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2011-12-01 第179回国会 衆議院 憲法審査会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十三年十二月一日(木曜日)     午前十時三分開議  出席委員    会長 大畠 章宏君    幹事 小沢 鋭仁君 幹事 大谷 信盛君    幹事 三日月大造君 幹事 宮島 大典君    幹事 山花 郁夫君 幹事 鷲尾英一郎君    幹事 中谷  元君 幹事 保利 耕輔君    幹事 赤松 正雄君       阿知波吉信君    網屋 信介君       石原洋三郎君    今井 雅人君       緒方林太郎君    大泉ひろこ君       逢坂 誠二君    岡本 充功君       川越 孝洋君    川村秀三郎君       木村たけつか君    楠田 大蔵君       近藤 昭一君    篠原  孝君       辻元 清美君    中川  治君       中野 寛成君    中屋 大介君       鳩山由紀夫君    浜本  宏君       樋高  剛君    本村賢太郎君       山尾志桜里君    山崎 摩耶君       笠  浩史君    渡辺浩一郎君       井上 信治君    石破  茂君       木村 太郎君    近藤三津枝君       柴山 昌彦君    棚橋 泰文君       野田  毅君    平沢 勝栄君       古屋 圭司君    大口 善徳君       笠井  亮君    照屋 寛徳君       柿澤 未途君    中島 正純君     …………………………………    衆議院法制局法制企画調整部長           橘  幸信君    衆議院憲法審査会事務局長 窪田 勝弘君     ————————————— 委員の異動 十二月一日  辞任         補欠選任   稲見 哲男君     中屋 大介君   辻   惠君     石原洋三郎君   笠  浩史君     本村賢太郎君 同日  辞任         補欠選任   石原洋三郎君     辻   惠君   中屋 大介君     稲見 哲男君   本村賢太郎君     笠  浩史君     ————————————— 十一月二十九日  憲法改悪反対、九条を守ることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第二六五号) は本憲法審査会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件(前回中山参考人報告について)      ————◇—————
  2. 大畠章宏

    大畠会長 これより会議を開きます。  日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件、特に前回中山参考人報告について調査を進めます。  本日の議事の順序について申し上げます。  まず、衆議院法制局当局から説明を聴取し、その後、自由討議に入ることといたします。  なお、発言着席のままで結構でございます。  それでは、衆議院法制局当局から説明を聴取いたします。衆議院法制局法制企画調整部長橘幸信君。
  3. 橘幸信

    橘法制局参事 衆議院法制局の橘でございます。  本日は、前回中山太郎先生の御報告を受けての自由討議続きということでございまして、前回憲法審査会からやや日にちがたっておりますので、中山太郎先生の御報告内容について、先生方に御記憶を喚起していただくきっかけとなるべく、冒頭にその概要を御報告するようにとの御指示でございます。  中山先生の御報告内容を要約するようなことは、まことに僣越であり、かつ、不遜なことであるとは存じますが、幹事会での御協議に基づく御指示でございますので、それに従いまして、ごく簡潔に御報告をさせていただく次第であります。  お手元前回議事録とその要旨をまとめました憲法審査会ニュースを配付させていただいております。この憲法審査会ニュースは、憲法調査会以来の、事務局オリジナル議事概要速報ペーパーでございます。幹事会の御協議に基づきまして、審査会開会の翌日に、審査会委員先生方のみならず、全衆議院議員先生方に配付させていただいているものでございます。  本日は、これをレジュメとして用いながら、中山太郎先生お話しされた主要項目、特に中山先生が最もおっしゃりたかったと思われる項目を、僣越ではございますが、拾い読みする形で御報告させていただきたいと思います。  まず、ニュース一ページ目右下から二ページ目左上の欄にかけて要約されておりますが、中山先生は、憲法調査委員会設置推進議員連盟の設立の経緯や、湾岸戦争の際の外務大臣としての御経験について述べられました。その際、憲法は、現実政治の場面では、最も崇高な、かつ、最も偉大なる妥協の産物であるとして、その論議に当たっては常に小異を捨てて大同につくことが大事である旨、強調しておられたと存じます。  その上で、衆議院憲法調査会会長として心がけられたこととして、特に二つ事項を挙げられました。ニュース二ページ目の左下から右上の欄にまとめられている事柄であります。  一つは、憲法論議は、政府においてではなく、国民代表機関であるこの国会においてこそ行われるべきであること、もう一つは、憲法国民のものという姿勢でありました。  特に、後者の憲法国民のものという姿勢は、例えば、二つの形で運営の実際に反映されたとおっしゃっておられました。  一つは、小会派に配慮した幹事会運営及び調査会での発言時間の割り当てや自由討議の頻繁な採用などでありました。もう一つは、この憲法審査会ニュース傍聴人方々への資料提供などもその一つのあらわれかと存じますが、国民への積極的な情報提供など、常に国民にオープンな議論を心がけられたとおっしゃっておられたことであったかと存じます。  次に、調査会活動において特徴的であった事柄として、ニュース二ページ目の右の欄中ほどにありますけれども、一つ、毎年実施された超党派先生方による海外調査実施二つ、沖縄を含めた九回の地方公聴会実施、この二つを挙げておられました。  その上で、憲法調査会において五年余にわたる調査概要を、平成十七年、二〇〇五年の四月に最終報告書として取りまとめられた後、郵政解散・総選挙後に設置されました憲法調査特別委員会における憲法改正国民投票法制議論に移っていったその経緯について、詳しく述べられました。  憲法調査特別委員会活動につきましては、ニュース三ページの左の欄になりますが、中山先生は、一つは、それまでと同様に、小会派も含めて与野党協議に基づいて、じっくりとした調査から入っていったこと、二つ目として、自民・公明案及び民主党案の両案が提出された後も、小委員会などにおける地道な歩み寄りのための協議をじっくりと行われ、それまでに築かれた与野党信頼関係の上に、不断に行っていったということについて、具体的にお話をされたかと存じます。  ただ、二〇〇七年に入ってから採決に至るまでの四カ月の間に、同年七月の参議院通常選挙に向けて政治状況が次第に変化していったこと、そして、やむなくしこりを残す形での採決に踏み切らざるを得なかったことなどについて、自責の念を込められながら、深い感慨を持ってお話をされたと理解しております。ニュース三ページ目の左下の欄に、この点の要旨がまとめられているかと存じます。  そして、最後に、大畠会長初め憲法審査会のここにおられる各先生方が、与野党協調の上で憲法論議の歩みを確実に進めていかれることを期待する旨の御発言がございました。  なお、私からは、大変つたない御説明ではありましたが、ニュース三ページ目の右下の欄から四ページにかけて要約されているとおり、衆議院憲法調査会最終報告書編集方針とその概要及び憲法改正国民投票法の附則に定められた三つ検討課題、いわゆる三つの宿題の内容について、簡単に補足説明をさせていただいたところでございました。  以上、御指示に従って御報告申し上げました。  ありがとうございました。
  4. 大畠章宏

