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参考人(静
正樹君) 御質問ありがとうございます。
お尋ねのオリンパス社の件でございますけれ
ども、御
指摘のとおり私
どもの上場会社でございます。私
どもでは、未公開の情報を含めまして
市場開設者という立場でいろいろな情報を持っておりますけれ
ども、個別銘柄に関する情報につきましては、既に公表されている情報ですとかあるいは報道されている情報で周知の情報というのはありますけれ
ども、こういうものを除きますとコメントができないことがございますので、あらかじめ御承知おきをいただきますようお願いを申し上げたいというふうに思います。その上で、先ほど
先生御質問の点につきましてお答えを申し上げたいというふうに思います。
同社は、今年の十月十四日、つい先日でございますけれ
ども、当時の代表取締役の解任、社長さんの解任を発表いたしまして、その後大きく株価は
下落しているわけでございます。この間に、主に投資家の方の立場から
指摘されている問題が幾つかございます。
先ほど
先生御
指摘の
部分と重なりますけれ
ども、私の方からも若干紹介させていただきますと、まず
一つ目は、二〇〇七年に買収手続を開始をいたしました
イギリスの医療機器メーカーに関するものということでございます。
会社側の発表資料によりますと、この買収に絡みまして、
日本円にして六百億円余りをアドバイザーに支払ったということになっておるわけでありますけれ
ども、これにつきましては、買収そのものに要した金額が先ほどありましたように二千億円以上ということでございましたので、それに比べまして二千億円と六百億円という意味でもアドバイザーフィーとしては非常に高額ではないか、高過ぎる金額を支払って不当に企業価値を毀損したのではないかといったようなことが投資家からも
指摘があったことが一点目でございます。
二点目は、これは二〇〇六年から八年にかけてでございますけれ
ども、
段階的に買収を行ったとされる国内の三つの子会社に関連するものでございます。
これも会社側の発表資料によりますと、合計で七百三十四億円ということでこの三社を買収したんですけれ
ども、それから一年にも満たない二〇〇九年には五百五十六億円の減損と呼ばれる損失を出しているというのは御
指摘のとおりでございまして、こちらにつきましては、元々の買収金額そのものが妥当だったのかどうか、あるいは高過ぎる金額で買収して不当に企業価値を損なったんではないかといった
指摘を受けていると、こういうことでございます。
三点目でございますが、先ほど申し上げました社長解任の件に関するものでございます。
これも会社の発表資料を簡単に御紹介しますと、ほかの経営陣の方との間に経営の
方向性ですとかあるいは手法に関する乖離があったということが解任の理由だというふうに発表されているわけでございますけれ
ども、過去の買収案件を問題視したということが本当の理由ではないかといったような
指摘が、これは報道でございますけれ
ども、ございます。その間に株価は、解任前日が二千四百八十二円だったんですけれ
ども、直近の安値では、二十四日の午前中に千十二円というところまで
下落をして半値以下になったと。御
指摘のとおりでございます。こうした一連の経過もまた目に見える形で企業価値を損なったんではないかと、これが三点目の
指摘ということだというふうに思います。
今申し上げましたような三点に関しましては、私
どものところにも内外の投資家から数多くの御
意見をちょうだいしておるところでございます。
先生御
指摘のとおり、東京証券取引所といたしましても、
我が国の証券
市場に対する
世界中の投資家の信頼を損ないかねないものだということで深く憂慮をしているということでございます。
そういう意味で申し上げますと、私
どもが
市場開設者という立場で何をしなければいけないのかということにつきましても三つほど
課題があるというふうに思っておりますので、それについてもお答えをさせていただきます。
一つ目は、会社が発表している情報と
内容が違う情報が事実関係がよく分からないまま
市場に流布されて提供されているということでございますので、これをこのまま放置をいたしますと投資者の皆さんの間の投資判断に混乱が生じるという、こういう
懸念があるということが一点目でございます。
二つ目は、会社の今の経営陣が言わば
指摘されている問題の一方の当事者にもなっているという問題でございますので、会社側の発表する情報が果たして正確なのかどうかということについてやはり投資家の信頼が低下しかねないという心配があると、これが二点目でございます。
これは、今二点申し上げましたのはいわゆる情報開示の問題ということでございますが、まさに毎日私
どもの
市場で売買が行われている株の問題でございますので、
市場開設者といたしまして緊急の
対応が必要な問題だというふうに考えております。
最後に、三つ目でございますけれ
ども、これはマーケット全体への
影響という観点でございます。上場会社が企業価値の向上を目指して経営を行うように、外側からモニタリングするためのシステムというものが
日本の上場会社では十分に機能していないのではないかという不安感がこの事件をきっかけとして投資家の間に広がりかねないという心配が三つ目に挙げられます。
この点につきましては、
先生御
指摘のように、コーポレートガバナンスの問題ということでございまして、
我が国の上場企業一般に対する投資者の不安が大きくなっていくということになりますと、マーケットに対する信頼も大きく損ないかねないというふうに危惧をしているところでございます。
以上でございます。