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2011-08-23 第177回国会 参議院 財政金融委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十三年八月二十三日(火曜日)    午前十時一分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         藤田 幸久君     理 事                 大久保 勉君                 舟山 康江君                 愛知 治郎君                 佐藤ゆかり君                 荒木 清寛君     委 員                 尾立 源幸君                 風間 直樹君                 金子 洋一君                 川上 義博君                 櫻井  充君                 田中 直紀君                 中谷 智司君                 水戸 将史君                 塚田 一郎君                 西田 昌司君                 野上浩太郎君                 林  芳正君                 古川 俊治君                 丸川 珠代君                 竹谷とし子君                 中西 健治君                 大門実紀史君                 中山 恭子君    国務大臣        内閣総理大臣   菅  直人君        財務大臣     野田 佳彦君    副大臣        内閣府副大臣   山口  壯君        総務大臣    鈴木 克昌君        財務大臣    櫻井  充君        厚生労働大臣  小宮山洋子君    大臣政務官        文部科学大臣政        務官       笠  浩史君    事務局側        常任委員会専門        員        大嶋 健一君    政府参考人        内閣計量分析        室長       小田 克起君        総務省自治行政        局選挙部長    田口 尚文君        国土交通省水管        理・国土保全局        長        関  克己君    参考人        日本銀行総裁   白川 方明君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成二十三年度における公債発行特例に関  する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成二十三年度における公債発行特例に関する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣計量分析室長小田克起君外二名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成二十三年度における公債発行特例に関する法律案審査のため、本日の委員会参考人として日本銀行総裁白川方明君出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 平成二十三年度における公債発行特例に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 舟山康江

    舟山康江君 おはようございます。民主党の舟山康江でございます。  時間もありませんので、早速質疑に入らせていただきます。  本日、公債特例法、いよいよ大詰めを迎えておりますけれども、これは八月十一日の衆議院会議におきまして、民主、自民、公明での賛成多数で修正議決され、本院に送付されてまいりました。これは特例公債発行根拠法でありまして、この法律案が成立することで歳入の四割を占める特例公債、約三十七兆円の発行が可能になるというものでありますけれども、そもそもなぜ特例公債発行しなければならないのかということですけれども、簡単に言えば、税収が必要な歳出規模を大きく下回った結果だということでありまして、これは、歳入が減ってこの措置が必要なのか、若しくは歳入規模に対して過大な歳出なのかという、ここはしっかりと議論をしなければいけないところだと思います。  歳入が今大きく減っているわけでありますけれども、なぜ減ってしまったのかという、これはしっかりと後日議論をしなければいけないと思いますけれども、本日は、それはそうとしてこれが必要だと、やはり今、しっかりと財政出動しながら復興を支え、そして日本経済を支えていくという意味ではこれが必要なんだということだと思いますけれども、野田財務大臣は七月五日の記者会見におきまして、仮に今国会の会期末までに特例公債法案が成立しないという場合には、九月以降円滑な予算執行を続けていくことは困難だと、政府としては予算執行抑制という苦渋の決断を迫られることになるという発言をされております。  改めて、この法律案が成立すれば予算執行抑制が避けられるのか、国民生活の混乱が回避できるのか、改めて本法律案の意義、成立の重要性について一言お伺いしたいと思います。
  8. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) おはようございます。  まずは、この特例公債法案の御審議をこういう形でしていただくことになりまして、まずは冒頭、心から感謝を申し上げたいというふうに思います。  その上で、舟山委員からの御指摘でございましたけれども、まず、前段触れていただきました、やっぱり税収が落ち込んでいることによってどうしても特例公債発行せざるを得ないと。これはリーマン・ショック後の状況もありますけれども、ただ、これ平成二年に税収のピークが六十兆で歳出が約七十兆、一番差が縮まったんですけれども、それ以後、六十兆から大体今税収四十兆と、約三分の二と減ってきている、歳出の方はやっぱり社会保障増えたりする分ずっと右肩上がりであると、そういう構造的な問題が一つにはあるということがまず指摘できるだろうと思います。  その上で、ずっとこの特例公債法案が通らない間、予算執行管理に努めてまいりました。とはいいながらも、執行管理には限界がありまして、四月から六月、この執行実績、それから七月から九月の各省の要求、こういうものを踏まえると、九月末までには予算執行が大体四十二・四兆円になるんではないかというふうに推測をされています。一方で、財源の裏付けがあるいわゆる歳出許容額が、これが大体九月いっぱいで四十八兆だったですかね、という形になりまして、その差が非常に接近をするということでございます。  ということは、このままこの法案が通らないと、今までは執行管理だったものが執行抑制という段階に残念ながら入っていかざるを得ない局面が近々あったということでございますので、その意味では、こういう形で御審議をいただくということを改めて感謝を申し上げたいというふうに思います。
  9. 舟山康江

    舟山康江君 今の大臣お話ですと、九月いっぱい若しくは遅くとも十月には大変厳しい状況になるということで、何とか成立させなければいけないということで今日も審議をさせていただいておりますけれども、さて、この法律案をしっかりと成立させる中で、やはりもう一方の問題は、今大変急激な円高が進んでいるということがあると思います。  八月四日、政府日銀は、円相場が七十六円台になったことを受けまして、単独で為替介入を実施いたしました。この為替介入効果があったんでしょうか、端的にお答えください。
  10. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 委員指摘のとおり、八月四日に為替介入をさせていただきました。日本が必死に今復興に向かって全力で取り組んでいるときに過度な円高というのは、これどうしても日本経済そして金融に悪影響を及ぼすと、そういう観点からの実施をさせていただきました。  その効果については、ちょっと引き続き今マーケットを注視しながら対応をしようとしているところでございますので、効果についてはまだ総括するには少し早いというふうに思いますけれども、ただ、投機的な動きについての政府日銀の姿勢というのは明確に示せたのではないかというふうに思っております。
  11. 舟山康江

    舟山康江君 この円高対応に関しては、為替介入だけではなく、金融緩和とかいろんな様々な施策を総合的に講じることによって対応しなければいけないと思いますけれども、事この為替介入に関しては、確かに海外市場で一時八十円台に下落いたしましたけれども、その後すぐに元の水準に戻っています。十九日のニューヨークでは七十五円台に突入するという状況にもなっておりますし、何もしないわけにはいかないという思いも分かりますし、何らかの迅速な対応を講ずる必要というのは否定しませんけれども、果たしてこういった状況の中で為替介入効果があるのかということは、これしっかりと検証していかなければいけないんじゃないのかなと思います。  今回の為替介入規模はどのぐらいだったんでしょうか。
  12. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 規模については、これ月末に公表をされることになっておりますので、それを御参照いただきたいと思いますし、どういう例えば通貨を買ったのか売ったのかということは、これは四半期ごとに公表させていただくことになっています。
  13. 舟山康江

    舟山康江君 報道等でも出ておりますし、八月八日、為替介入があった翌々営業日ですね、八月八日の日銀当座預金増減データから見ますと、大体四兆五千億円程度の介入だったのかなというふうに思われますけれども、相当大きな額だと思います。  これ、為替介入というのは、お金が降って湧いてきてそれで買うというわけではなく、これはもう御承知のとおり、外国為替資金証券という政府短期証券、いわゆる国債ですね。なかなか、一般国債と違いまして発行に当たって国会議論審議もありませんので、何か余り皆さん借金だという意識はありませんけれども、これは明らかに国債発行して民間から介入資金を調達しているということであります。つまり、外貨準備、これ日本は物すごく積み上がっておりますけれども、その反対側には国の膨大な借金が存在していると、このことはやはり常に頭に置いていかなければいけないと思っております。  この額は総額百十二兆円です。百十二兆円というともうGDPの二割超ということで相当大きい額だと思いますけれども、借金をしてドルを買っております。このドルは誰がどのように運用しているのか、教えていただきたいと思います。
  14. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 外国為替資金特別会計は、特会法の定めによりまして財務大臣管理をし、外国為替等売買等運用されることとされております。また、その運用に当たっては、外国為替資金特別会計保有する外貨資産に関する運用についてという方針を定めてございまして、当該方針に基づいて運用を行っております。
  15. 舟山康江

    舟山康江君 外貨準備というのはやはり為替、場合によってはドルを買ったり売ったりということで運用していると思いますけれども、ここのところ見ますと、やはり恒常的な円高が続く中でドル買い介入ばかりが続いていると。その結果、日本外貨準備というのは一兆一千億ドル日本円にして、今レートが変わっていますので九十兆円弱でしょうか、そのうち約七割は米国債であります。ドル債保有が膨大な額になっていますけれども、円高によって含み損が発生しています。ドル債運用というのは、ドル債の、米国債金利が高いときにはその金利収入で多少プラスが出るでしょうけれども、今、米国債大変金利が低い、その中で為替含み損相当発生していると思います。  こういった場合に、ですから、今、外貨準備見ますと、外為特会を見ても実は含み損相当大きくなっているということですけれども、こういった場合、これは政府の方で運用しているわけですけれども、責任をどう取っていくのか、誰がどう責任を取るのかという、その辺は明確になっているんでしょうか。
  16. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 先ほど申し上げたように、財務大臣責任運用をさせていただいておりますけれども、舟山議員指摘のように、外為特会、基本的には過去に為替介入を行ってきた結果として、今額でいうと約一兆ドルになります。足下の為替レート、大体七十七円、一ドル七十七円で換算すると約七十六兆円の外貨資産保有をしていることになりますが、約四十一兆円の為替評価損が発生をしている状況であります。  ただ一方で、外為特会というのは内外の金利差等により、ほぼでありますけれども、毎年度剰余金を生み出すことになってきています。その結果、昭和二十七年度以降の剰余金累計額は約五十兆円ございます。そのうち三十兆円は一般会計に繰り入れてきたと、そういうこともあるということは是非留意をしていただければというふうに思います。
  17. 舟山康江

    舟山康江君 確かにそういった剰余金が生じているのはそうですけれども、今大臣の御答弁でもありましたけれども、今現在、含み損が四十一兆円、日本円にして四十一兆円、これが仮に残念ながら円高が更に進めば更に大きくなるということになります。  これは、先ほど指摘させていただきましたけれども、外貨準備の額がやはり膨大だと、額が大きくなれば為替変動リスクというのは更に大きくなるわけですけれども、この外貨準備の改めて目的と適正規模適正水準というのはどのぐらいだとお考えなんでしょうか。
  18. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 先ほどちょっと御説明申し上げたとおりというか、委員も御指摘いただいておりますが、外為特会保有する外貨資産は、元々本邦通貨外国為替相場の安定を実現するために政府短期証券発行して調達した円資金によるものであって、介入を行った結果として得たものであります。外為特会保有する外貨資産は、現在、さっき申し上げたとおり約一兆ドルとなっていますが、これは基本的には介入の結果でございまして、特定の規模念頭に置いて保有額が決定されてきたというわけではありません。  適正規模がどれぐらいかというお尋ね、なかなかこれちょっと難しいお尋ねなんです。というのは、輸入額の三、四か月分以上であるとか短期対外債務残高と同額以上など、様々な議論はあります。様々な議論はありますけれども、国際的に定着した見方があるということではないというふうに承知をしています。
  19. 舟山康江

    舟山康江君 確かに、これといった適正な率がどのぐらいなのかというのはないかもしれませんけれども、世界の状況を見まして、日本と同様高い外貨準備を持っている国というのはほかに中国しかありません。中国は、御承知のとおり、変動相場制ではありますけれども、これは世界的な批判も買っておりますが、やはり自国の通貨を安く保つために相当介入をしているということで積み上がっているんではないかと思いますけれども。  やはり、自由貿易を標榜する日本が過度な為替介入をして、その結果これだけ積み上がらせたと。しかも、これ、一回買ったものは永遠に持ち続けていなければいけないわけではなくて、常に償還を迎え、当然債券ですから償還を迎えるものがあるわけですね。償還を迎えても償還せずに更にまた借換えを続けている、その結果がこれだけ積み上がったということです。自由貿易圏の中で日本ほど、これだけ外貨準備が積み上がっている国はないという中でこれは少し過大過ぎるんではないのかなと私は思うわけですけれども、やはりこのリスクが高いということ。更に言えば、未曽有危機ですよね、今。もう本当に危機の中の危機という表現もありますけれども、未曽有危機の中でやはりこれを活用する道も考えなければいけないんではないかと。そのことがリスク軽減にもつながるし、復興への近道にもなるんではないかと思いますけれども。  こういった、例えば満期を迎えた米国債を順次現金化するとか、現金化すると恐らく更に円高を加速するというようなお答えがあるかもしれませんけれども、でも、これは償還を迎えた、いわゆる役割が終わって償還を迎えたものを少しずつ現金化するということが米国債市場に多大な影響を与えるというのは私はちょっと思い難いですし、そこはきちんと考えていかなきゃいけないんじゃないかと思います。若しくは、金とか資源とかいろんな方策があると思いますけれども、こういったお考えはあるでしょうか。
  20. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 円高に対する為替評価損に対する議員の御懸念ということはしっかり十分認識をしてこれからも対応していきたいと思いますけれども、少し多分、中西議員からもこういう御議論がこれからもあるかもしれませんが、基本的には安全性流動性留意をした運用をこれからも心掛けていきたいというふうに考えております。  アイデアはいろいろとちょうだいをしたいというふうに思います。
  21. 舟山康江

    舟山康江君 つまり、国内が厳しい状況の中で日本借金をしてアメリカに投資をしている、米国債を持つというのはそういうことですけれども、日本お金アメリカのために使っているようなものなんですね、これ。  やはり、そういったことも念頭に置きながら、外貨準備はどうあるべきなのか、この過大に積み上がった外貨準備を有効に活用する方策は何かないのかということはやはり知恵を絞って考えていかないと、まさに国内の厳しい中で、せっかくあるお金をきちんと使うということを是非考えていただかなきゃいけないと思います。円高に対して私は放置しろと言うつもりはありませんけれども、円高を過度に恐れるよりも、復興財源として活用するということもこれは考えていかなきゃいけないと思いますので、是非しっかりと御検討いただきたいと思います。  さて、現在の景気認識について大臣に確認させていただきたいと思います。  今の日本の現状というのはデフレということでよろしいんでしょうか。デフレだとすれば、その主因は何でしょうか。
  22. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 物価の動向を総合して見ると、持続的な物価下落という意味において緩やかなデフレ状況にあるというふうに考えております。  我が国デフレ傾向が残念ながらこれ長期化している、その要因としては、一つには、需要不足によりGDPギャップがマイナスになり、物価下落圧力が働いていること、そうした中で低めの期待物価上昇率が定着していること、さらには、これらの要因の背後にある根本的な問題として将来の期待成長率の低さ、こういうことが挙げられるのではないかというふうに思います。
  23. 舟山康江

    舟山康江君 需要不足というお話がありましたけれども、新成長戦略政府で立てておりますけれども、この新成長戦略では、やはりまさにその需要不足に対して個人消費拡大して、新分野、これはいわゆる環境とか健康とか観光ですね、こういった分野雇用需要を創造するという目標を立てておられると思います。これはデフレ脱却内需拡大念頭に置いているということの認識でよろしいでしょうか。
  24. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 舟山委員の御指摘のとおり、新成長戦略においては、環境エネルギー戦略、そして健康大国ライフイノベーション戦略観光立国地域活性化戦略等需要雇用創出効果が大きく見込まれる分野において施策を重点的に実施すること等により、委員指摘のとおり、デフレの克服と経済成長を目指すこととしているところでございます。
  25. 舟山康江

    舟山康江君 資料をお配りしておりますけれども、資料を御覧いただきたいと思います。  これは毎月勤労統計から取った決まって支給する給与変動ですけれども、ここ数年、ずっと恒常的に給与が下がり続けております。つまり、個人消費が低迷している、需要不足だということですけれども、やはり私はこの賃金の低下というのが需要不足に大きな影響を与えているんではないかと思っています。  この賃金下落物価下落というのはほぼイコールの関係で動いているように思われますけれども、この賃金を上げる必要があると考えておりますけれども、大臣の御所見をお伺いいたします。
  26. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 一般論としては、賃金が上がれば働いている方の追加的な所得が、それが消費に回るということが見込まれます。したがって、内需拡大する効果期待をされるという一面はあると思います。  ただし、企業売上げ増加が伴わない形で単純に賃金を引き上げるといった場合には、人件費増加によりその他の部分の、例えば企業の利潤であるとかあるいは株主への配当、その分を減らすこととなりますので、このような場合は経済成長に結び付かないということも起こり得るということは留意しなければいけないと思います。  経済成長観点からは、財・サービスの魅力向上などにより売上げ増加し、それを原資として賃金上昇していくというのが望ましいと考えられます。新成長戦略においても、このような考え方から、企業競争力強化成長を伴った形での雇用の安定や最低賃金の引上げを盛り込んでいるところであり、引き続き新たな成長分野拡大中小企業生産性向上等の取組を進めながら、賃金上昇を可能とする環境整備を行っていくことが重要であるというふうに考えております。
  27. 舟山康江

    舟山康江君 賃金下落というのが企業収益の悪化に伴ってという部分はこれは否定できないと思いますけれども、実は労働分配率も下がっているような、ここのところ低いような状況にあります。  これは二〇〇八年の通商白書にも明確に指摘をされておりますけれども、我が国労働分配率は近年趨勢的に低下していると。さらに、これは二〇一〇年の年次経済財政報告におきましても、企業から家計に波及しない構造日本ではですね、通常、営業余剰が増えれば雇用者報酬も増えるわけですけれども、それが日本では必ずしもそうなっていない、企業がもうかっても労働者に波及していないという、こういう構造が特に近年顕著になっているということがいろいろな政府報告でも指摘されているというようなところであります。  これは、本当に法人税減税議論にも結び付くかと思いますけれども、やはり所得、可処分所得を上げることによってしっかりと消費を喚起していかなければこれは成長も望めませんし、まさに、先ほどお答えいただきましたけれども、今の政権の大きな目標は外需に過度に依存した構造からやはり内需をしっかりと盛り上げていこうということだったと思います。そういった方向で是非これからも経済財政運営をやっていただきたいと思いますけれども。  そういう中で、私、非常に理解し難い部分がありますけれども、一方で、依然として国を開くとか平成の開国という言葉が出てきます。「日本再生のための戦略に向けて」と、これ八月五日に決定された文書ですけれども、この中で若干表現が変わっておりまして、国と国とのきずなの強化ということで、何というんですか、貿易を進めていきましょうと。  私は、別にこの自由貿易を否定するわけでもありませんし、保護主義論者でもありませんので、やはりWTOをしっかりと進めていくということ、二国間のEPA、FTAをきちんと交渉の中で、やはりそれはお互いに譲れるもの譲れないものをきちんと交渉して進めていくというのはこれ大事だと思いますけれども、果たしてこのTPPというものが、こういった今の雇用需要を創造する、内需拡大する、そして賃金を上げていかなければいけない、物価デフレから少し上げていかなければいけないということに対してTPPがどういう影響を及ぼすのかということ、これを財務大臣としてどのようにお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  28. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) よくTPPと農業の関連の御議論はいっぱいありますけれども、委員指摘のように、これ、多角的な本当にいろんな検討が必要だろうというふうに思います。  その中で、TPPに参加することによる例えばデフレへの影響、これはちょっとなかなか明確に申し上げることは困難だと思います。ただ、WTO等の関係機関でよく利用されているモデルによる分析によると、TPPの参加により日本経済全体で見れば成長率の押し上げ効果があると、そういう推定はあるとは承知をしていますけれども、これは本当に詳細ないろんな分析をすることが必要ではないかというふうに思います。
  29. 舟山康江

    舟山康江君 是非、財務大臣としてそういった御認識で、一方的に私は農業が打撃を受けるからTPPは危険なんだと言っているわけではなく、まさに今御指摘のとおり、様々な分野影響があります。特に、今のこのデフレ状況の中で過度な自由化、それこそ関税を下げる、これ、関税はもう十分日本は低いですので、TPPによって何が影響するかというと、これは関税以外の非関税障壁をどんどんいわゆるグローバル化というんでしょうか、一方的な要求の中で妥協を迫られる部分が出てくるんではないかと思います。  しかも、よく韓国との競争の中で、韓国に負けるから入らなきゃいけないということが言われますけれども、為替影響の方がよほど大きいわけでありまして、関税を下げれば日本の輸出が増えるということは全くないと私は思っておりまして、やはりいろんな研究、経済学者ですとか歴史学者の研究の中でも、特にデフレ時に貿易自由化を進めるのは良くないと、自由貿易による競争の激化がむしろ国内労働者所得賃金上昇抑制し、経済成長を鈍化させると、これはエマニュエル・トッドが言っておりますけれども、こういう側面があるということを是非しっかりと念頭に置いていただきながらこの議論を進めていただきたいと思います。  私は、日本の今の成長を促すために果たして開国開国というスタンスでいいのかということを是非閣議の中でも財務大臣から御提言いただければ大変有り難いなというふうに思っておりますので、よろしくお願いをいたします。  さて、冒頭にも申し上げましたけれども、特例公債発行というのは税収が非常に落ち込んでしまったからだというふうに思っております。財政再建、これは私は、の必要性は否定しませんけれども、やはり財政再建につきましては、経済成長すればこれは当然税収の自然増が見込まれるわけですね。あえて増税をしなくても経済成長によって税収増加が見込まれると思います、そもそも増税の必要がないと。一方で、増税や緊縮財政で達成しようとすれば、確かにその目先の収入は増えるかもしれませんけれども、逆に景気への悪影響というものが懸念されると思っております。  経済成長と財政再建の両立、これは大変難しいと思いますけれども、これをどのように図っていくおつもりなのか、財務大臣のお考えをお聞かせください。
  30. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 基本的には、経済成長なくして財政再建なし、財政再建なくして経済成長なし、この両立を図るということが基本的な考え方でございます。これは、政府としても昨年の六月に、新成長戦略と財政健全化の戦略、財政運営戦略、同時に閣議決定をしています。そういう思いの下に、この両立を目指して今取組をさせていただいていると。  特に、税と社会保障の一体改革の成案をまとめていただきましたけれども、これも、これは財政健全化とそういった社会保障の安定した財源確保、これは先送りできません。その一方で、経済の好転を条件とするためのいろんな項目も並べています。こういうことをにらみながら、きちっと両方実現していくということが大事だというふうに思っております。
  31. 舟山康江

    舟山康江君 繰り返しますけれども、財政再建の必要性というのは私も十分認識しておりますけれども、こういった、今、残念ながら景気の状況は余り良くありません。デフレというのもまだ脱却し切っていない。そういう中で、やはり一定の支出をしながら、消費を刺激しながら経済をまず良くしていくということを今は考える時期なのかなと思っておりますし、もう一つ、その税金の話、増税の話というとすぐに、一番簡単なのは消費税なんですけれども、やはり消費税を考えるだけではなく、例えば今、日本では累進の度合いは非常に緩くなっております。最高税率は大変低くなっておりますし、一時期七〇%ぐらいだったわけですけれども、やはり所得の高い人には多少負担をお願いして広く所得税の中で税金を集めるとか、あと法人税につきましても、これ、法人税の税率だけが議論されておりますけれども、実は課税ベース、法人税を払っている企業というのは非常に少ないですよね、一桁台だと思うんですね、企業数でいっても。やはりここをしっかりと捕捉できるように、本当にこれ一桁台しか法人税が払えないぐらい企業業績が厳しいとすればばたばた倒産しているはずですし、ばたばたと本当に路頭に迷っている人が多いはずですけれども、そこまで厳しい状況ではないという意味においては、やはり払っていただくべきところからきちんと法人税をいただいていないという現状もあるのではないかと思います。こういったところもにらみながら、是非総合的な検討をいただきたいと思っております。  さて、ちょっと時間もありませんので、最後に一点だけ。  公債発行額の大幅増額というのは二十二年度でもありました。このときにはやはり金融危機税収が前年度に比べて九兆円減になったことが大きいと思います。今回については、今のところ震災前に見積もられた税収水準が維持されておりますけれども、報道によれば、震災の影響によりまして、企業業績の悪化によって法人税が、税収が減っている、また被災地支援のために税の減免措置が様々とられましたけれども、これによって所得税、法人税の減収があります。減額される公算が強いというふうにも見られておりますけれども、このことに対する認識対応策についてお聞かせください。
  32. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) ちょっとまだ現段階で税収の見通しというか、どうなるかということを確たることを言える段階ではございません。  委員指摘のとおり、東日本大震災の影響によって依然として景気が厳しいということが税収影響する部分もあると思います。加えて、二十二年度の税収の決算が補正後予算を一・八兆円上回ったということもあります。あるいは、税収の収納が始まったばかりであるということがありますので、ちょっとその具体的な数字の積み上げを見ながら、今御指摘のあったような対応についてはどうするかを検討させていただければというふうに思います。
  33. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 舟山康江さん、時間が参っておりますので。
  34. 舟山康江

    舟山康江君 はい。  いずれにしましても、先ほど外貨準備の活用も含めてということで御提言させていただきましたけれども、様々な検討の中でしっかりとこの復興に向けて取り組んでいただきたい、このことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  35. 林芳正

    ○林芳正君 おはようございます。自民党の林芳正でございます。  今日は特例公債法の質疑ということで、多分、野田財務大臣に御質問をするのは今日が最後になるのかなと、こういうふうに思っておりますが、まず質問に入る前に、ちょっと通告をしておりませんが、先ほど日経の電子版でニュースが流れておりまして、与謝野大臣が今日の閣議後の記者会見で、菅首相が三十日に内閣総辞職をすることになるとお述べになって、それで閣僚に対して引継ぎや残務について全力を挙げるようにというふうに指示したということを閣議後の会見でお述べになったということでございますが、野田大臣も同じような御指示を受けておられるのか、もし御披露できればお願いします。
  36. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 閣僚懇というところで御自身が、このまま推移していくならば二十六日に御自身の表明をされた上で、その上の日程感の中でそろそろ引継ぎの時期であるということを踏まえてそういう心の準備をしていくようにと。その三十日総辞職という確定的なことをお話しされたということではなくて、事務的な引継ぎがそういうころに出てくると。仮に首班指名選挙をやってもすぐ閣僚が決まらない場合には、そのままの内閣が残ってそれぞれの担当閣僚がその職責を果たさなければなりませんので、そこは明快なお話ではなかったというふうに私は承知をしています。
  37. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございます。いずれにしても、近いうちに新しい内閣ができるということを想定しながら今日はいろいろお聞きをしたいと思うんですが。  この特例公債法、三党合意を受けてこういう形になって、そして衆議院で修正もしていただいているんですが、その中でも御議論になったかもしれませんが、今日お聞きしたいのは、一つは、歳出の方、子ども手当も含めて削減を行うということになって、衆議院の修正ではその分、次のということになろうと思いますが、補正で減額をするという修正がなされていますが、歳出の方、この修正をして減額をするときに、この修正した歳出の減が歳入の方でどうなるかということでございまして、私は、復興基本法の七条に書いてあるように、こういう震災が起きて、そしてその震災のためにいろんな無駄な予算を徹底的に見直して歳出削減をして、それでも足りない場合に復興債によるという原則はもちろんそうなんでございますが、一方で、後ほどお聞きする中期財政フレーム、その当初予算のフレームをどうするかという問題もありまして、この歳出を削減したものを特例公債の減額という形で赤字公債を圧縮すべきではないかというふうに思うんですが、そのことについては財務大臣、どういうふうにお考えでしょうか。
  38. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) もうこれは林委員指摘のとおり、歳出削減、それを実現できるならば、できるだけ特例公債、赤字公債発行しない、抑制していくというのは財政の私も基本だというふうに思います。  ただし、今回は、大きな震災が起こってその復興に向けて様々な財源確保が必要であると、そういう中で、御指摘のあったとおり、復興基本法の七条において、復興関連施策以外の施策予算を徹底的に見直し、当該施策歳出削減等により復興のための資金の確保に努めることという一つの法律があるし、加えて、先般決定した復興の基本方針においても、五年間の集中復興期間中の復旧復興事業に充てる財源一つとして歳出の削減が掲げられてあるということも含めまして、子ども手当等の見直しによる歳出削減については復旧復興財源として活用するということが基本であるというふうに今は考えているところでございます。
  39. 林芳正

