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2011-03-24 第177回国会 参議院 農林水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十三年三月二十四日(木曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  三月二十三日     辞任         補欠選任      一川 保夫君     藤原 良信君  三月二十四日     辞任         補欠選任      金子 恵美君     牧山ひろえ君      藤原 良信君     一川 保夫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         主濱  了君     理 事                 岩本  司君                 大河原雅子君                 野村 哲郎君                 山田 俊男君     委 員                 一川 保夫君                 郡司  彰君                 外山  斎君                 徳永 エリ君                 牧山ひろえ君                 松浦 大悟君                 加治屋義人君                 鶴保 庸介君                 長谷川 岳君                 福岡 資麿君                 横山 信一君                 柴田  巧君                 紙  智子君    衆議院議員        修正案提出者   佐々木隆博君    国務大臣        農林水産大臣   鹿野 道彦君    副大臣        農林水産大臣  篠原  孝君        農林水産大臣  筒井 信隆君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       小林 正夫君        農林水産大臣政        務官       田名部匡代君    事務局側        常任委員会専門        員        稲熊 利和君    政府参考人        内閣行政刷新        会議事務局規制        ・制度改革担当        事務局長     松山 健士君        文部科学大臣官        房審議官     加藤 重治君        文部科学大臣官        房審議官     加藤 善一君        文部科学省研究        開発局長     藤木 完治君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       梅田  勝君        資源エネルギー        庁原子力安全・        保安院審議官   中村幸一郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (平成二十三年度の農林水産行政基本施策に  関する件) ○家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 主濱了

    委員長(主濱了君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、金子恵美君が委員辞任され、その補欠として牧山ひろえ君が選任されました。     ─────────────
  3. 主濱了

    委員長(主濱了君) 議事に先立ち、一言申し上げます。  この度の東北地方太平洋沖地震により、甚大な被害がもたらされました。尊い人命を失いましたことは誠に痛ましい限りでございます。犠牲者の御遺族に対し哀悼の意を表しますとともに、被災者の皆様にも心からお見舞いを申し上げます。  ここに、犠牲となられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。  どうぞ御起立を願います。黙祷。    〔総員起立黙祷
  4. 主濱了

    委員長(主濱了君) 黙祷を終わります。御着席ください。     ─────────────
  5. 主濱了

    委員長(主濱了君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣行政刷新会議事務局規制制度改革担当事務局長松山健士君外五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 主濱了

    委員長(主濱了君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 主濱了

    委員長(主濱了君) 農林水産に関する調査を議題とし、平成二十三年度の農林水産行政基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 山田俊男

    山田俊男君 自由民主党の山田俊男であります。  東日本の巨大地震並びに津波におきますお亡くなりになった方々に対しまして心から御冥福を申し上げるとともに、ともかく被災をされた皆さんに対しまして心からお見舞いを申し上げる次第であります。  ところで、地震並びに津波災害も物すごいわけでありますが、同時に、東京電力原発がもたらした不安が大変な影響を持っておりますことをやはり我々として心配せざるを得ないところであります。  大臣、この農畜産物汚染の問題については、一義的には厚生労働省暫定値を設けまして、そしてそれに対しまして、原子力災害対策特別措置法に基づきまして原子力災害対策本部出荷制限等措置を行うということになっておりますが、農水省は現場を一番よく存じているわけであります。それぞれの作物がどういう形で栽培されているか、いつ、どんな形での出荷状態にあるかということも承知しているわけでありまして、是非、各省と連携を持った取組が必要というふうに考えますが、農林省はこの点についてどんな取組をされておるのか、お聞きしたいと存じます。
  9. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今、山田委員からの御指摘の件につきましては、関係省庁としっかりと連携を取って、現場の実態というもの、現状というものを正確に情報収集して、そして今後の対策に万全を期してまいりたいと、このように考えておるところでございます。
  10. 山田俊男

    山田俊男君 大臣、よろしくお願いします。  ともかく、風評被害はもうなかなか避けられないのかもしれないんです。しかし、これに対する対策は、ともかくしっかり丁寧に多くの作物について検査を実施して、その検査の結果をそれこそ迅速に公表する。また、公表すると同時に、これ基準値を超過したものはもちろんそれぞれ措置されるわけでありますけれども、基準値を超えていないものについてもこれもしっかり公表するということが、やはり風評被害を防ぐ一番の対策でなかろうかというふうに思うところであります。  ともかく、信頼を勝ち得る取組を全省庁を挙げて実施してもらいたいということを本当に切に願うところでありますが、今大臣からしっかり連携してやるよということでありましたが、改めまして大臣のそこについての心構えを聞きたいというふうに思います。
  11. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 想像を絶するような今日のこの大震災、そしてそれにおけるところの原発事故というふうなことにおけるところの被害というふうなもの等々、今日、大変、最もこれに対してどう取り組んでいくか、重要な課題であると、こういう認識を持っております。  そういう意味におきまして、関係省庁としっかりと連携を取りながら、現場、実質的に農業にいそしんでいただいておる人たち現場現状、そして卸売市場なり小売の状況というふうなものも踏まえながら、的確なる情報を収集して、そしてそれに対してどう対処していくか、重ねて関係省庁とも連携を取って、できるだけの努力をしてまいりたいと思っております。
  12. 山田俊男

    山田俊男君 大変多くの課題を、鹿野大臣、抱えておられるわけで、背負っておられるわけでありますが、ともかくこの危機をしっかり乗り切っていただきたい、切に期待すると同時に頑張っていただきたい、こうお願いするところであります。  補償を一体どういう形で考えるのかと。これは単に、今から、原発が起こって汚染で大変心配しているときにどういうことなんだというふうにおっしゃるかもしれませんが、しかし本当に、こうして遠隔に離れて住まわざるを得ない、自分の家族も被害に遭って、かつ亡くなってというこの心の苦しみの中で更にまたこうした汚染の問題をそれぞれ抱えるというのは、もう大変なことなんですね。より的確に、こんな形でちゃんと責任を持って補償するんだぞということが必要なんです。それは当たり前です。天災、地震はいつ起こるか分からないから全部それぞれかぶらなきゃいかぬといったって、それじゃ、この原発の問題は自然災害と同じようにこれは全部責任をおっかぶれというのは到底無理であります。やはり、この地震に伴います原発汚染に伴います被害については全面的に補償するということを明らかにして掛からないと、これもまた問題の解決につながらないというふうに思うところであります。  補償基準はどんなふうにお考えなんですか、これは文部科学省ですかね、お聞きします。
  13. 藤木完治

    政府参考人藤木完治君) お答え申し上げます。  今回の地震により発生いたしました福島第一原子力発電所における事故に関しましては、現在、東京電力政府関係機関全力を挙げてこの収束に向けて努力しているところと承知しております。  しかし、今回の原子力発電所事故によりまして損害が生じております。この原子力損害につきましては、その賠償に関する法律、これがございます。この原子力損害賠償に関する法律に基づきまして、事故との相当因果関係が認められるものについては、確実、適切な賠償を行われることになるというふうに考えております。  先ほど先生御言及のありました風評被害等に関しましても、このような事故との相当因果関係があるものないもの、峻別することが必要ではございますけれども、この関係に照らして判断することになるものと考えております。  先生お話しのこの判断をどのようにやっていくのかということでございますけれども、この原子力損害賠償につきましては、事故との相当因果関係が認められるものにつきまして、被害者とそれから原子力事業者である東京電力との間で適切な賠償を行うことになる、すなわち、原子力損害賠償法によって一義的に原子力事業者である東京電力賠償責任を負うということになるわけでございますけれども、この賠償が円滑に進められるよう、法律に基づきまして、文部科学省に今回の事故に対応するための原子力損害紛争審査会を設置することを考えております。  この審査会におきましては、今回の事故で生じる多様な損害態様が出てくると思います。この態様を踏まえまして、原子力損害の範囲の判定等指針を策定することが法律上この審査会の任務となっておりますので、今回の事故における相当因果関係判断考え方につきましては、この指針に基づき判断されることになると考えております。  いずれにしても、被害者保護の観点から万全の賠償がなされますよう、しっかりと取り組んでいきたいと思っております。
  14. 山田俊男

    山田俊男君 相当因果関係にあるものについては対象にするというお話をお聞きして、かつ、しかしそれは、因果関係についてはきちっと峻別といいますか、本当に因果関係があるかどうかということを峻別しますよということでありますけれど、例えば自粛をしたという者、特に出荷自粛をしたという者等については、これは対象になるんですか。
  15. 藤木完治

    政府参考人藤木完治君) 先ほども申し上げさせていただきましたとおり、今回の相当因果関係に照らして判断するということになると思いますが、私どもも、原子力損害が起こるというのは十一年前のジェー・シー・オー事故経験しておりますので、そういった経験も踏まえて、まさにあれは茨城県で、今回も起こっております地域でありますけれども、茨城県で起こりました事象でございますので、そういった経験も踏まえて判断していくことになるだろうと考えております。
  16. 山田俊男

    山田俊男君 風評被害はどんなふうにやりますか。  要は、基準値はちゃんとクリアしていたと。ところが、出荷したんだけれども戻された、ないしは、売れなかったから戻されたとか、そういう事態が当然のこと生ずると思うんですよね。これらについてはどんなふうに考えたらいいんですか。
  17. 藤木完治

    政府参考人藤木完治君) 風評被害につきましても先ほどちょっと触れさせていただきました。  風評被害は、事実に基づくもの、基づかないもの、多々あると思います。今回、この原子力損害賠償に関する法律のスキームにおきましては、一概にこれを否定することはないわけでありますけれども、あくまで相当因果関係があるかないかという判断を個別にしていくと。その判断指針はこれから、先ほどの原子力損害賠償審査会において判定指針を作っていくということになります。それに基づいて万全の対処をしてまいりたいと思っております。
  18. 山田俊男

    山田俊男君 これは訴訟になるというふうに考えてもいいことですか。例えば、因果関係について峻別するといった場合、おっしゃるように審査会がありまして、審査会として一定指針を出しますよと。それにしても、これは訴訟になる可能性があるんですか。
  19. 藤木完治

    政府参考人藤木完治君) この当事者、すなわち原子力事業者である東京電力被害者との間で見解の相違が、この指針があるにもかかわらず更に起こった場合に関しての御質問だと思います。  その場合には、まず第一には、この原子力損害賠償紛争審査会において和解の仲介という機能を持っております。まずそこで議論されることになるだろうと思います。しかし、それでもなおかつ解決しない場合におきましては、司法裁判判断を仰ぐということがあると考えられます。  前回のジェー・シー・オー事故の際にも、最終的に裁判まで行われた例がございました。したがいまして、先生指摘のとおり、最終的には裁判になるという可能性がございます。
  20. 山田俊男

    山田俊男君 ジェー・シー・オー事故の様子を見てみますと、あれは基本的には三日間で収束したんですかね。しかし、それにしましても、損害賠償を含めまして種々の訴訟が生じたわけですね。半年でおよそ九〇%については和解も含めまして決着、しかし、あと十年間掛かって最終的には決着ということですよね。十年も掛かることになるわけです。  こういうこともあり得るというふうに今想定して審査会なり指針のありようを定めていくというふうにお考えですか。
  21. 藤木完治

    政府参考人藤木完治君) 先生まさに御指摘のとおり、当時、約七千件近くの案件がございましたけれども、そのうち十一件につきましては裁判になり、御指摘のとおり、最後の裁判が終結したのが昨年だったと記憶しております。  したがって、できるだけそういう長く掛かる係争が起こらないように、しっかりとした指針を定めてまいりたいというように考えております。
  22. 山田俊男

    山田俊男君 これは、御案内のとおり、ジェー・シー・オーに比べましても、規模も何もかも、それから責任の度合いからしましても、これはもちろん東電もそうですが、同時にまた、この巨大な災害に伴いますこうした責任無過失責任につきましては、ちゃんと国が責任を持つということがあるわけですよね。とすると、ここの部分についての国がちゃんと役割を果たすということについて、もっと明確にして掛かる必要があるんじゃないですか。これはいかがですか。
  23. 藤木完治

    政府参考人藤木完治君) 原子力損害賠償法におきましては、原子力事業者である東京電力責任が集中され、かつ無過失責任、かつ無限責任という体系になっております。しかしながら、国は東京電力がこの責任を全うできるようしっかりと支援していくという役割があると思います。  この法律自体が、事故を起こしました東京電力にしっかりと一定の額まできちっとお金が払えるような国との契約をまずしておりますし、それを上回る額につきましては政府がしっかりと援助していくという法律の規定もございます。したがって、今回、未曽有の大きな事故でありますから、これに対応していくために、東京電力だけではなくて、国もしっかりとこれを支えていくということが大事だというふうに思っております。
  24. 山田俊男

    山田俊男君 どういう内容の、どういう構成審査会になるんだということについてはこれからですか。いつ考え方をお示しになるんですか。
  25. 藤木完治

    政府参考人藤木完治君) 審査会は個別の原子力事故ごとに設置されるということでありますので、これについては今早々に準備を進めているところで、なるべく早く設置してまいりたいと思います。  その構成につきましては、法令で既にどういう方を選ぶということが決まっておりまして、一つはお医者さんの方ですね、それからもう一つ法律の方、そしてあと原子力に詳しい方、そういった方々から構成されるということが法令によって定められておりますので、それに従いまして現在どのような構成にするか検討している、至急検討しているところでございます。
  26. 山田俊男

    山田俊男君 どうぞ、より公平に的確に判断できる人を選んでいただいて、そしてしっかりした方針が作られる。その方針も、基本的には東電と、それと、それを支える国の役割といいますか、責任を明確にして、そして指針を出していくということをちゃんとやってもらいたいということを切にお願いします。  ところで、これは農林水産省なのかどうかということでありますけれども、訴訟にやっぱりなっていくと、こういう形で指針が出たにしても訴訟になっていくということであれば、それぞれの自主的な生産者や部会や、ないしはJAや、そうした取組においてより的確に、どういう圃場条件の下でどういう栽培でどういう検査を行って、出荷を行ってと、そこをやはりちゃんと調べておかなきゃいかぬというんですか、事前に材料を確保しておかなきゃいかぬということだと思うんです。だから、そのことをきっちり事前に指導をしておかなきゃいかぬ、こんなふうに思います。もちろん国の役割ありますが、それは当然のこと、生産者生産団体役割でもあろうかというふうに思いますが、その点、滞りなく指導してもらいたいと思いますが、その点、いかがですか。
  27. 篠原孝

    ○副大臣篠原孝君) 今回のこの原子力発電所事故が発生した後、先ほど大臣がお答えになりましたとおりでございまして、厚生労働省それから原子力安全委員会文部科学省その他と協議を重ねてまいりました。その結果ですけれども、既にいろいろな手は打ってございまして、今、山田委員指摘生産方法、それから防御方法、それについては既に各県に通達を出しております。
  28. 山田俊男

    山田俊男君 どうぞ、そのことをしっかりやって、そしてちゃんとこういう形で適切に生産出荷したということが分かって、そして責任の所在が分かるようにしておいてもらいたいというふうに思いますから、よろしく御指導してもらいたいというふうに思います。  さて、土壌海水についても検査がなされているということで、その結果がそれぞれ公表されたりするわけですね。当然、被害ないしは汚染がこういう地域にも起きているよ、ここにも起きているよということについては、これはもう事実を知らしめるためにはやむを得ないということだと思うんですが、これは一体どういう、誰がどんな基準でこの検査なりを行っているんですか。これはどちらですか、文部科学省ですか。
  29. 加藤重治

    政府参考人加藤重治君) お答え申し上げます。  委員指摘土壌海水放射性物質調査でございますけれども、こういったものにつきましては、内閣府の原子力安全委員会の方で指針を定めてございます。その中では、現在の福島第一原子力発電所のような原子力緊急事態が出ている状況下でのモニタリングにつきましては、その目的としては、避難、飲食物摂取制限などの放射線防護対策に必要な情報を収集したり、また、原子力施設に起因する放射性物質又は放射線周辺住民などへの影響の評価に資するという目的で行うということが定められております。また、その手法につきましても、どういった試料を取って、またその試料を取る際もどういった点に着目して取るのかというようなことも定められているわけでございます。  そういった指針を踏まえまして、文部科学省を始めといたしまして、各省庁がそれぞれの行政目的に必要なモニタリング活動を行っているところでございます。
  30. 山田俊男

    山田俊男君 そういう形で調査がなされるということなんだろうというふうには思いますが、こういう趣旨でこんな形でちゃんとやっているよということを、それからこんな方法でやっているということも適時適切に公表してもらって、何かばらばらいろんなことが出てくるよみたいなことが本当にいいのかどうかと心配ありますので、どうぞ的確に、まさに的確にやってほしいというしか言えないんですが、やっていただきたいと思います。  さて、建物人命やそれから農地や、様々な被害が出ているところでありますが、農協漁協なんかも、これは当然のこと被害に遭っているわけであります。総会を開催の準備をしていたというところもあれば、大きな被害があって総会も開催できないという事態も当然出てきているわけであります。農協漁協が果たしている役割は、まあ言うまでもないわけでありますが、こうした災害に当たっても、また大きなこの地域協同取組が大きいというふうに伝えられてきます。  経営の継続が図れるような措置を講じておかなきゃいかぬ事例もあるやに伝わってまいるわけでありまして、どうぞこの点についても、特別な法律が必要なのかどうか、ないしは関係方面十分協議の上、滞りがないようにしていかなきゃいかぬというふうに考えておりますが、この点、誰かどこかで検討をされていると思うんですが、いかがですか。
  31. 篠原孝

