○杉本
委員 衆議院の
杉本かずみです。
きょうは、貴重な質問の機会を、
委員長そして各
理事様、
委員の皆様、認めていただいてありがとうございます。
きょうは、党派を超えて、できる限り建設的な
NHKさんへの要望というようなことをしたいと思っています。
実は、ちょっと映画の話で恐縮でございますが、一昨日夜、私は、「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」というのを拝見しました。サッチャーさんは、一九七九年から九〇年にかけて英国の総理を務められました。サッチャーさんの
お話はいいんですけれども、その後、イギリスがどういう形で総理
大臣を選んだかということを、ちょっと今お手元にお配りする記事を読んでいただければと思います。
実は、その記事は、朝日新聞が一九九一年に私が「声」欄に投稿したものを取り上げてくださったものであります。それで、サッチャーさんがおりた後、マイケル・ヘーゼルタインさん、そしてジョン・メージャーさん、ダグラス・ハードさん、三人の候補者が立候補をして、保守党の党首、すなわち英国の総理
大臣という選考過程に入りました。その様子を私はたまたまイギリスにおりましたので見ておりましたが、BBC
放送のケースを挙げますと、この三人の候補者に対して、BBC
放送は、夜のゴールデンタイムを使って、解説
委員のような方が一対一のインタビューを一人二時間、合計六時間も
放送いたしました。これによって、総理
大臣に選ばれる人の政策だけに限らず、思想信条、価値観、家族への思いだとか、あるいは横顔といったものがかなり赤裸々になる中で、最初の投票でヘーゼルタインさん、そして二度目の投票でジョン・メージャーさんが選ばれるということで、いろいろイギリスにも派閥があることは存じ上げておりますけれども、当時、保守党の党員の投票というものが、BBCの放映によりまして大きく振り子が揺れたという印象を私は持っております。
そんな意味で、今、
日本の総理を選ぶ仕組みというのが、共同記者会見を開くだとか、あるいは立会演説で十分ずつしゃべるだとか、その
程度で政策を比較して総理を決めてしまうということで、本質的にその人間が信頼に足り得るかどうかというところまで赤裸々にできていないのではないかなという懸念を、六代総理がかわられていますけれども、大変僣越ですが、そんな思いをしております。
そんな意味から、
公共放送の
NHKさんの役割というのは極めて重いと私は思っておりますので、これは後で感想で結構なのですが、BBCの政治に対する姿勢、一人二時間ずつインタビューして、党首を決め、総理を決めるというところまで踏み込んでいらっしゃるということをぜひとも参考にしていただきたいと思います。
そして、もう一点、これは新聞の記事ではありませんが、しょっちゅう英国のBBCあるいは英国の民放も、ITVだったと思いますが、シャドーキャビネットを育てるということをしてくださっておりました。担当の、
総務大臣なら
総務大臣の記者会見を撮るんですけれども、必ずその後、影の
大臣のインタビューを撮って、それを流します。そういう形でシャドーキャビネットを育ててくださっているのが英国のBBC
放送。
今、
日本は二大政党になって、またこれがどういう形になるかという
議論も行われておりますけれども、いずれにしろ、野党側の政治もきちっと
放送するということによって、その国に政治風土が醸成されていくという感がいたしますので、シャドーキャビネットのインタビュー、このこともぜひともBBCから参考にしていただきたいなと思っています。
以上二点、党首選びについての個人インタビュー、また、シャドーキャビネットに対するインタビュー、こういったことについて、
NHKさんはどういった感想を現時点でお持ちになられるか、教えていただければと思います。