    ○林芳正君 基本であるというお答えでございましたが、そこで、考え方の整理として、これだけ今から使っていくという政府でお決めになったことは政府がお決めになったこととして、国会で我々が決めた復興基本法の七条で、今大臣もお答えいただきましたが、この七条は、歳出削減によって出てきたお金は全部復興の方に回さなければいけないというふうに政府を縛っているということではなくて、それはこういう状況だから削減しなさいということでありますけれども、出てきた削減額を全部、特例公債の減額には一円も使えないという意味ではないというふうに思うんですが。  ですから、それは財務大臣として、全体的な当初予算のフレームの中で、五年、十年の目標を立てて財政再建やっておりますから、そちらにもこの歳出削減を使うということはこの七条で禁じられていることではないというふうに私は思うんですが、それはどういうふうにお考えでしょうか。
  40. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 歳出削減分を、子ども手当なども含めてでありますけれども、これは法制度上から考えると、特例公債の減額に充てることは、決してもちろんこれは排除はされていないというふうに思います。排除はされていません。ただ、これはやっぱり復興のための財源、なかなかこれ財源づくり、もう大変です。当然、来年度の予算も、これもそう簡単ではありませんけれども、そこを総合的に勘案をしながら配分をしていくということになると思います。法律上は委員指摘のとおり排除はされていないというふうに私も思います。
  41. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございます。そこを確認をしていただいたというのは大きな意味があると思いますが。  そういうふうに申し上げるのは、遡っていえば、もし震災なかりせばこの歳出削減というのが必要なかったのかと、こういうことにもなるわけでありまして、震災があったからこういう歳出の削減をするということでは必ずしもなくて、財政再建のためにこの歳出削減をそもそもやる必要があるんではないかということを我々かねがねこれはもう去年の補正のときから申し上げてきたわけでございまして、そのとき、今でも記憶をしておりますが、三党で政調会長が話合いをさせていただいたときに、当時のというか今もそうですが、玄葉政調会長、国家戦略担当相からは、マニフェストは見直すんだと、ただ、守るべき一線もありますと、こういうお話が三党の政調会長の協議の場であったわけでございますから、震災がもしなかったとしても、この歳出の見直し、マニフェストの見直しをして歳出の削減をするということは必要であったと、こういうふうに私は思っているわけで、そこが、この震災があったからこれをやるんだということではないということを法律上も明らかにしていただいたと、こういうふうに思っておるわけです。  そこで、特例公債の減額をするか、若しくは今まさに大臣おっしゃったように復興の方の財源が大変だからということもこれはもちろんあるんですね。ですから、これは同じ金額を、例えば今年でいうと今回の三党合意で千億、二千億のオーダーだと思いますが、これを特例公債の減額に充てるか復興の方の財源に回すか。復興の方の財源に回すということは結局どういうことになるかというと、復興債をそれだけ出さなくてもいいと、こういうことになるわけですね。復興債はもうこれだけの大きな規模ですから必ず出さなくてはいけない。ですから、その復興債を出す額を歳出の削減で減らすのか本来の当初予算の方の特例公債を減らすのかと、この選択になるわけで、大臣御答弁いただいたように、法律上は排除するものではないということでありますから、これは極めて政策判断ということになるわけですね。  そうしますと、まだ財源償還の道筋決まっておりませんけれども、復興債というものは復興のための必要なものの財源をこれで償還しようと。そして、なるべく、今特例公債の方は借換えを入れると六十年の償還でありますが、復興債の方はそれほど長い償還には私はならないんではないかとこう思っておりますので、むしろ復興債の方にきちっと復興で掛かった費用を担わせて、そして短い期間で償還をするという方が本来の財政再建の趣旨には沿っていくんではないかと。したがって、元々震災前からあったこの歳出削減の問題については、やはり特例公債の減額というものをきちっと立てていくと。  なぜそこをこだわるかというと、中期財政フレーム、今日、山口副大臣、お忙しいところ来ていただいておりますが、ここで七十一兆と四十四兆をもう三年続けると、こういうふうに決めておられるんですが、今年もし特例公債が減額できたとすると多分この四十四兆円の枠というものの発射台が変わってくると、こういうふうに思いますし、それから七十一兆円の歳出の枠も、実はこれ三党合意で決めた、今年でも数千億、来年もう少しやっていくともう少しそこは削っていけるわけですが。そういう中で、七十一と四十四はやはり今年も去年も、来年も再来年もそういう枠にするということでは、歳出削減をしても結局財政再建が進まないということになりはしないかということなんですが、その辺、この七十一兆、四十四兆の枠をおつくりになった山口副大臣の方、まずいかがでございましょうか。
  42. 山口壯

    ○副大臣(山口壯君) 中期財政フレームということで三年ごとに決めて、それで今年もローリングということで議論をさせてもらいました。基礎的財政収支対象経費ということで七十一兆円、それから、国債発行高を四十四兆円以内に何とか抑えるということで来ているわけですけれども、我々どういうふうにそれをマネージするか、特に今復興のことを林議員言われて、復興については相当な額が掛かるわけですから、これをどういうふうに赤字が発散しないように持っていくかということは相当議論をさせていただいたところです。  結論的に申し上げて、復興については別途管理というところで、その七十一兆、四十四兆という大枠だけは、この歳出の大枠だけはきちっと定めることによって歳出の総額を抑制していくということにさせていただいたような次第です。  あと、どういうふうにめり張りを付けるか、あるいは、先ほど御指摘いただいたような点をどういうふうに組み込んでいくかということは毎年度の予算編成の中で行う仕組みとなっていますので、これからいろいろとまた議論させていただき、あるいは相談させていただく中できっちり決めさせていただければと思っている次第です。
  43. 林芳正

    ○林芳正君 七十一と四十四で三年ローリングすると。これ目標値ですから、なるべくそれを下回るようにということで努力はされるということですが、実際には、やっぱり予算折衝やられて野田大臣お分かりになったと思いますけど、枠より下回るということはなかなかないんですね。やっぱりその枠を決めれば、そこまではぎりぎり、要求側の要求は強いですから。したがって、この枠を決めるという意味は、最低でもそこには持っていけると、そこにならないと、もうそれ以上絶対に増えないというぐらいな目標にしないといけないわけで、逆に、七十一、四十四で三年やるということは、もう二〇一五年、プライマリーバランスを半減するというところまであと一年しか残らないわけですね。二〇一二、一三、一四の三年間ですから。  そこで、この内閣府の試算を見てみますと、プライマリーバランス半減はまあ達成できそうだと。しかし、これは消費税を一〇%に段階的に引き上げるというのを込みで入っているということで、そうすると、十年後の最終目標のプライマリーバランスを達成するというためのものも含めて五%上げて一〇%ということを我々も参議院選挙のときに議論していたわけですが、それを全部使っても中間の半分のところまでしか行かなくて、その先全くこれがプライマリーバランス・ゼロに収束していくという姿が見えてこないわけで、やはりこれは七十一兆、四十四兆でそのままいけば、この二〇一五年、二〇二〇年の目標というのは元々無理なんではないかと、こういうふうに思うわけです。  我々も厳しい中で二〇〇六年に骨太の方針を決めたときは、五年間で各分野で、例えば公共事業で、ODAで、社会保障で、まあ社会保障は非常に評判悪かったですが、それぞれの分野歳出削減の目標を五年間先に決めておいて、それを実行していくということをやったんですが、それがなくて、取りあえず七十一兆はもう切れないんでこのままでずっとやっていくという目標だけでは、二〇一五年、二〇年の目標はおおよそ達成できないんではないかと思いますが、そこはいかがですか。どちらでも結構ですが。
  44. 山口壯

    ○副大臣(山口壯君) 先ほど言われた二〇〇六年の骨太の方針も一度ちょっと復習させていただきました。確かに、項目を定められて、社会保障、人件費、公共投資について、この二〇〇六年から五年間の間にどういうふうに減らしていかれるかという、歳入歳出両面で見られているということも確かに決めておられて、我々のやつを見てみた場合に、今申し上げたとおり、歳出の大枠として七十一兆あるいは四十四兆ということで抑制するということは決めているんですけれども、おっしゃったとおり、二〇一五年の半減というのは試算上も確かにできると。それは確かに経済状況の好転ということを条件として、この消費税の話も入れた上での話ですけれども。ただ、二〇二〇年にそれが、プライマリーバランス、基礎的なものがゼロになるかというところは、確かに試算上もなかなかそれは難しいところなんで、そこについては更に我々、歳入歳出もきっちり見直していかなきゃいけないというところはあることは事実です。  他方、それをどういうふうにやっていくかと。今、林議員からは項目を定めてということもありました。我々、まだどういうふうにそこを、道筋というものはこれから更に議論をしていかなきゃいけないところなんで、これから国会の中でも、あるいはいろんな知恵をいただいて、そこら辺は一緒に知恵を合わさせていただければと思っている次第です。
  45. 林芳正

    ○林芳正君 ですから、そこを具体的にしていく一つの方法は、今回三党合意で決まった歳出の削減を全部復興の方に回さないというわけにもいかないでしょうけれども、一部は回して、それを七十一兆の枠を七十一、まあ例えば七十・五、七十にしていくとか、もう少し意欲的な目標なら七十一、七十、六十九という目標にするとか、そういう具体的なものを三年、五年のタームで決めておかないと、その都度その都度予算編成でやればなかなか難しいんです。  それは予算編成やってお分かりになったとこう思うんですが、野田大臣いかがですか、この七十一兆円、三年というのは余りに、この目標に比べれば非常に、何といいますか、達成可能性のないフレームのように見えますけれども、いかがですか。
  46. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) まずは二〇一五年の半減の目標はしっかりやっていくことによって達成の見込みが出てくると思うんですね。それ以降の道筋というのは更なる歳入歳出の改革をやらなければいけないし、当面のこの数字は、また来年もその年央に中期財政フレームの見直しをするわけでございますので、ローリングをしながら確実に目標達成に向けて努力をしていきたいと思います。  やっぱり悩ましいのは、第三次補正予算、これ復興ベースでありますね、加えて来年度の予算、ほぼ同時進行の作業になってまいります。ということは、林さんの御指摘のことも踏まえて、三次補正についても来年度の予算の在り方も含めて虚心坦懐に意見交換できれば大変有り難いというふうに思っております。
  47. 林芳正

    ○林芳正君 意見交換の前に、野田さんや山口さんのというか、民主党政権の案をまず作っていただく必要があると思うんですね。  やっぱり党内で、今、山口先生がおっしゃっていただいたのが非常に分かっていただいているなと思うのは、やっぱり項目別に分けて何年かで作っておかないと、この枠、全部で七十一兆という枠になっていますから、それぞれの人は、ほかの人が減らせばいいじゃないかと、社会保障の関係者は、いや、私学が減らせばいいじゃないかと、私学の人は、いや、公共事業を切れと、必ずこうなるんです、予算編成というのは。だから、みんなが一堂に会して、それぞれ少しずつどこがどういうふうにできるのかを話合いをして、それを三年、五年に延ばしていって目標を作ると。  それは、二〇〇六年のを作ったときはもう党内大騒ぎでしたよ。大騒ぎでしたけれども、しかしトータルでやらなきゃいけない目標というのはもう分かっているわけですね。それは共有できています。ですから、その目標をそれぞれお互いの信頼関係の中でどれぐらい引き受けるかという議論をしなければ、毎年の予算編成でやっていたらこれなかなかできない。  そのことを申し上げているわけで、是非、次に野田さん総理になるかもしれないんだから、そこをきちっと御理解いただきたいと思うんですが、いかがですか、その分野別に数年度でやるという考え方について。
  48. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 基本的にはそういう大議論をして方向付けをしていくことが政治主導の本当の予算編成につながっていくだろうと思います。  御党がまとめられた財政健全化責任法、そのお考えも、目的、問題意識は共有をしています。ここで項目別にしっかり入れていくというのが、御党の考え方もよく分かっておりますので、そういう議論を本当にしっかり、いかに財政運営戦略を、これ道筋、道をたどっていけるかどうかがまさに国際社会が見ておりますので、その実現を担保するための議論は大いにやっていきたいというふうに思います。
  49. 林芳正

    ○林芳正君 期待をしております。  そこで、今申し上げたこのフレームと、それから内閣府の方で同時期に経済財政の中長期試算というのを出していただいているんですが、これには前提として既に、この消費税を二〇一三年度後半から二〇一五年度までの段階的引上げを仮置きと、こういうことで書いております。私、これ見て、あれっと思ったのは、消費物価上昇率が急に上がるんですね、一三年からぼこぼこっと上がって、したがって名目成長率がそれでかなり上がっていくと。  これは具体的には、確認しておきたいと思いますが、この内閣府の想定は、二〇一三、一四、一五年にそれぞれ消費税を引き上げるというふうに仮定しているということでよろしいですか。
  50. 小田克起

    政府参考人小田克起君) 内閣府の試算におきましては、二〇一三年度後半から一五年度まで消費税率一〇%までの段階的引上げと仮置きして試算をしております。  具体的には、一三年度後半、一四年度後半、一五年度前半にそれぞれ二%、二%、一%引き上げるという想定をしてございます。
  51. 林芳正

    ○林芳正君 その二%、二%、一%という数字がどこ見ても書いていないものですから、これ、ぱっと見たら分かりにくいと思うんですね。本来なら、この消費物価上昇率のグラフの下に、これは二〇一三年度に二%、一四年度に二%、一五年に一%ということをやっぱり注記しておかないと、ぱっとこれ見て、何で消費物価上昇率こんなに上がるのかなと、みんな不思議に思うと思うんですね。  ですから、そこはきちっとやっていただきたいと思いますし、それから、去年まで出していただいていた国だけの基礎的財政収支のこのグラフがない。これは試算していないんですか。
  52. 小田克起

    政府参考人小田克起君) 国だけの財政収支の試算でございますけれども、今回はしてございません。それは、今申し上げました消費税率の引上げについて、これを国と地方でどのように案分するかということがまだ決まっておりませんので、今回の試算においては国、地方全体の税収というものをはじいております。よって、国だけの財政収支というものは試算をしていないということでございます。
  53. 林芳正

    ○林芳正君 これ、この間説明に見えられた方にも申し上げたんですが、二%、二%、一%というのは仮置きされているんですよね。それ、別に野田大臣決めたわけじゃないと思いますよ、まだ。ですから、内閣府の仕事はいろんなことを仮置きして試算してみてこういう場合こうなるかというデータを出してもらうことなんであって、ですから、二、二、一の試算ができるんだったら、国と地方の割合も、一、四、二、三、三、二と五通りやれば誰も文句出ないと思いますよ。普通、四、一で今やっているんだから四、一でやったらこうなると、仮置きですよね。  なぜその仮置きをして国だけのこの基礎的財政収支の試算ができないのか、お聞かせください。
  54. 小田克起

    政府参考人小田克起君) 消費税率の引上げそのものにつきましては、社会保障・税一体改革の成案の中で二〇一〇年代半ばまでに段階的に引き上げるということが決まっておりますので、それを踏まえて先ほど申し上げたような仮置きをしたということでございます。  ただ、消費税を国、地方でどのように分けていくかと、これはまだ検討されるという課題だというふうに認識しておりますので、そこについての仮置きは差し控えたということでございます。
  55. 林芳正

    ○林芳正君 説明になっていないんで、二、二、一も決まっていないんですよね。段階的に引き上げるということは、閣議決定されてはいませんが、あの文書ではお決めになっている。しかし、それは二、三かもしれないし、三、二かもしれないし、一、一、三かもしれないし、だけど、そこは内閣府で仮置きをされて、さっきおっしゃったように二、二、一で仮置きしているんですよ。  だから、同じように仮置きをして、四対一で分けますというふうに仮置きをすることがなぜいけないのかということを聞いているんですが、いかがですか。
  56. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  57. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 速記を起こしてください。
  58. 小田克起

    政府参考人小田克起君) 先生、お言葉でございますけれども、先ほど申し上げましたように、消費税率の引上げについては段階的にしていくということでございますので、それは一つの仮置きとして段階的な引上げというのを仮置きで想定させていただきましたけれども、国、地方でどういうふうに分けるかというところはまだこれは検討すべき課題だということでございますので、そこはちょっと控えたということで、同じような答弁で恐縮でございますけれども。
  59. 林芳正

    ○林芳正君 都合のいいことは仮置きして、都合が悪いことは控えるというのは非常にまずいと思いますね。大臣、これ御存じでしたかね。この国と地方の基礎的財政収支は出ているんだけど、国だけの財政収支は出ていないんですね。ですから、これ、分け方によっては二〇一五年だってプライマリーバランス達成できないかもしれないんですよ。そのことを御存じでしたか、大臣
  60. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 国だけが落ちたということは先ほど知りました。従来と違ったということを初めて知りました。
  61. 林芳正

    ○林芳正君 これは閣議決定をした文書ではないのかもしれません、中長期試算ですから。しかし、これ、山口副大臣の方が近いところに多分いらっしゃると思うんで、仮置きですからね、別に四、一で、この試算で仮置きをしたから地方六団体がわあっと来るということじゃないと思うんですよ。したがって、四、一でも、二、三でも、複数のシナリオでもいいですから、去年まで国だけの基礎的財政収支出していたんです。それがないと、どういう数字をベースにして議論をしたらいいのかということが非常に曖昧になってくると思うんで、例えば一、四にしたらとか、例えば二、三、複数でもいいですから、これ今からでも試算をしますと、山口さん、どうですか。
  62. 山口壯

    ○副大臣(山口壯君) 今、林委員言われたとおり確かに仮置きで、二、二、一というのはまだ誰も決めていないわけですね。これから国会の中でいろいろ議論をさせていただいて決める話ですから、これはある意味で勝手に試算したと言っても差し支えないようなものです。  今いろいろ議論を聞かせていただいていて、直接の担当ではないんですけれども確かに私もそうかもしらぬなという気持ちもしますので、ちょっと少し持ち帰らせていただけますでしょうか。このいろんなパーセンテージというか、二、二、一とかいろんなことも含めて、ちょっと議論も、私たちもよく分かりますので、それは一度ちょっと検討させてください。
  63. 林芳正

    ○林芳正君 是非よろしくお願いします。  何も内閣府の経済財政担当のところに、私の元部下ですから余りいじめたくないんですが、何かを決めろと言っているわけじゃないんです。政策を我々が判断するときに、こういうふうにしたらこうなる、こういうふうにしたらこうなるという数字を、我々が決定するに際して細かく出してもらうのがあなた方の仕事なんですよ。だから、それを、こっちは控えましたなんということを判断する必要もないんで、そこは是非、山口副大臣に剛腕を振るっていただきたいと、こういうふうに思っております。  時間がちょっともう迫ってまいりましたので、最後にちょっと為替の問題ですが、野田大臣、先ほども舟山委員からもあったように、介入をするときにやはり協調介入に近づけるかどうか、協調介入をするということが一番いいんですが、その協調介入にどれだけ近づいていくかということが非常に大事だと思いますし、更に言えば、ここの財政委員会でも前、議論させていただいたと思うんですが、やはりプラザ合意を八五年にやったのと同じように、今度は人民元も入った形でマルチでやる。先ほど、中国の人民元は変動相場だというお話がありましたが、事実上ドルにかなりペッグに近い形でバンドを絞ってやっています。ですから、これをどんどんどんどん本当の変動相場制にしていくということは、これは中国にとっても避けて通れない課題なんで、これをバイで中国にやれやれとそれぞれ言うよりも、マルチで、ユーロもドルも円も入ったところでやると。  これをやれということを我々参議院の選挙公約にもしてずっと申し上げてきましたが、やっぱりそういう方向をやっていくべきだとお考えかどうか、最後に聞いておきたいと思います。
  64. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 御指摘のとおりだと思います。その場が多分今一番ふさわしいのがG20なんだろうと思います。そういう中で、これ人民元だけじゃなくて、柔軟化の話は議論をしています。それを踏まえて恐らく去年の六月の中国為替制度改革もあったんだろうと思います。十分ではないと思いますので、引き続きこのマルチの場で大いに議論をしていきたいというふうに思います。
  65. 林芳正

    ○林芳正君 終わります。
  66. 古川俊治

    ○古川俊治君 続きまして、自由民主党、古川俊治の方から質問をさせていただきます。  私は野田大臣にお聞きをいたします。  三党合意で、子ども手当を廃止して児童手当に戻す、それから来年度から高速道路無償化も廃止をする、高校無償化それから農家の戸別所得補償もこれも見直しをするということが決まったわけですね。言いたくもないですけれども、前回の総選挙の当時、民主党は、無駄を省けばもう二十兆円近くの財源が出てくるとずっと言っておりまして、まず特に地方には負担を求めずに子供一人当たり二万六千円を支給すると、高速道路を無償化する、高校を無償化する、農家の戸別所得補償を行うと。これを、鳩山政権時代、鳩山代表は四年間民主党政権にある間は絶対に増税をしないというお約束をしていたというわけですね。  今まで、このマニフェストについて明確な政府からの御説明はなかった、このように我々は認識しているんですけれども、野田大臣は、鳩山総理大臣の下では財務大臣、そして菅総理大臣の下で財務大臣と、一貫をして財務担当をこの政権でやられてきたわけですね。昨日も愛知議員の方から質問をさせていただきましたけれども、今総裁候補として名も挙がっている野田大臣のこの二〇〇七民主党マニフェストに対する今の認識というのはどうなんでしょうか。
  67. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 国民の生活が第一という理念でまとめたマニフェスト、それぞれの理念というのは私はそれぞれ政策目的があったというふうに思っております。それは、国民とお約束した以上、できるだけというか着実に実施をしていくというのが基本姿勢でこの二年間取り組んでまいりました。その一方で、平成二十一年度の第二次補正から数次にわたる本予算と補正予算、六回の予算編成をしてまいりましたけれども、なかなかその財源確保することの難しさを私自身は体感をしています。  その上で、やっぱり四年間でお約束をしたことをできるだけやっていくことは基本でありますけれども、ちょうど折り返し点であるこの九月、元々、この震災の前からもそういう議論はありましたけれども、マニフェストの検証をしていく、総括をしていく中で、何がこのまま続けてできるのか、そうじゃないのか、あるいはその規模はどうするのかと、そういう議論を行っていくというのが基本的な筋道でございました。  その上で、震災も加わりましたので、さらに優先順位を変えていくということ、必要性も出てきたということを踏まえての、今回、三党合意も踏まえての対応もあるというふうに思いますので、それをしっかり対応していきたいというふうに思います。
  68. 古川俊治

    ○古川俊治君 私、この質問で、昨日の答弁なんですけれども、事業仕分などにより、二十二年度二・三兆円、二十三年度〇・三兆円で計二・六兆円。それから埋蔵金等で九兆円。それから租税特別措置等の見直し等で約一・三兆円なんですね。結局、これをお答えになって、以上を合わせると十兆円を超える財源だと言っていますけれども、これ、民主党の〇七のマニフェストですけれども、恒久財源として十一・八兆を確保できると書いてあるんですね。ところが、現にこれ、昨日おっしゃった内容を足してみると三・六兆円ですよ、両方で恒久になるのが。三〇%なんですね。あとは、もう民主党のマニフェストをやるために無理無理埋蔵金を出してきていると。だから、元々ほかに積み立てていたものを転用しているわけですよ。  それはやっぱり、昨日の答弁に大変がっかりしたんですけれども、今大変財源を見直すのが難しいというお話がございまして、財務担当として御苦労されたというのはよく分かったんですけれども、とにかく、この大震災があったからこのマニフェストができなかった、そうではなくて、やっぱり無理なところはあったと思うんですね。その点についてどうでしょうか。正直にお認めなさいますか。
  69. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 昨日の答弁ですけれども、民主党の財源確保策として、歳出の見直し、組替えというのが一つの項目があって、それから埋蔵金があって、それからいわゆる租税特別措置の見直し、これ三項目それぞれの数字を申し上げました。そこは、恒久的な財源確保とワンショットのお金と混在をしていることは事実でございます。その上で、マニフェスト実現をするためには、それは安定した恒久財源を確保しながらやってくると。委員指摘のとおり、それは三・六兆円でございました。  そういう、ちょっと違いがあるのが少し混在した説明になったかもしれませんけれども、いずれにしても、数字自体は昨日申し上げたとおりでございます。
  70. 古川俊治

    ○古川俊治君 これはまあ大臣認識しているんで言いたくはないんですけど、恒久財源と一時的な財源は全然意味が違いますから、それはもうお分かりのとおりだと思いますね。もし、これで代表に選ばれて総理大臣になられた日には、明確にマニフェストのことについて国民に御説明いただきたいと、このことは申し上げておきたいと思います。  財政運営戦略の話に行きますけれども、この財政運営戦略におきましては、二〇二〇年までにプライマリーバランスを黒字化することになっております。八月十二日、先ほど林議員お話にもありましたけれども、内閣府の試算では、復興財源を除いた二〇一五年の消費税、これは一〇%を仮に前提としても、二〇二〇年には約十八兆円、対GDP比で三・一から三・三%のプライマリーバランスの赤字が残ると、こういう試算になっております。  財務省は、今まで慎重シナリオ、これは現実的な財政見通しを前提としていると、これをずっと基本としてきたんですけれども、この見通しですと、二〇一五年から二〇二〇年までに更に何%消費税を上げなきゃいけないのか。さらに、もし成長戦略シナリオというものが実現した場合には何%、これも内閣府の試算に基づいてですけれども、上げなければいけないのか。これについて、これ通告してありますから、お答えください。
  71. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 内閣府の経済財政の中長期試算において、二〇二〇年度の国、地方の基礎的財政収支、対GDP比は、慎重シナリオで、御指摘のとおり、マイナス三・一からマイナス三・三%程度、成長シナリオでマイナス一・四から一・六%程度とされておりますので、御指摘のとおり、このままでは厳しい状況であるということはそのとおりであります。  なお、これまで二〇二〇年度時点の必要な収支改善幅を消費税率に機械的に換算したというものが、これは、慎重シナリオで六・三から六・五%、成長戦略シナリオで二・八から三・一%という数字でございます。
  72. 古川俊治

    ○古川俊治君 それは二〇一五年からの更なる増税幅ということでよろしいでしょうか。
  73. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) そういうことです。
  74. 古川俊治

    ○古川俊治君 先ほど成長なくして財政再建なしというお話ございましたけれども、これは今の民主党の代表選でも増税反対ということを旗印として戦いになられる方々がいらっしゃるという報道を受けておりますけれども、これ、野田大臣成長戦略成長を基本として考えていって、その分もちろん増税すれば成長に足かせになることはこれは間違いないですから、そういう意味で、増税はしないと、なるべくしないという立場の方々に対してどういうお考えをお持ちでしょうか。
  75. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 恐らくどなたも、全て増税反対という方ではないと思うんです。例えば、社会保障と税の一体改革についての成案についてはいろんな議論がありましたけれども、きちっとやっぱりやるときには、社会保障を支えるためにあるいは財政健全化の達成のためにやらなければいけないという御意見はほとんどだったと思います。問題は、だから経済の好転をどうするかとか、一層の行革の取組はどうするかという、その物事を実現をする段取りの話でいろんな御意見があったというふうに思いますので、そこは全く意見の相違がたくさんあるということでは私はないと思います。  ただ、少なくとも言えることは、今回、EUにおいてはやっぱり債務の問題に焦点が当たっていろんな不安が出てきている、アメリカにおいても債務上限問題というのが大きくクローズアップされました。そうすると、やっぱり日本もこういうグローバルな流れの中で、一国の財政主義、一国の経済主義を考えているだけではなくて、そういう国際社会がどういう動きであるか、国際社会がどう見るかということを踏まえて、いろいろ苦しいこともありますけれども、財政規律をきっちり考えて取り組んでいくという姿勢は示さなければいけないと私は思っております。
  76. 古川俊治

    ○古川俊治君 この成長戦略シナリオがもし仮に、非常に今難しいというふうに考えていますけれども、それがもし実現するとしても、二〇一五年から更に三%消費税を上げなければ二〇二〇年プライマリーバランス・ゼロということは達成できないと。仮に、ただ成長戦略シナリオが達成しても、名目成長率が上がってくれば当然長期金利が上がってきますから、プライマリーバランスは黒字化したとしても実は財政収支悪くなっていくんですよね。もうそれは実際に出ています。だから、増税をしないというのはもはや話にならない議論でありまして、その辺については、野田大臣、しっかり監視をしていただきたいというように思います。  この中期財政フレームなんですけれども、そこで財政健全化目標は確実に達成すると書いてあるんですね。しかしながら、その中に、なお、震災等に起因する重大な経済リスクが顕在化する場合には、柔軟かつ機動的な財政運営を行うよう努めると書いてあるんですね。  この震災等に起因する重大な経済上のリスクが顕在化する場合というのは、具体的にどういう場合なんでしょうか。
  77. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 財政運営戦略に基づいて、財政健全化の取組は景気変動に対する柔軟性を有するべきとのそういう認識の下で、重大な経済上のリスクが顕在化する場合には、これ例えばでありますけれども、東日本大震災復旧復興予算の予備費の活用であるとか、あるいは補正予算の編成により柔軟な対応を行っていく、そういう趣旨というふうに御理解をいただければというふうに思います。
  78. 古川俊治

    ○古川俊治君 現在は震災等に起因する重大な経済上のリスクは顕在化している場合なんですか。
  79. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 現時点において、東日本大震災によってサプライチェーンの寸断であるとか、いろいろなセンチメントの問題を含めて、経済においてはマイナスの効果相当出てきているというふうに思います。  一方で、七—九からは、一応政府の見通しとしてはプラス成長に転じていくということでございますので、更に復興需要をしっかりと満たしながら日本経済再生につなげていくという、そういう基本シナリオの中で対応していかなければいけないと思いますので、現時点でそのリスクをどう考えるかというのは、海外経済の動向なども踏まえて総合的な判断をしなければいけないというふうに思います。
  80. 古川俊治

    ○古川俊治君 ですから、今はどうなのかと。その判断はしていないということですか。現在がリスクは顕在化している場合かどうかは分からないということですか。
  81. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 現時点においては、具体的にまだ予備費をどうするとか、そのための補正予算をどうするという議論には至っていないということでございます。
  82. 古川俊治

    ○古川俊治君 そうすると、その議論に至っていないということは、現在は顕在化をしていないから柔軟かつ機動的な財政運営をする必要がないと認識しているということですね。
  83. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 現在って、どこまでを現在で見るかなんですけれども、例えば第三次補正は作るわけです。それは、復興予算、本格復興予算、加えて経済対策の要素も入るかもしれません。ということを考えると、その時点ではそういうリスク対応ということになるかと思います。
  84. 古川俊治

