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2011-11-04 第179回国会 参議院 災害対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十三年十一月四日(金曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十一月一日     辞任         補欠選任      佐藤 信秋君     岩城 光英君      上野ひろし君     小熊 慎司君  十一月二日     辞任         補欠選任  ツルネン マルテイ君     田城  郁君      岩城 光英君     佐藤 信秋君      金子原二郎君     大江 康弘君      小熊 慎司君     上野ひろし君  十一月四日     辞任         補欠選任      小見山幸治君 ツルネン マルテイ君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         松下 新平君     理 事                 平山 幸司君                 牧山ひろえ君                 加治屋義人君                 小坂 憲次君     委 員                 加賀谷 健君                 小見山幸治君                 田城  郁君                 高橋 千秋君                 那谷屋正義君                 平山  誠君                 吉川 沙織君                 青木 一彦君                 大江 康弘君                 佐藤 信秋君                 若林 健太君                 秋野 公造君                 渡辺 孝男君                 上野ひろし君                 山下 芳生君    国務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣防災)        )        平野 達男君    副大臣        内閣府副大臣   後藤  斎君        農林水産大臣  岩本  司君        国土交通大臣  奥田  建君        国土交通大臣  松原  仁君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        園田 康博君        内閣大臣政務        官        郡  和子君        総務大臣政務官  福田 昭夫君        文部科学大臣政        務官       城井  崇君        厚生労働大臣政        務官       藤田 一枝君        国土交通大臣政        務官       津島 恭一君    事務局側        常任委員会専門        員        櫟原 利明君    政府参考人        内閣沖縄振興        局長       竹澤 正明君        消防庁次長    原  正之君        林野庁長官    皆川 芳嗣君        国土交通大臣官        房審議官     井上 俊之君        国土交通省都市        局長       加藤 利男君        国土交通省水管        理・国土保全局        長        関  克己君        国土交通省水管        理・国土保全局        砂防部長     南  哲行君        国土交通省鉄道        局長       久保 成人君        観光庁長官    溝畑  宏君        気象庁長官    羽鳥 光彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○災害対策樹立に関する調査  (平成二十三年台風第十二号の被害状況を踏ま  えた今後の防災対策に関する件)  (災害時における住民避難体制整備に関す  る件)  (地震・火山の観測・予知体制の拡充・強化に  関する件)  (公共事業予算確保必要性に関する件)  (国・自治体間における災害関連情報の共有に  関する件)  (河川水位情報提供体制強化に関する件)  (防災拠点としての高速道路施設整備必要性  に関する件)  (政府における統一的な方針に基づく防災予算  策定の必要性に関する件)  (中山間地域市町村に適した柔軟な災害復旧  制度適用に関する件)     ─────────────
  2. 松下新平

    委員長松下新平君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二日、金子原二郎君及びツルネンマルテイ君が委員辞任され、その補欠として大江康弘君及び田城郁君が選任されました。     ─────────────
  3. 松下新平

    委員長松下新平君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  災害対策樹立に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣沖縄振興局長竹澤正明君外九名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松下新平

    委員長松下新平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 松下新平

    委員長松下新平君) 災害対策樹立に関する調査を議題とし、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 高橋千秋

    高橋千秋君 おはようございます。民主党・新緑風会の高橋でございます。  今日は、連休の谷間でありますけれども、六時間コースの長丁場でございますので、答弁の皆様には大変御苦労さまでございますが、よろしくお願いを申し上げたいと思います。私も久しぶりに質問をさせていただきますので緊張しておりますが、よろしくお願いをしたいと思います。  今日は、災害に関することでここのところ、三月の地震、それから新潟福島での豪雨、そして紀伊半島三県の豪雨等でそれぞれに被害を受けられた皆様にお見舞いを申し上げますとともに、亡くなられた皆さんにお悔やみを申し上げたいと思いますが、地震のことについてはもう随分様々なところで議論も行われておりますけれども、私は、先日大臣にも行っていただきました紀伊半島豪雨について今日は質問をさせていただきたいと思います。  私ども委員会の方でも視察をさせていただきました。和歌山県、それから私の地元であります三重県、そして上空から奈良県の十津川等も見せていただきましたけれども、何度も私も個人的に現地へ行かせていただいていろんな話を聞かせていただいたんですが、お年寄りから聞くと、今まで見たことのないほどの雨だったと。紀伊半島の方というのは、全国一雨が多い地域で雨というものについては非常に慣れていると言うと語弊があるかも分かりませんが、何度も台風や様々な豪雨被害も受けながらもそれに強い体制をつくってきているわけなんですが、今年のこの台風十二号については今まで経験したことないと。そのために逃げ遅れた方がたくさんお見えになるわけなんですが、特に、皆さんにも見ていただいた三重県の紀宝町で聞いた話では、かつてのものであれば伊勢湾台風が一番大きな被害があの地域では出たんですけれども伊勢湾台風のときもここまでは来てないから大丈夫だというような話があって、結果的に亡くなった方もあるというふうに聞いています。  その意味で、近くへ行くと、伊勢湾台風よりも大きな被害で過去最高だったと。数字上も過去最高だったという話もあるんですが、実は先日、私、本会議代表質問伊勢湾台風よりも大きな被害だったということを冒頭言いましたら、何人かの方から伊勢湾台風の方がすごかったという電話が掛かってきまして、果たして実態のところはどうなのかというのをまず教えていただけますでしょうか。
  7. 平野達男

    国務大臣平野達男君) まず、伊勢湾台風との比較でありますけれども死者、行方不明という観点からの比較でございますと、伊勢湾台風につきましては、死者、行方不明の方々、約五千百名というかなりの数に上った大災害でございました。今回の台風十二号、これも大変大きな被害でございますけれども死者、行方不明につきましては、死者全国で七十八名、行方不明者方々は十六名ということで、これは十一月二日までに把握している数字でございます。  しかし一方で、これを雨の降り方あるいは強さ、量という観点から見ますと、今回の台風十二号の異常さというのが今度は浮かび上がってくるのかなという気がいたしています。  例えば、時間雨量につきましては、伊勢湾台風につきましては、これは奈良県の川上村で百十八ミリという記録がございます。台風十二号については新宮市で百三十三ミリ、時間雨量ですね、こういう豪雨でした。それから、期間降水量でありますけれども伊勢湾台風につきましては、三日間で、これは奈良県の下北山村で観測されましたけれども、七百十ミリでした。一方、台風十二号、これはゆっくり動いたということもございますが、八日間で同じく上北山村で一千八百十五ミリというかなりの雨が降ったということです。  結果として例えばどういうことが起こったかといいますと、新宮川の最大流量でありますが、これは暫定値で二万二千トン毎秒の流量が観測されました。伊勢湾台風は一万九千トンで、これが新宮川の計画高水流量になっています。ちなみに、参考までにこの二万二千トンというのがどういう数字かということでありますが、信濃川は新宮川の流域の約四倍ぐらいございますが、この計画高水流量は一万一千トンであります。それから、利根川は新宮川の流域の二倍以上ございますが、一万六千五百トンが計画高水流量ということでございまして、二万二千トンというのはもう大変な流量だということになります。  こういった雨によってかなりの箇所の土砂災害が起こりまして、土砂ダム等々ができたということについては委員御承知のとおりかというふうに思います。
  8. 高橋千秋

    高橋千秋君 今二万二千トンというお話がありましたけれども委員皆さんにもあの現地へ行っていただいて、新宮川というか熊野川の周辺を見ていただきましたけれども、それだけの雨量が降れば当然あふれてくるわけで、紀宝町と新宮の間を流れる新宮川があれだけの流量、水があふれるというのはなかなか想像もしにくい状況にあったんではないかなと思います。  ただ、その中に、今日は質問には入れておりませんが、上流のダムの放流が適切だったのかというような指摘もあって、現地方々にとってはやはりかなり油断もあったし、適切な流し方ではなかったのではないかというような話もありますけれども、やっぱり防災について今までの経験とはもう、その経験では計り知れないような状態になりつつあるのかなと。  これは日本だけじゃなくて世界中の話で、後で質問しますが、タイの問題であったり、いろいろなところで今までの経験では分からないような雨が降ったり風が吹いたり様々、まあ地震についてもそうでありますけれども、そのような状態になってきている中で、先ほど雨量の話、数字を出していただきましたけれども、当然様々な防災については過去の経験を基に、その過去の経験よりも更に強いものを造って守っているから大丈夫だというようなことでやってきたわけで、東北津波についても、想定外という言葉がいっときはやりましたけれども、その想定外津波の高さ、それから想定外の雨の多さ、こういうものに対して防災そのものをやっぱり大きく見直さなければいけないんじゃないか。今までの経験値ではもう計り知れないところに来ているわけで、これについてはもういろいろな、その高さの基準とかいろんなものがあると思うんですが、そういうものについても見直していかなければいけないんじゃないかという声もたくさん聞くんですが、この点についていかがでしょうか。
  9. 平野達男

    国務大臣平野達男君) まず、台風十二号に関連してですけれども先ほど計画高水流量をはるかに上回る流量が観測されたということでございますから、この点につきましてはこれから国交省の方で適切に検討されて、しかるべき対応がなされるものだというふうに理解をしております。  さらに、今委員の方で東日本大震災お話が出されました。これは平成十六年の中央防災会議である程度の見通しを立てておりましたけれども、全ての見通しを上回る被害等々が出たのが東日本大震災で、そこに御案内のとおり福島第一原発の事故が重なっているという未曽有の国難とも言える状況になっております。  今回の大震災を踏まえまして、この教訓は次に生かさなくちゃならないという観点で、九月二十八日、まず中央防災会議専門調査会地震津波対策全般的見直しに関する最終報告を取りまとめております。この報告を踏まえまして、今年中に防災基本計画などの見直しを行いたいというふうに考えております。  さらに、中央防災会議専門調査会として防災対策推進検討会議を設置しまして、東日本大震災における政府対応の検証、教訓の総括を更に詳しく行うとともに、今後想定される首都直下地震等の大規模災害や頻発する豪雨災害に備えた防災対策見直し強化のための検討を行っているところでございまして、今後、本検討会議を中心に、関係する法制それから体制を含めまして検討を進めまして、防災対策全般の更なる充実強化を図っていかなければならないというふうに考えております。
  10. 高橋千秋

    高橋千秋君 東北地震については千年に一度のものだというふうに言われていますが、千年に一度というのは、もうあと千年来ないのかというと、あした来て二千年間来なければ千年に一度になりますので、これはそれに備えていかなきゃなりませんし、西日本それから中部地方については東海、東南海南海という三連動の地震がもう近々起きるのではないかとずっと言われ続けていまして、かなりの確率で起きるだろうと。そうすると、東北で起きた千年に一度規模のものが起きるかも分からないと言われていまして、是非その想定そのものをきっちりともう一度見直していただいて、西日本についても、今回は起きておりませんが、備えを是非お願いを申し上げたいと思います。  それから、今回大臣にも現地を見ていただきましたが、紀宝町では特異なやり方防災をやっています。これは輪中という、私たちが小学校のときに教科書で習った、これも三重県にありますが、北の方の桑名の辺りに長島町というのがあって、昔、伊勢湾台風のときにつかったゼロメートル地帯を輪中という形でやっております。今現地では輪中の郷と呼んで、それを観光地にもしているわけですけれども、その輪中というのがこの紀宝町にあって、大きく、非常に高い堤防で囲んで低いところを守ってきているわけなんですが、それが今回の大雨で崩壊をいたしまして、これも想定を超えた大きな波、水が来て壊れてしまった。一遍入ると今度は逆に出ていかない状態になりますから、余計に壊れやすいことになるのかも分かりませんけれども。  この輪中というやり方でやったときに、実は現地は元々沼地だと言われていたところで、そこに団地が開発されているんですね。その団地の開発が、沼地であるということ自体もいいのかどうかというのは疑問が残りますけれども、そういうところに許可を出していく、その建設許可を出していくということが果たしていいのかどうかということと、それからもう一つは、その地域輪中というのは数十億円掛けて造っているんですね。家は数十軒なんですよ。だから、単純に計算、考えると、数十億でそこの輪中を造って、まあ今回壊れたわけですが、危険な思いをしながら住み続けるのか、じゃ、一軒一億ずつ渡してどこかよそへ行ってもらえば、そっちの方が本当は安心なんですよね、まあ一億も現地では渡さなくてもいい家が建ちますが。  ただ、これは過去に被災者生活再建支援法議論のときに、個人の資産を政府が賄うというようなことはできないというような議論があって、これについてもなかなか難しいところがあるのかも分かりませんが、やはりある意味、今回の地震でも、津波地域を見ても、現地いろいろ話を聞くと、昔は実はこの辺には住んでいなかったんですと、だけど、人が増えてきて、どうしても建てざるを得なくなって、建てた辺りがみんな津波で流されたというような話も聞かさせていただいたことがあるんですが、やはりある意味、この集団移転という方法も考えた方がいいんではないかと思うんですが、これについて、政府として見解があれば教えていただけますでしょうか。
  11. 井上俊之

    政府参考人井上俊之君) お答え申し上げます。  一般的に、住宅建築につきましては、法律で建築禁止を行わない限りは可能だということでございますが、洪水等が常襲する河川流域など出水の危険の著しい区域については、建築基準法三十九条の災害危険区域というものを公共団体指定をしまして、住宅建築禁止などの措置をとることが可能でございます。つまり、公共団体の判断によって、危険なところについて住宅建築禁止することが可能だということでございます。  これは、相野谷川流域鮒田地区等について御説明しますと、平成十一年にこの災害危険区域を町が指定をいたしまして、住居建築を原則禁止しております。ただし、計画高水位であります標高九・四メーター以上に地盤を盛った場合などにつきましては建てていいという例外が設けられてございます。  なお、この指定の前に既に建っている建物については建築基準法の既存不適格ということでこれは存置が認められておりまして、今建っている住宅相当部分はこれに該当するのかなというふうに考えております。  以上でございます。
  12. 加藤利男

    政府参考人加藤利男君) お答えいたします。  住宅集団移転についてのお尋ねでございますが、これにつきましては、現在、災害発生等によりまして、住民の居住に適当でないと認められる区域にある住居集団的移転を促進するための事業として、防災集団移転促進事業というのがございます。この事業は、市町村等移転元の土地の買上げ、あるいは移転先住宅団地の造成、移転者引っ越し費用等に対する補助を実施する場合に国が支援をする制度となっております。お尋ねのように、今般の東日本大震災被災地で本防災集団移転促進事業を実施するに際しては、各種の支援措置充実が図られたところでございます。  なお、今般の台風被害による本事業の、何というんですか、適用に当たりましても、現在、各被災地で、公共団体で、復興に当たっていろいろ検討を進められておると承知しております。その中で防災集団移転促進事業を使おうということでございますれば、私どもとしてもいろんな相談に乗っていきたいというふうに考えております。
  13. 関克己

    政府参考人関克己君) 熊野川の支川の相野谷川に関する輪中堤について、先生の方から御質問をいただきました。  この地域につきましては、実は平成二年、六年、九年と相次いで浸水被害が発生いたしまして、この間、床上、床下合わせまして延べ五百三十戸近い被害が生じたところでございます。このため、早期に治水対策を発揮するということで、当面の目標としての家屋の被害の回避を図るということで、地域皆様と御相談し、輪中堤を建設するという方向で進めたものでございます。特に輪中堤につきましては、連続で長い堤防を造るというのと比較しまして、その地域を拠点的に守るということがその当時評価されてスタートしたというふうに認識してございます。  これが平成十七年までに完成いたしまして、その後、平成十九年の七月の台風四号、あるいは二十三年、今年の七月の台風六号においては効果を発揮したところでございますが、御指摘のように、今回の十二号による洪水におきましては極めて大きな規模計画を超える出水であったということで、輪中堤を越え、被害が発生したというふうに私ども認識しているところでございます。
  14. 高橋千秋

    高橋千秋君 私も、その輪中を造る前から、被害が出たときに現地に何度も行っているものですから、ここに輪中を造るんですよというような話を聞いたときに少し違和感はやっぱりありました。五十軒ぐらいですかね、四十軒か五十軒ぐらいのところに四、五十億のお金を掛けてそういうのを造って、果たしてそれで意味があるのかなというような疑問も持ったんですが、現地の方から、もうそこに住んでいるわけで造ってほしいということだったのかなというふうに思うんですが、やはり本当に安心して住むためにはある程度別のところに、本当に安全なところに移住をするというようなこともやはり進めていくべきではないかなというふうにも思いました。これは東北でも同じような感触を持ちましたけれども、やはり発想を変えていかないと、今のこの大きな被害に対してハードだけでは対応し切れないところがあると思いますので、是非また様々な議論の中に入れていただければと思います。  それで、被災者生活支援法の改正を、過去この委員会で、私、加治屋先生とずっと与野党協議をやりながら、幾らにしていくのかとかいうのをずっとやっていたんですが、当時決められて、これだけの多くの対象になる方が出るというのは余り想像はしていませんでしたが、今年は特に地震台風等あって、まだ結論が出ていないかも分かりませんけれどもかなり膨大な金額になってくるんではないかと。まだ結論は出ていないとは、まだ集計中というところもあるかも分かりませんが、当初の予定よりもかなり大幅にオーバーしてしまうんじゃないかなと思うんですが、実態を教えていただけますでしょうか。
  15. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 支援制度対象となった主な災害としましては、東日本大震災、七月の新潟福島豪雨災害、九月の台風十二号がございます。これらに係る支援金支給実績としましては、十月末時点で、東日本大震災の総支給額が一千六百二十五・七億円、新潟福島豪雨災害が一・五億円、台風十二号災害が〇・二億円、合計で一千六百二十七・四億円という、繰り返しになりますけれども、十月末時点実績になっているということであります。
  16. 高橋千秋

    高橋千秋君 台風十二号についてはまだ集計中のところがあるんではないかなと思うんですが、ただ、先ほども傍聴に来ていた方々が、私の地元の方なんですが、もう帰りましたが、ゆうべ食事をしながらいろんな話をお聞きしていたんですけれども、やはりかなり使い勝手も良くないと。特に今回の台風被害の方では、全部半壊になってしまうんですね。結局、もうほとんど流されると。大臣も見ていただいたように、二階のもう屋根の上ぐらいまで水がつかって、中はもうほとんど何も使えないけれども骨組みはそのまま残っているから結局半壊になってしまうと。そうすると半壊部分支援金しかもらえない。救助法の中でもこれはもう全然使い勝手が悪いので何とかしてほしいというような声もございました。  さっき来ていた中に大工さんもいたものですから、ゆうべその話をしていたときに、本当に使い勝手が良くないんですよと、ちょっと考えてくださいというようなこともゆうべも言われたんですが、この被災者生活再建支援法そのものを私たちはまた見直す時期があるのかなと。この金額についてもいいのかなというところがありますし、この半壊全壊指定についても、非常に半壊方々全壊方々の差が大きいものですから、これ、こっちが全壊でこっちが半壊かと思っても、全然ほとんど見た目には変わらない状況でも半壊になる場合が結構あるんですね。だから、その意味でもこの見直しを、この委員会でもしていかなきゃいけないかも分かりませんが、運用する側としても是非考えていただきたいと思いますし、支援金が、これが全壊で三百万ということが、これは何かの頭金というか、当座のものとしては使えるのかも分からないけれども、少しやっぱり少ないのかなというふうにも思うんですが、御見解があれば教えていただけますでしょうか。
  17. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 支援金の、そのまず一点目は、支給額につきましては、もう委員御案内のとおり、元々従来百万円であったものを平成十六年の法改正で最大で三百万ということまでまず上げたという経緯がございます。あと、半壊全壊のその見方、基準等々についても、これは適宜必要な見直しをやってきたというふうに理解をしております。  少なくとも支給限度額の引上げ等々につきましては、これまでの立法経緯とか見舞金的なそもそも性格だということ、それから他の制度とのバランス、それから国、地方の財政負担などを勘案して、これはやはり慎重に検討をしていかなければならないのかなという感じは強くしております。
  18. 高橋千秋

    高橋千秋君 これはもう随分前から、半壊全壊の問題は、被災者生活再建支援法、前回改正のときにも同じような話が出ました。  それで、例えば私も消防団員を八年ぐらいやっていたんですが、消防団員が実際に火を消すという作業よりも、消防団員の仕事は何かというと、消防本部が火を消した後に朝まで立って見張っているというのが消防団員の一番大きな仕事なんですね。というのは、一遍消えたようになってもまた火が出てくる可能性はあるものですから、それを見張っているというのが消防団員の仕事のようなところがあるんですが、そのときに、まあこれは聞いた話ですが、昔、その保険が出るときに半焼と全焼ではもう全然違うわけですよね。だから、柱が一本残っていても半焼になってしまうと。そうすると、昔の消防団員はその柱倒してしまうと、そうすると全焼になってしまうというようなことが過去にあったということも聞きました、今はそんなことはないと思いますが。  ただ、それだけ全焼と半焼、それから全壊半壊の区別というのは、基準どおりいけば確かにそうなんだけれども、実際のところはやっぱりある程度もう少し緩やかに判断をすべきではないかということも私も思いますので、その辺は是非見直しもしていただければと思います。  時間がなくなってきましたので急ぎたいと思いますが、今回、タイの水害が大きな問題になっています。おとといの夜、タイの大使とお会いをしたときに、どうなんですかと話を聞いたら、タイの方は何か朗らかなのかのんびりしているのかよく分かりませんが、大丈夫大丈夫とか言っていましたけど、実際のところは大丈夫じゃなくて、いろんな自動車産業の方々ももう大変な被害で、今後どうしていくんだと。  日本の経済にも随分大きな被害が出てくるというふうに思われますが、これは経済マターとして経産委員会の中でもまた議論になるかも分かりませんが、私はせっかく日本がこれまで築き上げてきた防災の面での技術、こういうものをタイに協力をしてあげるというのは大きな貢献になると思うんですね。タイの場合は非常に高度差がないものですから、水がはけていかないと。海抜ゼロメートル地帯のところでずっともう今、日本の本州と同じ規模のところが水につかっているという状態になっている中で、日本の防災技術、先ほど輪中もその意味では大きな使い方かも分かりませんが、タイに対してそういう面での協力をしていくべきだというふうに思うんですが、実際のところはいかがなのか、その思いを聞かせてください。
  19. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 今委員指摘のように、タイでは洪水の影響によりましてかなり被害が出ておりますし、日系企業の操業停止等々も余儀なくされているという状況でございます。  そこで、委員の御質問は、今後、こういった状況を踏まえて、日本として治水という面において何か技術協力ができないのかという御質問だったと思いますが、いずれ、御案内のとおり、もう日本の河川とタイの河川というのは、今委員の御指摘にもございましたけれども、そもそも流域も河川勾配も違っていまして、今河状係数という言葉使っているかどうか知りませんけれども、日本の河川、最小流量最大流量の比率というのは物すごくでかくなっているということです。  ちょっと雑談になるかもしれませんが、明治のときにオランダから大分オランダ人工師、工業の工に師と書いてオランダ工師が何人か来られまして、常願寺川を見て、これは川でなくて滝だと言ったぐらい日本の河川というのは特異な河川と言っていいかと思います。  ただ、だからこそ、日本の治水技術というのは世界に冠たる治水技術があるというふうに私自身も思っております。日本のこの治水技術のノウハウといったものがもしタイの方に役立てられるということであれば、これは国交省さん等とも連携を取りながら、この災害が終わった段階でタイ国の意向等々も踏まえながら協力することは十分あり得るというふうに考えています。
  20. 高橋千秋

    高橋千秋君 先ほどのオランダの工師の話がありましたが、私の地元三重県に木曽三川というのがあって、そこの治水を島津藩の平田翁が二百五十八年前にやったのを、いまだに私の地元では毎年二百五十七回忌、二百五十八回忌と、毎年それに対して尊敬の念を込めてやっているところを見ると、やはりこの治水ということの協力というのは本当に大きな、今後にも、孫子の代にまで残る事業になると思いますので、その辺も是非考えていただけるようお願いを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  21. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 民主党の吉川沙織です。どうぞよろしくお願いいたします。  これまで、国民の生命、身体を守るための避難勧告や避難指示の在り方及びその伝達方法につきましては、当委員会始め野党時代より一貫して質疑をさせていただいてまいりました。今般の東日本大震災台風十二号等の災害において、これらの課題や問題点がより明らかになったと言えると思います。これを改善していくのが国としての責務であると考えます。  今回は、避難の在り方という観点を中心に大臣の御見解を伺ってまいります。  平成二十二年八月二十六日の中央防災会議第一回、災害時の避難に関する専門調査会資料、「最近の避難に関する主な調査」において、内閣府と総務省消防庁の資料が提示されています。うち平成二十二年三月十九日の内閣防災担当、「避難勧告・避難指示を発令した市町村に対する調査結果」によれば、風水害における警戒すべき区域や箇所が特定されていない理由については、設定の考え方、方法が分からないというのが三〇・三%、また土砂災害においては、財政的な余裕がないが三四・六%、設定の考え方、方法が分からないが三〇・八%と上位を占めています。  国民の生命、身体を守るため、財政的措置を含め、国が専門的見地に立って指導、助言を行うことは一考に値すると考えますが、大臣見解を伺います。
  22. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 今般の台風第十二号災害のような被害を繰り返さないためにも、災害が起こる前にあらかじめ治山治水事業等を計画的に進めると、それからあと、今委員から御指摘がございましたけれども避難体制整備強化を図るということが大事だというふうに思っています。そのため、従来から地方公共団体に関しましては、梅雨期及び台風期における防災態勢の強化に関する通知、それから消防庁などと連携した都道府県防災主管課長会議などにおいて、具体的に取り組むべき施策のメニュー等々について省庁横断的に示しているところでございますけれども、まだまだそれは不十分というか分かりづらいという御指摘もいただいております。  今後、地方公共団体のより一層の理解を得るため、関係省庁と連携し、補助の内容など支援策を含めたよりきめ細かな周知徹底ということを図ってまいると同時に、今回の東日本大震災台風十二号あるいは十五号、新潟福島豪雨、この教訓が何であったのかといったことについてもしっかりと情報発信をしていきたいというふうに考えております。
  23. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 情報発信のみならず、やっぱり指導、助言を積極的に是非大臣がイニシアチブを取ってやっていただきたいと思います。  教訓を生かしたという御答弁ございましたけれども、実際、台風十二号及び十五号に伴う豪雨災害に際し、住民方々の避難がうまくいかなかった事例が発生したことを踏まえまして、十月四日、総務省消防庁より、避難勧告等の発令基準に係る点検等についてという通知が出されています。この通知の中では、市町村指定している避難場所や避難所について、土砂災害警戒区域など災害発生のおそれのある区域に入っているものがないかどうかの点検を早急に行うことと指摘されています。  このような見直しはもちろん必要なんですけれども、そもそも、都道府県が基礎調査を行って土砂災害警戒区域指定が必要であると判断した地点のうち、指定されていない地点が二割近くあるという報道が九月二十九日になされました。全ての地点を指定している県がある一方で、八割以上未指定の県があるという報道もなされています。消防庁から見直しをするという通知が出されて、その要請はもっともですが、その前提となる土砂災害警戒区域の適切な指定がなされていなければこれは意味を成しません。  国としてこれを把握していると思いますが、把握しているか否かと、原因をどう分析しているのか、簡潔にお願いします。
  24. 関克己

    政府参考人関克己君) 土砂災害警戒区域について御質問ございました。  これにつきましては、まず基礎調査を実施し、その上で指定がされていない箇所については、平成二十三年八月三十一日時点で、土砂災害警戒区域で七万三百二十二か所、土砂災害特別警戒区域で七万七千九百二十二か所となってございます。この指定がなされない理由といたしましては、都道府県が指定するに当たり、一定の地区単位で指定を行うようにということで市町村からの要望があり、あるいは地域住民がこの指定への反対がある等々の課題があるというふうに認識しております。  しかし、いずれにいたしましても、この区域指定を進めるということは重要でございまして、進捗状況について広く周知するとともに、先行事例の紹介、あるいは住民皆様の理解を得る、こういった取組を支援し、区域指定が促進されるよう努力してまいりたいというふうに考えております。
  25. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 大臣は、今臨時国会に当たり所信的発言の中で、「避難勧告、避難指示の発令時期及び伝達方法、土砂災害警戒区域設定の在り方などの課題が明らかになってきております。」と発言されています。台風十二号においても、本来警戒区域指定される箇所において指定がなされておらず、大きな被害が出ている現実に鑑み、未指定区域の解消に向けてどんな考えをお持ちでしょうか。
  26. 平野達男

    国務大臣平野達男君) そういう土砂災害指定区域ということに指定すべきだというエリアにつきましては、まず住民とのコミュニケーションをしっかり図りまして、その必要性を訴えて理解を得るということが大事だというふうに思っています。  それから、台風十二号に関しましては、もう一つ我々の念頭に置いておかなくちゃならないのは、警戒区域指定すべきでなかったところにおいて土砂災害が出ているということもございまして、その警戒区域指定の在り方ということについても考えていかなくちゃならないというのが台風十二号のもう一つの教訓であるというふうに思っておりまして、この観点からもしっかり詰めていきたいというふうに思っております。
  27. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 今、指定されるべき地域ではないところでも被害が発生したという御答弁がございました。  最初の質問で、本来指定されなければならない地域、警戒区域でも指定ができていない理由は、その策定方法が分からない、財政的な余裕がない、ノウハウがないということを申し上げました。これは避難勧告の発令基準等でも同様で、最新の調査によっても、水害に関して具体的な発令基準を策定済みの市区町村の割合は五九・五%、土砂災害においては五五・五%にとどまっています。これらも、策定できない理由としては、その策定方法が分からないからという理由が約二割を占めているような状況にあります。  発令基準の策定についても、先ほどと同様、国が専門的見地から指導、助言を行うべきであると考えますが、台風十二号等において市町村によって避難勧告・指示等を適切なタイミングで発令することができず、大きな被害を出しています。発令についても国が関与する仕組みを構築することを考える必要があると思いますが、いかがでしょうか。
  28. 平野達男

