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2011-11-28 第179回国会 参議院 政府開発援助等に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十三年十一月二十八日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  十一月二十五日     辞任         補欠選任         姫井由美子君     田城  郁君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         藤井 基之君     理 事                 石橋 通宏君                 谷  亮子君                 水戸 将史君                北川イッセイ君                 小泉 昭男君                 竹谷とし子君     委 員                 大久保 勉君                 大久保潔重君                 大野 元裕君                 田城  郁君                 武内 則男君                 轟木 利治君                 友近 聡朗君                 中谷 智司君                 藤谷 光信君                 舟山 康江君                 米長 晴信君                 赤石 清美君                 大家 敏志君                 川口 順子君                 岸  宏一君                 中原 八一君                 中村 博彦君                 水落 敏栄君                 小熊 慎司君                 吉田 忠智君    事務局側        常任委員会専門        員        矢嶋 定則君        常任委員会専門        員        工藤 政行君    参考人        法政大学名誉教        授        下村 恭民君        東洋大学国際地        域学部教授    坂元 浩一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○政府開発援助等に関する調査  (我が国ODA現状と今後の在り方に関する  件)     ─────────────
  2. 藤井基之

    委員長藤井基之君) ただいまから政府開発援助等に関する特別委員会を開会いたします。  議事に先立ちまして、一言申し上げます。  本院議長西岡武夫君は、去る五日、逝去されました。誠に哀悼痛惜に堪えません。  ここに、皆様とともに謹んで黙祷をささげ、哀悼の意を表したいと存じます。御冥福をお祈りしたいと思います。  どうぞ御起立をお願いいたします。黙祷。    〔総員起立黙祷
  3. 藤井基之

    委員長藤井基之君) 黙祷を終わります。御着席をお願いいたします。     ─────────────
  4. 藤井基之

    委員長藤井基之君) 委員異動について御報告いたします。  去る二十五日、姫井由美子君が委員を辞任され、その補欠として田城郁君が選任されました。     ─────────────
  5. 藤井基之

    委員長藤井基之君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  政府開発援助等に関する調査のため、本日の委員会参考人として法政大学名誉教授下村恭民君及び東洋大学国際地域学部教授坂元浩一君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 藤井基之

    委員長藤井基之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 藤井基之

    委員長藤井基之君) 政府開発援助等に関する調査のうち、我が国ODA現状と今後の在り方に関する件を議題とし、参考人方々から御意見を伺います。  この際、参考人方々に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多忙のところ本委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。  先生方から忌憚のない御意見をお述べいただきまして、今後の調査参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  議事の進め方についてでございますが、まず、下村参考人及び坂元参考人からお一人約二十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。  御発言の際は、その都度委員長の指名を受けてからお願いいたしたいと思います。  なお、御発言着席のままで結構でございます。  それでは、下村参考人からお願いいたします。下村参考人
  8. 下村恭民

    参考人下村恭民君) ただいま御紹介いただきました下村でございます。よろしくお願いします。  本日、こういう非常に貴重な機会をいただきまして、大変光栄に存じております。お手元レジュメに沿いまして、日本ODAをめぐる新しい変化についてお話ししたいと思います。  初めに、報告の目的でございますが、日本ODA在り方につきましては、これまで御案内のようにいろいろな論議が広く行われてまいりました。多くの資料文献も蓄積されております。そこで、本日は、日本ODAをめぐる新しい変化、新しくどういう変化が起きているのかという点に焦点を当てまして、これまでの在り方論議を総括するとともに、私なりの視点で再展開してみたいと思っております。  まず、日本ODAをめぐる新しい危機と新しい可能性ということでお話をしたいと思います。  日本のあるべき姿として、私は、京都大学中西先生が言っておられるような中軸国家、つまり規模は中級であっても国際的に無視できない役割を持つ国家という在り方が目標だと思いますし、これまでもその姿に沿って努力してきたと思いますけれども、この中軸国家役割を果たすためには、やはりODA規模、質だけではなくて規模が重要なカードとなります。  ただ、これがなかなか難しいというのは御案内のとおりでございまして、一の一に書きましたように、従来型の危機ODAをめぐる従来型の危機、つまり非軍事的な国際貢献力低下というものは覆うことができないという状況だと思います。御案内のように、日本ODA予算は一九九七年度から二〇一〇年度までに半減しておりますし、国民一人当たりの援助負担額もOECDの開発援助委員会加盟国の中で最下位グループにあります。  この現状について二つ見方がございます。一つは、こういう長期的な低落傾向の中で、国際社会での日本存在感あるいは発信力に対する危機感を持ってODA規模あるいは予算を回復させるべきだという考え方。もう一つは、それよりも、そういう余裕があるのであれば、財政の厳しい中で、被災地の復興とか社会保障充実を優先すべきだという意見があります。  各種の世論調査が示すように、国民の間ではODA増加に対する支持は非常に弱いので、恐らく②の方の意見は非常に有力だと思います。こういう国民意向を無視して、いかに国際的な存在感あるいは発信力充実を図るべきだという問題意識があっても、国民意向を無視してODA予算の再拡大を図るというのはなかなか難しいと思っております。  ただ、更に深く考えますと、このODAに対する支持が弱いという背景にいろいろ誤解があるのではないかと、バランスの取れた情報不足による誤解があるのではないかと思います。最大誤解は、日本ODAが役に立っていないという誤解だと思います、そういう見方だと思います。この点について、日本ODA受け手途上国側の高い評価、後ほど一の四で申し上げますけれども、これに目を配る必要があるのかなと思います。  一ページめくっていただきまして、それでは、これまでの従来型の危機に加えて新しい危機が生じている、それは何かということですけれども一つ新興ドナー、特に中国の台頭があります。  中国の場合、二〇〇四年から二〇〇九年までの対外援助年率約三割で急増してまいりました。これは一九八〇年代の日本援助増加とそれほど違いませんので、それ自体は驚くことではありませんが、問題はその中国の行っている対外援助、これがなかなか実態が分からないということでございます。  中国対外援助は、私どもの使っている国際的なODAのあるいは援助の定義と同一ではございません。ただ、必ずしも大きな違いはありませんので、いろいろ調整をして比較可能な数字を求めることはできます。問題は、各年度実績数字中国援助年度別数字がないということですね、累計数字しかないということで、それで私ども日本国際問題研究所の御支援研究会を行っておりまして、いろいろの国際基準に合わせた中国援助規模推計を行っております。その結果、取りあえずの第一次的な推計でございますが、国際機関に対する支援を除いて、二国間の支出の総額中国援助額は五十億ドルと推計しております。日本の場合、これが二・六倍の百三十億ドルでございます。これは総額ですので返済を抜いておりますけれども。今、二・六対一の差がございますが、仮に中国援助が今後年率二〇%前後で増加した場合、そして、仮に日本ODA現状のまま停滞しているとすると、この二つは決して非現実的な前提ではないと思いますけれども、五年後になりますと中国日本と肩を並べる規模ドナーとなりますし、まあ十年以内に間違いなくこのままでいくと日本を抜くと思います。  確かに日本ODAに対する国民支持は薄いですけれども日本の非軍事面国際貢献力低下世界と比べて低下しているというのであれば余り皆さん慌てないと思いますが、中国に比べて、アジアの中でも中国に劣後するということになると、やはりこれでいいのかという問題意識が出てくるのではないかというふうに考えます。政策課題として、この点を、新しい危機を考える時期になっているのではないかというふうに思っております。  今、新しい危機の点について申し上げましたけれども危機だけではなくて新しい可能性もございます。それは、新興ドナー、特に中国が急速に台頭し、韓国も今の政権の下で積極的に援助をしようという動きになっておりますけれども、つまり東アジアに大きな国際支援の、援助拠点ができつつあるということです。これは、西欧中心にする伝統的なドナー社会にとって新しい刺激で、やはり無視できなくなっておりまして、自分たちと異なるアプローチがあるということを認め、これにどう向き合うかということを考えるようになってきております。  ここで、日本ODAにとって新しい二つ可能性が生まれております。  一つは、これまでの伝統的なドナーが掲げていた貧困削減、もちろん貧困削減は非常に重要ですけれども貧困削減にやや偏って焦点を当ててきたのに対して、日本中心として東アジアは、支援を通じて途上国が最終的に経済自立して、自分たちだけで、自分資金だけで援助に頼らずに生活水準改善ができるように、これを卒業とここで呼んでおりますけれども、これを目指すというモデルがございます。  お配りしたレジュメ最後ページに表が、こういうフローチャートの図がどこかにあると思いますが、ありますでしょうか。これを御覧いただきたいんですけれども、「「卒業」への道」と書いてございますけれども、一番左の上に農村開発インフラ整備という二つの柱がございます。農村開発によって生活水準を向上させて社会的安定をもたらす、インフラ整備をして投資環境改善をすると。これによって投資が引き付けられやすくなって、それによって国際競争力が強化されて、その結果、外貨が獲得できれば、自分たちの獲得した外貨生活水準改善を自力でファイナンスすることが可能になります。それによって、政治的だけではなくて経済的に自立をして卒業に向かうと。  このモデル東アジアの考えてきたモデルだと思いますけれども、また東アジアのいろいろな国々がたどってきた道かと思いますけれども、これは東アジア援助拠点ができた現在、もっと強く日本から理念を発信するべきだと思います。  それからもう一つ二つ目の新しい可能性ですけれども中国援助増加する中で、中国援助背景にある日本東アジアでの援助経験、これに関心が広がっております。  そこで、中国援助に関連して一つ重要な点がありますんですけれども、一の四に移らせていただきますが、日本ODAについて、国際社会あるいは日本国内見方東アジア中心とする援助受け手見方との中にはかなりの違いがあるということでございます。具体的に申し上げますと、特に中国とASEANでかなり発展実績がありますけれども評価も高いということを申し上げたいと思います。  一つの例として、タイ東部臨海開発計画、この配付資料の九ページを御覧いただきたいと思いますけれども、九ページ東部臨海開発計画につきまして、現地有力紙、ネーションという現地英字紙の特集のことが書いてございます。新しい時代への跳躍ということで東部臨海開発計画を取り上げておりますけれども、下に図がございますが、これは日本からの援助が千三百億円投入されたものでございまして、ちなみにこれは今回の洪水でも全く冠水しておりません。  タイはこういうことでございますが、特にもっと、もっとというか、最も日本ODA成果を、レジュメに戻らせていただきます、成果を高く評価してきたのは中国だと思います。ということは、かなり驚かれると思うんですけれども中国国民日本援助についての認識がない、指導者も感謝しないということで知られておりますが、援助専門家の間では、次のページに、三ページに移らせていただきますが、非常に高い評価を受けております。例えば、日本語になっている文献経済社会科学院金熙徳教授の本がございますけれども、これだけでなくて十冊に余る中国語の文献、さらには英語の文献もございます。つまり、日本ODA受け手の側にはかなり高い評価があるんだということを是非御認識いただければと思います。  それから、ここまで新しい可能性について申し上げてきましたが、全く別な形の新しい可能性もあると思っております。  それは、非常に悲劇的なことではございましたが、東日本大震災があって世界各国から非常に巨大な援助を受けた、支援を受けたということですね。それで、どうしても国際援助コミュニティーでは援助の出し手、ドナー視点が優越する傾向がございまして、特に西欧諸国の場合がそうですけれども、どうしても援助受け手視点が不在になるという状況があります。日本の場合、しばらく前まで世界最大ドナーだったわけですし、今年、世界最大規模援助受け手になったという両方の経験をしたわけですから、やはり受け手になってみると、援助支援を受けてちゃんと使うのは非常に難しいなということをしみじみ体験したわけでして、その受け手の立場を組み込んで新しい可能性があると思っております。  それから、三番、新しいリスクという点について移らせていただきますが、現在、新成長戦略というようなものが出ておりますけれども、ここでインフラ輸出が強調されておりまして、インフラ輸出につきましては十分意義があると思いますけれども、この中で官民連携インフラ輸出、特にパブリック・プライベート・パートナーシップ、PPPというものが喧伝されておりますが、これについてはやはり大きなリスクがあるということを十分承知しておく必要があると思います。  実は、お手元にある配付資料の十四ページを見ていただきたいんですけれども、十四ページにありますように、かつて国際社会では九〇年代に民活インフラというものを試みました。それで、九〇年代に民間のイニシアチブを取ったインフラ整備ということで非常に一時は隆盛を極めた時期がございますが、その後、ずっと減っております。  これは理由がございまして、民活インフラには大きな制約があったと。これは仕組みが違うとはいってもPPPにも共通の点でございます。それはどの点かというと、十四ページの下のスライドでございますが、民間事業者が、民間企業途上国でサービスを提供して、例えば高速道路とか、例えば発電とか、料金を徴収すると。料金を徴収して投下資本を回収するという仕組みでございますが、途上国政府以外の民間企業公共料金を徴収するというのは非常に難しいわけです。なかなか難航した例がかつて数多くございます。  それからもう一つPPPの場合は民活インフラと同じで国際競争入札を経ないで企業が決まりますので、どうしても途上国側統治者有力者に頼ると、癒着と紙一重の点がございます。一ページおめくりいただきまして、政権が交代すると、例えばスハルト政権が倒れた後のインドネシアのように、いろいろな真偽取り交ぜてスキャンダルが出てくるということがございます。  そこで、かつての経験を踏まえて、やはり今求められているのは官民連携インフラ輸出に対するリスクを精査し直す、組み込まれているリスクを精査し直すということではないかと思います。  最後に、日本ODAの新しい役割。新しい役割はいろいろあるかと思いますけれども、ここでは特に一点だけ絞りまして、紛争アジア、今アジアは非常に紛争が広がっておりまして、その中心中国があるわけですが、この紛争アジアで少しでも信頼を醸成するために日本ができることがあるのではないかと、ODAでできることがあるのではないかという点について申し上げたいと思います。  四の一でございますが、御案内のように、中国一つの主役としていろんな言わば紛争が広がっております。紛争を解決するというのは非常に難しいですが、紛争を緩和するために一つアプローチとして、もちろん限界はありますけれども紛争の当事者が、あるいは地域のメンバーがみんなで共通利益共通国際公益のために共同行動すると。例えば、共同でファンドを立ち上げて国際公益のために共同で活動するということが一つの価値があるのではないかと、効果があるのではないかと思っております。  特にここで地球環境問題を取り上げておりますが、四の二に書きましたように二つ理由、三つ挙げておりますが、特に二つ理由でこれが重要だと思っております。  一つは、御案内のようにアジアでは、現在、地球環境資源の劣化が著しいということですね、ここに共通利益が見出されると。  もう一つは、対中円借款が終わったということです。対中円借款につきましては、お手元配付資料の十六ページの下のスライドを御覧いただきたいと思いますけれども、御案内のように、既に完了しておりますが、二〇〇七年度最後にして完了しておりますけれども最後の時期は、対中円借款はほとんどが、九〇%以上が環境事業に対する支援でございました。これが急激になくなってきたわけですから、東アジア域内グリーン資金フローというのが急減している、これを何とか埋め合わせる必要がございます。  この二つで地球環境問題が有力な対象になると思いますが、これがもしうまくいった後は、例えばアフリカに場を移して、中国を巻き込んで国際公益への貢献をするということで、何とか共通利益のために行動をするということで紛争緩和をするということが試みられるのではないかというふうに思っております。  駆け足になって申し訳ございませんでしたけれども、私の御報告をこれで終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  9. 藤井基之

