが、田中防衛大臣に別に問責を突き付けたいとかは思っていません。野党が協力しなければできないことです。でも、大臣にはもう一回申し上げます。今日の質疑を通じても確信しました。大臣は、一刻も早く辞めていただきたいと思います。御自分で辞めないのであれば、やはり参議院でノーを突き付けることを考えざるを得ないと思いますけれども大臣、もう一回申し上げます。辞めるつもりは全くないということでしょうか。
  124. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 私は、自分の出処、出処については自分で判断をいたしてまいります。(発言する者あり)出処進退は、出処進退は自分で判断をしていくところでございますし、粉骨砕身、業務に邁進をするということで決意をいたしておるところでございます。
  125. 山本一太

    山本一太君 ちゃんと日本語は正確に言っていただきたいと思います、防衛大臣ですから。  粉骨砕身といって、にこにこして言ったらいいというものじゃありません。別にお人柄と能力関係ありません、あなたは防衛大臣なんですから。あなたには一刻も早く辞めていただきたいと思います。それは、国益のためにあなたに大臣を替わっていただきたいというふうに私は思っていますので、そのことを改めてここで申し上げておきたいと思います。  さて、一つ、今日お聞きしたいことがあるんですけれども北朝鮮ミサイル発射実験に対して、今、日米が連携していろんな対応を恐らくしていると、準備を進めているということだと思います。先ほどの質疑にも出てきましたけれども、イージス艦を沖縄の周辺、PAC3も、それから首都圏にもPAC3を配備しているということなんですけれども。  これ、どこか一部の報道にも出ていましたが、例えばイージス艦あの地域で前方展開したときに、中国はどうやって反応してくるのかと、こういう懸念を言う人たちが何人か有識者の中でいて、例えばイージス艦を前方展開したと、中国の例えば軍艦みたいなものが出てきて中間線に近いところで接近すると、こういうような事態防衛省は想定しているんでしょうか。その場合どんな対応を考えているのか、防衛大臣にお聞きしたいと思います。防衛大臣
  126. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 仮定の話でございます。  ルース大使と私は、先般この北朝鮮の問題につきまして会談をいたしました。まずは日米の連携ということが大前提でございますので、スタートをする。そしてまた、その他の周辺国との関係もそれぞれ対応をしていかなければいけない、こういうことも想定されるわけでありますが、今のような状況、具体的に私は、そういう面では今検討をしているというわけに、日米で検討をしておるということは聞いておりませんし、そういう事態が私はあるとは思っておりませんが、しかし、いろんなケースを考えていくことは大切なことではないかとは思っております。
  127. 山本一太

    山本一太君 何か三重四重否定で何をおっしゃっているのかよく分からないんですけれども。  そうすると、そういう事態防衛省としては想定していないということなんですね。イエスかノーかでお答えください。
  128. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 今は想定いたしておりません。私は想定をいたしておりません。
  129. 山本一太

    山本一太君 私はというのは、日本政府はということでしょうか、大臣、もう一回お聞きしますけど。
  130. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 防衛省は想定をしておらないということでございます。私とルース大使では議題にはなりませんでした。
  131. 山本一太

    山本一太君 最後に、もう時間がないんで玄葉大臣に一つだけお聞きしたいと思うんですね。  今、ソウルで核セキュリティサミットが、核安全保障サミットですか、が昨日から始まりました。これ、流れからすると例のイラン問題と北朝鮮問題が中心だということで、どうもミサイル発射については包囲網ができつつあるということで日本にとっては歓迎すべき流れだと思うんですが、一番気になるのは、野田総理の存在感が余りにも薄いということだと思うんです。確かに、予算委員会のスケジュールもあってかなりタイトな日程で行かざるを得なかったと。総理が摩耗しないシステムというのはやっぱりどこかで考えなきゃいけないと私も思いますが、それだけじゃないと思うんですよね。  つまり、二国間の首脳会談の要請がどこからも来ていないと官房長官がおっしゃっていますけれども、これは事実でしょうか。事実か否かでちょっとお答えください。
  132. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) これ、正確に調べる必要がありますけれども、恐らくそもそもこういった時間の制約であると、それを前提にしていたものですから、そういうバイ会談を三十分取る、一時間取る、そういうことではなかったというふうに思うんです。  今回、先ほども申し上げましたけれども、合間合間、つまりは会議の合間なども含めて活用させていただいて、オバマ米大統領、そして中国の胡錦濤国家主席、あるいはインドのシン首相、そのほかの首脳ともできる限り対話をするということで今努力をしているはずでございます。でき得る限りの基本的認識の共有、そして今後の対応等についてもよく連携できるような、そういうそれぞれの対話にしたいというふうに考えております。
  133. 山本一太

    山本一太君 時間になりましたので、最後に一言だけ申し上げておきたいと思います。改めてまた大臣と議論ができればと思いますが。  この間、参議院の公聴会に外交評論家の岡本行夫さんが公述人として来られました。日本の存在感が下がっているということは、これは間違いない。それは、以前は世界のGDPの一七%を占めていたのが七%になっちゃったし、一人当たりGDPも小渕政権のときの二位から多分下がっちゃっていますから。でも、やっぱりそれだけじゃないと。やっぱりオバマ政権は、岡本さんも言っていましたが、親日政権として誕生したと。玄葉大臣が何度も会っているクリントン国務長官、アメリカ上院の外交委員会の指名を受けたときの演説は、日本に対する尊敬と、それから信頼と期待にあふれていた。ところが、一気に熱が冷めたと。これはもう鳩山元総理が意味不明のことをやって普天間が迷走して、今はもうアメリカは韓国重視ですよね。  最後に言いますが、セキュリティ・サミット、これアメリカの後押しがあって韓国がソウルに持っていきました。本当は日本みたいな国がこれを主催するべきだと思いますよ。唯一の核兵器の攻撃を受けた国であって、しかも福島の原発の話があったと。ですから、この民主党政権になってからの外交の凋落ぶり、これについては本当に目を覆うものがあるということを申し上げ、これについてはまた改めて議論させていただくということだけ……
  134. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 一言だけ言わせてください。
  135. 山本一太

    山本一太君 いや、もういいです。もう結構です、はい。それだけ申し上げて、宇都委員に譲りたいと思います。  以上です。
  136. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 玄葉外務大臣、一言だけ。
  137. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 私は、二年半の外交をどう総括するかということはあると思います。ただ、私は、今、日米関係は先ほどの、別に得意げになっているわけではなくて、改めて在日米軍の再編等を通じてより深化できる、そういう体制が整ってきているというふうに確信をしておりますので、しっかり外交能力向上、あるいはプレゼンスの向上に、これは党派を超えて……(発言する者あり)党派を超えて努めていきたいと。  先ほどのお話は猪口先生からも御提案いただいて、そこはある意味、甘受をしたいと思います。
  138. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 自由民主党の宇都隆史です。  山本一太議員に引き続いて、核セキュリティサミットのテーマからまずは入っていきたいと思うんですが、外務大臣、そもそもこの核セキュリティサミット、元々始まった経緯は九・一一の同時多発テロからでしたよね。そして、今回が二回目のサミットというふうに聞いております。一回目は二〇一〇年、ワシントンにおいて四月に行われました。今回は韓国において今、昨日からですか、昨日、今日とこの二日間で行われているわけですが、玄葉大臣、今回のサミットの主要の議題、これを教えてください。
  139. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 昨日の予算委員会でも若干ございましたけれども、今回の核セキュリティサミットにつきましては、おっしゃったとおり、〇一年の同時多発テロを受けて非国家主体による核テロへの懸念が高まったということで、核セキュリティーの強化ということが国際社会の共通課題として認識が高まったことを受けてワシントンで第一回を開いたと。    〔委員長退席、理事広田一君着席〕  先ほど、日本こそが主催国になるべきだったと、こういう話がございましたけれども、それはそのとおりかもしれません。ただ、韓国として特に原子力を積極的に導入する、こういう経緯があったと私は聞いています。そういう中で、今回韓国での開催になったということでございます。  今回は、ワシントン二年前でございますから、その後どれだけ各国が取組を行ったのか、そして今後の取組の方向性、そして、さらには原子力安全と核セキュリティーの関連性等について現在、まさに今日議論をされているというふうに承知をしております。
  140. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 質問に端的にお答えいただきたいと思います。  私が聞きましたのは、今回の核セキュリティサミットの主要議題は何かということを質問いたしました。もう私の方から答えますけれども、これは元々第一回目からの引き続きで、原子力発電所等に対する核テロリズム、これにどうやって対応していくか。これはもちろんウランだったりプルトニウムの盗難であったり、輸出、輸送間の安全、こういうのをどう守るかも含まれています。これが一つ目。そして二つ目は、福島原発事故、これを受けての自然災害に対して今後どうやって対応していったらいいのかが二点目。そして今回の北朝鮮ミサイル。この三点ではありませんか。
  141. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 三点目というのは、まさに元々用意されていた議題ではございません。ただ、おっしゃるとおり、こういった事態を受けて、当然、少なくともバイ会談の中でそれぞれが取り組んでいくべき大事なテーマになったということだと思います。  おっしゃるとおり、昨日も申し上げましたけれども、例えば核物質が盗まれた、そういったときの対応、輸送の対応、あるいは原子力発電所そのものの脆弱性というのも今回、原発で言わば明らかになったわけでありますから、こういった原子力発電所の例えば警備をどうするのかといったことも含めて当然議題になっているということだと思います。
  142. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 今、外務大臣から御答弁をいただいたように、北朝鮮の問題というのは元々のテーマではなかったんですね。とすれば、元々の大きな二大テーマというのは、核テロリズムにどうやって対応していくか、そしてもう一つの重大テーマは、自然災害に対してこの核施設をどうやって守るのかというのが大きなテーマなわけですよ。であるとすれば、今回集まってきている五十数か国、日本とバイの会談をしていろんな話をしたくない国はないはずなんですよね。それが、官房長官のお話によると、他国からのバイの会談要請があったとは聞いていない、あるいは時間的な制約があったという話もしていますけれども、本来であれば、どこも日本と話をしたい、日本の話を聞きたいはずなんですよ。それがなぜできないのか。私は、日本政府が、この核テロリズムと自然災害への対応、これに対して、今、国際社会に対して発信できる何かをまだ持てていないからバイの会談ができなかったんだと、そういうふうに思っています。そのことをこれ以降の審議を通じて明らかにしたいと思います。    〔理事広田一君退席、委員長着席〕  まず、防衛大臣、よろしいですか、お伺いします。  元々は、二〇〇一年九月十一日に起こった同時多発テロから起こったわけですね。あのとき以降、世界の国家のセキュリティー、ナショナルセキュリティーに対する考え方はがらっと変わりました。脅威対象が、世界の軍ではなくて、いわゆるテロリズムを相手にもしなければならないというふうに、テロとの脅威というのが加わったわけです。航空脅威というのがあのときは大きな対象でした。ハイジャックされた飛行機が世界貿易センターに突っ込んだわけですよね。あれからもう何年もたっています。  世界同時多発テロ九・一一以降、我が国の航空脅威に対する対応で何か変化したところが防衛省としてありますか。
  143. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 我が国の航空体制につきましては、第一義的には制空、防空という対応をしてきておるところでありますし、今回の中期防におきましても、二百六十機におきまして対応をし、そしてまた、御存じのとおり、F35Aの購入によって対応していくわけでありますが、しかしテロの問題につきましては、テロ対策法を始めとして対応をしてきたところでありますが、自衛隊といたしましても、インド洋の補給を始め、その具体的な対応をしてきておるところでございます。自衛隊といたしましても、原子力を始めとして、テロの対策ということで、自衛隊、あるいは警察、そしてまた地方自治体と原子力に対するテロの対応というものについては日々訓練をしておるところでございます。
  144. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 私も大臣を困らせるつもりはないので、昨日も丁寧に質問通告いたしました。そんないいかげんな答弁をするんだったら、もう質問通告なんかいいかげんにしますよ。  もう少し具体的に、じゃ、お聞きします。あのときに、民間航空機がハイジャックされて突っ込んだわけですよね。では、今、羽田空港からヨーロッパ向けに飛び立った飛行機が日本海の上空でハイジャックをされたという信号を発して引き返してきた。敦賀湾の原発がたくさんあるところにどんどん向かっている。航空自衛隊でスクランブルを上げて近くまで行った。それでも言うことを聞かない。どんどん高度を下げて突っ込んでいく。航空自衛隊として法的にとれる措置があるんですか。
  145. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 航空機によるテロに対し自衛隊が法律上取り得る対応についての御質問ですが、民間航空機を用いた攻撃が行われるような場合は、政府として法律の範囲内でできる限りの対応をすることとなっております。自衛隊としては、状況に応じ、例えば当該攻撃が我が国に対する武力攻撃と認められるような場合には防衛出動により、その他の場合には治安出動により対処をするということになります。  ただし、二〇〇一年九月十一日の米国における事例のように、多数の乗客が乗った民営機を使用した攻撃が行われる場合には、当該民間航空機を撃墜し得るか否かは、法律上のみならず、現実の判断の問題として極めて重く、かつ困難な問題であることは間違いありません。
  146. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 だから、端的に答えてください。  現行法規の中で取れる手段があるんですかというお話を聞いています。もう副大臣答えてください。副大臣お願いします。
  147. 渡辺周