    ○古川俊治君 これ、中期財政フレームなんで、いいかげんじゃ困るわけですね。そのとき必要になったらやっぱり出費をして、結局この目標は後送りになるということのないようにフレームを作るわけですから。こういう一言が入れば幾らでも、今の解釈でいいますと任意に政府がこれを後ろにずらすということができてしまうんですね。それではフレームを作った意味が何にもないじゃないですか。  これは、今一〇%への消費税の増税の終了時期、これは二〇一六年に仮にずれ込むようであれば二〇一五年のプライマリーバランスの赤字半減目標というのは達成できないということが内閣府の試算によって出ているんですけれども、これは野田大臣は現段階ではこの二〇一五年のプライマリーバランスの半減は達成するということでよろしいですか。
  85. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 政府としては、二〇一五年までにプライマリーバランスの対GDP比半減というのはこれは目標でありますので、これは国際公約でもあると思いますので、しっかり実現させていくということでございます。
  86. 古川俊治

    ○古川俊治君 これから何らかの、現在の状況よりも経済財政状況が悪化しない限りはこのプライマリーバランス、赤字半減二〇一五年目標は守れるということでよろしいですね。
  87. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 守らなければいけないというふうに思いますし、そのための取組を年々しっかりやっていくということだと思います。
  88. 古川俊治

    ○古川俊治君 野田大臣は、震災前の財務金融委員会で、社会保障の分野の中でもより効率的に実施できる分野もあるというふうに思いますと。それについては、十二日に検討本部の会議が、三月十二日のことなんですけれども、この検討本部の会議がございますと。私の方からも社会保障の在り方についてそういう問題提起を是非させていただきたいとおっしゃっていて、この三月の十二日の会議は震災でなくなってしまいまして、私、社会保障の集中会議ですか、における野田大臣の発言大変楽しみにしていたんですけれども、聞けなかったんですね。  その後、五月の二十四日や三十一日の記者会見の中でも、やっぱり野田大臣は社会保障の効率化という問題について言及をされていると。基本的には社会保障は効率化しなければいけないというお考えというふうに考えているんですけれども、具体的に現在の社会保障制度でどういう効率化が必要であるというお考えでしょうか。
  89. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 社会保障の分野においては、維持強化させていく分野と、重点化、効率化していく分野と両方あると思います。そのめり張りを付けることが社会保障改革なんだろうと思うんです。  その重点化、効率化については、今回まとめられた社会保障と税の一体改革の成案では、例えば医療・介護について、急性期入院医療や在宅医療、介護への重点化を図り、不必要な入院期間の縮減、少額医療や市販薬類似品に対する公費の抑制、要介護度の低い者へのサービス見直し等を図ること、年金については、高所得者への支給減額、マクロ経済スライドの見直し、支給開始年齢の引上げの検討に取り組むこと等が盛り込まれているところでございますので、こうした改革を、特に秋以降、それぞれの具体化の話が進んでいくものと承知をしています。
  90. 古川俊治

    ○古川俊治君 これは効率化という言葉をずっとお使いになっていますけれども、実は機能強化のところもございまして、税と社会保障の一体改革では医療費はむしろプラスになるんですね、二〇一五年までですけれども。それはそれでよろしいという御判断ですね。
  91. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 機能強化を図るもの、効率化、重点化を図るもの、その総合的な中でプラスになるというんだったら、それはその数字を踏まえることだろうというふうに思います。
  92. 古川俊治

    ○古川俊治君 もう一つ伺いたいのは、この中で民主党の目玉政策であった税財源による最低保障年金の創設、これは金額が書かれていないんですね。これについてはどういうふうな財源の手当てをされるつもりでしょうか。
  93. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) その抜本改革につながるところは、まさにこの任期中の四年間の間に制度改正を行うというのが基本的なスタンスであります。その制度改正の詰めの議論を今しているところなので、それがまとまっていない分、今回の成案の中にも入っていないということでございます。
  94. 古川俊治

    ○古川俊治君 そうすると、二〇一五年、平成二十七年度はその先ですから、その先においては更に社会保障支出が増えるということになりますね。
  95. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) その制度設計どうするかによっていろいろ流動的だとは思いますけれども、ただ、制度設計しても移行期間がありますので、すぐさまどういう影響が出るかというのはいろいろ勘案しなければいけないと思いますが、将来においてはいろんな変数は当然いろんなことがあると思います。
  96. 古川俊治

    ○古川俊治君 いずれにしても、二〇一五年、これは始まらないんであればその先ですね、その後二〇二〇年までのスタンスの中ではこれ入れなきゃいけないんですよ。そうすると、さらに社会保障費、年金の費用を賄うためには何らかの税財源が必要になってくるわけですよね。  そうすると、先ほども言っていましたけど、今の民主党の出されてきた中期財政フレームにしても、税と社会保障の一体改革にしても、現実性についてどうお考えでしょうか。
  97. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 税と社会保障の一体改革は、社会保障の持続可能性を確保しながら、そして安定財源を確保し、財政健全化の同時達成という目標です。  これはどの政権でも避けて通れないテーマだと思いますので、現実性とおっしゃいましたけれども、実現をしなければいけない、是非とも実現しなければいけないというふうに理解をしています。
  98. 古川俊治

    ○古川俊治君 これは税と社会保障の一体改革の中でしていけばいい議論だと思いますけれども、今後、年末までにおまとめになるというふうに考えていますが、年金制度、全く今のところ、どういうものを本当につくっていくのか、そのために幾ら掛かっていくのか、全く民主党の方で見えていないんですね。どういう御議論が今行われているのか分かりませんけれども、この部分を手当てしない限りは社会保障の本当に基礎的な部分が抜けてしまいますので、しっかりと年末までにお願いをしたいと。  これお約束できますね、新しい年金制度ということですけれども。
  99. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 年金制度の抜本改革はこの年末までではないだろうと思います。宿題というか、大きな宿題でありますけれども、そのスケジュール感ではこれは年末までではないと。その他の部分は年末までの対応、具体的に成案に入っている部分は年末までに制度設計していくということでございます。
  100. 古川俊治

    ○古川俊治君 そうすると、いつまでですか。
  101. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 我々の四年間の任期中という形で承知をしています。
  102. 古川俊治

    ○古川俊治君 じゃ、四年間の任期というお話なので四年間ということで伺いましたけれども、その任期中に必ず果たしていただくと、これをお約束をいただきたいと思っています。  最後に為替の話をしますけれども、先ほど林議員も言いましたが、為替介入というのが本当に効果が上がると言われているのは極めて限定的な場合でしかありませんで、それは一般的には協調介入が行われるような著しくファンダメンタルズから為替状況が隔たっている場合と考えられていまして、実際に三月の協調介入の際には一応の円安に振れたまましばらくの間は保っていたわけですよね。今回、八月四日の単独介入においてはほとんど効果がなかった。先ほど舟山議員もおっしゃっていましたけれども、そういう結果になったわけです。  今回、為替介入についてずっと野田大臣はこのところ御発言をされております。協調介入、やっぱりこれが一番望ましいわけでございまして、これについてどういう努力をされたのか。それから、こういう協調介入が実際に行われる可能性ということについてどうお考えなのか。お願いします。
  103. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 八月八日のG7の声明にもございますとおり、為替市場における行動に関して緊密に協議し、適切に協力をするということで合意をしています。常に連絡を取りながら情報交換はしています。協調介入になるときもあります。緊密に連絡をしながら単独介入になることもあります。  ただ、いずれにしても、今の日本の立場というものをしっかり説明をしながら各国と緊密に連携をしていきたいと思いますし、特に依然として一方的な円高の動きが私は続いていると、偏った動きだというふうに思っていますので、今まで以上にマーケットの動向を注視をし、あらゆる手段を排除することなく適時適切な対応をしていきたいというふうに考えております。
  104. 古川俊治

    ○古川俊治君 だから、協調介入が行われる可能性については高いのか低いのか、それについてどうなんですか。これ行われないとすれば、やっぱり野田大臣の努力が足りないんじゃないでしょうか。
  105. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 介入するしないとか、あるいは協調できるできない可能性、それは今言及する状況ではないというふうに思います。
  106. 古川俊治

    ○古川俊治君 なぜ言及するときではないのでしょうか。
  107. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 緊密に連携を取り合っているということでありまして、介入方針を具体的に申し上げることは様々な影響が出るというふうに思いますので控えたいと思います。
  108. 古川俊治

    ○古川俊治君 介入の可能性をずっとほのめかしているから、このところ警戒で円安に振れているんですね、少し。ですから、先ほど舟山議員言ったように、やるやると言って、そのアナウンスメント効果はありますから、これ実際にやって評価損が増えるよりも、もうここでもう一回やるやると言ってそのままやらない方がこれ得なんじゃないですか。
  109. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) そういうことも含めて、手のうちを申し上げるのは差し控えたいというふうに思います。
  110. 古川俊治

    ○古川俊治君 単独介入を行った場合にはやはり効果はほとんどないというのは過去の例で多く出ていますので、これで円高が落ち着くようであれば私は介入の必要はないんではないかと考えています。その分やっぱりお金の方が大事ではないかと考えていますので。  以上で質問を終わらせていただきます。
  111. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 自由民主党の塚田一郎です。  多分、野田財務大臣には今日が最後の質問の機会になると思いますので、是非明確な御答弁をお願いをしたいというふうに存じます。  最初に、昨月の末に発生しました新潟、福島の豪雨水害に関連をして、公共事業の重要性ということで質問をさせていただきたいと思います。  七月二十七日から三十日にかけて新潟、福島では前線が狭い範囲で停滞をし、一千六ミリという記録的な豪雨になりました。死者が四名、行方不明二名という大変な大きな被害であります。お亡くなりになった皆様には御冥福をお祈りし、被災に遭われた方々にはお見舞いを申し上げたいと存じます。  政府もいち早く御対応いただいて、先週十九日には激甚災害の指定をいただいたということは大変感謝をしております。  実は今回、被害の大きかった新潟県三条市、ここは僅か七年前の平成十六年の七月十三日にも同じような大きな水害に襲われております。したがって、非常に災害の起きるサイクルというものが短くなってきているということを端的に表しているわけであります。  その際にも堤防の決壊があったんですが、その後、国の事業で信濃川の下流あるいは五十嵐川の河川事業が行われた結果、今回はその前回決壊をした場所は、雨量は前回よりも大変大きく増えたにもかかわらず決壊をしないで済んだということで、私はこの河川改修の事業が非常に効果があったということの表れだと思います。  残念ながらほかの場所が決壊をいたしましたけれども、これは今後しっかりと対応していただかなければいけないわけですが、まず、こうした前回の災害以降の河川改修の効果について、国土交通省から御説明いただきたいと思います。
  112. 関克己

    政府参考人(関克己君) お答えを申し上げます。  先生御指摘のように、今回、七月の末に新潟、福島では大規模な豪雨がございました。今回の新潟・福島豪雨におきましては、信濃川の支川でございます五十嵐川流域の笠堀という観測所でございますが、平成十六年の災害に比べまして一・六倍という非常に大きな豪雨がございまして、千六ミリという規模を観測したところでございます。  この五十嵐川を始めといたします信濃川下流域では平成十六年の七月にも大規模な災害を受けておりまして、この災害を受け新潟県そして国におきまして、再度災害の防止を図るべく施設の災害復旧とともに、洪水に対する処理能力を向上させるため、河道の掘削、これは川の底を掘っていく、あるいは堤防を強化していく、遊水地を整備して洪水をため込むなどの整備を平成二十二年までに重点的かつ計画的に実施したところでございます。これらの整備の結果、今回の豪雨では整備した区間においては、まだまだ予断を許さない状況ではあったものの、堤防の決壊を免れ、被害が少なかったものと認識しております。  しかし、信濃川下流域の支川では、四か所で堤防が破堤、決壊あるいは内水被害、これは河川の水位が高いことによりまして水が河川に流れないということによる被害でございますが、こういったものを通じまして、今回においてもやはり大規模な災害が発生していることを踏まえまして、更なる治水対策を進めてまいる所存でございます。
  113. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 ありがとうございます。関局長には、七・一三水害のときにも大変お力をいただきまして、ありがとうございます。  今御説明があったとおり、非常に効果があったことは一方であるんですけれども、まだまだその河川対策というものは十分ではないと、今回もそうした中で決壊をするような場所が出てきた。私も現地を視察をさせていただいたんですが、今御指摘のあった内水被害、これは、集落に水がたまったものが本来であればそこから河川の方に流していかないと、水がたまって集落がこれ水没してしまうんですね。そういうものが吐き出す口がもう水が満杯で水が出せないために集落そのものが水没してしまうと、まさにそういう状況が非常に各地で多発しています。  つまり、支川も含めてこうした河川対策を抜本的に見直していかないと、今後こうした大きな水害が、今申し上げたとおり、僅か七年、百年に一度の大雨と言われていましたが、七年の中でそれだけの大雨が来ているということを考えると、早急にこの抜本的な河川対策をしなければいけないと思うんですが、河川局長、その辺について一言コメントいただけますか。
  114. 関克己

