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2011-10-27 第179回国会 参議院 農林水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十三年十月二十七日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小川 勝也君     理 事                 金子 恵美君                 郡司  彰君                 野村 哲郎君                 山田 俊男君     委 員                 岩本  司君                 小川 敏夫君                 外山  斎君                 徳永 エリ君                 中谷 智司君                 松浦 大悟君                 青木 一彦君                 加治屋義人君                 鶴保 庸介君                 長谷川 岳君                 福岡 資麿君                 白浜 一良君                 横山 信一君                 小野 次郎君                 紙  智子君    国務大臣        農林水産大臣   鹿野 道彦君    副大臣        内閣府副大臣   中塚 一宏君        総務大臣    黄川田 徹君        農林水産大臣  岩本  司君    大臣政務官        外務大臣政務官  加藤 敏幸君        外務大臣政務官  浜田 和幸君        農林水産大臣政        務官       森本 哲生君    事務局側        常任委員会専門        員        稲熊 利和君    政府参考人        警察庁長官官房        審議官      田中 法昌君        総務省自治行政        局長       久元 喜造君        外務大臣官房審        議官       香川 剛廣君        文部科学省研究        開発局長     藤木 完治君        厚生労働大臣官        房総括審議官   妹尾 吉洋君        厚生労働大臣官        房審議官     唐澤  剛君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       三浦 公嗣君        農林水産省消費        ・安全局長    高橋  博君        資源エネルギー        庁電力ガス事        業部長      糟谷 敏秀君        国土交通大臣官        房建設流通政策        審議官      佐々木 基君        環境省自然環境        局長       渡邉 綱男君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (TPP環太平洋連携協定交渉に関する件  )  (我が国の食と農林漁業再生のための基本方  針・行動計画に関する件)  (東日本大震災による農林水産関係被害と復興  対策に関する件)  (東京電力福島第一原子力発電所事故による農  林水産業への影響対策に関する件)  (鳥獣被害対策に関する件)     ─────────────
  2. 小川勝也

    委員長小川勝也君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、警察庁長官官房審議官田中法昌君外十名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 農林水産に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 外山斎

    外山斎君 おはようございます。民主党外山斎です。  大臣所信に対して質問をさせていただきます。ただ、余り質問時間がありませんので、経済連携TPPについてお尋ねをいたします。  昨年、突如としてTPPなるものが政治の表舞台に登場いたしました。来月のAPEC総理TPP交渉参加表明されるのではないかとも言われておりますが、大臣所信では、経済連携について、最も大事なことは、情報国民に提供し、議論をしてもらい、関係者理解を得ながら進めていくことでありますと述べられております。  しかしながら、世論調査を見てみますと、TPPに参加することによるメリットデメリット政府国民説明できていると思いますかとの問いに対して、五九・六%の人が説明は不十分だと答えております。半数以上の国民TPPは何なのか分かっておりません。TPP交渉参加の機はまだ熟していないというふうに私は思いますが、TPP交渉参加反対請願署名は千百六十六万人分も集まり、衆参の国会議員が三百五十六名も名前を連ねて先日提出をされました。  APECまでというと、もう二十日もありません。メリットデメリットもよく分からないままに、短期間で交渉参加結論を出すべきではないと私は思っておりますが、このえたいの知れないTPP大臣はどのように認識して、どうとらえられているのか、考えをお聞かせください。
  6. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) TPPという協定につきまして、今日、報道等におきましてもかなり取り上げられるようになってきておるということは、TPPに対する交渉参加に対して国民皆様方関心が日々高まっているというふうなことであるかもしれませんし、また今日、与党だけではなしに各党におきましてもいろいろとこの問題について御議論をしていただいていると、こういうふうに承知をいたしております。  そういう中で、野田総理大臣は、過般の臨時国会、前回の臨時国会所信におきましても、御承知のとおりに、しっかりと議論をして、できるだけ早い時期に考え方を示していきたいという、そういう表明もされているわけでありまして、今委員からのお話のとおりに、しっかりと議論をするというふうなことにおきましてはやはりいろいろ議論をする材料も必要だと、こういうことになりますならば、それはやはりどういう、今九か国におけるところのこの交渉が行われているわけでありますけれども、その内容につきましてもできるだけ把握をして、そしてそういう情報をもちろん議員だけではなしに国民皆様方に対しましても提示をし、そしてどうあるべきかというふうな一つ考え方というふうなものにつながっていくことも大事なことではないかと。  このようなことから、私自身も、過般来の関係閣僚、いわゆる経済連携関係閣僚の会合におきましても、この情報提示というふうなものについて重要であるというふうなことを問題提起もいたし、そのようなことから新たな情報提示されているものと聞いているわけでありますけれども、しかしさらに、世論調査の結果のとおりに、まだまだ国民皆様方情報提示されているというふうに受け止めておられないというふうなこともやはり大事なことでありますので、そういうことを踏まえながらしっかりとした議論をするというふうな中におきまして、どういう形であるならば国民皆様方にもしっかりとした議論がなされ得るかということも含めて、昨年来から、御承知のとおりに、TPPに関するということだけではなしに包括的経済連携についてのフォーラム等々も行われてきたということも委員も御承知なされていると思いますが、またインターネットにおきまして情報提示しているというふうなことも行われているわけでありますけれども、更に具体的な形でそういう情報提示して、そしてしっかりとした議論がなされるようにしていくこと、大切なことではないかと、こういうふうに思っているところでございます。
  7. 外山斎

    外山斎君 ありがとうございます。  大臣の方から、しっかりとした議論が必要だということと、また情報を出していかなければならないということを言われておるわけでありますけど、もう党内議論も、APEC前までですからそんなに議論をする時間というものは残されておりません。ずっと昨年も議論をさせていただいて、今年も議論をさせていただいているわけでありますけど、なかなか、まあ農水省さんは情報を出してくれるのかもしれませんけど、ほかの役所の方が的確な情報を出していないのではないかというふうに私は思っております。  次にお尋ねしたいのは、よくマスコミでは、このTPP農業輸出産業といった構図で報道をされておりますが、TPPは様々な産業影響を与えるわけです。とりわけ農業に対する影響というのは大きいのではないかというふうに思います。  私の選挙区であります宮崎県は、昨年、口蹄疫、そして今年に入り鳥インフルエンザ、新燃岳の噴火によるダメージから、ようやく再生に向かって動き出そうとしております。しかしながら、口蹄疫で牛、豚を失った農家さんのほとんどがやはり再開できていないわけであります。その一つの理由としては、TPPに対する不安があるから本当に再開していいのかどうかというのを迷っていらっしゃる方もいると聞いております。  米韓FTAでは七五%の養豚農家が廃業を決意したとも聞いているわけでありますけど、TPPに参加した場合、食料自給率が大幅に下がるのではないかとのお話もあります。我々民主党のマニフェストでは食料自給率を向上させますと約束をしておりますが、政府としては、TPPに参加した場合、我が国農業にどのような影響を与えると考えているのでしょうか。
  8. 森本哲生

    大臣政務官森本哲生君) 外山委員お答えさせていただきます。  外山委員におかれましては、国際的な感覚から、そして今この農業関係に随分御尽力も同時にいただいておりますことに心より敬意を表し、その中で今の質問お答えさせていただきます。  TPP交渉については、今大臣も申されましたが、やっぱり総理もしっかり議論をしてできるだけ早期結論を出す、その早期結論を出すというその早期がこのAPEC前でいいのかどうかという問題はこれは議論はさておきまして、食料自給率は、TPPに入っていく場合、これは必然的に五〇%は極めて厳しい数字達成は難しくなるということは、これは周知の事実でございます。  今、委員言われましたように、一四%になってしまうというこの数字についてはいろいろ設定の仕方でやや変わってくるんではないかというふうに私自身考えます。そんな中で、どうしてもカロリーベース食料安保というようなことを考えた場合に、五〇%は私は死守しなければならないし、達成しなければならない重要な課題だというふうに認識をいたしております。  そこで、現在、TPPに対する助走、入っていく助走がこの基本計画だという報道が盛んにされますが、これは私どもはそういう認識は全くいたしておりません。別個のものだというふうに認識をいたしておりますので、その上で、基本計画にのっとってこの自給率達成を目指していくというのが基本的な考えでございますので、お答えをさせていただきます。
  9. 外山斎

    外山斎君 もう本当自給率が下がることに対して大変心配しておりますし、多分本当TPPに入った場合は自給率は下がると思います。それに対して、やはり政策として一貫性がないのではないかというふうにも言われておりますから、例えばTPPに入ろうが入るまいが何らかの経済連携というのは我が国はやっていかないといけないわけでありますから、もし経済連携をやったとしても自給率は維持できるように、もっと向上できるようにお願いしたいと思います。  TPPに関しては、先ほどからお話もありますけど、余りにも情報がなくて、情報が錯綜しているようにも感じます。TPP例外なく全てのものが十年以内に関税がなくなると言われる方と、交渉に参加してルール作りに加われば例外も認められると言う方がいらっしゃいますが、説明する方によってちょっと話が違ってくるのかなというふうに思っております。  一体どっちなのかというのが多分我々国会議員としても知りたいわけですし、多分多くの国民人たちも知りたいと思っておると思いますが、実際そこ辺りはどうなのか、加藤外務政務官お答えください。
  10. 加藤敏幸

    大臣政務官加藤敏幸君) 外山議員お答えをいたします。  お尋ねの件につきましては、まずTPP協定交渉では、高い水準の自由化基本として、全ての品目交渉対象として、原則として関税撤廃を目指すべく交渉が行われていると私ども認識をしております。  また、センシティブ品目、非常に、お米とか各国ともいろいろあるわけですけれども、それらの扱いについては関税撤廃、削減の対象としない除外、こういうことや、扱いを将来の交渉に先送りする再協議、これは原則として認めず、長期の段階的関税撤廃といったアプローチによるべきという考え方を示す国が多いことも事実であります。しかし、各国状況によっては個別の対応考え必要性は認めるとの考えを示す国もあり、交渉国間でのコンセンサスの形成にいまだ至っていない模様であると、このように私たち認識をしているということでございます。
  11. 外山斎

    外山斎君 お答えありがとうございます。  いろいろお答えいただいたわけですけど、多分実際は例外は認められないのではないか、そして、多分個別の交渉をやったとしても押し切られるのではないかというふうに私は思っております。私は、この訳も分からないTPPに参加することは国益に沿うものではないと思っておりますので、反対立場です。更に言えば、抜け出せなくなる可能性が高い交渉についても参加するのには反対立場であります。  推進派の中には、国益に沿わないと判断すれば交渉から離脱することができると言われる方もいらっしゃいますが、本当にそんなことは可能なのか、大変に疑問を感じているわけであります。経団連の米倉会長も、交渉するが途中で離脱するというのはあり得ないと述べられました。ということは、交渉参加するということは、すなわちTPPに参加することと同じだと私は思うわけです。  報道によりますと、玄葉外務大臣は、交渉途中離脱に関して、簡単な話ではない、理論的にはあり得るが、そういうことが起きたときにどういう国益を損なうかをよく考えないといけないと、離脱に否定的な考えを示されました。藤村官房長官は、離脱が簡単かと言われたら簡単でないかもしれないが、一般論としてはあり得る、過去に離脱した事実は幾つもあると、離脱は可能だという見解を述べられております。  政府見解としては、TPPでは交渉途中の離脱は可能だと考えるのか不可能だと考えているのか、外務政務官お答えをいただきたいと思います。
  12. 加藤敏幸

    大臣政務官加藤敏幸君) まず、委員の方から、交渉において押し切られるのではないかというお話がありましたけれども、私どもは、仮に交渉に参加した場合においては、協定我が国国益に沿うという形でのやはり最大限の努力をすることが当然のことであって、そこは国を挙げて私は精いっぱいやっていくということであります。  その結果、仮に協定我が国国益に全くそぐわないものになるといった場合には協定に加わらないという判断、これをすることは論理的にはあり得ない話ではない。ただし、それはそのときの状況がどうなるかによって判断がいろいろ出てくるわけでありますけれども、いずれにしても、最終的には国益をどう考えるかという観点判断を行っていくということになると。論理的にあり得るということではありますけれども玄葉大臣が申し上げましたように、そのことが持つ国益への影響も十分考えなければならないということだと思います。  最終的には、経済連携協定のような国際的な約束、この内容につきましては憲法の定めるとおり国会承認事項ということになりますので、最終的に国会における承認がなければ我が国について本条約が発効するということにはなり得ないということでございますので、私どもといたしましては、最終的に我が国ができ上がりましたTPP協定に加わるか否かは国会における、国会も含めた最終判断になると、このように考えております。
  13. 外山斎

    外山斎君 お答えありがとうございます。  確かに、最終的には私は国会が決めることだと思います。しかし、前提として、交渉に参加した場合に離脱できるのか離脱できないのかというのは大きく違ってくると思います。論理的には多分離脱は可能だと思いますが、ただ、果たして交渉に参加してルール作りに加わって、それで自分たちが気に食わないからといって離脱本当に可能なのか、私はそれは大変難しいのではないかというふうに思っておりますし、多分そういったことをしたら国際的な非難を我が国は浴びるわけであります。そういったことから、私は、交渉を含めて、我が国がこのTPPに関して参加するメリットは全くないのではないかというふうに思っております。  この交渉参加した場合、離脱できるか離脱できないのか、いろいろ多分各省考え方は違っている部分はあるのかもしれませんけれども、今のお答えを聞いて、農水省としてはどのように考えているのか、お聞かせください。
  14. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) 外山委員お答えいたします。  参加する、しないという議論を当然国民皆様に分かりやすく丁寧に、誠実に伝えていかなければならないわけでありますが、情報が限られておりまして、しかも農水省だけではなくて全ての省庁にかかわってくるわけであります。二十一分野にかかわるわけでございまして、報道では二十四分野とも言われておりますけれども、これをきめ細かく情報をもっともっと入手して、各省が入手した情報関係省庁情報を提供し合うというようなことがまだできていないのが現実ではなかろうかというふうに思っております。途中で離脱する、離脱しないとか、そういうことを前提にももちろん議論はすべきではないと思っております。  やはり農水省といたしましてはもう誠実に、情報を少しでも多く入手する、これに私は尽きるというふうに思っております。
  15. 外山斎

    外山斎君 お答えありがとうございました。  是非しっかりと情報を把握していただいて、我々国会議員にもその情報を提供していただきたいと思います。  私は、別に自由貿易を否定する立場の人間ではありません。ただ、TPP例外なく全てのものが十年以内に関税がなくなると言われており、本来我が国が目指すべきは二国間のFTAがいいのではないかというふうに思います。  ただ、政府を見ておりますとTPPにいささか前のめりのように感じるわけでありますが、なぜFTA交渉をするのではなくTPPなのでしょうか。それをちょっと加藤外務政務官お答えください。
  16. 加藤敏幸

    大臣政務官加藤敏幸君) 御質問に対しましては、まず昨年十一月に閣議決定されました包括的経済連携に関する基本方針に明記されていますように、政府といたしましては高いレベルの二国間EPA広域経済連携等を積極的に推進していくという、これは基本的な考え方でございます。  TPP協定というのは世界の成長センターであるアジア太平洋地域における将来の貿易投資分野基本となり得るルールを作成する、そのために非常に重要であり、私ども日本が実現したいルールについて交渉し得るし、それを多国間で適用することが可能になると、そういう意味では二国間EPAFTAにはない利点があると、このように感じておるわけであります。  昨年十一月の横浜APEC首脳会議ではアジア太平洋自由貿易圏FTAAPを追求していく上で、TPP協定等を基礎として発展させることが確認されました。我が国としてアジア太平洋地域広域経済連携推進主導的役割を果たして、我が国関心ルールに反映させていくことも重要であると、このような観点からTPPへの対応を検討していると、こういうことであります。
  17. 外山斎

    外山斎君 お答えありがとうございます。  ただ、今の枠組みの場合は、アジアほとんど、今入っている国々と我が国EPAFTAを結んでいて、さらに言えばインドとか中国というのが入っているわけではないので、本当果たしてこのTPPというのがいいのかなというのは私は疑問を感じております。  なぜ無理してTPPを進めようとしているのかに対しては私は理解はできませんけれどもTPP日米二国間でTPP内のGDPシェアの九〇%を占めており、実質には日米FTAと言っても過言ではないのではないかというふうに思っております。さらに、普通のFTAとは違い、例外も認められないわけであります。  TPPがまさしく、アメリカのオバマ大統領が次の大統領選挙を控えて二〇一四年までに輸出を倍増、二百万人の雇用創出を掲げており、公約を実現するためにTPP日本草刈り場にしようとしている対日戦略以外の何物ではないのではないかというふうに私は思っております。そのような疑いがあるから多くの国民は今の政府説明は不十分だと思っているのではないでしょうか。  現在、民主党内では経済連携PTを行っており、APEC前までに交渉参加の是非を決定しようとしております。しかし、自分たちが疑問に感じていることがPT議論で払拭されるわけでもなく、TPPに対する疑念はますます深まるばかりです。そう感じる国会議員は私一人だけではない、そういうふうに思っております。今のように一部の推進者の思惑で物事が動こうとしていることに疑問を感じますし、国民の負託を受けている国会議員の責務が果たせないのではないかというふうに非常に危惧をしております。  そういった国会議員の声を真摯に受け止め、拙速な判断により将来に禍根を残すことのないよう慎重な対応政府にお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  18. 徳永エリ

    徳永エリ君 皆様おはようございます。民主党徳永エリでございます。今日は質問機会をいただきまして、ありがとうございます。  外山委員質問が重なっているところが多々ございますので、最初に少しだけTPPに関して触れさせていただきたいと思います。  党内では経済連携PTですとか様々な勉強会がありまして、連日このTPP交渉に参加するか否かで議論がされております。多くの、党内でも国会議員反対という立場であります。私も、TPPを慎重に考え国民会議のメンバーとしてこの一年間様々勉強してまいりましたが、何とも言えない恐ろしさを感じております。反対立場であります。  そんな中、新聞やテレビなどでは、十一月十二日から開催されるAPEC首脳会議の前までに結論を出すというふうに報じられておりますけれども、最近になって、今までずっと各省庁からこのTPPに関する情報というのはほとんど出てこなかったんです、メリットデメリットが分からないという状態だったんですけれども、ここ二週間ぐらいで各省庁からやっと情報が出るようになりました。そして、それをマスコミも取り上げて、国民皆さんに少しずつ情報が開示されるようになってきたんですね。  今この段階からが本格的な国民議論のスタートだと私は思っているんです。そのためには、開国フォーラムが良かったかどうかは分かりませんけれども、あのようにやはり地域に出かけていって国民皆さんに直接説明するという機会をもっともっとつくっていかなければいけない。そこで、今私たちがするべきことは、この結論を出す時期をもっと先送りするべきだということだと思うんです。  いろいろ調べてみますと、野田総理も時期については実は明言しておりません。九月十三日の所信表明の中で、しっかりと議論し、できるだけ早期結論を出しますとおっしゃっています。しかし、明示はしていないんですね。ここに私は少し期待をしています。そして、閣僚の中では、鹿野大臣は最もTPP交渉参加へは慎重なお立場だと理解しておりますけれども、この結果を出す時期について、また大臣TPPに関するお考えを改めてお伺いしたいと思います。
  19. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 先ほど私申し上げましたけれども、やはりこのTPPという協定交渉参加するかということにつきましては、この委員会におきましても、また衆参予算委員会におきましても、国論を二分すると、こういうふうな表現が出されているわけでございまして、このことは、まさしくそれだけ非常に重要な課題でありテーマであるというふうなことを表しているとも言えると思うんであります。  であるならば、まさしく今委員の御指摘のとおりに、どういう協定なのかと、どういう交渉がなされているのかというふうなことを、国民の人にそういう情報をできるだけ提示をいたして、そして国民人たちにも更なる関心を持っていただいて、そして考え方を示していくというふうなことが大事なことではないかと、こういうふうなことを私は申し上げているところでございます。  同時に、報道等では、APECまでにこの参加交渉についての考え方が示されるんではないかと、こういうふうなことが言われておるわけでありますけれども、私自身は、外交交渉というのは期限を切っていつまでというようなことをもう最初の段階から表明をするということは外交交渉上決してプラスになるものではないと、こういうふうな考え方を申し上げているわけでございまして、そういう中で、この考え方については今も変わりありませんということを申し上げたいと思います。
  20. 徳永エリ

    徳永エリ君 大臣、ありがとうございます。  そして、大臣は、もう一つ、このTPPに関する一連の発言の中で、震災に遭った農林漁家の方々の心情をしっかり考え、不安を持つ方々を更に不安な気持ちにしてはいけないということを一貫しておっしゃっております。私も、何よりも今私たちがやらなければいけないことは被災地の復興だと思います。被災地の方々が一日も早く安心して生活できるようにスピード感を持って全力で取り組まなければいけない。  実際に被災現場に行きますと、とてもTPPどころではない。農家の方々もこの七か月全く仕事ができない、漁師さんたちもずっと一日仮設住宅の中にいて何もすることがない、そんな状況の中でTPPなんて言っても、もう全く自分には関係のない話、逆に本当に不安になるような材料しかないと思いますが、この復興に対する取組に関して、改めて大臣の決意をお聞かせください。
  21. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 野田総理所信でも総理自身が申されているとおり、大震災におけるところの復旧復興、そして原発事故におけるところの対応というふうなものは、まさしく野田内閣にとっての最優先課題であるということを表明しておるわけでありまして、私もこの考え方は共通の認識であります。一刻も早く復旧復興、そして原発対応、しっかりとなしていくというところにあらゆる努力をしていかなければならないと、こういうふうな認識でおるわけであります。  また、被災地の方々の心情というふうなことについてお触れになりましたけれども、このことは前内閣時におきましても、TPP等々の交渉参加するかしないかというふうなことにつきまして、この大震災に被災された方々の心情というふうなものもやはり考慮していくべきではないかというふうなことも触れておるわけでございますので、この点も私どもは受け止めていきながら、一刻も早い復旧復興と原発対応に全力を尽くしていきたいと思っておるところでございます。
  22. 徳永エリ

    徳永エリ君 私たちも被災県に通いまして全力で頑張ってまいりますので、どうぞ、いつも被災地に目を向けて心を配っていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。  さて、その被災地対応について伺います。  まずは、福島第一原発の事故によりまして放射性物質が飛散し、放射能に汚染された農地や森林の除染について伺います。  これまでの除染の状況はどうなっているんでしょうか。それから、福島の飯舘村、川俣町で行ってきた除染技術の実証実験は具体的にはどういうもので、これまでにどういう結果が得られ、今後それを本格的な除染にどう生かしていくのか、教えてください。
  23. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) 徳永委員お答えいたします。  徳永委員本当に、TPP議論で被災地の皆様が、もう自分たち忘れられているんじゃないかと、被災地のことはもうほったらかしにされているんじゃないかと、もう本当御心配をされていると思います。  大臣も、もう何度も何度も現地に行きまして、私もそうでありますが、国会よりも東北の方ばっかり行っているんじゃないかと言われるぐらい私どもスクラムを組んで被災地の皆様の下へ足を運んで、また東京に戻ってきてはまたその政策を進め、また被災地に行ってという、そのようなスタイルで取り組ませていただいているところでございます。  森林や農地の除染の状況でございますけれども、除染技術の開発に向けた実証試験を実施しておりまして、表土の削り取りで放射性セシウムの七五%から九七%を除去できることをもう確認をいたしております。また、森林につきましては、森林の外縁から内側に二十メートル程度を目安に落ち葉等の除去を行うことが、隣接する住居等への線量低減に効果的と確認をしているところでございます。  今後、これらの技術を活用して、政府一丸となって除染の迅速かつ着実な実施を推進する決意であります。
  24. 徳永エリ

    徳永エリ君 いろいろ実証実験をしてきた中で、表土の削り取りが一番有効であると、今はそういう状況だそうですが、これからもいろんな研究機関から提案が出てくると思います。いろいろ実験をしてみて、よりいいものを探していただいて、なるべく早くこの除染作業を進めていただきたいというふうに思います。  被災者の方々は、本格的な除染が始まるということを聞きますと、いつ営農が再開できるんだろう、もうすぐできるんじゃないかというふうに楽しみにしているんですね。除染にはどのくらいの期間が掛かるんだろうかとよく聞かれます。とにかく被災地の方々は目標が欲しいんですね。例えばそれが一年、二年先でもいいんです。一年、二年頑張ろう、我慢しようと、それでもいいんです。何か具体的なものがないとやっぱり心が折れてしまう。なかなか気持ちがつながっていかないと思うんですね。  具体的にはいつごろまでにやろうというようなロードマップをこれから作っていくという、そういう計画はあるんでしょうか。
  25. 森本哲生

    大臣政務官森本哲生君) 徳永委員におかれましては、本当に現場を大事にされて日々御尽力いただいておりますのに敬意を表しながら質問お答えさせていただきます。  現在、こうした放射能の関係については、基本的にめどというものは、いつまでにするという明確な設定は今のところお答えできるところまで行っていません。ただ、目標値を据えながらいろんな分野において今計画設定を落とし込んでいるところでございますので、そこのところの具体的な日数、数字については、いま少しお待ちをいただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
  26. 徳永エリ

    徳永エリ君 この原発事故という影響は初めての経験でありますから、いろんなことがやってみなければ分からないという状況ではありますが、例えば、その空間線量がどのくらいだったら、あるいは土壌のセシウムは何ベクレル以下だったらというような基準もこれからだんだんできてくるんではないかと思いますけれども、とにかくその具体的な目標を被災地の方々が持って頑張ることができるように、よろしくお願いしたいと思います。
  27. 森本哲生

    大臣政務官森本哲生君) 今御指摘いただきましたように、例えば、時間がございませんので余り質問の時間を取るといけませんので、例えば年間二十ミリシーベルト以上、以下とか、そうした設定を基に今やっているところでございますので、御理解いただきたいと存じます。
  28. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) 先ほども大臣も現地に何度も何度も足を運びと申し上げましたけれども、省としても、チェルノブイリにも派遣しまして、先週ですか、一回戻ってきまして、チェルノブイリも一回だけではなくて何度も農水省から現場に足を運んで情報収集して、今ロシア語から日本語に翻訳する段階でございまして、その翻訳も正確に翻訳しないといけないものですから、翻訳しながら現地に足を運び、また帰ってきてまた翻訳しながらというような、そういう取組も進めておりますことを申し上げさせていただきます。御報告申し上げます。
  29. 徳永エリ