    ○副大臣渡辺周君) いわゆる九・一一のハイジャック型のアタックが機上に、極めて可能性が高いというようなことが起きた場合に、随分この国会でも検討をされたと思います。実際、洞爺湖サミットのときも、あの山のてっぺんのホテルに各国の首脳が集まったときに同じようなことが起きたらどうするんだという、たしか当時の石破大臣もいろいろ頭を、思いを巡らせていたことも承知をしておりますが、現実問題として、治安出動で出動できますけれども、じゃ、その破壊措置をとれるかと、乗客を満載した旅客機を自衛隊が撃ち落とせるかということになった場合には、これは現実問題としては正解がないのかなというふうに思いますね。これは答えが今はないと思っています。
  148. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 そのとおりですよね。結局、政治の無作為なんですよ。判断難しいんですよ。だから政治が決めておかなきゃいけないんじゃないですか。だから、いざとなったら、その落ちていくところの住宅密集地、あるいは原発に住んでいる周りの人を見殺しにするか、あるいは現場のパイロットが業務上過失致死を覚悟で自分で撃つしかないじゃないですか。それを政治の無作為というんですよ。  つまり、航空脅威に関しては、二〇〇一年に、日本全国の政治にかかわっている、あるいは軍事にかかわっている人間は、みんな問題だと分かっているのに、政治は何も手を打ってこなかったんです。これは民主党だけの責任じゃない、自民党時代もそうなんです。そのことをまず、今、大臣防衛大臣、あなたが今そこに就いているんですから、あなたしかできないんですよ、このことをやれと命じるのは、プロジェクトチーム等をつくって。そういうことを考えていないじゃないですか。  先ほどの答弁を聞いても、今の現状では非常に難しいと思います。難しいのを解決するのがあなたなんです。それが政治なんですよ。それが何もできていないということを今言っているんです。九・一一以降何も変わっていませんよね。  では、今度は、九・一一から数十年たって、昨年は原発事故が起こりました。あれ以降、様々な国会議論の中で、昨日もたしか佐藤議員もされたと思いますけれども、原発がテロ等の脅威に脅かされたときに本当に自衛隊が守らなくていいんですかという話をいたしました。警護出動の話ですよね。これは私も予算委員会で前の一川大臣のときにしました。そうすると、渡辺大臣の方から非常に前向きな答弁をいただきましたよね、検証に値すると。その後、防衛省ではどうなりましたか。
  149. 渡辺周

    ○副大臣渡辺周君) 正式なこの点についての検討会は開いておりませんが、当然、制服の方々と、つまり、今回原発の脆弱性というものが露呈をいたしました。かつてのときは、たしか警護出動のときは、原発に例えば今言ったようないわゆるハイジャック型のアタックがあったらどうするんだとか、ミサイルが飛んできたら耐えられるのかとか、そういう議論をしましたけれども、実は外部電源を操作するだけでこのような大惨事が引き起こされたということを鑑みて、どうするかということについては、これは意見交換を当然しております。  ただ、この点については、かつても警護出動の任務を付与するための法案を提出するときに、各省庁間でいろんなやり取りがある中で原発が落とされたといういきさつもございますので、これは、政治レベルはもちろんでありますけれども、他省ともしっかり話をしなきゃいけないということで、今省内で非公式ながら検討、話をしているところでございます。
  150. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 確認しますけど、非公式ではあるけれども省内にそういうチームをつくって検証を進めているということでよろしいですか。
  151. 渡辺周

    ○副大臣渡辺周君) この点について、公式、非公式というよりも、幕の人間、制服の人間と、今回のことを受けて、これは私的な考え方の中で、どうするかということについては意見交換をしたいというふうに考えております。
  152. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 それでは前に進んだと言わないですよね。やはり法律に変えていかなければそれをやったとは言えないわけですから。  これ、防衛大臣、まず核の、これに関しては、昨年はあれだけの大きな自然災害が起こったわけですから、省内に警護出動を含めた、原発を自衛隊が守れるだけの法的措置を考えるプロジェクトチームをつくることを今約束してもらえませんか。
  153. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 警護出動につきましては、先生お話のように、原発も対象にするかどうかということについては国会でもしばしば議論になった論点だと思っています。私としては、先生の意向を体して、省内にそのプロジェクトチームをつくっていくということをお約束したいと思います。
  154. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 ありがとうございました。  ただ、要は、今の現段階では航空脅威に対する対応、それから原発のテロ対応に関しても何もまだ決まっていないわけですよね。ということは、今回の核サミットの最大テーマであるテロへの脅威ということに対して、我が国はあれ以降こういうことをやりましたという出せるものは何もないということじゃないですか。だから、一個目の議題のテロ対応に関しては、日本は何もないんですよ、世界に発信できるものが。  二つ目です。自然脅威に対してどれだけのことができているか。  議事録が全く取られていなかったというお話、つい先日ありましたよね。何か降って湧いたかのように、私もどこからああいうのが出てきたのかなと思って見たんですけれども、去年の十一月ごろNHKが情報公開したら、年明けになって、いや何だと、議事録は取っていなかったのかということになって、慌ててそのときの枝野官房長官が、再度改めて記憶とかそれからメモを頼りに作り直せという指示を出したというふうな話を聞いておりますが、別に改めてそのときになってやっと分かったわけではないんですよ。  私は、去年の四月二十一日です、震災が起こってから約一か月後の内閣委員会でやっているんです。内閣委員会で私がやったのは、このように言いました。枝野官房長官とやり取りしたんですね。議事録をちゃんと取ってあるんですかという話をしたら、会議ではないから議事録を取っていないと答弁されたので、そういうことじゃないと。私は、正確に読みますよ。  緊急対処のオペレーションのときの大原則、イロハのイは、何時何分に誰が何という行動を発して、その後何分後にどういう行動を誰が行ったのか、あるいは行えなかったのか、行えなかったとしたら何の理由で行えなかったのか、そういうのを時系列でしっかり取っていく、これが基本なんですという話をしました。  枝野官房長官からはどういう答弁いただいたかというと、どういう段階で何がなされていたのかということについては、これは当然事後的な検証が必要だと思っております。ちょっと中略して、しかし、把握している部分については整理をする必要があるというふうに、ですから、まさに何時何分に何をそこで決めたとか、そういったことがあれば、それについてはしっかりとテークノートできているはずですので、それは整理をして将来検証の用に供する必要があると思いますと。  だから、ちゃんとやらせます、取らせます、取っているはずですという話をしたんです。  この四月二十一日以降、政府内に、ちゃんとこういう時系列のメモを取りなさいと、整理をしなさいという指示はどこかから出されているんですか。これ、内閣官房でよろしいですか。
  155. 幸田徳之

    政府参考人(幸田徳之君) お答えをいたします。  公文書管理法を所管いたします内閣府におきましては、東日本大震災対応のために設置をされました十五の会議等の議事内容の記録につきまして本年一月二十五日の時点で調査を行いましたところ、原子力災害対策本部など五つの会議などにおきまして議事内容の記録の一部又は全部が作成されていないという事実が判明をいたしました。これを踏まえ、公文書管理担当大臣でございます岡田副総理の方から関係閣僚に対しまして、議事内容の記録の作成について可能な限り迅速に対応するよう依頼が行われ、その結果、先般、三月九日に、作成済みであったものも含め、東日本大震災に関連する会議等の議事概要及び議事録が、それぞれ担当する各府省より公表されたところであると承知をいたしております。
  156. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 質問に答えてください。  当時、私が四月二十一日にこういう質問をした以降、各省庁にそういうのを取りなさいというような指示が政府官邸の方から出たんですかという話を聞いています。
  157. 幸田徳之

    政府参考人(幸田徳之君) 内閣府におきましては、公文書管理法を所管しておるわけでございますけれども、まず、震災発生から一月を経過した四月十二日の時点で、各府省連絡会議で瀧野内閣官房副長官の方から、今般の震災の事実経過の記録や資料等の保存について注意喚起をいたしたところでございます。さらに、その後も、法施行から半年を経過した十月十二日の時点におきましても、関係省庁連絡会議におきまして、各府省庁の文書管理担当者に対しまして、東日本大震災関連の資料は歴史的に重要な資料として適切に残すように依頼を行うなどの対応を取ってきているところでございます。
  158. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 後半の、各文書課にそういう歴史的な資料を残すようにという資料があるんですか。あれば委員会に提出をお願いしたいんですけれども。あるんですか、どちらにしても。
  159. 幸田徳之

