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2011-06-16 第177回国会 参議院 東日本大震災復興特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十三年六月十六日(木曜日)    午前九時三十一分開会     ─────────────    委員異動  六月十五日     辞任         補欠選任      秋野 公造君     竹谷とし子君      又市 征治君     吉田 忠智君  六月十六日     辞任         補欠選任      加賀谷 健君     大野 元裕君      神本美恵子君     松野 信夫君      藤田 幸久君     姫井由美子君      舟山 康江君     大河原雅子君      大門実紀史君     田村 智子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         柳田  稔君     理 事                 岡崎トミ子君                 金子 恵美君                 小西 洋之君                 藤原 良信君                 岩城 光英君                 佐藤 信秋君                 森 まさこ君                 長沢 広明君     委 員                 相原久美子君                 岩本  司君                 大河原雅子君                 大野 元裕君                 加賀谷 健君                 郡司  彰君                 今野  東君                 主濱  了君                 姫井由美子君                 平山 幸司君                 藤田 幸久君                 舟山 康江君                 増子 輝彦君                 松野 信夫君                 山根 隆治君                 愛知 治郎君                 赤石 清美君                 岡田  広君                 川口 順子君                 佐藤 正久君                 高階恵美子君                 長谷川 岳君                 牧野たかお君                 山田 俊男君                 竹谷とし子君                 横山 信一君                 小熊 慎司君                 松田 公太君                 田村 智子君                 大門実紀史君                 藤井 孝男君                 吉田 忠智君                 亀井亜紀子君    事務局側        常任委員会専門        員        五十嵐吉郎君        常任委員会専門        員        櫟原 利明君    参考人        株式会社日本政        策投資銀行地域        振興グループ参        事役       藻谷 浩介君        相馬市長     立谷 秀清君        法政大学大学院        政策創造研究科        教授       小峰 隆夫君        東日本大震災支        援全国ネットワ        ーク代表世話人  栗田 暢之君        京都大学教授   藤井  聡君        特定非営利活動        法人難民を助け        る会理事長        立教大学大学院        21世紀社会デザ        イン研究科教授  長 有紀枝君     ─────────────   本日の会議に付した案件東日本大震災復興基本法案衆議院提出) ○地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき  、現地対策本部設置に関し承認を求めるの件  (内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 柳田稔

    委員長柳田稔君) ただいまから東日本大震災復興特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、秋野公造君及び又市征治君が委員辞任され、その補欠として竹谷とし子君及び吉田忠智君が選任されました。  また、本日、神本美恵子君が委員辞任され、その補欠として松野信夫君が選任されました。     ─────────────
  3. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 東日本大震災復興基本法案地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、現地対策本部設置に関し承認を求めるの件、以上両案件を一括して議題とし、参考人皆様から御意見を伺うことといたします。  午前は、株式会社日本政策投資銀行地域振興グループ参事役藻谷浩介君、相馬市長立谷秀清君及び法政大学大学院政策創造研究科教授小峰隆夫君に御出席いただいております。  この際、参考人皆様に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多忙のところ当委員会に御出席をいただきまして、誠にどうもありがとうございます。  ただいま議題となりました両案件につきまして忌憚のない御意見を賜ればと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  本日の議事の進め方について御説明いたします。  まず、藻谷参考人立谷参考人小峰参考人の順序でお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、各委員質疑にお答え願いたいと存じます。  なお、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっております。  また、参考人皆様の御発言は着席のままで結構でございますが、質疑者は起立の上発言することといたしておりますので、よろしくお願いをいたします。  それでは、藻谷参考人からお願いいたします。藻谷参考人
  4. 藻谷浩介

    参考人藻谷浩介君) おはようございます。  では、座らせてやらせていただきます。  本日はお呼びいただきまして、ありがとうございました。藻谷でございます。  何の資格でここに来ているのかということでございますが、まず被災地域を一応通り一遍、北から南までよく事前に知っていたと。知っていたって、まあ場所が少なくとも旧市町村名で順番に言えてどこがどうなっているということが言えたというようなことからだと思うんですが、復興会議計画部会、下の方の会の委員をやっております。その過程で今日は恐らくお呼びいただいたと思います。  今回、復興に関してはあれこれマスコミなどで発言する機会がたくさんいただけましたので、総論についてはあちこちで話をしております。今日はもうごく絞って、十分程度ということで、特区について話を特に聞きたいという話を聞いておりまして、絞ってまいりました。  この震災復興特区というのは言葉が独り歩きしているけれども、実態がよく分からないものでございます。私も、提唱者本人、私が言い出したわけではございませんので、これ現場から見てこういうのが本当に必要かどうかについての意見を陳述させていただきます。  一枚めくっていただきますと、これもっとページを大きく書けばよかったんですが、右上に小さく、①と書いてある右上に小さい字で2と書いてあります。二ページ目でございます。二枚だけ、被災地課題というのを①、②ということで書きました。  実際には被災地は仙台市から野田村まで実に様々な大きさのところがございまして、また、今日いらしている相馬市のように強いリーダーシップを持ってマスコミには登場せずに粛々と進んでいるところもあれば、マスコミには出てくるけれども実は余り進んでいないところもございます。だから一概には全く言えないわけですが、恐らく市長さんからうちは違うぞという話が後であると思います。もう全体としての平均はこうだということです。  その中でも多々課題はあって、瓦れきとかいろいろあるんですが、今一番問題になっているものは、一に住宅、二にいわゆる医療福祉教育、三に雇用ということが地元でよく聞かれます。  住宅は、仮設が半分弱まで進捗し、そして本格住宅再建については早いところで七月上旬からどこに造るんだという計画市町村が出して議論が始まるということですが、そこから土地がどうやって手当てするんだ、住宅ローンをどうするんだという問題がその後で本格化すると思います。  二番目の医療福祉教育、二ページ目の下なんですが、これは地元で非常によく聞かれる声なのですが、広範に病院福祉施設学校が被災しております。それで、その中で公立のものについては市町村マッチング予算を出さないと再建ができないわけで、特に学校病院はそういうのが多いわけですが、特殊施設は。正直後送りになっていて、それどころではないといいますか、工事に手が付いていないように見受けられるところは大変多いと思います。  一ページめくっていただきまして、三枚目でございます。さらに雇用でございますが、水産施設が壊滅したところでかつ都市部に通勤可能ではない地域、具体的には石巻以北相馬以南でございますが、仕事がないので住民が出ていくということが、いっとき盛んになったというんだけれども、だんだんだんだん増えているんではないかと思います。ボランティアではなくて地元住民雇用してやるという自治体、先進的な例が多々あるわけですが、なかなかそれが進んでいない地域もありまして、かつボランティア住民雇用に変えた瞬間に、人件費誰が払うんだ、市町村お金はどうするんだという問題が出ています。  そして、その他、足元の問題点として書いたのが二つありまして、これも地域差はあるのですが、余り東京で報道されていない話として、三陸などで実はいまだに物資支援がちゃんと行っていないところがあるということを現場目撃談として聞いています。これは市町村がやっているはずなんですが、手が足りていないんですね、実は。あるんです、そういうことがあるんです。配られている食事の質に関しても、相馬市のように栄養士が最初から管理しているところもありますが、ほとんどのところでは栄養を考えずに緊急避難的に続いて三か月というような例が結構あるんです。  その一方で、それはマンパワーという手段で何とかしなきゃいけないんですが、県庁、県の部局縦割りで多数の予算メニューが下りてきています。これ善意です。何とかしろということで、たくさんの予算をやはり潤沢に付けるということで下りてくるのですが、従来それを市町村側が使いこなさなきゃいけないんですけど、そもそも役場、地域が壊滅しているような町の場合、それをもうやっている余裕がないということで、実際には使いこなせていないという大変大きな問題があります。  以上のような総括を経まして、四枚目から①から⑤にわたりまして、こういうことに対していろんな手が当然打てるわけでございますが、特区ということが何か役に立つかということを書いています。なぜ特区に絞るかというと、申し上げたように実態余りないまま言葉が独り歩きしているので、一応意味があるのであればこういうことかということで、整理してみました。  ①をちょっと二枚にわたって、四、五ページと書いております。これが私が一番重要だと思うんですが、各省庁の制度を市町村がそれぞれ利用するというのが従来の行政の仕組みで、しかも何とか基本計画を一年掛けて作ってから造るようなのが多いですよね。今それをやっている時間がないというか、病院学校再建は急務なんですが、実際にはないんですね。それで、御案内のとおり、町によっては、津波にかぶった学校をそのまま再建しようとして、PTAが怒ってほかの場所に移させようとしたというケースもあります。  それから、学校はまだいいんですが、特に介護系施設に関してはもうないので、体育館避難所でそのまま同居している。それからさらに弱者になりますと、障害者の方ですね、例えば脳性麻痺の方ですとかあるいは認知の方になった人とかが一緒に入っていて、そこは施設再建されないまま放置されているというのがすごく多いんですね。これは本当は従来の理屈で言うと一つ一つちゃんとやるべきなのでしょうが、実際はこれは進まないし、さらに三、四年たってからようやく今までどおり別々の場所にそれぞれ予算をもらって全然ばらばらに再建されるということになる可能性が高いと思います。  そこで、それに対して省庁統合窓口国交省が幹事になって設置するという、一歩進んだことを今やるわけ、と聞かれたんですが、一つ問題があって、その町でどこに何を造って何が必要でどこが無駄でどこを削るかという話は、やっぱり現場に立って考えないと一般論では分からないんですね。それで一々、結局最終的に個別予算のところに戻って折衝をしてという作業が結局発生してしまうんですね。窓口だけあっても、最終的に予算を出す個別の部局のところまで、霞が関まで行かないと進まないんです。  五ページでございます。  この課題に何か特区が使えるかということなんですが、運用緩和特区ということを考えました。すなわち、特区というのは普通は規制緩和でございまして、単純だと法令違反になることを取りあえずやるのが特区なんですが、私のここで言っている話は法令違反ではございません。法令どおりに本当はできることなんだけれども、法令どおりやっていると三、四年掛かることを三か月でできるように、もう現場で決めて、取りあえず大筋間違っていないことであれば進められるようにできないかということです。  ここで言っているのは、ネガティブリストという言葉を二行目に書いていますが、取りあえずこれだけはやめてと。それに反さない限り進めましょうと。進めておいて、後付けで、予算も取りあえず出しておいて、後付けでチェックをして大筋間違っていなければそのままオーケーというやり方で進めるべきじゃないか。  その際に、施設複合体にすべきではないかと。つまり、従来の予算ですと、やっぱり幼稚園保育園予算が別々に下りてきますので、別々の場所に、皆さんも思われませんか、幼稚園保育園一緒にできているのを御覧になったことありますか。東京でもほとんどありませんよね。だけど、別に、被災地で、人口も減って、みんなで一緒になってやるときに、一緒隣同士にあったり一つ建物が二つに分かれても誰も怒らないんじゃないかと思うんです。いや、原則はいかぬとか、いろんな議論はあるのかもしれませんけれどもね。あるいは、ここにありますデイケアセンター、よくあるのはデイケアセンター、元気なお年寄りが集まって昼間いるところと保育園がくっついているのはいいじゃないかということで、先行事例はあるわけですが、こういうのを意図的に同じ建物に造ったっていいはずだし、あるいは小中学校体育館が公民館になっているとか、いろんなことが実はあり得るので、この際、相乗り施設を造れるチャンスを増やした方が結果的に予算の合理的な運用になる、額の膨脹も防げるのではないかと思うわけです。  従来、これを阻んでいるのは、やはり役所の方が真面目に運用をやるので、例えば私が見た事例では、ある脳性麻痺の方とお年寄り介護デイケアセンター一緒になっている施設、有名なのが山口県にあるんですが、脳性麻痺の方の補助金デイケアセンター補助金を同時に使っているものですから、中にビニールテープで線を床の上に引いてあって、ここから先は脳性麻痺でここから先はデイケアセンターですと、無理やり、実際は同じ廊下なんですよ、廊下の真ん中に線が引いてあるんですね。そういうふうにしないと補助金を出した人が怒るとか、じゃ脳性麻痺の子供はこの線から右側だけ歩くんですかというと、そんなことはないんですけれどもね。そういう類いのことというのが真面目なお役人の方がやるんですね。そういうふうにならない、同じ厚生労働省の中です、それはですね。でも、あるんです。  ですから、これを何とか、地元特区事務局というのをやっぱりつくって、そこのところで、市町村はそこまで行けばもう調整ができると。後々は、そこから先、本当によほど変な違反がない限りは補助金が下りるということを何かやるべきではないかと思うわけです。これは運用緩和特区でございました。  さて、残された時間で、六、七、八、九、短く御説明します。  六番目、②課税特例措置柔軟運用。六ページ目でございます。  課税特例措置柔軟運用ですが、これ意外に反対が少ないんではないかと思うんですが、もう被災地では取りあえず企業復興しなきゃいけないですし、更に進んで企業誘致をしなきゃいけないんです。まだそれどころじゃないとおっしゃるかもしれませんが、既に動きは出てきています。  特に福島は、NHK番組にもちらっと出させていただいてやっていましたが、私が関西などに講演に行きますと、やはり福島で今人材が余っているので、あれを採りに、いや、こっちに来てもらうんじゃなくて、福島に工場を出したいという人に私実際にお会いした。二人知っています。ただ、そういうことをするときに、やはり税制優遇というのはあってもいいんじゃないか。これはありていに申しますと、被災地域発電所があるところは除いてそんなに大きな税源はございませんので、逆に減免したからといって国の予算がそんなに大きく傷つくという話では実はないですね、東京でやったら大変かもしれませんが。そこで、むしろ法人税含めいろんな税制優遇というのを被災地に限ってやるということは当然お考えになると思うんですが、そういうのを特区を設けてやったらどうかということです。  一枚めくっていただきまして、七ページでございます。あと七、八、九でございますが、まちづくり会社の活用、③まちづくり会社。  これも特区と並んで言葉が独り歩きしていて、何か怪しいなとお考えになっている方も多いと思うんですが、まちづくり会社自体は怪しくございません。実例もございます。昔、三セクと言ってやっていたものを天下りなしでやっているもので、世の中では今、指定管理者という形で非常に普及していますが、いろんな公共施設の運営を民間に委託すると。ですが、指定管理者と三セクの中間ぐらいで、一つかっちりとした、経理が透明で独立したことが、やっている内容は公社がやっているのと同じと、そういうのがまちづくり会社でございます。道の駅を運営するとか、財団がつくった旅館、町の旅館を運営している会社ですとか、そういうのも全部広義のまちづくり会社地域づくり会社というか、公共が昔ならやっていたものを民間経理基準で明快にやって、採算が独立で何とか取れるようにある程度補助金を入れてやるというものです。  これ、被災地においては市街地の再整備や漁港の再整備、あるいは道の駅みたいなものを造って集客交流、そういうようなことに使えると言われているんですが、当然ながら公共がやる本来の仕事ですので補助金が必要なんですが、まちづくり会社も複数の補助金をたくさん取ってきてうまく組み合わせて公正運用をしなきゃいけないということで、実はこういう難しいことができる人がなかなかいないんですね。それで広がりません。  それで、例えば被災地において住宅開発をして、その周りにコミュニティーカフェをつくって、いろんな新しいその町の小さい中心を運営するのを昔なら土地開発公社がやっていたのをまちづくり会社がやるというような話の場合に、そういう会社が関連する補助金をこの範囲だったらぱっと取れますと、大筋、これとこれをちゃんと満たしてくれれば申請してすぐこれるよという、そういう被災地専用のパッケージというものがあると話が進む。逆に、これがないと結局難しいので、全国に数人しかいないこういうのをちゃんと公正運用できる人が地元に入らない限り進まないということになります。これがまちづくり会社でございます。  そして、最後八と九でございますが、ばんそうこう型補助金運用、私がつくった言葉ですので、ばんそうこう型というのは何ぞやということなんですが、取りあえず臨時に何かに使えておいて、後々別の補助金の手当てがちゃんと付くようなことであった場合は自後でその補助金を持ってこれると。つまり、臨時市町村が何にでも使えて、例えば通常の補助金対象じゃないようなもの、よく分からないものに、もうとにかく必要なものに使う。例えば、漁民生活再建のために取りあえず漁船が足りない、臨時漁船を買って漁民に貸す、後々でそれは例えば漁民に買い取らせるとか、そういうふうないろんなことを自由にやる補助金お金を持たせ、後々その臨時に使ったお金の、漁民が例えば漁船買い取ってお金が戻ってくるとか、あるいは別の補助金が国から後で別途取れたので元使った補助金が浮いたときにはほかのものに使ってよろしいと。ばんそうこうというのはそういう意味なんですが、何かに臨時に張っておいて、治癒したら剥がしてまた別のところに張ると。本当のばんそうこうはそこでもう駄目になりますけれども、この補助金はそこで何度でもほかのに使えるというようなことはあり得ないのかということを書いています。  一括して自由に使えるお金を出せということで当然議論がされていますので、それでもいいんですが、自由に使え、かつ後々既存メニュー措置が落ち着いたところで取れた場合にはほかに活用できるということで、より自由に使えるんじゃないかと。逆に、既存メニュー補助金が下りるまで必要なことを後送りするのを防ぐのにこのばんそうこう補助金は有効ではないかと思った次第です。  最後の一枚です。  以上のような話は、しかし実際はその全部の市町村で同時に行くのが無理なんです。本当は被災者は全部にいるのでやらなきゃいけないんですが、誰かが先行してやっぱりブレークスルー、こうやって補助金を組み合わせて使ってこう運用するんだというのをモデルをつくった瞬間に、二番手、三番手はばっと動きます。一番手が出てこないとやはり膨大な事務コスト特区といっても発生します。  そこで、是非やる気のある自治体に、県と国の担当者が出ていって本部をつくって、そこでこういうことを一気に進めるぞというのを数か月以内にやられるのがいいんではないかと思うんです。本部をつくるという話があります。復興庁とかいう議論もありますが、これも東北に置くべきじゃないかという議論がありますけれども、まあ置くのはいいとしまして、現場対象市町村、まあ釜石か相馬か分かりませんが、そういうところに少なくともある程度権限を持っている課長クラスぐらいの担当者が集まって、そこで一通り物事は進めて、本部との連絡調整はそこに集まった県や国の担当者が自分でやる、市町村の人はそこから動かなくていいと、そういうやり方ができないのでしょうか。これが最後の⑤、一部市町村での取組先行ということに書いたことでございます。  以上でございました。
  5. 柳田稔

    委員長柳田稔君) ありがとうございました。  次に、立谷参考人お願いいたします。立谷参考人
  6. 立谷秀清

    参考人立谷秀清君) よろしくお願いします。  皆さんのお手元に資料を配付いたしましたけれども、私は、大分現実的な話になるんですが、相馬市の取組の中でこういうことは御支援願いたいという、それが特区という形で実現すればなお結構だと思っています。  紙を裏表でコピーしてきましたのでざっくり説明しますけれども、今、相馬市はあしたをもって避難所を閉鎖します。全員が仮設住宅へ移ります。  この仮設住宅で何が問題かというと、よく言われるのは孤独死ですね。これを我々はずっと念頭に置いてやってきました。この避難所対策、あるいは仮設住宅での対策ということを考えるのに、最終的な復興像というのを意識しないで例えば避難所のことを考えることはできないですね。やっぱり我々は次の死者を出さないということに対して情熱を懸けてきましたので、そのためには医療であり、栄養であり、あるいは自殺対策である、それをそれぞれやってまいりました。そのうちの何点かをかいつまんで御説明申し上げたいと思うんですが。  まず、避難所なんですけれども、避難所の栄養管理ということで、四月十八日から学校が再開したんですが、学校に給食室がありますね。お昼しか出しませんから、朝と晩は空いているじゃないかと。朝と晩の給食室を使って避難所の給食を作りました、食事を。そうしますと、避難所からおばちゃんを採用して、その人たちに調理やってもらうんですね。一日のある程度栄養も管理ができますから、そうしますと管理栄養士の手元でできることになるんです。まあ余談ですけどね、三食は出すんですが、そこに炊き出しチームがいっぱい来まして、結果メタボになってしまったと。  それを今度は仮設住宅に持っていきます。仮設住宅の場合は孤独が問題になりますから、一日に一回はみんなで御飯を取る機会をつくろうと思ったんですが、残念ながら仮設住宅の集会所がそれほど大きくないんですね。したがって、独居の世帯の方、相馬市は独居世帯と老老世帯、これが百十人いるんですね。この人たちをほっとくわけにいかないですよ。ですから、集合住宅にみんな集まっていただいて、そこで晩飯は一緒に食べると。朝飯、昼飯については、私、米を一人三十キロずつ持たせていますから、最悪の場合、米にしょうゆだけ掛けて、晩の御飯である程度しっかりしたカロリー取らせようと、栄養取らせようというふうに考えています。  このことの延長で、今度は集合住宅ですが、恒久住宅考えていくんですね。仮設住宅でのそういうことをしっかりやっていくためには、どうやってマネジメントをやるかということが必要になります。そのマネジメントのために、集会所ごとにコロニーにするんですね。そこに組長というのを置きまして、その組長さんを通して行政サービス。一戸一戸、一棟五戸ですから、そこに戸長というのを置いて、組長の下に戸長を置いて、組長会議意見を集約して行政が対応すると。食事についてもそうする。  ところが、ここでお願いの一点目。これをやるのに相馬市が年間三億円掛かるんですね。平成二十三年度は私が今までためてきた貯金でもって何とかなります。来年のめどが立たないんですね。ここはちょっと考えていただきたい、こういう取組には助成してもらいたいということをお願いします。  それから、今度、公営住宅、災害公営住宅メニューが一万戸、一千百数十億円出たんです。これ使って次の公営住宅をどんどんどんどん造っていきたいと思っているんですが、その際、これも一戸建てのばらばらになった方がいい方々と、それからある程度一緒に住まわせて共助型の生活をした方がいい方と両方います。さっき言った百十人の独居の方々ですね、この方々はできるだけ集合住宅に住まわせた方がいい。  早稲田の北川先生と一緒に二人でごちょごちょごちょごちょやって開発したのが、書いてあります、立谷・北川型と書いてありますけど、相馬井戸端長屋というのを考えました。  これは、共通スペースを持って、そこのスペースで一日に数回は一緒になってもらう。それから、洗濯機はそれぞれのブースに置かないで、各家庭に置かないで、まとまった場所に置いて、そこでみんな、井戸端の代わりに洗濯のスペースを造ったんですけど。  もう一つは、この次こういう震災が来たらここがボランティア活動の拠点になる。今回の経験なんですけど、いろんな方々にお集まりいただきましたが、その方々の拠点になるスペースを確保するって本当に大変だった。というのは、市の公共施設というのは避難民でごった返している、だから、新たな施設を確保したいにも、旅館はやられているし、アパートはみんな押さえられているし、非常に苦労しましたですね。ですから、頑強な造りで地震に強いこういう施設が必要だろうというところも考えています。  その次の図面は、これは四ページになります。これは、長屋というのを考えたんですけど、相馬公共用地に造っていこうと思うと、この長さに対応できないところもあるんですね。曲げてみようと、曲がり屋というのも考えました。  その次、行きます。その次は、災害公営住宅のモデルパターンなんですけど、こういう形で造っていきたいと思うんですね。一戸十七坪、一階九坪、二階八坪。私が一生懸命考えたんですが、これだと大体一戸七百三十万でできます。それに造成費用とか土地の取得費用を合わせると、大体一戸当たり一千万なんですね。  ところが、次の問題です。その次のを御覧になってください、六ページです。  ちょっと問題点を整理してあるんですが、この災害公営住宅というのは、これを約一棟当たり一千万で造ります。で、七年半たつと、法律上払下げが可能なんですね。ですから、皆さん、ここのコロニー、新しく造った災害公営住宅、百戸単位で造っていきます、そのコロニーに皆さんお入りくださいと。いずれその住宅被災者皆さんに払い下げたいんですね。  ところが、これは四分の三が補助金で、一千万のうち七百五十万は補助金で来るんで、相馬は二百五十万出します。七年半の間に五十万ぐらい家賃いただきますから、そうすると、二百万で売ることができれば、相馬市は二百万しか出していないんですから、二百万で売ることができれば被災した人たちも小さいながらも土地と家を二百万でゲットできるということになるんですが、ただ、残念ながら、公営住宅法の施行規則の第二十条に書いてあるんですけど、再建築価格でないと駄目って書いてあるんですね。再建築価格というのは、もっと簡単に言うと簿価という意味です。そうすると、八百万でないと売れないんですよ。私、八百万で売って六百万ももうけたくないですね、相馬市は、被災した方々から、二百万しかその段階で我々お金使わないんですから。  ですから、ここは、藻谷さん、特区、こういうところこそ特区運用の特例を認める特区。で、二百万で売れるようにしないと、私の次の市長さんが五百戸、六百戸の公営住宅をどかんと預けられて、管理、大変ですね。これはやっぱり自己管理でやれるようにしないといけない。だから持てるようにしなきゃいけない。それが夢になるんだということです。  それからもう一つなんですけど、被災して塩をかぶったところを、私、居住制限を掛けようと思っているんですよね。これからやります。やっぱりそういうところ住みたくないと言うんですよ。特に子供たちがそうですね。どんな高さの波が来るかというのは分からない。だから堤防を造ればいいという問題ではないと私は思っている。  ですけれども、じゃ、そこは職住分離でいって、職業域はいいだろうと。後から、これはさっきの藻谷さんの問題にもなるんですが、企業誘致のための職業域にしようと、だけど住居はこっちの方に、高台に開発しようと。その際、これ、いずれ住民の持っている、一人一人の持っている財産権と衝突することになるんですよ、いずれ。居住制限というのは期間を持って掛けるものですから、永久ではないんですね。だったら買い取ったらええでないかと。  で、何でしたっけね、集合住宅法とかというのがあって、あれだと四分の三が国費で四分の一が市町村の持分で、その四分の一、とっても出せないと。そうですね、とっても出せないですよ。ですから、これはある程度市町村の持ち物にして、その次の政策展開に使えるようにしないといけないと。ですから、この国の四分の三をまあこれは九五%ぐらいにしないとできない。  で、相馬で計算したんです。約三十万坪が被災した部分の住宅地なんですね。三十万坪というのは百万平米です。この分を坪二万で買い取るとしたら六十億円ですから、六十億円のうち十五億円というのは、これはとても無理。六億円でも厳しい。三億円ぐらいだったら、後々それは土地利用でもって回収できるお金でもありますから、それだったら可能かなと思っています。  ここのところを一つ、先生、御提案申し上げます。  その次、見てください。その次は、じゃ、しからば相馬市が復興のイメージとして考えているのはこういうものだと。実際、我々も復興会議を立ち上げて、復興プランを七月ぐらいにはバージョン一を作りたいと思います。復興プランというのは、最初から固定したものはできないんですよ。例えば、さっき申し上げたように、災害公営住宅の買取りが果たしてできるようになるかどうかと現段階では分かりませんから。これが分からないと、私、次進めないんですけど。  そういうことでいくと、今の段階での復興プランはこうだ、来年はまた違っているんですね。相馬市ではISO9001を取っていますから、その手法でやりたいと思っています。そうすると年々変わっていくということになるんですが、相馬市の考えるこれが復興プランです。波かぶったところに、私、メガソーラーを敷こうと思う。それから、その波かぶったところの一部、漁港の近くには加工工場を誘致したい、それから倉庫業も誘致したい。ということになりますと、さっきの藻谷さんの話になります。ある程度インセンティブがないと駄目なんですね。それは税制優遇であっても何でも、まあ特区という形でなされるかどうか分かりませんが、目的としてはそういうことなんです。雇用創出ということを考えた場合に、これはインセンティブが必要になってきます。新規工場の誘致についても必要になってきます。というのは、相馬の場合は原子力の風評被害があるんですね。だから、そういうことでもなければ来ないんですよ。じゃ、そのままにしておいていいのかということになるんですね。  もう一つは、これはインセンティブということには必ずしもならないんですが、被災した田んぼは私は農業生産法人で復旧するしかないと思っています。農業生産法人に、さっきの藻谷さんの話とちょっと似てくるんですが、農業生産法人に復旧作業を外注するんですね。これを土建屋さんにやるんじゃなくて生産法人にやる、農家の人たちに土のふるいをやってもらってというようなことを考えています。  ですから、恒久住宅の払下げ特例というのをこれは考えていただかなきゃいけないし、それから、メガソーラーを造るとしたら、国家的にプロジェクトを進めるとしたら、被災地の塩をかぶったところにしていただきたいということです。これ一つ考えても、大体これは相馬市の復興のイメージということになるんですが、特区であっても何でも私は構わないんです。そういう制度が、支援の制度が必要であろうと。  それからもう一つ相馬市フォロワーチームというのをつくってPTSD対策をやっているんですが、これはお金が掛かるんですけれども、これは午後から、長有紀枝さんがこのNPOの理事になっていただいていますから、お話があると思いますので。  それから、最後の紙が、これは昨日やった相馬市の復興会議の資料です。空欄が多いですけど、これをどっと埋めていきます。毎週一回ずつ、地区住民の代表の方々、各界の代表の方々を集めて私はその復興会議をずっとやっていって、七月中にはバージョン一の一を作ろうと思っています。  これをどんどんどんどん改定しながらその状況に応じた復興のプランというものを示していきたい、市民に示しながら一つずつ進めていきたいと思っていますが、一つ申し上げたいのは、復興とは何だということをずっと考えてきたんです。復興とは何だと考えたときに、私はさっきハードの絵を示しましたけど、やっぱり被災した方々がそれぞれの年齢層において新たに人生設計が立てられるようになることを言うんですね。小学生だったら小学生、PTSDもそうだし、被災した子供たちが健やかに成長できるようにしてやることが復興ですね。高齢者は高齢者、独り暮らしは特にそうだから、集合住宅でも何でもいい、その方々が孤独死をしなくてもいいようにやっぱりそれなりのケアができて安心して暮らせるようになることですね。問題は青壮年。青壮年についてはやっぱり産業を、雇用を与えてやることが一番です。ここのところを失敗するとやっぱりいびつな社会になってしまいますね。  ですから、そこのところは、やっぱり企業誘致にインセンティブを与えるとか、農業生産法人に特別な措置をして収入の道を与えるとか、そういうことをこれから議論していっていただきたいと思っています。  私からは以上です。
  7. 柳田稔

