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2011-03-25 第177回国会 参議院 農林水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十三年三月二十五日(金曜日)    午前十時二十七分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         主濱  了君     理 事                 岩本  司君                 大河原雅子君                 野村 哲郎君                 山田 俊男君     委 員                 一川 保夫君                 郡司  彰君                 外山  斎君                 徳永 エリ君                 牧山ひろえ君                 松浦 大悟君                 青木 一彦君                 加治屋義人君                 鶴保 庸介君                 長谷川 岳君                 福岡 資麿君                 横山 信一君                 渡辺 孝男君                 柴田  巧君                 紙  智子君    国務大臣        農林水産大臣   鹿野 道彦君    副大臣        内閣府副大臣   末松 義規君        農林水産大臣  篠原  孝君        農林水産大臣  筒井 信隆君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       田名部匡代君        農林水産大臣政        務官       吉田 公一君        経済産業大臣政        務官       田嶋  要君    事務局側        常任委員会専門        員        稲熊 利和君    政府参考人        内閣大臣官房        審議官      小田 克起君        内閣食品安全        委員会事務局長  栗本まさ子君        内閣原子力安        全委員会事務局        管理環境課長   都筑 秀明君        金融庁総務企画        局参事官     遠藤 俊英君        文部科学大臣官        房審議官     加藤 重治君        文部科学大臣官        房審議官     加藤 善一君        文部科学省研究        開発局長     藤木 完治君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       梅田  勝君        資源エネルギー        庁原子力安全・        保安院審議官   中村幸一郎君        中小企業庁事業        環境部長     伊藤  仁君        環境省自然環境        局長       渡邉 綱男君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案(内  閣提出衆議院送付) ○農林水産に関する調査  (畜産物価格等に関する決議の件) ○平成二十三年度一般会計予算内閣提出、衆議  院送付)、平成二十三年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付)、平成二十三年度政府関係  機関予算内閣提出衆議院送付)について  (農林水産省所管)     ─────────────
  2. 主濱了

    委員長(主濱了君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、文部科学省研究開発局長藤木完治君外二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 主濱了

    委員長(主濱了君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 主濱了

    委員長(主濱了君) 家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 長谷川岳

    長谷川岳君 北海道長谷川岳です。よろしくお願いいたします。  三月二十一日から二十二日の二日間、福島県の被災地を回ってまいりました。被災地は大変な状況でありまして、被災に遭った方々福島県のみならず、被災に遭った方々皆様に謹んでお見舞い、お悔やみを申し上げます。また、自由民主党の道連災害対策本部として、三月十二日から十七日までの間で北海道被災地を回ってまいりました。  委員皆様にお配りしております資料一、こちらの一ページ目の方なんですが、こちらの方を御覧になっていただきますと、今回、北海道も最大五メートルを超す津波により多大な影響がありました。北海道庁の調べでは、水産被害だけでも二百十八億六千万円、道外での漁船被害も合わせると三百四十億円にも上ります。  また、続いて資料二、視察報告について少し説明をさせていただきます。これは、北海道はかつて二度、津波の大きな被害がありました。一九三三年の昭和三陸沖地震津波被害と、一九六〇年のチリの地震津波災害であります。このような不幸な教訓によりまして、地域皆様方が様々な御努力をされました。例えば、今回の津波に至っては、初期の情報収集については、携帯電話が機能しない中、防災無線を傍受することによって情報を得る。あるいは、それぞれの地域自主防災組織を持ちながら活動をする。あるいは、女性消防団消防団の中に女性部というのをつくりまして地域住民皆さんをしっかりと支えるというような形で、人的な被害については何とか最小限に食い止めることができましたが、しかしこれだけの甚大な影響が出ております。  今回、自民党のみならず、今日のこちらの委員である横山議員あるいは徳永議員紙委員北海道被災地状況については足しげくみんなで回らせていただいているところであります。  少しだけちょっと見ていただきたいんですが、十八ページ、十九ページ目、特に後ほど説明をさせていただきますが、養殖被害というものが、皆さん、海から見ると全く分からないものですから、このような形、特に十九ページ目、十七ページ目を見ていただくと、ホタテ養殖がこのように行われて、このように今回の津波によって絡んで、あるいは、座布団かごと言われる稚貝を養殖しているものなんですが、これが流れてしまうというような大きな被害が出ておるところでございます。  そこで、お尋ねしますが、全国、現在把握している地震における水産被害についてどれぐらいになっているでしょうか。農水省にお聞かせ、大臣にお聞かせいただきたいというふうに思います。
  6. 田名部匡代

    大臣政務官田名部匡代君) 長谷川委員におかれましては、御地元北海道のみならず他県の被害地の御視察、本当に御苦労さまでございました。  この太平洋沿岸を中心とした被害ですけれども、大変広範囲にわたっております。特に震源地に近い岩手、宮城、福島の三県においてはなかなかどれだけの被害があるかという詳細を把握し切れていない状況です。ただ、そんな中でも、約二万隻の漁船、二百六十三の漁港が壊滅的な被害を受けているということでありますし、水産関連施設におきましては、北海道から沖縄まで全国にわたっての被害があるというような状況です。
  7. 長谷川岳

    長谷川岳君 大変な状況でありますけれども、できるだけ早い把握お願いしたいというふうに思います。  次の質問に入ります。  漁船保険に入っている場合、どのような補償になるかをお聞かせいただきたいと思います。
  8. 田名部匡代

    大臣政務官田名部匡代君) 漁船保険でありますけれども、今回の震災のように漁船が不慮の事故により壊れたとか沈没してしまっただとか、そういう場合に損害補填するわけでありますけれども、その補償というのはあくまでも漁船残存価格補償するものであるということでありまして、漁船保険に加入している漁船が大変今長年使われているような状況にありますので、そういう場合にはまたそれに応じた保険金が支払われるということになっていきます。
  9. 長谷川岳

    長谷川岳君 特に、今御指摘があったように、残存価格の評価しか補償されないという状況でありますので、新しい船を造るにしても全然足りないと。政府として何らかの対策是非とも考えていただきたいと、そのように思いますが、いかがですか。
  10. 田名部匡代

    大臣政務官田名部匡代君) 先生指摘のとおりでありまして、本当に壊滅的な被害が発生しているということで、できるだけ早くその被害状況把握をしつつ、また速やかな漁船の再建に向けて、昨日も委員会で申し上げましたが、船があれば何とかなるんだという、そういった思いにこたえられるようにこれから検討してまいりたいと考えています。
  11. 長谷川岳

    長谷川岳君 激甚災害指定はされておりますけれども、今まで経験したことのない大震災だということで、激甚災害対象拡充強化をするような考えはないかを内閣府の方に伺いたいというふうに思います。
  12. 小田克起

    政府参考人小田克起君) 御説明いたします。  この度の地震津波による災害につきましては、被害の全容が明らかになる前ではございますけれども、被害の甚大さから明らかに激甚災害指定基準を超えるものと判断して、災害発生の翌日、三月十二日に激甚災害指定閣議決定をしてございます。  今回の激甚災害指定は、全国対象として、公共土木施設のほか計十八の措置が適用されているところでございます。  なお、お尋ね激甚災害指定基準につきましては、これまでも災害実情などを踏まえた見直しを行った例はございます。例えば本年の一月には、昨年の梅雨期豪雨災害奄美大島における豪雨災害など、局地的ではあっても地域に与える影響が大きな災害が発生していることに鑑み、公共土木施設等に係る局地激甚災害の運用を緩和したところでございます。  今後とも、災害実情社会情勢の変化などを踏まえ、制度を適切に運用していきたいと考えております。
  13. 長谷川岳

    長谷川岳君 激甚災害指定されて、共同利用小型漁船については、大破あるいは沈没、流された船が百隻以上にならなければ対象外となるというふうになっておりますが、このような隻数について緩和するような考えはありませんか。農水省お尋ねしたいと思います。
  14. 筒井信隆

    ○副大臣筒井信隆君) 激甚災害要件として、今先生が言われたとおりでございますが、この支援以外に今のところ、先ほど田名部政務官から話がありました、保険もありますし、あるいは融資もあるわけでございますが、それで十分かどうかはやや問題がありますので、現在、大至急有効な更なる支援策、これを検討しているところでございます。
  15. 長谷川岳

    長谷川岳君 養殖施設についてもこれは同じことが言えるんですが、私のお配りをさせていただいている資料二の方の十三ページ目を少し御覧になっていただきたいんですが、例えばなんですが、この渡島管内の南茅部町という、函館市の茅部町でありますけれども、ホタテと昆布の養殖施設被害を受けておりますが、この被害に関しては、ホタテ養殖施設のみならば二千万を切っております。  漁業者個人施設にも激甚災害指定されておりますが、被害額合計額が二千万円を超える市町村の区域とされております。これについて二千万以下の、金額を下げるということについての考えも含めて、農水省のお考えを伺いたいと思います。
  16. 筒井信隆

    ○副大臣筒井信隆君) その点も先生のおっしゃる基準でやっているところでございますが、ただ、以前と基準が違ってより緩和されたという点があることは御存じだと思いますが、魚種ごとに今まではその二千万という要件が必要だったわけでございますが、今回は魚類養殖施設全体、大くくりにして、全体で二千万になれば要件に適合するという形になりましたので、実質上大幅な緩和であるというふうに考えているところです。
  17. 長谷川岳

    長谷川岳君 是非とも地元被災地最優先での対応お願いしたいというふうに思います。  それから、新造船を造っても港が整備されていなければなりません。漁港予算をどのように考えているかをお聞かせいただきたいと思います。農水省
  18. 筒井信隆

    ○副大臣筒井信隆君) 今の質問漁港の復興の予算ですね。
  19. 長谷川岳

    長谷川岳君 はい。
  20. 筒井信隆

    ○副大臣筒井信隆君) これはまさに今全ての漁港と言っていいものが壊滅的な状況でございますから、それを復旧、早急な復旧を図らなければならない、そのために必要な予算は必ず確保する、全面的に確保する、そういう決意で今農水省は取り組んでいるところでございます。
  21. 長谷川岳

    長谷川岳君 水揚げをした後の製氷機あるいは冷凍庫、加工場、あるいは漁獲量を量るトラックスケール等整備予算についてどのように考えているかをお聞かせいただきたいと思います。農水省
  22. 筒井信隆

    ○副大臣筒井信隆君) 共同利用施設を含めた復旧のための予算ですね、今の質問は。
  23. 長谷川岳

    長谷川岳君 はい。
  24. 筒井信隆

    ○副大臣筒井信隆君) それもまさに先ほどの漁港についての考え方と一緒でございまして、共同利用施設も全面的な壊滅状態でございますから、それを早急に再建するための予算はきちんと手当てをする、こういう決意でございます。  そして、同時に付け加えますが、その漁港共同利用施設について、今まで原則、今までもそうだったんですが、原則査定後、査定をしてから工事に取りかかるというのが大原則でございますが、しかし今現在の状況を見てみますと、その査定が終わるのを待っていられないという状況がありますから、査定前の着工という制度、これをフルに活用して早急に取り組んでいきたいというふうに考えております。
  25. 長谷川岳

    長谷川岳君 今の御指摘のとおり、こういった、一つなくても生鮮品というのは流通できなくなるというのが前提でありますので、総合的な対策是非とも迅速に進めていただきたいというふうにお願いをさせていただきたいというふうに思います。  冒頭でも申し上げましたが、三月の二十一日、二十二日に、福島県の中通りの町、会津の町あるいは郡山市の避難所を訪問させていただきましたが、現地において非常に気になる点、特に二点、是非とも改善をいただきたいということがございました。  特に、東京都で今水道水の摂取についての規制が行われておりますが、福島の町の役場方々が非常に今立腹をしている、御立腹の点があります。不満を持っている点があります。その方々不満は何かというと、飲み水あるいは農業用水検査是非とも早急に住民説明をしたいということで検査お願いを、県の災害対策本部にどこで窓口をということで伺ったところ、福島県の原子力センター確認をしていただきたい、そこまではよかったんです。福島の町の役場方々が、福島県の原子力センター是非とも水を持っていくので確認をしてくださいという話をしたところ、検査機器がないと、千葉県にあるのでそちらに出向いてくださいというとんでもない答えが返ってきております。  経済産業省お尋ねしますが、今被災地で大変な状況、そして住民皆さんは特にこの水、農業用水を含めて非常に不安に思っているこのさなかに、千葉県に行って検査を受けろというような全く不親切な対応でよいのかと。水は命であると、安全かどうかを住民説明できないということで自治体が大変困っている。その件についてどのようにお考えかということを経済産業省に聞きたいと思います。
  26. 田嶋要

    大臣政務官田嶋要君) 情報公開ということだと思うんですけれども、今おっしゃっていただいたようなお話は今日初めてお伺いしましたので、福島から千葉県というのは本当にあり得ないことだと思いますので、ちょっと情報調査させていただきたいと思っております。  ちなみに、この情報開示の問題は、当然、事故が起きて最初から急いで充実させないと国民の間にパニックが起こるということの認識がございまして全力で取り組ませていただきました。経済産業省は電力の所管ということで東電の方からの情報も取らせていただきましたが、御案内のとおりこれ、津波で電源がいかれてしまいまして、そういうことで肝心なデータが取れないという問題もある中で、モニタリングカー移動式の車を走らせながら北門や西門のところでの測定、それから二十キロ圏内、三十キロ圏内そして福島県内と、いろいろデータは取らせていただいておるところでございます。  そして、官邸、文部科学省と連携をしながら今統合のホームページも立ち上がっておりますし、携帯電話からも見れるようにはなっておりますが、しかし、おっしゃっていただきましたような水のデータあるいは農作物のデータ、その辺になりますと、今おっしゃったようなことが起きているのかなというふうに思っておりますので、これを機に改めておっしゃっていただいた情報調査をさせていただきたいというふうに思います。
  27. 長谷川岳

    長谷川岳君 政務官調査をするという段階ではないんです。早急に機材を持っていって調べていただくというような体制づくりを今お願いをしているんですね。
  28. 田嶋要

    大臣政務官田嶋要君) 調査というか、あっちゃいけない事態が具体的に起きているという御報告を今受けましたので、そういうことがないように至急データ測定ができるように持っていきたいというふうに思います。
  29. 長谷川岳

    長谷川岳君 今一番大事なことは、やはり現場に出かけていくことだというふうに思います。経済産業省からやはり至急現場へ派遣する人員を増やす、そういうことを、体制づくりをすべきと思いますが、もう一度お話をさせていただきますけれども、こういった体制づくり、それから現場へ派遣する、その点について早急にしていただくということをお約束をお願いしたいと思います。
  30. 田嶋要

    大臣政務官田嶋要君) 現地には事故の発端直後から副大臣現地本部長として参ってございますので、現在は松下大臣現地におります。この委員会の直後に連絡を取らせていただきまして、その点に関して検討さしていただきたいと思います。
  31. 長谷川岳

    長谷川岳君 恐らく、副大臣が行かれているのは原子力発電所というか、その発電所に対する対応で非常に忙殺をされていると思います。しかし、皆さんが一番、やはり周辺の住民、特に県内住民の不安というものを払拭するような手だてを打っていただきたいと思います。
  32. 田嶋要

    大臣政務官田嶋要君) だんだん重要活動軸足が移ってきている、あるいは広がっているということがございまして、実は毎日、松下大臣からは一日に五回以上ファクスが届いてございますが、原発のそのものの事故のアップデートもありますけれども、福島県全体の様々な情報ファクスで来ておりますので、今おっしゃっていただいたものは彼の責任範囲に入っているというふうに理解しておりますので、今日すぐやらせていただきます。
  33. 長谷川岳

    長谷川岳君 農業用水にもかかわる話なので、やはり農水省としても協力すべきだと、そのように思います。そのお考えをお聞かせいただきたいというふうに思いますが、大臣お願いしたいと思います。
  34. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) もちろん、経済産業省それから文科省、この調査の件につきましては全面的に協力をしてまいりたいと思っております。
  35. 長谷川岳

    長谷川岳君 改善をしていただきたいという、早急に改善していただきたいもう一つ、一点ございます。  西会津地域の三島町というところの角田牧場というところにお邪魔をしました。牧場のあるじ、あるいは現場の声というのは非常に切実で、その会津皆さん、現在八軒ぐらいの酪農家さんが完全に今孤立をしています。それは一つは、災害が起きて石巻港の港が壊滅的なダメージを受けたので、粗飼料あるいは濃厚飼料が入ってこない。そして、加工している本宮町という福島県の場所の加工所もやられているということで、まず一つは餌がない、それから油がないということ。それからもう一つは、電気もなくて、最後に、三月二十日からは放射性物質による出荷停止となって出荷もできないと。ないない尽くしというところであります。  酪農家皆さん、牛に三百六十五日餌をやって、三百六十五日朝晩乳を搾っています。特に、もう皆さん憔悴し切っているのは、飼料あと一週間で底をつくと、三月いっぱいまでがぎりぎりだということで非常に焦っていらっしゃいます。  この飼料供給対策をしているとは聞いているんですが、このような孤立した酪農家さんがまだその地域避難地域でないのにいらっしゃるということについて、農水省のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  36. 田名部匡代

    大臣政務官田名部匡代君) 飼料に関しても、また被災者皆さんへの食料に関してもそうですが、毎日いろいろと現地とも確認を取りながら、どういう状況になっているかということについて把握に努めているところでありますけれども、今先生からいただいたような情報も含めて、早速現地確認を取り合いたいと、そのように思います。
  37. 長谷川岳

    長谷川岳君 供給対策はしているというふうには農水省さんはおっしゃっていますけれども、実際に末端の酪農家さん一軒一軒に伝わっている情報はとにかく出荷停止だけの話なんです。その後の話、餌の話、来ていません。  この点について、正確にやはりもう一度酪農家さんを含めたこういった孤立した農家さん、酪農家さんがいないかどうかという部分の確認を、大変な状況でありますけれども、お願いをしたいというふうに思いますが、政務官お願いします。
  38. 田名部匡代

    大臣政務官田名部匡代君) 先生の御指摘、大変重要なことだと思っています。  それで、農家を会員とします畜産関係の団体に対して重ねてこれまでも説明機会を設けてきました。実は、先般、二十二日にも行っているんですが、三月十四日、十五日、二十二日と、説明機会を設けまして、飼料メーカーに対しては、今後の供給見通し等について取引先生産者にも、きめ細かく情報発信をしていただきたいということで対応を求めているところでございます。そのことも改めてどういう状況になっているかを確認をしながら、飼料が行き届かないような孤立した地域があれば対応できるように手配をしていきたいと考えています。
  39. 長谷川岳

    長谷川岳君 特に、油がないので朝晩の搾乳の乳房清拭という乳を拭く作業も、必要なお湯を沸かすためしか使っていません。非常にせっぱ詰まった状況であります。油も含めてです。こういったことについては氷山の一角だというふうに思いますので、しかるべき措置をとっていただくように本当にお願いをしたいというふうに思います。  あと、もう一つ質問させていただきますが、地震津波による今現在の工場、こういった飼料工場も含めた停止はどれぐらいあって、今復旧状況については把握をしておりますか、農水省お尋ねをいたします。
  40. 筒井信隆

    ○副大臣筒井信隆君) 一つ牛乳処理工場、これも止まっているのが多かったわけでございまして、現時点東北地方牛乳処理量が三割、昨日の時点で三割程度というふうに聞いております。ただしかし、一両日中にその工場操業試験操業でございますが、再開されるという状況に入っているというふうに聞いておりまして、しかしまた、既に再開している工場においても今おっしゃった燃料が不足をしているという状況がまだ続いております。  しかし、燃料に関しましても、今御質問がありました飼料、餌に関しましても、水産庁の船を含めまして、それからトラックを含めましてずっと運んでおりまして、これらによって燃料に関しても経済産業省協力資源エネルギー庁の協力いただいて大分好転しつつあるという状況でございますから、さらにその工場操業を広げていきたいというふうに思っております。
  41. 長谷川岳

    長谷川岳君 牛乳パックの包装資材の現状についてどのようになっているのか、お聞かせいただきたいというふうに思います。
  42. 筒井信隆

    ○副大臣筒井信隆君) 紙パックについても六割ぐらいしか、平常時の六割ぐらいしか、これもやはり昨日の時点操業、製造の工場操業していないというふうな状況でございまして、これも近日中に大幅に改善をしなければいけない。そのために、今そのメーカーの方には今緊急に必要な種類のものに集中して生産をしてほしいというふうな要請をしたり、それからやはり燃料が大きな問題、燃料に、紙パックの場合には更にいろんな資材も大きな問題でございまして、これらがきちんと供給されるように経済産業省にもお願いをしながらその努力をしているところでございます。
  43. 長谷川岳

    長谷川岳君 政府は原発の放射性物質により原乳あるいは野菜の出荷停止福島県、茨城県などに指示を出しましたが、やはり農家に不安を与えないためにも出荷停止による支援政府はどのように考えているのかということをやはり明確に打ち出していく必要があると思うんですが、文科省の見解を伺いたいと、これは文科省ですか、伺いたいと思います。
  44. 藤木完治

    政府参考人藤木完治君) 文部科学省は、原子力損害の賠償法を所管している立場からお答え申し上げさせていただきます。  現在、今回の大きな地震により発生いたしました福島第一原子力発電所における事故が起こっておりますけれども、まずこの事故に関しまして現在、東京電力、政府関係機関全力を挙げてその事態の収束に取り組んでいるところでございます。  今回の原子力発電所事故による損害につきましては、出荷制限の指示の対象となった農産物に限らず、一般論として今回の事故との相当因果関係が認められるものにつきまして、この原子力損害賠償法に基づき適切な賠償が行われることになります。  この賠償につきましては、この原子力損害賠償法によりましては原子力事業者である東京電力に責任集中をしておりますので、その東京電力が賠償責任を負うことになりますけれども、政府としても東京電力がその責任を全うできるよう連携協力して被害者の方々が適切な補償を受けられるよう、万全を期してまいりたいと考えております。
  45. 長谷川岳

    長谷川岳君 適切な補償というのは、政府の責任で農家の損失を全額補償するという考え方でよろしいでしょうか。
  46. 藤木完治

    政府参考人藤木完治君) 先ほどちょっと触れさせていただきましたけれども、この原子力損害賠償法におきましては、今回の事故との相当因果関係が認められるもの、これにつきまして適切な賠償を行うという考え方でございます。
  47. 長谷川岳

    長谷川岳君 例えば、農家さんが自ら近隣県で自主的に自粛をした場合、出荷の自主的な自粛をした場合、政府としての補償はどのように考えておりますか。
  48. 藤木完治

    政府参考人藤木完治君) 先ほどは政府の指示により出荷停止ということでございましたけれども、それ以外でも自粛という形で出荷をされないという事態が当然起こっていると思います。それに関しましても、この原子力損害賠償法によりましては、やはり相当因果関係があるものについてはそれを必ず賠償するという考え方に立っております。
  49. 長谷川岳

    長谷川岳君 補償を行うのには一定の期間がどうしても必要となります。出荷停止となれば今入ってくる収入が全くなくなるという状況でありますので、損害賠償、補償がされるまでの間の当座の資金が必要であります。この当座の資金についてどのように考えているのかを農水省並びに文科省にお聞かせをいただきたいと思います。
  50. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今委員から申されたつなぎ資金というものは非常に今大事なことでありまして、早急にこの仕組みというものをつくるべく、今検討しているところでございます。
  51. 藤木完治

    政府参考人藤木完治君) 文部科学省としても被害者の方ができるだけ早く救済されるよう、農水省その他の関係機関と一致協力してしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
  52. 長谷川岳

    長谷川岳君 風評被害により、被災地のみならず野菜全体の売行きが悪くなっております。これについて政府としてどのような支援をしていくかということも具体的にやはり考えていただきたいというふうに思いますが、農水省文科省、もう一度お聞かせをいただきたいと思います。
  53. 筒井信隆