    徳永エリ君 大変にお気遣いをいただきまして、御説明を重ねていただきまして、ありがとうございました。  森本務官の方から現場の声を届けてくれてというお話がありましたけれども、やはり現場に行かなければ分からないことってたくさんあるんですね。それも、やっぱり一か月たったら、二か月たったら、もう時期が過ぎていくと状況がどんどん変わっていくんです、もちろん変わらないこともありますが。ですから、やはり頻繁に現場に行って、そのときそのときの被災地の皆さんの声を聞くということがすごく大事だと私は思っております。  以前にもお話しいたしましたけれども、私は、復旧復興の最後までお付き合いさせていただこうということを決めた町がありまして、岩手県の山田町というところに定期的に入らせていただいております。先日も、十月の九日、十日とまた行ってまいりました。漁協の方々や仮設住宅で漁業ができなくなってしまった漁師さんたちと、本当にじっくりとお話をしてまいりました。  この漁師さんたちは、今漁業が全然できないということで瓦れき撤去の仕事を日々しているんですね。漁場生産力回復支援事業というこの事業で、漁場の瓦れきや漂流物の撤去を行って一日一万二千百円という日当を得ているわけですけれども、ほとんど高齢者の方なので半日しか働けないんですね。さらに、ちょっと天気が悪かったりすると、もう今日はやめようと言うそうです。皆さん、やっぱり収入が欲しいので、少々天気が悪くてもやりたいと、やらせてもらえないだろうかということで、これどこが指導をしているのかなと、多分漁協なんだと思いますけれども。とにかく働く意欲があるのに働けないということで、非常につらい思いをしているようです。  この三陸山田は、この事業は十月三十一日までで、そして船越というところは十月二十日までで終わってしまうんですね。もうすぐこの事業が終わってしまうと収入がなくなるんだということで、私が行ったときには、もう皆さん落胆しているというか、絶望的な気持ちでいたんです。  こちらに戻ってきまして、すぐ水産庁さんに確認したところ、九月二十九日に岩手県で、それぞれ一か月、この事業の延長が決定していたということで、そのことをすぐ漁協さんにお伝えしたり、それから漁協さんから仮設住宅に届かなかったら困るので、ボランティアセンターにお願いしまして、ボランティアの方に私が送ったファクスを仮設住宅の漁師さんに届けてもらいました。多分、ちょっとほっとはしていると思うんですけれども。  さて、その延長した一か月以降なんですが、漁協の方々も、そろそろ瓦れきもなくなってきていると、なくなっても果たしてその瓦れき撤去の仕事ということになるんだろうか、この事業を継続してもらえるんだろうかということで心配しています。例えば、養殖の方などは今すぐ仕事を再開したとしても、二、三年は収入がないわけですから、この間の収入を一体どうしていくのか、この辺のお考えをお教えいただきたいと思います。
  30. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) 瓦れきの撤去事業は本当に被災地の皆様に感謝をされておりまして、津波の後にもう漁業をやめようかというふうに思われた方々が多くいらっしゃったんですね。それで、一日一万二千円という撤去で国から支払ってもらえるということで、その事業があったから何とか、よしもう一回漁業をやろうかというふうに、心をまた新たに頑張ろうという決意をしていただいた漁師さんたちが多くいらっしゃっております。  それで、一次補正予算では漁場生産力回復支援事業ですね、瓦れき撤去事業で九十三億円支援させていただいたんですけれども、三次補正予算案においても本事業は六十五億円を計上しております。切れ目のないように支援をさせていただきたいと思いますし、瓦れきに限らず仕事は幾らでもございますので、それは地元の皆様ともしっかりと私どもも足を運びながらどうお役に立てるのかということを考えながら取組を続けていきたいと思っております。
  31. 徳永エリ

    徳永エリ君 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。  七か月発災からたっているわけですけれども、私、実は今回行ったときには、漁師さんたちも少しは仕事が始められているのかなと思ったんですけれども、養殖業の方も、津波から必死になって自分の船を守った方も、皆さん仕事ができないんですね。船を守った方も、資材置場ですとか漁具が全部流されてしまったので、今サケとかアワビが捕れる時期なんですけれども、漁に出ることができないので本当皆さん何もできずに、瓦れきの撤去が終わったら、仮設住宅で漁師さんたちがもう何人も集まって、それもみんな六十代、七十代の高齢の方なんですね、本当にぼそぼそと暗い話をしているという状況でして。とにかく今何か元の仕事にかかわるようなことができないと本当に心が折れてしまうなというふうに思うんですけれども。  三次補正で被災地の漁業の復興に向けて八百十八億円が計上されているということなんですけれども、これは漁業・養殖業復興支援事業というものでございますが、この事業を使うことに向けて、今何もできないでいる漁師さんたちがまず何をしなきゃいけないかということなんですが、この辺りはどうなんでしょうか、この支援を受けるためにはどうしていったらいいのでしょうか。
  32. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) 養殖業者さんが共同して復興に取り組むというか、共同作業というのは本当に重要だと思います。  私も何度も足を運ばせていただいていますけれども、やっぱり日々日々現場の状況が変わってきていると思いますので、また私も時間をつくって現場に足を運ばせていただいて、直接漁師さんの皆様の意見も聞かせていただきながらまた取り組ませていただきたいと思います。
  33. 徳永エリ

    徳永エリ君 共同でグループをつくらなければこの事業は使えないというのが基本だそうですけれども、そのことも漁師さんたちお話をしましたら、みんな一人でやってきたものですから、グループをつくれといっても難しいんですね。誰が中心になってグループをつくっていくかというのはなかなかこれできそうでできないんですね。ですから、水産庁の方なのか、県の方なのか、町の方なのか、誰かが漁師さんたちのところに入っていって、この支援事業はどういうものかということをきちんと理解していただいた上で、共同で作業するという体制をつくっていく、これを早急にやらなければならないというふうに思っておりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。  これから寒い冬がやってきます。先の見えない中での仮設住宅での暮らし、長年続けてきた農業とか漁業、それを再開できる見通しというのが付かないと、そして生活のめどが立たないと、本当皆さん高齢者ですから、もう心も体もやっぱり病んでしまうと思うんですね。本当にできるだけ早く皆さんが安心して働ける環境ができるように全力で私たちも頑張りたいですし、皆さんにも頑張っていただきたいと思いますが、本当に被災地の方々は、とにかく自分たちに目を向けていただいているというメッセージを常に欲しいと思っています。  最後に、大臣の被災地の方々に向けての、農林漁業の方々に向けてのメッセージをお願いしたいと思います。
  34. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 大震災の復旧復興なしに日本再生なしと、野田総理自身もそのようなことを言われているわけでありまして、まさにこの大震災の復旧復興を成し遂げるということが今日の内閣にとっての最大の、最優先の課題であるということを肝に銘じながら、農林水産省も全力を挙げて一丸となって大震災復旧復興に向けて努力をしてまいりたいと思います。
  35. 徳永エリ

    徳永エリ君 どうもありがとうございました。これで質問を終わらせていただきます。
  36. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 自由民主党の野村哲郎でございます。  鹿野大臣には今回御留任でございまして、そしてまた、私は前の委員会でも申し上げました、参議院から副大臣も政務官も出ていないと、大変民主党には逸材が参議院にもたくさんおられるにもかかわらず全部衆議院からだったということでお話を申し上げましたところ、今回、私どもの同志でありまして、またこの前まで筆頭を務めていただきました岩本大臣の誕生、心からお祝いを申し上げたいと思います。そしてまた、森本務官には、非常に農林水産業に大変な、今まで、私は衆議院のいろんな議事録も読ませていただきましたけれども、大変熱心な方だということで心強く思っております。したがいまして、そういう皆さん方がまた新しい内閣の下で鹿野大臣をお支えいただくということは、野党ですけれども、エールを送っていきたいと思います。  大臣皆さん方の代表選で、私どもは是非鹿野農水大臣総理になっていただきたいと、こういう思いが強かったんです。山田理事は大臣のところに直接行かれて激励もされたという野党にあるまじき行為をいたしておりますが、まあしかし、そこは私どもも気持ちは同じでございました。というのも、このTPP問題を考えたときに、鹿野大臣はずっと慎重な発言を首尾一貫して通しておられました。ですから、是非とも鹿野大臣総理になっていただいて、そしてやっぱり慎重な議論、そしてまた、国民皆さんにも情報を開示しながら多分慎重な行動を取られたんだろうというふうに思います。  私は、この政権に替わりましてから、鳩山総理のああいった失言問題や、あるいはまた菅総理のいろんな、特に震災対応の遅れ等々、この二代続けた総理本当国民皆さんから、あるいはまた与野党からも見放された総理だったなと。しかしながら、今回誕生された野田総理は、我々は直接話したこともありませんけれども、いろんな発言やあるいは行動を見ておりますと、非常に慎重な方だったなと、こういうふうに思って実はおりました。しかし、今回のこのTPPに関することでは、今までの二代の総理と同じではないのかと、こんな気がしてなりません。  私は、野田総理の誕生には、鹿野農水大臣のお力があったから、鹿野大臣が背広を脱がなければ野田総理の私は誕生はなかったんだろうというふうに思います。そういう意味では野田総理の誕生に一番貢献されたのは鹿野大臣だというふうに思いますけれども、ただ、今の前のめりの発言を聞いておりますと、APECまで期限を切って結果あるいは方向を出したいという、そういうことをおっしゃっておられるわけでありますけれども、一番鹿野大臣の心を心として受け止めておられなかったんだなという思いがしてなりませんが、これはまた内閣の話でありますので私どもには到底分からない話でありますが、今回APECまで期限を切って前のめりの発言をされている野田総理、恩義ある鹿野大臣にこういう期限を切って私はやるんだということの御相談というものはあったもんでしょうか、いかがでしょうか。
  37. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 野村先生から身に余るお言葉をいただきまして恐縮いたしているところでございます。  ただいまの御質問でございますけれども、内閣のことでございますので私から申し上げることは控えさせていただきますが、総理大臣の下での私も一閣僚でございますから、総理大臣と意思の疎通はしっかりと図っていかなければならないと、こう考えているところでございます。
  38. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 なかなか、内閣の内輪の話でありますからお答えにくいことは十分分かります。でも、やはり先ほど来申し上げましたように、野田総理誕生の裏には、裏にはというのは失礼な言い方ですが、やはり鹿野大臣の御尽力があって誕生した総理だということを自覚しておられるのかなと。胸襟を開いて、やはりここは鹿野大臣が一番農水省のトップとして今後いろんな取組を、このTPPに対していろんな思いがあるわけでありますから、そういう意味では私は胸襟を開いて野田総理鹿野大臣にやっぱり御相談されたんだろうと。しかし、そこはまた総理考え方でありますから、これはなかなかそこにさお差すわけにはいかなかったのかなと、こんな思いがいたしております。  しかし、民主党皆さんから、今回のこのTPPは小泉内閣時代の郵政民営化と同じだと、中身は違っておりましたけれども、そういうことをおっしゃった方がおられました。私は全然違うということを申し上げました。  それは何かといいますと、郵政民営化は、これは内政問題でありました。それに小泉総理という方は郵政民営化、これ一本に言わば信念を持って取り組んでこられた方だと。総理になって民営化をやるんだという、その総理になって何をやるかということをはっきりもうなる前から決めておられた方でありますから、相当これは与党内の、我々自民党内の抵抗もあったわけでありますが、そこは小泉さんは、参議院で否決されて解散まで打って出たという、大変その信念を持って取り組まれたと私は思います。  翻って考えてみますと、野田総理本当にそういう信念を持ってやっておられるのかなと。何か、菅さんの後を引き継いでそのままTPPに走り込んでおられるような感が否めません。本当に政治信念を持って、小泉さんのような信念を持ってやっておられるのか、私はどうもその辺が、総理の発信力の弱さというのも言われておりますけれども、全然見えてこない。これは与党の皆さん方と私ども、先ほど来いろいろお話がありますけれども、ここは与野党を超えて私どもは是非阻止していかなければならないというふうに思います。  ですから、このことは後ほど山田理事の方から具体的な質問をさせていただきますけれども、その前に、大臣そして副大臣、政務官の決意のほどを是非お聞かせいただきたいと思います。
  39. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 基本的にはTPPという協定交渉参加するかしないかというふうなことにつきましては、これは大変国民生活にとりましても重要なテーマでございますので、その交渉内容なり、あるいはどういう協定であるか等々、市場アクセスの問題だけではなしにいろいろな分野にまたがっている、そういう交渉がなされておるということも承知をいたしているわけでございますから、当然のことながら、このことについてできるだけ情報提示して、国民皆様方にも議論をしていただく中で野田内閣としても考え方を示していく必要があるんではないかと。そういう意味では、期限を切っていつまで結論を出しますというようなことは必ずしも我が国のこの国益にプラスになるものとは私は考えておりません。ゆえに、しっかりと議論をしていくことが大事なことだと、こう思っておるところでございます。
  40. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) 野村先生には理事時代から本当に御指導をいただいて有り難く思っておりますし、また先ほどは本当にもったいないお言葉をいただいて、本当に光栄に存じております。  TPPでございますけれども、これは本当に私の国会議員の人生の中で一番重要なというか、もう一番大きなテーマと私は、今までの中でですね、テーマと受け止めております。  各地域に足を運びましても、それは本当に深刻に国民皆様がこのTPPに関して現地でもそれぞれの県で議論をされていて、中には、両親が農業を営んでいて息子さんは自動車メーカーに勤務していたりとか、家族の中でももうかんかんがくがくというか、これ両親はもう会社を辞めて後を継いでくれと言っているのに、それは農業はこのままいったらもうどうせなくなるんじゃないかとかいうようなことで、息子がもう農業に入らないと言い切ったという、そういう方からの御意見いただいたり、本当にもう真剣に国民皆さん議論されているわけでございますけれども、私ももう必死になって、もっともっと多くの情報を集めて、それを各省にもどんどん、できる限りの情報を流しながら徹底した議論が必要だと思っておりますので、今後とも御指導を賜ればと思います。
  41. 森本哲生

    大臣政務官森本哲生君) 大先輩の野村委員からいろいろお言葉をいただきまして本当にありがとうございます。国、ふるさとを思う気持ちと行動をされる委員に改めて敬意を表する次第でございます。  今、前段のお二人からもTPPに関しては質問がございました。このTPPは、いわゆる二十一世紀を生きる私どもにとって大きく方向転換が迫られる、そのような重大な私は位置付けだというふうに思っています。大変多くの犠牲を強いることになる、そのことは慎重に対応する、しっかり議論をしなければならない、そのように私自身は考えております。  以上でございます。
  42. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 大臣、そして副大臣、政務官にこの慎重な、TPPに対する慎重な御発言をいただいて、私どもも一緒に頑張ろうと、こういう思いで心を新たにしたところでありますが。  実は、私、七年前に初当選させていただいたときに、先輩の議員からこういうことを言われました。私は政治家の道というのは初めてでありましたので分かりませんでした。そのときに出てきたのが先ほど申し上げた郵政民営化の問題でありました。大変迷いました。そのときに申されたのが、政治家には政策判断と政治的判断があるんだと、この二つをきちっと分けてやるか、一緒に考えるかというのは大変重要なことなんだと、そしてそのことはおまえが判断をしろということで、私は郵政民営化を反対をいたしました。  衆議院の方は除名になりましたけれども、参議院の反対は一切除名とかそういうお仕置きはありませんでしたのでこうやってまた続けているわけでありますが、やはりそのぐらいの信念を持って本当におやりになる、やらなければいけない重大な問題だという、私は郵政民営化でそのぐらい、命を懸けるというようなことなのかということも言われましたけれども、やはり今回のTPPというのはそのぐらい、郵政民営化なんかの問題ではないです。それ以上に大変な大きな日本の形を変えていこうとする問題ですから、私は、先ほど申し上げました、与野党超えて、そういう信念を持って一緒に闘ってまいりたいということを申し上げたいと思います。  そこで本論に入らせていただきたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、TPPの問題は、山田委員の方から具体的なお話があります。また、長谷川岳さんの方からもそういう取組をしていただくようにお願いしているところでありますが、私は、これとセットというふうに考えられている、おととい決まりました農林業再生会議がまとめた基本方針行動計画、これについて質問をいたしたいと思います。  先ほど森本務官は、この基本方針行動計画TPPは別なんだということをお話をされました。しかし、この基本方針をよくよく読んでいきますと、いろんな問題がございます。私はこれは、森本務官はおっしゃいましたけれども、やはりセットになっているこれは計画だなということを思いましたし、それからもう一つは、失礼な言い方かもしれませんけれども、こんな薄っぺらな基本計画で、こんな薄っぺらな基本計画日本農林水産業の再生が可能なのかどうか、そのことを皆さん方に御質問をさせていただきたいと思います。  その前に、本論に入る前に、私はこの基本計画を読まさせていただきまして愕然としました。これは、はじめにのところ、まあ余り字面をあげつらうわけじゃありませんが、こんなことで本当考え方でいいのかなというのをひとつ御指摘させていただきたいと思いますが。  森本務官は別問題ですよということをおっしゃいましたが、この中にも、高いレベルの経済連携推進我が国食料自給率の向上や国内農業・農村の振興とを両立させと、こういうふうにあるんです。本当にこういうような考え方で両立ができるのか。これはまあTPPとは書いてありません。閣議決定した経済連携推進内容がそのまま書いてあって、高いレベルの経済連携と、こう書いてあるわけです。しかし、一方の食料・農業・農村基本計画を見ますとTPPなんという問題は、一切言葉は出てきません。EPAFTAは出てくるんです。一切この計画にはないんです。ですから、そこは丁寧にというか遠慮されてTPPということは、言葉は出てきませんけれども、この後ろに隠れているのはやっぱりTPPという言葉なんだろうなと、私どもはそう受け止めております。  ですから、ここでお聞きしたいのは、本当に高いレベルの経済連携推進と先ほど来お話があります自給率の向上は両立するのかどうか、どうお考えですか。
  43. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) まず申させていただきますが、この度の考え方を決めたこの食と農林水産業の再生行動計画基本方針というものは、関係閣僚の会合におきましても明確にTPP交渉参加するしないにかかわらずこの考え方に沿って推進をすると、こういうふうなことを明示しておるところでございますので、この点はまず最初に申させていただきたいと思います。  それから、経済連携推進する中において自給率向上等々と両立をするのかと、こういうような御質問でございますけれども経済連携につきましては御承知のとおりに昨年の十一月に包括的経済連携基本方針というものを決めたわけでありまして、高いレベルの経済連携を進めると、その際はセンシティブ品目に配慮をしながらと、こういうようなことでございまして、そういう中で、今回の基本的な考え方を決めるに当たりましても、薄っぺらなと、こういうふうに申されたこの最後のところにいわゆる個別ごとに基本方策を決めますと、こういうようなことでございまして、そういう中で、経済連携を進める中でもこの具体的な方策というものは個別の経済連携ごとに検討していくというふうなことがここに書かれておるわけでございますので、そういうことの中できちっと方策を決めさせていただきながら両立がなされるようにしていくというふうな考え方に立っておるところでございます。
  44. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 大臣、今の御答弁、私は非常に危険な考え方だというか、お逃げになっておられるなという気がしてなりません。それは、最後のページにそういう書きぶりで、今後の対応の速やかに取り組むべき重要課題の中に書いてあります。  今から申し上げますいろんな問題がありますが、具体的な方策は国民議論を経て個別の経済連携ごとに検討する。じゃ、TPPTPP、いいですか、そうすると、オーストラリアとのEPAEPA、これによって具体的な方策は変わってくるんですか。私は、食料自給率の向上であったり、あるいは農林漁業の振興については永遠のテーマだと思うんです。国民皆さん方もそういうことを望んでおられるわけです。それを、経済連携ごとにこれを検討しますと、具体策を検討しますと。私はそういうことじゃないんだろうと思います。  農業というのは、日本自給率をどう高めるか、日本の多様な農業をどう守っていけるのかという国益考えた場合に、経済連携ごとではないんだろう。これは個別品目の話なら分かります。だけれども、今、TPPというのはいわゆる包括的な連携でありますけれども、一番問題になっているのはやはり物品税の問題でありますので、それはそれとして、連携ごとにというのは、オーストラリアのEPAとは、あるいは韓国のEPAとは、あるいはまたTPPとはと、こういうきれいな分け方というのはできないし、分けちゃいけないと。やはり農業をどうするんだ、あるいは食料自給率をどう上げていくんだという基本的なところで私は整理すべきだろうと、こんなふうに思います。これは私の考え。  それから、もう一点、どうしても気になるところがあります。これは私は看過できないんです。  なぜかといいますと、この初めに、東日本大震災直後の状況から食料生産・物流が断絶した場合の食料の安定供給の必要性が再認識された、これはよく分かります。しかしながら、この後です。これを機会に、国民生活の根幹を担う農林漁業国民の期待にこたえられるよう、いいですか、農林漁業関係者の意識改革を図ることが必要だと。違うじゃないですか。本末転倒ですよ。だって、食料の安定供給をやらなきゃならないのは国ですよ。この従事している農林漁業関係者の意識改革じゃなくて、むしろ為政者たる我々であったり国の責任だと私は思うんです。何でこういう整理が出てきているのか。  今日はもう答弁は要りません。私はこのことを、大臣は副議長として、また、今日はお見えになっておりませんが、筒井副大臣は座長として取りまとめられたというふうに聞いております、書いてあります。だけど、こんなことを記載されて、誰が書いたか分かりませんが、役所の役人の皆さんが書かれたんだろうと思いますが、こんな目こぼしをされたら、これは基本方針になっていませんよ。これを読んだ農林漁業者は、おまえたちが安定供給するために意識変えろ意識変えろなんて本末転倒だと、このことを是非申し上げて、また、もしコメントがあれば別ですけれども、是非ともこのことは問題にしていただきたいと思います。  そこで、時間がありませんので具体的な中身に入らせていただきたいと思います。  この中で、非常に数字がいろいろ出てまいります。特に、新聞でもよく報道されております、これから二十ヘクタールあるいは三十ヘクタールの農家が大宗を占める。私、大宗という言葉が分からないんですけれども、何%ぐらいなのか分かりませんが、あるいは言葉として大宗というのをこういうところに使うのかどうかは別にして、大宗を占める経営者をつくっていく、農業者をつくっていくという書きぶりになっておるわけでありますが。まあ二十ヘクタール、三十ヘクタール、これは北海道、小川委員長なり紙智子さんのところなら分かるんですけれども、二十から三十ヘクタールというのは本当に現実的な数字なのか。言葉では、先ほどいろいろ、これはまた解釈の違いがあるとかいろいろ言われても、そうですねと言わざるを得ませんが、数字は、これはうそを言いません。これは独り歩きします。ですから、二十から三十ヘクタール、中山間地では十から二十という、こういうふうにおっしゃいました。  そこで、今北海道では確かに二十ヘクタール以上が三九・六%ですから、じゃこれが大宗を占めているということになるのかどうか。しかし、私どものような中山間地地帯、都府県においては、五ヘクタール以上で僅か三・九%です。これを五年間でやりますよと、こういうお話というか基本方針であります。本気で本当にこういうことが成し遂げられるのかどうか、大臣、是非御所見をお願いいたします。
  45. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 私自身、昨年の九月に今日のお役目を指名をいただいたときには、十年間の間で今日の第一次産業が抱えている問題を一つ一つ解決をして、そして新しい方向性を見出すというふうなことを考えておりました。しかしながら、今日の高齢化あるいはまた後継者不足、そして各地区におけるところの第一次産業の実態、実情というものを踏まえたときに、十年間というようなことの考え方は余りにも遅過ぎると、このようなことの提示もされまして、実現会議におきましてももっと急ぐべきであると、このような御指摘もございました。ゆえに、改めて五年間の間で新しい第一次産業の姿を描いていくと、こういうふうなことの考え方に立ったところでございます。  そして、その一つ考え方として、今、野村先生からお話しされましたとおりに、この具体的な数値という形で、平場におけるところの二十から三十、そして中山間地においては十から二十という一つの経営体というふうなものを大宗を占めると、こういうふうなところまでここに書くということに相なったわけでございます。  このことは、今日までの取組からいたしますならば、また現実的なこととして相当困難なハードルであるというようなことは、それは議論として出てきますし、私自身も相当高いハードルであるということを承知をさせていただいておりますが、しかし、このことを成し遂げていくというようなことがこれからの第一次産業再生につながると、こういうような考え方に立って臨んでいきたいと、こういうふうなことでございます。
  46. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 大臣の思いは私も同じくするところであります。こうして今の農業の現状を考えたときには、高齢化が進んでいる、あるいは規模が小さい、これではなかなか国際的な太刀打ちもできない、ですから何とかしなければならないというのは、これは思いは一緒であります。ですけれども、この中で整理されておりますように、農業者は高齢化とともにもうあと五年もしたら一桁台はリタイアすると、こういうふうな形で書いてありますが、ただ、じゃそれを単純に六十六・一歳ということで片付けられるのか。  実は、大臣と同じ出身の加藤紘一先生が私どもの鹿児島に二年前の選挙にお見えになりました。そのときに集会にお見えになって、おっ、鹿児島は若い人が多いな、うちの集会に来るのはみんな年寄りが多いんだよと、こうおっしゃいました。北海道のように平均が二十ヘクタール、うちは一・五ヘクタールです。それでも、そこの地域に合った作目を選び、そしてその中山間地で働いて後継者も育っているんです。それを何だか、六十六歳で、あと五年もすれば七十、当然なっていくわけですが、これでは日本農業はおぼつかないよと、こういうことを言われますけれども、やはりここは作目別に、品目別に、畜産別に見てみると全然違うんです、話が。酪農家は五十五歳ですよ、平均年齢。あるいは、園芸農家だってもう六十歳以下です。また、養豚農家も五十代ですよ。  それを六十六・一。日本農家は全部、北海道から沖縄まで六十六歳だと、こういうような言いぶり、前の菅総理もそのことを盛んに言っておられました。私はいつも違うと、地域によって違うんだと。それは、お米は七十歳ですよ、確かに。だから、お米の話ならば分かるんですけれども日本全国の農家はもう全部高齢者だと、こういうような言い方は私はどうなのかなというふうに思います。ですから、余り一くくりにしない方が、私は農業の論議というのはきちっとしたものはならないと思います。  ですから、そういう意味で、もう一つ申し上げたいのは、皆さん方の政権は、私どもが交代前に打ち出しました水田・畑作経営所得安定対策、四ヘクタール、そして集落営農は二十ヘクタールという数字を出しました。さんざんたたかれました。さんざんたたかれました。私どもは、もう小規模であろうが兼業農家であろうが高齢者であろうが、皆さんを飯が食えるようにというか、持続可能な農業ができるようにやりますと、こうおっしゃったじゃないですか。舌の根も乾かないうちに二十から三十とか、それはもう私どもが出したのと五倍ですから、とてもじゃないけれども民主党さんは農政の政策転換をされたんだなと、こう受け止めざるを得ないと思います。  もう一つ、私はここは見過ごしできないのが、昨年の三月に法に基づく食料・農業・農村基本計画をお出しになりましたよ。この中には、やっぱり皆さん方の思想であった小規模農家やあるいは兼業農家、そういう方々が適地適作で基本とした地域の実情を踏まえた政策体系でもって経営体が育成、確保されるようにすると、こう書いてあるんです。その前の段階でも、私どもがやってきた政策に対して、まあ自民党政権はとは書いてありませんが、国内農業の体質強化を急ぐ余り、対象を一部の農業者に重点化、集中化、実施する手法を採用していたと。  ここまでこき下ろしながら、今回、二十ヘクタール、三十ヘクタール、小規模農家が、兼業農家と、この二十、三十、大宗を占める五年後の農家と、これは混在するあるいは両立して日本農業が進んでいくんですか。私は物すごい矛盾した整理をされているのではないかと、こういうふうに思います。言わば小農切捨てをはっきりと今回の基本方針で打ち出されたと、私どもはこういうことを地元に帰って言わざるを得ない。  戸別所得補償で、これは人気があるよということも役所の方からも言われておりますけれども、そうだったならば、戸別所得補償制度はずっと堅持しながら、五年後には二十、三十ヘクタールの農家の大宗を占めるような、そういう政策を今後やっていきます、大転換をしますと、こういうことでありますから、両立するんですか、この戸別所得補償制度と今回のこの基本方針と。
  47. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 非常に大事なことの御指摘をいただきましたが、私は相矛盾するものではないものと思っております、結論から申させていただきますと。  そして、一つのポイントは、野村委員と私どもの、これからの農業を魅力ある農業、そして若い人たちも、よし、やってみようというような気持ちになっていただくような農業というものをこれから目指していく場合、生産性の向上というふうなものは欠くことのできないものである、これは共通の認識であると思います。  そこで、私どもは、この戸別所得補償制度というふうなものを導入する際も、基本的にどこまでの農業者の方々を対象にするかというようなことがいろいろ議論がございました。そういう中で、一つ考え方でこの実施をするということに相なったわけでございます。  そして、今回、五年間の間に何とか平場における二十から三十というふうな一つの経営体というものを大宗にしていきたいと、こういうふうなことを目指すことにいたしたわけでありますけれども、それは一つの施策というふうな中で、農業者の方々の一つ判断によってそういう方向性に持っていってもらいたいと、こういうふうなことでありまして、一定の規模以下というような農業者というものをその施策の対象から外すというふうなことではございませんので、私ども考え方というふうなものはまさしく、今矛盾をしているんじゃないかと、こういう御指摘でございますけれども、矛盾するものではございませんというふうなことだけは申させていただきたいと思う次第であります。
  48. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 今、大臣が御答弁されました。私は、この基本方針をまとめるに当たって、後ろめたさがあったんだなというのがよく分かりました。それはなぜかといいますと、二十から三十という数字を出して、そして今度は注書きで、今大臣がおっしゃったように、一定規模を示して、それ以下を政策対象から外すことを目的とするものではないと、注意書きがわざわざ書いてあるんですよ、注意書きが。それともう一点は、食料・農業・農村基本計画の方針を変更するものではないと、これも書いてあるんです。しかしながら、政策転換を認めたくない、後ろめたいからこういったことをわざわざ注意書きに書いてあるんじゃないのかと思うんです。  ただ、大臣、もう一つ大きな転換があります。それは、二十、三十ヘクタールの経営者をつくっていく、農業経営者をつくっていく、そのことは私どもは将来的にはそういう方向になるんだろうというふうに思います。ただ、それにはやっぱりハード面の条件整備が必要です。それはやっぱり農地整備ですよ。農業農村整備事業を皆さん方の政権のときに三千六百億、六〇%カットされました。そして、基盤整備の新規を止めておいて、さあ、これから大区画ですよ、こういうお話をこの基本方針にまとめてございます。  じゃ、昨日、輿石幹事長が、予算もきちっと付けるように後押ししますからと、こういうことを何か新聞で読みましたけれども、来年度の予算で、じゃNN事業が本当に復活したんですか。  昨日も役所の人たちがレクに来て、いや、百十何%です。発射台をがたっと落としておって、六割カットして、それから一一二%とか一一五%ですと言ったって、元々発射台を落としたわけですから。これは私は、全額、当初の我々がやっておりましたように五千七百億から八百億、このぐらい復活させないと、大区画の圃場というのは無理があるというふうに思います。  それともう一つ言わしていただきますと、新規就農者に来年度、概算要求の中で六十六億ですね。いや、違った、六十六億は農地の集積をするための促進費というか補助が六十六億だというのを昨日聞きましたけれども、これは大臣、けちったなというふうに思いますよね。私どものときには三千億ですよ。そして、概算要求で三千億していて、そして政権が交代してばっさり切られたんです。  そのときに、今のある閣僚のお一人がおっしゃいました。鮮明に記憶に残っているのが、借り手がいないんだと、出し手は幾らでもいるんだと、何で自民党はこんな愚策をやるんだと、貸し手に金をやるのかということをさんざんこの農林水産委員会でおっしゃいました。そして、皆さん方の政権になって三千億はばっさりです。  今回、申し訳ないと、六十六億です。これで本当に農地の集積ができますか。私どもは、やはりそういうめり張りを付けるならば、来年度の概算要求の中で、本当にこのことを本気をもってやるならば、予算を付けないと、ただこれは机上の空論、絵空事だなということを思いますし、もう時間がありませんので、時間がありませんので、もう一つTPPのこれはアリバイづくりだなと。もしそうだったら、本気でなるならば、私は大臣、お願いしたいんです。この食料・農業・農村基本計画をもう一遍諮問していただいて、二十ヘクタールだ三十ヘクタールだ大区画だ、これはやっぱり法律にのっとった基本計画ですから、私はこれを修正すべきだというふうに思います。  最後に、コメントがありましたらいただきたいと思います。
  49. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 言うまでもなく農業を専門とされる野村先生からの御指摘でございますので、私から私の考え方をあえて申させていただきますと、我が国農業にとって一つの大きな重要なポイントは、土地利用型の農業をどうしていくかというところであります。この限られた我が国の農地面積の中でどうやって土地利用型の農業を魅力あるものにしていくか、そういうふうなことからいろいろと実現会議におきましても御議論をいただきました。そういう中で、一つ御指摘は、識者の方から二十から三十という具体的な数字を出していただく中で、そういうことを目指していくべきじゃないかと、こういうふうな提言もあったわけでございます。そしてもう一つは、いわゆる生産性の向上ということの中で、その土地利用型の中での農地の集約というものをやっていく場合に、受け手だけの対策ではなしに、いわゆる出し手の方々に対する施策も必要ではないかと、こういう指摘もございました。  そういう識者の方々のお考えというふうなものもきちっと受け止めながら、この今回の実現会議の中間提言になり、そして今回の基本方針というふうなことに結び付いたわけでございますので、私どもとしては、野村先生のおっしゃられる将来像に向かって生産性の向上を図っていくというふうなことのこの目的は、私は共通の認識であり、その中におけるやり方、手法というふうなものについて、私どもは今回、今申し上げたような考え方でいくということでございます。  そういう意味では、予算というふうなことにつきましても、限られた予算の中でというふうなことの中でも、やはり今回出し手対策というふうなものも、いわゆる協力金としてのこの出し手対策というふうなものも概算要求させていただいたということでございまして、一つ一つ今後のこの農業の在り方につきましては、先生方からもいろいろとお考えをお示しいただきながら、また御叱正をいただきながら、御批判をいただきながら前進をさせていくことも大切なことではないかと、こう思っておるところでございます。
  50. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 最後に、もうこれは御要望だけにとどめておきますが、畜産対策について実は具体的なお話をさせていただこうと思ったんですが、山田委員の時間に食い込みましたので、項目だけを述べさせていただきたいと思います。  一つは、今年の三月で切れました俗に言う新畜特資金というのがあります。これは私ども自民党時代につくりました制度でありましたけれども、これが今年の三月で二か年の事業でありましたので切れました。今、御承知のように大変肥育農家が痛んでおります。これは、口蹄疫そしてまた福島の放射能問題、セシウム問題等々から全国の肉用牛の枝肉価格が、風評被害とでも言えるんでしょうけれども、ただこのことが、大変農家が資金繰りに困っておりますので、是非復活をしていただきたいということでございます。今年の三月に切れたものを、二か年でやりましたものを、今年一年間はこれはもう切れましたけれども、来年からもう一遍やっていただけませんかと。これは肉用牛だけではなくて、新畜特は対象がいろいろありますから、多くは申し上げません。来年から復活をさせてくださいというのが一点。  それからもう一点は、飼料価格安定基金。もう大臣、実は今年で補填が、十二月まででやりますと一般の通常基金は十億から二十億しか残りません。来年度以降、またトウモロコシが上がったら通常基金はもう発行できないんです。補填ができません。ただ、役所の方は、今度の概算要求で異常基金の方に九十億積むようになっていますけれども、今でも異常基金は百七十億持っているんです。それにまた九十億、そしてまたメーカーが足しますと三百五十億になる。一階建ての部分は本当におかゆをすすりながら、二階にはいっぱい金が余ります、三百五十億残ることになるんです。これをもう一遍、制度をちょっと変えていただくか、よく検討をしていただいて、どういうふうに一階の方に金が下りるようにできるのか是非検討をお願いしたいと思います。  一階はもうお金がありません、金庫は空っぽです。でも、二階には三百五十億という金がありますけれども、これを今の法律でいくと一階にその金を下ろせませんので、是非、そのところを再考をお願いしたいというのが一点。  それから、飼料増産総合対策事業というのがあります。これは昨日、役所の皆さん方ともやり取りをしておりますので、是非これは政治決断をもって、率直に申し上げますと、畜産農家と稲作農家のこれは連携を組ませるために、WCSをつくった農家には八万円やりますと、稲作農家には。そして、それを受ける畜産農家には一万円出しますと、こういう事業があるんですが、それが希望が多くて五千円にしますという話になっておりまして、今農家皆さんが詐欺だと、一万円って書いてあるじゃないかと、こういう話であります。  ですから、是非ここは補正予算の中で是非とも一万円にやっぱり上げていただくように、役所は、難しいですと、こういう話を昨日もさんざんやりましたけれども、しかしながら、これは是非とも、詐欺と言われない農水省になっていただくように政治の御判断をお願い申し上げたいと思います。  以上で終わります。ありがとうございました。
  51. 山田俊男

