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2012-03-05 第180回国会 衆議院 予算委員会第二分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会平成二十四年三月一日(木曜日)委員会において、設置することに決した。 三月二日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任された。       杉本かずみ君    中井  洽君       仁木 博文君    若泉 征三君       赤澤 亮正君    阿部 知子君 三月二日  若泉征三君が委員長指名で、主査に選任された。 平成二十四年三月五日(月曜日)     午後一時三十分開議  出席分科員    主査 若泉 征三君       緒方林太郎君    小室 寿明君       杉本かずみ君    中井  洽君       仁木 博文君    赤澤 亮正君       阿部 知子君    兼務 菅川  洋君 兼務 高井 崇志君    兼務 皆吉 稲生君 兼務 古屋 範子君    兼務 佐々木憲昭君 兼務 豊田潤多郎君    兼務 柿澤 未途君     …………………………………    総務大臣         川端 達夫君    総務大臣        松崎 公昭君    農林水産大臣      岩本  司君    総務大臣政務官      森田  高君    文部科学大臣政務官    神本美恵子君    政府参考人    (内閣府大臣官房審議官) 長谷川彰一君    政府参考人    (総務省行政評価局長)  新井 英男君    政府参考人    (総務省自治行政局公務員部長)          三輪 和夫君    政府参考人    (総務省自治税務局長)  岡崎 浩巳君    政府参考人    (総務省総合通信基盤局長)            桜井  俊君    政府参考人    (総務省政策統括官)   佐藤 文俊君    政府参考人    (消防庁次長)      原  正之君    政府参考人    (外務省北米局長)    伊原 純一君    政府参考人    (農林水産省大臣官房統計部長)          斉藤  昭君    政府参考人    (農林水産省農村振興局長)            實重 重実君    政府参考人    (資源エネルギー庁原子力安全・保安院首席統括安全審査官)         山本 哲也君    政府参考人    (国土交通省大臣官房審議官)           花岡 洋文君    政府参考人    (国土交通省大臣官房審議官)           坂   明君    政府参考人    (国土交通省大臣官房技術審議官)         坂下 広朗君    政府参考人    (国土交通省大臣官房技術参事官)         福田  功君    政府参考人    (気象庁地震火山部長)  宇平 幸一君    参考人    (日本郵政株式会社専務執行役)          佐々木英治君    参考人    (日本郵政株式会社専務執行役)          中城 吉郎君    総務委員会専門員     阿部  進君    予算委員会専門員     春日  昇君     ————————————— 分科員の異動 三月五日  辞任         補欠選任   杉本かずみ君     緒方林太郎君   阿部 知子君     照屋 寛徳君 同日  辞任         補欠選任   緒方林太郎君     小室 寿明君   照屋 寛徳君     中島 隆利君 同日  辞任         補欠選任   小室 寿明君     杉本かずみ君   中島 隆利君     服部 良一君 同日  辞任         補欠選任   服部 良一君     重野 安正君 同日  辞任         補欠選任   重野 安正君     吉泉 秀男君 同日  辞任         補欠選任   吉泉 秀男君     服部 良一君 同日  辞任         補欠選任   服部 良一君     阿部 知子君 同日  第一分科員菅川洋君、高井崇志君、皆吉稲生君、第四分科員古屋範子君、第六分科員豊田潤多郎君、第七分科員佐々木憲昭君及び第八分科員柿澤未途君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成二十四年度一般会計予算  平成二十四年度特別会計予算  平成二十四年度政府関係機関予算  (総務省所管)      ————◇—————
  2. 若泉征三

    若泉主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりました若泉征三でございます。よろしくお願い申し上げます。  本分科会は、総務省所管について審査を行うことになっております。  平成二十四年度一般会計予算平成二十四年度特別会計予算及び平成二十四年度政府関係機関予算総務省所管について審査を進めます。  政府から説明を聴取いたします。川端総務大臣
  3. 川端達夫

    川端国務大臣 よろしくお願いいたします。  平成二十四年度における総務省所管予算案につきまして、概要を御説明申し上げます。  本予算案につきましては、東日本大震災からの早期復興に向け、被災団体復旧復興活動に全力で取り組むことができるようにするとともに、地域自主性自立性を高めるための改革や、ICTによる日本再生、さらには国民の命を守る消防防災行政などについて、重点的に推進するとの考え方に基づき、取りまとめたものであります。  一般会計予算額は、十七兆四千五百二十六億円であります。  以下、事項等説明につきましては、委員各位のお許しを得まして、これを省略させていただきたいと存じます。  よろしくお願い申し上げます。
  4. 若泉征三

    若泉主査 この際、お諮りいたします。  ただいま総務大臣から申し出がありました総務省所管関係予算概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 若泉征三

    若泉主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  6. 若泉征三

    若泉主査 以上をもちまして総務省所管についての説明は終わりました。     —————————————
  7. 若泉征三

    若泉主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。緒方林太郎君。
  8. 緒方林太郎

    緒方分科員 本日のこの第二分科会質問の時間をいただきまして本当にありがとうございます。予算委員会各位の御配慮に感謝を申し上げますとともに、本日、皆様方感謝を申し上げたいと思います。  まず最初に、消防団あり方について、川端大臣にお伺いをさせていただければと思います。  東日本大震災のときも、そして日ごろの我々の生活の中におきましても、消防団というものの活躍というのは、ここにいる議員皆がその活躍に敬意を表するわけでありますけれども、私の地元北九州市におきましても、最近、消防団の数がどうしても少なくなってきているという現状がございます。  数が減っていってしまうと、いざというときに対応することが難しい、そういったことがもう今目の前の現実として、私の地元北九州市は非常に少子高齢化が進んでいる町でもありますし、目の当たりにしているところであります。  消防団充実させていく、地元の有志の方にできるだけ消防団活躍をしていただく、その環境整備をすべきだと思いますけれども、川端大臣、御見解はいかがでございますでしょうか。
  9. 川端達夫

    川端国務大臣 消防団活動が、日ごろの防災、そして発災時の活動にとどまらず、地域社会において大変大事な活動、まさに昨年来言われますきずなの原点としての活躍も支えていただいていることは委員指摘のとおりで、私も共通の認識でございます。  そして、非常に人員が減少してきているということでありまして、少子高齢化あるいは過疎化などの社会環境の変化で、平成十三年現在で九十四万四千人が十年後の平成二十三年四月で八十八万人、六万四千人減少ということで、消防団確保は大変重要な課題になっております。  このため、一月から三月を消防団入団促進キャンペーンということで、ポスターやリーフレットに加えて、女性や学生をターゲットにした広報を展開しておりまして、ひょっとしたら、町でも見かけていただけたかも、最近新しいポスターをつくらせていただきましたから。  一方、消防団員の被雇用者比率、いわゆるサラリーマンの人が多くなっている。先生昭和四十八年ぐらいのお生まれだと思いますが、昭和五十年で、消防団員のいわゆるサラリーマン、被雇用者という人が大体四二・八%、四割ぐらいがサラリーマン、勤め人だったのが、ことしでいいますと七一%ということで、いわゆる自営業や農業とかいうことではない人が大変多くなっているというふうなことでありますので、消防団協力事業所表示制度など、ここには消防団の方が協力していただいていますというふうなことも含めて取り組んでおります。  また、昨年十月には、全国の市町村に対して、消防団の施設、装備の充実消防団員処遇改善及び団員の確保など、消防団充実強化を図るように要請をいたしました。  そして、昨年十一月からは、東日本大震災を踏まえた大規模災害時における消防団活動あり方等に関する検討会というのを開きまして、まずは、津波災害時の消防団員安全確保対策について、近く中間報告として取りまとめたいと考えておりますと同時に、消防団員処遇改善、あるいは、先ほど申し上げました、企業にお勤めの人が多いということでの活動環境整備など、消防団充実について検討することとしておりますので、夏ごろまでに一定の方向を出して、何とか減少に歯どめをかけて、ふやしたいというふうに思っております。
  10. 緒方林太郎

    緒方分科員 ありがとうございました。  おっしゃるとおりでございまして、サラリーマン世帯がふえていることによって、なかなか消防団活動に参画することが難しいとか、そういった事情はありますけれども、ぜひ、総務省の御指導のもと、各地方自治体にもいろいろな形で誘引を働かせていただきたいなというふうに思います。  その中で、先般、第三次補正予算の中で、安全対策設備整備費補助金ということで、各消防団に対しまして補助金が支出をされたというふうに承知をいたしております。  我が町北九州市、百万の政令指定都市であります。うちの町にどれぐらいこの補助金が出ておるのかということについて、消防庁、ちょっとお伺いできればと思います。
  11. 原正之

    原政府参考人 ただいま先生指摘のように、今回の東日本大震災では、消防団員方々に大変な活躍をしていただいたわけでございますが、一方で、二百五十四人もの消防団員の方が行方不明あるいは実際お亡くなりになるというところでございます。  そこで、消防庁で、やはりこの安全対策をきちっとやっていかなきゃいけないということで、今御指摘消防団安全対策設備整備費補助金二十億円を三次補正に計上したところでございます。  この中で、北九州市の方からは、ライフジャケット、投光器、トランシーバー、ボートなどの補助申請がございました。事業費総額約九千万円、国庫補助金総額約三千万円を、去る二月二十三日に交付決定したところであります。
  12. 緒方林太郎

    緒方分科員 ありがとうございます。  今後とも、そういった設備のところもぜひ充実をさせていく、これは別にうちの町だけじゃないですけれども、全国消防団が頑張っていけるような体制に御尽力を賜りますようお願いを申し上げたいと思います。  話題をかえまして、次は、公益法人あり方ということについて、少しお話をさせていただきたいと思います。  最近、検査検定資格認定ということに関しまして、総務大臣の方で勧告を取りまとめられまして、各省に勧告を出したということがございました。  これは、公益法人が、委託または推薦ということを通じて、いろいろな資格とか検定とかをやっているものをしっかりと見直すということで、これは恐らく大臣も御存じだと思いますけれども、行政評価局は本当にいい仕事をしていると思います。  私、レポートも全部読ませていただきまして、これまで、閣議で決まっていたルールとかいろいろなルールが実際には適用されずに、例えば資格の額が高いとか必要ない書類を要求しているとか、本当に聞いて笑ってしまうような案件が、総務省行政評価局の御尽力によってたくさんあぶり出されてきた。  こういった行政評価の取り組みというのは、私自身、これからも続けていくべきだと思いますが、ちょっと違った観点で、これは国土交通省関係でありますけれども、公益法人あり方について、一つ質問させていただきたいと思います。  社団法人日本舟艇工業会というところがございます。その日本舟艇工業会というところがFRP船リサイクルプレジャーボートリサイクル事業環境省からの広域認定を受けて実施しているわけであります。  これ自体は、私はとてもいいことだと思います。プレジャーボートみたいなものをできるだけ広域処理していこうということで、いいのでありますけれども、各県ごと一つだけ事業者を定めて、その事業者だけがこのリサイクル事業をやれるというふうな指定の仕方をこの日本舟艇工業会がやっている。何でこんな制度になっているんですか、国土交通省
  13. 坂下広朗

    坂下政府参考人 お答えいたします。  まず、日本舟艇工業会が行っておりますFRP船リサイクル事業でございますけれども、この事業は、委員の御発言にございましたように、広域処理という形で、従来の一般廃棄物あるいは産業廃棄物仕組みだけではなかなかうまく処理が進まないということで、全国広域的にその事業を創設するということで、平成十七年から取り組んできたものでございます。  この事業でございますけれども、リサイクルにかかるお金、費用については、ボートユーザーたるFRP船所有者、それからボートをつくっている側、ボートメーカー分担金という形で、それぞれ、ユーザーの方、メーカーの方の支払いによって賄われているということでございます。なるべく事業コストを少なく抑えて、ユーザーの方の負担を最小化するということが非常に重要だということで進められておる事業でございます。  一方、現状でございますけれども、年間にこの事業リサイクルされるボートは、約七百隻という極めて限られた数になってございます。この解体を、廃棄物処理事業者の方に委託をこの工業会からして、実施していただいているというものでございますけれども、これが全国で三十八事業者というふうになっております。非常に単純に平均をいたしますと、一事業者年間二十隻ぐらいの規模事業というふうになってございます。  こういった状況でございまして、平均的な処理隻数が非常に少ない、あるいは、こういった委託の管理をしていくといったようなことにもコストがかかってまいります。そういった実態に鑑みて、今申し上げた三十八事業者というふうに、限られた数の事業者の方にお願いをして実施せざるを得ないような事業規模になっておるということでございます。  国交省といたしましても、これは、事業の今後の推移をよく見ていく必要があるわけでございますけれども、所有者方々ユーザー方々負担がなるべく少なくなるような形で、この工業会のやっておる事業の適切な運用指導していきたいというふうに考えております。
  14. 緒方林太郎

    緒方分科員 今いろいろ御説明ありましたけれども、能力を持っている人間で廉価でやれるような人間があるとするならば、その人間が参入することを阻む必要はないわけでありまして、なぜそういうふうに、外を排除する効果を持たせるようなことをやっているのかということなんですね。  はたから見ていると、特定業界囲い込みを、与えられた広域認定の力を使ってやっているとしか見えないわけですけれども、どうですか、国土交通省
  15. 坂下広朗

    坂下政府参考人 恐らく、この工業会事業をなるべくコストを少なく運営していきたいということで、余りたくさん事業者の数を広げても、一社当たりの事業隻数、先ほど申し上げましたように二十隻足らずということでもございますし、また、事業者方々たくさん、多くを管理していくというところにもコストがかかるということから今の事業者数になっておるというふうに思うんですけれども、事業者に対して制約的に限定をするということでこの工業会も実施しておる、そこに趣旨があるわけではなくて、コストを最小化していくというプロセスの中で事業者が少ないものになっておるというふうに現状を認識しておるところでございます。
  16. 緒方林太郎

    緒方分科員 数が少ないということであれば、どっちにしたって、それで飯を食うことができるわけではないわけでありまして、能力のある事業者、意思のある事業者を、今伺った限りでは、結果として排除する効果が働いているというふうに思います。  この法人は、一般社団とか公益社団にまだ移行していない法人でありますので、特例民法法人ということで、まだ国土交通大臣指導監督権限があると思います。  この件に限らず、国が権限を付与した結果として、その団体特定業者だけを囲い込み、それ以外の同じ能力を持っている業者をあたかも排除するようなことというのは指導すべきだと思いますけれども、国土交通省、いかがですか。
  17. 坂下広朗

    坂下政府参考人 私どもといたしましても、いたずらに制限的に事業を実施するということでは決してないというふうに思っております。  他方、このリサイクル事業が円滑に進んでいくためには、ユーザー方々の御負担をなるべく小さくしていくということが非常に重要だというふうに考えておりますので、事業運営についても、コストが小さくなるように、いかに廃棄物事業者方々仕事委託していけばいいのかというプロセス、手法について十分に検討して、最終的にユーザー方々負担が小さくなるように事業指導していきたいというふうに思っております。
  18. 緒方林太郎

    緒方分科員 それでは、コストがある程度一定の低いところに維持できるということであれば、新規参入を検討する余地はある、そういうふうな御見解でよろしいですか、国土交通省
  19. 坂下広朗

    坂下政府参考人 もちろん、事業者方々にお集まりいただく仕組みをどういうふうにしていくのか、いろいろなやり方があるかもしれません。毎年入札をして最小コストの方にやっていただくといったような方法も含めて、どういった形で事業費を最小化して運用していけるのかというところについて、工業会を含めて検討してまいりたいと思います。
  20. 緒方林太郎

    緒方分科員 ここから少し話が大きくなりますけれども、こういうふうに、国が権限付与をした結果として、社団法人財団法人、こういったところが、その権限を使って、結果としてすごく排除効果を持つような運営をしているというようなケースが結構あるんじゃないかと私は思います。  先ほど冒頭申し上げました、行政評価局の方で、検査検定資格認定といったようなところで非常にいい報告書、そして勧告を出されていると思います。  私、どういうふうに枠組みをつくるかは難しいと思いますけれども、こういう特定権限を与えた公益法人が結果として、意図としてではなくて結果として、特定業者を排除して業界囲い込みのようなことをやっていることについてさらに、先ほどの検査検定資格認定に続く第二弾とでもいうべき行政評価に取り組まれてはどうかというふうに思うわけでありますが、川端総務大臣、いかがでございますでしょうか。
  21. 川端達夫

    川端国務大臣 まず、行政評価局仕事に高い評価をいただいたこと、担当者としては大変ありがたいことでありますし、そういう御評価をいただくと、またもっと頑張ろうということになります。ありがとうございます。  その上で、現在、国から事務事業権限付与等を受けている公益法人対象には、行政評価・監視、国等からの補助委託等を受けている公益法人指定法人に関する調査を行っているところでありますけれども、御指摘FRP船リサイクル事業については、廃棄物処理及び清掃に関する法律に基づいて、これは環境省でございますが、社団法人日本舟艇工業会環境大臣に申請し、その認定を受けて実施しているという仕組みになっている、御案内のとおりだと思います。  法律上は、特定事業者のみに権限を付与する仕組みではない形、要するに、環境省としては、どなたでも申請して資格を持てばということの一つにこの舟艇工業会があるということでありますから、ここだけに権限付与されているというものでないという意味で、今の調査対象にはなっておりません。  私もこの中身を詳しくは知らないんですけれども、今の部分は、そういう意味部分で、工業会自体がほかの人をメンバーに入れるか入れないかという問題を御指摘だと思いますが、制度的には、環境省が窓口という意味では、どなたもフリーアクセスという問題だというふうに思っています。  なお、政府からの権限付与特定事業者を、結果としても含めて優遇するような課題問題点があるのであれば、毎年いろいろな調査テーマを決めますので、今後の調査テーマの候補の一つとして検討してまいりたいと思います。
  22. 緒方林太郎

    緒方分科員 ありがとうございます。  私、今もずっと、うちの党の行政調査会の中でもこういった問題に一生懸命取り組んでいる身でございまして、いろいろな形で国が権限を付与する、それ自体は別に何ら悪いことでもないんですけれども、先ほどの検査検定資格認定勧告によって一つ明らかになったおかしな運用というのがあるわけでありますが、これにとどまらないと思います。  行政評価局は地方にも手足がありますし、行政刷新とはまた違った意味での、息の長い、そして横串を刺すようなところをずっと調べていくということについては一日の長があり、そしてその能力たるや大したものがあるというふうに思います。将来の課題ということでお話しいただきましたので、ぜひひとつ、よろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。  それでは、最後、もう一つ質問でございます。  最近、タクシー業界の中で非常に過当競争が多い。  私、調べてみましたら、やはり総務省行政評価局もかつて注目をしたことがあるようでありまして、近畿行政評価局の方で、大阪の地域が中心ですけれども、タクシーの過剰な供給をどうすべきかということについて勧告が出ておりました。  その中で、私の地元タクシー業界のことについて一つ申し上げれば、新しいサービスということで、実はうち地元で導入されているものにZOCというのがあります。これは何かというと、タクシー型ハイヤーということで、タクシーのように乗るハイヤーというのがうち地元で新しいサービスとして出てきています。  これは何かというと、タクシーのように、上にタクシーメーカーの何かがついたりとかそういうのではなくて、一見普通の車なんですけれども、呼ぶと来てくれる、流しはやっていない。流しはやっちゃだめなんですね。流しはやっちゃだめだけれども、ハイヤーのように、呼べば来てくれる。値段がタクシーよりも圧倒的に安いんです。  これが何を起こしているかというと、国土交通省説明によると、新たなサービス、新たな需要を掘り起こすということでこれを始めているというふうに言っているんですが、聞いてわかるとおり、新たな需要を掘り起こすどころか、タクシー業界需要をばかばか食っていっているというのが現状であります。タクシーであれば大体四千円ぐらいかかる距離のところで、二千円を切る数字でタクシー型ハイヤーというのが今運営されているというのが現状です。  安くなることというのはいいことだと私も思いますけれども、新たな需要を掘り起こすということでやっているといいますが、その新たな需要とは何ですか、国土交通省
  23. 坂明

    坂政府参考人 ただいま御質問のございましたZOC運賃でございますけれども、こちらは時間と距離を二本立てで併用いたしまして、いずれかが運賃の上がるラインに到達した時点で金額が切り上がるという新しい運賃方法でございまして、今御質問にございましたように、流し営業を行わないハイヤーの運賃として、北九州タクシー会社が採用しているというものでございます。  私どもといたしましても、運送の引き受けを営業所においてのみ行うハイヤーの運賃ということで認可をしているわけなんですけれども、新しい需要の掘り起こしという観点からしますと、例えば、今までレンタカーを使っていらっしゃった方が、これをやめてタクシーの方を使われるといったようなことも考えられるということではございます。  ただ、今御指摘がございましたように、北九州で認可されているZOC運賃につきましては、その運送の引き受けの実態から、ハイヤータクシーとの違いが利用者から見て非常にはっきりとしにくいという面がございますので、タクシー運賃とも比較しながら、私ども厳格に審査を行っているというところでございます。
  24. 緒方林太郎

    緒方分科員 実際、我が町北九州市に小倉という繁華街がありますけれども、例えば飲み屋で飲んでいて、タクシーを呼ぶのもZOCを呼ぶのも同じなんですね。いずれにせよ電話するんです。電話して呼んで来てもらうわけでありまして、タクシーであろうがタクシー型ハイヤーであろうが全く変わらなくて、そこに新しい需要もへったくれもない。  値段が安いから、実際に使っている方々からすると、みんなタクシーだと思っているんですよね。タクシー型ハイヤー、あれはハイヤーじゃなくて、安いタクシーが出てきてよかったよかったということなんでありますが、これが業界秩序を物すごく乱しているということについて認識をお持ちでしょうか。もう一度、国土交通省
  25. 坂明

    坂政府参考人 今御指摘ございましたように、北九州市の実態というのは、ハイヤータクシーとの違いが利用者から見てなかなかはっきりしにくいということは、私どもも認識をしているところでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、こうした運賃というものが、例えば運転者の待遇を非常に悪化させて、安全等に必要な投資を賄うことが十分ではないのではないか、そうした観点も含めまして厳格な審査を行うとともに、一年の期限を付して認可をしている、そういった状況でございます。
  26. 緒方林太郎

    緒方分科員 地方に行けば、流しタクシーというのはほとんどないんですね。  都市部で流しがある感覚で見ていると、確かに、その車が通っていても、はいと言ってとめることができないという違いがあるだけでありまして、実態としては、タクシーと同じように使われている。  タクシー業界については物すごく料金の規制とかなんとか厳しいですけれども、今言われたように、ZOCについては毎年毎年、私の目から見ると比較的、料金体系だ何だというのは意外に緩く決まっているのかなという感じもあって、しかも、先ほど申しましたように、その料金体系というのは、タクシーに比べて圧倒的に安い。  こういったことについては、やはりその差が物すごく激しいというふうに私には見えます。地元の実際の現状を見ていても、その差が物すごく激しい。これは、遠くに行けば行くほど値段の差が物すごく出てくるんですね。そうすると、大口の客は全部とれないというのが現状です。  先ほど、九州運輸局の方で毎年毎年認可を出しているという話でありましたけれども、やはりこういったところから、料金体系の見直しとかそういったものをやるべきだと思いますけれども、もう一度、いかがですか。
  27. 坂明

    坂政府参考人 ただいま御指摘のあった点でございますけれども、現在、私ども、運賃につきましては、一定の幅の部分につきましては、これをいわば自動的に認可するといったような形で、指定地域については認可を行っているところでございます。  それを外れる非常に安いところにつきましては、これは私ども、本当にその安い運賃できちんと、例えば不正競争に至らないものか、安全を確保できるものか、あるいは最低運賃を確保しているものか、そういったさまざまな点からかなり厳格に審査をしております。  そうした形で、タクシーの運賃というのは自由化されているような部分もありますけれども、そういった部分につきまして、私どもとしては、適正化法の運用もしっかりと行いながら、そして不適切なものがないかどうか、そうした幅から外れているものについては厳格な審査も行っている、そういった現状でございます。
  28. 緒方林太郎

    緒方分科員 ちょっとぴんとこないところがあるわけでありますが、やはりこういったものを合わせていくべきだと思うんですね。  先ほど言ったZOCのタクシー型ハイヤータクシーの違いというのは、先ほど聞いた感じでも、レンタカーを使っている人がZOCを使うようになるとかいった話がありましたけれども、今ここで聞いている人誰が聞いても、物すごくマイナーな違いだなというふうにしか思わないわけですね。事実上違いがないというふうに思うわけでありまして、これが新しい需要を生み出しているとは私には到底思えないわけであります。  なので、次の料金改定のとき、しかるべく検討していただけるとお約束いただけますか。もう一度。
  29. 坂明

    坂政府参考人 次回の審査の際も、しっかりと審査をしてまいりたいというふうに考えております。
  30. 緒方林太郎

    緒方分科員 なかなか答弁が難しかったわけでありますけれども、この件、ぜひ国土交通省地元に来て見ていただきたい。幾らでも私はアテンドします。幾らでも私はアテンドしますし、一緒に乗りましょう。もう一緒に乗りましょうと言いたいぐらいです。こんなに違うんです。町中の姿を見ていただきたい。実際にタクシー業界の人たちの話も聞いていただきたい。本当に、真面目にやっているタクシー業界の人が、新たな需要を生み出すという美名の言葉のもとに泣いているという現状があります。  なので、ぜひ国土交通省、このZOCタクシーが導入されているのは神奈川と北九州北九州というよりも、ちょっと郊外のところにある会社でありますが、この二社だけだというふうに思います。実際に、新しい需要を生み出すということで導入した案件ではありますけれども、それほど導入が進んでいない。これは恐らく、価格の設定だ何だで難しいということがあって、なかなか乗り出す業者がいないということもあるんだろうと思います。  そうであるのであれば、新たな需要を生み出すということで導入したこの制度、うまくいかないのであれば、見直した上でやっていくべきではないかなというふうに思います。  ぜひ、審議官、地元でお待ちいたしておりますので、お越しいただけることを期待いたしております。もう答弁は結構でございます。  これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  31. 若泉征三

    若泉主査 これにて緒方林太郎君の質疑は終了いたしました。  次に、菅川洋君。
  32. 菅川洋

    菅川分科員 民主党の菅川洋です。  本日は、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。きょうは地方税と地方団体の会計につきまして質問をさせていただきたいと思います。  まずは地方税についてです。地方税といいましても、税法そのものについて質問をしたいというわけではなくて、税務の手続面について、電子申告というものを行っておりますけれども、この電子申告のシステムの件についてお伺いをしたいと思います。  税金の電子申告につきましては、国税局がやっておりますe—Taxというものと、地方税に関しては、地方団体がやっておりますeLTAXというシステムを使ってそれぞれ運用されております。もともと、国税の方で平成十六年に導入がされたものでありますけれども、地方税においては、このeLTAXのシステムに接続する地方団体が随時ふえてきたという現状がありまして、もちろん、国税の方は全国一律で同じシステムを使っているわけでありますけれども、地方団体の場合は、当初は導入している自治体と導入していない自治体というふうになっておりまして、申告をする側からしますと、納税者側から見ますと、電子申告ができる先とできない先、つまり、できない先というのは従来のとおり紙での申告しかできないということになっておりまして、申告が、電子申告ができるところと紙でしなければいけないところ、これを区別して管理するという非常に面倒な状況が生じてきておりました。  しかも、この電子申告というもの、少しお話をさせていただきますと、私も会計事務所をやっておりまして、この電子申告を進める側で一生懸命取り組ませていただいた時期がありますけれども、この電子申告というものが、納税者にとって、何かそれによって特にメリットがあるというものでは決してなかったわけなんです。つまり、これをすることによって当初税金が安くなるとか、手続面が非常に簡素になるとか、そういったようなことは決してなくて、紙で今まで提出していたものを電子データで提出するという、形式が変わっただけのことなんです。ただ、納税者側からしますと、この形式を変える際に、実は非常に時間と手間、お金をかけて取り組んでいただいたものだったんです。  この電子申告をする際に、まずは自分を証明するために電子データを入手しなければいけません。この電子データを入手するためには、住基カードというカードをまずは申請して手にする。その住基カードを手にしたものに、今度は自分を証明する電子証明書をその住基カードの中に格納してもらうという作業を行うわけであります。ただ、これは勝手に役所から交付するわけにはいきませんので、本人確認が厳密に行われるがために、例えば、申請をした後、役所側から通知が来る、今度はその通知と自分の証明書を持ってまた役所に足を運んで、今度はそこでようやくカードを手にし、そしてカードを手にしたら次は電子データを格納するという、非常に手間がかかるものでありまして、また、カードの発行にも手数料がかかるというようなことでもありました。  また、そのカードを入手したら、今度はパソコン側でそのカードを認識するために、住基カードを読むカードリーダーを購入し、準備しなきゃいけない。また、そのカードリーダーが使えるように、今度はパソコン側に何種類かのソフトをインストールする。こういった作業も行ってようやく電子申告ができるという、非常に、これは納税者の方の協力があって初めてできるものでありました。  ですから、それだけの協力をしてもらうということであれば、やはり利便性というものはしっかり高めていかなければならないものだと思っておりまして、この利便性を高めるのに、もう少し早くできればというのが私の思いでありまして、ちょうど一昨年の予算委員会分科会におきましても、電子申告をできる地方団体、この状況がどうなっているのかというのを質問させていただきました。  そして、そのときにもこれは話をさせていただいたことですけれども、こういったことを進めるために、それこそ納税者の方にも御協力をいただきましたし、それ以外にも、商工会議所や商工会、また法人会、税理士会、TKC全国会、いろいろな団体が電子申告を推進する、これによって行政の効率化を図っていくということに力をかす、そういうようなことを行ってきたわけであります。  ですから、そういう思いの中で、導入後今まで、多分利用がふえているとは思うんですけれども、それに対して地方団体の接続が、前回質問させていただいたときは六百四十一件、地方団体がこのeLTAXにつながっているというお話だったんですけれども、あれから二年がたちまして、今の現状について教えていただきたいと思います。
  33. 岡崎浩巳

