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2011-08-25 第177回国会 参議院 総務委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十三年八月二十五日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         藤末 健三君     理 事                 加賀谷 健君                 武内 則男君                 片山さつき君                 金子原二郎君                 魚住裕一郎君     委 員                 石橋 通宏君                 小西 洋之君                 行田 邦子君                 友近 聡朗君                 難波 奨二君                 平田 健二君                 吉川 沙織君                 礒崎 陽輔君                 岸  宏一君                 世耕 弘成君                 中西 祐介君                 藤川 政人君                 山崎  力君                 石川 博崇君                 寺田 典城君                 山下 芳生君                 片山虎之助君                 又市 征治君                 浜田 和幸君        発議者      礒崎 陽輔君        発議者      魚住裕一郎君        発議者      片山虎之助君        発議者      中西 祐介君    委員以外の議員        発議者      小熊 慎司君        発議者      荒井 広幸君    国務大臣        総務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣地域主        権推進))    片山 善博君    副大臣        内閣府副大臣   山口  壯君        厚生労働大臣  小宮山洋子君        経済産業大臣  池田 元久君        国土交通大臣  三井 辨雄君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        園田 康博君        総務大臣政務官  逢坂 誠二君        国土交通大臣政        務官       小泉 俊明君    事務局側        常任委員会専門        員        塩見 政幸君    政府参考人        総務省自治行政        局公務員部長   三輪 和夫君        総務省自治財政        局長       椎川  忍君        厚生労働大臣官        房審議官     石井 淳子君        厚生労働大臣官        房審議官     金谷 裕弘君        厚生労働省職業        能力開発局長   小野  晃君        国土交通大臣官        房審議官     小林  昭君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○東日本大震災に係る災害復旧及び災害からの復  興のための臨時交付金交付に関する法律案  (礒崎陽輔君外五名発議) ○地域自主性及び自立性を高めるための改革の  推進を図るための関係法律の整備に関する法律  案(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 藤末健三

    委員長(藤末健三君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  東日本大震災に係る災害復旧及び災害からの復興のための臨時交付金交付に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働大臣官房審議官金谷裕弘君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんでしょうか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 藤末健三

    委員長(藤末健三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 藤末健三

    委員長(藤末健三君) 東日本大震災に係る災害復旧及び災害からの復興のための臨時交付金交付に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 武内則男

    武内則男君 おはようございます。  本法案に対して幾つか、もう既に私の方、月曜日に通告をさせていただいておりますので、十分御検討いただいたというふうに思いますので、是非簡潔に御答弁いただけたらというふうに思います。  本当に、今回の三・一一の東日本大震災与野党問わずに国会議員一人一人が果たすべき役割と、そして国、県、市町村を始め、被災された住民、様々な漁協を始め団体の皆さん、そういう人たち一緒になって、被災地皆さんを決して孤独にしてはならない、そのことにおいて国家がやるべきことについてきちっと物事を進めていく、それは我々に課せられた課題であるということは、お互いが与野党問わず認識を同一にするものだというふうに思っています。  そうした中で、今回、本法案立法にこぎ着けたことに対して敬意を表しながらも、この間のそうした基礎自治体を始め多くの人たちが実際に何を望み、そして国として何が必要か、その中身について五点、通告の内容について御質問をさせていただきたいというふうに思います。  まず一点目に、提案のありました交付金について、本来、我々もずっとこの間、政権与党として、基礎自治体が十分な対応をしていくために、あるいは国、県、市が補完の原則に基づいてしっかりとした対策を取らなければならないということで、総務部門会議としても我々も懸命な議論をしながら、現地の意見聴取もしながら、今回の復興基本計画の中にしっかりと使い勝手のいい交付金あるいは基金というものをしっかり積んで、自治体制度の中で欠け落ちたものについてしっかりそこで手だてできるようにしていかなければならないということで準備をさせていただいております。  そうした中に組み込んでありますが、今回の提案にあります交付金について、復興政策全体の中における位置付けについて御答弁願いたいと思います。
  6. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 お答え申し上げます。  今、武内委員から御指摘もありましたように、既に政府あるいは国会においてもいろいろな策を講じてきております。例えば、東日本大震災財政法によって補助の特例を上げるとか、あるいは公共土木代行に関する法律で国による直轄代行制度を設ける、あるいは最近、与野党協力でできました瓦れき処理特別措置法案瓦れき処理も進めるということもできたわけであります。また、被災者向け支援策としても、先ほどの東日本大震災財特法による特別の助成であるとか、あるいは、大変残念ではありますが、原子力損害の賠償に関する法律による措置も進んでおります。機構法もできました。  さらにまた、参議院からの議員立法であります原子力事故による被害に係る緊急措置法案、これはいわゆる仮払い法案でありますが、これによる仮払いとかあるいは基金の設置、そういったものに対する助成、そういったものも進んでおるところでございますが、今災害地状況を見ますと、そういう国の責任で強力に推し進めていかなきゃならない部門仕事ももちろんあるわけでありますが、やはりそれぞれの被災市町村ごとにいろいろ状況が違うわけであります。より細かなところ、より被災者個々個別の要望に細かくこたえられるのはやはり市町村であると思います。したがって、それを全て国の制度で割り切ってやることはできない部分が残ると思います。そういうところに対して市町村が頑張らなきゃならぬわけでありますが、今もう市町村大変でございまして、非常に財政状況が悪くなっております。  したがって、国が全国を、全国というか、被災地一律に進める事業ではなくて、要は、被災市町村個々要望、その市町村被災者個々要望ニーズというものに細かくこたえられるようにする、そういうすき間を埋めていくことが必要であると考えておるところでございます。  したがって、これは復興会議においても、自由に使える、使い勝手のいい交付金ということはもう復興会議の結論でも出ておるわけでありますから、それをまさに先に進めるための法案を今回提出させていただいたということでございます。
  7. 武内則男

    武内則男君 そもそも論ですから少し時間を掛けたいと思いますが、今回の復旧復興のための予算は、五年間の集中復興期間においても少なくとも十九兆円の予算を要するし、十年間は、少なくとも十年間で二十三兆円の巨額な投資が必要になってくるということが既に明らかになってきています。  基礎自治体で二十五年間、数々の災害復旧に取り組んできました。そうした基礎自治体の事実上の災害からの復旧復興に取り組むときに何が一番必要なのか。それは、復興基本計画に基づいて地域住民基礎自治体がその新たな町づくりをどうしていくのかということをきちっと話し合って、そこに住民が住まなければ自治体なくなりますから、そこに住んでいただくための新たな町づくり都市計画あるいは復興計画、そうしたものが、区画整理事業も初めて進んでいきます。そういう復興の全体像をしっかりやっていかなければならないというのがまず第一義です。この中でしっかりと復興計画を立てて、その中で国の補助率だとかいろんなことを勘案しながら基礎自治体がしっかりそれに対応できるようにきちっとやっていくというのが、ここは基本ベースになければなりません。  我々が受ける場合に、基礎自治体が受けようとしたときに、そういう一つ復興計画等事業としてあって、なおかつ今回の提案災害からの復旧復興事業計画を立てなさい、それを立てて、国に、総務大臣申請をして、その申請が認められればそれで交付金を出す、これ二重の仕事をやらなければなりません。  本来、最も基礎自治体が望むのは、私も二十五年やってきましたからよく分かります。そんな二本立てで国から下ろされてくるよりは一本にしてほしいと。全体の復興計画の中できちっと計画を立てる、しかしその制度から必ず抜け落ちる部分住民要求との間で必ず出てきます。そうした抜け落ちたものや、あるいは制度の谷間に入っていって一〇〇%達成できなかったもの、そうしたものを埋めるための自由度を持ったお金基礎自治体には私は必要だというふうに思います。それは復興計画全体の中でやる話であって、基礎自治体にとって、こういう法案ができたからといって、ありがとうございますというふうに私は計画を立てる側としてはなかなかなりにくいというのが私が経験をしてきた実感です。  そうであるならば、一本化していただきたいというのが自治体の望みだと思いますが、復興計画の中にこの法案どう位置付けるんですか。
  8. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 お答え申し上げます。  武内委員指摘のように、まず町づくり、いわゆる町の復興が第一義的であるという御指摘はまさにそのとおりであると思います。その中で計画を一本化という御指摘が今ございました。ただ、今回の法律計画を作るんではありません。あくまで、市町村が行いたい復旧復興事業で、既存の国の施策の中に組み込まれていないようなものを中心に申請をしてもらうということでありまして、計画を作るという形にはしていないことは御理解を賜りたいわけでありますが。  今まさに言ったように、より細かなニーズがあるわけですね。計画というような話ではなくて、いろんなやはり今ニーズ被災地の現場では出ているんじゃないかと思います。そういったものに対して、国が全て財政措置個別法律、何とか法、何とか法という形で一つ一つ措置していくことは私は無理だと思います。だから、そこのところは国が国の体系的な計画の中で位置付けるんではなくて、もう市町村に全てお任せする。お任せするんだけれども、市町村の方は財政的に非常に厳しいですよと、したがって、そこにきちんとした財政手当てだけはすると。そういう考え方で我々はこの法律を作ったわけでございまして、決して計画を作るということは前提になっていないということは是非とも御理解を賜りたいと思います。
  9. 武内則男

    武内則男君 であるならば、我々がこの間議論をし、進めてきて復興基本計画に組み込んだ基金、これがベストだというふうに私は思っております。  そうした自治体ができることをやるということであれば、全体の復興計画住民一緒に決めていくわけですから、そこで欠け落ちたものであったり、できなかったものを基金の中でしっかりと自治体がそのことに、要望にこたえていく、町づくりにプラスアルファしていく。それがあるべき姿としては、私は、自治体にとっても全体の復興計画の枠の中でやりますので、その中で様々自治体が果たすべき役割住民要望がどうなっていくのかというのは全体の議論の中で整理をされていきますので、そこに必要なお金基金として積んで、その基金いかようにでも、いつどの時期でも、復興計画期間中であればそれを活用することができるというふうにしていく法律の方が私はベストだというふうに思っておりますので、この法案にはなかなか同意をすることができません。  そこで、今回の法案ですが、一つだけ確認をしたいんですが、今回の法案財源の話ですが、この財源というのは特定財源になるのかどうか、少しちょっとお聞きしたいと思います。
  10. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 お答えを申し上げます。  特定財源という意味がちょっとよく理解できませんが、基本的にはこの法律交付金交付のための手続法でありまして、枠法でありますから、この法律を作ったから何かお金が出てくるという法律ではありません。  したがって、その部分予算でやっていかなければならないわけでありますけれども、予算は我々考えておりますのは、一つ復興予備費ということでこの前第二次補正で八千億円も積みましたので、これは全部配るかどうかは別でありますけれども、是非ともその予備費をまず充当していただければ早く交付できるなというのが一つであります。もし、それでまかりならぬということであれば、やはり三次補正の中できちんとこのための予算を組んでいただきたい。これは政府与党の方で御配慮賜りたいと思っております。  その財源をどうするかということは、これはもちろん我々というよりも政府の方で考えていただきたいとは思っておりますが、復興債がまだ枠組みがはっきりしておりませんけれども、復興債を充てるということも十分あり得るんではないかと考えているところでございます。
  11. 武内則男

    武内則男君 そうしたら次に、今回、五千億という金額が提示をされております。その五千億という規模を決めた根拠と、この復興計画の実施に当たってどの部分に活用するのか。さきの答弁でも若干触れてはいただいておりますが、その五千億の根拠と併せて御答弁いただけたらと思います。
  12. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 お答えいたします。  五千億というのには積算的な根拠があるわけではありませんが、大体今回の被災状況市町村財政状況を見ますと、やはり数十億円程度措置を平均的にはしなきゃならぬなと思っております。平均的に考えて我々は、大体二十億から二十五億円ぐらい、そのくらいの措置をしないとやはり足らないなという感じはしておりまして、今回の被災市町村が、最近政令が改正されまして今二百二十一市町村になってございます。大体二十億から二十五億で二百二十一市町村ということを考えますと、大体積算で五千億円ということでございます。  これも第一次的に五千億円ということでございまして、仮にそれを政府がお認めいただければ、また来年度以降更にそれは上積みをしなきゃならぬかもしれませんし、一回だけ、それだけ措置すればいいということかもしれませんし、その辺は今後の災害復旧の進捗の度合い、それから市町村財政状況、そういうものを総合的に勘案しながら、適宜予算の中で、また与野党で御相談を申し上げていきたいと考えておるところでございます。
  13. 武内則男

    武内則男君 済みません。平均二十億から二十五億ということで五千億の根拠を示していただきましたが、その二十億から二十五億を今回の復旧復興計画の中でどの部分に充てていくというのか、御答弁願います。
  14. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 お答え申し上げます。  どこに交付金を充てるかということでございます。これはまさに、先ほど言いましたように、使い勝手のいい自由な交付金ということで我々は考えておるわけでありますから、要は、復旧復興事業と言えないようなものを除きまして、これは基本的に何でもいいと我々は考えているところでございます。したがって、国庫補助補助裏でもいいわけでありますし、基本的には地方単独事業を考えておるわけでありますけど、それは何でもいいと。いわゆる自由な交付金でございますから、特に制限はなく、市町村がまさに復旧復興事業という枠は当然必要でございますが、その枠の中で必要なことには全て充てられるというふうに考えているところでございます。
  15. 武内則男

    武内則男君 御答弁聞いていますと、当初のそもそも論でお話をしたように、いわゆる復興計画の中で、それぞれ被災した自治体状況が全く違います。違う状況の中で、そこにいかに住民に帰ってきていただいて住んでいただくのか、住民合意の下で復興計画を立てていく、その立てていった復興計画の中で欠け落ちた部分、そうしたところにも活用できるというお話だというふうに思いますし、お話があった、いわゆる法律に基づいた補助事業の中で国負担分市町村負担分についての裏負担もオーケー、要は地方単独でやる様々な事業、そうした事業に充てられるという、まさに使い勝手のいいお金ですが、それは例えば、この後、私も交付基準が少し分からないんで質問の四番目に入れておりましたが、少しもう時間も参りましたのでやり取りの中で私の方でしんしゃくしたいというふうに思いますが、そういう、今日のやり取りを聞いていると、答弁聞いていますと、どう見ても、我々が主張するそういう計画があって、そこから制度上漏れたところ、あるいは一〇〇%達成できなかったところ、そうしたところに地方自治体住民との合意の下で、議会との了解も取って、しっかりとそこに予算化して全体の復興計画をよりベストなものに、自分たちが望む町づくりにしていくということの中に組み込まれているものだというふうに思います。  そこにおいては何ら変わりないと思いますが、そうしたところでやるということにおいては我々が主張してきた基金として積んでいくというのがまさにベストだと思いますし、そういう復興計画の中で使ったり裏負担に使ったりということは、全体の今回の大震災に基づいて復旧復興のために使われる臨時交付金だというふうに理解をします。  であるならば、今回、所管大臣総務大臣とした根拠理解できないんですが、そのことについて御答弁いただきたいと思います。
  16. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 まず、前段の話から申し上げますと、基金がいいんではないかという御主張のようでございます。それはもちろん御主張よく理解できますので、その辺は、もし御指導いただければ基金との連動についても我々は定めることができるんだと思いますので、是非与党の方でも今後の審議の中でまた御指導賜りたいと思っておるところでございます。  総務大臣とした理由はいろいろありますけど、やはり基本的に地方財政担当総務大臣ということであります。縦割り大臣、例えば復興大臣でももちろん絶対駄目ということはないわけでありますけど、復興大臣といったら、やっぱり復興復旧という、ある程度事業制限が掛かるんではないか。そうじゃなくて、さっきのように、使い勝手のいい交付金ですから、これはある意味地方財政措置を行う法律と考えていただいてもいいわけであります。あらゆることに使える、市町村がやりたいと思った事業は何でも使える、そういう、事項的な制限縦割りで入ってこない、やはり地方財政措置をする所管大臣という総務大臣というのが我々は一番適当であるから総務委員会で御審議をいただいておるわけでございますので、御理解を賜りたいと思います。
  17. 武内則男

    武内則男君 何にでも使えるというと各自治体ポケットマネーみたいに聞こえて、少なくとも、国民の税金を投入するわけですから、交付基準であったりとか、その根拠であり、あるいは全体の復興の中でやるのであれば、計画の中でやれば、復興担当大臣が全部掌握した中で必要なものについて交付していくというふうにするのが私は本来あるべき、国の取るべき態度だというふうに思っております。それが最大の今回の反対理由でございます。  そのことを申し上げ、いろいろこの間、会期末の中で、多くの理事さん始め委員皆さんに大変な御協力をいただいてまいりました。筆頭からは反対討論は避けろというふうに言われておりますので反対討論はいたしませんが、少なくとも国が今取るべき重要な施策としては、私は、こういうポケットマネーのような、そして全体の復興計画の中でどう位置付けていいのか明確にならない交付金ではなくて、しっかりと復興計画の中に組み込まれた、本当に真に自治体使い勝手も良くて、いい財源お金として位置付けられていくことが最も望ましい姿であるということを申し上げて、反対質問を終わります。  ありがとうございました。
  18. 山崎力

    山崎力君 自由民主党の山崎でございます。  今回のこの法案に関しまして、今同僚議員から、与党議員からの質問があったわけでございますけれども、重なる部分多少あると思いますが、時間の関係もございますので、短めに御答弁いただければと思います。  一番の今の与党側質問を聞いていて違和感を感じたのは、この人はどこの政党だろうと、この人のたしか党首、間もなく辞める予定の方は、何でも使える一括交付金ということをうたったことがあったんではないだろうかということでございます。その意味におきまして、裏腹の関係で、この法律もその問題について我々が指摘した点があるわけでございますので、技術的な面になりますけれども、細かい点になりますけれども、その辺のところをただしていきたいというふうに思っております。  まず、それでは、今度の、一番細かいところなんですが、国と地方関係の中で、これは一番抜けていたところですが、みんな国と地方と言うと納得するんですが、地方一つじゃありません。県と市町村がございます。今回の法律でなぜ対象を市町村に絞ったのか、まずその辺からお聞かせ願いたいと思います。
  19. 中西祐介

    中西祐介君 山崎委員お答えを申し上げます。  今回の東日本大震災被害、まさにこれは東北エリアにとっても、特に沿岸部財政規模が非常に小さいエリア、もう山崎委員の御地元青森県も含めてでございますけれども、そうした被災状況が非常に悪化していると同時に、やはりそういうエリア自治体には特別の財政支援が必要だというふうなところが非常に多うございます。これに対して県は、その財政規模、それから財政状況悪化程度は、やはり市町村被災を受けたエリアとは異なった部分がございます。そういう意味では、この法案というものは被災市町村に対してのものであるということをまず申し上げたいと思っております。  そして、同時に、市町村の特徴といたしましては、地域に密着をして、特に被災を受けたエリア住民の皆様に身近な行政ということで、やはりその区域の被災特性に応じて、被災自治体が自主的かつ戦略的に、自主的、主体的に災害復旧復興事業を実施するために特定被災市町村といたしたところでございます。  加えて言うならば、もちろん県に対しても支援を検討しなければなりません。災害を受けた県については今後の広域的な復興をやはり主導的な立場で担っていただくということもございますので、我々自由民主党としては、被災者及び被災事業者の再建に資する基金としてきずな基金というものも今後想定をしてまいるということでございます。  いずれにしても、今一番復興にとって、あるいは被災者にとって支援が必要な身近な自治体ということで市町村を挙げさせていただきました。
  20. 山崎力

    山崎力君 続きまして、今度の場合は大震災といっても性格が大分違っているところがございます。これは言うまでもなく、いわゆる津波等の、地震等の震災と同時に原発事故という問題がございます。その辺のことで、この性格の違ったある意味災害被害に対して、今回の交付する対象事業、あるいはそういったものの認定範囲、これは原発補償の関係と今回の交付のその辺の関係はどのようにお考えでございますか。
  21. 中西祐介

    中西祐介君 お答えを申し上げます。  まず、本法案が想定する対象事業、これは法律上は特段の定めは持っておりません。といいますのも、やはり本法案による交付金というものは、対象市町村がその区域の特性に応じて自主的かつ主体的に再建を行うと、そのための復興復旧事業を実施するための法案でございます。  そういう意味からしますと、例えば市町村の庁舎でございます。まだ十分に再建がなされていない、あるいは仮設のままで進んでいるところもたくさんございます。同時に、災害復旧復興に対して、今までの職員の方々、もう亡くなった方も含めて数が減っていると、そういうところに対しては非常勤の職員、あるいは臨時で雇う。これに加えて、やはり災害を受けた住民の皆様に対して、放射能に関するその市町村独自の放射能の健康診断を行うと。あるいは、今後の町づくりにおいて、新たな町を設計するに当たってのいろんな調査を行うと。そうしたような事業について、この法案一つは想定をしているのかなというふうなことでございます。  ただし、未曽有の災害、それからその被害の影響の大きさを考えますと、これまでの事業や事務の法律で規定されてきた用語の範囲にとらわれずに、あくまで対象事業の特性に応じた必要な資金を、自治体自らが計画、それから事業化し、それを御申請いただくというふうに想定をしております。  委員からお話ございました、まさに原発被害に関しては、これは原発の被害に対応する事業復興に対する事業、明らかに線引きができるわけではございません。そういう事情も考えますと、原子力事業者が賠償責任を負うべき損害の回復のために本法案による交付金を充てることは、十分それも含めて可能だと。それを前提にしながら、本法案が充てられた場合には、国が原子力事業者に対して事業に充てられた交付金の相当額を求償できるということもこの法案の中に規定をさせていただいているところでございます。
  22. 山崎力

    山崎力君 それでは、続きまして、この趣旨はよく分かるわけなんですが、一方で、条文だけ読んだ場合、大臣いらっしゃいますが、総務大臣の裁量が物すごく大きいというふうな形が読み取れます。特定被災地域ですか、そういう該当市町村が二百二十一ですか、十県。その後、具体的に、先ほど大体二十億程度という感じで言っていましたけれども、その交付額を具体的に、A町に対しては幾ら、B村に対しては幾らということをどうやって決めていくのか、その交付額の決定プロセスをどのように考えているのか、お伺いしたいと思います。
  23. 中西祐介

    中西祐介君 委員お答えを申し上げます。  主務大臣総務大臣の裁量が非常に大きいということはもちろんこれは承知をしておりまして、同時に、これはもう総務大臣が今回受けた被害の大きさも鑑みた上で適切に御対応いただけるものだというふうに判断をしているところでございます。しかしながら、自主的かつ主体的に復興復旧を進めるということの裏返しでもありまして、まさに地方分権の精神にものっとった法案だというふうにも自負をしているところでございます。  本法案は、成立後速やかに、三条の基本理念を踏まえまして、交付金交付に関する必要な事項を具体化するために総務大臣が基本方針を決定するというふうにも規定をさせていただいております。その基本方針とは、以下三項目を定めることとなっております。  まず第一は、本交付金をもって経費に充てるものの範囲でございまして、申請する自治体にとってそのニーズに応じた使い勝手のいいものになるように広範囲に定めるということをまず第一とさせていただいております。  そして第二には、交付金交付の基準というものでございまして、特定被災市町村財政状況あるいは既に行われている災害復旧復興事業等の実施状況を総合的に勘案して総額を決定するための要素等を定めるというふうなのが第二になっております。  そして第三は、本交付金を受けて行う事業等に関して必要な事項ということでございまして、申請書に記載するべき事項、あるいは申請に、手続に関する事項、交付金対象事業等の実施に関する計画に記載すべき事項を定めるというふうに規定をさせていただいております。  総務大臣は、その基本計画にのっとって申請されたものを、言わば二百十一の自治体、上がってきたものを総合的に勘案をしていただく。それは、被災状況あるいは必要額というものは、客観的な指標を用いてはこれは十分ニーズに沿った対応ができないということも考えられますので、事業の進捗や今の財政状況等も鑑みた上で判断をしていかなければいけないというふうな実情に基づいてこの法案を定めさせていただいております。  また、地震、津波、先ほど礒崎提案者からも御説明がございました。そういう複合要因に対する交付金の位置付けでもございますので、特定被災市町村の実情を、対応を優先するということを大前提にしながら、そのためには総務大臣に柔軟な裁量権を与えるということをもって、この復興に向けての支援が合理的ではないかなというふうな理念を持っております。
  24. 山崎力

    山崎力君 よくおっしゃっていることは理解できたつもりですが、私が個人的に思うのは、今回の法案一つの考え方の基本にある、今までおっしゃってない部分もあると思うんですが、下世話に言わせていただきますと、災害を受けた市町村の首長は何が一番問題かというと、手持ちの金が欲しいんですよ。それで何かやりたいんです。ないんですよ。それで、これをやりたい、国からの、県からの補助が来るから。だけど、その部分、自分の地元負担分があるだろうかと。いつ来るかと。来るだろうけどいつ来るか分からぬと。そこで、性格的にゴー指令を出す人ととどまる人で性格の違いが出ると。この金があれば、こうした金があればできる、すなわちスピード感が先ほど来の与党側質問でもうかがえるように全く考慮されてない。ちゃんとした計画を作りましょう、それで国が一生懸命やるんだから、それができてからやればいいじゃないかと。半年たっているんですよ、現実には。  私は、その意味でやむにやまれず野党側から出た案だと思っておりますが、その点を踏まえた上でまず片山総務大臣にお伺いしたいんですが、こういった我々野党側のこの法案に対して、これが可決された場合、このスキームで総務省として実施できますか。まずその点からお伺いしたいと思います。
  25. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 今おっしゃったように、これが可決されたとした場合、そういう前提の下に今のその法案の内容に即して御答弁申し上げますと、これは先ほども議論になっておりましたけれども、この交付金の性格をどういうふうにとらえるかということと大いに関係があると思います。復興基本計画復興計画の中にきちっと位置付けられて、その中の一環として自由度の高い交付金として位置付ける。その場合ですと、恐らく、これも先ほど議論ありましたけれども、復興担当大臣とか復興本部との調整が必要になりますので、総務大臣だけではなかなか決めかねる面があると思います。  しかし、先ほど礒崎議員の方から話がありましたように、もちろん復興に関連はしますけれども、その外周部といいますか外縁部といいますか、そういうことを広くとらまえて、一種の地方財政措置として構想するということでありましたら、これは総務省の方で、現在でも災害対応の特別交付税の交付もやっておりますので、それの延長線として運用はできるだろうと思います。ただ、その場合には既往のその特別交付税との制度的すみ分け、整理というものが必要になるだろうと思います。
  26. 山崎力

