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2011-03-10 第177回国会 参議院 予算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十三年三月十日(木曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員の異動  三月九日     辞任         補欠選任      宇都 隆史君     宮沢 洋一君      塚田 一郎君     世耕 弘成君      荒井 広幸君     片山虎之助君      山内 徳信君     吉田 忠智君  三月十日     辞任         補欠選任      石橋 通宏君     安井美沙子君      行田 邦子君     川合 孝典君      桜内 文城君     川田 龍平君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         前田 武志君     理 事                 植松恵美子君                 川上 義博君                 水戸 将史君                 森 ゆうこ君                 礒崎 陽輔君                 猪口 邦子君                 衛藤 晟一君                 加藤 修一君                 小野 次郎君     委 員                 有田 芳生君                 一川 保夫君                 梅村  聡君                 大野 元裕君                 金子 恵美君                 川合 孝典君                 小見山幸治君                 榛葉賀津也君                 徳永 エリ君                 友近 聡朗君                 中谷 智司君                 西村まさみ君                 安井美沙子君                 吉川 沙織君                 米長 晴信君                 愛知 治郎君                 磯崎 仁彦君                 片山さつき君                 川口 順子君                 佐藤ゆかり君                 世耕 弘成君                 西田 昌司君                 長谷川 岳君                 福岡 資麿君                 宮沢 洋一君                 山田 俊男君                 山谷えり子君                 石川 博崇君                 草川 昭三君                 長沢 広明君                 川田 龍平君                 桜内 文城君                 田村 智子君                 片山虎之助君                 吉田 忠智君    国務大臣        内閣総理大臣   菅  直人君        総務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣地域主        権推進))    片山 善博君        財務大臣     野田 佳彦君        厚生労働大臣   細川 律夫君        農林水産大臣   鹿野 道彦君        経済産業大臣   海江田万里君        国土交通大臣   大畠 章宏君        環境大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(防災)        )        松本  龍君        国務大臣        (内閣官房長官)        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策))  枝野 幸男君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(「新し        い公共」、科学        技術政策))   玄葉光一郎君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣経済財        政政策少子化        対策男女共同        参画))     与謝野 馨君    副大臣        財務大臣    櫻井  充君        厚生労働大臣  小宮山洋子君        厚生労働大臣  大塚 耕平君    大臣政務官        文部科学大臣政        務官       林 久美子君        厚生労働大臣政        務官       岡本 充功君    事務局側        常任委員会専門        員        藤川 哲史君    政府参考人        外務省領事局長  川田  司君        厚生労働大臣官        房年金管理審議        官        石井 信芳君        厚生労働省年金        局長       榮畑  潤君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○平成二十三年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○平成二十三年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○平成二十三年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     ─────────────
  2. 前田武志

    委員長前田武志君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  平成二十三年度総予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。  本日午前及び来る十四日は一般質疑を百六十三分行うこととし、質疑片道方式で行い、各会派への割当て時間は、民主党新緑風会三十七分、自由民主党六十七分、公明党二十三分、みんなの党十二分、日本共産党八分、たちあがれ日本新党改革八分、社会民主党護憲連合八分とすること、また、本日午後一時から社会保障に関する集中審議を行うこととし、質疑往復方式で行い、質疑割当て時間は二百四十分とし、各会派への割当て時間は、民主党新緑風会六十分、自由民主党九十分、公明党四十分、みんなの党二十分、日本共産党十分、たちあがれ日本新党改革十分、社会民主党護憲連合十分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。     ─────────────
  3. 前田武志

    委員長前田武志君) 平成二十三年度一般会計予算平成二十三年度特別会計予算平成二十三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。西村まさみ君。
  4. 西村まさみ

    西村まさみ君 おはようございます。民主党西村まさみでございます。  初めての予算委員会質問ということで大変緊張しておりますが、このような機会を与えてくださいました皆様にまずもって心より感謝を申し上げます。どうぞよろしくお願いをいたします。  私は歯科の開業医でありますとともに、一人の子供を育てる母親でもあります。ですから、国民の健康、そして命の観点、そして将来を担う子供たち、そして何より日本が元気になるような質問をさせていただきたいと思います。  まず、先月二十二日に起こりましたニュージーランド地震におきましてお亡くなりになりました被災者皆様の御冥福を心からお祈りしますとともに、身元がいまだ判明していらっしゃらない被災者皆様の一日も早い身元確認、そしてまた御家族皆様に対しましてお悔やみとお見舞いを心から申し上げたいと思います。  日本政府国際緊急援助隊救助チームは、本当に懸命な救助作業を行ってまいったと思います。今現在でも、報道によりますと、四名身元が判明したですとか三名ですとかありますが、外務省より、今の現状についてお尋ねを申し上げたいと思います。
  5. 川田司

    政府参考人川田司君) お答え申します。  ニュージーランド政府は、二百名以上の要員により、二十四時間体制で御遺体の身元確認作業を進めていると承知いたしております。  我が国といたしましても、警察の鑑識専門家チーム五名及び外務省参与法歯学専門家一名を現地に派遣し、ニュージーランド側と密接に連携しつつ身元確認作業を支援しているところでございます。倒壊しましたCTVビルで学んでおられ、地震発生後、安否が確認されていなかった二十八名の方のうち、これまでに三名の方の身元確認が発表、公表されております。  引き続き、ニュージーランド側に対して早期身元確認を働きかけるとともに、身元確認作業に協力し、一日でも早い身元確認につながるよう最大限努力いたしたいと考えております。
  6. 西村まさみ

    西村まさみ君 ありがとうございました。  人命救助が第一だということは十分に承知しておりますが、生存の可能性が日々少なくなっている今、御家族皆様にとりましては一日も早い身元確認というものが必要であり、願っていらっしゃることと思います。是非とも、ニュージーランド政府におきましても、強い働きをお願いを申し上げたいと思います。  ニュージーランド政府は、五段階、ステージに分かれまして身元確認作業を行っていると聞いています。特に、ステージフォーに当たります情報の照合についてお尋ねを申し上げたいと思います。どのように情報が活用されているのか、また政府は現段階でどの程度まで把握しているかということをお尋ね申し上げたいと思います。
  7. 川田司

    政府参考人川田司君) お答えいたします。  歯型を含む生前情報ニュージーランド側への情報提供につきましては、ニュージーランド側資料提供要請に基づきまして、家族が本邦の歯科医などの医療機関資料提供を依頼した上で入手した資料現地を訪問される親族など関係者に託す、あるいは外務省経由現地に送付するなどの形でニュージーランド側に提供いたしております。  いずれにしましても、引き続きニュージーランド側早期身元確認を働きかけるとともに、身元確認作業に協力し、一日も早い身元確認につながるよう最大限努力いたしたいと考えております。
  8. 西村まさみ

    西村まさみ君 ありがとうございました。  例えば、日航機墜落事故では五百二十名であったり、阪神・淡路大震災では六千四百三十六名、またスマトラ沖地震では二十二万五千人を超える大変大きな犠牲者が出たということであります。  その中でも、今おっしゃいましたように、歯型を含めまして歯科というもの、大変大きな貢献をしてきたことは広く知られていることであります。指紋ですとかDNAですと大変時間が掛かりますが、歯からの鑑別というもの、この役割を担ったという点で本当に大きな報告がある中で、外務省は今個々の情報をそれぞれ収集し、被災者皆様外務省より直接御連絡をして、御家族皆さんがどういう歯科医院に通っていたかという情報を得てから、更にそこから歯型であるとかレントゲンであるとかいうことを収集したと聞いております。  しかし、日本人は歯科受診率が大変高いです。ですから、各地の歯科医院ですとか例えば団体を通じて情報を得ること、つまり、日ごろから是非とも歯科を活用し、体制をしっかりと構築するということがこのように大きな災害が起きたときに活用できる大きなことだと思っておりますので、是非とも身元の早い確認を急ぐためにも活用いただくことを心からお願いを申し上げたいと思います。  自分の愛する子供家族、そして将来に向けて海外へ飛び立っていった、その家族を見守ってきた、見送ってきた御家族にとりましては、やはり本当に一日も早く日本へその生きたあかしを持って帰りたいという、これが切実な願いであると思います。是非とも、このような大規模災害時の身元確認における歯科役割ということを認識をいただきまして、次回より活用を強くしていただくことをお願いを申し上げます。歯科情報は、家族とまた被災者を結び付ける最後のきずなです。  また、身元確認のみならず、例えば避難生活においては不安や慣れないということからストレスがたまる、また食生活から免疫機能が低下して様々な感染症の発症が危惧されます。また、介護が必要な人は誤嚥性肺炎のリスクですとか、例えば急いで逃げたから入れ歯を持ってくるのを忘れた、そんな皆様のために入れ歯を急いで作るとか、本当に様々活用できることがたくさんあると思いますから、大規模災害時の歯科重要性について改めてもう一度お尋ね申し上げたいと思います。
  9. 川田司

    政府参考人川田司君) 先生おっしゃるとおり、本当に歯型の重要性は十分理解しております。先ほど御説明しましたように、外務省参与法歯学専門家がおりまして、その法歯学専門家先生には、直ちに現地に赴いてもらって、今もニュージーランド側と協力しながら鋭意努めているところでございます。  先生のおっしゃるように、今後とも努力したいと思います。
  10. 西村まさみ

    西村まさみ君 ありがとうございました。  今おっしゃいましたように、生前の歯科の所見、レントゲン、そして口腔内写真、歯型、こういったものをデータベース化することができれば、一層効果的に身元確認作業が可能となります。是非とも大規模災害のときにお願いをしたいと思います。  また、今おっしゃいました法歯学という言葉でありますが、現在二十九の歯科系大学があります。しかし、実際に法歯学を学ぶのは六学部若しくは講座しかありません。是非とも文科省におきましても教育の指導の充実ということをお願いを申し上げたいと思いまして、ニュージーランド地震質問につきましては終わらせていただきます。  次に、これからの日本の将来を担う子供たちの問題についてお伺いをしたいと思います。  私も子を持つ母親として、相次ぐ子供の大変残念な事件ですとか貧困ですとか児童虐待につきましては心を痛めているところです。  先週週末、ちょうど熊本県に参りましたときに、あの三歳児の小さなかわいいお子さんがお手洗いから連れ去られ、そして殺害され、川に捨てられるという残念な事件が起きています。まさにその橋のたもとを私も通りました。多くの報道陣、そしてたくさんのお菓子やお花、そして何より川を見詰めて涙する人を見たときに、何とかこの日本の宝である子供たちを守るのがやはり今を生きる私たち大人の責務だと思います。今、この子供たちに一体何が起こっているのか、私は大変に興味深く、そして切実に感じるところでありました。  また、その後、熊本市内児童養護施設を見てまいりました。そして、その現状入所理由、様々なことをお尋ねしたときに、入所している子供児童養護施設ですから二歳から十八歳までの子供が入っています。その子供たちの九割近くが何らかの虐待を受けています。  虐待というのは、いわゆる身体的な虐待であるとか、精神的な虐待、そして性的な虐待、そしてネグレクトと、様々な虐待を受けて入ってきた子たちが九割いるということを聞いたとき、本当に子供たち社会全体で守り育てていくという観点から、この問題は決して今養護施設にいる子供たちだけではなく、私たち大人そして保護者だけの責任ではなくて、今置かれている環境ですとか様々社会の在り方に目を向けなければならないと思っています。  まず、児童養護施設についてお尋ねをいたします。  元々、この児童養護施設というのは、多くが終戦後の戦災孤児を預かるという施設だったということでありますが、昭和二十三年にこの基準ができて以来、今まで若干の改正があったものの、実は今の現実にはそぐわないというところが多々あるように感じます。是非、現在の基準と、そして今後どのように改善していったらいいかという点につきましてお尋ねを申し上げたいと思います。
  11. 小宮山洋子

    ○副大臣小宮山洋子君) 委員には、いつも子供の問題に関心を持っていただいてありがとうございます。  おっしゃいますように、児童養護施設では虐待を受けた経験のある子供が最近大変増えておりまして、平成十一年度より心理療法担当職員配置を決めていまして、平成二十一年度には、児童養護施設全国に五百七十五施設ありますけど、そのうち四百六十九施設心理療法担当職員がいることになります。  その児童養護施設、おっしゃるように、ずっと問題があるのに据え置かれているところが多く、この度タイガーマスクの善意などがあったことから、行政がもっとできることがあるのではないかということで、現場の皆様に集まっていただいて集中的に検討をいたします児童養護施設等社会的養護の課題に関する検討会というものを立ち上げました。その中で、虐待を受けた経験のある子供が十人以上いる児童養護施設には心理療法担当職員の設置を義務化したい、そのようなことを考えているところです。
  12. 西村まさみ

    西村まさみ君 副大臣、ありがとうございました。  入所理由の三分の二が虐待、そして本当に何らかの虐待を受けてきた子は九〇%にも及ぶという現実、まず何よりも子供の心のケアというものが大切だと思いますし、また将来、その施設から出て社会復帰をしたとき、さらにその後のフォローというものも大変必要だと思います。  その点につきまして、改善策等ございましたらお聞かせ願いたいと思います。
  13. 小宮山洋子

    ○副大臣小宮山洋子君) ずっと児童養護施設のいろいろなことが据え置かれたと申し上げましたけど、典型的なのが居室面積最低基準で、これは高齢者施設の三分の一という現状があるんですね。そこで、先ほど申し上げた検討会で今、子供居室については、子供一人当たり居室面積現行の三・三平方メートル以上から小学生以上は四・九五平方メートル以上に引き上げまして、一室当たり居室の定員も現行の十五人以下から四人以下に、未就学児は六人以下に引き下げる、こうしたことを考えております。
  14. 西村まさみ

    西村まさみ君 ありがとうございました。  また、二歳から十八歳という中での年齢の制限があるんですが、実際には、兄弟が入っていれば一歳児でも入れるということ、乳児院ではなく児童養護施設に入れるということなんです。しかし、いわゆる二歳未満の子供児童養護施設に入れるためには看護師配置が必要と、大変施設にとりましては大きな経済的負担というものも出てきています。是非とも、これからその経済的負担というものを子供たちのためにということでお考えいただくことを最後お願い申し上げたいと思います。  民主党では、長年にわたる懸案でありました親権の問題に正面から取り組み、子供権利利益を擁護する立場から、親権停止制度を含む民法等改正案を今国会に提出されたことを私は高く評価をしたいと思います。  同時に、我々歯科医師は、ネグレクトも含め児童虐待可能性を非常に敏感に感じ取ることができる職種一つであります。歯科診療所であるいは保健所の歯科健診で、保育園、幼稚園、学校の健診と、子供のお口の中を見ることでその子供が置かれている生活環境ですとか様々なことが実はよく分かります。  私も区立の小学校の校医として、就学時健診また学校健診の中で、実はネグレクトではないだろうかという事例を発見したことがあります。養護担当と担任にその話をしました。六歳の子、小学校一年生の口の中としては、かむ歯が一本もないですとか、御承知のように、虫歯というものは治さないと自然に治癒することはありません。  ですから、そういったところから、我々はそういったことにも非常に近いところで発見することができますので、こうした観点から、児童虐待防止のためにも歯科医師また歯科に関係する職種をもっと活用することができるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  15. 小宮山洋子

    ○副大臣小宮山洋子君) おっしゃるとおりだと思います。  児童虐待防止法の中には、実はいつも御指摘いただいているように歯科医師が入っていないんですよね。けれども、この虐待防止法議員立法で作ってまいりましたので、今おっしゃった親権の一時停止を含めて、政府の方で用意しているのは民法改正児童福祉法改正ですけれども、恐らくこの機会をとらえて、また議員立法で、超党派で児童虐待防止法の見直しもされるかと思いますので、その中にやはり、今も歯科医師については発見した場合には児童相談所に適切に通告していただきたい、それから、医療機関から保健機関児童相談所、市町村の児童家庭相談担当部署情報を適切に提供していただきたいということは申し上げているんですけれども、その法にないものですから、そこに是非入れていただくように委員からも御尽力いただければと思っております。  今現在行っております児童虐待防止対策協議会ですとか、子どもを守る地域ネットワーク、こうしたところには歯科医師の方も当然入っていただいていますので、これからも是非児童虐待防止、発見に御協力をいただけるように法整備も、委員も御尽力いただいて、整えていければと思っております。
  16. 西村まさみ

    西村まさみ君 ありがとうございました。  児童虐待防止法による通告義務周知徹底ですとか、私たちを含む発見した人たちが相談しやすい環境整備を含めて、体制整備是非ともお尋ねを申し上げたいと思います。  今、本当に副大臣おっしゃいましたように、様々なことがどんどんどんどん新しく変わっています。でも、虐待を受けている子供はそれよりも速いスピードで残念ながら増えているという現実もあります。なかなか私どもが発見しても、簡単に相談しやすいというところまではまだまだいっていないような気がしてなりません。ですから、あれ、これはおかしいなとちょっとでも感じた御近所の皆さん、また学校先生学童クラブ先生保育園先生等が簡単に身軽に相談できるという意味で、是非ともその取組について再度お尋ねを申し上げたいと思います。
  17. 小宮山洋子

    ○副大臣小宮山洋子君) 是非委員もおっしゃっていますように、様々な知見を集めてそうした取組が行われていくように、政府としてもそこをサポートできるような形を整えてまいりたいと思っております。
  18. 西村まさみ

    西村まさみ君 ありがとうございました。  全国共通のダイヤルもつくっていただいたり、本当に多くの取組をしていただいていますが、一つだけお願いをするとするならば、あの番号、私もいつもそのカードを持っておりますが、本当にあの番号、覚えにくいというか長いというか、なかなか身近に感じないというのが実は現実であります。是非とももう少し、三桁とまでは申しませんが、もう少し分かりやすい数字であると有り難いんじゃないかなと思っております。  続きまして、子ども手当についてお尋ねを申し上げたいと思います。  働く母親立場として、子育て支援に係る現物給付拡充重要性は十分に承知をしています。しかし、子供保育園学童クラブに預けるということで全てが解決することではありません。私の娘はまさにこの四月一日から小学校四年になります。四月一日からは家に一人でいなければならない。やはり、不安で仕方がありませんから、お友達のお母さん、お父さんに尋ねたときに、やはり学習塾や習い事を増やそうと、そうしようという子供たちもたくさんいるわけです。  子供たち育てていくには本当にたくさん様々な現金支出が必要な中、本当に子ども手当は助かっているという声も多く聞くのも現実であります。昨日、徳永委員質問の中にもありましたように、子ども手当子供の健やかな育ちを社会全体で支えるという、このことからも本当に大きく私は貢献していると考えています。  かつて、児童手当だった時代に内閣府が行いました、平成十六年、平成二十一年ですが、少子化社会対策に関する子育て女性意識調査、その中の問題の中に、少子化対策を一層役立てていくためにはどのようなことが望ましいかの回答の一番と二番は、一番は、支給の対象となる児童年齢をもっと引き上げてほしい、そして二番は、毎月の手当額を引き上げてほしいと、その二点でありました。これが平成十六年、二十一年、共にそうです。  お金がないことは重々分かっています。でも、これからの子供たちを育てていくには、今いる子供たち社会全体で育てていくためには、私はこれは決して無駄ではないと、決してばらまきではないということを心からお願いを申し上げて、また是非とも、この子ども手当につきましては最初から携わってまいりました小宮山副大臣の意気込みと、そして見解をお聞かせ願いたいと思います。
  19. 小宮山洋子

    ○副大臣小宮山洋子君) ありがとうございます。  子ども手当は決してばらまきではございません。これは税制の控除から手当という民主党の税制の考え方から来ているもので、高額所得者に有利な控除から低所得者の方の方へ手当として必要な人に行くものでありまして……(発言する者あり)
  20. 前田武志

    委員長前田武志君) お静かに願います。聞こえません。
  21. 小宮山洋子

    ○副大臣小宮山洋子君) 金額につきましては、これからまたマニフェストの見直しの中で二万六千円が適切かどうかはこれから検討すると思いますが、当初発足したときにはとにかく税源と見合ったものでございました。  それで、今、西村委員がおっしゃいましたように、子育てをしている人たちが一番望んでいるのは経済的な支援なんです。特に、一人も子供を持っていない人が一番望んでいるのは、持っている人の二倍以上経済的支援がまず必要だと言っていることを是非御認識をいただきたいと思います。  おっしゃいましたように、社会全体で子育てを支援していくというのが民主党子供政策の中心でございまして、このもちろん現金給付だけではなくて現物につきましても、今幼稚園と保育所を一体化をして、全ての就学前の子供に質の良い教育、保育をする場所などについても……(発言する者あり)
  22. 前田武志

    委員長前田武志君) 一番前の方々、もう少しお静かに。
  23. 小宮山洋子

    ○副大臣小宮山洋子君) これまでの縦割り行政を排して、私どもは子供たちを中心に子供の視点でやろう、総合的にやろうと思っておりますが、この子ども手当は御要望にこたえた第一弾ですので、是非野党の皆様からも御理解をいただきまして、ここで四月から支給ができませんと、今のお話のように、本当に現実に困る子供たち子育て家庭があるわけですから、そこで、是非野党の皆様からもお知恵もいただきながら、何としても四月からしっかりと引き続き支給ができるように、皆様の御協力もいただきながら頑張っていきたいと思います。
  24. 西村まさみ

    西村まさみ君 副大臣、本当にありがとうございました。  今を、そしてこれからを支えていくのが今いる子供たちであり、これから生まれてくる子供たちであります。その子供たちに決して恥じることがないよう、我々も一生懸命頑張ってまいりたいと思います。ありがとうございました。  それでは、日本を元気にするべく、クール・ジャパンについてお尋ねを申し上げたいと思います。  現在の日本経済は、過去の高度成長や右肩上がりの成長のように広がるパイに乗じて拡大していく、いわゆる横に広がっていく成長を求めるばかりではなくて、安定した成長を手に入れるための縦の成長というものを求めていかなければならない、そう私は考えています。縦の成長とは何か。それは、我が国が、日本国民が古来から有している独自の知恵ですとか応用力、そして、経済成長の中、激しい競争の中で日本が手に入れた高い技術力、発展力、今のグローバル社会の中で大いに生かし、それにより我が国が世界の中でオンリーワンの道を歩み続けることであると思います。  昨年、政府は六月に、新成長戦略、元気な日本復活のシナリオの中で、クール・ジャパンを新たな成長戦略の柱として位置付けています。  そこで、経済産業大臣お尋ねを申し上げます。私は、このクール・ジャパンこそが我が国が縦の成長を促す重要な要素であると考えています。元気な日本の実現のために、クール・ジャパンへの取組につきまして大臣の見解をお聞かせください。
  25. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 西村委員にお答えをいたします。  今、西村委員から、これまでの横の成長から縦の成長へという貴重な御提言をいただきました。ありがとうございました。  そこで、政府はクール・ジャパンの戦略を定めているわけでございますが、主に三つの柱がございまして、今お配りをいただいた委員のこの資料にもございますけれども、一つは、やっぱり日本の魅力を再発見する、そしてそれを世界に発信をしていくということ、これが一つでございます。二つ目は、やはり日本の強みを発揮して海外にビジネス展開をしなければいけないということ。それから三番目は、やっぱり海外からも日本に多くの方に来ていただいて、そして日本の良さを実感、体感してもらうということでございます。  これを具体的に進めるに当たりまして、私ども政治家でありますとかあるいは官僚の人たちだけでこのクール・ジャパンを議論をしていたのでは、なかなか本当の意味での日本の良さが、あるいはまさにクールというその意識が実現できない点もございますので、これは資生堂の福原名誉会長に座長になっていただきまして、経産省の中にクール・ジャパン官民有識者会議を組織をしたところでございます。  先日、私もこの会議に顔を出しましたけれども、本当にディレクターの方ですとかそれから評論家の方ですとか、自由闊達な意見交換がなされていました。この有識者会議が今年の五月に具体的な海外展開の戦略を取りまとめをいたしますので、これに基づきまして、そして知的財産戦略本部もございますので、こことも密接に連絡を取り合いながら、官民一体、政府一体となって取り組んでいきたいと思っております。
  26. 西村まさみ

    西村まさみ君 ありがとうございました。  今大臣おっしゃいましたように、これは日本からだけの発信ということではなく、世界からもということをやっぱり必要と考えます。世界中に隠れたまだ花開いていない才能とかアイデアを持った人というのはたくさんいます。是非とも、日本に来れば何とかしてくれる、すばらしいものにしてくれるという認識、それを認識されることこそがクール・ジャパンの原点であるだろうと思います。それこそが縦の成長を実現して世界のトップランナーとして日本が君臨することができる。そのために、私は国の事業としてこの技術や才能のプラットホームをつくるべきだと思います。  昨日、御答弁の中で副大臣が約十億円の予算ということをお話しくださいました。具体的にどのようなものか、お聞かせください。
  27. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 平成二十三年度には世界各地でクール・ジャパン・プロジェクトというものを実施したいと思っておりまして、これらをまとめましてクール・ジャパン戦略推進事業という形で予算を計上してございますが、このクール・ジャパン・プロジェクトというのは、世界で、博覧会ですとかいろんな催しが行われています。毎年七月にパリでジャパン・エキスポというものが行われておりますが、例えばこういうところに出ていきまして、そしてそこで日本のまさにクールな部分を皆さん方にお披露目をしていこうということでございます。  それから、もちろんこういった支援策を行うに当たりましては、やっぱり現地での十分なサポート体制が必要でございますので、各地の在外公館にはやはり各地で行われるクール・ジャパンに積極的に関与していくように、またそういう情報も私どもに寄せていただけるようにということを伝えております。  それから、ジェトロという組織が経産省にはございますので、このジェトロもその機能を十分に生かして、このクール・ジャパンの戦略推進を強力に推し進めていきたいと考えております。
  28. 西村まさみ

    西村まさみ君 ありがとうございました。  クール・ジャパンというのは格好いい日本という意味であります。大臣、個人的にお尋ねしますが、大臣がお考えになる格好いい日本というのは一体どんなものでしょうか。
  29. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) クールというのはやっぱり冷静という言葉もございますね。当委員会も大変熱を帯びた議論がございますが、その中で冷静を保つというのも一つのクール・ジャパンのいいところではないかなと。  温故知新という言葉もありますが、この間、国会の議論の中でいいことを、これ野党の方から教えていただきましたけれども、イノベーションというのはよく技術革新とかそういう言葉で言われていますけれども、これは創新という言葉がいいよということを指摘をされまして、その意味では、古きをたずねて新しきをつくっていくということ、これが日本のこのクール・ジャパンの一つの要素かなと。  古きということには、先ほど委員が御提案のありました、やはり日本は本当に二千年以上の長い歴史がある国でございますから、その伝統でありますとか文化でありますとか、こういうことも、私も、余り年のことは言いたくないんですが六十を過ぎまして、つくづくやっぱり思いました、そういう古さとかそういうものを、これを世界に広げていかなければいけないということを思いましたので、そういうことも含めた、やっぱり日本の良さ、伝統に培われた、長い歴史に育まれた、この伝統の良さ、歴史の長さ、そういうものを訴えていくこともクール・ジャパンの核心ではないだろうか、そのように考えております。
  30. 西村まさみ

    西村まさみ君 大臣、突然の質問に対しましてお答え、大変ありがとうございました。  本当に、日本のみならず世界に散らばっている知恵や才能ですとか文化を日本に呼び寄せ、今日までの日本の強みを生かして、日本がアレンジ、そして技術力、発想力でそれを新たな概念を生み出す、それが世界が共感する日本であり、世界が欲しがる日本であります。これを確立するために、是非ともこの安定した縦の成長を行うためには、日本は間違いなくやはり世界の中でオンリーワンの国になることだと思います。そのためには、官民一体となり、国を挙げての継続的な支援が必要であります。  世界が共感する日本、そして世界が欲しがる日本を確立するために、最後もう一度だけ大臣の固い決意をお話しください。
  31. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) これは、その意味では、クール・ジャパンという名前ではありませんが、例えばお隣の韓国なども、やはり伝統と文化に基づいて、しかも現代性のあるいろんな形での世界に対するアピールをやっています。この韓国のそうした海外戦略というものを見ますと、やっぱりかなり長い期間にわたって研究をされて、そして、これからの五年後、十年後、遠い将来を見据えた計画というものが立てられているということに気が付くわけでありますから、私どもは、このクール・ジャパンという名前は比較的新しいわけでありますが、先ほどもお話をしました古い伝統ですとか長い歴史ですとか、こういうものをやっぱり日本の強みとして生かしていかなければいけないということは、これまでもかなり長い期間にわたっていろんなところから、これは決して民主党だけの手柄ではありませんで、今野党になっております以前の与党の方々もやっぱりそういうことをおっしゃっておられましたので、やっぱりその意味では、かなり時間を掛けてまさに発酵している一つの考え方であろうと思いますから、これからは少し遠い将来を見据えまして、五年先、十年先、まあ五年先、十年先が決して遠い将来ということではありませんが、やっぱり三十年、五十年先を見据えて、そしてぶれることなくこの方針、クール・ジャパンを磨いていくというこの方針を貫くべきだと思っております。
  32. 西村まさみ

    西村まさみ君 ありがとうございました。  本当に大臣がおっしゃるように五年後、十年後、そして二十年後、三十年後という長い目で見てでも、必ず日本がそして世界に誇れるようにするということが大事だと思います。どうぞ日本を元気にするためによろしくお願いをいたします。  スポーツについてお尋ねをしたいと思います。  スポーツは、御承知のように、心身共に健やかに育むというだけではなくて、今では地域の活性化ですとか、またある意味外交とも関係があるわけです。オリンピック、サッカーのワールドカップは残念ながら日本に誘致することはできませんでしたが、二〇一九年にはラグビーのワールドカップが日本にて開催されます。  そういった意味で、これからの子供たちにスポーツということをどのようにアピールしていったらいいか、是非ともお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  33. 林久美子

