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2011-06-14 第177回国会 参議院 東日本大震災復興特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十三年六月十四日(火曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員異動  六月十四日     辞任         補欠選任      江崎  孝君     相原久美子君      神本美恵子君     那谷屋正義君      舟山 康江君     谷岡 郁子君      上野 通子君     丸山 和也君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         柳田  稔君     理 事                 岡崎トミ子君                 金子 恵美君                 小西 洋之君                 藤原 良信君                 岩城 光英君                 佐藤 信秋君                 森 まさこ君                 長沢 広明君     委 員                 相原久美子君                 岩本  司君                 江崎  孝君                 加賀谷 健君                 神本美恵子君                 郡司  彰君                 今野  東君                 主濱  了君                 谷岡 郁子君                 那谷屋正義君                 平山 幸司君                 藤田 幸久君                 舟山 康江君                 増子 輝彦君                 山根 隆治君                 愛知 治郎君                 赤石 清美君                 岡田  広君                 川口 順子君                 熊谷  大君                 佐藤 正久君                 高階恵美子君                 長谷川 岳君                 牧野たかお君                 丸山 和也君                 山田 俊男君                 竹谷とし子君                 横山 信一君                 小熊 慎司君                 松田 公太君                 山下 芳生君                 藤井 孝男君                 吉田 忠智君                 亀井亜紀子君    衆議院議員        東日本大震災復        興特別委員長   黄川田 徹君        東日本大震災復        興特別委員長代        理        後藤 祐一君        東日本大震災復        興特別委員長代        理        山口  壯君        東日本大震災復        興特別委員長代        理        加藤 勝信君        東日本大震災復        興特別委員長代        理        谷  公一君        東日本大震災復        興特別委員長代        理        石田 祝稔君    国務大臣        内閣総理大臣   菅  直人君        総務大臣     片山 善博君        外務大臣     松本 剛明君        財務大臣     野田 佳彦君        文部科学大臣   高木 義明君        厚生労働大臣   細川 律夫君        農林水産大臣   鹿野 道彦君        経済産業大臣        国務大臣     海江田万里君        国土交通大臣   大畠 章宏君        環境大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(防災)        )        松本  龍君        国務大臣        (内閣官房長官) 枝野 幸男君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣消費者        及び食品安全、        行政刷新))   蓮   舫君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(金融)        )        自見庄三郎君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣経済財        政政策少子化        対策男女共同        参画))     与謝野 馨君        国務大臣     玄葉光一郎君    内閣官房長官        内閣官房長官  福山 哲郎君    副大臣        厚生労働大臣  大塚 耕平君    事務局側        常任委員会専門        員        五十嵐吉郎君        常任委員会専門        員        櫟原 利明君    政府参考人        原子力安全委員        会委員長     班目 春樹君        資源エネルギー        庁原子力安全・        保安院長     寺坂 信昭君    参考人        東京電力株式会        社取締役社長   清水 正孝君     ─────────────   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○東日本大震災復興基本法案衆議院提出) ○地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき  、現地対策本部設置に関し承認を求めるの件  (内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 柳田稔

    委員長柳田稔君) ただいまから東日本大震災復興特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、上野通子君が委員を辞任され、その補欠として丸山和也君が選任されました。     ─────────────
  3. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  東日本大震災復興基本法案地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、現地対策本部設置に関し承認を求めるの件の審査のため、東京電力株式会社取締役社長清水正孝君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  東日本大震災復興基本法案地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、現地対策本部設置に関し承認を求めるの件の審査のため、必要に応じ政府参考人出席を求めることとし、その手続については、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  7. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 東日本大震災復興基本法案地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、現地対策本部設置に関し承認を求めるの件、以上両案件を一括して議題といたします。  両案件趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 おはようございます。民主党・新緑風会の岡崎トミ子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  東日本大震災、大津波から三か月がたちました。しかし、三か月がたちましてもまだ、身内の中に亡くなられた方、そして家屋や財産が流された、あるいは行方不明の人をまだ探し続けている、まだまだ深い悲しみの中や不安の中にいる方が大勢おられるということを感じます。被災地は刻々変わっているということは間違いございません。しかし、そうした皆様方に私はいつも心を寄せてこうした法案に当たりたいというふうに感じてまいりました。まずは、亡くなられた皆様に心からお悔やみを申し上げますとともに、改めて被災者皆様にお見舞いを申し上げたいというふうに思います。  実は、私が今ここにしております、サッカーの選手がよく着けますミサンガなんですけれども石巻に参りましたときに子供たちがよく頑張っているなということを感じました。これ刺しゅう糸で、ブルーオレンジと白なんですが、オレンジは太陽、そしてブルー石巻の海、白は宮城の米を表しています。彼女自身、中学三年生の女子生徒なんですけれども自分自身被災してとてもつらいけれども、一万人以上の皆さんたち石巻ボランティア活動をしてくれている、津波でばらばらになった心をこのミサンガによって、みんなに着けてもらうことによって心を一つにしていきたい、そんな願いがあって、私はこうした中学生の子供たち動きそのもの希望だというふうに思いました。そして、その思い努力にこたえるという、その思いで今日の審議をしてまいりたいというふうに思っております。  今回の法案は、自民、公明、民主の皆さんたち議員立法として提出をしてくださいました。その御努力に対して心から被災地宮城議員としても敬意を表したいと思います。ありがとうございました。  この法案提出経緯を踏まえまして、この法案意義、そして法律が成立した場合に、運用に関して政府に対する期待提案者の方からお伺いしたいと思います。
  9. 黄川田徹

    衆議院議員黄川田徹君) お答えいたします。  まず、法案意義であります。  本法案は、政府案、それから自民党案及び公明党の発表されました骨子案、それを基に民主党無所属クラブ、自由民主党無所属の会及び公明党の三会派による、これ日夜を分かたぬ精力的な協議をさせていただきまして、その結果まとめられたものであります。そしてまた、社民党など他の会派の賛成も得られまして、去る六月九日の衆議院震災復興委員会において委員会提出法案としてまとめられたものであります。  そしてまた、この東日本大震災からの復興でありますけれども、与党、野党にかかわらず協力をして取り組むということは、この姿勢は非常に意味があることだと、こう思っております。  また一方、政府への期待でありますけれども、こういう経過によってできた法律でありますので、その運用に当たる政府に対しましても、与野党の合意の重み、これを強く認識していただいて、立法趣旨に沿った運用がされることを強く政府に望むわけであります。  以上であります。
  10. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 この法案に魂を入れていく作業だというふうに思いますし、必ず実現をさせていく、地元に寄り添って、その気持ちを大事にしながら私もこの法案を、本当に成立に向けて、また実行をしていくように努力をしていきたいというふうに思っております。  最近、避難所を回りましていろいろな方々から声をお聞きする中で、ごく最近ですけれども避難所から仮設住宅に回られた方、希望を失っている、先がなかなか見えない、そういう声をたくさん聞きます。仮設住宅に移りましても自立が困難なために避難所に戻ってしまうという、こういう例もございます。  今最も必要とされておりますのは、希望につながる雇用仕事だというふうに思います。仕事に就けない方がたくさんいる一方で、そのことが不安につながっている。アンケートでも、望まれる施策の第一は雇用が挙げられておりました。  そして、この復旧復興に向けては必要な仕事は幾らでもあります。被災地に立って、見たままそのまま、いろいろな作業がある。これは全部仕事につながっていくなという、そういう思いをしているわけなんですけれども、そうした状況の中で、雇用創出基金がございます。  震災対応被災された方に復旧復興に向けて必要な仕事に携わっていただくことができるようになりました。瓦れき片付け、そして流失した漁具の回収、高齢者住宅片付け被災者自身による避難所運営、これは、給食、飲食、それから配膳、清掃などがございます。増加した行政事務の補助ということで、住民票の受付、発行や電話業務、このために今回の補正予算で五百億円積み増しをしております。  このために、今回の基金を使う計画として、岩手県、宮城県、福島県で二万人の雇用創出計画を打ち出しておりますが、岩手は五千人分、宮城は四千人分、福島は一万一千人分ございます。ですが、仕事のない方、その数、復旧復興に向けて必要とされている仕事の量を考えますと、まだまだ活用の余地があるということが分かります。  まず、様々な働きを強めて有効に使われるようにしなくてはなりませんけれども厚生労働大臣、いかがでしょうか。この点についてお答えいただきたいと思います。
  11. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) 被災に遭われた方に対しての今一番心配をされていることは、これからどうしようと、職を是非得たいと、こういう就労の意欲、それにこたえることが大変大事なことだというふうに思っております。  そこで、政府といたしましては、「日本はひとつ」しごとプロジェクト、これをつくりまして、この復旧事業、先ほどお話しされた復旧事業などのそういう仕事のときには是非ハローワークを通じて募集をしてほしいということを民間業者にもお願いもいたしておりまして、また、ハローワークでは土曜も開庁して、そして細やかな職業相談、そして職業紹介、そういうことも行っております。  そして、今お話がありましたように、地域雇用創出ということで、基金事業としての五百億円、これを第一次補正予算積み増しをいたしました。それで、今お話のありましたように、被災三県では今のところ二万人の雇用計画をいたしておりまして、いろいろな仕事についての雇用をそこで創出をするということで進めておりまして、今四千五百人の雇用がされておりますけれども、更にこの事業をどんどん進めまして、被災された皆さん方の職がそこで得られるような最大限の努力をしてまいりたいと、このように考えております。
  12. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 仕事を探している人がいて、またたくさんの仕事があって、その結び付け事業があって、是非有効的に使えるように、これからも大臣、お働きいただきたいと思います。  さらに、緊急人材育成支援事業女性が就ける仕事がとても少ないというふうに思いました。こちらの方も要望をしておきたいと思いますので、女性仕事も増やしていただきたいと思います。  仮設住宅に入りましてから孤立を防ぐことが必要だということで、仮設住宅での孤立防止に役立つ施策として地域支え合い事業がございます。これは、地域における日常的な支え合いの体制づくりを目指してこられた事業なんですけれども、非常に自由度が高くて応用が利く制度でございます。この事業を使いまして、仮設住宅とか避難所の近くにサポートセンターを設けて、幅広いサービスを多様な担い手がネットワークをつくってそれが提供できるというものでございますが、ちょっとそちらの方にパネルも用意いたしました。(資料提示地域で工夫をして様々な活用ができるというためのイメージの図でございます。受けの支援ではございません。これは、訪問支援をしていくことができるということでございます。  仮設住宅があって避難所があって、その近くにサポートセンター仮設住宅に併設と書いてありますけれども、これは、近くにもし用地が取得できない場合には、近所近隣にそれを設けることもできますけれども、ここにありますように、デイサービスとか情報支援ですとか居宅サービスとかあるいは配食サービス地域貢献スペースのサロンのようなもの、その中で心の相談、こういうものもできるような形になっておりまして、地域高齢者、そして身体に障害を持つ人、精神障害知的障害子供、多くの皆さんたちがここで支援を受けられる、そういうものでございます。  これはせっかくこういうすばらしいものがありますけれども自治体止まりになってはいけないと思います。こういった様々な事業者としっかり連携をしていくために、大臣、この広報活動をもっともっとしっかりやらなければいけないというふうに思っておりますけれども、その点について事業者NPO皆さんたちにしっかりと十分な周知をしていただきたいと思います。いかがでしょうか。
  13. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) 今委員から御指摘がありましたように、避難生活がだんだん長くなる、そしてまた仮設住宅での生活も長くなってくる、そうなりますと、いろいろと孤独になってきて、いろんな問題が生じてまいります。それにどう対応するか。これは私どもも、阪神・淡路の震災、そしてあの新潟での震災、それらの経験も踏まえまして、今委員が御指摘のようなサポート拠点、これをつくっていろんなサービスも提供するし、そしていろいろなその中でのお年寄りの交流とか、いろいろな形で孤独を防いでいく、そのことをさせていただいております。  しかし、そのことをみんなに知ってもらって、是非その地域の周りの方たちもそのサポート拠点をいろいろ活用していただいて、お年寄りの孤独を避けるということで知っていただかなきゃいかぬということで、私どもの方ではそれの手引を作っております。その手引を、自治体はもちろんでありますけれども事業団体あるいは社会福祉協議会、そういうようないろいろな関連団体などにその手引も配付をいたしまして、この事業是非知っていただいて活用していただくと、そのことがお年寄りの孤独を防ぐことになるということで頑張っていきたいというふうに思っております。
  14. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 いいモデルができますと、ああ、そこでこんないいことをやっているということが全国にも伝わるというふうに思っておりますので、一つきちんとしたモデルもつくって、その活動ができているということのPRもできるようにしていただきたいというふうに思っております。  現場を歩いておりますと、いまだに現金が届いていないという声がたくさんございます。被災者生活再建支援制度、これはもう皆さんよく御存じですけれども基礎支援金全壊の場合百万円、大規模半壊で五十万円受け取れることになっております。今回の地震と津波全壊とされた建物は十一万千九十戸ございます。その中で、被災者生活再建支援制度への申請は四万二百三十一件で、それに対して先週までに六千九百一件しか支給されておりませんでした。大変困った状況だというふうに思います。  事務を行っている都道府県会館が人を大幅に増やす、あるいは新しい機械を導入するということで体制を大幅に充実させるということを聞いておりますけれども、そのことによって一週間で五千件やれるようになったというふうに伺いました。一番長いときで申請しておよそ五十日掛かったということもございますので、一週間から十日以内で処理されるようになるわけでございます。  ようやく動き出したということが言えるだろうと思いますけれども、この被災者生活再建支援金のほかに金銭を支給するものが災害弔慰金生活福祉資金の貸付け災害援護資金付け、そして義援金などがありますけれども、この運用改善支援策の追加と拡充が大変重要だというふうに思っております。  是非官房長官にこの点についてお伺いしたいと思います。
  15. 枝野幸男

    国務大臣枝野幸男君) 今御指摘いただいたそれぞれの資金各省横断ですので私の方から御答弁させていただきます。  本当に被災者皆さんに一刻も早く現金が渡るということ、大変重要だというふうに思っております。必ずしも今までのところ被災者皆さんの御期待に十分にこたえ切れていないということ大変残念に思っておりますが、今御指摘いただきましたとおり、生活再建支援金についても体制強化をいたしたところでございます。  それから、日赤等から都道府県に対する義援金の送金についてこれを早めていただこうということで、昨日、厚生労働大臣が自ら日赤本社を訪れまして、早期配分の要請とそれから対応について国として御協力できることがないか協議をしたところでございます。さらに、現場で具体的に被災者皆さんと接して様々な事務に当たられる市町村に対しては、これは総務省において他の自治体からの応援職員の増強についての支援を更に強化をするという作業を進めているところでございます。  さらに、生活福祉付けについては百億円の資金緊急小口を行いましたが、更に生活復興支援資金の貸付けを六月中に始められるように手配をしているところでございます。災害援護資金については、東日本大震災財特法によって原則無利子やあるいは償還期間の延長などの特例措置を講じたところでございます。  今申し上げただけでもいろんな制度ございまして、被災者皆さん分かりにくいところもあろうかというふうに思いますが、できるだけ分かりやすく、個々の被災者皆さんに様々な情報が届き、なおかつ今申し上げたような様々な事務手続迅速化を図るために、更に各省横断的にできることを最大限進めてまいりたいと思っております。
  16. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 一人一人に伝わるということが大事なので、避難所などを歩いてみますと、なかなか自治体皆さんも大変忙しくて多忙を極めておりまして、そういう情報が伝わっていないということが大変多いということ、大変残念です。そういう点についても、希望があるという点に関しても伝えていくような努力を、例えば役所の方が忙しいときには災害ボランティアの中でそういう専門の方を決めて情報を伝えていくというようなことがあったらいいななどということを避難所を回りながら思ったこともございました。  避難所生活環境運営に関しまして自治体間と避難所間の格差がたくさんあると、そういうことも聞きます。この格差については、割とその避難所同士で、あなたの方はこういうふうにやっている、私たちの方はこうで、なかなかそれについて追い付いていないというような、避難所同士での不満というか、そういうことなども出てくるわけなんですけれども生活環境が良好でない避難所がまだまだございます。  これから梅雨に向けて困難な面も出てくると思いますが、この改善に向けて国として何か介入できないかというふうに思うんですね。非常事態だということをもう割り切っていただいて国として直接的な関与を図ることが、NPOの方やボランティアの方、より緊密性を持って高い協働を図ることによってそういうことが実現していくというふうに思いますけれども厚生労働大臣、いかがでしょうか、この点に関しまして。
  17. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) 今、避難所で避難された方がいろいろ生活をされております。これが自治体にあるいは避難所によっていろいろ違っているところもございます。それぞれのところでいろいろな御努力をしていただいていると思いますけれども地域の特性とかいろんな形で違っているところがあるというふうに思っております。  そういう意味で、私ども厚生労働省といたしましては、この被災県に百七十名の職員どもあるいは病院の職員も派遣をいたしまして、いろいろなところで仕事をさせていただきながら、いろいろなニーズもいただいております。また、厚生労働省職員被災地を回っていただきまして、そこでのいろいろな状況を把握していただいて、そこへ足りないところをどのような形で手を差し伸べていくか、支援していくかということを今させていただいているところでございます。  例えば、これからもうどんどん暑くなってくる、そのためには熱中症などの対策もしなければいけない、そのために、じゃ避難所の冷房をどうするか、こういう問題が生じます。そういうときには冷房の、エアコンなどの設置を国で全部見るからもう思うようにやってくれと、こういうような指示をさせていただいたり、あるいは健康のための保健師さん、こういう方を今でも三百十人くらい派遣しておりますけれども、更にいろいろとそういう派遣などもさせていただきながら健康を保持させていただくというようなこと、あるいは、もう避難所で長く住んでおられますと精神的にも大変でありますから、一時的に二次避難所、ホテルとかあるいは旅館の方に短期的にでも行っていただいて、そこで休養をしていただく、リフレッシュしていただくという政策も取りまして、是非こういうことも活用していただきたいと、こういうこともお話もさせていただいているところでございます。  また、ボランティア皆さん方が三十万人ももう、三十八万人ですか、被災三県には入っておられるということで、そのボランティア皆さん方ともしっかり連携をするように、その中継ぎのようなことを国の方でいろいろとお世話できないかということで、それも国としてそんなことも進めさせていただいているところでございます。  いずれにしましても、避難所生活している方が早く仮設住宅、そちらに移れるように、これは国土交通省などとも連携をしながら、しっかりそこを早く、早急に避難所生活から離れて仮設に移れるようにしっかりやっていきたいというふうに思っております。
  18. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 とにかく、直接的に国が関与してくださるということについてもちょっと触れていただきましたが、基準を設ける、あるいは人を送る、アドバイスをする、NPOボランティア皆さんたちと戦略性の高い、そうした連携を図っていくということで、是非、協力して働くという協働是非頑張っていただきたいというふうに思います。  さて、今度は国土交通大臣にお伺いしたいと思いますが、地元に入って、地盤沈下のところがもう本当に大変な距離、大変な地域でそれをいろんなところで見るわけなんですけれども、その地盤沈下した土地のかさ上げ、それから水害対策、特に国費でやっていただきたいという要望がございますし、その方針を早く出していただきたい、こういうこともよく要望されます。是非前向きなお取組をお願いしたいというふうに思います。いかがでしょうか。
  19. 大畠章宏

    国務大臣(大畠章宏君) 岡崎トミ子議員の御質問にお答えを申し上げます。  今日の朝のラジオの番組等で大潮という話を聞いておりまして、今日もこのテレビを御覧の皆さんの中にも、そういう水が出ていて大変毎日の生活に困っているという方がたくさんおられると思います。  岡崎議員からの御指摘のように、この冠水対策を急げと、こういう御指摘を国土交通省としても大変大事な課題だと思って取り組んでいるところでありますが、現在、地元自治体東日本大震災復興構想会議においてもこの問題を御論議をいただき、地盤沈下した土地のかさ上げあるいは土地の買上げということも含めて地域復興に向けた取組について検討をしているところでありますが、国土交通省としても、この復興構想会議の前段としてこの問題についていろいろと工夫をしながら、対策はどうすべきかということを各土木の学界の皆さんや土地あるいは都市の構想づくりの専門家の皆さんの御意見も賜りながら論議をさせていただいております。今後、早急にこの復興構想会議の中で方針を決定していただき、国土交通省としても取り組んでまいりたいと思います。  なお、台風期を控えておりますので、先ほど言いました大潮等あるいは高潮等による二次災害を防ぐ必要があることから、農林水産省や当該の県と連携して浸水被害の軽減に向けた取組というものを進めているところであり、海岸については、幹線道路や下水処理場など地域生活復旧復興に不可欠な公共施設等が背後にある区間については、八月中に対策を完了させるべく堤防の仮締切りを実施しているところであります。  また、河川あるいは道路等の災害復旧事業の地方負担について、今、国が全額やってほしいと、こういう御指摘をいただいたところでありますが、補助率のかさ上げや交付税の措置により現状においても地方の負担を極力抑える仕組みとなっておりますが、しかし更にそういう御意見もいただいておりますので、迅速に応急対策を進めながらどのような形でこの地域支援を行うことができるかと、こういうことで、地元の実情やニーズに応じて適切に対処してまいりたいと考えているところであります。
  20. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ばしっと決めていただけなかったんですけれども、ほうっておかない、いずれそういうふうになるだろうと、そういう希望を地元の皆さんたちに与えたと私は理解をいたしました。よろしいでしょうか。ビジョンに基づいて、その地元で暮らしておられる皆さんたちが本当に最大限暮らしが成り立つようにお願いをしたいと思います。  さて、その復興ビジョンでありますけれども復興構想の策定が遅過ぎるというふうに言われております。スピードが必要だということですけれども自治体復興構想や地域のニーズとの整合性が必要だということなわけですが、この策定に向けた取組について認識を伺いたいと思います。  構想がないとどこに建物を建てていいのか分からないという、また将来の見通しが立たないという、そういう意見をたくさん聞いております。よく言われますのは、浸水した土地、建築物の再建が制限される土地を買い上げてくれないか、買い上げてくれるとすればどのぐらいの価格で買い上げてくれるのか、それが分からなければ将来の設計ができないというふうに言われておりますけれども官房長官、これについていかがでしょうか。
  21. 枝野幸男

    国務大臣枝野幸男君) 復興構想会議では、今月末をめどに予定されている提言に向けていよいよ大詰めの議論を行っていただいているところでございます。そして、この構想会議での御議論と同時並行で、今国土交通大臣も御答弁をされたとおり、そこでの議論を踏まえながら、最終的にどういう提言が出てもすぐに対応できるように各省ともいろいろな各省としての検討もしていただいているところでございますので、提言がなされ次第、復興対策本部において速やかに復興基本方針を策定したいというふうに思っているところでございます。  この復興については、もう岡崎議員十分御承知のとおり、被災地が大変広くて多様であるということを踏まえながら、地域やコミュニティー主体の復興を基本としたいと、またそうしなければならないというふうに思っております。  このため、この基本方針策定についても、国が一方的に策定するのではなくて、復興構想会議において関係地方公共団体の御意見をも踏まえつつ検討を進めてきたところでございます。特に御指摘いただいた浸水した土地、建物の再建が制限される土地の買上げについて、これについてもこの復興構想会議において議論をいただいているところでございますが、一方では、境界確定あるいは所有権、所有者の特定などの困難さがある。あるいは、そこを持っていらっしゃる方の再建に向けても、国等による買上げということが有効ではないかという声も出ている一方で、地域復興ということを考えますと、買上げを行ってしまった場合、被災者が全く他の地域に移ってしまうということになると地域の再生や復興にもつながらないということにもなってしまうというようなことについて御議論をいただいているところでございます。  この会議の最終的な提言も踏まえながら、一方では、今国土交通大臣から御答弁をいただきました浸水しないようにするかさ上げであるとか堤防であるとかそういった施策との組合せ、それを踏まえながら、それぞれの地域地域の事情に応じて様々な選択肢を取り得るような、そういう方向での方針を取りまとめてまいりたいというふうに思っているところでございます。
  22. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 国も自治体もいろいろなことを行っているんですね。しかし、なかなかその将来が見えてこないというところが被災者皆さんのフラストレーションにつながっているんだろうというふうに思うんです。ですから、この検討状況の中で議論の中に加わることができる、それが私、参加できるようになってくると随分違ってくるんじゃないかなと思いますし、検討している中身についても詳しく知らせていくということがそういうことをなくしていく一つの方法かなというふうに思っておりますので、幅広い声をこれからも聞き続けることをよろしくお願いしたいと思います。  三か月たちまして多くの方から言われますのが、復興女性の声をということでございます。六月十一日、先週の土曜日に、日本学術会館で復旧復興の全ての段階に男女共同参画が重要だというテーマでシンポジウムが開催されまして、被災地女性を始め全国の女性団体の代表や専門家が出席をいたしました。このシンポジウムの実行委員会には全国四十七都道府県女性団体が参加しておりまして、当日も全国から参加の申込みが殺到して大変な熱気だというふうに聞いております。この実行委員会から、創造的な復興には男女共同参画の視点が不可欠だということで要望が提出されております。女性の参画を求める声が全国的なうねりとなって押し寄せてきているということを感じます。  そこで、この基本法案の中にも男女共同参画について触れられております。第二条に書かれております基本理念の第二項には、被災地域の住民の意向が尊重され、あわせて女性子供障害者等を含めた多様な国民の意見を反映されるべきこととされております。宮城県の登米市では、この登米の男女共同参画の支援員の方が、女性の参画が少ないということから、ふだんから女性の代表の皆さんに、チームの皆さんに集まっていただいて要望を聞いて、全体的な幹部会のところにそれを出していろいろなことを解決をしました。  女性だけが集まれるそういう部屋をつくりましたり、そういうところでシャツを着替える、下着を着替える、そういうことが非常に必要だということが実現したというふうに伺っておりまして、この登米市の女性男女共同参画の仕事は大変に多くの人たちに励ましを与える、テレビの中でもこういうことが放映されておりました。リーダー会議から、女性を元気にするイベントとして、支援団体による顔のマッサージ、この間男性が出てきて、俺はそれは要らないとかと言っていましたけれども、男性じゃないんです、女性はこういう顔のマッサージですとかお化粧ですとかそういうことができる、あるいはヘアドライヤーを使える、男の人たちにそれうるさいと言われてしまう、そういう囲った避難所の中の女性の集う場所というのが設けられて大変に有効だということについても伺っておりました。  そこで、ちょっとパネルなんですけれども、これ、第三次男女共同参画基本計画の中で指導的な女性の占める割合が二〇二〇年までに三〇%ということについて閣議決定もされております。第二次の基本計画にもこれは既にあったわけですから、私も大変な期待をされている、頑張らなくてはならないというふうに思っているところでございます。  そこで、差し当たってこの法案では、復興構想会議のメンバーに、二十五人以内とされておりますメンバー、現在十五人で一人だけお入りになっていますけれども、この基本法の位置付けに、メンバーを増やす際には、ふさわしい知見を持った女性を複数名入れていただきたい。復旧復興のプレゼンス、そのプロセスの中に男女共同参画の重要性についてどのように感じておられるのか、総理にお伺いしたいと思います。
  23. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) この復興には女性の視点というものが重要であるという御指摘はそのとおりだと思っております。当初のメンバーの中に女性の方が結果として少なくなっているということについては大変申し訳なく思っております。今後、これが法律による正式な形の復興構想会議という形になり、また今お話がありましたように、二十五名以内というメンバーの中で、これからの運営を含めて女性の方にもっと入ってもらえるように現在の責任者でもあります五百旗頭議長と是非お話をして、そういう方向で進めてまいりたいと、こう考えております。
  24. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 今私はパネル出しておりますけれども、ふだんからやはり私たち男女共同参画を地元で行っていないと災害のときにはなかなか実現できないんだなということで、自治会長と防災会議の委員に占める女性の割合というのを出しているんですけれども宮城を見ましても、自治会の会長が四千七百十人いるうち百六十四人、そして都道府県の防災の会議の委員の数でございますけれども、これは四十八名中二人ということで、随分少ないことになっているんだなということがこのことでも分かるだろうというふうに思っておりますので、是非、ふだんからの私たち努力もこれから続けていきたいというふうに思っております。  もう一つ障害を持つ方も復興構想会議に入れるべきだと思っておりまして、私、障害者基本法の改正につなげるときに、障がい者制度改革推進会議、この中に障害の当事者の方に大勢参加をしていただきまして、御意見を伺いました。この推進会議との連携も重要だと思います。官房長官はもうおいでになりませんね。それでは、総理大臣、お願いしたいと思います。
  25. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 障がい者制度推進会議において、いろいろな課題の中に障害者御本人に参加していただいて、その視点から見ていくということは本当に重要だと思っております。これについても、今後の運営の中でこういう皆さんに参加をしてもらえる方向で五百旗頭議長ともお話をしてみたいと、こう考えております。
  26. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 よろしくお願いをいたします。  次に、自然エネルギーについてお伺いしたいと思います。  第一項第二条の基本理念のところには、単なる災害復旧にとどまらない活力ある日本の再生を視野に入れること、一人一人の人間が災害を乗り越えて豊かな人生を送ることができるようにすることなどが盛り込まれておりますが、総理は昨日の本会議の答弁でも、大変非常に再生可能エネルギーに力を入れておられるということが感じられました。そして、この復興構想会議でも大変重視されているわけでございます。  そして、ちょっとパネルを見せていただきたいんですけれども、東北地方は実はこの再生可能エネルギーの活用に向けて大きな可能性があるということで、環境省が四月二十一日に再生可能エネルギー導入ポテンシャル、潜在力の調査というのを行ったわけですけれども、このパネルで示されておりますように、東北地方の三陸のところ、三陸海岸のところが関東地方よりもむしろ潜在能力が高いということが太陽光のことで分かりますし、もう一つ、風力の方は北海道と東北、殊にこの三陸のところは、赤い点々がちょっと見えるでしょうか、拡大されたところに点々とありますけれども、ここが大変に潜在能力が高いということが示されておりまして、大変重視されているわけでございます。多くの方々が、もしかしたら東北は太陽光パネルや風力が向かないんじゃないかというふうに思う方もいらっしゃるかもしれませんが、大変恵まれているということについて御確認をいただきたいと思います。  そこで、総理にお伺いしたいと思いますけれども、この再生可能エネルギーの利用の拡大のためには固定価格買取り制度、全量買取り、この制度を実現することが大変大切だというふうに思っております。この法案について、早期成立の必要性について認識をお伺いしたいのと、もう一つ、再生可能エネルギーの利用拡大のための推進体制の再構築についての御見解、御決意をお伺いしたいと思います。
  27. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 今、岡崎委員の方からお話がありましたように、東北地方というのは、特に太平洋側は太陽光が大変強い地域であり、また東北全体、風力においては大変風力発電に適している地域というふうに私も認識をしております。  そういった中で、今回の大震災に伴って発生した原発事故、こういうことを考えますと、やはりこれまでの化石燃料及び原子力燃料に大きく依存してきたエネルギー政策について、再生可能な自然エネルギーをもっともっと増やしていくということは私は大変重要な課題だと思っております。  ちょうど発災の日の三月十一日に、今お話のありました再生可能エネルギーを促進するための固定価格全量買取り制度法案が閣議決定され、もう既に国会に出されて、かなり時間がたとうといたしております。  一部経済界にコストが上がるんではないかという見方がありますけれども、しかし、私は、化石燃料のコストも上がっていますし、今回の事故で原子力に対するコストも間違いなく大きく上がることを考えますと、将来に向かってコストが下がっていく再生可能エネルギーを促進するこの法律は極めて重要だと、このように考えております。  これは、我が党はもとよりでありますけれども是非他の野党の皆さんにも御理解をいただいて、必ずこの国会の中で成立をしていただくよう、私からも強くお願いを申し上げておきたいと思います。
  28. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 短期間でありましたけれども、この法案是非通していただきたいと、固定価格全量買取り制度について、百四十二名の超党派の国会議員の人たちが賛同を示して、今日、多分総理のところに届けられるのではないかと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。  最後に、もう少し時間ありますでしょうか、提案者の方に復興交付金についてお伺いしたいというふうに思います。  是非、特区と、そしてこの多様なニーズに対応するという意味で交付金、復興交付金について大変重要だというふうに思っておりますけれども思い切ったものにすべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  29. 後藤祐一

    衆議院議員(後藤祐一君) お答え申し上げます。  復興交付金につきましては、復興構想会議の中でも、達増岩手県知事あるいは村井宮城県知事からも是非導入するようにという御意見が提出されているところでございます。  また、衆議院復興特別委員会の理事で、被災三県の知事から御意見を聴取しました。その際も、特に村井宮城県知事からは百九十二項目にわたる、特に補助金あるいは直轄事業の上乗せ、適用拡大、こういった御要望をいただきましたが、これら一つ一つを各省庁の課長さんに御要望に行くというのは大変なことであるということで、こういった一括的に交付金あるいは基金、こういったもので対応できれば大変すばらしいということで、この交付金的な仕組みをつくってほしいという御要望でございました。  この復興交付金につきましては、二次補正予算の在り方にもかかわってまいります。政府においては今後集中的に御検討いただきたいと思っておりますけれども、従来型の固定的なものではなくて、被災地にとって使いやすい、自由度の高い交付金的な制度をつくっていただくよう、我々からも御要望していきたいと思っております。
  30. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ありがとうございました。  特区のことについてもお伺いしたいと思いましたけれども、これは参考人質疑の中で十分にやっていきたいというふうに思っております。  私の質問を終わります。ありがとうございました。
  31. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 岡崎トミ子君の関連質疑を許します。主濱了君。
  32. 主濱了

    ○主濱了君 民主党・新緑風会、第二番バッターの主濱了でございます。今回の大震災被災地一つであります岩手選挙区選出でございます。  発災から三か月たちました。まだまだ大変な状況にある被災民の皆様に、まずは心からお見舞いを申し上げるものでございます。また、発災後、全国の皆様から、あるいはいろいろな団体から、さらには自衛隊、警察そして消防、これは政府も、それから各都道府県、市町村、いろいろなところから御支援をいただいているところでございます。本当に温かい、そして力強い御支援をいただいておりますことに、まずは心から感謝を申し上げたい、このように思っております。本日は、一日も早い復興を実現をいたしたいと、このような思いから質問あるいは提案をさせていただきたい、このように思っております。  まず最初の質問でありますけれども、これは東日本大震災復興会議について一点だけお伺いをいたしたいなと、このように思っております。実は、私も官房長官に質問をする予定でしたけれどもいらっしゃらないと、こういうことでございまして、一点だけお伺いをいたしたいと思います。  復興構想会議の提言と補正予算との関係についてでございます。  政府は、東日本大震災復興に向けた指針策定の議論を行うために四月十一日に東日本大震災構想復興会議の開催を閣議で決定をし、六月末の提言のその取りまとめを目指して、今九回目でしょうか、九回目、九回の会議を行っていると、こういう状況にあるということでございます。様々な報道を見ますと、この復興会議の提言には広範多岐な施策が盛り込まれることになると考えられるわけですが、これらの施策をそれぞれ実現していくには予算の裏付けが必要になります。  枝野官房長官は、六月八日の記者会見におきまして、復興構想会議の結論を第二次補正に取り入れるかどうかは白紙であると、このように発言をしているところでございます。復興会議は、既に一次の提言の骨子を取りまとめたと報道されております。この提言を受けた段階で、迅速な復興のため、予算措置が必要であれば第二次補正に反映させることはあり得るのかどうか、まず伺いたいと思います。  総理大臣でよろしいでしょうか。じゃ、内閣総理大臣、お願いいたします。
  33. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) この法案が成立させていただきますと、復興構想会議もこの基本法に基づく会議になるわけでありますが、もう既に議論していただいているものは、そのものを踏まえながらの更なる継続になっていくと理解をいたしております。今お話しのように、この出されてくることが予想される青写真はかなり広範なものになろうかと思っております。しかし、その中に、既に骨子などを通して急ぐべきものも幾つか出されてきております。  そういった意味で、現在二次補正、あるいは一・五次補正という表現も時にされておりますが、特に急ぐべきものについてはこれを早急に次の補正に盛り込んでいく、できれば七月中にも一・五次補正とでも呼べるような、現在の一次補正に盛り込みきれなかったもので急ぐものを盛り込んでいく。例えば、議論の大変与野党ありました二重ローンの問題とか、あるいは今も一部お話がありました、場合によっては自治体に自由に活用できる一括交付金的な在り方とか、そういった急ぐべきものは迅速に財政措置ができるようにとっていきたいと、今日の閣僚懇談会でもそういう方向性を打ち出して了解をいただいたところであります。
  34. 主濱了

