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谷垣禎一君 私は、自由
民主党・無所属の会を代表して、先般の
野田総理の
所信表明演説、
安住財務大臣の
財政演説について質問いたします。(拍手)
冒頭、
東日本大震災並びに相次ぐ台風の被害によって不自由かつ不安な日々をお過ごしの皆様に対し、心からお見舞い申し上げるとともに、地域における
復旧復興に向けて、
自民党は引き続き総力を挙げてまいることをここにお約束いたします。
また、先般の
タイ王国大
規模洪水及び
トルコ共和国大地震災害に対して、
政府においては最大限の
支援策を講じることを強く求めます。
さらには、歴史的な円高の影響によって、多くの企業が厳しい経営を強いられております。
政府は、本日、
市場介入を行いましたが、引き続き市場に対して断固たる姿勢を示すよう求めます。
さて、
政権交代より、はや二年の歳月が過ぎ、その間、
民主党政権において三代目の
総理に至りました。我が
自民党も、
小泉総理で総選挙を行い、その後、三人の
総理がかわったことは公平に述べておかねばなりません。
しかし、その際に、
野田総理、あなたは、
与党の
トップが交代する際には民意を問うべきであると言われたことを覚えておられるでしょうか。今もその意見は変わりありませんか。
この二年間、
民主党の、絶え間ない内紛、
統治能力の欠如によって国政の著しい停滞を招き、内政、外交にわたって多大なる国益の損失をもたらしました。これを
民主主義の
コストとして安易に片づけてしまうことは、到底許されません。
国際社会においては、来年の
主要国における権力の
移行期を控えつつ、
欧米諸国の
財政リスクが顕在化し、他国を顧みるゆとりもなく、ひたすらみずからの国益を追求して、しのぎを削り合う情勢にあります。
一方、国内に目を向ければ、
少子高齢化は急速にその進行の度を深め、経済の高成長、それによって立つ財政の分配を期待する
経済社会システムは、もはや昔日のものとなりました。その上に、この
大震災が我々を襲ったわけです。
これらを踏まえれば、
民主党の
政権担当能力を磨くための
授業料を支払う余裕が残されていないことは、
国際情勢からも、
国民の
懐ぐあいからも、明らかであります。
また、
民主党政権における
マニフェスト施策の実現が進まないどころか、後退、違背を繰り返すことによって、
国民との
契約違反の状態が続いております。
野田総理は、その不履行の要因として、
景気後退による
税収減、
ねじれ国会、
東日本大震災、この三つを挙げています。しかし、これらはすべて、無駄を省いて
財源を確保することで施策を実施するという
マニフェストの
基本構造に対しては、何ら
関係がありません。どれが無駄の
削減策を左右し得たのでしょうか。震災前の昨年末に
野田財務大臣のもとで編成された平成二十三年度
予算において、十六・八兆円と言っていた
マニフェストの
実行額がわずか三・六兆円にとどまっていたことこそ、その
構造的欠陥の明らかな証左です。
国民は、さきの総選挙で票という代金を支払ったものの、約束された商品を受け取れないままとなっております。うそをついて奪い取った政権はそのままに、誠実な履行をすることができないのであれば、根強い
政治不信を払拭することもできず、
国民は、
コストをひたすら払い続けるのみです。
これらの厳然たる事実を、
政権運営に当たる
野田総理においては十二分に認識すべきと考えますが、いかがでしょうか。
さて、平成二十三年度第三次
補正予算案と
東日本大震災に係る
復興財源の確保のあり方について、我が党の
基本的考え方を申し述べつつ、
政府・
与党の
考え方をただしてまいります。
初めに明らかにしておきますが、我が
自民党は、七月八日には、総額十七兆円の
震災対策を公表しております。その
財源のうち、
歳出削減や
税外収入で賄えない分について
復興債を発行することとし、その信認を担保するために、
所得税、
法人税等の
付加税により償還の道筋を明確にすべきであると、いち早く表明しております。
我が国財政事情は深刻さをきわめており、
東日本大震災からの
復旧復興対策経費が巨額に上る中で、いかに
財政規律を確保するかという
基本的認識において、
政府・
与党と私どもとは違いはありません。
しかし、今回の
政府・
与党の三次
補正予算案と
復興財源確保法案は、我が党の取りまとめから三カ月半以上おくれている上、その間、内容についてよほど詰めが進んでいるのかと思いきや、