    大臣政務官(林久美子君) ありがとうございます。西村委員の御質問にお答えをさせていただきたいと思います。  今御指摘のとおり、スポーツというのは、体の健康を育むだけではなくて、子供たちの心を大きく育んでいくというふうに思います。友人と力を合わせること、そして先輩と力を合わせていろんなことに取り組んでいくこと、そうした意味では人を育てていくということについて非常に大きな効果があるというふうに考えておりますので、できるだけ多くの子供たちに様々な場面を通じて、地域あるいは学校を通じてスポーツに触れていただけるようにしっかりと取り組んでいきたいと思っています。
  34. 西村まさみ

    西村まさみ君 どうもありがとうございました。  また少し自分の本職の方の質問に入らせていただきますが、かみ合わせはスポーツと非常に関係があります。今までは、ボクシングに代表されるように、マウスピース、マウスガードというものは、いわゆる外からの力に歯を守るという意味ではありました。しかし、今では、かみ合わせをしっかりするという意味で様々なスポーツの中に取り入れています。かみ合わせとスポーツということについての御見解をお聞かせ願えたらと思います。
  35. 林久美子

    大臣政務官(林久美子君) まさに歯科の御専門である西村委員でございますが、我が国のスポーツの振興のためにはスポーツの医科学の活用がますます重要になってきているというふうに考えておりまして、昨年八月に文科省が策定をいたしましたスポーツ立国戦略においても、トップスポーツ、地域スポーツの振興を図る視点から、スポーツ医科学の研究成果などを活用しようということを掲げさせていただいております。  御指摘のかみ合わせについてなんですが、こちらの問題も、咬合機能が骨格、筋力の増強因子の一つであるというような報告もなされるなど、学術研究の成果も発表されているところでございまして、非常に、今後のスポーツ医科学研究を生かして、こうした取組も含めて、スポーツの振興に図っていきたいというふうに思っております。
  36. 西村まさみ

    西村まさみ君 ありがとうございました。  残念ながら、我が国におきましては、まだスポーツにおけるかみ合わせの重要性ということが一般的ではありません。余り知られていないのが現実であります。学校やスポーツ界で取組も必ずしも十分ではないと思います。しかし、かみ合わせがしっかりするということ、奥歯でしっかりと物をかむその力というものが、瞬発力ですとか様々な力に大きくかかわる。そのために、私は、どうしてもこれからのかみ合わせということをスポーツ、そして文科省の管轄でありますが、学校の中でも是非とも取り入れていただく、そんなお願いをしたいと思います。  そして、是非とも文科省におかれましては、例えば、少し話が違いますが、給食においてもかむということの重要性というのは、大変重要なことだと思います。是非とも、その点につきまして、子供たちがかむということをすることが大切なんだという御認識、若しくは何か思いがありましたらお聞かせいただけますでしょうか。
  37. 林久美子

    大臣政務官(林久美子君) ありがとうございます。  よく言われるように、かみ合わせというのは本当に重要になってきていて、その重要性というのは年々新しく認識も高まっているというふうに思います。とりわけ学校教育の現場で、子供たちが給食のみならずいろんな場面でそのことの重要性を認識していくということは、これから社会に出ていくに当たっても非常に重要なことであると思いますので、様々な学校教育の場面を通じても子供たちにしっかりとそうしたことを理解してもらえるように取り組んでいきたいと思います。
  38. 西村まさみ

    西村まさみ君 ありがとうございました。  私は常々思っています。人として生まれたからには最後まで、たとえその最後のとき、最後の瞬間まで自分の口でおいしく食べる、そして自分の口で家族や愛する人と話す、そして笑うという、これが最後の、人間が全うするまでの大切なことだと思っています。しかし、残念ながら、日本は世界に誇る平均寿命を持っていながら健康寿命との差は六年とも八年とも言われている。この差を縮めることこそが大切だと思います。  是非とも、国民の健康、子供の将来を考えるということでは超党派で物事を進めていかなければならないと思いますので、是非とも多くの皆様に御理解と御協力をお願い申し上げさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  39. 前田武志

    委員長前田武志君) 関連質疑を許します。小見山幸治君。
  40. 小見山幸治

    小見山幸治君 民主党新緑風会小見山幸治でございます。予算委員会において、こうして初めて質問をさせていただく機会をいただきましたことに心から感謝を申し上げます。  それでは、質問を始めさせていただきます。  まず最初に、菅内閣の国づくりの理念としている平成の開国についてお尋ねをいたします。  一月二十四日の参議院本会議における総理の施政方針演説において、菅総理は平成の開国として、勢いを増すアジアの成長を我が国に取り込み、国際社会と繁栄を共にする新しい公式を導き出すと述べられております。そして、開国の具体化として、貿易・投資の自由化、人材の交流の円滑化等、包括的な経済連携の推進を打ち出されております。  平成の開国とは具体的にどのようなことでしょうか。特に、我が国の国内産業をどのような方向に導こうとしているのか、玄葉国家戦略担当大臣お尋ねをいたします。
  41. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 小見山委員の最初の質問にお答えをしたいと思います。少し丁寧にお答えをいただきたいということでございますので、少し時間をいただいて御説明したいというふうに思います。  開国、日本は鎖国していたのかと、こういうお話が時々ございます。私たち、開国というとまず思い出すのは明治の開国であります。そもそも尊王攘夷というふうに言って明治政府が成立をしました。攘夷というのは御存じのように外国人を討ち払うという意味ですけれども、実際にやったことは開国だったというふうに思います。そのときに欧米の知識を取り入れて、結局、日本はアジアの唯一の近代国家になったということだと思います。その次に、特に総理が戦後の開国ということをおっしゃるのは、私流に申し上げれば、それはやはり欧米の知識、技術、こういったものを導入してアジアで唯一の言わば先進国になったと。  今の日本を考えたときにどうなのかと、特にこの二十年を考えたときに、よく引き合いに出される韓国、あるいは英米、例えば一九九〇年から十年間で韓国はたしか一二、三%の成長をし、英米は五、六%の成長をし、日本は二%の成長だったと。二〇〇〇年から十年はどうだったかといえば、韓国は七%、英米は四%、そして日本はマイナスの、これ名目ですけれどもマイナスの〇・五%と。  じゃ、なぜこういうふうになったんだということだと思います。これは、それぞれ解釈があろうかと思いますけど、やはり一つはバブルの崩壊、そしてデフレの長期化、これが一つ当然大きいというふうに思います。さらに、衆議院のたしか予算委員会だったと思いますけれども、公明党の遠藤議員がやはり内向き化志向というのが強過ぎたんじゃないかという指摘をされておられました。留学生も確かに減りました。あるいは、海外赴任を若い人たちにしてくださいと言ってもなかなかしないというのが今の風潮になっています。  同時に、良い製品を作ってもなかなかデファクトが取れないとか、そういった問題がいろいろ出てきた。更に言えば、競争劣位の環境が残念ながら他国と比べてつくられている面も、FTA、EPAなどの経済連携についての環境整備上言えるのではないかということだと思います。  更に加えて申し上げれば、これも本質的な話だと思いますけれども、九〇年代半ばから労働力人口が減少し始めたと。少子高齢化社会がやってくる中で、どうやって私たちは一定の成長を維持していくのかと。一億二千八百万人の人口が、人口統計だけは正確だと思いますけれども、ほぼですね、二〇四六年、まあ小見山さんはお若いですけれども、三十五年後、一億人切ると。一億人切る中で、この一億人の内需はとても大事です。とても大事です。だけれども、この内需だけで果たして日本の一定の成長というのを維持できるのかどうなのかということだと思うんです。  外に目を向けたときに、いつも申し上げますけれども、アジア三十五億人、アジア太平洋で四十億人、十年後に中間層が十億人増えて、日本の個人消費の四・五倍の個人消費が出てくるだろうというふうに言われている中で、アジアの内需は日本の内需だというふうに考えていくのは、私は当然あるべき戦略だというふうに考えているところでございます。  そういった観点から、言わば経済連携をハイレベルで進め、また包括的経済連携の基本方針を進め、更に言うと、TPPについてどうするかという議論を今させていただいているということだと思います。  ただ、これは御質問にないのかもしれませんけれども、私も農村の、あるいは農業もそうですけれども、農村の豊かさは日本の懐の深さだというふうに、本気でそう思っています。私も二十年議員をやっています。国会議員十八年やっています。私の選挙区は本当にほとんど農村です。それぞれ隅々まで歩いてつくづく思いますが、やっぱり日本の懐の深さだと思うんです。  農業、農村の持続可能性は私は譲れません。今のままでいくと、残念ながら一億二千八百万が一億人になるわけですから、それは農村地域はどんどん人口が減っていきますよ。これをどうやってその持続可能性を維持するのかということを考えたときに、やはり成長の言わば恩恵の分配メカニズムをつくり上げるしか私はないんじゃないかというふうに思っているんですね。  ですから、将来世代とか子供たちに今の豊かさをできれば成熟した豊かさに変えてそれを引き継ぐというために、この開国という言葉について様々な御議論はあるかもしれませんけれども、まさに国のありようが今問われているというのがまさにこの平成の開国の意味するところではないかなと。そのために資するルールをどう作っていくかと。  私たちは、昨年十一月に包括的経済連携の基本方針を定めましたので、少なくともバイラテラルの、二国間の経済連携についてはハイレベルで進めるという決意をいたしました。TPPは言うまでもなくこれからの判断でありますけれども。ですから、そういったことを通じて、私たちは将来世代に対してどう責任を持つか、バランスの取れたベストな解を一緒に見付けていきたいというふうに考えております。
  42. 小見山幸治

    小見山幸治君 玄葉大臣、どうもありがとうございました。玄葉大臣はこれで御退席をいただいて結構でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。  今お話がございました平成の開国の具体策については、私も共鳴するところであり、全力で取り組んでまいりたいと思います。  国を開くに当たり、物の出入りがスムーズにいくことが当然必要であります。財務省の立場から、平成の開国の具体策について野田財務大臣にもお尋ねいたします。
  43. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 財政演説でも触れさせていただいたんですが、グローバル社会の中で日本が勝ち抜き、成長を実現していくために、国を開くことが必要と考えております。貿易関連手続の円滑化を推進し、これに積極的に貢献をしていきたいと考えています。  具体的には、輸出通関における保税搬入原則の見直しを含む平成二十三年度関税改正法案を国会に提出をしています。これは、輸出申告を保税地域等への貨物輸入前に行えるようにするなどの改善が含まれています。  また、ASEANを中心とするアジア諸国と政策協議を行い、我が国の先進的な制度やシステムの導入を含め、アジアの貿易円滑化を支援をしていくと。このことによってアジアに切れ目のない市場をつくり出し、成長著しいアジア諸国の需要を取り込んで、我が国経済の成長につなげていきたいというふうに思います。例えば、東南アジア諸国の輸出入手続の所要時間というのは、これはG7の約二倍とかこういう現状がありますので、こういうところで大いに貢献をしていきたいというふうに考えています。
  44. 小見山幸治

    小見山幸治君 どうもありがとうございます。  そこで、平成の開国の出入口について幾つかお話をしたいと思います。  我が国は、皆さんも御承知のとおり、海に囲まれた島国であります。我が国の物流は海を越えて、すなわち船舶に積まれて出入りをしています。今、世界の海運物流環境はどうなっているか、大畠国土交通大臣お尋ねをいたします。
  45. 大畠章宏

    国務大臣(大畠章宏君) 小見山議員の御質問にお答えを申し上げます。  現在の海運物流というものが国際的にどのような状況にあるのかと、こういうことでございます。議員も御存じのとおり、日本のGDPも中国に抜かれてしまったと、こういう世界的な経済の動きというものも背景にあると思いますが、世界の海上の荷動きというのは大変激しい変化を起こしております。  私も今回、議員から御質問をいただくというので、改めてこの海運についていろいろと調べさせていただきましたが、一つの変化の起点というのは一九八五年のプラザ合意と、これが一つの起点でございましたし、また中国がWTOに加盟したという二〇〇一年というのも大きな変革のところでありました。この二つの時期的なものを含めて海運も大きく変わってきておりまして、具体的には、二〇〇八年の世界の海上荷動きの量というのが、ちょっとこの単位が難しいわけでありますが、重さとマイルというものを掛け合わせたトンマイルという単位で申し上げますと三十二・七兆トンマイルとなっておりまして、一九八五年、プラザ合意のところと比べますと二・五倍になっております。  あわせて、コンテナ船あるいは資源・エネルギー、食料等のバルク貨物を輸送する船舶は、一括大量輸送による物流コスト削減や、あるいはまたパナマ運河の拡張というものを見据えて大型化が進展しておりまして、大変、日本という国の中から見るものと比較しても大きな変化を遂げておりまして、報道等によりますと一万八千個積みのコンテナ船あるいは四十万トン積みの鉄鉱石輸送船の発注がされていると、こういうことを聞いておりまして、船舶の大型化については今後ますます日本の推測を超える形で変化しており、日本国としてもこの世界の潮流の変化に対応すべく考えていかなければならないと考えております。
  46. 小見山幸治

    小見山幸治君 ありがとうございます。  三十年前、世界のコンテナ取扱高は、我が国は神戸港の四位を筆頭にベスト二十位以内に三港が入っていました。大畠国土交通大臣お尋ねをいたしますが、現在はどういう状況になっているでしょうか。
  47. 大畠章宏

    国務大臣(大畠章宏君) 御指摘の点でございますが、今御指摘のように三十年前、一九八〇年には、世界の港湾におけるコンテナ取扱個数の比較で神戸港が四位であるなど、日本も世界の海運の一つの重要な拠点を成しておりました。しかしながら、二〇〇九年の順位を見ますと、上位二十港に日本の港は一つも入っておらず、東京の港が二十六位、横浜が三十六位、その他の港はそれ以下であるという状況にあります。
  48. 小見山幸治

    小見山幸治君 今、大畠大臣から御答弁がありましたように、二〇〇九年の統計によれば、ベスト二十位以内には日本の港は一港もありません。日本一の東京港が御指摘のとおり二十六位であります。一方で、ベストテンには、三十年前には一港もなかった中国が二位の上海を筆頭に六港、そして一位のシンガポール、五位には韓国の釜山が入り、何とアジア勢が八港も入っています。  この現状について、大畠国土交通大臣はどのようにお考えでしょうか。
  49. 大畠章宏

    国務大臣(大畠章宏君) お答えを申し上げます。  ただいま御指摘のとおりでございまして、私も、なぜこのように日本の港が世界の船の物流の点で遅れてしまったのかということについてもいろいろと話を聞かせていただきました。  一つには、世界の船の物流という意味で大型化していると、こういうことに対して日本の港が十分対応できるような状況になってなかったのではないかというのが一つ。それからもう一つは、港におけるコストの問題がございます。いわゆるハードとソフトと二つの面がございますが、両方とも、そういうアジアの流れ、物流の流れに比べますと日本の対応が遅れていたのではないかと考えております。  いずれにしても、我が国の港湾が必ずしもそういう意味で低コストで効率的に運営されていないということも一つでありますし、今後、我が国のコンテナ基幹航路の就航あるいは産業競争力の維持確保に資するために港湾政策をしっかりと進めていくことが大事だということを考えております。
  50. 小見山幸治

    小見山幸治君 ただいま大畠大臣から御指摘されましたとおり、港湾政策は新成長戦略の中でまさしく重要な位置付けにあり、その中で我が国が勝ち残っていかなければならないことは明白であります。  先ほど大畠大臣からもお話がありましたとおり、今世界における物流船舶は技術の進歩により効率化が図られ、どんどん大型化をしています。幅や長さはもちろんでありますけれども、当然大きくなれば貨物をたくさん積み込みますので沈んでしまいますから、深さが必要になってまいります。そういう意味において、私は深い海を造ることが重要であると認識しております。  現在、世界でコンテナ貨物取扱量がトップレベルの港湾は、水深が十六メートル以上であり、最も深いところで十八メートルというところもあります。船舶の大型化は世界の潮流であり、まさしく港湾の深さは強さであります。その意味において、日本の港も船舶の大型化に対応できるよう早急に整備を進めなければなりません。  そこで、大畠国土交通大臣お尋ねいたします。このような状況の中、政府の港湾政策はどのようになっておりますでしょうか。
  51. 大畠章宏

    国務大臣(大畠章宏君) 御質問にお答えを申し上げたいと思います。  私も、御指摘の点についていろいろと事務当局から話を聞かせていただきましたが、一つの変化は、かつてはアジア諸国の中では日本の港が一番整備されておりました。したがって、アメリカ等からも大型船が来たときに、日本の港に入って、そして荷分けをして小さな船に積み替えてアジア諸国に出航していったと、こういうところでありますが、現在では、大型船が中国あるいは韓国の釜山に入り、そこで小さな船に積み替えて日本に持ち込んでいると。こんな流れも強まってきているということを聞きました。  このコンテナ船の大型化に対して日本の港の大型化というのが遅れていると、こういうことも事実でありまして、また、資源・エネルギー、食料等の世界的な獲得競争が進む中、バルクの貨物の輸送船舶も大型化しており、中国、韓国等々に後れを取っている日本の港の姿というのが浮上しております。  このため、国土交通省としては、国際コンテナ戦略港湾、国際バルク戦略港湾など、港湾の選択と集中という考え方をベースに、アジアの主要国と比べて遜色がない、いわゆる大型船がちゃんと接岸できるような港にしていかなければならないと思いますし、そういう意味で、港湾法を改正し、国際コンテナ戦略港湾等において民の視点による港湾運営の効率化を図り、いわゆるソフトあるいはハードの面でもアジア諸国に、中国、韓国に後れを取らないような国際競争力のある港湾を実現していくことが必要だと考えております。
  52. 小見山幸治

    小見山幸治君 今、大畠大臣から御指摘がございました国際戦略港湾とは具体的にどこの港を言うのでしょうか。
  53. 大畠章宏

    国務大臣(大畠章宏君) 様々な観点からいろいろと中身を精査させていただいておりますが、国際戦略港湾というのは五つの港がございまして、東京、川崎、横浜、神戸、大阪、この五つの港を国際戦略港湾と称しております。
  54. 小見山幸治

    小見山幸治君 ありがとうございます。  港湾政策は新成長戦略の観点からも我が国の最重要政策の要だと考えておりますので、引き続きよろしくお願いをいたします。  次に、海江田経済産業大臣お尋ねをいたします。貿易立国でもある我が国の主要輸出産業とはどのようなものでしょうか。
  55. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 小見山委員にお答えをいたします。  平成二十二年の統計でございますが、我が国の貿易輸出総額が約六十七兆円ございます。このうち最大のものは、私どもの統計では輸送用機器と分類をしておりますが、大宗は自動車、それに航空機などが入りますが、これが十五兆三千億円、ですからおよそ二二・六%ということになろうかと思います。そして、二番目が一般機械ですね、これが十三兆三千億円、約二〇%。そして、三番目がエレクトロニクス製品を含む電気機器、これが十二兆七千億円でございますから、約一九%。これに鉄鋼を含む原料別製品というくくりでございますが、これが八兆八千億円、約一三%。こんな順番になっております。
  56. 小見山幸治

    小見山幸治君 今、海江田大臣からお話がございましたように、日本の主要輸出産業は自動車や航空機産業などであります。  自動車産業について言えば、平成二十一年に日本から約三百六十二万台を輸出しており、自動車輸出台数第一位の名古屋港からは百七万台、二位の三河港からは六十七万台を世界に向けて輸出しています。名古屋港、三河港の二港で我が国の自動車輸出の実に五割近くを占めております。  そこで、海江田経済産業大臣お尋ねをいたします。主要産業である自動車産業が我が国の経済に与えるインパクト、これはかなりのインパクトがあると思いますが、いかがでしょうか。
  57. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 我が国の年間の製造品の出荷額で見ますと、製造業全体が約三百三十六兆円、そのうち自動車が五十七兆円でございますから、製造業に占める自動車の割合は一七%、非常に多いです。  あと一つだけ付け加えるとすれば、やっぱりそこの自動車産業に働く人たちの数でございます。全製造業で一千百四十四万人働いておりますが、そのうち自動車が約八十七万人ですから、八%ということになっております。
  58. 小見山幸治

    小見山幸治君 今、海江田大臣がおっしゃったとおりでございます。  自動車産業は、日本の製造業の出荷額三百三十六兆円のうち約二〇%の五十七兆円を占める巨大産業であります。中でも世界一の自動車販売数を誇るトヨタ自動車。我が国の自動車輸出は平成二十二年の新車のみの数値で言いますと、総輸出自動車台数四百八十四万台のうちトヨタ自動車は三六%を占める百七十五万台を輸出しています。その百七十五万台は名古屋港を中心とする伊勢湾一帯から輸出されています。  自動車だけではありません。川崎重工、三菱重工、富士重工などを中心とした航空機産業の大部分も名古屋港を利用しています。平成二十一年の数値で言いますと、総取扱貨物量一億六千五百七万トン、貿易黒字額三兆五千五百五十六億円。まさに名古屋港は日本一の貿易黒字を誇る港であります。  我が国の主要輸出産業が中部地区を中心とする経済の繁栄と雇用を支えていると言っても間違いありません。名古屋港は日本が世界に誇る産業ハブ港湾として、また中部地区の戦略的な物流港湾として整備していくことが必要だと考えますが、海江田経済産業大臣はいかが思われますか。
  59. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 私も同意見でございます。
  60. 小見山幸治

    小見山幸治君 しかし、先ほど大畠大臣からもお話がありましたように、国際戦略港湾には京浜港と阪神港の二つの港が選ばれました。残念ながら名古屋港は次点でありました。今後、その二港と比較するとかなりの格差が生まれることも予想されます。  例えば、仮に名古屋港の整備が遅れることによって物流効率が悪くなり、元々海外市場での売上げに比重を置くトヨタ自動車などが生産拠点を海外に移すことになれば、中部経済圏や私の選挙区である岐阜県だけの問題ではなく、日本全体に大きな打撃を与えます。日本の経済は壊滅的な状況となりますが、海江田経済産業大臣はいかが思われますか。
  61. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 壊滅的かどうかということは、表現がいろいろございますが、ただ、先ほど私が小見山委員の考え方に同意見だという短い答弁をさせていただきましたけれども、やっぱり、そういうインフラが劣化することによりまして海外に生産拠点が移るということになりますと、貿易の面だけじゃありませんで、先ほど私が触れました雇用の面でも日本の経済は大変大きな痛手を被ることになろうかと思います。  私ども、港湾の整備につきましては、もちろん言うまでもありません、国土交通省の所管でございますが、私どもは、ソフトの面というんですか、例えば国際コンテナの貨物が今どこにあるかというようなことを容易に把握できる情報基盤の構築や標準化、これには大変今力を入れているところでございます。
  62. 小見山幸治

    小見山幸治君 今、海江田大臣がおっしゃったとおりでございます。  もし、仮にトヨタ自動車が海外に拠点を移してしまうようなことになれば、自動車産業に直接かかわっている方だけで三十万人もの雇用が失われる可能性があり、関連産業も含めますと、その五倍から六倍、約百五十万人以上の方々に影響を与えることになります。  国内産業と雇用の維持、繁栄の貢献度から、地元では名古屋港は国際産業ハブ港を目指すと言っております。私も今年の一月十九日に名古屋港を視察してまいりました。私は、そこでコンテナ物流の現場を目の当たりにし、次世代港湾のあるべき姿についてその方向性を得ることができました。  視察現場の一つとして、飛島コンテナ埠頭にある自動化コンテナターミナルを視察いたしました。そこで先端技術を駆使した自動化荷役システムが導入されており、コンテナの積卸しを遠隔操作で行うなど、IT自動化ターミナルの進化によって高サービスと利便性、低コストがまさしく実現されておりました。これは大畠大臣にも御視察をいただくに値する世界に誇る自動化コンテナターミナルシステムであります。まさしく名古屋港は産業と一体となった港であることを実感いたしました。  日本と中部地区の産業を物流面から支える名古屋港について、そのコンテナ機能の強化のための国際戦略が必要だと思いますが、経済産業もしておられた大畠国土交通大臣はどのようにお考えでしょうか。
  63. 大畠章宏

    国務大臣(大畠章宏君) お答えを申し上げます。  確かに名古屋港というのが日本における物流のトップクラスの港であると、これは統計上からも私も調べてまいりました。そういう意味からしますと、国際戦略という観点から、今御指摘を賜りましたが、自動化、二十四時間の荷揚げ作業が行えるようないわゆるゲートオープン時間の拡大という取組、それから様々な形で名古屋港が日本の中でも先進的な挑戦をされているということは高く評価されておりまして、特にこの名古屋港におきましては、鍋田埠頭国際物流ターミナルや飛島埠頭につながる航路の整備などを私たち日本としても力を入れて着実に進め、現行のレベルの国際的な位置付けを高めることが大事だと考えております。
  64. 小見山幸治

    小見山幸治君 ただいま大畠大臣には非常に心強い答弁をいただきました。  今のお話からすれば、港湾法及び特定外貿埠頭の管理運営に関する法律の一部を改正する法律案附則三十一項において国際拠点港湾についての記載がありますが、ここでの国際拠点港湾とは伊勢湾であり、言ってみれば本附則は伊勢湾特例であると理解してよろしいでしょうか。
  65. 大畠章宏

    国務大臣(大畠章宏君) 先ほど御答弁申し上げましたが、国際戦略港湾五港には選ばれておりませんけれども、ただいまの御指摘、いわゆる国際拠点港湾ということでございますが、この御指摘の改正港湾法案の附則第三十一項に、北米や欧州方面の長距離国際海上コンテナ船というのが就航すると。この国際拠点港湾のうちに、その運営効率化を図ることが国際競争力の強化を図るために大変重要な港湾としておりまして、港湾運営会社及び特例港湾運営会社にかかわる規定の適用に関しては国際戦略港湾とみなすということのための条項であります。  したがいまして、今いろいろと御答弁申し上げましたが、附則の第三十一項の対象となる港湾につきましては政令で定めることとなりますが、伊勢湾すなわち名古屋港及び四日市港を予定しております。
  66. 小見山幸治

    小見山幸治君 どうもありがとうございます。港湾はまさに日本経済の出入口であります。今後、我が国が最も力を入れていく政策課題の一つであると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  さて、今ほどは、港湾法改正を含め名古屋港の今後の方向性についてお尋ねをいたしました。世界から日本に物が入ったり出ていくことが誠に重要であることを御認識いただけたと思います。  次に、港に着くまで、港から荷物が揚がってからのお話をさせていただきたいと思います。  現在、日本のコンテナサイズは四十フィートが主流でありますが、二〇〇五年に四十五フィートコンテナがISO規格化されました。世界では、今ますます積載量の大きい四十五フィートコンテナのニーズが高まると予想されます。しかし、日本では、四十五フィートコンテナを積載したトレーラーは全長が長くなるため前後に誘導車を付けることが義務付けられています。これでは実質、四十五フィートコンテナを我が国が導入するには極めて困難であります。  四十五フィートコンテナを積載したトレーラーが日本の道路をスムーズに通行できるようにすべきと考えますが、大畠国土交通大臣はどのようにお考えでしょうか。
  67. 大畠章宏

    国務大臣(大畠章宏君) 四十五フィートのコンテナ積載のトレーラーについての御質問をいただきました。  船の大型化に伴って、そこに積むコンテナの大きさも大きくなる傾向にございます。この大型コンテナを積むトレーラーというのは、今御指摘のように長くなるわけでありまして、道路を、直線の部分については走行上支障はないわけですが、曲がるときに曲率半径が大きくなるという傾向がございます。  この四十五フィートコンテナを積載したトレーラーについては、四十フィートコンテナと比べて車両の長さが先ほど申し上げましたように一・五メーター長くなり、構造改革特別区域制度にのっとり、通行の安全性を検証することが必要であります。しかし、今後、この通行の安全性に特段の支障がないと認められれば、速やかに全国展開を図っていきたいと考えております。
  68. 小見山幸治

    小見山幸治君 安全性に関する課題は全国一律のものであります。実証実験の結果を踏まえて、一刻も早く我が国において四十五フィートコンテナ積載トレーラーの通行が全国展開できるように、是非進めていただきたいと思います。  次に、荷物が港から陸に揚がった後の物流の効率性向上、物流コスト低減が最大の課題であります。その観点から考えれば、幹線道路ネットワークのミッシングリンク、この解消を併せて進めていくことが極めて重要であると思いますが、大畠国土交通大臣の御見解をお伺いいたします。
  69. 大畠章宏

    国務大臣(大畠章宏君) ただいまの御質問のミッシングリンクの解消の問題でありますが、当予算委員会でも度々各議員から御指摘をいただいております。私自身も、国土交通大臣を拝命して、日本における道路網というものをいろいろと実情について状況を報告をいただいておりますが、一部分欠けているためになかなか経済的な効果が発揮できないという箇所がいろいろ見られます。  したがいまして、この国土ミッシングリンク、一部の部分だけ欠けている道路網についてはできるだけ早く整備をすることが必要だと考えておりまして、今、鋭意その対策のための方策等についても検討しているところであります。
  70. 小見山幸治

    小見山幸治君 ありがとうございます。  今、大畠大臣から御答弁いただいたとおり、幹線道路ネットワークのミッシングリンクについては一刻も早く解消しなければ、我が国がアジアの物流、運輸の拠点になるなど絵にかいたもちだと私は思います。  例えば、先ほどからお話があります名古屋港を例に取れば、背後に名古屋環状二号線、東海環状自動車道、東海北陸自動車道などの物流動脈が控えております。中部地方の高規格道路網を中心とした社会資本整備事業についてどのようにお考えか、大畠国土交通大臣お尋ねをいたします。
  71. 大畠章宏