    委員長柳田稔君) ありがとうございました。  次に、小峰参考人お願いいたします。小峰参考人
  8. 小峰隆夫

    参考人小峰隆夫君) 法政大学の小峰でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  私、突然のお呼びだったものですからちょっと資料がございませんで、口頭でお話をさせていただきます。それから、私、ずっと長い間マクロ経済、日本の経済全体を観察し分析するという仕事をやってまいりましたので、そういった観点から意見を申し上げさせていただきますが、今のお二方のように具体的な話というよりはちょっと総論的な話になってしまいますが、御了承いただきたいと思います。  私は長い間経済を観察しておりますが、今回の三月十一日の地震、津波、原発事故、この三つが重なったショックというのは恐らく戦後最大のショックだということだと思います。これにどう対応するかということがこれからの日本の経済社会の行方をかなり左右するだろうということで、大変重要な課題だというふうに考えております。  これに対する考え方なんですけれども、私は二段階、フェーズ1とフェーズ2ということで考えるべきだというふうに思っております。フェーズ1というのは言わば緊急対策の段階でありまして、フェーズ2がやや時間がたった後復興をどうやって実現していくかというのを考える段階だというふうに思います。これは、分けて考えるのは、物事に対する考え方、政策目的、政策手段というのがこの二つで大きく違ってくるということだからであります。  フェーズ1の方は、これは緊急対策ですので、ともかく人命救助、生活の安定、原発の安定といったことが必要で、これは言わばコストは幾ら掛けてもやるべきだということで、必要な政策はもう分かっている、それをとにかくやるしかないという段階だと思います。  しかし、時間がたって、だんだんフェーズ2、どうやって復興を果たすかということにだんだんなってくるわけですが、この段階になりますと、ではどういうビジョンで復興するのか、また財源をどうするのかといったような形で、今度は負担の問題も出てきますし、目的をどちらに重点を置くのかといったような問題も出てくる、意見調整も必要になるということで、これからが本当の政策の出番だというふうに考えておりまして、したがってこれからの政策をどう考えるかが大変重要だということです。  そういった観点から今回の復興基本法案を拝見しますと、基本的には、復興に対して必要な基本的な枠組みを決めるというものでありまして、大変適切な、できればもっと早く決めていただきたかったというふうに思いますが、一刻も早く成立させていただいて、その枠組みを決めて、その中身を早く充実させていただいて実行に移していただきたいというふうに思います。  私が観察しております経済なんですけれども、フェーズ1の段階、つまり復興直後の段階は極めて大きな落ち込みがありました。阪神・淡路大震災のときと非常に違うのは、被災地以外の場所でも生産が落ち、消費が落ちたということが大変大きな違いであります。もうこれは数字が既に明らかになっておりますが、三月一か月だけで鉱工業生産が一五%以上も減るというこれまで見たこともないような減少になった。それから、一―三月がGDPが三・五%のマイナスというのが出ておりますが、これは言わば一月から三月までの間の最後の二十日間だけで三・五%も落ちてしまったということですから、いかに震災の影響が経済に大きな影響を及ぼしているかということを示していると思います。現在四―六月に入っているわけですが、四―六月も大幅なマイナスになるだろうということはほぼ間違いないというふうに考えられております。  これは、言うまでもなく、よく指摘されますが、被災地における生産が途絶えたことがサプライチェーンを切ってしまって全国の生産を落としてしまった、それから全国的に自粛ムードが広がって消費も落ちたといったようなことが大きな原因になっているということです。  ただ、多くのエコノミストは、七―九月以降は逆に成長率が高まるだろうというふうに見ております。私もそういうふうに考えております。コンセンサス、大体のエコノミストの予想では、七―九月、十―十二月は四、五%の成長が実現するのではないかというふうに考えております。  これは二つの理由がありまして、よく復興事業が出るからだというふうに言われるんですけれども、それだけではなくて、一―三、四―六で大きく落ち込んだ消費とか生産が元に戻ってくる。これは、マイナスが減ってくるという形で前期に比べればプラスになるというものが大変大きく影響するということだろうと思います。  この生産の戻りの状況を観察していますと、当初考えられていたよりはずっと早いというふうに考えられています。これは、サプライ・チェーン・マネジメントも一時随分心配されたんですけれども、かなり言わば現場力の強力な対応が進んでおりまして、当初予想されたよりは生産の落ち込み等の回復は早いのではないかというふうに考えられております。言わばこれは民間が必死になって復興しているという状況で、言わばこれまでのフェーズ1での対応というのがそういった民間現場力に大きく助けられて何とか進められてきたと。これからはそれに政策の後押しが加わって更に復興が進むというふうに是非進めていただきたいというふうに考えております。  それから、特区とも関係する議論なんですけれども、特にこれからの日本の経済社会にとって大変重要なのが人口の変化ということで、これは藻谷さんのベストセラーがありますけれども、その中で大変重要なのが、人口の変化の中で生産年齢人口、つまり働く年齢階層の人たちが減ってしまうということがあります。  こういった観点から、被災地、東北地方の状況を人口面から振り返ってみますと、全国以上に人口に占める生産年齢人口、つまり働く人の比率が低いという状況にある、それから今後を素直に展望してみますと、生産年齢人口の減少スピードが全国平均よりも速いという状況にありました。これは被災前の状況だったんですけれども。  したがって、これは、今回の法案の前文にも書かれておりますけれども、単なる復元、つまり元に戻すということだけではまた元の厳しい状況に戻るだけということになってしまいますので、そうではなくて、やはりしっかりしたビジョンに基づいて元の状況を覆すような発展性のあるビジョンというのを作っていく必要があるというふうに思います。  そのときに重要なのは、なぜそういった地方部は生産年齢人口の比率が低くてしかもそれがどんどん減っていくのかということですが、これはやはり雇用機会に大変大きな関係がある。つまり、雇用機会が都市部中心に生まれるということで、地方部から都市部に働く人が移っていってしまう、したがって、都市部では人口の重荷というのがその分軽くなり、地方部ではその分重くなるという構造があったということであります。  したがって、特区考える際にも、むしろ雇用機会を積極的に創出していくということが必要だと、そういった観点から特区についても考えていく必要があるのではないかというふうに思います。これは、当面は、復興需要等もありますので、土木工事等が行われますので、ある程度雇用機会というのは生まれるのかもしれませんが、これは公共工事が終わってしまったらそれで後はなくなってしまいますので、ここ二、三年、そういった緊急の公共事業に伴う雇用機会があるうちに次の段階の雇用機会を整備しておくということが必要だと思います。  そういった観点から特区考えますと、私は、特区には、優遇型、その地域だけ特別に扱うという特区と、それから突破口になるような突破口型の特区というのがあると思うんです。つまり、例えば農業とか漁業についてもっと企業の参入を認めるとか土地の流動化を大きくするとか、そういったこれからの日本にとって必要な条件を整備してやってみると。それがうまくいったらそれが全国に広がるという形の突破口になる特区というのもあると思うんですけれども、これは両方是非考えていただきたい。さっき議論になったような税制優遇、これは優遇型ですね、その地域だけ、ほかはやらないけどその地域だけやるということでその地域優遇しようということですが、それ以外にも、将来のための突破口になるような特区というのも是非考えていただければというふうに思います。  それから、経済的な視点からは財源というのが大変重要な観点になるんですけれども、私も海外のエコノミストとよく話をする機会があるんですけれども、彼ら、彼女らも日本の復興というのを大変注目して見ているわけですが、これは単に人道的な観点から注目しているということではなくて、特に注目しているのがやはり財政問題でありまして、日本の財政は非常に厳しい状況に震災前から置かれている中で、この震災に財政がどう対応していくのか、この対応の仕方によっては、あるいは日本発のギリシャ危機のような危機が起きてはそれこそ大変だと、これはアジアだけではなくて世界経済の大きなリスク要因であると、そういった観点から日本の対応を大変注目して見ているということがあると思います。したがって、財源問題は大変重要だというふうに考えております。財源問題を話すと、やることが大切であって財源はその後だという議論が出るんですが、やはり財源も重要だというふうに思います。  この財源は、これは財源が天から降ってくることはないので、これは三つしか考えられない。つまり、既存の経費を見直すか、増税をするか、国債を出すか、この三つしかないというふうに思います。それ以外の、誰も負担しないで済むような財源が提案されることがあるんですけれども、それは回り回って必ず誰かの負担にはなるということで、経済学でよくいう、ただの昼飯はないという原則があるんですけれども、これは被災対策においても全く成立することだというふうに思います。その観点から、若干申し上げにくいんですけれども、第一次補正のときに、二兆五千億、基礎年金財源の転用というのをやったわけですが、これも回り回って、年金の積立金をその分削るということですので、やはり将来世代の負担になるという点では同じだというふうに思います。  こういった点で、増税ないし国債というのもどうしても必要になってきますが、その観点から今回の法案の中に復興債という考え方が入ったのは大変適切だ。つまり、復興のための国債というのは従来の国債と切り分けて考える。それについては恐らく、まあこれはこれから議論されるんだと思いますけれども、ある程度の負担をもって早めに償還をしていくといったような措置を講じないと、これはなかなかマーケットの信頼というのを得にくいということですので、是非そういったことを考えていただきたいというふうに思います。  それから最後に、これもせっかくの機会ですので申し上げておきたいのは、これから日本の経済社会、大変大きな長期的な課題を抱えている。これは復興だけではなくて、税制改正、年金、少子化対策、いずれも長期的な視点からの対策が必要だということですが、これはちょっとこういう場で申し上げにくいんですけれども、政権交代があっても安定した政策というのが、長期的に安定した政策というのが維持されないと、国民が将来に対して安定した生活設計ができないと、年金なんかがそうなんですけれども、子ども手当もそうですけれども。したがって、長期的な制度設計にかかわるものはできるだけ一致した意見で長期的に維持するような制度設計をしていただきたいというふうに思います。  これは、要するに超党派でなるべく長期的なものは決めていただきたいということなんですが、これはやはり緊急の場合ほどそういった合意が得られやすいということですので、是非、今回のような震災に対する復興というのはかなり緊急性を要することですので、こういったことから中心に超党派合意の慣行をつくっていただいて、それを今後の税制、年金、少子化対策等に広げていっていただきたいというふうに申し上げて、私の意見とさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  9. 柳田稔

    委員長柳田稔君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質問の前に答弁者の氏名を明らかにして質問をしていただければ有り難いと思いますので、よろしくお願いします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 小西洋之

    ○小西洋之君 民主党の新緑風会の小西でございます。  本日は、参考人皆様、お忙しい中に貴重な御見解を賜りまして、誠にありがとうございました。  私の方からは、この基本法の第十条に盛り込まれております特区制度、この特区制度をつくるということで、昨日までのこの委員会の審議においては、被災地がやりたいことはもう何でもできるような、そうした非常に効力のある特区制度をつくるというような答弁が提案者あるいは政府、閣僚からされているところでございます。  しかし、大事なことは、そうした抽象的な言葉だけではなくて、じゃ一体どういう制度設計でこの特区制度をつくるかという、その制度設計の基本方針についてもこの委員会でしっかりと提案者あるいは閣僚、政府の方から言質を取ると、そういうことが必要であろうかと思います。ですので、参考人皆様に、いかなるこの特区の制度設計があるべきかということを意見を賜りまして、それを後日以降のこの審議で政府の方にしっかりと確認を取っていくと、そのようにさせていただきたいと思います。  それで、藻谷様、あと立谷市長様からには、非常に現地の実情を踏まえた詳細な御提言をいただきました。その中で、それぞれの方がそれぞれおっしゃっていた、例えば藻谷様がおっしゃっていた、例えば複合的な施設を造る、教育的な施設やあるいは福祉的な施設の合体の施設を造る、あるいは立谷市長様がおっしゃっていた災害公営住宅をその地域の実情に応じた払下げの仕方をする、あるいは農業生産法人に現在想定している以上の仕事をしてもらえるようにするですとか、そうした様々な規制の特例が被災地復興の中には必要となってくるということだと思います。  ただ、その特区制度にそうした特例措置を早い段階で盛り込んでいかなければいけないんですけれども、これは立谷市長様の御発言の中にもあったとは思うんですけれども、例えば災害公営住宅の払下げのそういう規制緩和というのができるかできないか分からないので被災地の全体の復興計画というのがなかなか立案できないと、立案しても進めないというふうなことはあろうかと思うんですね。つまり、申し上げたいことは、早い段階で規制を持っている国と被災地自治体が二人三脚で地域復興ビジョン、また復興プランというものを作り込んで、その中で抽出される被災地復興のために必要な規制の特例というものを洗い出して、それをこれから定める特区法の中にしっかりと盛り込んでいくと、そういう作業のプロセスを動かしていく必要があろうかと思います。  それで、ちょっと今日、私、質問者なんですけれども資料をお配りさせていただいたんですけれども、国土交通省が昨日プレスリリースした資料でございますけれども、藻谷参考人からも言及がございましたけれども、実はこれ国交省の単独事業として、分かりやすく申し上げますと、霞が関の国交省の官僚が各被災地、全国で六十二の被災地のエリアを掲げまして、その被災地の方に国交省の各担当者を個人的に割り当てて、その被災地の方に赴いて被災地自治体復興のプランについて意見交換すると。事前にその被災状況なんかを国費で調査をして、プランを一緒に作り込んでいくというような作業を始めていると思うんですけれども。私の理解では、こうした作業をどんどん進めて、その中で被災地との対話の中から出てくる必要な規制特例というものを同時並行で検討する政府の特区法の中にどんどん特例措置を盛り込んでいくと、そういうプロセスが一つ必要になろうかと思うんですけれども。  そこで質問なんですが、立谷市長、こういう国土交通省、まだこれ予算が第一次補正で通って六月頭ぐらいから始まった事業というんですけれども、国土交通省からこういう御連絡、あるいは実際に担当者が来たということございますでしょうか。
  11. 立谷秀清

    参考人立谷秀清君) 立谷でございます。  国土交通省は最初からずっとお手伝いをいただいておりました。しかしながら、これ立場の違いというか、小西先生の今の御発言とちょっと食い違うところあるんですけれども、私は、復興プランを作るのも復興するのも全てこれは基礎自治体の責任と思っています。自分たちでやらなきゃいけないことだと思っていまして、そのために国のどの支援を引っ張り出すかということなんですね。二人三脚でやるつもりはないですね。我々がやります。それをどうやって支援してくれるかなんですね。  ここで申し上げたいことは、例えば私は、災害公営住宅の払下げ、施行規則の二十条、これを別な解釈にできないかということはずっと言ってきたんです。いろんなところで言ってきたんです。だけど、出口は見えないですね。こんな簡単なことをなぜできないのと私は思います。一千百億円の予算を付けて一万戸の公営住宅メニューを出したんですよね。この一万戸の公営住宅をずっとその管理を将来共に市町村のお荷物にするんですかと、それとも被災者の自立を考えて自己責任でやっていただけるようにするんですかと、そういうことを問うているんです。ですから、先生方にどうなのか私の方で聞いてみたいぐらい。こんな簡単なことがなぜできないのかというふうに思っています。
  12. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 小西君、質問の冒頭に誰々に質問しますと言ってからしてください。
  13. 小西洋之

    ○小西洋之君 失礼しました。はい、分かりました。ちょっと考えながらしゃべっているときもございますので。  では、立谷参考人に重ねて御質問をさせていただきます。  今お答えいただいたことなんですけれども、私も、復興計画を作りそれを実行するのは、それは当然基礎自治体のお仕事だと思います。そのことは、私の意見でなくて、国交省意見としてもこの紙に書いております。そこは私も全く誤解はありません。ただ、これだけ大きな被災があり、また、小峰参考人からも御指摘がありましたけれども、元々、人口的な問題ですとかいろんな課題を東北の地方は背負った地域でございます、申し上げるまでもなく。そうした地域がこうした被災状況の中から着実に力強く早急に復旧復興していくためには、やはり国ができる限りのサポート、お手伝いですね、をしなければいけない。そういう観点でございますので、まずそこだけ御確認させていただいて。  今おっしゃっていただいた、災害公営住宅の例えば出口が見えないと、払下げ。出口が見えないのを、例えばそれを出口をどうやればつくることができるかと申し上げますと、私がお配りしたこの資料なんですけれども、この仕組みを、例えば私の提案なんですけれども、今これは国交省の単独事業ですけれども、この基本法を制定後に、災害についての復興対策を一元化するということで内閣に対策本部、また将来的には復興庁を置くことになっております。こうした現地の復興プランをサポートをする国の事業を、国交省の単独事業ではなくて内閣の対策本部の事業にすると。  つまり、そういうことによって、この災害公営住宅の払下げの規制というのは国交省の規制だと存じますけれども、その規制要望を国交省が受け止めるんじゃなくて、国交大臣が受け止めるんではなくて、この復興全体を所管する復興の担当大臣が受け止めて、復興の担当大臣と国交省の担当大臣がこの規制緩和について交渉すると。その復興対策本部長は内閣総理大臣ですので、もう端的に言うと内閣総理大臣が国交大臣と交渉すると、そういうようなスキームに変えていくことによって規制の突破ができるというのが一つの私の理解です。  私、元々霞が関の官僚なんですけれども、私のかつての行政の経験からいっても、これを国交省の単独事業ではなくて、まさに内閣の対策本部の事業にしなければいけないと、そのように思うところではございますけれども、そうしたことについていかがでしょうか、立谷参考人
  14. 立谷秀清

    参考人立谷秀清君) 私は一応行政の長ですから、その立場に立って皆さん考えも分からないでもないんですよ。一千万掛けて造った住宅を七年半で二百万で売ると、それはやっぱりイレギュラーですよ。だから、まともな日本の行政システムからいったら、そんな財政規律も何もないようなことできないじゃないかと、これ、当然だと思います。  しかし、今何をしようとしているのか、何をしようとして一万戸分の予算を付けたのかということを考えたら、要するに目的のために法律作るんですよね。この場合は法律じゃなくて施行規則です。これは、その気になればえいやっと簡単にできること。私は、このことは東北地方整備局長からずっと国交省に対して言うてきたんです。だけど、いまだに回答がないんです。いろんなところで言うていますけど、全然回答はないんです。  そういうことに対して、システムはどうあれ、この場合は今までの慣例、慣習にとらわれずに、今までの既存考え方にとらわれずに、えいやっとやる部分が必要なんですね。もっと言えば、それをできればワンストップでやってもらいたいです。ワンストップでやらないための弊害というのは結構出ているんですよ。  だから、相馬にいろんな方が来て、よし分かった、じゃやってやるぞと言うんですが、なかなか、やってくれたのは金子恵美さんの梅干し五万個ぐらいですね。あとはなかなか、そこでうんとは言うんだけど、そこに至るまでの、大変なんですよ。今度はあっち行って、今度はあっち行ってみたいなことをやらなくちゃいけないんですね。  ということです。
  15. 小西洋之

    ○小西洋之君 ありがとうございました。  では、藻谷参考人立谷市長に伺わせていただきます。  今、立谷市長がおっしゃっていただいたように、必要な規制緩和をえいやっとやるために私の提案としてはこれを内閣本部の業務にするということなんですけれども、今伺ったような個別の規制をどうするかというお話と、あと、先ほど市長様は復興のプランをお示しになって、これを毎週ぐらいどんどん会議をしていって進めていくというようなことをおっしゃっていましたけれども、進める中で、当初想定しなかったような必要な規制緩和措置というのがこれから恐らくどんどん出てくると思います、初めに既に分かっているものと今は分からないんだけれども将来分かるもの。  つまり、我々が特区制度をつくったときに、特区制度をつくる前に今議論をさせていただいたような公営住宅の払下げのような規制は私は先に特区制度の中に盛り込んでおくべきだと思うんですけれども、特区法をこの国会で作った後に、被災地復興する中で、新しい規制の壁というのがまたどんどん出てくると思います。それに対する措置藻谷参考人が御提言されているネガティブリストですか、ネガティブリストを、要は基本的に例えば刑法に抵触するようなこと以外は何でもできるとか、そんな意味じゃないのかもしれませんけど、これはちょっと極端な例かもしれませんけど、この五ページですね、というようなことだと思いますけれども。  つまり、どういうことかと申しますと、特区制度における規制緩和やり方として、あらかじめ特区法の中に個別の規制を入れておくやり方と、あと、それでも足りない部分に将来新しく出てくる邪魔になる規制を一定の民主制の手続を設けてその規制を地域で緩和するという、できるだけ自由に緩和するというやり方がございます。  一つの例を申し上げますと、総合特区法案という法律を今内閣委員会において付託に昨日から付されていますけれども、そこの総合特区法案では、国の政省令がつくった規制を、立谷市長が経営されている自治体ですね、政省令がつくっている一部の規制を自治体の条例でひっくり返せるような制度にしているんですよ、実は。私、民主党の政調の委員会でそれを私担当したんですけれども。  そうした強力な規制、一般的な緩和措置をこの特区制度にも私は盛り込む必要があるのではないかと思うんですけれども、そのことについて、藻谷参考人立谷参考人、いかがでしょうか。
  16. 藻谷浩介

    参考人藻谷浩介君) 私個人、全く国の制度に云々する立場ではないというか、実は専門的知見がないのですけれども、具体的な地域現場を回って見ている人間として申し上げられるのは、やはり動けば動くほど新しい問題が後付けで出てくるので、事前に全ての特区、これを何とかするんだという特区、緩和する規制を網羅して法律を作るのは無理だと思います。今の住宅のお話もそうでございまして、これは新しくできた法律なんですけれども、その施行規則に一つまた障害が出てくると。  やはり、現場でしかそういう声は出てこないし、一つそれがブレークスルーすると今度は次にまた何か必ず出てくるということですから、今おっしゃったようなネガティブリストを作っておいて、基本的にその法の精神はこういうことですと。迅速な復旧により、最終的に言うと、国費という観点で言うと、生活保護になってしまう人をいかに減らすかというのが実は予算的な観点であり、個人の人権としても同じことなんですが、自立して生きていける人をできるだけ増やすと、お世話しなきゃいけない人に支援をちゃんと集中するということなので、そのためにはやはりネガティブリスト方式が必要ではないかと。  この市長が配られた集合住宅一の絵なんかは実にすばらしい絵なんですけど、仮にこれを取りあえず災害公営住宅補助金対象にするとして、しかし、この中に実は介護サービスが入りますね。介護サービスが入るときに、例えば住人でやってもいいんだけど、何かちょっとプロを入れようとした瞬間に、多分厚生労働省補助金を取ろうとすると、その厚生労働省のいろんな施設基準にこれが合っていないから駄目だとか必ず出てくるんですね。  そういうところについても、あらかじめネガティブリストがあって、それ以外については取りあえずやっておいて、取りあえず進んだことについて、いいことについては事後的に手当てできるような間口の広い仕組みをつくるべきだと思います。
  17. 立谷秀清

    参考人立谷秀清君) ちょっと観点変わりますけれども、今先生のお話を僕は地方分権論からちょっと聞いていたんですね。  私たちは、地方政府という意識でもってやってきました。ただ地方政府と中央政府しかないと私は思っているんですよ。だけど、そこにやっぱり広域自治体である県の介在があるんですね。したがって、そこが今回、大分その整理が付かない一つの原因になっていました。ですから、例えば都市計画を作るのに県知事の同意が要るんですね。それで今足踏みしている部分もあります。  ですから、そこは僕は、特区制度に期待しているのはそういうところもあるんですが、特区でもってある程度、地方政府というと生意気かもしれませんけど、我々基礎自治体の判断と意思でもって地域づくり、地域の再興、復興、新しい地域社会の建設が進められるように、その特区というものを活用することによって僕は地方分権が進むんじゃないかと、特区一つの突破口になっていくんじゃないかと、そういう期待も多少持っております。
  18. 小西洋之

    ○小西洋之君 ありがとうございました。  我々特区制度を検討するに当たっては、被災地の状況から遊離してしまった何か夢物語のようなことを議論するのではなくて、被災地復興のために抱える現実的な課題をまさに解決できるような特区制度をつくっていかなければいけないというような認識でございまして、その観点で、個別の規制をあらかじめできる限り被災地から伺って取り込んでおく、あと、それじゃ足りないところを一般的な手続で取り払うような強力な特区をつくると、そうした観点で次回以降も我が会派、質疑をさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  19. 高階恵美子

    高階恵美子君 自由民主党の高階恵美子と申します。  参考人皆様におかれましては、本日は御多忙の中、大変貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございます。特に立谷市長におかれましては、もう現場で陣頭指揮を執っておられるお姿を、本当に地に足の付いた政治を実践しておられる尊敬すべき先輩だなという気持ちで拝見させていただいております。本日は忙しい中を運んでいただいておりますので、特に立谷市長に御助言を賜りますれば幸いと存じます。  私も宮城県の出身でありますので、この間、本当に時間のある限り様々な場所に入らせていただきまして、一緒に町づくりを考えていかなきゃという気持ちでこの取組をさせていただいてまいりました。  三か月たちまして今思うことは、この国はそもそももう人口が減り始めていて、これから著しく減少が始まる、労働者世代、働き盛りの世代が減っていく中で、どうやって元気な地域を保ち、そして子供たち、後輩たちにこの国の未来を引き継いでいくのか、その仕組みをつくることが大きな政治の課題一つだったと思います。  そういう中で、こつこつと地域づくりをしてきた、その私たちのふるさとが壊されてしまいました。尊い命もたくさん奪われました。そういう現実を目の当たりにしますと復興という言葉は私ぴんとこないんですけれども、市長さんはいかがでしょうか。
  20. 立谷秀清

    参考人立谷秀清君) 非常に難しい質問だと思うんですね。復興という言葉の定義だと思うんですね。私は、やっぱり人々の生活、相馬でいえば市民の生活がどうなっていくんだろうということだろうと思うんですね。  そういった意味では、ここに復興が成ったときの子供、青壮年、御老人の方々のそれぞれの生活がきちんと成り立つということが復興であって、そのためにハードの整備をするんだろうと思うんです。そのハードの整備もすぐできるものじゃありませんから、だからそのためには仮設住宅での暮らしがあって、そしてその前段として避難所での暮らしがあって、それを一つ一つきちんとマネジメントができるかどうかということだと思うんですね。マネジメントというのは、例えば栄養管理というようなことも含めてのことだと思います。  ですから、それは自治体によって非常にばらつきがありますね。福島県の場合は特に原発かぶっていますから、相馬皆さん避難しそうになったことあったんですけど、やっぱり食い止めるのに大変だったし、実際食い止めようにも、避難地域に指定されているところは避難してそういう生活を送らざるを得ないんですね。  ですから、まずこの復興の状況を判断するのに福島県は別扱いで考えていただかないと、ちょっと宮城県、岩手県とは議論一緒にはならないだろうというふうに思っていますし、それぞれの温度差があるというところは否定できないと思いますね。ただ、首長たちといろいろ話しするんですが、みんな本当に必死の思いで頑張っていますね。みんな寝ずの仕事をして頑張っていますね。
  21. 高階恵美子

    高階恵美子君 まさしくそのとおりだと思います。それは、そのふるさとをみんなが愛しているから、そしてそこに生きる住民たちが、もうここの町は自分たちで新しくつくっていくんだと、ちゃんと守っていくんだ、親や先人たちが一生懸命つくってくれたこのふるさとをもう一回元気にするんだ、私たちここに住んでいくよ、今を生きている一人一人の責任としてできることをするんだ、そういう気概にあふれているからだと思います。それをいかにして国全体で支えていくのか、その仕組みをどうつくるか、人をどうやって投入するか、財源をどうやって確保するのか、それを総力を挙げて知恵を絞っていくのが私どもの役割かというふうに思います。  そこで、今回の復興庁設置された後、地方に分室ができると思うんですけれども、例えば、私は、そういうところに国家公務員を三百人、五百人という規模で採用して、しっかり地区ごとに配置をし、そして町の方々とともにチームを組んで仕事をしていくような仕組みを整えるべきだというふうに、そう思っているんです。これは現行制度を大幅に変えなきゃいけない、法制上の整備をしなきゃいけない事項だというふうに思うんですけれども。  なぜそういうふうなことを申し上げるかといいますと、例えば、岩手、福島、宮城、この三か所で今現在避難している方、十二万人です。総人口の大体二%に上ります。国全体でいえば、二百七十八万人の要援護者ですね、の要援護人口が一気にでき上がった、そういうふうな状況にあるわけで、こういう方々に、例えば月に一度、健康相談、生活相談、あるいは雇用のための相談、あるいは財産をどうやって守るかの相談をするという機会を提供すると考えますと、この三県だけで大体その相談に当たる専門家、フルタイムで働く人が四百七人必要になります。これを各自治体から出してください、短期で派遣してください、一週間だけの交代制ですという形でつないでいくのでは、とてもとても責任のある仕事はできないというふうに思うからであります。  あの十年計画の資料の中にも書き込んでございましたけれども、子供の育ちをどうやって支えるのか、そして働き盛りの人の仕事をどうやって確保していくか、どうやって地域の生活基盤をもう一度つくり上げていくのか、そういうことを考えますと、人がどうしても必要になります。そして、その人たちがしっかりとそこに腰を据えて一緒になって仕事をする。十年計画、こういうふうなことをしっかりと、今の法制度を取っ払う、飛び越えるようなものを新しく用意をして、そこに国がしっかりと財源を付けるような形で共に歩んでいく、こういうふうな計画を立てることが必要だというふうに考えるんですが、いかがでしょうか。
  22. 立谷秀清

    参考人立谷秀清君) 今、相馬市の事例と先生のおっしゃったことを当てはめながら考えていたんですけど、この復興のプロセスにおいて必要な人材ってたくさん要るんですね。例えば、PTSD対策の臨床心理士、スクールカウンセラー、相馬では一部ボランティア、一部直接雇ってやっています。この話は後で長有紀枝さんがやりますけど、例えばそういうところで人が必要。それから、弁護士の法律無料相談もやっています。これは法テラスと一緒にやっています。ですから、そういうところの人件費もきっと必要、法テラスが今頑張ってやってくれていますけど。  ですから、復興に向かっての新しい人材が必要だという部分が出てきているんですね。ただ、問題は、それはやっぱり各市町村に仕切らせないと駄目ですね。それはもう重要な問題です。    〔委員長退席、理事金子恵美君着席〕  今回、ちょっと生意気なことを言いますけど、私はいろんな市町村を見ていまして、首長たちの話聞いていまして、大きな問題は各論でやっていないということなんですよ。省庁別の各論はある、だけど地域別の各論がないんですね。例えば、相馬市と南相馬市は全然違うんです。相馬市と例えば名取市も全然違う、宮古市も全然違う。ですから、宮古という口座をなぜつくらないのかと思うんです。宮古という口座をつくって、あるいは相馬市という口座をつくって、地域ごとに支援をなぜ考えないんだろうなと思うんですよ。  ですから、厚労省の中にそれでだっと担当者がいる、国交省の中にだっと担当者がいる。それぞればらばらに担当者がいるんですね。ですから、国として相馬市担当部というのをつくって、全部で市町村が二十幾つしかないはずです、町村、もっとあったか、三十ぐらいですよね、二十から三十ぐらいですね。だとしたら、それぞれ口座つくって、そこに厚労省から国交省から経産省からみんな張り付けて、そこにリーダーを置いて、そういう物の考え方をしていかないと各基礎自治体主体の支援ができないのではなかろうかと。そこの中から必要な人間を、人数を絞り出して支援してくれたらいいですね。それで、相馬市担当の国の支援はこの人がワンストップでやってくれるんだと。  だから、復興庁をつくったら、是非そこの中に地域別の担当課をつくっていただきたいと思いますね、ワンストップにしていただいて。
  23. 高階恵美子

    高階恵美子君 ありがとうございます。  是非、実現できるように共に考えさせていただきたいというふうに思うんですが、その際に、外からも人をきちっと入れ込むような形をつくらなきゃいけないと思うんですけれども、特にこの地域というのは高齢化の進んでいる地域でございまして、御説明の中にもございましたけれども、独居の方、それから老老介護の方々がたくさんおられます。穏やかな最期までの暮らしを支えることのできるようなコミュニティーづくりということがどうしても必要になってまいりますが、今様々なところで伺ってまいりますと、結構介護職として募集をすると人は集まるんだけれども、医師、看護師、こうした専門職がなかなか来てくれないというふうなお話を聞きます。  恐らく似たような状況が中でおありかなというふうに思うんですけれども、医療、公衆衛生あるいは栄養確保、こういったところに当たるような職種、それから、子供の育ちを支える教育、保育、養育にかかわるような職種、こうした方々と治安維持にかかわる方々は必ず必要なんじゃないかなというふうに思うんですけれども、その辺の仕組みづくり、例えばバンク制度のようなものを考えていってはどうかというふうに思うんですが、例えばそういったことに関しては何か御関心お持ちでしょうか。
  24. 金子恵美