    政府参考人(幸田徳之君) お答えをいたします。  ただいま御説明申し上げましたのは、十月十二日に開催をいたしました公文書管理に関する関係省庁連絡会議におきまして各府省庁に対してお願いをしたという、そういうこと、発言でお願いをしたということでございます。
  160. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 ですから、私はそういうことを聞いていないでしょう。私がこうやった以降に、ちゃんと指示、何らかの形になった指示が出されたんですかという話を聞いています。  そういう会議で口頭で言ったとかそういうことではなくて、あったんですか、なかったんですか。
  161. 幸田徳之

    政府参考人(幸田徳之君) 公文書管理を所管しております内閣府におきましては、今申し上げたような事実関係でございます。
  162. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 恐らく、もうそれ以上は答えられないんでしょうから、時間の無駄ですので。やっていないんですよ、結局、そういうことを。  国会の審議の中でちゃんと答弁もしておきながら、ちゃんとした形で指示、何らかのそういうことをしていない。だからこそ、昨年、こういうことが起こった今年になって以降に、やはり正式な事故調査委員会を立ち上げて実際どうだったのかというようなことを調べようという話になったわけですよね。  政府側にその事故調査委員会をつくるのか、あるいは国会につくるのかということで大もめにもめました。昨年の暮れにやっと法律が作られまして、国会事故調査委員会ができましたよね。  この国会事故調査委員会、今現状はどうなっているのかということを確認したいんですが、原子力規制庁を今度つくるという話がありますけれども、これとの関係説明いただきたいんですが、これは保安院でよろしいんですか、内閣官房ですか。
  163. 森本英香

    政府参考人(森本英香君) 私ども、今、原子力規制庁の関係の作業をさせていただいております。福島の第一原発の事故が大変な事態でございます。原子炉というのは稼働がされているか否かにかかわらず、常にしっかりした安全規制が必要、防災対策が必要ということで、一日も早く人と環境を守る規制制度というのを導入したいということで準備させていただいているというところでございます。  もとより、立法府において設置されました国会事故調査委員会の重要性はもちろんのことでございます。そこで事故の総括を通じてまとめられる提言を踏まえて、また政府において更なる検討を行いたいというふうに思っております。昨年八月の閣議決定で、当面の見直しを行った後に、より広範な検討を行うというふうにされてございます。  現在、原子力規制庁に関する法案を国会に提出させていただいておりますけれども、今後、国会事故調査委員会の提言等を踏まえまして、新組織が担うべき業務の在り方、より実効的な強力な安全規制組織の在り方について、二十四年末を目途に更に成案を得るべく取り組んでいきたいというふうに考えてございます。
  164. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 私が求めているもの、ちゃんと事前の質問通告でお願いしていたのに答弁をしてもらえませんから、時間もったいないので私から答えます。  今、この国会事故調査委員会というのはスタックしているんですよ、止まっているんです。機能していないんです、動いていないんです。なぜ動いていないかという話を申し上げると、今言った、内閣府の方から説明があったように、原子力組織制度改革法案等の閣議決定に当たってというのを細野さんが出したんですね。これは、要は、本来であれば国会事故調査委員会の方が、この事故にかかわった様々な原因究明であったり教訓抽出をした上で今後どういう体制にするかというのをお願いされている国会事故調査委員会でありながら、それが事故調査の結果を出す前に閣議決定をして、もう事故の教訓が出たと、事故の教訓を踏まえた上で今後こういう規制庁をつくるというのを出したものですから怒っちゃったんです。委員長が怒って、だったら勝手にしろということで今止まっているわけなんです。  もう一度、内閣府に確認しますけれども、この閣議決定に当たっての文書、一番最初の冒頭に、「今回の改革は、事故の教訓を踏まえて、」という一文を踏まえてだらだらだらと出していますよね。事故の教訓は出たんですか、もう。
  165. 森本英香

    政府参考人(森本英香君) もとより、先ほど申し上げましたように、国会事故調において更なる御検討をいただいてございますので、それを踏まえて更なる見直しをするということは私どもも考えてございます。  ただ、福島事案がございまして、そこにおいて安全対策が十分でない、あるいは防災対策が十分でないということが既に明らかになってございます。そして、その部分につきまして、国民の不安にこたえるというため、あるいは人と環境を守るということをきちっとやるために急いでやる必要があるということで現在の法案を出させていただいているということを御理解いただきたいと思います。
  166. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 つまり、海外であったり、あるいは国民もそうかもしれません、今回の原発事故で一番知りたい部分はここだと思うんです。この事故において関係行政機関その他関係者が事故に対し講じた措置の内容、被害の軽減のために講じた措置の内容、措置が講じられるまでの経緯並びに措置の効果を究明又は検証するための調査、この結果が知りたいですよね。これは出ていないんですよ、まだ。これをお願いされているのが国会事故調なんです。  だから、この結果が出た上で教訓が出てきて、それだったらこういう組織が必要だよね、それを三条委員会、野党が言うように三条委員会にした方がいいのか、与党が言うように環境庁の外局にした方がいいのか、それからでしょう、話は。その順を追わないのに勝手にこういう閣議決定をするからスタックしているわけなんですよ。  本来であれば、法律によって六か月で結果を出しなさいということになっていました。もう今四か月ぐらいたっているわけですよね。ということは、順調に進めていれば半分以上の月日はたっているわけですから中間報告ぐらいは出たかもしれない。そうしたら、今回の核サミットに中間報告ぐらいは持っていけたかもしれないんですよ。それも止まっているんです、全部。  総理は、昨年の九月にニューヨークにおいて国連総会の討論演説でこう言っているんですよ、世界各国に向けて。原子力安全分野における知見と経験の共有が重要だと。私は事故への対応から得た経験を決して無駄にせず、国際的な原子力発電の安全性の強化に向け積極的な貢献を果たす決意を表明いたしました。事故の総点検の結果を国際社会と全て包み隠さず共有し、原子力安全の水準を高めるための国際社会の様々な取組に貢献してまいります。  国際社会は本当にそれをしているとは全く思っていません、今回の流れの全てを見ても。つまり、今回の核サミット二つ目の重要テーマに関しても、我が国は国際社会に表明できる、持っていける手土産は何にもないわけなんですよ。  その中で、最後、時間ももう少し残っていますから、今回のこの核サミットで総理がどういう演説をされたのかという話に踏み込んでまいります。  総理が今回核サミットの中で話された全文の資料を入手することができたんですけれども、後半、もう十四時で終わっていますからもうオープンにしていいと思います。三つの教訓、我が国は得ましたという三つの教訓を言っているんですけど、こんなことよく恥ずかしげもなく言えたなという教訓ばかりしか言っていません。一つ目、想定外を想定することの重要性。当たり前じゃないですか、そんなものは。二つ目、現場をおろそかにしてはならない。これ、よく中身を読むと、要は訓練が形式でありましたということを言っているんですよ。三つ目、安全の確保は不断の取組である。これ、説明すると、最悪の事態にどう対処するのかということを言っているんですね。  今、現時点で韓国において最悪の事態をどう対処するのかということを一生懸命総理が世界各国に対して表明しているのに、我が国の外交防衛委員会では蓋然性なんて言っているんですよ。蓋然性を考えたら最悪の事態なんて考えられないじゃないですか。だから、全く各国から見たら相手にされていません。  この中で、国内上の取組でこういうことをしましたという二点を最後質問して終わらせていただきますけれども、まず海保に質問します。  今回、総理が、この我が国の国内の取組ということで、海上自衛隊等と共同して原発の海洋警備、これを一生懸命やっていきます、この訓練もやっていきますという話をしていますけど、これまでそういうことはしていなかったんですか。
  167. 桝野龍二

    政府参考人(桝野龍二君) 先生御存じのように、海上保安庁では原子力発電所の警備につきましては、周辺海域の監視、警戒に当たる等、万が一に備えまして準備はしております。また、資機材等についても充実を図り、訓練も行ってきているという状況でございます。  御指摘のような訓練でございますが、いわゆる不審船とか、いろんな意味で、海上保安庁とそれから海上自衛隊を中心とした自衛隊とはある種の意見を共有し、情報を共有し連絡しなきゃならないという立場にございますので、そういう不断の連携協力はやっております。  そういう意味で、今後は、野田総理もこういう御発言をされましたことも踏まえながら、更なる共同訓練の深化というか、情報使用とか、そういうことについてはこれからもやってまいりたいと思っております。
  168. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 つまり、海上保安庁と海上自衛隊が共同して原発の付近の海域を守るというのは、これまでもやっているんですよ。別に今までやっていなかったことを急にやりますと言ったわけじゃない。より頑張りますということを言っているだけなんですね。  もう一つ、びっくりしましたけれども、産経新聞で大きく見出しで「首相、原発の「武装治安要員」配備表明」と出たんで、そんなこと聞いていないよと我々思いましたよね。これは何のことでしょうか、警察庁。
  169. 沖田芳樹

    政府参考人(沖田芳樹君) お答えいたします。  原子力施設に対する警備につきましては、警察におきまして、先ほどお話ございました米国の同時多発テロ事件以降、ライフルですとか機関銃等を装備した部隊を常駐させまして、海上保安庁とも連携しつつ二十四時間体制で警戒警備を行っているところでございますが、今回、福島第一原子力発電所の事故によりまして脆弱性が明らかになったこと等も踏まえまして、更に必要な強化を図っているというところでございます。
  170. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 確認しますけれども、それはいわゆるこの核セキュリティサミットが想定をしているようなテロだったりゲリラ部隊だったり、そういうのに対するような能力保有ではないですよね。そして、もっと言うと、二百名の警官の増員のことをこれは言っていると聞いていますが、それで正しいですか。
  171. 沖田芳樹