    大畠会長 以上で衆議院法制局当局からの説明聴取は終わりました。     —————————————
  5. 大畠章宏

    大畠会長 これより自由討議を行います。  この際、委員各位に申し上げます。  発言を希望される委員は、お手元にあるネームプレートをお立ていただき、会長の指名を受けた後、発言ください。このような形で希望者の方は立てていただきたいと思います。発言が終わりましたら、ネームプレートは戻していただくようにお願いいたします。  発言は自席から着席のままで結構でございます。また、発言の際には、所属会派及び氏名をお述べいただきますようお願いいたします。  なお、幹事会協議によりまして、発言は一回五分以内といたしたく存じます。委員各位の御協力をお願い申し上げます。  発言時間の経過につきましては、終了時間一分前にブザーを、また終了時にもブザーを鳴らしてお知らせをいたします。  それでは、発言を希望される委員は、ネームプレートをお立てください。
  6. 保利耕輔

    保利委員 橘さんから、概略、中山先生お話を要約していただきまして、ありがとうございました。  つきましては、その件に関して中山先生報告にあったかどうか、私ははっきりは記憶がありませんし、また、調査会には私は全く出席しておりませんでしたので、調査会の中の様子というのはよくわからないんですが、二つ質問したいと思います。これは橘部長さんにお願いをしたい。  まず、国民投票においてはまず改正案というのが出てくるということから、各党から、各党になるかどうかわかりませんが、改正案というものが一つの前提になっている。  この改正案をつくるについては、国民投票というものを意識した改正案にすべきか。あるいは、国民投票を意識せず、憲法はこういうふうに直したらいいという、いわば憲法の全体について、いろいろな箇所に修正したいところがあるというようなものをまとめて出してもいいのか。それとも、やはり一つ一つ、シングルのイシューで出していくべきなのか。そこら辺のところについて憲法調査会で御議論があったかどうか、そこら辺についての質問をいたしたいと思います。  改正案を作成するについて注意するのは、国民投票にかけるんだからということで国民投票がやりやすい改正案にするということになると、少し、ここもやりたい、ここもやりたいというところがたくさん出てくると思うんですが、それができなくなる可能性がありますので、ここで各党から出してくる改正案というのは、全体を含めていいのか、それともポイントポイントだけで出すべきなのか、その辺についての御議論があったかどうかということをまず伺いたいと思います。  もう一つは、事務方で大変御苦労いただきまして、衆議院憲法審査会関係資料集というのをつくっていただいて、各先生方に配付されていると思いますが、その五十六ページに、憲法改正国民投票法における手続概要という項目があります。五十六ページであります。  その中身をよく読んでみますと、大変複雑になっております。特に、衆議院参議院がありますので、先議の議院という言葉と、それから後議の議院、後から議論するという方ですね、この二つに分かれておりまして、そこの間に合同審査会というのが設けられるようになっている。衆議院参議院合同審査会というのが設けられるようになっている。この合同審査会というのは、どの時点でどういうふうにつくられ、どういうふうに議論をしていくのかということについての御議論があったかどうなのか。  この二つを、今申し上げたように、改正案のつくり方の問題と、それからもう一つ合同審査会の問題、ここについての御議論様子をもし御記憶でございましたらば教えていただきたいと思います。  以上です。
  7. 大畠章宏