    委員長藤井基之君) ありがとうございました。  次に、坂元参考人にお願いいたします。坂元参考人
  10. 坂元浩一

    参考人坂元浩一君) 坂元でございます。どうぞよろしくお願いします。本日は、貴重な機会を与えていただきまして、誠にありがとうございます。  それでは、レジュメに沿ってお話ししますが、ちょっと冒頭で一点だけ、内容にもかかわることですので、お話ししたいことがございます。  本日出席するに当たりまして、御依頼をいただいたのは二週間前の十五日でございまして、ちょっと私の能力不足もありますけれども、今回のテーマについて詳細にいろいろ調べてというところはなかなかできなかったものですから、私のレジュメの中でもすぐお分かりになるかと思いますけれどもODA枠組み、それからかなり根本的な原則の話を今日させていただきます。  ただし、四番目、最近の動向としまして、ちょうど二か月前にパリと北京に行きまして、ODA援助動向、それからフランスを中心とするアフリカへの支援状況、それから中国政府援助政策について最新の情報を持っております。過去三年間もそれについて情報収集をしておりますので、最近の動向を皆さんの御参考に供したいというふうに思います。  それでは、一ページを見ていただければと思います。  ちょっと自明のことではございますが、今日のODA、私どもODAを理解する場合、過去三十年間起こりました援助政策の歴史というのをもう一回レビューをしたらどうかなというふうに思うわけです。年表の一九七〇年代末、ラテンアメリカアフリカ中心とする国が対外債務返済困難に陥ったということです。直近の国債価格低下ということはあるんですけれども、第二次世界大戦後の政府主導型の政策失敗、それから援助失敗というところがあって、どうにもこうにも金融危機経済危機に陥ったということでございます。  そこで、危機管理をしなきゃいけないということで、一九八〇年から始まるんですけれどもアメリカイギリス政府支援の下にIMF国際通貨基金世界銀行主導経済自由化民営化政策条件とする構造調整計画が始まったわけです。重要なことは、経済全般に対する政策強制的に実施されたと。途上国からしますと、国内政策に対する強制というのが始まったということでございます。  まとめを下に書きましたので読ませていただきますと、残念なことに、アフリカ貧困国中心とする重債務貧困国債務返済能力を再構築できませんで、経済再建失敗に終わった。日本を筆頭とする二国間資金援助、これは一九九九年でございますが、そこで債務の帳消しということが決まりました。それから、二〇〇五年にIMF世界銀行の融資についても全額免除ということが決まったわけです。  これが総論で、うまくいかなかったわけなんですけれども成果としましては、重要なことは、とにかく被援助国国内政策への介入というのが一貫して取られてきたと。経済自由化によるプラスの面はあるんですけれども、被援助国側自助努力を非常にそぐ結果となったというふうに理解しております。  続けまして三ですけれども、それでは、そのようにうまくいかなかった面があるわけで、じゃ、その後の政策をどうするのかというのが二〇〇五年ぐらいにきっちり決まったわけなんですけれども債務を免除された貧困国に対して、重要なのはその後で、多額の無償援助による貧困削減支援が打ち出されたということでございまして、経済自由化のみならず、例えば教育省予算管理など政策介入が続いている、それから援助体制欧州化も進んでいるということでございます。これは私、二〇〇五年と申し上げましたけれども、実は一九九六年から欧州主導で新たな援助枠組みというのが二〇〇五年に向けてつくられて、二〇〇五年のパリ宣言援助改革が高らかにうたわれたということでございます。  加えまして、一ページの四でございますけれども経済面での政策介入に加えまして、二点、大きな変化がありました。一点は、アメリカ主導でその政治民主化強制ということが行われたわけです。すなわち、援助条件として政治民主化が求められたというのがございます。二ページに参りまして、二点目は、同時多発テロ以降、米英主導紛争国への支援が進められてきたということでございます。こういう流れを踏まえて今日の世界主要援助国援助計画というのは作られておりますし、日本計画もそうではないのかというのが私の認識でございます。  それでは、ODA政策の内容について説明させていきます。  二ページ以降の説明は、皆さんがお持ちのレジュメの十五ページのところに、非常に単純なことで申し訳ございませんけれども、国際協力の構成についてまとめておりますので、それに沿った形で、その図に対応する形でお話をしようということでございます。  まず、二ページのところで、国際協力の手段の中のODAの位置付けということで、私の認識は、平和への貢献というのはODA本来の目標ではないということを改めて考えてはどうかということでございます。  重要な例というのは紛争国への支援でございますけれども、二〇一〇年のODAのあり方に関する検討でも平和への投資というのが三本柱の一つになっております。ただし、私としましては、ODAやその他経済協力手段というのは、本来目指すのは被援助国の経済的厚生の向上であると。付随して、我々日本の経済的厚生の向上もあればいいなということではないのかと思うわけです。加えまして、社会サービスも本来は被援助国政府が供与すべきものであって、社会セクターへの支援というのも本来のODA中心ではないというふうに考えるわけです。  なぜ、これを申し上げるかといいますと、ここには書いておりませんけれども、比較的多くの国民の方が以下のように言っておられると思うんですね。例えば、何も、アメリカ主導で戦争をやったイラクになぜ我々がたくさん援助をしなきゃいけないのかと。あるいは、状況は違いますけれども、アフガニスタンになぜあれだけ多額の援助をしなきゃいけないのかと。今度はアフリカです。イギリスの植民地があるわけですね。そこの紛争国に対して、なぜ我々がアフリカまで行ってたくさんの支援をしなきゃいけないんだというふうに多分思われているんではないのかと思うわけです。  その点で、この点、平和への貢献というものの重要性を、今後の在り方のところに書いてありますけれども、改めて考える必要があるのではないのかと思います。  ちなみに中国は、経済的厚生の向上と今私が申し上げたことをまさしく中心支援しておりまして、我々、中国の方とお話ししますと、我々の援助はウイン・ウインなんだと、相手もウインで、我々中国もウインなんだと、だから非常に評価されるべきだというふうに言っておるわけです。  現状認識の二、二ページの真ん中辺でございますけれども紛争国支援というのは米英主導によるものであって、日本は彼らの要請にかなりこたえてきたというふうに考えております。内容はちょっとそこへ書いてありますが、飛びまして、今後の在り方、二ページの一番下でございますけれども、同盟国アメリカに協調してどの程度ODAを使うのかというのを日本側は主体的に決める必要があるだろうというふうに思います。以上です。  それでは、二の二、広義の経済協力の中のODAの位置付けということでございます。  これは十五ページのブロックの左から二番目、広義の経済協力ということでございますけれども、経済連携協定というのがあるわけなんですが、これは我が国と相手の国との間で経済連携協定ということで経済協力に関していろいろ議論するわけなんですが、そこでODAが余り考慮されていないんではないのかというふうに思うわけです。  ODAを考える場合に民間協力との連携を考えなきゃいけないということが言われているわけなんですけれども、そうすると、経済連携協定、広義の経済協力の中でODAをどう考えるかというのをしっかり考える必要があるんではないのかということで、今後の在り方のところにちょっと書きました。  実際のところは、経済連携協定というのは厳しい交渉をしているわけですから、その場で別にODAは議論する必要はないとは思いますけれども、その前後で、やはりODAをどう位置付けるのか、しっかり相手の政府の方にもそういう支援をしているんだということも伝えながら、結局、利益の関連の経済、民間の経済協力について話す必要があるだろうと、議論する必要があるだろうというふうに思います。  それでは、二の三に参ります。  今度は狭義の経済協力の中のODAの位置付けということで、十五ページのブロックですと、左から三番目の狭義の経済協力ということでございます。このグループは十四ページの我々がよく目にする日本の狭義の経済協力という構成でございまして、それをちょっとひっくり返しまして、民間中心ですので、民間を上に、公的協力を下に持ってきて、政府開発援助の位置をそこに示しているわけです。  それでは三ページに戻ります。  まず、二の三、現状認識の一としまして、ODA民間協力との関係でどの水準にするのかというのが明確でないというふうに感じます。  三ページ最後から二行目のところをちょっと読みますけれども、先ほど申し上げました英米主導の経済自由化というのはODAに関して二つの重要な影響をもたらした。第一には、被援助国政府自らの業務と公企業の業務の民営化が大々的に起こりましたので、結果として公的機関を対象とするODAにとっては援助先が大幅になくなったということでございます。第二は、我々援助する側にとっても、なるだけ民間でやれることは民間でやろうよということではないのかということでございまして、三行目のところですが、総合しますと、従来型のODAは減らすべきであるという方向で進んできたと。それでは今のそのODAの議論でどういうことを書いているかといいますと、民間協力との連携で実施されるべきというのはたくさん書かれているんですけれども、重要なことは、民間協力に比較して比重をどうするかと。民間協力増えるからODAが増やすという話ではなくて、民間協力との関係でODAをどういう比重にするのかというのを考える必要があるのではないのかというふうに思います。  それでは、現状認識の二に参ります。四ページの真ん中辺ですけれどもODAの有償資金協力と、その他政府資金の有償資金協力や民間協力との間の業務の分担が明確でなくなってきました。  これはちょっと経済学をやっている私のテーマでもありますが、もう全般的に世界規模で低い金利が実現しております。今後もそれは続くと思います。そうしますと、ODA、OOF、民間協力が低い金利の水準で並ぶということになりますので、そうしますと、今後の在り方のところで書いてありますが、その中でODA役割というのを明確にする必要があるだろうということでございます。  それでは、二の四に参ります。二国間ODAと多国間ODAの関係でございます。  これは実はODAの中身に入る話でございまして、レジュメの十五ページの図の一番右側、枠の外で、ODAの分類を結構二者択一的な形で議論をしたいということでございます。  まず、二国間援助なのか多国間援助なのかということで、四ページに戻っていただきますと、その関係というのが重要であるけれども、十分に検討しているのでしょうかということでございます。  四ページはちょっと追加がございまして、ここではODAだけで話していますが、実はOOFについても、当然二国間のOOFの供与のやり方と多国間のOOFの供与のやり方というのは関係するわけです。というのは、OOFの資金IMFとかあるいは世界銀行の金利の高い融資の基金として出されているわけでございます。  これは四ページから五ページについてちょっと書いておるんですけれども日本政府としては、二国間ODAを使って国際的なプレゼンスを高めたい、例えば国連の常任理事国になろうということで立候補したということで、それはうまくいかなかったわけですね。  ところが一方、国際機関への拠出という形で、我が国はサミットの一員、それからG7の一員であるということ、それからIMF世界銀行の常任理事国になっているということで、私流に言いますと経済面の安全保障理事会では日本は常任国になっておるというわけなんですけれども、直近のIMFの改革によりますと、中国がもう日本のほんの僅か後ろに入ってきたということになります。従来は日本を含む五か国が常任国であったんですけれども、そこに中国が経済的な台頭を背景に入ってきたということでございます。  ですから、日本のプレゼンスというのはかなり減ってきたわけなんですけれども、そうしますと、二国間援助と多国間援助をどのように関連付けて支援していくのかという視点も必要ではないのかというふうに思います。  それでは、二の五から、二国間ODAの業務の方に入ります。  まず、現状認識の一として、無償援助は被援助国自助努力をそぐというところがあるだろうというふうに思います。ということで、ちょっと時間がありませんので六ページの方に行きますけれども日本としては債権を放棄したわけですので、そこであえてまた多額の無償資金協力を我々はするのかというところがまずあると思います。それでも相手国のために無償資金協力のことは考えなきゃいけないということはありますけれども、より注意して規模タイプを決める必要があるというふうに考えるわけです。  六ページの真ん中、現状認識の二に参ります。  重債務貧困国については、今申し上げましたように債権放棄をしている、しかも多くの欧米の識者の方々が必ずしもその無償資金協力の有効性について高く評価しているわけでないということでありますので、技術援助が今後重要でないのかということでございます。技術援助の中身も、単に全て無償ということでなくて有償ということもあるかなというふうに思います。  七ページに参ります。  現状認識の三、今、重点分野は社会インフラ、それから貧困削減というふうになっておりますけれども、果たしてそれがODA中心であっていいのだろうかと。ここでも多分国民の方が以下のように言われているんではないのかと思うんですね。すなわち、各国の貧しい人の話というのは基本的にその国の人の話であって、そこを何もアフリカまで行って、我々がそこの非常に貧しい人、あるいは教育だ、保健だというところにあえてたくさんの我々は援助すべきなのかというふうに思っているんではないのかと思います。むしろ我々としては、ある意味では、ひょっとしたら有償とかほかの観点でもっと高い層の、相手の国の高い層の人を支援するということもあっていいのではないかと思います。  七ページの三、下の方のODA政策の立案、現状認識の一と二というのは、今申し上げたことを総合的に考えられるような体制があった方がいいのではないのかということで、もう割愛させていただきます。  ちょっと時間があと一、二分しかありませんので、最近の動向についてお話をします。  まず、中国援助というのはもうかなり大きな規模でして、資金協力、ODAとOOFの資金協力だと多分日本を凌駕するぐらいの規模に達しているというふうに言われておりますが、ということで九ページですね。  まず、OECD、DACの局長が言われたことというのが、まず、アフリカの貧しいこの地域世界でも最も発展の可能性が低いサヘル地域ですら、市場がかなりの問題を解決できるようになったということです。ということは、公的援助の比重というのが下がるということになるかなというふうに思います。  そういう中で、それからプラス中国等の台頭がある中で、その二番目のところですけれども、今申し上げた、あるいは日本がやっている西側主導の援助改革というのはもうメーンストリームではないという状況であります。そういう中で我々が今後従来型の援助を進めていくのかということを考えなければいけないかと思います。  最後に、中国の台頭についてでございますけれども、四年連続パリとか行っていますと、もう明らかに中国の特にアフリカへの進出はすごいという状況でして、その中でちまちまと西側主導で細かくやっていることが果たしていいのかということを向こうの方々が、フランスの政府方々も考えているように思います。  最後に、十ページの真ん中辺に横に書いておりますけれども、外務省として高官レベルで中国と協調してやっていこうということが決まっておるんですけれども、私が知る限りはその後ちょっとその実際の動向がないのではないのかということで、十ページから十一ページに雑駁でございますけれども四点、具体的な提案をさせていただきました。その中の幾つかは中国側の方の希望でもございます。  以上でございます。どうもありがとうございました。
  11. 藤井基之