国民の皆様に
負担を求めるにしては、随分粗っぽい、いいかげんな案を出してきたとの印象であります。
国民の皆さんに
負担を求めるためには、丁寧な説明と合理的な
制度設計が必要であります。
政府・
与党の案はその双方の要素に欠けており、運び方も、案の内容も、
稚拙そのものです。このような
政府・
与党が、今後、
消費税でさらに大きな
国民負担をお願いすることに取り組むというのであれば、その資質からして、大いに疑問を抱かざるを得ません。このことを、質問を通じて明らかにしてまいる所存です。
我が党は、第一に、現在の
政府・
与党案の
復興債の
償還期限が十年とされているのは短過ぎると考えており、その大幅な延長を求めております。
理由としては、まず、千年に一度という
大震災の
復旧復興経費に係る
財源調達を現世代の
負担によってのみ賄うとすれば、現世代が前後の世代と比較して、
大震災があったばかりに過重な
負担を強いられることになり、不公平と言わざるを得ません。特に、
復興による受益を後の世代が享受することを踏まえれば、世代をまたいで
負担を分かち合う必要があります。
しかも、
復旧復興経費の内容を見れば、三次補正で計上されている
全国防災対策費などは全国で行われる
ハード事業であり、中身において、通常の
建設公債発行対象経費と明確に区別が可能なものとは到底思えず、
復興債及びその
償還財源としての
税制措置で賄わなければならない理由がわかりません。
また、我々は、単に、長く
償還期限を延ばせと申し上げているつもりはありません。
我が国財政に対する市場の信認を高める上で大事なことは、償還の道筋をしっかりとつけることであって、
償還期間を
いたずらに短くすることではありません。
政府・
与党は、この点を混同しております。
さらには、
我が国財政の今後の課題を見据えれば、
いたずらに短く設定することには疑義があります。
我が国は、
基礎的財政収支の
黒字化などの
財政健全化目標を設定しており、その達成に向けて、
消費税を含む
税制抜本改革は避けられません。目先の性急な
復興財源確保のみにとらわれず、マクロの
財政健全化の
取り組みとの
関係にも配意し、
償還期間を長くとることで、その
負担を薄いものにしておく必要があります。
そこで、
総理に質問いたします。一つ一つお答えください。
まず、三次
補正予算に係る
東日本大震災復興経費十一兆七千三百三十五億円のうち、
公債発行対象経費とそれ以外は幾らずつか。言いかえれば、この部分について、今回のような異例の対応ではなく、通常の公債の
追加発行による対応をとった場合、
建設公債、
特例公債はそれぞれ幾らとなったのか、伺います。
その上で、それらについて、
建設公債等によらず、あえて
復興債及びその
償還財源の確保のための
税制措置という
スキームによることとした理由を改めて伺います。
次いで、
政府・
与党案では
復興債の
償還期間が通常の六十年
償還ルールに対して十年と大幅な短縮がなされたことについて、いかなる理由づけがあるのか、お答えください。
さらには、そこまで
償還期間に差を設けるからには、債券の発行で賄われる事業の性質についても明確な差が認められるのでしょうか。例えば、
全国防災対策経費の定義は何か、単なる
公共事業が紛れていることはないのか。両者を区別する基準は何でしょうか。
さらに伺いますが、
消費税の
取り扱いなどを含めて今後の
財政健全化への
取り組みが具体的に固まっていない中で、短い
償還期間を設定して単
年度当たりの
国民負担を大きなものにしてしまうことが、今後の
取り組みへの足かせとなるのではないでしょうか。
これらに対する答弁を踏まえた上で、改めて、
償還期間の
大幅延長を求めている我が党の見解に対するお答えをいただきたいと存じます。
第二に、我が党は、二十三年度
予算における
子ども手当の
減額措置に伴って、
特例公債を減額することを求めております。これは、
民主党の
マニフェスト施策を目のかたきにして、その
歳出削減に見合う
特例公債減額を立てることであえて辱めに遭わせようとしているわけではありません。
子ども手当の
見直しの要因を震災に求めることが筋違いだと申し上げているわけです。
そもそも、
特例公債発行額を極力圧縮するというのが
財政運営の
基本ルールであり、
特例公債の発行によって全体の
予算が賄われている以上、歳出の削減を行う一方で
建設公債発行対象経費の増額が行われた場合、
特例公債を減額して
建設公債に振りかえるのが
