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山下芳生君 大事な御認識だと
思います。
JR東日本の清野智社長も、四月の五日ですから、まだ一か月たたない間に記者会見をされまして、
津波で大きな
被害を受けた路線について責任を持って復旧させると明言をされました。当時は、
被災地からはこのまま廃線になるのではという心配の声が出ておりましたので、これは、大変きっぱりと明言されたことは歓迎されたわけです。
JR東日本によりますと、
津波を受けたのは七路線ですね。
被害は少なくとも千七百か所に上り、二十三の駅が流失し、線路が約六十キロにわたって流されるなどしました。清野社長も、今
大臣がおっしゃったとおり、町が
津波の来ないところに移るという話もある、そうなると、元の場所に鉄道を復旧しても需要に合わないので、県や町と相談したい、
検討したいとおっしゃっています。この姿勢がやはり鉄道
事業者にとっても非常に大事だと
思います。
そこで、今実際どうなっているかということを
現地の
自治体の担当者の方にいろいろお話を伺いました。二つ例を紹介したいと
思います。
一つは、
岩手県の陸前高田市であります。
ここでは、以前からJRに対して、安全なルートによる復旧を考えてJRとしての提案を示してほしいとしていたようですが、そして
自治体は、高田ももう大打撃を受けていますからなかなか新たな負担できませんので、できればJRの方で
事業として負担もしてもらいたいという要望もされていたようです。最近、JRの方から現在の海岸線近くのルートから山側へのルートに変更する提案があって、それは市としてもJRの提案を前提に町の
復興計画を具体化を進めていきたいと今考えておられます。
ただ、具体的な経費等になりますと、地元の負担がどうなるのか、非常に頭が痛い。今後、
復興計画の中で、ルート変更だけではなくて地盤のかさ上げということにもなってきますと、当然、線路の用地も確保しなければならないし、かさ上げもしてもらわなければならない。そのときの負担どうするのかというのは、まだこれ具体的に高田の場合は見えてきていませんので、今はとにかく海岸線のルートを内陸部へ持っていこう、そういう形で町をつくっていこうねということで合意されていますから、費用負担については一緒に、市もJRも国や県に要請もしていきながら解決しようということになっているようです。
もう
一つ、
岩手県大船渡市。ここは更にもうちょっと町づくりの
計画が具体化しつつあるんですね。
そこで、大船渡では
復興計画として、
津波でここも大きな浸水
被害を受けたわけですが、それを踏まえて、現在より内陸側で町を
復興することを
計画されています。現在のJR大船渡線も内陸側を通るルートに変更してもらって、それを五メートルかさ上げして、二線堤と言われる新たな防波堤としてこの線路を活用したいと。その二線堤より内側を市街地として、住宅や学校、商店など、新たな町づくりを進めたいと、こう市の方では考えているわけですね。
ところが、JRの反応が今のところ非常に消極的だというふうに私は聞きました。駅の移動、ルート変更、それからルートのかさ上げの場合、その経費をJRが負担するのは困難だというふうにおっしゃっているようです。ルートをかさ上げして二線堤の上を走らせる場合に強風にさらされる危険性もあるんじゃないかとか、それから、大船渡市の
計画では踏切が増えることになって費用が膨らむということも心配されているようです。したがって、今JRとしては、元のままの場所で原状復旧したい、ルートも今のままで復旧させたいというふうに言っておられるようです。
ただ、これは市の側からすれば、踏切が多くなるのは、線路をかさ上げして防波堤にするわけですから、そうしますと、アンダーパスというふうにしちゃうと穴が空くわけで、そうすると防波堤の役になりませんから、やっぱり
道路も線路まで傾斜して高くして、そこで踏切としてこの防波堤を越えてもらうようにしないと、アンダーパスではこれ
津波の対策にならないという事情があるわけです。
それから、もし、このルート変更、かさ上げ、二線堤という
計画ができないなら、大船渡市の
復興計画は根本から成り立たないということになると。現在でも満潮時には海水が浸水をして、今の線路の下をくぐっているアンダーパスは浸水するところもあってそうなるわけですけれども、ルートの変更と駅の移動をしていただかなければ、駅を町の玄関口にして新しい町づくりをやろうという
計画自身がもう土台から成り立たなくなるというのも市としてはあるわけですね。
したがって、私は、これは
国土交通大臣に
是非お答えいただきたいんですけれども、これは聞いていまして、JRの態度はこれいかがなものかなと率直に言って
思いました。新しい町づくりが実現できるように一緒に努力しようじゃないかという姿勢にちょっと欠けるんじゃないかと、話を聞いていて感じました。まあJRにはJRの言い分があるんだと思うんですけどね。
そこで、私は、
国土交通大臣に、やっぱり国がここはどうすれば解決できるのかという解決策を見出せる
調整役をやる必要があると、これが
一つです。それから二つ目に、JRに対しても、
被災自治体の
復興計画が実現できるように誠意と積極性を持って協力するように、これは働きかけるべきじゃないかと。この二つ、いかがでしょうか。