    山崎力君 非常に総務大臣として微妙な立場で、いい御答弁をいただいたと思っております。そういう意味で、時間の関係で先に進ませていただきますけれども。  今回の提案の最大のネックといいますか、五党の共同提案になっているわけなんですが、この法案が仮に成立したとしても、必要な予算をどうやって措置するかということが最大の問題であります。それが我々野党の最大のネックであると、この法案に対する。中身が幾ら良くても、これはかつて民主党が選挙でよくやった手ですが、本当においしそうなもちを提示してもそれが実物でない絵にかいたもちであったということは、我々、体感、体感といいますか体験しているわけですが、それと同じことがこの法律案にもあるのではないか。いや、そういう性格を持たざるを得ないわけですね、野党の提案とすれば。これから与党が翻意していただければこれは別ですけれども。  その辺を踏まえた上でなおかつこの法案を提出した、その思いはどこにあるかという点をお伺いしたいと思います。
  27. 中西祐介

    中西祐介君 お答えを申し上げます。  御指摘のとおり、本法案が可決しても、政府から予算措置をいただかないことには被災地の喫緊に必要としているニーズに対して十分こたえることはできないと。先ほど、山崎委員の方から本当に思いのこもった、被災地状況が浮かぶようなお話ございましたが、まさにそういう被災地ニーズ、色濃くまだまだ被災状況、つめ跡が残る中で、そういう地域を救う意味でも是非政府与党の御賛同、そしてまたバックアップを提案者からもお願いをしたいというふうな思いでございます。  そしてまた、提案者として想定しておりますのは、この交付金に要する経費として約五千億円程度見込んでいるということを先ほど申し上げました。早急に交付するには、やはり第二次補正予算の中身、東日本大震災復旧・復興予備費八千億円を充てるべきだというふうに考えております。そして同時に、この予備費の使用が難しいというふうな状況であれば、やはり例えば復興債のようなことも含めて第三次補正予算でしっかりと予算付けをして対応すべき事項だというふうに考えております。  いずれにしても、柔軟で前向きに被災地復興に向かっていけるように枠組みをつくっていくと、そうした予算措置被災自治体の声を代表して、また提案者からも含めてお願いを申し上げたいというふうに思っております。
  28. 山崎力

    山崎力君 それでは、片山総務大臣にお伺いしたいと思います。  私、個人的にやり取り大分させていただいた記憶があります。そして、恐らく菅内閣における総務大臣としては最後の答弁、質問になろうかと思いますので、その辺を踏まえてちょっと広めの御答弁をいただければと思います。  と申しますのも、今回のこの我々野党側の出した法案というのは、ある意味、私どもが、特に私は具体的な積み上げ部分が不足だと言って、非常に汚いというか、記憶しているところでは、片山総務大臣は菅内閣の羊頭狗肉の言葉をやるセールスマンだと言ったような記憶もございます。中身は犬の肉なのにこれは羊の肉だと言って売っている、それを言葉巧みに納得させようとする方ではないかということを、失礼なことを申し上げました。  その意味におきますと、確かに今回の我々の出した部分はそれと似たような中身の法案であるという気もするんです、先ほどいろいろ具体的なことを質問しましたけれども。だけど、このやろうとしている思いというのは、私は片山総務大臣としての価値観というものとそれほどそごはないのではないかと。たまさかそういう立場だからなかなか首は縦に振れないけれども、考え方として、自分が長い間自治官僚として、そして地方行政に具体的に携わった方としてどのように考えるかという点をまずお伺いし、時間の関係でもう一点だけ申し上げれば、今回のこういった形の地方自治の、一番私はある意味での、何というか危機的な状況にあると。  なぜならば、こういった大災害について、地方自治体、県、市町村、国との関係地方自治体単独では対応できないということが明らかになったわけです。これは大災害、それからあるいは暴動その他の人為的な戦争も含めたそういった災害といいますか、そういったところに地方自治体というものが、公共団体というものが対応できない、具体的には。それをどう連携し、県、国との関係においてサポートしていくか、この点が今問われているんだろうというふうに思っております。  あわせて、最後に申し上げれば、今回の菅内閣の、片山大臣のおっしゃっていることは極めて本当に正しい、やり方としては。ただし、スピード感がない。一か月、二か月で今の状態だったら何も文句言いませんよ。半年たったんです。この状況なんです。  その点について御答弁をお願いして、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。
  29. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 非常に微妙な御質問をいただきまして、一つは、現状においてこの法案を拝見いたしまして、率直に申し上げて共感する部分はあまたございます。  地方自治体の首長を私も経験いたしまして、非常に大規模な、もちろん今回ほどではありませんけれども、マグニチュード七・三という大震災を受けました地域の知事をやっておりましたときのことを思い出しましても、この種の自由に使えるお金があるということは大変大きな支えになるだろうと思います。  ただ、これは、先ほど来も議論はありましたけれども、例えば復興基本方針の中にあります基金との関係とか、基本方針の中自体に自由度の高い、自由に使える一括交付金という話もありますし、さらには、それぞれのこれからの復旧復興の、例えば公共事業について、災害公共について国費をどのように充当していくのかという整理も必要でありますから、全体の予算の中でやはりこういう要素というのは織り込んで、全体の整合性を図ることが必要だろうと思います。  ただ、その予算が、先ほどスピード感がどうかと言われましたが、これも私も本当に率直に申し上げますけれども、自治体の立場からいえば、より早く国の支援の枠組みというものは決めてあげて、それを基にしながらそれぞれの自治体が自主的に判断ができるという、こういう枠組みが早くつくられるべきだろうと私も思いまして、これまで微力ながらそういう発言もしてまいりましたが、今日ここに至っているわけでありまして、できるだけ三次補正を始めとする必要な予算措置を今からでも急ぐべきだと思っております。
  30. 山崎力

    山崎力君 終わります。
  31. 石川博崇

    ○石川博崇君 おはようございます。公明党の石川博崇でございます。  今日はいつもと違う雰囲気の中での総務委員会でございますが、元気いっぱいに質問をさせていただきたいと思います。  今回、この東日本大震災に係る災害復旧のための臨時交付金に関する法律案、野党五党での共同提案ということで提出させていただいているわけでございますが、この取りまとめに当たられた委員の先生方の御努力にまず心から感謝と、また敬意を表させていただきたいと思います。  私自身、これまで幾たびと被災地に行かせていただき、また、我が党では各被災地市町村ごとに国会議員担当制をしいておりまして、私は宮城県の石巻市、それから東松島市、女川町を担当させていただいて、現地に行き、その現地の様々な課題をワンストップで我が党の国会議員がそれぞれ受けるという体制をしかせていただいております。  そういった関係で、それぞれの地域の首長さん、また市役所の幹部の方々にもお会いしておりますが、そのたびに様々な課題また問題意識を伺い、そして、まさに今回提出させていただいたような自由に使えるこういった交付金制度というものを是非ともつくってほしいという非常に強い声がございます。  そういう意味で、今日は、具体的にどういった面で各市町村がこういう自由度の高い、使い勝手の良い交付金を求めているかということを具体的に質疑を通じて洗い出させていただきたいなと思っております。  これまで政府におかれましては、予備費の活用、また第一次補正、第二次補正を通じて様々な復旧復興支援策を組んできていただいておりますが、残念ながら、現地に行きますと抜け落ちている部分というものが数多くあるのが現実でございます。例えば、まず取り上げさせていただきたいのは、第二次補正予算で福島県におきましては放射線の除染作業、あるいは学校の土砂の除去、フィルムバッジの供与等の事業を組んでいただきましたが、これはあくまでも福島県民だけを対象にしております。あるいは福島県内の学校のみを対象にしております。  例えば、私がずっと行かせていただいております宮城県におきましては丸森町、あるいは栃木県におきましては那須塩原とか、福島県内の例えば会津若松の地域よりも更に放射線量の高い地域というものが福島県外、他の隣接県には実際にあるんですが、こういった地域にはこういった除染作業、あるいは子供たちへのフィルムバッジの供与というものが全く行われていない。これはどう考えても合理的に説明が付かない状況が出ております。  この隣接県に対する例えば県民の健康調査や、こうした学校、公園などの除染事業を今度どうやって行っていくのか。池田副大臣に来ていただいておりますので、御答弁よろしくお願いします。
  32. 池田元久

    ○副大臣(池田元久君) 石川委員お答えをいたします。  線量の分布というのはおっしゃるとおりでございます。  政府としては、平成二十三年度二次補正予算において、原子力災害から子供を始め住民の健康を守るため、基金をつくり、全面的に福島県を支援することにしています。福島県外におきましては、ホットスポットを生じている地域住民の方に対する健康管理調査、フィルムバッジの配布等の実施については、現在行っているモニタリングを引き続き実施することにより状況の把握を行うとともに、県及び地元自治体要望をお聞きした上で、専門的な観点からどのような対応が可能か、今実施を検討しているところでございます。  県外の除染事業につきましては、これは既に御存じのように、校庭や保育所の園庭については毎時一マイクロシーベルト以上の放射線量を観測したものについては補助対象としているところであることは委員も御存じだと思います。モニタリング状況を踏まえ、必要な対応をしていくこととしております。  以上でございます。
  33. 石川博崇

    ○石川博崇君 これから検討されるということでございますが、実際今モニタリングの結果で、例えば宮城県の丸森町あるいは那須塩原、放射線量が高いということはもう既にモニタリングの結果で出ております。是非この地域の方々の安心、安全を確保するために、せめて福島県で行っている、福島県と同じ線量のところで行っているような対処というものは是非早急に組んでいただきたいということを強くお願いさせていただきたいと思いますし、今現時点でできていない状況の中で、地方自治体が市民の声を受け、また住民の方々の声を受けてやりたいと思ったときに事業を実施できる、そのための予算としてやはりこういう交付金措置ということをとることがいかに重要かということを主張させていただきたいと思います。  また、次に、現地に行きますと、やはりこれからの復興基本構想の中の大きな枠の中に入るとは思いますが、これからの生活環境というものがどうなるのかということが大きな関心でございます。  仮設住宅に入られた方々、これまで住んでいた地方から集団移転、高台移転ということが言われておりますが、各市町村あるいは各県におきましても、高台移転の今後の方針がどうなるのかということが国から全く方針が示されていない。国土交通省におきましては、防災集団移転促進事業というものが法律上ございますが、これは平時の制度でいきますと四分の三の補助率で、残りのこの裏負担をどうするのかということが各地方自治体からすると最大の懸念でございますし、これだけの大規模被災の中で集団移転といったものの住民に対して国が方針を示せないと、示してくれないとどういう形で実施できるか分からないという現状が、もう半年近くたった今の現状でも続いております。  まず、国交省、小泉政務官が来ていただいておりますので、この集団移転事業補助率の今後のかさ上げ方針について今どういう検討状況にあるか、御説明いただけますでしょうか。
  34. 小泉俊明

    大臣政務官(小泉俊明君) 御指摘をいただきました防災集団移転促進事業につきましては、災害時に行われるという事業の性格から、今先生御指摘補助率四分の三となっております。ただ、市町村等の負担分についても特別交付税等の地方財政措置が講じられることから、既に実質的には九四%が国が負担するということになっております。  ただ、今回の災害の実態から見れば、被害が広範にわたっており、地方公共団体の負担も相当大きくなると考えられております。また、御案内のように、七月二十九日に東日本大震災復興対策本部におきまして決定されました東日本大震災からの復興の基本方針におきましても、地域の実情に即して多様な用途の立地が可能となるよう、土地の買い上げ等も可能な防災集団移転促進事業を総合的に再検討するとされているところであります。  国土交通省といたしましても、この基本方針を踏まえ、第三次補正も含めて必要な積極的な対応を図ってまいりたいと考えております。
  35. 石川博崇

    ○石川博崇君 要するに、今の段階でどこまで補助率をかさ上げするかということが決まっていないという御答弁だったかと思います。  そういう中で、例えば住民の方々、この集団移転に合意をして移転しますという決断をできないんですよね。そういう合意形成も進まない、ですから今後の町づくり計画を立てられない。市町村においては、ここへの高台移転なんかを計画しているけれども、これが実施できるかどうかは国が補助率をどうするかに懸かってきますという答えしか出せない。  そういう中で、非常に、鶏が先か卵が先かというようなところにありますが、お互いに国と市町村がにらみ合っている、国と地方が相手の出方を探り合っているという状況復興のスピードを非常に遅らせているという中にあります。こうした裏負担を気にしなければいけないという状況が非常に復興を遅らせておりまして、こうした裏負担にもきちんと対応できるような交付金措置を、自由に使える自由度の高い交付金措置するということがいかに大切かということを是非訴えさせていただきたいと思います。  ここで、発議者一つ質問させていただきたいと思います。  今回、この法案の各野党間での審議の中で、我が党の中でも議論をさせていただいた折に、この交付金をより地方使い勝手がいいようにできないかということを議論させていただきまして、提案をさせていただいて盛り込んでいただいていると認識しております。この我が党の提案が盛り込まれたその修正内容と意義について御説明いただければ幸いです。
  36. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 石川委員お答えをさせていただきます。  真に使い勝手の良い自由度の高い交付金をということで原案を起草していただいたわけでございますが、内容的にはそのとおりになっているわけでございますが、その中に、いわゆる予算補助地方負担分につきまして交付金が渡ることは支障がないものとなっておったわけでございますけれども、いわゆる法律補助地方負担分についてはこれを行わないものとするという趣旨の規定があえて八条の一項に規定されていたところでございます。国を挙げてしっかり応援をしていこうという中で、これはないんではないのか。その法律補助裏負担も、それは判断するのは自治体だと思いますけれども、それを取り払って今回の災害規模の大きさに鑑みてやはり地方財政の特段の配慮を行うと、こういう観点によってこれを対象から除外しないと、そういう趣旨で原案起草者にお願いをいたしまして修正をさせていただいたものでございまして、更に使い勝手の良い交付金になったものというふうに理解をしております。
  37. 石川博崇

    ○石川博崇君 大変ありがとうございます。  先ほど紹介したような、まさに防災集団移転事業補助率裏負担というものを地方は気にしているわけでございますが、こうした補助裏負担にも使えるようになったということで、より自由度の高い交付金制度になっていることを高く評価したいと思います。  また、もう一点、各市町村がこれまでずっと困ってきたことの一つを最後に御紹介させていただきたいと思いますと、仮設住宅の設置、建設、そして仮設住宅への入居というものが今進んでおりますが、介護施設が大きな被害を受けた中で、仮設の特養を是非とも造ってほしいというニーズが、災害復旧事業の中の一つとして仮設の特養を設置してほしいという希望が非常に強くございました。特養の設置に当たっては、通常でいうと、様々な制約がある中で仮設のプレハブのような中に特養を設けていいのかという原則論はあったかと思いますが、やはり入れる場所がない中でこうしたものを造ってほしい。  そしてまた、民間の介護施設も大きな被害を受けている中で、この民間の介護施設の復旧にも支援是非国としてやってほしいというニーズが相当ございましたが、ずっとこれが国としての手当てができないまま、私ども公明党として長らく政府に対して提案をし、またお願いをしてきていたんですが、なかなかできていない状況が続いておりました。  最近これがようやく、仮設の特養の設置、そして民間の介護施設の復旧支援ができる方向で政府として方針を示していただいたと思いますが、是非この点、御説明いただけますでしょうか。
  38. 金谷裕弘

    政府参考人金谷裕弘君) お答えさせていただきます。  仮設の特別養護老人ホームの設置及び認知症高齢者のグループホーム等、いわゆる民間の介護施設の復旧支援についてのお尋ねということでございます。  まず、仮設の特別養護老人ホームでございますが、被災地におきます特別養護老人ホームの設置につきまして、仮設で設置した場合のいわゆる防火、防災上の観点というふうなことから、入所者の安全性を確保する、どの程度確保する必要があるかというふうなことなど、様々な課題がございました。ただ一方、被災地ニーズにこたえるためにはどのような方法があるか、地方公共団体の皆様とも相談しながら検討を行ってきたところでございます。  今御指摘ございましたように、今般そういった被災地ニーズにこたえます一つの方法といたしまして、応急の仮設施設として設置をされる特別養護老人ホームに対しまして、平家建ての準耐火建築物とするなど一定の要件の下に災害復旧費の国庫補助を行うこととしたところでございます。  今後、厚生労働省といたしましては、被災地自治体を通じまして準耐火建築物によります特別養護老人ホームの設置に関する事業者の意向等、これを把握することに努めまして、必要に応じましてその具体化についての御相談に応じてまいりたいと考えておるところでございます。  また、民間介護施設の復旧支援につきまして、認知症高齢者グループホーム等ございますけれども、これら市町村交付金によらないで設置したものにつきましては災害復旧費の国庫補助で対応できないということになっておるわけでございますが、今般、介護基盤緊急整備等の臨時特例基金、これを活用することによりましてその対象とするということで復旧支援を進めるということにしたところでございます。  私どもといたしましても、こうした取扱いを通じまして地元の皆様方の復旧、そしてそういったことに対する支援をできる限り今後とも行ってまいりたいというふうに思っています。  以上でございます。
  39. 石川博崇

    ○石川博崇君 ありがとうございました。  対応していただいたことは大変に高く評価をいたしますが、半年近く掛かってしまったということは是非猛省を促したいと思います。  今御答弁の中で触れていただいたように、確かに防災あるいは防火の側面からの安全をいかに確保するかという点が懸念であったというか課題であったということはあるかと思いますが、時間が掛かったのは、やっぱりその予算をどこから持ってくるのかということが一番の問題でありました。この仮設の特別養護老人ホームについて災害復旧事業として認めるかどうか、あるいは民間の介護施設に対してどういう支援、どの枠から、どの基金から持ってくるかということが、政府内での財務省の協議に非常に大きく時間が掛かったというふうに伺っております。  そういう意味でも、これからもやはり現場では、各市町村では様々な課題、ニーズというものが出てくるわけでございます。その様々なニーズに対して、やはりこうした交付金を供与して、使い勝手のいい形で、財政上の制約が復旧復興を遅らせるということは是非とも避けるという制度を国としてしっかり築いていくことが私は重要ではないかと思いますので、是非ともこの震災臨時交付金の成立を心から念願をいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  40. 寺田典城

    ○寺田典城君 みんなの党の寺田典城でございます。  今回の法案につきましては、みんなの党も本案につきましては共同提出者になっております。また、今回の法案につきましては今回限りという緊急避難的な措置であるということもお聞きしていますし、この法案につきましては賛成させていただきますが。  先ほど以来、自由度があるとかスピードが欲しいということで、礒崎議員には何でもよいという形で表現されていますし、これは申請しなきゃならないですから手続法なんですが、その中で一つ法案提出者と総務大臣に、この基本方針の策定は五条なんですが、それと交付金交付の判断、六条の三なんですが、広範な裁量が委ねられておるわけなので、その判断に恣意性が介在する懸念があるわけなので、それを回避するためには具体的な考え方というか方策はどのようにお考えになるか、提出者と大臣からお聞きしたいと思います。
  41. 小熊慎司

    委員以外の議員(小熊慎司君) 寺田委員お答えを申し上げます。  寺田委員も秋田、私も福島で同じ東北、この東日本の大震災は、御承知のとおり、これはもう地震、津波においては千年に一度、そしてまたあの原発事故に関しては、これだけ広範囲で長期にわたるものは、これは史上初と言っても過言ではありません。そうした多層的な今被害が出ているところでありますので、現地においては、寺田委員も何度も足を運んで分かるとおり、様々な問題、課題が生じております。  そうしたものを的確に判断をし、この課題を克服していくためには、これは既存の客観的な指標ではこれはもう賄えないということは御承知のとおりであります。そうしたところから今回の法案を提出させていただいて、その中でも大臣の規定をしっかりしていくとなると、使用限度が限られてきて復興の妨げになりかねないというところもありますので、自由度を高めたところであります。  その恣意性の回避という部分に関しましては、これまでも答弁でありましたとおり、この法律の趣旨若しくは第三条の基本理念を踏まえて基本方針の策定をし、そしてまた交付金対象事業の決定を行うこととなっておりますので、そうした仕組みの中で恣意性は回避されるものと考えております。
  42. 片山善博

    国務大臣片山善博君) これは成立した前提でお答え申し上げますが、交付金の位置付けによると思います。  復興方針の中でのその位置付けが明確になって、その際に、例えば復興事業補助裏をこれで賄うとか、それから単独事業につきましてもその範囲を限定する、あるいはメニュー化する、その範囲内のものを使えるというように、こういうことでありましたら、これは総務大臣だけでは決めることはできませんので、政府全体の中、特に復興本部での調整が必要になるだろうと思います。  そうではなくて、もうかなり柔軟で本当に自由度の高い財政措置の一環だということでありましたら、これは特別交付税の中でもう既に、災害対応については恣意性のない客観的な基準によって特別交付税をその部分については配っておりますので、そういう経験も参考にしながら、批判とチェックに堪える基準を作成することは可能だろうと思います。
  43. 寺田典城

    ○寺田典城君 キーワードは、自由度、スピードと何でもよいというのがキーワードのようなんですね、この法律は。で、それを満たしているかというと、私はもう少し別の考え方だってあると思うんですよ。  ということは、申請主義で予算が五千億だということでそれなりの、そうなると私たち地方の立場を経験してきた者からすると、とにかく要求するという形になっちゃうんですよ。それだったら、地方財政のその基準財政需要額に応じて、あなたの方は例えば基本的に何%、一〇%なら一〇%を、何というんですか、地方復興地方債を認めるとか。そうなってくると議会と執行部とよく話合いもするし。それから、でなかったら、五千億のうち案分比例してこれは何十億なら何十億使ってくださいと、後で報告してくださいと、このような形がやはり一番私はベターなやり方だと思うんです。  これを総務省に何だかんだって事務手続を押し付けてみたっていい判断はできないと思うし、地方行政からいうと、必ず県の地方部とそれから市町村というのは確実に連携していかなきゃならぬことはあるんで、そういう点では、礒崎さんも相当苦労なさったんでしょうけれども、どっちかというと、何というか、震災の事例には対応しなきゃならぬことなんですが、やはりある面ではもう少し地方主権とか地方分権という考えだったら、一括した交付金で後で報告しなさいと、このぐらいの度量を持つことが私は大事だと思うんです。その辺は小熊議員も県議会議員を、小熊議員は県議会、コグマさんじゃないです、経験なさっていますので、その辺のあれと大臣の意見を聞きたいと思います。
  44. 小熊慎司

    委員以外の議員(小熊慎司君) 寺田委員お答えします。市会議員も私、経験をさせていただいていますけれども。  今回のこの法案の主たる目的は国がどうするかというところにもありますから、国が今財政状況が厳しい市町村に対して措置をするというところが主眼が置かれているところでもあります。また、私より知事をやられた寺田委員の方が経験は豊富でありますけれども、御承知のとおり、地方債、これは、地方交付税は全国の、これ被災地とはまた違うところの全国地方公共団体共通の財源でもあるということがあります。今回はこの被災市町村に限定して行うということでありますのでそうしたものを避けたということと、あとは、この交付金、当然議会の議論も経るというところがありますから、そういう意味ではしっかりと被災市町村においても議論がなされて、そしてその自己決定、自己責任の部分も表されるかなというふうに思っておりますし、委員御承知のとおり、我が党、共同提案の際に提案をさせていただいた、今回はこれ時間がないのでこれをやりますけれども、今後においての大規模災害においては、今委員指摘のとおり、権限、財源部分はしっかりと地方公共団体に移せるような検討をしていくという文言も加えさせていただいているところでありますので、御理解いただきたいと思います。
  45. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 今回の災害復旧災害復興の国と自治体との財政関係でいいますと、基本的には議員がおっしゃるように必要なことはできるだけ国費を充当する、国費の充当率を上げるということ、これを基本にしております。その上で、その補助裏地方財政でどうするかということをやってきているわけです。  私は、今回のこの交付金の構想も、それとセットといいますか、全体の中で検討されるべきだと思うんです。といいますのは、これだけ先行しますと、例えば各省が財政当局との間でなかなか予算が取れなくて、ないしは補助率が低くなってしまって、ああ、あそこにいい自由度の高い交付金があるじゃないか、あそこで全部賄うべしと、こういうふうになりますと、かえって自治体にとっては窮屈になりますので、できるだけ国費を充当し、その補助裏については一定の地方財政措置をする。それでもしかし、メニューに入らないといいますか、とらまえ難い需要が被災地にはありますから、そういうものを最後のよりどころとして、自由度の高い、ある程度まとまったお金を客観的に配っていくという、こういう構想が望ましいのではないかと思っております。
  46. 寺田典城

    ○寺田典城君 これで最後になりますが、意見だけ述べさせていただきます。  自由度の高いというんですけれども、考える自由度ですね。要するに、議会と執行部がそれで物を進めていくということは、こういう例えば五千億出した場合、それは出たからもらおうという形になっちゃうんで、そういう点では、やはり十分、復興債地方債を認めて、それで特別交付税で補填するとか裏負担するとか、それから、災害において幾ら出しますからあとは自由に使って、あとはあなた方が議会と執行部で決めてくださいというのが一番私は理想的じゃないのかなと、そのような意見を申し添えて、私の質問にさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  47. 山下芳生

    ○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。  まず、被災者被災地の救援、復興のために、被災自治体が主体的に活用できる交付金交付を行う法案を作成された提案者の皆様に敬意を表したいと思います。我が党は賛成であります。  その上で、今日は、被災自治体にとって大きな財政負担となっている防災集団移転促進事業について私からも質問をさせていただきたいと思っております。  読売新聞八月十一日付けによりますと、津波被害を受けた岩手、宮城、福島三県の沿岸の市町村のうち、約七割が高台や内陸部などへの集団移転を検討し、宮城県では約四千世帯が既に移転に合意をしているとのことであります。自治体は、被災、津波被害を受けた住民の中で、集団移転を希望する人、それからやっぱり元の居住地に残りたいという人、双方の希望を生かさなければならないわけで、今、アンケート調査や説明会を開くなど、住民合意に努力をされております。  しかし、現行の防災集団移転促進事業のままでは、被災者自治体の負担が極めて大きくて事業化が困難な状況にあると言われております。政府が七月二十九日決定した東日本大震災復興基本方針では、地域の実情に即して防災集団移転促進事業を総合的に再検討するとされておりますが、副大臣に来ていただいていますけれども、この事業自治体負担をなくす考えはありませんか。
  48. 三井辨雄

    ○副大臣(三井辨雄君) おはようございます。  今先生から御質問がございましたように、まさに集団移転等の問題、あるいはそれぞれの地域の問題、あるいはそれぞれのお考え方多々あるかと思います。それはその選択肢はいろいろあっていいのかと思いますけれども、今回のこの防災促進事業につきましては、既に実質的に九四%の額を国が負担するということになっておりまして、特に今先生からお話がありましたように、今回の災害の実態から見ますと、大変広い、広範囲にわたりまして、地方公共団体も相当の負担になるかと、そういう可能性があると思っております。  また、国土交通省といたしましても、こういう観点からも、必要な措置の具体的な内容につきましてはしっかり検討してまいりたいと思っております。
  49. 山下芳生