補正予算の通例であるはずです。なぜ、今般はそのような対応をとらないのでしょうか。
政府・
与党が、
マニフェスト政策については
特例公債に頼らず
財源をきちんと確保したという建前と、
復興債と
建設公債を同時発行しないことにこだわる余りに、
特例公債発行の減額に努めるという
財政運営の
基本ルールをないがしろにしてしまっているのが今回の対応ではないかと考えますが、いかがでしょうか。お答えください。
そして、このような対応を今後も踏襲していくとなると、二十四年度以降の当初
予算についても、
復興財源となる
歳出削減分については、その見合いとなる
復興経費に
幾ら公債発行対象経費があっても
特例公債発行額を減額しない措置をとり続けることになりかねませんが、それでよろしいのでしょうか。本来圧縮できるはずの
相当規模の
特例公債発行額が毎年度圧縮できないということになってしまいますが、そのことは
財政運営として妥当なのか、あわせて御回答願います。
以上を踏まえた上で、改めて、今般の三次
補正予算、さらには二十四年度
予算以降における
子ども手当の
歳出削減分を
特例公債減額に充てることを求めます。
第三に、我々は、
復旧復興経費を管理する
特別会計の創設を求めています。
今回の
政府・
与党の
復興財源確保の
スキームが、余りにいいかげんで、
国民にとって受益と
負担の
対応関係が見えにくいものであることを踏まえると、
特別会計の創設は、いよいよ必要となります。それにより、
復興経費は新たな
特別会計で管理されることとなるため、その他の経費との
差別化が進み、単なる通常の
公共事業関係費が
全国防災対策費として
復興経費に紛れ込んでくるようなことも防がれていくと考えられ、
B型肝炎対策との区分も明確になります。
税財源が確保されている
復興事業の
進捗度合いが明確になり、今後、
国民からも、さらなる税制上の措置が必要な状況にあるのかどうかということが見えやすくなります。
復興を名目に講じられた
税制措置による
増収分が、他の事業に費消されることなく、必ず
被災地向け歳出に充てられることが明確になることで、
国民の
納税意識も高まるものと考えます。
政府・
与党は、今回の
復興財源確保の
スキームについて、よくよく居ずまいを正した上で、
国民に増税の理解を求めていくべきです。
特別会計設置に関する
野田総理の見解を改めて伺います。
復興財源としての
税外収入、
歳出削減をめぐっては、
前原政調会長と
政府側とで、
増税額をめぐって行ったり来たりのやりとりが続くという
混迷ぶりを見せつけましたが、相変わらず
取り扱いがすっきりしておりません。
関連してお尋ねしますが、
国家公務員給与特例法案による
国家公務員給与の
引き下げ分は
復興財源にカウントされている一方、二十四年度
予算などで連動して行われる
地方公務員給与に係る
地財措置、さらには
義務教育国庫負担金や
独立行政法人運営費交付金の
見直しなどによって生み出される
財源については、
復興財源に使うのではなく
財政再建に使うとの報道もあり、現段階では
復興財源としてはカウントされていないようです。
しかし、やはり
公的部門全体で捻出する
復興財源として整理することが適切であり、今後、
復興経費の増加が確実な中で、これ以上
税負担をふやさないために用いるべきと考えますが、いかがでしょうか。
次に、
社会保障・
税一体改革について伺います。
先般、
五十嵐財務副大臣が、二〇一五年度までの
消費税率の一〇%への
引き上げは二段階に分けて行い、その第一
段階目は再来年秋の
衆院任期満了後に行う旨を示唆しましたが、本来、財政や経済の状況を踏まえ決せられるべき
消費税率の
引き上げのタイミングが、それらとはおよそ
関係ない
政治日程との
関係で決まるというのは、いかにもナンセンスであり、いかに
マニフェストとの
関係で
民主党が
消費増税の検討を行うことが破綻を来しているかのあらわれであります。
そもそも、あなた方が
法案提出のよりどころとしている
消費税を含む
税制抜本改革の規定を含む平成二十一年度
税制改正法に、
民主党は反対されたのではありませんか。さきの総選挙における
マニフェストには、
消費税について一言の言及もありませんでした。当時の
鳩山代表は、
消費税は二十年間上げないことを公然と述べておられました。
社会保障・
税一体改革は必要な政策ではありますが、ここでもまた
国民に対して
言行不一致な行動をとろうとするあなた方は、票を投じた有権者にどう説明するのでしょうか。
