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2011-07-14 第177回国会 参議院 東日本大震災復興特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十三年七月十四日(木曜日)    午後三時三十分開会     ─────────────    委員異動  七月十一日     辞任         補欠選任      谷岡 郁子君     舟山 康江君      平山  誠君     神本美恵子君      渡辺 孝男君     竹谷とし子君  七月十三日     辞任         補欠選任      横山 信一君     山本 博司君  七月十四日     辞任         補欠選任      神本美恵子君     那谷屋正義君      藤田 幸久君     姫井由美子君      舟山 康江君     谷岡 郁子君      山田 俊男君     宇都 隆史君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         柳田  稔君     理 事                 岡崎トミ子君                 金子 恵美君                 小西 洋之君                 藤原 良信君                 岩城 光英君                 佐藤 信秋君                 森 まさこ君                 長沢 広明君     委 員                 相原久美子君                 岩本  司君                 加賀谷 健君                 郡司  彰君                 今野  東君                 主濱  了君                 谷岡 郁子君                 那谷屋正義君                 姫井由美子君                 平山 幸司君                 増子 輝彦君                 山根 隆治君                 愛知 治郎君                 赤石 清美君                 宇都 隆史君                 上野 通子君                 岡田  広君                 川口 順子君                 熊谷  大君                 佐藤 正久君                 高階恵美子君                 長谷川 岳君                 牧野たかお君                 竹谷とし子君                 山本 博司君                 小熊 慎司君                 松田 公太君                 山下 芳生君                 藤井 孝男君                 吉田 忠智君                 亀井亜紀子君        発議者      佐藤 正久君        発議者      小熊 慎司君    委員以外の議員        発議者      礒崎 陽輔君        発議者      浜田 昌良君        発議者      荒井 広幸君    国務大臣        文部科学大臣   高木 義明君    内閣官房長官        内閣官房長官  福山 哲郎君    副大臣        文部科学大臣  笹木 竜三君        農林水産大臣  篠原  孝君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        和田 隆志君        経済産業大臣政        務官       中山 義活君    事務局側        常任委員会専門        員        五十嵐吉郎君        常任委員会専門        員        古賀 保之君        常任委員会専門        員        櫟原 利明君    参考人        東京電力株式会        社取締役社長   西澤 俊夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成二十三年原子力事故による被害に係る緊急  措置に関する法律案佐藤正久君外九名発議)     ─────────────
  2. 柳田稔

    委員長柳田稔君) ただいまから東日本大震災復興特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、渡辺孝男君、平山誠君及び横山信一君が委員辞任され、その補欠として竹谷とし子君、神本美恵子君及び山本博司君が選任されました。  また、本日、神本美恵子君、藤田幸久君及び山田俊男君が委員辞任され、その補欠として那谷屋正義君、姫井由美子君及び宇都隆史君が選任されました。     ─────────────
  3. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成二十三年原子力事故による被害に係る緊急措置に関する法律案審査のため、本日の委員会東京電力株式会社取締役社長西澤俊夫君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 平成二十三年原子力事故による被害に係る緊急措置に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 小西洋之

    小西洋之君 民主党・新緑風会の小西洋之でございます。  この度、この仮払い法案、先週の金曜日からの野党担当者方々と我々与党担当者方々、非常に本当誠意ある協議を重ねていたところでございますけれども、結果として協議調わず原案のままこの審議を迎えるということを誠に残念に存じます。  私自身、この原子力損害被害を受けている千葉県の選出の議員であり、また、震災の発生直後に民主党の党の対策本部に入りまして、福島県について申し上げれば、孤立した老人ホームをこの関東地方に移送してくる、そうしたある意味超法規的な非常に難しい仕事を私は担当者として担当いたしました。そうした経験、そして今、先月のこの震災特成立しました復興基本法、それを基につくっていきます復興の柱となる復興の特措法、復興の特区をつくる、そうした制度設計担当も私は党で務めているところでございます。そうした発災以来、復興業務に必死に取り組んでいた一議員として、この度の結論、誠に遺憾であると、そのように強く申し上げさせていただきます。  しかし、この度の修正協議、まあ残念な結果になりましたけれども、我が党のその修正協議に当たっての姿勢、それは当初から極めて一貫して明快でございました。東電は足りないところは多々ある、それは我々も認めますけれども、仮払い業務を行ってきていたところでございます。この法律成立して、また別に国が仮払い業務を行うことになる、東電が既に行っていたものを国が行うことになる、そうした非常に難しい制度をつくるに当たって、東電従前からやっているその仮払いスピードを決して落とすことがない、そしてこの法律ができて国と東電が一定の連携関係に立つのであれば、その連携がしっかりと発揮されて被害者救済のためにその仮払い業務が加速的に行われていく、東電スピードを落とさずまた被害者救済を加速させる、そのために我々はこの法案修正すると、そうした一貫した姿勢で取り組んでいたところでございます。(発言する者あり)  しかし、この原案、私はメモは一つも見ておりません、自分の言葉でしゃべっております。この原案皆様のお手元にあるこの原案は、残念ながら今私が申し上げた我々のその修正に当たっての姿勢、その姿勢に大きく反するものでございます。この法律がこのまま成立すれば、東電が行っているその支払スピードを減速をさせ、国と東電連携を図ることは到底難しい、そうした内容になっているところでございます。こうした形のままでこれを審議し、また場合によっては採決まで至る、そうしたことはこの委員会にとって非常に残念である、その存在意義すら疑われてしまうようなそうしたことであると、そのことを初めに強く申し上げさせていただきます。  他方、私は実は担当者の一人として、この修正協議が破談になってしまったこと、これは誠に遺憾ではございますけれども、ただその一方でもう一つ複雑な気持ちを抱いているところでございます。それは、この法律のそもそもの存在意義に関することでございます。その存在意義についてまず提案者の方に伺わせていただきます。  この法律成立したならば、国が東電が行う仮払い立替払をしていくという制度でございます。立替払をする、すなわち本来東電支払うべき被害者に対する債務でございますので、東電財務諸表上はその債務がどんどん積み上がっていくということになります。しかし、他方で、東電が今被害者の方になかなか十分な仮払いをできないその非常に大きな原因東電資金繰りの問題でございます。なので、我々政権与党はその資金繰りの問題を解決するために今衆議院に支援機構法案を提出させていただいているところでございます。すなわち、この法律存在意義というものは、この仮払い法案とその支援機構法案関係、それをまずしっかりと我々のこの参議院の震災特認識すること、それが必要であるということでございます。  これについて私は、先日十一日、内閣府の政務官質問をさせていただきました。東電は、この七月末、そして八月の頭にかけて四半期の決算をまとめ、そしてそれを監査人にレビューを付されることになっております。もしこの仮払い法案がこのままの形で成立し、それは非常に大きな問題を生じることになると思いますけれども、成立したときに、東電のその財務諸表健全性に対する市場評価、それが非常に厳しいものになることが予想されます。その結果、東電資金繰りの担保、すなわち支援機構法案成立なく仮払い法案だけ成立した場合、東電の信用問題が著しく損なわれて、場合によっては信用不安に至り、結果として、信用不安になった企業被害者に対して今まで行っていた仮払いを続けることもできず、そして将来的にも新しい仮払いをすることはできなくなります。  そこで、提案者の方に質問でございますけれども、私は、この仮払い法案というのは支援機構法案の次に来るもの、支援機構法案をしっかり成立させて、東電資金繰り前提をつくって、その次にこの仮払い法案をしっかりと、それは同じタイミングでも構わないんですけれども、つくっていく、支援機構法案が仮払い法案前提であると、そのように考えていますけれども、提案者の御見解はいかがでしょうか。
  7. 浜田昌良

    委員以外の議員浜田昌良君) 小西委員にお答えしたいと思います。  私も、今回の修正協議で、先週金曜日から合計十回、昨日は一日で四回行いました。今日の朝も行いました。そういう意味では、真摯に協議をしていただいたことに対して感謝申し上げたいと思っておりますし、また、我々自身が至らなかった点につきまして御指摘いただいた点、これは決して無駄じゃないと思っております。それについては、条文修正という形での協議は調いませんでしたけれども、いただいた御意見自身は十分反映した運営ということを考えておりますので、そういう意味では皆様からいただいたものは決して無駄にしないという決意でございます。その点で改めて御礼申し上げたいと思っております。  また、この東電スピードが遅くなる法案ということでは私は全く、そこだけの認識が少し違うと言っておきたい。つまり、我々は、国が仮払いをする、しかしダブっているじゃないかという話がありましたので、そういう意味では東京電力さんが素早く仮払いできる、また高い比率でできるというものは東電さんに任せようと。それができないものがあるのであれば国がやるという分担にすれば、前回問題になりましたような、二つに求められるということはないように、役割分担にも御意見いただきましたので、そういう考えですから、決してこれは東京電力の仮払いスピードを遅めるものじゃないということは訂正させていただきたいと思っています。  その上で、御意見でございますが、今回の法案を審議するに当たり、いわゆる支援機構法案成立前提条件じゃないかという御質問でございますが、結論を申し上げますと、前提条件じゃないと考えております。  理由でございますけれども、確かに我々の法案というのは、仮払いをし、求償します。求償する上で、東京電力が払う、支払能力が要ります。そういう意味では、東京電力支払能力は重要だと思っています。しかし、その支払能力を担保する方法として、いわゆる支援機構法という案だけではないと思っています。それは、お金があればいいわけですから、つまり、どんどん膨らむかもしれない損害賠償に対して対応すればいい。  一つの例でありますけれども、必ずしもこれを私は推すというわけじゃありませんが、一部の議員においては企業再生支援機構を使うという案もあるようでございます。これは、この支援機構自身は、実は増子先生がお知恵いただいて、実は昔、自公、又は民の中で本当に苦労してつくった機構でございまして、ここには既に政府保証が三兆円ございます。既にもうお金があるんです。じゃ、これはJALで対応しましたが、JALのような法的整理だけじゃございません、幅は、私的整理もできます。そういう意味では、じゃ、あれを使うと、東京電力さんは、いや、あれを使うと東京電力のように、外国から燃料等資金調達、止まってしまいますからできませんという話をされますが、この支援機構の常務さんにお話を聞きましたが、そんなことはありませんと、JALでも同じようなことは指摘されました、しかしJALは現状、ジェット燃料については資金調達していますけれども全く止まっておりませんという声もいただいております。  そういう意味では、支援機構だけが全て前提条件というのは考えが違うのかなと思っておりますし、あわせて、この仮払い法案ができるとどんどん賠償責任が増えるからおかしくなってしまうという問題でなく、そもそも東京電力自身が仮払い法案があろうとなかろうとも賠償責任があるわけですから、そもそもそれは債務が膨らむのは当然でありまして、この法案が、仮払い法案ができるから債務が膨らむというのは誤解だと思っております。
  8. 小西洋之

    小西洋之君 その支援機構法案と仮払い法案関係でございますけれども、私が今申し上げましたのは時期の問題でございます。申し上げましたように、この七月末から八月頭にかけて東京電力財務状態市場評価にさらされると、そうした時期を迎えることになっております。その時期が問題だということでございます。この時期に遅れることなくしっかりと東京電力資金繰り仕組みをつくる。今別の政策の御提案がありましたけれども、少なくとも私が承知している限り、そうした御提案を具体的に公党が責任を持ってなされていることは承知しておりませんし、また現にその資金繰りを担保する法案は、我が党が出している支援機構法案のみが今、国会で審議されている状況でございます。そうした現実をしっかりと踏まえていただいて、この仮払い法案の今後の扱いについて、支援機構法案との関係をしっかりと守っていただく、そのことを強くお願い申し上げます。  次に移らせていただきます。  この修正協議論点でございますけれども、今、浜田先生の方から御答弁いただきましたように、その分担問題でございます。従前東電がやっている仮払金支払とこの法律によって国が新たに行うことになるその仮払金支払をしっかりと役割分担をさせる。実は今、浜田議員、そうしたことは当然だというふうにおっしゃいましたけれども、この条文、皆さんのお手元にある条文にはそうした役割分担が一行も書かれておりません。そして、我々が御提案申し上げた修正文法案修正してその役割分担をしっかりと位置付けよう、そのことが残念ながら成案に至らなかったということでございます。  では、じゃ、その役割分担ができなかった場合どういうことが問題になるか、少し一つの例で端的に申し上げますけれども、この法案がこのままの形で成立すれば、東電と国はそれぞれ被害者に対して仮払金支払うという法的責務を負うことになります。つまり、分かりやすく申し上げますと、今福島の避難所にいる避難民の方あるいは風評被害などで苦しんでいる中小企業経営者、その方々の前にある日突然東電担当者賠償金支払請求書を持って現れる。すると、後日また国の担当者請求書を持って現れる。それぞれ避難所で、東電請求書、国の請求書、そしてしかも、それぞれに求められるその証拠書類あるいはその手続、そして最後東電によって決まるこの仮払金支払金額と国によって決まる仮払い金額も異なると。非常に被害者方々から見て複雑な制度、本当にこれがかえって被害者方々の真なる救済になるのかどうか、そうした問題がこの法律、今の条文のままでは生じてしまうということでございます。  我々は、先ほど申し上げた修正基本方針のとおり、東電が今やっていることはよりしっかりとやらせて、そして東電が足りないところをしっかりと国が連携してやっていく、そうした仕組みを講じるために、まずこの役割分担法律の中にしっかりと入れる、そのことを御提案申し上げていたところでございます。  もう一つの大きな論点がございます。  これは、この国の立替払、これはこの九条で国が税金で行う、国民皆様税金立替払を国は行うわけでございますけれども、その九条で、この条文の九条で、その立替払を後に国は東電求償することになっております。つまり、立法者方々も、これは国が何か大盤振る舞いをするわけではなくて、きっちりと本来東電が払うものを国が払うという位置付けにしているところでございます。  であるならば、国民皆様税金からこれは支払われるわけですので、国が支払ったものが後々東電からしっかりと国に支払われる、そうした手続を設ける必要がございます。これは、国民負担を生じさせないという観点からもやむを得ない、そうした手続であろうかと思います。  こうした手続について我々は御提案を申し上げましたけれども、先ほどの役割分担とこの手続が残念ながら成案に至らなかったところでございます。  皆様の、参考までにきちんと申し上げさせていただきますけれども、この法律によって国が行う仮払い、それは結局、この七月末に文科省審査会が作る仮払い指針、その指針に基づいて国が新しい支払基準を作ることになっております。ところが、東電が行う仮払いもその指針、もちろん元々この文科省審査会指針というのは東電の仮払い、本払いのために作っているものでございますので、結局、よって立つところの基準は同じということでございます。野党提案者方々は、この法律のその趣旨は、被害者の前に国が前面に立って、それで被害者の真に救済に足るだけの仮払いを行っていくんだというふうにおっしゃっていますけれども、結局この法律でも、国がよって立つところのその賠償指針基準というものは東電のものと同じでございます。であるならば、国と東電役割分担、そして国と東電求償関係整合性というものをきちんと担保していくということは、ある意味立法政策で当たり前のことでございます。そうしたことができていなかったことがこの法律の大きな問題でございます。  最後に、なぜそうしたことができなかったかについて御指摘質問をさせていただきますけれども、野党先生方、私は、先ほど浜田先生がおっしゃっていただいたように、本当にある意味真摯な対応をしていただいていたと思います。また、我々は非常に、被害者のためを思ってあらゆる立法技術を駆使した非常に高度な議論をさせていただいたと思います。しかし、残念ながら、この原案が今申し上げたような根本的な原因、これを成立させたならば被害者の方に非常に大きな混乱を与え、あるいは東電が自らの責任をサボってしまうことが起こる、そうした原案ができてしまったその大きな理由は、それは野党提案者方々が、東電あるいは地方自治体あるいは今仮払いを手伝っているJAなど、関係者方々からしっかりとヒアリングを行っていなかった、そうしたことが原因だと思います。  そうしたことの認識について、提案者の方の御見解をお願いいたします。
  9. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 時間ですので、簡潔に答弁をお願いします。
  10. 浜田昌良