    委員長藤井基之君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑の進め方でございますが、まず、各会派一名ずつ大会派順に質疑をしていただき、その後は自由質疑といたします。  質疑を希望される方は、挙手の上、委員長の指名を待って、御起立いただいた上で御発言いただくようお願いいたします。  参考人方々の御答弁につきましては着席のままで結構でございます。  なお、質疑の時間が限られておりますので、質疑、答弁とも簡潔に行っていただくよう御協力をお願いいたします。  それでは、質疑のある方は順次御発言を願います。
  12. 水戸将史

    ○水戸将史君 民主党・新緑風会の水戸将史でございます。  本日は、下村先生、坂元先生、お忙しいところ貴重なお話を承りまして、本当にありがとうございました。  これからいろんな先生方が個別具体的な話もされると思いますので、私は概略的なことにつきまして何点か両先生にそれぞれお聞きしたいと思いますもので、よろしくお願いしたいと思っております。  先日、委員長のお取り計らいでグテーレスさんという高等弁務官にお会いする機会もいただきました。グテーレスさんもいみじくもおっしゃっていたんですが、日本ODAに関しまして、よくこれ聞かれる話なんですけれども日本ODAは、その姿勢としては非常に援助される側の立場を重んじながら、その国の利益にとって何が好ましいかということを常に日本側は考えていると。  しかし、他方、今、中国の話もいろいろ出ましたけれども中国サイドだけではありませんが、諸外国はどちらかというと自国利益の、まず援助する側の利益を考えながらやっていくということがどうも援助される側にとっては面映ゆいというか。例えば、中国の場合は、自分たちODAを決めれば自国から物資や労働力を運んで、そしてそこで援助される側の方でいろんな形をやると。それは、援助される側にとっては非常に利益にならないというか、直接的な利益に結び付かないと。そういうことで、非常にいろんな国の援助在り方というものに関しては、グテーレス高等弁務官も問題提起をされておりました。  そもそも日本のこのODAの考え方に関しまして、先ほど下村先生からも若干お話がありましたとおり、まず援助される側の自助努力を促していくんだと、そういう中で経済的、政治的な自立を求めていくということでやっていくということなんですけれども、果たして、実際、両先生方日本の今までのODAの、まあいろんなものがあると思うんですけれども、姿勢に対して、それが本当にされる側にとって利益にかなっているかどうかということを両先生方はどういう形でとらえていらっしゃるのか。  また、我々自身、日本といたしましても、援助する側といたしましても、当然、我々自身はその理念にのっとってお金を拠出するわけでございますので、どういうような形でそれをチェックするか。その理念にかなった形で果たしてその効果がかなっているかどうかということに関して、日本側のそのチェック体制ですね、そういうことについて両先生方はどう思われているか、この二点についてまずお話をお聞かせいただきたいと思います。
  13. 藤井基之

    委員長藤井基之君) それでは、今の水戸委員の質問に対しまして、まず下村参考人から御答弁をお願いします。
  14. 下村恭民

    参考人下村恭民君) ありがとうございます。  今御指摘のありました点で、二点に絞ってお答えいたします。  日本途上国利益にどれだけ対応してきたか、あるいはその中で日本の国益もどれだけ重視してきたかということですが、私は、先ほど例としてお示ししたタイの例えば東部臨海を見ていただきますと、現在アジアのデトロイトと呼ばれるような輸出産業の拠点になっておりまして、そこでたくさんの、数字が出ておりますけれども、多くの雇用が生まれていると。雇用が生まれ、外貨が獲得できて、途上国側に非常に効果があると同時に、そこに立地しているのは誰かというと、日本の大手の自動車産業の会社、ほぼ漏れなく立地しております。それから、それに付随して、部品産業の会社もたくさん出ていると。当然、低コストで、相対的に低いコストで生産をし、輸出をすることができるようになっていると。  中国がウイン・ウインと言っておりますけれども中国の研究者は日本援助が要するにウイン・ウインなんだということを文献の中で数多く言っておりまして、日本型の援助の真髄はウイン・ウインであると、中国も同じようなことをやっているんだということを言っております。だから、そういう点で、国益と途上国側利益はある程度バランスをしているのではないかというふうに思っております。  チェック体制でございますが、効果のチェック体制、御指摘のように非常に重要でございます。そこで、私が一つ懸念しておりますのは、チェックはシステムとしては外務省もJICAもきちんとやっていると思いますけれども、やはり余りにも人員が足りないということですね。人員が足りないとどういうことになるかというと、アウトソーシングになると、外注になる。これは、やはり自分がある程度深く関与してチェックをするということも相当程度やらないと、チェックした結果の組織の知識として蓄積していかないと。まあこれ予算が足りないからですけれども、経費予算が削られている結果、人員が不足してアウトソーシングになっているというところが私は非常にチェック体制上懸念すべき点だと思っております。  以上でございます。
  15. 坂元浩一