    国務大臣平野達男君) おっしゃるとおり、今回の台風教訓については、どういうタイミングで避難勧告あるいは避難指示を出すべきか、あるいは出したとしても、それが本当に伝わっているのか、伝わったのか、伝わっていなかったのか、それはなぜなのかといったことについての分析が必要だというふうに思います。  現在、有識者や地方公共団体の意見も聞きながら避難の在り方について検討を行っているところでございますけれども台風十二号等に関する実態調査も踏まえまして、この検討を踏まえまして、この結果に基づきガイドライン等々の見直しも行ってまいりまして、その徹底を図ってまいりたいというふうに思っております。  それから、避難勧告・指示の仕組みについても、避難の在り方の検討において、行政によりどのような規制をしていくと効果的なのか、住民による自らの命を守る行動を促すためにはどのような情報を提供していくことが大事なのか、こういった点、多角的な観点から検討してまいることも大事だというふうに思っております。
  29. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 九月二十八日に中央防災会議専門調査会報告を出しています。これの中に、避難指示等の発令主体の在り方も含めて国が防災体制の在り方について検討すべきと、こういう指摘がなされていますので、是非、策定方法並びに発令の在り方ということについて国がもっと関与を強めるべきという形で指導をしていただければと思います。  今、ガイドラインのお話、御答弁にございましたけれども内閣府は、平成十七年三月に「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドライン」を策定していますが、先ほど引用しました内閣府の調査によれば、表現の中に気象条件を十分に把握するとか適切に判断するという表現があるが、市町村では専門的な知識を持っておらず、人事異動もある中ではなかなか難しいなどの意見が出されています。  内閣府は、平成二十一年五月に「近年の豪雨災害等で明らかになった事例及びガイドラインに沿った対応のあり方及び関係省庁における対応」を公表しているということは承知しておりますが、ガイドラインが策定されたのは平成十七年です。でも、それ以降、災害の態様もゲリラ豪雨に象徴されるように変化しています。現在の災害に即した形で抜本的な改正を図る考え、先ほども少し触れられましたけれども、いま一度お伺いしたいと思います。
  30. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 台風十二号で様々な問題が提起されたと同時に、その前の新潟福島豪雨においては、新潟県がかなり避難勧告等々を適切に出して、地域一体となって避難をしたことによって施設等々からの避難も順調にいった、うまくいったといったような事例もございます。そういった事例等々も見ながら、このガイドラインの見直しについては、先ほども申し上げたとおりでありますけれども、十二号の検討結果等々も踏まえてこれやっていきたいというふうに思っています。  ただ、特に私が本当に気になる、気になるというか、そのときに十分慎重に検討しなくちゃならないのは土砂災害でありまして、これはなかなか客観的な指標に基づいて避難、あるいは避難勧告、避難指示というのを出すというのの検討は、これは難しいかなという感じはしております。  難しいんですが、これはやっぱり国としての一定の考え方をきちっと出して、自治体がそれに基づいて今度は自治体の判断で対応できるような体制というのは、これはしっかり構築しなければならないというふうに考えております。
  31. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 今御答弁いただきましたけれども、これについても九月二十八日の中央防災会議専門調査会報告の中で、本ガイドラインなどについて、「その内容を十分に検証した上で、適切に見直すべき」と指摘もなされていますので、早急に見直しを行っていただきたいと思います。  今御答弁の中で、最終的に土砂災害が難しい、それを自治体で判断できるようにするというお話がございましたけれども、その市町村防災体制について伺いたいと思います。  発令基準についても、ハザードマップについても、策定する主体は、今御答弁いただきましたとおり市町村となります。現場の状況に最も精通しているのは市町村だから、市町村に任せる方が実態に即した内容になるというのは理屈としては理解できます。では、実際に市町村の現場で防災担当職員がどの程度いるのか、国は把握し、その上で体制に問題ないと考えているのかどうか、これは問題だと思います。  先日、当委員会でも現場視察を行い、台風十二号で大きな被害が出た那智勝浦町の防災担当者は一人で、結果的に各所で同時多発的に被害が発生して人手が足らず、態勢自体が後手だったと振り返っています。防災担当を専任ではなく兼務にせざるを得ない自治体も少なくないと思われます。  市町村合併をかつて進めた際、合併を行えばその分専門職員を配置できるようになるというメリットを強調する向きもありましたが、それでは実際に防災担当職員は充実しているのか、国は市町村防災体制について正しい現状把握ができているのかどうか、大臣にお伺いします。
  32. 平野達男

    国務大臣平野達男君) もう今、市町村も職員の数が随分減っておりまして、その中で日常の業務をこなさなければならない、そしてまた、来るべき災害等々にも備えなければならない。  災害が起こった、発生しますと、これは市町村連携でありますとか、あるいは国の職員もテックフォース等々の派遣をして一定の支援を行うことはできますが、今委員の御指摘は、どちらかといいますと、その前の通常の防災体制の十分構築されているかということかと思います。  そういった市町村状況も踏まえまして、できるだけ国、県の方から分かりやすいガイドラインをまず提供するということと、それから、こういった防災についての様々な意識を高めるということ等含めまして、情報交換をしっかりやるという場をこれからも、随時というよりもこれまで以上に持っていきながら、国、県、市町村との連携をしっかり高めるという工夫は、これは必ず必要だというふうに思っております。
  33. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 今お尋ねしましたのは、国として市町村防災体制、把握できているのかどうかという問いだったんですけれども、それについてはいかがでしょうか。
  34. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 市町村防災体制については、必ずしも十分に把握できているというふうな状況ではないというふうに思います。  そのことも含めまして、国、県、市町村との連携はしっかり強めていかなければならないという認識でございます。
  35. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 県の場合であれば、それぞれ防災対策や危機管理監といった役職の人が必ずいらっしゃいますけれども、小さい自治体になればなるほど兼務している実態が実情ではないかと思っています。だからこそ、情報交換や連携を進めることももちろん必要ですけれども、国として、いつどこで何どきどんな災害が起こるか分からない我が国のことですから、それは国としてももう少し把握する努力をしていただければと切に願います。  さて、避難勧告と避難指示に関しては災害対策基本法第六十条第一項に定められており、法的根拠があると言えます。一方、自主避難又は避難準備情報については、法令上の根拠規定を見出すことができないものの、平成二十三年二月三日に総務省消防庁が示しました「避難勧告等に係る具体的な発令基準の策定状況調査結果」において、避難準備情報とは、一般住民に対して避難準備を呼びかけるとともに、早めのタイミングで避難行動を開始することを求めるものとされています。  しかしながら、一般的に避難勧告と避難指示の違い、さらには自主避難について、住民の側に立てば、その違いを認識しづらい状況があるのではないかと推察されます。そこで、それぞれの認知度について調査結果、あるかどうかお伺いします。
  36. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 済みません。最後の問いがちょっと分からないです。それぞれの、ごめんなさい。
  37. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 避難勧告や避難指示、それから自主避難って三つあるんですけれども、その違いがどの程度国民の皆さんが知っているかどうか、調査結果があるかどうかお伺いします。
  38. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 調査結果があるかどうかという御質問に関しましては、そういう調査はしていないということでございます。
  39. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 これは多分、避難勧告も避難指示、今でこそ台風十二号や東日本大震災が発生をして、ある程度理解は進んでいるかもしれませんが、それぞれがどう違うのか、どんなふうに違うのか、分かりづらいと思います。  実際、平成二十二年二月二十五日に内閣府は「「避難に関する特別世論調査」の概要」というものを公表しています。この中の調査項目に避難行動を開始するタイミングというものがあります。この回答欄としては、避難勧告が発令されたときや避難指示が発令されたときで皆さん回答されておられるんですが、この調査票、実はよく読んでみますと、避難準備情報、避難勧告、避難指示の定義のみならず、これらをよく読んでもらってから回答してくださいと書いてあるものですから、仮に定義についての説明がなかったら、この世論調査も回答がちゃんと出てこなかったんじゃないかと思いますので、是非理解が進むよう取組を進めていただければと思っています。  ただ、自治体によっては、避難マニュアルの中に自主避難、避難勧告、避難指示の流れについて説明があり、これらの違いをあらかじめ理解し、自らの判断で早めに避難等の対応をすることが自分の身を守ることにつながるとしています。  しかしながら、今大臣からも御答弁ありましたけれども、一般的にこれらが十分に理解されているとは言い難いのが実情だと思います。避難勧告、避難指示等の意味が十分に浸透していないことから避難行動に移さない方が多いこと、さらには、災害心理の観点からも避難行動に移さない方がいることも今般の東日本大震災において改めて着目すべき点ではないかと思います。  中央防災会議が九月二十八日に示した「東北地方太平洋沖地震教訓とした地震津波対策に関する専門調査会報告」の中で、「あらかじめ避難指示等の趣旨について、住民等の理解を深める必要がある。」と避難指示等の趣旨の理解についての記述はあるものの、心理的な側面からのアプローチは残念ながらございませんでした。  我々人間は災害に対して非常に鈍感であって、一方では災害に対する経験や知識の欠如から、もう一方では自分は大丈夫だろうと考える正常性バイアスから災害を軽く見てしまう傾向が強く、したがって避難行動も遅れがちになるという事実を直視し、今後、計画を見直す際に災害心理を念頭に置いて見直すべきと考えますが、大臣の御見解をお伺いいたします。
  40. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 今委員の御指摘の中に正常化バイアスという言葉がございましたけれども、これは本当に重要な概念だというふうに思っています。  一方で、こういった正常性バイアスの災害心理を乗り越える、乗り越えるというか体制としてやはり日ごろからの要するに避難訓練というものをどういうふうにやっているかということが一つの大きな鍵になるのではないかというふうに思います。  今、我々の方も、いろんなこれから、これまでも調査をやってきましたけれども、避難をやっていた地域というのはどうして避難したのか、あるいは避難が遅れたところはどうして避難が遅れたのか、こういったことに関してはしっかり詰めながら、その差を縮めるような、その違いを解消するような、そういう努力はしっかりやっていかなくちゃならないというふうに考えております。
  41. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 今、正常性バイアスを考える必要性、避難訓練の重要性ありましたけれども、今後の計画を見直す際にそういったことも入れていただけますでしょうか。
  42. 平野達男

    国務大臣平野達男君) そういったことというのは、その心理状況ということですね。この心理状況ということについても重要な要素だというふうに考えております。
  43. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 今御答弁の中で、日ごろからの避難訓練が重要だとありました。避難勧告等が適切に発令され、日常から非日常へと正常性バイアスから放たれた住民方々が避難行動に移す際に重要になることは、どこに避難するか、どう避難するかが重要なポイントになると思います。避難訓練の重要性については論をまたないと考えますが、大臣の御見解をお伺いします。
  44. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 避難訓練の重要性ということにつきましては、これは、地域としてあるいは学校として安全なところに避難できたという背景の中には、通常の防災教育あるいは避難訓練等々があったということは、これはかなりの事例で見れることであります。  しかし、その一方で、避難したんだけれども東日本大震災の場合には、ここに避難していれば大丈夫だと思って避難したにもかかわらず、そこに高い波が押し寄せて、そこに避難していた方が波にのみ込まれたという例もございます。そういった避難の重要性と併せて、全体のその想定の在り方ということとセットでいろんなことを考えていかなくちゃならないというふうに思っております。
  45. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 総務省消防庁は、先月十一日の地域防災計画における地震津波対策充実強化に関する検討会において、岩手、宮城、福島を除く海岸線を有する市区町村及び津波被害想定される団体に対して、東日本大震災を踏まえた地域防災計画見直しに関するアンケートの調査結果を公表しています。  アンケートの内容は多岐にわたるんですが、住民が参加する津波避難訓練を実施しているかに関しての結果を見ると、実施していない団体が五一%に上ってしまっています。先ほど大臣からも答弁ありましたけれども東日本大震災では避難訓練を実施している地域の方は迅速に避難ができたという事例もあることですから、訓練の実施有無が避難行動に影響を与えることは言うまでもないと思います。これを実施していない団体が多いということについて、この原因を大臣はどう考えますか。
  46. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 今回の津波によって人々がどういう行動を取ったのか。特に、私は、避難をされたということの事例を調べるというのも大事ですけれども、なぜ二万人近い方々が亡くなって、行方不明になっておられるのかということの方も重要だというふうに思っています。  なぜ避難訓練をされていなかったのかということにつきましてはもう重要な検証の項目になると思いますが、私の今までの現地を歩いている感覚の中では、何といっても過去の体験というのが一つあります。例えば、福島県の相馬地方ではこれまで津波というものを体験したということがないということでありまして、津波警報がされている中で、ここなら大丈夫だというよりも、そこに避難をするというよりも、津波が来るかどうかを見に行っていた方々がいたというようなことも聞いております。しかし、そこが津波で洗われてしまったということについては、原体験としてその津波というものの怖さというものがなかなか伝わっていなかったということだろうと思います。私は、今回の東日本大震災津波を受けた方々は、これからしっかりとした防災体制を組んでいただけるというふうに思っています。  問題は、そのほかの地域の中でどういう体制を組んでいただけるか。そういった意味でも、東日本大震災教訓というものをしっかり整理しまして、これを各地域につなげるということが大事だというふうに思っております。
  47. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 今御答弁いただきましたけれども、実は、この津波避難訓練を実施していない理由においても、津波避難訓練を行う知識、ノウハウがないという回答が最多になっていますし、小規模自治体では兼務体制であるため防災業務に手が回らない状況があるという自治体からの回答もありますので、財政的な措置も含めて是非支援をしていただければと思います。  これまで述べてきました避難勧告・指示等が的確に発令され、避難行動に移していただくためには、情報が適切に伝わることが必要不可欠です。最初に取り上げました内閣府の調査によれば、避難勧告等の伝達方法で特に効果的だった方法としては、防災行政無線が最多を占めています。先ほど指摘しました正常性バイアスから放たれ避難行動に移していただくための重要な情報伝達手段であることに相違ありませんが、今回焦点を当てますのはその放送内容です。  東日本大震災においても、首長判断によって、法律や行政上の用語ではないんですけれども、命令口調で避難せよと放送を行って住民の避難を適切に誘導した自治体の事例が報告されています。この事例を参考に、今後、確実に避難行動に移してもらうため、防災行政無線の放送内容の在り方について検討すべき内容だと考えますが、いかがでしょうか。
  48. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 避難指示、避難勧告はタイミングが重要だということでありますし、それと併せて効果的に伝達されることが大切だということだというふうに思います。住民の心に響くことが迅速な避難行動に結び付くというふうに理解をしております。  国におきましては、従来から「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドライン」を作成いたしまして、伝達すべき項目を例示して示すとともに、伝達例文やひな形をあらかじめ用意するように促してきたところであります。  一方で、効果的な伝達方法につきましては、今委員からも御指摘がございましたけれども地域で様々な工夫がされておりまして、例えば今年九月に豪雨災害に見舞われた奄美地方では、被災地の区長が命令口調で避難を呼びかけたということがございまして、それが効果を発揮したというような例も承知しております。  そうした事例も踏まえまして、住民の避難行動に効果的に結び付くような避難勧告等の伝達の在り方については検討を進めてまいりまして、徹底を図ってまいりたいというふうに思っております。
  49. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 避難勧告を適切に発令して情報をお伝えして避難行動を起こしてもらうためには、情報の伝達拠点ともなる行政庁舎等の防災拠点が機能不全に陥ってはならないと思います。  今回の大震災台風十二号では残念ながらこのような事例もあったところですが、先ほど引用しました総務省消防庁の検討会のアンケート結果によれば、施設、庁舎の機能喪失等を想定した代替施設等についてという質問項目があります。市区町村については、地震津波等による機能喪失等を想定して代替施設、代替機能等について定めている、二九%、定めていない、六九%となっています。この調査を踏まえますと、代替施設、代替機能等について定めていない市区町村が約七割に上っています。  中央防災会議の九月二十八日の専門調査会報告においても、「施設が被災した場合、その影響は極めて甚大である」と指摘されていますが、国としてこれまでどのような指導や助言を行ってきたのでしょうか。
  50. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 今回のいろいろな、いずれ、様々の災害教訓を踏まえまして、そういった代替の施設の機能の在り方等々についてもこれは検討していかなければならないというふうに考えております。
  51. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 是非検討を進めていただければと思います。もう少しお伺いしようと思ったんですが、避難に関しては、避難のための十分な時間が確保されなければ、かえって避難中に被災するおそれがありますので、逆効果になってしまいます。  しかし、最近の災害発生、ゲリラ豪雨にしろそのほかの災害にしろ、住民が必要にして十分な情報を事前に入手して適切に分析するというのは困難であります。だからこそ、今まで申し上げました避難勧告や避難指示等が重要になりますが、住民側の理解も必要不可欠となります。これまでの各災害、特にチリ地震のときやなんかはそうでしたけれども、避難率の低さが大変問題になっていますが、予測にはやはり限界があるということ、それから、避難勧告を出したけれども大したことはなかったという空振りがあるということも国として理解を求めていく必要があるとともに、国民の生命、身体を守るためでき得る限りの方策を取る必要があることを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  52. 加治屋義人

    加治屋義人君 自由民主党の加治屋でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  平野大臣には、連日の激務、御苦労さんでございます。どうぞ体だけは十分気を付けて、頑張っていただきたいと思います。  大臣所信の最後に触れられたおわびするとの言葉につきましては、先日の復興特で議論をされておりまして、この場で触れることはしませんけれども、同級生、友人を思う気持ち、残念さ、よく分かります。しかし、大臣という立場、発言の場所、しっかりわきまえるべきだねと、そういうふうに思います。猛省を求めておきたいと思いますが、何か一言コメントありますか。
  53. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 民主党・新緑風会の研修の場、しかもマスコミオープンの場でございました。その中に、本来であれば客観的事実を述べて報告をすべきというところで、そこの部分だけ個人的な思いが出てしまいまして、それがああいう場で発言したことによってどのように解釈されるかというところまで思いを致せなかったということでありまして、結果として、あの発言によって不快な思いをされた、あるいは悲しみを深めたという方々がおられたと思います。  そのことについては、委員からございましたように、閣僚としての発言、重いという、そういったことにも配慮して発言しろという御指摘だと思います。その御指摘については真摯に受け止めなければならないというふうに考えております。
  54. 加治屋義人

    加治屋義人君 大臣の所信で、防災は国家の基本だと、災害に強い国づくりに固い決意を示されました。巨大地震、大津波、原発事故、台風豪雨、自然災害から国民の生命、財産をどう守っていくのか、政治に課せられた大きな課題だと、そのように思っております。  私も、長く当委員会委員として所属させていただいて多くの被災地を見てまいりました。大臣の言われる自助も必要だ、共助も必要、公助も必要、これは当然です。しかし、それはあくまでも災害対策への国民の意識高揚です。  東日本ではこれまで、全国からボランティアの方々の活動など共助の精神が大きく息吹き始めていることはうれしい限りですし、きずなそのものだと思っております。しかしながら、私は、現場を見ていつも思うことは、全てを失って打ちのめされて、自助、共助が全く機能していないねと、残されたのは公助だけじゃありませんかと。このことを自助、共助にすり替えて、公助が決して逃げてはいけないと思います。  国の責任でしっかりやるべし、いま一度大臣の決意のほどをお願い申し上げます。
  55. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 加治屋委員から大変重要な御指摘をいただいているというふうに思います。  今回の東日本大震災あるいは台風第十二号等々の例も踏まえますと、被災地の大部分において例えば高齢化が進んでいる、過疎化が進んでいるという中での自治機能が十分に発揮できない状況というのもございます。  その一方で、併せて考えておかなくちゃならないのは、大震災が起こった場合には、たとえそこに市役所機能それから町の機能があったとしてもそれ自体が被災をしてしまうという可能性があるということでありまして、現に東日本大震災ではそれが起こったということであります。そういう中で、自助、共助というふうに全てに依存をするということではなくて、加治屋委員から御指摘のあったように、国、都道府県、こういったものの公助の役割ということについては、特に大災害が起こるという前提の下では、この役割をしっかり認識しなくちゃならないというふうに考えております。  ただ、どういう災害であっても、災害が起きたその瞬間では、国も県もあるいは自衛隊もそこにはすぐに到着できるわけではありません。そういう中において大事なことは、自助と併せて地域のコミュニティー機能、共助というものが重要だということについては今後とも変わらないんだろうというふうに思っています。この共助、例えば自治会機能、地域の自治会機能は高齢化の中でどういうふうにこれを維持発展させていくことができるか、こういったことも併せて考えていかなければならないのではないかというふうに考えております。
  56. 加治屋義人

    加治屋義人君 二〇〇九年の衆議院選挙で民主党は、コンクリートから人へを大きな政策に掲げられました。結果として公共事業予算は大きく削減されて、また国民に無駄遣いの温床であるかのごとき誤解を招いたことは、災害との裏返しのようで誠に残念でなりません。被災地を視察して、東日本の災害では高速道路の盛土で命が助かったとか、奄美の豪雨では隧道が、トンネルが集落を救ったなど、コンクリートは命を守り、生活を守る基盤そのものだとかねがね思っております。  全国各地に緊急に対策を取るべき危険箇所、たくさんあります。防災大臣災害と公共事業の認識についてお伺いをしたいと思います。
  57. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 厳しい財政状況の中で、社会資本ストックのこれからの維持管理に必要な経費の総額等々を考えますと、新規の投資はある程度やっぱり抑制せざるを得ない面は私はあるんだろうというふうに思っています。  しかし、今回の災害の中で同時に考えなくちゃならないのは、災害に強い地域づくりにやはり公共施設の整備、特に海岸の施設、防波堤、防潮堤、こういったものの整備、それから災害に強い道路造り、こういったことも重要だということも大きな教訓として示されているというふうに思います。  特に、道路に関しましては、高規格の道路で造った道路については、海岸線の近くからちょっと離れたところにそういう道路がございまして、それがほとんど地震にも大きな被害が出ていなかった、それから津波によって海岸線の道路がほとんど通れない状況の中で、そういった道路があったおかげで避難所にもなれたし、あるいはいろんな物流も行うことができたと、支援物資の供給もその道路を使って行うことができたといった例もございまして、こういった例を踏まえまして、発生頻度の高い津波に対しての海岸保全施設の整備、水害を防止するための堤防整備等の河川改修、緊急時の輸送路となる道路の整備等々、こういった地域防災上必要なインフラ整備については計画的にやっていく必要があるというふうに考えております。
  58. 加治屋義人

    加治屋義人君 緊急を要する事業等については、大臣のリーダーシップを発揮していただいて、予算配分等の御配慮をいただきたいと思っております。  私は前々国会の当委員会で、気象庁に地震と火山噴火の予知の状況について伺いました。説明では、地震予知については、東海地震が唯一、事前予知の可能性があると、東海地震以外の地震については今の研究段階では実用的な予知は困難だと、こう言われます。火山噴火予知につきましては、過去において有珠山、三宅島、浅間山は噴火の直前に予知し発表して防災対策を取ることができたと、しかし噴火の様式、規模などは依然困難だと言われました。  私は専門的なことは全く分かりませんけれども、火山の国、地震の国だけに寂しい気がしてなりません。端的に言わせてもらいますが、研究の予算が少ないのじゃありませんか。専門家の皆さんに研究に専念をしていただく、若い研究者の育成をする、日本人の頭脳があれば画期的な成果が得られるのではないかといつも思います。国がもっと金を出し、政治がしっかりバックアップする、災害が起きてばたばた議論することも必要だけれども、しかし事前に予知して未然に防ぐことはもっと必要だと私は思います。  大臣の気持ちをお聞かせください。
  59. 平野達男

    国務大臣平野達男君) もう委員御案内のように、日本は地震国でありまして、また火山国でもございます。古くから数多くの地震災害、火山災害に見舞われまして、多数の犠牲者を出してきたという経過がございます。こういった過去の例を踏まえましても、住民の生命を守るためには、地震や火山噴火の前兆現象の観測やそれらの調査研究の充実が必要であるということは論をまたないというふうに思います。  地震につきましては、文部科学省の地震調査研究推進本部におきまして、調査研究等の基本方針の立案や調査観測計画の策定、調査研究予算の調整などが行われてきております。火山につきましても、気象庁の火山噴火予知連絡会の場で関係機関での観測結果等の共有が図られてきているところでございまして、いずれにしても、こうした観測や調査研究は国が主導的な役割を持ってやっぱり進めなければならないというふうに考えておりまして、これからも関係省庁や大学を始めとする関係機関と連携しまして、地震及び火山噴火に係る観測、監視あるいは調査研究体制充実には努めてまいりたいというふうに考えております。
  60. 加治屋義人

    加治屋義人君 今、鹿児島の噴火の件についても今お触れいただきましたけれども、南九州地域の火山、まさに活動期に入ったと、そう言われております。特に桜島は、昨年は八百九十六回、今年も既に九百回の爆発、噴煙を上げて、専門家は火砕流、溶岩流、その危機にある、こういうことを発表をしておりますけれども、私もいつもふるさとに帰って、雨傘ならぬ灰傘を差しながら毎日生活をしている状況でもあります。  一点目は、新燃岳、桜島の観測体制充実をもっとすべきだと、連動した研究が求められます。情報サービス体制をしっかり整えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。  二点目は、降灰量が莫大で、降灰除去、防災営農など現制度では対応し得ない状況にもあります。別枠での予算措置も必要、特に平成十八年度、税源移譲で事業規模の八割を県単事業として事業規模が大変縮小されていることや火山活動特措法、この見直し等も必要だね、今そういう時期にあるのではないかと思っております。  ともあれ、平野大臣、至急この危機に迫っている現地を視察をしていただいて、周辺四市でつくる協議会もございます。また、県等々も直接意見交換できるような場をつくっていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  61. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 桜島等々の噴火によりまして、農産物が降灰によって大きな被害を受けてしまう、あるいは日々の生活で先ほど雨ならぬ灰の雨が降っているという、そういった表現があったかと思いますが、大変厳しい環境の下で日々暮らされているということだと思います。  桜島や霧島山の、いわゆる新燃岳でございますけれども、火山活動につきましては、十月十一日に開催された火山噴火予知連絡会におきまして、桜島は引き続き活発な噴火活動が継続する可能性があると、新燃岳は今後噴火活動が再び活発化する可能性があるとされておりまして、いずれも今後の火山活動につきましては十分推移を注視する必要があるというふうに考えております。  平常時の観測監視から避難計画の策定など噴火時における対応に至るまで、関係機関が一体となって取り組むことが重要であるというふうに認識をしております。このため、関係地方公共団体、気象台や国土交通省地方整備局などの国の機関、学識経験者等から成る連携体制としまして、桜島では桜島爆発災害対策連絡会議、新燃岳では霧島火山防災連絡会などが組織され、地域における連携が図られているところでございます。  また、今年一月の新燃岳の噴火の際には、関係閣僚会議を開催しまして、関係機関での情報共有を図るとともに、当面の対応についてを決定しておりまして、また具体的な取組としましては、内閣府、消防庁、農林水産省、国土交通省、気象庁の関係機関の職員から成る政府支援チームを現地に派遣し、緊急時における避難計画の策定支援などを行ったところでございます。  引き続き関係省庁と連絡を取りまして、万全の対応が図れるように努めなければならないというふうに考えております。  それから、現地の視察ということについてはできるだけ早く行きまして、先ほどの降灰状況に対する営農の対応がどうなっているのか、そういったことについてを始めとして、あるいは防災計画がどういうふうになっているのか、そういったことについての意見交換をさせていただければというふうに思っております。
  62. 加治屋義人

    加治屋義人君 是非現地を視察していただいて、地元の関係機関と是非意見交換していただいて、緊急な対策を取っていただきたいと強く要請をしておきたいと思います。  当委員会は十月四日に、台風十二号で大きな被害を受けた三重、和歌山、奈良だけは上空からの視察でありましたけれども、視察をいたしました。一言で言わせていただきますと、森林の大崩壊が集落をのみ込み、市街地をのみ込んでしまった、全てこのことだろうと思います。千ミリ以上の雨が降ればどんな山でも崩れるよね、そう言う人がおります。しかし、それでは策が全くなさ過ぎる、私はそういう感じをしておりまして、今も申し上げているんですが、林野庁に伺います。  一つは、あれだけの深層崩壊がなぜ起きたんですか、その要因と発生状況について教えてください。二つ目には、あの大規模な崩壊の復旧をどう進めるのかね、私もよく分かりません。その手法とスケジュール、教えていただきたいと思います。
  63. 皆川芳嗣