    政府参考人(沖田芳樹君) 先ほど申しました部隊につきましては、原子力施設に対するテロに対する対処ということを想定した部隊でございます。したがいまして、先ほどの約二百名の増員をお願いしているというのも、その部隊の増員でございます。  なお、これに加えまして、テロが発生した場合には、更に高度な能力を持った、警察に特殊部隊、SATというのがおりますが、こうしたものを迅速に投入して対処したいというふうに考えております。
  172. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 つまり、二百名の警官を増員した、そしてその装備に関しては決して軍隊と同じようなものを持っているとかそんなんじゃないんです。警察が元々持っていたような装備を更に拡充したという、それだけに過ぎないんですね。  外務省外務大臣、これ武装治安要員というふうに書いていますけれども、これ英語表記で向こうの方には何というふうに表明しているんでしょう。あっ、いいです。私調べました、確認しました外務省に。外務省はこれを、我が国はこういうふうにして原発のテロ対処しますというのを、アームド・セキュリティー・パーソナルという単語で伝えているんですよ。誰がこれ二百人の警官の増員だと思います。何か特殊な軍隊のような、あるいは原発を特別に守るような治安部隊を特別に創設したというふうに取られませんか。しかも、二百名なんてことは書いてないんですよ。  原発、一体全国で何基あるんです。それで割ったら一基当たりたった何人の増員なんですか、数名ですよね。これは、私、国際社会に対する国際詐欺だと思いますけれども外務省、どう思います。
  173. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 今のアームズ・セキュリティー・パーソナルですか、そういう表現、二百人。今原発は、元々五十四基だったでしょうか、ただ動いているのはどのくらいかということもあります。ただ、動いてなくとも核物質はございますから、使用済核燃料もありますから、そういう意味では二百名で足りるのかという問題は当然出てくるだろうというふうに思いますし、これ果たして、じゃ二百名で今後打ち止めするのかという問題もあるでしょう。  ですから、これは、例えばIAEAと十二月に国際会議も共同で行います。そのときにも当然大事な議題になってくると思うんですね。ですから、これで終わりということではないんだと思うんですよ。先ほど国会で事故調をやっていると、ああいった経緯、これからの検討、そういったことも含めて、どんどんどんどん深化をさせていくということが必要であって、全く当たり前のことを言っているという、冒頭言われたけれども、さはさりながら、先ほど御紹介いただいたような、そういった人的警備体制の強化とか、あるいはサイバー攻撃にどう備えるかとか、今回の経験を踏まえて今言えることを言っているということだと思います。今後更に検証していく必要があるだろうと、そう思います。
  174. 宇都隆史

    ○宇都隆史君 つまり、最後まとめますけれども、持っていく成果がなかったから何とか形だけ繕ったというのが今回の総理のこの表明なんじゃないんでしょうか。  でも、何でこういう弱い外交になるのかといえば、我が国の防衛がリアリズムを欠いているからですよ。現実をちゃんと直視して、やらねばならないことをやらないから、防衛大臣、だからこそ私はあなたにはその任は重いと思うんです。ですから、現状の我が国の防衛問題を的確に把握した人に早く交代されることを私は勧めます。防衛がリアリズムから逃避している限り絶対に強い外交はできないということを強く申し上げて、私の質問を終わります。
  175. 山本香苗

    山本香苗君 本日は田中大臣には御質問いたしません。あした質問させていただきますので、今日は外務大臣とじっくり議論させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  まず、パッケージ型インフラ海外展開支援のための円借款の活用につきましてお伺いをさせていただきたいと思います。  昨年の八月の十九日の日に、外務省国際協力局、財務省国際局、経産省の貿易経済協力局、この三省で、これまで円借款の供与対象となっていなかった中進国を超える所得水準の開発途上国に対して、具体的なパッケージ型インフラ案件の受注や資源獲得等のために直接的に有効であることが確認できる場合には、ケース・バイ・ケースで戦略的かつ例外的に円借款を活用していくということが合意をされました。  中進国を超える所得水準の開発途上国といいますと、いわゆる高中進国という国々はマレーシア、ブラジル、トルコでありますけれども、今回、関係三省でこういう合意がなされた理由目的は何なんでしょうか。
  176. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 今、山本委員から御指摘をいただいたこの文書というのは、まさにパッケージ型インフラ海外展開の支援のために中進国あるいは中進国を超える所得水準の途上国向けの円借款の活用を積極的に推進をしようということで、関係者、省の間で合意をしたものであるということでございます。ODAの在り方に関する検討最終取りまとめやパッケージ型インフラ海外展開関係大臣会合での議論を踏まえて、その運用等について作成をしたものということでございます。
  177. 山本香苗

    山本香苗君 中進国については今までもできたんです。高中進国については今回初めてできるようになったということですので、そこをごっちゃにしないようにしていただきたいと思いますが。  今回のこの合意に基づいて、実際、現時点に至るまで、どれぐらいの円借款供与が決まったんでしょうか。
  178. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) これは、実は現時点において供与実績ございません。御指摘の八月十九日の文書でございますけれども、今まさに具体的な案件の発掘、形成に努めているという状況でございます。
  179. 山本香苗

    山本香苗君 現時点に至るまでゼロと、この状況をどう分析評価をされておられますか。
  180. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) ここは、まさに今、先ほども申し上げましたけれども、案件を発掘中であるということで、特に、より質の高いというか、優良な案件を発掘をしている最中であるというふうに理解をしています。
  181. 山本香苗

    山本香苗君 ちょっと認識がずれるわけなんですけれども、私の元には、せっかくこういう支援ツールができたのにと、なかなか思うように進まないと、そういう声が届いております。  私は、大臣冒頭に御答弁されましたけれども、この関係三省で、運用に基づくことだから、運用について合意したというふうにおっしゃいましたけれども、この運用の元となっているのが先ほど申し上げた三省の合意文書なんですね。ということで、ちょっとこの合意文書の文言の解釈についてお伺いをしていきたいと思うわけなんですが、改めてですが、よくパッケージ型インフラ海外展開という形の言い方をするんですけれども、その合意文書の中では具体的なパッケージ型インフラ案件という言い方をしているわけなんです。パッケージ型インフラ案件の定義は何ですか。
  182. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) これは、明示的に合意された言わば定義というものはありません。例えばということで申し上げさせていただきたいと思いますけれども、民間企業の取組を支援し、日本企業が電力、鉄道、水、道路事業等、そのほかもありますけれども、インフラだけではなくて、その事業運営に必要な言わばノウハウ等、あるいは技術も含めてということで申し上げてよいと思いますけれども、あるいは経験もそうかもしれません。マネジメントに関する人材育成などのソフトインフラなども含めてよいかもしれません。そういったものをパッケージとして支援し得る案件というものを指すというふうに考えております。
  183. 山本香苗

    山本香苗君 パッケージで日本企業が関与するということなんですけれども、今おっしゃったような、ソフト、ハード全部に日本企業は関与するとなりますと、極めてハードルが高いわけなんです。どこまで、じゃ、日本企業が関与しているプロジェクト案件であれば、パッケージ型インフラとして取り扱われるんでしょうか。
  184. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 今の御質問に対しましては、一言で言えばケース・バイ・ケースなんですけれども、例えば我が国の民間企業が事業権の獲得を狙う下水道案件をPPP、官民パートナーシップで実施するような場合に、官が費用を負担する配管網整備への円借款供与などを行うケースなどが考えられるということでございます。  それと、なるほどなと思って聞いているんですけれども、先ほどのパッケージ型というのは、元々出てきた原因というのは、逆に言えば日本の企業の強みを発揮しようではないかということだったと思うんです。つまり、他国と事業展開を競争しているときに、結局、日本人の強みというのは、技術だったり知見だったりノウハウだったりということがございますから、そういうものを一緒になって輸出することで海外での競争、他国との競争に勝とうということだったと思いますし、もっと言えば、御存じのように、外務省ではもうインフラ専門官をたしか重点国五十か国に数百人今置いていますので、もうかなり計画の初期の段階から情報をキャッチして、そしてそういったことも含めてパッケージでというふうに私はとらえています。
  185. 山本香苗

    山本香苗君 ちょっとよく理解し難い御答弁なんですけれども、インフラ専門官のことはまた別のときにお伺いしますが、置いただけじゃ困りますので。  要するに、ここの解釈が非常に大事なわけなんです。どこまでがそういうふうな案件として認められるか。今大臣、我が国の強みとおっしゃいました。例えば、パッケージ型プロジェクト案件のインフラ建設の主要な部分に日本の企業が関与している案件も含まれるというふうに解釈することは可能でしょうか。
  186. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) ごめんなさい、もう一回。済みません、もう一回。
  187. 山本香苗

    山本香苗君 だから、パッケージ型プロジェクト案件のインフラの建設の主要部分に日本の企業が関与している案件も含まれると解釈することはできますかと。
  188. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) それは可能です、はい。
  189. 山本香苗

    山本香苗君 ありがとうございます。  ここの部分が、これができるようになれば、言ってみたら、このパッケージでとなった場合に、全て長期間にわたりオペレーションのところまで見なくちゃいけないといったら物すごくハードル高い。でも、ここの建設の主要部分にという話ができれば、今できるとおっしゃっていただいたので大変いいんですが、製品納入のところだけで長期間のリスクマネー投下は必要なくなるわけなんですよ。だから、私はこれ、今いい御答弁いただきましたので、是非これで、こういった柔軟な解釈でやっていただきたいと思います。  もう一つ、この文言の中で引っかかってきますのが、インフラ案件の受注に直接的に有効であることが確認される場合というのは、具体的にどういう場合を想定されていらっしゃるんでしょうか。
  190. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) これもケース・バイ・ケースなんですけど、一般的に申し上げますと、途上国におけるインフラ案件の受注企業は競争入札の下で決定されています。例えば、円借款の供与により周辺インフラを整備することで日本企業が事業権入札の受注を目指している案件について貢献をし得るのであれば、事業権入札の進捗や開発効果等も確認しつつ、円借款の活用も検討したいというふうに考えています。
  191. 山本香苗

    山本香苗君 要するに、パッケージ型インフラ建設及び運営に直接的に有効っていう場合というふうに解釈してもよろしいでしょうか。
  192. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) これ、率直に言って幅があります。幅を持ってむしろ考えた方が私はいいと考えているんですね。これ、いきさつはいろいろあります。恐らく御存じだと思います。ですから、これは柔軟に考えていくというふうにあえてこの場で答弁をしたいと思います。
  193. 山本香苗

    山本香苗君 是非、柔軟な幅のある解釈というのをしていただきたいと思うんです。  といいますのも、さっき申し上げたように、受注に直接的に有効な場合というふうにしますと、その因果関係を立証するのというのは極めて難しいわけで、そのために限定的な運用になってしまうんじゃないかと思うんです。ですから、今大臣がおっしゃっていただいたように、もう少し幅広く取っていただいて柔軟に解釈していただけるんであれば、先ほどのパッケージ案件のところ、そもそもの対象のところがまず拡大されて、そして今の受注に直接的に有効というところでぐっと絞るんじゃなくて、案件をもうちょっと幅広く見ていけることになりますので、是非そうしていただきたいと思います。  例えば、橋の建設なんかありますよね。そういう場合に、接続する道路を例えば円借でやるという場合に、それによって必ず橋の受注が日本企業に落ちてくるというわけではないわけです。しかしながら、有利になるんじゃないかなと、こういうことでできるんであればこれが使えるというわけでございますので、是非よろしくお願い申し上げたいと思います。  この文書のもう一個で、何でこんな文言が入ってんねんという形のところがあるんです。  ケース・バイ・ケースで、戦略的かつ例外的に円借款を活用していく。ケース・バイ・ケースで戦略的にまではいいんですよ。でも、何でわざわざ例外的にという文言が入っているんでしょうか。これはどういう意味で入っているのかと。これが入ることによってどう運用が変わるんですか。
  194. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) これ、多分、分かってお聞きになっているのかなというふうにも考えますが、あれ、最初の文章はこれ三者であるというところなんですね。ですから、私は、私の立場からいえば、今、山本委員が言っていただいたような趣旨というものをできる限り踏まえたいと、そう考えております。
  195. 山本香苗