    ○山下芳生君 しっかり検討ということですが、片山総務大臣に伺います。  被災者の生活再建、それから地域の再生にとって、この防災集団移転促進事業というのは私は重要な役割を担わなければならないと思っておりますが、その点でも市町村の負担分について更に交付措置を増やす考えはありませんか。
  50. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 被災地が総じて財政力の非常に低い自治体でこの防災集団移転事業が行われるわけでありまして、したがって、地方財政を所管する者といたしましては、できるだけ今回の場合には国費の充当率を上げていただきたいということ、これが基本方針であります。  その上で、自治体の負担が当然生じますので、それについては総務省としてはできる限りの地方財政措置を講じていきたいというのが基本方針であります。
  51. 山下芳生

    ○山下芳生君 是非、この分野では相当な負担がこのまま国費が変わらないとすればありますので、国費を引き上げることも大事ですし、自治体負担を軽減する交付措置も拡充していただきたいと思います。  それで、この防災集団移転促進事業の国の補助率は先ほどありましたように四分の三です。残り四分の一の自治体負担への交付措置によって最終的には九四%国費で賄われる、したがって自治体の負担は六%で済むんだと、こう言われておりますが、ところが、この制度には国庫補助に一戸当たりの上限額というものが決められております。したがって、この限度額を超える部分は全部自治体負担となる制度になっているんですね。  そこで、まず仙台市の場合、この一戸当たりの限度額は幾らになるんでしょうか。
  52. 三井辨雄

    ○副大臣(三井辨雄君) 今先生から御質問ございましたように、上限額が決まっております。  仙台市におきましては、一戸当たりにつきまして一千七百二十六万五千円ということになっております。
  53. 山下芳生

    ○山下芳生君 これ、土地を買い上げて、それから移転先の用地を買い取ったり造成したり、それから引っ越ししたり、これ全部の事業費の中で一戸当たりに換算すると、仙台市の場合だと一千七百二十六万五千円を上限としてしか国費が出ないんですね。これが大きなネックに今なっております。  仙台市が七月二十日に東日本大震災に関する重点要望政府に提出いたしまして、その中で、仙台市の東部地域の防災集団移転促進事業の見込みとして約三千二百世帯が対象になっていると。面積約二百ヘクタール、概算の事業費が約一千二百六十七億円に上ります。ところが、さっきの一戸当たりの限度額でこれ試算しますと、国庫補助が五百五十九億円しか出ないんですね。限度額を超過する事業費の七百八億円分は、これは六割に当たりますけれども、仙台市が自分で負担しなければならないということになるわけですね。これでは自治体の負担が莫大なものになって、この集団移転の事業が進められない。  これ、国庫補助の限度額を私は撤廃するかあるいは大幅に引き上げないと被害実態に合わないと思うんですが、いかがですか。
  54. 三井辨雄

    ○副大臣(三井辨雄君) 今の先生からの御質問でございますけれども、いずれにしましても、今後この復興基本方針に従いまして検討する必要があると思っております。  いずれにしましても、この防災集団移転促進事業をやはり総合的に再検討する必要があると、こういうように私たちは判断しております。
  55. 山下芳生

    ○山下芳生君 この問題も検討する必要があるということでしたので、これ至急やっていただきたいんですね、これネックになっていますから。  例えば、仙台市の場合、住宅団地を整備するための用地取得、造成にかなり費用が掛かりまして、さっき言ったように現行の限度額は一戸当たり一千七百二十六万円ですが、仙台市の事業でこれ試算しますと一戸当たり大体三千万円から五千万円必要になるんですね、一戸当たり。やっぱり限度額の二倍から三倍掛かる事業にならざるを得ないということですので、是非これは検討いただきたい。  それから、仙台市だけじゃありません。私、四月、名取市に行きました。閖上地区もこの集団移転をやろうとされていますけど、市長はやっぱり一戸当たり三千万円ぐらいは掛かるんじゃないかとおっしゃっていましたので、この限度額引上げを是非早急に実現していただきたいと思います。  それから次に、この防災集団移転促進事業によって移転しなければならなくなったこの被災宅地を買い取る場合に、どういう価格で買うのかが問題となります。  津波被害で危険区域と指定された土地の評価はやっぱり下がっちゃって減額されると。被災者は震災前の地価で宅地を買い取ってほしいと要望されております。そうでなければ、これ、移転先で住宅を建てるための負担が、相殺するわけですから、負担が大きくなっちゃうんですね。  これ、過去の例にとらわれない対応が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
  56. 三井辨雄

    ○副大臣(三井辨雄君) 私も実際に現地の方に入っていろいろ見てまいりましたけれども、まさに今先生がおっしゃったように、私どもとしては、この移転先の土地の買上げについては既に支援するということをできるものとしておりますし、また、ただ地域地域のいろんなバランスといいましょうか、事情もありますから、全体のバランスがどうなるのかという問題と、それと、今先生から御質問ございましたが、いろんなところからいろんな御要望がございます。  そういうことをトータル的に総合的に判断しまして、全体のバランスといいましょうか、それを勘案しながら適正に、適正といいましょうか、そういう形で判断していく必要があると、こういうふうに思っております。
  57. 山下芳生

    ○山下芳生君 私が副大臣、聞いているのは、移転先の買上げじゃなくて、移転しなければならなくなった土地を被災者から買い上げる場合の価格の問題なんですね。  バランスということをおっしゃいました。過去もかなりこの事業はやられております。ただ、過去の例を見ますと、例えば津波災害で集団移転をした奥尻島の例があります。しかし、奥尻だとかあるいは雲仙の災害の場合は、全国から集まった義援金によって、一世帯当たり多額の、数百万、一千万円単位の義援金が支給されたんですね。それがあるから、この防災移転も今の制度のまま、新たな家を建てるときにこの義援金も一千万円使って建てることができたというんです。  残念ながら、今回はもう規模が物すごいですから、全国の御支援もたくさんですけれども、一戸当たりにしたらやっぱりそうはなりません。したがって、宅地を買い上げる際の価格をいかに配慮するかということがやはり求められているんじゃないかなと思うんですね。  仙台市の場合、被災した地域は市街化調整区域なんです。移転先の予定地域は市街化区域であります。被災した荒浜地区の平均地価が、震災前ですけれども、平米当たり二万円と聞きました。それから、移転先予定地の荒井東土地区画整理事業の保留地、これ市街化区域ですので、平均八万円、平米当たり。だから、三倍、四倍の地価の差があるんですね。  ですから、移転を希望する被災者は、古くから今の土地に住んできたこともあって、これは賃貸じゃなくて分譲を求める方が多いと聞いております。したがって、この土地を取得する場合には、元の土地が更に減額されたんでは、なかなか地価の高い市街化区域に移転する負担が高過ぎて、住宅建築する費用が大きくなり過ぎて大変になるという声が出ておりますので、やっぱりこれは、そういうバランスというのも一方で大事かと思いますが、雲仙や奥尻のときと比べて一戸当たりの義援金が余りにも少ないという点で、これは検討の余地があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  58. 三井辨雄

    ○副大臣(三井辨雄君) 今先生のおっしゃるとおりでございまして、奥尻の例あるいは雲仙の例あるいは有珠山の例と、様々なそれぞれ危険区域の土地の査定といいましょうか、算定も非常に難しいというところもございます。  もちろん、その移転される皆さんの土地の買上げについては、我が省としてもできるだけそこを支援していく必要があると考えております。ただ、今申し上げたのは、全体のバランスといいましょうか、先生御存じのとおり、地域のそれぞれの特性もございますので、そういうことを勘案しながらこれから進めていきたいと、こういうふうに思っております。
  59. 山下芳生

    ○山下芳生君 バランスを勘案しながらも、是非知恵を出していただきたいと思います。  最後に、防災集団移転促進事業の対象の拡充も私必要だと思っております。福祉施設、病院、店舗などの移転費用、それから民間共同住宅の家賃補助なども対象にすべきではないかと。  仙台市の東部地域の集団移転の事業の見込みですと、先ほど言いましたように大体三千二百世帯が対象になっておりまして、それを三か所にそれぞれ移転していただこうということです。ですから、一か所当たり数百から一千世帯が移転をすると考えられます。それだけの規模になりますと、やはり被災した方々が移転先で新しい生活をする上で福祉施設や病院や店舗などもやっぱり必要だと思うんですね。これらも支援対象にすべきじゃないでしょうか。
  60. 三井辨雄

    ○副大臣(三井辨雄君) おっしゃるとおりでございまして、町づくりの原点は、まさに病院であり福祉施設であり商店だと思うんです、まあ学校もそうでしょうけれども。しかし、今先生がおっしゃいましたように、こういうものの総合的な、総合的といいましょうか、土地の確保というのはやっぱりしっかりしなきゃならぬと、そういう具合に思っております。これに対するやっぱり手当てというのも我が省としても更に検討していきたいと思っておりますし、ただ、何度も申し上げますけれども、地域の事情ですとか、あるいはこれからどういう町づくりになるのか、復興町づくりになるのかとか、そういうこともしっかりと勘案しながら、地域ともしっかり話合いをしながら進めていきたいと思っております。
  61. 山下芳生

    ○山下芳生君 私が申し上げたのは仙台市の要望に入っていることですので、是非相談しながら実現していただきたいということを申し上げて、終わります。  ありがとうございました。
  62. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  現場の実態に何とか対応しようということでこの法案提案をいただいた発議者皆さんに心から敬意を表したいと思います。  本来ならば、この法案復興基本計画に基づいて政府の側がしっかり出されるべき、先ほどからも出ていますけれども、基金の問題あるいは特交の問題、そういうものとのいろんな問題が絡んできますから、そうすべきところなんでしょうけれども、残念ながらそれが立ち遅れているということの中で、現場の声に対応してということで提案をされているだろう、こう思います。そういう意味で私どもも賛成をしたいと思います。  私まで回ってきますと大体随分とダブった格好が幾つかありますから、確認の意味で簡潔に御答弁をいただきたいと思います。  まず一つは、この五千億円という規模はどのような基準、範囲から想定をされているのか、お伺いします。
  63. 荒井広幸

    委員以外の議員(荒井広幸君) 先生には御指導いろいろありがとうございます。  簡潔にお答え申し上げます。  それぞれの被害、また規模、こういったもの、また要望は違いますから一律には申し上げられませんが、おおよそ二十億から二十五億円程度ぐらい、一市町村、五千億ということを見込んでおります。
  64. 又市征治

    ○又市征治君 ありがとうございます。  当初の説明では、補助事業補助裏には使えないという話があったんですが、この規定は削除して補助裏にも使えるという御提案ですが、この点は正式に確認いただけますか。
  65. 荒井広幸

    委員以外の議員(荒井広幸君) 発議者の魚住議員からもお話がございました。使えます。
  66. 又市征治

    ○又市征治君 そこで、財源は何を想定をされているのか。まあ八千億の予備費ということになるんでしょうけれども、このために、この後じゃやっていくとなると更にもっと金が掛かるということは当然のこととして想定されるわけですが、そうすると、国債の追加発行などということも想定をされているのかどうか、ここのところをお伺いします。
  67. 荒井広幸

    委員以外の議員(荒井広幸君) まずは、緊急予備費というんでしょうか、二次補正である八千億、続いては三次補正、また復興債ということも政府は言っておりますので、こうしたものを念頭に置いております。
  68. 又市征治

    ○又市征治君 それでは、ちょっと角度を変えて、御提案では、原発由来の被害については、原賠法による電力会社が責めに応ずべきものは国が本交付金等の交付後、東電に賠償を求めることができる、第八条新二項ですか、とされておりますけれども。  そこで、今この原賠法でカバーできるのかどうなのか、曖昧なことが幾つかあるわけでありますが、これは明確にお答えになれるかどうかということはありますけれども、例えば次のようなものはどちらに該当するとお考えなのか。三つほど挙げてお伺いをしておきたいと思います。  一つは、学校や公共施設や、あるいは一般住宅、農地、牧畜用地であるとか森林などの除染の問題。二つ目には、いわゆるホットスポット、特定避難勧奨地点の除染及び避難経費であるとか補助費。三つ目には、県民、子供、また公務による屋外作業従事者についての長期的な、あるいは継続的な健康診断、これは相当掛かると思います。そういったものについてはどちらに該当するというふうにお考えでしょうか。
  69. 荒井広幸

    委員以外の議員(荒井広幸君) 先生といろいろな委員会一緒でございますが、まさに指針というものに基づいているわけでございます。しかし、この指針というものが実態に合っていないという大前提がおおよそ国会の先生方は共通の認識だろうというふうに思います。  今お話ありました除染というような部分があったかと思いますし、またホットスポットですね、そういったところの対応、避難の経費、また健康診断、こういったことでございますが、これは本来国が東電に請求できるものと思います。  そして同時に、今回の法律は、性格付けで申し上げますと、地方財政措置という考え方で、単独事業というものを実態に合わせて進めていただくと、その裏付けとなるものでございますから、様々なものをやっていただいて、それが仮に相当因果関係を含めて指針に当てはまらなくとも、それはこの予算で完結するということでございますから、被災者のためになる、自治体のためになると、こういうものでございます。
  70. 又市征治

    ○又市征治君 原発による市町村の税収減、一年で約三百億円ぐらいになる。これが多分数か年に及んでいくだろうというふうに思われるわけですけれども、これについては、さきに文科省の賠償検討委員会が賠償の対象に含めないというふうにしたようですけれども、私はこれは大きな間違いだというふうに思います。  税の減収は、本法案で言う復興事業そのものではありませんけれども、いずれの復興事業に使うためにも必要な一般財源なわけでありますから、これについても八条新二項の対象にする、つまり国が市町村に支払い、後で東電に請求する対象にすべきだというふうに思いますが、この点、発議者皆さん方、どうお考えでしょうか。
  71. 荒井広幸

    委員以外の議員(荒井広幸君) まず、法律の枠組みで申しますと、できません。  それは、いわゆる約三百億ぐらい大体減収が見込まれると言われていますが、例えば福島の場合なんかはまだまだ増えるかというふうに思います。収束しておりません。その意味におきましては、先生おっしゃる御懸念、地方の非常に税収不足で基礎的サービスができないというおそれがあるわけでございますが、この法律は、交付金でございますね、この法律に基づく交付金は、災害復旧復興事業等に要する経費に充てるために市町村に対し交付するものでございますので、税収が減ったと、減収分に充てるということにはなりません。  ただし、先ほど先生の御指摘がございましたが、個人的感想でございますが、これもまさに東電が賠償するべきものであり、同時に、そういったことがかなわなくとも、国がきちんと手当てをして基礎的サービスができるようにするというのは当然の措置であろうと。私はその意味において同感でございます。個人的私見です。
  72. 又市征治

    ○又市征治君 個人的私見というよりも、私も全く同感ですね。それはもう当たり前のことだろうと思うんですね。  そこで、この放射能の被害は、人的な被曝を始めとして、大気であるとか土壌、水、大変な牛の問題が随分と問題になりました。牛乳、米、野菜、果実など、大震災の特別財政援助法に言う特定被災市町村の圏域を越えて今広がっている、こういう格好でありまして、先般も、東京都の幾つかの保育所などでも砂場はもう駄目だと、こういう格好で土壌をみんな入れ替えなきゃいかぬなんという話まで出てきているわけでありまして、二百キロも離れている、こういうことがあるわけです。  それらの都県や市区町村又は地域住民団体などが健康診断、放射能計測の作業費であるとか機材費など、独自の判断で行っておりますけれども、結果が黒と出なければ東電への賠償請求になりにくく、したがってこの臨時交付金でカバーをすべきではないのか。いや、それは今の荒井先生のお話だと、そこまではというお話なのかもしれませんが、むしろこれらもやっぱり賠償を求めていくべき問題なんだろうと思うわけでありまして。  そこで、この放射能被害について、本法の第二条の第二項に言う適用地域の拡大をすべきだというふうにお考えかどうか、この点はどうでしょうか。
  73. 荒井広幸

    委員以外の議員(荒井広幸君) 発議者礒崎議員からございましたけれども、二百二十一の市町村に拡大はしているわけです。  これは、先生御案内のとおり、いわゆる東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律第二条第二項及び第三項、そのとおりでございますから、これは政令事項ですね。ですから、国が本当に被災状況というものを小さくしたいと意図的に思えば、幾らでも限定できるわけでございます。しかし、実態としては、先生おっしゃるような認識、私も共有しておりますけれども、本法律においてはやはりきちんとしたある意味での一つのフレームは必要であるということで、当面、二百二十一ということの前提でこの法律による特定被災市町村という形で進んでおるわけでございます。  実態に合わなければ、これは政令事項でございますので、また本院の意思、そういったものがまた反映されていくものかなというふうには思います。
  74. 又市征治

    ○又市征治君 この福島県始め被災の県、市町村では、自治体の一般職員あるいは清掃、上下水道などの現業職員、保育、介護、医療などに関連する自治体及び民間医療、社会福祉施設などの職員などがこの震災と原発被災により欠員となったり募集を停止する、こういう事態が起こっています。必要な人材が確保できなければ、たとえ住民が戻ったとしても、公的サービスが復活できないのでは住民はちゅうちょし、コミュニティーの再建が遅れることになります。  これら公的サービスの早期回復には要員の維持はもう当然必要なことでありまして、これはこれまでの総務委員会の場でも片山大臣と何回か質疑をやらせていただきましたけれども、大臣は、要員の継続的な確保と訓練であるとか技能の維持にこれはもう努めなきゃならぬということは何度もおっしゃっておるわけでありますけれども、その場合、人件費であっても、そうした追加的、臨時的な支出というのはこの交付金の対象としてもよろしい、こういうお考えでしょうか。その点はどうでしょう。
  75. 荒井広幸

    委員以外の議員(荒井広幸君) 対象にして結構でございます。  東日本大震災によって、公共サービスを担う人、人員ですね、人員の確保、技能、技術の承継に支障が生じているのはそのとおりでございます。これは市町村長さんたちが一番言っていることでございます。従来の業務のほかに更に上乗せですし、それを賄うために、もう本当にみんなボランティアと言ってもいいぐらいの仕事をしてもらっている方々が各分野にたくさんいるんです。そういったものについての追加的、臨時的な人件費が必要となる場合には、それは交付金対象事業等という範囲になり得ます。
  76. 又市征治

    ○又市征治君 終わります。ありがとうございました。
  77. 藤末健三

    委員長(藤末健三君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  本法律案予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本法律案に対する意見を聴取いたします。片山総務大臣
  78. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 東日本大震災に係る災害復旧及び災害からの復興のための臨時交付金交付に関する法律案につきましては、政府といたしましては、補正予算を含む全体像の中で整合性の取れた交付金制度を検討すべきものと考えており、にわかには賛成できかねます。心苦しいのでありますけれども、政府の考え方であります。
  79. 藤末健三

    委員長(藤末健三君) これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  80. 片山さつき

    片山さつき君 私は、自由民主党を代表し、東日本大震災に係る災害復旧及び災害からの復興のための臨時交付金交付に関する法律案について、賛成の立場からの討論を行います。  東日本大震災の発生から五か月以上が経過いたしましたが、災害復旧復興に対する政府の取組は相変わらず遅れております。その遅れによる影響は被災地だけではなく日本経済全体にも及んでおり、政府の迅速な対応が求められております。しかしながら、政府が二次補正案を国会に提出したのは七月十五日になってからのことであり、その上、予算案の内容も額も極めて不十分でありました。  二次補正が不十分である理由一つは、被災した市町村が実施する災害復旧復興事業などに使うことができる交付金、いわゆる災害臨時交付金が盛り込まれなかった点であります。  政府は、東日本大震災復興構想会議の提言を受けて、東日本大震災からの復興の基本方針の中で、使い勝手の良い自由度の高い交付金を創設するとして、交付金制度の創設の必要性を認識しているところであります。  我が党においても、震災後の経済戦略に関する特命委員会が取りまとめた中間報告の中で、総額十七兆円に上る災害復旧復興のための具体的な政策項目の一つとして災害臨時交付金の創設を掲げており、五千億円規模とすることとしております。  このように、交付金制度の創設は、政府与党、野党を問わず共通の認識になっているものと考えられるにもかかわらず、二次補正に盛り込まれなかったことから、三次補正を待つまでもなく、この法案を早急に成立させ、二次補正における東日本大震災復旧・復興予備費を使用して交付金交付すべきであります。  また、この法案の内容も、被災した市町村にとって使い勝手の良い仕組みとなっており、賛成できるものであります。例えば、複数の災害復旧復興事業などについて、その総額のみを総務大臣が決定して交付する仕組みとすることにより、市町村はその総額の範囲内で交付金の対象とされた災害復旧復興事業などを自由に実施することができることとしているほか、交付金交付を受けるための申請の仕組みをできる限り簡素化しております。  このように、使い勝手の良い仕組みとしているため、被災した市町村災害復旧復興事業などの実施に大きく貢献するものと考えており、この法案を速やかに成立させる必要があります。  以上、本法案に賛成する意見を表明し、私の討論を終わります。  ありがとうございました。
  81. 藤末健三

    委員長(藤末健三君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  東日本大震災に係る災害復旧及び災害からの復興のための臨時交付金交付に関する法律案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  82. 藤末健三

    委員長(藤末健三君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、片山さつき君から発言を求められておりますので、これを許します。片山さつき君。
  83. 片山さつき

    片山さつき君 私は、ただいま可決されました東日本大震災に係る災害復旧及び災害からの復興のための臨時交付金交付に関する法律案に対し、自由民主党、公明党、みんなの党、日本共産党、たちあがれ日本・新党改革及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     東日本大震災に係る災害復旧及び災害からの復興のための臨時交付金交付に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の事項についてその実現に努めるべきである。  一、本法施行後、早急に予算措置を行い、予算確定後、速やかに特定被災市町村に対する交付金交付すること。  二、総務大臣交付金交付に係る基本方針を策定するに当たっては、「自由に使える交付金」という制度趣旨に沿って、交付金を充てることのできる災害復旧復興事業等の経費の範囲について、特定被災市町村のあらゆる財政需要に応え得るよう極力制限をしないこと。  三、交付金交付申請その他の手続については、特定被災市町村の現状等に鑑み、極力簡素化すること。  四、災害復旧復興事業等の実施期間については、十分な年限が確保できるよう配慮すること。  五、大規模災害により被災した地方公共団体に対する恒久的な財政措置の在り方について、地方分権を推進する観点から、速やかに検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  84. 藤末健三

    委員長(藤末健三君) ただいま片山さつき君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  85. 藤末健三

    委員長(藤末健三君) 多数と認めます。よって、片山さつき君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、片山総務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。片山総務大臣
  86. 片山善博

    国務大臣片山善博君) ただいま決議された事項につきましては、よく配意してまいりたいと思います。
  87. 藤末健三

    委員長(藤末健三君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 藤末健三

    委員長(藤末健三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  89. 藤末健三

    委員長(藤末健三君) 地域自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。片山内閣特命担大臣
  90. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 地域自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  地域のことは地域に住む住民が責任を持って決められるようにするという住民主体の発想に基づき、地域自主性及び自立性を高めるための改革の推進に向けて取り組むことが求められております。  本法案は、昨年六月に閣議決定いたしました地域主権戦略大綱を踏まえ、地域自主性及び自立性を高めるための改革を総合的に推進するため、都道府県の権限の市町村への移譲を行うとともに、地方公共団体に対する義務付けを規定している関係法律を改正する等、所要の措置を講ずるものであります。  次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一に、住民に最も身近な行政主体である市町村地域における行政の自主的かつ総合的な実施の役割を担えるようにするため、都道府県の権限を市町村へ移譲することとし、関連法律の改正を行うこととしております。  第二に、地方公共団体の自主性及び自立性を高めるため、地方公共団体に対する義務付けを見直すこととし、地域主権戦略大綱において示された項目その他所要の事項について、関連法律の改正を行うこととしております。  このほか、施行期日及びこの法律の施行に関し必要な経過措置について規定するとともに、関係法律について必要な規定の整備を行うこととしております。  以上が、この法律案提案理由及び内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  91. 藤末健三

    委員長(藤末健三君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時四十九分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  92. 藤末健三

    委員長(藤末健三君) ただいまから総務委員会を再開いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地域自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、総務省自治行政局公務員部長三輪和夫君外四名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんでしょうか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 藤末健三

    委員長(藤末健三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  94. 藤末健三

    委員長(藤末健三君) 休憩前に引き続き、地域自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  95. 藤川政人

    ○藤川政人君 自由民主党の藤川でございます。  それでは、今回、地方債協議制度の見直し、そして、できれば時間があれば寄附禁止廃止について若干お伺いができればと思います。  大臣は、一九九九年四月に鳥取県知事に当選をされたということで、私もその年に四月に愛知県の県会議員になりまして、その二月前には愛知県の神田知事が誕生したときでありまして、大臣はその後二〇〇四年七月の読売新聞の世論調査で七八%の支持を取られ、堂々四十七都道府県一番の評価を得られた知事ということも私すばらしいなと。そうした中で、鳥取県西部地震の対応とか、もう本当にある意味、情報の発信力はあるし、そういう意味である意味羨ましい思いがして、神田知事にも是非そういうような情報の発信力を強く求めたことがあります。大臣御存じのとおり、神田さん、なかなか静かな方でしたのでそういうことはされなかったんですが。  ただ、そういう情報の発信力のある政治家、それは私は必要なことだと思うんですが、ただやはり今、またこれ愛知のことになりますけれども、名古屋市長を始め知事は情報の発信力がちょっと違うところで出され過ぎまして、先般も県会議員の席である長老議員から、市長はヒトラーだと、知事はムソリーニだと、そんな政治が続くわけないだろうと、そういうことが本会議でされたというのもまだこれつい先日の話であります。  そういう中で、本論に戻させていただきますが、知事が、私が県会議員時代やはりすばらしいなと思ったのは、平成十八年六月の議会の中で大臣がこういうことをおっしゃられております。地方というのは自分の判断で借金ができない、これは、世の中で自分の判断で借金ができない存在というのは、今は成年後見制度の下にある人なのですと。一昔前は禁治産者、準禁治産者と言いました、そういう人なのですと。起債を発行する場合は、今まで地方団体は国の許可の下にありました。四月から大幅に自由化されたといいますけれど、それは協議制、承認制に移行しただけなのですと。そういうことでいえば、例えて言えばと、またここ続いて、禁治産者が準禁治産者になったぐらいだということ。そして、その後、学者になって、昨年の参議院の会議の中でも、答弁の中で、一番屈辱的だったのはやはり国の許可を得ないと何も地方は進まないということを本会議の場で大臣は答弁をしておられます。  そういういろいろなじくじたる思いも含めて、国の役所でお勤めになられて、地方自治体の長になられ、そして学者、そして今、政府大臣ということで御活躍をされている。そういうことでいえば、まさに片山善博法がこれ、できたのかなという、そういう法律でもあるのかなと思うわけでありますけれど、今回の地方債協議制度の見直しについてまずお伺いをします。  協議が不要となる要件として、実質公債費比率が政令で定める数値未満であることとされておりますが、大臣は、衆議院においての審議において、現行の平均水準と起債の許可が必要となる一八%との間で設定すると答弁をされました。  その際に、仮にという言葉を用いられて一六%とするととおっしゃっておられますけれども、一六%に設定するということが大臣のお考えなんですか。衆議院で審議をした後、若干時間もこれ経過しておりますので、そういう中でどのような検討をされたのか、設定の考え方、メルクマール等々大臣が、今後この起債の協議制度見直しについて、今の数字も含めて、お考えをまずお伺いをしたいと思います。
  96. 片山善博