また、平成二十一年度
税制改正法附則第百四条との
関係で今年度内に具体的な
法案提出ということになれば、年内にはその概要を固める必要があります。しかし、議論の時間が余りに不足しています。
六月に成案を取りまとめて以降、
社会保障機能強化の
進め方等、具体的な検討が進んでいるようには聞こえてきません。
複数税率など
逆進性対策をどうするのかといった受益と
負担の
関係も全く見えないまま年末までの二カ月ですべてを決めてしまうことには、相当無理が伴います。
このように、無理に無理を重ね、
国民に言ったことと違う政策を押し通そうとするあなた方の
社会保障・
税一体改革への
取り組みの前途は多難と考えますが、
野田総理としては、この窮屈な日程の中で具体的なスケジュールをどのように進めていこうとされているのか、具体的にお示しいただくとともに、改めて御決意を伺います。
過去二代にわたる
民主党政権によって
我が国の外交の基盤は大きく揺らぎ、今や、その
失地回復にのみきゅうきゅうとせざるを得ないのが現状であります。普天間基地移設問題についても、その迷走によって米国との
信頼関係を大きく損ねたために、
政府・
与党は、そのツケをなりふり構わず返そうとしているかのように見受けられます。
TPP交渉への参加をめぐっても同様であります。
そもそも、
日米関係において日々の
情報交換や
意見調整等が円滑になされていれば、このような切迫した事態に陥っていなかったはずであります。また、国益にかかわる
重要事項にもかかわらず、
政府が情報を提供しないため、参加の可否を判断するための
国民的議論が全く熟しておりません。それに加え、
藤村官房長官や
前原政調会長は交渉途中の離脱の
可能性を明言されていますが、入り口から逃げ腰の国を相手に、他の
参加予定国が真剣に向き合うことはあり得ません。
これまでの経緯から昨今の騒動まで、極めて稚拙な取り運びとなっていることについて、
民主党並びに
野田政権の責任は極めて重いものと考えますが、その点について
総理の見解を伺います。
いずれにせよ、
我が国は、世界に物を売って、自国で賄い切れないエネルギーや資源を買って成り立っている以上、
自由貿易体制を志向せざるを得ず、その中で
国内産業にも十分な目配りをする。その際、不断の
外交努力でみずからの国益を主張し他国の譲歩を可能な限り引き出すとともに、
国内産業に対しては、不安と弊害を払拭すべく、
財源に裏づけられた対策を適切に講じていくことが、
我が国の
基本戦略ではないでしょうか。前者は先ほど指摘しましたが、後者についても、その対策が不十分なものと考えます。
民主党政権は農家の
戸別所得補償制度を推進していますが、これは、基本的には
価格差補てんの仕組みであります。したがって、
関税障壁が除かれて
市場価格が払底しても、これより高い
生産価格との
価格差を補てんすることで、
TPPへの一定の
対応策にはなります。しかし、
価格差が拡大していけば、それを埋めていくための巨額の
財源を要します。
TPPで
輸出企業に、
戸別所得補償で農家にもいい顔をし、その結果、
財源はないとなれば、まさに、あの
詐欺マニフェストと同じことであります。
そもそも、
財源が限られた中では、頑張って
競争力を発揮できる農家には担い手として支援するとともに、農業の
多面的機能の観点からも直接支払いを中心として支えていくといった、
政策目的に応じた
農業政策こそが求められるものと考えます。その見きわめもないままばらまくのみでは、
財源は枯渇して、結局は農業を守ることもできず、
民主党が五〇%まで掲げた
食料自給率は見る見る低下し、農村は荒廃し、
過疎化が進む一方となります。
政府においては、積極的に情報を開示し、今後の確たる展望を示すことで
国民の議論に供するよう、強く求めます。
APECも差し迫っておりますが、
TPPがもたらすメリット、デメリットは具体的に何か、
TPP交渉に参加するのか否か、
野田総理の明確な答弁を求めます。
野田総理が
早期成立の意欲を示しておられる
国家公務員給与特例法案について伺います。
我が党は、
国家公務員の
給与引き下げ自体に反対しているわけではありません。
協約締結権と
セットであることを問題視するとともに、
人事院勧告を実施した上で、さらに深掘りすべきと考えております。これによって、
地方公務員等を含め、より大きな削減が実現できるわけです。
さて、本
法律案は、その
策定過程で、自治労、日教組が大宗を占める