    山本香苗君 要するに、大臣は例外的にという文言を見なくてもいいよとおっしゃっていらっしゃると解釈をしたいと思いますが、要するに、この例外的にという言葉を落として運用していただきたいと思うんです。例外的にしか供与されないとなりますと、また極めて限定的な運用しかなされなくなる可能性がありますので、まあ三省の中の一つが何か文句を言うんじゃないかなという気がするんですけれども、今外務大臣から力強い御答弁をいただきましたので、そういう運用をしていただきたいと思います。  何で今日こういう質問をしているかといいますと、実は二月に久しぶりにODAの調査でトルコに行ってまいりました。トルコに出ておられる日本企業の方々とも懇談する機会がありました。あれだけ旺盛なインフラ需要がある、そしてこれからの成長というのが物すごく期待されているトルコでさえ、長時間というか長期間にわたってリスクマネーを投資する、投下する、初期資金出さなきゃいけないとなったら、既にもう経験のあるような企業でさえも二の足三の足踏むと。ほかはもっとという形で、やっぱり企業にとって最大の懸案であるファイナンス面で手当てがないままだと難しいんだなというのを実感いたしました。  ちょうど我々が行く直前ぐらいに大臣もトルコに行かれていらっしゃったということで、トルコの新聞読まれたかどうか分かりませんが、かなり前向きなコミットメントをしたような形の新聞報道がたくさんトルコの新聞でもなされておりまして、トルコ人からしてみたら、日本の企業がかんでくれると物すごい信頼感が高いわけなんです。それだけ期待されているわけなんですけれども、なかなか進まないという状況でありました。まだまだ、ですから、トルコなんかとうまく協力してできる案件、我が国の強みを生かしながら協力して、トルコ国民の喜ぶような案件というのはいっぱいあるんだと思います。  例えば、今JICAで、私たちも見てきた、見てきたというか話を聞いてきたんですけれども、防災協力の技術協力のプロジェクトをやっています。それは、トルコの教育省の方から実施状況伺いましたけれども、その中核となる学校施設というのが実はトルコはまだまだ耐震化も免震化も何もされていなくて遅れています。  我が国と同じ地震国であるトルコにおいても、こういった学校施設の耐震化というのは物すごく重要であるわけなんですね。今日言っていただいたような柔軟な運用ができるのであれば、例えば、我が国のゼネコンが防災教育のモデル校なんかを耐震・免震化すると、そういうことをやったら、円借で行ったら、そのデモンストレーション効果で今度は我が国の企業が一般建設工事なんかを受注していくようなところが面的に広がっていく可能性があるわけなんですね。  今日の柔軟な解釈をしていくと、こういうことにも使えるんじゃないかなということでいろいろと考えておりましたので、トルコにおいては、本当に政府関係者に聞くとしっかりやっていますと言っているんですけれども、ほとんどやってないに等しいような形がこの耐震化の事業なんですね。ですから、国内において約四兆円規模とも、そういうふうに言われております。是非、この部分をみすみす逃すことがないように、両方がウイン・ウインになれるいい分野であると思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
  196. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 耐震化という具体的な案件の御提案がございましたから、優良な案件になり得るかどうか、できるだけ前向きに検討していきたいというふうに思います。特にこの文書は円借なものですから、どうしてもODAということでございます。あるいはJBICとかいろんな形で資金の手当てということはあり得るわけで、それぞれケース・バイ・ケースで一番良い方法を取っていく。  今おっしゃったとおり、トルコのあの勢いというものを我が国がしっかり受け止めるというよりは、きちっと吸収していく必要性というのは非常にあるというふうに思います。  新興国とどういうふうに協力関係をつくってその旺盛なインフラ需要を取り込むかという観点からもしっかりと検討したいというふうに思います。
  197. 山本香苗

    山本香苗君 ありがとうございます。  次に、現職教員特別制度についてお伺いしたいと思いますが、ちょうどそのODAの調査で行ったときに青年海外協力隊の方々とも懇談をする機会をいただきまして、いろいろ話を伺ったんですけど、その中で、こんなことが起きているのかと思ったのが、この青年海外協力隊に参加するに当たって教員を離職せざるを得なかったという話を聞きました。  離職をしないで教員を派遣するこの制度が現職教員特別制度であるわけですよね。この制度があるにもかかわらず、なぜこうした事態が発生しているんでしょうか。  その話を一人の方がされたら、一人だけじゃないと、一人二人の話じゃないんだというふうなことも伺いましたが、こうした事態を把握されているんでしょうか。
  198. 山根隆治

    ○副大臣山根隆治君) 御指摘のように、そういった事例はあることを承知をいたしているところでございます。  都道府県や政令指定都市のこれは教育委員会が、今、昨今、地方自治体も非常に厳しい財政事情ということもございまして、予算上の問題、あるいはまた代替する、代わりとなる職員の方、教職員がおられるかどうか、そういったような事情、あるいはまた首長さんのお考えもあるんだと思いますけれども、そういったことで一定の枠を設けている自治体が非常に多いということでございまして、その枠を希望者が超えた場合には、残念ながら選から漏れるということで退職を余儀なく結果としてされていると、こういう状況が出ているというふうに承知をいたしております。  ただ、全ての四十七都道府県がそういう状態ではありませんで、そうした枠を設けていないところも、まあ大阪であるとか関西はその中に入っておりませんが、二十六の自治体でそうした枠を設けないで対応しているというところもございますので、今後、こうした自治体からの情報等も収集しながら考えるべきことだろうというふうに思っております。
  199. 山本香苗

    山本香苗君 いや、ひどい運用だなと思うわけなんですよね。  今、山根大臣がおっしゃったように、都道府県によってかなり差があるというふうに伺いました。私が話を直接聞いた方も関西以外の方でありましたけれども、文科省から、なるべくこれは統一的な運用ができるようにしっかり指導していただきたいと思うんですが、文科省から来ていただいていますので、よろしくお願いします。
  200. 倉持隆雄

    政府参考人(倉持隆雄君) お答え申し上げます。  現職の教員特別参加制度によります教員の派遣、この派遣につきましては、教員の所属する、今御説明のありましたとおり、都道府県ごとに予算や人事上の制約といった事情が異なるために、やはり統一的な対応を取るということは難しゅうございますけれども、文部科学省といたしましては、できるだけ多くの教員を派遣していただけるように、教育委員会への個別訪問であるとか広報啓発活動などを通じまして都道府県に対しまして働きかけを行っているところでございます。  私どもといたしましては、外務省とJICAと連携しながら、今後とも派遣者数の充実に向けまして、そういった枠の問題の扱いにつきまして、都道府県に対して御理解をいただけるように積極的に働きかけてまいりたいというふうに思っているところでございます。
  201. 山本香苗

    山本香苗君 たしか、委員長がいらっしゃる京都市は大変いい事例があると伺いましたが、どういう事例ですか。
  202. 倉持隆雄

    政府参考人(倉持隆雄君) ちょっと私、ただいま手元に京都の事例を持っておりませんで、大変申し訳ございません。
  203. 山本香苗

    山本香苗君 後ろにいらっしゃる方々御存じですけれども、京都市の何か教育委員会は、就職決まって、教職員になるということが決まって、この制度で行くということも決まった場合に、二年間職員になるというのを猶予するというような非常に好事例もあったというふうにJICAの方から伺いました。いい例もお伝えしながらしっかり取り組んでいただけるようにやっていただければと思います。  この制度は、実は、国立と公立の学校の教員のみが対象なんですね。何で私立学校については排除してきたのか、その理由は何なんでしょうか。私立学校の教員も対象とすべきじゃないんでしょうか。
  204. 山根隆治

    ○副大臣山根隆治君) 私立学校の職員、教員につきましては、現行の一般の現職参加制度の枠で現職参加することができると、こういうことでございます。  まず、そういう状況があるということでございますけれども、今、先生指摘のように、私立でもということについては、文部省とも協議しつつ、運用改善について今後検討していきたいというふうに思っております。  ただ、やはり手続の在り方や経緯というものがございましたので、まずは国公立学校を対象として制度化をしてきたという経緯があります。  以上でございます。
  205. 山本香苗

    山本香苗君 私立も今後やっていただけるということですね。
  206. 山根隆治

    ○副大臣山根隆治君) 今お約束をするということは残念ながらできませんけれども、せっかくの御指摘でもございますので、積極的にこれは検討していきたいというふうに思っているところでございます。  現在の検討状況について御報告させていただきますと、お隣にいて申し訳ないんですが、文科省とJICAとの間では、現職の教員特別制度について私立学校を含める方向で昨年より検討されているというふうに承知をいたしております。我が省といたしましても、私たち立場の中で方向性を前向きにして検討していきたいというふうに思っております。
  207. 山本香苗

    山本香苗君 あと、この制度は二十歳から三十九歳という形で年齢制限がなされているんです。これは、要するに青年海外協力隊の枠の中で行っているということで三十九歳で切られちゃっているわけなんですが、これ、わざわざ青年海外協力隊の枠に入れておく必要性ないんじゃないですか。この制度だけで別枠で事業として起こしたらどうでしょうか。
  208. 山根隆治

    ○副大臣山根隆治君) 現在、今御指摘ありましたように、青年海外協力隊ということで、二十歳から三十九歳ということに倣って適用しているところでございますけれども、現在、年齢が二十九から三十九と同時に、これシニアの方でも制度としてございまして、四十歳から六十九歳までという制度設計というのもありますので、いきなりそこまでというところにはまいりませんけれども、何らかの措置がとれるか、これもこれから検討していきたいと思います。
  209. 山本香苗

    山本香苗君 いろいろ検討しなきゃいけないことが出てきているわけです。というのも、制度できましてちょうど十年たちました。去年、たしかこの青年海外協力隊本体についてはいろいろ検証がなされて、報告書も出されました。しかし、この制度については、その中で深掘りして詳細な検証というものはなされていないんです。ですから、ちょうど十年たって、いいところですから、是非、制度についてもう一回検証をして、この制度があるのに使えないとか辞めなきゃいけないとか、そういうことのないような形でもう一回制度の在り方について検証していただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  210. 山根隆治