    政府参考人(皆川芳嗣君) 委員御視察もいただきました特に台風十二号災において非常に大きな深層からの崩壊、特に局地的な豪雨もありましたけれども、森林の根の及ばない深さで山腹崩壊が起きたということでございます。また、それに伴って大きな人命の被害もあったということでございます。  深層崩壊でございますけれども、雨水が地盤の割れ目に浸透してまいりまして、それが地中深くまで浸透するということによって発生するということでございますが、その原因といたしましては、森林の状況ということも当然あると思います。それに加えまして、降雨の状況、また地形、地質といったような条件もかなり複雑に影響し合っているのかなというふうに思っておりますけれども、現在、この深層崩壊の発生のメカニズムについて解明に向けた調査を行っているところでございます。  いずれにせよ、森林がその中で大きな役割といいますか、位置付けもあるというふうに思っておりまして、適切な間伐の実施によりまして、下層の植生を発達させまして保水能力を向上していくということ、またそれによって洪水の緩和、また土砂流出の防止などの効果が発揮されるというふうに考えてございますので、間伐等の森林の手入れということを不断に図っていくということが国土保全上も極めて重要というふうに認識してございます。  今回の深層崩壊地の復旧ということのお尋ねでございますけれども、この山腹崩壊地の復旧ということをどう図るかということでございますが、まずは災害発生年、今年からになりますけれども災害関連の緊急治山事業等によりまして、まずは緊急性の高いところで非常に不安定な土砂の部分、これをいかに早く安定させるかということを実施するということになろうかと思います。その後、治山事業等の実施によりまして、林地の早急な復旧と再度災害の防止ということに努めてまいりたいというふうに考えてございますが、具体的な工法でございますけれども、まずは上部の不安定土砂を安定させると。除去したり、さらには一部アンカーボルト等も打たなきゃいかぬというところもあろうかと思います。それから、山腹を形成するための基礎となります土止め工の設置、それをした上で緑化樹木の植栽といったことに進むということで、複数年掛かる事業ということになろうかと思います。ただ、今回、まずは緊急に必要なところについて災害等緊急治山等によって早急な対処を図っていきたい、不安定な部分をまず安定させるということを急ぎたいというふうに思っております。  森林の有する土砂災害防止機能等を発揮させるための森林の適切な整備と、また森林の保全に必要な施設の設置等ということを積極的に図るということとともに、また災害に強い森林づくりということにも一層の意を用いてまいりたいというふうに考えてございます。
  64. 加治屋義人

    加治屋義人君 あの災害を見て感じるんですけれども、これから全国、ああいう山々の災害というのは可能性を秘めていると思っておりまして、紀伊半島の山々の復旧がいい参考になるような、そういう施工をしっかりやっていただきたいと思っております。  平野大臣にお伺いしたいと思いますが、実は視察のときに、三重県の知事さんがこういうことをいみじくも言われました。山の管理不足、間伐の遅れ、切捨て残材の処理不足が崩壊の最大の要因だと、こう、それこそ、いみじくという言葉を使いましたけれども、そう思えてなりませんでした。  私も平素、適時適切に間伐管理はすべきだねと、そういう指摘をさせていただいておりますけれども災害と森林の管理について大臣の認識をお伺いしたいと思います。
  65. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 杉等々のいわゆる人工林の管理が適切になされている場合となされていない場合の違いというのは、いろいろ顕著な違いが出てくるというふうに認識しております。  よく言われるのは、間伐もしない、枝払いもしないという状況になりますと、外目ではうっそうたる緑というふうに映りますけれども、一歩森の中に入りますと真っ暗な森になりまして、光が入ってこない。光が入ってこないことによって下草が生えない。下草が生えないことによって雨が降れば表土が流されまして、かなり急傾斜のところの手入れの悪い森林については根っこが浮き出ていて、言わば本当にひどいところはさいの河原のような状況になっているような山があちこちにあるということも事実です。  今回の災害につきましては、まずは林野庁さんにおいては、私お願い申し上げたのは、森林の管理状況土砂災害との相関関係についてはまずきっちりこれを調べていただきたいということを申し上げました。それなりの結果がいずれ出てくるというふうに思います。  答えは、やはり間伐、除伐をやりまして、根がしっかり張る、その結果として森林の保水力が増すということが国土や山林の崩壊の防止につながっているというふうになると思いますが、そういった観点から、森林の管理はやはり徹底して、今まで以上に徹底して進めていく必要があるのではないかというふうに思っています。
  66. 加治屋義人

    加治屋義人君 ありがとうございました。  国土交通省に伺いたいと思いますが、今日は砂防部長おいでいただいております。砂防部長は鹿児島の大隅の方で大変この砂防に、桜島を含めて御努力をいただいた経緯もありますので、一言お伺いしたいと思いますが、これはニュースで知ったんですが、山の崩壊予知として斜面崩壊検知センサーを導入すると、取り急ぎ紀伊半島の山に設置して、将来全国にこれを拡大していく、そういうニュースを見ました。  この斜面崩壊検知センサーとはどんなものなのか、教えてください。また、システムなど、どういう効果があるのか、そのことも含めてお聞かせいただきたいと思いますし、紀伊半島に今回設置するという予算は確保できているんでしょうか。お伺いしたいと思います。
  67. 南哲行

    政府参考人(南哲行君) この斜面検知センサーの仕組みでございます。大規模な土砂移動でございます、山が崩れるとか大規模な土砂移動発生しますと、振動がまず起こります。その振動につきまして、幾つかの観測点に振動センサーを置きます。その振動をとらえることによりましてその発生を早期に検知、把握すると、そういう仕組みでございます。  また、その効果でございますが、このセンサーを整備することによりまして、土砂災害が発生した場合に早期に把握する、どこであるかを早期に把握する、それから土砂災害防止法に基づく緊急調査の初期初動の迅速化、それから市町村へのより的確な情報提供できるという、そういう効果を見込んでいるところでございます。  また、予算につきましては、私ども必要な額を何とか頑張って確保していきたいというふうには努力していくつもりでございます。  以上でございます。
  68. 加治屋義人

    加治屋義人君 ありがとうございました。  この山の振動の予知については、今後、是非研究を進めていただきたいと思います。  通告はしておりませんけれども大臣に一言コメントいただきたいと思いますが、昨年十月、奄美地方を襲った豪雨、これは当委員会でも視察をしていただきました。そして、今年の九月に二度目の豪雨。復旧もままならない中で、おとつい、二日の日には一時間に百四十三ミリという、同じ場所にゲリラ豪雨が襲来しているわけでして、災害がどの程度出ているのか大変心配をしております。是非、市町村住民皆さんも全く悲鳴を上げていると、そういう状況でありますだけに、是非一刻も早い調査をしていただいて、予算措置等もとっていただく、そのことをお願い申し上げたいと思います。  コメントいただきたいと思います。
  69. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 奄美大島につきましては、今、加治屋委員から御指摘ございましたけれども、二日未明から記録的な大雨に見舞われまして、瀬戸内町では一時間の雨量百四十四ミリというちょっとびっくりするような激しい雨が降っておりまして、これは当観測所の史上最多を更新しております。この奄美大島につきましては、先月でしたか、もかなりまた集中的な豪雨がございまして、被害が発生しました。  ちなみに、今回の被害につきましては、人的被害は生じていないというふうに、今のところ、そういう報告になっております。ただ、床上浸水百五十一棟、床下浸水百九十七棟等の住家被害が生じたほか、土砂災害や道路の冠水などが発生したというふうに伺っております。  私から事務方には、被害状況等の情報収集に当たることや被害状況に応じていつでも現地に行けるよう準備するように指示をしておりまして、これからまた現地からの状況を踏まえまして対応をしてまいりたいというふうに考えております。
  70. 加治屋義人

    加治屋義人君 どうぞよろしくお願いします。  時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。
  71. 青木一彦

    ○青木一彦君 自由民主党の青木一彦でございます。  まず初めに、私、先ほど加治屋先生が御質問なさいました、大臣に対してマスコミ報道等でいろいろ報道されたこと、私、真意を問おうと思いましたが、大臣、あの所信の中でも最後に謝罪されました。何回もこういうことを聞いてもしようがありません。そして、大臣東日本大震災被災地の出身でございます。いろんな意味で、防災担当の大臣としていろんな思いをお持ちだと思います。  まず初めに、大臣のこれから防災担当大臣としてリーダーシップを発揮していく上での思い、それに、これからのどういうことをしたいかという御意思をお伺いいたしたいと思います。
  72. 平野達男

    国務大臣平野達男君) まず、私の発言につきましては、改めてどういう取られ方をされても仕方のない表現になってしまいまして、結果として不快な思いをされた方、悲しみを深めた方がおられたことに関しまして、本当に申し訳なくというふうに思っております。  そして、今回の大震災、本当に被害がもう甚大でございまして、口では一日も早く復旧復興というふうに言っているんでありますけれども、なかなか思いどおりにいかない実態に内心じくじたる思いもあります。しかし、その一方で、地元の本当に努力によって瓦れきの処理とか、あるいは仮設住宅、必ずしも十分ではございませんけど、そういった建設も含めました。何とか早く今回三次補正通りまして、その三次補正を使っていただきまして、復旧復興の軌道に乗れるような状況被災地皆さん方と、そして自治体の皆さん方と、あるいは与野党を超えて体制をつくっていきたいというふうに考えております。
  73. 青木一彦

    ○青木一彦君 これからだんだん秋から冬に向かって、本当、被災地、とっても寒い時期になります。そういった意味でも大変だろうと思います。大臣の是非リーダーシップが発揮されますことを心から祈念いたしたいと思います。  それでは、質問に入りたいと思います。  本年は年末年始の、昨年、今年からの豪雪、そして新燃岳の噴火、東日本大震災台風十二号、十五号などの多くの自然災害が我が国を襲い、本当に多くの被害を出した年でありました。防災の重要性について国民各層が改めて強く意識したのではないかと私も思っております。今日御参加の委員皆さんも同じだと思います。本日は防災についてのこれまでの政府による取組を問いただすとともに、今後の対応を問うことで政府における今後の防災検討に是非生かしていただきたいと思います。  まず初めに、先ほど加治屋先生も御質問の中でおっしゃっておりましたが、今の政権与党、二〇〇九年の衆議院の選挙において、当時は鳩山代表の下でございましたが、コンクリートではなく人間を大事にする政治にしたいと盛んに訴えられまして、衆議院選挙を大勝に導かれました。その後、マニフェストどおり公共事業費を大幅に削減し、いわゆる私どもはばらまき四Kと呼んでおりますが、子ども手当、公立高校の無償化、高速道路の無料化、農家の戸別補償等の政策を進められました。そして、当時の国土交通大臣、前原大臣だったと思いますが、コンクリートから人へと声高々におっしゃり、八ツ場ダムをまあ目玉といいますか、多くのダム事業の中止を決定されました。  しかし、その後、二〇一〇年、私も当選させていただきましたが、参議院選挙では、コンクリートから人へと、こういう表現は削除され、できるだけダムに頼らない治水への政策転換を一層進めるというふうに明言されております。  そして、今回、今年は本当に災害が多かった。このことは、コンクリートから人へと強調されていた公共事業に対する考え方、立ち位置が変化したんじゃないかと私は思っておりますが、現在、防災担当の大臣としてどういうお考えをお持ちなのか、大臣に御質問をしたいと思います。
  74. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 先ほどの加治屋委員からの御質問にもお答えをしましたけれども、私自身は、この国といいますか日本は、高速道路、港湾、鉄道、飛行場、かなりの社会資本ストックができたと思っておりまして、これからこの更新をどういうふうにやっていくか、維持管理をどうしてやっていくのか、ここに大変なコストが掛かるという問題意識を持っておりまして、この厳しい財政状況の中で、できればこれ以上のストックの蓄積というのは避けられるなら避けた方がいいんじゃないかという考え方をずっと持っています。  しかし同時に、委員から御指摘ございましたように、今回の災害では、本当に道路の役割ということについては非常に再認識させられましたし、港湾が被災したことによって港湾が地域経済に果たす役割というのも再認識させられたという意味において、この社会資本ストック等々の、まあこれだけではございません、ほかのこともございます。新幹線がストップしたことによって、岩手県の花巻空港なんかは羽田空港との便がございませんでしたけれども、それが復活したことによって岩手県が助かったと、そういった例もございます。そういった中で、災害に強い地域づくりの中に、必要な社会資本ストックの整備はしっかり進めなくちゃならないということが今回の一つのやっぱり教訓になったというふうに思っています。  ただ、あえてもう一つ付言をさせていただきますと、同時に、津波被害に関して重要な教訓は、構造物にだけ依存した防災対策にも限界があるということでありまして、海岸堤防の重要性、防潮堤の必要性、防波堤の必要性は私は否定をいたしません。しかし同時に、そういった構造物だけに依存した防災計画というのにも限界がある。そういった意味において、人に着目した防災計画ということが重要だということも今回の災害の大きな教訓ではないかというふうに思っております。
  75. 青木一彦

    ○青木一彦君 今日は国土交通省の松原副大臣にも来ていただいておりますが、松原副大臣も御所見を先ほどの私の質問に対してお願いいたしたいと思います。
  76. 松原仁

    ○副大臣(松原仁君) 東日本大震災台風十二号による災害を受け、国民の安全、安心を守るという社会資本整備の最も重要な使命を再認識したところであります。  そのため、国土交通省を含め、災害には上限がない、何としても国民の命を守るという考え方の下、今後とも、堤防整備やインフラの耐震化など、安全、安心な国民生活を支える真に必要な社会資本整備を推進するとともに、津波地震等の観測体制整備などについても充実を図り、ハード、ソフトを組み合わせた防災対策を着実に進めていくことが必要であると考えております。  さらに、この二年間で大幅に削減してきた公共事業予算について、災害に強い社会基盤整備を推進するためにも、所要の予算をきちんと確保することは大切であると考えております。  以上です。
  77. 青木一彦

    ○青木一彦君 先ほど平野大臣がおっしゃった、私、とおりだと思います。公共事業をどんどん増やすだけでも駄目ですし、やはりハードとソフト両面でしっかりしていかなきゃいけないと思います。  しかし、今回の、私思いますに、東日本の震災、そして十二号、十五号による豪雨災害、やはりコンクリートが人を守っているという事実も私は立証された、このことも確かなことだと思います。  そして、国の公共事業の、私これずっと、これは自民党政権も含めてですが、かなりどんどん下がっております。平成十年度の当初予算、これ補正も合わせて十四・九兆円、これが最近のピークですが、全体の公共はですね。これが二十二年度は当初と補正を合わせて約六・四兆円、半分以下になっています。もう僕は本当、骨と皮しかないような状態が今の公共の予算の現状だというふうに考えております。二十三年度も一次補正通過時で六・二兆。これ、もし災害起こらずに一次補正、二次補正、三次補正やっていなければ、これはもう公共の予算は六・二兆しかなかったということです。  そして、治山事業でいくと、二十二年度予算を十年前の十二年度予算と比較して、二十二年度の事業費は約三分の一、治水事業はこれ二十二年、十年前比で約四割、砂防が約三割です。道路予算は二十二年度は、これ十二年度対比で、これ十年前と、約四割になっています。  この公共事業の著しい減少、これはもう明らかに減っているということです。自然災害から国土を守るといった意味で私、どういうこの削減が効果をもたらしたというか、これだけの削減幅を聞かれて、防災大臣、どのようにちょっとお考えなのか、もう一度所見をお伺いいたしたいと思います。
  78. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 例えば先般の新潟福島豪雨につきまして、特に新潟県側の雨の量というのは平成十六年の豪雨に比べてかなりまた上回っていたと。にもかかわらず、河川は一部はんらんして被害も出ましたけれども、前回に比べて河川の堤防はしっかり洪水から守ったということがございまして、その間、これは国交省が頑張りまして、十六年からその災害を踏まえて堤防のかさ上げ工事を急いだということが功を奏していると思います。  それからあと、先ほどちょっと私も例を申し上げるべきだったんですが、三陸では高規格道路、三陸縦貫道ですね、一部開通しておりまして、それがあったことによってそこに避難した、それからそれがあったことによって、海岸沿いの道路が通過できなくなっていたんですけれども、その道路があったことによって物資の供給ができたといったことがございまして、こういった公共施設の役割ということについては、やはり今回の災害の中でもその効果というのはしっかり出てきたのではないかというふうに思っています。  その一方で、繰り返しになって恐縮ですけれども、公共施設の整備を進めるに当たっては、やっぱり厳しい財政事情があるという中で、投資の優先順位、効率性、月並みな言い方になりますけれども、こういったことをしっかり踏まえながら計画的に整備を進めていくことが大事ではないかというふうに思っております。
  79. 青木一彦

    ○青木一彦君 今の例えばピーク時から私もういきなり、もうそれこそ半分以下になっているわけですよね。ここら辺の私、意味というものをしっかり考えていただきたいと思いますし、いろんな意味で国も財政的に大変です。しかし、これはもう数字として事実表れておりますので、その辺も考慮に入れて防災計画等を考えていただきたいと思います。例えば、東日本大震災において有名になったくしの歯作戦、これは東北道と国道四号という縦ラインが生きていた、それゆえに多くの人命が私救われた、これはもう間違いない事実だと思います。  そういった意味では、まだまだ道路網も全国各地整備されておりません。今回の三次補正では、北陸の今のミッシングリンク、これはつながるというふうに考えておりますが、まだ私の地元の島根県、そして先般、私たち被災地に参りました台風十二号の和歌山から紀伊半島ですよね、あそこもまだつながっていない道路があります。その辺のことをどういうふうにお考えなのか、これ、平野大臣と松原副大臣お尋ねいたしたいと思います。
  80. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 最後の御指摘の中に紀伊半島の話が出ました。あそこの四十二号線は海岸伝いを走っております。これから東南海の、三連動地震等々の今これから想定作業に入っておりますが、あそこの中で津波が来たときにどういう状況になるかということについては容易に想像付くことでございまして、だからこそ地元はそれに代わる道路機能ということで高規格道路の建設を求めておりまして、ああいった地域についてのいわゆるミッシングリンクということについては、これは私は、災害というのは国土保全、それから災害の防止に備えるという意味からもこれはできるだけやっぱり急いでやるべき区間であるなというふうに思っていますし、ほかの地域についても私、状況は、現地に行っておりませんけれども、同じような状況のところが多いのではないかというふうに推察をいたします。
  81. 松原仁

    ○副大臣(松原仁君) 今、高速道路あり方検討委員会でもその辺のミッシングリンクの議論は進めているところでありまして、やはりミッシングリンクをなくすということは極めて国家の均衡ある発展のために必要であるという認識は、その検討会でもなされているところであります。  あと、付言申し上げますと、例えば道路を造るときの判断としてBバイCというのがありますが、このBバイCも、御案内のとおり、今のこの様々な道路を見たとき、距離を広く取ったときは、個別に見ると小さい値が広く取ると大きな値になるという変化も見られておりまして、そういった評価の尺度の在り方もあり方委員会では検討されているというふうに承知をしております。
  82. 青木一彦

    ○青木一彦君 今、松原副大臣の方からBバイC、私質問しようと思っておりましたが説明していただきまして、これも、防災面もやはりひとつ考慮、その基準の中にですね。やっぱりBバイC見ますと、余りにも数字にしやすいところしか見ていないんですよ。これ見ていくと、経済効率を何か道路行政に使っているような私は気がしてなりません。是非、道路というのは公共物です。そういった意味では、防災観点も入れてまた基準見直していただきたいと思います。
  83. 松原仁

    ○副大臣(松原仁君) その議論は、これもなされておりまして、BバイCに関して日本の場合は三便益ということでやっておりますが、ドイツとかフランスとか他の地域ではそこに違う便益も入れてベネフィットを計算するという在り方があります。そこで、どういうふうに防災を入れるかというのは、技術的にどこまで可能かということも含めてこれも検討されていると承知をしております。
  84. 青木一彦

    ○青木一彦君 私、しつこく公共事業のことを言うようですが、私のふるさと、島根県であります。昨年の十二月から一月上旬にかけて、安来市、松江市を中心に記録的な大雪が降りまして、そして大きな災害をもたらしました。この際に除雪作業を進めようとしましたが、委託先となる建設業者の倒産そして廃業により機械がありません。そして、オペレーターの絶対数が足りず、作業は難航を極めました。また、営業している建設会社においても、経費削減のため除雪機械を手放す、あるいはオペレーターの解雇等が行われ、不慣れなオペレーターの作業となり、スピードも従来よりは大幅にダウンいたしました。  このことは、やはり公共事業の削減によって地域に根差した中小の建設会社の倒産、廃業、人員整理など、臨機応変に除雪作業ができなかったということです。そして、それのために初期対応の遅れにつながったということでありまして、また、今回は幸運なことに事故は起きませんでしたが、今後、不慣れなオペレーターによる作業事故も私は懸念されると思います。  そして、現在、全国の建設業者はピーク時のこれも約六三%、全国比で。私の島根は六〇%に減っております。これ、もし災害が起こり、現場に一番早く復旧工事に駆け付けるのは、これ地元のやはり建設業者です。必要な公共事業を行うこと、建設業者をある程度の数、僕は維持させるということは、地域の安心、安全を守る必要経費というふうに私は考えておりますが、この辺のことを防災大臣そして国交副大臣、どのようにお考えか、御所見をお伺いいたします。
  85. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 今、実は、いわゆる除雪のことで委員から御指摘がございましたけれども、今、東日本大震災の復興の現場ではそれと似たようなことがちょっと起こっているかなという問題意識は私も持っております。  例えば、コンクリート工事するときの仮設工あるいは型枠工、そういった方々がやはりここ何年間で相当減ってきてなかなか集まらない。それから、震災当初は重機が欲しいと言われたんですけど、重機が集まらなかったといった問題がございます。  こういった問題に対してどのように対応すべきか。一定の数の維持というのを、この必要性は分かりますけれども、その数を維持するのにはどうすればいいのか。このことについては、ちょっと悩みながらもこれから考えていかなくちゃならない課題だというふうに思っております。
  86. 松原仁

    ○副大臣(松原仁君) 建設産業は、住宅・社会資本の整備の担い手であると同時に、地域経済、雇用を支え、災害対応、除雪といった地域を維持するための事業を担うなど、国土の守り手として重要な存在であり、しかし、その取り巻く環境はかつてない厳しい状況にあり、地域社会を支えてきた建設産業が疲弊しているという認識は持っております。  一方、全国的に災害に強い国土構造を再構築していくためには、地域の特性に応じた地域づくり、国土づくりを担う存在である建設産業の協力が不可欠であります。地域に貢献する技術と経営に優れた企業が生き残り、成長できるよう、建設産業に対する支援を行うことは重要であると認識をいたしております。  このため、入札契約に関しては、地域企業の適切な評価に努めるとともに、除雪、河川等の維持管理については地域維持型契約方式の導入を進めているところであります。また、元請企業や下請企業に対する資金繰りの支援のほか、経営相談窓口の開設等を支援し、行っているところであります。  今後も、建設産業の支援を推進し、建設産業の再生と発展を図ってまいりたいと思います。
  87. 青木一彦

    ○青木一彦君 やはり国の事業費を増やす、私先ほども言いましたが、何かあったときの備えです。だから、必要最低限のある程度の公共事業を行うことによって地元の建設業者が残る、このことが、もし災害が起きたときに、先ほど松原副大臣もおっしゃいましたし、例えば地元の雇用を含めて経済効果も地方においてはかなり大きいところが私はあると思っておりますし、何かのときの安全、安心を考えた上でのセーフティーネット、そのためにも公共事業というものを私はやるべきだというふうに考えております。  そして、やはり余りにも、もう半分以下になった今の公共事業費、これはやっぱり誰が見ても僕は少ないと思います。ここのところ何十年、公共事業は悪だというふうにいろんな形で、自民党政権下にもいろいろ言われましたが、そういう刷り込みが僕はもう今までずっと十数年来続けられたことがこの公共事業費の削減につながったと思います。でも、もうそろそろ限界かな、もうこれ以上やることは、それこそ地域社会も崩壊させますし、そのように私は認識しております。どうかしっかりと内閣の中でも皆さん議論されて、これ以上、いろんな意味で財政的に厳しいこともよくよく先ほどおっしゃいましたが分かりますが、しかし、今はもう限界だということを認識いただきたいと思います。  松原副大臣、もうそれで結構ですので、ありがとうございました。  続きまして、昨年の十二月二十八日閣議決定されたアクション・プラン、これ出先機関の原則廃止によること、各、例えば整備局なり出先を都道府県に移管するとしておりますが、このスケジュールを、内閣府さん今日いらしていると思いますので、お知らせいただきたいと思います。
  88. 後藤斎

    ○副大臣(後藤斎君) 今先生お尋ねがありました、昨年十二月二十八日に、出先機関の事務権限のブロック単位の移譲というスケジュール感は、昨年のアクション・プログラムで、平成二十四年通常国会に法案を提出をし、準備期間を経て二十六年度中に事務権限の移譲が行われることを目指すというふうにされております。  それを踏まえ、震災等いろんなことが今年はございました。改めて、九月からスタートした野田政権の下で先月二十日の日に地域主権戦略会議を開催をいたしまして、野田総理から、アクション・プランは政府としての決定であるという方針の確認、そして次期通常国会に法案を提出するという強い意思が表明をされ、翌日、十月二十一日の閣僚懇談会でも、広域連合への移譲に向けて早急に議論を集約するよう総理から関係大臣に積極的な取組の指示があったところでございます。  それを踏まえまして、政府では現在、年内には広域連合への移譲に向けた課題の克服にめどを付け、その後、移譲対象になる事務権限の整理も進め、速やかに出先機関の事務権限のブロック単位での移譲に係る全体像を固めたいというふうに考えております。
  89. 青木一彦

    ○青木一彦君 ありがとうございました。  これは、来年の通常国会に法案を提出する、そして二十六年度中には事務権限の移譲を目指すということですよね。これ、財源はどうするんですか。事務権限は二十六年度に移譲します、しかし財源の方はそれをブロック単位で移譲しないということですか。お尋ねいたします。
  90. 後藤斎

    ○副大臣(後藤斎君) 全体像につきましてはまさに現在検討しているところでありますが、広域連合というのが一つまず対象になります。特に、正式に地方自治法も含めて認知をされている広域連合は、先生御案内のとおり、関西広域連合、ここは地方整備局と地方経産局と地方環境部局、この三事業、三組織を移譲してくれというオファーがございます。  そういう意味では、先生お尋ね、全体像については今後検討はしますが、そこでの三組織がまず人的には対象になり、そこに係る人件費、事業費等が二十六年度までに広域連合と国のそれぞれの機関との整理をして、それを移譲して、事業がきちっとスタートできる人的配置も含めて対応が進んでいくというふうに考えております。
  91. 青木一彦

    ○青木一彦君 関西連合の話、広域連合の話、されました。  あと、九州の知事会も手を挙げていらっしゃるというふうに伺っておりますが、これ一緒にしますよね、これブロック単位。例えば、九州だったら各県全部一緒にということですよね。例えば、県によっていろいろこれから進めていかなきゃいけない施策等、かなり温度差があると思うんですよ。うちはこういうことをしたい、うちはこういうことをしたいと全部違うと思います。これが一緒になるということは、私はある面で、一緒になったことによって、いろんな施策する際に、かえってスピードが遅れてしまうといった懸念も予想されますが。  そして、まだ問題になっているのは、例えば道州制、関西の例えば広域連合はかなり話は進んでいます。まだ道州制の議論も、私は中国地区です、中国ブロック、まだ進んでいないのに、これを二十四年、来年の通常国会に出してやるということが私は果たしていいのかなというふうに疑問を感じておりますが、その辺はどのようにお考えなのか、お伺いいたします。
  92. 後藤斎

    ○副大臣(後藤斎君) 先生指摘のように、これ、私どもの政権の大きな一つの地域主権改革の目玉でもありますけれども先生方の政権の当時でもいろんな国の出先機関の見直し等については議論が進んでいて、私も当時野党の立場でありましたけれども、いろいろな御質問を関係大臣にした記憶がございます。  先生、一点整理をしておきたいのは、広域連合がきちっとした国の組織、事業の受皿になるというのが移譲する多分大前提になると思います。そういう意味で、九州広域連合については、まだ受皿的には関西と同等までに法的な担保ができているというふうにはまだ認識されておりません。ただし、先生お話をいただいたように、それぞれ今、例えば地方整備局や地方農政局が国の直接の出先機関としてそれをブロックごとにある程度まとめてそれぞれの県、市町村事業のサポートをするという仕組みから、やはりできるだけ近い広域連合という実施主体がきちっと存在をして、議会とか首長の多分代議制というふうになると思いますけれども、そういうものでチェックができるような仕組みの方がより地域主権、地域分権的な考え方に立てばより望ましいというものが私たちの今政府の中での議論の進め方であります。  いずれにしても、自治体がそれぞれ、例えば九州でいえば、全ての県がまとまった形でできるだけ九州連合を、広域連合はスタートしたいという意思表示はございます。そういう意味では、それぞれ当然事業やニーズというものは違うかもしれませんが、それが整理ができると、例えば九州でできるということが例えば国の機関を、出先を移譲する大前提になりますから、そういう部分では、先生の御懸念は理解できる部分もありますが、そうならないような形での関係府省、政府の中の関係府省の合意形成はもちろんですが、それぞれの広域連合の中での御議論というものもこれから鋭意加速をしながら、集約に向けて努力をしていきたいというふうに考えています。
  93. 青木一彦

    ○青木一彦君 一応、午前中ここまでですので、ここで午前中の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございます。
  94. 松下新平

    委員長松下新平君) 午後一時まで休憩いたします。    午後零時一分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  95. 松下新平

    委員長松下新平君) ただいまから災害対策特別委員会を再開いたします。  この際、委員異動について御報告いたします。  本日、小見山幸治君が委員辞任され、その補欠としてツルネンマルテイ君が選任されました。     ─────────────
  96. 松下新平

    委員長松下新平君) 休憩前に引き続き、災害対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  97. 青木一彦

    ○青木一彦君 ありがとうございます。  午前中に引き続きまして、先ほどのアクション・プランの出先機関の廃止について質問いたします。  先ほど大臣の方から、一応、来年の通常国会において法案を出すと。ただし、受皿としてのものがしっかりしているということを前提として法案を出すというように私伺ったんですが、受皿がしっかりしているということを一応担保するということでよろしいんですね。
  98. 後藤斎