    委員以外の議員浜田昌良君) 時間がないんで答弁し切れないんですが、もう少し答弁の時間をいただきたいと思いますけれども、先ほど申しましたように役割分担はすると、それは最終的には三条の政令で書こうということでこれ合意しているわけです。それはもうその合意はできていたんです。その確認規定を置くだけの、確認規定でもめただけでありまして、どういう役割分担かといいますと、例えば精神損害のように月十万円というのはもう明確ですから、こういうものは国がしなくても東京電力がどんどん仮払いできると、こういうのは東京電力にやってもらいましょうよと。しかし、風評被害、特に観光とかで、もう非常にこれは多分時間が掛かるだろうと。もし東京電力だと時間も掛かるし、また例えば仮払い率が二分の一を下回るかもしれないと、そういうものが、観光庁知恵もいただき、国が中立の知見を使って早く基準を作って払っていこうと。こういう二つの書き分けをちゃんと政令でしますので、その損害ごとに国がやるか東京電力がやるか明確ですので、二通りに全くならないというわけでございます。  もう一点指摘いただきました。確かに求償関係、これについては我々も懸念でございます。国が仮払いして求償東京電力がしてくれないと、これは御指摘のとおりでございますので、例えばこういう知恵を我々つくりました。例えば、農協、漁協で仮払金請求をいただいた後、もう一度その資料東京電力資料を委託しようと、それで自分求償できるかどうかをチェックしてもらおうと、そういう手続をかませる。とはいっても、東京電力が恣意的に求償できるできないは問題ですので、自分求償するときはこういう基準だという基準をしっかり出していただいて、それにあるものについてチェックしていくという。かませれば、実態的にはほとんどそういうものは生じないし、たとえ求償が後でもめたとしても、この法律上は過払いの場合の、また不正請求の場合の手続もかませておりますので、それは実態上ほとんど防げると。それを本当に心配されるのは、財務官僚が結局支援をしたくないと、そういう問題だというのは我々も感じたので、最後、残念でしたけれども、協議がまとまらなかった。本当は、財務省がいなくて小西議員と私と二人だったらまとまったのになと残念に思っております。  以上でございます。
  11. 小西洋之

    小西洋之君 本件の修正協議について……(発言する者あり)分かりました。ありがとうございました。  これで終わります。
  12. 山本博司

    山本博司君 公明党の山本博司でございます。  本日は、原子力事故による被害に係る緊急措置に関する法律案に関しましてお伺いを申し上げたいと思います。  原発事故によりまして住民や事業者に甚大な損害が発生していることから、東電は早急に損害賠償支払を行う責任がございます。しかし、実際には、一部の仮払いが行われておりますけれども、資金調達もままならない上、最終的には東電の判断に委ねるために、少額の支払にとどまっております。さらに、原子力被害が収束をしていないために損害範囲が確定せずに、賠償請求が難しいことなどから、ずっと議論がございましたけれども、支払が確実に遅れております。つまり、法律に基づかない東電による仮払いは、支払が遅い、金額が足りない、賠償の範囲が不明確という問題が、今まで指摘されたとおり、問題がございます。  急ぐべきは何なのか。それは被害者救済でありまして、被害者手元に仮払いをいち早く届けること、これが第一に果たす責任でございます。こうした問題があるにもかかわらず、四か月たっても、政府の対応は、自ら救済の矢面に立とうとせずに、国の責任を回避をしているわけでございます。  そこで、この国の仮払いを促進をするという今回の原子力事故被害緊急措置法案野党共同提案で国会に提出をしたわけであります。この法案成立することで原子力被害者の早期救済が行われる、これが多くの方々が期待をしているところでございます。これは、発議者皆様を含めまして、大変御尽力に敬意を表する次第でございます。  そして、今話がございました、この与野党協議を含めた修正協議をされていたと。今、破綻をしたということを今日聞きましたけれども、一体どんな形で行われて一体どうだったのか、先ほどからも議論ございますけれども、発議者にお伺いしたいと思います。
  13. 浜田昌良

    委員以外の議員浜田昌良君) 山本委員にお答えしたいと思います。  修正協議につきましては、今申しましたように、計十回、本当に精力的にやってまいりました。幾つか簡単な項目についてはかなり合意もできました。例えばどういう項目が合意したのかということで例を挙げたいと思っておりますけれども、例えば、この法律をずっと続けることもないのかなと。いずれ事故、収束もするかもしれない、よって見直しをしようじゃないかと。そのめどはどれぐらいなのかについては、おおむね二年以内に見直しをしようと。そのときには損害賠償支払の状況とかこの法律の施行状況を鑑みて検討を加えてやろうじゃないかということは合意ができました。  また、前回この委員会でも、施行の準備が間に合うのかという大分心配もいただきました。大分詰めた議論もしました。で、結局我々が言った日にちと与党側の日にち、具体的に言えませんけれども、実はその差はたった十日でした。その十日をいかに近づけられるかという状況でございました。  その三点目には、主務大臣の問題も問題じゃないかという話もいただきましたが、結局これも最終的には文部科学大臣が明記がいいじゃないかと。そういう意味では、それ以外にもとはいっても、事業所管大臣とかそういう方々の協力関係をどう取るかと、それが政令か何かで付け加えるといいなと、それは政令でできるという形にできるじゃないかという議論もございました。  また、都道府県知事ができないんじゃないかという懸念もありましたけれども、じゃ都道府県がどういう事業をするのかと。いろいろブレークダウンをしました。確かに、一番最初の事業としては、請求書を配ったり説明会をすると、これだけでも一つの仕事です。二つ目には、農協や漁協に委託をする、委託をしてその資料を国に渡していただく。三点目には支払決定をすると。この三つ段階ありますけれども、三段階全てお願いすることもないと。二段階までもあるし、例えば一段階だけでもいいと。こういう話をしまして、結果的には福島県の方でもこれはやってもいいというお答えもいただいて、結局この条文についてもできる規定は合意をしたわけでございます。  そしてさらに、今、小西理事から御質問いただきました二点が大きな論点だったんですね。一つは、いわゆる仮払いした後のその費用を東京電力求償をしたときに、それが東京電力求償に応じないんじゃないかと。それは私自身も過大な国民負担をつくることは本意じゃありませんので、それについては資料を求める規定がありますので、東京電力にどういう考え求償をするのかという紙を出してもらおうと。それに基づいて我々も算定方法なんかの基準を作ろうと。基準ができれば、もう一度その基準ごとにどういう考え東京電力が個別の求償をするのかという紙ももらうと。そうすると、基本的にルールができてくる。  さらに、もっと実務的に言うと、農協とか漁協にいろんな窓口をして請求書が上がってきた段階でもう一度東京電力にその資料を委託して、個別に求償関係、できるかできないかをチェックしていただけるということもかませれば、実態的にはほとんど求償できないもの、もしそれがバツを付くのであればもう一度その請求書を、請求者から話を聞いて資料の追加資料を求めるとか、話をもう一遍聞けるわけですから、これもほぼこれで合意をいただきました。  最後に残ったのが、いわゆる役割分担のところなんですよ。役割分担については、言いましたように、東京電力がどんどんするものはこれは除こうと、東京電力に任そうと、しかし、そうならないものは国がやろうという考え自身は合意をできたんですが、それを文章化する段階で合意できなかったというのが実態でございます。  我々としては、この法律の三条で、国は、特定原子力損害であって政令で定める者に対して仮払金支払うと、こう書いてございます。これ、一部最初はこれを、国は予算の範囲内で支払をすることができると。これは受け入れられませんでした。そうすると、やっぱり被害者の方が不安だと、やっぱり国がすると。これで詰めた議論をしまして、じゃ政令の書き方で、我々としては、前項の政令は、いわゆる紛争審査会指針に定められた損害のうち、それを受けた者に対し、当該原子力事業者による賠償支払、これ仮払い補償金も含みますけれども、支払が行われることにより早期の救済が図られることが確実であると見込まれる損害以外をしましょうと、こう書けば明確なんですよね。我々はそう思っております。  ところが、与党さんからの提案というのは、我々が、国が仮払いするのは二つの場合だけですよと。どういう場合かというと、東京電力が資金が不足していることを理由として払わない場合と。こんなことがあるんでしょうか。そうであれば、支援機構なんてやる必要ないじゃないですかと。もう一つの場合、それは、この仮払金に相当する金銭の額の算定方法をこの東京電力が定めない、そこで払わないと。こんなことがあるんだったら、これ注意をして作らせるのが先じゃないですかと、国が払うんじゃなくて。そういう場合のみ国が払うと。さすがにこれは受け入れられないと。  さらに、もっと私が問題と思いましたのは、この議論のときに、何と、国はこの法律仮払金支払を実施するに当たっては国民負担を生じさせないものとすると入れろと言ったんですよ。これは財務省の全く意見だと。これは、被害者のことを考えているのか、国民負担考えているのか、この異常時にどっちの立場にいるんだと。まさに今国の役割を全く考えていない、そのことが如実に出た、最後の五%。我々は九五%合意したと思っていますけれども、最後の五%に財務省の影がちらついた、よって我々は残念ながら協議をできなかった、こういう状況でございます。
  14. 山本博司

    山本博司君 大変残念な形でございますけれども、やはり被害者救済ということが一番大事でございます。民主党方々、政治主導を目指されたと思います。なぜこの部分、大変もう慎重になってきたのか、一体どちら側に目を向けているのかと、こういう形がやはり指摘されるわけでございます。大変御苦労されたと思いますけれども、やはり一刻も早くこの法案成立させて早期に実施をすると、このことが大変大事だと思う次第でございます。  それで、被害者救済の立場から文科省にお聞きをしたいと思います。現状の課題ということで、この審査会指針の見直しに関してお聞きをしたいわけでございます。  審査会では、この原発の事故によりまして、損害の範囲の判定に関しましては、四月二十八日に第一次指針、そして五月三十一日に第二次指針を示しているわけでございます。風評被害や農林漁業、観光業につきましては、この指針に基づいて現在仮払金支払われてございます。しかし、自主的に避難している者の損害や、学校や公園などにおける汚染土の除去、また放射性物質を含むごみ処分、下水における放射性汚泥の処理などについては指針の中で示されていないために、こうした除染費用の課題も残っているわけでございます。  また、放射能の危険から避難をしている方への損害については、現状では政府による避難等の指示に係る損害のみが対象とされておりますので、それ以外に自主的に避難している方についての損害は第一次指針、第二次指針では全く考慮をされておりません。政府による避難等の指示がない場合においても、被曝の危険を回避するために避難することが合理的であると認められる場合においては、その損害賠償の対象とされるべきでございます。原子力損害賠償審査会ではこうした指針、含まれていないということで今後検討をするということでございますけれども、多様な被害に対応するためにも早急に見直しが必要でございます。  この点に関しまして、見解をお聞きしたいと思います。
  15. 笹木竜三

    ○副大臣(笹木竜三君) お答えをします。  今委員から説明していただきました、四月の二十八日に第一次指針、そして五月の三十一日に第二次の指針、そして六月の二十日には二次指針の追補ということで精神的損害の具体的な算定方法を出してきたわけですが、これで全てじゃないわけですね。  当初からお話ししていますように、こういうふうに小刻みに出しているのは少しでも早く、被害者救済を少しでも早くしたいからまとまったものから出してくれということで、こういう形を取っているわけです。ですから、それ以外のものは一切入っていかないということじゃありません。七月中に必ず出すということで、今、十六分野七十六名の専門委員被害の実態、詳細な調査、そして原子力事故との因果関係、これを検討し、今委員がいろいろ列挙されたそういうことも含めてですが、七月中には必ず指針を、全般的なもの、全体にわたったものを出す、そういう計画でおります。
  16. 山本博司

    山本博司君 四か月たっているわけでございまして、スピードが遅いわけでございます。  どちらにしても、この今の指針に入っていない状況に関しましては仮払金支払われておりません。今回の法案の中では、原子力被害応急対策基金、これを活用して必要な措置が実施できると、こうございますけれども、発議者にお聞きをします。  この概要に関しまして、また文部大臣がなぜ主務大臣となるのか、この理由も併せて見解をお願いします。
  17. 浜田昌良

    委員以外の議員浜田昌良君) お答えさせていただきます。  まさにこの基金を設けた理由というのが、紛争審査会指針が対象が狭いと、こういう不満が被害者方々に多いわけでございます。今、文科副大臣がどんどん広げるとおっしゃいましたが、じゃ、本当に七月下旬でどこまで入るんでしょうか。  例えば、自主避難の方々。確かに二十キロ、三十キロではないかもしれないけれども、避難している。一銭も支援がないし、東京電力の仮払いがない。これについてはやはり何らかの支援が必要だ。こういうものに対してはこの基金が対応できますし、また中小企業方々もいわゆる間接被害という問題があります。その二十キロ、三十キロ圏内の方々に対して、その方が倒産して手形が払えないということに対して、債権回収できない、そういう問題に対しても、一向に入るか入らないかも分からないし放置されている等々という問題についてこの基金でしっかり対応しようと。しかも、単なる補正予算で一回きりじゃなくて、しっかり法律で精神を書いて、どこまでやるかを書いてやることが被害者方々の安心につながるということで規定をしたものでございます。  二点目の質問でございますが、主務大臣になぜ文部科学大臣。これについては、文部科学省設置法第四条七十号で原子力損害賠償に関する事務と明定されているんですね。これは別に原賠法という法律限定じゃなくて、仮払いはあくまで損害賠償のうちですから、それがありながらも何もしないというのが文部科学省、副大臣はサボっていると思います。特に問題は、前回の答弁、笹木さんの前回の答弁は全くおかしい。なぜおかしいかというと、自分は紛争審査会をやっています、紛争審査会指針を出したりあっせんする、だから、中立性を侵すからできない。そんなことがあるかと。  あくまで紛争審査会って独立の機関ですよ。確かに任命権があるかもしれないけれども、本当に中立性が問われるのであれば、実は文部科学大臣自身が利害関係人です。原賠法においては、一千二百億円は国が補償する。その予算を要求しているのは文部科学大臣じゃないですか。その額を少なくしようとするために紛争審査会議論を誘導するんですか。また、東京電力が無限責任を負うとおっしゃっているけど、それができない場合は国が援助するという規定が原賠法にあります。これも文科省法律じゃないですか。そういう利害関係人でありながらも紛争審査会やっている。それは、紛争審査会が中立だという前提に立っている。それであるのに仮払いをやらないというのは、まさに逃げているんですよ。  財務省と同じように、今回の責任文部科学省にあると思っています。やはり仮払いの問題について、現地の方々の思い、もっと言ってほしい、手足がないかもしれないけれども、現地の方々の思いを聞いて、自分が設置法に書いてあるんであれば、何ができるのかというのが本来の私は役所の役割だと思っています。  そういう意味では、そういう思いから、しかし、これについては最終的に与党の方もお認めいただいて、この法案について文部科学省を書くことについてはお認めいただきましたので、最終的には合意したわけでございます。  以上でございます。
  18. 山本博司