    ○岡崎政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘の二年前、確かに全市町村の三七%、六百余団体だったんですが、この二年間で実は急速に進みまして、平成二十四年一月時点では全千七百四十二市区町村の約七割強、千二百四十六市区町村が対応いたしております。人口カバー率でいいますと、八七%になります。  なお、昨年九月に私ども調査をしておりまして、平成二十四年度中に導入するというふうに回答している団体を加えますと、全市区町村の中で八三・二%、千四百四十九市区町村にまで伸び、人口カバー率は九三・五%に達するというふうに見込んでおります。
  34. 菅川洋

    菅川分科員 大変進捗しているということを伺いまして、安心をしたんですが。  ただ、やはり、そうはいいましても、まだつながっていないところがあるということは、非常に、やはり納税者側に手間がかかるということもありますので、これは税金の申告だけでなくて、例えば年末調整をした後の個人の源泉徴収票なんかも、各市町村へと会社側から郵送をかつてはしていたものであると思いますけれども、これについても、電子で送れるところと電子で送れないところとなりますと、会社側で、それこそ人数の多い、従業員の数の多いところというのは、これは電子で送ったものだったか紙で送ったものだったかというのは非常に管理に手間取るところがあり、そこが抜け落ちると、また今度は市町村側の税務行政の方にもいろいろと手間のかかることだと思っておりますので、もう一踏ん張り頑張っていただきまして、全市町村がつながるような形にしていただければと思っております。  こういったことは、やはり、地方団体も今非常に職員の人数も限られておりますので、マンパワーを確保する余裕がないところに、何とか、こういった電子的な仕組みを入れることによって、今まで紙で入手していたものをコンピューターに入力し直すとか、そういったようなことがないように、そしてさらには、電子申告だけではなくて、先ほどの源泉徴収票もそうですが、電子申請とかいろいろなものが電子でできるような形へと広がっていけば、納税者側でも、導入時は負担は重くても、結局、毎年毎年使えば利便性が上がりますよということであれば、さらに使う方がふえてくるのではないかと思っております。  そして、このeLTAX、それこそ納税者との電子申告だけでなくて、国税庁とのデータのやりとり、例えば所得税であれば税務署に申告をして、その申告をしたものを各市町村へとデータを振り分けるということをやっておられると思いますけれども、それが今ちょうど確定申告の時期で、皆さん所得税の申告をされています。  私は、この電子申告ができた際に、税務署に所得税の申告をすれば、地方税にも電子データで全てデータを渡しているのかと思いきや、実は税務署の方で、電子申告を受けたものを紙で打ち出して、その紙で打ち出したものを各市町村別に分けてそれぞれの市町村に渡していたというような話を聞きまして、非常に驚きました。これもやはりeLTAXにつながっていない地方自治体があるがためにそういったことになったのかもしれませんけれども、これがようやく昨年から、紙ベースではなくてデータで渡すシステムをつくって、データでもらえるようになったというような話を聞きまして、それは大変いいことであると思っております。  ですから、こういったことをやることによって随分と効率がよくなったと思うんですけれども、率直にその感想を聞かせていただきたいと思います。
  35. 岡崎浩巳

    ○岡崎政府参考人 所得税確定申告書のデータの送信、我々、いわゆる国税連携と称しておりますけれども、昨年の一月から開始をされております。  それによりまして、目に見えてわかる変化としては、一つは、申告書の枚数が、カーボンコピー分、住民税分がなくなりましたのでちょっと薄くなっております。市町村は、そのコピーを紙でもらうかわりに、今回はデータで全市町村に国税の当局から申告データが送られてまいりますので、今御指摘のように、今まではいただいたものを市町村がまた再パンチ入力していたというような手間は、完全になくすことが可能になりました。また、住民税の課税に必要なデータをいろいろ、その写しをとりに行ったりというやりとりも非常に簡単になりました。そういう意味で、必要なデータが電子的に市町村に提供されましたので、市町村にとりましては事務の大幅な効率化につながったということでございます。  私ども、さらに一層電子データを有効に活用して事務を効率的にするように、市町村にも連絡をしてまいりたいと思っております。
  36. 菅川洋

    菅川分科員 事務が大幅に効率化するということは、それは最終的には住民にとってプラスになる話であると思っておりますし、そういった意味では、地方団体に対して総務省がいろいろと指導されるというだけでなくて、国税局というか国税と地方税の連携の部分についてもしっかりと役割を果たしていただければと思っております。  次に、今度は住民税についてお伺いをしたいと思います。  これは細かい話かもしれませんけれども、最近は年金の所得者というのが非常にふえていると思うんですが、収入が公的年金のみの方について、住民税というものは申告をする必要があるのかどうかということをお聞かせください。
  37. 岡崎浩巳

    ○岡崎政府参考人 公的年金以外の所得を有しない方につきましては、年金を払っている方の保険者、年金機構等の年金保険者から支払い報告書が市町村に参りますので、個人住民税の申告は行わなくても結構でございます。
  38. 菅川洋

    菅川分科員 そうしますと、年金だけであれば申告をしなくていいということであると思います。これはもう前からのことであると思っております。  毎年、私は、確定申告のシーズンになりますと確定申告会場を視察いたします。その視察をする際に、広島の場合は四つの税務署が合同で確定申告会場をつくっておりまして、これは市の中心部に会場を設けてやっているわけでありますけれども、四つの税務署が合同でやるものですから、毎日、非常に大勢の方がこの確定申告会場にお越しになります。お越しになる方も随分と実は待ち時間がありまして、一時間、二時間と待たされることがあるものですから、これを短縮するために、税務署の方は、毎年行くと、いろいろレイアウトを変えてみたり、相談に乗る人員の配置を変えてみたりとかさまざまな工夫をして、毎年、少しでも待ち時間が少なくなるような工夫を凝らしてやっていらっしゃるんです。  そんな中、今回の申告から、所得税の方でも、年金所得者の年金の収入額が四百万円以下の方、この方については、税制の改正によりまして、確定申告をしなくていいということになって、このこと自体も、私はこの確定申告会場の混雑緩和へとつながっていると思っております。  ただこれが、大体、その確定申告会場の隣に、広島であれば広島市役所の方が住民税の受け付けをするブースを設けて、住民税の相談もしくは申告の受け付けをやっているわけでありますけれども、例年この確定申告会場に来られている方が、どうやら、不要になったということを知らずにことしも確定申告に来られておりまして、そのことを、所得税の申告は要りませんという話を伺った後に、どうも、住民税の方に今度は行かれて、そこで申告をしなければいけないんじゃないかということで、随分と、今まではどちらかといいますと、住民税のブースというのは閑散としていたわけでありますけれども、ことし見に行きますと、非常にたくさんの方が住民税のところでお待ちになられていたものですから、そういった光景を見て、多分、ほとんどの方が、先ほどのお話のとおり、住民税の申告の要らない方なんだと思います。  ただ、それがわからずに、所得税で省略している、でも住民税でしなきゃいけないんじゃないかと思われている方がどうもいらっしゃるようなので、今回の法律の改正というのは、確かに所得税の改正で、年金所得の四百万円以下の人は申告をしなくて済むようになりましたけれども、こういったトータルで考えたときに、納税者にしてみれば、申告に来なくていい人が無駄に足を運ぶことにもなりますし、また、そこの会場に来られるほかの方にとってみても、やはりできるだけ混雑を緩和するということは必要だと思っております。  例えば、そういった方々に対しまして、国税だけでなくて、変わったということについてもあわせて、例えば年金所得者の方に通知をするなりなんなりして、あなたは申告しなくても、こういった方は申告しなくてもいいんですよということをもう少しわかりやすく広報していただくようなことを今後お願いしたいと思っております。  それについて何かございますか。
  39. 岡崎浩巳

    ○岡崎政府参考人 所得税の申告につきましては、特に地方部におきまして市町村役場でも二割ないし三割程度収受しているような実績もありますので、国税とよく連携をいたしまして、今の申告の有無も含めまして、納税者へのPRといいますか、そういうものを的確に行うように助言をしてまいりたい、引き続きやってまいりたいと思います。
  40. 菅川洋

    菅川分科員 ありがとうございます。  税金の話はそのぐらいにしまして、今度は税の話から会計の話をさせていただきたいと思います。地方団体の会計制度についてです。  まず、現在、地方団体の会計の制度について、総務省から、総務省が行っている取り組みについて少し御説明をしていただけますでしょうか。
  41. 川端達夫

    川端国務大臣 新地方公会計制度推進ということで、企業会計の慣行を参考にした財務書類の作成、活用を通じて、財務情報のわかりやすい開示と資産、債務の適切な管理を進めるということで、平成十八年度以降、基準モデルと総務省改訂モデルという二つの会計モデルを地方公共団体にお示しをしておりまして、貸借対照表、行政コスト計算書、資金収支計算書、純資産変動計算書の財務書類四表の作成を要請してまいりました。  その結果、基準モデル、総務省改訂モデル等の公会計モデルに基づく財務書類の作成に着手済みの団体は、平成十八年度決算で全体の七二・一%であったのに対しまして、平成二十一年度決算では全体の九二・五%に上昇しております。  なお、平成二十一年度決算における財務書類の作成着手済みの団体の内訳は、都道府県、指定都市はそれぞれ全ての団体で着手済み、その他の市町村では、全体の九二・二%に当たる千五百六十五団体であったところでございます。
  42. 菅川洋

    菅川分科員 非常にスピードのある取り組みではないかと思っておりますけれども、会計制度については、現行の仕組み、企業会計の形を取り入れて、できる限りわかりやすくするという取り組みには私も賛成であります。ですが、そこを、実は私はもう一歩踏み込んだところへ頑張っていただけないかと思っております。  そもそも、国の会計もそうですが、地方自治体の会計も単式簿記、現金基準というのが基本にあります。ただ、企業会計というのは、複式簿記、発生主義で行っております。また、諸外国におきましても、複式簿記、発生基準でおやりになられているところもあると伺っております。  会計をしていく上で、やはり現金基準か発生基準か、もしくは単式か複式かというのは、これは会計をする基本的なインフラというか、会計の入り口の部分であると思っておりますので、そこの入り口が違うと、でき上がってくるものも見る視点がちょっと変わってまいります。  やはり、でき上がったものが、ただ単なる国民、住民に対する報告というだけではなくて、住民の人がそれを見て、自分の自治体は大丈夫なのかどうか、もしくは先行き、どこか、ここをこう改善したらいいんじゃないかとか、いろいろ考えられるような仕組みというものを私はつくる必要があると思っております。  やはり、地方団体というのは住民の税金から運営をしているわけでありますから、どのぐらいお金をどういったところから集めて、またそれを幾ら使ったのか、どういったことに使ったのか。さらには、その使ったものが、一時的になくなってしまう、費消されてしまう使い方なのか、それとも、投資的な例えば出資金とかそういったものに使ったのか。道路や橋のような、お金を出したら、その出した分の効果が長年にわたって発揮される、そういったものへの支出なのかどうかというのが、やはり住民に対して非常にわかりやすく提示すべきではないかと思っております。  その提示をすることも大事なことですし、さらには、財務書類を見て、会社であれば決算を組み、その決算を見て翌年の事業年度、今度はどういった戦略でやっていくのか、もしくは前の年度のものを見て反省して、今年度はこういう方向へ変えていこうというような、改善をしていく、もしくは方向を変えていく、そのための基礎的なツールとして決算をし、その会計データを使う、財務書類を使うということを行っておりますので、やはり、次につながるものへと分析可能なもの、こういったものをつくるのが大切なのではないかと思っています。  私も税理士でありますので、人よりは少しは会計に詳しいとは思ってはいるんですけれども、地方団体の財務書類だとか、国の財務書類ももちろんそうですけれども、これを見ても、なかなか私自身でも理解するのが非常に難しいものでありますから、一般的に会計の知識のない人からすると、もっとこれは難しいのではないかなと思っています。  そんな中、地方団体の中で東京都が、平成十八年に新しい会計制度を導入されました。今までの単式簿記、現金基準のもの、これをつくりながらも、複式簿記の発生基準でのものを同時につくるというようなことを行っているわけでありますけれども、この東京都が導入した新しい公会計制度についてどのようにお考えか、考えをお聞かせください。
  43. 川端達夫

    川端国務大臣 会計のプロの目から見ていろいろ御指摘いただきました。  正直申し上げて、十八年度から自治体がやり出したという部分では、まだまだ日が浅い部分であります。そういう部分では、まだ体制も能力も、なかなかそれぞれ差があるというのが現状ではないかというふうに思っております。  そういう中で、東京都は、複式簿記、日々記帳システムに基づく独自の公会計モデルを平成十八年度から新たに導入されて、活用を図っておられるというのは承知をしておりますし、個々それぞれの地方公共団体が、情報開示の充実とか内部マネジメントの強化を図るとともに、各種の実務上の要請に応えるために、今先生指摘のように、これから後の方向性を分析することも含めて、独自に検討して、いろいろ取り組んでおられるということは意義があるものと考えておりまして、東京都は随分その部分では力を入れて頑張っていただいていると評価をしております。
  44. 菅川洋

    菅川分科員 さまざまな取り組みというのは必要なことだと思います。やはり、これから地域主権、地方にいろいろな権限を移譲して、地域でいろいろなことを考えていくということになりましたら、住民の目も、その地方団体に対する目というのは非常に厳しい形になってくるのではないかと思っています。  その中で、住民の人にも参加してもらう、知恵を出してもらう、そういうことになりましたら、やはり新たな取り組みというものをそれぞれの自治体が必死になって取り組んでいかなければならないところだと思っておりますし、それこそ、税源、財源、これを国から地方へ渡していくようになりますと、特にこの決算書であります財務書類というものの重要性というのは非常に高まってくるのではないかなと思っております。  そういった観点から、今お話しいただいた東京都のやり方というのは非常に歓迎してごらんになられているということでありますけれども、これを例えばほかの自治体にも導入するというようなことを検討はされていらっしゃいますでしょうか。
  45. 川端達夫

    川端国務大臣 先ほど申し上げましたように、東京都を含めて、総務省のモデルを含めて、幾つかのモデルが今行われているというのが現状でございます。そういう意味で、これからの新地方公会計制度あり方については、やはり幅広に検証して議論すべきだろうということで、一昨年の九月に、今後の新地方公会計の推進に関する研究会というのをつくりまして、公認会計士あるいは大学の先生、あるいは監査法人、税理士さん含めて、オブザーバーには財務省や東京都、大阪府等に御参加いただいて、現在検討を行っていただいております。  これまでには公会計モデルの導入の現況についてのヒアリングがなされておりまして、本格的な議論はこれからでありますけれども、専門家や学識経験者、各自治体の担当者間でよく議論していただきながら、さらなる新地方公会計の推進の方策について検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
  46. 菅川洋

    菅川分科員 しっかりと検討していただきたいと思っております。  やはり、今ある基準からできることではなくて、どういったものが理想にあって、それに対して何をしていくかというふうな発想のあり方というのは必要だと思っておりますので、ぜひともその検討会、専門家の方も随分お入りになられているようですから、いろいろな角度から、住民にとってしっかりとした開示ができる、そういったものへとつなげていただきたいと思っております。  私自身は、この公会計、複式簿記にするということについては、数字がわかりやすくなるということもありますけれども、副次的な効果として、複式簿記ができる、そういった経理実務の専門家というものが今度は地方団体の中で育ってくると思っています。  そうすると、実は中小企業なんかでも、経理実務ができる方というのは非常に、実は人材として困っておりまして、こういった同じ会計ルールの中で経験を積んでもらう方が、民間だけでなく、今度は公共の団体でも同じようなルールでやっていただけますと、両方ともそういった専門家を育てるということにもつながると思っております。  また、そうなりましたら、今、日本の企業も随分と経営の厳しいところもありますので、そういったところに、しっかり数値を管理しながら経営できる、そういった人材を、今度は公の方から民間の方へ人材をしっかり輩出するというようなことにもつながるのではないかと思っております。  この検討、随分これから本格化するということでありますから、ぜひともしっかりとした議論をしていただきまして、将来の開示のあり方というものをつくっていただければと思っております。  以上で質問を終わりにさせていただきます。どうもありがとうございました。
  47. 若泉征三

    若泉主査 これにて菅川洋君の質疑は終了いたしました。  次に、柿澤未途君。
  48. 柿澤未途

    柿澤分科員 みんなの党の柿澤未途でございます。  きょうは、行政評価についてお伺いをしたいと思います。  「各行政機関や特殊法人等の業務の実施状況を調査し、業務運営上の問題点を明らかにするものです。その上で、関係行政機関等に対し改善方策について勧告等を行い、行政運営の改善・適正化を図ります。」こういうふうに総務省のホームページに書いております。  それで、この行政評価制度に基づく、原子力の防災業務に関する行政評価・監視結果に基づく勧告というのが平成二十一年二月に総務省より出されております。ここで、今回の東京電力福島第一原発事故の被害の拡大防止にもつながったであろう方策が実は勧告されているんです。  原発事故発生時の対応拠点になるオフサイトセンターについて、迅速かつ適切に災害応急対策を実施する機能を確保するため、被曝放射線量の低減措置を講じるための方策をマニュアル等において明確化すること、こういうふうに勧告されております。つまりは、オフサイトセンターの中に放射性物質が入ってきて屋内の放射線量が高くなる、こういうことを避けるための措置を講じるべきでありますよ、こういうことを勧告しているわけであります。  ところが、今回の原発事故に当たり、本来、十キロ圏内、対応拠点になるはずのオフサイトセンターというのは、まさに放射線量が高くなってしまったということで放棄されているわけであります。  勧告をもう少し詳しく見てみると、勧告では、オフサイトセンターの建物内で放射線量を低減する効果を有する換気設備があるのは二つだけである、これは六ケ所と北海道なんですけれども、福島第一原発を含めて、今の換気設備では放射性物質の影響を低減せずに外気を室内に取り入れてしまうということで、高性能エアフィルターを取りつける等の適切な対応というものを求めています。  しかし、経産省、原子力安全・保安院はこの勧告を受けてどうしたかというと、勧告を受けたのに、指摘されたような高性能フィルターをつける対応を怠っていた。結果的に、今回の事故では、オフサイトセンターに放射性物質が入り込んで、屋内でも一時間当たり放射線量がおよそ二百マイクロシーベルトという水準まで上昇して、とどまることができなくなって、オフサイトセンターから全員退避せざるを得なくなったということであります。  経産省は何をやっていたんだということになるわけですけれども、しかし、そうとも私は言えないんじゃないかと思います。  行政評価における勧告平成二十一年二月十三日付で、もう一回、何が書かれているかといいますと、ここには、放射線量の低減措置を講じるための方策をマニュアル等において明確化することということを直接の勧告としているわけであります。  経産省、保安院は、平成二十一年八月にフォローアップへの回答、一年後、平成二十二年八月に二回目のフォローアップにも回答していますけれども、そこでどういうふうに答えているかというと、平成二十一年七月までに、勧告を受けて半年以内に、オフサイトセンターの運営要領、すなわち運営マニュアルにこのことを明記した、こういうふうに書いてあるわけです。つまりは、マニュアルに書けと言われましたから書きましたよ、こういう回答なんですよ。  やらなかった経産省が悪いというのはもちろんですけれども、しかし、マニュアルに書きなさい、はい書きましたということで、勧告の実効性、つまりは、高性能エアフィルターをつけた換気設備の改善、こういう勧告の実効性をレビューしなかった総務省にも私は問題があったのではないかというふうに思います。  オフサイトセンター内の被曝放射線量の低減措置を具体的に講じることが望ましい、こういうふうに総務省は思っていたんですよね、勧告の時点で。マニュアルに書けばよかった、こういうことを思っていたわけじゃないと思うんですけれども、ちょっとこの点、御答弁をいただけないかと思います。
  49. 新井英男

    ○新井政府参考人 お答えいたします。  御指摘の原子力防災業務についての勧告は、平成二十一年二月に経済産業省に対して実施いたしました。  同勧告におきましては、オフサイトセンターについて、換気を行わずに気密性を維持する対応や出入管理等、適切に被曝放射線量を低減する措置が明確に決められていないことから、同方策をマニュアル等に明記すること等を勧告いたしました。  勧告に対し、経済産業省は、御指摘のとおり、オフサイトセンターの運営要領の改正、また同施策に係る訓練の実施、また防災資機材の整備、管理等の推進を図るというようなことでいただいております。  総務省といたしましては、経済産業省の対応が有効に機能するか否か、状況を見守っていたところでございます。  しかしながら、今回の事故におきまして、オフサイトセンターの被曝放射線量を低減する措置が現実には機能していないということが判明しましたことから、現在、政府内でオフサイトセンターのあり方も含めた検討が行われておりまして、引き続き、その点については注視してまいりたいと思っております。  なお、勧告では、必ずしも先生のおっしゃられた措置だけを明記しろということではなくて、全体としての線量の低減ということを勧告したものでございまして、その点のところを総合的に判断して、いろいろと今まで見守ってきたというところでございまして、結果としてはうまく機能していなかったということが判明しましたので、今後、政府の対応を含めまして、見守っていきたいというふうに考えている次第です。
  50. 柿澤未途

    柿澤分科員 もう一度読むと、マニュアル等において明確化すること、この等の部分がマニュアル以外の部分も含まれているんですよ、こういうふうに読め、こういうことですかね。  まさにこのような、総務省さんとしても、いろいろを含めて勧告しました、いわば読みようによっては逃げ道がある、こういう表現をすることが、ある意味では皆さんが適切な勧告をしたということを正当化する材料になるのかもしれませんけれども、しかし、実態論としてどうだったかといえば、まさに重要な指摘ですね。  仮に、換気設備があって、高性能エアフィルターが設置をされて、放射性物質が入り込む、こうしたことを防止する措置が講じられていれば、あのオフサイトセンターで事故対応に当たれたかもしれないんですから。その一歩手前まで行きながら、そして二回も勧告のレビュー、フォローアップをしながら、結局、適切な対応を経産省がとるのを怠っていたのを見過ごしていた、こういうことになるわけですね。  この点についてどう思っておられるのか、もう一度御答弁いただければと思います。
  51. 新井英男

    ○新井政府参考人 当時、経済産業省とこの点についてやりとりいたしまして、通常のフィルターでは放射性沃素の方がなかなか難しいということもございまして、全ての放射性物質を除去することは困難であるということ。また、事故が起こった場合におきましても、放射性物質の放出は短時間であるというようなことも想定しているという説明を受けておりまして、私どもといたしましては、全体として線量を低減させる措置というものがきちっと図られているかどうかということについて推移を見守っていた。  要は、具体的にそれが実効あるものかどうかということにつきましては、実際の現場で本当にどうなっているかということを見ないとなかなか判断は難しいのかなというふうに思っておりましたところでございます。
  52. 柿澤未途

    柿澤分科員 重ねてお伺いいたしますが、マニュアル等において明確化することという点では、総務省勧告に適合した対応を経産省、保安院はとっていた、こういう認識であったということでよろしいですか。
  53. 新井英男

    ○新井政府参考人 それが適切だったかどうかということについて、少なくとも、マニュアル等に一応の記載はいたしましたので、ただ、それが本当に実効あるものなのかどうかということにつきましては、かなり専門的な話でもございますので、私どもといたしましては、それらの実効性についてウオッチしていたということでございます。
  54. 柿澤未途

    柿澤分科員 まず、そもそもマニュアルに書きなさいなどという、何で初めからいわば及び腰の勧告にトーンダウンをさせたのかということを思うんです。  そもそも勧告というのは、勧告ですから、相手が従うかどうかはわからない面があります。それは、実施権限を持つ他省庁の行政分野に踏み込む行政評価というものの、ある意味ではつらいところではないかというふうにも思います。しかし、だからこそ、相手省庁が従うかわからないだけに、勧告そのものは具体的に、かつ、いわば強目に書かなければいけないものではないかというふうに思うんです。  専門的で、ちょっと実効性がどのぐらい上がるかわからないからということも御答弁されましたけれども、しかし、マニュアルに書きなさい、こういう間接的な物言いで、おのずから、総務省の側から、いわば私の見ようでは自制するような対応では勧告の本旨の実効性は保てない、私はこういうふうに思うんです。  この点について、大臣、ここまでのやりとりを聞いておられたと思うので、行政評価の実効性の面からどうあるべきかということについて御見識があればお伺いをいたしたいと思います。
  55. 川端達夫

    川端国務大臣 私も御指摘を踏まえてレビューをしてみましたけれども、福島の原発事故全体での大きな、いろいろな反省と教訓があるわけです。政府としても、電力会社にしても、いろいろあるわけですけれども、今の行政評価部分に関しても、多くの示唆に富んだ教訓を残しているというふうに私も思います。  マニュアルでちゃんとするようにということは、マニュアルというのは、要するに作業標準ですから、一応そういうものがきちっと整備されてマニュアルがあるというのは、多分、普通の感覚ではセットだというふうには思います。  書きぶりとしてこういう書き方が適切であったのかという御指摘でありますけれども、そういうことを含めて、非常に専門的な分野であるとはいえ、やはりより幅広に、あらゆることを想定して、具体に踏み込めるものは具体に書いてこそ、実効ある行政評価勧告が生きてくるんだというふうには思いました。
  56. 柿澤未途

    柿澤分科員 川端大臣から大変いい御答弁をいただいたというふうに思います。  この際、行政評価局長からも、これから行政評価勧告を行う際に、どのような書きぶりといいましょうか、評価あり方を目指していくのか、この点について御見解をお伺いしたいと思います。
  57. 新井英男

    ○新井政府参考人 お答えいたします。  まず、勧告の書きぶりの前に、私ども、調査というものは、やはりもっともっときちっといろいろな点を踏まえてやっていかなきゃいけないなというのが今回の一つの点でございます。  また、大臣からも御答弁がございましたように、勧告につきましては、なるべく具体的にきちっと書いて、各省に対して紛れがないようにしていく必要があるということだと思っておりまして、その点を肝に銘じまして今後調査勧告等に当たっていきたいと思っております。
  58. 柿澤未途

    柿澤分科員 私は、このオフサイトセンターが全く機能しなかったというのは、今回の原発事故における一つの痛恨事だと思います。それをある意味ではもたらしてしまった一つの要因、要因とまでは言えないと思いますけれども、しかし、そうしたプロセスの中に行政評価というプロセスもあって、残念ながらそうした事態が発生することを抑止することができなかった、このことは深く刻んでいただきたい、このように思っております。  さて、調査をしっかりしなきゃいけない、こういうお話も行政評価局長からいただきました。  同じ平成二十一年二月十三日付の原子力の防災業務に関する勧告で、今から見ると首をかしげたくなるような部分も実はあるんです。それは、(四)の「効果的な原子力防災訓練の実施」というくだりでありまして、こう書いてあるんです。  「平成十二年度以降における国の原子力総合防災訓練の実施状況等について調査した結果、近年になって」「住民避難をより迅速かつ的確に実施する上で実効性のある訓練が行われてきた」、こういうふうに国の原子力総合防災訓練を、住民避難のために実効性のある訓練であると非常に高く評価しているんですね。  その上で、この勧告ではどう書いてあるかというと、国はちゃんと訓練をやっているのに、原発立地八道府県では国の防災訓練にのっとった訓練をやっていないではないかと。要するに、原発立地道府県は国と比べるとちゃんと訓練をやっていませんよ、こういうことが勧告指摘の内容になっているわけです。  ところが、今回の原発事故に当たって、菅前総理自身が、原子力災害対策本部長として行った二〇一〇年十月二十一日の国の原子力総合防災訓練の内容について、たしか四月の参議院の予算委員会だったと思いますけれども、御自身が本部長として国の原子力総合防災訓練の指揮に当たっていたにもかかわらず、国会で問われて、詳しい内容は記憶していない、たしか地震を想定していたんじゃないだろうか、こんなことを話しているわけです。  そして、訓練で使用されていた住民避難をそれこそ迅速かつ的確に実施するためのいわゆるSPEEDIのシステムについても、事故から数日たってもその存在すら知らなかったということを、まさに事故対応の中心に当たった政治家の皆さん、大臣等の皆さんが証言しておられる始末であります。  現実の原発事故が起きたときにこのような結果を生むような、いわば機能しなかった国の原子力総合防災訓練を、総務省行政評価では、これを手本にしなさいと高く評価をした、こういうことになっているわけですけれども、この点について御見解はいかがですか。
  59. 新井英男

