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政府特別補佐人(江利川毅君) この問題についての
人事院の基本スタンスでございますが、
国家公務員には憲法第二十八条の
労働基本権が
制約されており、その
制約の代償として
人事院勧告制度があります。このような
国家公務員法上の
仕組みによりまして合憲性が担保されております。
人事院勧告は憲法、
国家公務員法にかかわる制度でありますので、その完全実施をしていただきたいというのが基本でございます。
その上で、
東日本大震災という未
曽有の
国難に
対処するために、その
財源の確保の
一環として
公務員の人件費をどうするかと、どう見直すかと、これはこれとして
内閣及び
国会において大所高所に立って御判断いただくべきだというふうに考えておりまして、この点に関して
人事院が反対しているわけではございません。
内閣は
閣議決定において
人事院勧告を尊重することは基本と言っております。一方で、
人事院勧告を実施するための
給与法の改正は提出しないと言っているわけでございます。その理由は先ほど
川端大臣がお答えしたとおりでございますが、まず
一つ数字の
関係について申し上げますと、確かに〇・二三と七・八では〇・二三が含まれているような印象を持つわけでございますが、マラソンをすれば百メートル競走はしなくてよいという理論は成り立ちませんので、制度が違えば、それはその制度として実施していただく、それぞれ実施していただくということだと
思います。
その際に、
人事院勧告は憲法、
法律にかかわる制度でございまして、
内閣には
法律遵守義務があるわけでございますので、そういう意味では、まず最初に
人事院勧告を実施して、その上で
大震災対策の
財源問題を考えていただくということだと
思います。
それから、経過
措置の話がございました。
経過
措置につきましては、これは
給与構造のゆがみを是正すると、フラット化を目的とするものではございません。
給与構造を是正するというものでありまして、これによりまして、二十代、三十代、四十代初めの
人たちの約十万人の
給与の抑制が回復されることになります。
ちょっと詳しく申し上げますと、五年半前までは
公務員の
給与のベースは平均、置いておりました。それが、五年半前の
給与構造改革で全国の最低のところの
地域を基準にして
対応したわけでございまして、そうすると平均より下がる
地域においては
給与が下がってしまいます。これは気の毒なわけでございますので、その平均より下がるところはその差額を経過
措置として上乗せしてきたわけであります。
この上乗せの
財源は、
公務員の
給与、昇給を抑制する、例えば八千円上がるところを六千円にして二千円をずっとプールして差額に充てていたわけでございます。この差額に充てている期間がもう既に五年半になっております。もう経過
措置をやめてもいい時期ではないかということで経過
措置の廃止を申し上げているわけでございます。
これに、廃止をいたしますと、その手当てをしていたプールのお金が要らなくなりますので、その分は二十代、三十代、四十代の
人たちの
給与の回復に充てるということであります。
大震災のために
公務員に
負担を課すわけでありますので、
給与構造の是正すべきは是正すべきであるということが私どもの主張でございます。
それから、大変下がる人が出てくるという話がありました。この
給与構造の経過
措置は二年間で廃止をするということ、来年は一万円でございます、二年後には全部廃止するということでございますが、例えば三万円以上影響を受ける人というのは全
公務員の中の〇・二%であります。そういうことを実施しないことによって十万人以上の
給与回復ができなくなるというのはいかがかというのが私どもの考えでございます。
また、廃止をしてたくさん下がる人というのは、それまで上乗せ分をたくさんもらっていた人であります。仮に上乗せを三万円もらっていたという人は、月給とボーナスと、来年四月に六年間ということになります、これは残業手当などにも影響するんですが、簡単に俸給とボーナスだけ考えても計算していくと三百万円近い金額をそれまで経過
措置として上乗せしてもらっていたわけでございます。そういう
人たちを普通の水準に戻すわけでありまして、みんな共通の水準に戻すと、それで若い
人たちを上げてあげるということでありますので、この
給与水準の是正というのはフラット化の問題ではございません。
たくさんもらっている
人たちについて特別な経過
措置が必要だということであれば、これは
一つの立法政策でございますので、これはまず
人事院勧告制度を実施して、
財源の特例法を出す中で工夫をしていただければいい話ではないかというふうに
思います。
それからもう一点でございますが、特例
法案は二十六年三月までの時限
法案でございます、時限立法です。その後は今回の
人事院勧告を反映していない
給与法に戻ります。そういう意味で、今回の勧告内容はどこにも残らないということになってしまいます。
以上のような観点から、
人事院勧告の
趣旨、目的、内容を踏まえまして、特例
法案に内包しているという立論をすることには無理があるのではないかというふうに思っているわけでございます。
以上でございます。