職員団体と交渉を行った結果まとまったものと承知しており、官が身を切るという、一見改革的でありながら、組合配慮ありきの
法律案であるとすれば、働きアリの税金にシロアリがたかる構図が
総理の足元で始まっているということとなりかねません。
その点に関して、まずは、
協約締結権の付与を行う
国家公務員制度改革関連四
法案との
関係を確認いたします。
給与特例法案が仮に
協約締結権の付与と
交換条件になっているとしたら、本
法案は
組合天国への誘い水であるということになり、論外であります。
連合などは、ホームページで、十月十一日の
政府との
トップ会談における、
国家公務員制度改革関連法案と
国家公務員給与特例法案を同時期に成立を目指すという
基本姿勢は変わっていないという
関係閣僚の答弁を成果として喧伝していますが、これは事実でしょうか。四
法案との
セットを組合と取引しているとすれば、
復興財源捻出を装いながら、実際は
協約締結権の
取得対価としての手あかにまみれた
引き下げ法案であることになり、我々としては、審議にも値しないということになります。
この答弁をした閣僚を明らかにしていただくとともに、事実であるとすれば、撤回を求めます。事実でないとすれば、この答弁を否定し、四
法案の処理とは完全に切り離す旨をこの場で明言してください。
重ねてお尋ねします。
政府は、
閣議決定において、
国家公務員給与特例法案は
人事院勧告の趣旨を内包しているとして
人事院勧告不実施を決めましたが、
人勧の趣旨は、
労働基本権の制約の代償に尽きると言って過言ではありません。
給与特例法案は、
人勧どおりの
マイナス〇・二三%ではなく、
マイナス七・八%にまで
労働者の給与を一段と大幅に引き下げるわけですが、これのどこが、どうして、その趣旨を含むことになるのでしょうか。含んでいないとすれば、虚偽の
閣議決定であったということになりますし、
人勧無視の
憲法違反ということになります。含んでいることになれば、それこそ四
法案とは連動しないものであることが明らかになるので、四
法案の棚上げを求めます。この点の確認をお願いいたします。
なお、内包しているという
閣議決定がそのとおりであれば、
独立行政法人、
義務教育国庫負担金を初め、
国家公務員給与の改定に伴う
公的部門の
人件費に関する扱いは
人勧の際と全く同様でなければ、
閣議決定が偽りとなるということを申し添えておきます。
いずれにしても、
内包云々という苦しい説明をしていますが、
政府には、
人勧を実施した上で
給与特例法案も成立させる選択肢もあったのに、わざわざダイレクトに
人勧を不実施にする理由がどこにあったのでしょう。ぜひ御教示ください。
人勧不実施を高らかにうたう背景に、よもや、
人勧制度の廃止、
協約締結権の付与に向けて、
人勧不実施の実績をつくりたいという何らかの
政治的思惑はなかったのか、あわせて伺います。
国民の皆様には、各種の組合が
政府に対して
人勧不実施を申し入れているという事実を申し添え、
組合依存という
民主党の実態をよく見きわめていただくとともに、
保守政治家を自認する
野田総理におかれては、ぜひ、組合との取引によって国政が壟断されることがないよう、衷心から御忠告申し上げます。何かおっしゃりたいことがあれば、反論していただいて結構であります。
次に、
選挙制度改革と一票の
格差是正について伺います。
先般、
衆議院の
選挙制度について各党の
協議会がスタートしました。我が党も、具体的な提案を行い、積極的に参加してまいります。
私は、既に
衆議院議員の任期が二年を切っており、まずは当面の対応として、
衆議院の小選挙区における一票の格差が
憲法違反と判断されている状態を一刻も早く解消すべきと考えます。
そのためには、現在、
最高裁判決を受けてス
トップしているいわゆる
区割り審の審議を早急に再開することが、不可欠の第一歩となります。今国会でその前提となる条件をクリアする必要があると考えますが、
野田総理は、どのような条件が整えば審議を再開できると理解しているのか、伺います。
また、
区割り審が直ちに
調査審議を進めたとしても、来年二月二十五日の期限までに審議を終えて勧告を行うことが困難な場合、
勧告期限の
延長期間は
必要最小限のものとすべきであります。早期の解散を避ける意図を持ってわざと長く延長しているといった疑念を
国民に抱かれるようなことがあってはなりません。
延長は
最小限の期間とし、勧告が出たら、速やかに
区割りを改定する法律を成立させる、かつ、その公布から施行までの間、すなわち