    政府参考人(関克己君) おっしゃるように、いわゆるゲリラ豪雨あるいは集中豪雨というものが最近頻発しております。そういったものに対応するため、計画的かつ重点的に治水対策を今後とも進めてまいる必要があるというふうに考えております。
  115. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 それで、先立つものは予算なんです。やはり、こうしたことというのは年々予算がきっちりと付いて公共事業をやっていかないと、もういつ来るか、来年、今年自体ももうすぐ大雨がまた来る可能性だってあるわけですね。東日本大震災のことは言うに及ばず、やはり公共事業ということの重要性を是非民主党政権の中でももう一度見直していただきたい。今更コンクリートから人などと言う人はいないと思いますけれども。  そういう中で、実は今年度の公共事業費は今五%留保になっています。これを速やかに解除をして必要な対策に講じるべく決断をしていただきたい。財務大臣、いかがでしょうか。
  116. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 国民生活の安全、安心にかかわるような社会資本整備、厳しい財政状況でありますけれども、そういう部分については重点的な配分をしていきたいというふうに思います。  その上で、公共事業の五%抑制措置についてでございますけれども、現時点においては執行の留保を五%させていただいておりますが、これはもちろん被災地の重点化を図るという意味でそういう抑制措置をとらさせていただきましたけれども、今後の執行については、被災地の復旧状況とか、あるいは国民生活の安全、安心の確保に資する景気の観点なども含めて、諸情勢を勘案しながら適切に対応していきたいというふうに考えております。
  117. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 歯切れが良くないですね、財務大臣、今日お話ししたじゃないですか。今日、もうちょっと前向きな御答弁をいただけるものと期待をしているわけですね。  もう、今既に二次補正まで来ているわけです。三次補正も視野に入っています。ですから、本予算についてはもうきちっとそれは解除してお金を出していくという姿勢を示してもらわないと、これなかなか現場でやるべきことがあるのに予算が留保されているままじゃ動けないですよ。もう一歩踏み込んだ答弁してください。
  118. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 何といいますかね、その三次補正の問題も含めて、近々、またこの特例公債の成立がどうかなども含めて、近々の判断になるものと思っております。
  119. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 歯切れが悪いんですがね、財務大臣、代表選に御出馬をされるんですから、ここはずばっとやっぱりリーダーとしての意思を発揮していただきたいと思うんですが。  これに関連をしてですけど、そもそも公共予算が民主党政権になって大幅に削減されているわけですね。ですから、少なくとも自公政権水準まで私は戻す、これを来年度の予算できちっとやっていただきたい。財務大臣がどこまでこれにかかわられるか分かりませんが、総理大臣ということになれば、まさにトップとして英断を下していただかなければならない。  公共事業の予算、これをきちっと確保することについての意気込みをお聞かせください。
  120. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) ちょっと一定の前提は別といたしまして、来年度の予算編成は、通常ですと八月までに各省から要求いただくものを九月末までと一か月の延長をさせていただきました。その要求を踏まえての予算編成の過程で、当然のことながら国土交通省からの御要請を踏まえてしっかり編成をしていくと。  今日も、閣僚懇では大畠国交大臣から公共事業の必要性については熱く語られました。そういうことで要求が出てくるでしょうし、そういうものを踏まえた編成をしっかりやっていきたいというふうに思います。
  121. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 東日本大震災の被災地の方、そしてまた今回の水害の被災地の方、それぞれの地域ではまさにこれから命を守るための公共事業をしっかり政府がやってくれるのかどうかということを注視していますから、それに見合うだけの予算の配置というのをしっかりとやっていただかないと、これは政治的に全くメッセージが出ないということになりますから、その辺は私は覚悟を決めてやっていただきたいということを重ねて申し上げさせていただきたいというふうに存じます。  関さんはどうもありがとうございました。委員長が御了解あれば結構です。
  122. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) では、関局長、退室していただいて結構でございます。
  123. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 それでは、野田大臣に今日は是非ずばりとお答えをいただきたいと思いますが、先ほど、今朝の閣僚懇談会で、総理が総辞職を踏まえて引継ぎや残務について全力を挙げるようにと、事実上退陣を閣僚懇で正式に表明されたわけですね。こういう状況でありますから、いよいよ野田大臣におかれては民主党代表選への出馬ということを御決意をされ、それを表明する時期が来たと思いますが、まず、ずばり代表選に出馬をする、そのおつもりであるのか、明確にお答えをいただきたいと思います。
  124. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) この特例公債法という大変長い間の御心配をいただいた法案の御審議の最終局面でございますし、先ほど来、円高為替お話も出てまいりました。今、私は財務大臣としての職責を全力で果たすということに尽きます。
  125. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 委員会室の外では積極的に御発言をされているようですが、この中ではなかなか言いにくいのかもしれませんが、もう事ここに来て、我々もこの採決について、大臣の答弁を注視しながら、この問題の、この法案の採決ということの最終決断を今迎えるときですから、きちっとした明確な答えをしていただきたいと思うんですが。  大臣は代表選に出馬をされるということは間違いないと思いますが、この間、大連立について大変強く意を持たれているようでありますけれども、大連立を必要だと考える理由、これはどうなんですか。世論は、残念ながら世論調査では大連立の必要性ということは余り高く評価をされていません、一九・七%。与野党の政策連携で十分だというのが六六%ですから、もうこの状況になれば与野党が連携をして政策協議をしていけばいい、大連立をするに及ばないという世論もある中で、なぜ大臣はその大連立ということにこだわるのか、教えてください。
  126. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 大事なことは、当面の復旧復興をまさにオールジャパンで迅速にやっていくこと、これまでも懸命に取り組んできたつもりでありますけれども、その作業を、意思決定を早めにしてみんなで汗をかいて加速化していくということの大事さ。それから、原発事故の収束、これも多くの方の知恵が必要です。加えて、第三次補正予算だけではなくて来年度の予算、関連法案、ここはやっぱりしっかりと腹合わせをしながらお互いに責任を持てる体制が私は望ましいと思いますし、先ほど若干お話しさせていただきましたけれども、世界経済の今のちょっと荒れた動きなどを見ますと、そういうことに対する対応というものも、やっぱりみんなで力を合わせるという場面が必要になってくるんではないかという思いがあります。  もちろん、バリエーション、形態はいろいろあると思います。与党と野党が向き合ってその政策の協議をし、個別の政策協定をするというやり方もあると思います。部分連合もあると思います。閣外協力もあるかもしれません。ただ、展望としては、そういう思いを持ちながらみんなで力を合わせる、そういう体制を、短期間でもいいから私はやらなければいけないときが来ているんではないかという、そういう思いでお話をさせていただきました。
  127. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 まあ非常に聞こえのいい話なんですけれども、裏返せば、与党としての責任を野党にも負ってもらおうという、そういう考えが見えるんですよね。  まず、与党としてどれだけ政策的にも歩み寄るつもりがあるのか、こうしたところがしっかりとなければ、大連立なんというのは、政策協議の前提がなければあり得ませんよ。それに対して民主党がどれだけ覚悟があるかということが定まらなければ、大連立そのものがなされることはあり得ないと私は思います。私は大連立は必要ないと思っていますけれども、例えば今回の子ども手当に対しての政策協議のすぐ直後に、いわゆる民主党の広報紙の中で子ども手当存続しますみたいなビラが作成されているということは、民主党そのものに大連立をするという意思がないということの表れじゃないですか。  そういう中で、野田大臣が大連立を求めていくのなら、むしろ野党に対して協議を申し入れる以前に与党内でそのコンセンサス、特に民主党内で大連立のコンセンサスが得ているかということが前提だと思うんですよ。その覚悟もない、つまりマニフェストも見直すことも含めて聖域なくやるという覚悟がなければ大連立なんてことはあり得ないわけですが、まずそういう意味で党内をきちっとまとめて、マニフェストの見直しも含めてリーダーシップを発揮をする覚悟があるのか、そのことをもう一度お聞きしたいと思います。
  128. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 野党の皆さんと本当に向き合って真剣な議論をして合意形成をしていくという前提は、やっぱり与党の中がきっちりと、物事を決めていく、決めたことはみんなで守っていくという体制をつくることが、これは必要不可欠だと思っております。  私は、どういう立場になっても、そういう民主党をつくっていきたいという気持ちは強く持っております。
  129. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 意気込みは分かるんですけど、大変だと思いますよ。だって、マニフェスト至上主義の方が大変代表選で影響力を持ちそうな気配になってきているわけじゃないですか。前原前外務大臣も代表選への出馬を、意思を示されたわけですから、大変大勢の方が今回この代表選に出馬をされると。そうすると、影響力のある方に非常に擦り寄った形の代表選になるんではないか。既に、小沢氏の支持を得たいがために小沢氏の党内の処分の見直しをするということを代表選の争点にする候補者まで出ているという、私から言わせれば大変情けない状況なわけですね。そういう中で、今のマニフェストの見直しも含めてどれだけ大臣ができるかということには非常に疑問視があるんですよ。  そこでお伺いをしたいんですが、まさか野田大臣も、特定の方の支持を得たいがためにこういう小沢氏の処分の見直しみたいなことを代表選の争点にされる気はないんでしょうね。
  130. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 随分、幾つかの前提がありますので、お話ししにくいんです。特に、ほかの方がどう言っているかとか、ほかの方が何を言っているかについては、それはもうその方の自由なのでと思いますが、いずれにしても、この代表選が始まったときの争点は、基本的にはしっかりとした政策論争であって、勝った方の下にみんなが従っていくという政治文化をつくることが大事だと思います。
  131. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 いや、でも、それは本当にそうあってくれればいいんですが、そうじゃない雰囲気が既に出ているわけですから、そういうことで代表選が左右されるようでは、もう全く国民不在と言わざるを得ないわけで、しっかりとした政策論争をやっていただきたい。野田大臣はその意味では御自身の政策的な方向性はあると思います、ほかの候補よりは。ただ、それが実際に支持を得るかどうかということは、これは党内のこれからの情勢だと思いますけれども、だからといって数を頼りに変な方向に流れないように、しっかりとした対応をして毅然とした戦いをしていただきたいということを私から要望させていただきます。  残り時間も限られてまいりましたので、円高対策についてお伺いをしたいと存じますが、先ほど来、緊密に関係国と、欧米と連携をしてやっていくんだということを強調されています。ところが、八月四日の介入後に、欧州中銀のトリシエ総裁は日本の単独介入に批判的な発言を行っています。これは全く緊密な連携ができていないことの証左だと思うんですが、言っていることと実態が違うじゃないですか、大臣。これ本当に緊密な連携が行われていたのであれば、少なくとも批判的な発言が欧州から、いわゆる欧州中銀の総裁から出てくることはないと思うんですが、どうなんですか。
  132. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 緊密な意見交換、情報交換はしています。日本の立場は強く説明をしました。そういう各国それぞれのコメントはどうだったかは控えたいというふうに思います。
  133. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 ということは、連携はお願いしたけれども拒否されたということじゃないですか、こういうコメントが出るということは。協調されていない。マーケットは、市場は、こういう発言が出ると日本は単独でやっていて欧米とはきちっとした連携が取れていないと見るんです。したがって、今後協調介入の可能性が低いと見れば、当然また投機的な動きが出てくるわけですよ。  だから、介入を単独ですることも大事かもしれませんが、こうしたときに関係各国からどういうコメントが出るかというところまで含めて大臣がきちっとやっていかないと、せっかくの介入四兆円をしたところで効果がなくなってしまう。もうずっと私はこの介入の問題も含めて財務省の対応について申し上げているんですが、これじゃ問題だと思いますよ。もう少しきちっとした覚悟でやってもらわないといけないと思いますが、いかがですか。
  134. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 介入するときは相当な覚悟でいつもやっているつもりです。先ほどの評価損のお話もありました。私が責任者でありますので、それは厳しい政治判断の下で判断をしてまいりました。当然のことながら、関係各国との連携というか情報交換は緊密にやってきております。それが調って三月のように協調介入という形で連帯を示せたときもあります。  そうじゃなくても、いろいろコメントはあったとしても、きちっとそれぞれ日本の立場は説明をしながら、単独でも断固たる場面をやらなければいけないときもあります。今の状況は、まさにこのマーケットの状況が、まだ一方的に偏った動きが見られますので、あらゆる手段を排除することなくこれからも対応していきたいというふうに思います。ただ、その際にはきちっと各国とは、協力を求める、あるいは情報交換をするという姿勢は常にやっていきたいというふうに思います。
  135. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 もう一つ指摘しなければいけないのは、ドル・円最高値の局面で、財務省の中尾財務官の発言が非常にマーケットに悪い、悪いというか、日本にとってはですね、影響を与えたという報道があります。財務官がウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューに答えて、頻繁に為替介入をする計画はない、介入を日常の道具としないということをおっしゃったと。  これは一般的にそう言ったのかもしれないですが、悪いタイミングで、悪いというか間違った、誤解を招くようなことを言うこと自体が相場には影響があるということは、これはもうイロハのイでありまして、この時期にそんな誤解を招くような発言をされたこと自体が私は不適切だと思いますが、財務大臣、そう思われませんか。
  136. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 一部に塚田委員指摘のような報道があることは承知をしております。  改めてちょっと確認をいたしましたけれども、財務官の発言は、最近の円高経済ファンダメンタルズを反映しておらず、投機的な動きが背後にあるということ、それから、必要であれば適切な措置を講ずるという基本的な姿勢を述べているんですね。一方で、変動相場制度を取っている我が国として、為替を一定の水準に維持するために日常的、継続的に介入しているものではないという、ある意味変動相場制を取っている国としての当然の立場を一般論で言ったことが、そこがちょっと切り取られたんだろうというふうに思いますが、いずれにしても、多くの方が注視をしている、そういう状況の中で発言、今日もちょっとなかなか、言葉を相当選ばなければいけないと思っていますけれども、関係者、特にそういう枢要な立場の人の発言というのは十分注意深くやっていくべきだというふうに思います。
  137. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 いや、本当に、まさにこの状況というのは、今非常に円高に振れやすいときですから、余計なことは言わない、必要なことは言うということをきちっと財務大臣始め皆さんが意識をしていただかないと、もう、ちょっとした材料を市場は求めているわけですね。  間もなくバーナンキの次の要するにコメントが出てくる、二十六日の午前中になるのかな、日本時間だと思いますが、このタイミング、また次狙われます、間違いなく。それに向けて財務省としてどういうふうな覚悟を持って対応する準備をしているのか、この辺りのところが私は非常にポイントに次なってくる。今週、あと数日のうちに来るわけですけれども、様々な政策のパッケージとして総力を挙げて円高を阻止すると大臣はおっしゃっていますが、その様々なパッケージ、介入は分かります、金融緩和も含めてでしょう。アメリカがあれだけやるんですから、日本ももっと大胆な金融緩和をすべきだと思いますが、どの辺の具体性を持って準備をしているのか、お聞かせ願いたいと思います。
  138. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 諸外国の動向をよく注意深く見ながら、それを踏まえて政府としての取組、できること、それから、日本銀行が日本経済を下支えするという意味金融面でできること、そういうものを整理をしながら、それこそ日本銀行とは緊密に連携をして対応していきたいと思いますけれども、政府の取組も、これは別に介入以外にも様々なものがあると思っております。そういうものを早急にまとめて講じていきたいと思います。
  139. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 早急にまとめるほど時間はないと思います。是非瞬時に動ける状況をつくっていただきたい。  代表選がまさに始まろうとしているころに次の動きが出てくる可能性がありますから、政治的空白と言われることのないようにしっかりとやっていただきたいということを最後に御要望して、今日の質問を終わります。  ありがとうございました。
  140. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 まず、赤字国債発行法案について財務大臣お尋ねをいたします。  本法律案は、今年度の特例公債発行するための根拠法でありまして、これが成立をしませんと歳入の四割を占める三十六兆九千八百八十億円もの特例公債発行ができなくなることは言うまでもありません。  大臣は、記者会見あるいは国会の答弁等で、この特例公債法が成立をしなければいよいよ九月になって十月からは大変な事態になると累次にわたっておっしゃっているわけでありますが、私は、しかしここまでこの特例公債法の成立が、まあまだ成立はしておりませんけれども、ずれ込んだのもひとえに政府責任である、このようにまず指摘をいたします。  よく予算関連法案という言い方がありますけど、何か予算がメーンで法律がその従であるような、そういう言葉の響きもありますが、しかしこれは、あくまでも法律の範囲内でしか予算執行できないということはもう言うまでもない自明の理であります。しかも、ねじれ国会、野党が賛成をしなければ法律は成立をしないわけでありますから、私は、もう既に昨年の予算編成の段階で野党の賛成をどう取り付けるのかということを考えて編成をしなければいけなかったわけですね。  我々は、各党それはニュアンスの違いはありますけれども、財源のない大盤振る舞いは駄目だ、もう言い続けてきたわけでありますから、その点に対して、もう予算編成の段階で、今回の三党協議を待つまでもなく政府として対応しなければならなかったと思いますし、あるいは三月十一日の東日本大震災、まさにこの事態を受けて歳出の見直しということが大きな潮流になったわけでありますので、その時点でもやはり政府として対応すべき点はあったと思うんですね。  それをしないで、六月、七月の段階になって、もういよいよ九月になって、九月以降は大変なことになると言われても、我々は、分かりました、協力をしましょうと言うわけにはいかないわけでありまして、ひとえにここまでずれ込んだのは政府責任であるという、財務省の責任である、そういう自覚といいますか、反省は大臣として持っていらっしゃるんですか。
  141. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 荒木委員指摘のとおり、本来ならば予算と関連法案が一体となって成立をして円滑に平成二十三年度の予算が進められる、推進できるということを望んでおりましたけれども、御指摘のとおり、まずは私は、政府として御説明を申し上げながらも、この国会も含めて御説明申し上げながらも、やっぱり野党の皆さんと向き合って、どういう形でその御意見を踏まえて対応していくかというところの取組において反省点があったと思います。深く反省をしています。  だからこそ来年度の予算においても、あるいは関連法案の問題においても、今年と同じようなことになってはいけないなと強く思っていますので、その意味では、野党の皆さんと虚心坦懐に意見交換をしながら、来年度の予算と関連法案についても、今回の反省を踏まえた、しっかり反省を生かした対応をしていかなければいけないと思います。  いずれにしても、特例公債法案、先ほど来申し上げたとおり、大変重要な法案でございますので、こういう形で御審議いただいていること、委員長始め皆様の御協力に改めて心から感謝申し上げたいと思います。
  142. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 民主党の新代表、どなたになるのかは分かりませんが、いずれにしましても民主党政権は続くわけですね。大臣おっしゃったように、今回の反省は生かさなきゃいけないわけで、では、来年度の予算編成なりに当たって、具体的にどう野党とのそういう意見交換といいますか、そういう場を持っていくんですか。
  143. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) これ、具体的なやり方はむしろ新体制でのやり方になるだろうと思うので、余り私が先走ったお話をすることはできませんけれども、ただ、少なくとも当面のスケジュール感でいうと、第三次補正予算、これについてしっかり議論してまとめていかなければなりません。復興を含め、経済対策の要素も入るかもしれません。これは与野党がしっかり合意をして速やかに成立させる必要があります。  加えて、来年度の予算も、復興を意識したもの、経済を意識したもの等々の大事な予算になると思います。加えて、先ほど林委員とのやり取りのあったとおり、いわゆる歳出の大枠を決めながら国債発行の枠を決めながらという中期財政フレームに基づいた予算編成をする上で、その中でどうやってめり張りを付かせるかということも、これも与野党が向き合ってしっかり議論していかないと、また来年の春にこじれて、もつれてということになってはいけないというふうに思っておりますので、その辺は丁寧に、どういう体制になっても丁寧に、やっぱり野党の皆さんの御意見も踏まえての対応が必要になってくると思います。
  144. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 第三次補正予算、そして二十四年度予算も並行して編成していくことになるわけですけど、来年度予算の編成に当たっての野党とのそういう意見交換というのは、今のスケジュール感でいいますと、そういうもう概算要求の段階からそうしたことを考えていくわけですか。
  145. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 概算要求自体は、先ほどの塚田委員に御説明をさせていただいたとおり、九月末までに要求を出していただくことになります。ただ、ちょっと今こういう政治的には移行期にありますので、いわゆる事務的、機械的なものを既に各省から準備をしていただいて、新しい体制ができたときの九月の中旬に、いわゆる予算の性格付け、めり張り、重点は何なのか、柱は何なのかといういわゆる政治判断を九月の中旬にした上で、その上で更なる要求をしてもらうと、それが九月末という締切りでございます。  その上で、まずそういう実務的な作業をした後に、編成段階においてはやっぱり野党の皆さんともしっかり協議をしていくということが大事になってくるだろうと思います。
  146. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、本法律案は四月二十八日に内閣修正が行われました。これは、その理由は、二十三年度一次補正予算財源に充てるため、基礎年金国庫負担割合を二分の一に維持するための臨時財源二兆五千億円を流用したことに基づくわけであります。最終的に、これは三党合意の中で流用したものは復興債で対応するということになったわけですから、今年度の二分の一を維持するための財源については手当てができると思われます。  ところが、来年度以降もこの三分の一から二分の一に国庫負担を引き上げる財源の措置が必要なわけでありまして、まさか来年度も復興債で充てるというわけにはいかないわけでありますので、いよいよもって、これもきちんと恒久財源を見出さなければいけないというもうタイムリミットに来ているわけですけれども、この点は政府としてはどういう今方針を持っているんですか。
  147. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 御指摘のとおり、年金法では、年金国庫負担二分の一の恒久化をするための財源には税制抜本改革により確保される安定財源を充てるということになっております。したがって、二十三年度基礎年金国庫負担をめぐる経緯を踏まえても、年金財政の信頼をしっかりと確保していくためには、この税制抜本改革による安定財源確保をすることが不可欠であり、そのためにも社会保障と税の一体改革の実現に全力を尽くしていきたいというふうに思います。    〔委員長退席、理事大久保勉君着席〕
  148. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そうしますと、来年の通常国会に税制の抜本改革の法案を出すと、こういうことなんですか。
  149. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) この秋に社会保障と税の一体改革の具体的な制度設計の詰めを行っていきます。これも、当然のことながら与野党の協議が必要であります。それを踏まえて、附則の百四条に基づいて来年の通常国会法案を提出をするというのが基本的な考え方でございます。
  150. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、本法案第二条第四項では、本法律案に基づいて発行される特例公債につきまして、政府はその速やかな減債に努めるものとすると規定をしております。これは、毎年のいわゆる公債特例法で設けられているものでありまして、もちろん政権前の法律にもこれがあったわけであります。ただ、政権交代前、例えばその当時の谷垣財務大臣は、この法案について問われた中で、特例公債発行及び残高の縮減に直ちにつなげることは困難である、率直に認めつつも、財政健全化の道筋を示していくことが重要である、こういう答弁を本会議でしているわけですね。  もう毎年毎年続いてしまいまして、何か余りもう政治的な意味合いが薄れてしまった気もするわけでありますけれども、しかし、改めて新政権の下での第二条第四項でありますので、政府としてはこの規定の意味、速やかに減債に努めるというこの規定の意味をどうとらえて、どうこれを実現をするように取り組んでいく方針なのか、見解を尋ねます。
  151. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 特例公債は、当面六十年償還ルールにより償還することを基本とする方針とされておりますので、世代間の負担の公平の観点からできるだけ速やかに償還する必要があり、特例公債法、委員指摘の第二条第四項の規定はこうした趣旨に基づくものであります。  民主党政権においては、深刻な財政状況を踏まえて、財政健全化の道筋を示すことが重要との認識の下で昨年の六月に財政運営戦略を策定し、建設国債あるいは特例公債の区別にかかわらず二〇一五年度までに基礎的財政収支の赤字を対GDP比二〇一〇年度比で半減をする、二〇二〇年度までに黒字化するとの目標を掲げ、財政健全化に取り組んでまいりました。今後も、財政健全化については、歳出歳入両面にわたる取組により財政全般を考慮しながら着実に推進をしていきたいと考えております。
  152. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そこで、先ほどから議論になっております、二〇二〇年度には基礎的財政収支を黒字化するという目標について尋ねます。  これは昨年六月に閣議決定しました財政運営戦略の中で明定されているわけでありまして、これが政府また与党の方針であるということは承知をしておりますが、しかしどうこれを実現をするかという手だてといいますか手段が全くよく分からないわけですね。  現に、本年八月十二日に内閣府が示しました経済財政の中長期試算を見ますと、これも先ほどから議論になっておりますように、二〇一〇年代半ばまでに消費税率を一〇%引き上げるということを前提にしましてもこの二〇二〇年度黒字化という目標には遠く及ばないという、ですから、目標は示されたんですけれども、どう政府がこれを実現をしていくかというのが先ほどの議論を聞いておっても全く明らかでありませんし、どう手を打つのか、これも野党との協議に任せるというそんな対応なのか、政府対応が全くはっきりしないわけですけれども。二〇一五年度までに段階的に上げたとしても達成できないわけですから、どう今の政権の下でこの健全化目標を達成するんですか。
  153. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) まずは二〇一五年度に基礎的財政収支対GDP比赤字半減ということは、これは税と社会保障の一体改革も含めて、歳入歳出の両面の見直しを引き続きやりながら中期財政フレーム、ローリングをさせながらしっかりと確実に目標達成をしていきたいと思います。  ただ、その上で、その先の二〇二〇年の黒字化するための、そしてそれ以降の債務を縮減をしていくというためのまだシナリオが固まっていません。まずは、二〇一五年度までの目標達成するとともに二〇二〇年のゴールも目指して、引き続き歳出歳入両面にわたる改革が必要だというふうに思います。
  154. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 その歳入の改革について言いますと、まずは二〇一五年、プライマリーバランスの半減というのが当面の目標だということは、その答弁は承知しました。そうしますと、先ほどの内閣府の仮置きの数字によりましても、二〇一三年度後半には二%消費税増税するという話になっているわけですから、もしそれを前提にすると、もう来年の国会には何らかのそういう法律を出さなきゃいけないということになるわけですけれども、そういう政府方針なんですか。
  155. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 先ほどの内閣府のやつはまさに仮置きなんで、段階的に二〇一〇年代半ばまでに国、地方合わせて消費税一〇%というのがいわゆる成案の中身であります。    〔理事大久保勉君退席、委員長着席〕  したがって、バリエーションはいろいろあると思いますけれども、実際にこうしたいわゆる税制の抜本改革の議論をして、秋に制度設計をして附則百四条に基づいて通常国会に法律を出す、その実施時期はどうするかということも大事な観点であると思いますので、しっかり議論を詰めていきたいというふうに思います。
  156. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 いずれにしましても、二〇一五年、二〇一〇年代半ばの増税に向けて来年の通常国会には何らかの法案を出す準備をするということですね。
  157. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) そのとおりでございます。
  158. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 それで、そうしますと二〇一〇年代半ば以降といいますか、二〇二〇年度に向けての、最終目標の達成に向けてのまだシナリオがないようなんですけれども、大臣としては、しかし財政に責任を持つ立場から何らかのお考えというのはないんですか。いずれにしても今言った法律の措置だけでは二〇二〇年度黒字化の目標は達成できないわけですから、第二弾、第三弾の手を打たなきゃいけないわけですので、そういう、どう再建するのか、お考えというのはないんですか。
  159. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) まずは、社会保障と税の一体改革の成案、そこには経済の好転状況であるとか行革の取組とかいろんな検討すべき項目があります。それを踏まえながらも、先送りできない財政健全化と社会保障の安定財源確保、この一里塚かもしれません。二〇二〇年までのゴールを見るとまだ一里塚かもしれませんが、大事な一里塚なので、そこをまず踏み外さないように進めることということが大事だと思っております。その後の議論も真摯に行っていくべきだと思います。
  160. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 財政再建の必要性はもう誰もが認めますけれども、国民としては増税の話ばかりされたのではもうたまらないといいますか、立つ瀬がありませんですね。  そういう意味で、私は本当に、これも先ほど来の議論でありますけれども、もうマニフェストの見直しというのは、民主党のマニフェストの見直しというのは急務である、このように痛感をしております。繰り返しになりますけれども、財源がないのに支出をしてはいけないということです。  それで、先ほど大臣は、この四年間の、マニフェストの想定している四年間の折り返し地点に来たんだからそういう検証をする時期に来ているという、そういう趣旨の答弁だったわけですけれども、しかし、我々が承知している中では、民主党全体としてマニフェストを見直すというコンセンサスは全くない、検証するというコンセンサスもないような気がしますけれども、これは党全体として、もう折り返し地点に来たんだから二〇〇九年の総選挙のマニフェストは見直し、検証をしようという、そういう段取りになっているんでしょうか。
  161. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) ちょうど今過渡期の状況でありますけれども、元々が党の執行部においては、震災前からでありますけれども、ちょうど四年間の任期の折り返し点、まさにその九月までの間にはマニフェストのいわゆる検証、総括をしていくという方針があったと思いますし、その検証チームが私はできていたというふうに認識をしています。  その上で、今回の様々な予算法案審議を促進をするために三党合意などを踏まえて主要事項についてのいわゆる見直しも具体的に合意をされました。そういうものを踏まえての真摯な対応をこれからやっていくということだと思います。
  162. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そうしますと、そのチームがあるわけですから、九月末までには、もうあと一月しかないわけですけれども、一定のマニフェストの検証、見直しの結果というのは与党、民主党から発表になると、こういう理解でいいんですか。
  163. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 新しい体制がどうなるか分かりませんので、そこまで確たることを私の立場で今申し上げられる段階ではありませんけれども、ただ、一般論で言いましても、ドイツでもイギリスでも、やっぱり一度お約束したマニフェストでも、一年、二年しっかり検証するということはやっておられます。  私は、むしろブラッシュアップする意味でも、あるいは現実に対応する意味でも、検証ということは常に必要ではないかというふうに思います。
  164. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 検証なんですけれども、これも先ほど来議論になっておりますが、そもそも二〇〇九年のマニフェストでは、二百七兆円の国の総予算のうち九・一兆円についてはいわゆる不要不急の事業の見直し等で捻出するんだと、埋蔵金とかそういうものは別としてですよ、こういう話であったわけですね。到底もうそれは守れる段階ではないわけですから、検証とかブラッシュアップというより、やはり歳出削減という観点からのもう大胆な見直しをしなければいけないということについて、与党の幹部の一人でもある野田大臣に再度私は確認したいと思います。
  165. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 恐縮ですが、与党の幹部ではないものですから党の執行部の御意見を全部押さえているかどうかは別として、私の方は政府の立場でございますけれども、いずれにしても、今回の三党合意で、累次の三党合意の中で、歳出削減を行っていく中で、子ども手当とか高速道路の無料化あるいは農家の戸別所得補償、高校無償化について、それぞれいろんな文書がありますけれども、その効果を検証しながら見直すとか、あるいは高速道路の無料化についてはもう既に第一次補正の財源にさせていただきましたし、来年度も同様の形を取ることになっています。子ども手当についてもまさに今合意ができて、そして見直しがされたということでございますので、こういうことをしっかり、党の決めた公党間の信頼にかかわることなので、それを踏まえた対応をしっかり政府はしていくという立場でございます。
  166. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、閣議決定されました財政運営戦略では、財政健全化は国、地方が相協力しつつ行う、国は地方の自律性を損ない、地方に負担を転嫁するような施策は行わない、とされております。まさに財政健全化に当たっては地方に負担を転嫁しない、迷惑を掛けないという点が非常に重要であると考えますけれども、この点について財務大臣方針を伺います。
  167. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 御指摘の点は、閣議決定された財政運営戦略において財政運営の基本ルールの一つとして明記をされているものでございますので、閣議決定をされているというルールでございます。したがって、政府としては、財政の健全化に向けて地方と相協力しつつ、地方財政の安定的な運営のための基本ルールを遵守してまいりたいと思います。
  168. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、円高対策、特に中小企業対策についてお尋ねをいたします。  急激な円高に対しまして、八月四日に政府は円売りドル買いの介入を実施をしましたし、財務大臣を始めとする関係大臣からこの円高に対する、円高対策についての発言は相次いでおります。  公明党も先週、円高についての緊急対策を発表したところですけれども、どうもまた、もう代表選をめぐるそうしたことに頭が行ってしまっているのか、政府の、政府といいますか、政府・与党のこの円高についての対策、対応はスピード感がないと、このように思わざるを得ません。  そこで、この予備費の活用、既に成立をした補正予算、また年度予算の予備費の活用、更には第三次補正予算に大型の中小企業対策を盛り込む等でしっかりした円高対策をしてもらいたい、このように考えます。この点についての見解を尋ねます。特に、第三次補正でどの程度の規模の、どの程度の内容の円高対策、中小企業対策、空洞化阻止対策を今いろいろ考えているのか、お尋ねします。
  169. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) まず、現時点で予備費使用の必要性については、まあ幹事長はちょっと御発言をされておりますけれども、確定的なことは、申し上げることは今現時点ではできませんが、過度な円高とかそれに伴う日本経済に対する影響、すぐに対応しなければいけないというときには予備費の活用も視野に入れていきたいと思います。  第三次補正については、復興の基本方針に基づき復興対策に掛かる経費を計上するのが基本でありますけれども、この基本方針の中で空洞化対策やあるいは輸出企業支援策が幅広く盛り込まれているところでございますので、こうした政策を着実に実施することが円高対策にも資するものと認識をしています。  規模とか内容のお話ございましたけれども、これはまさに今各省から様々な御要請、御要求をいただくものを踏まえて対応していきたいと思います。したがって、今規模とかはまだ現時点では申し上げられる段階ではございません。
  170. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、総務大臣にもおいでをいただいておりますので、財務大臣とともにお尋ねをいたします。それは、話は変わりますけれども、真の地方分権に向けての地方の安定的な財源確保の問題であります。  本年四月に地方主権関連三法が成立をしまして、国と地方の協議の場が法制化をされ、既に二回ほどそうした会議が持たれていると、このように承知をしております。第一回目の会議の概要については公表されておりますので読みましたけれども、なかなか地方の関係者は中央政府に対して厳しい意見を持っているということがよく分かりました。  そこで、私は、安定的な地方財源の確保についての内閣の取組について見解を尋ねます。  子ども手当の見直しにつきましても地方との協議をしながら進めるということが三党合意の中にはうたわれているところでありますし、社会保障と税の一体改革についても国と地方が対等の立場に立って協議をしていく必要があります。第一回目の議事録を見ておりますと、社会保障と税の一体改革という割には地方が単独事業でやっている福祉政策については視野に入っていないじゃないか、こういう批判があったりしております。  そこで、総務大臣に、この安定的な税源確保に向けて、地方財源の確保に向けてどう取り組むのか、まず見解をお尋ねいたします。
  171. 鈴木克昌

    ○副大臣(鈴木克昌君) 御案内のように、国と地方の協議の場、第一回が六月、そして第二回が八月十二日に行われたところでございます。この法律によって、やはり地方の皆さんの意見というのは真摯に政府に、そして私どもに届いてくるということでありますが、もちろん課題はたくさんございます。  やっぱり今委員指摘財源の問題というのは非常に大きな問題でございまして、現在、歳入に占めるいわゆる地方税のウエートというのはおよそ四割ということでございます。これでいわゆる地方が必要な財源の調達ができておるのかということになりますと、決して十分な状況ではないと、このように考えております。  そこで、税源移譲を含めたいわゆる税源配分の見直しというのはやはり必要でありまして、偏在性の少ない地方税体系の構築というものが急がれておるところでございます。  私どもは、地方の声を真摯に受け止めて、そして、いわゆる交付税も含めて、これは、地域間格差を解消するにはやはり交付税というのはどうしても必要でございます。その交付税の財源もしっかりと確保をする、そういうことも踏まえて、地方の担う役割の重要さをしっかりと強調をし、また財源的にも確保をしてまいりたい、このように思っております。  取りあえず以上であります。
  172. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 具体的に一つ提案をしたいんですが、今回の子ども手当の見直しにも関連するわけですけれども、年少扶養控除の見直しに伴って地方は増収となっているわけですね。これは所得税の地方に回る分と住民税、両方を合わせますと、本年度、二十三年度は二千億円の増収になっておりますが、これはどうも昨年の関係大臣の協議によって、地方財政措置等で調整ということで、結局、何といいますか、上納、取られちゃったんですね。二十四年度はこれが六千二百億円に増えます。二十五年度は六千九百億円に増えるわけでして、これは私は、全部あるいは一部はきちんとこれはせっかくの地方財源として確保するべきであると。  先ほども言いましたように、地方は地方で様々な単独事業として福祉政策をやっているわけですね。現物給付的なそういう様々な政策もやっているわけでありますので、この年少扶養控除の見直しに伴う地方の増収分については、きちんと地方の財源として来年度以降は手当てをすべきであると、このように考えますが、これは総務大臣とともに財務大臣にもこの点についての考え方をただしたいと思います。
  173. 鈴木克昌

    ○副大臣(鈴木克昌君) 年少扶養控除の廃止につきましては、控除から手当へという基本的な流れの中、考え方の中で廃止をされたということであります。  今委員指摘のように、現在、その財源といいますか額は地方に回っておるということではありません。これはやはり地方からの要望も非常に強うございまして、いわゆる二十四年度以降の見直しにつきましては、増収分の具体的な取扱いについて私どもも地方の声を受けてしっかりとお願いをしていきたいというふうに思います。幸いにして、横に財務大臣お見えでございますので、この際、私からも是非お願いをしたいというふうに思っております。
  174. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 来年度以降の子供に対する手当については、今回の三党合意に沿って予算編成過程の中で検討を進めていくことになりますけれども、その中では、地方の関係者の御理解を得るべく、最大限の努力をしていく必要があると考えております。  また、控除から手当へとの考え方に基づいて、現在の子ども手当は扶養控除見直しによる国、地方の増収分を主な財源としており、それを前提としながら、来年度以降の手当の財源について地方の関係者とも十分に議論しながら検討を進めてまいりたいと思います。
  175. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 よろしくお願いいたします。しっかりと我々も主張したいと思っております。  児童手当の拡充をするわけでありまして、児童手当には当然地方の負担分があります。そして、控除から手当へという話でして、子供に対するこの児童手当だけじゃなくて、医療費の無料化でありますとか、様々地方は単独事業として子供に係る手当てをしているわけですよね。私は、そういう財源としてこれは十分地方の財源とすることに合理性はあると思いますので、どうぞ地方の意見を十分に聞いて来年度の取扱いを決めてもらいたいと思います。  次に、特別交付税の積み増しについて要望したいと思います。  二十三年度一次補正では、特別交付税が一千二百億円増額されました。これは東日本大震災に係る財政需要増に対応するためでありますけれども、しかし、まだまだ不十分という意見も被災県から聞いております。  そこで、第三次補正予算対応も含めて、特別交付税の更なる積み増しについては、政府としてはどういう考えでおるのか、お尋ねいたします。
  176. 鈴木克昌

    ○副大臣(鈴木克昌君) 東日本大震災、まさにこれは未曽有の大災害ということでありまして、地方の負担というのは非常に大きくなってきております。  御案内のように、今委員指摘でありますが、第一次補正で地方交付税の総額に千二百億円を加算をさせていただいたというところであります。そして、二次補正で平成二十二年度の国税決算に伴う剰余金の法定率分として地方交付税が五千四百五十五億円増額をされたところでありまして、その中から四千五百七十一億円を特別交付税の総額に加算をさせていただいております。これによって、二十三年度の特別交付税は一兆六千百九十五億円ということで、前の年に比べて五七%増ということになっております。  これで十分なのかということでありますが、当面はこの五七%増というのは私どもにとっては非常に大きな増額であるというふうに思っております。今後、財政需要等々いろいろ考えて、またしっかりと対処させていただきたいというふうに思っております。
  177. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 関連しまして、今後の税収減による地方交付税減少の回避の手法についてお尋ねいたします。  一次補正、二次補正では税収見積りは補正されず、震災前に見積もられた税収四十兆九千億円の水準が維持されております。ところが、これはまだ不確定ではありますけれども、報道では、震災の影響により法人税など大半の税目で見積りを下回る公算が大きく、今後数兆円規模税収が減額になる公算が大きいという報道もされております。  もし、所得税、法人税等のいわゆる国税五税の税収減となれば地方交付税も減額されてしまうわけでありますが、未曽有の大災害に直面をした各自治体の財政面を支えるというこの地方交付税の意義から考えますと、もしそうなった場合にも地方交付税は減らないように、特に被災地についてはそういう配慮がなされますように必要な対応をすべきであると考えますが、いかがですか。
  178. 鈴木克昌

    ○副大臣(鈴木克昌君) 今御指摘の、今後、仮に地方交付税の原資でありますいわゆる国税五税が減収が生じるというような状況になった場合には、これは非常に地方の財政運営について大きな影響が出てまいります。  したがって、そのようなことのないように、第二次補正予算後の地方交付税総額を確保するということはもとよりでありますけれども、今後のいわゆる所要額を確保するために特別措置を講じることも含めてしっかりと検討をしてまいりたいというふうに思っております。
  179. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 本日は以上で終わらさせていただきます。
  180. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) それでは、午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時三十三分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  181. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成二十三年度における公債発行特例に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  182. 中西健治

    中西健治君 みんなの党の中西健治です。  まずは、増税に対するスタンスについてお伺いしたいと思います。  野田財務大臣は、八月十四日のNHKの討論番組で、東日本大震災の復興財源を賄うための臨時増税の実施時期について、政府日銀、国際機関、民間シンクタンクも来年は三%近い成長が可能と見ている、そういう基本シナリオどおりにかじ取りしていくことが必要で、税制措置の環境整備をすると述べられました。これにつきまして、復興需要に伴う経済成長が見込める来年度中の増税実施を示唆した発言だとの報道もありました。  来年、比較的高い成長が見込めるというのは今年の落ち込みの反動にすぎず、成長率が一時的に良くなったから増税というのでは、国内景気回復を確実にする観点からも、また世界的同時不況に立ち向かう観点からも合理性を欠くのではないかと思いますが、財務大臣認識をまずお伺いしたいと思います。
  183. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 先日の日曜討論の私の発言を引用されましたけれども、まず正確に申し上げますと、当然のことながら経済情勢を勘案しながら、余りにも経済が冷え込んでいるときには増税というのはそれは避けるべきだと思います。ただいま基本シナリオということで今御指摘ありましたけれども、今年はこういう震災があったので政府経済見通しだと実質GDP〇・五%成長だろうと、政府日銀も国際機関も民間の機関も大体来年は三%近い成長が可能ではないかという、いわゆる基本シナリオの説明はしております。そういう基本シナリオどおりにまずはかじ取りしていくことが必要であって、それはやっぱり税制措置ができる環境整備をまず我々はやらなければいけない、そういう考えを示しました。  その後のまだやり取りがあって、司会者の方からは、そうするとまだ半年後とも一年後とも言えないわけですかというお言葉があります。それを踏まえて、まだ言えませんねと、それはまさにその時期の問題を含めてこれから検討をすることになりますと申し上げているので、具体的な時期を私が明示した、示唆をしたということではございません。
  184. 中西健治

    中西健治君 時期の方は言えませんということだったということですが、前原前外相は民放のテレビ番組で、復興と言いながら増税するのは日本の景気のみならず世界の潮流から反するのではないか、一、二年は極めて慎重であるべきだと述べております。要するに、一、二年はしないということを言っているわけですが、時期について未定というのとはちょっと違うかなと思いますが、これについての感想はいかがでしょうか。
  185. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 復旧復興財源については、次の世代に負担を先送りすることなく、今を生きる世代全体で連帯して負担を分かち合うことが未来への責任であると、これは基本的な考え方であります。その際に、その財源づくりについては、今党の中でも歳出の削減とか特会の見直しとか税外収入の確保とか様々な、公務員人件費の見直しとかやっております。そこでどれぐらい財源が出てくるのか。そこで足りないところはやはり復興債を発行することによってその償還の道筋を明らかにする中で、やっぱり時限的な税制措置、これは避けて通れないと思いますけれども、前原氏のお考えは、よく詳細には分かりませんけれども、当面一、二年はやらないというお考えだと思います。  実施時期の問題も含めて、あるいはどの税目をどうするのか、年度ごとの規模をどうするかというのはまさに今政府税調の中の作業部会で検討していまして、検討したものも複数の選択肢を提示をすることになっていますので、今そういう段階であるということでございまして、いろんな御意見があることは承知をしております。
  186. 中西健治

    中西健治君 野田財務大臣は、最近の発言としましては増税の時期について柔軟に対応することが必要ということをおっしゃられて、先ほどタイミングはまだ決まっていないということ、基本的には同じことなんだろうと思いますけれども、ただ報道によりますと軌道修正が図られているというようなことを言われたりしてしまっています。それは、野田財務大臣が増税派、増税容認派というふうにレッテルを張られているかなというふうにも思うわけでございますけれども、そうしますと、野田財務大臣はできる限り早い時期に、本心としては増税をしたいのではないかというような勘ぐりも出てくるわけですけれども、それはいかがでしょうか。
  187. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 何かミスター増税みたいなイメージがあるようでありますけれども、税制の措置は避けて通れないことはあります。これはやっぱり必要なときにちゃんとやらなければいけません。ただ、さっき申し上げたとおり、経済状況を勘案しながらというのは当然のことであって、やはり風邪を引いているときに冷たい水を浴びせたら肺炎になるという、そういう教訓はあるわけですから、そういうことは十分勘案をするということ、そういうことも踏まえて政府税調の中では複数の選択肢を提示をするわけです。  だから、私は今、確定的なことを申し上げているわけではありません。複数の選択肢、いろんな選択肢があると思います。それを新しい体制に提示をするというのが当面の政府税調の役割だと考えています。
  188. 中西健治