    国務大臣(大畠章宏君) 御指摘の点についてお答えを申し上げたいと思います。  名古屋港と連携する物流の動脈であります名古屋環状二号線あるいは東海環状自動車道あるいは東海北陸自動車道などの整備が大変重要ではないか、これに対してどうするかということでございますが、私どもといたしましても同じ認識に立っておりまして、東海北陸自動車道については平成二十年までに全線供用するとともに、現在、名古屋環状二号線及び東海環状自動車道の二つの環状道路の整備を進めているところであります。
  72. 小見山幸治

    小見山幸治君 御指摘のとおり、港湾と道路の連携強化の促進は、物流の要となる政策軸であります。その中でも、特にかねてから議論になっております東海北陸自動車道の四車線化について具体的にお尋ねいたします。  二車線の四車線化事業が全国では六区間あります。この六区間中四区間については国幹会議でしっかり決められた路線であります。前政権の金子国土交通大臣、そして政権交代後の前原国土交通大臣のときにその整備について約束をされています。また、後任の馬淵国土交通大臣も私の臨時国会における国土交通委員会の質問においてその必要性を認められております。そして、大畠国土交通大臣も、二月二十五日の衆議予算委員会第八分科会で、この四車線化の四区間については実施しなければならない、四車線化の四区間についても実現できるよう是非一つの道筋をつくりたいと答弁されておられます。  そこで、更に具体的にお尋ねをいたします。今後、その実現に向けどのような道筋をつくられるおつもりでしょうか。時期や財源、整備手法について、大畠国土交通大臣に御見解をお尋ねいたします。
  73. 大畠章宏

    国務大臣(大畠章宏君) お答えを申し上げます。  この課題については、私自身、国土交通大臣として大変難しい課題でありますが、何とかその状況を打破すべく今検討をしているところであります。特に、四車線化の問題でありますが、これは前政権下からずっと進められておるところでありまして、前原さんも、そして馬淵さんもこれはその約束に従って進めていくと、こういうことを申し上げさせていただきましたし、私自身もこのところについては、大変大事なところでありますから進めなければならないと考えております。  その進め方の手法でございますが、前原さんのときに利便増進事業を活用してこれを造っていこうということでございましたが、これは残念ながら廃案になりまして現在に至っております。  したがいまして、私としては今週か来週にでも、この道路全般について、あるいは高速道路の有料化、無料化、あるいはどうやって予算を捻出して造っていくかということも含めて、これは与党、野党を問わず、日本国としてどのような形で、アメリカでもない、ヨーロッパでもない日本独特の高速道路の在り方を示すと、こういうことで有識者の皆さんに、おおよそメンバーがそろってまいりましたので、その中で検討をして、できるだけ皆様方の御理解をいただけるような形の道筋を明示してまいりたいと考えております。
  74. 小見山幸治

    小見山幸治君 ただいま大畠国土交通大臣からお話をいただきましたその検討会のフレームワークが今週又は来週に決まるということでございますでしょうか。
  75. 大畠章宏

    国務大臣(大畠章宏君) おおよその人選を今いたしまして、委員会も来週かあるいは再来週にはスタートさせたいと考えているところであります。
  76. 小見山幸治

    小見山幸治君 では、もう少し具体的にお尋ねいたします。  その検討会は、東海北陸自動車道四車線化の早期実現に向けた検討の場であると理解してよろしいでしょうか。
  77. 大畠章宏

    国務大臣(大畠章宏君) その課題も含めて検討をさせていただきますが、先ほどから、あるいは国土交通の委員会でも御指摘をいただいておりますが、様々な予算委員会での御指摘、あるいは国土交通委員会での御指摘、あるいは国民の皆さんの御意見、あるいは関係する皆さんの御意見、そういうことを含めて、現在の検証作業というものを含めて結果を分析し、メリット、デメリット、それから他の公共交通機関に対する影響、そして冒頭にも申し上げましたように、何よりも利用している方々の御意見等を含めて、この委員会の中で先ほどの御指摘の四車線化の問題も含めて検討をしてまいりたいと思うところであります。
  78. 小見山幸治

    小見山幸治君 ありがとうございます。是非その方向で積極的に早期に進めていただきますことを強くお願いをいたします。  今までの議論を進める中で、財源という観点からも総括する意味において、財務大臣にも御意見をお伺いいたします。
  79. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 個別の事業は別として、港湾整備、道路整備などの公共事業についての基本的な考え方をお話ししたいと思いますけれども、極めて厳しい財政状況の中で、効率化、重点化を図りながら真に必要な社会資本整備を戦略的に進めていくというのが基本姿勢でございまして、その中で公共事業関係費全般は前年度に比べて約五%減るという形になりました、めり張りの中でどちらかというとめりの方が多いんですけれども。その中でも、先ほど来議論となっている物流の拠点となる特に重要な港湾の整備であるとか、あるいは大都市圏の道路インフラ整備など、成長に資する事業の予算は増額で、これは張りにしています。  その中で、港湾整備事業全体は、二十二年度が千六百五十五億円でございましたけれども、千六百六十六億円、プラス十二億円で〇・七%増、それから大都市圏の道路インフラ重点投資は、千六十五億円から千百十八億円、プラス五十三億円、プラス五・〇%と、めり張り、張りのところに今日の御指摘は当たるだろうというふうに思います。
  80. 小見山幸治

    小見山幸治君 どうもありがとうございます。  政府は、コンクリートから人へのキャッチフレーズの下、公共事業費を平成二十二年度予算では前年度比一八%の一兆三千億円の削減を行いました。平成二十三年度予算案でも、今お話がありましたように、一括交付金の分を除き四兆九千七百億円となり一四%の減少、昨年同様大幅に削減されております。  現在の厳しい財政状況の中、人口減少、少子高齢化が進み、教育や社会保障に対するニーズが高まりを受け、一定の見直しを図らなければならないことは私も十分理解をしております。しかし、建設業は地方において雇用を支える重要な産業でもあります。社会資本そのものの維持ができなくなってしまうのではないかという不安もある中、今後どのように取り組んでいかれるのか、大畠国土交通大臣の御見解をお尋ねいたします。
  81. 大畠章宏

    国務大臣(大畠章宏君) 今御指摘を賜りましたが、そのような議員の御指摘を踏まえて、私どもとしても慎重にしながら、そして世界の潮流というものをいろいろと考えながら、努力をして一つの道筋を示していきたいと考えております。
  82. 小見山幸治

    小見山幸治君 今の大畠国土交通大臣の御答弁を受け、改めて野田財務大臣にもお伺いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
  83. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 厳しい財政状況であると、大変厳しい財政状況であるという中でありますけれども、先ほど申し上げたとおり、真に必要なインフラの整備については、これはしっかりと整備をしていくという基本姿勢でございます。
  84. 小見山幸治

    小見山幸治君 地方経済にとって社会資本の整備は雇用という観点からも極めて重要な政策であります。私は、必要なコンクリートは造らなければならないという観点からしっかりと進めていただけるよう強く要望をいたします。  港湾政策は、まさに菅内閣平成の開国の出入口であります。私は、来月パナマで開催される第百二十四回IPU会議に出席する機会をいただきました。現在、多くの船舶はパナマ運河の制限よりも大きく、運河を利用できないサイズのスーパーパナマックスであるため、現在急ピッチでパナマ運河の拡張工事が進んでいるところであります。世界の港湾の中心であるパナマにおいて開催される第百二十四回IPU会議で我が国の港湾政策を反映した平成の開国を世界に訴えていけるよう頑張ってまいりたいと思います。  少し早いんですが、お昼に常任委員会もありますし、これで私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  85. 前田武志

    委員長前田武志君) 以上で西村まさみ君の質疑は終了いたしました。(拍手)  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時三十分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  86. 前田武志

    委員長前田武志君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成二十三年度総予算三案を一括して議題とし、これより社会保障に関する集中審議を行います。川合孝典君。
  87. 川合孝典

    川合孝典君 民主党新緑風会川合孝典です。  菅総理を始め、大臣皆様には連日の予算審議、誠にお疲れさまでございます。  今回は、社会保障にかかわる集中審議ということでございまして、私の方からは全般的に社会保障関連の質問をさせていただきたいと思っておりますが、まず最初に、昨今メディアを非常に騒がせておりますいわゆる運用三号、第三号被保険者の記録不整合問題について少し御質問をさせていただきたいと思います。  まず確認なんですけれども、この問題は、一昨年、当時の厚生労働大臣であった長妻議員が、旧社会保険庁がその後現在の日本年金機構に移行するに当たって職員の方々にアンケートを取った、このアンケート調査の結果、この第三号被保険者の年金記録に不整合が生じているということが判明したというふうに伺っておりますが、この認識で間違いはないでしょうか。
  88. 石井信芳

    政府参考人(石井信芳君) お答え申し上げます。  第三号被保険者の記録に不整合があるという問題につきましては、委員御指摘のとおり、平成二十一年十二月に旧社会保険庁が当時の職員、また歴代の職員OB、これらの者に対して行ったアンケート調査の結果から明らかになったものでございます。
  89. 川合孝典

    川合孝典君 そうですね。  ちなみに、連日の報道等、これ見ておりますと、およそ百万人を超える方々に対してこの問題、不整合問題で影響が出るというような報道がなされております。言い換えれば百万件もの記録の不整合が生じているということでありまして、この事実を私知りまして大変驚いた次第であります。  政府・与党としてはこの事実を重く受け止めなければいけない、このことは当然でありますけれども、同時に私は違和感を感じました。では、今まで一体どうやってこの第三号被保険者の種別変更の管理を行っていたのかという、ここに疑問が大変生じたわけでございまして、まずはこの点につきまして質問をさせていただきたいというふうに思います。  この問題につきまして正確に御理解をいただきますために、資料を、パネルを作ってまいりました。一枚目のパネルをお願いいたします。(資料提示)  このパネルは、第三号被保険者に係る届出勧奨及び職権による被保険者種別の変更についてということでありまして、要は、これまで制度ができた昭和六十一年以降どうやって対応がなされてきたかというものが書かれたものでございます。  具体的には、平成九年の一月に基礎年金番号が導入されておりますが、その後、具体的な対応としては、平成十年の四月、ここから、もしも届出が出てこない場合には届出の勧奨というものを始めたということであります。例が書かれておりますが、御主人が転職をされた場合、二号被保険者から一号に例えば変更をなさった場合ですとか、その奥様の収入が増えた場合ですね、年収が百三十万円を超えてしまう、これは健康保険組合は除くということでありますが、この場合、二か月後その奥様が三号のままの場合には、これを届出の勧奨を役所の方で行うという手続を取ったわけであります。その後、四か月たっても、勧奨しても、この奥様から、該当者からの届出がない場合には再度届出勧奨を行うと、こういう手続をしたわけであります。  二回やるということでありますが、二回やっても届出がなかった場合は、ある意味そのまま放置されてしまっていたというのが現状であります。  次に、その後、平成十七年には、届出勧奨をしても届出がない場合、職権による種別変更を開始いたしております。例として書かれておりますが、夫、妻、それぞれが条件が変わったことによって、二か月後、妻が三号のままの場合に届出勧奨を行う、そして、従来と違ったのは、四か月後、勧奨しても奥さんからの届出がない場合には職権による種別変更を行うと、こういう対応をやったわけであります。  このこれまでの対応状況を踏まえて厚生労働省にお尋ねしますけれども、この第三号被保険者の記録不整合について、厚生労働省としてはいつごろからこの問題の存在というのを把握しておられたのかということでございますが、よろしくお願いします。
  90. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) 先ほどの審議官の答弁と若干重なるかもしれませんが、厚生労働省といたしましては、一昨年の秋にこの問題を認識をしたということでございます。長妻前大臣の下で、旧社会保険庁、日本年金機構の職員の皆さんに、この際だから、年金制度を信頼できるものにするために、いろいろと問題点、お気付きの点があれば正直に申告していただきたいということでお申出いただいた様々な情報の中からこの問題を認識をいたしました。
  91. 川合孝典

    川合孝典君 ということですね。ということは、一昨年より以前は問題があったこと自体認識されていなかった、若しくは分かっていなかったということでございます。  ちなみに報道では、今回の問題で影響が出る方が百万人以上だというような数字が出ております。この数字は正しいんでしょうか。該当される方というのは実際どのぐらいおられるというふうに御認識をされているのか。この点についてお伺いしたいと思います。
  92. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) おおむね数十万人から百万人ということで厚生労働省の現在の認識を公表させていただいております。  その根拠となりますのは、今申し上げました一昨年秋のアンケートとほぼ並行して、一昨年の七月から八月にかけてデータを抽出をいたしまして、記録の不整合のみならず、一体中がどうなっているのかという作業を前政権の皆さんの一番最後の局面から日本年金機構では行っていたようであります。  したがって、その結果が実際に出ましたのは昨年、平成二十二年の一月でありますけれども、その調査の結果出てきたデータの中に記録の不整合の方が百三万件あったということであります。ただし、その後、実際に記録を補正された方々や、その後また不整合が発生していらっしゃる方々がいらっしゃいますので、概算でございますが、現状としては数十万から百万程度という認識を公表させていただいております。
  93. 川合孝典

    川合孝典君 職員の方からのアンケート結果ということで、実際現場で仕事に携わっていた旧社会保険庁の職員の方々の中ではそういう認識が少なからずあったということは、これは確実であります。  次のパネルを御覧いただきたいんですけれども、これまでのこの第三号被保険者の種別変更にかかわる対応について、これを時系列でこれ簡単に並べたものでございます。  昭和六十一年の四月に制度が創設されて以降、現在に至るまでの間、先ほど一枚目のパネルにありましたものとは別に、平成十年までの間に四回のこの種別変更の届出勧奨というのを実は行っているわけであります。大体二年から三年置きに勧奨を行っているという、これが事実であります。  こうした度重なる届出の勧奨を行う、この対応を見る限り、先ほど大塚副大臣からもお話がありましたが、厚生労働省並びに旧社会保険庁では、この第三号被保険者制度、かなり早い段階から種別変更に漏れが生じているという懸念を持っていたからこうした度重なる勧奨を行っていたと考えるのが私は自然だというふうに考えております。  そこで、大塚副大臣にお伺いをしたいんですけれども、この昭和六十一年の制度創設以降、こうした問題を認識していたにもかかわらず、なぜ抜本的な改革を行うことをしなかったのかということ、この点について少し御認識をお伺いしたいんですけれども。
  94. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) これは、なかなか私の立場では申し上げにくい点でもありますが、今、川合議員が御指摘くださいましたように、現場では少なからずそのような懸念があるからこそ勧奨を始めていただいたわけでありますので、あとはその勧奨をした結果として、この三号記録と一号記録の不整合がどの程度発生していて、もしそれが膨大な量に上るということであればしかるべき措置をとらなければならないというのは、そのときの政府の御判断であったと思います。
  95. 川合孝典

    川合孝典君 私は、この件について、どこにどう責任がということを申し上げるつもりはありませんが、言うまでもなく、年金制度というのは過去から現在、そして未来に向かって長いスパンで見なければいけない制度でございます。したがいまして、その長いスパンの中でどういう対応を行ってきたのか、そしてこれからどういう対応を行うのかということこそが求められているわけであります。  そして、今回、運用三号というこの言葉でもって、非常に国民の皆様どういうことなのか分からずに混乱されておられると思いますけれども、従来、問題としてありました消えた年金、それから宙に浮いた年金の問題が数年前に起こりました。この場合には、本来もらえるはずの年金をもらえない方が出てきてしまったということで非常に問題になったわけでありますが、今回のこの第三号被保険者の問題につきましては、本来、手続を変更しなければいけなかったにもかかわらずしなかったことによって、ある意味、人によっては年金の過払い状態が発生してしまっていたりと、年金の受給資格を満たしていないのにもかかわらず年金を受け取る方が出てきているという、全く実は逆の状況が起こっているわけであります。  要するに、これは今回問題が発生したことによって騒ぎが起こっておりますけれども、何もせずにいた昭和六十一年から現在に至るまでの間というのは、事実上の運用三号状態があって、そして過払いの状態がずっと続いていたということが、これが私は事実であるというふうに思っておりますが、この点についての大塚副大臣、御認識いかがでしょうか。
  96. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) 今、事実上の運用三号状態という御表現をいただきましたけれども、結果的に、冷静に振り返ってみれば、そういう状態にあったということだと思います。
  97. 川合孝典

    川合孝典君 お分かりでしょうか。今回、具体的な抜本的な対応策を打ち出した、そしてそれが課長通知というこの手法をもってやったということで、このことについて、不公平感を始め、またモラルハザードの問題等で様々な議論がなされているわけでありますけれども、元々この第三号被保険者の記録の取扱いについてはずっと温存されてきたわけでありますよね。  ちなみに、一点確認しておきたいんですけれども、大塚副大臣、昭和六十三年から平成十七年に至るまでの間、六回勧奨が行われておりますけれども、この勧奨について、対応というのは、これ今回と同じように課長通知によって行われていたものなんでしょうか。この点、ちょっと確認させてください。
  98. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) 昨日質問通告をいただきまして、これまで知りませんでしたので、改めて調べてみました。調べたところ、先生御指摘の指導は、旧社会保険庁の運用部年金指導課長の課長通知で行われておりました。(発言する者あり)
  99. 川合孝典

    川合孝典君 お分かりでしょうか。今回、非常に議論になっております、大きな影響が出るというこの運用三号なんですけれども、元々制度ができてから以降、昭和六十三年以降、ずっと課長通知でもって対応されていたわけであります。私は、そのこと自体に対して、野党の方からも先ほどお声が掛かりましたが、課長通知でこの制度を行っていたということ自体に問題があるというふうに思います。  ちなみに、この間、昭和六十三年以降、厚生大臣並びに厚生労働大臣をやられていた方々には、当然、当時与党であった自民党のそうそうたる議員の皆さんを始め、私たち民主党の現在の菅総理もやっていらっしゃった、公明党の坂口先生もやっていらっしゃったわけであります。これは、どなたがやっていらっしゃったそのときにも、ずっと脈々としてこの問題に関しては課長通知をもって対応されていたと、これが事実なわけであります。  それからもう一つ、大塚副大臣にお伺いをしたいと思いますが、この課長通知というもの自体の一般的な取扱いとして、この課長通知というのは大臣に対して報告の義務等というものはそもそも有しているものなんでしょうか。
  100. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) その点はケース・バイ・ケースというのが実態であると思います。もちろん、極めて実務的なものであれば、これは課長の判断でできることもありますし、しかし、事柄によっては当然局長、つまり事務方の上司に判断を仰ぐべきものもあったと思います。あるいは実務的なものであっても事柄の影響によっては大臣や副大臣や政務官、かつては政務次官という立場の方もいらっしゃいましたけれども、そういう政務の判断を仰ぐないしは報告をするということもあろうかと思います。しかし、その課長通知を出す権限自体は課長自身にあるということだと認識しております。
  101. 川合孝典

    川合孝典君 ありがとうございます。  改めてこの問題について申し上げますが、今回のこの第三号被保険者の年金記録不整合にかかわる問題の本質というものでありますが、これまでの質疑の中からはっきりしてきたことは、そもそも現在の年金制度というもの自体が申請主義、届出主義ということで、届けていただくということに基づいた制度となっているということで、元々被保険者情報の正確な把握を一〇〇%行うということが無理だという、このことはもうはっきりしているわけであります。それからもう一つは、この第三号被保険者にかかわる対応、いわゆる一般的な年金行政にもかかわってまいりますけれども、こうした重たい問題が実は国会での審議もなく、法改正の必要のない課長通知でもって行える状態がこれまで温存されてきたという、この実は二つが大変大きな問題であるわけであります。  もちろん私たちは現在の与党として、現在それからこの年金制度の未来に向かってどうするのかということの方向性をきちんと見出していかなければいけないその責任は重く負っているわけでありますけれども、過去から現在、そして未来に向かって問題を解決するためには、過去隠されてきて若しくは見付からなくて温存されてきた問題を解決するということも含めて、これは私は与野党を問わず問題解決のために取り組むことこそが国民の皆様の期待であると、このように確信しているわけでございます。是非ともこの点につきましては与野党の皆様の真摯な御議論をお願い申し上げたいと思います。  そこで、この問題を今後どうしていくかということでございます。  消えた年金、宙に浮いた年金、そして今回この運用三号、第三号被保険者の記録不整合という、こういう問題が起こってきまして、そのことによって更に年金制度に対する国民の皆様の不信感、不安感というものが非常に高まってしまいました。したがいまして、この不信感、不安感をいかにして速やかに払拭するのかということがこれから求められていることであり、そのことを国民の皆様も聞きたい、聞きたがっていらっしゃると思っております。  そこで、細川厚生労働大臣にお伺いをしたいと思いますが、今後この問題に対して具体的にどのような対応を取っていかれるのか、時間軸の問題も含めて、分かりやすく御説明をいただきたいと思います。
  102. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) この問題につきましては、年金制度に対する国民の皆さんの信頼を取り戻すということで、私としてはこれはしっかりやっていかなければというふうに思っております。したがって、これまでの運用三号につきましては、せんだってこれを廃止をいたしました。そして、この後私たちは法律を改正して、そして抜本的な改善案を作っていくと、こういうことを決めたわけでございます。  これについては、被保険者そして既に年金をもらっている受給者、それぞれ大変重要な、そして将来にわたっての大事な問題でありますから、私どもとしては、せんだって提案をいたしました過去の払っていない未払の期間については、これを受給資格期間ということで認めまして、そして遡って保険料を支払うことができるというような形にしていきたいというふうに思っております。そして、なかなか急に遡ってたくさんのお金も払うということもできない方もおられると思います。いろいろな工夫もしたいというふうに思っております。  また、既に受給している方については、これはまた、既にもらっておられて生活もそれでされているお年寄りですから、それを過払い分として取り戻すとかという問題、これも大変な難しい問題でございます。そういういろんな論点をしっかり議論もさせていただいてその法律案を作っていきたいというふうに思っております。  これは本当に数の多い、多くの国民の皆さんが権利の問題として、生活の問題として大変大事な問題でございますから、どうぞ国会の先生方もこの点について解決に向けて御議論をしていただいて、解決をしていただきたいというふうに思っております。
  103. 川合孝典

    川合孝典君 ありがとうございました。  大臣からのお話もございましたとおり、この問題は対応を誤りますと年金の減額、そして年金のなくなってしまうというような方々も生じるという意味では、大変デリケートな問題でございます。したがいまして、これから国会できちんと議論を行った上で、年金を受給されている方々が極力困られないような、国民の皆様に優しい、そういう制度設計を私からもお願い申し上げたい、このことを申し上げまして、この問題につきましては終わらせていただき、次の問題に移りたいと思いますが。  今、年金の記録の問題が出てまいりましたので、今度は消えた年金、宙に浮いた年金と言われる、いわゆる宙に浮いた五千万件の年金記録のその後の状況についてお伺いをしたいと思います。  二年ほど前まで大変世間の皆様をお騒がせしたこの問題であります。民主党としては、国家プロジェクトとしてこの年金記録問題の解決に向けて取り組むという姿勢を当初から打ち出して取組をしてまいりましたが、その後この年金記録の解明がどの程度進んだのかということにつきまして、多くの国民の皆様は御存じではございません。  したがいまして、この場で今、年金記録の解明状況がどのようになっているのかと、この点について御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
  104. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) 事実関係でございますので、私から御説明させていただきます。  最新の報告は、昨年十二月末時点の報告でございました。  まず第一点として、約千五百四十一万件の基礎年金番号に既に消えた年金のデータが統合済みでありまして、第二点として、今後更に解明を進める記録は、平成十九年の十二月末時点、つまり三年ちょっと前に比べますと、その当時二千四百四十五万件あったものが現在は九百七十九万件まで減少しております。
  105. 川合孝典

    川合孝典君 ありがとうございます。  現状、五千万件のものが四千万件強減って、残り一千万件を切ったという、こういう状況が今あるわけでございます。  この年金記録問題をめぐっては、将来に対する大きな不安を国民の皆様にお与えをしてしまったわけでありまして、昨今不況状況にありますけれども、消費がなかなか伸びてこない、こういう状況も、将来不安ということを懸念される国民の皆様の消費性向が、将来に対する不安があるがゆえに貯蓄に回ってしまっているという、こういうことも今の日本の景気に大変大きな影響を及ぼしているというふうに私認識いたしております。多くの国民の皆様が、この消えた年金、消された年金問題をきちんと解決して、そして、必ず払った年金の保険料が受け取れるという体制が確立されることを、一刻も早いそういう体制の確立を望んでおられるわけであります。  したがいまして、この消えた年金、宙に浮いた年金の問題解決に向けて更なる取組お願いしたいと思いますし、同時に、今後どういうタイムスケジュールでこの問題に対して取組を行われるのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  106. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) 三点申し上げたいと思います。  まず一点目は、紙台帳とコンピューター記録の突合、これは今本当に必死になって行っているところでございます。私も、過日、東京の拠点を視察をしてまいりましたが、本当に大勢の職員の皆さん全国民の皆さんの年金記録の照合作業を今行っておりますので、これはできる限り早く終了させなければいけないとは思っております。これが一点目の今の状況でございます。  ただし、二点目として、これは一体どのぐらいのペースで、あるいはどのぐらいの予算を掛けて行い得るのかということを、今年の夏までに一度今後の見通しをこれまでの実績と併せてチェックをして、更に今後のタイムスケジュールをしっかりと練りたいというふうに考えております。これが二点目であります。  それから三点目として、国民の皆さん御自身がチェックをしていただけるように、インターネットを利用して御自分の記録を確認していただくことのできるねんきんネットが先月の末からスタートいたしました。これについては、国民の皆様が御自身のお持ちになっているパソコンからももちろんアクセスができますが、パソコンを持っていらっしゃらない方々等のために、郵便局にも御協力をいただいて、郵便局のパソコンで確認をさせていただけるような体制をスタートいたしております。今は全国の二百局で御協力をいただいておりますが、できるだけ多くの郵便局に御協力をいただいて、国民の皆さん確認作業に資するようにさせていただきたいと思っております。
  107. 川合孝典

    川合孝典君 ありがとうございます。  あらゆる手段を使って問題解決に向けて取り組むのはこれはもう当然のことでありますが、同時に、国民の皆様に対して、冒頭申し上げましたとおり、今の解明状況を進捗状況も含めて少しでも状況を御説明するという努力も私は必要だというふうに思っておりますので、その点についての取組もこの際求めておきたいというふうに思います。  次の問題に移らせていただきたいと思いますが、次は医療制度の改革について御質問させていただきたいと思います。  政権交代が起こった選挙のときの大きな争点の一つとなったのが、皆様の御記憶にもあるとおり、いわゆる後期高齢者医療制度なるものの存在でございました。  この後期高齢者医療制度について、選挙のときには非常に盛り上がりましたけれども、その後どういう対応になっているのかということについては、残念ながら国民の皆様の多くの方々は御存じございません。したがいまして、政権交代後一年半ほどたった時点で、今どういう対応状況になっているのかという点についてお伺いをしたいと思います。  どうぞよろしくお願いします。
  108. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) お答えいたします。  この後期高齢者医療制度、これは廃止に向けて新たな制度の在り方、これを検討するために高齢者医療制度改革会議というところで検討をしてまいりまして、一年余り掛けて議論しましたが、昨年の暮れに最終的な取りまとめが行われました。  この新しい新制度案に対しましてはいろんな各方面から意見が出ておりまして、私どもとしては、幅広い国民の方々あるいは関係者人たちから納得のいける結論に向けて、その法案の提出に向けて今検討を進めているところでございます。十二月末の最終案、これをベースにいたしまして、法案提出を目指して今検討をいたしているところでございます。
  109. 川合孝典

    川合孝典君 ありがとうございます。  この後期高齢者医療制度につきましては、政権交代時、政権交代することによってすぐにこの後期高齢者医療制度がなくなるのではないかということを実は期待された有権者の方も多かったのではないかというふうに実は私は認識しております。また、廃止して旧制度に一旦戻すという、こういう選択肢も当時取り得たというふうなことを御指摘される方もおられるわけでありますが、制度としてはいまだにこの後期高齢者医療制度というのが残されているわけであります。なぜ今この後期高齢者医療制度がまだ残っているのかというこの理由について、国民の皆様に分かりやすく御説明をいただけますでしょうか。
  110. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) 川合委員御指摘のとおりでございます。その状況の背景には、これを一気に廃止をしてしまいますと、例えば市町村単位で保険料の格差がかなり発生して地域格差が広がるという現実がございます。この点については、今後の制度設計の中でしっかり考えていかなくてはいけないということが一点であります。  それから、市町村がその事務を担うことになりますので、やはりその事務負担が増える市町村の皆さん現状は反対していらっしゃるということもございます。  こうした点から制度の廃止ということには至っておりませんが、先ほど大臣申し上げさせていただいた現状にはありますが、できることはすぐにやるということで、三点ほどの対応はさせていただいております。  一つは、昨年四月の診療報酬改定において、七十五歳以上という年齢に着目した診療報酬は全て廃止をさせていただきました。第二点といたしまして、健康診断、健康診査については、これは、七十五歳以上は広域連合の努力義務による実施となっている中、受診率がだんだん低下しておりましたので、広域連合による計画の策定と国からの補助金の拡充により、現在その受診率の向上を図っております。そして最後に、平成二十二年度の保険料改定に当たっては、都道府県の財政安定化基金の取崩しによって保険料の上昇を抑制するという、できることは万策を講じている状況でございます。
  111. 川合孝典