周知期間は、十年前と同様の一カ月とすべきであると考えます。この点についての
野田総理の見解を確認します。
一票の
格差是正のための
区割りの改定は、先ほど述べた手順でいけば、
次期通常国会のうちに実現し、憲法に違背しない制度で
国民に信を問うことが可能となります。なお、それまでの間においても、今の
民主党政権の状態では、即刻解散・総選挙を行う以外に日本を救う道がないという状況を迎えることも十分に考えられます。その場合には、私は、
現行制度のもとでの解散・総選挙も必要だと考えております。
区割り審の審議や
法改正の途上である場合でも
解散権は常に制約されないと理解しておりますが、この
解散権の解釈について、
野田総理の見解をここで明確にお示しください。
なお、
最高裁判決から一年を経過しても国会が
法改正の道筋をつけられないことは、国会の権威にかかわる重大問題であると重ねて申し上げておきます。
本日は、多々
政策課題について伺いましたが、政策を実現するに当たっては、何より、その主体となる為政者の資質が問われます。クリーンな政治を標榜する
民主党において、
野田総理を初め、
鳩山元総理、菅前
総理、小沢元代表、
前原政調会長などの幹部が相次いで政治資金問題を引き起こしているまま、その説明責任も十分に果たされてきていないことは、その資質の欠如のあらわれと考えます。我々は、この問題を
いたずらに
復旧復興の議論の妨げとするつもりはありませんが、政党間の
信頼関係を構築し、議論を円滑に進めるための環境整備に意を砕くことは、
与党の務めであります。
これに関して、二つ伺います。
まず、
野田総理御自身の外国人及び脱税
関係企業からの献金問題について、今国会において説明責任を必ず果たしていただくよう求めます。九月三日に、調査する、結果が出たら報告すると述べてから、途中経過の報告も公表のめども示さないままに二カ月がたちます。
また、小沢元代表に対し、
国民から選ばれた公人として、証人喚問に応じ国会においてその説明責任を果たすよう、
民主党代表として指導力を発揮するのかどうか、
総理は、誠実かつ明確にお答えください。
さきの臨時国会において、私は、
野田総理に対し、
保守政治家としての理念を問い、
民主党の理念のあらわれである綱領の有無について伺いましたが、いずれも明確な回答を得られませんでした。
政権発足後しばらくは、野田三原則、余計なことは言わない・やらない、派手なことはしない、突出しないとの安全運転などのおかげか、大きな混乱はもたらされませんでした。しかし、これは、何の見るべきことも進められなかったということであり、いわば停滞であります。結局は、理念なき
総理、綱領なき政党において、大局的な政策判断の物差しを欠く以上、内政、外交にわたる重要課題を乗り越えていくことはできません。
それに加え、何より、
マニフェストの破綻と、かつてみずからが批判した信を受けないままの
総理たらい回しによって、この政権は、主権者たる
国民に対して正統性を欠いていることは明らかであります。
被災地で延期されていた地方選挙も十一月二十日にはすべて実施されるとともに、
復旧復興の
補正予算も三次を数えるに至りました。にもかかわらず、
復興を理由に、被災地を含む全
国民との
契約違反の状態は放置されたままにあります。
国民との
契約違反の十字架を背負い、
国民からの信という権威の裏づけもないがゆえに、確たる政策体系は構築できず、その場を取り繕うことのみが
野田政権に許されたことなのではありませんか。
したがって、今後一気に押し寄せるであろう政治的かつ政策的な矛盾によって、これまで同様、もしくはそれ以上の政治的混乱がもたらされることは不可避であり、早晩行き詰まることは必至であります。
この混乱を回避し、国政の停滞を打開するためには、解散・総選挙によって
国民との再契約を行って信を受け、大事に当たるための政権の基礎体力を回復することが求められます。それを欠いたままで、
マニフェスト違反の
消費税や普天間問題、
TPPや
選挙制度改革といった重要課題をすべて乗り越えられるとお考えでしょうか。
これらの課題を総合的に組み立て、実現していくためには、政治の力を要するわけであり、各省が行政の発想で描く絵のとおりには決して事は進みません。
何もなすこともなかった二代にわたる亡国の宰相の轍を踏まないためにも、賢明なる回答を
野田総理に心から期待し、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣
総理大臣野田佳彦君登壇〕