    大畠会長 ただいま保利委員の方から橘部長の方に二つ質問がありましたので、橘部長の方からお答えいただきたいと思います。
  8. 橘幸信

    橘法制局参事 御質問ありがとうございます。  保利先生指摘二つの点は、いずれも、憲法調査特別委員会におきまして、かなりの御論議がなされた点であるかと記憶しております。  まず、前者の論点につきましては、憲法改正原案として国会発議される、国民投票に付される案はどのような単位であるべきかということに関する論点であるかと存じます。いわゆる個別発議原則と言われるものが随分議論をされました。  調査特別委員会では、例えば、九条に関する改正原案環境権追加のような改正原案を同じように一気に、パックにして提案することはどうなのかという形で最も議論された点であります。  できるだけ国民の選択を広げるために、個別に分けて国会発議するべきである、そういう議論が盛り込まれ、その旨の発議の仕方に関する規定国会法の中に設けられました。これがいわゆる個別発議原則であります。  ただ、保利先生おっしゃられましたように、それでは、憲法全体を改正し、それが不可分統一一体として提案することは否定されるのかという御議論もなされました。これについては、提案者先生方の間でも意見が分かれていたかと存じます。  一つは、そのような憲法全体を改正するようなことは想定していないという考えの御提案者と、いや、全体が不可分一体なのだから、そのような場合には憲法全面改正も否定されていないのだという御提案者と、両方の御答弁が衆参憲法調査会会議録に残っているかと記憶しております、不正確かもしれませんが。  二番目の論点であります。二番目の論点も、一番目の論点と関係しながら、憲法改正を具体的に発議するときにはどのような発議の仕方が適切かということに関する論点でありますが、保利先生指摘のこの資料の五十六ページにありますとおり、当時の国民投票法の御提案者先生方が考えておられたのは、国会法上は、衆議院ですと百人の賛成者参議院ですと五十人の賛成者方々がおられれば、それは直ちに改正原案憲法審査会衆参両院に提案できるのだという形に法規上はなっております。この道は、厳然として残されています。  しかし、憲法が三分の二で発議をされ、国民投票に付するということを現実政治の上で念頭に置けば、事前衆参の具体的な根回しというか御調整なくして、具体的に衆参の共同の認識なくして、いきなり改正原案が出てくるのは非現実的ではないのかということが随分議論されました。  その法制的な結実の一つがこの合同審査会規定であり、国会法上非常に珍しく、両院合同審査会が、衆参両院に、こういう改正提案をすべし、あるいはこういうふうな調査をすべしという勧告ができる。これは、国会法上、戦後すぐの両院法規委員会においてとられた制度ですが、現行法上はこの衆参憲法審査会のみに与えられた権能であります。  ただ、これがどのように機能するのかについては、それは新しく発足した衆参憲法審査会先生方が考えられるべきであって、事前に拘束するべきではない。ですから、ここにおられる先生方参議院憲法審査会先生方と、実際どうあるべきなのか、合同審査会の規程、つまりルールづくりも含めてこれからなのだということを、すべて白紙の状態で、隠れた検討課題一つとして投げておられるものだと存じております。  以上です。
  9. 保利耕輔

    保利委員 質問じゃありませんけれども、今の説明で御様子がよくわかりました。  そこで、実際問題として、憲法改正案をつくるという場合には、やはり全部をレビューするというのが当たり前の普通の考え方だろうと思うんです。これが各項目ごとに一回一回全部国民投票をやるということになると、国民投票が非常に多岐にわたるというか数次にわたるという可能性が出てくるわけでございまして、そこら辺は今後の課題かなと思います。  それから、合同審査会は、今御説明ありましたが、なおこの審査会においてよく協議をすべき事項であるということを認識いたしました。  以上、意見として申し上げておきます。
  10. 大畠章宏

    大畠会長 それでは、プレートを上げた順番で、いろいろ考えながら指名させていただきます。
  11. 中島正純

    中島(正)委員 国民新党中島正純でございます。  私は、現行憲法改正が必要だという理念のもと、意見を述べさせていただきます。現在の憲法には本当に数多く思うところがございますが、その中の一つ、きょうは意見を述べさせていただきたいと思います。  私は、一九九一年以来、十三年間にわたって大阪府警の一員として大阪府の治安を守ることに尽力してまいりました。国会議員となった現在においても、犯罪の抑止、日本治安を守るということへの貢献ということを政治家としてのライフワークとしております。  このような基本的関心を持った上で、中山先生から憲法調査会の五年間にわたる調査の集大成としてお話のあった憲法調査会報告書を改めてひもといてみました。その中には「刑事手続上の権利等」という項目が置かれており、刑事手続上の権利の意義、被疑者段階での弁護人立ち会い権、死刑の存廃、犯罪被害者権利等について議論が行われたとの記載がありました。  現行憲法考え方からすれば、被疑者刑事被告人権利については大変手厚い保障がされております。しかしながら、警察官として奉職してきた経験からしますと、被疑者人権も大切なことですが、犯罪被害者に対する人権保障現行憲法では十分な内容でないと考えます。不幸にして犯罪被害に遭われた方や、あるいは日々の生活において治安悪化を体感している地域住民の方などを含めた国民全体の人権保障という観点も見落とすことはできません。  国民新党は、人権保障時代変化に対応したものであるべきとの考え方をとっております。この点を踏まえても、犯罪被害者人権、さらには犯罪防止治安対策という観点ともバランスのとれた憲法にしていくべきと考えます。  現行憲法では、被疑者被告人などの人権に関しては第三十一条から第四十条まで十カ条にわたって規定が置かれているのに対して、被害者人権に関しては全く規定が置かれていません。犯罪被害者等基本法二条一項に規定が置かれているだけです。犯罪被害者人権について、憲法に新たに条を設けて、規定を置くべきと考えます。  前回中山先生は、政治家として憲法問題に直面したのは一九九一年の湾岸戦争のときであったと話されたと思います。  今、我々は、三月十一日に発生した東日本大震災原発事故という事態に直面し、これを乗り越えようとしております。しかし、復興復旧に全力を注ぎながら、多くの国民が感じている環境破壊に対する不安、食に対する不安、雇用に対する不安、格差社会に対する不安、治安悪化に対する不安、これらの不安に対しても、未曾有の国難だからこそ、国は、憲法という基本原理に照らして、課される使命を確実に履行していくべきであると考えます。  こうした国民の不安に憲法が十分こたえられていないのであれば、憲法について積極的な議論を進めることは、立法府として当然の責務であると考えます。  以上でございます。
  12. 緒方林太郎