    山本博司君 次に、福島県の健康調査に関しましてお聞きをしたいと思います。  全福島県民二百三万人を対象にしまして、この原発事故による被曝の影響を調べる健康調査、今後三十年間実施をすることとしてございます。この健康調査は、福島県が国に先行して実施を決定し、六月の補正予算で予備調査費用約三十九億円が計上してございますけれども、広範囲に進み、また人数も多い県民を対象とした長期、継続的な調査体制に関しましては、国の全面的な関与が不可欠でございます。  政府では、原子力被災者・子ども健康基金、第二次補正で設立をしてございますけれども、実施主体は一体どこになるのか、国の関与、県との役割分担、この概要に関しまして、この健康調査に関しましてお聞きをしたいと思います。
  19. 中山義活

    大臣政務官(中山義活君) ただいまの御質問の趣旨、よく分かります。いろんな意味で、私たちも地元の意見を聞こうという考え方がまずございます。それと、官邸を始め役所の方と連絡をしっかり密に取っていく、これ非常に重要でございまして、今までも警戒区域に入るときに、いろんな官邸からの話が先に出ますと、必ず地元でもめたんですね。  そういう面でも、この健康調査も、私ども本部長を送っておりまして、田嶋本部長からいろんな話を聞きますと、まずは子供を早くやってくれと親の方たちが言っていると、又は副知事さんはこう言っているとか、いろんな情報が入ってまいりました。そういう意味では、国と福島県が本当に合体をしてうまくやらない限りはこの調査はうまく生かせないというふうに私は思います。  それと、福島県の方は、やっぱり身近な自治体の我々がしっかりやっていきたいと、こういうお話もございましたので、主体的には福島県がやることになっております。ただし、財政上のことははっきり言って私たちが責任持ちます。その点を皆さんにお伝えくださいませ。
  20. 山本博司

    山本博司君 九百六十二億円のこの予算が補正予算で計上をされているわけでございますけれども、これは三十年間大体どういう形で、一年に一回この調査をするんでしょうか。その九百六十二億円の積算根拠を示していただきたいと思います。
  21. 中山義活

    大臣政務官(中山義活君) 今お話があったように、これから追跡的な調査もしなければなりません。  積算根拠というのは、ちょっと眼鏡を掛けまして、細かいところもちょっと申し上げたいと思います。  健康の管理とか基本事業が七百八十二億円です。全県民基本調査十二億円、長期健康調査が五百八十三億円、データベースの構築費が十五億円、子供のがん検診、これは甲状腺のエコー検査でございます、八十億円、ホール・ボディー・カウンター等の整備十七億円、積算線量計等の貸与四十三億円、子どもの心身健康確保事業三十二億円でございます。  内閣府の方の計上もございまして、これは子ども等に対する放射線影響の防止事業百八十億円、こういうことでございます。
  22. 山本博司

    山本博司君 よく分からないんですけれども、これ三十年間、十分この予算で大丈夫なんですか。
  23. 中山義活

    大臣政務官(中山義活君) 国が責任を持ってやるべきだと思っております。そこはしっかりやります。
  24. 山本博司

    山本博司君 非常に大事な福島県民の健康調査の問題に関しましても、非常に曖昧であります。具体的に金額もこれで十分なのかどうかがよく分からない、こういう問題があるわけでございますけれども、今回この法案、先ほどから基金の問題ございますけれども、その関係を含めまして、実際、政府ではこういう形があれば必要ないんではないかというふうな意見も一部ございますけれども、このことに関して発議者意見を聞きたいと思います。
  25. 浜田昌良

    委員以外の議員浜田昌良君) お答えさせていただきます。  今、中山政務官から予算を付けると胸を張っていただきましたが、もう付けるんであればもっと多く付けてほしかったなというのが本音でございまして、今回の基金について問題点は、まず対象が狭い、予算が少ない、そして不明確、そういう問題がございます。  我々自身も子供の健康は重要と思っておりますし、県民の健康は重要と思っています。具体的な提案してまいりまして、その九百六十二億は評価しますが、これ以外は使えないという、そういう限定が付いていると。付けるんであれば、もっと自由度を付ければよかったじゃないですかと。県の知恵によって、さっき言ったような自主避難者の問題、また、除染をしたいという問題についてももう少し、何かこれ負担があったりするという、一部の予算は十分の十なんだけれども結局県の負担を求めるみたいな、そんな制限をいろいろ付けることが本当に被災者の方々にプラスなのかと、もっと自由度の高い、幅広い基金をつくるべきだという考えでございます。  そういう意味では、我々としては対象を広く、そして基金も我々は三千億規模、そして、それを法律で明定するということ自身被害に遭われた方々の安心につながるという観点から、現在の政府の基金とは似て非なるものと考えております。
  26. 山本博司

    山本博司君 質問通告していませんけれども、中山政務官、この法案成立すれば、その三千億円の予算確保のために御尽力されるのかどうか、お聞きしたいと思います。
  27. 中山義活

    大臣政務官(中山義活君) 私、今急に質問を受けましたのでその点についてはお答えができかねますが、この健康被害ということに関しては、やっぱり三十年間以上、本当はお子さんたちが生まれて亡くなるまで本来は補償すべきだというふうに考えておりますし、本当に今度のことは国が信頼されるということが一番大事でございまして、全力を尽くす覚悟でございますし、福島県とも今後、この健康調査については徹底的に話し合っていきたいと思っております。
  28. 山本博司

    山本博司君 最後になるかも分かりませんけれども、このやはり事故の収束に加えまして再発防止、これ大変大事でございます。  細野大臣は、経済産業省の傘下にあるこの原子力安全・保安院、はっきりと、切り離すことは間違いないと、こう明言をされたとのことでございますけれども、経産大臣との調整が済んでいるのか、また、原子力行政の在り方について、いつまでにどのような組織の見直しを行うのか、今後の方向性を示していただきたいと思います。
  29. 福山哲郎

    内閣官房長官(福山哲郎君) 山本委員にお答えいたします。  今の再発防止に向けた組織の見直しでございますが、日本がIAEAの閣僚会議に対して報告をさせていただいた報告書によっても、経産省の原子力安全・保安院による一次規制機関としての規制と、内閣府の安全委員会による一次規制機関の規制の監視の問題と、緊急時における各省による放射線モニタリングなど、実は安全確保に関しては行政組織は分かれまして、今回の事故に関して問題があったというふうに指摘を受けていますし、我々もそのように認識をしております。  こういう認識の下で、この原発の安全確保に対する体制の見直しというのは非常に重要なミッションだというふうに思っておりまして、この再発防止のためには、各省の立場を超えて、安全規制に関する組織や制度の見直しに関する青写真をできる限り速やかに国民の皆さんにお示しをしたいというふうに考えております。
  30. 山本博司

    山本博司君 これはあれでしょうか、細野大臣、菅総理がいる時代、いる時期ということでしょうか。八月までということでしょうか。
  31. 福山哲郎

    内閣官房長官(福山哲郎君) 今、細野大臣の下、鋭意検討しているところでございまして、できる限り速やかにお示しをしたいと考えています。
  32. 山本博司

    山本博司君 時間参りましたので、どちらにしても、この被害者救済のために一日も早く法案成立を目指して進んでいっていただきたいと思いまして、質問を終わりたいと思います。
  33. 松田公太

    ○松田公太君 みんなの党の松田公太です。  本日は東電の社長にも来ていただいておりますので、再度レビューの意味も含めましてお聞かせいただければと思います。  法案提出者にお願いしたいんですが、この仮払い法案が今なぜ必要なのでしょうか。
  34. 小熊慎司

    小熊慎司君 松田委員にお答えをいたします。  御承知のとおり、今回のこの原子力災害の問題は大規模にわたっておりますし、長期化もしております。そうした中でも、早期に被災者を救わなければなりません。そしてまた、この災害は現在進行形であり、損害も確定をしておりません。そうした観点から、東京電力に、損害賠償支払には時間が掛かってしまうということは想像に難くはありません。  そしてまた、東電による仮払いの補償金は法律の規定には基づいていません。御承知のとおり、原子力損害の範囲の判定等に関する第一次の指針にもありますとおり、合理的かつ柔軟な対応が東電に求められるとしか書いていないんです。ということであれば、最終的には東電の判断で行われるということのため、現在行われた支払も少額にとどまってしまっています。  さらには、この損害被害に係る対策としては、これは現場においては千差万別で、本当に個々の一人一人の人生を取り戻すための対応をしていかなければなりません。そうした被災者の視点に立って現場の視点に立てば、やはり現場を預かる地方公共団体等が一定の財源を確保して、先日松田委員指摘をされたとおり、地域主導の視点で、地域の実情に応じて必要な措置を講じていくという対応が求められています。加えて、原子力損害賠償紛争審査会指針で定められていない損害に関しては、仮払い補償金の支払は現在も行われておりません。  そうした損害にも対応すべきだという観点から、今この瞬間にも自分の人生を取り戻せないで苦しんでいる被災者たちがいます。私も会津若松市に在住していますけれども、私の家の近くにも仮設住宅ができました。本当に一日たりとも、一分一秒たりとも人生を無駄にするわけにはいかないんです。早期に人生を取り戻し、人間の復興を成し遂げる、そうした思いに立って、我々は党派を超えて心を一つにして、異体同心で今回の法律を提出させていただいたところであります。
  35. 松田公太

    ○松田公太君 小熊議員、ありがとうございます。  西澤社長、今日はお越しいただきまして誠にありがとうございます。  私も元は経営者の端くれですから、経営者という視点でもいろいろお話を聞かせていただきたいと思うんですが、西澤社長は、原発の事故によって本当に多くの方々が苦しい生活を余儀なくされている、これは御存じですよね。そして、全てがお金で解決されるとは私は思いませんが、多くの問題がお金によって、そのスピーディーな仮払いによって解決できるものもあるというふうに思うのですが、西澤社長はどのように思われますでしょうか。
  36. 西澤俊夫

    参考人西澤俊夫君) この度の福島第一原子力発電所の事故によりまして、本当に発電所周辺の皆様、福島県民の皆様国民皆様に多大な御迷惑をお掛けしておりますこと、心からおわび申し上げます。  委員の御質問でございますけれども、我々としてできる限りのことは、もちろん賠償等のお支払も含め、人的な支援も含め、いろいろ精いっぱいさせていただきたいというふうに思っております。  補償の面についてお答え申し上げますと、被害を受けられた方々への仮払いの対応につきましては、紛争審査会指針を踏まえまして、現在、社員およそ約一千名の規模で福島県を始め各地域において精いっぱい取り組んでいるところでございます。昨日までに約六百億円の仮払いの補償金をお支払いしてございます。また、七月五日に発表いたしましたとおり、避難された方々への追加の仮払いの補償金につきましても、今月の下旬ごろからお支払を開始させていただくための準備を今進めているところでございます。  今後の補償につきましても、国の御支援もいただきながら、今一千名と申し上げましたけれども、更に体制の強化も図って公正かつ迅速に補償の方を実施してまいりたいというふうに今思ってございます。  以上でございます。
  37. 松田公太

    ○松田公太君 昨日までに六百億払われたということですけれども、今、まだまだ全然足りないと、スピードが遅過ぎるという指摘被害者皆様から出ていることは御存じだと思います。  今当委員会で話し合われておりますこの仮払い法案、これについてはどのように思われますか。
  38. 西澤俊夫

    参考人西澤俊夫君) 仮払い法案につきましては、早期の被害者救済や国の責任の在り方という観点からの法案であるというふうに私自身思ってございます。当社といたしましては、事故の当事者であるということを真摯に受け止めてございまして、紛争審査会指針を踏まえまして、被害を受けられた方々の補償をしっかりと進めてまいりたいというふうに考えてございます。  御理解のほどよろしくお願い申し上げます。
  39. 松田公太

    ○松田公太君 済みません、西澤社長、経営者でいらっしゃいますよね。経営者は私は政治家とちょっと違うのは、イエス、ノーはっきり物事を明確に言うのが経営者じゃないかなと私は思うんですが、もう一度お聞きしますが、仮払い法案をどう思われますか。これはやるべきだと思いますか、それとも駄目な法案だと思いますか、是非お答えください。
  40. 西澤俊夫

    参考人西澤俊夫君) 先生の御質問にお答えいたします。  本当に繰り返しで申し訳ございませんけれども、今回の仮払い法案というのは、早期の被害者救済、それから国の責任の在り方という観点からの法案であるというふうに思っております。私どもといたしましては、事故の当事者ということを真摯に受け止めまして、きちっと補償の方は対応させていただければというふうに思ってございます。  よろしく御理解のほどお願い申し上げます。
  41. 松田公太

    ○松田公太君 済みません、答えていただけないのは非常に残念なんですけれども。  西澤社長は先日の株主総会で社長になられましたが、その後、実際被災地に何回ぐらい行かれていますか。実際、被災者、被害者方々とじっくりお話をされたりとか現状を見に行かれたりしたこと、何回ぐらいございますか。
  42. 西澤俊夫

    参考人西澤俊夫君) 私自身、六月の末、三十日と七月の一日に、十三の市町村の村長さん、市長さん、町長さん、それから議会関係方々とお会いして、おわびも申し上げ、かついろいろ御要望等を受け止めました。  避難所の方へは、調整をまださせていただいているところでございますので、地元の皆様といろいろ調整して、今後機会があればお伺いしなければというふうに思ってございます。  以上でございます。
  43. 松田公太

    ○松田公太君 二回行かれたということですが、両方とも町長さんや市長さんと、自治体の方々と会われたということですが、やはり避難所に行って現場を本当に見ていただきたいんですね。やはり社長の仕事というのはそれが重要だと思うんですよ。現場をしっかり自分の目で見ていただく、そして見るだけではなくて被害者方々とじっくり話をしていただく。ちょっと行ってどこかの総理のようにさっさと帰ってくるんじゃなくて、徹底的にその中に入って話をしていただきたいんですね。そうすれば、どれだけ皆さんが今苦しんでいらっしゃるか肌でお分かりいただけるんじゃないかなと思うんです。それをお分かりいただければ、今回のこの仮払い法案も非常に重要で絶対必要不可欠だということを御理解いただけるんじゃないかと思うんですね。是非とも、一日でも早く避難所被害者方々と会いに行っていただきたいと思います。  引き続きまして次の質問に移らせていただきますが、この仮払い法案と非常に関連性が深くて、ちょうど今も衆議院の方で話合いをされております原子力損害賠償支援機構法案、これについては西澤社長はどのような見解をお持ちか、お聞かせいただけますでしょうか。
  44. 西澤俊夫