    川合孝典君 いろいろな手だてを講じてこの該当される七十五歳以上の方々に対しての措置はしているということであります。実際にそうしたこの後期高齢者医療制度にかかわることについての国民の皆様のお声というものが今静まっているという状況からは、今のところ問題は収まっているのかということではありますが、ただ、民主党政権としては、後期高齢者医療制度を確実に改革、なくすということを申し上げたわけでありますので、きちんとしたタイムスケジュール、ロードマップを描いて、それを一刻も早く国民の皆様に御提示をすること、このことは私は求められているというふうに思っております。  是非ともこの点について、細川厚生労働大臣、突然の質問で大変失礼でありますけれども、この点について、後期高齢者医療制度を今後どうするのかということについての御決意を一言お願い申し上げます。
  112. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) 今、この後期高齢者医療制度、これをやめまして、そして高齢者が国民健康保険と被用者保険の方に入っていただくと、こういうような内容になっているわけですけれども、その国民健康保険、これの財政的な問題などで地方団体の皆さんと今精力的にこの話もさせていただいているところでございます。  したがって、私どもといたしましては、何としても、その最終的な取りまとめがございましたので、それをベースにいたしまして、この後期高齢者医療制度を廃止をしていくような法案を、国会の提出目指して頑張ってまいります。よろしくお願いいたします。
  113. 川合孝典

    川合孝典君 ありがとうございます。  国民の皆様は、変化が今見えてこない、期待したのに変化が見えてこないという、このことこそにいら立っていらっしゃるわけであります。結論が出るまで丁寧に作業するのはもちろん当然のことでありますが、今どうなっているのかという進捗状況、この議論のプロセスを国民の皆様に説明する努力を怠っては、国民の皆様の信はどんどん離れていくことになってしまいます。是非とも、この点について、内閣政府一丸となって各方面での取組お願い申し上げたいと思う次第でございます。  続きまして、社会保障制度についての御質問に移らせていただきたいと思います。パネルをお願いします。  こちらに、社会保障給付費の推移についてということでパネルを用意させていただきました。ここで分かりますことは、一九九〇年から二〇一〇年にかけての二十年間、この僅か二十年間の間だけで社会保障給付費が二・二六倍になっているという事実でございます。そして、一般歳出に占める社会保障歳出の割合も拡大を続けて、二〇一〇年には何と五割を超えて五一%になったと、これが厳然たる事実でございます。  この状況の中、パネルを御覧いただくと、少子高齢化が進む現在の日本の中で、国民の皆様の安心の実現、社会経済の活性化を図るために社会保障改革というものが喫緊の課題になっているということは、もうこれは誰の目にも明らかなわけであります。  こうした状況を受けて、政府では、昨年十二月十四日の閣議決定、「社会保障改革の推進について」、これを踏まえて社会保障と税の一体改革に向けた議論を進めておられるわけでございますが、この閣議決定では、社会保障の安定強化のための具体的な制度改革案とその必要財源を明らかにするとともに、必要財源の安定的確保と財政健全化を同時に達成するための税制改革について一体的に検討を進め、その実現に向けた工程表と併せて、平成二十三年半ばまでに成案を得、国民的な合意を得た上でその実現を図る、このように書かれている。これでよろしゅうございますね。  そこで、与謝野大臣にお伺いをしたいと思いますが、この閣議決定に基づく改革の順序としては、まず、社会保障の安定強化のための具体的な制度改革案を示すということ、そしてその次に、必要な財源を明らかにする、つまびらかにするということ、そしてもう一つが、その必要財源の安定的な確保と財政健全化を同時に達成するための税制改革案を示すというこの三つ、三段階に分かれる、このようになろうかと考えておりますけれども、この一体的な改革ということではありますけれども、この今私が申し上げたようなプロセスで検討がなされると理解していいのかということ、このことが一点、そしてその改革というのは一体どういうタイミングで提案されていくのかということ、この二点についてお伺いをしたいと思います。
  114. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 菅総理からは、まず四月の末までに社会保障のあるべき姿を案を作れと、こう言われております。五月、六月にかけて今度は税制について議論を進めて、六月には税・社会保障一体改革の姿、これは数字の入ったものを菅内閣の案として提示できるようにすると。その後の法案でございますけれども、税法の百四条は平成二十三年度中に法的な整備を行えということを命令をしておりますので、いずれにしても平成二十三年度中にはこのことを政府としても、国会としても成し遂げなければならないと思っております。
  115. 川合孝典

    川合孝典君 ありがとうございます。  この一連のプロセスがなかなか現在見えてこない、このことについては、国民の皆様は、一体どういう改革になっていくのかということが見えないことに対する不安というものを恐らく多くの方がお持ちだというふうに思っております。分かりやすく今おっしゃったことを政府として国民の皆様にお示ししていく、説明していくということがとても大切なことだというふうに思っておりますので、この点について、菅総理、是非とも分かりやすい説明というものを国民の皆様お願いをしたいと思いますが、この点について総理の御見解を、急な御質問でありますが、お伺いしたいと思います。
  116. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 今、与謝野担当大臣の方からお話をいただきましたけれども、現在、四月に向けて、あるべき社会保障の姿、これをまず徹底的に議論していこう、この順番が非常に重要だと思っております。その中で、それを実現するため、あるいは維持可能なものにするためにどういう財政的な措置が必要であるか、そのことを六月までには併せてワンパッケージのものとして国民の皆さんにお示しをすると。  もちろん、そのもう一つ大きな枠組みでいえば、日本の経済成長あるいはデフレからの脱却、こういうものが成長戦略などで掲げているそういうものの実現というものと並行して進むということが特に必要なことでもありますので、そういった経済の成長というものを回復して、そして今申し上げたような四月、六月の段階できちっとした案を出していく。その中で、できれば野党の皆さんとの協議ということも踏まえながら、平成二十三年度の末までに与野党合意の中で一つの案が固まり提案できていくことを強く期待をし、全力を挙げていきたいと、こう考えております。
  117. 川合孝典

    川合孝典君 国民の皆様にきちっと説明し御理解をいただく努力、そのことはとても大切なことであります。是非とも一刻も早く国民の皆様に分かりやすく今のことを御説明をいただきたい、改めてお願い申し上げる次第であります。  次の質問に移らせていただきます。  先ほど与謝野大臣の御答弁の中に附則百四条のお話がございましたので、基礎年金の国庫負担の二分の一への引上げのための措置に関してお伺いします。  先ほど与謝野大臣の御指摘にあった附則百四条というのは、自民党政権下の平成二十一年三月三十一日に公布された所得税法等一部改正法の附則の百四条ということでありまして、ここには何と書かれているかと申しますと、政府は、基礎年金の国庫負担割合の二分の一への引上げのための財源措置並びに年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する費用の見通しを踏まえつつ、平成二十年度を含む三年以内の景気回復状況を好転させることを前提として、遅滞なく、かつ、段階的に消費税を含む税制の抜本的な改革を行うため、平成二十三年度までに必要な法制上の措置を講ずるものとすると、こう書かれているわけであります。  恐らくお聞きになられていても何が書かれていたのかが分からないような複雑な文章でありますが、私、この文章の中で注目をしておりますのは、平成二十年度を含む三年以内に景気回復状況を好転させることを前提とするというこの一文であります。  お伺いしたいのは、では、平成二十年以降の景気回復状況、これまでの景気回復状況というのはこの改正の前提を満たしているのか、この点について与謝野大臣にお伺いしたいと思います。
  118. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 当然、法律に書いてあるとおり、景気回復を待ってという条件が消費税を始めとした税制の実施のための必要条件であります。ただし、法的整備平成二十三年度中に要求されているというのがこの条文の趣旨であると私は思っております。
  119. 川合孝典

    川合孝典君 この経済状況の認識というものをどうとらえるか、そのこと、とらえ方によってその後の対応というものが大きく変わってくるということがあります。何とか立て直さなければいけない、二分の一負担の措置をしなければいけないということもございますが、現在の景気状況、国民生活の状況というものも十分に把握し、配慮をした上での対応というものを心から切に願うわけでございます。  次の質問に移りたいと思います。次のパネルをお願いします。  少子高齢化の進行状況についてということでパネルを作ってまいりました。このパネルにお示ししておりますのは、我が国の社会保障制度が整備された時代と現在の状況の推移というものを書かれております。上の棒グラフは名目GDPの成長率であり、下の棒グラフは人口構成比ということになっております。  御覧いただくと一目瞭然で、名目GDP成長率は右肩下がりで成長率が鈍化しているということ、同時に、下の人口構成比については、人口増が歯止めが掛かって、その後、人口減少に向かって動き始めているという予測が書かれておりますが、この中で私が注目しておりますのは一番下の赤で囲まれたところであります。九・一倍、五・一倍、二・六倍等々書かれておりますけれども、これは二十歳以上六十四歳以下人口、いわゆる現役世代と、六十五歳以上人口、引退された世代の方々との比率を示したものであります。言い換えますと、何人の現役世代でお一人の高齢者を支えているのかということを示している数字ということも言えるわけでありますが、これ二〇一〇年の時点で二・六倍、こういう数字になっております。つまりは、二・六人でお一人の高齢者、お年寄りをお支えをしているということであり、これが二〇一五年には二・一人でお一人の御高齢者を支え、二〇五〇年には一・二人で一人のお年寄りを支えるという、こういう状況であります。  このままでは、今の社会保険料の負担だけでも国民の皆様にとっては大変大きな負担感があるわけでありまして、これ以上負担が増えるということに対しては、よほど国民の皆様にきちんとした説明を仮にしたとしても、この負担に耐え切れなくなるということが懸念されるわけであります。  そこで、負担の在り方について御質問申し上げたいと思います。今申し上げましたとおり、この社会保険料というのは現役の負担というわけでありますが、この負担の限界について政府ではどのように御認識をされているかという、この点についてまず御質問したいと思います。
  120. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 我が国の社会保険料給付財源の約三分の二が社会保険料で賄われておりますけれども、その負担の多くは勤労世代に集中しているわけであります。社会保障改革の方向として、若者世代への支援を強化し、全世代対応型の社会保障とすることなどの基本原則が掲げられていることも踏まえつつ、税と社会保険料の適切な組合せや世代ごとの負担の在り方について考えていく必要があると考えております。
  121. 川合孝典

    川合孝典君 先ほどのパネルに一旦戻らせていただきましたが、社会保障給付費の推移のグラフでありますが、先ほど二・二六倍に給付費が増えたと申し上げましたが、その下のところ、国民所得のところを御覧いただきたいと思いますが、この二十年間、一九九〇年から二〇一〇年までの二十年間、国民所得は三百四十七兆円から昨年三百四十六兆円、こういう数字であります。つまり、給付、負担は二・二六倍に増えているにもかかわらず、国民の所得が、家計の収入が増えていないんです、全く。    〔委員長退席、理事森ゆうこ君着席〕  このことこそがこの問題の根底にあるわけでありまして、もちろん財源ということで、給付費、いわゆる税の問題をどうするのかということの議論も大切なわけでありますけれども、国民の皆様が、世論調査では、消費税を上げることについてどう思うかという、こういった問いかけに対しては、実は多くの国民の皆様がこのままではもたないから上げる必要はあるんではないのかという御意見を示される。その一方で、本当に上げてしまったときに払えるのかというところの懸念があるわけです、所得が増えていないから。だからこそ、実際に上がるということに対して大きな抵抗感を示されるわけでありますので、私が申し上げたいのは、この税の議論をする、それと同時に、いや、それよりもむしろ早くまずその前の段階で国民所得を増大させるために何をするのかと、このことこそが大切だというふうに私は考えております。  したがいまして、この点への対応をどうするのかの説明をきちんと国民の皆様にお示ししない限り、決して国民の皆様には御納得いただけないと思っております。したがいまして、この点についての御認識をお伺いします。
  122. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 結局、我々がやらなければならないことは三つあると思っております。それは、無駄の排除を含めた歳出削減、第二は経済成長による国民所得の増大、それから三番目は税制改革による歳入の確保と、これは三つを順番よくやれという意見と、三つを同時にやれという意見と両方あります。三つを順番によくやりますと永久に仕事は進まないと私は思っておりまして、この三つのことを同時にやっていくというのが政治の責任ではないかと思っております。
  123. 川合孝典

    川合孝典君 この順番が非常に大切なわけであります。負担の議論だけが先走りしてしまう。そのことによって誤解が誤解をどんどん呼んでいくということが状況としてはございます。  したがいまして、今、与謝野大臣がおっしゃっていることは、そのことは私自身としては理解はいたしますけれども、そのことを、ではいかにして国民の皆様に御理解をいただくのかということを、この努力はもっとされるべきだと思うんですが、この点いかがでしょうか。
  124. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) これは、国民の御理解をいただくために今進めている作業を御説明申し上げたいと思います。  一つは、この消費税に逆進性があるのではないかという御意見があります。これに対してはきちんとお答えをしなきゃいけないということで、消費税を導入した場合、所得の低い方々に対してどういう影響があるのかと、これはきちんと説明できなきゃいけないと思っております。  それからもう一つは、先生先ほど言われたように、経済に対してどういう影響があるのかと、個人の生活、消費行動に対してどういう影響があるのかと、どこまでの消費税が経済あるいは国民の生活にとって耐えられるのかと、こういうこともきちんとお答えを出さなければならないわけです。一言で言えば、消費税を上げたときの経済に対する影響というものはきちんと国民にお示しをしなければならない。    〔理事森ゆうこ君退席、委員長着席〕  もう一つ大事なことは、これは税法百四条の中にもはっきり書いてありますが、消費税を将来仮に上げた場合、この使途は年金、医療、介護、少子化だけに使うと、しかもそのことを明らかにするためにその消費税収入は区分経理をすると。区分経理をするというのは、出と入りと、出というものを明白に他の経費と区分して経理をするということによって、国民からいただいた消費税はどの経路を取るか別にして社会保障給付として国民に戻ると、このことをはっきりさせるというのが百四条の趣旨でございますから、仮に将来消費税を上げるときには、今の三つのことはきっちり国民に御説明をしなければならないと思っております。
  125. 川合孝典

    川合孝典君 おっしゃるとおり、今国民の皆様の感情としては何とかしなければいけないと。したがって、そのための負担ということについても考えなければいけないと思われている反面、集めた税金が何に使われているか分からないということに対する不信感、このことが根底にあるわけであります。  したがいまして、今、与謝野大臣がおっしゃいましたとおり、何の目的で集めてそれがどのように幾ら使われたのかという、それがきちんと国民の皆様にお示しできる、そういうシステムをいかにして構築するかと、このことこそがこの一体改革の私は肝なのではないかと思っておりますので、是非ともそういう方向へと、かつ誤解を生じないような説明を十分した上での対応というものをお願い申し上げておきたいと思う次第であります。  時間がなくなってまいりましたので次の質問に移らせていただきたいと思いますが、社会保障と税にかかわる番号制度、この部分について御質問をさせていただきたいと思います。  社会保障と税の一体改革のこの番号制度はインフラということになるわけでありますが、早期導入に向けて今丁寧かつ集中的な作業をしていくことが求められていると思いますが、以前の住基ネットといったようなものに対する国民の皆様の反応だとか当時の意見ということを考えたときには、この番号制度というものが一体どういうものなのか、そしてこれをつくることでどういうメリットが国民の皆様に生じるものなのかということをきちんと国民の皆様に御説明する必要が私はあるというふうに思っております。  したがいまして、この機会に、この社会保障と税にかかわる番号制度のメリットについて御説明をお願いしたいと思います。
  126. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 社会保障と税にかかわる番号制度の導入によりまして、より正確な所得を把握する、真に手を差し伸べるべき人に対する社会保障の充実と効率化を図ると。第二には、国民の負担の公正性を確保し、社会保障制度に対する国民の信頼を確保する。第三に、情報社会のインフラとして国民の利便性に更なる向上を図るということでございます。  こういうコンピューターの時代ですから、税も社会保障もコンピューターで整理した方がより公正な結果が私は出ると確信をしております。
  127. 川合孝典

    川合孝典君 ありがとうございました。  いずれにいたしましても、税と社会保障の一体改革は避けて通れない問題でございます。したがいまして、この作業をきちんと行うことによって国民の皆様に明るい未来を御提示するのが私たち与党民主党の責務でございますので、是非とも全力での取組お願い申し上げまして、私からの御質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  128. 前田武志

    委員長前田武志君) 以上で川合孝典君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  129. 前田武志

    委員長前田武志君) 次に、世耕弘成君質疑を行います。世耕弘成君
  130. 世耕弘成

    世耕弘成君 自由民主党世耕弘成でございます。  今日は年金と社会保障の問題ですけれども、その前に一つ、土肥隆一民主党衆議院議員についてお伺いしたいと思います。  まさかこの国に、党派を超えても、この国に我が国の領土を売り渡すような文書にサインをする議員がいるということ、考えられない。本当にみんな驚いていると思います。  この土肥議員は、菅総理の長年の盟友であり側近であると言われています。民主党の中でも、衆議院の政倫審の委員長を務めるぐらい地位の高いベテラン議員であります。菅総理は、昨日、ぶら下がり取材で遺憾であるということはおっしゃいましたけれども、その他、この側近である土肥議員に対して何か具体的な働きかけや行動を起こされましたか。お伺いしたいと思います。
  131. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) この土肥議員の発言は極めて遺憾であります。竹島は我が国の固有の領土であり、そのことは変わりない事実であります。  この土肥議員の発言について、現在、内閣のメンバーに入っておられるわけではない関係もありまして、現在、党の方で、党の立場あるいは国会での立場でどのように対応するか、今、御本人の意見も聴取しながら検討していただいている、そういう状況にあります。
  132. 世耕弘成

    世耕弘成君 この問題についてもう一回聞きます。  電話をするとか、本人を呼んで叱るとか、あるいは、もう離党しろとか、議員辞職しろとか、そういう本人に対する、菅総理、民主党の代表として、あるいは長年の盟友として、側近として仕えている議員に何か具体的な行動は取られたんですか。イエスかノーかでお答えください。
  133. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) この問題について幹事長と話をして、幹事長の方で対応するという、そういうことを言っていただいておりますし、私も、まずは党の方で対応していただきたい、こういうふうに指示をしたところであります。
  134. 世耕弘成

    世耕弘成君 全く土肥議員に対して直接行動を取られていないということがはっきりしたと思います。これ、もし私が同じようなことをやったとしたら、私が師事している安倍元総理は、恐らく私に直ちに電話をしてきて、絶縁宣言と議員を辞めろということを言われたと思います。菅総理は国土に関して、領土に関してその程度の思いしかないということがはっきりしたと思います。  さて、本題の年金問題に入りたいと思います。  年金問題第一号、消えた年金問題、そして第二号、消された年金問題、この問題については我々自民党全員が深く反省をしております。そして、反省しているからこそ、社会保険庁の解体に取り組んで日本年金機構というのをつくりました。年金記録の回復にも全力を投入してきました。先ほど大塚副大臣は、五千万のうち四千万が回復したと言われましたが、そのうち大半は自民党政権時代に回復をしています。そして、民主党政権も自民党がやってきた同じやり方で引き継いでやってもらっています。先ほど、紙台帳の照合現場を視察したと副大臣おっしゃいましたけれども、そのシステムも自民党時代に設計して導入されたシステムであります。だから、我々必死に取り組んでまいりました。しかし、それでも国民には許していただけなかった。だから、この間の衆議院選挙で我々は政権から降りる大きな原因になったのがこれだというふうに思っています。  そして、野党になった後も、この年金記録問題については真剣に取り組んでいます。そして、民主党、与党側から提案された年金確保支援法という法律についても、我々は協力をしてアドバイスをしてより良い法案にして、与野党で合意をするということもやってきています。我々は身にしみて反省をしています。  しかし、年金問題第三号とも言うべき主婦の年金問題、運用三号について、先ほどの民主党の議員の方は、あたかも自民党の責任であるようなことをおっしゃいました。これは違う。下手をしたら数兆円の財政への影響が出かねない行為を、国民が不公平だと怒る行為を、法改正なしで、課長通知一本で全国的にやろうとして、三月二十九日、民主党政権の長妻大臣の下で方針を決め、十二月十五日、細川大臣の下で通知を発出をしたというこの事実、これは私は完全に民主党政権の責任であると思います。  しかし、我々自民党議員が二月末から予算委員会等で取り上げてこの問題が問題化をし、そして三月四日、私の質問に対して、細川大臣は全く知らなかったままこの通知をやったということも判明をした中で、慌てて三月八日にこの運用三号は撤回をされて、そして法律措置によってやるということが発表をされたわけでございます。  そのことは私は正しい評価だと思います。正しい方向だと思います。自民党や民主党政府からいい案が出てくれば、我々もしっかり議論に参加をさせていただく、この問題をいたずらに引き延ばすようなこともいたしません。  しかし、これを法措置でやる場合にしても、年金制度の中では極めて特異な特例、特権を認める法制度ということになります。だから、これをやるからには、その前提として、やはりあの課長通知がどういう経緯で発出をされたのか、そして誰の責任なのかということは明確にしていただかなければいけませんし、この国会で知らなかったと答弁をされた細川大臣、ほかの面でももう答弁がぶれぶれの件がたくさんあります。この細川大臣に、果たしてこの重要な法律を国会にきちっと説明をして、国会論戦をちゃんとやっていくだけの適性があるのかどうか。そして、法改正をした場合、何人の人にどういう影響が出るのか、国の財政にどういう影響が出るのかということ。そして、対象となる人に本当に過失がない、善意の人なのか、あるいは本当は切り替えようと思ったらできたのに、それをやってこなかった人なのか。その辺をしっかりと検証していかなければいけない。  課長だけを更迭をするというようなトカゲのしっぽ切りや、あるいは大臣、政務官の給料、マスコミは全額返還と言っていますけれども、違いますよ。大臣の給料の大部分は議員歳費ですから、大臣手当の部分を返納するだけですから、給料としては二割カットしただけだと。こういういいかげんな対応では認められないということを申し上げながら、質問に入っていきたいと思います。  まず、大臣の適性を確認をしていきたい。大臣はいいかげんな答弁を繰り返されています。  三月四日、私の質問に対しては、この課長通知についてはこうおっしゃいました。事実を申し上げておりますけれども、その通知について私は当時知りませんでしたと答弁した。ところが、その数日前の二月二十五日には、衆議予算委員会で加藤勝信議員が、大臣が判断された、あるいは大臣が御了解された、最終的には大臣が決裁された、これにこの措置が作られた、そうでしょうと聞いたら、大臣は、当時、厚労大臣として最終的な責任は私にありますからそういうことになりますと、あたかも知っていたかのようなことをおっしゃっているんです。細川大臣、どっちが本当なんでしょうか。
  135. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) 私の答弁では、世耕先生の方に答弁したのが正しい答弁でございます。
  136. 世耕弘成

    世耕弘成君 これね、衆議院の皆さん怒ってください。衆議院ではいいかげんな答弁をしているということを認められた。  もう一つ、私への答弁の中で一つ問題を発見をいたしました。私は、この運用三号というのがこのままやられたら悪用されるんじゃないかということを申し上げました。その例として、外国人の夫婦の例を挙げました。外国人が夫婦で日本へやってきて、そして旦那さんが企業に就職する。そうすると、旦那さんは二号被保険者になって奥さんは自動的に三号被保険者になる。で、六か月ほどで旦那さんが、また夫婦で母国へ帰った。旦那さんは会社を辞めますから二号被保険者の権利は失います。だけれども、奥さんは三号被保険者の権利は手続をしない限りそのままになる。そして、二十五年後、この人が、奥さんが帰ってきて私に運用三号を適用してくれと言われたら、二年分払うだけで国民年金年間大体五十万円もらえることになってしまう、こういう悪用がありませんかと言ったら、大臣はこう答えました。機構の方から本人に通知をして四か月連絡がなければ抹消するので今後は起こらないと、私に向かってこの場で答弁をされました。  これ、年金制度の中に抹消という手続はあるんですか。
  137. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) 外国人の場合、国籍が外国でそして日本に住んでいない場合、住居がない場合、これは国民年金法の被保険者からなくなるといいますか、消えることになっております。  そういう意味では、今委員が示されましたその例では、既にもう国民年金法から言わば除籍のような形になりますから、それでこの適用はされない、したがってそういう場合には被保険者にもならないと、こういうことでございます。
  138. 世耕弘成

    世耕弘成君 これ、年金局長お見えですから確認したいと思いますけれども、外国人で帰国して、帰国先の住所も分からないで郵便物を送っても着かない、そんな中でこの抹消ということはできるんですか、教えていただきたいと思います。
  139. 榮畑潤

    政府参考人榮畑潤君) 今お話しのそういう方であっても、国民年金法上、被保険者資格がなくなるということでございます。
  140. 世耕弘成

    世耕弘成君 いや、もう一度。  だから、これ、外国人で通知が着かなくてもやれるんですか。郵便が着かなくても抹消ということ、できるんですか。
  141. 榮畑潤

    政府参考人榮畑潤君) 国民年金法上は、外国人の方が外国に出られたようなときには被保険者資格はなくなるということでございます。
  142. 世耕弘成

    世耕弘成君 もう一つお伺いしたいと思います。  大臣は、省内の把握が私は十分できていないと思う。三月八日の衆議厚生労働委員会で岡本政務官が、十二月十五日より前に私は聞いておりました、相談として受けていたということは事実関係としてあると答弁をされております。  岡本政務官にお伺いしたいと思いますが、これは事実ですか、どうでしょうか。何日にお聞きになったんでしょうか、お伺いしたいと思います。
  143. 岡本充功

    大臣政務官(岡本充功君) お答えいたします。  衆議院の厚生労働委員会で答弁させていただいたとおりでございます。  また、日時については、昨日調べましたけれども、定かではありませんけれども、十二月ごろ、物価スライドの扱い、基礎年金国庫負担二分の一の取扱いなど様々な課題がある中で、事務方から聞いた記憶がございます。
  144. 世耕弘成

    世耕弘成君 政務官が、十二月十五日、この年金記録回復委員会で最後の決断が示されるまで、この通知が出る、結論が出るまでに知っていて、大臣がその一か月以上後に知る。これだけ重要な問題なのに、政務三役一体と、これ民主党の看板でしょう、政治主導というのは。そのチームワークが全くできていない。  これ、報告、相談しなかった岡本政務官の責任について、大臣、どういうふうにお考えになりますか。
  145. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) 岡本政務官は、この運用三号について、事務方の方で事務的に進んでいるということの報告を受けたということでありまして、そのときにそれを私の方に政務官から報告がなかったということについては、これは私は、それは事務方の処理の報告でありますから、わざわざ私の方に報告はする必要はないと、こう判断されたんだと思います。
  146. 世耕弘成

    世耕弘成君 これは、ただでさえ政務三役で一体となって責任を持ってやっているとおっしゃっているわけですよね。政務官が知っているのに報告しなかった。私も総務大臣政務官やっていたことありますけれども、もし万が一、百万人に影響を与えるかもしれない、財政的に数兆円規模の影響が出るかもしれない、そういう通知を課長が出そうとしている、そのことが年金記録回復委員会に諮られるということであれば、私は必ず大臣に相談したと思いますよ。この辺がもう完全に、細川大臣、省内の掌握ができていないと思います。  そしてもう一つ、胸を張って知らなかったとおっしゃっていますが、大臣は知るチャンスがあったんです。十二月十五日、通知が出される一日前、十二月十四日に年金記録回復委員会が開かれました。  もう一回、これはこの間もお答えいただいていますが、大臣は出席されましたよね。
  147. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) その年金回復委員会へは出席をいたしました。出席をいたしまして、冒頭挨拶をして退出をいたしました。
  148. 世耕弘成

    世耕弘成君 冒頭挨拶をして退席をしたって、何か結婚式に来賓で出たようなことを言わないでください。これ、年金記録回復委員会というのは式典でも何でもありませんよ。これは年金問題に対応して国民の視点から検討して、厚生労働大臣に助言をするための委員会であると規定されている委員会ですよ。ここに出席をするに当たって、それは日程上、挨拶をして、出られるかもしれないけれども、そこの委員会でどういう議論が行われるかというのは事前に官僚から説明を受けなかったんでしょうか、どうでしょうか。
  149. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) 事務方からの、年金記録回復委員会でのどういう議事があって、その議事の内容についての詳しい説明は私の方にはございませんでした。  ただ、年金回復の委員会があるということを聞きまして、その秘書官の方からは、年金の紙台帳とそれからコンピューターの記録、この突合の問題などが議論のようですと、こういう話は聞きましたけれども、それ以上は聞きませんでした。
  150. 世耕弘成

    世耕弘成君 これ、民間の忙しい方が大臣に助言をするためにわざわざ集まっていらっしゃるんですよ。そこへもういかにも、挨拶を読むその挨拶文だけ秘書官から説明を受けて、それをそのまま棒読みしてきたって感じじゃないですか。  事後に報告は受けなかったんですか。どういう話があったのか教えろということを部局に指示はされなかったんですか。
  151. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) そのときの年金回復委員会で、その運用三号とかいうような、後で報告はございませんでした。
  152. 世耕弘成

    世耕弘成君 このとき挨拶をして中座されたということですけれども、この年金記録回復委員会を中座してまで出なかったらいけない用事というのは何だったんでしょうか。
  153. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) そのときは年金の問題がいろいろございまして、そのときの課題というのは、物価スライドによって来年度の年金が下がると、こういうことが出てまいりました。それについて、いや、それは下げない方がいいのではないかという意見なども出ておりまして、そのときにその問題で総理のところ、官邸のところへ行ってその話をすると、こういうことで、そのときは総理のところに出かけるということで挨拶だけということになったところでございます。物価スライドのことで総理とお話をさせていただきました。
  154. 世耕弘成

