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2011-08-04 第177回国会 参議院 農林水産委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十三年八月四日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  八月三日     辞任         補欠選任      郡司  彰君     川崎  稔君      長谷川 岳君     中原 八一君  八月四日     辞任         補欠選任      金子 恵美君     行田 邦子君      徳永 エリ君     姫井由美子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         主濱  了君     理 事                 岩本  司君                 大河原雅子君                 野村 哲郎君                 山田 俊男君     委 員                 一川 保夫君                 金子 恵美君                 川崎  稔君                 行田 邦子君                 外山  斎君                 徳永 エリ君                 姫井由美子君                 松浦 大悟君                 青木 一彦君                 加治屋義人君                 鶴保 庸介君                 中原 八一君                 福岡 資麿君                 横山 信一君                 渡辺 孝男君                 柴田  巧君                 紙  智子君    衆議院議員        農林水産委員長  山田 正彦君    国務大臣        農林水産大臣   鹿野 道彦君    副大臣        農林水産大臣  篠原  孝君        経済産業大臣  松下 忠洋君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       田名部匡代君    事務局側        常任委員会専門        員        稲熊 利和君    政府参考人        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       梅田  勝君        農林水産省農村        振興局長     實重 重実君        農林水産技術会        議事務局長    藤本  潔君        環境大臣官房審        議官       関 荘一郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (東日本大震災による農林水産関係被害と復興  対策に関する件)  (農林水産物放射性物質汚染に関する件)  (牛肉稲わらからの暫定規制値等を超えるセ  シウムの検出に関する件)  (戸別所得補償制度に関する件)  (諫早湾干拓事業潮受堤防排水門開門調  査に係る環境影響評価に関する件)  (原発事故による牛肉からの放射性セシウムの  検出に関する決議の件) ○有明海及び八代海再生するための特別措置に  関する法律の一部を改正する法律案衆議院提  出)     ─────────────
  2. 主濱了

    委員長(主濱了君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、長谷川岳君及び郡司彰君が委員辞任され、その補欠として中原八一君及び川崎稔君が選任されました。     ─────────────
  3. 主濱了

    委員長(主濱了君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、農林水産省農村振興局長實重実君外三名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 主濱了

    委員長(主濱了君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 主濱了

    委員長(主濱了君) 農林水産に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 川崎稔

    川崎稔君 おはようございます。  民主党川崎です。本日の委員会におきまして質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。  本日は、さきに衆議院提出されました有明海及び八代海再生するための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案、この法律案が本委員会でも取り上げられるということでございますので、この特別措置法、そしてもう一つは、六月に公表されました諫早湾干拓事業環境アセスメント素案、この二点につきまして取り上げたいというふうに思っております。  まず最初に、有明海再生特別措置法でございますが、この法律、御承知のとおり、平成十二年に有明海におけますノリの大不作、これを契機といたしまして、国民的資産である有明海及び八代海を豊かな海として再生することを目的ということで平成十四年に議員立法制定されたというものでございます。  この改正案につきましては、私ども民主党有明海八代海再生検討ワーキングチーム、こちらのワーキングチームでも各県の自治体あるいは漁業関係者皆様から御意見をお聞きし、検討を行ってきたというわけでございますが、民主党、自民党それぞれの案を持ち寄りまして、各党間の調整を経て、衆議院農林水産委員会提出法律案ということになりました。私も、有明海再生を願う議員の一人として、会派を超えた関係者のこれまでの御尽力に心から感謝を申し上げたいというふうに思っております。  そこで、この有明海特措法について何点かお伺いをしたいというふうに思っております。  まず最初に、この本特措法評価ということでございます。  御承知のとおり、有明海、この海につきましては、私の住む佐賀県を始めとしまして、福岡県、長崎県、熊本県と四県に囲まれた地域で、満潮と干潮との干満差、これは日本一でございます。六メートル、六メートル以上ですかね。そういうことで、干潮時には沖合のかなたまで干潟が続くということで、この干潟に河川あるいは陸地の栄養分、これが堆積をいたしまして多くの生物が生息するということで、地元の方でも宝の海というふうに呼んでおります。  この有明海再生、まさに県民の悲願でもあるわけですが、そういう意味で、平成十四年の制定から間もなく九年を迎えるこの有明海等再生特措法、この法律につきまして大臣がどのように評価をされているか、所見をお伺いをしたいというふうに思っております。
  7. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 有明海等再生特措法ということが制定されて以来、いわゆる漁港なりあるいは漁場整備事業という中で補助率かさ上げ等々がなされてきたわけでありますけれども、そういう中で、対象とされるところの覆砂なり耕うんなどの事業というふうなものが実施されてこられまして、その効果といたしまして貝類漁獲量が増えてきた、あるいはまた底質環境改善が確認されてきていると、こういうようなことも承知をいたしているところでございます。  そして、このほかに、海域環境改善及び水産資源回復を図るための技術開発などが積極的にも進められているところでございまして、このような結果、法律制定前の平成十二年には有明海ノリの大不作というふうなことが生じているわけでありますけれども、それ以降ノリ生産量回復をいたしておると、こういうことでございまして、法律に基づく取組というものは一定効果をもたらしているものと、このように考えておるところでございます。
  8. 川崎稔

    川崎稔君 今、大臣答弁所見をいただきましたときに、その事業ということでお話をいただきました。  まさに、現行法で言う第八条で規定されております特定事業ですね、これが、その関係県で計画を作って、漁港漁場整備事業のうち環境の保全あるいは改善を図るための事業ということで、政令で指定して補助率かさ上げといった措置が講じられているわけですが、この措置について、実際に関係各県の漁業関係団体も継続を要望されているという状況でございます。  そこで、今、大臣の方からもその一端をお示しくださいましたけれども、この法律において海底耕うん、あるいは覆砂、しゅんせつ等事業、そういったことが実施されているということは承知しているわけですが、もう一回ちょっと確認をいたしたいと思います。どういうふうな事業が行われているのか、あるいは事業のうち先進的な取組としてどのようなものが行われているかということについて御紹介をいただきたいというふうに思います。
  9. 田名部匡代

    大臣政務官田名部匡代君) 今、大臣の方からもありましたけれども、このかさ上げ事業として、有明海及び八代海におきまして貝類等増殖を図るための覆砂、また底質環境改善するための海底耕うん、また海水交換を促進するための作澪等実施をされてきたところであります。覆砂、海底耕うん、そして作澪等効果というものが各県から報告が上がってきておりますけれども事業実施した海域におきまして、アサリ、またサルボウタイラギといった貝類等漁獲量回復であるとか海底の有機物の減少など、漁場環境改善させる効果があったということが各県から報告として上がってきております。  農林水産省といたしましても、これらの事業によりまして改善が図られたということが確認できましたので、また更にこういったことを一緒になって促進をしてまいりたいと考えています。
  10. 川崎稔

    川崎稔君 ありがとうございます。  今、効果の方までお話をいただいたわけですけれども、実際に、例えば佐賀県沖の有明海におきまして、貝類タイラギという貝があるんですけれども、こちらが非常に死滅してしまった。そういう中で、昨年辺りは豊漁だったということもあるんですけれども、なかなかそういった意味では水揚げ改善しないという状況もございます。  今、実際に効果があったというお話なんですが、どの程度例えば、お話としては定性的なお話が多いんですね、定量的な意味でどういうふうな効果を確認されているのか、農水省の見解というものをお伺いしたいと思います。
  11. 田名部匡代

    大臣政務官田名部匡代君) 例えば、これは有明海でありますけれども平成十三年以降、大規模な覆砂による底質改善実施をしておりまして、これによりまして覆砂域にいる貝類、先ほど申し上げました例えばアサリサルボウタイラギが高密度に発生をして漁獲量が上がっているであるとか、また、多様な生物増加をして環境浄化機能回復をした、そのことによって水質が改善をしてノリ養殖期間中のプランクトン量が低位で安定をしているといったことがあります。  また、ノリ色落ちの割合が低下をして大変安定をしているというような報告がありますし、また、佐賀県の報告でありますけれども、例えば海底耕うん清掃事業実施、これは平成十三年から十八年でありますけれども、このことによって平均水揚げ量実施前に比べ一・五倍に増加をしたとか、こういう報告が各県から上がってきているところでございまして、熊本県におきましても同じように事業実施によってアサリが高密度に発生をして漁獲増加につながっているというような、こうした具体的な結果が報告されているところでございます。
  12. 川崎稔

    川崎稔君 ありがとうございます。  実際にいろんな事業を行って、それに対してそれぞれの海域成果が上がっているというお話でございます。  先ほど申し上げたように、佐賀県の方ではタイラギの問題というのは非常に深刻な状況だというふうに漁業関係者皆様からよく伺いますし、あるいはノリ色落ちということもその都度御要望いただくということで、環境が、改善一定成果がなかなか目に見える形で上がってこないというところもございます。  そういう意味で、いろいろな事業実施してその成果を検証しながらというふうな形で物事を進めていけばいいんじゃないかなというふうに思うんですが、そこで、私がやはり期待をしておりますのは、現行法の二十四条で定められております有明海八代海総合調査評価委員会、この委員会の活用でございます。  この委員会現行法ではその附則第三項に基づいて行う法律見直しに関して、有明海八代海再生に係る評価を行うということを所掌事務としているわけですが、この評価委員会所掌事務、これを見直して、充実強化を図って存続をしてほしいという声が地元漁業関係者皆様からも要望として強く出ております。この評価委員会というのは、平成十五年から十九年ですか、これぐらいにかけて開催されていたというふうに承知をしておるわけですが、その実績というか、どういうふうな実績を上げてこられたのか、その点についてお伺いいたします。
  13. 関荘一郎

    政府参考人関荘一郎君) 御説明申し上げます。  有明海八代海総合調査評価委員会は、国及び関係県実施します有明海及び八代海海域環境に関する調査の結果に基づきまして、その再生に関する評価等を行うこととされている組織でございまして、平成十五年二月から平成十九年七月までに延べ二十七回委員会を開催いたしまして、平成十八年十二月には評価結果を取りまとめたところでございます。この評価結果報告におきましては、有明海及び八代海で生じております問題ごとに原因を考察するとともに、再生方策について提言する内容となっております。  評価委員会は、この特別措置法におきまして、委員指摘のように、法施行後五年以内において行う見直しに際しましてその評価を行うこととされておりますので、その任務を終了いたしましたため平成十九年以降は開催されていない状況でございます。
  14. 川崎稔

    川崎稔君 今、環境省の方から答弁がございましたとおり、平成十九年以降この委員会というのは休眠状態にあると。これは所掌事務からしてそういう定めになっている関係でやむを得ないわけですけれども、逆に、今回の改正案では、この休眠状態にある評価委員会、この所掌事務見直しまして、国あるいは県が行う総合的な調査の結果に基づいて有明海八代海再生に係る評価を行えるようにする、あるいは必要に応じて関係機関に資料の提出などの協力を求めることができるといった形で権限を強めると、このように機能拡充強化が図られる評価委員会というものについて、有明海八代海再生の観点から私ども大変期待をしているわけでございますけれども政府としてこの評価委員会、今後どのように活動していくことが可能と考えられるのか、どういった余地があるのか、イメージとしてどういうものをお持ちなのか、その点についてお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  15. 関荘一郎

    政府参考人関荘一郎君) 評価委員会任務を終了いたしました平成十九年以降におきましても、残念ながら、有明海及び八代海海域環境、またその周辺の海域も含めまして、一定環境改善というのは見られるものの、二年連続して発生しましたシャトネラ赤潮の大増殖に伴う養殖魚大量死貧酸素水塊発生による二枚貝類大量死などが生じておりまして、依然厳しい状況にあると考えてございます。  このため、環境省といたしましては、有明海及び八代海再生評価を行う評価委員会に関する規定が見直され、再開が可能となるのであればこれを直ちに再開させ、現状の海域環境について再評価していただくことが必要であると考えているところでございます。さらに、平成十八年十二月の評価委員会報告で提言されました再生方策が水産庁などの事業官庁関係県によってどのように実施されてきたのかについても報告を得ながら、有明海八代海再生に係る評価を行っていく必要があると考えているところでございます。
  16. 川崎稔

    川崎稔君 ありがとうございます。  今の御答弁にありましたように、評価委員会法律改正されましたら直ちに再開をされ、そして今示されましたように、例えばシャトネラ菌赤潮あるいは貧酸素水塊問題等について海域の再評価を行われるというイメージをお持ちだということで、大変心強いお話でございますので、その仕事について全力で取り組んでいただきたいというふうに考えております。  そういう意味で、今話に出ました赤潮の件について少し触れさせていただきたいんですが、最近、有明海あるいは八代海海域で非常に大量の赤潮発生するということで、漁業被害の方も大変大きくなっているということがございます。今の現行法の二十一条、二十二条で、赤潮等による漁業被害に対して支援救済措置を講じるということが定められているわけですが、今次改正ではこの部分についても強化を図っていこうという内容になっております。  政府の方で、今、赤潮等に関する被害対策、どういう対策をこれまで講じてこられたのか、ちょっと御紹介をいただければというふうに思っております。
  17. 田名部匡代

    大臣政務官田名部匡代君) 過去三年を見ても、赤潮被害というのは被害額にして約八十九億円と非常に大きな被害を受けているというふうに認識をいたしております。  このため、平成二十二年度補正予算赤潮被害養殖業に対する再建支援緊急対策事業、これは十四億円でありますが、これによりまして、先ほども紹介いたしました底質環境調査であるとか、また大型生けすの導入等の実証を行っています。そして、平成二十三年度当初予算、この中で赤潮・いそ焼け緊急対策、金額にして五十一億円、これによりまして赤潮を回避するための浮沈式生けす等を実証する事業等をこれまで実施をしたところであります。  非常に大きな被害を受けておりますので、今後ともしっかりと赤潮被害対策に取り組んでいく必要があると、そのように考えております。
  18. 川崎稔

    川崎稔君 ありがとうございます。  本当に大きな被害、八十九億円という被害額だという御紹介ございましたけれども底質環境改善等に取り組んでいただくということで、この規定そのものはあくまでも努力規定というつくりになっているんですが、是非、今後機動的かつ有効な方策というのをしっかり講じていただきたいというふうにこの場でお願いをしておきたいというふうに思います。  特措法関係については私の方からはこの程度にさせていただきまして、ここで二点目の、諫早湾干拓事業環境アセスメントの問題について取り上げさせていただきたいというふうに思っております。  まず最初に、昨年、農水省の方で開催をいただきました諫早湾干拓事業検討委員会、こちらの方で、当時郡司大臣座長といたしまして、私も委員の一人として議論に参加させていただいたんですが、昨年の四月二十八日に郡司座長から当時の赤松大臣あて検討報告提出をされております。その報告の冒頭にこうございます。有明海再生への可能性を探るため、また、諫早湾干拓排水門開門是非を巡るいさかい終止符を打つため、環境影響評価を行った上で開門調査を行うことが至当と判断する。この判断については、私も本当に感無量だったわけでございますけれども、歴史的な判断だったというふうにそのとき思いました。  鹿野大臣もこの検討委員会座長報告というのは大臣になられて御覧になったというふうに思っておりますけれども大臣の所感をお聞かせいただければというふうに思っております。
  19. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今、川崎委員から触れられましたこの検討委員会でございますけれども郡司委員座長になられて、当時副大臣赤松大臣の下での副大臣でございまして、取り組まれたものと。その報告も私も見せていただきました。  そういう中で、基本的に、いわゆるその内容につきましては、言わば万全の事前対策が必要だというふうなこと、それから地元関係者の理解を得るというふうなことを前提として開門調査実施するということが適当であるというふうな、そういう受け止め方をいたしているところでございます。  その後に、昨年の十二月でございますけれども高裁判決によりましてこれが確定をいたしました。このことは、平成二十五年十二月までに開門をするというような義務を負ったものと、こういうふうに思っております。  国といたしましては、平成二十一年から開門調査のための環境アセスメント実施してきたところでございますけれども、そういう中で準備書素案もこの六月に取りまとめたわけでございますけれども、今後、開門に向けてのいわゆる方法や、防災上あるいは営農上あるいは漁業への対策等というふうなものを当然検討していくということになるわけでございますけれども、このことは今お触れいただきました検討委員会のいわゆる検討報告というふうなものの方向性というふうなものも踏まえたものでもあるというふうに認識をいたしているところでございます。
  20. 川崎稔

    川崎稔君 ありがとうございます。  おっしゃるとおり、まさに検討委員会のこの座長報告方向性の中でいろんな物事が進んでいるなというふうに農水省のお取組を拝見していても感じるところでございます。  私が先ほどなぜあの座長報告を改めて読み上げたかといいますと、この中で言う排水門開門是非を巡るいさかい終止符を打つという、このフレーズにやはり関係県の思いが込められているというふうに感じているからでございます。そういう意味で、本当に長年にわたるこのいさかいに何とかして終止符を打って、それぞれの県が、それぞれの地域が笑い合えるような、そういうふうな有明海になってほしいという願いからでございます。  そういう意味で、今回の環境アセスメントは大変重要なものだというふうに理解しているんですが、先ほど大臣もおっしゃった、六月十日に公表されたアセスメント、このケース分けについてちょっとお伺いをしたいというふうに思っております。  実は、今回の環境アセスメント開門方法として三つ提示をされております。ケース一、これは当初から全開する、開けてしまうと。ケース二というのは、最初ケース三で言う制限開門制限した開門、そして最終的には全部開けてしまうと。ケース三というのがまさに制限開門ですが、これはどういうものかといいますと、調整池水位あるいは流速といったものを制限をした開門であるということで、大きく三つ分けていただいております。  そこでお伺いをしたいんですが、今回の素案でこのケース三の制限開門、これが、実は素案が発表されて私どもも知ったんですが、制限が小幅なケース三の一というものと、かつての短期開門調査、これは平成十四年に一度実施されたことがあるんですが、短期開門調査のときと同じようにその制限が非常に大幅なケース三の二という二つにわざわざ細分化をされております。  昨年、その検討委員会の席上、アセスについて御説明農水省からいただいたんですけれども、そのときにはこうした細分化というのは行われていませんでした。この一年間の間にわざわざケース三、制限開門方法二つに分けておられるということですが、こういったことが行われたのはなぜでしょうか、その点について御説明をいただきたいというふうに思います。
  21. 實重重実

