○高木美智代君
公明党の高木美智代です。
私は、
公明党を代表して、ただいま
議題となりました
国家公務員制度改革関連四
法案につきまして、野田
総理大臣並びに担当
大臣に対して
質問を行います。(
拍手)
まず冒頭に、会期末まで残り二十日間という押し迫った時期に、重要
法案である
国家公務員制度改革関連四
法案を、なぜ今ごろになって
議論を開始するのでしょうか。
しかも、参議院で問責決議した二人の
大臣が依然として居座り続けている中、一向に、前に進まない、決められない
国会運営は
改善されず、予算関連
法案を含めて八割近い
法案が不成立という異常事態です。参議院の問責決議という
国会の意思を軽視する不遜な姿勢は、
国民軽視そのものであると断じざるを得ません。
総理、改めて伺います。
問責決議の二
大臣をこの期に及んでもかばい続け、会期中に更迭の決断もなさるおつもりが本当にないのか、明確にお答えください。
また、本
法案について巷間言われていることは、七・八%の
給与削減と
労働基本権の
付与と、セットで取引したということです。事実かどうか、
答弁を求めます。
国家公務員制度改革につきましては、現在我が国が直面する広範かつ重大な
課題に対し、我が国の
行政システムが十分に
機能し、
国民の期待に沿う効果を上げることができるよう、
改革を進めなければなりません。
改革に当たっては、
政治主導の名のもとに、かつての利益誘導のような古い
政治体質を温存したり、時の
政権政党の言いなりとなって仕事をするような、いびつな
行政システムを生み出す改悪であってはなりません。
一党派や一省庁の利益のためでなく、
国家公務員が全体の
奉仕者として
国民のために
勤務する基盤を整えるための
改革が必要です。特に、
政治的中立性を保つべき
事務次官以下の
一般職が、時の
政権政党の顔色を見ながら仕事をするようなことがあってはなりません。
職業
公務員の
政治的中立性について、
総理のお
考えを伺います。
次に、
自律的労使関係制度について伺います。
公務員制度改革基本法第十二条では、「政府は、
協約締結権を
付与する
職員の
範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を
国民に提示し、その
理解のもとに、
国民に開かれた
自律的労使関係制度を
措置するものとする」とあります。
このように
規定した
趣旨は、
公務員の
労働基本権の拡大が
国民生活に重大な影響を与える
可能性があるため、
国民の十分な
理解のもとに進めなければならないとの
趣旨であります。
今回の
制度改革案は、どのようにして
国民に提示したのでしょうか。実施されたパブリックコメントは、ほとんどが反対意見ではありませんでしたか。これで、
措置するための条件が整ったとお
考えなのでしょうか。また、便益とは何か、費用の中身及びその量について、具体的にお示しください。担当
大臣に、明快な
説明を求めます。
次に、ILO
勧告について
質問します。
本年三月十三日、参議院の予算
委員会の席上、野田
総理は、このILO
勧告についての
質問に対し、ILOからは、六回、政府に対する
勧告がございました、
公務員への
労働基本権の
付与などの論点について
関係者と
協議することなどを求めていると
認識をしていますと
答弁されております。
この
答弁の意味は、ILO
勧告が、
労働基本権を
付与することそのものではなく、
関係者と
協議すること、そのことを
勧告しているということでしょうか。
さらに、ILO第九十八号条約、
団体権及び
団体交渉権についての原則の適用に関する条約は、その第六条において、
公務員の地位を取り扱うものでないこととされており、我が国政府は、これまで、
非現業の
公務員、すなわち林野庁以外の全ての
国家公務員はこの条約の適用を除外されると解釈をしているはずです。
先進諸国においては、ILOに
勧告されたからといっても、それぞれの国の事情に応じて、その国内の
労使交渉のあり方、特に
公務員の
労使交渉などを定めていると
認識しますが、いかがですか。担当
大臣、お答えください。
また、
国家公務員制度改革基本法の附則第二条では、地方
公務員の
労働基本権のあり方について、「
国家公務員の
労使関係制度に係る
措置に併せ、これと整合性をもって、検討する」としており、地方
公務員と
国家公務員は
一体で検討されるべきと
考えます。
五月十一日、
総務省が公表した地方
公務員制度改革についての素案に対し、全国知事会、全国市長会、全国町村会は、地方の意向を無視したものであると明確に反対の立場を表明し、次のような点を