    緒方委員 民主党緒方林太郎でございます。  貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。  まず最初に、私、憲法改正すべきという考え方、そして、現在の手続のもとでしっかりと、着々と進めていくべきだというところを一番最初に述べさせていただきまして、憲法改正あり方について一言述べさせていただきます。  九十六条を改正することによって憲法改正ハードルを下げようじゃないか、まず九十六条の改正からだという御意見がございます。この考え方というのは、もっと根本的なところをたどれば、そもそも憲法というものをもう全く新しいものに、全く今と違うものに全部改正してしまうことができるかどうか、そういった議論を惹起すると私は思います。  フランス憲法におきましては、共和政体はこれを改正すべからずということが明確に書かれています。私が思うのは、今の憲法の中で何を改正できて、できないのかということも、これは真摯に考えるべきだというふうに思います。  九十六条を改正して、そして憲法改正するということというのは、ともすれば、すべてを可能にするようなことであって、今の憲法骨格自体を完全に変えてしまうということにつながるのではないかという懸念を持つものでございます。  九十六条改正というのは、恐らく現行憲法不可分一体をなす部分でありまして、ここの改正についてはやはり慎重であるべきではないかということを一言申し上げさせていただきます。  次に、非常事態について盛り込むべきだというお話がございました。  非常事態について何らかのことを盛り込むということについては決して反対をするものではありませんが、一点気にとめておかなくてはいけないのは、ドイツワイマール体制が崩れたのは、最後は、当時ヒトラーが政権につく前のヒンデンブルグ大統領非常事態の濫用を図り、そして議会に対するアンチ議会のような雰囲気がドイツ国内に漂い、それがワイマール憲法体制の崩壊につながったということについては、我々はやはりしっかりとした思いを持つべきだというふうに思います。  そしてもう一つ衆議院参議院という二つの院がある、これは二院制をとっている我が国として憲法にも書かれていることでありますが、私が非常に日本議論の中で違和感を持つものの中に、衆議院においても参議院においても一票の格差議論をされるということというのは、これは私はおかしいことであるというふうに思います。  衆議院で二倍、参議院で五倍という議論がありますが、そもそもこれは、私は、憲法に少し漏れ落ちているところがあるのではないかと思うのは、それぞれの院は何を代表しているのかということが憲法に書かれていない。  そして、例えばフランスですけれども、フランス下院は、これは人民、ピープルを代表するというふうに概念され、そして上院については、これは領土を代表するというふうに観念されております。  アメリカにおいても、下院においては明確な人口割議員が定められ、そして上院においては州を代表するということで、人口四千万人のカリフォルニア州と人口五十万人の八十倍の差があるワイオミング州との間に同じ二人の上院議員が割り当てられているわけでありますが、この件について、アメリカにおいて一票の格差があるというような議論がなされることは、これはない。  これはなぜかというと、何を代表しているかということがはっきりと明確になっているからでありまして、今後、二院制をとるのか一院制をとるのかという議論はあると思いますけれども、この議論の中においては、衆議院参議院、それぞれが何を代表しているのかということについて、我々は考えなくてはいけないと思います。  最後一つだけ、憲法裁判所について、これも、ここに、非常に導入すべきだという意見が多かったということがあります。  フランスには憲法院があります。そして、憲法院法律を付託する。法律国会で採択して、そして、それを公布するまでの間に憲法院に付託することができるというふうになっておりますが、これは議員六十名の発議によって憲法院に付託をすることができる。  これ自体一つ制度あり方としてあってもいいのかなと思いますが、私が懸念するのは、これが日本国対政治の中において、事実上法律をつくる際のもう一つハードルを設け、もう何か与党で通したものがどんどん憲法裁判所に送られ、法律制定手続がとまるというようなことというのは、これは憲法裁判所憲法院をつくる際においても十分留意されるべきだというふうに思います。  以上です。
  13. 山尾志桜里