    ○山田俊男君 自由民主党の山田俊男であります。  質問機会をいただきまして、大変ありがとうございます。  連日大変な御苦労があって大臣はちょっといつもの元気がないんじゃないかということをちょっと心配しながら、かつまた同情もしながら、しかし一方で、大臣、しっかりここで励まして大臣に頑張ってもらわなきゃこの大事な困難を乗り切っていけないというふうに思っていますから、エールを送るつもりで、本日は、野田総理が十一月のAPECの総会にTPP参加を表明するということを民主党に指示されているということが伝えられる中で、今最大の政治課題になっておりますTPPにつきまして大臣質疑したいと。それから、関係の各省皆さんにも、お呼びしたわけでありまして、単なる農産物の問題だけじゃなくて多くの分野について課題があるぞということがだんだんだんだん明らかになってきたわけですから、ですから、その点についても、各省本当によく御存じの皆さんに出ていただいたわけですから、率直に述べていただきたい、こんなふうにお願いするところであります。最初、ちょっと聞こえづらかったかもしれませんが、大臣、よろしくお願いします。  最初に、お手元に出所不明の資料が出してある。ただ、出所不明なんだけれど、ここに私の方で提出資料で、出典、外務省取りまとめ資料なんて書いてあるからちょっと誤解を受けるんだけど、自由民主党TPP参加撤回を求める会に提出してもらった資料であります。どこにもどこの資料かというのは書いていない資料なものですから気にしているわけであります。  この最初の食品安全について、個別の食品安全基準の緩和は論議されていませんが、今後、提起される可能性も排除されませんと、そして、論議される可能性があるということなんでしょうが、一体どういう根拠からそうおっしゃっているのかということなんです。  私が類推すれば、これは、もう既に米国からは外国貿易障壁報告書、さらには日米経済調和対話、これはなかなか舌かみそうな言い方になるんですが、直してもらいたいというふうに思うんですけれど、翻訳を。米国側の関心事項にある要求がそれぞれ載っているわけですから。この食品安全について、今は議論されていないけれども提起される可能性が排除できないなどといって、これもよく分からない書きぶりになっているんですが、こういうことでいいんですか。これら、従来から米国から指摘されているそれぞれの資料があるんで、その要求の中から出てくるというふうに見ていいんですよ、ということですか。これは外務省の香川大臣房審議官お答え願います。
  52. 香川剛廣

    政府参考人(香川剛廣君) お答え申し上げます。  先ほど先生から御指摘ありましたように、この資料の中にそういう、個別の食品安全基準の緩和は議論されていませんが、今後、提起される可能性も排除されませんとありますのは、アメリカ側が関心を有していることは確かでございまして、そういう交渉の中で提起される可能性というのはもちろん排除されない。ただ、現在のところ、我々が情報収集を各国からする限りにおいて、今現在のTPP交渉参加国の間で議論はされていないというふうに承知しております。
  53. 山田俊男

    ○山田俊男君 そうすると、この資料の後に続いているんですが、ある国の食品安全に関する措置の変更が他国から一方的に求められることは想定しがたくというのは、これは間違いじゃないんですか。だって、もう既にそういう形で来ているわけだから。TPP交渉に入っていませんから、その中で議論していないということはそれはよく分かりますよ。しかし、もう既に日本にこれらのことについて強い要求が来ているわけだから、今おっしゃったように、いつ何どきその課題が出てくるか分からないということなんですよ。そういうことでいいんですね。もう一度確認します。
  54. 香川剛廣

    政府参考人(香川剛廣君) 今後のその交渉がどう進むかということについて、日本が仮に参加した場合にアメリカがこの問題をTPP協定交渉の中で取り上げるかどうかははっきりしないという意味でこういうふうに書かせていただいております。ですから、交渉の中身について先取りしない、先取りして判断できないという意味でございまして、必ず、アメリカから、日本が入ってきたら必ずこれは取り上げるという話をアメリカ側から聞いているわけではないというわけでございます。
  55. 山田俊男

    ○山田俊男君 そうすると、この一ページの下から二行目に、いずれにせよSPS協定で認められた食品安全に関する措置を実施する権利の行使を妨げる提案を受け入れることはありませんと、これも、読んでみても本当に突っかかるような難しい整理、言葉遣いになっているんですけれども、どう書くかえらい苦労して書いてあるような内容になっているんだけれども、こんなふうにおっしゃる確信は一体何なんですか。根拠と確信はあるんですか。
  56. 香川剛廣

    政府参考人(香川剛廣君) 山田先生御案内のように、このSPS、動植物検疫につきましてはWTOのSPS協定というのが各国の国際約束の基になっておりまして、SPS協定におきましては、各国国民の生命、安全を守るために検疫措置をとっていいという各国の権利が認められておりまして、もちろんいろいろ各国間で議論はいたしますけれども、その権利まで阻害されることはないということになっていますので、そのSPS協定に基づいてこのEPAもですね、TPPも含めた各国EPAFTAというのも議論されておりますので、基本的にその権利というのは維持しながら交渉してまいるという、そういうことを書いた所存でございます。
  57. 山田俊男

    ○山田俊男君 日米経済調和対話における米国側の関心事項の中に、御案内だと思うけれども、残留農薬及び農薬の使用、それから食品添加物、さらには外国貿易障壁報告書では食品添加物、これもポストハーベスト、これらが書いてあるんです。これは一体、これはどういう内容のものなのか。どうぞ、これは関与しているのは厚生労働省ですか。厚生労働省からお聞きします。
  58. 三浦公嗣

    政府参考人(三浦公嗣君) ただいま御指摘いただきましたように、残留農薬に対する残留基準の緩和あるいは国際的に汎用されている添加物やポストハーベストを始めとする添加物の指定手続の簡素化、迅速化などについて要望が出されていると理解しております。
  59. 山田俊男

    ○山田俊男君 どうも指定手続の簡素化とか何とかと言われたって内容はよく分からないんだけれど、それは国民の食の安全、安心に影響するものなんですか、全然影響しないものなんですか。
  60. 三浦公嗣

    政府参考人(三浦公嗣君) 食品の安全につきましては、科学的知見、あるいは国際的な基準、そういうものにのっとって議論をしていくということになっておりますので、そういう意味で、一概にこれが安全、あるいは安全でないということを申し上げることは難しいと思いますが、安全の評価ということに基づいて対応をしていくというふうに考えております。
  61. 山田俊男

    ○山田俊男君 それはいいですよ、科学的論拠に基づいてやってもらうのは正しいですから、それでいいというふうに思いますけれど、しかしその場合の、この書かれている基準の緩和、これについては、食の安全、安心、我が国の基準よりも緩和されることを求めているというふうに見ていいんですか。ないしは、この食品添加物なんかも数を多くしてくれと、日本にはないんだけれど、これだけの数を増やしてくれという要求になっているということでいいんですね。
  62. 三浦公嗣

    政府参考人(三浦公嗣君) 先ほど申し上げましたように、例えば残留農薬でありましたら、残留基準の緩和というような形で御要望があるというふうに考えております。
  63. 山田俊男

    ○山田俊男君 ポストハーベストも今は使っていないけれど、しかし、日本が使わないと言っているから使っていないけれど、今後はそのポストハーベストを、かかわる農薬を使わせてくださいと、こういう内容の要求というふうに見ていいんですね。
  64. 三浦公嗣

    政府参考人(三浦公嗣君) 先ほどもこれお話し申し上げましたが、国際的に使われている、汎用されている添加物、この扱いについての要望ということでございますので、それについて我が国も最大限の努力をして科学的な評価というものを行っているところでございますので、そういう意味では、広く様々な添加物などについての対応というのが今後とも行われていくと考えております。
  65. 山田俊男

    ○山田俊男君 外務省の香川審議官TPP交渉でこれらのことが当然求められるというふうに考えてもいいんですか。
  66. 香川剛廣

    政府参考人(香川剛廣君) 少なくとも今の段階交渉に参加しておりませんし、米側とこうした二国間の協議の場で提起がされている内容というのはほかにも多々ありまして、それが全てTPP交渉の中の、その交渉のテーブルにのせられるかどうかということはまだ判断できないというふうに思っております。アメリカ側から明確なそういうその意思表示というものをいただいているわけではございません。
  67. 山田俊男

    ○山田俊男君 遺伝子組換え食品についても表示のルール議論になっているわけであります。表示をやめるとした場合は、遺伝子組換え食品が輸入されてきて、表示がないので知らず知らずに国民の口に入るようなことになるということと考えていいんですか。厚生労働省。
  68. 三浦公嗣

    政府参考人(三浦公嗣君) 食品の表示につきましては、現在では消費者庁で対応していただいているということでございます。
  69. 山田俊男

    ○山田俊男君 いや、消費者庁で対応していてもいいけれど、しかし厚生労働省は、表示については消費者庁なんだけれど、しかし遺伝子組換え食品の、何というのかな、扱いだったり検査だったり、それはやっているんでしょう。
  70. 三浦公嗣

    政府参考人(三浦公嗣君) これは、遺伝子組換え食品につきましても、安全性の評価というものに基づいて、その導入といいましょうか、利用が認められるかどうかということになっておりますので、そういう意味では、私どももその分野について関与しているということはございます。
  71. 山田俊男

    ○山田俊男君 これ、このよくある質問では、このよくある質問のこの資料ね、牛肉の輸入規制、食品添加物、残留農薬基準や遺伝子組換え食品の表示ルールについて、今は個別の食品の安全基準の緩和は議論されていないが、今後提起される可能性もあるというふうにしているわけでありますから、そういう面では、ここの点は正直に書いているといえば正直に書いているのかもしれません。  それで、一方でもう一つ、これは外務省が出されたTPP協定交渉分野状況という内容のものでありまして、これは、皆さんのところへ出してない、大部なものですから出してないんですけれど、この中で、我が国の食の安全、安心に関する検疫上の保護水準が確保できるよう慎重な検討が必要となるというふうに言っておられるわけでありまして、そういう面からすると、今言ったよくある質問でこういうことが提起される可能性がある、そして分野状況においては、これらについては検疫上の保護水準が確保できるように、安全、安心のために、だから慎重な検討が必要であるというふうに問題提起されている。だから、これはTPPに参加して、そしてこのことがまともに議論になれば必要な保護水準は守ることに苦労するかもしれません。ないしは、必要な保護水準は守れないということを言外に言っているんじゃないんですか、香川さん。
  72. 香川剛廣

    政府参考人(香川剛廣君) これはあくまで、先ほど申し上げましたように、SPS協定にのっとって我が国国民の生命、身体の安全を守るという、そういう趣旨が貫徹できるように、このTPP協定交渉がどうなるか予断できませんけれども、そうなるようにしていかなくてはいけないという意味で書いてございます。
  73. 山田俊男

    ○山田俊男君 ちょっと次に、話題変えまして、このよくある質問についてのこの医療・保険のところについてでありますけれど、TPP協定交渉において議論対象となっておりませんというふうに明記しているわけだ。  ところで、ニュージーランドと米国との交渉において、これは御存じだと思うんですよ、香川さん、米国はニュージーランドの国の制度である医薬品の安価供給の仕組みにこれは注文を付けていて、深刻な対立になっているということを聞いております。それはそういうことでいいんですか。
  74. 香川剛廣

    政府参考人(香川剛廣君) アメリカがニュージーランドとの間でそういう、FTAの中でそういう規定を設けて協議しているということは聞いておりますけれどもTPP協定の中でどういうふうに扱っていくのかということについて、こういう方向性でこういう議論を行っているという詳細については明確には把握してございません。
  75. 山田俊男

    ○山田俊男君 もう一つ、そこにあるんだけれど、TPP協定交渉参加国間のFTAでは公的医療保険制度は適用除外とされている、こう書いてある。しかし、米国と韓国とのFTAでは、もう最近物すごく話題になっているわけだから御存じだろうと思いますが、特区で米国資本の病院が建設されて、韓国の医療保険から外れた形での医療の実施が盛り込まれているわけであります。  そうすると、類推すると、こんなふうによくある質問では整理はしているんだけれど、しかし米韓FTAの様子を見ると、当然これらのことも話題になってくるというふうに見ていいんですね。
  76. 香川剛廣

    政府参考人(香川剛廣君) 医療保険制度のそういう制度をいじる、制度を改変、修正するということについて、現段階で、我々が情報収集する限りにおいて、一切その交渉の中で取り上げられていないと。もう一つ言えるのは、過去の各国間が結んでいるEPAFTAの中でも医療保険制度そのものが改正しなくてはいけないという、そういう内容の例はないと承知しています。  山田先生おっしゃられましたように、米韓のFTAにおいては一部経済特区の中でそういう規制を特別に解除して設けた例があると。ですから、全体のものとしてそういう改正が行われているわけじゃありませんので、それは米韓の協定交渉の中でそういうものが実現したというふうに理解しております。
  77. 山田俊男

    ○山田俊男君 これも既に日米経済調和対話では、医薬品や医療機器で米国側の関心事項として多くのことが出されていて、薬価についても、それからさらに医療機器の保険適用についても要求が出されている。これ、当然TPPの場でも議論が出てくるのじゃないかというふうに考えるわけであります。  ここに、仮に交渉に参加する場合には、政府としては、安心、安全な医療が損なわれないよう対応しますと、こう言っているんだけど、一体何を根拠に、これ、安全、安心な医療が損なわれないよう対応するという自信を、こうここに書いてあるんですか。このよくある質問に対する回答、これはどなたですか。大体、この紙を誰がまとめたかということに関して、外務省なのか厚生労働省なのかということで大分発言が違うんじゃないかというふうに思うんだけれど、誰から答えいただきましょうか。
  78. 香川剛廣

    政府参考人(香川剛廣君) この指摘いただきましたペーパーにおいては、その最後に、医療保険制度の問題等について述べた上で、最後に、安心、安全な医療が損なわれないように対応しますという政府立場を書いてございますけれども、それは基本的に国民皆保険制度とか、医療の根幹を成すそういう制度については改正をしないという、そういう政府立場を書いてあるものだというふうに承知しております。  この資料につきましては、外務省が取りまとめを行いましたけれども、厚生労働省を始めとして、関係省庁協議をした上で、その合意の下に作られた資料でございます。
  79. 唐澤剛

    政府参考人唐澤剛君) 厚生労働省でございます。  ただいま御指摘ございましたように、これまでUSTRの外国貿易障壁報告書等におきましては幾つかの要望というものが出されております。具体的には、営利企業の医療機関経営への参入でありますとか、混合診療の導入、ドラッグラグ、デバイスラグ、これは医薬品や医療機器の承認期間の短縮ということでございますけれども、そういうものの解消、そのほか、医薬品の保険償還における新薬創出・適応外薬等の解消加算促進の恒久化、医療機器の保険償還における外国平均価格調整ルールの撤廃、こうした要望が出されているところでございます。  私どもといたしましては、国民皆保険制度を堅持をして、国民皆さんの生命、健康、こういうものを守っていくという考え方は従来から一貫しておりますので、今後ともこの姿勢を堅持をして臨んでまいりたいと考えております。
  80. 山田俊男

    ○山田俊男君 いやに自信たっぷりな言い方であるわけでありますが、ところで、米韓FTA、その場で、医薬品について米国の要求をほとんど受け入れる結果になってしまっている。例えば、独占的特許などについて米国の要求をほとんど受け入れている。さらには、医薬品に係る政策に対して米国が異議を申し立てることができる。さらには、保険会社の、保険会社というのは民間の保険会社ですよ、場合によったらアメリカの資本による保険会社ということがあり得るわけで、韓国政府に対する損害賠償請求訴訟ができると、これは韓国からの報告です、FTAに関するね。  こういう事実を承知しているわけですが、このことについては事実ですか、承知されていますか。当然承知されているということだと思うんです。韓国に起こっていることが我が国でも生ずることにならないのかという心配をみんなしているわけだ。どうですか、厚生労働省でいいですか。
  81. 妹尾吉洋

    政府参考人(妹尾吉洋君) お答え申し上げます。  米韓FTAにおきまして、例えば両国の間に委員会を設置して、医薬品、医療機器の規制、価格決定、それから償還に関する法律や手続について両国関係者の間の透明性確保を図るための監視等を行うというような規定、さらに、申請者の要請に応じまして、医薬品、医療機器の価格決定等を見直す独立の機関を設置するというようなことにつきまして定められているということは承知をしております。  他方、我が国におきましては、その医薬品、医療機器の保険償還価格等の決定につきまして、一つには中央社会保険医療協議会におきまして診療側委員、それから支払側委員の間で協議をいただいて算定ルールを決めているというようなことがございます。さらに、このルールを決めるに当たりましても、医薬品の関係業界と議論を行うということを行っております。  こういう透明、公正な手続によって改定を行っているところでありまして、国民に適切な医療を確実に提供しながら医療保険制度を堅持するということが重要だと考えております。こうした立場を堅持するべきだというふうに考えております。  また、医薬品、医療機器の規制に関してでございますけれども、既に行政手続法に基づき、パブリックコメントの実施により透明性の確保を図っております。仮にTPP協定におきましてこれ以外の規制に関するような議論がされた場合におきましては、慎重な検討を要すると考えておるところでございます。  いずれにいたしましても、厚生労働省といたしましては、国民の生命、健康に大きな影響が及ぶことのないよう、政府全体として慎重に対応していく、検討していく必要があるというふうに考えておるところでございます。
  82. 山田俊男