    中西健治君 このような勘ぐりというか憶測が生じてしまっているのは、はっきりしたことが言えないというか、はっきりした発言が出ていないからであるというふうに思うわけですが、復興のため、あとデフレ脱却のためにしっかりとした景気回復をまずは行って、その後は着実に財政再建を進めるというのが王道だとは思いますけれども、そのことを明確にするためには、野田財務大臣がおっしゃっているように、景気をどう判断するか、いつから増税するかを検討、協議していくなどという、どうとでも解釈できるような形で今の段階で煙に巻くというよりも、増税の前提条件として、若しくは必要条件として、こうしたものがあったらということを明示したらいいんではないかなというふうに思います。  経済状況を勘案するということは当然のことだと思いますが、その必要条件として一番重要なのは、やはり景気が回復したということがしっかり実感できるところかなというふうに思うわけですけれども、一時的かもしれないGDP成長率、瞬間風速的なものに依存するのではなくて、名目GDP、絶対値、こういったものにコミットするべきなんではないかなというふうに私は考えております。  例えば、リーマン・ショック以前の二〇〇七年度の名目GDPは五百十五・八兆円です。二〇一〇年度、昨年度の名目GDPは四百七十五・八兆円まで落ち込んでいます。となりますと、二〇〇七年度、リーマン・ショック前は二〇一〇年度の一〇八・四%ということになる、八・四%増しということになりますが、少なくともこのレベルまで名目GDPが回復しなければ前提条件は満たされない、こんなことを言うべきなんじゃないかと思いますが、こうした提言に対していかがお考えになるでしょうか。
  189. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 今、復興の時限的な税制措置を行う際の一つの判断材料としての経済一つの指標をお示しだと思うんですが、税と社会保障の方ではおっしゃったような、例えば名目、実質GDPであるとか、あるいは物価なんかも入ってくると思いますが、具体的な数値を織り交ぜながら、それで何をするかということはこれからの検討作業ですけれども、それを踏まえて、経済の好転を条件としてという文章が入っています。  同じように、具体的に御提起ありましたけれども、経済は、何の数字をどうするかというのはいろいろ議論あるかもしれませんが、あるいは国民の実感も踏まえてでありましょうけれども、やっぱり経済状況をよく見ながら税制の措置というのを考えるべきであって、その際には、仮に増税する場合にはそれの家計への影響も勘案しなければいけない。逆に、でも歳出増によってどういうプラス効果が出るかということも勘案しなければいけない。あるいは、やっぱりこういう今の財政状況、世界が注目をしているということもありますので、そういう内外の信認をどう得るかという観点も必要です。そういう観点から経済と財政のバランスを取っていくことが大事かと思います。
  190. 中西健治

    中西健治君 是非とも、いろいろな考え方があるということでしたけれども、デフレに苦しんできた日本ですので、やはり名目GDPでコミットしていただくということを是非ともお考えいただきたいというふうに思っております。  そして、増税のためのもう一つの前提条件というのは国民の声ということになるかと思います。  消費税増税を実施する際にはその前に国民の信を問うというのがこれまでの鳩山政権、そして菅政権のスタンスであったというふうに考えておりますけれども、野田財務大臣はその両政権におきまして、財務大臣、そして財務大臣として政権の要職を担ったわけでありますから、よもやそのスタンスは変更することがない、すなわち、国民の信を問わずして、総選挙を行わずして消費税増税は行わないという考えでよろしいでしょうか。
  191. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 基本的に、こういう国民の御負担にかかわること、特に消費税のように多くの国民が関心を持っていらっしゃることについては、国民の御理解を得ながら進めるということは基本だと思います。ということは、鳩山政権下の下でも菅政権下の下でも、委員御趣旨のような考え方をお示ししました。仮に、税と社会保障の一体改革の流れの中で消費税を引き上げることを決めたとした場合にも、その実施時期、実施に入る前には、周知の期間も必要ですけれども、国民の声をやっぱり聞くという大事な作業を経なければいけないだろうというふうに思います。
  192. 中西健治

    中西健治君 ということは、確認ですけれども、消費税実施をする前には総選挙は行わねばならないというお考えだということでよろしいですね。はい、分かりました。  そうしましたら、次の質問ですが、野田財務大臣が文芸春秋に寄稿された文章では、野田財務大臣の優先事項がよく分かるかなというふうに思っております。  幾つか危機を挙げていますが、その中で最大の危機は財政として、デフレ危機や電力・エネルギー問題よりもあえて大きな問題として取り上げています。そしてさらに、歳出削減に頼って財政を健全化するのは限界、また、経済成長に伴う金利物価上昇によって歳出増加してしまうので、必ずしも財政健全化には結び付きませんと、こういうふうに書いているわけです。これは、増税以外の手だてがありませんと言っているようなものですけれども、そういう認識でよろしいんでしょうか。
  193. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 歳出削減であるとか成長分野に投資をすることを否定しているわけではありません。いずれもやらなければいけないと思うんです。成長なくして、それは成長があった方が税収増えるわけですから、そういうことは必要です。  ただ一方で、書いてあるとおり、必ずしもそれが、金利の問題とか含めると、いわゆる財政健全化へストレートに直結するかというとそうでない部分もあるということを事実関係として申し上げました。  歳出削減は不断の努力でこれからもやっていかなければなりません。それで、成長分野への投資も必要で、そのことによって税収が上がることも望ましいことだと思いますが、それだけでは財政健全化を図っていくことは難しいのではないかという意味で書かせていただいておりまして、ほかの経済が何もどうでもいいという話をしているわけではありません。ただ、担当がずっと今まで財政だったので力点が財政に掛かっていることは事実かとは思います。
  194. 中西健治

    中西健治君 同じ文芸春秋の中で、大臣内閣府の試算を引用されています、先ほど林委員の方からも話がありましたけれども。その中で、名目三%の経済成長が続いても、債務残高のGDP比が増加し続け、財政健全化が達成されない姿が示されていますとしております。  今、経済成長を否定するものではないということでしたけれども、こうしたことを引用してくるということからしますと、やはり経済成長をまるで否定しているかのようにも受け取られかねません。そして、財務大臣は本委員会デフレ克服が課題と言ってこられましたけれども、本心では歳出増加抑制できるデフレ継続を望んでいるのではないか、こんなようにも思えてしまうんですが、いかがでしょうか。
  195. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) それはデフレ継続を望むということは全くありません。デフレからの脱却、そして日本がしっかりと経済成長を果たしていく、そういう国を目指していかなければいけないというふうに思います。
  196. 中西健治

    中西健治君 野田財務大臣、この内閣府の試算引いてこられましたけれども、内閣府の試算、かなり問題が多そうだというふうに私も思っておるわけですが、うのみにしているのでしょうかということをお聞きしたいと思います。  というのも、先ほども出ましたけれども、経済成長に伴う税収の伸びを余りに保守的に見積もっているのではないかという疑念が私にはありましたので、内閣府に税収の中身を問い合わせたところ、まだ精査中で答えられないという答えが昨日返ってまいりました。まだ精査中という答えが返ってくるというのも非常に驚いたわけです。もう八月十二日に中長期の試算、公表しているにもかかわらず、税収の中身については精査中という言葉を内閣府は使いました。  愕然としたということですけれども、これ、公表しているにもかかわらず中身が精査中というのは、いいかげんなのか、若しくは増税という結論に導くそうした動機があるのか、そう考えざるを得ないということですけれども、先ほど財務大臣消費税の内訳について知らなかったというようなこともありましたけれども、こうした内閣府の試算についてどう思われるでしょうか。
  197. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 御指摘のとおり、経済財政の中長期試算、これ内閣府がまとめたものですが、成長戦略シナリオで見た場合でも、二〇二一年度以降において国、地方の公債等残高の対GDP比を安定的に低下させるとのそういう残高ストック目標に対しては、二〇二一年度以降の残高は若干の増加を見せており、目標は達成されないという試算です。  その試算の根拠の話は、先ほどいろいろお話ございました。同じ政府でやっていることでございますので、一つの目安であると思います。したがって、だから文書でも引用していますけれども、先ほど来の午前中の議論も踏まえると、やっぱりうのみではなくていろんな精査をすることが必要だというふうに思います。
  198. 中西健治

    中西健治君 是非ともしっかりと見ていただきたいというふうに思います。政府が出しているこうしたマクロの経済に関する予測はこれしかないということですので、これが信頼性が足らないということでしたらマクロの経済運営そのものができないのではないかというふうに思いますので、是非財務大臣は精査をしていただきたいというふうに思います。  それから、赤字国債の膨脹要因としての財源、そして歳出削減について質問をさせていただきたいと思います。  野田財務大臣衆議院財務金融委員会におきまして、二度ほど、ひょっとしたら三回かもしれませんが、十六・八兆円の部分を全額確保できる見通しがこれから例えば立つのかというと、それは率直に言って大変困難だというふうに思いますので、そのことについてはやはりおわびをしなければいけないと思いますと述べていらっしゃいます。これは財源に関しては白旗を揚げる、諦めるということでよろしいでしょうか。
  199. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 十六・八兆円、それを、いわゆる恒久財源を確保して、そしてマニフェストを実施をするという意味では、これは今までが約三・六兆円でございますので、相当厳しいというか、極めて困難であるということを実感しました。さっき申し上げたワンショットの部分を入れてマニフェストは書いている部分があるんですね。それがちょっと混在をしていることのイメージが大変誤解を呼んだというふうに思っております。  そのワンショットの問題も含めて、これは不断の努力をこれからもやっていきます。あるいは、既存の予算の見直しもこれからもどんどんやっていきたいとは思いますが、その不断の努力は怠りません。だから、白旗を揚げるとか諦めるということではございませんけれども、額的なものとして恒久財源で十六・八兆を、これをつくっていくというのはなかなか難しいということを申し上げさせていただいている次第であります。
  200. 中西健治

    中西健治君 民主党が理念を持ってでしょうけれども、マニフェストで掲げた、我々がばらまきと呼んでいるところの様々な政策は財源の見込みがあったからこそ実現できるはずであったわけですけれども、財源の方は大変困難だとこれまでも認めているわけですけれども、こうした諸施策の撤回、あるいは財源に手当てが付くまでの実施の凍結をなぜしないのでしょうか。財政健全化の責任者である財務大臣としておわびだけで済む話ではないのではないでしょうか。
  201. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) これは見解の相違があるかもしれませんけれども、それぞれのマニフェストに網羅されている様々な政策はきちっと政策目的があって、私たちにとっては理念があると思っていますので、決してばらまきという位置付けではございません。  そうは言いながらも、厳しい財政状況の中で物事を実現するにはやっぱり安定した、恒久化した財源を見付けていくということを、その作業をやっていく。これまでは三・六兆円やったわけでありますけれども、今回は三党合意等もあって、その歳出削減分を例えば今回の復興財源にするとかということになっておりますので、そういう合意事項を踏まえた対応を適切にやっていきたいというふうに思います。
  202. 中西健治

    中西健治君 ばらまき四Kと我々は呼んでいますが、こういう言葉を使うのは嫌かもしれませんけれども、いわゆるばらまき四Kについては、子ども手当か児童手当かということで先週、国会が空転してしまいました。そのことに象徴されるように、三党合意は非常に曖昧なのではないかというふうに私は考えております。  高校の無償化、そして農家の戸別補償に至っては、二十四年度以降の在り方については政策効果の検証を基に必要な見直しを検討するということになっていますけれども、これは制度存続を前提とした見直しとも読めますけれども、財務大臣考えを伺いたいと思います。
  203. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 今、中西さんが読み上げていただいた、二十四年度以降の在り方については政策効果の検証を基に必要な見直しを検討すると。この政党間における覚書の文言を超えて何らかの解釈を政府がするというのは適切ではないと思います。この文言どおり、それを受け止めて両政策の効果について検証を行って、必要な見直しを行うというふうに私どもは受け止めております。
  204. 中西健治

    中西健治君 そうしましたら、そもそも今回の三党合意では、子ども手当の見直しで、元々、自民党、公明党時代に行ってきた児童手当が年間一兆円の財源だったのに対して、今回の見直しでも二・二兆円もの財源が必要ということになっております。そうしますと、年間で当初予算対比四千から五千億円程度の削減しかできていないということになります。今年度でいえば十月から半年間ということですし、また所得制限も課さないということを勘案しますと、今年度の財源は余り捻出できていない、ほとんど捻出できていないと言わざるを得ないのではないかと思います。  歳出削減という観点から三党間で話をしてきたというふうに私は理解しておりましたけれども、この財源捻出規模について、財務大臣としての考えを伺いたいと思います。
  205. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 今回、三党で合意された子ども手当の見直しについては、子ども手当に対する現金給付を拡充しつつ、震災復興のためにできる限りの財源を捻出するためのぎりぎりの合意内容だったと思いますが、また、今年度について今ちょっと具体的なお尋ねがございましたが、実施が十月からになることなどによりまして、一次補正後ベース、すなわち一律一・三万円支給のつなぎ法ベースと比べた場合の歳出減少額は、精査が必要でありますけれども、ざくっと言って〇・一兆円程度と見込まれます。
  206. 中西健治

    中西健治君 大臣は、先ほど引用させていただいた文芸春秋の中で、国会は野党のためにあるはまさに至言ですと述べておられます。三党合意を国会で押し通すというこうしたやり方についてどのようにお考えでしょうか。  野田財務大臣は、野党は、どうでしょう、自民党と公明党だけというふうにお考えになっていらっしゃるんでしょうか。
  207. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 私は、昭和六十二年に県会議員に当選をしました。二回当選です。ずっと一人会派なんです。以来、国会に入ってもずっと野党が長かったんです。私の考えは、やっぱり国のこういう方向性を国会審議あるいは議会の審議で決めるときというのは小異を残して大同に付くということだと思います。その意味では、野党というのは全ての野党を私は含んでいます。
  208. 中西健治

    中西健治君 少数会派としては安心した答弁をいただきました。  最後の質問です。  今回、これだけの規模の赤字国債発行しながら、民主党がマニフェストで掲げた国会議員定数の削減ですとか議員歳費削減、国家公務員人件費削減などの項目が全く進んでいないか、あるいはマニフェストで掲げた削減目標には程遠い内容となっております。今年度に実現できない理由は何なのでしょうか。財政規律の責任者たる財務大臣として、所管大臣にスピード感を持って進めるように要請はしていないのでしょうか。
  209. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) まず、御指摘の中の国家公務員の総人件費削減については、平成二十五年度までの間、給与減額措置を講ずる給与臨時特例法案国会に提出をしているところでございまして、引き続き関係閣僚と連携して着実に取り組んでいきたいと思います。  一方で、国会議員の定数削減あるいは議員歳費削減については、既に議員の歳費のカットの取組はもう既に行われましたけれども、これはまさに立法府の検討であろうと思いますので、政府の立場から余り先導的に申し上げるのは控えたいというふうに思います。
  210. 中西健治

    中西健治君 どうもありがとうございました。  残りの質問は、また菅総理がいらっしゃってからさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  211. 大門実紀史

    大門実紀史君 日本共産党の大門でございます。  私は、今日は消費税についてじっくり質問をしたいと思いますが、消費税増税という話は絶えず出てくるわけですけれども、九七年に税率を引き上げたまさにその直後から、自民党政権のときから、もうすぐにでもまた税率を上げたいということがずっと言われてきて、民主党の中にもそういうことをおっしゃる方もおりましたけれども、実際にはもう十年以上なかなか引き上げることができなかったわけでございますね。我が党はもちろんずっと反対してまいりましたけれども。  マスコミも今、もう大新聞全て消費税増税しかないという大キャンペーンをずっとやってきておりますけれども、それでも依然として国民の皆さんの、世論調査いろいろありますけれども、大体半分ぐらいはやっぱり消費税増税反対という根強い抵抗といいますか反対の気分がありますけれども、これは野田さんもずっと国会におられて、国民の消費税に対する強い反対の気持ちというのはなぜそうなるのか、いかがお考えですか。
  212. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) これまでの経緯は御指摘のとおりであって、九七年以降の税率の引上げというのはできない状況でいます。  何のために消費税の御負担を国民にお願いするのかということでございますが、先般、政府・与党で税と社会保障の一体改革の成案をまとめましたけれども、社会保障の機能をやっぱり持続可能なものにしていくために安定した財源が必要である、加えて財政健全化も同時達成していかなければいけないという観点の中で、やっぱり広く国民に御負担をするという中で消費税が、特に社会保障を支えるという意味では最適の税目ではないかということをしっかりと国民に御説明をし、御理解をいただいていく作業が必要だと思います。社会保障の持続可能性がないときに一番困るのは国民です。その国民のまさに生活を守るためのまさに財政的な裏付けとして消費税が位置付けられるというふうに私は思いますので、国民の御理解、御賛同を得るために丁寧な説明をしていくことが必要だろうと。  国民感情にまさにおもねるんではなくて、その感情を踏まえなければいけません。だけど、逆に言うと、世論を誘導するのも私は政治の役割だというふうに思います。
  213. 大門実紀史

    大門実紀史君 私は、まずその社会保障云々の前に、何といってもこの、少なくとも私がいるこの国会の十年ぐらいでいきますと、累進税率をずっと緩和する方向でやってきて、あるいは大きな企業には研究開発とかいろんな減税やったりして、そういう中で、増税というともう消費税しか言わない、これは何なんだろうとか、ほかの増税のこと言わない、消費税しか言わないこととか、あるいは増税そのものがちゃんと自分たちのために使われるのかという政府に対する、これは自民党政権のときからそうでしたけれども、根本的な不信感とか、そういうものがあるというのをやっぱりまずきちっと最初に、何のためにとかという前によく踏まえられた方がいいというふうに思います。税制として非常に欠陥があるというのは、我が党もかねてから指摘しているとおりでございますが。  そこで、今、野田大臣が言われた税と社会保障の一体改革成案ですか、これについて若干議論をしたいと思うんですけれども、これは要するに二〇一〇年代半ばまでに一〇%と、引上げというのを初めて明記したと、思い切った案だというふうに思います。もう一点注目すべきは、社会保障財源を主に消費税で賄うということも明記したのはこういう形では初めてではないかなというふうに承知をしております、いろいろ言われてきましたけれども、こういう政府の文書でですね。  ここで私がやっぱりちょっと財務省の長年の、見てきていまして不思議に思うのは、この社会保障目的税といいますか、こういう特定の財源消費税を使うということは、少なくとも五年以上前ぐらいは財務省は消極的といいますか、否定的な立場だったと承知しております。余り限定的にすべきじゃないと、消費税増税はしなきゃいけないけれども限定的にすべきではないという立場だったんですけれども、この間、もう社会保障しかないというふうなことばっかり言っていますが、これはなぜそういうふうに変わったんでしょうか、財務省は。
  214. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) たしか私の記憶でも、数年前は余り積極的ではなかったなと思います。ただ、余りにもやっぱり、例えばいわゆる一般歳出の中に占める社会保障の部分が半分を超えるような状況に至っているとか、毎年自然増だけでも一兆円以上であるとかという状況を踏まえて、そのまさに費用負担、財源を支えるためにはやっぱり消費税という位置付けが国民の理解を得るためには必要ではないかという、そういういわゆる時代の流れを踏まえた対応になってきているのではないかというふうに思います。
  215. 大門実紀史

    大門実紀史君 社会保障が増えるからといって消費税を目的税ということには、イコールにはならないと私は思っております。むしろ、率直に申し上げて、財務省はいろんなことを言って、財政再建だのいろいろなことで消費税、消費税と言ってきましたけれども、何言っても評判悪いと。財政再建なんて菅さんが言って、それだけで票を減らすということがありましたから、最後に残った国民に対する訴え方としては、もう社会保障のため以外に、それ以外にもう国民の皆さんに、先ほどのお話ではありませんけれども、説得する手段がなくなっちゃったんじゃないかと。それで、財務省としては、本来そういう目的税にすべきじゃないと思いつつも、増税に持っていくためには、引き上げるためにはそれしかないということに決断したんじゃないかと、その程度の話じゃないかというふうに私は長年見ていて思います。  この社会保障の財源を主に消費税で賄うというのは、大変世界的に言えばイレギュラーな話でございます。かつてここの委員会でも資料を示したことございますが、端的にお聞きしますけれども、社会保障の財源を主に消費税で担っている国、賄っている国というのはあるんでしょうか。
  216. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) まず、G7諸国において、付加価値税の全税収を社会保障目的に支出することが義務付けられている国は承知していませんけれども、付加価値税収の一部を社会保障目的に支出することが義務付けられている国は、フランス、ドイツと承知をしています。  いずれにしましても、主要国において社会保障費を賄う安定財源の確保は共通の課題でございまして、各国の置かれた経済社会状況対応して、それぞれ適切な選択が行われているものと承知をしています。
  217. 大門実紀史

    大門実紀史君 僅かですよね、ドイツも一〇%ぐらいですし、付加価値税の一〇%ぐらいですし、フランスも付加価値税の五%ぐらいですから、ほとんど主な財源にはしていないと。もちろん、一般会計に入れてそこから社会保障にというのはあるわけですけれども、目的税にはしていないということで、今、当たり前のように言われている政府が提案していることというのは大変異例の、異例の提案だというのを、やっぱり国民の皆さんにも知ってもらわなきゃいけないなというふうに思います。  もう一つは、先ほどもお話ございましたけれども、野田さんが、まあ総裁選ということは言いませんが、とにかく大連立を提案されている理由、すべきだと思っていらっしゃる理由、改めてちょっとお聞きしたいと思いますが。
  218. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 当面の復旧復興、あるいはそれを含めた三次補正予算、さらには来年度の予算と関連法案、そして今御指摘のあった税と社会保障の問題、あるいは今、経済的に大変、表現が難しいんですけれども、大きな国際経済変動が起こりつつある中、そういうものにきちっと国を挙げて対応するということが必要であって、与党もまとまる、そして与野党も協力し合える、協力し合えるというか一緒に責任を分担し合えるというような、ちょっと大きな政治へと局面展開をしないと大きな危機を乗り越えることができないのではないかという、そういう危機意識が根底にございます。
  219. 大門実紀史

    大門実紀史君 ちょっとそこまで広げちゃうと、復興とか何かなら若干理解できないことはないんですけれども、そんな先の先、予算全体まで与野党全部が──ちょっとお聞きしますけど、その大連立というのは具体的にどこに向けておっしゃっているんですか。どこの政党に。
  220. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 基本的にはどういう連立を組むにしたって、というか、まだそういうことを具体的に言う立場ではないんですが、展望ですよ、個人の希望として言うならば、やっぱり政策協議を行った中で折り合えるところをお互いが選択をしながら進む話だというふうに思います。
  221. 大門実紀史

    大門実紀史君 分かりました。少なくともうちには呼びかけていらっしゃいませんよね。はい、分かりました。そうでないと困るんですけれども。  今、税と社会保障の一体改革もその大連立の大きなテーマということを言われましたけれども、私、まさに、いろいろありますけれども、財務省的と言ったら申し訳ないですけれども、やっぱりこの消費税のこと考えると、本当に大連立やってもらわないとなかなか通らないんじゃないかと。  税と社会保障という、そういう言い方と、プラス大連立、つまり自民党、まあ公明党さんはちょっと分かりませんが、自民党、民主党での大連立でもやらない限り消費税の増税はなかなか難しいんじゃないかというふうに思っているんじゃないかなというふうに思えるわけですけれども。  なぜならば、大体、よく似てきたなと思うんですけど、自民党政権の下で、二〇〇九年の税制改正法案の附則の例の百四条ですね、ここで、年金、医療、介護、少子化、この社会保障四経費を消費税で賄うという方向が出されました。まさに今の社会保障目的税の方向なんですけれども、今回の成案も、書きぶりの中にもちゃんとこの四経費のことが書かれておりまして、まさにもう自民党との差異が消費税については基本方向としてなくなったというふうに文章からまさに見て取れるわけですね。(発言する者あり)そうなんですよね。  だから、消費税、実は、はっきり言ってそういう財務省的に言えば、何のことはない、いろんなこと言われますけれども、消費税だけは自民党でさえ単独でなかなか、国会ではいろいろ言いますけれども、実際選挙のときには打ち出せなかったわけですね。実行できなかったわけですね。民主党も、この間、痛い目に遭っているわけですね。  これはもう、消費税増税するには大連立、一緒に提案するしかないというところが実は一番大きなことじゃないのかなと、大連立の目指すものじゃないのかなと。いろんなこと言われましたけど、全部一緒にやるわけにいかないですよ、政党なくなっちゃいますから。やっぱり消費税じゃないかなと思うんですけど、その辺、いかがお考えでしょうか。
  222. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 今はちょっと税と社会保障だけの取り出しでしたけど、私はそれだけじゃないんですけど、でも今大事な、重要なテーマであって、これについてはやっぱり共通に責任を持ちながら、そして国民のために説明をしながら進めていくということは大事だというふうに思います。それだけの私は与野党の連携ではないとは思っていますけれども、今御指摘の要素は重要な点でもあるというふうに思います。
  223. 大門実紀史

    大門実紀史君 もう一つ、社会保障のためにというところで、民主党政権発足してから随分変化したなと思うんですけれども、最初の税調の専門家委員会議論の中には、これはもう制度論として我が党は批判してまいりましたけれども、目的税にしますと、社会保障の給付水準を上げようと思うと税率も上げなければならない、税率を上げられないと給付が削減されるということが心配されるということが率直に税調の専門委員会議論がされました。こういう点などはどういうふうにクリアしているんですか、議論として。
  224. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 税調としてそういう専門委員会での御議論があったことは承知をしていますけれども、具体的に、これからのまさに税と社会保障の成案を踏まえた具体的な制度設計は秋以降になりますし、今御議論のあったことを踏まえた政府税調での議論、あるいは与野党の議論含めて、そういうところで詰めていくことになるかと思います。
  225. 大門実紀史

    大門実紀史君 その大連立の目的の一つというか目指すものの一つ消費税ということでございましたけれども、私はそういう方向そのものをよくよく検討をされないと、検討というかよくお考えになった方がいいなと思うのは、幾ら大連立、仮にですよ、仮に自民党と民主党が一緒に消費税増税提案しても、本当に国民が納得されるのかという点はよく考えられた方がいいなと指摘しておきたいと思いますが。  まず、この社会保障四経費の公費負担分を消費税で賄うという話ですけれども、これ、二〇一五年で、この四経費公費負担分は金額にすると幾らになりますか。
  226. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 六月二日の社会保障改革に関する集中検討会議に提出された社会保障に係る費用の将来推計では、一定の前提の下で二〇一五年度の公費負担の見通しとして、年金は十三・五兆円、医療は十七・〇兆円、介護は六・〇兆円、子ども・子育ては五・一兆円、合計で四十一・六兆円との推計結果が示されていると承知しています。  また、同じ会議に提出された別の資料においては、各経費のカバーする範囲や改革に伴う公費負担増について先ほど紹介した推計とは異なる前提が置かれた上で、二〇一五年度の年金、医療、介護、子ども・子育てに係る公費負担について、計四十二・〇兆円との見込みが示されていると承知をしています。
  227. 大門実紀史

    大門実紀史君 これは、消費税にすると、みんな賄うと何%になるかという計算なんですが、これは単純計算もできなくはないんですけど、これも政府の、消費税一%、そのときのGDPとかによって何%、何兆円と換算するとかがありますので、ちょっと政府の数字を教えてほしいんですけど、今の最初の方の数字ですね、四経費四十一・六兆円、これを消費税に換算すると何%になりますか。
  228. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 例えば、これは二〇一五年度の消費税一%当たりの税収を約二・七兆円と仮定をすると、機械的に計算しますと、先ほどの冒頭の四十一・六兆ですね、これは一五%台半ばになるものと思います。
  229. 大門実紀史

    大門実紀史君 そうですね。二・七兆で計算すると、一五・四%になるかというふうに思います。  次に、二〇二五年の話がよく出てまいりますけれども、二〇二五年でこの社会保障四経費の公費負担分というのは、先ほどと同じ政府資料で結構ですが、幾らになりますか。
  230. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 資料があるんですけれども、年金が十四・一、医療が二十五・〇、介護が十一・一、子ども・子育てが五・五ということです。ということで、ちょっと済みません、僕、数字が見にくいんですが、五十五・七ですね、合わせて。
  231. 大門実紀史

    大門実紀史君 五十五・七ですね。そうですね。これも申し訳ありません、計算の仕方がいろいろあるといけないので、政府の方の数字として答えてほしいんですが、これを消費税にした場合、何%の消費税率になりますか。
  232. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) さっきは二〇一五年で一%相当のやつを二・七と言いましたけど、このときのやつはどう試算を置くかというのはちょっと前提が違うと思いますので、後でよく精査をしてお答えをしたいと思います。
  233. 大門実紀史