    国務大臣片山善博君) この法律が、法案が通りますと、政令でもってこの基準を定めることになります。したがって、今の段階で政令の内容を確たるものとして持っているわけではありませんが、おのずから範囲が定まってまいりますということを衆議院で申し上げたわけです。  今、協議制の団体の平均の公債費率が、都道府県で一三%、市区町村で一一・二%であります。それから、許可を要する団体が一八%であります。ですから、一八%を超えるともう許可制になりますので、それより以下であるということは言えると思います。それから、平均よりいいところ、平均より財政力がいいところというのは、財政状況がいいところというのは、それはこの度、当然新しい届出の対象にしていいと思います。  したがって、平均から一八までの間ということで、その中を取れば例えば一六ということも考えられるということを申し上げたわけで、一六というのも一つの有力な考えだと思いますし、一八というのも一つ根拠だと思います。許可を要するもの以外のものは全て届出にするということもあるんだろうと思います。  また、一六にしろ一八にしろ、それを一挙にやるのか、それともある程度段階的にならして引き上げていくのかということもあるだろうと思いますし、その辺は法律が通りましたらよく政令制定の段階で考えたいと思っております。
  97. 藤川政人

    ○藤川政人君 今大臣おっしゃられたように、一三%が都道府県の平均とすると、今の一八%許可制に移るにしても、数字でいけば一四、一五、一六、一七しか、四ポイントしかないということですよね。仮に大臣が一六%とおっしゃられたその間の数字を取っても、二ポイントしかこれはありません。  そういうことにあると、今大臣が将来的な見通しもいろいろ勘案していかなくちゃいけないということをおっしゃられましたけれども、余りにも中二階的な運用ということで、恒久的な制度としてどういうことを考えていくかということをやっぱり考えなくちゃいけないと思うんですが、この法案の中の一文に、施行後三年の状況を勘案し、地方債協議制度の抜本的な見直しを行い、必要な措置を講ずるとあります。これは大臣が今若干触れられたような気がするんですけれども、協議制の廃止を目指していると考えてよろしいんでしょうか。
  98. 片山善博

    国務大臣片山善博君) これは、地方債の発行に関します国の関与というものはできるだけ私はなくす方向がいいと思っております。必要だったとしても必要最小限にすべきだと思います。  特に必要性を感じますのは、やはり夕張なんかの財政破綻を見ますと、総量として起債の発行額が多過ぎないようにという、そこが一つのポイントだろうと思います。今はもう個別の事業ごとにチェックをしておりまして、それよりも総量で管理をしていくという、規制をしていくということだろうと思います。その手始めに、今回は民間資金について緩和をすると、総量管理にするということであります。  今後のことにつきましては、例えば見直しの点としては、民間資金のみならず公的資金の方についても簡素化とか緩和はできないかというのも一つの考え方でありますし、それから、今の協議制、今度届出制ができるとして、届出制、協議制、許可制とこうなりますけれども、もう既に先年その背後に地方公共団体の財政の健全化に関する法律という財政健全化法ができておりまして、一定の数値を超えれば黄信号が付いてそれなりの関与がある、それから、もっと行けば赤信号が付いて再生計画を作らなきゃいけないという、こういう枠組みはもうありますので、できるだけそれに任せるということでありますと、既往の許可制も含めて今の制度をもう少し見直すという余地はあるだろうと思います。  ただ、一挙にやりますと、これは市場との関係が非常に微妙な問題もありますので、これをならしながら徐々にやっていくという、その方向で今回第一弾として関与の見直しをやろうということであります。
  99. 藤川政人

    ○藤川政人君 今大臣が黄信号という言葉を使われましたけれども、大臣が今まで述べてきたことを私なりに考えると、白か黒か、赤信号か青信号か、要するに将来的にどうするかという方向に大臣はやっぱり持っていくべきだと。ただ、市町村の立場でいけば、県は別にして、市町村は公的資金でほとんど賄っていますので、そういうことで考えるとやはり国の関与というのは私はあってしかるべきとは言いません。ただ、それがやはり弾力的運用できるようなこと、また国の考えがしっかり県を通して市町村にも行き渡るというのが私は大切だと思います。  そういう意味で、財政健全化法が地方の中で、もうこれは数年前からしっかりとした数字それぞれ報告をしながら自治体の運営にしっかりとした土台ができるように今やっているところだと思うんですが、もう一度お伺いします。  私は、将来的な考え方、大臣の持っておられる考え方は理解しているつもりですが、やはりある意味、黄信号、その中間的な、中二階とは言いましたけれども、たった四ポイント、五ポイントという、ないかもしれないんですけれども、その辺の運用をいましばらくは、やはり国の関与と言っちゃいけないかもしれないんですけれども、そういうやり方も私は必要じゃないかなと。  今なかなか自治体というのは、自民党でいう地方分権、そして民主党でいう地域主権、もうこれは福祉のみならず環境分野、あらゆる面で国の制度が変わってきます。今回の子ども手当もそうだと思います。十月に変えます、ただ支給は一月過ぎですと、これでシステムを変えた中でどういう形でやっていくのか。やはりそういうようなところで、経過措置といいますか、国がもう少し余裕を持って弾力的に運用できることは私は必要じゃないのかな、今のこの時期においても、という考え方があるんですけど、大臣、いま一度御答弁願います。
  100. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 今の議員のお考えは私も同感できるところであります。  今回も、私なりの理想を言いますと、もっと早急に抜本的な改革ということも選択肢としてはあり得たんですけれども、やはり市町村、特に小さな町村の皆さん方の心理的懸念というのも直接私も伺いまして、したがって、取りあえずは民間資金について、従来と発行総額はそんなに変わらない程度に、従来の個別単体規制から総量規制の方に変えていこうという、微温的といいますか、少しなだらかな改革にしようということでありますので、そういう自治体皆さんの多少の戸惑いなども踏まえながら徐々に改善をしていくという、それを心掛けたいと思っているところであります。
  101. 藤川政人

    ○藤川政人君 それでは、この事前届出制導入の意義の一つは、事務を簡素化し、現行の協議手続が行う九月以前にも発行時期を分散化させることが容易になって、有利な条件で発行することができる可能性を高めることにあるとこれは述べられておりますし、そう考えます。  しかしながら、現在でも早期協議という手続を、一定の手続を取れば九月以前であっても発行が可能であります。市場公募団体を中心に時期の分散化による有効な発行を真剣に考えている団体は既にこの手続を活用していると私は思いますし、それぞれの自治体で早期の発行をやっております。  そこで、現行の早期協議制度の利用状況を教えていただきたいと思います。
  102. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 運用として今九月と三月にまとめてその起債の協議を受ける習わしになっておりますが、一定の事由がある場合にはそれよりも先んじてということになっておりまして、その一つが今議員がおっしゃった市場公募債を発行する場合には早期の協議ということをやっておりまして、平成二十二年度でいいますと一兆円を超える規模となっているところであります。
  103. 藤川政人

    ○藤川政人君 そうしますと、この事前届出制を導入をしていく、そういう中において、これ更に通年発行制というのは進むとお考えでしょうか。
  104. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 理論的には進む可能性があります。  ただ、私も自治体の経営をやっておりましたときの記憶からいいますと、余り早い段階で、年度の早い段階で起債を起こすということは余りありませんでした。取りあえずは歳計現金を活用するとか、場合によっては一般的には一時借入金ということでありますが、鳥取県の場合は幸い一時借入金を借りることは必要なかったんですけれども、取りあえずはいろんな歳計現金を活用しながら支出を行っていて、年度の後半からいよいよどういう起債を発行するかということの手続を始めたような記憶があります。  ただ、自治体によっていろいろ財政事情もそれから資金事情も違いますから、恐らく今よりも早く事前に届出をして、それでそれぞれの起債を早めに発行するというところはあり得ると思います。
  105. 藤川政人

    ○藤川政人君 本当に大臣も今答弁の中でもおっしゃられたように、それぞれの自治体状況、もうこれから多分いろいろな立地、企業立地等々も取り合いの時代では多分なくなってくると思います。そういう意味では、言葉としてよく使われている集中と選択、そういうことも必要であると思いますし、これはそれぞれの自治体に対する、港始め、道路始め、あらゆる面でもう取り合いの時代のない中で、ただ自治体としてはふるさととしてそれを残していきたい。そういう意味で、規模の大小もそれぞれありますし、こういう制度使い勝手のいい、まさに大臣がおっしゃられるように、自治体の創意工夫がどれだけこれからの自治体運営に反映できるのか。  ただ、その中でいたずらに将来に負担を残すようなことであってはいけませんので、しっかり、公債費の比率等々の指標もあります、また地方財政健全化法という法律の中でもいろいろなことがあります。しっかりとして、これは内閣府所管で今回出されておりますけれども、大臣総務大臣という立場でもありますので、あと数日かどうかは私は分かりませんけれども、またその後、再任される可能性も大いにある大臣だと思いますので……(発言する者あり)そうですか。しっかり私は大臣の思いを、自治体の立場に立って、また大臣がおられた自治省という、やっぱり大きな役所が私はあったと思います、今は総務省という役所になりましたけれども、しっかりとした後輩諸君の指導も含めてまた取り組んでいただきたいと思います。  時間もあと十分を切ってまいりましたので次の質問に入りますけれども、大臣は、今言った起債の思いと同時に、臨時財政対策債、臨財債に対しても、いろんなところでいろんな表現を用いて、大臣のお考え、また学者としてのお考え、そして知事としてのお考えも出されているかと思いますけれども、臨財債のことについて若干伺いたいと思います。  平成二十三年度普通交付税の算定に併せて臨財債発行可能額が示されておりますが、交付団体の中で財政力指数の高い団体ほど多くの臨財債が発行することと今されております。その傾斜配分たるやすごいものがあると私は思います。これは、財政力の強い団体ほど資金調達力も高いという考えによるものと理解をしておりますが、大臣もこの考えでよろしいんでしょうか。
  106. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 臨財債は、地方交付交付金の不足分を補うものとして、暫定的といいますか、苦肉の策として用いているものであります。これは、一般論としてできる限り減らさなければいけないと私は思っております。  それは、それぞれの年度の地方財政計画を作りますときに歳入、歳出のバランスを取らなきゃいけませんけれども、そのときに財源不足がありましたら例えば事業を圧縮するとか、それから交付税の加算を増やすとか、それから場合によっては地方税の税収増を見込むとか、そういうことによってバランスを取らなきゃいけないと思いますが、今なかなかバランスの取れない状況の中で必要額といいますか、苦肉の策として発行しているものであります。  その際に、その不足分を自治体間でどういうふうに案分するかということでありますけれども、これは今日まで、財政力の差に応じて、できれば財政力の高いところは少し配分比率を多めにしてもらいたいという、こういうことでやっております。財政力の高いところからしますと、愛知県なんかそうなんですけれども、いささか御不満も伺っておりますけれども、財政力の低いところにそういう起債をなるべく減らすといいますか、後の、後々の財政運営に支障を来さないようにという配慮の方もあるものですから、その辺少し我慢をしていただいているという状況であります。これは本当に心苦しいのでありますけれども、今のところそういうことをやっております。  これからは是非、この臨時財政特例債というものの全体をできるだけ圧縮するように、裕福な団体と貧乏な団体とのその配分の問題もあるんですけれども、トータルとして減らすようにというのがこれからの我々の責務だろうと思っております。
  107. 藤川政人

    ○藤川政人君 大臣おっしゃられたように、本来は国が負うべき交付税不足分を今地方が負っているというやはり制度だと思います。できる限り将来的には圧縮をする。  ただ、交付税原資がこれだけ基幹五税含め減ってくる中で、大臣は、その補填部分、補完をする、本来負うべき本質から考えると、どういう形で交付税法なりそういう法が、これから維持されるなり、また改革をするということが必要になってくると思うんですけど、そのことについて。
  108. 片山善博

    国務大臣片山善博君) これは一つは、もうこれは従来からずっとこの問題の処理をめぐって議論されていることでありますけれども、やはり税制の抜本改革というものが一つのこの問題を解決する糸口になるだろうと思います。  しかし、それだけを待っているとか、それだけを頼るわけではありませんで、やはり歳出の中で不要なものを削っていくということ。それから、歳入の確保としては、年々、今交付税の加算というものをやっておりますけれども、これをできるだけ、まあ、これもびほう策かもしれませんけれども、交付税の加算というものを年々お願いをしていくということと、それからさっきちょっと触れましたけれども、今までは税というものを、よほどのことがない限りは一定の、所与の条件として地方税というものをとらえておりましたけれども、本来ならば、やはり地方税というものも少し変動要因としてとらまえて地方財政計画というものを考えるということもこれからはあってもいいのではないか。これはなかなか非常に議論が多いと思いますけれども、一つの考慮すべき要素としてとらえてもいいのではないかと、こんなことを考えております。
  109. 藤川政人

    ○藤川政人君 それでは、その件について最後に一点だけ。  税と社会保障の一体改革の中で増税論出ております。五%消費税をアップする、しないの中で、大臣のお考えもその中で出されたと思いますが、いま一度確認をさせていただきたいんですけれど、基幹五税集めれば、交付税法で一定分は必ず地方に割り振る。ただ、その中で、今回、五%なりの増税部分は社会保障の特化した財源にするよという言い方がまだ付されておりますが、その件についていま一度お考えを伺いたいと思います。
  110. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 社会保障と税の一体改革の議論の中で、消費税というものを念頭に置いて今日まで議論をされておりますが、その際に、仮に消費税率を今の地方も合わせて五%のものを一〇%にすると仮定した場合に、上乗せされる五%分をもうまるで全て国の方に納めてしまうというような議論がされつつありました。その前提としては、地方団体が今日まで行っておりますいわゆる単独のその施策、社会保障に関する単独施策についてほとんど考慮しないという、そういう議論があったわけであります。  それではいけません、それでは現実に全く合いません。地方団体は、国庫補助事業だけではなくて単独事業を、これは好きでやっているといいますか、余分なことを好きでやっている、余裕があるからやっているわけでは全くありませんで、必要に基づいて、かつ国庫補助制度を補完するとか一体となってやっているわけでありまして、当然その地方単独分も配慮しなければいけない。  そのことをよく認識をしていただくことによって、その結果としては、当然上乗せ分の五%の、仮に増税するとした場合には、応分の地方の方への配分が回ってくると、こういう考え方の下に、社会保障と税の一体改革の中で私も必要な発言をし、大方の皆さんの御理解を今のところ得ていると思っております。
  111. 藤川政人

    ○藤川政人君 それでは、もう時間もほとんどありませんので、最後まとめて二点お伺いができればと思います。  衆議院の方ではこの法案に対して寄附禁止の廃止、この件については結構分厚く質問がされたように聞いておりますけれど、国等への寄附禁止規定の廃止については地域主権戦略大綱等にも位置付けがなかったと私は理解しています。あえてこの一括法案に盛り込んだからには、地方からの支障事例が総務省に多数寄せられているのではないかなという気がしてなりませんけれど、どれだけの支障事例があったのか。  そして、今後、各地域、産官学を合わせていろいろな、独法も含め、国立大学法人、いろいろな誘致等々もこれから必要になる、また地方も求める中であるんですけれど、国の直轄事業負担がこれ縮小、廃止の流れにある中で、独法や国立大学法人の誘致や施設等の更新、これは愛知にもいろいろあります。そういう中で、地方間競争がやはり激化する一つの要因にもなり得ると思います。地方からの寄附が事実上必須となるような気が半分してなりません。ただ、そうすると第二の直轄負担金となってしまうおそれがあるんじゃないかなと。私は、これは、あえてこれを禁止する、廃止をする必要もあるかどうかということももう少し論議をすべきじゃなかったのかなという思いはしておりますけれども。  今の二点について大臣のお考えを伺って、質問を終えさせていただきたいと思います。
  112. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 現行法で支障があるとすればどんなことがあるのかということでありますが、それは私も自治体の側におりましたときに本当に痛切に感じたことがあります。ただ、総務省の方に支障事例として届け出られたとか、そういうものはどうもないようであります。それは自治体の方でもううまく便法を図りまして、どうも今までの規定で是認されないようなものは、例えばダミーをつくって、そこに自治体が一応金を出して、そこから国とか国立大学とか国の関係機関にお金を回すという、まあ迂回寄附というようなことをやっておられます。これは非常に健全ではありません、不健全であります。しかし、実際そういうことが行われております。ですから、自治体の方で現在の規定でどうも具合が悪いなというのは、そういう便法を通じて、やみでといいますか、さりげなく処理をされているんだろうと思いますけれども。  私は、本来この寄附というのも、国等に対する寄附というのも自治体の財政運営の一環であります。当然、予算を作って議会で、自治体住民皆さんの代表の議会で議論をして決めるわけでありまして、そこできちっとチェックをするというのが自立した自治体の財政運営の在り方だと思います。そこで決めても更にこんな寄附をしてよろしゅうございますかといって国の官僚の皆さんにお伺いを立てるというのは、地方分権の時代、地域主権改革の時代にはふさわしくないと私は思います。ただ、議員が御懸念のように、そういう状態になると、じゃ何か施設を造ってやるけど、あなたのところは幾ら出せるか、あなたのところは幾ら出せるかという足下を見るようなことがあってはいけません。不要な競争をあおるというようなことがあってはいけません。  そこで、今度は国の側それから独法の側の規制が必要になってきます。それを当面閣議決定でもって、寄附の強要をするとか、それから寄附をしなかったら差別的な取扱いをするとか、そういうことは決してあってはならないということをきちっと内閣全体としてこの度は決めたいと思いますし、それでもなおかつ何か自治体に対して圧力を掛けるようなことがもしあれば、それは総務省の中に相談窓口をつくろうと思っておりますので、そこで個別に聞き取りをして、関係省庁にそういうことがないようにということを総務省の方からきちっと物を申していくと、こういうことをやろうと思っております。
  113. 藤川政人

    ○藤川政人君 では、大臣地域のために、また残された期間、また続投されるかもしれないということも多くの同志が言っておられましたので、是非前向きに取り組んでいただきたいと思います。要望して、終わります。
  114. 中西祐介

    中西祐介君 自由民主党の中西祐介でございます。  午後も質問の時間をいただきました。大変にありがとうございます。  今、藤川委員の方から質問も幾つかありまして、重なっているところはもうはしょって簡潔に質問をさせていただきたいと思っております。  まず、この分野は直接関係ございませんが、八月二十四日にムーディーズで日本の格付が、国債格付、格下げされました。やはり今世界で見られている日本の目線というものは改革の鈍化ではないかなと。そういった世界から見て、ソブリンリスク、いわゆる国家に対する信用危機といいますか信用不安といいますか、そうしたことを今我々は感じながら政治もしなければいけないんじゃないかなということも痛切に感じます。その中で、やはり現内閣にあっては、この地域主権といいますか、分権の改革は、これは止めてはいけないんではないか、そういう観点で今日は大臣質問をさせていただきたいと思います。  これまでのいわゆる地域主権改革のスケジューリングの中で三・一一の大震災ございました。そうした影響も踏まえて、現在の進捗と、あとはこれからの計画について総括をしていただきたいと思います。
  115. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 昨年定められました地域主権戦略大綱には幾つかの項目が掲げられております。義務付け・枠付けの見直し、今回法案審議をしていただいておりますが、そういう分野、それからその中でも都道府県から市町村への権限移譲、さらには国の出先機関改革、補助金の一括交付金化、自治法の改正、いろんなことが盛り込まれておりますが、総じて私は進んでいると考えております。  例えば、補助金の一括交付金化なども五千億円を上回る金額の一括化が今年度からできておりますし、それから義務付け・枠付けも、既に一次のものは法案が成立しておりますし、今回は二次の法案をお願いをしているわけでありますけれども、総じて進んでいると思います。  ただ、中にはやはり、まあ表現ちょっとおかしいかもしれませんが、遅々として進んでいるというものもありますし、それから、今おっしゃいましたように、三月十一日の震災を経て少し予定が狂って、スケジュール的には遅れているというものもあります。それは例えば出先機関改革でありますけれども、三月、四月にかなり詰めた議論をしようと思っておりましたけれども、震災対応に余念がなかったものですから少し遅れておりまして、今その作業を急いでいるというものもありますし、地方自治法の改正も、これも三月の中下旬に自治体側と改めて詰めた話をして、その上でこの通常国会法案を出そうと思っておりましたけれども、その作業ができませんでしたので、多分次の臨時国会になると思いますけれども、少し遅れたりしております。  そういうふうに多少の影響はありますけれども、全体としては進んでいると思いますし、遅れている部分はこれから是非その遅れを取り戻したいと思っております。
  116. 中西祐介

    中西祐介君 ありがとうございます。  震災の対応ということがありますが、内閣あるいは日本全体が震災復興だけに集中していると、やはり経済も停滞しますし、日本の鈍化というものは避けられない。そういう中で、これからはしっかりキャッチアップをいただきたいなというふうな思いでございます。  同時に、スピード感だけではいけないというふうにも思っております。今回の第二次一括化法案、こういう中で大きな柱がございます。都道府県からの基礎自治体への権限移譲ということでございます。  まず最初にお伺いしたいのは、やはり一番懸念されること、特に私ども、私は徳島選出でございますが、県から市町村への業務量がとても大きくなるんじゃないかなということを自治体皆さんあるいは首長の方々は大変な心配をされております。同時に、今、特に小さい町村、それから合併の進捗も様々ございます。特に平成の合併以降、徳島県は自治体の数が半分になりました。その中で、ちょうど今五年目を迎える新しい市があり、同時に、財政力は小さくてもコミュニティーを大事にするということを貫いて、小さいまま町あるいは村として存在をしている自治体もございます。様々な環境がある中で、必要な組織とか人員、それから事務処理体制というのをしっかりとバックアップしてあげられなければ、実際権限移したところで執行が滞るというふうなことにもなりかねないというふうに思っております。  その中で、地方自治法の第二百五十二条十七の二項には、事務処理特例制度ということで、言わば県が市町村に事務を移すときに実態に合わせて、言い換えれば、もう自主性自立性、こうしたことを重視しながら事務を移していくというふうな自治法がございますが、今回一括法で全て移してしまうということは、ある面こうした自主的な自治体やり取りというものを阻害するものにならないか、もう一つは、その権限移譲に対して過度の負担にはならないか、この二点について認識をお伺いしたいと思います。
  117. 片山善博

    国務大臣片山善博君) おっしゃるとおり、現行の事務処理の特例でもって、それぞれの都道府県の中で実態に応じて移譲していくというのは一つの理想的な姿であります。  私も県知事をしておりましたときに、県内に、まだら模様の権限移譲と称しておりましたけれども、受け取れるところは受け取っていただくというやり方をして、かなり移譲しました。ですから、全国的にそういうことがあればいいんですけれども、実際に見てみますと必ずしもそうではなくて、やはりなかなか都道府県の中で移譲が進まないようなところもあります。しかし、できる限り、住民皆さんにとって必要な行政はできる限り身近な市町村に担ってもらった方がいいだろうという考え方がありますので、この際、後押しをする意味で、必要なものは、そんなに多くないんですけれども、必要なものは市町村の方に国の法律でもって移すということでありますが、その際に、御懸念のように、小さな自治体、特に町村に大きな事務負担を担っていただくというのは、これは無理な面もありますので、今回きめ細かく指定都市までとか一般市とか町村までというふうに分けておりまして、例えば町村までですと、未熟児の訪問指導などがそうなんですけれども、これなどは是非市町村でやっていただきたいということで町村にもやっていただくんですけれども、これは多分今まで保健師さんの行政なんかやっておりますからできるだろうと思います。  ただ、いろんな事情で町村では当面無理だというようなことがありましたら、それは都道府県の方で、県の方で是非必要な支援をしていただきたいと思っております。例えば今、福島県などはこういう事態でありますので、なかなか移譲をしても町村の方で受け取れないというものもあるものですから、それは、じゃ当面県の方で引き続きしばらくの間はやろうかとか、そういうこともありますし、それから県の方から市町村に人員を派遣するということもあるでありましょうし、それぞれ実態に応じた応用をやっていただければと思っております。
  118. 中西祐介

