○伊東
委員 ぜひ、新規就農者同様、後継者
対策にも力を入れていただきたいというふうにお願いをする次第であります。
また、先ほどから、酪農経営は大変厳しいというお話がありました。去年の猛暑の影響を今なお引きずっているわけであります。これは経産牛の授精時期のずれが解消されていないということが
一つあります。
また、家畜改良
事業団の資料によりますと、昭和六十年ころから過去二十五年ほどの分娩間隔の推移を見てみますと、年々、分娩間隔が徐々に長くなってきております。搾乳可能な乳牛の妊娠期間二百八十日に変わりがないとすれば、これは効率的な搾乳ができない期間が延びていることを
意味するわけでもあります。
このように、授精時期のずれや分娩間隔の延びによって、乳用牛の飼養頭数が減少し、生産費が上昇する傾向が続いている、こう読めるわけであります。
近年、さらに飼料価格の高騰、高どまりが経営を圧迫しているわけでありますが、今後、為替相場、ここ最近円安にちょっと振れてきているわけでありまして、こうなると、円高のときはそんなに安くならないのに、円安になるとすぐ上がってくるのがこの手のものの話でありまして、酪農経営をさらに圧迫する、これからしていくのではないかと危惧されるわけであります。加えての、
福島の
原発事故による肉牛価格の低下に起因すると思われる、ぬれ子価格の低下が
農業所得を押し下げているわけであります。
こうした酪農経営の厳しい現況を認識した上で、この補給金単価あるいは限度数量というものもあわせ考えていただきたいと思うものであります。
北海道の生乳生産量、
平成二十三年度実績見込みで三百八十五万五千トンであります。本州、府県もこれは三百六十万でほぼ同量ではありますが、本州の生乳は約七割が飲用牛乳向けでありまして、一キロ当たり百円から百十円ぐらい生産収入があるわけであります。
一方、北海道の生乳は、府県産の飲用乳の不足分を補う形で、約一キログラム二十円の輸送コストをかけて北海道から本州に送っているわけでありまして、八十円ぐらいの収入にしかならないということであります。全体の生産量の二割が北海道産飲用乳に向けられているわけであります。
では、残り八割はどうするかというと、これは約三百二万トンであります、この中で、いわゆる加工原料乳、バターや脱脂粉乳に加工するもの、これが限度数量百八十五万トンと言われているわけでありますけれ
ども、これに振り向けられるのが、北海道分として百三十七万三千トン、また生クリーム向けに百十一万七千トン、さらにチーズ向けに四十五万九千トン。こう需要に応じまして、北海道産の三百万トンは振り向けられるわけであります。
近年、特に昨年、府県産では、暑さや、あるいはふん尿
対策などの
環境対策、さらにまた飼料の高どまり等々もございまして、府県の方でも離農者がふえているということであります。したがいまして、全国に占める北海道の生乳生産量は、三年ほど前から五割を超えるに至りました。加えての大震災の影響もあり、去年は飲用乳向けが北海道から多くなったのであります。
その結果、では、加工原料乳の限度数量百八十五万トンでありましたけれ
ども、これは実際は百六十五万トンの実績しか見込めませんでした。二十万トン、枠を余した。これが、十一円九十五銭掛けるわけでありますから、約二十四億くらいになろう、こう思うのであります。ことしも百八十五万トンあるいは十一円九十五銭の枠取りはされていますけれ
ども、実際はあすの単価決定でこれがはっきりしてくるわけであります。
また一方で、六十万トン、そして八十八億、キログラム当たり十四円六十銭つけておりましたチーズ向けのこの補給金も、実際、六十万トンのうち四十六万七千トンしかこれは消化できなかった。合わせまして二十万トンと十三万トン、これは加工乳向けとチーズ向けで三十三万トンの生乳が未消化、五十六億円の予算が未消化、不用額となったところでありました。ちょっともったいないなという声が多いわけでありますが。
さて、あす発表になるその補給金と限度数量でありますが、昨年の実績を見るならば、特殊な例でありますから必ずしも当たっているかどうかは別として、中には、少し限度数量を下げてでも単価アップの方を優先してほしいという声も一部あります。
しかし、百八十五万トンという数字は、将来のいわゆる夢、希望、酪
農家の夢、希望につながってくるものでありまして、この限度数量を下げるということは、自分
たちの仕事あるいは生産量を後々下げていくんだ、もう下がっていくんだ、減っていくんだということを酪
農家がどう受けとめるかの話でありまして、非常に意欲やあるいは夢がなくなってしまう数字だ、このように言われているところでもあります。ぜひ、百八十五万トンという将来目標は維持したまま、補給金は何とか自分
たちの生活が成り立つように頑張ってほしいというのが酪
農家の切なる願いであります。
私は、ここでもう
一つ知恵を絞っていただいて、毎年毎年消化できない予算と量をたくさん残してもったいなかったなというのは、本当に何となくこれは申しわけないなという気も一方に酪
農家に対して持ちますし、
日本の国の
政策としての予算の立て方としても、本当にこれでいいのかなという
思いがするわけであります。これは虫のいい話に聞こえるかもしれませんけれ
ども、営農継続を必死で図ろうとする酪
農家のためにも、どうか限度数量を維持しながら、きちんとした、予算の可能な限りの補給金単価額設定をぜひお願いしたいということであります。
具体的な話が、何ぼ何ぼが幾らだという話はできるものではありませんけれ
ども、この補給金と限度数量についての基本的な
大臣のお考えをお聞かせいただきたいというふうに
思います。