    ○山田俊男君 政府全体として慎重に検討していくという決意だけはいいんだけれど、しかし、おっしゃっているような透明、適切なルールで決めておりますよということだけど、その透明、適切なルールと言っている部分に米国がいろんな形で、今までの対日年次改革要望書であったり、それから今新しく始まっている日米経済調和対話なんかでどんどん意見が出てくるということじゃないですか。そのことはよく御存じだと思うんです。TPP交渉に入れば入るほど、これらの困難な問題について、物すごい時間とそれと労力と、それから何ですか、攻勢に遭うということだと私は確信しておりますが、まあそれはそれで止めておきます。  それから、金融サービスの分野について、これはTPP協定交渉分野状況の中で金融サービスの分野につきましても書いているわけで、これ、金融サービスの、この資料、なかなかそこは率直に書いてあるんですよ、金融サービスにかかわる部分についてね。何て書いてあるかというと、これは米韓FTAについて触れているんです。そして、韓国の農協等の共済について動向を盛り込んでいて、さらに我が国として慎重な検討を要する可能性がある点で、それに関連して、TPP協定参加国のFTAにおいては見られないものの、我が国との二国間の協議において提起されている関心事項、郵政、共済について、追加的な約束を求められる場合には、慎重な検討が必要と、かなり正直に書いてあるわけであります。  まさに、言いたいのは、日米経済調和対話又は外国貿易障壁報告書、これらについて、我が国の共済と保険と郵政が米国の関心事項として取り上げられているわけであります。TPPではこれらの事項が交渉事項になるし、徹底して要求実現が求められると見ていいんじゃないんですか。これ、現に韓国の、韓米FTAの中でその事態が進んでいるということでありますから、この点について、まず郵政について総務省の自治行政局長さんですか、どう受け止めておられますか、お聞きします。
  83. 久元喜造

    政府参考人(久元喜造君) 総務省でございますが、申し訳ありませんが郵政行政の分野は担当しておりませんので、地方公共団体の調達分野ということのかかわりにおきまして私どもは仕事をさせていただいております。
  84. 山田俊男

    ○山田俊男君 ああ、そうか。名前が違っていました。
  85. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 中塚内閣府副大臣
  86. 中塚一宏

    ○副大臣(中塚一宏君) 山田先生にお答えいたします。  郵政改革に御関心をお持ちをいただきまして、どうもありがとうございます。  今までのところ、そのTPP協定交渉への我が国の参加条件として、アメリカを始めとする関係国から郵政改革についての言及はないと、こういうふうに聞いておりますが、ただ、先生御指摘のとおりで、我が国の郵政改革に関しましてアメリカが関心を有しているというのはそのとおりであります。  例えば、政府の郵政改革推進室が実施をいたしました郵政改革に関する意見募集、これは二年前なんですけれども、そのときにも対等な競争条件の確保というものを要求をしてきておりますし、また、これは去年なんですが、ジュネーブの大使級会合におきましても、これはアメリカだけじゃありません、EUからもでありますけれども日本郵政が民間企業に比べて優遇的な取扱いを受けているんじゃないかと、そういう指摘があったところであります。  他方、郵政改革法案、今国会で御審議をお願いをしておるわけでありますが、この法律の第十二条におきまして、郵政事業は、同種の業務を行う事業者との競争条件の公平性に配慮するものとするという条文を入れてございます。その方針の下で、競争条件の公平性については郵政改革を進める上で配慮していきたいと、そういうふうに思っておりますし、国際約束との整合性を確保してまいりたいと、そのように考えております。
  87. 山田俊男

    ○山田俊男君 競争条件について同等性を配慮していきたいということですね。そうすると、アメリカ側の金融会社等々の間でも同等の対応になるように配慮していくという観点で受け止めていいわけですか。
  88. 中塚一宏

    ○副大臣(中塚一宏君) この競争条件の公平性といいますのは、郵政改革法案を策定をするときから実は大きな課題になっておりました。WTO協定の中にGATSというのがありますが、それに違反をすることのないように法案を作らなければいかぬということもあって、それで先ほど申し上げた第十二条をこの法案の中に入れさせていただいたということであります。  TPPに参加する、しないということとは関係なく、日本の郵政については競争条件を公平にしていかねばならぬということを考えておるところであります。
  89. 山田俊男

    ○山田俊男君 いずれにしても、この議論もどういう形で進展するのか、きっちり関心を持って見ていかなきゃいかぬというふうに思っております。  農水省は、ここで言っている、日米経済調和対話で言っている共済の分野についてどう受け止めていますか。
  90. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) 山田先生にお答えいたします。  日米経済調和対話とTPPとの関連についてでございますけれども、山田先生、やっぱり限られた情報では限られた議論しかできないわけでございますけれども、このTPP交渉で共済事業が議論されているか否かというのは承知いたしておりません。ただ、先ほどからも議論ございますように、米国が過去締結したFTAにおいては協同組合が実施する保険事業について同種の民間保険と同一のルールを適用すべき旨を規定した例はあると承知をいたしております。
  91. 山田俊男

    ○山田俊男君 どうも、香川さん、よくある質問の資料を各省が一緒になってまとめましたよということでありますが、大体、どこの資料か全然書いていないわけよね。それから、各省一緒になってまとめたということも一切書いていない。それから、大体文章が物すごい難解。そうでしょう。難しいことを何とか言い逃れようという言い方になっちゃうからそういうことになってしまっているというふうに思うんですよ。  委員長、私、お願いしたいんだけれど、この文書の責任の所在を明らかにしてほしいんです。そのためにどうぞ、どこからこの報告書をもらうのか分からないけれど、この文書について、こういう性質のものでありますということについての報告書をいただいてくれますか。お願いします。
  92. 小川勝也

    委員長小川勝也君) ただいまのお申し越しにつきましては、後刻理事会で協議をさせていただきたいと思います。
  93. 山田俊男

    ○山田俊男君 政府調達のことについてちょっとお聞きしたいわけであります。  政府調達についても、現在もWTO協定にあるわけでありますけれども我が国においては現在一体どういう運用になっているのか、これをお聞きします。
  94. 久元喜造

    政府参考人(久元喜造君) 現在、地方自治体の公共事業の発注ルールにつきましては、WTOの政府調達協定に基づきまして都道府県及び指定都市が締結する二十三億円以上の契約について一定の義務が課せられております。  その主な義務事項ですけれども、例えば事業所所在地要件、これは通常は課すことができるわけですけれども、これは課すことができない、あるいは最低制限価格制度は適用しない、あるいは一般競争入札の公告などにおいて契約の手続において使用する言語を明らかにするほか、一定の事項について英語、フランス語又はスペイン語によって記載をすると、こういった義務が課されることになると承知をしております。
  95. 山田俊男

    ○山田俊男君 今のところ、TPPのP4協定については地方は対象にしていないということなんだけれど、ところが、これは各国FTAでは地方もあるんですよね。だから、地方もある。これはどっちかな、総務省かな。  それで、このTPPにおいても地方自治体に拡大すると、そうすると様々な問題が出てくるんじゃないかというふうに思うんです。特に地方の場合の少額の物品やサービスの購入も対象になったり、小さな公共事業も対象になるということになった場合の市町村、自治体等の事務負担の増大や地域の建設業者に仕事が行かなくなる。さらには、地方に建設業者がそういうことの結果としていなくなった場合に、冬の除雪や緊急の災害に出動できないという問題も抱えるわけですよ。だから、これ、政府調達も簡単な問題じゃないという問題意識でいるんですが、このことについてのこと。  それからもう一つは、もしもそうなった上で地元の業者を優遇した場合、相手国の企業から国が訴えられるということもあるというふうに聞いているんですが、そういうことでいいんですか。
  96. 久元喜造

    政府参考人(久元喜造君) 現在外務省から聞いている話では、TPP交渉の参加国の間では現時点では中央政府の調達について議論をされているということですけれども、今後、地方公共団体についても取り上げられる模様だというふうに聞いております。  その場合にWTO協定と同様のレベルでありますならば地方公共団体の契約調達手続には影響がないわけですけれども、それ以上の対応を求められた場合には、私どもが所管しております地方自治関係法令に影響が出てくると。そういった事柄につきましては、今委員御指摘がありましたように、地方公共団体の発注手続、これはもうそれなりにコストが掛かっておりますので、それへの影響やあるいは地域経済への影響ということを勘案しながら慎重に対応していく必要があるというふうに考えております。  相手国から訴えられるかどうかにつきましては、恐縮でございますけれども、私は承知をしておりません。
  97. 山田俊男

    ○山田俊男君 今答弁がありましたように、この協定交渉分野状況、よく書いてあると思うんですよ。そして、その部分のここの中に地方機関が調達対象になるというふうになった場合は大変な課題が生じますよということを書いてあるわけで、要はそのことを十分念頭に置いたTPPにかかわる議論をちゃんと進めなきゃいかぬと、こんなふうに思います。  さて、農産物の関税撤廃についてこれはお聞きするんですが、米国の主要農業団体や他の様々な業界団体がオバマ大統領に対して書簡を出して、相互に完全な市場アクセスを実現すべきである、これはTPPについてね、そしていかなる除外も認めないというものらしいんですが、香川さん、当然これは御存じですね。
  98. 香川剛廣

    政府参考人(香川剛廣君) 米国の各種団体、商工会議所等各種団体がオバマ大統領に、そういう例外なき自由化を求めるということでアメリカ、米国政府として交渉していくべしという、そういう要望書を出しているということについては承知しております。
  99. 山田俊男

    ○山田俊男君 鹿野大臣にお聞きしたいわけでありますけれども、そういう動きが、大変なアメリカの業界団体が強い動きをしているという中で、今政府の中で、ないしは党の中で、民主党の党の中で議論があります。まず協議に入って、納得ができないなら出ればいいという議論があるやに聞いていますが、これでは、こういう内容のものであれば協議にも入れないんじゃないかと思うんです。それでも入るべきだということになったら、それこそ入るんだということになったら、これは全ての関税を撤廃を覚悟して入るということになっちゃうんですが、そういう理解されていますか。
  100. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) この今、アメリカの産業界からのオバマ大統領あての書簡というものにつきましては、四十二の団体の人たちが、言わば、分かりやすく申させていただきますならば、除外品目を認めるべきでないと、こういうふうなことの申入れをしたと、こういうふうなことだと受け止めております。  そういう中で、今九か国におきましていろいろと、市場アクセス等々も含めて二十一の分野等々において交渉がなされているということも聞いておるわけでありますけれども、そういう中で、この市場アクセスの話合いが進んでおるというようなことは私どもの方にはまだ情報は入っておりませんので、どういうふうに除外品目が認められるかどうかということは全く私は分かりませんので、これ以上私の知見でこの件について申し上げるということは限界があると思っております。
  101. 山田俊男

    ○山田俊男君 今、確かにそうかもしらぬけれども、しかし、そういう動きがあるということは当然のこと、もうそれはちゃんと情報収集された上でこの問題を考えていくと、僅かな期間であとどうするかということを判断していかなきゃいかぬわけですから、というふうに思うんですよ。  それで、当委員会、二十五日の挨拶で、大臣は、これは食料自給率五〇%を実現すべく取り組んできたと、食と農林漁業再生を五年間で実現すべく全力を挙げて努力するというふうにおっしゃっている。今、全ての関税撤廃する形で云々についてはどういう形で進むか分からないという前提を置いておられるようですが、しかし、全ての関税を撤廃する形でTPPの形が定まっていくということになれば一体、五〇%の実現なんというのは夢物語じゃないですか。それは当然考えておられるわけですね。念頭にはあると聞いていいんですね、大臣
  102. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) TPPの参加交渉をするかどうかというようなことについては、もう何遍も私は申し上げておりますけれども、まだ結論が出されているわけではございません。  ただ、基本的に、この食料の自給率というふうなものを目指して推進をするというふうなことは、言わばこのTPP交渉に参加するしないにかかわらず推進をしていくというふうなことを過般の食と農林水産業の再生基本方針の中に盛り込まさせていただいておるわけでありますので、そういう中で私どもとしては自給率向上というふうなものを目指していかなきゃならない、こういうふうに考えておるところでございます。
  103. 山田俊男

    ○山田俊男君 また、大臣のこの発言の中で、WTOドーハ・ラウンド交渉については、多様な農業の共存を基本理念とし、引き続き取り組んでまいりますというふうに書いてあるんですよ。  ところで、WTOの取組姿勢と、それと、経済連携協定分野に書いてあるんだけれども経済連携協定の取組との姿勢は分けてこれ考えておられるんですか。
  104. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 基本的に、このWTOは、もう言うまでもなく百五十三か国におけるところの取決めと、こういうふうなことでございまして、そういう中で、我が国としては多様な農業の共存というふうなものを、考え方を申し上げてきたわけでありますが、これは我が国としての基本的な考え方というふうなことでございますので、今後、経済連携というふうなもの、EPA等々を進める上におきましても、この多様な農業の共存というふうな我が国の実態、実情に合った基本的な考え方というふうなものはこれからも主張していかなきゃならないものだと思っております。
  105. 山田俊男

    ○山田俊男君 そうすると、お聞きしますけど、経済連携協定の中の一つ分野になるのかもしれませんが、TPPについては、大臣、多様な農業の共存を主張していかれないんですか。
  106. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) TPPについては交渉参加するかしないかまだ決めていない段階であるということを重ねて申させていただきたいと思います。
  107. 山田俊男

    ○山田俊男君 参加するかしないかというのは、いいわ、それは、念頭から外してもいい。しかし、農林水産大臣発言の中の経済連携協定の、経済連携については云々として、そして、そこに一つの例としてWTOのことが書いてあって、多様な農業の共存を基本理念として引き続き取り組んでまいりますと書いてあるんだもの。これは、WTOは多様な農業の共存でいきます。経済連携については、いや、実は多様な農業の共存は別のものとして念頭にないんですよというふうに、じゃ、書いてあるんですか。
  108. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) EPA等々の経済連携を進めるにおきましては、多様な農業の共存というふうな考え方も生かされるような形で今後交渉に当たっていくというふうなことになるわけであります。
  109. 山田俊男

    ○山田俊男君 もう一度聞きます。  TPPについては参加するかどうかという判断はしていないよというふうにおっしゃる。だけど、包括的経済連携協定方針の中には二国間のEPAFTAもWTOも、それからさらには、このTPPのことも触れてあるわけじゃないですか。  じゃ、TPPは参加するかしないか分からないけれども、多様な農業の共存ということはTPPとは関係ないんですか、もう一度お聞きします。
  110. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) いわゆるFTAAP、先ほどもお話がありましたけれども、いわゆるアジア太平洋の自由貿易圏というものを形成するというふうな中において、どのような道筋を作成していくかと。こういうふうな中でASEANプラス3、ASEANプラス6というふうな、こういう考え方もありますね、あるいはまた二国間、バイの関係で進めていくというふうな、EPAを進めていく、推進するという考え方もありますね、そしてTPPというふうな交渉もありますねと、こういうふうなことでございまして、そういうふうな中で、私ども日本の国として、政府としてどうあるべきかというふうなことの、その一つが今TPP交渉参加するかどうかというふうなことのあるものと思っておるところであります。
  111. 山田俊男

    ○山田俊男君 FTAAPね、FTAAP、これは場合によったら、先ほど言ったアメリカの各団体がTPP関税撤廃基本として、関税撤廃だと、除外は認めないということで進んで、そのことによって、FTAAP、環太平洋の国々との取組について、それを、除外ってやつを徹底していくんだと書いてあるわけです。  それじゃ、大臣今おっしゃったような、ないしは我が国の方針にあるように、FTAAPについては、これは多様な農業の共存ということも念頭に置きながら進めますよと言っていて、それで、こっちのTPPとはそれは関係ないというふうにとらえておられるんですか。
  112. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) この四十二団体の動きというふうなものは、それぞれの各国が、今、TPP九か国の中で交渉が行われておりますけれども、除外品目等々を求める動きというふうなものもある程度想定をされる中で牽制をされているものと、こんなような認識をいたすところでございます。
  113. 山田俊男

    ○山田俊男君 大臣はそこら辺の事情をよく見極めておられるのかなというふうに思います。というのは、除外も主張するような動きがあるというふうにおっしゃっているわけでありますから、多分そういうことなのかもしらぬと、こんなふうに思います。  多様な農業の共存というのは、ウルグアイ・ラウンドが始まるに際して我が国が主体的に多様な農業の共存ということを打ち出して、ヨーロッパやアジアの国々等の理解も得ながら、そして重要品目というカテゴリーに発展していったわけでありますし、さらに、途上国に対しては、多様な農業の共存という観点で、そういう面では途上国のセーフガードであったり、それから途上国の特別品目という考え方に発展していったといういきさつがあるんです。まさに、この多様な農業の共存という理念は物すごい大事なんです。だから、私がこの春にヨーロッパへ行ったときに、ヨーロッパの農業団体もヨーロッパの政府農業委員会の総局も結局一緒に、多様な農業の共存ということでアジア皆さん日本とアフリカとヨーロッパと一緒にやってきたじゃないですかと。それに一番抵抗していたのはオーストラリアであって、さらにアメリカでしたねと。その二つの国に多様な農業の共存ということを一言も言えなくて、ましてや関税撤廃基本とするそのところへ入っていきますなんというのは、日本どうしたんですか、気が狂ったんじゃないですかみたいな言いぶりで指摘があるんです。その点、本当にどうお考えになっているのかということなんです。そんなもの、こっちの国に対しては多様な農業の共存ということを言ってきます、こっちの国に対しては、いやいや、それはまだ、いや整理付いていません、言いません。こんな話していたんでは、もうそれこそどっち向いている話か分からないし、日本は完全に私は信頼を失うんだというふうに思うんです。是非多様な農業の共存をきっちり主張していくということをやらなきゃいかぬのじゃないかということを私は申し上げたいんです。  今言っているように、TPPも、一体それは、アメリカなりの意図はよく分かりませんが、しかし、それにしてもTPPが、これが環太平洋に実質的、本当に発展していくということであれば、アジアの国々に対してしっかり理解をもらわなきゃ、ないしはアジアの国々が入ってこない限り環太平洋の取組というのは実現しないわけだし、それから、言っておられるようなFTAAPという仕組みも実現しないわけでしょう。ところが、ASEANの整理は、自主性を重んずる、柔軟性を重んずるという原則の下にASEANはまとまっているわけじゃないですか。  だから、今大事なことはTPPのその原則だけで、そしてあとは全体の国々に波及していくといったって、それは無理じゃないですか。我が国がそれこそアジアの中のリーダー国として、そしてフィリピンやインドネシアやタイやインドや、それぞれの国々と連携しながら、本当にこの体制をつくっていくということであれば、柔軟性や自主性、弾力性をしっかりとTPPの中でも発揮すべきだと、それでなかったら絶対にこの理想は、思いは実現しないよということを言っていかなきゃいかぬのじゃないですか。アジアのリーダー国ですよ、日本は。アジアのリーダー国がそういう決意とアジアに対する貢献として、そしてアメリカに主張すべきじゃないですか。  TPP議論をするときに、そういうことが念頭にあるんでしょうね、今、民主党野田政権の下で議論しているときに。いかがですか、大臣
  114. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) まだTPPについては参加交渉するかしないかということは明確な考え方というものは示されていないわけでございますが、私どもといたしましては、この経済連携を進めるにおきまして、もちろんいろんな考え方がございます。  しかし、いろんな今後の交渉というふうなもの、特に農産物にかかわるところのいわゆる市場アクセス等々というふうなことの問題が今大きな問題として取り上げられておるわけでありますけれども、重ねて申し上げますけれどもTPPについてはまさしくまだこれからのことでございますから、EPA等々を進める上におきましては、いわゆる多様な農業の共存という考え方を生かしていかなければならないと、こういうふうな考え方に立っておるところでございます。
  115. 山田俊男

    ○山田俊男君 最後にして、そして大臣に一言お願いしたいんだけれども大臣、今、多様な農業の共存ということを頭に置いてやりますというふうにおっしゃった。いいですね。TPPについても、それからそれの、場合によったらアメリカが狙っているような、場合によったらAPECのそれぞれの国々が期待しているような、そういうFTAAPの展開の形として多様な農業の共存ということが大変大事だということを念頭に置いておられるのかどうか。それを聞きたいし、今、大変大臣は慎重な発言をされているわけでありますけれども、しかし本当は、我が国の将来を誤りかねないこの大事な危機に際しまして、政治家として、閣僚として一つの大きな判断が私は求められるというふうに思うんですよ。政治家鹿野道彦として決断が求められると思うんです。是非、決意をお聞きします。
  116. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 山田先生がびしびしびしびし私どもに対して質疑をなされておるわけでございますけれども、私自身といたしましては、何遍も申し上げましたとおりに、このTPP交渉参加ということにつきましてはいわゆるどういう協定であるのかというようなことをできるだけ、私たちはもちろんのこと、国民皆様方にも情報提示する中で議論をしていただくというふうなことが大事ではないかと、そういうふうなことの考え方に立ってやはり事に当たっていく必要があるんではないかと、こんなふうに考えておるところでございます。
  117. 山田俊男

    ○山田俊男君 じゃ、終わります。大臣、頑張ってください。
  118. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十六分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  119. 小川勝也

    委員長小川勝也君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、農林水産に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  120. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 自由民主党の北海道の長谷川岳です。  本日は、TPP、水産物の価格低迷、そして鳥獣被害という題を取り上げさせていただきますが、今外務省の浜田政務官が遅れられるということですので、まず最初に水産物の価格低迷補償について伺いたいと思います。  水産物の価格が非常に低迷している魚種があります。これは、今般の東電事故によって、輸出ができず国内でだぶついているのが原因であると。この場合、東電が魚価の下落分について満額補償することはできるのか伺いたいと思います。また、これに携わる流通業者に対しても、原発影響で水揚げが非常に激減をしております。流通業者に対しても十分な対応になっているのかを伺いたいと思います。文科省、お願いします。
  121. 藤木完治

    政府参考人(藤木完治君) お答え申し上げます。  まず、原子力損害賠償紛争審査会が策定いたしました中間指針でございますが、まず類型といたしまして、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県の水産物に係る風評被害、それから輸出先国の輸入拒否などの輸出に係る風評被害、これにつきましては、まず類型として損害の対象と示されております。また、この中間指針におきましては、このように指針に類型として示されている被害だけではなくて、本件事故の以降に現実に生じた農水産物の買い控えなどによる被害、こういうものがございましたときには、その発生状況あるいは取引価格の動向などに応じまして、事故との相当因果関係が認められる場合は賠償の対象となる旨、これも明記されております。  委員御指摘の魚価の下落のケースにつきましても恐らくいろいろなケースはあると思いますけれども、このような指針の考え方に沿って基本的に判断していくべきものということで考えております。  以上でございます。
  122. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 満額補償することはできるかと言っているわけで、短めに答えてほしい。
  123. 藤木完治

    政府参考人(藤木完治君) 大変失礼いたしました。  先ほどのような発生状況あるいは取引価格の状況等を検証いたしまして、その被害と認められるものはもちろん全て損害賠償の対象になるということであります。  そして、申し訳ございません、一点、先ほど流通業及びその加工業等に係る部分につきましても同様であるということでございます。
  124. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 自民党の部会において、東電の農林水産物の補償基準は東電の主観的基準であるというふうに私もその場で伺ったんですが、文科省、まずどうですか、その点については正しいでしょうか。
  125. 藤木完治

    政府参考人(藤木完治君) お答え申し上げます。  まず、当然でございますけれども、先ほど申しましたように、今回の原発事故との相当因果関係が認められる損害は全て東京電力による適切な賠償が行われるべきというふうに考えてございます。  まず、先ほど原子力損害賠償紛争審査会におきまして中間指針を策定したと申し上げました。東京電力におきましては、この指針を踏まえて公正、迅速な賠償を進める旨、表明しておられるというふうに承知しております。文部科学省といたしましても、この指針策定直後に当時の高木文部科学大臣が直接、西澤東京電力社長をお呼びいたしまして、中間指針を踏まえて被災された方々との間で円滑な話合いと合意形成を進め、速やかな賠償が実施されるよう強く要請したところであります。  いずれにしても、こうした中間指針で示されている考え方、方針に沿いまして、賠償すべきものは全て賠償するという姿勢で東京電力の賠償が行われる進捗を見守っていきたいというふうに考えております。
  126. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 経産省にも伺いますが、経産省は以前の部会で私が直接伺いましたが、補償基準は一切関与していないと答弁しておりましたが、いかがですか。
  127. 糟谷敏秀

    政府参考人(糟谷敏秀君) 東京電力の賠償でありますけれども、中間指針に示されている考え方や方針に沿って行われておりますが、指針に算定方法の具体的なところまで書いておりませんので、その具体的なところは東京電力が基準を策定しまして、農業団体との協議を通じて合意を得て、合意を得られたものに従って賠償をしていると承知しております。その過程で経済産業省としては具体的に関与はいたしておりません。
  128. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 農水省に伺いますが、今回の補償基準というのは適正と考えているでしょうか、伺いたいと思います。
  129. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) いわゆる今お話しになられました補償基準ということにつきましては、当事者であるところの東京電力が、お話しのとおりに一方当事者である東京電力が定めたものだと、こういうふうに理解をしておりますが、そういう中でも現実ということを考えたときに、実際の賠償におきましては被害者側の個別具体的な事情に応じたいわゆる対応がなされておるものと、こういうふうなことも承知をいたしております。  そういう意味で、農林水産省といたしましては、被害者の側の人たちが不利にならないように、こういうことで今日までも七回にわたりまして協議会、説明会というふうなものを行ってきたところでございます。いわゆる連絡会議ということです。そういう中で、被害者側のお話というもの、お考えというものをできるだけ東京電力に受け入れてもらうような、そういう橋渡し役もやってきたところでございますけれども、これからもとにかく現状に合った、被害者の方々が不利にならないような形でこれからも強くそういうところは被害者の側に立った一つの視点で強く求めていくところは求めていきたいと、こう考えております。
  130. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 是非とも、農水省として補償基準が適正かどうかというチェックをする体制を是非ともつくっていただきたいと思います。  それから、各地域、今やはり水産、これから被害も水産物に対する放射線被害というもの、それから風評被害もこれからまた出てくるのではないかというふうに思われますが、各地域、各港での水産物の放射能検査の実施、あるいは強化というのをどのように考えておるかお答えいただきたいと思います。
  131. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) これは風評被害防止のためにも非常に重要なところでございまして、できるだけそういう調査が、地点が多くなるように、このようなことから機器の整備なりというふうなところに農林省も全力を挙げているところでございますけれども、これからも風評被害防止並びに食の安全というものを確保するために調査の強化ということについて取り組んでまいりたいと思っております。
  132. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 少し話は飛びますが、北海道においてはトド、オットセイの被害というのがかなり出ております。その漁業被害と対策について、次は伺いたいと思います。  一九一一年にラッコ、オットセイの保護国際条約というのが制定されまして、日本国内においても一九一二年、明治四十五年にラッコ、オットセイの猟獲取締法というのが整備されました。一九四〇年に日本が破棄通告し、翌年の四一年、一九四一年に条約が失効となりました。再び一九五七年、北太平洋のオットセイ保護条約が結ばれ、一九八四年にその条約は失効となっておりますが、そもそもこの国際条約に基づいて国内法を整備したという経緯から考えますと、この明治四十五年の臘虎膃肭獣猟獲取締法というのは、この法律はもう要らないのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  133. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) 長谷川先生にお答え申し上げます。  平成二十二年度におきましてトドによる被害は約十五億円に上っております。北海道等と連携して駆除、追い払いの手法の実証試験、あと出現調査等を実施しておるところでございます。平成二十四年の概算要求でもこれらの対策にかかわる予算を引き続き要求しているところでございます。  御承知のとおり、一度失効したと。これはもう第二次世界大戦の直前でございまして、その後また戦争が終わって締結されたんですけれども、米国が環境保護団体の反対活動を受けてこういう延長議定書の批准を行わなかったため失効しているわけでございますけれども、甚大な、本当、漁師の皆さん本当にすがる思いでこの問題解決したいと思われておりますので、しっかりと、私も現場に行きまして取り組んでまいりたいと思います。
  134. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 じゃ、一度現場を見てくださるという考えでよろしいでしょうか。
  135. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) そうでございます。
  136. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 ありがとうございます。  ゼニガタアザラシの漁業への被害も生じておりまして、ゼニガタアザラシというのはどのようなものを食べ、そしてどのような被害があるのかというのをやはり調査をする必要があるというふうに思いますが、今後このような調査をする考えがあるのかも伺いたいと思います。
  137. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) オットセイでございますかね。
  138. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 ゼニガタアザラシ。
  139. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) 失礼しました。ゼニガタアザラシは通告にないものですから、よろしくお願いします。
  140. 渡邉綱男