    参考人西澤俊夫君) 現在、衆議院の方で御審議をされておりますけれども、私としては、被災者の方の救済のためにも、それから私ども事故の当事者でありますのでそこは真摯に受け止めておりますけれども、国の御支援をいただきながら被災者の救済のためにという形で、法案成立を切に願っている次第でございます。
  45. 松田公太

    ○松田公太君 この法案が、本当に西澤社長は被災者のためだけになるとお考えですか。御自分の会社の救済のためになるというふうに思われませんか。それどう思われるか、是非お答えください。
  46. 西澤俊夫

    参考人西澤俊夫君) 今回、今政府の方から出されております法案の方は、原賠法の趣旨にのっとりという形で目的のところがたしか書かれておると思っております。最初に被災者の方々救済をきちっと図るということ、それから、併せて電気の安定供給及び事業の円滑な運営ということもきちっと遂行するということ、両方目的で書かれておりますので、今の法案の方はその目的に沿った形で内容が展開されているというふうに私は理解してございます。
  47. 松田公太

    ○松田公太君 この支援機構法の話になりますと、どうしてもこれに賛成の方々は、まず例えば電気の供給の安定とかそういう話されるんですが、電気の供給は、これは安定的に必ずできます、これは会社更生法、法的整理になったとしても。それは国がしっかりと支援すればいいだけの話ですから、その部分につきましては。  私は社長にお伺いしたいのは、この支援機構法、これが適用になって、法案成立して、もうある意味毎年一千億円ずつぐらい東電はお支払いしなさいという形になると思うんですが、これが何十年続くか分からない、そのような会社をつくり上げてしまうことに対する恐怖心とか懸念というものはございませんか。
  48. 西澤俊夫

    参考人西澤俊夫君) これから、法案の方が今審議されておりますので、その内容につきましては国会の場できちっと議論されるものというふうに思ってございます。  いずれにしましても、先ほど私申し上げましたように、被災者の方の救済のため、それから安定供給等も含めた事業の円滑な運営のためには今の法案は必要であるというふうに私は確信してございます。
  49. 松田公太

    ○松田公太君 本当に被災者の救援のためということであれば、会社更生法を適用して一回国有化する、この方がよっぽど私は被災者の救済のためになるんじゃないかなというふうに思います、その方がより明確ですし、公正ですし、透明ですし。また、御存じだと思いますが、会社更生法というのは比較的柔軟な法律でございますから、いろんな形で被災者の方々をお助けすることができる、賠償もしっかりと最後まで国が責任を持ってすることができる、こういう法律だと思います。  私はどうしても、この賠償機構法、これを適用されて東電を無理やりゾンビのように生き延びさせてしまうと、とんでもなくただ単に借金を返すためだけの会社が生まれてしまうんじゃないかなというふうに思うんですね。  たしか西澤社長は京都大学を卒業されて東電に入社されていると思いますが、ちょっと御自身に立ち返って思い起こしていただきたいんですけれども、もし今新卒で、これから卒業して会社に入社しようという方でしたら、そのときの西澤社長のお気持ちに戻っていただきたいんですが、そのようなゾンビ企業ができ上がるとしたら、そんな会社に入社したいと思いますか。教えてください。
  50. 西澤俊夫

    参考人西澤俊夫君) なかなか先生の御質問に答えているかどうかというのはちょっとあれなんですけれども、私の今の気持ちは、現在はもう一日も早く福島第一原子力発電所の事故の収束を図るということに今全精力を傾けてございます。  体制とかの在り方については、私自身からいろいろああだこうだと申し上げる状況にはございませんけれども、気持ちとしては、先ほど言いましたように、原賠法の趣旨に基づきまして被害者救済をきちっとやること、それから安定供給もきちっと図ること、それを行いつつ事業の立て直しをきちっと図っていくということをやり遂げなければいけないというふうに思ってございます。  以上でございます。
  51. 松田公太

    ○松田公太君 社長、私が申し上げたいのは、この賠償支援機構法というのは、いろんな意味でマイナスしかつくり上げない私は法案だと思っているんですね。それは、被災者のためにとってもそうですし、会社のために、社員のためにとってもそうですし、経営者のためにはもしかしたらいいかもしれませんよ、経営者は安定的に今後も高い給料をもらえるわけですから。そして、国のためにもならない、このような法案じゃないかなと私は思っておりますが。  じゃ、ちょっと話を、論点を変えてお聞きしたいんですけれども、一時国有化、これについてはどのように思われますか。そうしていただけるんならその方が楽だと、社長もし思っていらっしゃったら是非教えていただきたいんですけれども。
  52. 西澤俊夫

    参考人西澤俊夫君) 先生の御質問にお答えいたします。  私は、民営でありたいというふうに思っております。  以上でございます。
  53. 松田公太

    ○松田公太君 今民営でありたいというふうにおっしゃいましたが、例えば、この賠償機構法が適用されて債務超過に例えばさせないという文面が入ったりするわけですよね、閣議決定された文書の中には。  そういう会社、本当に民営だというふうに言えるんですか、民間企業だと言えるんですか、そんな会社が。私だって、そんな会社経営したいですよ、政府から債務超過にさせないよ、あんたの会社はなんて言われた会社。誰だってそんな会社経営したいと思いますよ。そういう会社は民間だとは言えません、民営だと言えないんですよ。そう思いませんか。もう一度お答えください。
  54. 西澤俊夫

    参考人西澤俊夫君) 私ども、合理化の方針も出しておりますので、徹底した合理化を進めて民営で立て直しを図っていきたいというふうに思っております。何とぞ御理解のほどよろしくお願い申し上げます。
  55. 松田公太

    ○松田公太君 残り時間も少ないので、ちょっと最後のお話をさせていただきたいと思うんですが、私、会社を経営する中で最も重要視してきたことが経営理念なんですね。西澤社長は東電の経営理念御存じでしょうか。御存じでしたら是非おっしゃってください。
  56. 西澤俊夫

    参考人西澤俊夫君) エネルギーの最適な供給をして、いわゆる豊かな、そうした生活の実現を目指すという趣旨でございます。
  57. 松田公太

    ○松田公太君 ありがとうございます。そのとおり書いてありますね。  実際、私も東京電力グループの経営理念というところを先日読ませていただきましたが、このように書いてあります。経営理念は私たちの存在意義を示したもの、これは本当そのとおりですよね。そして、その中に、便利なだけではなく、心豊かで自然とも調和した持続可能な環境を実現するとも書いてあります。  現状の東電、そういう会社でしょうか。放射性物質をまき散らしまして、人々に迷惑を掛けて、今はその経営理念と私は真逆のことをやっていらっしゃるんじゃないかなというふうに思うんですね。ここに書いてありますとおり、我々の存在意義を示したのが経営理念、それともし真逆なことをやってしまっているんだとしたら、私はやはり一度法的整理をして、解体して、もう一度出直した方がいいんじゃないかなというふうに思うんです。多分、多くの若い社員もそういうふうに思っていらっしゃるんじゃないかなというふうに思います。  今現状、経営理念と全く逆のことをやってしまっていることに関してはどのように思われますか。
  58. 西澤俊夫

    参考人西澤俊夫君) お答えいたします。  本当に、この度の福島第一原子力発電所の事故により放射性物質を外部の方に放出しまして、本当に周辺の地域の皆様、福島県の皆様、それから広く国民皆様に本当に御迷惑と御心配と御不安をお掛けしましたことを心からおわび申し上げます。  これを一日も早く、これは先ほど先生にもお話ししましたけれども、六月の末、七月の初めに福島県の各地域をお訪ねしたときも、何しろまず事故の収束を、一日も早く収束をさせてくれ、安定化させてくれということを強く求められております。  私の使命はもうそれをきちっとやり遂げることだというふうに思っていまして、それをやり遂げ、きちっと賠償もしっかり対応し安定供給を果たすということで、先ほど先生おっしゃいました企業理念の実現に向けて、一歩一歩汗をかいて体を動かしてやっていくことに尽きるというふうに思ってございます。  以上でございます。
  59. 松田公太

    ○松田公太君 ちょうど時間となりましたので終わりとさせていただきますが、和田政務官、済みません、お呼びしてしまったのに質問ができずに。  西澤社長、本当に会社のため、自分のためじゃなくて、経営者のためじゃなくて会社のため、そして国のため、社会、地域のため、是非御決断いただければというふうに思います。会社というのは社員のためですね。よろしくお願い申し上げます。  どうもありがとうございました。
  60. 山下芳生

    ○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。  法案提案者皆様質問をさせていただきます。  まず、国による仮払いについてですが、十一日の質疑で、私は、法案では国による仮払いが現在の東電と同じく紛争審査会指針に基づいて行うとされている点について、それでは現状を改善することにならないのではないかと質問をさせていただきました。提案者からは、東京電力の仮払い請求の二分の一とか中小企業者に対し二百五十万円を上限にするなどが設けられているということを指摘されて、できるだけ高い割合で支払う額を増やしていきたいという答弁がありました。  そこで質問なんですが、しかしながらこの国による仮払いのやっぱり基準は紛争審査会指針前提にしておりますので、指針の枠内の話になろうかと思います。そうしますと、私は、紛争審査会指針に既に入っているものについては、これはもう十割払うのが当然だと思うんです。そこまで厳密に争う余地がないものだと審査会自身が認めたわけですから。ですから、これは十割払うことを基本にすべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  61. 佐藤正久

    佐藤正久君 山下委員に御答弁いたします。  今回の我々の法案においては、できるだけ高い、十分の五を下らないというものになっております。これから細部、政令でいろいろと基準を定めるということになるんですけれども、例えば精神的な被害とか、もう指針で明確に今回の数字が出ているというものについては十分の十でもいいと思います。そのほかの事業損害等については十分の六とか十分の八、場合によっては十分の九と、いろんなものがこれから定めていって、少しでも被災者の早期救済の形でやっていきたいと思います。  ただ、まだ仮払いという状況で損害額がまだ概定していないという状況ですから、やっぱり過払いということも避けるということもあり、取りあえず今はまだ十分の十、全部が十分の十でいくかどうかはまだ発議者の、私の意見としてはそこまでは今の段階では言い切れない。ある程度被害が、本当に実損益が、もう誰が見てもこれは大丈夫だというものについてはこれからの協議の次第で十分の十というものはあるかもしれませんけれども、今はまだそこまで被害が十分収束していないという状況においては、現在のところ十分の五を下らないという形にさせていただいております。
  62. 山下芳生

    ○山下芳生君 過払いが生じるおそれということを言われましたけれども、私は今の紛争審査会指針では、もう非常に限定的な指針になっておりますので、仮払いとはいえ過払いが生じるということはないんじゃないかと。それから、収束していないからこそ、今の請求者の方々は、例えば三月、四月分とか、五月分とか、今日の時点での請求をされているわけで、これ自体が限定的なんですね。ですから、もう既に指針に入って、しかもある期間の範囲内での請求については、これは十割仮払いしても過払いになるようなことはないんじゃないかと私は考えます。  それから、そう考えますと、遅い、狭い、少ないというこの紛争審査会指針の枠内で、微調整と言ったら失礼かもしれませんが、多少の上積みがされるということではなくて、やはりこの際、本当に被災者を救済するという立場に立つのであれば、指針にとらわれずに全ての根拠のある損害賠償する、仮払いさせると、そういう対象とすべきだというふうにやはり立つべきだと思うんですね。  一次指針、二次指針は、もう御存じのとおり、三十キロ圏外の自主避難者あるいは水産加工業者などいわゆる関連業者については賠償の対象として認定さえされておりません。ここをどうやって救うのかということが今求められておりますので、私はそのときに、なぜせっかくこういう法案を作るのに紛争審査会指針基準にしてしまったのか、あの評判の悪い指針をこの法案で一層固定化するお墨付きを与えることになりはしないかと思うんですが、その点いかがでしょうか。
  63. 佐藤正久

    佐藤正久君 お答えします。  国が一応仮払いをするというときにやっぱり何らかの基準がなければいけないと、これはもう山下委員も多分同じ意見だと思います。  その基準のときにどういうふうに設定していくかということだと思うんですけれども、今回、国がやっぱり何らかの基準というものを作ると。今から新たに作るとかなり時間が掛かりますから、そういうことで、緊急措置として、今紛争審査会が作っている指針というものを基準に仮払いの部分はやろうと。ただ、それに入らない部分で、しかも今言われたような三十キロ圏外の部分とか間接被害とか、あるいはこれから緊急時避難準備区域の方に戻った場合の生活あるいは事業再建とか、絶対賠償しないといけないというような部分はあると思うんですよ。そういう部分については我々の基金の方で取りあえず対応して、大事なことは、いかに被災者の方々に早く十分なお金が行くということが大事だというふうに思っております。  ただ、その指針基準とするといっても、今の東京電力任せのやり方だと、指針の中に入っていても十分行っていない部分もあるんですよ。例えば風評被害という項目があったとしても、非常に基準の設定の仕方が曖昧で、どうしても東京電力任せなために非常に小さくなっていると。  これが、国が、専門的知見を持っている農林水産省とかあるいは観光庁方々の、彼らが責任を持って基準を作ってくださいと言えば、それは国の責任でしっかりした基準も作れる。指針を使うとしても、東京電力任せではなく国が前面に出て積極的にやるということによっても、今までよりは、仮払いの中でも指針をうまく使いながらより多くの部分を払う。どうしてもそこで入っていない分野については基金の方でそこを救っていくと。大事なことは、被災者の方々に多くのお金を、本当必要なお金を早く届けると、思いは一緒だと思います。
  64. 山下芳生

    ○山下芳生君 指針にやはりとらわれることによって、その思いが枠の中に入っちゃっているということが残念なんですね。  それから、私、この議論している間に非常に感じておりますのは、やっぱり政府の責任が曖昧にされてはならないということであります。  そこで、今日は福山官房副長官においでいただいております。本来、私は枝野官房長官に直接質問したかったんですが、残念ながら理事会でそれが認められませんでしたので、福山官房副長官質問させていただきます。  原発被害への東電賠償、仮払いについて政府の姿勢をただしたいと思うんですが、東京電力による賠償、仮払いについて、六月二十日の当委員会で次のような答弁をいただいております。枝野官房長官、紛争審査会指針はまさに一つ指針であって、東京電力においてこの指針とは別にお支払をすることを妨げていないどころか、むしろ明確に支払うべき損害であると認められるようなものについては積極的にお支払をいただくことが当然であると考えておりますと。その上で枝野官房長官は、できるだけ迅速に対応できないかということは促してまいりたいと思いますと、こう答弁されました。  そこで、福山官房副長官質問しますが、政府として、指針とは別に支払うべき損害を積極的に支払うよう、東京電力に対していつどのように促しましたか。
  65. 福山哲郎

