○辻
委員 全く前向きの発言がない。真剣に、裁判の機能が本当に壊れているんですよね。刑事裁判で冤罪をつくり出すというのは、これはもう断固として排除しなければいけないことでありますけれども、それが陸続として起こっているわけですよ。それについてどうするのか。内部にやはり欠陥があり、いろいろな思考方法に問題がある、そこをどういうふうに
検討するのかというときに、それはプライバシーの問題とかいろいろな問題がありますから、どこまで過去の証拠を開示して第三者との間で
検討会をやるのかというような問題はありますけれども、
利害関係がある場合には確定記録の閲覧だってできるわけですよ。制度上できることになっているわけですよ。
だから、そういうことも含めて、
検討するという姿勢がそもそもないことに問題があるんだ。本当に、硬直している官僚主義の権化に最高裁はもうなり果てているんじゃないかというふうに私は思わざるを得ない。そのことをどう改善していくのかということについて、私の方も、いろいろさらに
検討をし、また御提案もしていきたいというふうに思います。
この点については、繰り返しになりますけれども、小川秀世さんという弁護士さんが、現在の刑事
手続は二つの病理的問題を抱えている、
一つは無法地帯の取り調べ、もう
一つが悪魔の判決教本だと。
無法地帯の取り調べというのは、まさに、可視化されない密室の取り調べのことを言っているんです。権力者が、自分が
法律なんだということで、一方的に被疑者を取り調べることができる、どこに法があるのかということが
指摘されて久しい。
また、悪魔の判決教本というのは、この本では、有罪事例で取り上げた布川事件、それも
一つに、もとに認定方法を決めているんだけれども、これが教本となっているんですね。これに依拠していれば、裁判官は、自分の身分は安定なんですよね。目の前にある被告人が冤罪で苦しもうが、その人は何ら傷つかないわけですね、裁判官は。やはり、こういうことの根幹にこんな判決教本をなお存置していること自身について、一刻も早くこれをかえることを私は強く要請したいというふうに思います。
これらの問題をもっと本格的に解決していくためには、やはり証拠開示ということが重要なんですね。この福井女子中学生事件でも、証拠開示が再審審になって出てきた、何で一審のときに出ないんだと。さっきおっしゃったように、二〇〇五年の刑訴法
改正で一部広がったけれども、原則と例外のところで、被告人側に有利な証拠が出てきていないという現実があります。
これは二〇〇五年の
質疑のときに私は
指摘しましたけれども、宇都宮東警察で誤認逮捕事件が二〇〇四年の八月にあって、やや知的障害の方が二〇〇四年八月に起訴されて、同年十二月に七年の論告求刑、そして、十二月下旬の判決公判のときに無罪を主張したから延期になったところ、翌年の一月十七日に別の人物が別件逮捕された、それが真犯人だったということなんです。これは新聞
報道によれば、赤いサングラスとか包丁とか足跡とか、そういう物証がある事件なんだよというふうに言われていたのに、起訴されたときに出てきた証拠は供述証拠だけなんですよ。それは無罪の論告で無罪になりましたけれども、真犯人の裁判では、こういう赤いサングラスとか足跡とか、そういう物証が証拠に請求されているわけですよ。もし真犯人が出てこなければ、そういう客観的な証拠抜きに自白だけで有罪にされた可能性があるし、客観的な証拠は隠されていたわけですよ。
この点について、検察庁はどうなんですか。当時のその検察官の訴追裁量の
あり方として問題があったというふうに考えているのか、この検察官に対してどういう指導をしたのか、その点はいかがですか。