    政府参考人(渡邉綱男君) ゼニガタアザラシに関しましては、近年、サケの食害が増加をしております。そういった食害の増加を受けまして、環境省におきましても、水産業との共存、これに向けまして、平成二十二年度から襟裳地域におきましてゼニガタアザラシの生息状況、そして漁業被害の実態を把握するための調査を実施しております。また、電気ショッカーや花火などを使って定置網にゼニガタアザラシが近づかないようにすると、こういった被害軽減対策を検討するための実証試験を並行して進めているところでございます。  地域皆さんの意見も聞きながら、効果的な調査あるいは対策の実施ができるように対処してまいりたいと思います。
  141. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 効果のないものもたくさんありますので、是非とも効果のある退治の仕方をしていただきたいというふうに思います。  次に、北海道も含めて、今、鳥獣被害というのが非常に多く出ておりますが、先日、私も森遊人という北海道の若手ハンターの方々の集まりに参加をしてまいりました。これは一般企業のサラリーマンの方が圧倒的に多く、大体二十代から四十代の方々で年齢構成はなっておりまして、その他、農業、自衛官、医師、会社経営、財団職員、IT関係の方々で構成されている団体なんですが、いろんな話合いができました。やはり、今、銃を所持することは厳格な判断が必要であるということは十分に認識をしておりますが、しかしながら、同時にサラリーマンハンターの増加、あるいは有給休暇の特に取りづらい若手のハンターの養成をすることも私は非常に大切なことだというふうに思います。  そこでお尋ねしたいのが、現在は、新たに猟銃の免許を取得する際に、申請は警察の就業時間のみの受付なんです。新たに免許を取得する際に、月に何回でもいいから、土曜日、日曜日及び祝日、あるいは平日の夜間の受付というのを是非やってほしいという声が強くありますが、警察庁、お答えをいただきたいというふうに思います。
  142. 田中法昌

    政府参考人田中法昌君) お答えをいたします。  今お話がありましたとおり、銃砲、特に猟銃につきましては人を殺傷する能力があるわけでありまして、この許可の取扱いについては非常に慎重に警察でもやっておるところでございます。  そこで、今、平日の昼間のみの取扱いになっておりますが、もし休日あるいは夜間というときに許可事務を行うということになりますと、この特殊な銃砲に関する専門的な知識を持った職員を相当数配置することが必要となります。現在の体制では非常に困難ではないかと、このように考えておる次第でございます。
  143. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 警察庁の方に言いますと、北海道、今エゾシカが六十四万頭いるんです。第二の人口の旭川で人口三十六万、それをはるかに超えているんです。しかも、私もこれ先日、つい先日なんですけれども、地元で車の移動中、かつて出てきていないところ、出てきたことのない場所でエゾシカが出てきまして、二メートルを超すエゾシカ、もう間一髪というか危機一髪というか、そういう状況の中で難を逃れることができました。  つまり、警察庁の方、これは非常に認識をしていただきたいのが、有害鳥獣による交通事故増加防止のためにも、やはり申請受付の時間延長というのは警察庁には特に力を入れていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  144. 田中法昌

    政府参考人田中法昌君) 鳥獣被害につきましては、大変深刻化していることは私ども承知をしておりまして、銃刀法の運用の中で様々な利便を講じておるところでございますけれども、許認可申請につきましては、今申し上げましたように、もちろん基本的には各県の方で体制を考え対応すべきではありますけれども、全国的にも昼間以外のところにやるということはやっておらない現状でございまして、体制的にはやはりちょっと厳しいのかなと、このように考えております。
  145. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 銃を持つことの規制を緩和しろと今言っているわけではありません。申請の受付の時間の延長は行政としての努力が必要ではありませんか。
  146. 田中法昌

    政府参考人田中法昌君) 銃の許可と申しますのは大変なこれは専門的知識が必要でございまして、普通の例えば遺失物の届出のようなものとは異なるわけでございます。このような専門性のあるものを増員するということは大変困難ではないかな、少なくとも現状の中では難しいのかなと、このように考えておる次第でございます。
  147. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 これ、しぶとく言いますけれども、交通事故の増加も鳥獣被害によって増えているんです。こういうことの観点からでもこれは難しいですか。
  148. 田中法昌

    政府参考人田中法昌君) ちょっと……
  149. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 検討してください。
  150. 田中法昌

    政府参考人田中法昌君) はい。北海道と地方の現状などを更に研究いたしまして、対応について考えたいと思っております。
  151. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 是非ともよろしくお願いいたします。  それから、北海道において国有林に入林するに当たって、道東エリアを除く入林については各々の森林管理署に入林申請をして地図を入手しなければならないのが今実態です。全道で一括で、入林許可者に対しては許可番号とか並びに氏名のみで地図を一括入手できたり、あるいは各森林管理署にて簡素に地図を入手できるような一元管理の仕組みというのは私は是非とも必要だと、そういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  152. 森本哲生

    大臣政務官森本哲生君) 長谷川委員質問お答えさせていただきます。  確かに、おっしゃられるように今、道東の五森林管理署においてはそうしたことを実行させていただいております。猟友会との連携というものが十分必要でございますが、今後につきましてはこの一括入林承認の仕組みを全体に拡大するように検討をいたしてまいりますので、よろしくお願い申し上げます。
  153. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 是非ともスピード感を持ってやっていただきたいと思います。  同時になんですが、ハンターに提供する各地域の地図作成において、それぞれ地域でばらばらなんです。凡例のフォーマットの統一をやっぱり行っていただかないことには、ハンターが間違ってしまったり誤認をしてしまったりということになりますので、この誤認を防いで安全確保につながるというふうに私は考えますが、このフォーマットの統一と、併せてこの地図をホームページに公開する、それによって山菜取りをする方とか、あるいは渓流釣りをされる方、こういった方々が今事故に巻き込まれることも多くありますので、ホームページに公開することによって、そのようなハンター以外の皆さんの安全を確保するということが私は必要だと思いますが、このホームページの公開、できるだけ早くやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  154. 森本哲生

    大臣政務官森本哲生君) 今、長谷川委員がおっしゃいましたように、入林者の安全というものが一番やっぱり大事でございますので、ここのところ、しっかりとこの地図につきましても、聞いておりますとやはりところによって違うというような、ここは統一をするように指示をいたします。  そして、ホームページにつきましても、ここのところを早急に、スピード感を持ってという今お話いただきましたが、そのように私の方からも指示をさせていただきます。  改めて被害の状況を聞かせていただいて、私の地域も猿とイノシシと鹿でもうめちゃくちゃ、まあ私の子供のときは猿はおりの中にみえていただくものが、今は残念ながら人間がおりの中で作業をしておるような、このもう四十年、五十年で隔世の感があります。こうした問題、事故の問題も踏まえて認識いたしておりますので、頑張ってまいります。
  155. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 ホームページについては確約を受けたということでよろしいでしょうか。
  156. 森本哲生

    大臣政務官森本哲生君) これはしっかり前向きに実行するように指示をいたしていきますので、よろしくお願いします。
  157. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 それともう一つ大切なのは、刑法三十七条、緊急避難としてやむを得ず銃を使用した場合、そしてこのことにおける、生じる全ての責任、例えば誤射などをしてしまった場合に、刑事だけではなくて民事の全ての責任を捕獲隊員全員、個人が負うことになります。行政からの依頼によって住民の安全のために危険な任務を遂行している捕獲隊員に過大な負担を強いているのが今の現状です。捕獲隊員のみに課せられる現行制度の改正と併せ、捕獲隊員の市町村臨時職員の身分取扱いの法制化に取り組む必要があることを要望いたします。  これは各省が連携して取り組んでいただきたいと思いますが、農林水産省、ちょっとこういうことについて御姿勢を示していただくことができればというふうに思います。
  158. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 各省庁とも連携を取り、今問題指摘がありましたことにつきまして、いろいろとお互いに勉強してまいりたいと思っております。
  159. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 そしてもう一つは、これは国の、先ほど、ちょっと話を戻しますけれども、国だけではなくてやっぱり県有林とか道有林という部分で同様のやはり方策をしてほしいというふうに思っておりまして、各県と連携を取って入林手続の簡素化に向けて取り組んでいただきたい、そのように思いますが、いかがでしょうか。
  160. 森本哲生

    大臣政務官森本哲生君) この件につきましても前向きに検討をいたしてまいりますので、よろしくお願いします。
  161. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 ありがとうございます。  もう一つ伺います。  地域協議会が捕獲活動をする際に弾代やあるいはガソリン代などの経費が非常にかかっておりますが、行政からの助成金で賄えないという状況でありますけれども、十分なやはり助成措置というのを考えていくのが私は必要だと思いますが、いかがでしょうか、農林水産省の考え方
  162. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) 農林水産省といたしましては、地域の捕獲活動に対する支援措置としまして、鳥獣被害防止総合対策交付金におきまして、箱わな等捕獲機材の導入、また狩猟免許取得のための講習会の開催、捕獲鳥獣の処理加工施設の整備等を支援しているところでございます。  委員御指摘のガソリン代ということなんですが、現段階では弾代は入っておりますけれども、ガソリン代を支援の対象とすることは現段階では困難と考えているところでございます。
  163. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 やはり急増する有害鳥獣の被害を鑑みて、そういった今までにない措置を思い切ってとっていただくことも必要だと思いますが、いかがでしょうか。
  164. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) 現場の状況ももっともっと把握して、臨機応変に対応できるところは対応してまいりたいと思います。
  165. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 ありがとうございます。  続きまして、やはりTPPの問題を取り上げたいと思います。浜田政務官、公務の後、ありがとうございます。今日は国際政治学者であります浜田外務政務官にお聞きしたいと思います。  浜田政務官は、「恐るべきTPPの正体 アメリカの陰謀を暴く」という著書でも、著者でもありまして、この中には、日本に利益をもたらさない平成の開国、アメリカ主導で作られるTPP協定案文、そしてアメリカの要求は更なるアジア市場の開拓、そしてTPP交渉の裏で暗躍するアグリビジネス、TPPという黒船に日本は潰されるという主な項目立ての中で、四月三十日、ちょうど六か月前に発行されたものでありますが、まず浜田政務官に伺いますが、この本の主張にお変わりはございませんか。
  166. 浜田和幸

    大臣政務官(浜田和幸君) 今御指摘をいただきました「恐るべきTPPの正体」という本は、この四月に発刊させていただきました。当時、私は自民党に籍を置いておりましたし、農業関係の団体の方々に大変強い御支援をいただいていました。そういう観点から、TPPの問題点についていろいろと私なりに調べて、その本に全てインプットしたわけであります。基本的な考えは変わっておりません。  ただ、現在、私は政府の一員として、TPP、これについての様々な賛成論、反対論、いろいろと協議し、その中で本当日本国益にかなったものになるのかどうかということについて今協議を進めている最中でございます。
  167. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 一年前よりTPPについての勉強を一緒にさせていただいたというふうに思いますが、浜田政務官にとって外交の基本というのは何ですか。
  168. 浜田和幸

    大臣政務官(浜田和幸君) 外交というのは、やはり日本国益を最大限に守る、あるいは増進する、そのために必要な手だてをやはり講じることだと思っております。
  169. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 TPPというのは日本から出てきた発想ではありません。にもかかわらず、今現在、TPP交渉参加について政府はアメリカにはっきりと今、現段階で断れない背景があるのではないですか。アメリカに何かそういうような借りをつくっているとすれば、これは何であるか含めて伺いたいと思います。
  170. 浜田和幸

    大臣政務官(浜田和幸君) 長谷川委員がおっしゃっているような、日本が断れないような何か裏があるのかどうか。私はそういうことはないと思っております。日本の決断、これはアメリカ側も日本が自前にきちんと検討して決めればいいことだと繰り返し言っておりますので、それはあくまで日本側の決断次第だと思っております。
  171. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 昨年九月、尖閣諸島で中国漁船衝突事件が起こりました。十月二十八日、ちょうど一年前になりますけれども、ヒラリー当時の国務長官から当時の前原外務大臣に、尖閣諸島は日米安保条約の第五条が適用される対象の範囲内であるという重要な発言がありました。  民主党政権になってからというもの、普天間飛行場の移設問題は全く解決しておりませんし、民主党の外交失態を取り返すために、アメリカと生じた亀裂を修復させるためにこのTPP参加という安易な妥協が生まれたのではないかと私は思いますが、いかがですか。
  172. 浜田和幸

    大臣政務官(浜田和幸君) 長谷川委員の御懸念も分からないわけではございませんが、もしアメリカが普天間の問題とTPPの問題をリンクするというようなことで考えているとすれば、先般もパネッタ国防長官が来られまして、普天間の問題いろいろと議論がありました。しかし、TPPに関しては一言も言及されていません。  やはりそういうことを考えますと、日本とアメリカとだけの問題じゃないわけですから、急成長を遂げるアジアの市場と日本がどう向き合うか、それはTPPがプラスになるかどうかということでありますので、アメリカ側だけの圧力で何か日本が抜き差しならない状況に置かれているということは私はないと思います。
  173. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 パネッタさんの会見の議事録読ませていただきましたが、パネッタさんはTPPという言葉は一切使っていませんが、しかしながら、太平洋におけるアメリカのコミットメントというか、そういう位置付けを非常に大切にする、これからも強くする、プレゼンスを強くするとはっきりおっしゃっていますが、その点はこのTPPと直結する話ではありませんか。
  174. 浜田和幸

    大臣政務官(浜田和幸君) その点は、長谷川委員が先ほどもおっしゃったように、中国との関係、尖閣の問題、あるいは韓国との関係の竹島、その他日本周辺をめぐる安全保障上の懸念材料が大きく今あるわけですから、そういう点でパネッタ国防長官がこのアジア太平洋における重要性を述べられたのは、私、当然のことだと思います。
  175. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 パネッタさんは経済も含めということを言っていることを申し伝えておきますが。  一つ質問を変えます。  政府TPP交渉に向けて国内議論の集約を急いでおりますが、ハワイのAPECに対して、集約が遅れた場合、どのようなことが想定されますか。政務官考え方で結構です。
  176. 浜田和幸

    大臣政務官(浜田和幸君) それは、その集約が遅れた場合には、当然、APECにおける日本表明というものもその影響を受けると思います。
  177. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 それからもう一つ伺いますが、我が国としてTPP交渉に参加し、交渉いかんによっては途中で離脱できるということを前原政調会長はおっしゃっていますが、国際信用上そういうことができるんですか、本来。国際政治学者としての浜田政務官のお考えを伺いたいと思います。
  178. 浜田和幸

    大臣政務官(浜田和幸君) お答えします。  それは、確かに日米関係を考えれば決してプラスではないとは思いますが、準法律的、準条約の交渉段階で、前もって考えていたことが交渉に参加してみたら違っていたということになれば、それは撤退するということは当然保証されていることだと思います。
  179. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 保証されている内容と国際的な評価というのは別だと思うんですが、いかがでしょうか。
  180. 浜田和幸

    大臣政務官(浜田和幸君) それは、日本がどういうような外交的な説明、説得ができるかどうかだと思いますね。
  181. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 それをもう少し詳しく伺いたいと思いますが。
  182. 浜田和幸

    大臣政務官(浜田和幸君) いや、これは、アメリカの国内にも必ずしもこのTPPに関しては合意ができているわけではありません。また、今九か国が加盟交渉をしておりますけれども、まだ最終的な結論が出たわけではありません。  そういうことを考えますと、日本交渉に参加した後に、具体的な協議が来年もまあ最低でも五回はTPPに関しては協議を行うということが言われていますもので、その過程の中で日本国益にプラスにならないというようなことが明らかになった場合には、それは日本国民に対しても説明する、その上で、交渉参加国との間でも、そういう条件であればのめないということを当然説得し、日本離脱するということも可能性としては私は担保されていると思います。
  183. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 今政務官が言われたように、アメリカの中で国内的合意が取れていないというふうに伺いましたが、その国内的合意が取れていない背景はどの分野、どういうふうな背景があると考えておられますか。
  184. 浜田和幸

    大臣政務官(浜田和幸君) それはUSTRのホームページを見ていただくとお分かりになるように、アメリカで国内のステークホルダー二百五十団体が常に自分たちの言ってみれば国内の利益というか、それを守るために働いてロビー活動もしているわけですよね。ですから、特に農業団体におきましては、酪農、畜産、あるいは砂糖、そういうところは大変厳しい反対意見があることは承知しております。
  185. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 著書によると、TPP以上にこの今の円高の方が海外進出している企業にとっては悪影響考えると。浜田政務官のお考えを伺いたいのは、今優先すべきことはTPPですか、それが円高対策ですか、そこら辺の考え方を伺いたいと思います。
  186. 浜田和幸

    大臣政務官(浜田和幸君) これはおっしゃるとおりだと思います。  円高が日本経済にとって大変なおもし、足かせになっていることはもう多くの方々が納得されていることだと思います、日本輸出産業にとってはこれは大変な状況ですから。ですから、TPPに参加することとこの円高対策をどうするか、これはやはり両方を同時進行で進める必要があると思いますし、韓国のウォン安につきましても、今の欧州の経済危機、そういうものの影響を受けて韓国経済が相当おかしくなってきているという状況もありますので、そうしますと、まさに通貨を切り下げるとか、そういう金融通貨政策だけでこの厳しい状況を乗り越えられるかどうかということは、これはなかなか別の判断が必要になってくるんであって、総合的に、アメリカとの関係も大事にしながら、成長を遂げるアジアとどう協力していくのか。その中でTPP本当日本産業にとって、輸出産業にとってプラスなのかどうか、そこのところの大きさですね、ここは必ずしも通貨政策だけで対応できるものではないと私は思います。
  187. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 それでは、通貨政策TPPを加えればこの輸出産業が強くなると、そういうようなお考え方になったのかどうかを伺いたいと思います。
  188. 浜田和幸

    大臣政務官(浜田和幸君) なったのかということではなくて、それは厳然たる今の世界の貿易あるいは金融のライバル同士の戦いぶりを見ていますと、これはもう独自の通貨政策は必ずしも日本としてもまだ十分対応が取れていない部分がありますので、そこはしっかりとした円高政策、総合政策を今遂行しようとしていますので、それを推し進めつつ、信用問題として、TPPに対して日本がどういう立場、どういう姿勢で臨むのか、そこを与野党の中でしっかりと合意ができるかどうか、そこが大事だと思いますので、自民党の中においても、民主党の中においても、その他の様々なところで議論が今まだまだ煮詰まっていない部分がありますから、そこをしっかりしないと、誤ったメッセージ、それがひいては、日本の通貨に対する、日本の経済、対外政策に対する信用をおとしめることになる、そのことを私は大変危惧しています。
  189. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 随分TPPに対する考え方がお変わりになったんじゃないかというふうに思います。  浜田政務官、私たちのこの、日本海新聞の中で、TPPの問題の本質は、米国、アメリカに都合の良い、新たな世界市場戦略の基準作りなのである。一方的な米国式ビジネスモデルは拒否し、独自の地産地消と技術立国を目指すことこそが日本の生きる道だと思われると、新聞にしっかり自分の著書で、著者として書かれている。  このお話と今のお答えというのは、どうも私は乖離して思えるんですが、いかがですか。
  190. 浜田和幸

    大臣政務官(浜田和幸君) お答えします。  確かに、日本にとってアメリカの言いなりになるというようなことは避けなければならないと思いますし、やはりアメリカとしても、どこの国でも自分の国の国益を最大限に取り込むということは当然の話であります。  ですから、このTPP、途中からアメリカが参加してきた、そこにはそれなりの背景があるわけでありますから、日本としてもその背景をしっかりと理解した上で、それが本当日本のためにプラスにならないんであれば、それはもう当然拒絶すべきだと思いますけれども、やはり様々な今交渉が進んでいるわけですから、その中で日本立場を生かせるという可能性も否定はできないわけであります。  そういう意味で、交渉を進めるかどうか、そのためには情報収集が必要ですし、その情報収集に基づいた徹底的な議論が私は必要だと思います。
  191. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 政務官が以前、政務官になる前に、この六か月前の著書と、それから今の御発言は随分乖離があるように思いますが、私は、本来、議員の主張を通すために政府の一員になられた、そしてやはり政府に入ったら主張を消すというのであれば、私は、政府の一員になったあなたの存在が私は意味がない、そのように思います。  私は、今回、外務政務官として国益に反するTPPに前のめりである玄葉大臣を諭す必要がある、それをやるのがあなたがこの政治主導たる政務官の役割だと、使命だというふうに思いますが、いかがですか。
  192. 浜田和幸

    大臣政務官(浜田和幸君) 私も、自分の信念に基づいて政治活動をしてまいっておりますし、これからも続けたいと思っております。  そういう意味で、玄葉大臣であろうと野田総理であろうと、このTPPに関してもっと徹底的な議論をし、本当日本国益にかなうものかどうか、そこまで見極めた上で今度の十一月のAPECの総会に臨んでいただきたいと思っております。  今はその過程にあるわけでありまして、私自身も、これまでの様々な情報ルートを通じて政府とは別の情報を収集したり、それに基づいて政府内での議論に生かせる、そういうことを心掛けておりますので、是非その点を御理解いただきたいと思います。
  193. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 今の段階情報収集の中では、TPPに政務官としては賛成ですか、反対ですか。
  194. 浜田和幸

    大臣政務官(浜田和幸君) 私、個人的にはまだまだ問題が煮詰まっていないと思っております。
  195. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 いつも政務官質問主意書を出されておりました。で、TPPの参加のメリットデメリットを明らかにしてほしいと再三尋ねていました。政府から一切の答えがない、毎回お答えする立場にないと、それは、これでは国益を守るべき国会議員としてとてもじゃないが承服するわけにはいかないとお答えしています。私も同じです。  もしも政務官が、今政府の中で、やはりより分かりやすく、私たち国会議員も含め、全員にメリットデメリットをより詳しく、そしてこういう懸念があるということをはっきりと、国際政治学者として、政務官として、立場としてしっかりと明確にしていただいて、そして何よりもこれは国益にかなわない、私たちはそう確信を持っておりますが、この国益にかなわないということであれば、堂々と大臣に、玄葉大臣に対して、やはり諭すぐらいの勇気と、それから私は良識を持っていただきたいと、そのようにお願いしますが、いかがですか。
  196. 浜田和幸

    大臣政務官(浜田和幸君) その点については、私、全く同感であります。
  197. 長谷川岳

    ○長谷川岳君 質問を終わります。ありがとうございました。
  198. 横山信一

    ○横山信一君 公明党の横山信一でございます。  最初に、まず早急な対策が求められております稲わら問題から進めさせていただきたいと思いますが、七月に汚染稲わら問題を本委員会で取り上げて既に三か月以上が経過をいたしました。しかし、いまだ汚染された稲わらや堆肥が農家が保管している現状にございます。稲刈りも終わって新しい稲わらの保管する場所も確保しなければならない、そういう状況の下でいまだこの稲わらが片付いていないと、この状況に対して早く対策を打たなければいけないわけです。  国の指示によって肉牛農家は出荷を停止をしました。その後も風評被害によって価格が下がり続け、借金は増え続けている、更にその上にこの稲わら問題は何も決着をしていないと、この状況に対しては余りにも国は無責任だというふうに言わざるを得ません。ここまで放置したことに対して国は国の責任でこれをしっかりと処分をすべきだと思いますが、どうでしょうか。
  199. 森本哲生

    大臣政務官森本哲生君) 御指摘をいただきました御質問お答えをさせていただきます。  今、稲わらの問題は大変私どもも重要な問題だというふうに位置付けさせていただいております。この問題につきましては、土壌汚染ということも含めましてしっかり、広範囲に広がっておりますのでしっかり対応をしていかなければならないという認識は同じでございます。こうしたことから、私どもも、この放射能対策の研究施設としてやはり整備をしていく、そういう施設もやっぱり必要だというふうに認識をいたしておりますので、三次補正等も併せてそのこともやらせていただきたいというふうにも思っております。  それと同時に、今八県で七千二百トンというのが保有されておるわけではありますが、十万ベクレルを超えるこの量といいますのが一時保管を農林水産省でやっておるわけでありますが、もう一つ、それ以外の稲わらについてはパイプハウス等でやっておるわけであります。  しかし、これが御指摘のように十分であるかという問題につきましては我々もこの認識、しっかりやっていかなければならないという大きな課題だというふうに今私ども認識をさせていただいておりますので、こうした問題については、周辺の住民の方の御理解も十分いただきながら、今後、厳しい御指摘をいただいておりますので対応させていただきたい、そのように考えさせていただいておるところでございます。
  200. 横山信一