    ○理事(金子恵美君) 立谷参考人でよろしいですか。
  25. 高階恵美子

    高階恵美子君 はい。
  26. 立谷秀清

    参考人立谷秀清君) 人材の確保については非常に大変なんですね。  例えば、我々の地域福島県相双地域というのは元々ドクターも少ない、看護師も少ない、そういう医療過疎地域だったんです。今回、更に加速されますね。それは東北の被災した各地でそういうことが言えると思うんですけれども、これはバンク制度で果たしてできるかというと、非常に大変ですね。  医療に関して言えば、これは解決策は一つしかないと思うんですね。地域別診療単価しかないですね。診療単価上げるしかないですね。そうやって、東京の診療単価を下げればよろしい。下げるというと文句を言われるから、余り上げないようにすればよろしい。地域別診療単価、ついでに言えば診療科別診療単価も必要になってきますね。  そうやってある程度誘導するという考え方を持たないと、バンクをつくって、人材バンクをつくってそのバンクから派遣するとしたら、東大病院からローテーションを組んでやるぐらいしかないと思います。ですから、バンクの、いろんな例えばドクター派遣業というのがありまして、私もちょっと首突っ込んだことがあるんですけれども、私立ち上げようと思ったことがあるんですけれども、難しいですね、やっぱり難しいですね。まともな医者は来ない。まともな医者は来ないと言ったら語弊がありますから、訂正します。なかなか人材が集まりづらいということですね。  ですから、やっぱりバンクでもって強制的にといったら難しいですね。これは経済原理で誘導するしかないんです。ですから、地域別診療単価、産科が少ないんだったら診療科別診療単価、これで行かないと難しいと思いますね。そのほかの、ドクターとナース以外は私そんなに難しくないような気がします。ある程度、それは公務員になれるのであればそこに行きたいという人はたくさんいますから、そういう条件を付与して、条件さえ良くすればある程度誘導することはできると思います。ただ、どうやってその人材を活用するか、運用するかという問題は最終的に残ってくるとは思います。
  27. 高階恵美子

    高階恵美子君 地域の特性に合った、ニーズに合った対応をするために、その地域別の、診療科別の診療報酬の単価を設定すべきというお話だったんですけれども、それでかさ上げが図られますと、当然そこに従事する職員の給料も高くなるというふうな理解になると思います。そうまでしても確実に、集中的に、人をそこに重点的に投入しなければ、今一気に要援護状態の方々が増えているということは明らかなわけですから、これ、少し発想を変えますと、二十年後の日本の姿なんですよ。それがもういち早く来ちゃった。そのときに何が必要かということを共に考えていく、そういう知恵を絞るときだと思うんです。そのときに、もし診療報酬や介護報酬の単価をもう少し枠組みごと考え直す必要がある、それからお給料の仕組みも考え直す必要があるということであれば、私も医療職の一人でございますので、お知恵をいただきながら引き続き考えていきたいというふうに思いますが。  もう一つ、今医療の話になりましたので、子供の虐待のことについても少し触れたいというふうに思います。  大人は、目の前の惨状に本当に厳しい表情でこれまで三か月間、必死になって対応してきました。子供は、我慢しなさいと言われて我慢をするような環境の中で必死にいい子で暮らしてきました。何とかしてこの子たちの育ちを支援するような環境、養育環境の充実を図る必要があるというふうに思うんですが、この点に関して特段御意見というかアイデアをお持ちでしたら、何か一言最後にお伺いしたいと思いますが。
  28. 金子恵美

    ○理事(金子恵美君) 立谷参考人、時間が来ておりますので簡潔にお願いします。
  29. 立谷秀清

    参考人立谷秀清君) 実は、相馬は調べても調べても出てこない。ないんです。ですから、ただ家庭内暴力、奥さんに対する暴力、うちなんかは旦那に対する暴力なんですけれども、大概は奥さんに対する暴力ですね。子供に対する暴力等々について、これも弁護士の相談システムを今回とは別にここ数年つくってまいりました。やっぱり、さっき私、地域のコミュニティーとか戸長制度とか組長制度と言いましたけれども、ああいうことって必要なんですね。やっぱり地域全体の見守りがないと分からないですね。  ですから、そこはやっぱり地域のコミュニティーをどうやって育てていくか。要するに、その家庭だけで完結しない問題なんですね。子供の虐待についても、やっぱり地域の見守りということが必要になってきて、そこのところの充実をもう一回考え直すべき時代に来ているんじゃないかと思います。
  30. 高階恵美子

    高階恵美子君 貴重な時間、ありがとうございました。  質問を終わります。
  31. 横山信一

    ○横山信一君 公明党の横山信一でございます。  今日は三人の参考人の先生の皆様方には大変お忙しい中、時間をつくっていただきまして、大変にありがとうございます。大変有意義な御意見をちょうだいいたしまして、これを参考にして私たちもこの法案を是非成立をさせて、そしてその運用にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。  三人の先生方にそれぞれお伺いをしてまいりますが、最初に小峰先生にお伺いしたいと思います。  先生の先ほどのお話の中で、緊急のとき、危機的なときには意見はまとまりやすいという話がございましたけれども、まさにこの復興基本法案というのは民主、自民、公明の三党が協力をして、そして被災地復興のためにというその一点で作り上げてきた議員立法でございまして、今までになかったことであります。そしてまた、今回を突破口にして、こうした被災地復興のためにこういう協力の形も是非つくり上げていきたいというふうにも思っているわけでありますけれども、この条文の第七条に、予算を徹底的に見直し、当該施策に係る歳出の削減を図ることという、そういう案文が入っております。昨日も私、官房長官にこのことをただしまして、具体的にはどのようなことを指すのか、そしてまたそれに向けてどうしていくのかということをお聞きをいたしました。そういう中で官房長官も、良いことではあっても少し待ってもらうものがあってもいいという、そういうお話があったわけでございます。  先生のその財源のお話の中で、経費の見直し、そして増税、国債というふうに挙げられました。日経ビジネスの六月六日号の先生の論文の中で、これ順番を付けていらっしゃるんですね。今日お話でそのことがなかったので、この順番を付ける経済学的な意味といいますか、その辺のことをまずお伺いしたいと思います。
  32. 小峰隆夫

    参考人小峰隆夫君) どうもありがとうございます。  私の順番は、第一が既存経費の見直し、第二が増税、第三が国債の発行という順番で行うべきだということですが、これは特に経済理論的にどれを優先すべきだということが先験的にあるわけではないと思います。主張する人々のやはり価値判断に基づいて行われているということで、今の意見も私の価値判断で行われているわけですが、私の判断としましては、既存経費の見直しの中でやはり民主党のマニフェスト関係の経費というのが相当大きなものがありますので、今回も三千億円、第一次補正で見直しておりますけれども、もう少し大幅な見直しがこれは可能なのではないかということもあって、第一に既存経費の見直しということを挙げました。  逆に、第三が国債なのはなぜかということなんですけれども、これは先ほど申し上げましたように、日本が震災前から相当の財政危機にあって、これに対する対応を誤るとかなり深刻な事態になるということを踏まえると国債というのは最後の手段だろうということになって、それで二番目が増税という、そういう位置付けになっております。
  33. 横山信一

    ○横山信一君 小峰先生にまたお聞きをしたいんですけれども、この被災三県の地域の中で、とりわけ岩手なんかは、まあ宮城もですかね、特に既存のインフラが未整備なところが多い。例えば、岩手の三陸自動車道というのはつながっていないところが多いわけであります。  そういうことを考えると、例えば企業誘致一つ取ってみても、この沿岸部の被災地域というのはインフラが未整備な上になおかつそこが被災地になっているという、そういう状況がございます。そういう中で新しく雇用をつくり出すといっても、これは容易にはなかなかいかないと思いますし、具体的なイメージも湧かせるのは非常に難しいというふうに私は考えるわけでありますが、先ほど先生のお話の中で、人口の地方から都市部への移行の中で、この雇用機会と特区との関係のことをお話をされておりましたけれども、この関係をもう少し詳しく教えていただければと思います。
  34. 小峰隆夫

    参考人小峰隆夫君) どうもありがとうございます。  先ほど申し上げましたように、人口の変化というのを考えると、この地域雇用機会をできるだけ創出していくというのが長期的に重要だということですが、逆に、なぜ人口が流出していて、働き手が外に出ていってしまうのかということを考えると、やはりこの地域での農林水産業というものが後継者難でなかなか人が集まらないということに原因があるのではないかというふうに思いますので、雇用を創出するのであればその農林水産業を活性化するというのが、これが私は一番優先度が高いのではないかというふうに思います。  そういった観点から、私は経済をやっておりますので、どうしてももう少し企業のノウハウ、活力、資金というものをこういった農林水産業に入れていくと。それで、行く行くは、恐らく若い人の中にも農林水産業を生活の糧としてやりたいという人は結構多いのではないかと思うんですが、そういった方々が自分でリスクを負って自分で事業をするという形態だけではなくて、例えばサラリーマンとして農林水産業に従事するというような形態がもっとあってもいいのではないかというような観点から、特区なり制度の見直しというのを考えたらどうかというふうに考えております。
  35. 横山信一

    ○横山信一君 じゃ、今度は三人の参考人の先生方それぞれに是非教えていただきたいといいますか、御意見があったら伺いたいと思うんですが、この特区制度、実は昨日も私、構造改革特区と比較をしながらこの特区の在り方について議論させていただいたのでありますけれども、この復興特区考えるときにやはり最初にイメージするのは、制度の運用面という特例措置をどうつくっていくか、そしてまた地元からどうした特例が望まれるかということをいかに吸い上げて、それを効率よく実現をしていくかというふうに思うのでありますけれども、この特区ということに限って言いますと、先ほどの立谷市長からも税制面でのお話が出てまいりましたが、やはり特区の中で最終的にいろいろな議論がなされていく中で出てくるのは、やはり事務権限移譲というのはどうしても出てくるというふうに思います。  その事務権限移譲の先例として既にある制度がありまして、それが道州制特区推進法に基づく事務権限移譲、地方からそれを国に上げて、国で協議をして、それを移譲するかどうかを決定するという、そういう既に法律があるのでありますけれども、その対象地域、実は北海道に限られておりまして、私は北海道にいるものですから、この道州制特区推進法に基づく事務権限移譲のこれまでのやり取りというのを見てきたんですけれども、実は先日、今月ですけれども、第五回の提言がなされました。  過去四回提言がされているのでありますが、その一回目、二回目というのは期待も非常に大きくて、地域主権という言葉が大きくクローズアップをされていたときでもありますので、地方の期待も大きくて、その地域の発展に資する、活性化に資するような事務権限移譲というのは非常に大胆に提言をされたわけです。それはもう民間の人たちの、有識者の人たちの意見を集めて、そして議論して、これが一番いいというのを絞り込んでやったわけなんですが、それは国に上げてみたところがほとんど対応不可になったということで、移譲されたのはたしか、何でしたかね、猟銃の権限の何か一部がちょっと認められたという程度だったと思いますが、ほとんど対応不可という、そういう結論でありました。  そういう一回目、二回目とあって、今五回になったんですが、結果的に今五回目でどういったものが今回は提案されたのかといいますと、ふるさと納税のコンビニ収納という、そういうふうになっているんですね。それの一体どこが地方の活性化に資するのか、全く関係ないとは言いませんけれども、そういう全国に通用するようなもので、なおかつそれほど役所にとっては痛みのないものというか、そういうものにだんだんだんだん変化していったという過程を私見ておりまして、やはり権限を手放すというのは、これは役人からすると非常にこれはそう簡単にはいかないというふうに思うわけであります。  そういう中で、今回は災害、震災というところに基づいて、それを復興させるために是非権限が必要だという観点になるわけですけれども、それにしてもこれまでの、平時のものだと言ってしまえばそうなんですが、実例を見たときに非常に難しいということを私は実感をしておりまして、これを乗り越えるにはどうしたらいいかというか、そこについての御意見があれば是非承りたいと思うわけでございます。三人の先生方に是非教えていただきたいと思います。
  36. 藻谷浩介

    参考人藻谷浩介君) ありがとうございます。  道州制特区の活用を今回も図れないかというふうな話を私も考えたんですけど、残念ながら今、北海道限定であると同時に、今回東北は半分は間接的な被災地域、直接被災地域は半分だけでございますので、事情はばらばらなのでなかなか使えないという話ではないかということでちょっと今回は取り上げませんでしたが。  今その例としてお話しになったように、個別の議論になりますと、必ずそこまで実は分けてはいけないという議論になります。その根底にあるのは、やはり現場でちゃんと運用されないのではないかという、国から見た現場に対する不信感というのがありまして、その際には結局、自治体市町村も実にピンキリでございますので、大体駄目なときにはキリの市町村を持ってきましてね、こういうところでは当然できないでしょうという話になるわけですね。逆にそういうのがどんどんできている市町村から見ると、何だこれはということになると。  やはり今回の震災対応特区に関しては、私の意見では、国全体の構造改革以前の問題として、一日も早い復旧なり、少なくとも最低限の生活支援サービスの復旧を図り、生存権保障をとにかくちゃんとやると。それを後々後年度負担が増えないように、そして住民が一番困らないようにやるという観点からやれということなんですが、それを、現場に全部の担当が集まって実際に、国側が控えているんじゃなくて、一緒にそこに来て担当者をちゃんと見て、地域をどうするかという形でウオッチすることにより、言わば現場不信ですね、それはちゃんと運用されないだろうという不信は払拭されるはずなんですね、そこに当事者としているわけですから。それでうまくいかなかったら、それは国の責任でもあるわけですね。  というわけで、集まって、まずは法令を変えずとも本来運用でできるところで、さっき言ったように一々国の間を市町村が持ち回ってやるんじゃなくて、出前してみんなでそこで一緒にやってしまいましょうねという、地域側の担当でやるというところからまずブレークスルーして、実際に地域を頭に置いて考えたらこのとおりうまくいくという実例をつくることが現実的なブレークスルーとしては大事なんじゃないかと思うんですね。    〔理事金子恵美君退席、委員長着席〕  その上で、しかし、また個別の制度をどうするこうするという議論は続くんだと思いますけれども、私もしばらく総合特区制度の委員などやっておりまして、いかに個別の議論に持ち込まれると話が進まないかということをもう痛感しておりますので、ひとつ現場で現実にここにいる住民のためにどうするんですか、あなた、というところから進める必要があるのではないかと思います。
  37. 立谷秀清

    参考人立谷秀清君) ちょっと話がずれるかもしれないんですけど、僕、道州制の議論は今なじまないと思っています。  というのは、道州制の議論の最大のネックは財源調整なんですね。ですから、そこをどういう方程式つくるかというのが多分最大の問題になってくると思うんですけど、権限移譲と財源移譲はちょっと別に考えなきゃいけない。特に今、東北がこういう状態ですから、ここで財源論の話が出てくると僕は道州制の理念も何も吹っ飛んじゃうと思うので、今はちょっとなじまないと思っています。  それからもう一つ、これは道州制も含めて特区という考え方になるんですが、この特区のイメージが規制緩和ということでイメージされるところがあります。実際そうなのかもしれません。だけれども、特別措置みたいなところも特区に含めて考えていかないとどうしようもないですね。規制緩和というのは、いずれ時間がたてば何とかなることをすぐにやるということなんですね。  問題は、例えばさっきの藻谷先生のお話なんかそうなんですけど、あるいは小峰先生もそうなんですけど、やっぱり被災した地域がどうやって再生するかというときに、産業を活性化させる、企業誘致も含めて。現に今、相馬市は水面下で企業誘致の交渉をやっています。やっぱりある程度の応援が欲しいんですよ。例えば、企業誘致の助成金をこの場合は二倍にかさ上げするとか、そういうことが欲しいんですね。それも特区として考えていかないと、結果的に余り役に立たないということになります。  目的は被災した地域の再生、振興ということになりますから、そのためにはある程度の決断が、決断というか支援という決心をいただきたいなというふうに思っています。
  38. 小峰隆夫

    参考人小峰隆夫君) 今御指摘のあった、今回行おうとしている特区と従来やったことのある構造改革特区というのは相当違うというふうに思います。  構造改革特区の場合は、規制緩和の突破口として一部の地域でうまくいったものをどんどん全国に広げていくという狙いがあったと思うんですけれども、今回の場合はそれだけではなく、それももちろんあると思うんですが、積極的に特定の地域優遇していくとか、それからある程度の財源も使ってインセンティブを付けていくといったようなことがありますので、かなり違った発想で臨む必要があるというふうに思います。  そのときに、私も役人をやっておりましたので、役人の担当官では、やはりマンデートというのがありますから、やはりその人の権限で規制をそんな簡単に見直したりとか法律に掛かるようなことを大目に見るということはできないので、これはやはりそれこそ政治主導で、官僚の枠を超えた段階でやっていただくのが一番いいのではないかなというふうに思います。
  39. 横山信一

    ○横山信一君 以上で終わります。ありがとうございました。
  40. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 立谷参考人にお聞きいたします。両参考人も本当にありがとうございます。  相馬市においては、相馬市自身が大きな被災を受けているにもかかわらず、立谷市長の御努力によって周辺の被災の市町村も支援をしていたという、まさに本当に驚愕すべき対応をされていましたし、被災直後にお邪魔したときから市役所も整然としていて、市長の命令一下、市の職員の方々もそして市民の方々も冷静に対応していたということで、本当にその対応、それぞれの被災地皆さん頑張っていたわけでありますけれども、相馬市においてはとりわけこれはすばらしい対応をされていたというふうに思っております。  そういった中で、この復興に向けてでありますけれども、五月に超党派の議員で、ここにも竹谷とし子議員もいらっしゃいますけれども、一緒にアメリカの災害復興の研修をしてきましたが、やはりカトリーナの災害の後どうやってやっていったかという意味では、ルイジアナとミシシッピは大きく違う対応をしてしまったんです。ルイジアナは政府におもねいて、そしてミシシッピは自分たちが主役でやっていくんだということでやった結果、全米的にはミシシッピ州の方が成功したと言われているんですね。  何をやってきたかといえば、やはり経済再生を中心にやって人口流出を食い止めようとした。そして、実際、家が壊れた人だけではなくて、職場を失えば家が残っていてもこれはふるさとを離れなきゃいけないという状況になってしまいますから、徹底的にどう職場を確保していくかということをやった。しかしながら、それでもニューオーリンズは四十八、九万だったんですけれども、そこから人口が七五%になっているというのもそれは現状なんです、幾ら頑張ったとしても。  三月十一日以前でも、私も県会議員をやっていて現地に赴いたりしていましたけれども、地方での企業誘致、職場づくりというのはなかなか大変な中にあって、この被災以降、更に企業誘致においてはとりわけ特別の取組をしていかなければならないというふうに思っています。  市長が用意されましたこの資料においてもインセンティブということが盛んに書いておりますが、より具体的に、どういった制度若しくは財源的な措置があればこのインセンティブが働くのかどうかということを少し詳しくお示しいただきたいと思います。
  41. 立谷秀清

    参考人立谷秀清君) この企業誘致は、これは被災、被災しないにかかわらず、全国の、特に田舎はみんなやるんですよ。我々もやるんですね。それぞれの田舎で、田舎というと言い方は悪いですが、それぞれの地方で補助金のぶち合戦やるんですね。福島県、大概負けるんですよ、少ないですから。これで決まっちゃう。  海外に行こうか国内に残ろうか国内のどこに行こうかというとき、補助金何ぼくれるかで決めるんですね。それ現実なんですよ。いいとか悪いとかという前にそれは現実なんですね。だとしたら、私は、やっぱり福島県の相馬市なんというのは、まあ放射能レベルが高いわけじゃないんですが、風評被害で相当参っています。私自身はひどいと言ったこと一回もないんですが、だけど、ひどいひどいと言われるから相馬市までひどいと思われちゃって本当に参っているんです。  何に参ったかというと、被災当初、原発の問題があった当初、薬が来なくなりまして、相馬市ではトラック借り上げて相馬市の職員が東京まで取りに行きましたから。そうやって守ってきたんですね。風評被害ってそういうものです。  ですから、そういうところに企業が来るかというと極めて難しい。だけども、冷静に考えれば、ある程度の条件が良ければ私はおいでになると思うんですね。ですから、これはそれをそれぞれの県が、福島県の場合二・五%なんですが、これを二五%にするとか、工場を設置する設備投資の二五%にするとか、そういうことをやらないと、これは特に今回の被災地、とりわけ福島県が日本のお荷物になっちゃうんじゃないかと。  風評被害で福島だけ相当な目に遭っているんです。まあいろんなファクターあるんですよ。大変だ大変だと言うと本当に大変になってくるんです、もっと冷静にならなきゃいけないんですが。そういうときに、今そういう状況が起きているときに、インセンティブ合戦をしているとしたら、やっぱりこの際、福島には手厚い制度を何とか考えてもらいたい。  そうしないと、今福島県から出ていっているのは若い人たちなんですよ。今回の原発騒ぎで何が大変だったかというと、例えば南相馬市では災害弱者だけ残ったんですね。元気な人がみんな逃げていった。これは象徴的なことであって、今福島県全体にそういうことが起ころうとしている。  議員の会津地方は大したことないですよ。絶対心配ないですよ。それでも、じゃ一〇〇%絶対の絶対と言えるかというと、これ誰にも言えないですね。それは子供、大丈夫だと言える医者はいないと思います、これだけだったら大丈夫。だから、どこかで線引かなきゃいけないんですが、しかしながらその線の引き方も難しい。  だとしたら、やっぱり次の世代のことを考えて、福島県には特に企業が来やすいように、相馬もいろいろ頑張っていきたいと思いますし、それからもう一つ、被災した場所に僕はソーラーパネル敷いたらいいと思うんです。今世界中に、相馬にソーラーパネル敷いてくれって呼びかけているんですけど、どのぐらい来るか分からないですね。だけども、被災した地域は何らかの形で土地利用しないと、その電力をその誘致企業に全部差し上げるでもいいじゃないですか、そういうことをこれは皆さん考えていただきたいと思うんですね。  ついでにこの席を借りて御礼申し上げますけれども、小熊議員には相馬市の倉庫で、倉庫の運搬係として大変なお手伝いをいただきまして、本当にありがとうございました。大変すばらしい議員だと思っております。
  42. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 お褒めの言葉、ありがとうございます。  本当に私も会津で、風評被害、まあ浜通りよりはそういう部分がありますけれども、この間も、子供を小熊さん何で逃がさないんだと東京の人になじられたり、あるデパートで会津米って売っていたんですね。売り子さんに売れますかと言ったら、去年の米だから大丈夫ですという言われ方して、そんなのが結局一般の人の感覚なんですね。  これは仙台市の市長が悪いわけではないんですが、仙台市の小学生は会津に修学旅行に来ていたんですけれども、今度は盛岡とかに振り替えたんですね。その記者会見の席で、福島県だからちょっとという理由で変えたんですが、原発から会津も、原発から仙台も距離一緒なんですよ。でも福島県ということでそういうふうになってしまう。  立谷市長がおっしゃったとおり、これはそれぞれ宮城県でも岩手県でもひどい災害に遭って、そこに企業を呼び戻すということは大変なことだと思いますけれども、とりわけやっぱり福島県は努力をしていかなければならないというふうに私も思っているところであります。  加えて、アメリカへ行ったときにもそうだったんですけれども、工場をじゃやりましょうといったときに、それは工場できるまで、じゃ今日決めてもあしたできるわけじゃないんですね。そういう産業が再び戻ってくる、また再生していく、プラスアルファしていくという、この時間をどう埋めるかということがやっぱり重要で、それが一年先、二年先ってなる段階で結局人口流出が起きてしまうんですね。  じゃ、今この直近、こういう被災を受けている、経済的にも大変な状況にある、この直近の状況、経済的な部分をどう埋めようとしたらいいかというのは何かアイデアありますか。
  43. 立谷秀清

    参考人立谷秀清君) 瓦れきの撤去があるんですね、その復旧ビジネスというのがあるんですよ。復旧ビジネスのあるうちは僕はいいと思っている。復旧ビジネスをどうやって地元に分配するかという知恵をそれぞれの自治体が頑張って展開すればいい、復旧、例えば瓦れきの撤去は自治体がやるんですから。その自治体地元の事業体ができないようなことは、例えば大手ゼネコンを連れてくるとか、まあそれはしようがない。だけど、どのゼネコンを選ぶかというときに、自治体自治体の中の現場会社をどのぐらい使ったかということで、それで判断すればいいんです。入札じゃなくてプロポーザルでやる。相馬市、そうやります。そうやって、さっき言った農業生産法人の、そこに復旧ビジネスを外注すればいい。そうやって、僕、二、三年は大丈夫だと思う。  その次ですね。取りあえず二、三年は復旧ビジネスでもって雇用を提供していきたいと思っていますし、だからその次の段階ですね。ですから、その次の段階になると、やっぱりある程度インセンティブを持って企業を誘致する。例えばソーラーでもって出てきた自然エネルギーを、クリーンエネルギーを例えば四十八円で、四十九円で買うとか、いろいろ議論ありますね。ドイツは八十四円ですよ。  ですから、ある程度支援してクリーンエネルギーを推進しようとするのであれば、そのクリーンエネルギーに携わる人たちの就労支援ということをやってもいいかもしれない。クリーンエネルギーの会社そのものに支援をしてもいいかもしれない。そういうものをどうせやるんだったら、例えば福島県の被災地に持ってくるとか、相馬なんていい場所だと思いますね。そういうことを国全体として考えていかないと、これ解消できないですね。  どうせ原発でこういうことになった以上、日本国はクリーンエネルギーに投資せざるを得ないはずなんです。だとしたらどこに投資しますかと。相馬なんかいいですよ。ということで、よろしくお願いします。
  44. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 立谷市長にもう一回お聞きしますが、クリーンエネルギーのまさに先進地にしていきたいと。  震災以降、私の事務所にも全国あちこちから、東北の復興、クリーンエネルギーでやりませんかと、風力で整備しませんか、太陽パネルで整備しませんかというのがあったんですが、でも、何かちょっと私違和感があったのは、省エネをやるべきはまずは関東なんですね、本来は。もちろん、復興の象徴的なものとしてスマートシティーやエコシティーを東北でやっていくというのは一つのPRとしては意味があるんですが、実際のエネルギー政策でいえば関東がやるべきで、じゃその風力、福島県で買って設置していきませんかと言われて、その風力発電の機械をどこで造っているんですかと言ったら、鹿児島で造っているって言うんですね。会津の私に鹿児島のものというのも、ちょっとあれがあったんですが。  逆に、これ太陽パネルとか風力発電のものを、設置するだけではなくて、生産拠点にしていくということが私は重要で、生産もしながら設置もしているということで大きな効力を発揮するというふうに私は思うので、是非、私も頑張りますから、その生産工場も併せてこのクリーンエネルギーの拠点にしていきたいなというふうに私は思っています。  あわせて、これやるのになかなか大変な部分あるんですが、その工場、産業基盤ができるまでの間埋めるものの一つとして、コンベンションとかですね、いろんな大会やイベントというもので交流人口を増やして、そして経済を支えていくということも多分にあるというふうに思うんですね。  残念ながら、この三月十一日以降、例えば国際救助隊たくさん来ていただきましたけれども、福島県の実績は市長のところのシンガポールの五人と犬五匹だけですよ。ほか行きましたけれども、ちょうど大船渡お邪魔させていただいて副市長としゃべりましたが、国際救助隊どうですかと言ったら、二百二十五人と言うんですね。福島相馬市の五人と、二百二十五という数字を聞いたんで、大船渡だけでですよ、これ延べ人数ですかと聞いたら、真水で二百二十五と言うんですよ。もうこういうことなんですね。  であれば、やっぱり象徴的ないろんなイベントとかやっていかないとこの風評被害というのは払拭できないというのもありますし、短期でお金を稼いでいくという意味では、こういうコンベンション、いろんな会議、イベントというのを誘致をして、とにかく一、二年食いつないでいくということが重要だと思いますけれども、とりわけ、今度、まあ会津は馬を食べますが、市長のところにおいては神様ですから、野馬追祭りというのがありますが、これについて国としてビッグネームを呼べとか、何かそういうのがありますか。
  45. 立谷秀清

    参考人立谷秀清君) 先生方、是非来ていただきたいと思いますね。七月二十三日に相馬野馬追は、少なくても相馬市では実施します。復興と鎮魂の思いを込めて実施します。どうぞ御覧においでになってください。  それから、八月十三日に、タイトルは私がつくりました、ふるさと相馬の鎮魂と復興に舞い上がれ光明の大輪という大花火大会をやりますんで。ただ、この場合は義援金を持っておいでください。物見遊山で鎮魂やられたら困りますから、どうぞ義援金を持っておいでになる方は全員歓迎いたします。  ということで、この相馬野馬追というようなふるさとの行事、これは国の支援というのとは直接つながらないと思いますが、ただ残念なことに、コンベンションを入れたくても、相馬市民会館が地震でがたがたになっておりまして、加えて相馬市役所もちょっと危ないような状況ですね。  このことも議論していただきたいと思うんですけれども、震災でやられた役所ですね、これ復旧させないと、この次の地震に耐えられないですね。ですから、役所についての助成金ってなかなか難しいんですけれども、この際、震災地域については、市民会館はもう既に着工する段取り付いていますけど、相馬市役所だけじゃなくて、福島県の須賀川市役所なんというのはもう壊滅ですね。そういうところがあって、そういうところだと次の震災に対しての防御もできないんですね。是非お考えいただきたいと思います。
  46. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 七月二十三、あと八月十三日、ボランティアスタッフとして参加させていただきますので、よろしくお願いします。  ありがとうございました。
  47. 大門実紀史

    大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史でございます。  今日は、参考人皆さん、お忙しいところをありがとうございます。  まず、藻谷参考人に伺います。  「デフレの正体」というのを発売と同時に読ませていただきました。大変すばらしい本だというふうに思っております。半分ぐらい同じ意見でございますが、特に賃金の問題ですね、そういうところは鋭い指摘をされているというふうに思いますが、今日は震災問題でまず藻谷参考人に伺いたいと思いますが、先ほどございました運用緩和特区、あるいはばんそうこう型補助金と、私もいろいろかかわってきて、大変もう霞が関だけでなくて、あるいは県のレベルでの縦割りといいますか、役人仕事といいますか、そういうものの弊害を大変感じておりますので、こういう藻谷参考人の提案が実現すれば、大変スムーズにいろんなことが進むのではないかと思います。  その上で一層、今国会でも若干の議論になっているんですけれども、与党の中でも一定そういうものが必要だという意見も出ているんですが、今度の二次補正で一括交付金といいますか基金といいますか、自治体が自分の判断でいろいろな事業を組み立てて割と自由に使える、使い勝手がいい一括交付金といいますか基金制度みたいなものをつくる必要があるんではないかと。私も財政金融委員会ですので、野田財務大臣にそういうことを聞いたら、そういうことは必要ではないかというふうなことまで答弁をされるような段階まで来ているんですけれども。  どういう形かというと、いろいろあると思うんですが、例えば被災した自治体のまず世帯数とか何かで一括して一定の金額を出して、あとは被災の状況に応じて二次的な一括交付金と。いずれにせよ、自治体が自分で使えるような、自分の判断で使えるような基金なり一括交付金というのは必要ではないかと、そうしないと復興のスピードが間に合わないんではないかと思います。  そこまでいかなくても、少なくとも、例えば雇用対策の分野ごとに雇用対策の基金、あるいは医療が大変な状況ですから医療再建の基金、漁業なら漁業のための基金ということで、余り細かく言わないで、それぞれ自治体にそういう形で配分をするというのが必要ではないかと思っておりますが、藻谷参考人の御意見を聞きたいと思います。
  48. 藻谷浩介