    ○副大臣筒井信隆君) 今政府放射性物質の付着状況を調べて、その基準が超えた場合について指示を出しておりますが、もちろんこの指示を出した部分についてはこれは補償対象であることははっきりしておりまして、これは風評被害ではない。そういう風評被害と言えるものは、そういう放射性物質の付着がしていないものについても受領拒否等をやられて、あるいは自主規制をして、そして販売できなかった場合が風評被害の中に大きく言えば当たると思いますが、その場合でも、先ほど文科省の方で答弁されたように、通常やっぱりそういうものに対して一般国民がその放射性物質の付着について疑念を持つというふうに考えられる期間、場所のものであればやはり損害補償対象になるというふうに考えております。  ですから、まとめて言えば、風評被害のもの全てがそのまま損害補償対象になるわけではありませんが、その中の一定条件にかなったものは損害補償対象になるというふうに考えております。
  54. 藤木完治

    政府参考人藤木完治君) ただいま副大臣からお話しになられたとおりでございますけれども、風評被害、事実に基づくもの、基づかないもの、様々あると思います。したがいまして、これも一概に全てこれを補償、賠償するというわけであるともないとも言えませんけれども、ただ、先ほど相当因果関係があるものについては、風評被害と言われるものでありましても、その相当因果関係によって判断して賠償されるものというふうに考えております。
  55. 長谷川岳

    長谷川岳君 昨日、福島県のキャベツ農家さんで自ら命を絶たれるというようなことが起きました。やはり、農林水産大臣として生産者を守る、それから消費者を守る、それから必要な措置を講じるというような明確なメッセージを是非とも出していただきたい。今、官房長官も頑張ってはおられますけれども、やはりこの食については一番の農林水産大臣から生産者や消費者の方にメッセージを出していただくというのが私は適切だというふうに思いますが、是非ともこのようなメッセージを出していただけないでしょうか。
  56. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 私自身も記者会見、あるいはまた記者の方々から聞かれるたびごとに私どもの考え方も発信をさせていただいております。  とにかく、本当に今日の被害に遭われている農業者、また原発事故によってまさしく出荷停止というような、そういう措置が講じざるを得ないような農家方々の思いというふうなものを私どもはしっかりと受け止めて、そして農業者の方々、漁業者の方々、これからも意欲を持って引き続き農業をやっていただくことのできるように、水産漁業に励んでいただくことができるように、私どもは万全の措置を講じてまいりたいということをこれからも発信してまいりたいと思っております。
  57. 長谷川岳

    長谷川岳君 是非とも生産者を守る、そして消費者を守る、必要な措置を講じるというようなことを常日ごろから発信はされているものの、やはり被災地皆さんはテレビで官邸の中継を見るのが一番の情報源になっています。是非とも官邸で大臣自らがメッセージを、明確なメッセージを送っていただきたいともう一度、再度お願いをいたしたいと思いますが、いかがですか。
  58. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 農業者なりまた国民生活に対する食の安定供給又は食の安全というふうなものを確保するということにつきまして、どのような形で発信をしていったらいいか検討をしながら、できるだけ多くの方々にこれが行き渡るように努力をしていきたいと思っております。
  59. 長谷川岳

    長谷川岳君 被災地含めて、日本有数の米どころであります。七百九十五万トンのうちの約二〇%を占めておるというような状況も聞いておりますが、今回、被災によって米も作付けできないところが出てくるであろうというふうに思われます。政府として、土壌汚染などをしっかり見極めた上で、米の作付けができるようになるまで特別な補償をするというようなお考えはないでしょうか。
  60. 筒井信隆

    ○副大臣筒井信隆君) 放射性物質を原因として、理由として米の作付けができなかったものこそまさに損害賠償の対象でございますから、作付けができなくなったことによる損害全ては補填されるものだというふうに思っております。一般的に言えば、休業補償とか営業損害とか言われる部分として一〇〇%補償をされる、こう考えております。
  61. 長谷川岳

    長谷川岳君 今回、非常に政治的な判断が求められると思います。それは、被災県での作付けができない状況の中で、作付けをするのかしないのか、あるいは残念なことに政府の中でさせないのかということも政治判断が出てくるというふうに思います。やはりこのような状況を、もうそろそろ田植が四月になれば始まりますから、このような中でいつごろ政治判断をするのかということが私はまさに問われていると思いますが、大臣に見解を伺いたいと思います。
  62. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 非常に重要な問題であります。今、真剣に取り組んでおるところでございまして、必ず間に合うように、生産者方々に間に合うように具体的な形できちっと施策を講じてまいりたいと思っております。
  63. 長谷川岳

    長谷川岳君 これは、間に合うというのは田植に入る前ということで認識してよろしいですか、政治判断は。
  64. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) もちろん生産者方々が作付け、農業そのものに取り組んでもらう、そういうようなことの準備というふうなものを今やっていただいているわけでありますけれども、それが間に合わないということになってくると大変なことでありますから、間に合うように農林水産省としての考え方を明確に打ち出していきたいと思っております。
  65. 長谷川岳

    長谷川岳君 是非ともお願いをしたいと思います。強いメッセージとそれから政治判断をお願いしたいと思います。  災害につきましては、農水委員方々の中にも被災地での選出の方も多くいらっしゃいます。やはり農林水産委員として、自己負担を前提に被災地状況をしっかりと把握をするということを前提に、やはり状況視察ということをやっていただきたいということを委員会に、是非とも委員長に提案をさせていただきたいというふうに思います。  よろしくお願いいたします。
  66. 主濱了

    委員長(主濱了君) これは、理事会で相談をさせていただきます。
  67. 長谷川岳

    長谷川岳君 それでは、加工原料乳に関しての質問をさせていただきます。  一つは、先ほど、今日、事務所に、加工原料乳の生産者補給金単価あるいは限度数量の設定についての審議会に答申するという案をいただきました。補給金単価は十一円九十五銭、限度数量が百八十五万トンという案でございますが、これに関して質問をしますが、今後の見通しでは、穀物相場の高騰、特に〇八年の七月に匹敵する今トウモロコシ等の配合飼料の価格も上昇しておりますが、このような配合飼料等の価格の上昇をどのように見ているのかというのをお聞かせいただきたいと思います。
  68. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今委員からの御指摘のとおりに、この配合飼料価格の動向から、今後一年間見込まれる農家の負担の増加というふうなものを織り込んで算定して、そして前年度に比べて十銭の引上げというふうなことで諮問させていただいたということでございます。
  69. 長谷川岳

    長谷川岳君 中東情勢の悪化で燃油価格も高騰しておりまして、今後の上昇はどのように見ているのかをお聞かせいただきたいと思います。大臣お願いします。
  70. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今後のこの動向、燃料、いわゆるそういうふうな高騰等というふうなものの動きというふうなことでありますならば、その時点でまた対処していかなきゃならないと、このように考えております。
  71. 長谷川岳

    長谷川岳君 補給金単価が引き上げられたものの、十銭というようななかなか厳しい数字であったと思いますが、このような下げ要因というか、要因というのはどのようなものがあったのかを伺いたいと思います。
  72. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 先ほども申し上げましたとおりに、この一年間の見込まれる農家の負担というものは織り込まさせていただいたというふうな考え方でこのような数値で諮問させていただいたということでございます。そういう意味では、今後の、酪農家の人たちに飼料の高騰というふうなものを見込んだ形でこの一年間取り組んでいただくことができるんではないかと、こんな思いの中で諮問をさせていただいたということでございます。
  73. 長谷川岳

    長谷川岳君 酪農家さん、あくまでもこの生乳の生産によって生計を立てているというのが大前提です。今後、生産費はどのように推移されると予想されておりますか。お聞かせをいただきたいと思います。
  74. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) これから、この飼料が果たしてどういうふうな動きになっていくか、また先ほど言われたエネルギーの動向というふうなもの、これはなかなか今の時点で軽々に私どもは予断というふうなものはなすべきことはいかがなものかと、こんなふうに判断をいたしておりますが、しかし緊急状況、緊急に考えていかなきゃならない、見直していかなきゃならないような状況になりますならば、その時点対応していくというふうなことになると思います。
  75. 長谷川岳

    長谷川岳君 限度数量は百八十五万トンということで昨年と同様の数量でありますが、今後拡大させていく考えはあるかどうか、伺いたいと思います。
  76. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 御承知のとおりに、この限度数量におきましても、実績は百八十二万トンであります。しかし、今日の状況を踏まえて据置きをさせていただいたというふうなことでございますので、このような数字で判断に立ったというようなことは、これからの消費の動向あるいは生産動向を見据えて百八十五万トンということで諮問させていただいたということでございます。
  77. 長谷川岳

    長谷川岳君 酪農家の戸数というのは減少に歯止めが掛かっていません。減少率、都府県で五%、北海道で今二%というふうになっております。酪農として生活していけないから辞める、また先行きが不安定だからこそ離農していくと。やはり、しっかりとした酪農経営の継続ができるように、また担い手を育てていく施策をどのように考えているのかをお聞かせいただきたいと思います。
  78. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 私どもも、この酪農家の人たちに引き続き意欲を持って励んでいただくというようなこと、これが非常に大事なことだと。このようなことから、重ねて申し上げますけれども、いささかなりとも十銭の引上げをさせていただいて、いわゆるこの単価についても諮問させていただき、また百八十五万トンという限度数量につきましても、酪農家方々が増産に向けた取組も是非やっていただきたいと、こんな思いを込めてこのような数値を設定させていただいたということは御理解をいただきたいと思います。
  79. 長谷川岳

    長谷川岳君 非常に厳しい状況でありますから、この状況によって期中改定ということについてのお考えは幅広く持っていらっしゃるのか。これ、柔軟に対応するという余地はあるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  80. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) かつて期中改定も行われたこともございます。私どもとしては、重ねて申し上げますけれども、その時点で判断をしてまいりたいと思っております。
  81. 長谷川岳

    長谷川岳君 経産省の方にはあと質問まだありますので、あと文科省の方はありがとうございました。結構でございます。
  82. 主濱了

    委員長(主濱了君) 内閣府もいいですか。
  83. 長谷川岳

    長谷川岳君 内閣府も結構でございます。
  84. 主濱了

    委員長(主濱了君) それでは、そのような申出がございました。小田審議官藤木研究開発局長、お引き取りいただいて構いません。ありがとうございました。
  85. 長谷川岳

    長谷川岳君 配合飼料の高騰関係についてお聞かせをいただきたいと思います。  配合飼料に関しては、平成二十三年の四月から六月期でトン当たり二千円程度の値上げでありまして、生産資材価格の値上げも回避できない状況であります。  配合飼料価格安定基金の財政不足が今心配をされております。平成十九年から二十年の高騰時の借入れ約千二百億円をただいま返済中でありまして、他方、飼料高騰によって基金からの補填が続けば六月には基金がパンクしてしまうおそれがあります。政府としてどのように考えているのかを具体的に伺いたいと思います。政務官
  86. 田名部匡代

    大臣政務官田名部匡代君) 今の配合飼料の価格安定制度の補填の財源についてですけれども、二十三年四月から六月期に約二百八十億円の補填金を交付した後も、なお今現在約三百六十五億円の財源がございます。さらに、二十三年度中には約百八十億円の積立増ということで、補填財源が直ちに枯渇する状況にはないというふうに考えています。  ただ、先ほども大臣から御答弁ありましたように、今後の動向を見ながら補填財源の確保についてしっかりと対応し、検討してまいりたいと考えております。
  87. 長谷川岳

    長谷川岳君 この点、非常に皆さん危機感を持っておりますので、対応の方をお願いしたいというふうに思います。  二〇〇八年以来の穀物の価格の高騰と今後の配合飼料や生産資材の値上げが脅威であります。自給飼料の増産、確保を進めておりますが、配合飼料費は生乳の生産費の約三〇%を占め、コスト高というのが必至であります。配合飼料の価格高騰が見える中、自給粗飼料の役割が大きくなる一方で、基盤整備事業というのが非常に縮減をしております。基盤整備事業について十分な予算確保が必要でありますが、どのようにお考えになっておりますか。
  88. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 自給飼料生産というものを拡大をすることによりまして、飼料生産基盤に立脚した足腰の強い畜産経営を実現させるということは、大変我が国の畜産の持続的な発展を目指す上で重要であると考えております。  そういうようなことから、具体的に草地の更新や、あるいはまた今日の状況の中で、完全混合センターというようなことなどの整備というふうなものによって自給飼料の生産振興を考えているところでございます。
  89. 長谷川岳

    長谷川岳君 さらに、強い農業づくりの交付金の大幅な縮減、平成二十一年が二百四十四億、二十二年が百四十四億、平成二十三年三十一億ということで、TMRセンターの設置あるいは新規就農者支援対策、例えば公社営農場のリース事業等が減少しておりまして、高齢化による離農が進む中で、地域の生産基盤を維持する対策が非常に目減りをしています。どのようなお考え方をしているのかをお聞かせをいただきたいと思います。大臣お願いします。
  90. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 二十三年度からは、強い農業づくり交付金だけじゃなしに、国の直接採択事業を中心として推進をしてまいりたいと、このように考えております。  具体的に申し上げますと、草地生産性向上対策事業によりまして生産性の低下した草地を生産性の高い草地へ転換する、それから産地活性化総合対策事業などによりまして、先ほど申し上げました完全混合センターの整備を含めまして、飼料の生産組織の経営を高度化すると、このようなことで積極的に飼料生産振興のための取組を支援をしてまいりたい、そしてそのことによって自給飼料生産を拡大してまいりたいと思っております。
  91. 長谷川岳

    長谷川岳君 チーズ対策の関係に移らせていただきます。  チーズ対策については、二十三年度から新たな対策として、チーズ向け数量全量に対してキロ当たり十四円六十銭の助成金が講ぜられるようになりました。その内容はチーズ向け乳量を六十万トンに設定しているということでありますが、これはどういう基準なのかをお聞かせいただきたいと思います、副大臣
  92. 筒井信隆

    ○副大臣筒井信隆君) チーズ向けは、チーズは今後も需要拡大が期待されるところでございまして、そして、今先生もおっしゃったように、今まではその拡大部分について支給をしていたわけでございますが、今度はその全体について一律に支給する、こういう形にしたわけでございまして、そのために予算額も大幅に増やしたところでございまして、これは生産者の方から一定の評価、一定のというか大きな評価をいただいているというふうに考えております。
  93. 長谷川岳

    長谷川岳君 一部の生乳需給見通しでは、平成二十三年のチーズ向けの販売数量は五十万トン程度と聞いているところもありまして、約十万トン分、まあ十四円六十銭ですから十四億六千万円の予算は当初から活用できないということになるのではないかという指摘がありますが、いかがですか。
  94. 筒井信隆

    ○副大臣筒井信隆君) それらの点についていろんな問題点が確かに指摘されているところでございますが、それらは実際に検討して、問題点があればそれを見直しながら取り組んでいきたい。ただ、チーズ向けの方を重点的に、集中的に取り組んでいきたいという考え方でやっているところでございます。
  95. 長谷川岳

    長谷川岳君 つまりそれは、チーズ対策八十八億円の弾力的な運営が必要と、つまり使い切る対策が必要ということでありますが、この点について認識をしているということでよろしいでしょうか。
  96. 筒井信隆

    ○副大臣筒井信隆君) おっしゃるとおりでございます。
  97. 長谷川岳

    長谷川岳君 チーズ向けの乳価については、他の飲用向けや生クリーム向けと比較しても非常に安いと、それから国内産チーズの振興と酪農経営の安定を図る上で単価の上乗せが必要と考えますところでありますけれども、いかがでしょうか。
  98. 筒井信隆

    ○副大臣筒井信隆君) 今、クリーム向けの方の単価の上積みを言われているんですね。
  99. 長谷川岳

    長谷川岳君 はい。
  100. 筒井信隆

    ○副大臣筒井信隆君) 生クリームの方は今後需要の拡大がそれほど期待できないというふうに考えておりますし、乳価も結構高くなっておりますから、農水省としてはやはりチーズ向けの方に集中をした制度でこれからもやっていきたいなというふうに考えているところでございます。
  101. 長谷川岳

    長谷川岳君 そうしたら、液状乳製品の生クリームのちょっと関係に入らせていただきますが、特に生クリームについては、海外乳製品と競合しないフレッシュな乳製品として拡大は続けています。二十二年度に関しては百万トンを超える見込みにまで成長しています。今後とも、国産乳製品として海外乳製品に対して優位に販売を取り進めることが可能な液状乳製品に対する支援策を講ずることが総合乳価の上では酪農生産者の経営安定につながるというふうに考えておりますが、今後もこの支援措置が必要だというふうに思いますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  102. 筒井信隆

    ○副大臣筒井信隆君) 先生がおっしゃるとおり、今国際競争にさらされている方を特に集中して支援制度をつくっているわけでございますが、この状況のいろんな変化ももちろん考えられるわけでございますから、それらの点は柔軟に考えて見直しながらやっていきたいというふうに考えております。
  103. 長谷川岳

    長谷川岳君 是非とも考慮をいただきたいというふうに思います。  肉牛の関係に移らせていただきますが、特に北海道において、酪農経営の副産物と言われるホル種肉用牛を重要なたんぱく資源として、哺育、育成、肥育で付加価値を付けて個体や牛肉を供給しているという状況であります。個体価格、枝肉の価格の低迷が続いて、一方では、配合飼料価格を含めた生産資材の高騰によって肉牛の経営は恒常的に生産費が収益を上回り、当面の価格上は期待できず、さらにコスト増となれば極めて経営が厳しくなっております。このような現状をどのように考えているか、お聞かせをいただきたいと思います。大臣にお聞かせをいただきたいと思います。
  104. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 特に、肉用の子牛の保証基準価格等々につきまして、先週に公表されました四月以降の配合飼料価格の水準を基に、来年度におけるところの農家飼料負担額を、そしてまた燃料費等におきましては、本年の二月二十八日に公表された農業物価統計という指数を活用するなど、一番直近の物価動向というものを反映をしていかなきゃならないというふうなことで算定をさせていただいたところでございます。
  105. 長谷川岳

    長谷川岳君 肉用の子牛生産者補給金制度というのは肉用牛育成、経営に必要な事業でありまして、またこの制度における保証基準価格及び合理化目標価格の設定基準が肉牛経営の継続を大きく左右するものとなります。  肉用の子牛生産の安定を図る上でも、この単価設定において、実態を十分に反映して再生産が可能で経営が継続できるような水準に設定するべきではないかというふうに思いますが、大臣の見解を伺いたいと思います。
  106. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今申し上げましたとおりに、飼料の高騰あるいは配合飼料の価格の高騰あるいは燃料の動向というふうなものは、まさに一番近いところで、本当に直近と言ってもいいんじゃないでしょうか、そういう中で物価の動向というものを反映をしての算定でございますので、実情というふうなものを踏まえて今回のこの価格というふうなものを設定させていただいたということでございます。
  107. 長谷川岳

    長谷川岳君 話は変わります。先般、予算委員会におきまして、これは経済産業省お尋ねをいたしますが、質問をさせていただいた際、経済産業省が作成したTPPの説明資料について、海江田大臣、熟読談義し、誤解を与えないような表現にするという旨の答弁がありました。  このような状況の中で、TPPの状況というのは非常に厳しいというふうに、私自身これは絶対に無理だというふうに思っておりますけれども、再度経済産業省お尋ねしますが、このTPPの説明資料、どのようにお直しをしたのか、お尋ねをしたいと思います。
  108. 田嶋要

    大臣政務官田嶋要君) 三月九日、委員から御質問いただきまして、大臣から今おっしゃっていただいたような御答弁がございました。今朝改めまして資料確認私もさせていただきました。より趣旨を的確に伝えられるような内容に修正をされてございます。  具体的には、TPP早期参加のメリットとして、御指摘いただきました、委員から、日米同盟を補完とか米国を後押しとの表現を使用していた点及びTPPの進捗の表の中で米国の大統領選挙を記載していた点について、米国のために日本が参加するとの誤解を招くという御指摘を賜りましたので、削除いたしました。また、全体としてメリットの記載に偏っており、デメリットに関する記載がないとの御指摘を賜りました。TPPについて寄せられている懸念点についても説明できるような資料に変えたところでございます。
  109. 長谷川岳

    長谷川岳君 では、このような修正した資料を基に今後、もうあり得ないと思いますが、商工会あるいは商工会議所の説明会においてこのような資料を使うということでよろしいでしょうか。あるいは、TPPを推進するような説明はしていないかということについての最終確認をしたいというふうに思います。
  110. 田嶋要

    大臣政務官田嶋要君) 言うまでもないことですが、偏りのない情報の開示、共有ということが大事であろうと思います。それから、もちろん意見を交換をするということが大事でございますので、今回こういうような御指摘をいただいて修正をいたしました。そういった資料を使っての情報共有ということをこれから行っていきたいと考えております。
  111. 長谷川岳

    長谷川岳君 農水大臣に伺いたいと思いますが、このような中で、やはりもう一回被災地の景観、そしてやはり皆さんの生活をもう一回立て直す、そういうことを考えると、まさにこの六月に結論を出すというようなTPPというのは明らかに無理だろうと。そして、このような決断をすべきではない、私はそのように思います。  今からどのようにこの日本を復興させるかという状況の中で、TPPの参加についてやはり大臣からも明確なメッセージをいただくべきだというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  112. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) TPPの交渉参加の判断というものは六月をめどにと、こういうふうなことで総理大臣から言われているところでございますが、今日のこの大震災というふうなことにおきまして、農林水産省といたしましてはまず何を優先的に考え、そして施策を講じていくかといえば、今委員からの御指摘のとおりに被災地皆様方に食料と水を安定的に供給すると、ここに全力を尽くしていかなきゃならない。そして同時に、この被災に遭われた被災地、そして農業、水産業をいかにして復興するかと、この復興復旧に懸けていかなきゃならない。ここの二つに私どもは農林水産省を挙げて全力を尽くしていくと、このことを常に御理解をいただきながら頑張って万全を期していきたいと、こういうふうに思っているところでございます。
  113. 長谷川岳

    長谷川岳君 本当に大変な状況の中で、大臣を始めとする各関係の皆さんの御苦労を私たちも共有していかなければならないというふうに思います。委員の一人としてこれからもしっかり活動してまいりたいと思います。  これで質問を終わります。ありがとうございました。
  114. 横山信一