    ○副大臣山根隆治君) 外務省といたしましては、先生も御承知かと思いますけれども、昨年七月に政策ペーパーとしてまとめたものがございまして、それは既に発表させていただいているところであります。  先ほど私、申し上げましたが、シニア海外ボランティア制度の積極的な活用を図るなど、まずは現行の制度を最大限に活用して、使いやすい制度となるよう柔軟な運用を図ってまいりたいというふうに思っております。ただ、その上で、なお必要であれば制度の検証、見直しを行ってまいりたいというふうに考えます。
  211. 山本香苗

    山本香苗君 副大臣、よく聞いてください。政策ペーパーの中に入っていないから言っているんです。あの中は本体の話なんです。この現職教員特別参加制度のことについてはほとんど言及ない、検証されていない。これは事務方とちゃんと議論した上で、きちっとした上でこうやって質問をさせていただいていますので、是非きちんと検証していただきたいと。よろしいですか。
  212. 山根隆治

    ○副大臣山根隆治君) 強い御指摘でございますので、しっかり受け止めさせていただきます。
  213. 山本香苗

    山本香苗君 この現職教員特別参加制度以外に、本体の方の話でちょっと一点なんですが、よく派遣要請と現場のミスマッチということが言われました。いろいろそれで手は打ってきて、前任者の方と引き継ぐ方がなるべく長い時間引き継ぐ時間が取れるようにとか、いろいろと制度改善はしてきたんですけれども、私、根本的にそれだけじゃ解消できないんじゃないかなと思って、一つ提案したいと思うんです。  というのは、調整員っていますよね、今ボランティア企画員というんですか。この方というのは、役割として、受入れのJICA事務所等と、JICA本部と専門家、シニアボランティア、協力隊員の調整だとか、一番大事なのは協力隊員の案件発掘ですね、新規の。そこのところとか、シニアボランティア、協力隊員からの相談窓口などの仕事をされているわけなんです。  この方々の任期というのは二年なんですね。希望すればもう一年という話で三年なんですけれども、協力隊員も二年ですよね。となりますと、その調整員の方が新規の案件を、いい案件を発掘した、形成したとなったとしても、我が国で派遣要請、それに合わせて人を見付けて派遣するとなったときに、調整員の方がいない、もう日本に帰ってしまっている、そういうケースがあるわけです。そうすると、結局、誰が窓口だったっけと、この案件形成は一体どういう意味合いでやったのかということが、きちんと引き継いでできる話だったらいいんですけれども、なかなかそこはうまくいっていないと。  調整員の方々ともいろいろ懇談をしましたら、やっぱり自分がつくった案件でちゃんと人が来てそれがうまくいくかどうか、そこを確認できるぐらいであったら一番いいのになと、そういう話もありまして。  そこで、もうちょっとこの任期をその方が希望するのであれば五年ぐらい延ばしたらどうかと。二年が三年じゃなくて、五年ぐらいまで延ばしたら、案件を形成してそれがちゃんとできるようにするところまで引き継げるんじゃないかと思うんですが、ミスマッチの問題も解消できるんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。
  214. 山根隆治

    ○副大臣山根隆治君) 先生、今のお話はいろいろなことを想定して事実を把握された上での御提言だろうと思います。  今お話ありましたように、任期二年で採用して、本人が延長を希望してJICAがこれを承認した場合には一年間の延長が認められて、上限が、原則上限が三年ということになっているということでございます。  この三年、長い、短い、いろいろな御評価があろうかと思いますけれども、現在、国会で、今月二十三日には労働契約法の改正案が閣議決定をされておりまして、その中で、有期労働契約については通算契約期間が三年までと規定をされているわけでございます。
  215. 山本香苗

    山本香苗君 五年です。五年ですよ。
  216. 山根隆治

    ○副大臣山根隆治君) 五年、五年までと規定をされているわけで、失礼いたしました、いるわけでございまして、これが成立するということになりましたら、趣旨を踏まえて検討をしていきたいというふうに思っております。
  217. 山本香苗