    大門実紀史君 こちらの持っている数字だと、GDPのあれでいきますと、一%は三・二兆円で二〇二五年の段階では計算するということでよろしければ、よろしければと私が言うのも変ですけど、よければ、一七・四%の消費税率になるはずです。  ちょっと事務方、間違いないですよね。三・二兆円でいいのかな、一%。ちょっと分からないですか。──それじゃ、いいです。およそそういうことになるわけですね。この四経費を賄っていくと、それだけで消費税が二〇二五年には一八%近くのところになるということでございまして、今回、七月一日に出された案というのは、実は数字的にはそういうことを物語っているということで、国民の皆さんにそこまでまだ伝わってないかも分かりませんが、相当すごい話を提案されているということでございます。  更に言いますと、この成案の中には、地方単独事業で担われている社会保障事業についても消費税で賄う方向ということが打ち出されております。これは総務省の推計で、こちらで資料持っておりますので申し上げますと、この社会保障サービスを行う地方単独事業費というのは二〇一五年で九・二兆円になります。例えば、二〇一五年で九・二兆円ですから、さっきの二〇一五年の四経費とを加えますと、これだけで五十・八兆円になるわけですね。つまり、もうこれで消費税、二〇一五年には二〇%になるというふうなことでございます。  そういう提案を七月一日のこの中にはされているということでございまして、それが本当に国民の皆さんが分かったとなるのかというのは、幾ら大連立して一緒に進めるとか何とかあったとしても、相当のことだというふうにちょっと自覚をしていただきたいなという点で申し上げました。  更に言えば、今日も議論がございましたけれども、内閣府の例の二〇一五年、二〇二五年ですか、例のプライマリーバランス、あれも消費税を、何でしたかね、五%上げたとしても、二〇一五年までに五%上げたとしても、プライマリーバランスを取るには十七、八兆足りないと。赤字だという話があるわけですね。  つまり、十七、八兆を、このときの、これを消費税換算でどうする、何%かあるとしても、二・七とかにすると、少なくともこれだけで七%ぐらいの消費税増税が必要になると。もうむちゃくちゃな話を提案されているということですよね。財政再建も社会保障も、消費税というと、これを合わせたら二〇一五年以降何か三〇%ぐらいの消費税でないと賄えないようなそんな話を、大まかに言えばですよ、その中でいろいろあるとおっしゃるかも分かりませんが、何もかも消費税ということになるとこんな話をされているということでございますので。  申し上げたいことは、そういうばくっといえばそういうことがありますけれども、もっとほかの税制ですね、もっとほかの税制をきちっと考えないと、何でも消費消費税でやれるわけではないと、やるべきではないと思いますが、少なくともやれるわけではないという自覚を持ってもらって、もっと経済回復、累進課税の問題、いろんな税制の問題を総合的に考えて社会保障も財政再建もお考えになるべきだと思いますが、最後にその点いかがでしょうか。
  234. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) ちょっと今少し膨らみ過ぎたと思うんです。地方単独事業をそのまま全部社会保障の給付として対象とするかというと、これから精査をするんですよね。社会保障を担っていますよ、地単は。だけど、その地単の中でも、オールジャパンの消費税で併せて支えていくものもあるかもしれませんけれども、例えば敬老祝い金みたいなものを消費税で支えるのかというと違うと思います。そういう精査をしていきながら対応していきたいと思っております。  消費税以外の税目についても、これは税制の抜本改革の位置付けの中で所得税も資産課税も法人課税もしっかりと改革の方向を示しながら対応していきたいと考えております。
  235. 大門実紀史

    大門実紀史君 総理を目指す方は私は余り財務大臣を経験されない方がいいんじゃないかと思いますね。どうしても、財務省にどうしても洗脳されてきちゃって、政治家としての幅も小さくなりますし、前に踏み出してしゃべることもできなくなりますから、それは大きなお世話かも分かりませんけれども、やっぱり消費税、消費税という何か思い込みのようなことからそろそろ脱却して、もっと総合的に税制なり経済の問題を考えていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  236. 中山恭子

    ○中山恭子君 たちあがれ日本・新党改革の中山恭子でございます。  この時期に公債特例法案を審議するというこの異常な状態というのは非常に残念なことであると、まずそのように考えております。  今年の初めくらいにこのような状況になるということは大体見当が付くはずだと思っておりまして、もちろん与野党間の調整というのもありますが、外から見ていまして、与党内の調整というものというんでしょうか、そういったものが与党の中でいろんな意見が分かれているのではないだろうかという、そんな様子が見えまして、やはり与党であるのであればその辺りしっかりした、政府と与党の間ですけれども、その連携を取っていただけたらよかったなと、そんなふうに考えております。  ついでのことですが、私、この委員会などでいろんな意見を伺っている民主党の先生方、非常にまともですし、どう表現していいのか、本当に日本のことを、日本経済状態なども考えて御意見を出していただいているのと、今回の子ども法案などについて反応するような、何と言ったらいいんでしょう、ちょっと偏り過ぎたような方の意見とかそういったものが中にあるのかなとか、又は党の方針として打ち出される政策というものが非常に偏った政策が打ち出されてくるように見えまして、民主党の中で是非良識ある先生方が中心になって今後の政策運営をしていただけたら有り難いのだがと、そんなふうな感想をこの公債特例法案を今審議するに当たって感じているところでございます。  今日は復興ということについてやはりもう一度確認したいと思っております。  現政権が復興と言ったとき、どうも私どもが考えている、例えば東日本をどういう形でつくっていくのかということについての国のかかわり具合というものが、私はやはり国が中心になって動くべきだと考えておりますが、この間打ち出されました、先日打ち出されました東日本大震災からの復興の基本方針などの例の数字ですが、十年で二十三兆というような数字を見ますと、国がかかわる部分というのが非常に限られたものとしてこの復興をとらえているのではないかという印象がございますが、大臣はこの辺り、復興をどのようにお考えでいらっしゃるのでしょうか。
  237. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 基本的な考えは、やっぱり被災地の復旧復興、そこにしっかりと事業を行うことによって日本も元気になっていく、元気な日本があって被災地のサポートもしていくという、そういう連関の中で基本方針考えたというふうに思います。  今御指摘の例えば十年間で二十三兆、五年で十九兆、規模の話もされました。恐らく先生からすると、規模が少ないんじゃないかという問題意識を背景にしての御指摘だと思いますけれども、これは阪神・淡路大震災の被害の総額とか、今般の内閣府が出した十六・九兆円という東日本大震災の被害総額などを踏まえながらの、いわゆる少なくとも必要なお金が当面十年間では二十三兆、そして五年間では十九兆という数字が出てきているということです。  今ちょうど被災地の復興計画も出そろってまいりました。そういう被災地の御意見も踏まえて、その上で、各党のいろいろな御意見もありますけれども、そういうものを踏まえて第三次補正予算議論をしていきたいというふうに思いますし、だから規模はそうした進捗状況であるとか何かを踏まえて、これは変わり得るものであるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  238. 中山恭子

    ○中山恭子君 大きくいろんな案が上がってくれば変わってくると思いますが、国としても地方では分からないようないろんなアイデアというのがあるはずですので、国としても東日本をどのようにして復興していくのかという提案を、逆に、受け身ではなくて、財務省はいつも受け身が多いですけれども、ほかの省庁も協力して、受け身ではなくあの地域をどのようにしたら世界の中でも美しく安全で豊かに暮らせる地域になるのかという提案をするべきではないだろうかというふうに考えております。  この後で第三次補正で復興のための予算が、補正予算が出てくると考えておりますが、このときにはこの基本方針の案とは違う形のものというのが、その二十三兆を超えるということはないんでしょうけれども、何というんでしょう、考え方が異なるような第三次補正というものが組まれる可能性があるとお考えでしょうか。
  239. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 基本的には復興構想会議の御提言を踏まえて基本方針をまとめさせていただきました。そのまとめた基本方針に基づいて、各省からもいろいろな御要請をいただく中で三次の補正を積み上げてまとめていくということでございます。したがって、三次補正、補正でありますので今年度中に執行が見込まれるという、そういう前提条件の中で組んでいくということで、あとは来年度以降、例えば集中復興期間で年度ごとにどれぐらいの規模のものをやっていくかという、そういう話に次に入っていくということだと思います。
  240. 中山恭子

    ○中山恭子君 五年間で残り十三兆だったかと思いますが、来年の三月までにどのくらいのものが復興として考えられるかですけれども、やはり今年度、来年度というのは非常に大きな費用が掛かるはずでございますので、この基本方針はベースにするにしても、大臣おっしゃられるように、非常に大きく変わるということも、その可能性も否定しない中で大胆な復興計画を作っていただけたらというように思っております。  その復興計画をどうやって作っていくのかという中で、先ほどもいろいろな御意見が出ておりますが、私自身は、財務省始め各省庁の、何というんでしょう、国家公務員の方々がやはりもっともっと活発に仕事をすべきであると考えております。財務省の職員はもちろんですけれども、国家公務員であれば、国のためにこの困難な状況を何とかして乗り切ろう、役に立とうと考えているはずだと思っております。受け身ではなくて、自らそれぞれの国家公務員が国のために動くのだという意思をもう一度確認した上で仕事をしてもらいたいと思っています。  国家公務員は決して一つの党のために仕事をする人々ではないということ、国家公務員自体がそれをもう一度しっかり認識して、国のために働くのだということを認識して動いていただきたい。あくまでも、党の指示に従うというだけではなくて、自ら、国のために役に立つ仕事は何か、復興の構想も自ら持っていないといけないはずでして、そういった中で、民主党の事務局のような形になってしまっては国家公務員としての仕事はできないわけでして、その辺りをしっかり認識した上で日本復興のために自ら構想を描いて動いていってもらいたいと、そのように願っているところでございます。  今日はもう一つ円高の問題で、八月八日のG7財務相・中央銀行総裁緊急声明発表に至る中で、オバマ大統領、サルコジ大統領、メルケル首相、ドイツの首相ですが、こういった方々が、各国首脳は互いに連絡を取り合って対応を話し合ったとされていますが、日本経済新聞の情報では菅総理は連絡を受けていなかったという情報がございました。これはまことでしょうか。なぜ日本がこの大きな為替の問題を討議するべきG7で外されてしまったんでしょうか。その辺りどのようにお考えか、お知らせいただきたい。
  241. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) EUですとやっぱり債務の問題がありました。アメリカはやっぱり債務上限問題ございました。そういう一つの原因となっている国の首脳同士の意見交換はあったと承知をしています。  一方で、G7としての対応の協議については、これは私あるいは中央銀行の総裁が緊密にG7関係当局との連携は、あるいは情報交換はずっとやってまいりました。その御報告は常に総理にさせていただいておりましたので、そういう支障とか実害は決してなかったというふうに思います。
  242. 中山恭子

    ○中山恭子君 先日も大臣からそのようなお話を伺いましたが、本来であれば、やはり日本の首相というものが、オバマ大統領やメルケル首相やサルコジ大統領と常に連絡を取って日本経済を維持していくということが日本の首相の大きな役割だろうと考えておりまして、大臣にこんなことを愚痴ってもしようがないのかもしれませんけれども、そういった意味でも、国益ということを考えますと、日本の現政権が国益を失った形というのは、非常に大きな国益に対する莫大な損失をもたらしてしまったのではないかというように考えております。  先ほど、欧州中央銀行総裁が介入に対して非難をしたというお話もありました。日本がこの円高に対して日本の主張がなかなか国際社会の中で通らないということは、経済情勢などももちろん極めて重要なポイントだと思いますが、それだけではなくて、この様子を見ていて私自身は、例の北方四島、尖閣諸島、竹島の問題と同じように、日本の首脳が国益意識が非常に希薄であるということを各国が察して、感づいて、こういった形で経済についても日本を攻めている、それが今の構図ではないだろうかと、そのように感じております。日本の国益を荒らしても、奪っても、日本は何も反応しないんだということを見透かされて動かれているのではないかと、そういう印象を持っております。  その点について、ちょっときつかったかもしれませんが、大臣、いかがでしょうか。
  243. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 大変お優しい声で厳しい御指摘だと受け止めておりますけれども、私どもはやっぱり国民の生活を守るために、日本を守るために国益を踏まえた対応をしっかりやっていきたいというふうに決意をしております。
  244. 中山恭子

    ○中山恭子君 単独介入で動くということはこれまで何度も出ておりますが、投機筋のあの資金の額というのは巨額なものでございますから、とても一か国では対応し切れないものでございます。やはり、国際社会が日本に対して信頼を寄せるということが非常に大事なことだと思っておりますので、その辺り、日本国内の政治というものが経済にも大きく影響を与えているという認識を持って、今後もし、どのようなお役目に当たるか分かりませんが、総理というようなポストにお就きになったときには、しっかり国益を守るということを考えた上で対応していただきたいと、そのように思っております。  私の質問は今日はこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  245. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  246. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 速記を起こしてください。  これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。  ここで、私の方から菅直人総理に一言申し上げます。  本日の委員会は、菅総理が今国会において答弁をされる最後の機会かと承知しております。  東日本大震災以来の不眠不休の対応に心から敬意を表するとともに、その努力と行動が今後の被災地の復興日本経済の再生に生かされるよう、次の国会以降も、仮に今とは違う立場になっても全力で取り組んでいただきたいと思います。  また、私的な言い方をいたしますと、巡礼者のように被災地を是非訪問していただきたいと思います。  他方、福島原発問題へのこれまでの対応と情報等を全面的に開示して、今後の人類と科学の前進の共通の財産として生かされるよう善処願いたいと思います。  本日は、特例公債法という今国会の最重要法案の答弁に当たり、品格のある財政金融委員会でもございますので、政府責任者としての思いのたけを是非忌憚なくお話しいただきたいと思います。  ということで、質疑のある方は順次御発言を願います。
  247. 田中直紀

    ○田中直紀君 民主党の田中直紀です。  まず、法人税について総理にお伺いいたします。  このところますます円高が進み、企業は悲鳴を上げておるという状況であります。今年の一月の二十四日に総理は施政方針演説の中で、国際的に見て高過ぎる法人実効税率を五%引き下げる、また中小法人の軽減税率も三%引き下げるということを決断をしたという、大変思い切った施政方針演説を思い起こすわけでございます。  結局、今国会では残念ながら実現をいたしておりません。政治は結果であります。これを実行しておれば、今の円高に対して円高対策になったんだと、こういうことで民主党も言えるわけでありますが、私は、今の状況で更に一〇%は値下げをしないと企業にとって大変な状況ではないかと、そんな認識を持っておるところでございまして、この国会を振り返りつつ、法人税の税率について総理はどういう考えであったか、あるいは担当大臣ももっと頑張ってもらわなきゃいけなかったわけでありますが、どんな指示を出されて、そして、その結果をどういうふうに報告を受けておられるか、まずお伺いをいたしたいと思います。
  248. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 冒頭、藤田委員長から御懇篤な言葉をいただきまして、ありがとうございます。  今日は、参議院財政金融委員会の極めて重要な場に出させていただきまして、私もしっかりと答弁をさせていただきたいと、こう思っております。  まず、田中直紀委員の方から、法人税について御質問をいただきました。  法人税率については、相当議論があった経緯はよく御存じだと思います。企業が法人税率が相対的に高いと海外へ移転してしまう、それによって雇用が失われる、こういうことを回避し、国内投資の増加国内における雇用創出につながるように法人実効税率を引下げを行うと、こういう判断をいたしました。そして、二十三年度税制改正法案国会に現在提出をしているところであります。  そういった中に三月十一日の大震災が発生をいたしました。こういった中で、法人実効税率の引下げについて改めて議論が起きてくる中で、先般の三党合意においては、復興のための第三次補正予算の検討と併せ、各党間で引き続き協議をするとされているところであります。大震災からの復旧復興が最優先課題であることを踏まえ、今後、各党間の議論を見ながらしかるべく対応していくことになると、このように理解をいたしております。  経済界においても、確かに法人税率の引下げを期待する向きが多いと、一方で、この大震災に当たっては企業もある程度負担をすることも必要ではないかという声も出ております。また、法人税率について各国の間で値下げ競争をするのではなくて、協議をして一定程度きちんと負担できるように、ある意味でのそうした国際協調も必要ではないか、そういう議論もあるわけでありまして、私も、そういった議論も含めて今後の議論が必要ですし、当面は第三次補正を念頭に置いて、三党間の協議で方向性を定めていただきたいと、こう思っております。
  249. 田中直紀

    ○田中直紀君 一方、今総理もお話がありましたが、震災復興費用で法人税引上げの議論も出ておりますが、私は今、法人税の税率アップを見込むというのは無理ではないかと思っておりますが、この問題はまたにしまして、次に移ります。  地球温暖化対策税について伺います。  その実現は、鳩山内閣以来一年越しの検討を経て、やっと実現にこぎ着けたものであります。今回、あっさりと見送られました。民主党は環境対策を柱としてきておるわけでありますから、私は、震災復興対策というのは当然防災もございます、そしてまた、これからの時代を担っていただくような環境に優しい地域にもしていく、そしてまた、人との関係、しっかりときずなを持ってもらう、こういう地域再生が大事だと思っておりますので、是非この税制という問題も含めて、環境問題というのは民主党がしっかりと対策をしていくというこの精神は引き継いでいかなきゃいけないと思いますが、環境問題についてどう取り組んでこられましたですか。
  250. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 地球環境問題は、言うまでもなく地球全体の気候を狂わせ、国によっては国土が海面上昇で少なくなる、あるいはなくなってしまうといった危険も指摘をされております。そういった意味で、地球環境観点から温暖化の防止はまさに人類共通の課題であり、この解決に向けて努力することは極めて重要だと認識をいたしております。  そういった中で、政府として、我が国の地球温暖化対策の基本的方向を示した地球温暖化対策基本法案国会に提出をいたしております。また、地球温暖化対策のための税を盛り込んだ税制改正法案を今国会に提出いたしております。これについても、先ほども御指摘をさせていただきました三党合意において、復興のための第三次補正予算の検討と併せて各党間で引き続き協議をするということとされておりまして、今後、各党間での協議の進展を期待いたしたいと、このように思っております。  この地球温暖化の対応については、少し局面が変わってきているというふうにも認識をいたしております。それは、三月十一日の震災前に作られたエネルギー基本計画では、二〇三〇年までに電力の五三%を原子力発電所で賄っていくと、そういうことを前提にしてCO2の排出をいわゆる化石燃料を減らすことで下げていくということであったわけでありますけれども、これからエネルギー基本計画の白紙からの見直しの中で、少なくとも五三%を二〇三〇年までに原発を増設して拡大していくということは、これは不可能でありますし、政府方針としても依存度を低めていくという方向を打ち出しております。  しかし、だからといって温暖化問題がどうでもいいということではありませんで、それだけ今度は再生可能エネルギー、そして省エネ、こういった面を従来よりも一層更に努力を強めることによってこの地球温暖化問題に対応していくことがより重要になってきていると、このように認識をいたしております。
  251. 田中直紀

    ○田中直紀君 日銀総裁にもお出かけをいただいていますので、為替動向につきましてお伺いをいたしたいと思います。  前回の介入で八十円を回復いたしましたけれども、直ちにまた一ドルが七十六円という急激な円高であります。今般の為替に関しまして投機的な要素があるという認識を発表されておりますが、では実需のない投機的な取引というのは一体金額がどのぐらいであったかということをまずお聞きをいたしたいと思います。  先ほど、舟山議員が、今回の介入は四兆円以上の介入をしたんだと。これはなかなか効果が上がらなかったということから考えれば、日銀の方でも、どのぐらいの投機的な取引があったかというのはもう押さえておられると思うんで、その辺をまずお伺いをいたしたいと思いますし、そして、我が国といたしましては、やはり投機的な取引を直ちに厳しく規制をするというような考え方を今後やっぱり断固たる姿勢でまず日銀の方で打ち出していただくと、そして我々が国会でどう取り組んでいくかということが引き続きできるわけでありますので、白川総裁のその姿勢をまずお伺いをし、今回の投機的なものがどれだけのものであったかという認識も深めたいと思いますので、発表いただきたいと思います。
  252. 白川方明

    参考人白川方明君) お答えいたします。  日本銀行としまして、為替市場における取引については、極めて注意深くこれはモニターしております。  お尋ねの金額的に投機的な取引が幾らあったかということでございますけれども、日々、世界の為替市場の取引、これは膨大な金額に上っております。それとの比較で日本の輸出あるいは輸入の金額を比較しますと、これは圧倒的に物の取引ではなくて資本取引、このウエートが高うございます。この資本取引の中で投機的な取引とそれからそうでない取引、これを計数的に把握することはこれはなかなか困難ではございますけれども、しかし最近のこの為替、急激な円高につきましては、まずこの資本取引の影響が非常に大きいということと、それから投機的な動きも強いというふうに判断しております。  為替市場に対する政策という意味で、為替介入、これは政府の主管でございます。日本銀行は、これは金融政策を担当するということでございます。為替市場の動向も含めてこれは経済にどのような影響を与えていくのか、その経済の動きが望ましくないものであれば、これは金融政策を発動するということで臨んでおります。  現下の円高影響につきましては、これはもちろん円高にはプラスもマイナスもございますけれども、しかしこの局面での円高につきましては、輸出やあるいは企業収益の減少、それから企業マインドの悪化などを通じまして、震災後の落ち込みから立ち直る、この途上にあります日本経済に対してマイナスの影響が非常に大きいというふうに判断しております。  そうした我々の強い認識、判断の下に、今月の四日に開催されました金融政策決定会合で金融緩和の一段の強化を決定いたしました。いわゆる資産買入れ等の基金を十兆円増額をいたしました。これは、ちょうどこの日、財務省の為替介入が行われましたけれども、このタイミング、同じタイミングでございますけれども、日本銀行は大幅な金融緩和強化を発表いたし、今これを実施しているところでございます。これは、我々として強い判断を込めたものでございます。詳しくは申し上げませんけれども、金額あるいはその内容からいってもこれは強力な措置を打ち出したというふうに判断しております。
  253. 田中直紀

    ○田中直紀君 この際、日銀金融緩和を大規模に実施していただきたいと思っておるところでありますが、この円高対策は、例えば固定相場から変動相場というこの動きというのは当然世界的な動きでありますが、我が国は大震災を受けております。期間を設けて、例えば変動制でも枠をつくって、八十二円なり八十五円の枠を設けるというようないろいろなアイデアがあるんだと思いますね。  ですから、金融の世界のこの手段というものがいろいろ各国でやってきているわけでありますから、私は、固定相場制まで戻せというわけにはなかなかいかないでしょうけれども、変動制で、今の我が国予算は八十九円でしょうか。しかし、企業はいろいろこの為替対策をしてきておりますが、為替介入しても八十五円というようなこともありました。八十二円から八十五円、これは私はフリーの立場ですから言いますが、そういう変動制の枠をつくって、そしてそれを消化していくと、こういうようなアイデアもあるんだということを日銀、思い切って言っていただくようなことはできませんか。
  254. 白川方明

    参考人白川方明君) 望ましい為替相場の制度がどういうものであるかについて様々な議論があることは承知しております。議員指摘のような議論があることももちろん承知しておりますけれども、先進国につきましては、これは基本的には変動相場制、その下で適切な政策運営を心掛けていくというのが基本だと思います。  その上で枠についてどうかということでございますけれども、この為替レートに関する政策そのものはこれは日本銀行の所管ではございません。これは財務省の所管でございまして、日本銀行の所管ではない政策について申し上げるのは、これは相場に対する影響も含めまして適切ではないので控えさせていただきます。  いずれにせよ、日本銀行としては、この円高経済にどのような影響を及ぼすのかと、つまり為替相場そのものではなくて、それが経済にどのような影響を及ぼすのか、これについては注意深く見て適切に対応していきたいと思っております。
  255. 田中直紀

    ○田中直紀君 先ほどの質問にもちょっと戻りますけれども、国会で投機的な取引は厳しく規制するというような法改正を考えた場合には日銀の方も支障がないという、所管外ということになるんでしょうか。そういうことも考えていく必要はあると思いますし、また震災復興のために、当然それは役所がやる問題もございますが、日銀としてできる範囲のものは全てテーブルに出していただいて、私は積極的に、ドラスチックに対策を用意していただく、日銀の方で用意していただくと。あれはできません、これはできませんでは困るのでありまして、やはり用意をしていただきまして、それで国会の中で無理なくできるようなテーブルをつくっていくと、こういうこともやはりやっていかないと、この円高対策というのはなかなか大変な困難な問題、状況ではないかと思っておりますが、その積極性、ドラスチックな対策、こういうものに対してどう取り組んでいただけますか。
  256. 白川方明

    参考人白川方明君) 日本経済にとって震災からの復旧復興をしっかり成し遂げていくというのは非常に大事な課題であります。日本銀行も中央銀行の立場でどういうことができるのかというのをこれをいつも、震災の発生直後からいつも考えていることでございます。議員指摘の中央銀行として思い切った積極的な政策ということをこれは常に考えておりまして、そうした政策を我々なりに打っているという自負を持っております。  詳しくは申し上げませんけれども、震災発生直後の決定会合でCP、社債、REIT、ETFを含むリスク性資産の買入れを大幅に増やしたというのは、これは中央銀行としてはこれは極めて、極めて異例なことでございます。それから、潤沢に資金を供給しました。その結果、少なくとも震災によって金融面から経済が落ち込むということはこれは全く起きなかった、これは日本銀行の極めて積極的な姿勢の表れだというふうに思っております。その後も、この八月初の金融緩和もそうですし、それから被災地の金融機関ということを特に意識しました被災地金融機関支援の資金供給オペレーション、これも行っております。もちろんこれが全てと言うつもりもございません。  この委員会の席でも何度も申し上げましたけれども、この後、被災地の金融機関において、より復興が本格化する段階で、今度は日本銀行として更にどういう貢献ができるのかということもこれは考えていきたいということは、これ、かねがね申し上げているとおりでございます。
  257. 田中直紀

    ○田中直紀君 特例公債法の件で総理にお伺いをいたします。  当初、二・五兆円の年金国庫負担分が、御存じのとおり、急遽震災対応に回されました。今後の補正予算で補填するということになりましたが、なかなか相変わらず恒久的な財源が確保できないという状況でありますけれども、年金制度はやはり不安定だということは国民の皆さん方の生活不安につながっているわけでありますので、是非今までの経験の中から何か良いアイデアがあればお伺いをいたしたいと思います。  今日の円高対策、あるいはこの法案が成立いたしますと予算も関連法案を含めて万全の体制になるわけでありますけれども、菅総理、何か大変、委員長も先ほど言っておりましたけれども、有終の美を飾る答弁をいただきまして私の質問を終わらせていただきますので、よろしくお願いいたします。
  258. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 年金財源をどのように賄っていくのか、あるいは対応していくのかということは、なかなか私も一言で申し上げるだけの用意が残念ながらありません。しかし、六月の三十日に党としてまとめました社会保障と税の一体改革といったことを含めて、これまでの社会保障制度、これを持続可能にしていく中で、その財源をいかにしていくのか、一定の方向性が打ち出せたと思っております。  なお、今年度の年金財源については、御承知のように、当初の特例公債法案では、特例公債発行を定めたほかに、基礎年金国庫負担引上げ財源として鉄道・運輸機構からの納付金などを含めて二・五兆円を使うことに二十三年度の年金財源としては定めておりました。しかし、その後、大震災が起こり、この二・五兆は震災からの復興復旧のための一次補正予算財源として活用することにいたしまして、そこで基礎年金国庫負担財源をどうするかについては、さらに、民主、自民、公明三党の確認書で、第三次補正予算の編成の際に復興債で補填することとして、そのための財源確保策と併せて各党で検討するとされているところであります。このため、この二・五兆円の財源確保策については、復旧復興事業の財源に加算した上で検討することといたしております。  二十四年度以降の年金財源については、今国会に提出中の法案では、来年度から税制抜本改革により、先ほども御指摘した問題とも絡みますけれども、税制の抜本改革により安定財源が得られる年度まで基礎年金国庫負担二分の一の財源の確保についても、税制抜本改革により確保される財源を活用して国庫の負担とするよう必要な法制上及び財政上の措置を講ずることといたしております。  年金制度の長期的な安定を図るため、恒久財源の確保のためにも、先ほど冒頭申し上げました社会保障・税一体改革の実現に向けて是非とも取り組んで、私自身もそう思っておりますが、これは党派を超えての課題であると思っておりまして、是非とも制度の持続可能な形になるような財源措置を党派を超えて合意をいただくように、私、この場を借りてもお願いを申し上げておきたいと思います。
  259. 田中直紀

