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2011-05-19 第177回国会 参議院 農林水産委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十三年五月十九日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         主濱  了君     理 事                 岩本  司君                 大河原雅子君                 山田 俊男君     委 員                 一川 保夫君                 金子 恵美君                 郡司  彰君                 外山  斎君                 徳永 エリ君                 松浦 大悟君                 青木 一彦君                 加治屋義人君                 鶴保 庸介君                 長谷川 岳君                 福岡 資麿君                 横山 信一君                 渡辺 孝男君                 柴田  巧君                 紙  智子君    国務大臣        農林水産大臣   鹿野 道彦君    副大臣        内閣府副大臣   平野 達男君        農林水産大臣  篠原  孝君        経済産業大臣  松下 忠洋君    大臣政務官        文部科学大臣政        務官       林 久美子君        農林水産大臣政        務官       吉田 公一君    事務局側        常任委員会専門        員        稲熊 利和君    政府参考人        厚生労働省職業        安定局次長    黒羽 亮輔君        水産庁長官    佐藤 正典君        経済産業大臣官        房審議官     櫻田 道夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (東日本大震災による農林水産関係被害復興  対策に関する件)  (諸外国による日本産食品の輸入制限措置に関  する件)  (TPP(環太平洋連携協定)交渉に関する件  )  (農業水利に関する件)  (木質バイオマス政策に関する件)     ─────────────
  2. 主濱了

    委員長(主濱了君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、水産庁長官佐藤正典君外二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 主濱了

    委員長(主濱了君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 主濱了

    委員長(主濱了君) 農林水産に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 大河原雅子

    大河原雅子君 おはようございます。民主党大河原雅子でございます。  政権交代をした後、この農林水産委員会質問をさせていただく機会が余りありませんでした。今日、一般調査ということなので、日ごろから私がテーマにしております水という切り口で伺っていきたいと思っております。  私は、都議会時代から消費者運動にもかかわりながら活動してまいりまして、もちろん水は命の源ですが、安全、安心な食べ物というのはまさしくその豊かな水から作られる、おいしいお米も野菜も果物も魚も肉も。やはり安心で安全でという、この生命に欠くべからざる水ですけれども、その上にも増して、水の重要性というのは農林水産分野でこそ自覚されなければいけないし、大切にもされてきたというふうに思っております。  また一方で、私は自分の、人間の体自身がもう究極の環境だと思っております。人の健康にかかわる問題という形でも水や食べ物の問題は非常に大きくて、私は東京選出議員ですので、生産現場の微に入り細に入りという、そうした農業政策についてはなかなか知識も持ち合わせません。しかし、都市に暮らす住民からは、逆に水道水がどこから来るのか、水道水蛇口をひねれば出てくる、その水道蛇口向こう側にやっぱり思いをはせることができる住民を増やしたいということで、水を手元から汚さない暮らしということでは石けん運動やら、あるいは足下の地下水を守る運動、こういうことをしてまいりました。  東京でも多摩地域では、実は地下水日量で三十八万トンくみ上げ使っております。東京都はこれを水道水源として認めておりませんで、まあ隠し財産のようなものですね、中型ダム一個分です。東京の中には昭島市という、小さい自治体ですが、地下水水道水一〇〇%賄っていると、こういう自治体まであるわけです。  ですから、水というものについて、この委員会委員皆様も御出身それぞれでございますので様々な思いをお持ちかと思いますが、そういう意味でも、農林水産分野こそこの水がなくてはどうにもならない、そして水の番人ということにもなろうかと思う私の問題意識、まず御理解をいただければうれしゅうございます。  それで、日本の水の需要の実は三分の二が農業用水でございます。ですから、ダム問題にかかわるときも、もちろん洪水対策の治水、それから飲料用工業用農業用、こういったところで、利水というところで大変問題になります。  まず、農政において、これまで農業用水に関する開発目標、そしてこれまでの実績について伺わさせてください。
  6. 吉田公一

    大臣政務官吉田公一君) 大河原委員に御答弁申し上げます。  大河原議員都議会で水について大変関心を持っておられるということは、私も都会議員をやりましたのでよく存じ上げております。  平成十九年の実績によるわけでございますが、年間約五百四十六億トンということでございまして、ウォータープラン21におきます農業用水推計需要量年間六百三十二億トンとなっております。
  7. 大河原雅子

    大河原雅子君 吉田政務官、ありがとうございます。  日本水資源白書というものを見ますと、二十一年度に完成した都市用水又は農業用水開発目的とするダム、こういうダムなどの水源開発施設は、二十一年度完成分全国で十施設、多目的が四つ、利水専用が六つ。開発水量総体では、農業用水では四千百万立米という開発量でした。そして、平成二十二年の四月時点で都市用水又は農業用水開発目的ダム本体工事に掛かっている、そういうダム全国でまだ四十二施設ございます。計画開発量年間で十五億トン、そして都市用水が七億、農業用水では八億トン、年間量、こういう開発目標をまだ持っているわけでございます。  農業用水は取っ付きにくいといいますか、その中身がなかなか一般市民には分かりにくうございます。それは、農業用水を伝統的に、非常に農業に必要ということで水争いまで起こるような伝統的な水の管理、仕組みが整っていて、なかなか水を増やしたり減らしたりというようなことができないというようなことがあると思います。  農業分野農業水利施設へ非常に大きなお金が掛かっている掛かっていると言われておりますが、どのぐらいのこれまで施設について投資をしてきたのか、累計と今年度の予算額も伺っておきたいと思います。
  8. 吉田公一

    大臣政務官吉田公一君) 我が国の農業水利施設は、基幹的水系だけでも四万九千キロと言われております。末端まで含めますと何と四十万キロということでございまして、ダム用排水路揚水機排水機等の点的な基幹的施設が約七千か所でございます。  これら農業水利施設ストック資産価格は今どのぐらいの費用が掛かっているかという大河原議員の御質問でございますが、建設費ベースで今まで二十五兆円のお金が掛かっております。平成二十三年度の農業水利施設整備に関する予算としましては約千百三十四億円を計上しているところでございます。
  9. 大河原雅子

    大河原雅子君 農業生産の向上や食料供給力の確保という意味で、良好な農業用水それから営農条件を備えた農地というのはどれほど大事かというのは私も分かります。それを確保していくことが必要であり、そこにお金を掛けなきゃならないということも理解をいたします。  しかし、余りにも技術を追ってそこに過重な投資をしてきた、それからまた自然を損なうような、共生と相反するようなそのような整備がされてきたんじゃないかという思いも実は一方でちょっと持っているわけです。  私は、昨年の食料農業農村基本計画の中に都市農業の振興というものを入れていただきましたが、東京農業者皆さんと話すときには、自分たちがやっている農業はあの大規模農業とは違うから、大きなかんがい施設もないし排水施設もないし、そういうところで地道にやってきたんだという思いで語られることが多いわけでございます。  今年の予算説明を受けたときにも、ただいま政務官から御紹介のありましたストックのことについても、既に耐用年数を超過した基幹的水利施設、再建設ベースで三・一兆円というふうにも伺っております。つまり、老朽化したものをこれからどうやって補修、維持していくのかということにお金がどんどん掛かり始めるということもまた事実だろうと思うんですね。既に耐用年数を超過した施設、それからこの十年以内に超過するものを含めると、全体でこれが三割になると。再建設ベースで五・六兆円というふうに伺いました。  被災地状況を見ますと、被災していない段階だと青い田んぼがどおっと広がっていてすばらしい景観だったわけですけれども、実はそれが被災してみて、そこに張り巡らされているパイプですとかあるいは壊れてしまった排水路ですとか、そういうものをやっぱり私たちは今確認をする中で、その地域をどうやって再生をしていくのか、そしてこれまでの豊かな生産というものがそういうものに支えられていた、そのバランスがこれから大事になってくるんじゃないかというふうに思います。  区画整理整備済み水田も百五十五万ヘクタールあって、そのうちの三割、四十九万ヘクタールは排水が良好でないということも報告をされておりますよね。こういうところに、じゃ、これから先、今までと同じような用排水施設を造っていくのか、その費用対効果はどうなのかというようなことも、やはりこれまでとは違って、もう少し情報公開を多くの方にしていただきたいなと。それこそ消費者にも分かるような、そういう情報公開が必要かというふうに思います。  多額な投資を行ってきたというふうに私は申し上げますが、どのような評価農水省自身がしているのか、また反省すべき点はないのか、この点はいかがでしょうか。
  10. 篠原孝

    ○副大臣篠原孝君) 大河原委員指摘のとおりでございまして、我々多大な投資をしてまいりました。それには理由がありまして、農地、ちゃんと働いてもらうためには水利施設が不可欠でございます。水田のことを考えていただくとお分かりいただけると思いますけれども取水口が大事でございます。それから、農業用水路、ちゃんとつながっていないと水が来ません。ですから、万全の体制を整えなければいけないということで、一見無駄なように見えますけれども、全部つなげていないと役に立ちません。  今、問題が生じております。今、老朽化の問題、御指摘いただきました。仙台平野、相当被害を受けておりますけれども、どういうところが被害を受けているかというと、やっぱりそろそろ耐用年数が来るのではないかというようなところが大変な状態になっております。適当なところで更新していかなければいけないんじゃないかと我々は考えております。それに多大な投資がまた必要だということも十分承知しております。  それから、大規模化、高度化してまいりまして、典型的な例では霞ケ浦でございますけれども、非常に大きな施設になりまして、二万ヘクタールが影響を受けると。その水路一つ崩れても、一挙に二万ヘクタールの水田が作付けできなくなったりするおそれがあるわけです。こういった問題も生じてまいりました。  ですから、我々は、こういった今の問題を踏まえまして、食料農業農村基本計画におきましてはリスク評価をちゃんとし、施設ライフサイクルコストを低減していかなければならない、監視し評価し診断し、補修し、更新していくというのを的確にやっていくと、新たな保全管理方針というのを埋め込んであります。  特に、最近の農政で大事になってきているのは水田汎用化ではないかと思います。農業者戸別所得補償で、水田に麦や大豆を作っていただかなければならないということで排水対策をきちんとしなければならないと。ところが、三分の一近くが排水が不良で、麦、大豆をきちんと作れないと。これでは農業者戸別所得補償は進みませんし、米余りが続いてしまうということで、こういったことはもう承知しておりますので今後は排水対策相当力を入れていこうと思っております。  それから、無駄をしてきたのではないかということを御指摘いただいております。まず典型的な例で申し上げますと、農業用ダム、たくさん造ってまいりました。しかし、もう今後着手する国営事業においては島嶼部、沖縄の方の島嶼部を除きましてはダム建設が行わないようにしようということ等も計画の中にきちんと位置付けておりまして、無駄なところは省き、無駄とは言えないんですけれども、もっと必要なところを重点的に投資していくというふうに変えていくつもりでございます。
  11. 大河原雅子