    参考人藻谷浩介君) ありがとうございます。  たまたま書いた本が売れたということと地元に詳しいというだけの資格でここに来ておりますので、本来なかなか国の制度に立ち入る立場ではないんですけれども、私は、一括交付金型の交付金には個人としては賛成です。今回それを書かなかったのは、特区ではなくてもできることですので、あえて十五分という中でテーマを絞りましたので書きませんでしたが。  更に申し上げますと、一括交付金を使ったことが、ばんそうこう型で何かに取りあえず臨時で使うんですけれども、後々それが、例えば何か病院整備に取りあえず使いまして、結果的には応急的にできた、修理された病院の部分が別の補助金に該当していた場合、別の補助金を事後申請して一括して補助金を充てた分、その分は回収して、ほかの用途に更に使えるという型だとなおよろしいかと思うんですが。  また、この震災復興は特にそうですが、海外ですと、いわゆるスラム化した地域復興のために一括補助金を使っていろいろと再生をしたということが、欧米、クリントン政権なんかでありましたけれども、これは物によってはかなりワークしたと言われております。同じように、まさに今回も、まさにスラムじゃないんですが、真面目にやっていたんですけれども天変地異でひどいことになったということですから、そういうふうに自由に使える補助金というのは価値があるし、また、私が聞き及んでいる限りでは、これは本当に結構超党派で皆さんがお進めだとすれば大変すばらしいことだと思っております。
  49. 大門実紀史

    大門実紀史君 今申し上げた一括交付金のような思い切ったシステムが必要だと思いますが、現場立谷市長さん、いかがでしょうか。
  50. 立谷秀清

    参考人立谷秀清君) ちょっと私、水差すわけじゃないんですけど、ちょっと慎重なんですよ。  というのは、義援金たくさんいただきました。義援金を持ってきてくださる方は、相馬市の復興のために使ってくださいっておっしゃるんですね。それは、被災者に分配してくださいという意味ではないんですよ。だけど、それは全部義援金という、そういうカテゴリーに入っちゃうんですね。ですから、我々はこの義援金の使い方に対して、一部は、というか大部分ですけど被災者に、例えば、私、被災当初に、みんな当座のお金がないから、一人三万円ずつだあっと配ったんです。義援金集まる前に配ったんですね、後から集まった義援金でそれは充てていったんですけど。そういう使い方もあるし、あるいは、その義援金でもって、私、市民に、一世帯に一個ずつリュックサック買って渡したんですよ。次の避難に備えなさいという意味なんですね。何あるか分からないから、そういう気持ちでいてください、そのときのための必要なものを常に用意しておいてくださいと、リュックサックを一つずつ配りました。  こういうことは配分委員会というところで決めるんですが、ただ、私、決めていることは、義援金は、これは決してハード事業には使わない。復興のためのソフト事業、例えば義援金で線量の高い地域の健康診断をやるとか、今後仮設住宅の健康診断をやっていきたいと思いますけど、ソフト事業に使うぞというふうに決めている。  ですから、やっぱり今度復興するに当たって、私、ある程度引き出しは明確にしておいた方がいいと思っているんです。ソフト事業に使うべきところをハードに使ったらいかぬですね。ですから、被災から復旧するために、ソフトとハードと分けてやらなくちゃいけなくて、ハードはハード。  これは、一番いいのは、交付金というのが一番いいんですね、タグ付いてきますから。ですから、荷札付いた交付金という形で受け取った方が、こういう状態であっても、我々基礎自治体としては財政のマネジメントはきちんとやっていかなきゃいけないんです。  ですから、そういった意味では、一括交付金で余りたくさんいただいちゃうと収拾が付かなくなるという心配があります。ただ、こういう目的があるだろうと、ある程度僕は限定して一括交付という形でいただいた方が、私自身は整理がしやすいですね。それは、うんと大ざっぱなことを言えば、たくさんあればあっただけ何でも使えるんですから。ただ、震災復旧だからといって私は今までやってきたやり方余り変えたくないという気持ちはあります。ちょっとそこのところを御理解ください。
  51. 大門実紀史

    大門実紀史君 もちろん国で恐らく考えなきゃいけないのも、ばくっと何十億とかそういう形じゃなくて、市長がおっしゃったように一定の物差しは恐らく付く形だろうと思います。被災地もいろんな状況がありまして、とにかくもういろんなことをやらなきゃいけないという点で、もう間に合わないから一括でというような要望がかなり出ておりますので、そういうふうな意味でございます。  立谷市長にお伺いしたいんですが、私も三月の末に相馬に伺いました。南相馬に行ってから伺って、南相馬市長さんと懇談できましたけれども、相馬の方はちょっと時間がなくて伺うことできなかったんですが、漁業者の方々のいろんなお話を聞いて、原釜の漁協のところも見てまいりました。相当の被害でございます。  先ほど市長さんが提案されたイメージの中で、被災居住地の買取り支援というところがございますけれども、これは魚市場とか水産加工のことも入っておると思いますが、これをもし、国なり県が入るかどうか分かりませんが、もし買い取った場合、その後どういう構想を描いておられるか、お聞かせいただけますか。
  52. 立谷秀清

    参考人立谷秀清君) 買い取った後そのように使いたいということでその図をかいたんです。  ですから、例えば漁労集落ですから漁業を中心に復興考えていかなきゃいけないんですね。だけれども、そこに居住させるのはちょっと不安だと。ですから、高台に宅地を開発して、この宅地の開発というのは難しいんですよ、実際。土地を買ってということになると本当に難しいんですけれども、それが可能であったとして、その宅地を後々払い下げることができないから何とかしてちょうだいということを申し上げているんですが、それを前提にした場合、やっぱり職住分離でいくしかないですね。  その職業域をどういうふうに利用するかということになるんですが、個人の土地がそのまま残っておったのでは、これはその居住制限というのも当然期間がありますから、後々、俺の土地勝手に使ってみたいなところと衝突するわけですよ。それを考えたら、ここはある程度、例えば不動産鑑定士に掛けたら多分ゼロでしょうね、だけれども、課税対象額というのがありますから、そこら辺の金額で買い取って、やっぱり整然と計画的に使うということは必要になると思います。その場合は利用者にお貸しするということになるでしょうね。  ですから、買い取った上でそこに加工工場の用地を確保するとか、あるいは冷凍庫をたくさんつくるとか、あるいは、それでも土地余りますから、そこはメガソーラー敷くとか、そういう形で全体的に行政が立案していく必要があるんではないかということで、そのようなことを申し上げました。
  53. 大門実紀史

    大門実紀史君 市長さんに、ちょっと大きな話でございますが、昨日ですかね、福島県の中の有識者会議復興ビジョン検討会が開かれて、今後の原発に対する考え方として、原発に依存しない脱原発というような方向をこの復興ビジョン検討会では打ち出されたということでございますけれども、立谷参考人としては今後の原発行政の在り方、こういう福島県の有識者会議ではもう脱原発の方向というふうなことは打ち出されておりますが、いかがお考えでしょうか。
  54. 立谷秀清

    参考人立谷秀清君) これは私、個人的なことでお答えしたいと思うんですけれども、私は元々医者でございまして、ずっと医療にかかわってきました。その医療にかかわってくる中で、やっぱり福祉が必要とされる人々、高齢者もそうですね、その方々を支える社会とは一体何なんだろうと、それが私が市長になった動機なんですけれども、今でもそういう考えを持っています。ですから、やっぱり社会がある程度しっかりとした生産体制をつくっていかないと、私は理想論だけでは進まないとは思っています。  ただ、今回これだけの原発による被災を受けている福島県の首長として言えば、有り難くないことは確か。ですけれども、そこに至るまで私は脱原発ということの標語だけで果たして済むのだろうかということを考えます。それはやっぱり二十年後、三十年後の目標としてやっていかなくてはならないことだろうし、それを言うには、反面、相当な覚悟が必要ですね。その脱原発を、じゃ化石燃料の燃焼でもって達成するのかということで、それだけで済むのかという問題ですね。元々原子力推進の考え方の中には環境にいいということもあったはずですから。特に近年そうだったですね。今回、原発がこういうことになったから化石燃料に対して目をつぶってもいいということには当然ならないわけであって、そういうときはやはり環境負荷を与えないようなエネルギーの調達、言うのは簡単ですけど、現在、日本ではまだ〇・三%ですからね。これを三%にして三〇%にして、それで初めて脱原発の理念が完成するんだと思うんですよ。  その途上に、私はいたずらに産業を押さえ付けるようなことがあってはならないと思いますね。そのことによって、また別な意味での弱者がひどい思いをすると。例えば、経済が低迷することによって、別な意味での弱者が虐げられるという現象が必ず起こってきますから、そのことを十分考えた上でバランスを取りながら進めるべきだと思いますし、またそれは国民全体がその負担を強いられてもしようがないという覚悟の下に、例えばソーラーパネルの面積を圧倒的に増やしていくとか、風力も圧倒的に増やすとか、そういうことをみんなが覚悟して考えないといけないと思いますね。そこの覚悟なくして脱原発という言葉だけでは私はいかぬと思います。
  55. 大門実紀史

    大門実紀史君 これで終わります。
  56. 藤井孝男

    藤井孝男君 参考人皆様方、御苦労さまでございます。私も限られた時間ですので、御意見を賜りたいと思います。発言順に参考人皆さん方にお伺いしたいと思います。  最初に、藻谷参考人にお伺いします。  藻谷参考人意見陳述の中で、要するに住宅医療雇用というふうに大きく三つに分けられて、そしてまた特区のことにも触れられましたけれども、一言で私印象に残ったことは要するに何かと言ったら、柔軟に対応してほしいと。そして、もう一つ、私の勝手な思いかもしれませんが、スピード感を持っていくこと。そして、そのスピード感を持たせるためには権限を、特に現地本部を中心に宮城、岩手そしてまた福島もそうなんですが、それが必要じゃないかというふうに私は感じ取ったわけであります。  そこで、いろんな問題があるんですが、規制緩和というのは非常にこれもまた結構耳触りのいい言葉なんですよね。しかし、ある面では、規制緩和というのは、先ほど立谷参考人ももう一つ特別措置ということもあるじゃないかと、規制緩和。もう一つは、やっぱり規制強化というのも必要なんですよ。規制も強化しなきゃいけない。我慢してもらうということは、首長さんもそうですが、権限を持ったこれから本部、そういったことに対するバランス感覚、こういったことについて藻谷参考人の御意見、改めてお聞かせいただければと思っています。
  57. 藻谷浩介

    参考人藻谷浩介君) ありがとうございます。  まさにスピード感を持って、つまり、そこで現実に一日長く延びれば延びるほど本当に人命にかかわる事態もありますし、また本当に生活のよすがを失って、ダメージを受けて、雇用に、もう自立した生活に戻れない人が増えていくわけですので、まさにスピード感を持って、渉外をやるには現場に者を置いて、ヘッドクオーターを置いて考えなきゃいけないという、おっしゃる御指摘のとおりの考え方で私は申し上げました。  規制強化について、まさにそうでございまして、今回の資料にも規制緩和とは書いていないんですが、運用緩和というのがありますが、私権制限ということをどさくさに紛れてやるというのは非常に危ないということなんで書いていませんけれども、現実には、土地利用に関しては既に取りあえずテンポラリーに建築制限を掛けているところと、まだ掛けていないところがばらついているわけですが、これは明らかに何らかの形でやっていかないといけませんし、そのときに、ではそこに、被災された、津波かぶったところにしか財産がない方、あるいは今立ち入れなくなっている地域です、原発で、にしか土地がない、それが唯一のよすがである方々を逆に制限するんであれば、どう救うのかということを考えなくてはいけない。  私の意見では、買取りの場合、価格はどうするのか、買った人の負債をどうするのか、バランスシートどうするのかという問題が発生するので、本当はなるべく定期借地という形で解決できないかと私どもは思っていまして、まちづくり会社のようなものがその被災された地域土地とそれから内陸部の土地を、これも内陸部の土地を高い値段で貸そうとするわけですけれども、そうじゃなくて、こういうことなのでひとつこの値段で貸してくれないかと、売れとは言わない、先祖代々の土地ですから。この値段で貸していただきたいということで全部借りまして、それを利用権を取り替えるといいますか、沿岸部に住んでいた方に内陸部の土地を使っていただくと、賃料相殺というような形のことを実は考えて提言しています。  いずれにしましても、完全に私の所有物ですから私の自由になりますという形を土地について主張しておるとこれは進まない。あの関東大震災のときに起きた問題と同じことが繰り返されていると感じております。
  58. 藤井孝男

    藤井孝男君 いみじくも土地問題に触れていただいてありがとうございます。  これは、私は岐阜県で今回直接被災を受けていませんが、例えば何かを、道路を整備しよう、それは国道であったり高速道路であったり市町村道であったりしますけれども、一番問題になるのは、最後土地買収なんですよ。日本という国は民主国家なんです。ですから、やはり民主的民主的にやりますと最終的にはもう土地買収がなかなか進まない。結果的に九九%の人たちが賛成しているのに一%の反対者によって道路ができないとか、整備できない。これが結局、その地域、またあるいは自治体全体の大きなネックになるという。  ですから、私あえて、皆さん方本当に、規制緩和だ、もう現地の声をよく聞け、そしてそのことにこたえていけ、スピード感持ってやれと、これが一番大事だと思うんですけれども、一方でふっと忘れがちなのは、こういう民主国家だからこそ逆に、土地のある程度制限、今暫定的にやっていますけれども、ある面ではそういったことを強化をしていかないと本当に復旧も、それから将来的な復興もできないんですよということを、ある面では私は、政府もそしてまた自治体皆さん方も、また被災を受けられた方々も御理解をいただかなきゃならないんじゃないかなということで、あえてこの質問をさせていただきました。ありがとうございました。  次に、立谷参考人、もう長い間いろいろお世話になって、今日また改めて陳述をお聞きしまして、相変わらずバイタリティーがあるなと、また行動力があるなと、時々口が悪い、耳が痛いことを私どもよく聞かされますが。  そこで、今日は、先ほど風評被害が大変大きな被害だと。実は私は、岩手、宮城に比べて福島県はまさにこの原発という問題が大変なこれが風評被害を呼んでしまっていると。先ほど会津の話もありましたけど、私は、被災を受けられた後すぐ、私の知人、これロンドンに住んでいるんですけど、二十年間、電話掛かってまいりました。藤井さん、知っているか、ヨーロッパでは日本全体が原発、いわゆる放射能でもう被害を被っているよと、だからもうみんな即引き上げろと、そういう話が報道されているよと。いち早く、いち早くと言ったらおかしいんですけど、ドイツの国はルフトハンザという航空をいち早くまずストップさせましたよ。そしてまた、在留しているドイツ人の人に、あなた方すぐ関西へ移れとか、そうしたら各国もそれに引きずられて、そしてまた日本から戻ってこいという話。  だから、風評被害ってもう即時に世界的な風評が広がったということが現実なんです。ですから、原発の問題も、私は実務者会議のたちあがれ日本の代表としてずっと出てまいりましたけれども、やはりその適切な、そしてまた情報公開というのは本当に適切と適時、そして正確に伝えないと、これはもちろん国内はもとより海外、全世界から、風評被害によって一番その被害を被っているのが私は福島県だと思っております。  そういう中で一番苦労が多いと思っていますが、それはそれといたしまして、我々も正確な情報の開示、そしてそれを国内外に伝えていかなきゃいけない責務があると思っております。  それで、今日は意見として出てまいりませんでしたけれども、立谷参考人は道路関係非常に一家言お持ちであり、よく会合でもお会いしますけれども、こうした港、特に相馬市を一つ限定しましても、港、鉄道、道路、そういったネットワークをどう考えるか、そこに漁業があり漁港があり、そしてまた産業が壊滅状態になっている。そしてまた、市民の皆さん方をどういったところ、安心して安全な場所に移すかという中で、やっぱり道路というもののネットワーク、これが結構必要じゃないかと思うんですよね。何も大きな高速道路だけが必要だというんじゃなくて、そういった件について今日は触れられませんでしたけれども、立谷参考人、この道路のありよう、有効利用、そして整備の在り方について御意見をいただければと思っています。
  59. 立谷秀清

    参考人立谷秀清君) まず、これから造る道路は全て災害に強い道路でないと駄目です。いろんなこの機会に道路行政を進める気かというばかみたいなことをおっしゃる方がいるというので、ちょっと腹が立っているんですけれども、やっぱりこれからの道路は災害に強い道路でないと絶対駄目です。それから、相馬の場合、津波が来まして、私の病院が津波から約五キロメートル、海岸から。私の病院の五百メートル前に六号バイパスという土手のような道路があるんです。ここで止まったんです。あと五百メートル来ていたら相馬医療は壊滅ですね。相馬は人住めなくなりました。ですから、道路で助かったんですね。  それから、もう一つ、原発の問題がありまして、風評被害で相馬に薬が入ってこなくなった。この薬が入ってこないというのは大変なことでして、もしも道路が寸断されておったらもう永久に終わりですね。迂回して入ってくるというのはなかなかありませんでしたし、あのときに。ですから、やっぱり被災直後の我々の目標というのは次の死者を出さないということなんです。次の死者が出る最大のリスクは医薬品がないということなんです。医療が立ち行かないということなんですね。比較的早く相馬福島間の道路が開通しまして、これは国土交通省東北地方整備局、徳山という人なんですけれども、よくやりましたね。私とはもう毎晩電話で話していましたけれども、ほとんど寝ないでやりました。我々寝ないでやりました。くしの歯作戦という、あれがなかったら薬が届かなかった。相馬もそうだったですね。あれがなかったら、あの道路がちゃんと通らなかったら、東北自動車道と相馬福島の道路がなかったら、まず原発騒動でやられましたね。我々、トラックを相馬市がチャーターして職員が取りにいきましたから。そうやって強引に頑張ってきたんですけれども、道路があって初めてですね。ですから、これからの道路は地震に強くないとまず駄目、それから海岸部は津波を防いでくれる道路でないとまず駄目。もう極めて痛感いたしました。
  60. 藤井孝男

    藤井孝男君 ありがとうございました。  今、東北整備局の徳山局長の話が出ましたけれども、私も長い、徳山局長とはまだ彼が若いころからのずっとお付き合いで、東北整備局をお伺いしたときも彼と直接話しました。例の今お話出ましたくしの歯作戦、これは何が非常に基本かと言ったのは、まず道路を、緊急車両とにかく一台でもいいから、とにかくもう通れるようにしろと、それは自分の権限で、何も言わないで瓦れき、とにかく目の前にあるものを、トラック一台とにかく通れるようにしようということが早期に、横のくしの歯と言われている啓開ができたので、啓開という言葉ですね、そこが一番大きなポイントだと思うんです。ですから、非常にまた参考になる御意見、ありがとうございました。  もう時間が参りましたので、最後小峰参考人にお伺いします。  小峰参考人は三つのことを挙げておられて、まず歳出の削減、無駄を省くということ、それから二番目に増税というのがあって、最後には国債発行ということであります。どちらかというと、国債発行は三番目の順位ということでありましたけれども、私は昨日も実はここの委員会で質問したんですけれども、財務大臣に、確かに日本の財政状況、特に国債の発行は世界の中でもぬきんでて債務国家になっている。  先ほど参考人もおっしゃられましたけれども、要するにギリシャのようになって、先般もIMFの幹部が来られて、そういったことを非常に懸念しているという、これよく分かるんですが、しかし、これはもう釈迦に説法ですから、先ほど、ちょっとギリシャということを言われましたけれども、ギリシャ国と日本との経済力も、それからいろんな意味でのファンダメンタルズが全く違う。ですから、ギリシャがそうだからといって日本はそうなると私は実は個人的にはそう思っていない。千年に一度のこうした大災害ですから、むしろここは財政出動すべきであると。確かに、国債の発行は世界でも最大の発行額を持っているという債務国家と言われておりますけれども、しかしその国債の消化は、ほとんど九六%は国内で消化している。あるいは、今デフレのような状況ですから、国民の、まあ金融資産はもう千何百兆とありますけれども、預貯金だけでもかなり、百五十兆とかそういった額が銀行の中にたまっている。それが借り手がない状況であるから、当分の間、私は、むしろこの大災害ということを考えれば、同じ借金であっても、それは勘定を別にするということはこれは大事なことですけれども、私は大胆なやっぱり国債の発行はすべきではないかと。復興債という名前であろうと、あるいは建設国債ということもありますけれども、同じ借金かもしれませんけれども、そういう意味では復興債という形で大胆な私は国債を発行すべきだという考えを持っていますが、小峰参考人の御意見を伺えればと思っています。
  61. 小峰隆夫

    参考人小峰隆夫君) これは私は、やはり国債の発行には相当慎重であるべきであって、今回は復興債は別建てにして、恐らくある程度の増税を担保にして償還していくという枠組みであれば増税と国債の中間形みたいなものになりますので、まだましという感じはしますけれども、国債、財政危機の議論というのは私から見ると言わばオオカミ少年の議論に似ていて、オオカミが来ると言っていながら今年は来なかったじゃないかと、来年も来そうもないじゃないかということなんですが、今のままいくといつかは来ることは間違いないということなので、それが、今年はないとは思いますけれども、何年後なのか、二十年後なのか三十年後なのかというのが分からないという、そういう類いの問題であるわけです。  ですから、これは私の計算でも二〇二〇年をちょっと過ぎた辺りで家計の預貯金を全部国債に回さないといけないぐらいのバランスになりますので、その辺になるとさすがに現実の危機として表れてくるようなことになりかねませんので、やはり長期的な視野で、なるべく長期的には財政の健全化を目指しているんだということが対外的に明らかになるような枠組みの下で国債を出していくということはどうしても必要だというふうに思います。
  62. 藤井孝男

    藤井孝男君 ありがとうございます。  そこのところがちょっと私とやっぱり見解の相違があると思います。確かに簡単に国債を発行すべきじゃないということは私も承知しておりますが、しかし、こうした千年に一度のこういった大災害でありますから、こういった意味における国債の発行というのはむしろここは大胆にやるべきだというのが私の意見でございますけれども、今日は貴重な御意見をありがとうございました。  どうもありがとうございました。
  63. 吉田忠智

    吉田忠智君 社会民主党・護憲連合の吉田忠智でございます。  三人の参考人皆様方には、先ほどの意見陳述また質疑の中で大変貴重な御提言をいただきまして、誠にありがとうございました。三人の参考人皆さんに一括して質問をさせていただきたいと思います。  まず、藻谷参考人に対してでございますが、藻谷参考人は全国の市町村をほぼ回られて、また被災地域も回られてきたと、全国の事例もよく御存じだと思いますが、先ほど立谷参考人から非常に、本当にこの厳しい状況の中でよく考えられて取り組んでおられるという事例をお伺いをしました。この相馬市の取組について、藻谷参考人の立場で感じられたこと、あるいは今後何か提言的なものがもしございましたらお聞かせをいただきたいと思います。  それから、立谷参考人に二点お伺いをします。  先ほど藻谷参考人から、省庁、県の部局縦割りで多数の予算メニューが下りてきているが、市町村現場はそれを統合的に使いこなせていない。まさに日本の省庁縦割りの行政機構の問題点について簡潔に指摘をしていただいているわけですが、現場で今取り組まれておられて、このことについてどのように思われるか、またこういうことを克服するために工夫されている点がありましたらお聞かせをいただきたいと思います。それが一点。  二点目が、この三陸沿岸は、御案内のとおり、貞観大津波、それから明治三陸、昭和三陸、何回も大津波に見舞われまして、本当に津波の常襲地帯でありますけれども、結果として、その津波が起こって十年あるいは百年たった後に、低いところにずっとやっぱり定住するわけですよね。これからの防災計画考える上で、そういう過去の事例をどのように参考にして、そして住民皆さんの意思も踏まえながら計画を樹立していくかということが極めて重要なことではないかと思いますが、その点についてお聞かせをいただきたいと思います。  それから、小峰参考人にお伺いをしますが、率直に申し上げて、私も十四日のこの特別委員会質疑でも申し上げましたが、発災後三か月を経てこの委員会でこういう議論をしなければならない、大変遅れている、率直に申し上げました。  なぜここまで遅れたのか。率直に、例えば小峰参考人はかつてこの行政機構の中におられましたし、今はちょっと離れた立場でおられますけれども、その理由についてどのようにお考えか、またこれからどのようにしたらいいのか、それが一点。  それから二点目は、財源の問題で、当面は復興債、私は出さざるを得ないと思います。その後の財源の確保に用いる税制、これをさらにどのようにしていったらいいかというお考えがありましたらお聞かせをいただきたいと思います。
  64. 藻谷浩介

    参考人藻谷浩介君) ありがとうございます。  僣越ながら、それでは相馬への評価と提言ということでございまして、恐縮です。私、やはり長年皆さんが進めていらした地方分権の成果だと思うのですが、やはりそれぞれの個性を生かしてこういうふうにベストプラクティス、先行して頑張るという事例が次々出てきているということが大変重要でございまして、相馬市長、僣越ながら全国医系市長会の会長でもいらっしゃいます。病院を経営されているお医者さんでもいらっしゃるわけで、そうすると医療福祉に対する当然ながら見地が高いということと、経営者ですので具体的に箱に落として物をちゃんと考えられるということを徹底されていて、そういう方がきちんとマネジメントを、たくさんの人を雇ってマネージされますね、看護師さんやお医者さん。ということなので、そういう観点が加わると非常にこういう具体的な計画が出てきて、かつそれが、例えば住宅にこういうふうにちゃんと介護や共助、コミュニティーゾーンを入れなきゃいけないとか、現実的、非常に現実的な、理念もそうだけれども、現実的にはこうしないことにはしようがないと、トリアージ的な考え方ですかね、全員助けたいんだけれども、取りあえずまずこの人から助けるというような御発想になっていると。  そういうふうなことを、逆に、当然全部の市長さんは医系ではもちろんありませんし、そうある必要もないんですが、ほかの町の方にうまく広げるような仕組みが必要だし、逆に言ったらば、別のところでは例えば工業出身の方、あるいは農業出身の方、漁業出身の方が中心になっているケースもあると思いますが、それぞれそういうところで、逆にこの相馬市のイメージに書いてあるような、具体的に農業や工業、漁業がどうするのかというところについて、彼らが考えたベストプラクティスを是非また相馬市が導入しやすくするような、そういう情報の交換が非常に重要だと思って、まあやられると思いますが。  その一方で、もう一つ余計なことを言えば、一つ申し上げたいのが、その際に、こういう絵に対して、提言としましては、まちづくり会社、市が直営されることもあるし、民間企業が全部やってくれることもあるんですが、どっちでもないはざまに陥ることが必ず出てきますので、そういうところを従来型のように、公社だとか三セクというのはずっとまた市の後年度負担になりますので、うまく住民お金を出資ある程度してもらうまちづくり会社的なものを活用されて、補助金もある程度受けながらということが、使いやすいパッケージであればやってみようかという気になると思うんですね。そういうのが明快に事例があって、変な話にならない、こういうふうな事例がありますと、よそでこういうふうにやっていますというようなことがあって、農事法人なんかに有効活用できると大変有り難い。  いずれも、農業も漁業も、民間の採算事業であるように見えて地域復興するための公的性格を持っていますので、そういうところに住民に出資させて、彼らもリスクを取りながら一緒にやるという、口は出さないけれどもリスクは取るということですね。進めやすくなりますので、そういうスキームを考えられたらいいかと。  もう一つだけ更に申し上げます。  今回、特に仙南、石巻以南の海岸平野については、もう五キロ近くまで波が来たわけなんですが、にもかかわらずこうやって機能している町があることについては、先祖の知恵で、それでも波が来ないところに町の中心がつくってあったということは極めて大きいです。相馬市の場合は中村という極めて歴史の古い城下町が中心にあるわけですが、お城もありますけれども、やはり何百年、七百年ぐらい続いていると思いますが、ちゃんと、過去何回もあった津波の経験から、実は波が来ないところにヘッドクオーターが置いてあるんです。  唯一、福島、海岸平野で中心が被災したのは新地町という町でございます。名前のとおり新しい土地でございます。新地が悪いわけじゃないんです。ただ、やはりその新地町が本当に復興してから何百年かは大きな津波が来ていないんですね。ですから、そこに町をつくったんですが、実は役場のところまで波が来てしまいました。やはり、中には石巻のようにどうつくっても波が来てしまうところもあるんですが、実は石巻も市役所自体は津波で壊されてはおりません、冠水しましたが。そういうところにつくってあります。  やはり歴史に学んで東北の人はきちんと町をつくってきているということを、ほかの地域の人は考えた方がいい。全国見渡してこんなに津波に強い地域は実はないです。逆説的に申し上げているようですが、実は強いんです。同じことが東海道や四国や紀伊半島に来たら、とてもこんなものでは済みません。我々は東北の知恵に学ぶべきだと思います。
  65. 立谷秀清

    参考人立谷秀清君) まず、国と我々地方というか基礎自治体の関係でどうやったらうまくいくのかということについて、今日までの私の成功事例になりますが、国と、国の中枢と、省庁の中枢と直接やることですね。間入れちゃうとよくない。だから、例えば水産庁の長官と直接電話でお話をします。場合には副大臣ともお話をします。そこと直接やらないと駄目ですね。農水省関係についてはそういうことです。国交省関係についてもやっぱり同じことが言えますね。  ですから、国の出先ありますけど、今回明確に言えることは、国の出先が極めて役に立っています。それがいけないという議論もありますが、しかしながら今回明確に言えることは、国の出先と、例えば東北農政局、東北地方整備局と私との間の話の中で進めています。それ以外のところと話しても駄目ですね。そこで、その方々にこうせい、ああせいと言ってくれるのが国会議員であって、あるいは副大臣クラスの方々に、あるいは松本大臣なんかとは直接お話をさせていただいておりますけれども、そういうところから後押しをしていただいて、国の出先と直接やったから今まで進んできたという側面が大いにあります。  ですから、地方分権論を考えるとき、いたずらに出先をなくせばいいというものではないですね。今回つくづく思いました。それをどこにやるんですかという話になると、私は、やっぱり日本という国は地方政府と中央政府でできているんだなとつくづく思っています。ここのところは今後いろいろ検証されると思いますけど、ちょっと頭切り替えていかなきゃいけないんじゃないかなという気がしています。  それから、町づくりに関して将来どうなるのかということですね。事例になるかどうか分かりませんけど、私は被災した相馬市原釜というところで生まれ育ちました。伝説があるんです。津神社という神社があるんですね。津という字を書く、三重県の津。津と書いてツノミツと読むんですよ。子供のころから言い伝え聞いて育ったんですね。津波が来るんだと、ここまで逃げれば助かるんだという津神社なんですよ。今回そこまで逃げた人が助かっているんですよ。ちょうどその辺まで来ているんです。で、調べてみたんです。四百年前、一六一一年に相馬藩の領内で七百人が溺れ死んだという記録があるんですね。いやあ、先祖って有り難いですね。その原釜地区は九五%が助かっているんですよ。言い伝えって恐ろしい、恐ろしいって、有り難いですね。言い伝えとその神社があって、あそこまで逃げれば助かるんだという、私もそれを聞いて育ちました。私の弟は助かりました。  ですから、これがどういう意味があるか、私も行政的にどうなのか分からぬですけれども、百年後、二百年後、あるいは十年後でもいいですね、ここの土地に居住するとしたら、四百年前の人がそういう言い伝えを残してくれたんだから、この時代に、やっぱりそこに仮に家建てるにしても、そういう土台組んだ上で建てるとか、そういう知恵は必要になりますね。それはもうどのぐらい先になるか分からないし、相馬がどういう復興を遂げるかも分からない。だけど、今のところは、私はあくまでも職住地域分離でいきたいと思っています。
  66. 小峰隆夫