    山本香苗君 しっかりしてください。  最後に、玄葉大臣、済みません、お仕事されているようですが。ちょっと通告しておりませんけど、今日は海外援助についていろいろ聞いたので一言御意見を伺いたいんです。  先週の日曜日に、緒方貞子さんが朝日新聞の「私の視点」というところで御意見を海外援助の在り方について述べておられまして、私は大変重要な示唆に富む御意見だったなと思っています。原発輸出の話の方じゃなくて。  私は、あの中で、おっしゃっているところの中で非常に重要だなと思ったのは、これまでの援助は相手国の政府がその国の発展を全て仕切っているという前提に立って行われていた、その前提はもう成り立たない、政府はどこまで権限を持ち、それに国民がどう反応するかまで総合的に考えなければ有効な開発や発展は進められない。で、それの結論として、相手国の開発と人々の生活の向上を中心に置いて援助の在り方を組み立てるべきだ、受入れ国の政府のためではなくて、人々が恩恵の一番の中心になるべきだと、こういうふうにおっしゃっているわけなんです。  我が国のODAというのは相手国政府の要請に対して援助を行うという枠組みの中で行われていますけれども、それが本当にその国の国民にとって役立つものなのかと。外からそれ判断するのは極めて難しいときもあります。しかし、その点をもっと強く認識しながらODAをやっていくという姿勢がやっぱり必要なんじゃないかと。  冒頭、パッケージ型インフラ支援の話、しましたけれども、ぎらぎらとして我が国の何か利益になるためにという話じゃなくて、相手国の利益になってかつ我が国の利益になると、そこのところは踏み外しちゃいけないものだと思いますので、一言いただいて終わりたいと思います。
  218. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) まさに、午前中、実はODAの特別委員会がございまして、実は緒方理事長の原発輸出の方を聞かれたんですけれども、一方、戦略的かつ効果的なODAって一体何だっていったときに、私は幾つか、四つぐらい答えたんですけど、そのうちの例えば一つは、今おっしゃったとおり、中長期的視点に立って援助を行う。  そのときに一つのやはり大事な概念というのは人間の安全保障、これ公明党さんも大変熱心だと思いますけれども、まさに一人一人の尊厳というものを大切にしていく、あるいは一人一人の能力を最大限発揮させる、そういった援助というものも、冒頭御指摘いただいたようないわゆるウイン・ウインの援助のみならず、非常に大切な言わば援助の視点であるというふうに考えておりますので、その点につきましてはしっかりと、特に人間の安全保障という観点は我が国が誇るべき構想力を示した一つの例だというふうに考えておりますので、これはますます光り輝いているものとして伸ばしていきたいというふうに考えております。
  219. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 みんなの党の小熊慎司です。  玄葉外務大臣にお聞きいたします。  今年五月の二十五、二十六、皆様御承知のとおり、沖縄の名護市におきまして太平洋・島サミット開催をされます。この親善大使には、玄葉大臣が委嘱をされましたけれども、私たちの地元である福島県いわき市のフラガールが親善大使となって今活躍をされている。今私の隣にも沖縄の山内先生、また島尻先生もいらっしゃいますけれども。こうした、かつては福島と沖縄、かつてはというか今もそうですけれども、うつくしま・ちゅらしま交流宣言というのを出して交流を図っている中での縁、こういう福島が大変なときに、この沖縄で開催されるサミットで活躍の場ができたということは大変時宜にかなったことだというふうに思います。  また、この太平洋の島嶼、やっぱり小さな国とはいえ一つの国であることは変わりはないわけでありますし、こうした人口の規模や面積、また国力にかかわらず一つの国として尊重して、そしてまた特に自然の豊かな地域でもありますので、こうした島々とどう日本が世界の発展を遂げていくかということは大きく世界が注目するところでもありますし、またひいては、こうした小さな国々を尊重していくというこの姿勢が、ある意味国内においては中山間の過疎地域の問題であるとか、そういった問題にも共通してくる。一人一人の人間を大切にする、そういったものにも共通してくる抽象的なテーマもあるというふうに思います。  そこで、まず最初に、このサミット、昨年の三月十一日のことも含めてこのサミットには臨まなきゃいけないと思いますけれども、まずは今年の第六回太平洋・島サミットに向けての取組についてお伺いをいたします。
  220. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 名護で開かれます第六回の太平洋・島サミット、今おっしゃっていただいたとおりでございますけれども、まず、この太平洋島嶼国、実はアメリカも初参加今度するんですね。豪州、ニュージーランドなども入っているんですが、基本的には小さな国々です。  おっしゃったとおりだと思います。小さな国々にそれぞれ私たちはしっかりと向き合っていく、しかも誠実さを持って向き合っていくということは大切なことだというふうに思います。首脳同士の協力関係を強化をするということでございます。特に国際場裏において、これ大変な支持基盤になります。今回、ちょっと手元にない、十八か国だと思いますけれども、参加をすると。しかも、太平洋島嶼国というのは親日国が非常に多いですね。  ですから、そういう意味で、防災とか環境、気候変動というテーマで今度の第六回の島サミットは行いたいというふうに考えておりますけれども、そういった首脳レベルでの関係を一層強化する、きずなを深めると同時に、是非沖縄の皆様、宮古でも関連イベントがございますので、沖縄の何らかの発展に裨益するというか、つながっていく一つの契機になるといいなというふうに考えております。
  221. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 このサミットを通じてというわけではないんですが、小さな国々もしっかりと一国家として尊重していくという意味であれば、これは限られた予算、またいろんな制約もありますけれども、この太平洋の様々な国々においては、残念ながらやっぱり在外公館の整備が余りされていないというところがあります。  過去の話にはなりますが、政権交代前の話を、過日、特にこの島々のことを一生懸命取り組んでこられた森元総理とお話しする機会がありまして、政権交代前は一定程度の計画を持って公館整備をしてきたんだけれども、これが政権交代をしてストップしてしまったと、じくじたる思いだという話を直接お聞きしたことがあります。いろいろな諸事情はあるにせよ、やはり在外公館の整備をしつつ、こうした国々との連携を深めていく必要がやはりそこにはあるというふうに思います。  現実を踏まえつつも、あえてこうした話をさせていただきますが、今後の日本の外交の在り方として、こうした太平洋諸国に対しての在外公館の設置等の検討についてどのように取り組んでいくのか、お聞きいたします。
  222. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 私もここには、ちょっと昨年の九月の段階で私も本気で取り組めばよかったんですけれども、今年になって、特に去年の暮れ、まあ今年ですね、非常に大使館の数が少ないということに改めて危機感を実は覚えた経緯がございます。百九十四か国国家承認しているんですけれども、国連加盟国百九十三か国で百三十四か国しかない。トルコに行ったときに、それこそトルコの外相が、日本は幾つ大使館あるって、こう私に聞きまして、自分のところは百二十三か四あるんだと、こういう話でした。我々百三十四か国なんですよ。  御存じのように、中国とかアメリカというのはもう百五十たしか超えているんじゃなかったかな。もっとですね、ごめんなさい、ちょっと今正確にありませんけれども、例えばアフリカ一つ取ったって五十四か国ありますけれども、アメリカと米国は四十九か国あったと思いますよ、大使館で。アメリカと中国、ごめんなさい、アメリカと中国でそのくらいあったと思うんです。日本は三十二くらいしかなかったと思うんですね。  ですから、そういう意味では、本当にこの在外公館、特に大使館を増やすというのは、私はこれ大事なことだというふうに今強く思い始めています。ちなみに、米国は百六十八か国、フランスは百六十三か国、中国は百六十四か国、ドイツも百五十二か国。日本だけ百三十四か国なんですね。  ですから、今、省内に指示をしまして、まず総領事館がどうなっているかということをちょっと全部今調べています。全体、予算が限られているものですから、どういう形で、はっきりスクラップ・アンド・ビルドと言ってしまっていいかどうかということはあるんですけれども、どういう形が一番良いか、本格的に検討を今始めたというふうに申し上げたいと思います。  その上ででありますけれども、太平洋島嶼国ということでいうと、平成二十一年一月に在トンガ大使館を新設をした。そして、現時点では十三の太平洋島嶼国のうち七か国に在外公館を有していると。  平成二十四年度予算が成立することを前提に申し上げますと、これは在外公館とは言えませんが、平成二十五年一月には在サモア兼勤駐在官事務所を開設する予定でおります。あっ、ごめんなさい。これ、在外公館の定義の中には入りますけれども、大使館ではないということでございます。
  223. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 サモアの話もありましたが、サモアの建国今年五十周年という記念の年にもなりますし、今までは日付変更線の向こう側にあったんですけれども、今回はこっち側に入って、まさに日出る国に変わったということもありますし、非常に親日的な国、それだけではないんですけれども、車の左側通行に最近変えて、そういう意味では日本車も非常に多く走っているということもありますから、こうした国々を一つ一つ増やしていく、やっぱり内向き国家というふうにも言われかねないところで、競争の激しい国際社会の中で日本のプレゼンスを上げていくためには、是非今後も今言われた大臣の姿勢を持って、これをきっちり、しっかりと実のある外交と言っていますから、しっかりと形に変えて実行に移していっていただきたいというふうに御要望申し上げます。  時間も限られていますので、田中防衛大臣にお聞きいたします。  昨日、予算委員会でもお話をさせていただいて、ちょっと詰め切れなかったのでその点についてですけれども、この原発事故を踏まえて、いろんな議員からも指摘もありましたけれども、原発をテロからどうやって守るんだとか、こういう話もありましたが、福島県のは、東電の原発に関しては福島県側はこれ全て廃炉にするんだということをもう打ち出しているわけでありますけれども、これ稼働させないといっても今非常に不安定な状況であることは間違いありません。こうした福島県の事故の起きた東電の原発もどうやって今後守っていくんだ、廃炉にするまで三十年、四十年、どうやって守っていくんだということもあります。さらには、実際、自衛隊の皆さんも除染の活動も今まで何回となくこの二十キロ圏内で展開をしていただいたということもあります。  二十四年度の予算にも原発災害等の予算が付いていることも重々私は承知をしておりますけれども、これやはりこの二十キロ圏内、二十キロ圏内にこの警戒区域まだありますけれども、こうしたことも踏まえて、今後線引きも少しは変わりますが、かといって全部の福島県の土地が昔のようにすぐ戻るわけではありませんから、常設の原発事故対応の自衛隊の部隊がこの福島県内、この二十キロ圏内の近くにやっぱり置いておくべきではないのかということを昨日、最後はそこまではちょっと質問が行かなかったので、今日改めてそこを田中大臣にお聞きいたします。
  224. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 原発事故が大変な生活に影響しておるということは間違いないと思います。原発事故との戦いということで今政府で取り組んできておりますけれども、私は身近にも原発ございますが、やはり、止める、冷やす、閉じ込めるということが大前提だと思っておりまして、今残念ながらまだ放射能が放出をされておるという状況にございます。  放射能が若干まだ放出されておるという、そしてまた海にその放射能が流出しておるんではないかと、こういう報道もされておりまして、私は、自衛隊が緊急の対応として昨年要請がありまして、十二月までに皆さん方と一緒に対処してきたわけでありますが、しかしこれからは事故のみならず放射能との戦いが始まってきているわけでございまして、これは先生言われるように二十年、三十年、本当に我がふるさとに帰れるかという大変悩む生活者の皆さん方がいらっしゃるわけですが、やはり早く戻れるような地域は早く戻っていただきたい、そんな思いでありますから、私は原子力対策本部にも自衛隊派遣をしております。  当面、山火事があっては困るということでこの間訓練を始めましたけれども、いろんな地域の皆さん方のニーズがあると思うんです。そしてまた行政も戻っていくと。そういう中で、私は自衛隊として、要請があれば、できることは何とか私も話に乗って、そして今の、これからの原発事故の戦い、あるいは放射能との戦いをいかに国としてやっていかなきゃいけないかと、そんな局面に立たされておるのではないかと思いますので、及ばずながら、私は、自衛隊として、やはり皆さん方の御意見があれば真摯に受け止めて、そしてお手伝いできるようなことは考えていきたいと思いますし、そのための充実をやはり図っていくことが今の任務ではないかと思っておりますので、気持ちは一緒であることを御理解いただきたいと思います。
  225. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 端的に、常設の部隊、これ具体的に検討はどうですか。
  226. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 今、原子力対策本部で、現地にもございます。自衛隊から派遣を何人かいたしておりますが、その中で御検討いただいて、本当に実現ができるようなことがあれば、私はそういうことは非常にいいことだと思っています。  しかし、自衛隊も限られておりますし、緊急のこと、そしてまた安全保障、防衛の問題に常々緊張感を持ってやっているわけでありますので、災害対策ということでなかなか常設ということが、まあ緊急時に対応しておりますが、私はできないことはないと思いますので、国会でも、あるいは地域でも御検討いただければ、私も対応をしていきたいと思います。
  227. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 Jヴィレッジの今来ている部隊も、青森の部隊が交代交代で来ているということもあります。あれも、だから二十年も三十年も四十年も続けるのかといえば、これはもう臨時的な対応じゃないわけですよ、今言われたとおり。逆に、防衛大臣ですから、防衛大臣がきちっと旗を振って、必ず福島に常設の原発事故対応、これをしっかりと世界にもアピールしていくという意味でもやっていくんだという力強いお言葉が欲しかったんですけれども。  昨日も言いましたけれども、これ戦争ではないんですが、私はこれは領土を奪われたと思っています、東電に、放射能に。そういう状況の中で、これは自衛隊だけではないんですけれども、国民を挙げてこの土地を取り返していかなきゃいけないわけでありますから、そういう意味では、国家国民の安全、安心を守っていく自衛隊もその一員に加わって、戦列に加わって、大臣も戦いと言いましたけれども、まさにこの失われた領土を取り返していく戦いの最前線に自衛隊の皆さんがしっかりと万全の体制をもって立っていただく、そうした必要があるというふうに私は思って、この常設の部隊の創設を今訴えさせていただいた次第であります。  昨日の予算委員会の冒頭では私の失礼な発言があったかもしれませんけれども、まさに、始めよう福島からというこの新しいキャッチフレーズの下に、大臣も昔は福島に縁がありました。実家も福島にあるわけですよ。今は大変な局面に大臣もあるというか、国民が大変なんですけれども防衛省の職員も、大変ですねと声掛けると、大臣をお支えするのが私たちの仕事ですからと言うんですが、私、それは違うと言ったんですよ。宇都議員だって、自衛隊にいたとき、大臣のためにやっていたわけじゃなくて、国家国民、世界の平和のために働いていたんですよ。  私の好きな都々逸に、ドイツじゃないですよ、都々逸にですね、ドイツも好きですけれども、「苦労する身は何いとわねど 苦労しがいのあるように」という歌がありますけれども、やっぱり、防衛省・自衛隊の皆さんが、国家国民、世界平和の安定のために働いていくということが重要なんであって、大臣がそれを足引っ張ってはならないというふうに思います。  そういう意味では、今日は大臣の辞任要求も出ておりましたけれども、それは、その後の話として言えば、もう一度原点、初心に返る機会があれば、是非、今福島は大変なところであります。まさに大臣の原点である福島福島から始めよう、そういう意味では私も、会津武士道、惻隠の情をもって、福島に再び戻ってきていただくことを私は容認をしたいというふうに思いますし、玄葉大臣福島でありますから、これ福島からしっかりと世界発信に向けて、まさに、これは北方領土や竹島と同じように、あの福島の土地は失われた土地であります。領土を奪われたんですよ。その責任は国にもある、我々政治家にもある。  そういう意味では、その最前線に田中直紀という政治家が立つことの方が防衛大臣として頑張ることより私は後世歴史に名を残すのではないかなということを、これは年下ながら御提言をさせていただいて、もし本当に大臣大臣の職を辞めてもう一度原点に立つ場合は大いに受け入れて頑張っていきたいと思いますので、そういう意味では、この福島のために、福島の再生なくして日本の再生なしですから、これを是非、具体的にこの常設の検討を進めていただくことをお願い申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございます。
  228. 山内徳信