    内閣官房長官(福山哲郎君) 山下委員にお答えをいたします。  御案内のように、指針は、賠償すべき損害と認められた一定の類型を示すものでありますし、山下委員が御指摘のように、指針に示されていないものも個別の事情によっては原子力損害と認められ得るというふうに認識をしております。これは枝野官房長官がこの間答弁をさせていただいたとおりでございます。  しかしながら、それでは個別の請求に対して一つ一つ東京電力が判断をするということになると逆に時間が掛かるということも出てくるというふうに我々は思っております。ですから、官房長官が御答弁させていただいたように、指針とは別のお支払については、もちろん妨げるものではありませんが、まさに今この委員会先生方に御議論いただいているように、我々も被災者の皆さんに対する迅速な支払、そして一日も早い安心を持っていただくということを重要に考えているところでございますので、そこは我々としては、今中間指針をまとめているところでございますが、一次指針、二次指針に盛り込まれていない政府の指示や制限等の対象区域外の問題も含めて、また先ほど御指摘がありました風評被害の問題も含めて、中間指針論点として今議論をしているところでございまして、我々としては、中間指針をまとめて、そして一日も早い支払を被災地の皆さんにさせていただくべく、今鋭意検討を進めているところでございます。
  66. 山下芳生

    ○山下芳生君 答えてもらっていません。  六月二十日、もう一度、じゃ確認のために、私は、事故から三か月以上たっているのに一円の賠償も受け取っていない農家や漁業者や関連業者がたくさんありますと、しかし、原子力損害賠償紛争審査会というのは、原子力損害賠償に関して紛争が生じた場合における和解の仲介をするところであり、審査会指針も、当該紛争の当事者による自主的な解決に資するためのものと原賠法十八条にはっきり書いてあります、したがって、紛争になる前から審査会指針にとらわれる必要は全くありませんと、こう言いましたら、先ほど副長官がお認めになったような枝野官房長官答弁があって、そして、促してまいりたいと思いますと言ったんですね。促したか促していないのか、答えがないです。  そのときは、菅総理もそういうやり取りを踏まえて、考え方はもう官房長官から答弁したとおりで、あと東電自身が自らの判断で行う、そのことについて迅速に行うようにということは申し上げたいと思いますと、こう言っているんですよ。  国会で総理や官房長官が、指針に入っていないものもちゃんと東電に自主的に払うように促すと、個別の問題を促すと、こう言っていたのを、やったのかやっていないのかと聞いているんです。
  67. 福山哲郎

    内閣官房長官(福山哲郎君) 我々は、東京電力に常に賠償については迅速に支払ってくれと事故発災以来ずっとお願いをしてまいりました。第一次指針が出される前に、我々はその以前から、関係閣僚会合で決定をして、東京電力に対して最初の原則一世帯当たり百万円の仮払い補償金を支払うことを発表させていただきました。  我々は、東京電力に対しては常に被災地の皆さんに対して迅速に賠償に対しては支払ってくれということをお願いをしておりますので、そのことについて、我々政府の姿勢としてはいささかも変わるものではありませんし、今も変わりません。
  68. 山下芳生

    ○山下芳生君 まともにまだ答えておられません。  もう一回言います。六月二十日、私は、例えば、漁師が操業自粛になったら、港に水揚げされた魚をさばく仲買人の収入はなくなります、酪農家の原乳が出荷制限になったら、その原乳をタンクローリーで集める事業者の収入はなくなります、因果関係ははっきりしているんですが、それを指針に入っていないからとの理由で仮払いしないというのが今東電が取っている態度だと、これは被害者を事故と賠償で二重に苦しめる、そういう姿勢だと言わなければならない、そういう東電姿勢を放置してはならない、東電の立場に立つのか被害者の立場に立つのか、政府に問われていると思います、はっきりお答えくださいと言って総理にただして、総理は、先ほど述べた、迅速にということを申し上げたいと言ったんですよ。具体的に私は二つの事例を挙げて、総理は迅速に申し上げたいと答弁しているんですよ。  少なくともこの二つの問題について、東京電力に対して政府として、これまで言ってきたということじゃないです。それから、避難者に対して百万円とか、その後の話なんです。その後こういう事態が、三か月たってもまだ被害者が救われていない、一円も出ていない。指針に入っていないということを理由にそうなっている。それを放置していいのか、東電の側に立つのか被害者の側に立つのか、そう言ったら、総理はそういう答えしたんですよ。  その結果、どういう行いをやったのか、やったのかやっていないのか、お答えください。
  69. 福山哲郎

    内閣官房長官(福山哲郎君) 東電の側に立つのか被災者の側に立つのかということでいえば、明確に東電ではなく被災者の側に立つのが政府の今の立場です。ですから、逆に我々は、今回中間指針の場で、まさに山下委員がおっしゃられたように、賠償の対象になっていない風評被害の問題だとか、そのことについても中間の論点としてまとめて、しっかりと対応したいというふうに思っております。  しかしながら、最初の段階でいえば、迅速にしっかりと救済をするときには、当然避難指示を出させていただいた方々や制限等を出させていただいた方からとにかくまずは賠償させていただくと。我々も、今、山下委員が御指摘をされた方々がまだ賠償の対象になっていない、指針の枠に入っていないということは重々我々も承知をしているからこそ、早くこの中間指針で調査をして、風評被害も含めて対応したいというふうに思っているところでございます。(発言する者あり)
  70. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 福山副長官質問に対してお答えください。
  71. 福山哲郎

    内閣官房長官(福山哲郎君) 私たちは、常に東京電力には被災者の側に寄り添ってしっかりと賠償してくださいとお願いをしております。(発言する者あり)
  72. 柳田稔

    委員長柳田稔君) じゃ、もう一回。山下君。
  73. 山下芳生

    ○山下芳生君 全くはぐらかされているとしか思えません。  今の御答弁だと指針待ちなんですよ。東電と同じなんですよ、今の福山さんの答弁は。指針が出るまで何も東電しなくていいという立場に政府が立っているということを今、福山さんは答えたんですよ。指針に入っていなくたって救わなきゃならないじゃないかと、それを認めた答弁しながら、何もやっていないというんですね。やっていないんですね。
  74. 福山哲郎

    内閣官房長官(福山哲郎君) 私たちは、常に東京電力には被災者の立場に立ってくれとお願いをしています。現実に、東電一つ一つ賠償請求等が行って、その手続で時間が掛かることも含めて我々は問題意識があるので、枝野官房長官も総理もそのような答弁をさせていただきました。  しかし、一方で、しっかりと類型化をして迅速に払うという、この賠償審査会指針に基づいて払うということに対しても我々は早くやりたいと思っておりますので、一つ一つ手続をする方が早いのか、それとも我々のようにこの類型の中でしっかりと状況を把握して被災者の皆さんに払うのかということでいえば、我々は今両方の可能性も含めて対応させていただいているところでございます。
  75. 山下芳生

    ○山下芳生君 やっぱり福山さんでは駄目です。やっぱり、答弁に立っていただいた枝野官房長官、菅総理に直接聞かなければならない。  総理と官房長官がそういう答弁をしたんですよ。国会で、テレビにも、映る場所じゃなかったか。締めくくり総括質疑でした。テレビには映っていないですけれどもね。でも、国会で、締めくくり総括で答弁されたんですよ。やらなきゃ。もう三週間たっていますよ。それ、やっていないことを指針に盛り込むよう努力しているでは、それはもう質問の前の立場と一緒ですから。これでは、私は残念だけれども、東電賠償払いが遅いというのは、やっぱり政府の姿勢がそうさせていると言わなければならないと思います。  福島原発事故責任というのは、事業者である東電と、そして原発開発を国策として推進してきた国が負うべきものなんですよ。国のまず第一の責任は、東電に全面的な賠償を速やかに行わせることだと思いますね。それでもまだ遅ければ、私たちも国が仮払いの立替えをやるべきだと、その際は指針にとらわれずに全面的な賠償をすべきだという立場ですけれども、全くそのまずやるべき政府の仕事がされてないということだと──何かあるんですか。どうぞ。
  76. 福山哲郎

    内閣官房長官(福山哲郎君) 先ほど申し上げましたように、賠償は個別の事情による原子力災害の損害賠償もあるということを我々は常に認めています。そして、東京電力に対しては被災者に寄り添うようにということも常に申し上げています。しかし一方で、被災の類型も含めて、この指針に応じて一日も早い賠償支払っていただくことも重要だというふうに思っています。  ですから、我々としては常にその立場は変わりませんし、総理の答弁や官房長官答弁もいささかもその答弁のときと状況は変わらない、我々の立場ははっきりしております。
  77. 山下芳生

    ○山下芳生君 答弁と全然違っていますよ、指針とは別に払うべきだと言っているんですから。指針とは別に払っていないんですよ。払わせる努力もしていない、したという答弁はなかった。ですから、そういう政府の姿勢が今の賠償の、狭い、遅い、少ない、そういうことをさせているということを言わざるを得ません。  私たちはそれを改めさせることこそ政治の一番の責任だということを申し上げて、終わります。
  78. 藤井孝男

    ○藤井孝男君 この法案の提出、私ども、我が党も共同提案者になっております。そして、私も十一日の審議でも質問をさせていただきました。  今日もこうして質問に立たせていただいておりますけれども、ずっと他の委員質疑応答、また発議者答弁も聞いております、また政府の方の答弁も聞いていますけれども、結局、何といいますか、お互いが何かもう一つ知恵を出せばもうこれ収まる話が、結果的に今回、この議員立法は修正なしで採決になったというのはもう非常に残念だと思っております。  それから、この法案、もう略称、皆さん方御存じのとおり、原子力被害者を早期救済する法案だと、こういう位置付けで提出をしているわけでありますし、また一方で仮払い法案というふうにも俗称言われておりますけれども、先ほどなぜ仮払い法案が今必要なのかという質問に対して小熊発議者の方からもるる説明がありました、答弁がありました。私も納得をいたしております。  しかし、私は、もうちょっとこれ考えてみますと、これは単なる仮払い法案という性格だけではなくて、もっと本質的には、まさに小熊発議者も答えておりますように、被災地域の、被災者の地域の視点に立ってという言葉もありましたね、まさにそうだと思うんです。ですから、これは、今度の私どもが提出しているこの法案というのは、被災地に応じた、例えばその基金の問題にいたしましても、あるいは実態に即した対応をしているんじゃないかというふうに私はむしろ自信を深めた今気持ちでおります。  そこで、先般も、先日も質問をいたしました、もう一人の発議者の一人である荒井広幸議員に、こうした性格のものではない、単なる仮払い法案ではなくて、もっと本質的な、まさに被災地域に対する視点に立った法案であるというふうに私は感じておりますが、荒井発議者答弁をお願いしたいと思います。
  79. 荒井広幸

    委員以外の議員(荒井広幸君) 藤井先生おっしゃるとおり、正式には原子力被害者早期救済法というふうに銘打っておりますが、仮払いというふうな名前でどうやら報道されております。これは、衆議院側に機構のスキーム、お金をつくるスキームが出ているものですから、そういう兼ね合いで呼ばれて誤解されているのかと思いますが、先生御指摘のとおりでございます。仮払いも非常に重要なんですが、もう一つ重要なところは、実態に合わせて早く必要な量、範囲も広く届けると、そういう事業もできるし、原賠審で不足ならばそこを上乗せできると、こういうことを言っている、これがまさにポイントだろうというふうに思います。  例えば、現行でいいますと、これは福島県、県議会、共に陳情をされている内容なんですが、この間の第二次指針追補というのが出ておりますけど、この中で精神的損害の算定方法というのが出ておりますが、これは三区分しているんです。一つベースになるのはアパート、仮設住宅に避難した、避難した方で三つに分けているんですね。アパート、仮設住宅をベースにして、避難所は多くして、屋内退避は少なくしているんです。これは場所にかかわらず精神的に損害を受けていますねというのが県民一致した考え方なんです。  こういうところが全く実態にそぐわないので、これは基金を国が、全額国が用意いたします、そして、福島県がどうぞ実態に即すようにやってください。そうなったときに、七月中と言っておりますが、原賠審が、ああ、やっぱり実態に合わなかったからそうしようという、背中を押すことにもなるこの審議であり法案ということをひとつ御理解をいただきたいと思います。
  80. 藤井孝男

    ○藤井孝男君 非常に分かりやすく、具体的な中身について今答弁いただきました。本当に非常にそれは大事だと思うんですよ。  私は、政治というのはやっぱり常にお互いが知恵を出すということ。それから、この後、和田政務官にも質問いたしますけれども、先日も質問いたしましたけれども、政務官もいろいろ答弁をされておられましたけれども、私、そのときにも政務官に申し上げたことが一つある。非常に模範的な答弁、まさに政府、あるいはそういった慎重な答弁であったとは思います。ところが、柔軟性がない、幅がない、そこに問題があるんだということを私、指摘したと思います。  そこで、この与野党修正協議が今行われているわけですけれども、残念ながら、今回それは合意できなかった。ほとんどの部分は合意できたけれども、特に三条に関連して合意できなかった。残念なことだと思います。  そこで、これはどうしても、やっぱりこの仮払いができるということに政府・民主党がちょっとこだわり過ぎているんじゃないかなと思っているんですね。その点について先ほど官房副長官の方でいろいろ答弁をされておりましたけれども、やっぱり私は、この国の責任ということを副長官もまず第一だと、そういうことをはっきりとおっしゃっていながら、結果的には国の責任の仮払いをするというふうに明記するまでは踏み込めなかった。  その点について、和田政務官の方で、するということをなぜ言えないのか、その点について見解をお聞かせいただければと思っています。
  81. 和田隆志

    大臣政務官(和田隆志君) 藤井委員にお答えいたします。  せんだっても質疑でやり取りさせていただきましたので、少しそこから、今日の御議論を聞いておりまして、私なりに、もう少し柔軟性を持ってお答えせよとのことでございますので、できるだけその意に沿えるようやってみたいと思います。  できるか、するかということを論点に与野党で御協議なさったというふうに聞いておりますが、そこの部分でいうと、相当大きな概念の論点であり議論であろうというふうに私ども受け止めております。  それといいますのも、せんだっては被害者方々を、一日も早く資金をお届けして生活を再建していただくという目的意識は政府にも与野党にも共通に持っているところでございますけれども、その資金のお届けの仕方として実際に今御議論になっているのは賠償資金でございます。今、提案者皆様方が、先ほども荒井先生の方から分かりやすい御説明があったところですけれども、お考えになっておられるのは、東電賠償責任を否定はしないんだけれども、つまり今原賠法上は一義的に事業者責任は掛かっていますので、そこは否定しないんだけれども、一刻も早く被災者の方々お金を届けて、それを生活再建に役立ててもらう必要があるというふうにおっしゃっておられますので、私なりに今お聞きしてみて思うのは、そこが賠償資金であると、賠償資金として弁済されるものであるということをお考えになっている限り、国として柔軟性を持つに持てないということなのではないかというふうに思います。  原賠法上、そういうふうに定義が置かれているものですから、政府に立った者としましては与えられた法律の枠組みで考えざるを得ないものですから、そこから先はやっぱり難しいものだというふうに考えています。
  82. 藤井孝男