    ○田中直紀君 終わります。
  260. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 自由民主党の佐藤ゆかりでございます。  特例公債法案審議がこれほどまで遅れたという事実についてまず御質問させていただきたいと思います。  今回、この特例公債法案を憲政の常道から極めて逸脱する形で予算本体から切り離したというのがまず遅れの大きな根本的な原因であったわけであります。予算本体は参議院の方に、民主党でおられます西岡議長も大反発をされまして、民主党の横暴じゃないかということで、三月一日に参議院に送付されたわけでありますが、西岡議長の自らの御判断で一日その受理を遅らせて、そして三月二日に参議院で受け付けたという経緯もあったわけでございます。  そもそも、この特例公債法案予算本体から切り離すという尋常でない国会運営、これはなぜされたのか、菅総理にお伺いいたします。
  261. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 率直に申し上げまして、今、佐藤議員からお話がありました特例公債法案予算から切り離したということは、私どもにとっても、切離しではなくて一体で審議していただきたかったというのは、本当のところそのときも、今思い出しても思っているところであります。  しかし、御承知のように、まさにねじれ国会の中で、野党の皆さん、多分佐藤議員もそうであったと思いますが、民主党のマニフェストの見直しとか、それに伴う歳出の削減など、厳しい御指摘もいただいておりまして、なかなかこの特例公債法案予算と一緒に参議院に送ってお願いしたとしても、そういった問題が合意が得られなければ成立も危ないという、そういう状況にあったことは、佐藤議員、御本人よくお分かりだったと思います。  そういった意味で、政府に最大の責任があることは重々承知をいたしておりますけれども、国会運営の中で、今申し上げたようなこともありまして、政府としても一体で審議をしていただきたかったわけでありますけれども、結果としてそうした与野党間の合意の道筋が見えない中で送ることは余計な、一層の混乱を招くものと考えて今日まで延びてきたところであります。  その後、大震災への対応などもありまして、四月の二十九日、そして八月の九日と、民主、自民、公明三党の合意を経て、特例公債法の審議が今日まで進んでまいりました。現下のねじれ国会の下、大震災という困難を乗り越えて政策を円滑に実施していくため、政府としての考え方を国民の皆様や各党に説明をして、御理解をいただいてきているところであります。  いずれにいたしましても、震災からの力強い復旧復興、いよいよ第三次補正の問題も、来年度予算の問題も待ったなしの時期になってまいりましたので、是非ともこの法案を参議院におかれまして成立を一日も早く、一刻も早く成立をしていただくよう心から改めてお願いを申し上げます。
  262. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 時間が限られていますので、御答弁は、せっかくの機会ではありますけれども、簡潔にお願いを申し上げたいと思います。  今総理の御答弁にありましたように、元々、総理は民主党代表でもおありになるわけでありますが、このマニフェスト破綻というものを薄々民主党さんの側も気が付いておられたわけですね。二〇〇九年の政権公約で出されたマニフェスト、当時は財源に十六兆八千億円捻出できますと。埋蔵金の発掘、それから租税特別措置法の見直し、そして歳出の見直し、この三つの柱で十六兆八千億円捻出するから、私どもがばらまき四Kと呼んでおりますけれども、こういう無駄遣いもできるんだと、そういう政権公約で政権交代がなされたわけであります。  しかしながら、昨日の本会議野田財務大臣にも御答弁いただきましたが、私どもの自民党の愛知筆頭理事が、この十六兆八千億円の中でどれだけ実際捻出できたんですかと質問をさせていただきました。それに対する御答弁、いろんな数字をおっしゃっておりまして、数字だけで見ると十三兆円規模をおっしゃっていたと思いますが、実は二十二年度、二十三年度合わせて恒久財源で手当てができているのは何と僅か三兆六千億円しかないんですね。  ですから、当然、私どもはそういうことを見越していたから、ばらまき四Kやめてくださいと。そして、やめるなら早く予算特例公債法案も通しましょうと、そういう協力の姿勢を提示をさせていただいていたんです。しかしながら、ばらまき四K、子ども手当を見直し児童手当に戻す、こういうことを最終的に合意をしていただいたのは八月に入ってからではありませんか。この間一体何をしていたのか。それがそもそもの遅れの原因である。  元をただせば、二〇〇九年のマニフェストの破綻に、それを包み隠そうとして政権にしがみつき続けてきた民主党の国会運営、ここにそもそも問題があったのではないかと思いますが、野田大臣、財政を監督する所管大臣として責任をお感じになりませんか。
  263. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) まず、昨日の愛知議員の本会議での御質問は、一つはマニフェストでいわゆる財源確保として、一つ歳出の見直しと予算の組替え、それはどれぐらいの額だったのかということと、埋蔵金の発掘でどれぐらい見付かったのかということと、そして租特の見直しと、その三項目のお尋ねがありましたので、それぞれ数字を挙げて、合わせると十兆を超えるというお話をいたしました。  ただ、一方で、マニフェストの主要事項を達成するためには、これは恒久財源が必要であります。恒久財源の確保には、委員指摘のとおり、三・六兆円、これまで二十二年度、二十三年度というお話でございますので、ちょっと話が混在をして誤解を招いたことは恐縮でございますけれども、しかし十六・八兆円をそのまま恒久財源を獲得するということは、この委員会でも申し上げたとおり、なかなか厳しい状況でございました。  その上で、この特例公債についてそうした歳出の見直し、野党からの御指摘も踏まえて私ども政府としても真摯に対応していかなければならなかったことは間違いございません。その意味では、ここまで遅れたことは私ども大きな責任があるというふうに思います。こうして委員長を含めて皆様の御協力をいただいて御審議をいただいていることに改めて感謝申し上げたいと思います。
  264. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 野田大臣、大変申し訳ないんですが、まだ、何といいますか、猛省の色が御答弁に見られないんですよ。というのは、昨日の本会議での御答弁でも、要は十三兆円規模捻出できたというお話ですけれども、私どもの計算では、その昨日の御答弁の中にも年金の臨時財源が入っているわけですよ、二・五兆円。どうですか。ただ、これは捻出できた額と言えるんですか。これは年金の臨時財源を流用しているんじゃありませんか。それをあたかも捻出できたと言って、野田大臣が昨日の参議院の本会議で御答弁されているんですよ。  これほどでたらめな答弁をされる、それでも何か責任を感じておられない。全くこれはもう鳩山政権時代から本を正せば、いきなりの思い付きで国際会議でぽっとCO2二五%やるとおっしゃってみたり、菅総理もそうです。これはもう民主党政権、総理が誰になろうとこの隠蔽体質、うそつき体質は変わらないんじゃないだろうかと、そのようにとことん私たちは思わざるを得ないわけであります。  そこで次に、今たけなわになりつつあります民主党の代表選挙について、菅総理、党代表でおられますから、そしてこの代表選挙というのは当然私たちにも気掛かりな首班指名選挙にもつながるわけでありますので、この場をお借りして少しお伺いをしたいというふうに思います。  大変残念なことに、民主党の代表選に立候補予定者として乱立して五名、六名の皆さんのお名前が挙がり、その中に野田大臣のお名前も挙がっているわけでありますけれども、皆さんが口をそろえて、ここに来て小沢元代表の支持を取り付けるべく小沢元代表の党員資格処分を見直しをするということに言及をし始めたわけであります。しかしながら、小沢元代表はそもそも政治資金規正法違反罪で強制起訴をされて、そして公判をこの十月に迎えると、そういう人物であります。そして、公党である民主党が当面、党員資格処分にしたということであります。  次の、次期政権を担うべきその首班指名選挙の候補者たる、なり得る民主党の代表を選ぶ選挙において、公党として、各立候補者予定者がこの政治資金規正法違反罪で問われている人を党員に戻すと言っていること、この規律のなさ、無責任さ、これについて、菅総理、いかがお考えですか。
  265. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 先ほど委員長の方からこの財金委員会は大変見識の高い委員会ということで御説明がありまして、代表選挙は大変重要な政治的課題でありますけれども、この場で私が代表であるからといって余りあれこれ議論するにはふさわしくない場かと思います。しかし、一応御質問でありますので、答えられる範囲でお答えをさせていただこうと思います。  民主党の代表選挙に立候補されようとする方が自ら信ずる政策や党運営の在り方について述べられるのは、基本的には自由な政党でありますから、それはそれぞれの方のまさに見識だと思っております。  と同時に、と同時にですね……(発言する者あり)いいですか。と同時に、議員の処分についてはこの間、党のルールに従って常任幹事会が党倫理委員会に諮って決定されております。そういった意味で、もしこういった決定を変えるとすれば、当然ながら、常任幹事会で決定されたことについて変えるとすれば、また改めて常任幹事会で議論すべきことになると、そういうふうに考えております。  私は現在の執行部の責任者でありますから、きちんとルールにのっとって決めたことについては、少なくともそのことは本来守られるべきものだと、このように私自身は認識をいたしております。
  266. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 次の総理を選びかねないその候補者を民主党さんは代表選でこれからお選びになるという、まさに公党としての責任感を私は問うているわけです。そして、それを次期代表候補者に向けて、菅総理、あなたがこの立場を退かれる際に次の代表者に対して申し送りをして、その政治資金規正法違反罪で問われている元小沢代表は当面、当然ながら戻さないということを申し送りをするとか、そのぐらいのリーダーシップというものがうかがわれなければいけないんですけれども、今御答弁いただいたのは全く手続論で、政治家としてのリーダーシップすら感じられない全く残念な御答弁であります。  仮に小沢さんを戻すようなそんな公約を掲げられるような方が代表になられても、やはり私どもとしては、国会では首班指名選挙で、そういうプロセスで選ばれた方は不適格と言わざるを得ないですよ。そのことは私は申し上げておきたいというふうに思います。  さて、最後になりますが、次に年金の財源の流用の問題でありますけれども、先ほど野田大臣も、昨日の答弁の中で、どうもこの金額、二・五兆円を含めて捻出をしたというふうにおっしゃっているわけでありますが、この点についてお伺いをしたいというふうに思います。  まず、四月の二十八日、第一次補正予算を参議院に提出をした際の本会議野田財務大臣が財政演説を行っております。配付資料に御覧をいただくとおりでありますが、ここで、第一次補正予算財源については、下線部分ですが、追加の公債発行せず、歳出の見直し等により確保しておりますと言われております。この歳出の見直しにより確保というのは、言わんとする意味は、二・五兆円の年金臨時財源の流用を意味しておられたわけであります。  そして、次の中略の後の括弧で、平成二十三年度の基礎年金国庫負担割合については、税制抜本改革により確保される財源を活用するということで、それを法制化することとしておりますというふうにお話をされております。すなわち、年金財源は流用をしても、二十三年度の年金財源には恒久財源を確保するから、まあ、ある意味懸念に当たらないというような御示唆であったというふうに思います。  これは、菅総理も同じ日の参議院本会議の御答弁で、下のボックスですけれども、臨時財源約二・五兆円の活用については、税制抜本改革により確保される財源を活用する、そして最後のくだりで、安易な流用との御指摘は当たらないと考えておりますというふうに御答弁されているわけであります。  要するに、二・五兆円の年金財源の第一次補正予算に向けた一時的な借用、流用という言葉がお嫌いであれば借用ですけれども、これは安易な流用ではない、恒久財源で手当てするんだと、そういうことを言っているわけでおられますが、しかしながら、実際に菅総理が鳴り物入りで始められた社会保障と税の一体改革、六月末をめどに改革案を出すということで恒久財源を見付けるというお話でありましたが、全くその財源は提出をされておりません。明確な財源が出てこなかったわけであります。  このことについて、当時、第一次補正予算編成するときには、私どもは、何が何でももう国債発行してやらなければ間に合わないということをかねてから自民党は主張していたわけでありますが、それに対して民主党政権の方は、国債は使わないんだといって年金財源を流用したわけであります。しかしながら、ここに来て三党確認書、三党合意、八月九日時点でなされました。ここには、第三次補正予算でこの年金の臨時財源については復興国債発行で戻すというふうに合意がされたわけであります。  結果として、第一次補正予算は年金臨時財源を使うものの、でも、その年金臨時財源への補填は復興国債という借金で埋めますよ、要するに第一次補正予算借金でやるということだったんじゃないですか。何をうそをつかれたんでしょうか。野田財務大臣、お答えください。
  267. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 平成二十三年度の一次補正予算の財政演説では、佐藤委員の御指摘のとおり、財源については追加の公債発行せず、歳出の見直し等により確保したと申し上げました。これは一次補正予算において、年金臨時財源二・五兆円の活用に伴い、一般会計から年金財政への繰入れを減額したことは歳出の見直しに当たることを踏まえたものでございます。  なお、この財政演説では、これまた御指摘のとおり、二・五兆円を年金財政に繰り入れるための財源として税制抜本改革による確保された財源を活用することを法制化することも併せて申し上げさせていただきました。今回の八月九日の三党幹事長確認書を受けて、政府としても二・五兆円を復興債で補填するための償還財源について検討をしていくこととなりますけれども、こうした取扱いは、年金財政に二・五兆円を繰り入れるための財源を確保しようとしている点では、これは一次補正の際の対応とそごはないものと思います。
  268. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 いつまでも結局そういう強弁をされ続けている限り、私は今の民主党政権の皆様方の姿勢をこの二年間拝見してきて、やはり余りにも往生際が悪いんですよ。本当に認めるところはすっきり認めて前に進めないと。  ですから、こういうマニフェストの破綻もあって、私ども自民党は、この参議院で二月に財政健全化責任法案も出させていただいております。ずっとつるされたまんまではありませんか。なぜ審議に進めないんですか。それは、民主党の中でこのマニフェストの財源破綻があるから、だから、新しい歳出に対して一つ一つきちっと責任を持って財源を付けましょう、そんな法案審議できるわけがないんですよ。だからずっとつるしたままになって、この今国会でも恐らく廃案になるんでしょう。  そういう姿勢であるから、往生際が悪い。もっと国民生活を前に進める、復興を前に進める、この財政危機をきちっと立て直していく見通しを立てる、そういうことを本当に責任政党として関心があるのであるならば、往生際良く、きちっと悪かったことは、マニフェストは破綻した、そして改めるときは改める、そういう姿勢を出して前に進めていくことが必要ではありませんか。  野田大臣は先ほどからの御答弁で、今日はマニフェストのそろそろ二年が経過して見直し時期だというふうに御答弁をされているわけであります。二〇〇九年、政権交代の公約のマニフェストの見直し時期に入っておられるならば、いっそのこと、野田大臣、しっかりと過ちをお認めになって、二〇〇九年の財源は手当てできなかった、マニフェストは破綻していた、ばらまき四Kはやめる、そして全部マニフェストは書き換える、そしてその新しい民主党の書き換えたマニフェストの下で解散・総選挙を行って国民の信をもう一度問いただす、それがあなたの第一の仕事に、もし代表選でお勝ちになるのであれば、その第一の仕事におなりになるのではありませんか。覚悟のほどをお聞かせください。
  269. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 代表選挙云々というちょっと前提は外させていただきたいというふうに思いますけれども、マニフェストが、私どもお約束をした大変大切なものだと思います。でも、大切なものでもやっぱり検証は常に必要であって、ちょうど折り返し点のこの九月を目指して、元々震災の前から党の執行部としてはこの二年間の検証をしていくということがあったというふうに思います。  その上で、震災等もありましたので、その優先順位をしっかりと今チェックをしていくというそういう段階だろうと思いますし、主要事項については、これは各党との合意事項もありますので、それを踏まえた適切な対応をしていかなければいけないというふうに思います。
  270. 佐藤ゆかり

    佐藤ゆかり君 是非ともマニフェストの改定とともに国民にもう一度政権選択の機会を戻していただきたいということをお願い申し上げ、質問を終わります。
  271. 西田昌司

    ○西田昌司君 自民党の西田昌司でございます。  菅総理、この前の予算委員会が最後の総理との質問だと思っていましたが、天がもう一度機会を与えてくれました。それで、前回の積み残しの問題を追及させていただきます。  平成十九年度のあなたの政治資金団体の草志会の収支が赤字になってしまう、これは後で気が付かれたと思いますけれども、なぜ、どうしてという言葉を発しておられたようでありますけれども、あり得ないんですね。帳簿上赤字になっても、実際のお金の動きとしては赤字はあり得ない。菅総理おっしゃったように、それなら立替えかもしれないとかおっしゃいましたけれども、お調べになったんでしょう。どういうことだったんでしょう。原因を教えてください。
  272. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 西田議員とは、いろいろな委員会で御質問、まあ御質問よりももっと大きな声でいろいろと言葉を発せられておりましたけれども、今日が最後かどうかは私にも分かりません。是非、せっかくの国会でありますので、一度は政策的な議論をさせていただきたいなと思っておりましたが、残念ながら今日も政策的な議論ではないようであります。  私は、先週ですか、八月十一日の参議院の予算委員会で、初めてその場でこういう資料を西田さんが出されました。ですから、その場でいただいたので、果たしてこれがどういう形で出された数字なのかよく分かりませんでした。私が東京都選管に出しているものはこういう形であります。  例えば、この中に、西田さんが出された資料の中に繰越しというのがありまして、ここに二千九百三十五万二千六百十六円というのがありましたので、私もこの中で繰越しというのがどこにあるのかと思って調べてみました。普通は繰越しというのは前の年からの繰越しでありますので、前年からの繰越額というのがこれに出ておりますが、全く数字は違っております。私の担当者にこれどうなっているのと言いましたら、いや、それは御本人に聞いてみてくださいということですので。  つまりは、この資料は、何か期間を限定の部分だけになっておりますし、率直に申し上げて、このことについて担当者にチェックをさせておりますけれども、必ずしもその数字がどの数字を採用されているのか、率直に言ってよく分かりません。
  273. 西田昌司

    ○西田昌司君 あなたは本当に最後まででたらめ言いますね。ここに、私が予算委員会で示した資料というのは、二月二十八日の、この初めですから、その前の残高なんですね。元々あなたの出しておられたのは一千万。それは当然あるんです。それを入力して、日々の支出と収入をやっていくと、赤になるところだけ抽出しましたけれども、なるということなんですよ。  今の話を聞きまして、あなたが、結局、自分で説明できないものだから、そういうような答弁でごまかすという作戦に出たということがよく分かりました。全くでたらめです。そして、言っておきますが、立替えとおっしゃったんだけれども、立替えしたのかどうなのか、そのことをおっしゃってくださいよ。あなたは立替えということもあり得ると言ったんでしょう。立替えがあったのですか。どうなんですか。
  274. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) いつもこうやってでたらめだとか虚偽表示だとか西田さんは言われますが、まず自分が出された数字の根拠をお示しください。
  275. 西田昌司

    ○西田昌司君 根拠はここにありますから、後でじっくり見てください。そこまでおっしゃるんでしたら、これは後でちゃんと示しますから、終わってからもちゃんと答弁しなさいよ。  それで、それで……(発言する者あり)何を言っているんですか、あなたは。質問に、やじをしているんじゃないんですよ。私の今質問しているときですから。最後ぐらい潔く総理としての責任を果たしなさいよ。  私が言っているのは、要するに、立替えをしたということを、この前、そういう可能性があるということもおっしゃって、その場を切り抜けようとした。しかし、そのことについても調べてないんですよ。なぜ調べてないのかと。調べていくと矛盾点が明らかになるからなんです。はっきり言いましょう。立替金という処理をしますと、当然、こういうふうに赤字であってもあり得るんです。  それは何かといいますと、例えば事務費とかそういうものを、まあ例えば事務所の人間が例えば日々のお金、たまたまなかったから私のポケットマネーで出しましたと。そういうことをやると、赤字ということに帳簿上なり得ます。しかし、それはあくまで組織の中の、内部の中の立替えでありますから、至って限定的な小さな金額しかあり得ないんです。ここのように、私が示しているように何百万円、六百万円を超える金額が赤字になるということは絶対にあり得ない。それを立て替えた、立替えをしたと言うのなら、それはまさに事務所の内部の人間、あなたが立替えをしたのか、そういう人しか立替えできないんですよ。  ところが、一番問題は、立替えを御本人がしたのかどうか知らないけれども、立替えをしながら、自らの政治団体の菅直人を応援する会にまた三百万円を寄附されて赤字をますます増やしておられるんですね。  つまり、何が言いたいかというと、立替えなんという、そういう論法は成り立たないということです。そうなってくると、一つ残ってくるのは、借入金を起こして、要するに、どこかから借入れを起こして、他の団体から借入れを起こして、そしてお金を回したということは考えられます。しかし、その場合には、借入金というのは収支報告上、借入金収入、返した場合には借入金支出という、こういう収支が出るわけなんです。ですから、借入れということは、もし借入れなら、これは完全に政治資金の収支報告の虚偽記載なんですよ。  選挙部長、私が今言いましたように、借入金というのは収支報告に書かなければならない、そして立替金はあくまで組織の内部の中の限定的なことでしかあり得ない、この二点について簡潔に答弁してください。
  276. 田口尚文

    政府参考人(田口尚文君) お答え申し上げます。  総務省としては、個別の事案につきましては、具体の事実関係を承知する立場にございませんのでお答えは差し控えさせていただきたいと存じますが、その上で一般論として申し上げますと、政治資金規正法におきましては、借入金については、規正法上、政治団体の収入項目の一つとされておりまして、借入先及び当該借入先ごとの金額を収支報告書に記載することとされているところでございます。  一方、立替払につきましては、政治団体の役職員が政治団体としての支出を行ったものと解されますことから、当該立替払をした時点を支出の年月日として、そして政治団体の役職員等が支出した相手方を支出先として収支報告書に記載することになるところでございます。このため、収支報告書上、年途中におきまして一時的に支出累計額が収入累計額を上回ることはあり得ることと考えられるところでございます。
  277. 西田昌司

    ○西田昌司君 今言いましたように、要するに内部の立替えというのは非常に限定的な話なんですよ。そのことを、恐らく事務方に調べて総理の中では分かっておられるんです。だから、それを説明することができないから、これが最後の質問だということでそういうとぼけた答弁で逃れようとされているようですけれども、これははっきり言いまして、あなたが総理を辞めたからといって消える問題ではありません。  そして、その赤字になってきた原因が、要するに民主党からの寄附金収入、その寄附金収入と市民の会に対する支出の関係がアンバランスになってくるところから出てきている問題なんです。ということは、民主党自身のお金の流れについても問題があるんですよ。  野田大臣、あなたが仮に、仮にと申しますか少なくとも代表になられる、総理になられる意思をお持ちであるわけでありますから、もし党のそういうしかるべき立場になったら、このお金の流れ、調べるべきじゃありませんか。お答えください。党として。
  278. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) しかるべき立場になるかどうかというのは分かりません。分かりませんけれども、きちっと国民に説明ができるような体制は必要だろうと思います。
  279. 西田昌司

    ○西田昌司君 ついでにもう一つ言っておきましょう。  先ほどから、小沢さんの話が佐藤委員の方から出ました。これも全くモラルに反する話ですが、私がもう一つあきれているのは、菅総理も外国人から献金をもらってまだ居座っておられるけれども、外国人から献金をもらったといって、それを理由に外務大臣を辞めた方が今度代表選に出るということが報道されているんですよ。あり得ないですよ。あり得ない。  野田大臣、あなたは、あなたも総理候補の一人でありますけれども、そういう形で外国人献金を受けて辞められた方があなたと一緒に代表選に手を挙げる、これはどう思われますか。全くこれは問題だとは思いませんか。
  280. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) それぞれの方が志を持って代表選挙に出られる、その方を云々するということは私はコメントを控えたいというふうに思います。
  281. 西田昌司

    ○西田昌司君 あのね、そういう次元の話じゃないんです。現に、何の理由でそれじゃ大臣を辞められたんですか。その話の説明がされてないままですよ。次、もう一度次はワンランク上の総理になるために手を挙げる、一体何なんですか、これは。笑い話にもならないじゃないですか。  そういう方が出てこられることに対しても物が言えないというのはなぜか。それは、菅総理、あなた始め歴代代表が全くモラルにもとる行為を平然とやりのけてきたと。これは政治と金だけじゃないんです。あなたは今、私と政策論争やりたかったとおっしゃったけれども、政策論争やる前のモラル違反なんです。そして、政策の一番の要であったマニフェスト自体が全てでたらめであったじゃないですか。そのことに対しても、いまだにあれは誤りだったということをちゃんと認めていないんですよ。  そういうことがまかり通るから、小沢さんのような方に詣でて多数をお願いしたり、外国人献金で辞められた方が今度は一段上の総理大臣に立候補する、こんなばかげた話になってしまうんですよ。それは全てあなた方が身から出たさびだということをこの場で私は付言しておきます。  そして、もう時間ありません。最後に言いますが、本来、私は言いたいのは、要するに財政再建とデフレの話。これ、何度も言ってきました。財政再建とデフレ、どちらが本来優先されるべきなんですか。日銀総裁、野田大臣、共に、短く、どちらか、そのことだけおっしゃってください。
  282. 白川方明

    参考人白川方明君) 財政政策につきましては、これは政府国会でお決めになる問題でございます。したがいまして、日本銀行総裁としてどちらかということではございません。  ただ、デフレを克服し、物価安定の下での持続的な成長経路に早期に復帰するということは、これは大事な課題でございます。同時に、昨今の国際金融情勢を見てもそうですけれども、財政バランスの維持ということに対する信認が維持されていませんと、これは経済の安定そのものが脅かされるということを意識しております。
  283. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) デフレからの脱却というのは、これはまさに至上命題であり、日銀とも緊密に連携をしながら対応していきたいと思います。(発言する者あり)じゃ、私の方は短めにいたします。  その上で、一方であの欧米における今の債務の問題に端を発する世界の経済不安を考えると、日本の財政規律もしっかり守るというメッセージも必要でありますので、この両立を図るということが何よりも大事だと思います。
  284. 西田昌司

    ○西田昌司君 両立は当たり前なんです。私は順序を聞いているんですよ。ところが、今、日銀総裁、遠慮しながらあえておっしゃいましたよ。つまり、財政の再建も両方とも大事なんだけれども、デフレでは経済活動自体があり得ないんです。デフレというのは何かというと、要するに再生産ができないということなんですよ。企業活動ができないということなんですよ。このことが一番の問題なんです。ところが……(発言する者あり)何を総理言っているんですか。違うのはあなたなんですよ。あなたがそういうことを言っているからデフレをどんどん加速されてきたんですよ。  皆さん、写してあげてくださいよ。最後まで分からないことを言っているんです。  それで、要するに、なぜかというと、これは皆さん方にも前説明しましたけれども、デフレとは何かというと、要するに物の値段下がってくるんです。総理、よく聞いてくださいよ。月給、総理、五十万円もらっていて、そしてそれを、借金をして家を建てたと。三十万円、まあこれ大き過ぎますけれども、例えば三十万円の住宅ローンを払っていましたと。これは、月給が五十万円もらっていたらいいですよ。ところが、月給が四十万円、三十万円になってきたら、幾ら頑張っても借金返せないんですよ。つまり、日本経済、今そういう状態なんですよ。確かに国債も大きいですよ。しかし、問題は、経済規模が大きくなってデフレを克服していけば、給料は五十万円から六十万円、七十万円になるんです。三十万円の借金は毎月たくさんあってもちゃんと返せるんです。これがデフレやっては駄目だという原因なんです。  そこで、デフレを止めるにはどうしたらいいかと。デフレを止めるためにはデフレの原因が何かということが分かっていなければなりません。──総理はいいんです、もう辞められるんですから。  白川総裁、つまりデフレの原因というのは、要するに需要と供給どちらが多いかといえば、需要が少なくて供給が多いと、こういうことからできてくると思うんですね。だから、そのために日銀がされているのは、需要をどんどん増やすために民間のお金を投入していこうと。このことをありとあらゆる手段をして日銀はやっているんじゃないんですか。イエスかノーか、簡潔に言ってください。
  285. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) まず先に、菅総理大臣
  286. 西田昌司

    ○西田昌司君 何でですか、私は菅さんに聞いていませんよ。
  287. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 私が指名をいたしました。
  288. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) デフレの原因について、私はこの委員会でもいろんな方と議論をしてまいりました。西田さんとは初めてかも知れません。  私は、いつも申し上げますが、今の日本デフレは、お金を持っていることと、お金を使って、例えば私の若いころだったら、まあ車でも買ってガールフレンドでも隣に座らせて走っていこうとか、そういうお金よりも物が欲しかった時代が長かったわけですが、今は残念ながら物よりもお金のままで持っておくことの方がより安心であったり、より、何といいますか、好みとして、選好として強くなっている。つまりは、お金がないからではなくて、お金を使うよりもお金を持っている方が強くなっているためにデフレというものが起きているわけです。  そこで、今この復興の段階では大変チャンスでありまして、つまり、従来はそれを無理やり国債で余り役にも立たない道路や橋を造っていたわけですが、今回はみんなが、国民が、誰もが必要ということを認識している復興に充てることができるわけですから、思い切ってそれは、国債であろうが、場合によったら将来の償還考え国債であろうが、使っていくことは、まさに需要拡大し、そして供給は、ややサプライチェーンが難しい状況で、戻ってはきておりますが、少なくとも需要拡大するということにつながるわけです。  私は、平時であれば雇用につながる形で需要拡大すべきだし、今回の大震災ではまさに公共事業も含めて需要拡大すべきだということで、まさにお金よりも物に変えていくという、そこが進めばデフレの原因は少なくなる、これが私の考え方です。
  289. 白川方明

    参考人白川方明君) デフレの原因……(発言する者あり)
  290. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 御静粛にお願いをいたします。こちらは財政金融委員会です。
  291. 白川方明

    参考人白川方明君) デフレの原因でございますけれども、需要と供給を比較しますと、需要の方が供給よりも少ないということでございます。ただ、その際に、その需要の不足という場合には、短期循環的な問題とそれから長期構造的な問題、これを分けて考えた方がいいと思います。  リーマン・ショック後、これは需要が大きく世界的に落ち込みました。そうした短期的な需給ギャップ、これに基づくデフレにつきましては、今、日本銀行は思い切った金融緩和を行っております。一方、構造的な問題でございますけれども、これは日本経済成長力がだんだんに低下してきている、その結果、将来に対して所得が増えていくという期待を持てないことが原因でございます。  この点では、日本銀行がこれだけ思い切った金融緩和を長期にわたって持続しているにもかかわらず、なおかつ需要が盛り上がってこないということの意味を深く重く受け止める必要があるというふうに思っています。そのためには、これは民間の活力を引き出す努力が大事だというふうに思っております。
  292. 西田昌司

    ○西田昌司君 最後にちょっとかみ合ってきたんです、実は。白川総裁おっしゃるように、金融をどんどん緩和して、民間にお金を出すようにしているんだけれども、これだけやっても民間がなかなか出てこないんです。そこで、菅総理が今おっしゃったように、だからそのお金国債を出してでも使うんだと、いいことおっしゃったんですよ。なぜやってこなかったんですか。あなたがやったのは、単にばらまきに使っただけなんです。そうじゃないんです。先ほどおっしゃったように、先が見えないから、つまり赤字で、年金払ったり、子ども手当払っても、誰も喜ばないんですよ。  そうじゃなしに、菅総理自らおっしゃったように、様々な復興需要も含め、あるんですよ。それに対して、皆さん方、そうでしょう、民主党の皆さん方。そこまで分かっているのなら、なぜやらなかったんだと。菅総理がやりたいと言っているのに、野田さん、あんたが駄目だと言ったんですか。そうとしか考えられないですよ。一体なぜこういう結果の予算になり、補正予算になったんですか。
  293. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 私は、実は三月十一日前から、国債発行することが、そのこと自体が悪いと言っていたんじゃないんです。それが持続可能かということを問題にしていたんです。  つまり、国債が永久に国内で消化できて、今のように長期十年物の金利が一%前後で続くのなら、永久に続くのならそれでいいんですよ。しかし、私が財務大臣のときに経験したギリシャのことを、今でもそうですが、永久には続かないということですから、ですからどういうふうにその段取りを踏むかということで、当初の二度の補正予算は確かに国債を使いませんでした。しかし、今回の第三次補正は思い切って復興債を出そうと、そういう考え方に立っているわけでありまして、だからといって、私が国債をなぜ発行しなかったかということを言われれば、持続可能な財政のためにその段取りを考えてきたということであります。
  294. 西田昌司