    大河原雅子君 篠原大臣から御丁寧に御説明をいただいたので、私もそのことは十分理解をいたします。  しかし、もうちょっと言わせていただくと、やはり伝統的な用排水システムから技術に頼った排水に重点を置き過ぎているんじゃないかなと。その土地その土地の特徴に合わせた作物を作る、あるいは乾燥に強いものとか塩害に強いものを作る、そういう技術革新にもっと逆にお金を使ってその地域に合わせたより良いものを開発するという、そういう発想もやはりもう少し強く出していただけないものかなというふうに思うんです。  暗渠化されたパイプで地表から水の流れが見えなくなる。やっぱり水って人の目に付かなくなると駄目になります。流れが止まると駄目になります。ですから、そういう意味でもやはりこれから先、集中して大規模なものを、一か所どこか壊れてしまうと使えなくなるというよりは、どこか切れても使えるような、今回の場合は津波本当に一挙に大規模に壊れましたからそういうことがなかなかできないとは思いますけれども、やはり発想の転換ということも考えていただきたいなと。その多極化というんですかね、分極化といいますか、そういった形でも私はもっと考えどころがあるんじゃないかと。  先ほど、水路は四十万キロ、地球十周分ですね。そういう場所ですから、スマートグリッドやそういう新しいエネルギー源を得る場所、それぞれの分散化したところで用排水ができるようなことも考えられるんじゃないかというふうに思います。  時間がもう余りなくなってきておりますけれども、私ども民主党は、そういう意味では食と農から日本を再生するということを掲げて政権を取らせていただいた。ですから、この農林水産分野復興、強化というものは私たちがもう最優先でやっていこうと志したものでございます。  鹿野農水大臣は二十年前にも大臣を経験されて、二度目の御就任でございます。社会経済環境が激変をする中で、今、国難にもう直面をしているわけですけれども、この農水分野での、農林水産分野での水問題については私はまだまだ変わり切っていないなという思いがいたしまして、実はダム問題も、山に木を植えている反面、ダムを造ることによって山を切り崩し、あるいは長年耕してきた田んぼや畑を水没させ、集落も水没させ、川をせき止めて水の流れ、水質も悪化させ、砂も海へ流れていかないようになって海岸が細ってしまう、こういう大きな水を分断している、そこになかなか農水省としての姿勢が見えてきていないんじゃないかという思いを強く持っております。  農林水産分野でこの水問題、言わば水の分断というふうに申し上げますけれども水循環分断など様々な影響を及ぼしているという認識は、大臣、おありでしょうか。
  12. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今先生から御指摘をいただきました、頭首工等のいわゆる河川横断構造物というふうなものについてのいろいろ懸念ということも含めてお考えも示されたわけでありますけれども、このことが言わば一面、農業用水取水をして、そして農業用水路及び農地を通じて河川に還元するというようなことによって健全な一つ水循環というふうなものの形成がなされておる、そのことによって多面的な機能も発揮されているという面もあるわけであります。  しかし、一方、こういう農業用河川横断構造物について河川生態系というふうなものにも当然これは配慮をしなきゃなりませんから、そういう意味で、いろいろ魚道の新設なりあるいは改修をする際に、更に技術という開発も進めていかなきゃならないというふうなところもあるわけでございまして、今先生の言われた森林から河川、そして農地農業用水、そして海というふうな一つ流れというものを一体的にとらえて、今後、健全なる水循環というふうなものを、これを築いていくというふうなことは非常に重要なことではないかと、こんなふうに考えておるところでございます。
  13. 大河原雅子

    大河原雅子君 大臣、ありがとうございました。農業生産基盤整備、これを私はエコな視点で見直していただきたいというふうに思います。  主濱委員長の御出身岩手県あるいは青森県には、ふるさとの森と川と海の保全及び創造に関する条例というものがありまして、流域計画を作る、それを貫き通すのが水の循環という軸でございます。是非、今お答えをいただいた国の政策の中に、農業方針の中にそういった視点を必ず入れていただきますようお訴えをいたしまして、質問を終わらせていただきます。
  14. 青木一彦

    青木一彦君 自民党の青木一彦でございます。  だんだん暖かい季節を迎えてまいりましたが、被災地皆様方、これからが大変な季節になると思います。被災されました皆様方にお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復旧に向けて心から復旧を祈念いたしまして質問を始めたいと思います。  まず初めに、震災から二か月ほどたちました。現時点での、これ漁港に限ってでございますが、漁港被害状況についてお答えいただきたいと思います。
  15. 佐藤正典

    政府参考人佐藤正典君) 御説明を申し上げます。  今回の東日本大震災は、過去にない大きな規模地震及び津波によりまして、東北地方太平洋岸を中心に広範な地域におきまして漁港に甚大な被害を及ぼしているところでございます。これまでに判明いたしました漁港被害については、北海道から千葉県にかけまして発生しており、三百十九の漁港被災をし、被害額は約六千四百億円となっているところでございます。このうち、被害額が甚大であります岩手宮城福島の三県につきましては、二百六十の漁港被災いたしまして、被害額は約五千九百億円となっているところでございます。
  16. 青木一彦

    青木一彦君 ありがとうございました。  今、一次補正が五月二日に成立いたしました。そして、現在、復旧作業中だというふうに伺っておりますが、これ、先ほどお話だと大体漁港先ほど三県、一番甚大な被害の三県の中で五千九百億掛かるというふうに伺いました。これ、公共と、あと民間の部分含めましてこれだけの金額なのか、お答えいただきたいと思います。
  17. 佐藤正典

    政府参考人佐藤正典君) 御説明いたしましたのは公共の部分でございます。
  18. 青木一彦

    青木一彦君 これ、金額聞いても本当にかなりの甚大な被害だというふうに私考えておりますが、この規模の大きさ、そしてさっきの漁港の数、二百六十港、三県だけで、全国で三百十九港被害を受けているという、本当に僕はもうびっくりするぐらい大きな、甚大な被害だと思います。  当然、これだけ広範囲にわたって、そしてこれだけの大きさの被害総額が上がっているということで、被災地皆さん、どういうふうに考えられるのか。私、こういうことがいいのか悪いのか分かりませんけれども、やはり優先順位を付けて復旧作業に入られないと、全部ならした形で復旧に入るとなかなか復旧がはかどらないというふうに私は考えておりますが、その辺、水産庁の方ではどのようにお考えなのか、御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  19. 吉田公一

    大臣政務官吉田公一君) お答えいたします。  今般の地震津波によります岩手宮城福島県三県の水産業被害は壊滅的なものでございまして、単なる原状復旧考え方だけでは対応が非常に困難だと思っております。地域水産業早期再開と水産物の安定供給を図るためには、流通の拠点となります中核的な漁港において、瓦れき撤去などの応急対策に加え、災害復旧事業等早期に着手し、漁港機能の回復を図るということが大変重要なことだと思っております。  今後の漁港復興に当たりましては、復興構想会議におけます議論を踏まえつつ、漁業者等の意向を十分に踏まえ、地域水産業の姿を描きながら、災害に強い、生産性の高い新しい水産業漁村づくりを基軸にいたしまして取り組む考えをいたしております。
  20. 青木一彦

    青木一彦君 ありがとうございました。  今の話だと重点的なところ、これいろいろ今も御検討中だと思いますが、どういった意味で重点的なところなのか。例えば被害の大きかったところは後回しにするのか、あるいは被害の少なかったところ、多少被害も大小あると思います。そこら辺、どういう基準でこれから考えていらっしゃるのか。  そして、先ほど復興構想会議、これからいろいろ議論があると思いますが、この中の提案を参考にしながらというふうにおっしゃいました。それで、これ、復興構想会議そのもの法的根拠がある会議じゃございません、あくまでも。こちらに私、縛られる必要はないと思っております。  そういった意味では、水産庁さんの方、そして農水大臣、一緒に知恵を出して是非先に、復興構想会議に対していろんな意見が、考え方があってから、それからどういうふうな形で復興していくのかではなくて、いろんなことをあらかじめ用意されると、私はそれぐらいなことが必要ではないかというふうに考えておりますが、大臣のお考えをよろしくお願いします。
  21. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) まさに青木委員のおっしゃるとおりでございまして、私も何回かにわたりまして直接、被災に遭った漁港、そして地域を見せていただきました。漁業者方々からもお話を伺いました。やっぱり三県それぞれ違うんです。それで、県によっても市町村によっても違うということでございまして、やはりそれは、今、青木委員がおっしゃられたとおりに、歴史的なこともございますし、また規模の大小によっても違いますし、というふうなことで、そういう方々のまず地域におけるところの考え方を大事にすると、こういうふうなことが私ども基本だと思っておりまして、実はもう農林水産省に直ちに、漁業漁港をどう復興復旧させるかというふうなことのチームを設けまして、当然ながらそういうふうな形で、我々として、農林水産省としてどういう形で復旧復興に向けるかというふうなことをもう既に検討を始めておりまして、その考え方復興構想会議にも是非反映してもらうような形で今取り組んでおるところでございます。
  22. 青木一彦

    青木一彦君 大臣、ありがとうございました。非常に大臣の熱意なり感じられまして、もう本当有り難いと思います。  先ほど大臣もおっしゃいましたように、先ほどの話伺っておりましても、本当、三県によって全然漁業の方法も違いますし漁具も違う。極端に言えば漁船の種類も違うというふうに私考えておりまして、一つ一つ漁港でもう全く全てが全部違うと。人でいえば、皆さん、同じ背丈の方もいらっしゃらない、顔も違う、これぐらいな私違いがあるというふうに思っております。  その中で、是非浜の声、実際の漁業者の声というものを、私、吸い上げるそういった機構というものが必要ではないかと思っております。水産庁さんで考えられるだけではなくて、浜の声を直接吸い上げる、そういうようなお考えというものはおありでしょうか、お尋ねいたします。
  23. 吉田公一

    大臣政務官吉田公一君) 青木委員の御指摘のとおり、流通の拠点であります中核的な漁港においてから、瓦れき撤去を始めといたしまして、応急対策に加え、災害復旧事業等早期に着手をいたしまして漁業機能の回復を図ることを重要と考えております。拠点漁港から復旧事業に入っていくということでございます。
  24. 青木一彦