    ○藤井孝男君 やっぱり柔軟性が全くないというか、本当にまあ残念なことですよね。  結局、先ほどどなたかも、財務省の影があるんじゃないかだとか、主体性がないだとか、そういうことと同じことをやっぱり和田さん、おっしゃっているんですね、政務官ね。ということはどういうことかというと、これは言い換えれば、これは何度ももう皆さん方質問をしておりますけれども、要するに、賠償の範囲が広くなるんじゃないか、大きくなるんじゃないか、そういったことを心配しているということになってしまうんですね。そこが私はおかしいと思うんですよ。まずはやっぱり、それで、一方では被災者の救済が最優先だと言いながら、結局、最終的には東電に任せきりという形になっているんですよ。私は、何度もその他の委員のを聞いていても、結局、国の責任を曖昧にして東電に任せきりだというのが政府・民主党の実態じゃないかというふうにまた感を今日深めたんですよね。  その点について、また御意見あれば、簡単に。
  83. 和田隆志

    大臣政務官(和田隆志君) まず、賠償の範囲を曖昧にしようとしているのじゃないかという御質問に対しては、そうではないというふうにお答えしたいと思います。つまり、どんな被害にせよ、賠償されるべき範囲と資金の額というのは、きちんと最終的に司法の場でも解決すべき話でございまして、それを負担するのが東京電力なのか国なのかという仕切りの問題であろうというふうに思います。  それから、今、国が被災者の方々のことを本当に一義的に思っていないのではないかというふうにおっしゃいましたが、もし本当に国が被災者の方々のことを最優先で、お金を届けるということを目的として最優先で取り組むとすれば、私自身考えているのは、賠償資金ではなくて、まさに支援金だろうと。予算で配分するお金として工面する方が最も早いのではないかというふうに思います。  そういったことを立法府の皆様方の中で、実際に国民皆様方の税金を使うわけでございますので、そこをどれだけ使ってよいのかどうかということは、是非立法府の方でしっかりとお決めいただくべき話だろうというふうに思います。
  84. 藤井孝男

    ○藤井孝男君 今、仕切りの話と言われましたけれども、何度もまた言いますけれども、被災者の救援が最優先されると言いながら、結局は東電に任せきりと私言いましたけれども、それに反論されましたけれども、結局は、何といいますかね、そういうことをもし今政務官答えられるのなら、賠償金、国がもうまず払って、そしてそれを後で東電請求すればいいことで済むことじゃないですか。私はそう思いますよ。  荒井発議者に、その点について何か見解あればお願いいたします。
  85. 荒井広幸

    委員以外の議員(荒井広幸君) 全く同感でございます。  先ほど山下委員からもありましたけれども、まずこちらに用意しましたのは原賠審査会ですね、紛争審査会の規定でございます。ここは何と書いてあるかというと、藤井先生が先ほど来から御指摘される要点にかかわります。「一定期間ごとに支払いをしたり、請求金額の一部を前払いするなど、合理的かつ柔軟な対応が東電に求められる。」と書いてあるだけなんですね。その柔軟な対応も、先ほどお話ししたように、官房長官は自発的に指針にかかわらずやりなさいと言いながら、やったかやらないか分からない。そして、先ほどのように大変漏れている。  そして、今度、政府が衆議院で出している法案は、きれいなことを三つ書いておりますが、どこにも、資金をつくってそれを交付する業務を行うことにより原子力損害賠償を迅速かつ適切な実施をすると書いてあるだけで、具体的にどのような迅速かつ適正なことをやるかというのは一切書いていないんです。お金あればできるだろうと言っているだけなんです。できてこなかったということでございますから、藤井先生がおっしゃるとおり、まさにそのところがポイントでございまして、法律に不備があるんです。  しかも、極めてこれだけ例外の中において、後で気が付いたこともあるんです。国が責任を持って対処しなくちゃならないんじゃないかと、まずは。その後に、お金の捻出の仕方は、先ほど浜田議員からありましたように、別な機構のスキームもあれば、補正予算もあります、後でその議論をしてもいい。これを一緒くたにしようしようとするから通らないんだろうと思うんです。  最後になりますけれども、そういう観点でまいりますと、国の責任とはこれは何ぞや。ひとえに法の不備でありますから、国民の側、被災者の側に立った立法府が法律で明記をするということの責任であります。
  86. 藤井孝男

    ○藤井孝男君 私は、今、荒井発議者答弁されましたけれども、要するに余り難しく考えないで、やっぱり、要するにそんなに政府の考え与党考え民主党考え方と我々提出者の考え方は変わらないんですよね。だから、冒頭にも申し上げた、先日申し上げた、やっぱり知恵をお互いにどうやって政治は出すかということです。  しかし、今日これ、法案、このまま採決してこの委員会で可決され、あしたの本会議で通って衆議院に送られる。衆議院では今閣法をやっていますよね、支援機構法。これも修正協議をやっている。これ、どこでどういうふうに修正するのか。ここをしっかりやっぱり政務官、それから民主党の皆さん方、政権政党の皆さん方、よくそこを柔軟性を考えて対応してもらわないと、これはとんでもないこと。行き違いで、向こうからそのまま修正なしで送ってくる、こっちから送った、両方ともで、また両院で否決された、これほど被災地にとってこんな悲劇なことはありませんから、どうかそういう意味においては、是非いい知恵を出して、この法案がいい意味で被災地のためになり、またそれがひいては将来の原子力行政にも大きく寄与することを念じて、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  87. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 社会民主党・護憲連合の吉田忠智でございます。  加害者である東電被害者にきちんと補償するよう政府が求め、東電が迅速に応じていれば、そもそもこの法案は不要だったわけでありまして、両者には猛省を促したい、そのように思います。  まず、政府に二点お伺いをいたします。三十キロ圏外住民に対する支援についてでございます。  私も社民党の調査団の一員として東電福島原発の三十キロ圏内及び圏外の福島市内を調査をして、関係者方々の話を聞いてまいりました。それから、その後福島原発事故三十キロ圏外避難者の支援を求める院内集会にも参加をしまして、幼い子を連れて放射能から逃れてきたお母さん方の訴えを聞かせていただきました。    〔委員長退席、理事藤原良信君着席〕  三十キロ圏外でも福島市の東南部などは、既にチェルノブイリ事故で移住を余儀なくされた五百五十五キロベクレル・パー平米を超えているところもございまして、小さいお子さんや妊産婦の方を中心に多くの住民が避難をしておられます。  お手元のこの文部科学省による航空機モニタリングの結果、この薄い水色のところが三百から五百キロベクレルの範囲にあるわけでありまして、これだけ広がっている、汚染が広がっているということを示しているわけであります。しかし、政府が直ちに健康に影響はないと繰り返したため、避難区域、計画的避難区域、そして緊急時避難準備区域ではない地域からの避難者の方は、自分さえよければいいのか、身勝手だという社会的差別や偏見に苦しめられています。また、放射線に着目をしたような義援金もありません。何ら生活支援もありません。そして、避難はされたけれども、夫が福島県内にとどまっているので二重生活になり交通費が生活を圧迫しているなど、三十キロ圏外避難者は精神的にも経済的にもぎりぎりの状態に追い詰められております。  圏内の避難者ももちろんでございますが、チェルノブイリ事故の際、旧ソビエト政府でさえ汚染度に基づいて地域を三区分に分け、この裏側ですね、この資料の、こういう形でセシウム汚染の区分分けと対応ということで分けております。そして、ここに書いておりますように百八十五キロベクレル平米を超える地域からの避難希望者には経済的補償をしました。それでも百八十五キロベクレルを下回る第三区分の住民の多くが現在、がんや白血病で苦しんでおられます。客観的に見まして、旧ソビエト政府の方が現在の日本政府よりよほど住民の安全、命を守る立場であることは、本当に許し難い、恥ずかしいことである、そのように言わざるを得ないと、そのように思います。  そこで、政府にお伺いしますが、きめ細やかな支援のために早急にチェルノブイリ並みの段階的な汚染区分を導入すべきではないでしょうか。その上で、三十キロ圏外で避難をした方、これから避難を希望する住民に対して経済的、社会的な支援を行うべきです。特に、これは既に要望として私ども社民党も承っておりますけれども、一部自治体が自主的に取り組んでいる家賃補助、就学援助に加え、生活保護などの生活支援、雇用保険の待期期間の特例的な短縮、保育園や学校への転入支援など、原発被災者に寄り添った避難者サポートを提供すべきと考えますが、いかがでしょうか。
  88. 中山義活

    大臣政務官(中山義活君) ただいまベクレルを用いて今御質問がありました。  元々、この区域を指定したのは、二十キロというのは、まだプラントが安定していなくて水素爆発とかそういう可能性があったので、ここはまず逃げる時間と距離が必要だということで二十キロを指定したわけで、その十キロ先までは、今度はもういざというときに避難をしてもらう準備区域だということで、ここも指定をいたしました。  あとは、先生の御指摘のとおり、飯舘村の周辺は、ちょうどSPEEDIなんかで見ますと北西部にずっと広がっていると。この部分については計画避難準備区域ということで指定をいたしました。さらに、まだまだ高いところがスポットであるかもしれません。そういうところは徹底して調査をするということでございます。今言ったこの三地域については、いわゆる原賠法なりそういうもので完全に補償していかなければならないというふうに思っております。  それから、それ以外のところでも、今後、健康調査をこれからやりますので、そういうことによってどういう結果が出るか。私たちは、本当にこの国民の健康に関して私たちも同じ立場で、自分がそうなったらどうなんだろうという深刻な思いを持って対応しなければいけないと思います。健康調査に関しては、先ほど申し上げましたけれども、政府が責任を持って財政支援をいたします。ですから、今言ったような健康被害がないように私たちは徹底して努めていきたいと、このように思う次第でございます。  なお、保育園の話とか住居の話もありました。これはいわゆる災害支援法という法律がありまして、これの方で、福島県から三十キロ圏外の方で、警戒区域じゃない方であってもそれは当然我々は補償の対象にしなければならないというふうに思っております。とにかく、できる限りの仕事をしっかりしなければいけないと、このように考えている次第でございます。  なお、現地に本部長を送っておりますので、よく現場から意見を聞いているところでございます。
  89. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 残念ながらといいますか、チェルノブイリという過去の経験があるわけでありまして、そういう、この区分けと対応ということで、こういう形で対応されているわけでありまして、こういう区分をしっかりして、そして一つ一つの事例に当たってどうきめ細やかに対応していくのか、そういうことをしっかり示さないと、本当に国民の皆さんが不安を感じているんです。これは福島県内だけではありません。  七月七日の日に社民党も原発震災ホットラインというのをやりましたけれども、お母さん方から本当に深刻な心配をされた、それは関東の方も電話ありました、福島県の方も電話ありました。やっぱり万事、もちろん遅いんです、仮払いも遅いけれども、こういう一つ一つの対応が遅いんですよね。  一つ一つ本当は議論したいんですけれども、是非、そういう思いを受け止めて、こういう区分についてはもうこういう具体的な対応をする段階に来ておりますので、そのことを受け止めて早急に、もちろん健康調査も必要です、そのことを踏まえて迅速な対応をしていただきたいと思います。  次に、二点目、放射能汚泥を肥料にすることについて農林水産省にお伺いをします。  六月二十四日に農林水産省は、セシウム濃度二百ベクレル・パー・キログラム以下の放射能汚泥は肥料として地域を限らず流通させてもよいと、そして、来年度末までは生じた地域内で使用する場合に限り千ベクレルまで可能とする通知を出しました。セメントへの再利用も、他の材料と混ぜて百ベクレル以下の場合しか許可されていません。福島で出た放射能汚泥を福島で使用させて県民に更なる被曝を強いるのか、怒りと失望も広がっています。また、放射能対策に細心の注意を払ってきた西日本を含む全国の田畑に放射能がばらまかれることになり、全国の良心的な消費者、生産者から不安の声が上がっております。  ICRPも、放射線被曝は社会的・経済的要因を考慮に入れながら合理的に達成可能な限り低く抑えるべきであるとする原則を採用しています。放射能汚泥の拡散容認はこの原則に反するわけでございます。  放射能汚泥は国が責任を持って回収をし、低レベルの放射性廃棄物として処分する、処分費用は東電損害賠償に乗せる、これが筋ではないでしょうか。この通知は撤回して見直すべきだと考えますが、いかがですか。
  90. 篠原孝

    ○副大臣(篠原孝君) 吉田委員の御指摘、ごもっともな点も多々あるのではないかと思います。  我々、放射能に汚染された食べ物の場合も同じように考えました。ゼロの方がいいのは決まっているわけです。しかし、それだとやっていけない、食べるものがなくなってしまうと。基準値がなければいけないということで、食べ物についてはなかったわけですけれども、きちんとしたのはですね、ですけれども、ある程度の目安とするという数値がありましたので、暫定規制値というので、それでもって流通しているものは安全であるという、食べても、まあ汚染されていない方がいいんですけれども、その方が安全であるということで、やりました。  汚泥の汚染についても全く同じ考えで対応いたしました。ほっておくと、セシウムは親水性がありますので、側溝等に非常にたまっていく、それで土があったらそれが汚れる、ますます汚れていくということになるわけです。日本では汚泥を肥料として使っております。ですから、ある程度の規制値を設けなければいけないということで、基準を設定いたしました。  その基準でございますけれども、先ほど西日本というのがありましたが、広域な拡散は防がなければいけないということで、相当厳しい基準で、二百ベクレル以下に設定いたしまして、今御質問の中にありましたけれども、六月二十四日付けで通達を出しました。これは、相当長期に使用をしても事故前の農地のセシウムの汚染を超えることがないと。例えば、作付け制限、これをしようとしたわけです。幸いにしてというか、人が住めて作付け制限する土地はなくなりました。しかし、米の場合は、五千ベクレル以上に汚染された土壌では、もう作っても売れないものしかできないから作るなという基準をもう作っておりました。その五千ベクレルと比べれば、二百ベクレルというのは非常に低いんではないかと思います。    〔理事藤原良信君退席、委員長着席〕  それで、次に千ベクレルの問題ですけれども、これは水に流れていくというのがあります。二年間に限定いたしまして、千ベクレルで、ある集落あるいは小さな村、そこでもって使用をする限りにおいてはほかの汚染されていない地域を汚染することがないだろうということで、汚泥が一方ではたまっていくばっかりです。で、千ベクレル以下で、かつ、周辺の土壌の汚染、まだ土壌汚染マップはできておりませんけれども、八月下旬には土壌汚染マップができる予定でございます。それと照らし合わせて、二つの条件に合った場合はその地域内でもって使用をしていいということにした次第でございます。  この数値がどうかというのを、先ほど触れられましたALARAの原則でございます。なるべく達成可能な限りにおいて低い数字にしろということでございますが、我々は、原子力安全委員会の設定いたしました作業者の外部被曝の安全基準、十マイクロシーベルト・年というのを満たす数値でもって計算いたしました。これは、ALARAの原則でいいますと、あちらは一ミリシーベルト・年以下というのをやっておりますので、我々の数字というのは非常にきつい数字になっております。つまり、安全を相当見越しているということでございます。  農林水産省といたしましては、当然土壌汚染がこれ以上進むのを防がなければいけませんので、安全な汚泥肥料の確保のために基準をちゃんと守っていただくということに全力を挙げてまいりたいと思っております。
  91. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 市販されている一般の肥料が年間約一千万トン、汚泥肥料は百三十九万トンと言われておりまして、約一四%、化学合成肥料、それから窒素肥料の次に多いということでございます。  あえて、危険、この放射性物質が含まれているものをなぜわざわざまかなければならないのか、その基本的なやっぱり質問に答えてないわけですよね。篠原副大臣、なぜまかなきゃいけないんですか。確かに下水処理場で汚泥がたまる、その処理を何とかしてほしい、それ農林水産省に泣き付かれているのは聞いていますよ。おかしいんじゃないですか、基本的にそこのところが。
  92. 篠原孝