    横山信一君 公明党の横山信一でございます。  初めに、家伝法の方からお聞きをしてまいります。  島国という、我が国のこの島国という地理的優位性を生かして、伝染病対策というのは水際対策が非常に重要なことは言うまでもありません。また、そういう認識があった下でこれまでも十分な警戒をしていたわけでありますが、残念ながら韓国、中国などにおいて発生をした口蹄疫、そしてまた高病原性鳥インフルエンザ、これが侵入をしてきたというわけであります。  また、そうした被害の下で、昨年の宮崎県の口蹄疫の甚大な被害に発展をしてしまったということで、人や物の移動が地球規模で今は増加をしている時代であります。そういう意味では徹底して措置を講じないと、海外からの侵入を水際で完全に阻止するということが難しい状況になってきている。それが象徴的に現れたのが昨年であろうというふうにも思っております。  今回の改正で人への検疫が強化される、そしてまた海外からの入国者に対する質問も行えるようになり、そしてまた携帯品の検査も行えるようになったということでありまして、質問に答えなかったりあるいは検査拒否をした場合には罰則が適用されるということも織り込まれているということであります。  人、物の国際的な移動が増加する中で業務を担う動物検疫所、そしてまた家畜防疫官の業務というのは今までにも増してその役割が増大をしているわけでありますが、予算、人員の確保の強化がこうした部分に必要になってくると思いますけれども、この点についての所見を伺います。  また、水際での検疫措置を強化するに当たっては、家畜防疫の重要性について国民から理解を得る必要もあります。この家畜伝染病の予防、蔓延防止に向けてどのように理解を進めていくのか、この点について伺います。
  115. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今先生から御指摘の点は大変重要なところだと思っております。そのような意味におきまして、このウイルスの侵入リスクに応じた水際の検疫が効果的かつ効率的に実施できますように、家畜防疫官の増員や検疫探知犬の活用など、動物防疫体制の強化を図ってまいりたいと思っております。  また、韓国での口蹄疫の発生等を受けまして、機内、船内及び旅客ターミナル内におけるところの旅客への注意喚起のためのアナウンスの実施やリーフレットの配布等につきまして、航空会社や、航空会社だけではなしに、空と海のこの管理会社等に協力を依頼するなど、旅客への広報、周知活動を実施をいたしているところでございます。  さらに、今回の家畜伝染病の予防法改正案におきましても、動物検疫所長は航空会社あるいは空港等に対して協力を求めることができるものとし、その場合は、航空会社、空港等はその求めに応ずるよう努めなければならないという規定も新設をいたしておるわけでございます。このような規定も踏まえて、航空会社あるいは空港等などと十分連携を取りながら、海外旅行者の皆様方にも広く我が国へのウイルス侵入防止措置の重要性というふうなものを周知してまいりたいと思っておるところでございます。
  116. 横山信一

    横山信一君 どこから侵入してくるか分からないという状況考えれば、この海外旅行者への、海外旅行者だけではありませんけれども、とりわけ海外旅行者への周知というのはもう是非徹底をしていただきたいと思うわけであります。  こうした水際、人への水際対策、物への水際対策ということで済まされないのが高病原性鳥インフルエンザでございまして、これは昨年十月、北海道稚内、そしてまた十一月には島根と、その後日本各地で発生が確認をされたわけでありますが、その原因は野鳥というふうにも言われているわけであります。カモ等の野鳥は国境を越えて往来をする渡り鳥ですから、従来の水際対策という観点での侵入を防止するということは難しいというわけであります。  また、今回の一連のウイルスは、シベリアなどの北方の営巣地から渡り鳥がウイルスを国内に運んだ可能性があるということも指摘をされております。こうした渡り鳥の営巣地にウイルスが定着すると、今後もウイルスが運ばれてくるという、そういう懸念もあるわけであります。繰り返し感染が出てくるということであります。  こうした現状に養鶏農家は大変な不安を感じているわけでありますが、その不安を解消するにはやはりモニタリングを強化するということが重要だと思いますけれども、今回の改正案では、知事が渡り鳥について検査をする、そしてまた、蔓延防止措置を取ることができるというふうになっております。また、その一方で、従来、野鳥のモニタリングというのは環境省が所管をしております。そしてまた、動物園あるいは天然記念物については文科省所管をしているということで、所管庁が幾つにも分かれているという、こういう現状の中で、モニタリング結果を迅速に蔓延防止措置に反映することが果たしてできるのかという、そういう疑問も感じるわけであります。こうした、本当に大丈夫なのかという、そうした不安の声にどうするのかということをお聞きをいたします。  また、国境を越えて飛来する渡り鳥については、日本だけでやっていてもこれは効果が薄いということでありまして、関係国間での連携の強化が必要でありますが、この点についてどう考えるのか、お伺いいたします。
  117. 田名部匡代

    大臣政務官田名部匡代君) 先生指摘のとおり、関係省庁としっかりと連携を深めていくことは非常に重要だと思っています。  まさに、家畜伝染病を予防する、蔓延防止をするということは畜産だけではないので、そういう意味では今回改正法案において、農林水産大臣及び関係行政機関の長は、家畜伝染病の予防、蔓延防止に関し相互に緊密に連絡し、協力しなければならない、また、野生動物から家畜への家畜伝染病の伝染のおそれがあるときは、農林水産大臣は環境大臣に必要な措置を求め、環境大臣農林水産大臣に意見を述べることができる旨を規定したところでございます。  環境省だけではなくて、消毒ポイントは国交省又は防衛省とも関係してきますし、先生がおっしゃっていたように文科省もそのとおりでありますので、各省庁しっかりと連携をするということに努めてまいりたいと考えています。
  118. 横山信一

    横山信一君 縦割りの弊害というのは随所にあるわけでありまして、是非この縦割りをしっかりと解消できるように農水省の役割をしっかり発揮していただいて、蔓延防止に努めていただきたいと思います。  改正案では、畜産農家に飼養衛生管理基準の遵守状況報告あるいはまた消毒施設の設置、埋却地の確保ということで、従来にも増して家畜所有者としての責任を強く求めるものになっております。また、こうした措置というのは、家畜防疫のために必要なものでありますけれども、畜産経営にとっての過度の負担にならないように配慮をすることも重要であります。  そういう意味で、財政上のみならず技術的な支援ということも必要と考えますけれども、この点について御所見を伺います。
  119. 筒井信隆

    ○副大臣筒井信隆君) 今度の家伝法の改正の一つの特徴が、やはり生産者自身にいろんな対処をしてもらわなければならない。その結果、今先生が言われた衛生管理基準状況について毎年報告するとか、あるいは畜舎の出入口付近に消毒設備を置くとか、これらの義務付けを、それ以外にもありますが、したわけでございまして、これが必要なことは先生の御理解もいただけるものというふうに思います。  ただしかし、同時にまた、そういうことをする生産者、畜産農家に対しまして、都道府県知事によるいろんな支援、指導、助言、勧告を含めて、いろんな支援を規定すると同時に、防鳥ネットとか、それから動力噴霧器とか、消毒設備でございますが、これらの整備についての支援措置も定めているわけでございます。  ですから、先生のおっしゃる趣旨はやっているものというふうに考えております。
  120. 横山信一

    横山信一君 やっているものというふうに御答弁いただきましたけれども、不十分な点がないか常にチェックをしながら進めていただきたいと思うわけです。  この畜産農家支援ということと同時に、今回の改正案では、家畜防疫員という役割も増しております。この家畜防疫の実施、施主として都道府県の権限と役割というのが改正案では明確に位置付けられました。また、その中には、家畜防疫員の確保についての努力規定も盛り込まれております。  この家畜保健衛生所、そしてまた家畜防疫員に対しては、患畜の早期発見、通報の役割というのは非常に大きな役割が持たれているわけでありますが、一方で、獣医師の国家資格の合格者というのは年間千人程度と。そしてまた、その合格者の多くが昨今のペットブームに乗りまして小動物診療分野へ行ってしまうと。もちろん、ペットブームだけではなくて、都道府県、国も含めてなんですけれども、獣医師の処遇といいますか待遇が余り良くないと。そういったこともあって、小動物診療所に行ってしまう、動物病院に行ってしまうという現状があるわけです。その結果、家畜衛生行政にかかわる公務員の採用が非常に大変だと、自治体も苦労をしているわけであります。  私も国の獣医師の方とお話をしまして、給料表はどうなっているのというふうに伺うと、一般職と同じですというそういう答えが返ってくるだけでありまして、欧米に行きますと、人間の医者というのは言葉で説明ができるけれども、動物の家畜の医師というのは言葉が理解できないので、社会的な地位は人間よりも上になっているというのが普通でありまして、そういう意味では日本の待遇というのは非常に今低い状況にあるなということであります。  こうした背景もあって、その上に更に自治体の財政状況が非常に厳しいわけでありますから、家畜防疫員の役割を増やして人数を増やせと、ただ法律に明記するだけではこれは増えようがないわけであります。そういう意味で、家畜防疫員の確保を求める以上、例えば獣医学系大学における定員の増員、あるいは教育内容の充実といった地道な取組のほかにも、国としての財政措置ということを講じていく必要があろうかというふうに思うわけですが、この点について伺います。
  121. 筒井信隆

    ○副大臣筒井信隆君) おっしゃるとおり、家畜防疫員の収入、給与が他と比べて低いということは多くのところで認識されている問題でございまして、だからまた、北海道や鹿児島県を始めとして三万円ほど初任給調整手当をプラスしている県が多く今出ているところでございまして、それらに対する措置をとりつつあるというふうな状況でございます。  そしてまた、総務省においても普通交付税で、それらの給与の問題を含めた家畜防疫に関する経費も交付対象として計上をしているところでございます。そして、一緒に総務省の方は、その標準的な家畜防疫員の数についても公表し、各都道府県に通知をしております。それによりますと、畜産農家五万五千戸で、今年までは四十九名が標準的な防疫員の数として出しておりましたが、二十三年度からはそれに四名プラスして五十三名としてこれを公表し、各都道府県の方にも通知をしているところでございまして、全国的な標準的な防疫員の数はこうですよということを知らせることもまた防疫員の数を確保するために必要な情報であるというふうに考えております。
  122. 横山信一

    横山信一君 宮崎県の事例では埋却地の確保の問題が出てまいりました。この埋却地の確保が難しかったために感染の拡大を招いたというふうにも言われているわけでありますが、この埋却地確保、今後これをどうしていくのか、まず伺います。  そしてまた、これらの埋却地については、宮崎県の場合ですけれども、近隣の農家などの協力を得ながら確保したと。そしてまた、地代相当額、環境対策費が支払われたというわけでありますが、三年間はその後農地として使用することはできない。しかも、埋却のために掘り起こしたということで石が表土に出てしまったりとかして、農地として復元するための再整備が必要になっていると。そういう意味では、今後の埋却地確保のために、埋却後農地として復元するための支援ということも必要というふうに考えますけれども、この点について伺います。
  123. 筒井信隆

    ○副大臣筒井信隆君) 埋却地の確保も各生産者で行うものとして出しておりますが、しかし、同時にまた都道府県知事による指導、助言、勧告等の制度も今度の家伝法の改正で出しているものでございます。そして、国としても、その埋却地については国有地で使えるもの等についての情報提供をしたり、あるいは移動式の焼却炉、これらの提供をしたりして、そういう問題についての支援を具体的にやっているところでございます。  それから、先生が最後の方に言われた農地としての再利用という点に関しましては、埋めるときにおがくず層を作るとか、特に上に、それから覆土の厚さを増量する、それらの形で先生の言われた趣旨のことを実現するために近づけていきたいというふうに考えております。
  124. 横山信一

    横山信一君 ちょっと時間がなくなってきたんですが、畜産物価格の方に移らせていただきます。  まず、配合飼料価格をめぐる情勢でございますけれども、配合飼料価格は本年に入って、一月期から三月期の価格で前期に比べてトン当たり三千円値上がりをいたしました。そしてまた、価格を決める大きな要素でありますトウモロコシのシカゴ相場の水準、これは先ほど長谷川委員からも指摘がありましたけれども、価格高騰が激しかった平成二十年の七月の水準に近づいているという状況であります。今後の世界的な穀物需要あるいは投機的な要素というのもあるわけでありますが、こうしたことを勘案すると、配合飼料価格というのはかなり上昇する可能性があるということであります。  そうした情勢を見て、この配合飼料価格安定制度において積まれている通常補填基金あるいは異常補填基金と、こうした備えている積立金が本当に十分に対応できるような水準にあるのかと、そういう不安があるわけでありますが、この点について伺います。
  125. 田名部匡代

    大臣政務官田名部匡代君) 配合飼料価格安定制度の補填の財源でありますけれども、二十三年四月から六月期、約二百八十億円の補填金を交付した後でもなお通常補填基金と異常補填基金合わせて三百六十五億円の財源があります。さらに、二十三年度中には約百八十億円の積立て増しが見込まれるということでありますので、直ちに枯渇することはないというふうに考えておりますけれども、不確定な要因も様々あるわけでございますので、引き続き動向をしっかりと注意することが必要だと考えています。
  126. 横山信一

    横山信一君 この基金は皆さんが非常に不安に思っているわけなんですね、これはね。本当に足りるのかなと。そういう意味では、直ちに今不足するとは思っていないという、そういう見通しでありましたけれども、十分に危機感を持って考えておいていただきたいということであります。  補給金単価の期中改定についても伺います。これも先ほど長谷川委員からも御指摘があったところでありますが、これは非常に重要な観点でありますので。  昨年九月に酪農の生産者団体と大手乳業との価格交渉が行われた際、これはもう乳業各社は消費を喚起させるために値下げをするべきだというふうに主張いたしました。それに対して生産者側は、飼料費が高騰しているということで乳価据置きを要求した。結果的に乳価据置きになったわけでありますが、しかし昨年夏の猛暑で乳牛への相当なダメージがあって、酪農経営というのは非常に厳しい状況になっております。そういう中で、酪農戸数は小規模を中心に年々減少している、そしてまた飼養頭数も減少していると。そういう中で、この酪農経営の基盤を支えている生乳の生産体制というのをどのように維持をしていくかということは非常に重要であります。  ですから、この経営状況に対しての十分な支援を行っていく必要があるわけなんですが、酪農家にとって期中改定の見通しがあるかないかというのは、希望が持てるかどうかというところにかかわってくるわけでありまして、平成二十年に行ったような期中改定、今年については非常に可能性があるというふうにも考えておりますけれども、この期中改定をしっかりと視野に入れるべきというふうに考えますけれども、改めて御答弁をお願いしたいと思います。
  127. 筒井信隆

    ○副大臣筒井信隆君) 先ほど大臣も答弁されたとおりでございまして、期中改定について必要であれば前向きに検討していきたいというふうに思っております。
  128. 横山信一

    横山信一君 ありがとうございます。その前向きなというところが非常に大事な、生産者にとっては非常に大事な観点であります。  肉用牛のことについてもお伺いいたしますが、肉用子牛価格についてはその推移を見ますと、黒毛和種あるいは交雑種の取引価格というのは上昇傾向にあります。特に、交雑種の子牛については出荷頭数が減少したことなどを受けて引き合いが非常に強まっているという状況にあります。  ただし、乳用種については枝肉価格が低下しているということであって、この乳用種は低下傾向にあると。二十三年度予算で、この肉用子牛生産者補給金に加えて肉用牛繁殖経営支援事業というのがあって、これは二十二年度とほぼ同様の所要額が確保されておりますけれども、この事業の中でも、今言ったこの乳用種あるいは交雑種は対象とされていないという状況にあります。  こうした乳用種の子牛価格、あるいは牛肉の消費、今低迷をしておりますけれども、こうした情勢を考えると、乳用種あるいは交雑種についても肉用子牛生産者補給金制度を補完するような支援制度が必要だというふうに考えますけれども、どうでしょうか。
  129. 筒井信隆

    ○副大臣筒井信隆君) 基本的な考え方が、生産費と販売価格との差額を支給する、支援する、赤字補填という考え方でございますが、黒毛和種と乳用種等ではその点で大きな違いがあって、黒毛和種の方は生産費を大きく販売価格が下回っているという状況がございます。しかし、乳用種の方はそれほど大きなその点で差がないという状況がございますので、そういう違いから制度に関してもやはり違いが出てくることはやむを得ないものというふうに考えているところでございます。  しかし、もちろんこれらの状況もその都度変化が考えられるわけでございますから、それらの変化に応じて見直しをしていくという姿勢は必要だというふうに思っております。
  130. 横山信一

    横山信一君 最後になりますけれども、畜産、酪農に対する戸別所得補償についてのお考えを最後に伺っておきたいと思います。  食料・農業・農村基本計画に基づいて、昨年七月に酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針というのが策定をされました。基本計画には、戸別所得補償制度の本格実施に当たって、畜産、酪農については現在講じている畜種ごとの畜産経営安定対策の実施状況等を踏まえ、畜産・酪農所得補償制度の在り方や導入時期を検討するというふうにあります。その基本方針では、この所得補償制度の導入を始めとして、持続可能な酪農及び肉用牛生産への転換、あるいは消費者ニーズにこたえた畜産物の生産、加工、流通といったことが内容に含まれているわけなんですが。  戸別所得補償制度というのは、二十二年から米のモデル対策が導入されて、また来年度からは畑作物を含める予定になっていると。そうした中で、この二十二年度の畜産物価格関連対策というのは従来の対策の延長線上にあるということで、今後この畜産・酪農所得補償制度というのは本当にやるんですかという、そういうことであります。  現時点でどういうふうに考えているのか、御所見を伺います。
  131. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 畜産、酪農の皆様方に対しては、経営安定対策というふうなものによって意欲を持って取り組んでもらわなきゃならない、そういう意味でいろいろ、経営を継続していただくべく施策を講じてきておるところでございますけれども、そういう対策というふうなものの実施状況というふうなものを検証しながら、お答えとすれば基本計画、基本方針と変わらないんでございますけれども、とにかくこの所得補償の在り方というふうなものなり、時期というふうなものについて引き続き検討してまいりたいと思っております。
  132. 横山信一

    横山信一君 終わります。
  133. 柴田巧

    ○柴田巧君 みんなの党の柴田巧です。  私の方からは、いわゆる家伝法のことについていろいろお聞きをしていきたいと思います。  御案内のとおり、昨年来の口蹄疫や、あるいは高病原性鳥インフルエンザの発生を踏まえて家畜伝染病の防疫体制を総合的に強化しようということが今回の改正の一番の趣旨だと認識をしておるわけでありまして、全体的に評価ができる部分があると思っておりますが、一部、そうなると、国としての財政支援措置はどういうことになっていくのか、あるいは対処基準がどういうふうになるのかといったことなどなど、やや不安に思うところもあるわけで、そういったところを中心にお聞きをしていきたいと思っております。  御承知のとおり、この畜産農家を取り巻く環境は大変厳しいものがあるわけで、飼料高はもちろんでありますし、原油も上がってまいりました。また、今般の地震によっていろんな被害を受けている、出荷停止等々の措置もとられていると、風評被害もあるというようなことなどで大変厳しい状況にあることは言うまでもありません。  そういう中で、今横山先生の方からも御指摘がございましたように、畜産農家に対してこの改正案ではいろんな規定が設けられるということになります。出入口付近の消毒設備の設置や埋却地の確保等々あるわけでありますが、先ほども御指摘あったように、大変厳しい経営状況の中でそういう衛生管理費が上昇することによって経営を圧迫するんじゃないかという危惧を私も持つわけでありまして、先ほど副大臣の御答弁を聞きますと、防鳥ネット云々というお話もありましたが、果たしてそれだけで十分なのかなと。また、その技術的な支援も含めて、もっと更にこういうことがあり得るというものはお考えがあるんではないかと思うんですが、そこら辺はどうでしょうか、まずお尋ねをしたいと思います。
  134. 筒井信隆

    ○副大臣筒井信隆君) 今度の鳥インフルを考えますと、渡り鳥からの可能性が高いというふうに言われているわけでございまして、渡り鳥からネズミとか何かにうつって、それから来るということもあると思いますが、一番やっぱり大事な対処は、防鳥ネットをきちんと穴が空かないように整備するということでございまして、これに関して、防鳥ネットの整備について国の予算支援をすると、これは先ほど申し上げたとおりでございます。そしてまた、口蹄疫も含めて、出入口付近の消毒をきちんと行うことも極めて重要でございまして、動力噴霧機はまさにそのためのものでございますが、それに対する国の予算でも支援をするということを出しているわけでございます。  そして同時に、家畜防疫員、これは県の職員でございますが、獣医師をきちんと配置をして、そのいろんな助言や管理に基づいてやるということも重要でございますが、この獣医師の確保に関しましても交付税を含めて予算措置をしているところでございまして、今度の家伝法の改正に当たっての国の支援制度は、その意味では、まあ十分とは言いませんが、ある程度はなされているものと思います。  今後も、しかしこれらの問題は大きな問題でございますから、財源の問題とも兼ね合わせながら、更に充実、整備をしていきたいというふうに思っております。
  135. 柴田巧

    ○柴田巧君 是非、今後の推移も見ながら、また更なる支援策についていろいろ検討もしていただければと思います。  また、今回の改正案によると、先ほども御指摘があったように、いわゆる都道府県の役割が大変大きなものになります。畜産農家へのこの周知義務、衛生指導、あるいは患畜が発生した場合の消毒等々、大変な業務量が増えることになると思っております。更に言うと、その報告の督促事務とか、定期報告を受けたその情報を精査する、あるいはその関係機関とのいろいろな協議をするということなどなど、これまで以上に都道府県の役割が大きくなって、その分いろんな事務経費も掛かってくるということだと思っております。  今も一部御答弁があったような感じがいたしましたが、こういう役割が増える都道府県等に対する財政的な支援策というものも充実が求められると思いますが、この点について、重なる部分あると思いますが、よろしくお願いします。
  136. 筒井信隆

    ○副大臣筒井信隆君) 重なりますが、先ほどは生産者の消毒等に関する支援を申し上げましたが、県もまた消毒ポイントの設置とかいう形でいろんな負担が掛かるわけでございますが、それらの器具を含めて、人件費を含めて、もちろん消毒液を含めて国の支援策をきちんと充実していく、こういう方向を決めているところでございます。
  137. 柴田巧

    ○柴田巧君 是非引き続いていろいろと支援策を検討を講じていただきたいと思います。  また、これもちょっと横山先生の部分と重なる部分があるわけですが、先ほどから出ている獣医師の件であります。  御指摘のとおり、非常に偏在をしているというのが実態であって、確保しようにも非常に都道府県としても確保に苦慮しているというのが現実だと思います。したがって、国としてもいろんな処遇改善、労働環境の整備というものをしなきゃならぬと思いますし、獣医系大学の定員増あるいはその教育の中身、在り方、このことについても農水省としてもいろいろと強い関心を持って働きかけもしなきゃならぬのではないかと思っております。  この公務員といいますか、公務員獣医師の、なることの意味や魅力や、そういったことをしっかり大学教育の中でも教えていくということが大事なことなのではないかと思いますが、そういったことを含め、この都道府県の公務員獣医師の確保のために、家畜防疫員の確保のために農水省としてどうやって取り組んでいかれるか、大臣にお聞きをしたいと思います。
  138. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 先ほど来副大臣の方からもお答えをいたしておるところでございますけれども、大学を所管している文部科学省に対しまして、獣医系大学の定員の在り方の検討や教育の充実というようなことにつきまして、特段の配慮というふうなものを要請いたしているところでございます。  また、農林水産省といたしましては、獣医系大学の学生に対して修学資金の給付なり、あるいは家畜保健衛生所での実習研修の実施などを支援しておるところでございまして、引き続いてこの都道府県ごとの家畜防疫員の確保というふうなものについて農林水産省としてもできるだけの努力をしてまいりたいと思っております。
  139. 柴田巧

    ○柴田巧君 是非よろしくお願いをしたいと思います。  さて、改正案では、家畜以外の動物が家畜伝染病にかかっている場合等について、消毒や通行の制限、遮断を行うことができるものとされたわけでありますが、では、動物園等におけるそういう伝染病が発生した場合の予防や蔓延防止の対策についてはどういう対処基準が設けられているのかというのは、ちょっと正直分からない部分があるんですね。  昨年、私の地元の富山県で高岡市というところがやっている動物園で、そこで飼育しているコブハクチョウに高病原性鳥インフルエンザが確認をされたんですが、これに対してどう対応するか、いろいろ対処基準がこれまでありませんでしたので地元自治体も苦慮した結果、自衛殺処分という措置をとるように県が市を指導したということになったわけですけれども、こういうときはどうするのか。年末に富山の知事も大臣にこの対処基準の明確化ということを要望した経緯があったかと思いますけれども、これは関係省庁とも協議をしなきゃならぬことだと思いますが、こういった場合の対処基準、明確にしておくべきだと思いますし、これがいろいろ動物園からいろんなところに飛び火して伝染病が広がるということが十分考えられるわけで、そこら辺の取組、どういうふうにお考えでしょうか、お尋ねをしたいと思います。
  140. 渡邉綱男