    参考人坂元浩一君) まず一点目の利益になっているのかということでございますが、世界地域的に見ますと、先ほど歴史のところで申し上げましたように、ラテンアメリカそれからアフリカ、やはり日本政府が特に資金協力の面でその危機から、問題があるとはいえ、かなりプラスの影響を与えたというところはあるというふうに思います。  アジアの場合、明らかに東南アジアそれから中国の場合は日本ODAは今日の繁栄に大きく貢献したというのはもうまさしく正しいということでございまして、全般的に日本資金協力は大きく世界規模貢献したというふうに考えております。ということで、我々に対してもある程度経済的な利益もあったということかなというふうに思います。  それから、人的な支援も、実は日本はやはりその点では私はまだ後発国であると、人的な能力ですね、いわゆる技術協力の専門家という意味で後発であると思うんですけれども、やはり日本流の我々のきめ細かな一生懸命やるという支援世界規模でやっておって、その点ではどこの国でも非常に高く評価されてきたと。ですから、我々日本人の貢献というのは高く評価されてきたのではないかと思います。  最後にチェック機能なんですが、ちょっと評価の方法という意味で、私はたまたま日本評価学会の理事もしておりますけれども、かなり技術的にいろいろ評価をしておりますが、今日私が申し上げた結構原則まで入れて幅広く、場合によってはその援助がなかったらどういうことが起こったんだという、別のやり方をも含めてという、もうちょっと広く考えてやるとすると、実はかなりな程度にODAはプラスだよと言っているところが違うんじゃないのかというのがあるのではないのかと思います。ですから、その評価のやり方をもうちょっと幅広く考える必要があるかなというふうに思います。  以上でございます。
  16. 水戸将史

    ○水戸将史君 持ち時間、あと一分半しかありませんので、一言ずつ先生方にコメントいただきたいんです。  ODA、まあ経済状況もありますので、だんだん徐々に減らされているということで懸念を持たれていると思うんですが、上限、大体ODAはGDP、経済規模の七%ぐらいが好ましいとよく言われておりますけれども、非常に今それが下がってもう目も当てられない状況ですけれども、下限ですね、ここ以上下げちゃいけないなというようなメルクマール、目印があれば、ここまで、これ以上下げちゃいけないぞというようなものがあれば、ちょっとお聞かせいただきたいと思うんですが。
  17. 下村恭民

    参考人下村恭民君) 科学的な意味の下限はないと思いますけれども、既に下限に達しているというふうに私は判断しております。
  18. 坂元浩一

    参考人坂元浩一君) 日本の経済状況というのは非常に悪い、財政状況悪いという状況で、これは二〇一五年までも続くという状況に言われている中ですが、非常に重要な対外的な手段でありますので、少なくともある基準というのは絶対守らざるを得ないということで、例えば世界規模で全ての国に対して我々はこれだけ援助をやるんだというところを合わせると幾らというのがあって、それをかなり積極的にやるんであれば今より増えてもいいんじゃないのかというふうに思っています。  以上です。
  19. 水戸将史

    ○水戸将史君 どうもありがとうございました。
  20. 大家敏志

    ○大家敏志君 自由民主党の大家敏志です。  下村先生、坂元先生、今日は貴重な機会をいただきました。ありがとうございます。  限られた時間ですけれども、二点ほどお伺いをさせていただきたいというふうに思います。  今回の東日本大震災に際して世界各国から、特に開発途上国からも温かい励ましと支援をいただきました。そのことは、被災地の皆様方を大いに勇気付けた出来事でありましたし、我々国民としても、これまでの国際協力、ODA等を通じて多くの途上国に対して援助を行ってきたことが正しかったんだということを再認識する機会にもなったというふうに思っています。  ただ、しかしながら、先ほど先生方からの御指摘もありましたけれども、二〇〇〇年までの世界一位から二〇一〇年には支出ベースで世界第五位になってしまいました。日本が先進国として今後もODAを続けていく以上、また援助世界で確固たる地位を保ち続けるためにも、今後はやっぱり世界の納得するような原則をきちんと打ち立てて実行していくということが必要不可欠だというふうに思っています。同時に、この大震災の復興財源確保でやっぱり財政が本当に厳しい状況になっています。今まで以上に国民の皆様方からの御理解というのが一層求められている状況になっていると思うんですね。  そこで、まず一点目なんですけれども、先ほど下村先生のお話もありましたけれども、とにかく国民の皆さんの背景には、ODAは役に立っていないという思いが本当に強く、マスコミの論調にもありますし、そういう思いが強いんだと思うんです。同時に、一方では受け手の側からは高い評価がされている。ここをまずどう考えたらいいのか。抜本的にODAについて見直すべきだという議論があるんですけれども、そこを考えて、まずどうすべきかということを一点伺いたいと思います。  それから、我が国としては、我が国の成長戦略として、インフラの海外展開を重要な柱として、その技術やノウハウを中心アジア諸国を含めた新興国に一層貢献していくことが重要だというふうに思うんですけれども、その二点、ありきたりの指摘ですけれども、とにかく理念、方法、体制についてどう抜本的に改革すべきなのか、率直に両先生のお考えをお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  21. 藤井基之

    委員長藤井基之君) それでは、順番にお願いしたいと思います。
  22. 下村恭民

    参考人下村恭民君) ありがとうございました。  まず理念、原則でございますが、私は、日本はこれまで余り強調してこなかったと思いますけれども卒業支援するんだということをもっと打ち出していいと思いますけれども、そのためには途上国の強みを生かすと。途上国の弱みを指摘して直すんではなくて、これは西欧社会はみんなそういうふうに、ここが悪いから直しなさいということですが、ここはいいところがあるじゃないかと、それを生かせばもう少し良くなりますよという、相手側に立って、相手側に寄り添って強みを生かすということが重要ではないかと思います。これをもっと強く打ち出すべきだと思います。  もう一つ、役に立っていないという点ですが、これは率直に申し上げて、もう致し方ないのではないかと、手遅れではないかと思います。要するに、これまで国民が目にしてきたこと、耳にしてきたことは、ODAがうまくいっていないという情報のはんらんなんですね。うまくいってきたということについてはほとんど情報がない。  例えばですけれども、これ、東部臨海について先ほど申し上げましたけれども、こんな大きな特集が、これ四ページ立てですけれどもタイ英字紙に出たんですね。これ、日本の新聞、特派員はバンコクにいっぱいいると思いますが、誰も気が付かない。これが日本援助で行ったプロジェクトだということも気が付かないんですね。これはもう致し方のないことではないかと思います。  ですから、少し、新聞、テレビ、インターネットでもう少し役に立っているという面も取り上げてもらえればいいですけれども政府広報では限界がありますから、それはなかなか望んで望めないことではないかというふうに思っております。
  23. 坂元浩一

    参考人坂元浩一君) 済みません、二点目の御質問は何でございましたですかね、先ほど二つ目の。
  24. 藤井基之

    委員長藤井基之君) 成長戦略としての内容を含んだ改革の方向というか、したと思いますが。
  25. 大家敏志

    ○大家敏志君 そうですね。
  26. 坂元浩一

    参考人坂元浩一君) どうも申し訳ございません。  まず、役に立っていない、あるいは現地側では非常に評価されているというミスマッチでございますけれども、私自身は、日本のマスコミは非常にいつも、何というか、ODA成果というのを低く見るというところが、非常に初めから批判的に見ているところがあるかなというふうに思うんですね。これ、途上国に行っていろんな業務をやるとなかなかうまくいかないというのは、それは当然の話でして、例えばヨーロッパなんかであれば、まあ本当は一〇〇%なんだけれども七〇できたらよしとするということなんですけれども、これは日本国民性もありますけれども日本だったら一〇〇、九五じゃなきゃいけないという、そういうのがまず根底にもあるんですけれども、それ以上に、私は、日本のマスコミはかなりODAについてある意味では批判的に、ですから悪い面を取り上げるというところがあったと、これは国民に大きな影響を与えているんじゃないのかと思いますね。その点ではやはり広報をしっかりやっていくということは重要かなと思います。  ただし、今日私がちょっと申し上げましたように、多分原則のところで、今日いろいろお話ししました平和構築はどのぐらいの比重なのかとか、あるいは無償はどのぐらいなのかとか、やっぱりそこのところは、できたら、しっかりこうなんだと、だから無償はこれだけ必要なんだというのを出さないとなかなか難しいのかなという。こういう議論をすると、ビジネスマンにはいつも怒られるんですね、なぜあげるんだというふうに言われるんですね。そういうことです。  アジア成長戦略につきましては、日本の、日本はもう今ある意味では財政的に非常にちょっと問題があって、今後もそれは続くという状況ではあるんですけれども、やはり有償の資金協力を有効に使って、非常に小さい貧しい国でも有償もあり得るわけですので、かなり我々が持っている資金力を有効に使ってやっていく必要があって、それは貧困削減対象の貧しい国といえども我々としては貢献できるのではないのかと思います。  以上です。
  27. 大家敏志

    ○大家敏志君 ありがとうございました。
  28. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 公明党の竹谷とし子でございます。  両先生、本日は非常に示唆に富むお話を伺わせていただきまして、本当にありがとうございます。心から感謝申し上げます。  まず、下村先生に二点ほど伺いたいというふうに思いますけれども。  先ほど、水戸委員また大家委員から、国民の理解をODAに対してどのように得ていくかという問題点、また評価をどう行っていくべきかという、効果に対する評価をどう行うべきか、そういった問題点について質問がありましたけれども、同じ問題意識を私も持っております。  先生の今日のお話の中に、日本は国際的に無視できない役割を持つ中軸国家の地位を維持するためにODA規模が重要なカードとなる、そのとおりかなというふうにも思うんですけれどもODA以外の日本の競争力、例えば経済力であるとか技術力であるとか、こういったところも低下している中で、ODA規模を維持していくのは本当に難しい、国民の理解を得るのは難しいというふうに感じているところでございますけれども。  ただ、日本よりも一人当たりのODA負担額というのが多い国というのはたくさんあると思います。例えば北欧などは非常に高い負担をされている国が多いと思いますけれども、そういった国々でどうやって国民の理解を得ているのかという点について、もし御示唆があれば教えていただきたいというふうに思います。  そして、二点目なんですけれどもPPPに伴うリスクについて御教示いただきました。  私もこの点は問題意識を持っておりまして、PPPだけではなくて、ODAのインフラ事業など公共事業を行って、収益を後で得て、それによって返していくという、そういうスキームの事業をやる場合に、日本ODAをやる場合に物を造ってそこまでしかやらないと、運営はその国がやるといったときに、運営のノウハウを持たないからうまくいっていない場合もあるというふうに思っております。  この点で私は、箱物を造るだけではなくて、ソフト面のその後の運営、そこまで含めて一体化で行うべきではないかというふうに思っているんですけれども、この点について御意見を伺えればというふうに思います。  続きまして、坂元先生にお伺いしたいと思いますけれども、先ほど水戸委員の質問に対しまして、ODA評価の仕方を変えるべきではないか、また評価の仕方を変えた場合に結果が変わってくるであろうというところにつきまして非常に興味深くお伺いいたしましたが、具体的にどう変えるべきかという点について何かお持ちでしたら、教えていただければというふうに思います。  また、今後のODA在り方につきまして、中国との間での協力関係をつくっていくべきだという興味深い御提案がありました。ただし、これは中国にとってメリットはあるのかという、そういう点も気になりますので、そこも教えていただきたいというふうに思います。  そして、先生に対する三点目なんですけれども、重債務貧困国に対する援助につきまして、一旦債務が全額帳消しになって、その中でまた無償援助が必要かどうか注意して決めるべきという御示唆がありました。これもそのとおりかと思いますけれども、特にどんな点に注意するべきかということを御教示いただければと思います。  よろしくお願いいたします。
  29. 藤井基之