    中西祐介君 ありがとうございます。  確かに、業務負担、それから業務量というものは少し分けて考えなきゃいけないんじゃないかなというふうに思っております。  例えば、業務の項目を移して、外から見た場合に業務量は総じて大きくならないだろうというふうな認識、もう実態御承知の片山大臣ですのであれですけれども、やはり例えば今おっしゃっていただいた未熟児の訪問指導、元々保健所があるところは過度な負担にはならないというふうな認識は確かに考えられるんですけれども、同時に、そうした訪問指導といいますか、実態の調査をしていかなきゃいけない事態、税金とか保険料の滞納の徴収であるとか、あるいは今少し課題になっております生活保護の増大している現状であるとか、これはまさにもう実態を十分把握していないからこそこうしたことが増大という事態につながっているんじゃないかなというふうに考えております。そういう意味では、負担というよりは役割の大きさというものを実態に即して是非検討いただきたいというふうに思っております。  次の質問に移らさせていただきます。  今おっしゃっていただいたように、県から自治体への権限移譲ということはおっしゃっていただくんですが、やはり自治体の声としては、県のことは県で確かに自治、市町村のことも含めてやるぞと。しかしながら、やはり国は今主導して県に対して、あるいは広域連合、そうした広域的な部分に対して権限移譲をしてほしいと。まず国からそうした制度をまず改めて進めてほしいということであります。  先ほど、くしくも大臣がおっしゃっていただきました、国の出先機関の原則廃止。これはもう抜本的な改革という、エクステンションマークまで付けた力を入れた当初の計画だったわけですけれども、やはり今自治体がそうした大きく形を変えていく国主導の改革をしてほしいということであろうかと思います。    〔委員長退席、理事加賀谷健君着席〕  まさにその一つがハローワーク、公共職業安定所の位置付けであると思っておりまして、今検討していただいているのはもう確かに承知をしているところですが、やはりこれは一九一九年にILOに加入した、当初できた設立の目的から考えると、やはりそれも一つの検討事項ではありますが、そうしたところにメスを入れないと、明らかに国の改革が進んでいるという認識は持っていただけないんじゃないかな、この一丁目一番地のネーミングが色あせて見えるほど、そうした大きな切り込みを是非入れていただきたい、そういうふうな思いでございます。  これは、パフォーマンスということよりは、今自治体が担える役割で、特に実態に即した業務にするためには、県なんかがこのハローワークの業務をした方が得策なのではないかなと、こうした議論も大変多うございます。これは徴税との整合性やあるいは地域の雇用、地元で生活をしていただく、そうしたことの政策も含めて大変メリットが大きい。こうした中で、今、関西広域連合、また九州の広域行政機構なども各整備局の受皿機関としての環境も整いつつあります。  今日の法案審議と直接関係ございませんけれども、国の出先機関改革の原則廃止に関して、二十三年度に移譲のための広域的な実施体制の枠組み、それから関連法案の提出というふうに当初の計画でございます。これについて、今後の具体的なスケジュールを今年度分についてお伺いさせてください。
  119. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 先ほど申し上げましたように、この地方出先機関の移管の問題は、震災の影響がありまして少し作業が遅れておりますが、今その遅れを取り戻すように急ピッチで作業をやっております。  スケジュール的には、当初申し上げていたのとそんなに変わらないスケジュールを今でも考えておりまして、九月を目途に移譲の受皿となる広域的実施体制や人員移管等の枠組みを決定したいと思っております。これは、九州行政機構、それから関西広域連合でありますけれども、その上で、十二月を目途に移譲対象となる出先機関、移譲対象事務権限の決定などを行いたいと今思っております。  この出先機関改革は、アクション・プランというものを昨年作ったんですけれども、それは、一つは九州広域行政機構などを対象にしたブロック単位で全てその機関を移してしまうという、そういう一つのコースと、それから、そうではなくて、一つの県で今国がやっている事務を移譲を受けたいというケースもありますので、例えばこの直轄道路を受けたいとか、この河川を受けたいというのが各県単位であり得ますので、そういう場合は手挙げ方式で、手を挙げていただいて個別に作業を進めるというような、そういうコースもあります。  それから、御指摘のハローワークは今、今年度から三か年間ぐらいを、今まで国がやっていたものを国と県とで少し協力をしながら一体感を強めながらやっていこうという一種の試行期間をセットしております。で、場合によっては、しかしその中でごく例外的に一つのハローワークを県に移して試行的に試験的に実施をしてみるということも、それもあり得ますよということなんですけれども、全般的には国と県とが連携をしながらやっていこうという、そういうコースもあります。  いろんなやり方を今進めておりまして、これをこれからも、いろいろ中央省庁には異論、反論もないわけではありませんけれども、それを克服しながら取り組んでいきたいと思っております。
  120. 中西祐介

    中西祐介君 今おっしゃっていただいたように、できるところから進めると、これが理想的であり、確かに現実的かなというふうに思いますが、一方で、大変いびつな形になりかねない。広域連合でやるエリアがあり、例えば徳島なんか今まさにそうですが、島の中の一部は広域連合に入り、残り三県では県ごとでやるのかとか、あるいは中国地方とやるのか、そうしたことをある面、一方の目線としては国の監視といいますか、助言も含めて進めていかなくてはいけないんじゃないかなということを今感じております。  続いてでございますけれども、義務付け・枠付けの見直しの件に関してでございます。  法令面で、確かにこの事務を執行するに当たって国庫補助負担金の実施要領によって地方自治体自主性、それから自治体が縛られる可能性がありますよと。また、現状の一括交付金についても、これはもう午前の議論でもまさにそのところでございますけれども、地方自治体からは使途、それから対象事業が限られていて、大分使い勝手が悪いというふうな印象が強うございます。そして同時に、まだ額も少ないということでこれは御質問伺いたいんですが、今後、その補助要綱の簡素化、それから弾力化、それからメニューの拡大、この一括交付金、あるいは地方が独自に被災地のみならず各エリアで自主的に地域の設計といいますか、これからの発展する形をつくるために自由度の高い補助金なり交付金の在り方について進めていかなくてはいけないというふうに考えております。  その中で、地域主権戦略会議の施行後、検討見直しを具体化していくというふうなスケジューリングが全体の中でもございますが、これからの一括交付金制度の更なる充実と検討すべき方向性をお伺いしたいというふうに思います。
  121. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 一括交付金化は今年度、都道府県のハード事業分の約半分を一括化いたしました。その際に、実は、当の都道府県からも当初かなりネガティブな御意見がありました。不安であるとか、それから額が減るんではないかとか、形を変えただけで全然自由度が高まらないんじゃないかというようなそういうネガティブな意見が多かったんですけれども、実際に年度が始まってやってみますと、新たな不満が出てきました。これは、今よりももっと自由度を増すべきだ、今よりももっと簡素化すべきだという、全く意見の基本的考え方が変わってまいりまして、制度全体にネガティブな反応から前向きにとらえていただいて、より改善しようという方向に変わってきました。これは大変有り難いことだと思っております。  そこで、今後の課題としては、一つは、対象範囲をいかに拡大するか。これは、各省の協力が必要になります。それから、まだ補助金適化法の適用がもちろんありますし、それから予算の組替えなんかもあるものですから、かなり面倒なこともないわけではありませんので、これを県側の意見を聞きながらできる限り簡素化していく、改善をしていくということを心掛けたいと思います。  それからもう一つは、今ハード事業ですけれども、これを都道府県のソフト事業にいかに拡大するかということ。それからもう一つは、市町村分にどうやって拡大していくのかということ。取りあえずは、来年度は市町村のハード事業についてその改革に取り組んでいきたいと考えておりますけれども、今申し上げたようなことが大体今後のこの一括交付金をめぐる主要な課題であります。
  122. 中西祐介

    中西祐介君 ありがとうございます。  地方のそうした声、まさにその実態に即した形に是非、この改革の大きな転機の時代でございますので、反映をいただきたいというふうな思いでございます。  時間が参りますので最後の質問とさせていただきますが、今のように地方の実態に即した形に全て意見集約をしながら変えていく必要があるというふうな認識の下で、事前情報提供制度の件についてお伺いをさせていただきたいと思っております。  これは、地域主権改革の一つの大きなスケジューリングの中で、国と地方の協議の場ということで、開催が法成立後今まで二回されていたと承知をしております。六月十三日、八月の十二日ということで、二回にわたって地方六団体と政府関係省庁というふうなやり取りをされてこられました。その中で、現在の義務付け・枠付けについてやっぱり必要最小限にしていく、あるいは地域自主性を高めるというふうについては、やはり声を、実態把握をしながらそれを反映すると。  その大きな仕組みが、これまでは、やはりこの地方自治法第二百六十三条三にございます事前情報提供制度であります。地方自治に影響を及ぼす法令に関して、地方全国的連合組織が内閣へ意見を申し出、又は国会に意見書を提供することができる制度があると。まさにこの制度でございますが、地方自治体が検討するための必要情報を事前の適切な時期に提供できるかどうか。あるいは、しないことも十分恣意的な部分によってはできます。若しくは、政府案がほぼ確定する直前で儀礼的に提供することもできます。  そうした中でいきますと、やはり法が空洞化しかねないということがございますので、大きな今分権の制度設計の時期、この事前情報提供制度というものを有効に活用しながら、分権を進めるためにもこの制度の充実を求めたいというふうに思っておりますが、この認識について伺います。
  123. 片山善博

    国務大臣片山善博君) これは重要な視点だと思います。国が一方的に自治体にかかわる業務を決めてしまって、後で自治体がいろんな有益な意見を言おうとしてももう後の祭りということになってはいけませんので、それで地方自治法に今引用になられたような条文を置いているところであります。  私は、この度、国と地方の協議の場が法定化されましたので、今の地方自治法の規定はより意味を持つことになったと思います。といいますのは、仮に空洞化して事前に情報をちゃんと提供しないまま国が仮に決めた、ないし決めようとした場合でも、今回法定協議の場でもって国と地方は対等な立場で協議をしなきゃいけないということになりましたので、そうなりますと、事前に情報を提供しないで地方の側も余り検討しないということになりましたら、その協議の場がなかなか円滑に協議が調わないことになりますので、国にとっても困る事態になります。ですから、一層国から自治体に対して必要な情報を提供するということは励行される可能性が強くなっていると思います。これが一般論であります。  今、総務省では、特にこれは必要なものですから、できるだけきめ細かく情報を提供するようにしております。今般の子ども手当の非常に短期間の間に見直しが与野党協議で成りましたけれども、そういうものも事前に六団体に通知をいたしまして、その上で先般第二回目の国と地方の法定協議の場を開きまして、そこで当面の処理については円満裏に調整ができましたけれども、そんなことの一つの成果だろうと思います。これからも是非首長側にもそれから議会側にも必要な情報を提供してまいりたいと思います。
  124. 中西祐介

    中西祐介君 こうした改革をとにかくとどめることなく是非進めていただきたいと、これからも継続して大臣で御活躍をいただきたいというふうなことを申し上げまして、質問とさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  125. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。  分厚い法律案が来ました。事前に勉強させていただきましたけれども、この法律案自体、賛成でございます。ただ、事前に勉強している中で、やっぱり、えっというようなことが出てくるわけでございます。特に私が感じたことは、先ほども質問にございましたけれども、国等への寄附の原則禁止の見直しなのでございます。    〔理事加賀谷健君退席、委員長着席〕  この地域主権戦略大綱には記載されていなかった。大臣は、地方債への関与の縮小とともに、寄附禁止の規定、典型的な国の関与の見直しになるというふうにおっしゃっておいでになるようですし、また隗より始めよという、総務省からという、そんな御発言もあったようでございますが、ただ、歴史的な経緯も含めて見てみますと、やはり地方の意見として慎重に検討すべきだという意見が強かったというふうに認識をしております。  やはり国を代表して、国からの圧力を総務省がしっかり抑えるというような機能を果たしていたのではないのかと。衆議院の議論でもかなり懸念が表明されたようでございまして、大臣御自身も懸念がないわけではないと。そこで、この法案が成立したら、改めてこれまでの寄附禁止の趣旨について閣議決定を行い、国等による不適切な運用がなされないよう担保するということのようでございます。  ただ、そうはいっても、やはり市町村側からかなりの懸念を表明されたというのは、現実に圧力が相当あったのではないのかというふうに思われます。大臣は、国などから圧力はこれまでなかったということなんでしょうか。また、そういった圧力があった場合のために総務省に相談窓口を設けるということのようでございますが、それ自体やっぱり圧力があったのだなということを自認しているとも思っておりますけれども、しかし、窓口に相談したら、またおまえ相談したのかという、またそういうような江戸の敵を長崎で討つみたいな、そういうことが起きかねないかというふうに懸念されます。  この点について、総務省が指導性を発揮することが強く期待されるところでございますが、どのように取り組む所存であるか、御答弁をいただきたいと思います。
  126. 片山善博

    国務大臣片山善博君) まず、この規定の経緯と趣旨でありますけれども、これは、現行の規定というのはその前身がありまして、昭和二十年代の終わりに本当に多くの自治体が財政危機に陥ったわけであります。その際に、何が原因かということを調べてみると、国に対していろんな寄附なりをしていたということが一つの財政悪化の原因であったということで、地方財政再建特別措置法というのが昭和三十年だったと思いますができて、その際に自治体から国等へ寄附することを禁止したという、その際も当分の間ということでありまして、当時の財政破綻の原因を抑えるということだったわけです。そのときはまだ自治体規模も非常に小さくて、国と地方関係地方分権などという言葉が言われていない時代でありまして、当時の産物でありました。  その後数十年をけみして、まだこの規定が事実上残っているということ、これは、私も自治体の首長をやっておりましたけれども、言わば自治体の尊厳にかかわる問題であります。自治体は自分の手では、自分の判断だけでちゃんと物事を決められないということが前提になっているわけであります。嫌な寄附は毅然として断ればいいわけでありますし、それから、自治体側から働きかけて国や国立大学と協力をしていろんな地域にとって必要な事業をやっていくということは今はもう当たり前でありまして、そういうことにも足かせになるわけであります。きちっと議会で議論をして財政運営は決めればいいというのが本来の姿だろうと思います。  ただ、今回これを改正するからといって、どんどん国に対して寄附をしなさい、これからは自由ですよという、そういう発想では全くありません。やはり不当な寄附なんかはすべきではありません、自主的なものはそれはいいですけれども。  そこで、今回は、自治体を縛るんではなくて、自治体の尊厳を損なうような、自治体を縛るんではなくて、国の方、求める側の方に抑制をしてもらおう、求める側を抑制しようという、そういう基本的な考え方に立っているわけであります。  したがって、この法案が通りますと改めて閣議決定を行いまして、国や国立大学を含む独立行政法人は自治体に対して寄附を求めてはいけない、それから寄附の有無によって差別的な取扱いをしてはいけないということを確認をしたいと思っておりますし、その上でなおかつ不当な事項が、事象がありましたら、総務省の方に内々相談をしていただいて、総務省の方で責任を持って解決をするということをしたいと考えているところであります。
  127. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 ただ、大臣、昭和三十年ころですか、国にどんどん寄附をしていたという、そういうお話ございましたけれども、今、五十六年たって、やっぱり国は大きな借金を抱えているわけですよね。できればいっぱい寄附してもらった方がいいという、そういうベクトルが働きかねないなという状況の中でのこの原則禁止の見直しを行うわけですよね。だから、地方からすると、また吸い上げられるのかというイメージになるわけですね。それは大臣は尊厳だとおっしゃるかもしれないけど、やっぱりそういう危惧ではないのかなと。  今、大臣は、当時は自治体が小さかったと、それは今から見れば更に小さいと思いますけれども、今回、大臣地方六団体の了承を得たというふうにしておりますけれども、しかし、今回この一括法、大体、基礎的自治体への権限移譲、町村はほとんど対象になっていませんよ。だから、いろいろこの議論の過程で、じゃ町村は懸念があるなら今までと同様の関与を残す仕組みを考えましょうかというふうに言われても、市町村と言われている中で町村だけ別扱い、それはやっぱり町村からしてみれば、ちょっと同列に扱っていないということで到底受け入れ難かったんではないのかな。だから、町村も納得したような形にはなったというふうに言っても過言ではないと思うんですね。  だから、大臣の認識と現実とは大きな乖離があるんではないですか。そこの点、どう御判断されますか。
  128. 片山善博

    国務大臣片山善博君) これでどんどん自治体が金を国に巻き上げられるんではないかという御懸念でありますが、そういうことがないように、今度は巻き上げられる方ではなくて巻き上げようとする方を規制しようという、こういう真っ当な法体系にしようというわけであります。これを閣議でもってきちっと決めていきたいと思いますし、相談窓口をつくろうということであります。  町村会は、正直言いまして、当初この考え方を私が直接町村会、それから町村議会議長会の代表にお話をしましたときに、懸念を示されました。やはり国からそういう圧力が掛かってくるんではないかという懸念がありましたけれども、その際に、もし場合によっては、ですから都道府県も市町村も全部一律に今回の改正対象にするんではなくて、段階的にということも考えられますがということも申し上げましたけれども、選択肢としては。さっきおっしゃったような事情が、心理的な背景があったのかもしれませんけれども、いや、それはそういう配慮には及ばない、一律にやってもらって結構だということで、最終的には納得をしていただいたわけであります。  ただ、そうはいいましても小さい自治体で懸念は当然おありでしょうから、そこは、それが具体化、具現化しないように国としては責任を持って各省の動向をちゃんと注視しなきゃいけませんし、あらかじめそういうことをしないという決定と、それからアフターケアとしての相談窓口が有効に機能するようにということがこれからの課題だろうと思います。
  129. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 そうはおっしゃるけど、まあ全然違う法律ですけれども、再生可能エネルギーも今審議されております。今まではRPS法といいまして、再生可能エネルギーを電力会社は買いなさいよという、そういう法体系だったんですね。今度はもう少し違って、各自然エネルギーをいっぱいつくってもらってそれを固定買取りでやらせるというですね。だから、この元締めをやりなさいよという、なかなか進まないんですよね、再生可能なエネルギーを。なかなか進展していかない。だから、もっと個別事業者をつくって、そこで買い取らせるという形をやると。だから、国を縛っても、その誘惑というのはなかなか収まり付かないんではないのかなというふうに懸念をいたします。  いろんなやり方はあると思いますけれども、先ほど大臣がおっしゃったように、例えば国立大学病院、地元に来てもらって、地域医療がだんだん衰退していく中で先進医療も含めて来ていただいて、その中でこれ、土地を出しますからとかそんな形でやっていって地域医療に貢献してもらおうと、そういう要請があると思うんですよね。そういうことを一つ一つ順次、地方から要望の多いものから順次解禁するという、そういう方法の方が地方の懸念も緩和されるんではないのか、どうしてそういう手法を取らなかったのか、もう一度お願いいたします。
  130. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 今おっしゃったようなことが実際に地方で事情としてありまして、地方でそれぞれ創意工夫を凝らして国、国立大学と協力しながらいろんなプロジェクトを進めていくんでありますけれども、その際に、自治体が現地の国立大学と相談をして自主的に意思決定をして、それを議会がちゃんと審議の上でオーソライズした、承認した、それを何ゆえにその事情も分からない国の官僚の人たちに持っていって裁断を仰がなきゃいけないのか。これは本当に自治体の尊厳の問題であります。自分で自分のお金の使い方を決めることができなくて、まるで後見人のような立場の人に承認してもらうというのは、未成年か成年後見制度下の人か地方自治体か、この三つなんです。  これから本当に地方分権時代、地域主権改革時代のその主体として地域経営をやらなけりゃいけない自治体が未成年、成年後見制度地方自治体ということでは私はいけないと思うんです。こういう基本的な理念があります。自らのことは自らできちっと律する。しかし、多くの自治体がありますから、その中には弱い立場の自治体も出てくるでありましょうから、それはきちっと総務省の方でそういうことに陥らないようにするという、今回こういうふうにしようというわけです。  私は、知事をやっておりましたときにいろんなことがありました。例えば、山陰本線に新しい新駅を造る、これはもう地元から発意であります。ここに造れば多くの県民の皆さんが便利になる。そのときに、JRはする気がありませんから県と市で協力をするということ、これはそれまでお上の禁ずるところであったんでありますけれども、それをきちっとして、今本当に乗降客の多い駅になっておりますし、それから救命救急センターが東部の鳥取市にはあるんですけれども、米子市にはありませんでした。それをつくろうと思ったら、新しく県立の病院をつくるかということになりまして、それは誠に不経済でありますので、鳥取大学の医学部附属病院と相談をして、幾ばくかの金を出すのでその機能を持ってくれということで非常に安上がりにできました。  ですから、そういう柔軟な現実的な対応を可能にするためにも、自由な発想を醸し出すためにも、やはり今の禁止するというような規定はあるべきではないと体験上も思っております。
  131. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 地方の尊厳という言葉がございました。本当にそこを大事にしていかなきゃいけないなと、私もその点は同感であります。  今、議会ともしっかり審議してという話がございましたけれども、これは実は本年六月十六日のこの本委員会でも取り上げさせていただいたんでございますけれども、今年、統一地方選挙がありました。そして、このときは大阪府議会の定数を百九から八十八に削減するという条例に関連して質問をさせてもらったんでございますが、例の公職選挙法の規定で、十五条ですか、都道府県の議会の議員の選挙区は郡市の区域によるという規定があるわけでございますが、選挙法で、国の法律で縛るという構造になっているわけでございますが、この規定、そしてまた政令市においては行政区で選挙区にするよと縛りが実はあるわけですね。  そうすると、あのときも同じ趣旨で質問をしたんでございますけれども、定数削減していくと、余計一票の格差が人口比の関係で、特に大きな大都市になれば、中央の区が人口過疎になってドーナツ的になってしまうと大変な定数格差が生じると。衆議院、参議院もいろいろ裁判所で問題になっているわけでございますけれども、しかし、今、首長と議会がしっかり議論をして地方の尊厳をやっぱり高めていく、そういうことが大事だというふうに、全くそのとおりだと思いますけれども、しかし、そもそもきちっと正当に民意を、住民、県民の意思を反映させるという、そういうことがもっとその前提として大事ではないのか。  そうすると、この公職選挙法の規定自体がある一つの枠付けになっているわけであって、これもやっぱり地方自治をきちっと機能させるために変えていかなきゃいけないんではないのかなと。定数減をという声が非常に大きくなっていく中で、それを真正面から期待にこたえようとすれば、逆に地方の民主主義の正当性を曲げるような、そういう機能をこの法律は果たしてしまうということになっておりまして、是非この辺も今、再度、六月十六日のこの委員会質問と同じ趣旨になってしまいますけれども、やはりこれも変えていかなきゃいけないんではないのかなと、地方自治の尊厳を守るためにと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  132. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 御指摘のポイントは、私もよく理解しているつもりであります。  県会議員の選挙は、基本的には郡市を単位にするということで、市はともかくとして、郡を一つの選挙区に基本的にはしております、一部例外もありますけれども。その郡というものが、この公職選挙法ができた当時に比べて今日は、特に大規模な町村合併を経た今日はかなり郡の性格とか規模が異なってきておりまして、公職選挙法のこの規定ができたときといささか背景が違ってきているという、そのことは事実だろうと思います。  その上でどうするかということでありますけれども、これは地方の言わば政治構造に大きくかかわる分野でもありますので、一概に国が義務付けて、これも確かに義務付け・枠付けの一種ではあるんですけれども、一概にこれを他の義務付け・枠付けと同じように見直しをして国の関与なりを排していくということがいいのかどうかというのは、これはいささか私も疑問があります。  これは政府でもよく検討したいと思いますけれども、事政治の構造にかかわる問題でありますから、国会の各党各会派でもよく御議論、御検討いただければと思います。
  133. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 それを理由にしてなかなか定数格差是正ができないという、国の法律なんだからという、そういう理屈付けが地方議会で必ず出てくるんですね。やっぱりちょっとそれは違って、そろそろ見直していかなきゃいけないなと思ったので、再度質問をさせていただきました。  次に、国の出先機関改革につきまして、その方向性につきまして若干質問をさせていただきます。  昨年の十二月の二十八日に閣議決定いたしましたアクション・プラン、出先機関の原則廃止に向けてというのが出されたわけでございますけれども、地方自治体要望を踏まえて、事務権限の移譲を積極的に行うというふうにされております。具体的には、一都道府県内でおおむね完結するものについては速やかに移譲に向けた取組を実施する、そういう事項を自治体と協議して整理すると、また、自治体の発意に基づいて、構造改革特区制度等の活用などにより選択的、試行的に移譲を進めることというふうにされているところでございます。  構造改革特区は、いかに創意工夫を生かして自主的に行えることができるよう、その妨げとなっている国の規制について特例を設けるものでございますけれども、国の出先機関改革の初期段階において構造改革特区制度を活用する、この意義あるいは有効性について大臣の御認識をお伺いをいたします。
  134. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 従来の手法ですと、ともしますと、国の持っている権限を全国一律に一斉に自治体に移譲するということ、これが通例でありました、こういうやり方が通例でありました。しかし、自治体も非常に多様でありますし、意欲と力量にやはり現実には差がありますので、全国一律移譲方式というのはいろんなところでハレーションを起こすということも事実であります。  そこで、今般のアクション・プランでは、いわゆる手挙げ方式といいますか、希望するところに手を挙げてもらって、そこにできる限り権限、財源を移譲していくという手法を取ったわけでありまして、これは私は移譲する際には非常に有効な現実的な手法だと思います。  もちろん、マイナス面もないわけではありません。といいますのは、一斉に移譲しませんので国の方にどうしても残りますので、暫定期間といいますか、移譲がまだ全部終わらない間は両方でその事務を担うことになりますので、いささか不経済、非効率であるというようなことはありますけれども、しかし長い目で見ると急がば回れで、こういう手挙げ方式の方がスムーズにいくというのが、私も経験上そう考えているところであります。
  135. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 その事務権限の移譲でございますけれども、国から示された、現時点において示されたのは、結局、関係省庁が行った自己仕分というんですか、全国一律一斉にすると、移譲するとされたものが、その自己仕分の結果のA—aというものに限られていると。余りにも少ないし、その量、内容とも不十分であるというような指摘があるわけでございます。そういう状況では、出先機関、改革の本来の目的である地方自由度を高めて二重行政の解消につながる、その事務権限の移譲に余りにも程遠いという今現状にあります。  この点に関する大臣の所感と、対象拡大に向けた大臣の決意をお伺いをしたいと思います。
  136. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 昨年、いわゆる自己仕分というものを権限移譲の分野で行ったわけであります、まだこれは私が内閣に入る前のことでありますけれども。そのときの結果を見ますと、一応その権限の、出先機関の有する事務権限の約二割、四百七十三件中の百十一件ということになっておりますが、これだけでも少ないという御批判はもちろんあるんですけれども、中身を見ますと、私の目から見てもほとんど自治体から見て魅力の少ないものが多かったという印象を持っております。やはり、今権限を持っている側の自己改革というのはなかなか円滑には進まないということだろうと思います。  そこで、昨年作りましたアクション・プランでは発想を逆転しまして、むしろ受ける側からこれが欲しいという手挙げ方式にしたわけであります。ブロック単位でいいますと、九州広域行政機構、それから関西広域連合からは、それこそ手挙げ方式で、地方環境事務所、地方整備局、経済産業局、この三つを当面の移譲対象機関として検討対象にしてくれということが来ました。それから、あとは都道府県単位の事務でありますとか、そういうものについてもそれぞれ手挙げ方式で申し出ていただくと、そういう方式にしましたので、自己仕分よりは実体のあるもの、地方にとって実のあるものが検討対象になると思います。
  137. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 次に、一括交付金について、先ほども質問ございましたけれども、お聞きをしたいと思います。  都道府県分について今年度から開始されているわけでございますし、大臣自由度が高いということでアピールしているわけでございますが、ただ、これ補助金適正化法に基づく手続を定める各省庁の交付要領、これは従前の個別補助金と比べて使途が拡大されたり要件が緩和されているんでしょうか。一括交付金、与えられた総額の範囲内で、与えられたメニューの中からどの事業、どれだけ充てるかという判断を都道府県はできるけれども、事業そのものは従来と変わらず地方自主性を発揮できる余地が少ないんではないかということがございますが、いかがでございましょうか。
  138. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 今年度から新たに都道府県分のハード事業について一括化しましたけれども、これは各省の既存の補助事業を持ち寄っていただきまして、それが総額五千百二十億円ですけれども、この持ち寄ったメニューの中で融通を利かせて自治体事業を選ぶことができるということにしたわけであります。  そこで問題は、それ以外のことに使えないんですかと。七つ、八つのメニューの範囲内ですから、それ以外に使えないんですかということがありますけれども、それは当面それ以外は使えないということにしております。といいますのは、それ以外に使えるということになった途端に各省が補助金を持ち寄っていただくインセンティブは全くなくなってしまうんです。やっぱり持ち寄ってもらって、それを種といいますか、元金にして自分のところの関係する事業をもっともっと増やしてもらいたいというのが各省の合理的な考え方でありますから、元金をとにかく出してもらって、その中で必要な事業をどんどんやってもらうように、これが各省が協力していただく一つのインセンティブになるものですから、当面はこの方式をやりたいと思っております。  それから、内閣府の予算になるんですけれども、これは国庫補助金ですからやっぱりぴしっとチェックをしなきゃいけません、会計検査院のチェックも含めて。それを誰がやるかということになったときに、内閣府はそこまでの人員とかを含めた実力がまだありません。ですから、やはりチェックは関係官庁でやっていただくというのが当面合理的だろうと思います。将来のことは分かりませんけれども、当面はそれが合理的だろうと思います。  あと、要件を作っております、基準を作っておりますが、これは今回できるだけ要件を緩めてくださいということで、その作業をしました。何分、昨年の末に予算ができて今年度からですから、まだ十分に全ての事業の点検はしておりませんけれども、できておりませんけれども、これから徐々に徐々にその簡素化についても改善を加えていきたいと思っております。  いずれにしても、簡素化、自由度を増すという方向でこれをこれからも進化させていきたいと思っております。
  139. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 去年、この一括交付金議論したときに、総額が減るんじゃないのかというのが一番の懸念だったわけでございますので、残念ながらそれが現実のものになったと、誠に遺憾だなというふうに思っておりますけれども、これは県の財政運営にやっぱり支障が生じてきているんではないのか。  また、概算要求に向けた作業方針がこの間決定したようでございますが、今度、政策的経費一律一割削減ということのようでございます。暫定的なのかもしれませんけれども、そうすると、ますます都道府県の財政運営に支障が生じるんではないのか。そうすると、また来年度から始める市町村分の一括交付金もより大きな影響が出て混乱するんではないのかという懸念がありますが、そのことをちょっとお伺いをして、質問を終わります。
  140. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 補助金が減るんではないかという不安が現実のものになったとおっしゃいましたけれども、確かに多少減りました。六%であります。  これをどう評価するかということでありますけれども、ちなみに地方向けの国からの補助金で、投資関係地方向けの補助金では九・三%減っているんです。ですから、この一括交付金が六%というのはましだったと、喜んでいいのかどうか分かりませんけれども、相対的にはそんなに減っていないということであります。あと、一括化をして自由度を高めた中で多少の節減とか、それから事業を併せてやるとか、いろんなことで多少の節減ができるだろうという気持ちもありまして、六%はやむを得ないのかなと、当時、担当大臣としては判断したわけであります。  来年度のことになりますけれども、一応、一割カットの対象になっております。しかし、それらをかき集めて既往の一・五倍まで要求できるという、そういうバッファーをつくることになっておりますので、是非そういう仕組みも活用しながら、地方団体にとって、今は知事会もこれをポジティブに受け止めていただいて、より使いやすく、より多くと、こういう要求もいただいておりますので、担当省、担当大臣としては是非目減りしないように頑張りたいと思います。
  141. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 市町村分は。
  142. 片山善博

