○阿部
委員 社会
民主党の阿部知子です。
民主党の皆さんには、この数日、大変に長時間の消費税の御論議でお疲れでもあり、また、私から見れば、
国民の側から見れば、
社会保障がどうなるんだろう、年金もそうです、AIJの問題で大変に深刻、そして、ある意味では最も深刻なのは
医療の問題で、それも
医療提供体制についてあるようにも思います。
この世界的に見て第二位の経済大国であるはずの我が国で、例えば、出産の場所を
確保できないとか、それから、後ほど取り上げますが、今、我が国の死亡の大半、三人にお一人ががんで亡くなりますが、そのターミナルケアのための病床がもしかして潰されてしまうかもしれない事案、これなども御紹介しながら、
国民の思いに寄り添った
厚生労働行政をぜひ
小宮山大臣には本当にやっていただきたいと願うものです。
一点目、私がきょう取り上げさせていただくのは、まず、
国民健康保険制度あるいは保険
事業というものを
考えるときに、いつもこういう場での論議は、保険の、すなわち保険
財政がうまくいっている、いっていない、
赤字だ、さあどうするということは大変論議になっても、実は、保険というのは、保険でお金をいただいて、実際に
医療を受けられる
給付、
給付事業と裏表でなければ、保険あって
給付なしということになります。
私は、今回の
改正は、二点大きな問題点があると思います。
一点目は、先ほど高橋
委員もお取り上げでありますが、この間、
都道府県の
調整交付金という形にかえて、国による
定率の
国庫負担を下げていくという動きが一連でございます。
皆さんのお手元、ページの二枚目を繰っていただきます。
資料二にございますけれども、ここには、昭和三十三年から、今回の法
改正ができ上がったとして
平成二十四年まで、
国保財政の
運営について国の
負担してきた
負担額あるいは
調整額などの推移を見ていただきたいと思いますが、実は、昭和四十一年は
医療費の四〇%、国の
調整交付金も
医療費の五%。それが、昭和でいう五十九年、一九八四年には
給付費の四〇%。
給付費のということは、
医療費と
給付費の違いは何かというと、
医療費というのは、患者さんがお払いになる自己
負担も含めて全部の
医療にかかった額の四割を国が
負担する。そして、
財政調整交付金の方は一〇%であると。
そもそも、国の
財政調整交付金の出生の歴史を追えば、戦後間もないころ、日本がまだまだ、農村
地域や特にいろいろな条件の大変な
地域で、
診療所がない、かかれる診療機関がないというものに関して、
国保による直営の
診療所や
病院を整備していきましょう、もっとさかのぼれば、昭和の十三年、この当時は農村の疲弊が著しくて、そうした中で、何らかの国の補填による、いわゆる診療体制の充実のためにやりましょうということで、おのおの系譜がございます。突き詰めますが、保険
事業に対するお金の、すなわち
保険料に対する問題と、
医療提供に対する問題の両輪を回してきた歴史があるわけです。
定率の
国庫負担は
医療費から
給付費の四〇%になり、それがどんどん、もし今回、
給付費が
都道府県調整交付金の方になれば、
給付費の三二%が
定率国庫負担で、
都道府県の
調整交付金が九%。これを足し合わせれば同じようになるんだというお
考えでやっておられるのでしょうが、そこには先ほど高橋
委員がお取り上げになったような問題もまだまだ潜んでおります。
一枚目の
資料をごらんいただきますと、今回の
改正で、例えば、
高額医療費や保険
財政の
共同安定化事業、あるいは
保険者支援分、ここの色のついた部分ですね、これを
恒久化するということは誰もいいと思うのですが、でも、これを
恒久化した場合に、
市町村の
格差が生じて、そのことのために
都道府県調整交付金という、右側の枠にあるものから持ってこようというわけであります。本当に、これで果たして
市町村格差の是正に向かうのかどうか、ここが私は大きな懸念のもとであります。
もしかして
藤田政務官のお答えかもしれません、伺いますが、この間、先ほどの御論議でもありました、地方自治体の
一般会計からのいわゆる
法定外繰り入れというのはどんどん増加しております。
平成二十二年度では三千九百億円、今までで一番高いのではないかと思います。すなわち、各
市町村が自分たちの
運営のために
一般会計からさまざまな理由で入れていかねばならないものがどんどんふえてきているわけです。
こうした実態があり、なおかつここで
国庫負担はまた減らし、
都道府県の
調整交付金に任せてよしとする根拠をまずお願いいたします。