    ○主濱了君 後でもう一回、この二次補正についてはお伺いをいたしたいと、こう考えておりますが、二次補正の対応自体が私は遅いんではないかと、このように感じているところでございます。  復興会議の提言については第三次補正あるいは第四次補正でもいいのではないだろうかと。今もう既に一次補正がなされて、そして、各団体、あるいは各都道府県、市町村は、何が措置をされて何が足りないのか、こういったようなことを既に検討しているわけでございます。そして、既に要望も上げているはずでございます。この点、早急に対応するべきであると、このようにお願いを申し上げ、また後でこの点については議論を申し上げたいと思います。  続きまして、東日本大震災復興院あるいは復興庁、この構想について、これも実は枝野官房長官にお願いしたかったんですが、いらっしゃらないということで、提案のみをさせていただきたいと、このように思っております。端的な提案をさせていただきたいと思っております。これは、復興院あるいは復興庁、この構想については、衆議院での修正もあるわけでございます。また、各方面からお願いしているところでもあります。さらに、被災三県の国会議員岩手宮城、そして福島の国会議員団からも総理の方にお願いをしているものでございます。  端的に申し上げます。復興院あるいは復興庁、これは被災地にまずは設置をするということでございます。それから二つ目、縦割りを廃して権限、財源を兼ね備える、権限も財源も兼ね備えるということが二つ目であります。そして、大胆、迅速な復興を実現する、このような提言でございます。提言にとどめますが、適切な御対応をお願いをするものでございます。  続きまして、TPPについてお伺いをいたします。  先日、県別の食料自給率が公表されたところであります。被災県の食料自給率、これは全国平均の四〇%を大きく上回っているところでございます。被害の大きい三県の各県別の自給率を見ますと、岩手が一〇八、そして宮城が七九、福島が七八と、いずれも食料生産県であると、こう言って差し支えないと思っております。  大震災による復興を実現するためには、まずは被災県の基幹産業でもあります農林水産業の復興を図る必要があるわけでございます。そして、農林水産業の復興に当たって、支障といいますか懸念といいますか、その一つにTPPがあると、こういうことでございます。ということで、ここでTPPについて伺っておきたいと、こういうことでございます。  まず、日本の食料をどうするのか。極めて基本的で重要な課題であると私は思っております。その前提といたしまして、国民の食料の海外依存であるとか、あるいは国内で自給をするだとか、これを検討するに当たりましては、まずは世界の食料事情を見極めた上で検討されなければならないと、このように思っているところでございます。まず、今後予想される世界の食料事情につきまして御説明をお願いいたします。農林水産大臣、お願いいたします。
  35. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 今先生からの御指摘の世界の食料事情ということでございますけれども、人口の増加あるいは途上国の経済発展によりましての食料需要の増大等々、あるいはまたバイオ燃料原料としての非食用の需要の増大、そして、御承知のとおりに、地球規模の気候変動によるところの農業生産への影響ということで、今日、非常に今後の食料というふうなものがどうなるのか懸念されているところでございます。そして、同時に、FAOが、御承知のとおり、二〇五〇年には人口が今の六十八億から九十一億になるのではないかと、このようなことで、一・七倍の食料の生産というものが必要になってくると、こういうふうな状況でございます。  そういう意味で、昨年の秋でございますけれども、APECの農林水産大臣会議におきましても、二十か国の大臣全ての総意に基づいて、今後このような状況を考えてそれぞれの国が食料の増産に励んでいかなきゃならないと、こういうふうなことの考え方も打ち出しているところでございまして、そのことを考えたときに、我が国としても、今後の国民生活、食料の安定供給というものを考えながら取り組んでいかなきゃならない問題であると思っております。
  36. 主濱了

    ○主濱了君 結論といたしますと、世界全体で食料増産に励んでいかなければいけないと、こういう状況にあると、そのように理解をいたしたところでございます。  それで、農林水産業を基幹産業としている被災県の復興に支障を及ぼす可能性のあるTPP、このTPPに加入をして、そして全ての品目の関税が撤廃された場合の日本の農林水産業に予想される状況、これを改めてお伺いをいたしたいと思います。農林水産大臣、お願いいたします。
  37. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 昨年の十一月でございますけれども、我が国が、三十三品目でございますけれども、農林水産物の関税を撤廃した場合と、こういうことでございますが、農林水産物の生産額が約四兆五千億程度減少する、食料自給率は今の四〇%から一三%程度に低下をする等々の影響があるものと試算をさせていただいているわけであります。この試算は、全ての国に対しての国境措置を撤廃するということでございまして、その際、何も対策を講じないというふうなことが前提になっておるということでございます。
  38. 主濱了

    ○主濱了君 大変な状況でございます。食料自給率一三%。これは、そこにとどまるはずがないと私は思うんですよね。一三%まで下がってしまうと、もうどんどんどんどん限りなく低下していくのではないかと、こういう懸念を持っているわけでございます。  そういう懸念ばかり言っていてもこれはしようがないのであって、それでは、国民に安全な食料、そして十分な食料を供給する、これはもう政府の基本的な責務であると、このように考えているところでございます。今後、国民の食料の安定的な確保、これをどのように考えているのか。やはり基本的な責務を全うするにはどうしたらいいのか、どう考えているのか。この点につきまして、まずは貿易御担当の経済産業大臣、そして続いて農林水産大臣にお願いをいたします。
  39. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 主濱委員にお答えをいたします。  私どもはまさに貿易の担当でございますから、日本の農業、農産品ですね、これは国際的にも競争力のある製品だと思っております。ですから、やはり国際的な競争力を増すことによって日本の中でしっかりと農業が根付いて、そして農業が維持をされるようにしなければいけないという考え方が一つございます。  それと同時に、私どもはやはり工業製品の輸出ということも考えなければいけないわけでございますから、その工業製品が、交易の条件が日本の工業製品にとって不利にならないように、先ほどお話もございましたけれども、昨年の十一月に包括的経済連携に関する基本方針が定められたところでございます。また、今回のこの東日本の大震災を受けまして、先日は政策指針が定められたところでございます。  これら政府全体として確認をした指針に基づいて、私はやはり、工業とそれから農業が決して相矛盾をするということではありませんで、お互いがやっぱりしっかりとこの日本の地で産業として、農業も産業として、もちろんいろんな自然を守るとかいろんな役割はございますが、しっかりと農業が日本の国で続けられていけるように手当てをしなければいけないと思っております。
  40. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 今回の大震災を受けて、TPPの交渉参加についてどうするかは総合的に今後判断をしていく、検討をしていくと、こういうことにしたところでございますが、いわゆる国民の食料の安定供給というふうなものを考えていく場合、このことは国民に対する最も基本的な政策のまさしく責務でありまして、そして、このためにはどうするかといえば、国内の生産力を高めていくというふうなことを基本といたしまして、そして輸入なりあるいは備蓄なりというものを組み合わせていきながら食料の安定供給に努めていかなきゃならないと、こういうふうに考えておるわけであります。  特に、冒頭に委員から御指摘のとおりに、今回の被災に遭われた地域というのはまさしく我が国を代表するところの食料基地でありますので、この地域を一刻も早く復旧復興していくことが食料の国民に対する安定供給に結び付くものと、このような視点に立ちまして復旧復興に全力を挙げて取り組んでいかなきゃならないと思っております。
  41. 主濱了

    ○主濱了君 ただいまの質問に関連いたしまして、経済産業大臣に重ねてお伺いをいたしたいんですが、端的に、私、食料を確保するという面からお尋ねしたつもりだったんですが、この点についてはいかがお考えなんでしょうか。  といいますのは、やはり先ほどの世界の農業事情、食料事情からいいますと、世界全体が食料増産をしなければいけないと、こういう状況にあるわけであります。そういう中にあって、日本の、政府の責務としての食料の確保、そのためにどうするのかと、この点が若干お話になかったような気がいたしますので、その点について御答弁をお願いいたします。
  42. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 私どもは経済産業省でございますから、その意味では経済全体を興していかなければいけない。そして、その中で農業も、やはり私はこれからの、六次産業化という言葉もございますけれども、そういうためにもやっぱりしっかりと後押しをしなければいけない。農商工の連携という言葉も言われております。  もちろん、今回この東日本の大震災で東日本の地域皆さん方が大変大きな痛手を受けたということはよく承知をして、私もやはりそういう気持ちに沿っていかなければいけないと思っておりますが、全体としてのやっぱり日本の経済を今回の大震災によって後退をさせるようなことがあってはいけないと思っておりますから、その意味では、これまでも私どもでできること、経済産業省としてできること、それを更にやはり強めていかなければいけないと、こういう決意でおります。
  43. 主濱了

    ○主濱了君 農業もと、こういうことで、農業というか農林水産業もやはり復興を図っていかなければいけないと、こういう御発言だったというふうに思っております。  ただ、もう一つ気になったのが、工業についてどんどんどんどん進めていきたい、あるいは貿易の方を進めていきたいというふうな御答弁もあったわけですが、これについては後で議論したいわけですが、日本のGDPにじゃ輸出というのがどれだけ寄与しているんですかと、こういう問題ですよ。そこのところは、これは今後、今日は質問通告しておりませんので避けますが、この点について、本当にそのことで、TPPに加入することでGDPにおける貿易の割合、しかも輸出の割合が増していくのかどうか、これについては後でしっかりと議論をさせていただきたいなと、こういうふうに思っております。  では、総理に伺いたいわけでございますが、TPPへの参加の検討をも差し控えるべきではないかと、こういうことで御提案を申し上げたいわけでございます。  被災県の農林水産業も含めまして、国を挙げて東日本大震災からの復興を図り、そして将来の日本の食料を確実に確保すると、こういうことであれば、私はTPPへの参加を完全に放棄するのが最善であると、このように思うのでございます。現段階では、少なくても被災県が復興するまでの間はTPPへの参加の検討をも控えるべきである、復興に専念するべきであると、このように考えるところでございます。東日本大震災復興のためにどんなにすばらしい施策を講じたとしても、併せてTPPを推進しようとすれば、その復興の効果は限りなく私はゼロに近づくんではないか、こう考えているところでございます。いかがでしょうか。
  44. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 私も、今回の特に被災の大きかった東北地方が農業、林業、漁業の大変ウエートの高い地域であって、そういう点では、まずは復旧、そしてこの農林水産業の復興ということが極めて重要であるということはそのとおりだと思っております。  と同時に、私は、先日この問題の集中会議も久しぶりに開かれましたけれども、その農林水産業の復活がある意味日本の将来の新しい農業、新しい林業、漁業のモデルになっていくような復活につなげていくことが重要だと。例えば、今土地利用についてもいろいろ言われております。低いところに同じようにどういうものを作るのか。場合によっては別の形の土地利用の在り方もあるかもしれません。あるいは集約化のことも言われております。あるいは、元々農業に従事している人たちの平均年齢が非常に全国的にも高くなっております。そういうところに新しい若い人たちが入れるような農業、そういった形で、新しいそうしたモデルになるような農林漁業を復活していくということが私は求められていると思っております。  なお、TPPについて申し上げれば、これは先ほど経産大臣の話にもありましたけれども、我が国はこの十年間、他の国に比べると経済連携がやや遅れていたわけですけれども、この一年間の中でいえば、中国、韓国とのEPAの研究も少し早めようと、先日、EUとの間でもこの交渉を従来よりも一つ山を越えて進めようと、こういう話になり、そういう点では、世界的に見ればそうした経済連携が一歩一歩議論の場に広がってきているわけでありまして、TPPについて、確かに今回の震災で大きく影響を受けた地域皆さんの気持ちも含めて、当初、六月中に交渉に参加するかしないかを決めるというこの日程はやはり少し変えた方がいいだろうと。  そういうことで、せんだって内閣として、まずは昨年の十一月に閣議決定した包括的経済連携に関する基本方針そのものは変えないけれども、TPPについては被災地の農業の復興にも関係しており、その点を踏まえしっかり議論し、協定交渉参加の判断時期については、政策推進指針で定めたとおり、総合的に検討しできるだけ早期に判断したい、こういう方向性を内閣として打ち出したところであります。十分にそうした被災地の農業の状況も勘案しながら総合的に判断してまいりたいと考えております。
  45. 主濱了

    ○主濱了君 総理大臣とは別のところでTPPに問題を限定してまた議論をさせていただきたいと、このように思っております。  次に、各論と申しますか、具体的なケースについて御提案を申し上げたいと思います。  大震災からの復興地域の実情に応じて迅速的確に実施するために、東日本大震災復興一括交付金を創設することについて提案を申し上げたいと思います。  被災県や市町村は、迅速に復興すること、かつ、生活分野、産業分野、そのほかの全ての分野で復興することについて住民に責任を負っているわけであります。私は、被災状況地域によって様々であるが、いかなる状況下にあろうとも、地域に合った適時的確な復興を期するために、被災県や被災市町村の判断の下に迅速に、総合的に又は集中的に復興することができるよう東日本大震災復興一括交付金の創設が必要と、このように考えるものでございます。  なぜかといいますと、復興ビジョンを実現するのは県や市町村なんですよね、県や市町村が現実にそれを実現をしていくと、こういうことでございます。それで、それぞれが何を優先するのかを検討して、この復興一括交付金を活用思いのままにやってもらう、これが復興への最短距離ではないかなと、このように思っているところでございます。  更に付け加えて申し上げますと、地方主義、あるいは自己決定、自己責任、これを推進することにもつながる、こういう意味からも推進することが必要であると考えておりますが、いかがでしょうか。総務大臣、お願いいたします。
  46. 片山善博

    国務大臣(片山善博君) いわゆる一括交付金、復興に当たっての自治体向けの一括交付金の問題につきましては、先ほど総理からも少し答弁があったと思いますけれども、今後の補正に当たっての重要な検討課題の一つだと私も思います。  自治体がこれから地域復興を進めるに当たりまして財源が相当必要になってきます。それはやはり多くの部分を国が支援しなければいけないと思います。その支援をする際に、従来型の補助金、縦割りの、各省の事業割りの補助金をベースにして行うのか、それとも今御提案のような一括した、自治体が自由に使える裁量の多いタイプにするのかと、これは選択の問題であります。  いずれにしても一長一短ありますが、私は、自治体の経験もありますけれども地域の将来像、それから住民の皆さんのニーズに的確に対応するためには、またスピーディーな復興を進めるためには、自由度の高い一括交付金あるいは取崩し型の基金ということの方がより復興を進めるに当たっては有効だろうと思っておりますので、是非補正予算に当たってはこれが実現されるように私も努力をしたいと思います。
  47. 主濱了

    ○主濱了君 総理もおっしゃっていました。それから、今総務大臣からもお話をいただきました。是非とも実現をされますようお願いを申し上げたいと思います。  次に、提案ですが、合併特例債の申請期限を、申請期間を十年延長して二十年にすることについて提案申し上げたいと思います。  今、政府がなすべきことは、被災地のできる限り早い復興であります。可及的速やかに元気な日本を再生することであると、私はこのように思っております。このためには、限られた財源を被災地復興に集中することが必要であります。  他方、平成の大合併で合併した市町村、これは、充当率とかそれから返済財源への交付税算入率において有利な合併特例債を活用して、新市町村建設計画に従って町づくりを進めているところでございます。  しかし、中には、東日本大震災による被災市町村の復旧復興事業に比べて余り急がなくてもいい事業ではあるんだけれども、合併特例債の申請期限が合併後十年間であることから、計画どおり進めざるを得ないとしている市町村もあります。具体的に申し上げますと、五年前に合併しました、で、あと五年しかないんだけれども、その中で庁舎を造りたい、これはもう十年以内に造らなければならないから、急がないんだけれどもとにかく造りたい、こういったようなケース、造らなければならないと、こういったようなケースが考えられるというふうに思うわけでございます。  つきましては、合併特例債の申請期間をこの復興の期間の集中期間に限って十年間延長し二十年とし、合併した市町村の判断で不急な事業を延期することができるように措置することが必要であると、私はこのように考えるものでございます。  この提案は、その全ての合併関連事業を画一的に延長するというものではなくて、できるものについてできる規定の措置をしていただきたい、このように提案をするものでございます。この措置によりまして、限られた財源である地方交付税、これを被災市町村に集中する環境が整えられると、こういうふうに考えるものでございます。  なお、合併後に今回の震災を受けた、合併後に震災を受けた、こういう市町村はなおさらです。とにかく合併特例債を使っていろいろな事業をやりたいんだけれども、それよりももっと早い事業がある、とすれば、有利な合併事業債を使える期間をもっと先延ばししてやる必要もある、そういうことも必要であると、こういうふうに考えているところでございます。  このような合併特例債の申請期間の延長、いかがお考えか。総務大臣、お願いいたします。
  48. 片山善博

    国務大臣(片山善博君) 合併をした市町村でこの度大きな被災をされた自治体については、今おっしゃったような事情があると思います。合併のときに計画をした事業よりも復興を急ぐということでありますから、したがって、この合併特例債の期限を自治体によっては延長する必要があるという認識を私も持っておりまして、今大体五十から六十ぐらいがそれに該当すると思われますので、つぶさに事情を伺う作業を今始めております。まとまりましたら、これは法律事項でありますので、必要な法案を国会に提出をして審議をお願いをするということになります。  今回は、被災自治体ではなくて全国の自治体でも、今急がない事業についてはこれを先送りをして、その間の財源を被災地に振り向けるべきではないかという御提案でありますと、私も今伺っておりまして、なるほどそういう観点もあるのかということを認識をいたしましたので、いい機会でありますから、被災自治体以外の自治体につきましてもどういう事情にあるのかということをこの際伺ってみたいと思います。
  49. 主濱了

    ○主濱了君 実はこの提案、今日で五回目であります。今まで四回提案を、ありとあらゆる方向から四回この提案をさせていただきました。その結果、いずれも適切ではないと、こういう御回答でございました。その理由というのは、合併市町村の一体性の速やかな確立を図るため、あるいは一体感の醸成を余り長期にわたって行うことは適当ではないと、これが理由でありました。  今私どもが経験したこの大震災、これ日経サイエンスによりますと、平安時代前期、八六九年に貞観地震が発生をした、今回と同様の大地震とそれから大津波が東日本で起きた、こういうことです。八六九年ですから、千百年以上も前、千百年来の大災害なわけで、そんなときに合併市町村の一体性の速やかな確立を図るであるとか、それから合併の一体感の醸成を余り長期にわたって行うことは適当ではないだとか、これは理由にはならないというふうに思います。そういう意味で、是非とも前向きに御検討をお願いをいたしたい、このようにお願いをしておきたいと思います。  続きまして、漁業協同組合等が所有する養殖施設等への復旧復興への支援の充実についてでございますが、これについては提案だけにさせていただきたいなと思っております。  再三にわたってお話を申し上げておりますが、千年に一度の大災害であります。東日本の漁業、東日本の太平洋沿岸の漁業は壊滅的な被害を受けております。この際、激甚災害復旧事業の見直しをお願いしたいと、こういうことでございます。具体的には、補助率十分の十、丸抱えですね、十分の十の事業の創設、あるいは補助率十分の九ですね、十分の九の事業が看板どおり十分の九の補助が実現されるようにお願いをしたい、こういうことでございます。  実は、十分の九が看板どおり行われていないというのは、実は、必要な経費が、事業費があるとしますと、そこから償却したものを引き去ります、さらに残存価格を引き去ります、それがどんどんどんどんその必要な経費が小さくなって、それに十分の九を掛けると、こういうことになっております。私も十分の九の事業があるからいいんだと安心しておりました。ところが、掛けられる基数がどんどんどんどん減らされていってしまう、それではいけないなというふうに思っております。ですから、そこのところはしっかりと対応をしていただきたい、このように思っております。  窓口は、今水産の関係でお話し申し上げましたけれども、農林水産省ですが、現実には内閣官房でしょうか、内閣府でしょうか、よろしく御検討をお願いをいたしたいと、このように思います。これは提案にとどめておきたいと思います。  それからもう一点、超長期の融資制度の創設について御提案を申し上げたいと思います。  長年にわたって築き上げた財産が一瞬にして奪い去られたわけでございます。それを復興するにはまた長い年月が掛かると、こういうことでございます。そのときに、様々な方法があるというふうに思いますが、私は超長期の融資、これも一つに加えていただければいいなと。無利子であって、なおかつ九十九年債、あるいは五十年債、親子三代にわたって返す、親子二代にわたって返す、そういうふうな超長期の資金についても御検討をいただければいいなと、このように思います。これも提案にとどめますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。  地域課題について一点お願いを申し上げたいと思います。  これは、被災地の鉄道の復旧、それから三陸縦貫自動車道の早期完成と、こういう内容でございますが、岩手の三陸沿岸を鉄道で結ぶことは県民の悲願でありました。この悲願が、JR線と合わせまして、一九八四年、昭和五十九年、やっと達成をされたと。これはJRとそれから第三セクターである三陸鉄道、これが一緒になって達成されたということでございます。通勤、通学、あるいは通院、さらには買物、まさに地域住民の足として利用されてきました。しかし、この度の大震災で大きな被害を受けたものでございます。まずはこの復旧をお願いしたいということ、これが第一点。  それから、三陸縦貫自動車道、三陸沿岸を北上する国道、高速道路の完成でございます。道路の大切さというのは、古代ローマの時代から、あるいは牛車が行き交った平安時代のころから現代まで全く変わっていないというふうに思っております。生活基盤であり産業基盤である道路、これはきちっとそろえなければいけない、これは、日本国民であれば当然利用するものですから、どこであってもきちっと整備をしなければいけないと、このように思っているところでございます。  具体的な提案ですけれども、まず、鉄道の復旧への支援につきましては、鉄道軌道整備法の、国が四分の一、あるいは地方自治体四分の一、事業者二分の一、この負担を見直していただければいいなと。やはりこれは、事業者二分の一というのはかなり大きな負担になっております。ここのところを見直しをして、ある程度国がその分を肩代わっていく、こういうことが必要ではないだろうかと、こういうふうに思うわけでございます。  さらには、三陸縦貫自動車道、早期着工、早期完成、こういう漠然としたものではなくて、例えば三年間集中投資をする、そして五年間でそれをきちっと完成をさせる、こういったようなきちっとした目標を立てることが必要ではないだろうかと、こういうふうに思いますが、国土交通大臣、よろしいでしょうか、お願いいたします。
  50. 大畠章宏

    国務大臣(大畠章宏君) 主濱議員から鉄道とそして道路についての御質問をいただきました。  一番最後に主濱議員からお話しありましたように、きちっと目標を持って早期に実現すべきじゃないかというお話でありますが、私も基本的に、結論から申し上げますと、そのような気持ちでこの三陸鉄道とそして三陸縦断自動車道の完成に向けて取り組みたいということであります。  私もこの質問をいただいていろいろと調べさせていただきましたが、鉄道については、先ほど御指摘がありましたように、国が四分の一、自治体が四分の一、事業者が二分の一、この状況ではなかなか鉄道の再建というのは難しいという状況を聞いておりますので、第二次補正によりましてこの鉄道の再生に向けての工夫をさせていただいているところであります。  それから、道路についても、縦貫自動車道についても、現在、総延長が二百二十四キロでございますが、供用中が百十三キロ、そして事業中、事業をしているところが五十五キロ、そして調査中が五十六キロでありますが、この際、この地域の再生のために、この道路というのが命を守る道路だったということがよく今回の震災でも分かりましたので、そのような意味から、是非ともこの道路の完成に向けて第二次補正予算等に組み込んで、主濱議員からの要請にできる限りこたえていきたいと考えているところであります。
  51. 主濱了

    ○主濱了君 よろしくお願いを申し上げます。  さて、先ほどちょっとおいておいた第二次補正についてなんですが、実は時間が大分迫ってまいりまして、一方的にお話をさせていただきます。  まず、総理が一たび退陣の意向を示されたこと、これは極めて重いと、こう考えるものであります。いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたとおり、被災民の希望の源である第二次補正、そして、本日も小規模との報道もありますけれども復興に向けて十分な第二次補正予算、この編成をお願いを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  52. 岩城光英

    ○岩城光英君 私は福島県の浜通りに住んでおります。小学校に入るまでは会津に、また、その後六年間は中通りで過ごしました。  さて、あの忌まわしい大震災から三か月がたちました。お亡くなりになられた方にお悔やみを申し上げ、被災に遭われた皆様方にお見舞いを申し上げます。そして、今なお原発の現場で必死に懸命に復旧作業に取り組んでいらっしゃる皆様方に感謝を申し上げたいと存じます。  多くの方々が県内外で不自由な生活を強いられていらっしゃいます。そして、まだまだ余震が続いております。そんな中で、小さなお子さんをお持ちのお父さん、お母さん始め多くの県民が、目に見えない放射能、これに不安を抱きながら毎日の日々を送っております。  三週間ほど前、会津のある避難所に出向きました。いろんなお話をお伺いしました。仮設住宅に入りたいんだけれども生活資金がないからなと、こういうお話もありました。そして、何よりも身につまされましたのは、秋の紅葉のころ、紅葉を見るまでは我慢できるけれども雪が降るまでには帰りたいなと、そういう切なる思いでありました。その声に政治がしっかりとこたえていかなければいけない、そう思っております。  政府対応が後手後手に回っていることは否めません。菅総理、あなたは、四月の予算委員会で私が申し上げましたとおり、当初から、政府が、国が責任を持って対応するから安心してください、そう言って、その一言だけいただければ、避難された方々も、被災された自治体皆様方も励みになり、希望を持って復旧復興に取り組めたと思うんです。そのことはどうか分かっていただきたいと思います。  そして、私ども自民党、これまで第一次から第三次の緊急提言、五百七十七項目の提言を申し上げてまいりました。回答が二百項目です。まだ三百七十七項目、これが緊急の課題として残っております。なるべく早く組み入れていただき復旧復興に万全を期していただきたいとまずお願いを申し上げます。  さて、この法案でありますけれども、既に指摘されておりますように、当初の政府案は、十六年前の阪神・淡路大震災復興の基本方針及び組織に関する法律案、これを東日本大震災に名前を変えただけ、内容もほとんど同じであります。阪神大震災のときには、発生から一か月余りでこの基本法が成立しました。しかし、もう三か月たっておりますけど、今回は、今参議院で審議されている状況であります。初めに提案されていた法案には復興庁の設置はありませんでした。しかし、広域に及ぶ被害対策を行うには省庁縦割りの弊害を除き強力な権限が復興庁になければならない、こういう意味合いの下、この法案に組み込まれましたことは与野党の修正協議の成果であります。  菅総理は、この復興庁の創設には二重行政となることから懸念を示し、否定的だった、こう伺っております。  そこで、この法案の取りまとめに当たられました衆議院の特別委員会黄川田委員長、御自身も御家族を、そして事務所のスタッフを亡くされまして、大変悲しみの中でこの法案の取りまとめに御尽力いただきました。いろんな御苦労があったものと思います。心からお悔やみ申し上げます。そして、この法案の審議の過程で、あるいはこの法案を取りまとめる過程の中でいろんな思いがあったと思いますが、この法案意義についてまず御説明をいただければと思います。
  53. 黄川田徹

    衆議院議員黄川田徹君) お答えいたします。  まず、この法律案は、政府案自民党案、そして公明党骨子案の下に、民主、そして自民、公明の実務担当者が本当に精力的に協議を重ねてまとめられたものであります。そしてまた、社民党さんなど他の会派の方々からも賛成を得て、六月九日の衆議院震災復興委員会において委員会提出法律案としてまとめさせていただきました。このように、東日本大震災からの復興に与野党が協力して取り組むという姿勢が示されたという点において非常に深い意義があるのではないかと、こう思っております。なお、先ほど岡崎委員さんも触れられましたけれども、この法律案に魂を込めていかなければならないと、こう思っております。  先生お話しのとおり、三月十一日の被災から三か月がたちました。一万五千人の死者であります。これを超しております。そしてまた、行方不明者も八千人弱であります。被災地あるいはまた被災者の生の声は、政治に決断と実行をこれ求めておるわけであります。ですから、政府に対しても、この与野党の合意、これを重く受け止めて、そしてまたこの立法趣旨に沿った運用を強く期待しておるところであります。
  54. 岩城光英

    ○岩城光英君 ありがとうございました。  それでは、この法案について、三点についてお伺いします。  まず復興庁について、期間を限って置かれるものとしておりますが、何年を想定しているのかがまず一点。二点目は、可能な限り早い時期に法制上の措置を講ずるというふうに、復興設置法案提出時期についていつごろを予定しているのか。三点目は、国の責務として二十一世紀半ばにおける日本のあるべき姿を示すとともに、東日本大震災復興基本方針を定めるとされておりますが、この復興基本方針はいつごろまでに決定されるのでしょうか。
  55. 加藤勝信

    衆議院議員(加藤勝信君) 岩城委員にお答えをさせていただきます。  まず復興庁につきましては、今御指摘がありました政府案では実施まで含まれていないものを、そこまで含めて、いわゆる被災地あるいは被災をされている方々の要望、ニーズにワンストップでこたえていきたい、迅速にこたえていきたいと、こういう趣旨で設けさせていただいたところでございます。  この復興庁については、法案では、期限を限って置かれるものとするということで期限は限定されておりますけれども、その期間は明記をしておりません。私ども自由民主党の案では、当初十年ということにさせていただいておりましたけれども、いずれにいたしましても、東日本大震災復興をスピード感を持ってやるんだという、この姿勢をしっかり盛り込んでいくことが必要でありまして、その点も含めて設置法の段階で具体的には定められるものというふうに認識をさせていただいております。  また、提出の時期につきましては、これまでも再三お話がありましたけれども政府において復興設置法案の立案、各府省との調整を早急にやっていただきまして、遅くとも年内には成案を得ていただいて速やかに国会に提出をしていただきたい。政府には一日も早いという姿勢、また我々もそれに対して最大限対応させていただきたいと思っております。  基本方針につきましては、当初設けられております東日本大震災復対策本部において、既にそこから取り組むということに法文上させていただいております。先ほど申し上げましたように、スピード感を持って復興を進めていくと、この趣旨に沿って一日も早く決定されるべきものと、このように考えております。
  56. 岩城光英

    ○岩城光英君 今お話がありましたとおり、スピード感を持って対応していかなければいけないと思っております。  そこで、復興庁ができます際には、当然、原発災害に対応する部局、これも創設されると思いますけれども、その本部は福島県に持ってくるのが適当だと思いますが、官房長官、いかがでしょうか。
  57. 枝野幸男

    国務大臣枝野幸男君) 現地対策本部をそれぞれの県に設けるということにいたしておりまして、その地方自治法に基づく御承認も同時にお願いをしているところでございまして、当然、原子力災害に対する地元の皆さんの声を聞き、地元の皆さんの意見を聞き、そして地元の状況をしっかりと把握をし、そしてできるだけワンストップで現地において様々な判断ができるようにと、こういう機能を福島県に設置する現地対策本部において持てるように進めてまいりたいというふうに考えております。
  58. 岩城光英

    ○岩城光英君 今後、地元としてもいろんな提言、提案をしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。  次に、復興特区制度についてであります。  法案の第十条では、規制の特例措置その他の特例措置を適用する制度活用するとし、速やかに法制上の措置を講ずるものと、こうされておりますが、具体的に想定される特例措置、あるいは速やかにというのはいつごろを考えていらっしゃいますか。官房長官、お願いします。
  59. 枝野幸男

    国務大臣枝野幸男君) 今回の震災の特徴の一つでありますのは、被災地域が広範かつ多様性を持っているということでございます。したがいまして、被災地域全体について同じ、何というんでしょう、規制緩和なり対応策を取るという部分よりも、それぞれの地域の特性あるいはニーズに応じた対応をしていくということが重要であるということで、法案においても復興特区制度活用するということを盛り込んでいただきました。  その具体的な内容については、まさに今法律を御審議いただいている最中でございますが、実務的には検討を進めているところでございます。が、何よりも大事なことは、被災地域の皆さんのニーズ、御要望を踏まえて特区をつくっていくということでございまして、まさに、もう既に事実上、復旧にとどまらず復興についても様々な声上がってきているところでございますので、そうした声をしっかりと受け止めて、このうち特区という制度が一番適切と思われるものについては、法律を制定いただき復興本部が設置ができましたら、できるだけ早い段階でできるものから進めていくという方針でやっていきたいと思っております。
  60. 岩城光英

    ○岩城光英君 地元の様々な意向、こういったものを基本に大事にしながらバックアップしていく、基本的にそれでよろしいかと思いますけれども、更に加えて言いますならば、今回の大規模な災害に踏まえまして、より大胆な発想、例えばあの鎖国のときに長崎に出島があったように、ああいった大胆な発想、こういったものを取り入れてこれから取り組んでいかなければいけないと思います。  福島県のいわき市では、経済団体が既にこういった特区制度の導入を検討する、その取組が始まっております。例えば、経済特区では、法人税、事業税、市民税の減免、併せて新エネルギー産業の導入を促進する、原発特区では、復興庁など政府機関の誘致、それから関連機関の誘致、放射線最先端医療機関の誘致、港湾特区として、国際バルク港湾に指定されたばかりでありますけれども、小名浜港の重点整備促進、そして観光特区では、ホテル、旅館の負担を軽減するための固定資産評価の見直しあるいは様々な規制の緩和、こういったことをこれからより詰めていくというふうな動きでありますけれども、こういった地元の取組、これを基本に大事にしてこれから取り組んでいただきたいと、こう思います。  さて、今回の震災から考えますと、東京直下型地震、これも非常に不安、心配になってきております。そのときに首都機能、これがどうなるかという危機管理上の問題もございますね。  もう御承知のとおり、昭和六十年代に入りましてから東京一極集中是正のために首都機能移転論が展開されました。平成二年の十一月には国会等の移転に関する決議が行われております。また、平成十一年十二月に国会等移転審議会は、三つの候補地、栃木・福島、岐阜・愛知、三重・畿央、この三つの地域を移転先候補地とする、こういった答申を提出し、国会にも報告されています。  今回の大震災を受けまして、首都機能の分散、これにつきましてはどう考えていらっしゃいますか、政府の考えをお示し願います。
  61. 大畠章宏

    国務大臣(大畠章宏君) 御質問にお答えを申し上げます。  ただいまの御質問は、いわゆるこの大震災を受けて、現在の首都機能の在り方について分散をすべきじゃないかと、こういう御質問をいただきました。  政府中枢機能の一部移転というのは、首都東京が大規模震災が発生した場合でも移転した政府中枢機能が被災から免れるというメリットがありますと同時に、その一方では平時の業務の効率が低下する可能性があるなど、デメリットというものも指摘をされております。したがって、このメリット、デメリットを勘案しながら政府全体で検討すべき課題であると認識しておりますが、国土交通省としては、前回他の委員からも御指摘いただきましたが、ドイツ等の諸外国の実情を検証し、機能の分散配置についても検討を進めたいと考えております。
  62. 岩城光英

    ○岩城光英君 当然のことでありますので、その議論をこれから国会の中でも深めていきたいと思っております。  さて、幾つか復興に向けて提言をさせていただきます。  一つは、放射線専門の医療研究機関、これでありますけれども福島県民であれば誰でも、すぐ近くに相談あるいは診療してもらえる放射線の医療機関あるいは研究機関を望むのは極めて自然な今の気持ちであります。こういった住民の心情を考えまして、県立福島医大の整備充実や、あるいは放射線医学総合研究所の関連施設、そして国際的な研究機関や医療施設、こういったものを福島設置すること、これが大事だと思いますが、いかがでしょうか。
  63. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 岩城委員にお答えをいたします。  福島県におきましては、これは県が中心になりまして県民健康管理調査をするような準備をされております。こういったことに対して、去る五月三十日に文部科学省に対しましても放射線被曝の専門家の派遣などの要請があっております。政府といたしましても、現在、内閣府の原子力災害被災チームを中心になりまして様々な支援の手を差し伸べております。今後とも、放射線医学研究所を始め関係機関共々にこの点については万全を期してまいりたいと思います。  御指摘の点について、特に福島県立の医科大学、私も訪問させていただきました。今回の原子力発電所の事故に対しては、全国の医療機関、大学の協力、とりわけ広島や長崎の大学あるいは医療機関の協力もいただいておるところでございます。  今後、福島県においても、そういったもののある意味でいえば重要な医療機関あるいは医療施設、今後の原子力災害におけるある意味では重要な位置付けになるように、私どもとしましては、福島県の要望等を十分に言っていただきまして、どういう支援ができるか検討してまいりたいと思っております。
  64. 岩城光英

    ○岩城光英君 あわせまして、エネルギーの総合的な研究機関ですね、この日本のエネルギー戦略を根本的に構築していくと、そういった考えから、こういった機関の設置あるいは福島への誘致、そういったものはいかがでしょうか。
  65. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 私の方からお答えを申し上げますが、確かに福島地域、今委員からのお尋ねございまして、私どももこの新エネルギーに関する企業、工場などがどのくらいあるかということを調べてみましたけれども、今現在では例えば太陽光パネルの工場などもございませんで、最初から工場の誘致ということはなかなか難しかろうと思います、先ほどお話のありました特区などを利用してという可能性はございますが。  そこで核になりますのが、やはりそうした新エネルギーの研究機関だということでございますので、この研究機関もいろんな研究機関ございます。それから、地元の意向もございますので、よくその間を調整をしたいと思います。
  66. 柳田稔

    委員長柳田稔君) いいですか、文科大臣は。文科大臣はよろしいですか。
  67. 岩城光英

    ○岩城光英君 結構です。  今回の大震災から私たちは多くの教訓を学びました。とりわけ危機管理、これを適切に行い対処するためには、教育や訓練を積んだ人材、この育成が大事だと思っております。  そこで、防災関連の教育、実技などを進める言わば防災を専門に学べる高校、そういったものを設置してはいかがかと思いますが、どうでしょうか。
  68. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 高等学校につきましては、設置者の設置基準あるいは学習指導要領に基づいて、あるいはまた各地域状況とかニーズに合って設置者が判断するところでございます。  しかし、今御指摘のとおり、かつてない大震災に見舞われまして、更なる防災教育あるいは防災意識の高揚というのは、これは極めて重要でございます。そういう意味では、そのスペシャリストの養成をする高校を設置をするということは可能でございます。例えば、さきの阪神・淡路大震災の経過の中で、兵庫県の舞子高等学校では、この教訓に学んで平成十四年の四月に環境防災科を設置をいたしておりまして、いわゆる災害と人間とかあるいは地域と防災意識とか、いろんな項目を設けて教育がされております。  私たちとしては、大変、御指摘意義あるものとして、設置者とも相談をしながら検討してまいりたいと思っております。
  69. 岩城光英