    青木一彦君 私、もう一度申し上げたいのは、実際に従事していらっしゃる人の声、今の時点と、そして二か月後、そして六か月後、まだやっぱり状況が、その月ごとにそれこそ日々変わってくると思います。そういった意味では、是非水産庁さんなりが直接これを聞くことはできないと思います。これ、もし聞くとしたら、市町村単位で聞かれるのか、あるいは県にそういう話聞く機関つくられるのか、その辺もちょっとお尋ねしたいと思います。
  25. 篠原孝

    ○副大臣篠原孝君) 青木委員の御指摘のとおりでございまして、今大臣がお答えになりましたけれども農業も各地域で違います。しかし、水産業漁業のバラエティーに富んだ度合いというのは農業をはるかに超えているのではないかと思います。  青木委員指摘のとおり、三つの県、大きな被害を受けた三つの県、比べてみますと、これはすぐお分かりいただけると思います。岩手県はリアス式の海岸です。それで、漁業といっても沿岸漁業が中心、そして養殖業が中心になります。宮城県は昔から遠洋漁業の基地でございまして、どちらかというと遠洋沖合というふうになります。福島県は非常に海岸も真っ平らでございますし、中間ということになります。一方、宮城県は養殖業もギンザケ等で盛んでございまして、それぞれ態様が違います。これ、我々十分承知しております。  漁業操業状況も違いますし、被害状況も違うということで、先ほど御提案ありました意見を聞く会でございまして、我々はそれをもうやっております。農業ではそういうことをしておりませんけれども、既に五月十三日現在で、ちょっと紹介させていただきますと、八戸に一回、二日間、水産庁から直接、課長クラスを中心に五名ぐらいずつチームを組みまして行っております。岩手県には二回、六日間、宮古、久慈、山田、大船渡。それから宮城県は、石巻、女川、塩竈、亘理、気仙沼、南三陸町、五回、十七日間。福島県は、いわき市、相馬市等で二回で七日間と。大臣はこのうち、大臣自身も、岩手県の山田町と、気仙沼、宮城県は石巻、それから福島県はいわき市、大臣も直接伺われまして話を聞いております。ですから、こういったことを我々事務方ベース、水産庁ベースではきちんと聞いております。  その一方で、復興構想会議があるわけです。あちらの方は、どういった方向に水産業あるいは農業を持っていくのかと、復興全体でございます、そういったプランを作っていただいておりますけれども、我々は現場の声をやっぱり尊重しなくちゃいけないということで地道な努力を重ねているところでございます。  水産庁から直接行っています。これは御存じのことと思いますけれども漁業については仙台に漁業調整事務所がありますけれども農政局のような機関が漁業についてはございませんので、水産庁本庁から直接行って聞いております。ですから、そういう意味では直接声が本省に着きやすい形にはなっているのではないかと思います。
  26. 青木一彦

    青木一彦君 それで、例えば私が今認識いたしておりますのは、岩手にはまだ漁業組合というものがかなりの数残っております。これは、被害大きいところ小さいところあると思います。そして、宮城はもう漁業組合というものが県で一つにされたというふうに伺っております。そういった意味では、例えば漁業組合の組合長というのはいわゆる漁師さんの中の、漁業従事者の中のボスみたいな、まあ言葉は悪いですけど、そういう方、御本人そのものも漁業をやっていらっしゃって、いわゆるそういう漁村のボスという形の方が漁業組合長になっていらっしゃるケースが、私、多いように考えておりまして、私も漁村で育ちましたが、大体私の地元の島根でもそういうケースが多うございます。  そういった意味では、漁業協同組合というものもひとつ利用して、そこからも意見を吸い上げる。直接行かれるのもいいですが、その方が行かれる手間暇、そういうことを考えればいろんな意味で私は便利になると思いますし、これからの復旧そして復興にもいろんな意味で利点がたくさんあると思いますので、その辺も是非考えいただきますようにお願いをいたします。  そして、今、復興構想会議先ほどから盛んに出ておりますが、この中で宮城県知事さんが漁業特区あるいは漁業の国営化というお話をなさったように伺っておりますが、この辺の話、具体的にどのようになっているか、どのように認識していらっしゃるか、お尋ねいたしたいと思います。
  27. 篠原孝

    ○副大臣篠原孝君) 特区構想についてお答えいたします。  我々も承知しております。宮城県知事が、養殖業や定置網漁業等、沿岸漁業について、民間の資本の流入ということでやっていったらいいんじゃないかということで、ちょっと内容は細かくは承知しておりませんけど、二枚紙のペーパー、我々は熟読させていただいております。  この件についてでございますけれども、現行漁業法上も既に株式会社や外部の民間資本が沿岸漁業に参入することは認められております。  現に二つの方法で民間の参入は行われています。一つは、地元漁協と調整いたしまして外部企業が漁業権を直接取得して養殖業をやり出すということでございまして、主として残念ながら西日本で盛んでございまして、一番はマグロ、二番目はブリ、カンパチ、こういったものについて養殖業、既に大手の企業が参入しております。二つ目は、漁協の組合員というふうになる形で外部企業が養殖業に参入するということで、こういう事例も多く見られます。  宮城県の例でちょっと見てみますと、定置網ですけれども、八十二ほど認められているんですが、五つは完全な株式会社、有限会社でございます。漁協と一緒に手を組んでやっているようなのは八つほどありまして、こういった意味では、こういう言い方は的を射ているかどうか分かりませんけれども農業についても同じようなことをよく指摘されるわけですけれども漁業は元々大企業が遠洋漁業等に参入しておりましたし、そういったことについてはもう進んでいるんじゃないかと、農業よりも進んでいると思います。  今後は、知事さんは復興構想会議のメンバーになっておられて、今後のこの議論の行く末を見なけりゃなりませんけれども、そちらの方はそちらの方で議論をしていただきますけれども、我々は地元の皆さんの意向というのを尊重して、地元の皆さんがやるぞという形でもって復興していただくのが一番いいと思いますので、今我々ができることは、地元の声を主として聞きまして、それを復興に結び付けてまいりたいと思っております。もちろん、復興会議意見も尊重しますし、知事の意見も尊重してまいりたいと思っております。
  28. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今、青木委員からの後段の件で、いわゆる宮城県知事の漁業の国営化というふうなものについてどうとらえているかということでありますけれども、私自身もまだ、知事さんがどういう基本的な考え方で申されているかということもまだ定かに承知している状況でないんでございますけれども先生が御案内のとおりに、今まで水産庁としても、もうかる漁業創設支援事業というふうなものをやってきました。これは三年間国が支援するということですから、実質的には、まあ国営化というわけではないですけれども、それ以上に、考え方とすれば、そういう国営化方式とも言えるようなことは、もし考えておられるということならば、そういう事業方式を取り入れていって、そして再生に向けてというふうなことも考えられることではないかなと思っております。  ゆえに、今後、県知事さんなりあるいはまた宮城県がどういうふうに基本的に考えているかというようなことも十分連携を取りながら、また先ほど先生申されたように、漁業組合なりあるいは漁業者考え方というふうなものをどうやってマッチングしていくかということも非常に大事でありますから、当然我々は重大な関心を持って、連携だけはきちっとしていくということで、私からも常にこのことを水産庁長官を始め関係者にも指示しておりまして、これは非常に重要なことだというふうなことを御指摘もいただいておりますので、そのことを踏まえながら今後の復旧復興に向けて取り組んでいきたいと思っております。
  29. 青木一彦

    青木一彦君 ありがとうございます。  先ほど大臣も副大臣もおっしゃっておりますように、三県で漁法、全然違いますよね。当然漁場の形状も違う。それで、今、宮城県のお話が出ました。私もそのとおりだと思います。もうかる漁業創造支援事業、これも使って、あらゆるものを使って、是非、先進的な漁業のモデル、それをつくるぐらいな強い意思というものをやっぱり国の方が示していただきたい。先頭に立って、まあ宮城県知事さんがこういう話をされたわけですが、それに負けないというか、今、現時点で言われる必要はないですが、是非御用意いただいて、そういうものが私は宮城の場合は必要ではないかと。大きい漁港が多うございますので、それこそ六次産業化じゃありませんが、全て、流通まで含めて、漁業、加工業そして流通まで含めての思い切った大胆なものをつくっていただきたいというふうに考えております。  そして、今、宮城の話言いましたが、あと福島福島は今、原発の事故でまだまだ大変だと思います。福島県については、私はやはりまだまだ、漁港復旧して復興する、さあ、じゃ漁師さん、船に乗って出てくださいといった状況にはまだまだ程遠いんではないかと、これ残念ですが、そのように考えております。やはり原発の一日も早い、原発が収まること、これがまず第一条件になるのではないかと思っておりますが。  その中で、福島漁業者、生活していく上でやはり収入が全然ありません。そういった意味では、是非、生活支援というものをしっかりと国の方で打ち出していただきたいと思います。原発がいつになるか分からない、先が見えない中です。私、この中で、直接助成するということも含めて、国の方で直接漁業者に対して助成を行うということもお考えなのか、御意見をちょうだいいたしたいと思います。
  30. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今の先生からのいわゆる漁業者に対する、特に福島県、この原発事故に遭っておられる、大変な被災と同時に苦しんでおられる方々に対する生活支援というふうなことについて国が直接かかわるというふうなことは考えているのかと、こういうふうな御質問でございますけれども、御承知のとおりに、今の段階におきましては、とにかくこの補償について一刻も早く早期支払がなされるようにと、こういうふうなことで今政府としても取り組んでおるわけでございますので、そういう中で、まず東電側から生活支援というものを含めて賠償金が払われるというふうなことに我々も力を入れていくと。  しかし、そのことが今後どういうふうなことになっていくかは、収束に向けて工程表も出しておるところでございますけれども、そういうことが工程表どおりに推移するということを私ども望んでいるところでございますが、今後の状況ということを踏まえて、私どもとして、この農業者なり漁業者方々に対する生活支援というものをどうするかということも、当然のことながら、しかるべきときになれば具体的に国としての考え方も示していかなきゃならないというときも来るかもしれないということを意識して私どもとしては今後取り組んでいきたいと思っております。
  31. 青木一彦