    政府参考人(渡邉綱男君) 環境省といたしましては、昨年十二月、富山県高岡市の動物園での鳥インフルエンザの発生、発症事例を受けまして、まず都道府県などの動物愛護関係課、そして日本動物園水族館協会などに対しまして、定期的な消毒あるいは健康状態の観察の徹底など、動物園で当面取り組むべき事項に関しまして指導文書を昨年末に発出をしたところでございます。  さらに、現在、地方自治体、そして日本動物園水族館協会とも連携をいたしまして、各全国の自治体の動物園に対する指導の状況、各動物園の対策状況についての調査、そして海外の各国の対応状況、あるいは国際獣疫事務局におけます国際的な指針などの調査を現在行っております。そういった調査結果も受けて、鳥インフルエンザ発生時に動物園等が取り組むべき事柄について、できるだけ早く取りまとめて公表をして周知徹底を図っていきたいというふうに考えています。  その上で、更に詳細に検討を要する事項につきましては、二十三年度中も引き続き調査をして、専門家の意見も十分聞きながら、関係省庁と協議の上で、対処基準の整備も含めてしっかりとした体制の構築に努めていきたいというふうに考えております。
  141. 柴田巧

    ○柴田巧君 是非早急に対処基準が明確になるように、またできればそれを周知徹底が図れるように、是非お願いをしたいと思います。  さて、こうやって家畜伝染病に対応していくためには、私はその家畜のデータベース化というものをもっとこの国は真剣に考えなきゃならぬのではないかなと思います。この法律が改正されるのを機に、これは取り組んでいくべき価値があるといいますか、必要性があるのではないかと思います。  よく知られていますように、海外などにおいては、農場の飼養規模や位置情報、またあるいは家畜の移動履歴、検査結果などの情報を入力をして、いろんな発生時に、特に初動対応のときにその力を発揮すると思いますが、この状況分析や防疫対策の立案に活用できるデータベースというのは結構持っている国があるとお聞きをしております。  これは、口蹄疫のみならず、ほかの家畜の疾病対策にも十分活用できるものだと思っておりますが、国においても、我が国においても都道府県あるいは畜産団体などとも連携してこういったデータベースを作る、構築するということをしていかなきゃならぬのではないかと思いますが、いかがでございましょうか、お聞きをします。
  142. 田名部匡代

    大臣政務官田名部匡代君) 全く先生のおっしゃるとおりだと思います。  それで、やはり伝染病が発生してすぐに対応するためには、その所在地であるとか、どのぐらい飼っているとか、そういったことを細かく把握をしていく必要があって、これを踏まえて、今回の改正案においては、家畜の所有者が飼養状況であるとか衛生管理、これについて都道府県知事に定期的に報告しなければならないということにしています。二十三年度の予算で農場の位置や家畜の飼養状況等、初動の対応に必要な情報について国及び都道府県が共有可能な防疫マップシステムを構築するとしているところであります。  海外でもいろんな取組が進んでいるようですし、国内でも、鹿児島なんかは非常に、何かピッとボタンを押すとデータがばあっと出てくるような、そういう、何かばあっとかピッとかいう説明で分からなかったかもしれません、そういうことをやっているようでありまして、是非とも全国的にそういう取組をしていきたいと思います。国との情報の共有を図るよう、しっかりと要請してまいりたいと考えています。
  143. 柴田巧

    ○柴田巧君 是非全国的に広がるように期待もし、一生懸命進めていただきたいと思います。  それから、やっぱりこの家畜伝染病の予防、防疫が大変重要だということを畜産にかかわる人たち広くに周知をしていく、あるいは啓発、教育をしていくというのは非常に重要なことだと思っております。  実際の経営者の方はもちろんですけれども、農場に出入りする人、訪問者の方々、それから私の周りにも、自宅の比較的近所にも養鶏場というのはかなりあるんですが、実際に従事しておられる人は海外からの研修生というのが意外に多いわけで、そういった人たちに対する、やっぱりその啓発、教育というのは非常に重要だと。これは言語の問題も絡んでなかなか難しい面はあるんですが、こういったことの必要性は非常にこれから高まってくると思います。  そこで働く人たちは、もちろん飼養管理や飼料給与という、そういった仕事はお得意とされておるわけですが、衛生管理とか、そういった問題は必ずしも得手ではない部分もあるだろうと思いますが、いずれにしても、そういう農場研修者や視察者、広くそういった人たちに対する啓発、教育、こういったものをどうやって取り組んでいくのか、お尋ねをしたいと思います。
  144. 田名部匡代

    大臣政務官田名部匡代君) これも先生の御指摘のとおりだと思います。  今回の法改正においても、家畜の所有者に対しては、家畜伝染病の発生を予防し、蔓延を防止することに重要な責任を有していることを自覚して、消毒その他の措置を適切に実施しなければならないというふうにありますが、当然、所有者はその自覚を持って責任を果たしていかなければなりませんし、それだけではなくて、先生指摘のとおり、観光の方もそうですし、農場に研修に来ている海外の方、そして、更に言えば国民全体にそういう意識を持ってもらうということは非常に重要だと思っています。  是非とも、今も農林水産省のウエブサイトに必要な情報等を発信するようしているわけでございますけれども、更にどういうことが取り組んでいけるのかも検討しながら、今やっていることを一層強化できるようにしていきたいと考えています。
  145. 柴田巧

    ○柴田巧君 これが最後になろうかと思いますが、先ほどからもお話がありますように、今や国境を越えて人や物が活発に移動する時代を迎えているわけで、家畜伝染病を予防する防疫体制を強化するというためにも、アジア、とりわけ近隣諸国との連携というのは非常に重要だと思います。今も韓国で口蹄疫の問題がまだあれですけれども、常日ごろからいろんな情報を共有する、あるいは協調体制を整えておくということが大事だと思いますし、また、そういった国々から日本にそういった菌が入ってこない、病原菌などの拡大や侵入を防ぐということからも、日本の動物の医薬品をアジアの国々に供給するということをこれから考える必要があるんではないかと思っております。  いろいろアジアで発生した病原菌などを採取、収集して、どういうふうなワクチンをつくっていけばいいか、こういったことに高度の技術を持っているのはやっぱり我が国だろうと思いますし、そういう動物医薬品のアジアへの供給ということも含めて、これから近隣の諸国との家畜伝染病防止、防疫に向けた取組は大変重要になると思いますが、どのように取り組んでいかれるか、大臣にお聞きをしたいと思います。
  146. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今お話しのとおりに、家畜伝染病の予防のためには、関係諸国と連携し、とりわけアジア全体で発生を抑制するというふうなことが大変大事なところだと思っております。  そういう中で予算措置等々も行わせていただいておるところでございますけれども、さらに、昨年の五月の日中韓サミットにおきまして、口蹄疫や鳥インフルエンザ等の家畜伝染病に対する協力強化というものを含む日中韓三国間協力ビジョン二〇二〇に合意したところでございまして、シンポジウムの開催等などを進めておるところでございます。  加えまして、今年の五月にはOIEから独立行政法人の農研機構動物衛生研究所及び動物医薬品検査所がアジアにおけるところの家畜疾病の診断及び防疫と動物用医薬品評価の国際協力に関する中心的機関として認定をされました。今年の初めに第一回目のワークショップを開催しているところでございます。  このようなことから、農林水産省といたしましても、アジアにおけるところの口蹄疫や鳥インフルエンザの蔓延防止に積極的に取り組んでまいりまして、我が国への侵入、蔓延防止に万全を期してまいりたいと思っております。
  147. 柴田巧

    ○柴田巧君 どうもありがとうございました。
  148. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  家畜伝染病予防法改正案について質問いたします。  口蹄疫、高病原性インフルエンザ等の家畜又は疑似患畜について特別手当金を交付し、通常の手当金と合わせて評価額全額とするということは農業関係者の念願でありまして、それが実現することは大きな前進と言えると思います。さらに、移動制限等による売上げ減少などの補填の対象を、これまでの鳥だけから牛や豚を含めて拡充すること、それから都道府県の防疫措置に対する国の財政支援を拡充をし、消毒に要した費用を対象に追加すること、さらに、国が家畜伝染病の発生後の初期の段階から蔓延防止措置が的確かつ迅速に講じられるようにするために予備費の計上、その他の必要な財政上の措置を講ずるということは当然の改正であり、賛成です。  ただ、改正内容に若干の懸念事項がありますので、質問をしていきたいと思います。  三月四日の読売新聞によりますと、宮崎県で昨年発生した口蹄疫で、県は三日、症状の通報が遅れたなどとして、川南町で和牛牧場を営んでおります畜産会社安愚楽牧場など二社を文書で厳重注意をし、十七日までに改善計画を提出するように指導したとされています。これについて、なぜ口蹄疫の通報が遅れたのか、会社経営に問題がなかったのか、どう改善計画を出したのかを明らかにしていただきたいと思います。
  149. 田名部匡代

    大臣政務官田名部匡代君) 今の先生お話のとおり、七例目の大規模農場では、立入検査を行った時点でもう半分程度の牛がよだれを垂らすという口蹄疫の症状が出ていた。通報の遅れは明らかでありまして、これは社内の連絡を優先したということが原因と思われます。それを受けまして、役員及び従業員等の家畜伝染病に関する知識と危機管理意識を向上させるための社内教育の徹底、これは県から指導が出たわけですが、そして早期発見、早期通報が可能な体制を構築するための管理獣医師の増員など改善報告書をこの大規模農場は提出したということを宮崎から聞いております。
  150. 紙智子

    ○紙智子君 今回の、家畜の所有者が家畜伝染病の発生を予防し、蔓延を防止することに重要な責任を有していることを法律で明記するということはこれ重要なことだと賛成できます。それから、家畜の所有者が毎年飼養状況や、あるいは衛生管理の状況を都道府県知事に報告させるということも、全国の衛生管理の状況を掌握する上からも必要なことだと思います。それから、家畜の所有者の消毒義務についても当然の措置だと思います。  ただ、これらの家畜の所有者の経営に対する負担度も強まっていくわけで、それに対する国の支援措置は必要だと思うわけですけれども、この点いかがでしょうか。
  151. 筒井信隆

    ○副大臣筒井信隆君) おっしゃるとおりでございます。まず、家畜の所有者、生産者の義務をきちんと規定をして、それを履行してもらわなければそもそも防疫体制が成り立たないわけでございますから、その点については賛成をいただいたとおりだと思っております。  それに対して、国あるいは都道府県の支援措置、これもできる限り充実をしていかなければいけないわけでございまして、今まで以上に充実していることも確かでございます。先ほどから何回も繰り返しておりますが、防鳥ネットや、あるいは動力噴霧器等についての支援とか、あるいは家畜防疫員の拡充についての支援とか、これらをこれからも続けて、更に、財源との兼ね合いもございますが、充実強化を図っていきたいというふうに思っております。
  152. 紙智子

    ○紙智子君 宮崎県は、家畜防疫員の確保の水準が全国的に見ても低くて、今回のこの口蹄疫被害に際しても、最初から最後まで家畜防疫員が人的不足ということの中で混乱を招いたということもあります。そして、全国的な獣医師の派遣を求めざるを得なかったということもあったわけです。  今回の法改正で、都道府県知事に家畜伝染病予防法の実施のために必要な員数の家畜防疫員を確保する努力義務を課したということは当然だというふうに思います。ただ、全国的にも産業獣医師の志望者数というのは減っておりまして、以前からこの産業獣医師の確保というのは大きな課題だったわけです。この点を抜本的に改善しなければならないと思うわけですが、その点についていかがでしょうか。
  153. 筒井信隆

    ○副大臣筒井信隆君) それが全国的課題であると同時に、各都道府県の課題でもあるわけでございまして、全国的な課題に関しては、先ほど大臣の方で答弁されたとおりでございますし、今の各都道府県のことにつきましては、先ほども申し上げましたが、また法律にも規定されておりますが、具体的な、標準的な防疫員の数、これを公表して各都道府県がそこに近づけるための努力をしやすくしている、これは先ほど申し上げた数値でございます。
  154. 紙智子

    ○紙智子君 それこそ、BSE発生のときからこのことずっと問題になってきたので、是非力を入れてやっていただきたいというふうに思います。  それからもう一つの大きな問題ですけれども、飼養衛生管理基準に埋却地の確保について規定する問題なんです。宮崎でもこの埋却地の確保が大問題になって、その確保の遅れが口蹄疫の被害拡大の大きな原因にもなったと思います。この口蹄疫の発生以前から埋却地を確保するということは重要なわけですけれども、問題は、個人の力では埋却地を確保することは、資金的にも、川南でありましたけれども、地下水の状況の掌握というような面からも、困難な面もあるわけです。  もし、これ画一的な取扱いということになると、埋却地の確保ができないからもう離農するというふうな事態も生じかねないということもあるんですね。ですから、国及び都道府県や市町村の協力というのは不可欠だと。その点、どのような手当てを考えているのか、明らかにしていただきたいと思います。
  155. 田名部匡代

    大臣政務官田名部匡代君) 一義的な焼埋却の義務というのはやはり所有者にあるということでありますけれども、ただ、都道府県は発生時に備えて補完的な準備を行うこと、具体的には家畜の所有者が遵守すべき飼養衛生管理基準の中に埋却地の確保についても規定するものとして、都道府県知事は家畜の所有者に対し、指導、助言、勧告、命令が行えることとした上で、都道府県知事は、家畜の焼埋却が的確かつ迅速に実施されるようにするため、必要な措置を講ずるよう努めなければならないということをこの改正法案に明記したところであります。それで、これを踏まえて、都道府県では発生時に備えた補完的な埋却地の用意であるとか、焼却、レンダリング施設の確保を進めていただくことを私たちとしては想定をしております。  さらに、都道府県知事は農林水産大臣及び市町村長に協力を求めることができる旨も規定しておりまして、国としても、移動式の焼却炉の貸出しであるとか、埋却地の候補となる国有地に関する情報の提供等を行うこととしているところであります。
  156. 紙智子

    ○紙智子君 やっぱりもっと立ち入って、実際の現場では、埋却しなきゃいけないということはみんな分かっていたけれども、実際に掘り出してみたら水が出てできなかったとか、それから、国有地の提供なんかも含めてこちらも提起しましたし、現場でやっぱりそこがなかなかうまくいかなかったということもあるわけですから、もちろん所有者自身の責任ということはあるわけですけれども、どうしてもいかないということに、ちゃんと考えて、それぞれがやっぱり、国もそうですし、都道府県もそうだし、市町村も協力体制というのは必要だというふうに思いますので、そこのところは是非しっかりと充実させてほしいというふうに思います。  それから、この予防的殺処分ということなんですけれども、これ例外中の例外として扱うことが必要だと思います。その点での政府考え方を明らかにしていただきたいと、これがまず一つです。  それから、口蹄疫の専門家であります山内一也氏が、ワクチン接種した場合と自然感染した場合と区別できるマーカーワクチンがあると。このワクチンを使うと無益な殺処分を防げるという提案をしているわけです。これ極めて重要な提案だというふうに思うんですね。その方向性ということでは、やっぱり無益な殺処分を防ぐということでも国民の理解を得られるものだというふうに思うわけです。しかし、このマーカーワクチンの開発というのはもっと信頼性の高いものにしなければいけないということで、今研究途上にあるということでもあります。政府として、是非このマーカーワクチンをきちっと位置付けて、このマーカーワクチンの開発についても進めていくべきだというふうに考えます。  この点についていかがかということで、ちょっと二つの点でお答えを願います。
  157. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 現在のこの口蹄疫ワクチンについては、感染を完全に防ぐことができない、また性能にも限界がある、あるいはまた食品安全委員会での評価を得た口蹄疫ワクチンがなく、ワクチン接種家畜を食用に供することができない、こういうふうなことから検討しなければならない問題点があるというふうに思っておるところでございます。  また、今先生がおっしゃられたマーカーワクチンにつきましては、十分な性能を持ったものが実用化されておりませんので、現時点で使用することはなかなか難しい状況にあるわけでございます。  このために、この防疫指針におきましても、殺処分と移動制限による方法のみでは蔓延防止が困難であると判断される場合に限って接種家畜の殺処分を前提として実施することとしているところでございまして、今後より良きワクチンの開発というふうなものにつきましては、科学的見地に立ちまして、適切に検討、研究を進めていく考え方でおるところでございます。
  158. 紙智子

    ○紙智子君 中身としては非常に大事な、今後の畜産ということで考えたときに大事な中身でもあると思うので、是非応援する方向でやっていただきたいというふうに思います。  次に、畜産、酪農経営をめぐってです。  それで、我が党は三月の十日にこの畜産、酪農経営について農水大臣に対して八項目で申入れをしました。これ、今全部言うわけにいかないので、そのうち時間の許す範囲でお聞きしたいと思うんですが、畜産、酪農生産者でいいますと、一昨年来の飼料価格が高騰して経営が非常に大変だったわけです。加えて、原油価格の高騰や穀物価格の高騰に直面をして厳しい状況が続いていると。  それで、私のいる北海道でいいますと、これ取引価格の低いチーズ向けの販売拡大をやったりしてきているんですけれども、夏場は物すごく暑くて、その暑さのせいで、影響で乳成分なんかも下がって、二十二年度、プール価格ということで、プール乳価で見た場合に前年比でいうと五円下がるというようなことも言われているわけです。  ですから、加工原料乳の生産者の補給金単価を、再生可能な所得の確保と、生産意欲の喚起を行うと、生産基盤の維持ということから見ても、今日、農業新聞見ましたら、審議会答申ということで、十銭ですか、値上げの方向ということが出されているんですけれども、もっとやっぱり下がっているという現場を踏まえて検討いただきたいし、そういう意味でいうと、限度数量ということで百八十五万トンということなんですけど、これやっぱり下がってきているわけですから、これやっぱり引き上げていただきたいと。我が党はもう二百五万トンぐらいまで引き上げる必要があるというふうに要求しているわけですけれども、是非この点、先ほども質問の中で、非常に現状の困難さを鑑みて、やっぱり期中改定なんかも含めての話ありましたけれども、是非そこのところは現状を踏まえていただいて、引き上げていくようにやっていただきたいということですが、これについてはいかがでしょうか。
  159. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 先生方からいろいろと御要請もいただきました。そういう中で、この平成二十三年度の畜産物の価格というふうなものにつきましては、まさしく今日の飼料、配合飼料の高騰など、こういうことを十二分にということではないという評価にもなるかもしれませんけれども、私どもとしては精いっぱい今日の畜産をめぐる状況が極めて厳しいということから判断いたしまして、前年度よりも十銭を上乗せさせていただいて諮問させていただいたということであります。  また、限度数量におきましても、実績は百八十二万トンでございますけれども、更にこれから増産に励んでいただきたいという、この意欲を持っていただきたいという気持ちも込めて百八十五万トンというふうな形で諮問をさせていただいたと。このことにつきましても、是非御理解をいただければと思っているところでございます。
  160. 紙智子

    ○紙智子君 なかなか現場では、もっとやっぱり何とかならないかという思いが本当に強いというふうに思いますし、この後も引き続きそこは検討していただきたいと思います。  それから、配合飼料の価格安定制度についても、これもずっとやっぱり問題になってきているんですけれども、生産者負担分に対して支援制度の創設をする必要があるんじゃないのかと、そして民間資金導入部分の利子補填を継続するということ、今後の想定される穀物価格の高騰に対応できるように国の財源の支援を強めるべきだというふうに思いますが、この点についても回答をお願いします。
  161. 田名部匡代

    大臣政務官田名部匡代君) 借入金九百億円については既に二十二年度分百八十億円を返済しておりまして、引き続き利子助成を継続していく考えであります。  ただ、先ほど来お話をさせていただいておりますけれども、その他の配合飼料価格安定制度の補填の財源等、現時点ではすぐに枯渇をする状況にはないと考えておりますけれど、しかしながら先生方の様々な御心配も踏まえ、今後の動向というものを見極めながら対応考えてまいりたいと思っております。
  162. 紙智子

    ○紙智子君 ちょっと通告していなかったんですけれども、最後に、この度の災害を受けて、畜産、酪農分野でいってもやっぱり影響、打撃というのは本当に大きいものがあって、畜産、酪農分野を本当に手当てしていく上でも、今回の被害というのは未曽有のものですし、特に風評被害ということでいいますと、現場の、例えば福島から聞かれている声の中にも、とにかく牛を残していかなきゃいけないということで、もう生産者の方は胸が張り裂けそうだという声を寄せていますし、それから、既にもう牛を残したままいなくなってしまっているところの牛舎の中で、牛が、誰も餌を与える人がいないものですから、もう悲鳴に近い声を上げていると。  そういう状況なんかも出ている中で、本当にこれに対しての思いというのを私たちもしっかり受け止めながら、やっぱり風評被害で、何ともないところまで含めて受入れ拒否するということなんかもあるわけですから、これはもう本当に従来の枠を超えた支援ということで対策を打っていかなきゃいけないというふうに思うんですけど、この点をめぐって最後、大臣決意といいますか、それに対してのことを一言お願いしたいと思います。
  163. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 想像を絶するこの度の大震災によりまして、畜産農家、酪農を経営している方々も、もちろん農業者、漁業者もそうでございますけれども、思いも寄らぬ大変な御労苦をなされておる方々に対してどういう措置を講ずることができるかも踏まえて今緊急に検討もいたしておるところでございまして、今後とも、酪農家方々、畜産農家方々のお気持ちというものを踏まえながら何ができるかということを、重ねて申し上げますけれども、考えながら検討してまいりたいと思っております。
  164. 紙智子

    ○紙智子君 ありがとうございます。終わります。
  165. 主濱了

    委員長(主濱了君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  166. 主濱了

    委員長(主濱了君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  長谷川君から発言を求められておりますので、これを許します。長谷川岳君。
  167. 長谷川岳

    長谷川岳君 私は、ただいま可決されました家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会、自由民主党、公明党、みんなの党及び日本共産党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   東日本大震災により我が国の農林水産業は過去に例のない甚大な被害を受けた。一日も早い復興のため全力を尽くすべきである。こうした中、口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザ等の家畜伝染病の発生が国内外で相次いでおり、政府は、本法の施行に当たり、実効ある家畜防疫体制を早急に整備するため、次の事項の実現に万全を期すべきである。  一 特定家畜伝染病(口蹄疫、BSE、豚コレラ、高病原性鳥インフルエンザ)が発生した場合には、農林水産省に対策本部を設置すること。また、都道府県にも対策本部が設置されるよう、必要な措置を講ずること。  二 都道府県が管理する種雄牛等について、緊急時に備えた分散飼育が行われるよう、必要な措置を講ずること。  三 家畜伝染病の発生国からの入国者と畜産業従事者が直接接触する可能性の高い施設における防疫措置の重要性に鑑み、宿泊施設、観光施設等において、消毒その他の必要な防疫措置が確実に実施されるよう、必要な措置を講ずること。  四 家畜防疫官の増員をはじめとする水際対策に係る体制の強化について、必要な措置を講ずること。  五 家畜の所有者が迅速に手当金の交付を受けることができるよう、必要な措置を講ずること。  六 都道府県により消毒薬等の防疫のために必要な物品の備蓄が適切に行われるよう、必要な財政的支援等を行うこと。  七 都道府県が必要な員数の家畜防疫員を確保することができるよう、必要な財政的支援を行うこと。  八 家畜の所有者等に対する手当金等について、口蹄疫対策特別措置法に基づいて実施された措置を踏まえ、必要な税制上の措置を講ずること。  九 特定家畜伝染病に関し、家畜市場の自主的な開催の停止等により家畜の所有者に生じた損失の補てんについて、口蹄疫対策特別措置法に基づいて実施された措置を踏まえ、必要な措置を講ずること。  十 特定家畜伝染病がまん延した場合における生産者等の経営及び生活再建等について、口蹄疫対策特別措置法に基づいて実施された措置と同様の十分な経済的支援がなされるよう、必要な措置を講ずること。  十一 国の防疫対応において重要な役割を果たす動物衛生研究所については、国の機関として位置付け、また、体制を強化していくことについて検討すること。  十二 国家防疫という観点から産業動物に関する獣医療体制を実効あるものとするため、獣医学系大学における産業動物に関する実習の強化、獣医師免許取得後の産業動物に関する研修の強化等の措置を講ずること。また、獣医師以外の獣医療に従事する者の資格(動物看護師など)の制度化について検討すること。  十三 野鳥、天然記念物等家畜以外の動物が特定家畜伝染病にかかっていることが発見された場合に家畜への感染を防止するため必要な措置を迅速に講ずることができるよう、文化財保護法、博物館法、動物の愛護及び管理に関する法律、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律等について、早期に検討を行い必要な見直しを行うこと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  168. 主濱了