    ○岩城光英君 いわゆる二十キロ圏内には家畜、牛が千三百頭、豚が二百頭ほどおります。そして、政府はこの家畜、殺処分の方針を示されました。しかしながら、放射線の影響を研究する目的で家畜の飼育を続けてはどうかと、そういった構想も出てまいりました。  農水大臣は、五月十六日の衆議院予算委員会で、この研究目的の飼育につきまして、公益性があること、また家畜を除染し研究機関が監視すること、そして食用にしない、こういった条件の下、具体的に対処をしたいと、こう答弁されておりますけれども、こういった研究機関が監視するというお話されましたけれども、こういった研究機関を現地近くに置く、設置するということも含めまして、この見解につきましては、構想につきましては、今後どのように取り組まれますか。
  70. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 今後、今回のことにおきまして、非常に畜産物の生産におけるところの甚大な被害というふうなものが生じておるわけでございますので、この点につきまして、放射性物質の移行をどうやって低減をさせるか等々、技術の開発の研究をこれから重ねていかなきゃならないと、こう思っております。  その場合に、どのような研究が必要であるか、そしてどのような研究施設が必要であるかというようなことの中で、どういうところにその施設を設けたらいいのかというふうなことは今後の大変重要な課題として私どもは取り組んでいきたいと思っております。
  71. 岩城光英

    ○岩城光英君 最後に、浜通りの交通インフラの整備、大畠大臣にお伺いしますけれども、今回の津波、地震によりまして浜通り交通インフラは大きな影響を受けております。  JR常磐線、常磐高速道路、また国道六号線です。JR常磐線はいわき市の久ノ浜駅から宮城県の亘理駅まで運行中止、常磐高速道は、予定では平成二十三年度までに富岡—相馬間、そして山元町、宮城県ですね、つながる高速道路の延伸は平成二十六年度中に全線供用開始との予定でありました。地元の悲願でもありました。今回、復旧をしながらこれらの整備を進めていただかなければならないわけでありますが、今後の見通しについてお伺いします。
  72. 大畠章宏

    国務大臣(大畠章宏君) 御質問にお答えを申し上げたいと思います。  ただいまJR常磐線それから高速道路の常磐道、そして国道六号、いずれも福島県浜通りに関する交通インフラについての御質問を賜りました。  御指摘のように、JR常磐線につきましては、運転を再開した一部の区間を除き現段階では復旧の見通しが立っておりません。常磐線を含めたJR東日本路線については、JR東日本社長自らが自らの責任において復旧するということを発言されておりますが、国土交通省としても、地元の調整会議を立ち上げるなど、町づくりと一体となった復旧を円滑に進めるため全力を尽くしてまいりたいと思います。  それから、常磐自動車道についてでありますが、供用中区間のうち広野インターチェンジ以南を四月の二十八日までに一般開放をし、それから広野インターチェンジから常磐富岡インターチェンジ間を四月二十九日に緊急車両のみに開放をいたしました。事業中区間のうち警戒区域内の常磐富岡インターチェンジから原町インターチェンジ以外の区間につきましては、五月十六日から工事を再開して、今先生からも御指摘いただきました供用開始に向けて全力を挙げて工事を始めたところであります。  それから、浜通りの幹線道路、国道六号についてでありますが、福島第一原子力発電所周辺の警戒区域を含め、一時立入りに先立って迂回路を含めて応急復旧工事を完了しております。  今後、地域復興支援に向けて、交通の状況や地元の要望等を踏まえまして、交差点の改良やそして歩道整備など、必要な機能強化を図ってまいりたいと考えております。
  73. 岩城光英

    ○岩城光英君 JR常磐線につきましては津波の被害も何か所かで受けておりますね。したがいまして、地元の首長からは、例えばルートの変更等も考慮しながら将来的にはミニ新幹線、そういった要望も上がっておりますので、これから御検討をいただければと思います。  さて、総理にお伺いします。  原子力災害現地対策本部についてであります。これは今も福島市に置かれたままであります。県庁ですね。原子力災害対策特別措置法によりますと、現地対策本部は緊急事態応急対策実施区域に置くと、こう定められております。福島市はその区域内に入っておりません。できるだけ事故のあった現場近くに置く、それが法の趣旨であります。  私は前に予算委員会で海江田大臣におただしを申し上げました。そのときの御答弁は、オフサイトセンターの被災により緊急やむを得ない措置として福島に置いてあるということであります。今の場所が適切なのかどうか、そのほか候補地がないのか検討していきたいと、こういった御答弁がありましたけれども、総理がこの本部長でありますので、どうかこの検討の結果、どうお考えなのかお示しを願います。
  74. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 御承知のように、現在の原災法に基づいて即日本部を立ち上げ、そしてこの現地対策本部を立ち上げたわけでありますけれども、いわゆる五キロ圏あるいは十キロ圏、さらには二十キロ圏、その地域についての避難を指示をいたしました。そういう経緯もありまして、現在福島市に現地対策本部が置かれているというふうに承知をいたしております。  もちろん当初の考え方はもっと現場に近いところという認識であったと思いますが、私は、この原災法そのものが、現在IAEAやいろいろなことで言われておりますけれども、つまりはそれは短期の比較的小規模な事故ということを前提として組み立てられたスキームでありまして、今回のように大規模で幾つもの複数の原子炉が複合的に事故を起こし、そして長期にわたってその収束に時間が掛かるという中で、現時点で福島市に置かざるを得ない状況にあるということは御理解をいただけるものと思っております。  今後、二十キロ圏のすぐ外ということもありますけれども、例えば多くのことが、この東京での会議は、いろいろな会議が行われる中において、県庁に同居している方がいろいろな関係者のコミュニケーションが取りやすいということもありますので、そういったことも含めて、自治体の幅広い関係者との情報交換がしやすいという意味も含めて、福島市内に置かれている現状については御理解をいただけるものと考えております。
  75. 岩城光英

    ○岩城光英君 現場福島市と相当離れているんですよね。ですから、現地の緊迫感が伝わらないんですよ。ここに一番の問題があると思います。本気になってやる気があるのかどうか。  それと同時に、現地の対策本部長、これまでも何度も替わりました。もうこの間申し上げましたのであえて今日は申し上げません。ようやく田嶋政務官ですか、腰を落ち着けていらっしゃるようでありますけれども、その田嶋政務官、こんなことをおっしゃっています。本部と現場は離れているため認識の違いが出てくる、現場と本部との橋を架けるため現場の生の声をしっかり聞いて本部に伝え、伝えるだけでなく背中を押して動かしていきたい。このお話、当然だと思いますけれども、それは福島市と東京の関係であって、私たちが要求していますのは原発の現場福島市の関係なんです。同じ距離があるんですよ。この辺のところを十二分に考慮して、早めに対応してください。  さて、次の質問に移ります。  警戒区域内の一時帰宅についてでありますけれども、これが五月の連休明けから実施されております。しかしながら、まだ全体の希望者の一割程度にとどまっているんですね。先ほどの、田嶋政務官、現地の災害対策本部長でありますけれども、このままいくと一巡目の終了が八月の末になってしまう、したがいまして、この警戒区域に入る一時帰宅の規模の拡充方針を打ち出したいというふうに示されておりますが、具体的にどういった中身で進めようとしているのか、お伺いします。
  76. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 御指摘の点、現地の対策本部長であります田嶋政務官からも報告が上がってまいりましたが、当初、これはバス十台程度でございました。これはバス、本当でしたらたくさんの人数が乗れるわけですけれども、いろんな装備などもございます関係でおよそ一日百人でございましたが、これを、最近は二十五台でございますからおよそ五百人程度になっております。しかし、これではまだ不足でございますから、これを増やすべく、今ここで何台ということは申し上げられませんが、例えば五十台にしたいというのがこれは田嶋政務官の意向でございますので、今その五十台が調達できるかどうかということについて協議をしているところでございます。  いずれにしましても、なるべく早くお帰りをいただきたいと思っております。(発言する者あり)一時立入りでございますが。
  77. 岩城光英

    ○岩城光英君 それと併せて、三キロ圏内、ここも認めてほしいという本当に切なる思いが伝わってきておりますので、これも検討していただきたいと思います。  それから、三日前、私も防護服を着て二十キロ圏内視察をいたしました。大変暑いですね。それで、もう熱がこもってまいります。これから夏に向けて、特にお年寄りは大変な思いをすると思うんです。医学関係団体からは、放射線の被曝よりも脱水症とか熱中症、これによる危険を指摘する声もございますね。こういったこれからの対応、暑さに向かう対策につきましても御検討いただきたいと思います。お願いをしておきます。  玄葉大臣が到着されましたので、それでは、質問をいたしますけれども、ちょっとお待ちください。  原子力事故被害者に係る緊急措置法案についてであります。これは、避難された住民に対する損害賠償の支払、これはある程度進んでおりますけれども、農林水産業あるいは商工業、さらには風評被害で事業が成り立たなくなっているこういった事業者に対するこの仮払金、これは進んでおりません。遅い、足りない、漏れがある、これが言わば今の現状だと思いますね。  そこで、私ども自民党では、この遅れていることに対しまして国が先行して、そして仮払金、賠償金の仮払いを行う。で、どうしてもこういった原賠法の対象にならないものについては基金を地方公共団体、県につくってもらって、国がそれを補完して、そしてその基金で県の判断で対応していただくと、こういう内容の法律案をまとめております。今何とか各党の皆様方に御理解いただき共同提案したいと、こんなふうに考えておりますが、福島県選出でいらっしゃいますし、民主党の政策の責任者であります玄葉大臣は、この法案につきましてどのようにお考えでしょうか。御見解をお願いします。
  78. 玄葉光一郎

    国務大臣玄葉光一郎君) ただいま岩城委員からお尋ねがあったいわゆる国による立替払の法案でございますけれども、実は民主党の中にもそういった意見がございます。  まずは、一つは、本日閣議決定したいわゆる原子力損害の賠償スキームに係る法案がございますので、これをできるだけ早く成立をさせるということが大事かなというふうに思うんです。  同時に、これ指針が出ないといずれにしても仮払いも立替払もできないというふうに思いますので、そういったことについてしっかりと速やかに検討していくと同時に、立替払の法案は、言わば被災者救済をできるだけ早く行うということが第一であるという観点から、幅広くおっしゃったようなことも含めて与野党で議論する、そして速やかに結論を得るということが万が一のためにも必要かなと。つまりは、スキームの法案が何らかの形で遅れるような場合もあり得るかもしれないわけでありますので、そういったことも私は念頭に置きながら党内調整を進めたいなと、そう考えております。
  79. 岩城光英

    ○岩城光英君 とりわけ、基金の問題についてはこれは重要なことでありますので、この辺を早めに党内を取りまとめていただくように、地元選出の国会議員として、代表としてお取り組みをお願いいたします。  次に、放射能の安全基準についていろんな数値が飛び交っています。いわき市のある、あるというか、若いお母さんからこんな思いの便りいただきました。もう二か月以上も前のことです。  自分の生まれ育った町、愛する家族とともに一生暮らすはずだった町、自分の人生を懸け、事業に専念された方たちもおられたことでしょう、住民はこの地を離れたくないのです、政府がうたうように本当にこの地が安全であるならば、人口流出を抑え、復興するためにも、この三十から五十キロ圏内の安全性についても徹底的に調査をしていただき、安心してこの地に住めるよう、風評被害を打ち消すことができるよう根気を持って証明していただきたいのです、あと何か月ぐらい住めるかと心配せず、ふるさとを再興したいのですという思いです。  これは、マスコミとか、あるいは各省庁から出る情報や数値は様々で判断が付かない、政府が一本化した数字を責任を持って丁寧で分かりやすく情報を発信してほしいと、こういうことだと思います。  そこで、政府のいろんな取組がこれまでその場その場で対応されて多くの不安を与えていることは、これは本当に皆様方御存じのとおりであります。今、子供たちの健康管理、これが非常に重要な関心事となっております。福島県の伊達市では、幼稚園から保育園の園児、そして中学生までの子供全員に小型の線量計を配付すると、このように決定されました。県内全ての子供たちに国の責任においてこういった対応、小型線量計の配付をすべきと考えますが、いかがでしょうか。
  80. 柳田稔

    委員長柳田稔君) どなたに。
  81. 岩城光英

    ○岩城光英君 厚生労働の副大臣、いらっしゃいますか。
  82. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 厚生労働大臣大塚耕平君。
  83. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) お答えを申し上げます。  文部科学省から福島県を通じまして、福島県内の全ての保育所等に対して六月九日までに積算線量計が配付されておりますが、今先生御指摘の伊達市のような対応ができるかどうかということについては、線量計の数等の問題もございますので、文部科学省とよく相談をさせていただきたいと思います。  いずれにいたしましても、文部科学省と連携をいたしまして、幼児あるいは子供たちの健康、安全のために万全を尽くさせていただきたいと思います。
  84. 岩城光英

    ○岩城光英君 内部被曝についても心配の声が上がっております。先ほど来話しております田嶋政務官でありますが、この内部被曝について、原発周辺地域や県内でも放射線量の高い地域子供からホール・ボディー・カウンターを使って被曝線量の調査を実施していくと、こういう方針を示されたやに伺っておりますけれども、具体的に考えをお示し願いたいと思います。
  85. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) この福島県民の健康診断、とりわけ内部被曝に関する健診というものを今福島県と相談をしているところでございます。  ただ、これは是非委員も御理解をいただきたいわけでございますが、ホール・ボディー・カウンターというのは非常にセンシティブと申しますか、機械でございますので、バックグラウンドですね、いわゆる放射性物質が飛散をしているとか、あるいはそういう物質が土地に付着をしておるとか、そういう場合、なかなか正確な数値が出てこないということもありますので、福島県内でやることがいいのか、あるいは千葉でありますとかあるいは近隣の県に行くのがいいとかという、そういう点も含めて今検討しております。  福島県としましては、全ての県民を対象とした基本調査をまず行う。それから、特定の区域の住民についての詳細調査の実施を行う。それから、やっぱり継続的な調査が必要でございますから、そういうものも行うと。あるいは、子供さんたちをなるべく優先させようというようなこともございまして、今福島県と調整をしているところでございます。
  86. 岩城光英

    ○岩城光英君 四月二十二日に政府計画的避難区域、これを指定をされました。その前に、四月十日に原子力安全委員会で様々な議論がなされております。例えばその中で、百ミリシーベルト以下では心配はないのだということを御理解していただいた上で、それでもなおかつ、できるだけ低い線量を目指すということで、二十ミリシーベルトを目標にすると考えていただくのが適切ではないかと、こういった発言があり、その答申を受けて政府が決定されたものと思っております。  ところで、国際放射線防護委員会が一九七七年勧告で示した放射線防護の基本的な考え方として、最適化の概念を提唱しております。全ての被曝は社会的、経済的要因を考慮に入れながら合理的に達成可能な限り低く抑えるべきであるという基本精神にのっとり、被曝線量を制限することを意味するものであります。この四月の計画的避難区域の設定に際して、この最適化の検討はどの組織でなされたんでしょうか。
  87. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 御指摘のように、経済的及び社会的要因についての考慮でございますが、私どもは、先ほどもお話をいたしましたけれども、二十ミリシーベルトを超える場合に計画的避難区域としておりますが、その中で、やはり工場ですとかあるいは特別養護老人ホームのこうした事業活動の継続、あるいはやっぱり地域、地区でのまとまりというものも大切でございますので、こうした地域、地区のまとまりをもって計画的な避難区域にする、あるいはそこから外す。あるいは、今お話をした工場や特別養護老人ホーム、これは何か所かございますけれども、そういうものはそのまま残っていただいて、そして特に特別養護老人ホームなどではお年寄り方たちの介護をしていただくという形で考慮をしてございます。
  88. 岩城光英

    ○岩城光英君 今の答弁はまさに取り繕っておりますよね。  四月二十二日に指定したときには、そういったことを考慮されていないから一律に全部対象にしたんじゃないですか。その後、地元からいろんな要望があって、今お話のあった特別養護老人ホームとかあるいは民間の企業とか、営業を継続することができたと。いろんな議論があったからですよ。その指定の前にはそういう議論はされていなかったということで私はとらえさせていただきます。ですから、様々な混乱が起きているんですよね。初めからこのことを、社会的、経済的要因というそういったことを踏まえて検討していれば今のような混乱は起こらなかった。  いいですか、南相馬市あるいは伊達市でも今、年間の積算放射線量が二十ミリシーベルトを上回るおそれのある地点がありますよ。そこについて、南相馬の市長はこう言っています。計画的避難区域に加えるかどうかについては住民の意向を踏まえて対応するように。また、伊達市では市長さんがこう言っていますね。計画的避難区域に指定されれば大きな影響が出る、コミュニティーがなくなるおそれもある、住民と話し合い、市が独自に個別の対応をしていきたい。まさに最適化の検討を、地元から出ているわけですよね。  初めから、四月二十二日の前にこれをやっていればあのような混乱はなかったと、これを指摘をさせていただきます。  総務大臣にお伺いします。  区域外に避難している住民が避難先の市町村に住民票提出をしなくても住民サービス、これが受けられるように、この点につきましては六月四日ですか、地元の市町村長さんと総務大臣が会談をされたと伺っておりますが、特例措置で持っていくのか、どうなるのか、この対応についてお示し願います。
  89. 片山善博

    国務大臣(片山善博君) 双葉郡の八か町村それから飯舘村は、この度の原発事故によりまして役場自体を移転せざるを得ないという、これは地方自治制度が始まって初めてのことであります。そのことの特例も考えなきゃいけない。そういう中で、多くの住民の皆さんが域外でこれからしばらくの間生活を送らなければいけない。  そのことについて、実は飯舘村の菅野村長と御相談したことがありまして、そのときに菅野村長から伺ったのは、住民の皆さん皆さん域外に避難せざるを得ないんですけれども住民票だけは是非村に残しておいてもらいたい。これは、村民としての一体感をこれからも維持していきたいし、いずれ帰るときにみんな一緒に帰りたい、帰ったら地域のコミュニティーをまた再興しなければいけない、そのためのきずなをやっぱり保っておきたいから、住民票はできるだけ置いておいてもらいたい。しかし、その住民の皆さんは域外でこれから生活を余儀なくされるわけで、その域外で、市民といいますか、住民として必要な行政サービスは避難先の市町村から十分に与えられなければいけない、そのこともちゃんと保障してあげなければいけない。しかも、これから肩身が狭くなくその住民サービスを避難先で受けられるようにしなければいけない。このことを是非お願いしますということを頼まれました。  併せて、しかし住民の皆さんによっては事情によって住民票を移す方も出てくる可能性がある、それはそれでやむを得ないと思います、ただしその方も、移した後でも村民として、まあ村民でなくても村民に準ずるような、そういうポジションを是非維持するようにしてもらいたい、そしてこれからも何らかの形で村政に参画できるように、そういう新しい仕組みを考えてもらえないかということを菅野村長から依頼を受けました。これは本当に私は必要なことだろうと思います。  その他の市町村についてもいろいろ伺ってみますと、例えば大熊町などは、多くの住民の皆さんがやっぱり避難されている会津若松で小学校を経営する、区域外に設置をする、しかし幾つかの事務は会津若松市に委託をするという、非常に長期にわたって複雑な市町村行政というのが展開されざるを得ないわけでありまして、これをうまく今の地方自治制度では酌み取れないものですから、何らかのやっぱり特例が必要だということで、今その関係法令の改正をする検討をしております。関係省庁と今相談をし、かつ福島県庁とも今そのことについては相談をしております。  できるだけ早く成案をまとめまして、福島県の原発被災地域の住民の皆さんが安心して避難先で生活できるように、かつ避難元とのきずながこれからも断たれないように、いずれ帰る日のために、帰るときのために必要な準備が一緒にできるような、そういう条件を法制度として整えたいと考えているところであります。
  90. 岩城光英

    ○岩城光英君 時間が迫りましたので最後の質問になりますが、大畠大臣に二点だけお伺いします。  一点は、津波によって集落がそれこそ壊滅的な打撃を受けた地域で、私の地元いわき市でも、高台に集団移転しようと、こういった地元の皆様方意見の集約をしつつあります。一次補正でこの調査費は取っているやに伺っておりますが、今後どういった支援をされるのか。  それから、今回、地震による津波の影響が大きくて海岸線が非常にすごく報道されておりますけど、実際は内陸部でもいろんな地震による被害が出ておりますね。そこで、県内で共通しておりますのは、いわゆる住宅団地の中の崩落箇所ですね、例えば住宅団地内の市道が各所で被災し、併せて宅地内の擁壁やのり面の亀裂、崩壊、宅地内の陥没など、二次災害の危険が指摘されております。この市道のみの復旧では、崩壊した団地内の宅地との間に段差が残りましてまだ二次災害も予想されますことから、この市道の災害復旧に当たっては宅地部も含めて一体的な災害復旧ができるような特別措置を考えてほしい。これは大臣福島を視察されたときにも地元の首長から要望あったことだと思いますが、どうか方針をお示しください。
  91. 大畠章宏

    国務大臣(大畠章宏君) 岩城議員から二点御質問を賜りました。  一つは、今お話がありましたように、大規模な震災等で高台等に地域ごと移転しなければならないと、こういうことについての国としての対応はどうするのかと、こういう御質問をいただきました。  御指摘の、いわゆる防災集団移転促進事業というものがございますが、災害が発生した地域において、住民の生命、身体及び財産を保護するため住居の集団的移転を促進する事業ということで、過去にもそのような事業が行われたケースがございますが、市町村等が実施する移転先の土地の買上げや移転先の住宅団地の造成等を国が支援するものでございます。最近の例では、平成五年の北海道南西沖地震や平成十六年の新潟県中越地震において、被災地の住居の集団移転に活用された事例がございます。今般の震災被災地においても、本事業復興を進めていく上での選択肢の一つではないかと考えております。  いずれにいたしましても、使い勝手の良い制度とする観点から、今後の被災地復興を進めるに当たっては、地元の方々の御意見あるいは自治体の御意見を伺いながら、被災地の実態に即した多様で柔軟な手法で進めることが可能になるように検討しているところでございます。  それからもう一つ住宅等の道路等がいろいろ損傷を受けた場合に住宅地はどういうふうにするのかということでありますが、基本的な考え方から申し上げますと、公共土木施設の災害復旧事業については宅地の災害復旧は対象外となっております。しかしながら、被災した盛土造成地の余震等により二次災害の危険性がある宅地や私道を含む一団の造成地、一帯としての造成地については、一部国の負担による大規模盛土造成地滑動崩落防止事業活用というのが考えられます。したがいまして、こうした既存の制度活用を基本としながらも、被害の実態や地方自治体の意向も踏まえながら、国土交通省としても、様々な工夫をして、何とかその地域でお住まいの方々の御意見というものにこたえることができるように工夫をしてまいりたいと考えているところであります。
  92. 岩城光英

    ○岩城光英君 終わります。
  93. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 岩城光英君の関連質疑を許します。山田俊男君。
  94. 山田俊男

    ○山田俊男君 自由民主党の山田俊男であります。  今回の大震災におきましてお亡くなりになった方、さらには避難されている方、さらには原発の事故によりまして、そして避難を余儀なくされている、精神的にも大変な御苦労を受けておられる皆さんに本当にお悔やみとお見舞いを申し上げる次第であります。  発災後これでちょうど三か月になるわけであります。十三、十四週間になりますですかね、この十四週間のうち私は七回被災地を訪ねております。遠慮を申し上げていたわけでありますけれど、しかし、地方の地元の被災皆さんからも政治家としてはちゃんとやっぱり見ておかなきゃいかぬのだというふうにおっしゃっていただいて、それで、甘えてずっと見させていただきました。それらのことを含めまして、本日は農林水産業、この被災で大変大きな被害を受けておりますこれらのことにつきまして中心に質疑をさせていただきます。  最初に、私は、菅直人さん、私は二十一年の十一月生まれでありますが、菅さんは昭和二十一年の十月生まれということで同年齢。ですから、若いころから市民運動家としても脚光を浴びておられた菅直人さんのことはよく承知しておりました。気にも掛けておりました。進む道が違いますから、それぞれいろんなところで違ったりしたことというのはあるというふうに思いますけれど、しかし、同一年齢で見ますと、私も予算委員会や本日もまたこうして総理のすぐ前に座っておりますと、総理も同一年齢で考えると大変だなと、よくまあ頑張っておられるというふうにも思うところであります。  確かに、消費税どうするかと考えなきゃいかぬし、社会保障の改革をどうするかということもあるわけであります。小沢さんという内なる敵とどう対峙するかということもおありだったわけでありますし、それからさらに、後ろにおりますが、予算委員会の我が党の物すごく激しくしつこい質疑にじっと我慢しなきゃいかぬということがあったわけでありますから、それもよくやっておられると。私は全体としてやじはちょっと控えていたわけで、気付いておられたかどうか分かりませんが、それは同年齢のよしみであります。  しかし、大変これだけはびっくりしましたね。何かといったらTPPです。だって、食と農について、菅さんはどちらかというと、だって民主党の食と農に関するプロジェクトチームの座長をやられたり責任者をおやりになったりされていたわけだから、ましてや市民運動家としてこの問題についての認識は私と共通しているというふうに思っていた。ところが、総理になられてから何をおっしゃったか。だって、開国だと、そしてTPPだと、こんなふうにおっしゃったから、まあ本当にひっくり返ってしまったわけであります。なぜ突然TPPなのか。それ菅さんの体質とは全く合わないというふうに言わざるを得ないわけであります。  御案内のとおり、我が国はアジアの東にありまして、モンスーンの島国でもあります。農地も制約されています。言うまでもありません、よく御存じのことであります。  そうすると、人口も多いわけですし、当然のこと、食料の多くを海外に依存しているわけでありますから、そうした中でのこれまでの国際交渉は、前の自民党、公明党のその政権のときもそう、ずっと一貫して、世界の多様な国々との共存をどう図るか、それが重要な命題だった、ヨーロッパの国とも、アジアの国々とも、アフリカの国々とも。その連携の中で、WTOの交渉もそうだったし、それからAPECの交渉もそうだったし、ASEANの様々な交渉もそうだし、アジアの国々との間のEPAの取組についてもそれでやってきたんだよ。  ところが、一転して、その多様な各国の農業の共存ということに一番反対していたのはアメリカであってオーストラリアですよ。その国々との間で関税撤廃でやると言うんだから、それはもう考えにくいです。  だって、アメリカは日本の農業をどうしようと思っていますか。自分の農産物をオーストラリアやアメリカは売ろうと思っていますけど、この日本の農業を大事にしようなんてことは全くそれは考えていないですよ。そういう中での構図をなぜあなたは、どこで、整理しないで変節してしまっているのかというのは、何ともはや納得いかない。ヨーロッパの国々の皆さん、これは政府も農業団体もみんな同じですよ、一体、日本はどうしたんだと、気が狂ったんじゃないかというふうに言っていますよ、本当ですよ。  さて、今回、大震災が起こりました。津波、原発、あなたにとって誠に不幸だったというふうに思います。原発の安全性の確保については確かに自民党政権時代の責任もまあ私はあるんじゃないかというふうに思っているんです、政策推進上は。しかし、あなたとあなたの内閣の初動の対応は、経験不足だし、多くの失敗をしたというふうに思います。あなたの、攻め一点張りのあなたのやり方にはもう本当に無理があるというふうに言わざるを得ないわけであります。  今ここにパネル掲げました。(資料提示)資料もお配り申し上げているわけですが、災害処理も復興も原発の収束も、それから、内閣もそれから党も一致結束してチームをつくって対応が求められる。そのリーダーとしては、申し訳ないけれども、残念だけれども、あなたは無理だというふうに私は言わざるを得ないというふうに思います。  瓦れきの処理も、それから多くの財源が必要な予算編成も、それから原発の一定の収束も、あなたはやり残したというふうにおっしゃっている。自分でやりたいというふうにおっしゃっているようだけど、一人じゃ無理なんですよ、一人じゃ無理。  あなたがどういう形でチームをつくって、そして部下に指示されて、そして、やはりこの国のありようも含めて一生懸命に考えている政党人であったり、国会議員であったり、それから多くの官僚であったり、その力をどんなふうに引き出すかということをちゃんとやらなきゃいかぬわけでありますから、どうぞ、あなたのおやりになるべきことは、ともかく新しい内閣をつくって、そしてその皆さんにきちっと対策を取れる仕組みをつくり上げる。こんなふうに同年齢の者として、苦労を知っているだけに、また、あなたの市民運動家としての役割というか意味は大変評価しているゆえにこのことを申し上げるんですよ。どうぞ、この日本を大混乱、これ以上大混乱させないようにしていただきたい、しなきゃいかぬ、こう申し上げる次第であります。  どうぞ、あなたの方から御意見があればお聞きします。
  95. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 昭和二十一年の一か月違いの生まれということで、大変温かい見方での御質問をいただいて有り難いと本当に思っております。  余り全部のことを申し上げるのも恐縮ですが、私の仲間にも有機農業を非常に進めている仲間がたくさんおりまして、私もそういうものの重要性を感じ、また党でもある時期、農業再生本部などの責任者を務めて、戸別的所得補償、鹿野現農水大臣や篠原副大臣あるいは山田前大臣、そういった皆さんとともに議論をする中から我が党のそういう政策が生まれてきた経緯もあります。  そういった意味で、私は農業というものを極めて重要視をしておりますが、同時に、今農業そのものが高齢化という中で若い人たちがなかなか新たに入れない。そういったことも含めて、農業そのものの在り方を積極的な意味で改革していかなければいけない、こういう視点も持っていろいろ当たっているつもりであります。  また、私が今お話を聞いた中で、確かに私の責任というか十分でないところの一番大きかったのは、結果的にしろ党を一丸としてこの問題に当たる体制がなかなかつくれなかった。内閣そのものは私はよくやっていただいているし、これまでもそれなりにやってきたと思っております。今、原発事故についてもいろいろお話がありましたが、これはある段階まで来れば、これまでの法律制度が十分に機能しなかった、今私が申し上げると何か責任逃れのように感じますけれども、私は少し落ち着いた段階では全面的に見直していく必要があると思っております。  例えば、先ほどの議論の中で、少しだけ触れさせていただきますと、私が、発災した数日後に当時でいう政府と東電の統合本部というものを東電の本店内に設けました。そこには、福島の第一、第二のサイトを含め、あらゆるところとテレビ中継が可能な形になっていて、つまりは東京にいようが現場にいようがほとんどの情報が共有できるわけですけれども、そういう形はそれまでは、(発言する者あり)今海水注入のことが出ておりましたが、それはそれよりも前の話でありまして、そういった意味で、大変いろんな意味で不十分さがあったことは感じております。ですから、そのことについては少しこの状況が落ち着いた段階で、是非今後の原子力の安全性やあるいは対応に対して現在の法制度やあるいはハードも含めていろいろな問題があると思っております。  その上で申し上げますと、私は、山田さんからは割と温かい表現をいただきましたけれども、私も、そういう、先日の衆議院の不信任案が出されたときに、党がまとまっていただければ十分不信任案は否決ができるわけでありますから、そういう中で対応しようと思ったわけですが、なかなか党の中でもいろいろ議論がありまして、私として一定のめどが出た段階で責任を若い世代に引き継ぎたいということを申し上げました。  私は、この状況、もちろんずっとまだまだ続きますが、少なくとも今この時点で、やはり引き継ぐところまでは逆に言えば責任を持ってやらなければならない問題、まさにこの法案審議もそうでありますし、そういうことを含めて、急がなきゃいけない二次補正もそうでありますし、あるいは先ほど来出ました再生可能エネルギーの道筋を、少なくとも今出している法案についてはきちんとやっていくこともそうですし、そういうことについてはきちんと責任を果たすと、その上で次の世代に責任を引き継いでいきたい、その考え方には全く変わっておりません。
  96. 山田俊男

    ○山田俊男君 今一緒にやってきたというお名前をお挙げになった山田前大臣、さらには篠原現副大臣にしたって、これは私が見ている限りはTPPについては反対なんだよ。だから、総理、あなたはどこかで間違った。だから、早く、間違ったままでこのことを続けていっちゃ駄目だよ。だから、もうやめて、もう一回よく考えて、そのうちに必ずどこかで出直す機会だってちゃんとあるから、そういう意味合いを含めて、この大事な国を混乱させない、そのための取組をちゃんと今決断していただきたい、こんなふうに思います。  パネルに出しましたが、私は先般JA仙台に行ってまいりました。被災農業者の調査であります。八〇%に上る被災農業者、ほとんど全部が被災農業者です。これらはちゃんと今後も営農を続けたいというふうに言っているんです。こうした農業者の要望をどうこたえていくかということが物すごい大事なんで、ところが、一番やっぱり皆さん、三か月たって、夜寝ていて思うそうです。ああ、あした朝起きたら瓦れきがなくなっていて本当に元の農地に戻っているということを夢見るそうですよ。だから、ここの対策を何としても急がなきゃいかぬのだというふうに思います。  その場合、被災地状況によっても異なりますが、結局は手順を踏んだ取組が必要になります。そこにいろいろ書いてありますが、一番今困難なのは、大きな瓦れきの撤去はありますよ、自動車の撤去もありますよ、それからもちろん亡くなった方の遺体の捜索ということもあったんだと思うんだ。これらのことが大変難しかったというのは、私も分かる。しかし、もうここへ来て厄介なのは、ヘドロの除去なんです。さらに、ヘドロをどうするか、技術も何も十分確立してないんだから、そしてその中でやはり、ヘドロの中で自分の大事な田んぼのところへ行ってこうして見てみると、やはりそこには細かいガラスがあったり、くぎがあったり、それから細かい瓦れきがあったりしている。ここを本当に元に戻すというのは大変なことだというふうに思う。  一体、これをちゃんとやっていくのには何か月掛かるのか。環境大臣、いつまでめどを付けるのか、マスタープランを作っておられるわけで、とりわけそのことは環境省だけじゃ到底駄目ですね。だって、水はけをやるためには国交省にやってもらわなきゃ、さらには、農地海岸は農水省にやってもらわなきゃいかぬ。この連携の中で着実にできるんだ。それから、市町村、自治体がその気になって一緒になってやらなきゃいかぬ。市町村、自治体に対してちゃんとそのための予算も確保しなきゃいかぬ。そういう一連の工程表と絵の中でこそちゃんと進むんですよ。それを説明してください。
  97. 松本龍

    国務大臣松本龍君) お答えいたします。  委員におかれましては何度も足を運んでいただいて、防災大臣として、また環境大臣としてお礼を申し上げたいと思います。  もう三か月という話もありますし、私にとってはまだ三か月という、これからまだやらなければならないこと、たくさんあります。  今月になって各市長あるいは町長、ほとんどの方々とお会いし、連絡を取り合いました。そういう意味では、環境省も派遣をしながら、契約の事務、あるいは専門家を連れていきながら、瓦れきの撤去に向けて今努力をしています。  取りあえず住居に近いところの瓦れきは八月をめどに仮置き場に行くということを指示をしておりますけれども、それぞれ濃淡がございますし、市町村によって今首長も苦労されておりますし、被災された、また家族を亡くされた職員もきつい思いをされています。また議員の方々もそれぞれ苦労されています。そういう方々の話をしっかり受け止めながら、これからも努力をしてまいります。何度も首長に言いましたけれども、御相談があれば乗るということで今やっているところであります。
  98. 山田俊男

    ○山田俊男君 松本大臣、伺ってみますと、市町村の判断で弾力的にちゃんと使えるやはり財源がないということを物すごくやっぱり悩んでおられるわけ。だから、やることが硬直的になるわけ。被災した農業者が市町村に相談に行ったり農協に相談に行ったりしたって、いや、これもできない、あれもできない、これも分からない、あれも分からない、そういう話の羅列になっちゃうんだよ。これ、三か月たって、ようやく今本当に家族のことも、もう本当に何となく胸から、落ちてない人もたくさんおられるけど、落ちた。それで、この次、さあどうするかと考えておられるときには、やっぱり復興の絵をきちんと示さなきゃ駄目なんだよ。ところが、その絵を相談に行ったら、あれも駄目これも駄目ではやっぱりもう本当にくじかれてしまうわけ。それをやるためにも、市町村がちゃんと自主的に対応をやるためにも、自民党が第一次提言、第二次提言、第三次提言、共に一番先に載せているのはきずな基金基金設置なんですよ。この基金をきちっと造成して、そしてそれを使える、この仕組みを何としてもつくってほしいんですが、いかがですか。
  99. 松本龍

    国務大臣松本龍君) きずな基金のことにつきましては、御提言をいただいているのはよく承知をしております。いち早く自民党の皆さん公明党皆さんも実務者会議を開いていただいて提言をしていただいたこと、心から感謝を申し上げたいというふうに思っております。  復興構想会議におきましても、これらの基金、あるいは特区の問題、あるいは再生可能エネルギーの問題等々取り組んでおられます。そういった中からしっかり今月中の提言を踏まえて私どもも考えてまいりたいと思いますし、これからも努力をしてまいりたいと思います。
  100. 山田俊男

    ○山田俊男君 大臣、そこ物すごい大事なところだから是非ちゃんとやってもらいたいというふうに思います。  それから、先ほど手順で示しました農地を復旧させるという取組の中で、地域のことを一番よく知っている土地改良の組合、これの役割が大きいんですよ。ところが、その土地改良に、今はもうみんな被災してしまったものだから、被災した農家から水につかっている田んぼから賦課金よこしてくれといったって、そんなもの出せないじゃないですか。だから、結局、何もできないでいるんです。実は、土地改良の中にずっと長い間ためてきた賦課金があった、これは特別調整金というのがあった。  蓮舫大臣に聞きます。これどこかで国庫に徴収してしまいましたね、六百億円もあったんだよ。あの金が今あれば、もっとこんな形で希望にこたえた、要望にこたえた仕事ができると言っているんだよ、みんな。それを徴収したの、あなたじゃないですか、民主党内閣なんだよ。  確かに蓮舫さんね、テレビに出られると格好いいしさ、それはまあ私も格好いいと見ていますが、ところがだよ、格好いいだけで本当に大事な、大事な予算を、自民党はこういうこともあるかもしらぬという徹底した議論の中で、これは何といったってやっぱり必要だということでやってきたの。ところが、天下っているんじゃないかとか、気に入らないんじゃないかとか、それから無駄にしているんじゃないかとか、無駄な金がそこにあるんじゃないかというただそれだけで国庫に上げていったじゃないですか。元に戻してください。蓮舫大臣
  101. 蓮舫