    参考人小峰隆夫君) 今回のような復興のための基本法の制定が大分遅れたのではないかと、それがなぜ遅れたのかというのはなかなか、私の方が聞きたいくらいなんですけれども、確かに遅いと思います。  それで、海外の方と話していても、民間のさっき言った現場力のような対応、それから被災者の方々の非常に冷静な対応、こういったものについては非常に称賛の声が高い。ですけれども、やはり政策がどうも遅れているんじゃないかという評価がこれはすっかり定着しているという感じがします。  その原因は何かというのが難しいところですが、私は、やはりねじれた状況の下での政策合意形成のルールがまだ十分整っていない段階で震災が起きてしまったということがちょっと歴史的な不幸だったのかなという感じがいたします。元に戻ることはできませんけれども、震災の直後にもう少し何とか対応する道があったんじゃないかなというふうに思われます。  それから、財源についての税制をどうするかということですが、これは先ほどからも私も議論させていただいていますが、根本的に私が考えておりますのは、震災前にももう相当大きな問題を抱えていた。これは結局何をやっていたかというと、どうしても増税なり国民の負担をお願いしないと財政再建はできないというのはこれは明らかなんですけれども、それをやろうとするとなかなかそのときいる国民の反感を買ってしまうということがある。  そうすると、これは現代の民主主義の最大の欠点は、これから生まれる人たちが意見を言えないということなんですね。将来世代の意見を聞くことはできない。だから、現在の政治を担う方々は将来のことを考えて意思決定をする責務があるというふうに思うんですけれども、現実には現在の短期的な利害を求めて、結局は将来世代に負担を先送りしている。今回の震災を契機にそれを強めてはいけないというのが私の根本的な立場です。ですから、先ほどから国債よりは現世代の増税の方がまだ優先するべきじゃないかというのは、そういう立場から言っているわけです。  これは、よく弱者を助けなければいけないと言いますけれども、私の持論は将来世代こそが最大の弱者である。これは生まれた瞬間に、ある計算ではもう五千万円以上の債務を負った状態で生まれてくる。それから、よく格差を是正しろと言いますけれども、私は現代世代と将来世代の格差こそが日本の最大の格差だというふうに考えていますので、そういった観点から先ほどのような主張をしております。  そういった観点から税制を見ますと、実は消費税というのは現世代が負担をする。しかも、これはなかなか申し上げにくいんですが、勤労世代だけではなくて高齢者も負担するということですので、むしろ消費税は望ましい税制であるということですので、私は消費税でいいんじゃないかというふうに思うんですが、これはなかなか議論があるところですので、私は税制、どの税目かというのはこだわりません。こだわらないんですが、何らかの形で現世代が税負担をすることは避けられないのではないかというふうに思っております。
  67. 吉田忠智

    吉田忠智君 大変貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。  終わります。
  68. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 以上で午前の参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人皆様に一言御礼を申し上げます。  本日は、長時間にわたり御出席をいただきまして、貴重な御意見を賜りまして本当にどうもありがとうございました。心から厚く御礼を申し上げます。(拍手)  午後一時まで休憩いたします。    午後零時八分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  69. 柳田稔

    委員長柳田稔君) ただいまから東日本大震災復興特別委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、藤田幸久君、加賀谷健君、舟山康江君及び大門実紀史君が委員辞任され、その補欠として姫井由美子君、大野元裕君、大河原雅子君及び田村智子君が選任されました。     ─────────────
  70. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 休憩前に引き続き、東日本大震災復興基本法案地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、現地対策本部設置に関し承認を求めるの件、以上両案件を一括して議題とし、参考人皆様から意見を伺うことといたします。  午後は、東日本大震災支援全国ネットーク代表世話人栗田暢之君、京都大学教授藤井聡君及び特定非営利活動法人難民を助ける会理事長立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科教授長有紀枝君に御出席をいただいております。  この際、参考人皆様に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多忙のところ本委員会に御出席をいただきまして、ありがとうございます。  ただいま議題となりました両案件について忌憚のない御意見をいただければと思いますので、よろしくお願いをいたします。  本日の議事の進め方について御説明いたします。  まず、栗田参考人藤井参考人、長参考人の順序でお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、各委員質疑にお答え願いたいと存じます。  なお、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっております。  また、参考人皆様の御発言は着席のままで結構でございますが、質疑者は起立の上発言することとしておりますので、よろしくお願いをいたします。  それでは、栗田参考人からお願いいたします。栗田参考人
  71. 栗田暢之

    参考人(栗田暢之君) よろしくお願いします。東日本大震災支援全国ネットワークの代表世話人を仰せ付かっています栗田と申します。  資料を一枚はねていただきますと、東日本大震災支援全国ネットワークの概要を記したものが二ページにわたってございますが、現在までに、これは三月の十一日の発災以降に立ち上がった団体でございまして、現地のいわゆる社会福祉協議会だとか行政機能が麻痺して、これまでの阪神大震災以降の取組の中で、被災地の社会福祉協議会が中心となって、そこに関連するボランティア、NPO団体が加わって災害ボランティアセンターをつくるというような流れがこの阪神以降の十六年の歩みとしてありました。  ところが、今回の大震災に際しましては、その受け入れるはずの社協自身が宮城県だけでも二十人ぐらい犠牲者が出ている、庁舎が流されている、そういう現状の中で、社協ネットワークだけでは当然無理だと。そして、ボランティアネットワークをより充実させた全国的なネットワークをつくらなきゃいけないという発意に基づきまして、三月の三十日に総会を開いて設立をした団体でございます。  現在までに五百四十八の団体に御参画いただいております。そういう五百四十八団体が加盟している団体の代表世話人なんですが、ただ、何か五百四十八団体でまとめてやっていこうということではなくて、あくまでも調整機能としてのネットワークですので、何かここが日本の今のボランティアの主体となるということではないんですけれども、一応五百以上の団体が入っているということですから、様々な個々の団体の主体性に基づいて、様々な被災地の過不足を補い合っているという現状でございます。  レジュメに戻っていただきまして、余り時間がございませんので、その三つ目の黒丸の辺りから御説明させていただきますが、現状のボランティアさんに関しましては、現在までに全国社会福祉協議会なんかの集計によりますと、三十六万人とか三十七万人の方々が被災地で延べ人数で活動されたと。ただ、ボランティアセンターを通さないNPO、NGOもございますから、四十万人以上のボランティアさんが現在出入りしたということでありますが、阪神大震災は例えば一月十七日から三月三十一日までの間に、二か月ちょっとなわけですが、今現在、三か月被災地が経過しておりますが、まだ全然片付いていない地域もあるということで、当然、被災地内の格差もございますが、ボランティアさんがゴールデンウイークに一部余っているといった報道もありましたが、それは一場面の一特定のところだけであって、被災地の現状から申し上げれば、まだまだボランティアがかかわってやるべきことはもう山積しているという状況であります。  そういう中で、しかし今、避難所だとか仮設住宅だとか、あとは在宅被災者との支援の格差が広がっていて、市町村だとか、市町村でくくれないような、例えば石巻なんかは非常に広いですから、地区だとか地域を含むバランスの良い支援策が求められていますが、ただ、その全体を見ることが容易じゃないと。例えば宮城県全体がどうかといっても、一つ一つ自治体ごとにその状況が全く異なるということ、進捗具合が。それから、例えば福島と、じゃ宮城と比較できるのかといったら、そういう状況ではございません。ですから、一つ一つ地域が、市町村を超えた連携や情報交換も含めてまだまだ不十分じゃないかということでございます。  ただし、私ども東日本全国ネットとしましては、県域ごとに意見交換会を、現地会議を開催しまして、先ほどの全国支援ネットワークのレジュメの二枚目を見ていただきますと、その下の方に宮城そして岩手のまとめを記載をしておりますが、東日本大震災全国支援ネットワークでは今まで東京を主体に、政府の関係省庁との連絡会議もこれも東京でしながら、むしろその後方支援に徹するような形で情報交換を行っておりましたが、やっぱり現地の生の声を聞かなきゃいけないという声に基づいて現地会議を行いました。  五月二十五日に宮城で行いましたが、その宮城のまとめとしましては、改めて被災地は広範であって地域によって復旧復興の状況は異なる、ボランティアがまだまだ必要であるということ、そして復興は長期にわたること、さらに地元主体ということを尊重して、外部からの支援は地元と向き合って地元の団体などと連携して信頼関係を築くことが大事じゃないか、それから今後の課題である暮らしの支援だとか雇用問題も含めて、ボランティア、NPO、NGOでできる限り引き続き知恵を出し合って支援を続けていきたいというのが宮城でのまとめでございました。  同じように六月三日に岩手で開催しましたところ、やはり復興は長期にわたるということ、ボランティアは必要ということ、これは宮城と共通です。そして、今日までそれぞれが全力で緊急救援期の対応に尽力してきたが、今後は横の連携を大切にしなきゃいけないということ、そして復興の主役は被災者であり、被災者自身が自分たちの町に責任を持つよう外部支援者はコミュニティーの再生とかイベントや祭りを含む町づくり、そして地元が経済的にも潤うような後押しをしていくことが必要じゃないか、そして垣根のない連携で今後も知恵を出し合うこと、若干ニュアンスは異なりますが、まあまあボランティアさんも必要だと、ただし地元が主体としてこれからは様々な知恵を絞っていかなきゃいけないということが大きな流れです。  ちなみに、福島は六月二十九日に開催予定でございます。  レジュメに戻っていただきますと、やはり私たちはこうした状況においてますます中間支援組織的な役割が非常に大事だということを感じておりまして、JCNと申し上げていますけれども、東日本大震災支援全国ネットワークの役割も、ますますその調整だとかあるいは他県の様子を皆さんにお知らせするという意味においては重要な役割を担っているんじゃないかというふうに考えております。  ただし、原発問題も含めて、各県の置かれた被災者のそれぞれの立場は依然として厳しい声が上がっております。私たちのボランティア活動の一環としての足湯活動なんかを通じて拾ってきた生の声を別紙に参照しましたので、お時間のあるときに読んでいただきたいと思います。  皆さん、地獄を見られています。三時間半泳いでやっとたどり着いたと、途中で百人以上の遺体を見た、足を引っ張られたというような生々しい話が私たちボランティアにも聞こえるように、その足湯の中でお話をされます。こういう被災者に対して私たちが何ができるんだろうかということを、今日も多くのボランティアが現地に入って、あるいは後方支援で頑張っている現状がございます。  四つ目の四角の黒ですが、今後のボランティアですが、こうした状況を踏まえて、現在は当初の泥出しだとか食料や炊き出しの支援とか、そういう状況からは少し脱した地域が徐々に進んでおりまして、現在は、地域によっては仮設住宅の入居に伴うお茶会やサロン活動、あるいは心のケアや生活再建に向けた支援、また浜の大規模清掃だとか廃材等を利用したまきやお土産品などの販売の製作など復興の町づくりへの支援も広がっております。ニュース報道で御存じかもしれませんが、様々な知恵を出し合って自分たちの町を取り戻そうという動きが本格化している地域も少しずつ見えてきました。  ただし、これには例えば国による支援、例えば厚労省の地域支え合い体制づくり事業だとか、中小企業庁の中小機構による仮設店舗だとか仮設工場の整備、いろんな様々な今回の支援策が打ち出されておりますけれども、末端の市町村が、その受入れ窓口となる市町村にいまだ十分に活用できる段階にないと。ある自治体担当者は国が遠いんだということをおっしゃっていますが、いわゆる日々の業務に忙殺されて、様々な支援策がいろいろあるんだけれども、それを読んでいる時間もない、それを申請する時間もない、そういう悲鳴が市町村の役場から聞こえてまいります。  それに対して、私たちはボランティアであろうとNPO、NGOであろうと、現場に入って長らく支援をしていますと、その市町村に対するサポートをしながら、結果的には、例えば仮設店舗ができて、その仮設住民が生き生きと何か仕事づくりをするようなそういう場面をお手伝いを十分できると思っていますが、ただ、私たち自身もそれに堪え得る国とのつながりがございませんので、そうしたアドバイスを十分に行えていない現状がある。  ですから、今、産官民が協力関係をもう少し強固にしてこうした課題にもどんどん対応できるような体制づくりが必要じゃないか。ただし、被災地はそれぞれ、くどいようですが広いですから、一つでは駄目だと。例えば各県の地域ごとにいるとか、そういうきめの細かい対応が今後必要じゃないかというふうに考えております。  時間が多少、あと二、三分ございますでしょうか。最初申し上げたかったレジュメの一番、二番について補足的に御説明させていただきたいと思いますが、今回、私たちボランティア現場に早く入りたかったんですけれども、冒頭で申し上げましたとおり、行政機能あるいは社会福祉協議会の機能が完全に喪失してしまって、そこに大勢受け入れるような体制づくりが非常に時間を要したと。  ただし、この後御説明されます難民を助ける会の長さんなんかのやっぱり国際協力の団体がいち早く現場に入って活動されたというのは特記するに値ありますし、一方で私たちも災害救援の国内対応のボランティアとして様々なネットワークを生かして入ろうとしたんですけれども、なかなか難しい制約があったと。その制約が、やっぱり今回の災害は広域であったり甚大であったり未曽有であったり、様々な言葉が使われておりますけれども、やっぱり私たちのアゴ、アシ、マクラがほとんど自分たちでは十分な対応ができなかったという反省点がございます。  第一点目が、アゴというのは食料がという、御飯という意味ですけれども、食料等の補給が途中でできないと、ガソリンも含めて歩いて入れないと。ガソリンが売り切れだという状況は私初めて見ましたけれども、そういう状況の中でボランティアがふらふらっと入っていってキャンプ感覚でやろうとしても、極寒の地ですから、それは非常に危険な行為であると、かえって現地の方に迷惑を掛けるんじゃないかという意識が大きく働きました。  ただし、行ける者は行って、私どもの団体も行けるところから入っていったということがございますけれども、今後の私たちの取組の中で、やっぱりこうした状況が今後、東海・東南海・南海地震あるいは首都直下型地震が叫ばれている中、公的機関に必ずしも頼らなくても機能するような市民とかNPO、NGOによる災害対応の促進を更に進めていかなきゃいけないんじゃないか。国際協力のNGO等に学んで、私たちもやはり力を付けていかなきゃいけないんじゃないかと。  一方で、それを受け入れる地域社会の理解促進が必要だと。例えば、私たちが災害ボランティアだと言っても、地域社会自身がそれを受け入れる体制がないと、行ってもなかなかその支援活動がうまくいかない。今回、特に東北地方でございましたから、ボランティアの受入れを拒否するというようなことも若干、慣れ合うまでに時間が掛かったということがございます。  これから災害はどんどん広域化が懸念されていますけれども、そういう状況において、やはり私たちは、もっともっとこの日本社会全体が災害ボランティアに対する理解が促進されて、そして、基本はやはり地元住民自らが頑張るということでございますけれども、それをサポートできるような体制づくりが必要なんじゃないか。この新しい公、新しい公共というようなことに関していえば、より具体的な戦略を持って次の災害に備えることをしないといけないんじゃないかという課題がございます。  もう一方で、入れなかった入れなかったと言いますけれども、やっぱり私たちはもう少し官民の協力の中で、自衛隊などとの協力で主要メンバーが現地入りして、そしてその主要メンバーが必要な情報を後方支援部隊に届けるといったような体制づくりも必要じゃないか。ただし、これは、昨年の東海地震対応の政府総合防災訓練では自衛隊のヘリに民間人として私も初めて搭乗させていただきまして、立川基地から駿府公園まで自衛隊のヘリに乗らせていただきました。ただ、訓練でそれができたのに本番でできなかったというのは非常に残念ですけれども。ですから、もっともっとそうした官民の連携が進んで、ボランティアが災害救援の一翼を担う重要な機関としてもっともっと御理解が進んでいけばいいというふうに考えております。  私の発言は以上でございます。ありがとうございました。
  72. 柳田稔

    委員長柳田稔君) ありがとうございました。  次に、藤井参考人お願いいたします。藤井参考人
  73. 藤井聡

    参考人藤井聡君) 本日は、こちらの委員会で公述させていただく機会をちょうだいいたしまして、誠にありがとうございます。  ただいまの栗田参考人の方からは、現地のボランティアの活動の必要性等々含めて公述いただいたところですが、私は、今回の復興基本法の中でうたわれておりますいわゆる復興院並びにその中でどういう復興事業を進めていくのかと、十か年という文言が書かれておりますけれども、その中でなすべき事柄についてお話をしたいと思います。この十か年という期間を考えますと、先ほど栗田参考人のお話にもございましたように、首都直下型地震並びに東海・南海・東南海地震も当然ながら視野に収めなければならないということを前提に公述いたしたいと思います。  大震災から三か月以上もの月日が経過したわけでございますが、その間、現地では被災された方々と関係各位の大変な御努力により復旧復興が始められているというところでございます。しかしながら、その間、残念ながら、我が国の政府の対応の恐るべき不十分さに対しては、改めて私が指摘するまでもなく、多くの国民が絶望的な気分を伴う深い憤りを抱かずにはおれないというのが今日の現状ではなかろうかと感じてございます。例えば、全国そして世界中から集められた義援金の大半がいまだに被災地に届けられておらず、そして復興構想会議議論を待つまでもなく、実行可能であったはずの数十兆円規模の大規模な国債発行とそれに基づく大規模な復興事業の始動は決して遂行不可能などではなかったということは明らかではないかと感じております。  こうした政府の対応の恐るべき不十分さのために、被災地は放置され続け、失われずに済んだはずの数々の人々の命が、そして本来ならば失われずに済んだはずの地域活力が数十、数百、数千と失われているのが実態ではなかろうかと感じております。これを不作為の罪と呼ばぬのならば、一体何が不作為の罪なのでありましょうか。数名をあやめるだけで極刑すら免れ得ぬ法治国家である我が国日本には、被災地の放置という巨大なる不作為の罪を裁く法が不在なのだという不条理の極みと言うべき恐ろしい事実を誠に遺憾ながら認識させられた次第でございます。ざんきの念に堪えません。ついては、国政に直接、間接にかかわられます皆様方には、今すぐに迅速かつ大規模な復興事業の展開が可能な体制づくりを心から請願せずにはおれません。  さて、本日公述申し上げる内容はお配りした資料に記載しておりますので、こちらを御覧いただきながら公述いたしたいと思います。なお、国民の皆様方におかれましても、当方の、藤井聡のホームページにて公表してございますので、御覧いただければ幸いでございます。  第一に、本基本法に基づいて二十兆円から三十兆円規模の国債を今すぐに発行し、大規模な復興事業を速やかに遂行すべきであります。もうこれ以上、政府による不作為の罪を重ねることは断じて許されません。なお、復興のための公費総額は私どもの試算では少なくとも五十兆円弱の水準にあります。ついては、この二十兆円から三十兆円の国債は、瓦れき処理を始めとしたあらゆる応急対応のための財源という位置付けであります。  第二に、今被災地で求められているのは、被災者の救援や疎開、瓦れき処理、仮設住宅整備、基本インフラ復旧等々でありますが、それらに加えて、とにかく大至急行うべきものは、廃業の連鎖並びに転出の連鎖を食い止めることであります。今、被災地の漁業、農業、商業等の担い手の多くが毎日廃業するか否かの選択を迫られておられます。しかし、先行き不安のために廃業を選択する方が日に日に増え続けています。同様に、被災地からの転出についてもこうした負の連鎖が進行しています。この廃業と転出の連鎖は地域活力を一気に衰弱させ始めています。この負の連鎖を止めるためのあらゆる対策が東日本の再生のために何よりも必要とされています。とりわけ、いわゆる二重ローン問題におきます一重目のローンは今政府で議論されているよりもより大規模で、最終的には国が全て肩代わりするほどの強い対策が不可欠であると確信しております。  第三に、国費に加えて大量の義援金が被災地に支給されていないという状況は大至急改善せねばなりません。そうした資金の配分を適切に急ぐためにも、徹底的に、自治体あるいは農協、漁協等々の地域組織を徹底的に活用すべきであると考えます。一定の基準を設け、そうした地域組織に資金を大量に配分し、その組織内部での配分方法についてはその組織に任せるという態度が不可欠であると思います。そうした組織は、中央政府や中央の諸会議では分からない、何が必要で誰が困っているのか、あるいはどういう町づくりをなすべきなのかということを誰よりも分かっておられるのであって、結局それが一番公平かつ効率的な分配をもたらすことになるからであります。  第四に、そうした地域組織を徹底活用する一方で、全体の調整を図るような広域的な地域組織が必要であります。そうした調整には中央の復興院では入手困難な情報こそが重要となりますので、国と地域をつなぐ中間的な広域的組織を被災地設置するということが不可欠であります。本基本法におきます地方事務所をこれに対応するものとして運用することも可能かもしれません。あるいは、予算年次等にとらわれない柔軟な対応が不可欠であるという点を鑑みますと、より重要な組織体としては特別な立法に基づく例えば東日本ふるさと再生機構を設置するということも考えられるかと思います。そうした地方事務所あるいは機構にて、雇用創出に基づく就労支援、全国からのボランティア等の支援の適正配分、その調整、そして自治体地域組織への諸種の支援を被災地にて行うという体制が極めて肝要であります。  第五に、今回の大震災は、日本経済の供給力ばかりではなく、需要能力を大きく破壊したという現状認識が不可欠であります。この需要の毀損を放置すれば震災デフレが深刻化し、現に、今既に全国で倒産や失業が連鎖的に広がりつつあります。言わば、かの津波は、被災地だけでなく、全国各地の地域経済にもデフレという形に姿を変えて襲いかかっているのであります。これを食い止めなければ復興のための基礎体力すらを我が国が失ってしまうことにもなりかねません。  ところが、現政府で恐るべきことに真逆の対策が進められています。復興資金確保のために非被災地公共投資額を一律五%も削られているのであります。これでは震災デフレの進行は決定的なものとなります。今なすべきことは、適切な金融政策と同時に、それと併せて全国の投資を増強し震災デフレを食い止めること、この点なのであります。  現在、今回の震災によってGDPが二十兆から三十兆円程度低下することも予期されております。したがって、例えば今年だけでも被災地復興に二十兆円、非被災地でのデフレ対策に十兆円程度の投資を行い、震災デフレを食い止めることが不可欠であります。一方で、震災デフレが放置されれば、日本のGDPが近い将来に三百兆円台にまで割り込み、大幅に税収が減少し、財政は悪化することにもなりかねません。そうした暗い未来の到来は何としてでも防いでいただきたいと祈念せずにはおれません。  さて、以上は震災復興に直接かかわる諸点について公述いたしましたところでありますが、東日本大震災の直撃を受けた我が国は、今、更なる恐ろしい巨大地震の恐怖に備えなければならない状況にあります。首都直下型地震であり、西日本の大震災であります。  配付した資料の最終ページの参考資料を御覧ください。三ページ目でございます。  御覧のように、我が国は過去二千年の間に今回と類似した東北太平洋沖でマグニチュード八以上の巨大地震が四回発生しております。その四回のうちの実に三回、七五%において、東海・南海・東南海地震、言わば西日本大震災という超巨大地震が十八年以内の間隔で連動しております。さらには、その四回の東北太平洋沖の巨大地震の全てのケース、一〇〇%におきまして首都直下型地震、すなわち関東大震災が十年以内の間隔で連動しております。そして、首都直下型地震は歴史的には三十年から五十年ごとに発生してきたのでありますが、今回に限っては実に九十年近くも発生しておりません。ですから、今回、数年以内にマグニチュード七ないしは八クラスの巨大地震がこの首都東京を襲う見込みが極めて高い状況に至っているのであります。  いずれにしても、我が国は、東日本大震災、西日本大震災、そして平成関東大震災という超巨大震災の三連動が相当程度の確率で生ずる状況にまさに今直面しているのであります。  そして、さらには、これだけの巨大地震が連動するときには富士山の大噴火も併発してきたという歴史的事実も忘れてはなりません。全くもって恐ろしい話ではございますが、かの寺田寅彦先生がおっしゃったように、自然の時の流れは我々人間の歴史の流れとは全く無関係に進むものなのであります。そして、不幸にも、平成の我々日本人はたまたまその恐ろしい時代に生まれ落ちてしまったのであるというふうに考えざるを得ません。そうである以上、我々は今、こうした巨大地震の数々を近い将来起こるものなのだと明確に覚悟することが何にも増して求められているのであります。だからこそ、政府のこれから設置されるであろう復興院を中心として、東日本の復興を遂げるために全力を傾けると同時に、来るべき次の巨大地震への備えを速やかに始めなければならないのであります。  さて、これらの地震の被害総額は、中央防災会議の試算では二百兆円程度に上ると言われておりますが、地震や津波の大きさが想定外となる可能性も勘案いたしますと、三百兆円程度、すなわち、この度の東日本大震災の実に十倍程度もの水準にまで至ることも予期されるところであります。  つまり、今このままこうした超巨大地震に対して無策であれば、日本国家の存続そのものが危うくなり、日本国民が皆、孫子の代まですさまじい不幸のうちでの暮らしを余儀なくされるであろうことは火を見るより明らかではないかというほどの水準にある状況に至っているわけでございます。だからこそ、日本国家の存続を望むのならば、日本そのものを、遅くとも、遅くとも十年以内にこれらの超巨大地震の連発をも乗り越えられるほどの強靱な国に、すなわち、しなやかなレジリエンスある国に仕立て上げなければならないのであります。  そのためには、何よりもまず、皇居、そして官邸、議事堂、中央官庁、そして各地の学校や各種のインフラ、そして原発施設を始めとしたあらゆる施設の耐震強化が急務であります。各法人には、地震の際にはいかに事業を継続させることができるかというBCPの策定を義務化する法律を整備することが必要であります。学校等では徹底的な防災教育を進めなければなりません。インフラとエネルギーのシステムについては、過剰に効率化してしまうことを避け、どのビルにも非常階段があるように、まさかの有事を想定しつつ二重化、三重化していくという態度が不可欠であります。  さらには、最大の防災対策は、被災地域の人々や工場をできるだけ非被災地域に事前に疎開させておくことが重要となります。つまり、国土構造の分散化こそが最大の防災対策なのであります。そのための、日本海側や北海道、九州といった非被災地域における各種の投資や税制優遇などの地域振興策の徹底的な推進が不可欠であります。そして、首都機能の分散化や副首都構想の議論の再燃も今絶対的に不可欠であります。  さて、これらの強靱化対策を大規模かつ速やかに推進するためには、大規模な資金が必要となります。これから十年間で少なくとも二百兆円程度予算が必要となります。こうした予算は全て強靱な日本列島を建設するためのものでありますから、財政法にて法的に認められているところの建設国債を中心として確保していくのが妥当であると言えるでありましょう。しかも、確実に列島強靱化を果たすためには、こうした予算を、単年度予算考え方とは異なる、年度を越えた数値目標に基づいて確保していくということが必要となると考えられます。  無論、国内にはこれ以上国債というツケを将来の世代に残すのかという議論が生ずるであろうことは想像に難くありません。しかし、巨大地震による巨大被害という負の遺産ほどに大きなツケはないのではないでしょうか。そして、その建設国債を、その巨大被害というツケを残す代わりに、生命と財産を守る強靱な日本列島という正の遺産を後世に残すためのものである以上、後世に対する単なるツケなのでは断じてあり得ないのであります。  しかも、この規模の公共投資を適切な金融政策と適切な税政策等によるインフレ対策、デフレ対策を併せて実施することで、日本の適切な経済成長が可能となり、日本のGDPは八百兆円から場合によっては一千兆円超という、所得倍増とも言い得る水準に達するであろうことも十二分に見込まれるのであります。そうなれば、財政再建や少子高齢化等の我が国が抱える根深い諸問題を一気に解消することも可能となるでありましょう。  そして、防災的にも経済的にもそこまで強靱な国家に我が国日本が十年以内になれることができるのなら、平成関東大震災や西日本大震災の被害を最小限に食い止め、迅速に回復することも可能となるに違いありません。そして、それらを通じて、子孫の、孫子の代まで我々日本人は安寧と幸福のうちに暮らし続けることができることとなるに違いありません。  ついては、是非とも、後世の日本人の生命と財産と暮らしを守るための列島強靱化十年計画を、十分な予算措置にて挙国一致にて、挙国一致にて着実に遂行していただくための強靱化基本法案を、今回の復興基本法案と併せまして、真の政治主導でもって制定いただくことを国政に直接かかわっておられる皆様方に心からお願い申し上げ、当方の公述といたしたいと思います。  どうもありがとうございました。
  74. 柳田稔