    世耕弘成君 幾ら総理に呼ばれているといっても、少なくともあなたに助言をするために皆さん集まられている。その助言の結果がどういうことだったかというのを必ず聞いていれば、この会議で、例えばこの運用三号について、他の記録問題と違って制度そのものの問題であり、質的に違うという意見が出ていたり、あるいは真面目に払っている人に対する背信行為と認識するという意見も出ていたということを知って、政治家、大臣として、あれっと思ってアクションを取れる最後のチャンス、これを大臣はみすみす、ちゃんと報告を受けなかったことによって逃された。この責任は不可避だと思います。  そして、もう一つ……(発言する者あり)谷岡議員、静かにしてください。やじらないんじゃないですか。  元々、二月二十四日の衆議院の答弁、正式に「今後の対応について」という紙まで提出をして、今後裁定に向けた事務処理や年金の支給は留保するというふうにお答えになりました。ところが、三月四日、この予算委員会で、私の指摘で、実は四百九十三人分はもう三月十五日、随時払いの振り込みの事務作業に入っていて止められないという答弁をされました。これ、衆議院に対しては答弁や紙の訂正はもうされましたか。
  155. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) これは、もう既にこの通知の方を留保すると、こういうことももう解除を今いたしております。  それで、今委員の言われました三月の随時払いの件につきましては、私が申し上げたのは、随時払いをするには、もう既にコンピューターの作動に入っていてもうそれは駄目だというような、物理的にちょっと駄目だというお話と、それから、被保険者として既に裁定をされておりまして、そうしますと受給権も発生をしているというようなことから、もうやむを得なく支払と、こういうことにさせていただいたところでございます。
  156. 世耕弘成

    世耕弘成君 全く答弁に、答えていない。これは私、本当時間戻してほしいですよ。二月二十四日付けで衆議院に紙まで出してお答えになっているその答弁は訂正されたんですか。イエスかノーかでお答えください。
  157. 前田武志

    委員長前田武志君) 答弁側においては質問者の質問に的確に答えてください。(発言する者あり)お静かに。
  158. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) 正式な形で、それが違った対応をしたと、こういうことについて、正式に書面とかそういうものでいたしておりません。
  159. 世耕弘成

    世耕弘成君 本当に不誠実な対応ですね、これ。衆議院の皆さん、軽視されているから怒った方がいいと思いますね。  そして、じゃ、もう一つ中身を。  一月末にこの通知について大臣は知ったと、そのときに事務方を叱ったんだというふうにおっしゃっていますね。一月末にはもう総務省の年金業務監視委員会もこの問題を問題視をしていたと。この一月末に大臣が初めて知って事務方を叱ったときに、ここで一切の事務処理を止める手続をしていれば、この三月十五日の振り込みは、二月二十日から手続に入るわけですから、一月末に止めていれば止まったんです。どうして、これは一月末に初めて知ってまずいと思ったときに全部作業を止めろという指示を出されなかったんですか。
  160. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) そのときには、事務方からこの運用三号について話がありました。これについて、せんだっても申し上げましたように、公平性というところからこれは少し問題だなというふうに私もそのときは思いました。  しかし、行政的には運用三号が既に始まっておりまして進んでおりますから、したがって、これを止めるかどうかというところは、これは即、私がそこで決断するというよりも、この問題をしっかりと把握をして、そこで判断しなければいけないと思いまして、そこで私が考えたのは、一月の二十八日には総務省の方の年金業務監視委員会、これが開会をされると、そこでこの問題も議論をされるということでございました。  そして、そこへは大塚副大臣も出て、あるいは厚生労働省の方の年金回復委員会のたしか委員長もそちらに出られて御説明もすると、こういうようなことも聞いておりましたので、私は、衆議院などのいろんな委員会でお答えしたのは、そういう年金業務監視委員会の、そういうところの議論もよく聞いて、そこは総務大臣に意見も申し上げ、総務大臣から私の方に意見をくれるというようなそういうシステムになっておりますから、そういうところを、それは……(発言する者あり)ちょっと……(発言する者あり)  いやいや、非常に大事なところですから、大事なところですから聞いてください。これは、年金業務監視委員会というのは、政府の中で年金業務について、それについてチェックするような機関でもございますから、そういうところのいろんな御意見、判断も私は尊重しなければいけないと、そう思ってすぐに判断はしなかったわけでございます。
  161. 世耕弘成

    世耕弘成君 すぐに反応しないといっても、結局これ国会で問題になるまで放置したんですよ、厚生労働大臣。総務省のせいにしちゃいけないじゃないですか。総務省が遅かったみたいな言い方になりますよ。  二月二十四日の国会に提出する、紙で国会に提出されたんですから、非常に重要な大臣名のペーパーを作るときに、完全に止まっているのかということを確認されなかったんですか。二十日にもう振り込みの作業が始まっているのに、二十四日にもう全部支払を止めますというペーパーを出されたんですよ。そのとき確認されなかったんですか。
  162. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) 二十四日の委員会が終わりまして、そこで理事会の方に提出をせよと、こういうことでございましたから、私が委員会でお話をしたことをペーパーにさせたところでございます。  そのときに、いろいろときちっとそれぞれのところのお話も十分聞いて、それでそういうペーパーで出せばよかったと、まあ今からは思っておりますけれども、これは衆議院の委員会に対しては大変失礼なことをしたと、こういうふうに今は反省をいたしております。
  163. 世耕弘成

    世耕弘成君 反省していると口でおっしゃっているけど、まだ訂正してないではないですか。三月四日に私の質問で分かったのに、全然誠実じゃないですよ。  大臣、これね、大臣が一月末に知っていて、すぐアクションを取らなかったがために、結局四百九十三人の方には振り込まれてしまうんですよ、これ、十五日に。あと五日。日本年金機構の人とか事務方の人たちはできませんできませんと言うかもしれないけれども、大臣、リーダーシップで、手作業でもいいからこの四百九十三人分銀行に抜き出してもらって振り込みを止めるべきだと思いませんか。それぐらいのことはやったらどうでしょうか。お答えください。
  164. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) これは、個別にそういうことをすることはもうできないというお話でございます。  ただ、私が申し上げたのは、そのできないということと、それから既裁定の人たちの受給権というのは、法律的にはこれはもう行政行為によって既に発生をしておりますから、これは払うということは、これはまたその方向でいろいろやらなければいけないことだというふうにも判断もしております。
  165. 世耕弘成

    世耕弘成君 もう結局止める気もない、もうそのまま振り込んで払っちゃう。今なら止めれると思いますよ。民間の感覚だったら、銀行に行って、大臣それぞれ銀行の頭取と会って、止めてくれと、何とか頼むと言うべきじゃないですか。お答えください。
  166. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) 既裁定者そして受給権者に対してはこれは支払うということにいたしますけれども、しかし、この人たちに対しては、私どもが今考えております法律によりまして抜本改善策をつくると、こういうことをお約束をしているわけでございますから、それができたときには、それは一月一日まで遡って適用するような場合には、そのところは減額などの調整ということもするということを本人たちに御通知も申し上げて、その支払もすると、こういうことでございます。
  167. 世耕弘成

    世耕弘成君 全くこれ、民間の感覚では理解できない。一旦お金渡っちゃうんですよ、相手に。それを後で返してくれなんて、大変な作業になりますよ、また現場の人たちも。これは私は、もっとリーダーシップを取ってやるべきだと思いますが、やる気がないというのがはっきりいたしました。  大臣はもうころころ答弁が変わる。そして、課長通知に関して知るチャンスがあったのに、その知るチャンスを逃した。内部の掌握もできていない。政務官とのコミュニケーションもできていない。そして、振り込みストップを自分のアクションで止めようというリーダーシップもない。こんな大臣の下ではこんな大法改正なかなかできませんよ。そのことを私は明確に指摘をしておきたいと思います。  その上で、過去の経緯を伺います。  昨年三月二十九日の年金記録回復委員会は結論を出したと言っていますけれども、その結論はこの方向で検討するとしか言っていないんです。その後、誰が検討して、誰がいつ結論を出したんでしょうか。これは年金局長にお伺いしたいと思います。
  168. 榮畑潤

    政府参考人榮畑潤君) この運用三号問題につきましては、一昨年十二月の旧社会保険庁が職員などに対して行いましたアンケート調査によって明らかになったところでございますが、この結果を聞きまして事務方で対応策を検討して、昨年三月二十九日、当時の大臣に御相談をして、御了承をいただきました。  その後、同日の年金記録回復委員会におきまして御議論をいただきまして、委員会の総意としては本件についてやむを得ないという御意見をちょうだいして、こういう方針が定まったというところでございます。
  169. 世耕弘成

    世耕弘成君 これ、十一月のアンケートの結果判明したと繰り返し厚生労働省は説明されていますが、十一月のアンケートで判明して、この問題を年金記録回復委員会に相談をして審議されたのはいつのことですか。
  170. 榮畑潤

    政府参考人榮畑潤君) 一月二十五日の年金記録回復委員会で御相談しております。
  171. 世耕弘成

    世耕弘成君 これ、一月二十五日も、でもそんな議論になっていませんよね。二月十六日に初めて年金記録回復委員会で委員のお一人が指摘をするまで議題に私はなっていないと思いますよ。事実関係、どうですか。
  172. 榮畑潤

    政府参考人榮畑潤君) 一月二十五日に職員アンケートの概要を御説明、御報告いたしたところでございます。
  173. 世耕弘成

    世耕弘成君 結局、十一月にアンケートが判明して、一月、二月十六日にぽんぽんと回復委員会に軽く相談をしただけ。二月は厚生労働省から諮ったわけじゃなくて、委員の方からこんな問題があるんじゃないかという話があって、その後、三月二十九日に突然、今おっしゃった言葉を信じるとしたら、事務方で相談して、長妻大臣にそのまま報告をして、長妻大臣からオーケーをもらって、そしてそれを年金記録回復委員会に諮って、了承を得たのでそのままやったという理解になると思います。  じゃ、この運用三号をやるぞという決定の決裁とか、そういう文書は残っているんでしょうか。
  174. 榮畑潤

    政府参考人榮畑潤君) 三月二十九日に当時の大臣室で、大臣、年金局、年金機構等集まって相談をして結論を出したというところでございまして、決裁等は紙としては残ってございません。
  175. 世耕弘成

    世耕弘成君 これ、百万人を相手にして、下手したら数兆円の財政支出が出るかもしれない。この通知を出すに当たって何の判こももらっていないんですか。決裁文書残っていないんですか。お教えください。
  176. 榮畑潤

    政府参考人榮畑潤君) 大臣室で会議をして方針を決定したところであり、決裁の紙などは作ってございません。
  177. 世耕弘成

    世耕弘成君 こんな大変なやり方は自民党政権時代はなかったですよ、幾ら何でも。数兆円の影響が出る、百万人に影響する重大な……(発言する者あり)森ゆうこ議員、静かにしてください。静かにしてください。森ゆうこ議員、私の質問時間です。静かにしてください、森ゆうこ議員……(発言する者あり)
  178. 前田武志

    委員長前田武志君) お静かに願います。お静かに願います。
  179. 世耕弘成

    世耕弘成君 いいですか。一兆円、数兆円のお金が出ることを何の決裁もなしにやった、これは私は本当に重大問題だと思います。  そして、今度は十二月十五日に通知を発出するときには決裁か許可か取られたんでしょうか、いかがでしょうか。
  180. 榮畑潤

    政府参考人榮畑潤君) 十二月十五日の通知は施行日を翌年一月一日と定めるものであり、担当課長の通知ということで、担当課長までの決裁で終わっております。
  181. 世耕弘成

    世耕弘成君 これ、大臣、お伺いしたいんですけれども、結局この課長は、橋本さんという課長、年金局の事業管理課長は、長妻大臣に三月二十九日オーケーをもらい、年金回復委員会からこれでいいよと言われ、多分、事務方の説明によれば、それにのっとって淡々と課長通知を出したということなんです。あえて新しい大臣にも説明しないで出した。  この課長が処分をされるというのはおかしいと思いませんか。だって、言われたとおりにやっただけですよ、この人は。どう思いますか。
  182. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) 今、世耕委員も言われたように、この問題というのは多くの方の権利の問題でもございます。そういう問題について事務方が、全責任を持っております私の方に報告を当然すべきだというふうに私は考えております。その報告がなかったということでありますから、それは事務方としてきちっとすべきであったというふうに私は判断したわけでございます。
  183. 世耕弘成

    世耕弘成君 結局、課長一人に責任を押し付けてトカゲのしっぽ切りですよ。  私は、この課長に是非この委員会に出てきていただいて、どういう経緯があったのかを是非教えていただきたい。これは委員長お願いをしておきたいと思います。
  184. 前田武志

    委員長前田武志君) 理事会において協議いたします。
  185. 世耕弘成

    世耕弘成君 そして、この年金記録回復委員会は、お墨付きをあげたかもしれませんけれども、法改正をしなくていいとは一言も言っていない。当時の年金記録回復委員の一人に聞きましたけれども、あくまでも救済方法について了解をしただけであって、具体的に法律でやれとか省令でやれとか、そんなことは全く年金記録回復委員会としては判断を示していないと証言をされています。  これ、法律によらなくていいと判断したのは誰なんですか。長妻前大臣ですか。お答えください。
  186. 榮畑潤

    政府参考人榮畑潤君) この第三号被保険者の記録が整合していない件につきましては、従来から年金の支給決定を行う際に不整合記録をチェックするために裁定の事務をするところで必ずしも統一的な運用が行われていなかったということもあり、不整合記録に基づいて年金を支給するということは事実上ございました。  二十二年初めにこのような状況が顕在化したために、私どもとしてどういうふうに対応策を考えるかというふうに考えていったときに、この事務現場における統一的な事務処理の取扱いを明らかにするということで今回のあの運用三号の通知を出したところでございまして、そういう点で、元々事務処理の統一というふうな趣旨で考えておったところでございます。そういうことで今回のあの通知ということになったところでございます。  以上でございます。
  187. 世耕弘成

    世耕弘成君 全然答えてない。  職員向けQ&Aを見れば、法改正に時間が掛かる、法改正は難しい、議論がいっぱい出てきちゃう、あるいはどうせ法改正をやっても自分たちが考えているのと同じ結果になる、そういうふうに書いているんです。  法改正に時間が掛かるとかそういうのは役所の人じゃ判断できないですよね。やっぱり政治家が判断したんじゃないですか。これ、法律でやったら時間が掛かるからもう運用でやっていいよという判断を長妻前大臣かあるいは当時の政務三役が示されたのかどうか、お伺いしたいと思います。
  188. 榮畑潤

    政府参考人榮畑潤君) 元々これは事務処理を統一しようということで進められてきたものでございますから、あくまで通知ということで考えたところでございます。
  189. 世耕弘成

    世耕弘成君 事務処理の統一と言っておりますけれども、これ、とんでもないことをおっしゃっていますよ。統一というのは、例えば九割か九割五分はあるやり方でやっていて、例外的な五分がある場合は多い方に合わせるんでしょう。  私、いろいろ地元でも話を聞きました。いろんな人の話を聞きましたけど、大半の人はやっぱり三号被保険者から一号被保険者に切り替えている。社会保険労務士も、多くの人が市町村の窓口でちゃんと指導をされるし、しつこく連絡も来ると言っています。何でこの例外的な運用三号に全部合わせちゃうということを考えるんですか。これは私非常におかしいと思います。  でも、この問題はいよいよ謎が深まったばっかりだと思います。私は是非、長妻前大臣にもこの場所に来ていただきたいし、そして橋本事業管理課長にも来ていただきたい。そして、この運用三号がどういう過程で決定されたのかというのを明確にしていきたいと思います。  そして、おとといの夜、まさに付け焼き刃のように法改正の方針が決められました。八日の昼に総務省の年金業務監視委員会から答申が出た。そして、八日の夜にはもう立法の方針が出ている。これは年金業務監視委員皆さんの中からも、ちゃんと報告書を読んだのかと、一夜漬けにもなっていないじゃないかと、そういう声が出ています。  さて、この立法、我々も協力したいと思いますよ、いい法律が出てくるんだったら。ただ、前提として、まず影響額がちゃんと分かっていなきゃいけない、ある程度の推計ができていなきゃいけない。一体何人の人が対象になって、そして既に年金をもらっている人、まだ掛金を払っている段階の人、どれぐらいいるのか。そして、一体幾らぐらい費用が掛かるのか、そしてそのお金は結局どこから出すことになるのか。これをお伺いしたいと思います。大臣、お答えください。
  190. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) これは、今までの調査では三号被保険者とそれから一号被保険者、これは夫婦がそういう形になっていたらおかしいと、こういうことで、それをどれぐらいあるかということでコンピューターではじき出したのが百万弱あったわけでございます。  そうしますと、その不整合な記録の中で、一体どれくらいの長さか、あるいはどれくらいの期間の人がどれくらいいるかとか、そういうことについて、それは被保険者もそれから受給権者についてもその詳細についてまだ分かっておりません。  したがって、委員せっかくの、確かにそこは僕は大事なところだと思っておりますけれども、今そこでまだ詳細分かっておりませんので、したがって、これからその法律的な解決をしていくその段階でそのことも委員の方にもお示しをしてやっていきたいというふうに考えております。
  191. 世耕弘成

    世耕弘成君 結局、そういうデータがないままで法改正を出した。結局、今日のこのテレビ入りの委員会乗り切るために慌てておとといの夜やったということじゃないですか。菅内閣の延命策でしかありませんよ。  これ、もしかしたら財政出動が必要かもしれませんが、この新しい立法方向を決めるに当たって野田大臣は相談を受けられましたか。
  192. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 受けておりません。
  193. 世耕弘成

    世耕弘成君 ちょっとがくっときました。お金が出ていくかも分からない。下手したら税金から出なければいけないかも分からない。その話を財務大臣に相談なしで決める。本当にびっくりしました。  もう一つ、この未届けで対象となる人が本当に善意の人なのかどうか、これは確認されますか。私いろいろ聞きましたよ。本当にみんな、いや、もう強制的にやられたと、しつこく連絡が来て変えた、窓口で注意された、あるいは健康保険を切り替えるときに、ああ、年金も切り替えなきゃと気付いたとか、みんな、きっちりやっている人がほとんどだと思います。実態をどういうふうに考えられますでしょうか。  今までも、この間もお伺いしましたが、窓口で三号から一号へ変えてくださいって今やっていますよね。あるいは、それでも拒否する方はもう職権でやっていますよね。それで何かトラブルになりましたか。けしからぬといって行政訴訟起こっていますか。お答えください。
  194. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) これまでいろいろと御説明をしてまいりましたけれども、先ほど川合委員からの質問のときにも出ましたけれども、この扱いについては、一番最初の昭和六十一年発足当時からこの扱いはいろいろ違っているんです。きちっと勧奨して、そしてこの届出がなければ再度勧奨して、さらに届出がなければそれはもう職権で記録を訂正をすると、こういうことをしっかり始めたのは平成十七年以降なんです。それ以前は非常に、ある面で勧奨だけしっ放しで、さらに、平成九年かな、その前はほとんど勧奨もしていないようなそういう状況なんです。  そういう経過もあって、きちっと三号被保険者が一号……
  195. 前田武志

    委員長前田武志君) 答弁は簡潔にお願いいたします。
  196. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) 一号に変えたというようなこともないところもあったわけですから、そういうことも御理解もいただきたいと思います。  そして、確かに、その被保険者が、通知が来ても、通知が来ても、知っていてあえて一号に変えない、そういう方もそれは中には私はおられるというふうに思います。しかし、本当に知らないような、これ一般の主婦の人ですから、第三号。そして、自分の主婦のその生活が変わるわけでもございませんから、それは知らない方もおられたというふうに私は思います。  したがって、その悪意とかいうのはなかなか難しいというふうに思っております。
  197. 世耕弘成

    世耕弘成君 結局、本当に善意の人なのかどうなのか確認もできていない。勧奨勧奨とおっしゃいますけれども、窓口に来た人をほとんどその段階で、水際でちゃんと変えてもらっているということなんですよ、ほとんどの人が。私はそう思いますよ。  そういう、お金が幾ら掛かるかも分からない、財務大臣にも相談をしていない、対象となる人が善意の人かどうかも確認をしていない、こんな状態で法改正できないでしょう、これは。ちゃんとやっていただきたい。  私は、少なくともサンプル調査、千件か数千件ぐらいサンプルを出して、その人たちを一個一個調べれば、今私が申し上げたようなデータとか、善意かどうかというのはある程度確認できると思います。サンプル調査をちゃんとやってほしいと思います。  そして、もう一つ、ほかの制度との整合性も取らないと駄目ですよ。例えば年金確保支援法、これから成立したら、これは十年しか遡れない。しかし、今大臣が考えておられる制度は全部遡れるとなっている。この公平性をどうするのか。  それと、もう一つ大きな問題。これは我々の時代に起こった問題で、我々の対処法で、今、消えた年金記録を回復するためには第三者委員会というところが間に入って判定をしています。そこに、こちらの政府のせいで記録が消えてしまったのかも分からないのに、御本人が何回も何回も名簿を持っていったり会社の懇親会の写真を持っていったりして証明をして、一つ一つやっているんです。消えた年金記録の人が、そうやって第三者委員会に認めてもらえない限り記録が回復できない。なのに、こちらの手続をしていなかった専業主婦の方は、何にもしないで、ぼんと遡ってお金さえ払えば何とかなるというのは、これは完全に不整合だと思いますが、最後、どうお考えでしょうか。
  198. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) この三号の不整合問題について、これを真正な正しいものに記録を回復をすると、そのことによってどういうことになっていくかということについては大変大きな難しい問題がございます。そのことは以前から私も申し上げているところでありまして、そういう難しいところをどう解決していくかが、これは先生方の、国会の先生方の意見も言ってもらって、いろんな御意見もいただいて、そこで解決をしていこうということでございますから、私どもとしては皆様方の意見を尊重したいというふうに思っております。
  199. 世耕弘成

    世耕弘成君 ともかく、答弁がころころ変わって、衆議院で間違ったことを言っても改めていない。そして、中の管理もできていない。そして、付け焼き刃で一夜漬けにもならない法律案を出してきましたけれども、その背景となるデータとかあるいは対象になる人の調査もしていない。ほかの制度との整合性もよく考えていない。細川大臣には全く私は厚生労働大臣としての適性はない、欠ける、自ら辞めていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  200. 前田武志

    委員長前田武志君) 関連質疑を許します。宮沢洋一君。
  201. 宮沢洋一

    宮沢洋一君 自民党の宮沢洋一でございます。  質問に入る前に、ちょっと一言与謝野大臣に申し上げたいと思っております。  私は、こうやって与謝野大臣と対峙しながら質問をすることになった、ある意味で大変戸惑いを感じる、大変複雑な気持ちでおります。私自身、議員になって衆議院九年やっておりましたけれども、与謝野大臣に本当に教えていただいた、育てていただいた。たしか最初は、自民党の結党五十周年の理念、綱領を作るということで、二人でこもっていろいろお話合いをさせていただきましたし、また、政調会長に就任されたときには、その日にお電話をいただいて、郵政民営化、大変な課題なので、おまえ少し若いけど政調副会長で手伝えと言われて、一緒に仕事をさせていただきました。また、最近では、経済財政担当大臣のときにリーマン・ショックが起こり、また社会保障・税の一体改革といった問題、副大臣として一緒に仕事をさせていただいた。そういう意味から申し上げますと、正直言ってちょっと悲しい気がしているんです。  私は、自民党を離れたときのお気持ちというのは分からないでもないところがございます。そのときに思ったのは、与謝野先生、きっとこれは参議院に、衆議院のバッジ外して参議院に挑戦されるだろうなと。私もたまたま同じ選挙で比例復活ができずに落ちたものですから参議院に挑戦しましたけれども、与謝野先生もきっとたちあがれ日本で比例で挑戦されるだろうと思って、たしかあの参議院選挙が終わった後お目にかかったときに申し上げたら、ちょっときょとんとした顔をされていました。  そしてまた、今回、入閣される云々という報道があったときに、きっと、当然議席にこだわられる方ではないから民間人になって入閣されるんだろうなというふうに実は本当に想像していたんです。ところが、議席を持ったまま、自民党の比例で得た議席を持ったまま民主党内閣、菅内閣に入られる。ちょっとびっくりしたというよりは残念だなという気持ちと、その後、いろいろテレビ等で見ていますと、まあモチベーションが云々といった話。  与謝野先生、あなたは個人的な理由を人前でしゃべられるような方ではなかったはずだし、また、じゃ、自民党から除名されたから済んだという、そこまで論理的でないことをおっしゃるはずではなかったような気がして、大変本当に与謝野先生、まあ最後一花咲かせていただきたいと思いながらも、バッジを外して、そして仕事をされれば、あなたは本当に一等級の政治家なんですから、まさに与野党を含めてもほかにそれほど人がいらっしゃらないんですから、バッジがあるなしなんということは関係のない政治家なんですから、是非とも、やはり最後、バッジ外してしっかり仕事をしていただきたい。どうですか。
  202. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) そういうつもりは全くありませんが、今やっている仕事というのは宮沢さんたちと一緒にやっていた仕事の実は延長線上にあって、このまま日本の財政を放置しておいたり、社会保障改革も放置しておくということは、やっぱり政治家としては放置することのできないことだと考えておりまして、これは何としてもやり遂げたいと思っております。  自民党の方には大変御不快なことだと思いますが、実際は自民党にいたときの信念を曲げて仕事をやっているわけではありません。菅総理が消費税を何とかして日本の財政を立て直したい、そういう強い気持ちを持っておられるので、それを手伝うということでございます。
  203. 宮沢洋一

    宮沢洋一君 大変残念であります。恐らく、菅総理、そこに座られていますけれども、与謝野大臣がバッジがなくても、バッジがなくても手伝ってくれるという話をされたら恐らく登用されたんだろうと思うんですが、総理、いかがですか。
  204. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 私が与謝野さんに私の内閣是非参加をしていただきたいというふうにお願いをしたのは、まさに社会保障、さらには税の一体改革、こういった問題で与謝野先生が従来から高い志を持ち、そしてまた大変高い能力をお持ちだと、そういうことでお願いをした、これに尽きるところです。
  205. 宮沢洋一

    宮沢洋一君 時間もありますので、質問通告はしていなくて、先ほどの議論を聞いてちょっと質問を幾つかさせていただきますが。  先ほど民主党の議員の方の質問に対して、与謝野大臣が大変私はすばらしいことをおっしゃったと思うんです。いわゆる附則百四条の読み方につきまして、要するに、経済、今デフレ脱却していないとかいろいろあるけれども、税制の抜本改革は二十三年度中に成案を得る、いつ実行するかはそれは景気次第、経済次第だと、こういうことをおっしゃったわけです。それでよろしいわけですよね。
  206. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) あの法律の中にははっきり平成二十三年度中に法的整備を行うと書いてありますから、これは政府が提案をする、あるいは議員立法の場合もあるでしょうけれども、きちんと立法行為が行われて法律としての整備が行われていると、行われなければならないということを述べていると思っております。
  207. 宮沢洋一

    宮沢洋一君 当然、先ほど総理、大変与謝野大臣の識見を評価されて登用されたとおっしゃったわけですから、この百四条の読み方、総理も同じでいいわけですね。
  208. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 百四条に関しては、従来、この日程の問題について、率直に申し上げて、これに合わせることができるかどうか、当初、政権交代をした後しばらくは、場合によってはこれを時間的に合わなくなった場合には変えることもあり得るということも鳩山政権下で申し上げておりました。  今日において、四月に社会保障の全体像をお示しし、そして六月に税との一体改革の案を提示をし、そして与野党の協議も是非お願いをしていく、それがちゃんといけばこういった日程に合った形で可能だと。そういうことの状況の認識も含めて、こういう在り方がもちろん経済の好転ということも含めて望ましい、あるいはこれを目指していくと、こういう姿勢です。
  209. 宮沢洋一

    宮沢洋一君 それでは、ともかく、早ければ二十三年度中に法制上の措置を講ずるという法律をともかく守ることが一番、できるかどうかは与野党の協議とおっしゃったわけですけれども、そういうことで進められているという御答弁だったと思うんです。  一方で、自民党は少なくとも、参議院選挙の公約で、消費税、当面五%引き上げて一〇%にすると、こういうことを言っているわけですから、ある意味で年内できないことはないと思うんですね。そうなったら年内やられるわけですね、二十三年度中に法律上の手当てをする。
  210. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 今、自民党もそういう姿勢だからできるはずだということをおっしゃったわけですが、是非そういう姿勢で協議に臨んでいただければ、その協議の中で社会保障の在り方を含めて議論をさせていただきたいと、こう思っております。
  211. 宮沢洋一

    宮沢洋一君 もちろん、結論を六月に出されるということですけれども、今の御答弁聞いていますと、少なくとも五%は自分たちもやってもいいと、こういうことですか。
  212. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) この問題、いつも申し上げているように、私が、御承知のようにさきの参議院選挙のときに自由民主党の五%引上げということについて一つの参考として与野党協議をしたいということを申し上げたところ、結果として、私の表現も不十分で、何かもうすぐ上げることを決めたかのように、マスコミ報道含め、あるいは皆さん選挙の中で扱われました。  ですから、この問題はやはり順番が非常に重要でありまして、今私たちが議論しているのは、社会保障制度の在り方、これをいかにするか、それをまず四月までにきちっとした姿をお示ししようと、そのことを申し上げているわけで、それから先のことはその後の段階で、もちろん六月に税との一体改革についても日程はお示ししておりますけれども、まずは社会保障の全体像をお示しするというのが手順だと考えております。
  213. 宮沢洋一

    宮沢洋一君 中身の話、また総理がしゃべると何をおっしゃっているか、正直言うとテレビ見られても何も分からないと思います。  与謝野大臣は、明らかにこの附則百四条に縛られていると、二十三年度中に法制上の措置をするということに法律上縛られているんだと。もちろん、できないということはあるかもしれない。縛られているという判断をされているんですが、総理はそれでいいんですね、縛られているんですね。
  214. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 法律というのは時の内閣をやはり基本的には拘束している、もし矛盾があるとすれば、それは法律を変えなければならなくなると、こういう認識ですから、現在法律があるわけですから、その法律によって一つの方向付けがなされている。必要にどうしてもなる場合にはそれを変えるしかないと、こう思っています。
  215. 宮沢洋一