    政府参考人實重重実君) 御説明いたします。  環境アセスメント準備書素案におきましては、今委員指摘のとおり、ケース一、ケース二、ケース三と分けて開門影響や必要となる対策について取りまとめております。その中で、今御指摘のありましたケース三についてでございますが、これは開門程度調整することによりまして調整池水位流速制限する方法でございます。特に、この趣旨といたしましては、背後地防災や潮受け堤防安全性への影響、これを最小限とする、それから漁業等海域への影響最小限とするというようなケースとしてケース三を考えたわけでございます。  このケース三は、さらにケース三の一とケース三の二に分かれております。これは、今申し上げた影響最小限とするという趣旨から二つに分けて、それぞれの必要となる対策、また費用を検討したものでございまして、ケース三の一は調整池水位を標高マイナス〇・五メートルからマイナス一・二メートルの間で管理する方法であります。これは、排水門周辺の流速が顕著な洗掘や巻き上げを生じない、そういう範囲といたしまして、秒速一・六メートル以下となるように排水門を管理するという前提で試算したものでございます。  一方、ケースの三の二でございますが、これは現況の調整池水位と同じくいたしまして、標高マイナス一・〇メートルからマイナス一・二メートルの間で管理をするという方法であります。このケースの三の二の方は、平成十四年度に実施いたしました短期開門調査と同様の方法排水門を管理するものということで、周辺への影響を考える観点から二つに分けてその対策と費用も含めて検討したものでございます。
  22. 川崎稔

    川崎稔君 そうなんですね。ケース三の二の制限開門、これ今申し上げましたように平成十四年に一度短期開門調査、短期間制限的な開門を行っているんですね。そのときの調査報告というのがあるんですが、その調査報告によると、潮受け堤防の閉め切りによる影響、これはほぼ諫早湾湾内にとどまっており、湾外の有明海全体にほとんど影響を与えていないという結果が得られたというのがそのときの調査報告なんですね。これと同様の手法というのがまさにケース三の二なんですが、こういう有明海全体にほとんど影響を与えていない開門調査、これは逆に言うと、何のために開門調査をやるんだろうかという意味で、新たな知見というのはこれで得られるんだろうかというふうに非常に不安を覚えるのも事実です。  先ほど局長もおっしゃいましたように、海域への影響最小限にする、これがケース三なんだというお話でございますけれども影響を小さくするということであれば、開門調査というのは、どのような影響が出るかを調べるというのが開門調査ですね。その影響を小さくするというやり方というのは調査の目的からすれば本末転倒ではないかという受け止めをするんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  23. 實重重実

    政府参考人實重重実君) 今委員指摘短期開門調査につきましては、平成十四年の四月の二十四日から五月二十日までの二十七日間、約一か月間行ったものでございます。これに対しまして、現在検討しておりますケース三の二にございます開門方法につきましては五年間にわたって原則として開門を継続するということでございます。そういう意味で、開門を行う期間が大きく異なっておりまして、こういった調査の手法として掲げさせていただいたものでございます。
  24. 川崎稔

    川崎稔君 期間が長い短いという違いだというふうに御説明をいただいたんですけれども、これで実際の調査の目的を達することが可能かどうか、いわゆる新しい知見が得られるということを御判断としてお持ちなのかどうか、確認をしたいというふうに思います。
  25. 實重重実

    政府参考人實重重実君) 調査水位の設定は同じでございますけれども、期間が二十七日間という場合と、数年に及ぶ、長期に及ぶ開門を行うという場合とではやはり結果が異なってくる可能性があるという具合には考えております。そうした可能性が、結果が異なるのかどうなのかということを含めまして調査をしていく必要があると思っております。
  26. 川崎稔

    川崎稔君 昨年十二月の例の福岡高裁判決、こちらでは、三年以内に、防災上やむを得ない場合を除き排水門を開放し、五年間にわたり開放を継続せよというのが判決だったわけですね。裁判所がわざわざ開放という言葉を使っています。この点について農水省としてどのように受け止めておられるのか。制限開門の場合、この開放というものに当たるのかどうか、判決の趣旨に沿っているのかどうか、この点についての御認識伺いたいと思います。
  27. 實重重実

    政府参考人實重重実君) 開放という言葉で御指摘でございますけれども、やはりこれは開門をいかなる方法で行うかということとつながっていると思います。そこで、アセスメントをやってまいりまして、先ほど委員触れられましたように、ケースの一、ケースの二、ケースの三の一、ケースの三の二という具合に分けまして、これを現在、準備書素案としてお示ししているところでございます。  これは、やはり高裁判決が確定いたしまして、開門について国が義務を負っているという状態を踏まえたものでございますので、判決の趣旨に沿ったものではないかという具合に思っております。
  28. 川崎稔

    川崎稔君 この点については、地元漁業関係者皆様も大変不安に思っています、本当に開門調査の目的を達することができるんだろうかということで。というのは、やはり漁業関係者の皆さんは、調査そのものが目的というよりは、やはり有明海再生というものをやっぱり実現してほしい、有明海を取り戻したいということを皆さん口々におっしゃいます。そういう意味で、本当にちょっと制限的に開けてみて因果関係が分かるのかどうか、この点については非常に地元の皆さんが不安に思っておられるということをこの場でお伝えをしておきたいというふうに思います。  それで、今度はアセスメントの中でお示しをいただいておりますケースごとの対策の工事の費用について質問させていただきたいというふうに思っております。  今次素案、今回の示された素案では、ケース一、ケース二、いわゆる全開をするという場合には一千七十七億円の費用を要するというふうに試算をされております。これはお手元にお配りした資料でいう右側ですね、様々な対策費が計上されていて、合計として一千七十七億円の費用が掛かりますということが今回の素案でございます。  実は、やはり私もこの案を見てちょっと引っかかりましたのは、これまで農水省の方で説明をされてきたときの中・長期開門調査を行うための対策費、実際にそういったものに比べて一・五倍以上膨らんでいると。  これは、お手元の資料でいう左側にお示しをしております。これは、左側には平成十五年度の中・長期開門調査検討会議というものがございまして、そこで中・長期開門調査の及ぼす影響対策という試算が行われました。それを左右比較しやすいように並べておりますのがこのお手元の資料です。総額で大体六百三十一億程度ということになっております。  それを御覧いただくとお分かりのとおり、上の方の環境保全、これに関する項目は、今回の素案とこれまでの農水省の試算、それほど差はございません。従来も総額で四百二十三億円程度という試算だったわけですが、今回のアセスメント素案ではこれが大体四百十三億円ぐらいと、大体同じくくりで見ますとそういう比較ができます。  それに対しまして、防災機能関係、こちらの方が従来は二百二億円程度というふうに試算が行われていたんですが、今回のアセスメント素案では、右側にございますように、総額で五百九十億円程度と。ここで四百億円近く膨らんでいるんですね。ここが全体の数字を押し上げているというふうに私の方でも資料を見て思ったんですが、この点について、なぜこんなにこれまで農水省の方で試算をされていた数字と違うのか。  逆に言いますと、これまでの、約六百億程度のコストを農水省は示されて、こんなにお金が掛かるから開門調査はできませんということを長年にわたって農水省の方で言ってこられたんですね。それが今回のアセスメントをやると、これがまた更に一・五倍引き上げられたということで、そうすると、これまでの説明というのは何だったんだと、この数字というのはどういう意味があるんだということについて、関係者の皆さんが非常にその数字の中の信用性ということについて不安に思っていらっしゃるんですね。この点についていかがでしょうか。
  29. 實重重実

    政府参考人實重重実君) 今委員指摘平成十五年の中・長期開門調査検討会議につきましては、平成十四年の短期開門調査の後、有識者の参集を得て、中長期の開門を行った場合の論点につき検討を行ったものでございます。この過程で、仮に制約条件を設けず常時全開して開門した場合の対策に必要な費用ということで、約六百三十億円と試算した資料をこの会議に提出させていただいた経緯がございます。これは、諫早湾干拓事業がまだ当時は実施途中でございまして、工事を一旦中止して、その時点で影響を回避するという前提で試算したものでございます。  現在は、その後、既に事業を完了いたしまして、干拓地営農が開始をしております。これに対する影響防止ということも必要となってまいります。また、当時、閉め切りから五年程度しか時間がたっておりませんで、土壌に塩類が残っていた部分もございますが、現在は既に堤防閉め切り後十数年を経過しておりまして、これを海水に戻すということを前提に試算をする必要がございます。これらに伴いまして様々な対策の変更がございました。また、相当の期間と費用を掛けまして今回のアセスメントということでございますので、精査をしたために変更となっている部分もございます。  今特に御指摘になりました排水の部分でございますけれども防災機能の部分でございますが、例えばこの中で、今回のアセスメント結果の防災二つ目に、洪水時排水ポンプ設置、百八十七億円というのがございますけれども、これは実は十五年の中・長期開門調査の資料の中ではない数字でございます。これは、中小河川、仁反田川につきまして、これは三十年に一度、三十分の一の確率で一般的に洪水対策を行いますので、そういう前提でそういった検討を行って、調整池、流入河川の溢水防止が必要であるということを新たに加えたものでございます。  このように、様々精査をした部分と、それから事業が完了し干拓地営農が行われているということで、新たな用水対策も必要になる、またヨシの撤去なども必要になると、こういうようなこと等々を加えまして変更になっているところでございます。
  30. 川崎稔

    川崎稔君 今の御説明ですと、例えば防災のところで、調整池、流入河川の対策としてのポンプ、こういったものはなかったということなんですが、これは逆に言うと、開門しようがするまいが要る費用ではないかという印象を今お聞きして思ったんですが。  いずれにいたしましても、佐賀県の方からもいろんなコメントを提出をしていると思うんですが、やはりこの中身について、本当に開門に必要なものなのか、それとも開門しなくても必要なものも含まれているんではないかということで意見が出ておりますので、その点について十分な精査というものをしていただきたいということをお願いをしておきます。  時間がございませんので、ちょっと予定にはなかったんですが、大臣有明海再生に向けて決意のほどを是非お聞かせをいただければというふうに思っております。
  31. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 有明海再生というのは非常に重要な問題であるという認識の下に、農林水産省といたしましてもできるだけの措置を講じていく、これに努めてまいりたいと思っております。
  32. 川崎稔

    川崎稔君 終わります。
  33. 青木一彦

    ○青木一彦君 自民党の青木一彦でございます。今日は、震災復興について質問をさせていただきます。  まず、東日本大震災農水省さんの所管における被害総額は、四月中旬の段階で二兆二千億の被害という報告が出ていますが、これ、農林水産物については、直接的な被害のほかに、今回のセシウム牛肉被害など風評被害を伴う間接的な被害というものもございます。直接的な被害というものは、被災地全体あるいは県別、市町村別被害状況はきちんと把握をされていると思っておりますが、現時点で風評を含めた間接的な被害状況についてどれだけ把握していらっしゃるのか、お知らせいただきたいと思います。
  34. 篠原孝

    ○副大臣(篠原孝君) 風評被害、あちこちで生じていることは十分承知しておりますけれども、この額については正直なところ把握しておりません。
  35. 青木一彦

    ○青木一彦君 これ、やはり風評被害の方もある程度おおよその目安というものを立ててられないと、今後の対策いろんなことで困ると思いますので、是非、どういう調べ方したらいいか私も専門家じゃないから分かりませんけれども是非その辺は調べていただきますよう、よろしくお願いいたします。  続きまして、復興対策についてお尋ねをいたします。  被災地の復興に当たりましては、地域の基幹産業である当然農林水産業の復興、これが不可欠であるというふうに思っております。復興の基本方針の中で農業に関しては、日本全国のモデルとなるように進める、そして東北を新たな食料基地として再生させるというふうに明記をしていらっしゃいます。例えばこの中で、農地の大区画化、利用集積などを図ることによって低コスト化、高付加価値化などを実現するというふうにこの中で述べていらっしゃいますが、私、考えてみますと、自民党政権下におきましても農地の集約化、これいろんな形でやってまいりました。しかし、長年掛けてもなかなか実現が難しかった重大な課題であると思っております。  今回の農地の集約化が自民党政権下含めまして実現できなかった意味というものをどうとらえていらっしゃるのか、そして、その中で農地の集約化を今回推進するということ、お考え示していらっしゃいますが、その点も踏まえて大臣にお考えの方をお伺いいたしたいと思います。
  36. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今、青木委員の方から大変重要な指摘をいただきました。  私もかつて、二十一年前、二十二年前になりますか、今の立場におきましても、また自由民主党という政党の中で農業問題にも取り組んできたわけでありまして、そしてまた、民主党という政党の中でも農業問題に関心を持って取り組んできた中で、どうやって構造改革を進めることができるかということが私どもにとっても大きな視点でもあったわけであります。とにかく、基本的には生産性の向上を図るというふうなことが、このことは錦の御旗だと、どのような状況になってもこの旗を降ろすわけにはいかない、こういうふうな考え方で来ました。  しかし、今、青木委員からの御指摘のとおりに、なかなか思うようにいかない。これはやっぱり戦後において大きな農地解放というような大改革の中で、それぞれの農業者の人たちが自分の農地に対する愛着というふうなものの中で、それぞれ自分がどういう形で農業生産に農地を活用して使命を果たしていったらいいかという、それぞれの思いというふうなものがあるだけに、そう簡単に思うような展開が図られない面もあったんではないかと、こう思っているわけであります。  しかし、今回の大震災という中で、どうやって農地を復旧復興させていくかということにおきましては、今委員からも御指摘のとおりに、まさしく復興モデルというような形に結び付けていきたいと、こう考えておるわけでございますので、この際、所有者の方々の、また地域の方々の御理解をいただきながら、何としてもこの大区画化に向けて一つのモデルケースとして、将来に向けてのいわゆる農業の在り方というふうなものにつながっていったらいいんではないかなと、こんなふうに思っておるところでございます。  そういう意味では、単なる農林水産省だけではなしに、関係の省庁ともしっかりと連携を取って、一体化の中でこの区画整理事業というものを成し遂げていく必要があるんではないかと、こんなふうに思っているところでございます。
  37. 青木一彦

    ○青木一彦君 大臣の方からしっかりしたお答えをいただきまして、ありがとうございました。  先ほどの話にもう一度戻りますが、今現地において、もし大規模化する、大区画化するのであれば、国によって思い切って農地を買い取ってほしいという声も上がっているように聞いておりますが、一気に大区画化を進める一つの方策として農地の買取りという考え方も私はあると思いますが、この点、農水省さんとしてどのようにお考えかお知らせください。
  38. 篠原孝

    ○副大臣(篠原孝君) 今回の地震と津波で被災した農地につきましては、第一に考えなくてはならないのは、従来と同様に農地として利用できるようにすることではないかと思います。現在、県、市町村等はそういった観点から復興計画を作りまして、各地域で利用をどうしていくかということを検討しているところでございます。その時点で、その過程におきまして、公共的な利用としてこの農地が必要だということで買上げということが生じてくるものではないかと思っております。しかしながら、今、青木委員が言われました規模拡大のために農地を買上げという点については、いろいろな正直申し上げまして難点があるのではないかとも思います。  一つは、利用価値が相当減っちゃっているから農業ができないというもの、そんな感じの土地になるんだろうと思います。ちゃんとできれば従来の所有者がきちんとやることになります。余り利用価値がなくなってしまっているもの、それを買い上げる意味があるのかどうかと。それから、買い上げるということはどういうことかというと、従来の所有者の皆さんがどこかに、もうここでは住めないから移転してしまうというようなことで、将来の復興等につながらないという難点も私はあるのではないかと思っております。  ですから、我々は、今、青木委員が御指摘になりましたけれども、東北を日本の復興のモデルにと、食料基地として再生するということでございますから、そういう点は大事でございまして、規模拡大の一つのきっかけにするということは考えております。そのためにはやっぱり地域が主体で集落ごとに徹底的に議論をしていただいて、それで規模拡大の方向の計画ができましたら、それを全面的にバックアップしていく所存でございます。
  39. 青木一彦

    ○青木一彦君 それと、もう一つお尋ねしますが、今回、食と農林漁業再生実現会議の中間提案の中で、私見ましたら、今回の復興基本方針とかなり重なっている部分があるように感じました。  その中で、担い手実現、農地集積、具体的には、農地の集積で平地で二十から三十ヘクタール、そして中山間地で十から二十ヘクタールの経営体が大部分を占める構造を目指すというふうにうたっていらっしゃいます。当然のことながら、被災地の復興もこの方針に従って行うのか、お尋ねいたしたいと思います。
  40. 篠原孝

    ○副大臣(篠原孝君) 食と農林漁業実現会議の議論も当然復興会議の議論とパラレルにというか、それを意識して進めてまいりました。従来、三月の下旬に中間報告を出して六月に基本方針を定める予定でしたけれども、震災が起きたということで復興会議で議論が進んでいるということで、復興会議で進められている議論も中に入れました。ですから、復興の過程におきまして二十ヘクタールから三十ヘクタール、平地の場合はですね、中山間地域については十から二十ヘクタールというのは全くそのとおりでございまして、食と農林漁業再生実現会議の方でも同じように目指してまいりたいと思っております。
  41. 青木一彦