    委員長柳田稔君) ありがとうございました。  次に、長参考人お願いいたします。長参考人
  75. 長有紀枝

    参考人(長有紀枝君) 長です。どうぞよろしくお願いいたします。  冒頭で、栗田さんの方から、国内対応のボランティアの活動、災害ボランティアの活動についてお話しいただきました。それと補完するような形で国際協力のNGOが現地で活動しておりますので、その立場から本日はお話をさせていただきたいと思います。  私がおります難民を助ける会は、一九七九年にできた国際協力のNGOで、先生方とも関係の深い尾崎行雄の三女の相馬雪香がつくった会でございます。海外の難民支援、特に災害弱者の方々、障害者の方々を中心にした支援をしてまいりました関係で、今回の震災につきましても、発災直後から被災三県でそうした活動をしております。  本日お配りいたしましたジャパン・プラットフォームの資料がございますが、このジャパン・プラットフォームの資金助成を受けながら、また、皆様からの募金をいただきながら活動をしております。こちらの資料もどうぞ御覧くださいませ。  本日お話しさせていただきたいポイントは三つございます。災害復興に国際協力の視点を生かすこと、それから災害復興の意思決定に被災者御自身、その中でも障害者や女性の視点を含める点、それから復興庁の機能に将来起こり得る広域災害に対する対応も織り込む点の三点でございます。  まず初めに、改めて申し上げることではないかもしれませんが、復興とは何か、復興をどのように考えているかということについてお話を申し上げたいと思います。  今般の東日本大震災では、まさに国家の安全保障が問われる事態になっております。その意味でも先生方お一人お一人が重責を担われているわけですが、同時に、復興は個々人の方々、被災者個々人、お一人お一人の人間の安全保障の問題でもあります。この点を本当に端的におっしゃられたと思いますのが、今日の午前中にいらした相馬市長立谷さんのお話で、それをちょっと紹介したいと思います。  立谷さんはこんなふうにおっしゃいました。今回の震災でいろんな方が突然御自分の人生を断ち切られているわけですけれども、復興というのは、そうした突然断ち切られた人生の設計が、お年寄りならお年寄り、若い人なら若い人なりに、それぞれがそれぞれの人生の段階でそれぞれの人生設計を再び立てられるような状態になることというふうにおっしゃっておられました。私たちが目指す復興もまさにそうしたものです。そういったものに向けて、以下三点、お話を申し上げていきたいと思います。  まず一点目ですが、今申し上げたような人間の安全保障を確立する災害復興のために、国際協力の視点、知見というのを是非生かしていただきたいというふうに考えております。  今回、未曽有の災害に日本は襲われておりますが、国際社会を見渡しますと、スマトラやハイチ、それからバングラデシュ、ミャンマー、ビルマと、様々な災害が各地で起きております。それに対して、国際協力NGOや国連関係者、日本でも外務省やJICAの関係者など、多くの人たちがそれにかかわってまいりました。そうした人材がたくさん国内にいるのではありますけれども、多くは国際協力向けということで、国内の災害に余りそれが生かされていないように思っています。  また、国連機関、日本は世界第二位のODA拠出国として長きにわたり支援してきているわけですが、国連が培った災害対応の様々な知見もございます。どうしてそれをお金を出してきた私たち日本が使ってはいけないでしょうか。これは決して途上国のためのものだけではなかったと思います。平時にこうした国際機関と覚書を結んだり、政府が直接無理であれば、今回実際行われていますが、国連機関とNGOが連携するなどの形で是非その国際協力の知見を国内の災害対応にも生かしていくべきだと思っております。  そうすることによって何が生きるかといいますと、今国際社会の災害救援では、権利ベースアプローチ、被災者個々人の方の権利という視点からのアプローチですとか、障害者の権利条約に基づいた支援でありますとか、それから災害と女性の視点というのが大変大きな流れの中になっております。こうしたものを生かした支援活動ができるのではないかというのがまず一点目の御指摘でございます。  次に、二点目といたしまして、災害復興の意思決定に被災自治体であるとか住民の方、その中でも特に障害者、女性など、多様な当事者を含めていただきたいということです。  こちらは、例えば十三の障害者団体で構成されております日本障害フォーラムが要請しておりますように、また堂本先生を中心に六月十一日にシンポジウムが行われました。こちらでの要望にもありますとおり、是非意思決定の場に女性や障害者を加えていただきたいというふうに考えております。  これは、障害者のために活動しているNGOが長く国際社会でおっしゃってきた標語、ナッシング・アバウト・アス・ウイズアウト・アス、私たちのことは私たち自身に決めさせてくださいと。まさにその標語のとおりのことが今回の災害対応でも求められているのではないかと思います。反対に言いますと、それがなされていないのが現状かと思います。  例えば、卑近な例と思われるかもしれませんが、女性用の生理用のナプキンの配布の事例がよく引かれます。これ、通常ですと一日で五つとか六つとか女性が使用するわけですが、若い男性が女性に一つずつ配って、足らなくなったらまた言ってくださいと言っていると。当然そんなことは言えずに使えなくなっていると。足りないのは物ではなくて、物はそこに届いているのに、最後最後の末端の配布のところでちょっとした配慮がない、知識がない、意識がない、そんなことのために、実際に物やサービスがあるにもかかわらず、それが全くないような状況に置かれていると。こういうことが実際に起きているわけで、そのためにも当事者をどんどん含めるということをお願いしていきたいと思います。  それから、復興庁の機能に、東日本大震災の対応の経験に基づきまして、先ほど藤井先生がおっしゃられたような、将来の広域災害に対応するような機能であったり仕組みであったり、これも是非入れていただきたいと思います。  被災者の方によってはもしかしたら、復興庁であるにもかかわらず、なぜ今回とは違う災害対応の準備もしなければいけないのかと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、様々な援助活動をしておりまして、次々といろんな災害が起きますと、常に新しいところ新しいところへの対応で追われてしまうと。そうしますと、まだまだ十年単位で東日本大震災の被災地への支援が必要であるにもかかわらず、もしここで次の大規模な災害が起きて今と同様の準備でおりましたら、多分政府も援助団体も次の災害に掛かり切りになって、もっともっと強化していかなければならない東日本大震災の被災地への支援が更に手薄になるというような悪循環に陥りかねません。そういうことにならないためにも、復興庁の機能の一部に是非その広域災害対応というのを入れていただきたいと思います。  そうした復興庁考え方にこういった視点を加えていただきたいというものを幾つか列挙いたしました。これを順番に見てまいりたいと思います。  まず最初に、個別ニーズを特定するために被災者状況の把握でございます。  今回、あるいは国際社会、あるいは難民支援をしておりますときに、まず私たちが最初に取り組もうとするのが災害弱者の方たちの支援であるんですが、今回そういった方たちのデータが本当にございませんでした。今でも特に、施設に入っている方はまだしも、御家庭にいらっしゃる方、その個々人の方々への支援をしようと思っても、そういった方々の情報がないということで支援が本当にできておりません。  また、個人情報保護法があるからということで、まさに本末転倒ではないかと思うのですが、個人情報保護法の観点からそういった災害弱者の方々へのアクセスができないというような状況が現在起きております。次のこの復興庁の構想では、そういった課題を是非解決するような仕組みをつくっていただきたいというふうに考えております。  それから、重なりますけれども、人道支援や復興支援のニーズを現地で調査するために領域横断的、今は自治体ごととか県ごとであるかもしれないんですけれども、それを領域横断的、障害者であったり、まあお年寄りはあるかもしれませんが、様々な領域横断的な調査というのが必要になるかというふうに思っております。それから、統一された被災者台帳のようなもの、これも必要なのではないかと思っております。  また、今回、支援活動をしておりまして、市町の境界線というのが、これは国境ではないかと思うぐらいなことがしばしばでございます。あるいは、これは、縦割りというのは別に市町だけではなくて、それぞれ、県でも市でも町でもそれぞれの分野ごとに御担当が違うので、一人の方には一つのことしか伺えないと。ニーズの全体の把握をしようと思ったら、自分でこのことを知りたいと思ったら、それぞれの担当者を見付けて一人の人に一つずつ聞いていかなければならないというような事態が起きております。領域横断的それから地域横断的、そういったような視点が非常に必要ではないかと思います。  また、先ほど申しました相馬市では、心のフォロワーチームといって、被災した小中高生、学校単位で心のケアをするような仕組みが今できつつあります。こういったようなグッドプラクティスというようなものを是非、市町それから県のレベルを超えて全域で共有できるようなそういった仕組みもつくっていただきたいというふうに考えております。  それから、国際協力の専門家。先ほど何度も申し上げておりますが、国際協力の専門家、特に官の方たち、民は、自慢するわけではないのですが、私たちは別に呼ばれなくても勝手に行きますので、今回も国際協力NGOが被災地にいち早く行って活動することができておりますが、これは民だからこそできるわけです。しかしながら、国際協力の知見を持っておられる方々は民にとどまらず官庁の中にもたくさん大勢いらっしゃると思います。その方々が、それぞれの所属する官庁が災害対応の官庁でないと実際現地に行けない、休暇を取って行くしかないというようなことがあって、それは本当に国家の損失といいますか、せっかくいる人材を生かさないという法はないと思いますので、是非国際協力の専門家というものを官民にかかわらず生かしていただきたいと思っています。  それから、将来起こるべき大災害というときに、これは本当に恐ろしいことではありますが、各地に原子力発電所があるということは、今回と同じようなことが次の災害でも起こる可能性が十分にあるということです。そうしますと、復興庁復興政策をする意思決定の中に、放射能が人体に与える影響というようなことをよく分かっていらっしゃる医療の専門家のような方々を是非含めていただきたいと思います。  これらのことは、将来の災害に備えるというだけではなくて、現在起きている様々な課題を解決していくためにも是非とも必要な視点と思いますので、こういったことを現在の東日本大震災の被災地の支援にも活用していただきたいと思いますし、また復興庁の新たな機能にも是非加えていただきたいというふうに考える次第です。  私の方は以上です。ありがとうございます。
  76. 柳田稔

    委員長柳田稔君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  77. 今野東

    ○今野東君 民主党の今野東でございます。  三人の参考人の方々、本当にお忙しい中おいでいただきましてお話しくださいまして、ありがとうございます。  私は宮城県仙台の出身でございまして、まさに被災地のど真ん中にいて様々な動きを実際に感じているわけでございますけれども、本当に復興に向けて多くのボランティアの方々においでいただき、かかわっていただいていることを感謝しております。そして、そういう方々が被災したそれぞれの地域の人たちに寄り添ってどれほど大きな力になっているかということを思うと、本当にボランティアの方々の力というのは大きいなということを改めて教えられているところです。  さて、岩手県と宮城県と福島県のこの三県に限ってみますと、震災ボランティアの方々はここ三か月でどれぐらいいるかというと、もちろんはっきりは登録をしないでボランティアしてくださっている方もいらっしゃいますからはっきりした数字は分からないわけですが、およそ四十万人というふうに言われておりますね、今の栗田さんのお話にもありましたけれども。  阪神大震災の場合は三か月で百十七万人というボランティアの方々が来てくださった。今回のこの大震災に当たっては四十万人程度にとどまっているということが内閣府のまとめで分かっております。また、内閣官房の震災ボランティア連携室が持っている数字ですけれども、週ごとのボランティア人数をまとめているんですね。そうすると、五月二日から五月八日にかけての週が最も多くて、ここがピークで五万四千百人。ここをピークにして少しずつ、まあ増減の幅はありますけれども、減少をしているんですね。  そこで、豊富なボランティアの経験をお持ちの栗田さんにお伺いしますが、今回の大震災は阪神大震災に比べるとおっしゃるように広域であるわけで、またそれだけではなくて、復旧復興が大変長期になるということが確実だと言われております。ですから、ボランティアの方たちに参加をしていただくためには長期的な展望を持った計画が必要になると思うわけですが、政府も、ボランティアツーリズムの推進とか、あるいは国家公務員の方のボランティア休暇を五日間を七日間に引き上げるというような特例の措置を講じるなど工夫はしているんですけれども、ボランティア活動に参加をしていただくその動機付けなどでアイデアがありましたら教えていただきたいと思います。
  78. 栗田暢之

    参考人(栗田暢之君) 当初の阪神大震災の比較に関しましては、はっきり申し上げて、私も阪神の現場へ行きましたが、まあ歩いてでも行けたわけですよね。大阪あるいは青木の駅まで電車が通っていました。そういう状況とは全く今回異なるということでございます。ですから、西から東から多くの方々が、学生が休みだったということもあって多くの方が駆け付けた阪神大震災に比べて、今回は余りにも広範囲、歩いては行けないということが非常に厳しいという状況がございます。元々、現地に人の集中しているところが仙台ぐらいしかないということですから、やっぱりその数は阪神大震災と比較すると非常に少ないという状況はあると思います。  じゃ、ところが、比較してどうなるかという問題でもないので、やっぱり私たちが被災現場においてそれぞれ何が必要かということをしっかりと把握しないといけないと思うんですけれども、一方で、やっぱり災害ボランティアのイメージが泥かきだとか炊き出しとか、そういう単純作業に終始してしまっているんじゃないかなということが大きな点でもあると思うんです。  一方で、私どもが今現状で、私、名古屋のレスキューストックヤードというところのNPOの代表理事もしているんですけれども、私どもの団体としては宮城県の七ケ浜町で当初から活動をしておりますけれども、何といいますか、泥かきだとか炊き出しとか、そういうニーズがだんだんだんだん減ってきた段階においても、今度は例えば仮設住宅への支援をどうするかという課題がもちろんあります。ただ、仮設住宅のことばっかりやっていると、在宅の方々がすねるんですね。ですから、地域に出かけていってバザーをやったり、一方で、七ケ浜ですから七つの浜を持っているということで、町長さんに最初にお会いしたときも、この浜の復興が私たちの一番のポイントだというふうにおっしゃられました。  やっぱりボランティアができることとするならば、そうした泥かきとか炊き出しの支援ではなくて、浜の清掃なんかも含めて様々にメニューが提示できればいいと思うんですけれども、メニューができないとボランティアさんがたくさん来てもちょっとやっぱりやることがないということでちゅうちょしてしまう部分がありますから。  そこは、先ほども申し上げましたように、様々な被災地がたくさんありますけれども、そこのやっぱり知恵の交換をちゃんとして、自分たちの町はこんなふうにしてやっていると、それがイコール町づくり、復興の町づくりということにつながるような支援に対してもボランティアさんが必要なんだという発信を被災地の中からしっかりしていくということが大事だと思っています。そのための条件整備がまだ全然できていない。だって、自分たちの町のことを今必死にやってきて、隣の町のことと比較が今できない段階なんですよ。ですから、少し余裕を持って、そういう関係者が集まるような場の設定みたいなことがどんどん必要じゃないかというふうに思います。
  79. 今野東

    ○今野東君 続いて長さんにお伺いしますが、私は国会でメーンのテーマの一つに難民問題に取り組んでおりまして、不安定な地域や国から来た方々をどのように受け入れるかという問題ですけれども、長さんも長い間難民という弱い立場の方を救済する国際活動をしてこられたわけですが、今回も震災の直後から障害者やあるいは高齢者、また外国籍の在留者など、災害弱者を重視した活動に取り組んでこられて、こうした方々がこれから高湿度、高温の厳しい自然条件の中で暮らしていかなければならない、そこにどのような対応が必要だとお考えか。またあわせて、行政とボランティアという関係、また官民の関係について望ましい連携とはどういう形なのか、お話しいただければと思います。
  80. 長有紀枝

    参考人(長有紀枝君) ありがとうございます。今の御質問に全部お答えできるかどうか分からないんですけれども、お話しさせていただきたいと思います。  今、特に私自身、福島の方によく出ていっておりまして、相馬、それから南相馬、新地町ですとか、それから富岡や川内から逃げられてきた方たちともお話をしています。そのときに、これは別に福島だけの問題じゃなくてあらゆるところかもしれないんですが、仮設住宅になかなか入るのをちゅうちょしていらっしゃる方がおられると。これは今の災害弱者の方だけではなく全ての方かもしれませんが、現在の支援の形というのは、お仕事も全部あって家だけがなくなった人が復帰するにはいい形、避難所にいれば少なくとも三食の食事はある、御自分の貯金は減らさなくて済むと。それが仮設住宅に入った瞬間から、収入は全くないにもかかわらず御自分で生活をしていかなければならないと。健常者の方でさえこういうような状況であるときに、更に災害弱者の方々、もう言わずもがなと申しますか、更にそういった避難所から動けないというような方たちが大勢いらっしゃるかと思います。  本当に考え方の抜本的な転換といいますか、今までの状況ですと、家だけがなくなったという状況では今回全くないわけですから、ほかの支援、じゃ具体的に何という形では言えないんですけれども、それが必要になると思います。そのためのまず第一歩として、そういった特に災害弱者の方々の情報を、市町になるのか、どこかに集約して、それを援助団体に確実に届くような仕組みをつくること、それがまず第一歩ではないかというふうに考えております。
  81. 今野東

    ○今野東君 次に、藤井参考人にお尋ねしますが、復興基本法と同時に強靱化基本法を作って、災害にとにかく強い日本をつくっていかなければならないのだということを力強くお話しいただきました。そして、日本の存亡にかかわる巨大地震の更なる危機ということで、過去にどういう地震があったかということを示していただいたんですが、これは私たちの反省として、こうしたことを教育に取り入れてこなかった、徹底した防災教育が必要なんだとおっしゃいましたけれども、少なくともこうした学ぶべき歴史があったにもかかわらず、そこに蓋をしてきてしまっていた、結果的に。こういう教育のありようについてどのようにお考えでしょうか。  申し訳ありません、時間がありませんので、少し短めにお願いします。
  82. 藤井聡

    参考人藤井聡君) この教育というのはいろいろな意味での教育考えられると思いますが、二つ考えられると思います。  一つは、やはりそれぞれの地でいろいろな災害があると。これについてそれぞれの小学校、中学校、高校で、洪水なら洪水、地震なら地震、土砂災害なら土砂災害ということの危険性があるのだということをきちんと教えていくということを、これはいわゆる文部科学行政として全ての子供たちにきちんと教えていかなければならなかったと。それと同時に、いわゆる教育学の用語では生涯教育という言葉がございますが、生涯教育の中でもいわゆるリスクコミュニケーションという形で、徹底的にそれぞれの地でどういうものがあるのかということを伝えていくということは、これはもうやはり今まで以上により一層これは進めなければならないというのが一点であります。  もう一点でありますが、今お話しになられましたように、実は今回の地震は、東日本大震災の地震は、地層調査等々をしていると、千年に一回起こっていたということは実は学会なんかでも発表されていたんですね。ただ、まさかそんなことは起こらないだろうと、日本人全員が何か平和ぼけしてしもうてはったといいますか、何というか、学会でも、そんなんないやろみたいな空気があって、その空気が一番駄目だったんだと思うんですね。今からそのデータを見直すと、ああ、それはそろそろ来るわなと冷静に分かっていたはずなんです。  そういう意味で、この情報も、これちなみにどこにでも載っているような簡単な情報をこういう形にまとめただけですので、この解釈する能力が日本人になかった、すなわち地震が来るんだという覚悟がないので、まさかそんなことはないだろうというふうに、いわゆる寺田寅彦先生がおっしゃっているような、忘れたころにやってくるのを忘れた状況に今なっていたところなので、決して忘れないようにして、自然が我々に与えているサインを全て読み取って、きちんとそれを理解し備えていくという態度が必要だと思います。それが二点目であります。
  83. 今野東

    ○今野東君 最後の質問になりますが、被災された皆さんはこれから仮設住宅に入っていくわけですね。そうしますと、人と人とのつながりを持ったコミュニティーをどういうふうにつくっていくか、維持していくかということが大変大事になります。  そういうところになると、暮らしの現場を担ってこられた女性の役割というのは非常に大きくなると思います。長参考人は女性の参画ということが最初の段階から必要なんだということをおっしゃっていただきましたけれども、私も、復興構想会議、女性の視点がまだ足りないと思っておりますし、現地の対策本部、それから、やがて設置される復興庁、都道府県あるいは市町村ボランティア市町村での様々な復興に向けた会議会議体、そしてボランティアセンターなど、あらゆる組織や政策決定の場面で女性の積極的な参画を求めていく必要があると考えております。  できれば三人に伺いたいんですが、短い時間ですから、栗田さん、藤井さんにお伺いをして、もし補足していただけることがあれば長参考人から最後にお話をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。
  84. 栗田暢之

    参考人(栗田暢之君) ありがとうございます。  一つは、やはり私も同感でございまして、女性のバイタリティーは男性が見習うべきところたくさんございまして、私どもがボランティア活動をやっていても一番懐いていただくのがやっぱり御婦人なわけですね、主婦層の方々。そういう方々が、やっぱり被災地の中の避難所あるいは仮設住宅の中心、中心にはなかなかなりたがらない方が多いんですけれども、その支えとしての、例えば集会場を使った喫茶店だとか、そういうところには喜んで参加していただくような状況でございます。これをよしとせずに、やっぱり感謝の意を込めて、皆さんでそれを盛り上げていくような、支えていくような体制づくりが必要だと。  しかし、一方で、女性は避難所で炊き出しの担当をするのは当たり前だという社会の一方での側面もございますから、そこに疲弊してしまっている方も実際にあるので、それを特性というふうにやっぱり押し付けずに、やっぱりそういう方々が自発的にかかわっていけるような、仮設住宅でも、やっぱりやりたい人やりたくない人がいるわけですから、女性だからできるだろうということじゃなくて、やっぱりその選択がちゃんとできるような体制づくりが今後、応援団としては必要じゃないかなと考えています。
  85. 藤井聡

    参考人藤井聡君) 手短に申し上げますと、今回の震災に対して、これからの巨大震災に対してもそうでありますけれども、レジリエントな社会をつくっていかないといけない。そういう意味では、重要なインフラをつくったりとか、巨大な国土的なものと同時に、それと全く同時にそれぞれの地域のコミュニティーを強化していかないといけない。  コミュニティーを強化していくときに一番重要になってくるのはやっぱり地縁社会であります。その地縁社会は何かというと、やはり子供を通じた隣近所のお付き合いとか、いわゆる日本でいうと、非常に昔ながらではあるかもしれないですけれども、そういう地縁社会のきちんと強いところは、それこそ隣の人とちゃんと挨拶したりとかということをやる上において、やはり男性ではできないところがかなりあるんじゃないかなと思いますので、いわゆる地域コミュニティーを強化する上で女性の力というのは絶対的に不可欠であると感じてはおります。
  86. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 長参考人、よろしいですか。一言ありますか。じゃ、長参考人
  87. 長有紀枝

    参考人(長有紀枝君) 先ほど申し上げましたので、改めまして、いろんな意思決定の場に女性をということを申し上げたいと思います。  それから、冒頭の、障害者の方の御質問にちょっときちんと答えられなかったので、その点よろしいでしょうか、補足。  栗田さんの方で調整という機能をとてもお話しされておりましたが、やはりそういった障害をお持ちの方たちの支援というので、かかわっているいろんな団体が調整会議を持つ、これが本当につい最近動き出しているような状況でございます。そういうやっている団体同士が市町や県の境なく調整をすることでより良い障害者の方の支援というのが可能になっていくのではないかというふうに思っています。  済みません。ありがとうございました。
  88. 今野東

    ○今野東君 ありがとうございました。
  89. 赤石清美

    ○赤石清美君 自由民主党の赤石清美でございます。  まず初めに、この度の東日本大震災でお亡くなりになった方への御冥福をお祈りするとともに、東日本大震災から三か月経過したにもかかわらず避難生活や復旧活動を行っている被災地皆様へ心よりお見舞いを申し上げます。  そして、本日、東日本大震災復興特別委員会参考人として非常に御多忙の中お越しいただきました栗田暢之様、藤井聡様、長有紀枝様、心より感謝申し上げます。  さて、私は青森県の出身でありまして、今回、この三日間の議論を通じてどなたも青森県の被災について語られなかったものですから、少し語らしていただきたいと思いますけれども。  青森県も八戸市、三沢市、おいらせ町、階上町なども大きな被害を受けておりまして、六月六日現在で、青森県の調査によりますと、被害総額が港湾、漁港を中心に一千七億円に上っております。また、青森県には原子力発電所ともう一つ大事な放射性廃棄物の処理施設があります。今後これが最も重要になってくるというふうに思っております。  私は、被災直後の三月十五日から数回ほどこの被災地を訪れてまいりました。青森県の八戸から岩手県の久慈、普代村、宮古市、山田町、大槌町、そして釜石に至るいわゆる四十五号線をずうっと車で移動して視察をしてまいりました。これだけの広域かつ甚大な災害の復旧には、国がもっともっとスピード感を持って、先ほど藤井先生がおっしゃられましたけれども、実力、実行力を発揮しなきゃならないというふうに痛感をしております。  そこで、私はより具体的な質問を藤井先生に申し上げたいと思います。今日のお話を伺いまして、このような大胆かつ大規模な政策がこの国に本当に必要だと強く私も感じました。また、先生が東日本ふるさと機構でお使いのふるさとという言葉、私は大好きでありまして、私も自分が生まれ育ったふるさとを思い、政治家としてこれからも必死になって頑張っていきたいと思っております。そういう視点で三つほど、藤井先生に質問さしていただきたいと思います。  まず第一点目は、喫緊の課題としてある防波堤、防潮堤でございますけれども、この度の大震災において各地の防波堤、防潮堤が大きな被害を受けております。従来、防潮堤の必要がなかった地域でも、地震による地盤沈下によりまして高潮対策、あるいはこれから梅雨どきになって大雨対策、そういう意味でも防潮堤が必要になっています。このような地域においても、短期的な応急処置がまず一つ必要になります。それから、同時に、中長期的な防潮対策をどのようにするかということについて、まず一点目の質問をしたいと思います。  それから、二点目でありますけれども、東北地方におけるインフラシステムの強靱化についてであります。  この震災から一か月間、新幹線が不通になりました。私はたまたま航空便があって、それで青森まで飛んで、それから車で移動することができましたけれども、また、現地では東北を横断する、縦断する道路は何本かあるんですけれども、横断する道路が不十分でありました。このことによってガソリンなどの供給システムも非常にトラブりました。先生の御指摘のとおり、道路という枠の中でもいわゆるリダンダンシーを確保することが重要だというふうに思っております。またさらには、道路という枠組みだけではなくて、空路、鉄道、そして道路、さらには通信手段、これもかなり寸断されました。こういう枠組みもリダンダンシーの確保が必要だというふうに思います。この点についてお伺いしたいということです。  それから、三点目でありますけれども、先生はエネルギー、食料について自給率及び一定の備蓄が必要だというふうにおっしゃっておりますけれども、食料については私も同感で、備蓄の可能性はかなりできるだろうというふうに思っておりますけれども、エネルギーを備蓄するというのはなかなか難しいことではないかと思いまして、このエネルギーの備蓄について先生はどのようにお考えになっているのか、以上三点を御教示をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
  90. 藤井聡

    参考人藤井聡君) どうもありがとうございます。  まず、第一点の堤防の問題でありますが、今回きちんとこれから、既に検証が始まっておりますし、これからももっと検証しないといけないことでありますが、いろいろとあの地域で造ってきた堤防がどういう役割を担ったかということをきちんと科学的に明らかにする必要があります。  既に土木学会等が現地に行っていろいろと調べておりますと、乗り越えられたシーンだけを見ておりますとほとんど役に立たなかったように見えてしまうところでも、波の高さを著しく下げて被災地域を大きく下げたというところがかなりに上っているということが明らかにされています。当然ながら、堤防があることで完全に防がれたところもあります。その辺りを踏まえながら、やはり堤防はきちんと、コストの面もにらみながらでありますけれども、きちんと整備していくことが必要であろうというのが一点であります。  この堤防をこれから東北地域においてどう整備していくかでありますけれども、大ざっぱに申し上げまして、例えば三陸地方に関してはリアス式の部分でありますので、山がかなりありますので堤防を造らないといけない部分というのは非常に限られてきますので、そういう意味では効率的に堤防で被災を防ぐことができると。したがって、北部の三陸地方に関しては堤防というものを更に中長期的に強化していくというのが当然あり得ると思います。  南部の平野が広がっている地域に関しては、これは堤防で全て防ぎ切るということはもちろん技術的に不可能ではないとしても、コストがかなり掛かり過ぎるというところがあります。この点についてどう考えるかでありますけれども、津波対策としては、堤防だけで防ぐというほかにも、当然ながら高台に移住するということもあれば、あるいは公共施設だけを高台に移したりとか、あるいは盛土をして避難所だけは確保するとか、いろいろな津波対策というのがあり得ると思います。  そういう意味で、それぞれの地形を見ながら、それぞれの被災状況を見ながら、是々非々でいろいろな技術を活用して津波に強い地域をつくっていくというのが大事であろうと思います。それがまず第一点であります。  第二点目の東北のインフラでありますけれども、今回の津波で明らかになったことの一つが、高速道路というのは盛土で造っていた地域がありまして、実際はもっと北までずっとつなぐということが予定されて、計画はあるんですけれどもまだまだ事業化されていない、造られていないというところがあるんですけれども、たまたまといいましょうか、造られていた部分では、その盛土のおかげで、それが津波堤防になって道路の海岸沿いは壊滅的なダメージを受けたが道路の内陸側は全く無傷であったという地域があるということであります。これは、道路整備のときに実はそういうアセスを全くしていなかったところでありまして、今回初めてこういうような効果もあったんだなということが明らかになったところであります。  そういう意味で、一点目とも関係しますけれども、道路をきちんとつなぐということのネットワークとしての有効性もきちんとにらみながら、それが津波堤防としての役割も使えるのではないかということをにらみながら、一挙両得というような形で高速道路を盛土で整備していくということは非常に効果的であろうと今考えているところであります。  財源不足のために高速道路が途中で止められているところがたくさんありますので、そこはきちんと造っていくというのは、これはやはり三陸並びに東北の沿岸部の人々の願いではないかと思います。その高速道路があれば、きちんと港が復活したときにはそこからの水揚げがすぐに、より早く東京の市場とか大阪の市場に運ぶことができるということもあろうかと思います。そういう意味で、東北のインフラはまだまだ計画があるにもかかわらず造られていないというところがありますので、それは適宜造っていくべきであるというふうに思われます。  さらに、備蓄の点でありますけれども、もし今回製油所が、実は十割の製油所のうち三割程度備蓄的な役割を担っておりまして、といいますのが、ふだんの需要よりも多い形で製油所の油が日本国内にあったものでありますから、あれだけの事故があって、衝撃的な映像がたくさんありまして、あれでかなりタンクなんかが潰れたわけでありますけれども、あれがあったにもかかわらずそれほど大きな大混乱は、もちろん混乱はあってガソリンはなかったわけでありますけれども、本来ならもっとなくて困っていたところが助かったというところがありますので、これもたまたま備蓄分が残っていたということでありますから、これからは意図的にそれぞれの地域にどういう震災があってもすぐにガソリン不足が解消できるような備蓄をそれぞれのところで置いておくということが必要でありますし、並びに、電力に関しても、今回計画停電の問題等々がありますけれども、それとともに、例えばスマートグリッドというような分散型のものもありますけれども、あれにしても、スマートグリッド的なものがあっても、あるいは、場合によってはそこで建物が崩れると全部潰れてしまいますので、場合によってはそのスマートグリッドだけでは非常に脆弱であるということもありますから、中央電力系と地域分散系というものを併用するような二重化というような、そういう意味でも、これは備蓄といいましょうか、その方がリダンダントということでありますけれども、エネルギーに関してはそういうような安全保障を加味したエネルギー政策を取っていくことが必要であるというふうに感じております。
  91. 赤石清美

    ○赤石清美君 ありがとうございました。  続きまして、震災の復旧復興関連事業の中で雇用創出というのが非常に重要になってくるわけでありますけれども、しかしながら、被災地域において雇用維持を長期的に継続するためには地域ごとの産業育成、これが、再生、育成が必要だと思いますけれども、先生の提案では、この復旧関連事業で雇用政策をやるんだということになっていますけれども、そうじゃなくて、もっと中長期的に考えたら、何かやっぱり産業を再生しなきゃいけないと思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。
  92. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 誰に質問ですか。
  93. 赤石清美

    ○赤石清美君 藤井参考人によろしくお願いします。
  94. 藤井聡

    参考人藤井聡君) まさにおっしゃるとおりでございまして、私、こういうふうに考えております。  まず、地域社会がこうありまして、今回、地震、津波によって毀損をしたと。それで、今まずやるべきことは、二重ローン問題等々も含めて、この津波による地域社会の破壊をできるだけ最小に食い止め、できるだけ早期に回復していくと、そうすることで雇用が吸収できると、これがビジョンであります。  その一方で、今回、激甚な被害でありますので、すぐにはこれが回復できない、五年、十年と掛かる地域も出てくるだろうと。そのときに、実は回復しないので、回復するための事業というのがある、これが復旧復興事業であると。したがって、地域社会が傷ついているということは、それを回復するための事業がそこにあるはずで、この事業に雇用を吸収する余地があるんじゃないかというふうに考えております。  それが進展をしていって、だんだんとそこの事業が成功して、復旧復興が成っていって、地域産業がきちんとふるさと再生ができるようになれば、今度はきちんとした地域社会、復活した地域社会でその雇用を吸収するということで、継続的にずっと雇用が守られるというのがビジョンとして考えられるのではないかなと思います。
  95. 赤石清美

    ○赤石清美君 ありがとうございます。  続いてまた藤井参考人お願いいたしますが、行政の代替機能とリスク分散の話を先生されておりましたけれども、東日本ふるさと機構というものを先生提唱されておりますけれども、今回もそうですが、この被災によって失われた自治体の行政機能というのをもうなかなか今代替できないでいるわけですね。  将来的には、やっぱりリスク管理という意味で行政機能をネットワーク化するというか、そういうふうな考え方が必要ではないかというふうに思うんですけれども、先生のこの行政機能のネットワークについてどのようなお考えを持っているのかお知らせいただきたいと思います。よろしくお願いします。
  96. 藤井聡

    参考人藤井聡君) おっしゃるとおりだと思います。  強靱な社会をつくりたいというときに、強靱なシステムとは何かというと、それぞれ自立的にふだんは動いているけれども有事のときには助け合うことができると、そういうネットワークを事前に有事の前に平時のときにつくっておくと。  そのために、やはりいろんな交流をふだんからしておくべきであると思います。それは人事交流ということもあるでしょうし、お互いで、複数の自治体一緒になっていろんなプロジェクトをやったりという形で、その辺りをネットワーキングしておけばまさかのときにいろいろな代替機能が出てくるというふうに思いますので、まさに先生おっしゃるとおりだと感じます。
  97. 赤石清美