    国務大臣(蓮舫君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、まさに農業、農地の復興のための土地改良区の取組の重要さは私も共有をしております。  御指摘の、一昨年の事業仕分第一弾のときですけれども、先生御指摘のこの基金は、まさにその災害復興が目的ということではなくて、どうやって新規参入していただけるか、農業従事者を増やしていくことができるか、そのために農家の負担をどうやって軽減していくことができるという目的で基金設置されています。  この基金そのものについての必要性は否定はしておりませんが、例えば、平成二十一年度末の残高見込みが五百九十四億、御指摘の額がございました。それに対して、平成二十一年度の事業費見込みは百六億円。まさにその事業費を大きく上回る、それだけの基金を積んでいく必然性が議論をされました。  もう一つは、この資金をまさに御指摘いただいたんですが、官庁OBが再就職している、天下りの方がおられる公益法人を、そこを通る必要性、その仕組みについての議論も行われました。その結果として過大な見積りになっている基金については国庫返納という、そういうやり取りが事業仕分の中でございました。  そのことにおいて、基金を国庫返納した上で必要な事業費においては毎年度の予算措置で適切に行われている、それを考えますと、結果として事業仕分のまとめに私は間違いがあったとは思っておりません。
  102. 山田俊男

    ○山田俊男君 二十三年度の農林水産予算は、もう二兆四千五百億円に前年度より引き下げられているんですよ。一体それじゃ、土地改良のあのときの特別調整積立金はどこへ行ったんですか。どこへ、どこへ吸収されたんですか。そのお金はどこへ行っているんですか。農林水産予算じゃなくてどこか別のところへ行っているわけですね。そうでしょう。あのね、要は、(発言する者あり)じゃ、答弁、御存じですかね。
  103. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 答弁ちょっと待ってください。  御静粛にお願いします。  蓮舫大臣
  104. 蓮舫

    国務大臣(蓮舫君) お答え申し上げます。  詳細については財務大臣に聞いていただければいいと思っておりますけれども、今のこの日本の置かれた財務状況において、本当に適切な事業を効率的に効果的に執行するためにも事業仕分というのを行いました。その結果として、私は、仕分、行ったことに対して様々な声はいただいておりますけれども、その貴重な財源を今優先的に何に使われるのかというのは、政府一体となって予算編成をしているところでございます。
  105. 山田俊男

    ○山田俊男君 もう一つ後で、事業仕分で大変な苦労をした事案が一つありますから、後にまたしまっておきます。  さて、今、三か月たって瓦れきがいっぱいたまっている、そんな中で、先が見えない。そこで出ているのが、このままでは営農の再開はもう望めないと、だから農地を買い上げてもらえないかという声があるんです。  私が行きましてお訪ねした三十二歳の農業青年、宮城県の亘理の農業青年です。家も作業場も車もハウスも農業機械も流されました。家族は、祖父母、両親、妻、子供三人の九人家族、すばらしいですね。それで、借金は、ハウス、新築したばかりで千五百万円、そのほかに肥料等生産資材の売掛金も抱えております。これまでの販売額は、イチゴを中心にして四千万円、これなかなかの経営をやっぱりちゃんとやっているんです。だから、若くて一生懸命やっているんです。今、瓦れきの撤去の仕事に携わっているそうです。早く営農を再開したい、イチゴの栽培始めたい。しかし、先の見通しが立たないということであります。どうぞ、このためには、彼も農地を六反歩持っています。イチゴを作るための農地は三反歩、それはそれで除いておいて、しかし、あとの農地を、ちゃんと借金の言うなれば償却のために、これはしかるべきところで買い上げてほしいという強い要望があります。そのことで農業再建を果たしていこうということなんです。  特色として、被災した農家、多くの農家は大なり小なり農地を持っているんです。そして、同時にまた借金抱えているんです。農業のそれらの借金、そして新しい取組をやるためには、それは二重負債になっちゃう、残っちゃうから踏み出せないでいるわけね。その負債を解消するための手だてとしても農地の買上げというのは大変大事なことだというふうに思いますが、鹿野大臣に、国は法律上農地を買い上げることができるのかどうか。そしてまた、農地を買い上げて、今こういう水つかっているところをちゃんと土地改良して、そしてやりたいという農家にまたそれを渡すという手だてがあるわけね。そういうこともちゃんとできるのかどうか。そして、その際必要なのは、価格は被災前の価格で買ってもらいたいんだよ、そうおっしゃっている、これはできるんですか。
  106. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 今回被災に遭われた農地を有効的に土地利用していく場合、国がまずいっとき買収したらどうかというような御提言を農林水産委員会におきましても御提言いただいてまいりました。  そういう中で、自主的にこの農地を買い上げることができるのかと、こういうことでございますけれども、現行法におきましては、国が農地等の買収を行うことができるのは、農地を所有する法人が農業生産法人として要件を満たさなかった場合等に限定されているために、被災地復興に向けた農地の買収を行うということは現行農地法では困難であると、こういう認識でございます。そのために、被災農地の買取りということになりますならば、別途立法措置が必要であると、このように考えておるところでございます。  また、その場合、時価での買収というものが基本であるということが考えられるわけでありますけれども被災前の価格で農地を買い上げるためには、そのことについても当該立法措置の中で措置を講ずる必要があるものと、こういう考え方でございます。
  107. 山田俊男

    ○山田俊男君 そうなんですよ。復興構想会議が、農地を買い上げる、そうして農地の利用調整も進めてやるとおっしゃっている。しかし、それは大きな壁があるわけよ。できないんだよ。  ところが、蓮舫大臣、できる方法はあるんですよ。だって、農地保有合理化法人、これは買えるじゃないですか。これが買えるんだよ。そして、ここはちゃんと一千億に近い金をちゃんと持って、そのために仕事ができる仕組みになっていたんだよ。その金を事業仕分で吸い上げたのはあなたじゃないですか。
  108. 蓮舫

    国務大臣(蓮舫君) お答え申し上げます。  先生御指摘の全国農地保有合理化協会の各基金への補助事業のことかと思っております。この補助事業も、済みません、繰り返しになりますけれども、目的としては大きな被災があったときのそこの復旧復興のためのものではございませんでした。やはり、これは農業従事者に対する支援という目的のものでございました。  過去、平成十八年度の会計検査院の指摘によりましても、低調な実績、あるいは多額な剰余金、あるいは資金の効率的な活用の指示など指摘を受けておりました。私たち、一昨年の事業仕分第一弾においても、じゃこの協会が行っている基金事業全部にわたって大きく二点。一つは回転型。これ、貸付け、返済により基金を回転していく。この回転型については、基金から直接貸し付けるのではなくて、公庫などの融資に利子補給を付けるような方法はできないんだろうか。あるいは、取り崩し型。基金を取り崩して、補助、補填については事業の実績に比して基金総額が過大となっていないか、あくまでもその基金事業の在り方について議論をさせていただいて、その上で過大になっているものについては国庫返納と結論付けたものでございます。
  109. 松本龍

    国務大臣松本龍君) 先ほどの農地の件ですけれども、私も十日ほど前に陳情を受けまして、仮に復興構想会議が提言をされ、あるいは仮に農地を政府が買い上げるとしたら、当然被災前の時価というふうに私は理解をしています。
  110. 山田俊男

    ○山田俊男君 農地を買い上げるとすれば被災前の時価、これを聞いただけで被災の農家は本当に元気付くよ。  そして、今、法制度の改正が必要なら法制度の改正やる。さらには、現在でも、これは蓮舫さんがおっしゃっている意見はちょっと違うんだけど、違うんだよ、ちゃんと農地保有合理化法人は農地買って、そして売買できるんだよ、調整できるんだよ、やりたいという農家に売り渡すこともできるんだよ。だから、その仕組みを、早く金返しましょうよ、八百億円、一千億円あったんだから。返して、ちゃんと事業をやれるようにしましょうよ。彼らは、やりたいと、みんなから言われている。やりたいけれど、実はあのときの金がないから今は何にもできないんだよ。借りてやればいいだろうと、借りて。毎年の予算で借りてやるのかい、それだってできないんだ。やっぱりこういう基金があって初めてできるんです。  これは、先ほども言ったけど、自民党が長いこの議論の中で、新しい農業をつくる、日本の大事な農地をどうするかということの関連で、このことは必要なんだということで、これを大事に大事に育ててきて守ってきたんだよ。そのことの意味をよく分かっていただきたいというふうに思います。  時間がありますので、あとは午後にさせてもらいます。
  111. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  112. 柳田稔

    委員長柳田稔君) ただいまから東日本大震災復興特別委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、江崎孝君が委員を辞任され、その補欠として相原久美子君が選任されました。     ─────────────
  113. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 休憩前に引き続き、東日本大震災復興基本法案地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、現地対策本部設置に関し承認を求めるの件、以上両案件を一括して議題とし、質疑を行います。  岩城光英君の関連質疑を許します。山田俊男君。
  114. 山田俊男

    ○山田俊男君 午前中に引き続きまして、何点か是非問いたいことがありますので、よろしくお願いします。  午前中に引き続きまして、農業の二重債務解消ということが物すごく重要になります。この農業の二重債務を考えるときには、農地の買上げをどうするかというのが多分私は一番の課題なんだというふうに思います。  鹿野大臣、どうぞ農地の買取りの仕組み、機構を何としてでもつくってもらいたい。それで、国がそこで買えないということであれば、必要な法制度の改正も当然必要でありますし、それから蓮舫大臣との間で先ほどやり取りしました農地保有合理化協会なり法人がどんな役割を果たすか、もちろん金を返してもらった上でということであればそれは可能なわけでありますから、そういう工夫をしながら機構をつくりたい、つくらなきゃいかぬのじゃないかというふうに思いますが、農水大臣のこの問題についての決意をお聞きします。
  115. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 被災に遭われたところの農地の土地利用をどういう形でどういう方式で活用していくかということにつきましては、今委員から、国がひとまず農地を買って、そしてしっかりと復旧した形でまた農業者の人に農業をやってもらうようなそういう仕組みも必要ではないかと、こういうような御提言でございます。  いろいろなそういう貴重な御提言というものを受け止めさせていただきながら、県におきましてもそれぞれ考え方も条件も違うというところもございますので、いろいろと関係県あるいは市町村のそして現地の農業者の方々の意見、考え方というものを更にお聞きをしながら、最も適切な措置を講じてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  116. 山田俊男

    ○山田俊男君 確かに大臣おっしゃいますように、農地を買うといいましても、岩手の事情と、それから宮城の本当に農業地帯が被災したところと、それと原発の事故でもう全員が避難を余儀なくされている福島の地帯と、それはもう対応が違うというのはよく分かりますから、そこをよく考えながら、是非仕組みが必要だというふうに思いますし、是非、このことはもう与野党一致してちゃんとこの法律を出すという仕組みで何としても仕上げたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。  さて、もう一つ、クリスマスにイチゴを販売する取組というのを実は宮城県の東部の被災地帯で今みんな努力しています。二十ヘクタールのハウスをちゃんと造ろうという取組であります。これについて、農林水産省は十三人の専門のスタッフを配置して取り組むというふうに言ってくれていますから、これも鹿野大臣のリーダーシップで、なかなかだというふうに思っているところであります。  ところで、この事業をやるに際しても、まさに被災した若い青年農業者は、ハウスや農機具を新たに準備するための事業、これは東日本大震災農業生産対策交付金なんですが、これ二分の一の補助なんですよ。これでは、今まで持っている借金、更にその上に二分の一の、残り二分の一の部分のまた借金をするのかということで大変な不安と戸惑いがあって、本当に、大臣、このままでいくとクリスマスにイチゴというこのモデル的な事業もちゃんと進むのかどうか大変心配なんです。  是非、ここでしっかり二分の一以上のかさ上げの助成の仕組みをつくるという大臣の決意、聞かせてもらいたいと思います。
  117. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 今、イチゴ農家、宮城県の亘理町、山元町を中心としたところの方々に、委員が直接、数回にわたりまして足を運ばれ、いろいろ御助言をされていることに対しまして感謝を申し上げたいと思います。  そういう中で、今お話しのとおりに交付金が二分の一と、こういうことでありますから、今後それに更にかさ上げということでございますが、実はこの交付金を活用する場合に、何といっても生産者の方々に負担をなるべく少なくして再生産に励んでもらうというふうなことが大事だと、このような考え方から、地方財政措置が講じられますよというふうなことも提示をさせていただいております。  そのほかに、農協の協力によって建屋は農協が、そしてそれをリースしてもらうと、こういうような方式もどうですかと。そしてまた、融資措置といたしまして、最長で十八年間、無担保無保証人で対処する、そういうふうな仕組みもございますよと。こういうようなことを、いわゆる二分の一プラスかさ上げについてのいろんな考え方を提示をさせていただいて、そして今農家の方々に検討していただいているというところもございます。  そういう意味で、今後ともしっかりと直接連携を取りながら、農政局を中心として、当然のことながら市町村長とも連絡を取りながら、今後、具体的に再びの営農に向かって意欲を持って取り組んでもらうように努力をしてまいりたいと思っております。
  118. 山田俊男

    ○山田俊男君 大臣のその三つの仕組みをちゃんと活用してできるだけ負担がないようにしようというお話については分からないわけじゃないんですが、本当に被災して、そして瓦れきの処理を含めて今一生懸命やっている市町村自治体、そこが、その地方財政措置、言うなれば特別交付金でちゃんと後でやってもらえるのかどうかということについての判断がやっぱりできていないんですよ。だから、二分の一だけに止まってしまっているんです。  ここを解消するためには、やはり先ほど来議論になっています基金ですね、これをつくって、その基金の中で、例えばそこの亘理町、山元町のこの取組については何としてでも成功させるということのために基金活用して、そして負担のないような取組をやってみると、こうしたことが必要だというふうに考えますから、是非、この第二次補正予算の中にそれを何としてでも入れてもらいたいと、こんなふうにお願いするところであります。  それから、水産加工についても、これは加工施設の復旧についての予算が第一次補正予算では少な過ぎるんです。あれじゃもう本当に何もできないという声が出ておりますし、それから木材の加工につきましても、岩手の宮古の間伐材の一次処理の会社ですね、大変な被害を被りました。千名雇用しているんですよ、あそこで。東北の山の間伐材をあそこで扱って、そして一次加工しているわけですね。だから、その一次加工するところが流れたわけですから、あとは製品に仕上げる東北各地に存在している製品加工場も駄目になっているんです。だから、その一次加工のそこに手を打つ対策が二次補正予算で必要なわけでありますから、その点しっかりやってもらいたいんですが、大臣の御意見聞きます。
  119. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 具体的な今御提言、御提示につきまして、私どもも、現地、現場、そして県、市町村の更なる連携の下に、言わば、私がよく御用聞きをやらなきゃいけないと、こういうようなことを申し上げているわけでありますけれども、そういう本当に実態に合った形で、どうすればスピード感を持って具体的な施策に結び付けることができるか、こういうことを更に頭に入れながら懸命に取り組んでまいりたいと思っております。
  120. 山田俊男

    ○山田俊男君 大臣、その決意でしっかり仕事してもらいたいというふうに思います。  さて次に、原発の損害賠償問題につきまして触れさせていただきますが、放射能、言うなれば放射性物質の拡散以降、避難してもう三か月になるわけであります。ふるさとを離れて、そして生活されるというのは本当に大変だということは先ほど岩城先生のお話の中にもあったわけでありまして、このふるさとを離れている避難者の気持ちを考えると、もう本当に涙が出るほど悲しい出来事であります。  そうなりますと、一体、損害賠償審査会、これは文科大臣ですね、相当な因果関係などといって責任や賠償を軽くするような動きに見えるんですよ、やっぱりみんなからとってみるとね。もう現にセシウムが出ているんですから。もちろん、食用にするためにはこれが限度だよということを徹底してちゃんとやっているんですよ。そのことをちゃんとやるためにも、やはり出たところについてはちゃんと損害賠償をするという、ここをやっぱりきちっと基本にするんだというふうに思います。  この点について、全て賠償するという基本でやるということを明らかにしてください。
  121. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) 今回の原子力発電所の災害においては多数の被害者が出ておりまして、御指摘のとおりに、できるだけ早く適切に賠償されることが何よりでございます。  そういう意味で、いわゆる損害の範囲というのを明確にしなきゃなりませんし、この範囲について今審査会で鋭意検討しております。既に一次、二次の指針が示されておりまして、御指摘の点についてはさらに三次の指針の中で、とりわけ農林水産業界においても専門委員も選出をいたしまして、しっかり今議論をしておられると思っております。  できるだけ早く、次の段階で指針が示されるように私たちも頑張っていきたいと思っています。
  122. 山田俊男

    ○山田俊男君 損害の範囲が問題だというふうに言っておられますが、損害の範囲といったときに、それじゃ農産物についてセシウムが、あれだけ爆発して広がっている、そして、場合によったら今も出ているかもしらぬと、よく分かりませんが。そういうような状況の中で、やはりきちっと損害賠償をすると、少なくとも暫定基準値を超えるものについてはね。そして安全確保する。そこに、やらなきゃいかぬのに、相当な因果関係とか損害の範囲と言っているから物すごく不信があるわけです。  それに、さらに、じゃ損害の賠償は一体どんな事情にあるかということですよ。パネルでも示してありますし、資料も差し上げているわけでありますけれどもね。だって、三か月たったんですよ。そして、今その農林漁業者に対して現段階で支払われている金額は幾らですか。三億円ですよ。ただ三億円。一体、この状況だけで本当にいいのかと。水産物にしてからが二億円しか払われていません。全体の請求額に対して、農産物については二%、それから水産物については一一%ですよ。これしか払っていない。これでは、期待にこたえるといいますか、みんなの苦しみにこたえたことにならないじゃないですか。  この点についていかがですか。
  123. 高木義明

    国務大臣(高木義明君) まさに、委員指摘の件については、審査会で公正中立、そして早く、そういう思いで議論をされております。委員の御指摘も、これは審査会の中にも十分反映できるものだと私は思っております。
  124. 山田俊男

    ○山田俊男君 どうも、当事者であります東電と、それと国が共同して全面的に責任を持った取組を行うべきにもかかわらず、この両者がややもすると責任回避をし合っているような気がするわけであります。ともかく東京電力が会社として全てを挙げて対応する、それ以上については国が責任を持つという基本、これが私はできていないというふうに思うんです。  この点について、海江田経産大臣になりますかね、お答えください、決意を述べてください。
  125. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 山田委員にお答えをいたします。  今日、ちょうど閣議決定をいたしました。原子力損害賠償に関する支援機構の仕組みでございます。これを私どもとすれば一日も早く国会に提出をしまして、そして国会で御議論をいただきまして、これを通していただくということによりまして、今委員指摘のこの原子力被害者の方々への賠償もスピーディーに、そして十全に行われるものと思っております。
  126. 山田俊男

    ○山田俊男君 今、新機構の法案を閣議決定したというふうにおっしゃいますから、それはそれでよしとします。遅れているということについては間違いないわけでありますけれども、早急にそれをちゃんとやるということであれば、もう一生懸命やるべきだというふうに思います。  ところで、東電は国による支援策を急がせるためにわざと支払を遅らせているということはないんですか。現在、三億円仮払いしているだけですね。更にこの四月分、それから五月分という形で手当てをせざるを得ないし、さらには風評被害への対応もしなきゃいかぬのに、どうも一々点検するのに時間が掛かるとかいうような話で、支払が遅れているんじゃないですか。この点、どういう姿勢でおいでになるのか、社長、お見えでありますのでお聞きします。
  127. 清水正孝

    参考人清水正孝君) 今先生から御指摘がありました賠償金の支払状況につきましては、先生から資料も御提示いただいていますとおり、五月十二日の政府決定も踏まえまして、出荷制限指示等によって農林漁業者の方々が被りました営業損害について五月三十一日より仮払いを始めさせていただきました。現時点で御指摘のとおり五億円を支払っております。  これからにつきましては、まだ、御請求いただいた時期が五月末であったり、時期の問題もございますが、これからはまさに紛争審査会の指針に沿いまして、また関係団体の方々の御協力もいただきながら、国の御支援をいただいて適切に対処してまいりたいと、このようにまず基本的には考えております。  それから、後段の支援スキームのお話でございます。今回、私どもは事故の当事者だということをまず真摯に受け止めておりまして、早期の被害者救済という観点から、原賠法の趣旨も踏まえて、国の支援もいただきながら適切に対処していきたいと思っております。これが基本スタンスでございます。  したがって、御指摘のように支払を遅らせたりとかスキームのためにという、そういう意図は毛頭ございません。しかしながら、今後、大変多くの方々、多様な方々に原子力損害に対する、損害を続けていくということになるわけですが、私ども資金状況からしますと早晩に資金ショートする可能性も否定できないというようなことで、そうしますと、被害を受けられた方々に対する公正で迅速な補償も危うくなると、こういうおそれもございますので、今お話がございましたように、補填に関するスキームを一刻も早く成立していただくように期待をいたしているところでございます。  以上でございます。
  128. 山田俊男

    ○山田俊男君 ともかく、これ以上言いませんが、早く、本当に精神的にも苦労しているこうした農林漁業者に対しましてしっかり対策を取るということをやってもらいたい。それから、国の仮払いの仕組み、法案ですね、これも是非、出しますから、これも早く決めるということをやっていただきたいと思います。  さて、最後に改めて菅総理へ、最初と最後だけで恐縮でありますが、お聞きしたいわけであります。  あなたにとって市民運動家という経歴と評価は一体何だったんだということを改めて言わざるを得ないわけであります。私は同年齢で、私は協同組合運動に、ずっとやってきて、狙いは美しい農村をどうつくるかであったり、さらには、愛してやまないふるさとをどう元気にするかということが私の最大の課題でありました。だから、この際、本当にこの大事な仕事をきちっとやっていくためには、もう総理、改めてみんなに任せるところは任せて、そしてあなたはそれこそ被災地を巡礼していただくという仕事もあると思うんですよ。必ず再起して戻ってくるチャンスはありますから、そういう決断を今やらなきゃいかぬということを最後申し上げて、終わりにさせていただきます。  ありがとうございました。
  129. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 岩城光英君の関連質疑を許します。丸山和也君。
  130. 丸山和也

    丸山和也君 まず、質疑に先立って、大変びっくりすることが起こりまして、今日私はそうたくさんの質問項目ないんですよ、三つ四つ絞って質問するということで。  今回の、今朝閣議決定されてきましたけど、福島、東電原発の賠償支援機構に関するスキームですね、この法案について、これからまさに審議を遅ればせながら入ろうとするに当たって重要な参考人をお呼びしたいと、これ、手続取りました。  これはもう当然、与野党を超えて、この原発賠償スキームをどうするかということを議論すべき、まさに国民全体が要望しているときなんですよ。それについて一人のキーマンとも言える革新的、良心的、本当に日本の未来を考えて発言したいという方がおられました。古賀茂明さんと申しますけれども、この方の参考人招致が理事会において、とりわけ、聞くところによると、午前中質問された岡崎トミ子議員、この人が理屈にもならない理屈でもって、とにかく彼は呼べないという結論ありきで、なぜかというと、政府の意向に沿った発言をしないというか、個人的発言が多過ぎるから駄目だという、これで一刀両断されたということで、理事会の慣例上、全員一致ということができないものですから、誠に残念無念ながら、国民とともに残念無念ながら彼は呼べなかった。このことをまず一言申し上げて、閣僚を含め委員の方々の良心はどこにあるのかということを一言申し上げて、これからの質問に入りたいと思います。  これから、この古賀茂明さんというのは、参議院におきましてかつて公務員改革に関して発言されたときに、菅総理が前、指名されていた官房長官ですね、仙谷官房長官、仙谷官房長官が、君、そういう発言をしていたら、要するにまあ将来がないよという意味で、この人の将来が心配されますというような、やんわりとした、極めて仙谷流の恫喝をされたと。そのことは今日の新聞にも、産経新聞に出ていますけど、いまだに非常に怖いと。怖いというより、この政府並びに民主党の体質、このようなことで言論が封殺されていくということにおいて良心的な発言ができなくなるということが怖いとおっしゃっているんですよ。  この方が再び今日も理事会において呼んでいただけなかったということが誠に残念、改善されていないということに対して怒りと遺憾の意を表明して、質問に入らせていただきます。  ところで、総理、誠に唐突な質問ですが、総理のお名前は何というんでしょうか。
  131. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 菅直人と申します。
  132. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 挙手の上、お願いします、丸山君。
  133. 丸山和也

    丸山和也君 私がなぜこれを聞いたかというと、非常にこの菅直人という名前には思い出がございます。先ほど山田委員も申されましたけど、菅総理、山田委員、私、同じ生まれでございます。仙谷さんも同じ生まれなんですよ。まあ、よりによってというか、こういう偶然なんですね。  それで、山田委員とは若干違いますけれども、私は私なりに菅直人という人物を注視しておりました。精彩がありましたね、とりわけ厚生大臣のときに。薬害エイズの問題で情報公開を迫り、そしてそれを実現させた。要するに、政治の腐敗、国民が参加する政治をつくろうと、まさに精彩があったんですよ。だから、思想信条の多少の違いはあっても、一つの国を率いていくリーダーになり得る資質を持った、また気概を持った、そういう人物であるということで、これは賛否を抜きにして多くの国民が思ったと思う。その証拠に、将来総理にしたい人物ナンバーワン、何度も何度も菅総理、あなたが、菅直人という名前を書かれましたよ。オーラがありました。  それが今はどうですか。私がなぜ名前を聞いたかというと、私自身がこれが同一人物かと思うわけなんですよ、これは正直に言って。何か菅直人という人物の中で血の回りがおかしくなっている、血流障害を起こしている、あるいは本来の菅直人を完全に見失っていると、これが誠に残念なんですよ。これは私自身の個人的な残念だなという思いであるとともに、恐らく国民の九〇%以上は同じような感触を持っていると思うんですよ。これはあなたに対する期待が大きかっただけにそれだけの失望が大きいんですよ。  しかも、今は同じ党内でも、あなたが実力もあるということで信頼された前官房長官が先頭に立って、いつまでもやっているとろくなことはないよというようなことを申されているそうだし、さらに陰では、あんなばかな男とは思わなかったというようなことまでおっしゃっているようです。全く信じられないような光景が起こっている。だけど、私は一番心配しているのは、本来の菅直人はどうだったのかなということを、ここ再び思っているんですよ。  そこで、今日は時間が非常に短いので、しかも総理の在任期間ももしかすると非常に短いかも分からないので、ここで総理の器ということについて、この震災をめぐる一連の過程を振り返りながら質問をさせていただきたい。  まず、あなたが総理大臣になって、第七十四回国会における内閣総理大臣所信表明ということを改めて私、見させていただきました、今日質問するに当たって。その中で、第一ページに、あなたは、信頼回復による再出発と、これは鳩山政権からあなたに移ったときの所信表明ですよ。  覚えておられますか。一昨年の十二月、私がたまたま鳩山総理に用事があって官邸へ赴いたときに、あなた方が国会審議が終わって鳩山総理と一緒に菅総理もわっと一緒に帰ってこられて、玄関先でお会いして、たしか握手もしたと思うんですけれども。あのときのあなたの喜色満面の菅直人という人物と、ここに座っておられる人物が私、同一人物かとまさに思うぐらいなので先ほど質問したんですが。  その所信表明演説において、あなたはこうおっしゃっている。鳩山政権の、なぜそれが駄目になったかということで、政治と金の問題を筆頭に挙げておられます。それから、普天間基地移設をめぐる混乱だと、この責任を取って辞任されたと。責任を率直に認め、辞任という形で自らけじめを付けられましたと、まあ半ば明確にそれを評価するような。それでさらに、私はこの挫折を乗り越え、皆様の信頼を回復しますと、これが私の最大の責務ですと。  そこでお聞きします。この第一の政治と金の問題について、あなたはどういう果敢な行動を取って、どういうけじめを付けられて、どういう形で国民の信頼を回復されましたか。私のおぼろげな記憶によると、鳩山総理については、既に裁判といいますか、司法の、検察の手続によって終わったと。小沢代表につきましては、小沢元代表につきましては、やましいところはないとおっしゃっていますと、自ら決着されるのが政治家だと思いますと。これが、信頼回復するために我が最大の責務ととらえた、あなたの所信表明からうかがわれる菅直人という人物の言動なんでしょうか。  その点について、あなたは今、しばし振り返ってみて、どのような胸に湧き起こるものがありますか、一言お答えいただきたいと思います。
  134. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 私も丸山和也というお名前は従来から聞いて知っておりましたし、間接的にはいろいろと政治への参加を、働きかけを、届いたかどうかは分かりませんが、いたしたこともあったように覚えております。  ただ、私、率直に丸山さんについて申し上げますと、今も名前を挙げていた仙谷さんとのこの国会でのやり取りで、何か個人的な電話での話をこの場でいろいろあげつらわれたのは、私は、まあ確かに政治家はいろいろな場面で話はしますけれども、やはり少し、そういう意味では人間と人間のお付き合いの中での信義則に反するんではないかなということを率直に感じたことは申し上げておきたいと思います。  また、私に対していろいろおっしゃることはもちろん自由でありますけれども、私としては、市民運動家という言葉が私必ずしも好きではありませんけれども、少なくとも私がこれまで基本的にやってきたことと、今私がやろうとしているあるいはやっていることに、私の中では全く矛盾はありません。  そこで、今お話がありました私が総理になったとき、あるいはその直後に代表選がありまして、改めて代表を継続することになったときにも、例えば代表選ではクリーンでオープンな政治をということを申し上げました。私にとっては、政治と金の問題は、最初に政治運動といいましょうか選挙のお手伝いをした市川房枝先生のときからの一つの課題でありまして、そういう点では、その問題が政治をゆがめないようにということでやってきたつもりであります。  今もお話があった中でいえば、私は、今、小沢元代表のお名前も出ましたけれども、私としては、この政治と金の問題で小沢元代表についておかしいことはずっとおかしいということを申し上げてきたつもりでありますし、今日もその姿勢は全く変わっておりません。
  135. 丸山和也

    丸山和也君 要するに、こういう答弁をされているあなたと野党時代の党首あるいは自民党政権を追及してきたあなたと同一人物かということなんですよ。そこがまさに問われているんですよ。その程度の答弁は総理じゃなくても誰でもできますよ、はっきり言って。まさにあなたが喪失過程にあるんですよ。自己崩壊過程にあるんですよ。いや、そういう時期なんですよ。  ありがとうございました、仙谷氏とのことに言及していただきましたけれども。じゃ、私は言うつもりなかったけれども、せっかく機会与えていただいたので一言申しましょう。あれはこういうことなんです。まだまだしゃべられていましたよ。それから、代表選についてもいろいろしゃべられていましたよ。でも、それは言いません。あのことはこういうことなんですよ。  要するに、那覇地検レベルで中国人船長を釈放するようなことが妥当かどうかという意見を展開したんですよ。そこで、私は、それはおかしいと、法に従って粛々と起訴するべきだと申し上げたら、そんなことをしていたらAPECは吹っ飛んでしまうと。それはそれで見解なんですよ、彼の、仙谷さんの。だから、それを本当に、そうやって那覇地検が釈放したのは妥当かどうかという見解を堂々とここで展開するのが私の意図だったわけですよ。ところが、彼はそれに反論するどころか健忘症で忘れましたと言って、口封じて逃げた直後に官邸で、官房長官記者会見で、いいかげんな男のいいかげんなことは相手にしないと、まあ極めて大人ぶって封殺されたんです。  これはやっぱり、私は官房長官の言ったことを一個も悪いとも言っていないんですよ。彼の見解は一貫している。那覇地検が釈放したんだから、それで、それについて妥当な手続を取ったんだと、そしてそれは結果的に良かったんだとおっしゃっているわけだから、前から。何も私は、それが違うって、おかしいこと、そのとおりのことを国会で申し上げたのに。そうすると彼は、それがまさか自分がやったと言われるんじゃないかというふうにパニクっちゃって健忘症に意図的に陥ったんですよ。それはやっぱり未熟でしょう、要するに。官房長官として未熟じゃないですか、あなたが信頼された。それはその程度にして、今日はやる予定はなかったんでございますけれども。  それで、あなたは、今の答弁見ましても、政治と金の問題について責務を果たすということを全く積極的に果たされてこなかったということが今の答弁でよく分かりました。それで、その次にお聞きします。  それは確かにあなたに対する国民の信頼が失った最大の原因の一つでしょう。さらに、もう一つ問題がございます。元々総理になる資質がおありになられたのかどうかと、今やこういう問題が問われている。これ非常に失礼な質問で、私も本当に失礼な質問だと思うんですけれども、本人を前にしてはっきり言った方がいいと思うんですよ、周りではその大合唱なんですから。  そこでお聞きします。  あなたは、御夫人を通じてかも、御夫人の発言からかも分かりませんけれども、かつての中曽根元総理を自分の政治の範とするというようなことをおっしゃっているように、伸子夫人が本で書かれているようでございますけれども、そういう事実はあるんでしょうか。また、そうだとすれば、どういう点を見習おうとされたんですか、お答えいただきたい。
  136. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 私、中曽根元総理とは元々の縁は薄かったわけですが、政治的に当初は大変強く批判をしておりました。中曽根内閣ができたときのことを今でも覚えておりますが、今は余りやじを飛ばしませんが、当時は最前列で田中曽根内閣と大きな声を出したことも覚えております。相当の批判をいろんな形でしておりました。  と同時に、特に中曽根総理がいわゆる総理を辞め、あるいは議員を辞められた後、いろいろなものを読んだり、あるいはテレビで出られているのを聞いて、やはり日本のこと、あるいは政治のことを非常に深く考えられている方だなということを感じるようになりまして、回数は少ないですけれども、私の方からお願いしてお話に行ったこともあります。  そういう意味で、尊敬すべき政治リーダーであると、そのお一人であると、今でもそう感じております。
  137. 丸山和也

    丸山和也君 菅総理、あなたは、あなたの本の中にもよく出てくるし、もちろんブログにもあるんじゃないかと思われるし、よく言葉で、諦めないという言葉をよく使われるんですよね、諦めないと。これはある意味ではすばらしい言葉であり、エンジンみたいなものですよね、人間の生きていく上での。  この諦めないということで今も菅政権を諦めないで頑張っておられるように私は思うんだけれども、この諦めないということですね、これはある意味で非常に大事だけれども、ある意味で諦めることこそ挑戦だという時期もあるように私は思うんですね。  そこで、そのことを後でもう一度お聞きしますけれども、あなたは中曽根元総理が、総理としての激務というか、総理としての仕事がどれほどの激務であるかについて述べられたことについて何か記憶がございますか。あるならある、特にないならないで結構です。──特にないようなんですね。  それでは、私が若干思料をしますけれども、台湾の前総統の李登輝さんというのは御存じだと思うんですけれども、李登輝さんが「最高指導者の条件」というのを書かれています、お手元にあるかと思うんですけれども。PHPから出ている本ですけれども、この中で、百八十一ページですね。確かに知識は重要な要素である。ただ、私はこれに加え、精神修養の重要性をも強調したいと。現在の日本社会を見たとき、指導者に求められる精神修養が軽視されているのを感じると。それから、ページの終わりの方ですが、例えば道場で座禅を組む、あるいは朝早く起きて人の嫌がる掃除をする、これらは単純なことかもしれないが、現在の日本から消滅したことであり、同時に日本の指導者に何が欠けているのかという問いにもつながるテーマである。指導者が能力や利害のみで判断する限り、日本の政治に幅や大局観など生まれるはずがない。それから次の行、中ほどですけれども、総理大臣になることが目的だから、そこで終わってしまうのだ。実にばかげた話で、目的と手段を混同し、せっかく総理大臣になってもしたいことが見付からないという例を度々目にすると。  これは、まあ誠に失礼ながら、私は今の総理に向けられている言葉でもないんだろうかなという気がするんですよ。確かに日々尽力されています。仕事に追われておられることは認める。しかし、総理になられる前となった後のあなたを見て、同一人物かなと、多くの国民がそう思っている。これはまさに、総理になるまでは諦めないと、頑張ると、何が何でも。しかし、総理になる目的と手段が混同されていたがために、総理になった途端に雑務に追われ精彩を欠く人物になってしまったと、誠にお気の毒と言うしかない、私はそう思うんですよ。  その点についてあなたは、今国民に、テレビ入っていますから、私はなお精彩を放つ、これからもやるだけの度量と気骨と能力のある総理大臣ですと、国民に向かって言えますか。言えるなら一言言ってください。
  138. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 李登輝さんとも私、もう何年前になりますか、台湾を訪れたときに御自宅までお招きをいただきまして、かなり長時間お話をしたことがあります。本当に、ある意味日本人が忘れてしまっている日本人の原点といったものをそのお話の中で聞かせていただきまして、ここに出ていることもその一部、一部といいましょうか共通のものだと思いますが、私の尊敬する人物の一人であります。  その……(発言する者あり)ちょっとやじを止めてもらえませんか、せっかく話をしているんですから。  今、諦めないでという言葉を丸山さんの方から引いていただきました。実は私が一九七六年に、ロッキード事件のときに初めて無所属衆議院に立候補いたしました。そのとき、私の政治団体の名称は、あきらめないで参加民主主義をめざす市民の会、あきらめないでという頭を付けて、参加民主主義をめざす市民の会であります。私がまだ初めての立候補で、当時は民主党も存在しておりませんし、そういう中でありました。  私にとって、この言葉、あきらめないで参加民主主義をめざす市民の会というのは、今も私の政治の目標の最も重要なことであります。その表現は、例えば国民主権とか、いろいろな言い方をしておりますけれども、基本的には、私は国民が参加する民主主義を実現するというのが私の基本的考え方の一つであって、それは今日においても変わっておりませんし、国民の皆さんに対して私の考え方として堂々と申し上げることができる、そういう考えの中で、例えば薬害エイズの問題やいろんな問題を取り組みましたが、その基本は変わっておりません。
  139. 丸山和也