    ○新井政府参考人 お答えいたします。  御指摘勧告につきましては、原子力災害特別対策法施行後の国の原子力総合防災訓練の実施状況を調査いたしましたところ、住民避難の迅速、的確な実施等のために、訓練内容につきまして、地域の特性をも踏まえて逐次改善してきている状況が見られました。  このことを踏まえまして、原子力立地道府県が実施する総合的な防災訓練におきましても、同様の改善を図るべきとの観点から、経済産業省に対しまして、これまでに国が実施した訓練の蓄積をより体系的にまとめた上で、地方公共団体に対する助言を実施するよう勧告したものでございます。  なお、今回の事故を踏まえまして、効果的な訓練については、現在、政府内でその見直しを検討しているところでありまして、それらの対応を注視してまいりたいと思っております。
  60. 柿澤未途

    柿澤分科員 政府内で効果的な訓練のあり方について見直しをしている最中だということは、国の原子力総合防災訓練に、実効が上がらなかった、いわば不備があったということを認識しているということになるじゃないですか。  この行政評価では、国の原子力防災訓練に関して、住民の迅速かつ的確な避難に当たり実効性が担保されている、こういう高い評価をされているわけではありませんか。いわば、評価と現実の食い違いが起きている。  この点について、先ほど調査が大事だとおっしゃったわけですから、局長はどう御認識されているのか、その点をお伺いしているのであります。
  61. 新井英男

    ○新井政府参考人 私どもが調査いたしましたのは、その当時の原子力総合防災訓練がベストというような趣旨ではございませんで、いろいろと取り組んできて改善が行われている状況にあるということを評価いたしまして、その改善の状況を見ますと、地方で行われている防災訓練につきましては、そのような改善が行われていない面もございましたので、少なくとも、そういう改善も含めて行っていく必要があるのではないかということを申し上げたところでございます。
  62. 柿澤未途

    柿澤分科員 これは、原子力防災業務に関する行政評価ですから、当然、国の総合防災訓練を評価・監視の対象にすることもできたというふうに思うんですね。それはしない。むしろ、それをモデルにして、道府県、もっとちゃんとやってくださいということですから、国の原子力総合防災訓練はきちんとそれなりにできている、こういう評価があったということなのではないかと思うんですが、その点は、ちょっとしつこいようで恐縮なんですけれども、もう一度御認識を語ってください。
  63. 新井英男

    ○新井政府参考人 お答えいたします。  そういった意味では、私どもが見ました国の原子力総合防災訓練自体は、当時想定されている状況において、私どもが見た訓練という中身について私どもが調査した時点では、国の防災訓練について明らかに大きな問題というものは見つからなかった。  もう一つは、いろいろと改善をしている。つまり、例えば全国一律ではなくて、いろいろ地域特性に応じて実質的な訓練をしているという実態が見られましたので、そういったことを広く広めようということで申し上げた次第でございます。
  64. 柿澤未途

    柿澤分科員 御答弁ありがとうございました。  つまりは、これに関しては、これは答弁を求めるわけにはいかないんですけれども、菅総理が前の年の秋に自分が本部長で訓練をやって、SPEEDIを使用する、こういうことも想定をされ、実施をされていたにもかかわらず、そのことを全く覚えていないで、そして、何を想定していた訓練かも、震災が起こってみる、原発事故が起こってみると、もうすっかり忘れてしまっていた。こういうことだったというこの菅総理のパーソナリティーの部分、この部分が、ある意味ではこうしたことになってしまった要因だったのかな、こういうふうにも思います。  そういう意味では、原子力総合防災訓練の内容、コンテンツに内在をした問題というよりも、そのときのリーダーの属人的な問題としてこういうことが起きてしまったのかもしれません。  いずれにしても、私は、こういう形で、せっかく原発事故対応の備えの問題を直近に取り上げておきながら、そして、よい論点を突いた部分もあったというふうに思うんですが、しかし、結局、総務省行政評価が、今回の東京電力福島第一原発事故への対応能力の強化に役に立ったと言える具体的な形跡が乏しいと言わざるを得ないと思います。経産省、保安院に対する、いわば寸どめのような勧告と、国の防災訓練に対する、いわば目きき違いとも言えるような状況で、やったけれどもだめだった、こういうことになってしまったのは極めて残念だというふうに言わなければなりません。  今回の福島第一原発事故の発生時点において、この勧告内容に沿った改善がどの程度具体的に行われていたのか、どう勧告すればより実効を担保することができるのか、あるいは調査あり方はどうか。今回のケースをある種のサンプルとして、さかのぼって詳細に調査をしてみたらどうか。行政評価の質の向上に資するのではないかというふうに思いますが、大臣、どうですか。
  65. 川端達夫

    川端国務大臣 前総理の部分は別にいたしまして、先ほど申し上げましたように、やはりいろいろな意味で、政府がやっていることに対してはいま一度これを機に総点検をするということが極めて大事だというふうに思っていますので、今の御指摘も、コメントは特にどうこうということはありませんけれども、重く受けとめて、いろいろな部分では見なければいけないというふうには思っております。
  66. 柿澤未途

    柿澤分科員 では、局長にもお願いいたします。
  67. 新井英男

    ○新井政府参考人 少なくとも、私どもが勧告をいたしました一次、二次の時点におきまして、今回の福島のような大災害を想定していたかといえば、私どももちょっとそこまでの想定範囲ではなかったのかなと思っております。  ただ、やはり、いろいろと私どもがやったことが今回余り生きていないという点もございますので、まさに評価をして、それを受けていろいろと見直しがどうなっているのか、また、それが実行されない場合にどうなのか、そういった点も含めて、今回、まさに当局としても、評価の実効性をどう確保していくのか具体的に検証して、次に生かしていきたいというふうに思っております。
  68. 柿澤未途

    柿澤分科員 行政分野の当事者でないからこそ、ある意味では厳しい球を投げることができる、こういう面があると思うんです。それが想定外だったということでは、これは極めて残念だというふうに申し上げなければならない。この点は私から見てもやむを得ざる部分もあるかなというふうにも思うんですけれども、私自身も私の立場で、本当に大変恐縮ながら厳し目の球を投げているということで御理解をいただければ、こんなふうに思います。  さて、郵政事業について、きょうは日本郵政さんにも来ていただいていますので、お伺いをしたいと思います。  小泉改革における郵政民営化はけしからぬということで、政権交代以降、急ブレーキどころか逆コースを走り始めたわけであります。西川社長をコンプライアンス違反があったと断じて、大蔵次官OBの齋藤次郎さんを日本郵政の社長に選任する。株式売却を凍結し、かんぽの宿の売却を凍結して、そして郵便事業会社のゆうパック部門と日通のペリカン便部門の統合、民営化を方針転換して、JPエクスプレスを郵便事業会社に統合してしまった。  これによって、郵便事業会社は、JPエクスプレスの統合に際して、旧日通の社員を同時に社員として受け入れたわけでありますけれども、これは何人の社員を引き受けて、日通から何人、旧郵政公社から何人が郵便事業会社のもとに入ったのか。  また、ちょっと時間もないので、旧日通の社員の年収というのは旧郵政の社員の年収よりも低かった、こういうふうに聞きますけれども、JPエクスプレスが単体の民間企業だったときは、日通の社員に合わせて旧郵政の社員は下げる、しかし差額の分は本体会社から補填をする、こういうスキームになっていたように聞いております。  このJPエクスプレスを郵便事業会社に吸収してしまう、それに当たって両者の給与をどのようにしたのか。給与表は一つだと思いますので、旧郵政の社員に合わせて旧日通の社員の給与水準を引き上げる、こういう対応をしたのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  69. 中城吉郎

    ○中城参考人 お答え申し上げます。  まず、平成二十二年七月の宅配便事業統合に伴いまして、日本通運の正社員約七百人を郵便事業会社に承継いたしました。また、郵便事業株式会社から約四百人がJPエクスプレスに出向しておりましたことから、これらの社員が復帰しております。  それから、統合に当たっての給与の関係でございますけれども、統合に当たって、日本通運から承継した正社員の給与は、原則、郵便事業会社の正社員登用時の初任給の給与水準で決定しました。  なお、承継した正社員の採用時の平均年収は推計で約四百九十万円でございまして、郵便事業会社の正社員全体の平均年収よりも約百六十万円ほど低くなっております。
  70. 柿澤未途

    柿澤分科員 何と百六十万円も平均年収が高い、こういう人たちを七百人受け入れることになったわけですね。こういうことで結果的にどれだけ収益体質を悪化させたのかな、こういうふうに思うわけです。  時間もなくなってきましたので、非正規雇用の質問を一個飛ばさせていただいて、これに関して、政権交代した二〇〇九年八月以降、日本郵政グループの取締役に官僚出身者が激増している、こういう事実があります。例えば今の郵便事業会社、取締役六人中、民間四対官僚出身者二という構成だったのが、トヨタ出身の北村会長が退任をし、郵政民営化の旗振り役だった松原先生も事実上やめさせられて、今見ると、四対二が今度は一対四になっている。官僚出身者が四、民間が一であります。日本郵政初め郵政グループのほかの会社も、官僚出身者が幅をきかせて、事実上官業経営色が強まっている、こういう状況だというふうに思います。  そして日本郵政は、二〇一一年度のボーナス一・三カ月カットで人件費千二百億円削減、これは一人当たり五十万円規模ぐらいの大幅なカットに当たると思います。郵便事業会社はJPエクスプレスの社員を抱え込んで、非正規六千五百人を正社員化したはいいものの、人件費増であっぷあっぷになって、結局非正規の雇いどめをもたらすようなことになっている。  まさに、官業経営の体質になっていることによって収益基盤が劣化をしている、こんな状況だと思いますけれども、これは現政権の天下り根絶の方針にも反し、また、他の特殊会社の人事の流れとも全く異なるものであると思いますけれども、なぜこのようになってしまっているのか、お伺いをしたいと思います。
  71. 若泉征三

    若泉主査 時間も来ましたので、簡潔にお答えください。佐々木日本郵政株式会社専務執行役
  72. 佐々木英治

    ○佐々木参考人 済みません、私、非正規の関係で来ていたものですから、今の先生の御質問、ちょっと承知しておりませんで、先生の御趣旨は、経営体制、役人の天下り問題ということでございましょうか。(柿澤分科員「そうです」と呼ぶ)そうだとすれば、ちょっと私どもで答えるのはいかがなものかと思いますので。
  73. 川端達夫

    川端国務大臣 何度も国会では議論になっているところでございますが、天下りかどうかという議論と今のお問いは違うというふうに思います。この郵政に関しての、官僚OB含めて、これは取締役でございますので、株主総会で決めるというときに政府として提示をした部分でありますので、政府の責任において、その人材含めてが適任であろうということで人選をした結果がこうなっているということだというふうに承知をしております。
  74. 若泉征三

    若泉主査 もう時間がありません。
  75. 柿澤未途

    柿澤分科員 時間も参りましたので、これから法案も提出をされるということでもあるでしょうから、この問題についてはこれからさらに質問を重ねてまいりたいと思っております。ありがとうございました。
  76. 若泉征三

    若泉主査 これにて柿澤未途君の質疑は終了いたしました。  次に、小室寿明君。
  77. 小室寿明

    小室分科員 民主党の小室寿明です。  私も久方ぶりの質問なんですが、どうぞよろしくお願いをいたします。  地方自治について、大きく言って五点ほどお尋ねをしたいと思います。  私の住んでおります島根県というのは、出雲の国、そして石見の国、これは藩政のころの名残から、二つの大きな国に分かれております。それから、離島隠岐を含めて、三つの地域になっているわけです。ことしは、日本最古の歴史書と言われる古事記が編さんされてからちょうど千三百年ということでして、この舞台である出雲の地、島根の地、その東部を流れております斐伊川という大きな川がありまして、ここがヤマタノオロチ伝説の舞台になっているわけです。  現在、治水事業として、ダム事業、放水路事業、河川改修の三つの事業が行われておりますが、古事記の時代のヤマタノオロチ伝説も、実は、この斐伊川の暴れ川を退治した治水の伝説だというふうに言われておりまして、まさに現代の今、このときに、このヤマタノオロチ伝説をよみがえらせるべく治水事業が進んでいるという状況でございます。  ことしの七月二十一日から、県の主催によりまして、古事記編さん千三百年を記念して「神話博しまね」が開催されます。この際、御紹介いたしますと、貴重な歴史資料である神庭荒神谷遺跡の三百五十八本の銅剣、そして加茂岩倉遺跡から三十九個の銅鐸が出土しておりまして、こういうものもごらんいただきながら、日本のルーツと言われる島根、出雲を国民の皆様にぜひ体感いただきたい、このように思っております。  さて、この島根県でありますが、二〇〇五年三月を合併の期限として、全国で合併促進がとられたわけです。全国では四割の自治体が減少いたしました。島根には五十九の市町村があったんですけれども、現在は十九自治体ということでありまして、昨年実は、松江市そして出雲市は、再合併によりまして、松江市は人口二十万八千人、出雲市は十七万一千人と、大きくさま変わりをしたわけであります。  この合併でありますが、当時のうたい文句は、分権改革なんだ、自主自立の自治体をつくるんだということでしたけれども、これは大臣も御承知だと思いますが、実際、市町村の立場からいうと、自公政権の財政的な締めつけといいますか、特に二〇〇四年には地財ショックがありましたし、その後は三位一体改革でありますが、財政的な締めつけでやむなく合併を選択したというのが偽らざる側面ではなかったかと思っております。  さらに、その後の三位一体改革という財政的な制約もありまして、合併はしたものの大変困窮をしているというのが地方自治体の現場の声であり、そのことが二〇〇九年の政権交代の一つの要因であったと私は思っておる次第です。  そこで、二〇〇四年の地財ショック以降、二〇〇九年の政権交代まで、政府がとった地方財政政策を概括いただきまして、その反省と評価をお聞かせいただきたいと思います。  あわせて、その後、政府によって地方財政対策も強化されてきましたけれども、二〇一二年度の政府予算案における地方交付税などの地財対策による地方財源の回復状況をお知らせいただきたいと思います。
  78. 川端達夫

    川端国務大臣 御指摘のように、三位一体改革期間中は、地方交付税総額については、改革の前年度の平成十五年度当初で十八・一兆円であったのが、改革の最終年度である平成十八年度当初では十五・九兆円、この間、二・二兆円減少ということになりました。  この間の反省と評価というのは、まあ反省する立場でないのですが……。(小室分科員政府として」と呼ぶ)政府としてといいますか、先生指摘のように、地方からは、いろいろ地方の改革、自立を求めてという理念はあったとは当然思いますけれども、現実には、急激な歳入減の中で、今までの基金も取り崩して、もう底をついてということで、大変悲鳴に近いというか、悲鳴が上がってきた。何としても地方に元気が出るためには、この状態はやっていけないので何とかしてほしいという声があったという状況であったことは、私も認識しております。  そういう中で、政権交代が実現いたしまして、地域主権改革を推進する観点で、地方ができるだけ自由に使えるお金をふやすということと、それによって地域のニーズに適切に応えられる政治が求められているということで取り組んでまいりました。政権交代後の初の予算である平成二十二年度では、地方交付税を一・一兆円大幅増額いたしました。  その後、二十二年六月に決定された財政運営戦略に基づきまして、地方の一般財源総額は平成二十二年度の水準を基本として確保することになりましたけれども、私自身も、二十四年度の地方財政への対応に当たっては、とにかく地方団体からの強い強い要請として二十三年度を上回る交付税総額の確保をということでございまして、それを最重要課題として、いろいろな方策を取り組むことで、予算として、その前年度を上回る地方交付税の総額ということに取り組みました。  結果として、十七・五兆円、前年度に比して〇・一兆円増額、政権交代前の平成二十一年度からは一・六兆円増の水準で確保させていただきました。  今後とも、地方団体の財政運営自主性、自律性を高めて、地域の実情に応じたきめ細かなサービスが確実に提供できるように、地方税財源の拡充に全力を尽くしてまいりたいと思っております。
  79. 小室寿明

    小室分科員 ありがとうございます。  地方を重視する総務省政府の姿勢に対して、地方自治体からも感謝の声が上がっております。  ただ一方で、当初の市町村建設計画、これは合併の際に議会でも議決をして取り組んでいく計画でありますが、必ずしもうまく進捗していない。さらには、ちょうど国調がありまして、二〇一〇年国調では大幅に人口が減少した。こういうことを受けまして、合併した市町村においてもなかなか厳しいという状況がございます。  さらに今、合併特例法のもとで、従前の市町村分を基礎として交付税の算定が行われておりますが、その期限は十年であります。その後、五年間で順次一本算定で減額され、十五年後には完全に一本化していくということになっております。  これがどういうことになるか。  例えば、二〇〇四年十月に飯石郡の一部、それから大原郡の六カ町村によりまして新しい市が生まれました。雲南市という市ですけれども、ことし、合併から八年目ということですので、ちょうど三回目の市長選挙をこの秋に迎えるわけであります。  二〇一〇年度現在の国からの交付税額は百五十億七千九百万円でありますが、二〇一四年度から一本算定に順次移行していくことになります。旧六カ町村の積み上げによる算定から一本算定にかえることで、五年後の二〇一九年度には実に三十一億三千四百万円もの減額だということで、今後、計画をしております新しい市庁舎の建設、小学校、中学校の統合とか建てかえ、市立病院化して経営改善に取り組んでおります公立病院の建てかえなどいろいろな財政需要がありますが、こうした計画に差しさわりが出るというふうに危惧されております。  これは他の市でも一緒でありまして、例えば、出雲市では一本算定で五十億減額だ、江津市では十七億減るんだ、こういう声もあります。ほかの市も一緒でありますが。  加えて、人口減少も大きい。二〇〇五年度には四万四千四百三人おりましたけれども、二〇一〇年国調では四万三千四十四人。さらに、厚労省の社会保障・人口問題研究所が推計を出しておりますが、二〇一五年度には四万一千四百十七人、二〇二〇年度には三万九千六百七十五人と予測されておりまして、向こう十年間で人口が約三千六百人減るということであります。交付税にも大きな影響が出るんじゃないかと懸念をされているわけです。  今申し上げたような当初の建設計画が、特に雲南市の場合は町村から市に移行したということもあって、必ずしもうまく進捗していない。六カ所の町村分の行政需要を満たしていかなきゃいけないということもあろうかと思います。さらに、人口減少という問題もありまして、この十年、十五年という合併特例について、何らかの延長とか経過措置が考えられないのか、こういう強い要望を、雲南市に限らず県内八市から、あるいは合併した町もあるんですけれども、そこからもいただいております。  現状認識、そして今後の対応方策について、確たるところが言えない部分もあろうかと思いますが、お聞かせいただきたいと思います。
  80. 川端達夫

    川端国務大臣 普通交付税の合併算定がえ制度は、市町村合併後、当面は行政運営に係る経費の急激な節減が困難であろうということで、一定期間、合併市町村の普通交付税額が、合併せずに関係市町村が存続したと仮定した場合の普通交付税の額の合算額を下回らないようにするということでやっている特例でございます。  平成十一年度から十七年度までは、旧合併特例法に基づいて、合併促進の観点から手厚い財政支援措置を講ずるため、合併算定がえの適用期間を十年、激変緩和期間を五年として、それ以降も平成二十一年度まで合併算定がえの期間を縮減しながら支援措置を講じてきたところでございます。  平成の合併が一区切りとされました平成二十二年度以降の現行合併特例法においては、合併に伴う障害除去のための措置として、合併算定がえの適用期間は五年、激変緩和期間を五年としているところで今動いております。今、国調のお話や厳しい状況、いろいろ御説明がありました。合併算定がえ制度あり方については、過去に、十年と五年、五年と五年ということで合併を促進してきて、大きな節目は越えたという状況でありますが、今までのこういう経過をよく踏まえる必要があるというふうには考えております。  なお、今後とも、合併団体を含めた個別の市町村の財政需要については、実態を踏まえつつ、的確に算定してまいりたいというふうに思っています。個々個別のお話にもかかわりますので、日ごろの運営がしっかりできるようにということでは、よく実情を見てまいりたいというふうに思っております。
  81. 小室寿明

    小室分科員 なかなか、前向きな御答弁ではなかったんじゃないかなと思いますが、今、八年目ですから、九年目、十年目と、具体的に動き出すまでにはなお時間もあろうかと思いますので、全国の合併市町村の実情などもしっかり調べていただいて、今後の検討課題ということで取り組んでいただきたいなと思いますし、後段の方で個別事情の話もありました。実際問題、かつての段階補正の縮減とか、いろいろな地域の実情を緩和するといいますか、必ずしも十分反映しない仕組みになってきたということもあって、特に小規模な町村の懸念も広がっておりますので、しっかり検討いただきたいと思います。  次に、三点目でありますが、一括交付金についてお尋ねしたいと思います。  使い向き自由なお金をふやしていくんだ、地域の潜在力を引き出す、前の原口大臣は、創富力を引き出していくんだということを強調していらっしゃいました。経済社会の活力を引き出していくためには、国が一律に決めるひもつき補助金じゃなくて一括交付金化だ、私もこれには大きく期待をしておりました。  今年度、地域自主戦略交付金ということで、三・一兆円のハード事業うち、府省の枠を超えて最適配分を地方が決める仕組みに一歩踏み出した。三・一兆円のうちの四千七百七十二億円が地域自主戦略交付金。来年度は六千七百五十四億円ということで、もうちょっと頑張っていただきたかったですが、拡充の方向になっているところです。実際問題として、この使い向き自由な交付金の自由度がどのように高まってきたのか、年度の中途でありますからまだ見えないところもありますが、しっかり検証していただきたいと思います。  現在時点で、かつての府省予算と比較して、何らかの例でもいいんですけれども、使い向き自由度がどう高まってきたのか、どのような変化があったのか、今後どのような検証をしながら裁量性を高めていくのかということについて、お聞かせいただきたいと思います。
  82. 川端達夫

    川端国務大臣 趣旨は、できるだけ身近な部分に裁量の幅がふえるように、自主的にできるようにということで、二十三年度からスタートいたしました。二十四年度は、額をふやし、メニューもふやす、それと、市町村においては、県に比較的近い立場でいろいろ権限を持っている政令市から取り組むということで、スタートさせていただきました。  わかりやすく申し上げますと、実はことし、県レベルでやりましたので、都道府県でアンケートをとらせていただきました。  地域自主戦略交付金の取り組みを評価していますかという問いに対しては、大いに評価する、ある程度評価するを合わせて、評価するというのは七割でありました。  従来の補助金、交付金に比べ、都道府県の自由裁量が拡大したかとの問いに対して、五六%の団体が、ある程度拡大したと。そして、意見として、各府省の枠にとらわれず自主的に事業を選択できたこと、地域の実情に応じて優先箇所の選択や重点政策が行えたことなどがよかったという評価でございます。  自由裁量が拡大しなかったとする団体、九団体については、必要な総額が確保されなかったこと、対象事業が限定されていること、手続面での制約などを挙げておられました。  総じて、取り組みそのものは評価されているけれども、メニューの拡大による自由裁量の拡大や総額確保が必要というのが皆さんの御意見ではなかったかと。  そういう意味で、二十四年度の予算においては、総額を拡充することと同時に、メニューをふやすということで、事業のメニューもふやさせていただきました。実際にことし初めてやったものの検証をしながら、より広げていこうということでございます。  なお、市町村からは、もっと広げてほしいという特に政令市からの御意見と、慎重に権能をよく検証してからやってほしい、これは、年度間のばらつきが非常に多いのと、地域間のばらつきが非常に多いので、どういう配分方式にするのかということをよく見てほしいという御意見が多くありましたので、政令市からスタートすることにさせていただいたところでございます。
  83. 小室寿明

    小室分科員 しっかり頑張っていただきたいと思います。  私も、市町村分について、もちろん拡充の方向を模索しておりますが、年度調整の問題などは、学校、下水道、病院など、なかなか難しい問題もあるなということも実感しております。  私は党の中でも申し上げているんですが、将来的なゴールを見据えて地域自主戦略交付金を考えていかなきゃいけないんじゃないか。そのゴールというのは、私は地方交付税に一本化をしていくことなんだというふうに思っておりますので、そこのところをさらに精査し、御検討いただきたいと思います。  四点目に移らせていただきます。  当面の野田内閣の最重要課題は社会保障・税の一体改革の問題であります。将来の安心をしっかり担保する、そして、私の子供たちにツケ回しをしないでやっていくという意味では、私は必要な改革だというふうに理解をし、県民の皆さんにもその説明を今後しっかりやっていかなきゃいけないと思っております。  年末、これは非常に大きなエポックだったと思いますが、地方六団体政府との基本合意、別に文書を交わしたわけじゃありませんけれども、地方と一体となって、社会保障・税の一体改革の問題について、地方の財源措置に取り組んでいくんだということで合意ができたのは、私は大変すばらしいことだというふうに思っております。  改めて、国だけではありません、地方も、国民の皆様への必要な社会保障サービスをどう提供していくのか、その主体であるということをしっかり認識しなきゃいけませんし、その財源も確保していかなければなりません。地方の立場から代弁をされます総務大臣に、地方の財源配分の必要性について御説明いただきたいと思います。  あわせて、一・五四ですか、地方の配分のあり方についても、島根県それから市町村からいろいろ私どもの方に御要望いただいております。それは、交付税部分は算定があるわけですからいいとして、県が受け取る地方消費税の清算基準をどうするのか、市町村への交付金をどうするのか、こういう問題であります。  県や市町村からいいますと、社会保障というのは、大きくは高齢者の皆さんの経費が八割九割ということでありますから、その部分に大きな影響を与える高齢化率をきちんと考慮してほしい、こういうふうに御要望いただいております。その対応の考え方についてお聞かせをいただきたいと思います。
  84. 川端達夫

    川端国務大臣 政府において、社会保障と税の一体改革の議論の中で、社会保障、大きく言えば医療、年金、介護、子育て支援、大きな四分野を中心として国がやっているもので、当初は、消費税がどうしても必要、維持し拡充するためには、消費税で賄うということをしないと維持さえできないという現状認識の中で、国と地方の役割はそもそも何だろうという議論が起こりました。  そういう中で、総務省から全国の地方公共団体に対して、いわゆる四分野を中心として、社会保障に、単独事業を含めて、どういうことに幾らぐらいを使っているのかということを全て調査しました。六・二兆円出てまいりました。  それを四分野に分類する、その周辺をいろいろ整理する中で、最終的に年末までかかりましたけれども、真摯な意見交換の中で、大きな骨太のセーフティーネットは国が支える、そして、その周辺の、地域に応じたきめ細かなセーフティーネットは地方が単独事業を含めて支えるという、両方のセーフティーネットで社会保障というのは一緒に支えているんだ。社会保障全体を国の制度と地方単独事業の二つで一緒になって支えているという認識を国と地方が共有できたということは、私は一番大きなことだったというふうに思います。  そういう中で、国とともに社会保障制度を支える地方の社会保障の安定財源も確保しなければいけないということで、引き上げ分の消費税収の国と地方の配分については、社会保障四経費にのっとった範囲の社会保障給付における国、地方の役割分担に応じた配分を実現することといたしました。  具体的には、平成二十二年度決算における国、地方それぞれの社会保障四経費の額に、関係省庁における地方単独事業の総合的な整理を踏まえた地方単独事業費を地方分に加えた上で案分を行うということで、引き上げ分五%のうちの国分を三・四六%、地方分を一・五四%というふうに案分いたしました。これは、四経費にのっとった範囲内で整理をさせていただきました。  そして、地方分については、地方消費税の充実を基本としながらも、やはり財政調整しなければいけない財政力の弱い地方団体がありますので、ここは財政確保の観点から、地方消費税分が一・二、地方交付税分を〇・三四とするということに最終合意をしたところでございます。  そういう中で、地方消費税は、消費者が消費を行った地域で最終的に負担をいたしますものですから、最終消費地に税収を帰属させるために、消費に相当する額を基準として都道府県間の清算を行っております。  このために、地方消費税は、あくまで地方税として最終消費地に帰属するものになりますので、清算に当たっては、高齢化率など消費と直接関係のない財政調整機能の指標を用いることは、地方税の清算としては困難であるというふうに思っております。要するに、消費というのは、全て消費という物差しで終わりという清算の仕方でございます。  一方、引き上げ分の地方消費税に係る市町村交付金については、地方税とは異なって、社会保障・税一体改革大綱を踏まえて、社会保障財源化に適した簡素な配分基準を考えるべきだということでありまして、年齢は含まれておりませんが、全額人口による案分として交付するという方針を、議論の結果、地方六団体においても最終的にそれで合意したという経過でございます。
  85. 小室寿明

