○永岡桂子君
自由民主党の永岡桂子です。
私は、自民党・
無所属の会を代表して、
児童手当法の一部を
改正する
法律案に対して、
賛成の立場から
討論を行います。(
拍手)
平成二十二年三月、
児童手当制度の
仕組みをかりる形で、
子供の養育という本来は家庭が担う行為を
社会全体で支えるとした、いわゆる
子ども手当法案が成立いたしました。以来、はや二年の歳月が流れました。
法律案が
提出された当時、
子供の出生順位、年齢、
子供の属する
世帯の
所得などの条件にかかわらず、全ての
子供に同額の
手当を
給付することなどから、政策効果や財政を顧みない単なるばらまきであり、あからさまな票目当ての選挙戦略にすぎないとの批判は大きなものがありました。
また、
児童手当制度を
廃止し、
子ども手当制度に変更することにしていたにもかかわらず、
財源のやりくりに四苦八苦したあげく
児童手当制度の
仕組みを使わざるを得なかったことに対して、噴飯物であるとの指摘もありました。
さらには、
財源の確保はままならず、ゼロ歳から中学生まで一律一万三千円としたため、従前の
児童手当制度と扶養
控除が併存していたころより何と実質的な
手取り額が減少する
子育て世帯、これが数多く発生するという、まことに皮肉な結果となりました。
当然のことながら、このようなとんでもなく問題の多い
子ども手当法案に対して、さまざまな
議論がまさしく百出いたしました。その一つ一つをここであげつらうほど、我が自民党は
子供ではありません。
初めての
子ども手当法案の
採決に際して、
制度そのものが有する問題点、すなわち、
国家財政を危うくしかねない余りにも大き過ぎる
子ども手当の予算、
子供のためという美名のもとに、
子供そっちのけでおのれの理念に固執する姿勢を強く強く糾弾し、政権与党としての
責任を問い、声の限りに叫んだことは、今は昔でございます。
さて、この二年間を振り返ってみましょう。
平成二十二年、
子ども手当制度が鳴り物入りで発足したものの、恒久
制度とすることもできず、それ以降はつなぎ
法案の連続で何とか体裁を繕うありさまでございました。それも、初めの一年間はまだいい方でありました。次は半年間、その次はまた半年間です。ざんきの念の一かけらも見当たらないその所業は、まことに情けない限りでありました。
このように、綱渡りに等しいつなぎ
法案の連続で過ぎたこの二年間、扶養
控除は
廃止になり、当初宣言していた二万六千円どころか、
手当の先行きも不透明なことが、図らずも、
国民の
皆様を不安にさせてしまいました。また、当初
全額国庫負担と思われた
子ども手当に実は
地方負担があったことなど、自治体の
皆様に対しても、その手続や
負担の面などで多大な御苦労をおかけいたしました。
社会保障の提供の基本は、あくまでも自助自立を第一とし、共助、さらには公助の順に従った政策の組み合わせによるものでなければなりません。重要なことは、安易なばらまきの道を排して、
負担の増大を極力抑え、真に必要な
社会保障を提供することなのです。
いいですか。世の中に、百人が百人、全員が満足する
制度や施策はないんです。政治は夢物語ではありません。政治家がすることは、たとえ全
国民が満足できなくとも、
国民が納得できる現実的な
制度、施策をつくり、そのときの政治や経済情勢に応じて、よりよいものへと改善していくことなんです。
本
法律案は、次代の
社会を担う
児童の健やかな成長に資するため、
児童手当法に
所要の
改正を行い、対象年齢を中学生まで拡大するとともに、
手当額を
拡充するなど、新たな
児童手当制度を構築するものです。そのために、
名称を「
児童手当」と確定するとともに、明確に
所得制限を
規定し、さらに、税制における
年少扶養控除の復活を含め、速やかに検討を加え、その結果に基づいて必要な
措置を講ずる旨の検討条項を加えるという
修正を行いました。
今国会、
民主党は、昨年八月の三
党合意をほごにして、「
子どものための
手当」とした
法律案を
提出しました。公党間の約束は一体どこへ行ったのか、本当にひどいと、私
たちの不信感が増したのです。
しかし、年度末ぎりぎりになって、これは大変と大汗を流してあたふた駆けずり回り、白旗を掲げ、これほどまでの大
修正をのむしかなかった
民主党に対して、心から感謝を申し上げます。つなぎではない安定した
制度となったことは、喜ばしいことであります。
私
たち自民党は、結党以来、そのほとんどを政権与党として、国のあるべき姿を考えてまいりました。政治家の言葉の重み、そして、合意という公党間の約束事の重要性は十分知っております。そして、そのように行動をしてまいりました。
年度末を目前にして、事の重要性をよく理解した政権与党である
民主党が、ここまで譲歩をしてつくり上げた新たな
児童手当です。このことを多として、私
たち自民党は、賛意を表明したのであります。
自民党は、これまでの少子化対策にとどまらず、家族を幅広く支える家族支援政策を積極的に進めてまいります。
子供に対する
現金給付とともに重要な、
待機児童の解消、
保育制度の
充実などの
現物給付の
充実を第一に考え、取り組んでまいります。
家族の助け合い、すなわち、家族の力の強化により、自助を大事にします。自発的意思に基づく共助を大事にします。そして、その力が十分に発揮される
社会を構築するため、全力を尽くしてまいります。
子供を持った親が
子育てと仕事を両立していくのは、実に大変なことです。
子育てと仕事の両立が重荷とならないような働き方や
社会的な支援策の確立は、何よりも重要な施策であると考えます。特に、
子育てをしながら一人で
生活を維持している母子家庭のお母さんが安心して
子育てができるよう、よりよい就業、経済的な自立を支援するための政策など、公助を必要とする人への政策について、
地方と協力して、総合的に強力に推し進めてまいります。
今後とも、自民党は、被災者を初めとする全ての
国民のため、誠実に真実を語り、勇気を持って決断する政治を行っていくことをお誓いし、私の
賛成討論といたします。(
拍手)