    ○青木一彦君 また、復興基本方針の中では、六次産業、これもおっしゃっておりますが、高付加価値戦略を推進すると、六次産業化を推進し。しかし、現在においても、多くの農水産物は流通過程においてしっかり加工処理されて食卓に提供されております。  したがって、六次産業化の話ですが、農業者自身の加工、販売をもし推進することにすれば、既存加工業者との競争に私は打ち勝たなきゃいけないというふうに思っておりますが、そのための有効な政策を講じる必要が必要であると思いますが、具体的には農水省さんとしてはその点どのように考えていらっしゃるのか、質問いたします。
  42. 篠原孝

    ○副大臣(篠原孝君) 六次産業化というのは大分前から言われていまして、法律の中にもそういう言葉が入ったりしております。  ですけれども、今、青木委員が競争というふうにおっしゃいましたけど、我々の頭の中にあるのは、既存の加工業者、販売業者と、農業者が慣れてないのにいきなりそこへ参入して競争していくということではなくて、むしろ既存の販売業者あるいは加工業者の皆さんと連携をして、その過程でもって自らも六次産業化を学んでやっていくということ、そちらの方を考えております。ですから、我々はそういった方向で連携がうまくしやすいようにということを重点に考えております。  具体的にどういうことをするかということでございますけれども、六次産業化しますと当然所得も増えますし雇用も増えます。それから、高付加価値化していけば地域にお金が落ちるようになるわけです。  三つほど考えておりまして、一つは、加工、販売等に取り組む農業者の資本力を増強しつつ必要な資金の確保、資金確保をするということ。二つ目は、やっぱり慣れていなくて人材が不足しております。ですから、六次産業化プランナーという純民間の人たちに農業界にも口出して、農業関係のおじさんのところにも会合に出ていただいて口を出していただきまして専門的なアドバイスをやっていただくと。もちろん、農業改良普及員の皆さんの中にそういった知識がある人ももちろんおられますけれども、民間の知恵も入れるということでございます。それから、被災地につきましてはブランドの再生や特色ある農業の再生ということ、こういったことにも支援をしてまいりたいと思っております。
  43. 青木一彦

    ○青木一彦君 それで、しっかり六次産業化を進められて、今現在、被災地含めまして日本国内、日本ブランドというものがどんどん信頼が落ちていると思うんです。そこで、日本ブランドの再構築についてお尋ねいたします。  例えば、本当、農水産物への影響というものは今回の原子力発電の事故、これ絶大なものがあると思っておりますが、今回またセシウム牛肉の問題なんか出ました。まだ収束への道のりというものもはっきり分かっていない状況にあります。現在の事態を一刻も早く落ち着かせなければなりませんし、被災地を始めとした我が国の農林水産物の信頼をやはり早く回復し、食の安心、そして日本ブランドをもう一回再構築しなければいけないと思います。そのために、今回、米の放射性物質の検査をいち早く打ち出されたことは、大変私は評価に値すると思っております。  ただ、今後もこういう検査を増やすに当たり、先般のこの委員会でも我が党の長谷川委員が質問しましたが、検査器具及び検査機関の絶対数がどうしても足りなくなると思いますが、その点農水省さんとしてはどのようにお考えなのか、お尋ねいたしたいと思います。
  44. 篠原孝

    ○副大臣(篠原孝君) 世界的な基準で申しますと、一番きちんとしているのはゲルマニウム半導体検出器というのだそうでございます。これは農林水産省関係機関にもありますけれども、全国、大学それから厚生労働省の機関等を数えましても大体二百五十から六十ぐらいしかないということだそうでございます。  今、牛肉の全頭検査を希望している県が増えてきております。出荷停止も四県いたしまして、そこは全頭検査をせざるを得ない状態になっております。  我々は、ですから、そういうことですので、厚生労働省にもお願いし、相談したわけでございますけれども、非常に汚染のおそれが高いもの、これについては最後はゲルマニウム半導体検出器できちんとチェックしなければいけないけれども、簡易な検査器があるわけです。そういったもの、あちこち持ち運びができる、安いというもの、こちらでもって基準値の半分以下ぐらいだったら出荷してもいいというような形で牛肉についてはすることにしております。  米についても同じ問題がありまして、昨日きちんと説明会等もいたしましたけれども、千ベクレル以上に土壌が汚染されている市町村を中心に重点的に検査をする、今のところその検査箇所は明確にはなっておりませんけれども、二千か所以上必要だと、それだけでも相当の検査器が必要でございます。ですから、第一次補正、第二次補正でも検査機器の購入の予算を付けておりまして、各県が希望した場合には直ちにリースしたり貸し出したり等するようにしております。それから、各県が独自に購入したりするような場合も援助する仕組みをつくってまいりたいと思っております。
  45. 青木一彦

    ○青木一彦君 やはり風評被害、これを広げないためにも、直ちにやっぱりできるだけ細かく検査をしていただいて、それを公表する。そして、市場には間違いなく安心なものしか流れていませんよということをしっかりとやっていただきたいと思います。  そして、日本ブランドの再構築に当たり、今いろんな形で、農水省さんを含めまして官製のイベントをいろいろやっていらっしゃいます。しかし、これ官製のイベントだけではなくて、やはり民間の創意工夫によって、民間を入れ込んで国民的な盛り上がりを得ていかなければ効果というものがなかなか出てこないと思います。あくまでも官がやっているんじゃないか、そういうことじゃ効果も望めないと思います。  民間の取組が私は必要だと考えておりますが、その点、どう考えていらっしゃるのか。そうだとしたら、何か手だてはお考えなのか、お尋ねいたしたいと思います。
  46. 田名部匡代

    大臣政務官田名部匡代君) 先生の御指摘のとおりだと思います。  まず一つは、市場には安心なものしか出回っていないという体制をしっかりつくること。そして、どういう検査を行い、そして人体にはどういう影響があるのかという正確な情報を分かりやすく消費者の皆さんにお伝えをすること。こういったことをしながら、農水省としてだけではなく、また関係省庁と連携してだけではなく、民間の皆さんにどう御理解をいただき、どういう御協力をいただけるかということをしっかりと考えて取り組んでいかなければならないと思っておりまして、ただ、今一つ行っている、例えば食べて応援しようキャンペーンなどでは、民間の皆さんが独自に被災地のものを、販売の場所を提供していただいたり、売っていただくというような独自の取組もしていただいておりますし、こういった力を借りながら進めていきたいと思いますし、是非先生もまた何かお知恵があれば御指導いただければ、そういったことも検討しながら消費者の皆さんにしっかりと安心、安全を伝えていきたいと、そのように思います。
  47. 青木一彦

    ○青木一彦君 ありがとうございました。民間の意というものもどんどん酌み入れて、これからもイベント等をやっていただきたいと思います。  続きまして、水産業の復興についてお尋ねいたします。  政府が先般発行されました基本方針の中で、水産業の特区制度、これをうたっていらっしゃいます。この中で、必要な地域では、地元漁業者が主体の法人が漁協に劣後しないで漁業権を取得できる特区制度を創設するというふうに書いてあります。  この水産特区制度の中では、一つの漁場に複数の漁業管理者が存在することになります。ともすれば、もし複数の管理者がいれば、それこそ紛争がその中で生じて漁村が混乱する、そういう可能性もあると思いますが、その点、どのようにお考えですか。
  48. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今委員からの御指摘の特区制度でございますけれども、このことにつきましては、被災地におきましてもそれぞれ考え方が打ち出されております。もう私が申すまでもなく、岩手県あるいは宮城県あるいは福島県、それぞれ各県におきましても、漁場なり漁業の在り方というふうなものも違うわけでありまして、そういう中でこの復興構想会議の特区制度というふうなものをどういう形で結び付けていったらいいかというふうなことは、これからも、この地域の方々あるいは関係者の方々、そういう方々の考え方というものをきちっと受け止めていく中でやはり対処していかなきゃならないと、こういうふうに考えておりまして、この特区制度というふうなものが真に漁業なりあるいはそれに関する水産業の発展につながるように、このことを軸にして取り組んでいかなきゃならないと、こういうふうに思っておるところでございます。
  49. 青木一彦

    ○青木一彦君 これは、水産特区というと、やはりこれ特区ですから全国的にもかなり注目されると思います。もしこの特区制度がうまくいけば、それは全国にもこれは特区制度をしようじゃないかという一つの、先ほどの農業ではございませんが、モデル地区になると思います。しかし、現場の浜の声というものを、これをしっかり大事にしながら進めてほしいというふうに考えております。  そして、今回、早期の機能回復を図るために漁港間で機能の集約、役割分担に取り組む必要があるというふうに基本方針の中で明記されています。  これもやはり地元の理解を得ることは当然でありますが、それと、その中でやはり大事なのは、地元もやはりまだ混乱の状況にあること、これは間違いありません。私、以前もこの委員会で質問しましたが、地元の意見集約、これをどの程度今掌握していらっしゃるのか、あるいは地元の意見を聞いて、それをいろんな形で、水産庁さんの方でそれを考えて一つのアンケートなりそのデータを持っていらっしゃるのか、お尋ねしたいと思います。
  50. 田名部匡代

    大臣政務官田名部匡代君) 四月五日でありますけれども、水産業復興プロジェクト支援チームというものを立ち上げました。それ以来、被災地域への調査員の派遣、要望の聞き取りを行ってきたところであります。  これは、大臣からも会議のたびに御指示が出るわけですけれども、とにかく現場の声を大事にしろ、とにかく現場に足を運んで現場の声を聞いて、できるだけその思いにかなうような支援をしていこうじゃないかというのが大臣の御指示でありまして、先日も、やる気のある人を現場に送ってくれ、俺がこの地域を復興させるんだという思いのある人を現場に送って、よく話を聞いてくれというのが大臣の御指示であります。  そういうことを踏まえて、これまで水産関係だけで百二十三回現地に入っておりますけれども、各地域への担当が固定をしている、同じ人が行って話を聞くということや、また特に夏以降の水揚げに向けた水揚げ対策チーム、また放射線の対策チームというものも地域横断的に派遣をしておりますし、また、現場に現地の統括本部を設置いたしまして農水省から常駐をさせているということでありますが、各小さな漁協も含めて足を運び、それぞれの地域の声を吸い上げているところであります。
  51. 青木一彦

    ○青木一彦君 今回の復興に関しましてやはり、先ほどもお話がありますが、国と地方の役割というものをしっかりとこれは明確化した方が復興も私は進むというふうに考えておりますが、これは基本方針の中で、国は、復興の基本方針を示しつつ、市町村が能力を最大限発揮できるよう、現場の意向を踏まえ、財政、人材、ノウハウ等の面から必要な制度設計や支援を責任を持って実施するものというふうに書いていらっしゃいます。  このことは至極当然だと思いますが、例えば、民主党政権におきましては、自民党政権下で行ってある程度これは好評でありました産地づくり対策というものを廃止しました。そして、戸別所得補償制度に代表するような、国が定めた戦略作物に対して全国一律の単価を支払うという政策を導入しました。このことは、地方の発想を生かすという考え方よりも国の政策の方が優先していると思われても、私はそれが実態であるというふうに考えております。  今回、被災者の多くは農山漁村の人々であります。こうした地域の、先ほども漁業のところで言いましたが、声を聞き、いかに取り入れ、そして復興を進める際に農山漁村の活力を取り戻そうとしているのか、ちょっとお話重複いたしますが、この辺をお伺いいたしたいと思います。
  52. 篠原孝

    ○副大臣(篠原孝君) 鹿野大臣は、現場主義ということで、現地に我が省の職員を派遣せよということをよくおっしゃるわけですけれども、もう一つありまして、地域の皆さんがやりやすいような政策を出してやらなければいけないんだということもずっと言い続けておられることでございます。我々は、その大臣の指示に従っていろいろな政策を打ち立てているつもりでございます。  農業者戸別所得補償について、国が定めて、そしてそれに従ったらというようなことで、そういった地域の主体性を奪っているのではないかという御指摘がございました。ちょっと説明させていただきますと、一面、生産調整に参加しなければということでは、そういう縛りがあるかもしれません。あとは、ですけれども、これしなければいけないという強制じゃありませんでして、参加するかどうかを決めていただくのは農家の皆さんです。そして、それで、戸別所得補償で得たお金をどこに使うかというのも農家の皆さんの意思に懸かっておるわけでございます。ですから、私は、こういった答弁の場でも申し上げたかと思いますけれども、地方分権を吹っ飛ばして農民分権、農民主権の制度、仕組みではないかと思っております。  ですから、その点では、強い水産業づくりの交付金とか、それとも皆同じ趣旨ではないかと思います。我々ががっちり補助事業を決めて、この基準に合わなかったらやっちゃいけないというのを、これはもう改めていくべきではないかと思っておりまして、そういう点では我々も同じことを考えております。
  53. 青木一彦

    ○青木一彦君 ありがとうございました。  復興基本法の中で述べられているんですが、地方公共団体が自ら策定するプランの下で復興の政策を展開できるよう使い勝手のよい交付金を創設すべきというふうに、これ書かれております。この交付金制度、使い勝手のいい交付金制度、このことについてどうお考えなのか、お尋ねいたしたいと思います。
  54. 篠原孝

    ○副大臣(篠原孝君) それ我々、基本方針にそういった文言がありまして、検討をしなければならないんじゃないかなということは承知しております。しかし、今のところ、まだできたばっかりでございまして、我が方には明確な指示はございません。ですけれども、具体的な制度設計については復興対策本部で着々と基本方針の検討が進められていると聞いております。我々はそれを受けまして、趣旨に沿ったようなことを、できれば第三次補正に組み込んでまいりたいと思っております。
  55. 青木一彦

    ○青木一彦君 これ、やはり、地元地元でそれぞれ地形も違う、それは水産業でも農業でも同じだと思いますので、これ是非考えて、例えば今の副大臣お話じゃないですけれども農水省さんの方としても働きかけして、こういうことやってくださいということをお願いいたしたいと思います。  最後に、もうこれ、あえてこの部会で取り上げるべきじゃなくて、経産部会で取り上げるべきエネルギー政策のことなんですけれども、菅総理が五月十日にエネルギー問題に関していろんな発言されました。これ、どんどんどんどん日にちを経るにつれて変わっているんですよ。五月二十五日のOECDだと、原子力エネルギー、化石エネルギーという二本の柱、それプラス自然エネルギー、省エネルギーという新たな二つの柱を育てていかなければならないというふうに述べていらっしゃいます。その一週間後、六月二日の会見では、この二つのエネルギーを柱としたこれまでのエネルギー政策から、思い切って再生可能な自然エネルギーと省エネルギーを大きな柱として育て上げていく、そのことが新しい安全で環境に優しい未来の社会を実現することにつながると考えているというふうに述べていらっしゃいます。そして、七月十三日の会見では、日本の原子力政策として、原発に依存しない社会を目指すべきであるという考えに至りましたと述べていらっしゃいます。  この変遷ぶりを見ますと、脱原発に一直線に向かっているとしか私は思えません。ただ、その中で、エネルギー政策というのは当然のことながら国の根幹であります。その中で、再生エネルギーはまた一次産業と切っても切れないものであると私は思っております。  この中で、政府内で現在エネルギー基本政策を議論している、本格的な議論をしているということは伺っておりませんが、再生可能エネルギーをエネルギー政策の基本に持ってくるのならば、農林水産大臣に総理の方から一言あってもいいんじゃないかなと私は考えておりますが、総理から何かお話はあったのか、また、なければ、大臣再生可能エネルギー、これ一次産業、バイオマス等、小水力発電、いろんなこと関係します。どのようにお考えなのか、お尋ねいたしたいと思います。
  56. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 私自身の考え方を申し上げますと、私は実は、いろいろ政府内におきましてもエネルギー・環境会議とかそういう中で今後のエネルギー政策をどうするかというふうなことが検討されてきたわけでありますけれども、率直に私はこう申し上げたんです。やはり今日までのこの農林水産行政というものを考えたときに、いわゆる自然エネルギーというもの、いわゆる再生可能エネルギーというものと農業のいわゆる生産、水産業、農林水産業の行政というものはもっと一体的な取組をしていくべきじゃないか、私はそういう意味では、自分も二十二年前にそういう責任を負った立場として反省に立っておりますと率直に申し上げました。すなわち、小水力発電とかあるいはバイオマスとかというものを、もっと農業なり水産業の発展との結び付きをやっぱりやっておくべきではなかったかと。  ですから、原発事故があったからということではなしに、いわゆる地域の農村、漁村の発展のためにも、また安定した食料供給のためにも、食とエネルギーというものは人間にとっての根幹でありますから、一体的な取組が必要であったと、こういうふうに私は認識しておるんです。  ですから、総理からどんな指示があったとかということよりも、農林水産省が自ら、地域の発展のためにも、この再生可能エネルギーというふうなものの取組とそれから食料の安定供給というもの、そしてそのことによって農村、漁村の発展につながる一体的な取組が必要だと、これが私どもの基本的な考え方でございます。
  57. 青木一彦

    ○青木一彦君 いい意見をいただきまして、ありがとうございました。しっかりと取り組んでいただきたいと思います。  ありがとうございます。     ─────────────
  58. 主濱了

    委員長(主濱了君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、徳永エリ君が委員辞任され、その補欠として姫井由美子君が選任されました。     ─────────────
  59. 主濱了