    小室分科員 県や市町村と六団体との認識が余りかみ合わない部分かなと思いますが、この点、引き続き地方の声をよく聞いていただいて対応いただきたいと思います。  そして、この問題で一つお願いですけれども、私どもは私どもで、政権与党としてこの問題について汗をかいていきたいと思うんですが、地方の皆さん、今回合意をしたわけですけれども、今後、財源措置がなされるという前提で政府のいろいろな議論が進む中で、地方にもしっかり汗をかいていただいて、この問題を国民の皆さんに御理解いただく、こういう努力が必要だろうと思います。その考え方について、この問題を最後にお伺いしたいと思います。
  86. 川端達夫

    川端国務大臣 御指摘のように、今回の合意というのは、まあ社会保障というとすぐに年金、医療、介護、子育てとかいうことで、ぱっと国の施策が思い浮かぶんですが、実は、地方がきめ細かくいろいろやっていただいているということと両々相まって支えている。そういう意味で、地方にも配分することにいたしました。  したがいまして、私の方からは、地方六団体に対しては、消費税の議論のときに、社会保障と税の一体改革は、国と地方の両方で支えるという意味で、各六団体の皆さんにおかれても、地域の皆さんに、地域の社会保障充実のためにも大変大事なことであるということをよく理解を求める先頭に立っていただきたいということをお願いいたしました。  そして、今、私自身、関係者も含めて全国各地の対話集会をやっていますが、このときには、知事を初め地方団体の関係者の皆さんにも御協力いただいて、私が参りました富山あるいは徳島においても、知事の方からは、それぞれの県において独自にこういう施策をやっているということで、それをしっかりと継続し拡充するためにも、一体改革の意義が大切であるということをお話ししていただいたりして、一緒に取り組む工夫もしております。  今回の改革は、地方の社会保障給付に対する安定的な財源の確保につながるものでありますので、地方団体の皆さんの積極的な取り組みを期待し、私としてもその先頭に立ってまいりたいというふうに思っております。
  87. 小室寿明

    小室分科員 五問目を予定しておりましたが、質問時間がなくなりましたので、以上で終わらせていただきたいと思います。  地方の立場から、川端総務大臣にはぜひ頑張っていただきたいと思いますし、私どもも、しっかりそれを支えて、地方重視の立場でやっていくことをこの際お誓いして、終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  88. 若泉征三

    若泉主査 これにて小室寿明君の質疑は終了いたしました。  次に、佐々木憲昭君。
  89. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)分科員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。  東日本大震災から間もなく一年を迎えようとしております。大震災を踏まえた防災体制の抜本的な見直しが求められていると思います。  そこで、きょうは、コンビナートの防災問題についてお聞きをしたいと思います。  昨年三月十一日の大震災の影響で、千葉県市原市にあるコスモ石油千葉製油所で、LPGガスのタンクが次々に炎上して爆発をいたしました。大型タンクの火災としては過去最大のものと聞いております。  この災害について、消防庁を所管する川端大臣の所感をまずお聞かせいただきたいと思います。
  90. 川端達夫

    川端国務大臣 御指摘のように、東北から関東にかけて複数の石油コンビナート等の特別防災区域で、製油所の事故が発生をいたしました。  今後、東海地震、東南海地震などの大地震の発生も予測されているところでありますので、この震災の被害状況を踏まえて、石油コンビナートにおける防災対策は喫緊の課題だというふうに認識しております。  なお、個人的な話でありますが、私、大学でこういう化学プラントを設計するところのエンジニアとして勉強いたしました。私の同級生が一番事故を起こしたタンクの設計者でありまして、実は、定期検査で水張りをしたということで、普通の想定をはるかに上回る重量になっていた部分で地震で耐えられずに倒れて、それが次々と将棋倒しみたいになったということで、本人も相当ショックを受けておりましたが、やはり、想定外という言葉が一時期出ましたけれども、本当に思ってもいないようなことが起こったということは大きな教訓だというふうに私自身も思っております。
  91. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)分科員 この経過については、今大臣がおっしゃったように、水の入ったタンク、その筋交いが破断をして、その直後の余震がありまして、それでタンクの支柱が座屈して倒れた。そのとき、隣のLPガスの配管を壊した。そのためにLPガスが大量に漏えいして、そこから出火したんですね。それで隣接のタンクが火災になり、その影響でタンクの中の圧力が高まって、その直後に連続して爆発が発生をし、火の海になった、こういうことであります。球形タンク十七基が全焼、全損。延々と燃え続けて、鎮火するまで十日間かかったというんですね。  コンビナート災害の場合、このように連鎖的、複合的な独特の危険性があるというふうに思いますが、大臣、そういう認識はお持ちでしょうか。
  92. 川端達夫

    川端国務大臣 冒頭申し上げましたように、本来の設計で想定していなかったような、本当に短い期間のところにたまたま当たったということでありますが、起こってしまうとやはり非常に連鎖的に、周りじゅう、ある意味で危険物の塊でありますので、そういう部分では、御指摘のようなことはそのとおりだというふうに思います。
  93. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)分科員 コンビナート災害の場合、同時多発の危険性がある。しかも、石油、高圧ガス、毒物、放射性物質、多種多様な危険物が貯蔵されているわけであります。したがって、対策は総合的なものでなければならないと思うんですね。ところが、実際には、行政は余りにも細かい縦割りになっておりまして、十分な対応ができていないのではないかというふうに思うんです。  私が挙げた危険物の中で、消防法に基づいて消防庁が管轄しているのはどの部分でしょうか。
  94. 原正之

    原政府参考人 今挙げられた危険物の中で私ども消防庁が所管しておりますのは、石油に関する部分でございます。
  95. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)分科員 石油に関するものですね。ですから、石油、原油、灯油、ナフサ、ガソリン、こういうものですね。  それでは、LPGとかLNG、高圧ガス、毒物、劇物、放射性物質、これはそれぞれどこに所管があるんでしょうか。
  96. 原正之

    原政府参考人 まず、高圧ガスや液化石油ガスにつきましては経済産業省です。それから、毒物、劇物につきましては厚生労働省、放射性物質の貯蔵取扱施設の届け出につきましては文部科学省です。
  97. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)分科員 お聞きのように、これはばらばらなんですよね。  そのために、例えば地元方々がコンビナート防災について政府に要請に行く。そうしますと、ある省庁に行きますと、いや、うちは所管はここだから、それ以外のことは別なところに行ってやってくれ、こういう話になるわけです。これでは、複合的な大災害に的確に対応できないんじゃないかという疑問が生じるわけです。  消防庁も大変苦労をされていると思うんですけれども、月刊消防という雑誌の昨年の七月号、この中で、昨年三月のLPGタンクの大災害のときに市原市消防局がどのような消火活動をしたか、当事者のインタビューが載っております。  それを見ますと、消火活動をしていく中で難しかったことは何でしょうかという問いがありまして、こう答えているんです。  「今回爆発したLPGは高圧ガス保安法で規制されており、消防法で規制されている危険物ではありません。タンクの設置状況、構造について現状を十分把握ができていなかったため、初期の対応に苦慮しました。また、計六回の爆発や火勢が強かったことから陸上の資機材を使用できなかったことで、タンクの冷却を海上からの注水に頼ったことは想定外であり、難しかった」、こういうふうに言っているんですね。これは実感だと私は思います。  総務大臣、コンビナート防災消防庁だけでは十分な対応ができないということをこれは示していると思うんですけれども、どうでしょうか。
  98. 川端達夫

    川端国務大臣 それぞれの物質に関して所管が違うという事態になっている部分は事実でありますから、コンビナート防災ということで、先ほどお示しになったように、複合的にという部分でいうとやはり少し問題があるという指摘は、そういう部分は間違いなくあるというふうに思います。
  99. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)分科員 総務省は、地震・津波対策のあり方という文書で、地震対策でいうと、例えば、甚大な被害をもたらす地震のために、応急措置または代替措置により、機能を速やかに回復ができるように計画を策定するとしております。  それから、石油コンビナート等災害防止法の中では、石油、高圧ガスを取り扱う特定事業者に対して、防災区域内の災害の発生及び拡大の防止に関し、他の事業者協力して、防災要員の配置や防災資機材の配備を義務づけているわけであります。  この場合、計画を策定するとか、それから義務づけるというわけですけれども、これは一体誰が計画を策定し、誰が義務を負うんでしょうか。
  100. 原正之

    原政府参考人 石油コンビナート法に基づきます作成主体としては、当該特別防災区域ということになりますが、それぞれ事業者がいるわけで、その事業者同士で話し合い、その事業者で決めていく、それについて私ども消防も含め見ていくということになります。
  101. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)分科員 これは、大臣事業者同士で計画を策定する、こういうことになっているんですね。  そうすると、何か、計画を策定するというふうに言いますと、全体の防災計画を策定するように、自治体も国もかんでやっているように見えますけれども、実際上は、震災で発生することが想定されるコンビナート災害というのは、そのコンビナートにある事業者に計画をつくらせる、あるいは、自治体と協力をしながらその義務を負う、こういう形になっておりまして、悪い言葉で言えば、丸投げしているようなものなんですよ。これでは、コンビナート災害から、労働者はもちろんだけれども、地域住民の安全も、なかなか全体として守ることはできないんじゃないか。  月刊消防二〇一一年七月号によりますと、今後どうしていけばよいでしょうかという問いがありまして、消火活動に当たった方がこう答えているんです。  「今回の火災がどのような経過で拡大したのか早期に原因を究明し、再発防止に努め、隊員の安全確保を行ううえでも、関係機関及び事業所、自衛防災組織と連携し、初期対応訓練を行っていく必要があります。具体的にはLPGに関する知識を身につけておくこと、」こういうふうに率直に語っておられるわけです。  何が問題かといいますと、一つは、縦割り行政の弊害がある。もう一つは、市町村の消防あるいは事業所だけでは、こういう複雑な災害には的確に対応できないということだと思うんです。  そこで、総務大臣、国がもっと前面に出て総合的な対策を早くつくる、このことが私はどうしても今求められていると思いますが、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  102. 川端達夫

    川端国務大臣 私も若いころに勤めていたときに、コンビナートにかかわる部署にも、直接ではないですが、いたこともありますが、最近も含めて、基本的に、企業間の連携というのは相当進んでいることは事実だというふうに思います。特に最近は、電力やオイルを含めた部分防災だけではなくて、そういうものをある種共同化して、より効率的な省エネを図ろうというふうなことも含めて、横の連携は、企業間で、コンビナートの中では、いろいろな協議会も含めて熱心にやっておられることは相当進んでいるというふうには思っております。  ただ、御指摘のように、地元の市町村との連携、消防との連携も、やっておられるとは思うんですけれども、こういうふうに広範な部分で縦割り行政との部分をどうクリアするかということは、課題もいろいろあるんだと思いますので、これは大きな検討する事項ではあるというふうには思っております。
  103. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)分科員 この際、全国の石油コンビナートを中心に、特に太平洋ベルト地帯、これから東海・東南海・南海地震の三連動とも言われているような、そういう危険なことが予想されておりますから、早急に現状について総点検を行うということをぜひ要望しておきたいと思います。  次に、液状化の問題、それから津波対策の問題があります。  これも抜本的に見直す必要があると思うんですが、災害防止法では範囲が狭過ぎるんじゃないかと思うんですね。液状化対策などの防災対策が不十分だというふうに思います。  国交省にお聞きをしますけれども、愛知県名古屋港の入り口にある一画が石油コンビナート等特別防災区域に指定されております。東海、東南海の二連動地震など大規模震災の際に、この地域の液状化等はどのように想定されているか、御紹介をいただきたいと思います。
  104. 福田功

    ○福田政府参考人 中部地方整備局の方で、これまでに、東海、東南海の二連動及び東海、東南海、南海の三連動地震の際の名古屋港外港地区防波堤の液状化による沈下量がどの程度あるかということを試算いたしておりまして、それによりますと、約二・七メートルから三・五メートルというような結果が得られております。
  105. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)分科員 これは沈下の状況ですね。流動化、この点についてはどうですか。
  106. 福田功

    ○福田政府参考人 名古屋港の外港地区の防波堤については、液状化によって防波堤が全体的にどのように下に沈んでいくのかという、沈下の現象を計算によって再現をして、それを試算したものであります。
  107. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)分科員 液状化によって著しい沈下が起こるということで、今言われたような二・七メートルあるいは三・五メートル、相当な沈下が起こるというふうに予想がされているわけです。  この液状化が引き起こす側方流動というのがある。地盤が水平に移動する、こういう現象もあります。その危険性について、国交省関東地方整備局は二年前に報告書を出していると思います。臨海部の地震被災影響検討委員会報告書というものだと思いますが、そこではどのような指摘がなされているでしょうか。
  108. 福田功

    ○福田政府参考人 平成十九年度から二十年度に、関東地方整備局が設置をしました臨海部の地震被災影響検討委員会におきまして、東京湾の埋立護岸の一つについて、首都直下地震による変位量を試算しておりまして、最大で護岸が九メーター程度水平方向に変位をするという結果が得られております。  この試算結果につきましては、現在、東日本大震災における地盤の変位の状況等を踏まえることなどによりまして、さらなる検討を行っているところであります。
  109. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)分科員 総務大臣、お聞きになりましたように、液状化で側方流動というのが起こって、今想定されているのは九メートル以上ということなんですが、もっと深刻な事態が起こる可能性を今国交省としては検討しているということなんです。  震災が起こった場合に、単に地震が発生して、それによってタンクが壊れるというだけではなくて、液状化それから地盤沈下、津波が襲ってくる、こういうことが想定されるわけです。大変な事態になることが予想されます。  これから東海・東南海地震が起きるということが想定されていますから、例えば名古屋港を取り巻く臨海工業地帯の場合、石油タンク群がありますけれども、これは一九六〇年代に建設されたものが多いんですね。建設後四十年とか五十年近くたっているんですよ。ですから、かなり老朽化しておりまして、壊れやすい。  消防庁にお聞きしますけれども、現行の法律で、石油コンビナート等災害防止法がありますけれども、災害が発生した場合に通報を義務づけている異常現象、これはどう規定されているんでしょうか。液状化現象については書かれていないんですけれども、通報を義務づける対象となっていないんでしょうか、お答えいただきたい。
  110. 原正之

    原政府参考人 まず、前段の側方流動に関してでございますけれども、消防法の中で、大規模な石油タンクの地盤につきましては液状化を防止する技術基準が定められておりまして、液状化しにくい地盤となっています。先ほどの関東地方整備局が行いました想定では、このタンクの地盤が液状化しにくいという実態を考慮しないで、全ての地盤が液状化するという仮定で評価を行っております。  そこで、私どもとしては、国交省とともに、そういうふうな前提が、何がより実態に近いのか、そのあたりをきちんと協議していきたいと考えております。  そして、今お尋ねの、通報義務の中には液状化現象も含まれるのかというお話でございます。  石油コンビナート法の二十三条で、出火、石油等の漏えいその他の異常な現象が発生した場合には、直ちに消防機関等に通報しなければならないとされております。この趣旨は、事業者に通報義務を課すことによりまして、迅速かつ的確な災害応急措置の実施を確保しようとするものであります。  異常現象に該当する事象については通知で示しておりますが、液状化現象については明示されていないところでございまして、私どもとして、液状化現象のうち、出火や危険物の漏えい等のおそれがあるものにつきましては、法律の趣旨から、通報の対象になるのではないかと考えております。
  111. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)分科員 今何か、地盤がかたいとか言っていましたけれども、これは最大限被害を想定するというのが一番肝心なことであって、こちらは大丈夫だろう、国交省がやっているのは全部動いた結果そうなったのであって、実際にはそうならないんだよという、こんな甘い考えじゃ、ちょっとまずいんじゃないでしょうかね。  それから、今の御答弁ですと、火災や漏えいにつながる緊急性のあるものとして液状化現象も通報の対象としたいという、つまり、所管の範囲の中におさまるものは通報しますよと。  それで、液状化そのものについては通報しないんでしょうか。
  112. 原正之

    原政府参考人 法律の趣旨として、迅速かつ的確な災害応急措置の実施を得ようというものでこの通報義務が課せられておるというふうに理解しておるものですから、液状化現象そのものでは果たしてここまで危険があるかどうかということで、そこまでは必要ないんではないかと考えております。  ただ、ほかの、報告義務をほかに課すという手だてはございますので、そこで報告を求めるというのは可能かと思います。
  113. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)分科員 何か縦割りを絵に描いたような答弁でね。  自治体からいろいろな意見書が出ているでしょう。石油コンビナートにおける液状化を想定した耐震対策の強化を求める意見書というのがありますけれども、例えばその中で、液状化現象を石油コンビナート等災害防止法の規定による異常現象の通報及び災害応急措置の概要等の報告義務の対象とすること、こういう要望が出されているんです。  ですから、液状化現象を、それがあってもほかの、守備範囲の中に入らないものは報告の対象外であるかのようなことではなくて、液状化現象が起こるというのは大変なことなんですから、大臣、これは、当然こういうものも含めて報告義務の対象とする、これはもう当然だと思うんですよ。いかがですか。
  114. 川端達夫

    川端国務大臣 私、二つの見方があるんだと思うんです。  一つは、地盤を強化しているというのを、そんないいかげんなことではという御指摘でありましたけれども、現に液状化はいろいろなところで起こりました。ただ、コンビナートのタンク等々の基準でいうと、タンク等が液状化で危険にさらされたという事象は、現象としては起こっていないということであります。  地盤強化するという部分で、例えば、これはちょっと報道ベースで、詳しく技術的には知りませんが、ディズニーランドなんかは地盤強化を相当していたので液状化の被害を受けなかったというふうなことで、液状化に対しての対処の方法という技術的な問題をクリアするというのは一つの攻め口としてあるというふうに思います。  もう一つは、液状化が起こったときに通報義務という部分は、液状化というのを何をもって判断するのか。例えば、大雨でも洪水で被害が出ることもありますが、被害が出ないこともあるということで、実際にはやはり災害が起こる予兆といいますか、そういう事象が起これば、液状化であろうが、地震であろうが、大雨であろうが、何であろうが、その部分は必ず通報しなければならないということで縛ることも、やり方としてはあるのではないかと私自身は思っております。
  115. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)分科員 自治体の側からの要望が出されておりまして、液状化現象というのはいろいろな危険なことにつながる前提といいますか、そういうことになり得るので、これは徹底して異常現象の一つとして、発生した場合には可能な限り通報してもらう。実際にどういうふうにつながっていくか、何が起きてくるかはわかりませんので、そういうふうにしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  116. 川端達夫

    川端国務大臣 まさに、何が起こるかわからないという意味では、液状化が起こったときの現象の発現によっては出火や危険物の漏えい等が起こり得るということですから、物差しとしては、液状化ということだけではなくて、その結果としての部分で、起こり得るという部分の感度は相当、今まで以上に持たないといけないというのは事実だというふうに思います。  その部分では、今まで、液状化のときということに基づいてということがはっきりとは明示されていませんから、液状化に伴ってこういうおそれがあるときは通報しなさいということを明示することは、私は必要だというふうに思っています。
  117. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)分科員 では次に、規模が大きな災害に対応して大容量泡放射システムというのがありますね。自衛防災組織の一環としてこういうものがあるわけですけれども、これは二台セットでなければ機能しないというふうにも言われております。全国に十二ブロックあるということで、実際に活用されたのは仙台と市原の二カ所だったそうです。  昨年十二月に消防庁が出した報告書で、東日本大震災を踏まえた危険物施設等の地震・津波対策のあり方に係る検討報告書というのがありまして、これによりますと、大容量泡放射システムの活動について、幾つかの問題点、検討課題を挙げております。  例えば、ガス爆発に対応できなかったとか、通信手段の確保ができなかった、それから運搬車両が救援物資輸送のために不足して確保できなかった、渋滞や津波の影響で迂回したためおくれた、こういうことが指摘されているわけであります。  そこで、時間がありませんからお聞きしますけれども、名古屋の場合は大容量泡放射システムというのがありません。四日市に、一番近いところに設置されております。しかし、大震災が発生したら四日市コンビナート自体がまず大変ですから、名古屋港は余りにも遠くてとても間に合わないという状況にあります。  昨年十二月の消防庁報告書に基づいて、少なくとも体制を抜本的に強化することが必要ではないかというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  118. 川端達夫

    川端国務大臣 この大容量泡放射システムが有効というか、どうしても必要なのは、浮き屋根式屋外貯蔵タンクの現象だというふうに聞いております。  これは、いろいろ技術的な専門家の調査も含めて、出火して八時間以内に対応しないと、十時間を超えると非常に危険な状態になるということでありますので、今回の教訓として通信の問題、道路の問題等々ありましたので、迂回路を含めた複数路線の検討とか整備とかいうことをしっかりするということで、名古屋の場合には四日市からということですが、八時間であれば今のところ行けるという設定になっております。  言われたように、逆に言えば、三重県と愛知県は近いんですね。だから、四日市と名古屋の臨海部分が同時に起こったときにということもあるんだと思います。  この浮き屋根式屋外貯蔵タンク自身がどれぐらいの分布になっているのか、私、ちょっと今のところ詳細を承知していませんが、いずれにしても、今回の教訓を踏まえて、全国の浮き屋根式屋外貯蔵タンクの防災体制が大容量泡放射システムで万全かどうか、万全を期すように対応することはしっかり検討しなければいけないと思っています。
  119. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)分科員 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。
  120. 若泉征三

    若泉主査 これにて佐々木憲昭君の質疑は終了いたしました。  次に、古屋範子君。
  121. 古屋範子

    古屋(範)分科員 公明党の古屋範子でございます。  きょうは、私の地元神奈川県、中でも横須賀の基地問題に関してお伺いをしてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  現在、神奈川県内には米軍基地が十四カ所もございます。約二千八十四ヘクタール、非常に大きい面積が存在をしておりまして、しかもその多くが人口密集地に存在をしております。  米軍基地問題といいますとやはり沖縄の問題が非常に大きく取り上げられるわけなんですが、神奈川においてもこのように多くの基地が存在をしているということをぜひ改めて御認識をいただきたいと思っております。この米軍基地、市民にとっても、さまざまな事故等が起こってまいります。生活環境、都市整備等の障害になっているということも事実でございます。  私の地元横須賀市というのは、御存じのように、終戦後、旧軍港市転換法によりまして平和産業港湾都市として再建をされまして、工業あるいは住宅団地造成、道路整備、市街地再開発をしてきました。現在、国際海の手文化都市、山の手という言葉はあるんですが、海の手の文化都市を目指しまして、今発展をしているところでございます。  しかし、平成二十年九月なんですが、横須賀米軍基地に原子力空母ジョージ・ワシントンが配備をされた。基地周辺の住民にとって非常に大きな不安があり、十分な配慮が行われているとは言えないと思っております。  本来であれば、我が国の安全保障に係る負担に相応した十分な代替措置、助成等の措置が講じられなければいけない、このように考えます。原子力空母の存在は我が国の安全保障にとって非常に重要な役割を占めている、これは御存じと思います。この辺の基地負担に対する国の財政措置は不十分だと考えられます。  それに、やはり直接的な財政支援、これがまず第一に必要となってまいります。基地交付金、調整交付金制度、その充実が重要でございます。総務省としても基地問題に関する一層の取り組みが必要であり、それには基地所在自治体の負担に十分配慮した基地交付金が必要であります。  まず、この算定の基礎となる国有財産台帳価格、これが固定資産評価額と比べて低くなっております。二点目に、この評価がえの時期が市と異なっているために固定資産税に見合う額が交付されているとは言いがたい。三点目に、基地周辺買い上げ国有地は交付金算定の対象となっていないということから、固定資産税も歳入として見込めません。このような状況があると地元からも指摘をされているところでございます。  大臣、この基地交付金について、制度本来の趣旨を踏まえて、固定資産税額に相当する額の交付ができるよう、総額予算の確保が必要だと考えます。いかがでしょうか。
  122. 川端達夫

    川端国務大臣 基地交付金、調整交付金、総額でいいますと、平成二十一年度が三百二十五・四億円、平成二十二年度は十億円ふえまして三百三十五・四億円、二十三年度も同額、二十四年度も、今回の予算では同額ということで、一定額の確保に努めているところでございます。  これは先生指摘の固定資産税の代替的性格を基本とはしているんですけれども、米軍あるいは自衛隊の施設、米軍の資産が所在することによる市町村の財政需要に対処するための財政補給金的な性格ということで位置づけられておりまして、基地交付金、調整交付金の部分では最大限の努力をして計上してきております。  現状では、基地交付金等の総額というのは、対象資産価格に固定資産税の標準税率一・四%を乗じた、例えばそれに固定資産税がかかったとしたときの固定資産税相当額を計算しますと、大体七百五十一・七億円ぐらい。基地交付金予定額は、基地交付金だけでいいますと二百六十七・四億円ですから、三五%ぐらいになっているわけです。  これは、基地交付金は固定資産税の代替そのものという位置づけではないという制度でございます。もう一つは、固定資産税の場合は、課税標準の特例とか負担調整措置とかいうことで国有地に関しては当然ながらかかりません。そういうふうなこともほかの場合でもありますので、基地交付金等の予算額と固定資産税相当額が単純に比較できない性格であることはぜひとも御理解をいただきたいと思いますし、この性格に基づきながら、実情を十分に考慮して所要額の確保をしていきたいというふうに思っております。
  123. 古屋範子

    古屋(範)分科員 横須賀の米軍基地、行っていただくとよくわかるんですが、非常に一等地といいますか、繁華街にも近いですし、また、非常に眺望のいい広大な面積を有しております。そこをもし活用できたら、そういう気持ちも地元市民の一人として当然あるわけでございまして、さまざまな可能性があるところでもございます。そこを米軍基地として、我が国の安全保障の上から重要と位置づけ、理解をしている、その上から、ぜひ私はさらなる拡充をお願いしたいというふうに考えております。  基地交付金の対象資産の拡大についても私は指摘をしておきたい、このように考えております。  横須賀市、旧軍港四市では、広大な面積の防衛施設が行政区域の重要部分を占めております。幕末、ペリーが浦賀に来航した、その歴史を見てもわかりますように、横須賀は非常に急峻な地形でありまして、天然の良港という地形を備えているものですから、やはり防衛施設としても非常に重要だ、これはよくわかるんですが、この施設が市内の主要部分に広く存在をしておりまして、平和産業港湾都市の実現に大きな障害となっているということが言えます。特別な財政需要を要するために、市にとっては厳しい財政運営を強いられているのが現状であります。本来、こうした基地が存在するさまざまな不利益の防止、軽減策は国の責任で適切に行っていかなければなりません。  国有提供施設等所在市町村助成交付金、いわゆる基地交付金には固定資産税相当額を補完する意味合いも含まれている、そのものではないと大臣はおっしゃいました。  重ねて申し上げますと、地方税法によれば、固定資産税の課税客体は、土地、家屋、償却資産でありますから、防衛施設は交付金対象資産となるべきと私は考えます。しかし、実際には、自衛隊が使用する固定資産については、港湾施設は対象外となってしまっております。  そこで、横須賀市を初めとする旧軍港四市の特殊事情を考えていったときに、港湾施設を対象とすべきである、対象資産の範囲を拡大すべき、このように考えるんですが、大臣、いかがでしょうか。
  124. 川端達夫