    青木一彦君 ありがとうございました。  それで、私、甚大な被害の三県のうち、あと岩手県。  先般、前衆議院議員鈴木俊一先生、元総理のお父様、鈴木善幸さん、元々岩手県でそれこそ漁業のスペシャリスト、もう漁業のことは一生懸命やっていらっしゃった、親子二代にわたってやっていらっしゃった先生です。私、岩手の現状というものを聞いてまいりました。  岩手県においては、先般のこの農林水産委員会で長谷川岳先生質問された中で、五月十日に質問されました、一次補正で施設の機器等の整備を行う場合の支援が盛り込んであるということでした。これ、製氷機や冷蔵庫なんかを含めてその支援が盛り込んであるというお話でしたが、まだなかなか、今少しずつ漁師さん方が船に乗って漁に出るように岩手でもなりつつあります。まだ港は整備されておりませんが、岩手の場合リアス式のいわゆる海岸で、そして小さい漁港がたくさんあります。そういった意味では、すぐ、大きな護岸がなくても小さい船で出れます。  そういった意味では、もうどんどんどんどん今出ている現状というふうに伺いましたが、しかしまだ製氷機が全然ない、手元に。そうすると、せっかく魚を捕ってきても魚が売れないというんですよ。まだ魚価が普通の半分ぐらいだと。当然です、これは冷やす手段がないわけですので。製氷機もない、冷蔵庫もない。そして、今回の震災で仲買の人がもう地元にいません。そういった意味では、まず一日も早く、一次補正でせっかくお金が付いたんだから、製氷機なり冷蔵庫なり保冷庫なりを一日も早く現場に欲しいということを私におっしゃいました。  このことをなるだけ早く、一次補正せっかく通ったわけですので、やっぱり私、早さが、今回の復旧から復興に向けてこれが一つのポイントになると思っておりますので、あらゆる手段を使ってでも現地に届けてほしい。それを漁業者の方も待っていらっしゃいます。もう出たい、しかし魚は安い、そういう現状では、私、なかなか、これから本当やっていこうという気持ちがどんどんどんどんうせてしまうんじゃないかというふうに危惧をいたしております。  それで、その中でもう一つありましたのは、例えば漁協を中心として、ある程度の期間、会社組織じゃありませんが、サラリーを払っていく、安定した収入というものを。まあ元々岩手の場合は、漁に出て捕ってきた、そうしたら漁業組合に魚を納める、そしてその上がりで生活していたというのが今までの現状、そしてあとは養殖をするその上がりで生活していた。そうではなくて、まだまだこれから復興に時間が掛かるので、漁業組合というものを使ってそこに国なりが助成をする、そしてサラリーを、ある程度毎月決まった収入というものを確保させるために給料を払うと、そういう方法もあるのではないかということを私、御意見をいただきました。そのことに関して何か御意見でもあるか、何かお考えがあるのか、お尋ねいたします。
  32. 篠原孝

    ○副大臣篠原孝君) 青木委員は今、漁業、操業なり養殖のことを、それを念頭に置いておられるのかと思いますけれども、我々は似たようなことを考えておりますので、まずは瓦れきの撤去なんですね、漁港に船が入れるようにと。それから、養殖施設もほとんど壊滅しておりますので撤去しなければならないということで、水産業漁業につきましては、日当一万二千百円でまず瓦れきの、復旧漁業者自ら参加していただくということで収入を得ると、そういった形をつくっております。  その延長線上で、また二次補正等になるのかと思いますけれども漁業を共同でやっていくというようなことも考えてまいりたいと思います。それは、今まで個別にやっていたわけですが、小さな船が全部なくなってしまった、一気に小さな船を全部できないと。そこそこ大きな船で、みんなこの船でもってやってくださいよというような形、考えられるんじゃないかと思います。その場合は漁協で一本化して給料を払うという形、当然考えられるんじゃないかと思っております。
  33. 青木一彦

    青木一彦君 次に、これ何回もいろんな委員会で出ておりますが、被災地の二重債務の問題です。これ、もう本当に大変だと思います。皆さんおっしゃるのは、せめてゼロからのスタートがしたい。当然のことながら、これから生活していく上で、もう債務がある方が改めて新たに船を買わなきゃいけない、いろんなことに、加工業であれば工場を造らなきゃいけない、雇用、雇い入れるのであれば、それでまた給料も払わなきゃいけない、また借金をしなきゃいけないわけです。  金融強化改正法においてもいろんな手当てはしておられますけれども、しかし、できるだけ、これなかなか難しいと思いますが、ゼロに近い形で、やはりこれから頑張っていこうというところをより一層頑張ってもらうための気力なり思いを持っていただくためにも、ゼロに近い形にする方法があれば、何か知恵があると思うんですよ。例えば金融関係で法律改正して、僕は簡単にできるものじゃないとは思いますが、何かしらの知恵があるんじゃないかな。そして、今回、今被災された三県、甚大な一番の被害を受けている三県においては、やはり産業の中では漁業被害というものが一番大きいと私は確信をいたしております。  何としてでもこの二重債務の問題、大臣、どのようにお考えなのか、御意見をいただきたいと思います。
  34. 篠原孝

    ○副大臣篠原孝君) 青木委員の今の御指摘は、漁業が一番大変でしょうけれども農業についても同じ指摘がございます。借金を抱えておられる率は、漁業界の方が設備投資に掛かりますので多いんじゃないかと思います。  元々の借金については、二つ手当てというか、元のものですね、ゼロ、マイナスの部分、マイナスの部分は、まず漁船が被害を受けておると保険金、これは早期支払ができるようにということでございまして、これはもう相当速やかにやっております。それからもう一つは、今まで借りている借金ですね、これについては当然のことですけれども償還猶予、これをしてくれということで、これも実施しております。  過去のものはその二つで手当ていたしまして、今後のことですけれども、それじゃ漁船を新しく造っていこうということでございますけれども一つは、漁協が行います共同利用漁船の建造につきましては、国が三分の一、県が三分の一で、三分の二は国、県から出ることになっております。それから、自ら手当てしなけりゃならない三分の一、それは新規融資でございますけれども日本政策金融公庫資金あるいは漁業近代化資金の貸付金利を、これはこういう事態になっておりますので実質金利ゼロ、そして無担保無保証、これで済むようにしております。ですから、実質的にお金が今手元になくても、復興に向けて漁船を建造して漁を再開するということができるように手当てをしているつもりでございます。  これでも足りないという部分があるかもしれませんけれども、その場合はまた別途考えさせていただきたいと思っております。
  35. 青木一彦

    青木一彦君 ありがとうございました。  それで、今、水産庁と厚労省さんが協力してハローワーク内に農林漁業就職支援コーナーというのをつくって、全国に今の被災地の方の就職先というものをいろんな形でハローワーク通じて募集していらっしゃる。今何か新聞報道によりますと三百人の求人があったというふうに伺っておりますが、この件、現時点でどれぐらい人数が増えているのかお尋ねしたいのと、それと、これ求人されるのはいいですが、これもあくまでも新聞報道ですが、求人元は恒久的にうちへ来て働いてほしい。これは、沖縄から北海道までかなりのところから求人が来ているというふうに聞いております。ほとんどのケースが恒久的に移ってずっと漁師してくださいということなんですよ。これは、恒久的に働くということであれば、いわゆる被災地の方からそこの地に移ってしまってもう戻ってこないというふうになるわけです。これはハローワークで定職探していただいて、漁業する人がまたよその地に行って船乗るということはいいんですけれども、ただし、今過疎化している地域多うございますので、そういった意味ではこのハローワークのどんどんどんどん求人が増えることによって、現地の漁業者というのが逆に減るんじゃないか、やろうという人が、これはもうもろ刃だと思うんですよね。  その辺どのようにお考えなのか、御意見をちょうだいいたしたいと思います。
  36. 黒羽亮輔

    政府参考人(黒羽亮輔君) ハローワークにおけます被災漁業者の求人情報の提供について御説明申し上げます。  今般の震災によりまして被害を受けました漁業従事者の方々が、被災地域の復興までの間、就業機会をどのように確保していくかと、これは重要な問題だと認識しております。このため、雇用に関する総合対策といたしまして、「日本はひとつ」しごとプロジェクトというものを取りまとめまして、この中で、被災地における漁業従事者の方々を含めまして、被災した失業者の雇用の場を創出するために、重点分野雇用創造事業の実施要件の緩和あるいは基金の上積み、こういったものを行いまして、被災自治体、また、NPO等が被災者を雇用して地域復興に携わっていただく取組を進めているところでございます。また、被災地域の復興までの間、他の地域漁業に従事したいという希望もあると承知しております。  就業支援に当たりましては、被災者の方々や地元の意向を十分に踏まえるということは当然でございますけれども被災者の方々被災地以外の地域に就労することを希望する場合には、就労を可能とすることがまた必要であろうと考えております。  そこで、ハローワークでは、水産庁と関係機関との連携によりまして、漁業求人の確保、避難所等の掲示等による情報提供、出張相談等を実施いたしまして、漁業従事者の早期就業を支援することとしております。このような漁業従事者の雇用支援の取組を通じまして、一日も早い被災地復興を支援してまいりたいと考えております。
  37. 青木一彦

    青木一彦君 今御意見いただいて、被災地復興というよりも、全国的に募集掛けますと、その現地から、岩手から沖縄へ行っちゃうともう戻ってこないと思うんですよね。その辺をちょっと考慮した上で、非常にいいことだと思いますが、これは非常に難しい問題だと思いますが、そこまで心配り気配りして、単純に働ければいいんじゃなくて、やはり今、過疎、高齢化というのが地方の課題の一つですので、そこまで気配りしていただいて是非考えいただきますよう、よろしくお願いします。  最後に、私、TPPについてお尋ねいたします。  五月十七日に閣議決定されました政策推進指針の中に、国と国のきずなの強化に向けた戦略という項目がありました。さらに、その中に、震災や原子力災害によって大きな被害を受けている農業者漁業者の心情、国際交渉の進捗、産業空洞化の懸念等に配慮しつつ検討する、TPP協定交渉参加の判断時期については総合的に検討するという文言がありました。  平野副大臣、今日いらしていただいておりますが、ありがとうございます。  これ、玄葉大臣の下でこの閣議決定の文書を作られたというふうに伺っておりますが、この文言を読むと、TPPは、現時点においては、いつ参加するか、参加しないかという判断をするということは何にも明記されておりませんが、これは時期はいつなのか。まあこの文章を読みましたら、総合的に検討する、判断時期については。これ全く分かりませんよね。もう見送ってしまうのか、せっかく平野大臣いらしていただいておりますので、ちょっとお伺いいたしたいと思います。
  38. 平野達男