    委員長(主濱了君) 質疑を続けます。
  60. 山田俊男

    山田俊男君 自由民主党山田俊男であります。  本日は、戸別所得補償の在り方を中心にしまして質疑をいたしたいと存じます。  私、ある山間の農協へ行きまして、今年の米は価格が下がって大変だったと、販売額が総額で一億二千万円でしかなかったということでありましたが、ところが中山間地域直接支払が六千万円ありました。それから、固定支払が、戸別所得補償の固定支払が三千万円ありました。変動支払が三千万円ありました。合計一億二千万円ですと。販売額とこれら支払額、総額して二億四千万円、これでほぼ同額でありましたと。こういう話でありまして、山田さん、これね、戸別所得補償を四Kに入れないでくださいと、こう言うわけですよ。一体、大変この議論は本当に難しいところへ来ていると思います。一方、私は、そう言われて申し上げたのは、これは米価が下がることを放置して、単にこれを補填するだけのものが固定支払だったり変動支払にしかなっていないんだと。必ず財源問題が出てくると。  確かに、戸別所得補償制度に移行してから経営所得安定対策関係予算は、自民党の政権のときは三千八百億円だったんですね。民主党の政権におなりになってから五千六百億円と、こっちの部分は増額しているわけです。ところが、農林予算は、御案内のとおり、増額するどころか総体として大きく減らしているわけであります。そして、減らした中の予算のうちのその大半が米の戸別所得補償のところへ行っているわけですから、大事な担い手をどう育成するかとか、さらには農業農村基盤整備をどう進めるか、この予算が大幅に削られたという事実があるわけで、今後この仕組みがちゃんと安定的に推移するかどうかはなかなか難しいんですよと申し上げて、説明しているわけでありますが、なかなか苦しいです。  ところが、一方で、担い手農家がやめている事例が平場の本当にすばらしい条件の地域でもあるわけであります。  一つの事例は、受託面積が四十六ヘクタールでありまして、部分受託を含めましても七十ヘクタール。やめた理由は、これからの民主党農政では展望が見えない。米価の下落で昨年は二千万円の赤字を出した。これは地域によりますからね、一体下がった分のどれだけ補填してもらえるかという水準は、平均の価格でしか補填していませんから、だからどうしても赤字の出てくるところは御案内のとおりあるわけです。それから、大型の乾燥機等、農業機械が耐用年数が過ぎて限界に来ていた。それから、これも容易じゃないです、四十歳だけれど結婚相手が見付からない。それから、委託者から、戸別所得補償でたくさんの助成金をもらってよかったねって言われている。これがもうぶち切れる、頭が切れる、離農する決意になったというふうに伝えられたりしていまして、こうした事例であります。  さらにもう一つは、自作地が二・三ヘクタール、それから受託面積は三十三ヘクタールもあります。認定農業者として農業者年金基金の経営移譲を行おうと、六十五歳です、長男、次男に後を継いでもらおうということでしたが、長男、次男は今すぐには後継ぎになれないということが出てきて、かつまた、相続税納税猶予の仕組みにもうまく該当しなかったと。そして、経営移譲年金も利用権設定の仕組みを変えたものだから該当しなくなった、こうおっしゃっているわけです。税務署にどんなに相談したって、これうまくいかなかったというんです。だから、結局は自作地だけ残して、あとは受託の面積を全部やめちゃったと。結局、間にJAが入りまして、地区内の営農組織七か所に苦労して苦労して受け取ってもらうという配分をやったということであります。  両方とも個別の事情があるかもしれないというふうに思います、今申し上げたようなことです。後継者がいても将来に対する展望がなかなか開けないとか、それからこの戸別所得補償制度はいつまで続くのかという心配がやっぱり農業者にもあるわけですよ。先ほど言いましたように、農協の場合で見たって、販売額が半分減って、その該当の半分を中山間地と固定支払と変動支払で埋めていますみたいな話が、やっぱり受け取っている方からとったって、このままこの仕組みは進むのかというみんな大変な心配を持っているんです。  大臣、ここまで申し上げて、言い出すといっぱいあるんですが、大臣の感想を聞きたいんです。
  61. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今二例につきまして、離農した二つの例につきましてお話がございました。  基本的に、離農するというような、農業を離れるというふうなことについては、いろいろなことがあると思います。一つは、やっぱり販売収入というふうなものが生産費を下回る、そしてコスト割れをしていくと、こういうふうなことで、これはもう長い間やっていけない。二つ目は、過剰な設備投資ということで、大変資金繰りが厳しい状況になってきておると、こういうふうなこともあると思います。それから三つ目といたしましては、もうだんだん高齢化というふうなことで、自分自身が引退をしなきゃならない、農業からやはり退いていかなきゃならないというようなこと、こういうふうなことが考えられると思うわけでありますけれども。  この中で今いろいろと二つの例につきましてお話がございましたけれども、いわゆるコスト割れということにつきましては、この戸別所得補償制度というふうなものの導入によりましてこれはカバーすることができるものと、こういうふうに考えております。そして、実際に戸別所得補償導入によりまして、大規模の農業というものをやっている人たちの加入率が高く、そして交付金の支払も規模の大きい人たちに相当部分交付されているというようなこと、これも実態であるというふうなことでございます。  また、資金繰りの悪化ということにつきましては、これからの長期整理資金への借換えというものや、あるいは農業経営アドバイザーによるところの経営指導をやっていくというようなことで対処していかなきゃならないと思っておりますし、また高齢化ということに対する取組につきましては、農業を離れる人たちと新しく農業に取り組んでいきたいという人たちのマッチングというふうなものについて、円滑に行われるというようなことに対する支援策というふうなものを考えていかなきゃならないんじゃないかなと、こんなふうに思いながら、今二つの例を出された中で、私ども農林水産省といたしましても取り組んでいかなきゃならない点につきまして考え方を申し述べさせていただいたところでございます。
  62. 山田俊男

    山田俊男君 大臣の一つ一つおっしゃる対策内容について私は否定するものではありません。  ところが、大臣予算の掛け方が間違っているんじゃないかというふうに思うんです。担い手をつくり上げていくということについて、もっと力を入れた取組が必要なんだと思うんです。  ところで、岡田民主党の幹事長が四K見直しということの議論に関連して、戸別所得補償制度についても来年度以降の修正を否定するものではないというふうに見直しを示唆したというふうに伝えられるんですが、大臣、事前の相談がありましたか。
  63. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 何もございませんし、詳しくは承知しておりませんです。
  64. 山田俊男

    山田俊男君 どうもやっぱり民主党の政権、政府というのは、一体でやるなんて言っているけれども、まあそういうことなのかなと。端的にこういうことにも表れているというふうに思うんです。  大臣大臣は就任後、大臣の強い決意で百億円の予算を付けた規模拡大加算という取組をおやりになったんです。これは、大臣の中に担い手を育成する視点がやっぱり必要なんだという大臣の問題意識が私はあったということだと思うんです。私は、先ほど言った二つの事例から考えましても、私は大臣のその考えに賛成なんです。  ところで、民主党政権における新しい食料・農業・農村基本計画ではどうなっているかといったら、小規模経営の持続をやります、家族農業経営の継続をやりますと。一方で、効率的かつ安定的な農業経営を育てると言っているんです。言うなれば、大臣大臣は規模拡大加算をちゃんとやるとおっしゃった。しかし、一方で、民主党の取りまとめたこの基本計画の中では、結局どっちつかず、どっち向いているのか分からないという方向があるんです。私は、戸別所得補償制度はまさにその典型だというふうに思っております。  ところで、先ほども青木委員質疑に対しまして篠原副大臣からもやり取りがありましたが、食と農林漁業再生実現会議、中間提言をおやりになりましたけれど、平地で二十ないし三十ヘクタール、この規模が大宗を占める構造を目指すと言っているんですよ。ここまで言っているんですよ。  ここまで言っていたんなら、先ほど言ったような農家がそれこそ典型的なこの稲作地帯、大事な稲作地帯における本当の担い手ですよ。彼らは中心的なリーダーだったんですから、地域の中で。それがこんな形でやめていきますということの政策をやってちゃいかぬのだと思うんです。ましてや、ほかの農家から、だって戸別所得補償でたくさんもらっていていいなみたいようなことを言われるような政策は到底長続きしないというふうに私は残念ながら思うんですが、きちっと政策の方向を定めるべきだというふうに思うんです。  とすると、ちゃんと担い手育成のための農地集積の取組にきちっと予算を付けること。それから、戸別所得補償に財源を取られてしまっている、ここをどんなふうにバランスいいものに仕上げていくかということ。同時にもう一つは、予算減らしていたんじゃ何にもならないんです。だってそうでしょう。旧政権の自民党がやっていたときの二十一年度の農林水産予算の総額は、二兆五千六百億円なんですよ。大臣、今大臣がおやりになっていますこの民主党政権二年目の二十三年度の予算は、二兆二千七百億円、三千億円も予算が減っているんですよ。これだとやっぱり大事な担い手対策できないでいるんですよ。  どうですか。この現状をお考えになった上で、大臣、どっちの方向を向いて仕事をされているんですか、お聞きします。
  65. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) まず、戸別所得補償制度につきましてどう農業者の方々が考えておるかということは、近々のいろんなアンケート調査でも、いわゆる今年度の六月末の時点の加入者は昨年度をもう既に上回っておりますし、是非続けていってほしいというふうな声がだんだん多くなっているということもこれは事実でございます。  すなわち、初めてこの農業政策におけるところの大きな転換があったわけでありまして、最初は正直、私は戸惑いもあったと思います。どういうことなんだと、戸別所得補償制度というのは。しかし、現実的にこの戸別所得補償制度というものが交付されれば、農業者の人も、あっ、そういうことなのか、よし、これが継続していけば俺も農業をやってみようと、こういうふうな考え方に私は立っていくものと思っているんであります。  ゆえに、そういう意味では、確かに農林水産省の全体の予算の枠ではやはりこの戸別所得補償制度の方に偏ったということでございますけれども、このことは、農業者のまず所得の安定というものが農業発展の基本だと、根幹に置かなきゃならない、こういうふうな考え方に立ったわけでありまして、これは一つの私は農業政策の基本であると思っているわけでありまして、今、山田委員からの御指摘の点、そういう中でこれから基盤整備をどうやっていくか、あるいはいろんな形でのその他の施策というふうなものを、担い手を育成する、そういうようなことの施策をどうするかということは、戸別所得補償制度のいわゆるこれからの安定的な継続というふうなものを前提としてこれから取り組んでいかなきゃならないと、こういうふうに思っているところでございます。
  66. 山田俊男

    山田俊男君 大臣、続けてほしいという意見があるのは間違いないんだよ。ところが、続けてほしいとおっしゃっている皆さんは大きな勘違いしているんです。何勘違いしているかといったら、米価が下がって、僅か下がった分を補填しているにしかすぎないんです。だから、これしっかり検証してくださいよ。検証したら、一体、そういう事実がちゃんと分かるわけ。  さらに、大臣、いまだにこの戸別所得補償制度にきちっと組み込まれているのか組み込まれていないのかよく分からない、言うなれば旧政権、自民党政権がやっていたナラシの仕組みをそのまま踏襲しているじゃないですか。だから、認定農業者を中心にしてナラシの仕組みをやって、それでようやくそれをプラスして前年度並みの収入を確保できているというのが実際じゃないですか。  だから、大きな勘違いの中の政策をやっているだけで、そしてあと必要な、しかし本当に必要な担い手対策予算や農地の利用集積の取組については滞っているわけ。だからやめているんじゃないですか、大規模な農家がね。
  67. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 私は、そこは委員と見解を異にします。  農業者の人たちからするならば、この所得補償制度というものによって価格が下がっても補填されるというふうなこの安心感がある、これが非常に大きいんであります。しかし、そういう中で、ナラシの問題が出ましたけれども、一部それは補填する必要があるというふうなことで施策が行われているわけでありまして、あくまでも農業者戸別所得補償制度というものがあるからこの加入者も増えている、そしてこれからも引き続いてやってほしいというようなこと、そういうような考え方が農業者の間にも増えてきているんではないかなと、こういうふうに私は考えているところでございます。
  68. 山田俊男

    山田俊男君 大臣、それじゃ大臣に聞きますけれども大臣が力を込めてやった規模拡大加算で大臣は担い手をつくりたいとおっしゃった。そして、その方向で、進める方向を歩み出そうとされている。それから、さっきも、何度も言うようですが、再生実現会議でも二十ないし三十ヘクタールが大宗を占めるようなその基盤をつくるんだというふうにおっしゃっている。今の仕組みでみんな喜んでいるかもしらぬ。今の仕組みでそういう方向へ歩めますか。大体、大臣の規模拡大加算、ちゃんとやろうと言った、その実績はどうなっていますか。
  69. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) この実績につきましては、交付申請につきましては八月末、そして十一月末、二月末というそれぞれの各時点において申請が行われるわけでございまして、申請状況というものは把握できることはできませんけれども、農業者の問合せもこのことについては非常に多いと。ここ、委員、どうぞひとつ、非常に問合せが多いということは関心があるということであります。いわゆる規模加算について関心があるということは、こういう規模加算をこれからも続けていきながらこの生産性向上に向けて取り組んでいかなきゃならないことだなと、こう思っております。
  70. 山田俊男

    山田俊男君 それじゃ、大臣、それは問合せが多いかもしらぬ。よし、八月末とそれ以降で一体実績がどういう実績になるかということを徹底して見ようじゃないですか。  そして同時に、検証、この戸別所得補償の検証をきちっとやらない限り、それ本当に方向を間違っちゃうと思うんです。言うなれば、再生実現会議の方向へちゃんと歩んでいけるんですか。そうでしょう、方針は出しているけれども、どっち向いているか分からない、そういう政策になっちゃうんじゃないですかということを言っているわけですから、そうやろうじゃないですか。
  71. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 当然、政策転換をしたわけでありますので、検証というものはやはり今委員からの御指摘のとおりにやっていかなきゃならないと、こう思っております。
  72. 山田俊男

    山田俊男君 もう一つ、大臣大臣は昨年の秋でしたですかね、昨年夏ですかね、この戸別所得補償制度を本格実施するに際して裏付けとなる担い手経営安定の取組に関する交付金法ですね、いわゆる経営安定対策交付金法、これの見直しをやろうとしたけれども先延ばししたと。今回は事業予算だけでこの仕組みを進めるんだというふうにおっしゃったわけですね。一体今の実情はどうかといったら、間違いなく法律に定めている方向とは違う方向で戸別所得補償を事業予算実施されているんですね。その認識はお持ちですよね。
  73. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 法制度によってやっていきたいというふうな考え方には今も変わりございません。
  74. 山田俊男

    山田俊男君 そうすると、この交付金法、大臣、法改正されるんですか。そして、戸別所得補償をそんなに力説されているわけですから、その戸別所得補償の方向に沿って交付金法も見直していきます、ないしは、交付金法の方向、すなわち認定農業者を中心にしながら経営安定の所得安定対策を講ずるという方向へ戸別所得補償制度見直していくのか、どっちかの方向で検討されているんですか、お聞きします。
  75. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 委員承知のとおりに、今のこのねじれ国会、衆議院と参議院の意思決定が異なる、こういうような状況の中でなかなかこの法制化というふうなものは難しいと、こういうような判断から予算措置でというふうなことの考え方を取らさせていただきました。  そういう中で、この戸別所得補償制度というものをやはり軌道に乗せたいというのが私どもの基本的な考え方でありますので、この法制化を目指していきたいと思っておりますが、また現実を考えればそう簡単なものではないと、こういうことでございますので、今後、この法制化に向けて、一部改正なのか新法なのかというふうなことについては当然のことながら今後検討していかなきゃならないことだと思っております。
  76. 山田俊男

    山田俊男君 大臣、そこは、だって行政施策はきちっと法律に基づいて実施するわけで、今も戸別所得補償に掛けている金は、継続した特別会計の金をここへ支出するという形の財源の論拠となっている大事な法律なわけですから、それはちゃんとやっぱり可能な限り一致させてそれは実施するということが基本じゃないですか。  例えば先ほど言いましたナラシの取組なんか、一体戸別所得補償方式には位置付けられていないんだけれども、こっち側の法律には、交付金法には旧政権の内容として入っているからナラシの仕組みは渋々やっておられるんじゃないですか。そうでしょう。とすると、だってナラシは認定農業者を中心にして、それに対策を講ずるという中身になっているわけですから。そう考えてみるだけでも、あらゆる販売農家を対象とする、全ての販売農家を対象とする戸別所得補償制度の向かっている方向と、こっちで認定農業者を中心にしながらナラシの仕組みをやっているのと、方向違うんですもの。  だから、大臣、法改正するならきちっと法改正して、今状況が厳しいというんじゃ僕は間違っていると思うんです。いい内容のものであればちゃんと一致して仕上げていこうじゃないですか。それを、いい内容とは言えない、自信がないから法制度の改正をおやりにならないということじゃないんですか。
  77. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 私から明確に申させていただきますけれども戸別所得補償制度こそはまさしくこれからの農業の発展にこれは欠くことのできない政策であると、こういうふうに私は基本的に考えております。  しかし、そういう中で、今委員からおっしゃられたとおりに、現実を踏まえたときに、これを法制化したい、軌道に乗せたいといっても、現実できないわけであります。なかなか御理解を、この私どもの今考えておるようなことで理解をしていただくことができるならば是非法制化をさせていただきたい。しかし、現実としてなかなかできないということならば、当然、どういう形でこの法制化、軌道に乗せることができるかということは、いろいろな話合いというふうなものは、なしていかなきゃならないときが来るならば、当然話合いをしていかなきゃならないと思っておるわけであります。しかし、根幹は農業者戸別所得補償制度というふうなものを継続していくというふうなことだと思っております。
  78. 山田俊男