    ○副大臣(後藤斎君) 午前中も先生にお答えしましたように、現在、ブロック単位ということでは関西広域連合が受皿として法的事務を担保されるということで、仮に来年、当然、政府としては通常国会に出先機関の改革の法案を提出することに意思決定をしておりますが、その受皿は関西広域連合がまず念頭にあり、それもブロック単位でという一つの枠組みと、あわせて事業につきましても、先ほどお答えしましたように、地方整備局、地方経産局、そして環境省の出先機関、三つが関西広域連合からまず移譲してほしいということになっておりますので、それを念頭に置いた法案提出という形になっていくものというふうに現在では考えております。
  99. 青木一彦

    ○青木一彦君 これは、最終的には各ブロックにして八府省、八つが一緒になるというふうに伺っておりますが、取りあえず向こうの方から要請があった今回は関西広域連合さんが三省の出先を一緒にすると、最終的にはこれは八つの府省を一緒にするというふうに考えてよろしいですか。
  100. 後藤斎

    ○副大臣(後藤斎君) 段階的には、先生が今お話ししたような部分に当然なってくると思います。  あわせて、ブロック単位ということではありませんが、これも先ほど先生の御質問の中でお話をさせていただいたように、麻生政権の下でも出先改革について熱心に地方分権推進会議も含めて御議論をした経過があるというふうに記憶しております。そういう意味では地方自治体、要するにブロックではなく地方自治体が移譲を要望している事務権限の取扱い、例えば直轄道路であるとか直轄河川であるとか公共職業安定所、ハローワークであるとか、これについてもいずれそういう俎上に上っていく、正式に上っていくというふうに考えておりますが、少なくとも来年の通常国会に向けての制度の枠組み、出先機関の改革については、繰り返しになりますけれども、関西広域連合からオファーがある三事業を念頭に置いたものを主軸とした法案の提出ということがメーンになって検討を進めるということで御理解いただければというふうに思います。
  101. 青木一彦

    ○青木一彦君 これ、例えば先ほど私申し上げましたように、各都道府県によってもいろんな考え方違います。当然、県の成り立ちも違いますし、県によってはいろんな特色がございます。そして、最終的に八府一緒にしちゃう。今は、権限は移します、でも最終的には財源も移すということですよね。その点をはっきり伺いたいと思います。
  102. 後藤斎

    ○副大臣(後藤斎君) 当然のことながら、事業だけ移譲しても、その前提になります財源がなければ事業執行が滞るわけですから、権限の移譲と、ある意味ではそれを支える財源というものはセットであるというのがベースだというふうに御理解いただければというふうに思います。
  103. 青木一彦

    ○青木一彦君 それで、例えば八府が一緒になって財源をもしできれば一緒にしちゃうと。そうすると、これ各役所でもやっぱりいろんな思惑がありますし、やっている内容が違うんですよ。  例えば、先ほど防災という意味でいえば、東日本大震災のときに東北整備局がそれこそもう迅速に対応をされて、マスコミなんかでかなりにぎわしました。これなんかは、あくまでもやっぱり東北整備局というものがあったがゆえにこれが機能したということなんですよ。それを今統合すると。  僕は、来年の通常国会でやるというのは余りにも拙速過ぎるんじゃないかというふうに個人的には思います。もうちょっと、一緒にして最終的に財源どうされるのか分かりませんが、もし財源でも削るようになれば、今まで機能していた分が本当に機能できるのかどうなのか、これも含めて、小さくすることがいいことだということも本当に、それが本当にいいことなのか。本末転倒の結果を招く可能性もありますので、しっかりと議論をした上で、二十四年度、来年の通常国会に提出を願いたいというふうに考えております。
  104. 後藤斎

    ○副大臣(後藤斎君) 先生の御指摘の点は私たちも十分踏まえて今議論政府の中でも関係府省としているというのが、それは大前提でありますので是非御理解をいただきたいのと、そして、繰り返しになりますけれども、八府省十三事業を全て来年の通常国会に向けてまとめてということを考えておるわけではありません。  段階的に、なおかつ地方の広域連合としての受皿もきちっとした部分について、相手が望んでいる、広域連合が望む事業をということで、段階的に対応を関係府省、また関係自治体、そして広域連合の皆さん方とも御相談をしながら、丁寧に議論をしながら、ただし、やるべきことは前を向いて進めるということで対応していくということについて、改めて先生の御理解を賜ればというふうに思います。
  105. 青木一彦

    ○青木一彦君 ありがとうございます。  続きまして、私、大分昔の話になってしまいますが、事業仕分、これについてお尋ねをいたしたいと思います。  これ、民主党政権下において事業仕分ということを行われました。これはメディア公開でそれこそ仕分を行われた、かなりメディアを意識して行われた。私、これ公開処刑裁判が行われているんじゃないかなという印象を持ったんですが、結局これは三回行われて、もう行われていないということです。  このときに、やはりやり玉になった中で、公共事業がなりました。そしてスーパーコンピューター。この二点についてお伺いいたしたいと思います。  二十一年度に行われた事業仕分において、本予算の公共では、例えば公共事業ですね、代表的な例を挙げると、直轄国道の維持管理、直轄河川、直轄ダムの維持管理、あるいは港湾整備事業が縮小になりました。これ、一〇から二〇ぐらい、一〇%、二〇%。そして、特会の中からではスーパー堤防事業、これは廃止になりました。そして、治水事業、河川砂防の管理、道路整備事業、直轄国道の管理、港湾整備事業などが縮小となりました。  このことについて、やはり防災という観点でも、何でも何でも公共事業を縮小していくということはやっぱりよくないと思います。大臣のお考えをお伺いいたしたいと思います。
  106. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 今回の東日本大震災、あるいはそれに続く台風十二号、あるいはその前の新潟福島豪雨等々の経験の中で、いわゆる災害に強い町づくり、地域づくりをするための公共施設、道路、あるいは海岸堤防、防波堤、防潮堤等、そういったものについての必要性ということについては十分認識をさせられたというふうに思っておりまして、こういった施設については、必要なもの、その整備については効率的な整備に心掛けることは言うまでもございませんけれども計画的に整備を進めていく必要があるということを認識しております。
  107. 青木一彦

    ○青木一彦君 ありがとうございます。  それで、蓮舫大臣で有名になったスーパーコンピューター、これは二十二年度、二十三年度の予算で百十億円を削減しました。しかし、これはやっぱり余りにもマスコミ報道等で物議を醸し出したがゆえに補正予算で手当てしています。  それで、やっぱりスーパーコンピューターというものは、これは防災、減災に資する、地球変動予測なんかもかなり役立っております。例えば気象庁の気象情報などにもかなり活用しておりまして、数値解析、豪雨予測を一例に取っても、スーパーコンピューターシステムがいかに貢献しているかということを物語っております。次期のスーパーコンピューターを利用すると、現在一キロメートル単位しか分からない雨量状況予測値が四倍の二百五十メートル単位まで分かるようになります。  既に過去のものとなりつつあったこの事業仕分なんですが、やはり事業仕分、単純にそのときだけで今まで積み上げてきたものを一気に壊すような、こういうことはもうこれからは行われないのか。まあ三回でやめられたわけですが、その辺を踏まえて、もう一回大臣お尋ねいたしたいと思います。
  108. 後藤斎

    ○副大臣(後藤斎君) 今先生お話しした回数については後ほどお答えをしますが、私、あの当時、スーパーコンピューターが事業仕分の対象になったときに文科の政務官をさせていただいていました。  当時、確かに世界一のスピードをスーパーコンピューターで目指すということについてはいささかも、その前後も、その後も、その意思は変わりませんでした。ただし、事業仕分をした結果、当時、いわゆる供給側、作ってそれを開発する人、その視点が事業仕分の前は非常に強いものでありました。そして、事業仕分をし、先生がおっしゃられたように国民的ないろんな関心を呼んだ中で、やはりたくさんの人が使い勝手がいい、特に先生が触れられたように、災害やまた自動車産業の製品開発も含めて、スーパーコンピューターがより能力が高められるとあらゆる解析の機能が、シミュレーションが速くなります。医薬品の開発もしかりであります。そういう部分で、いわゆるサプライオリエンテッドからデマンドオリエンテッド、たくさんのクラウド型の仕組みに変えてその使い勝手がいい形というものを目指して、補正予算も含めて前年よりも若干二十三年度予算は増やすような仕組みをつくりました。  それによって、先生も御案内のとおり、開発主体ではNECが脱落をし、富士通と日本国政府が、理化学研究所が主体になって開発したものでありますが、今年の六月にもう一度、「京」という呼び名で今流布をしておりますが、「京」が世界一の演算能力を持つものに育ち、そして十月での演算でも再び、二回連続世界一の演算能力を持つということで、先生が御指摘いただいたように、これからもより使い勝手がいい、そしてそれが国民の生活、災害対策を、減災する視点も含めて、より効率的な形で資するように全力を尽くして対応していきたいというふうに思っています。
  109. 青木一彦

    ○青木一彦君 ありがとうございます。  それで、やはりこの事業仕分、結局三回で終了されました。私の目から見て、これはやはりパフォーマンスが強かったんじゃないか。それで、もしああいう状況じゃなくて事業仕分が行われていたら、スーパーコンピューター、予算をまた補正で付けるということもされなかったんじゃないかなと私は考えております。  これ、自民党政治の中でも、いわゆる劇場型政治あるいはパフォーマンスを重視した政治というものが私はやっぱり国益を損ねているんじゃないかなと個人的には思っております。今回のこの防災の話含めまして、もっと地に足を付けてこつこつとやっていくのが本来の政治の姿ではないかというふうに考えておりますので、今後、事業仕分等はやられないおつもりですか。まあここで伺ってもおかしいですが、ちょっとお答えいただければ。よろしくお願いします。
  110. 園田康博

    大臣政務官(園田康博君) 大変失礼いたしました。私、蓮舫大臣の下で行政刷新会議の担当をさせていただいておりますので、私からちょっと付言といいますか、お答えをさせていただきたいと存じます。  今先生まさしくおっしゃっていただきましたように、かつてのいわゆる予算の編成過程の中においては、なかなかそれが国民の皆さん方の見えにくいところにあったんではないか、これは事実関係としてはそうではありませんけれども、しかしながら、そういう印象をやはりお与えをしてしまっていたのではないかというところがございました。その中でやはり私どもは、公開性という部分をもう少しどういう形で国民の皆さん方にその予算の編成過程というものを見ていただける、あるいは国民の皆さん方にそこの中に参加をしていただくというような形、それを念頭に置いてああいう評価の形を言わば公開のプロセスという形で取らせていただいたというところでございます。  加えてといいますか、それを内部統制といいますか、今の省庁の中で、政府の中で行う政策決定過程の中に、やはり不断の見直し、国民のやはり税金、あるいは先ほど午前中の議論でもありましたけれども、限られた財源の中でそれをしっかりと国民の皆さん方に見ていただけるような、あるいは優先的なものは何であろうかというような形をしっかりと内部統制的にもやっていく必要がある。今年からは、実は行政事業レビューというような形で、これもう公開をさせていただいておりますけれども、それぞれの各府省が自らの視点において、しかもそれは、やはり毎年度事業を行っていくわけですけれども、その必要性であるとか、あるいはその効率性であるとか、そういったことを事業シートにまとめさせていただきまして、それをしっかりと皆さん方に見ていただくというような形も今取り入れさせていただいているというところでございます。  少しマスコミ等も通じてああいう形でセンセーショナルに報道をされてしまっていたという部分に関しましては私どもの本意ではないということは申し上げておきたいというふうに思っておりますし、また、結論が廃止というようなことだけに着目されてしまっていたという部分よりも、どちらかというとその政策目的は、私ども防災上の観点での重要性、あるいは今のスーパーコンピューターの関係でも効率性の中で、政策目的そのものは事業仕分の議論の中においても否定はされておりませんでした。ただ、手段としてそれを、お金を使う場合にそういった何か途中の段階で効率性が悪かったりというような部分、あるいはどこかの独立行政法人にそれを委託をしてしまっていた、これが丸投げになってしまっていたという部分がある、そういったところを洗いざらい国民の皆さん方に見ていただく中でしっかりと議論をしていくということで私どもはやらせていただいているというふうに御理解をいただきたいと存じます。
  111. 青木一彦

    ○青木一彦君 議会制民主主義ですので、我々は選ばれた国会議員です。そして政府というものがあります。国民の皆さんに全てをあらわにして見せるということも私はどこまで必要があるのか。見せなきゃ、情報公開しなきゃいけないところはしなきゃいけないですが、やはりそこら辺の、まあ国民の皆さんに喜んでもらうという形で私は事業仕分というものは行われたというふうに自分では理解をいたしております。そういった意味では、その辺も反省を踏まえてまたレビューというものをやっていただきたいというふうに考えております。  それでは、今後の防災計画についてお尋ねいたします。  先ほどお話がありまして、私、公共事業のことを延々と言いましたが、やはりコンクリートはある面で人を守るということ、これは私は確かな事実であると思います。それで災害に強い国家をつくっていかなければなりません。先ほどほかの委員の方からもいろいろお話が出ましたが、被害を最小限にすること、これはいろんな意味で強い国家をつくって、コンクリートもある程度必要となることはすると。  それで守るということは当然ですが、気象庁が発表する災害情報をいかに迅速に地元住民皆さんに届けるか、ここが防災対策の最重要課題と考えますが、現在の国の災害情報の流れを簡単にお教えください。大臣、もしできれば。
  112. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 例えば、台風接近等々の情報についてはこれは適宜気象庁から情報が流されておりますし、特に大きな災害が来るというような状況では、例えば官邸に情報連絡室を設けたりして、国の中で様々な情報を集めてそれで共有し合うというようなこともやっております。  ただ、今の委員の御質問の趣旨からはちょっと外れるかもしれませんが、その情報は、例えば地震の強度の情報それから津波情報等々を気象庁が流しているわけでありますけれども、今回のような大災害になりますと一気に停電が起こるという状況の中で、その情報が必ずしもその地域の中に流れないといった課題も今回浮き彫りになってきたんではないかというふうに思います。  特に、東京にいた我々は津波状況というのはテレビで見ていましたけれども被災地の現場ではもうそういうテレビも映らない、ラジオが電池がある方はそこから情報が入ってきていましたけれども、自分たちの町がどういう形で津波に襲われたかという映像を見たのは一週間後とかあるいは十日後であったという、そういった地域もあったということでありまして、この情報の出し方、情報は何を出すかということと併せて、緊急時に情報が本当に伝わるのか伝わらないのかといったことについてもこれはしっかり検証しながらやっていく必要があるというふうに考えております。  ちょっと後段の方は質問の趣旨に沿わなかったかもしれませんが、以上でございます。
  113. 青木一彦

    ○青木一彦君 大臣がおっしゃったとおりだと思います。  例えば、日本全国、地形が全部違うわけですよね。そして、もし、震災で明らかになったように、通信手段が失われてしまうと長期間その通信手段が使えないということもあります。例えば、山間部や過疎地域などに衛星携帯電話など、そういうものを災害に備えて国の方で手当てする、重点的な配備を進めるというそういう議論もありますが、その辺、防災大臣どのようにお考えか、質問いたします。
  114. 平野達男

    国務大臣平野達男君) まさしく委員のおっしゃるように、台風十二号においても孤立集落等々が出まして、そことの連絡が取れないということで多少の混乱があった経過がございます。  こういうことで、私どもも衛星携帯電話、これは非常に重要な通信手段になるというふうに考えておりまして、現在、二十二年の調査では、孤立可能性がある集落は全国で約一万九千か所あるというふうに把握しております。しかし、残念ながら衛星携帯電話の整備率は二%余りというふうに大変低い状況にございまして、二十三年度当初予算から地域防災力向上支援事業として、衛星携帯電話を配備する地方公共団体に対して国が支援を行うこととしたというところでございます。二十三年度当初予算では約二億円で約一千か所分を計上しておりまして、今後、これから三次補正でも計上いたしますし、順次計画的に孤立可能性のある集落への衛星携帯電話の配備を進めてまいる必要があるというふうに考えております。
  115. 青木一彦

    ○青木一彦君 やはり防災対応する際にはハード整備、そしてソフト面での防災力の向上を図っていく、これ両輪だと思います。例えば、日ごろから地方自治体なんかにおいて消防、警察、自衛隊等との関係機関を交えた準備、訓練を行っていく重要性が私、改めて今回一連の震災等で認識されたと思います。また、一つの自治体だけではなくて広範囲、広域的な取組が今回の東日本を見ましても台風十二号を見ましても必要だと考えます。  もし大規模災害が起きたときに、その教訓を踏まえて今後どのように対応されていくのか、そういうソフト面ですよ、広域圏で、含めて、あとは各連携どのようにお考えなのか、大臣にお伺いいたします。
  116. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 今回の大震災、まだまだ分析途上でございますが、やはり様々な教訓が浮かび上がってきます。その中で、今委員から御指摘ございましたけれども、消防それから警察、自衛隊、こういったことの迅速なる活動、どのように入っていくか。東日本大震災ではかなり迅速な活動が行われたというふうに思っておりますが、まだ検討すべき課題もやっぱりあるというふうに思っています。  一方で、委員指摘のように、自治体間の連携というのがやはり重要だなというふうに思っています。ただ、自治体間の連携の中でも、これは当委員会でも、また別な委員会でも御紹介申し上げましたけれども、例えば水道のいわゆる組織、自治体が中心にやっていますけれども、これはもう伝統的に、何か災害があった場合はそこに人が派遣されるということについての体制が確立されています。これは下水道でもそうでありますし、ガスの事業者でもそうです。こういった体制は大事にしなくちゃならないと思いますし、こういったことを見習いつつ、自治体の連携の在り方というのも深めていく必要があるのではないかというふうに思います。  特に、大きな災害が発生した場合には市町村から市町村に被災者が移動するということも想定されますので、そういった広域の連携の中で避難対策を構築する、それから被災者に対する支援を構築するといった観点もこれは大事ではないかというふうに認識をしております。
  117. 青木一彦

    ○青木一彦君 今大臣がおっしゃいましたように、やはり規模が大きくなると単体の市町村では対応できない。今回の東日本を見ましても、役場が流されてしまった、これはもう対応しようがありません。こういうとき、ほかの市町村から応援に行く、あるいは国家公務員の方を派遣する、こういう随時要請するとか、そういうことが必要だと思っております。  こういうことが起こり得るわけですから、平時からこうした制度あるいは体制をつくっていく、制度化するということが私は重要なのではないかと思いますが、大臣にお伺いいたします。
  118. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 全くそのとおりだと思います。既に自治体間で災害が起こった場合には協定を結んで職員を派遣し合う、あるいは物資を供給し合うというような協定を結んでいる自治体もたくさんございますし、そういった自治体間の連携を深めるということについては国としてももっともっと後押しする必要があると考えております。  あわせて、先ほど委員の御指摘にもございましたけれども、今回の被災の中で市町村自体が被災をしてしまう。気仙沼は、建物は大丈夫で職員も大丈夫だったんですが、周りが津波が来たためにその建物から出られず数時間ほど市町村の職員が動けなかったというところもあります。それからまた、陸前高田とか大槌みたいに町の職員自体も被災をしてしまったといった例もございまして、こういった本当に大きな被災のときに自治体が機能しなくなるかもしれないという前提での国の役割、県の役割ということについての検討もこれからしなければならないというふうに考えております。
  119. 青木一彦

    ○青木一彦君 本当に今年は、冒頭でも述べましたように自然災害が多発した年だと思います。これは、災害発生直後は災害への対応必要性というものが強く国民の皆さんにも認識されますが、しかし、残念ながら、これは時を経ることによって認識がやっぱり薄れます。認識が薄れたがゆえに対応がおろそかになる、そして災害のときに人命が救えない、いろんな被災して二次災害が起こるといった傾向があると思います。  今年多くの発生した自然災害の記録というものをしっかり残して検証し、そして得られた教訓とともにその記憶を次世代に引き継いでいくということが重要だと考えますが、今後の防災教育というものも含めまして、その重要性を含め、大臣見解を最後にお聞かせください。
  120. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 今年、東日本大震災を始め、新潟福島豪雨、十二号、十五号、たくさんの被害が出ましたし、またたくさんの人が亡くなりまして、いまだ行方不明になっております。  そうしたことも踏まえまして、今回の教訓、何が起こって、何をして、何をしなかったのか、しなかったのは、なぜできなかったのか、しなかったのか、そういったことをきっちり分析して記録に残して次につなげていく。  先ほど委員もおっしゃったように、今回の教訓を次に生かしていくということが政府の大きな使命であろうというふうに認識しております。そのための様々な検討機関、予算の確保もするつもりでございますけれども、できるだけ詳細に、映像でありますとか、それから様々な証言、それから様々な記録、これはできるだけ幅広く集めて、そして記録を残していきたいというふうに思っております。
  121. 青木一彦

    ○青木一彦君 是非大臣が先頭に立って頑張っていただくことを期待して、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  122. 大江康弘

    大江康弘君 どうもありがとうございます。  加治屋理事を始め会派の皆さん、また委員長を始め関係の皆さん、今日は質問の機会を与えていただいたことをお礼を申し上げたいと思います。  同時に、一年前はこういうやり取りの姿を大臣想像しなかったんですけれども、もう達ちゃんなんて呼び方もできないし、随分偉くなられて、だけどもう十年の大臣とは友情をいただいて、本当にうれしいですね。やっぱり仲間がこうして偉くなって、本来なら質問をせずに休ませてあげたいんですけれども、もう大まかなことだけ聞かせていただきます。  加治屋理事、そして青木先生からも私が聞きたいことを九割ぐらい聞いていただいたんで、やっぱり価値観を共有するなということを思いながら聞いておりました。  私がうれしかったのは、先週の産経新聞に、大臣、あなたの発言のことを載っていたんですね。この赤坂さんという方が、先ほど加治屋先生そして青木先生が本当に心温まる質問の仕方をしていただいて、私は本当に有り難いな、本来なら野党の立場であって、言葉は悪いが、失言だ、やれ暴言だってなるんですけれども、やっぱりそこはあなたの人徳もあると思います。私は十年間あなたと付き合って、民主党当時も含めて、数少ない、切れば赤い血の出る、情のある男だなということを実は感じてきました。  余計なことかもしれませんけれども、やはりあなたの新聞に載った日に、どういう雰囲気で言ったんかなということを私なりに分かった気がいたします。だから、もし私が何かして命がなくなるようなことがあったら、ばかなやつと言ってくださいね、あなたの愛情表現として。  だから、ここはお互い日本人として、言葉の使い方、言葉じりをどうするかということはもうそろそろこの政治の場でも私はやっぱり考えなきゃいかぬのかなというふうなことを、与党だ野党だというような、お互いが押し問答をするようなことではなくて、そういう意味では今回本当に大方の皆さんが理解をされて、あなたの同級生をおもんばかる気持ちというところから発したということがやっぱり理解をしてくれたということで、事なきを得たと言ったらおかしいですが、本当に理解してくれたということを私も実はうれしく思っております。  そこで、今日私は何でここに質問に立たしていただいたかといいますと、大臣もお越しをいただきました台風十二号、あのときに大臣からもお電話をいただいて、大丈夫かと。私なりに時間があれば現場に来てやってくれということもお願いをいたしました。早速来ていただいて、勝浦、残念ながら、今回私も自分の親戚が二軒家が全壊しまして、そして三人行方不明になって、いみじくも谷垣総裁が九月の十日にお越しをいただいたときに現場に一緒をさせていただいて、その後、総裁が勝浦に移動中に実は三人見付かったという、そういう意味では非常に感慨なものが感じたわけでありますけれども、今回多くの皆さんが来ていただきました。もちろん松下委員長も率先して、災害対策特別委員皆さんも現場に来ていただきましたし、私もお誘いいただいたんですが、なかなか日程の都合で行けなかったということをおわびをしたいと思いますけれども。  その中でも、森本農水省の政務官が田辺の伏菟野へ入っていただいたんですね。政府関係で田辺の伏菟野へ入っていただいたのは森本さん、政務官ただ一人であったという。確かに那智勝浦というのも大きな被害もありました。現場、日程の都合もあったと思いますけれども、そういう意味では、唯一政府関係者で現場に入っていただいたのが森本政務官だということですから、有り難いと同時に、一番やはりお互い政治家にとって大事なことは現場をよく知るということですから、そういう意味では一番現場の中で身近に感じていただいたんかなと思っております。  そういうこともつらつら考える中で、もうあの震災以来、大臣就任されてからいろんなところを回られ、またいろんな機会の中で意見の開陳をされてということだった毎日だと思いますけれども、改めて東日本のあの大震災、そして台風十二号、十五号を通して、今大臣が思っておられるちょっと感想を聞かせてください。
  123. 平野達男

    国務大臣平野達男君) まずもって、大江議員とは平成十一年参議院選挙の初当選組でございまして、いろいろとその辺り、個人的にもいろいろお付き合いをさせていただきましたけれども、今日も冒頭の発言、しっかり私も受け止めまして今後の活動に役立てていきたいというふうに思っております。  それから、和歌山県、大災害で被災をしております。大江議員、台風の襲来以来、県下をいろいろくまなく歩き回って災害からの復旧に向けて御努力されておりますことについても敬意を表させていただきたいと思います。  今回の震災、もう本当にあの三月十一日の大震災以来、次から次へと大きな災害が来まして、この国は本当に、改めて災害対応をしながらこの国をつくっていかなくちゃならない国なんだなというふうな感じを持ちました。ただし、そうはいっても三月十一日の東日本大震災のスケールがでか過ぎて、私自身いまだに、福島原発も重なりましたし、あの災害を自分なりにどういうふうに整理すればいいのかということについてのきちっとした整理が付きかねているというのも正直なところであります。しかし同時に、これは五百旗頭復興構想会議の議長がおっしゃっていましたけれども、日本はこういう大災害を乗り越えるたびにこの国が発展してきたんだというようなこともおっしゃっていました。  特に三陸、あるいは和歌山もそうなんですけれども、かつて津波に襲われたりあるいは水害に襲われてきて、その都度それを乗り越えてやってきたという経緯がございまして、非常に被災者の方々お話ししていますと、悲しみとかつらさとかというのも、それに耐えながらも何とかとにかく乗り切ってやろうじゃないかという強さというのも感じます。多分、私どもの日本人の遺伝子の中にこういう災害に打ちかつ遺伝子というのもあるんじゃないかというふうに勝手に想像したりもするんですけれども、そういった、何というんでしょうかね、こういう厳しい中でも何とか立ち向かって克服していくぞという被災者の方々がおりますので、そういった方々がおる限り一日も早い復旧復興をしなくちゃならないというふうに感じておるところであります。  以上であります。
  124. 大江康弘

    大江康弘君 ありがとうございます。  愚者は経験に学び賢者は歴史に学ぶという言葉がありますけれども大臣、あしたは何の日か分かっていますか。ちょっと答えてください。
  125. 平野達男

    国務大臣平野達男君) あしたは十一月五日、津波防災の日でございます。
  126. 大江康弘

    大江康弘君 ありがとうございます。  そうなんですね。私が今なぜ冒頭に顔に似合わないような言葉を言ったかといいますと、実は、あした、津波防災の日にするに当たってはもう随分歴史があるんですね。これは当初、自公政権のときからずっと練り上げてこられて、一時民主党がその法案の審議をしなかった、たなざらしにされたという経過があって、そしてこの大震災の中でずっとあれよあれよで進んでいった。  実は、これも気になる新聞記事が昨日、朝日新聞に載っていまして、津波防災の日を三月十一日にしなかったのはこれは国会の怠慢だみたいな、そして何か取引をしてやったんじゃないかみたいなことを、実は非常に残念なのは、その文章の中に、民主党の当時の復興の特別委員会で筆頭理事だった中根康浩さんという議員は、復興法案を通すためには二階法案に、二階法案というのは要するに二階先生地元、私も地元です、広川町がね、ですから津波を一生懸命やってこられた、その法案に反対というわけにはいかなかったということを言ったと。そして、なぜ十一月五日が津波の日に決まったのかといったら、この記者は、野呂というこの社説を書いている記者は、津波の日にすることで津波対策の公共事業を拡大し、利益誘導を図るのが狙いではないかと。こういうげすの勘ぐりのような低いレベルのことをこういう公器を使ってばかな記事を書いておるということが私はもう非常に残念。  だから、なぜ私は賢者は歴史に学ぶのかといったら、やはり我々、あの濱口梧陵というのは和歌山県議会の初代の議長であり、恐らく日本人ならばこの稲むらの火で知らない人はいない、まさに歴史的なそういう一つの歩みの中で十一月の五日というのが決められたわけですね。だから、確かにあれは成功例として実は残ったんですね、稲の穂をたいて山へ皆さんを逃がしたという。  大震災に比べれば全く被害も甚大でもなかったということもあり、余りにも我々が、よく言葉に出ますけれども、未曽有だとか、それと想定外、もうそろそろ我々はこういう言葉から、やはり政治家の辞書からなくしていかなければいけない、いつまでもこの二つの言葉がやっぱり我々を正当化するということにはなっていかないわけでありますけれども大震災のあの大きな被害に比べると、どうもあの被害の大きさからいえば、我々も含めてみんなやはり目が向こうに行ってしまうという。  だけど、本質はそうではなくて、なぜ十一月の五日が、我々肝に銘じて、この日を津波防災の日にしたかということを、改めてあした我々はそのことを、ただ単に和歌山県の広川町という狭い、そういう地域の問題ではなくて、やはり津波に対してどうしていくのかという国民一致したお互いの心構えの中でこの日を決めた。さあ、じゃ、これからいろいろ教訓だということも言われていますが、今回の震災で、やっぱりそういうことを新たにスタートをさせていく初めての記念の第一回目の日だと思うわけです。  ですから、大臣はこの十一月の五日という日を非常に有意義であるというふうに私は理解をしていただいておると思うんですけれども、今申し上げたこの一連の新聞報道の中で、また民主党の中にもそういうお考えの方がやっぱりおられるのだという非常に残念な思いの中で、改めてこの津波防災の日を十一月五日にしたということに関して、大臣、ちょっと気持ちを聞かせてください。
  127. 平野達男