指摘しております。
公務員の身分保障を維持しながら
労働基本権を
付与するのは明らかに
公務員優遇であり、
国民からの
批判に耐えられない。また、
給与決定に至るまでのコストが増大するのは明らかで、
給与総額の増加圧力も強まり、現場が混乱することは必定。また、消防
職員についても警察
職員と同様の扱いにすべき。さらに、労務管理業務の増大等による住民
サービスへの影響等への懸念なども挙げられております。
このような地方の首長の意見について、政府は、どのように受けとめ、どのように対応するおつもりか、
総理、お答え願います。
協約締結権について伺います。
協約締結権を
付与して
労使交渉で
給与を決めることにより
人件費削減の効果を生むとのことですが、
仲裁裁定がある以上、政府が思うような削減にはつながらないのではないでしょうか。
協約締結権を得た上で、組合側が
給与引き下げに
合意すると想定される根拠をお示しください。
やってみなければわからないなどとかつて
答弁された担当
大臣もいらっしゃいましたが、権利を持った以上、その権利を十分に行使せずに、
給与引き下げに
合意することがあるのでしょうか。明確な
答弁を求めます。
労働組合の認証について
質問します。
現行の
国家公務員法第百八条の三第四項では、
職員団体が
当局と適法に交渉ができる要件を、当該
職員団体が
職員のみによって
組織されていることを必要とすると
規定されており、組合の構成員全てが
国家公務員であることを条件としています。
しかし、改正案では、
労働組合が認証されるためには、
職員が全ての組合員の過半数を占めることを必要とすると定めており、これでは、
国家公務員が過半数いれば、残りが部外者であったとしても、組合を結成し、
協約締結権を行使して
国家公務員の
勤務条件等の交渉に臨むことができることとなります。
このような改正を行うことの必然性は何か、また、その結果予想される弊害、混乱をどのようにお
考えなのか、
答弁を求めます。
政府は、
平成二十五年度の
国家公務員の採用数を、自公
政権時の二十一年度に比べ五六%も削減する新規採用抑制方針を
決定しました。
新規採用の大幅抑制は、将来的に
組織の年齢構成をいびつにし、
組織運営上の問題を生むばかりでなく、
公務員を目指して頑張ってきた若者の希望を奪い、優秀な
人材の
確保を困難にしかねません。事実、四月二十九日に行われた
国家公務員総合職試験の第一次試験の受験者数は、一三%も減少しております。定員数についての長期ビジョンもなく、行き当たりばったりの姿そのものではありませんか。
一九三三年、世界大恐慌の折、アメリカのルーズベルト大統領がニューディール政策を行い、芸術家や若者を大胆に雇用した例を引くまでもなく、我が国の現下の厳しい景気状況から見れば、国が若者を雇用し、優秀な人物を迎え入れるチャンスではないでしょうか。
国民の生活が第一、また、雇用、雇用、雇用と言われるのであれば、このような抑制策をいつまで続けるおつもりでしょうか。お答えください。
早期退職勧奨の
廃止に当たっては、我が党がかねてより主張してきたとおり、
給与カーブや退職給付の見直しなど、抜本的な対策を早急に実施すべきです。また、在職期間の長期化に伴い、役職定年制の
導入や、専門スタッフ職制の拡大強化、さらに、一つの選択肢として、民間と同様に早期退職優遇
制度を
導入するなど、その際、決して天下りの
あっせんにつながらないような早期退職優遇
制度であることは当然でございますが、多角的に検討すべきと
考えます。
総
人件費二割削減というマニフェストに縛られ、新規採用の大幅抑制など場当たり的な対応に追われてきたことを
民主党は猛省すべきであると強く申し上げざるを得ません。岡田副
総理の明確な
答弁を求めます。
国家公務員が全体の
奉仕者として
国民の期待に応えるためには、
人事行政の中立公正性の
確保ということが極めて重要です。
例えば、採用試験について見ると、自治体ではいまだに縁故採用などの実態があります。今回の
法案のように、採用試験の出題や合否判定について
公務員庁が行うこととなると、採用試験が公正に実施される
制度的な保障がなくなってしまうと思われます。
また、研修についても同様です。
これらの点について、担当
大臣のお
考えをお聞きします。
最後に、
自律的労使関係の問題にしても、
人事行政の中立公正性
確保のあり方にしても、将来を展望し、幅広い
国民的な
議論、検討がさらに必要であると強く申し上げ、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣野田佳彦君
登壇〕