    ○副大臣(篠原孝君) 先ほど食べ物の例でちょっと言いましたので、繰り返させていただきますと、少しでも汚染されていたものは一切食べてはならないというのと、汚染された土壌は全く使ってはならない、ほっとけと。ところが、汚染土壌はどんどん一つのところにたまっていって、ほっとくと二百ベクレルが四百ベクレルになりというので、よくもう新聞等に出ておりますけれども、側溝に七万ベクレルとか二十万ベクレルとかになってしまっているわけです、ほっとかれるとですね。そういうことを考えた場合は、従来どおり、もちろん十万ベクレルを超えたものについては隔離するようになっております。しかし、汚染度の低いものについては従来どおりその近辺で使用していいということです。  それで、拡散の問題ですけれども、安い肥料です、重量はありますので、こういったものを輸送コストの関係からそう遠くに、福島の県の汚泥肥料が北海道、九州に行くということはまず現実的に考えられないのではないかと思っております。  ですから、ちょっとここで考えていただきたいんですが、私もチェルノブイリに行ってまいりました、四月下旬にですね。二十五年の経験があるわけです。汚染された土壌で、あるいは汚染された土壌で作られた作物を、食料を食べて生きていくためにどのような基準を設けてどのように暮らしていくかということを考えなければいけないんじゃないかと思います。それは、日本もいろいろ試行錯誤をしていかなければいけないと思いますけど、その一環として作ったものでございます。それで、これが吉田委員の御指摘のとおりやっぱり問題だということになったら、我々は変えていくことはその時点で考えてまいりたいと思っております。  ただ、ただいまのところは汚染土壌がどんどんどんどん増えてくる、これをどう処理するかと。軽微なものについては有機肥料として使っていくべきではないかという観点も加味してこういう基準を作った次第でございます。
  93. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 是非、見解が分かれるというか、ちょっと理解がしかねますけれども、是非再検討をしていただきたいと思います。  次に、提案者質問をします。自治体による東電損害賠償請求についてでございます。具体的な事例が出ましたので、そのことに即して質問をさせていただきます。  六月十六日に茨城県高萩市は、東電に対して、福島原発事故により発生した放射線量の測定や分析などを経費として二百四万七千六十二円の損害賠償請求書を提出したとのことでございます。自治体がこれら放射性物質にかかわる、放射線対策にかかわる業務増を理由とした経費を請求する最初のケースでありますけれども、まさに原子力賠償法の想定外のグレーゾーンに当たります。  こうした請求について、本法案はどのように対処をするのでしょうか。
  94. 礒崎陽輔

    委員以外の議員(礒崎陽輔君) お答えをいたします。  まず、地方公共団体の被災被害についても、これも原賠法あるいは民法の不法行為に基づいてしっかりとこれは東京電力賠償してもらわなきゃならぬのはまず大前提でございますが、本法が、じゃ地方公共団体の損害前提としておるかといいますと、それは正直言って想定はしておりません。おりませんが、仮に県が基金の中で県内の市町村のそういう損害も見てやろうということを考えれば不可能な仕組みではないと思っておりますが、そういうことを県がやった場合にも最終的にはきちんと東京電力に対して請求をするのが筋であろうと考えておるところでございます。
  95. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 そのことと関連して、前回もこのことを申し上げて、具体的な答弁までは求めませんでしたけれども、損害賠償請求権の行使についてでございます。  基金から被害者に補償された場合に、損害賠償請求権が行使をされずに、その成否が判明しなければいつまでもグレーな支出のままとなって国の求償権が成立をせず、そして東電の逃げ得を許すことになりかねません。で、自治体に東電の負担の肩代わりをさせる法案であってはならないというのが、先般そういう答弁もいただきましたし、提案者の御趣旨であろうと思います。そうであれば、被害者や自治体の負担も考慮した上で損害賠償請求権の行使を求めるべきではないかと考えますが、そのことについて見解を求めます。
  96. 礒崎陽輔

    委員以外の議員(礒崎陽輔君) お答えをいたします。  今質問者がおっしゃられたように、絶対この基金で東電の肩代わりを地方公共団体がやるということはしてはならぬということであります。それが大前提でございますが、まだその対象外というのがよく分からないわけですから、そういうことを言わずにまず被災者の救済を急がなきゃならぬということでこの基金があるわけでございますが。  この基金も、国がもう十分の十補助するというのが大前提でございますから、国の方にまず求償をするというのが前提でありまして、ましていわんや、地方公共団体が単独事業で行う部分で東電の肩代わりをしてはまず、もう一層悪いわけでございます。それがまず考え方であるので、規定のしぶりは地方公共団体の求償権まで考えておりませんが、地方公共団体が求償しなきゃならない場合にきちんと求償するのは当然のことでありまして、それはまさに先生のお考えと全く同じでございますので、御理解を賜りたいと思います。
  97. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 この法律がもし成立をした暁には、是非政令でそうしたところもしっかり盛り込んでいただきますように要望しまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  98. 亀井亜紀子

    亀井亜紀子君 前回の質問の続きをさせていただきます。  私、この法案については事前に佐藤先生に随分御説明もいただいておりまして、その思いは理解しているつもりです。ただ、私の疑問は、政府の方から機構法というものが出てきて、そして一つの原子力賠償というテーマに対して二つ法案がある状態、そのイメージがいま一つはっきりしない部分がありまして、そこが混乱のもとになっております。  そこで、前回、この法律というのは、政府案に対する対案であるのか、それとも政府の足らざるところを補う法案であるのか質問いたしましたら、この二つ法案は同時に存在し得る法案だというお答えでした。そして、政府案の方は機構にまずお金を入れるというインプット法案であり、皆様法案は被災者のために支払うアウトプット法案なんだという説明がありました。  私は、いろんな方がおっしゃる財務省の影がちらついているというのも、そう思います。今回、復興基本法のときもそうですし、復興が進まない一つ理由として、増税を約束しなければ助けないぞ、お金を出さないぞというような財務省の姿勢があることには非常に頭にきておりまして、しばしば闘っているのでそのおっしゃる意味も分かるんですけれども、ただ、片方がインプット法案、片方がアウトプット法案であるならば、これは、何というんでしょう、政府案が成立する、それがあるという前提でこの皆様法案は提出されていらっしゃるのでしょうか。もしそうでない場合、インプットが全く書けていないアウトプット法案というのもちょっと無責任ですので、その場合はどういう財源調達方法と基金の規模をお考えでしょうか。
  99. 佐藤正久

    佐藤正久君 亀井委員に御答弁させていただきます。  今、政府提出の機構法案東京電力支援するためにお金を入れるまさにインプット法案で、我々の提出している法案は被災者の早期救済という観点からのアウトプット法案と、前回説明したとおりでございます。  ただ、今回我々の法案は、政府の機構法が成立するということを前提にはしておりません。前提にはしておりません。東京電力さんが仮払いというものをやってもらうのは、それはどんどんやってもらって結構です。ただし、今までのいろいろ議論の中でそこがなかなかうまくいっていないということから、我々としては緊急措置として国が仮払いをするということを担保をしているものです。  私も福島県の出身で、私の実家の数百メーターのところにも体育館がございまして、まだ五百名以上の方が避難されております。本当暑いですよ。被災者は二十四時間被災者なんです。我々がちょっと被災地に行って帰ってくるのと訳が違って、ずっと被災者なんですよ。この暑い中、仮設の住宅にはもう入っていられない、室外機が熱くてどうしようもないという状況。だけれども、政府からの支援がない、東電からの支援がない、非常に困っている。だからこそ、今回我々は仮払いというものと基金と両方組み合わせて何とか救っていきたいというふうに考えています。  今回のその財源としては、当然、我々発議者の思いとしては補正予算というものも考えておりまして、今回、これから法案成立させていただきましたら、与党方々と相談をさせていただきながら補正予算の方に組み入れていただきたいというふうに思います。  金額的には、仮払いの方で約二千億円。基金については、これは非常に柔軟性を持たせて、特に、先ほど山下委員からもありましたように、指針というものは非常にやっぱり狭いと、曖昧ということもありますので、基金の方で対応しないといけないという思いから、基金の方は三千億。二千億と三千億という状況にしております。  そういう思いから、実は福島県の県議会の方でもやっぱり被災者に何とかこれをやらないといけないということで、国の仮払いと基金を併せた我々の法案、これは民主党福島県連もあるいは社民党福島県連も共産党福島県の方々も、全会一致でこれを何とか早く成立してほしいという意見書まで総理大臣あるいは両議長あてに出されているということでございまして、これと今回の法案機構法案とは、これは、それが前提となっているというものでなくて、これだけでも、予算、国が国庫から出すものですから、それが機構法案の財源を当てにしているというものではございません。
  100. 亀井亜紀子

    亀井亜紀子君 修正協議で何があったのか、どこで決裂したのかということを先ほど伺いました。  この原発事故が発生してから、政府はごく初期のころから一義的には責任東電にありますと、そして次に、国がやはり国策であったので補償しますというような見解を示しています。恐らくそれに沿って、その三条のところで一義的には東電ということで、その役割分担で順番を決めようとしたのではないかなと私は思うんですね。それに対して皆様法案は、いや、そうじゃなくて国が前面に出ていくのですと、なので順番は決めないでくださいということで折り合わなかったのであろうと思います。  ということは、皆様のお考えは、機構に政府から資金が入っても東電はきっと賠償しないであろうと。政府側は、東電がまずお金が確保できないと賠償したくてもできないからその資金を手当てしなければいけない、その際、東電に直接お金を入れたら東電救済していると言われるから、機構というものをつくってそこにお金を貸しましょうと、そこから賠償資金に使ってもらって、最後また返してもらいますよという仕組みですね。で、交付国債というものを出してくるわけなんですけれども、皆様の場合は、そうやって東電資金繰りがある程度政府によって確保されても、それでも支払は遅いですよと、東電はそんなに払えませんよと、だから国がどんどん払ってあげて後で求償しましょうと、仮にこれが求償がスムーズにいかないとしても、それは国策であったんだからとにかく国が補償をするべきなのですと、幾らぐらいになるか分からないけれどもそうするべきなのですというお考えでしょうか。  この場合、東電をすごくやはり悪者にしなきゃいけないわけでして、資金繰りが付いても払いません、そして、そういう会社であれば、国がどんどん代わりに仮払いをしてくれるのであればこれは助かりましたと、なるべく後で求償されたときに少なく払いたいということもあり得るわけなんですけど、その辺はいかがお考えですか。
  101. 浜田昌良

    委員以外の議員浜田昌良君) 亀井委員にお答えさせていただきたいと思います。  まず、後段の求償できないんじゃないかという点につきましては、かなり今回の与野党協議でほとんど求償できるという形をつくろうということは合意をしまして、例えば、東京電力はどう求償に応じるのかという考え方、それに基づいて政令を作るとか、作った政令ごとにどういう資料があれば求償に応じやすいかとか、そういうやり取りをする。そして、事務手続上も農協、漁協から集まってきた資料をもう一度東京電力でチェックをしてもらう、求償の。そういうチェックをしながらほとんど求償できるものに近づくと思います。そういう意味では、どんどん国が仮払いして求償できなくなるという懸念は相当、ほぼゼロに近づいてきていると思っております。  では、支援機構法案で本当に仮払いするのかどうなのかという、どう信じているんだということについては確かに我々は懸念があるんです。  というのは、これは七十六条あるんです、支援機構法って。七十六条あるのに仮払いという言葉は一回も出てこないんですよ。これ、作られるのなら、なぜ政府は仮払いを促進させるという言葉を入れなかったんでしょうか。それを入れてほしかった。我々は、たった十六条の条文ですよ。四分の一しかない。しかし、仮払いという言葉が二十六回書いています、それは国の責任でやるべきだということで。それをなぜこちらに、書かなければ、結局、紛争審査会指針で仮払いを要請してみたいな感じに書いていますけれども、法的安定性は全くないですよね。  だから、本当、お金の問題、例えば二兆円、交付国債があるかもしれないけれども、ある東京電力の方が来られましたですけれども、そのときには賠償が大変でという話も一部しますけれども、一方で言われたのは、いや、社債を七千五百億円返さなきゃいけないんですと、また、燃料は原発止まったので七千億円、LNGにプラスアルファ掛かるんです、これ一兆四千億円掛かるんですと。あの二兆円はどこに行っちゃうんだと不安になるわけですよ。  そういう意味では、いろんなことを言われるんですけれども、そういう意味で我々はそんなときでも必ずできるというための法案は必要というので作らせていただきました。
  102. 亀井亜紀子

    亀井亜紀子君 今まで東電救済スピードが遅かったというのは確かだと思います。政府はこの機構法が通れば資金繰りも付くしスピードは速まるのだということを言っているわけですけれども、皆様法案で仮払いをするにしても何らかの基準は必要ですよねという質問に対して、基準は同じものを使いますということだったので、そして一方、政府側の答弁では、その明確な基準がなかったことが今まで補償のスピードが遅かった、仮払いが遅かった原因ですというふうに言われたんです。そうすると、その違いというのは、同じその紛争審査会基準を使うのであれば、政府案とこの法案との違いというのは、補償が厚くなると、例えば二百五十万円の上限が取れるということでその補償の厚みは変わってくるけれども、対象拡大にはそんなにならないのじゃないかと思ったんです、前回の答弁で。  どちらにしても政令で定めるということですけれども、この政令を作るまで大体どのぐらい時間が掛かるんでしょうか。これは担当政務官にお伺いいたします。
  103. 和田隆志