    国務大臣片山善博君) それから、市町村分は、これは都道府県分のところで意を払いましたような、総額を減らさないとか自由度を増すとか、そういうことを当然気を付けたいと思いますし、市町村の場合は規模が小さいので、各年度の事業間の変動がかなりあります。都道府県の場合は大体同じような金額で推移するのですけれども、そういう事業間の変動にどう対応するのかということで、事業の選定でありますとか、都道府県にはない留意点があると思いますので、その辺は今よく現実的に対応するためにということで、事務的に検討しているところであります。
  143. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 終わります。
  144. 寺田典城

    ○寺田典城君 寺田でございます。ひとつ、午前中に引き続きよろしくお願いします。  私、皆さん御承知のとおり、何というんですか、高齢者部分休業を中心に、地方公務員行政のというか、総務省の硬直性について同じような質問を五回続けてさせていただきました、取り上げました。今回で高齢者部分休業については終わりたいと思うんですが、私の主張というのは、要するに国が余計な義務付けだとか枠付けだとか、そういうのをはめるんじゃなくて、それぞれの地方自治体が条例をもって自由に決めるべきということで、その一例として高齢者部分休業を挙げさせていただいたんです。ですから、私からするとアリの一穴みたいな形で特に絞って挙げさせていただきました。  佐々木前公務員部長には五回も同じことを質問して、皆さんも公務員部長の何というか、答弁の固さというのはよく、落語になるぐらいだと思うんですよ。公務員部長さん、佐々木部長さん、広島に御栄転なさったんで、別れるときは和気あいあいと非常にエールを送って終わりまして、私も広島まで応援に行こうということにしているんですが、何というんですか、今度三輪部長さんがおいでになりました。  公務員部長になると、何というか、そのわなにはまったような感じに固くなっちゃうんですよ。ですから、三輪部長さんは大変すてきな人ですので、何というか、そうならないように、公務員課長で終わると片山さんみたいに総務大臣になったり何になったり国会議員になったりしますので、部長になると固くならないようにひとつ頑張っていただきたいなと、その意気込みをひとつお聞きしたいと思います。  それと、片山大臣が五月十九日、この委員会地方公務員行政における義務付け・枠付けについて洗い出し、点検を公務員部に指示したと伺っております。その答弁いただいてから三か月経過しているわけですが、具体的な検討方法と現時点での進捗状況をひとつ教えていただきたいと思います。
  145. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 議員から本当に公務員部関係といいますか、地方公務員制度で国の義務付け・枠付けがかなりあって、それを何も全国一律しゃくし定規に縛ることはないではないかという非常にごもっともな御提案がありまして、私も全く同感でありますので、公務員部に対して指示をいたしました。公務員制度の中で義務付けているものを洗い出して、必要でないものはできるだけ条例の判断に委ねていったらどうかということで。  早速に幾つかの、かなりの数の義務付けをしているリストが上がってまいりまして、それを今一つ一つ点検をしているところでありますが、差し当たって、議員から何度か御指摘のありました高齢者の部分休業の問題、それから修学部分休業につきましては、これはもうこの際、条例に判断を委ねようというところを決めております。これは必要なその法案を、次の多分臨時国会になると思いますけれども、お出ししようと思いますが、それだけにとどまらず、今、更にそれ以外のものについても併せて出せるものは出そうということで検討を進めているところであります。
  146. 三輪和夫

    政府参考人(三輪和夫君) お答え申し上げます。  今大臣から御答弁ございました趣旨、また当委員会でこれまでるる御質疑がございましたその趣旨を十分に踏まえまして、しっかりと検討をさせていただきたいと、このように思っております。
  147. 寺田典城

    ○寺田典城君 どうもありがとうございました。  それで、法全体についてなんですが、地域主権の二次一括法案ですね、この中で一つこの権限移譲、それから義務付け・枠付けの見直しをここまで進めるに際しまして、総じて各省庁はそれこそ協力的であったかないか。逢坂政務官、率直に、今がチャンスですから、思いを国会議員の先生方にひとつお聞かせください。これが生でひとつ聞かせていただきたいと思うんですが。
  148. 逢坂誠二

    大臣政務官(逢坂誠二君) 各省庁の協力度合いでございますけれども、基本的には各省庁ともいわゆる政権の掲げる地域主権改革、国民に身近なところでなるべく多くのものを判断した方がいいんだというその姿勢には、基本的には各省庁とも賛同をいただいているものだというふうに私は認識をいたしております。  しかしながら、個別それぞれの折衝に入ってまいりますと、それは総論賛成ではありますけれども、それぞれの部分に入りますと必ずしもそうでもなかったものがあったのは事実であります。  ただ、その際に、それは単なる嫌がらせといいましょうか、そういう気持ちで言っているのではなくて、それぞれの所管部局が自分の責任を果たすのはやっぱり我々の大きな使命なんだという、そういう使命感に基づいているところもあったのではないかというふうに認識をしております。  特によく出されましたのは、やはりこれは自治体に任せてしまうと全国の統一的な基準が取れない、ばらばらになってしまう、それで本当にいいのかといったような話がございました。しかしながら、地域主権改革というのはそれぞれの差異を認める、特徴を認めるということでありますので、そのところについては随分丁寧に議論させていただいた結果が今回の二次一括法ということであります。  ただ、まだまだ理解が十分でないところもありますので、今後とも精いっぱい私の立場でまた頑張ってまいりたいと思います。
  149. 寺田典城

    ○寺田典城君 逢坂さんは、町長さん時代、それこそ枠を超えるぐらいいろんなことをした人で、ところが政務官になりましたら非常に、少しまともになり過ぎたのかなと思って御心配なさっているんですがね。まだ若うございますし、私なんかはもう七十一歳だからあの世に近づいたところでしゃべっているんですが。  それで、今、何というんですか、総論賛成、使命感だとかということ、それから統一基準という、これが日本の国を今駄目にしているんですよ。閉塞感与えているということなんですよ。  ですから、私はそれこそ、例えば今これから基礎自治体の権限移譲について話しますけれども、市町村合併特例法が平成十七年三月まででしたね。それで、私は十六年の二月に、市町村合併特例法で市町村に権限を移譲しなきゃならぬということで、市町村に権限移譲しようということで、その権限移譲の中で百三のことを列挙して条例で書いて、中核市並みに、要するに秋田県でいえば秋田市です、中核市並みに権限を移譲しようということで積極的に進めてきました。  その中身を、あなた方、今この出した中身を見ますと、四十七が法律で各事務について権限移譲で出しているようなんですが、もうその時点で二十個、うちの県では二十個を権限移譲しているんです、市町村に。その実施率が六一%です。ただ、一つは、県の職員なんか派遣したのは、三千人の町でですよ、東成瀬村というところがあるんですが、例えばそれから八峰町でも何でもいいですよ、そんなのは、五、六千の、それで九六%とか七%権限移譲されているんです。先ほど話したような未熟児のあれだとか、全てこうなんですよ。  ですから、そういうことをやらせれば全てができるんですよ。ですから、そういう点で、四十七のそういうことを、私は、町村合併特例法の十七年三月までということなんだから合併もすると、六十九市町村が二十五になったんですが、それより前にそういう準備を、権限移譲をしなきゃならぬというので、中核市並みに移譲したと。だから、資料は内閣府に渡してあります、後で必要ならもっとあげますけれども。ただ、権限移譲するというと、やっぱり人的には仕事が増えるというか、お金も要りますので、掛かりますから、県はそれなりの対応をしています。  ですけど、そのようなことに対してどのようにお考えになっているか。逢坂さん、率直に、こうしたいということを考えて言っていただきたいんですけれども。
  150. 逢坂誠二

    大臣政務官(逢坂誠二君) まず最初にお話のありました、もう既に今回の法律の中に盛り込まれているものを秋田県などではもう先行してやっているんだということでありますけれども、非常に私はそれは優れた取組だというふうに思います。  実は、今回の法案を作成する際にそうしたことも十分に参考させていただいて、今まで全くやられていない地域もあるわけですね、秋田県のようなことを。そうじゃなくて、秋田などでは自治法の事務処理特例の仕組みを利用して、もう現に市町村にやっていただいているではないかと。こういう事例もあるんだから今回はこの法案の中に入れて全国的に展開をしていくという、そういうある種先進的な地域の取組を牽引力にさせてもらって各省と議論をしたという経過がございますので、その意味では、秋田の取組は非常に有り難い取組だったというふうに思っております。だから、小規模自治体でできないだろうということをおっしゃられる場面もあったんですが、そうじゃない、現にこういう例もあるということのために、秋田の例などを活用させていただいたということであります。  それから、今後でございますけれども、地域によってやっぱり人員体制などについていろんな差があるというふうに思います。したがいまして、一律に一概にその体制をどうすべきかということはここでは言い難いんでありますが、それぞれ個別の事例に応じて各都道府県で適切にサポートされるように我々も見守ってまいりたいというふうに思います。
  151. 寺田典城

    ○寺田典城君 各県には総務省からも、それから国土交通省でも農林省でも行っているんですけれども、省庁から来た人が行くとかえって改革が遅れるときもたくさんあるんですよ。例えば、国土交通省では道路構造令を守ってくれとか、総務省ではこういうことは今まで例がないとかですが、そういうときは、おまえ早く帰れということを私はよく言うんですけれども。何というんですか、人を出すにもやはり事例を、プラスをすぐ挙げてくるというぐらいの人間をやっぱり各省庁は出すぐらいにしなきゃならぬですよ。その辺をひとつ考えていただきたいと思うんです。  この次は義務付け・枠付けの見直しについてなんですが、一万五十七件の候補の中から四千七十六件を絞り込んで六百五十件の義務付け・枠付けをさせましたということなんです。片山大臣がいい言葉を使っているんですよ、シャビーだったと。これはいいんですね、本当に、全くけちだとかみすぼらしいとかって。まあシャビールックというのもあるんでしょうけれども。何というんですか、本当にこれ見てみると情けないぐらい、それこそ大臣の言葉じゃないですけれども、シャビーな感じでもおります。  その中で、この二次勧告において義務付け・枠付けの範囲で見直しを行うべきものとして四千七十六項目抽出した過程、手法について、逢坂政務官からひとつお聞きしたいんですが。
  152. 逢坂誠二

    大臣政務官(逢坂誠二君) 簡潔に申し上げます。  まず、今回三つの基準を設定いたしました。自治事務であること、それから事務処理又はその方法を義務付けていること、そしてその処理や方法について条例による自主的な決定、補正を認めているものではないこと。この三つの基準に当てはめたものを法令上チェックいたしましたところ、一万五十七条項が出たということであります。  さらに、このうち、国民の生命、身体等への重大かつ明白な危険に対して国民を保護するための事務であって、全国的に統一して定めることが必要とされる場合等の、要するにそのまま残していいよというようなもののメルクマールを当てはめまして、これに該当しない四千七十六条項を今回の見直しの対象としたということであります。  それで、先ほどシャビーだという言葉がございました。私の実感としても実にシャビーな内容が多いというふうに思っております。ただ、逆に言うならば、それほどシャビーな内容までも国が自治体の手足を縛っていたということの証明でもあるというふうにも思っていますので、そういうものからも取り除いていくという作業は意義のあるものだというふうに思っております。
  153. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 私も第一歩、まあこれは今回は第二歩でありますけれども、二次でありますから、これで終わりということじゃなくて、これから本当にシャビーでないものにこれを及ばせていくということだろうと思います。  一つちょっと私が関与したことで言いますと、私は、この検討をしておられました地方分権改革推進委員会には、委員長から要請を受けまして、当時、学識経験者といいましょうか自治体の首長経験者として意見を求められましたので、委員皆さんの前で自分の考え方を開陳しました。その際には、今回法案に盛り込んでおります地方債の話でありますとか寄附金の話も盛り込んで話をいたしまして、委員の大方の皆さんは、ああ、それはそうですねということだったんですけれども、結果はその項目からは外れておりまして、やはり当時も委員皆さんの考え方とは必ずしも一致しないものがリストアップされたのかなという印象を持っておりましたので、今後はそういうことのないように、是非各省の考え方を少し変えてもらって協力度を強めていただきたいと思っております。
  154. 寺田典城

    ○寺田典城君 事務レベルがやっぱり分権の考え方を幾ら、どのくらい真剣に考えているかということなんです。抱き込んで物を考える場合と、開放して積極的にやろうと物を判断するのとは全然違ってくると思うんです。やはり、まだ抱き込んで物をやってちっぽりちっぽり出そうという形なんですね。  だから、そういう点では、国の役人ってどうやって変えたらいいのかと。本当にその辺を、私は自分でも、まあ行政経験もそんなにないですよ、地方行政を十八年ですか。その中におってみて、いつも感じるのは、日本国家、政治も余り良くないけれども、役人も全国一律主義で中央集権で物をやることが正しいことだということから脱却できない。もう地方のサポートになると、私たちは地方のサポーターだと、国の行政、霞が関の行政はね、そのぐらい徹底しなければ私は国の姿というのは変わらないと思うんですよ。だから、その辺はこれからもまだ四、五年時間がありますから頑張っていこうかなと思うんですが。  その中で、その抽出した中で、例えば高齢者部分休業もそのとおりなんですが、今回、地方債の発行も大臣があれしましたし、それから国の寄附行為もしました。ところが、これが一万件の中の四千七十六項目の中には入っていないんですよ。一万の中に入っているのが、何というんですか、高齢者部分休業は入っておる。それは総務省で取り上げなかったと。そして、だから国の寄附行為なんかはその一万の中にも入っていなかったようなんですね。それだけ総務省もちゃちなんですよ、頭の考えが。本当に情けないと思うんですよ。よく覚えてください。何とか頼みます。そうしていかなきゃ国が変わらないんですよ。だから、その辺をひとつ頑張っていただきたいと思います。  それで、最後に、時間になってきましたので。要するに地方債発行にかかわって、大臣がこのとおり見直すということであれしたんですが、私、平成十九年ですか、二〇〇七年に国と、局長とつかみ合いぐらいのけんかをしたことがあるんです。いわゆる口論したことがあるんです、当時の局長さんと。権限移譲せいということで、寄附することに対して。大学に対して医療の施設だとか、まあ県は県立病院もないし、それから国を活用することがいかに、何ていうんですか、一挙両得だとか一石二鳥だとか、そういうことあるんですよ。だから、国にいろんなものを寄附行為をして、この学部、寄附講座をつくってください、高度医療をしてくださいとか、こういうことをやる。そうすると、県立大学だってつくらなくたってよかったかも分からないところもあるんですよ。  だから、そういう点では、いい意味での連携というのは、これは地方と国というのは絶対的に連携していかなきゃならぬので、こういう点で、私は今回日の目を見たこの寄附行為はしっかり大事に、いい面で考えていくべきです。  だから、魚住さん御心配なさっているんでしょうけれども、それは老婆心だと思います。大体、損するようなお金は出さないですよ、地方お金あるわけじゃないんで。だから、そういう点では、よく監視するじゃなくて、お互いに積極的に話し合った上で、発展係数で考えていくというようなことが私はこれから、大学の能力を活用することが地方の発展にもつながることですし、いろんな面で、国は独立行政法人、地方にもばらまいていますので、そういう点は私はいいこと、これは大いに参考にしたいなと思っております。  それで、要するに、こういうことで、対象としてこういうものを、何というか、大臣の考えで、自治体の寄附とか義務付け見直しの対象として追加する判断に至った過程、それから地方債の発行も、よく大臣、当時は教授のころ言っておったんですけれども、そういう点のことを思いを少し述べていただきたいんですが。
  155. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 私は、この地方自治の分野に長らく携わってまいりまして、自治体予算の編成でありますとか、それから財政支出を中心にした財政の運営でありますとか、これは、それこそ地域のことは地域が責任を持って決めるという考え方で律せられるべきだと思っております。  自治体、いずれにしても自分のところのお金を出すわけでありますから、それは自分で責任を持って決めるということで、それは議会でよく審議をして決めるということであります。  その際に、どうして、借金をしたり、それから必要があって寄附をしたりする場合に国の官僚の人たちの承認を得なければいけないのかということをもうずっと疑問に思っていました。一般の人が住宅ローンを組むとき、誰の承認も要らないわけです。貸してくれる人の承認が得られればいいし、保証人がいる場合は保証人ですけれども、第三者、貸してもくれない、保証人にもなってくれない人の承認は要らないわけでありますけれども、どうして自治体は、地域の自主的な組織であるにもかかわらずそういう後見人のような人の保証が要るのだろうかと、こう常々思っていたものですから。  先ほど自治体の尊厳ということを申し上げましたけれども、自治の主体であれば、当然そのような規制は取り除くべきだと私は思っておりましたので、この度いいチャンスを与えていただきましたので、法案に盛り込ませていただいたという次第であります。
  156. 寺田典城

    ○寺田典城君 片山大臣は非常にお子さんがたくさんいらっしゃるので、ところが私は子供三人いるんですが、どなたさんも親はこういう考え、自立させるために育てていると思うんです。二十歳というのは一つの、まあ成人ということになるんでしょうけれども。  ところが、地方自治に関しては、自立させるためからサポートしますよという考えが物すごく地方行政というのは弱いんですよ、考えないんですよ。だから与えてやると。だから、どちらかというと物を考えるなという行政するんですね、考えない方がいいよと。そうすると、あと、ただ要望だとかあれだと。  知事会だってそうですよ。四十七都道府県の知事会、私、副会長やって麻生さんといつもけんかしたのは、要望団体ですかと、麻生前の知事会長ですね、あんたは要望団体と、俺といつも隣でけんかばっかりしておったんですが。  とにかく、日本の国は地方を自立させない限りは国家は成長しない、良くならないですよ。ですから、そういう点を含めて、やはり逢坂さん、本当にそれを、片山大臣も含めて、とにかくもう一回留任してもう一回やり直すということを頑張っていただきたいということです。  ひとつ意気込みをまだ、あしたであと大臣辞めますとか政務官辞めますなんて考えは絶対しないで、希望を述べてください、希望、こうしたいということを一分ずつ、あと四十七分まで時間ありますから。
  157. 藤末健三

    委員長(藤末健三君) 片山大臣、短くお願いします。
  158. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 今回、持論を実現するという意味で本当に大きな一歩を踏み出すことができると思っておりますので、是非二歩三歩と歩んでいければと願っております。
  159. 藤末健三

    委員長(藤末健三君) 逢坂政務官、簡潔にお願いします。
  160. 逢坂誠二

    大臣政務官(逢坂誠二君) 地方の自主的自立に向けて私も精いっぱいやりたいと思っておりますので、一歩歩み出したものは次、二歩目三歩目があればと私も願っております。頑張ります。
  161. 寺田典城

    ○寺田典城君 どうも、よろしく。  ありがとうございました。
  162. 山下芳生

    ○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。  今日は小宮山洋子厚生労働大臣に来ていただいております。八月に開かれた第四十三回全国保育団体合同研究集会で被災地から参加された保育士さんたちの報告が感動を呼びました。お一人の発言を紹介したいと思います。  三月十一日午後二時四十六分、間もなく起床の時間になろうとしていたそのとき、かつて体験したことのない大きな地震が起こりました。二日前にも地震があり、震災前日は地震に備えて訓練をしたばかりでした。壁時計が飛んできたり、壁にひびが入ったりという恐ろしい状況の中、私たち職員は地震から子供たちの命を守ることに精いっぱいでした。まさか海から直線で二キロメートル離れている当保育所にまで津波が押し寄せてくるとは誰も考えていませんでした。  黒い波のようなものが見える、津波かもしれない、南側の職員が異変に気付き、子供たちは保育士に誘導され、上へ上へと駆け上がりました。二歳児は保育士に手を引かれ、ゼロ歳児と一歳児はだっこされました。おんぶをする時間すらなかったのです。揺れが収まった僅かな時間に着替えを済ませた子供もいましたが、パジャマのまま、はだしのままの子供もたくさんいました。  私が所内に子供が残っていないかどうか確認して玄関を出たときには、黒い電柱がなぎ倒され、瓦れきの大きな山がどっどっと押し寄せてきていました。途中で小学生と合流。道端で男の方が大きな声で、後ろを見るな、後ろを見るな、後ろを見ないで走れと檄を飛ばしていました。動けなくなったおばあさんが、自分はいいから早く逃げろと二人の娘さんに言っている声も聞こえました。自分は助からないかもしれないと覚悟して前を見たとき、はるか遠くに子供たちの姿を確認することができました。子供たちと職員は助かったと安堵したことを昨日のことのようにはっきりと思い出すことができますという御報告でした。  小宮山副大臣にお聞きしますけれども、被災地の各地ではこうした保育士たちの活動がありました。担当大臣としてこういう活動についての評価を聞きたいと思います。
  163. 小宮山洋子

    ○副大臣小宮山洋子君) この度の東日本大震災では大きな被害を受けた保育所も本当にたくさんありました。今御紹介をいただいた例を含めまして、保育士の皆さんによる本当に適切な避難誘導などによって多くの子供たちの命が救われたと思っておりまして、こうしたことに対しては深く敬意を表したいと思います。
  164. 山下芳生

    ○山下芳生君 発言の続きを紹介したいと思います。  当保育所は、陸前高田市の中央にある市内で一番大きな保育施設でした。その日は百三十七名の子供たちが登所していましたが、地震に驚いた家族の方々が次々迎えに来られて、津波が押し寄せたときに残っていた児童は三十数名でした。高台に避難して、保護者の方から高田保育所は全壊と聞かされても、私たちはなかなか受け入れることができませんでした。  数日後、職員で保育所に足を向け、本当に何もかもが流されてしまったのを目の当たりにして、余りのむごさに愕然としてしまいました。あと一歩逃げるのが遅かったら、子供たちが全員残っていたら、三十六名の職員では到底助けることはできなかったでしょう。  中略しますけれども、この保育所は現在別の保育園の旧園舎をお借りして保育を行っておられます。現在の入所児童数は九十七名だそうであります。  発言の紹介を続けます。既に地震、津波を想定しての訓練は九回行いました。何度も行った訓練から、ゼロ歳児三対一、一、二歳児六対一の保育士定数では子供たちの命を守ることが非常に困難であることを思い知らされました。三歳児の二十対一もかなり厳しいものでした。私たちはどんなときにでも子供たちの命を守りたい、子供たちの笑顔をずっと見ていたい。しかし、現在の保育士定数では私たちは子供たちの大切な命を守り、命をつないでいけるでしょうか。保育士定数の見直しは保育現場でずっと訴え続けていますが、何十年たってもこの最低基準は見直されていません。私たちはもっと力を結集して大きな運動に持っていかなければならないと、この震災を体験して強く感じています。子供たちは私たち大人の希望ですと、こう締めくくられておりました。  あの大地震、大津波から必死の思いで子供たちの命を守った、そしてその後も九回も避難訓練を行った保育士さんたちからのこれが率直な声であり、感想だと思います。  小宮山副大臣、重く受け止めるべきではありませんか。
  165. 小宮山洋子

    ○副大臣小宮山洋子君) 私も保育現場のことはいろいろなところで伺って、見てきておりますので、そうした発言は非常に重く受け止めさせていただきたいと思います。  今年四月に成立しました地方分権第一次一括法を踏まえました児童福祉施設最低基準の改正の中で、この保育所の職員配置基準につきましては、従うべき基準ということで従来どおり全国一律の基準を設けて保育の質の確保をしたいと思っています。  また、現在検討中の子ども・子育て新システムの中では、職員配置の充実など更に質を上げるために恒久的な財源を確保をしながら実施をすることとしております。子ども・子育て新システムにつきましては、平成二十三年度中に必要な措置を講じるとされている税制抜本改革とともに、早急に法案を提出いたしまして、恒久財源を得て早期に本格実施をできるよう検討を進めていきたいと考えております。
  166. 山下芳生