    山尾委員 民主党山尾志桜里です。  前回中山太郎先生お話を伺って、超党派憲法議論して国民報告をするという、極めて重要で極めて困難な道のりを切り開いてくださったことに大変感銘を受けました。  また、このたび、国会議員として、その切り開いていただいた道の続きを歩ませていただくという重責を感じながら、改めて、衆議院憲法調査会報告書、六百八十三ページありましたが読みました。  その際には、どのように論点が設定されたのか、設定された論点に対してどんな意見があり、どのように類型化されたのか、その中でも多くあった意見は何だったのか、異なる意見の共通項をいかにくくり出されたのか、こういった点に留意しながら読みました。  一語一語に込められた配慮や背景や思いをすべて的確にとらえたとは到底思えませんが、この憲法議論の場に初めて参加させていただく新人議員の一人として、この議論を丁寧に積み重ねてくださった先輩議員、そして橘部長を初めとする事務局の皆様の御尽力に敬意を払い、その経過を尊重し、前進をさせたいというふうに考えております。  そんな前置きの上で、私から三点申し上げたいと思います。  一点目は、手続整備として、二つの宿題をまず解決しましょうということ。二点目は、中身の議論として、非常事態における規定議論。三点目は、それ以外のテーマも含めて、憲法議論するに当たっての大枠の意見表明でございます。  一点目については、もう諸先輩も言及されているとおりでありますが、十八歳選挙権の問題と公務員の政治的行為制限の問題について、まずこの審査会で最優先のテーマとして議論すべきと考えます。その際には、改正手続論と改正の中身の議論とはしっかりと切り分けて、かつ手続論を先行させた方が、この宿題の解決に向けて落ちついた実効的な議論ができるのではないかというふうに感じております。  二点目ですが、改正の中身の議論に関して、非常事態条項の検討からスタートすることがやはり一つの有力な選択肢ではないかと思います。この点、非常事態を生じさせないように努力すべきことこそが憲法に込められている規範であるということで、消極的な意見もあるやに伺っています。  ただ、私たちは三・一一を経験しました。いかなる努力をもってしても防ぎ切れない非常事態が現に起きるんだということを、日本国民全員が経験し、あるいは目の当たりにしました。非常事態において、まさに危機にさらされている国民の生命財産など究極の人権を守るために、内閣総理大臣に権限を集中して、人権を平時よりも制約することが必要となる場合があり得ます。  先ほどの緒方委員の話に出たので一言つけ加えますが、もちろん、神の手を政府に渡すようなことがあってはならないし、この非常事態条項というのは、人権を制約するものである一方で、人権を制約するその力に一定の歯どめをかけるものだという点もしっかりと踏まえなければいけないというふうに思っています。  三点目ですが、もちろん非常事態条項以外にも議論すべき重要なテーマがたくさんございます。時の経過に応じて醸成された新しい人権や、時の経過に応じて生じた現実と憲法の乖離について議論をすべきだと思います。  しかし、私が申し上げたいのは、この応じてというのは、対応してという意味であって、決して即応するとか反応するということではない。新たなものを書き込むということが、書き込まれなかったものの価値を相対的に下げることもある。書き込む際にも、あえて簡潔な言及にとどめた方が、予測困難な将来に柔軟な対応ができることもある。憲法は、変化に応じて拡散するものであってはならず、むしろ、変化にたえる、普遍の価値を抽出する努力をして、真に必要な限りで抑制的に補充、修正されていくべきものだと考えます。  したがって、新しい人権について、新たに明文としてつけ加えるべきものの数はそう多くはないのではないかと思います。  また、九条に関して言えば、自衛のための実力組織について簡潔に言及することもまた検討すべきではないかというふうにも感じております。  こういった問題提起をしまして、私からの意見表明とさせていただきます。貴重な機会をありがとうございました。
  14. 大畠章宏

    大畠会長 幹事会の中でも各党発言等を平等にというようなお話もございましたので、公平性というものを考えて指名させていただきます。
  15. 笠井亮

    ○笠井委員 日本共産党の笠井亮です。  前回及び今回の憲法審査会について、二つのことを簡潔に述べておきたいと思います。  一つは、前回、十一月十七日の審査会の後、何人もの方々が私の事務所を訪れてこられまして、さらに、問い合わせや電話、メール等も多数寄せられました。  その中では、なぜ今憲法審査会なのか、東日本大震災の復興、それから福島原発事故収束、除染、全面賠償など国会がやるべきことは山積しているのになどの疑問の声でありました。さらに、非常事態規定がないなどと大震災を改憲の口実にするなんてひどい、五十四条もよく読んでもらいたい、勉強してもらいたいという怒りの声もありました。多くの方々から、憲法審査会はこれ以上動かさないでほしいという強い要請を私は受けたところであります。  私は、前回意見表明の中で、国民は改憲を求めておらず、今後、憲法審査会を動かすべきでないと主張しましたが、その意を改めて強くした次第であります。  二つ目に、前回審査会は、ともかくも、憲法調査会及び憲法調査特別委員会の経過について中山参考人から報告を聞いて、それに関する意見表明ないし質疑を行うという趣旨で開かれたはずであります。今回も、その補足の自由討議として開催されているわけであります。我が党は、そうした審査会の開会には反対をしましたが、しかし、そういう趣旨で開かれることになった以上、私なりに、これまでの憲法調査会憲法調査特別委員会の経過を振り返って、むしろそのことに限定して意見表明をしたつもりであります。  ところが、多くの議員方々からは、そうしたこれまでの経過と説明に関する発言とか質問というのはわずかに限られていて、むしろ、改憲を志向する立場から、それぞれの委員個人の持論とか改憲の論点に関する発言が目立ったと思います。参考人からも、これまでの経過にとどまらず、今改憲が必要との持論も開陳されたと思います。  そういう意味では、開催の趣旨からはみ出す発言憲法調査会のときにもたびたびありましたが、改憲を望んでいない多くの国民の意思とは全くかけ離れた議論だと言わなきゃいけないと思います。  やはり、そういう点でも、憲法審査会は動かすべきではないというふうなことを痛感しておりますので、そのことを重ねて強調させていただいて、発言とします。  終わります。
  16. 照屋寛徳