    宮沢洋一君 総理の形容詞で、基本的にはとか一つの方向付けとか、何かこうすっきりしないところがありますけれども、少なくともこの附則百四条に菅内閣は当然縛られているということを今総理がおっしゃったと思います。しっかりやっていただかなきゃいけないと思います。  次に、先ほどの世耕議員の質問の中で一点、大変私気になることが細川大臣からありまして、既に裁定をしてしまった五百人弱ですか、の方、払込みが行われる。そうしたときに、後で法律で、しっかりした法律を作って後から取り戻すんだというようなことをおっしゃった。これでいいわけですね。
  216. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) それは可能であるというふうに考えております。
  217. 宮沢洋一

    宮沢洋一君 すると、私も法学部の学生で法律学んだときに、不利益処分の遡及適用はできないと実は学んだんです。細川大臣は弁護士でいらっしゃいますから、その部分、本当にできると思われているんですか。
  218. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) 確かに、既に権利者になって権利を持っておりますから、それに対してその権利を消滅さすとか、そういうようなことについてはこれは大変大きな問題があるということはこれは分かっておりますけれども、しかし法律的にやってもそれは可能であるというふうに考えております。
  219. 宮沢洋一

    宮沢洋一君 私は大臣は人権派の弁護士というふうに伺っていますけれども、不利益処分の遡及適用をする法律が憲法違反じゃなく本当にできると思われているんですか。
  220. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) それは、法律でそのようなことをやること自体は私はできるんではないかというふうに思っております。
  221. 宮沢洋一

    宮沢洋一君 それはもう大臣よくお分かりのように、法律で書くことはできますけれども、法律で書いても憲法違反だと言われるわけですよね。本当に大丈夫ですか。
  222. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 内閣法制局を所管をしております内閣官房長官としてお答えをさせていただきますが、今そうしたことも可能であるということで検討をいたしているところでございまして……(発言する者あり)
  223. 前田武志

    委員長前田武志君) お静かに。議場の整理は委員長に任せられております。お静かに。
  224. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) なおかつ、御指摘のような原則もございますが、その適用の範囲がどこまでであるのか、そして実際に具体的にどういったやり方で今厚生労働省が検討されていることを法整備をしていくのかということをこれから詰めていくところでございますが、そうしたことの中で十分可能な手法はあり得るということで検討を進めています。
  225. 宮沢洋一

    宮沢洋一君 正直、今、長官も弁護士さんですけれども、恐らくお二人とも、どちらかというと人権派ということでやられた弁護士さんの口から可能だということが出てくる。私自身でいえばこれはお願いベースで返してもらう以外ないんだろうと本当は思っていますけれども、まあお二人が憲法違反にもならなくて大丈夫だと言うんだから、自信持ってやっていただきたい。その後、訴訟が起こったときにどうなるかということの責任もしっかり取っていただかなければいけないと思っています。  それで、もう一つ社会保障の中ですが、子ども手当について質問をさせていただきますが、子ども手当につきましてつなぎ法案を出すという話が今日正式に御提案があったと聞いております。子ども手当の今の制度を半年延長すると、こういうふうなことのようですけれども。今の制度、で、新しい制度。新しい制度も一年ですね。一年しか続かない制度のつなぎ、前の制度、半年しか出さない。だったら一年出しゃいいじゃないですか。何で半年なんですか。
  226. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 国会において与野党の皆さんで様々な御議論をされているということは承知をいたしておりますが、御指摘のようなつなぎ法案、現に国会には提出されておりませんで、政府としては、引き続き国会に御議論をお願いをいたしております平成二十三年度における子ども手当の支給等に関する法律案の成立をお願いする立場でございまして、そうした仮定の質問にはお答えはできません。(発言する者あり)
  227. 前田武志

    委員長前田武志君) お下がりください。いやいや、委員長の指示に従ってください。(発言する者あり)
  228. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) これは、政府としては子ども手当法案を今提案をいたしており、それが一番ベストだと思って提案をさせていただいておるところでございます。
  229. 宮沢洋一

    宮沢洋一君 党がやっているから政府は知らない、こういうお話なわけですね。(発言する者あり)そうです、与党と政府が一体。まさにそのはざまにいるのは玄葉大臣でしょう。党の政調会長やられている、党と政府のはざまにいらっしゃる。両方見ておられるわけですね。  まず、一年間しかやらないで出している新しい子ども手当法、それを、一年しかやらないやつを半年のつなぎ。何で半年なんですか。また、当然のことながら、今予算委員会で審議しているわけですよ、予算。二千億かもしれないけれども、新たな子ども手当ということでそれを入れた予算を審議しているさなかで、それが要らないという提案を党がされている。我々に真面目に予算審議しろと言っているんですか。
  230. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 宮沢委員も御承知のとおり、私も今、特にここに座っているのは閣僚という立場で座っているということでございますから、ただいま答弁がございましたように、現在、現時点で申し上げれるのは、今出させていただいている法案についてベストだということで出させていただいているわけで、その成立を期したいと、そう考えております。
  231. 宮沢洋一

    宮沢洋一君 ということは、政調会長って政策づくりの責任者でしょう。与党がやっていることは間違いだと言うんですか。今の案がベストなんでしょう。今の案がベストだったらば、じゃ、今与党がやろうとしていることはベストでないことをやろうとしている、こういうことですか。
  232. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 現時点で法案が出されているのは御存じのような法案でございますから、その法案について今この場で申し上げれるのは、お願いをさせていただきたいと、そのことだけでございます。
  233. 宮沢洋一

    宮沢洋一君 きっちりした紙の形で正式に自民党に持ってきているんですよ。六か月、今のつなぎ。それで、我々に今、元々の法案を審議しろと、こう言うんですか。
  234. 前田武志

    委員長前田武志君) 枝野官房長官。(発言する者あり)
  235. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 私は、内閣の総合調整と国会との連絡、連携についての仕事を与えていただいております。したがいまして、国会に例えば議案などをお願いをする際も内閣官房の方からお願いを申し上げておりますので、今お尋ねの件については私が所管の大臣であるというふうに思いますので、手を挙げさせていただきまして、委員長から御指名をいただきました。  その上で……(発言する者あり)
  236. 前田武志

    委員長前田武志君) ただいまの質疑については、まず官房長官、調整権を持つ官房長官、その後、玄葉さんということで……(発言する者あり)  速記、止めてください。    〔速記中止〕
  237. 前田武志

    委員長前田武志君) 速記を起こしてください。  官房長官、簡潔にお答えください。
  238. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 内閣としては、国会に御提案をさせていただいている法案について、是非国会の皆さんの御理解をいただきたいということでお願いを申し上げている立場でございまして、党の方の役職をお持ちである玄葉国務大臣においても、その姿勢は内閣として全体一体でございます。  その上で、内閣として提案させていただいている法案についてのお取扱いは国会においてお願いをしているところでございまして、国会において民主党の関係する議員の皆さんが野党の皆さんといろいろと御相談をさせていただいて、そうした中で一定の成案等が得られるのであれば、そのことについては……
  239. 前田武志

    委員長前田武志君) 簡潔にお願いします。
  240. 枝野幸男

    国務大臣(枝野幸男君) 内閣としてはしっかりと受け止めさせていただきたいと思っております。
  241. 前田武志

    委員長前田武志君) 玄葉大臣。(発言する者あり)いや、私の指示に従ってください。玄葉大臣。(発言する者あり)
  242. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 国務大臣という立場では、何度も申し上げましたが、先ほど申し上げたとおりです。(発言する者あり)
  243. 前田武志

    委員長前田武志君) 玄葉大臣が今答弁しています。お静かに願います。お静かに。かみ合いはクールにやりましょう。
  244. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) ですけれども、恐らく宮沢委員は、政調会長という立場で、党の立場でおっしゃっていただいて結構ですよということであれば、まさに党の立場ということで申し上げますけれども、残念ながら、現時点で、現在政府が出させていただいている子ども手当法案について成立の見込みが立っていないというのが率直なところだと思うんですね。四月一日から現場に混乱をもたらさないためには、やはり現行法律の、現行法律というのは、現在出させていただいている法律を可決をさせるか、それとも現在施行されている法律をつなぐか、どちらかがよいだろうということで、そういう判断でそのような措置というかお願いをさせていただく準備をさせていただいているということだと思います。
  245. 宮沢洋一

    宮沢洋一君 正直、子ども手当という大事な部分で、政府は知らない、与党が勝手にやっている、しかし与党として正式に動かれていることは確かでありまして、当然のことながら、今予算のまさに参議院の審議、渦中に入ったところ、修正の用意はもうしているとは言えないかもしれないけど、大臣、修正の用意するんでしょう、これから。
  246. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 先ほど来、政府の側での立場を申し上げていると思いますけれども、平成二十三年度における子ども手当の支給に関する法律案を提出をして御審議をいただいているわけでございますから、これについての御理解をいただいて早期の成立を目指すというのが私どもの立場でございまして、御指摘のつなぎ法案というのはまだ提出をされているわけではございませんので、あくまで政府としては今御提起している法案の早期成立をお願いをしたいというふうに思います。
  247. 宮沢洋一

    宮沢洋一君 じゃ、つなぎ法案が出されたら予算の修正されるんですか。
  248. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 仮定の話でございますので、現実に法律として提起しているのは平成二十三年度の子ども手当の支給等に関する法律案でございますので、この成立を目指すということです。
  249. 宮沢洋一

    宮沢洋一君 仮定の話とおっしゃってもかなり現実味のある仮定で、党の責任者として玄葉大臣はそうおっしゃったわけですから、当然、仮定の話といっても極めて近未来に起こるということを考えなきゃいけない。子ども手当法案が、つなぎ法案が出たらば予算の修正案出されるんですかどうか聞いているんです。
  250. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) それはいろんな観点から議論しなきゃいけないというのは、例えば政府が提出している平成二十三年度子ども手当法案はいつ成立するのかとか、あるいはその際について、つなぎ法案との関係はどうなるかなどを踏まえる必要があると思います。
  251. 宮沢洋一

    宮沢洋一君 つなぎ法案を出されるということは、少なくとも予定どおりの歳出はないということですから、その分修正されるんですか。
  252. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 何度も申し上げますけれども、この今提出している法案の早期成立を目指しているということで、その後の仮定の話を今明確にいろいろ申し上げる段階ではないと思います。
  253. 宮沢洋一

    宮沢洋一君 今相当混乱されているようなので、この話は取りあえずここでやめまして、年金一元化について話をさせていただきます。  この一昨年の総選挙のマニフェスト見ていまして、社会保障のところ、いろいろ細かい話はありますけれども、主な柱というのは、先ほどの高齢者医療制度を除きますと、政策的にはもう年金の話です。年金を一元化する、全ての人に所得比例年金を導入するという年金一元化の話と、消費税を財源とする最低保障年金を創設し、全ての人が七万円以上の年金を受け取れるようにする、この二つ。そして、これは、工程表でいえば、来年度、二十四年度に制度設計して、再来年度、二十五年度に法案を作成し、関連法案を成立させると。これがマニフェストであります。  その後いろいろ議論をされています。例えば、民主党の方でも、昨年の秋に税と社会保障の抜本改革調査会中間整理というものが出ております。政調会長ですから十分中身は承知だろうと思いますけれども、この中で、マニフェストの一番の柱である年金の一元化についてはどのような議論がされ、どのような表現がされていますか。
  254. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) ちょっと今手元に中間整理しかございませんが、基本的に一元化と……(発言する者あり)最低保障年金というものを基本にして制度設計をしていくということだろうと思います。
  255. 宮沢洋一

    宮沢洋一君 私は昨日、玄葉大臣には中間整理について質問しますと申し上げておきました。したがって、しっかり読んでいただいたと思いますが、この中間整理の中に年金の一元化という言葉は一言も出ていない。一言も出ていない。党として年金の一元化について真面目に議論しているんですか。
  256. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) ただいま、その中間整理をまとめたのは藤井元財務大臣でありますけれども、現在、仙谷前官房長官が調査会の会長として議論を展開をしていまして、もちろん私も承知をしているところであります。  現時点は、医療の問題そして介護の問題について議論し、まさに今、年金の議論に入ってきたということで、民主党の調査会としては、四月に政府・与党であるべき姿を出しますから、その前に民主党としての考え方を出させていただきたいと、そう考えております。
  257. 宮沢洋一

    宮沢洋一君 菅総理が議長になって与謝野大臣が議長代理で社会保障改革に関する集中検討会議、もう二月五日から始まっているわけであります。それの第一回目で説明されたのはこの中間整理ですよ。民主党の中ではこういう議論をされていますと、こういう説明が事務方からあって議論をされているんです。玄葉大臣も入られているんですよね。  ともかく、びっくりすることは、マニフェストの一番の柱である年金の一元化ということが民主党内で一切議論されないまま、一切議論されないまま、そして今社会保障改革に関する集中検討会議が始まっています。第一回目に皆さん出られて事務方等々から党の状況とかいろんな説明がありました。  その中で年金の一元化について説明がありましたか、また、議論がありましたか、与謝野大臣
  258. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 年金の一元化を提案されている方もおります。これは、新聞社の御提案の中に幾つかあります。年金の一元化は、一回のときは一元化は議論はしておりません。
  259. 宮沢洋一

    宮沢洋一君 びっくりする話なんです。配付された資料は公表されていますから全部読みました。そのときの議論も読みました。枝野長官も発言されている。また、前仙谷官房長官、今は責任者ですか、発言されていますが、どなたも年金の一元化のイの字も言わない。資料の中に年金の一元化について一切触れられていない。それは、民主党、与党でやるんだったら、当然民主党のおととしの選挙のマニフェストぐらいに載っていて、こういう方針ですよとあるのかと思うでしょう。何にもないんですよ。今政府の中、民主党の中で行われている議論で年金の一元化なんて議論は一切行われていない。それでいいですよね、与謝野大臣
  260. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 私は年金の一元化というのは理想としてやっぱり追求すべきだと思っておりまして、今回の菅総理の下での集中検討会議の中でも、年金一元化と、どうやったら実現できるかということはやらなきゃいけないですし、ただ、年金一元化を可能にする前提の条件というのは幾つかあって、それをどうクリアするかということがありますから、年金一元化を政府が捨てたわけでもないし、玄葉さんとお話ししている限り、玄葉さんも捨てたわけではないと。
  261. 宮沢洋一

    宮沢洋一君 捨てたわけではないとおっしゃるんですが、マニフェストに書いてあるのは、一元化を含めて二十四年度中に制度設計して二十五年度に法律出して成立させると書いてある。このスケジュールの中で捨てたわけじゃないんですか、どちらなんですか。いや、与謝野大臣
  262. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 物は考えながらゆっくりやらないと失敗すると私は思っています。
  263. 宮沢洋一

    宮沢洋一君 明らかに二十五年度中に一元化の法律を成立させるということは無理だと、こうおっしゃったわけですよ。マニフェストに書いてあることはできないとおっしゃっているわけです。玄葉さんが答えればできるとおっしゃるんですか、答えてください。
  264. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 一元化の議論というのは、もちろん民主党の中でしております。ただ、宮沢さんはもう御存じでおっしゃっていると思いますけれども、一元化は率直に言って時間は掛かりますよね。ハードルもありますよね。(発言する者あり)
  265. 前田武志

    委員長前田武志君) 静粛にお願いいたします。質疑が聞こえません。
  266. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) 私は、一元化と最低保障年金という考え方は、我々としては提案をさせていただこうというふうに今でもそう思って議論をさせていただいているところでありまして……(発言する者あり)
  267. 前田武志

    委員長前田武志君) 答弁が聞こえません。
  268. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) ただ、最終的に政府・与党でそういった私たちの考え方を受け止めて、どういう考え方に与謝野大臣中心に取りまとめるかということだろうというふうに思います。
  269. 宮沢洋一

    宮沢洋一君 いろいろおっしゃいますけれども、もう現実を直視するとそういうことなんですよ。しかし、浮世離れしたことがマニフェストに書いてあるわけです。一元化の法案を二十五年度中に成立させるって書いてあるんだから、来年度中に制度設計して。そんな浮世離れしたマニフェストは早くやめた方がいい。総理、どうですか。
  270. 前田武志

    委員長前田武志君) ちょっと委員皆様に申し上げますが、もう少し質疑者、答弁が聞こえるようにトーンダウンしてください。それから、余りこの参議院にふさわしくないような言葉遣いはお慎みいただきたいと思います。  それでは、菅総理大臣
  271. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) マニフェストで、私たちは年金制度を一元化し、月額七万円の最低保障年金を実現しますと、こういうふうに書いております。その工程表の中で、二十四年度制度設計を始め、二十五年度にその制度の決定という、こういう工程表を示しております。と同時に、現在、与謝野大臣に担当していただいて、これは党と内閣社会保障の全体像を今まとめるべく精力的に動いております。  一元化というのは、もちろん御承知のように、被用者保険だけの一元化は御党も言われていたことがありますが、最終的に私はやはり全体の一元化が私も望ましいと思っております。ただ、いろいろ難しい問題があることは分かっております。この間の議論では、被用者保険の中でも、例えば非正規雇用などのことがあって、そういう問題を含めた議論を現在いたしておりますので、一元化あるいは年金制度については今の集中討議の中でしっかりと議論を進めているというのが現状であります。
  272. 宮沢洋一

    宮沢洋一君 与謝野大臣、玄葉大臣は、この問題大変長く掛かる、いろんな問題があると正直におっしゃっているわけですが、総理はふにゃふにゃ言っているんですが、総理、二十五年度中にできるんですね、これ、法案の成立まで。
  273. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 先ほど来申し上げていますように、今現実に一番精力的にやっているのは、党と内閣でこの本部をつくってやっておりまして、その中で、まずは社会保障の全体像をお示しし、そして税の問題も含めた提案をして、さらに与野党協議も是非お願いしたいと。  そういう前提がありますから、それが全てうまくどんどん進めばそれは予定どおり行くでしょうけれども、まさに現在のところは六月までの作業についてしっかりとやろうと努力しているんです。
  274. 宮沢洋一

    宮沢洋一君 ともかく、できるかできないか、マニフェストを撤回するのかしないのか。それは、一元化の目標、するかどうかはいいんですよ。二十五年度中にやるという部分がなきゃ駄目なんだからやめたらいいって言っているの。両大臣がそれに近いことをおっしゃっているわけですよ。  じゃ、ちょっと話変わりますけれども、年金の一元化というのは何のためにやる、何がいいことあるんですか、国民にとって何がいいんですか。総理、もちろん。
  275. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) やはり一つは、まず全国民にとってできるだけ分かりやすくて透明性の高い、あるいは公平な制度が年金というのは当然いいと思います。ヨーロッパの国々の中でも、いわゆる日本でいう自営業者も含めて一元化されている国もたくさんあります。そういった意味で、我が党が当初から考えて提案しているのは、そういう一つの目標を持って一元化していこうと。  ただ、具体的にそれを設計する場合に、先ほど来いろいろ議論が、これも外国の例でもありますが、自営業者の場合に、被用者の場合はいわゆる会社負担があるわけですが、それをどうするとか、それから、最近の問題では、今度同じ被用者でも非正規雇用の割合が非常に増えていますから、それをどうするかとか、そういう新たな問題も含めて今まさに与謝野さんを本部長、いや、本部長は私ですが、責任者とするところで議論を進めているということです。
  276. 宮沢洋一

    宮沢洋一君 一元化何のためにって、まあ正直に言うと姿形が美しい、一元化というまあ大変響きはいいわけですよ。国民もだまされているわけです。それは響きが良くて、それは与謝野大臣がまあ一元化は最終的に悪いことじゃないとおっしゃるのはそのとおりでしょう。  しかし、しかしですよ、この一元化するためのまず最初にやらなきゃいけないことは、今おっしゃったように、今までの一号被保険者、国民年金だけに入っている方、自営業者の方、又はフリーターの人、母子家庭の方、一万五千円の定額だって大変な人たち、まあこれは税になるからいいんだとおっしゃるのかもしれないけれども、そういう人たちに一六%とか一八%という、収入に応じてそれだけのまさに保険料を新たにいただくということをやって、それで美しさを求める、それだけですか。
  277. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 私も年金のことも多少長く見てまいっておりますが、今おっしゃったような姿を取っている国も結構あるんですよね、現実に。ですから、私は当然それも一つの案として、一元化を推し進めようということの中の有力な案として私は検討すべきだと。ただ、それをどういう段取りで進めていくかということも含めて現在議論をしているということです。
  278. 宮沢洋一

    宮沢洋一君 まあ正直、一元化というものがこれほどすばらしいものだ、もう人生が変わる、皆さんの年金生活が変わるというものであればそれはそうなんですが、そのイメージだけで、中身はともかく、これから払う人たちは大変ですよ。フリーターの人、母子家庭の人たちから収入に応じて保険料を新たにもらうんですから。そして、それをもらえる、年金もらえるのは何十年先なんですから。そういうことを今やろうとしている、そんな暇は恐らくないんだと思います。  少し話を最低保障年金の方に移りますので、これは、与謝野大臣是非答えていただきたい。  最低保障年金、私も、もう六年前ですか、枝野長官が提案者で、随分厚生労働委員会で民主党案について議論をいたしました。その中で、一元化であり最低保障年金のふわっとした図がかいてあったわけです。そのときに、ある意味ではしっかりしているなと思いましたのは、その最低保障年金、まあ二分の一負担から全額国が負担するということになるので、たしか消費税三%引き上げると、こういうことも一緒に御提案されていた。  今、かなり年金の支払は増えていますけれども、今でいうと大体何%ぐらいですか、消費税。細川大臣。  昨日質問通告しておきましたよ。全額税で見ると消費税何%分か。(発言する者あり)
  279. 前田武志

    委員長前田武志君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  280. 前田武志

    委員長前田武志君) それでは速記を起こしてください。
  281. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) 最低保障年金につきましては、その保険料をどうするのか……(発言する者あり)いや、失礼しました、失礼しました。その範囲、支払う人の範囲、それを夫婦と一緒に払うのかとか、そういう人数の面、そういう問題があって今計算はできないと、計算はできないので、したがって消費税は何%かは決まらないと、こういうことでございます。(発言する者あり)
  282. 前田武志

    委員長前田武志君) 答弁者においては的確にお答えください。  それでは、与謝野担当大臣
  283. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 宮沢先生の御質問、例えば基礎年金の給付費、平成二十三年度予算案では二十二兆でございます。これは消費税の実力が二・一兆なのか二・五兆かで話は分かれますけれども、おおよその大きさが分かると思います。
  284. 宮沢洋一

    宮沢洋一君 質問通告しておいたんですが、要するに、六年前、三%消費税とおっしゃったのが今四%に上がっているんです、四%に。  で、これは本当に正直な議論を与謝野大臣、せっかくそこに入られているんですからしなきゃいけないと思いますのは、社会保険方式でも税方式でもいろんなメリット、デメリットはあります。しかし、正直、今後のまさに社会保障、医療、介護を中心とした社会保障の伸びを考えると、年金まで、基礎年金の半分のところまで、そこまで消費税ではとてもできないだろうというのが正直な気持ちなわけで、恐らく大臣もその正直な気持ちに近いところはおありだと思うんですが。  今いろんな議論をしています。しかし、じゃ十年先、二〇二三年までこうなってプライマリーバランスというようなことは言っていますけれども、恐らく一番大変なのは二〇三五年。第二次ベビーブーマーの人たちが六十五になり始める、そして団塊の世代は八十代後半、そろそろだから高齢者世代の世代交代が起こる時代というのが二〇三五年ですよ。そのころ、本当に今の医療制度、介護制度を前提にして、消費税が二〇%、軽減税率なし、これで恐らくもたないというのが正直なところだと思うんですが、いかがですか。
  285. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) まず、さっき総理が答弁された一元化のお話ですけれども、総理が言われたのは、やはりパート、非正規雇用等で厚生年金に入れない方、この方々をどうするかという視点も極めて大事だということを申し上げました……
  286. 前田武志

    委員長前田武志君) 与謝野大臣、時間が過ぎておりますので、簡潔にお答えください。
  287. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) それから、私は、税金も社会保険料も国民の財布から出てくるという意味では同じものだと思っております。したがいまして、実は問題になるのは国民負担率という数字が一番問題なんだと思っております。  時間でございますので、以上です。
  288. 宮沢洋一

    宮沢洋一君 もう時間参りましたので、本当に与謝野大臣にもう少しちゃんと答弁していただければよかった。途中でまあいろんな勘違い答弁等々あったので、時間を食ってしまいました。  与謝野大臣、ともかく今の財政の状況大変です、大変です。与謝野大臣は、トロイのまさに木馬に乗ってトロイの町にもう入っているんだから、トロイの町で大暴れしていただかなきゃいけない。もう木馬に乗って入っちゃったんですから、トロイの町をやっぱりせん滅しなきゃいけないんです。頑張ってください。
  289. 前田武志

    委員長前田武志君) 以上で世耕弘成君質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  290. 前田武志

    委員長前田武志君) 次に、草川昭三君の質疑を行います。草川昭三君。
  291. 草川昭三

    ○草川昭三君 公明党の草川でございます。  サラリーマンの妻などが加入をする第三号被保険者の記録不整合問題について質問をしたいと思います。  私は、記録不整合の問題を抱える方々を何らかの形で救済をすることが大切だという立場でありまして、救済をすること自体に異論は何もありません。ただ、今回の厚生労働省が発しました課長通達の運用三号は、真面目に保険料を納めてきた人たちが損をして、納めてこなかった人が得をするという、いわゆる正直者がばかを見る内容で問題があるのではないだろうか。なぜこのような事態になったのかということを、誰が決めたのか、誰が実行したのか、誰が反省をして責任があるかというのが、この委員会で残念ながら私ども聞いてて分からぬわけですよ。  責任逃れであることはよく分かるんですよ。責任逃れをした答弁をしておみえになることは非常によく分かるけれども、私は、政治家は、こういう大変混乱した時期にはやっぱり反省すべきは反省をし、責任を持つのは私が責任を持つということをやらないと、これを原則にしないと、ぶつけ合いをしておってはこの国の、日本は本当に潰れますよ、これ。我々はそういうぎりぎりのところに来ておるのではないだろうかと思うんですが、まず、その点について大臣の見解と総理の見解をお伺いをしておきたいと思います。
  292. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) 草川委員の御指摘、私もこの件については監督不行き届きという、そういう責任、重々感じておりまして、これについては私自身も自ら反省をして、そして自ら自分の俸給も返納をすると、こういうこともいたしまして反省をいたしております。  言わばこの問題は、今、草川委員も言われましたように、大変数の多い、そして年金での権利の問題で、本当にこの年金で生活をしておられるお年寄りの方も多いわけでありますから、それを解決をしていくということで、私どももせんだって、法律の改正とかそういう法的な措置によってこの問題を解決をするという、その方向性と論点を示させていただいたところでございます。  その解決のためには、これは草川委員にもいろいろと御意見もいただき、それを踏まえて私どももこの解決策にしっかり取り組んでやっていきたいというふうに思っております。
  293. 草川昭三

    ○草川昭三君 今、処分の問題を答弁されました。  昨日の衆議厚生労働委員会で岡本政務官は、課長の通知が発出される前に相談を受けました、重要な案件についてきちっと大臣に相談をする必要はあったのではないかと感じているという答弁をしております。  そこで、細川大臣にお伺いをしますが、岡本政務官が通知を出されることは承知をしているということをいつ誰から大臣は聞かれましたか。もう一回言いましょうか。政務官が通知を出されるということを承知をしていたという答弁を昨日されたんです。そのことを大臣はいつ誰から聞かれましたか、耳に入りましたか。分かりませんか。
  294. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) 岡本政務官の方からお聞きしました内容については、たしか、その出す前にいろいろな報告と一緒にさっと受けたような、事務方から受けたというようなことを、聞いたということをお聞きしました。それは、いつだったでしょうか、正確には覚えておりませんけれども、大臣室の中でいろいろと打合せをしているときに聞いたところでございます。
  295. 草川昭三

    ○草川昭三君 いや、だから、そこがこの処分の問題に関係してくるんですよ。処分の中身と、大臣がその岡本さんが聞かれたということをどこで知ったかによって岡本さんに対する処分の内容が異なってくるんじゃないですか、事前に聞いたのか事後に聞いたのかによって。それで、まあ今のは分かったような分からないような答弁でございまして、どっちにでも取れるようなことですから。まあ、大臣は非常にこういう点ではやり取りを訓練されておられますんで、打たれ強いんじゃないですか、大変恐縮ですが。  私は、この厚生労働省の二人の課長は、大臣への説明、報告を行わなかったということを理由に更迭をされたんですね。大臣に報告をしないということが更迭の大きな理由になっておるわけですよ。大臣に説明をしなかった課長は更迭をされて職を失うというような極めて厳しい処分を受けました。それに対して、大臣に説明をしなかったという政務官、これは給料の返納だけですよね。差別じゃないですか。差があり過ぎる。  行政が極めて恣意的ではないだろうか、私はそう思うんですが、身内に甘過ぎるようなことが随所に出ておるということは、本質的なこれは解決にならぬと、こういうことを言いたいんです。どうですか。
  296. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) 私はこの厚生労働行政の全般の責任者でありますから、いろいろと情報をしっかり私の下に、事務方は当然私の方に報告をするべきであるというふうに思っております。その情報を、事務方の方から大事なものをきちっと報告をしなかったということは、私自身が的確な判断もできないと、こういうことでございますから、処分もさせていただいたところでございます。
  297. 草川昭三