    丸山和也君 総理が基本姿勢が全く変わっていなく、しかも情熱も持って、考え方も間違っていないと、諦めないでやると、それならどうして近々退陣をするというようなしようもない発言をされるんです。あれもその場だけの発言ですか。あるいは、そうかと思うと二次補正をつくってからだとか、あるいは瓦れきの処理が片付いてからだとか、分からないんですよね。  それで、一方では、先ほど言いました元官房長官が、一刻も早く、あるいは今月中がそれこそめどだと、今月中に辞めるべきだという、いろんな声も上げられていると。そういうような声をけ散らすわけでもなく、しかも、新しい、ちょっと見ますと、自然エネルギー庁構想を発表したと、いろんなことを新たにやろうとされていると。しかし、そういう生きているか死んでいるか分からない最高指導者、申し訳ないけれども、から次々と構想を出されることは、かえって混乱と不幸を生むんじゃないですか。  私は、だから、先ほど山田委員が言っていましたけれども、一度身を引かれて、再起の可能性は十分ありますよと、これが本当の諦めないということじゃないかと思うんです。その英断をするあなたは、恐らく花道が欲しいんですよ。花が欲しいと。何かこれができたら、何かこの飾りができたらと、そこまでは諦めないと、今そういうふうに妥協的に諦めないがなっているわけです。とことんやるんなら、任期いっぱいやる、解散、衆議院の任期いっぱいやるんだと言い切ったらいいじゃない。それもできない。しかも、若い人に譲りたいと。若いというのは誰ですか。仙谷は駄目ということですか。どういう意味なのか分かりませんけど、若い人に譲りたいと。若いとか年がいっているとか、そんな問題じゃないですよ、やっぱり。中身の問題ですよ。  だから、僕は、菅さん、あなたは栄光の歴史を歩んでこられたのよ。総理にまでなられた。日本の歴史に残る、名前としては残るんですよ。しかし、評価については、それはあなたも思われたように後世の歴史が評価すると、それでいいじゃないですか。そこにさえ自信があれば、枝葉末節の花道は要らないと思う。原発だってめど立たないですよ。そんなあなたが十年、二十年と言われた、その方が正しいかも分からない。なかなかめどは立たないですよ。ちょろちょろっと瓦れき片付けてみたって、これで私はめどを付けましたとか、そういうことは基本的にしようもないことですよ。むしろ、そばにおられる、与謝野大臣がおられますけれども、本当の危機は、こう言っては、この災害特の、委員でこういうことを言ってはあれですけれども、本当の危機は日常の中にありますよ。  例えば、今回の災害は十兆だとか二十兆だとか、あるいはもう予算も掛かるでしょうし、人命も二万五千人以上、恐らく行方不明者がいればあるでしょう、犠牲者は。でも、この自殺一つ取ったって、年間三万人以上ですよ、十数年続いている。毎年毎年、千年に一度の津波が来ているぐらいの大きなことが起こっているんだし、将来年金がもらえるのかどうかと。財政は、一千兆円にもならんばかりに負債が膨らもうとしていると。年金なんてあるのかと。将来は社会保障なんてあるのかどうかと。こういう国家に内在している危機こそ本当の危機ですよ。  だからこそ、この与謝野大臣は、一本釣りという言葉は悪いですけれども、あえて引き抜かれたんじゃないですか。かつて自民党にいて、税、社会保障の中心になっていた人物が民主党に、政権に入るなんということは、一回死ななきゃできないことですよ、これは。そういうことだと思うんです。だから、僕は、与謝野大臣は、どんな批判を受けたって、万死に値すると言われたって、一回、自分死んだ覚悟で行かれたと思うんですよ。  ただ、それをあなたは有効に指導者として使って、税と社会保障の一体改革の成果を上げていますか、今日に至るまで。震災が幸いしたというのかどうかそこら辺は明らかでありませんけれども、こういう根本的な国家に内在する大きな危機に対する取組の方向もはっきり見えてこない。しかも、この原発問題に対するめども立たないと。ここで我と我が身の退陣の花道をつくるということは、意味がないと私は思う。意味がない。だから、自ら切腹されたことが唯一、一番僕はあなたにとってすばらしい功績になると思うんですよ。  あなたはそういう心境にはならないんですか。あなたの魂はどこにあるんですか。頑張るということは何を頑張られるんですか、これから。この近々退陣するという中で何を頑張ろうとされているんですか。そこの本当に国民の、政治家だけじゃなくて国民に向かって、私は近々辞めますが、辞めるまで何を頑張ろうとしていますということを言ってくださいよ。それなら、ああなるほど、そこを思っていたのかと、それだったらもうしばらくは許してやろうかということにもなるかも分からない。  だから、やっぱり心を打たなきゃ駄目だと思うんですよ、政治というのは。かつての菅直人は心を打っていたんですよ、あなたの演説は。何回も私、街頭でも聞きましたよ。声がからからになっている、大概あなたの演説は。最後になるともうそれこそしゃがれ声だったですよ。多くの人がそれは体を張ってやっているなと、菅直人は命懸けでやるなというふうにあったからこそナンバーワン、総理にしたい男ナンバーワンになったんじゃないですか。今、総理を辞めてもらいたい人ナンバーワンというか、みんながそういうふうに逆転しちゃっている。  これは、あなたはここで一つのけじめをやっぱり国民に向かって付けるべきだと思うんですよ。理屈は要らないですよ。理屈では人は動きませんし、理屈では人の心は動かない。あなたの本当の言葉を超えた言葉を、私は近々辞めるけれども、辞めるまでにこれだけはやりたい、このめどを付けたいということが聞いている人の魂を打つなら、私は質問しているかいがあると思うんですよ。どうなんですか。
  140. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 私は鳩山総理の後の総理になって、その直後に参議院選挙を迎えることになりました。最初のたしか所信表明演説だと思いますが、これまで二十年間先送りされてきた大きな課題を、何としても私の内閣で取り組み、進めていきたいということを申し上げました。そして、その一つがまさに社会保障の問題であり、財政再建の問題でありました。  参議院選挙の直前に、消費税を含む社会保障の問題について、私の表現がやや結果として十分に国民の皆さんには伝わらなかったところもあったのは大変私にとっては残念でありますけれども、少なくともそういった姿勢、つまりは社会保障を立て直していこう、それに対しては消費税も含めて検討していこう、こういうことを申し上げました。結果として参議院で大きく敗れましたので、民主党の仲間には大変迷惑を掛けたと今でも思っております。しかし、その基本的な、今、日本にとってこの問題が解決しなければ、まさに平常の中に危機があると丸山さん御自身言われましたけれども、まさにその平常の中の危機の最大の問題がこの問題だと思っております。  そういう中で、私は、与謝野さんに私の内閣にまさに三顧の礼をもって参加をいただきました。もちろん、まだそれが具体的な成果を上げるところまでは行っておりませんけれども、少なくとも私として、私が取り組まなければならないというその問題意識の中で取り組み、そしてそのことと与謝野さんに閣僚をお願いしたことを含めて、私は国民の皆さん是非この問題について御理解もいただきたいし、今後の極めて大きな課題として是非後の責任を、次に責任を、バトンを次々としてまいりたいと、こう思っております。
  141. 丸山和也

    丸山和也君 せっかく与謝野大臣も来ていただいておりますので、一言。  これだけ三顧の礼をもって入閣されたわけでありますけれども、この税と社会保障の一体改革というのは、与謝野大臣が考えておられるようにというか、あるべきだと思っているような方向とスピード感を持って現内閣で動いているんでしょうか。一言お願いしたい。
  142. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) これは、二十日の日をめどに政府と与党の間で成案ができてまいります。その成案をもって、自民党、公明党民主党で三党の合意がございまして、この文書の中には、政府・与党は実行可能な案を可及的速やかにかつ明確に示せと、示した後に三党で検討すると、こういう合意になっておりますから、二十日に何とかこれを作り上げて、国会の場で三党で御協議をいただきたいと思っております。
  143. 丸山和也

    丸山和也君 例えば、与謝野大臣民主党政権が日本の財政を滅ぼすという本まで書かれていて、民主党のマニフェストを維持している上で、例えば今回の災害の復興に関する二十兆円ぐらいの予算、財政的規模も必要でしょうけれども、ほとんどそれに近いようなマニフェストをそのとおり実行すれば、それに同額するぐらいの財政的な、恒常的なあれがないと、毎年毎年ですよ、やっていけないわけですよ。そういうマニフェストに対する明確な意見も、見直しあるいは撤回も含めて、鳩山政権でもなかったし、菅政権でもない、ちょろちょろちょろちょろ一部停止してみたりいじってみたりだけですね。だから、この国家が漂流しているんですよ、はっきり言って。そこに大震災が起こって、原発が起こっていると。  こういうときには、通常以上の指導能力と決断力と情熱を持ったリーダーじゃないとやっぱり無理でしょう。そこなんですよ。だから、菅さんが劣っているとか決してやる気がないと言っているんじゃないんですよ。十分自分の力量だけのことをやられている。でも、国民の多くはそれでは足りないと言っているわけですから、これは仕方がないんじゃないですか、人それぞれ能力なり器があるんですから。これは別に認めても何ら恥ずかしいことない、顔かたちが違うのと同じですから。そこら辺の決断をそろそろしていかないとみっともないということなんですよ、本当のところは。  例えば、中曽根総理だってこうおっしゃっていますよ。この「自省録」という二〇〇四年に出された本ですけれども、お手元にあると思うんですけれども。加えて首相は、与野党の攻防、ジャーナリズムの批判、世論の毀誉褒貶の真っただ中に身を置いて、政権を運用しますと。権力に近づき、それによって自分自身の理想を実現しようとする者は俗物中の練達者であり、俗物の一員である首相は、傷つき倒れることもあります、しかし、政治家には汚辱と栄光が付き物です、まさに僕はこのとおりだと思うんですね。  それで、これを、更にその次のページ、総理在任中に毎週全生庵へ行って座禅をしていたと、これがなかったら私は精神的にもたなかっただろうと、五年間で百六十七回お寺に通って心身を整えたと、これでやっと総理の座が保てたんだということを引退されてから書かれているんですけれども。  やはり僕は、権力に近づくということで菅総理は成功されたけど、やっぱりそれによって自分の理想を実現するというところは早く次のリーダーにお任せになった方がいいと思う。これはもう説教になりますけれども、申し訳ないんですけれども、同年代としてお許しいただきたいんだけれども、そこがあなたに今一番国民あるいは民主党皆さんも含めて期待しているところなんですよ。  総理、あなたは復興実施本部というのを立ち上げるということで、四月の末ごろですね、そして亀井静香氏に、この本部長代理というんですか、これを依頼されたと聞いているんですけれども、これが結局二週間足らずで実現しなかったと、幻の復興実施本部とも思われるんですけれども、これは、一方で復興対策本部、全閣僚の、あった中にこういうのをつくろうというのは、これは総理が一人で思い付いて亀井さんに、あるいは亀井さんからの提案があって、それはいいこっちゃ、ひとつやってくれということになったんですか。どうしてこれがまたつぶれたんですか。  これが、私はこれは決して悪い案ではなかったと私的には思うんですよ。大連立というのが非常に難しい中で、復興ということに関して与野党を超えたそういう実施本部をつくってやると。発想は間違っていなかったように思うんですけれども、これについて、私も亀井さんとお会いしました。総理からもう全部任せると言われたとおっしゃっていましたよ。でも、あえなく頓挫してしまった。ここはどういうことだったんでしょうか、総理、お答えいただきたい。
  144. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 今、中曽根元総理の「自省録」で引かれたところは、私も今読み直して、あるいは読んでみて、まさにそのとおりだという感じをしております。つまりは、そのときにおいてはジャーナリストの批判もあり、まさに世論の毀誉褒貶もあり、そういうものの渦中で中曽根総理も座禅を組むことによって心の平静を保ってこられたんだなと。私は座禅は組みませんけれども、ここに書かれていることはまさに私なりによく理解ができるところであります。  今、復興実施本部、亀井先生の名前を出されました。私は、先ほども申し上げましたが、総理になって間もなくの参議院選挙で大きく民主党が私の責任で敗れ、そして与野党の中でのいわゆるねじれ、参議院における過半数を割ったわけであります。その段階で、ねじれ状況で物事がなかなか一方の政党あるいは政権側だけでは進まないということは逆の立場にいた中でも十分理解をいたしておりましたので、何とかそうしたねじれ状況を越えていくことができないかという思いは、必ずしも、三月十一日の大震災の発災以前から考えており、私なりに多少の方とは話をいたしておりました。  そして、大震災がありまして、私は率直に申し上げて、確かに大震災発生後、野党の皆さんからも御協力は確かにいただいたと思いますが、私としては、何か誤解をされて伝わってしまいましたが、是非野党の皆さんにも与党と同じように責任を国民に対して分かち合う立場になってもらえないかという趣旨のことを、ある時期、谷垣総裁にも申し上げました。  そして、この復興実施本部の構想も基本的には同じことでありまして、それは復旧復興という一つの大きな範疇でありますけれども、その中で、例えば自民党や公明党皆さんも、決して私の下にということでは全くなくて、責任を分かち合う立場で参加をいただけないかという思いをずっとしておりました。亀井静香党首から、同趣旨の話で、自分の方でそういう努力をしてやってもいいけれどもどうかと言われましたので、いや、そういう趣旨でしたら是非お願いしますということでお願いをいたしました。残念ながら実現しなかったことは私の最終的には不徳の致すところだと思っておりますが、残念だと思っております。
  145. 丸山和也

    丸山和也君 亀井氏はそうやって張り切っておられたように思うんですけれども、結果的にはなかなか菅総理からもそういう協力の下地といいますか後押しがなかったということも述べられているようでありまして、案を発案されるのはなかなかお得意のようですけれども、やっぱりそれを動かすということになる準備とか説得ということをほとんどされていないんじゃないかと思うんですね。  そこで、不思議だと思われませんか、今、公明党も含めて、まあ与党も含めてですけれども、一部そうじゃないかと思うんですけど、菅総理、あなたが退陣するならばみんなで協力してやろうというような機運があるようなんですね。不思議ですよね。別に政権を自民党とかほかに渡せと言っておるわけじゃない。総理、あなたが替われば与野党協力してやろうと、これは極めて面白くない話だと思うんですよ。しかも、それを総理、あなたはやむを得ず認められたと、近々そう遠くないうちに。いや、首を振っておられますけど、辞めないという意味ですか。近々辞めるけれども、まあ、とおっしゃっている。そうなると、やはりそこに、何が原因なのか。単なる民主党内の派閥抗争だけじゃないでしょう、これは。だから、そこら辺はやっぱり一個人としてお考えになった方が僕はいいんじゃないか、そういう時期に来ているんじゃないかと思う。あなたが頑張ると、諦めないと言うのはいいんですけど、やっぱりある意味でもうこの政権は行き詰まっていますよ。  中曽根元総理が、総理というのは俗物中、俗物、政治家というのは俗物だと、ただし俗物中の練達者であると。練達という意味は、恐らく読んで字のとおり、俗物の奥義を究めるというか、極意というか、そういうことであると思うんですけれども、やはり何事も究めなきゃいかぬと思うんです。  僕はふと、菅総理に今日質問するに当たって、なぜ菅元総理、菅直人って格好よかったのかなと思ったら、やっぱりいろいろ理由はありますよ。背が高い、弁舌がうまい、ハンサムだ、女性にももてる。いろいろなことありましたよ。いやいや、かつてだから華麗なロマンスもございましたから。そういうこともあったし、これは決して何もそのことがいけないとかそういうことを私は全く思っていません。ジョン・F・ケネディだって、もうしょっちゅうそういう話ありました。クリントンにしろミッテランにしろサルコジ大統領にしろ、それはもう格好いい男というか、精彩を放つ、勢いのある人物、それから将来性のある人物に対していろいろやっぱりいろんなことが生じてくるということはこれはやむを得ないことだと。ある意味で不可避なことですよ。  ただ、そのやっぱり最後といいますか、どの方とは申しませんけれども、やっぱり我々の関係はもう行き詰まってしまったと、ここはもうさっぱりしようというときに、やっぱり総理は、相手が去っていくときに対する、去る者は追わずと。この菅政権も今去ろうとしているんですよ、去る者は追わずと。ここらが非常に、諦めないという菅直人の本領発揮かもしれませんけれども、やはりここは一つの諦めることが格好いい菅直人になるんじゃないでしょうか。いかがですか。
  146. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 丸山さんのいろんな御意見はできるだけ私も本当にしっかり聞いてお答えしているつもりですけれども、今おっしゃったことはよく私には理解ができません。  つまり、私は、申し上げてきたことは、幾つかの御質問に対して言いましたように、私なりの考え方は今でも、今から少なくとも三十年近く前あるいは三十年以上前から基本は変わっておりません。そして、今抱えている課題、もちろん大震災のことが優先です、原発事故のことが優先です。何か私が再生可能エネルギーについても最近言い出したかのような表現をされましたが、是非私の一期目のときの議事録を御覧をいただきたいと思います。風トピア計画という、科学技術庁長官、当時の中川一郎さんとの間で私が交わしたやり取り、私は、アメリカのウインドテストセンター、三宅島にあった風力の二つの大きな発電機、東電が持っておりましたが、そして科学技術庁が行っていた風トピア計画、これらを全部自分の目で見ると同時に、国会でもそのことを取り上げておりまして、別に今回のことで急に申し上げ出したわけではありません。  そういったことを含めて、今私がなさなければならないことは、私としては、私たちの党の代議士会の席で申し上げましたように、一定のめどが付けるまでは責任を持たせてくれと、その後に若い世代に責任を引き継ぎたいということを申し上げ、我が党の中では大部分の皆さんがそのことで御了解をいただいて、圧倒的な差で衆議院で不信任案が否決をされたわけでありますから、私はその一定のめどが付くまではしっかりと責任を果たすのが国民の皆さんに対する私の行動の仕方だと、このように考えております。
  147. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 傍聴席にお掛けの議員皆様はできるだけ審議に御協力をいただきたいと思います。
  148. 丸山和也

    丸山和也君 一定のめどが付くまで頑張ると。まあ、やってくださいよ。それでどういう結果が出るかということはほぼ予測もされますし、時間の問題だと思いますからやられればいいと思うんですけれども。私が言いましたのは、山田委員が言いましたように、やっぱり同世代の人間として菅直人というのはそれなりにいろんな違いはあっても魅力があったんですよ。多くの国民はそうだったと思う。ある意味じゃ期待もしていた、そういう人も多かった。  ところが、今は総理さえ替えれば協力しようと。民主党政権を支持する人でも菅直人を替えてほしいという人が圧倒的じゃないですか。これは居直って済む問題じゃなくて、残念だということなんですよ。一番残念だと思うのはあなた自身じゃなければならないと私は思う。いや、違うと。だから、全然違う。それは結構ですよ。(発言する者あり)ええ、考え方が違うと。私は考え方に基づいて言っているんじゃないんで。だから、そこにどうかリーダーとしてお気付きいただきたいと。それで、あなた自身の個人的考えで国を振り回してもらっては困るんです。だから、国民の、そうじゃないですか、あなたの所信表明演説、もう一度、最後のところだけ、時間の関係もありますし、一言言っておきますよ。  あなたは実に頼りないけれども、いいこと言われている。こういうこと言われているのね、政治的リーダーシップについて。リーダーシップは、個々の政治家や政党だけで生まれるものではありません。私を信頼してくださるかどうかで、リーダーシップを持つことができるかどうかが決まりますと。これは一つ、やっぱり自分がこうだから付いてこいというようなことじゃなくて、信頼してくれたらリーダーシップが持てますよと。  これ、やっぱりちょっと他力本願で主客転倒していると思う。仮に百歩譲ってそうだったとしても、よし、やってみろと。私を信頼しなくなっているんだから、もう国民が。すると、リーダーシップ、あなたの理論からいってもリーダーシップはもう持つ条件がないわけですよ。そういうことが書かれていますよ、あなたの所信表明で。あなたが作ったんじゃないんですか、これ。そのとおりに書かれている。どっちから見たって、もうこれは八方ふさがりのせんち詰めなんですよ、あなたは。だから、瓦解なんですよ、これは。  だけど、それは一時的なことなんですよ。菅直人の死滅じゃないんですから。人間菅直人は復活するんですから。ここを……(発言する者あり)しない。自ら引かない限り復活がないということが最大の危機なんですよ。そこをあなたは今試されている。あなたが頑張っているということは、まさにあなたが試されているということになるんですよ。そこを是非御理解いただいて、出処進退を、恐らくこの委員会の最後に私は辞任しますという表明されることを私は期待していますけれども是非そういうふうに英断を持って発言していただきたいと思う。  それから、時間がもうないんで。蓮舫大臣、せっかく来ていただいたんで、もう時間がないんですからね。それで、一言、自殺問題について、あなた担当だということなんですが、どういう努力をされていますか。一言。
  149. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 時間ですので、簡潔にお願いします。
  150. 蓮舫

    国務大臣(蓮舫君) 自殺対策に対しては、これまでの政権においても私たちの政権においても、各府省がしっかりと連携をして、一人でも多くの命を救うための政策を推進しているところでございます。
  151. 長沢広明

    ○長沢広明君 公明党の長沢広明でございます。  今日は、今回の大震災に対しまして、その復興を目指す政府の基本方針として、復興の円滑かつ迅速な推進と活力ある日本の再生を図ろうという東日本大震災復興基本法案が本日実質的にこの審議に入ったわけでございます。その基本法案についてまずお伺いをしていきたいというふうに思います。  政府案に対しまして、衆議院の段階で民主党、自民党、公明党の与野党三党による修正協議が行われました。衆議院復興特別委員会委員長提案として衆議院を通過し、本日この参院復興特別委員会に審議になっているわけでございます。今日は衆議院から本法案提出者の皆様にも出席をいただいておりますが、修正協議に御尽力されたことに心から深く敬意を表したいと思います。  被災地で、あるいは避難所で、避難先で今も大変な思いをされている被災者皆様の御心痛、そしてその皆様を支えてくださっている多くの方々の御苦労、こういうことに思いをはせますと、私たちはこの基本法案を一日も早く成立をさせて復旧復興のレールに乗せるべきだというふうに思っております。ただ、その中身について、そしてそれに至る政府対応については、幾つか指摘をせざるを得ないものがございます。  まず、三党の修正協議を受けまして、政府案そのものが撤回をされております。撤回されなければならないような政府案提出されたこと自体が私は問題ではないかと思っております。  しかも、修正された中身というのは、一つ復興の主体、どこが主体となって復興するか。そして、復興の手法、今回は特区ということが手法として盛り込まれました。そしてまた、復興に係る財源、資金の確保。つまり、主体と手法と資金という問題について修正がされたわけでございます。言わば復興基本法の最も重要な柱の部分が議員立法によって修正をされたということでございまして、これはある意味ではそれほど中身の薄い原案を政府が出してきたということ、そのことが事実として明らかになっていると思います。ここには私は、復興に関する菅政権の元々の考え方の甘さ、あるいは復興に対する思いの薄さ、復興に取り組む政策的な中身の弱さというものがこの基本法に私は表れたのではないかと思います。  それに対して自民党、公明党からも修正の意見を出させていただいたことに対して、与党民主党皆様も賛同をいただいて修正をされた、私はこれは大変に大きな意味のあることだと思います。国会は、与野党を超えてちゃんと力を合わせて復旧復興に向けてやろうという、そういう思いがあるということでございます。それをしっかりとこの三党できちんと示すことができた、私は大変に大きな意味があるというふうに思っております。  ただし、残念ながら、本当にその復旧復興の壁を乗り越えようとしたときに一番逆に壁になっているのが、残念ながら、菅総理、あなたの存在でございます。  今回は、政府案、閣法の中身がこれでは復旧復興に足りない、この一点で与野党で共同して修正して、意見を交わしてよりいい中身にするということができた、そこに力を合わせることができたわけでございます。  しかし、これから本当に二次補正予算も含めまして復旧復興に対してどう力を合わせていくかということになりますと、自らの出処進退についてさえ言を左右にするような総理の下ではなかなか与野党は協力することはできない。私は、総理がその席に今も座っていらっしゃること自体が復旧復興の足かせとなっているということは指摘をせざるを得ません。  私たちはまず、もちろん、これは総理、いつ進退はっきりするのか、辞めるのか辞めないのか、そういう議論もうずっと行われておりますけれども、本委員会においては、私は、もっと前を向いて、復旧のために何をするか、この議論をしっかり進めたいと思いますが、一点まず、今申し上げましたとおり、この復興基本法案、この大震災に対して政府がどう取り組んで復興のレールを引くかという大変重要な法案について、政府原案の閣法を撤回して結果としては与野党提案の議員立法となったことについて、総理はどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。
  152. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 先ほど来の議論でもありましたように、私は、これは野党の方も言われていますが、この大震災に対しては与党も野党もないんだと、みんなが協力し合ってやろうという、基本的にはそれぞれそういう立場でいていただいているものと思っております。  事前にもいろいろと御相談を申し上げたつもりですが、事前の段階ではそういう形が取れませんでしたので、政府として基本的な考え方で法案を出させていただきました。  その後、各党各会派から様々な観点で建設的な御提案をいただき、そして大震災からの復旧復興という目標を政府、与野党、各会派が共有しながら成案が得られて、そして黄川田委員長の下、衆議院で新たな法案として出されて、衆議院が通過した、大変私は有り難いと思っております。  なお、これと同時に、政府としては内閣法の改正案も提示いたしました。つまり、今回の法案もそうですけれども復興担当の大臣を設けると同時に、三県についてそれぞれの地域対策本部、副大臣などが当たることが想定されております。また原発事故はまだまだ収束という段階まで来ておりません。  是非とも、内閣法もこういうまさに未曽有の状況に対して対応すると、そのためには現在の内閣の三役では対応するのに人が足らないということは御党も御理解をいただいてきたと思います。出し方が遅いとかそういうことはあるかもしれませんが、是非ともこの法案と併せて内閣法の改正についても御理解をいただきたいと、この場からでありますが、お願いを申し上げます。
  153. 長沢広明

    ○長沢広明君 質問に的確にお答えいただきたいと思います。今総理から余計なことまで、私、ここの時間で非常に貴重な時間を浪費しようと思っておりませんので、震災地に向けた議論を私はしっかりしていきたい、このように思っております。  そこで、まずこの復興基本法について、政府の取組について議員立法で作ったという基本法でございますので、立法者がどういう意図を持ってこの修正をなされたのか、その立法趣旨、意図というものをきちんと明らかにしていくことはこの立法府として大事なことだと思っておりますので、幾つか確認の質問をさせていただきます。  この復興に向けた基本理念のところに、人間の復興という意味を持たせております。この人間の復興ということを理念の中に組み込んだその狙いは一体何でしょうか、提出者に伺います。
  154. 石田祝稔

    衆議院議員(石田祝稔君) お答えを申し上げます。  五月三十日の段階の衆議院復興特別委員会におきまして公明党の高木美智代議員から、一人一人が災害を乗り越え、再び輝いていく、そのための復興の道筋でなければなりませんし、二十一世紀半ばの支え合う社会また共生社会の実現を目指して一人一人に光を当てるということが大事であると、こういう趣旨の発言もございました。  また、本法案の第二条第一号、これは基本理念を定めているところでありますけれども、一人一人の人間が災害を乗り越え、豊かな人生を送ることができるようにすると、こういう規定を設けることになったのは、まさしく人間の復興ということを入れたということでございます。これはもう公明党が提案をいたしましたけれども、やはり同じく自由民主党はきずなという言葉を大変大事にされておりまして、私はこれは共有するものがあると思いますし、この考え方は各会派の御理解もいただいて今回の法案に取り入れられたと、このように考えております。  そして、人間の復興という考え方が明記されたということは、東日本大震災からの復興に当たって目指していく方向を理解していただく上で大変重要なポイントではないかと、これは私の考えでもありますし、また官房長官も同様の趣旨のことも衆議院でも御答弁をいただいております。まさしく人間の復興、これにつながる基本法でなければならない、このように考えております。
  155. 長沢広明

    ○長沢広明君 今のお考えを受けて、法案には、人間が豊かな人生を送ることと、そして女性子供障害者を含めた多様な意見を反映することと、そして共生社会の実現に資すると、単なる復興ではなくて、ある意味ではこの被災地皆さん復興の主役として、東北地方がこれからの先駆的な社会システムを持った地域社会になってもらいたい、こういう思いがこの法案の中に盛り込まれているわけでございまして、年齢や性別やハンディキャップというものが障害にならない、そういう社会を瓦れきの山からそういう共生の花園にしていこうと、そういうような思いを持って組まれている。ある意味では、このとおり進んでいけば、東北に生まれてよかった、東北に帰ってきてよかった、そういう復興ができるということを目指しての基本理念であって、大変重い意味があるというふうに思っております。  次に、復興庁と復興担当大臣設置をこれは本則の中に盛り込むという修正を行いました。この修正について、その理由について、提出者にお考えを伺いたいと思います。
  156. 谷公一

    衆議院議員(谷公一君) お答えいたします。  今回の基本法に定める復興庁は、新しい組織をつくることによりまして、従来の縦割り行政を廃止して、いわゆる国交省なり農林水産省などの事業官庁も含めて権限、責任、予算などを一元化するものであります。そして、強力な政治主導の下で、一元化により幅広い対策を講じ、それぞれの地域の実情に応じた施策を迅速に対応していくことが可能になると、そのように考えております。  また、大臣のことでございますが、復興庁につきましては、普通の省庁と同じように横並びの組織ではなくて、内閣府と同様に内閣に置かれ、内閣総理大臣が主任の大臣となり、その命を受けて一切の事務を総括する復興担当大臣の指揮監督の下に事務を執行する機関を考えております。  我々といたしましては、専任の復興担当大臣の下、強力な政治主導で東日本大震災からの復興が進んでいくべきだ、いくものと考えているところでございます。
  157. 長沢広明

    ○長沢広明君 ありがとうございます。  今提出者から御意見があったとおり、やはり縦割りの行政によって被災地の地元が大変苦労するということは、当然、今までもあったし、これからも想定されるわけであります。問題によっては国土交通省に言わなきゃいけない、港の漁港については例えば農水省に言わなきゃいけない、あるいは税制上の問題は金融庁に言わなきゃいけないと、いろんな行くところが違ってくると。それをきちっと一つにまとめて、地元に、地元の地方公共団体に負担を与えないということがまず大事でございますし、それに対して、今提案者からあったとおり、この復興担当大臣内閣府に置くのではなく内閣に置く、こうはっきりさせることで非常に重い立場というものをこの大臣に与える。つまり、それとともに権限もきちんとはっきりさせていくと。こういうことによって、ワンストップで、きちんと行政の縦割りの壁を超えて、自治体の、地方の、被災地現場の声にきちんと対応しようという、対応ができるということでございます。  これは、当初、復興庁の設置については、政府案については附則に書かれておりました。しかも、一年の間に検討するという内容でございましたし、復興担当大臣を置くということについては、私たち公明党は発災直後の三月の十五日に、復興担当大臣を任命をして直ちに権限を一元化させて復興の促進を図るべきであるということを政府に対して、これは当時、与野党の幹事長会談の場でしたけれども、与党に対しても申し上げましたし、その後、政府に対しても申し上げました。しかし、それから三か月でございます。  政府案にはなかったこの復興庁、復興担当大臣設置するということが明記されたことについて、菅総理はどのように受け止めていらっしゃいますか、反省されていますか。お答えください。総理。
  158. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 今回の大震災の当日、緊急災害対策本部、法律に基づいて立ち上げました。これは、かつての阪神・淡路の反省を得て総理が本部長となる体制で、全閣僚がその中で参加をしております。その下で、この復旧に向け、あるいは救助、復旧に向けてやってまいりました。ある段階が来て、今いよいよ復興基本法の審議をお願いしているわけであります。  今御指摘もありましたように、復興なり復旧担当大臣、実質上、防災大臣でもある松本大臣にそのことを防災大臣という立場でお願いをしてきたところであります。もちろん、今御指摘のように、専任の大臣を早い段階で置くべきだということも十分分かるわけでありますけれども、その段階では決して防災担当大臣が担当することで物事が、私はそれによって、そのことが理由で遅れたということは私はなかったと。ただ、先ほど申し上げましたように、一方で原発事故もありますし、そういう中でもっと強化をするために、残念ながら大臣の数あるいは三役の数が不足し、あるいは三十九条ですか、国会法の、つまりは、国会議員大臣、副大臣等を除いてはいわゆる公務員という仕事ができない、例えば官房副長官補といったような仕事は残念ながら国会議員には任命することができないわけでありまして、そういう制約について是非併せて改革をしていきたいと考えて、先ほど申し上げたことを提案したわけであります。
  159. 長沢広明

    ○長沢広明君 長々と言い訳をされていましたけれども、要するに遅れたと思っていないと、そういう認識なんですよ。遅れたと思っていないという認識、じゃないんですよ、本当は。ちゃんと大臣をやればもっと早く進んだんですよ。現地はもっと楽だったんですよ。地方自治体ももっと声が政府に通りやすかったんですよ。届かなかったからこういう事態、今迎えているんですよ。だから、この法案では、復興庁、復興担当大臣を置かなきゃいけないという、結果的にこうなっているじゃありませんか。そのことを全然分からないというのは、私はもう、ある意味じゃこれまでのこの三か月間、一体何をやっていたのかというふうに思わざるを得ないと思います。  法案の中身に戻ります。  復興特区、復興特別区域制度を整備するということで、この復興の手法として復興特区の設定を主張したということで、これを盛り込んだということになりますが、この意義についてお答えいただきたいと思います。
  160. 石田祝稔

    衆議院議員(石田祝稔君) お答えを申し上げます。  今回の法案の第十条で復興特区の制度を書き込むことになりました。これにつきましては、今回の法案民主党、自民党、公明党で最終的に三党で作り上げたわけでありますけれども、元々は全ての党にこの考え方があったというわけではありませんで、我が党がまとめた基本法の骨子案に、被災地域の迅速かつ創造的な復興を推進するため、復興特区を設けると、このことが御理解をいただいて、最終的にはこの基本法案では、被災地域の地方公共団体の申出により、区域を限って、復興特区制度活用し、そして地域における創意工夫を生かして行われる東日本大震災からの復興に向けた取組の推進を図ると、このように定めたわけでございます。そして、このために必要な復興特区制度について総合的に検討を加えて、速やかに必要な法制上の措置を講ずると、こういうことにしたわけでございます。  ですから、実際中身を入れる法律を更にこれから作っていかなければなりませんので、こういう点もしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。  また、今回の被災地域が大変広範にわたっておりまして、元々の地域の事情もまた地区ごとに受けた被害の状況も大きく異なっております。したがいまして、それぞれの地域皆さんからの御要望も多岐にわたっています。そういう状況でありますから、この地域主導の復興を迅速かつ創造的に行っていくということが大変重要なことではないかというふうに思っております。  そして、これは今回の法案の第二条の基本理念の中にも、被災地域の住民の意向が尊重されと、こういうことも基本理念に入っておりますので、まず被災地域の住民の皆さん第一に、しっかりとこれから特区制度、内容のあるものにしていかなければいけないと、このように考えております。
  161. 長沢広明

    ○長沢広明君 この法案では、被災地域の地方公共団体の申出によりと、要するに地元の申出がまず必要だと。そして、地域における創意工夫を生かして行われる復興に向けた取組の推進を図るという特区になっております。すなわち、地域の主体的な取組を生かすために税制とか金融とかその他の様々な規制の緩和を国が行っていくと。ある意味では地域主体、そして、上からの目線の特区ではなくて、現場目線の特区にしていくということが非常に大事なポイントになってくると思います。  被災地の首長からはやはり同様な声が随分上がっておりまして、可能な限り地域の実情に合った特区制度にしてほしい、できるだけ細かく市町村ぐらいで対応してほしい、こういう声もございますし、復旧復興に進んでいく中ではもう予想もしなかったいろんな壁が突然目の前に現れてくることがあると。初めに特区を決めて、それによってもうそこからてこでも動かないという一律的な特区ではなくて、壁がぶつかってきたときに、そのときに国としっかりまた協議ができるように、壁がぶつかってきたときにそれを一つ一つ乗り越えていけるようなそういう事態即応型の特区制度であってほしいと、こういう声が上がっております。  そういう意味で、今後、復興特区の設定について政府はどのように取り組んでいくか、官房長官にお答えいただきたいと思います。
  162. 枝野幸男

    国務大臣枝野幸男君) 御指摘のとおり、今回の震災は広範な被災地、そしてその被災地が非常に多様性を持っていろんな地域がある、そこからの御要望、ニーズも大変多岐にわたっているということの中で、そうしたニーズに的確に対応して復興に進んでいくためには復興特区という手法は大変効果的であると思っておりまして、これが今回の基本法に明文化をされたことについては、政府としても歓迎をしているところでございます。  その具体的な組立てに当たりましても、今御指摘いただきましたとおり、まさにそれぞれの地域の事情に応じて実施をすることが大事でございますので、できるだけきめ細かく対応できるような仕組み、それから、まさに御指摘いただいたとおり、今後の復興に当たって予想もできないようなことが新たに生じることがあり得ますので、一旦決めた制度であっても途中で柔軟に対応できるような仕組み、こうしたことを踏まえて、できるだけ早く具体的な制度設計をお示しをしていきたいと考えております。
  163. 長沢広明

    ○長沢広明君 次に、復興債の発行がこの法案の中で明記をされていました。資金の確保については政府原案から欠落していた視点でもございますが、この復興債の発行を明記した理由について提出者のお考え、いただきたいと思います。
  164. 山口壯

