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細野国務大臣 原発事故の
収束及び
再発防止担当大臣、
原子力行政を
担当する
内閣府
特命担当大臣として、
所信の
一端を申し述べます。
昨年は、三月十一日に発生した
東日本大震災とこれに伴う
原発事故への
対応が、
我が国全体の最
優先課題でした。年が明けてもなお、
被災地では大変厳しい状況が続いておりますが、この国難を乗り越え、
被災地の
復旧復興と
原子力事故の克服をなし遂げて、
日本の
再生に向けた飛躍の年とすべく
全力を尽くす
決意です。
東京電力福島第一
原子力発電所それ自体については、
専門家による緻密な
検証作業を経て、安定して
冷却水が循環し、
原子炉の底の部分と
格納容器内の温度が百度以下に保たれており、何らかのトラブルが生じても
敷地外の
放射線量が十分低く保たれるといった点が技術的に確認をされたため、昨年十二月十六日に、
事故収束に向けた道筋のステップ2が完了したことを宣言しました。
したがって、再び避難をしていただく必要がなくなったという意味において、発電所そのものの
事故は
収束したと判断しましたが、
原発事故との長い戦いが終わったわけではありません。これからは、事態の安定を目指す段階から廃炉に向けた段階へと
移行します。
今後、廃炉に向けた
取り組みを進める中では、さまざまなトラブルや困難が生じることも予想されます。実際、足元においても、二号機の圧力容器底部の温度計の故障や、非常用高台炉注水ポンプ付近等からの水の漏えいなどのトラブルが生じています。しかし、多様性、多重性が
確保された冷却
システムにより、炉の安定性を保つ
対応を行うなど、中期的な安全
確保のための
取り組みに万全を期してまいります。
政府としては、昨年十二月二十一日に発表した中長期ロードマップに沿って、発電所の安全維持に万全を期しながら、廃炉に至る最後の最後まで
全力を挙げて取り組んでまいります。
一方、原発の外の
被災地域では、いまだに
事故の影響が強く残されており、
環境モニタリングの継続的実施、本格的な除染、災害廃棄物の処理、避難されている方々の御帰宅など、まだまだ多くの
課題が残っています。こうした
課題を解決し、避難を余儀なくされている
住民の方々が
安心してふるさとに戻り、以前の
生活を再建できる
環境を一日も早くつくり上げるよう、
全力を尽くしてまいります。
また、今
国会へ原子力組織
制度改革法案等を
提出いたしました。
今回の
改革は、
事故の
教訓を踏まえて、放射線から人の健康と
環境を保護するという目的のために、
規制制度、防災体制とこれを運用する行政組織について抜本
改革を図るものです。
具体的には、
規制と利用の分離の
観点から、原子力安全・保安院の原子力安全
規制部門を経済産業省から分離するとともに、これまで
政府内で分散していた関係
事務を一元化し、
環境省の外局として原子力
規制庁を
設置します。同時に、重大
事故への
対応、最新の知見に基づいた基準を既存の施設にも適用する
制度、運転期間の制限などの厳しい安全
規制を導入し、また、緊急時
対応のための
制度と体制を
強化します。
原子炉は、稼働中か否かにかかわらず、常にしっかりした安全
規制を行うことが必要です。
国民の不安に応えるためには、新たな組織のもとで一日も早く人と
環境を守る
規制制度と防災体制を整えることが必要であり、早期発足を
実現したく存じます。
原子力安全
委員会においては、
原子力発電所に関する総合的な安全評価に関与するとともに、原子力防災指針や安全
審査指針の
見直しを鋭意進めていただいているところであり、原子力安全に関する
専門家集団として、最後までその使命を果たすことを期待します。
荒井委員長を初め、
理事、
委員各位の御
理解と御
協力をよろしくお願いします。(
拍手)