    委員長(主濱了君) ただいま長谷川君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  169. 主濱了

    委員長(主濱了君) 全会一致と認めます。よって、長谷川提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、鹿野農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。鹿野農林水産大臣
  170. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) ただいまは法案を可決いただきまして、ありがとうございました。  附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、関係省庁とも連携を図りつつ、適切に対処してまいりたいと存じます。
  171. 主濱了

    委員長(主濱了君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  172. 主濱了

    委員長(主濱了君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  173. 主濱了

    委員長(主濱了君) 農林水産に関する調査を議題といたします。  山田君から発言を求められておりますので、これを許します。山田俊男君。
  174. 山田俊男

    ○山田俊男君 私は、民主党・新緑風会、自由民主党、公明党、みんなの党及び日本共産党の各派共同提案による畜産物価格等に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     畜産物価格等に関する決議(案)   東日本大震災により我が国の農林水産業は過去に例のない甚大な被害を受けた。一日も早い復興のため全力を尽くすべきである。   こうした中、我が国の畜産・酪農経営は配合飼料価格の高止まりに加え、国際的な穀物需給のひっ迫を背景に今後更なる飼料価格の上昇が見込まれる。加えて昨年来の口蹄疫の発生や高病原性鳥インフルエンザの続発など、これまでにない厳しい環境下にある。   また、平成二十三年度は畜産・酪農経営安定対策等と畜産物価格の決定が、別々に行われるという初めての年度である。   よって政府は、畜産農家を取り巻く現状を踏まえ、畜産物の需要を喚起し、困難に直面する農家が将来を展望できる畜産・酪農政策を確立するため、平成二十三年度の畜産物価格の決定に当たり、次の事項の実現に万全を期すべきである。  一 WTO農業交渉、EPA交渉及びTPPの検討に当たっては、平成十八年十二月の本委員会の「日豪EPAの交渉開始に関する決議」の趣旨を踏まえ、我が国の畜産・酪農が今後とも安定的に発展できるよう、適切な国境措置等の確保に向けて、確固たる決意をもって臨むこと。  二 酪農は、昨年の猛暑の影響を受け、生乳生産量の低下、乳質及び受胎率の低下など極めて厳しい年であった。    東日本大震災の影響も踏まえ、今回の価格決定に当たっては、現行の生産レベルの維持はもちろん酪農家の経営努力と生産意欲を喚起する上でも、加工限度数量及び補給金単価を適切に決定すること。  三 肉用子牛生産者補給金については、今後の飼料価格の再高騰局面を見据えて、保証基準価格及び合理化目標価格を適切に設定すること。  四 飼料価格の再高騰局面を十分に踏まえ、指定食肉の牛肉安定価格並びに豚肉安定価格については、現行を基本に適切に決定すること。  五 配合飼料価格安定基金については、今後の基金の発動状況等では財源の枯渇が懸念されることから、必要に応じ、国による追加財源の確保等の支援対策措置すること。    飼料用米、エコフィードの活用推進のための対策を充実させること。また、更なる飼料用米利用促進のため、政府所有のMA米の売渡価格を適切に決定すること。  六 国際的な穀物相場の高騰や東日本大震災の影響により、飼料価格は生産者の経営を相当圧迫する事態が想定されることから、必要に応じ、政策価格の期中改定や追加的経営安定対策、並びに配合飼料価格安定基金の借入金の償還の繰り延べ等、肉用牛・養豚・酪農等の経営支援対策を機動的に措置すること。  七 食の安全と消費者の信頼の確保を図るため、加工食品と外食の原料原産地表示の義務対象の拡大を早急に検討するとともに、米国産牛肉の輸入条件については、食品安全委員会による科学的根拠に基づき慎重に対応すること。  八 近隣諸国において深刻な状況となっている悪性家畜伝染病の国内侵入防止に係る防疫体制の強化を図ること。  九 東日本大震災の影響に伴う燃料不足のため、畜産農家への飼料供給及び家畜等の出荷が困難となっていることから、適切な燃料供給体制を早急に確立し、また、福島第一原子力発電所事故により原乳から放射性物質が検出されたことについては、消費者への適宜適切な情報提供を行うとともに、出荷制限措置に対し原子力損害賠償制度に基づく適切な補償及び出荷・販売の早期再開に向けた万全の措置を図ること。  右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  175. 主濱了

    委員長(主濱了君) ただいまの山田君提出の決議案の採決を行います。  本決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  176. 主濱了

    委員長(主濱了君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、鹿野農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。鹿野農林水産大臣
  177. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨に従いまして、最近の畜産をめぐる情勢を踏まえつつ十分検討してまいる所存でございます。
  178. 主濱了

    委員長(主濱了君) 午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時四十六分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  179. 主濱了

    委員長(主濱了君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣食品安全委員会事務局長栗本まさ子君外九名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  180. 主濱了

    委員長(主濱了君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  181. 主濱了

    委員長(主濱了君) 去る二十二日、予算委員会から、本日一日間、平成二十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管について審査の委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  鹿野農林水産大臣から説明を求めます。鹿野農林水産大臣
  182. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 平成二十三年度農林水産予算の概要を御説明申し上げます。  平成二十三年度一般会計予算における農林水産予算の額は、関係府省計上分を含めて二兆二千七百十二億円となっております。その内訳は、公共事業費が五千百九十四億円、非公共事業費が一兆七千五百十七億円となっております。  農林水産予算の編成に当たっては、既存予算の徹底した見直しを行うとともに、農林漁業者を直接支援する事業に予算を重点的に配分することにより、食と地域の再生を図ることといたしました。  以下、予算の重点事項について御説明いたします。  第一に、戸別所得補償制度の本格実施です。  戸別所得補償制度は、意欲ある全ての農業者が農業を継続できる環境を整え、創意工夫ある取組を促していくことによって、食料自給率の向上と農業の多面的機能の維持を目指す、農政の最重要施策です。  来年度は、本年度のモデル対策対象としている水田農業に加えて、麦、大豆等の畑作物に対象を拡大するとともに、農業の生産性の向上等を図るため、新たに規模拡大加算等の措置を講じます。  第二に、農業生産基盤の整備です。  戸別所得補償制度の下支えに不可欠な農業の生産基盤について、全面的な改築、更新から適時適切な補修等を通じた長寿命化対策へ転換します。また、麦、大豆等の生産拡大に必要な農地の排水対策等の条件整備を推進します。  第三に、農山漁村の六次産業化対策です。  農山漁村に雇用と活力を生み出し、農林漁業を成長産業へと導くため、農林漁業者の加工、販売分野への進出や輸出などの市場拡大に向けた取組を推進するとともに、バイオマス等の地域資源を活用した新産業の創出を支援します。  第四に、食の安全、消費者の信頼確保対策です。  国産農畜産物の安全性向上、口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザ等の家畜伝染病の発生予防、蔓延防止のための危機管理体制の強化、農作物の病虫害の防除等の取組を支援します。  第五に、生産対策の充実強化です。  野菜、果樹・茶、畜産・酪農について、品目ごとの特性に応じた経営安定対策を講じるとともに、各地域で深刻化している野生鳥獣によるところの農作物被害に対し、緊急的に対策を強化します。  第六に、森林・林業対策です。  新成長戦略で国家戦略プロジェクトに位置付けられた森林・林業再生プランの実現に向け、集約された計画的な森林整備と、これと一体となった路網の整備を支援する森林管理・環境保全直接支払制度を導入します。  また、地域の森林づくりの全体像や集約化施業の設計図を描く人材を育成するとともに、公共建築物等での地域材の利用拡大を推進します。  最後に、水産対策です。  計画的に資源管理に取り組む漁業者に対する収入安定対策と、燃油価格等の高騰に備えたコスト対策とを組み合わせた資源管理・漁業所得補償対策を講じます。  また、水産資源の回復、漁場生産力の強化のため、藻場、干潟の保全を図るとともに、赤潮などで悪化する沿岸漁場の環境を改善する取組を支援します。  次に、特別会計については、食料安定供給特別会計等について、それぞれの所要の予算を計上しております。  最後に、財政投融資計画については、日本政策金融公庫等による財政融資資金の借入れなど総額一千八百二十六億円を予定しております。  以上で、平成二十三年度農林水産予算の概要の説明を終わります。
  183. 主濱了

    委員長(主濱了君) 以上で予算説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  184. 青木一彦

    ○青木一彦君 自民党の青木一彦でございます。  まず初めに、この度の東日本大地震で尊い命を奪われました皆様方にお悔やみを申し上げ、被災された皆様に対しお見舞いを申し上げたいと存じます。また、自衛隊、消防、警察、地元行政関係者、ボランティアの皆様など、一日も早い復旧に当たっていらっしゃる全ての方に心から敬意を申し上げたいと思います。  今回の災害は、戦後、奇跡的に復興を遂げた日本国においてまさに危機的状況であり、その困難を克服するために政府、与野党を超えできる限りの復興策を考え、実行すべきであると個人的に考えております。今日はそういう思いで質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。  まず、農林水産大臣お尋ねいたします。  現在、いろんな、先ほどお話聞いておりましたが、被害総額等まだまだ分からないところございますが、現在把握していらっしゃる、これは林業を除きまして農業、水産業の被害額並びに被害状況を御説明いただけますか。よろしくお願いします。
  185. 吉田公一

    大臣政務官(吉田公一君) 青木委員にお答えをいたします。  東北地方太平洋沿岸を中心といたしまして広範囲な地域農林水産業に甚大な被害をもたらしましたことはもう既に御承知のとおりでございます。特に、岩手、宮城、福島の三県につきましては、詳細はまだ不明なところもございますけれども、約二万隻の漁船が流され、二百六十三の漁港等の多くが壊滅的な被害を受けております。沿岸部の農地二万平米ではございますが、農業関連施設被災をしておりますし、このほかの液状化や水利施設の破損等によります影響も不明、現在、詳細につきましては調査をいたしております。  被害状況把握に努めまして、農林水産業の復旧復興に向け政府を挙げて取り組む所存でございます。
  186. 青木一彦

    ○青木一彦君 それでは、その被害を踏まえまして、農林水産大臣から、特に国の農林水産業を統括される大臣から今の心境をお尋ねいたします。
  187. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今、吉田政務官から申し上げましたとおりに、今回の想像を絶するところの大震災によるところの被害というふうなものは、まさしく太平洋沿岸の広い範囲で漁船漁港、卸売市場、水産関係施設等に、さらに農地、農業用施設、こういうところにも甚大な被害が発生しておるところでございます。これによりまして食料供給への一定の影響というものは避けられないところでございますけれども、しかし、食料の安定供給というふうなものをこれからもしっかりと取り組んでいくというのが私どもの責務であると、このような認識に立っておるところでございます。  その意味におきまして、全国的なレベルの検討というふうなものと同時に、まずは被災地農林水産業の早期復興に取り組むと、こういうふうなことでございます。さらに、今後の作付けを含めまして様々なことを検討する中で、食料供給の基本である国内生産をどうやって増大させていくことができるかどうかというようなことも検討いたしまして、輸入や備蓄というふうなものも場合によっては組み合わせながら、国民に対するところの食料の安定供給に努めてまいりたいと思っております。
  188. 青木一彦

    ○青木一彦君 先ほどもお話がありましたが、水田であれば二万ヘクタールの水田が津波被害に遭ったと。私の地元の島根でありますと、約三万ヘクタールが水田耕作面積です。その三分の二に当たる水田がそれこそ塩害ですよね、もうほとんど塩水をかぶってしまったと。大変な被害だと思います。特に、今回の場合は農業もございますが、やはり漁業、もう壊滅的な被害を被っていると私は考えておりますが、特に漁業の漁港、先ほど船の話されました。漁港もかなり厳しい被害を被っております。私はいろいろ伺っておりますと、岩手、宮城で二百五十からの漁港がもうほとんどなくなっている。そして私、国交省さんからも港湾の話も聞きました。港湾を単純に直すだけで約一兆円規模掛かると、そういうふうな被害であります。  政府は今回の被害額、今、二十三日ですか、政府の方から、公共の被害だけでも十五兆から約二十五兆というふうな発表をしていらっしゃいます。これはもう本当この金額を聞いただけでもぞっとするような金額だと私は考えております。  そこで、我が自民党は、三月十五日に東日本大震災対策において復旧等に要する財源として、二十二年度及び二十三年度予備費あるいは子ども手当及び高速道路を廃止して、新たな五兆円規模の緊急対策費を提案いたしました。まだこのことははっきりいたしておりませんが、これぐらいな規模の予算を、やはりまず予算を出すというのが私は大変大事なことであると思っております。  十一日に震災が起こりまして、十二日の日に激甚災対象にされました。これも一つの手当てでありますが、数字は確実な数字を出すということがやはり大事だと思いますが、内閣の一員として、大臣、やはりこの件に関して一言御意見をいただきたいと思います。
  189. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今、青木委員の方から申されたとおり、いかにして早急に対策を講ずるか、そういう意味におきましては、直ちに財政措置を講じなきゃならない短期的にやるべきもの、そしてある程度時間を見ながらしっかりとした組立てをしていって財政措置を講ずる、そういうふうなことも含めて、自由民主党さん、あるいは各党からのいろんな要請、要望、これを総合的に政府全体としていろいろといろんな考え方を組み合わせながら、国民の人たち、今回の特に被災地におけるところの復旧復興というふうなものを目指して、まさしく国民全体で取り組んでもらうことができるような、御理解をいただくことができるような、そういう視点に立って今後の再生に向かって、復旧に向かって、私どもは努力していかなきゃならないと思っております。
  190. 青木一彦

    ○青木一彦君 ありがとうございます。  いつも国会で菅総理がおっしゃっておりますが、農業従事者の平均就労年齢は六十五・八歳だと、もう大変高齢化していると。漁業に従事していらっしゃる方も私、大体年齢、これは統計出ていないみたいなんですけれど、大体同じぐらいな年齢だと思っております。その方々が今回の被害に遭われたわけです。私は本当に、農業や漁業を本当にこれから続けていくのか、廃業してしまうのではないか。これは後からではなく、言わば当面お金をどれだけ付けます、災害対策費を講じない、講じる。これが、もう心が折れています、気持ちがもう本当大変だと思います。そういう意味じゃ、元気を出すためにもはっきりとした数字というものを私は出していただきたいというふうに思っております。  危機管理、やはりスピードが私は勝負だと思います。その辺をしっかりと検討いただきまして、先ほど私も言いましたように、野党で協力できるところでしたらしっかりと協力して、やっぱりこの国難に立ち向かっていかなければならないと思っております。  そして、二十三日の衆議院の農林水産委員会におきまして、我が党の谷公一委員質問に対しまして、谷公一議員は漁業者に対する直接支援、そういうこともやはり踏み込む必要があろうかという質問に対しまして、篠原副大臣は、我々も、戸別所得補償、子ども手当はみんな個人に行くものでございます、こういった災害復旧については最もそういうことが主張されていいのではないかと考えておりますと答弁されていますが、そのことに関しまして、大臣はどのようにお考えでしょうか。
  191. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 基本的に子ども手当というふうなもの等々は直接家計に行き渡るものでありますので、このような大災害に遭ったときは一定のこの評価をいただくことができるのではないかと思っております。  しかし、いろいろ御意見等もあるわけでございますので、そういう中でどういう財源を生み出していくかというふうなことの中で、総合的に政府としても検討していかなきゃならない課題であるものと思っております。
  192. 青木一彦

    ○青木一彦君 まず激甚対応だと、私どうしても数字が後追いになると思うんですよ。それで、現在の状況、私が思う震災の状況は、ライフラインは取りあえず通いました、まあ衣食、あとは住がまだ不完全であります。ここから先、折れた気持ち、やっと被災地皆さん、漁業に従事する方、農業に従事する方、気持ちが、折れた気持ち、やっと生活ができるようになった、じゃ、自分たちの今までの生活、やっと振り返る時間ができるのがこれからだと思います。  そこで、私はやっぱりしっかりとした数字を提起していただいて、皆様方の気持ちの部分、それを僕はやっぱり財政的な支援しかないと思っております。そのことをやはりしっかりと検討いただけますよう、重ねてお願いを申し上げます。  続きまして、この後、福岡委員の方から農林水産物に対する風評被害に関する質問がいろいろ出てくると思いますが、私は漁業に限って質問をいたしたいと思います。  福島原発の放射能汚染問題で、海水から放射能が検出されたという報道が三月二十三日にありました。このことを御存じですか。食料安全部長さん、今日いらしていただいておりますが、いかがですか。
  193. 梅田勝

    政府参考人(梅田勝君) 東京電力株式会社が福島第一原子力発電所の放水口付近、これは南側でございますが、そこにおいて海水に含まれる放射性物質のサンプリング調査を行った結果、放射性物質が検出されたことを把握しております。
  194. 青木一彦

    ○青木一彦君 これは魚に影響があるんでしょうか、ないんでしょうか。検査された結果、教えてください。
  195. 梅田勝

    政府参考人(梅田勝君) 放射性物質が海水から検出されたことを踏まえまして、三月二十二日に、念のため、近隣の自治体である茨城県及び千葉県に対し、沿岸の水産物についてのモニタリング検査について強化するように要請したところでございます。  昨日、千葉県より最初の検査結果が公表されました。千葉県が行いました検査結果については、銚子漁港のキンメダイについて放射性セシウムの検査が行われ、結果は不検出でございました。この結果につきましては、昨日千葉県が公表するとともに、厚生労働省においても報道発表を行いました。  厚生労働省といたしましては、関係自治体と協力の上、引き続き食品の安全性の確保をしてまいりたいと考えております。
  196. 青木一彦

    ○青木一彦君 やはり風評被害というのが、本当今回、二次災害ではございませんが大変な問題になっております。今後も千葉県だけじゃなくて、近海で調査をされる予定があるのか、大臣、どなたでも結構ですので、農林水産省の方、お答えください。
  197. 篠原孝

    ○副大臣(篠原孝君) 今のところ、漁業につきましては、福島県の海域におきましては余り操業するというようなことはないわけでございますけれども、千葉県あるいは茨城県の漁業者はもうできることなら操業したいという希望があります。  そういったことがありますので、先ほど梅田食品安全部長がお答えしたとおりでございますけれども、厚生労働省から通知を出していただきまして、関係県が独自に調査をしていくということ、これを農林水産省もバックアップするという体制を講じつつあります。我が方には水産総合研究センターというのがございまして、そこで相当の検体を調査できるということになっております。  先ほど、千葉県のキンメダイの話がありましたけれども、それだけじゃなくて、もう既に銚子沖におきましては、マサバ、ヤリイカ、ヒラメ、カタクチイワシ、こういったことについても調査しつつあります。  これについての基本的な考え方ですけれども、青木議員の御指摘のとおりでございまして、一番問題は風評被害でございます。魚の場合、漁の場合は、畑にもう作っている場合は投下物でもって汚染されていくわけですけれども、だから何とかしなくちゃならないと。しかし、汚染されたものを捕りに行っても売れないわけですから、ですから先に魚の検査をいたしまして、それで、これは安全だよと。今、キンメダイは不検出と、全くないわけです。出てこないわけです。魚の場合は五百ベクレルが暫定基準値になっておりますけれども。  こういうことによりまして、今申し上げました魚種等が基準値よりも低ければ漁に出られて、そしてちゃんと買っていただけるわけですから、そういった形で風評被害を防止してまいりたいと思っております。これは強制するわけにはいきませんけれども、ほかの意欲ある漁業者がもうやろうと言っているところには全面的に協力をしてまいる所存でございます。
  198. 青木一彦

    ○青木一彦君 今のお話聞きますと、今のところ魚は問題ないと言うとまずいですが、基準値を下回る数値しか上がっていない、そしてこれからも随時要請があれば続けていくということでよろしいですか。
  199. 篠原孝

    ○副大臣(篠原孝君) 要請もありますけれども、こちらの方からも促して、こちらは先に、鶏が先か卵が先かですけれども、もう駄目なんじゃないかと思っている漁業者もおられるはずなんです。そうじゃないよと、汚染されていないよと、だから漁に出られるんだよという、そういった数値を示していこうと思っております。
  200. 青木一彦

    ○青木一彦君 極めて前向きな御意見いただきまして、本当にありがとうございます。  また、漁場のことでもう一つ、水質管理という意味で質問いたしますが、今回の震災の場合、もう漁船がかなり海の藻くずとなったのか、浜に打ち上げられたのか、そしてこれ、車も同じだと思います。この中で、いろんな燃油、ガソリン等がかなり海に流れ出ているんではないかというふうに私、思っておりますが、この辺は調査をしていらっしゃるんでしょうか、お伺いいたします。
  201. 吉田公一

    大臣政務官(吉田公一君) 船や車、漁港等の施設の一部であります油タンク等が流されまして油が流出しているということはもう報道等でも御承知いただいていると思いますが、経済産業省によれば、青森県から千葉県にかけまして太平洋側の大手石油会社の製油所や製油等の油の流出はないということでございます。  引き続き、関係省庁や関係県から情報収集した上で、独立行政法人水産総合研究センター及び関係各県の水産試験場と連携の上、実態把握に努める所存でございます。
  202. 青木一彦

    ○青木一彦君 これもやはり早めに調べていただいて、事実をしっかりと公表する。やはり風評が一番怖いですので、先手先手が私、こういうとき一番大事だと思います。  もし油が流れているとしたら、それの漁業の被害というものはどういうものがあるのかお教えください。
  203. 篠原孝

    ○副大臣(篠原孝君) 油でどの程度汚れたかという、放射性物質のような基準値というようなものは私どもの承知している限り、ないんではないかと思います。
  204. 青木一彦

    ○青木一彦君 今回の魚の、例えば海の放射性物質基準値というのも新たに国で作られたというふうに聞いております。今回、油も私、かなり心配かなと思っております、個人的には。やはり、これもしっかりと調べていただいて、そして基準値なりを国の方でやはり定めることが必要であると思います。それで、何か問題があれば、いかに早く、スピーディーに、迅速に対応していただけるかということが一番大事だと思いますので、どうかその辺をしっかりと農水省の方で責任を持ってやっていただくことをお約束していただけると有り難いですが、大臣、いかがでしょうか。
  205. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 油の基準値というふうなことのお話でございますけれども、油の流出によってどういう形で影響を受けるかというようなこと等々について、どんな形で基準値を設けることができるかどうか、私は今の段階でそれだけの知見を持っておりませんが、少なくとも今委員が言われた油の被害というものに対して早急にこの対策を打つというようなことについては、あらゆる情報を収集して、そして万全を期すという気持ちで取り組んでいきたいと思っております。
  206. 青木一彦