    ○草川昭三君 いや、だから、政務官に対する処分というのは減給だけでしょう。減給というか、返納だけでしょう。本来ならば政務官はもっと罪が重いんじゃないですか。政務官を更迭すべきであると私は思うんですが、その点どうですか。
  298. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) 政務官はそのときに、やはりその報告を受けたときに、事務方に対して大臣にも報告をするようにと、そういうような指示を私はそのときされるべきだったんではないかと、そういう監督不行き届きというのがあったと思います。  ただ、確かに政務官の責任もあると思いますが、したがって、政務官も就任以来の全ての俸給についてこれを返納する、向こう二か月もこれも返納をすると、こういうことで、それはそれでまた厳しい処分だというふうに思います。
  299. 草川昭三

    ○草川昭三君 いや、役所というのは、私が言うまでもありませんけれども、みんな青雲の志を持って厚生省なら厚生省、労働省なら労働省に入省するんですよ。それで、本当に日本社会保障をやりたいという優秀な方が旧厚生省に入るんですよ。あるいはまた、ヨーロッパのドイツなんかに負けるな、追い越せ追い付けといって、労働省の役人は何よりもドイツのことを勉強しながら労働行政をやってきて今日になったと思うんですよ。  そういう方々に、あなた、首だという言い方はしていませんけれども、もう追放にほぼ匹敵をする処分をしているんですよ。片や政務官に対して、少しペナルティーですよね、少し減給をしますよと。どちらがはかりに掛けて重いんですか。軽過ぎますよ、それは。身内に甘過ぎる。身内に甘過ぎるようなことでは私は今度の本当の意味での改革はできないと思うんですが、もう一度答弁してください。
  300. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) 私も厚生労働省で働かせていただいて、職員の皆さんは一生懸命やっていただいていると思っております。本当に厚生労働省の方は仕事は大変なんです。私も健康に心配するくらいしっかり頑張っていただいております。  しかし、そのことと、職員が情報をしっかり私の方に上げてくると、そうでなければ的確な判断もできないし、私の仕事としての的確性もまさに欠けると。だから、そういうふうなことになるから情報だけは私のところにしっかり上げていただくということ、そのことがなかったもので、私としては、このことについてはやはり厳しく処分をしなければと、こういうことで処分をさせていただいたところでございます。
  301. 草川昭三

    ○草川昭三君 まだ私の言っていることが御理解なさってないんですが、元々民主党内閣というのは政務官を中心に非常にトップの行政を決めているんじゃないですか、指導しているんじゃないですか。それで、政務官、陳情一つ、言っちゃ悪いですけれども、個別のラインに我々だって取次ぎできませんよ。全部政務三役を通じて、そしてそれが官房長のところに行くのかどうか知りませんが、誰がどういう要請をしたか。知事さんなんかでもみんな困っておるじゃないですか。何はともあれ、民主党お願いに行かなきゃいけない、そして、その次に政務官の了解を得なければいけない。時間が取れない。どんどんどんどん陳情行政なんか遅れていくんですよ。  あなたたちがやっているのは、知恵のあるお役人をうまく使うんではなくて、いじめているんですよ。いじめているからこそこういう話が出てくるんですよ。そうじゃないですか。そういう反省はありませんか。
  302. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) 先ほども申し上げたように、厚生労働省の職員の皆さんは本当によく仕事もしてくれていると、私はそういうふうに日ごろから思っております。  そのことと、役所にある情報というものをしっかり私どもの方に提供していただくと、これがなければ私どもも判断もできないわけですから、そこは草川委員にも御理解をいただきたいというふうに思うんです。  政治主導というのは、その情報そのものを私どもの方にきちっと伝えていただいて、それによって職員の皆さんに、役人の皆さんに仕事をしていただくと。これが政治主導でございますから、是非、その情報については是非私どもの方に寄せていただかなければならない。そういう意味で、今回そのことがなかったものですから、私がそういう厳しい処分をさせていただいたところでございます。
  303. 草川昭三

    ○草川昭三君 まあ何回これ言っても、大変恐縮ですが、私の言っていることの趣旨が大臣に理解されていません。  私は、昔の厚生省というのは、私も三十何年間バッジを付けておりますし、菅さんも厚生大臣をやられた経験がありますが、他の役所に負けないぐらい徹夜で話合いをするしプランを作る、すばらしい役所ですよ。そういう役所がいつの間にか萎縮しちゃったじゃないですか。それで、だから、本当に情報を上げようと思ったって、政務三役のところで止まっているんですよ。蛇口閉められているんじゃないですか。  そんな風通しの悪い、行政の実態が分からぬようでは、大臣辞められた方がいいですよ。傷が広くならない間に辞められた方がいいですよ。どう思いますか。
  304. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) 大変厳しいお言葉でありますけれども、私としては、今職員と本当に意思疎通はよくできていると、そしてまた、私はその職員の皆さんに本当に一生懸命仕事もしていただいているというふうに思っております。  しかし、そのことと、実際に役所の皆さん方が持っている情報、これをしっかりと私どもの方に伝えていただかないと、それは仕事が、私どもは的確な仕事ができないわけでありますから、その一生懸命仕事をしていること、それと、大事な情報については、これは私のところに知らせていただく、そのことは、それはまた大事なことだと私は思っております。  そういう面で、こういう大変大事な年金の問題で、それは数も多い、そして権利の問題でもありますから、そのことが私のところに情報が伝わってこなかった、そのことについては私は厳しい処分をさせていただいた理由でございます。
  305. 草川昭三

    ○草川昭三君 委員長、簡潔に答弁をしていただくように注意してください。  じゃ、もう先へ行きます。  三月八日の衆議院の厚生労働委員会で我が党の坂口元厚生労働大臣質問で、長妻さんから細川大臣に交代した際の引継ぎに、この今問題になっております運用三号の問題が含まれていなかったということが明らかになりました。引継ぎがなかったことは細川大臣も認めておみえになります。長妻前大臣も認めておるんですけれども、引継ぎ書に書かなかった、今から考えれば盛り込む必要があったと述べておられます。  これは明らかに民主党政権の中の重大な引継ぎミスだと私は思うんですが、その点、菅さん、どういうふうに思われます、こういうミスが大臣大臣との間にあったということについて。長妻前大臣から引き継いでいればこんな混乱は私は起きなかったんではないだろうかと思うんです。  今回、報告がなかったということで課長を更迭をしておりますが、これは責任転嫁と言う以外にありません。大臣間で引継ぎがなかったということの方がもっと責任は重いんじゃないですか。私はそっちの方が重いと思いますよ。自分たちのミスは棚に上げて課長連中だけに責任を負わせる、これで行政ができますか。イロハのイの字じゃないですか。不信感持ちますよ、こういう行政処分をやっておると。  私は、皆さん厚生労働省は立派な方が多いと思うんですが、本音を言えば頭にきていると思いますよ。どうですか、答弁。
  306. 前田武志

    委員長前田武志君) 持ち時間が少ないものですから、答弁は簡潔にお願いいたします。
  307. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) これは、三月にその運用三号の方針が決まりまして、そこで事務方でその方向で仕事を進めているということで、そのことでその事務の引継ぎの中で私に報告がなかったということになっていると思いますけれども、私はそれは、その点は前の大臣からこのことが引き継がれなかったということについては、これは今は反省すべき事項だと思っております。
  308. 草川昭三

    ○草川昭三君 ここを、総理、一回、今の答弁も含めて是非考え方を聞かさせていただきたいんですが、全くこれ政務官に対する処分については、少なくとも課長同様、同程度の処分はすべきですよ。だから、政務官の更迭をしたらどうですか。幾らでも優秀な方お見えになるんでしょう、民主党は。答弁してください。
  309. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 私は、かなり前ですが厚生大臣を仰せ付かりましたが、私の経験の中でもいろんなケースがあったように思います。  ただ、今回のこの第三号被保険者の問題は、やはり私は、一つは構造的な問題があったということ、先ほど川合我が党の議員の質問にも非常によく表れておりました。つまりは、昭和六十一年からこの制度がスタートして、長い間、今第三号と言われるような扱いが現実に行われていたということがあって、それも課長通知で行われていたということ、そういうことがもう慣例化されていたということの中で……
  310. 前田武志

    委員長前田武志君) 菅総理、答弁はなるべく簡潔にお願いします。
  311. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) はい。  ですから、そういうことがありますので、私は今回の、例えば大臣から大臣への引継ぎ、あるいは政務官から大臣への、知っていたことをどのようにすべきだということで、私はそのことも含めて、細川大臣がしっかりと真摯に反省すべきことは反省して、将来に向かっての方向性を出されるとともに、本人及び政務官についての一定の責任の取り方も決められたわけですから、私は一つの責任の取り方であろうと、こう考えております。
  312. 草川昭三

    ○草川昭三君 私はその政務官の更迭があってしかるべきではないかという提案をしているんですよ。それは変更なしですか。
  313. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 今申し上げたように、私は、厚生大臣自らが真摯にそういったことを考えた上での一定の処分といいましょうか、そういうこともされたわけでありますから、その判断を多としたいと思っております。
  314. 草川昭三

    ○草川昭三君 じゃ、少し問題点を別の視点で質問を変えます。  長妻前大臣の責任ということを少し私は問題にしたいと思うんです。  長妻前大臣は、一昨日、記者団に対して、課長通達による運用については法律でやる議論は余りなかった、運用でやろうという話があり、私もそう判断したと述べられています。長妻前大臣が今回の違法性が疑われる措置をとることを決めたわけで、前大臣には大きな私責任があると思うんです。さらに、細川大臣への引継ぎもしなかった責任もまた重大。  長妻前大臣の責任について、菅総理はどのようにお考えになりますか。
  315. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) まず、前大臣から現大臣への引継ぎというのは当然しっかりやられるべきであって、ただ、多分膨大な案件になりますので、その中でも特にこれとこれとは注意をしてというようなことも必要なものはあると思っております。  そういった意味で、一般的に言えば、重要なものについてはきちんと引き継がれるべきであって、そういう点で、場合によってはやや本来なら重要と考えるべきものが十分に引き継がれていない部分があったのかもしれませんが、その辺りの経緯はつまびらかには私自身はよく承知をしておりません。
  316. 草川昭三

    ○草川昭三君 いや、それはおかしいですね。三月八日の本委員会で公明党の加藤修一議員の質問に対し、総理は、私としてはそうした極めて重要な問題を課長の段階で決裁をしたという在り方について問題があったと思っておりまして、やはり法律に基づく対応が望ましいと考えていますという明確な答弁をしているんですよね。そして、この答弁は、私が先ほど来から指摘している責任問題も含めて総理は私はこの答弁をされていたのではないか、こう思うんですよ。そうじゃないですか。私はそう思って加藤さんの質疑を聞いておりましたが。  それで、先ほども他の委員の方からも御発言がありましたが、運用三号の対象者というのは、まあアバウトな話ですが百万人ぐらいいるだろうと、こう言われているわけですよね。一人当たり百万円を支給をするということで計算をすれば、総額だって一兆円を超しますよね。そういう一兆円を超す金額を、国民からお預かりをしている貴重な年金保険料を大臣の指示で課長が法的な裏付けがないまま勝手に給付をするということは、国民に対する私は背信行為だと思うんですよ。民間企業なら背任罪になるんじゃないですか、民間企業なら背任罪。これではミスター年金ではなくてミスター背任じゃないですか、これ。私はそう思うんでございますけれども。  これは委員長お願いしますが、是非、長妻前大臣を本委員会に参考人として是非出席をさせていただきたいと思いますが、どうですか。
  317. 前田武志

    委員長前田武志君) 理事会において協議させていただきます。
  318. 草川昭三

    ○草川昭三君 では、細川大臣の責任に戻ります。  総務省に設置をされている年金業務監視委員会は、一昨日の三月八日、総務大臣に運用三号に関する意見書を提出しています。その中で郷原委員長は、運用三号は国民年金法に違反する疑いがある、廃止すべきであると明確にこの委員会で郷原さんは提言をしているんですよ。  我々が職員の方々と、いろいろと意見を聞いてみますと、社会保険庁は運用三号が出る前から同じことをやっていましたと。これは、これまで違法行為をやっていたということを認めているわけですね。これは、郷原さんのこの提言は相当分厚いものですから、もう皆さんも読まれていると思うんですが、それで立法措置が必要だということを総務省の方から問題提起があるわけですよ。これは私は、厚生労働省として大変恥ずかしいことではないだろうかと、こう思うんですね。  今回問題になっている昨年の十二月十五日の課長通達は、その違法な行為を合法にするためにつくった委員会だと言わざるを得ません。その課長通達を了承した方が、実は通知を出す前日、つまり昨年の十二月十四日に開いた年金記録回復委員会なんですよ、一日前に開かれた。ここで今年の一月一日から運用三号を実施をするということが決められました。  私の手元に当日厚生労働省がこの委員会に提出をした書類がありますが、これは翌日の十二月の十五日に課長二名の名前で判こをついたこのペーパーと同じなんですよ。ただ判こがついてないだけなんです。その判こをついてないのは、一日前の委員会に全員に、委員に配られているんです。  ということは、ちょっとおかしいじゃないですか。肝心のその委員会でいろんな議論があって精査をする、集約をする、そしてその通知を課長が受け止めて全国関係者に連絡をするというのが筋だと思うんですが、一向にその筋が無視をされた形で運用をされているところに、私は細川大臣の責任は大きいと思うんです。しかも、この委員会に細川大臣は出席されているんですね。お答え願います。
  319. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) 結論から申し上げまして、その委員会には冒頭出ております。  それで、課長通知で出しましたその通知の経過でありますけれども、これは、三月からずっとこの運用三号について大枠が決まって、そしてずっと準備をしてきて、最後、いつから実施をするかというその日にちを決めるということで、事務方の方から一月一日実施ということで提案をさせていただいて、御了承をいただいて、オーケーということで通達を十五日に出すと、こういうことになったわけでございます。
  320. 草川昭三

    ○草川昭三君 それは先ほど質問があってお答えになっていますが、途中で帰ろう、あるいは最後までおろう、そんなことは関係ないんですよ。やっぱり途中で帰ってもあなたが責任を取らなきゃ駄目なんですよ。そうでしょう。  それで、途中で帰ったということを盛んに言っているということは、ずっとこれを延長すれば長妻さんが悪いということを言いたいんですか。長妻さんの方が悪いということを言いたいことでそういうことをおっしゃっているんじゃないだろうか。違いますか。違うんなら違うで言ってくださいよ。(発言する者あり)もっと前から。  そしたら、ちょっとついでに、いいときいいやじが出ましたので申し上げますが、先ほど若い優秀な民主党の方がいろいろと提言をされました。それで、四回にわたっていろいろと、修正というんですか、組織的な救済をするということを言われました。せっかくここまで言っていただくなら、この当時の社会保険庁の労使関係はどうあったかということを書いてくださいよ、社会保険庁は苦労したんだから。社会保険庁がもう本当に苦労して苦労して、これは菅さんも御存じのとおりですよ。それで、ようやくこれを落ち着かせたんですよ、社会保険庁というのは。そういう歴史を我々は反省をしながら、これからの在り方はどうすべきかということを議論しなきゃ駄目ですよ。私はそう思うよ。だから、長妻さんの責任ばかりもし言っていたとするならば、私は現在の責任は、転嫁することには、免責をすることにはならぬと、こういうことを言いたいわけです。  それで、課長や長妻大臣に私は最終責任を求めるのではなくて、あなたの人任せの無責任な姿勢こそが非常に重大だ。ずっと今の答弁を聞いておりましても、非常に誠意というのは見られませんね。反省というものが見られませんね。私は、この……(発言する者あり)いやいや、そう簡単にうんと言ってもらっちゃ困るんですよ。いや、うなずいていますか。うなずいておみえになるというなら反省しておみえになると思うんだけれども、とにかく、私は今の大臣の責任というのは極めて重大なものがあるから、この大臣自身が自ら身を引いて、そして新しい道を共に選ぼうではありませんか、そういうことがあっても私はおかしくないと思うんですが、どうですか。
  321. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) この問題では、私が監督責任果たしてないということで、私自らも律しなければいけない、処分をしなければいけないということで、私は大臣就任以来の給与についてこれは全て返上すると、こういうことでございます。そして、将来も二か月分、これも返上をすると、こういうことで私自身の監督不行き届きの責任を取らせていただきました。  そして、何よりも私がこれからやらなければいけないのは、この問題、三号被保険者のこの記録不整合の問題をしっかり解決をして、そして年金制度に対する国民の皆さんの信頼を取り戻すということが私に課せられた大きな責任だと、そのことをしっかり果たしてまいると、そう考えております。
  322. 草川昭三

    ○草川昭三君 それだけじゃ駄目です。私が今から言うようなことをなぜやらないんですか。  例えば、年金記録回復委員会というものが随分大きな役割を果たしていますよね。ミスター年金と言われた長妻大臣の肝煎りでつくられましたのがこの年金記録回復委員会なんですよ。この委員会が厚生労働省の案にお墨付きを与えたわけですから、委員会の責任は重いわけですよ。政府が方針を転換せざるを得なかったにもかかわらず、間違った判断をした委員会も問題ではないでしょうか。  この委員会は、実にまたおかしな存在なんですよ。国会が認めた組織でもありません。法的な裏付けもありません。長妻大臣が勝手につくった委員会なんですよ。しかし、回復委員会の委員委員長以下全員国家公務員の身分が与えられているんですよ、御存じのとおり。  この年金記録回復委員会が、国民の怒りが全国的に広がった一昨日の三月八日、厚生労働大臣にあてた意見書を出しています。この文書の中には、委員会が昨年の三月、長妻大臣から運用三号というやり方の是非について意見を求められたことに関して、いわゆる運用三号については当委員会の総意としてやむを得ない対応であるとしたところだと認めているんですね。一方で、今度は大臣が、運用三号ではなくて法改正して対応したいという方針については、妥当であると答えているんです。都合がいいですね、こういうことをどんどんどんどんその都度お答えになるというのは。何か肩書は大変立派な方ばっかりですよ。  で、課長通知で運用三号というものの意見を求められたら結構、それに批判が集まって法改正が必要という世論になるとそれがいいという意見を表明するというような、実に無責任な態度です。  結局、大臣の意向に沿った理屈付け、後付けの委員会と私は思います。こういうでたらめな委員会は直ちに解散すべきであると思いますが、大臣、どのようにお考えになっていますか。
  323. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) 年金回復委員会は、これは前大臣の下でいろんな、年金回復のいろんな問題について大臣が意見をお聞きをすると、こういうことでつくられたわけでございます。  そういう意味では、いろんな形で御意見を聞き、年金回復、これは大きな国民的な問題になりまして、このことが、まさに年金制度に対する不信がございました。そういうその年金回復を、記録を回復していくということでいろんな助言をいただきながらやってきたわけです。  そのことと今回の問題、今回もやむを得ない形でということで結論をいただいていたわけでありますけれども、今度は総務省の方の年金業務監視委員会の方から、これについてはいろんな形で問題だということで御指摘も受けまして、そのことについて私が回復委員会の方にそのことも踏まえて法的な問題で解決していきたいと言ったら、それについての御了解もいただいたわけでございまして、私は今、年金回復委員会を委員の言われるような形の結論にはしないということでございます。
  324. 草川昭三

    ○草川昭三君 そこまでこれを存続をさせたいという気持ちがあるならば、委員会を設置をする法律を国会に出してくださいよ、年金委員会とか審議会とかとほかにたくさんあるんだから、きちっとしたものを。それで、委員長も国会の同意人事にすべきであると私は思いますが、その点どう思いますか。
  325. 前田武志

    委員長前田武志君) 細川厚生労働大臣、時間がもうありませんので簡潔にお答えください。
  326. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) 私は今の年金回復委員会が果たしている仕事、これは本当にいろいろといい観点で意見も言っていただいておりますので、私は現状のままでいいんじゃないかというふうに思っております。
  327. 草川昭三

    ○草川昭三君 まあ、これは反省の色はないし、時間がございませんので、全然別件ではございますが、税と社会保障一体改革の財源について、一問、最後にします。  民主党の二〇〇九年のマニフェストで、税金の無駄を省き十六・八兆円の財源を生み出すとなっていますが、現在、政府がまとめている税と社会保障一体改革の財源に十六・八兆円は含まれているのか。十六・八兆円を前提にしてこのマニフェスト後、いろんな作業をやっておみえになりますが、随分これは違ってくることになります。  総理からお答えを願って、私の質問を終わります。
  328. 前田武志

    委員長前田武志君) 野田財務大臣で。
  329. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 社会保障と税の一体改革については四月までに社会保障のあるべき姿を考える、それを支える安定財源及び財政健全化についてはその後に考えるということで、今特段確定的に申し上げられる段階ではございません。
  330. 草川昭三

    ○草川昭三君 終わります。
  331. 前田武志

    委員長前田武志君) 以上で草川昭三君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  332. 前田武志

    委員長前田武志君) 次に、川田龍平君の質疑を行います。川田龍平君。
  333. 川田龍平

    川田龍平君 みんなの党の川田龍平です。  質問に先立ちまして、ニュージーランド地震で犠牲になられた方々の御冥福をお祈りいたします。いまだ行方の分からない方々が一日も早く見付かることを心から願います。  まず、アスベスト問題について質問いたします。  アスベストによって亡くなった方の労働保険法に基づく遺族補償給付は今月の二十六日で打ち切られます。アスベストを吸った原因に気付かず時効となった被害者の救済の枠外にすることは、アスベスト被害の実態から目を背けることと同じです。私が国会の場で繰り返し申し上げているように、薬害や公害の被害を引き起こす最大の原因は情報公開の欠如です。被害者の救済と情報公開はセットでなければ意味がありません。    〔委員長退席、理事森ゆうこ君着席〕  肺がんや中皮腫の被害者がその原因に気付くために、厚労省は、アスベストで労災認定や時効救済された従業員を出した事業所を二〇〇八年から公表を始めました。せっかく始まったこの情報公開の仕組みも、時効で公表される事業所が減少すれば、救済と情報公開の両方が縮小してしまうでしょう。  さらに政府は、被害者に救済権があることを国民に知らせる作業を今年から始めるということですが、これは詐欺みたいな話にしか聞こえないんですけれども、周知作業を行っているかどうかではなく、なぜ今までしっかりと周知作業を行わなかったのか、細川大臣に説明をお願いいたします。
  334. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) お答えをいたします。  厚生労働省といたしましては、アスベスト、石綿による健康被害を受けられた方に対して確実に補償、救済するため、様々な形で、先ほど言われたような方法で救済策を取ってまいりました。その周知も努めてきた、徹底に努めてきたつもりでございます。例えば、石綿で労災認定を受けた方が所属していた事務所名を毎年公表するとか、労働者本人又は遺族が石綿に暴露した可能性を具体的に認識をできるような形で公表もしてきたわけでございます。  一方、石綿救済法施行日の平成十八年三月二十七日以降に死亡した方については、今なお労災の請求はできますけれども、本年三月二十八日以降、時効により労災の請求権を失うという懸念がある、この御懸念、これは私どもも理解をいたしております。  このため、厚生労働省としては、石綿による労災について請求期限までに確実に請求がいただけるように、残された期間は、これは更に徹底的にこの周知をしていきたいというふうに考えております。
  335. 川田龍平

    川田龍平君 この三月二十六日で切れるのに来年から周知をすると、これはちょっとおかしいんじゃないかと思うんですね。今すぐ周知すべきだと思いますし、延長すべきだと思いますが、いかがですか、大臣
  336. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) これは、周知についてはこれはもう今しっかりやっていくということでやっております。  その時効の延長につきましては、これは来年度、過去に提出をされた死亡届の調査を行って、これは、中皮腫のこの周知徹底、これもやっておりまして、その時効を、この制度を延長するという件につきましては、まだどの程度被害者の方が、その時効が、制度がこの期限来るということで、その数も分からないようなところもございまして、心配の御懸念もありますから、これは、そういう数も分かるようになればそれはそれで私どもはしっかり対応していきたいというふうに思っています。
  337. 川田龍平

    川田龍平君 このアスベストの死亡の、中皮腫の人たちが亡くなっていく数というのは毎年一千二百人ですので、これは毎月百人のペースで生まれているわけです。それがこれからどんどん増えていくということで、この救済法で救われていく人というのは、すき間を埋めるために作られた救済法なのですから、ここで期限が切れてしまったらまたまた救われない人がどんどん出てくるということになりますが、ここ、大臣が今決断すべきときだと思いますが、いかがですか。
  338. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) これは、私も、大変重要な問題で被害者の救済はしなければと、こういうふうに思っております。そういう意味で、労災の方の期間をこれを法律的に変えるというようなことは、それはなかなか難しいわけでありますから、この救済法でどういうふうにそのすき間を埋めていくか、それはそれで、先ほど申し上げましたような形で進めていきたいというふうに思っています。
  339. 川田龍平

    川田龍平君 是非延長を検討してしっかりやっていただきたいと思います。  それでは次に、松本大臣にお聞きしますが、施行から五年以内に法律の見直し作業が行われています。この報告書を見ますと、法改正はしないという結論がありきということになっていて、当事者の人たちの意見というのは全く反映されていません。なぜ当事者の意見を無視するんでしょうか。いかがでしょうか。
  340. 松本龍

    国務大臣(松本龍君) 川田委員にお答えをいたします。  石綿健康被害救済制度につきましては、現在、中央環境審議会の石綿健康被害救済小委員会において御議論をいただいているところであります。  昨年四月までは、先ほど御指摘のとおり、指定疾病につきましては、肺がん、中皮腫ということでありましたけれども、議論が行われ、その結果を踏まえて、五月には政令を改正し、著しい呼吸機能障害を伴う石綿肺及びびまん性胸膜肥厚を新たに指定疾病に追加をし、救済制度を拡充してまいりました。その後は、施行状況を踏まえた上で、そのほかの諸課題について議論を行ってきたところでありますが、本年二月十四日、御指摘のとおり、開催された小委員会では法学者を中心としたワーキンググループの報告書が提出をされ、議論されてきたと承知をしております。  今後は、その報告書も踏まえながら、引き続き小委員会で御議論をいただくことになっており、環境省としても今後取りまとめられる答申を踏まえて適切に対応してまいりたいと思います。
  341. 川田龍平

    川田龍平君 民主党のマニフェスト、インデックス二〇〇九というのによれば、今までの労災の基準と救済法の基準で非常に救済の給付の中身で差があるから、できるだけこの労災の基準に合わせるんだということを言われてきたわけです。是非ともこういった見直しを進めていただいて、それこそ政治主導でしっかりやっていただきたいと私は思います。  そして、今年の二月、泉南アスベスト国賠訴訟で国が和解協議を拒否したということを聞いて、私は大変驚きました。これは、前政権の長妻厚労大臣と小沢鋭仁環境大臣のときには控訴を断念するということを決めていたにもかかわらず、さきの官房長官が引き取って控訴をして、結果、その後和解をするんだという話になっていたものが突然和解を拒否するということで、国が和解の進行協議の中で表明したものです。  また驚いた。なぜならということであれば、菅総理も、昨年の六月十四日の衆議院本会議で、アスベスト訴訟やB型肝炎訴訟については被害者を切り捨てるつもりは全くない、裁判をまだしていない被害者も含め対応していくと答弁されているんですね。それなのに和解協議を拒否したと。言っていることとやっていることが逆なんですけれども、なぜなんでしょうか。
  342. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) このアスベスト訴訟のこれは確かに判決が出て、そしてそのときにいろいろな検討もいたしました。しかし、政府といたしましては、これはいろいろな法律的な問題があって、司法の判断を受けるのが妥当だと、こういうことで控訴したわけでありますから、したがってそういうことで控訴して判断をいただくということになっておりますから、今度は裁判所の判決もそんなに遠い将来になるんではなくて、大体審理ももう済むというようなことでございますから、そこで、私どもとしてはこれは判決をいただくということにいたしたところでございます。
  343. 川田龍平

    川田龍平君 あんまりじゃないですか。国の対策の遅れで被害を生み出しておいて、更にその裁判を、判決を待つと。更に引き延ばして被害者がどんどん生まれるのを待っていると。全くこの政府は何を守ろうとしているんですか。総理の椅子ですか。政権ですか。菅総理、これは切捨てじゃないんですか。いかがですか。
  344. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) この公害の訴訟、あるいは薬害の訴訟、それぞれ、川田さんも自らの経験もあり、私もいろいろかかわりを持ってまいりました。先日はイレッサのことでもいろいろありました。  私も、このアスベストについて、もう大変長い経緯のあるものでありますから、基本的にそういう被害者の皆さんを何らかの形で救済していくという方向性については是非推し進めるべきだと、こう考えて、その考え方は変わっておりません。  この裁判についての個別的なことでいえば、今厚労大臣からもお話がありましたけれども、この種類の裁判としてはたしか一件目の裁判でありまして、今後どういう形でそれが、ある程度広がることは当然広がってくると思いますが、そういう中で、やはり裁判所の段階でのきちっとした議論があることが、例えば後に和解ということに進むにしても、その方がやはり必要ではないかという、そういう判断を総合的にした、あるいはされたと、こういうふうに理解しておりまして、また、かなりの方は現在労災等によって一定の救済は行われていると、そう聞いておりますので、そういうことを含めて、今答弁の中にもありましたように、決して引き延ばして何か放置するという、そういうつもりでやったわけではありません。
  345. 川田龍平