    ○副大臣篠原孝君) 今回の地震は、東北地方全般にわたりまして大災害を引き起こしております。山田委員、今触れられましたけれども、農協漁協、特に漁協等海岸べりにあります、壊滅的な打撃を受けているという点では同じなのではないかと思っております。  現在までのところでございますけれども、我々はまだその被害の全容を把握しておりません。国の機関等支分部局等もありますので、そちらを通じて情報を収集しております。沿岸の市町村も、市町村建物が、そもそも役場、市役所等が全部流されてしまっていますので、被害状況が分からない状況でございます。ですから、今していることは、食料の支援、それから災害復旧に当たってどういったことが必要かというようなこと、こういったことに全力で取り組んでおります。  しかし、農協漁協地域経済社会に及ぼす影響役割というのが非常に大事なことを我々承知しておりますので、全体の災害復旧の過程におきまして特別手厚い措置を講じていかなければならないんだと思っておりまして、全体の災害復旧のプランの中でどういうふうに取り組むかというのを検討してまいりたいと思っております。
  32. 山田俊男

    山田俊男君 是非よろしくお願いします。  それから、大変な人命が失われたわけでありますし、さらに各種施設も大変な被害です。同時に、またいろんな、車やその他のものにつきましても大変な被害です。  これらの被害について、民間の生命保険会社損害保険会社もちゃんと対策を講じますよと、契約どおり措置しますよというふうに報道しているところであります。  この被害に遭った地域は、御案内のとおり、漁村地帯であり、かつ農村の地域であります。とりわけ、東北の岩手、宮城、それから福島、この地域農業者も大変多い、漁業者も大変多い。同時に、農協組織率も大変高いわけであります。生命共済に加入もされています。さらには、建更と言われます農協共済独特の火災、地震等に対します共済の仕組みも契約率が全国に比べましても非常に高い、それほどちゃんとした協同取組もなされていたということだというふうに思います。  心配なのは、これだけの被害が多いわけであります。ちゃんと査定をやること、それから相談にもしっかり乗ること、物すごい大事なことですから、これはもう元々JA共済は取り組んでいるということでありますけれど、監督官庁としても、しっかりこれは指導していただきたいというふうに思います。  同時に、この農協共済独特の建更という仕組み、相当契約があるというふうに思いますけれど、しっかり払えるんでしょうね。これはどんなふうに聞いておられるんですか。払えるというふうにJA共済は言っておりますから心配ないんでしょうが、これは監督官庁としてもしっかり聞いておられるというふうに思いますが、どんな様子ですか。
  33. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今回の震災によります建物等の被害規模につきましては、被災状況調査が今進められておるところでございますけれども、建物更生共済の今お話にございました支払の財源といたしましては、当年度の共済掛金やあるいは異常危険準備金や海外の保険への再保険などによりまして十分な支払能力というものが確保されておるものと、このように承知をいたしておりまして、問題はないと、このように思っております。  農林水産省といたしましても、被災者方々に対する共済金の支払ができる限り早期に確実に行われるように必要な指導を行ってまいりたいと思っております。
  34. 山田俊男

    山田俊男君 大臣にそう言っていただいたわけですから、全国の被災関係者も本当に安心してくれるというふうに思います。どうぞしっかり監督して指導して、そして支払ができるようにやらせていただきたい、こんなふうに思います。  同時に、漁業の方で漁船の被害も当然物すごく多いわけですね。漁船の保険についてもこれは対策が本当に講じられるのかどうかというような心配の声が上がっております。この点についてはいかがですか。もしも支払対策できないよということであれば、国としてもどんな、何らかの形でのやはり応援を考えなきゃいかぬのかもしれないんですよね。その点についてもお聞きします。
  35. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 詳細な被害額につきましては、漁船の保険組合や漁業共済組合におきまして今損害評価が行われているところでございますけれども、これまでに入ってきた情報を見ますと、相当程度の保険金、共済金の支払が必要になると、こういうふうに考えておるところでございます。  そういう中で、実情、実態というものをきちっと把握しながらどう対処していくべきか、これからも関係省庁ともちろん関係のあることが出てくると思いますので、私ども、実態をまず把握しながら、漁業の再生というふうなものに向けてどう対処すべきかということも踏まえながらこれから検討をしてまいりたいと思っております。
  36. 山田俊男

    山田俊男君 どうぞ漁業の再生に向けまして、これは大臣、しっかり取り組んでいただきたい、こんなふうにお願いする次第であります。  さて、大臣所信を我々はお聞きしたわけであります。災害発生の前日に所信表明を聞いたわけで、十日に聞いたわけでありますが、その後、十一日に大災害があったわけです。さらにまた、原発の問題もそれに引き続いて生じたということであります。これ、被害の行方が今後物すごい心配であります。同時に、大臣、所信でしかるべく取組をきちっとおっしゃったわけでありますが、しかし、もうこれだけの災害が出てきて、災害に対する対策、復興対策であったり、さらには原発汚染問題であったり、それから場合によったらあれだけの破壊がなされた村や町をどんなふうにつくり替えていくか、場合によったら新しい村づくりも必要になるかもしれないんですね。  こうしたことについて、大臣、所信に対してこれとこれとこれはこんなふうに付け加えていかなきゃいかぬぞというものがあるはずなんですが、それはどうぞ今考えておられるのであれば明らかにしてもらいたいというふうに思います。
  37. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今、山田委員から御指摘のとおり、想像を絶する今回の大震災における被害であります。そういう中で、過般、農林水産省の方から田名部政務官も視察に参りまして、岩手県の漁業、漁村の実態というものを目で確かめてきた、そしていろいろと現場人たちの御意見も聞いてきているところでございますけれども、今のお話のとおりに、漁村そのものがもうなくなっているというような状況の中でこれをどう再生していくか。まさしく今回被災に遭われた漁業地帯というものは我が国を代表する、まさしく誇り得る漁業地帯でもあるわけでございまして、何としてもそういう意味では再生をさせなきゃならない、こういうふうな私自身認識に立っておるところでございます。  そういう中で、まだどういう実態、実情というものも把握し切れないところもございますので、まさしくこれからの、この被害に遭った、被災に遭われた人たちの意欲というふうなものをどうやって、これから漁業に頑張るんだという気持ちを持ってもらうかということも含めて、しっかりとしたこれからの漁業、漁村の再生というものの在り方を検討していかなきゃなりませんし、また農地におきましても相当なやはり被害を受けておると、こういうふうなことも承知をいたしておるわけであります。  そういう中で、東北地域におけるところの大変重要な食料基地としての農業の地帯というものの再生においても、もちろん今まででは考えられないような被災に遭っているわけでありますから、そういうことも踏まえる中で、今後、我が国の農林水産業全体の再生の中で、今回被災に遭われた地域をどう立て直すかというふうなものは一体的に取り組んでいかなきゃならない、このように考えておるところでございます。
  38. 山田俊男

    山田俊男君 大臣、もう新しい発想で、そして大臣のその思いをきちっと具体化する、そのためにも復興予算、思い切って作り直さなきゃいかぬのですよ。そのためにもう協力できるところは一緒に協力してやらなきゃいかぬというふうに思いますから、もう本当に決意を高く持って、そしてお願いしたい、こんなふうに思います。  さて、この所信表明で高く評価できることがもう一つありまして、というのは、この所信表明に、大臣、TPPという言葉はどこにも書いていないんです、どこにも書いていないことを高く評価しているわけでありますが。ところで、「包括的経済連携に関する基本方針に沿って経済連携を進めていく」と、これは書いてある。多分これは、オーストラリア等との経済連携についてはこれは進めるよというふうに書いてあるのかなと、こんなふうに思います。しかし、「その際、最も大事なことは、情報を国民に提供し、議論をしてもらい、関係者の理解を得ながら進めていくことであります。」と書いてあるんです。このことが物すごく大事なんだというふうに思います。  開国開国というふうに叫んでおれば物事が進むという話じゃないわけだから、そういう面で大臣もこの精神で進めてもらいたいというふうに思うんですが、大臣、この六月までTPPについて参加の判断をするというのはもうありませんね。お聞きします。
  39. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) TPPについてはありませんねと、こういうようなお話をいただきましたけれども、基本的に、私自身といたしましては、今このような大震災に遭われた方々のこの被災地の皆様方に、避難されている方々に食料と水をしっかりと供給していく、この役目を果たすのが農林水産省にとって最も大事な役割だ、そして被災に遭われた方々の更なる復興に向けてどういう新しい漁業の在り方、また農業の在り方をつくっていくかというようなことに取り組んでいくのがこれまた大事な問題であると、こういう認識で、その供給、食料と水の供給と、復興、再生に向けてまず取り組むことが最優先課題だと私は認識をいたしておるところでございます。  そういう意味で、今後、今御指摘の点についてどうするかは政府全体として考えていくべきことではないかと思っております。
  40. 山田俊男

    山田俊男君 明らかにはおっしゃいませんでしたが、大臣のその決意、まさにこれに向けて全力を挙げましょうよ。是非それをお願いします。  さて、WTOのドーハ・ラウンドについては、多様な農業の共存を基本理念として、引き続き取り組んでまいりますというふうにされている部分も大変いいところでありまして、この理念で進めるということであれば、もうオーストラリアとのEPAにつきましてもこの精神を貫くということであると思いますが、これもその方向でいいですね。それとも、オーストラリアとのEPAももう今すぐ交渉を、第二回目の交渉をこんな形で進めるという形になかなかならないんだろうというふうに思うんですが、その点、いかがですか。
  41. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) このEPAの推進というものは昨年の秋の包括的経済連携に関する基本方針で決められたところでございますが、そういう中でオーストラリアとの交渉、EPAの推進におけるところの交渉も十か月ぶりに始めたところでございます。  そういう中で今回の大震災というふうなことになったわけでございますけれども、今、政府一体となって震災対策に力を注いでいるところでございまして、今後、外交交渉につきましては引き続き地道に、相手方もございますので、理解を得ながらどう進めていくかというふうなことを考えていく必要があるんではないかと思っております。  そういう中で、政府全体としての取組でございますので、まず私自身といたしましては、先ほども申し上げましたとおりに、とにかく避難しておる方々に対しての安定した食料と水の供給と、それから被災地におけるところの復興というふうなものに全力を挙げて取り組んでいくというふうな考え方に立っておりますということは申し上げさせていただきたいと思います。
  42. 山田俊男

    山田俊男君 まさに大臣のその決意についても大賛成でありますので、しっかりやってまいりたい、私も野党ではありますけれど応援できるところは一生懸命に応援してやりたいと、こんなふうに思います。  続いて、米の価格形成について、これも大変心配でありまして、先物取引の試験上場の申請がなされていまして、そしてこれの判断を求められているはずでありますが、四月の上旬には判断せざるを得ないという局面が来るやに聞いているんですけれど、しかし、今もう三月のこの時点であります。一体、この判断をできないんじゃないですか。  といいますのは、今も大臣おっしゃいましたように、主要な米どころがああいう打撃を受けているところであります。来年の二十三年産米の生産数量目標を改めてどんなふうに設定できるのか、そういうことも含めて考えていかざるを得ないはずなんです。農地も一体どれだけどんな形で破壊されているのか、それはいつどんな形で復興できるのかというふうに考えますと、この大きな変動の中で先物をやりますよという話にならないんだというふうに思いますが、大臣、この点についてはどんなふうにお考えですか。
  43. 篠原孝

    ○副大臣篠原孝君) 三月八日ですけれども、東京穀物商品取引所と関西の商品取引所の両方から米の先物取引の試験上場申請を受けております。今のところ、明日ですけれども、これを官報に公示する予定でございます。その後一か月以内、ですから、これから三か月公示いたしまして、それから一か月以内、今四月上旬とおっしゃいましたけれども、今のところでは、ちょっと遅れておりますので七月下旬、そのころまでに認可の適否を決定する必要があります。  今は関係者の意見を聞いているところで、これから聞いていかなくちゃならないわけです。取引見込み量だとか、皆目見当も付きません。それから、生産、流通への影響等十分に精査して、商品取引法上のルールに従いまして認可の適否を判断していく予定でございます。  しかし、今、山田委員指摘のとおり、大災害が起きてしまったと。農地がどのぐらい被害を受けているかというのをまだ完全には分かっておりません。今承知しているのは、津波でもって塩水に洗われてしまった田畑が大体約二万ヘクタールございます。しかし、各地でパイプラインが壊れたとか水路が壊れたとか、これはまだ全く把握し切れておりません。今続々そういったことが分かって、これは大変だということを今調査しつつあります。しかし、田植時期がだんだん近づいてきておりますし、二万ヘクタールではとても私は済まないんじゃないかと思っております。  そういったことで、地震災害と米の取引、先物取引の上場というのの関係というものを、もうどのように関係してくるのか、これは結構今の、今というよりも長期的な問題でございますので、どのような因果関係があってこれをどの程度考慮しなくちゃいけないということも含めまして、これから三か月の間にきちんと検討してまいりたいと思っております。
  44. 山田俊男

    山田俊男君 私ちょっと勘違いしていまして、四月じゃなくて七月、六月ないしは七月ですね、はい。  心配なのは、現在、米の価格形成をちゃんとやる場所があるのかということと関係して、それが今不十分なものだから先物取引の試験上場化みたいようなことになっている側面も私はあるんだというふうに思いますけれど、しかし、現行の現物取引だったり相対の取引であったり、それをちゃんと成長、発展させていくというやり方もきちっとあるわけでありまして、それなのに先物でやらなきゃいかぬという話ではないはずです。言うなれば、先物にあるのは、価格の安定を図れるよというみたいな話の以前に、どうも投機的な資金が動きますよと、こんな印象を与えるわけです。まさに、今これだけの大災害の下でみんな不安を抱いている中で、こんな投機に委ねますよみたいような印象を与えてしまう、現にそういう側面もあるわけでありますけれどね。  こうしたものの実施に当たっては、よくよくよく考えた上でやはり進めるべきだというふうに思いますので、ちゃんと配慮していくべきだと、こんなふうに申し上げます。  続きまして、備蓄米についてでありますが、今、被災地に米が足りないよという声が相当程度あったわけでありますけれど、ガソリン等の充実ができてくる中でだんだんだんだん輸送できるようになってきたという声も聞こえてきているわけでありますけれど、備蓄米を出す考えはおありなんですか。それとも、今後、原発の動向いかんで大災害が起こるみたいな話になったらもうこの備蓄米は百万トンでも足りないわけでありますけれど、これは、備蓄米の運営について今どんなふうにお考えなんですか。
  45. 篠原孝

    ○副大臣篠原孝君) 今回の震災に伴う被災地の食料の供給につきましてですけれども、鹿野大臣の陣頭指揮の下、すぐ我々はこれに取り組みました。  どういった状況かというのは大体分かっております。ライフラインがもうパンクいたしまして、とても料理できる状況じゃないということで、おにぎり、弁当、パン、こういった調理をしなくて済むものから供給いたしました。大体ライフラインができ上がってくると、今は炊き出しができるところまで来ましたので、精米を送っております。  備蓄でございますけど、これは山田委員御承知のことと思います、玄米で備蓄されております。玄米ですと、送っても、あるいはこちらで搗精するかあちらで搗精する。あちらでは多分、被災地では搗精もできない、特に手間が掛かりますので、今のところ民間にあります在庫、これをフルに活用させていただきまして精米を送っております。  現在のところを見ますと、首都圏において、何というか、米不足は本当はないんですけれども、数人の消費者にそれが広がって、ちょっとずつ余計に買うというような行為が多分あったんだろうと思いますが、一時精米が消えたということがありますけれども、だんだんそれが解消されてきております。経産省にいろいろお願いいたしまして、大手の業者さん方にガソリンをきちんと優先的に手当てしていただくというようなこともいたしました。  ですから、今のところ我々は政府の備蓄米を使うような必然性はないのかと思っており、もっと重要な場面、今、山田委員触れられたような場面が生じたときに備蓄米を使っていくべきではないかと思っておりまして、今のところ民間の備蓄で対応しているところでございます。
  46. 山田俊男

    山田俊男君 二十三年産米の播種前の備蓄米契約ということで進めておりますね、一定量、二十万トンについて。当然、これは罹災地のJA、被災地の農業者についても播種前の事前契約をやっていると思うんですね。今後、一体、被災地の米の生産数量目標をどんな形で設定し直すのかということが必ず来ますので、これらのことをよく考えた上で、被災地に対する配慮、例えば、備蓄米で事前契約していたんだけれど、これらについては主食用に転換するとか、こうしたこともあるというふうに思うんですよね。こういうことをどこかで検討されていますか。
  47. 篠原孝