    国務大臣平野達男君) まず、私自身は、津波防災の日、あしたでございますから、あしたは重要な日だというふうに考えておりますが、それ以上にまず津波対策の推進に関する法律の中身でございます。  この中身は何度読んでも、これだけの法律、中身、まさに三月の被災を予測するかのような中身になっていたということでありまして、この法律の中身については、私は、これは何というんでしょうか、もう敬意を払うしかないというふうに思っておりまして、この法律ができたということでこれから様々な対策を立てていくための基礎にもなったというふうに思っています。  その上で、十一月五日ということにつきましては、これは稲むらの火ということで、津波が来て、これ、稲を燃やして高台に避難誘導をしたということで、恐らくこの津波は真夜中に来たということだったんだろうと思います。そういった中で津波の恐ろしさというものを知らせるという逸話にもなっていますし、と同時に、機転を利かせてその避難を誘導したという逸話にもなっておりまして、そういった意味で、この十一月五日という日を津波防災の日にしたということについてはきちんとした意味合いがあるなというふうに思っております。  大事なことは、この日において何があったかという、この嘉永年間七年、安政元年の話もございますけれども、三月十一日、八か月まだたっておりませんが、八か月前にも何が起こったかということを再検証するという日にするということで、私は十一月の五日という日は意味があるんだというふうに思っております。
  128. 大江康弘

    大江康弘君 大臣、ありがとうございます。  かつては災害は忘れたころにやってくるというようなことを言われたんですけど、今はもう災害は忘れたいほどやってくる。どんどんどんどん災害が来て、もう次の準備をする間もないぐらい災害がやってきておるわけでありまして、そういう一つ一つの、お互い日本民族のいいところは、やっぱり節目を大事にする、そういうことをけじめとして記念日と決めてやはり次の行動を取っていくということであろうかと思いますので、今大臣にお答えいただいたことに大変感謝を申し上げたいと思います。  少し具体的なことを聞きたいと思います。  私の地元の田辺市の熊野というのは、奈良も含めて、今、河道閉塞、いわゆる土砂ダムというんですか、これに悩まされております。昨日、これもまた新聞を見ますと、今警戒区域が出ているんですね、警戒区域指定があって、実はこの間も少し国土交通委員会でも触れさせていただいたんですが、大臣、警戒区域指定というのはやっぱり随分これ市町村長を悩ませているんです。  それで、私も元々、この田辺市の熊野というのは、大臣も三十数年前に農林省のキャリアとして私の当時の県会議員の選挙区だったところに二年近く、まあ島流しでもないでしょうが来ていただいて、随分あの辺の土地カン、地理カンというのは知っていただいておるということで、まさにこの熊野というのはあの先に何もない、もう行き止まりのところであるわけですけれども、私もあそこで二十年県会議員をやらせていただきました。  そういう中で、地元の人たちがもうとにかく警戒区域指定を解除してほしいと陳情に来られる。だけど、これは市町村長が、あれは災害法の六十三条でしたかね、それを根本法として出しておられるんですけれども、なかなか、今日は関局長に来ていただいて、随分整備局、そして先ほど議論がありましたけれども、出先を潰せだなんだと、こういう議論がここ二年、三年多かったです。だけど、いざこういうことになると、やはり地域をよく知る、地域住民をよく知る、そういう人たちがやはり力を発揮してくれる。まさに河川国土事務所の皆さんが今一生懸命やっていただいて、地元の田辺市とタイアップして頑張っていただいておるということを感謝をここで申し上げたいと思いますけれども。  いわゆるこの警戒区域の解除に当たって、大臣、これは私は、一人その当該の自治体の首長に全てを委ねる、これは福島でも今そうですけれども、これはやっぱりちょっと考えないかぬ話だと思うんですよ。そういう重荷を自治体の首長に負わせて、後は知らぬ存ぜぬじゃありませんが、整備局の方もある意味情報交換も非常に意思疎通も図っていただいた。だけど、それでもなお首長にしてはその解除というのは非常にやっぱり重い判断なんですね。  そういう中でちょっと大臣に聞く前に、今の熊野の状況を、昨日新聞を見ますと、警戒区域が縮まるんだったらいいんですけれども、何か一キロ大きくなったというような記事が出て、何でだろうなと、雨も降っていないのにと思うんですが、ちょっと局長、今の状況を聞かせてください。
  129. 関克己

    政府参考人関克己君) お答えいたします。  今先生の方から、熊野に関する土砂災害緊急情報に関する件だというふうに受け止めさせていただきます。  これにつきましては十一月の二日に、今回現地での対策が進むことによって、より現地状況が詳細に地形状況等が分かるようになってまいりました。そういう意味で、この土砂災害緊急情報を改めて出させていただいたというものでございます。  この結果として、御指摘のように、重大な土砂災害想定される区域は少し拡大をしております。ただ、これをベースに自治体で検討していただいておりますいわゆる警戒区域、避難に資する区域については変わっておりません。従来のまま現時点で進めていると、そういう状況にございます。
  130. 大江康弘

    大江康弘君 今、約三十人近い住民皆さんが、その土砂ダムのあるところから三十分も掛からないところの公民館だ何だに避難しているわけですね、二か月。まだ二か月かというのか、もう二か月かというのか。少し予想を聞けば、正月は自分の家で迎えられるだろうということなんですけれども、もうこれだけ天気予報も、大臣、どんどんどんどん衛星飛んでますから、お互い一週間先の天気も大体予測もできるし、まあ三十分以内のところであれば、今雨が降ったよと言ったらこれから逃げなさいと言ったって十分私は逃げれる範囲だと思うんだけれども、いわゆるそれがなかなか思うに任せられないという中で、先ほどの警戒区域指定の解除ということも含めて、ここは大臣福島なんかも含めてですけれども、ちょっと私のこの思いをどう受け止めていただいていますか。
  131. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 大江議員御指摘のように、警戒区域指定、解除というのは当該自治体の首長さんがやるという形になっておりますが、実際は、例えば今回のような土砂ダムができますと、土砂ダムがどういう状況になっているのか、それからどういう雨が降れば溢水する可能性があるのか、こういった判断は当該自治体にはできません。それができるのは国交省でありあるいは県でありまして、この警戒区域指定、解除については実際は、もう委員も十分御承知のとおりかと思いますけれども、その河川管理者と当該自治体との綿密な情報交換の中で決定されるということだろうと思います。  結果的には首長さんが出しますから首長さんに負荷が掛かってしまうということについてはそのとおりなんですが、ですから私は、国交省さんにお願いしなくちゃならないのは、きちっとした説明、なぜ今警戒区域が解除できないのかといったことについての説明をしっかりやっていくということなんだろうというふうに思います。  どうしてもこれは、こういう状況になりますと、何というんでしょうか、行政側とすれば安全側、安全側という行動を取る傾向になるというのは、これはある程度やむを得ないことなのかもしれません。しかし、その一方で、何か月も自分の自宅に戻って何もできないという状況にとっては大変なそれは苦痛を強いるということにもなりますので、さっきも言ったコミュニケーションをしっかりすると同時に、だんだん状況が改善すればできるだけそれを縮小するといった努力を国側と自治体の中でいろいろなコミュニケーションを通じてやっていくことは必要になってくるのではないかというふうに思います。
  132. 大江康弘

    大江康弘君 局長、今も十分意思疎通はしていただいているんですが、そこのところまたひとつ現場の方でよろしくお願いします。何かありますか。
  133. 関克己

    政府参考人関克己君) 現地での自治体が御判断されるに必要な情報というのは徹底的に共有化させていただき判断をしていただけるようにということと、あわせまして、現在現地でも緊急工事を進めてございます。そういう意味で、一日も早く安全な状況になるように私ども併せて努力をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  134. 大江康弘

    大江康弘君 ありがとうございます。  激甚指定、本激にも指定もしていただきましたし、直轄でしていただけるということも決めていただいたので、それには本当に感謝をしております。  ただ、大臣先ほども少し問題意識として持っていただいたこの警戒区域の解除、これは法律ではもう首長になっているんですね。だから全てのことを、大震災も含めてまだ検証は早い時期だと思います。だけど、もう少しお互いが日にちを持ってゆとりができたら、やっぱりこういうことをどう変えていくかということも頭の中にひとつ入れておいていただきたいと思います。  最後に、減災について、これはソフトとハードがあると思います。ソフト面というのは、やっぱり逃げ方をどうするのかという、そしてハードというのは、先ほど青木先生もおっしゃられたように、全く同じ意見でありまして、コンクリートから人へというこの二年間というものが、私はやっぱり非常に罪の大きな二年間であったと思います。  大臣が行っていただいた那智勝浦町、あそこの道路を見ていただいたかどうか、那智勝浦道路。あれ三年前に民主党がガソリン値下げ隊というのをつくって、川内さんら三人来て、それも初めて和歌山県へ来て、そして電車に乗って、タクシーに乗って、そして現場へ行って、僅か十五分現場を見られて、この道路はグッチだ、エルメスだ、ヴィトンだ、いわゆるぜいたくだと言った道路が、三年たった今日、どうでしたか。委員長皆さんも現場で聞いていただいたように、あれがまさにあの那智勝浦の災害の後の命の道路だったんですよ。四十二号線が使えなかった、これほとんど。先ほど大臣も言われたように、やはり海沿いの四十二号線というのはという認識を持っていただいた。  私は、災害に強い国土づくりだとか、あるいは構造を造っていくんだなんて民主党政権が言ったって、基本的にあなた方のその要するに道路は無駄だなんというような方向性が変わらない限り、私はできっこない。我々不安で仕方がない。そこの根本をやはりどう変えていくのかという議論を一回、大臣政府ですからあれですが、私は民主党にもしていただきたいと思うんですね。  私は今回、教訓があった、震災の。それは、最後にやっぱり国民を守ってくれるのは自衛隊の皆さんであり、警察の皆さんであり、海上保安庁の皆さんであり、そして地元をよく知る消防の皆さんである。もちろんボランティアもそうですよ。だけど、国民がやっぱりこのことを教訓として改めて分かったということは私は良かったなというふうに実は思っております。  それだけに、私はやはり今後この減災ということに関して、我々は、道路といったら何か造ることしかみんな頭にない。しかし、我々は戦後百二十万キロというこの道路を造り上げてきた中で、今後どうこれを維持するかという。我々個人のことだったら、家が古くなった、車が古くなった、じゃ買い換えよう、じゃ直そうという、こういう発想が行くんですけれども、社会資本の整備になったら直していこうとかどうしようなんという発想がないんですね、悲しいかな。  だけど、そんな中で、今回この減災というものをソフト面そしてハード面でやっぱりどうしていくのかということを、私は、民主党政権にとっては、あなた方がこの二年間言い募ってきたことの中で根本的に反省も求められ、そしてその中でやっぱり私は方向転換も求められていると思うんですけれども、最後に大臣、そのことを答弁してください。
  135. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 今回の大震災あるいは台風十二号等々の被害の現場に行って感じますのは、やはり私は道路の重要性というのは再認識させられたというのはもう正直なところであります。  先ほどの那智勝浦の話もそうであります。岩手県の釜石—大槌間に開通した道路、この道路があるおかげで本当に地域の人たちの私はある意味では命が救われたというふうに思っています。ああいう災害に強い構造の規格を持った道路でございまして、今回の地震等においてもびくともしなかったということでありまして、あそこが避難場所にもなれる、緊急時の様々な流通の線にもなるという意味において、本当にこの道路の重要性というのは、繰り返しになって恐縮ですけれども、再認識させられまして、そういった観点から、これから災害に強い地域づくりということでございますから、必要なハードについてはこれは計画的に進めていくということが大事だと思っておりますし、あわせて、これも何回も申し上げたことでありますけれども、特に津波については、構造物に依存することについてはどうしても大きな津波については限界があるということも頭に、認識に入れながら、ソフトというものをしっかり、避難対策とかこういったものを充実させていくことが大事だというふうに思っております。
  136. 大江康弘

    大江康弘君 大臣、ありがとうございました。  とにかく、あなたは非常にバランス感覚のある人だから、任せて大丈夫だと思っております。どうか頑張ってください。  ありがとうございました。
  137. 秋野公造

    ○秋野公造君 公明党の秋野公造です。  私も当委員会の視察にて和歌山県、三重県、行かせていただきました。被災地皆様方に心からお見舞いを申し上げたいと思います。お役に立てるよう質疑に入りたいと思います。  まず最初に、砂防堰堤の整備について伺いたいと思います。  私たち、視察行かせていただきまして、砂防堰堤が整備されたところと整備されなかったところ、見させていただきました。整備されているところは砂防堰堤が砂を全部上流から受け止めて下流の家を守りましたが、一方、堰堤が整備されていないところ、それができなかったところも見させていただきました。人命と財産を守った砂防堰堤の効果事例は鹿児島県の奄美などでも非常に多くあり、深層崩壊を食い止めたというような結果も分かっています。  この砂防堰堤の設置については、行政刷新会議事業仕分におきまして、BバイCの一を下回る場合の事業不採択など、BバイCの計算の厳格化を求めているようではありますが、本来、砂防堰堤の整備はこういったBバイCで決めていく考え方はなじまないのではないでしょうか。国土交通省の見解を求めます。
  138. 奥田建

    ○副大臣(奥田建君) 国土交通の方からお答えさせていただきます。  秋野議員からは、質問主意書などを通じて被災地の声、あるいは議員の提言をいただいておりますことをまず感謝を申し上げたいというふうに思います。  御質問の砂防堰堤の選定、評価ということになりますけれども全国約五十二万か所の危険箇所というものがあります。その中で優先順位を付けていくという中で、砂防事業の評価について、費用対効果分析、そして投資効果を評価していくということを行っております。それと同時に、災害発生時の影響、事業の緊急度、地域の協力体制など、総合的な視点から評価を実施しておりますし、道路などとは違いまして、その危険箇所の影響範囲の中に資産やサービスやあるいは人的な被害の抑止効果といったものが効果の方に含まれているということを御了承いただければというふうに思います。
  139. 秋野公造

    ○秋野公造君 河川管理の在り方について聞きたいと思います。  視察のときに、電源開発のダムの放流についても委員の間で議論になりました。実際どうだったのかということを私もちょっと勉強させていただきました。熊野川懇談会というところが平成二十一年三月、明日の熊野川整備のあり方というものをまとめております。ここで熊野川洪水についてどのように対処していくべきかということを様々検証をなさっているわけでありますが、このとき取りまとめの資料の検討段階のものも公表されておりまして、これを見てみますと電源開発からも意見書が出されておりまして、計画高水量が河川整備計画での対応の限界を超える場合は発電ダムへの協力を求める、その計画ダム管理者等と作成する、そういったことが実際に検討されていたようでありますが、最終的な報告書の中ではそういった部分というのは全部落ちてしまうという状況になりました。  状況は変わったかと思います。今後、どのように対応していくのか、見解を求めたいと思います。
  140. 奥田建

    ○副大臣(奥田建君) 御承知のように、熊野川流域、大変大きな水量の下で大きな水害、今、紀伊半島の三県の方も含めて一緒に復旧復興の計画を立てて取り組んでいるところでもあります。  今、懇談会あるいは電源開発、Jパワーの方のお話もありました。今、経産省の方からもJパワーの方に、大きな水害、水が出たときの対処ということについて事業者として検討をしていただきたいということ、そしてまた河川管理者とも話合いをしっかりしてほしいということを言っていただいているというふうに聞いております。  国交省としても、今回の台風を含む熊野川の降雨の状況そして流量災害発生の状況について今現在調査分析を行って、そしてその上で懇談会の御提言も含めて長期的な計画について必要な治水の計画というものを三県とも協力しながら組み立てていきたいというふうに考えて取り組んでいるところであります。
  141. 秋野公造

    ○秋野公造君 協力してという前に、その前に川の防災情報、これ、河川情報システムといってすばらしいものを国土交通省の方で整備をしていただいています。パソコンだけではありませんで、携帯電話等でも今河川がどういう状況になっているかということが、できるだけリアルタイムに近い状況で得られるという状況であります。  しかしながら、これは応援をする意味質問をさせていただきたいんですが、十分に機能ができたかというところは少し反省をしなくてはいけないところがあると思っています。  これは熊野川の問題だけではありませんで、例えば委員長や私がお世話になっている宮崎県延岡市五ケ瀬川水系の北川というところ、熊田地区という、ここの水位計においては十分大丈夫である、これはダムの結果であるといったようなデータが公表されているわけでありますが、そこから僅か一キロから二キロしか離れていない家田地区というところ、ここは水位計がありません。こういったところでは大きく洪水が起きてしまったというような状況があります。  ですから、こういったよく洪水を、はんらんを起こす家田地区のようなところには水位計をしっかり付けていかなくてはいけないわけでありますが、非常に、国管理であったり県管理であったり、そして県管理のところで水位計は付けてあるところを全て国土交通省で把握をしていますでしょうか。こういったところは絶対に改善をしていかなくてはいけないと思います。河川情報の提供についてはもっともっと強化すべきではありませんか。国土交通省の見解を求めます。
  142. 関克己

    政府参考人関克己君) 先生指摘の延岡市北川町、ここにつきましては、平成の九年あるいは平成十六年、十七年とこれまでも度々激甚な災害を受けている地域でございまして、この地域においても堤防強化あるいは河川の掘削等々を進め、あるいは今御指摘の家田地区につきましては宅地のかさ上げを行うといった対策を進めているところでございます。さきの台風十五号におきましても被害が出たということでございます。  そういう中で、御指摘のように、地域に対する防災情報、河川の水位の情報あるいは降雨の情報等々は、河川管理は当然のことながら、水防活動あるいは地域皆様の避難活動、行動に対しても極めて重要だというふうに認識しております。  こういった現地状況も踏まえながら、自治体とも連携しまして、改善すべきところはしっかり改善し、水位情報の収集あるいはその提供について進めてまいりたいというふうに考えております。
  143. 秋野公造

    ○秋野公造君 これは水位情報をしっかり集めることが大事だと思いますので、県管理の河川であっても水位計の情報は必ず川の防災情報の中で一括して情報が提供ができるようにお願いをしたいと思います。  先ほど奥田副大臣からも御答弁いただきましたが、国交省ではこの災害情報連絡担当官、リエゾンの方々を各市町村に派遣をしてくださいまして、そしていわゆる市町村の要望などを酌み取りながら、また国の方向性というものをきっちり情報共有をしていくような仕組みをしているわけでありますが、そもそも、しかし災害が危惧されるようなときには、降雨の予測情報などを基に事前のシミュレーションみたいなそういったことが非常に私は重要だと思っています。  例えば、熊野川を見てみても、国が管理するところ、三重県が管理するところ、奈良県、和歌山県、河川管理のエリアもばらばらでありますし、ダム管理者の電源開発の声が必ずしも届いていないような状況も私はあると思っています。  今回の視察の結果を生かすのならば、災害対策本部と連携する地域の対策協議会の中にはダム管理者である電源開発なども正式メンバーに入れながら、国や自治体やみんなでこういう災害対応をしていく体制をつくることが必要ではないでしょうか。国交省見解を求めたいと思います。
  144. 関克己

    政府参考人関克己君) 今回の災害についての御質問をいただきました。  特に平常時の対応ということでこれまでも進めてまいりまして、例えば御指摘の地点におきますと、国、県、市町村あるいはJパワーを含むダム管理者が連携をして、例えば洪水想定した情報伝達訓練などを進めてきたところでございます。  今回、さらに、そういう中で相当規模出水が生じ大きな被害が出たということを踏まえ、今後、被災市町村との情報共有にとどまらず、実際に災害時にどのような被害が起きるのか、あるいはどうしたら軽減ができるかと。そういった意味で、事前での被害想定あるいは準備すべき対策などの課題を平時から共有化し、そして、御指摘を踏まえ、Jパワーとのリエゾン等の相互派遣、こういったことも検討し、今回の災害を踏まえて、その体制強化整備を進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  145. 秋野公造

    ○秋野公造君 Jパワーにリエゾンを派遣していただくようなことがあったり、あるいはテーブルを一つにするようなことがあったり、様々な方法があるかと思いますが、どうか幅広い情報共有の場をよろしくお願いをしたいと思います。  今回、ダムの放流が不十分であった、そういう議論がやはりありましたが、私は、そもそも振り返ってみると、今回の災害対応するためにはダムがそもそも足りなかったのではないか、こういう議論は避けられないと思います。異常豪雨の対策のためには、ダムをしっかり整備すべきところはしっかり整備していく。国交省見解を求めたいと思います。
  146. 奥田建

    ○副大臣(奥田建君) 熊野川流域には議員も御承知のとおり十一のダムがあります。そして、治水ダムだというものがないというのも現実であるというふうに思っております。ただ、ダムを設置するかどうかということについては、やっぱり地域との合意、あるいは河川管理者となる上流の方であれば県の合意というものも必要になってまいります。  この熊野川に関しては、流域の特性、あるいは、先ほども言いましたけど、今回の洪水状況というものをしっかりと調査検討をした上で、長期的計画、そして整備メニューといったものを積み上げていきたいというふうに思っております。
  147. 秋野公造

    ○秋野公造君 この明日の熊野川整備のあり方の報告書の中には、利水ダムをもう受忍限度に近いような状況のことも書いてありました。その利水ダムに更に空き容量を頼らなくてはいけないような状況というのは、やはり私は抜き差しならない状況ではあると思っています。ダムによらない対応は分からないわけではありませんが、それでも逆にしっかりそういったことも選択肢に入れていただきたいと思います。  そして、私は、このダムを造るかどうかの検討議論には少し疑義を感じています。例えば、長崎県諫早市にあります本明川ダム、これは八月二十二日にここも集中豪雨が降りました。四十分で二・四メートル、一時間で三メートル川の水位が上がった状況でありますが、この本明川には洪水防御のために平成六年度から建設事業に着手していた本明川ダムがありますが、これは今検証中ということになっています。しかしながら、事業評価監視委員会における審議においては事業継続との結果が出ています。これは私は評価をされているんじゃないかと思います。命を守るためならば、もっと前にきっちり進めるべきではないかと思います。  ほかの手法を検証して、ダム洪水調節に最適であるとの結果が得られたならば、地域住民の安心を一日も早く実現するべく、こういった例えば本明川ダムの早期建設を強く求めたいと思いますが、国交省見解、いかがでしょうか。
  148. 奥田建

    ○副大臣(奥田建君) 委員が御紹介いただきました長崎県諫早の本明川ダム、一級河川で直轄事業という中で計画を立てているところでもあります。  今御紹介いただきましたように、事業評価で継続ということになっております。ただ、大変初期の段階の継続ということでありまして、現在は、今後の治水対策のあり方に関する有識者会議の上での中間取りまとめに沿って、検証の仕方ですね、中間取りまとめというのは、予断を持たずに検証を進めているところでもあります。  多目的ダムでありますけれども、どういう機能をこのダムに持たせるべきかというところもまだ詰めている段階でありまして、もちろん治水の機能というものも求められますけれども、そのほかに利水の機能をどうするんだということなどがはっきりと固まっていない。ということは、ダムのボリュームやどういう水の取り方、流し方をするかということがまだ確定していないという段階で、新たな段階には入らない検証を継続していくということにさせていただいております。
  149. 秋野公造

    ○秋野公造君 副大臣事業評価を踏まえて前向きに検討していただいているということでよろしいですね。  ダムだけではないと思います。検討の仕方に様々疑義があるものを申し上げたいと思います。  様々お話あっておりますが、国道の、高速道路の整備においてもやはり申し上げておきたいと思います。  高速道路やバイパスが悠然と残っている姿を私たち委員は確認をさせていただきました。これまで何度もミッシングリンクの解消と、それから暫定二車線の区間を四車線化するべきと申し上げてまいりました。三次補正にミッシングリンクの解消入っているようでありますが、残念ながら四車線化は入っておりません。しかし、五月の連合審査、八月の決算委員会では、命を守る高速道路整備をと質問させていただきまして、大臣、また副大臣から、早急に整理をして道路ネットワークの強化に取り組む、安全上の観点から今後必要等という答弁もありました。  高速道路のあり方検討有識者委員会では、早急に四車線化は進めるべきであるという答申も出ており、中でも平成二十一年に凍結された六区間については、国幹審の手続も用地買収も全部終えており、今すぐでも事業着手しようと思ったらできる状況で、そして渋滞が一番多く、そして事故も一番多く、そして紀伊半島の御坊—南紀田辺も含むこの六区間については早く検討をして事業着手すべきだと私は思いますが、国交省見解求めたいと思います。
  150. 奥田建

    ○副大臣(奥田建君) 議員からは、高速道路の暫定二車線区間について、整備計画策定のところは早くするべきではないかという御意見かというふうに思います。  今御紹介ありました高速道路のあり方検討有識者委員会、こちらの方からも緊急提言という形で、意見を取りまとめる途中に四車線化を早く進めるべきだという提言がなされました。これは震災での災害を踏まえて、やっぱり物資の輸送ということが救援に対して大変大事だということをうたったものだというふうに理解しております。  当然、この四車線化ということは、国交省としても重要な事柄であるということと認識しております。そして、御指摘の六区間、このことも踏まえて、四車線化というものは有識者会議の提言を踏まえて進めていきたいと。  ただ、この有識者会議、まだ取りまとめの結論というところにはなっておりません。ただ、秋までという形で提言をまとめていただくという形でスタートしておりますので、ちょっと遅れておりますけれども、今年中にはあと一回、二回、数回の会合を持って提言を取りまとめていきたいというふうに考えております。
  151. 秋野公造

    ○秋野公造君 渋滞が多くて、事故が一番多いところであります。どうか早急にお願いをしたいと思います。  ダムや高速道路だけではありませんで、新幹線の整備も私は防災対策上必要だと思っています。東北の震災においても新幹線が復興のよすがになりました。  この新幹線、現在、既着工部分というのは、予算の関係で既着工部分部分開業になっている状況でありますから、これは予算の手当てができたならばすぐに認可、着工すべきものであると私は考えます。例えば、長崎新幹線でありますと、これはあと二十一キロが残っているだけでありまして、長崎市や諫早市、島原市、南島原市、雲仙市、こういった人口が集中している地域、最後まできっちり造ってこそ防災効果も、そして経済効果も上がるものだと思います。これも大急ぎで着工をすべきであると私は思いますが、検討状況について国交省見解を求めたいと思います。
  152. 久保成人

    政府参考人(久保成人君) 先生指摘の九州新幹線の長崎ルートにつきましては、本年八月に施行されました法律によりまして、整備新幹線の貸付料というものが、今後、整備新幹線の建設費の財源に充てることが可能になりました。  また、御指摘の長崎につきましては、軌間可変電車と言います、いわゆるフリーゲージトレーンでありますけれども、これを目指しておりますけれども、先月十月ですけれども、技術評価委員会の方で基本的な走行性能に関する技術が確立したとの評価もいただいております。  こうした状況も踏まえまして、御指摘の諫早—長崎間を始めといたします未着工区間については、安定的な財源見通しとか投資効果などの着工五条件あるいは各種課題の検討を、現在、国土交通省内に国土交通大臣、奥田副大臣を始めとする副大臣大臣政務官の下で整備新幹線問題検討会議というのを設けて、そこで精力的に検討を進めております。できる限り早期に結論を得るべく、引き続き大臣、副大臣、政務官の下、全力で取り組んでまいりたいと思っております。
  153. 秋野公造

    ○秋野公造君 これは貸付料とか、あるいはフリーゲージとか、前に進む要素も出てきているということであります。  加治屋理事からもお話がありましたように、私も桜島の火山活動対策について質問をさせていただきたいと思います。  加治屋理事からもお話ありましたが、桜島の噴火が非常に活発化をしております。少し調べさせていただきますと、その噴火は昭和火口に移動をしているようであります。昭和噴火が起きたとき、それは昭和火口から起きたものでありますが、私は、そのときのことも踏まえて昭和火口に対する集中的な監視を今こそ強化すべきであると考えますが、実態、桜島の監視体制というものは強化されているのでしょうか。まずは実態を教えてください。
  154. 羽鳥光彦

    政府参考人(羽鳥光彦君) お答えいたします。  桜島の監視体制につきましては、全国で最も活発な火山の一つとして、従来より地震計、傾斜計、GPS等を整備して監視を行っております。さらに、平成二十二年には地震計、傾斜計を三か所新規に整備するなど、監視体制強化を図ったところでございます。また、大学等関係機関の地震計や傾斜計、監視カメラ等の観測データも収集し、監視を強化してきております。  今後も気象庁としましては、桜島の火山活動を二十四時間体制で監視し、噴火警報等、適時適切に発表してまいりたいと思います。  以上です。
  155. 秋野公造

    ○秋野公造君 一つ提案をしたいと思います。それは、人工衛星を用いた火山の監視であります。  今日は資料を配らせていただきました。ちょっと張り切って大きなパネルも作ってまいりました。(資料提示)  これは人工衛星、私、災害時には人工衛星を用いた対策を行うべきであるということで、東日本の大震災においても、津波被害を受けたところ、罹災証明を発行するために全壊半壊の情報を取ることが必要な状況の中で、原発の半径二十キロ、三十キロ、飛行禁止区域、立入禁止区域のところでは情報を取ることができませんので、人工衛星を使って全壊半壊、分かるところは情報提供をすべきではないかと申し上げたところ、内閣府においてはすぐに対応をしてくださいまして、福島県、宮城県、岩手県に情報提供がなされた結果、罹災証明も発行をされたというようなお話も聞きました。  奄美大島等の被災においてもこういった人工衛星を使うこと、これは天気の影響等は全く受けることがありません。そして、お配りをさせていただいておりますが、私はちょっと分からないんですが、見る人が見たら、火砕流がどの方向に流れていくのかということ、そして降灰がどの方向に流れていくのかということがすぐに分かるような状況であります。飛行機を使った、ヘリコプターを使って監視をしていただいているとは思いますが、この人工衛星の強みというのは航空写真にも負けない解像度であるということと天候の影響を受けない、雲など気象条件が非常に悪いような状況にあってもすぐに情報を取れるというものであります。  こういった人工衛星を使って、もしも更に火山活動が激しくなってくる状況があるのであれば、こういったものを使って監視を強化していく考え、気象庁の考えはいかがでしょうか。
  156. 羽鳥光彦