    ○山下芳生君 子ども・子育て新システムの評価については、私は、また後で言いますけれども、大変心配をしております。  ただ、保育士の配置基準は、これはこのシステムに移行するかどうかは別にして、三・一一という事態が起こったわけです。地域主権一括法の後起こったわけですね。成立したのはちょっと前後しますけれども、私たちが議論した後に起こっているわけですね。ですから、やっぱり子供たちの命を守るこの保育士の基準については、三・一一の東日本大震災の経験と教訓を踏まえた抜本的な見直しが必要ではないか。このときにどういうことが現場で起こっていたかちゃんと検証した上で保育所の基準、配置基準や面積基準、見直す必要があると思いますが、いかがですか。
  167. 小宮山洋子

    ○副大臣小宮山洋子君) 今申し上げました子ども・子育て新システムも含めまして、社会保障の改革の中でこうした子育てのところにしっかりとそこを柱として充実しようということを宣言として出しておりまして、その社会保障の改革の中でも東日本大震災のこともしっかりとそうした経過も踏まえた上で見ていこうということは、そういうふうに打ち出しておりますので、今後おっしゃったようなことも検証しながら併せて検討していきたいというふうに思います。
  168. 山下芳生

    ○山下芳生君 残念ながら亡くなった子供さんもあるわけですね、救えなかった。だから、そういう方々の命をしっかり生かすという立場でこれは検証していただきたい、そして見直していただきたいと思います。  前回、第一次の地域主権改革一括法案審議の中で、私はこの児童福祉法に明記されていた児童福祉施設の最低基準について何度もただしました。今日お配りした資料の一枚目に、児童福祉施設最低基準の抜粋を掲載しております。ここにある最低基準の目的、最低基準の向上には、これも何度も私申し上げておりますけれども、子供たちが健やかに発達できる環境を国が保障するんだ、その水準は時代とともに引き上げていくんだという決意と哲学が込められていると感じております。そして、この決意と哲学は、法律がどのように変わろうが、私は普遍のものであらねばならないと思っております。  前回の法改正を踏まえた現在省令の改正がされていると承知しておりますが、この目的と最低基準の向上、この内容はどうなるんでしょうか。
  169. 小宮山洋子

    ○副大臣小宮山洋子君) この度の児童福祉施設最低基準の改正は、地方分権第一次一括法によりまして児童福祉施設の設備、運営などに関する基準の策定を都道府県が定める条例に委ねることとされたことを踏まえまして、従うべき基準、参酌すべき基準といった条例制定に当たっての基準の整理を行うことが基本だと認識をしています。御指摘のような最低基準の第二条目的、そして第三条最低基準の向上、これを改正するものではございません。
  170. 山下芳生

    ○山下芳生君 改正するものではないということですが、ということは、そのまま残るということと理解していいのか。そして、残すとするならば、なぜそれを残すのか、その意義はどのように考えておられるのか。副大臣の言葉で語っていただければと思います。
  171. 小宮山洋子

    ○副大臣小宮山洋子君) その目的、意義は先ほど委員がおっしゃったとおりでございまして、今回の改正の中でもそこは変わらずそのまま存続をするというふうに考えております。
  172. 山下芳生

    ○山下芳生君 これは非常に大事なことなのでもう一回確認だけさせていただきますが、ということは、これまでの最低基準の目的、それから最低基準の向上、ここに示された決意と哲学はやはり普遍のものであって、表現の手法、方法はどうあれ、これからこの新たな省令においても同じ内容が引き継がれるということを確認していいですか。
  173. 小宮山洋子

    ○副大臣小宮山洋子君) そのとおりです。
  174. 山下芳生

    ○山下芳生君 次に、昨年、第十九次構造改革特区の申請受付が行われた際、保育所最低基準について、大阪府ほか四十都道府県から提案がありました。資料の二枚目にそれを付けております。保育所最低基準についての大阪府などの提案厚生労働省の回答というものでありますが、これ見ていただいたら分かるように、昨年十一月十五日、大阪府などが保育所最低基準を参酌すべき基準とし、その基準を定める権限を市町村に移譲されたいという提案をしているわけですね。この提案というのは、前回のこの地域主権改革一括法の改定でも保育所の面積基準と人員配置基準などは国が従うべき基準を定めるとされていたものですが、その従うべき基準である面積基準なども市町村に任せればいいという提案になっているのが特徴であります。  それに対して、厚生労働省が都合三回、大阪府などに回答したのがこれであります。全部読むとちょっと長いので、私が大事だなと感じた点だけ、部分だけ紹介しますが、まず一回目、十二月十七日の厚労省の回答の下から三行目、保育所のほふく室の面積基準三・三平米については、昭和二十三年の基準制定時に当時の外国の基準を参考に制定されたものであるが、この基準については諸外国と比較して高い水準と言えないとの最近の研究結果もあり、全ての子供に良質な成育環境を保障する観点から最低基準についても検討してまいりたいと、こういうことが一点。  それから、二回目の二月一日の回答では、一行目の一番最後、二歳未満児の保育のために必要な部屋の面積については、食寝分離や単位空間の考え方に基づき科学的、実証的に検証した結果、四・一一平米、一人当たりという面積が算出され、現行の最低基準を下回ることは問題であるとの報告がなされている。  それから、三回目の八月二日の回答では、二行目の真ん中辺りから、全国一律に遵守すべき基準は必要と考えている、なお現行基準よりも高い基準を自治体独自で定めることは可能であるということが書かれてあります。  私は、この三つとも非常に大事な内容だと思っておりますが、こういうことを述べた上で、結果として、大阪府などからのこの提案は却下するという判断を政府として下したわけですね。この三つの私が述べた中心点は、厚生労働省としての公式の見解でしょうか。
  175. 小宮山洋子

    ○副大臣小宮山洋子君) 御紹介いただいた三つの見解は、厚生労働省としての公式の見解です。
  176. 山下芳生

    ○山下芳生君 公式の見解だということでありました。  そうすると、三・三平米というのは国際的に見ても低いということであります。だったら、今回、最低基準を、まあ最低基準という文言はなくなるんですけれども、基準を改定するわけですね、従うべき基準として単にスライドさせるだけではなくて、改定するわけですよ。そうしたら、この改正の際になぜ引き上げなかったのか、なぜそのままにしておくのかということが問われると思いますが、これはいかがですか。
  177. 小宮山洋子

    ○副大臣小宮山洋子君) 今委員がおっしゃいましたように、従うべき基準、参酌すべき基準、こういった条例制定に当たっての基準の整理を行うことが基本だと考えておりまして、面積や人員配置の基準を引き上げるべきとの御指摘につきましては、私自身もそう思いますが、現在検討中の子ども・子育て新システムで、全ての子供の健やかな育ちを支えるため、現行の基準を基礎として質の確保された学校教育、保育を保障するとともに、職員配置の充実などの更なる質の向上についても恒久的な財源を確保しながら実施することとしています。  先ほど申し上げましたように、税制抜本改革とともに、早急にこうしたことを実現するための法案を提出をして、恒久財源を得て、その質の向上に努めてまいりたいと思っています。
  178. 山下芳生

    ○山下芳生君 保育の質を理由に消費税の増税というのは、これは私は断じて認められないと思っております。それから、いろんなシステムについては問題あるので、これはもう、今日はその場、舞台ではないので、また後で言える範囲で述べたいと思いますが。  最低基準の見直しは必要だ、引上げは必要だということを副大臣自身が答弁されました。これは大事です。だとすると、今後見直す際に、三・三平米を、ここで厚生労働省の公式見解だと述べられた四・一一平米、一人当たり、二歳児未満の場合は、そこまでやっぱり面積引き上げるという方向で検討すべきじゃないですか。
  179. 小宮山洋子

    ○副大臣小宮山洋子君) そのような引上げを行うためにはやはり財源が必要でございますので、繰り返しになりますけれども、しっかりとその税制などの財政の措置も伴った形で現実的に引上げのための努力をしていきたいというふうに考えています。
  180. 山下芳生

    ○山下芳生君 財源の確保の仕方は一致しないかもしれませんが、私たちも財源の確保の方途を積極的に提案して、子供の発達を保障するための条件を、これはもう最優先で引き上げるんだということでは私たちも奮闘したいと思っております。  前回の法改定で、もう一つ聞きたいんですけれども、これまでの最低基準にあった、二階、三階以上に保育室が設けられる場合に義務付けられていた避難設備であるバルコニー、それから屋外非常階段、スロープなどが従うべき基準から今回外されております。しかし、これは三・一一前にそういう外すということを決定しているんですね。さっき紹介したように、もう本当、今の基準でも、子供さんが保護者の方に連れて帰られた少ない人数であっても、もうぎりぎりの避難だったということです。これが一層、施設整備面で安全基準が緩くなるようなことがあっていいのかと。  私は、三・一一を踏まえて、改めて子供の命にかかわる安全、避難のための基準、設備についてはこれは再検討する必要があると思いますが、この点いかがでしょうか。
  181. 小宮山洋子

    ○副大臣小宮山洋子君) やはり子供の安全、安心を守るためには基準をしっかりすることが必要だということは私も同感でございます。  御指摘の避難階段等の基準につきましては、今回の地方分権改革の中で参酌すべき基準とするわけですけれども、各自治体の責任の下に、おっしゃるような今回の三・一一も踏まえて、子供の安全、安心が守られるように適切な基準を条例で定めていただく、そういうことが必要であるというように考えています。
  182. 山下芳生

    ○山下芳生君 総務大臣に同じ質問をしたいと思います。  なぜかというと、これは私、前回、長妻厚生労働大臣の時代にこの問題を質問して、長妻厚生労働大臣はもうこれは参酌基準でいいんだと言っちゃっているんで、そうすると、厚生労働大臣にそれを否定してくれといってもなかなかしんどい面があると思っています。総務大臣はそんな縛り受ける必要はありません。やはり、子供の命を守る、震災から住民の命を、暮らしを守ってきた片山総務大臣の経験から、やっぱりこれは見直すべきは見直すと。これだけの大災害があったんですから、やっぱりこの基準についても再検討、避難用のスロープだとかはやっぱりちゃんと義務付ける必要があるんじゃないかと。  これ、再検討するべきだと思いますが、いかがですか。
  183. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 災害時に子供たちの安全を確保するということは、これは非常に重要なことであります。そのために何が必要かということを、断片的といいますか、気の付いたことを国が基準として決めるというやり方がいいのか、それとも、自治体が本当に自分の地域の実態に応じて、それから施設の設置されたロケーション、位置の状態に応じて何が必要なのか、その際に避難路はどうあるべきか、バルコニーはどうあるべきか、これを自治体が真剣に考えるのがいいのかということだろうと思います。  私は、やはり一番地域の事情に精通をして、その施設を管理ないし深くかかわっている自治体が子供たちの命の安全を守るために必要なことをちゃんと考えていく、それを条例なり規則なりで定めていくということの方がより妥当性が高いだろうと思っております。
  184. 山下芳生

    ○山下芳生君 これまでの基準も二階、三階以上に必置義務があったわけですね、平家にそんなものは必要ないというのは当たり前ですから。ですから、これは、それを参酌基準にしてしまうということは、これから造られる新たな保育所に付けられない施設が出てくる可能性が生じるということであります。それでいいのかということを私はもう一度提起したいと思いますので、これはもう是非再検討をしていただきたいと再度提起しておきたいと思います。  自治体を信用しないわけじゃありません。自治体も努力するでしょう。だけど、自治体の努力を応援するためにも、国がこれを義務化することが財政的な応援にもなっていくわけですから、そこのところはよく考えていただきたいというふうに思います。  それから、次に待機児童対策について聞きたいと思います。  先日、待機児童が多い地域あるいは土地の価格が高い地域などを要件として、従うべき基準である面積基準を暫定的に緩和できる特例を適用する区市町村政府から示されました。現在、パブリックコメントを受け付けております。十三日に終了したと承知しておりますけれども、反対意見が多かったというふうに聞いております。どのような意見が出されていますか。
  185. 小宮山洋子

    ○副大臣小宮山洋子君) このパブリックコメントの手続では、募集期間でありました七月の十五日から八月十三日の間に九百八十六件の御意見をいただいています。  御意見には、保育の質を確保する観点から保育所の面積基準を引き下げるべきではない、また、面積基準の特例措置は三年間の時限措置とすべきといった特例の創設に批判的なものと、特例を適用する待機児童数の基準については百人以上ではなく五十人以上とするべき、また、特例の対象に関する地価の基準については住宅地の公示価格でなく商業地の公示価格を用いるべきといった特例の拡大を求めるもの、その双方がございました。  こうした様々な御意見を考慮しながら、今後、基準を定める省令の制定や特例の適用を受ける地域の指定を行っていきたいと考えています。
  186. 山下芳生

    ○山下芳生君 私が聞いたところ、批判的意見、反対の意見が多数だったというふうに承知しておりますが、割合はいかがですか。
  187. 小宮山洋子

    ○副大臣小宮山洋子君) 今はっきりした何対何という数字は持っておりませんが、批判的な、反対をするものが多かったというふうに承知をしております。
  188. 山下芳生

    ○山下芳生君 これはやっぱり心配なんですね。従うべき基準なんですよ、これは。子供の発達というふうに、小宮山副大臣もさっきおっしゃったように、引き上げるべきだと言っているのを例外的に穴空けようということですから、これはやっぱりできればやってほしくないというのは当たり前だと思うんですね。今回はそういう地域を示して声を求めたらやっぱり批判的な意見が多数だったということですから、せっかくパブリックコメントを受け付けたんですから、これはそれを踏まえてこの詰め込み方針、見直すべきじゃありませんか。
  189. 小宮山洋子

    ○副大臣小宮山洋子君) 繰り返しの答弁で恐縮でございますが、こうした御意見も踏まえた上で検討を進めていきたいというふうに思っています。
  190. 山下芳生

    ○山下芳生君 これ、総務大臣に伺いたいと思います。  関係者から寄せられた貴重な意見が私は反映されるべきだと思います。とりわけ、今回のパブコメは、政府の政策一般についての意見じゃありません。この地域、例えば東京都の各区、各市、神奈川県横浜、川崎市などなどですね、京都市、大阪市などなど、こういうところに、こういうことしようと思っているんですがどうですかと聞いて、やめといてくれという声がようけ来たということですから、これは先ほど大臣法案趣旨説明で、地域のことは地域に住む住民が決めるということでいえば、こういうコメントこそ重視して、もう決めたから一応聞きおくだけというんじゃなくて、真剣に検討する必要があると思いますが、いかがでしょうか。
  191. 片山善博

    国務大臣片山善博君) これは今地域で、待機児童が非常に多い地域が現実にありますから、これをどうやって解決するかということで、言わば苦肉の策として今回のような措置が講じられるものと思います。そこはやはりよく理解をしておかなければいけないんだろうと思います。理想だけで全てのほかの問題も解決されるということでは必ずしもありませんので、どう折り合わすかということだろうと思います。  その際に、そうはいいましてもやはり子供たちの環境というものに変化が生じますから、できるだけいろんな方の意見を聞くということで今パブリックコメントをやっているわけでありますけれども、当然その中から得られた意見というものはよく参酌、それこそ参酌すべきだろうと思います。厚生労働省の方で、そういう意見も踏まえて措置をされるものと思います。  議員がおっしゃった地域のことは地域で決めるというのは、その上で該当の地域におかれては新たに自分たちで基準を作ることになると思いますので、その際にそういう意見も踏まえて、しかし別途、待機児童の問題をどう解決するかというそっちの要請もありますから、どこで折り合わせるかということをよく地域で考えた上で地域で決めるという、そういうことになるんだろうと思います。
  192. 山下芳生

    ○山下芳生君 苦肉の策という御答弁でしたけど、実は苦肉の策は今回が初めてじゃないんですね。  十年前から、待機児解消のためにということをうたい文句に定員の弾力化というのがやられております。それで、定員の弾力化というのは、保育所の面積を増設するのではなくて、同じ面積に定員の数をいじって、より多くの子供を詰め込もうというのが定員の弾力化であります。これはもう十年前からやられていますけれども、それで、じゃ待機児童は減っているのかと。  もう具体的に言いますけど、ちょっとこれ途中で待機児のカウントの仕方が変わっちゃったんで、十年前の数字ではなくて最近の、一番最初この今回の今取っている待機児童数の物差しで取り始めた平成十五年の四月の待機児童数、それから直近の平成二十二年の待機児童数、幾らですか。
  193. 小宮山洋子

    ○副大臣小宮山洋子君) 平成十五年の待機児童数が二万六千三百八十三人に対しまして、平成二十二年では二万六千二百七十五人と、若干減少している程度でございます。
  194. 山下芳生

    ○山下芳生君 ほとんど減ってないんですね。詰め込みは増えているんですよ。詰め込みは増えているけれども待機児は減ってないんです。だから、これをいつまでも続けてたらもう限界なんですよ、これ、こういうやり方は。やっぱり、待機児解消の一番の大道は保育所を増やすことですね。これ、やってこなかったんですよ、ずっと。  これも私、何回も紹介していますけれども、一九九〇年の保育所入所児童数を一〇〇とすると、二〇一〇年、これほとんど、一〇一か二ぐらい、一〇二、三ぐらいですね、ほとんど横ばいですよ。済みません、保育所数ですね、今のは。保育所数はほとんどこの二十年間変わっていません。ところが、保育所入所児童数は九〇年一〇〇としますと一三〇近く行っています。三割増えていますね。保育所は増えてないんだけれども、保育所に入る子供たちはもう三割増しになっているんですね。こうやってやってきたけれども、待機児は減ってないんですよ、さっき紹介したように。これ、限界なんですね。  これまでも定数の弾力化でやってきて、二年間限定だったけれども、二年して直らなかったら、その弾力化した定数を本当の定数に上げるという、また弾力化するという、もうそういうことをずっと繰り返してきた結果こうなったんですね。  それでも最低基準は守っていたんです、定員の弾力化は。今度はいよいよ最低基準を下回ってもいいという例外を付けようとしている。それで子供の発達を保障できるのか、命を守られるのかということにまで私はなっていると思うんですね。これ、いかがですか。こんなことやっていいんですか。
  195. 小宮山洋子

    ○副大臣小宮山洋子君) 私どもも、子供の育ちのためにしっかりと面積基準も守って、できれば拡充をしたいとさっき申し上げたとおり思っておりますけれども、先ほど総務大臣からも御答弁ありましたように、大都市の場合どうしても待機児さんがたくさんおられると。待機児がいる間はやむを得ずそこのところは一定程度下げざるを得ないということでございますので、それはやはり、保育所に入りたい人が多いのに保育所の数が足りないというのはおっしゃるとおりですので、そのシステムには御賛同いただけるかどうか分かりませんが、幼稚園と保育所を一体化するなど新たな発想の転換をしてこれに当たることをしないといけないと政府の方では考えているところです。
  196. 山下芳生

    ○山下芳生君 時間が参りましたので終わりますけれども、私は、新システムは株式会社の参入拡大などの規制緩和が主になっていると思っています。保育の質の低下を招くと。これ、保育経験も使命感もない営利企業の参入を広げて子供の命が守れるのかということが今問われつつあると思っております。  そういうやり方じゃなくて、最後に紹介します。東京都の特別区議会議長会が二十三年度国への要望で、保育所待機児童解消に向けた自治体支援策として二つ言っています。一つは、公立保育所整備のための土地取得の補助制度の創設。これ、都市部では物すごく必要です。二つ目に、一般財源化された公立保育所の運営費、建設費への国庫負担を復活させること。これ、一般財源化されて公立保育所建たなくなったんですね。この二つをちゃんとやってくれることが、とりわけ認可保育所、公立保育所を増やす上で大事だということを基礎自治体の議会の責任者がこぞって国に要望しているんですね。  これにこたえることこそ私は待機児童解消の大道だということを申し上げて、もう時間参りましたので、続きはあした以降、しっかり充実した審議をやりたいと思っております。  終わります。
  197. 片山虎之助

    片山虎之助君 今回の法案は大変な私は労作だと評価しているんですよ。中身はさることながら、数は多いわね、関係法律、それから事項も多いしね。一次で大分苦労されて、今度二次も苦労されて、そこは敬意を表したいんだけれども、数の割には質が伴っていないと、こういうことなんで。  しかし、こういう法案は重要な法案ですから、もっと慎重に審議した方がいいのよ。会期末のどさくさで一日だけじゃもったいない、今の話ありましたけれども。法案、三日か四日は本当はやりたいわね。だけど、皆さんの方の都合もあるので、今日はちゃんと審議をいたしますけれどもね。  中を見ると、やっぱり市町村に対する権限移譲、事務移譲や、あるいは義務や枠付けの見直しが少し少ないわね。これはいろんな中央省庁側の理由もあるんだけれども、やっぱり市町村の事務能力に対する懸念ですか。率直に言ってみてください。
  198. 片山善博

    国務大臣片山善博君) それは一般論としてはないわけではありませんけれども、今回の内容としてはそれが主たる障害になったということはないと思います。
  199. 片山虎之助

    片山虎之助君 それじゃ、どうせ三次をやるんでしょう、三次一括法。そのときはどっとやってください。できますね。
  200. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 先ほど申し上げましたように、これで終わりではありませんので、これから引き続いてやりますので、是非これは引き続いて二歩、三歩とやっていくべきものだと思います。
  201. 片山虎之助

    片山虎之助君 それじゃ、あんたは残らにゃいかぬがな。残れるの、まあ逢坂さん笑われるけれどもね。  そこで、それはそれで結構です。先ほども魚住さんから話があったけれども、国に対する寄附のあれをやめますよね。これは、私もそういう仕事を役所で若干やったんで、昭和二十九年の財政再建時代からずっとある法案なんですよ。しかも、四年前の財政健全化促進法か何かの中ではまたわざわざ書いたのよ、四年前。それを今度やめちゃうんでしょう。  それで、これ国とのやり取りで、力関係で負けちゃうんですよ、地方は。ところが、この法案条項があれば、これに書いているから本当は寄附したいんだけどしようがありませんと断れるの。私は、地方のときには、これを大分盾に取って国にそう言いましたよ。  そういう意味では、わざわざやめることはないんですよ。どうですか。
  202. 片山善博

    国務大臣片山善博君) これは、そういうことがあってはいけませんので、出さされる方を制約するんではなくて、出せと言う方を制約するのが私は法律の立て方としては筋だと思うんです。  ですから、今回は、今までは召し上げられる方を規制していましたけれども、それは外して自主性に委ねて、その代わり、出せと言う方はこれは出せと言わないようにしよう、言っちゃいけませんと。もしそんなことを言ったら、それはちゃんと相談窓口を通じて是正しますという、そういうふうに少しパラダイムの転換を図ろうとするものであります。
  203. 片山虎之助

    片山虎之助君 まあ、そういう先ほども答弁だったわね。  しかし、これがなかなか難しいのよ。閣議決定か何かをされるお考えのようだけれども、そんなものはみんな忘れちゃうんですよ。国の方はどんどんどんどん替わるんだから、二年ぐらいで担当者が。だから法律なんですよ。閣議決定というのは意味がないとは言わないけれども、続かないのよ。  そこで、全国町村会やその他は大変そのことを心配しているという。そうすると、今度はあなたの方は窓口をつくるとかという。窓口だって替わるんだから。窓があるだけじゃしようがないんで、窓と口があるだけじゃ。だから、担保をそれはしっかり考えてもらわないと。  閣議決定したすぐはいいですよ。どういう閣議決定するんですか。
  204. 片山善博

    国務大臣片山善博君) これは、自治体に寄附を求めないとか、それから第三者を通じて実質的な寄附を求めてはいけないとか、独立行政法人も同じように寄附を求めてはいけないとか、それから、寄附の態様によって、協力の態様によって差別的取扱いをしてはいけないとか、そういうことを閣議決定には盛り込もうと思っております。
  205. 片山虎之助

    片山虎之助君 どうも閣議決定だけではそこはちょっと心配だわね。  政令ということになるのか何か知らないけれども、そういう癖が付きゃいいですよ。癖が付きゃいいけど、いっぱい出てくるんです、これから。  というのは、これは財務省の予算査定にも絡むのよ。これだけ国が負担をする、金を出す、いろんなものをつくるなら、必ず地方から取れという議論になるんですよ、これは。だから、そこのところの担保を、どういう方法があるか私も分からぬし、皆さんの方も運命がどうなるか、もう二、三日で、そういうことはあるんだけれども、しっかり考えて、地方の心配がないように約束してください。
  206. 片山善博

    国務大臣片山善博君) これは、私もその今おっしゃった懸念は全く払拭しているわけではありませんので、取りあえず当面は閣議決定でこのことを担保しようと思いますが、もしおっしゃるような懸念が数多く現実化するようなことがあった場合には、これはしかるべき立法措置できちっと出せと言う方を規制するという、そういう措置が私は有効だろうと思います。
  207. 片山虎之助

    片山虎之助君 いや、立法措置してくれれば一番いいよ。それじゃ、今度そうやればいいんだよ。取る方を規制してくれればいいんだよ、出す方の規制じゃなくて。それも含めて検討してくださいよ。  それから、地方債について、どうも大臣地方債の許可や協議が嫌いらしいけれども、今度のこの緩和は、民間資金について、財政力のあるところだけでしょう、そうじゃないの。もう手間が大変で、私は一つも協議が悪いと思わないですよ。地方だって、ここの規制緩和というのか、今回のこの地方債協議制度の改正には、地方だって喜んでもないのよ、別に。  まあ、ここだけの話って、公の話だけど、例えば首長さんが、これは国と協議してこうなりましたって言って、議会に説明するのが一番簡単なんですよ、事は。そういう利用はおかしいとあなたは言うかもしれぬけど、一つもおかしくないのよ。  それから、協議をするということは、許認可でないんですから、国と地方は対立することもありますよ。しかし、これは対立する存在じゃないんですよ、協力する存在でもある。そして、地方は国から知恵を借りるというあれでもある。  そういう意味では、私は協議制度というのは一つの知恵だと思ってきている。全部を協議をするならいいですよ、あるいはそれを全部やめるんならいい。ちまちまちまちま民間資金だけで、財政力のあるところだけで、何か手間が大変じゃないですか。どう思いますか。
  208. 片山善博

