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国務大臣(
玄葉光一郎君) 小見山
委員の最初の
質問にお答えをしたいと思います。少し丁寧にお答えをいただきたいということでございますので、少し時間をいただいて御説明したいというふうに思います。
開国、
日本は鎖国していたのかと、こういうお話が時々ございます。私
たち、開国というとまず思い出すのは明治の開国であります。そもそも尊王攘夷というふうに言って明治
政府が成立をしました。攘夷というのは御存じのように外国人を討ち払うという意味ですけれども、実際にやったことは開国だったというふうに思います。そのときに欧米の知識を取り入れて、結局、
日本はアジアの唯一の近代国家になったということだと思います。その次に、特に総理が戦後の開国ということをおっしゃるのは、私流に申し上げれば、それはやはり欧米の知識、技術、こういったものを導入してアジアで唯一の言わば先進国になったと。
今の
日本を考えたときにどうなのかと、特にこの二十年を考えたときに、よく引き合いに出される韓国、あるいは英米、例えば一九九〇年から十年間で韓国はたしか一二、三%の成長をし、英米は五、六%の成長をし、
日本は二%の成長だったと。二〇〇〇年から十年はどうだったかといえば、韓国は七%、英米は四%、そして
日本はマイナスの、これ名目ですけれどもマイナスの〇・五%と。
じゃ、なぜこういうふうになったんだということだと思います。これは、それぞれ解釈があろうかと思いますけど、やはり
一つはバブルの崩壊、そしてデフレの長期化、これが
一つ当然大きいというふうに思います。さらに、
衆議院のたしか
予算委員会だったと思いますけれども、
公明党の遠藤議員がやはり内向き化志向というのが強過ぎたんじゃないかという指摘をされておられました。留学生も確かに減りました。あるいは、海外赴任を若い
人たちにしてくださいと言ってもなかなかしないというのが今の風潮になっています。
同時に、良い製品を作ってもなかなかデファクトが取れないとか、そういった問題がいろいろ出てきた。更に言えば、競争劣位の
環境が残念ながら他国と比べてつくられている面も、FTA、EPAなどの経済連携についての
環境整備上言えるのではないかということだと思います。
更に加えて申し上げれば、これも本質的な話だと思いますけれども、九〇年代半ばから労働力人口が減少し始めたと。少子高齢化
社会がやってくる中で、どうやって私
たちは一定の成長を維持していくのかと。一億二千八百万人の人口が、人口統計だけは正確だと思いますけれども、ほぼですね、二〇四六年、まあ小見山さんはお若いですけれども、三十五年後、一億人切ると。一億人切る中で、この一億人の内需はとても大事です。とても大事です。だけれども、この内需だけで果たして
日本の一定の成長というのを維持できるのかどうなのかということだと思うんです。
外に目を向けたときに、いつも申し上げますけれども、アジア三十五億人、アジア太平洋で四十億人、十年後に中間層が十億人増えて、
日本の個人消費の四・五倍の個人消費が出てくるだろうというふうに言われている中で、アジアの内需は
日本の内需だというふうに考えていくのは、私は当然あるべき戦略だというふうに考えているところでございます。
そういった
観点から、言わば経済連携をハイレベルで進め、また包括的経済連携の基本方針を進め、更に言うと、TPPについてどうするかという議論を今させていただいているということだと思います。
ただ、これは御
質問にないのかもしれませんけれども、私も農村の、あるいは農業もそうですけれども、農村の豊かさは
日本の懐の深さだというふうに、本気でそう思っています。私も二十年議員をやっています。国会議員十八年やっています。私の選挙区は本当にほとんど農村です。それぞれ隅々まで歩いてつくづく思いますが、やっぱり
日本の懐の深さだと思うんです。
農業、農村の持続
可能性は私は譲れません。今のままでいくと、残念ながら一億二千八百万が一億人になるわけですから、それは農村地域はどんどん人口が減っていきますよ。これをどうやってその持続
可能性を維持するのかということを考えたときに、やはり成長の言わば恩恵の分配メカニズムをつくり上げるしか私はないんじゃないかというふうに思っているんですね。
ですから、将来世代とか
子供たちに今の豊かさをできれば成熟した豊かさに変えてそれを引き継ぐというために、この開国という言葉について様々な御議論はあるかもしれませんけれども、まさに国のありようが今問われているというのがまさにこの
平成の開国の意味するところではないかなと。そのために資するルールをどう作っていくかと。
私
たちは、昨年十一月に包括的経済連携の基本方針を定めましたので、少なくともバイラテラルの、二国間の経済連携についてはハイレベルで進めるという決意をいたしました。TPPは言うまでもなくこれからの判断でありますけれども。ですから、そういったことを通じて、私
たちは将来世代に対してどう責任を持つか、バランスの取れたベストな解を一緒に見付けていきたいというふうに考えております。