    委員長藤井基之君) それでは、まず下村参考人、お願いします。
  30. 下村恭民

    参考人下村恭民君) ありがとうございました。  先生から二点御指摘がありましたんですけど、一点目、国民の理解に関連して、北欧諸国ではどうしてあれだけ一人当たりたくさん援助を負担をしていながら理解があるのかという点ですが、二点あると思いますけれども、やはり国民途上国に対して支援をしていくという使命感を共有していると、これはかなり文化的なものだと思っております。恐らく宣教師的な使命感と隣り合わせの文化的なものだと思っております。  もう一つは、やはり北欧が、中軸国家であるかどうかは別にして、国際的に存在感を示すために援助を掲げるということが最も有効だというコンセンサスが国内にあるという点だと思います。ほかのカードではなかなか小さな国なので勝負できないけれども援助だったら勝負できるということだと。要するに、一点集中型だということですね。  二点目、PPPの関連で、箱物批判、いろいろ弊害があるということをおっしゃいました。そのとおりだと思います。一番の問題は、ハードができて、ソフトがそれに付随してあるいはペアになって出ていっていないケースが非常にあるということで、これは傾向としてですけれども、小さな国の場合、相手国が小さな国の場合にそういう傾向があります、援助が常時出ていきませんから。それから、無償資金協力の場合、残念ながらそういう傾向が有償資金協力に比べて強いということは言えると思います。  ただ、こういうことは言えると思うんですね。日本援助の場合、同じフィールド、同じ領域、同じ地域あるいは同じ分野に対する非常に長期にわたる援助が継続して行われるということが特徴で、例えばインドネシアのジャワ島のブランタス川の流域の総合開発、これは七〇年代の初めから九〇年代まで何度もマスタープランを改定しながら続けております。そうすると、そこでいろいろなハードができますけれども、そこで常時、技術移転が何十年にもわたって行われていくと。それによってインドネシア側に非常に巨大な人材の蓄積ができて、インドネシアだけでなくて、その人たちが今度ほかの途上国、もっと後発の途上国に行って経験を移転しているという現象がもう既にずっと前から生まれております。残念ながら、そういうことを全然日本のマスコミに報道されないので知られていないんですけれども、そういう形で長期にわたって支援していくということで、箱物批判、箱物の弊害が防止されているという面もあるということを強調したいと思います。
  31. 藤井基之

    委員長藤井基之君) 次に、坂元参考人、お願いします。
  32. 坂元浩一

    参考人坂元浩一君) まず、評価のやり方ですが、具体的なのはちょっと私自身もそれほど考えておりませんけれども、まず評価の体制として、多くの評価が、例えば外務省とかJICAからその仕事は出されるわけですね、そうすると、評価する人が果たしてそのそもそもの、元々の金額とかやり方の構造を批判できるでしょうか。という意味で、やっぱり第三者的な人がちゃんと評価すべきじゃないのかなと思いますね。  方法論としては、多分多くの評価というのは実施前実施後比較ということで、実施前と実施したらどうなったのかということなんですけれども、もう一つの方法論は実施不実施比較なんですね、実施不実施比較。すなわち、無償資金協力をやらなかったら何が起こったのか、あるいは無償資金協力の代わりに有償資金協力でよかったんじゃないのかと。多分こういう評価は、もし外務省とかJICAから仕事をもらう場合に、初めからそういうことは入らないかなというふうに思います。  それから、二点目の中国とのメリットなんですけれども、これは私のレジュメにも書いておりますけれども中国はある意味ではもう非常に対立関係にあるんですね、西側の国々と、援助のやり方について。その点で、我々がいろんな経験を教えて彼らを国際社会に引き入れるという意味では、彼らにとってはメリットがあるのではないかと思います。  三点目のHIPCの件なんですけれども、注意すべき点、やはりそもそも根本的には規模だと思いますね、規模。ですから、規模はもうかなり少なくていいというふうに思います。ただし、私は多くの国に無償資金協力もある程度は必要だと思いますので、予算が減らないためには、先ほど申し上げましたように、とにかく世界全部、我々は、ある意味じゃ宮沢賢治みたいに、どこも行ってやるんだという形で予算の確保というのはしてもいいんじゃないかと思います。  以上です。
  33. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 みんなの党の小熊慎司です。  今日は、両先生方、本当にありがとうございました。  これまでも出てきましたけれどもODAの国内の理解度という件に関しては、体験的に申しますと、今年の春先、震災以降、減額補正がなされたときに、当時、中村委員長でございましたけれども、超党派でこの減額は認められないと政府に申入れをさせていただきました。結果として、減額にはなったんですが、減額幅が大分少なくなったという経験がありましたけれども、その際、特に委員長、前委員長は大変だったと思いますけれども、私のところにも様々な批判のメールや電話、ファクス等が寄せられまして、中には売国奴とまでも言われました。私、福島県ですけれども、東北、東日本が大変なときに海外に予算を使うというのを減らさないというのはどういうことだというふうに、そんな批判の内容が主であったわけでありますけれども。  そのときの私の印象としては、無駄な予算であれば、国内であれ国外に出すものであれ、それは減額をしなければならないわけですけれども、このODAの意味合いというものが非常にやはり理解されていないということと、先ほど大家委員も言われましたけれども、今までの評価があったから援助してもらったということの論理をずっと出していけば、大変だから出すことはないという論理になってしまうと思うんですね。いざというときに助けてもらうためにODAを出しているわけではないので、結果として今回そういうのが評価されて援助は受けていましたけれども、それがODAの本来の意味を声高に言ってしまうと、こうしたいざというときには減額というふうに論理が行ってしまうなというふうに私は思っていまして、そういう意味では、日本の状態がどうあれ、とにかく世界の中で日本が生かされている点でODA予算があるべきだというふうに思っています。  先ほどウイン・ウインの関係とも言いましたけれども下村先生にお伺いしますが、下村先生の資料にも御指摘あるとおり、ある意味、ドナー国、目線が高いパターナリズムに陥りやすい部分があるというふうに思います。そういう意味では、とりわけ国内において、評価の仕方とはまた別に、どのように宣伝というか、国民の理解を求めていくための、先ほど政府広報だけでは足りないというのはもちろんそれもありましたけれども、国内向けの周知また説明責任というのをどのように果たしていけばいいのか、お伺いしたいと思います。
  34. 下村恭民

    参考人下村恭民君) ありがとうございました。非常に重要な点だと、御指摘のとおり重要な点だと思いますし、また難問だと思います。  それで、私は、よく国民の理解を得るというと政府広報を改善すべきだという声があるんですけれども、私は、ODAのことをある程度知っている人あるいは関心を持っている人、相当な数いろいろ調査をしましたけれども政府広報の使い方というのは、やはり資料を取るためには使うけれども、そこに書いてあること、いいことが書いてあったり成功例が書いてあっても、ほとんど印象、感銘を受けないという、そういう傾向があるということを調査の結果感じました。  そこで、やはり普通の人が、国民情報を得ているのは新聞でありテレビであり、最近はネットであると。やはり、ODAを別に褒めてもらう必要はないんですが、プラスの面とマイナスの面をバランスシートで出してもらう企画をもう少しマスコミの社会的責任として求めたいというふうに思っています。珍プレー集だけ、あるいは好プレー集、珍プレー集だけ見ていて、特にODAの場合は珍プレー集しかないわけですけれども、これはあかんということにならざるを得ないので、両方をバランスシートで出す企画をやっていただきたいと。そのために、やはり中国の足音が後ろに迫っているというのが一つ機会ではないかというふうに考えております。
  35. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 昨年、この委員会でメコン三か国、大久保団長の下で私行ってきましたけれども、この中でもやはり韓国、中国日本とのこの三か国の在り方が比べられていて、日本に対する、日本援助の仕方はやはりいいという評価はいただいておりましたので、そういう意味では今特にこの東アジア地域においてはODA在り方を改める結果になっていくというふうに思いますし、ただ、マスコミの評価が低いというお話もありましたが、じゃ、今年の春の減額のときには大体新聞の論調は減額すべきではないという論調であったというふうに思っています。  先ほどウイン・ウインの関係という御指摘もありましたけれども、まさに外に出しているんだけれども、それが日本のためにもなっているという、いざというときに義援金をもらうということではなくて、まさに日本の経済活動やいろんな文化活動、人的交流の上でも役に立っているんだというのが国民の皆さんに見えないから、まさに目線が高く、ただお金をくれてやっている、援助してやっているという、こういうことの理解でしかないからいざというときには出さなくていいということになってくると思うので、これは政治家の説明責任も果たしていかなければいけないところでありますけれども、今後もいろいろ御指導をいただきたいというふうに思っています。  坂元先生にお伺いしたいんですが、そのメコン三か国へ行ったときにいろいろ議題になったのは、アンタイド、タイドの問題があって、被ドナー国からすればどっちでもいいという話もありながら、中国、韓国のやり方よりは日本企業で開発をしてほしいと。それは、金額は多少高くても人を残してくれる、人材を残してくれるというような話もありました。さりながら、国内的には金額が余りにも違うければこれはどうなんだと、あとODAの不正事件もありましたから、そういった反省も踏まえていろいろ入札の改革もされているわけでありますけれども、人的な人材育成という部分を視点に入れながら、先生がおっしゃっている多国間の国際援助というものがこれから必要になってくるというふうに思っています。  過日、緒方貞子JICA理事長とお話ししたときに、今東南アジアは特に経済発展が著しいので、被ドナー国がドナー国になってアフリカ援助とか始めているということも見れば、そのリーダーシップを取るべきは日本にあるというふうに思っています。韓国、中国も頑張ってはいますが、そこはやはり日本は、日本のやり方が私は一歩先んじているし、正しいやり方かというふうに思っています。  そういう意味で、多国間のリーダーシップを取っていくという今後の日本の課題に対してどのように取り組んでいったらいいかという点と、タイド、アンタイドの問題について御教示いただきたいと思います。
  36. 坂元浩一

    参考人坂元浩一君) タイド、アンタイドにつきましては、日本政府は国際的に、西側主導ではありますけど合意されている、基本的にアンタイドだということで、その点でも日本のアンタイド率はかなり高いんですね。多分メコンですと有償資金協力ですから、有償資金協力は我々はもうアンタイドにしています。それは基本的に、有効なそのお金を、最も世界で品質のいい物資、それから最も優秀な人を雇うという意味で非常に効率的に使うというので、いいことだと思います。多分、ちょっと韓国はそれほど分かりませんが、中国の場合はタイドがかなりあるかと思いますので、私としては、やはり日本世界の非常にある意味では高レベルの非常に重要な援助のやり方というのを踏襲しているんだということで、やはりアンタイドでやりましょうと。人材育成も、日本の優秀な人ももちろん雇われていいかと思いますけれども、基本的にはそれもアンタイドだということで言っていけばいいのかなと思います。  それと、多国間のリーダーシップの、我々はいわゆる西側のパリ宣言とかそういうのをしっかり踏まえてやっているんだと。それは問題もありますけれども、かなり問題も今日言いましたけれども、非常に援助の効果を上げるという意味では非常にいい面がたくさんあるわけで、それを我々JICAとかいろんなところで組み入れてやっているわけですから、それをしっかり彼らに伝えて、より望ましい国際的な基準で援助をやりましょうということでリーダーシップを取っていけばいいのではないかと思います。  以上です。
  37. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 社会民主党の吉田忠智でございます。  今日は、大変お忙しい中、出席をいただきまして、ありがとうございます。時間があれば三点お伺いをしたいと思います。  まず一点が、昨年六月に政府は岡田大臣の下でODAのあり方検討最終とりまとめというのを発表されまして、御案内のとおりだと思いますが、大きく三本柱がございまして、一つはNGOとの関係強化、二点目がODAの透明性向上のための取組、三点目が相手国のニーズに即した戦略的、効果的なODAの実施ということがうたわれているわけであります。  この方向性については私はいいと思うんですが、特にその一点目のNGOとの関係強化、これは私は極めて重要だと思っております。海外で御案内のとおり一生懸命活動されているNGOも多くございまして、一生懸命活動されている割には政府支援が不十分ではないかと、そのような認識を私は持っております。  両先生、NGOの現状についてどのように考えておられるのか、そしてODAがこれからどのようにかかわっていくべきなのかについて、まず見解をお伺いしたいと思います。
  38. 下村恭民