    政府参考人(羽鳥光彦君) お答えいたします。  火山活動の状況を把握するには、先生指摘のように、人工衛星からの観測も非常に有効でございます。このため、気象庁では、関係機関の協力により得られた衛星による観測成果を新燃岳あるいは桜島昭和火口における噴出物の状況把握等において役立ててきております。  先生御紹介の画像はドイツによる衛星の画像でございますが、今後とも気象庁としましては、火山活動が活発化した場合には、必要に応じて国際的な枠組みにより、衛星により観測成果を入手し、監視に役立てていきたいと思います。  以上でございます。
  157. 秋野公造

    ○秋野公造君 今日の画像はパスコ社さんというところからいただいたものでありますが、非常に有益だと思いますので、どうかよろしくお願いをいたします。  そして、今、人工衛星「だいち」が使えないような状況でもありますので、そういった連携も進めていただきますようお願いをしたいと思います。  そして、先ほど昭和火口の話をさせていただきましたが、昭和火口から噴火した昭和噴火が起きたときに被害を受けた地域を考えますときに、黒神川の対策、それから有村川の対策、この二方向に被害が起きることが予想されるのであれば、黒神川の方はほぼ整備が終わったと聞いておりますが、有村川の方は今からだという具合に聞いております。現在の状況、そして早急に急いでいただきますこと、国交省のお考えをお知らせをください。
  158. 奥田建

    ○副大臣(奥田建君) 議員御指摘のように、この有村川の方面というのは大変に危険度の高い地域として国交省の方も認識をさせていただいております。こちらは五十五年度からこういった砂防の事業に着手させていただいて、そして島内の周回道路の二百二十四号線、あるいは生活、観光、このことを守る通路もしっかりと確保していきたいという思いもあって取り組ませていただいております。  今火山活動が大変活発になっているということは議員も御承知で、そのための問題意識というふうに思っておりますけれども、現在、三基の砂防堰堤が完成して、そしてまた砂防堰堤に堆積する土砂もかなりありますので、天候を見ながらその土砂の除去もしていると。現在、四基を事業中ということで、この後の計画も含めて、国交省としても桜島の砂防事業につぎ込む予算の八〇%近くをこちらの有村川の方に投下させていただいているということを御承知いただきたいと思います。
  159. 秋野公造

    ○秋野公造君 ありがとうございます。火口がやっぱり向いてきているというのは非常に怖いんだろうと思いますので、どうか早急にお願いをしたいと思います。  沖縄における台風時の停電対策について伺いたいと思います。  沖縄では、一需要家当たりの停電回数が年間〇・六八回、百十三分ということで、これは全国平均が〇・一三回、十四分ということで、回数でいえば五倍近く、時間でいえば十倍近くということで突出をしております。その理由は沖縄に台風がやってくるということでありまして、その飛来物が電線等に引っかかるということになりますから、当然のことながら引っかかるものを引っかからないように、飛来物が引っかからないようにしていく対策というのは重要であるものの、根本的には電線の地中化しかやっぱり私はないんだろうと思っています。  そういったところが多い地域も恐らくあるだろうと思います。特に、沖縄のような災害多発地域市町村が行う電線の地中化、補助率も県と違いまして市町村の方が低いんです。こういった状況を考えると、電線の地中化というのは、様々な観光とかの目的もあるんでしょうが、災害の方を優先をさせていただいて、社会資本整備総合交付金の重点的な配分をするなど、国の支援が必要だと思いますが、内閣府の見解を求めたいと思います。
  160. 松下新平

  161. 秋野公造

    ○秋野公造君 国交省です。失礼しました。
  162. 奥田建

    ○副大臣(奥田建君) 今、沖縄の例も出していただきましたので、あちらの方かなと思ったんですけど、無電柱化につきましては防災という観点からも推進してきたところであります。現在は社会資本整備総合交付金という中で重点的に市町村に関しては支援しているということであります。  現在、二十四年度予算も要求しておるところでありますけれども、是非こういった総合交付金がしっかりと確保できて、また市町村の下でも活用できますように、どうか議員からも予算確保の御支援お願いできればというふうに思います。
  163. 秋野公造

    ○秋野公造君 園田政務官、大変済みませんでした。  私が一つ問題があるなと思っているのは、都道府県に対する補助の支援の在り方であります。  都道府県が行う電線の地中化は、機械的に配分額を決定する地域自主戦略交付金で支援することになっておりまして、これは国が本当にしなきゃいけないと思うことが実際にはしにくい状況であったり、今県でどのような整備が行われているかという情報が国になかなか上がってこないような状況になっていると思います。  こういった防災上重要な施策の実施状況の把握又は重点的な支援を行おうとするときに、今後、この地域自主戦略交付金の枠だけで本当にそういったことができるのかということを考えると、今後、国としてどのように取り組まれるおつもりか、見解を伺いたいと思います。
  164. 園田康博

    大臣政務官(園田康博君) 御質問ありがとうございます。  先生御案内のとおり、沖縄振興の自主戦略交付金、これにつきましては、今まさしく来年度に向けて県とも御相談をさせていただきながら、しっかりと議論を踏まえて今積算をさせていただいているところでございます。  そういった中においても、御案内のとおり、この防災関連の事業、これにつきましても今県において地域の実情に即した事業実施ということを進めていくということは私どもも大変重要であるというふうに考えておりますし、また、台風襲来というか、従来の多発地域でもございますので、そういった観点からも、しっかりとまず県も見ていただくことが大切ではないかと、情報共有をしていくことが大切ではないかというふうに考えております。  その中で、今、電線類の地中化につきましては、沖縄総合事務局、そして県と、それから今お話がありましたけれども市町村、そしてまた直接的な施工であります電気事業者等から成る沖縄ブロック無電柱化推進協議会、こういう枠組みを、一堂に会する中でしっかりと具体的な整備箇所をそこの中で選定をしていく、そして実施状況を確認をしながら関係機関の調整を行うということが、そこの場において情報共有はさせていただいておるものだというふうに私どもも考えております。  先生の御指摘も当然ございましたし、また県からもそういった様々な御要望をいただいておりますので、今後とも、県とも、あるいは関係の機関とも連携を密にさせていただきながら、この電柱の地中化につきましても総合的な防災観点からもしっかりと推進してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  165. 秋野公造

    ○秋野公造君 やっぱり電線の地中化だけの問題ではありませんで、例えば道路の問題、先ほどずっとお話をさせていただきましたが、交付金にしてしまうと、本当に必要なところに重点的に配分できなかったり、自治体が何やっているのか国の方で把握できなかったり、そういった問題というのはやっぱりあるんだと思います。  防災観点については、国が直轄事業で行うか又は補助金のスキームで行うことによって、そのことによってしっかり国が都道府県と市町村と情報を共有できる仕組みもやっぱりつくっていくべきではないかと私は思いますが、国土交通省の見解はいかがでしょうか。
  166. 奥田建

    ○副大臣(奥田建君) 議員御指摘の、しっかりと情報を共有して取り組んでいくということは大切なことであろうというふうに思っています。  ただ、この社会資本整備総合交付金、これまで事業ごとにばらばらに要求、査定されていたという、ある意味で事務の煩雑さというものも指摘されていたものであります。地域の方でこれからは社会資本整備に係る、防災も大いに含めての社会資本整備計画をしっかりと立てていただいて、そしてその計画に基づいてこの交付金の方を配分するという形になっております。  しっかりと国も地域の政策課題を踏まえるとともに、災害に強い国土づくり、このことに積極的に、また強力に推進していく、そしてまた地方自治体を支援していくということをしっかりと取り組んでいきたいというふうに思います。
  167. 秋野公造

    ○秋野公造君 ということならば、国と自治体との情報共有が非常に重要になってまいりますが、一番最初に質問したように、河川においても、やはり国や県管理、市町村管理、そういったところも全部情報をしっかり取っていくということが前提になりませんと、防災対策というのはちぐはぐ、ばらばら、右側の岸と左側の岸でばらばらでは、これでは人の命を守ることができませんので、よろしくお願いをしたいと思います。  最後に、災害多目的船の機能について質問をいたします。  三次補正予算にて災害多目的船に関する調査検討が計上されたことを非常にうれしく思っております。四月の二十八日、我が党もこういった船を造るべきではないかと首相官邸の方に申入れをさせていただいたところであります。このときには、そういった災害の多目的船の機能として、例えば我が国においては原発の立地が海岸線にあることを考えると、こういう緊急被曝医療にも使うことができる、そういった機能を持つべきではないか、そんなことも提案をさせていただいたりしました。そして、平成二十一年、新型インフルエンザもありましたけれども、あのとき隔離する場所や停留する場所がなくて大変だったということも考えると、新型感染症が起きたときの対応ができるような船とすることも必要ではないかと思います。  今から検討がなされるのではないかとは思いますが、御提案申し上げます。一つは緊急被曝医療に供する対応ができるようにすること、二つ目は新型感染症に対しても対応することができるようにすること、こういったことも検討してはいかがでしょうか。大臣見解を求めます。
  168. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 多目的船舶の導入につきましては、その必要性が説かれる一方で、過去の検討の中では解決しなければならない課題もたくさんあるというふうに指摘をされています。しかしながら、東日本大震災におきまして医療施設や行政機能も津波によって被害を受けたということもございまして、広域的被害をもたらす大規模な自然災害への対応想定し、災害応急対策に必要な機能を有した船舶の在り方、あるいは導入の可能性等について検討することにしておりまして、今般、三次補正、今御審議をいただく予定になっておりますが、調査検討経費を計上しております。  具体的には、医療機能や災害応急対策活動の司令塔としての機能など、どのような機能を持たせるべきか、実際に運用する際の乗組員や医療関係者等をどう確保するか、既存船舶の活用、民間船の借り上げ、新規建造など、費用対効果分析を踏まえ調達方法をどうすべきか、それから費用負担、管理主体、維持管理どうすべきか等についての検討を予定しておりまして、こういった検討と併せまして、今御指摘いただきました放射線被曝治療、それから感染症治療、こういったことに対しての対応もどのような形ででき得るのかということも十分検討してまいりたいというふうに考えております。
  169. 秋野公造

    ○秋野公造君 どうかすばらしい船を造ってください。  終わります。
  170. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。  十月二十六日の平野防災担当大臣の御挨拶、並びに各地で発生をしております災害に関しまして質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、高速道路のサービスエリア等に災害拠点やあるいは避難所等を一体的に整備するあるいは併設をするということに関連しまして質問をさせていただきたいと思います。  まず、東日本大震災のときに高速道路のサービスエリアやパーキングエリアがどのように活用されたのか、またサービスエリアやパーキングエリアに備蓄されていた防災備蓄品が被災地支援のためにどのように活用をされたのか、その利用状況について国土交通省にお伺いをしたいと思います。
  171. 津島恭一

    大臣政務官(津島恭一君) お答えをさせていただきます。  まず、東日本大震災におきましては、福島県いわき市の常磐自動車道四倉パーキングエリアが原発対応に向かう自衛隊の中継基地に活用されました。埼玉県の羽生市の東北自動車道羽生パーキングエリアが被災地へ応援に向かう消防隊の中継基地に活用されるなど、三か所の高速道路のサービスエリアやパーキングエリアが震災の救援活動等に利用、活用されました。  また、被災地の自治体からの要請によりまして、東北地方の十一か所のサービスエリアに備蓄していました携帯トイレ約三万個、寝袋一万三千個、そしてまた紙おむつ約一万個等を被災者の生活支援物資として提供をさせていただきました。
  172. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 高速道路、いろんな役割を果たしているわけでありますけれども、サービスエリアあるいはパーキングエリアに備蓄されていたそういう防災の様々な品が活用されたということは大変有用であったというふうに感じております。また、当然ながら自衛隊とか消防隊とか様々な方々が応援に参りますので、そういう方々の駐車する、あるいは中継する拠点としても大変有用であったと、そのように評価をされているわけでありますけれども。  次に、高速道路のサービスエリアやパーキングエリアにはヘリポートが設置されているところがあるわけでありますけれども、その現状と活用状況について国土交通省にお伺いをしたいと思います。そしてまた、災害時にそういうヘリポート等も活用した事例があれば御紹介をいただきたいと思います。
  173. 津島恭一

    大臣政務官(津島恭一君) 今の御質問でありますが、高速道路会社の管理する高速道路では、サービスエリア、パーキングエリアにおいて緊急救命活動のためのヘリポートを整備しており、平成二十三年十月末までに三十三か所を整備済みであります。さらに、平成十二年度に整備して以降、ヘリポートの利用実績は主に交通事故等において六十四回となっております。  ただ、これまでのところ、災害時に高速道路のサービスエリア又はパーキングエリアのヘリポートを使用した実績はございません。
  174. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 交通事故等でそういうヘリポート、ドクターヘリとかあるいは消防防災ヘリ、場合によっては自衛隊のヘリというようなことも使えるのかなというふうには思っておりますけれども、この高速道路のサービスエリアに、あるいはパーキングエリアにヘリポートを設置した目的というのは、今のそういう救急とか災害も入っているということであるというふうに思いますけれども、その設置する場合の基準みたいなものが決められておるのかどうか、その点をお伺いをしたいと思います。
  175. 津島恭一

    大臣政務官(津島恭一君) まず、高速道路や周辺で重大事故や大規模災害が発生した場合、ヘリコプターを活用することにより搬送時間を短縮できるなど高い救命効果が期待できる場合があることから、ヘリコプターの安全な離着陸を可能にするためにサービスエリアやパーキングエリアにヘリポートを設置しているところであります。  ヘリポートは、ヘリコプターの基地から救命活動可能なエリアにあること、搬送時間を効果的に短縮できること、そしてまたエリア内のヘリコプターが安全に着陸可能な面積を確保できることなどの条件を考慮し、高速道路会社において設置箇所を選定しております。  なお、災害時におきましても高速道路会社と自治体とが連携してヘリポートが有効活用されることは重要と認識をしております。
  176. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 以前にドクターヘリの推進をしたときには、外国ですと高速道路の道路上でも離着陸できると。それは、それだけ幅の広い、そういう何車線もある高速道路があって遮蔽物が余りないというような造りにしておって、高速道路上でも離着陸ができるというふうに、そういうふうにしているところがあるわけでありますけれども、日本でも当然そういうふうにしていきたいということで高速道路上での離着陸ができるようにということが検討課題にずっとなっておったんですけれども、何車線もあって広いところは実際上そういう訓練で離着陸のできるようにしておったんですけれども、なかなか日本の高速道路、そういう余裕のあるスペースの取れるところが少ないということで、サービスエリアあるいはパーキングエリア等に離着陸できるようにするのがどちらかというと現実的かなということでそういう対応をしていただいたと思うんですけれども。  今後、三陸とか先ほどお話がありました紀伊半島とか、そういう沿岸でやはり高台にある程度のスペースを造りにくいようなところは、高速道路あるいは高規格道路を造るようなときに一緒にそういうヘリポート等も、あるいは防災拠点も一緒に造った方がより効果的かなという思いを私自身はしておりますので、これから様々な復旧対策、復興対策する場合にこういうことも考慮に入れてほしいというのが以前から申し上げているところであります。  それで、先ほどお話ありましたけれども、高速道路のあり方検討有識者会議が今回の東日本大震災を踏まえまして七月十四日に東日本大震災を踏まえた緊急提言というものを発表をしておるわけであります。その中で、「現時点の総括と教訓」では、高速道路ネットワークは副次的な防災機能を発揮した例も存在するということで評価をしておるわけであります。また、東日本大震災を踏まえた今後の道路政策への緊急提言としまして、例えば、今後、首都直下型地震あるいは東海・東南海南海地震などの大震災想定される地域の安全を確保するために高速道路等と防災拠点や避難所等を一体的に整備するなど他の施設との積極的な連携が必要である、特に高速道路のインターチェンジ、サービスエリア、パーキングエリア等を中心に道路とそれを取り巻く空間について災害時に計画的かつ積極的な活用が必要であると、そのように述べておるわけであります。  先ほども述べましたけれども、例えば三陸沿岸や紀伊半島沿岸など、そういう高台に広いスペースを確保しにくいようなところにはそういう考え方で高速道路網と一緒に整備をするということは大いにあり得るというふうに考えておるわけでありますが、平野防災担当大臣に、こういう考え方、あるいはそういうパーキングエリアとかサービスエリアに併設をするというような形での防災拠点の建設等々に関しまして御所見をお伺いできれば幸いです。
  177. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 高速道路のサービスエリアやパーキングエリアは東日本大震災におきましても自衛隊や消防隊の中継基地として活用をされておりまして、今後ともこういった役割は期待をされているということであります。  そしてまた、静岡県と中日本高速道路株式会社では協定を結びまして、足柄サービスエリア、浜名湖サービスエリアなどにつきましては、警察、消防の応援部隊の進出拠点に位置付けられているという例もございます。  それからあと、委員ももう御承知のように、さっきの御指摘にもございましたけれども、盛土構造の仙台東部道路が住民の避難地になったという事例がございまして、この高速道路を盛土してやっている構造そのものが津波の防波堤になったという事例もございます。震災後には津波時の避難に活用できる仮設階段を設置するというような例も見られております。  そしてまた、今日の議論でも様々出ましたけれども、和歌山県においても、また岩手においても、既に完成していた高規格道路があったがために被災後に命が助けられたというようなことが言われている地区もあるということは御承知のとおりでございます。  委員指摘委員会の提言も踏まえまして、高速道路と防災拠点等を一体的に整備するという有効な取組が進められますように、関係機関と高速道路会社との連携が一層強化されるということはこれは大事なことではないかというふうに考えておりまして、私どももそういった取組については是非とも後押しをしていきたいというふうに考えております。
  178. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 やはり、僕らも三陸沿岸等に行くことが多いわけでありますけれども、ある程度の広さのスペースを新たに造るというのは大変な状況だと認識をしております。高速道路を造るときに、インターチェンジ、サービスエリアを造るようなときに併設する、あるいは中に防災の関係の施設を造るというようなことは非常に有効ではないかというふうに考えておりますので、是非ともそういう計画ができたときには応援をしていただきたいと、そのように思います。  次に、台風十五号による津軽地方のリンゴ園地の水害に関連しまして質問をさせていただきます。  台風十五号の影響で前線活動が活発化をしまして、東北の津軽地方でも九月の十九日から二十二日にかけまして大雨が降りまして、一級河川である岩木川などが増水をして、その河川敷の中にあるリンゴ園などが樹冠浸水、要するにリンゴのなっているところまでもう水をかぶってしまった、そういう樹冠浸水などの被害を受けまして大きな収穫減になるというふうに心配をされていたわけであります。リンゴが泥水といいますかかぶると、地中のいろんな微生物で水が引いてもリンゴが腐ってしまうと、もうこれは売り物にならない、食用にならないということでありまして、そういうのを樹冠浸水というふうに言われているわけでありますが、そういう被害が起こったということであります。  そこで、台風十五号による長雨での津軽地方のリンゴ農家の被害状況ですね、どのぐらいの面積が被害を受けたのか、あるいはリンゴの収穫がその部分できなくなってどれぐらいの被害が起きてしまったのか。その点に関しまして、岩本農林水産大臣にお伺いをしたいと思います。
  179. 岩本司

    ○副大臣(岩本司君) 渡辺委員にお答え申し上げます。  台風十五号によるリンゴ農家の被害状況政府による支援策でございますけれども台風十五号による大雨によりまして、青森県津軽地方ではリンゴ農園が六十六ヘクタール程度、正確に申し上げますと、被害面積百七・九ヘクタールのうち先生指摘の岩木川流域は六十五・六ヘクタールが浸水、冠水いたしまして、一部で果実の落果や腐敗等の被害が発生をいたしております。  農林水産省は被害の把握に、これはもう現地調査団を派遣しておりますけれども被害の把握に努めるとともに、果樹共済金の的確な支払の指導、また金融機関に対して資金の円滑な融通や既貸付金の償還猶予等の依頼を実施いたしております。引き続き適切な対応に努めてまいります。
  180. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 リンゴ農家におきましてはもう本当に大事な収入源でありますので、これが失われるということは大変な状況になってしまうわけでありますので、農林水産省としても的確な御支援をしていただきたいと、そのように思います。  私も九月の二十五日に岩木川の中流部の大川地区というところを地元の公明党の議員とともに視察をさせていただきました。そのときに地元農家のリンゴ農家の方のお話を聞いたり、弘前市の市の職員のお話を聞いたりしておりましたけれども、これまでも何度か同じような被害を受けてきたということでありまして、この防災対策としましては、本堤、岩木川の本来の堤防より内側に管理用通路というのがありまして、それが水害の防止には、通常の場合はそれで防げるわけでありますけれども、今回のような大雨のときにはそれを越えてリンゴ園地に入ってしまうわけでありまして、できればその内側の管理用通路の延長、一部分できていないところもありますので延長と、それからかさ上げですね。一メートル以上あれば大体今回の大雨でも大丈夫だったんではないかというようなお話もありまして、そのかさ上げについて要望をいただいたわけでありますが、このような、河道掘削時に掘った分の土を通路に盛り上げて造るわけですけれども、そういうものをしっかりやっていただきたいという要望がありました。  この点に関しまして、国土交通省にお伺いをしたいと思います。
  181. 津島恭一

    大臣政務官(津島恭一君) 今回の台風十五号によりまして、岩木川中流部でありますが、これは岩木川、平川、浅瀬石川の三川の合流地域であります、この河川敷にあるリンゴ園において冠水被害が発生をいたしました。  岩木川における治水対策につきましては、堤防整備区間の解消を順次進めるとともに、低水路の河道掘削を上下流のバランスを考慮しつつ対応しているところであります。リンゴ園の冠水対策につきましては、河道掘削及び掘削土を有効活用した冠水被害低減対策を実施しているところであります。先生指摘の盛土についてもまたいろいろと図っていきたいと考えております。農業団体を始めとする関係機関等と連携をし、対策を進めてまいりたいと考えているところであります。  最後に一言、これは私のまさにふるさとの川でございまして、先生に御質問いただきましたことには感謝を申し上げますとともに、御心配いただいていることに大変じくじたる思いをしながら、これからも積極的に鋭意取組をさせていただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
  182. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 津島国土交通大臣政務官には、地元でございますし、本当に皆様から期待をされていると思いますので、しっかり対応していただければ幸いでございます。  今回の岩木川の河川の中のリンゴ園のように、大雨が降れば増水してしばしばそういう災害が起こってしまうと。しかし、先ほどお話ししましたような対策を取ればそういうものも防げるということでありまして、しっかり、そういう災害の頻繁に起こるような地域、しかも、こういう対策をすればそれは防げるというようなところはやはり優先をして防災対策を進めるということは非常に大事だというふうに感じておりますが、こういう同じような災害が頻発するようなところに対する防災対策を優先してやっていくということに関しまして平野防災担当大臣はどのようにお考えになっているか、この点をお伺いをしたいと思います。
  183. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 水害が頻発する地域というのはやはりあります、あると思います。そういった地域では過去の教訓をとにかく生かすということを早く進めることが肝要だと思っておりまして、基本は堤防等のかさ上げによるハードの整備、それからあと洪水ハザードマップとか避難訓練の策定と併せて周知徹底、地域住民に対する周知徹底のソフト政策の組合せということが基本になるというふうに思います。  あわせて、あと、今回の台風十二号の被害から様々なことが得られるわけでありますけれども、孤立集落の解消のためにまずは衛星携帯電話の普及、これを進めなくちゃなりませんし、あるいは避難勧告、避難指示の発令の基準等々の見直しについてもこれは急がなくちゃならないというふうに思っています。それから、土砂警戒区域については、その在り方も含めて早急に検討して、徹底を図ることも大事だというふうに思っております。  いずれ、昨今の水害とか土砂災害等の状況を踏まえまして、関係省庁と連携し、対策の万全を期すことが大事ではないかというふうに思っております。
  184. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 以上で終わります。
  185. 上野ひろし

    上野ひろし君 上野ひろしでございます。よろしくお願いいたします。  これまで議題に上がった項目に近いこともお聞かせをいただくかもしれませんけれども、所信に対する質疑ということですので、改めて確認をしたいと思います。  まず、これまでこの委員会でも何度か質問をさせていただきましたけれども、八ツ場ダムの問題についてお伺いをしたいと思います。  これは先週、国土交通委員会でも質問をさせていただきまして、前田大臣に再検証の結論を得る時期ということで確認をさせていただきました。その際、大臣からは平成二十四年度予算に反映できる時期、それから年を越えることはないという御答弁をいただきましたけれども、年内に結論を得るということだと思うんですが、それまでの具体的なスケジュールについて確認をしたいと思います。
  186. 関克己

    政府参考人関克己君) 八ツ場ダムの検証の今後のスケジュールということで御質問をいただきました。  八ツ場ダムの検証につきましては、検証主体であります関東地方整備局において現在検討を進めているところであり、現在、これまでの検討内容について幅広い御意見をいただく、聞かせていただくと、そういう段階にあります。  具体的に申し上げますと、まずパブリックコメントでございますが、十月の六日から本日十一月四日まで行っております。また、学識経験者の皆様からの意見聴取につきましては、これも本日十一月四日、実施しているところであります。さらに、関係住民皆様からの御意見をお聞きする公聴会につきましては十一月六日から十一月八日までという日程でそれぞれ行っている、あるいは今後行う予定としているところでございます。  今後寄せられる多くの御意見、それからそれらに対する考え方について早急に取りまとめた上で、関東地方整備事業評価監視委員会の意見聴取などを経て、できるだけ早い時期に関東地方整備局としての対応方針の案が本省に報告されることとなっております。  国土交通省といたしましては、関東地方整備局の対応方針の案を受け、有識者会議の意見を伺った上で国土交通大臣対応方針を決定することとしておりますが、大臣も申し上げているとおり、平成二十四年度政府予算案に反映させることを目標として、できるだけ早く検証の結論を得るよう努めているところでございます。
  187. 上野ひろし

    上野ひろし君 ありがとうございます。  先日も御指摘をさせていただきましたけれども、前田大臣は、東日本大震災の発生も踏まえて新たに情報を入れることにしたという話をされたり、また、秋までというのは前任までの話だという発言をされたという報道も見ております。一方で大畠前大臣のときには、東日本大震災の発生も踏まえて、それも前提にした上で秋までに結論を出す、前倒しするという話をされておりましたので、是非一日も早く手続を進めていただいて結論をいただきたいと思います。  今局長さんのお話の中にありましたけれども検討報告書に対して関係住民方々から公聴会をされる、それからパブリックコメントも聴取をされるということでございます。これにつきまして、現時点での応募状況を含めた具体的な状況をまずお聞きをしたいということと、あわせて、先般、前田大臣に建設予定地を御訪問をいただきました。そのときに、これは確認をしたわけではないですけれども大臣現地で視察をされたのは僅か十五分だったという話もあったり、また、ダムの底に沈む川原湯という温泉があるんですが、そこではバスを降りずに通過をされたということで、大変現地方々は残念に思っているという話もございます。  是非、公聴会、それからパブリックコメントも含めて、地域住民方々の意見をきちんと踏まえて結論を出していただきたい、早急に結論を出していただきたいと思いますけれども国交省の考え方を伺います。
  188. 津島恭一

    大臣政務官(津島恭一君) お答えをさせていただきます。  全国八十三のダム事業の検証につきましては中間取りまとめに沿って実施をしてきているところでありますけれども、中間取りまとめにおきましては、科学的合理性、地域間の利害の衡平性、透明性の確保を図り、地域の意向を十分に反映するための措置が重要であるとの観点から、そのための措置としてパブリックコメントを行ったり関係住民皆様の意見を聞くこととされております。  八ツ場ダムの検証におきましては、現在パブリックコメント等により、これまでの検討内容に対する幅広い意見を聞く段階にありますが、これらにつきましても、中間取りまとめに沿って地域の意向を十分に反映させることを目的として実施しているものであります。  今後とも、予断なく検証を進め、寄せられる様々な意見等を踏まえ作成される関東地方整備局の対応方針案について、有識者会議の意見を聞いた上で大臣対応方針を決定するという中間取りまとめのスキームに沿って検証の結論を得ることとしております。
  189. 上野ひろし

