○松田公太君 松田公太です。
私は、みんなの党を代表して、
菅総理のG8
ドーヴィル・サミット報告について
質問をさせていただきます。
今年で第三十七回目を迎えた
サミット。言うまでもありませんが、不本意な形で
日本が最も注目を浴びることとなってしまいました。その大切な
サミットで、
菅総理は異例の
冒頭発言の場を与えられました。これだけ大きな
事故を起こしてしまい、
世界に多大な心配と迷惑を掛けた直後です。私は
菅総理に、
当事国の指導者として、
世界観、哲学、そして強い理念を語っていただきたかった。しかし、残念ながら、せっかく与えられた演説の場で強い理念を感じさせるような訴えはありませんでした。それどころか、この
サミットで、
日本も含めて
世界中に更なる不信感を与えてしまったのではないかと思っております。
その不信感を増幅させた理由は大きく分けて
二つあります。
一つは、言っていることとやっていることが違うと思われてしまったこと。もう
一つは、思い付きで話をしていると知れ渡ってしまったことです。
例えば、
最大限の
透明性を持って全ての
情報を提供するという
発言を何度もされていましたが、G8の開催中に
福島原発五号機が冷却機能を失うということが発生してしまいました。しかし、今回も
国民への発表が半日遅れとなってしまい、つまり、
菅内閣の隠蔽体質が全く改善されていないことが
世界的に判明してしまったわけであります。これでは、言っていることとやっていることが違うと思われても仕方がありません。
また、これもG8の真っただ中に露呈された
海水注入問題、これも恥ずかしいほどのどたばた劇で、結局、真実が語られたのは、
IAEAの視察が来て本当のことが発覚しそうだからという理由でした。
菅総理、あなたの監督
責任下で今までどれほどの
情報が保身のために隠されてきたか、想像も付きません。
情報公開、ディスクロージャーは国のリーダーとしての
責務だと思います。我が党の渡辺喜美代表は、
事故発生の翌日には、与野党党首
会談でメルトダウンの可能性についても追及しているではないですか。私も早い
段階から、メルトダウンを
前提にした対処策の必要性を
経済産業委員会などで提言してきました。
総理もその可能性を本当は分かっていたはずです。
なのに、なぜ
事故発生後二か月以上たつまでメルトダウンの可能性についてそれを公表されなかったのですか。教えてください。もし事前に可能性の
一つとして公表していれば、
国民もここまで落胆せずに事実を粛々と受け入れることができたはずです。
そして、さらに、先ほども
質問が出ていましたが、もう一度お聞きします。現
段階で、
総理が本当は知っている、若しくは可能性を推察しているがまだ公表していないというものがあれば、この場で全て話をしていただきたいと思います。隠していることは本当にないのでしょうか。もしここで公表していないことが後で発覚したら、G8で国際的に約束された
最大限の
透明性を持って迅速に全ての
情報を提供するということがうそになってしまい、
菅総理は、歴史に名を残すインターナショナルうそつきプライムミニスターということになってしまいます。是非、それを念頭に正直に答えていただければと思います。
また、突如発表された一千万戸の屋根にソーラーパネルを設置するサンライズ計画。私はビジョンとしては良いものだと思います。しかし、
菅総理は何年までにとビジョンに日付を入れてしまいました。どの
世界でもそうですが、納期を発表した瞬間にビジョンは具体的な
目標となってしまうのです。これは既に
日本の
国際公約となってしまったわけです。大きなイメージを伝えるだけなら国内での調整や計画の
策定は必要なかったかもしれない。しかし、公約を発表するのに、それを担当する海江田大臣ですら知らなかったというのはどういうことなのでしょうか。今回は、人生不条理だのコメントでは済まないことなのです。
民主党は、マニフェストもそうでしたが、公約を余りにも軽く
考え過ぎです。
これは、コーヒーチェーンの社長だった私が、社員はおろか、担当役員に全く断りもなく、社外の会合で突然、今後我が社はコーヒーの売上げを大きく減らし、紅茶の売上比率を二〇%以上に引き上げますと発表するようなものです。社長の勝手な発表を後で聞かされた役員や社員はどう思うでしょうか。そんな社長に付いていきたいと思いますか。民間でそんな会社の社長が存在したら、その会社はとっくのとうに潰れていると思います。
このサンライズ計画は、いつ、どこで、誰と作ったものなのですか。G8のために慌てて出してきたものだとしか思えません。
また、
ドイツでは
原発全廃の
議論を
政府が
国民に生中継して行いました。
総理は、この全
国民にかかわる
エネルギー政策をオープンにするつもりはありますか。あるとしたら、このサンライズ計画は、なぜこっそり、
国民どころか
経済産業大臣にすら伝えずに発表してしまったのでしょうか。理由をお伝えください。
この言っていることとやっていることが違うと思い付きで話すというのは、菅さんが
総理大臣になって始まったことではありません。前の
総理大臣の鳩山さんと実は同じことを繰り返しているんです。サンライズ計画について話をする菅さんの姿に、私は、鳩山さんが
国連総会でCO2の二五%削減を約束している姿がダブりました。
つまり、これは一個人の問題というよりは、