    ○山内徳信君 社民党・護憲連合の山内徳信でございます。  今、福島出身の小熊先生から、歴史に名を残す、そういう政治家になってほしいという意味の激励の言葉がありました。私が実はそれを準備しておるんです。これから申し上げますが、提案をしておきたいと思います。それは、予算年度ももうあと一週間ぐらいで終わります。したがいまして、今お二人の両大臣には、もう辺野古とか普天間という言葉は聞きたくないと、それが寝ていても頭に浮かぶとはっと飛び起きると、そういう心境だろうと思っております。そして、十六年たっても政府としてその収拾も付けようという政治的な感覚もないままここまで来ておるわけです。  少しアメリカの方からお話し申し上げますと、私は実は去年の十一月にかつての下院議員で今ハワイの州知事をなさっていますアバクロンビーさんにお目にかかりました。沖縄についての、辺野古についての御意見といいますか、それはできぬでしょうと。向こうに座っておるお年寄りを、海を埋めて飛行場を造るためにごぼう抜きでもしたら、それは世界中の物笑いになると。電波に乗って一日で世界を駆けずり回るような時代ですよという見解でございます。  さらに、一月二十一日から二十八日までワシントンDCを行きまして、多くの国会議員、シンクタンク、補佐官に会い、国務省、国防総省の日本担当部長にもそれぞれ会いまして御意見を承ってきました。どこへ行っても、辺野古大丈夫、辺野古大丈夫という声はありませんでした。これは困難だと、不可能だと。そして、名前は申し上げませんが、アメリカの民主党のナンバースリーの重鎮が、沖縄は差別されてきたと、差別されておると、こういうふうなお話もございまして、そういうアメリカの状況でございます。  そして、私は、先週の二十二日の予算委員会で、公述人として、橋本総理の補佐官でありました岡本行夫さんも公述人として参加をして出席をしておられました。そして、岡本さんの見解を、現時点の岡本行夫さんの辺野古に対する認識を伺っておきたいということで質問をいたしました。  岡本さんの見解は、辺野古移設は県民の大きな反対があってそれは大きな抵抗になっていくと、こういう趣旨のことをお話しされております。それを国家権力が強引に押していくと流血の惨事を見ることになると、こういうふうな見解でございました。  私は、その前にワシントンを訪問いたしましたときに藤崎大使にもお目にかかってまいりました。私が大使に提言いたしましたことをこれから両大臣にも提言をしたいと思います。  外交のぎりぎりの線でどうにもならない状況の中で辺野古と普天間問題をどうやって解決すればいいかと歴代の大臣の方々も総理もみんな努力してきたが、できなかった。ここら辺で私は提言をしていく必要があると思っておるわけです。こういうことであります。  日本政府はアメリカのメンツを潰してはいけないといつも考えていらっしゃる。そのために基地を沖縄に押し付けようという、そういう気持ちがありありと見えるわけです。しかし、沖縄の人々の気持ちの深層心理の中には、かつて私たちの先祖は琉球王国を築いてきたと、中国や朝鮮半島、東南アジアと大交易をしながら国を栄えさせてきたと、そういう誇りは今もあるんです。ところが、明治十二年に明治政府は琉球を処分をして王様を東京に引っ張ってきたわけです。引っ張って、あの港で別れるときに王様が琉球の人々に言い残した言葉があるんです。シンカヌチャー、皆さんという意味です。シンカヌチャー、命どぅ宝と。どんなことがあっても命を粗末にするなよと、こういうことなんです。もう少しその間に言葉はありますが、結論としては命どぅ宝と。その命どぅ宝と思っていた人々が六十七年前の沖縄戦で地獄を見たわけですね。その地獄の中から私は生き残ってきたわけです。  六十七年間、基地をずっと見ながら、基地を減らすために私は二十四年間も頑張ってきたわけです。そして、私が基地問題に携わるときに、どんなけんかをしながらも、海兵隊の訓練隊長とけんかしながらも、次の週行ってお互いのけんかしたときの心理状態を語り合う。私は、お互いにメンツは最終的には潰さないと。最終的にメンツを潰さないから問題が解決をされていく。そして、読谷補助飛行場という危険極まりない基地を、スタックポールという第七艦隊のハワイの司令官も力貸してきた、座間におるフリーマンという少将も力を貸してくれた、横須賀のラッセルという提督も力を貸したり助言をしてくれた。  そういう立場から考えてみたときに、日米に大きな傷といいますか、あるいは溝をつくっておるこの普天間問題をここら辺でやはり解決をしていく方法として、私は思い切って玄葉大臣防衛大臣に、アメリカとの交渉に入れと、このことをずっと最初から言い続けて、パッケージ論は失敗しますよということもずっと言い続けてきたんです。そのとおりなっておるんです。そして、ペンタゴンがアメリカの国会に辺野古は無理だと大きな報道が流れたときに、玄葉大臣は顔色を失って記者会見をされたことを御自身は知っていらっしゃると思いますよ。  いろんな問題を見たときに、私はここで提案をしたい。  日米友好はこれからも続けなければいかぬだろうと。アメリカとしても、日本は本当の意味での良き隣人と思うならば、日本の言うことも聞けと。東北の大震災もある、辺野古の問題もある、辺野古で全部日米友好を崩していくのかと。沖縄百四十八万といえども、これが総立ち上がりをして、小さいネズミみたいなものが巨象に、大きな象に四本の足から登っていったときに、目にも入る、耳にも入る、鼻にも入る。もっと小さいアリでもいいでしょう。それが巨象の足から登っていって、耳にもいっぱいアリが入る、目にも入る、鼻にも入っていったときに、その巨象は機能しなくなるんです、倒れるんです。そういうふうに倒していいのかと私は訴えておるんです、皆さんに。  そういうふうにしてアメリカに、誠意を持ってこれからの未来に向けての日米関係を考えろ。アメリカは理解できますよ。日本の近くに、皆さんが心配しておるように、中国の今の国防予算云々があるじゃないですか。良きパートナーならば、良き隣人ならば、やはり正しい意見は聞いてくれると思います。  アメリカが辺野古、辺野古と言っているのは野蛮な行為ですよ、そうでしょう。大自然を破壊するのは文明国家とは田中正造は言わなかった。文化を破壊する、自然を破壊する、農民生活を破壊するのは文化ではないと言った、田中正造は。私は全くそういう考え方なんですよ。  したがいまして、ここで提案というのは、生まれ付き声が大きいからもうお聞きになる皆さんも大変でしょうが、私はそういうふうに訴えて、辺野古基地は造らないという結論を出してください。そして普天間は、日本とアメリカと沖縄、日米沖縄の三者のメンツが立つような、みんなの誠意と努力によって普天間飛行場は返還が実現したと、それを記念した大きなモニュメントを建てる。そのことを藤崎駐米大使にも、私の夢を語りますと言って申し上げました。  今日は提言をいたします、提言。そういうふうにして、やはり既成概念を乗り越えたそういう必死の努力によって、日米関係を大事にするというのか、それとも沖縄県民を国家権力が押し潰して基地を造るというのか。それはアバクロンビーさんもできないと言っている。私が今申し上げておる、小さいアリは巨象に挑むと。沖縄の人々を小さいものとして、国家権力は巨象としてなお権力を振るうと言うならば、その巨象は小さいネズミや小さいアリに倒されていくという、そういう構造がなぜ両大臣には、野田総理大臣にはそういうイメージとか創造力が湧かぬのですか。そして、そのための具体的な動きを両大臣に山内徳信は求めます。  それを検討する、そして日米交渉をきちっと進めていくと。そのときに、一番虐げられてきた沖縄県民は日本政府にも感謝しますでしょう、アメリカ政府にも感謝しますでしょう。そういうことをやって初めて良き隣人であって、爆音で生活環境を破壊していて良き隣人とか言ったらいかぬのです。良き隣人ならば、ちゃんとお互いに譲り合って、協力し合って、抱えておる問題を解決するということでなければいかぬのです。  そういうことで、ひとつこの提言をお聞きになるか、あるいは無視するのか、率直に申し上げれば、こういう動きが日米関係、友好関係を救う道になると思うんです。私はそう思うんです。そういうことができなければ、もはや日本政府としてのやはり政治能力も機能もないということです。  あんな小さかった琉球王国が中国とか朝鮮半島と、遠くジャワ、スマトラまでも貿易に行って富を築いたじゃないですか。あの当時、既に琉球からは北京まで留学生をどんどん送って、世界の情報を全部琉球は集めたんです。  もう大分時間たっていますかね。それで、一言ずつ、この提言を真正面から受け止めていかれるかいかれないか、結論を伺っておきたいと思います。
  229. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) ただいまの、まず一つは沖縄の歴史の重み、先般も万国津梁という話をしていただきました。この間の琉球王朝、そして橋渡しを様々な国と行ってきた、貿易を行ってきたという歴史、そして住民の四人に一人が亡くなられた、犠牲になった地上戦。私も様々な書物も読みました、この間、そして、琉球王朝に関してもですね。あるいは博物館などにも参りました。糸数ごうにも参りました。あの凄惨な歴史というのを自分なりに精いっぱい理解しようと思って努めているところでございます。  あわせて、先ほどおっしゃった米国の個々の議員の考え方というのはそれぞれございますけれども、また岡本さんも岡本さんの考え方、特に恐らく将来的なことをおっしゃったんだろうというふうに推測しておりますけれども、やはり外交、安全保障を預かる立場としては安全保障にすきを与えてはいけないというふうに私は思っておりますし、周辺諸国に誤ったメッセージを送ることもできないというふうに思っています。  したがって、現在は普天間の辺野古移設、日米両政府ともコミットしているというふうにしか申し上げることはできませんし、ただし、強行してはいけない。あくまで理解を、まさに理解を得ながら物事を、これは普天間の辺野古移設だけではありません、全てにおいて理解を得ながら物事を進めていくということが大切であるというふうに思います。だからこそ、今回、グアム等への海兵隊の移転とそしてその結果生ずる嘉手納の以南の土地の返還等について、普天間の移設と切り離したということがございます。  ですから、今のお話は今のお話として、御提案として受け止めたいというふうに思いますけれども、そういった私どもの考え方の下で御提案として受け止めたいというふうに思います。
  230. 田中直紀

    国務大臣田中直紀君) 普天間の辺野古移設が唯一可能な案だということで今進めております。日米合意が大前提でございます。そしてまた、沖縄の抑止力を維持しつつ、沖縄の基地の負担を目に見える形で実現をしていくということで努力をしていくところでございます。命どぅ宝の沖縄の心を大事にしていくことも私は心掛けていきたいと思います。
  231. 山内徳信

    ○山内徳信君 あと数分残っていますから。  こういう提案をしても、外務大臣は抑止力云々を強調すべきじゃないんです。私が外務大臣でしたら、初めて聞く提言でありますと、内部検討してみたいぐらい言って終わればいいんですよ。あの前段がいかぬのです。  田中さん、田中防衛大臣、申し上げますが、嘉手納以南の基地を、五つの施設を返しますといっても全部は返さぬでしょうが。五十八号線に沿っている一部でしょうが。何でキャンプ・キンザーが読谷の私が住んでおるトリイ・ステーションに移ってこなければいかぬのですか。冗談じゃない。五つの基地を返すというときには、無条件にその基地は、例えばキャンプ・キンザーも全部そのまま無条件にと、あるいはキャンプ瑞慶覧も無条件にクローズされていくというのが沖縄の人々の受け止めておる感じなんです。  それを、キャンプ・キンザーの機能を全部読谷のトリイ・ステーションと東の弾薬庫の一部に移すというのは、そういう失敗ばっかりやっているじゃないですか。那覇軍港も三十八年前に返還するといって全く動かない。それと同じように、普天間は辺野古に移すといったから全く進まないんです。それを読谷やあるいはその他、キャンプ・ハンセンだとかそういうところに移すということになったら、また基地の県内移設ということで、これがまた問題になるんです。
  232. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 山内委員、時間になっております。
  233. 山内徳信

    ○山内徳信君 終わります。  ありがとうございました。
  234. 福山哲郎

    委員長福山哲郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時四十三分散会