    ○副大臣篠原孝君) 今のところは、まず第一義的には被災地の皆さんに食料を提供する、届ける、これを第一にしております。二番目が復旧でございます。備蓄米のことにつきましては、今御指摘がありましたので、これを放出するかどうかというのは検討いたしました。それで、今のところそういう事態ではないということを承知しております。  二十三年度からは二十万トンの備蓄買上げしていかなけりゃならないわけでございますけれども、その点についてまでまだ思いが至っておりませんでして、その前にどれだけ作付けするかといったような議論を今中心にしておりまして、二十万トンどうするかどうかというものについてはただいまのところきちんとは検討はいたしておりません。ですけど、いずれきちんとしていかなければならないことじゃないかと思います。先ほど申し上げましたように、二万ヘクタールは完全に塩水につかっております。それから、何万ヘクタールが播種できないか、まだ見通し立たないところでございますので、それらを勘案した上で決めてまいりたいと思っております。
  48. 山田俊男

    山田俊男君 被災地の声をお聞きしますと、本当に破壊されてしまった、農地が破壊されてしまったところは、これはもう何年掛けてどんなふうに復興するかということを国挙げて、大臣、やらなきゃいかぬのですが、一方で、近辺の圃場並びに隣県の圃場なんかにおきましても、目に見える限りは何の被害もないように見えるんですよ。ところが、もしもそこへ水を入れると水が抜けちゃう、ないしは地割れができている、底が抜けているということが心配されると言っているんです。それから、用排水路の水の流れもちゃんと完備しているかどうか分かりません。  ですから、ここは、種もみの確保、今もうまさに早いところはそれをやらなきゃいかぬのです。そのために塩水選もやるわけです。塩水選やれば芽が出てくるわけですから、それを先にやっちゃうと、植えるときにもう実は水が抜けていたということもあり得るような圃場実態が隣県からも出てきているところであります。だから、こうしたところを早急にやはり把握しまして、号令掛けてもらって早急に把握して、同時に、一体、必要な生産数量目標をどんなふうに達成するかということをやっていただきたい、是非是非これもお願いしておきます。  それから、大臣、当然のこと、これは来年度の予算に絡む、復興予算をどんなふうに準備するかということが今後の大きな大きな課題になります。とりわけ、ため池に相当やはり傷が来ているんじゃないかという話も聞きます。この点も、土地改良それから農業農村整備の予算も大きく削られているものですから、手の打ちようがないという心配が上がってきております。こうした部分についても忘れずに、それももう今から準備しなきゃいかぬ可能性があるんですよね。これらについて、どんな予定といいますか、考えでおいでになりますか、お聞きします。
  49. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) とにかく、この度のこの災害、大災害、どの程度の被害に遭ったかというふうなことをきちっと実情を把握するというふうなことがまず第一だと思います。  そして、そういう中で生産にどういう形で影響を及ぼしていくかというふうなことでありまして、このことに対してはきちっと手を打っていかなきゃなりませんし、また、これからの新しい、被災地の方々に、再生に向かって、復旧復興に向かってきちっと取り組んでいただけるようなそういう体制もつくっていかなきゃなりませんので、政府全体として、全体としてこの復興の手当てをどうするかというふうなことを考えていかなきゃならない。大きな視点に立って、これからの我が国の三十年後、五十年後というふうなものを見据えながら一面においては取り組んでいかなきゃならない。そういう中で、じゃ、財政的にどういう措置を講じていくかというふうなことも含めて考えていかなきゃならないことではないかと、こんなふうに思っているところでございます。
  50. 山田俊男

    山田俊男君 大臣大臣のその決意でありますが、米の戸別所得補償につきまして、これ本来は、大臣、法改正が必要だったということであります。そうじゃないと、対象農家についても考え方が違いますし、さらに固定支払や、ないしは変動支払のお金の支払の仕方も、これは予算で実施している、対策で実施していることと、それと担い手経営安定のための交付金ですね、この現行の法律と趣旨が違うわけであります。何とか法改正をやって、戸別所得補償の仕組みとの整合性を図っていくというのが、これは大臣農林水産省の大きな課題だったんでしょうけど、しかし、具体的な事業実施を着実に図る、そのための予算措置も確保していくと、農業者に迷惑を掛けない形で推進するということであれば、ここは目をつぶって、本当に異例なんだろうというふうに思いますが、法律は先送りしたわけですね。  結果的に、今こんな大災害が生じまして、大臣判断が極めて的確だったのかもしらぬというふうに思ったりもしているんですが、法律作ったはいいが身動きが付かない、予算は支出できない、農業者は物すごい困っているということになったかもしれないわけでありますけれど。  要は、法改正が必要だったところをなしで推進してきたという実態があるところであります。  そのことは、食糧法についても同様なんです。集荷円滑化対策取組を含めまして、法制度上、法の運用とそれと実態がずれてきているんです。生産調整の実施に当たっても考え方がずれてきた。それから、備蓄の運用に当たりましても考え方が違ってきた。現行の食糧法の基本の場合によったら改正も含めて必要だったということがありますが、これも、今こういう大災害を前にして、いや、違うと。  国が一定生産流通管理について命令を発して役割があるという食糧法の法律でもありますから、逆に言いますと、今後いろんなことが生じましても、大臣大臣の権限でしっかり国民に対する不安がない仕組みができているのかということであれば、できているわけでありますから、是非、先ほども言いました価格形成も、それから生産数量目標の設定の仕方にしても、それから備蓄のありようにしても、これらの運用につきまして、今までの取組にこだわらず前広に、しかし幅広く、これらの大災害の実態を前にしてしっかり検討してもらいたいというふうに思っているんです。  この点について、大臣のお考えをお聞きします。
  51. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今回の大災害によりまして、漁村、漁業、そして農業者、農地、まさしく考えられないような被害、このことに対して、これからの我が国の国民に対する農林水産物のいわゆる安定供給というふうなものがどうあるべきかというふうなことをやはり考えていかなきゃならない。そういう意味におきまして、今議員が指摘されたように、単なる個別的に取り組んでいけばいいのではないかというような対処法ではとてもこの困難な状況というものを乗り越えることができない。そういう意味では、政府全体として一体的に、この大災害に遭われた人たちに対する復旧復興というふうなものを大きな視点で考えながら取り組んでいく必要があるんではないかと、こういう認識に立っているわけであります。  そういう意味におきましては、私ども農林水産省といたしましても、これからの新しい農業再生、漁業再生、林業再生、そういう中で食の供給というものをいかにして国民生活に対して安定的に供給していくことができるかという、そういう新たな役割、使命というふうなものをしっかりと意識をしながら、我が省政務三役また事務方一体となって取り組んでいきたいと考えているところでございます。
  52. 山田俊男

    山田俊男君 大変ありがとうございました。大臣の決意、よく分かりました。食と水の供給をこの困難な中でちゃんとやっていくと。ましてや、先ほど来ありましたTPPの問題についても今はその時期じゃないと、もっと国を挙げた大事なことをちゃんとやっていきたいという決意をお聞きしたわけでありまして、しっかりやっていただきたいと思います。  最後に、内閣府にお聞きしますが、規制・制度改革会議から、この規制見直し等とも関係しまして、指摘事項があって、三月まで結論を出すという話にしていたんですが、これもこうした事態を前にして、ありませんね。これは確認しておきます。
  53. 松山健士

    政府参考人松山健士君) ただいま御質問のありました規制・制度改革に関します取りまとめでございますけれども、三月末を目指して各省庁と調整をさせていただいていたところでございます。しかしながら、地震の発災後でございますけれども、震災対応を最優先すべきということで、各省庁との調整は一時ストップをいたしております。  しかしながら、既に各省庁と実質的に合意をいたしている項目も多数ございます。それらにつきましては、蓮舫担当大臣以下政務三役の御判断として四月に取りまとめをした上で、閣議決定をさせていただきたいというふうに考えております。  残余のもの、すなわち、これから、各省とまだ合意ができておりませんで調整を要するもの、これにつきましては、しばし状況を十分に見させていただいて、各省庁と御相談ができるという状況になりましたらばそこで調整をさせていただいた上で改めて閣議決定をさせていただくと、そういう方針で取り組んでおります。
  54. 山田俊男

    山田俊男君 終わります。ありがとうございました。頑張りましょう。
  55. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 自由民主党の鶴保庸介でございます。  久しぶりの質問でございまして、もう約一年ぐらいしてなかったかな、あした質問だということになっていろいろと考えておったやさきに、実を言うとこの大災害になりました。したがって、考えておった質問事項は全部キャンセルすることになりました。したがって、災害関連のことを主に御質問させていただきたいと思うんですが、その質問の前にちょっと御報告というか、これは後で委員長にもちょっと御意見を賜りたいと思うんですがね。  先ほど私は、この委員会に寄せていただく前に常任委員長懇談会というものがございまして、いわゆる参議院の常長懇、議長主宰の常長懇がありました。この時期に招集されるものですから何事かと行きましたら、議長がこういうふうにおっしゃった。参議院の議長が、以前からこの問題について様々な政府発表をちゃんと出しているのかと疑問に思うようなことが大いにあると、したがって、事前に官房長官に参議院議長として説明に来るように申入れをしたそうであります。しかるに、官房長官は事もあろうにお断りをなさったというふうに聞きました。これは、立法府の長が政府に対して説明を求めるということを断るということは一体どういうことなのか。これは参議院、我々参議院議員全体として厳重に抗議をしたいと思いますし、委員長、主濱さんもいらっしゃったと思いますから、委員長の御意見もちょっと賜りたいと思いますが、どうぞ。
  56. 主濱了

    委員長(主濱了君) これにつきましては、理事会で検討をさせていただきたいと思います。
  57. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 そういうことであります。少なくとも、我々参議院議員、立法府が求めるものについては真摯に対応、誠実に対応していただけるようにお願いを申し上げておきたいというふうに思います。  そういいながら、様々な問題が複層的に出てきておりますから、なかなか一般の国民に満足のいく報告ができないという事情はしんしゃくできないわけではもちろんありません。ありませんが、しかし、やっぱりここへ来て、もう少しかゆいところに手の届くような報告があってもいいのじゃないか、あるいは説明の仕方があってもいいんじゃないかという批判はいろいろ仄聞されるようになりました。  特に、先ほど山田議員の方からもお話がありましたけれども、農作物の放射能被害等々について、官房長官、テレビの前でいろいろ御報告なさるわけでありますけれども、専門的、技術的なことになると答えられないと。これは当然のことなんですが、もしそうならば、なぜその記者会見の隣に、専門的、技術的なことが答弁できるような方を横に置いておかないのか。あるいは、記者の質問にそれぞれ逐一的に、逐条的にお答えをされている場面があるのかどうかみたいなことも私たちは考えておかなければいけないんだというふうに思います。  農業問題に限って言うならば、私のところによく、こういうことはどうなのと私に質問をされる方もいらっしゃいます。そのことについて、今日は余り政府参考人方々にお話をお伺いするよりは、まあこんな時期でもありますし、また質問の準備というものの時間も足りなかった経緯もありまして、大臣あるいは副大臣に思うところの所見を述べていただくという形で、これは不十分であっても構いません。我々政治家としての議論をさせていただきたいと思いますから、そういう流れでお答えをいただければというふうに思いますが。  まず第一に、農作物について出荷表示が都道府県単位になって、どこそこ県の何々、ホウレンソウは駄目であるとか、どこそこ県のものであれば出荷が停止されているというような報道がされております。これについて、もっときめ細かくやるべきなんではないかという声がすごく多いんですね。これらについて、現状、今どうなっておるのか、そしてまた、これからこういうふうにするべきではないかというような思いがあれば、ちょっと御意見を賜りたいというふうに思いますが。
  58. 篠原孝

    ○副大臣篠原孝君) 鶴保委員の御指摘、ごもっともだと思います。  今、現状を見ますと、国内の生鮮食料品については県名を明らかにすると、外国の場合は国名を明らかにするということで表示義務を課しております。そういった関係がありまして、取りあえずは出荷制限も何々県、例えば福島県のホウレンソウというような形で制限をしております。しかしながら、こういった状況で今後ベクレルの数値が下がって基準値以下になった場合は解除していかなければならないわけですけれども、福島県が一番いい例だと思います。浜通りに原発があります、中通りというところがあります、それから会津若松と、多分福島県は三地区に分かれるのではないかと思います。気候条件も違いますし、大きな山があれば放射線を防いでくれるということがあります。解除に当たってはそういった地域の実情も考えていかなければならない。したがって、その延長線上で表示もある程度変えなければいけないということがあるのではないかと思っております。  ただ、今の現状でも原則として、県の表示でございますけれども、ポジティブに、前向きにその中の細かいところの表示をするというのは、それは禁止されておりません。そういったことがありますので、今回の状況考えた場合は、少なくとも解除していく場合は違った方法もあるのではないかというふうに今検討中でございます。
  59. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 是非これを検討し、速やかに対処していただきたいというふうに思います。  それからまた、今日我が党の部会の方でも指摘があったわけでありますけれども、いろいろ放射能汚染についての報道がなされる中で、一年間の間食べ続けたらとかというのがよく出てくるんですけれども、それ、どんな食べ方をしてもいいのかとか、あるいは今日もちょっとお話がありましたが、キャベツだったらキャベツの上二枚の葉っぱを取って食べればほとんど問題ないよというのであれば、そういうふうにおっしゃっていただくべきでありますし、水で洗ってこういうふうにすれば、本当はこういうふうな調理をすれば劇的に下がるから是非それを励行してくださいとか、当たり前のことですけれども、消費者の立場に立った報道、報告の仕方というのがあってしかるべきなんだろうと思います。  これらについて、細かく御記憶というか心に留めておかれなくても、御意見があれば是非それも、対処の方針も含めて御答弁いただければというふうに思います。
  60. 小林正夫

