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稲田政府当局者 たくさん御
質問いただきましたので、網羅的にきちんとお答えできるかあれでございますが。
まず、先ほど私の方から
少年法の
年齢の
引き下げについて消極的な事由として挙げたことについてでございますが、まず、その一点目の
検挙人員の
関係につきましては、先ほど照屋先生からの御
質問の際にも少し申し上げましたが、さらに敷衍して申し上げますと、実は、
少年の
刑法犯の
検挙人員というのは、昭和二十年代は比較的低くて、その後、三十年代からふえまして、いわば山を一度つくって、さらにそれが
平成に入って下がってきたというような形になっております。
これはいろいろな要因がございまして、先ほ
ども申し上げましたけれ
ども、交通事犯の
取り扱いというような問題もございます。そういうことからいたしますと、なかなか一律に
検挙人員からどういうふうに言えるかということが言いにくいところはございます。
他方で、十八歳を
一つの区切りとして分けてみて、十八、十九歳の
検挙人員と十四歳から十七歳までの
検挙人員を見た場合に、もちろん
少年の場合は
少年人口が世代によって違いますので、
人口比という形で見ますと、顕著なことは、十八、十九歳は、先ほ
ども申し上げましたが、昭和二十年代、三十年代が一千人当たり十件以上の件数がございましたが、その後一桁になって、昭和十六年に一度、二桁、十・一になったことがございますが、現在は六・九件というふうに非常に低くなってきております。
他方で、十四歳から十七歳の
検挙人員を見ますと、これは必ずしも今申し上げましたような
傾向になく、逆に、比較的最近の方が人口千人当たりの
検挙人員が多いというような
傾向が出ております。
先ほど
委員の御指摘の中で、
検挙人員というのが必ずしも
少年法の適用
年齢の理由にはならないのではないかというような御指摘ございましたが、確かに、一人一人の
事件の処理という
観点から見ますと、
検挙人員というのは総体でございますから、なかなか言いにくいところはあろうかと思いますが、
他方で、やはり全体の
事件をどういうふうに取り扱うかということを考えますと、
検挙人員がどうなっているかというのは、我々といたしましては、今申し上げましたような
状況は考慮要素としてはかなり大きいのではないかというふうに考えているところでございます。
次に、
少年院からの出所者と
若年の受刑者のそれぞれの再
入院率、再
入所率の比較の点につきまして御指摘がありました。
これにつきましては、確かに、入院した者あるいは入所した者にそれぞれ個性があるわけでございますので、一概にこの比率だけをもって何かが言えるかということは言いにくいところがございますが、大体五%程度の差があるということは、かなり統計的には有意な差があるのだろうと思います。
ちなみに、
少年院の出所者の再
入院率は一八%前後でございますが、
若年受刑者の場合は二三%前後というようなことでございまして、やはりこの五%ぐらいの差というのはかなり大きな差だというふうに考えておりまして、総体で見た際の
若年者に対する処遇としては、
少年院というのはそれなりに機能しているという実態があるのではないかというふうに考えております。
また、これは全体的な
傾向といたしまして、現在の
我が国の十八、十九歳という者につきましては、やはり大学等への進学率が高いということもございますが、必ずしも就業している
割合が高くないわけでございまして、そういう面での
経済的な自立性が低いというようなことでありますとか、
少年院、
少年鑑別所に収容された者の家族と居住している
割合などを見ましても、七二、三%から四%前後ということで、
社会生活上自立している
割合が比較的低いのではないかというふうに思われるようなところもあるわけでございまして、これはちょっと先ほど申し上げたこととは別でございますが、そういうような見地もつけ加えて考えていかなければならないのではないかというふうに考えております。
それから、今後の
検討のやり方についてでございますが、
委員御指摘のとおり、先般の予算
委員会の分科会で御指摘がございまして、その際、大臣の方から、大変重い
課題でございますので、十分考えたいというふうなお話がございました。今後、政務三役とも御相談しながら、どのようにしていくかということを考えていきたいと思います。
ちょっと今、私の答えの中で、人口千人当たりの発生件数のときに、昭和十六年と申したかもしれませんが、
平成十六年が一番高うございます。失礼いたしました。
最後に、旧
少年法と現行の
少年法との
関係についてのお話がございました。
旧
少年法は、確かに、これは戦前、大正十一年にできた
少年法で、現行の
少年法ができるまで効力を有していたものでございますが、そこにおきましては、
少年は十八歳に満たない者とされておりました。これを現行の
少年法で引き上げたときでありますが、その際の立法の理由として、当時の
犯罪傾向として、二十ぐらいまでの者に、特に増加と悪質化が顕著であり、この程度の
年齢の者は、いまだ心身の発育が十分ではなく、環境その他外部条件の影響を受けやすく、
犯罪が深い悪性に根差したものではないことから、刑罰を科すよりも、
保護処分によってその教化を図る方が適切であることが多いということが理由であるというふうにされていると承知しております。
以上でございます。