民主党政治の根本的な問題ではないかと思ってしまいます。どうしても、ポピュリズムに走るがゆえに達成できない
目標をぶち上げてしまう、その場その場を乗り切れればいいやと場当たり的な体質が政党の中に根付いてしまっているのではないですか。そのような政党には一回ばらばらになっていただいて、出直していただくしかない。実際、その方が良いと思っている
民主党議員も多数いらっしゃいますよね。
国民も、現在の
日本は未曽有の危機に直面していて、
一つにならなくてはいけない
状況だということを十分認識しています。そんな
状況下でも
内閣支持率が二〇%台から一向に上がらないのは、
菅総理では無理だと感じているからです。
総理は、以前、一%の支持率になっても辞めないとおっしゃいました。これは私が政治家になって間もないときに発せられた言葉で、新人議員として非常に大きなショックを受けました。それから半年が
たちましたが、ここでお聞きしたいのですが、
総理がおっしゃった一%の支持率になっても辞めないという
考え、これは今現在も変わりはございませんか。変わらないのであれば、何%になったら
総理は辞職するべきだとお
考えでしょうか。
さて、
総理は、
世界中の
原発の
安全基準作りに寄与したいともG8で
発言してきました。最近やっと学校での
目標値を一ミリシーベルト以下にすると文科省は発表しましたが、元々安全としていた二十ミリシーベルトは国際的な基準と比較して適切だと思われますか。また、作業員が沃素剤を飲まずに、マスクも着けずに二百五十ミリシーベルト以上被曝してしまったという甘い管理体制、このようなことも国際基準にしたいとお
考えでしょうか。何か問題が発生したときに限って全て電力会社の
責任にするのは国際基準でしょうか。自然
災害の想定を低く見積もって安全神話作りをするのも国際基準でしょうか。何をもって国際基準作りに貢献すると
発言したのか、御
説明いただければと思います。
私は、先日、
福島までボランティアに行ってきました。
総理は、今の
福島県民が何と言っているか御存じでしょうか。
菅総理や世の中は
復旧・
復興と盛んに言っているが、そんなことを言っていられない現実が目の前にあるんだ、まだまだ
原発がどうなるのか分からなく、心配で夜も眠れない。実際、昨日の四号機の水素爆発や、五号機の冷却ポンプ停止、汚染水の漏れ、そして冷却停止も工程どおりに進むか全く分からない、予断を許さない
状況が続いているのです。
福島の住民にとってはまだ非常事態が一日も途切れることなく続いているのです。そんな中で、国際基準作りに貢献したいという言葉は、己の置かれた立場を全くわきまえない、のんきな
発言です。
それはまるで、崖から落ちそうになった人がロープを投げてもらい、命からがらぶら下がっている状態で、そのロープを投げてくれた人
たちに対して、僕が助かったら正しいロープの投げ方を投げて教えてあげますからねと言っているようなものです。本当に恥ずかしい限りです。
菅総理、G8で大見え切ってそのような話をするのは時期尚早だったとは思いませんか。是非お答えください。
さて、
総理にとっては耳が痛い話をこの十分少々でさせていただきました。覚えていらっしゃるかどうか分かりませんが、
総理、今年二月に一度、私と官邸で二人きりでお会いいただきました。一年生議員、しかも野党の議員と一対一で会っていただけるその懐の広さを持っているのが
菅総理の一面ではないかとも私は感じております。
そう信じて、
最後に、私の苦い
経験についてお話をさせていただきます。
私は、経営者時代、社外から敵対的買収を仕掛けられました。しかも、同じタイミングで社内では造反に遭ってしまったのです。自分ではまだまだやれると思っていました。造反組や買収企業と戦って、自分の力でもう一度立て直すこともできると思っていました。しかし、それにはリスクが伴いました。何か月、何年続くか分からないその戦いを続けてしまうと、コーヒー会社として本来やらなくてはいけない、お客様の方だけをしっかりと向いて、最高のコーヒー、最高のおもてなしを提供するということがおろそかになってしまう、経営理念の、一杯のコーヒーを通じて、仲間とともに新しい価値を創造し、そして成長するという思いが達成できなくなるかもしれないというリスクです。それは、お客様、消費者、そして一般社員に対して一番の背任行為になると思いました。
そこで、
考えに
考え抜いた結果、私自身はトップの座から降りて、次の経営者にバトンタッチすることを決心したのです。本当に自分が育てた娘を手放すようで断腸の思いでしたが、今ではそうして良かったと思っています。会社は一気に平常に戻り、大変厳しい
日本の
経済環境が続く中、今もなお成長を続けることができております。
今、
日本は大変な時期なのでトップを替えるべきではない、そういう
議論は、私は反対でしかありません。それは、今のポストにしがみつきたいと思っている政治家
たちの逃げ口上でしかないと私は思います。私は今まで数多くの会社を見てきましたが、駄目になって倒産してしまう会社は、社長や役員が
最後までポストにしがみついたケースがほとんどです。組織論から
考えると政治も同じなのです。
菅総理は、昨年、予算委員会の場で初めて私の
質問にお答えいただいたとき、御自身もある
意味ベンチャー起業家と同じスピリットを持っていると話をされました。一市民運動家が政党をつくり、そして今となっては
総理大臣になれたと、私もそう思います。