    ○照屋委員 社会民主党の照屋寛徳です。  私は、十一月十七日の第一回憲法審査会でも意見表明をいたしましたが、前回審査会で中山太郎参考人や審査会委員の一部から出た、憲法への非常事態条項挿入の必要から早急に改憲論議が必要だとの意見との関連で、再度意見を申し上げます。  非常事態に関する条項を憲法規定すべきか否かについては、憲法調査会においてもさまざまに論じられております。その段階では、非常事態に関する概念も、外部からの武力攻撃、テロによる大規模攻撃、大規模な自然災害への特別措置などとして論じられていたものと理解しております。しかしながら、いまだに非常事態条項の明確な概念規定もなく、同様な趣旨で国家緊急権条項の憲法への追加を主張する者もおりますが、主張する国家緊急権の概念規定も不明確であります。  ところが、先日の憲法審査会で主張されたのは、三・一一大震災と大津波、福島第一原発事故発生という事態を踏まえての意見でございました。  私は、大規模災害や原発事故などの場合、国民の生命財産等の保護が国家の最大の義務であり、政治の責任であることに異議を唱えるつもりはありません。しかし、大規模災害等の非常事態時に、権限を内閣に集中させ、平時よりも国民人権を強く制約すべし、そのために改憲が必要だとの考えには賛成できません。  日本国憲法は、国民主権、基本的人権尊重、平和主義の理念に照らし、そもそも非常事態を生ぜしめないように不断の努力を規範として求めているのです。具体的には、第九十九条の憲法尊重擁護義務者に、大規模災害等の非常事態に際し、個別法による憲法の生存権の具体化を求めているものと考えます。大規模災害への対処は、個別法の制定で十分です。大事なのは、それらの事態発生時に、時の政権がスピード感を持って政策を決断し推進するかどうかであります。  私は、三・一一大震災と大津波、福島第一原発事故等の非常事態発生を理由に、憲法非常事態条項を設けるために改憲が必要であるとの主張は、改憲せんがための口実であると考え、反対であることを明らかにいたします。  終わります。
  17. 大口善徳

    ○大口委員 公明党の大口善徳でございます。  四年間空白の状態が続いたということにつきましては、我々の責任もある、こういうように思っております。こうやって議論が開始されたということは、これは大変いいことであると思います。  憲法の問題につきましては、我々公明党は、現行憲法国民主権主義、基本的人権の尊重、恒久平和主義を規定しているということにおきまして、非常に高く評価をしているところでございます。  しかし、時代の変化によりまして、やはり憲法の条項というものをしっかり審査していく、そして、憲法改正が必要であるもの、いや、憲法改正は必要でなくて現行法改正で足りるもの等々、吟味をしていく必要があると思います。ただ、改正の限界ということでは、やはり国民主権主義、そして基本的人権の尊重、また恒久平和主義、これが改正の限界であるというふうに私は考えております。  それで、我が党は加憲ということを提案させていただいております。今、保利先生の方からもいろいろございましたけれども、やはり個別発議原則というものが実務的には非常に合っているのではないかな、こう思うわけでございます。  これまでの議論におきましても、憲法九条と環境権というものをセットにしたものを出すというより、やはりそれぞれ別々に出すということが、国民の選択という点では選択がしやすいことではないかなということで、私どもは、加憲というのが、実務的には国民の選択ということを非常に尊重するのではないかなというふうに考えております。  また、憲法論議、やはりこれを国民的な議論にしていただくということが大事だと思うんですね。そういう点では、憲法論議というものはこの審査会で、調査でなくて審査という形になるわけでありますけれども、しっかり議論をして、それが国民的な議論にまで発展していくということが大事だと思います。  そういう点では、テーマの選び方でございますけれども、今、国民の生活が脅かされているという点では生存権の問題、あるいは環境権やプライバシーの問題、サイバー攻撃等もございますし、インターネット社会における問題もいろいろございます。それから、大阪選挙で都構想というのが出てきました。大都市の問題、こういう、国民に非常に関心のある、生活に非常に影響する問題についてしっかり議論をしていくということが大事であろう、こういうふうに考えます。  また、憲法九十六条の三分の二の問題でございますけれども、必ずしもこの三分の二を二分の一にしたから憲法改正について発議がしやすくなることは、要件としては緩和するということであるわけでありますけれども、しかし、硬性憲法であってもやはり憲法改正ということは行われているわけであります。むしろ、今の議会の状況を考えましたときに、衆議院もそうなんですが、多様な民意というものをしっかり反映させていくということにおきまして、私は、やはり硬性憲法ということが大事ではないかな、こういうふうに思う次第でございます。その点もつけ加えさせていただきたいと思います。  また、三つの宿題、これにつきましてはしっかり議論していかなきゃいけないと思います。  特に十八歳選挙実現等のための法整備、これは、検討会においてはやはり、国会の判断にゆだねる、こういうことでございました。橘部長からは、これは閣議によって提出されるべきものということでございましたが、ここはしっかり進めていかなきゃいけない。また、公務員の政治活動の制限の問題やあるいは国民投票の対象の問題、これは憲法審査会の所管事項ということでございますので、ここもしっかり議論していかなければならない、こういうふうに考えます。
  18. 大畠章宏