    ○横山信一君 保管場所の話が出ましたけれども、実際にその保管場所が確保されたのは本当にごく一部でありまして、もう大部分はまだ農家のまさに生産現場の中に保管をされているという、そういう状況ですので、これはもういつまでも待っていられない。既に三か月もこの状態が続いているわけですから、難しい問題だということは分かりますけれども、早急な対策を是非お願いをしたいと思います。  続いて、新規就農問題について伺ってまいります。  食と農林漁業再生実現会議の中で、持続可能な力強い農業を実現するには青年新規就農を大幅に増加させることが必要というふうに書かれているわけであります。  しかし、新規就農者、これまでも様々な対策が打たれてきたんですけれども、平成二十二年には前年から一万二千二百五十人も減少しているという状況があります。とりわけ三十九歳以下の新規就農者の減少が著しいんでありますけれども、これら新規就農の減少の要因をどうとらえているのか、そしてまた、新規就農を推進するに当たってこれまでの失敗事例を分析をし、対策を講ずる必要があると考えますが、いかがですか。
  201. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今、横山先生からの御指摘の点でございますけれども、基幹的に農業に従事しておる方々は百八十六万人、こんなふうなとらえ方をいたしております。このうち六十五歳以上が五九%を占め、四十歳未満は五%というふうな非常に低い数字でございます。  そういう中で、なかなか新しく青年の方々が新規に農業に就農していただくというふうな状況考えたときに生計のめどが立たないと、こういうふうなこともございまして、三割程度は数年以内に離農していく、そして定着している人たちは毎年一万人程度と、こういうふうな状況でございます。  このために、来年度、平成二十四年度予算におきましては、何とか就農に向けた研修を実施している青年就農者に対する給付金を給付する、あるいは経営開始直後の青年就農者の所得確保を支援する給付金を給付する、そして農業法人等に雇用される形での就農に対する支援を行う、このようなことで総合的に新しく新規就農者の支援事業というふうなものを概算要求をいたしておるところでございます。
  202. 横山信一

    ○横山信一君 分かりました。  新規就農に対しましては、実際に、農家というのは地域のコミュニティーの中に入ってやらなければいけないわけでありまして、単に農家経営だけを学ぶ、あるいは技術だけを習得するということではなくて、共同体の中で生きていかなければいけないということもあります。そういう意味では、その地域によって状況は様々ですし、市町村によって営農継続のためのそういうサポート体制というのはかなり違ってくるというふうに思うわけですけれども、そういう意味では市町村に自由度のある新規就農対策でなければならないと思うわけですが、この点についてはいかがですか。
  203. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 横山先生のおっしゃるとおりに、市町村との連携というふうなものは全くおっしゃるとおり非常に重要だと思っております。  そういう意味で、新規就農者につきましては集落にまで受け入れてもらうというふうなことも非常に重要なことでありまして、集落とともに経営を発展させていくというふうなことでありますゆえに市町村との、それぞれの町や村のサポートというふうなものが当然必要になってくるわけであります。  そういう意味で、今申し上げましたような新規就農者に対するところの総合的な支援事業というふうなものを行うに当たりましては、市町村なり都道府県と密接なる連携を取ってやっていきたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
  204. 横山信一

    ○横山信一君 植物工場について伺いますが、この植物工場の普及拡大対策、期待をしているんですけれども、このモデルハウス型植物工場実証・展示・研修事業というのがあったんですけれども、三か年の事業であったんですが、それは全国で僅か六か所でしか実施をされておりませんでした。  植物工場というのは、農作物の収量増加、あるいは安定的に計画的な生産が可能であること、あるいはコスト削減にもつながっていくということで、これからの農業の中では非常に、とりわけ施設園芸の中では重要な役割を持つものというふうに期待をされるんですが、そういう意味で北海道などの食糧基地ではこうした植物工場をもっと積極的に推進していきたいというところも出てきております。  そこで、植物工場の普及拡大について、まずこれまでの事業をどう評価して、それからこれからどうやっていくのか、この点についてお聞きいたします。
  205. 森本哲生

    大臣政務官森本哲生君) 横山委員質問お答えいたします。  二十三年度末に百五十か所というような目標を立ててやってきたところでございます。ただ、今八十か所で稼働中というような現実であるわけでありますが、委員御指摘のように、これはやはり今の環境を考えますと非常に重要な私は指摘だというふうに認識をさせていただいております。ですから、来年度の予算、二十四年度の予算をやはりここのところでしっかり支援措置をしていくということが重要だと考えますので、ここのところの予算獲得はしっかり頑張っていく所存でございますので、よろしくお願い申し上げます。
  206. 横山信一

    ○横山信一君 是非よろしくお願いいたします。  林業のことについても伺いますが、森林整備加速化・林業再生基金についてであります。  平成二十一年度補正予算で措置された事業でありましたけれども、この事業によって基金が非常に使いやすい、使い勝手がいい、定額助成ということもありまして使い勝手がいいということもあって、非常に都道府県では活用が進んだというふうに私は理解をしております。  こうしたこれまでの実績を踏まえて、我が党としても、さきに、九月に政府に対して行いました総合経済対策の中で二千億円の増額提言をさせていただきました。政府としても、二十三年度の第三次補正予算の中でこれを確保する方針ということは承知しておりますが、この基金がこれまで果たしてきた役割と、それから今後これをどういうふうに進めていくのか、この点について伺います。
  207. 森本哲生

    大臣政務官森本哲生君) 横山委員本当にこの件につきましてはバックアップありがとうございました。おかげで我々もしっかりとここのところ予算要求をすることができまして、今まで三か年、千二百億、約、そうでございますが、今度それの千四百億近くを概算要求をさせていただいておるところでございます。これはかなり、私どもの県でもそうでございますし、多くの県の皆さんからの要望もあったことも事実でございますし、そこのところを強く公明党の皆さん方からも御支援いただいたんだろうというふうに思っております。  具体的にということを今お話をいただいたわけでございますが、例えば岩手県でございますと、路網の整備と併せて高性能の機械導入をすることによって生産が、例えば、詳しい数字は申し上げませんが、大体倍の量に増加をしたとか、乾燥材の製品のスペース、こうしたものは今、やはり私は本当は自然乾燥がいいというふうに思うんですが、しかしここのところはやはりこうした乾燥も私は大事でございますので、ここが大体一万から三万立米と拡大したという事例がありますので、かなりここのところの効果は、全体的に森を守っていくという意味では私は大きな効果がありますし、この災害を、今回のこの十二号、十五号の災害を見ておりますと、この基金をやっぱり有効に使っていくことが山の再生につながるということでございますので、ここのところはしっかり頑張っていかなければならないという認識でございます。
  208. 横山信一

    ○横山信一君 林業、木材、川上、川下一緒になってやっていける貴重な事業でありますので、是非お願いをしたいというふうに思います。  次に水産業の問題に移りますが、まず、水産業というよりは農林漁業全般の燃油免税のことについてでございます。  七月の二十六日の本委員会におきまして、私、この問題取り上げさせていただきました。大臣からは今後とも免税措置の継続を求めていきたいという旨の答弁がありまして、それが平成二十四年度の税制改正要望の中にも盛り込まれたというふうに思っております。そういう意味では大変にありがとうございます。  そこで、免税措置の恒久化について大臣の御決意を伺いたいと思います。
  209. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 二十四年度税制改正要望におきましても、水産業ということの現状を踏まえて、漁船用の軽油に係るところの軽油引取税の免税措置の恒久化、そして漁業用A重油に係るところの石油石炭税の免税・還付措置二年間延長、こういう形で要望いたしているところでございまして、引き続きこのことが実現できるようにこれからも全力で取り組んでまいりたいと思っております。
  210. 横山信一

    ○横山信一君 軽油引取税につきましては、とりわけ漁業は大きいわけですけれども農業団体からも非常に強い要望がありますし、また林業からも軽油引取税、規模が大きい農林漁業三団体から、三団体というか、三つのそれぞれの団体から、様々な団体から御要請をいただいているところでありますので、是非とも恒久化に向けて農水省としても頑張っていただきたいわけでありますけれども、この点について、今日は黄川田副大臣にもお越しいただいておりますので、農林漁業関係者から強く要望が出ているこの点についてどのように認識されているのか、伺います。
  211. 黄川田徹

    ○副大臣(黄川田徹君) 横山委員御案内のとおり、各種の産業用等の軽油引取税の課税免除措置につきましては、平成二十一年度に目的税から普通税に移行した際、石油化学製品の原料となる軽油を除きまして平成二十四年三月三十一日までのこれは特例措置とされているところでありまして、したがいまして、この二十四年度以降の関係でございます。  この取扱いについては、それぞれ特例措置ごとに合理性あるいはまた有効性等に総合的に洗い直しをして結論を出さなきゃいけないと、こう思っております。  御指摘の農林漁業に係る軽油の課税免除措置の取扱いでありますけれども、今後、税制調査会におきまして農林水産省側の御意見をお聞きしてと、今鹿野大臣からもお話がありましたけれども、税調の中でもしっかりと検討していかなきゃならないと思っております。  それで、北海道あるいは東北、秋といいますと、これはサンマ漁であるとか、あるいはまたサケ漁ということで大変にぎわうわけでありますけれども、大変な状況であります。特に今お話しのとおり、漁船の燃油代、本当にばかにならないわけであります。それから、被災地を含め第一次産業を取り巻く環境は本当に厳しいということも私も認識しておりますし、委員の御発言、重く受け止めて対応していきたいと思います。
  212. 横山信一

    ○横山信一君 重く受け止めていただいたということで、是非とも、注目をされているところでございますし、是非ともこの恒久化に向けて、その実現を目指していただきたいというふうに思うわけでございます。  あわせて、地球温暖化対策税のことについても伺いますが、現在衆議院で継続審議になっておりますこの石油石炭税にCO2排出量に応じた税率を上乗せをするという、こうした特例を設けることについて、これはA重油については課税の特例により上乗せされる税率については免税、還付という、そういうことになっているんですけれども、軽油については何ら措置がないということであります。  この法案はまだ通ってはいないわけですけれども、これがこのまま通ってしまうとという、そういう不安が現場にはたくさんあるわけでありまして、農林漁業者の負担を増加させない措置が必要と考えますけれども、いかがでしょうか。
  213. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 石油石炭税の上乗せ税率につきましては、軽油に係る地球温暖化対策税について、平成二十四年度税制改正要望におきまして、水産業への影響を踏まえまして、漁業用の軽油を免税、還付の対象に追加することを要望いたしておるところでございます。
  214. 横山信一

    ○横山信一君 是非頑張っていただきたいと思います。  黄川田副大臣におかれましては、この先もう総務関係の質問はございませんので、御退席いただいて結構でございます。  引き続き水産問題に行きますが、復興特区、水産業復興特区のことについて質問してまいります。  東日本大震災からの復興の基本方針の中でこの復興特区の話が出てきているわけですけれども、その中で、地元漁業者が主体の法人が漁協に劣後しないで漁業権を取得できる特区制度を創設すると、そういうふうに書かれているわけです。こうした考え方を踏まえて今国会に提出される復興特区法案というのが出てくるわけであります。  もう既にたくさん報道等で出ておりますが、宮城県漁協は、浜の規律を乱す、民間企業は経営不振になれば撤退すると、いろいろな理由を挙げてこの復興の妨げになるとして導入には反対をしているわけです。  漁業法に基づく現行制度におきましてもクロマグロ養殖のように民間企業が組合員の資格を取得してこの漁業権に参入をするということは既にできているわけでありまして、特区構想にはこの民間の資金力やノウハウを活用して早期の復興を実現するという意図があるということは理解をしておりますけれども、既に従来の制度の中でできることをなぜあえてまたこの特区制度で導入しようとするのか、その必要性について伺います。
  215. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 被災地におけるところの復興というふうなことは地元漁協の下で、いわゆる地元漁業者によって復興を支援するというのが基本でございます。しかし、今回、御承知のとおりに深刻な打撃を受けて、地元漁業者のみでは資金なりあるいは担い手等の確保が困難だと、このようなことから、地元漁業者が主体となりつつも外部の企業とともに復興を進めるということを考えなければならない地域もあるというふうなことでございます。  このために、漁業権に特区制度の適用地域につきましては、地元漁業者のみでは養殖業に必要な施設の整備や人材の確保等が困難な区域に限定した上で、地元漁業者が主体の法人に対しまして知事が直接免許を付与できるような措置をするということが必要だというふうなことになっておるところでございます。
  216. 横山信一

    ○横山信一君 要するに、震災のために必要だという、そのためにするという理解をしておりますけれども、震災のためということであれば、今この漁業権の参入問題というのは、単に宮城県だけではなくて全国的に沿岸漁業者からは非常に不安がられております。  それはなぜかというと、宮城県が復興特区を推進したときにこの制度が全国に広がっていくんじゃないかと、そういう不安感が今広がっておりまして、あるいはマスコミ等が漁業権の漁業者に独占みたいな、そういう報道もいっぱいあったりとかして、あたかも、何というか、海を独占的に占領しているみたいな、そういう悪いイメージがつくられてしまったということもありまして、大変な不安が今、浜には広がっているわけです。  この漁業権の民間資本の参入というのは、この被災地だけにとどまるものなのか、あるいは、今回実際に特区を申請して、さらにその参入する法人等が出てきて、それに仮に免許が与えられたとしたら、切替えのたびごとにこれから申請をすれば民間企業は漁業権を取得することがずっとできるのか、この点について伺いたいと思います。
  217. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) 特区制度におきましては、免許の対象でございますが、地元漁業者が主体の法人でございます。それが全国にという御心配をされている漁師さんたちも多かろうと思うんですけれども、その全国に広げる広げないというのは今検討中でございます。
  218. 横山信一

    ○横山信一君 期間は。
  219. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) 期間も含めてでございます。
  220. 横山信一

    ○横山信一君 明確にお答えできないということもあるのかもしれませんけれども、この浜の不安というのは、漁業者の人たちというのは、後でまた詳しく話をしていきますが、単に魚を捕って経済活動をしているということだけではないんですね。漁協が中心となって資源管理をしている。自主的に漁期を決めたり、あるいは漁場を決めたり、あるいは区画漁業権であればその漁場管理をしたりとかというように、実際に経済活動にはつながらない、言ってみれば環境保全的なそういう行動、活動をいっぱいして、その中の一部として漁業を営んでいるというのが実態でありまして、そういう漁協が担ってきた役割というのが非常に過小に評価されているんじゃないかというふうに漁師の人たちは思うわけですね。  実際、漁業協同組合というシステムは、漁業者自らが資源を管理するという資源管理と、それから漁業というのを一体にやるという、それを漁師がやるということで、これはほかの先進国では見られない非常に優れたシステムでもあります。特にアメリカの人なんかに聞くと、すぐに、鶏小屋をキツネに監視させるようなものだ、だからそんな漁師が資源管理をするなんてあり得ないというふうに取られるんですが、実際、日本は江戸時代以降ずっとそれをやってきたわけです。  ですから、そういうここは非常に優れたシステムであって、これ、もっと言うと、こういう漁業というのは規制をするということが特徴の産業ですから市場原理には非常に合わないと言ってもいいと思うんですね。だから、そこに民間資本を参入させるという意味では、非常に漁業者が危惧をするというのは、これは当然であります。  そういう意味で、漁協が果たしてきたこの役割というのをこれから民間企業にどう担保させるのか、まずこの点を伺います。  それから、これは漁連等が盛んに言っている話でありますけれども、特区制度を導入すると漁業秩序が崩壊するというふうに言っているわけです。これは、漁師といってもいろんな人がいます。漁協の言うことをちゃんと聞く人もいれば、跳ね返りというか、聞かない、それを何とかうまくみんなをまとめ上げて、組合長がまとめ上げて何とか漁協というのをやっているわけですが、そこに漁協と同じ権利を持った人が参入してくると、漁協に不満を持った人たちが漁協から、組合員から脱退して、その漁協の意見を従わないで勝手にやり始める、いわゆる秩序を乱すということになるんじゃないかと。その漁業秩序があって初めて先ほど申し上げたような資源管理とか漁場管理というのはできるわけでありまして、そういう秩序がなければ持続的な漁業ということもできないわけであります。そういう意味で、この漁業秩序をどうやって守っていくのか、二つお伺いいたします。
  221. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) 横山先生御心配になられた企業の担保、何か担保が要るんじゃないかということでございますけれども、あくまでも地元漁業者が主体の法人でございまして、他の漁業者と協調に支障が生じないこと等の基準を満たす者に免許を与えるということでございますので、そういう問題が生じそうな方には免許が行かないわけでございます。  ですから、海は御承知のとおり自然が相手で本当に危険なわけであります。やはり海で漁に出るというと、皆さんでやっぱり助け合わなきゃいけないんですね。  こういうことがありまして、ある、これは与那国なんですけれども、スキューバダイビングする人と漁業者というのはやっぱり常に仲が悪いと言われていたんですけれども、そのスキューバダイビングの方々が、もう海が荒れて遭難しそうになったときに、仲が悪い漁協の皆さんが一斉に助けに行くわけですね。それは逆もあるわけですよ。  そういう、一般的にそう言われても、やはり協力はしなきゃいけないわけでありまして、漁師さんたちもそのことは理解されているとは思いますけれども、ここのところは本当に誤解を与えないようにもう少し丁寧に説明をしていきたいと思います。
  222. 横山信一

    ○横山信一君 誤解を与えないようにというのは非常に大事なことでありまして、その制度も含めて、何というか、ずるくやる人が得をするような、そういうことのないように、秩序が守れるような形をつくり上げていただきたいと思うわけです。  次に、これは宮城県の話ですけれども、七〇年代後半に大手水産会社がギンザケ養殖をやりました。しかし、カナダ産、チリ産の輸入が増加したことで県内産のギンザケ価格が暴落をしたと。それで、この宮城県に参入をした養殖業者は撤退をしてしまったわけですね。そのギンザケ養殖に協力をした地元の漁業者たちには、企業が突然撤退してしまったものですから、そこには稚魚代あるいは資材代という多額な借金が残ってしまったと。そうした過去の苦い経験があります。  そうしたこともあって宮城県はこの民間資本の参入に強く抵抗しているということもあるというふうに聞いておりますけれども、新たに参入をした民間企業の安易な撤退ですね、これを防げるのか、あるいは地域の漁業生産の安定に支障を来さないようにできるのか、この点について伺います。
  223. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) 宮城県の例を挙げられましたけれども、養殖の事業を継続に行うことができるように、経理的基礎ですとか技術的基礎を有する法定基準というのをちゃんと設定しまして、できるだけ撤退によって地元の漁師さんたちに迷惑が掛からないように努めていくわけでありますけれども、もちろんそれはもう検討しておりますけれども、この例は、私ども調べましたら、いろんな条件があって、一つが理由で撤退したとか、そういうことではないようでございまして、やはり撤退するまでに至る、要は決断するまではもういろんな問題があって、それが重なって撤退を決断するわけでありまして、そういうすぐもう失敗したから撤退するとかいうことのないようにしっかり努めてまいりたいと思います。
  224. 横山信一

    ○横山信一君 よろしくお願いします。  この県漁協、宮城県の県漁協ですけれども、県議会に対して、水産業復興特区創設の撤回に関することについてという請願を出したんですね。これも既にマスコミ報道等出ておりますから御承知だと思いますけれども、その請願についてまず産業経済委員会で採決をしたら、これは採択されたと。しかし、その後の本会議では不採択になったということで、これは宮城県の中でもこの復興特区について非常に意見が分かれているという、そういうことでございまして、これを、復興特区を進めるというのは非常に難しいというふうに思うわけなんですが、こうした県議会の状況を見て、国としてはどういうふうに対応するのかということをまずお聞きをいたします。  そして、あわせて、水産復興マスタープランの中には、地域理解を基礎としつつという文言が入っておりまして、地域理解を得るということが前提になっているわけです。先ほど申し上げたように県議会が真っ二つに割れるようなそういう状況の中で理解醸成というのをどのように行っていくのか、このことについて伺います。
  225. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) 先生御指摘の、地元の漁師さんたちが意見が真っ二つに割れているのにどうするんだと、国としてはと。そういう状況の中で、我々農水省がもうこうするからこれをこうやってくださいというわけにはなかなかいかないわけでありまして、宮城県の水産業復興プランの中でも、水産業復興特区について漁業者及び県漁協と十分な協議、調整に努めるというふうにされているわけでございますので、これはやはりTPPではございませんけれども、徹底的に議論をやっぱり地元でしていただくと、それに私は尽きると思います。
  226. 横山信一

    ○横山信一君 この復興特区、まだこれから閣議決定があるかと思いますけれども、今申し上げてきた議論をよく吟味をしていただいて、地元に不安のないように、あるいはほかの全国の地域にも、沿岸漁業者に不安を与えないような形で是非御検討いただきたいと思うわけです。  次に、水産加工のことについて伺います。  被災地沿岸部の復旧復興には水産、加工、流通が重要だと。従来も言われてきたんですが、今回の震災を通して改めてその重要性が再認識をされたというふうにも思っております。この補正予算の中で、水産業共同利用施設ということで水産庁マターの中で補助事業が設けられているんですが、しかしこれは共同利用施設というのは非常に限られておりまして、そんなに多くはないと。そういう中で大多数の水産加工業者は何の救済の手だてもなかったと。今日、隣におられます白浜議員が予算委員会の中でそのことを取り上げていただきまして、二次補正予備費の活用で中小企業庁のグループ補助金を活用していく、また大幅増額というそういう対応が見込まれたわけでありますけれども。  改めて、震災を通して、水産業にとって非常に水産、加工、流通というのは重要だというその事実を前にして、水産庁として、農水省として、中小企業庁にこの水産加工を任せていていいのかということであります。農水省として今後この水産加工をどうしていくのか、そのことについて伺います。
  227. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) 先生御承知のとおりに、被災地の現場は、ある程度生きている船で漁に行って魚を捕って岸に来ても、それから冷凍施設ですとか冷蔵施設ですとかそういうのが整っていないと、魚を持ってきてももうそこで先に進まないわけですね。ですから、これは水産加工施設もトータルでこれは取組を進めなきゃいけないわけでありまして、港によってはこれは県の管理、港によっては市の管理、そういう状況でございまして、しかし、漁師さんたちにしてみれば、市であろうが県であろうが国であろうが、いいからこれ早くやってくださいよというところでございます。  ですから、県や地方自治体と私どももしっかりとスクラムを組んで取り組んでいるわけでございますけれども、第三次補正予算案におきましては、水産加工流通業の復興対策費として六百三十九億円を計上いたしております。現場の皆さんの声も我々も聞いて聞いて、大臣も何度も足を運んで、私も行きながら聞いていろいろ積み上げた金額でございますけれども、もっともっと、今日午前中の同僚議員からもありましたけれども、現場の意見を聞いてお役に立てるように、全力で取り組んでまいりたいと思っております。
  228. 横山信一

    ○横山信一君 それは、共同利用施設の水産加工ということに限られているんでしょうか。それとももっと広げるという、そういう考え方でしょうか。
  229. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) この予算計上は、基本的には県から要望されて、それで我々は議論して予算を計上しているわけでございますので、これはそれこそ臨機応変に、幅広くお考えになって結構だと思います。
  230. 横山信一

    ○横山信一君 これは、これまで救済の対象にはなっていなかった、水産庁として救済の対象にしていなかった個人の水産加工も含むということで理解をしたいと思います。  次に、TACの問題について質問をしてまいります。ちょっと専門的な話にもなってしまうのでありますけれども、道南太平洋海域のスケトウダラのTACであります。  この道南太平洋海域のスケトウダラというのは、二年連続して豊漁となりました。その結果、TAC、漁獲可能量のことでありますけれども、国が定めている漁獲可能量なんですが、このTACの消化が進んでおります。TAC、豊漁が続くとどんどんどんどん捕ってしまう、決められた漁獲可能量のうちの、先にどんどん捕ってしまうわけですね。そうすると、価格が上昇する盛漁期の前にTACがなくなってしまう、捕り切ってしまうということもあります。そういう意味では、操業に支障を来すという、そういう問題も出てまいりました。  そこで、北海道では様々な指導をいたしまして、自主的に操業開始を一か月遅らせたりとか、あるいは月別の漁獲限度量、TAC全体で、多いからどんどん捕っていくというのではなくて、月別に今月は何トン、今月は何トンというふうに決めてやるとか、いろいろな工夫をしながらこのTACを計画的に利用する努力をしてまいりました。  こうした中で、地元漁業者からよく聞かれる声として、国の資源評価、ABCと言いますけれども、この国の資源評価と、それから現場の漁師の、実際にその漁業をしている人たち、今年は多いなと、豊漁だとか不漁だとかと感じるその現場の感覚と、このABCとの量に大きな乖離を感じるという、そういう漁業者の声が、最近つとに聞かれるようになってまいりました。  そこで、北海道関係漁業団体と一緒になって、この漁期中の資源の臨時再評価というのを求めてまいりました。TACのこの臨時再評価、これは先日もされたわけですけれども、再評価は先日もされたわけですが、このTACの漁期中の改定のルールを作ってくれないだろうかと、そういう要望が上がってきております。これを受け、国では水産政策審議会の審議を経て、この要望にこたえるための体制を早急に整備するというふうに国の方でも言っているんでありますけれども、漁業者とすれば、何かこの実際に国から出されるTACの量と、もっといっぱい捕れるのにと、何でこれぐらいしか出てこないんだという、漁期中にこのTACをもう一回期中改定をすると。そういうその期中改定ルール、どうなったら期中改定をやってくれるのか、あるいはどの程度の資源水準であれば期中改定が通るのかという、そうした様々なルールを早く作ってほしいという声が上がっているわけなんですが、この点について伺います。
  231. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) 委員御指摘のとおり、現場の漁師さんたちの長年の経験から生まれるその勘というのは、何といいますか、机上の空論とかよく言われますけれども、なかなかその漁師さんにしか分からない、説明ができない、しかし時には正しい、正しいというか、例えば今日は嵐が来そうだですとか、誰も、天気予報も予想していないのをぴたりと当てたりとか、そういう自然と向き合ってこられた方々の勘というのは、本当に私は重要だと思っております。  先生御指摘のように、もう我々もそういう漁師さんたちのところにどんどん足を運んで、そういう経験から生まれた勘も今後大いに活用させていただきたいと、そういうふうに思っております。
  232. 横山信一

    ○横山信一君 期中改定ルールは作ってもらえるのかということですが、いかがですか。
  233. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) 御指摘の件でございますけれども、いろいろいろんなところで情報を収集して検討していきたいと思っております。できるところはですね。
  234. 横山信一

    ○横山信一君 ちょっとしつこいようですけれども、これは水産政策審議会でもこの要望にこたえるべきというふうにもなっているというふうに私は理解をしておりまして、この臨時再評価、早急に体制を整備するというふうに国も言っているかと思うんですけれども、これを一日も早く実現をしてもらいたいということでありますので、この点についてちょっとしつこいようですがもう一回お願いいたします。
  235. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) 平成二十三年の太平洋のスケトウダラのTACについては、今年の九月に資源の再評価の結果に基づいて改定を行って、TACの増枠をもう行ったところでございまして、引き続き取り組んでまいりたいと思います。
  236. 横山信一