    参考人下村恭民君) ありがとうございました。  たまたま私、今日こちらへ来る途中、中央線の隣の席に二人NGOの方が座っておられて、非常に貴重な話をしておられるのをずっと聞きながら来たんですけれども、アフガンとパキスタンの国境のところにあるペシャワール会という非常に立派なNGOですけれども、おっしゃるように、NGOとの関係、NGOとの連携ですね、非常に重要だと思います。  これについて、二点あると思いますけれども一つは、NGOに対する支援は重要、支援の形での連携は必要だけれども、NGOの側が結局自己資金に比べてODAを通じて受けている支援の比重が高くなり過ぎるのは非常に問題があるわけで、それは北欧を中心にして西欧の大手のNGOにかなり目立っている問題点でもありますので、つまりODA依存度が高まり過ぎると非常に問題があるという点、その点を留意する必要があるということですね。  もう一つは、NGOの場合、やはり、特に日本のNGOですけれども、理念と活動力、人手は質的には非常に高いものがあると思いますが、何といっても組織力がないと。逆に言えば、経理とかそういう間接部門の人を雇うだけの資金力がないということがあります。やはり、その点の間接部門に対する支援も相当きめ細かくやっていく必要があるのではないかと、連携の一つとしてですね。あくまでも連携であって支援ではないということですが、これも依存度が高まり過ぎないようにする必要があるということで、相当きめ細かく現状、実情を見ながらやっていく必要があるかなと思っております。
  39. 坂元浩一

    参考人坂元浩一君) 実は私自身は余りNGOのことはそれほど存じませんので、非常に基本的なことしか申し上げないんですが、基本的にNGOというのは民間機関であります。ODAというのは公的な機関に出すという話でありますから、彼らは彼らでしっかりやっていただくというところがありますので、大々的にその支援というのは多分ないというのは当然のことだと思います。  ただし、日本の場合、やはりいろんな意味で途上国を助けるという場合に、いろんな人材も資金もない、その中でNGOの方々が一生懸命やっておられるというのは非常に重要ですから、その意味で補助金とかそういうのは今行われているわけで、それは結構だというふうには思うんですけれども、ある程度のもうちょっと何かほかのNGOの支援の仕方というのもあるのかな。例えば、結構研修とかに出ていただいていますよね、そういう辺りは割と続けていったらいいのではないかというふうに思います。  何か非常に余りよく知らないものですから、その点、そのぐらいで失礼します。
  40. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 どうもありがとうございました。  続いて、二点目ですが、原発の輸出についてでございます。  これはODAの直接というよりもJBICなど関連する経済協力という中で行われるわけでありますけれども、これだけの未曽有のあってはならない事故が日本で発生をして、原発事故が発生をして、その事故の検証もまだ行われていない、そして、ゼロベースで原発のことも含めて日本のエネルギー政策をこれから練り直すという段階において、残念ながらベトナムの首相がお見えになって原発輸出を行うということが確認をされたわけでありますが、ほかの国に対する原発輸出も聞くところによると話が進められているようでありますが、このことについて、両先生、どのように思われるか、お伺いしたいと思います。
  41. 下村恭民

    参考人下村恭民君) 先生がおっしゃったとおりだと思って、全く賛成でございます。  要するに、原発を輸出するということは非常に大きなリスク、相手に対する、相手の災厄をもたらしかねないリスクを持つ商品を輸出するということですね。最悪の場合が起きたとき、最悪の事態が起きたときに、我々がそれを負担できるのかと。できないわけですね、福島の事例を見ても。自分たちが責任を取れない商品を海外に、特に途上国に輸出するということはビジネスとしてあってはならないことだと思っております。
  42. 坂元浩一

    参考人坂元浩一君) それほど原発の問題詳しくありませんが、今先生の方が言われたことと同感でございます。  以上でよろしいでしょうか。
  43. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 ありがとうございました。  では、最後に三点目、お伺いをします。  実は私、昨日まで、大変皆様方に御迷惑を掛けましたが、キューバにお伺いをしてきました。御案内のとおり、キューバは米国との国交が断絶をしておりまして、経済封鎖を受けております。在キューバ大使とも意見交換をしまして、率直に申し上げて、米国との関係において随分やりにくいでしょうねと、経済協力も含めて、大使にお伺いしましたら、大使館としてはそれほどではないですけれども民間企業が安易にキューバに協力することによって米国からのやっぱりペナルティーを科される可能性があるというようなお話もあって、なかなか難しい点があるというふうに言われておりました。  アフガニスタンやイラクの例を引くまでもなく、やっぱり日本ODAも、先ほど先生からも少しお話がありましたが、米国の影響を受けざるを得ない状況にあるわけでありますけれども、それはそれとして、やっぱりいろんな意味でその米国の影響を排除する努力も必要だと思うんですけれども、そのことについてどのように思われるか、両先生にお伺いしたいと思います。
  44. 下村恭民

    参考人下村恭民君) 日本ODAの、私の感じでは、実は最大のこれまでの任務は、米国との経済摩擦緩和の恐らく最重要なカードを担うということだったと思います。ですから、ODAは特に七〇年代、八〇年代、特に八〇年代ですね、対米摩擦を少しでも緩和するために何ができるかという形でやってきた。九〇年代にもその後遺症がありました。最近になって日本の経済力が低下しましたから、その役割というのは大分減ってきましたけれども、そういう枠組みの中でやってきたということが背景にあると思います。  ですから、おっしゃったことはそのとおりだと思いますけれども、過去には単に途上国支援するという以外の、まさに国益ですけれども、国益のためにアメリカとの関係で日本ODAはかなり一定の重要な役割を果たしていたということだと思います。
  45. 藤井基之

    委員長藤井基之君) ありがとうございました。  以上で一巡をさせていただきました。  これから、あと四十五分くらいの時間を掛けまして、各委員からの自由な質疑を受けたいと思います。  質疑を希望される方は、挙手の上、委員長の指名を受けてから御発言をお願いしたいと存じます。  それでは、質疑のある方は順次御発言を願います。  大野先生。
  46. 大野元裕

    ○大野元裕君 参議院の大野でございます。今日は、大変貴重な機会を本当にありがとうございました。  二点、御質問をさせてください。  一点目はお二人に共通でございますが、先ほど坂元先生の方から、政治的な意味合いの強い平和への貢献で、アフガニスタンとイラクの例をお引きになって御説明をいただきました。それに関連してなんですが、平和への貢献が本来任務でないかどうかは別としても、現実の問題としてこういったことが起こっていることは事実であると思いますし、その一方で、平和への貢献の中でも人道的な意味から必要なところもあろうかと思っていますが、私、以前から疑問に感じておりますのは、例えば先ほどのイラクの支援に関して言いますと、三十五億ドル全て、下村先生がおっしゃったアジアへの経験のフローにあるような改善をしていくという前提で最初に三十五億ドルを付けて、つまり最初に緊急援助、次に無償、それから円借款という、そういう道のりを数年規模で、四年規模でつくりました。また、今回、アフガニスタン、ボン合意の後のこれから良くなるという前提の下に五年間で五十億ドルというものをつくりましたが、実際には途中でどんどん死者のレベルでいうと悪くなっていったのが現実でありました。つまり、評価とともに、いかにしてその複数年度にわたるようなODAを見直していくかということをどのような形で我々は戦略的に考えたらいいかということをお二人にお伺いしたいと思います。  それからもう一点だけでございますが、これは下村先生に教えていただきたいんですが、非常に興味深いマルチ、特に中国との関係云々等もございましたが、域内グリーン資金フローみたいなものをアフリカにも移行していったらどうかという、こういう御指摘もございました。その一方で、中国アフリカに対するやり方というのは極めてリスクが高い形で入っていっていると私は理解をしています。石油等の資源に関しても、中国は国営の石油会社が公的に決定したガソリン価格で最終的に売りさばく、つまり絶対に損をしない、そのリスク国民に背負わせているという意味で、石油メジャーが入らないところにどんどん入っていっていると。それだけのリスクを、アフリカまで行くと日本もウイン・ウイン、中国が定義するウインの形に、日本がそこに貢献をするという形になると思います。  そういった意味で、アフリカに対する中国等のものに本当にマルチで付き合っていくことが我が国にとってどれだけの国益があるのかということについて、詳細をもう少し御説明を賜れればと思います。よろしくお願いいたします。
  47. 下村恭民

    参考人下村恭民君) ありがとうございました。  平和への貢献、平和構築につきましては坂元先生の方にお願いできればと思いますけれども、私、一点だけ申し上げますと、実は昨年度、外務省の平和構築支援に対する評価というのを担当しまして感じたことですけれども、やはり非常に、先生もちょっと触れられましたけれども、何が起こったのか、平和構築の支援をした結果何が起こったのかということについての情報というのはなかなか十分でないと。それは平和構築が必要な状況というのが非常に錯綜した状況だからだと思いますけれども、その辺でまず基本的な情報収集情報の共有が必要だという、そのまず基本的なところが第一歩かなというふうな実感を持ちました。  それから、アフリカへの支援中国でございますが、基本的な認識はおっしゃるとおりだと思います。二点申し上げたいと思いますけれども、まず、中国が今アフリカでやっていることが相当粗野な乱暴な行動であるということは否定できないと思います。ただ、それは中国がある意味で新しいドナーだと、もちろん中国は昔からのドナーです、日本より前から援助をやっていますけれども、急増してきたのは最近だということがあって、そういう意味ではまだ若いドナーである面がある。  七〇年代から八〇年代にかけての日本の東南アジアへの進出を見ますと、やはり資源開発が中心だったわけですね。そのころは非常に現地感情、日本に対する感情が悪くて、日本と東南アジアの関係のキーワードは反日でした。反日暴動あるいは反日デモ、たくさん起こっていました。それが一変したのが、八〇年代半ば過ぎにそれまでのいろんな努力、ODAも含めての努力が実って、日本の輸出志向型の、輸出産業が出ていったと。これによって雇用が生まれて、外貨が獲得できて、経済自立に向かったということで、八〇年代の後半から対日感情は一変しています。中国はまだそれ以前の、我々が七〇年代、八〇年代に東南アジアでやっていたようなことを今やっているということだと思うので、希望的観測かもしれませんけれども、だんだん成熟していってくれればと思っております。  それから、じゃ一緒にやるといって、そういう無法地帯なところ、無法者みたいな行動のいわゆるローグドナーと一緒にやるのかと。おっしゃるとおりで、ですから、もしアフリカ共同行動を取るのであれば、国際公益、環境問題かあるいは農業、農業については技術的にかなり共有できると、中国と共有できると思いますし、アフリカにとっての食料増産というのは非常に重要な任務ですから、環境と農業についてやると。ただ、これはやはり東南アジア、やりやすい東南アジア東アジアでやってみて、テストケースとしてうまくいけばその後ということで、急ぐことはできないと思います。
  48. 坂元浩一

    参考人坂元浩一君) 平和構築の方についてお答えします。  アフガニスタン、イラクに対する支援というのは同盟国の日本としては重要だと思いますし、先ほどおっしゃいましたように、非常に段階を追って、ちゃんと計画ができて、それで我々は特に資金協力というのを求められたわけです。  我々としてちょっとチェックしなきゃいけないのは、その資金協力の規模を出すときに、当然IMFとか世界銀行出てきまして、これちゃんと予測を立てるんですね。これだけお金が必要だという形でつくるんですけれども、以前から、私、今日お話ししました七〇年代からもそうなんですけれども、そういう形でしっかり予測を立てて、その中でこれだけ足りない、日本はこれだけお願いします。そのときに、常に日本資金がたくさんあるということで、多額の多分要求というのがあるのではないのかと思うんですね。  ですから、アメリカから幾らという形、実際にはIMF世界銀行が言ってくるわけなんですけれども、そこはしっかり我々として査定しなきゃいけない。いろんな前提もあると思いますので、そこをしっかり見て、その資金規模というのは、我々の限られたお金ですから、しっかり評価する必要があるだろうし、果たして評価しているのかなと。結構、それはもう政治的に幾らと出てきて、もうそれをそのまま受けているという状況ではないのかと思います。  とりわけ、我々、今非常に未曽有の、失われた十年、世界の歴史にないような非常に財政状況、経済状況が悪いという状況を今引きずってきている、こういう状況をしっかり言って、当然、ちょっと先ほどキューバのこともありましたけれども、しっかりアメリカともちゃんと交渉すべき話かなというふうに思います。  以上です。
  49. 大野元裕