    ○青木一彦君 いろいろ今回の震災の被害は本当に大変だと思います。大臣、日ごろからやはりTPPの問題、いろいろお話も出ておりますが、TPPを含めまして、強い農業、強い漁業、強い林業へ向けて、まだまだ先のことだと思いますが、この被災に遭った地域は本当に大変だと思います。今、私、言葉にこだわるようですが、復興復興と言いますが、特に今回の漁村、これは復興ではなくてまさに新生、新たに生まれ変わる、それぐらいなことが私は必要ではないかというふうにまで思っております。私も一議員として与野党を問わずに協力していく所存でございますので、農林水産委員会皆様方も一緒に協力しながら頑張っていこうという気持ちでいっぱいでございます。  最後に、大臣の改めて決意をもう一度表明していただきまして、私の質問は終わらせていただきます。どうか大臣、よろしくお願いします。
  207. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 考えられないような今回の大震災に対しまして、まさしく被災地に対しての食料と水の安定供給、そして壊滅的な被害を受けた漁村、漁業、そして農業、農地、そういうところに対して、これからもまた頑張ってみようというようなお気持ちになっていただくことができるように、あらゆる施策を講じていくという決意の下に、農林水産委員会先生方からのまた御助言というふうな御指導もいただきながら、まさしく政府一体となって国民の理解をいただきながら頑張っていきたいと思っております。
  208. 青木一彦

    ○青木一彦君 ありがとうございました。
  209. 福岡資麿

    ○福岡資麿君 自由民主党の福岡資麿と申します。  まず、今回の大震災でお亡くなりになられた方、御冥福をお祈りいたしますとともに、被害に遭われた方全ての方々に心からお見舞いを申し上げさせていただきたいと思います。また、大臣始め関係各位の皆様方、日夜を問わず本当に災害対応に全力を挙げていただいていること、心から敬意を表させていただきたいというふうに思います。  その上で、まず大臣お願いをさせていただきたいと思います。  本当に先ほどからお聞きしていると誠実な御答弁をいただいておるんですが、やはり中身を聞くと、全力でやりますとか、きちっとやりますとか、万全を期しますと非常に漠然とした表現が多いんですね。やはりこれから有事法制とかを設ける中で決まっていくことも多いでしょうからなかなか言えないのは分かりますけれども、やっぱり不安に思っていらっしゃる方、あしたの光を求めている方はたくさんいらっしゃるので、もう必要なことは全部やると、予算は自分が責任を持って付けると、それぐらい強い気持ちを持って臨まれることが必要ではないかと思いますが、まずその点、お聞きさせていただきます。
  210. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 気持ちとすれば、先生が言われたような気持ちを私も共有をいたしております。ただ、私も政府内閣の一員としてこの農林水産行政に対しての責務を負っているというようなことから、やはりきちっとした政策又は施策というふうなものを打ち出していく、このことも大切だと思っております。ゆえに、今、実質的にどういう、どれだけの被害を受けているかというふうなことは、これは把握をしなきゃなりませんし、そうでなければ手を打つことができませんから、その把握をする中で、やはり短期的に、本当に急がなきゃならないのは何かと。例えば、つなぎ資金なんかは、やっぱりそういう早期の支援を求めている人たちに対してやらなければいけません。これについてはもう既に検討を始めております。  しかし、どれだけの、じゃ金額とか、どれだけの数があるのかというふうなところは、まだ実態をつかめない状況でございますけれども、しかし、少なくとも、早くやらなきゃならないというようなことでありますから、そういう短期的にやるべきもの、そして、これからの農業者なり漁業者の人たちが意欲を持って取り組んでいただくための、やはりどういう考え方でいくかというものは、それに続いて、まさしく、走りながらでも考えていきながら打ち出していきたいと、考え方を打ち出していきたいと、こういうふうに思っております。
  211. 福岡資麿

    ○福岡資麿君 ありがとうございます。  非常にお立場としてもどかしい思いというのは分かりますが、その大臣の強い姿勢で勇気付けられる方はたくさんいらっしゃるわけですから、できるだけ踏み込んだ対応をしていただくことを申し上げさせていただきたいというふうに思います。  そして、今回様々な農水産品についても被害を受けているわけですが、特に放射線による被害ということについては非常に長期にわたる可能性があるわけでありまして、そういった部分を中心に今日は聞かせていただきたいというふうに思います。  今、食物の放射性物質による被害というのが問題になっているわけでありますが、これは大気中を通じて直接食物が取り込んでいる場合もあれば、一回土壌が汚染をされて、その土壌から吸い上げられる、そういった間接的な吸収というものもあるというふうに承っています。  今新聞報道とかを見ると、例えばホウレンソウとかはよく洗えば大丈夫なんですというような話とかも新聞等では出ているんですが、まあ素人考えですけれども、確かに大気中を通じて表面に付着したやつは洗えば取れそうな気もしますが、仮に土壌の中に染み込んで、そこから根を通じて吸い上げられてきたもの、それは本当に、じゃ洗っただけで果たしてその汚染って大半が取り除かれるものかどうか、そういった疑念というものもあるんでしょうし、また、今各地で水の汚染とかも言われているわけであります。その水を当然与えたときに、その水が汚染されていればその中の放射性物質を吸い上げる、そういうおそれもあろうかというふうに思いますが、その辺のちょっと技術的なことをお教えいただければと思います。
  212. 篠原孝

    ○副大臣(篠原孝君) 私も技術的なことについて完全にいろんなことに実は通暁をしているわけではございませんけれども、私が承知している限りでは福岡委員指摘のとおりでございまして、土の場合はそのまま残るわけです。ですから、洗い流せばいいというわけにまいりません。沃素の場合は半減期が非常に短くて八日間ぐらいと、それからセシウム、それから今言われておりませんが、ストロンチウムとかはもう三十年、半減期が三十年ですから、長期間にわたってそのままになっていると。  問題は、じゃそれが作物にどう影響を及ぼしてくるかと。これについては世界中でそれほどきちんとした知見はございません。つまり、成長するときに吸収するわけです。吸収して、米なら米に残る割合がどのぐらいかというのを、全くゼロではなくて、そういった知見がある国々もございますので、我々は今その知見を一生懸命探しております。  ですから、どのぐらいの程度、例えば千、数字が仮に千だとしますと、一年間作物が吸収していると十は吸収してしまうというふうになったら、ベクレルで我々はやるわけですけれども、五百ベクレルになるまでにはどのぐらいというのはありますから、それで土壌がどれだけ汚染されていたら作物にはこれだけ吸収されてしまうのでこの作物はもう作付けしない方がいいんだというふうなことも想定されるわけです。そういったことを今、初めてのケースでございますので、どういった因果関係があるのかというのを調べているところでございます。  そういったことを踏まえましてこれから対応考えてまいりたいと思っております。
  213. 福岡資麿

    ○福岡資麿君 おっしゃったように世界的な知見がもし不十分だとすれば、しっかりとした検査体制を充実させるということが必要だというふうに思っています。  例えば、水が汚染されて、そこからまかれる水を、汚染された水を吸収するというようなことがあるんであれば、例えば霞ヶ浦の水系とかからもたくさんの農地に水が行ったりしているわけでありますから、そういったことも含めて、広範囲に範囲が及ぶ可能性があるということを念頭に置いておかなければいけないというふうに思います。  そういった中で、例えば二、三日前、東京の金町の浄水場でも汚染された水があったということで言われておりましたけれども、例えば今出荷制限の四県以外にその周辺の六県ということで、対象範囲、検査対象を、しっかりやっていただく対象を広げられているようなことを講じられていますが、例えば東京都においても、昨日、江戸川区のコマツナから基準値を超える放射性のセシウムを検出したというような話もあるわけですから、どこからどこまでを検査するかというのはなるべく広くカバーをしておく必要があるというふうに思っておりまして、その辺りは、どういう基準でどの地域調査するということを行われているのか。  若しくは、その品目についても、今各県ごとに主要農産品というのを抽出して検査をされているということですが、その主要農産品全部を検査しなければ、例えばスーパーで手に取られる方が、これがその県の主要農産品に該当していてきちっと検査が行われている品目かどうか分からなければ、安心して手に取れるわけがないわけですから、そういった部分で、どの品目をやるのかということについてもしっかりと決め事があるのかどうか、そういったことについてお伺いさせていただきます。
  214. 梅田勝

    政府参考人(梅田勝君) 食品衛生法に基づく食品中の放射性物質検査につきましては、地方自治体の衛生部局において、農政部局の協力を得た上で、緊急時における食品の放射能測定マニュアルというのがございます。これを参考にして、出荷の多い農産物で現在栽培がなされている作物を中心として、その生産段階での監視を計画的に行っていただきたいと考えております。  それから、議員の御指摘のように、既に出荷制限の対象となった福島県、茨城県、栃木県及び群馬県に隣接する六県においては、放射性物質の広がりが懸念されることから、適切な検査を実施するよう私どもの方から県知事に要請しているところでございます。
  215. 福岡資麿

    ○福岡資麿君 ちょっと重ねてになりますが、やはり全ての出荷品の種類を調査しなければ、なかなか消費者に安心感を与えられないんではないかということについてはどのようにお考えですか。
  216. 梅田勝

    政府参考人(梅田勝君) これはもう検査の能力というものがございます。今もう非常に検査の依頼がふくそうしております。そういうことも考えまして、このマニュアルでは、例えば第一段階として葉菜類の食品、第二段階として芋類等を含めた食品ということで、やはりそういう重みを付けて、全体の能力がございますので、我々国としても支援はしておりますが、能力がございますので、そういう意味で重みを付けてお願いしたいと考えております。
  217. 福岡資麿

    ○福岡資麿君 その検査能力に限りがあるというのはよく分かるんですよ。だけれども、消費者に風評被害も含めて安心感を与えるためにやっているんだったら、検査していない品目があるという時点でそこのものは手に取られない可能性というのが非常に高いわけじゃないですか。そういうことも含めて、やはりしっかりと体制を組んでいただく、そういうことが必要じゃないかなというふうに思います。  次に、土壌汚染についてお伺いしたいと思います。  先ほど篠原副大臣おっしゃいましたように、沃素については半減期八日間と短いわけでありますが、セシウム等については半減期三十年掛かったりというようなことがあるわけであります。ですから、今、先ほどおっしゃったように、葉物の野菜とかそれから牛乳とかは沃素の方が短期的に心配なわけでありますが、セシウムに汚染された土壌というのは、三十年間、極端な話ずっと、三十年で半減ですからもっとそれよりも長くずっと土にとどまって放射線を発し続けるということを考えると、これがもう本当に及ぼす影響というのは物すごく大きいものがあろうかというふうに思います。  そういう部分でいって、各地域の土壌がどれだけ汚染されているかという状況についてもしっかり把握していく必要があるというふうに思いますが、その今の状況がどういうふうになっているか、そういうことについてお伺いをさせていただきます。
  218. 加藤重治

    政府参考人加藤重治君) 文部科学省におきましては、今回の事態を受けまして、まずは全国状況を早く知るということで、全国各都道府県一か所におきまして、空から降ってきたものの中に放射性物質がどれだけ含まれているかということを毎日都道府県から御報告いただきまして、その結果を取りまとめて発表してございます。  また、福島県の発電所の近傍におきましては、発電所から事故で出てまいりました放射性物質がどういう環境中で動きをしているかというところをとらえるという目的で様々な環境中の放射性物質の存在状況の分析を行っているところでございます。
  219. 福岡資麿

    ○福岡資麿君 土壌の検査についてもしっかりやっていただきたいということを申し上げさせていただくとともに、チェルノブイリのときの土壌汚染に関して、土壌がどれだけ汚染されていたかという程度と、またそれが米麦の核の含有の部分との相関関係があるというようなことのレポートも私も拝読いたしましたが、そういった部分の相関関係について、今分かっていらっしゃる限りでお答えいただければと思います。
  220. 篠原孝

    ○副大臣(篠原孝君) 先ほどの答弁ちょっと訂正させていただきます。ストロンチウムの半減期、セシウムと同じ三十年と申し上げましたけれども、二十八年だそうで、ちょっと二年だけ違っておりました。  それで、先ほどちょっと申し上げましたのですが、これを専門用語では移行係数、どれだけ移っているかというのがあります。放射性セシウムについてですけれども、米についてどうかという部分について、国際原子力機関、IAEAのデータでございます。  それによりますと、放射性セシウムの場合でございますけれども、どれだけ移行していくかというのですけれども、いろいろ数値に違いがありまして、きちんとしないわけです。これ数字ちょっと今申し上げても皆さんぱっと頭の中に浮かんでこられないかと思いますけれども、米の場合ですと最大で〇・二五ポイント、それから最小だと〇・〇〇一一、物すごい違いがあるわけです。平均しますと、〇・〇〇七五ということです。  それで、具体的に申し上げないとお分かりいただけないと思いますので、申し上げますと、例えば非常に放射性セシウムの濃度が高くなってしまったと、十六万三千ベクレルという、この仮定でやります。それで、水稲のところにはこの十六万三千ベクレルだった場合に、一体米は一年間成長している間にどれだけのものを、この十六万三千ベクレルがどれだけ吸収されるかということですけれども、先ほどの順番で申し上げますと、最大値を用いると、三万九千ベクレルになってしまいます。最小値だと百五十、平均だと千。そして、米の暫定規制値は五百ですから、平均値を用いた場合は千になります。最小値を用いた場合は百五十というふうになってきています。だから、最小と最大の差が物すごく激しくて、きちんとしていないということが実情でございます。
  221. 福岡資麿

    ○福岡資麿君 今おっしゃられたとおり、ちょっと幅が広過ぎてなかなかイメージとしてつかみづらいというのはよく分かりました。  それで、じゃ次に教えていただきたいのが、そういったセシウムとかに汚染された土壌を再び農地としてもし使うようにするために何かそういう放射能汚染を除去する方法とかがあるのかどうか、そういったものについてお伺いしたいと思います。
  222. 篠原孝

    ○副大臣(篠原孝君) 非常に範囲が限られていた場合は、農業用語で客土というのはあったりしますけれども、広範囲になりますのでそれは無理でございまして、吸収を抑えるということ以外に方策がなくて、除去というのは放射能汚染の場合は非常に難しくてできないのではないかと思います。
  223. 福岡資麿

    ○福岡資麿君 もしそういうことであるとすれば、極めて土壌汚染が強い地域については、そこで今農業をされていらっしゃる方は農業を今後することを断念をしなければいけないというような極めて大きな事態になってしまうわけでありますから、そういった点についても、じゃどういう対策を講じるのかといったことについてのしっかりとした検討を進めていただかなければいけないというふうに思います。  今度は、津波を直接かぶった、波をかぶった被害という部分でいうと、現在どれぐらいの面積被害があるか。先ほども御答弁ありましたが、もう一度お願いします。
  224. 吉田公一

    大臣政務官(吉田公一君) 先ほどは失礼いたしました。津波によります農地被害は約二万ヘクタールと言われておりますが、そのほか、液状化等により水を張ることができないという水田等の被災状況は現在調査中でございます。全容につきましては、いずれ明らかにしていかなければならないと思います。  塩分除去はいいですか。
  225. 福岡資麿

    ○福岡資麿君 いや、いいです。  先ほど青木委員のときは何か二万平米とおっしゃいましたけれども、二万ヘクタールですよね。多分間違っていらっしゃるだろうなと思って聞きました。
  226. 吉田公一

    大臣政務官(吉田公一君) 間違いです。失礼しました。
  227. 福岡資麿

    ○福岡資麿君 二万ヘクタールということで、そのほかに液状化による被害等もあるということで、それがプラスで乗っかってくるというようなことであろうというふうに思います。  その次の質問は、今お答えになろうとしていた部分ですが、仮に、じゃ塩をかぶった部分というのが、塩害の被害とか当然出るわけですから、農地として再び再生し得るためにはどれぐらいの期間が必要か。それは、例えば油が流出したやつが農地に染み込んでいる部分とかもあると思います。  先ほどと同じように、その地で農業を営まれている方が、いつになったらまた自分たちが再び営農できるのかということについてもある程度の目安がないとなかなか希望が持てないということもあろうかと思いますが、その点についての御見解を教えていただければと思います。
  228. 吉田公一

    大臣政務官(吉田公一君) 津波被害一つであります塩害除去でございますけれども、これ、十分な量の真水を長時間掛けるしかないということが一つでございます。そして、土壌中の塩分を洗い流すと、客土、それから石灰等をまくというような時間の掛かるところでございますが、それを単独又は組合せで実施していかないとなかなか塩害を取り除くことができないと、こういうことでございまして、特に油が付着した土壌は取り除いた上客土しなきゃならないということでございまして、津波によります被害農地の復旧にはそういった意味でかなりの時間を要するだろうと、こう言われております。
  229. 福岡資麿

    ○福岡資麿君 時間を要する中でも早くやはり対応を打って、そこで再び農業を営まれる方に希望の光を見せる、そのことが非常に大事なことではないかというふうに思います。  また、先ほどの話ではないですが、予算の話でいうと、やはり土地改良予算も含めて、今かんがい施設とかも非常にこれによってダメージを受けている部分というのがありますから、これまで相当そういった部分の予算切り詰めてきたということについては、やはり方針を転換していただいて必要なそういった整備も進めていただく、そういうことについて強く申し入れさせていただきたいと思いますが、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  230. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 土壌の調査等々、こういうものを含めて、予算がないからできないということにはならないように、ただ、先ほど申し上げたとおり、能力の限界というものがあるものですから、果たして、国内の今の体制でできるだけのことをやりながら、場合によっては分析器等々アメリカ等の諸外国にも要請をして、そしてできるだけ早く購入をする中で、輸入をする中で検査等々をできるだけ幅広く行うことができるような体制をつくっていきたいと思っています。
  231. 福岡資麿

    ○福岡資麿君 ありがとうございます。是非全力を挙げていただきたいというふうに思います。  先ほど長谷川委員の方からも御質問の中にありましたが、米の播種というのがもう目の前に迫っているわけであります。やはり、先ほど来お話ししましたように、津波の直接的な被害の部分については、二万ヘクタールも含めてプラスアルファの部分ということで、面積的な部分である程度把握は可能なんでしょうけれども、もう一方、先ほど申しました、米を作付けした場合に、土壌が汚染されていて、そこからできるお米が商品として成り立たない、そういう地区というのも場合によっては出てくるわけであります。  ただ、やはりそういったことが分かるというのは非常に、ここ一週間、十日で分かるような話ではないというふうに思いますので、そういった部分でいうと、もう米の播種は目の前だ、それで、すぐ作付けをしなけりゃいけない、そういう時期の中で、この米の生産目標についてどういうふうに定めていくのか、そのことについてもう一度お聞かせいただきたいと思います。
  232. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今委員からの御指摘の、いわゆる稲作農家にとってもこの作付けをどうするかと、まさしく差し迫った問題で課題であると、こういうふうなことは私どもも十分承知をいたしております。  そういう中で、今も質疑の中でいろいろ議論がございましたけれども、土壌に高濃度の放射性物質が蓄積していれば作物に吸収されて汚染が発生する可能性があると、こういうふうなことでありますから、放射性物質が土壌の中にどの程度蓄積されているかということは当然調査をしなければなりません。そして、その結果を踏まえて判断するということになるわけでありますので、関係県と連携を取って早急に土壌のモニタリング調査を実施して、できるだけ早く一定の方針を出したいと、こういうふうなことで今農林水産省の対策本部におきましても取り組んでおるところでございます。
  233. 福岡資麿

    ○福岡資麿君 先ほど長谷川委員のときのお答えの中に、米の作付け前にはしっかり答えを出すということをおっしゃっていただきましたが、そういったこの土壌汚染の部分も含めて、それはしっかりとした見通しを立てていただく、結論を出していただくということでよろしいかということをお聞かせいただきたいと思います。
  234. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) まさしく作付けの前に方針を出すというふうなことで今取り組んでいるところでございます。
  235. 福岡資麿

    ○福岡資麿君 是非お願いします。  その上で、今日も何度も議論になっておりますが、補償をどうするかということについては大分、当初のときよりも踏み込んだお答えをいただけるようになってきているというふうに思います。一番最初は、明確に言えるのは、出荷停止になったものについてはしっかり補償するけれども、ほかのものについては検討したいということであったのが、ある程度風評被害も含めて対象に入るということでありますが、どこまで、全額かということも含めて、そういった部分についてはなかなかちょっとはっきりしない部分もあると思いますが、もう一回、補償基準というのはどういう基準でやられるのかについて教えていただきたいと思います。
  236. 加藤善一

    政府参考人加藤善一君) 文部科学省でございます。  原子力損害賠償に関する件でございますが、今回の原子力発電所事故により生じます損害につきましては、農産物被害に限りませんけれども、一般論といたしまして、今回の事故と相当の因果関係が認められるものにつきまして、原子力損害の賠償に関する法律がございますので、この法律に基づきまして、その損害に対して適切な賠償が行われることになってございます。
  237. 福岡資麿

    ○福岡資麿君 何度もそのお答えをいただきますが、その適切な賠償を行うというのがどうとでも取れるというか、本当にどれだけの補償をしてもらえるのかと、非常に分かりづらいという部分でいうと、言葉で書けば相当の因果関係が認められるところに適切な賠償をするということだろうけど、それじゃなかなかその不安というのは拭い去れないというふうに思うんですね。  だから、そういった部分でやはりしっかり補償を全額するならするということを明示していただかない限り、なかなかそこは安心というのは生まれないと思いますが、その点についていかがですか。
  238. 加藤善一

    政府参考人加藤善一君) 今後の賠償の仕方でございますけれども、被害者と原子力事業者でございます東京電力の間でその賠償が円滑に行われますように、法律に基づきまして文部科学省に原子力賠償紛争審査会という組織を設けまして、これは法律によって設けるものでございますけれども、この中で、今回の事故で生じました多様な損害の態様を踏まえまして、原子力損害の範囲の判定などの指針を策定することになろうと考えてございます。今回の事故におけるその相当因果関係の考え方もこの指針に沿って判断されるというふうに考えてございます。
  239. 福岡資麿

    ○福岡資麿君 指針に沿ってということでしょうけど、早くそういうのは姿を見せないと、現地では途方に暮れていらっしゃる方たくさんいらっしゃるわけです。そういう方々に適切な対応をするということだけではいかんともし難いということだけは申し上げさせていただきたいと思います。  また、水産の風評については先ほど青木委員の方から御質問がありました。例えば、銚子沖とかでいっても、キンメダイなんかは比較的深海にすんでいるというふうに承っていますから、例えば浅瀬にすむお魚はどうなのかというようなことも含めて、やはり広範囲にわたるモニタリング、そういったこともやっていただかなければいけないということを併せて申し上げさせていただきたいと思います。  最後に、ちょっといろいろな今安全基準が示されていますが、例えばこれを一日何ミリずつ一年間飲んでも健康には問題ないとか、そういう例えとかがよくされるわけでありますが、やっぱり安心感の示し方としては、今消費者としては、もう飲み水も汚染されている地域があると、若しくは農産物についてももう汚染されている部分があると、ひょっとしたら魚もまだ分からないというような部分の中で、その一つの品目だけ毎日何キロも食べないでしょうみたいな言い方されていますが、みんなそれ合わせて食べていくと結局は基準値超えてしまうんじゃないかみたいな漠然とした不安て皆さんあると思うんですよね。そういった方々に対して、あなたホウレンソウ一日にこんなにたくさん食べないでしょうだけでは、なかなかそれでは安心感て示せないと思うんですが、その点についてはどういうふうな、その不安を拭うためにどういう説明の仕方したらいいのか、そういうことも含めて御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  240. 都筑秀明