    大臣政務官(小林正夫君) 鶴保委員のおっしゃるとおりだと思います。  厚生労働省としても、今日までのいろんな検査結果を基に極力国民の方に分かりやすく発信をしているつもりですけれども、今の御提言などを踏まえまして今後もしっかり国民に分かりやすい発信に努めていきたいと思います。
  61. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 農作物だけではありません。当然のことながら、水産に関しても大きな影響がございます。農作物の方は、はっきり言うとどこの産地ということがしっかりと、先ほど言いましたとおり、きめ細かく発表できれば、問題はないとは言いませんけれども、ある程度風評被害は避ける方策がある。しかし、水産の場合は、魚は動くものですから、どこそこ産といってもそれがはっきりしたものではもちろんありませんし、その海水汚染がどれだけ蓄積をしてどこへ飛散するかなどというものは予測はできないものであります。だからこそ、今報道等でされておられる程度の情報では国民に大きな不安を与えることになりかねません。  これについて、現状の新聞報道等について御意見、それからまたこういう問題点があるというならば、こういう対処の仕方をこれから考えなければいけないということについて、大臣から御意見を賜りたいと思います。
  62. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今委員から御指摘の件につきましては、福島県の海域におきましては地震津波被害が大変大きなものでありまして、福島県と宮城県及び岩手県の漁業者はもとより、他の漁業者も操業を当面再開する見込みはないと、こういうふうに承知をいたしております。  そういう中で、福島県に隣接する海域におきまして操業を再開したいという意向のある茨城県及び千葉県の漁業者は、再開に当たりまして厚生労働省の通知に基づきまして暫定規制値に基づくモニタリングを行いまして、漁獲物の安全性というものを、これを確認した上で操業を再開をしたいという、そういう方針でおるところでございます。  その際、農林水産省といたしましては、両県が行うモニタリング調査について、両県の要請に応じましてサンプリング方法などに対する助言なり協力を行いたいと、こういうふうに思っております。もう既に、海洋生物の放射能調査の知見を有する水産総合研究センターに対しましては、放射能分析に関して両県に協力するように依頼をいたしているところでございます。そういう意味で、要請があれば我が省といたしましても全面的に協力をしてまいりたいと思っておるところでございます。
  63. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 大臣、今の御答弁は、要は、まだ農水省として定見的な知見は出していないけれども、厚生関係あるいはそういった食品をつかさどるところから要請があり次第動くと、こういう答弁ですか。
  64. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 積極的に茨城県あるいは福島県、千葉県というような、そういうふうな中におきまして、特に茨城県と千葉県におきましては操業したいというふうな人たち相当出てきておるということでございますので、その中でモニタリングをきちっとやって、そして安全を確認した上で操業したいということでございますので、そういう中で、その調査につきまして農林水産省といたしましても全面的に協力をしてまいりたいと、このように考えておるところでございます。
  65. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 現状茨城県産であるかどうかなどというのは当然分からないわけですよね、当然ね。これ、今揚がってきている水揚げのものを、農産物と同様、これを暫定規制値を超えているかどうかの検査をされているのか、また、される用意があるのか、それについてはいかがですか。
  66. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) まだ被災地の漁港、また漁業も再開されておらないわけでございますので、そういう中で具体的な操業開始、また漁港も機能がされるようになったというふうなことを踏まえた中でどういう対処方法があるかということもこれから、検討しておるところでございまして、さらに関係省庁とも、また都道府県とも連携を取りながら対応についてきちっとした考え方を示していきたいと思っております。
  67. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 それでは、被災地、茨城から福島、そして宮城、岩手というところ以外の漁港、水揚げ、それ以外のところの漁港から揚がってきた水産物、これらについての検査をされる用意があるか、そしてまた、しているのかどうか、そのことについてはいかがですか。
  68. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今御指摘の件につきましても、関係省庁ともどういう対応をすべきか検討してまいりたいと思います。消費者の方々に安心、安全な水産物がきちっと供給されているかどうかというふうなことをきちっと示していくことが非常に大事なことでございまして、今御指摘の点につきましても、今後関係省庁とも、重ねて申し上げますが、検討してまいりたいと思っております。
  69. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 包み隠さずと言いたいところでありますが、暫定規制値なるものも、聞くところによりますと一年間同じものを食べ続けてとか、何かすごく曖昧な、大変現実的でないようなものもあって、一体暫定規制値って、規制値って何なんだという声も上がっております。それも含めての報告、発表を、冷静に対処していただくためにも農水省あるいは政府にはお願いをしておきたいというふうに思います。  それから、水産庁、水産物にかかわる話で、これはほうってはおけないなと思ったものが、これは農産物でも一緒でありますが、韓国ではナマコあるいはイシダイといったようなものが輸入禁止をされているというような報道がなされております。また、EU等々でも勧告を出して、日本の農産物等々は、農水産物については原則規制を掛けるべきではないかと、輸入規制を掛けるべきではないかというような勧告が出ている。これは報道のことであります。事もあろうに、国によっては観葉植物、非食品の観葉植物等にも規制が掛かっているというようなことまで言われるようにもなってまいりました。  今まさに日本の国の食が、これほど安全であったと神話にもなりつつあった日本の食の安全が脅かされつつあるわけであります。ここでハンドリングを間違えると、大臣、本当にここでハンドリングを間違えてしまうと日本の安全基準というのは一体何だったんだと信用を一気に失いかねない。私はそれほどの危機感を持つべきだというふうに思います。  そういう意味では、本当に安全宣言なるものをどこかのタイミングで速やかに出すべき必要があると思いますし、そのための知見を今すぐにでもためておくべきことだろうというふうに思いますが、外国での検疫について、周知徹底はなさっておられるというような話ではありますけれども、取組について大臣の御所見を賜りたいと思います。
  70. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) まず、今お話のありました水産物、我が国の水産物というのは本当に安全、安心だという評価もいただいてまいりましたが、この度のこの大震災後におきましてまさしく風評被害等々が出てきておると、こんなようなことも承知をいたしておるわけでございますけれども、まずこのような事態を防いでいくためには、何よりも正確なる情報というふうなものを消費者の方々そして加工流通業者の人たちへ提供することが最も大事なことだと、こういうふうに思っております。すなわち、少しずつでも、ちょっとしたことでもきちっと情報があれば情報を提供していくというふうなことによって、この安全性に関する情報というふうなものが関係者の方々、消費者も含めて関係者の方々に行き渡るということになることがまさしく安全性につながっていくものと、こんなふうに思っておりますので、私どもは、そういう意味であらゆる情報というものを、的確なる情報をいかにして把握してそれを提供していくかというふうなことにこれからも努めてまいりたいと思っております。
  71. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 外国の検疫ですから、検疫というか、その規制についてこちらからこじ開けてでもというわけにはなかなかいかないんだろうと思います。しかし、それについての理解を深めていくためにも、こちらからのアピールあるいは説明というものがしっかりしていなければなりません。残念ながら、仄聞するところによりますと、外国人に対する記者発表で日本語の文章で発表したというような報道まで、これ農水省かどうか知りませんがね、があったというふうにも聞いております。その辺り、ちゃんとやっていただきたいというふうに思います。  その上で、日本の規制値がしかるべきものであるということを理解をしてもらった上で、しっかりと海外に向けて我が省の、我が省というか我が国のものが安全である、あるいは、なければ、もうしばらくの間は、知見がたまるまでは輸出を自主規制をするというようなぐらいのことがあっても私はいいんではないかというふうに思いますので、よろしく対処をお願いをいたしたいというふうに思います。  ただ、そこで、今日の常長懇の中でもお話がありました。原子力保安院の院長さんに議長の方から、議長というか、居並ぶ委員長の中からも御質問があったわけであります。もしもこの原発問題、これ駄目であった場合、駄目というのは大きな被害がもしも出た場合、大きな被害が出るようなことになった場合の避難や、あるいはその避難をさせるためのシミュレーションといったものがありますかというふうに聞いたときに、これはもう皆さんの是非御記憶にとどめておいていただきたいと思いますが、信じられないことに原子力保安院は、まだ議論をしておりませんというお話でありました。  まあ、もちろんここは平場の議論の場でありますから全てをつまびらかにすることは無理にしても、大臣はその件についてどういう所感をお持ちになるか、そしてまた、農水省として様々な問題がこれから起きてきたときのためのシミュレーションをしているか否かについて、あるいはするんだということの決意を含めて、御所見を述べていただきたいというふうに思います。
  72. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 考えられないような今回の大災害というようなことを考えたときに、このことによってどういう状況事態が、事象が訪れるかというふうなことにつきましては、私ども農林水産省といたしましても、ある程度のところを想定をしていかなきゃならないというようなことの中で今取り組んでおるところでございます。  今私どもから具体的にどうこうということを出させていただく段階ではございませんけれども、あらゆることを想定してやっていかなきゃならないということは御指摘のとおりだと思って、そのような認識に基づいて私どももあらゆる努力をしていきたいと思っております。
  73. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 先ほど大臣おっしゃいましたとおり、いや、私が申し上げたのかな、全量輸出自主規制のようなものも考えなければいけないときもあるかもしれません。考えたくはない話でありますけれども、そういったことのロードマップもこれは別ルートでひそかに立てておくべき必要が政府内であるんではないかと、これは農林水産省だけではもちろんありませんが、そんな気もいたしております。いたずらに不安をあおるようなことになってはいけませんから、これについていろいろとこのことをつまびらかにしろと言うつもりはございませんが、そのことについての方針だけは問いただしておきたかったわけであります。  さて、こうした政府の報告あるいは情報公開にやはり少し問題があるんだというようなことは懸念されるところでありますけれども、それよりも、それよりもというか、それにかてて加えて、何といっても終わってからの復興についてのファイナンスの問題でありますとか、計画の問題についてはもっと不安がよぎってまいります。私のところにも様々な、今後どうなるのかという話の中に、特に幾つかちょっとポイントを絞って御質問させていただきたいと思いますが。  先ほど山田議員の方からありました農協建物更生共済、建更と言われるやつであります。これは、もうこれは風評被害になっているんじゃないかなと思うぐらい、はっきり申し上げて損保、生保の会社、民間の会社は間違いなくと言いますよ、一〇〇%、間違いなく建更については、これはもたないだろうというふうに言ってはばからない方が多いわけであります。それを、さっき山田さんの質問にお答えになられた政府のお答えは、まあ大丈夫でしょうというようなお答えです。  これ、余りゆるがせにすると全てに掛かってくるんですね。こう言うと何ですけれども、さっきの食品安全の話でもそうですけれども、政府の発表というのは信用の置けないものだということになりかねません。特にこのファイナンスの問題は、もう結果はすぐに出るのは明らかですから、ちゃんと、正しかったか正しくなかったかということが結果として出てきますから、しっかりとその辺を踏まえて御答弁を賜りたいわけでありますが。  建物更生共済保険の仕組み、あるいはそのことを踏まえての現状、そしてこれからの認識について、もう一度ちゃんとしたお答えをいただければというふうに思います。
  74. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) JAの建物更生共済は、火災ばかりでなく地震等自然災害により建物や家財に損害が生じた場合に、これを補填する共済として多くの農協組合に利用されていると、こういうことでございます。  そこで、先ほども申し上げましたけれども、今回の震災による建物等の被害等につきましては被災状況調査が進められているところでございますけれども、建物更生共済の支払財源といたしましては、当年度の共済掛金や異常危険準備金や海外の保険への再保険などによりまして十分な支払能力が確保されており問題がないと、このように考えておるところでございます。  農林水産省といたしましても、被災者方々に対する共済金の支払ができるだけ早期に確実に行われるよう、これからも必要に応じて指導してまいりたいと考えておるところでございます。
  75. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 建更は、ちょっとさっき仕組みについて、もうはしょっていただいたように感じは受けましたけれども。まあ言ってみれば、乱暴な言い方に聞こえたら失礼をお許しをいただきたいと思うんですけれども、要は建物について、地震保険に入っていなくても、津波災害、あるいは地震を起因とするような津波災害建物が潰れましたというようなものについてはやはり保険でちゃんと手当てをしてもらうというようなものが入っておるから、民間の方が言うんですよ、民間の地震保険のように自分たちが掛金をわざわざ払っているようなものと違って、建更自体で建物のようなものにちゃんとした保険を、保険手だてを受けざるを得ない。ですから、このように大きな災害で全ての集落がなくなってしまったというような場合は、とてもじゃないけどもたないんじゃないのかと、これ誰が見てもそういうふうにおっしゃるわけであります。  大臣、正直なことを言って、そうであるならば、ファイナンスも含めて、これは政府としてしっかりと、ちゃんと予算要求をすることもあり得るんだということをおっしゃっていただいた方が私は賢明だと思いますが、もう一度、大臣お答えいただけますか。
  76. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今、私から答弁させていただきましたとおりに、十分な支払能力が確保されておると、このように考えておるところでございますけれども、言わば今回は被害状況というふうなものがまだ確かな把握というところに至っておりません。万が一どういう状況になるかというふうなことにつきましては、その時点であらゆる対応の仕方を私どもは考えていかなければならないと思っております。
  77. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 これは建更、農協共済のその建更のみを私は挙げたかったわけではありません。後に言います漁船保険や漁業共済、これについても、もう余り時間ありませんから詳しくはちょっと申し述べませんが、同じことが言えるんですよ。漁船保険なんかの場合も、保険の対象価値というものが残存価額のみであるから、一般に言われていることですよ、その漁業者にとってみて残存価値、漁船保険や漁済で守られている保険というのは残存価値であるから、船齢の古いものなぞというものはその船齢のその価値の限りにおいてしか守ってくれない。すなわち、復興だということになって、政府あるいは漁協から保険が下りてくるということになったとしても、新しい船を買うどころかその三割、四割というようなものの価値じゃないとお金が下りてこないんだと。これはもうまことしやかにみんなが思っているわけですよ。その結果どうなっているか。もうお聞きになっておられると思いますが、もうこれを機会に、いい機会だから、俺も年取ったしやめようというような話になっちゃっているわけですね。大体がそうだと思います。  こういうことについて、しっかり私たちが手だてを打つんだということを政府が発言をしてくれるかどうかというのは、私たちも、もちろん野党ではありますけれども、協力をさせていただくということを申し上げているわけでありますから、是非ここのところはしっかりとアナウンスをしていただきたいというふうに思います。  先ほどちょっと山田さんの御質問の中の御答弁で気になったことは、大臣が様々な漁船保険や漁済についての被害状況の実態を踏まえてそれにちゃんとおこたえをしていくという御答弁があったわけでありますけれども、その実態が、なかなかこれ、もう釈迦に説法だと思いますが、難しいです。これ、踏まえるったって、どれだけのものなのか、もう全くつかみどころがないような今しっちゃかめっちゃかな状況になっているんではないかというふうに思います。  したがって、私は、実態を踏まえてやるというその大臣の答弁よりも、ここで聞きたいのは、じゃ、いつまでにどういうことをロードマップで考え、いつまでにどういうロードマップでやっていくんだということについて、頭の中、あらあらでいいですよ。それが今後、あのとおりにならなかったじゃないかということがあったとしても、それは私は今問われるべき責任ではないと思います。大臣が今おっしゃって、頭の中で考えておられるようなことを是非ちょっとお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  78. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 私は、今委員指摘のとおりに、実情、実態というものをそう簡単に把握できるかといえば、確かになかなか困難な点があると思いますが、そういう中で、じゃ、これからのこの地域の再生なり復旧復興というものをどう考えるかという場合、短期的にまず何からやるべきか、あるいはまた中期的に、長期的にどうあるべきかというふうなことの中で最優先して取り組むのは何か、こういうようなことを一つ一つ選択をしながら取り組んでいく必要があるんではないかなと自分に言い聞かせながら、今後のこの復旧復興に対しての取組をしていきたいと、こんなふうに考えているところでございます。
  79. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 うまく大臣、言いづらいところをちょっとかわしておられるようなところもありますが、はっきり申し上げて、今水産庁の方で各漁業者と言われる方々、言われた方々ですかね、に漁船漁業なりなんなりを続けていく用意があるかどうかの調査を取っているというような今日はお話が入ってまいりました。  これはちょっと技術的なことで、もう知らないというんだったら構いませんが、どなたか、それの調査をやっているのかどうか、それでまた、やった結果どんな様子だったかと、ちょっとお聞かせいただけるようであれば御答弁いただけますか。
  80. 篠原孝