    ○大野元裕君 済みません、重ねて質問をさせていただきます。  今のお話ですと、政治的な決定云々という話がございましたが、他方でアフガニスタンについては、たしか二〇一〇年度アメリカは千三百八十億ドルぐらい出していると思いますが、世銀は七十億ドル最低限でも必要だという中で、多分来年度はほとんどアメリカは出さないんだと思います。そういう中で、日本アメリカが出さないから出さないのか、それとも日本は足りない分補っていく方がいいのかと、そこだけ、済みません、坂元先生にお聞きしたいと思います。
  50. 坂元浩一

    参考人坂元浩一君) とにかく、ちょっと私が日本の財政をすごく専門家ではなくて調べているわけではないんですけれども日本の財政というのは非常に悪い状況でありますから、そこは出したくても出せないというところはあるんじゃないでしょうか。ある程度出すのは当然なんですけれども、多額を出すというのは、それはもう国内事情からしても無理ではないのかというふうに思います。今後二〇一五年までも同じような状況が続くというふうに思います。  それで、日本援助が低いとか、あるいはDACの二〇一〇年の評価報告でも日本援助、低い低いと言われていますけど、むしろ我々は過去に大きく貢献したんだと、今や状況悪いんだから低くても認めてほしいということはしっかり言うべきではないのかと思います。  以上です。
  51. 大野元裕

    ○大野元裕君 ありがとうございました。
  52. 藤井基之

    委員長藤井基之君) ほかに。  赤石君。
  53. 赤石清美

    ○赤石清美君 自由民主党の赤石清美と申します。  下村先生、坂元先生、本当に今日は示唆に富んだお話をありがとうございました。  私は、下村先生に一点と、それから坂元先生に二点ほど質問させていただきたいと思います。  まず、下村先生、先ほどハードとソフトのアンバランスが非常に問題があるということをお話しされました。私も実は臨床検査技師でありまして、もう十年ぐらい前にインドネシアのスラウェシ島というところへ行ってきました。そして、そのアンマッチをまさに現場で見てきました。といいますのは、日本のハイテクノロジーの医療機器が入っています。でも、それを使う試薬も日本の試薬しか使えません。しかし、その援助が途絶えるとランニングコストが、できないんですね、その運営が。これは私はどう見てもマネジメントをしている人に問題があるなというふうなことを感じました。  今、政府開発援助と言いながら、外務省はJICAにほとんど仕事を丸投げ多分していると思います。JICAも医療に関して言えばどこかの企業に丸投げしていると思うんです。企業はある種の利益を考えて、こういうハードを送りたいと、非常に高価なものであっても送りたい。しかし、そのランニングを考えたときに、それをフォローする技術者がいない、そういうやっぱりマネジメント上の問題が大いにあるんじゃないかと。もう少し日本ODAの組織というもの、運営する組織、無駄を省くという意味でも、組織をもうちょっとしっかりした方がいいんじゃないかなということを感じたんですけれども、その点について御意見をいただきたいということ。  それから、坂元先生に、私はちょうど団塊の世代でありまして、我々の世代はみんなリタイアして、大いにまだ活動能力を持っているんですけれども、それを使うパワーが、もっともっと現地は人的な支援を非常に要請しているわけでありまして、それとやっぱりアンマッチがあるんではないかということで、もう少し私はこの団塊の人たちの持っている技術を世界にどんどんどんどん出してもいいんじゃないかなということを感じているんですけれども、その点について御意見いただければと思います。  それからもう一点は、やっぱりある種の戦略的な目的があっていいんではないかと。例えばレアアースは日本は非常に少ない資源小国で、例えばモンゴルとかそういうところに行って、このODAを使って、そういう資源開発を目的としたODAがあってもいいんじゃないかというふうなことを思うんですけれども、その点について御意見いただきたいと思います。  以上でございます。
  54. 下村恭民

    参考人下村恭民君) ありがとうございました。  ハードとソフトのアンバランスのお話がありましたけれども、お話しいただいたそのスラウェシのケースは似たような例がたくさんあると思います。しかし、全く違うソフトとハードが極めてうまく連携して続いているというケースもたくさんあるということを是非強調したいと思うんですね。  つまり、非常にうまくいっている場合とうまくいっていない場合とがあって、それは一つ一つ援助事業ではなくて、連続して点から線へ、あるいは線から面へどうやってつなげていくかということが行われているか行われていないかということだと思います。  先ほど申し上げたように、インドネシアのブランタス川の流域の場合は、三十年以上にわたって連続して点から線、線から面というのが続いて、その間にハードも蓄積され、ソフトも供給され、人材も育っていって自分で運営できるようになったと、そういう例もありますし、また、恵まれたそういう条件のところでなくても、タンザニアの北部にキリマンジャロ州というのがありますが、キリマンジャロ州に水田を作って、水田耕作の農法を導入したローアモシという古い事業がありますけれども、これは円借款で水田を作って、技術協力で技術移転をしてきたわけです、長い間、何十年にもわたって。その結果、ヘクタール、単位面積当たりの米の収量が二・六倍に、元の二・六倍になるだけでなくて、その農法を周りがみんなまねして取り入れて技術的に広がってきております。  ただし、広がっていって、その後援助が出てこないために、今度は水が足りなくなって水の取り合いになっているということがある。なぜその援助が続いていかないかというと、国際社会が、先ほど坂元先生のお話にあったように、特にアフリカについては、西欧の考え方で、そういうプロジェクトの事業よりも国の財政とかガバナンスとかそういうことをみんなで支援していった方がいいのだという、プロジェクト離れをしてきたために後が続かなかったということはありますが、うまくいっているケースもたくさんありますので、是非そこを、情報を必要でしたらお出ししますので、御理解いただければと思います。
  55. 坂元浩一

    参考人坂元浩一君) 人的支援につきましては、JICAの方でシニア専門員という制度があるんですけれども、私としては、もっと本当に日本の優秀な方々に、現地に行くと。その場合に、ああ、ごめんなさい、シニア専門員じゃなくてシニアボランティアですね。むしろ、もちろんシニアボランティアも結構なんですけれども、ちゃんとした正規の専門家として向こうに行っていただくという、それは実際の普通の技術協力のプロジェクトのリクルートメントの中にあると思うんですけれども、より積極的に行けばいいのではないかと思います。  特に、民間セクターに、非常に英語もできて非常にリーダーシップもあってという、そういう方もおられるわけですから、そういう方々がより行けるような、今のその技術協力のリクルートの仕方、場合によっては別の、シニアボランティアではなくて、もうちょっと、何というか、いろいろな待遇のいいものを差し上げて行っていただく必要があると思います。ボランティアで行くんであればボランティアだと思って多分行動すると思うんですが、やっぱり現地で、非常にリーダーシップを持って、政府の中でリーダーシップを取っていただくという人がやっぱり多くいる必要があるのではないかと思います。  それから、二番目の戦略的にということなんですけれども、ちょっといろいろ文献を急いで見ましたら、日本アメリカは国内益のためにODAをやっていると、国内益、それに対してイギリスを筆頭として国際益、相手のためにだけということをやっているんですけど、結局、ODAの非常に理想的な形、ちょっと問題があるとはいえ、今、パリ宣言とか出ているのは非常に理想的なことなんですね、相手のためにやるという。そこは我々としては守って、その意味では我々はリスペクトされているわけです、それをしっかり我々は守っているということで。  というので、その資源外交ということになると国内益の話になってきますので、そういう意味ではODA、OOFとか民間協力等があるわけですから、むしろこちらの方を伸ばす。もちろん、それにちょっと連携させながらODAということでいった方がいいと思います。余りODAでとやるのは、それは中国ともちょっと同じになってしまいますし、というので、そういうふうに思っております。  以上です。
  56. 赤石清美

    ○赤石清美君 どうもありがとうございました。
  57. 藤井基之

    委員長藤井基之君) ほかに。  中原君。
  58. 中原八一

    ○中原八一君 自民党の中原と申します。  下村先生のエコノミストに書かれました中国の実像というところで、中国政府援助額につきまして、利子補給の部分だけでなくて援助額として示されているので相対的には小さな数字になっているという御指摘があります。この手法については、世界共通なものなのかどうかということと、中国政府に何か狙いがあって援助額をあえて小さくしているのかどうか。素朴な疑問でございますが、その点一点と。  それから、中国が、お二人の先生共に、台頭してまいりまして大変国際社会からは批判めいた受け止めをされているようなんですけれども援助国から見ますと、そうしたやり方について肯定的な意見も、声も聞かれている現実があります。こういうことについて、どういうふうに受け止めたらいいのか。中国から、日本も含めて、こういう方法、手法について学ぶべき点があるとすれば、どういう点が学ぶべき点だというふうにお考えであるか。このことについては、下村先生、坂元先生、お二人の先生に御意見を伺いたいと思います。  よろしくお願いします。
  59. 下村恭民

    参考人下村恭民君) ありがとうございました。  まず、二点お話がありました、第一点ですけれども中国援助額の中に輸出入銀行のローンがありまして、輸出入銀行のローンについては利子補給が行われています。つまり、中国の中で得られる金利の水準よりも援助途上国に出している金利の水準が低いので、その金利の差を中国政府が輸出入銀行に対して利子補填をしているんですけれども、その利子補給の差額の補填だけが援助額として中国の統計に出ております。  通常は、例えば日本のJICAの円借款、かつてOECFとかJBICですと、ローンの円借款の金額全部が援助なんですね、つまりODA条件に合っていれば。中国はその利子補填の分だけが援助として計上されている。つまり、国際的にはローンの全体が援助なのに中国は利子補填の分だけが援助だということで、当然中国援助額は小さくなっています、中国の統計では。  それはなぜかということは、推測しかございませんが、これは一つのヒントとして、私の御報告した中にありますけれども中国の毎年の援助額が公表されていない。中国の専門家はこれは一種の国家機密だとまで言っていますけれども、それはなぜかというと、中国日本とある意味で同じように、自分の国内でいろいろ問題があるのに、こんなに外国に援助していていいのかというネット批判が中国にあるということですね。それをかわすために毎年の援助額については小さく見せているということがあるのではないかと思います。ただ、これは推測ですけれども。  それから、中国援助に学ぶべき点ですが、私、ちょっと御紹介した中国援助専門家のいろんな文献、とにかく日本援助のことを非常によく研究しています。恐らく世界で、日本も含めて世界日本援助のことを最もよく勉強しているのは中国援助専門家ではないかと思いますけれども、つまり非常にいろいろ学んでくれている、吸収してくれていると、決して感謝はしないけれども吸収してくれている。だから、向こうが学んでいるという点はありますが、もし我々が中国に学ぶ点があるとすると、量的な拡大と活力ではないかというふうに思います。
  60. 坂元浩一