    ○赤石清美君 ありがとうございました。  最後になりますけれども、先生が提唱されています強靱化基本法という、藤井参考人、ですから、もう少しどんなものかという、具体的に時間のある限りお教えいただければと思います。よろしくお願いいたします。
  98. 藤井聡

    参考人藤井聡君) ありがとうございます。  この強靱化基本法については、この資料の中では七ポツのところに①から⑥まで書かれてございますが、これはインフラの強化ですとか、防災教育の推進ですとか、自給率の確保等々、今いろいろとお話ししていたようなところを、それぞれの項目について十か年でどういうように強靱化していくのかということをまず書かれるというのが一点であります。  それと同時に、それは施策の内容であります。その施策の内容と、そのためにどれだけの財源が要るのかということを、きちんと財源のことも書かれておくということが重要であります。これが単年度予算によって左右されないということのためにも、十か年でどれだけという目安を、複数年次で公共投資目標をきちんと書いておくというのが重要であると思います。それだけの公共投資をしますと景気とか金利とかも変わってくると思いますので、その辺りどういうふうに裁量的に調整していくのか、税制ですとかあるいは金融政策もどうするのかということもきちんと書かれておくと。  何よりも最も重要なのは、強靱な国にするんだと、そうすることを通じて子々孫々にまで豊かな国民生活を残すんだというビジョンが一番冒頭に書かれているというような法律をこれは是非とも作らないと、この国は二十年後に、GDP百兆円とかでもみんな、何か今日、銀しゃり食べてよかったなみたいな、月に一回ぐらいしか銀しゃり食べれぬようになってしまうような国になるのは何としても避けていただきたいというふうに考えているところでございます。
  99. 赤石清美

    ○赤石清美君 どうもありがとうございました。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  100. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 公明党の竹谷とし子でございます。  今日は三人の参考人の先生方、お忙しい中貴重なお時間をいただきましてお話し賜りまして、本当にありがとうございます。心から感謝申し上げます。  まずは長参考人に伺いたいと思います。  長参考人は、人間の安全保障の視点からの復興ということを初めにということで掲げられています。国家の安全保障の問題ではあるけれども、復興というのは被災者個々人に焦点を当てた人間の安全保障の視点からなされるべきということで、立谷相馬市長の定義も御紹介をいただきまして、午前中もこのお話、御本人からありまして、非常に共感をさせていただきました。公明党も、お一人お一人の生活、人生に焦点を当てた人間の復興ということをビジョンに掲げております。  今回、ジャパン・プラットフォームさんが本当に被災地の緊急支援、そして今後の復興に大いに貢献をされていることをいろいろな情報を伺っておりますけれども、その資金についてちょっとお伺いをしたいと思います。  配付をいただいた資料に、こちらの大きな資料の方ですけれども、二ページ目のところに、これまでにジャパン・プラットフォームに寄せられた寄附とその使途についてということで説明がなされています。これ、大きな金額ではありますけれども、これから活用する資金というのが九億八千二百八十四万円ということで、総額六十三億のうちこれだけ今後活用する資金としてあるということですけれども、これ単年度で見ると、ああ、あと約十億もあるんだなというふうに見えるかもしれませんけれども、ジャパン・プラットフォームさんの、今回の震災対応されているだけではなくて、様々な事業の中での御予算ではないかというふうに思います。  今後の長い復興支援を見据えて、資金的な問題はありませんでしょうか。また、国又は民間に対してお願いする協力要請、そういったものがあれば是非教えていただきたいというふうに思います。
  101. 長有紀枝

    参考人(長有紀枝君) 竹谷先生、御質問どうもありがとうございます。  先生方御承知のように、ジャパン・プラットフォームは、元々は海外、国際協力のための組織でございまして、それまでは、主に外務省の資金で海外向けには活動しております。それに加えまして、民間企業の方々から御支援をいただいておりました。今般の震災については当然、外務省の資金というのは全くございませんので、最初から、民間企業の方々それから個人の方々の御寄附で運営するということを念頭にスタートいたしました。  三月十一日の二時四十六分に地震が発生しているわけなんですが、五時くらいにはジャパン・プラットフォームとして出動ということを決定しまして、もうその時点でこれは未曽有の災害というのはもう承知いたしましたので、海外であるとか国内とかと、そういうことではなく、もうとにかく出動ということになったんですが、その時点では手持ちの資金がほとんどなく、すぐに、特に企業の方々に募金のお願いをすることも始めました。  おかげさまでこの六十三億以上のお金が集まりましたが、これをどのように使うかというときに、すぐに使ってしまっていいのか、今先生がおっしゃったように、今回の災害、非常に長期に復興がわたるということは分かっておりましたので、長期的に使うべきなのかと、そういった議論ももちろんいたしましたけれども、今すぐ使っていただきたいということで寄せられた資金ということで、とにかく今必要なことにどんどん使っていこうというので、加盟しているNGOですとか、今回は加盟していない団体さん、特に法人格を持っている団体さんですが、その方々にも門戸を開いて助成をしていると、ジャパン・プラットフォームとして助成をしているという最中です。そうしますと残りが九億ということで、まだまだこれから申請してくる組織もあって、当然足らない状況です。  現時点では、今この助成されたお金でそれぞれの団体が宮城、岩手、福島で活動しておりますので、今現在はそのお金で活動しているんですが、じゃ中長期的に何か先立つものがあるかといいますと、これ以外にはないわけで、引き続き民間の募金、ただし、そちらにも限りはあると思いますので、先生おっしゃったような政府に対するものというのも何がしか、これは個人的な意見ですけれども、考えていきたいと思っております。
  102. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 ありがとうございました。  続いて、栗田参考人にお伺いしたいと思います。  発災後間もなく公明党で栗田参考人にお話を伺ったとき、これからばらばらのボランティアの組織をネットワーク化していくということをおっしゃられたのを記憶しておりますけれども、六月十三日現在で五百四十八団体まで組織化されたということで、本当にその御努力に対して敬意を表したいと思いますが、発災間もなくNGO団体等からお話を伺っている中で、とにかく情報共有をしてほしいという、そういう御要望をいただいておりました。今までも、政府として、避難所のアンケートで環境衛生、また食事等でアンケートを避難所ごとに取っているわけなんですけれども、そういった情報を開示なされないんですかというふうに政府に聞いたときに、原則開示はしませんということで、場所ごとにどこまで充足をしているのか、避難所ごとに、そういった情報を私ども議員にも開示をしてもらえなかった。そのような状況でしたので、情報がない中で、御苦労されながら情報を自分で取って様々な支援を必要とする方々のところにボランティア団体の方々が御支援されているということは、本当に大変なことだと思うんですけれども。    〔委員長退席、理事金子恵美君着席〕  栗田参考人が、国による支援策について末端の市町村がいまだ十分に活用できる段階にない、またボランティアやNPO、NGOはそのサポートや対応もでき得る可能性があるが、それに堪え得る国とのつながりがほとんどないということで、政府に対する情報共有についての必要性というものを御提言されておりますけれども、この点についてもう少し詳しく御提言いただければというふうに思います。
  103. 栗田暢之

    参考人(栗田暢之君) ありがとうございます。  私どもは、ボランティア団体として、あるいはNPO、NGOとしてその地域にしっかり根付いて、短期的な支援だけじゃなくてやっぱり長期的な支援を目指そうという団体も、どこまで体力が続くか分かりませんが、それぞれの団体の体力によりますけれども、でもそういう意思でかかわっている団体が、今、次の復興を目指したときに一体自分たちで何ができるのかということを考え始めているところであります。  それは、やはり被災地の喫緊の課題ってやっぱり食の問題であったり、あるいは阪神大震災のときに孤独死が出てしまいましたが、そういう人たちを一人も出さないでいきたい、そういう願いみたいなところがあるんですけれども、それに対して、様々な制度が準備されているにもかかわらず、それを市町村から何かこう提案するということがほとんどできていない。これはやっぱり市町村自身がもう弱体化していますので、合併等で弱体化してきた、更に今の東日本大震災ですから、もう当然非常に市町村役場自体が疲弊しているということがあります。  例えば、日赤から六点セットいただくじゃないですか、仮設住宅に。いただくはいいんですけれども、例えばそれが、ちょっと不具合があるものあるんですよね。ちょっと電気ポットが差し込み口が弱いとかですね、そんな苦情も全部役場ですから。そういうことを考えると、いかに細かいものを市町村役場は日々抱えていらっしゃるかということを代表した例えなんですけれども、そういう段階で次の手を打つということになかなかいけない現状があって、しかし、私たちとしてはそういう状況を見ていて、もし制度をきっちり私たちが理解するならば、こんなものが使える、こんなものが使えると提案できると思うんですけれども、なかなかそこまでに至っていない。  その中の連携がもう少し、国レベルと県あるいは市町村というようなラインだけではなくて、そこの中間支援組織的なNPOとかNGOにそうした説明会があったり、あるいはそうした勉強会みたいなところで私たちがその制度を学んで、できれば市町村に提案していくということの機会が、これは冒頭で申し上げたように、一つやるんじゃなくて、やっぱり各県によって対応が全然違いますから、福島の対応と岩手の対応は全然違いますので、その意味ではその地域に合った、特性に応じたような、いろんな知恵を練り合うような、だから、単に国から説明するというだけじゃなくて、私たちの意見を聞いていただいて、じゃ、この制度がいいんじゃないかとかということが言っていけるような、そんな場が必要じゃないかなと考えています。
  104. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 貴重な御意見、誠にありがとうございます。  続きまして、藤井参考人に質問をさせていただきたいと思います。  非常に明快な御主張、御提言をいただきまして、ありがとうございました。  藤井参考人のお話の中で、BCPの各法人に対する義務化ということがありました。BCP、意識の高い法人ですと、震災前もこういったことに対して、テロ対策ですとか大きな地震に備えてということで取り組んでいるところもあったと思いますけれども、この震災後に一気に関心が高まった分野ではないかというふうに思いますが、各法人に対する義務化とすると、全法人ということとなるとかなり規模が違いまして、BCPを策定する内容にもよりますけれども、余り法律で定めてしまいますと負担が生じるところもあるのではないかなというふうに若干危惧を持っておりますが、公共性の高い企業、その法人の活動がストップしてしまった場合に非常に大きな影響を及ぼすような、そういった法人に対しては義務化していくということの意義は非常に大きいと思います。  このBCPについてもう少しお伺いしたいということと、もう一つお伺いしたいのが、私、東京都の選出の議員なんですけれども、この震災のときに東京の道路がもうどんどんどんどん車があふれてきて動かなくなってしまった。東京で震災が起きた場合には、車を寄せていただいてキーを付けたまま降りてくださいという、そういったこともできることになっているわけですけれども、今回は東京ではなかったということでそういう対応が取られなかった。それで、実際に、消防車などが出かけていっても立ち往生してしまって戻らざるを得なかったとか、そういった問題がありました。  そういう観点から、首都圏の道路の問題点について先生が何かお持ちのお考えがあれば教えていただきたいと思います。済みません、時間が短くて。
  105. 藤井聡

    参考人藤井聡君) どうもありがとうございます。  まず、一点目のBCPでありますが、まさにこれを法制度化していくに当たって、今御指摘になったようなところをきちんと詰めて議論していく必要があるんだろうと。まず、御指摘になったように、公共性が高く、非常に一定規模以上の企業に関しては、これは義務化というのは早く対応できていくんじゃないかなというふうに思います。そこに関しては、実は既にもうそういうような大きな企業公共性の高い企業については、義務化するまでもなく、実態として更にされているだろうというところもありますので、義務化という点では非常によろしいんじゃないかなと思います。  あとは、このBCPをどこまで広げていくかという議論の過程が実は非常に大事ではないかと考えております。  実は、このBCPをちゃんとやっていく、地震に対して覚悟ある事業をちゃんとすることが大事なんだということを議論していくと、例えばここの委員会の中でも議論されていますように、実は平時において隣近所と仲よくしないといけないとか、平時においてネットワーキングをしないといけないとか、平時においてある程度の備蓄を置いておかないといけないというようなことがいろいろと議論されてくるようになると思います。  したがって、BCPの議論というのが、実は産業構造そのものを見直すことに対する大きなきっかけになると思うんですね。結局、産業構造自体が非常にレジリエントで強靱なものになっていくということになります。これは、法制化というものをすれば全て終わりということではなくて、ある種日本の産業構造をBCPの法制化という議論を通じてより強靱なものにしていくと、そのうちの主要なツールの一つが法制化の議論であると、こんなふうに考えられます。そうすることが実は日本の産業界の強みにこれからなっていくと、経済産業の競争力の中心的な概念に、エフィシェントではなくレジリエンスが競争力の中心になっていくというふうに思います。  ですから、その中でどういうふうなBCPを制定していくかということを考えながら、そういう方向で産業構造全体をレジリエントにしていくというような議論を進めていただきたいというのが私の思いであります。  東京のネットワークでありますけれども、実は東京のネットワークは、非常にすばらしいネットワークがあると思います。しかしながら、一つの点としては、今回震度五台ということで、それほど被害はないだろうと我々事前に想定していたんですが、にもかかわらず、それなりに通行止めになったような道路が出てまいりました。そういうことで、きちんとこれはまた防災を見直していくというのが一点であります。  実は、首都高速道路のネットワーキングとしては実は容量が全然低いという問題もありますので、いわゆる合流部分に関しては、細かいところはもう時間もあるので詳しくは申し上げられないですけれども、もう信じられないような道路構造のところとか容量の構造というところがありますので、それは本当は見直していかないと有事のときにも対応できないということになると思いますので、実はこういう形で震災に対する備えを考えるということが我々の社会の在り方そのものを考え直すという点で非常にいい意味が出てくるのではないかと。いい意味というか、そういうふうに考えていかなければならないというふうに感じております。
  106. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 ありがとうございます。  終わります。
  107. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 参考人皆様、本当にお疲れさまでございます。ありがとうございます。  まず、藤井参考人にお伺いをいたします。  本当に的確な状況把握、説明だというふうに思っております。私、会津なんですけれども、直接の被害というのは少なかったわけでありますが、この間、阪神・淡路の復旧復興にかかわった元役人の方ともお話しして、もちろんあの部分に学ぶべきものもあるけれども、やっぱり今回の場合は広範囲であるということと、何よりもこの間の阪神・淡路の場合は都市部の災害で、産業基盤が周辺にあったので労働力も吸収できたと、それであっても産業移転がした部分もあって、いまだに癒えていない部分もあるという話を聞きました。  東北の場合は、これ広範囲ですし、仙台のように人口密集地域もあればまた寒村もあるというところでありますので、先生御指摘のとおり、廃業の負の連鎖と転出の連鎖というのは既にもう始まっています。また、福島県におきましては、これは原発の事故の実害、風評被害で、これは私の会津の地域でもこの連鎖があるというのが実態なんですね。観光業なんかでは、いわゆるお土産の卸業の方なんかは、もう四月は五パーとか一〇パーとかですね、減じゃないですよ、五%しかないとか、こんなのがずっと続けばもうやれなくなってくるんですね。  ですから、被災地という直接被害を受けた以外の部分において、先生、この部分は負の連鎖をどう止めていくかということがもう喫緊の課題なんですけれども、もちろん産業基盤を再生させるのは必要なんですが、午前中もしゃべったんですけれども、工場を造るといったって、今日言ってあしたできるわけじゃないんですね。その部分、緊急的にこの地域経済を守っていくという意味ではどんな手だてが有効だと思いますか。
  108. 藤井聡

    参考人藤井聡君) どうもありがとうございます。  工場は今日言ってもすぐできるわけではないというところはあるんですが、今日、何とか国がするからと、お金のことは心配するなと、もうきちんと、もう心配しないでやってくれという、その一言があるだけで、ああ、それじゃ頑張ろうというふうになる方もおられるし、当然、それでなられない方もおられるかもしれないですけれども、もう心配するなと、全部国が面倒を持つというこの一言さえあれば、これは今日言えることですし、今日すぐに効果を発揮する発言ではないかなと思います。  当然ながら、言ってのけた以上はそれなりにきちんと対応する必要が出てくるわけでありますけれども、今回の法案はそれが可能な法案であると事前に拝見していて思いますので、是非この法案を最大限に活用して、まず、これ専門用語で言うとコミットメントと言うんですけれども、大丈夫だということをまず宣言いただいて、それと同時に徹底的な支援を始めていくという態度が私としては一番大事になるんじゃないかなと思います。
  109. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 経営者はそれでいいんですが、働いている人が実際職場がない。会社は続けていくけど、今仕事再建できない。給料払えませんよね、これ。そこをどうするかということなんですね、職場の部分で。
  110. 藤井聡

    参考人藤井聡君) 経営者に関してまず産業の負の連鎖を止めるという意味で、まずそのコミットメントが一つあると。従業員の方に関しても、経営者の方が面倒を見るという部分についても国が面倒を見るというような宣言の仕方は今できるんじゃないかなというのが一つ。  しかしながら、言葉だけではなかなか信用できないかもしれないですので、そういう産業というのは、漁協とか農協とか建設業協会とかというものと全てつながっている、全てといいますか、多くつながっていると。したがって、まず中間組織のここに具体的な資金を可及的速やかに大規模に注入していくと。そうすることで、もちろんそれでも時間は掛かっていくわけでありますけれども、今の状況よりはずっと改善するでしょうし、このままそれをしないで二、三か月ほうっておいたら、いっぱい潰れてしまうところあるいは失業してしまう人というのはかなり食い止められるんじゃないかなと思います。  そういう意味で、ここでも今日お話し申し上げましたですけれども、中間組織、地域組織というものを徹底的に活用して、結局、国は顔が、現場の方の顔が見えないので助け方が分からないわけでありますけれども、中間的な組織は顔が分かりますので、その顔が分かる方のことを信用して、そこに徹底的に資金を注入していくということが大事ではないかと思います。
  111. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 それでは、藤井さんにお伺いしますが、さはありながら、やっぱり原発事故のところはちょっと状況が違って、確かに今言われたとおり、しっかりと未来大丈夫だということは大事だと思います、本当に。だけど、二十キロ圏内に関しては言い切れない、いつ戻れるか。戻りたいと言っている人たちもいる、町を再建するんだという思いでおられる人たちがいる一方で、私も地元で商工会議所とか商工会の青年部の活動をさせてもらっていますが、双葉町、あの原発のあった双葉町の商工会青年部でアンケートを取ったら、戻ってもう一度商売をやると言った人は四件だけなんですね、会社、商店含めて。そういう状況なんですね。  しかしながら、そこで再建するとか、じゃ新天地でやるとかということもまだ決まるスキームがなくて、非常に中途半端なんです。宮城、岩手であれば、幾ら甚大な被害があっても、そこでもう一回やり直すのか新天地へ行くのか、今決めていいんですね。ところが、二十キロ圏内は、戻れるんだったら戻るけれどもとか、戻れないんだったら補償どんなになるんだろうとか、何も決まっていないので選択できないんです。コミットメントを発することができないという状況なんですね。  この非常に悩ましい状況の中でも、やっぱりそれは食っていかなきゃいけない。いつまでも支援物資だけで暮らしていくわけにもいかない。やはり自分たちの家族は自分で守り、自分たちの地域は自分たちで守るというのが本来の通常の在り方。そういう普通の生活を取り戻したいというのは地域住民の願いでもありますので、そこ、どうですか、この中途半端な状況のところをどうしていったらいいのかというのを。
  112. 藤井聡

    参考人藤井聡君) 的確にお答えできるか否か難しいところかもしれないですけれども、そういう問題があるからこそ、本日もお話しさせていただきましたふるさと再生機構というような形の機構をつくって、この機構は、そこで暮らす、もちろんふるさとは再生することが最高の目標になるわけでありますけれども、実はふるさとの再生をするためにも雇用を創出してみんなが働けないといけない。今おっしゃったように、まず働くというのが人間の全ての基本だと言っても差し支えないと思いますので。  ふるさと再生機構で、その状況の中でどういう雇用がつくれるのかということを、それを狭い地域考えているとそれはもう、そこに戻るのか行くのかどうするかで分からなくなりますが、広い地域で、東日本全体で、そういう機構があり、こういう雇用があるということを全体を俯瞰して見ている人がいれば、場合によっては、漁業に関してはここで吸収できるような地域があるという情報が即座に来たりとか、あるいは農業であれば即座に来たりとか、あるいは、それでもやっぱり元に戻るということをベースとするのならば、その間疎開先として半年とか一年間とか、少なくともその間だけでもおにぎりと住むところだけじゃなくて、働く仕事と住む場所とおにぎりと、この三つをきちんと提供するような場所を再生機構の中でどういうふうに供給できるのかというような議論をしていくことが必要ではないかと思います。  それで、それを自治体では、もう自治体の中だけですので、もう全部が被災になっていたりとかすることがあるでしょうから議論できないと思いますので、是非広域的で、しかも広域的なんだけれども、東北、東日本という地にしっかりと根差したような組織でそういう問題を、一つ一つ現場の問題を見ながら解決していくしか今のところないのかなというふうに感じます。
  113. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 ありがとうございました。  栗田参考人にお伺いいたします。  私も三月十一日、山形にいまして、その夜すぐ宮城県に入って、ずっと被災地をそれから巡っていたわけですけれども、確かに初期のころは車の中で私も寝たりして、食べ物も会津に一旦戻ってクラッカーを持って、支援物資を持っていって、車の中でも、ガソリンがないですからエンジン掛けずに寝袋と毛布にくるまって、それでも非常に寒かったんですけれども、そういう状況の中で非常に混乱をしていました。まあ一定時期から少し落ち着いてきて、そのボランティア活動のミスマッチといったものもクリアしてきている。今の状況の中でも、確かに今も大変な状況が改善されない地域もあるし、自立に向かって歩み始めている地域もあります。  その中で、今の仕事の話とつながってくるんですが、例えば瓦れきの撤去なんかも、ボランティアでやるよりは逆に公共事業としてやって地域の人に働く場を提供していくという移っていく部分があったり、仕事にはならないものはやっぱりボランティアでカバーしていこうというものがあったりすると思うんですね。その辺のラインとか、逆に栗田さんの方から、これ我々が手を引いて地域の人たちに仕事としてやってもらった方がいいねという、そういう何か基準みたいなものって持っておられますかね。
  114. 栗田暢之

    参考人(栗田暢之君) ありがとうございます。  とはいうものの、圧倒的な瓦れきの量なので、その暮らしている方々にとって、今待てる状況なのか、今できることから始めていくのがいいのかというのは、地域によって大きく違うと思います。  それを第一義としつつ、ただその公共的に瓦れきの撤去をしていく部分に関しましては、やはり公共のものですので公共のところから優先されるわけですけれども、今ボランティアがやっているところは、家の中の問題であったり家に入ってきた瓦れきをどう片付けるかと、それを誰もやってくれないからボランティアがやるという状況もありますから、そういう辺りでちょっと線引きを引きながら、ただ被災者の職の問題というのは、これボランティアがやってしまって、その仕事を奪うみたいな話になっては困りますから、それは地域地域で十分に話し合ってやっている範疇だと思っています。
  115. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 これはよく国際援助のときに話が出るんですけど、被援助国には魚を与えるのではなくて魚の釣り方を教えるんだというのが本当の援助だというのがありますから、これは国内のこの被災においても、やっぱり被災の方も本当にずっといろんな人の支援がなければ生活がなかなか立て直っていかない方もいれば、逆に甘えの構造を生み出さないということもやっぱり必要だと思いますし、今日午前中の立谷市長は最初から言っていたんですけれども、総論で当たっては駄目だと、これは各論でやっていくしかないんだという意味では、このボランティアの世界、そういう援助の部分も、やっぱり地域地域、人によっていろんなものが変わってくるというふうに思いますので、その辺はこれまでの知見の中でたくさんあると思いますから、是非これからも御支援をいただいて、真の復興に向けてお力を携えていただきたいというふうに御期待を申し上げます。  時間がないのでちょっと長さんの方にお聞きしますが、私の家内は青年海外協力隊の元隊員で、今福島県でOB会の役員もしておるんですけれども、JICAも実は余り報道されていませんが現行法の中で今回の被災地の支援活動をしておりましたし、OB会においては三百人ぐらいボランティアを登録して、仙台を中心に、実際ボランティアを実行された方は、いろんな抱えている仕事もありましたから、まあ二、三十人であったわけですけれども、そうした取組をしております。  いろいろ情報提供をしてくれ、福島県であるというのでうちの家内のところにもJANICとかジャパン・プラットフォームの方からも問合せがあったんですが、結果、私、外交防衛委員会というところに所属していて一度審議したことがあるんですけれども、長さんも新聞のインタビュー記事では、しっかりとそのニーズを把握して、その被災地の状況に応じて活動していくべきだというような趣旨の発言をされていますが、実際、岩手、宮城、福島の活動は、もうめちゃくちゃ少ないんですね、福島県、このNGOの活動が。これは、もちろん原発事故があって政府が正確な情報を出さないからそういう結果になってしまうわけでありますけれども、多分その県内での位置、宮城県内とか岩手県内でのいろんな情報の交換をしてそういう活動をしているところとしていないところとアンバランスな状況はなかったと思いますが、東日本全体で見ると、やっぱり福島県が非常にへこんでいるんですね、この活動が。  その辺について、今後こうしていったら、まあ原発もあるんですけれども、その辺の不具合を直していくにはどうしたらいいか、お伺いいたします。
  116. 長有紀枝

    参考人(長有紀枝君) ありがとうございます。  おっしゃるように、福島県、ほかの地域に比べて入っているボランティアの数も、またNGOや市民団体の数も少ないのではないかというのはいろいろなところで御指摘を受けているところであります。    〔理事金子恵美君退席、委員長着席〕  先ほどの、ジャパン・プラットフォームの助成を受けまして、ADRAジャパンさんと私ども難民を助ける会で、仮設住居に入られる方々の、日赤さんがやられている六点セット以外の鍋かまが中心なんですが、こういったものの支援をゴールデンウイーク明けからになりますが、始めたところです。  先ほど先生がおっしゃられていた地元の経済というところでは、急いでというのであれば大手のお店に一括してお願いというのもあるかもしれないのですが、あくまでも被災自治体に資するようにということで、そういったものの調達は基本的にその被災自治体の商工会議所を通してお願いしています。  他方で、これの反省点としましては、三宅島の村長さんのお話を伺ったときに、行った先でお世話になるので行った先の商工会と話をしたと。今回、福島県で行った先の自治体とは余りお話をせずに出身の方の自治体とお話をしてしまいましたので、今後、支援活動をする上で、出身自治体の商工会だけではなくて受け入れられた方ともお話をできればなということは考えております。  私たちも海外の難民支援をしてまいりまして、今福島で起きている状況というのは海外でも見たことがないといいます。まさに国内避難民になられている方が本当に大勢おられて、それで、一回の避難ではなく二回目、三回目というのは、これは海外の状況で見てもめったにない状況であると。その中で、こういう援助をしている者たちに何ができるかと、本当に限界もあるんですが、引き続き、現地の皆さんとお話をしながら続けてまいりたいと思いますので御指導をよろしくお願いいたします。
  117. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 本当に、三参考人には本当にありがとうございました。  藤井参考人にお伝えしますが、本日二時に、増税によらない復興財源を求める声明文というのが二百人以上の国会議員で出されましたので、お伝え申し上げておきます。  ありがとうございました。
  118. 田村智子

    田村智子君 日本共産党の田村智子です。  今日は大変ありがとうございます。  お話をお伺いいたしていまして、まず、長参考人復興とは何かというそもそも論のところを相馬市長のお言葉も引いてお話しされた。私は、これは復興政策を考えていく上でも土台として非常に大切な問題提起ではないかというふうに受け止めています。  これは是非、三人の参考人の方、それぞれにお伺いをしたいんですね。  私は、やっぱり復興とは何かといえば、やはり被災した方々が失った暮らしや失ったなりわい、仕事を自らの力も含めて取り戻していくと、これがやっぱり一番の土台に据わらなければならないことだ、そのために行政が何ができるのかということを真剣に考えていく、これが一番根本に据えられるべきだと私は思っているんですね。  それで、土台に据えるべき、一番基本とすべきこの考え方、これを是非三人の方々からお伺いしたいのと、理念だけでは駄目ですので、それをどうしたら進めることができるか。今、復興会議の中で議論をされていることを聞いてみても、何ですか、ちょっと焼け野原みたいになったところにどこに何をつくろうかみたいな、外から資本も呼び込んでこういう復興ができるんじゃないかという青写真が先に立っているように思えてならないんです。ちょっと違和感を感じているんです。  やっぱりそれぞれの地域ごとに町をどうしていくのか、産業をどうしていくのか、どうしたらそういう計画の政策決定の過程の中に住民の方々の意見を反映できるか。あるいは、それぞれの産業団体の、いろんな産業組合員の皆さんですね、そういう皆さんの意思を反映した計画を作ることができるか。是非、皆さんそれぞれの体験も踏まえて御意見を伺いたいと思います。
  119. 栗田暢之

    参考人(栗田暢之君) 御質問ありがとうございます。  土台はやっぱり被災者本位ということだと思いますけれども、やっぱり被災者の生の声を私たちは一番聞く立場にありますので、一番近い立場でもありますので、ボランティアは、その声をどうやって生かすかということだと思いますけれども、そのパイプが少し欠落しているということであると思います。  具体的に申し上げますと、例えば漁を再開したいといっても、なかなかもう壊滅的な被害を受けた港湾施設で本格的な再開は難しいわけですよ。だけれども、これとこれとこれとこれがあればできるんだというふうに具体的にも言っていらっしゃる方がいるわけですよね。そういう声をNPO、NGOは聞いていますから、それをちゃんと届ける。  しかし、先ほど申し上げたように、そこに対して補助できるものもいっぱいあるはずなんですよ。その知恵はまだ私たちにないんですね。しかも、それを届けようと思っても、市町村はそれを聞くのがもう精いっぱいで、次の新しい本格的な復興に向けてのビジョンがまだできていないまま、そういうものを取りあえずスタートさせてもいいかどうかというところでも止まっていってしまうわけですよね。  だから、やっぱり今やろうとする人たちの力をどうやって引き出すか。能登半島地震では仮設住宅のおばちゃんたち三人がうどん屋を開きましたので、ですから、そういうものをどんどんやっていけば私はいいと思うんですね。そのための条件整備としての何ができるかということは、行政側の数々の施策を取り入れながら官民が連携してやっていけばいい。簡単なことなんだけれども、それがどこかでふん詰まっちゃってできていない現状なんですよね。本当にもったいないことだと思っています。
  120. 藤井聡