    ○副大臣篠原孝君) 被害状況とか意識調査というところまでまだ行っておりませんで、我々が承知しているのは、岩手、宮城を中心、福島も入るわけでございますけれども、漁船が約二万隻、ほとんど壊滅的な打撃を受けて使えないと。それから、漁港二百六十三港、これが瓦れきあるいは漁船の残骸等で埋められて使えないといったことでございまして、建物とかそれから養殖施設ももう壊滅的な打撃を受けていると、こういった状況でして、幾らかどうかと、それから再開の意思があるかどうかというところまではとても立ち至っておりません。調査もまだそんなところまでは、調査をする段階にはなっていないと思います。
  81. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 でしょうね。私もそう思ったんです。何でこんなときに水産庁はそんなふうにおっしゃったのかなと。自主的に調査を掛けなくても、恐らく政治家同士、その地元の方々のお話を聞く限りでは、もう戦意喪失といったようなことではなかろうかというふうに思います。  そこで、私は大臣に、これは本当は総理にも聞きたいことでありますが、農林水産大臣として、これは閣僚の一人として是非お伺いしておきたいことがあるのは、復興です。この地域はもう丸ごと集落がなくなってしまったわけでありますね。じゃ、そこへ新たな復興計画を、復旧計画をといいますけれども、私は復旧では駄目だと思っているんですね。復旧というのは旧を復することでありますから、そのままの周りの状況に戻せばいいんだと。しかし、戻したところで、人心は荒廃をし、恐らくはもういいよと、新たに船買ってやるなんというのはもういいよという感じがもう圧倒的に多いんだろうと。  とするならば、どうやって復興するんだという辺りは、これは政治が、皆さんの出てくる御意見を束ねながらというボトムアップを待っているんではなくて、復興計画を、こういうふうにやりませんかというものは出していかないと、もうなし崩し的にこの地域の集落は消滅してしまうというふうに私は思います。  これについて、大臣がどれほどの危機感をお持ちであるか、そしてまたどういうことをお考えになっておられるか、これは現在言える限りで構いませんから、御意見、御所見を賜れればなというふうに思います。
  82. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今後の復興につきましては、政府全体としての取組という中で、一つの枠組みがつくられる中で計画的な形で取り組んでいくということになると思いますが、今の時点で、私個人といたしましては、どうやって復興していくかというようなことにつきましては、当然その漁業者なり農業者なり、そういう方々の、実際被災に遭われた方々の意見を集約していく、あるいは都道府県の考え方というふうなもの、市町村考え方というふうなものを吸収していくということも大事なことでありますけれども、基本的には、国としてどういう位置付けをしていくのか、国家プロジェクトとしてやっていくんだというような、そういう大局的な見地に立って今回のこの再生、復興に向けて取り組んでいくことが最も大切なことではないかと、そういう考え方に立っておるところでございます。
  83. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 大臣、もう一度聞きます。この地域人たちは、恐らくもう一度、旧に復するという形で漁船漁業やりなさいと言われても、多分今のところであれば戦意喪失しているんだと思います。先ほど山田議員の御質問にもありましたとおり、農地ももう海水につかっちゃって、もう一回農業やれっていったって、あと二年、あるいは下手すれば二年、三年は農地が使い物にならないという状況。目立った産業が大変失礼ながらあるようにも私は思えません。私の和歌山県なんかの田舎を見る限りでもそうだと思います。地方というのはみんな疲弊をしている。  そんなところがたくさんある中で、復興です、復旧ではなくて復興というものについて危機感を持っておやりをいただきたいということをもう一度大臣、その辺りを答弁いただけますか。
  84. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 一つ事例を挙げさせていただきますと、漁業におきましては、もう船が八十隻、漁船が八十隻あったうちもう数隻きり残っていないというような今日の状況、ある地域におけるところの実態、実情というものを踏まえますと、漁業者個人個人で何とか立ち上がってくださいといってもなかなか困難な状況に遭遇しているのではないかと、こんなふうに思いながら、漁村、漁業者全体が一体となって協力し合ってやっていくような仕組みもつくっていくというようなことも含めながら、これからのこの漁業者なり被災に遭われた農業者方々の意欲というものをどうやって更に持っていただくかというふうなことは、これはもう私どもにとっても大変重要なことだという認識に立って、やはりいかにしてこれからの取組というふうなものに対して頑張っていただくことができるかと、そういう視点を忘れることなく、国全体としての取組というふうなことを重視しながら、私どもも農林水産省は農林水産省としての考え方を今後の復興に向けて取り入れることができるように全力を尽くして取り組んでいきたいと思っております。
  85. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 具体的なお話をもう少しすれば出て、答弁いただけるんだと期待をして、今日のところはこの辺で引き下がっておきたいと思います。  農水省、目立った省の産業がないという失礼なことを申し上げたと思いますが、まず、まさに農林水産が地方共通のやはり基幹的な産業であるという自負を持って、農水省はこの復興計画を先頭に立って打ち立てていただきたいというふうに思います。そうでない限り、恐らくこの地域にはもう復興はあり得ないんだというぐらいの気持ちでやっていただきたいというふうに思います。  時間、あと五分ほどでありますが、もうこれを是非ともやりたかったということを、たった五分しかありませんが、もう一言だけ。捕鯨です。全く関係がないようでありますが、このことは一般質問のときでなければお話をさせていただく機会がありませんから、ちょっとお耳をお貸しをいただき、大臣、これはちょっと御所見を賜りたい。  我が国にかかわる捕鯨をめぐる議論というのは、もう今日に始まったことではもちろんありません。しかし、シーシェパードの妨害等々があり、捕鯨船、結局帰らざるを得なくなりました。その中でいろいろな問題がやっぱり出てきています。大臣が御存じないこともあるかもしれません。したがって、私は幾つか、もう時間がありませんから、もうまとめて御所見をいただきたいと思いますので、ちょっと早口になるかもしれませんが。  まず一つ。あのシーシェパードが、帰ってこざるを得なくなったときの事情というのは、何と、現場は、船員組合の皆さんは、調査捕鯨でそれぐらいの妨害がされることは当然のこと理解をしておったと。ですから、こんな妨害行為に負けてなるものかと歯を食いしばって頑張っておったやに本人たちは言っているんです。これは私に入ってきた情報であります。  しかしながら、表向き水産庁と話をしておると、大臣と、捕鯨協会なのかどうか分かりませんが、日本に残っている捕鯨協会とのやり取りの中で、これは引き返させるべきだというふうに大臣が御判断をなさったと。これ、どういうことかと。こんなことがあっていいのかと。現場は頑張ると言っているわけですね。それを政治的な判断の中で引き返させると。なぜ引き返させられたんだというふうに、悔しいと、そういう言い方を現場方々はしておる方もいらっしゃると。このことについて、大臣、まずどう思われるか。  それから、もう一つ。幾つかあります。三つほど言います。  そのこともさることながら、今度はシーシェパードが、あの三隻の船がありました。三隻の船があったんですけれども、二隻がオーストラリアに入り込みました。一隻は別の国へ行きましたね。二隻の、オーストラリアの国に、入った国は、オーストラリア政府が臨検調査をしたと、立入検査をしたということで水産庁は矛を収めておるようでありますが、これ、臨検調査、立入検査を去年もおととしもやっているんですよ、シーシェパードが寄港した時点でですね。その後何の立件もしていない。このことについてちゃんと、水産庁もそうですし、本当は外務省なんですけれども、これはちゃんとオーストラリアに対する抗議をしなければなりません。  そして、場合によれば、昨年の六月にICJにオーストラリア政府から日本は提訴されております、この捕鯨問題が合理性がないということで。とするならば、あなた方は、少なくとも国際的不法行為をしているにもかかわらず、彼らに対してちゃんとした実効的な措置を、刑法上の措置をとっていないじゃないかということについてオーストラリア政府を逆提訴することを日本政府考えなきゃいけないんですよ、去年ICJに提訴されているんだとすればですよ。まあ、だとすればというか、されているんですけれどもね。  それぐらいのことをやらなければいけないのにもかかわらず、政府は何ら動いていない。これは外務省のことでもありますから、大臣はこれ所感で結構でございます。  それから、もう一つ。三隻のうち二隻がオーストラリアの方へ逃げました。もう一隻はどこへ行ったかと。どこへ行ったかは知っているんです。知っているんですけれども、その国は捕鯨国でも反捕鯨国でもない国であります。じゃ、その国へ日本政府がちゃんと、あの船は不法行為をした船だからちゃんと臨検調査をし、立入検査をしてくれということについて、駄目で元々、申入れをするのが筋でありますが、外務省に問い合わせたところ、それすらもしておりません。一体何をやっているんですかというのが私の大ざっぱな、まだまだありますよ、本当は。  このシーシェパードの問題については、国家の主権が懸かっております。来年以降、はっきり申し上げて、この調査捕鯨が存続するかどうかの問題もやっぱり懸かっているんです。これについてしかるべき大臣の思いあるいは方針を、これは大臣、ちゃんとしたお答えを述べていただきたいと思いますが、方針を、来年もやるんだ、やらないんだというようなことについての方針大臣にはちょっとお答えをいただき、最後の質問とさせていただきたいと思います。
  86. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今委員から御指摘の点につきましては、大変重要な問題についてお考えをお聞かせいただきました。  私といたしましては、今回の調査捕鯨につきまして引上げをするというような判断に至ったのは、私自身の考え方であります。それは、委員御承知のとおりに、今日までの経緯、経過の中で、まず船員、そこに乗っている船団の人たちの安全というふうなものを優先したということでございます、一言で申し上げますならば。そういう中で引上げを判断をしたということでございます。  そしてまた、オーストラリアあるいはオランダ等々に対する抗議等々について余りにも甘過ぎるんじゃ、こういうようなことでございまして、この指摘につきましては、私ども水産庁といたしましても数回にわたりまして抗議をいたし、また、外務省を通じて関係国に対しても抗議をやってきた経緯等はあるわけでございます。しかし、そのことが具体的な形で行動というふうなところにつながらなかったと、こういうふうなことは委員の御指摘のとおりだと思います。  そういう中で、今後どうするかということにつきましては、この三月の二十一日、船団が帰られまして、団長、船長からも私直接、状況におきましても、また考え方につきましても、率直なる考え方を聞かせてくれと、こういうことで受け止めたところでございます。  これからそういう船団長なりあるいは船長なりあるいは乗組員の人たち考え方というふうなものを受け止めながら、専門家の意見も聞き、どう対処していくかというふうなことを決めていきたいと考えておりますので、検討委員会を設けて、そして現場の声、専門家の声をしっかりと受け止めながら、今後のことについて基本的な考え方をしかるべきときに示してまいりたいと、こんなふうに考えておるところでございます。
  87. 横山信一

    ○横山信一君 まず、この度の震災におかれまして犠牲になられた方々に深くお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様方に心からお見舞いを申し上げます。  まず、大臣の所信のことについてでありますが、世界的な漁業国かつ水産物消費国である我が国は、率先して水産資源の管理に努めることが必要でありますというふうに述べられました。そのために、収入安定策とコスト対策とを組み合わせた資源管理・漁業所得補償対策を導入するということであります。しかし、何を問題とし、またそのために何を講じようとしているのかというのはこの所信からはよく分からないということであります。  私は、水産政策というのは、未利用魚の利用推進も必要でありますし、あるいはまた広域的な栽培漁業の推進、マグロの完全養殖などの技術開発、そしてまた産卵場や生育場などの魚介類の生活史に着目した漁場整備、こうしたことも重要だと思っておりまして、問題点の全てを所信に含めろということではなくて、今の漁業の直面している問題に対して大臣の水産政策トップとしての危機意識というのはここなんだということを是非示してもらいたかったということであります。  そこで、この資源管理・漁業所得補償対策を導入するに当たって何を問題としてどのような施策を講じようとしているのか、まずお伺いいたします。
  88. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 漁業の今の実情というふうなものを踏まえた中でまず何からやるべきかと、このようなことから、資源管理をやっていくという中で漁業者の所得補償政策というふうなものをやはりそこにセットとして取り組んでいく必要があると、こんなふうな考え方に立っておるところでございます。  そういう意味で、資源管理の取組に対する補助によるところの漁業者の掛金、積立金の負担の軽減をするというふうなことが一つでございます。そして、一定以上の減収が生じた際の収入を補填するということを通じて我が国の水産資源の管理と漁業経営の安定に資していきたい、こういう考え方でこの資源管理・漁業所得補償対策というふうなものをやるというふうなことに決めたところでございます。
  89. 横山信一

    ○横山信一君 震災のことについてもお伺いをしていきたいんですが、私もテレビの報道等でこの三陸沿岸、そしてまた宮城の漁村地域被災の情景が映し出されるたびに本当に胸が苦しくなる思いで見ているんですけれども、私は震災の翌日から北海道の太平洋沿岸の被災地を回らせていただきました。東北各県の被災者のことを心配して、もちろん北海道の漁業者の方たちも大変な被害を受けているんですけれども、俺たちは人的被害があったわけでもないしと、東北から比べればまだまだ自分たちでやれることを頑張っていかなきゃいけない、皆さんそう言いながら歯を食いしばっているのが非常にけなげでありまして、しかし、だからといって自分たちで復興できるような、そういうまた状況でもないわけでありまして、それほど厳しい北海道も大変な被災を受けているということであります。  この東北、特に三陸沿岸、そしてまた北海道の太平洋岸というのは日本の中でも有数の漁業基地であります。その基盤の再建というのは、当然のことながら被災地の復興に直接かかわってまいります。  そこで、今後の対策について伺っていきたいんですが、今回の震災で被災した沿岸漁業の主要な漁業としては養殖漁業がございます。カキとかホタテの増養殖というのは一代で今の規模になったわけではないわけでありまして、先代、先々代からの営々とした積み重ねの上に今の経営が成り立ってきているわけなんですが、これをすぐに、養殖施設を元の原状に戻してすぐに漁業が再開できるかというと、そんなまた簡単なものでもなくて、当然のことながらこうした貝というのは成貝になるまで二年、三年と時間を要するわけであります。その間、この被災した漁業者の方たち、もちろん専業の養殖漁家だけではないと思いますけれども、被災した方たちというのは収入がなくなってしまうと。漁業で収入を得るまでの期間が相当数掛かるということが当然のことながら予想されるわけであります。そういう意味ではこうした漁業者への生活支援というのが非常に大事でありまして、生活支援を含めた長期間の対策というのが求められているわけです。  そこで、例えば漁港なんかは、信じられないことですが、コンクリートのケーソンが漁港内の中に散乱していたりとか、もう信じられない光景があるわけですけれども、あるいは漁船が沈没している、築港に止めてあった車がみんな港の中に入ってしまっている、一体何台沈んでいるかも分からない。そういう状況で、船を港に入れることすらできないという、そういう状況であります。  ですから、こうした海底障害物を撤去するに当たっては、漁業者をそこで雇い入れるとか、そこで雇用を確保するとか、いずれにしても漁業者を浜につなぎ止める、そうした雇用対策というのが漁業の再建ができるまでの間必要になるということであります。そうした対策についてどうお考えになっているのか、伺います。
  90. 筒井信隆

    ○副大臣(筒井信隆君) 言われるとおり、今回の漁業、漁村の被害は甚大でございまして、養殖業は今言われたとおりでございますが、さらに漁船それから漁港、これらも壊滅的な被害を受けたわけでございます。この被害から漁業、漁村を復興するためには、今までの災害対策の延長線上で考えていってはなかなか無理だろうと。抜本的な、本当に根本的な対策を取らなければならない。そのためには大変な作業と期間が掛かるということがはっきりしているわけでございまして、その復興に至るまでの間、漁業者の皆さんからその復興についてのいろんな作業をしていただく、これはまさにおっしゃるとおり必要なことでございますし、それが同時に生活支援にもなるわけでございますから、その具体的な形態は今まさに検討中でございますが、先生がおっしゃった方向でやっていきたいというふうに考えております。
  91. 横山信一

    ○横山信一君 漁師の人たちは、先ほどの鶴保委員のお話にもありましたけれども、非常に絶望しているわけでありまして、ともすればすぐ廃業ということに考えが行ってしまう。そういう人たちを浜につなぎ止めておくことが、やはり浜で生きていくというところに希望を見出していくのが漁師でありますから、是非ともそうした雇用対策を含めて全力で取り組んでいただきたいと思うわけであります。  この東北三陸沿岸、そして北海道を含めた、この太平洋沿岸を含めた水揚げというのは全国の四割近くを占めていると。ここの地域が壊滅的な今回は被害を受けたわけでありまして、当然のことながら国内の水産物供給に大きな影響を及ぼしてまいります。  ここで懸念されることは、加工用原料などに対する国内供給が不足をするということであります。当然、その代替品として輸入水産物が増加するということは懸念される。そうすると、この輸入水産物が水産加工場にどんどん入ってくるということが固定化をしてしまうと、漁業の再建をせっかく決意をしてもらっても、その原料供給のルートが途絶えてしまうことになりかねない。要するに、再建への道筋が閉ざされてしまうことになりかねないということでありまして、水産物供給体制の復旧に向けた国内の需給対策というのが必要になってくるわけであります。この点についてどうお考えになるのか、お聞かせください。
  92. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今先生指摘のとおりに、今回のこの大震災によりまして、漁港なり漁船なり、あるいは水産関連施設等に極めて大きな被害が生じたわけでございます。これまでの地域の漁業生産というふうなことを考えた場合、北海道から千葉県までということの七道県というものを合計すれば全国の漁業生産量の約五〇%を占めておると、こういうようなことでございます。  そのことを考えますと、今後の水産物の安定供給に大きな影響を与えるということになるわけでございますので、農林水産省といたしましては、まさしくこの地域の我が国の水産業に果たす大きな役割というものを考えたときに、どうしてもこれらの地域が主要産地として再び立ち上がると、立ち上がってもらうというようなことが必要不可欠なことだと、こんなふうに考えておりまして、漁業、漁村の復旧復興に向けて全力で取り組んでいかなきゃならない、こんな考え方に立っておるところでございます。
  93. 横山信一

    ○横山信一君 沿岸漁業者向けには、沿岸漁業者ということではないんですが、漁業近代化資金あるいは漁業振興資金等の制度資金、漁業者にはあるわけでありますけれども、今大臣がおっしゃられたように、漁業の再建を図ろうとしても、過去に例を見ない甚大な被害であるわけであります。要するに、融資によって再建をするというのはもう不可能だという、皆さんそういう声、一様にそういう声でありまして、融資によって再建をしようと思えば、やはりその選択肢というのは廃業に向かってしまうわけであります。  そこで、今般の災害に対して、現行の融資制度を超えた新たな措置というのが求められているわけでありますが、廃業を真剣に考え始めている漁業者も多い中で、漁船の共同利用体制の整備を進める、あるいは協業化を一層進めるという、先ほど来よく出ている浜につなぎ止めるという、漁業者の希望を見出せる対策がそこに求められているというふうに思うんですけれども、その点についてお伺いいたします。
  94. 田名部匡代

    大臣政務官田名部匡代君) 今先生指摘のとおりに、漁業者の皆さんや被災された皆さんがどうやったら希望を見出していただけるのか、そのことをしっかり私たちは考えて支援を行っていかなければならないと、そう思っています。  今回、被害が大変広範囲であるということ、そして大規模であるということ、まずは被害状況をしっかりと把握をしていかなければならないということで、その把握に今努めているところであります。先ほど来、大臣からも、また副大臣からもありましたけれども、思い切った支援、そして抜本的な制度の見直し、また大胆な法改正ということも踏まえながら、それを視野に入れながら、まさに地域の皆さんが希望と夢を持って漁業を再開していただける、また、もう一度その地域の復興に一緒になって取り組んでいただけるように努力をしていきたいと、そのように思います。  一つだけ、漁業をやめたいと思っておられる方も多いかもしれません。しかし、私は、どんなに絶望しているだろうと思いながら、先般、主濱委員長の御地元である岩手県に行きました。地域漁業者の皆さんが、漁業で栄えた町なんだと、漁業が基幹産業なんだ、船さえあれば何とかなる、漁業で町を再建したいという強い思いを語ってくださいました。逆に勇気付けられてきました。そういう皆さんが力を出して頑張っていただけるように、大臣の陣頭指揮の下、しっかりと支援策に取り組んでいきたいと思います。
  95. 横山信一

    ○横山信一君 流通対策についてもお伺いをしておきたいんですが、水産業においては鮮魚の取扱いというのは非常に大きなウエートを占めるわけであります。しかしながら、今、東北を通過しての輸送、あるいは東北から首都圏あるいは関西圏、こうした輸送ルートというのは、陸路、海路とも十分に今復旧はしていないという状況になっております。  さらに、その上に、浜にとってなくてはならない製氷施設あるいは冷凍庫というのが、これがもう全て、全てとは言わないですが、その多くが壊滅状態になっているということで、仮に船を手に入れても、漁業を再開しても、その魚の保存する場所もなければ行き場所もないという、そういう状況に今はなっているわけであります。  そういう意味で、今後の流通上の対策をどう講じていくのかということをまずお伺いしたいんですが、同時に、今首都圏では計画停電がなされているわけでありまして、その影響でこの首都圏を中心として生鮮品の購入を避ける傾向があるという、そういう追い打ちも掛けられているということで、鮮魚に対する需要は非常に落ち込んでいるというふうにも聞いております。  この計画停電、この夏も続くということも予想されているわけでありますが、そうした電力不足というのも鮮魚需要あるいは鮮魚流通にも影響を与えていくことが懸念をされているわけであります。こうした流通上の対策についてどうされていくのか、お考えをお伺いいたします。
  96. 田名部匡代