    川端国務大臣 まずは、日本の安全保障のために、そして日米の共同行動のためにということで、大変大事な土地を提供していただいているという、その御理解と御協力は国民ひとしく感謝をするところだというふうに思います。  そういう中で、自衛隊が使用する固定資産は、一般論で申し上げますと、国がみずから公用に供しているものであるということでいうと、ほかの公用財産と同様に、固定資産税は基本的には非課税であります。  しかしながら、今るるお触れになりましたように、自衛隊が使用する固定資産の中には、一つは、広大な面積を有して、円滑なまちづくりの推進に障害になっているもの、それから、危険性が高く、他の施設にはない特殊性を有しているもの、三番目に、市町村の財政に大きな影響を与えているもの等、特殊な事情を有する資産があるということに配慮いたしまして、法律の定めるところによりまして、飛行場、演習場、弾薬庫、燃料庫、通信施設に限り、基地交付金の対象としているという整理になっております。  非対象資産という意味で、お触れになりました港湾施設、営舎施設、補給処等が非対象ということになっております。総じて飛行場に比べて面積が小さいということと、危険性も飛行場に比べたら高いとは言えないということで、基地交付金の対象外とされてきているところでございます。  仮に基地交付金の対象に自衛隊の港湾施設を追加するとしますと、今の基地交付金の総額は案分配付ということになりますので、そちらに配付するとどこかを減らすということになってしまうということで、基地交付金の予算の増額を図らないと、現在の対象資産への交付額が減少するということになります。  多分、先生の御趣旨は、もっとどんどんその分をふやしたらいいという御趣旨だと。大変厳しい財政状況の中で、そう簡単でないということを含めて、相当慎重な検討が要るんだというふうに認識をして、現状にあることでございます。
  125. 古屋範子

    古屋(範)分科員 厳しい財政状況の中で、それはなかなか厳しい、難しいという御答弁であったかと思いますが、港湾施設、これはもし地元の市で活用できるとすれば、非常に大きな、特別な資産、財産であると思います。観光、物流、そういうものが一切できない、そういう市の事情もぜひお考えいただきたいというふうに思っております。  次に、原子力艦の事故による原子力災害対策についてお伺いしてまいりたいと思っております。  横須賀港には、これまで通算八百三十回を超える原子力艦が入港いたしております。原子力空母ジョージ・ワシントンが配備をされました。  昨年の東日本大震災により、もし地震などが誘因となって原子力空母の原子炉事故が横須賀で起きたらどうなるのか、非常に市民にとっても不安が大きくなったところでございます。周辺の住民にとっては、自分自身の生命身体に重大な被害が及ぶのではないか、このような不安が広がっております。  また、首都直下型地震、この発生確率も非常に高い、四年以内に七〇%というような報告もございました。仮に地震がなくても、空母が事故を起こしたらどうなるのか、放射能の飛散はどうなるのか、また、横須賀市のみならず、首都圏に住む住民にとっては無関心ではいられないことでございます。  国としても、平成十四年四月、防災基本計画に原子力艦の原子力災害を位置づけられまして、平成十六年八月には原子力艦の原子力災害対策マニュアルを作成するなど、対応を進められているというふうに認識はしております。市民の不安を払拭するためにも、米国原子力艦による原子力災害が万一発生したらこうした対応を迅速に行うという危機管理が非常に重要であります。  そこで、原子力艦が万が一事故を起こした場合に備えまして、国が主催する形で防災訓練を定期的に実施するなど、原子力艦の火災対策について国が責任を持って対応していただきたい。原子力艦の原子力火災対策の充実強化について、まず内閣府にお伺いをいたします。  続いて、自治体が住民避難等を的確に迅速に行えるよう、SPEEDIを、関係自治体に情報伝達が速やかにいくよう、これも体制をとっていただきたいと考えます。こちらについては文部科学省にお伺いをしたいと思います。
  126. 長谷川彰一

    ○長谷川政府参考人 お答えをいたします。  ただいま委員からも御指摘がございましたように、政府におきましては、原子力艦の原子力災害に備えまして、防災基本計画の原子力災害対策編の中に「原子力艦の原子力災害」という章を盛り込んでございます。そして、それを具体化するために、関係省庁が連携しまして一体となった防災活動が行われるようにということで、先ほど御指摘がございました、中央防災会議主事会議申合せとしての原子力艦の原子力災害対策マニュアルを策定しております。  このマニュアルでは、我が国に寄港しました原子力艦において原子力災害が発生し、または発生するおそれがある場合に、情報収集、集約、共有などの警戒体制の確立とか対策本部の設置などの災害応急対策につきまして必要な手続を定めております。  その上で、政府といたしましては、災害発生時における情報収集、連絡の重要性などに鑑みまして、御案内と思いますけれども、例えば横須賀市において実施されております日米合同原子力防災訓練などに参加をしてきておるという実績がございます。  今後とも、このような訓練への参加を通じまして努力をしてまいりたいというふうに存じます。
  127. 神本美恵子

    ○神本大臣政務官 委員先ほども触れていただきましたが、原子力艦の原子力災害が発生した場合の対応につきましては、原子力艦の原子力災害対策マニュアルにおいて、文部科学省としては、SPEEDIネットワークシステム等の活用により放射能影響予測を実施しまして、それを内閣府防災担当に連絡し、内閣府の方は、文部科学省が実施した放射能影響予測を内閣官房、関係指定行政機関、関係地方公共団体に連絡するというふうになっております。原子力艦寄港地を対象として放射能拡散予測計算ができるように、SPEEDIのネットワークシステムの構築を行っているところでございます。  したがって、現在、各関係自治体においてSPEEDIの端末は設置されておりませんけれども、情報伝達は速やかに行われるというふうになっております。  今後のSPEEDIの運用、活用につきましては、設置に向け法案提出させていただいている原子力規制庁において、モニタリングの司令塔機能とともに一元化されることになっておりますので、今回の福島原発事故を踏まえた防災体制の見直し状況を踏まえつつ体制が構築されるものと考えております。
  128. 古屋範子

    古屋(範)分科員 今回の東日本大震災においても、SPEEDIの情報がなかなか現場に伝わらなかったというような反省もございます。ぜひ、地元自治体にこの情報が速やかに届くよう、体制整備をよろしくお願いしたいと思います。  次に、今回の東日本大震災の発生によりまして、日米両国は、災害救援あるいは人道支援において緊密な連携を行ったと聞いております。地元横須賀でも、市長の方にすぐに米海軍の方からも連絡があったと聞いております。私も、市長と連携をとりながら対応に当たりました。  昨年六月なんですが、日米安全保障協議委員会、2プラス2の文書におきましても、この経験を踏まえて、将来における多様な事態に対応するために日米両国の能力を向上させる決意が示されております。  災害時における日米の協力強化、今後検討を進めるに当たって、基地周辺に与える影響を十分考慮する、適時適切な情報提供を行うことが大変重要であると考えております。  特に、原子力艦で起き得る事象については、日米両国間で積極的な情報交換をしっかりと行っていただきたい。両国政府の認識が一致しているということが非常に重要であります。  事故が発生した場合のことを考えますと、米側と関係自治体を含む関係機関が迅速かつ的確な情報交換を実施することが重要であります。現状ではこうした対応ができるようになっているのかどうか。また、原子力艦に関する基礎的情報、万が一の場合の米側の災害応急対策に係る情報については、最低限必要な基礎的情報を入手して、関係自治体に速やかに提供できるのかどうか。これについて外務省にお伺いをしたいと思います。
  129. 伊原純一

    ○伊原政府参考人 原子力艦船の安全性につきましては、米側はこれまで、二〇〇六年の安全性に関するファクトシート、それから、今回の震災の後は、空母ジョージ・ワシントン等の安全性に関する説明という詳細な文書を提出しまして、米側として安全性には万全を期しているということを説明してきております。  外務省としましても、これらの情報を日本語にきちんと訳しまして公表するとともに、横須賀を初めとする関係の自治体に全ての情報を提供してきております。  また、先ほども御紹介のありました原子力艦の原子力災害対策マニュアルに従いまして、外務省としては、米海軍の原子力艦船に係る原子力災害が発生した、または発生のおそれがあるという通報を米側から受けた場合には、関係省庁で申し合わせた連絡体制に従いまして、遅滞なく関係地方自治体に対して連絡を行うということにしております。  また、先ほど先生から御指摘ありました地方自治体との連携という意味では、横須賀においては、これまで毎年、横須賀市と日本政府、それから米海軍等が参加して、日米合同原子力防災訓練を実施してきております。これは大変重要な、意味のある訓練だと思っておりますので、引き続き、外務省としてもしっかり関与をしていきたいと思っております。  いずれにしましても、政府としては、米側に対して、原子力艦船の安全性について万全を期すよう引き続き求めていく考えでございますし、また、地方公共団体との間で緊密に連携、連絡をとってまいりたいというふうに考えております。
  130. 古屋範子

    古屋(範)分科員 今おっしゃいましたように、合同訓練が実施をされているということで、非常にこれは重要なことであると思っております。  私も、指揮官の交代式など、空母に行く機会もございますけれども、非常に巨大なものであり、ここで起こったらというようなことを考えると非常に、そのときに混乱なく情報が自治体に来なければならないと思っております。引き続きこれに対する強化をお願いしたいと考えております。  続きまして、モニタリングポストのことについて政務官にお伺いいたします。  原子力空母ジョージ・ワシントンの配備に伴いまして、安全対策の一環として、放射能監視体制の充実が強く求められまして、その結果、平成二十年の九月には横須賀原子力艦モニタリングセンターというものが完成をいたしました。ここでは十基のモニタリングポストで放射能測定結果を集約するほか、この測定結果で異常値を感知した場合には速やかに精密分析を行うということになっております。  センターにおいては、原子力艦船寄港時に放射能調査班が編成されることになっていまして、原子力艦による原子力火災が発生した場合の放射能調査を行うに当たって、センターの機能が十分発揮されるよう、必要に応じて測定機器をさらに増設すべきではないかと考えております。この点、いかがか。  そして、適切に放射能測定を実施するために、確実なモニタリングポストの維持管理、測定機器のトラブルの際のバックアップ体制が必要だと思います。東日本大震災のときには、もうそれ自体が津波で機能しなかった、こういう経験がございました。  津波によってモニタリングセンターやモニタリングポストが被害を受けた場合、この機能維持について早急に対応しなければいけない、このように考えますが、いかがでしょうか。政務官にお伺いいたします。
  131. 神本美恵子

    ○神本大臣政務官 これも今委員指摘いただきましたように、原子力艦寄港地においては、異常事態が発生した場合にそれを早期に検知するために、固定型のモニタリングポストを設置して平常時より放射線の連続監視を行っているところでございます。  加えて、バックアップ体制とおっしゃいましたけれども、今、各原子力艦寄港地には原子力艦放射能調査の拠点が設置されておりまして、その拠点には、緊急時のモニタリング活動に備えて、持ち運びができる可搬型モニタリングポストなどの資機材が配備されているところでございます。したがいまして、地震等で固定型のモニタリングポストがもし作動しないというような場合になりましても、これらによってモニタリングの対応は可能というふうに考えております。  文部科学省としましては、資機材の配置の仕方など、津波対策についても今後検討を進めていきたいと思っております。
  132. 古屋範子

    古屋(範)分科員 続けて経産省にお伺いをしたいと思います。  オフサイトセンターというものがございます。これはもともとニュークリア・フュエル、こちらのためのものであるとお伺いをしておりますけれども、このオフサイトセンター、もし原子力空母が事故を起こした場合、ここも活用していってはどうか。万が一の場合に備えて、関係自治体、関係防災機関を含めた横須賀のオフサイトセンターの運用体制、この整備が必要かと思います。この点についてお伺いいたします。
  133. 山本哲也

    ○山本政府参考人 お答えさせていただきます。  今先生指摘ありましたように、もし万が一、原子力空母で原子力災害が発生した場合には、政府におきましては、災害対策基本法に基づいて災対本部、現地対策本部、こういったものを設置いたしまして、関係省庁、指定公共機関などが連携して対応することになります。  それで、今御指摘のありました横須賀のオフサイトセンター、これにつきましては、横須賀市内にあります核燃料工場、グローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパンという会社でございますが、こちらが原子力災害を起こしたときのための、対応するためのセンターとして、今現在、整備をしているところでございます。  それで、御指摘のように、仮に原子力空母で原子力災害が起きた場合、このオフサイトセンターが活用できないかということでございます。  これにつきましては、本来の、国の予算でやっております用途が異なりますので、手続が必要になってまいりますけれども、ただ、緊急時の場合にはこれが迅速に行われることが必要でございます。このために、私ども保安院と内閣府の防災担当の間でこのオフサイトセンターを活用するための手続を明確化し、そして万が一の場合でも迅速な連絡、通報ができるような、こういう体制を今整備しているところでございます。  いずれにしましても、原子力艦の災害につきましても、私ども保安院も構成員の一つに入ってまいりますし、それから、御指摘のオフサイトセンターをきちっと迅速に活用できるように、しっかりそういうような対応をしていきたいというふうに考えてございます。  以上でございます。
  134. 古屋範子

    古屋(範)分科員 せっかくあるのですから、ぜひ活用できるように検討していただきたいと思います。  きょうは気象庁も来ていただいていますので、一問飛ばしまして、そちらを先に質問いたします。  三浦活断層というものがございます。三浦半島断層群、最大マグニチュード六・七程度の地震が予測をされております。三十年以内で地震が起きる確率は最大一一%と評価をされております。阪神・淡路の確率よりも高いと言われております。  この断層群への厳格な監視、さらに地元自治体への積極的かつ迅速な情報提供体制、これを整備していただきたい、このように考えております。地元としても、非常に今関心が高く、これに関しては不安もございます。この点についてお伺いしたいと思います。  そして、三浦半島では非常にマリンスポーツが盛んであります。海水浴あるいはヨット等、非常に観光客も多うございます。  そこで、東日本大震災以降、マリンスポーツ界では、津波対策、安全対策が検討されているということでございまして、もし海岸で避難に対する警告が聞こえなかったような場合、オレンジ色のフラッグを掲示して避難を促す、このルール全国的に広まりつつあります。この音、サイレン、放送が聞こえない場合の災害情報手段として、オレンジフラッグ等、関係法令の規定を整備してしっかりとこれを根づかせてはどうかと思うんですが、この点についてお伺いをしたいと思います。
  135. 若泉征三

    若泉主査 時間がありませんので、簡潔にお願いいたします。
  136. 宇平幸一

    ○宇平政府参考人 お答えいたします。  オレンジフラッグの件でございますが、先生指摘のオレンジフラッグにつきましては、神奈川県内の海水浴場などにおいて津波の危険性を知らせる手段として普及させる取り組みが進んでいると承知してございます。また、ほかの地域におきましても、赤色の旗や発煙筒が用いられるなど、さまざまな取り組みが行われているとの情報も得てございます。  気象庁におきましては、現在、こうした伝達手段の活用状況はもとより、関係自治体や現場で活動されている方々の御意見をしっかり把握して、講じるべき施策についての検討作業を進めているところでございます。  それを踏まえまして、関係機関と連携しながら、視覚による津波警報の伝達手段の全国的な普及に対して積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  137. 古屋範子

    古屋(範)分科員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  138. 若泉征三

    若泉主査 これにて古屋範子君の質疑は終了いたしました。  次に、仁木博文君。
  139. 仁木博文

    仁木分科員 衆議院議員、徳島県の仁木博文でございます。  きょうは、質問の機会を賜りましたこと、本当にありがとうございます。川端大臣、そして岩本副大臣、ありがとうございます。  お手元に資料を配付させていただいていると思いますが、私の地元では、こういった形で、零細な農家の方がいらっしゃいます。  四国というのは、まず農業の背景を申し上げますと、生産を担当している農業従事者、平均年齢が全国平均よりも二歳高い六十八歳、耕作面積も一・七ヘクタールという形になっています。  民主党政権になりまして、戸別所得補償制度ということが導入されました。これは、いわば農業の分野において、経営、もうかる農業というのはいかに重要かということがあると思います。  岩本副大臣におかれましては、先般は徳島の方に林業関係でお越しいただきまして、ありがとうございました。四国は、林業ももちろん盛んな地域ではございますが、一次産業、農業も盛んな地域でございます。私の選挙区は主にこういった水田、稲作の地域が多うございまして、私も、実は第二種兼業農家の息子でして、大学のときまで、古くなった耕運機を使って耕作をしていた部類でございます。  そこで、ちょっとお尋ねしたいのでございますが、農水省として、徳島のこういった零細農家の実態として、例えば十アール、よく一反といいますが、つくる当たりのコストをどのように把握されているか、教えていただきたいと思います。
  140. 實重重実

    實重政府参考人 水田作経営における十アール当たりの農業粗収益について申し上げさせていただきます。  水田作経営における十アール当たりの農業粗収益は、平成二十二年において、全国で十五万二千円、徳島県では二十四万三千円となっているところでございます。
  141. 仁木博文

    仁木分科員 私の把握とはちょっと数字が違うかもしれませんが、お米一袋三十キログラムで流通しているのが徳島県の場合は多いんですけれども、こういった販売価格というのは、農協さんとかに出した場合は六千円だったりします。一反当たり二十四万という数字なんですけれども、それは水田だけなんでしょうか。もう一度お聞きしたいんです。
  142. 實重重実

    實重政府参考人 水田作経営の数字をもう一度申し上げるということでございますか。(仁木分科員「はい」と呼ぶ)  水田作経営における十アール当たりの農業粗収益でございます。平成二十二年において、全国で十五万二千円、徳島県では二十四万三千円となっております。
  143. 仁木博文

    仁木分科員 いずれにしましても、きょうの問題点は、お手元の資料の、付番していないんですが、五ページ、写真があるんですけれども、先週の土曜日に、実は、この問題について質問するということで、地元皆様方に集まっていただきましたが、写真の二枚目です。こういった形のちっちゃな農地で農業を営んでいただいているわけでございますが、ここに、お米をつくる上での農機具、例えばトラクターであるとかコンバインとかで、この私のお隣にいる方のところにアクセスしようと思えば、他人の土地に農機具が進入しないと目的とする土地へ入れないような現状でございます。こういうところで、かなりコストが高い状態でやられている。  総務省に対しての質問でございますが、実は、この写真の地域、市街化区域内の農地でございます。市街化区域内の農地の実態、固定資産税の額というものを把握されていらっしゃいますか。
  144. 實重重実

    實重政府参考人 市街化区域内の田の十アール当たりの固定資産税の額について申し上げさせていただきます。  平成二十二年において、全国で六万三千円、徳島県では八万六千円となっているところでございます。
  145. 仁木博文

    仁木分科員 先ほど全国平均より高い数字をおっしゃっていただきましたが、資料の一枚目と二枚目。私の選挙区で、小松島市、そして石井町という選挙区がございまして、この市街化区域内の農地の所有者から、こういった要望書、陳情書が出ております。要は、御自身がお持ちの農地の固定資産税がいわゆる市街化区域外の一般農地の固定資産税に比して非常に高いということでございます。  私、このことをずっと、実は現職になる前から聞かされていまして、改めて調べてみました。そうすると、固定資産税の算出方法の大枠なんですけれども、三ページの資料でございますが、「農地課税の三種類」というのがございます。これは、都市計画法、昭和四十三年にでき上がった法律でございますが、宅地並み評価を市街化区域の農地にはして、それに農地に準じた課税ということになっております。一般農地に関しましては、農地評価をして農地課税をしていく。特定市街化区域の方におきましては、宅地並み評価をして宅地並みの課税をしていく。  この都市計画法ができ上がった背景には、やはり高度成長時代の日本があったと思います。スプロール現象というのが地理の教科書に出てきますように、都市の無秩序な開発というのを阻止するという意味があったわけでございますが、今、デフレ、特に、バブルが崩壊して、地方においてはもう元気がない状況です。例えば新たな都市開発というものも、近年、余り見られない。まさにこの写真のような風景というものが、私の選挙区の中間的な地域なわけでございます。  こういう中において、ちょっと写真の一枚目、ページ数でいうと四枚目を見ていただきたいんですけれども、農水路があります。私がいる、向かって写真の右側の方が市街化区域外の一般農地です。そして、反対側が市街化区域の農地の方々なんですけれども、これ、実は、固定資産税という切り口でいいますと、私のいる側の農地のおおよそ六十倍とか七十倍の固定資産税を支払っているという現実がございます。  ちょっと、この地権者の一部の方々にデータというか情報を賜りましたのでお知らせしたいんですが、下に書いています。一反当たり、十アールですけれども、年間固定資産税、一般農地の固定資産税九百九十七円。片や市街化区域農地の固定資産税は七万七千円。皆さん、見てください。同じ農地ですよね。それでこんなに差が出る。確かに、これだけ見ると、市街化区域内の農地が整備されているように見えますが。  これは後で川端大臣の方に質問しますが、本当の意味地域主権というのは、いろいろな規制を取り払って、地元のことを、地域でできることは地域でやるということが必要です。しかし、やはり財源もそのためには必要です。ただ、今、その財源、集めたお金、税金をどのように配分していくかということも重要です。とかく、足りない社会保障、医療とか介護とか等々に使われることが多いんですが、やはりこういった地域の開発等にも使っていくべきだという考え方もあります。  特に、固定資産税をより多く払っている方々にとっては、市街化区域内での農地の整備であるとか、あるいは、これはもともと、この市街化区域内の農地を販売すること、転用することを目的としているためのお金という思いが強いわけですから、そういった、自分たちが土地を売る際により高く売れるように、自分たちの土地が付加価値の高いものになっていくような施策というのも、やはり自治体の長の皆さんにはやっていただくというのが本来の趣旨じゃないかと私は考えるわけでございます。  ここまでお聞きになられまして、川端大臣、個人的な所見とかいただければよろしいんですけれども、よろしくお願いします。
  146. 川端達夫

    川端国務大臣 これは、全国でもいつも議論になるところでございます。  一番大事なのは、市街化区域と市街化調整区域というけれども、先生がおっしゃったように、市街化区域というのは、将来にわたって町として、要するに、農地じゃなくて町としてやっていこうという前提に立っているということです。したがいまして、ここではお触れになっていませんが、税金がこれだけ違うというときに、実は、それに応じて土地の値段も違うんですね。  ところが、実際は、制度的に申しますと、この写真の左側の市街化区の農地の場合は農業委員会に届け出をするだけでこの土地が住宅地とかに転用できる。こちらの農地の方は都道府県知事の許可が要るということでありますから、売買するときの値段は全く違うというのが一方あります。  それで、先ほど農水省から、一反二十万円ぐらいというふうに言われました。例えばこの地面が、ちょっとわかりませんけれども、私の方のところだと、これで坪十万ぐらいです。売ったら十万ということは、百五十年分の売り上げを留保しているという土地なんです。  ということでいうと、一番前提として、これは、市街化して農地をやめていくという前提の制度設計という意味ではこういうものになるんでしょうが、実態がずれてしまったところに多分問題があるんだというふうに思います。
  147. 仁木博文

    仁木分科員 川端大臣、ありがとうございます。  大臣の選挙区は大津でして、近畿圏でも人口がふえている地域でございます。勢いがある。ただ、私の四国、もう人口は四百万人を切りまして、一部の地域を除いては、元気がない過疎地域でございます。  ですから、先ほど言われました、一定の期間内に転用される、あるいは買っていただけるようなところでしたら、やはり資産価値があるというふうに思うわけでございますが、一応、都市計画法の中にも十年という言葉が出てきます。十年というタームが出てきます。十年一昔。ところが、実際、今、四十年以上たって、売買するような、買ってくれるような動きはもうほとんどないわけです。  そういうことで、ちょっと写真にもう一度戻りますけれども、例えば、私が、この五枚目の写真、おじいさんと立っているところですけれども、ここの後ろを買ったとします。では、アクセス道路をつくるために、手前のあぜ道、ちっちゃい道で用水路がありますけれども、これを全部道路にしたとしても、ここは車一台も通れないんです。では、これ、二台通行しようと思ったら、この手前の田んぼ二つを買わなきゃいけないんですが、売ってくれるかどうかという問題があります。  何が言いたいかと申しますと、この土地を、このおじいさんの土地なんですけれども、この奥の土地を買う人はいないということです。まさに、この田んぼにアクセスしようと思ったら、アクセス道路をつくるしかないんですよ。  さっき、売れるという前提のもとで、資産価値が高まるからとおっしゃいました。リビングローという言葉がありますが、やはり法律というのは生き物ですし、これは、社会の状況、あるいはいろいろな環境によって、変えるべきときは変えなきゃいけない。これは、極言すれば、行政の不作為に近いものがあると思います。  そういうことで、今回、都市計画法を抜本的に変えるといったら、また時間もかかります。今、調べましたら、都市計画法の中においても、さまざまな取り組みでこういった問題を、自助努力、地域の方から上がってきた形で変わってきたような地域があります。これは、例えば、宮崎県の都城市とか、あるいは私の徳島県のお隣、香川県の高松とかを中心とした地域でございます。  こういったところでは、都市計画法に基づく線引きを廃止しまして、それで、さっき大臣がおっしゃいましたが、知事の許可が要るというところも、より容易に知事の許可がおりるような形でその線引きを廃止して、一般農地になったところでも転用がしやすい状況をつくったということがあるんですね。  このことをやりますと、問題となりますのは固定資産税。これは自治体の財源となるわけですね、私もさっき申し上げました。そうすると、線引きを廃止して、税収が減ったときの四分の三は交付税という形で国が補填してくださるという問題があるんですけれども、では、四分の一はどうするのか、そういうこともまた出てくると思います。  そういうことで、法律とか既存のものが、そのときはよくて、よく法的な効果があって発展した、あるいはよく機能したということがありますが、これだけ時代が変遷して、時間がたつと、それがかえって地域の発展を阻害したり、あるいはまた、困る人をつくっている。そういうこともあるということも、特に地域主権を推進していかれる立場にある川端大臣には御理解いただいて、こういった問題にまた取り組んでいただきたいと思いますし、都市計画法のことに関しましては国交省が所管省ではございますが、やはり地元というのは大切だと思いますので、お願いしたいというふうに思っております。  そこで、次の質問でございます。  実は、このことを調べていくうちに、私の選挙区では、特に問題になることが出てきました。六枚目の地図を見ていただきたいんです。  これは実は、地区は徳島県でして、先ほど来議員から質問が出ていますが、南海地震あるいは連動地震による津波等々が予想される地域でして、年末年始に県から発表された浸水区域なんです。そうすると、平成十五年のデータをもとにしてつくられた防災地図では浸水区域に入っていないところが、こういう形で浸水区域になっている。  私が問題としたいのは、赤石町、その下の大林町。赤石町の上に工業地域があるんですが、赤石町自身が市街化区域なんですね。大林町と書いていますが、ちょうどこの境界の線あたりが、先ほど写真で見た、市街化区域とそれ以外の区域の境界になります。  何が申し上げたいかといいますと、まさに、過去の、津波とかを想定していない段階での市街化区域がそのまま残ってしまっている。要は、市街化区域の趣旨は、昭和四十三年でいいますと、そこに住宅あるいは人が住むようにしてくださいよという形だったんですね。今、東北、被災した地域で、津波が来て、まちづくり、復興しています。この地域のまちづくりは困っているわけですよね。でも、この区域は、まさにこれから津波がやってくる地域、そこに住みなさいと言っているような法律が残っているということにもなるわけです。  実は、都市計画に関しましては、都市計画マスタープランというものを作成する都市計画審議会があります。これは各自治体でメンバーも選任してやっていくわけでございますが、ここに新たに、国から、例えば地震とか津波とか防災に詳しいメンバーを必ず入れて、新たな災害にも強いまちづくり、そして、それが地域地域力にもなっていきますので、そのことを、地域の窓口たる川端総務大臣の方に、地域に何か伝達できないかということを私はお願いしたいんですけれども、いかがでしょうか。
  148. 川端達夫

    川端国務大臣 地域でいろいろこれからのまちづくりを御議論されるときに、いろいろな専門家の知恵が欲しい、あるいは援助が欲しいということは当然おありだというふうに思います。  総務省としては、いろいろなニーズがございますので、これは言っていただいて、きめ細かくいろいろ御相談に乗ることは全くやぶさかではございませんので、いろいろ言っていただく中で、システム的に、全部にこうというわけにもすぐにはいかないかもしれませんが、そういう御要望に関しては、いろいろなことでの御協力、御相談には応じたいというふうに思っております。
  149. 仁木博文

    仁木分科員 そこで、きょうはこの問題を熱く述べてきたわけでございますが、この一枚目の資料の陳情書、二枚目の資料の要望書。これは川端大臣にお聞きしますが、線引きを廃止するというのは、地域、つまり地元の自治体の判断で全くよろしいということなんでしょうか。これは国が推奨することではないのですけれども。
  150. 花岡洋文

    ○花岡政府参考人 お答え申し上げます。  いわゆる線引きにつきましては、三大都市圏の近郊整備地帯のようなところ、あるいは政令指定都市といったようなところは義務づけられておりますけれども、それ以外の市町村におきましては、地方公共団体の判断で線引きをしていただいても結構ですし、しないでいただいても結構だ、そういう制度になっております。
  151. 仁木博文