    大畠会長 続いて、プレートを上げた順番とは異なるわけでありますが、前回プレートを上げておられました棚橋泰文君の発言を求めます。
  19. 棚橋泰文

    ○棚橋委員 会長、ありがとうございます。着席のまま発言させていただきますことをお許しいただければ、また、御配慮に心から感謝いたします。  私からは一点だけ。改めて、もう一度基本的な部分にだけ立ち返りまして、憲法の持つ普遍的な価値、当然のことながら、これを私どもは大事にしてまいらなければなりませんが、しかし、時代の変化に合わせて、これをその時代に合った形に変えていく、これも当然だと思っております。  その中で、この審査会のメンバーの皆様方共通の認識になっておりますのは、憲法改正規定あり方でございまして、それぞれいろいろと議論もあるでしょうが、憲法の実質的な内容議論をすると、またこれは、時代に合わせて憲法を変えていくということがなかなか難しくなりますので、私からは、まず、憲法改正規定のところに集中して議論をするということも考慮のうちに入れていただければという点だけお願いを申し上げまして、発言にさせていただきます。  御配慮、ありがとうございました。
  20. 石破茂

    ○石破委員 自由民主党の石破茂であります。  私は幾つか問題意識を持っているのですが、主権は国民に存するという国民主権の原理は、確かに小学校から教わってきました。これに何ら異論はありません。主権者とはいかなるものかということについては、また何かの機会に議論をさせていただきたいと思います。  ただ、この国の憲法に国家主権という概念がどこにあるのかということだと私は思っております。  非常事態条項にしても、国民権利や自由を守ってくれる主体はあくまで国家なのであって、その国家そのものが存亡の危機に瀕したときに、国家存立のために、かなり厳格な条件を付した上で国民に義務を求め権利を制限するということは、自由と権利を護持するためにこそ必要なものだと私は思っております。その規定がないということはどういうことか。  もう一つは、軍と警察はどこが違うかといえば、国家の独立を守るのは軍であり、国民の生命財産、公の秩序を守るのが警察であります。軍の警察的流用はありますが、警察の軍的流用というのは絶対に概念としてあり得ません。そうすると、この規定憲法にないというのはどういうことか。  つまり、国家主権とか国家の独立というのがすべてこの憲法から落ちているというのは、それは占領期にこの憲法ができたからだということと密接な関係があるという論理的な必然だというふうに思わざるを得ないのであります。さればこそ、日本国が独立を果たした後に誕生した自由民主党は、自主憲法の制定ということを掲げてきた。  私は、占領下にできた憲法だから無効だという説をとりません。強迫とかあるいは詐欺とか錯誤による意思表示でも、それは取り消し、無効という法的効果がきちんと書いてあるのであって、これは占領下にできたのだからということは何らエクスキューズになると私は思っておりませんし、だから無効だとも考えておりません。  国家主権というものをどのように考えるかということは極めて重要なことだと私は思っております。  憲法九条は憲法前文とセットですから、日本国民は、平和を愛好する諸国民の公正と信義に信頼して、我らの生存を保持しようと決意した。そうじゃなかったらどうするのだという規定はどこにもない。そしてまた、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争というのと、これは私はセットだと思っております。ですから、芦田修正がありますので何とか何とかつじつまを合わせてはおりますが、やはり本来想定したものではないということだと思います。  私は、この憲法を制定したとき、あるいは戦争を経験された方々、そういう方々が第一線におられる、あるいはそういうふうに評価される、その間にこの議論はしておかねばならぬのだと思っております。全くそういう経験がない者同士でこの憲法改正議論するということは、かなり危険なことだと思っております。そのことは何年か前に当時の民主党の岩国哲人議員がおっしゃいましたが、そのことに大きな共感を持った次第であります。  いま一つは、解釈改憲と明文改憲というのをどのように考えるかということでございます。  憲法九条の一項、二項、どこからもロジカルに集団的自衛権は使えないというのは出てきません。どう考えてもロジカルには出てこない。国際紛争を解決する手段だから、それはもうおかしな議論です。あるいは、交戦権の行使につながるから、これも違います。ロジカルには出てこないはずです。だとするならば、憲法の解釈が正しいのであれば憲法改正しなければならないが、解釈を誤っているのであれば、それは法律改正すれば足りるのであろうという議論は必ず成り立つものだと思っております。  衆参両院で過半数をもって法律を制定するということに対して内閣法制局が何か力を持ち得るかといえば、それはそうではないと思っております。それは、国権の最高機関の最高機関たるゆえんだと思っています。だから、内閣法制局が悪いのだとか長官をかえろとか、そのようなことを国会が言ってはならないと私は思っております。その議論もきちんとしていきたい。  明文改憲、解釈改憲、私も当然、九十六条を改正し、憲法改正への手続は経るべきだと思っております。しかし、何を明文改憲に付するか、何が解釈でできるのかということは、きちんと議論をし、結論を出さねばならないことであります。  長年、私もこの議論に携わってまいりました。そんなに長く時間があるとは思っておりません。議論することに意味があるのではなく、結論を出すことに意味がある、そのように思っております。  以上であります。
  21. 柴山昌彦

