○階
委員 民主党の階猛です。
本日は、
小川法務大臣に初めての
質問です。よろしくお願いします。
きょうは、
裁判官、
検察官の
給与法の
改正案が本題でございますが、その前にちょっと、最近の検察の新たな不祥事が発覚した件について取り上げさせていただきたいと思います。
まず、お手元に今、資料をお配りしているかと思いますけれども、資料一から四までつけさせていただいておりますが、済みません、七枚ぐらいめくっていただくと資料二というのがございます。
資料二は、先週の金曜日でしたか、小沢元
民主党代表の政治資金規正法違反被告事件、これは検察審査会のいわゆる強制起訴によって係属中の事件でございますが、その裁判で、小沢さんのこの事件での有罪立証の決め手となる秘書三人の方の供述調書を裁判の証拠として認めるかどうか、こういうことについての決定を
裁判所が行ったわけです。私が用意したのは、その中でも特に重要と思われる、石川さんの供述調書の証拠能力のありやなしやに関する決定部分でございます。
資料二をちょっと見ていただきたいんですが、私は大きく三つ、
裁判所が問題点を指摘していると思っています。
まず一つは、田代さんという検事が石川さんを取り調べたわけですけれども、田代さんは、身柄解放後も、再捜査のときに任意の取り調べをしています。そのときの取り調べの違法、不当を
裁判所が言った部分、これが資料二の三ページ目です。
まず、三ページ目の一番上の段落では、いろいろ書いていますが、末尾のところで、「被告人が起訴されないことを強く望んでいる」、被告人というのは小沢さんのことです。「被告人が起訴されないことを強く望んでいる石川にとって、強力な利益誘導であるといえ、虚偽供述に導く危険性の高い取調方法である。」と。その次の段落では、「前記の田代検事の
説明の妥当性には問題があり、誤った前提に基づく取調方法であるともいえる。」さらに、その次の段落では、「石川が従前の供述を覆せば、検察において、石川に対し別件での再逮捕を含む不利益な取扱いをすることを示唆するものであって、石川が供述を覆すことを困難にするような強力な
圧力でもある。」と。さらに、「そもそも、取調録音によると、調書の案文は、取調べ当日における石川の具体的な供述
内容に基づいておらず、田代検事が勾留段階の調書の記載を基にするなどして一方的に作成したものとうかがわれるのであって、石川の供述を録取したものと評価できるかすら疑問がある。」ということで、「このような取調方法は、違法不当なものであって、許容できないことは明らかである。」と、取り調べを違法、不当と断じています。これがまず一点。
さらに、資料二の十一ページをごらんになってください。二つ目の問題点は、今もちょっと出てきましたけれども、この再捜査に関する捜査報告書に虚偽の記載があったということを
裁判所が認定している部分です。
十一ページの真ん中あたりに(ウ)というのがあります。
五月十七日の取調べの後、田代検事は、同取調べにおいて、石川が、「勾留段階において、選挙民は、私が被告人の秘書だったという理由で投票したのではなく、私という個人に期待して国政に送り出したのに、やくざの手下が親分を守るためにうそをつくのと同じようなことをしたら、選挙民を裏切ることになると、田代検事から言われて、堪えきれなくなって、被告人の関与を認める供述をした。」旨述べ、また、「今更被告人が
関係なかったと言っても信じてもらえるわけがないし、かえって、口止めをしたに違いないとか、絶対的権力者なんだと思われる。」旨述べて、それまでの供述を維持することを決意したことなどを記載した捜査報告書を作成しているが、これらの記載は、取調録音によれば、五月十七日の取調べの
内容としては、事実に反するものである。田代検事は、同捜査報告書について、「同日の取調べの後に数日かけて作成した際、記憶の混同が生じて事実に反する
内容になった。」旨公判で供述するが、同捜査報告書が問答体で具体的かつ詳細な記載がされていることに照らすと、あいまいな記憶に基づいて作成されたものとは
考え難く、記憶の混同が生じたとの
説明は、にわかには信用することができない。
ということで、捜査報告書を意図的に虚偽のものにしたということを認定していると
考えられます。
さらに三点目、次のページですけれども、これは
裁判所が、田代検事だけではなくて特捜部の組織的な取り調べの違法性があったということを記述している部分です。
真ん中あたり、「しかも、」の後ですけれども、吉田検事による取り調べの際、
石川に対し、建設会社からの献金受領の事実を中心に取り調べた上で、これを認める供述を得られず、取調べメモを石川の目前で破るという行動に出たことが認められる。また、同月二十六日、石川の政策秘書も、特捜部所属の
検察官から、陸山会事件とは異なる事実について厳しい取調べを受けたことも認められる。これらの事実は、石川に献金の受領や被告人の関与について供述を迫るため、田代検事と共に、特捜部の複数の
検察官が石川に
圧力をかけていたことをうかがわせるものであり、ひいては、前記の田代検事の取調べは、個人的なものではなく、組織的なものであったとも疑われる
というくだりがあります。
以上三点、再捜査の取り調べの違法、不当、それから捜査報告書の虚偽記載、さらに組織ぐるみの違法な取り調べ、こういったことを
裁判所が認定しております。この点について
法務大臣、どのようにお
考えになるか、お願いします。