    川田龍平君 違いますよ、菅総理。  結局、労災で救済されていない人たちがいるんですよ。結局、その五割の人は労災にも救われない、救済法にも救われない、それから肺がんの八割の人は救われない。そういった状態に置かれている人たちをそのまま見捨てていくと、そういうことを今言われているんですよ。そんなことはもうやめにしませんか。こういう総理が今発言した内容によって、結局、今も被害者の人たちはこれ以上更に苦しめられていくわけです、菅総理の決断によって。そのことを理解してください。  国は本来、安心して国民が暮らして生きていける社会をつくるための仕事をするのが国の仕事ではないんですか。被害を二度と繰り返さないために、被害が起こるその被害を食い止めるために手を尽くすのが国の仕事ではないんですか。それを何もしないで裁判所の判決を待つなんて、それでいいんですか。それが政治主導なんですか。本当にがっかりします。    〔理事森ゆうこ君退席、委員長着席〕  私は、次に、薬害イレッサの問題についても質問したいと思います。このイレッサ訴訟についても、実は、国は東京、大阪両地裁の和解勧告を拒否しました。この和解のテーブルに着かないなんてことはあり得ないことです。以前の政権であれば、和解のテーブルに着いて、その協議には参加するんですよ。それすらもしないで和解を拒否して、一方的に和解を拒否する。  それと同じ時期に、厚労省は信じられないことをやっていました。同じその和解勧告の拒否をする時期に合わせて、日本医学会などにこの和解勧告を受け入れるべきではないという見解を出すようにという、この下書きの文まで作って学会に渡していたという信じられないことが起きています。  これは、厚労省があらかじめ和解を批判する文案を作って学会に渡していた、そういうことが分かってきて、これを二月二十四日の衆議予算委員会の答弁で、厚生労働省から依頼したとは思わなかったと答弁されたのが細川大臣ですけれども、この件について、このことによって原告たちに一体何が起きたか御存じですか。  学会から和解勧告批判の見解が出された後に、原告には山のような嫌がらせの電話ですとかメールが届いて、厚労省がこのようなやり方で被害者を更に社会的に追い込んで、新薬を必要としているがん患者へのアクセスを阻害するという批判を学会にさせることで、被害者とがん患者の不要な対立をあおるような世論誘導を行っている。本当にこんなことを平気で国がやっているとしたらとても許されることではないんですが、大臣、いかがでしょうか。
  346. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) この問題は衆議院の方でも指摘がございました。その指摘を私聞きまして、それが事実ならばもうとんでもないことだと、私もその話を聞きまして本当に怒りが込み上げてきたところでした。  しかし、これは本当にどういう形でそういうことが起こったのか、それをしっかり検証をすることが私はまず第一だというふうに思いまして、即刻、小林政務官を筆頭、筆頭というかチームのリーダーにいたしまして、外部の弁護士さんなんかも入れまして、そこでこれを検証するチームをつくって、今しっかりやらせております。  このことは、私も本当にこんなことはもしあってはならないと思っておりますから、しっかり検証をしていきたいというふうに思っております。
  347. 川田龍平

    川田龍平君 これは、大臣、知らなかったということですね。
  348. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) 全く知りませんでした。
  349. 川田龍平

    川田龍平君 トップにいる大臣が知らないということが問題なんですよ、こんな国民の命にかかわることを。大臣が知らないところで官僚が勝手にやったっていうんですか。官僚が勝手にやった、大臣は知らない、それで務まるんですか、厚生大臣が。
  350. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) だから、私は、本来ならば、役人がそういう仕事をして、そういうことをするんならば、それを知っていたらば当然私はさせませんよ。当たり前じゃないですか、それは。  だから、だから、この件についてはどうしてそういう形になったのか、私がその調査を命じまして、今調査をさせているんです。で、結果が出ましたら、またきちっと御報告もしたいと思います。
  351. 川田龍平

    川田龍平君 いつまでに調査するんですか。
  352. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) これは関係者、この厚生労働省の職員の方については、これはすぐに調べております。ただ、学会の方は先生方で、東京だけではなくて関西の方もおられるとか言っておりまして、その調査、そして非常に大事なことですから、ただ聞くだけというのじゃなくて、お互いにしっかり検証をしていくということで、今その調査を鋭意やっているところでございまして、その報告がありましたら、また皆さん方にも御報告したいと思います。
  353. 川田龍平

    川田龍平君 委員長、これは理事会に報告していただくようによろしくお願いいたします。
  354. 前田武志

    委員長前田武志君) 理事会において協議いたします。
  355. 川田龍平

    川田龍平君 ありがとうございます。  そして、この問題について、やっぱりこうした問題というのは、裁判というのは簡単に裁判できるものではないんですよ、エネルギーも時間もお金も掛かるし、そして家族のきずなも壊れる。本当に、私個人だけではなく、裁判を起こしている人たちはみんなそういった苦労をして裁判を起こしている。その裁判をやらなくても、本来であれば、国の社会保障のシステムがしっかりしていれば救済を求めなくてもいいんですよ。救済を求めなくても、損害賠償ではなく救済であれば、国のシステムがしっかりしていれば、裁判を起こして、遺族の人たちが、親がいない人たち社会で困るということはないんですよ。だから、社会保障のシステムを今すぐに早く立ち上げなければいけない、立ち直らせなければいけない、そう思って私もいます。  そして、今日は本来、口蹄疫の問題についても私は同じことを感じています。食の問題についても、この国が一体どういうふうに命のことを考えているのか、さらには年金の問題についても、こうしたつじつま合わせのパッチワークのようにつじつま合わせで法律の骨子を示したりしていますけれども、結局のところ、じゃ、長期的なビジョンでこの年金を維持させていくということと、今回のこの法律案の骨子というのが整合性取れるんですか。いかがですか。
  356. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 今回の改革のキーワードは持続可能性ということですから、長期的な整合性というのは当然考えていくことでございます。
  357. 川田龍平

    川田龍平君 最後に、時間になりましたので、薬害の問題も公害の問題も、口蹄疫も年金も、今日私が申し上げた全て、日本という国の在り方に関する根本的な問題ばかりです。政局を見るよりも国民の声に耳を傾けること、場当たり的な対応ではなく、未来を見通した国のビジョンを描くことが私たちの、国会議員のやるべきことではないでしょうか。そのための情報開示と徹底的な議論を引き続き強く求めることを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  358. 前田武志

    委員長前田武志君) 以上で川田龍平君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  359. 前田武志

    委員長前田武志君) 次に、田村智子君の質疑を行います。田村智子君。
  360. 田村智子

    ○田村智子君 日本共産党の田村智子です。  非正規の働き方や雇い止めが今も増え続けていて、現役世代の生活保護が急増するなど深刻な問題が広がっています。医療や年金など社会保障制度の空洞化を防ぐためにも、安定した正社員としての雇用が大切だと考えますが、総理、いかがでしょうか。
  361. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 正社員の雇用の方が望ましい、私もそう思います。
  362. 田村智子

    ○田村智子君 正社員が望ましいと。私は、とりわけ女性の皆さんが結婚や出産をしても正社員で働き続けることができるかどうか、これは今、人口減少の下で本当に重要になっていると考えます。  そこで、今日取り上げたいのは日産自動車で起きていることです。  日産自動車は、昨年十月、事務職の派遣労働者七百人を日産が直接雇うと、直接雇用に切り替えました。これは、労働者からの申告を受けて、東京労働局が三年を超えて派遣のままで働かせているのは派遣法違反だと是正の指導を行ったからです。  話を聞いて驚いたんですが、この七百人は全員女性です。彼女たちは、英語や中国語を使いこなす、労務管理のデータやコンピュータープログラムを作る、正社員に仕事も教えると、まさに業務の中枢を担う仕事をしてきました。ところが、これだけの能力がありながら、彼女たちは正社員ではなく、契約従業員という雇用に切り替えられた。時給は千四百円、派遣のときとほとんど変わらない。契約期間は六か月。契約更新はどんなに長くても二年十一か月までで、それ以上は絶対に雇わないと。この条件提示に彼女たちは疑問と怒りの声を上げました。当然です。これまで四年、五年、長い方で九年日産で働いてきた。なぜ二年十一か月で打ち切られるのか。  総理、私は、女性をこういう扱い方する、本当に許せないんです。だって、契約期間六か月なんです。その途中で結婚されて妊娠した。そうしたら契約更新は一体どうなるのか。自分の力を生かして働き続けたいと、こう願っている女性たちを余りにもないがしろにするようなやり方ではないでしょうか。総理、いかがでしょうか。
  363. 前田武志

    委員長前田武志君) まず細川労働担当大臣
  364. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) いろいろお話がありましたけれども、女性が妊娠、出産を機に契約が更新されない、そういうケース、これは大変女性にとって厳しいというふうに私も、これは委員と同じような認識でございます。  こういうことに対しての法的な規制というのは、男女雇用機会均等法第九条でこういう場合には不利益な扱いを禁止をしております。有期契約についての、妊娠、出産等がなければ契約更新が予想されていたのに契約が更新されないような場合は、これは当然不利益扱いに該当するわけでございます。したがって、そういう扱いを受けました労働者からは御相談をいただいて、都道府県の労働局雇用均等室で厳正に対処しているわけでございます。  有期契約者が安心して働けるように、この法律をしっかり守れるような、業者を指導しているところでございます。
  365. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 今も厚生労働大臣からお話がありましたが、女性、御指摘のように妊娠、出産等を理由として契約が更新されなかった場合は男女雇用機会均等法上の不利益な取扱いに該当すると考えますので、こういった場合については都道府県の労働局等において厳正に対処をして、有期契約労働者が安心して働けるよう努めてまいりたいと思います。
  366. 田村智子

    ○田村智子君 六か月の契約で、あなた妊娠しましたから契約更新しませんなんて言うわけないんですよ。だけど、契約更新が事実上行われない。こういうことはいっぱい今社会の中にあふれています。  私、日産はなぜ彼女たちに六か月雇用と、どんなに更新しても二年十一か月で打切りと強調したのか。実は、管理職用のマニュアルというのが入手できたんです。(資料提示)今お示ししているのが、これがその中の一ページなんですね。  何て書いてあるか。契約期間について。契約期間は六か月です。通算の契約期間は最長で二年十一か月であり、その期間を超えるような更新は行いません。その下の黄色いところ、理由、契約を繰り返すと期間の定めのない契約とみなされる場合があり、解雇の法理が類推適用される判例があります。上限を設けずに契約更新を繰り返すことにリスクがあり、上限を設けることとしました。正社員で雇わなければならないリスクがあると、裁判に訴えられたら負けるかもしれない、だから二年十一か月で打ち切るんだと、こう赤裸々に書いてあります。  実はこのマニュアルの中には、彼女たちを絶対に正社員にしないという、この方針が本当に徹底されているんです。例えば別のページには、能力があるからといって職務領域を超えるような業務を与えない。理由、一般従業員、これは正社員のことです、一般従業員と同等の仕事をした場合、一般従業員への登用の可能性を期待させることになるため。さすがに表に出せないと考えたのか、ほとんどのページに、その右上ですね、取扱注意、管理職止まりと記されています。  総理、この彼女たち七百人は、本当に自分の力を生かして働ける人たちなんです。そういう彼女たちを、ここから先の仕事は正社員だから、あなたたち正社員にはしないからとその仕事もさせない。これが、労働局の指導を受けて名立たる大企業が行った是正なんです。正規雇用を求めた裁判の判決や法律を逆手に取って、あくまでも人間を使い捨てると、これに政治が無策であっていいはずがないと考えますが、いかがでしょうか。
  367. 前田武志

    委員長前田武志君) まずは細川担当大臣、次いで菅総理にお答えいただきます。
  368. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) 委員が言われておりますのは個別の事案でございますから、それに対して私どもの方で答弁することは差し控えたいと思いますが、不利益な取扱いをした場合には、これは御相談いただければ、先ほども申し上げましたように、雇用均等室において厳正に対処しているんです。そして、その是正のあれに企業の方が従わなければ、そこに是正指導をしっかりやって、指導書を手渡して、それでもやらない場合には勧告をいたします。それで、勧告にも応じないような場合は、では企業公表、そこまでして指導を私どもの方としてはさせているところでございます。
  369. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 長い時間は申し上げませんが、いろいろな御指摘は私も聞いていて大変おかしなことだと思っております。  つまりは、こういうことになる直接的な個々のことと、大きく非正規の形を取った方が正規社員よりも会社にとって有利だという構造そのものが、いわゆる均等待遇の問題などがなされていないということで、できるだけそういう均等待遇で、こういった差別的な取扱いそのものが企業にとってもプラスでないという、そういう形をつくることがより重要だということも認識しておりますが、そのためにはいろいろなことの努力が必要だと、そう認識しております。
  370. 田村智子

    ○田村智子君 彼女たちはこの不利益な契約を結ばされているんです。二年十一か月で打切りだということを認めなければ、そもそも契約従業員にもなれないんです。そこで働くこともできないんです。私、こういうやり方に対して政治が法律で規制することもできないんですよ、今。不利益があったらと言うけれども、違うんです。契約を、全部法の網かいくぐって、こういう不利益な契約を結ばせちゃっているんです、彼女たちに。  これ、是非調べていただきたいですよ、大臣そうおっしゃるんだったら。どうですか。
  371. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) 今委員が指摘されたような問題もあると思います。  そこで、厚生労働省の方では有期契約について今検討させていただいておりまして、その中で、今委員の御指摘のあったことについても私の方から検討するようにということを言っておきたいと思います。
  372. 田村智子

    ○田村智子君 調べるということも言えないんですよね。  彼女たちはどんなに頑張って働いても正社員になれない。待っているのは、退職金さえない雇い止めなんです。これは、私は企業の利益も損ねることにつながると思います。有期雇用は一時的な仕事に厳しく規制をして、正社員で雇うのが当たり前だと、このルールを一刻も早く作ることを強く求めて、質問を終わります。
  373. 前田武志

    委員長前田武志君) 以上で田村智子君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  374. 前田武志

    委員長前田武志君) 次に、片山虎之助君の質疑を行います。片山虎之助君。
  375. 片山虎之助

    片山虎之助君 片山虎之助でございます。  社会保障と税の一体改革を中心にお尋ねしたいと思いますけれども、今日は、主として国と地方の関係ですね、社会保障改革における、あるいは財源配分における、それを聞きたいと思いますけれども、その前に、一、二、この一体改革問題で気になっていることをお尋ねしたいと思います。  もう何度も、毎回聞いておりますが、四月に社会保障のあるべき姿を示すと、六月に税制改革案を示すと。考えてみますと、社会保障サービスにおける受益と負担みたいなものでしょう、これは。これは裏と表なんですよ。私は、それを分けて何で四月と六月にせにゃいかぬのかなと、こういう大変疑問を持っているわけでありまして、サービスに、社会保障のあるべき姿を、金のことを考えずに、財源を考えずにそういうものがまとまるわけがないですよ。それを承知でやるというのは、これは説得力が本当ありませんわね。  そこで、まず総理にお聞きしたいわけでありますけれども、この四月、六月というのは、四月にはいい話、六月は悪い話で、真ん中に統一地方選があると、こういうお考えですか。
  376. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) つまり、いろいろな議論の手順が間違うと、せっかくの議論が本来の中心的な議論からやや外れることもあると。率直に申し上げて、私も参議院の選挙の折に自民党の出された案を参考にしてと申し上げたんですが、もう参考と言った途端にそれで行くんだろうというふうに言われて、結果的にそうした議論にもなかなか入れませんでした。  ですから、まず社会保障についてこのままではなかなか持続可能が難しいということもあるので、そういう意味でまずそこをしっかりやって、それから二か月ぐらいの間ですがやるということで、決して何か目先の政治日程を考えてということではありません。
  377. 片山虎之助

    片山虎之助君 集中改革会議がヒアリングなんかやると思いますけれども、関係の皆さんに聞くと、これを良くしろ、あれに加えろ、これを上げろというような私は議論になると思いますよ、受益だけ言うと。負担を考えなければ受益はいい方がいいんですから。  それでは、どういうことにまとまるのかということが大変心配でございまして、私はこれはあくまでも一体として考えるべきではないかというのが前々からのあれなんです。今のように皆さんのようなことをやると、結局マニフェストと同じことになるんですよ。バラ色の甘いことだけ出して金のことはその次ですから、負担はその次ですから、結局は全体が私はアウトになる可能性が非常にあると思いますよ。もう答弁は要りません。是非、扱いとして一体的な扱いをやってください。  それから、もし四月に社会保障のあるべき姿だけ出すんなら、項目ごとにどのくらい金が掛かるということを明示してくださいよ。そうでなきゃ後につながらない、抜き出したような。  もう簡単でいいですから、与謝野大臣、どう思われますか。簡単にお願いしますよ。
  378. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 先生のおっしゃるとおり、ちゃんと一体的にやってまいります。
  379. 片山虎之助

    片山虎之助君 それで、私は、突拍子もないことというわけでもないんですが、今TPPが大変な議論になっている。例えば、TPPに参入したときに、この一体改革をやるのにどういう影響があるのかということを考えるんです。そういうことまで含めて、この改革は慎重に私は議論されなきゃいかぬと思いますよ。六月にそういう慎重に議論した結果がしっかり出てくるとはなかなか思えない。  今のTPPに参入すると三百四十万人失業する。農水省の試算ですよ。それから、低賃金の労働者がうわっと人の移動で入ってくる。あるいは医療の在り方も、混合診療等を含めて変わってくる。国際基準で、また日本と違う基準のお医者さんや看護師さんや介護士さんやそういう方がずっと入ってくる。  そういうことの中でこの社会保障・税の一体改革はどうなるんでしょうかね。これも簡潔にお答えできるようならしてください。できなければ結構です。
  380. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) TPPとの関係はまだ研究しておりませんが、経済との関係はしっかりした報告書を併せて発表したいと思っております。
  381. 片山虎之助

    片山虎之助君 今、この税と社会保障の一体改革で地方は大変に憤慨しているんです。  ちょっと申し訳ないんだけれども、衆議院の予算委員会だと思いますが、与謝野大臣が、地方に金を回せと言うような人はいない、そういう人の発言はないと。恐らく改革集中検討会議ですか何かでのあれでしょうけれども、大体、地方の代表が入っていないんだから、幹事委員というんですか、集中改革会議のメンバーに。経済界、おりますよ。労働界、おりますよ。学界、おりますよ。マスコミ界、おりますよ。その他の有識者、おりますよ。これだけの大きな、しかも国を、将来を懸けるような改革に地方の代表が一人もいない。それから、新しい委嘱委員を見ましても、これは純粋の、例えば市町村長だとか知事というのは入っていない。  どういうお考えですか。
  382. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 総務大臣が地方の代表でございます。  また、今月の十九日には、地方の知事を始め市町村長からヒアリングをいたします。いたしますが、まだ財源の話まではしないことになっております。
  383. 片山虎之助

    片山虎之助君 私と同じ名前の片山総務大臣、シャイですからね。シャイ、シャイ。ただ、あなたが地方の代弁をしないと、する人がいないんです。ほかの大臣は国の大臣なんです。あなたは国の大臣であるけれども、同時に地方の代表者なんですよ。あなたが物分かりのいいことを言っちゃ地方は納得しませんよ。どうですか、一言答弁してください。
  384. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 私は決して物分かりのいいことを言っているわけではありません。今は実は、与謝野大臣もおっしゃったと思いますが、今は社会保障制度の在り方に集中して議論をしているわけです。  私は六団体の方に申し上げているんですが、是非、年金以外は地方が所管しているわけですから、その知見に基づいて社会保障制度を持続可能にするにはどうすればいいのかということを真剣に考えて提案してくださいということを申し上げておりまして、実は今、地方団体の考え方も変わってきまして、その意見が多分十九日に出るだろうと思って期待しております。
  385. 片山虎之助

    片山虎之助君 与謝野大臣、ヒアリングだけじゃいけませんよ、ワン・オブ・ゼムにしちゃ。やっぱり地方の代表を入れてくださいよ、どういう方か知りませんが。  それから、ここにパネルを持ってきておりますけれども、(資料提示)今も片山総務大臣から話がありましたように、社会保障に関するサービスというのはほとんど地方なんですよ。年金以外は全部地方です。後期高齢者医療制度も介護も子育ても国保もその他もほとんど地方がやっているんです。これを国でやるとなると地方出先機関をつくらにゃいけませんよ。地方が全部、人的にもこういう具体のサービスはやっているので、制度をつくったり、金を配ったり、そういうことはできますよ、現金給付の子ども手当みたいなものも地方を通じて配っているんだから。そういうことで、是非この表を国民の皆さんによく見てもらいたいと思います。全て地方が、地方自治体がやっている、地方の役割が大きいということを是非分かっていただきたいと思います。  それから、地方負担の例ですけれども、国が制度をつくって、国の制度で助成やその他がありますから、負担は国と地方は三対二なんです。やっているのは地方がもうほとんどやっているんだけれども、負担は三対二なんですね。それで、これは今後とも、この少子高齢化が進む中で社会保障費の毎年の自然増は国が約一兆円、地方が約七千億なんですね、〇・七兆円。これがずっと行きますから、今の役割分担をそのまま続けざるを得ないとすれば、やっぱり地方の安定的な社会保障に関する財源を与えないと、この国の社会保障が中身がなくなるんです。是非そこはしっかりと理解していただきたい、こういうふうに思います。  そこで、こういうことの中で地方消費税というのがありまして、消費税については、御存じかどうか知りませんが、五%のうちの一%が地方の取り分です。これが決まりましたのは平成八年か何かですけれども、何年だったかな、実際に一パー地方消費税が施行されるのは平成九年からなんですけれどもね。大変私も与党税調で苦労しましたけれども、一%はこれは地方の取り分なんです。四%が国なんです。それで、何で一%にしたかというと、当時の地方の間接税を全部まとめたんですね。そういうこともあって、既得権ということもないんですが地方の取り分にしました。  その一%以外に、地方交付税の中に二九・五%のこれは交付税算入の財源として、これも地方にもらっております。こっちの方が間接税ということでこうなったわけでございまして、これは大変今、地方の安定的、貴重な財源でございますが、消費税が目的税になったときに、仮に、これからですよ、はっきりそうなったときにどうするのかということが大きな議論になると私は思います。  これについてのお考えがあれば、与謝野大臣、簡潔にお願いします。
  386. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 消費税を次の機会お願いするときには国、地方を通じて社会保障に使うということが書いてありますんで、そのとき国と地方の配分をどうするのかと、あるいは、今先生が言われた現行四%は実は交付税に入っていて、国と地方の取り分は地方が四四、国が五六ぐらいになっていますので、その比率が正しいのかどうかとか、そういうことはやっぱり五月になってから議論をする課題であると思っております。
  387. 片山虎之助

    片山虎之助君 委員長、もう一言だけ。  とにかく、この社会保障に係る財源不足は国が十兆円だという宣伝ばかりなんですね。これは私は間違いだと思います。地方のそういう財源をしっかりと確保することが社会保障全部の前進になりますから、よろしくそこは配慮のしっかりとした対応をお取りいただくことをお願いしまして、終わります。
  388. 前田武志

    委員長前田武志君) 以上で片山虎之助君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  389. 前田武志

    委員長前田武志君) 次に、吉田忠智君の質疑を行います。吉田忠智君。
  390. 吉田忠智

    吉田忠智君 社会民主党護憲連合吉田忠智でございます。  本日、るる議論されております運用三号の問題でありますが、私は、この問題では厚生労働大臣の責任は否定しませんけれども、一つにはやっぱり厚生労働省の体質の問題、それから、厚生労働省、あの省庁再編で厚生省と労働省が一緒になりまして大変所管の領域が広くなりました。そうしたことも今回の原因になっているのではないかと、そのように思いますが、総理はどのようにお考えでしょうか。
  391. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 一言で申し上げるのは難しいと思いますが、確かに社会保険庁、今はあの形が少し変わりましたが、この持っている根深い問題点、やはり大きく影響している、こう感じております。
  392. 吉田忠智

    吉田忠智君 今日はもう時間の関係でこれ以上議論しませんけれども、厚生労働大臣は給与を返上されるようでございますが、あくまでも、現段階で私は、大臣がこの問題を始めとして諸課題の解決に向けてしっかりリーダーシップを発揮していくこと、これが責任の取り方である、そのように考えております。  次に、後期高齢者の医療制度について質問をさせていただきます。  一昨年九月の三党政策合意に盛り込まれまして、全国高齢者が今通常国会に新制度の法案が提出されると待ち望んでおりますけれども、今でも。どうなったんでしょうか。  昨年十二月、高齢者医療制度改革会議は最終取りまとめを出しましたが、高齢者の負担増が盛り込まれるなど、現行制度の問題点を本質的に解決するものとはなっておりません。その後、与党内部や野党の反発も受け、最終取りまとめは宙に浮いております。中には、自治体選挙前の負担増は難しいという与党への配慮から選挙後に先送りしたという報道もあります。  高齢者の負担増を含めた最終取りまとめの方向性は見直されるのか、それともこの方向性のまま法案が提出されるのか、総理、伺います。
  393. 前田武志

    委員長前田武志君) まず細川厚生大臣
  394. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) これは、委員からもありましたように、高齢者医療制度改革会議の中で検討をしていただきまして、この後期高齢者は廃止をすると、こういうような取りまとめに最終的にはなったところでございます。  そして、これを法案として国会の方に提案をすべくいろいろと今検討をいたしておりますけれども、各方面の方からいろいろな意見もいただいておりまして、私どもの方としましては、幅広い国民の声とか、あるいは関係者の納得のいくような、そういうことができるように、今法案提出に向けて引き続き調整をいたしております。法案提出を目指して今進行しているところでございます。
  395. 前田武志

    委員長前田武志君) 総理にお聞きになりますか。
  396. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 今も厚労大臣が言われたように、一応の昨年十二月に新制度の案が取りまとめられておりますが、いろんな意見をいただいておりますので、そういう意見を含めて、更に厚生労働大臣の下で調整させていただきたいと思っています。
  397. 吉田忠智

    吉田忠智君 全国皆さんが期待しておりますので、是非早急に結論を出して上程をしていただきたいと思います。  次に、国民健康保険について、毎年三千億前後の構造的赤字が生じています。(資料提示)背景には、このパネルのとおり、国保の構成の変化があります。本来、国保は自営業者や農林水産業者など被用者以外が加入する制度でございましたが、現代は、無職者が三九・六%、被用者保険に入れない非正規など被用者が三五・二%となり、自営業者と農林水産業者は二割を切っています。被用者保険であれば保険料も事業主と被用者の折半ですので、この事業主負担部分がない被用者の増加も構造的赤字の一因であります。  総理は五日に、社会保障に関する集中検討会議で、厚生年金など被用者年金を派遣やパートなど非正規労働者へ適用拡大する旨述べておられます。総理の論理に従えば、医療保険に関しても、現状国民健康保険に入っている非正規労働者へ被用者保険の適用拡大を行うべきではありませんか。
  398. 細川律夫

    国務大臣(細川律夫君) この非正規労働者が大変今増えておりまして、こういう者が厚生年金とか健康保険とか、そういうところから外されているということ、これは非常に重要な問題でありまして、逆に非正規労働者、そして国民健康保険に入らざるを得ない人たち、そういう人たちをこの健康保険に戻れるような、そういうことは大変大事なことだというふうに思っております。  そういう意味で、今税と社会保障の一体改革を進めておりまして、その中で、この非正規労働者の医療保険の適用も、セーフティーネットの機能強化の観点から年金制度と併せて検討をしてまいりたいというふうに思っております。
  399. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) この問題は、健康保険でも同様だと思っております。特に、このことは保険制度ということだけではなく、先ほど雇用の問題が共産党の委員の方からもありましたが、いわゆる非正規の形の方が企業にとって負担が社会保険的な面で軽いということがいろんな意味で格差の一つの原因になっていると。  ですから、やはり均等待遇ということを考えますと、たとえ非正規という形があるにしても、年金や医療については同じような負担を使用者にも求めて、そして逆に言うと、そうなったら、じゃ正規でも余り変わりないじゃないかということにつながってくるという面も含めて、しっかりここはやらなければならない分野だと、こう考えています。
  400. 吉田忠智

    吉田忠智君 しっかりこの課題については取り組んでいただきたいと思います。  今総理が、少し私がこれから質問しようとすることも一緒に話していただきましたが、企業が正社員を派遣やパートなど非正規労働者に置き換えてきた背景には、正社員であれば負担しなければならない雇用保険料、それから年金、医療保険料を負担しなくて済む、これはコスト削減につながる、そういうインセンティブがあるわけですね。  さらに、消費税については、このパネルにありますけれども、派遣など間接費用の場合、企業が売上時に受け取った消費税額から派遣会社等に支払った消費税額を差し引くことができます。この差し引くことができる部分を仕入れ税額控除というわけでありますが、これが消費税率の引上げとともに、企業の常用代替、あるいは正社員を派遣など非正規に置き換えるインセンティブとして濫用されています。消費税は、仕入れ税額控除の仕組みで非正規労働者を増やし、貧困格差を拡大をしてきた一因にもなっております。また、不安定な非正規雇用を拡大することで国保の構造的赤字を生み出してきたという側面もあるわけであります。  このようなセーフティーネットを危うくする消費税増税により社会保障の財源を確保するというのは不適切ではありませんか。総理の所見を伺います。
  401. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) これ、私はこの図はちょっと違うんではないかと思っていまして、派遣労働者の受入れ企業が御指摘のように派遣料にかかわる消費税額を控除することができます。ただ一方で、人材派遣会社に対しては派遣料に上乗せをして消費税を支払うことになっていますので、そのことによって損得が生まれるということはございません。  ということで、派遣であろうが正規雇用だろうが、消費税についてはこれは直接関係がないということでございまして、消費税が雇用形態に影響を与えるという御指摘はこれは当たっていない、ましてや非正規雇用を助長するということはないというふうに思います。  いずれにしても、私どもの政権は、雇用促進税制であるとか非正規雇用を含めて、雇用の問題については特段の配慮をしながら頑張っている政権でございます。
  402. 吉田忠智

    吉田忠智君 ちょっと見解の相違もあるようでありますが、この点についてはまた今後議論をしたいと思いますが、いずれにしましても、国民健康保険に根差す重要な難しい問題もあるわけでありまして、今後しっかりその解決前進に向けて取り組んでいただきますように要請をしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  403. 前田武志

    委員長前田武志君) 以上で吉田忠智君の質疑は終了いたしました。(拍手)  これにて社会保障に関する集中審議は終了いたしました。  次回は来る十四日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時九分散会