    大臣政務官田名部匡代君) 今お話にあったように、製氷、また冷凍施設、そしてさらには加工施設も大変大きな被害を受けています。今こちらからも各企業にも連絡しながら確認をしているところなんですが、三分の二ほどまだ連絡を取れない状況、ただ、被害が大きいことは間違いないというふうに考えています。  地域復旧復興ということを考えたときに、漁業ということだけではなくて、漁業に絡む加工業、流通業、また製氷も含めて大変そこには大きな雇用があった、こういうことを考えますと、全体的なものをきちんと一緒に復旧をさせていくことが非常に重要だと考えておりますので、水産、加工、流通、これらを全体をしっかりと見ながらその復興に努めてまいりたいと考えています。
  97. 横山信一

    ○横山信一君 農水省としては、これまでの災害復旧という考え方を超えてと、これまでの考え方は当然当てはまらない、その延長線上にはないという御認識でありましたし、その上では国による早急な復興計画を是非立てていただいて、強力にこの地域の水産業の復興に努めていただきたいと思うわけであります。  福島第一原発の話もさせていただきますが、この原発事故によって高濃度の放射性物質が近辺の海域から検出をされたわけであります。放射性物質というのは海藻あるいは魚類にも当然のことながら取り込まれる可能性があるわけでありまして、そうしたことが独り歩きをして消費者は大変な不安を感じているわけであります。  ただ、大臣の先ほどの議論の中でもありましたけれども、直接食卓に上るようなことはないという、当面はですね、そういう見込みでありますし、また、今回の放射性物質というのは極めて流出量が少ないと、そしてまた拡散をしていくという状況考えれば人体への影響というのは余り心配はしなくてもいいのではないかと、有識者のそういうコメントもございます。  しかしながら、魚類というのはプランクトンから高次栄養段階のマグロ類まで、要するに生物濃縮というのがあるわけでありまして、そうしたことも考えるとどこに現れてくるか分からないというそういう、福島県沖だけの、そこで捕れる魚だけに出てくるとは限らないという、そういったことがあるわけであります。  そういう意味で、風評被害を避けるためにもモニタリング体制の充実あるいは安全性の啓発というのが重要になってくるわけでありますが、こうした今後の対応について伺っておきます。
  98. 筒井信隆

    ○副大臣(筒井信隆君) 先生がおっしゃることのためにも、厚生労働省が食品衛生法に基づいて暫定基準を定めて、それに基づいて厚生労働省もまた農水省も県と相談をしながらその検査をしているところでございまして、その検査をして暫定基準よりも低かった、それは心配ないんだということをしっかりと周知徹底をしなければならないというふうに考えております。  実際に、昨日の時点で銚子漁港から上がったキンメダイ、暫定基準よりも低い数値であった、これは全く心配ないということを既にマスコミにも公表しているわけでございますが、それらを周知徹底をしていくことが必要なことだというふうに思っております。そして、その暫定基準を超えた場合には、総理の出荷停止の指示により出荷されていないんだということも明確に発信をしていかなければならない。同時に、農水省としても今申し上げた点を市場や流通業者、加工業者等々に文書でも周知徹底を図っているところでございまして、科学的知見に基づかないそういう、例えば受領拒否とか市場が拒否するとか、そういうことは一切してはならないという周知徹底を図っておりますが、それをこれからも更に続けていきたい、強化していきたいというふうに思っております。
  99. 横山信一

    ○横山信一君 水産問題はここまでにしておきますけれども、この原発事故に関しまして、今暫定基準値という話もありましたけれども、私は、質問はしませんが、暫定基準値というのは非常に問題があるというふうにも思っておりまして、ただ国民に対して安全性の基準を適切な時期に発表するという、そういうことで出したということですから、そのことをとやかくは言いませんけれども、本来であればやっぱり科学的基準を明確にしなくてはいけないわけでありまして、その辺が少し後手に回っているというふうにも思うわけであります。これは農水省に言ってもしようがないので、今日は質問しませんけれども。  連休明け直前の三月二十一日に政府出荷制限をしたわけであります。これはまあ、連休明けの二十一日というこの時期を考えると、これは当然卸売市場を始めとして混乱するに決まっているわけであります、こんなときに言えば。それで、何でこんなときに言うのかというふうに誰もがあきれたと思うわけでありますけれども、流通を混乱させたという、政府が流通を混乱させてしまったと言ってもいいという、そういう措置だったと思うわけであります。  今、農作物検査によって暫定基準値検査が行われているわけでありまして、そういう意味では、出荷制限がなされている、そういう状況の中で、卸売市場も本来入れなければいけない作物もシャットアウトしてしまったりとかしている。そういう状況の中で、今後の食料の安定供給というのは確保できるのかという、あるいは問題ないのかということをお伺いをしたいと思います。
  100. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今先生指摘のとおりに、今回の出荷停止の指示ということによりまして一部の農産物は供給が減少するということになるわけでございまして、それを少しでもカバーするようにということで、主要産地におけるところの出荷の前倒し、あるいはまた規格外品の出荷促進などによりまして必要な食料の安定供給というものにできるだけの努力をしていかなきゃならないと、こんなふうに考えておるところでございます。  そして同時に、食料の安定供給というのは国民に対する国としての基本的な責務でもありますので、今後どういう作付けをしていくのかというような、いろんなことも検討する中におきまして、もう一方は、どうやって食料の増産というふうなものを行うことができるかどうかというようなこと等々、農林水産省内におきましても検討を始めているところでございますけれども、輸入や備蓄というふうなものも組み合わせる中で、食料の安定供給というようなものの確保に全力を尽くして取り組んでいきたいと思っているところでございます。
  101. 横山信一

    ○横山信一君 今回の出荷制限では、福島県のことですけれども、福島県全域というのは余りにも大ざっぱ過ぎるという、これも先ほどの議論の中でも出ておりましたけれども、浜通り、中通り、会津という、この三地域から成る福島県を全域出荷停止にしてしまうというのは余りにも大ざっぱなやり方でありまして、鹿野大臣はこれについて、表示は県単位ですのでそうならざるを得ないと、非常に苦しい発言をされているわけでありますけれども、こんなことを続けていれば、これはもう福島県の農業全体に深刻な影響を与えるに決まっているわけであります。こうした大ざっぱな県単位の制限というのは早急に見直して、そしてまた、安全が確認されている地域の農産物はもう適切に出荷できるようにすべきであります。ただ、これは農水省が決めることではないということでありますので。  そこで、農水省として、この出荷制限の設定や撤廃に際して、文科省、それから厚労省とどのような連携を図っていくのか、お伺いします。
  102. 筒井信隆

    ○副大臣(筒井信隆君) 出荷制限の際にも、先ほど申し上げたように、厚生労働省の食品衛生法に基づく基準に基づいて、厚生労働省に全面的に協力しながら農水省はやってきたわけでございます。この解除に関しても、同じ地点あるいは同じ品目等に一回程度暫定基準を下回っただけではなかなか解除できないだろうと思います。全体を総合的に考えて、安定的に基準を下回ったというふうな判断ができる時点で解除をする、そういう方向で考えているところでございます。
  103. 横山信一

    ○横山信一君 農水省の役割は今回の震災では非常に大きいわけでありまして、そういう意味ではイニシアチブをしっかり取っていただいて、本当に前面に出ていただいて頑張っていただきたいわけでありますし、そのためであれば私たち野党もしっかりとバックアップをしてまいりたいと思うわけであります。これはもう単に、何というか、農業政策という枠を越えて日本国民の食料供給の存亡にかかわっている問題でありますから、本当に頑張っていただきたいわけであります。  風評被害についてでありますが、このことについても大臣は、この風評被害が適切なる措置が講ぜられるように農林水産省として努力したい、記者会見でそんなようにお話をされているんですが、農林水産省として努力をしたいというふうに述べられているわけであります。風評被害については実効性のある施策が伴わなければ、結果的に農村にとって深刻な影響を招いてしまうわけであります。  既に今の時点でも市場には安全な農産物しか出荷されていないわけでありますから、そういう意味では、卸売市場関係者とかあるいは消費者に対してどのようにこの努力をされていくのか、具体的にそのことを御説明いただきたいと思います。
  104. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 厚生労働省、そして食品安全委員会連携をいたしまして、今回のこの調査暫定値調査、暫定基準値調査結果というふうなものをきちっと提供すると。そして、その暫定規制値の考え方、その人体への影響の程度など、正確なる知識というふうなものを消費者の人に幅広く発信をしていかなきゃならないということで、まず農林水産省といたしましてホームページを通しまして、そういう内容のところも少しでも承知をしていただくことができるように、このようなことも今取り組んでいるところでございます。  そしてまた、一方におきましては加工、流通、小売業者に対しまして、科学的なあるいは客観的なそういう根拠に基づいて、円滑なるところの流通というふうなものの確保にひとつ努めていただきたいというふうなことで農林水産省から要請も、卸売の段階におきましても、また小売業の方々、量販店の方々に対しましても要請もいたしておるところでございます。  このような正確なる情報というものをいかに確実に提供していくかというようなことによって少しでも風評被害というふうなものを防ぐことになり、また、適切なる判断を消費者の方々にもしていただくことができるんじゃないかと、引き続いてこのような努力を続けてまいりたいと思っております。
  105. 横山信一

    ○横山信一君 大臣は二十一日の記者会見でこういうことをおっしゃっているんですが、補償のやり方というものは、ちょっと大要、概略ですけれども、都道府県と連携取りながら判断すると、この出荷停止の地域農業被害に対してですが。  この出荷制限されている地域というのが今後明るい見通しを持って暮らせるように、農家の経営再建に向けて、当然、復興支援というのをしていかなければいけないわけですけれども、その点について伺っておきます。
  106. 筒井信隆

    ○副大臣(筒井信隆君) 農家が大変な損害を受けていると。しかし、これは、原発事故相当因果関係のある損害は全て補償をしなければならない、賠償しなければならないと。この範囲は結構広いわけでございまして、農家に限らずですが、休業損害や営業損害、さらには退避、避難の費用、これらも相当因果関係の中に入るわけでございまして、そして、風評被害と言われるものは、例えば暫定基準が超えていた場合にそれを出荷停止をしたと、これは風評被害ではないわけで、その部分は当然補償対象に入るわけでございます。暫定基準を超えていないものについても、受領を拒否されて販売できなかったという場合に、じゃ、農家への支援はどうなるんだと。これも全部駄目なわけではなくて、一定期間、一定地域において判断をして、そして通常人がこれはやっぱり危ないというふうに合理的に考えて思う、そういう範囲のものはやはり補償の範囲に入るというふうに考えているわけでございまして、それらはきちんと農家に補償をしていかなければいけない。  そういう補償は第一義的に東電がするわけでございますが、それらの相当因果関係のある補償だけで、じゃ、農業再開ができるのかというと、確かにそれだけではまだ足りない部分があるわけでございまして、作物を今までと違ったものに転換するとか、あるいはさらに、今までの借金の関係等々で融資が必要だとか、そういうものについては補償以外の支援として農水省、検討をして、何とかその点をやっていかなければいけないというふうに考えております。
  107. 横山信一

    ○横山信一君 質問はここまでにいたします。時間は余っておりますけれども、こういう時期ですので、ここまでで終わらせていただきますが。  農業、そして漁業を基幹産業とする東北の三県が中心となったこの地域が大きな被災を受けたということでありまして、そういう意味では、農水省が本当に力を発揮していただかなければいけない、そういう震災対策であります。  そういう意味で、私たちも全力で頑張りますので、どうか復興のために力を尽くしていただけますようにお願いを申し上げます。
  108. 柴田巧

    ○柴田巧君 みんなの党の柴田巧です。  私の方からも、先ほどから各先生方、質問されておりますが、さきの東北地方太平洋沖の地震への対応、また、今後の取組等々を中心にお聞きをしたいと思っております。  改めて言うまでもなく、本当に大きな地震津波、火災、そして原発ということで、我々が経験したことのない未曽有の大惨事になりました。恐らく人類史上こういう例はないのではないかと感じているわけでありますが、一日も早く被災をされた方々の救助、救援をしていかなきゃなりません。また、復旧復興に努めていかなきゃならぬと思っておりますし、何よりも亡くなられた方々に哀悼の意を表し、被災された方々にお見舞いを申し上げたいと思っております。  こういう中で、先日、私も我が党の調査団の一員として現場を見させていただきました。相馬市、南相馬市などを中心にお邪魔をしてきたわけですが、もちろん、これまでもテレビ等々で映像は見てまいりました。また、新聞などでその被害状況は見た、知っているつもりではありましたが、やはり現場に行きますと、もう船がいまだ道路にあったり、家の庭先にあったり、農地にあったりという具合に、ほとんど手付かずの状況のところが数限りなくあるわけでありまして、そういう光景を目の当たりにしますと、本当に声が出ないというか、そういう状況になってしまいます。  また、現地の皆さんの悲痛な思いや切実な願いやニーズや、そういったことをお聞きをすると、本当にうなずくだけでありまして、言葉、声にならないということでございますが、先ほどからもお話ありますように、とにかく一日も早く困っておられる皆さんを助けるべく我々も頑張ってまいりたいと思っている次第であります。  そういう観点に立って、先ほども申し上げましたように、今後の取組やら今までやってきたことの点検などなど、お尋ねを幾つかしていきたいと思います。  そのうち、まず大変大事なことは、先ほど大臣もおっしゃいましたが、とにかく農水省としては水、食料の被災をされた方々への供給に全力投球するんだというお話がございました。全くそのとおりだと思っております。私も、先般、被災された方々の避難されているところを何か所か見てまいりましたが、御案内のとおりまだまだ長期化するのは間違いありません。加えて、集落ごと他県に疎開というか、集団で避難をされている方々もあって、避難所が分散化する傾向もあるのも間違いないと思っておりまして、いまだ二十数万人そういう状態ですから、一日にすると約百万食ということになるのかもしれませんが、この食料供給を今後どのように安定的にやっていくのかというのは大変大きいことだと思います。  また、そういう中で、今回こういう複合災害ですから大変であったことは言うまでもありませんが、御案内のとおり被災地への食料輸送が遅れたという指摘がございました。この点については、やはり各省庁等も関係がする、連携もしていかなきゃならぬわけですけれども、この災害時の食料確保あるいは輸送の在り方というのをこの際見直す必要があるんではないかと思いますが、前段で申し上げたこれからの避難所への安定的な食料供給と併せてどのように考えておられるのか、お尋ねをします。
  109. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今委員から御指摘の点を踏まえて、今日まで全力を挙げて取り組んできたところでございます。まず、想像を絶する被災地の皆様方にいかにして食料と水をまず供給させていただくかと、こういうようなことで我が農林水産省の中におきましてもチームをつくりまして毎日取り組んできたわけでございます。  そういう中で、食品メーカーに対しまして支援物資の増産をお願いしたり、あるいはまた支援の物資を送るための輸送手段の確保というふうなところにも努めてきたところでございますけれども、なかなか軽油、ガソリン不足の中でトラックの手配が滞った等々の実情がございました。しかし、そういう中でも、まず一刻も早く届くようにと、食料、水が届くようにと、このようなことから、輸送車両というふうなもの、食料、水を運ぶ輸送車両については、まさしく高速道路の通行というふうなものがなかなか難しい状況にあったわけでありますけれども、これはもう特別な扱いをしてもらうようにと、このようなことの要請もいたしながら、輸送手段の確保に向けては関係省庁との連携の中で、トラックの緊急車両に指定していただいたり、あるいはまた自衛隊の航空機を活用するなど懸命に輸送手段の改善を進めてきたところでございます。  また、水産庁の水産取締り船も、あるいは調査船五隻も活用いたしたところでございます。これからも活用していきたいと思っております。また、調査捕鯨に出航しておりました日新丸も、俺たちも少しでも被災地のために頑張りたいと、このような考え方に立っていただいておりますので、二十五日過ぎになると思いますけれども、日新丸にも活躍、活動をしてもらいたいと、こんなようなことでできるだけ輸送手段を確保したいと考えておるところでございます。そしてまた、二十三日、昨日でございますけれども、以降は米軍機を活用して輸送も実施していくという、米軍のそういう協力もいただくというようなことでございます。  このような状況の中で、今委員から御指摘のとおりに被災地が分散をしていると、こういうような状況の中で、我々といたしましては、いかに被災地の現状をつぶさに把握をすることが大事なのかと、こういうふうなことで、こちらから現地の方に参っております職員もおりますし、また地方農政局の職員もおりますし、できるだけ現場に足を運びながら、実態というものを把握しながら、全ての避難地に対して食料と水が行き渡るようにというようなことも踏まえながら、今政府を挙げて最大限の努力をいたしているところでございます。これからも懸命になって食料と水の供給というふうなものに取り組んでいきたいと思っております。
  110. 柴田巧

    ○柴田巧君 是非そういう方向でお願いをしたいと思います。  それで、既に報道にもありますが、現地に行ってみると行き届いていない現状もやっぱりまだ若干あるわけですね。いろんな理由がそれはあって、例えば南相馬だと、いわゆる原発から二十キロ—三十キロ圏内ということで、屋内退避のところでなかなか輸送業者の方が届けてくれないと。郡山の方までは行くけど、そこまでなら行くけれどもということで、市の職員の人が油のない中で取りに行くというようなところもあるわけで、確保して送り出すまでではなくて、今も大臣おっしゃったように本当に行き渡っているのか、必要なものが、そういったことをしっかりチェックをしていただく、責任を持ってやっていただくということが大事だと思っておりますので、この点は強く要望しておきたいと思います。  また、ちょっと通告はしていなかったんですが、今、こういう災害時等々に対応するために農水省で防災業務計画とかあるいは不測時の食料安全保障マニュアルというのがあるんですが、やはりこれほどの大きな災害になると、これまでのいろんな防災業務計画などではカバーできないことが幾つも起きていると思います。例えば、今回にしても、どう燃料を確保するかということが一番大きい問題になりました。残念ながら、このマニュアルにはそこまで想定はしてありませんでした。  こういったことを含め、この際、こういう防災業務計画というかマニュアルというものを一度見直す必要が大幅にあるんじゃないかと思います。この点は、大臣、いかがでしょうか。
  111. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今回のこの大震災を踏まえて、今後の取組については検討いたしてまいりたいと思っております。
  112. 柴田巧