    上野ひろし君 また改めて議論させていただきたいと思いますけれども、是非早急に結論を出していただいて、更に言えば、早期着工、早期完成をお願いをしたいと思います。  では次に、防災関係予算についてお伺いしたいと思います。これまでもこの委員会で何度か質問をさせていただいておりますけれども平野大臣に改めてお伺いしたいと思います。  防災関係予算でありますけれども平成九年度約三・五兆円でありました。それをピークに減少を続けておりまして、平成二十三年度、直近の数字では三分の一以下、約一・一兆円になっているというところかと思います。この中には、例えば地震対策、また津波対策などの予算も含まれておりまして、仮にきちんと事前に対策が取られていれば、今回の東日本大震災の発生に当たってもここまで被害が拡大をしなかったのではないか、一定程度は防ぐことができたのではないか、そういう思いもございます。  予算の制約があるという話もありましたけれども政府予算全体に占める割合ということで見ても、かつては防災関係予算は全体の八%を占めておりました。また、平成九年度、先ほど申し上げた金額のピーク時におきましては四%台、それが今、平成二十三年度、直近では一%台まで低下をしているということでありまして、この数字を見ても、やはり政府としてしっかり事前に災害に備えるという意識がなかなか足りなかったのかなというふうに思わざるを得ないというところでございます。  この数字を見ての大臣の所見、それから東日本大震災の発生も踏まえた防災関係予算の充実、これは治山治水、それから地震津波対策等々いろいろ含まれておりますけれども大臣の御決意、考え方をお伺いしたいと思います。
  190. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 御指摘のように、防災白書によりますと、防災関係予算額は平成九年度で三・四兆円と、防災白書では三・四兆円という数字になっているようでありますが……
  191. 上野ひろし

    上野ひろし君 三・四七です。
  192. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 四七ですか。三・五兆円ですね、そうしますと、ピークであるのに対して平成二十三年度は一・一兆となっておりまして、この数字だけ見ますと三分の一以下になっているということになると思います。率直に言って、やっぱり減っているなという感じはいたします。  ただ一方で、参考までにちょっと意見を言わせていただきますと、平成十九年度に国立試験研究機関が独立行政法人化されましてそれらの予算が防災関係予算額から除外されたこと、それから平成二十一年度に道路特定財源の一部が一般財源化され防災関係予算額が除外されたこと、それからあと社会資本整備交付金というふうに吸収されたこと、それから国土保全関係の人件費等を別途計上されたことということもありまして、単純に三分の一になっているわけではないということであります。  しかし、先ほど私も言いましたように、全体としてはやっぱり、財政事情の逼迫ということもありまして、かなり予算は減っているということはあるかと思います。ですから、私どもは可能な限り、厳しい財政状況でございますけれども、中長期的な見通しに立って必要な防災施設の整備あるいはソフト対策も含めて進めていくということが大事でございまして、特に東日本大震災始め、今年の一連の豪雨台風教訓というのはしっかり生かしていかなければならないというふうに考えております。  ちなみに、東日本大震災からの復興基本方針におきまして、五年間の集中期間において十九兆円程度の投資をするということになっておりますけれども、そのうち一兆円は全国的な緊急防災・減災事業に充てる、防災事業に充てるということになっておりまして、第三次補正予算ではその他の災害対策費としてこのうち三千二百億円余りを計上させていただいているということであります。
  193. 上野ひろし

    上野ひろし君 ありがとうございました。  是非万全を期していただきたいということと、先ほど比率の話を申し上げました。全体の予算に対する比率を見ると、阪神・淡路大震災の直後に少し上昇したんですけれども、また傾向として下がっていってしまうということで、是非抜本的な防災対策という観点から防災関係予算の在り方をきちんと御議論いただければと思います。  その上で、先ほどお話をさせていただいた一・一兆円という金額、予算のつくり方という話でございますけれども、これは例えば内閣府が統一的な方針の下に統一的に要求をするというものではなくて、各省庁それぞれ、なかなか横の連携をしないままばらばらに要求をしている、それを事後的に足し合わせたのがこの一・一兆円という数字なのではないかと思います。私もかつて経済産業省で防災関係予算を担当しておりまして、少なくとも去年私が辞めるまではそういう状況でありましたし、今でも余り変わってないのではないかなという気がいたします。  例えば、中長期的に我が国の防災体制はどうあるべきなのかという議論をきちんとしていただく、また、各年ごとについても、その年にどういう防災対策をやっていくのかという話をきちんと御議論をいただいた上で、政府として統一的に、来年度はこういう予算要求をするんだという方針の下に予算要求をされるということが必要なのではないかと思います。  例えば、かつて各年ごとに、予算要求をされる前に防災対策の重点というのを作成をされていたと思うんですけれども、ここ数年作成をされていないというふうにも聞いています。  必ずしもそういった形ではなくてもいいと思うんですけれども政府としてきちんとした考え方の下に統一的に予算作成をしていくということが必要であって、なかなかそういったことができてこなかったということも、この金額が減少していっている、また比率も減少していっている、そういう一因なのではないかなと思うんですけれども、予算の作成の在り方について見解をお伺いいたします。
  194. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 防災関係に関連する省庁というのは、国土交通省を始め、総務省あるいは農水省、防災教育等の観点も入れますと文科省、かなり各省に関連してまいります。こういう財政状況の厳しい中だからこそ、各省が連携して効率的に予算を使っていくという観点は非常に大事だというふうに思っております。  これまでも関係省庁が状況認識と課題意識を共有するということで防災重点といったことについてのまとめもやってきましたけれども、どちらかというと、若干形式に流されてきたということがやっぱりあるんじゃないかなということで、二十二年度以降は作成してこなかったということであります。  ここに来まして、今回の大震災を踏まえまして、各省庁というよりは政府として取り組んでいかなくちゃならないという観点から、府省横断的な防災対策予算の充実を図る上でも、またその予算を効率的に使う上でも、この内閣防災担当の役割というのはやっぱり重要になってくるのではないかというふうに思っていまして、その役割について、どういう役割を果たしていくべきかということにつきましては、中央防災会議検討会議等々にもかけながら、御意見も聞きながらこの充実に努めてまいることが必要だというふうに考えております。
  195. 上野ひろし

    上野ひろし君 ありがとうございます。是非きちんと対応いただきたいということなんですけれども、今、中央防災会議の話も大臣の方からございました。防災に関する議論体制について一つまたお伺いしたいんですけれども中央防災会議が十月十一日に、これは半年ぶりだと思うんですけれども開催をされたというふうに聞いています。また、その前は約一年間開催をされていなかったということでありまして、設置法を見ると、防災に関する重要事項を調査、審議をするというのがこの中央防災会議の役割でありまして、東日本大震災の発生の後の開催の状況を見ると、なかなかそういった役割を果たしていないのかなという思いもございます。  また、今お話もありました、新たに中央防災会議防災対策推進検討会議が設置をされたという話も聞いてございます。一方で、これは既に災害対策法制のあり方に関する研究会というものもございまして、この役割分担というのはなかなか不明確なのかなという気もいたします。  平野大臣も記者会見の中で、重複をしても、とにかくみんなで議論をしていただいてというような話もされておりますけれども防災に対する政府の施策というものを一元的にどこかの場できちんと議論する体制というのを是非つくっていただく、それが中央防災会議であれば、それをきちんと機能させていただくということが必要なのかなと思うんですけれども見解をお伺いいたします。
  196. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 中央防災会議は、全閣僚と有識者あるいは指定公共機関等々のメンバーで構成されておりまして、なかなか頻繁にやれる会議ではないというふうに思っています。ですから、今回の場合は、東日本大震災を受けまして、まずは東日本大震災教訓は何かという専門委員会中央防災会議の下に設けまして、十二回の会議を重ねまして、かなりしっかりとした御提言をいただいております。  さらに、今委員の御指摘にもございましたけれども防災対策推進検討会議を設置しまして、ここを中心に、これからの体制の在り方、法制度の在り方等々についての議論を進めていこうというふうに考えております。そしてまた、既に実は東南海の三連動地震につきまして、どういうメカニズムでどういう津波地震が起こるかということについての検討も進めておりますし、実は法制についての制度検討も走らせています。  さらには、帰宅困難者についての検討も実は同時並行的に走らせておりますが、こういった会議検討は基本的には防災対策推進検討会議の中に反映させていく、吸収させていくと、そしてそれを結果的に中央防災会議にも反映させて一つの方向性に持っていきたいというふうに考えておりまして、決してばらばらではなくて、統一的な考え方で、統一的な仕組みの中で法制度の在り方、それから体制の在り方、緊急時の官邸の在り方、そういったことについて幅広く、課題はたくさんございますけれども、まず一つ一つ、余り時間も掛けられませんが、答えを出していって、それを実施する体制をつくっていくことが大事だというふうに思っておりました。
  197. 上野ひろし

    上野ひろし君 ありがとうございました。是非、しっかりと御議論いただいて、また予算の面という意味でもきちんと反映をさせていただいて、対応いただければと思います。  次に、大臣の所信の中でもございました、災害に強い国土づくりを進めていくという話は、何度もいろんな場面でおっしゃられているんだと思います。そこで、公共事業事業評価について改めて確認をさせていただきたいと思います。  これは費用対効果分析という意味で、随分この委員会でも、前の大臣にも御議論、確認をさせていただきました。従来型の例えば時間短縮効果といったものだけではなくて、防災という観点からの効果も踏まえた評価を是非行うべきではないかということでございます。  今回、被災地の公共事業につきましてはそういう考え方が一部導入をされたというふうにも聞いておりますけれども、今回たまたま東北で大変な大災害が起きましたけれども、次に日本国中どこでどんな災害が起きるか分からないという状況の中で、そういった考え方を、そもそも被災地だけではなくて、きちんと全国の公共事業の評価について適用されるべきなんだと思います。  そもそもBバイC、費用対効果につきましては、今申し上げた防災面での機能、それから、例えば命の道といったような形で、例えば時間短縮効果といったことではなかなか数値には表れなくても、そこに住んでいる方々にとってはもうそれがなければ本当に生きていくこともできないんだ、そういう状況もございます。そういうことも踏まえて、BバイC、費用対効果分析の抜本的な見直し、考え方の検討というのも是非進めていただきたいと思うんですけれども、御見解をお伺いいたします。
  198. 津島恭一

    大臣政務官(津島恭一君) まず、道路についてお答えをさせていただきたいと思うんでありますが、道路の防災機能は、この三月の東日本大震災や九月の台風十二号に伴う豪雨時におきましても、救助救援活動、あるいはまた緊急物資の輸送等に大きく貢献したところであります。こうした道路の役割は現行のいわゆるBバイCだけでは十分に評価できないことから、今般、防災面での機能の評価手法について暫定的に取りまとめたところであります。  この評価手法につきましては、まず、平成二十三年度の第三次補正予算における三陸沿岸道路等の防災機能の評価に適用したところでありますし、今後、道路事業の目的、効果に応じて適切に運用してまいりたいと考えております。
  199. 上野ひろし

    上野ひろし君 ありがとうございました。これは本当に被災地だけの話ではないと思うんです。是非、全国で費用対効果を測られるときには、きちんとそういった観点も踏まえられるように御検討お願いしたいと思います。  次に、ミッシングリンクという話もございました。そういう中で、特に複数の県にまたがる事業というのが、例えば道路でも橋でもなかなか進んでいないという事例が全国にあるのではないかと思います。地元、群馬ですけれども、私が最近聞いた話だけでも、群馬県の千代田町というところと埼玉の間に橋を架ける利根川新橋というのがあるんですが、そこの話でありますとか、また、下仁田町から長野県の軽井沢までの道路を整備するといった話もありますけれども、県境を越えるということになると両県の意見の調整が必要だったり、なかなか進まないという事例がございます。  特に、ある片方の県についてはメリットが大きくても、もう片方について言うと、それほどでもないというところについては、なかなか意見の調整も進まない、合意も進まないということでありまして、そういった場合については、是非、全体としての事業の効果を踏まえて国の方できちんと調整をされて事業を進めていくといったことも必要なのではないかと思うんですけれども、お考えをお伺いしたいと思います。
  200. 津島恭一

    大臣政務官(津島恭一君) 今の委員の御指摘の県境部の幹線道路ネットワークにおきましては、隣接する県の間で求める機能や期待する整備効果に差があることから、整備や調整に多くの時間を要しているというのは承知をしております。  国土交通省では、これまでにも地方整備局が関係者間の調整を図り、必要に応じてルート、構造等の調査や直轄権限代行による整備を行ってきたところであります。今後とも、県境をまたぐ国道等におきましては、国として必要な役割を果たし、地域の活性化や連帯強化に資する幹線道路ネットワークの着実な整備に取り組んでまいる所存でございます。
  201. 上野ひろし

    上野ひろし君 ありがとうございます。  是非、まさに県境の公共事業、社会資本の整備といったところこそ、国、国土交通省でいえば地方整備局も含めて国の役割が本当に大事なところなんだと思います。是非しっかりとした御対応お願いをしたいと思います。  次に、政務官がいらっしゃっておりますので、自転車道の整備についてお伺いしたいと思うんですけれども、今回、震災の発生を踏まえて、当初燃料不足があったということもあって、特に被災地では、随分自転車の活用というのが進んできたというふうに承知をしております。  一方で、先般報道もございましたけれども、自転車につきましては、これまで歩道の車道側を特例的に通行できるといった取扱いを随分されていたと思うんですけれども、原則として自転車は車道を走るようにというようなルールの変更がなされるというふうにも聞いております。  もちろん歩行者の安全というのも大事だと思うんですけれども、自転車を活用される、自転車に乗られる方の安全という意味では、車道をあしたから走りなさいと言われても、例えば自転車専用の通行帯の整備ですとか自転車専用道の整備が進んでいないと、逆に今度は自転車に乗られる方が大変危険な思いをする、また車の通行といった意味でも危険が大きいと思うんですけれども、自転車専用の通行帯、また自転車道の整備の進め方について国土交通省のお考えをお伺いしたいと思います。
  202. 津島恭一

    大臣政務官(津島恭一君) 今まさに自転車のことでありますけれども、警察庁では、自転車は車両であるということを徹底し、自転車利用者には歩道以外の場所を通行することを催すなどを柱とする総合的な対策を打ち出したところであります。国土交通省といたしましても、それらを踏まえ、沿道状況や交通実態等に応じて、自転車道や自転車専用通行帯等の自転車走行空間の整備を一層推進していく必要があると考えております。  このため、警察庁と連携をし、平成十九年度に指定しました全国九十八のモデル地区での取組を有識者の意見を踏まえて評価、検証し、その結果を自転車利用環境整備のためのガイドラインとして取りまとめ、地方公共団体等に周知するなど、今後とも安全で快適な自転車利用環境の創出に努めていく所存でございます。
  203. 上野ひろし

    上野ひろし君 ありがとうございます。  是非しっかりと整備をしていただきたいと思いますし、特に自転車は、私も乗ろうと思うと、都心なんかは特にそうなんですけれども、細切れに整備をされていて、例えば多くの方々が通勤とか通学に使おうと思っても、危険な地域、場所が一つあるともう自転車は使えないということも多いので、是非、細切れに整備をするというのではなく、きちんとした通勤、通学の道としての整備を進めていただくようにお願いをしたいと思います。  建設関係で最後に、先ほど質問とも重なるところもありますけれども地域の建設業の活性化といった点についてお伺いをしたいと思います。  災害発生時、特に今回、東日本大震災発生後の復旧・復興に当たりましても、地域の建設業は大変大きな役割を果たしてまいりました。また、この委員会でも昨年来ずっと議論をされておりまして、例えば雪害のときの対応地域の建設業者が大きな役割を果たしてきたという議論もございました。地域の安全、安心を守る、その一翼を担ってきたのが地域の建設業者だという思いがありまして、我々も今超党派でいろいろ地域の建設業者を何とか元気にできないかという議論もさせていただいているところでございます。是非、地域の経済を支える存在という観点もございますし、地域の建設業の活性化、元気にしていくように取組をお願いしたいと思います。  特に、公共事業を含めて建設投資の額が随分減ってきていて、建設業に携わる方々の人数も減ってきている、もちろん企業も、倒産をされる企業が本当にたくさん出てきている。そういう中で、建設業を所管をする立場として、国土交通省は是非力を入れて建設業を支えていくという思いでやっていただきたいと思うんですけれども、是非考え方、御決意をお伺いしたいと思います。
  204. 津島恭一

    大臣政務官(津島恭一君) 建設産業につきましては、住宅、社会資本の整備の担い手であると同時に、地域経済やあるいは雇用を支えながらも、災害対策やあるいはまた除雪といった、地域を維持するための事業を担う国土の守り手として重要な存在であると認識をしております。しかし、それを取り巻く環境がかつてないほど険しい状況にあります。地域社会を支えてきた建設産業が疲弊してきていると実感をしております。  一方、全国的に災害に強い国土構造を再構築していくためには、地域の特性に応じた地域づくり、国土づくりを担う存在である建設産業の協力が不可欠であると認識をしております。地域に貢献する技術と経営に優れた企業が生き残り成長できるよう建設産業に対する支援を行うことが重要であるということは、これも我々も認識をしているところであります。  このために、入札契約に関しましては、地域企業の適切な評価に努めるとともに、地域維持型契約方式の導入を進めているところでもあります。また、元請企業や下請企業に対する資金繰りを支援するほか、経営支援体制整備を行っているところであります。  委員指摘の公共調達の適正化に関しましては、現在、与野党で議論が行われていると聞いております。そのような議論状況参考にさせていただきながら入札契約制度の改革に取り組んでまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
  205. 上野ひろし

    上野ひろし君 ありがとうございました。是非よろしくお願いいたします。  次に、住宅について何点かお伺いをしたいと思います。震災の発生後、計画停電ですとか、また節電といった対応が求められてきている中で、住宅というものは本当に大きなウエートを占めている存在なんだと思います。住宅の省エネ化について幾つかお伺いします。  まず一点、既に終了いたしました住宅エコポイント制度についてお伺いをしたいと思います。これまでの住宅エコポイント制度は、住宅の省エネ化について随分貢献をされてきたということではないかと思うんですけれども、これまでの実績、それからまた評価についてお伺いしたいと思います。
  206. 井上俊之

    政府参考人井上俊之君) お答え申し上げます。  住宅エコポイントにつきましては、平成二十一年度の補正予算、平成二十二年度の予備費等によりまして、合計二千四百四十二億円予算措置を行っております。昨年の三月から申請の受付を行っております。  申請受付開始から今年九月末までに、着工の締切り九月で切りましたけれども、発行はまだ続いておりますが、九月までの発行実績としまして、新築四十八万戸分、千四百三十七億ポイント、リフォーム五十三万戸分、三百十一億ポイント、合計百一万戸分、千七百四十七億ポイントについて既にポイントを発行したところでございます。申請受付開始以来、当初の想定を大きく上回る活用が図られまして、本年七月末までの着工分で想定した予算、戸数に達すると見込まれたため、ポイント発行される工事の着工の期限を十二月から七月まで前倒しして、一旦打ち切らせていただいたということでございます。  この成果でございますけれども、新築につきましては、平成二十年度まで新築の住宅に占める最新の省エネ基準を満たす住宅の割合が大体一割から二割程度、推計でございますけれども、でございました。これがこのエコポイント導入以降、大体五割から六割というふうに大きく上がっております。また、既存住宅の省エネ、断熱につきましても、少なくとも五十三万戸については一定の断熱性能の向上が図られたということで、住宅エコポイント制度につきましては住宅の省エネ化に大きな成果を上げているというふうに考えております。
  207. 上野ひろし

    上野ひろし君 ありがとうございました。  住宅の省エネ化を進めていくという意味で、また住宅の着工戸数がなかなか回復をしないという中で、こういった取組というのは本当に大事で、是非、継続それから充実というのが必要なんだと思うんですけれども、その上で、今回三次補正に盛り込まれている新たな住宅エコポイント制度についてお伺いしたいと思います。  今お伺いをいたしました従来のエコポイント制度の評価、それから東日本大震災の発生といったことも踏まえまして、今回の新たな住宅エコポイント制度再開についての考え方、それから制度構築、どういう制度にしたのか、前のエコポイント制度から随分変わった点もあると思うんですが、その考え方についてお伺いしたいと思います。
  208. 津島恭一

    大臣政務官(津島恭一君) 今回、この三次補正予算案におきましては、被災地の復興を支援するとともに、住宅の省エネ化と住宅市場の活性化を図るため、住宅エコポイント制度の再開を計上しております。  具体的には、まず被災地支援に重点を置くという観点から、省エネ住宅の新築につきましては、全国は十五万ポイントといたしますが、被災地につきましては三十万ポイントとすることにさせていただいております。ポイントの半分以上を被災地産品の購入や義援金等との交換に充て、残りは環境配備商品への交換、追加工事に充てるということも考えております。住宅の耐震改修を促進するため、エコリフォームと同時に耐震改修を行う場合十五万ポイントを加算するとともに、上限を四十五万ポイントとすることとしております。  エコ住宅被災地支援をテーマとして取り組みました。住宅市場の活性化と住宅の省エネ化を推進しつつ被災地復興に寄与できるよう取り組んでまいりたいと考えております。
  209. 上野ひろし

    上野ひろし君 ありがとうございました。その上で、内容についてお伺いしたいと思います。  以前もこの委員会指摘をさせていただきましたけれども住宅におけるエネルギー使用の割合、消費の割合を見ると、冷暖房用が二六%、それから給湯用が三〇%であります。そういった日本の住宅の現状というのを考えると、今の住宅エコポイント制度住宅を改修する際にエコポイントの対象としている省エネ設備、例えば節水型のトイレとかソーラーシステムは対象になっていますけれども、それに限定をせずに、例えば冷暖房それから給湯器といった、より効果が大きいと見込まれる省エネ設備についてもエコポイントの発行の対象にすべきだったのではないかと思うんですけれども、お考えをお伺いしたいと思います。
  210. 井上俊之

    政府参考人井上俊之君) お答え申し上げます。  御指摘については、そういう御意見もたくさん賜ってまいりまして、そのとおりかと存じますけれども、一方で、住宅エコポイントの創設時に、例えば太陽光発電でありますとか高効率給湯器、こういった省エネ機器に対しましては既に経済産業省の補助制度がございまして、当時は、これらとの重複を避けて、主として住宅本体の断熱性能を高めるということを基本に制度をつくらせていただいたということでございます。実際に両方を併用してやられたケースも多数あるというふうに理解をしております。  御指摘の家庭用蓄電池とか太陽光システム等の設備機器、これにつきましては、今回も経済産業省の方で第三次補正で補助制度を計上しているというふうに伺っておりまして、これまでと同じように住宅エコポイントと相補いながら活用されるべきものだというふうに思っております。  一点だけ、両方の制度が併存してございますので、サービス向上という観点から、ホームページとか申請窓口等でできるだけ相互の情報提供等を心掛けてまいりたいと、こういうふうに存じております。
  211. 上野ひろし

    上野ひろし君 ありがとうございます。是非きちんとした対応お願いしたいと思います。  その上で、今もお話ありました、従来、住宅について言うと、例えば断熱性能の向上とか、あとはCO2の排出量の削減とか、そういった点が重視をされてきたのではないかと思います。一方で、東日本大震災の発生後は、例えば計画停電、先ほど申し上げました節電といった考え方が随分求められてきているようになっておりまして、住宅全体としていかに電力消費を抑えられるのかといった観点をきちんと評価をして、そういった省エネ型、節電型の住宅を普及をしていくといったことが大事なのではないかと思います。  例えば、太陽光発電システム、それから省エネ家電・住宅設備、それから、これも例えば住宅に接続をした電気自動車の蓄電池を利用した充放電システム、そういったこともきちんと評価をして、そういったことも活用した住宅全体としての節電、いわゆるスマートハウスとか、また究極的に言えばゼロエネルギー住宅、そういったものの普及を是非進めていくべきなのではないかと思います。  今、住宅着工戸数がなかなか伸びないという中で、そういったところに対する支援充実することで新たな住宅の着工という意味でも大きな意義があるのではないかと思うんですけれども、考え方を是非お伺いしたいと思います。
  212. 津島恭一

    大臣政務官(津島恭一君) 地球温暖化防止や東日本震災以降の電力需要逼迫への対応のみならず、住宅市場の活性化の観点からも、住宅において省エネ、節電等を進めることは非常に重要と考えております。このため、従来から住宅建築物省CO2先導事業により、住宅のゼロエネルギー化などのモデル的な取組について支援を行っているところであります。  また、先ほど委員の方から電気自動車のお話もございました。この御指摘の電気自動車の住宅における蓄電池利用等につきましては、平成二十四年度の概算要求におきまして、自動車と家庭・業務のエネルギー管理を統合するシステム開発等に対する支援制度の創設を要求しているところであります。住宅建築物省CO2先導事業と連携をしまして、先進的な省エネ住宅整備に取り組んでまいろうと考えております。  今後とも、引き続き民間事業者の先進的な取組を支援し、住宅の省エネ化を進めるとともに、住宅市場の活性化を図ってまいりたいと考えております。
  213. 上野ひろし

    上野ひろし君 ありがとうございます。是非しっかりとした支援制度をつくっていただければと思います。  最後に、余り時間がないんですが、観光について幾つかお伺いしたいと思います。  東日本大震災の発生直後、各観光地において観光客が激減をしていたということかと思います。私も地元に伊香保ですとか水上ですとか随分温泉地もあるんですけれども、もう本当に九割、九五%、観光客が減少したという実態もございました。  観光庁として、震災発生からもう随分時間がたちましたけれども、足下の観光客の状況、各地の状況をどのように把握をされているのか、お伺いいたします。
  214. 溝畑宏

    政府参考人溝畑宏君) この東日本大震災におきます国内観光、そしてまたインバウンドも大変大きなダメージを受けました。この東日本におきましては特に甚大な影響が出ておりました。  今直近のデータでは、この四月から六月にかけまして宿泊旅行統計調査というのがございます。これによりますと、いわゆる東日本、北海道、東北、関東運輸局の管内の延べ宿泊者数は、対前年比がマイナス一七・〇%、これ全国平均のマイナス一三・〇よりも減少幅が大きい数字でございます。また、被災三県でございますけれども、避難、復興関係者、そういった被災の受入れ、そしてまた復興の関係で宿泊者は伸びておりますが、実質的な観光客の数で考えますと、例えば、五〇%以上が観光客で占めております施設のデータによりますと、例えば全国平均がマイナス二四に対しまして、この東日本のエリアはまだマイナス三四・六という大変厳しい状況にございます。  四月から六月、七月以降、政府におきましても、官民一体となったキャンペーン、また、例えば先生の群馬県におきましては群馬デスティネーションキャンペーン、様々な施策を講じまして、徐々ではありますが回復傾向があるかなと。ただ、現状といたしましてはまだまだ厳しいというふうに認識しております。更なる需要回復、需要喚起のために、三次補正案でそれらの施策について所要の措置を講じさせてもらっております。  また、インバウンドにつきましても、当初、三月十二から三月三十一日、マイナス七三・〇の減でございました。これが九月にはマイナス二四・九まで回復してまいりました。様々な安心、安全へ向けての施策を講じておりますが、更にこの需要回復を本格化すべく、三次補正案におきまして、上位五市場のキャンペーン、そしてまた十月からは十五重点市場の本格キャンペーンを再開いたします。  これからも外務省を始め民間と一体となって、本格的な需要回復に向けて全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに考えております。
  215. 上野ひろし

    上野ひろし君 ありがとうございます。私の地元の群馬もそうですけれども被災地におきまして、観光産業というのは本当に大事な産業でございまして、是非インバウンド、特に今長官の方からお話ありましたけれども、海外からのお客さんの増加も含めて全力で取り組んでいただきたいと思います。  以上で質問を終わります。
  216. 山下芳生

    ○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。  私からも台風十二号災害に絞って質問をさせていただきます。  まずは、この災害で犠牲になられた方々に心より哀悼の意を表したいと思いますし、被災された皆様にはお見舞いを申し上げたいと思います。そしてまた、この災害被災地で救援、復旧復興のために日夜御奮闘いただいている関係者の皆様にも心より敬意とお礼を申し上げたいと思います。  私も、当委員会による和歌山県それから三重県の現地と、それから紀伊半島上空からの視察に参加をいたしました。それに加えて、独自に和歌山県、奈良県の被災現場各地を歩かせていただきました。それを踏まえて質問したいと思います。  奈良県十津川村という村がございます。ここは奈良県の一番山奥の奥にある、日本で一番広い村として有名なところですが、台風十二号による記録的降雨によって村内のあちこちで土砂崩れが発生し、土砂ダムも村内に二か所あります。人的被害とともに道路や通信施設にも大きな被害が発生いたしまして、十日ほどこの村全体が音信不通となりました。  十月九日、私は十津川村役場を訪ねて更谷慈禧村長からお話を伺ったんですが、そのときの言葉が忘れられません。村長は、この村の存在意義とは何だろうと考えましたと、こうおっしゃったんですね。これは大変重い言葉だと思いました。広い村の九六%は山林だそうです。で、過疎化が進んで若者はみんな外へ出る、そこへこの大災害に見舞われたので、村を復旧させる意義について考えたということだろうと思います。村長は続けて、東日本大震災台風災害経験して、私たちの生き方を変えなければ、見直してもらわなければこの村も日本の国もなくなるのではないかと感じていますと、こうおっしゃってくれました。これも大変重い言葉だと受け止めました。  日本の国土の七〇%は山林であります。その国土を守り、都会に住む人々に食料や水を供給し、心のふるさととして安らぎを提供してくれているのは山間地に暮らす人々であり村だと思います。これまで地方切捨て、一次産業切捨てで進んできたこの国の在り方をやはり見直さなければならないということも、村長の言葉を聞きながら私は感じました。  そこで、防災担当大臣に伺いますが、今回の台風災害からの復旧復興に当たっては、こうした山村の現状、山村の思いを踏まえた国の支援が大事だと考えますが、大臣の認識を伺いたいと思います。
  217. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 今回の台風十二号の特徴は、記録的というよりも記録を破る雨が降って、それによる浸水被害が発生したこと、あわせて、大規模な土砂崩壊が起こりまして、奈良県の方はどちらかというと深層崩壊、和歌山県の新宮川については表層崩壊といった例がちょっと多かったのかなという印象を持っておりますが、大量の土砂災害が発生しまして、土砂ダムもできたということであります。そして、その背景の中には、基本的には地形の問題、雨の強度の問題等々もありますけれども、あるいはひょっとしたら山の管理の必ずしも十分に行き届いていなかったという面もあるいはあったのかもしれません。そういうことを指摘する向きもあります。  私は、大事なことは、森林の国土保全機能とか水源涵養機能とか、こういったことはもう皆さん方御承知なんですけれども、基本的に日本の山というのは、天然林は別として、管理された自然であるということが大事だろうというふうに思っていまして、こういった山々の中で、こういった中山間では今過疎化に悩んでおりますけれども、その方々が自分のできる限りの範囲の中でその山の管理をしてきたということは、これは間違いのないことだろうというふうに思います。  こういった方々がいなくなるということにつきましては、この圧倒的な人工林で占める日本の山が、人工林が多いですから、その管理の担い手がいなくなるということでございまして、その管理の担い手の確保というのは、国土保全あるいは水源涵養、こういった観点からこれは危機的な状況だというふうに言っても過言ではないというふうに思います。  そういった観点で、今回の被災地、必ず復旧させなければなりませんし、あわせて、過疎化に対してどういう対策を取っていくべきか。これは元々、木炭の需要があったりそれから木材の需要がたくさんあった時代は良かったんですが、なかなか今それも全部落ちているという状況の中で、すぐに担い手ということについての妙案というのはないというのが正直なところではございますけれども、そういったところに関しまして、これは農水省を始め、政府挙げて様々な知恵を出しながらこの対策を取っていくということが大事だというふうに思います。  いずれ、そういった村長さんのその思いというのは私も聞いていてぐさっときました。そこに住んでおいていただくということについての意義というのも私ども認識しなくちゃなりませんし、それでもやっぱり村長さんはそう言っても、私は住み続けたいという気持ちも持っていると思います。そういった気持ちを大事にしながら取り組んでいきたいというふうに思いました。
  218. 山下芳生