    ○副大臣(平野達男君) 今回の震災によりまして、御案内のとおり、大変な被害が発生しております。まずは、今回の震災被災者に対しての支援を徹底してやる、それから復旧復興に向けて全力を尽くす、それから、福島の第一原発につきましては残念ながらまだ進行中であります、その収束にも全力を尽くすと、これがまず基本的には政府の基本的なスタンスであろうと思います。  しかし、同時に、そういったことを進めるためにも、日本の経済も大分傷んでおりまして、その日本経済を再生するための再スタートも同時並行的にやるべきではないかということで、政策推進指針というのが先般閣議決定されたというふうに理解をしています。  この中で、国と国とのきずなの強化に向けた戦略というようなことでTPPについての記述も盛り込まれました。TPPにつきましては、御案内のとおり、当初は六月をめどに交渉参加をするかどうかについて決めようじゃないかということで作業をやってきたわけでありますけれども、まずは、先ほど言いましたように、冒頭申しましたように、優先させるものを優先させるということの中で、TPPについてはスケジュールを少し調整しようじゃないかという形でこういう文言になりました。  じゃ、しからばいつかということについてでありますけれども、これにつきましては、関係閣僚、これは鹿野農林水産大臣も入っておられますけれども、関係閣僚間の中での調整、協議によってその取扱いが決まっていくというふうに考えています。
  39. 青木一彦

    青木一彦君 私、この文章を見まして、政策推進指針、まるで何かメモ書きのような文章だったような気がいたしております。もうちょっとしっかり閣議決定されるんだったら書き込んでほしかったかなというふうに考えております。  そして、TPPですが、鹿野大臣にもお伺いいたしたいと思いますが、私が伺っている限りにおいては、外務省さんもそして経産省さんもやはり進めなきゃいけない、どんどん進めなきゃいけないというふうに伺っておりますが、鹿野大臣が体を張って、いや、こういうことじゃ駄目だよと、今三県大変なんだからというふうに伺っております。  その辺、鹿野大臣の今のTPPに対してのお気持ち、その辺を是非この場で皆さん方に、委員の方皆さん方いらっしゃいます。我々、この委員の方皆さん方、TPPに関しては、それは時期尚早だ、何としてでも反対してほしいという気持ちが多いと私は確信をいたしておりますので、大臣是非今のお気持ちというものを、この場で御意見をよろしくお願いいたします。
  40. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) TPPに交渉参加するかの判断というふうなものにつきましては、今、平野副大臣から基本的な考え方について答弁されたわけでありますけれども、私は、前の農林水産委員会におきましても申し上げたところでございますが、これだけの大震災というふうなことを踏まえたときに農林水産省としてまず何をやるべきかということになりましたらば、これはもう農林水産省ということだけではなしに政府としてというふうなことだという私自身は認識をしておりますけれども、これはやはり被災地復旧復興そして原発事故の収束ということにもうあらゆるエネルギーを費やして、そのことにおける対策を最優先すべきであると、こういうふうな私自身は認識に立っておるところでございます。
  41. 青木一彦

    青木一彦君 ありがとうございました。  なかなかこの場で思い切ったことを大臣自身も、私、言いにくいと思います。しかし、やはりこのTPP、日本の一次産業がどうなるのかと、私はもう大変な大問題だと思っております。そして今回の大震災、その中での政府そのもののしっかりとした、先を見詰めた上でのしっかりとした判断をいただきますようお願いを最後に申し上げまして、私の質問を閉じさせていただきます。  今日はありがとうございました。
  42. 横山信一

    ○横山信一君 公明党の横山信一でございます。  水産業の問題から始めさせていただきたいと思いますが、四月の十九日でありますけれども、一次補正前でありますけれども、全水加工連、これは水産加工食品全国団体連絡協議会、全水加工連が農水省に対して要請がございました。その要請内容でございますけれども、水産加工業と漁業というのは車の両輪なんだから、漁業だけじゃなくて水産加工業も同じような考えで支援してほしいという、そういう形で要請がございました。それを受けてというか、そうした要請も考慮された上で一次補正がなされまして、水産業共同利用施設復旧支援事業という中で、水産加工施設もその中に含まれたわけでございます。  しかし、この要請のときには危惧もというか心配も同時に伝えられておりまして、ほとんどは激甚法でいってしまうのではないかと、また、減価を伴うものであれば、災害復旧事業であれば減価を伴うという、そうした心配もなされていたわけであります。その心配はそのとおりになってしまいまして、減価を伴う災害復旧事業ということになったわけでありますけれども予算規模も大した金額ではなくて十八億という金額でありまして、果たしてこの金額でどこまでカバーできるのかという不安の声も今は聞かれております。  そこで、二次補正に向けて、こうした事業をどのようにこれから展開されようとしているのか、まず伺います。
  43. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) この水産、いわゆる漁業被災というものをどうやって復旧復興させていくかということにつきましては、先生今御指摘のとおりに、漁業、そして加工、水産関係の人たち、一体的な形でどう軌道に乗せていくかというふうなことは、これは非常に重要なことだと思っております。  そういう意味で、第一次補正におきましては、当然のことながら応急措置ということでしょうか、緊急的な措置という形での補正予算を計上させていただいたところでございますけれども、二次補正というような、言わば今日言われている、一般的に言われておるところの二次補正というものをどうするかということにつきましては、当然、先ほどお話ございますとおりに、岩手宮城福島県、それぞれの漁港なり漁業の実態、実情というふうなものも違うというふうな中におきまして、どうやってそういう地域方々の声を吸収していくかというようなことは非常に重要なことだと、こういうふうに考えておりまして、ただしかし、そういう中でも原状を復旧をするというふうなことが果たしてそれでいいのかというふうな議論もあるところでございますので、これからの、世界に冠たる我が国の代表的な漁業地域というふうなものをこれからも永続性を持ち、そしてまた強い漁業としてこれからも食料安定供給というふうなものに寄与してもらうためにはどういう形がいいのかというようなことの、そういう大きな視点も忘れてはならないと、こういうふうに私は思っておるわけであります。  そういう意味で、当然、復興構想会議においての考え方というものはこれから出るわけでありますけれども、私どもとしては、そういう漁業の在り方というふうなものについては、より積極的に農林水産省としてどう考えるかというふうなものは、地域方々考え方というふうなものを十分取り入れた中でこれからの強い漁業というふうなものも意識しながら、この二次補正どうあるべきかというふうなことについて取り組んでいきたいと、こう思っておるところでございます。
  44. 横山信一

    ○横山信一君 分かりました。  ちょっともう少し具体的なことも欲しかったんでございますが、全水加工連なんかが要望しているような、例えば冷凍冷蔵施設とか、そうした部分もしっかりと見ていただきたいということであります。  次に、原発災害の話も申し上げたいと思うんですが、五月の十七日でありますけれども、原子力被災者への対応に関する当面の取組方針の中で、最後の最後まで、国が前面に立ち責任を持って対応するというふうに述べられております。しかし、農家が営農の先行きが見えなくなったのも、あるいは漁師が海に出れなくなったのも、あるいは家畜の世話ができなくなったのも、これはもう放射性物質がどうのこうのという前に、まず政府の行為に起因するというふうに私は思っておりますし、多くの方はそういうふうに思っております。  言ってみれば、原賠法からすれば東電が責任を負うということは、これは第一義的に決められていることなんですが、それを隠れみのにして政府が責任を逃れているようにも見えるというふうにも思ってしまうわけです。そういう意味では、政府の行為によって一次産業従事者は不利益を被っている、この認識をまず持っていただいて、それならばもう最初から最後まで国が責任を持ってと言うべきであると私は考えるわけです。  そういう意味で、損害賠償についてはまず国が仮払いをするべきだというふうに考えるわけですが、閣僚の一人として大臣の見解を伺います。
  45. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今先生からの御指摘は、国策として進めてきた原子力発電、これがこのような事故を招いたということならば、国がもう前面に出て、そして国がもう最初からそういう補償も含めて支払うというふうなことも考えたらどうかと、こういうような御見識を今お出しいただいたところでございますけれども、このことにつきましては、いろいろとお考えというものが各界各層からも出ておるところでございます。  政府といたしましては、決して逃げるというわけじゃございませんけれども基本的にやっぱり東電が東電としての責任において賠償金を払っていくと、まずそのことをしっかりとやってもらうと、そういうふうなことが大事なことだと思っておりまして、昨日も連絡会議におきまして農林水産省の方から、具体的に一定の支払というものはどういう具体的な金額なのかというところまで、農林水産省の方から言わば問うというようなこともあったわけでございますけれども、それだけ農林水産省としては、とにかく今非常に困っておる人たちに対して、指針に盛り込まれた限りは早く具体的な形で賠償金を支払うようにというふうなことを強く求めていくというふうなことが私どもとしてのまずやるべきことだなと思っておるわけであります。  そういう中で、当然のことながら、総理自身も申されているとおりに、国としてやるべきことは最後まで、とにかく被災地方々、この原子力発電の事故によって被害を受けている方々に対しては責任を持って対処していくというふうなことも申し上げているところでございますので、このことは私どもとしても忘れてはならないことだと、こういうふうに思っているところでございます。
  46. 横山信一

    ○横山信一君 分かりました。  では次に、諸外国の日本の農水産物に対する様々な規制措置について伺ってまいります。  まず、放射能検査証明書あるいは産地証明書の発行を要求したり、あるいはまた輸入停止をしたりという国々が現在三十八か国に及んでいるかというふうにも聞いておりますけれども日本から輸出している農水産物というのは、これはもう国内で流通しているものと同様なものでありまして、消費者も安心して、私たちも食べているものであります。そういう意味では安全なものしか流通しないし、安全なものしか輸出はしないわけです。  農水省は、国内で安全に消費されているということを各国にアピールしているのかどうか。そしてまた、安全、安心ということに関して言えば、日本人というのは世界一過敏な、敏感というよりも過敏と言ってもいいぐらい、そういう人種でありますので、日本人が食べているものほど安全なものはないわけであります。それを規制するという、そういうことは本来必要のないことでありまして、各国に対してなぜこのような規制をするのかという、その理由を逆に問いただすべきだというふうに思うわけでありますが、見解を伺います。
  47. 篠原孝