    政府参考人(都筑秀明君) 現在、出荷制限等が行われております食品安全衛生法の中で暫定基準というものが定められておりますが、これは、私ども原子力安委員会が定めました防災指針の飲食物摂取制限に関する指針を採用させていただいているところでございます。  この指針の中身をどういう根拠で作られたかという点について御説明をさせていただくことでお答えに代えさせていただければと考えております。  防災指針のこの指標でございますけれども、国際放射線防護委員会、ICRPで決められた基準を基に定めております。この設定に当たりましては線量レベルというものが決められておりまして、これに基づいて指針を策定しております。具体的には、例えば沃素につきましては、甲状腺への線量、等価線量で五十ミリシーベルト、これは実効線量で二ミリシーベルトでございます。セシウムにつきましては、全身への線量、実効線量で五ミリシーベルト・パー・年ということでございます。これを基準に飲料水、それから牛乳・乳製品、野菜、それから穀類、肉、卵、魚その他の食品ごとに基準値を振り分けまして年間の摂取量を想定をいたします。その結果、一年間で摂取し続けた場合に基準値に達するのはどのくらいなのかということでその放射能濃度を定めたと、これが私どもが定めた指標でございます。  逆に申し上げますと、この指標の濃度、放射能濃度を一年間摂取した場合の、例えば今三百ベクレル・パー・キログラムでありますとか、二千ベクレル・パー・キログラムの飲料水とそれから乳製品、それから野菜類ですね、例えば沃素であればその三種類が対象になっておりますけれども、それをその濃度で一年間、平均的な摂取量で一年間摂取した場合に先ほどのその値、五十ミリシーベルト・パー・年の値になるということでございます。セシウムにつきましては五ミリシーベルト・パー・年ということでございます。  これらの値につきましては、現在、職業被曝の限度であります二十ミリシーベルトに比べましても低い数字となっております。合わせましても七ミリシーベルトということでございますので、これをもって健康に影響が及ぼす線量とは私どもは考えておりません。  この指標は何かといいますと、どんな意味合いがあるのかということでございますけれども、災害対策本部等の飲食物の摂取制限措置を講ずることが適切であるか否かの検討を開始するための指標として示したものでございます。  以上です。
  241. 福岡資麿

    ○福岡資麿君 もう時間ですから終わりますが、是非万全の体制を皆様方講じていただきますことをお願いして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  242. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。平成二十三年度農林水産関係予算に関連しまして質問をさせていただきます。  まず、質問に入る前に、この度の東北地方太平洋沖地震被災者皆様に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。中には農林水産業、食品産業関係者の方々もおいでになると思いますので、心からお見舞いを申し上げたいと思います。そしてまた、お亡くなりになった方々に対しては心から御冥福をお祈り申し上げたいと思います。  それでは、質問に入らせていただきますけれども、まず最初に農林水産業関係者の被災者の生活再建あるいは農林水産業の復旧復興支援に関して質問をさせていただきたいと思います。  さて、平成二十三年度予算案は昨年末に編成されたもので、本年三月十一日に起きた東北地方太平洋沖地震及びそれに付随して起こった原発事故による甚大な被害対策に関する予算は盛り込まれておらないわけであります。私は、本来ならば、今日は予算の審議の一つでございますけれども、予算案を一部編成し直して災害対策に十分な予算を来年度予算編成に盛り込むような努力をすべきだと、そのように思いますけれども、残念ながらそのような政府・与党の方の方針でないということでありますので、次のような質問をさせていただきたいわけでございます。  政府は本年度あるいは次年度の予備費や次年度補正予算対応するという方針のようでありますけれども、農林水産省分野の災害対策関係予算の本年度あるいは次年度の予備費あるいは次年度の補正予算編成に向けてどのような要求の取りまとめ、特に農林水産業の復旧再興並びに生産者の生活再建等に関する予算、そしてまた食の安全、消費者の信頼確保関係の予算等々、いろいろあると思うんですね。そういうものの検討状況につきましてお伺いをしたいと思います。鹿野大臣、お答えいただきたいと思います。
  243. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) この度の東日本の大震災によりまして大変な被害を被っている方々がたくさんおられるわけでございまして、そういう中で、一つ被災者に当面必要な食料品、飲料水、毛布等の防寒用品、医薬品、日用生活品の調達費、それからもう一つは自衛隊が被災地において実施している人命救助や物資等の輸送支援等の活動に必要な燃料の購入費、これは二十二年度、二十二年度の予備費が使用されておるところでございます。  今後のことにつきましては、当然食料品なり飲料水なりあるいはその他の燃料などの調達、供給については、農林水産省といたしましても、関係業界の協力を得ながら省を挙げて取り組んでいかなきゃならないと思っておるわけでございますが、今先生指摘の今後の復旧というふうなことを考えたときにどう対応していくのかということにつきましては、被災状況というふうなものはまだ実態がなかなかつかめないところもございます。しかし、できるだけ早くそういう状況把握した上で、現場の声というふうなものもお伺いをしながら政府一体となって検討していくということになるわけでございますけれども、とにかく、二十三年度の予備費なりあるいは補正予算の活用も含めて、必要かつ十分な対応を行っていかなければならないと思っておるところでございます。
  244. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 なかなか大きな予算に、補正予算あるいは予備費の使用というような形になると思うんですけれども、しっかり対応していただきたいと、そのように思います。  そしてまた、今後は生活再建とか農林水産業の復旧再興がだんだん大きな課題になってくると思います。そういう意味で一つ確認をさせていただきたいんですが、今回の地震津波による被災者地震保険、並びにJA共済での地震関連の共済の加入状況の全体像、そして、もし把握できていれば農林水産業関係者の加入条件等についても情報が得られれば教えていただきたいと。そしてまた、保険の支払の基本的な仕組みについて簡潔に金融庁そして農林水産省にお伺いをしたいと思います。
  245. 遠藤俊英

    政府参考人(遠藤俊英君) お答えいたします。  地震保険についてでございますけれども、まず加入状況でございます。平成二十一年度末の地震保険の世帯加入率、この世帯加入率というのは地震保険の契約件数の世帯数に対する割合でございますけれども、これを被災県別に見ますと次のようになっております。岩手県一二・三%、宮城県三二・五%、福島県一四・一%、茨城県一八・七%となっております。ちなみに、全国平均二三・〇%ということでございます。  引き続きまして、地震保険の保障の仕組みでございますけれども、まず地震保険は火災保険という保険に特約的に附帯して締結する形になっております。地震保険保険金額はその基本となります火災保険保険金額の三〇%から五〇%の範囲内で設定されます。この三〇%から五〇%の範囲内で設定されますけれども、この保険金額には実は上限がございまして、その上限と申しますのは、まず居住の用に供する建物、いわゆる家屋でございます、この家屋については五千万円の上限、それから生活用動産、いわゆる家財道具でございますけれども、これについては一千万円の上限というふうになっております。  また、民間の地震保険は、民間の損保会社が引き受けたものを国が再保険で引き受ける仕組みになっておりまして、これによって地震のリスクを民間と国で分担するといった形になっております。  以上でございます。
  246. 吉田公一

    大臣政務官(吉田公一君) JAの建物更生共済は火災に加えて、今お話がありましたように、地震等の自然災害によります損害についても補填をするものでございます。  農協の組合員の方々の人数は、建物更生共済の加入率は全国ベースで七〇%でございます、平均。被災しました御承知のとおり岩手県、宮城県、福島県、茨城県の加入状況を申し上げますと、四県合計で平均七四%ということになっております。加入組合員数は八百一万これがございますから、加入率は先ほど申し上げたように平均七〇%ということでございます。
  247. 篠原孝

    ○副大臣(篠原孝君) 仕組みにつきましては私の方からお答えさせていただきたいと思います。  もう答弁の方にありましたけれども、JA共済の建物更生共済は、火災に加えまして自動的に地震等による自然災害についても一体的に保障する有利な共済になっております。  特徴、四点ございます。先ほど金融庁の方から答弁ありましたとおり、地震保険は、普通の場合は火災保険の特約として加入しておりますけれども、建物更生共済は加入すれば地震に対する保障が必ず付いております。これが一点でございます。二点目は、先ほど、時価額の一般の場合は建物の三〇から五〇%の範囲内で任意に設定されたものしか保障されません。それに対して、建物更生共済は再取得価額の五〇%まで保障されると、これが二点目の有利な点でございます。三点目でございますけれども、先ほど限度額、一般の居住の住宅五千万という、これに対しまして引受限度額が約五倍の二億五千万になっております。これが三点目です。四点目ですけれども、政府保険対象外です、建物共済の場合は。そして、海外の再保険等がなされております。  こういった点で有利ではないかと考えております。
  248. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 地震保険あるいはJAの共済保険に入っておられる方々は、書類等が紛失しても、これ原簿持って、原簿といいますか、きちんと情報が保管されているということでありますので、支払等をきちんとしていただければと、そのように思いますけれども、なかなかこれだけでは生活再建と、あるいは産業の再建等には足りないということで、政府の方も被災者の生活再建のための特別な給付金というような形でまた応援するわけでありますけれども、それでもなかなか実際上大変な状況かなと思いますので、更に特別な対応等も御検討いただければと、そのように考えているところです。  次に、質問を移らせていただきますけれども、次は被災者の水田への影響等に関連してでありますけれども、今回の地震津波、あるいは原発事故、そういうものによる今年の米の生産に与える影響、あるいは生産数量目標の再配分、そういうこともしなければならないのかどうか、その点に関しての検討状況農水省にお伺いをしたいと思います。
  249. 篠原孝

    ○副大臣(篠原孝君) 現在の津波被害状況でございますけれども、大臣の方からも何回も答弁させていただいておりますけれども、津波の直接被害は二万ヘクタールというので分かっておりますけれども、それ以外にも水路の破損とか水を引いたら水が抜けてしまったというような、水田自体に水が張れないというような状況、これたくさんあるはずなんですが、こういったものの状況を我々把握しておりません。これがあるために、今生産数量目標を定めておりますけれども、これ大きく変えなければならないんじゃないかという考え方がございます。  まず、この生産数量目標につきましては県内で調整していただくと。例えば、宮城県は相当被害が大きいわけでして、全農地面積の一〇%ほど津波にさらされております。相当変えなくちゃいけないんじゃないかということで、私直接聞いているわけじゃないんです。今日の農業新聞では、もう宮城県は既に県内調整を始めているという、こういったことで、被害を受けたところの部分を作れなかった部分をほかのところで作っていただくというような調整をまずしていただくのが一番じゃないかと思います。  次には、ほかの県、岩手県も福島県も影響を受けているわけでございます。海側ですから、比較的平らなところが波にさらされたわけですから、三県で言いますと、被害を受けて津波で洗われたところの三九%、約四割近くが農地でございます。そういった意味では非常に大きな影響を受けているわけです。その県間調整で調整できないことがあるわけです。  そういった場合は、もう既に行われてきておるわけでございます県間調整というのがあります。例えば、新潟県はおいしい米ができると幾らでも売れるということで、ところが二毛作とかができないと。佐賀県の場合は、麦を作って、そして大豆を作るという二毛作、福岡委員地元。そういうことができるということで、従来より大体二千六百ヘクタールぐらい分を新潟県でも請け負っていただくというのがあるわけでございます。こういったことがありますので、そういったルートがある場合は県間調整を自主的にしていただくと。そうじゃない場合は、我々国がそういった仲介をいたしまして、そごが来さないようにしてまいりたいと思いますので、こういうことについてはこれから各県からいろんな要望が寄せられると思いますので、その要望を伺いまして適切に対処してまいりたいと考えております。
  250. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 先ほども委員の方からも質問ありましたけれども、今回は原発事故も起こってしまったということでありまして、これからの話でありますけれども、早く収束してもらいたいという願いは本当に全国民共通だと思いますけれども、万が一、原発事故関係で放射能の汚染等で水田の作付けができないというようなことがあった場合は、先ほどのお答えですとそれは補償するんだと、農家に対して補償するというお話がありましたが、もう一度そのところを確認をしたいと思うんですが、これ農水省の範囲内で。
  251. 篠原孝

    ○副大臣(篠原孝君) この点につきましては、大臣から先ほど明確にお答えしたとおりでございまして、どの程度の影響を与えるかというのを今検討中でございまして、その検討結果を踏まえまして適切に判断して、そして播種前にきちんと決めてまいりたいと思っております。
  252. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 次に、来年度から新たな米の備蓄制度、いわゆる回転備蓄から棚上げ備蓄へと変わるわけでありますけれども、この米の備蓄制度に関しては、今回の災害考えての何らかの対応あるいは変更等があるのかどうか、この点についてお伺いをしたいと思います。これは農水省
  253. 篠原孝

    ○副大臣(篠原孝君) 先生は、備蓄の買入れについての変更、それとも備蓄の放出、どっち。
  254. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 まあ放出についても、検討されるのかどうかも含めまして。
  255. 篠原孝

    ○副大臣(篠原孝君) はい、分かりました。  備蓄の放出についてでございますけれども、今回は我々は一番最初に重点を置きましたのは、被災地皆さんに一番必要なものをお届けすると。何が必要かと考えますと、現場で調理の必要のないおにぎり、弁当、パンではないかということで、これに全力を挙げてまいりました。その次に、ある程度道路事情が良くなって物が入るようになると燃料もあると。次は炊き出しでございます。炊き出しの段階になりましたら精米でございます。  で、我々の備蓄というのは何でしてあるかというと、玄米でございます。ですから、玄米を持っていってもすぐ料理できませんので、一番最後になります。幸いにいたしまして、ライフライン等がだんだんできてきておりまして、今のところは、場所によって違いますけれども、精米でもって炊き出しというところが避難所のところでは多くなってきているんじゃないかと思います。ですから、民間でもって精米した米の在庫がありますので、それをまず使っていただくということで、我々の備蓄を放出するということは考えておりません。幸いにして、そういう事態にならずに済んだのではないかと思います。  それから、二点目の御質問でございますけれども、備蓄の契約、もうして、一回目の入札が行われました。ですけれども、そういった入札はしたけれども、その後この地震が起きまして、あるいはまた原発の問題もあります。そういったことで、買入れ入札されて落札されたんですけれども、生産が困難になるという場合が予想されます。  一回目の入札は約二十万トンなんですが、一回目は五万トン落札しております。それで、どういったところが落札したかというのは分かっておりまして、被災地が、偶然なんですけれども、米の産地ということもありまして、東北の県が多うございます。岩手県が千三百五十六トン、宮城県が五千七百トン、福島県が千二百トン、それから渡辺委員の御地元の山形も七千六百八十九トン、それから秋田が一万一千二百七十四トンということで、東北の被害を受けた三県、よく言われます三県で八千トンほど落札しているわけです。この人たち、この地域でもって八千トンを供給できないということになったら、やっぱり契約変更していただかなければなりません。このルールは、もう元々こういう事態じゃないときも想定しておりまして、このときは別の方に替わっていただくという仕組みもできておりますので、こういったことで適切に対処してまいりたいと思っております。  それから、備蓄のそもそもの運営でございますけど、私、今、今のところ放出する気はないということを申し上げてはおりましたが、今後の状況いかんでは、そういうことが必要になったら、当然でございますけれども、運用してまいりたいと思っております。
  256. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 ちょっと時間の関係で質問を飛ばさせていただきますが、食品に関する放射能規制値の検討状況とそれに伴う農林水産省の対応ということにつきまして、まず最初は食品に関する放射能規制値の検討状況につきまして内閣食品安全委員会そして厚生労働省、関係の省庁からお伺いをしたいと思います。
  257. 梅田勝

    政府参考人(梅田勝君) 三月十一日の福島原発災害の発生を踏まえまして、食品の安全性を確保する観点から、三月十七日に、原子力安委員会より示された飲食物摂取制限に関する指標値を食品衛生法上の暫定規制値とし、都道府県等に通知し、検査等をお願いしているところでございます。  この暫定規制値につきましては、緊急性を要することから、食品安全委員会の食品健康影響評価を受けることなく定めたものであり、その後複数の自治体の食品から暫定規制値を超える放射性物質が検出されました。このような状況を踏まえ、早急に専門家による科学的評価を受けることが適当であると判断し、三月二十日に食品安全委員会に食品健康影響評価を依頼したところでございます。  現在、食品安全委員会において精力的に御議論いただいているところでありまして、厚生労働省といたしましては、データの提供など、食品安全委員会の評価が円滑に進められるよう全面的に協力してまいりたいと考えております。また、評価結果が示されましたならば、その評価結果に基づき速やかに規制値の再検討を進めてまいりたいと考えております。  以上です。
  258. 栗本まさ子

    政府参考人栗本まさ子君) 食品安全委員会状況でございますが、今ございましたように、三月二十日に厚生労働大臣から食品健康影響評価について諮問を受けました。  食品安全委員会といたしましては、このような緊急事態でございますので、優先的に専門家による審議を行うこととして、二十二日及び二十三日に既に二回の審議を行っておりまして、本日も今審議を行っている最中でございます。引き続き科学的に、また客観的かつ中立公正に審議を行い、速やかに一定の結論を出したいと考えております。
  259. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 今後、食品衛生法に基づく放射線規制値の検討結果が出た場合に、今後、農林水産省としてはどういう形での対応になるのか、概要だけでもお教えいただければと思います。
  260. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今後、食品安全委員会からの答申が出たということでありますならば、厚生労働省が新たな規制値を定める場合におきましても、農林水産省としては、引き続き厚生労働省に全面的に協力をいたしまして、農産物等の調査の円滑な実施に努めてまいりたいと思っております。
  261. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 生産者方々は、本当に消費者の皆さんのために安全、安心、そして良質の食料を提供しようと努力をしておるわけでありまして、安全基準内のものであればきちんと消費者に提供されるように、ここは様々な情報をしっかり提供していただきたいと思います。  それでは、万が一、食品に関する放射能汚染が分かって様々な出荷停止と、あるいは摂取制限と国民に対して指示をされておるわけでありますけれども、原発事故によってそういう農林水産物の出荷等に影響が起こって損失が生じたという場合にはどういう補償が出るのか、このことにつきまして文部科学省にお伺いをしたいと思います。
  262. 加藤善一

    政府参考人加藤善一君) 原子力発電所事故によります損害の賠償につきましては、先ほども御説明いたしましたけれども、出荷停止に至った農林水産物に限らず、一般論といたしまして、事故との相当の因果関係がありますものについては、原子力損害の賠償に関する法律という法律がございますので、それに基づきまして適切に賠償が行われることになります。  この補償につきましては、一義的には原子力事業者でございます東京電力が今回の場合その損害を賠償する責任を負うことになります。しかしながら、政府といたしましても、東京電力がその責任を全うできるように連携、協力いたしまして、被害者の方々が適切な補償を受けられるように万全を期してまいりたいと考えてございます。
  263. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 以上で質問を終わります。
  264. 柴田巧

    ○柴田巧君 みんなの党の柴田巧です。  昨日の委員会に引き続いて今日もいろいろと議論が続いておりますが、さきの地震への対応について幾つかお聞きをしていきたいと思います。  昨日も大臣はこの被災地等への水や食料の確保、万全を期していくということをお述べになったわけですが、御案内のとおり二、三日のうちに、とりわけ水の問題といいますか、東京の金町浄水場等々からの、いわゆる水道水からも放射性物質が検出される、これが東京のみならず関東の幾つかの県でもそういう状況になってきたというようなことが出てきまして、被災地に大量に持っていかなきゃならぬのに加えて、この首都圏での、特に乳児を抱えておられる御家庭などにペットボトルも配らなきゃならぬというようなことが発生したわけでありまして、いずれにしても、これから、先ほどのお昼のニュースを見ていても、原発の残念ながらなかなか収束のめどが付かないという状態ですので、これから水道水、一時ちょっと数値は落ちた感がありますが、また雨が降れば、またこの放射能の放出がどうしても止まらなければこの問題は長期化すると思いますけれども、いずれにしても、大量のペットボトル水がこれから被災地に、また関係の自治体に必要になってくると思いますが、この確保、どのように取り組んでいかれるか、大臣にまずお聞きをしたいと思います。
  265. 篠原孝

    ○副大臣(篠原孝君) 飲用水の確保につきましては私は水道当局の対応が基本ではないかと考えておりますけれども、水道水の代替としてミネラルウオーターの需要増が見込まれます。ですから、我が省といたしましては、ミネラルウオーターの生産、流通、供給、これの拡大のために昨日関係団体に対しまして強く要請を行ったところでございます。今後ともこうしたことを続けてまいりたいと思っております。
  266. 柴田巧

    ○柴田巧君 是非、計画停電があったり、ミネラル水を作る企業もいろいろ大変なところもあろうかと思いますし、また、ちょっと詳しい技術的なことはよく分かりませんが、ほかの飲用水のラインを簡単には使えないんだそうでありまして、したがって、量産するといっても極めて技術的に困難も伴うということかと思いますが、いずれにしても、そのミネラル水、ペットボトル水の確保に全力を挙げていただきたいと思います。  そういう中で、この水、そして食料をどうしても風評被害やあるいは不安から買いだめる傾向がやっぱり日に日に強くなっていると正直私も感じます。私も麹町宿舎に住んでおりますが、もう近辺の、昨日の夜の時点では一本も水はありませんでした。事ほどさように、そういう不安などから買いだめる、買い占めるというような状況が現実に起きているわけで、本当に必要な人のところに行き渡らないというのが一番懸念されるわけで、そういう意味でもこの買いだめの自粛を求めるメッセージを、あるいはいろんな形でそういった情報発信をしていくべきだろうと思います。  大臣は、十六日だったかと思いますが、やはり米の買いだめに関して冷静な対応を呼びかけるメッセージを発せられたと承知をしておりますが、水や他の食料についてもやっぱり何らかの形で大臣自らの言葉が、力強いメッセージが必要だと思いますが、そういったものを出される御予定、お考えはあるでしょうか、お聞きをしたいと思います。
  267. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) これからも消費者の方々の冷静なる御判断をいただくという意味におきまして、消費者の方々あるいはこの関係事業者の人たちにやはり正確なる情報というふうなものを的確に伝えるというふうなことがまさしく冷静な行動を取っていただくことにつながるわけでございますので、これからも記者会見を通して、あるいはプレス発表を通して、あるいはホームページを通して私も毎日メッセージを送っておるところでございますけれども、更にいろいろと工夫をしながら、できるだけ消費者の方々、関係の人たちに行き渡るように、その声が届くように努力をしてまいりたいと思っております。
  268. 柴田巧

    ○柴田巧君 是非、引き続いての御努力の方、またお願いをしたいと思います。  加えて、農水省のみならず他の部署においても積極的に正しい情報伝達あるいは情報発信をしていただきたいものだと思います。一生懸命供給をして調達をしようと努力をしようとしても、片方で買いだめが起きるとなかなか現実そうならないわけでありまして、水や食料は安定的に供給できるんだということをやっぱり効果的に周知したり、繰り返しになっても丁寧なあるいは情報発信に努めていくということが大事だと思いますが、これは消費者庁から来ていただいておるかと思いますが、よろしくちょっと答弁をお願いしたいと思います。
  269. 末松義規

    ○副大臣(末松義規君) 先生、その買いだめにつきましては、御指摘のように、まさしくリスクコミュニケーションになるんでしょうけれども、正確で分かりやすく、そして迅速で効果的なメッセージ、それをいかに伝えていくかというのが一番の肝になってまいります。  そういった意味で、私どもの方でやっておりますのが、メッセージとして、まず供給量自体が通常の供給量の同等かそれ以上の供給を実際にやっておりますので、それで供給体制には全く問題がないということをはっきりさせていること。そして、買いだめなんかをやりますと本当に必要な被災地への供給に支障を来しているんだと、こういうことを繰り返し言いながら、冷静な行動を取っていただきたいということと、買いだめの必要はないんだということを伝えてきております。  具体的には、大臣は記者会見等とかあるいは記者発表、さらに消費者団体に対して繰り返し言っておりますし、また他省庁と通じて店頭の表示でそこで消費者に直接呼びかけ、また流通業者等、こういったことに対してもしっかりそれを徹底しているところでございます。
  270. 柴田巧