    ○横山信一君 その引き続きが非常に大事でございまして、是非ともこのルール作りを一刻も早く進めていただきたいということであります。  次に、TACの配分の在り方でありますが、沿岸の刺し網業者、スケトウダラの刺し網業者にとってみると、大臣管理の、底引きを中心とした大臣管理量と、それから定置網、刺し網を中心とした知事管理量の配分割当てに不満を持っているんですね。これはどうして不満を持ってしまうかというと、過去のTACの配分、TACの配分というのはどこで決まったかというと、過去三か年の漁獲実績に基づいて決められているわけでありまして、今は大臣許可が六、それから知事許可が四と、六対四というそういう割合で決まっております。その配分は、関係業界尊重していかなくてはいけないということを私も言わせていただいておりますが、その配分の中身については漁業者間の調整によって変えることができることになっているんですね。国はそういった漁業者間の調整があって、例えばその比率を変えますということを国に上げてくればそれは認めるというふうに国も言っているわけです。ところが、利害関係にある者同士が、お互いもっと欲しいという人たちが、利害関係同士がその配分を決めるというのは、これはどだい無理な話でありまして、そういう意味では、これはもう話がまとまらないという状況にあります。  沿岸漁業者がなぜ不満に思うかというと、この底引きの漁業者というのは機動的に魚群を探して歩くことができるんですね。ところが、沿岸漁業者、定置、刺し網というのは、ある海域の中に漁具を固定しなくちゃいけない。そこに魚が来るということを予想して、あるいは来るのを待つという、いわゆる待ち網と、それから探して歩くという、そういう二つの違いがあって、これは探して歩く方が絶対に有利だということになってしまうわけです。そうしたところから不公平感というのがあると。それを漁業者間で調整しろというのは、それはやっぱり非常に難しいということでありますから、こうした不公平感を払拭するために、国の責任においてこの配分ルールを作ってもらえないかと、そういう要請がたくさん来ております。この配分ルールを国として是非検討していただきたいわけでありますが、この点について伺います。
  237. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) 既に九月から協議が開始されておるわけでございますけれども、水産庁が北海道庁とともに協議に立ち会って、双方が受入れ可能な合意に向けて努力しているところでございます。ただ、先生御指摘のように、これはもう永遠とまとまらないんじゃないかと、そういうお考えもあるかも分かりませんけれども、なるべく道庁と、水産庁も立ち会って、なるべく円満に進めてまいりたいというふうに思っております。
  238. 横山信一

    ○横山信一君 地方に丸投げをされてもこれはまとまらない、さっきも言ったように利害者同士がやっているわけですから、まとまらないわけです。国は、決まったらいいですよと言うのは簡単なんだけど、まとまらない。だから、国がある程度その配分ルールを決めてくれれば従うわけですよ、皆さん、同じ資源を使っているわけですから。そういう意味で、国の配分ルールというのを一刻も早く作っていただきたいということであります。この点はどうですか。
  239. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) 今後検討してまいりたいと思います。
  240. 横山信一

    ○横山信一君 よろしくお願いします。  もう一つ質問したいんですが、TACの先行利用ということがあります。この道南太平洋系群スケトウダラのTACは本当にいろんな問題がありまして、そういう意味では来遊状況がそれだけ大きく変化をしているということにも起因するんですが、そうしたスケトウダラの資源量に対応するために、臨時再評価、先ほど答弁いただきましたけれども、そうした措置のほかに、昨年漁期から、翌年のTACから一万トンを限度にして先行利用できるという、そういう手法を導入をしていただきました。翌年の分から捕って、それを今年使う、資源が多い場合使うと。ただし、その使った分は来年のTACに返す、返済をするという、そういうシステムなんですね。  これは、先に使わせてくれる、先取りをさせてくれるというのは有り難い話なんですが、漁業者からすると、使った分を翌年に返すというのは非常に使いづらいということで、多いんだから余分に捕らせてくれたんだから、それは免除してもいいじゃないかと、来年の分に返さなくてもという、そういう声が出ております。実際、魚群というのは複数の年齢群が入って、コーホートというんですけれども、入っておりまして、それが一年年を加えるごとに年級群が変わっていくという、そういうシステムになっていまして、だから、今年捕ったからそれを来年に返したからといって、来年の資源量にどうなるかというのは、これは返したから増えるということにはならないわけで、返す科学的な根拠がないんですね。そこの部分を含めて免除してもいいんじゃないかと、弾力的な運用を是非させてくれということでありますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  241. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) 弾力的に、臨機応変に、資源状況を引き続き踏まえてTAC制度の運用を図ってまいります。  以上でございます。
  242. 横山信一

    ○横山信一君 ありがとうございます。  是非そうさせていただきたいということです。  私からもTPPについても触れさせていただきたいと思うんですが、国会議員だけではなくて、国の世論がもう大きく賛否二つに割れるような今大きな大問題になっているわけでありますけれども、しかし、どの委員皆様方も指摘されるように、今はTPPではなくて震災対策を優先すべき、そういうときであります。この震災対策と併せて、この農林水の中では、やはり大事なのは国の食料政策を確立をすると、そしてまた食料安全保障を確立するということが大事だというふうにも思っております。  食料をめぐる国際的な環境というのは刻々変化をするわけなんですが、それは穀物価格の上下の変動によるんですけれども、その具体的な例を挙げると、短期的に言えば、例えば米価格の高騰というのはタイの米政策に関係をすると言われておりますし、あるいは、トウモロコシ価格というのはアメリカのバイオ政策に起因しているというふうにも言われているわけです。  この食料輸出国が農業政策を変更すると日本の食料事情に直接影響が出てくるという今の現状では、とても日本の安定した食料安全保障にはつながっていないというふうに私は思うわけでありますが、この食料安全保障、そしてまた食料自給率、これを確立することが非常に大切だと思いますけれどもTPPよりもですね、この点について伺います。
  243. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) まさに横山先生からのおっしゃるとおりに、この食料安全保障、次の時代に現世に生きる者が何を残していくかというふうなことを考えたときに、国民に対しての食料の安定供給体制をしっかりと引き継いでいくということが非常に大事なことだと思っております。  とりわけ、もう世界の人口が、つい最近までは六十八億人と言われておったのが七十億人、そして二〇五〇年には言わば九十億人を超すと、こういうふうな状況の中で、昨年の十月におけるAPECの初めての農林大臣会議におきましても、各国がこのような状況を踏まえて食料の増産に努めなきゃならないということも合意をいたしたということからいたしまして、今日、御指摘のとおりに、自給率の向上、食料安全保障問題にしっかりと取り組んでいく、震災の復旧復興、原発の事故、一刻も早い収束等々、これは最優先課題でありますけれども、同時に御指摘のことにつきましても、農林水産省一丸となって、先生方の御指導をいただきながら取り組んでまいりたいと思っております。
  244. 横山信一

    ○横山信一君 力強い発言で、ありがとうございます。  先日、十月二十日の農業新聞に、TPP非公式協議が浮上という見出しが大きく掲げられました。非公式協議という聞いたことのない言葉がいきなり出てきたのでちょっとびっくりをしたわけでありますけれども、これまで政府から非公式協議という言葉、TPPに関してですね、そういう言葉が出たことは一度もなかったわけであります。  情報を収集するために政府が力を尽くすのは当然であります。当然でありますけれども、こういう非公式協議をやっていくということがもし事実であるとすれば、なし崩し的に協議に参加をしていくということにつながりかねないということであります。この点については非常に懸念をしているわけでありますけれども大臣はどのように受け止めておられるのか伺います。
  245. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 政府といたしましては、TPP協定に関する情報収集を関係国と行っている段階でございまして、TPP交渉への参加につきましては、まさにどうするかというふうなことは、当然のことながらしっかりと議論をして決めていくということが大事なことだと思っております。
  246. 横山信一

    ○横山信一君 どうも時間もなくなってきたので最後の質問にしたいと思うんですが、農産物の輸出促進のことについて伺っておきたいと思います。  よく言われるのは、国を開くことによって強い農業をつくり出して、日本農業もどんどん輸出できるようにしなきゃいけないんだと、そうすることで世界に伍することができるという、そういう理屈も言われる方がいっぱいいるわけなんですが、実際、その日本の農産物は低い関税でありまして、例えば花卉は関税ゼロでありますし、関税ゼロでありながら世界第三位の生産量、しかも国産九〇%という、そういう生産量でありますし、果物は非常に輸出が盛んであります。とりわけリンゴはもう九割が輸出に向かっているということであります。そういう意味では、そもそもTPPでなくても国内農業というのは輸出に力を注いできたという経緯があるわけであります。  TPPで国内農業に国際競争力が付けられると、そういうふうな言われ方をするわけでありますけれどもTPPでなくても輸出促進を今後もやっていくと、この点について最後に伺っておきたいと思います。
  247. 森本哲生

    大臣政務官森本哲生君) 委員の御指摘はとても重要な御指摘でございまして、ただ二十二年に約五千億の輸出があったわけでありますが、今回の東日本のこの震災で、今少し、一割程度下がっておる。そのこともあってでございますが、今、農林水産物の食品輸出戦略検討会を立ち上げてまいったところでございます。ここの検討会を充実したものにして、委員おっしゃるその輸出戦略、新たに臨んでまいりますので、今後とも御指導いただきたいと存じます。よろしくお願いします。
  248. 横山信一

    ○横山信一君 以上で終わります。
  249. 小野次郎

    ○小野次郎君 みんなの党の小野次郎です。  今回、所属する政党の中で担当委員会替えがありまして、農林水産委員会に所属させていただくことになりました。私は、かねてから農は国の基なりということを思っておりまして、希望がかなってこの委員会に所属させていただきましたので、委員長また同僚の議員皆様、そして農水省大臣以下、どうぞよろしくお願い申し上げます。  まず最初にお伺いしたいのは、農産物及び食料品の安全、安心の確保という問題です。  みんなの党は、特に子供と妊婦の安全と安心を守るということをこの原発事故以降取り上げるべきだということを主張しておりまして、そのための議員立法も準備しているような段階でございますけれども、今日、私は、口に入れるもの、いわゆる内部被曝の問題についてお聞きしたいと思っています。  それは、一時的に放射線の出ているところにいるという外部被曝の人体に与える影響については、もう御存じの方も多いと思いますけれども、低線量についてはいろんな見解があります。閾値なし説というのも強いですけれども、いや、そうじゃないんだと、極めて低線量については人体に与える悪影響というのは確認されていないんだというようなお考えもかなり強いわけでございますが、ただ、どんな立場の方もほぼ共通しておっしゃっているのは、やはり内部被曝というのは避けなければいけないということだろうと思います。  その意味で、まず厚生労働省の方にお伺いしますけれども、農産物及び食料品に対する放射能汚染、検査をされていると思いますけれども、今までの把握された汚染の状況、そしてまた検査の現状についてお伺いしたいと思います。
  250. 三浦公嗣

    政府参考人(三浦公嗣君) 食品中の放射性物質の検査につきましては、厚生労働省が定めたガイドラインなどに基づき、地方自治体で計画的に食品のモニタリング検査を実施し、検査の結果、暫定規制値を超えた食品については、食品衛生法に基づく回収等の措置や原子力災害対策本部の決定に基づく出荷制限などの指示を行っているところでございます。  具体的には、昨日までに四万二千件を超える検査を実施いたしまして、うち八百件余りが暫定規制値を超過した状況でございます。現時点で出荷制限の対象となっているものといたしましては、福島県の一部の地域の原木シイタケ、野生キノコ、タケノコ、水産物など、また茨城県の一部の地域の原木シイタケ、また栃木県や千葉県の一部の地域のお茶などでございます。  厚生労働省においては、自ら流通段階の買上げ調査を実施しているところでございまして、対策の実施について万全を尽くしてまいりたいと考えております。
  251. 小野次郎

    ○小野次郎君 直接私たちが口にする食料品になる前の段階というか、むしろ農業段階で、農産物を作る段階で、やはり餌だとか肥料だとかというのが当然、農産物というか、食べる形になる状態の中に、成分のときに放射能汚染があるかどうかという影響を大きく与えると思うんですけれども、そういった飼料、肥料の検査状況について農水省政府参考人の方からお伺いしたいと思います。
  252. 高橋博

    政府参考人(高橋博君) 農林水産省におきましては、食品衛生法上の問題のない農畜産物の生産の確保及び農地土壌の汚染拡大防止のために、家畜などの飼料あるいは堆肥等の肥料につきまして放射性セシウム濃度の許容値をまず設定をいたします。そして、これを超える飼料あるいは肥料が生産、流通又は使用されないよう、周知、指導を図っているところでございます。  この許容値に基づきまして、飼料につきましては、牧草、稲わら、青刈りトウモロコシなどにつきましてこれまで十七都県において検査を実施しておりまして、これまでのところ、十月二十六日現在、千七百八十七件検査をいたしました。このうち、許容値を超えるものについては約一五%の二百六十四件となっております。  一方、肥料につきましては、許容値を超える可能性の高い特に堆肥につきまして十九の都道府県におきまして検査を実施しているところでございまして、これまで、十月二十六日現在でございますが、二千九百二十件の検査、うち許容値を超えるものについては九百十一件というふうになっております。  また、このような肥料、堆肥共に都道府県が検査の実施主体となるわけでございますけれども、都道府県、ただいまのとおり食品の検査等に非常に重点を置いておりますので、都道府県からの要請に応じまして、私どもの独立法人でございます農林水産消費安全技術センターにおきましてこの放射性セシウム濃度の分析を実施いたしまして、都道府県の検査に協力しているところでございます。  引き続き、農林水産省におきましても、この都道府県の検査が的確に行われるよう支援を行ってまいる所存でございます。
  253. 小野次郎

    ○小野次郎君 どうもありがとうございます。  関係の省庁でそれぞれ検査の徹底をされているという認識を持ちましたけれども、では大臣にお伺いしたいと思いますが、やはり今年一番私たちにとってショックというか、ショックは、日本の食に対する信頼というのが損なわれたということだろうと思います。  この回復を着実に、なるべく早期に信頼回復を進めなきゃいけないと思うんですけれども大臣認識、これは生産者の側から見ただけではなくて、やっぱり消費者の側から見て安心できるというものでなきゃいけないと思うし、また海外諸国からも日本の食に対する信頼が回復しなければいけないという国際的なサイズ、サイズというか次元の問題でもあると思うんですが、大臣基本的な認識をお伺いしたいと思います。
  254. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 国民生活、とりわけ食生活にとりまして、今先生からの御指摘の点は我が農林水産省としても懸命に取り組んでいかなきゃならない課題だと思っております。とりわけ、生産者側だけではなしに消費者側に立ってもしっかりと取り組んでいかなきゃならないという御指摘はそのとおりでございまして、そういう意味で、まず何といっても我が国日本産食品の信頼というものを回復するということを考えたときには、やはりしっかりとした検査の整備、強化をしていって、そして、その検査の結果というものの情報というものを正確に迅速に提供するというふうなことだと思っております。  そういう意味で、食品検査におきましては、厚生労働省のこの検査体制に対しまして私どもも全面的に協力をさせていただき、また都道府県におけるところの整備の機器等々に対しましてもしっかりとした推進ができるように、これまた一体的な取組をいたしておるところでございます。  そしてまた、いろいろな情報を提供するというような意味におきましても、食の安全というふうなものを理解してもらうためにも、いわゆる食べて応援しようというキャッチフレーズをした取組もやっておるところでございまして、ホームページ等々を日々送らさせていただく中でも、安全なものきり出回らないというようなことに、そういう体制で我々は懸命に取り組んでいるんだということを御理解をいただくべく今努力をいたしておるところでございます。  また、もう一点の諸外国に対する信頼回復ということでございますけれども各国それぞれ輸入規制というふうなものがなされている中で、何とか規制緩和をということで、それぞれの諸外国に対しまして、政務三役が外国に参りましたときに、また職員を関係国に派遣をいたしまして、客観的見地から、また科学的見地に基づいて食の安全に対しての判断をしていただきたいと、このようなことで規制緩和等々について要望いたしているところでございます。  何といってもこれからの日本の国の国民生活、同時にこれからの食の輸出戦略というふうなことを踏まえたときに、我が国の食品の検査体制の整備、そして魅力あるところの日本の食というふうなものをこれからも国の内外に対しまして情報を発信する、こういうことで日本の食の信頼回復に努めてまいりたいと思っております。
  255. 小野次郎

    ○小野次郎君 風評被害という言葉がございますけれども、根拠があるものと無理解あるいは情報不足によるものと両方あると思うんですね。特に海外の場合には日本という距離感もありますから、そういった部分については、一般的な意味の広報啓発というのも海外に向けても大変重要だと思います。  と同時に、輸出されている日本農業関係者の方が大変御苦労されている今現状にあるわけですから、様々な国際的な連携、協議の場なんかにおいてもこの日本の食に対する信頼の回復というのは、もちろん日本側から言わば要請するテーマではあると同時に、無理解によるもの、あるいは情報不足によってそういう、不当にと言ってもいいんですかね、不当に日本農業関係者が不便をされているということについては、その交渉のテーブルにおいてきちんとそれを解消するということが一つ日本の外交というか農政、両方にとって必要なことだと思いますので、大臣にはその点についても引き続き御配慮いただきたいと思います。  続いて、やはり同じように放射能汚染地域に関係する問題なんですけれども、先ほど横山議員が植物工場の話をされました。私は、日本中どこでもその植物工場というプロジェクトは意味があると思っておりますけれども、今日取り上げたいのはこの放射能汚染地域における農業、早く再開したいという思いは誰しも強いと思います。是非その空気、水、土などをしっかりと管理されたいわゆる工場型の農業生産、私、野菜工場なんて言っていますけど、水栽培といいますか、水に浮く形の、水耕栽培のレタスなんかのニュースを見ますけれども、そういった形で植物工場というのをこの放射能汚染地域での農業の再開の一つの目玉にできるんじゃないかなと思っているんです。  そういう水、土、そして空気も管理できる食品工場のような場所であれば、同時にまた無農薬を進めるとかあるいは有機の農法を進めるとか、そういった形の新しい農業にもすることができると思いますので、問題はやはりイニシャルコストが大変高くなるだろうということもあります。ですから、ある程度というかかなり組織化していただくか何かして、そこに支援をするという形になると思いますけれども、そういった政府の側というか農水省の側から様々な情報提供なりしつつ、かつ強力に支援してあげて、そういった汚染地域の再開される農業一つの目玉としてこの植物工場的な農業を進めてはいかがと思うんですが、政務官の御見解を伺いたいと思います。
  256. 森本哲生

    大臣政務官森本哲生君) 小野委員お答えをさせていただきます。  今の環境の中でいい御指摘をいただいておりまして、ありがとうございます。  食物は私自身、個人的にはやっぱり太陽の光というものが非常に大事だということも思っておりますが、しかし、今の環境、また有害と申しますか、いろいろな環境の、虫とかを考えた場合に、やっぱりこうした考え方は、特に放射能で汚染された地域には特に大事だという認識に立っておりますので、ここのところ、もう強い農業づくり交付金もございますので、先ほど横山委員質問にもお答えしたところでございますが、ここのところはまたお二人のお力も借りながらしっかりと支援をしていく、そのことをお約束をさせていただきます。
  257. 小野次郎

    ○小野次郎君 次に、農地や山林を利用した自然エネルギー生産、これ是非力を入れていくべきだと私は思いますけれども農水省の方で具体的ないろんなアイデアがあると思いますけれども、どういうことに取り組もうとされているのか、お伺いしたいと思います。
  258. 森本哲生

    大臣政務官森本哲生君) この自然再生エネルギーにつきましても大変重要な政策だというふうに私ども考えさせていただいております。特に、日本の国土を利用したあらゆる自然の資源を生かしたこのエネルギーの活用、開発というものは非常に重要なことだというふうに認識させていただいております。  特に、私どもでは二百億円のファンドをこの度予定をさせていただいておりますし、これは少し金額的には少ないと言われる方もお見えになりますが、モデル事業として土地改良の小水力等、二十八億円の予算を今お願いをさせていただいておるところでございます。  ただ、全体の計画になりますと、やっぱり買取り価格というものがどのような位置付けで金額を設定していただくか、そのことも非常に大事になってまいりますので、ここのところと併せながらこれから政策やっていきますので、よろしくお願い申し上げます。
  259. 小野次郎

    ○小野次郎君 特に、様々な再生可能エネルギーの中でもバイオマスのエネルギーの活用というのがあると思うんですね。それなども是非お力を入れていただきたいと思いますが。  次の質問もそれに関係しますけれども、これは大臣にお伺いしたいと思いますが、そういった再生可能エネルギーを農地、山林を利活用してエネルギー生産に使っていきたいと。そういうときにどうしても規制改革というのがあると思うんですね。総論的にはいいことだと言いつつ、ここでできますかここでできますかと、そこも駄目そこも駄目と言っていたんでは、だんだんだんだん不便で遠くの方になってしまって、そもそも採算が合わなくなる面もあります。一番身近なのは農地転用の問題もありますし、また小水力発電のために、水利の関係ですかね、そういうのももうちょっとエネルギー生産に簡便にできるように、民間の場合にはお金借りて何かやろうということが多いですから、役所の方は一年待たせても二年待たせてもいいと思っているかもしれませんけれども、借りている方はもう今年中に何とかしてくれみたいなことになりますので、是非その辺の、総論ではなくて実際に、なるべく速やかに前向きの判断をさっさっとしていくことが今一番必要なんじゃないかと思うんですね。  例えば、バイオマスのエネルギーに取り組んでいる地元の知り合いなんかも、林地から間伐のものとか持ってくるのは、所有者は喜ぶんだけれども、産廃の規制が掛かってくると。片っ方は燃料として使おうとしているんだけれども、元々は産廃業者がそういうのを有料で引き取るという方の規制が掛かってきたりするので、その辺の他の分野、つまり農水省でない部分の分野かもしれませんけれども、そこらも含めて関連の行政の方でそういったエネルギー生産拡大に民間がいろんなアイデアを使って取り組めるような、そんな規制改革を進めていただきたいと思うんですが、大臣の方からこの規制改革について何か具体的にお考えがあればお伺いしたいと思います。
  260. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今、小野先生からの御質疑の中におきまして、過般、御党の代表である渡辺代表の地元にもお伺いいたしまして、いろいろと御協力をいただきながら視察をさせていただき、勉強もしてまいりました。  基本的に農林水産省といたしましても、この再生可能エネルギーと農林水産業の振興というものは一体的に取り組んでいかなきゃならないと、こういうふうなことを考えたときに、思い切ってやはり、ただいま先生からの規制緩和等々のお話もございましたけれども、具体的な形でもう買取り制の法案も通ったわけでありますから、当然推進をしていかなきゃならないというふうなことでございまして、今それぞれの小水力あるいはバイオマス等々あるいは太陽光等々、すなわち、どういう具体的な方策があるのかということも検討に入っているところでございます。  そしてまた、規制緩和等々につきましても、今年中にというよりはもう近々ということでございますけれども、エネルギー規制・制度改革行動計画というふうなことなど、政府全体の基本方針というふうなものにつきまして対応していくというようなことにもなっておるわけでございますので、そういう中で、農林水産省といたしましても、再生可能エネルギーと農林水産業の一体的な振興というふうなものを一刻も早く進めるべく、この規制緩和等々も含めて取り組んでいきたいと思っております。
  261. 小野次郎

    ○小野次郎君 次は、鳥獣被害対策についてお伺いしたいと思いますが、農水省と環境省、それぞれにお伺いしますけれども、鳥獣被害の現状及び有害鳥獣捕獲対策というか、有害鳥獣対策の現状について農水省とそれから環境省にお伺いしたいと思います。
  262. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) 小野先生にお答えいたします。  もう大変深刻な被害でございまして、二百億円に達しております。その七割が鹿、イノシシ、猿の被害でございまして、残りの三割が熊、アライグマ、あとはカラスですとかヒヨドリですとか、そういう被害でございます。せっかく作った農作物をもうあっという間にやられて、また作ったらまた被害に遭うと。それで、もうやる気ももうなくなって、農家皆さんは、また耕作放棄にもつながっていくわけでございまして、これは本当に重要だと、もう深刻だというふうに認識をいたしております。  現在は、鹿が三十万頭ですとかイノシシ二十八万とか、そういうもう、何というんですか、本来であればそれを加工して食べていただきたいわけでございますけれども、それを実際は穴を掘って埋めていると。これはもう鹿、イノシシも浮かばれないなと本当に思うんですけれども、そういう加工業者も、需要と供給のバランスが取れていないものですから、加工したって食べてくれる人がいないんじゃ、どんどんもうたまっていきますので、その普及にも努めてまいらなきゃいけないというふうに思っております。  また、先日、アフリカのブルキナファソですかから、大臣がちょっと所用で会えなくて私が代理で対応させていただいたんですけれども、このアフリカの皆さんにもし喜ばれるんであれば、こういう鹿ですとかイノシシを例えば缶詰にしたり加工したのももしお送りした場合は皆さんに喜んでいただけますかという質問をさせていただきましたら、私どもはライオンは食べませんけれども、常にそれはもう食料不足で本当に困っている子供たちも多い中、それは有り難いですという、そういう御意見もいただいておりました。  動物保護団体との意見交換等もありますけれども、なるべく捕獲したら食べていただくように、海外に出すなりいろんな工夫をして取組を続けてまいりたいと思っております。
  263. 渡邉綱男

    政府参考人(渡邉綱男君) ただいま御説明がありました農林業への深刻な被害に加えまして、希少植物などの生態系への被害、あるいは生活環境への被害についても重大な問題になっているというふうに考えております。そういう実態を受けて、有害鳥獣捕獲の強化を進めていくことが大変重要な課題というふうにとらえております。  環境省といたしまして、有害鳥獣捕獲の強化を通じた鳥獣の適切な管理を進めていくために、これまで技術的な支援としてガイドラインや効率的な捕獲方法の事例集を作ったり、あるいは先駆的で波及効果が期待できる地域の取組を支援いたしましたり、捕獲の担い手の育成に向けた研修や専門家の登録などを実施してきてまいりました。  本年九月には鳥獣の保護を図るための事業を実施するための基本的な指針、これを改正をいたしまして、地域ぐるみでの捕獲を推進するために、狩猟免許を持たない者であっても補助者として捕獲に参画できることなどについて新たに措置をいたしました。こういった取組を更に確実なものとしていくために、人材の育成、地域ぐるみの捕獲のモデル事業の実施、国立公園における鹿対策の促進、こういった取組を抜本的に強化することが必要というふうに考えまして、そのために平成二十四年度日本再生重点化措置要望におきまして、新たに二十億円の要望を計上させていただいているところです。  環境省として引き続きこういった取組を推進すると同時に、今後とも農林水産省を始め関係省庁、都道府県などと連携して適切な鳥獣の管理あるいは効果的な有害捕獲が進められるように努力していきたいというふうに考えております。
  264. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) 補足で申し添えさせていただきます。  予算でございますけれども、平成二十二年度は対策費が二十三億円だったんですが、二十三年度が百十三億円と、平成二十四年も二十三年度と同額の百十三億円を要求いたしておるところでございます。
  265. 小野次郎

    ○小野次郎君 副大臣、余り触れられなかったんですけど、多分、農業をやっておられる方の一番の関心というのは、この捕獲が十分に必要なだけできていないということだと思うんですね。特に、これは環境省の方かもしれませんけど、管理捕獲と言われている、年間を通じて、種を守りつつ維持を図りつつも、その被害を軽減するためにかなり大きなオーダーの数字の捕獲をするというのが、目標も十分じゃないし、またそれ達成もされていないというのが一番悩ましいところじゃないかと思うんです。  そこで、警察庁にお伺いしますが、平成二十年に改正されて導入された技能講習、これはどんな状態で実施されているのかというのと、その対象になっている方から非常に負担感が強いということを猟友会を始め聞くんですけれども、どういう形でその技能講習、受けやすい形で実施、努力、工夫されているのかお伺いしたいと思います。
  266. 田中法昌