    衆議院議員(山口壯君) お答え申し上げます。  元々の内閣提出法案にはこの復興債については書いていなかったわけですけれども、与野党間の修正協議の中で私たちとしてものみ込ませていただきました。それは、特に、四月二十九日のいわゆる政調会長間の合意の中で、復旧復興のために必要な財源については、既存歳出の削減とともに、復興のための国債の発行等により賄う、こういうことも踏まえて、これはいいかなということで入れさせていただきました。  我々、ついては、そのときにおいては、入りと出をきちっと管理するということで、その他の公債と区分して管理すると、こういうこともきちっと書かせていただきながら、これをのみ込ませていただいたと、こういう次第です。
  165. 長沢広明

    ○長沢広明君 法案では、資金を確保するための措置として、まず、復興関連以外の予算を徹底的に見直すということもこの法案の中に書いて、いわゆる歳出削減をしっかり図っていく、無駄を削って歳出削減を図っていくということ、また財投の資金とかあるいは民間資金の積極的な活用も図る、復興債を発行するだけではなくて、無駄を削るとか民間資金活用も図るとか、そういうことまできちんと書かれておるということをまず確認をしておきたいと思います。  財務大臣、これについて、法律の中では、ほかの公債と区分して管理する、あるいは資金の流れを透明化を図るということをあえて明記されておりますが、それに対する見解と取組についてお考え、いただきたいと思います。
  166. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 復興債について各党が合意した経緯については、今、山口議員から御説明ございました。  その中で、今回の基本法の中の八条、九条でありますけれども、各党がこれは完全に認識は一致したというふうに承知をしていますが、委員指摘のとおり、復興債について、他の公債と区分して管理を行うことや、復興に係る資金の流れの透明化を図ることが規定をされております。  復興に係る費用は、復興債を発行するにせよ、いずれにしても国民が担うことには変わりはございませんので、これらの規定は大変重要な規定であると重く受け止めております。  今後、この規定趣旨を踏まえまして、経理の明確化や、あるいは円滑かつ効率的な予算の執行との両立を図る観点から、具体化に向けてしっかりとした検討をさせていただきたいというふうに思います。
  167. 長沢広明

    ○長沢広明君 ただいまこういうふうに復興基本法の柱について確認をさせていただきましたが、一日も早い成立を図りながら、なおかつ復旧復興に向けてのレールをきちんと進めていくこと、そして今この法案の中に修正された中に実は底流にきちんと私は入っていると思いますが、やはり現場の声がきちんと届く復旧復興にすべきであるということをしっかりと進めていっていただきたいということを言わせていただきます。  次に、ちょっとテーマを変えまして、被災者生活再建支援制度についてお伺いをしたいと思います。  今回の東日本大震災の被害の特徴の一つに、広範囲で大規模な液状化現象というのが現れています。この液状化というのは、昭和三十九年の新潟地震のときに初めて現象として認識されました。それは認識されましたけれども、今回の大震災ほど広範囲で甚大な液状化の被害というものを私たちが目の前にしたのは今回が初めてでございます。  その意味で、それにかかわる様々な幾つかの課題があります。液状化被害は、都道府県でいいますと、岩手宮城福島、茨城、埼玉、群馬、東京、千葉、神奈川と大変広い範囲で発生しておりますし、これは国土交通省の確認ですね。内閣府がどこから報告を受けているかというのを確認しますと、千葉、茨城、埼玉、神奈川の関東の四県だけで一万九千戸の住宅が液状化による被害を受けていると。液状化は地盤の液状化ですから、沈み込んだり傾いたりということです。逆に言うと、壊れるという感じじゃありません。沈む、傾くというような被害が起きます。これが一万九千戸に広がっているということで、これを受けて、五月二日付け内閣府においては被災者生活支援制度の認定基準について運用基準の見直しをしていただきました。これはこれで非常に良かったというふうに思っていますが、ただし、今回の見直しの基準だけではまだまだ救われない世帯がたくさんあるということなんです。    〔委員長退席、理事藤原良信君着席〕  配付資料の一枚目を見ていただきたいと思います。(資料提示)これは、今回のいわゆる被災者生活再建支援制度のうち、液状化被害に関連する部分だけを抜き出して簡単に整理したものです。実際は液状化被害の認定というのは、全壊か、大規模半壊か、半壊か、一部損壊かと、こういう認定というのはもっと実は複雑な計算式によって認定をされますが、できるだけ分かりやすくちょっと整理をしますとこういうことになります。  被害程度が全壊、大規模半壊、半壊とあります。基礎、床も含めた傾斜、これは二十分の一以上、四隅の傾斜が百二十センチ下に下がったときに、下にどのぐらい差が開くかという傾きでございます。百二十センチに対して六センチ開きがありますと、二十分の一の傾きということになります。柱が傾いていれば、構造物ですから基本的に床も同じ傾きになります。これによって、四隅の傾きを計算をして、その平均が二十分の一以上だと全壊、六十分の一以上—二十分の一、つまり六十分の一というのは、百二十センチ下で二センチの開きがあるという傾きだと大規模半壊、それより下、百分の一、つまり百二十センチ下で一・二センチまでの開きの傾き以上の場合は半壊と、こういうことになります。  基礎の潜り込みは、床上一メートルまでは全壊、床までは五十万円。基礎の天端下、天端下というのは基礎の一番上の角ということですね、一番上の線、これから二十五センチぐらいまで潜り込んで沈んでいるという場合は半壊と、こういう形になり、それに対して基礎支援金、加算支援金がこれに支給される、こういうのがこの図でございます。  ただ、これは私、参議院の国土交通委員会皆さんと一緒に、千葉県の浦安市の液状化被害を委員会として現地に行きました。そこで、実際に傾いている御家庭の家に入りました。ほかの与野党委員皆さん一緒に、許可を得て入らせていただきました。この御家庭は大規模半壊でございました。この傾いた家に入った瞬間に、やはり気分が悪くなります。平衡感覚が、気分が悪くなるし、頭痛がしてまいります。そこにまだその御家族住んでいらっしゃいました。若い御夫婦でしたけれども、この御夫婦とも、もう夜寝ていても肩凝りが取れない、頭痛がすると。小さなお子さん、いらっしゃいました。お子さんは、家の中にいて、その家にいるとしばらく慣れる、慣れるけれども、遊びに外に出た瞬間に道路で転ぶというんです。つまり、肉体的、現実的な苦痛を受けるんですね、この傾斜被害というのは。  液状化被害というのは、外から見ている以上にそこに住んでいる人にとっては大変な苦痛を受ける、こういう被害であるということをまず認識しなければいけないというふうに思います。  この百分の一から六十分の一については半壊とされますが、その際、基礎支援金は基本的には出ないということになっています。解体した場合のみ、半壊と判断されると解体した場合のみ基礎支援金が百万円出ると。壊さなきゃ百万円出ない。補修したいと。補修しただけでは、補修はなし、半壊で。補修なしといっても、補修といったって傾きの補修ですから、基礎ごとジャッキアップするんですよ。それは百分の一であっても基礎ごとジャッキアップする、そんなお金が、どれだけ掛かると思っているんですか。一千万掛かります。二度とこの液状化を起こさないように地盤の改良も一緒にやるともっとお金掛かる。床の面だけを直す、柱の傾きは直さないで、床の面だけ直すだけでも五百万ぐらい掛かるというんです。それが補修ですよ。その補修でゼロ円なんです、半壊は。出ないんですよ、お金が。ですから、私はこれは見直すべきじゃないかというふうに思います。  資料の二枚目をちょっと見ていただきますと、このお配りした資料の中に内閣府の資料がありますが、百分の一以上は半壊になりますけれども、百分の一というのは、医療関係者にヒアリングを行って設定した居住者が苦痛を感じているとされている値と書いてある、これ内閣府がそう書いているんです。つまり、百分の一以上の半壊は居住者が苦痛を感じると。そして、潜り込みについては、三枚目の資料に書いてありますが、雨が降ると恒常的に床下浸水するから半壊と設定したと書いてある。  つまり、居住者が苦痛を感じる傾き、雨が降ったら必ず床下浸水する沈み込み、それが半壊なんです。だけど、壊さなきゃ一銭も出ない。これは実態に合わない。私は、これは実態に合わないので、これについては見直すべきではないかというふうに思いますけれども、防災担当大臣のお考えをいただきたいと思います。
  168. 松本龍

    国務大臣松本龍君) お答えいたします。  被災者生活再建支援制度は、平成十年に御党の赤羽委員とか様々な各党の皆さん努力をしてつくられました。基礎的には、もう委員御承知だと思いますけれども都道府県知事会が基金を積み立ててそれと同じ額を政府が出すという仕組みであります。    〔理事藤原良信君退席、委員長着席〕  そういう意味では、今回、液状化の問題等につきましては、四月から私どもの担当官が視察をし、東副大臣が現地に行き、そして私の指示で検討部会を開いて、さらにそこには、さっき言われましたように三半規管の話がありますから、医者も入れてくれよということで、様々見直しをして五月の二日に基準を見直したところであります。そういう意味では、五月の二日の基準の見直しで、今まで数百だったのが数千になったというふうに私は思っております。  全ての方々を救うわけにはまいりません。先ほど一千万の話がありましたけれども、例えば百万、五十万があります。半壊で例えば二十万というお金が出たら、基礎支援金、加算支援金のどこを減らすかということまで考えなければなりません。したがって、限られたお金の中で、大規模に破壊された人、全壊をされた人に着目をしてこういう制度になっております。残念ながら、半壊ということは慎重に検討すべきだと。もしするならば、基礎支援金、加算支援金のその百万、五十万も少しずつ下げるということまで議論をしていただきたいと思います。
  169. 長沢広明

    ○長沢広明君 大変残念でございます。  被災者生活再建支援法の趣旨というのは、災害によって生活の基盤である住家に被害を受けたとき、その住居をまず再建しなければ生活の再建ができない。だからこそ、被災者生活再建支援法は、そういう今大臣がおっしゃった枠組みとして、個人の資産、財産に対して国、地方公共団体がお金を出すということは本来あり得ないことだったのを、そこを壁を破って作った法律でございます。  その意味では、この液状化被害についても、そこの家に住み続けることが非常に困難なわけです、傾くということは。これに対する被害に対してきちっと手を打つべきというのは、私は制度上、理論的にもきちっと成り立つことだというふうに思いますので、これはもっとしっかり私、検討してもらいたいと思います。  ちょっと時間がなくなりましたので、少し先へ進みますが、基礎等が潜り込んで浸水するという住宅に対して、さっき申し上げましたようにジャッキアップする、基礎ごと持ち上げて直さなきゃならない、そして場合によっては地盤改良しなきゃならない。このジャッキアップして直さないと浸水してしまうというところの抜本的被害解消のために改修します、そういう改修費に対して補助すると、こういう制度を考える思いはございませんか。まず、防災担当大臣にお伺いします。
  170. 松本龍

    国務大臣松本龍君) 制度そのものは先ほど申し上げたとおりであります。  なお、住宅に半壊被害を受けた被災者に対しましては、災害救助法に基づく応急修理あるいは災害復興住宅融資制度による貸付け、あるいは税の減免等の支援が現在行われているところであります。
  171. 長沢広明

    ○長沢広明君 国土交通大臣、このジャッキアップするということに対して助成するということは、国土交通省としてはどうですか。何かお考えございませんか。
  172. 大畠章宏

    国務大臣(大畠章宏君) 長沢議員からの御質問にお答えを申し上げます。  基本的な考え方は先ほど防災担当大臣が御答弁されたとおりでありますが、私ども国土交通省としても、その課題に対して、独立行政法人住宅金融支援機構による災害復興住宅融資などの支援を実施し、さらには、当該の融資については平成二十三年度補正予算において災害復興住宅融資の金利引下げ等を盛り込むとともに、宅地のみに被害が生じた場合の融資制度を新設したところであります。  また、被災地における被害の実態や地元のニーズを踏まえ、こうした既存制度活用しつつ様々な工夫をしていきたいと考えておりますが、御提言というものを踏まえながら、地元の首長あるいは被災をされた住宅の持ち主の市民の方々の御意見というものを踏まえて、できる限り問題が解決するように努めてまいりたいと思います。
  173. 長沢広明

    ○長沢広明君 大臣、そういうできる限りやりますという姿勢が物すごくいいですよね。そういうふうに、官僚とかの既存のルールや法律に縛られるところに、現場の国民の声を受けてそれをどう破るかというのが実は政治家の仕事なんですよ。これが官僚主導なんですよ。法律がこうなっています、ルールはこうなっています、これまでこうなってきましたから……(発言する者あり)政治家主導なんですよ、ごめんなさい、政治主導なんですよ。それを、ルールがこうなっていますから結局こういうふうにしかなりませんというようなことでは、こういう大変な震災に対して国民、被災者の側に立った政治ができないんですよ。  私は、そういうこの被災者思いに立って、ルールはこうなってきた、しかしこれまでも慣例としてはこうだったと、だけど今復興復旧に対して私たちは政治的決断としてここはこういう突破をしますと、こういう思いをきちっと政治家が示していくこと、これが被災地皆様希望と勇気を与えることになると思うんですよ。残念ながら、さっきの防災担当大臣の御答弁は非常にがっくりしました。もっとそこは考えていただきたいというふうに思います。  被災者生活再建支援制度についてもう一つだけ申し上げますが、この液状化被害というのはさっき申し上げました傾くとか沈むという被害ですので、住家そのものに壊れるという感覚がなかなかありません。したがって、全壊というのが出にくいんです。どうしても、よっぽど沈み込むとかよっぽど傾くということが起きないと全壊と認定されないことがある。  これは、そういうことを考えると、埼玉県久喜市の場合、運用基準見直し前の段階ですが、大規模半壊、半壊を合わせて百世帯近い被害が出ているにかかわらず全壊が一軒もないから、この被災者生活支援法の対象外なんです。全く対象にならない。  ただ、問題は、地震や洪水の被害と違って、液状化というこれだけの被害を私たちは目の前にしたのは今回が初めてと言ってもいいぐらいの大きな規模であるということ、これを考えれば、被災者生活再建支援法の対象として、全壊がなくても対象にできるようにこの対象基準の見直しをすべきではないかと。  全壊がゼロだと駄目、二世帯以上なきゃ、最低でも五万人以下の市町村の場合二世帯以上ないと対象にならないということになっている。だったら、半壊とか大規模半壊を二軒で全壊一世帯として数えるとか、災害救助法の中にはそういう数え方があるんです。だから、これはもう被災者生活支援法のしかも政令部分、法律じゃありません、政令部分を見直すだけでできる。ですので、この液状化被害に関しては、大規模半壊あるいは半壊が二世帯以上で全壊一と数えると、そういうふうに運用基準を見直すということで対応ができると思うんですが、これに対してお考え、いただきたいと思います。
  174. 松本龍

    国務大臣松本龍君) 今、くどく申しませんけれども、五月二日に見直しの基準を作りました。それぞれ常にブラッシュアップといいますか、様々な被害について考えていかなければならないのは当然であります。そういう意味では、私は、液状化は初めてと言われましたけれども、六年前の私どもの福岡でも大きな地震がありまして、まさに埋め立てたところが液状化を起こしました。そのときは制度はありませんでしたけれども、そういう意味では常に見直す必要はあろうかと思いますけれども、今の基金の枠組みの中では、検討はしますけれどもかなり厳しい状況であるということをお伝えをまずしたいと思います。
  175. 長沢広明

    ○長沢広明君 しっかり検討してもらいたいと思います。  ちょっとまた次のテーマに少し移らせていただきます。  ちょっと厚生労働省、確認をしたいことが幾つかございます。避難所の方で、あるいは避難先で病院にかかると医療費の自己負担が発生する場合、今免除ということになっています。ただ、一番当初、最初は、支払困難な人は当面猶予できると、こういう言い方だったものですから、一回支払っちゃった人がいます。その人は、その後その払った分は今免除ですよね、今払わなくていい。その免除になった人たちはその還付は受けることができるんでしょうか。確認したいと思います。
  176. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) 今委員指摘の、既に医療機関に窓口負担を支払った場合におきましては、これは還付されます。それぞれの市町村などの加入をしている医療保険者の方に申請を行えば還付されることになっております。
  177. 長沢広明

    ○長沢広明君 何でこういうことを聞くかというと、避難先の自治体で意外にいろんな問合せがあって、還付されるんですか、いつまで免除されるんですかというようないろんな問合せがあって、なかなかこれ、市町村の担当者が非常に混乱している問題があるんです。通知を出されていると思いますが、通知出しただけではなくて、市町村で今何がどういう混乱が起きているかということをきちんと把握しながら進めなきゃいけないということを申し上げたいんですね。  例えば、今は免除ですけれども、今後本当に被災者の方々が避難先で安心して医療機関にかかれるのかどうか。どうも七月一日から、一部負担金の窓口負担の免除を受けるためには、一部の地域被災者を除いて、原則、保険証の提示と免除証明書を提示しなければならない。要するに、窓口で保険証と発行してもらった免除証明書というのを出さないと窓口負担が生じる、七月一日からだというんです。七月一日から窓口負担取られるんですよ。免除終わるというんですよ。七月一日って、あと二週間ちょっとです。何でこんなことをするんですか。これ、現場の混乱、物すごい招いているんですよ。なぜ七月一日から保険証と免除証明書の提示が必要という体制にするのか、理由を言ってください。
  178. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) 今は保険証もあるいは免除の証明書もなくて、一部負担、一応なく診療を受けられるんですけれども、これは特別な形での措置ということでやっております。だから、一定期間たってまいりますと、こういう特別な措置というものは原則に戻して、いつかはこれをしっかりした正常な形に戻さなければと、こういうことになります。  じゃ、いつから正常な形に戻すかということで、これは私どもの方で被災地の方の市町村に全て連絡をいたしまして、いつまでにそれが可能かということを問合せをいたしまして、それで七月一日だったらできると、こういうお返事だったわけです。ただ、いろいろな地域によっては事情があります。そういう意味で、なかなか難しいところについては例外を設けまして、これについては、岩手宮城福島の三県で十八市町村につきましては、これが八月とか九月とかあるいは十月とか、そういう形で先延ばしでやると、こういうことにさせていただいたところでございます。
  179. 長沢広明

    ○長沢広明君 今御説明をされていましたけれども、簡単に言うと、これまでは緊急避難的に免除していたと。だけど、七月一日からは通常どおりに戻しますという判断なんですよ。七月一日から通常の形になるから、通常は保険証を出していただくと同時に免除証明書というのをちゃんと取り寄せてそれを出さないと窓口負担が生じますよと、そういう当たり前の通常体制に戻しますよという判断なんですよ。  あと二週間ちょっとですよ。本当にそこまでで被災者皆さんの手元に、避難先のですよ、皆さんの手元にこの免除証明書届くんですか。届きますか、どうですか、確信持って言えますか。
  180. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) これは、この点について厚生労働省の方で各市町村の方に問合せをいたしまして、そこで各市町村の方では七月一日までで準備ができると、こういうことで返事をいただいた、そこで七月一日ということにしたわけで、市町村によってはやはりそれは無理だというところもございました。だから、そこは先ほど申し上げましたようにまだ先の方で日程を組ませていただいたと、こういうことであります。
  181. 長沢広明

    ○長沢広明君 そこが本当に完全なお役所仕事になっていまして、市町村、準備大丈夫ですか、体制は取れていますかと聞かれたら、はい、取りますと答えるんですよ。しかし、行政の発行体制ができていることと、避難者の手元にそれが届くことは別問題なんですよ。そこまでちゃんと見なきゃ駄目なんですよ。  例えば、新潟県の三条市に逃げている方々、避難されている方は、福島県の九自治体から三百八十二名、新潟県の三条市に来ている。その人たちにそれぞれの地元の情報というのは誰がやっているかというと、三条市の役人の人たちが何十か所もの避難所を毎日毎日のように回って伝えているんですよ。必死になってやっているんですよ。例えばこの問題一つだって、問合せがいっぱい来る。どうしますかといったら、もうそれぞれ自分の元いたところへ連絡取ってくださいとしか言えないんですよ。  それだけじゃなくて、免除証明書の問題、これは保険の種類によって違ってくる。例えば、福島県の南相馬市と浪江町では、国保や後期高齢者の方は免除証明書が要らないんです。国保や後期高齢者の人は免除証明書は要らない。だけど、けんぽや健保組合の人は免除証明書を提示しないと窓口負担が生じちゃうんです。同じ市町村の出身でも、その保険証によって保険証だけでいい人と免除証明書が必要な人が出てくるんです。このこと、現場事務負担大変なんですよ。地元の市町村の担当者は大変な思いして苦労しているんですよ。  厚労省は通知一枚で済ませているかもしれない。これは済ませちゃ駄目なんですよ。現場自治体の担当者の人たちがどんな苦労をしているか、被災者の方々とのどういうやり取りがそこで行われているか、そこをちゃんとつかんでやらなかったら国は無責任なんですよ。冷たいんですよ、それだけじゃ、紙一枚の政治というのは、行政は。  ちゃんとよく聞いて、もうこういうことは、七月一日までに間に合わなかったら窓口負担が生じてしまうとか、そういう混乱のないようにしっかり対応をしてもらいたいというふうに思います。
  182. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) 今、長沢委員が言われましたように、その点については徹底して周知徹底もさせていただきたいと思いますが、この今回の措置につきましては、市町村の方に事務の処理が円滑にいくように一次補正予算で市町村に特例補助金も出すということでこの支援をやるということにいたしております。そのほか、いろいろな周知徹底のためには最大限努力をしてまいりたいと、このように考えております。
  183. 長沢広明

    ○長沢広明君 もう一つだけ、厚生労働大臣、確認します。  避難先で健康診断を受けるという問題があります。避難元の健康診断と避難先での健康診断は、当然保険者が違うんですよ。それで、例えば、七十五歳以上の後期高齢者の方々が通常の健康診査を避難先で受けられるかという問題がある。周りにいる避難所でその避難した避難者を支えていらっしゃる方々からすれば、このおばあちゃんの健康診断を受けさせてあげたいなって、安心させてあげたいなって、健康のために、思っているけどどうしたらいいんだという問題が生じているわけです。  これも、細かいこと言いませんけれども、これについても健康診断を受けさせてくださいと通知が出ているんです、厚生労働省から。受けさせるように手配してあげてくださいと、その費用や問題については保険者間で調整してくださいという話なんです。保険者間で調整って、どういうことですか。市町村と市町村で調整するということですか。  福島県から避難している人が幾つの都道府県に広がっているか知っていますか。ちょっと聞きましょう。これ、知っています。福島県から避難されている人の避難先が幾つの都道府県に広がっているか、大臣、御存じですか。──あのですね、知らないんですよ。福島県から避難されている避難先が幾つの都道府県に広がっているかというと、四十六都道府県なんです。つまり、福島県以外の全ての都道府県福島県から逃げている避難者の方がいらっしゃるんです。宮城県も同じなんです。宮城県も四十六都道府県に避難者の方が広がっていらっしゃるんです。岩手県は三十七の都道府県なんです。それを全部それぞれ保険者間で調整しろという話ですか。何でそんなこと、紙っぺら一枚でそんな通知出せるんですか、出して平気なんですか。国がきちんと健康診断を避難先でもみんなが安心して受けられるように、こういう手続で、こういう基準で、こういうことをやればお互いにうまくいきますよという統一的なガイドラインなり指針なりをきちんと出してあげるのが筋じゃないですか。そういうことをきちんとやるのが仕事なんですよ。それをしっかりやってもらいたい。  お答えいただきたいと思います。
  184. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) 委員が御指摘のような、そういう厚生労働省からのお願いの通知はさせていただいたところでございます。ただ、今委員が御指摘のように、いろいろな混乱も生じたということもあって、厚生労働省にもいろいろな問合せも来ていたところでございます。  やっぱり、個別的な対応だけでは私も駄目だというふうに思います。したがって、委員指摘のように、しっかりしたガイドライン等示しまして、各自治体の方に連絡をするようにしたいと考えております。
  185. 長沢広明

    ○長沢広明君 それでは、同僚委員に引き継ぎます。  ありがとうございました。
  186. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 長沢広明君の関連質疑を許します。竹谷とし子君。
  187. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 公明党竹谷とし子です。長沢委員に続き、質問させていただきます。  公明党は、東日本大震災復興ビジョンとして、人間の復興を掲げています。それは、単に被災した地域復興ではなく、憲法が定める幸福追求権と生存権に基づいて、人間そのものに光を当てた真の復興を目指すという強い決意を込めて人間の復興を掲げました。被災地のインフラや産業が復旧復興しても、そこに暮らしておられる人間が置き去りにされては真の復旧復興とは到底言えないと思います。  その意味から、被災地のお一人お一人の生活や人生に光を当てて、国や政治がどのような支援の手を差し伸べれば、また、どのような支援の枠組みをつくれば将来に夢と希望を持って厳しい現実を前向きに歩んでいただけるのか、また、被災された皆様復興の主体者となれる制度にするためにはどうすればいいのか、そのような視点から、本日、私は質問させていただきたいと思います。  まず、昨日の本会議でも質問させていただきました義援金災害弔慰金の申請件数、支払件数、申請から支払までの所要日数について、厚労大臣の現状認識をお伺いしたいと思います。
  188. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) まず、義援金でございます。  義援金につきましては、六月十三日現在、約二千七百億円が日赤等に寄せられておりまして、このうち、八百四十二億円が被災都県に送金をされ、市町村には七百五十一億円が送金されているところでございます。被災した方のお手元には、約十四万六千件、四百四十一億円が届いているところでございます。  申請から支払までの日数でございますけれども、市町村によっては異なるところもありますけれども、早いところでは十日前後でお手元に届いているというふうに聞いております。  それから、災害弔慰金の方でございますけれども、これは六月二日現在の支払状況につきましては、支給済みの件数が三百三十一件、約十一億円が被災者のお手元に渡っております。被災三県では、岩手県が三十九件、約一億二千万円、宮城県が二百五十二件、約八億四千万円、福島県では四件、約一千万円がお手元に届いております。  以上です。
  189. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 質問にお答えいただいていない部分もあるんですけれども、時間がないので先に進ませていただきますが、所要日数について、義援金の所要日数について、二か月たっても来ていないというお話、複数のところで聞いております。十日前後というのは本当に早いところだと思います。  これ、本当に国として把握していないということだと思います。支給事務が滞っているという、このボトルネックがどこにあるか、きちんと的確に把握をして、非常事態ですから国が前面に出て被災された方のために問題を解決していくべきであると改めて申し上げたいと思います。  次に、生活再建支援金の申請件数、支払件数、申請から支払までの所要日数について、防災担当大臣にお伺いいたします。
  190. 松本龍

    国務大臣松本龍君) 昨日現在で、四万件の申請があって、一万二千件が手続が終わって、振り込み手続が終わったと聞いております。日数については、今、都道府県会館、かなりの勢いでやっておられるというふうに聞いています。
  191. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 人員を増やして今週から随分件数が増えたということもお伺いしておりますけれども、やはり余りに遅いと言わざるを得ません。義援金災害弔慰金生活支援金、それぞれの制度趣旨や目的が異なるということは分かりますけれども、遅いというだけではなく、なぜこんなに手続も支払もばらばらなのかと被災者がおっしゃられています。
  192. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 再度答弁をいたします。松本防災担当大臣
  193. 松本龍

    国務大臣松本龍君) 聡明な委員ですからよくお分かりになっていると思いますけれども、それぞれつかさつかさでやっております。この事務手続は全国知事会の都道府県会館がやることになっています。発災から三月の二十日ぐらいで、もう十万世帯にこの支援金、これが要るなということは彼らが分かっているはずです。私は、罹災証明を早くするために、自分の仕事を押して、四月の初めには一か月掛かるのを一分でできるようにしました。彼らは、三月二十日ごろ十万世帯が被害に遭っているということであれば、そこからコンピューターを増やしていって、人員がどれだけ要るか、財政がどれだけ要るかということをずっと考えていたはずです。ですから、彼らが遅れたのを私は五月に督励をしましたけれども、いろいろな意味でやるところがやらなければこの災害は乗り越えられません。そういう仕組みであることは御理解をいただきたいと思います。
  194. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 時間を使われてしまって本当に残念なんですけれども、今大臣が彼らが彼らがとおっしゃっていることが、まず他人任せのような気がいたします。  次の質問をさせていただきます。  今御答弁ありましたとおり、義援金災害弔慰金生活再建支援金も支給が非常に遅れています。報道でも明らかなとおり、貯金を取り崩しながら生活をされている、また親戚の方から支援を受けて生活をされるなど、経済的な困難を抱えた被災者の方々が数多くいらっしゃるのは御存じだと思います。手元にお金がないということがどんなに心細いか、国は全く分かっていないというのが被災された方の思いです。  このような被災者の方をやみ金がターゲットにしたという心配すべき報道が先日ございました。新聞報道によると、被害に遭ったのは四十代の男性。自宅は半壊、勤務先は営業休止。生活資金が尽き始めたところで一万五千円を借りてしまったところ、次々と別のやみ金業者から電話があり、合計で七万五千円を借りてしまったとのことです。一週間後に最初の業者から、倍にして返せ、被災者でも生きている限り取り立てるという脅しの電話が掛かってきたと。なぜ被災者の方にやみ金がお金を貸すのか。仙台市の弁護士は、義援金などで回収できると考えているのではないかと説明をされています。  このような被害を拡大させるわけには絶対にいきません。被災者を狙ってやみ金や悪徳業者が暗躍することがないよう厳しく取り締まり、被害を未然に防いでいくべきであると考えますが、金融担当大臣対策と決意を簡潔に御答弁ください。
  195. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 竹谷議員が今新聞で言われたこと、私も読ませていただきまして、貸金業法を所管する大臣といたしまして大変な強い関心を持たせていただいておりますけれども、今のところ、財務局あるいは被災地自治体、それから御存じのように各県に消費者センター、それから弁護士会、それから警察等、これ三県ございますが、そこら辺の話を通じても、今のところ数字としては増えてないということでございますけれども、今言われたように義援金等々を目指したやみ金の被害に遭わないように今後とも被災地状況を注視していく必要がある、こう思いまして、引き続き、これは本当にそういったことはあってはならないことでございますから、しっかりいわゆる警察とも連携をして適切に対処してまいりたいというふうに思っております。
  196. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。  先ほど来申し上げているとおり、震災から三か月がたちました。しかし、被災者の方々は、家がない、仕事がない、お金がない、義援金も来ない、ないない尽くしです。また、約九万人の方が避難所で暮らしていらっしゃいます。  厚生労働省生活福祉資金緊急小口の貸付けを行っています。十万円、所得制限なし、無保証で貸付けを行うよう取り組んでおられます。この貸付件数、貸付累計額と予算額について、厚生労働大臣にお伺いいたします。
  197. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) この生活福祉資金でありますけれども、今十万円と言われましたけれども、これは緊急小口資金ということで特例貸付けといたしまして今二十万円を無利子で貸し付けております。この貸付けにつきましては、六月五日までの間で七万件でございまして、貸付金額は約百億円に上がっております。  これにつきましては、予算付けも、第一次補正予算におきましてこの緊急の小口資金の貸付特例、そしてこれに続いて更に生活復興資金の貸付けということを予定をいたしておりまして、計二百五十七億円の予算を計上いたしているところでございます。
  198. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 ありがとうございます。  ちなみに、この生活福祉資金は申請してから振り込まれるまでどのくらい掛かるものでしょうか。
  199. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) これは小口で無利子ということで、生活にむしろ困っている方にでありますから、これは緊急にやるようにということにいたしておりまして、具体的にはどれくらいかということはちょっと事務方から聞いておりませんけれども、これについては七万件もう既にやっておりますから、割と早く支給されているんではないかというふうに思います。
  200. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 こちら、三日から四日で振り込まれるというふうに私の方では伺っております。この緊急小口、七万人の方のお手元に素早く届いたということで、非常に使い勝手がいい制度ではないかと思います。  今後、厚生労働省では、この生活福祉金の新たなスキームとして、一人二十万円を六か月にわたって貸し付ける、二十二年で返済する生活復興支援金、先ほどおっしゃられました、準備していると聞いております。その貸付けの開始はいつごろから始まるのでしょうか。
  201. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) 今度の一次補正予算で、先ほど説明をいたしました緊急小口資金、これに加えて生活復興資金をこれは予算付けをいたしておりまして、これは今月中にやるということで今進めているところでございます。
  202. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 今月中にスタートするとのことですけれども、今月からスタートして七月から申込みを受け付けるという、そういう形になるのかと思うんですが、いつ被災者の方に振り込まれるのでしょうか。
  203. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) これは、被災者の方には大体一週間で届くというふうな形で進めております。
  204. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 これまでは一か月程度掛かるというふうに伺っていたんですけれども、それは短縮された、一週間で届くようにするということでよろしいですか。
  205. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) できるだけ早く被災者の下に届くようにやります。
  206. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 できるだけというのは、確認ですけれども、一週間でというふうにおっしゃられたことを確認させていただいたんですけれども、もう一度答弁お願いいたします。
  207. 細川律夫

    国務大臣細川律夫君) 先ほどお話を申し上げましたように、一週間程度で届くようにいたしたいと思います。
  208. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 ありがとうございます。前向きな答弁をいただけて、質問したかいがあると思います。  委員会でもこれまで何度も取り上げておりますけれども被災者支援の様々な遅れの原因の一つ被災自治体のマンパワー不足です。この被災自治体に対する人的支援状況、現在支援に入っている人数について総務大臣にお伺いいたします。  あわせて、被災自治体の人的ニーズは現在の体制で充足できていると認識されていらっしゃいますでしょうか。総務大臣の御見解を伺います。
  209. 片山善博

    国務大臣(片山善博君) 被災自治体では、そもそもが平時の対応で組織、人員を構成しておりまして、今回のように大きな被害を受けますと、その対応に今苦慮しております。さらに、被害の大きいところは数十人単位で職員の方が命を失われているということもありまして、これを支援するということがその大きな課題であります。  もう被災直後から、それぞれの県で、県の方から相当な人員を支援しておりますし、近隣の市町村からも支援に駆け付けております。また、全国的なその姉妹都市の交流でありますとか、それから関西広域連合のように言わば分担を決めて支援をしているところもあります。それでも足らないところがありますので、それを総務省が全国市長会、町村会等の協力を得まして支援のシステムをつくっておりまして、現時点で、これ五月三十一日現在でありますけれども、その総務省と市長会、町村会の支援で千十七名の職員が派遣をされております。これからは、比較的長期の要望が多いものですから、先般改めてその要望を聞き直しまして、百八十七名が長期の要望として今ニーズが出ておりますので、これのマッチングを行っているところであります。  そのほか、国家公務員の派遣についても、現時点で、六月六日現在で五百四十二名の国家公務員が被災地に派遣をされております。  それから、足りているのかということでありますが、実は要望については全て満たすようにしております。これからの要望も全て満たします。単に待ちではなくって、本当に掘り起こしの意味も兼ねて、要望は本当にこれで大丈夫ですかということをこれまでも再三聞き取ってまいりましたし、それでもまだ罹災証明の発行が遅れているとか、義援金の配分が遅れているということがありますので、厚生労働省大臣相談をいたしまして、総務省職員厚生労働省職員を現地に派遣をいたしまして実態を見てまいりました。  それは、例えば、スペースが足らないので、まだ仮庁舎の建設中なので今来ていただいてもということで、もうちょっと後からとか、できれば地元の実情に詳しい人をお願いしたいというようなこともありまして、そういう要望をこれからもよく聞き取って対応していきたいと考えております。
  210. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 今、待ちの姿勢ではなくというお言葉ありましたけれども是非網羅的にくまなく被災自治体状況を見ていただいて、必要だというふうに国が感じたところに押しかけ型でも手伝いに行くという、そういう姿勢でお願いをしたいと思います。  最後に、被災された皆様希望を持って生活をしていけるよう全力で支援させていただくことをお誓い申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。     ─────────────
  211. 柳田稔

    委員長柳田稔君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、舟山康江君、神本美恵子君が委員を辞任され、その補欠として谷岡郁子君、那谷屋正義君が選任されました。     ─────────────
  212. 松田公太

    ○松田公太君 みんなの党の松田公太です。  この震災で命を失われた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げたいと思います。  菅総理、復興基本法案の本題に入る前に、どうしてもお聞きしたいことが二つございます。  菅総理が民主党の代議士会で退陣表明をされた前日の六月一日に私が本会議で菅総理に質問をしたことを覚えておりますでしょうか。メルトダウンの質問をさせていただきまして、これ以外に菅総理が既に御存じで、隠しているような情報はございませんねと、もしあったとしたらこの場で是非お話をしてくださいということを申し上げました。  その場では何も出てきませんでしたが、そのたった五日後の六月六日には、原子炉圧力容器の破損、メルトダウンの始まりが実は地震発生五時間後だったという話や、放射性物質の総排出量が元々公表されていた数値の二倍の七十七万テラベクレルだったということが発表されました。  これ、総理は六月一日の時点で既に御存じだったんではないでしょうか。本当のことをお答えいただきたいと思います。  そしてもう一つ。もう一回聞きますが、この時点で知っていること、若しくは可能性を推測しているがまだあえて開示していないこと、このようなことございましたら是非この場で公表していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  213. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) まず、これまでの原発事故に関する情報公開についていろいろ遅れや後の訂正があったことは事実でありまして、こういう不信を招くような対応が続いたことについて全体の責任者として申し訳なく思っております。  そこで、今御指摘の点でありますけれども、結論を申し上げますと、私は、私自身が知っていてわざわざそれを外に出すなとか、あるいは私が言うべき場で言わないということは、この発災以来一つもありません。そのことだけははっきりと申し上げておきます。  今御指摘の五時間で圧力容器破損云々という話は、私も調べてみましたら、六月六日に原子力安全・保安委員会が公表した東京電力福島第一原子力発電所の事故に係る一号機、二号機及び三号機の炉心の状態に関する評価についてのことと思います。これは、東京電力が五月の二十三日に保安院に提出した原子炉の状態に関する分析結果を基にして保安院が独自に解析評価を行い、公表したのが六月の六日であります。  震災発生後比較的短時間で圧力容器破損が発生した可能性が高いことは、一般的には、五月十五日にも東京電力が公表した一号機の炉心状態に関する解析結果で既に一般的な認識はしていたわけでありますけれども、この保安院の解析結果そのものは公表の段階で初めて承知をしたということであります。  原子炉内の状況については、正確な情報が得られず評価が困難な中、原子力安全委員会、原子力安全・保安院、東京電力等の見解を聞きながら対応を進めてきたところです。私としては、原子炉の状況について様々な見方があり、あらゆる可能性を想起すべきことは認識していましたが、少なくとも公式的に申し上げるときにはこの原子力安全・保安院などの公式見解に基づいて説明をしてまいりました。  また、いろいろな可能性については、当初から私も参与とかあるいは参与にはなっていただいていないその道の詳しい方といろいろ意見交換をしておりましたので、いろいろな可能性については確かに聞いておりました。ただ、私の立場でそれらを全て、こういう可能性を聞いた、ああいう可能性を聞いたということではなくて、責任者としては確認されたことについてきちんと申し上げた。そして、いろんな可能性については、そういう場合にどう対応するのかということを、つまりは、たとえそういう表に公式的に出されていることよりも状況がより厳しい可能性もたくさんありますので、その厳しいことも想定した中で対策を打つように指示をしてまいりました。
  214. 松田公太