    仁木分科員 行政と住民の方々の思い、これをつないでいくのが政治だと思いますが、私、地元を歩いていまして思うのは、そういった思いを形にする際、そういう制度があるといっても、なかなかハードルが高い現実があります。  といいますのは、先ほど川端大臣も、市街化区域内の農地は財産であるということを言われました。例えば、線引きを廃止することによって、資産価値がなくなり、喫緊に売れるような予定の土地が安くなっちゃうというような方も出てくるかもしれません。つまり、制度を変えることによってデメリットをこうむる方も出てくるかもしれない。  そうはいっても、私が思うにも、ある種行政の怠慢と言ってもいい形で、法律の中での、制度の中での影の部分だったと思うんですが、これによって、お示ししたような、お隣同士、用水路を挟んで七十倍近く税金が違う、こういった不公平感をつくってしまったということがあって、困っている方がいらっしゃるんですね。そういった方々の声がなかなか変わらないという現実です。  つまり、きょう改めて私がこの質問で問題としたいのは、こういった現実があるということを、まず行政の皆さんにもわかっていただきたいということです。  所管省庁は、確かに都市計画法では国土交通省かもしれません。しかし、税制面では総務省、そして、何よりも、農業を担っているのは農家の方々です。農林水産省です。私も、この質問に先立ってレクを受けたんですけれども、皆さんお一人お一人に質問を投げかけると、納得できる御回答をいただくんですよ。ただ、現場の方々、例えば、もし皆様方のお父様、お母様が、実家で、田舎でこういった状況になったら、どうしていいんだろうという憤りも感じると思うんですね。  そういうことで、きょうの私の質問は、こういうことが地方で起こっている、そしてまた、そういう中で、こういう問題があるがためにこの地域に住めなくなってしまう、つまり、こういった制度がずっと固定してあること自体が、場合によっては、その地域の発展であるとか地域地域力を下げてしまっている可能性があるということを改めて御理解いただきたいわけで、既存の仕組みの中で頑張っていきたいと思いますが、これ以上の弊害が出てきたり、あるいは世論が盛り上がってくると、場合によっては、都市計画法の見直しとか、そういったこともこれから考えていかなきゃいけないと思います。また、都市計画法と防災、特にこういった南海地震や東南海地震、三連動地震が起こるとされている地域におけるまちづくりのあり方というものも、例えば、これから新しい法律をつくっていくとかいう形で考えていくことも必要ではないかということも提言として申し上げたいと思います。  時間が早くなりましたが、きょうは、私、こういったことを問題点としながら、地元の農家の方々の御意見を踏まえた質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  152. 若泉征三

    若泉主査 これにて仁木博文君の質疑は終了いたしました。  次に、皆吉稲生君。
  153. 皆吉稲生

    皆吉分科員 民主党の皆吉稲生でございます。  本日は、川端大臣みずからがおいでいただいて、ずっと御答弁いただいているということで、大変光栄に存じながら質問をさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  本日は、国家公務員給与の臨時特例減額の法案の地方への波及の問題、さらに、消防行政の問題について質問をさせていただきたいと存じます。  まず、地方公共団体、バブル崩壊以降、この間、国の施策として、インフラ整備に向けてさまざまな事業を押しつける形で、箱物やあるいはインフラ整備ということで展開をされてきました。結果として大変な借金を背負うことにもなってまいったわけでありますし、さらには、その後、いわゆる小泉政権における三位一体改革で、地方交付税を大幅に削減されるなどの措置がとられてきました。  こういう地方の財政が大変逼迫する状況の中で、地方においては、自律的に十年以上にわたって、給与の特例の減額あるいは職員の定数の大幅な削減、こういったものを実施しながら乗り切ってきていただいています。地方公共団体、総計しますと約四兆二千億の削減をしたと言われております。一方では、国の方は、定数はわずかばかりの削減、そして給与については全く手がつけられてこなかった、こういう事態が続いていたわけであります。  このことについて、総務省として、どのように地方の状況を把握され、どのように受けとめておられるか、見解をお伺いしたいと思います。     〔主査退席、仁木主査代理着席〕
  154. 川端達夫

    川端国務大臣 御指摘のとおり、地方公共団体では、既に従来から、人件費の削減、定数あるいは給与を含めて取り組んできておられまして、平成二十二年四月一日現在においては、全地方公共団体うち約六割が独自の給与削減措置を実施しておられまして、削減影響額は単年度で約二千二百億円となっております。  こうした独自の給与削減措置については、それぞれの団体で自主的な判断のもとに、厳しい財政状況を勘案して、人事当局と職員団体との交渉や議会における審議等を経て、条例改正を行って実施されているものと承知をしております。
  155. 皆吉稲生

    皆吉分科員 今御答弁いただいたような状況だと思いますが、国と地方のプライマリーバランスを見てみますと、地方は、今お話しいただいたような努力が徹底的にされてまいりまして、大きく均衡を失していたものが、さまざまな努力によって現在ほぼ均衡を保っているわけであります。しかし一方、国は、収支の均衡を大きく失した状態が放置されている。これは放置と言ったら言い過ぎかもしれませんが、そういった状況になっています。ようやく、今回の東日本大震災を契機にして、人件費の問題を含めてさまざま対応がされた、そんなふうに考えているわけです。  そういう意味では、国が地方に対して給与の減額などの問題を提起する、話をする、相談をするというのはちょっと筋違いではないかな、そんなふうに思っておりますが、どのようにお考えでしょうか。
  156. 川端達夫

    川端国務大臣 先ほども地方独自に給与削減、人件費削減に懸命に取り組んでいただいているのを御紹介いたしましたけれども、地方公務員の特に給与については、地方公共団体がそれぞれの時点での状況を踏まえて、議会で十分に御議論の上、条例で定めていただくものでありまして、各地方公共団体においては、自主的な取り組みを進めながら適切に決定されることが肝要であります。  そういう意味でも、先般、議員立法で給与の臨時特例法が成立いたしました。ここの附則第十二条の規定も踏まえて、これは自主的な取り組みで情報公開を徹底しながら、住民の理解と納得が得られるように適切に決定することが一番大事だろうというふうに思っております。
  157. 皆吉稲生

    皆吉分科員 もう一つの観点からお話をさせていただきたいと思います。  私、ある首長さんに問いかけをさせていただきました。過疎債が今ハードだけではなくてソフトも使えるということで、どうぞソフト面でもどんどん活用してくださいということでお話をさせていただいたところ、その首長さんがおっしゃるには、過疎債といっても借金でしょう、これ以上ふやすわけにはいきませんよ、やはり、地域の方には本当に申しわけないけれども、ここは我慢していただくということしかない、こういうふうにおっしゃるわけです。  もちろん、二十一年にできました地方公共団体における財政健全化法をにらみながら、首長さんたちは一生懸命財政の運営をされておられるわけです。そして、残念ながら、地方の皆さん方は、いわゆる国に対して少し信頼感を失っておられるのではないか。いつカットをされるかわからない、今借金したら大変なことだ、そういう借金に対するトラウマがあるのではないかというふうに思っています。  そういう意味では、その結果としてですけれども、地方の借金が、平成十五年から現在に至るまで約二百兆で推移をして、ほぼ横ばいでふえていない、そういう状況が今あるわけです。一方では、国は申すまでもないわけですけれども、そういう状況で、地方のこの御努力について、大臣としてどのようにお考えでしょうか。
  158. 川端達夫

    川端国務大臣 御指摘のように、平成二十二年度の決算での地方の債務残高は、地方債残高が百四十二兆円、公営企業債残高のうち普通会計負担分が二十四兆円、交付税特会借入金残高三十四兆円、合わせるとおおむね二百兆円であります。これは、平成十六年及び十七年度の約二百一兆円をピークにして、御指摘のように、十五年以降、ほぼ二百兆円の横ばい状態であります。  この分のうちの地方債については、臨時財政対策債以外の残高は減少してきておりまして、各地方公共団体で地方債を財源とする投資的経費を、今おっしゃったように、極めて抑制的にしていただいたり、財政の健全性の維持に懸命の努力がされている結果だというふうには思っております。  ただ、努力がされておりますけれども、やはり二百兆円というのは巨額でありますので、引き続き高水準で推移しておりますので、大変厳しい財政状況にあるということは事実だというふうに思いますが、御指摘のように、懸命の努力の中でこういう状況を維持していただいていることは、そのとおりだというふうに思っております。
  159. 皆吉稲生

    皆吉分科員 今御答弁いただいたように、地方の御努力については評価いただいているというふうにお受けとめをさせていただきたいと思います。  そうした中で、今回の国家公務員の臨時特例減額法の問題、これについては、御承知のように、閣法を一旦引っ込めていただいて、そして三党の実務者協議によって真摯な協議をさせていただきました。そうした中で、本当にぎりぎりの協議の中で議員立法として成立にこぎつけさせていただいた、そういうふうに理解をいたしております。そういう意味では、この中身については、それ以上でもないしそれ以下でもないし、これを踏み外してはならない、そういう合意だったというふうに思っています。  しかし、二月二十九日、私が大変尊敬する川端大臣やあるいは黄川田副大臣のことを申し上げて恐縮なんですが、黄川田副大臣名で各都道府県知事などに対して文書が発出されました。地方に対して、このことについて、この法と地方公務員法にのっとって対応されることを期待する、そういう表現になっていたようでございますけれども、この文書というのは、積み上げてきたこの間の議論というものを逸脱することにならないのか。特に、これは法案成立後とはいえ、法案提出者に対して一言も御相談がなかった、告知もなかったというふうにお聞きしております。  そういう意味では、この文書についてはどのような経過で決まったのか、議案提案者に対して打診や告知というのがなぜなかったのか、そして、今後どのような対応を行おうとされているのか、お伺いしたいと思います。
  160. 川端達夫

    川端国務大臣 何か特別なことをしたような御指摘でありますが、そうではございませんで、これは、期待という言葉を書かせていただいたのは、地方公共団体で自主的かつ適切に対応されることを期待するという附則第十二条の部分でありまして、地方公共団体に対して、今回の国家公務員に係る時限的な給与削減と同様の措置をやってくださいと言っていることではございません。  そして、地方公務員法及び地方自治法の規定で、総務省として技術的援助ができるということでやらせていただきました。  これは、例えば平成二十三年、平成二十四年中に公布された法律総務省の地方自治関連法が十八本ありますが、それは地方公共団体に通知を発出して周知を図ってきておりますので、できた法律で地方自治に関係する法律に関しては、基本的には副大臣名で地方自治体に対して書状を発出して、こういうことになりましたということはそのままお伝えしております。  公布された法律を周知する際に、技術的援助とするか情報提供とするかは法律の内容により異なるものでありますけれども、今回は、地方団体において自主的かつ適切に対応されるよう期待するという総務省としての考え方、逆に言えば、要請や強制をしないという考え方を示すために、むしろ技術的援助としてさせていただきました。  これは、例えば、平成二十三年十月二十八日には、いわゆる給与に関して閣議決定をいたしました。人勧を含めた部分で、給与法に基づいて、もう既に法律を出しましたがというときにも、同じように黄川田副大臣名で各自治体に関しては「適切に対処されるよう期待いたします。」というふうに書いたものを出しておりますので、特段これが、この法律が出た部分で特別にやったものではないということ。  それから、法律としてでき上がったこと以降に関しては総務省の所管でありますので、議員立法とはいえ、立法の提案者に配慮することは今までもやったことはございません。  同時に、この附則に関しては自公の修正提案でありますので、そういう部分で、厳密にそういう御指示でやれば自公にだけまた言うのかということにもなりますから、普通、法律ができ上がった瞬間から総務省の責任においてやらせていただくということで、立法者の意思を踏まえてそのとおりお伝えしたということで、御理解いただきたいと思います。
  161. 皆吉稲生

    皆吉分科員 いろいろ言いたいところはあるんですが、ちょっと質問がいっぱいあるものですから。今後の対応として、ここは、今からの質問でも触れますけれども、ぜひ慎重な対応というものを求めたいというふうに思います。  そこで、今回、いわゆる国家公務員に対するこの減額法案に呼応する形で地方が減額をした場合に、これは地方交付税をカットするという方向でやられるのか。要するに、その減額したものは東日本の皆様方にはどういう形で届くことになるのか。その辺のことをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  162. 川端達夫

    川端国務大臣 基本的に財政措置を何か強制してとることはありませんが、自主的に給料をお下げになった場合のお問いだというふうに思いますが、自主的にそれぞれ議会で議論して、例えば条例で定めて減額をされたというときに、一律的に地方交付税で強制的にその分減額した措置をするということは考えておりませんし、それ以降の分は地方財政計画での減額にはなりますが、その後どう対処するかは、その地域の実情を含めて全体としての判断をしていきたいということでありまして、一律的に地方交付税を一括して減らすということを前提にしているものではございません。
  163. 皆吉稲生

    皆吉分科員 いずれにしても、これはやり方が難しいんです。基本的には交付税を減らさない、こういうふうに一方ではおっしゃりながら、一方では減額を求める。そうしたら、その減額した分をどうするかということ、技術的にも非常に難しい対応だというふうに思いますので、今からまた御質問しますが、そこのところをぜひ、その基本線に沿った対応をお願いしたいと思います。  今回の東日本大震災関連について申し上げれば、地方公共団体のこのことに対する貢献というのは、例えば、人的な派遣をすることによって、地域の行政が滞らないような、あるいはしっかりと地域サービスが行われるような環境をつくることが一つ、これはもう多くの自治体がやっていただいておるところであります。もう一つは、例えば瓦れきを受け入れるとか、そういう形で東日本の復興に寄与をいただく、御協力いただくというやり方が基本だというふうに思います。決して、国家公務員が給与の減額をやったから地方もやれ、こういうやり方ではないのではないか、そんなふうに私は思っています。  そういう意味では、この法案に対する対応については、先ほど来大臣の方からおっしゃっていただいておりますように、あくまでも自主的ですから、そういう意味では、確認をしたいと思いますが、一つは、何ら強制や要請をさるべきものではないこと。二つ目には、地方交付税など、政府から地方に対して交付される全てがこのことによる減額をさるべきではないということ。そして三つ目が、地方特別交付税などの算定に当たって、しないからといっていわゆる富裕団体とみなすとか、そういうことなどでペナルティーをかけるようなことをしないこと。これらについて確認をさせていただきたいと思います。
  164. 川端達夫

    川端国務大臣 今の三点にお答えいたします前に、この黄川田副大臣の書状を含めて、総務省が地方の皆さんに下げていただくことを期待すると言っていることは一切ありませんということだけは改めて、法律がこういうふうに通りましたということを、それで、この法律の附則は、地方公務員法と今回の部分を含めて自主的に適切に対応してくださいと言っているだけの話ですから、そこだけは誤解のないようにお願いしたいと思います。  それで、要請、強制をしないということは、何度も申し上げていますように、これはまさに自主的に決めていただくことでありまして、強制することで地方交付税を減らしたりということは一切考えておりません。  したがいまして、交付税措置で一律に減らすことを、国と同じようにやるのを前提に交付税で対応するということは考えておりませんで、今後の各地方公共団体の給与改定の動向を踏まえつつ、所要の給与関係経費を計上して、必要な地方交付税総額を確保してまいりたいと思います。  ペナルティー云々でありますが、給与臨時特例法に定める給与削減措置と同様の措置を実施していない地方公共団体に対して、同様の措置を実施していないことを理由にして、特別交付税の算定に当たり不利益な取り扱いをすることは考えておりません。
  165. 皆吉稲生

    皆吉分科員 ありがとうございます。  大臣の誠実なお人柄については私も信頼をさせていただいておりますので、ぜひそういった方向でよろしくお願い申し上げます。  次に、消防の関係について移らせていただきます。  東日本大震災に派遣されました緊急消防援助隊の皆さん方、大変な活躍をいただいた、そんなふうに認識をいたしておりますが、その中で、いわゆる出動手当について、各消防本部の条例で定めているということから、対応がばらばらになっております。これは統一した対応ができないのかというふうに、なかなか難しいだろうなという認識は持ちつつ、このことをお伺いしたいと思います。  それと、いわば追っかけて条例化した場合に、いわゆる過年度払いという形になろうかと思いますが、国の補填の対応ができるのかどうか、その辺についてお伺いしたいと思います。
  166. 原正之

    原政府参考人 お答えします。  まず、前段の、一律的な対応、特例的な対応ができないかというお話でございます。  消防職員は、それぞれの市町村に所属しております地方公務員でございまして、御案内のとおりでございます。市町村の条例に基づいて給与等の処遇が決められております。  消防庁長官の今回の緊急消防援助隊の指示というのは、知事や市町村長に出動の指示をするのにとどまりまして、派遣される隊員は、その所属団体、所属市町村から出動の命令を受けて、被災地では、消防組織法に基づいて、指揮者であります応援を受けた受援市町村長のもとで具体の消防活動をするということになっています。  こうした制度のもとで、仮に一律の報奨金のような制度を考えた場合に、出動先での活動時間などにかかわらず一律に処理するということになってしまいまして、かえって公平性を損ねることになってしまうのではなかろうかと思っております。  それともう一つは、現在は出動手当の条例がない、来年度に仮にそういうのをつくったときにちゃんと支給されるのかというお話でございます。そういうふうな、現在手当支給の条例がない市町村におきまして、年度をまたいで来年度に条例改正をされた場合にも、支給された手当については全額負担金として交付するということになります。
  167. 皆吉稲生

    皆吉分科員 そのことについては、そういったふうに受けとめたいと思います。  次に、消防庁が定めております消防力の整備指針、このことについてお伺いしたいと思いますが、まずは、どのようなものを基準として定めているのかを御答弁いただきたいと思います。
  168. 原正之

    原政府参考人 消防庁の消防力の整備指針におきます、例えば消防職員数について申し上げますと、人口に応じて算定いたしました消防ポンプ自動車や救急自動車の台数、それをもとにしまして、必要な搭乗員数を定める、また、危険物施設等などに応じて算定いたしました予防要員等の人員を合計して求めるということになっております。
  169. 皆吉稲生

    皆吉分科員 今御答弁いただきましたが、整備指針については、人的な充足率の問題、私は鹿児島ですけれども、鹿児島県では、消防本部ごとにばらつきはありますけれども、平均でわずか六六%でございます。消火業務といわゆる救急業務を兼務している消防隊員の皆さんもおられます。せっかく示した消防指針というものが絵に描いた餅になっているのではないか、そんなふうに思っていますが、全国的に人的な充足率はどのようになっているのか。そしてまた、この指針とのギャップについてどのような認識をされておられるか、お聞きしたいと思います。
  170. 原正之

    原政府参考人 まず、消防力の整備状況を把握するために、実態調査を三年に一回行っております。一番新しいのが平成二十一年度の調査でございますが、それによりますと、消防職員の充足率は七五・九%ということになっているところでございます。  そして、それに対してどういうふうなことを消防庁はしているのかということでございますが、消防庁としては、市町村が消防力の整備指針の趣旨を踏まえて必要な消防力を確保できるように、地方財政措置を含め、必要な助言あるいは支援をしているところでございます。  消防職員数そのものは年々、少しずつではありますが増加している傾向にございますけれども、今後とも、消防関係の主管課長会議を初め、全国会議などの場を通じまして、消防力の整備指針に基づく職員数の確保について、さらに要請してまいりたいと考えております。
  171. 皆吉稲生

    皆吉分科員 この整備指針というのは、地方交付税の消防費の算定の基礎となっていると思います。ここはもう答弁要りません。  それで、実際、いわゆる財政の編成権は自治体にあるわけですけれども、消防庁が構想する、あるべき消防力の整備が行われていないということでございます。  そういう意味では、消防庁として、各消防本部あるいは都道府県を通じて、技術的な助言という形で、あるべき消防体制についてやるべきではないか、そんなふうに考えますが、その辺の見解をお伺いしたいと思います。
  172. 原正之

    原政府参考人 先生指摘のように、私どもとして、やはりこの消防力の整備指針の趣旨を踏まえて必要な助言、支援が必要であると考えておりますし、そういうふうなことを行ってきております。  ちょっと繰り返しになりますけれども、全国会議などの場を通じまして、消防力の整備指針に基づく消防力の確保について、きちっと要請してまいりたいと思っております。
  173. 皆吉稲生

    皆吉分科員 地方交付税で算定されることによって、消防力への整備をサボることによってほかに流用するという、言い方は悪いですが、ピンはねをしていることになりますから、ぜひ、その辺については、あるべき姿をお示しいただく、助言をいただくということで、よろしくお願いしたいと思います。  それでは次に、時間が大分なくなりましたが、あと大きく二つ質問したいと思いますが、消防の広域化の問題。これも多くは申し上げませんが、本県鹿児島県では協議会がもう解散をしてしまって、県全体ではストップしてしまいました。これで、平成二十四年度が五カ年計画の最終年となっているわけですけれども、今後どのように進めていこうとされているか、これは簡単に、短く答弁ください。
  174. 原正之

    原政府参考人 委員指摘のように、現在、基本指針の中では平成二十四年度末に広域化の推進を図るようにというふうな話をしております。ただ、あと一年ということになっておるものでございますから、期限後の二十五年度以降の対応につきましても、これから第二十六次の消防審議会で議論をしていこうと考えておりますし、都道府県、市町村の意見などを踏まえながら、必要な検討を行っていきたいと思っております。
  175. 皆吉稲生

    皆吉分科員 ありがとうございます。  それでは、最後のテーマに入るんですが、消防職員の団結権の問題でございます。  これはILOからの是正勧告などで本当に長年の懸案であったわけですけれども、ようやく政権交代後、消防職員の団結権のあり方に関する検討会が発足するなどで議論が進んできたというふうに認識をさせていただいておりますが、そうした中で、総務省としても「消防職員の団結権については、付与することを基本的な方向としつつ、必要な検討を進める。」という、昨年六月での考え方をお示しいただいておるところでございます。  そうした中で、さまざまな団体皆様方から幾つかの懸念が示されております。その懸念について総務省としてどのような見解を持っておられるか、この場でお答えをいただきたいと思います。  一つは、上司、部下、同僚間の対抗関係を生じさせることになり、指揮命令系統や部隊内の信頼に影響を与えるのではないかという懸念。それから二つ目が、住民の生命財産を守るという消防の任務に支障が出るのではないかという観点から、地域住民との信頼関係に影響が出るのではないかという懸念。三つ目が、消防職員がみずからの権利を主張することにより、消防団との連携に影響を与えるのではないかという懸念などが示されています。  大きくはこの三つの懸念について、総務省としての御見解をお伺いしたいと思います。     〔仁木主査代理退席、主査着席〕
  176. 三輪和夫

    ○三輪政府参考人 お答え申し上げます。  消防職員の団結権についての御懸念でございます。  これに関しましては、昨年の十二月、主な論点というのをお示しいたしましたが、この中で、まず、職務命令に従う義務、それから上司の指揮監督権、こういった関連の規定が従前どおり適用されるということになりますために、必要な指揮命令系統の確保消防団との連携、そして住民からの信頼等に影響を与えるということは考えにくいのではないかということ。  また、一般職の地方公務員につきましては、既に団結権が認められておりますけれども、このことによって職場内の信頼関係が損なわれているということは考えにくく、団結権の付与が直接の原因となって職場内の信頼関係が損なわれるということは考えにくいのではないかということ。  さらに、警察、自衛隊等ほかの機関との連携につきましても、日常的な訓練のたまものであって、団結権の付与が直ちにこうした連携に支障を来すということは考えられないのではないかというような整理をしているところでございます。
  177. 皆吉稲生

    皆吉分科員 ありがとうございます。  最後の質問でございます。  そういった観点から、今政府が提出を予定しておられる地方公務員の労働関係に関する法律案、これは仮称でございますが、これに消防職員の団結権の問題を盛り込むかどうかの検討が当然としてなされるかというふうに思います。政府としては、今後どのようなプロセス、スケジュールを持って成案化に向けた議論を進めようとしておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  178. 若泉征三

    若泉主査 三輪自治行政局公務員部長、時間がないので、簡潔にお願いします。
  179. 三輪和夫

    ○三輪政府参考人 地方公務員につきましては、国家公務員に係る措置を踏まえまして新たな労使関係制度を設けることにいたしておりますが、この検討に当たりましては、当事者であります自治体の責任者や労働団体との意見調整も行いながら作業を進めていくということが必要でございます。さまざまな機会を捉えまして意見交換を行っております。  引き続き、関係者の御意見も伺いながら、法案の提出に向けまして、できるだけ早い時期に制度改革の内容の取りまとめを行ってまいりたい、このように考えております。
  180. 皆吉稲生

    皆吉分科員 ありがとうございました。  これで質問を終わります。
  181. 若泉征三

    若泉主査 これにて皆吉稲生君の質疑は終了いたしました。  次に、杉本かずみ君。
  182. 杉本かずみ

    ○杉本分科員 きょうは、質問の機会をありがとうございます。  私は、さきの予算委員会参考人質疑でも申し上げたんですが、足を引っ張り合う政治を卒業して、褒めたたえ合う政治にそろそろ切りかわりましょう、建設的にやっていきましょうと提言させていただきました。そういった政治をしていく政治家でありたいと思っています。  おかげさまで、衆議院二年半が過ぎました。川端大臣におかれましては、野党時代でありますが、二〇〇五年の総選挙におきまして、党幹事長のときに私の地元に入ってくださって、お話も応援もしてくださいましたことを思い出しながら、望外の喜びの機会を頂戴しているなと改めて感じております。  きょうは、携帯電話やスマートフォン、あるいはタブレット型端末の通信環境について質問を申し上げます。  そもそも、携帯電話やインターネットは、昭和三十年代、野田総理もよく使われますが、日本映画「ALWAYS 三丁目の夕日」の時代には想像できなかった便利な機材であります。しかしながら、我々はそれらのものに依存し過ぎてきていて、手紙やはがきなどの歴史的な、あるいは伝統的な通信手段のありがたさもちょっと見失いがちであるということを感じております。  それはさておきまして、まず、スマートフォンの環境について申し上げたいと思います。  第三世代通信システム、略称3Gであります。三Gともいいます。通信経路がたくさん存在していますけれども、この第三世代通信システム、3Gは、通路が狭くて混雑しているという状況かと拝察します。また、ちょっと単語の解説みたいになりますが、フリースポットと呼ばれる経路は以前からもありましたけれども、こちらも最近は煩雑に使われるようになり、通信の幅は広いんですけれども、本数自体が少なくて、混雑、渋滞している状態にあると聞きます。  また話は戻りますが、3Gは、携帯電話も使うし、通信経路の問題として、殊に災害が発生したときのようなケースを考えると、大渋滞、あるいは障害が大きく発生するということが懸念されます。それに対して備えをしていく必要があるだろうと私は感じております。  政府の方は、3Gの通信経路の混雑緩和に向けて力点を置かれているというふうにも聞いておりますけれども、3Gの増設、拡大には莫大な費用と時間が必要というふうにも聞いております。  そんな意味から、ちょっと提言も含めて私はお話をしたいと思いますが、若干、用語解説をまたさせていただきます。釈迦に説法かとも思いますが、お許しをいただきたいと思います。  スマートフォン、略称スマホですけれども、これは電話の機能とインターネット接続機能がミックスしているというもので、いわゆるパケットと言われる回線使用量が従来の電話型の携帯の十倍から二十五倍必要という試算もあります。また、このスマホで厄介なことは、アプリと言われるソフトが組み込まれていまして、使う人の要求とは無関係に一定時間の間隔でインターネットに勝手に接続し、それを継続するというタイプが存在するようでございます。これが回線混雑の主因とも言われております。  次に、WiFiという単語でございますが、ワイヤレスフィデリティーの略で、これはブランド名であるようでございます。無線LANの通信規格の一種で、最近ではほとんどの無線LAN機器がこの規格に準拠しているというものであります。また、正確にはちょっと意味が違いますけれども、無線LANすなわちWiFiというふうにも言われております。  さきに申し上げたスマホのインターネット接続は、WiFi経由と、先ほど言った第三世代の通信手段である3G経由がありますけれども、WiFi経由は原則既存のインターネット回線を経由して接続されますので、3Gの通信回線を使用せず、通信速度も速くて安定し、スマホ自体、WiFiの使用を前提として設計されていると言われております。  さらに続けますが、3Gについては、回線の容量、伝送、交換などを含みますけれども、元来、電話の目的で使用することが前提でありました。そんな状況で、最近のスマートフォンの普及状態に追いついていないという懸念が出ているようであります。つまり、従来、電話を想定していた回線に急激にインターネットの接続が行われる状態になってしまったために、回線がパンク状態になりやすいといった状況があるようであります。  さらにもう一つだけ説明させていただきますが、フリースポットという言葉があります。そもそもインターネットというものについては、基本的にはプロバイダーというのが存在して、契約が必要でありますが、先ほど言った3Gの場合は、キャリア会社がプロバイダーとなっております。そして、フリースポットは、WiFiの利用を不特定多数の方々に開放して自由に使わせる仕組みであり、例えば、飲食店や空港、駅などに設置されていて、ここでの接続は原則無料、プロバイダー使用料はフリースポットの設置者が負担をしています。自宅や勤務先以外の場所でスマホを3G以外で無償でインターネットに接続できるのは、フリースポット以外には存在しません。  また、WiFiについてなんですが、このほかに有償の接続の仕組みがあります。御存じだと思いますが、自然にスマホに浮き出てくるんですが、有償接続の場合は、IDとパスワードを入れてください、こういう形が出てまいります。  私も五十一になりまして、なかなか難しい問題だという認識を持っているんですけれども、そこで質問に入らせていただきます。  これは局長に御回答をいただくかと思いますが、現在の携帯電話、スマートフォン、そしてタブレット型端末の普及の状況、概観で結構でございますので、これをお教え願えますでしょうか。
  183. 桜井俊