    ○山下芳生君 大事な御答弁だったと思います。  もちろん十津川村の村長さんも、みんなで住み続けたいという思いを、一瞬そういう思いがよぎったんだそうですけれども、その後ずっと村人を訪ねたら、頑張ろうよと、明治二十二年の大水害のときにも北海道の新十津川村に移住された方も含めて頑張ったと、今度も頑張ろうよとすごく励まされて、頑張ろうというもちろん気持ちでやっています。しかし、そういう中でも、余りにも大きな災害からどう立ち直っていくのかと。これ是非、単に経済効率だとかそういうもので見るんじゃなくて、私は都市に住んでおりますけれども、私たちも含めて、そういう地方、山間地に暮らしている方々と連携されて、私たちも一緒にその方々によって支えられているんだという思いでこの復旧復興に当たらなければならないなというふうに感じた次第です。  次に、今度の台風十二号災害では、土砂災法に基づく国による緊急調査が実施されているものだけでも、土砂ダムが和歌山県田辺市、それから奈良県五條市、野迫川村、十津川村に五か所できてしまいました。どの自治体に行っても、この土砂ダムが一番の脅威だという声を聞きます。  奈良県野迫川村を訪ねた際、中本浩三副村長の案内で北股地区の土砂ダム現場を見に行きました。お配りしている資料の一ページの写真の一、二、三がそうなんですけれども、この北股の土砂ダムの高さは約二十五メートルです。満水時の貯水量は四万立方メートル。仮に決壊し土石流が発生した場合、下流八百メートル、幅百五十メートルに被害が及んで、この四百メートル下流にある四十世帯の北股集落はのみ込まれてしまうおそれがあるというんですね。現在この地域は警戒区域指定され、住民皆さんは全員避難されておりますけれども、副村長さんと一緒にこの集落に立ちますと、この土砂ダムが非常に近く壁のように迫ってくる、そんな近さなんですね。すぐ下に人家があるという点では国が直接対応している土砂ダムの中でも最も危険性が高く、一刻も早い復旧が望まれるところだと思いますが。  そこで、まず、現在五つある土砂ダムについて、これは国の直轄で緊急の調査とそれから応急的な安全確保対策が行われておりますが、引き続き本復旧させるまで国が責任持って対処をしてほしいというのが現地の共通した要望であります。確かにこれだけの規模ですから、技術的にも財政的にもこれは一自治体ではなかなか対応できない、国が最後まで責任持って復旧させていくべきだと思うが、どうかと。これが一点。それからもう一つ、その際、復旧させるまでにどのぐらいの期間が掛かるのか、おおよその見込みで結構ですから、お答えください。
  219. 奥田建

    ○副大臣(奥田建君) 山下委員にお答えします。  それより先に、十津川村の方に入られた時期はまだ道路も寸断されていた時期だと思います。大変な御苦労をなさって現地まで入って、また村長さん始め皆さんのお声を聞いていただいたことに敬意を表したいというふうに思います。  お尋ねの五か所の土砂ダムですけれども、国の直轄ということで大臣も被災直後に視察に行かれて、私たちの方に、国土交通省の方に指示をなされました。今現在、仮排水路、水の抜け道が、安定した抜け道ができれば少し土砂の方も安定するのではないかということで、その対策に取り組ませていただいております。  その時期ということをお尋ねなされましたけれども、三か所については年内に仮排水路までは完了したいというふうに考えております。そして、その方向で取り組ませていただきます。あと二か所は土砂ダムのところまでたどり着く仮設道路の開設ということに手間取っているかちょっと困難な状況がありまして、こちらの方は年が明けての一月、二月、二月の中ごろまでに何とか仮排水路までは完了したいという取組をさせていただいております。  あと、直轄の方のお尋ねもありました。こちらの方は本格対策ということについてお尋ねかというふうに思いますけれども奈良県、そして和歌山県としっかりと話し合った上での調整をしていくと。もちろん直轄の方向も排除することなく話合いを進めていきたいというふうに考えています。
  220. 山下芳生

    ○山下芳生君 また北股に戻りますけど、北股の皆さんの思いは、願いは元の場所に戻って住みたいということなんですよ。これ写真で見ていただいたら、かなり危険な地域だなと私も思ったんですが、ここにやっぱり戻って住みたいと言うんですね。皆さんもうここでずっと暮らされて、非常にコミュニティーがしっかりされております。実際、この四十世帯、約八十人のこの地区は、野迫川村の人口が全体で五百三十人なんですね。ですから、この八十人の方がもしここに住めないとなりますと、これ中心部なんです、野迫川村の存立にも及んでくるような事態となりますので、是非またここに戻りたい、そのためには土砂ダムの安全対策等をしっかりやってほしいと。  同時に、この地図で見ますと、この一の地図の崩壊した左手に見えます、もう一つここに山があって沢が一本あるんですね。こちらの方も深層崩壊の危険があるんじゃないかというふうに住民皆さん心配されておりまして、是非この崩れたところの対策とともに、左手の山が崩れないかどうか、それ心配ないかどうか、これはもう国がきちっと調査してほしいと、専門家が、そして必要な対策を取ってほしいという要望が出ているんですが、これはいかがでしょうか。
  221. 奥田建

    ○副大臣(奥田建君) 資料の方にまた分かりやすい写真も用意していただきました。  委員指摘のように、今崩れたこの山肌の左手にある尾根というものも大変危険な状況にあるということを私も聞いております。国土交通省の方におきましては、奈良県野迫川村北股地区、そして崩壊のあった隣の谷についても現地調査を行い、調査結果というものを奈良県の方にお伝えしております。この調査結果を踏まえ、現在、奈良県の方で今後の対策を検討しているということであります。防護措置というものを奈良県の方でとられることと、ちょっとそれは私の推測ですけれども、放置しておくということはできないだろうということであります。  もう一つ、国土交通省としましては、奈良県の要請に応じて国土技術政策総合研究所及び土木研究所の土砂災害専門家の派遣を通じまして、この調査及び工法ということの相談をさせていただいております。
  222. 山下芳生

    ○山下芳生君 是非、こういう知見はやはり国に集中されておりますので、そういう役割を発揮していただきたいと思います。  次に、現在、国の直轄事業対象となっていない山崩れについて質問をします。  奈良県の五條市旧大塔町宇井地区の山崩れであります。これは資料の二ページから五ページにかけて現場の状況を付けておりますけれども、五人の方がここで亡くなられ、四人の方が行方不明となっておられます。五條市の防災課長さんと一緒に現場に行ってまいりました。報道だけ、あるいは上空から見ただけでは分からない驚くべき状況でした。台風が過ぎ去った翌日に雨が上がった九月四日の朝、熊野川現地では天の川と呼んでおりますけれども、の右岸の山腹が幅三百メートル深層崩壊いたしました。これは二ページ目の赤い線で囲ったところが崩壊した部分であります。大量の土砂がこの川を埋めただけではなくて、崩れた勢いで対岸の山腹まで駆け上がって、その駆け上がったのが青い線で囲まれた部分であります。そして、その対岸にあった旧国道沿いの高台にあった十数軒の集落が跡形もなく吹き飛ばされているという状況にありました。川は大量の土砂で一旦せき止め湖となったわけですが、数時間後に越流し始め、幸いにも一気に決壊するんじゃなくて、徐々に土砂が押し流されて取り除かれておりました。  三ページの写真が右岸の土砂の崩壊、崩落の様子です。四ページの写真は、対岸にあった被災前の集落の様子です。旧国道に沿って、これ吉野建てと言うんですけれども、道路に引っかかるように川側に住宅あるいはお店が存在しておりました。これが五ページ、被災後、集落ごと跡形もなくなってしまったと。こんなことが起こるのかと、私現場に行って思いました。これは崩落の規模がとてつもなく大きいと。ですから、これは五條市一市だけではなかなか手が付けられないと思います。  どういうメカニズムでこんなことが起こったのかという検証も含めて、私は国が主導して対策を講じるべき、復旧に当たるべきだと思いますが、この点、いかがでしょうか。
  223. 奥田建

    ○副大臣(奥田建君) 今委員指摘のように、対岸の大規模な斜面崩壊、これが対岸のしかも崖地の上の家までものみ込んだと。私も、川底から大体五十メーター近く上にある対岸の家がどうしてこういうことになるんだというお話を聞いたところでもあります。  この深層崩壊、まずこのメカニズムをしっかりと研究しなければいけないということを先に、ちょうど十月三十一日ですけれども紀伊半島の三県の皆様と、国、国土交通省のみならず各省庁の担当者の合同会議を持たせていただきまして、そこでも三県の要望として、また国土交通省の大切な使命としてそのことを確認し、またお約束をさせていただきました。  現在、ハザードマップ、深層崩壊の危険地域というものも、たしか昨年、地図で示すことができたんですけれども、それは地形であるとか、あるいは歴史的にこういった深層崩壊が起きたという記録がある、あるいは谷として水の集まりやすさ、そういった要素を重ね合わせたものですけれども、それ以外にももっと研究の中で深層崩壊の起きる要素というものはあるんじゃないかということを調査と研究をさせていただくつもりであります。  今、こちらの方も、大量の土砂、数十万立米というふうに推測されておりますけれども、この土砂が安定していない部分があるということも含めて、また行方不明の方もこの地区ではまだいらっしゃるということで、少し慎重な対応をさせていただいているという御報告とさせていただきます。
  224. 山下芳生

    ○山下芳生君 是非、メカニズムの研究と復旧、国が主導していただきたいと思います。  それから次に、台風十二号災害では紀伊半島各地で川に堆積した土砂が大量に出現をいたしました。河床と言うんですか、これが何メートルも上昇して、放置すればはんらんの危険性を高めるという事態にあります、しゅんせつが急がれますけれども。ところが、これ非常に狭い山間地で川がはんらんして河床が上がっていますので、しゅんせつしても土砂の捨場がなかなかないという問題が各地で見られます。  十津川村の村長さんは一つのアイデアとして、山の中を川が蛇行しているので蛇行している部分をショートカットして、この蛇行部分を土砂を置いて土地にして利活用するということも考えておられました。現に、過去、そういう状況で、一つ公共施設を造ったり広場を造ったりされているところもあるんですが、見てきましたけれども。  そういうことも含めて、この河床の土砂の大量なものを処分していく、片付けていくということをやらないと駄目だと思うんですが、これもまた自治体任せではなかなか大変だと、国の支援が求められていると思いますが、いかがでしょうか。
  225. 奥田建

    ○副大臣(奥田建君) 今、十津川村の村長さんのアイデアというものも紹介していただきましたけれども、大体、奈良県の調査で、概算ですけれども、河床、川底の方が四、五メーター土砂で上がっているんじゃないかということを聞いております。人工衛星なんかで国交省が推測した、これは川に来た土砂ではありませんけれども、動いた土砂といいますか、そういったところで一億立米ぐらいの土砂があちこちでの土砂災害として発生しているのではないかという概算の推測というものも持っております。  この状況の中で、奈良県においても河床掘削ということは計画しているということを聞いておりますけれども、これを元のとおりに川底を下げるということをすると、やっぱりその土砂の置場あるいは運搬ということが大変困難な作業になってくるというのも現実であります。  この処分場所あるいは有効活用というのは、奈良県、あるいは今御紹介ありました十津川村や、あるいはダム事業者、管理者、こういった方々とも十分に調整してまいりたいと。今、ショートカットするということも御紹介いただきましたけれども、それも一つの方法として検討の中に入れていかなければいけないとは思いますけれども、安易にショートカットしますと今度河川の勾配が変わるということで、また水の流れをしっかりと予測してそういう作業は掛からなければいけないことだというふうに認識しております。
  226. 山下芳生

    ○山下芳生君 次に、十津川村村長さんのお話では、十津川村に流された流木が十年分の量になるというんですね。これを廃棄物として処分するんじゃなくて資源として利用していく方法はないかと、こうおっしゃっておりました。その思いは、流木の処理を通じて村おこしをしたい、村を活性化させたい、さっき言ったような思いがありますから、是非これで村を元気にさせたいという思いなんですね。  いろいろ村としても研究をされているようですけれども、国としても研究支援をする必要があると思うんですが、いかがでしょうか。
  227. 岩本司

    ○副大臣(岩本司君) 十津川村の土砂ダムにたまった流木の資源としての活用について、山下委員にお答えを申し上げます。  森林整備加速化・林業再生基金におきまして、間伐材等の木質バイオマスを利活用するチップの製造施設ですとか木質バイオマスボイラー等の整備支援をしているところでございます。土砂ダムにたまった流木が収集された場合には、本基金を利用して、間伐材等と併せて、要は臨機応変にバイオマス資源として活用することは可能でございます。しっかり取り組んでまいります。
  228. 山下芳生

    ○山下芳生君 是非その思いにこたえる支援を強めていただきたいと思います。  次に、医療機関の災害復旧支援について質問します。  仮設診療所への支援制度がないというのが、今ちょっとネックになっていると思います。  奈良県五條市立大塔診療所の場合、近くで土砂崩れが発生いたしまして、避難指示が出されている区域に診療所があるので利用できません。現在、大塔支所の建物内で診療を継続していると聞いておりますけれども、過疎の旧大塔町地域でこの診療所が唯一の医療機関なんですね。年間延べ患者数は、時間外を含め約二千三百から三千人。一日平均十五人程度ですが、交通の便利な都市部と違って、この診療所がなくなれば大塔地域に住み続けることはできないと。土砂崩れの復旧に要する時間を踏まえれば、設備も移動したちゃんとした仮設の診療所が要るというふうに思います。  それから、和歌山県古座川町町立明神診療所、ここは床上二メートルの浸水被害を診療所自身が受けまして、設備もつかりました。古座川町は人口三千人、約一千八百世帯の町ですけれども、二つの町立診療所と一つの開業医さんで住民の医療をカバーしております。町立明神診療所はその南半分の地域、約九百世帯をカバーしているわけですが、浸水したので当面は高台にある教員住宅を改築して仮設診療所を開く予定にしております。その改築のために八百万から一千万円費用が掛かるそうですが、残念ながら今は支援の国の制度がなくて、町の単独事業として、これは負担は大きいけれども地域住民に不可欠の診療所なのでやろうというふうにされております。  したがって、こういう被災の現場へ行きますと診療所が仮設でやっぱり早く再開するということが求められているんですが、国の支援がない。これはやるべきじゃないですかね。
  229. 藤田一枝

    大臣政務官(藤田一枝君) ただいま御指摘をいただきました仮設診療所への支援ということについては、今支援がないという委員からのお話もございましたとおり、現状そのような状況になっております。  これは、いろんな検討をしなければいけない面もあるやに聞いておりますけれども、いずれにしても、被災地皆さんの医療の確保ということは大変大事なことでございますので、当該自治体あるいは当該県とも十分協議をさせていただいて、被災地皆さんの安心の確保、医療の確保には努めてまいりたいと思います。そういう、今現在、仮設診療所への支援ということをこの場で即答するということはちょっと困難な面もございますけれども、しかし、いずれにしても、その趣旨を踏まえて医療の確保に当たりたい、このように考えております。
  230. 山下芳生

    ○山下芳生君 東日本大震災では、これは一次補正で予算が付いて支援がされるんですね。これは、災害の全体の規模は違いますけれども、一自治体にとってみれば、非常に山間地の小さな財政規模の自治体で大きな災害ですから、やっぱり苦しさはそんなに差別できないと思うんですよね。是非検討をいただきたい。  これ、大臣、ちょっと政府内で調整していただけませんか。
  231. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 被災地における、後で学校の災害復旧も多分質問に出てくると思いますけれども、あるいは学校復旧、あるいは医療施設が被災したところの復旧、これはもう切実な要望として上がってきています。そういった声について、できるだけの対応をするというのが政府の役割であろうというふうに思っています。ただ、今までの災害との、いろんな対応との公平性等々の問題もありますので、そういった観点も含めて検討するということが大事だと思います。  ただ、今言った、最低限の医療、教育サービス、これは確保しなければならないということは我々の使命だということはしっかり認識して取り組むことが大事だというふうに思っています。
  232. 山下芳生

    ○山下芳生君 もう次のお答えもしていただいたんですけれども、医療施設の災害復旧事業における新築、移転新築ですね、これは是非必要だと思います。  先ほどの古座川町立の明神診療所は、平成十年にも浸水被害がありましたので、きちっとした診療所の建て替えに際しては別の場所に造る必要があるというふうになっています。もう一回水害が起こることが分かっているところに再建するのでは住民の理解も得られないという声が出ておりますので、こういう仮設じゃなくて、きちっと新しい診療所を造る際、災害復旧事業として場所は違うけれども支援がされるべきだと思いますが、この点いかがですか。
  233. 藤田一枝

    大臣政務官(藤田一枝君) 診療所等々の医療機関の再建に関しては、これは今御指摘がありましたように、移転が必要だということが明確に判断されれば、必要な範囲内においてきちっと補助の対象にしていくということだと思います。
  234. 山下芳生

    ○山下芳生君 続いて、地域医療再生臨時特例交付金について質問したいと思います。  被災地計画されていた事業では、この計画の期限の延長など柔軟な運用が求められていると思います。  奈良県の南和地域、面積では奈良県の半分以上を占める広い地域ですけれども、一市三町八村から成っております。これまで三つの公立病院と九か所のへき地診療所で連携してこの広い地域医療を賄ってきました。この地域の救急医療など、中核的な役割を果たしてきたのが大淀町立大淀病院であります。医師不足、看護師不足の中、過疎化が進んでいる奈良県南部のへき地診療所への支援もこの大淀町立大淀病院が担っているわけですね。町外からの患者が六割を占めるということで、命と健康のこの地域のとりでになっております。年間の救急搬送も三千件以上。  この大淀病院が老朽化になりまして、建て替えをしようと。その際、五條市立五條病院の改修、吉野町立吉野病院の改修とセットで、先ほど申し上げた地域医療再生臨時特例交付金を活用してやろうという計画が進んでいたんですが、ところが、今度の災害で南和地域十二市町村のうち九市町村災害救助法適用されるという大きな被害を受けたために、災害の復旧のための事業がやっぱり優先されるということで、この病院の建て替え計画などは後回しとならざるを得ないんではないかという心配が出ております。  そうすると、地域医療再生臨時特例交付金を活用する事業計画となっていたんですが、交付金交付の要件となっている着工時期がちょっと、二年とかいうことになっているそうですが、オーバーしちゃう可能性があると。これは災害を優先させることによってその期間がちょっと遅れるということは、弾力的にちゃんと適用されるようにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  235. 藤田一枝

    大臣政務官(藤田一枝君) 今御指摘の内容については、やむを得ない理由によって実施期限の延長が必要になった場合は、厚生労働大臣の承認によって実施期限の延長をすることができるということになっておりますので、具体的な都道府県からの状況等を御説明いただいて、適切に対応してまいりたいと思います。
  236. 山下芳生

    ○山下芳生君 ちょっともう時間が余りなくなってきましたので、学校の問題についてまとめて質問をさせていただきます。  和歌山県田辺市本宮小学校で給食室が浸水被害に遭いました。これは復旧が今検討されているんですが、従来、百五十人規模の給食能力があった施設だったんですが、現在、生徒さんが減って八十人規模程度での復旧を検討しておられますが、原形復旧が原則だということを考えると、これちょっと適用されないんじゃないかという心配がある。そんなことないですねというのが一点。  それから二点目に、田辺市上芳養小学校のプールが被災いたしました。学校から離れた割と川に近いところだと思うんですけれども、そこが被災しました。今度やっぱり新築する際、復旧する際は、もう浸水しないような学校のすぐ近くにプール造りたい。それでもちゃんと復旧事業対象になるのだろうかという心配をされている。この二点、いかがでしょうか。
  237. 城井崇

    大臣政務官(城井崇君) お答えを申し上げます。  まず、本宮小学校の件からでありますけれども、仕組み上で申しますと、公立学校施設の災害復旧制度におきましては、原形に復旧することが著しく不適当な場合等には、給食設備を従前の規模よりも小さな形で新たな設備を復旧することも、従前の効用を復旧するものであれば国庫負担の対象となるというふうに考えます。  そして、上芳養小学校のプールの件でありますけれども、これも先ほどの仕組みの面で申しますと、原形に復旧することが著しく困難な場合等には、場所を変えて新たなプールを整備をすることも、従前の効用を復旧するものならば国庫負担の対象となると。また、災害復旧事業対象とならないプール整備についても、老朽化等によって移転して改築をする場合に、学校体育諸施設整備事業などとして国庫補助の対象となり得るというふうに考えております。  いずれにいたしましても、今両件とも文部科学省として相談を始めておりまして、お話を伺っております。しっかりと被災状況、要望等をお聞きをいたしまして、適切に対応いたしたいというふうに思います。
  238. 山下芳生

    ○山下芳生君 次に、水道施設の復旧について質問したいと思います。  今回の台風で大きな被害を受けているのは山間部で、小規模な水道施設が点在する地域であります。一つの自治体が多数の小規模水道施設を持っております。また、飲料水供給施設と呼ばれる百人以下の小規模施設も多数被災をいたしました。国は市町村が行う水道事業に対し国庫補助を行っております。これは通常は三分の一です。災害復旧の場合は二分の一。しかし、給水人口五十人以下は国庫補助の対象外となっております。  しかし、ここが今回被害が多く自治体の負担が重くなっているので、二点、質問いたします。一つは、被災した水道施設の災害復旧について、五十人以下の施設であっても国庫補助の対象にすべきではないか。二つ目に、水道事業は激甚災指定による財政支援対象となっていないんですが、激甚災指定対象にすべきじゃないか。この二点、いかがでしょうか。
  239. 藤田一枝

    大臣政務官(藤田一枝君) 今委員の方からお話がございましたように、水道というのはライフラインで非常に大事だということでございますので、御指摘の点は大変重要な観点だとは思いますけれども、現行法では給水人口百人を超える水道事業を認可の対象にしている、国庫補助の対象についても五十人以上百人未満という形になっておりまして、今お話がありました五十人未満の地域については国庫補助の対象としていないというのが現実でございます。その小さい集落に関しては、県なり自治体なりの御努力を今お願いをしているというのが現状でございます。  それから、激甚災害の件でございますけれども、これも一般会計から支出をしている道路や河川などの公共土木施設、学校などを対象にしているということで、水道というのは地方公営企業になっておりますので、その対象から外れているというのが現行法の立て付けでございます。  しかし、非常に重要な視点でございますので、これはまたいろんな角度から検討はしなければいけないことであろうとは思いますけれども、現状はそういう状況でございますので、御理解をいただきたいと思います。
  240. 山下芳生

    ○山下芳生君 現状が合わなくなっているということだと思うんですね。  それで、いろいろ聞きますと、これは大臣とちょっと、検討いただきたいので、また御意見を伺いたいんですけれども、水道事業は五十人以下の場合は、これは市の施設じゃない、共同施設だとか個人の所有になっているということがあったり、それから、激甚災の指定にならないのは、これは料金収入で賄うことができるから他の公共事業とは違うんだと、まあそういうことのようです。  しかし、奈良県も給水人口を十人以上にしてほしいという要望を出されております。やっぱりそういうところは多いんですね。それから、和歌山県田辺市についてちょっと調べますと、国庫補助の対象となる給水人口五十人以上の水道復旧事業事業費だけで今回一億五千万円、市の負担は七千万円になります。さらに、国の支援対象とならない小規模施設が市内に百四か所、飲供と言われる施設があって、そのうち被災が五十五施設あります。ここは全然対象にならないんですが、しかし、これはほっとけませんから、原材料費として一千五百万円を市独自に支給し、そのうち被害の大きかった十七の施設には本格復旧させるために県と市と地元負担とで約三千万円の復旧事業が必要とされていると。やっぱり物すごくお金が掛かるんですね。  それから、田辺市の場合、上水道は黒字ですが、簡易水道は赤字です。規模が小さくなればなるほど採算が取れずに起債も増えていると。二十二年度の簡易水道事業費は三億八千万円でしたけれども、使用料の収入は一億八千万円。国の補助が九千万円あって、一般会計からの繰入れが一億六千万円。ですから、料金では賄えていないんです、全然。これは全国同様だと思いますね。  それから、個人の財産になるからと。これはもう住宅のときもそうでしたけれども、やっぱり水というのは人間が生存する上で不可欠ですよね。これ、財産だから持っている人はいないですよ。生きるのに必要だから、みんなそれぞれ集落で工夫してそういう施設を造っているわけですね。山間地では、二十人、三十人住んでいればもう物すごい重要な集落ですよね。そこが生きるために必要な施設が個人の財産だから支援できないというのも、これもおかしな話だと思います。  ですから、やっぱり厚労省のこれまでの説明は現実に合っていない。これだけの災害で、そういういろんな要望が出ているわけですから、これは是非、これも政府間で真剣に実態と突き詰めて、論理もやっぱり合わない面があると思うので、是非真剣に検討していただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  241. 平野達男

    国務大臣平野達男君) 議員の問題意識、よく分かります。  二つの考え方が今聞いていてあるのかなと。一つは、個別の水道施設の復旧をどうするかという考え方と、それから被災自治体の財政全体でどういう影響が出てくるかという考え方と二つあるんだろうと思います。  個別の施設につきましては、いろんな今までの制度でいくとどうしても一種の採択基準というのがありまして、それを弾力的に運用するということは大事なことでありますから、これは各省庁でも引き続き実情に応じての検討をしていただくことが大事だと思いますが、あわせて、こういったもの、特に山間地域の中では小渓流取水とか井戸とか、そういったものが何戸かで共有しているものがあって、それらが数々の被災をしているということに対しましては、多分、市町村としては何らかの補助を出さなくちゃならない。その補助を出すことによって自治体の財政が非常に逼迫するとなった場合に、これはいわゆる地方交付税、特別交付税という形で、どういう形で補填をするかとか、その二つのやり方があるだろうと思います。  ここについては、この地域状況をちょっと私も踏まえまして、総務省なりとともいろいろ相談をしてみたいというふうに思います。
  242. 山下芳生

    ○山下芳生君 総務省にも昨日聞いたんですけれども、総務省はできないと言うんですよ、個人の財産だからと、交付税措置できないというのはね。これもおかしな話ですから、個人の財産じゃない、住民が生きるために必要な施設だという観点で是非これは調整いただきたいと思います。  最後、もう時間ないんですけれども、梅の問題について、和歌山の、これは是非一言言いたいと思います。  和歌山県は、梅、ミカンが主要な農産物ですけれども、特に梅は、急傾斜地ほど日当たりが良く、それから傾斜を利用して梅の実が自然に落下して、それがネットの上をころころと転がって収穫できるということで、そういうところで栽培されるんです。これが今度の災害で崩落をした場合が多いんですね。私の友人の和歌山の梅農家の方も、二町五反作っているけれども一反は崩壊しちゃったと。梅干しのシーズンで、干している作業で余り気付かなかったけれども、この何週間かの間にもうあんなに崩れたのかとおののいているという状況でしたが。  ところが、この農地の復旧の際、斜度が二十度以上だと対象にならないということがあるようで、これは和歌山県知事も挙げてこれは何とかしてくれと、和歌山の主要農産物である梅が被害に遭っても救われないのは駄目だという声が出てるんですが、これも是非ちゃんと適用されるようにすべきだと思いますが、いかがですか。
  243. 松下新平

    委員長松下新平君) 時間が超過しておりますので、簡潔にお願いします。
  244. 岩本司

    ○副大臣(岩本司君) 委員指摘のとおり、また御承知でもあると思いますけれども、傾斜が二十度を超える農地につきましては現在では対象外となっております。  しかしながら、台風十二号による被害の多かった和歌山県田辺市に近畿農政局の職員をいち早く派遣して、樹園地等の被害状況にかかわる詳細な調査等を現在も引き続き実施いたしておるところでございます。その結果を踏まえて、県及び市と打合せを行いながら、各種交付金の活用等も含めて検討を進めております。
  245. 山下芳生

    ○山下芳生君 終わります。
  246. 松下新平

    委員長松下新平君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時二十二分散会