    ○副大臣篠原孝君) その点は横山委員の御指摘のとおりではないかと思います。  昨日、EUの議員団が参りまして、大臣がちょっと都合が悪かったので私のところへ参りましたので、イの一番にその件を申し上げました。  各国は安全性についてどういったことを気にしているかというのを見ますと、ちょっとずつ違うわけですが、例えば我々日本人はBSEとか遺伝子組換えについては非常に敏感なんです。これはアメリカだとほとんど、へのかっぱなんて言っちゃ悪いんですが、余り関心持たないと。ですけれども、イギリスに行くとBSEが、新型クロイツフェルト・ヤコブ病が発生したところですから物すごい敏感ですし、その延長線上で遺伝子組換え食品に対しても非常にネガティブな対応を取ります。各国によって違います。  放射能について申し上げますと、私もびっくりしましたけれども日本人は広島、長崎が非常に敏感だということは元々分かっておりましたけれども、各国とも物すごいんですね。これは、放射能汚染については世界中非常に敏感なのではないかと思います。  日本食料については、少々高いけれども安全である、質がいいと、これが信用の元になっていたわけですけれども、質がいいのは揺らいでおりませんけれども、安全というのは、全く違った放射能に汚染されているということで、今まで信頼が厚かった分がっくりするのも多いんじゃなかったのかと思います。昨日の議論を聞いていると、そういう感じを受けました。  ですから、これはやっぱりよくないということで、大臣の号令の下、幹部クラスを関係各国に派遣しております。その成果も現れておりますけれども、一番申し上げておりますことは、我が国はきちんとしているんだと、だからそれを信用して、それにのっとった措置にしてほしいと。  これ、アメリカは今まで一番こういうことでは従順に従ってくれているんじゃないかと思います。我が国が出荷制限したものは輸入制限すると。ところが、EUや中国になりますと検査しているわけです。今度、神奈川県と静岡県も検査しましたけれども、検査した県は放射能の付いていないという安全証明書を付けなければ輸入させないと。それから、ほかの県については、ほかの県で生産されたという証明書を各県が作らなければ輸入させないというような、ちょっと過重な規制をしております。それはやめてくれということで強く申し上げております。  私も、来週、EU、OECDの閣僚会議と同時に開かれますWTOの関係閣僚会議がございますけれども、そのときも、そういったチャンスをとらえましてフランス等に強くそのことを申し上げておきたいと思っております。  それから、その効果はありまして、アメリカは、群馬とか茨城、我々出荷制限していました、解除しました、それとちょっとタイムラグはあるんですが、同じようにするというルールがもう定着しております。  それから、ちょっとこれは間違いだったんですけれども、愛媛県とか静岡県とか、何も規制されていないところ、ところが愛媛、静岡という箱に入っていたんですね、茨城産とかが。それであちらでもちゃんとチェックしておりまして、ストップされましたけれども、それは誤解だと、箱が間違っていただけだということでシンガポール等は解除するというような、そういった効果も出ておりますので、これからも粘り強い説得を続けてまいりたいと思います。  しかし、行きました幹部クラスに聞きますと、まあ言ってはいるけれども、放射能については見えない分、そしてルールがどこの国も確立していないわけです、何ベクレル以上は禁止とかいうのは。ですから、取りあえず全部ストップというのが世界的な傾向でございまして、それはやめてほしいと。日本が多分、基準を世界に示していくことになるのではないかと思います。  ですから、そのことを強く訴えて、日本はきちんとやっているんで、それに従ってほしいということを前面に押し出して説得してまいりたいと思っております。
  48. 横山信一

    ○横山信一君 御丁寧な答弁、ありがとうございます。  こうした各国、地域の輸入規制は、もう本当に過剰反応だというふうにも言えるわけです。国際的な風評被害と言ってもいいと思いますが、こうした風評被害を取り除くには安全宣言が大事であります。そういう意味で、日本の農水産物は安全であるというふうに農水大臣が公式に表明すべきときだというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。
  49. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今先生からの御指摘のことは大変重要なことだと私自身認識をいたしております。  そういう中で、私自身の名前の書簡というふうな、名前入りの書簡を相手国の政府に対しまして手交いたしておりまして、その中で、我が国におきましては、きちっと検査をし、モニタリングというものの規制措置を講じておりますよと。ですから、規制値を上回った食品は食用に供されるということはございません。また、輸出品も同様であり、過剰な規制を行うことのないように対応願いたいと。こういうふうなことで、私自身の、重ねて申し上げますけれども、そういう名前を入れた書簡を手交して、そして少しでも御理解をいただくというようなことをやっておるところでございます。  さらに、あらゆる機会を通して、今、副大臣からもお話を申し上げておるように、このことにつきましては重大な関心を持ちながら、できるだけ各国からの理解を得る努力をしていかなきゃならないと思っておるところでございまして、やはり輸入規制を行っているという諸外国に対しては、とりわけ粘り強く私自身も農林水産省としても働きかけてまいりたいと思っております。
  50. 横山信一

    ○横山信一君 書簡を送られているということでありますけれども、安全宣言というかそうした形で、正式なといったら、もっと大きく大々的に公表するような形で是非とも取り組んでいただきたいと思うわけです。  日本に対して何らかの措置を要求している国々、三十八か国、私が数えた中ではそういう数になっているんですが、そのうち証明書の発行の手続等の取決めがなされているのは僅かEUを含めて五か国・地域というふうにも伺っております。  今、農水産物の輸出というのは、被災地域の復興の鍵を握るだけじゃなくて、もう国内的な産業の盛衰にかかわってくる問題でありますので、こうした証明書の迅速な発行というのはもう本当に急務であります。  そういう意味では、これらに対応する専門部署というのは残念ながらないわけであります。事態は急を要するということで、これをこのまま時間を掛けてやっていたのではますます事態を悪化させかねないわけであります。時間も掛かるというふうにも今大臣からの話もありましたけれども、そのような意味で、農水省是非音頭を取っていただいて、この迅速な証明書発行にかかわる省庁横断的な体制を整備していただきたいと思うわけでありますが、いかがでしょうか。
  51. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 主要な国々というところに対しましては、先ほど来、篠原大臣からも申し上げましたけれども、直接農林水産省から派遣をいたしまして、そして具体的な我が国としての考え方を、また我が国としての要請もいたしておるところでございますけれども、日常的には、在外公館や在京大使館を通じて検査や結果等のデータや情報も提供をいたしておるわけであります。  そういう意味で、先生からの今の具体的な御指摘というふうなものにつきましても、引き続きこれからも諸外国の要求というふうなものも応じながら、検査体制というものをしっかりと強化をして、そして具体的な形で情報を常に発信をし、そしてまた手続等々のことにつきましても、我が国の考え方というふうなものについても御理解をいただく努力をしていかなきゃならないと、こんなふうに考えるところでございます。
  52. 横山信一

    ○横山信一君 是非、早急な対応ができるような体制整備をお願いをしたいと思います。  時間もなくなりましたので最後の質問になるかと思いますが、林業にかかわることも質問させていただきたいと思います。  岩手宮城沿岸というのは養殖漁業が盛んな地域でもございます。森が海に近いリアス式海岸というのは、森林の土壌で作られるフルボ酸鉄というのが流入しやすい、そういう海域でもあります。このフルボ酸というのは腐植土で作られるものなんですが、植物に必要な鉄分がイオンの形で海に流入してくる、それが結果的にプランクトンを発生し、豊かな海をつくるという、これが森は海の恋人の原理なんですけれども、今、こうした三陸、そしてこのリアス式海岸、気仙沼含めて、養殖いかだも定置網も全て流失してしまった今、改めて森と海の同時再生ということを考えていただきたいと思うわけであります。  そもそも沿岸漁業というのは、森づくりがあって成り立つものでもあります。森が近ければ沿岸は豊かだということは、これはもう漁師であれば誰もが知っていることでありまして、この点についてどう考えるかということと、そしてまた併せて、この養殖いかだを含めた漁業資材に木材の利用についてどう考えるか、検討していただきたいということでありますけれども、この点について伺います。
  53. 主濱了

    委員長(主濱了君) 簡潔な御答弁をお願いいたします。篠原農林水産大臣
  54. 篠原孝

    ○副大臣篠原孝君) 森林と川と海の関係については、先ほど大河原委員指摘されておられました。横山委員も御存じかと思いますけど、三陸の養殖業をやっておられます畠山重篤さんが森は海の恋人というキャッチフレーズを作られまして、森と海の関係を力説されております。ですから、我々もそれに従いまして、漁場保全の森づくりというのを省を挙げて取り組んでおります。これが一つでございます。  それから、木材を魚礁等に利用するということ、これは水産業の振興と林業の振興を両方兼ね備えることができますので、我々はこれにつきましても、ちょっと腐食が早くしやすいという難点はあるわけですけれども、キクイムシとかそういうものが中に入っていて、それを目当てに魚が寄ってくるというのもございますので、そういった効果もありますので、鋭意取り組んでいるところでございます。
  55. 横山信一

    ○横山信一君 以上で質問を終わります。  ありがとうございました。
  56. 柴田巧

    ○柴田巧君 みんなの党の柴田巧です。よろしくお願いします。  まず最初に、今回の東日本大震災による瓦れきの処理といいますか、廃木材などの再利用のことについてお聞きをしたいと思いますけれども、御案内のとおり、大量の瓦れきが発生をして、その処理に今追われているというのが被災地の現状であります。その中でも約七五%近くは木材だと言われておるわけで、この処理をどうしていくか、大きなそれぞれの地域にとって課題になっておりますが、これを何とか再利用できないかというような検討あるいは動きが出ているのも現実でございます。  この廃木材などを加工して木材チップにして、これを燃料にするといったことなどができないか、またやろうということでいろんな取組が始まっているところでありまして、御案内のとおり、これから夏場に向けて電力不足にもなっていくと、その軽減にもつながればという思いもあるわけですけれども、一方で、この廃木材の中には鉄や化学物質が含まれているものもあって、これをどう分別して木材を取り出すかというのも大変厄介なものであります。加えて、津波被害を受けたものはかなり塩分も含んでいますので、これをそのまま例えばバイオマス発電所なんかに持っていっても炉を傷めるだけで、あるいは有害物質が出てくるということで、なかなか課題もあるというのが現状かと思います。  しかし、何とか大量にある瓦れきを、廃木材を有効に活用していくということは大変意味のあることだろうと思いますが、この現状はどうなっているのか。あるいは、いろんな問題ありますが、この廃木材の有効利用の処理速度を上げていくというためにどのように取り組んでいかれるか、まずお聞きをしたいと思います。
  57. 篠原孝

