○三ッ矢
委員 私は、実は
アメリカのねらいははっきりしていると思っているんですよ。これは、
日本が入らなければほとんど意味のない仕組みなんですね、残りの九カ国というのはみんな小さな国ばかりですから。しかも、マレーシアとかシンガポールに至っては、GDPより輸出額の方が大きいような国ですから、輸出主導の国なんですよ。だから、
日本はもうほとんど売るものがないんですね。
アメリカが何をねらっているかというのは、いみじくも
大臣がおっしゃったように、オバマさんが、輸出を拡大して雇用を拡大するんだよと。来年に選挙を控えて、
アメリカの経済は非常に調子が悪い、FTAもそうなんでしょうけれども、TPPを通じて、
アメリカの経済の成長を図り、輸出を通じて雇用を拡大していくんだ、こう言っているわけですね。
では、
日本以外の国で、TPPの今のメンバーですよ、
アメリカが何か売るものがあるかといったら、もうほとんどないですよ。だって、今度入ると言っているカナダやメキシコにしたってNAFTAに入っているんですし、ほかの小国に対して
アメリカが何を売るんだといったら、むしろ競合する面が多い。例えば食料。穀物なんかについてはオーストラリア、あるいは乳製品についてはニュージーランドが競合している。こんなものないですよ。
ただ、
日本が入ったら全然違う。
日本も二十年前と比べて衰えたりとはいえ、この間もちょっと構造
協議の話をしましたけれども、あのころはまだ
日本も余裕があった、だけれども、もう今ないわけです。しかし、人間が生活している以上、物は食べるわけですし、これが一つですね、食料。
日本の食料に関する高い関税、例えば米、七七八%、牛肉については、これはTPPというよりはむしろBSEの問題かもしれませんけれども、月齢三十カ月まで云々というような話もされています。食うものは買うだろうと。あるいは穀物、飼料も含めて、これも
アメリカからほとんど輸入していますから、これはもっと売れるんじゃないかと。だから、ここはねらっている。
もう一つは、私は、
日本人が持っている貯金だと
思いますよ、千四百兆円と言われている個人の金融資産。これは、では、どうやってねらってくるんだといったら、金融であり保険であり、あるいは医療であり、しかも、高齢者がほとんどこの貯金を持っているわけですから、大
部分は。それをねらってくる。
言葉は悪いですけれども、
アメリカによる振り込め詐欺だと私は思っていますけれども、これは別に違法だというわけじゃなくて、私が
アメリカだって同じことを考えると
思います。
問題は、
日本政府がそのお先棒を担いでいるということなんですよ。これはもうすってんてんにされますよ、私の構造
協議をやった経験からいうと。
日本にそんな交渉力があるか。対等の
交渉相手じゃないんですから、
アメリカは。さっきいみじくも
大臣が
安全保障との
関係もありますと言ったのは、そこですよ。それをもし考えているとしたら大間違い。
アメリカは、TPPに
日本が入ろうが入るまいが、
安全保障上やはり
日本は必要なんです。私はそう思う。
普天間でどじをやったから、大きな穴をあけちゃったから、そのかわりに、ではTPPで穴埋めしますよ、もしそんなことを考えているんだったら大間違いですよ。
関係ないんです。私は
関係ないと思っている。だから、そこは毅然たる態度をとらないと。ただ、
アメリカにしてみたら、
普天間の問題をいつまでも早くやれ、早くやれと言っておくと、これはカードとして使えるわけですし、私だってそう使いますよ。
だから、今度の問題は、実は非常に大きな問題をはらんでいる。余り
日本みたいに単細胞で、何でもかんでも
アメリカの言うことを聞いて、はい、わかりました、それで、気がついたらすってんてんになっていました、これは非常に危ない
状況だと私は
思います。
それから、カナダとメキシコが参加をすると言ったのも、これもやはり
日本が参加を表明するということに連動しているんだと
思いますよ。さっきも言いましたけれども、カナダ、メキシコは、
日本がもし入らなかったら、ほとんどこれは入っても意味がない。では、カナダやメキシコは
日本に対して何をしたいんだといったら、やはり穀物の輸出であり、あるいは乳製品の輸出であり、メキシコに関して言うと、今度EPAを改定もしようとしていますけれども、豚肉とか鶏肉とか、こういうのは、
日本が入ってきたらこれはもっと売れるぞ、絶対そう考えているんですよ。当然だと
思いますよ。
だから、こういう
状況の中で、
日本がこれからどれだけの交渉力を発揮できるのか、私も非常に、はてなマークが三つぐらいついているんですが、非常に厳しい
対応を迫られてくる。
それから、ちょっと話をはしょりますが、TPPと日米の
安全保障関係、今、もう大分触れましたけれども、私は、さっきも言いましたように、これは余り
関係ないと思っているんです。
関係なくも、
アメリカは、東アジアの
安全保障の
関係については、海兵隊の例の米軍のローテーションの問題とか、現に動きをもうどんどん始めているわけですね。後ほど触れますが、オーストラリアの問題とか、そういうこともやろうとしている。
大臣は、TPPの問題とも離れて、あるいは
大臣が
関係あるとおっしゃったんだったら、TPPと
安全保障の問題についてもどういうふうに
関係あると考えておられるのか。それから、最近の米軍の一連の軍事的なプレゼンスの変化というんでしょうかね、グアムに八千人海兵隊を移すとか、あるいはダーウィンに海兵隊を二千五百人ですか移駐させるとかいう話もありますけれども、大きなコンテクストの中で、
大臣はこの
アメリカの動きについてどういうふうに考えておられますか。