    ○柴田巧君 ありがとうございました。  今回の地震においては東北地方を中心にいろんな農業関係の施設に被害が出ておりまして、御存じのとおり、それがいろんな今生産現場に響いているわけであります。そのうち心配をしておりますものは、飼料の製造工場もかなりやられておりまして、若干復旧しつつあるところもあるのですけれども、昨日、おとといの時点で十一工場まだ動かない、操業が停止しているというふうに聞いております。  このため、養鶏農家などでは飼育数の削減に追い込まれるなど現場にいろんな影響が出ているわけで、最大手の全農さんなど始め、そういうふうに操業をストップして、これ、いろんなところから回すなり努力はされているものと思いますが、農水省としてもこれは無関心ではいられないと考えるわけですが、どのように対応されていくのか、お尋ねをしたいと思います。
  113. 筒井信隆

    ○副大臣(筒井信隆君) 飼料はこの災害直後からもう不足しているということで、いろんなところからの要請が参りました。その際にやっぱり一番の問題だったのは、先ほどから出ております輸送手段、エネルギーの問題、それと、今は解除されましたが緊急車両でないと高速道路を通れない、それらの問題がありまして、これは今大臣が言われましたように、いろんな努力をして、その輸送手段を農水省としても一生懸命確保してきたところでございます。飼料に関しても、緊急車両として指定してもらいましたが、これは大臣が自ら警察庁に要請をして、そしてそれを行ったものでございます。  東北の方で現在、大分飼料はこちらの方としても送り出しておりますが、通常時の五割近く、四七%ぐらいまでは今飼料の供給が回復をしているところでございます。そのためにも備蓄の飼料を約十五万トンほど出しました、農水省としても。それらによって、もう一度繰り返しになりますが、平常時の四七%ぐらいまで供給が回復している。これを更にもっと今後強めていきたいというふうに考えております。
  114. 柴田巧

    ○柴田巧君 是非しっかり対応していただきたいと思います。  それから、先ほどからも質問ございますように、大変深刻なのは、そういう農林水産あるいはまた畜産物に対する放射能の問題であります。既に野菜類は御存じのとおりの状況でありますし、魚介類についてもこれから調査が始まるんだろうと思っておりますが、あわせて、今も畜産の関係の話をしましたが、牧草であるとかあるいは飼料であるとか、そういう牛などの餌を含め、そういった分野についても放射性物質による状況はどうなのかということも調査をしてみる必要があるのではないかと考えますが、そこら辺はどういうふうに、あれでしょうか。
  115. 筒井信隆

    ○副大臣(筒井信隆君) 放射能が付着している牧草を畜産で使わない、これを徹底するために二つの指導をしております。当面放牧は行わないで畜舎内で飼うこと、そして、餌は事故前に刈り取った牧草、これを屋内に適切に管理していたものに限って食べさせること、この二つの指導を現在しているところでございます。  そして、牧草に関する放射能の検査はまだやっておりません、今食べ物の方を優先しておりまして。もうじきその牧草の方の検査にも入りたいというふうに考えているところです。
  116. 柴田巧

    ○柴田巧君 ありがとうございます。  まず、いろんな調査をしてしっかり公表をすると、安全性が確認されればそれを適切、的確、正しく伝えていくということが大事なんだろうと思われますが。  そういう中で、先ほどからもございますように、大変なこれは農林、この分野に関して大きな被害が出るのは間違いないわけで、その補償の問題も先ほどから出ておるわけであります。  先ほどは文部科学省の方からもいろんな、現状なり今後の見通しのお話もありました。また、副大臣からも先ほど御答弁があったところでありますが、生産者がミスをしたのなら別として、今回の場合は何でというのが生産者の皆さんの偽らざる気持ちだろうと思いますが、やむを得ず出荷生産の停止を迫られた農家に対する補償をやっぱり迅速に進めていかなきゃならぬと思いますし、幅広くいろんな対応ができるようにしていくことがやっぱり大事なのではないかと思いますが、そこら辺、大臣はどのようにお考えになっておられるか、お聞きをしたいと思います。
  117. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) まさに農業者の今日の状況出荷制限をなさざるを得ないという状況にある農業者のお気持ちというものを鑑みたときに、本当にじくじたる思いもあるわけでございますけれども、しかし、そういう現実の中におきまして、現状の中で、食の安全というものの確認もやっぱりしていかなきゃならないというようなことを考えたときに、この出荷制限というふうなものの実効性というふうなものをしっかりと担保をし、また消費者の食の安全というふうなものを確保するというようなことからも、適切なる補償というふうなものがどうしても必要になってくるわけであります。  そういう意味で、今の時点では、まさしく原子力損害賠償に関する法律に基づきまして、一義的には事故原因者の東京電力責任となるわけでございますけれども、政府としても適切な補償が行われるよう万全を期していかなければならないと、このように考えておるところでございます。
  118. 柴田巧

    ○柴田巧君 是非最大限の努力をしていっていただきたいと、万全の策を講じていただきたいと思います。  さて、加えて、内外共にやっぱり風評被害というのが大変広がっておるわけで、先ほどからも質問があるとおりであります。繰り返しになる部分もあろうかと思いますが、現地の皆さんから言わせると、これが何よりも一番怖いんだ、福島の皆さんから言わせると、今見えない敵と戦っている、放射能とうわさ、風評というものとこれから戦わざるを得ないということをおっしゃっておられましたが、最終的には、この風評被害、もう福島県、あるいは広く外国から見れば東北あるいは日本全体がある意味で汚染をされているというふうに見られる向きがあるわけでありますが、そういったものをしっかり正しい情報を発信をして払拭をしていくということが大事だと思います。  内にあっては、先ほどもありますように、消費者や流通業者などにやっぱり的確、正しい情報提供を何回も何回もやっていく、そして丁寧な説明を繰り返しやっていくということが大事だと思いますし、海外に発信するのが正直遅れたと思います。内のことにちょっと、かなりエネルギーを割いておりましたので、海外に対して正しい情報発信するのは極めて、これは農産物だけではありません、日本の、今陸揚げもされてないというような港も海外ではあるようですが、そういったことを含めて正しい情報を、日本の輸出している農産物は安心なんだと、こういったことなども含めて正しい情報の提供を、発信を内外共にやっていくべきだと思いますが、重なる部分もあると思いますが、お願いします。
  119. 筒井信隆

    ○副大臣(筒井信隆君) おっしゃるとおりで、例えば米国が差止めをしたり、中国等々、東南アジアが検査強化をやったり、多くは検査強化をやっているようでございますが、それに対してやっぱり海外における風評被害を防ぐためには情報を正確に正しく繰り返し伝えなければならない。  今、在外公館とかそれから大使館にそのことを、各国に対してそういう情報発信をしているところです。現在放射能に関する食品の検査をどういうふうにやっているか、その結果どうなったか、それを今後どういうふうな形で安全を担保していくか、今、日本政府がとっている措置を繰り返し発信をし始めたところでございまして、それをこれからも更に強化をしてやっていきたいというふうに思っております。
  120. 柴田巧

    ○柴田巧君 是非その面もお願いをしたいと思います。  さて、これからいろんな復旧復興にも向かっていくということになるわけですけれども、そのうち、今回の津波はとにかく想定外の津波で、ああいう津波が起きるということ自体想定をしてなかったわけでありますが、軽々と防潮堤、防波堤をあの津波が乗り越えていくシーン、生々と我々もテレビ等で見たわけですけれども、この際に、やはりこれ復旧をしていくという段になっていくと、これまでのいろんな、その防波堤、防潮堤の強度や高さやそういったものを含めて、津波対策の大幅な見直しが私はこの際必要なんではないかと思いますが、今回のこの地震を機に、災害を機に、そういったところの大幅な見直し、どういうふうに考えておられるか、お尋ねをしたいと思います。
  121. 田名部匡代

    大臣政務官田名部匡代君) 防波堤について、防波堤の設計でありますけれども、多くは風によって起こる波を想定して設計がされていて、また海岸保全施設に関しては、過去の最大の津波、また今後起こり得る最大の津波というものを想定して設計がなされているわけであります。  これもまた、今回のその被害状況というものをしっかりと把握する中で、どういう要因があったのか、そういうことも実態をしっかり踏まえて今後安全対策というものを取っていかなければならないと思いますし、そういう施設のみならず、やはり町づくりそのものを考えていくべきなのではないかと思っています。  多くは漁業者の皆さんは海岸沿いに住んで漁業を営んできたわけですけれども、安全を考えれば高台に住んでいただくというようなことも含めて、その町そのものをどう安全な町として復旧復興していくかということを併せて取り組んでいきたいと考えています。
  122. 柴田巧

    ○柴田巧君 是非抜本的な対策をこれからいろいろと考えて講じていただきたいし、また我々もいろんなことを御提案申し上げていきたいと思います。  最後になろうかと思いますが、大臣に先ほどからもいろんな方からも御質問がありました。とにもかくにも、日本を代表する食料基地が壊滅的な打撃を受けたわけであります。大臣は所信の中でも、農は食をつくり、食は人をつくり、人は国をつくる、まさに農は国の力だとおっしゃったわけで、述べられたわけでありますが、その力がまさに今回大きくこうやって崩れかけようとしているわけであります。  したがって、これが、これからこの地域を離れる方もあるかもしれません、また、今まで就いていた仕事をお辞めになる方もあるのかもしれませんが、ここに残って頑張っていこうという人たちが少しでもたくさん出てこれるように、これからの再建に向けてやはり頑張って我々もいかなきゃならぬと思っているところです。  そして、でき得るならば、この日本の農林水産業の先進地域となるような、モデルとなるような、そういうところをつくっていくということもひとつ頭に入れながら、また地方公共団体や被災者の皆さんのお声もしっかり聞きながら復興に当たっていかなきゃならぬと思いますが、そのためには税制面や金融面への農林水産業者の被災された皆さんの支援やら、あるいは先ほどから言っている施設の復旧やらあろうかと思いますし、何よりも農林水産業を基幹産業としているこの地域の全面的な復興に向けて、改めてになる部分もあると思いますが、大臣の力強い決意をお聞きをして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  123. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) まさしくこの国をつくる力が今回の大震災でそがれてしまいました。この力をどうやって回復させるか、これが農林水産省にとってのまさしく喫緊の課題だと思っております。  そういう意味で、先ほども申し上げましたけれども、今後の復旧復興に際しましては、まず緊急的に急がなきゃならない、それには、やはり動きをしていくためにはどうしても生産資材の確保なり、あるいは土砂、瓦れきなどの処理などというふうなものがこれは急がれるわけでありますから、そして同時に、今申されたとおりに、農林水産関係の、漁業関係も含めた施設の復旧など、きちっとどうあるべきかというふうなことを考える場合は、この新しい食料基地としての構想というものを描きながら、そういう中で一つ一つ具体的にその中に盛り込んでいくというような考え方に立って、大きな視点に立って今後の大事な大事なこの地域における復興というふうなところに対して私どもは取り組んでいきたいと、こんなふうに思っておるところでございます。
  124. 柴田巧

    ○柴田巧君 ありがとうございました。
  125. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  最初に、東日本震災の被害に遭われた皆さんに心からお見舞いを申し上げたいと思います。そして、やはりこういう事態を目の前にして、本当に国民の皆さんと一緒になって我々全力を挙げて何としても乗り越えるということで努力をしなければなりませんし、本当に私もこの地震の翌日から福島、いわきの小名浜のところから始めて仙台まで、翌日なのでどこまで行き着けるか、ガソリンが切れたらそこで終わりということでありまして、そういうことも言いながら現地に行きまして、本当にその惨状に胸がふさがれる思いがしました。  大変な事態になって、まだ人を探しているという状況の中でしたけれども、しかし同時に、その中で本当に必死になって生き抜こうとする、人と人とのつながりですね、ここを本当に復活させていくという、そういう努力も同時に見て、復興に向けた本当に強い意思というものも同時に感じて、例えば気仙沼も大変な被害だったわけですけれども、気仙沼の市場を復活させるために頑張ろうということで集まりがあったり、あるいは石巻の市場の社長さんが、水産業の再建、石巻の再建を一からやっていくんだということを決意を語られている姿を目にするときに、本当に熱いものが胸によぎりますし、そういうところに依拠して、本当に我々政治の果たす役割を発揮して乗り越えていかなきゃいけないということを改めて思いました。  それで、そこに立ってなんですけれども、最初にちょっと通告していたのと順番変えまして、TPPの問題からお聞きしたいと思います。  今回のこの未曽有災害で、三月十四日、民主党の食と農林漁業再生・強化プロジェクトのチームですね、TPP交渉への参加の検討を棚上げをし、地震による被災復旧全力を傾けるように政府に要請することを決めたと。そして十六日には、政府が開催することになっていた四か所での開国フォーラム、この開催を中止することを決めたわけです。これによって、政府による国民に対するTPPの情報提供ができないことになったと。それから、農業改革の基本方針に関する今月末の中間整理を先送りすることにしたわけですよね。  今、TPPで本当に深刻な打撃を受けるといった場合に、その想定される地域人たちというのはやっぱり東北地方ですよ。未曽有災害で二万人以上の死者、行方不明者の被害があり、町も根こそぎなくなっており、そして農業、水産業も壊滅的な被害を受けているときにTPPの参加の検討は許されないと。そして、直ちにTPP検討の作業を無期限中止すべきだというふうに思うわけですけれども、まず大臣、いかがでしょうか。
  126. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) TPPに関しましては、六月をめどに交渉参加をするかどうかというふうな判断をしたいと、このように菅総理大臣が言われておるところでございますが、政府全体としてどうするかというふうなことは、これから判断されていくことだと思っております。  しかし、そういう中で、私ども農林水産省といたしましては、今やることは二つであります。緊急にやはり取り組んでいかなきゃならないことは、まさしく申し上げましたとおりに、被災地の方々、避難されている方々に対して食料と水の安定供給をしっかりとやっていくこと。そしてもう一つは、この被災に遭われた方々地域をいかにして復旧復興していくかと、この二つに全力を挙げて取り組んでいく、これが最優先の課題だと、こんなふうに考えているところでございます。
  127. 紙智子

    ○紙智子君 日本農業新聞も、三月十六日の論説でこういうふうに言っているわけです。菅政権は、地方に一方的な犠牲を強いかねない貿易自由化を進める開国論議の前に、目の前の惨状に立ち向かう救国こそを最優先すべきであると。それからまた、三月二十三日の論説でも、政府地域社会の苦境に追い打ちを掛けるようなTPPへの参加問題はそのまま封印し、食料・エネルギー安全保障の確立など、有事にも強い日本の再構築に向けて総力を挙げるべきだというふうに書いているわけですね。全くそのとおりだというふうに思うんです。  この点についても、一言、大臣、いかがでしょうか。
  128. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 農業新聞の論調、論説というふうなものを私も見せていただきました。  重ねて申し上げますけれども、今、農林水産省として果たしていかなきゃならない役割、使命というものは、被災地の方々に対してしっかりと食料と水、そして大切な物資を届けるというようなことに全面的に努力をしていくこと。そして、この被災地の方々、協力し合いながら、どうやって被災地を復旧復興させていくか、このことにまた全力を挙げていく、このことだということを再度申させていただきたいと思います。
  129. 紙智子

    ○紙智子君 今回の地震津波、そして原発事故、これでもって農林水産分野での被害の大きさも、もう未曽有被害を受けていると今まで議論があるわけですけれども。それで、この水産あるいは農作物、施設の被害、林野、それぞれの被害状況というのはまだ全部が全部把握し切れているわけじゃありませんけれども、やっぱり急がれるところから次々と手を打っていかなければならないということだと思います。  それで、最初に原発事故にかかわってなんですけれども、原子力災害特別措置法というのがありますよね。この第二十六条の措置に、風評被害防止のために自粛地域について汚染状況を調べて広報で知らせることなどもできる中身だというふうに理解をしているんですけれども、まずこれについて、どのように基づいて行われているかということで経済産業省からお聞きしたいと思います。
  130. 中村幸一郎

    政府参考人中村幸一郎君) お答えを申し上げます。  まず、原子力安全の規制を担当する立場の者といたしまして、今般の原子力災害によりまして、周辺住民方々、それから農業関係者の皆様を始めといたしまして、国民の皆様に御心配と御迷惑をお掛けしている点を深くおわび申し上げます。  委員指摘のとおり、正確なデータ公表に基づきまして風評被害の防止というのは非常に重要な課題だというふうに認識をしております。経済産業省としても、記者会見あるいは公表資料等を通じまして、この法律に基づきます指示内容、あるいは放射線モニタリングデータの正確な提供ということによりまして、風評被害の防止に取り組んでいるところでございます。  今後とも、厚生労働省を始めといたします関係省庁連携をいたしまして、風評被害の防止に全力で取り組んでまいります。
  131. 紙智子