    ○副大臣篠原孝君) 今回の震災により発生しました瓦れきは、阪神・淡路大震災と比べますと木質系が多いということで、二千五百万トンとも五千万トンとも言われておりますけれども、せっかくですので、こういった木材を発電の原料にできないかということで検討を進めております。  我々考えておりますのは、取りあえずそれで東北地方の数か所にバイオマス発電の施設を造り、五か所か六か所造っても数年分はあるということでございます。取りあえずそれで使いまして、それで採算が合うようなベースというのが見通しが立ったならば、間伐材等を原料にしていくというようなことも復興会議の中で議論をさせていただいております。ただ、今、柴田委員指摘のとおり、塩分が含まれているのでそのまま燃やすといろいろ弊害が生じる、ボイラーが傷むというような問題もありますので、長らく置いておいて除塩をするというようなことも必要なのではないかと思います。  我々は、この二十三年度の補正予算におきましては、この瓦れき処理、木材のことも考えておりまして、移動式チッパーというのを対象にいたしまして補助事業を組み立てておりますので、こういったものを活用していただいて、そういった方向に持っていっていただきたいと思っております。
  58. 柴田巧

    ○柴田巧君 これが有効活用になるように、是非いろんな取組をやっていただきたいと思いますが、いずれにしても、今回、この地震は我々に国難を与えたといいますか、大きなピンチを、ということになってしまいましたが、逆にいろんな意味でチャンスに変えていくという努力、前向きな努力が必要なんだろうと思います。  この木質バイオマス、木材チップにしていろんな燃料なんかにしていくといったことなども、これを機会にやっぱり普及推進をしていくということが大事なんだろうなと思っているわけでありまして、先般も小水力の問題についてお聞きをしましたが、今回のこの原発事故あるいは地震などを受けて、いわゆる再生可能な自然エネルギーの普及というものをしっかり取り組んでいくと。とりわけ、この木質バイオマスの問題を一生懸命やっていくということにしていくべきだろうと思っております。  ただ、いろんな規制やら制度の改革も必要になってくると思うわけでありまして、それらを乗り越えて発電技術の向上やら、あるいは発電用熱源利用の促進であるとか、そういったものに積極的に取り組んでいく必要があると。また、省庁横断的にやっていかなきゃならぬ部分もあると思いますが、大臣としてはどのように取り組んでいかれるおつもりか、お聞きをしたいと思います。
  59. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今、柴田先生からの御指摘いただいたことは、まさしくチャンスというふうなことに切り替える分野もあるんではないかと、こういうふうなお話がいただきました。非常に重要なことだと思っております。  そういう意味で、この木質系の廃棄物をバイオマス発電等に有効利用をする、終了後は未利用の間伐材等を活用した木質バイオマス発電等として施設を継続利用する、こういうふうなこととともに、木質バイオマスを利用して地域に熱と電力を供給するシステムを築いていく、こういうふうなことなど、木質バイオマスを活用した新しい町づくりを積極的に提案をしていきたい、そして推進をしていきたいというふうな考え方に立っておるところでございます。  さらに、この国会におきまして関連法案が提出されております、再生可能エネルギーの固定価格買取り制度というふうなものが成立をしていただくというふうなことになりますならば、これは石炭火力発電所は木質バイオマスのみを燃料とする、そういう発電所におけるところの未利用の間伐材の利用というふうなものもこれは推進することができると思いますので、積極的にこのような考え方に立ってこれからこの木質バイオマス等々の推進に努力をしていきたいと思っております。
  60. 柴田巧

    ○柴田巧君 是非、再生可能エネルギーに対して非常に関心が高まる中、またいろんな日本のエネルギー政策も大きく見直していこうと機運が高まっている、いいある意味ではチャンスだと思いますので、これをとらえて是非積極的に進めていただいて、同時に、特にこの木質系でいうと山村振興ということにもつながっていく問題だと思っておりますので、積極的な取組をお願いをしておきたいと思います。  そういう中で、これは林業の振興にも当然つながるわけで、間伐材の、そういう意味ではどうそれを促進をしていくかということが大事だと。そのための路網の整備どもこれから大変重要になるわけでありますが、そのためには、ひとつこれから力を入れていかなきゃならぬと思いますのは、その地域建設企業のノウハウあるいは人材、機械というものをやっぱり上手に活用していく、これが間伐促進に私は非常に力を発揮するんではないかと思っております。  既にモデル事業などが、テストケースなどが平成二十年ぐらいから始まって、それなりの成果を収めているところかと承知をしておるところでありますが、大体中山間地域建設企業は治山事業やあるいは林道整備や砂防工事などでそういった基本的なノウハウは持っているということでございますし、大体林業機械の多くは建設機械のその操作部分、いわゆるアタッチメントをそのまま利用している部分が多くて、そういう意味では建設業には林業を支援するポテンシャル、潜在力が十分あるものと思っております。  私の地元の富山県の新川地区でも去年テストケースが行われて、かなりいい成果を収めて、森林組合としても、地元の建設企業の皆さんをよきこれから山の仕事のパートナーにしてやっていきたい、作業道の発注などを本格的にこれからやっていきたいということでありまして、是非これまでのこういうモデルケース、モデル事業の成果を踏まえてこの林建共働というものをやっぱり推進をしていくべきではないか。それが中山間地域の基幹産業、林業、建設業共に基幹産業ですが、山村振興ということにもつながり、また何よりも間伐材の確保やその利用促進ということにつながっていくと思いますが、これはどういうふうに取り組んでいかれるおつもりか、お聞きをしたいと思います。
  61. 吉田公一

    大臣政務官吉田公一君) 柴田委員にお答えいたします。  森林を開発したり効率的に林業を発展させていくためには路網整備が大変大事でございまして、森林施業の低コスト化の実現、木質バイオマスを復興資材としての木材の安定供給の面からも大変重要だと思っております。  農林水産省といたしましては、国土交通省と連携をいたしまして、森林組合と建設企業の連携によりまして路網整備やその他の森林の林道の開発等、取り組んできたところでございます。  今後とも、地域の実情に応じて林業と建設業が連携した路網整備を進め、地域の活性化や被災地復興を図ってまいりたいと思っております。
  62. 柴田巧

    ○柴田巧君 これまでのモデルケースなどでも、この林建共働によってこれまでよりも間伐材の排出費用が抑制されたりといういい効果が出ているところでありまして、是非これまでの成果を基にもっと推進できるように、国土交通省などとも連携して進めていただきたいと思います。  また、そういったことをやっていくためにも、一つ課題は、林業機械をどう改良していくかということもこれまた大きな問題だろうと思っております。  そもそも日本の林業機械というのは他の先進国に比べると非常に未発達で、イノベーションの必要性が指摘をされてきたところでありますが、この木質バイオマスの推進、あるいは森林・林業の再生に向けて追い風が吹く中で、林業機械の新たな開発や導入といったもの、改良といったもの、あるいは他の先進諸国で使われているものをそのまま持ってくるという手もあるんでしょうが、いろんな条件、地形等が異なりますので、いい部分を日本の条件に合致させるような改良といいますか、こういったことなどをやっていくということが大事なのではないか。  それが作業の低コスト化、作業システムの向上につながっていくと思いますけれども、この林業機械の高度化といいますか改良、あるいは外国のそういう最新鋭のもののいろいろ改良をして日本に導入するということ、どのように進めていかれるか、お聞きをしたいと思います。
  63. 吉田公一

    大臣政務官吉田公一君) 林業におけます機械化というのは非常に大変困難なことでございますが、生産性向上のためには合理的な作業が当然重要なことでございまして、それをシステム化して実現することが大変重要だと思っております。  これまで、バイオマス対応型の運搬車の開発やあるいは改良、海外の先生指摘の先進的な林業機械の改良などを実施していくと。今年度も同様な取組によりまして低コストで効率的な作業システムを開発をし、そして普及させていきたいと、そういうふうに思っております。
  64. 柴田巧

    ○柴田巧君 最先端の林業機械が導入されることによって効率が上がっていくように是非お願いをしたいと思いますし、あわせて、先ほどの林建共働の場合にも当てはまることでありますが、そういったもののリース事業というもの、あるいはレンタル、この充実活用といったものも是非検討していただきたいと思います。  最後に、先ほど横山先生の方からも農産物の輸出の問題が取り上げられましたが、一点だけ大臣にお尋ねをしたいと思います。  先ほどからもお話がありますように、省を挙げてこの輸出の本格的な再開といいますか拡大に向けて頑張っていただきたいと思っているわけでありますが、そういう中で、今週末に日中韓の首脳会議日本で行われて、中国の温家宝首相あるいは韓国の李明博大統領が、福島でしょうか、被災地に訪れられるということをお聞きをしておりますが、これをひとつこの機会に、日本社会全体がそうですが、ある意味では日本の農産物の安心、安全もアピールする良い機会にしていただきたいと思いますし、アジアを始めとした海外にそのことを強く発信する機会に是非していただきたいと思います。  どういう日程でどういうことになるのか私はまだ分かりませんが、できれば福島なり東北なり東日本のおいしい食べ物を食べてもらえる場面もつくってもらうと大変結構なのかなと思いますが、いずれにしても、こういった機会を通じて日本の食品は安全なんだということをやっぱりアピールすることに是非していただきたいと思いますが、どうですか、大臣にお聞きをいたします。
  65. 主濱了

    委員長(主濱了君) 簡潔な御答弁をお願いいたします。
  66. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) はい。  大変重要な御指摘をいただきました。この日中韓の首脳会議におきましては、菅総理自身も、この機会をとらえて輸入規制等々の問題について強く働きかけるというふうなことを相当意識されて具体的な動きをなされるものと思っております。
  67. 柴田巧

    ○柴田巧君 どうもありがとうございます。
  68. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  まず、五月十七日に閣議決定をした政策推進指針についてお聞きします。  この政策推進指針は日本再生の方針を提示するというものですけれども日本再生に向けた再始動に当たっての基本七原則を明示しています。その中に、七原則と、それから二番目のところで各主要政策の進め方ということでいろいろ書いてあるわけですけれども、これを見ていて疑問に思ったのは、この基本原則に食料自給率の向上という根本原理が全く触れられていないということです。  今回の震災で、やはり東北の農業漁業ですね、深刻な打撃を受けているわけで、食料自給率の下落は避けられない状況だというふうに思うわけです。それだけに、東北農漁業復興とともに日本再生の方向の柱に、食料自給率を引き上げていくということをやはり柱として位置付ける必要があると思うんですけれども大臣は、これ、柱として位置付けるということにされなかったのはなぜなんでしょうか。
  69. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) この五月の十七日の政府としての方針である政策推進指針というものが閣議決定されたわけであります。これは、今回の大震災におけるこの状況を踏まえて、特に農林漁業が大きな打撃を受けたわけでありますけれども、震災からの復旧復興に全力を尽くすというふうなことが、これが重要であるとして農林漁業再生戦略が位置付けられたということでございます。  一方、今先生からの御指摘食料自給率については、昨年の三月にもう閣議決定いたしておるわけでありますから、私どもとしては、今後とも食料自給率の目標達成ということに向けて全力を挙げていくというふうなことでございます。
  70. 紙智子