    ○桜井政府参考人 お答え申し上げます。  スマートフォン、タブレット端末の二十三年十二月末現在におけます契約数が、携帯電話事業者四グループ合計で約二千万弱でございまして、携帯電話総数が一億二千五百六十万契約でございますので、約一六%の比率となっております。
  184. 杉本かずみ

    ○杉本分科員 どうもありがとうございます。  次に、昨今ニュースになりましたけれども、大規模の通信障害が、直近ですと一月二十五日の水曜日午前八時二十六分から午後一時八分まで、東京の区部を中心に最大二百五十二万人に影響が出た現象があったというやに聞いておりますが、この通信障害の問題に対する総務大臣の問題意識をお聞かせいただければありがたく存じます。大臣お願いします。
  185. 川端達夫

    川端国務大臣 私もその二百五十二万人の一人で、電話をかけようとしたら全くつながらないというところに遭遇をいたしましたが、これは、スマートフォンが増加してきているということで、NTTドコモが新型の交換機にかえようというときに実はトラブったということであります。  その原因は、今も御紹介がありましたけれども、アプリケーションが発する制御用信号の信号量が予測をはるかに上回っていた、適切に予測ができていなかった。そのため、新型交換機において処理能力が不足して、携帯電話のデータ通信だけでなくて、音声もつながりにくい状況になりました。  このような通信障害を避けるためには、携帯電話事業者各社において、スマートフォン急増に対応した通信設備の適切な増強、それから、今、WiFiのお話がありましたが、通信トラフィックのオフロード等に取り組む必要があるというふうに思っています。  また、これは今やもうなくてはならないものでありますので、ドコモだけではなくてほかのキャリアにおいてもいろいろな通信障害が起こりましたので、多発する通信障害の防止に向けて業界全体でも取り組んでいただきたいということで、どういう状況で何がどう起こったために障害が起こったという情報の共有は極めて大事であるということで、私の方から事務方に指示をいたしまして、二月二十二日に携帯電話事業者全社に集まってもらいまして、携帯電話通信障害対策連絡会を開きました。情報を共有すると同時に、体制も総点検、設備も総点検してほしいということで、そういう体制の構築もお願いをいたしました。  また、情報通信審議会においては、アプリケーションの制御用信号の増加への対策、これはなかなか難しいんですね、アプリはそれぞれ世界じゅうでつくっていますから。そういう部分で、この対応を含めて、通信設備の安全・信頼性の基準の見直し等々を含めて検討していただいておりまして、しっかりと対策を検討していきたいというふうに思っております。
  186. 杉本かずみ

    ○杉本分科員 ありがとうございます。大臣の御認識の深さに、改めて安心をさせていただきました。  さて次に、将来の大規模災害、殊に、私の地元であり、また大臣地元にも関係する問題でもあります東海・東南海・南海地震の三連動地震、これに限らずでございますが、そういった際に通信回線の障害の問題が惹起されることが懸念されます。  特に、緊急メールとして告知されるべき携帯電話のメールが着信されないとか、あるいは遅延して着信してしまって機を逸するというようなことがあってはならないと思いますので、大規模災害発生時に通信回線がきちっと機能するということにするために、政府の対策として現在取り組まれている状況の内容をお聞かせいただきたいと思います。
  187. 川端達夫

    川端国務大臣 やはり大前提として、東日本大震災で何が起こったのかをまずしっかり把握するということで見ますと、通信設備の損壊、電線も切れた、大規模に停電が起こった、それから、これは都心部でもそうでしたけれども、膨大な通信需要の発生で、固定電話、携帯電話が広範囲にサービスを停止したということで、大変大きな影響が出ました。  そういう意味で、東海・東南海・南海地震に備えるにしても、東日本大震災の状況を調査して対策をするということがベースになろうということで、昨年の四月から十二月まで、総務省としては、電気通信事業者を初め関係者による検討会を開催しまして、通信被害の原因を分析、国、電気通信事業者の各主体が取り組むべき事項をまとめました。  一つは、ふくそう対策、要するに、大規模に一気に通信が出たときのふくそう対策。それから、通信設備の被災対策、これは断線をした、あるいは停電をしたということが主であります。それから、今後のネットワークインフラのあり方。四番目が、インターネットの活用のあり方ということであります。  停電対策、バックアップ対策の強化、通信設備の安全性、信頼性の技術基準の強化、電話局が津波で被災した場合でも、トレーラーやヘリにより輸送可能な移動式通信処理設備の研究開発等に取り組んでいるところであります。  また、やはり役所が大事だということで、都道府県庁、市町村役場をカバーする主要な携帯電話基地局の非常用電源の長時間化、それから、携帯電話基地局の被災時にその機能をバックアップする大ゾーンの基地局の設置、加えて、携帯電話基地局の通信設備が被災した場合の車載型基地局の配備の増強等、事業者としても取り組んでいただいているところであります。  引き続き、事業者と連携して、災害時の通信確保に向けた取り組みを全力で進めてまいりたいと思っております。
  188. 杉本かずみ

    ○杉本分科員 どうもありがとうございました。  東日本の大震災についてもきちっと検証していただいているということも認識させていただき、安心いたしました。  結びに、最後になりますが、回答は頂戴しない予定で、ちょっと私の考え方、提案を開陳させていただき、お含みいただければということであります。  端的に申し上げますと、WiFi環境を開放していくことが非常に重要なのではないかと思っております。どちらかというと、昨今、正確ではないかもしれませんが、私が認識している限り、WiFi環境の囲い込みをしているやにちょっと見える節がございます。ここを逆に、ぜひ開放していただきたいということであります。  通信回線の拡大は、そもそもキャリア会社が一義的に行っていただくものであるとは思っておりますが、現下の状況に鑑み、また、大規模災害発生の可能性を想起、懸念いたしますと、民間だけの個別の努力ではやはり限界があるということも事実かと思います。  また、現下のCMなんかを拝見しますと、あるキャリア会社では、WiFiスポット数ナンバーワンというような表現を売りにする形で、重ねた表現になりますが、WiFi環境の囲い込みを図ろうとするような動きが見られるかと思います。  そもそも、資本主義社会、自由主義経済下では競争はあって当たり前でありますし、お客様の囲い込みも当然の企業行動であるとわかっております。しかし、お客様の利便性、利用者の利便性を考えますと、その昔、携帯電話番号をそのままにして、キャリア各社を変更することができるようになったことがありました。たしか、もう忘れてしまいましたけれども、言葉は何だったときょう秘書の女の子に確認したら、杉本さん、ナンバーポータビリティーですよと教わりましたけれども、ナンバーポータビリティーというのがあって、ああ、これでかえられるなというふうな思いがあったことを思い出しました。  そういった、また一つワンステップ、我が国の通信の環境がさらにバージョンアップするという意味からも、WiFi環境を囲い込みではなくて開放するべきであると私は考えております。  そもそも、何ゆえかといえば、我が国は世界に注目される世界最高の、あるいは最高水準のフリースポットの国というものを標榜すべきではないかと考えております。  殊に都市部、それも、都市部というとちょっとイメージが、私も一瞬考え間違いをしそうになったんですけれども、例えば町の中を歩いていて、外の道路でとか公園のベンチにてとか、そういうようなところまでをイメージしているのではなくて、そもそもWiFiというのは、無線で飛ばしても最大八十メートルほどが限界ということであります。そこで、オフィスビルの中であるとかあるいは室内、オフィス環境下で、具体的にイメージとして考えていただくと、例えば、ある会社に会議なり営業なりで訪問した方が、その訪問先の社内のWiFiシステムはそもそも社内の人しか使えないんですけれども、そこにお客様だったり営業の方がアクセスすることができますと、これがまたビジネスシーンとして格段に情報交換ができるような、商談なり会議ができるというようなビジネスシーンが描けるのではないかと思っております。  ちょっとこれはイメージ戦略でありますが、ビジネスするなら日本に行こうということで、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、福岡ばかりではなくて、大津であるとか、あるいは私の地元中の地元の一宮市だとか江南市だとか岩倉市だとか、そういった三十数万の都市から五万の規模の市、あるいは町という単位まで、企業や店舗は日本じゅうに存在しますので、企業や店舗があるどこの都市に行っても、都市というような環境のところなら、大容量でスピーディーに通信ができるようなビジネス環境というんですか、そういったものが望まれると私は思っております。  そのためには、WiFiが、先ほど申し上げたように、パスワードを要求するような有償の、個人や企業の数名がアクセスする狭量な契約形態、通信経路ではなくて、パスワードなしで、各企業や各店舗が所有するWiFiを開放することによって、このWiFiのところがフリースポットに変わるというような形にして、膨大な容量の通信がスピーディーに、網の目のように結ばれていくことが望まれるのではないかと私は思っております。  この点でいきますと、所管の総務省さんに加えて、ビジネスシーンでありますので経済産業省とも共管いただいて、世界一の通信環境を目指して、政府が、これも新成長戦略に加えていただきたいですけれども、勧奨、慫慂、推奨するといったことはいかがかなと思っております。  ただし、振り込め詐欺じゃありませんけれども、不正侵入であったり不正アクセスであったり、犯罪利用といったものは防いでいかなければならない。そういった観点で、セキュリティー対策も講じる必要は当然あると思っています。  これらの対策のコストとしては、WiFiを開放することによってのコストでございますが、一台について約一万円、これに工賃、手間賃を入れても二万円以内で補修、修繕が可能というやに聞いております。  要すれば、ぜひとも政府に、音頭取りをすること、そして世界一を目指す気概を持っていただきたいと思います。蓮舫さんに怒られちゃうかもしれませんが、蓮舫さんも同じ思いだと思いますが、二番じゃだめで、一番を目指さなきゃいけないというふうに私は感じております。  この点、本日は問題提起にとどめさせていただきますが、ぜひとも、所管の総務省におかれまして前向きにこの問題に取り組んでいただくことを心からお願いいたしまして、私の質疑、提言を終わらせていただきたいと思います。
  189. 若泉征三

    若泉主査 まだ時間があるけれども、総務大臣に感想か何か、いいんですか。
  190. 杉本かずみ

    ○杉本分科員 いただいてよろしいでしょうか。差し支えなければ、お願いいたします。
  191. 川端達夫

    川端国務大臣 WiFiを中心にして、環境整備、特にフリースポットのお話をされました。  トラフィックの急増、3Gから今3・9、LTEも含めて、今のペースは大体一年で倍々にいっていますから、これはもう大変なことになるという状況でありまして、そういう部分でも、WiFi環境の整備というのは極めて大事な一つのポイントであります。  私も、新幹線に乗る都合も含めて、新幹線内で使えるということで実は二つ持っています、二つに囲い込まれているのかもしれませんが。同時に、フリー・オン・ネットワークというんですか、FONというものにも入っておりまして、その部分では、都内を走っておりますとところどころで、これは無料の部分でありますので、使っておりますが、まだまだそういう部分では少ない。  一方で、非常に大事な部分はやはりセキュリティーの問題だというふうに思います。総務省としても、学校の教育に、ICT化ということで学校内無線LANの構築とか、いろいろなことをやっていますし、企業は企業で当然やっています。そういうときに、セキュリティーの問題は一方で非常に深刻に重要でありまして、グーグルストリートが情報収集をするときに、実は周辺の無線LANの情報が入ってくる部分を収集してしまったということで、総務省として注意をしたことがあるんです。  結局、やはりそこの非常に紙一重の世界が利便との部分であるので、ここは慎重にやらなければならないとは思いますが、今おっしゃったように、ICT環境が日本は世界でずば抜けてすばらしいということは大変大きなビジネスとしての強みであることは間違いありませんし、そのことは逆に、大津も例に出していただきましたけれども、一宮も含めて、場所を問わないという意味でのことも、ICTの一番ベースとして、地域のローカリティーを問わないということは極めて大事なことであります。  そういう部分では非常に示唆に富む御提言であるというふうに思いますし、いろいろな角度で、また我々としても、そういうことが前に進むように勉強してまいりたいというふうに思います。
  192. 杉本かずみ

    ○杉本分科員 どうもありがとうございました。
  193. 若泉征三

    若泉主査 これにて杉本かずみ君の質疑は終了いたしました。  次に、高井崇志君。
  194. 高井崇志

    高井(崇)分科員 民主党の高井崇志でございます。  きょうは、大変貴重な質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。  私、民主党政策調査会の情報通信ワーキングチームで事務局長、それから情報通信議員連盟でも事務局長をさせていただいておりますので、きょうは、情報通信、ICTに関する質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、周波数オークションに関しての御質問でございます。  私、実は総務省で働いていたことがございます。旧郵政省に二十年前に勤め始めました。それからずっとこのICTの分野、二十年間かかわっておりますけれども、この間、IT革命とかe—Japan戦略とかさまざま、IT、ICTが大変重要だ、社会経済を支える基盤でありまさにエンジンだということが、世界的にも言われ我が国でも言われてきたわけであります。しかし、この間、総務省のICT関連予算というのは、恐らくほとんどふえていないというふうに思っています。  今、霞が関の予算のつくり方というものが、なかなか成長分野に十分な投資ができていないということが、この二十年間日本経済が成長していない、GDPは四百八十兆円のままであるという大きな原因になっている、そんなふうに私は考えておりまして、ぜひ、ICTの分野に予算を集中投資するということをやっていかなければ、我が国の成長はない、そう確信をしているわけであります。  その中で、今回のオークションというのは非常にチャンスではないかと思っています。これはもう御承知のとおり、今回、周波数オークションを実施して、コスト負担するのは携帯電話事業者であり、また、それは携帯電話を利用する利用者が負担をするということになります。そういう意味では、本来オークションに要するコストというのは、ICT利用者、つまりICTの分野に還元してもしかるべきであるというふうに思っています。  今、さまざまな財政の制約の中で一般財源ということが検討されていると聞いておりますけれども、しかし、特定財源というのが難しいにしても、このICTに予算をふやしていくということは、まさに我が国経済の成長にとって不可欠だと私は考えておりますので、何らかの手段、方法で、オークションで発生した収入、収益をICTの分野に還元するという方策を考えていただけないでしょうかということがまず一点目の質問でございます。
  195. 川端達夫

    川端国務大臣 お役所におられたときから含めて、長年にわたってこの分野にかかわってきていただいての御提言であります。  このICT自体が国にとって極めて重要なインフラであるということはもう言うまでもないことと同時に、実は経済の分野でいっても、一番大きな分野になっているということは事実でございます。  これが、いわゆる回線等々のインフラ整備あるいは機器の開発、端末機器の開発、購入、それから電波の利用を含めて、基本的には民間と個人、企業というものがこれを支えているということでいうと、必ずしも、国の予算としてそこに大量に投資されているわけではありません。メーンは、やはり研究に比較的たくさん総務省としてはお金を使っているのかなということ、あるいはモデル事業ということでありますから、ビジネスモデルという意味では、総務省が率先してお金をいっぱいつぎ込む、補助金を使うということでない部分では割に健全にいっているのかというふうに思います。  実は、私の問題意識としては、セキュリティーに関しては、国家の安全保障にかかわるという部分ではもっとお金を使わないといけないのではないかということと、人材育成、技術開発、そこら辺は、おっしゃるようにたくさんお金が要るのではないかというふうには思っております。  そういう中で、オークションの収入については、いわゆる行政刷新会議の提言型仕分けの評価結果で、一般財源化する方向で今検討させております。これは、周波数移行経費等オークション実施に係る経費は使途に含まれていますけれども、基本的には一般財源ということで所要の法案を準備しているところであります。  諸外国においても、やはり一般的には、アメリカもイギリスもドイツもフランスも、基本的には法律で一般財源にするということになっております。韓国は特定財源で、通信、放送の振興、研究、人材、放送設備発展基金等に全額入れるということになっております。  そういう意味では、一応今の方針としては、いろいろな経費は別にして一般財源化するということでありますけれども、御指摘のように、GDPの成長を一番主に担っている分野でありますので、ICT関連の予算は最大限確保するという基本姿勢は、これからも堅持してまいりたいというふうに思っております。
  196. 高井崇志

    高井(崇)分科員 私、調べたわけじゃないですけれども、例えば韓国とかアメリカは国家戦略としてこの分野をやっていて、恐らく予算も何倍だと思うんですね。ですから、もちろん一般財源ということで我々も理解をしていますけれども、何らかの手段で財務省と、ぜひ総務大臣として頑張っていただきたいということをお願いしたいと思います。  そして、この周波数オークションは、もう一つ別の意味でチャンスだと私は思っています。  それは、今、スマートフォンの急増で大変周波数が逼迫をしておりまして、二〇二〇年になったら百倍から二百倍の容量になるんじゃないか。とても今の周波数、これから第四世代とか広帯域、技術開発でどんどんあけていったとしても、到底足りなくなるぐらいの大きな大きな社会変革に今なっていると思います。  この周波数の割り当てというものを、やはりここで抜本的に見直さなきゃいけないんじゃないか。今既に割り当てられている部分でも、本当に効率的に使われているのかとか、あるいは技術革新をすれば、もっとあけたり効率的に使うことができるんじゃないかということがあると思います。  ぜひ、この周波数オークションの導入を契機にして、周波数の抜本的な見直し、再編ということを検討されてはどうかと思っているんですけれども、お考え、いかがでしょうか。
  197. 川端達夫

    川端国務大臣 本当にトラフィックが急増しておりまして、特にスマートフォン、これからの時代というと、今までは音声というか音楽の着メロというんですか、歌のダウンロードから始まったんですけれども、最近やはり動画を落とし込もう、それから、それを提供するサービスもこれからどんどんふえてくるという部分では、物すごい量でふえるのではないかというふうに言われています。そういう意味では、周波数を迅速に割り当てることが喫緊の課題であることは言うまでもありません。  一方で、世界じゅうで、幾ら使っても同じ値段というのは日本だけなんですね。そういう部分の一方の考え方も、一度整理が必要なのではないかという問題意識はありますけれども、とにかく、周波数割り当てを何とかしなければいけないということであります。  ワイヤレスブロードバンド実現に向けた周波数再編アクションプランというものを、平成二十二年の十一月三十日に策定いたしました。現在、合計で五百メガヘルツ幅の帯域を、二〇一五年までに三百メガヘルツ幅を超える帯域、二〇二〇年までに千五百メガヘルツ幅を超える帯域を新たに確保するということを目標として取り組んでおります。  このような観点から、電波法に基づいて、電波の利用状況の調査を毎年実施して、利用が少ない無線局の廃止、あるいは周波数の移行の再編を今進めているところでありまして、ごく最近では、そういうことの成果の中で、九百、七百の再編を行うことにしているところであります。  また、ことし一月に、つい先般でありますけれども、ITU、国際電気通信連合で標準化された第四世代移動通信用周波数について、三・四から三・六ギガヘルツ帯、二百メガヘルツ幅を、現在法案を検討しているオークション制度に基づいて割り当てる予定にしております。  さらに、先月二月に開催されたWRC12において、今後、第四世代移動通信システムへの周波数の追加配分について、検討を進めることを決定いたしました。  このように、積極的に周波数の再編に取り組んで、周波数の有効利用を図っているところでありますが、引き続き、諸外国との調和も図りながら、さらに進めてまいりたいと思っております。
  198. 高井崇志

    高井(崇)分科員 この問題も本当に待ったなしの問題だと思いますので、ぜひ御検討をよろしくお願いします。  それでは、全く違う観点といいましょうか、公共放送、NHKのことについてお聞きをしたいと思います。  先般、NHKでは事業計画で、来年度から受信料を七%引き下げと。これはもともと一〇%還元をするということが公約だったわけですが、結局七%になった。  これは、総務部門会議、私もメンバーで、松崎副大臣に出ていただいて、うちの党内の中でも、いや、もっと引き下げて、一〇%ちゃんとやるべきじゃないかという声は結構あったんですが、私は、実は全く違う考えで、受信料の引き下げではなくて、公共放送をもっと充実していくという観点で視聴者に還元をしてほしいということを、ずっと総務委員会でも質問し、お聞きをして、この総務部門会議でもそういう趣旨の発言をしてまいりました。  これは我が党内でもそうなんですが、あるいはNHKの中でも、経営委員会というところでの議論を見ておりますと、やはり公共放送の役割とか使命とかいうことが少し忘れられているのではないか。経営の効率化を目指すという観点ばかりが強調されて、本来、受信料で成り立っている公共放送が果たさなきゃならない使命というのが置き去りにされている気がいたしております。  実は、きょう問題提起をしたいのは、このNHKの経営委員会という組織です。私は、これは極めて珍しいというか、例のない組織だと思っていまして、経営委員会の経営委員長がNHK会長を任命するということになっておりまして、その経営委員長がいろいろな経営のことにも口を出すというか、どちらがトップなのかよくわからないというような関係になっています。  それで、NHKや総務省に同じような組織があるのかと聞いたら、日銀とJRA、中央競馬会が似ているんですと。  私、ちょっと調べてみましたけれども、日銀は政策委員会というのがあります。しかし、日銀総裁より偉い人がいて日銀総裁を決めるわけではなくて、日銀総裁が議長をして、日銀総裁と副総裁二名が入って政策委員会というのが成り立っていますし、JRAも、理事長というのが経営委員長のほかにいますけれども、理事長は農林水産大臣が任命をするということになっていて、やはりトップというのはいずれも明確だ。  あとは、公共放送という観点でそうなんだという意見もあって、イギリスのBBCも調べてみました。確かに、恐らくBBCを模してNHKの経営委員会というのもつくったんだろうなとは推測されるんですが、BBCの場合は、通例は経営委員長も執行側、日本でいえば、NHKの会長が委員長兼務をしているというのが通例だというふうに聞いております。  そう考えると、このように、経営委員長とNHK会長というのが別々にいて、どういう関係なのかわかりにくい。  また、今、NHKは両方とも外部の方が来て、確かにNHKはいろいろな不祥事があったりして、効率化を図らなきゃいけないという観点で、民間のそういった観点を導入しようということは大変よくわかるんですけれども、しかし、先ほど申し上げましたとおり、NHKの公共放送の使命というものを考えると、やはりNHK、公共放送というものに長年携わった、精通した人が会長なり経営委員長を務めていないと、これはうまくいかないんじゃないかというふうに私は考えているんです。  そうした観点から、公共放送に携わっていない、そういった経営委員会が、NHK経営の根幹にかかわることに決定権を持つという今の体制について、どのようにお考えになっているか、お聞きしたいと思います。
  199. 川端達夫

    川端国務大臣 いろいろな議論と経過の中で今のこういうシステムができ上がりました。国会でも法律もお決めいただいて、できている。  議論の中で、公共放送の使命というのと効率化した健全な経営をするということは、別に二者択一ではなくて、両方ともしっかりやってもらわなければいけないことだというふうに思いますし、片っ方だけよければいいというものではないことは御指摘のとおりだというふうに思っています。  そして、これは、最高意思決定機関が経営委員会です。ですから、ほかに例がないとおっしゃったんですけれども、民間企業は基本的に、いわゆる取締役会という最高意思決定機関と執行役員という執行する部分というふうなことで、イメージとしてはそういうものがあるのかなと個人的には思っておりますが、そういう部分で、最高の意思決定機関の経営委員会と業務を執行する執行部というのを分離する、異なる役割ということで、適切な緊張関係で緊密に協力して、それぞれが職責を全うして適切な業務運営をするようにという趣旨でやっていただいております。  もともとは、経営委員会は創設当初から、予算や事業計画の議決といった重要な役割を担ってきましたけれども、平成十九年の放送法改正により、ガバナンスの強化の観点から、会長等執行部に対する監督権限の明確化、監査委員会制度の導入が行われて、その果たすべき使命の重要性を大変強くしたのが事実でありまして、全てのNHKに関する責任は経営委員会が持っている、その監督、監視のもとに、執行部である会長以下が執行するということであります。  そういう意味では、経営の効率化と、先ほど申しましたように、公共放送として果たすべき重要な使命を担い得る人材を、政府として、国会同意というプロセスを経てやる、まさに国民のためのNHKということをそういう制度で担保したということであります。経営効率でもうかることだけを考えるということではなくて、そういう部分のチェックも含めて国会で選んでいただいているということでありますので、車の両輪としてしっかり両者がやっていただきたいと思います。  と同時に、経営委員は、業務執行は行わないことを明記する、加えて議員修正で、個別の放送番組の編集が業務執行に含まれる旨をさらに明確にして、放送番組編集の自由に抵触する行為を行ってはならないということで、まさに番組の中身に関しては会長以下の執行部に任せて、逆に関与してはいけないということを含めて、いわゆる公共放送という意味の番組編成に関しては、経営側は一線を画すということの整理もしております。  一方で、受信者の意見、苦情をNHKの経営に反映するという仕組みとしては、経営委員会で受信者の意見の聴取、今は視聴者と語る会ということで、そういう感性を持つということで、両方が役割を持ちながら、みんなのための公共放送をやっていただくということで、私は、今それぞれに頑張っていただいていると思っております。
  200. 高井崇志

    高井(崇)分科員 この問題は非常に難しいというか、私も大きな提案をしたつもりですので、また今後、引き続き議論をさせていただきたいというふうに思います。  公共放送の充実という観点では、私、実はNHKの放送番組をインターネット上で無料で同時に流すということもぜひやってほしいと思っていまして、私、地元が岡山なんですけれども、よく岡山のローカルニュースが東京にいても非常に気になって、見たいんですけれども見られないんですね。だけれども、地球の裏側のアルジャジーラの放送はインターネットで見られる。イギリス、それこそBBCとかほかの国ではインターネットで今見られる状況になっていて、やはりこれは、放送法の改正が一つ必要なので大きなテーマだと思います。  もう時間がなくなってきたので、これは質問ではなくて御提言ということにさせていただきたいと思います。  そして、次の質問に移りたいと思います。  今、私、行政改革調査会の中で予算・決算透明化ワーキングというのに入っております。そこで今議論されているのが、日本の公文書制度あり方について、これが実は日本は非常におくれている、十年ぐらい諸外国に比べておくれているというふうに言われています。  今欧米では、デジタルアーカイブを充実させることで、公文書館と図書館と博物館のMLAの連携が非常に活発になっていて、我が国でも今、東日本大震災アーカイブプロジェクトというのを総務省でも第三次補正予算で取り組んでいただいて、これは非常にすばらしい取り組みだと思っているんですけれども、このデジタルアーカイブを今後どう推進していくかという中で、今現在、総務省でパブリックコメント中の知のデジタルアーカイブ研究会というのがあって、筑波大学の杉本教授が提言しているガイドライン、これが今後非常に重要になってくると思っています。  御質問したいのは、公文書館、図書館、博物館のデジタルアーカイブの構築、連携に向けて、特に地方自治体を巻き込んでの取り組みが非常に重要だと考えておりますけれども、総務省は地方自治体も所管をしておりますので、このデジタルアーカイブ、今後具体的にどのように取り組んでいかれるのか、お聞きをしたいと思います。
  201. 佐藤文俊

    ○佐藤政府参考人 今御指摘のありました、美術館、博物館などのいわゆるMLA機関がデジタルアーカイブを構築して、その間の連携を進めていくということは大変大きな意義があるものと考えております。  こうした機関が保有する貴重な情報がネットワークを通じて広く流通していくということになりますと、過去から蓄積された知的資産を確実に未来に継承するということですとか、我が国の知的活動の水準が高まっていくということ、さらには地域の振興や新しいビジネスの創出などの可能性も開けていくということで、さまざまな効果が期待されるものと考えております。  そうしたことから、総務省におきましては、平成二十三年二月から、関係者に集まっていただきまして、知のデジタルアーカイブに関する研究会を開催してまいりました。この研究会では、この二月に一通りの検討の取りまとめを行っております。  その一つは、デジタルアーカイブの構築、連携を支援するガイドラインの案を策定いたしました。それから、デジタルアーカイブを支援する人的なネットワークの設立でありますとか、専門家の育成、あるいはクラウド化の推進などを内容とする提言案も同時に取りまとめております。今、これらについては、広く一般の意見を募集しているところでありまして、三月末には正式の取りまとめに至る予定となっております。  総務省としては、この研究会の成果を最大限に生かしたいと考えております。全国の地方自治体関係者に対しては、ガイドラインの周知、普及を図っていきたいと思います。また、提言の中にありますような、地域の図書館、博物館、公文書館等を支援する枠組みについても、これを構築していくというような取り組みも進めていきまして、知的活動を支えるデジタルアーカイブの実現に向けた施策を着実に実施してまいりたい、このように考えております。
  202. 高井崇志