    ○松田公太君 今、長々と御答弁いただきましたが、ないということでよろしいんですね。──はい。これは、こういった情報に本当に命がかかわっている人たちがいますので、本当になかったことを私は切に願って、次の質問に移らせていただきます。  どうしてもお聞きしたかった二つ目のこと、先日の内閣不信任案のどたばた劇、これについてなんです。  私が政治家になって本当にがっかりした、最もがっかりした出来事でした。今もなお怒りが収まりません。松木けんこうさんが言っていましたが、本当にみんなおかしいよというふうに思ってしまいました。  あの元総理大臣の鳩山さんでさえ、民間企業に失礼ながらお勤めだったら仕事ができないやつだと言われても仕方がないようなことをされていました。何ですか、あの総理と交わされた確認書というのは。もし民間企業の社員があれほどあやふやな確認書とか誓約書を喜んで会社に持って帰ってきたら即刻首ですよ、そんな人。一般社員じゃなくて代表者だったとしたら、もう本当にそれこそ株主代表訴訟だと思います。菅総理の肩を持つわけじゃありませんが、あれでペテン師呼ばわりする方が私はおかしいと思ってしまいました。しかし、あのような方が総理大臣だった、また民主党のトップだったと思うと私は驚きを隠せません。  そして、風見鶏の民主党議員たちにも本当に正直がっかりしました。全く信念というものが感じられなかった。前日までテレビに偉そうに出て、私は国のために賛成票を投じると言っていた方々が、平気な顔をして反対票を出している。私は同じ日本の政治家として非常にがっかりしてしまいました。これだけ困っている被災者の方々がいる中で、国会を開店休業にしてまで政局に明け暮れた。もし信念があって本当に国民のためを思ってそれをやっていたとしたらまだ仕方がないと思っていましたが、結局はただの内輪もめ、主導権争いだったわけです。国民もこれほどまでに政治家にがっかりしたことはなかったんじゃないかなというふうに思います。  そこで、私が本日、菅総理にどうしてもお願いしたいのは、この場で被災地皆様におわびをしていただきたいということです。あの茶番劇の後の記者会見などを私拝見しておりましたが、菅総理はさらっと国民の皆さんにはおわびしますと言っていましたが、今一番困っている被災地皆さんにはちゃんと謝っていなかった。根底にはもしかしたら不信任案を出された、提出された方の自分は悪くないというふうに思っていらっしゃったのかもしれませんが、しかし、やはり原因をつくってしまったのは菅総理なんです、御自身なんです。この特別委員会震災復興委員会ですから、この場でまずは被災者皆さんに正式におわびをした方がよろしいんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  215. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 私自身、今も御指摘ありましたが、こういう震災のまだ大変、復旧復興が真っただ中、原子力事故もまだ収束していない中では、多くの国民の皆さんは与野党という壁を超えて協力をしてほしいと思われていたと思いますし、私も不十分かもしれませんが、そういう気持ちで野党の皆さんにも少なくとも私なりには臨んできたつもりであります。しかし、結果として不信任案が提出をされることになったのは、おっしゃるとおり、私にも大きな原因をつくったという点で国民の皆さんに申し訳なく思っております。  その上で、松田議員も初めて当選されて多分こういう政治の在り方そのものも含めて場合によっては嫌気というか何か失望感をお持ちになっているかもしれません。私も率直に申し上げて、これは本当に率直に申し上げて、私個人が例えば、はい辞めますと言ったら、原子力の事故も収束する、これも良くなる、あれも良くなるというのであれば、もちろんすぐにでも辞めます。  しかし、三月十一日に私がこういう事態に立ち至ったときの総理大臣として、やらなければいけないことが山とあるだけではなくて、それは、評価はこれから先に出てくると思いますが、例えば原子力事故の問題で私が翌日の朝行ったことについてもいろいろ批判はあります。しかし、私は現場の担当者とコミュニケーションが取れて、そして十五日の午前、何時でしたか、四時か五時ごろに統合本部をつくって、そして本店で、つまり東電本店で直接福島原発との間でのテレビ会談ということができる体制をつくったことは、その後の対応に対して、私は極めて前進をしたと今でも思っておりますし、一つ一つのことについての評価は、後に一つの評価が出ると思いますが、私としては、単に全力でやったというのではなくて、やったことによってより悪い方向に行くものを止めたことも多々あると私自身は思っておりますが、今そのことをこれこれこれこれとあげつらうつもりはありません。  そういった意味で、私として、代議士会で申し上げたことは、これも余り長くなると恐縮ですから一言にとどめますが、確かに、党内がまとまっていく状況が非常に難しい中で、私としてはぎりぎりのところで一定のめどが付くまではやらせてもらいたい、一定のめどが付いたら次の世代に責任を譲っていきたいと、このことを申し上げ、党内的にはそれで大部分の人が了解をいただいて、圧倒的な多数で不信任案が否決されたわけでありますから、少なくとも一定のめどが付くまでの責任はきちっと果たしていかなければならないと、こう考えております。
  216. 松田公太

    ○松田公太君 率直なお話ということで、どうもありがとうございました。  私自身は、嫌気が差したというふうにおっしゃっていましたが、全くそういう気持ちはなくて、むしろ、これを何とかしなくちゃいけないなと、本当に心から思いました。  菅総理、これは質問として提出しておりませんが、ちょっとあえて聞かせていただきますが、今のお話をいただきましたので。  先ほど私は、鳩山総理、民間の企業だったら使えない社員と言われても仕方がないというお話をしてしまいましたけれども、菅総理、実は私は経営者時代に社員にいつも言っていたことがあります。社員として、もし仕事ができるようになりたかったら、まず納期を明確にしなさい、何事にも納期が大切なんですよという話をし続けてきました。  今、一定のめどというふうにおっしゃいましたが、その一定のめどというのは本当にいつのことなのか、この場で是非教えていただければと思います。
  217. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 私は、特許事務所を経営していて、これはもう一定のめどどころではなくて、何月何日を一日でも超えたら権利が失効するような仕事でありましたので、常に日程というものは厳しく管理もし、認識もいたしておりました。  政治の社会とビジネスの社会が共通の部分と違う部分がありますけれども、つまりは、一般的に言えば、出処進退というのはまさに出処進退でありまして、何か納期のように、実はいついつに辞めようと思っていたとしても、そんなことを公にはしませんし、あるいは前の日に決断することも当然あると思います。  私が申し上げたのは、先ほど多少率直に申し上げたつもりでありますが、六月の二日の段階で、党内のいろいろな議論の中にあって、そのまま不信任案の上程になったときに、党内的に非常に大きな亀裂が生じてしまうということを考えました。もちろんそのときのことも考えました。しかし、私なりに最終的なその段階で考えたのは、私が一定のめどが付いた段階で責任を譲ると、それまではやらしてほしいということを申し上げることによって、大多数の我が党衆議院議員がそれならそこまではやらしてやろうということで統一した行動を取っていただいたわけでありまして、それが納期のような形でいつまでということは残念ながら申し上げる種類のことではないと、こう思っております。
  218. 松田公太

    ○松田公太君 本当に納期を明確にするということは、私自身はやはり何事にも非常に大切、まずそれがありきじゃないかなというふうに思っていますので、是非早々に、いつお辞めになられるのか、これを明確にしていただいて、引継ぎもしっかりやっていただければなと、このように思っております。  さて、復興基本法案に入らせていただきますが、私が国会議員になって感心したことが一つあります。例えば基本法案、様々な法案がございますが、この法案作りにおける言葉遣いや文章の書き方、本当にお上手なんですよね。巧みだと私は思います。頭のいい官僚が集まって一生懸命書いているんだなという気がします。目的や理念もそれらしいことが書いてある。難しい言葉もたくさん並んでいて、普通に読んでいると、あっ、これはすごい法案じゃないかなというふうに思ってしまいます。  しかし、その巧みな言葉遣いの裏側にいつも見えるのは、私にはレトリックが見えます。あやふやな言葉が非常に多いんです。実際にこの基本法案をしっかり読み込めば分かりますが、この基本法案どおりに事を進めても、本当に被災地が良くなるのか、日本は良くなるのか、クエスチョンマークが付いてしまうものばかりです。震災でゼロからマイナスになったものをまたゼロに戻すだけ、そのようなものが多いと感じてしまいます。だからこそ、私どもみんなの党は、この政府民主党、自民党、公明党で出してきた復興基本法案に反対を表明して対案を提示させていただきました。ゼロからマイナスになってしまうだけでは駄目だと、ゼロではなくプラスにしたいからこそ、あえて、空気が読めないな、みんなの党はと言われようとも、唯一数ある政党の中で対案を出させていただいたわけです。我々の国家経営のビジョンを明確にしたつもりです。  そこで、菅総理にお聞きしたいのは、我々が提出した復興基本法案の対案、これは果たして読んでいただくことができましたでしょうか。
  219. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 概略の比較については読ませていただきました。
  220. 松田公太

    ○松田公太君 ありがとうございます。  ちょっと概略ということが少しショックだったんですけれども、せっかくこうやって対案を出して、菅総理、いつも開かれた国会だというふうにおっしゃっているわけですから、是非じっくりと読んでいただきたかったなと。数ある政党から唯一みんなの党だけですから、一つだけですから、対案が出てきたのは。それを是非、本当は読んでいただきたかったなというふうに思いますが。  まず、私が申し上げたいのは、私どもみんなの党の対案の相違点、政府案との、これは全体的な日本国の今後の方向性に対する違いじゃないかなというふうに思っております。これはお気付きになったかもしれません。今も日本は中央集権的発想、つまり、いつまでも地方から陳情で頭を下げに来させるやり方で霞が関がこの国を支配していくという感じですが、それを地方に権限と財源を移譲しまして地域の活力を生み出す、その方向性を考えるというのが私どもみんなの党の案でございます。  菅総理は御存じだと思いますが、みんなの党ではアジェンダの一つとして、地域主権型道州制への移行をずっと一貫して提言し続けております。これが新しい元気な日本をつくる一つのイニシエーションになるんじゃないかなと私は思っているからです。日本は戦後一気に大きくなって、バブルを経験して、そして今活力を失ってしまいました。会社でも、大きくなり過ぎたら本部だけで物事を全て決定することはできなくなるわけですから、カンパニー制をつくるとか、若しくはその本部制をつくるなりして権限を移譲していくわけです。  菅総理も、地域主権は地域が主役となる社会の構築や、様々な壁を打ち破って政治主導で改革を実現するために必要だと何度も過去におっしゃっていますよね。あと何日、菅総理は総理でおられるのかは分かりませんが、私は一番の花道になるのは、やはりこの復興基本法案、これを成立して退陣なさることではないかなというふうに思っております。  だとしたら、ここで思い切って、ずっとおっしゃってきた自分の考えを一つでも後世に残すために、マイナスからプラスをつくるために、新しい元気な日本をつくるために、この復興基本法案の中に地域主権を先取りしたプログラムを取り入れるようなことを考えてみたらいかがでしょうか。いや、なぜ考えなかったのか、是非お聞かせいただければと思います。
  221. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 二つのことが、おっしゃっていると思います。  一つは、この復興基本法というものそのものの中に、どういうところまで将来のことを入れるのか。今回の復興基本法は、政府案は取り下げました。ですから、民主党を含む、あるいは自民党、公明党三党で今改めて出されているのが法案でありますので、政府案というもののように私が全てを趣旨を申し上げるという立場にはありませんが、基本的にはこの現在提出されている我が党も含んだ案は、この復興に関してどういう組織をつくるか、復興庁をつくるといったことになっておりますが、必ずしも道州制というものを前提としたものではありません。そういった意味で、この法案がそういう性格を前提としていないということは、提案された皆さんのおおよその基本認識ではないかと思います。  そしてもう一つ、それでは道州制の入口にしたらどうかという、そういう御趣旨の話だと思います。私は、一般的に地域主権というものをずっと、あるいは地方分権というものをずっと考えてまいりました。その場合に、道州制という考え方、かつて大前研一さんが大変強く主張された時代もありました。また逆に、基礎自治体を中心とした地方分権という考え方も長年議論されてまいりました。私は、そういう中で、確かに、逆に国の権限を限定する法律というものをかつて作ろうということで、当時の枝野議員に協力をしていただいて、中央の政府の権限限定法というものを作ったことがあります。  私は、そういう形で国の仕事を、例えば江戸時代の江戸幕府がやっていた外交とか防衛とか通貨に限定して、あとのことは各藩の自由に任せると、そういう考え方で分権を進めていくという、基本的にはそういう考え方を持っておりまして、そのことが今、松田さんが言われたことと共通するかしないか分かりませんが、私の基本的な考え方はそういう考え方であります。
  222. 松田公太

    ○松田公太君 時間がないのでちょっと次に移らせていただきますが、みんなの党案、また今おっしゃった政府民主党、自民党、公明党三党の案、大きな違いのもう一つの部分は、お金、復興財源、これをどこから工面するのかということに見えると思います。みんなの党は、使える埋蔵金があるんだから、まずはそれを使いましょうと訴えているわけです。これは、今回の復興に限らず、みんなの党の基本的な行動指針として言い続けていることです。  例えば、消費税を上げる前にまずは埋蔵金。埋蔵金というのは、私の感覚でいうと、民間の会社でいうと、関連会社、子会社が持っているへそくりみたいなものです。これをまず使いましょうよということを言い続けています。そして、今の景気の悪いタイミングでの増税は一貫して反対としております。九七年の消費税アップを私は経営者として経験していますが、本当に大変でした。デフレが一気に進んで、そして景気が更に悪化したんです。  それに対して、政府民主党、自民党、公明党案は、非常にあやふやな、お金の捻出方法は何でもあり、つまり増税だということを暗に示唆しているような内容になっております。しかし、先週の衆議院復興特別委員会で我が党の柿澤議員が質問したところ、枝野長官、今いなくなってしまいましたが、枝野長官法案提出者も増税については明言を避けられているんですね。私が本当に不思議なのは、何でこんなにあやふやにして、こそこそしているのかなというところです。復興構想会議では最初から増税だと言っていましたよね。非常に大切な話なんです。堂々と国会の場でオープンに議論しましょうよ。  菅総理、復興財源には増税が入っているんでしょうか、イエスかノーで最後、お答えいただければと思います。
  223. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) みんなの党の案がいわゆる埋蔵金で捻出しようということになっていることは承知をしております。しかし、私どもも埋蔵金をこの間たくさん使ってきました。あるいは、民主党が政権をつくる前にも、自民党も、自民党政権も当初は埋蔵金なんてないと言う方もありましたけれども、かなりいろんなものを捻出に使ってまいりました。  その上で、確かに今でもまだまだ埋蔵金が一部あることは事実であります。しかし、御指摘のようないろんなテーマは、埋蔵金というよりも別目的で、例えば労働特会のような形で別目的で使っているものを自由に使っていいのかとか、あるいはいろいろな、何といいましょうか、片方で赤字が生じているものの補填の対象として黒字部分があるものを、その黒字部分だけ取れば当然赤字部分だけ残るわけですから、そういう意味では、本当の意味で借金を増やすことにならないような埋蔵金ではなくて、結局は借金を増やすことになる埋蔵金を使っていこうというのが、私が見るところ、御党の考え方だと思いますので、是非そこは、松田さん御自身、よく自分たちの財源を、本当にこれが、例えば会社でいえば、利益として積まれているものなのか、借金引当金として積んであるものなのか、そこはよく見ていただきたいと思います。  その上で、この復興債券について、一般の国債、いわゆる建設国債、赤字国債とは別の会計にして、そしてそれに対してきちんと償還を考えようという三党の考え方は、私は、もちろん我が党も参加をしているから当然でありますが、私はしっかりした考え方だと、こう考えております。もちろん、それを何年にわたってどういう財源でやるのかということはありますけれども、少なくとも現在の日本の財政の状況は、国際的に見て、確かに国際的にはいろんな見方がありますが、少なくとも私が知る限り、IMFの言い方も、あるいはG20に私が出たときの言い方も含めて、我が国はぎりぎり二〇一五年までにプライマリーバランスを最悪の時期に比べて半分まで少なくするから、少し時間の余裕をもらいたいということで、他の国よりは緩い基準で財政再建の計画を了承していただいております。  ですから、どの程度の長さが掛かるかは別として、復興という、そうはいっても大きなお金は掛かりますけれども、永久に毎年続くような出費ではありませんので、それを別会計できちんと償還の考え方を設けるというのは私は大変重要な考え方だと、こう思っております。
  224. 松田公太

    ○松田公太君 ちょっとお答えいただけなかったんですが、本当にもっともっと追及したいんですけれども、ちょっと時間ですので、残りは私の同僚の小熊議員にバトンタッチして、私の質問とさせていただきます。
  225. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 松田公太君の関連質疑を許します。小熊慎司君。
  226. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 松田公太議員の関連質問をさせていただきます。  四月の訪日外国人の数は、前年同月と比べて六二・五%も減っております。そこで、外国人の観光の意識を調査した結果、やはり原発事故に起因する放射性物質の危機感から訪日を避けている。そして、その背景として、やはり情報がちゃんと出ていない。日本政府を信頼できると言った人は一四%です。これは国外だけではなくて、国内においても政府に対する信頼、政府だけではなくて、我々政治家自身に対する不信といったものが、本当に低下をしているところであります。復興のためには、政治に信頼を取り戻さなければその一歩も進めないというふうに私は思います。  そういった中で、私も福島県議会議員の経験者であります。この委員会にも岩城光英委員始め尊敬する多くの先輩がおられますけれども、二〇〇三年、東電の原子力発電所で一連の不祥事が起き、そして原子力発電を全て停止をしたことがありました。その後、当時の社長の、今、現会長の勝俣さんが福島県議会に来られ、るるその後の対応を我々県会議員の前で説明をされました。  そのときの県会議員で今、国会議員になっているのは私だけでありますので、本来であれば勝俣会長をお呼びしたかったわけでありますけれども、与党の筆頭理事から、会長は原発事故の陣頭指揮に当たっているということで、社長を参考人として認めてくれということで、やむなしの了承をしたわけであります。社長が陣頭指揮ではなくて、会長が陣頭指揮を執っている、本来のトップである人が陣頭指揮を執れないというのはどこかの国の政治に似ているなというふうにも皮肉にも思った次第であります。  本来であれば、その当事者の勝俣会長にお聞きをしたかったわけでありましたけれども、その当時、平成十四年に不祥事が起こり、そして平成十五年、平成十六年と、二度にわたり福島県議会の全員協議会の席で再発防止に努めるということをお約束をいただいたはずであります。そのときに大きく掲げたものが、これは平成十七年の資料ではありますが、平成十四年当時から東電が掲げている四つの約束です。(資料提示)  委員皆さんにも資料をお配りしておりますけれども、この中に、情報の公開をしっかりとやっていくということがうたわれております。そしてまた、当時の全員協議会の中におきましても当時の勝俣社長は、一旦失われた信頼を取り戻すためには、発電所の中がガラス張りで、良いことや悪いことも含めて全ての情報地域皆様に知らせるということが、地域皆様に安心感を持っていただくため大変重要であると考えているというふうに言われました。  しかしながら、そうした説明をされているさなかにも、当時の知事が原子力発電所を視察して、視察した後に新たな情報が出てくる。まさに今の状況と同じように、追及をすればその後また新たな情報が出てくるといった、こうした体質が一切このときから変わっていないということに私も驚愕をしますし、また自分自身、こうした企業体質を見抜けずに、原発の再稼働やそして原子力政策の容認、推進に加担してしまったという私自身の反省も大きく今持っているところであります。  そして、そうした後出しの情報の中で、また勝俣さんが言っているのは、第一報をということを徹底する、そしてむしろ遅れたり隠したりすることは罪である、出すことが善であるといったことを私自身発電所の全員に周知していると言っているんですよ。  その当時もできていなかった、今回もできていない状況。こうした状況の中で、この四つの約束、今復興に向けて信頼を取り戻さなければならない状況の中でこの四つの約束、今までの過去の不祥事からこれまでの原発事故に対して、どういうふうに東電は対応してきてやってきたのか、東電の社長にお伺いいたします。
  227. 清水正孝

    参考人清水正孝君) お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘の四つの約束につきまして、その実現に向けまして、私ども情報公開の徹底あるいは発電所の安全確保等々に全力で努めてまいったつもりでございます。  しかしながら、今回の事故に鑑みまして、現場対応を最優先にしたとはいえ、電源喪失に伴って例えばモニタリングデータが計測不能に陥ってしまったり、あるいは非常に高い線量の下でデータの回収とか解析が遅れてしまったり、あるいは修正を余儀なくされてしまったりというようなことで、まさに先生御指摘のとおり、情報公開の面で大変不手際があったということは否めないことだと反省いたしております。大変申し訳ないことだと思っております。  今後も、今お話がありましたが、迅速な情報公開、これを基本としながら、透明性確保、ひいては信頼の回復に全力を挙げて取り組んでまいりたいと思いますので、御理解のほどよろしくお願い申し上げたいと思います。
  228. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 そういう話は平成十五年も十六年も私、聞いているんですよ。何回聞いても同じなんですよ。今の社長の答弁も、それは文章化すればそれはきれいな文章になりますよ。だけど、信頼がないんですよ、そこに。  そして、その当時、保安院長も県議会に来られてこんなことを言っていますよ。規制当局自身として不正を見抜けなかった規制行政の今までの現実の問題がある。そこで問題点を自覚していながら、結局は今回の対応においても何らその反省に立った問題の解決で事に当たらなかった。保安院、この点どうですか。
  229. 寺坂信昭

    政府参考人(寺坂信昭君) お答え申し上げます。  平成十四年八月に発覚いたしました自主点検作業記録に係るデータ改ざんの不正問題、そういったことに対しまして、制度改正を始め対応を進めてまいりました。さらに、平成十八年の秋から翌年にかけまして、過去のデータ改ざんあるいは手続の不備、そういったものにつきましての総点検を実施いたしました。そこから洗い出されました問題についての制度の見直し、対応ども進めてまいったところでございます。  日々の保安検査あるいは東京電力幹部との意見交換、そういった中で情報発信の必要性、そういったものは積み重ねてきたところでございますけれども、今回の事故に関しまして、情報発信の仕方あるいは信頼性、そういったものについて様々な御批判があることは承知をしてございます。こういったことも含めまして、どのように更なる透明性確保を図っていくか、事故原因の徹底的な検証も含めまして、これから対応を考えていくべきものと考えてございます。
  230. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 小熊君、時間ですので、よろしくお願いします。
  231. 小熊慎司

    ○小熊慎司君 時間が来ておりますのでこれで終わりますけれども、今の答弁でも一切国民の信頼が得られていないということを指摘して、質問を終わります。  ありがとうございました。
  232. 山下芳生

    ○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。  福島原発事故はいまだ収束のめどさえ立っておりません。多くの人たち仕事を奪われ、家から追い出されて不自由な避難生活を強いられております。  今月初め、私は福島県いわき市漁業協同組合の漁師や仲買人の方々から話を伺いました。  いわき市漁協は、福島第一原発から南に三十キロ離れたところにあります。大震災当日、漁師の皆さんは多くの方は漁に出ておられまして、津波にあおられて大変恐ろしい思いはされたそうですけれども、幸い船は無事だったということであります。船は無事だったんだけれども、原発事故の後、原発から半径三十キロ以内の海には入ることができなくなった。風評被害も心配されたために、県と協議をして、福島県全体で漁を自粛することとなりました。今も自粛は続いております。  漁師の皆さんは、もう三か月になるが、一日も漁に出られず、収入はゼロだ、東京電力からの損害賠償も一円ももらっていない、貯金を取り崩しながら生活しているということでありました。三か月たっても賠償されずに、被害者が貯金を取り崩しながらの生活を強いられている。  もう一つ、いわき市漁協で、漁師の方からこんな話も聞きました。漁業というのは漁師だけではできないんだ。漁師と仲買人と氷を作る製氷業者と船の燃料を扱う燃油業者、この四者が一体となって初めて漁業ができるんだと。どれ一つ欠けても漁業は成り立たない。だから、賠償も四者一体でやってほしいという声でした。  農水大臣、生産者と関連業者は一体、賠償も一体でというのは私は当然の要求だと思いますが、いかがですか。
  233. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 今、先生からお触れいただきましたとおりに、いわゆる水産業というのは漁業や加工、卸売業者だけではなしに、仲買人、そして製氷の業者など、関連業者の強い支えというふうなものがあるから成り立っているわけでございます。  そういう意味におきまして、審査会におきましては、第一次、第二次が盛り込まれたわけでありますけれども、水産加工、流通業は対象となっておりません。ゆえに、今後私どもとしてはこの関係の方々が、一体的な取組というようなことがこれは不可欠だというようなことも踏まえて、この次の指針に盛り込まれるように、私どもは強く働きかけをしてまいりたいと思っております。
  234. 山下芳生

    ○山下芳生君 農水大臣から一体は不可欠だとありましたけれども、東京電力清水社長に聞きます。  生産者だけではなくて関連業者も一体で賠償すべきではありませんか。
  235. 清水正孝

    参考人清水正孝君) 補償の問題につきまして、以前申し上げたとおりでございますが、まず非常に多くの方々、広範囲に及ぶ方々の補償を実施するということで、原賠法に基づいて、国の御支援もいただきながら、指針をしっかり踏まえながら公正にやっていきたいと考えております。これ基本でございます。  それで、今御指摘の関係業者の皆様につきましても、今農水大臣もおっしゃったとおり、現状の第一次指針、あるいは五月十二日の政府決定に基づきまして、政府による避難等の指示があった区域における営業損害について仮払いをいたしていきたいと、現在の指針に基づいてやっていきたいと、このように考えております。
  236. 山下芳生

    ○山下芳生君 前向きな答弁はいただけませんでした。  いわき市で、漁業の漁師と共に氷や仲買をされている方は、避難区域じゃないんですよ。しかし、漁業の皆さん、漁師の皆さんが操業停止になっているから収入ゼロになっているんですね。私は、東電はそういう漁業の実態を分かっているのかと言わざるを得ないと思っております。  船が港に入るたびに魚が水揚げされますね。その魚を仲買人が買う、そして箱詰めして氷を入れて全国の市場に送るんですね。いわきはヒラメ、タコ、アンコウ、ヤナギガレイなどが有名だそうですけれども、翌日の朝には常磐物というブランドで東京の築地にも並ぶと聞きました。だから、仲買人がいなければ漁師が取ってきた魚はさばくことができないんです。だから、漁師は、仲買人も、製氷業者も、そして燃油業者も一体で賠償してほしいと言っているんですね。漁師だけ賠償されて助かったとしても、こういう方々が助からなかったら漁業再開できるときに再開できなくなるんです。今、残念ながらその仲買人が収入ゼロなんです。  もう待てないんです。直ちに一体で賠償すべきじゃないですか。もう一度どうぞ。
  237. 清水正孝

    参考人清水正孝君) ただいま申し上げたとおり、現在の指針に基づいて公正にやりたいというのが基本的な考え方でございます。  以上でございます。
  238. 山下芳生

    ○山下芳生君 指針、指針を口実にして、本当に一番大事なことを避けています。  もう一つ聞きます。  東京電力による漁業、さらに農業の賠償の実態はどうなっているか。このパネルは、東電に対する損害賠償の請求額と仮払いされた額を県ごとに記したものであります。(資料提示)  農業と漁業の関係について、五月三十一日現在でまとめました。福島、茨城、栃木、群馬、千葉の五県で合わせて百五十三億円の損害賠償請求が出されております。農水省の報告では、このうち、五月十八日までに請求された三十四億円に対して今五億円が仮払いされたと聞きました。  東京電力に聞きますが、三十四億円の請求に対して僅か五億円の支払、何でこんなに少ないんですか。
  239. 清水正孝

    参考人清水正孝君) 今御指摘のありました仮払いの件でございますが、損害額として御請求いただきました金額のうち、これも第一次指針で示されました、出荷制限指示等によります営業損害につきまして、その仮払いということでその二分の一をお支払いさせていただいたというのが実情でございます。
  240. 山下芳生

    ○山下芳生君 またも指針が出てまいりました。この指針の問題は後でやります。  しかし、私は、東電があれこれの理由を挙げて被害者の全面的で迅速な賠償に背を向けるのはなぜか。今回の事故は自らの責任で起こしたのではないとおなかの中では考えているからじゃないですか。  四月二十五日、東京電力清水社長名で原子力損害賠償紛争審査会あてに要望書が出されております。それには、弊社としては本件事故による損害が原子力損害の賠償に関する法律三条一項ただし書に言う異常に巨大な天災地変に当たるとの解釈も十分可能であると考えておりますと、こうはっきり書いてあります。免責に当たる可能性がある、賠償する責任はない可能性があるとはっきりここに書いてあるわけですね。  とんでもない私は要望書だと思いますが、海江田大臣、この東電の免責要望書、認めるんですか。
  241. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 山下委員にお答えをいたします。  東京電力がその要望書を出しましたあて先は紛争審査会であって私どもではありません。しかし、私どもは、そうした免責事項に当たらないという考え方を最初から持っておりました。そして、今お話のありました東京電力が出しました要望書は四月の二十五日でございますが、その後、五月の十日でございます、これは私どもが受け取った東京電力からの要望でございますが、これは原賠法の第十六条に基づく政府による必要な援助の枠組みを策定してほしいとの要請がなされております。
  242. 山下芳生

    ○山下芳生君 東京電力に確認します。  この四月二十五日の免責要望書は撤回されたんですか。
  243. 清水正孝

    参考人清水正孝君) 今回の事故につきましては、御案内のとおり、国内観測史上最大の地震とこれに伴う大津波の影響によるものというふうに考えられておりますが、原賠法三条のいわゆるただし書の免責事由に該当するとの解釈もあり得るという考え方でございました。しかしながら、当社としては、今回の事故の当事者であるということを真摯に受け止めまして、早期の被害者救済の観点からも、原賠法に基づく政府支援の枠組みに沿って公正で迅速な補償に努めてまいりたいと、このように考えてございます。
  244. 山下芳生

    ○山下芳生君 曖昧なんです。免責事由に当たるという考えは間違いだったと、当たらないと、そういう考えですか、考えているんですか。それとも、まだ免責に当たると、撤回していないんですか。
  245. 清水正孝

    参考人清水正孝君) 免責に当たるという解釈もあり得るという点を申し上げた次第でございます。しかし、繰り返しになりますが、私どもは、事故の当事者としていわゆる賠償スキームによってしっかりと補償を進めていきたいと、このように考えております。
  246. 山下芳生

    ○山下芳生君 やっぱり、解釈もあり得ると、まだ立場変えていないんですよ。  海江田大臣、これはとんでもないと思いますよ。そんなことじゃ駄目だとはっきり言うべきじゃありませんか。
  247. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) 私どもは、先ほどもお答えをいたしましたが、五月の十日付けで東京電力から、原賠法第十六条に基づく政府による必要な援助の枠組みを策定してほしいと、こういう要請がございまして、同時に、原賠法に基づく公平かつ迅速な賠償を行う旨の表明もございました。ですから、その表明を受けて、これは私が受けたわけでございますから、三条ただし書は当たらないと判断をしたものと、そういう理解でございます。
  248. 山下芳生

    ○山下芳生君 東電はなかなかそう思っていないということが明らかになりましたから、ですから、これ政府がきっちり正さなければならないと思います。  その上で、東電は先ほどから口を開けば紛争審査会の指針を口実に支払を渋っているわけですが、しかし、原子力損害賠償紛争審査会というのは、その名のとおり、原子力損害の賠償に関して紛争が生じた場合における和解の仲介をするところであります。原子力損害賠償法十八条にそうはっきり書いてあります。ですから、審査会の指針というのも、当該紛争の当事者による自主的な解決に資するためのものだと、こう書いてあるんですね。ですから、紛争審査会の指針、指針と言うけれども、指針がなければ賠償してはならない、払ってはならないということじゃないんです。  今必要なのは、指針に入っていようがいまいが、被害者が原発事故による損害だと根拠を示して請求しているものについては全て迅速に賠償、仮払いする、そういうことだと思います。海江田大臣、そうじゃありませんか。
  249. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) これは文科大臣が所掌でございますが、ただ、私どもは、あくまでもこの組織というのはこれまさに紛争の審査会でございますから、どちらかがこの支払をすべし、あるいは支払をやらないというところで両者の間で紛争が起きた場合は、この機関が間に入って正しいジャッジをするものだと思っております。
  250. 山下芳生

    ○山下芳生君 紛争が起こった場合は間に入ってジャッジをするというお答えでした。ならば、審査会の指針を理由に支払を拒否したり遅らせたりする必要はないわけですね。指針がなくたって、東電がこれは賠償に値すると言えば払うべきなんですよ。そういうことですね、海江田大臣
  251. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) もちろん、東京電力の側がお支払をしましょうと、被害を与えた方々に対してお支払をしましょうということがあれば、これはよろしいわけでございますが、ただ、それによって損害賠償の額が大きく膨らむということがございます。  それと、もう一つ大切なのは、やはり今回の事故と相応の因果関係というものがなければいけないわけでございますから、その相応の因果関係に基づいて請求をするということがあれば、それはそれに基づいて支払をすればいいわけでありまして、一つのジャッジとしてこれまで紛争審査会が第一次指針、第二次指針と出してまいりました。そして、これからもこれは、中間的な取りまとめでありますとか、あるいは第三次になるのか、逐一これを出していくわけですから、これにも私どもはしっかりと注目をしなければならないと思っております。
  252. 山下芳生

    ○山下芳生君 原子力損害賠償法第一条には「被害者の保護」とはっきり書いてあるんです。これが法の目的なんですよ。東電にやる気があったら賠償はできるんですよ。審査会は紛争になったときの和解の仲介ですからね。これは、東電がちゃんと迅速に誠実に対応する、そういう姿勢を示せば紛争になんてならないんですよ。請求が妥当だったらどんどん賠償する、仮払いすればいいんです。これはちょっと過剰な請求だなと東電が思えば当事者で話し合って、それでも折り合いが付かなければ、そこで初めて紛争審査会の登場となるんですね。紛争審査会というのはそういう組織なんです。  総理に伺いたいと思います。  もう一度このパネルを出したいと思います。このパネルに示された請求額は各県の農業団体が、それから漁業団体が、一人一人の農家や漁師から被った損害調べて書類を出してもらい、それを取りまとめて請求したものであります。  例えば、茨城県の農業団体では、ここにありますけど、東京電力原発事故の影響に係る生産者段階廃棄処分報告書とか、販売先からの返品、販売金額減少報告書などですね、こういう書類を付けて、それから履歴、栽培履歴だとか写真だとか出荷伝票、こういう証拠資料まで付けて、これで取りまとめて請求しているんです。ですから、因果関係というのはここにもはっきりあるんですよ。これを払うのが当たり前なんですね。  総理、私は、こうやって、こういう積み上げて一人一人が証拠も示して積み上げた額なんですから、これが、ところがここにあるように三十四億に対して五億しか払われていない。総理、このままで、もう三か月こんな感じで救われると思いますか。私は、被害者保護の立場に立つんだったら、東京電力に全額払わせるのが当たり前だと思いますが、総理の御見解いただきたいと思います。
  253. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 基本的に、こうした被害がきちんと根拠があるものについて最終的に東京電力が責任を持つということは当然だと思っております。  ただ、数字の問題でいいますと、いろいろな数字が書かれておりますが、私が聞いていますのは、例えば出荷制限に掛かるものなどについては、上限の請求額があって、それに対して仮払いを半分行ったと。残りの二十四億については、二次指針を踏まえながら早急に対応するというふうに聞いております。  そういうことで、原子力損害賠償紛争審査会が策定した第一次指針において、営業損害については、原則として本事故がなければ得られたであろう売上高から本事故がなければ負担したであろう売上原価を控除した額である逸失利益が損害と認められるというふうに理解しておりまして、時間の流れはありますけれども、そういう原則に基づいてきちんと支払われるべきと考えております。
  254. 山下芳生