    参考人藤井聡君) 非常に的確な御質問でありがとうございます。  震災復興考え方、これにはいろいろな分類の仕方ができるかと思いますが、私はこれは二種類あると思います。別の言い方をしますと、二種類の論者がいるというふうに思います。一つ考え方は、これは社会学で言われるんですが、いろんな言い方があるんですけれども、社会機械論という考え方で、もう一つは社会有機体論という考え方であります。  この社会機械論というのは、社会というものは機械であると、こう考えます。この人たちは、社会というのは機械であって、だから地震とか震災というものは機械が壊れるということだと考えます。したがって、機械が壊れた場合どうするかというと、ちょっと部品をよく見て、使えそうになかったら古いやつを捨てて新しいのを付け替えるという形になって、別にこれは次の日修理しても、一週間後に修理しても、一年後に修理しても同じなんですね。ですから、特に急ぐという気持ちには当然ならないわけであります。  もう一方は、社会有機体論というのがありまして、これは社会は生き物だと、これは社会学の一番古いスペンサーとかコントとかという人が言っている最も典型的な考え方なんですけれども、古典的な社会学の考え方なんですが、これは社会というのは生き物ですから、大震災というのは何かというと、大けがをするということだと考えるわけですね。これは大けがをしたときにどうするかというと、もう全ての医者が共通して主張するように、大至急何か手当てをしないといけないんですね。したがって、よくいろいろな皆様が世論の中でも言われているように、震災復興にはスピードが大事だというのは実はここに求められているんですね。先ほども御議論ありましたように、栗田参考人の方からもお話ありましたように、被災者が主体であると。これも、けがした人はその人の自然治癒能力がないとけがは戻らないんですね。だから、自分の治そう治そうとする力が必要だと。  さて、皆さん、どうお感じでしょうか、社会機械論なのか、社会有機体論なのか。多くの国民は、私もそうですし、御質問された御意図もそうですし、ここにおられる皆様方が社会有機体論を支持されるんじゃないかなと思います。だからこそ大至急やらないといけないと。でも、社会機械論の人は、別に急がなくてもいいじゃないかと。何か、外資か何か呼び込んで新しいのを付けて、何か古いのを捨てて、これを機会にターボエンジンか何かをくっつけたらええんちゃうかみたいな、そんな話をする傾向が強いんですね。  残念ながら、私が復興構想会議議論を拝見していますと、全員がそうだとは私は思わないですけれども、多くの議論の論調が社会機械論の考え方に基づいているというふうに感じざるを得ません。もうこれは要するに、本当は社会有機体であるとするならば、見殺しにしていることと全く等価であります。ですから、私、今日の冒頭の公述の中でも、もうこの不作為の罪を裁ける法がないというのが許せないというのが私のそういう気持ちであります。  実際のところ、これ、結論はどっちなのかというところは分からないんですが、これは社会有機体論だと思うのならば、国民がそうならそういうふうに治しましょう。そのためにやっぱり薬を投与したりとか栄養をあげるように、徹底的にいろんな資本注入、国債でも何でもいいからお金を注入したり、あるいはもう何かいろんなボランティア皆さんもそうですし、もういろいろと手当てをしていかないと。当然ながら、そこでそんな傷ついている人をカンフル剤か何か打ってマラソンなんか出したら駄目ですから、当然ながらTPPみたいなことをやってしまうとこれめちゃめちゃな話ですし、何か競争とかと違うて、取りあえず何か隔離しておいて、隔離しておいて、そこでその人がちゃんと自分で立てるようになるまではやっぱり入院させておかないといけないというのが社会有機体論の説であって、是非、我が国日本はこの震災復興は社会有機体論に基づいて復興計画の全てを立案していただきたいと願ってやみません。  以上です。
  121. 長有紀枝

    参考人(長有紀枝君) ありがとうございます。  私が冒頭で相馬市長の定義というのを持ち出したのは、やはり相馬市長の、復興というのは被災者それぞれがそれぞれの人生のステージで将来の設計をかけるようになることというのは、本当に共感しているのでお出ししました。  やはり圧倒的な災害で、もう失ってしまったものは余りに大きくて、例えば海外の難民キャンプに行ってその復興の過程を見ていても、五年たっても十年たってもやはりそこから立ち上がれない方というのは大勢いらして、常にその時点と、そのときとその前と分かれたお話をいつもいつも繰り返す方たちが大勢いらして、援助する方は、もう一年たった、二年たった、三年たった、五年たったといっても、被災された御自身は、そこで時が止まっていられる方が本当に多いんだなというのを日々実感しております。  約三か月がたつわけですが、東日本大震災の被災者の方々の、時間が動き出している方もおられるかもしれませんが、動いていない方もおられるかもしれない。また、先ほど相馬市長が総論ではなくて各論とおっしゃったのがまさにそこだと思うんですが、本当に復興にはむらがあると思います。自治体でもむらがあるでしょうし、また個々人の方でも、あるいは同じ御家庭の中でもむらがあって大変な状況になっていると思うので、やはりいかにそういう細かなところに向き合っていくかというのが私たちの仕事ではないかと思いますし、あと、先生、行政に何ができるかというふうにおっしゃられたんですが、それが国として基本だと思うのですが、その一方で、こういった災害に際して民が何ができるのかというのも私たち考えつつ復興に向き合っていきたいと思います。民だからできること、民しかできないことという範囲がどんどん広がっているのではないかと思いますので、それを、じゃ具体的に何と今すぐ申し上げられませんが、その部分を模索しながら復興にかかわっていきたいというふうに思っております。  ありがとうございます。
  122. 田村智子

    田村智子君 大変熱のある御発言、ありがとうございました。  私も、日本の経済の復興のばねにして日本を元気にするんだとか、そういうのは後から付いてくる結論だと思うんですね。今御意見を伺っていても、やっぱり現場からもっと要求を出していいんだと。その要求に今の制度の枠がこうだからこたえられないとかじゃなくて、やっぱり枠は作ればいいことであって、スピード感を持ってこたえていくと、こういう復興になるように頑張っていきたいと思っています。  栗田参考人にお聞きしたいと思います。  今、ボランティアの方と行政の方のどうやって連携を取っていくか。私もこれ、被災直後から非常に感じていたことの一つは、今回規模も大きかったということもあるんですが、面で被災の状況をつかむということが、国会の側も、それから行政の側も非常に今も困難なんです、今も困難。  例えば、私は医療の分野で厚生労働委員会等も担当してきたんですけれども、医療のニーズがどういうふうに必要かということを、いろんな医療の支援チームは現地にどんどん入っている、ところが、その支援チームがつかんだ情報を厚生労働省が一括してつかむという仕組みはなかったんです。だから、どこまで避難所の中に医師が派遣されているのかも分からない。避難所の数も当初は分からない。今も、例えば在宅の避難の方というのは、先ほどお話あったとおり、どういう状況にあるのか行政は分からない。行ったボランティアは、危機的な状況があればそれをつかんでいらっしゃると思う。  ここは、私は、何か行政の在り方としても、命にかかわるような事態、緊急に手だてが必要な事態というのは、もっと有機的に、やっぱり情報を自らもつかんで積極的な支援策を取るような仕組みが必要じゃないかと感じているんですけれども、体験された範囲で構いませんが、御意見伺いたいと思います。
  123. 栗田暢之

    参考人(栗田暢之君) ありがとうございます。  当初の混乱した状況において末端の市町村にそこまでできたのかというと、これはもうとてもやっぱりできなかったということを考えると、そういう現実があったと。それを民も、あるいは場合によっては官も産も、それぞれ補いながら少しずつその穴埋めをしていったというのが現状だと思うんですけれども、じゃ、これからもそうでいいか。  そうじゃないと思いますから、やっぱり一市町村に今どんな、私どもから言うと、どんな支援団体が入っていて、その方々が有機的に連携しているかどうか、あるいは連携していないのかどうか。あるいは、そこの、例えば県でいうとちょっとやっぱり広いですから、圏域ってありますよね、そういうような圏域ごとに、じゃ連携が取れているかどうかということを、やっぱり連携を少し図っていかなきゃいけないんじゃないかということを私たち自身も議論しますし、そこにやっぱり私たちが得た情報は、行政との連携も含めて、例えば市町村担当者にその報告をさせていただいたり、あるいはそうした調整の場も必要だというふうに考えています。
  124. 田村智子

    田村智子君 藤井参考人にお聞きしますが、財源、復興の財源についてです。  私たちも、歳出の在り方の見直しだけだと限界があるなと、復興国債というのは必要だと考えています。国民が買うだけでなくて、やっぱり内部留保二百四十兆と言われている大企業も、今こそこの内部留保を復興国債に充てるなどして活用することが必要じゃないかというふうに考えているんです。  今日のお話の中では消費税のことには触れられていませんでしたが、事前にいただいた資料の中では財源は消費税などの増税に頼るべきじゃないということで提案をされていますが、そのことについてお話しいただければと思います。
  125. 藤井聡

    参考人藤井聡君) どうもありがとうございます。  今回、国債を中心にということで書かせていただいてございます。今回の復興基本法もそういうように記載されていて、先ほどもお話ございましたように、そういう方向で今先生方も御議論いただいていると。  増税の問題点でありますけれども、それは本日の資料で申し上げますと五点目の問題に関係、直結するところでありまして、今本当に余り議論されていないんですが、今回の震災が震災デフレをもたらしていると。このデフレというものは需要と供給のバランスの中で需要が小さくなるという問題で、当然ながら今回工場等が毀損することで供給も少なくなっているんですが、それと同等あるいはそれをもっと激しく上回る勢いで、計画停電とかいろいろな風評被害も含めて、もう人々が物すごく消費も投資もしなくなってきていると。  この状況では震災デフレがもっともっと進行してしまって、このデフレというのは本当に恐ろしい病気で、年間二十兆円ずつぐらいの所得がなくなっていくような話にもなるかもしれないと。このまま数年ほうっておくと、四百兆とかもうすぐ割り込んでしまう、GDPがですね、なってしまうかもしれない。そうなると、本当に倒産する企業はもっともっと出てきますし、解雇される人ももっと出てきますし、残念ながら自殺される方なんかもっと増えるかもしれません。ですから、もう是が非でもこのデフレは止めないといけないというのが私、本当に強く感じているところであります。  それを考えますときに、例えば社会保障等々のために増税をするという議論もありますけれども、このタイミングで増税をしてしまえば、もうデフレさんの肩をがあっと押して、デフレさん、わあっと勢い付いてしまって日本めちゃめちゃになってしまって、被災地以外も何か津波で洗われたみたいに何かぐちゃぐちゃになってしまうというふうにも、私もそれがもう心配で心配で仕方がないので、是が非でもこのタイミングでの増税は是非やめていただきたいというふうに感じているところであります。
  126. 田村智子

    田村智子君 どうもありがとうございました。  終わります。
  127. 藤井孝男

    藤井孝男君 参考人の先生方、今日はありがとうございました。  早速意見をお伺いいたしたいと思います。発言順にお答えいただければと思います。  まず、栗田参考人。栗田参考人は、このレジュメにもありましたように、阪神・淡路大震災からボランティア活動に参加されて、また今回も大変な活躍をされているわけでいらっしゃいますけれども、今回は規模も範囲も全然阪神・淡路とは違うわけですけれども、貴重な阪神・淡路大震災のボランティア活動を経験されて、今回との違い、ただ単に規模が違うとか範囲が違うというだけじゃなくて、何がまた共通するところがあり何が違うのか、この点についてちょっと具体的に教えていただければと思います。
  128. 栗田暢之

    参考人(栗田暢之君) ありがとうございます。  阪神大震災はまさに日本社会でボランティアが初めて認知された災害でありましたので、はっきり申し上げて、ボランティアが何であるかということも分からない人たちも含めてたくさん入ったと。ただ、それがかえって自由な活動ができて、ある人たちはずっとそこの現場にとどまって火を囲みながら被災者の悩みを聞いたり、そういう現場もあったり、あるいは、若い人たちが多かったですから何かあるたびに、バレンタインのチョコを配ったりひな祭りをやったり、いろんな創意工夫があったと思うんです。  ところが、十六年の歳月を経て、ちょっとやっぱり勉強し過ぎたといいますか、何かこう、やっぱりボランティアとしてマナーを守りましょうとかルールがこういうふうですよということをちょっと私たちも言い過ぎた感がありまして、今回のように非常にやっぱり厳しい環境の中に入っていくボランティアさんに対して、ちょっと受入れ体制が整っていなかったということもあって、行っちゃいけないんじゃないかと、かえって迷惑掛けるんじゃないかということがちょっと伝わり過ぎちゃったんじゃないかなということを考えますと、もっともっと本当は自分の意思でしっかりと自分で自己完結しながら、アゴ、アシ、マクラを自分たちで整えて本当に果敢に飛び込んでいけるようなボランティアさんの存在というのも阪神大震災のときの方が多かった気がしますから、そのときのことをもう少し今回も反省すべき点、私たちも多々あるなというように思っています。
  129. 藤井孝男

    藤井孝男君 今いみじくも触れられましたように、むしろ逆に、ボランティアとしての認識を勝ち得たというか、勝ち得たという言葉はちょっとおかしいと思いますけど、阪神・淡路大震災でですね、しかし、それが今度の震災のときにそのままストレートにいくかといったら、ちょっとそこのところに大きな壁があったということなんですが。  ふるさとという言葉、私も大好きなんですけれども、個人的なことを言って恐縮なんですが、私は岐阜県人なんですけれども、私を産んでくれた、もう亡くなりましたが、産んでくれた母親は相馬郡のいわゆる中村町の生まれ育ちで、私の体内の半分は福島県の血が流れておりますものですから他人事と思えないんですけれども。ただ、私は東北人ではありませんけれども、しかし、東北人というのはまた本当に非常に我慢強い、むしろ謙虚で、なるべくなら自分たちで、他人の力を借りないでという、そういう謙虚さがありますけど、そういったギャップもあったんではないかなと。そういう意味では、書いてありますように、いわゆる自治体との連携、情報の交換、そして地域のコミュニティーの皆さん方とボランティアとのかかわり合い、そのところにちょっとまた壁もあったんじゃないかなと思うんですが。そして、そのことにつきましては、初期の段階、それから現状のボランティアの在り方、そして今後ということでありますが、いよいよ現状から今度は今後に移るんですね。  そうすると、今度、この法案通りますと、復興庁、それができるまでの間は現地対策本部、それもなるべく地域別に、地域意見を聞いてやっぱりこたえていかなきゃならない。そういったときに、栗田参考人の団体、ボランティア団体、このかかわり合いについて、今度の新しい基本法を含めて、将来に対する、国に対する注文、あるいは自分たちの在り方についてまた御意見があればと思います。
  130. 栗田暢之

    参考人(栗田暢之君) ありがとうございます。  冒頭言われた、東北人だからということももちろんあるかもしれませんけれども、阪神大震災以降、私ども三十五か所ぐらいの、水害なり噴火なり地震なり、様々な現場を歩き訪ねてまいりましたけれども、やっぱりどこも共通して他人に対して何かフレンドリーに話す人って余りいなくて、いないっておかしいんですけれども、私たちがどういう態度でその人たちと接するかということが非常に問われていると思うんですよね。  そういう意味ではボランティアは横柄であってはいけませんし、むしろ、今日資料として提出させていただいた、あの一言一言が載っている、今やもう二千五百件あるんですね、つぶやきが集まっていますが、足湯といったようなものも、結局、何かお手伝いすることありませんかと聞いても、それは向こうは引きますよね。しかし、足湯ならば十五分ぐらい時間がありますから、ゆっくりつかっていただいて、手もんだり腕もんだりしてあげると、ぽろっと出される言葉、これをつぶやきと呼んでいますけれども、ここにやっぱりもう堰を切ったように話される方もいらっしゃいますし、泣かれる方もいらっしゃいますし、様々な経験を話される方がいる。こういうことを私たちは非常に大事にしたボランティア活動でありたいなということを、今、藤井先生のお話を聞いて改めて私認識させていただきました。  その私たちのそうした本当の被災者の生の声を聞いたものを、じゃいろんなところにきちっと届けているかといったらば届けていないかもしれませんし、届けたとしてもそれをじっくり読む時間がなかった。ビックパレットという被災者支援を行っているグループの者が足湯をやって、その集積したものを県の担当者にお渡ししましたら、ぼろぼろ泣かれたと。やっぱり現場が分からない人たちは、こんなことを被災者は思っていたのかというようなことを思って泣かれた。  そういうエピソードに象徴されるように、復興庁というものが遠いものであってはいけないと思うんですよ。被災者の生の声がやっぱり我々のような者も経由しながらしっかりとそこにつながっていくような、十分な話合いの場があるだとか、あるいはきめの細かな地域対応があるだとか、そういうことがないとやっぱり切って離したものになってしまうんじゃないかというふうに懸念します。
  131. 藤井孝男

    藤井孝男君 大変ありがとうございました。今後とも御活躍を祈っております。  それでは、藤井参考人にお伺いしたいと思います。  藤井参考人とは同姓でありますけれども、もう旧知の間柄で、もう何度も藤井参考人の、今回の強靱化基本法であるとか復興債の話であるとか、そういった話をして、私も、同姓であるから共通認識というものを持っているというわけじゃありませんけれども、非常に勉強をいつもさせられているわけであります。  実は、午前中の参考人小峰参考人は、どちらかといいますと、この復興債、いわゆる借金であっても別建ての会計でやるにしても慎重であるべきだ、むしろそれよりは優先順位としては増税が先にあるべきだという御意見でした。  第一番目には、やっぱり無駄を排す、歳出の見直し、これはもう誰しもが共通する点でありますが、私もそのときに申し上げたんですけれども、やっぱりこうした一千年に一回という大変な大災害でありますから、確かにツケを後世世代に回すということは、これはなるべく避けた方がいいということで、現役世代で何とか賄わなきゃいけないというのはよく分かるんですけれども。  しかし、後世の世代、何百年に一回、一千年に一回というこの大災害ですから、後世の世代もやっぱり責任をというか負担をやっぱり持つべきだという、結局、そういう議論も私は決して間違っていないと思うんですけれども、改めて藤井参考人におかれましてもこの問題についてどう思われているか、ちょっと御意見を伺いたいと思います。
  132. 藤井聡

    参考人藤井聡君) どうもありがとうございます。藤井先生がおっしゃったように、私も全く同感であります。  国債、国債と一言で議論されることが最近非常に多くなりましたが、十年ほど前まではそんなでもなかったと思うんですね。それは何を申し上げているかというと、国債には二種類ありまして、建設国債と特例国債あるいは赤字国債と呼ばれるもの。これは、財政法の中で建設国債等は許されているわけでありますけれども、赤字国債の方はこれ特例国債と呼ばれるもので、特例的に建設以外のもののために国債を発行するのはこれは禁止されているわけですね。だから、禁止されているがゆえに、それを発行するときには国会の決議が必要になってくると。  これはもう常識中の常識で、二十世紀まではもう皆さん、世論の中でも国会の先生方の議論の中でもそれは明確に分けられていたんでありますけれども、最近、何か国債が十把一からげに全部問題であると言われているのは、これは非常にゆゆしき事態であると感じております。  そもそも、財政法の理念からなぜこれが二つに分かれているかといいますと、これは、建設国債の場合は、普通の世帯で考えますと、住宅ローンみたいなもので、三十年、四十年とか住むものでありますから、子供も住んだりとかするものですから、ローンを組んで借金をすると。だから、建設国債、住宅ローンは許容されるというのが財政法の考え方であります。  ところが、それ以外のもの、消費してしまうようなもの、例えばハワイに行くのに借金してしまったら、それはその人どうなるのだろうみたいな話になりますから、それはもうちょっと、よっぽど慎重にならないかぬということで、国会の決議で慎重にやろうということになっているわけですね。  復興ですとかあるいは防災というものは、これはもう住宅ローンどころかもう何百年、何千年と効果があるような話でありますから、ですから、ここで日本の国家が死んでしまったら、これはツケを残せる相手すらいなくなるという何か滅亡になりますから、だからこそ復興とか防災というものに対しては国債で発行して、それで全ての世帯で負担をするというのは、これ何らおかしいことではないわけですね。それがまず、この点をまず我々国民は十二分に理解する必要があるんじゃないかなと思います。
  133. 藤井孝男

    藤井孝男君 分かりました。ありがとうございました。  それからもう一つ藤井参考人はやっぱり歴史に学べ、要するにこの二番目のレジュメの最後にありますように、巨大地震のさらなる危機というもの。結局、午前中の参考人の御意見でも立谷相馬市長も言っていましたけれども、やっぱり自分の生まれ育ったところの神社、先人の教え、温故知新、古きをたずねて新しきを知るということが非常に大事である。やっぱり、その先人の教えというものを我々は歴史の中でも勉強してこなかった。今後とも、そうした地域のコミュニティーを大事にするならばやっぱり先人に学べと。これはどこの地域であろうとも必要だと思いますけれども、その点について一言御意見があればと思います。
  134. 藤井聡

    参考人藤井聡君) まさにおっしゃるとおりで、先人には、この町づくりもそうでありますけれども、例えば百年とか二百年とか千年とか続いているといろんな試行錯誤をやられて、いろんな問題があったので改善してこうなって、でも完璧な社会なんてないですから、今の社会は当然問題を抱えているわけでありますけれども、いろんな問題を乗り越えてきた町があると。だから、それを全部無視して、津波に流されたからもう新しいところに線を引いて町を新しくつくるなんかやってしまうと、もうどんな訳の分からない問題が発生するか分からないので、先人の蓄積してきたものをベースに、それを自分たちの代で謙虚な気持ちでもって可能な限り改善していくというような格好でないと防災も復興もならないというふうに感じます。
  135. 藤井孝男

    藤井孝男君 ありがとうございました。  それでは、長参考人にお伺いいたします。  長参考人は、国際的ないわゆるボランティアといいますか、人間の安全保障と申しましょうか、そういった国際的な立場で活躍されたわけでありますけれども、国際的な立場で活躍された活動、それに対する、海外もいろんな経験されたと思いますが、そのときのいわゆる長参考人ボランティア団体の評価というのは一体どうであるのか。  御自身で自身を褒めるということになるといったら言いにくいかもしれませんけれども、率直に日本の国際社会に対するボランティアの評価、それと、今回国内で働いているボランティア、その認識度のギャップというのはあるんじゃないかなと思う。それについて、このレジュメでも、いわゆる国際協力の現場における災害対策の知見のある官民人材の活用をせよと、そういう御意見も書かれておりますけれども、そういった国際的な立場での知見をどう今回の国内の大災害に対して生かしていくか、そういった点について御意見があればお伺いいたしたいと思います。
  136. 長有紀枝

    参考人(長有紀枝君) ありがとうございます。  私どもに限らず国際協力のNGOはいろんな現場におりまして、全て試行錯誤でございまして、成功したこともあれば失敗したこともあって、それは私たちだけではなくて世界各国のNGOがそうで、そういった失敗したことの中からどうやったら次の災害でうまくできるんだろうかというようなことで、やっとやっとこう積み上げてきたのがいろんなガイドラインであったりとか、このガイドラインが出てきたのも、みんな勝手に行って勝手にやって大混乱に陥ったとか、これルワンダの大虐殺の後の支援活動であるとか、様々な経緯や経験の後に出てきたものでございます。  そういったことから出てきたもので、こういうスタンダードでやっと海外で動いているときに、いざ自分の国で起きたときに、当然海外であれば支援されるべき人がどこにいるかさえ分からないというような状況が先進国で起きているというような状況が、本当に私たちとしてはもう目を疑うようなことでございました。ですので、冒頭で申し上げたような国際協力の知見を何とか生かせないかということです。  日本のNGOは、やはりいろんな国のNGOと比べまして、きめが細かいとか、相手のお話をよく聞けるとか、自分の考えを押し付けないとか、そういったことが美徳といいますか、強みとされていますので、そういった点は、これは別に国際協力のNGOだからというよりは日本人が長く大事にしてきたものだと思いますので、それは東北の震災対応にも生かしていけるのではないかと思います。  一方で、国際協力のNGOは募金で活動しますので、海外に行って自分たちがやった、やった、やったと言う。それをしないと、日本で募金をしてくださった方や税金で支援をしたときにそれがきちんと報告できませんので、今回ももしかしたら国際協力NGOは被災地に行って同じことをするんじゃないか、自分たちのマークばっかりべたべた張るんじゃないかと、そういうような御懸念というのはかなり抱かれておりましたが、やはりそれは海外と国内で文化も違いますので、そういった問題は余り起きていないようには思っております。
  137. 藤井孝男

    藤井孝男君 どうも貴重な御意見、ありがとうございました。  終わります。
  138. 吉田忠智

    吉田忠智君 社会民主党・護憲連合の吉田忠智でございます。  三人の参考人皆様方には、お忙しい中、貴重な御意見、提言をいただきまして、ありがとうございました。三人の方に一括順次質問をさせていただきたいと思います。  まず、栗田参考人に対してでございますが、今後のボランティア活動についての中で心のケアということが書かれております。  阪神・淡路大震災のときにも心のケアという点でボランティア皆さんが大きな役割を果たした、そのように聞いております。特に今回の東日本大震災では、県や市町村などの行政機能が大きく低下をしておりまして、率直に申し上げて、なかなかそこまで手が行き届かないと思います。発災後三か月が経過をして、被災者皆さんは本当に精神的にこれから厳しい状況に置かれるわけでありまして、是非心のケアの部分、ほかの分野もそうでありますけれども、是非ボランティア皆さん、大きな役割を果たしていただきたいと、そのように考えますけれども、これからの心のケアのことについて、活動についてお考えをお聞きしたいと思います。  それから、次に藤井参考人にお伺いをしますが、三月二十三日にこの場で、参議院の予算委員会でやっぱり参考人として提言をいただきました。それから、余りにも対応が遅いということで、本当に一回ここに来られただけに歯がゆい思いをされておられるのではないかと思います。  原発のことについてお伺いしたいと思いますが、今回あってはならない原子力発電所の事故が発生をしました。私はもう人類と核は共存できない、そして何より、この地震、津波の常襲地帯である日本列島においては共存できないという立場でございますし、国民の合意と覚悟によって脱原発、そして自然エネルギーへの抜本的な転換を図っていかなければならない、そのように考えておりますが、先生のこの資料の中には原発についての明確な記述はないように思います。エネルギーシステムの多重化ということは書かれておりますけれども、これからの復興考える上で、あるいは強靱化を考える上で、原子力発電というものをどのようにしたらいいのか、先生のお考えをお伺いしたいと思います。  それから、長参考人にお伺いをいたします。  災害弱者という点では、私も予算委員会でも質問させていただきましたが、なかなか表に出ませんけれども、女性の性暴力の問題もあると思っております。今回の大震災に当たって、実態としてどのようにとらえておられるのか、そして警察などの行政の対応が十分であったのか、そうした課題についてお考えをお聞かせをいただきたいと思います。
  139. 栗田暢之

    参考人(栗田暢之君) 御質問ありがとうございました。  心のケアの問題に関しては、非常に貴重な、大切なキーワードだと思っておりますので、どんどん推進していきたいということではあるんですけれども、ただ、心のケアということを素人が言った瞬間に、それがまた逆効果になるということも一方ではありますから、慎重にこれは対応していかなきゃいけない部分もございます。  そして、これはやっぱりお一人お一人の命の話ですから、お一人お一人に合った対応が必要だということがあります。じゃ、一人一人全部できるのかという話ですけれども、しかし、支援する側の人間の方が圧倒的に多いわけですから、日本の人口を比べてみたら、それはやっぱり制度としての復興支援員だとか、あるいは保健師だとか民生委員さんだとか、そういう制度としての方々はもちろん頑張るはずですけれども、それに対して、僕らおせっかいなボランティアが何度も何度も出かけていって、元気ですかという声を掛け続けられるかどうか。  私は、多分、九月の十一日の震災から六か月という時点で、学生さんは休みが終わりますから、どんどんじり貧になってくるんじゃないかと、ボランティアも。どうしてもやっぱりそういう時期が来るわけですね。風化は避けられないと思います。そうすると、十月、十一月、十二月、非常に寒い時期に、ぽつんと仮設住宅のところになかなか人がもう来てくれないわという状況はつくっちゃいけないと思いますから、やっぱり今のうちに、今のうちというのはその九・一一の前に、震災から六か月の前に、いろんなボランティアさんがやっぱりかかわれるような環境づくり、そのためにも、先ほどから申し上げているように、被災者の中で保護だけじゃなくて自分たちで頑張ろうとする人たちに対しては、制度として支えて、例えば何か工房ができたり仮設の商店街ができたり、様々なチャレンジすればいいじゃないですかということを、ボランティアも後押ししながら、できるだけそこできっかけづくりをして、そして、特に若い人たちが、その距離感もありますけれども、しょっちゅう行っても嫌がられる場合もありますから距離感も必要なんですけれども、やっぱりそうした若い人たちが、孫が何かこう親戚のうちにたまに遊びに行くような感覚で、十月も十一月も十二月も、あるいは一年先もしっかりと交流できるような人間関係づくりがこの時期一番大事だということを、私、一貫してそういうことを進めていければいいなというふうに考えております。
  140. 藤井聡

    参考人藤井聡君) 御質問ありがとうございます。  今回の、今日公述申し上げた中では、耐震強化というところに原発施設というのは一つ書かせていただいていたんですが、この原発問題については二種類、分けて考えないといけないことがあると考えています。第一に、この原発問題、原発と日本国家がどういうふうに付き合っていくのかという問題が一つあります。その問題と、今年、来年、この原発をどうするのかという二つの問題を分けて考えないといけないと思います。  まず、今年、来年の問題を踏まえますと、これはドイツにしても同じでありますけれども、もし仮に中止ということを決定したとしても、だからといってすぐにそのリスクがゼロになるというわけではないと。したがって、今存在している原発に対する徹底的な耐震強化というものを、やはりそれは図らないといけない、高レベルの放射性廃棄物等々についてもこれは図らないといけない。これはもう既にあるものでありますので、これは議論の余地なく徹底的な耐震補強をしないといけないということは、これ自明であります。  第二点目に、これを長期的にどういうふうに考えるのかということについては、まず今回の原発事故の問題並びにこれからその耐震補強をするということで、どこまで補強されるのかということを踏まえることがまず必要となると思います。  当然ながら、今回事故が起こったときどうなるかという情報が今我々かなり多く入手しています。それと同時に、原発がなくなったときにどれだけのコストを我々支払う必要があるのかということについても、当然ながら長期的な判断をするときには必要になってきます。  そのときに私が一番危惧しておりますのが安全保障の問題です。原発が、これは純国産エネルギーと言われるもので、元々の物資は輸入するわけでありますけれども、ウラン等々を輸入するわけでありますけれども、あとはエネルギーを国内でつくるということで純国産エネルギーと言われております。もし、原発を輸入エネルギーだとすると、日本のエネルギー自給率は四%になってしまいます。これは強靱化の考え方として極めて脆弱な国家になります。その一方で、原発が国産エネルギーであるとカウントすると、これは二割弱が国産エネルギーになると。比較的、その意味において、安全保障という点においてこちらの方が強靱になります。この強靱さと原発があり続けるということのリスクとをどういうふうに判断するのかということについては、これは冷静に判断するということが必要になってまいります。  いずれにしても、エネルギー問題は、第二次世界大戦の例を引くまでもなく、エネルギー安全保障というものは国家の存亡にかかわるということは歴史に学べば我々知っているはずでございますので、このエネルギー安全保障、四%の問題をどう日本民族として考えるのかということを十二分に考えた上で原発の事故のリスクというものを考えた判断をしていただきたいというふうに私は思います。  以上でございます。
  141. 長有紀枝

    参考人(長有紀枝君) 御質問ありがとうございます。  残念ながら、私、その性暴力についての具体的な実例データを持っておりませんで、その点についてはお答えできませんので、どうぞお許しください。  他方で、警察ざたになるといいますか、警察が出てくるような状況ではない状況で、例えば先ほどの生理用のナプキンの問題、あるいは着替える場所がないとか、そもそも全然プライバシーが守られていないとか、全く犯罪にさらされているわけではないけれども、大変なストレスにもさらされている方たちが大勢いるというのが現状でございまして、その意味でも、冒頭で申し上げたとおりですが、女性が意思決定、災害復興の意思決定の場に出ていけるような対策を是非お願いしたいと思っております。
  142. 吉田忠智

    吉田忠智君 ありがとうございました。  以上で終わります。
  143. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人皆様に一言御礼を申し上げます。  本日は、長時間にわたり御出席をいただき、また貴重な御意見を賜り、本当にありがとうございました。委員会を代表して御礼を申し上げます。  ありがとうございました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十七分散会