    ○柴山委員 前回に引き続き発言の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。  まず重要課題は、申し上げるまでもなく、国民投票法三つの宿題、とりわけ、本法施行までの間に対応しなければいけない投票権の問題と公務員の政治的行為、これに関する法整備であろうかと思います。  そして、先ほど、選挙権の十八歳の実現のための法整備については閣法でというお話があったんですけれども、これについては、当然、民法等関連の法律が非常に多岐にわたるわけでもあります。ですので、国会が閣議における立案にしっかりとコミットすることが私は極めて重要だと思いますし、一度この審査会の場で、関連する、成人年齢というものがどのようなものが想定され、そして十八歳への引き下げというものがどういう効果を持つかということをしっかりと検討する場を一覧表とともに設けることが私は有用だと思いますので、会長にぜひ御検討をお願いしたいというのが一点目でございます。  そして二点目については、憲法改正の中身についてでありまして、前回も私は申し上げたとおり、これについてもやはり、ここで集中的に議論をするべきだという考えを申し上げさせていただき、時代の変化によってその必要性が高まったということを申し上げさせていただきました。  そして、私も実は一度ですべての改憲というものが実現できるとは思っておりませんでして、とりわけ、今、棚橋委員からもお話がございました九十六条の問題というものは、また、先ほど緊急権についてお話がありましたけれども、緊急性の高い部分についてやはり先行的に考えをまとめていくべきだというように思っております。  九十六条については諸先生から慎重論がありましたけれども、私は、硬性憲法ということが、憲法発議要件、国会での発議要件を引き下げることによってあいまいになってしまう、あるいはなくなってしまうとは思っておりません。  何となれば、この硬性憲法の本質は、国民投票というプロセスが最後に控えているということ、それから、一般の法律と違って衆議院の優越性というものが定められていない、つまり、再可決ということが存在しないので衆参両方の決議が絶対に必要であるということ、この二点において、私は、憲法改正発議の要件を例えば二分の一に引き下げることによって硬性憲法の内実が損なわれることはない。  その一方で、私は、国民一般により憲法改正のチャンスを広く与える、しかも、政治的なバイアスということも懸念されますけれども、やはり国民トータルで議論することで、そのバイアスが党派的な色彩を薄めて深められるというように理解をしております。  ですので、こういった優先的な課題についてぜひこの審査会で集中的に議論をし、そして国民にイエス、ノーがわかりやすく提起できるようにぜひ御検討いただきたいというように会長にお願いをいたします。  以上でございます。
  22. 大畠章宏

    大畠会長 そろそろ時間が迫ってまいりましたが、最後発言者としてお願いしたいと思います。
  23. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 ありがとうございます。時間も迫っておりますので、二点、手短に申し上げたいと思います。  一点目は、先ほど来から議論がされておりますいわゆる改正規定、九十六条改正問題でございます。  この九十六条改正に関して、いわゆるそれを改正して容易にしてしまうと、すべての条文まで一気に変わってしまうのではないか、そういったような危惧の意見表明も先ほどありましたし、また、安易にいわゆる基本的な理念のところを変えるべきではない、こういう議論もこの中でありました。  私も、実はそういう危惧も十分わかるわけでございまして、そこで申し上げておきたいのは、この場にもいらっしゃいますが、鳩山委員でありますけれども、新憲法試案というのを出していらっしゃいます。私も一緒に勉強させていただきまして、その中では、いわゆる普遍的な価値、先ほど来話が出ております国民主権だとか基本的人権、平和主義、こういったものと、それからいわゆる統治構造に関する部分というのを明確に分けるべきだ、こういう話を提案されております。  ですから、九十六条の改正規定に関して言っても、普遍的な価値の部分に関してはこれまでどおり、いわゆる統治構造に関しては、先ほど来話が出ているように、時代環境の変化に合わせて我々はしっかりとそれを変えていかなきゃいけないという意味で、そこのところの改正要件は容易にする、二分の一の提出にする、こういう提案を鳩山委員はされておりまして、私は、大変重要な提案だと思っておりますし、この審査会でも御議論いただければ、こう思います。  それから二点目ですが、幹事として申し上げたいと思います。  先ほど来これも意見が出ておりますけれども、今後の進め方でありますが、国民投票法三つの宿題というのが残されているのは御案内のとおりであります。そのうちの二つは、特に三年以内に対処するもの、こういう期限が設定されておりまして、もう既に四年が経過をしておりますので、そういう意味では、現状は法律不作為状態になっているというのが現状だということを我々は改めて認識をしなければいけないということだと思います。  これまでこの審査会が開かれなかったということでありますので、そこの部分は、百歩譲ってやむを得ないとしても、今この審査会が開かれていて、法律不作為状態、もっと端的に言えば法律違反状態になっているということは、ここにいる我々全員のある意味では責任として、少なくともそこは改善をしなければいけない、早急に改善をしなければいけないというふうに思っているわけでありまして、私も幹事として頑張りますので、どうぞ委員の皆さんの御協力もお願い申し上げたいと思います。  以上です。
  24. 大畠章宏

    大畠会長 いろいろと御発言をいただきまして、ありがとうございました。  これにて自由討議終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時二分散会