    参考人坂元浩一君) 私の国際協力の構成のODAの分類というところで大きな三つの分野がありまして、経済インフラ、社会インフラ、直接生産というので。中国が今言っていますのが、我々は経済インフラ中心、それから直接生産、だから直接的に生産が増え、輸出が増え、投資が増えているということをすごくアピールしているわけですね。  そのときに、私が会っている方もいつも言うんですけれども、それは一昔前の日本でしたねと。以前、我々は、これはODA白書にも書いてありましたけれどもODA投資と輸出の三位一体という形で前それをやっていたんですね。ところが、それは結局、欧米主導の貧困削減、社会サービスという移動の中で、もう直接生産はやめようと。もちろん、民間セクターを伸ばすという意味で直接生産は減る、それから経済インフラも減るという形で社会インフラ、サービス中心になっているんですけれども、今や、結局、なるだけ民間でやる。それから、経済も動いているわけですね。貧しい国も含めて民間がどんどんどんどん動いているというところであれば、当然、我々としてももう一回経済インフラの方で力を入れていくというのはあってもいいのかなというふうに思います。  ちょっとアフリカだけは、前、債権放棄をしたというところがありますのでなかなか難しいと思いますけれども、それ以外の地域は、アジアで既にやっておりますけど、経済インフラ、サービスという辺りをより積極的にやるということでよろしいのではないかと思います。  以上です。
  61. 中原八一

    ○中原八一君 ありがとうございました。
  62. 藤井基之

    委員長藤井基之君) 中原君、もうよろしいですか。  ほかに。  米長委員
  63. 米長晴信

    ○米長晴信君 民主党の米長晴信です。今日は貴重な機会をありがとうございます。  先ほど、坂元先生が、資源外交を露骨にやると中国と同じになってしまうというお話でしたけれども、一方で、やっぱり現実的には、私はある国際会議で、あえて国名言わないけれども、あるアフリカの国の開発担当大臣のスピーチを聞きまして、悲痛な訴えでした。中国が開発という名目で事業を取って大量に現地から、つまり中国から労働者を二百人、三百人という単位で連れてくる。現地の労働者は雇うどころか、それ以下の環境でしか雇わないと。つまり、地域の経済貢献にもなっていない。その結果、いろんな資源を、やはり開発の権利あるいは資源そのものをその対価として奪っていくような、このままだと植民地化されてしまうというような文言までその大臣はおっしゃって、これを何とか世の中に広めなきゃいけないと。そういうスピーチを聞いたことがあるんですけれども、そこに日本は見習う必要はないんですけれども、ただ、日本あるいは国際的な社会で開発を手助けする側の国でそういったことを抑止する方法というのはあるのかどうかということをお伺いしたいんですけれども、お二方にお伺いしたいんです。
  64. 下村恭民

    参考人下村恭民君) なかなか難しい問題だと思いますが、中国援助のやり方についてはおっしゃるような非常に粗野な無法な面もあることは間違いありませんけれどもアフリカの中で中国に対する、中国援助国として台頭してきたことを歓迎する声が大きいことも事実なんですね。  それはなぜかというと、つまり余りにも西欧の、特にヨーロッパから抑え込まれてきて、ああしなさい、こうしなさいと要するにレクチャーされて、説教をされて、こうしなきゃいけない、ああしなきゃいけないと言われてきたと。それに対して日本は、かつてそうじゃなかったんですけれども日本はもうアフリカで非常に存在感なくなっていますから、援助のですね。中国がやはり余り条件を付けないで援助をしてくれるということに対する歓迎は、政府関係者だけでなくて学者の間にもかなりあります。だから、それなりの役割を持っているということですが。  おっしゃったような粗野な面というのは、かつて日本も非常に指弾されていたことで、今も指弾されているかもしれませんけど、あったわけですが、抑止力というのは、私は現実的には一つしかないと思うんですね。要するに、援助、経済協力を出す方が意識改革することは重要ですけれども、それはなかなか難しい。ですから、かつて日本がビヘイビアが変わった、東南アジアのビヘイビアが日本が変わったのはなぜかというと、やはりあの八〇年代の半ばにあった、それ以前からありましたけど、非常に強い反日の、民衆から政府まで、民間企業、マスコミ、全部一体となった反日の矢がいっぱい飛んできたと。それに対して、やはりこれは考えなければいけないということがありました。  ですから、やはり現地側の不満が高まるとビヘイビアを変えざるを得ないということは、抑止力として一番有効なのではないかと思いますけど。
  65. 坂元浩一

    参考人坂元浩一君) この件につきましては、基本的に中国政府というのが内政干渉をはねつけているという状況ですよね、これもう政治とか何でも。ところが、援助の今のこの枠組みというのは明らかに内政干渉をしてくるわけですね、例えばデンマークとかが日本の審査するわけです。というので、基本的に中国がなるだけ自分のやる方向でやろうとしていますから、援助でも同様だと思うんですね。それを弱めるというのはもう対話しかないかなと。彼らも知っていますし、悪い面もあるのじゃないかというのを分かっている。だから、自分からやるようにということで、せめて我々がやれることは対話なのかなというふうに思います。  それで、ちょっとドナーについてサーベイしましたら、やはりアメリカ、イギリスは二国間の、いわゆる援助も含めた毎年の会議というのをもう既に始めているわけですね。ですから、政治も含めて、そういう形で彼らを国際社会に入れようという形、あるいは圧力も加えながらやっている状況ですから、我々としては、経済面とかそういう面でより積極的に彼らと交流をし、日本経験はこうだということをやっていけばいいのかと。その場合に、おたくとうちというとなかなか大変なので、むしろアジアの国みんな集まって、いろいろ開発経験を議論しましょうよというふうな形に持っていけばいいのではないのかと思います。  ちなみに、オーストラリアの場合、もうかなり積極的にやっていまして、人権についての研修とかを中国で開いたりしていますからね。それも彼らなりに積極的に入っていって対話をしているということで、そういうのは我々にとっても参考になるのではないかと思います。  以上です。
  66. 藤井基之

    委員長藤井基之君) ほかに御発言ございますか。  大家君。
  67. 大家敏志

    ○大家敏志君 何度も済みません。自由民主党の大家敏志です。  限られた予算でいかに戦略的にやるかと。政府も手をこまねいているわけではなくて、岡田外務大臣のときだったと思うんですけど、開発協力適正会議というのを設置をして外部の有識者を関与させるということとしていると思うんですけれども、若干構成メンバーが問題だと思うんですね。それはどういうことかというと、現場の意見がなかなか聞けないというような、外部の有識者と言えば聞こえはいいんですけれども、商社だったり学者だったりマスコミ、これは入っているけれども、現実にやるところのコンサルであったり建設という人たちがなかなかそれに入っていないという問題点があると思うんですね。これは僕の見解なんですけれども。  同時に、ちょっと、官民連携ということが強調されている割には民間の事業者が随分厳しい状況に置かれているということを民間の方からもよく聞いていまして、それについて両先生の見解をお尋ねしたいんですけれども一つは、円借款事業で頑張る民間事業者が相手国政府による課税が強化されるということ、もう一つは、透明性、汚職、いろんなことが言われますけれども、JICA事業における一般競争入札がいいかどうかということ、それから三つ目は、この平和構築支援事業の場面での安全確保、民間事業者の安全確保。この三つについて、民間事業者の皆さんの置かれた現状が随分厳しい状況にあると思われるので、その点の見解をお聞かせいただければというふうに思います。
  68. 下村恭民

    参考人下村恭民君) 民間事業者の置かれた立場の厳しさというのは、今おっしゃった中でも非常に多岐にわたっているわけですね。安全確保の面は、フィリピンなんかでも最近起きていますけれども、非常に難しい点があるというのは、日本政府としてやれる範囲というのは非常に実際は限られていると思います。現場が非常に辺境地帯の場合はやれることは限られていると思いますから、なかなか難しい点があると思いますけれども。  私、今お話があった中で汚職の話というのがつい昨日今日の新聞の中に載っておりますけれども、私はこれはなかなか奥の深い問題で、やはり、これは日本に限らず、途上国で仕事をするときはある程度そういう要求と接しながら仕事をせざるを得ないということはあると思います。ただ、やはり表面化すると、表面化するとというか、それが問題としてはっきりとらえられると、結局日本の国益にもならず、企業自体にもマイナスになるわけですね。ですから、やはりだんだんなくしていかなければいけない。  なくしていかなければいけないやはり鍵は一罰百戒ということに尽きると思うんですけれども、OECDからもうずっと前から指摘されているのは、日本援助に関連する、あるいはもう少し広く経済協力に関連して起訴される事例が非常に少ない、有罪になる事例が非常に少ないということが言われています。この点はいろんな法制度の制約もありますけれども、やはりもう少し、汚職に手を染めると結局自分たちの不利益になって跳ね返ってくるんだということが認知される、認識が共有されるような状況をつくるための一罰百戒というのは重要ではないかと思いますけれども。  むしろ御質問と逆のお答えになって申し訳ありませんけれども、そういうふうに思っております。
  69. 藤井基之

    委員長藤井基之君) 下村参考人、一番最後の質問にもう一つ、いわゆる民間事業者に対する安全確保の問題も質問に入っていたと思うんですが、それについてのお答えはいかがでございましょうか。
  70. 下村恭民

    参考人下村恭民君) 安全確保、特に辺境地帯での安全確保というのは、その国の政府の手もなかなか及ばないという問題がありますし、アメリカのようにボディーガードを業としている企業に高額なお金を払って保護してもらうということも日本の場合は難しいわけですから、非常に難しいと思います。  結局、私は長い目で見てこういうことが重要ではないかと思うんですけれども、かつてタイの東北地帯は、これは七〇年代から八〇年代の初めにかけてですけれども、大きな道路でも、幹線道路でもホールドアップがよく出るところでした。それは、結局、ソマリアの海賊と同じで、ほかに仕事がないからホールドアップをやり、あるいは安全確保の必要な犯罪が起きるというケースも多いわけですね。それはやはり農村開発とか地道な支援をすることによって生活水準が少しでも上がり、安全になるということが最大の解決策ではないかと思います。  ただ、そういう理由ではなくて、民族紛争とか宗教的な紛争とかそういうことによって安全が確保されない場合というのは、これは大変難しい問題だというふうに思っておりますが、一般的には、私のお配りした図の左上のところ、農村開発が行われ、生活水準が上がると生活が安定して、それで経済水準も上がっていって、タイの東北地帯も幹線道路はもう全く安全になっていったという過程が再現できれば一番理想的だというふうに思っております。
  71. 坂元浩一

    参考人坂元浩一君) 私は経済やっているということもありますが、日本経済全体で非常に苛烈な競争の中でみんなが一生懸命頑張らなきゃいけない、英語もできなきゃいけないという状況なんですね。その中で、ODAのところだけ、ある意味ではいろんなタイドで、無償資金協力とか技術協力をタイドで守ってきたというところはあります。  我々、競争力はその分野は低いのである程度支援するという意味でそれは必要だったんですが、結局、そういう流れはやはりずっと続けられるわけではないと。無償資金協力もかなりアンタイドになっていますし、ということで、課税とか一般競争の問題はやはりそういう競争の中でやっていただかなきゃいけないということだと思います。JICAさんの多分予算もかなり減らす形で多くの仕事をやっていただく、それでもいい方だけ残っていただければいいのかなと思います。  安全の問題は、これは、私の同僚なんかもえっというそんなところまで行ってやっているわけですね、調査とか。ここはやっぱり平和の構築の、その平和への投資とかというところで、どこまで我々がそういうところまで行くのかというのをやっぱり議論すべきで、私は前からJICAとかの会議では言っているんですけど、アフリカだったら、もうサステーナブルにやれる安全な国で都会の近くだけやりませんかというふうに言っているんですね。そうでないところはもうアンサステーナブルですよ、多分。我々が手を抜いた途端にもう全部元のもくあみになってしまいますから、もうそれこそまさしく援助の非常にかなり無駄というか、というところがあるのかなというふうに思います。  以上です。
  72. 藤井基之

    委員長藤井基之君) 他に御発言もありませんでしたら、参考人に対する質疑はこの程度といたします。  参考人のお二方に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、貴重な御意見をちょうだいいたしまして、誠にありがとうございました。本委員会を代表しまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時十五分散会