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竹下委員 ですから、純粋の増税は今回が初めてなんです。なおかつ、十数兆円というオーダーの大増税であります。
減税のとき、あるいはレベニュー・ニュートラルで増減税チャラという
状況のときに、そのときの政府がどれだけ心配りをして、どれだけ
準備をして、どれだけ説明をして行ったか。
それと、大きく違うのは、今回が初めて純粋の大増税である、その
認識が
内閣に私は欠けているとしか思えない。税に対する敏感性が全くないと言わざるを得ないと思う次第であります。
例えば、先ほど
財務大臣が
お話しになりましたが、六つの
懸念、
消費税が抱えておりますさまざまな、税というのは一〇〇%正しいものはありません、
消費でかけるか、所得でかけるか、資産にかけるか、この三つしか税目、税の財源はないわけでして、その割合をどうするかというのはまさに政治が決断をしなければならない。
そのときに、さまざまな問題を、野党が追及をする中で問題点が出てくるのではなくて、
政権の方から、政府の方から、
消費税にはこういう問題点もあります、しかしそれは一つ一つ克服をしていきますという対応をしてきたのが、少なくとも、
自民党、公明党が
政権を持っていた時期の税に対する物すごい心配り、しっかりと対応してきたと私は思います。
なおかつ、それでもなかなか
理解してもらえない。それは、
消費税導入のときに言っておりましたが、新税を創設して続く
内閣なんかない、たとえ大減税であってもこれで
竹下内閣は終わりだということを腹に決めてこの
税制改革に臨んでいったわけでございます。
ですから、新しい税、新税は常に悪税なりという言葉がございます。しかし、定着すれば必ず良税に変わっていくということ。さらには、先ほどちょっと
安住さんに先見性という言葉で褒めてもらいましたが、後世の歴史家がこれを
判断する、今は誰も
判断してくれなくていい、そこまで覚悟を決めて大減税を行ったわけなんです。大増税を行ったわけじゃないんです。その違いをもっともっと
皆さん方に骨身にしみて
理解をしていただきたい。
そして、それでもなかなか御
理解をいただけない場面というのはあります。「若聞人なくば、たとひ辻立して成とも吾志を述ん」。これは江戸時代の思想家の
石田梅岩の著書の斉家論の中に出てくる言葉でございますが、所信表明の中でこの言葉を引用し、そして、実際につじ立ちを何回も何回も繰り返していく中で
消費税というものを
国民の
皆さん方に
理解していただこうと汗をかいたわけでございます。
そして、村山
内閣のときに引き上げを決め、橋本
内閣で実施をいたしておりますが、その際も大変な
努力がございます。
例えば、山中貞則
先生が実は
消費税の後の選挙で落選をされているんです。当時の
自民党の税調会長。しかし、そのことを覚悟で山中
先生は先頭に立って
消費税の問題に取り組んでこられました。
どういう面でやられたか。私が存じておりますのは、中小零細企業対策、本当に転嫁できるかと。なかなか難しい問題がある。公正取引
委員会とさまざまな協議を積み重ねる中で、事実上のカルテルと言えるところまで踏み込んで、公正取引
委員会に、これは
消費税の転嫁をするための話し合いだから、いわゆる罰則に当たるカルテルではないということをみずから説得をして、中小零細企業対策というものを真剣にやってこられた。下請に対する対応というものも真剣にやってきておられるわけであります。
そういう、いわば減税の中でも細心の注意、心配りが必要なのが税に対する物の
考え方でございますが、私は、
野田総理が言われる言葉の中で多少ひっかかりを持つ言葉があるんです。どの
政権でも避けて通れない課題だ、そのとおりなんです。そのとおりなんですが、
国民に向かって言う言葉ではない。これは、きめ細かさ、心配りのある言葉ではない。
議論の中では幾らおっしゃってもいいと思いますが、避けて通れない問題だと大上段から言われたら
国民がどう思うか、その辺の心配りというのをもっともっとやっていただきたい、このように願うものでございます。
困難なことを正直に言うこと、難しいことを真心を込めて話すこと、これはまさに政治家に課せられた話であります。
先ほど、
町村議員の
質問の中で、余りにもごまかし、
うそ、
詭弁が多いじゃないかという指摘が何回にもわたって出ておりましたが、私自身、これではなかなか
国民は納得しないだろうなという思いを持っております。
なおかつ、
自民党に対して、私は多少ひどい言葉を使いますが、
マニフェストで十六・八兆円というのが全ての
うその原点だ、こう思っております。ですから、
うその尻拭いを一緒にやろうと言われても、ちょっと待て、その前に、
自民党になんか謝る必要はないんです、
国民に対して謝って、その上でいろいろな
議論をやっていかなければならない、このように
考えておる一人でございます。
さて、今回の
消費税の引き上げは二
段階になっております。
一つは、なぜ二
段階かなという疑問を私自身が持っております。五%を一発で、確かに、その抵抗は非常に強いということはあります。それから、
導入時三%であった。これは、
導入時だから、本当は五の方が
経済界なり
中小企業の
皆さんから見れば処理しやすい
数字、五%の方が会計的に処理をしやすい
数字であったのをあえて三としたのは、小さくスタートをして
国民の中に定着をしてもらおうという思いがそこに入っておったわけでありますが、今回の三%、二%という二
段階の引き上げになった本当の
理由が私にはどうしてもわからない。
なおかつ、二
段階、二回やると、ソフトの組みかえを二回やらなきゃいけないんです。町の中小の商店にこの負担を強いていかなければならない。なかなかこれに対する対応というのは難しい問題もございますが、まず、なぜ二
段階なのか、そして、なぜこの二
段階の時期が一四年四月と一五年十月なのか、この二つについてお答えを願います。