    政府参考人田中法昌君) この技能講習でございますけれども、導入された経緯について御説明いたしますと、猟銃使用による事故が毎年発生しておるんですが、その原因を見ますと、脱包確認、つまり弾が入っているかどうかの確認、あるいは矢先の安全確認のような基本的な操作あるいは射撃技能が低下しているということで発生したものが多数を占めておるわけであります。そこで、二十年の法改正時におきまして、このような事故の防止を図るために、三年に一度の所持許可講習の際に猟銃の基本的な操作及び射撃技能を確認するということで新設されたものでございます。  なお、この技能講習制度でありますけれども、激変緩和ということで経過措置が付いております。法施行後の三年が経過するまでの間は初回時更新には適用しないと、免除するということでございます。したがって、現在のところほとんどまだ実施対象は少ないという状況でございます。これまで二千九百十六人が受講をされまして、そのうちの九六%に当たる二千八百十二人が無事に終了をされていると、こういう状況でございます。
  267. 小野次郎

    ○小野次郎君 今、言わば日本の社会全体でこの有害鳥獣の被害に対してどう取り組むかという話をしているわけですから、警察庁も是非そういった面で、それは確かに犯罪という意味の、抑止という意味の規制であることは分かりますけれども、貢献できるところは是非貢献するという形で改善、改良を図っていただきたいと思います。  その意味で、私は、もう時間もないので最後の質問をさせていただきますけれども、平成十九年の鳥獣被害防止特措法、これ、私衆議院議員だったものですから法律作るときにも少しお手伝いをさせていただきましたけれども、このときから始まっています対策実施隊、まあ鳥獣捕獲係というんですかね、農協とか役場につくることになっていますが、この現状、余り何か定着、普及していないという声も聞くものですから、その現状と、何かネックがあるんだったらネックを解消することできちんとその管理捕獲に取り組むような、有害鳥獣捕獲に取り組むようないわゆる組織を必要なところには全てつくっていきたいと、つくっていくべきだと思うんですが、今の現状と課題というのがあるんであればそれをお聞かせいただきたいと思います。
  268. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) 鳥獣被害対策実施隊でございますけれども、設置市町村は全国で八十七地区と、これは非常に立ち遅れております。二十四年度の予算概算要求には自治体に対する重点的支援を盛り込んでいるところでございます。  なかなか消防団のようにまだ知られていないというか、私も現役の消防団員でございますけれども、なかなか銃を持つということですとかそういう、警察庁からもいろいろ説明がありましたけれども、なかなかそう簡単に、じゃ入りましょうと、消防団のようにはならないわけで。消防団自体も数は減っているんですけれども、課題といいますか、御承知のとおり、もう高齢化が進んで、猟友会の皆様ももうなかなか目も見えなくなって撃とうとしても手が震えたりとかいろいろ、なかなか若者に、何ていうんですか、どんどん指導をしていって増やしていかなきゃいけないんですけれども、今後とも全力で取り組んでまいりますので、また先生からの御指導も賜りたいと思います。
  269. 小野次郎

    ○小野次郎君 三十秒だけ。すぐ終わらせますが、先ほど同僚議員質問の中で、この問題について賠償の責任が捕獲する人が負う可能性があるみたいなことを言っていましたけど、これ私、制度つくったときに、非常勤の公務員の扱いになれば、受けた被害については公務災害になるし、与えたあれについては賠償法って国賠の方になる可能性があると私は思っていたんです。ですから、それは個人責任になるなんていうような議論がちょっとありましたけれども、それはあってはならないことだと私は思います。  もう一つは、ガソリン代についても今その支給の制度がないのかあるかは僕現場知りませんけれども、もしそれが非常勤の公務員だとすれば、私は、私用の車をガソリン代だけ払うという仕組みはどこの行政組織にもありますから、規定を作ればできるはずなんで、そこは是非改善を図っていただきたいと思います。  以上です。終わります。
  270. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  TPPについてお聞きします。TPP我が国国民にどういう影響をもたらすのか、これいまだに国民には正確な情報が伝わらないままです。与党民主党では学習会が行われたり議論されているようですけれども、肝心の国民への説明責任は果たされておりません。当初、是非についてはいろいろありますけれども国民フォーラムというような形で要するに国民に対する説明とやり取りの場を設けていくということを言われたわけですけれども、これも震災後はほとんどやられていないわけですね。国民の中でもこの理解も納得もない中で、今、野田政権は十一月のAPECに先立ってTPP交渉参加結論を決めようとしている。これは余りにもやはり拙速ですし、受け入れ難いというふうに私思います。この点で、まず農水大臣の御認識を伺いたいと思います。
  271. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 先生の言われましたことは、やはりもっとこれだけの重要な問題であるから情報国民にしっかりと提示することだということでございますが、私も、過般来の関係閣僚会議におきましても、情報をまず提示する、そのことによって初めて議論がなされていくんだと。特に、市場アクセスだけではなしに、その他のいわゆる二十一の分野等々についてもいろいろ議論されておる、交渉されておるというふうなことも聞くわけですから、できるだけ情報提示すべきであるというふうなことだけは私からも申し上げておるところでございます。
  272. 紙智子

    ○紙智子君 APECまで期限は切らずに、期限を切るということじゃなくということですよね。
  273. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 期限を切るというふうなことにおいては、言わば我が国の外交交渉を行う上におきましては、足下のことも含めますと決してプラスになることだけではないというふうに私は思っておりまして、そういう意味では、しっかりと議論をするというようなことが大事だということも野田総理自身も申されているわけでありますから、議論をするというふうなことであり、また期限を切るというふうなことは、私自身は基本的には慎重にあるべきだと、こういうふうに思っております。
  274. 紙智子

    ○紙智子君 次に、外務省に確認をします。  TPP基本点についてなんですけれどもTPPのスタートとなったのは四つの国ですよね。シンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイ、この協定でP4というふうに言っています。あくまでもこのP4協定がベースになって、新たに加盟していくためには、加盟国間の関税撤廃、非関税障壁を撤廃するだけではなくて、サービス貿易、政府調達、競争、知的財産、人の移動などの自由化の項目を含んでいるわけで、それを承認して、新しく入れば入るということで、新たに加わる国がこの原則を変えることができないですよね。変えるわけにはいかないわけですよね。そのベースとなっている最初のそのP4ですか、これを変えるということはできないですよね。
  275. 加藤敏幸

    大臣政務官加藤敏幸君) 紙議員の御質問お答えをいたします。  TPP協定は、御指摘のとおり、現行のP4協定を発展させた広域経済連携協定を目指して交渉が開始されたということは御指摘のとおりであります。P4協定に含まれる内容は、様々な分野で現在のTPP協定交渉議論一つのベースになっておりますが、P4協定の全ての原則を受け入れると、そういうことが決まっているわけではないと私ども承知しております。  また、P4協定では、極めて限られてはおりますけれども関税撤廃例外になっている品目があることも事実でありまして、したがいまして、仮に我が国TPP協定交渉に参加する場合であっても、我が国として全ての関税を撤廃という原則を受け入れるということにはならないと、外務省としてはこのように承知しております。
  276. 紙智子

    ○紙智子君 幾つかの例外があると言うんですけれども、即時撤廃ということと、それから十年掛けて外していくとか、そのぐらいの中身ですよね。
  277. 加藤敏幸

    大臣政務官加藤敏幸君) 具体的な関税品目がどうなるかという議論につきましては、これは現在、九か国が、それぞれに相互に、お互いの中身をその二国間だけで交渉をするということを各国とやっているという、もうこれが現状でございまして、九か国においても、他の国が二か国でどういうふうなやり取りをしているかということは、これは一応クローズしているという状況で、私ども日本が、そういうふうな意味で、現実にどういう関税項目についてどういう議論がされているかということについては知り得る今状況にはないので、今先生が言われましたことについても、例外となっている品目があることは事実ですけれども、現実それはどうなのかということについては、各国間のEPAのいろんな状況の中から類推するということはできますけれども、しかということについてはちょっとお答えが今できないということです。
  278. 紙智子

    ○紙智子君 そういうやっぱり曖昧なことを言っていたら駄目なんですよ。やっぱりあくまでもP4の原則を、さっき発展させるというふうに言いましたけれども、それを踏まえているわけですよ。だから、最初から、いや、関税撤廃はやめにしますよと、こんな議論にはならないわけでしょう。やっぱりあくまでもP4で決めてある関税撤廃、非関税障壁を撤廃というのは、これを土台にしながらやっていくということは、そこはやっぱり原則になるんじゃないんですか。  もちろん、その九か国が加わって、そのいろんな条件を議論しているのは分かりますけれども、今現にある協定というのはP4ですから、そこを踏まえてやるということでは間違いないですよね、それは。
  279. 加藤敏幸

    大臣政務官加藤敏幸君) 原則論としてそういう部分が、御指摘のことはありますけれども我が国TPP交渉に参加する場合は、全ての品目交渉対象とする意思をまず示す必要がございます。交渉対象として、各国ともセンシティブ品目を抱えており、極めて限られておりますけれども、一定程度の例外的な扱いが認められる可能性はあると、このように考えております。
  280. 紙智子

    ○紙智子君 あくまでも原則ということで、P4協定を踏まえるというところが基本にあると思うんですよ。そうでなかったらもうめちゃくちゃになっちゃうわけですからね。もちろんその議論というのはその上に立ってあるわけですけれども、そこを私ははっきり、ごまかしちゃいけない、国民に幻想を与えちゃいけないと思うんですよ。それで、そこのところが一番問題なんですね。何か変わり得るかのようなことをいろいろ議論されているんですけれども、そうじゃないと。あくまでもP4が基本にあって、その上にいろんな条件が付いていくというのが今やられている議論なわけですよ。  それで、カナダは、ですから、チーズと家禽類の肉を関税撤廃しないと表明したわけですよ。それでもって交渉参加を拒否されたわけですよね。ですから、日本が参加する場合も、これ米の関税撤廃は別扱いできるという保証は、これどこにもないと。それが例外なき関税撤廃TPPなんですよ。  経団連の米倉会長が十月の六日に北海道の新篠津村に行って、関税撤廃から米や小麦の除外を念頭に置いて、どうしても譲れないと条件交渉するためにも早く参加しなければならないと述べたことが伝えられているんですけれども、これは全く根拠のない話なんですよ。それで、やっぱりこういう根拠のないことを言って新聞も報道すると。そうすると、何かできるんじゃないかと思うわけですけれども、これは違うと。しかも、九か国が参加をして、原則というのはP4のままで、さらにP4協定にはなかった電子商取引や投資、分野横断的事項などを加えてグレードの高い協定にしようということですよ。  先ほどから議論になっていたわけですけれども政府・与党は、まずTPP交渉に参加をして、日本に不利益ならば抜ければいいというふうなことを言っているわけですけれども、これは実際にはできないんじゃないですか。外務省にお聞きします。
  281. 加藤敏幸

    大臣政務官加藤敏幸君) 途中でTPP協定交渉参加後離脱できるのかできないのかと、こういうふうな御質問にも類すると思いますけれども、これは午前中もお答えいたしましたけれどもTPP協定については、仮に交渉に参加した場合、協定我が国国益に沿ったものになるよう最大限の努力をすることは当然として、交渉の結果、仮に協定我が国国益に全くそぐわないものとなる場合に協定に加わらないという判断をすることについては、論理的にあり得ない話ではないと。  さらに、経済連携協定のような国際約束においては、最終的には国会がその締結を承認しない限り、我が国について発効することはございません。その意味では、我が国TPP協定に加わるか否かは最終的には国会も含めた政治判断になるものと、このように理解しております。
  282. 紙智子

    ○紙智子君 理屈の上ではあり得るけれども、しかし実際上どうかと聞いたんですよ。  もう一つ聞きますけれども、実際に日本TPPに加わる場合は、これ仕組みとして、米国議会の同意がなければ入れない仕組みですよね。いかがですか。確認します。
  283. 加藤敏幸

    大臣政務官加藤敏幸君) その点につきましては、TPP協定交渉に新規参加国が加わる場合、米国政府は、新規交渉参加国との交渉開始の少なくとも九十日前に米国連邦議会に交渉開始の意図を通知し、議会との協議を行うことにしております。我が国TPP協定交渉への参加を表明する場合にも、このような議会への事前通知等が行われるものと見込まれますし、他の国に対しての承認も必要となると、こういうことです。
  284. 紙智子

    ○紙智子君 ですから、理屈の上では離脱もあり得ると言うんですけれども、実際上、アメリカの議会で承認されて入ったと。それを途中で抜けるなんていうことは、もしそういうことになったら大変な事態になるんじゃないですか。政治的にも、それから国際間の信用という問題でも。これは理屈の上ではそうなると言うんですけれども、できると言うんですけれども、実質的には、実際には、これやるとなったら大変な難しい問題なんじゃないんですか。
  285. 加藤敏幸

    大臣政務官加藤敏幸君) その点につきましては、玄葉大臣の方も過日答弁の中で、そのような事態が発生したときに起こり得る国益の損害、デメリット、またしかしそれは国益を追求しての判断ということも含めて、どういう状況で起こり得るかは今の段階で想定、予想はできませんけれども、それはそれなりの大きなことであると。  それともう一つは、米議会との関係におきましては、あくまで今私が御紹介した九十日前ルールというものは、米国の議会と米国の政府との基本的な関係を表している状況であって、米国の議会での中身が我が国政府との関係でそごを来すということについては、私は、先生御指摘のことについては私どもは少し受け止め方が違うと、このように思っております。
  286. 紙智子

    ○紙智子君 今の答弁は全然納得できない議論ですよ。  それで、更に言いますと、TPPの九か国の中で、実はシンガポールもマレーシアもベトナムもチリもブルネイも既に日本とのFTAを結んでいる国ですよね。FTAを結んでいないのはアメリカとオーストラリアとニュージーランドですよ。だから、これまで進まなかった日米FTA、これを言ってみればTPPで突破していこうという形にもなって、アメリカとの関係でいえば実質的な日米FTAということになるわけですよね。  それが今、米国議会の、議会と国との関係というようなことを言ったんですけれども、実際上は、日本が入るに当たっては議会の中で承認されなかったらこれは受け入れられないということになるわけじゃないですか、実際上は。そうですよね。
  287. 加藤敏幸

    大臣政務官加藤敏幸君) 米国の議会が承認されなければ米国政府はこの交渉日本が加盟することについて承認をしないと、仮にそうなった場合には、交渉、加盟することはできないと、これはそのとおりであります。
  288. 紙智子

    ○紙智子君 ということは、アメリカの要求をのまなければ初めから交渉資格も与えられない可能性もあるわけですよね。  政府の出している想定問答集というのを先ほど山田議員が紹介されて配られていましたけれども、この中身を見ますと、この回答の中で、二番目のぽつのところですけれども、牛肉の輸入規制や遺伝子組換え食品の表示ルールについては、現状は議論されていないが今後提起される可能性も排除されないと説明しているわけです。これは、今議論されていないというのは日本は加わっていないから当たり前で、日本が参加するということになったら議論されて問題になっていくわけですよね。これは九月に、日米首脳会談のときにオバマ大統領から日本に対して牛肉の輸入規制で現在の二十か月齢を三十か月齢に緩和をしてほしいと迫られているわけですけれども、こういう問題もTPPに入るためにはのまざるを得ないということになるんじゃないですか。
  289. 加藤敏幸

    大臣政務官加藤敏幸君) 日米間の交渉TPP協定交渉参加の大きな原因とか要因とかになっているということでは、私どもはそういうふうに受け止めてはいないんです。  したがいまして、先生の御質問の中で、例えばBSE問題に関して私ども考え方を申し上げれば、我が国でBSEが発生し対策を開始してからちょうど十年が経過しておりますけれども、国内の検査体制や輸入条件といった対策全般について最新の科学的知見に基づく再評価が必要になっているという、これが私どものベースラインでありまして、その後、九月の日米首脳会談ではオバマ大統領からこの問題につき提起があり、双方が受入れ可能な解決に向けて協議を継続していくことを確認をいたしました。  米国のみならずカナダ、フランス、オランダ等からも要望を受けておりますけれども政府といたしましては、我が国独自の問題として検討を行っているということでございます。
  290. 紙智子

    ○紙智子君 継続していくという話なんですけれども、いずれにしても、はっきりとそういうふうにはならないんだということは言っていないわけですから、本当にそういう意味ではどうなるかということを含めて先が見えない話になっているわけですよ。  結局、先ほども紹介がありましたけれども、除外品は認めるなというアメリカの国内でも大変強い圧力が出てきている中で、やはり日本にとってメリットになるものは何もないじゃないかと、そういうTPPについては私は断念すべきだということをはっきり申し上げておきたいと思います。  次に、基本方針行動計画について農水大臣にお聞きします。  大臣所信的挨拶の中でも触れられていたわけですが、菅前政権時代も今の野田政権も、TPPに参加しても農業との両立は可能なんだと、そのために農業の構造改革をする必要があるということを言ってきたわけです。いよいよ十一月に米国にこのTPPの答えを出すということで、基本方針について急がせたというふうにも私たちは受け止めているわけですけれども、この点についての農水大臣認識はいかがでしょうか。
  291. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 紙先生から、受け止めているということでございますけれども、これは新聞とかテレビでいろんなことを報道しているということもある程度そういう受け止め方をなされておるのではないかなと思っておりますが、私どもは明確に申し上げておるところでございますけれども、この食と農林水産業の再生基本方針行動計画というふうなものは、TPPに参加する、しないにかかわらず推進をしていくことだと。私が言っているんじゃないんです、私が言っているんじゃないんです。すなわち、その責任者である戦略担当大臣、そして経済連携のいわゆる会合におきましても、そのことは確認をされているということだけ申させていただきたいと思います。
  292. 紙智子

    ○紙智子君 野田総理自身が高いレベルの経済連携と両立を図るということを言われ、鹿野大臣も参加をしてこれまできた食と農林漁業再生実現会議、この中で昨年の閣議決定で、包括的経済連携に関する基本方針、この上に立って、高いレベルの経済連携推進我が国食料自給率の向上や国内農業・農村の振興と両立をさせて持続可能な力強い農業を育てるための対策を講じるということを目的として議論してきたと。  この高いレベルの経済連携ということをめぐっては、これが一体TPPは入らないということなのか、あるいはその中身というのはいろいろあると思うんですけれども、やっぱり今回私たちの受け止めというのは、いずれそこにつながっていくものだというふうに受け止めざるを得ないわけですよ。  それで、今回のこの基本方針行動計画の中では、非常に問題な点が幾つか、連携させていくということでは、両立させていくに当たって言われているところがあるわけです。  一つは、土地利用型の農業について、規模拡大を平地では二十から三十ヘクタール、中山間地では十から二十ヘクタールの規模が大半を占める構造を目指すというふうになっています。農地の集約化を図っていくと、そのために担い手、農地、生産対策、関連組織に関する仕組みの見直しを挙げているわけですよね。  これは、現在、水田の稲作農家にしてみますと、約百七十三万戸あるわけですよ、農家戸数が。その全体で面積が二百万ヘクタールあるわけです。百七十三万戸で二百万ヘクタールを担っていると。その稲作農家の平均面積を、じゃ三十ヘクタールにした場合どうなるかというと、これ単純計算ですけれども農家戸数でいうと六万六千戸ということになるんです。六万六千戸の農家が平均三十ヘクタールの規模で営農して日本の稲作がカバーできるということになると、百七十七万戸引く六万六千ということになると百六十六万戸、九六%の農家というのが必要なくなっていくということになるわけですね。これは十ヘクタールということでやっても八八%はそこから消えていくということになるわけですよ。  これは、やっぱり農家がなくなるということは農業、農村の振興にはならないし、地域の疲弊につながることなんじゃないでしょうか。いかがですか。
  293. 森本哲生

    大臣政務官森本哲生君) 紙委員の理論的におっしゃることも数字的にはそのような状況になるというふうには、それは同感でございます。  ただ、中山間地域とか、私は中山間地域と大きい面積を抱えた両面を持っておる地域選挙区があるわけなんですが、やはり今若い方々が生活をしていこうと思うと、今の体制でもたないことは事実でございます。私も中山間地におりますが、平均大体〇・五ヘクですから、大体、圃場整備をした区画でも十アールから広いところで三十アール、しかしそれと比べて一ヘクタールの圃場、極端な例があるわけなんですが、しかしどうしても若い後継者を育成しようと思えば、やはり二十、三十というものはこの平地ではやっぱり確保しなければなかなか生活できていけない、会社経営もできていかないというような状況が現にあります。  ですから、そこのところへ近づけていこうという対策と多様性に富んだ農業をどうするか。これは複合経営とも以前は申しておったか分かりませんが、例えばお茶とシイタケ、それと水稲を掛け合わせるとか野菜を掛け合わせるとか、いろんな六次産業化を含めた対応と同時に、やはりどうしても拡大もしていかないと、なかなかこの農業というものが二十一世紀生きていけないというような、そんな現実にあります。  ですから、そこのところの経営と、これからどのように私どもがその集積を含めて担い手をつくっていくかということも重要な課題でございますので、非常に難しい課題と直面もいたしますが、そこのところはしっかりこれからやっていかないと日本農業は大変になる。ですから、兼業農家を含めた農業の育成、六次化を含めた育成と大規模化というものは図っていかなければならないと、そのように考えて今回の計画を行ったところでございます。
  294. 紙智子

    ○紙智子君 ちょっとこれに対するまたあるんですけれども、それはちょっとおいておいて、もう一つ聞きたいのが自給率についてです。  平成二十二年三月の閣議決定で、食料・農業・農村基本計画に基づく自給率五〇%達成を目指すと、これ書いてあるわけですよね。これ自体は、私たちもちゃんと目標を決めてそこに向かって努力しなきゃいけないというふうに思っているんですけれども、具体的に、じゃどのように五〇%は達成するのかと。特に、もしTPPということになりますと、これ関税撤廃して、自給率というのは向上していかない、両立はしない、必ずこれは下がることになるというのは私もこの当委員会で何度も指摘してきたんですけれども、戦略作物に位置付けている麦や大豆なんかも関税撤廃すると本当に九割これ縮小するということになるわけで、五〇%そのものがお題目になると思うんですね。ここのところはどうするのかというのは、一言でちょっとお願いします。
  295. 森本哲生

    大臣政務官森本哲生君) ただ、TPPに参加ということの中で農業政策考えた場合に、五〇%の達成は、恐らくこのジャポニカ米、一番最低の価格でもキロ六十円とか、これは、百六十円とか、いろいろな二つの数字が出ておりますけれども、その中間を取ったところで一兆五千億程度の水稲だけで必要になってくる部分がありますから、これは大変なことになるというふうな認識です。
  296. 紙智子

    ○紙智子君 ですから、先ほどの規模の問題も、いろんな例えば六次産業とかって言ってはおられるんですけれども、大方針がやっぱりこういうふうに二十から三十、あるいは中山間地で十から二十というふうに、大方針としてそういう大規模化の方向に進むということを打ち出しているということは、いやが応でもそういうところに集約されていくということになって、そうすると、さっき言ったように地域の担い手がどんどんと減っていくということにつながっていくわけですから、これは私は、幾ら両立といってもとてもじゃないけどこれはできないということは明らかだと思うんですよ。  農業の体質強化、競争力強化ということなんだけど、結局、その両立論でという中身はこういう拡大というところに、規模拡大というところにありますし、多くの農家を切り捨てるということにつながっていくという点では、これは私は自民党小泉政権時代の構造改革と変わらないというふうに言わざるを得ません。  それから、地球規模での飢えと食料危機を打開しなきゃいけないということでは、これ自体が国際的な課題なわけですよね。それとの関係でいっても、やっぱり本当に今食料主権ということで、その方向こそが大事だというふうに思うわけです。  昨日、集会が、大集会が開かれて、TPP反対ということで、農業団体だけじゃなくていろんな分野からの皆さんが参加をして、やっぱり本当に効率一辺倒じゃなくて本当にその地域隅々まで行き渡っていく、そういう政策にならなきゃいけないということで集会が行われたわけです。そういうものもしっかり受け止めてやっていかなきゃいけないというふうに思うわけです。  それで、ちょっと済みません、時間の関係で、最後もう一つ質問したいのは、諫早湾の干拓事業についてです。  昨年の十二月、福岡高裁は国に対して三年以内に諫早湾の干拓排水門の開放を命じる判決を下して確定をしました。この福岡高裁の判決が出てから十二月で一年になろうとしているわけです。  大臣は、これ、原告の方にお会いになりましたか。
  297. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) お会いしておりません。
  298. 紙智子

    ○紙智子君 なぜお会いにならないんですか。
  299. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 私が、九月の二十三日でございますけれども、いわゆる諫早問題におきます環境アセスメントの準備書素案につきまして、長崎県に参りましていろいろ具体的な意見交換を行ってまいりました。そして、このことにつきまして当然、今申されたとおりに、高裁判決に関するこの原告弁護団の方々との話合いというふうなことにつきましては筒井副大臣が担当してまいりまして、いわゆる高裁判決に関する法的な考え方につきましても、より詳しい内容を伴うというふうなことも含めて、次の日でございますけれども、私の代理人として農水省考え方説明をいたしたと、こういうふうなことでございまして、そのようなことから筒井副大臣がお会いをしたと、こういうことでございます。
  300. 紙智子

    ○紙智子君 大臣自身がなぜ会わないのかということを私、聞いたんですよ。副大臣が会っていろいろ話をしているのは私も知っていますけれども、やっぱり直接大臣がお会いになるべきだと思いますよ。  今までだって、例えばC型肝炎とかB型肝炎とかは、訴訟になって、そして判決が出たときには必ず大臣が直接会ってその原告の皆さんから話を聞いてやっぱり真摯に対応するということをやられてきたと思うんです。その勝訴側の権利者である原告は、この福岡高裁の判決を速やかに履行するために大臣との協議を要求しているんですよ。会いたいと、直接。大臣は、権利者が何を求めているかということを真摯に直接聞くべきだと。  ところが、私が驚いたのは、原告の皆さん協議に応じることをせずに長崎県に出掛けていって、この間、長崎の方には三回も会って話していますよね。その中で制限開門ということを提案すると。これはちょっとびっくりしたんですよね。どのケースがいいかということをいろいろ議論されている中で、もう大臣の方から制限開門だという形で提案したと。原告の皆さんは、やっぱり干拓地の農家と対立しようなんということを全然考えていないわけですよ。むしろ、そうじゃなくて、漁業も農業も発展する方向を目指したいと、そのためにやっぱり解決のために力尽くしたいというふうに言っているわけで、そういう原告と会う努力をしないで一方的な制限開門ということを提案するというのは、これは裁判で勝利した原告団に対して背を向けるものだというふうに思うんですよ。是非、直接お会いして話をしていただきたいと思いますけれども、最後にそのことを。
  301. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今後とも真摯に対応してまいりたいと思います。
  302. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時八分散会