    山田俊男君 大臣、戸別所得補償のモデル事業実施するときに財務大臣から何点かにわたって指摘がありました。一つは、一体、対象農家を全ての販売農家にすることでいいのかどうかという指摘だったり、それから変動支払ということで、米価が低下した部分を補填するということでいいのか、それからそっちの対策に財源をずっと使うということでいいのかという指摘だったというふうに思います。この指摘は今も結局変わらないわけで、多分変わらないんだと思うんです。  大臣戸別所得補償制度は大事だとおっしゃっている。評価もされている。これを目指すというふうにおっしゃっている。しかし、一方で、この仕組みについて、先ほど言った担い手がやめていっている実態を踏まえて、大臣が更にまた規模拡大の方向をやらなきゃいかぬということ、それから、先ほど、何度も言うようですが、再生実現会議がしっかりと二十ないし三十ヘクタールを大宗にしていくという中間提言お出しになっていること、相変わらずどっち向いているか分からないじゃないですか。だから、大臣、もっと徹底してこれを検証しなきゃいけないんだというふうに私は思います。  今日、資料を出していますが、この資料はどういう資料かといったら、上は小売価格、青い色は小売価格、この紫の色は卸屋さんが生産者から買う価格です。この印付いているところは自民党から民主党へ政権交代した時期。政権交代した時期以降どうなっているかといったら、結局米価は、もちろん作柄や価格変動の動向もあったというふうに思いますが、こんなふうに変動率が大きく下がって、そして小売価格は下がっていないんです。何のことはない、この差額支払、変動支払はここの差額を埋めただけ。生産者にとってもプラスになっていない。消費者にとってもプラスになっていない。じゃ、プラスになっているのはどこか。この間にいる流通業者じゃないですか。この仕組みなんです。だから、この仕組みは本当にそうなのかということの検証をやってくださいよ。
  79. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 価格変動率の推移というふうなものの資料をこうやって出されておりまして、今御説明いただきました。  私どもとしては、いろいろこういうような変動がなぜ推移したのかというふうなことにつきましては、いろいろ経済情勢等々もございますので、軽々に私から申し上げるというふうなことは控えさせていただきますが、そういう中で、どっちを向いているか分からないじゃないかというような、今、山田委員からのお話でございますけれども、私どもの向いている方向はきちっとしているんです。この戸別所得補償制度というふうなものを長く継続してやっていくんだと。  しかし、いろんなことにおいて、検証ということを今言われましたけれども、問題点があるならばそういうようなことをいろいろと考え合わせながら、補填すべきときは補填していくというような考え方でいく。しかし、どっちを向いているか分からないということだけは、これは違います。向いている方向は戸別所得補償制度というものを軌道に乗せるというふうなことであるということだけは申させていただきたいと思います。
  80. 山田俊男

    山田俊男君 大臣、そうおっしゃっておりながら、先物取引の試験上場を認可されたじゃないですか。間もなく先物取引が十一月限りに上場されるということです。  これだけの大災害が起こって、そしてセシウムのいろんな拡散の問題があって、一体、米の需給全体はどういう方向へ行くかということがなかなか見えづらいところで、そして今もいろんな思惑がある中での価格形成がなされている中で、ここで先物をおやりになったら、この口が一体どんな形で開くのか分かりませんよ。そして、開いたこの口、開いたここに変動支払の金を掛けるという話ですよ。こんなことをやっていて、大臣、もう一回戻ります、本当にちゃんとした担い手をつくり上げることができるんですか。
  81. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今、山田委員から先物試験上場につきまして、お米の先物についての試験上場につきまして触れられました。  これは、この委員会でも何回かにわたりまして私が申し上げてきたところでございますけれども、三月八日、いわゆる震災前におきましてこの上場試験の申請がなされたわけでございまして、そういう意味では、法律規定に沿って判断をしていかなきゃならない、そういうふうなところから私といたしまして判断をしたということでございます。当然、試験上場ということでございますから、この間、いろいろと需給関係において影響を及ぼす、支障を来すというようなことでありますならば、当然、国としての措置も講じていかなきゃならないということでございまして、そういう意味では、私どもはきちっと法令に沿って措置をさせていただいたと思っておるところでございます。
  82. 山田俊男

    山田俊男君 自民党が五月三十一日に衆議院農林水産委員会に担い手育成総合支援新法を趣旨説明しているんです。大臣、御存じですかね。この法案は、意識的、政策的に担い手を育成していこうという内容のものなんです。先ほど来申し上げてきました食の再生実現会議の中間提言の中にも、この法案の趣旨と同様の若い青年農業者をきちっと育てていこうという方向が出ております。これ、同じです。どうぞ、大臣、この自民党提案の担い手育成総合支援新法、これ、どんなふうに受け止めておられますか、お聞きします。
  83. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 戦後におきましても、自由民主党という政党は政権党として、とりわけそういう中で農業問題に対して非常に熱心に取り組んでこられたということは、私自身もかつて自由民主党におったわけでありますから十分承知をさせていただいておりまして、その熱心な御熱意に対しましては私自身も敬意を表させていただいておりまして、私自身が党を離れてからも引き続いて、山田委員始め、今日は野村筆頭を始め委員の先生方が本当に御努力をいただいているということに対しては、私は重ねて申し上げますけれども、心から敬服しているんであります。  そして、そういう中で今回、農業の担い手の育成及び確保の促進に関する法律案というふうなものをこの国会において提出に至ったということも承知をさせていただいておりますけれども、この根幹は、いわゆる担い手をどうしても育成していかなきゃならない、確保していかなきゃならない、そして我が国の農業の発展、あるいはまた自給率向上というふうなもの、そして農村の活性化というふうなものに目指すという上においてはどうしても重要な課題であるというような、こういう考え方で取り組んでおられるというふうに思っておるわけでございます。  そういう意味では、今後、国内農業のいわゆる体質を強化していく、あるいはまた、そういう中で担い手を育成していかなきゃならない、確保していかなきゃならないというふうなことにつきましてはやはり私どもも共通の認識でございますので、農林水産省としても、今後この考え方というふうなものについては非常に重要な課題であるというふうな認識の下に取り組んでいきたいと思っているところでございます。
  84. 山田俊男

    山田俊男君 大臣にそこまで言われると、この政局の中で何かラブコールをいただいたような気持ちになっちゃったものですから、なかなかすぐにはこたえられぬのですが、問題意識は私も一緒だと思うんです。  そういう中で、大臣、取り巻く環境は財源的にも大変容易じゃないわけです。そして、大臣おっしゃるように、担い手をちゃんと育てていこう、一生懸命に苦労しながらやっている担い手に自信を持って継続していってくれよというふうに言わなきゃいかぬ環境にあります。そういう観点からしても、じゃ、戸別所得補償制度のどことどこがちゃんとその良さを生かしながら役割を果たせる、しかしどこはきちっと見直していくと、そういう観点で、かつ法律に基づいた仕組みにしていくということが求められるんです。  どうぞ、この担い手総合支援新法を評価していただけるんだったら、この観点で、じゃ与野党一致して案作ればいいじゃないですか。是非そのことを、まあ大臣もお返事できないでしょうからあれですが、是非それ仕上げていこうじゃないですか。  手挙がっていますから、聞いてあげますかね。
  85. 篠原孝

    ○副大臣(篠原孝君) それでは、答えにくい大臣に成り代わりましてちょっと答弁させていただきたいと思います。  山田委員指摘のとおり、我々民主党、自民党変わりなく、農業をちゃんとしなくちゃいけないという点では同じでございます。違いは、山田委員いろいろそこに突っかかって、済みません、指摘されておられましたけれども、我々、大きな農家、きちんとした農家を育てなくちゃいけないというのは全く同じです。しかし、その一方、一生懸命やろうとしている小さな農家を捨てていいのか。例えば、典型的な例は二ヘクタールの青年農業者、二十ヘクタールの高齢専業農家。じゃ、二十ヘクタール今持っているからといって、その高齢専業農家の方だけをバックアップしていいのか、二ヘクタールのこれから一生懸命やっていこうという農業者も救わなければならないと。だから、基本的なスキームは一緒にしていかなければいけない、これから規模拡大したりしていく人たちを救わなければいけないということで、大臣の命令一下、規模拡大加算というのを加えたりしているわけです。目指すべき方向は同じです。  それからもう一つ、この資料のこと、大事ですのでちょっと答えさせていただきますが、このワニの口みたいになったところ、ここが良くないというのは、私はそのとおりだと思います。農業者戸別所得補償で農業者に直接行くものです。それがやっぱりこうなっているのは、ちょっとそごが生じてしまったと。ですから、私が思うに、価格決定が公正に行われていない面があるのではないかと。余りにも急激に変わり過ぎてしまったんですね。ですから、固定支払の一万五千円のを見越したりしてこういった価格が下がったりしたことも考えられるのではないかと思っております。そういう意味では、公正な価格というのはきちんと決めてもらわなくちゃいけないと。それに基づいて支払をするということも考えていかなくちゃならないんだと思います。  それで、その一つの指標として先物があるかどうかというのは、試験的にやってみなけりゃ分かりません。ずっと、試験上場は自動的に認めただけでして、二年後に我々が判断するわけでございまして、その結果を、どういうふうに行くかを見て先物については結論を出したいと思って、今あくまでも試験上場でございます。
  86. 山田俊男

    山田俊男君 誤解あっちゃいかぬのですが、私も、意欲ある小規模な農家も含めた多様な農家をきちっと元気にしていかなきゃいかぬ、対策を講じていかなきゃいかぬというのは全く同じ考えですから、それを踏まえた上で、重点の置き方や制度の仕組み方について申し上げているわけですから、ちゃんとあれしてくださいね、理解しておいてくださいよ。  それからもう一つ、最後に……
  87. 主濱了

    委員長(主濱了君) 簡潔におまとめください。
  88. 山田俊男

    山田俊男君 この資料の二枚目にあります写真見てください。これは宮城県の北部です。私、日本農業新聞の写真なんですが、この写真を見て本当にもうびっくりして、かつ、どうしたらいいかという思いであります。右側の写真は稲わら、これ場合によったら五十万ベクレルとか六十万ベクレルの汚染している可能性があるんだよ。それから左っ側は、場合によったらこれも大変な汚染している可能性があって、直ちにこれは汚染廃棄物として的確に処理しなきゃいかぬ。ここに、こんな形で作業して、こんな形でいて、子供たちもいるんですよ、間違いなくね。ここについて早く本当に手を打たなかったら大変だというふうに思う。  是非、この点についてどういう考えで、急いでおられるのかどうか、指示されているかどうか、危険を訴えておられるかどうか、お聞きしたいと思います。
  89. 主濱了

    委員長(主濱了君) 簡潔に御答弁願います。
  90. 篠原孝

    ○副大臣(篠原孝君) はい、済みません。  山田委員の御指摘、ごもっともでございます。食べ物を通じた体内被曝のことについてだけ関心が行っておりますけれども、それよりも何よりも、六十九万ベクレル、五十万ベクレル・パー・キログラム、この稲わらを扱った人たちが、まず気道を通じた体内被曝、それから体外被曝、強烈に受けているはずでございます。私の方から指示いたしまして、この農家の皆さん、優先的に検査していただくと。  それから、昨日、厚生労働委員会でちょっと失礼な言い方をしたわけですが、私はこれは正直なところでございます。日本では野菜や稲わらや牛の方が検査をきちんとされていて、人間の方が検査されていないわけです。私は、一番最初の危険な作業をされているのはこの畜産農家だと思っております。ですから、昨日、前からやっていたわけですけれども、具体的に福島県等とも連絡いたしまして、優先的に健康診断を受けるようにという指示をしております。
  91. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 非常に重要な指摘をいただきました。高濃度のここに、稲わらの農家の方々に直接農林水産省から人を派遣しまして、それぞれの農家に派遣しまして、そして一時的な対応についてきちっと連携を取らさせていただいているということだけは申させていただきます。
  92. 山田俊男

    山田俊男君 お願いします。  終わります。
  93. 主濱了

    委員長(主濱了君) 午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十三分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  94. 主濱了

    委員長(主濱了君) ただいまから農林水産委員会再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、金子恵美君が委員辞任され、その補欠として行田邦子君が選任されました。     ─────────────
  95. 主濱了

    委員長(主濱了君) 休憩前に引き続き、農林水産に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  96. 横山信一

    ○横山信一君 公明党の横山信一でございます。  まず初めに、漁業問題からお聞きをしてまいります。  被災地では、今、被災漁業者が復旧に向けて船並びに漁業資材を発注をしているところでございますが、漁業資材につきましても、余りにも大量な発注のために製造元の生産が間に合わないという話も聞いております。そのような中で、広島県が宮城県のカキ養殖業者に対して養殖施設の浮きなどの資材を支援する動きがあるということも聞いております。この国内で調達する漁業資材についてはいいんですが、まあ、よくはないんですけれども、大量に発注していて滞ってはいるんですが、心配なのは海外に発注をしている漁業資材でございまして、特にこれはホタテ養殖の丸かごなどはベトナムとか中国が主産地でございます。こうしたところから、海外から調達をしなければならないとなると年内の調達は非常に厳しいという状況が考えられます。  こうした資材調達の現状に対してどのような対応を取るつもりなのか、まず伺います。
  97. 篠原孝

    ○副大臣(篠原孝君) 養殖施設等にも大分被害が生じましたんで、養殖業の復旧に向けまして災害を激甚災害に指定いたしまして、補助率を復旧事業に要する経費の九割にいたしているところでございます。  今、横山委員指摘のとおり、養殖かご等については非常に需要が大きくて、メーカーに対して大量注文が届いておるということは我々はよく承知しております。
  98. 横山信一

    ○横山信一君 どうするかということを聞いたんですけれども。現状の認識のままでは困るわけでございまして。  国内に関しては発注をしているということであり、共同利用施設であればそれはそれで見てもらえるわけでありますが、海外の部分についてはいつ出てくるかも分からないという状況があって、こうしたことに対して認識だけではなくてどうするのかということをもう一度お伺いいたします。
  99. 篠原孝

    ○副大臣(篠原孝君) 調達がうまくいかなくて今年度中に事業が達成できないというおそれがあるわけでございます。そういったような場合には予算の繰越し等で対応できるように処置したいと思っております。
  100. 横山信一

    ○横山信一君 予算の繰越しをしていただけるということで確認をさせていただきます。  次に、これは五月十九日のこの委員会で、私、森は海の恋人の気仙沼の取組から林業と漁業との関係についてお伺いをしたわけでありますが、この震災を機に間伐材等の利用を積極的に養殖資材等に使えないだろうかというお話をさせていただきました。その折の篠原副大臣答弁は、水産業と林業双方の振興の観点から鋭意取り組むという、そういう御答弁があったわけでありますが、その後の進捗状況検討状況について伺います。
  101. 篠原孝

    ○副大臣(篠原孝君) 今、養殖かごについて中国産、ベトナム産というのがありましたけど、やっぱりこういったものについては国内のものをできる限り使っていただくのがいいんじゃないかと思っております。そういったことから、私、五月十九日に、横山委員の御質問に対して漁場保全の森づくり等、水産庁としても鋭意取り組んでいるということを答えたつもりでございます。  その後でございますけれども、林業と水産業の結び付き、これは川を通じてつながっているわけでございます。ですから、具体的には養殖いかだへの木材の利用について、宮城県と岩手県と意見交換をいたしました。現状分かってまいりまして、宮城県ではいかだは、なぜかしらなんですが、主として竹を用いて、ほとんど丸太は利用していないと。ところが、岩手県では養殖業者が丸太、間伐材を使ってやっているということでございます。ですから、岩手県のような取組を今後推奨していかなければいけないんじゃないかと思っております。  いずれにいたしましても、現場のやり方というのがありますので、関係機関漁業者の皆さんと密接に意見交換を踏まえながら具体的な方策検討してまいりたいと思っております。
  102. 横山信一

    ○横山信一君 間伐材が使える可能性があるのは岩手ということでありましたけれども、使い勝手がいいとか、あるいは使ってみたところがこれはいいものだといううわさが広がっていけば、それはそれでどんどん漁師の方は採用していきますので、宮城は竹だというふうに言われておりますが、それは伝統的に竹を使っているということでありますから、岩手のこうした取組がどんどん広がれば、間伐材の利用にもつながっていくと思いますので、是非積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。  次に、セーフティーネット資金について、漁業関係ですが、伺いますけれども、一次補正予算において、被災漁業者に対して、無利子、無担保、無保証人という措置がこの政策金融公庫のセーフティーネット資金で講じられたわけでありますけれども、この日本政策金融公庫による被災漁業者への対応について、農水省としてはまずどのように把握をしているのか。そして、漁業関係公庫の無担保・無保証人事業というのは五月二日から受付が開始されておりますけれども、これまでに寄せられた相談件数、貸付決定件数、貸付決定額の実績と、今後この事業をどう活用するのか、伺います。
  103. 篠原孝

    ○副大臣(篠原孝君) 東北地方の太平洋沖地震で被災された漁業者、農業者もそうでございますけれども、に対する農林漁業セーフティーネット資金の融資状況でございます。ただいま我々が把握している状況、七月二十八日現在でございますけれども、全国の相談は百三十件、貸付けは八十件です。そのうち大きな被災三県、岩手県、宮城県、福島県の相談は三十九件、それに対して貸付けは二件となっているところでございます。  この融資制度につきましては、パンフレットを作成して、現地キャラバン等で周知徹底を図っているところでございますけれども、被災三県につきましては、今の数字、お分かりいただいていると思いますけれども、三十九件の相談はあったんですが、貸付けが二件、全国段階では百三十件に対して半分以上、八十件の融資が行われているわけですけれども、被災三県についてはたった二件だけということでございますけれども、これは壊滅的な被害を受けまして漁業経営が開始されていない場合が多くて、融資に至るまで少々時間を要しているからではないかと思っております。  今後とも、日本政策金融公庫と連携しながら、なるべく融資がきちんと行われるようにバックアップ、支援してまいりたいと思っております。
  104. 横山信一