    ○紙智子君 既にもう前回入れているからと、当たり前なんだと、だから入れていないということでもあると思うんですけれども、そうではないと思うんですね。  やはり今回本当に大きなダメージを受けたわけで、むしろこれまでよりも一層そういう意味では強調しないといけないし、そのことを含めることで、文言としてきちっと書き込むことで本当にみんなが認識をしていくということにもなると思うので、ここは是非本当に重視して入れていただきたいというふうに思うわけです。  そして、五月十七日、私たち共産党としても第二次の提言を先日総理に対してもいたしました。この提言の中でも、被災地での農業復興に逆行するこのTPP、これについては参加をきっぱりと断念すべきであるということを指摘しました。今回のこの政策推進指針の中では、断念するどころか、この協定交渉参加の判断時期については総合的に検討するというふうに言って協定交渉参加の可能性を色濃く残しているわけです。  これだけの震災被害を受けて、その復興さえも困難な状況になっている中で、更に日本の農林漁業を壊滅させるようなTPPについては、これは復興の妨げになるので断念すべきだということを、大臣、はっきりとなぜ言われないんでしょうか。
  71. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 先ほど青木先生からの御質疑にもございましたけれども、私どもといたしましては、これだけの大震災を受けた被災地、とりわけ漁業農業地を復旧復興させる、そして原子力のこの事故を一刻も早く収束させると、こういうところに全力を尽くしていくというようなこと、最優先させていくというふうな、こういう認識に立っておるところでございます。
  72. 紙智子

    ○紙智子君 問いに答えてないと思うんですね。はっきりとTPPはもうやめるべきじゃないかとなぜおっしゃらないんでしょうか。
  73. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 重ねて申し上げますけれども基本的にこの六月にTPPに対する参加交渉というふうなものを決めていきたいという意向を総理大臣自らが発言されておったわけでありますけれども、それが総合的ないわゆる検討というふうなことになったということは、基本的に、今私が申し上げましたとおりに、この大震災の復旧復興、そして原子力の事故というものの収束、ここに全力を尽くしていくという一つの政府としての意思の表れだと、こんなふうに私どもは思っておるところでございます。
  74. 紙智子

    ○紙智子君 現地を歩きますと、必ず漁業者農業者皆さんから出てくる中に、あのTPPだけはやめさせてくれというのが出てくるわけですよね。そして、これ米国自身が、この大震災の上、TPPで追い打ちを掛けることはできないと、アメリカ自身がこう言って、言わばTPPが日本を苦しめる、そういうものであるということをそういう形で認めているわけですよ。そういうときに日本政府自身が、先送りはしたけれども、しかし引き続きAPECの会議に改めてそのことを盛り込んで話を入れさせていくような方向性も出ているということは、私、問題だというふうに思うんですね。  今回だけでこの話は終わらないので、引き続きやらせていただきますけれども、継続して是非追及していきたいというふうに思います。  それから次に、原発被害による補償問題についてです。  原発事故の発生以来、もう既に七十日を過ぎようとしているわけです。農業者には東京電力からの賠償金及びその仮払い、これは一円も、必要だ、やると言っているんだけれども、一円もまだ支給されていないわけです。どうしてこれほど時間が掛かるのか。茨城、栃木のJAは、東電に対しては三月分の被害額については四月末にはもう請求を済ませているわけですよね。にもかかわらず、一向に支払われていないわけです。  東京電力は、先日、衆議院ですかね、予算委員会の場で、五月末には仮払い支払を始めるという言い方をしていますけれども、これ、それから始めるという話で、もう一日も早くやっぱり手渡すということでは前倒ししてでも支給すべきじゃないかと思うんですけれども大臣、それ直接東電に対して申し入れておられるでしょうか。
  75. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 私どもといたしましては、この委員会におきましても申し上げてきたところでありますけれども、まずこの審査会におけるところの指針にきちっと今回の被害を受けておられる方々の賠償金が支払われるように盛り込まれるということについて働きかけをしてきたということでございます。  また、三回にわたって東京電力関係者も一緒になっての連絡会というふうなことにおきましても私が指示をいたしまして強く東電に対して一刻も早い早期支払を行うようにと、こういうふうなことを求めておるところでございまして、昨日はテレビでも報道されておりましたけれども、具体的に一定の金額というのは幾らなのかというふうなところまで、農林水産省側から厳しく東電側にそのことを求めるというようなことの場面も報道されておったところでございますけれども、引き続き一刻も早い早期支払をこれからも働きかけていきたいと思っております。
  76. 紙智子

    ○紙智子君 東電側が払うということについて、はっきりしているものについては払われるわけですから、例えばもうそれを前倒しという形にということなんですけれども、例えばJAなどがつなぎ融資ですか、やっているわけですけれども、これを使って直ちに、もう明日、あさってぐらいには手元に渡るような形で一時的にそれを先払いしていくという方法なども含めて、これ考えられないんでしょうか。
  77. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) とにかく、重ねて申し上げますけれども、東電側が賠償金をまず補償するというようなことにおいて、それが一刻も早く実行されるようにこれからも強く働きかけていきたいと思っております。
  78. 紙智子

    ○紙智子君 とにかく早く手渡るということが今本当に必要だというふうに思うんです。  それで、五月末から払い始めるという話が先日も出されているんだけれども、実際に請求が上がっていないといけないという話もあるわけですよね。それで、その手続なんかも含めて、東電の仮払いの人員体制というのがどうなっているのか、ちょっとお聞きしたいと思うんです。  人員が不足していて請求処理事務が滞って、支払までこれから更にまた何か月も掛かるということになっては困るわけですから、現時点での請求受付をしてから支払までの期間どのぐらいなのかというめども含めて、ちょっと経産省に来ていただいていますけれども、お答えください。
  79. 松下忠洋

    ○副大臣(松下忠洋君) お尋ねの件でございますけれども、この請求書の処理作業をする体制、これは東京電力からは、損害賠償の窓口であります福島原子力補償相談室とその体制をつくっておりまして、既に五百名程度まで増員したと聞いております。その中で、さらに、農林漁業者向けの仮払いを実施する、それを早急に急いでいくということのために要員強化をしていく、五月下旬までに更に進めていくというふうに聞いておりまして、これはしっかりと見守って実行させたいと、そのように考えておるところでございます。  十七日に対策本部を開きまして今後の工程表を決めましたけれども、まず最初に農林関係をやりたいということで、五月下旬からはそれが早速実行されるような形でやっていきたいということを酌んで、これを実現させたいと考えています。
  80. 紙智子

    ○紙智子君 その期間についてもできるだけ短縮していくということでは、その補充も、今増やしてきているということなんですけれども、大事だというふうに思うんです。  それから、支払方法もできるだけ、順々にだんだん行くというんじゃなくて、もうストレートに生産者のところに行くような仕組みが取れないかと。直接、農業者漁業者の口座に振り込むようにして、支払に掛かる時間を短縮するべきじゃないかと思うんです。  例えば、電気料金を私たちが納めるときって口座引き落としになると思うんですよ。だから口座というのはあるわけですよね。だから、そういうことなんか含めて、時間掛かって次々と下りていくという仕組みじゃなくて、ストレートに行くようなことを考えられないんでしょうか。これについてはどうするのか、明らかにしていただきたいと思います。
  81. 篠原孝

    ○副大臣篠原孝君) 具体的な仮払金等の支払方法につきましては、各県の協議会、漁協、農協が中心になっておりますが、そこと東京電力の話合いでもって、今、紙委員指摘のような速やかなやり方というのは考えられるのではないかと思っております。  我々は、いずれにしましても、一刻も早く請求が行われ、一刻も早く支払われる方向で東京電力に働きかけてまいりたいと思っております。
  82. 紙智子

    ○紙智子君 よろしくお願いします。一刻も早くということです。  それから、問題は、風評被害の補償の問題なんですけれども、第二次指針でこの風評被害検討に入るようなんですけれども、前回、私、予算委員会でこの風評被害被害補償に含めるべきだということを言って、菅総理自身も、自分もそうしなきゃいけないと思うというふうに答えがありましたが、文部科学省来ておられますけれども検討状況、今どうなっていますか。
  83. 林久美子

    大臣政務官(林久美子君) 紙委員にお答えをさせていただきます。  現在、この第二次指針に向けた検討状況でございますが、今月十六日に行われました第四回の原子力損害賠償紛争審査会の場におきましても、このいわゆる風評被害については業種や業態が多様であるということもありまして、実態についてしっかりと調査もしていこうということで意見の一致を見たところでもございます。  今後は、この原子力損害の範囲の全体像については七月ごろに中間指針として取りまとめていただきたいというふうに思っているんですが、それよりも前に、実は第五回の審査会が来週月曜日の二十三日、第六回の審査会は今月三十一日に予定をしているんですけれども、この風評被害については、公正中立な立場から、具体的な考え方というのは、この第二次指針をできれば今月中に取りまとめていただきたいと思っておりますので、その中に盛り込んでいきたいと思っています。
  84. 紙智子

    ○紙智子君 これも本当に急いでいただきたいということを申し上げておきたいと思います。  最後に、大臣生産者について言いますと、現在もこの風評被害で苦しめられている状況が続いているわけです。それで、私たち共産党としても、先ほど紹介した申入れの中にも、この風評被害を含む全面賠償を東京電力に行わせることを明記していますけれども、仮払いにもこの風評被害を含めて行うべきだということを、これは予算委員会の場でも大臣に申し上げましたけれども大臣としても、この問題で更にやっぱり指導力を発揮していただいて、決着を付けていただきたいと。最後に決意を語っていただきたいと思います。
  85. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 基本的には、林政務官からお話ありましたとおりに、この審査会において風評被害につきましてもきちっと盛り込まれるようにということで、引き続いて働きかけをしてまいりたいと思っております。  また、いろいろと御指摘をいただいたことにつきましては、私どもとしても誠心誠意、大変苦しい思いをなされている方々のために、やはりどうあるべきかということも踏まえて努力をしてまいりたいと思っております。
  86. 紙智子

    ○紙智子君 終わります。
  87. 主濱了

    委員長(主濱了君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十八分散会