    ○紙智子君 このモニタリングの箇所などについてや、どのようなデータの発表の仕方とか、その辺のところをもう少しお話しください。
  132. 中村幸一郎

    政府参考人中村幸一郎君) 経済産業省の方では、電気事業者の方で行っております発電所の敷地周辺につきましてモニタリングをする箇所がございます。これにつきましては、現在、ポスト自身は計器類等について必ずしも信頼が持てるものではございませんので、モニタリングカーという移動式の車によりまして、定期的に場所を決めて放射線量率を測ってございます。そして、測られた、定期的にと申しますと大体三十分程度だと思いますけれども、三十分ごとにその地点での放射線量を測った上で集計をいたしまして、私どもの方ではおおよそ、一日に数回でございますけれども、その際にそれまでのデータというものを時系列に整理をいたしまして、記者会見のとき、それから資料配付をするときにそれを掲載をして公表しているというところでございます。
  133. 紙智子

    ○紙智子君 このモニタリングの箇所についてはもっとたくさんやる必要があるんじゃないかと、そして詳細なデータを示すべきじゃないかと思いますけれども、いかがですか。
  134. 中村幸一郎

    政府参考人中村幸一郎君) 御指摘のとおりだと思います。  今現在、発電所周辺につきましては、放射線量が高いものですから、作業される方々の安全も確保しながら、事業者の方でモニタリングカーを使いながらその観測をしているところでございます。また、これは事業者の方ではございませんけれども、福島県の方では、幾つかの地点を選定をされまして、定期的に同じような形での放射線量率というものを測定をされております。そういったものについても、私どもの記者会見のとき、資料配付のときにも併せて説明をさせていただいたり、資料を配付させていただいております。引き続きそういった形の取組を進めていきたいと思います。
  135. 紙智子

    ○紙智子君 水産物についてもモニタリングをしてデータを示すということが大事だと思います。これは厚生労働省でしょうか。それから、海水も必要だと思うんですけれども、これは水産庁だと思うんです。それから、土壌については文部科学省だと思うんですけれども、それぞれどのようにされているのか説明をお願いします。
  136. 梅田勝

    政府参考人(梅田勝君) 現在、地方自治体において食品中の放射性物質検査が行われております。  福島第一原子力発電所付近の海水に含まれる放射性物質の濃度が上昇しているとの情報もあることから、三月二十二日に、特に千葉県及び茨城県に対しまして、沿岸の水産物についての検査について強化するよう依頼を行ったところでございます。  千葉県におきましては、千葉県沿岸で採取された水産物一件について、本日、規制値以下であることが確認されたことが発表されております。今後も検査を強化して継続する予定と聞いております。
  137. 加藤善一

    政府参考人加藤善一君) 文部科学省でございます。  文部科学省におきましては、土壌に関しましては、原発から二十キロより離れましたところの空間線量率、それから土壌のサンプリング、それから空間中の浮遊物等につきまして放射線量を測りまして、それから放射性核種も測りまして適宜ホームページ等で公開し、国民の皆様方に情報を提供しているところでございます。
  138. 紙智子

    ○紙智子君 水産庁、来てなかったですかね。
  139. 主濱了

    委員長(主濱了君) 水産庁の方は。
  140. 筒井信隆

    ○副大臣(筒井信隆君) 魚に関して、魚についてですね。
  141. 紙智子

    ○紙智子君 そうです。海水ですね。水産庁は海水を調べているんです。
  142. 筒井信隆

    ○副大臣(筒井信隆君) 海水について……
  143. 紙智子

    ○紙智子君 水産物は厚生労働省です。
  144. 筒井信隆

    ○副大臣(筒井信隆君) はい。海水は文科ですから、そっちの方に答えてもらいます。
  145. 紙智子

    ○紙智子君 ああ、そうですか。
  146. 主濱了

    委員長(主濱了君) じゃ、ちょっと整理します。よろしいですか。  それじゃ、加藤審議官。
  147. 加藤善一

    政府参考人加藤善一君) 文部科学省でございます。  文部科学省におきましては、海水、特に原子力発電所から三十キロ沖合のところの海水を、文部科学省の所管します法人の船を出しまして、三十キロの地点から南北に何点か海水を採取しまして、海水中の放射性核種の分析をいたしまして、これも、多分昨日だったと思いますけれども、公表したところでございます。
  148. 紙智子

    ○紙智子君 文科省で土壌の二十キロ外のということで、実際に出ている中で、四十キロ圏内の飯舘村の土壌が高濃度のセシウムが検出されて、通常の六倍とか、沃素については四倍。四十五キロ圏内の川俣町も高い比率ですし、あと南相馬市も高い濃度で出ていたと思うんです。風向きによってはもっと、五十キロとか八十キロとか、こういうのもあるやに聞いているんですけれども、もっと広い範囲でこれもモニタリングをして詳細に示す必要があると思いますけれども、いかがですか。
  149. 加藤善一

    政府参考人加藤善一君) 御指摘の点を踏まえまして、検討させていただきたいと思います。
  150. 紙智子

    ○紙智子君 文科省にお聞きしますけれども、基準値を超えたものは流通させないということになるわけですけれども、それと、出荷自粛対策を取っているところも含めて、出荷できないことで収入減となるところについては当然補償すべきなわけですけれども、これについて、これまでもちょっと議論の中で出ていますけれども、改めてどういう考え方でどういうふうに対応しているのかということをお願いします。
  151. 加藤善一

    政府参考人加藤善一君) 御説明申し上げます。  原子力発電所事故に伴います損害賠償の件でございますけれども、今回の発電所の事故によります損害につきましては、暫定基準値を超えた農作物、あるいは出荷制限の指示の対象となった農作物に限りませんで、一般論といたしまして、事故との相当因果関係が認められるものにつきましては原子力損害賠償に関する法律がございますので、それに基づきまして適切な補償が行われることになると考えてございます。  この補償につきましては、原子力損害賠償法によりまして、一義的には原子力事業者でございます東京電力がその損害賠償の責を負うことになりますけれども、私ども政府といたしましても、東京電力がその責任を全うできるように連携、協力いたしまして、被害者方々が適切に補償を受けられるように万全を期してまいりたいというふうに考えてございます。
  152. 紙智子

    ○紙智子君 今後の食料増産という問題で、これは予算委員会でも話題になりましたし、今日も議論になっているんですけれども、やっぱり被災地を復興させるということで、もちろんこれ自身非常に大事なんですけれども、津波を受けた農地あるいは放射能の汚染ということではすぐに使えない状態、特に放射能汚染の場合は一定の時間が掛かるということを見ますと、すぐに作付けに行き着かないということもあるわけで、土の入替えなんという話もありましたけれども、そういうことを復旧させるということと併せて、被災地以外の生産地、ここでやっぱり増産を計画的に進めるということも今からやっぱり検討して打ち出していかないと間に合わないんじゃないかというふうに思いますけれども、この点についてどのように検討されているか、お願いします。
  153. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今回の原発事故によりまして、また今回の大震災によりまして相当食料の、水産も含めてでございますけれども、生産の減少というふうなものがこれは考えなければならないことでありまして、じゃ、それに対してどう対処するかというふうなことも非常に重要なテーマでございます。そういう意味で、これからの需給関係というふうな中でどうやって食料を増産していくかと。それが果たしてなし得ることなのかどうかというふうなことも踏まえながら、国民生活に対する食料の安定供給というふうなものに対してしっかりと取り組んでいかなければならないと思っております。
  154. 紙智子

    ○紙智子君 これからの作付けということでは既にもう手掛けていかなきゃいけないということも現場からも上がっていますので、是非そこをよろしくお願いしたいと思います。  それから、必要な食料を被災地に届けるために必要なガソリン、軽油などの手当てが必要だというので、これがやっぱりなかなか現地に届かないという中で、これも議論があったところですけれども、優先的にやっぱりそれを手だてしてほしいということ出ていますけれども、これについてはどのように手を打たれているでしょうか。
  155. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今回の被災地の皆様方に対して、食料、水あるいはその他の物資を供給するということにおいては燃料が不可欠であります。そういう意味では、今の現状というものを踏まえたときに、被災地の皆様方に対して血液を投入しなきゃならない、その血液こそがまさに燃料だと、こんなふうに私は主張しておるところでございます。  そういう意味で、今日まで農林水産省といたしましても経済産業省に交渉し、またいろんな意味で篠原大臣から経済産業省の池田副大臣に対しましても支援物資の運搬に必要な燃料の優先配分などを要請する、あるいはまた筒井副大臣の方から経産省の政務三役に対してその他の燃料、軽油あるいはまたA重油あるいはまた灯油等々、そういうふうなものに対してどんなことをしても一刻も早く輸送しなければならない、このようなことから、輸送手段の確保と同時に燃料の確保に対して全力を挙げて取り組んできたところでございます。  これからもこの輸送手段の確保と燃料の確保については引き続き農林水産省としても懸命に食料供給、水の供給と一体となって取り組んでいきたいと思っております。
  156. 紙智子

    ○紙智子君 これも先ほども出ていた話ではあるんですけれども、米の供給を増やすために民間にずっと要請して出してもらっているというのはあるんですけれども、国が保有する備蓄米も積極的に使ったらいいじゃないかというのがさっき出ていて、取りあえず民間でもって今やっていて、まだ国の備蓄までは必要ないという話がさっきあったんですけれども、ただ、現場では不足して届いていないわけなので、そういう意味ではやっぱりスピーディーに、届いていないところに届けるということでは、全部民間が出し終わってからじゃなくて、やっぱり国の方も敏速に対応することが必要じゃないかと思うんですけれども、いかがですか。
  157. 筒井信隆

    ○副大臣(筒井信隆君) 特に被災地では当初はおにぎりとかパンとか弁当とか、調理が必要ない食品の要請が強かったわけで、それを中心にやってまいりましたが、ライフラインが復活したというか炊飯が可能な状況になって、精米についての要請も出始めているわけでございまして、それに関して今現在は民間在庫が約二百万トン以上あるという状況でございますので、それらで対処が可能というふうに考えて、そこから今取組をし始めております。  首都圏においても米が店からなくなったということがございましたが、あれに関しても、米の卸大手十社にその供給を要請をした。その場合も、一番の問題は米自体がなかったというよりも運ぶ燃料がなかったという点でございまして、この点は今大臣が答弁されたような努力をすることによって首都圏についてもほぼ供給がそろい始めたという状況だというふうに考えております。  しかし、まさに災害等々の場合のために政府の備蓄米が百万トンを基準としてあるわけでございますから、いつでもこれを放出する、こういう準備はしているところでございます。
  158. 紙智子

    ○紙智子君 あと、畜産・酪農関係でいいますと、今度の災害で、家畜への給水とか搾乳ですね、これは毎日やらないといけないわけです。畜舎や施設などにも自家発電の燃料が必要ですし、飼料やそれから家畜輸送車ですね、これも走らせなきゃいけない。それから集乳車も走らなきゃいけないんですけれども、この燃料についても足らないと。結局、生きているものだから毎日餌を与えなきゃいけないし、毎日やっぱり搾乳しないといけないと。搾乳して放射能汚染のところは捨てなきゃいけないという悲しい実態なわけですけれども、とにかく必要不可欠ということでありまして、ここもやっぱり優先して届けなきゃいけないと思うんですけれども、この辺についてはどうなっているでしょうか。
  159. 田名部匡代

    大臣政務官田名部匡代君) 先生指摘のとおりだと思います。これまで大臣、副大臣の答弁にありましたように、これに関しても優先的に配送してほしいということで経産省の方に要請をいたしておりまして、現在、東北地方への飼料運搬ですけれども、関係省庁の協力もあって燃油の供給状況が改善され、三月二十三日までに約二万三千三百トンが供給をされているという状況であります。  引き続きこういったことをしっかりと、状況を把握をしながら取組を進めてまいりたいと考えています。
  160. 主濱了

    委員長(主濱了君) 時間が来ておりますので、おまとめください。
  161. 紙智子

    ○紙智子君 じゃ、最後、一つだけなんですけれども、計画停電ということなんですね。  それで、命のところが優先されるんですけれども、食品産業とか乳業メーカーとか飼料工場とか、ストップしてしまうと供給することに事欠いてしまうということで、この問題についてもそこを何とか配慮していただきたいという声も出ております。この点について最後に一言お聞きして、終わりたいと思います。
  162. 筒井信隆

    ○副大臣(筒井信隆君) おっしゃるとおり、食べ物はもう絶対に欠かすことができない絶対的必需品ですから、これに関連する業務ができないような停電は困るということで申入れはしてきているところでございますが、これもまあある意味で理解できるんですが、一部だけ、そういう産業だけ除いて計画停電をするわけにいかないというふうな回答でございます。  しかしそこで、計画的な操業ができるように、なるべく早く、前日とか何かではなくてもっと早く、ちゃんと、停電地域や停電の時間をきちんと連絡してほしいという要請はしておりまして、それには徐々にこたえてもらっている、前よりもずっと、停電の箇所、時間、この連絡が早く来るようになっている、こういう状況だろうというふうに思っています。そういう方向で対処をしていきたいなというふうな考えでございます。
  163. 主濱了

    委員長(主濱了君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  164. 主濱了

    委員長(主濱了君) 家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。鹿野農林水産大臣
  165. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  家畜防疫は、畜産の振興及び畜産物の安定供給を図る上で重要な役割を担っておりますが、近年、アジア諸国において口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザが続発している中で、家畜防疫の重要性は著しく高まっています。  こうした中で、昨年四月に宮崎県で発生が確認された口蹄疫は、二十九万頭に及ぶ牛、豚の殺処分を行うなど、地域の経済社会に大きな影響を与えました。  この口蹄疫対策を検証するために設置された第三者から成る口蹄疫対策検証委員会は昨年十一月に報告書を取りまとめましたが、この報告書の内容や昨年十一月以来の高病原性鳥インフルエンザの発生状況等を踏まえて、家畜伝染病の発生の予防、早期の通報、迅速な初動等に重点を置いて家畜防疫体制を強化するため、この法律案を提出することとした次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、国と都道府県等との役割分担について、防疫方針の策定及び改定は国が責任を持って行い、それに基づく具体的措置は都道府県が中心となって行うこと、都道府県の具体的措置の実施に関して国が援助を行うことを明確化することとしております。  第二に、国の定める防疫指針について、最新の科学的知見や国際的動向を踏まえて、少なくとも三年ごとに再検討を加えることとしております。  第三に、我が国へのウイルスの侵入防止措置について、空港や港において、海外からの入国者に対し、質問を行ったり、その携帯品の検査、消毒を行うことができるようにするとともに、航空会社、空港等に対して協力を求めることができることとしております。  第四に、畜産農家におけるウイルス侵入防止措置について、家畜の所有者に対し飼養衛生管理の状況等についての定期的な報告を義務付けるとともに、畜舎等への消毒設備の設置や、人や車両の出入りに際しての消毒を義務付けることとしております。  第五に、発生時に備えた準備について、家畜の所有者が遵守するべき飼養衛生管理基準の中に埋却地の確保についても規定するとともに、都道府県知事は、家畜の焼却又は埋却が的確かつ迅速に実施されるようにするため、埋却地の確保に関する情報の提供その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとしております。  第六に、患畜の早期の発見、通報について、国が定める一定の症状を呈している家畜を発見した獣医師又は所有者に対し、都道府県知事への通報を義務付けることとしております。  第七に、国の財政支援について、口蹄疫、高病原性鳥インフルエンザ等の患畜等の所有者に対しては特別手当金を交付し、通常の手当金と合わせて評価額全額の交付を行うこととするとともに、家畜伝染病の発生又は蔓延を防止するために必要な措置を講じなかった者に対しては手当金の全部又は一部を交付せず、又は返還させることとしております。  第八に、口蹄疫の急速かつ広範囲の蔓延を防止するためにやむを得ないときは、患畜及び疑似患畜以外の家畜の殺処分を行えるものとし、その場合、国は補償しなければならないものとしております。  以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願いを申し上げます。
  166. 主濱了

    委員長(主濱了君) この際、衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員佐々木隆博君から説明を聴取いたします。衆議院議員佐々木隆博君。
  167. 佐々木隆博

    衆議院議員佐々木隆博君) 家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案に対する衆議院の修正について、その趣旨を御説明申し上げます。  第一に、家畜の所有者が行う埋却等が的確かつ迅速に実施されるようにするため、都道府県知事は、補完的に提供する土地の準備を行うよう努めなければならないこととしております。  第二に、実効ある家畜防疫体制を早急に整備するため、法律の施行期日を「公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日」に改めることとしております。ただし、新たに義務を課す規定で罰則を伴うもの及びこれに関連する規定については「公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日」から、これらの規定以外の規定で政省令の制定又は改正を伴わないものについては「公布の日」から、それぞれ施行することとしております。  その他施行期日の修正に伴い、所要の規定の整理を行うこととしております。  以上であります。  何とぞ御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
  168. 主濱了

    委員長(主濱了君) 以上で本案の趣旨説明及び衆議院における修正部分についての説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十一分散会