    ○横山信一君 二件の貸付けしか行われていないという数字は非常に、言ってみれば、言葉が適切かどうか分かりませんけれども、非常にショッキングな数かなというふうに思うわけです。  この原因については是非とももう少し詳しく調べていただきたいと思いますし、せっかく無担保・無保証人事業をされているわけですから、これが漁業者に周知されていないんじゃないかという心配もあります。私のいる北海道でも、噴火湾の漁業者では、これについての事業について御存じないという方が多かったですし、また、名前は聞いていてもどういった事業内容なのか知らないという方も多かったので、是非取り組んでいただきたいと思います。また、岩手を回ったときにも、無利子の融資制度はあるのかみたいなことを漁業者の方から聞かれたりとか、用意されていないんじゃないかみたいな話もあったわけでありますので、是非これ、せっかくの事業ですから、もっと取り組んでいただけるようにお願いをしたいと思います。  次に、水産物の輸出の問題ですけれども、これから秋から冬にかけてアキサケそれからスケトウダラ漁が本格化をしてまいります。このアキサケ、スケトウダラというのは非常に大量に漁獲をされる魚種でございますが、こうした魚種の多くは実は中国や韓国に向けて輸出をされております。  ところが、この中国、韓国というのは、今回の原発災害において日本の水産物に対して非常に厳しい輸入規制を取っているところでございます。このままで推移していって、秋になって漁獲が本格化してくると、輸出が滞ったままでいるとすれば国内での過剰在庫を招く可能性があります。それは価格下落を引き起こすわけでありますが、こうしたことに対してどういう対応を取るつもりなのか。  また、こうした水産物の需給対策というのは現在は水産物調整保管事業というこの事業しかないんですね。このただ一つの事業だけで対策を取るしかないということになるわけですけれども、今のこの輸入規制の現状を考えますと、外国の輸入規制ですね、日本から見ると輸出ですけれども、この輸入規制の現状を考えますと、国内の水産物のだぶつきに対しての新たな取組というのが必要じゃないかというふうに思うわけですが、この点についても伺います。
  105. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今先生からの御指摘の、いわゆる日本の水産物に対しての輸入規制というものが非常に強化されておるわけでございまして、このことによって、お話しのとおりに水産物の輸出の減少というふうなものが懸念されているわけでございます。  その中で、調整保管を行う国産の水産物安定供給推進事業によりましてこういった水産物の市況の低迷への対応というものが可能でございますので、この事業を適切に行っていきたいと思っておりますが、先生のお話のとおりに、そのほかにこういうことにその必要性が迫られているということになりますならば、この魚価の対策につきましては、今後輸出の状況というふうなものを見ながら、さらにどういうような施策を行うことができるのかというふうなことで検討してまいりたいと思っております。
  106. 横山信一

    ○横山信一君 是非新たな事業に取り組んでいただきたいと思うわけでありますが、これは農業も同じだと思うんですけれども、似ていると思うんですが、水産業については産地販売力というところに政策が集中していて、六次産業化もそうでありますし、あるいは高付加価値化という考え方もそうでありますけれども、いわゆる需給調整対策という部分では非常に薄いというか、そういう感じがします。今申し上げたように調整保管事業ただ一つですから、そういう意味ではもう少し厚みのある政策、対策を打っていただいて、価格対策というのに取り組んでいただきたいというふうに思うわけです。  次に、養殖施設の共同利用化への質問でありますけれども、二次補正ではこの共同利用の復旧支援事業の拡充措置がとられました。拡充にはなったわけですが、これは応急工事が対象でありますので、恐らくは製氷施設等が中心になるだろうというふうに思われます。  北海道の噴火湾ですけれども、ホタテ養殖が中心の地域なんですが、ここも壊滅的な被害が出たところですけれども、ここも共同利用施設でこれから取り組んでいこうというふうに今前向きに動いているところなんですが、残念ながら二次補正では恐らく回ってこないだろうというふうに思われるんですね。それは漁業者の不安にもつながっているわけですが、仮に次の三次補正でこうした共同利用施設が更に継続をされたとすれば、この北海道の噴火湾のようなホタテ養殖、非常に大規模ですから、こうした施設規模から見て、恐らく補正予算ですから単年度事業になっていきますけれども、年度内で全て消化していく、復旧するということは恐らく到底できないということが考えられるわけです。  そこで、遡っての、遡及を含めて、既に自分たちで動いている部分もありますから、遡及を含め複数年施行というか、これについてどう考えるか伺います。
  107. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 北海道を始めといたしまして、いわゆる養殖業の今後につきまして、本格的な復興に向けてそれぞれの地域におきましても取り組んでおられるというような状況でございます。  そういう動きがあるということも承知をさせていただいておるわけでございますが、その中でとりわけ共同利用施設というものを整備していこうというような、そういう動きに対しましては、この実態というものを私どももしっかりと把握をして、実態に即した形で現地の考え方というふうなものがどういうお考えであるかということも含めて取り組んでいかなきゃならない問題だと思っております。
  108. 横山信一

    ○横山信一君 もう一度伺いたいところなんですが、現地の実態を踏まえというのは非常に大事なことだと思いますけれども、間違いなくこれはもう年度を越して進んでまいります。今の時点で、三次補正がいつになるか分からないという状況の下で、仮に九月に三次補正が、あり得ないと思いますが、できたとしても、これは必ず年度を越します。そうした場合に、今共同利用施設を運営する漁組等からすると非常に不安なわけですね、これはもう事業としては当たらないんじゃないかと。そういう意味では、是非、複数年施行というのを是非今ここで明言をしていただきたいわけでありますけれども、いかがですか。
  109. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今先生からのお話の繰越措置というふうなものも含めて、養殖業の実態に即した形でどう対応することができるかということに取り組んでまいりたいと思っております。
  110. 横山信一

    ○横山信一君 ありがとうございます。  担い手のことについても伺いたいと思いますが、漁業者による瓦れき撤去作業に日当が支払われております。これは、少ないとはいえ漁業者の多少なりとも生活支援に役立っているわけです。どこの浜に行っても、一日も早い漁業再開を目指して皆さん一生懸命この作業に取り組んでおられているわけですが、漁業者は漁獲物を出荷できないうちは収入がないわけでありまして、とりわけ若い後継者の方たちには小さなお子さんがいらっしゃる家庭も多くて、教育費、生活費等、そういったことを考えるといつまでも無収入のままでいられないということで、浜を離れて仕事を探すという人たちももう既に出てきているわけです。こうした現状の中で、浜を回っていくと必ず言われるのが、若い人を何とか助けてやってくれ、俺たちはいいんだ、若い人を助けてやってくれというのが今一番聞かれる声であります。  以前にも大臣にこの漁業者の生活支援について伺ったことがあるんです。そのときは次期補正で検討するという答弁があったわけでありますが、三次補正がいつになるか分からないという現状の中で、漁業後継者を無収入のまま浜に縛り付けておくというのはもう限界に来ておりまして、この問題についてどう対応するのかを伺います。
  111. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) いわゆる漁場の復旧対策支援事業というふうなことで、漁業者の方々の生活支援というふうなものを今行っているわけでありますけれども、これからも瓦れきの量というふうなものを見極めながらこの事業を続けていくということも考えておるわけであります。  しかし同時に、お話しのとおりに、いわゆるこのほかに被災地の方々の担い手を確保するというためにはやはりまた別の措置が必要じゃないかと、こういうことでございまして、いわゆる切れ目なく漁業者の方々の生活を支援していくという施策が求められているというようなことも含めて、今後農林水産省といたしましても、三次補正でというようなことも含めて考えていかなきゃならないことだと思っております。
  112. 横山信一

    ○横山信一君 三次補正は是非それはやっていただきたいんですが、今、浜の状況というのは待っていられないという状況があるんですね。昨日も宮城県の県漁連の会長とお話をさせていただきましたけれども、真っ先に言われたのはやはりこの問題でありました。もう後継者を浜から放したくないんだ、サラリーマンになってしまって生活が落ち着いてしまったらもう戻ってこない、だから我々いろんなことをやって彼らを何とかつなぎ止めているんだということで、だから、今三次補正までの時間があるわけですから、ここを何とかしてもらいたいということなんですが、いかがですか。
  113. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 漁場復旧対策支援事業というのは、私も各地に参りまして大変評価をしていただいていると、こういうふうなことでございますので、この事業を、重ねて申し上げますけれども、瓦れきの量がどうなのかということも含めて続けていくと同時に、今のこの三次補正までの間というようなことにつきましても、実態、実情というふうなものを把握しながら、どういう施策を行うことができるかというふうなことで勉強してまいりたいと思っております。
  114. 横山信一

    ○横山信一君 分かりました。この問題、引き続き、機会あるたびごとに訴えさせていただきたいというふうに思います。  次に、セシウム牛の話に移ります。  政府は、栃木県を含めて、現在までに四県の出荷制限の指示を発出をいたしました。岩手、宮城、福島の三県では、この制限解除に向けて準備を進めております。  この出荷制限はいつ解除されるのかというのが今一番関係者にとっては注目をされているところなんですが、特に肉牛農家にとってみれば、解除までの見通しが立つとそれに向けて肥育計画を立てることができるわけでありまして、二か月後に解除されるんであればどうしていけばいいかという。それがいつ解除されるか分からないという状態がずっと続いていくと、これは農家だけではなくて肥育をしている牛にとっても様々な障害が出てまいります。この解除までの見通しについて、まず厚労省に伺います。  あわせて、この出荷制限が解除されるまでの間、例えばズルというふうに言うらしいんですが、そういう状態にならないようにするには技術的なそういう方法があるのかどうか、またその解除までの経費をどうするのか、この点についても伺います。
  115. 梅田勝

    政府参考人(梅田勝君) 解除への見通しについて御説明させていただきます。  この出荷制限の解除に関しましては、原子力対策本部におきましては、当該県に対しては適切な飼養管理の徹底を前提にいたしまして、緊急時避難準備区域等や飼養管理に問題のあった農家について全頭検査を実施し、暫定規制値を下回ったもののみ出荷を認めると。その他の地域については、農家ごとに初回出荷牛のうち一頭以上を検査し、暫定規制値を下回ったもののみ出荷を認め、その後も定期的な検査を行う等の管理を求めております。  この四県からの具体的な申請の時期については我々もまだ承知していないところではございますが、いずれにしましても、この申請に添付いたします検査の計画、出荷の管理等につきましては、これはもう事前に農林水産省及び厚生労働省と十分協議することが求められておりますので、この適切な申請が行われるよう、我々、厚生労働省としても協力してまいりたいと考えております。
  116. 田名部匡代

    大臣政務官田名部匡代君) 出荷制限によりまして収入が途絶える農家にとっては、まさに日々の餌代など資金繰りが大変苦しい状況にあると。そういう意味では、しっかりと資金繰りに対する支援を行うということと、あわせて、先ほど先生御指摘になられましたように、生産者のみならず牛にとっても様々な負担がありまして、そういう意味では技術的な支援をしっかり行っていくことも非常に重要だと考えております。  資金繰りの点に関しては、出荷制限がなされた県であるとか、また、枝肉価格が低下した県の肥育農家に対して一頭当たり五万円を交付する緊急対策措置をするとともに、新マル緊の事業、これ運用改善をいたしまして、月に一度、毎月交付をするというように変更いたしましたので、少しでも早く農家の手元に資金が届けられるようにしたいと考えております。  一方、申し上げました技術面ですけれども、出荷間際の牛というのは体重が重くなっていて、心肺に非常に負担が掛かるということでございます。そういう意味では、そういったことから事故やまた疾病などで損失が出ないように、それを防止するための支援が必要だと考えておりまして、各県によって血統や気候などが違いますから、それらを考慮して作成をされました県独自のマニュアルをパンフレットにして農家に配布をしております。この注意事項を整理をしたことによって農家に対してしっかりと指導が行われるように、また農林水産省としても協力をしていきたいと考えています。
  117. 横山信一

    ○横山信一君 一頭五万円、これまでも議論されてきているところでありますが、農家からすると、一頭五万円全部の牛にもらえるのかと思った農家もいっぱいいらっしゃったと思うんですね。そういう意味でがっかりされているところも多くて、そういう意味では資金繰り対策を一刻も早くしっかりとやっていただきたいというふうに思うわけです。  次に、全頭買上げの問題でありますが、先日、原子力損害賠償支援機構法と仮払い法が成立をいたしました。この法律が成立する中で、この法律の中に明記されたのは国の責任でございます。国の責任があるんだということを改めてしっかりとこの法律の中に議論されてきたということでありますが、今回の原発事故に起因する牛肉セシウムの問題におきましても、国の責任をどう果たしていくのかということが問われているというふうに思うわけですが、この点についてまず伺います。
  118. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 過般、いわゆる緊急的な措置として公表させていただいたわけでありますけれども、その後におきまして、いわゆる宮城県等々におきましても、三県に対しまして出荷制限というふうなものの要請指示がなされました。そして、汚染稲わらを食べておる牛の頭数も増えてきておる、こういう状況でありまして、そしてまた、福島県におきましては、出荷の適期そのものを超えてしまった肥育牛に対しましては買上げ措置を行う、こういうふうなことも打ち出されておるわけでありまして、そのような状況を踏まえて、今先生からの御指摘のとおりに、いわゆる政府といたしまして、また農林水産省といたしましてということになるわけでありますけれども、このような動きというふうなものを踏まえて、更に具体的な措置を講ずるべく詰めさせていただいているところでございます。
  119. 横山信一

    ○横山信一君 それは全頭買上げということでよろしいんですか。
  120. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) いわゆる全頭買上げというような御指摘等々に対してどういう対応ができるかということも含めて、いろいろと今詰めさせていただいているところでございます。
  121. 横山信一

    ○横山信一君 ちょっと時間がなくなってまいりましたので、ちょっとまとめて質問いたしますが。  まず、先ほど山田先生からも堆肥それから稲わらの話が出ておりましたけれども、八月一日に肥料等の放射性セシウムの暫定許容値が設けましたよという通知がなされましたけれども、その中で、保管・処理場所の確保等について政府全体として検討した上で方針をお示ししたいというふうに通知をされております。  今、非常に早急な対応を求められている中でありますので、この暫定許容値を超えた飼肥料あるいは土壌改良資材等の処理方針をどうするのか。それから、併せて稲わらについても、現地へ行きますと、稲わら販売業者が肉牛農家から引取りに来いと言われると。稲わら販売業者はそれを、来いと言われるから行くしかないわけで、引き取る、引き取って保管をする、この作業をするだけでも実は非常に高濃度の被曝をしている可能性もあるわけであります。そういう意味では、稲わらの処分をどうするのかということも非常に大きな問題でございまして、この汚染稲わらの処分どうするのかも併せて伺います。
  122. 田名部匡代

    大臣政務官田名部匡代君) 放射性セシウムによる農地土壌の汚染拡大を防止するという観点、また、食品衛生法上問題のない農畜水産物の生産を確保するという観点から、堆肥等の放射性セシウムの暫定許容値を四百ベクレルと定めたところであります。  今般のその措置によりまして、基準値を超えるなど利用ができない堆肥等が大量に発生することが予想されるわけでございまして、それについては、保管、処分について、これは放射性物質が検出された上下水処理等副次産物の当面の取扱いに関する考え方というものが原子力対策本部で六月十六日出されておりますけれども、それに準じて実施をすることとなりますが、ただ、この保管・処理場所の確保については、今後、政府全体として検討した上で、しっかりと方針を示してまいりたいと思っております。  ただ、注意しなければならないのは、その間、生産者の皆さんが人体にまた健康的な被害がないように、汚染された堆肥やその原料となる排せつ物が拡散することのないよう、適切な保管に留意をしていかなければならないと、そんなふうに考えておりますし、稲わらの件ですけれども、福島の浜通り、また中通り地方の一部の地域を除いて、放射性物質の濃度が水準を超えるものについては埋却、また市町村が定める方法により処分をするということであります。また、利用可能な水準以内のものはこれに加えてすき込みを可とする、こういうことでこれまで指導してまいりました。  ただ、約六十九万ベクレルという非常に高い濃度の稲わらがありますので、そういうことに関しても、先ほど午前中の質疑の中で副大臣からもありました、その作業をしている人体への影響というものもしっかり注意をして検査をしていかなければならないと思いますけれども、それらに関する保管、これに関しては、七月二十八日、稲わらを保管する畜産農家などに指導するよう都道府県に通知を出したところであります。  なお、先ほどと同じでありますけれども、この処分に関しては、今後検討して少しでも早く方針をお示しできるように努力をしてまいりたいと考えています。
  123. 主濱了

    委員長(主濱了君) 時間が来ていますので、おまとめください。
  124. 横山信一

    ○横山信一君 はい。  できるだけ早くということでしたが、これは一日置いておけば、それだけ被曝をする可能性がどんどん増えていくわけですから、これはもう一刻を争うことですので、すぐにでもこの処分方針を定めていただきたいと思います。  以上で終わります。
  125. 柴田巧