    ○柴田巧君 今もお話ありましたように、自分さえ良ければいいとか、あるいは買いだめが大変愚かな行為だということを是非この機会に認識をしてもらえるように消費者には引き続いて情報発信をして、安心を是非与えて、冷静なまた対応を呼びかけていただきたいと思います。  さて、こうやって国内でいろいろと水や食料の調達に努力をまずはしなきゃならぬわけですが、いろんなことが長期化してくれば、場合によれば海外からもそういったものを受け入れていくというようなことも真剣に考えなければならぬのではないかと思いますが、そういった海外からの水や食料の受入れ体制やその状況、そして今後の取組といったことはどういうことになるのか、お尋ねをしたいと思います。
  271. 小田克起

    政府参考人小田克起君) 海外からの水、それから食料の受入れ体制、それから状況について御説明いたします。  まず、体制でございますが、被災者生活支援特別対策本部事務局に専門の班を置きまして海外からの支援の受入れ調整を行っております。それから、水、食料に関します受入れ状況でございますが、既にアメリカ、韓国を始めとする各国等から支援を順次受け入れているところでございます。  今後も、被災地域のニーズなどを踏まえつつ、各国からの支援の申出に適切に対応してまいりたいと考えております。
  272. 柴田巧

    ○柴田巧君 是非、引き続いてよろしくお願いをしたいと思います。  続いて、昨日も若干ちょっと質問があったかとは思いますが、今、農産物あるいは水産物、海の方のいろんな心配、あるいは水産施設の心配などが大きいわけですけれども、これだけ大きな地震があって、その後余震も続いている中で、いわゆる農業用ダムやため池などの被害状況というのも一体どうなっているのか一度確認をしなきゃならぬと思いますし、そのときは表面的には大丈夫でも、これだけ余震が続くと、入っていた目に見えなかった亀裂が大きくなっていったりするという可能性もあるのではないかと心配をするところでありまして、二次災害などを防ぐためにもそういった農業用ダムやため池などの農業用施設の緊急的な点検、調査状況、どうなのか、また今後どういうふうにやっていかれるのか、お尋ねをしたいと思います。
  273. 吉田公一

    大臣政務官(吉田公一君) 私も実は、昨日、霞ケ浦の地域視察に行ってまいりまして、御指摘の農業用地、あるいは堤防だとかそういうものについてかなり被害を受けているということを認識してまいりました。  今まで点検をした地域は八百六十九か所と伺っておりますが、そのうちの四十二か所につきましてもう既に決壊やひびが、クラックが発生しておりまして、その損害を確認したところでございます。被害確認されましたダム、ため池におきましては、二次災害防止のための専門技術者の助言も受けながら応急対策を実施していくところでございます。  引き続き、被害実態の把握、点検に努めますとともに、施設の早期復旧に取り組んでまいりたいと思っております。
  274. 柴田巧

    ○柴田巧君 是非、その点もよろしくお願いをしたいと思います。  それから、今日もいろいろと議論が出ておりますが、農産物、それから水産物も大変なんですが、昨日、牧草、飼料等々についてもモニタリングといいますか放射能の検査の必要性を認識されているということでございましたが、私も専門的な知識がないのであれですが、森林などにはどういうこの放射能の影響がこれから出てくるのか、それが我々にどういう影響を及ぼしてくるのかということを心配をするところでありますが。とりわけその中でも、我々の口の中に入ってくる、いわゆる特用林産物などについてもその検査の必要性がやっぱりあるのではないかと思われるんですが、そこら辺はどういうような認識でしょうか、お尋ねをします。
  275. 篠原孝

    ○副大臣(篠原孝君) 今回の原子力発電所事故を踏まえました食料の安全確認につきましては、農産物、水産物、林産物を問わず、厚生労働省がまず第一義的に食品衛生法に基づきまして暫定規制値を決定、公表することになっております。厚生労働省が働きかけて、関係県の協力を得まして検査をするという体制になっておりまして、今のところ、柴田委員指摘の林産物についてはほとんど手が付けられておりません。  農林水産省といたしましては、今後とも、もう農産物と水産物にやっているわけでございますから、必要とあらば林産物についても検討いたしまして、協議いたしまして、円滑に実施してまいりたいと思っております。  ただ、今、柴田委員は外のものというふうにおっしゃったんですが、私の地元は長野県の北の方でございますけれども、キノコの産地でございまして、みんな家の中で栽培した菌、おがくずの中でやっておりますので、今店頭に並んでいたりしているものについては非常に安全なのではないかと思っております。  特用林産物については一つだけ、新潟県が既に外にありますシイタケについてはもう検査を行われておりまして、検出されておりませんので安全ということになっております。これからはもっと体系的にやってまいりたいと思います。特に春のシーズンになりますとワラビとかそういったことがどうなるかと。ですけれども、今、一般の畑作物、農作物では、葉物類で、よく降下してくるのを受け止めるようなものについては一番数値が高いわけですけれども、外のものについてはそんなにないんではないかと私は思っております。
  276. 柴田巧

    ○柴田巧君 いずれにしても、幅広くいろんな調査を、またその調査協力是非していただいて、大丈夫だというものをまた情報発信をしていただきたいと思います。  さて、ライフラインは日を追うごとに復旧をしつつあるというものの、まだなかなか完全なものにはなっておりませんし、また避難所生活をしておられる方は、御案内のとおり、大変劣悪な状況の中にあるわけです。そういう中で、どうしても油が、燃料が行き渡らないという中において、木炭、練炭というものに対する需要が高まってきているわけですね。それで暖を取る、あるいは避難所なんかでは調理ができませんので、それでちょっとしたものを作る、焼くというようなことが今なされているわけでありまして、これらの木炭や練炭などの調達、供給というのは、これ、どういうふうに取り組んでおられるか、お尋ねをします。
  277. 吉田公一

    大臣政務官(吉田公一君) 宮城県、福島県からの要請に応じまして、三月二十四日までに木炭二十一トン、そして木炭こんろですね、それを千二百個供給したところでございます。今後とも、県から要請があれば準備万端供給したいと、そう思っております。
  278. 柴田巧

    ○柴田巧君 その面においてもひとつしっかりやっていただきたいと思います。  最後になると思いますが、これから被災地での救援はもとより、復旧、これから復興に向けて大事になってくるのは住まいの問題だと思います。既に仮設住宅などが造られてきたところもありますが、やはり住むところが安定して初めて、確保できて生活再建の第一歩が始まっていくものだと思いますが、そういう意味では大変な数のこれから仮設住宅等を用意をしなきゃならぬ部分があると思いますけれども、そのいろんな資材等々、木材の確保というのは大変急がれるものだと思います。この点について、どのように農水省として取り組んでおられるのか、また取り組んでいこうと考えておられるか、大臣お尋ねをしたいと思います。
  279. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 三月の十五日でございますけれども、林業、木材関係団体との間におきまして東北地方太平洋沖地震災害復旧木材確保対策連絡会議を開催しました。そして、復興用の資材の適切なる供給を確保する、あるいは全国的な木材需要の安定等についての積極的な協力を要請をしたところでございます。そしてまた、三月の十七日には、住宅関連資材の調達に関する情報収集対策を行うために、農林水産省、経済産業省、国土交通省によりまして会議を実施いたしております。三月十八日には、今回のこの地震に伴う住宅関連資材の不足が予想されることから、関係団体に対しまして、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省の関係部局連名で実需に基づく適切なる発注、過剰な在庫保有の抑制等について依頼をいたしております。  今後とも、関係省庁や木材関係業界、団体と連携を図りまして、復旧復興に向けての木材の確保というところにできるだけの努力をしてまいりたいと思っております。
  280. 柴田巧

    ○柴田巧君 済みません、ちょっと教えていただきたいんですが、非常に木材需要が高まった場合に、あるいはその関連団体から要請があった場合に、国有林などを供出、供給するというようなこと、可能性としてはあるんでしょうか。
  281. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 当然、そのような場合は国有林も活用していくというふうなことも考えていきたいと思っております。
  282. 柴田巧

    ○柴田巧君 どうもありがとうございました。  以上で終わります。
  283. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  今度の大震災に際して、福島、宮城、そして続いて北海道にも入りまして津波被害調査を行いました。船は流されて養殖施設や港の施設が壊れるということでは、経験したことのない甚大な被害だというふうに思います。特に、東北地方水産業は壊滅的な被害を受けています。水産業そのものの復興ということと地域そのものの復興ということも、本当に総力を挙げて、それこそ従来の枠にとどまらないでやっていかなきゃいけないと、抜本的な対策が必要で、政府を挙げてやっていく必要があるんじゃないかというふうに思ったわけですけれども、まず最初に大臣のこの点での見解をお聞かせいただきたいと思います。
  284. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) まさしく、重ねて申し上げますけれども、今日の状況というものの状況を的確に、適切な処置を講じていくためにも的確な情報というふうなものをしっかりと踏まえて、そして、できるだけ迅速に手を打っていくというようなことが今一番求められていると思いますので、まさしく都道府県とも連携を取りながら、また、農林水産省といたしましては、農政局もございますので、そういう農政局の職員も現地に、それぞれ被災を受けたところに足を運びながら情報を収集すべく今努力をいたしておりますので、そういう情報というものをしっかりと把握をして、そして一つ一つ具体的な策を講じていきたいと、こういうふうに考えております。
  285. 紙智子

    ○紙智子君 北海道を回ったわけですけれども、どこに行っても、お金と時間があれば何とかなるから頑張るという話をして、是非東北地方にも応援に行きたいということも言われたんです。私、こういう思いになっているということは大事だというふうに思うんですね。やっぱり、ともすると、いや、東北の大変さに比べれば我慢しようというふうになるかと思うんですけれども、我慢するんじゃなくて、ちょっとの助けがあったらそれでやっぱり復活して、そして応援できるようになるという、そういうことというのも大事なんじゃないかなということを感じまして、それは北海道だけじゃなくて、西日本の方も人命まではいかなかったけれども、やっぱり大きな被害受けているところたくさんあると思いますので、そういうことからも、漁業者の皆さんがやっぱりそういう前向きな気持ちで頑張れるメッセージを出していくことが大事だというふうに思いました。  それで、北海道の噴火湾でありますけれども、この噴火湾のホタテ養殖でいいますと、去年はザラボヤの被害だったんですね。ザラボヤの被害で収入が激減して借金を抱えるところも出たわけです。そこに今回の大津波で、ホタテ養殖施設でいうと、かごが破損し流失し、そして稚貝も流されたと、再建できても当面の収入がないという状況なんですね。  去年、チリ沖の地震による津波被害というのは激甚指定されたわけですけれども、養殖施設等への支援が行われたわけですけれども、適用措置、それから地域査定方法の説明について最初に伺いたいと思います。
  286. 吉田公一

    大臣政務官(吉田公一君) 三月十三日に本災害激甚災害として指定したところでございますが、養殖施設対象となっておりまして、災害復旧事業の補助率は復旧に要した費用の九割ということに想定しております。補助要件でございますけれども、昨年のチリ沖地震によります津波被害激甚災害指定に当たりまして、被害額が二千万円を超える地域を更に追加をいたしました。そして、今般の激甚災害指定におきまして、魚類養殖施設、貝類養殖施設、海藻類養殖施設等に分類をいたしまして、被害のあった養殖施設を幅広く対象にしていきたいと思っております。
  287. 紙智子

    ○紙智子君 養殖施設の減損価格ということで判定をして、その九割までが補助の対象になるということなんですけれども、例えば、年数を経て、一千万ぐらいの施設を造っていて、残存価格がずっと減って百万ぐらいになったとすると、九割補助というと九十万ぐらいなんですね。新たな施設を買うのに、そうするとあと九百万必要というふうになってしまうと。養殖施設の減価償却というのは大体五年程度だというふうにお聞きしていますけれども、ほとんど価値が付かないものもあるということなんですね。そうすると、その査定のハードルが高いということで、経営の継続を断念することになりかねないというのもあるわけです。そういう声も出ているわけです。そういう点ではやっぱり見直しも必要なんじゃないのかと思っているんですが、いかがでしょうか。
  288. 吉田公一

    大臣政務官(吉田公一君) 委員の御発言につきましては、鹿野大臣も今聞き及びでございますし、当然大臣と相談をさせていただきまして、前向きに検討してまいりたいと思っております。
  289. 紙智子

    ○紙智子君 今回の津波漁船被害というのもまた本当に、先ほどもお話出ていましたけれども、膨大な隻数も打撃受けているということなんです。北海道だけでも漁船被害で七百件超えているということになっていて、この点では共同利用小型漁船、この建造費の補助というものがありますけれども、この対象についてちょっと御説明を願いたいと思います。
  290. 吉田公一

    大臣政務官(吉田公一君) 組合員の所有する五トン以下の小型漁船につきましては、沈没、滅失等の被害が多数発生しております。漁業協同組合が組合員の共同利用漁船を建造する場合の補助制度、そしてまた都道府県が三分の二以上を補助する場合に国が事業費の三分の一を負担するという仕組みになっております。
  291. 紙智子

    ○紙智子君 三分の一補助ということなんですけれども、その中の要件といいますか、五トン未満というのがありますよね。それで、東北もそうですし北海道もそうなんですけれども、今回の漁船被害でいうと、五トン未満の船にとどまらないと思うんですよ。ですから、やっぱり今までの制度にとどまらず、五トン以上も含めた抜本的な対策が必要じゃないのかと。これまでの枠にとらわれているとできないんですけれども、それをやっぱり今超えて検討する必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  292. 篠原孝

    ○副大臣(篠原孝君) 済みません、今の質問にお答えする前にちょっと修正がございまして、先ほど渡辺委員質問のところで、県間調整のところで、私、ヘクタールと言ってしまったのは、あれはトン、米の県間調整、二千六百トンに訂正させていただきたいと思います。  それから、漁船についての紙委員の御指摘でございますけれども、我々承知しておりますところでは、先刻来申し上げておりますけれども、被害が大きかった三県では二万隻の漁船ほぼ全滅ということで、日本の漁船数、大小合わせまして十九万隻のうち約一割近くが壊滅的な打撃を受けておると。北海道におきましても二万四千五百七十七隻のうち七百十四隻。北海道被害額も大体分かっておりまして十八億円。それから、養殖施設も相当な被害を受けているということでございます。  漁業にとっては漁船というのが不可欠でありまして、それがなかったら漁ができないわけでございまして、先ほどからお答えしておりますとおり、まず一番目には激甚災害法に基づく共同利用小型漁船建造費の補助の仕組みというのがございます。ほかには漁船保険がございます。それから、漁船の建造や取得のための融資がございます。  しかし、こういった既存の政策で対応できるのかという、私は、皆さん指摘のとおり、非常に広範囲であり、もうほとんどの漁船が動けなくなったりした地区もあるわけです。それから、北海道漁船も三陸沖に来ていたりしていて、それでそちらで被害を受けた漁船も多くあるわけでございます。  ですから、この漁船の再建というのは、漁業、漁村の再興、復旧というものの一番の重要な要素ではないかと思っておりまして、我々この再建にはどういった方法があるのかということで今までにない方策を大至急検討しているところでございます。
  293. 紙智子

    ○紙智子君 ありがとうございます。是非よろしくお願いします。  それと、函館も行ったんですけれども、ここは養殖施設水産物の卸売市場の被害と、それから、あそこ観光の名所になっている、地域経済を支えている朝市、小さなお店がいっぱい入っているんですけれども、この朝市も海水につかって何百台もの冷蔵庫が使えなくなってしまったということなんですよね。買い換えようと思っても、家庭用冷蔵庫と全然違って、すごく高価なものなんです。あっても納品のめどがないということで、経営できないから生活資金をやろうとしても底を打つような状況だということで、数百店舗あるお店というのが、小規模な家族経営が多いんですけれども、店を閉じるかどうか迷っているというような声も出ています。やはりそういう、言ってみれば本当にどうするかということで悩んでいるということと、それから全体でいうとやっぱり観光の名所だったというのもあって、人が来なくなってしまったらそれこそアウトだということでの不安もあります。  こういう状況の中で、こうしたお店に対する支援なんかも必要じゃないのかというふうに思うんですが、中小企業庁からそれについて対策を伺います。
  294. 伊藤仁

    政府参考人(伊藤仁君) お答えいたします。  被災されました中小企業につきましては、まずは年度末の返済期日が問題になっているかと思っております。震災によって返済猶予を求めようにも申込みすらできない企業も出ているというふうに聞いておりまして、政策金融機関であります日本公庫や商工中金において、返済期日が過ぎて申込みがあった場合にも遡及して返済猶予を認める運用を既に開始しているところでございます。  一方、被害に遭われて復旧に向けた新規の資金ニーズ、こうしたニーズにつきましては、一般保証とは別枠の災害関係保証を既に発動しているところでございます。具体的には、市町村から罹災証明を受けました中小企業者に対して信用保証協会が無担保八千万円、普通二億円を上限とした一〇〇%保証を行うこととしているところでございます。  また、直接被災されました中小企業者向けの融資制度といたしまして、日本公庫及び商工中金によりまして長期及び低利の災害復旧貸付けも既に開始しているところでございます。特に、事業資産などが全壊するといったような被害の大きな方につきましては、貸付け三年間につきまして一千万円を上限として金利の〇・九%を引き下げるといったような措置も講じているところでございます。  さらに、こういった措置が十分かどうか検証いたしまして、対策について充実を図っていきたいと思っております。
  295. 紙智子

    ○紙智子君 今、大臣お聞きになっているように、結局資金の融資ということの範囲なんですよね。  それで、まさに漁業が基幹産業というふうにして地域経済を支えている重要な役割を果たしている、そういうところでお店が撤退したり観光客が激減するということになると地域経済に与える影響は計り知れないと。今、函館の例で言ったんですけれども、小名浜なんかもやっぱりそういう同じような状況、商店がいっぱいあるわけですけど、本当に大変な状況だというふうに思うんです。  安心してやっぱり経営が再建できる支援をするべきじゃないかと、中小企業の対策はあるんだけれども、漁業を柱にということでいうと、そういうことを大臣の方からも一言お願いします。
  296. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) この度の大震災によるところのこの被害というのは太平洋沿岸広範囲にわたって、北海道も含めて非常に広い範囲にわたっての漁港なり漁船なり、あるいは水産関係施設に大変大きな被害を及ぼしておると、こういうことでございまして、そういう中で、まず私どもにとって大切、重要だと思っていることは、被災された方々が将来への希望というふうなものをやはり持っていただくことができるような、そういう水産業が展開されるというようなことにどうこの施策を講じていくかということだと思っております。  漁業、加工流通業の再建や漁港なり漁場なり養殖施設なり、さらに漁村全体の復旧というようなことに向けて、できるだけの努力をしていかなきゃならないと、このように考えているところでございます。
  297. 紙智子

    ○紙智子君 次に、新年度から始まる漁業所得補償についてお聞きします。  この制度は、公共事業の比率が高かった水産予算を漁業者の手に直接渡る仕組みに変えた点で評価できるというふうに思っています。ただ、改善すべき点もあると。  まず、漁業所得補償の位置付けなんですけれども、農業の戸別所得補償の場合、国内の農業の再生を図るということで、食料自給率を向上させて多面的機能を将来にわたって発揮させるというふうになっています。漁業は、漁法とか魚種、それから地域によって掛かるコストが違うので農業とは違うと思うんです。しかし、なぜ多面的機能を発揮させるための補償がこの中に位置付けられていないのかというふうに思うんですが、この点はいかがでしょうか。
  298. 篠原孝

    ○副大臣(篠原孝君) 基本的には、漁業の関係の所得補償対策も農業の部分と変わりないのではないかと思っております。  紙委員指摘のとおり、農業の場合は、全体の農業、農村の底上げ戦略というのがございます。それで、その中の一つに食料自給率の向上というのがございます。その理由付けとして、なぜ農業についてそういうことをするのかというのに対する理屈付けでございますけれども、その理由として多面的機能を発揮しているということ、これ欧米では一九九〇年代からずっとそういうことが主張されまして、政策もそういったことに変更されてきているので、それを導入したわけでございます。  漁業の場合はどうするかということ。多面的機能もあるわけですけれども、第一義的には、私は資源管理、作って育てて捕るというように、養殖にはそれがあるんですけれども、大半は今ある自然の中に手を加えて、そこから、自然が生み出してくれるものの中から分け前を与えていただくというようなことですので、資源管理というのが一番大事なのではないかと。そこがちょっと危うくなっているのじゃないかということで、そこに着目いたしまして、資源管理に協力してくださる方、その方たちに所得を補償することによって水産資源を回復する、そして漁業経営の安定に資すると。そういったことによりまして、漁業が持っている多面的機能の強化にもつながると。その延長線上で、日本国全体の食料自給率の向上にもつながるということで、基本的な目的は一緒ではないかと思っております。ただ、重点の置き方、理屈付けがちょっと異なるように受け取られておるのではないかと思いますけれども、基本的な目標というのは同じでございます。
  299. 紙智子

    ○紙智子君 なぜこのことをお聞きしたかといいますと、漁業の所得補償は共済制度ですから、魚価水準が下がり続けると、結局、基準額とか補償額下がるわけですよね。それから、漁業共済というのは任意加入というふうになっていますから、積立ぷらすは共済に加入しないと対象にならないということがある。漁業所得補償ということなんだけれども、結局そうすると対象が狭くなってしまうんじゃないかという思いがあるし、現場からも出ているということなんです。  それから、資源管理という話もあったんですけれども、今管理できない事態もあるということで、例えばですけれども、北海道でトド被害って今すごく深刻になっていて、冬に来遊するトドというのは五千八百頭ですよ、今。それで、被害額が約十四億円と。石狩湾の漁協で聞いたんですけれども、年間の水揚げ量で三千七百トン、トドが魚を食べる量を推定すると、大体千百から千二百トンになるというんですね。だから、トドが食べる量というのは水揚げ量の三〇%ぐらいになるんですよ。資源を管理しようと思うと、これ管理できないと。それで、そういう意味では、非常に絶滅危惧で駆除できないというのがありますから、こうなってくると、もう国の、何かやってもらえないのかということで、本当に若い人たちいるんですけれども、非常に苦労しているというのがあるわけです。  今現在のトド対策でいうと、強化網の開発とか駆除、陸上防止柵を作る、あるいは追い払い策、有害生物被害防止事業って行っているんですけれども、なかなか効果として出ていないという中で、鳥獣被害のように柵を作るわけにもいかないということで、トドが魚を食べるので自然管理できないということがあるわけです。  所得補償制度が始まっていて、今申し上げたような課題を解決していかなきゃいけないというふうに思っていて、それで漁業者はやっぱりどうして共済に入れないのというと、出すものがすごくいっぱいあるんですよね。だから、漁船保険も掛けているとか倉庫の保険もあるとか、いろんな保険が、それこそ生活の関係する保険も含めてあって、だから本当に掛金が高い共済ということでは入れないということで、入らない人たちが結構多いということなんですよ。  だから、そういう意味では、言いたいことは、やっぱりそういう漁業経営の不安定性を考えても、本当に共済制度の拡充ということではなしに、やっぱりもっと枠を広げて所得補償制度というものでつくるべきなんじゃないのかなというふうにずっと問題意識を持っているということを申し上げたいということなんです。これについて、あればお聞きして、時間になりますので、終わりたいと思います。
  300. 主濱了

    委員長(主濱了君) 時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。
  301. 篠原孝

    ○副大臣(篠原孝君) 農業、林業、漁業、それぞれ形態が違いますので、その形態に合った所得補償制度というのを考えてまいりたいと思っております。漁業の特殊性も紙委員指摘になったとおりでございまして、多種多様でございまして、農業のように生産費があってというような数字もないわけでございましてなかなか難しいんですが、その目的とするところは同じでございますので、なるべく農業に近づくような形で考えてまいりたいと思っております。
  302. 主濱了

    委員長(主濱了君) 以上をもちまして、平成二十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  303. 主濱了

    委員長(主濱了君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十六分散会