    国務大臣片山善博君) それは誤解でありまして、手間は随分省けます。民間資金の、その当てにする起債事業で、今、事業の一件ごとに協議をすることに、建前になっておりまして、それは市町村の場合ですと県の市町村課に協議をする。あわせて、実は財務局、財務部にも協議をしているわけでありまして、民間資金についても。そういうものをやめようということでありますから、市町村にとっても、それから受け付ける都道府県、それから総務省にとっても手間は随分省けます。  それから、野方図にして全くノーレギュレーションにするわけではありませんで、これも財政力が高いとかじゃないんです。財政状況の悪いところは別にしまして、財政状況が普通のところはある程度規模に応じて枠を決めまして、枠の範囲内の場合にはもう届出だけでいいと、枠を超える場合には協議をしてくださいと、こういうやり方に当面するわけでありまして、その面では私は手間は随分省けるものと思います。
  209. 片山虎之助

    片山虎之助君 いや、あなたは、今もう相当手間は省けているのよ、今の協議でも。ほとんど単なるお互いの話合いで終わっているんですよ。見てくださいよ。  それで、この場合に、全部そうならいいんだけれども、限定的にやって、後も残るんだから。それは、あなたが言うように、協議をするよりはない方がその手間は省けますよ。しかし、トータルではどうなのかなと。それから、地方がメリットを感じていない、喜んでいない。だから、こういうことはもっと大きな地方再生そのものの改正の中で考えるべきで、私は不要不急のやや感じがするの、やや。だから、これは見方なんですよ。今よりは確かに幾らか手間はあるかな、しかし面倒になる、そういう感じがするので、そこのところはよく地方の意見を聞いて検討してもらいたいと、こういうふうに思います。  そこで、この内閣はもう二、三日で替わるらしいけど、この内閣が売り物にしてきたのは公務員の給与の二割カットと国の地方出先機関の全廃ですよ。これは、あなたに全部それを聞くのは、本当は予算委員会か何かで首相に聞けばいいんだろうけれども、酷なんだけれども、その関係どうなるの。あなたの個人的な御感想で結構です。
  210. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 出先機関改革についてはアクション・プランをつくりまして、スケジュール的には若干遅れておりますけれども、ほぼ予定どおりでやる段取りにしております。これからが勝負であります。  それから、国家公務員の総人件費の引下げの問題につきましては、いろんな御議論がありまして、私もそれなりに努力をいたしまして、国家公務員の給与の一割カットといいますか、実質七、八%のカットをやるべく労使で話合いをしまして、法案を出しております。  もう通常国会の終期も来ますけれども、できますれば本当はこの会期内に審議をしていただきたかったんでありますけど、いささか残念でありますが今日の状態になっておりまして、是非これは早く審議をしていただいて、せっかくの法案を成立させていただければと思っております。
  211. 片山虎之助

    片山虎之助君 これは国会の方の努力も実はあるので、それはそうなんだけど、政府の方も熱意はないわね。連合を始めとして、それは困るという意見も相当あるし。まあ、これは持ち越した次の議論になるけど。  そこで、地方の出先機関の問題やらなきゃいけません。ところが、聞くところによると、例えば近畿だとか九州だとか、最近、広域連合というんですか府県連合というのか、ああいうところへできれば国の地方出先機関を丸ごと引き受けたいと。仕事も人も、人が問題なんだけれども、丸ごと引き受けたいというようなことになるので、これは私は一つの実験でやったらいい。例えば東北だって同じでしょう、この被災地を含めて。そういうことについてのお考えはどうかと。そういう動きは応援しますか。
  212. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 今まさに丸ごと引受けということで先行しておりますのが九州広域行政機構それから関西広域連合でありまして、今はもう実務的な協議に入っております。  当面、両者とも地方環境事務所、整備局、それから経済産業局、この三つに焦点を絞って当面の対象として丸ごと引き受けたいということで、その際の引き受ける場合のいろんな要件がありますので、特に人員も丸ごとということになりますと人事の話になりますので、今そういうことを問題点を洗っているところでありまして、九月までに受皿の方の体制をきちっとつくるという、めどを付けるということと、それから十二月にはどういう内容の事務権限なりを下ろしていくのかということも含めて、今そこを目途にしながら作業を進めているところであります。
  213. 片山虎之助

    片山虎之助君 これは法制面と予算面もありますよね。来年度の当初予算はちょっと伸びるようですけれども、そういうことを踏まえてレールを敷かないと。簡単にできませんよ。簡単にできませんけれども、私は一つの方向だと思っているので、政府は総力を挙げて是非実施をしてもらいたいと思っている。  そこで、もう余りあれはないんだけれども、昨日、地方制度調査会が、何十次になるのか知らぬけれども、新しく発足しましたよね。私、あなたが地方自治法の改正をやるということを言われるので、是非地方制度調査会の意見を聴かないと駄目だと、役所だけじゃ駄目だということを言ったんで、私が言ったから聴いたわけでもない、いろんなことをお聴きになった結果だろうと思うので、それはそれで結構なんだけれども、期間が短いでしょう。あれもこれもはできませんよ。何と何を焦点にやりますか。
  214. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 昨日、政府の方から諮問をいたしまして、一つは、これまで検討を加えてまいりました地方自治法の改正案、これについて当面急いでこの点検なり検証をしていただきたいということ。それから、住民自治の観点から地方議会の在り方を審議してもらいたいということ。それから、今次の震災をけみしまして、平時を対象にして、平時を前提にしてでき上がっております地方自治制度というものを、今回のような非常時の場合にどういうふうに位置付けるのかということも検討してもらいたい。あと、大阪や名古屋や新潟からいわゆる都構想というものを東京都以外のところにも広めたいという、適用したいという、そういう意見もありますので、この際、大都市地域における自治体行政の在り方についても検討したいと。  幾つか、かなり盛りだくさんの内容にしておりますけれども、急がれるものは地方自治法の改正案でありますので、これを当面急いで審議していただきたいというお願いを昨日いたしたところであります。
  215. 片山虎之助

    片山虎之助君 いやいや、今あなたが言われたことは全部私は検討する必要がある大きな課題だと思いますけれども、その中でいえば地方自治が一番後でもいいのよ、あなたに悪いけれども。だって、そうでしょう。住民投票制度といって、公の施設の設置だけを住民投票にするとか、リコールでしょう。地方議会のことなんかやってくださいよ。大都市制度なんかまさにやらないと。大都市制度が日本で一番遅れているんだから、日本の中で。  そういう意味で、その新しい地方制度調査会に期待するので、しっかりと、お残りになるのは結構だし、お帰りになるなら引き継いで、後の地方自治のためにひとつよろしくお願いします。  終わります。
  216. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  私たちは、昨年、第一次一括法には賛成をいたしましたが、たくさん意見を申し上げ、また注文も申し上げました。あれ、八回か九回審議をやったわけですよね。随分と私も意見を述べさせていただきました。  というのは、やはり地域主権とか枠付け・義務付けの廃止であるとか、一般財源化、規制緩和、こう言いながら、住民福祉の基本を抜きにして自治体当局の削る自由に陥ってしまえば、国の最低基準の撤廃によって保育などの住民サービスの水準を切り下げる自治体が続出をしかねない、弱い立場の人々にしわ寄せがあってはならない、こういう思いから随分といろんな注文、各党からも出たと思います。  前回の厚生労働委員会との連合審査も開かれて、厚労大臣からは、新法に言う従うべき基準の確保に国は責任を持つ、こういう答弁がなされた。この点は先ほどの小宮山さんもその確認をいただきましたけれども、そういうことでありました。私たちは、自治体にレベルダウンさせない国の財政上の配慮など、不可欠なナショナルミニマムの保障がなされるよう法律の十分な丁寧な運用がなされることを強く要望した上で、昨年、そういう意味では賛成をしたものであります。  そもそも国は、権限移譲してもしなくても地方財政計画で事務事業を財政的には縛っているわけですね。特に一般行政経費というこの自治体の多様な独自サービスの部分は、自治体が実際に支出した決算額に比べてみると、地財計画は五兆円から八兆円も低く算定をされているわけでありまして、この枠付け・義務付けの廃止を言うなら、まず私は、これを改めて、自治体の必要と判断をした住民サービスを国は地財計画に組み込んで財政を保障すべきだということも改めて申し上げておきたいと思うんです。  そこで、今回の第二次一括法も、ナショナルミニマムが確保できるか、また非常にふさわしい財政的保障があるか確認すべき点が多々あると思います。  そこで、最初に国交省に伺いますけれども、都市公園についての問題です。都市公園は全国で九万八千か所あるそうでありますけれども、全ての自治体にそうすると平均して六十か所ぐらいある計算になるんでしょうか。区域内に建物を建てることは、都市公園法で基準を設けてこれ規制されているわけですね。今回の法律はそれを自治体の条例で自由にすると、こういうことなわけです。それで、どのような一体変化やあるいは危惧が起こってくるのか、どうも危惧されているようでありまして、内閣府とのやり取りの過程で国交省は公園の機能確保の点から緩和は困難だというふうにおっしゃっていたと思いますが、この点、どういうことが懸念されているのか、まずお伺いしておきましょう。
  217. 小林昭

    政府参考人(小林昭君) お答えいたします。  今回の改正は、地域主権の趣旨を踏まえ、地域住民ニーズ地域状況に即して国が定める一定の基準を参酌して都市公園の建蔽率等の基準を地方自治体が条例で定めることとするものでございまして、地方公共団体においても、法の趣旨を理解し適切に運営されるものと理解をしております。
  218. 藤末健三

    委員長(藤末健三君) きちんと答えなきゃ。
  219. 又市征治

    ○又市征治君 全然答弁になっていないよ、委員長、ちょっと。
  220. 藤末健三

    委員長(藤末健三君) 小林審議官、きちんと答えてください。
  221. 小林昭

    政府参考人(小林昭君) 都市公園において適切に建築物が建築されるかどうかという議論があったことは事実でございます。
  222. 又市征治

    ○又市征治君 ちょっとあなた、しっかり、レクしてあるんだから、先に、しっかり答えてくださいよ。  私が聞いているのは、自治体に任せた場合に、あなた方は内閣府とのやり取りの過程で公園の機能確保の点から緩和は困難だというふうにお答えになったんじゃないですか、何か懸念は残りませんかと聞いているんですよ。
  223. 藤末健三

    委員長(藤末健三君) 国土交通省小林昭大臣房審議官、きちんと答えてください。
  224. 小林昭

    政府参考人(小林昭君) 今回の改正について、私どもとして、最終的に地域の趣旨を踏まえて地方公共団体において適切に運営されるというようなことで、最終的に問題ないというような考え方でございます。
  225. 又市征治

    ○又市征治君 とんちんかんな話ですね。  問題は、少なくともこの都市公園というものを定めた趣旨は、建蔽率であるとか容積率の高密な市街地において庶民のための公共の緑であるとかオープンスペースを少しでも確保しようという狙いだったんでしょう。これに逆行をさせることにならないかというこういう心配、これはどういう歯止めができるのかということなんですよ。そのことを私は聞いている。しっかりやられるでしょうなんてばかな話はないじゃないですか。何で今まで決めてきたのかということですよ。  あわせて、現在の都市計画区域の緑地比率は、十年前、二十年前と比べるとどうなっていますか。
  226. 小林昭

    政府参考人(小林昭君) 全国的な都市の都市比率のデータというのは国は持っておりませんけれども、各自治体のデータでいいますと、都市全体の緑地比率は減少してきているものの、公園の整備や緑地の保全に積極的に取り組んでいるというようなことで、公園あるいは保全緑地については増加をしてきているということでございます。  具体的に申し上げますと、例えば名古屋市では、平成二年から二十年間で緑被地が二千百ヘクタール減少しておりまして緑被率は六・五%の減少でございますが、一方でこの二十年間に、都市公園については四百二十ヘクタールの増加、あるいは緑地保全についても五十ヘクタールの増加というような状況でございます。
  227. 又市征治

    ○又市征治君 ちょっと全く納得できないんでね、改めて是非しっかりと説明に来てください。そんなこと、しっかり言ってあるのに、あなた、何の答弁をね、これだとあしたも本気になってやらないかぬ、もう。冗談じゃありませんよ。本当に緊張感ないな。  そこで、次に移ります。  今度は厚労省にお伺いしますが、公共職業能力開発施設ですけれども、仕分のバッシングを浴びて強引に縮小、移管を試みているわけですが、まず自治体への移譲を交渉中のポリテクセンターは全国で六十一か所だそうですけれども、この交渉がなかなか進まないようですね。私の地元の富山県でもそのようであります。  もし自治体が引き受けない場合はこの高齢・障害・求職者機構で引き続き運営をしていく、こういう方針、これは御確認いただけますか。
  228. 小野晃

    政府参考人(小野晃君) お答え申し上げます。  公共職業訓練施設でありますポリテクセンター等につきましては、雇用のセーフティーネットとしての職業訓練を国の責任で実施する必要があるということでございまして、今国会で成立しました法律に基づきまして高齢・障害・求職者雇用支援機構が設置、運営を行うこととしておりまして、移管を希望して受入れ条件が整った都道府県に対しましては、その機能を維持することを前提に移管することとしております。  したがいまして、都道府県がポリテクセンター等の移管を希望しない場合には高齢・障害・求職者雇用支援機構において運営を行うと、そういうことでございます。
  229. 又市征治

    ○又市征治君 在職者向けの新技術の再訓練などは中小企業経営者の皆さんからも大歓迎されますし、被災地、東北のセンターではスタッフを他の地方から長期出張させてきてニーズにこたえているのが現状ですよね。これは国が一本であるからこういう調整ができるわけですけれども、自治体は移譲されてもこの財政措置が僅か二か年と、こういうことではしり込みをしますよ。  震災後、雇用不安の今の時期こそ、やっぱり国が責任を持ってこれはしっかりと続けさせる、そういう努力が必要だろうと思います。話が違うけれども、国民生活センターは国の直営に戻そうという検討をなされているようですけれども、是非そういう努力を求めておきたいと思います。  次に、今自治体が運営しているのが百六十校あるようですが、これと今後移管される施設も含めて自治体による縮小や廃止手続を自由化するということでは、これは大変なことなんですね。これが事業廃止への一里塚になっては困るわけです。  今申し上げたように、東日本は震災、原発被災で農林水産などの自営業者を含めて大量の失業が起こっておって、雇用の再編が急務です。被災した工場設備や、あるいは人材、技能の再生、雇用分野の組み直しであるとか、中高年者の再訓練が必要なわけですね。そういう意味でミスマッチも残念ながら増えているそうであります。  職業能力開発事業は国の直接責任で、また、仮に自治体に移管しても長期的にやっぱり続けるべきだと思いますが、その点の拡充の決意を伺っておきたいと思います。
  230. 小野晃

    政府参考人(小野晃君) お答えいたします。  今御指摘のように、非常に厳しい雇用情勢が続いております。やはり雇用のセーフティーネットとしての職業訓練、国が責任を持った全国的な視点で実施をしていく必要があるというふうに思っております。  今、被災地でも特別訓練コース等をつくりまして、国と自治体と連携をして機動的な職業訓練の拡充に努めておりますので、今後ともしっかり職業訓練機会の確保に努めていきたいと思います。
  231. 又市征治

    ○又市征治君 そこで、福祉関係は第一次と同様に移譲によりナショナルミニマムの低下が心配な事務事業がたくさんあるわけでありまして、これが並んでいます。  子育て関係では、低体重児の届出年間十万人と未熟児の訪問指導年間五万六千人を一般市町村に移譲しようというわけですけれども、どちらも人口や人材の少ない市町村では、今申し上げたこういう中身というのは、十分な指導ができるかどうか大変心配されるところであります。  もし移譲するならば、現在府県の交付税需要額を市町村に移すのは当然ですけれども、それだけではなくて、府県がそのための人材をプールしておくとか万全の支援体制がやっぱり必要だと思うんですが、この点、財政面を含めてどうお考えですか。
  232. 石井淳子

    政府参考人(石井淳子君) お答え申し上げます。  議員指摘のように、今次法案におきましては、現在都道府県や保健所設置市で行っております低体重児の届出の受理や未熟児の訪問指導について市町村に事務を移譲することとされております。  ただ、これらの事務につきましては、現在でも出生届の受理や新生児の訪問指導といった今般移譲されようとしている事務に非常に関係の深い事務を市町村が事務として現実実施をいたしているところでございます。また、未熟児の訪問指導は、新生児の訪問指導と同様、基本的には保健指導の専門家であります保健師が担うというふうに考えられることから、基本的にはほとんど全ての自治体で対応できる、市町村で対応できるというふうに考えております。  ただ、議員指摘のように新たな事務でもございますし、また市町村の保健師にとってみても、現在行っている事務よりもやはり専門性がより必要とされるといったような面がありますので、人口や人材の少ない小規模市町村でどうだろうかという不安があるのも事実だろうと思います。  したがいまして、この辺は都道府県においてしっかりバックアップ体制取っていただく必要があるかなと思っております。ちなみに、母子保健法の八条におきまして、都道府県は市町村の求めに応じ技術的な助言等を行う旨の規定があるわけでございまして、この規定に沿ってしっかり対応いただきたいと考えております。  具体的な支援として考えられますのは、まずは市町村からの照会や相談に対して適切に対応していただくこと、技術的な助言をしていただくことというのは考えられますし、また市町村保健師に対してやはり講習を実施していただくということが大変重要かと思います。さらに、もっと厳しければ広域的な処理だとか、あるいはもうぎりぎりの場合は当面都道府県から応援体制組むとか、そういったようなことも考えられるのではないかと思います。  いずれにしましても、厚生労働省としましても、都道府県に対してこうした支援を行っていただくよう働きかけるとともに、必要な情報提供などを行うことによって円滑な事務移譲が行われますようしっかり目配りをしていきたいというふうに考えております。
  233. 又市征治

    ○又市征治君 この法案には、今申し上げたような母子福祉関係を始めとして、市町村への権限移譲が多く含まれているわけですね。これらは、今後、財源地方交付税なり補助金で存続して充実させなければ、移管が逆に住民にマイナスになってしまうということになりかねません。  府県の仕事市町村単位に分散すれば財政効率はむしろ悪くなるかもしれませんけれども、それでも市町村が同じサービスレベルを維持できるようにというのがこの法律の趣旨でありましょうから、そういう意味では、財源保障について大変大事だろうと思います。  この点の政府側の決意のほどをお願いしたいと思います。これは大臣ですか、どなた。
  234. 片山善博

    国務大臣片山善博君) これは、今まで都道府県で行っていた事務を市町村に移譲しますから、地方財政措置としましては、これは補助金もそうでありますし、地方交付税もそうでありますけれども、従来の都道府県への措置から市町村への措置に移ります。これは万全を期したいと思います。
  235. 又市征治

    ○又市征治君 そこで、先ほどから議論になっています、国等への寄附の禁止規定のこの問題、ちょっといろいろと議論議員間にもありますけれども、今回これを廃止しよう、つまり、政府各省や国立大学あるいは病院、高速道路会社などの公的法人が自治体から寄附を取れるようにしましょう、こういうふうに受け止められている、そういう側面があるということでありまして、これは本当に自治体側からの要望なのかという、こういう意見が出されているわけですね。  しかし、法に照らしますと、近い例では、品川区がJRに西大井駅の建設資金を寄附するとした際には裁判で禁止されております。滋賀県の新駅計画の取りやめであるとか、新潟県の新幹線負担問題で知事さんなどが反対しているのも同じではないのかという感じがあるわけでして、私に若干誤解があるのだったら後でお聞かせいただきたいと思うんですが、今、自治体が健全化法による許可された寄附、またJR北海道や四国、九州の三島会社との協議による寄附は、お聞きしますと、五か年で三百五十一件、年平均七十件あるそうでありますけれども、まず実務的にお聞きしますが、国、大学、病院、JR、その他の独法などでこの寄附は金額としてはこの五か年間どのぐらいになっているのか、お聞きをしたいと思います。
  236. 椎川忍

    政府参考人(椎川忍君) 五年間の寄附件数と金額でございますけれども、まず国そのものに対する寄附は十二件で九十一億円でございます。これは護岸等を国に移管するという、その後の管理費を国に持っていただくというものでございまして、法律のただし書に基づくものでございます。  それから、病院関係を除きます国立大学法人で八十九件、六十四億円ということでございまして、これは政令で定められました科学技術に関する研究開発成果の普及ということで、地方公共団体の重要施策に関するものということで同意をしているものでございまして、研究開発に要する経費の負担とか寄附講座の開設の経費とか、あるいは施設の無償譲渡、貸与等がございます。  病院の関係でございますけれども、国立大学病院、国立病院機構に対して百五件、五十一億円の寄附がございますけれども、これも政令の八号に基づくものでございまして、地方公共団体からの要請に基づいて住民に特別な医療を提供する場合ということで、実態としては、補助事業によりまして救急医療対策とか新型インフルエンザの対策を講じる場合の地方負担ということになっているものが多いわけでございますが、中には単独のまさに地域住民に対する特別な医療を提供するために医療設備に対して補助をするというものも一割強ございます。  それから、その他の独立行政法人に対しまして、やはり研究開発でございますけれども、十六件、十八億。  そして、今御指摘のありましたJRでございますけれども、これは法律に基づく協議ではございません。現在もこういうものは法律に規定をされておりませんので、国鉄改革法のときの国会の附帯決議に基づきまして事実上情報提供をいただいているもの百七件、四十七億円でございますけれども、これもバリアフリー化とか赤字路線バスの維持に関する国庫補助事業に関連いたしまして地方負担が生じているものが大半でございます。
  237. 又市征治

    ○又市征治君 今御説明いただいたんですが、この事例一覧をいただきましたけれども、これ全般的に見ますと、狭い意味での国等では、二〇〇九年に例えば宮城県が国交省にダムの使用権として七十八億円も支払ったのを始めとして、国交省に対する寄附が数億円の規模のものが目立つわけですよね。大学病院など医療関係の寄附も、地域医療が切実なので寄附をするというのは分かりますけれども、本来、国、つまり厚労省が負担すべきものが自治体に転嫁されているんじゃないかと、私はそういう点で疑念に思うわけですよ、この点は。今回の法案で、弱い立場の者から金を取ることに、そういう弱い自治体から金を取ることになってはならないんだろうと思うんですね。  先ほどから論議がありますけれども、この改正案では総務省に自治体からの苦情相談窓口を開くそうですけれども、政令にするのか、あるいは何か新しい基準を作るのか、今申し上げたようなことになってはならぬというふうに思うわけで、その点は総務大臣、どのようにされるおつもりなのか、改めて決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  238. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 今局長の方から御答弁申し上げましたのは、現行制度に基づいてちゃんと国の方でオーソライズしたものでありますから、不当な国からの要求に屈したというものはないはずであります。  今後のことでありますけれども、これが法案を成立させていただきますと、これまでのような国の関与がなくなります。自治体はやはり主体性を持ってこの種のことに当たらなければいけないと思いますし、それは私は可能だと思います。現行のこの規定の元々のものができましたのは昭和二十九年でありますから、そのころの、非常に小さな規模の弱小の団体が多かったわけであります。そのころとは随分変わってきておりますので、何か国から言われると赤子の手をひねるように巻き上げられるということはもうないはずであります。ですから、是非自治体は主体性を持っていただきたい。  といいますのは、何も寄附を求めてきますのは国だけではないわけです。私も経験がありますけれども、民間企業も足下を見るように競争心をあおって、特に企業誘致などの条件を提示してくれと言ってきます。ですから、民間企業からの圧力も含めて、主体的に自治体が行動できるような、そういうすべ、態度を身に付けなきゃいけないと思います。その上で、しかし国と自治体との間には大きな懸隔がありますので、もし国の方から不当なそういう要求があった場合には、是非総務省に設けます窓口の方に御相談をいただきたい、しかるべき措置をとりますということをしたいと思っておりまして、これは政令とかではありませんで、実質的に総務省の中にその機能を置いて、今後発揮させていきたいと思っております。  それから、あわせて、国の方で閣議決定をいたしまして、自治体に対してそういう寄附の要請などをしてはいけない、それから協力の度合いに応じて差別的取扱いをするようなことはしてはいけないということを閣議で決めたいと考えています。
  239. 又市征治

    ○又市征治君 いずれにしても、そういう、先ほど申し上げた、片一方の片山さんからあったように、人が替わっていくとそれがまたおかしく分からなくなってしまうようなことにはならぬように是非しっかりと基準を決めていただきたいと、こう思います。  最後に、地方債の自由化について伺っておきます。といっても、今回は民間資金債についてだけですけれども、公的資金は従来どおりですね、政府は責任を負わない形になっています。現在、民間資金に頼っている割合は、都道府県が七八%、指定都市は七二%であるのに比べて、財政力の弱い市町村は三六%にすぎない、こういう状況です。つまり、一般市町村の財政的力量、信用力では銀行などから地方債を調達するのはとても厳しい、こういうことを表していると思うんですね。あえて市場に頼ろうとすれば高い利率を払わなきゃならない。果たして今回の自由化で一般市町村が民間資金市場で地方債を引き受けてもらえるようになるのか、これが一つです。  もう一つは、小さな市町村地方債を相対交渉で民間金融機関に仰ごうとする場合に、交渉力の落差はもう明らかだろうと思うんですね。そこで、利率以外にも、貸し手からのやみの条件であるとか利権の供与などを付けられるおそれはないのかどうか。例えば、事務事業の委託とか、あるいは公共用地の利用権であるとか、また逆に私有地の買上げであるとかということ、そうした裏面の実態は把握はしていないというふうにお答えになるんだろうと思うけれども、小さな市町村が財務やあるいは事務事業の健全性を侵されるおそれをどのように防止をしていくのか、この点どのようにお考えか、最後にお伺いしておきたいと思います。
  240. 片山善博

    国務大臣片山善博君) 今回、民間資金につきまして、これまでの単体、事業ごとの国なり県のチェックから、言わば量的関与、総量規制の方に移すということでありまして、マーケットの関係、金融のマーケットとの関係ではそんなに変動のないように、大きな変化のないようにするつもりであります。したがって、今まで各事業ごとに積み重ねて、ある団体は幾らぐらい毎年発行していたというこれまでの実績と、新たに今度総量規制しますけれども、その規制をする枠の範囲とはそんなに変わらないような仕組みにしますので、民間金融機関との関係で何か大きな環境の変化が起こるということは恐らくないと思いますし、ないようにしたいと思います。それが一つです。  それから、金融機関から貸付けの際に何かやみのような条件を押し付けられるのではないかということでありますが、これは金融事情が変わりましたら分かりませんけれども、現在というか、私などもずっとこれまで経験してきましたし、現在の状況を見ますとむしろ借り手市場といいますか、特に地方に行きますと、地方の金融機関がなかなか融資先が見付からないというような現状に、私のおりました山陰地方なんかは特にそういう傾向にあるものですから、今の御懸念は現時点ではないと思います。今後そういう事態が金融情勢によってはないとも限りませんので、それはよく注視をしていきたいと思います。
  241. 又市征治

    ○又市征治君 終わります。ありがとうございました。
  242. 藤末健三

    委員長(藤末健三君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時五十九分散会