    ○柴田巧君 みんなの党の柴田巧です。  私の方からもまずセシウム汚染牛の問題についてお尋ねをしたいと思います。  さきの委員会でもお聞きをしたところで、また述べさせていただいたところでありますが、とにもかくにもこういう状況に至ったからには、国がしっかり前面に立って迅速にかつ大胆な支援策というものをやっぱり講じていくということが何よりも肝要なことだと思っております。  さきにも農水省として対応策をお示しになられましたが、先般の委員会でもいろいろ議論がありまして、今もございましたけれども、国は地方にあるいは民間団体に丸投げしているんじゃないかとか、非常に地方からも関係団体からも厳しい声が出ておるところでありまして、やはり国としてしっかり責任を持って対処をしていかなきゃならぬというのは間違いないというふうに思っているわけであります。  いずれにしても、大事なことは、日本を含め、海外も含めてということになるかもしれませんが、消費者の方が日本の国産牛を安心して再び手に取る、食べたいと思うようになるように、また、畜産農家の皆さんが将来を信じてしっかり営農活動できるように、これを一日も早く実現をしていく、今の事態を収拾するということだと思っております。  そういう中で、私どもみんなの党としては、この前、大臣、大変お忙しい中ではありましたが、時間を取っていただきまして、渡辺代表自らが、私も同席させていただきましたが、この問題に対する緊急提言を出させていただいたところであります。党首クラスが直々に提言を出したのはうちの党が初めてかもしれませんが、我が党としても一生懸命取り組んでおるという証拠でありますが。  この柱になっているものは、今の考え方に立って、消費者の皆さんの不安を解消するために、払拭するために全頭検査をしっかり国のリーダーシップの下でやるということ。それからもう一つ大きな柱は、この肉牛農家あるいは流通、小売の皆さんもそうですが、大変経営のめどが立たないという状況になっておりますので、一律の金銭補償を行うということが大事ではないかということを柱にして、いわゆる八千億の予備費を積極的に活用せよということを主な内容とするものでありますが、この提言に対して大臣はどのようにお受け止めになられたのか。  また、とりわけ、今ほど申し上げました一つの我が党の提言の特徴は、一律補償が、迅速な事態を収拾するためには細かいいろんな個別の事情は度外視して、そういうやり方をやる方が効果的ではないかという考えに立つものでありますが、こういう案に対してどのような御感想あるいはお考えをお持ちになったでしょうか、お尋ねをしたいと思います。
  126. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) みんなの党の渡辺代表、そして柴田先生を始め政党の方々から緊急提言を私どもに対しましてお寄せいただいたところでございます、お越しをいただきました。  そういう中で、この委員会でも申させていただきましたけれども、緊急措置として打ち出した後に出荷制限を要請するという県も増えてまいりましたし、また稲わら状況というふうなものも、給与されておった牛が増えておる、そして福島県でも独自の支援策を講じるということも公表されているわけでございますので、そういう状況を踏まえて農林水産省といたしましても、そんな中でみんなの党からの提言もございますので、このことを受けて、幅広く救済策を講じていくべく今詰めさせていただいているところでございます。
  127. 柴田巧

    ○柴田巧君 是非どもの案も取り入れていただいて、重要なことは迅速に大胆にどう今の事態に対応するかということだと思います。  大臣も、今申し上げましたが、この前お伺いしたときも、もう一段の具体的な策を早急に詰めていきたいということをおっしゃっておられたかと思いますので、是非この事態、一日も早く収拾するために大胆な策をしっかりやっていただきたいと思いますし、今からまたお聞きをしていきますように、まだまだ、対応策は出ていますが、不明確なところあるいは遅いところ多々見受けられますので、どうぞ迅速な対応方、しっかりやっていただきたいと思います。  そういう中で、今ほども山田先生あるいは横山先生からもありましたが、汚染された稲わら、あるいはそれを給与された牛のふん尿の問題が大変今深刻になっていると思っております。もちろん、健康面も当然のことながら、いろんな意味で精神的にも、農家の精神的にもあるいは経済的にも非常にダメージを与えているというのは言うまでもないわけで、この問題は七月九日に発覚したと思いますが、もう一か月たつわけで、それにもかかわらずいまだこの処理の方法が出されないというのは、先ほどもお話あったように、余りにも遅過ぎると思います。  したがって、いついつまでにめどを立てるというものが出てこないともういけない時期だと思いますが、この点についていかがでしょうか、お伺いをしたいと思います。
  128. 篠原孝

    ○副大臣(篠原孝君) 柴田委員指摘のとおり、既に七月八日、九日に発覚したわけでございますので一か月弱たっておりますけれども、何しろ初めての経験でございますので、ベクレル値等もいろいろ分からないところが多いので、それから現実的な対応というのも考えていかなくちゃなりませんので、それなりの時間を要しております。  放射能、セシウムに汚染された牧草につきましては、汚染度合いの激しい福島県の浜通りあるいは中通り等の一部を除きましてはこのように今のところ、これまで指導してまいりました。放射性物質の濃度が飼料として利用可能な水準を超えるもの、これにつきましては埋却するなり市町村が定める方法により処分すると。それから、利用可能な水準以内のもの、これでももう余り牛に与えるのは良くないということで処理しようということがあるわけでございます。これらのものにつきましては、それに加えてすき込みも可能だということで処理してきておるところでございます。
  129. 柴田巧

    ○柴田巧君 とにかくもう早急な処理策、明確な処理策を、具体的なものを示さないと、だんだんだんだんこれはややこしいところに入っていくと思われますので、是非近々に発表していただけるように強くお願いをしておきたいと思います。  また、先般出された対応策の中にも、飼料の問題について、これから不足することが懸念をされるので代替飼料の現物供給するということなどが示されてはおりますが、じゃ、具体的にどう確保して、いかなる方法で供給していくのか、また安全性のチェック、確認というのはどうするのかと、こういったことはまだあの対応策の中では示されていないというふうに認識しておりますが、こういったものもやはり具体的なものをしっかり示すべき時期に来ているんではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。
  130. 篠原孝

    ○副大臣(篠原孝君) 稲わらが使用された理由の一つとして、飼料が近辺になかったというのがございます。ですから、畜産農家にとっては代替飼料の確保が喫緊の課題ではないかと思っております。  この点については、我々、もう七月二十六日に公表いたしました緊急対策でいろいろなことをしております。どういうことかと申しますと、汚染牧草等、稲わらも含めてですけれども、利用を自粛しなければならないと。で、稲わらや牧草等が不足します。ですから、そうした畜産農家に対しましては、実質的な負担なしで代替飼料の現物供給を行う対策措置しております。  具体的にはどうかといいますと、畜産農家から飼料が欲しいという要請があった場合は、生産者団体等が金融機関からの融資を受けて飼料代を立替払します。それで、農家に対して代替飼料の現物を供給します。この仕組みが円滑に実行されるように、生産者団体が負担する輸送費あるいは金利等に対して助成を行うこととしております。  農林水産省では一体どういうことをしているかということでございますけれども、各都道府県に粗飼料は一体どれだけ余っているかということを調査いたしました。それで、北海道、九州等について約一万トンほど余裕があるということが分かりましたので、こういったものを不足する地域、東北地方にあっせんすることとしております。国内で供給するのは約一万トンです。  それから、国内の粗飼料はいろいろあるので、百十四万トンほど使っているわけですが、二十万トン近くは毎年輸入しております。国内の粗飼料が不足する分に関しましては、輸入団体に対して輸入の拡大要請をしているところでございます。それからさらに、今年、二十三年産の稲わらにつきましては、汚染度合いというのもあるわけですけれども、需要者リストと供給者リストをちゃんと作りまして、マッチング活動を事前にしていくつもりでございます。
  131. 柴田巧

    ○柴田巧君 畜産経営にとって大変重要な部分を占めるこの飼料の確保であります。これからもしっかりと、支障を来さないように、また具体的な対応をしっかりやっていただきたいと思います。  さて、今回の事態を受けて、さきの委員会でも申し上げましたように、やはり改めて、牛肉はもちろん、日本の食に対して国内外共に信頼が大きくまた改めて揺らいでしまったと言っても過言ではないと思っております。したがって、これから風評被害の拡大を防いでいくためにも、しっかりと消費者、これは内外の消費者と思っておりますが、情報提供を適切に、的確に、また丁寧にやっていくということが大事なことだと思っております。  そういう中で、この問題が起きて外国の通信社あるいはマスコミ、新聞等々、どういうふうに論評しているんだろうかと、いろいろ、韓国、中国、アメリカ、ヨーロッパなどのを見てみますと、大変厳しい、手厳しいものが結構ございました。原発周辺の稲わら一つ管理できない国なのかとか、あるいは原発事故から四か月もたっても放射性物質の検査体制の一元化がされていないとか、あるいはなぜこんなに対応が遅いのかといったことなど、日本人はもっと怒れという具合に大変厳しい論調が散見されました。  また、アメリカ政府は、この問題について正式に抗議があったんでしょうか。要するに、報道前にアメリカ政府等に対して説明がなかったといった指摘もありまして、日本にもかなりの外国人が住んでいる、そういったものに対してやはり丁寧な説明が、情報提供が必要じゃないかという指摘もありましたが。  いずれにしても、日本人はもとより海外の人もこの問題の対処をしっかり見詰めていると、これのやり方が、対応の処理が、在り方が、この牛肉はもちろん、日本の食品のこれから、輸出、いろいろ緩和されている部分もなきにしもあらずですが、大変まだまだ厳しい状況にありますが、そういったことに懸かってくると思いますが、そういったことからも、全頭検査の体制の整備はもちろんですが、汚染された牛肉は流通させないんだと、していないといったことなどなど、しっかり適切な情報を内外に発信をしていくことが大事だと思いますが、どのように取り組んでいかれるか、大臣にお尋ねをしたいと思います。
  132. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今お話しのとおりに、実情というふうなものと施策というふうなものを明確に情報を提供していくというふうなことが重要なことだと思っております。  そういう中で、具体的な取組でございますけれども農林水産省や消費者庁のホームページを通じた情報提供が一つでございます。それから、消費者団体やその他の関係団体、都道府県の担当者を招いた牛肉安全性確保に関する説明会も実施をいたしておるところでございます。これからも機を見てやっていかなきゃならないことだと思っております。それから、家畜改良センターにおきまして、消費者等が買おうとしている牛肉が汚染牛肉に関連しているかどうかをホームページ上で確認できるシステムを開発いたしまして、八月一日からこのことを運用いたしております。約二万件のアクセスがあったと、こういうふうなことでございます。  それからもう一つは、諸外国の在外公館や在京大使館を通じまして、我が国が行っている検査の状況なりデータ、暫定規制値を超える放射性物質が検出された場合の出荷制限などの措置につきまして常に情報を提供いたしておるわけでありまして、このようなこともこれから続けていきたいと思っているところでございます。
  133. 柴田巧

    ○柴田巧君 是非、世界がある意味で注視していると思います。そういった意識を持ってしっかりとこの情報発信に努めていただく、またその前に、先ほど申し上げましたように、そういう検査体制の整備を図るということが何よりも大事だと思いますので、よろしくお願いをしておきたいと思います。  さて、牛肉からちょっと離れて、放射性物質の農地の除去実験のことをちょっとお聞きをしたいと思いますが、御案内のように、福島の飯舘村で五月の末から農地の除染の実験が行われているものと思っておりますが、これももちろん日本では言わば初めての経験をすることでありまして、日本の農水省を中心となってやっておるわけですが、いろんな関係機関、大学等と連携をして、また国際的な機関も、この前IAEA、これは環境大臣におっしゃったと新聞で報道にはあったと思いますが、どれだけでもお手伝いするという申出もあったと思いますが、そういった世界的な機関などの知見も結集をして、それこそ国を挙げてこの問題に取り組んでいかなきゃならぬ問題だと思っておりますが。  今、あれから実験が始まって二か月余りたちました。今のところのこの実験の実施状況はどうなのか、また今後どのように取り組んでいくおつもりなのか、その予定も併せてお聞きをしたいと思います。
  134. 篠原孝

    ○副大臣(篠原孝君) 日本がこの放射能汚染に対してどのように取り組んでどのような効果を上げていくかというのは、世界中が注目しているのではないかと思います。ですから、我々は全力を挙げて汚染された土壌の除染等に取り組んでいかなければならないと思っておりまして、まず最初に取り組んでいることは、今、柴田委員指摘のとおりでございます。海外における知見の収集でございます。チェルノブイリがございました。ですから、ウクライナ、ベラルーシ、ロシア等がいろいろなデータを持っておりますので、これらの三国に我々の技術者、派遣しております。これが一つでございます。その中にIAEAの知見も含まれると思います。  それから、国内におきましては、各省いろいろ研究してきております。内閣府の総合科学技術会議、それから文部科学省、経産省と相談いたしまして、農地土壌の汚染状況の把握や放射性物質の除去について情報交換をしておるところでございます。八月末にはそこそこの土壌汚染マップができ上がるのではないかと思います。  具体的にどういうことをやっているかということでございますが、今触れられたとおり、五月の二十八日だったと思います、大臣が自ら飯舘村に行っていただきまして、ヒマワリの種を植え付けたりしております。そういったことを、ヒマワリはまだ咲いているところでございますけれども、表土の除去というのもやっております。  こういった場で何度もお答えしておりますけれども、三つの方法ございます。物理学的に除去するの、それから植物を利用するの、それから科学的にいろいろな薬剤を用いてやるという三つの方法をいろいろやっているところでございます。表土の除去につきましては、飯舘村の結果ですと、水田における放射性物質が一定量低下することが分かっております。  今後は八月末を目途に一定の技術評価をすることになっておりまして、どのような効果が出たかというのを検証いたしまして、効果が出たことについてはほかのところにも広めてまいりたいと思っております。
  135. 柴田巧

    ○柴田巧君 是非、内外の知見を結集していただいて、この除去の方法のしっかり確立をやっていっていただきたいと、それで目的に向かってしっかり取り組んでいただきたいと思います。  あわせて、農地ももちろんなんですが、山林に飛散した放射性物質も気になるところであって、樹木や土壌がどの程度汚染されたかを調査する、そしてその除染技術の確立をしていくことも大事なことだと思いますが、第二次補正でその調査をする予算も盛り込まれておると承知しておりますが、こういったことを基に調査をし、そして山林においても今ほど農地で行っているような除去作業をやっぱり調査の結果に基づいてやっていくべきだと思いますが、どのようなお考えでしょうか、お尋ねをしたいと思います。
  136. 主濱了

    委員長(主濱了君) 時間が迫っておりますので、簡潔な御答弁をお願いします。
  137. 篠原孝

    ○副大臣(篠原孝君) 平成二十三年度第二次補正予算におきまして一億七千三百万の予算が付いております。これを使いまして福島県内の森林を対象にして空間線量等の調査をしてまいりたいと思います。森林面積広いので、今後これも問題になってくると思いますので、農地同様に漸次取り組んでまいりたい、除染について取り組んでまいりたいと思っております。
  138. 柴田巧

    ○柴田巧君 ありがとうございました。
  139. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  米の放射性物質の検査についてお聞きします。  千葉県は、早場米の収穫が八月に行われることもあり、収穫前の米の放射性物質の測定を決めたわけです。農水省も汚染が心配される各都県に打診をして、今十四都県で収穫前の予備調査と収穫後の本調査を行うということを明らかにしています。それで、放射性物質の汚染の可能性のある米を検査し管理する対策を講ずるのは当然だろうというふうに思うわけです。  ただ、流通が、自由に流通となっている中でいいますと、例えば産直ですとか縁故米ですとか、あるいは卸の集荷業者ですとかなどを含めて、どうやってやっぱり検査から漏れないようにするのかということが大事です。稲わらの教訓からいっても、やっぱり通り抜けてしまったものがもう流通してしまうとこれまた大変なことになると思いますので、そうならないようにしなければいけないと。どうされるつもりなのか、全量検査をするのかどうかということも含めて伺いたいと思います。できるだけ短めにお願いします。
  140. 篠原孝

    ○副大臣(篠原孝君) 牛の場合は全頭検査というように何頭何頭というのにもできますけれども、米の全量といった場合、莫大な量になりますし、田んぼも一枚の広さ様々でございます。ですから、実質的には、現実的には、検査はある程度地域を区切り、かつそこから、まあ我々が考えていることでございますけれども、おおむね十五ヘクタールを一つと、一か所と考えてくまなく検査するというようなことで検査をしていく以外にないのではないかと思っております。  擦り抜けにつきましては、これはきちんとルールを守っていただくということ以外には今のところ対処の仕方はないのではないかと思っております。
  141. 紙智子

    ○紙智子君 流通する前に政府自身が関与して、今それぞれの自主的な中身なんですけれども政府がやっぱり関与してちゃんと把握できるということが大事だというふうに思いますし、やっぱりこれまた本当に知らないところで流通してしまうということは内部被曝につながることですので、そこはしっかりやっていただきたいと思います。  それから、次に東京電力への賠償請求の問題なんですけれども、どれだけ請求があって、これに対してどこまで払われたのかということを東京電力に尋ねたわけですけれども、先週末時点で請求は、農業では三百十九億円、漁業で六十三億円、個人で二百十五件の八億五千万円、これに対して支払が、農業で四十七億円、漁業は十八億円、森林組合に対してはゼロ円ということで、全体で約四百億円の請求に対して六十五億しか払われていないと。もうじき五か月になろうとしているということで、やっぱり非常に遅れている、これに対しての大臣の御認識伺います。
  142. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) これまでも農林水産省といたしましても、東京電力に対しまして仮払金の早期支払など誠意ある対応というふうなものを求めてきたところでございますけれども、今先生からのお話のとおりに、私ども関係やあるいは団体からの聞き取りによりましてお聞きしますと、八月三日までに五百二十一億円の損害賠償請求に対しまして七十八億円の仮払いが支払われたと、こういうふうな状況だということでございます。  仮払いにつきましては、五月三十一日に出荷制限による損害等がいわゆる開始されて、八月一日には風評被害に対する仮払いも開始されたと、こういう状況でございまして、近々におきましては賠償財源の確保に資するところの原子力損害賠償支援機構法が公布されるということも聞いておりますし、また、原子力損害賠償の紛争審査会による中間取りまとめも近々予定されている中で、農林水産省といたしましても、今御指摘のできるだけ早い損害の早期支払というふうなものに対してよりこれからも引き続いてあらゆる努力をしていかなきゃならないと思っております。
  143. 紙智子