    ○山下芳生君 待てないんですよ、現場は。三か月こうなっているんですからね。だから、審査会の指針を待たなくたって払ってもいいという立場に立てば、払わせるべきなんですよ。因果関係はもうここに証明されているんですから。私は、こういうやり方は改めるべき必要があると思います。第一義的な責任が東電にあることは当然ですけれども現場は待てない、もたない。  総理、第二次補正で国による立替払も含めて大至急現場の人たちに仮払いがされるように、これ真剣に検討すべきじゃないですか。
  255. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 菅内閣総理大臣、時間ですので簡潔にお願いします。
  256. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) この問題に必要な財源についてはきちっと、できるだけ早く二次補正等を含めて対応したいと思っております。
  257. 山下芳生

    ○山下芳生君 終わります。
  258. 藤井孝男

    ○藤井孝男君 限られた時間でありますので、簡潔、分かりやすくお答えをいただきたいと思います。  今日は総理始め関係閣僚にお伺いしますが、三点に大体絞ってお伺いいたしたいと思います。その三点とは、この震災法、基本法がいわゆる衆法、これは政府案からこの衆法に変わって修正案として参議院に付託されました。もう三か月以上たって、今日ようやく今日審議が始まったということであります。  ですから、第一点目は、この内閣政府には、震災発生から三か月たって、スピード感がないというのは非常に強い印象を持っております。これが第一点。  それから、総理は度々本会議、また、私予算委員会でも質問したりしましたけれども、総理の発言、答弁を聞いていますと、やっぱり、リーダーシップはもちろんでありますけれども、国家戦略という観点からの答弁がないんですね。そのことを私は痛切に感じていることが第二点。  第三点は、これまたエネルギーの安定供給の確保という、これはもうグローバルな話なんですけれども、この脱原発というのははやりでありますけれども、しかしそれに代わる安定的なエネルギー源を日本は資源小国でありますからどう確保するか、この三点について質問をさせていただきたいと思います。  第一点目は、スピード感につきましては、今申し上げたように三か月以上たってようやくこの参議院でこの基本法の修正案が審議されている。これはやはり政府にそれだけの認識が不足していたんじゃないかと、こういう感を払拭することができません。  そういう中で、総理は昨日の本会議でも答弁しておりましたけれども復旧復興を急がなきゃならない、そしてそのためにはいわゆる創造的復興という言葉、総理大好きですね、よく使われますよね。もう一度この委員会で、この創造的復興というのはどういう意味だか、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  259. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 三月十一日の発災以来、緊急災害対策本部を設け、その下に生活支援チームを設け、私は、やらなければいけない優先度の高いものから順次取り組んできたと。  確かに、私から見てももう少し早くならないかとかいうことは多々ありますけれども、少なくとも、政府ばかりではなくて各自治体いろいろな、例えば自治体が、大勢亡くなっているとかという中で、精いっぱいやってきた中で私は進んでいると、そしてこの段階でいよいよ復旧から復興への段階を目指していくための基本法だと。既に復興構想会議をつくり、この法律でその会議も法律的に位置付けをしていただくわけでありますけれども、そうした言わば復興に向けての青写真作りも既に始まっているわけであります。  創造的復興というのはその中でも議論されているわけですが、端的に言えば、元に戻ればいいというのではなくて、そこに新しい将来の夢、あるいは将来の日本にとってのモデルが、都市において、あるいは産業の在り方において、あるいは復興をされていく農業や林業や漁業の在り方においてより夢のあるそういうものが生まれてくる、そういうことを創造的な復興と私は理解しております。
  260. 藤井孝男

    ○藤井孝男君 今の御答弁聞いていますと、いかにも理想的、耳触りのいい答弁ですよ。将来モデル地区になる。しかし、被災地皆さん方は何を本当は望んでいるか。一日も早い普通の復興なんですよ、復旧なんです、まずは。  そこでなりわいをずっと営んできた、そして生活をしてきた、暮らしをしてきたわけですから、将来的なモデル地区だとかなんとか言う前に、まずこの瓦れきの処理をどうしてくれるか、あるいは雇用の問題どうしてくれるか、取りあえず医療の問題どうしてくれるか、まず普通の復旧を望んでいるんですよ。  それから、将来に向かって十年、二十年先のモデル的なそういった市街の町の在り方というのは、それは当然ありましょう。ですから、復興会議でいろんな意見が出るのは結構です。しかし、そのことが結果的には、結局は議論が躍るだけで結果的には復旧復興がほとんど進まないということがスピード感を失っているということを指摘しておきたいと思います。そのことをまず申し上げておきたいと思います。  それから次に、総理はまた浜岡原発について記者会見をわざわざしてストップをさせましたですね。これも自ら記者会見をされたわけでありますが、その記者会見のときに何とおっしゃったか。中部電力に対して、これは法的根拠がないからあくまでも要請であると、それを何度か繰り返したわけですよね。ところが、これは聞きようによっては、私も聞いておりましたけれども、これは余りにも無責任といいますか、いわゆる、あなたは内閣総理大臣なんですよ、内閣総理大臣の立場からその中部電力の、要するに要請かもしれないけれども、そういう言い方は、むしろ我々聞いていた方は、責任は中部電力にありますよと、自主的判断はあなた方ですよということを言っているにすぎないんですよ。やっぱり内閣総理大臣という立場であれば、まさに一国のリーダーでありますから、確かに法的根拠はないけれども、しかし内閣総理大臣菅直人が発言するんだから、これは命令と受け取っても構わないんだと、そのぐらいの気持ちで発信してもらいたかったわけですよ。  もう一つ言えば、もしこの浜岡原発を止めれば中部電力の発電力が落ちるわけですよ。そうした場合に、どういう補給をしエネルギー源を求めるかということは非常に大事なんですよ、これは国家にとっても。そういったことを考えずに、もしあなたがリーダーシップを発揮したならば、もしあなた方がこの原発をやめるということを受け入れたならば、それは大変大きな決断になるだろうと。しかし、そのときは、代替する火力発電を、中部電力さんは電力をもっともっと運転しなきゃならない。そのための燃料源は、あの中部電力は最大の燃料源は天然ガスです、液化天然ガス。最大の輸入国はカタールですよ。そうならば、政府を代表して私の責任においてカタール政府に安定供給を申し入れるから、また、場合によっては担当大臣である海江田経済産業大臣を国会の許しを受けてカタール政府に派遣させるから、そのぐらいのつもりで聞いてくれよというのが私はリーダーシップだと思いますが、いかがですか。
  261. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 私は、浜岡原発について私なりに長い歴史の中でいろいろな意見は聞いておりました。しかし、今回のいわゆる原発事故が発生するまでは、いろいろな意見はあったことは承知しておりましたが、そういう中で、やはり行政として一定の基準を設けて、安全基準を設けて、それをクリアした中で運転されているということを前提として、その運転について私自身も、特にそういう立場にあるなしにかかわらず、運転ということについて異論を挟むことはそれまではしておりませんでした。  しかし、三月十一日の東電福島原発の事故、そしてその後の展開を見ておりまして、これは本当に日本にとっての、あるいは世界にとっての大変大きな事故でありますので、まず緊急のいろいろな安全点検をすることを経産大臣にすぐに指示をいたしましたけれども、この浜岡については、政府の一部門であります文科省の地震予測のその報告の中でも三十年以内に大規模な地震が発生する可能性が八七%と極めて高いという、そういうことを一方で言っているわけでありますから、それを考えますと、ここはそうしたある意味での切迫性が高いということで、私、経産大臣とも相談の上、熟慮の末、要請をさせていただきました。  もちろん、そのことによるいろいろな影響は経産大臣とともに考えておりましたけれども、やはり今回のこの事故があったということを踏まえて判断をしたと、国民の安全と安心のための判断だと、こう理解をしていただきたいと思います。
  262. 藤井孝男

    ○藤井孝男君 答弁は簡潔にしてくださいね。自分の何か言い訳ばかりをべらべらべらべら答弁をしないでください。  その結果、今の答弁を簡単に言いますと、確率性だけで言っているだけなんですよ、要するに八十何%三十年にあるから止めたというだけでしょう。だって、一方、福島第一原発は何%だった、可能性。ほとんどゼロ%だったところにあの災害起きたわけですよ。ただ確率だけでやるということは何の根拠もない。言ってみりゃ、そういう文部科学省の一協議会が言ったからやった。だからこそ昨日の福井県の知事さんの発言になるんですよ。じゃ国が今度は安全基準を新たに築かなければ、福井の原発は運転再開しないと言っているわけですよ、断言しているわけです。  ですから、ただ確率だけでそうであるならば、新たに、じゃ総理、じゃ国が原発の安全基準というのを基準を定めるんですか。イエスかノーか、答えてください。
  263. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 現在、事故調査委員会も動き出して、もちろん将来的にはきちんとした基準を、今の基準ではない基準を定めなければいけません。しかし私は、原子力に限らずエネルギーの在り方というのは、日本の社会、世界の将来を決めるわけですから、私は最終的には国民の選択で決めるべきだと。今回こういった事故があった中で、私としては最も、それは確率だけで計算しちゃいけないと言うけれども、じゃ、確率で計算しない形で、確率で可能性が高いものを、一番高いものについては、これだけはちょっとやめておこうというのは、私は自然な考え方だと思います。  そういう意味で、私と経産大臣の判断でやったわけでありまして、確率で計算してはならないという論理はよく理解できません。
  264. 藤井孝男

    ○藤井孝男君 ちょっとすり替えないでくださいね。要するに場当たり的な思い付きでやっているの。あなたが本当にエネルギーのことを安定供給確保するんなら、それだけの戦略的な、具体的なことをあなたは話したことありますか、説明したこと。  海江田経済産業大臣に聞きますけれども、もしこのまま原子力発電がずっと定期検査終わっても再稼働できなきゃ、来年春には全部止まる、約三割のエネルギーはなくなるわけですよ。そうしたときの安定供給、日本のエネルギーの安定供給をどう確保するんですか。
  265. 海江田万里

    国務大臣海江田万里君) まず、お許しをいただきまして、菅総理と浜岡について御相談をしたとき、私の方からこれは資源エネルギー庁に命じまして、特に中部電力のエネルギーの需給の問題、これは中部電力というのは御案内のように原子力の依存度がほかの地域と比べて低いわけでございますから、およそ一三%ぐらいでございますが、しかし、万一これが止まったときどうなるかということは十分検討いたしました。  それから、地震の確率については、ここで余り詳しくお話をいたしませんが、福島とやはり浜岡との違い、浜岡は百十九年にほぼ一度起きているわけです。この百十九年という数字を根っこに置いて、五〇に置いて、それから百十年、前回から何年たっているかというところで八十何%というのは築かれるわけでございますが。  最後に、お尋ねでございますこのエネルギーの問題につきましては、私もまず三月三十一日に緊急安全対策を出しまして、そしてこれは全ての発電所がしっかりやっていただいている。私も現地に行ってそれを見てまいりました。しかしその後、今度このIAEAの報告もございます。そこへ向けてやはり今度の東京電力福島第一発電所の事故による幾つかの分かりましたその安全対策、更なる安全対策を取らなければいけないということで、これは六月の七日にその指示を出しておりますので、これを見て、そして安全が確認された上は再起動ということを考えております。
  266. 藤井孝男

    ○藤井孝男君 どうして皆さん私の質問に答えてくれないんですか。  要するに、日本は少資源国家ですよ。だから、脱原発というのは今、それはそれとしての一つの方向性を出すのは結構ですよ。その代わりの安定したエネルギー源をどう確保するかということを聞いているんですから。ただ単に何かもう安定的に入ってくるものだと思い込んでいる節がある。そういう誤解を国民に与えちゃいけないんです。何となく理想的な、もう、すぐ常に油も天然ガスもみんな入ってくるような、そういうような簡単な考え方でいるから私はおかしいと、だからそこを今経済産業大臣に聞いたわけであります。  外務大臣いらっしゃっていますか。松本外務大臣、ということの中で、余りこれ質問に皆さん出ませんけれども、ちょっと大局的な、世界的な話になりますけれども、今アフリカから、チュニジアから始まった民主化運動、それがリビアに飛び、そしてまたイエメン、そしてシリア、そして今イランもちょっと危なくなってきた、おかしくなった。一時はバハレーンもおかしな話になって大変大きな弾圧もあったようであります。それがサウジへ飛ぶ、あるいは湾岸諸国へ飛ぶ。今安定的なところは、カタールといわゆるアラブ首長国連邦とよく言われています。  しかし、そこにほとんどのエネルギーを日本は依存していて、そこから輸入が止まったら大変なことになる。そういう中で、今、シリアの状況、あるいはエジプトもああいう形になった。そういう点について外務大臣の、中近東・アフリカ情勢についてどういう認識を持っているか、簡潔に分かりやすく説明願いたいと思います。
  267. 松本剛明

    国務大臣松本剛明君) 今先生御指摘のとおり、アラブの春と言われるような、ある意味では何十年に一度の今大変革がアラブでは起こっているというふうに私どもも認識をしております。  そういう中で、チュニジア、エジプトでは長期政権が倒れたわけでありますし、シリア、リビアについて御指摘ありましたし、また湾岸諸国についても今御指摘ありました。  私どもとしては、これまで培ってまいりました中東各国との外交的な良好な関係というのを維持できるように努力をしつつ、例えばエジプト、チュニジアなどでは、スムーズな移行が安定的な形につながっていくように、短期的な選挙支援や行政の支援など、そして長期的には構造的な格差などに対する支援などを行ってまいりたいと、このように思っておりますし、また、湾岸各国、今お話がありました。私どもも、中東に石油の九割、そしてLNGの二割を依存しているわけでありますから、大変死活的な問題として中東を見ているわけでありますが、おっしゃったように、いわゆる産油国などでは直接今大きな問題が発生をしているわけではありませんけれども状況を注視をしていかなければいけないと。また、中東が安定をするように私どもも国際社会とともに貢献をしていかなければいけないと、こう思っております。  同時に、今回の震災を機会に東南アジアの国々などからもエネルギー資源の供給の申出などがありますので、最終的には民民ベースになりますけれども、しっかり後押しをして供給先の多角化などにも私ども努力をしていきたいと、こう思っております。
  268. 藤井孝男

    ○藤井孝男君 総理が自然エネルギーを何年後にはこう、三割に持っていきたいとか、そういう発想は決して私悪いとは言いません。  しかし、実際に脱原発ということを唱えて、その間一体どうするのか。昨日もイタリアでは九割の人がもう原発をやめるということになった。ドイツもやめるということになる。しかし、じゃその代替エネルギーをどうするのかとなれば、これは天然ガスや石油の奪い合いになりますよ、これ、各国が。そのほとんどを中東に依存している我が国の脆弱な、こういったエネルギー源のそういった根本的な要因を国家戦略的に総理から一言も発言がなくて、単に自然エネルギーをこうするとか脱原発が優先する、そういう発想でやるから、私は国家戦略的なそういった発想が総理にはないと言わざるを得ない。  そういう総理がずっとこのまま居続けるのかどうかということについては、私は、速やかに内閣総理大臣という場を退場して次の人にバトンタッチをするということが最大の国益だということは、私、前にも申し上げました。どうかそういう意味で総理の潔い決断を促して、私の質問を終わりたいと思います。
  269. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 社会民主党・護憲連合の吉田忠智でございます。  発災後三か月が経過をしました。亡くなられた方々の御冥福をお祈りを申し上げますとともに、御遺族に心からお悔やみを申し上げます。行方不明者の一日も早い安否確認をお祈り申し上げ、被災された全ての皆様にお見舞いを申し上げます。  また、この間、復旧復興に向けて御尽力をされた全ての関係の皆様に社民党を代表して感謝を申し上げます。  さて、発災後三か月を過ぎまして、ようやく基本法の参議院での審議が始まりました。私は、大変に遅かった、そのことが率直な印象でございます。今回提出をされた基本法、基本理念の明確化や資金の確保、復興特区、それから復興庁などの柱によって成り立っていると、そのように思います。  黄川田委員長被災をされた黄川田委員長を始め、提出者の皆様方には、衆議院の特別委員会においては我が党の委員にもいろんな意見を率直に意見聴取をしていただきまして、この間の御尽力に改めて敬意を表します。  さて、この中で復興庁についてまずお伺いをしますが、ワンストップのスーパー官庁として復興庁が設置をされる、設置をする、このことが盛り込まれているわけでありますが、私も大分県の職員の経験もありますから、経験を通して考えるならば、復興庁が二重行政になるおそれはないのだろうか、そのことを大変に懸念をしております。  このことについて提案者、そして政府を代表して官房長官に認識をお伺いをいたします。
  270. 加藤勝信

    衆議院議員(加藤勝信君) 吉田委員にお答えをさせていただきます。  まず、復興庁は復興にかかわる企画立案、総合調整のみならず、その実施までを行うと、こういうことにさせていただいておりまして、復興庁が復興に関する施策に関して既存の省庁の枠組みを越えて、言わば、先ほどスーパー官庁とおっしゃいましたけれども、そういう形で、被災者の方々あるいは地方公共団体のニーズにワンストップで、そして迅速に対応していくと、こういうことを狙っているわけでありまして、そして、そういう中で復興庁の所掌事務、これはそうした趣旨を体してこれから具体的に定められるということになるわけでありますけれども、各省の所掌事務からその分を外して復興庁に持っていくと、こういう考え方でございますから、基本的に一元化され二重行政になるものにはならないというふうに思いますけれども、いずれにしても、設置法を作る段階で御懸念のある二重行政にならないようにしっかりとした整理を図っていただきたいと、かように思っております。
  271. 枝野幸男

    国務大臣枝野幸男君) 今回の議員立法趣旨を踏まえて、ワンストップで地方の声に対応できるしっかりとした復興庁を設置をしたいというふうに思っております。  そうした場合に、御指摘のとおり、二重行政になるおそれというものについては十分に配慮をして、法案の中にも事務の効率的かつ円滑な遂行が確保されるよう編成すると規定をされているところでございますので、率直に申し上げて、衆議院での法案審議が始まる前は、特に野党の皆さんと私どもの考えていることでは大分違いがあって、二重行政の心配があるのではないかという危惧をしておりましたが、衆議院での議論などを通じて、二重行政になることなく、かつワンストップで非常に効果的、効率的な復興庁を置くことができるだろうというふうに思っておりますので、法案が成立しましたら、そこに向けた、復興庁の設置法に向けた作業を進めてまいりたいというふうに思っております。
  272. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 私の経験を通しても、今の日本の省庁のありよう、行政機構のありよう、それから行政の進め方を考えるならば、なかなか難しい点が多いのではないか、そのことを心配をされたからこそ最初の政府案の中には附則に盛り込まれていたのではないか、そのように考えています。  先ほど、加藤議員から各省の所掌事務を外してというようなお話もございましたけれども、現に今復旧に向けて走っている事業もございます。復興に向けて取り組まれていることもございます。  私は名取市の、仙台空港のすぐ隣にずっと水田地帯が広がっておりまして、元々ゼロメートル地帯の水田で、強制排水をしなければ作付けができない、そういうところに行きまして、排水機場が五基も甚大な被害を受けて、ついにもう国営でこれから具体的な復旧をしていくという計画策定の状況もお伺いをしましたけれども、そうしたことを考えますと、例えば農林水産省や国土交通省が所管しているような直轄の大きい事業、そういうことについては継続してしっかりそういうところにやっていただいて、補助事業、県営や市長村営の事業、あるいは被災自治体がする事業については、もうこれは一括交付金という形でそれぞれの自治体あるいは県に任せるという形でした方がスムーズな事業執行につながるのではないか、そのように考えますけれども、そうしたことについて提案者、それから官房長官にも御意見をお伺いしたいと思います。
  273. 後藤祐一

    衆議院議員(後藤祐一君) お答え申し上げます。  国の直轄事業については、復興庁においてどの事務を移すかというのはまだ決まっていないわけでございますけれども、まさに先ほど加藤議員からも答弁がありましたけれども被災地のためになる、ワンストップで対応できる、そしてスピード感を持ってやるという観点からどういった事務を移していくか考えなければなりません。  今委員おっしゃったとおり、そういったものを早く対応するために、被災地のために対応するために復興庁に移した方がいい場合もあるかもしれません。ただ一方で、今現に進んでいるものなんかは、国交省なり農水省なり、そこに残した方がいいものもあるかもしれません。今どういう状況に置かれているか、そしてこれから、取りあえずまずは復興本部が立ち上がるわけですが、そういった状況も見てこれから検討していくことになるというふうに思っております。その際、二重行政にならないようにという懸念はしっかり踏まえて対応していかなきゃいけないと、このように考えております。  また一方で、一括交付金的なお金をということでございますが、むしろ当面の対応としては、そういった組織をどうつくるかということも大事ではございますが、現に今、被災地で物すごいいろんなタイプの事業を早くやりたい、この事業は補助対象になるのかならないのか、あるいは補助率をもうちょっと上げてくれないのか、こういったものが何百とあるわけです。  それに対して、一括交付金で少し補助率を上げる、適用対象を広げるというものをやろうじゃないかということについて、本日午前中も総理及び片山大臣から大変前向きな答えがありました。  これは、我々としても、是非ともこの二次補正にしっかりと入れていただいて、その際、気を付けなきゃいけないのは、二十三年度に既に設けられている一括交付金というのがございます。いわゆる地域自主戦略交付金というのがあるんですが、これが使いにくいんですね。これは各省の既に決まっている補助率、既に決まっている補助対象、この中でのお金の割合を決めていいですよというだけなので、これじゃ駄目なんです、総理。  是非、いろんな交付金、いろんな補助対象、そして補助率を拡大するというところも含めた自由度の高い交付金をつくっていただくよう、是非与野党共同してこの二次補正をつくっていっていただきたいというふうに思っております。
  274. 枝野幸男

    国務大臣枝野幸男君) 今、後藤提案者からもお話ございましたとおり、地方が主体となって行うことがふさわしいことについて、できるだけ使い勝手の良い、交付金なのか基金的なものなのか、こうしたことについては積極的に進めてまいりたいというふうに思っております。  また、復興庁が直接行う実施業務も、例えば復興特区を設置する場合の特区そのものの認定その他の実施業務であるとか、あるいは一括交付金的なものがつくられるとしても、例えば一定の補助事業についての補助の認定業務であるとか、こういったことはできるだけ現地に近いところで一括して処理することの方が望ましいのではないか、これは決定ではございませんが、例えばそういう視点がございます。  一方で、御指摘いただいたとおり、例えば国道事務所のようなものについて、わざわざ新たに国道のものと復興道のものを別々につくるのがいいのかどうかなどということについては二重行政の見地から慎重な検討が必要だというふうに思っておりますが、いずれにしろ二重行政にならず、なおかつ最大限使い勝手の良いということの線で、真摯に、これまた設置法は法律が必要でございますので、社民党さんを含め野党の皆さんの御意見も踏まえながら話していけば、私は最終的にはそれほど大きな違いなくまとめられるのではないかというふうに思っております。
  275. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 この復興庁の在り方については、またこれからしっかり議論してまいりたいと考えております。  復興特区について盛り込まれたわけでありますけれども、聞くところによれば、政府の中でもこの復興特区については早い段階から検討されていたようでございます。  私は、復興構想会議の結論を待たずにできるものからどんどん法案化すべきであるというふうに考えておりましたけれども、今後の復興特区どのように進めていくのか、官房長官にお伺いします。
  276. 枝野幸男

    国務大臣枝野幸男君) 復興特区についてはこの法案にも明記をいただきましたし、御指摘のとおり、復興構想会議においても積極的な御議論をいただいているところでございます。  もちろん、具体化ができるものから法律化をして実施をしていくということ重要だというふうに思っておりますが、その一方で、これはやはり、特区といっても具体的な内容について、結構論者によって、人によって大分イメージが違っておられるようでございます。特区ということではかなりの方、皆さん賛成なんですが。  それから、やはり地域ごとに使い勝手がいい、地域の事情に合わせて使い勝手のいいものをつくらなければならないということで復興構想会議では三県の知事さんからも意見を聞いておりますし、更にきめ細かくそれぞれの地域のニーズ、需要というものを踏まえてそれに対応できる制度をつくろうということで、もちろん復興構想会議は最終提言出ておりませんが、そこで特区について具体的な議論が進んでいる状況でございますので、関係省庁において具体的にもし積極的な提言が出ることを想定して検討準備は進めているところでございまして、できるだけ早くまとまったところから国会に御審議をお願いをしたいというふうに思っております。
  277. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 いずれにしても、未曽有の大震災でございまして、従来の法律の枠組みや発想から出ないと被災者皆さん思いにこたえることはできない、そのように考えておりますので、しっかりまた検討して、できるものからどんどん出す、それが被災者皆さんに対するメッセージになると、そのように考えております。  次に、市町村の体制確立についてお伺いをします。  先ほど竹谷委員も質問されましたけれども総務大臣の答弁では、それぞれの被災市町村からしっかりニーズを聞いて国としては対応していると、全国の自治体から千十七名、国から五百四十二名それぞれ派遣をしているということでありますけれども、ところが、御覧になった方も多いかと思いますが、各マスコミやテレビがこの被災後三か月ということで特集をして、新聞やテレビで特集を組んでおりまして、毎日新聞が被災自治体に実施したアンケートでは、市役所、町村役場の機能について、住民のニーズが自治体の能力を上回るという意見が合わせて五五%にも上っていると、そのようなことが出て、私は随分控えめに出しているんじゃないかなと、この間、いろんな自治体ともお話をし、現地に行きまして、そういうふうに感じました。  それが結果として義援金瓦れきの処理やあるいは仮設住宅や様々な遅れにつながっているわけで、本当に被災自治体皆さん一生懸命頑張っていますよ、それはもうぎりぎりのところで、不眠不休で。  そして、これまでマッチングを国としてはされてこられたけれども、現実の問題として今、様々な遅れが出ているわけでありまして、この状況総務大臣、改めて、どうしてそういう状況になっていると思われますか。
  278. 片山善博

    国務大臣(片山善博君) 被災自治体において、こういう大きな被害を受けて住民の皆さんのニーズになかなかこたえられないというのは、私もそのとおりだと思います。  といいますのは、やはり平時の対応のために役所の組織というのは編成されておりますので、今回のような大変大きな災害が起きた場合には平時の対応では難しいという。そこで、いろんな支援をしておりまして、財政支援もありますし、それから情報面での全国ネットを通じた支援もありますし、それから、今おっしゃった職員の派遣を通じた支援も行っております。  本当に、先ほども御答弁申し上げましたけれども、必要なものはもうできる限り応援をするということで、市長会、町村会も協力をしていただいておりまして、要請には全部こたえております。ただ、その要請も、一通りのヒアリングではなくて、本当に丁寧に実は聞いておりまして、職員も派遣しております。  そういう中で、先ほどちょっと触れましたけれども、例えば、庁舎の方のスペースの問題があって、なかなか今来ていただいてもというような声もあります。それはもう庁舎の仮設庁舎を早く急いでいただくのが一番でありまして、そのための補助金も一次補正で用意をいたしました。  それからもう一つは、大勢来ていただくのも結構なんだけれども、実は地元の実情に詳しい人が本当は欲しいということで、これについてはなかなか、全国ネットでは御紹介を申し上げてもなかなかうまくニーズにマッチしないということもありまして、これについては、ついせんだっても私ども事務次官を派遣をいたしまして、被災地に、じっくりと市町村長さんと話をしたんですけれども是非、地元で実情に明るい方をこの際採用してはいかがですかと、職員が亡くなられたところもあるわけでありますから、いずれ補充はしなきゃいけないので、当面は全国で専門家などを派遣しますけれども、これからきちっと中核となって働いていただく職員をちゃんと採用してはいかがですかとか、そういうことも丁寧に実は助言をしたりしているわけであります。  先ほども、実は私、ここに来るまでに、被災された市長さん方と総務省相談をしたり意見交換したりしていたんですけれども、丁寧にこれからも要請、実情を伺った上でできる限りの支援をしていきたいと考えております。
  279. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 委員長、この特別委員会は、現状、様々な課題を解決しなければならない特別委員会ですから、三県で四十二のたしか被災自治体がございます。それぞれの実態がどうなっているのか、そして今の現状をとらえて、これからどういうふうに、今の様々な遅れを取り戻すためにどういうふうな解決策が必要なのか、そういう資料を是非提出をしていただきたいと思いますが、お願いします。
  280. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 後刻理事会で取り計らいます。
  281. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 それから、最後に、私も社民党調査団の一員として岩手県庁、それから宮城県庁、それから宮古市、石巻市、名取市を訪れました。それぞれの自治体復旧作業に、瓦れきの処理もそうですし、仮設住宅もそうですし、様々な遺体の収容などなど、とにかく国の予算がもう足りないけれども待っていられないということで、住民の皆さん被災者皆さんと向き合っていますから、もうやることは全てやらなきゃいけないということでやっております。とにかく、お金が足りませんので早く下さいというお話がございました。  要望書も、もう全ての省庁、県の全ての部にまたがるような内容でございまして、第二次補正の議論がいろいろなされておりますし、今日のマスコミにも様々報じられておりますが、いずれにしても、本格的な復興に向けての二次補正を待たずに、やっぱり私は今必要な、そして一次補正で棚積みの部分については、一・五次というのか分かりませんけれども、しっかり補正予算を早急に私は出して、被災自治体皆さん被災民の皆さん期待にこたえるべきだ、そのように思いますけれども、最後に総理にそのことをお伺いして、質問を終わります。
  282. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。
  283. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 先日釜石に参りましたら、製氷施設が壊れているので、これは残念ながら一次補正に入っていないと。これ、二重ローン対策の中で対応ができるということであります。また、先ほど来出ておりますように、交付税を増額するという形で各自治体が自由に使えるお金を早く出したらどうかと、こういったことを含めて、できるだけ急ぐべきものを盛り込んだまあ一・五次補正といいますか二次補正というものを出していきたい、こう考えております。
  284. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 どうもありがとうございました。
  285. 亀井亜紀子

    亀井亜紀子君 国民新党の亀井でございます。持ち時間が十分ですので、早速質問に入ります。  今回、被災地復興できるかどうか、日本経済が立ち直れるかどうか、それは政府、具体的には財務省が国民のためにお金を出すかどうかに全て懸かっていると思います。  一次補正のときに国民新党は十兆円規模の主張をしましたけれども、そしてその一部はファンドにして、今問題になっている例えば二重ローンの問題などに対応すべきだと主張しました。財源は無利子国債を復興債として出すという主張だったんですけれども、当時、総理と財務大臣の方針で、国債は一次補正において発行しないということを決められまして、これがかなり固かったので、四兆円しかお金が出てきませんでした。  そして今、増税大合唱が始まっています。復興構想会議において、そして税・社会保障一体改革集中検討会議において、元々増税論者の有識者が多いものですから、増税の大合唱なんです。  私は、新自由主義に基づく緊縮財政、これが諸悪の根源だと思っておりまして、そろそろこの経済政策から決別していただきたいと思います。プライマリーバランスの黒字化を目指せば財政再建できるという主張ですけれども、これで財政再建できるのであればとっくにできています。  残念ながら、時々政府はうそをつきます。これ、故意だとは思いませんけれども、やはり政策の修正をしないためにずっとつじつま合わせが続いてしまう。税収を減らした責任は、私は財務省と内閣府、両方にあると思います。一番いい例は、イザナギ景気以来の景気拡大と主張し続けたことです。  二〇〇六年十一月、内閣府の月例経済報告で、二〇〇二年二月から二〇〇六年十一月までの五十八か月間、イザナギ景気を超えて戦後最長だと主張しましたけれども、これは数字のトリックでした。実質GDP成長率がプラスであるから景気拡大だと主張したのですけれども、これは例えれば、一マイナス・マイナス五はプラスの六です。マイナス括弧マイナスは、括弧を取ってプラスになりますから、これと同じロジックです。  名目成長率マイナスGDPデフレーター、つまり物価総合指数を引くと実質成長率が出てきます。GDPデフレーターはデフレのときにはマイナスですから、括弧の中にマイナスの数字が入ります。計算すると、実質成長率は高い数字になります。この数字の読み方は、経済成長ということではなくてデフレがずっと続いていますと解釈しなければいけなかったのに、経済成長をしているというふうにずっと主張しました。  小泉政権はこれを位置付けたわけですけれども、実際に何が起きたかというと、二〇〇〇年の末、小泉政権が始まる前は政府債務が三百六十八兆であったのに、二〇〇六年末には国債が百七十三兆増えて五百四十一兆になりました。基本的にこの政策が続けられているので、今、政府債務が増え続けています。そして、この政策の失敗を認めないまま増税によって国民に責任を負わせようとしているのが今の財務省だと思いますけれども、この私の分析に対して、野田財務大臣、与謝野大臣、どのようにお考えでしょうか、お答えください。
  286. 野田佳彦

    国務大臣(野田佳彦君) 景気の話は後で与謝野大臣からお話があるんではないかと思いますけれども委員指摘のとおり、イザナギ景気というのが五十七か月ありました。これ、私の少年時代です、小学校から中学校。まさに右肩上がりで日本は良くなっている実感ありました。  一方で、今御指摘のイザナギ景気を超える景気拡大と言われた二〇〇二年一月から二〇〇七年十月、これ六十九か月なんですが、委員の御指摘のとおり、デフレ下であったということはこれ大事な御指摘だと思いますし、年平均の成長率が二%で、途中で、四半期ごとで見ると、いわゆる踊り場的になっているもの何回もありますので、なかなか、実感を国民が得られたかというと、そうではなかったんではないかなというふうに思います。  その上で、税収の関連でお話がございましたのでお話しさせていただきますと、その平成十四年度から平成十九年度にかけての財政状況を見ますと、一般会計の税収は四十三・八から五十一兆まで増えてはいます。ただ、平成二年の、ピークの約六十兆までには至ってはいないんですね。ということが一つ事実としてあると思います。一般会計歳出は八十三・七兆から八十一・八兆とほぼ横ばいです。ただ、この公債発行額は三十五兆から二十五・四兆と減ってはいますけれども、累積をしていくと、委員指摘のとおり、公債残高は四百二十一兆から五百四十一兆円に累増し、厳しい財政状況が続いたということは事実だというふうに認識をしています。
  287. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 政府が持っている経済政策の言わば道具立て、これは、一つは日銀の金融政策、これは金利を上げる下げる、あるいはお金を市場に供給する、あるいはそれを引き揚げるというような金融政策の側面と、政府が持っている経済政策の道具としては、一つは税制、一つは規制緩和、一つは財政出動、この三つしか基本的にはございません。  財政出動は、バブルがはじけた以降、不景気なときに相当な財政出動をしましたけれども、基本的に日本の経済は強くならなかった。一時的な有効需要は発生しましたけれども、それは波及効果もなく、持続性もなかったわけでございます。したがいまして、小泉内閣になりましてからは経済に対してやや中立的な財政政策を取ってまいりました。しかし、福田内閣になって、ガソリンが高くなったと、こういう原油高に対する補正を組みました。また、麻生内閣になって、リーマン・ショックがあったときに、日本の経済が底抜けしないように十五兆円になんなんとする非常に大型の補正を組みました。  それはそれなりの効果があったと思いますけれども、財政出動によって支えられる経済というのはまず本物ではないと。やっぱり日本の経済が国際的な競争力を持つ、それから内需がサービス業を中心としてもう少し生産性も高くなる、内需も高まる、そういう状況がなければならないと思っております。  デフレの要因は様々ありますけれども、こういうふうに国境のない経済になりますと、諸外国の物価安、諸外国の賃金安が、当然、日本の物価、日本の賃金に反映してくるという避け難い現象が起きていると思います。  しかし、インフレというのは、大変住み心地の悪い、また勤労者の実質所得も、あるいは貯蓄をしている方々の貯蓄も破壊する、そういう大変悪性なものとなり得るわけでして、その点は十分注意しながらインフレとデフレを論じていかなければならないと思っております。
  288. 亀井亜紀子

    亀井亜紀子君 私は、十年デフレは財政出動によってしか解決しないと思います。物と貨幣のバランスにおいて貨幣が足りない、投資が足りない、お金が回っていないということがまず原因であると思います。  デフレ下で増税してはいけないというのは国民新党にとってはこれ常識なんですけれども、菅総理は就任されたときに、デフレから脱却しなければいけないということを強調されていました。デフレのときに増税をしてはいけないという御認識は総理にはないのでしょうか、お伺いいたします。
  289. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 今のお二人の大臣お話を聞きながら、私もこの間、このデフレの問題を考えてまいりました。デフレの原因は何か。一言で言えば、物を使うよりも金を持っていた方が安心だと、この状態が私は今の日本におけるデフレだと思っています。そうすると、その金を持っていた方が安心だという人からお金を何らかの形で、強制的にといいましょうか、使わせる方法は、国債で借りて使うか、あるいは税でもって使うかだと思います。  私はこれまでの財政政策が基本的に間違っていたと思いますが、それは何が間違っていたか。財政出動が大きかったから、小さかったからじゃなくて、使い道が間違っていたと。つまりは、雇用を生み出すような方面に使わなかったことが結局のところ間違っていたと。つまり、雇用というものは必ずそこに、例えば失業率が低下をし、新しい人たちが給料をもらいますから新しい消費が生まれます。そういう形で、全体として需要が不足しているのがデフレのもう一つの側面でありますから、それをカバーしていくことができるわけです。  ですから、私は財政に、よくおっしゃるように、確かに増税がいいとか悪いという議論をすれば、それは誰も増税が好きなわけではありません。しかし、私が考えるのは、デフレの下においては何らかの形でそれが将来の、国債だって将来は償還しなきゃいけないわけですから、何らかの形でお金が必要なわけですが、使い道を間違わないようにしていけば、私は経済は立て直る。ですから、私のこの内閣では、雇用を中心にした、つまりは需要の拡大を大きな柱にしてやってきたつもりであります。
  290. 亀井亜紀子

    亀井亜紀子君 もう時間ですので、では、これで終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  291. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  292. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  東日本大震災復興基本法案地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、現地対策本部設置に関し承認を求めるの件の審査のため、参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  293. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  294. 柳田稔

    委員長柳田稔君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時八分散会