    高井(崇)分科員 この分野は、今、情報通信分野の統括官がお答えいただいたと思うんですけれども、実は、公文書館とか図書館、博物館というのは、地方自治体が運営しているところが大半でございます。ですから、地方自治体にいかにこれに協力してもらうかというのが非常に重要で、そういう意味では、総務省の中でも自治部局というんでしょうか、そちらの方でもぜひ一生懸命取り組んでいただきたいということをお願いしておきます。  それでは、次の質問でございますが、光の道構想について御質問をさせていただきます。  光の道構想、原口元総務大臣のときに、二〇一五年までにブロードバンド利用率一〇〇%ということを目標に掲げた構想でありますけれども、しかし現時点では、FTTH、光ファイバーの加入者の数というのは二千百万くらいで、全世帯の大体四割程度ではないかと思います。  先日発表されたNTTの事業計画でも、年間のBフレッツという光ファイバーサービスの加入見込みは百四十五万加入ということで、ピーク時は二百七十万加入ありましたから、半分近く減ってしまっているということでございます。  こうしたことを考えますと、どこに原因があるのかということでございますが、一つは、やはり競争政策がまだまだ十分でないのかなと。特に、DSL事業者のようなところがFTTH市場に参入してくるというのは、なかなか今は難しい状況になっていますけれども、競争政策という観点から今の状況をどのようにお考えになっているか、お答えください。
  203. 松崎公昭

    ○松崎副大臣 この部門に非常に造詣の深い高井先生、よく御存じだと思いますけれども、民主党政権になりましてから、特にブロードバンド普及は非常に力を入れてきたということで、二〇一〇年の十二月には基本方針をつくりました。また、工程表も同じ十二月につくったわけでありまして、公表しております。  その中での大きな観点というのは、条件不利の地域あるいは未整備地域における光ファイバーの整備を進めなきゃいかぬ、それから、事業者間の競争を促進して、料金の低廉化やサービスの向上を実現する公正な競争環境をつくるということ、それから、医療、教育、行政などの国民生活に身近な分野にこのICTの利活用を促進していくんだ、そういうような観点から進めておりますことは御承知のとおりだと思います。  このうち事業者間の公正競争を促進するための競争政策というのは、この前の通常国会において、NTT東西の機能分離等を実施するための法改正を行いました。そして、昨年の十一月から施行されております。  また、昨年の三月には、ブロードバンドの普及促進のための環境整備あり方についての情報通信審議会の諮問、そして十二月二十日に答申を受けました。現在、答申を踏まえまして、さまざまな制度の見直しに取り組んでおります。  今までの取り組みの結果、超高速ブロードバンドの未整備地域は、設備的には五%未満まで縮小しております。また、料金につきましても、NTT東西や競争事業者において長期の割引プラン、これはいろいろ問題があるかもしれませんけれども、長期割引のプランの導入が進む、そういうことによって低廉化を進展させるということもやっております。  引き続きまして、ブロードバンド普及促進のために、競争政策を促進するように頑張っていきたい、そう思っております。
  204. 高井崇志

    高井(崇)分科員 ありがとうございます。  先ほど、スマートフォンの普及が進んでいるということが、これは実は、固定通信の光ファイバーがスマートフォンにシフトしているということですね。ですから、ここを本来、無線、移動通信というのは移動するときに使っていただいて、家の中とか屋内にいるときはできるだけ固定通信になるように、何とかうまく誘導することを考えていただきたいと思いますが、もう時間もあれですから、これは私から御提案をさせていただいて、ぜひその辺の御検討もお願いしたいと思います。  最後に、マイナンバー制度について質問をさせていただきたいと思います。  社会保障と税の一体改革の中で番号制度が進んでおります。総務省は共管ということなんですけれども、実は、私がICTの関係する皆さんとお話をしていると、今の現行法では社会保障と税に限るということなんですけれども、いずれ将来的には、やはりこのICTを広く、民間利用も含めて、あるいは行政機関でも幅広い行政で利用してほしいという声が非常に強くて、ぜひそこは、特に情報通信を所管しておられる総務省では積極的に考えていただきたい。  今、ちょっと私が見る限りでは、まだまだ、総務省の中の旧自治省、自治部局では今このマイナンバーに一生懸命取り組んでいますけれども、情報通信部局でそういったものに十分取り組んでいく体制になっていないんじゃないかなと。  これは将来のことですから、後で考えればいいということかもしれませんけれども、しかし、システムをつくるときにやはり将来も見据えたものをつくっておかないと、いずれまた将来、では拡張するぞ、民間利用するぞといったときに、また一からシステムをつくり直すのか。これは大変なコストの無駄になりますから、ぜひ、そういう将来も見据えて、総務省はこのマイナンバー制度に取り組んでいただきたいと思うんです。  そのあたり、今、将来の民間利用なども視野に入れて、総務省としてどういう取り組みを考えておられるのか、ちょっと御所見をお伺いしたいと思います。
  205. 松崎公昭

    ○松崎副大臣 高井先生よく御存じのとおり、このマイナンバー制度は、社会保障と税の一体改革から特に今進んできております。  おっしゃるとおり、この制度をうまく活用して民間にも使ってくれという意見は、これから相当出てくると思います。ただ、個人情報を保護しながらやっていくというなかなか重要な問題を含んでおります。  ただ、総務省としても、今は税と社会保障の方に特に重点が置かれておりますけれども、今後、民間分野でも多分どんどん出てくると思いますので、そういうニーズを踏まえまして、この活用に関してどういうニーズがあるかをよく確認しながら、慎重に、しかもしっかりと取り組んで可能性を探っていきたい、そう思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  206. 高井崇志

    高井(崇)分科員 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  207. 若泉征三

    若泉主査 これにて高井崇志君の質疑は終了いたしました。  次に、豊田潤多郎君。
  208. 豊田潤多郎

    ○豊田分科員 新党きづなの豊田潤多郎でございます。  私は、きょう、川端大臣に二問、基本的なことでお伺いをしたいということで、既に質問要旨はお渡ししてありますが、地方公共団体における行財政改革、これが第一問、それから第二問は郵政改革ということで、非常にテーマとして大きなものでございますけれども、きょうは、批判的な立場というよりも、大臣協力的に、ぜひいい御答弁というか前向きの御答弁をいただきたいということでお伺いしたいと思います。  まず、第一問の地方公共団体における行財政改革でありますけれども、私がこのことを御質問するというのは経緯がございまして、ほぼ二年ほど前になりますけれども、私が予算委員会に所属をしておりましたときに質問に立たせていただいたそのときが、ちょうど今の枝野経産大臣行政刷新の担当大臣になられたその当日でありまして、その玉突きで仙谷さんが行政刷新からたしか戦略担当大臣になられたときだと思います。それと、あと財務大臣、もちろん菅前総理でしたけれども。  そのお三人にいろいろ質問をさせていただいた中で、私は、行財政改革というのは、国ももちろんですけれども、地方においても大変重要な課題ではないか。特に、国債の発行残高も大変なものですけれども、地方債の発行残高も、それに負けず劣らずかなりのウエートを占めている。こういう中で、国だけではなく、地方公共団体も一体となってやるべきではないか。特に、今、大阪あたりで、大阪市と大阪府の無駄を省くということで橋下市長が頑張っていますけれども、非常に二重行政、三重行政の無駄があるのではないかというふうに私は思っているわけです。  そこで、仙谷さんにというか、担当がたしか仙谷さんだったのでお尋ねしたんですが、お答えは、非常にいい指摘で、もちろん地方も含めて、国と地方の一体改革でやりますということをおっしゃっていたんです。  まず、大臣にお聞きしたいのは、その当時は川端大臣は文部科学大臣でおられたと思うんですけれども、所管外かもしれませんが、ぜひ、その当時の検討、それ以降というか、それ以前からも含めですけれども、政府として、地方の行財政改革をどういうふうに進めるべき、あるいは進めてこられたのか、その辺をちょっとまず最初にお伺いしたいと思います。
  209. 川端達夫

    川端国務大臣 よしあしの評価はいろいろあるんですが、いわゆる小泉構造改革で三位一体改革というのが行われました。平成の大合併ということと同時に、これはかなりショック療法なのかなというふうに思いますが、いわゆる地方交付税をばっさり切るということで、お金がないんだからみんなで死に物狂いでやってくれ、財源は移すからということだったのが、実は余り移らなかったこともありましたけれども、それが一番のきっかけとなって、地方は地方なりに、非常にせっぱ詰まった努力をされた。それが結果として、大変疲弊した部分も実は生みました。  そういう経過がありましたけれども、やはりその中で、私の感じとしては、地方は、一定の方向性はあっても、国から余り強制したりするのは非常に弊害も生むということの中で、できるだけ地方の自立、自主性に任せる中で頑張ってほしい。そのときに、身近な地方の行政はできるだけ身近な地方自治体が責任を持ってやってください、それで賄えない部分広域の自治体、最終的には国という補完性の原則というものを含めて、地域主権改革というものが民主党政権の一つの大きな柱になりました。  それの一環として、義務づけ・枠づけとかいう部分でいろいろなことを地方に権限を渡す、あるいは一括交付金化をしてできるだけ自主的に使えるようにするというふうな方向で地域自主性を促していく中で、一定の改革というのは、地方において、正直言って濃淡はあると思いますが、進んできているというふうに思います。  今申し上げたように、政権交代時期に地域主権改革が一丁目一番地だということでの施策がスタートしたということは大きかったと思いますけれども、その大枠以上の部分は、仙谷さんのもとでやっておられた部分では、それ以外に、もう少し個別具体の部分でいうと、ちょっと今御答弁できかねますけれども、そんな感じです。
  210. 豊田潤多郎

    ○豊田分科員 私は、予算委員会、それから今は財務金融委員会に常任委員会は属しておりますが、そこでいろいろと質問に立っておりまして、また、昨年の暮れに民主党を離党し新党きづなを結党したわけですが、そこの一番大きな理由は、また質問をさせていただいている趣旨は、消費増税の前にやるべきことがあるであろう、これを訴えてきているわけです。  社会保障と税の一体改革というのもおかしい。社会保障だけが何も税の対象じゃなくて、社会保障を含む聖域、社会保障は聖域ではない、私はもっとメスを入れるべきところがあると思っていますが、その社会保障を含めた歳出全般と、それから、何も消費税だけが歳入ではないので、税外収入や政府の保有株、いろいろ今、たばこだとかあるいは郵政とか言われていますけれども、そういう税外収入もできるだけ増額をし、そして、そのほかの税とのバランスも考えながら最終的に消費税の増税が出てくるという話が、切り口が全く、菅前総理の、去年の六月スタートした時点から、社会保障と税でてんびんにかけて、社会保障と消費税だと。そして、社会保障を受けたければ消費税の増税はやむを得ないだろうという二者択一の、二者が択一できない、自由選択できない、結論ありきの、消費増税ありきのそういう提案の仕方、切り口で物事が進んできているということがおかしいのじゃないかと。  一月のNHKの世論調査でも、七一・二%という数字が、消費増税の前にやるべきことがあるであろう、そういう国民の声が七割以上あるわけです。消費税を上げるべきではないというのは一三・六ありまして、合わせると八四・八%。そういう方々がやはり消費税に反対をしている、あるいは、消費税を上げる前にはやることがあるであろうということを言っているわけですので、これを今野田総理が進めておられるというのは、私はちょっと反省をしていただきたいということと、川端大臣に申し上げたいことは、地方だって、今回消費税増税で地方に財源が行くわけですから、当然地方も、財源をもらうのであればその前にやるべきことがあるのではないか、これが私の基本的な立ち位置というか考え方なんです。  そこで、二番目に、総務大臣としてお答えは、今のお答えで満足できない部分もありますけれども、政府として、一体、取り組んできたのかどうかという、私も役所に長い間いまして、国と地方の関係というのは難しいこともあります。大臣がおっしゃるように、なかなか、国で決めたから地方がすぐそれに従うとかあるいは強制できるというものではありませんけれども、まず二つに分けて、法律事項と、法律でない、今の行政指導というのも役所間でどうかと思いますが、法律によらずしてすぐできる地方向けの行財政改革のプランと、それから法律で、法律なら何でも、衆参のところで成立すれば国の権限でできるわけですから、法改正をしてでもやっていこうという地方の行財政改革。  やり方としてはこの二つ、法律によらないもの、法律によって最終的にやるもの、こういうふうに分けられると思うんですが、この二つの観点から、特に今、法律に頼らなくてもできるような、何か有効な手段というものは、大臣、お考えがございましたらお聞かせ願いたいと思います。
  211. 川端達夫

    川端国務大臣 大変難しいお問いでありまして、法律によらないというか、基本は、地域主権を標榜するということは、地方のことはできるだけ自前でやるようにということでありますから、その部分で、例えば小泉改革というのは、財政的に締めたといいますか、削って渡さないということで何とかしろよということでした。これは、お尻に火がついたというか、せっぱ詰まった部分では、もう生きていけないということでは相当無理をされた部分がありました。それは結果として、やはり行政サービスの低下をもたらすと同時に、前向きなことが何もできない、守るだけでも守り切れないみたいな状況であったということであります。  そういう意味では、これも別に、だからこれが法律によるのかよらないのかという、財政措置はいろいろありますけれども、そういう意味の反省も含めて、やはり地方はできるだけ自分たちでできることを自律的に自己責任でやってほしいという国の形であるべきだというのが民主党の基本的な部分です。  そういう意味では、みずからの部分では相当御努力もされていると思います、先ほども言いました濃淡はありますけれども。その中で、行財政改革というときに、法律によらないという意味では、これはやはり、そんな生ぬるいとおっしゃるかもしれませんが、それぞれにやっておられるいろいろな事例はあります。  そういうことと、それから、独自に取り組むときの取り組みやすい環境整備というのがありますし、義務づけ・枠づけの見直しに関しても、これは最終的には条例でありますので、自主的におやりになるというときの条例の取り組み方によっては、実は、非常に前向きに何とかやろうというところと余り関心のないところで濃淡が出てしまうということがあります。やはり、いろいろな部分でのテクニカルなことを含めた情報の共有化と先行事例の周知というのは非常に大きな手段としてある。  基本はやはり、自律的に、自主的にやっていただきたいというのが大きなベースでありますので、法に基づかないという、法ではこれは強制ですから、法でやるものももちろんありますが、そういう形の中で取り組んでいくということ。  ちょっと問いが難し過ぎて、どう答えていいのか戸惑っておりますけれども。
  212. 豊田潤多郎

    ○豊田分科員 それでは、具体的に二つちょっとお聞きします。  一つは、私が予算委員会でも申し上げました一括交付金制度、これを、今のひもつき補助金から一括交付金にできるだけ大きく移行していくべきではないか。これは別に法律はそんなに要らない、中には法律を変えなきゃならない部分もあるかもしれませんが、行政裁量、予算措置でかなりできる。  私もその昔、中小企業の予算を担当していたときに、当時、農水省の担当主査と連動して、一部の補助金を一括交付金に変えたことがあります。そういうこともやってきましたので、当時はまだそれは非常にはしりで、一括交付金なんというと役所が反対してどうしようもなかったんですが、それを、強引に通産省を押し込めてといいますか、やり込めて一括交付金化した経緯があります。今は非常にそういうムードが高まってきているところでもありますし、それから、仙谷さんが、たしかシンクタンクかなんかをやっておられる、民主党の中の機関で聞き取り調査をされたところ、地方の重立った首長に聞き取りをされたら、今の行政サービスを低下させないという範囲で、ひもつき補助金ならそれの七割の一括交付金にしてもらえればやれると。それは精査しないと、いろいろな補助金がありますから、なかなか一概には言えないかもしれませんが、そういうふうに首長さんが言っているという話があります。七割ですから、掛け値があるでしょうから、もっと絞れば実際には六割とか五割でできるかもしれない。  そういうことからすると、例えば、一括交付金制度をどんどん導入していくということで、経費の削減も図れ、なおかつ地方の活性化につながる。民主党として、与党として、一石二鳥のやり方ではないかという気が私はするんですが、そこになかなか踏み込んでいかない。やっているやっていると政府はおっしゃいますけれども、桁が一桁違うんじゃないか、三千とか五千とかという話で。  それじゃなくて、兆単位で出すぐらいの、二十兆ぐらいの補助金があるわけですから、精査すれば恐らくかなりの、兆単位でそういう一括交付金に持っていけるという思いが私はあるんです。それの七割であれば、あるいはうんと絞って五掛けであれば半分ぐらい浮くわけですから。そういう形の、国と地方両方での行財政改革ということもできるのではないかというのが一つ。  もう一つは、地方公務員の給与、これも、前、大臣がおっしゃっていて、各地方公共団体、自治体で決める話ですからという話はありましたけれども、もしあれなら、今回、国家公務員が七・八%、二年間にわたり給与を削減される。それは復興の財源ということではありますけれども、本来の民主党の、二年半前に国民の皆さんにお約束したのは、公務員の総人件費二割カットですから、しかも、前原政調会長も、とてもこれは二年で終わるわけではない、安住財務大臣も、二年で終わるわけではない、二割カットに向けてこれは当然やっていくんだということをおっしゃっているわけですね。  そうすれば、地方公務員だって、逆に今、地方と国だったら地方の方がよ過ぎるという話もありますし、随分天下りをしていますし、私は京都の出身ですが、京都の地方公務員が昼間からパチンコに行ったり、テニスをしたりというような事例だってあったという。それは一部の人かもしれませんけれども、そういうふうな、何か規律が緩み、かつ、そういうところに多額のお金を出している。しかも、これは京都市の事例ですけれども、交通局の職員、バスの運転手さんが一千万もらっているんですね、一千万以上。大阪市はもっとひどいというふうに聞いています。  こういうところにもっとメスを入れる方法があるんじゃないか。場合によっては、地方公務員も含めた、国家公務員、地方公務員給与一括何とか法案というような形で、上限を決めるとか、あるいは、何千万、例えば二千万とか一千五百万以上もらっている人は一五%、二〇%カットする、四百万とか三百万の人は五%ぐらいに据え置くというような形を、国家公務員だけじゃなくて、地方公務員も含めた法律という形だって、やろうと思えばできると僕は思うんです。  そういうことで、一つ、一括交付金制度への移行の話と、もう一つは地方公務員の給与の削減、この辺の二つの点から、ぜひ大臣にお考えをお聞かせいただいて、厳しくメスを入れていただきたい、このように思うんですが、いかがでしょうか。
  213. 川端達夫

    川端国務大臣 一括交付金の話、今言われた七割、多分、私の記憶では八割じゃなかったかなというふうに思いますが……(豊田分科員「七割と聞いています」と呼ぶ)七割ですか。  要するに、例えば知事会の皆さんとかが、大分前、まだ我々が野党のときだったと思うんですが、一括交付金にしていただければ、減らしてもらっても自由に使わせてくれたらいいですよというお話はあったことは事実です。最近はおっしゃっていません。その分はもっとふやせというお話しかありません。それは、言っていませんというのは、地方の皆さんが言っておられませんという。  一括交付金は、制度の枠を対象も含めてふやしてほしいということと、額をふやしてほしいということでありますが、配分の仕組みにも原因するんでしょうけれども、自由にさせていただければ額が減ってもいいという議論は、最近は皆さん方からはありません。  それで、今少ないじゃないかということで、五千億から今回六千数百億、沖縄を入れて八千億ということでふやしてきましたけれども、一定評価はしていただいているんです。大蔵省におられた部分で感覚的にはおわかりだと思いますが、この総額をいかにふやすかというときの、私は担当大臣として、各省庁折衝という部分でいえば、半端でない難しさがある中を、何とか地方との接点を見つけるべくやってきたという部分では、なかなかハードルは高いことは事実ですが、方向としてはできるだけふやしたいというのは、私もそう思っております。  一方で、地方公務員の給与の問題でありますけれども、ラス指数自体は九八・八ですので、全国平均でいえば、これも濃淡はあると思いますが、一〇〇は切っております。それは逆に言えば、それだけ地方の皆さんは、この一連のここ数年来、相当努力をされたんだというふうに思います。  その中で、国家公務員の給与はまさに国が決めますから、みずからが決めるという立場で削減する法律がこの前通りました。ただ、地方公務員に関しては、地方自治法で、みずからが条例で決めると。国や民間団体地域の経済状況、それから人事委員会勧告等を総合的に判断して条例で決めるというのが法の趣旨でありますので、地方公務員に関しては、国は、先ほど言われたように、こっちが決めてやるということではなくて、求める立場であって決める立場ではないというのは御理解いただきたいんです。  その前に、公務員、今度は七・八%を二年間で、臨時の特例財源としてやりました。これは、前原さんや安住さん等々がいろいろ、きのうもどなたかテレビでおっしゃったという報道がありましたけれども、今の国家公務員の給与は、原則として人事院勧告に基づいた民間準拠で決めるということですから、これ以外の方法で上げたり下げたりすることは基本的には想定をしていない制度です。  したがいまして、これから今、国としては、国家公務員の関連四法案ということで、自律的労使関係を構築して人事院制度を廃止して、国と労働団体の労使交渉で自律的に給与を決めるということを提案しています。これはまだこれからどうなるかわかりませんが。  この仕組みが構築されれば、現下の厳しい経済状況、財政状況の中でこれからの給料をどうするかということは、そこの協議を踏まえて国会の議決で決めるということができますけれども、これができていないと、人事院勧告に基づくということでいえば、今の七・八%の部分をずっと続けてやるということは、完全に憲法にも違反するということになりかねないという難しさがあります。  そういう中で、二年で期限が切れますから、二年後にどうするかは、来年の人勧がどういう形で出るのかも踏まえながら、そしてこの四法案の行方、自律的労使関係の法律がどうなるかを見据えながら、政府としてどういう給与法を国会に出すかという判断であります。機械的に決まっているわけではないという部分では、政治判断ができるという状況は、そのときにせざるを得ないと思っていますが、地方は同じ状況を地方独自で考えるわけですから、なかなかこれを国が一気にやるというのは、まさに地域主権だというときには、そう簡単な話ではない。というより、むしろやるべきでないと私は思っております。
  214. 豊田潤多郎

    ○豊田分科員 大臣のおっしゃることも私はよくわかりますし、理解できるところですけれども、要するに、今の法制度、体制のもとでやろうとする、延長線で考えれば大臣のおっしゃるようなことになるわけでして、思い切って立法措置でやっていくという立場に立てば、私はかなりのことができると思います。  例えば、最近、大阪の橋下市長が、道州制の導入だとかあるいは二院制の廃止、参議院の廃止というようなことも言われ、参議院廃止か二院制を一院制にという話だと思いますが、そういうことは、確かに憲法を改正しないとできないということはなかなか難しいことですので、方向性、ビジョンとしてはわかっても、現実問題としては無理だ。  しかし、憲法の中で、その枠組みの中で、例えば今の国と地方の関係のあり方というものは、法制度整備すればかなり私はできると思うんです。地方自治ということで、それは地方自治体に任せるのもいいかもしれませんが、行財政改革については国と地方と一体としてやっていこう、そういう法案の手当てをすれば、その部分においては、人件費なり一括交付金の制度なり、あるいはその他のいろいろな、第三セクターだとか何とか公社とか、地方もいっぱいつくっていますけれども、そういうものの廃止だとか、そういうことは投網をかけるような形で私はできると思うんですね。  ですから、川端大臣お一人でこれができるとは私はとても思いません、政府が、各省庁全部連携して、ましてや戦略担当大臣等が引っ張っていかなきゃならないのかもしれませんけれども、ぜひこのことを私は強く申し上げて、特に地方自治を担当されておられる川端総務大臣に、できるだけ前向きの姿勢で、法改正も含め、あるいは新たな立法措置も含め、地方の行財政改革に取り組んでいくんだ、この姿勢をお示しいただければと思います。  済みません、あと五分ということになりましたので、もう一つ。残りわずかになりましたが、ちょっと郵政改革の話をお聞かせ願いたいと思うんです。  郵政の問題は、二年半前にマニフェストでも民主党は約束をし、それがなかなか実現できずに今ここまで来ている。それは自民党や公明党の動きもあってのことだとは思いますけれども、震災のときでも、郵政改革が進まないことでいろいろな弊害が出ている。例えば、東日本大震災の被災地において、郵政事業の分社化の弊害が顕著になっている、それからまた、流失とか倒壊した郵便局施設等の復旧、再建についても、先行きの会社形態の姿が見通せないということから、どういうふうに具体的なプランを立てていいのかわからない、こういうことが指摘されているわけです。  震災を受けたところでは特にこういう問題が大変顕著にあらわれているかもしれませんが、同様な話は全国津々浦々で、一体、郵便局あるいは郵政、郵貯、簡保、どうなるんだというのが、郵便局の窓口に行くと、私も、顔見知りの郵便局長さんなんかに、何とかしてください、先生、民主党でしょうと言われて、いや、今はもうきづなになっちゃったんですけれどもという話をしているんですが、きづなも同じ考えです。郵政改革はきちっとしないと禍根を残すことになると思いますので。  時間がだんだん迫っておりますが、大臣見解、御所見と、それから、どういう方向に持っていったらいいのかというのをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  215. 川端達夫

    川端国務大臣 基本的な認識は一緒でありまして、震災で顕著になりましたけれども、省庁の壁を破らなければならない、縦割り行政の弊害とよく言いますけれども、何か民営化によって、結果として、分社化して縦割りの弊害を新たに生み出したということが、サービスの低下や、災害時も含めて、何か自転車一台借りるのに山盛りの手続が要るみたいな、信じられないことが起こった。しかも、せっかく長年にわたって明治以来築いてきたいわゆるユニバーサルサービスのネットワークが、このままだと潰れてしまうのではないかという危機的な状況にあるというふうに思っております。しかも、先行きの経営形態がはっきりしないということで、特に郵便事業を含めて大変厳しい経営環境の中で、どうしていくのかの絵もはっきり描けないという状況であります。  基本的には、そういう認識の中で郵政改革法案を出しましたけれども、やはりそれぞれ、いろいろな経過といろいろな議論がある中で、今、各党間でかなり熱心に御議論をいただいているので。今の基本的な認識はそんなに変わらないと思うんですけれども、一部、いわゆる小泉改革の流れから見たときの株式の保有のあり方と、しかし一方で、ユニバーサルサービスは堅持しなければならないということに関しては意見が一致しているというぎりぎりのところにあると思います。中身に関して余りコメントすると、また波風立ててはいけませんが、できるだけ合意を得て、早期に成立させていただきたいというふうに思っております。
  216. 豊田潤多郎

    ○豊田分科員 まさに大臣が今おっしゃられたように、難しい点があると思います。  私どもは、郵貯、簡保、金融二社のユニバーサルサービスをぜひ担保するということと、金融二社が容易に新規業務を展開できるような仕組みをつくっていただきたいという思いがあるわけですけれども、もう一方、私は税外収入をふやせという持論を持っておりますので、郵政の株をできるだけ早く売却し、できたら株価の高いときに政府の保有株を売却して財政の手当てに充てたい、財源に充てたいという思いがあるんです。それをどの程度の割合にするか、完全にやってしまえば、民有化というかまさに民間になっちゃいますし、ある程度やはり国の規制なり、一体に進めるという国の方針に沿う必要も私はあると思います。  そういう思いがあるということを申し上げまして、最後に、大臣にもう一度郵政改革に取り組む決意をお聞かせいただいて、質問時間が参りましたので、質問を終わりたいと思います。お願いします。
  217. 川端達夫

    川端国務大臣 改革の必要性は共有していただいているというふうに思いますし、時間的余裕が全くないという状況になっていると思いますので、株式の売却の資産活用も含めて、不退転の決意で取り組んでいきたいし、何よりも、今、政党間協議に委ねておりますので、できるだけ各党、その趣旨で合意を得ていただくように期待をしております。
  218. 豊田潤多郎

    ○豊田分科員 どうもありがとうございました。
  219. 若泉征三

    若泉主査 これにて豊田潤多郎君の質疑は終了いたしました。  これにて本分科会審査は全て終了いたしました。  この際、一言御挨拶申し上げます。  分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げる次第でございます。  これにて散会いたします。     午後六時五十五分散会