    大臣政務官(和田隆志君) お答えいたします。  今の御議論を踏まえてお答えするとすれば、私どもが考えている、お支払に必要な請求書の類いから始まっていろんな基準を明確に定めるという意味政令を作るのであれば相応の時間が掛かるというふうに御認識いただければと思います。  恐らく、提案されている方の側の御趣旨は、仮払いをとにかく一刻も早くやるということで簡易な非常に明快な基準を設けようという御趣旨なのかも分かりませんが、そこは、政府がお支払いした後、求償権を東京電力に持つ以上は、そこの求償権をしっかりと即座に行使できるだけ固めておかなければいけないという趣旨の下にしっかりとした政令を定めなければいけないと。  そして、この前お答え申し上げましたが、そういった手続を踏むのにはパブリックコメントを要するというふうに考えておりますものですから、そういった手続を全部我々が必要だと考えている以上は時間が掛かるというふうに御認識いただければと思います。
  104. 亀井亜紀子

    亀井亜紀子君 ですから、つまり、この法案が通ったとして本当にスピードアップするのかというところも私はまた疑問があるんですね。それでいろいろと考えておりました。  前回、二つのポケットができるからこの二つ法案が同時にあることはいいことなのですというような趣旨の御答弁があったのですけれども、恐らく、被災者の側に立ったときに、やはり代理店が二つあるようなものなので、東電ルートと国ルートと、そうすると、当然、どちらが得か、どちらが早いかということになって、うわさが広まっていく中で、こっちから請求する方が早いだろうとか、片方で断られたらもう片方で再トライするとか、いろいろそういうことも起こり得るのかしらと思ったんですけれども、その辺の可能性についてはどうお考えでしょうか。
  105. 浜田昌良

    委員以外の議員浜田昌良君) 亀井委員にお答えさせていただきます。  まさに前回その点が大きく議論になりました。おかげさまで、これは与野党協議の結果でほぼ解決に近づきました。  といいますのは、東京電力がやるものと国がやるものを分けようという発想なんですね。つまり、国も、東京電力がどんどん仮払い補償金をするものは国がする必要はありませんから、それは任せようと。例えば、いわゆる精神的損害、月十万円、これは、どこに住んでいてどこに避難していたかと一目瞭然ですから、多分東京電力さんはされるでしょう。そういう場合は東京電力さんにお願いすると。  一方で、風評被害であったり、そういう基準、確かに同じ紛争審査会指針を使うんですけれども、その指針でも明確になっていないんですよね、どう計算するかというのは。それこそ、役所の全ての知見を使って、観光業であれば観光庁とかで、そして中立の立場からその基準を早く作って、東京電力と農協とか、そういうところで話し合うと、最終の損害賠償の当事者ですから、なかなか議論も進まないかもしれない、仮払いで変に合意してしまったら最終損害賠償に影響するかもしれぬと、そういう思いもありますので、まず国が早く知見を使って基準を作ることが早期仮払いになるということで、まず二つのポケット問題を解決しましたし、早期支払もできるということに大分進めさせていただきました。
  106. 亀井亜紀子

    亀井亜紀子君 これは私の思いですけれども、やはりその機構法の足らざるところを補って一本のきれいな法律にできれば一番いいような気がいたします。それが私の今の思いです。  以上です。ありがとうございました。
  107. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  本法律案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本法律案に対する意見を聴取いたします。高木文部科学大臣
  108. 高木義明

    ○国務大臣(高木義明君) 参議院議員佐藤正久君外九名提出の平成二十三年原子力事故による被害に係る緊急措置に関する法律案につきましては、政府としては反対であります。
  109. 柳田稔

    委員長柳田稔君) これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。(発言する者あり)御静粛にしてください。審議に差し支えますから、長谷川君、静かにしてください。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  110. 相原久美子

    相原久美子君 民主党・新緑風会の相原久美子でございます。本日は御苦労さまでございます。  本法案、ちょっと長いので、本法案とさせていただきます。  本法案に対しまして、まずは反対の立場から討論をいたします。  東京電力福島第一発電所の事故については、原子炉の一刻も早い冷却、安定化、これを実現するとともに、被害を受けられておられる方々に対して迅速かつ適切に損害賠償を行うことは論をまちません。  東京電力による仮払いは、約五万四千世帯に対する第一次仮払いがほぼ一巡し、今月中に第二次仮払いが開始する予定です。東京電力は、当初四百人でスタートした体制を一千人に拡大し、農林水産事業者中小企業に対する仮払いも進みつつありますが、今後更に仮払金支払を促進する必要がございます。  このように、仮払金支払促進による被害者方々の迅速かつ適切な賠償を進める必要性の認識については我々も完全に一致いたします。しかしながら、本法律案には次に述べる問題点があり、実効性に大きな疑問があります。  第一に、本法律案では、仮払金支払をめぐる国と東京電力との役割分担関係が不明確です。東京電力と国と二つ窓口ができ、被害者から両者に請求が行われた場合の東電と国、あるいは皆さんが申されているようにJAなどの委託先との調整など、実務上の混乱が予想されます。すなわち、本法律案では、請求を受けると国が必ず支払うこととされていますが、その場合、東京電力は重複支払や過払いを避けるため支払を控え、かえって被害者救済を遅らせるおそれがあります。  第二に、本法律案では、国は支払った仮払金東京電力請求することとされていますが、国の請求東京電力が必ず応じる保証がありません。東京電力請求に応じなかった分は法律的に国民負担とならざるを得ないために、国は東京電力から回収できないことを懸念して仮払いを慎重に行わざるを得ず、迅速な支払が妨げられます。  第三に、本法律案は、仮払い支払に関する事務を都道府県知事に委託する規定がありますが、これは被災地の自治体に追加的な負担を掛け、復旧復興を遅らせるおそれがあります。福島県は、六月十五日の緊急要請で、損害賠償の枠組みの構築に当たっては、地方公共団体に人的、財政的な負担が生じることのないようにすることを求めています。福島県も説明会の開催や申請書の配付は現在も行っておりますので、この規定を設けても問題ないとの主張でございますが、現在行っていることを行うためだけに新しい法律は必要ありません。この法律は、福島県に更なる負担を課すことになるかと思われます。  第四に、本法律案は、仮払金支払等にかかわる事務を全て文部科学大臣に負わせることとするものになっております。文部科学大臣だけで迅速かつ適切な支払をすることは困難でございます。実際に発生する業務に応じ最も適切な大臣支払業務を行うのでなければ、実効性ある仮払金支払は困難だと思います。  第五に、本法律案は仮払いの骨組みだけを規定しており、対象損害の範囲、仮払金の算定方法、必要書類等、実際の仮払いに必要な事項の大半を政令に委ねている反面、法律の公布から十日後に施行するものとされています。政令制定の際には、何十以上の賠償項目の被害額の算定ルールなどについて専門家の意見などとともに作成する必要がございます。また、既に東京電力が千人体制で取り組んでいるコールセンターや支払審査機関などの新たな組織づくりが必要になります。これらを公布後十日以内に終えるというのは到底不可能でございます。実際の仮払いをうまく機能させるための真摯な検討を欠いた規定と言わざるを得ません。  以上、野党提出の本法律案は、被害者のための仮払金の早期支払を追求しながらも、それを可能とするための基本的な制度づくりを全く欠いたものと言わざるを得ません。お互いの共通認識となっていたものの、協議が調わなかった、この点について残念に思います。  そもそも、被害者の十分な救済のためには、いつまでも仮払いを続けるものではなく、速やかに本格賠償に移行することが必要不可欠であります。この観点から、既に国会に提出されております原子力損害賠償支援機構法案を速やかに成立させ、そして被害者方々への迅速かつ適切な損害賠償のための万全の措置が講じられるよう、それを政府、そして東電にも更なる努力を求め、反対討論とさせていただきます。
  111. 佐藤信秋

    佐藤信秋君 佐藤信秋でございます。  私は、公明党、みんなの党、たちあがれ日本・新党改革、自由民主党を代表して、平成二十三年原子力事故による被害に係る緊急措置に関する法律案、早期救済法案に賛成の立場で討論を行います。  あの震災から四か月たちました。瓦れきは山積みし、被災民の多くが、この猛暑の中、多くの方々が悲しみ、苦しみに耐えておられます。深甚なるお見舞いを申し上げます。  原発事故被害に遭われている方々への東京電力からの仮払い補償金は、その対象が限定され、金額についても被害者の悲惨な状況の現状に合ったものでなく、迅速かつ適正な救済とはなっておりません。まさしく政府の救済策が遅い、狭い、不明確なのであります。民主党の閣僚の中からさえ、総理御自身が、俺が全部責任を持つ、だから思い切ってやれと、そう言わないと組織というものが動かないと批判されている状態です。  私たちは、国が果たすべき役割を明確にして、一刻でも早い救済のため、本法律案提案したものであります。  民主党皆様も我々の法案に対して幾つかの修正を求められました。おおむね了解し合えたと言ってよろしいんだと思います。ただ、肝心の一点、残りました。法案では、被害者にとって仮払いが行われることが明確に示されることが必要であり、さっき申し上げた、国が責任を持つから頑張ろうと、こういう呼びかけが必要なんです。この点を明確にしております。  民主党皆様修正案を見せていただくと、最後修正案、実は修飾語を取ってください。修飾語を取りますと、国は原子力事業者が金銭の支払を行わない場合において仮払金支払う、こうなっておる。修飾語を取ってみたらすぐ分かる。これは、この規定では、国は仮払いしません、東電支払わなくなるまで。この修正を受け入れたら被害者救済には縁遠い、こういう規定になります。まさか本心でそう思っておられるわけじゃないと思うんですが、これは国の責任逃れになります。  また、応急対策の基金というのは、これはもうどうしても必要なんですね。いろんな漏れがあります。市町村や県が独自にやっていることがたくさんあります。数え上げれば切りがありません。だから、被害者からも、福島県、県議会からも法案の早期成立が望まれています。にもかかわらず、今申し上げたようなところで政権与党民主党の皆さんが何で反対されるんでしょう。被害者の現状を見るにつけまして、その救済策に反対される、この理由は私には本当に全く理解できません。残念であります。  私もしょっちゅう、週に一回は現地に行かせていただいています。だからこそ、この法案へ反対することなく、ただ単に政権の延命、こういうだけでは国民の生活が守れない、顧みない、こういう無責任政権、こういうのをさらけ出している、こういうことだと思います。いわれのない苦しみ、これに耐えておられる避難民被害者の皆さん、この生活をどう考えておられるか、これまず第一に考えないといけません。  民主党の皆さん、半分はほとんど賛成したいんだと思いますが、本当に賛成してくださる方がおられるんじゃないかと思いますが、猛省を促して、私、賛成の討論とさせていただきます。  ありがとうございました。
  112. 山下芳生

    ○山下芳生君 私は、日本共産党を代表して、平成二十三年原子力事故による被害に係る緊急措置に関する法律案に対する反対討論を行います。  東京電力福島原発事故から四か月が過ぎ、被害者の深刻な状況を踏まえれば、一刻も早く全面的な賠償が行われなければなりません。福島原発事故責任は、事業者である東電と、国策として原発を推進してきた国が負うべきであります。東電賠償の第一義的責任を負い、国は東電に対して全面賠償責任をとことん果たさせることです。  その際、次の三点を基本にすべきであります。  一つ、紛争審査会指針に限定することなく全ての損害賠償の対象とすべきこと、二つ被害者に対する一刻も早い仮払いを実現するために、必要な場合は国による支払を行うこと、三つ、被害者被害業者の請求については全額賠償の対象とすることを基本とし、賠償の対象とならないことの挙証責任東電が負うべきこと、この三つの基本に照らし、本法案には次のような問題があります。  法案は、国による仮払いを紛争審査会指針に示された範囲に限定しています。これでは、東電が行っている仮払いと同様、指針に入らない損害は国による仮払いの対象外とされてしまいます。現在の東電の仮払いが遅い、狭い、少ない原因は、指針に基づいているからです。国によって仮払いを行うのであるなら、指針に限定されることなく仮払いを行うべきであります。  以上の点を指摘して、反対討論を終わります。
  113. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 社会民主党・護憲連合を代表して、平成二十三年原子力事故による被害に係る緊急措置に関する法律案に賛成の討論を行います。  賛成の理由は、本案の立替払のスキームにより、被害者への迅速な補償が可能となるからであります。原発事故が起きて四か月が経過をしました。千二百億円は原子力損害賠償法に基づく政府補償金として必ず支給されるにもかかわらず、東電はいまだに六百億円しか仮払いをしておりません。加害者である東電が適切に被害者に補償し、政府がこれを確実にしていれば本法案は不要だったわけで、東電及び政府には猛省を求めます。  また、法案に基づく基金により、原子力損害賠償紛争審査会指針に盛り込まれていない被害についても、損害賠償請求権の法的な決着を待たず早期に補償することが可能となります。三十キロ圏外でもチェルノブイリ事故で移住を余儀なくされた地域を超える放射線が検出され、小さいお子さんや妊婦の方を中心に多くの住民が避難しています。しかし、政府が直ちに健康に影響はないと繰り返したため、三十キロ圏外避難者は身勝手な自主避難者などのレッテル、差別や偏見に苦しんでいます。十分な支援もなく避難が長期化する中、もはや我慢の限界を超えたとの声も聞かれます。こうした皆さんへの一刻も早い支援を求めます。  仮に原子力損害賠償機構法案成立し、二兆円の交付国債が発行されたとしても、それを東電が迅速に補償に充てる確証はなく、本法案のスキームが無駄になることはないと考えます。  なお、法人としての東電、役員個人が刑事責任を問われる可能性もあるところ、発議者からは、本法案成立によって結果的に東電による損害賠償支払が遅れたり免責されるような事態は絶対にあってはならないとの答弁をいただきました。東電への求償を確実にするべく、まず第一に、負担には配慮しつつも、被害者や自治体に損害賠償請求権の行使を求めるべきであります。  二点目として、十四条二項を基金から特定原子力損害に係る支出をした場合は求償権を行使するものとするとすべきであります。これらの趣旨を政令に盛り込むよう求めます。  昨日、菅総理は脱原発を表明いたしました。総理が表明した以上、政府方針として政府・与党全体が取り組むことになります。社民党はしっかりとした脱原発ロードマップを作成するよう求め、必要な協力は惜しみません。発議者からは、かつて政権党として原発推進政策を取ってきたことを反省し、今後は可能な限り原発への依存度を減らしていくとの答弁をいただきました。そうであれば、自公を始め各党が具体的な脱原発ロードマップの中身について政策で競うことを望んでやみません。  本法案につき修正協議が調わなかったことは極めて残念であります。被害者への迅速かつ十分な支援を求める我が党は法案に賛成いたしますが、参議院で可決したとしても、それを政争の具とするのではなく、これを機に原発事故被害者への支援、原発震災からの復興に与野党を問わず政治が一丸となって取り組めるような環境を実現するよう、各党の協力を求めます。  以上をもって本法案に対する賛成討論といたします。  ありがとうございました。
  114. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  平成二十三年原子力事故による被害に係る緊急措置に関する法律案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  115. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時七分散会