    ○紙智子君 支援機構法が通ったということも言われたんですけれども、簡単ではないと思うんですね。というのは、請求書を受け付ける東電の側でいいますと、これは指針の範囲しか受けないと。書類の提出だけでもすごく大変だということも出ているわけです。  出荷制限指示などの請求の明細ということで、私もちょっとどういう書類なのかといただいたんですけれども、この書類に書き込むわけですけれども、書き込むだけじゃなくて、更に御提示いただく書類というのがあるんですよ。これ読みますと、例えば耕作面積及び圃場廃棄した数量を証する書類ということで、農地基本台帳記載事項証明書、耕作証明書、耕作日誌、過去の生産量の記録、作物の栽培状況が分かる写真。それから、取引単価を証する書類ということで直近の仕切り書など。廃棄費用を証する書類として、廃棄伝票、廃棄に係る契約書、廃棄した作物の写真などと。確定申告ということでとにかく多々あって、一旦書き込んで出したんだけれども、また突っ返されて何が足りない、何が足りないと言われて、結局、こういうことをされちゃうと、お年寄りですとかそれから小さな規模の農家の方なんかはもうそれだけで目いっぱいになっちゃって、もうそれだったらいいやといって諦めてしまうというケースも出ているわけですよね。  これはもうこういうことを、わざと面倒なことをやって出させないようにしているんじゃないかというぐらい大変な事態になっていて、これをやっぱりもっと簡潔に請求しやすくしてあげなきゃいけないということでこの間も議論になっているんですけれども、これについて経済産業省にお聞きしたいと思うんですけれども改善されたんでしょうか。
  144. 松下忠洋

    ○副大臣(松下忠洋君) 改善されています。  当初、今おっしゃったように、私も見ましたけれども、それはもう全部出すのは大変なことです。通知のときに徹底していなかったところありまして、これは東電の方も社長が謝罪していましたけれども、全部その資料を出すようにと勘違いされたようでして、そのうちの必要なもの、最低限、一通、二通、それで大丈夫なんだということが趣旨でございまして、そこを改善いたしまして大幅に理解が進んできたというふうに思っています。  これからもしっかり注意しながら進めていきますので、どうぞよろしく御理解をいただきたいと思います。
  145. 紙智子

    ○紙智子君 これからはもうそういうことではないというふうにとらえていいということですね。  それで、実害部分についてもそういう非常に面倒なことがやられたんだけれども、風評被害ということになるともっと複雑になるんじゃないかと。それで、風評被害の請求に対してまずちょっと最初にお聞きしたいのは、支払ったものはどれだけあるんでしょうか。
  146. 松下忠洋

    ○副大臣(松下忠洋君) 八月一日からお支払い始めました。茨城、栃木の二つの県の農業団体からの三月分として請求されていた約二十二億円がございました。そのうち仮払いが二分の一ということで約十一億円をお支払いしております。それから、二十二億円以外に請求されているものが約百五十九億円に上がっていますけれども、これも団体等との協議中でございまして、順次更なる支払がなされるように今進めているところでございます。  先ほど鹿野大臣からもお話ありましたけれども、原子力の賠償支援機構法、昨日成立いたしましたので、いよいよ被害者救済に本交渉、本賠償で入っていくということを進めたいということで、今手続を進めておるところでございます。
  147. 紙智子

    ○紙智子君 今、団体を通じてのものについては払い始められているということなんですけれども、これ農協などに入っていない個人の分はどうなっているでしょうか。
  148. 松下忠洋

    ○副大臣(松下忠洋君) 個人のものも多数受け付けられております。というのは、福島県の場合、これは山田委員もいらっしゃいますけれども、あの地域、二十キロ圏内の農協団体の人たちも一斉に避難されておられたりしまして、なかなかうまく機能できないような状態になっておりまして、そこの構築も大事なことなんですけれども、個人の受付もしっかりいただきながら、それも進めていくということでございます。
  149. 紙智子

    ○紙智子君 それはちょっと実態と認識違うと思いますよ。個人の方は請求書も受け取ってもらえていないんですよ。風評被害のやつは受け取ってもらえていないと言っているんです。それで、請求書をどういうふうな形で出すかという、実害のやつはこういう文書出ていますけれども、これすらもないんですよ。だから、出したくても受け取ってもらえないというのが個人の方から出されている声なんで、これちょっと再度そこのところを確認していただけますか。確認して、やっていただきたいということで、一言でいいです、御返事いただきたい。
  150. 松下忠洋

    ○副大臣(松下忠洋君) 出荷制限も含めて、一緒にきちっと対応してまいります。
  151. 紙智子

    ○紙智子君 東京電力は、立証責任は被害者という立場なんですけれども、住民に風評被害を立証させようというのは非常に厳しい話なわけです。それで、深刻な放射能汚染の被害をつくった責任というのはそもそも東電にあるわけですから、真摯にやっぱり賠償にこたえていく姿勢を示すべきだと思います。そして、風評被害も直ちに個人も含めて支払うように指導していただきたい。  それで、そのことについてで言えば、やっぱり非常に複雑な、どういうふうに請求をするかという話になっちゃうわけですから、やっぱりもっと簡単に、我が党としてはもう最初から提起しているんですけれども、全面賠償すべきであって、そして、事故がなかった場合には通常ではこれだけ入っていたやつが事故によってこういうふうに減ったということで、その差を賠償するという形にしてやるべきじゃないかと、これが一番簡単だし分かりやすいんじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。
  152. 松下忠洋

    ○副大臣(松下忠洋君) 実際にやっている人たちにいろいろ工夫するように指示いたします。それでまた、時間掛からないように、あるいは手続が複雑で頭が痛くならないように、その辺工夫させたいと思っています。
  153. 紙智子

    ○紙智子君 さらに、被害者に苦しみを上乗せしている事態というのがあるんですよ。これちょっと具体的な話なんですけれども、キノコの農家の話なんです。  原発事故で風評被害を受けて収入が減ったキノコ農家に対して東京電力が、電気料金を滞納しているからということで送電を停止するという通告をやっているんです。それで、キノコ農家の方は、この原発事故の後、取引先から放射能汚染の可能性があるから取引できないといって入荷を断られたと。市場からは、買手が付かないから持ってきても値が付けられないといって断られたと。収入がそのことによって激減をしたわけです。それで、電気料金を払いたいと思っていたけれどもできなくなったというのは、これは事故のせいですよね、東電の起こした事故のせいなわけです。しかも、通告書が出されているんですけれども、通告書には、供給停止によりいかなる損害が生じても当社は一切の責任を負いかねますと、こういう免責も強調して書いてあるわけですよね。ちょっとこれはひどいんじゃないかというふうに思うわけです。  それで、常にキノコというのは十八度ぐらいで、施設の中でずっとその温度を保たなきゃいけないから、電気が切れちゃうっていうことは、もう腐っちゃいますからね、できないわけですよ。そういうことになっているわけです。原発事故被害を与えた東電の側は生産に欠かせない電気を停止するというふうに、言わば本当に意地悪いというか、こういうことをやるということは本当に許されないというふうに思うんですけれども大臣、これについて今の話の範囲になるけれども、感想をちょっとお願いしたいと思います。
  154. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今の紙先生からのお話を受けまして、感想ということでございますけれども、いわゆるこの原子力の事故によって経営なりにも大変な影響を及ぼしている、そしてまた、これからの生活にも大変不安な気持ちになっておられるということは大変お気の毒なことだなと、何らかの形で御支援することができることがあればなと、こんな率直な思いでございます。
  155. 紙智子

    ○紙智子君 私は、本当に加害者の側がこういう形で、払わないのなら電気切るぞと言うのは本当に血も涙もないというふうに思うわけです。被害を受けた農家から訴えがあったら、送電の停止という通告じゃなくて、やっぱり親身になって相談に乗ってやるというのが本来責任ある企業の姿だと思うんですね。  東京電力は、今回の事故対応として電気料金等の特別措置というのを発表しています。例えば、料金を、払いを先送りするとか延期するというようなことを、柔軟な対応を取るという特別措置をとって発表しているんですけれども、その対象というのは、災害救助法が適用された地域及び隣接地域で被災して申入れがあったところに適用するというものなんですね。だから、この人のように風評被害ということで収入が減ったというのは入っていないということになるわけです。  やっぱり電気料を支払おうにも風評被害でもって収入がなくなって払えないというわけですから、これは本当に送電停止を一方的に通告するんじゃなくて特別の対策を取るように、これは経済産業省としても東電に対して指導すべきではないでしょうか。
  156. 松下忠洋

    ○副大臣(松下忠洋君) 平常時ではなく、はっきりと原因が何かというのはこれは特定されているわけですから、これはしっかりと対応していきたいと考えています。  供給する電力会社と、それから電力を供給される一般家庭あるいは農業従事者との間に供給約款というのがあるのは承知していますけれども、それはそれとして、とにかく個々それぞれに、やっぱり事情がはっきりしているし原因もはっきりしているのであれば、これはよく相談して個別に対応していくのが正しいと、そのように指導してまいります。
  157. 紙智子

    ○紙智子君 キノコを父親の代から受け継いで一生懸命作ってやってこられたわけですよね。それが今本当に停止しなきゃいけないような危機に立たされていて、そういうときに本当に励ましていく、激励していく、逆にですね、そういう対応が必要なのであって、やっぱりこの間、国会で東電の社長さんも直接お見えになって、そして、申し訳なかったと頭を深々と下げて謝罪はされるんだけれども、しかしその一方で、現場ではこういうことがやられているというのは本当に矛盾することだと思うんですよ。  やっぱりこういう事態がなくなるようにするためにも、国の経済産業省としてもきちっとした、確固とした対応を取っていただきたいということを最後に強く申し上げまして、最後もう一言答弁をいただいて、質問にしたいと思います。
  158. 松下忠洋

    ○副大臣(松下忠洋君) しっかり指導して対応してまいります。ありがとうございました。
  159. 主濱了

    委員長(主濱了君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  160. 主濱了

    委員長(主濱了君) 有明海及び八代海再生するための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  提出衆議院農林水産委員長山田正彦君から趣旨説明を聴取いたします。山田衆議院農林水産委員長
  161. 山田正彦

    衆議院議員山田正彦君) ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。  有明海及び八代海再生するための特別措置に関する法律は、国民にとって貴重な自然環境及び水産資源の宝庫である有明海及び八代海を豊かな海として再生することを目的として、平成十四年十一月、議員立法により制定されたものであります。  同法に基づき、国及び関係県の協力の下、有明海及び八代海海域環境の保全及び改善並びに当該海域における水産資源回復等による漁業の振興のための施策が講じられてきたところであり、有明海における近年のノリ養殖の生産状況は、平成十一年度以前と同等以上にまで回復しております。  しかしながら、依然として、赤潮貧酸素水塊発生が見られるなど、海域環境の悪化が危惧されており、特に、近年は大規模な赤潮発生し、有明海及び八代海のほか、これらに隣接する海面の海域においても、大きな被害発生し、地域経済に大きな打撃を与えております。  本案は、こうした状況を踏まえ、有明海及び八代海等の再生対策の一層の充実強化を図ろうとするものであり、その主な内容は次のとおりであります。  まず、第一に、近年の赤潮被害発生状況を踏まえ、この法律の対象となる海域に、橘湾及び熊本県天草市牛深町周辺の海域を加えることとしております。  第二に、特定の漁港漁場整備事業に対する国庫補助の補助率かさ上げ措置について、平成二十三年度までとあるのを十年間延長し、平成三十年度までとすることとしております。  第三に、赤潮被害等を受けた漁業者等に対する支援・救済について、昨年の赤潮発生時にとられた措置を踏まえて施策の内容を明示する等、規定を充実させることとしております。  第四に、国及び関係県による調査事項について、有明海及び八代海等の海域に流入する河川の流域における森林と当該海域環境との関係に関する調査を加えることとしております。  第五に、法律の施行後五年以内に行うものとされた見直しに際して評価を行うこととされた有明海八代海総合調査評価委員会所掌事務について見直しを行い、国及び関係県が行う総合的な調査の結果に基づいて有明海及び八代海等の再生に係る評価を行うことができることとするとともに、委員会は、その所掌事務を遂行するために必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の表明等必要な協力を求めることができることとしております。  なお、この法律は、公布の日から施行することとするとともに、有明海及び八代海等の海域に隣接する海域において、新たに有明海又は八代海海域環境に起因する赤潮等による漁業被害発生した場合には、新法に規定する施策に係る海域の範囲について速やかに見直しを行い、この見直しが行われるまでの間、当該赤潮等による漁業被害に関し、新法の規定により講ぜられる措置と同様の措置を講ずるよう努めるものとする規定を設けております。  以上が本案の趣旨及び主な内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  162. 主濱了

    委員長(主濱了君) 提出者に申し上げます。  ただいまの主な内容の第二につきまして、若干不明瞭なところがありましたので、そこのところもう一回御説明をいただきます。
  163. 山田正彦

    衆議院議員山田正彦君) 失礼いたしました。  平成三十年度と言ってしまいましたが、平成三十三年度までと訂正いたします。
  164. 主濱了

    委員長(主濱了君) 以上で本案の趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。──別に御発言もないようですから、これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  有明海及び八代海再生するための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  165. 主濱了

    委員長(主濱了君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  166. 主濱了

    委員長(主濱了君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  167. 主濱了

    委員長(主濱了君) 農林水産に関する調査を議題といたします。  福岡君から発言を求められておりますので、これを許します。福岡資麿君。
  168. 福岡資麿

    福岡資麿君 私は、民主党・新緑風会、自由民主党、公明党及びみんなの党の各派共同提案による原発事故による牛肉からの放射性セシウム検出に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     原発事故による牛肉からの放射性セシウム検出に関する決議(案)   東京電力株式会社の原発事故により汚染された稲わらが原因で牛肉から暫定規制値を超える放射性セシウム検出されている件については、地域的な拡大とともに消費者の食の安心を揺るがす一方、風評被害による枝肉価格の暴落、出荷制限や出荷自粛、牛肉消費の減退等の影響により、肉用牛農家が計り知れない経済的損失と精神的苦痛を被っていることはもちろんのこと、食肉流通業、外食産業等にまで大きな影響を及ぼしている。   他方、畜産業者等の損害賠償請求に対する東京電力株式会社の仮払いは遅滞し、支払額も少額に留まり、本払いの見通しも立っておらず、被害者の早期救済に向けた目途が全く立っていない状況にある。   このような事情の下で、食の安全・安心を確保するとともに、畜産業に携わる方々が安心して経営できる環境を整えるため、政府は、稲わら等の利用制限についての周知徹底が十分でなかったことにより被害が拡大したことを重く受けとめ、また、様々な影響が生じていることにかんがみ、次の事項の実現に万全を期すべきである。  一 消費者の信頼回復に向けた安全管理体制を確立するため、汚染された牛肉を出荷した県については、国の主導により速やかに全頭検査を行い、安全証明書を発行すること。その際、検査基準を明示するとともに、検査機器や検査要員の確保、検査費用等について国による財政支援を行うこと。  二 今回の原発事故により被害を受けた生産者、流通業者等の早期救済を図るため、出荷制限以外の牛肉で市場価格の下落等により被害を受けた生産者、流通業者等への被害の賠償につき、適切に指針に位置付けるよう原子力損害賠償紛争審査会に働きかけ、早期の仮払いが実現され、全損害額の賠償が早急かつ適切になされるようにすること。  三 二による賠償の支払いに当たっては、平成二十三年原子力事故による被害に係る緊急措置に関する法律及び原子力損害賠償支援機構法に基づき、速やかに仮払いを行うこと。  四 三に加え、牛肉から暫定規制値を超える放射性セシウム検出されている件については、先般農林水産省が公表した緊急対策を国による主体的な取組としてさらに充実・強化し、農家等に対して早急に立替払いをすること。特に、出荷遅延対策として立替払いの増額など肉用牛農家等に対する経営支援の一層の充実や、汚染された稲わらを給与された牛の肉については、すべて国の責任によって、市場から隔離すること、加えて、出荷制限の指示が出された県については、出荷適期にある肉用牛についても農家の意向を踏まえ全頭を買い上げること等買上対象の範囲の拡大を図ること。    さらに、汚染された牛肉を出荷したすべての県については、肉用牛肥育経営安定特別対策事業(新マルキン)の運用改善を適用するとともに、平成十三年のBSE発生時に講じた「BSEマルキン」を参考に、物財費をすべてまかなうことを前提として、生産者の負担を求めず、毎月補てん金を支払うこと。また、出荷制限・出荷自粛について、解除のルールを明確にすること。  五 「稲わら等の緊急供給支援対策」では、稲わらについて、当面の必要数量と供給可能数量及び供給方法を早急に明示し、農家の不安の解消に努めるとともに、今後生産される稲わら等の自給粗飼料について放射性物質の検査を実施し、安全性の確認と万全の流通対策を行うこと。  六 政府は、早急に実態調査を行った上で、金融機関に対して、再度、資金の円滑な融通、既貸付金償還猶予について強く要請を行うとともに、飼料メーカーに対する飼料代の支払い猶予のさらなる要請に加え、その経営に支障を来たさないよう、対策を講じること。    また、汚染された牛肉を出荷した県や農協等が、独自に生産者や関連産業に融資を行った場合、国は支援を行うこと。  七 農地土壌の汚染拡大を防止し、食品衛生上問題がない農産物の生産を確保するため、早急に堆肥等の放射性セシウムの基準を設定するとともに、基準を超えるものの取扱いについて、政府全体としての方針を明確にすること。  八 汚染牛肉については、市場隔離を徹底するとともに、早急に処理方法について検討し実行すること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  169. 主濱了

    委員長(主濱了君) ただいまの福岡提出の決議案の採決を行います。  本決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  170. 主濱了

    委員長(主濱了君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、鹿野農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。鹿野農林水産大臣
  171. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨に従いまして、牛肉から暫定規制値を超える放射性セシウム検出されていることによる影響等を踏まえつつ、十分検討してまいる所存でございます。
  172. 主濱了

    委員長(主濱了君) 本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十二分散会