    ○西田昌司君 菅総理と、もう二度とないんでしょうけれども、もう少し早くちゃんと言いたかったですね。おっしゃっていることは、そこは合っているんですよ。ところが、実際にやっていることが違うから言っているわけですよ。そこまで理屈をこねておっしゃるのなら、なぜ補正予算、この前の第二次なんか、この半分あれじゃないですか、二兆円の半分が、八千億が予備費ですよ、何にも使っていないんですよ。そして、復興基本計画だって、本当に復興の全体像というのが小さな小さな金額ですよ。復興だけじゃなくてデフレ対策ということもおっしゃったんだから、そういうことを考えると、もっと桁違いの大きな公共投資、これが必要だった。  このことを私は、野田大臣、もしあなたが次総理になられることがあったら、菅総理ももう国債出してどんどんやれとおっしゃったんだから是非やっていただきたい。そのことを要望して、私の質問を終わります。
  295. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 一旦速記を止めてください。    〔速記中止〕
  296. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) では、速記を起こしてください。
  297. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 自由民主党の丸川珠代でございます。  菅総理大臣は今朝の閣僚懇で、三十日にも内閣総辞職の方向であるので引継ぎをするようにというお話をなさったということが報道されております。二十六日にも恐らく子ども手当であるとか再生可能エネルギーの法案であるとか、あるいはこの特例公債法、全部もう成立するだろうという、そういう見込みでおっしゃった発言であろうかと存じますけれども、今日の答弁が不十分な場合は我々速やかに採決できるかどうか、これはもう御答弁次第でございますので、是非そのことをよく念頭に置いて、きちんと御答弁をいただきたいと思います。  さて、我々がこれから議論しますこの特例公債法は衆議院で修正が加えられて送られてまいりました。附則の第二項ですけれども、これが付け加えられまして、「政府は、子ども手当の支給等の見直しによる歳出の削減について、平成二十三年度の補正予算において必要な措置を講ずるものとする。」と。ここにはこうとしか書かれておりませんが、私たち自由民主党は、この修正を含む平成二十三年の八月四日のこの「子どもに対する手当の制度のあり方について」という合意、それから八月九日の確認書、この二つの三党合意が必ず実行されるという、この政府・与党の約束を前提として衆議院において特例公債法に合意をしたわけであります。  合意の内容は皆様御承知のとおりでありますけれども、子ども手当については来年三月で制度としては廃止になり、来年の四月からは児童手当を基本とした制度になる、しかも金額はこの十月から拡充をされる、つまり、今後十月以降は児童手当に向けての移行期間となる、所得制限が来年の六月から設けられるということが書かれているわけであります。  ところが、こういう皆様のお手元に配られているビラ、民主党の皆さんもよく御覧になっていると思いますけれども、真っ赤なうそが書かれたビラが配られたわけでございます。子ども手当を存続しますと書いてあります。真っ赤なうそでございますが、これを民主党執行部は、お盆の前の週末、ちょうど国会議員が地元に帰る前にわざわざ三十五万枚も印刷して、全国の総支部にこれを地元を歩くときに配れといってお配りになったわけであります。法案も成立しておりません。ましてや、中身はうそだらけでございますけれども、これを持って民主党の議員日本全国各地でうその上塗りをして歩いていたわけでございますね。  加えて、こちら、八月十九日付けのプレス民主でございます。もう表紙も、これとんでもない、日の丸の真ん中を破って子供が出てくるようなことを想起させるような、わざわざこういう表紙を作る考えが本当にどうかしていると思うんですけれども。  この中で、その次に特集記事が組まれております、チルドレンファーストというところの四ページ目でございますが、「「子ども手当」の存続が決定しました」、またここにも大うそが書かれております。さらに、その裏をめくっていただきますと、実はこれは表のページと裏のページが見開きになっているんですが、西村智奈美衆議院議員、与野党協議の結果、子ども手当の廃止を回避しましたと。この人、分かってうそ付いているんでしょうか。あるいは、このチラシの誤解しないでくださいというのは、この西村智奈美さんに言った方がいいんじゃないかと私は思うわけですけれども。  菅総理、幾ら三党合意でサインをされても、岡田さんや玄葉さんが、こういうチラシが出てくる、私たちは三党合意を信じる理由がなくなるわけです。我々が三党合意に納得できるような、これを信じられると思えるような説明なり釈明なりをしていただけませんか。菅総理大臣にお伺いしております。
  298. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) まず冒頭、私の今日の発言について触れられましたが、私が閣僚懇談会で申し上げたのは、二十六日に二つの法案がそれまでに成立をしていたときには、まず党の代表を辞すると、そして新たな代表が選ばれたときには総理大臣、つまりは総辞職をすると、そのことを、従来も申し上げていることを同じように申し上げたわけでありまして、決して曖昧なことは申し上げておりません。  今、このビラのことについて御指摘がありましたが、民主党のビラの作成の経緯について、本当のところこれ、詳しいことは私、直接は承知をいたしておりません。しかし、岡田幹事長が十八日の記者会見で、今の子ども手当が一万三千円がそのまま続く、これから来年度以降も続いていくというふうに受け取られかねない表現でありますので、そういう意味で不適切であったというふうに考えておりますと、こういう説明を行っているところであります。私も、岡田幹事長が言われるように、この今の子ども手当がそのまま続くというような意味で受け取られるとしたら不適切であったと同様に考えております。  また、御指摘のプレス民主の作成の経緯も細かくは承知いたしておりません。そうした中で、年少扶養控除が廃止されている中で、十月以降、月額五千円の児童手当に戻るのではないかという子育て世帯の御懸念を払拭するために、今回の三党合意により子供に関する手当が九月で終了するわけではないことを明らかにしたいという趣旨だというように理解しておりますけれども、いずれにしても、確かに三党合意についてしっかりとそれは守っていきたいということを前提に考えておりますので、いろいろと皆さんにとって少し行き過ぎがあるという御指摘は真摯に受け止めて、それを直すべきものは直すという姿勢で臨んでまいりたいと思っております。
  299. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 申し訳ないんですけど、このチラシ、よく見ていただきますと、左の肩はきちんと子どもに対する手当制度を存続することを合意しましたと書いてあるんですよ。だけど、大きい見出しはわざわざ子ども手当存続しますになっています。あなた方、確信犯で使い分けているんですよ。ある部分は突っ込まれてもうそにならないように、ある部分はぱっと目を引いたときには自分たちの意思が通るようにと。もうまさにこれは詐欺そのものですよ。もう週刊誌のネタみたいな感じですよ、これ。本当に恥ずかしいと思ってくださらないと。誤解を与えると困るじゃなくて、誤解を与えるために作っているようなものじゃないですか。  これ、必ず回収をまずしてください。それから、子ども手当は廃止されますと書かれたビラを作って、きっちり配布してくださいよ、菅総理大臣。党代表に聞いております。党代表に聞いております。党代表に聞いております。党代表に聞いております。
  300. 小宮山洋子

    ○副大臣小宮山洋子君) 今、菅総理からもお答えいたしましたように、今までの子ども手当がそのまま続くような形のビラをこの時点で作ったことに対してはおわびを申し上げたいと思っています。回収ということですけれども、これはもう配らないようにという指示はしてございまして、この法案が通った後、三党合意に基づいたビラを作り直すというふうに聞いています。  それから、プレス民主の方も、これは子どもに対する手当が継続されますというふうにもう訂正をしたものが既に全議員のところに配られておりますので、以前のこちらで御指摘をいただいたようなものが今配られているという事実はございませんので、御承知おきください。
  301. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 先ほど来申し上げておりますように、細かい経緯までは私も承知しておりませんが、今、小宮山副大臣からもお話がありましたが、党の方とちゃんと話をされた上での報告だと思いますので、そうした形で対処したいと思います。
  302. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 小宮山さんは今内閣に入られているわけで、党の人間ではないんですから、私は党の代表に聞いているんですから、余計な発言しないでいただきたい。  事実関係を確認しますが、子ども手当は九月末で廃止になるのでしょうか。いいえ、廃止になりませんね。それでは、子ども手当はいつ廃止になりますか、菅総理大臣
  303. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 総理大臣に対しての御質問には答えなければいけませんが、党の代表と言われますとやはり党の事情を知っている方にお聞きしたことをお伝えするしかないわけでありまして、そういう意味で申し上げたところです。  今おっしゃったのは何を指摘されているのか、必ずしも正確には分かりませんが、附則のことを言われたんでしょうか。いわゆる附則のことを言われたんでしょうか。(発言する者あり)ですから、附則のことを言われたんでしょうか。
  304. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 質問します。  チラシの最初の質問を御覧ください。子ども手当は九月末で廃止になるでしょうかと書いてあります。いいえ、廃止になりませんと。それでは、子ども手当はいつ廃止になるのですかと聞いております。
  305. 小宮山洋子

    ○副大臣小宮山洋子君) これまで支給をしております一万三千円の子ども手当は事実上廃止になります。それはもう九月の時点で、十月から先取りをして二十四年度のものを金額は実施をいたしますので、それまでの子ども手当は事実上廃止だと思います。この後の二十四年度のものにつきましては、三党合意の中で、「児童手当法に所要の改正を行うことを基本とする。」ということなので、中身についてはこれからまた各党で御議論をいただけるものと思っております。
  306. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 それでは、このチラシの二つ目にある質問です。来年度も子ども手当は続くのでしょうか。
  307. 小宮山洋子

    ○副大臣小宮山洋子君) 今も申し上げたように、児童手当法に所要の改正を行って子供に対する手当を作るということですので、この子供に対する手当を、今までの児童手当の制度に子ども手当の考え方もどういう形で合わせてやるのかどうかというのはこれから各党でお話し合いになると、ネーミングにつきましてもこれから御議論をいただくというふうに聞いております。
  308. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 つまり、このチラシに書いてある「はい、そうです。」というのはうそですね。(発言する者あり)
  309. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 御静粛にお願いをいたします。
  310. 小宮山洋子

    ○副大臣小宮山洋子君) 今申し上げましたように、これまでの全ての子供に一万三千円という子ども手当は廃止になりますので、誤解を招く表現があれば、そこのところは、今、申し訳ないとおわびをし、三党合意に基づくものに作り直しているということです。
  311. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 あなたが幾らうそを言って申し訳ないと言ったとしても、これはもう民主党の議員がこれ持って配って歩いているわけですから、それをどうやって訂正するのかということをきっちり私たちにお約束いただかなければ、私たちは納得がいきません。  それから、平成二十四年度以降の見直しについて、各党の意見を入れると言いましたけれども、児童手当法の検討の中で、一条のこの法の目的についてあなた方は何か変更を加えるつもりがあるんですか。もしそうだとしたら、私たちはそれは聞いていませんし、全く三党合意にない話だというふうに理解しております。
  312. 小宮山洋子

    ○副大臣小宮山洋子君) 目的について、児童手当では、その家計の補助と子供の育ちを支援をすると。子ども手当につきましては、子供の育ちを支援するということだけになっておりますので、そこをどういうふうな形で行うかは、児童手当を基にしてそこに乗せる形でやるという中で各党で御議論をいただけるものと思っております。
  313. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 今までの子ども手当も、制度的には児童手当の上に子ども手当が乗っていたんですよ。その乗っている子ども手当がなくなるんですから、児童手当に戻るんですよ。まだこの期に及んでそういう言い訳をするようでは、我々は全くもって納得はできませんし、それから、このプレス民主は、これ訂正して発行したそうですね。  西村智奈美さんは、これ党の言っていることと全く違うことをおっしゃっています。ほっておけば児童手当に戻ってしまうというぎりぎりのところで合意に達して手当の廃止を回避したというんですね。戻るんですよ、児童手当に。この西村智奈美さん、うそつきですよ。このうそはきちんと撤回したんですか。  こういう党の方針と違うことを言う人は、菅総理大臣、処分に値すると思いますが、ちゃんと公党としてこういう党の方針と違うことを言った西村智奈美衆議院議員、あるいはこうしたものを発行しようとした広報委員長の藤本何がしをきっちりと処分するということを言っていただかなければ、我々は、申し訳ないけれども、三党合意が履行されるとはとても信用ができません。この場で言明してください。党の代表に聞いております。
  314. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 菅総理、質問の終了時刻が参っておりますので、簡潔に御答弁をお願いをいたします。
  315. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 私は、例えば中学生について一万円支給するということなど、児童手当のいいところと子ども手当のいいところがいろいろ議論された中で新たな形になってきたというふうに理解いたしております。  先ほど来、私も、あるいは小宮山議員からもありましたように、いろいろとビラや、あるいはプレス民主で御迷惑を掛けた点については率直におわびを申し上げました。ただ、そのことで何か処分するとかしないとかということをこういう場でお約束をしろとかと言われましても、それはちょっと場が違うと思いますので、それに対するお答えは控えさせていただきます。
  316. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 丸川さん、時間が参っておりますので、おまとめください。
  317. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 公党の代表として、党のことを知っている人に答弁してもらって、あなたが知っていなかったらあなたの党のガバナンスはどうなっているんですか、という話でありますし、相変わらず児童手当と子ども手当の理念が違うということ、したがって、この理念が変わるんだということも全く理解されておられないようであります。我々は全くこの答弁に納得できません。  以上で質問を終わります。
  318. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 公明党の竹谷とし子です。  本日は、まず菅総理に質問をさせていただきたいと思います。  本日審議されているこの公債特例法の成立に向けて、八月九日、民主、自民、公明党の三党合意により、民主党の主要政策、子ども手当、高速道路無料化、農業の戸別所得補償、高校の実質無償化について見直しが行われるということとなりました。このうち子ども手当については、三次補正予算で減額補正が行われることが確認書に明記されました。  民主党のマニフェストの実現性については、選挙期間中からその財源論が不明確であると繰り返し指摘されてきました。無駄の削減により財源が捻出できるとされた事業仕分においても、結局安定的な財源を捻出することはできず、民主党マニフェストは財源において絵にかいたもちであることがはっきりしたと思います。  菅総理は、御自身の著書「政権交代のシナリオ」でマニフェストについて次のように述べられております。引用させていただきます。できる限りマニフェストを明確に分かりやすくすることが私の総理候補としての責任だと考えます、無論、実行できなければ責任を取ることは覚悟の上ですとあります。このように、マニフェストが実行できない場合は責任を取ることを御自身の言葉で明言されております。  このように主張されておられた菅総理ですが、マニフェストの見直しをせざるを得なくなった今、マニフェストの見直しについてどのように考えるのか、そしてそれが今の段階で実現できなかったことについてどう責任をお取りになると考えておられるか、総理の御見解をお伺いしたいと思います。
  319. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) マニフェストというのは、従来の選挙公約という言葉から言わば政権公約という言い方で議論が進んできたと思います。かつての選挙公約ではどちらかというと、ウイッシュリストと言われるように、こうしたい、こうしたいというのが述べられたわけですが、マニフェストと言われるようになってからはある程度の時間と財源を提示すると、そういう形になってまいりました。  そういう意味で、我が党としては、二〇〇九年にマニフェストを発表し、四年間のいわゆる衆議院の任期の中でその実現を図っていくという姿勢で取り組んでまいりました。その中で、一部についてはかなり進展したものもあります。もちろん、今回見直しといいましょうか、検証の対象になっておりますが、例えば農業の戸別的所得補償あるいは高校の無償化、また今議論となっております子ども手当についても、少なくとも初年度についてはスタートをし、今見直しに入っております。しかし、確かにおっしゃるように、現在のところ、例えば暫定税率をなくするとか、あるいは今後に向けての見直し作業に入っているものも数多くあるわけであります。  私は、責任を取るという言葉は、最終的には国民の皆さんにそれらトータルをある段階で判断してもらうことが最もしっかりした責任の取り方だと思っております。そういう意味で、私は、四年間の任期は、特に政党ごと、かつての五五年体制のように同じ自民党の中で政権が替わるのではなくて、自民党が中心の政権から自民党が入らない政権に根本から替わった場合には、やはり四年程度の中で最終的には国民の皆さんに総選挙においてまさに責任を問うと、その形が本来の在り方であろうと、このように考えております。
  320. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 次の選挙で責任を取るという、そういうことでしょうか。
  321. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 私個人のことを申し上げたんじゃありませんよ。つまり、マニフェストという性格がその民主党なら民主党としての国民に対する四年間掛けてやるというお約束でありますから、もちろん部分的には初年度からできないものもありました。暫定税率の問題などありました。また、今回、三月十一日の大震災によって大きく変えなければならなくなったこともあります。それら全てを含めて、やはり衆議院の任期四年程度の長さの中で国民の皆さんに信を問うのが本来の在り方ではないか。  まあ余談になりますが、イギリスでキャメロン政権ができたときに、キャメロン政権が最初に連立政権をつくって何を言ったか。五年後の何月何日に次の総選挙をやりますと言いました。そして、いろいろな政策を出して、かなり支持率は下がっておりますけれども、国民は、五年間は今の政権にやらせてみようという形になっております。  残念ながら、日本はそういう形になっておりません。そういった意味では、せめて四年程度は一つの政権が、政権交代があったときには、国民の皆さんにそれが終わった段階でトータルで責任を問う、その形が議院内閣制の好ましい姿だと、私はそう思っております。(発言する者あり)
  322. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 御静粛にお願いをいたします。
  323. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 では、続きまして、野田財務大臣に伺います。  先日発売された文芸春秋の論文の中で、二年前の八月、政権交代による政治のチェンジを求めた有権者の皆様方の失望も痛いほど分かります、その責任は、政権交代後、政府の要職にある私にもありますと、自らの責任を明確に認めておられます。そして、そのマニフェストについても聖域なく見直すと主張をされています。と同時に、日本の最大の危機は財政ですと述べられ、財政再建は未来への責任と、決意を述べられております。  この二年間、財務大臣そして財務大臣をお務めになり、予算編成に当たられてきたその御経験から、民主党のマニフェストがなぜ財源の確保に失敗したのか、また不十分であったのか、その理由についてどのようにお考えか、野田大臣の御見解をお伺いしたいと思います。具体的にお願いいたします。
  324. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) マニフェストを踏まえての財源確保の話は、今日の午前中の議論からもありましたとおり、歳出の見直しと組替えでどれぐらい出てきたのか、あるいは埋蔵金の確保を二年間どれぐらいやったのか、あるいは租税の特別措置の見直しでどれぐらい財源捻出したか、それぞれ評価はあろうと思いますけれども、問題は、主要施策を実現をするための安定財源の確保という部分においては、これは子ども手当を含めてこの二年間で三・六兆円の財源確保でございました。  それはやはり、私自身、平成二十一年度の第二次補正予算から含めて六回の予算編成にかかわってまいりましたけれども、大変厳しい、十六・八兆というのは厳しい数字であったというのは実感でございます。ただし、国民にお約束をしたことについては着実に実施をするべく、理想を掲げながら、理念を大事にしながら現実に落とし込む作業をしてきたつもりでございました。
  325. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 では、総理にも同様に質問させていただきたいと思いますが、総理は七月二十二日の参議院予算委員会での我が党の渡辺孝男議員の質問に対して、二〇〇九年の民主党マニフェストについて、財源についてやや見通しの甘かった部分があった、不十分な点があったことを国民に申し訳ないとおわびしたいと答弁をされました。  財源について見通しが甘かったということが具体的にどのような部分が甘かったのか、不十分だったのか。できると言っていたことができなかったわけですから、なぜ実現することができなかったのか。同じ過ちを繰り返して国民を誤解させないために、具体的に説明をすることが国民に対して誠意を表すことになると思います。総理の御見解をお伺いいたします。
  326. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) マニフェストの議論をしていた当時、いわゆる特別会計を含めた総予算約二百兆円の中で、全体を見直すことで、例えば一割程度の削減を含めてやれるんではないかと、やろうではないかという議論がありました。当時、それぞれの党内で取り組む立場はありましたけれども、党全体としてもそういった中でそれを目指そうということでは意見が一致をして、マニフェストをそういう考え方で提示をいたしたわけであります。  その中で、いろいろな努力をいたしました。しかし、結果として、今のところ、十六・八兆を四年目に捻出するということについて、現時点で二年後を見通してもなかなか困難だということが感じるというか分かってまいりましたので、私としてもそういった見通しの甘さについておわびを申し上げたところであります。  原因はということを言われますと、一つは、当時は我々野党でありましたので、二百兆の中身がどういう形で使われているのかということを詳細には分かっておりませんでしたが、それを徹底的にまさに仕分等をやることで、そういうものからもっと捻出できるもの、あるいはまだ途上でありますけれども、いろいろと公務員の人数とか給与の問題等々取り組んでは現在もおりますけれども、トータルして言えば、先ほど申し上げたように、そういった見通しが甘かったという意味で率直に認めておわびを申し上げたところであります。
  327. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 菅総理も野田財務大臣財源の見通しが甘かったというふうにおっしゃられています。ということは、マニフェストを見直すということだと思いますが、民主党としてマニフェストを見直すということで一丸となってチームで取り組むという、そういう理解でよろしいでしょうか。菅総理大臣にお伺いいたします。
  328. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 現在、幹事長を中心として党としても見直しの作業を進めております。そういった意味では、これ、マニフェストは選挙の公約ということも含めて党が中心になっての見直しをしておりますけれども、少なくとも現在の執行部としてそういう方向で作業を進めていると、そういうふうに御理解いただいて結構です。
  329. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 続いて、円高対策に関連して野田財務大臣にお伺いいたします。  先日、私は大田区の自動車部品の製造工場に視察に行かせていただきました。長年にわたり創意工夫を重ね、厳しい不況の波を何度も乗り越えてきた工場です。そこで伺ったのは、どんなに効率化して生産性を上げても取引先の会社が円高で海外移転してしまえば仕事を続けていくことができなくなるという心配のお声でした。  このような現場の不安を裏付けるように、先日、産経新聞社の主要企業アンケートでは、実に八割の企業が産業の空洞化を恐れると回答しています。そして、その企業業績の圧迫要因の実に五割が円高と答えておられます。  我が党は先週十八日に、円高対策を含む総合経済対策に関する緊急提言を行わせていただきました。二十六日にはFRBバーナンキ議長の講演が予定されており、追加緩和の観測が強く、ドルが売られやすい環境にあります。一方、日本では二十六日以降、民主党の代表選で円高が放置され、日本がマネーゲームの餌食になってしまわないかという不安の声が出ています。  円高日本全体の問題です。一政党の代表選の都合で政府が果たさなければならない責務、円高対策が遅れるということがあってはならないと思います。我が党が提言させていただいた総合経済対策を踏まえ、包括的、戦略的な具体的円高対策について野田財務大臣の御見解をお伺いいたします。
  330. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 御指摘のとおり、いわゆる政権の中での移行期ではありますけれども、私の職分である為替の問題を含めて、そして今の円高対策を含めて、菅内閣の一員として最後まで職責を果たしていきたいと思います。  その上で、御党が御提起をしている円高対策を含む総合経済対策に関する緊急提言、これ拝見をさせていただきました。例えば、円高メリットの活用、あるいは中小企業の資金繰り対策の拡充、あるいはこの間本会議でもお話ありました節電エコポイント、さらには空洞化防止のための国内企業立地の促進などなど、大変参考になる御提起がたくさんあるというふうに思っております。  第三次補正予算は、これは復興にまさに力を注ぐための予算でありますが、必要な経済対策を盛り込むことも可能性はありますし、あるいは場合によっては予備費の活用ということもあり得るというふうに思いますので、いずれにしても今の経済情勢を踏まえて適時適切な対応をするという中で御提起は大いに参考にさせていただきたいというふうに思います。
  331. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。  では最後に、菅総理に伺いたいと思います。  円高と同じように、産業の空洞化、企業の海外移転の要因となるのが電力の供給リスクです。先日視察に行かせていただいた工場では、震災後メーカー側から、まず電力は大丈夫かという確認が来たということです。この地域では計画停電がなかったため影響はありませんでしたが、一方で計画停電の対象地域に立地する工場では、電力が安定している西日本の業者に発注を移されてしまったとの声も聞かれました。今、西日本にも電力供給のリスクが顕在化しています。  帝国データバンクの七月の調査によると、やはり八割近くの企業が空洞化を懸念しており、その要因として円高人件費の高さに次いで四割近くがエネルギーの供給問題を挙げています。  環境対策と長期的なエネルギー自給率を高めるために再生可能エネルギーの導入は重要であり推進すべき政策ではありますが、電力不足の即効薬にはなりません。しばらくあるいは長期的にも原発停止を補う電力は火力発電に頼らざるを得ません。電事連のまとめでは、七月の火力発電量は前年比一四・六%増となっています。しかし、火力も石油、天然ガスなど鉱物資源の輸入増加による電気料金の上昇懸念、大気汚染による健康被害、CO2の排出量増加などデメリットがあります。  さらに、これに加えて懸念すべきリスクが出てきました。新聞報道によると、全国の火力発電所で、七月、八月の連続長期運転で八基が故障、八月十八日現在も原発二・四基分に相当する火力発電所が故障により停止をしており、電力供給の新たな不安材料となっています。空洞化を防ぎ雇用を守るために、早期に電力供給を安定化させる見通しを示す必要があります。  総理は、これまでの御自身のエネルギー政策に対する御姿勢や御発言がこの産業の空洞化に拍車を掛け、中小企業を始めとする日本経済に大きな負の影響を与えたということを御認識されていらっしゃいますでしょうか。お伺いしたいと思います。
  332. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) まず、現在いろいろな意味で電力供給のリスク指摘をされているあるいは懸念されていることは私も十分知っております。この最大の原因は、まさに三月十一日の大震災によって多くの原子力発電所、一部火力発電所も稼働を停止をしている、つまりは三月十一日の大震災による影響が、今日大きくこの問題にかかわっているわけであります。  政策的に、確かにその後エネルギー供給、エネルギーの基本計画、二〇三〇年に対して五三%を原発で賄うといったようなことについての見直しは提起をいたしました。しかし、それは長期の問題でありまして、現在のリスクについて何が原因かと聞かれれば、これは間違いなくこの大震災の影響であります。そこで、私は早い段階から経産省に、どのような状況になったときにどのぐらい電力供給が足りなくなるのかならないのか詳細な数字を出すように何度も繰り返し提示をして、私なりに把握をしてまいりました。  確かに、新たな一般火力発電所の故障など、その時点では予想をされなかった新たな問題も起きておりますので、決して楽観はできませんけれども、その時点では、今年は夏のピークをそろそろ越えつつありますけれども、国民の皆さんの理解やあるいは企業のいろいろな努力によって、今年夏の電力不足は何とかクリアできる、今年冬も大丈夫だろう、しかし来年になるともっと厳しくなる、このような形が経産省から出てきた数字であります。  そういった意味では、まさに今後の在り方を、短期の問題、中期の問題、そして長期の問題としてきちんと考えて対策を打っていく必要があると、このように考えております。
  333. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 時間ですので質問を終わります。  ありがとうございました。
  334. 中西健治

    中西健治君 みんなの党の中西健治です。  一人しか委員がおりませんので、今日二回目の質問となりますのをお許しください。  まず、総理も来ていただいているわけですけれども、野田財務大臣とも財務大臣としては最後の議論ということになるかもしれません。積み残しもありますので、まず質問させていただきたいと思います。  先ほど舟山委員は、舟山委員ちょっと離席中ですけれども、外為特会復興財源としての活用、これを舟山委員の方も提言をされておりました。私も委員会で何度も提言をさせていただきまして、八月九日の本委員会ではこれまでよりも本質的な御答弁をいただき、評価をさせていただいておりますけれども、やはり結論としては、外為特会の活用を慎重に考えるべきだとされておりまして、その理由として、外為法七条三項の掲げる本邦通貨外国為替相場の安定という目的以外の使途であるということと、外為特会運用基準である安全性流動性、収益性ということを野田大臣は挙げられました。  安全性に関しては、米国債ですとか欧州の国債日本政府又は日本政府の子であります財投機関よりも安全であると即断することはできないのではないかというふうに思っています。  流動性についても、何も外為特会すべてを復興ドル債につぎ込んでくださいと言っているわけでは決してありませんで、復興のために一部を活用すべきと言っておりますので、全体として見れば、いざというときの流動性は十分に確保できているのではないかというふうに考えております。  また、収益性に関して言いますと、復興ドル債の利率を米国債よりも高めに設定しても、日本政府又は財投機関債の通常の発行コストよりも低く抑えることができて、発行体である日本政府、財投機関及び投資家である外為特会双方にメリットのある提案というふうになっているというふうに考えております。もし外為法七条三項がネックということになるのであれば、新たな目的を追加する立法措置を行えばいいのではないかというふうに考えます。  時代の新たな要請にこたえられない現行法があるからできないということでは思考停止と言われても仕方がないのではないでしょうか。再度、野田大臣考えを伺いたいと思います。
  335. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 多岐にわたる御指摘もございまして、一つ一つに何か申し上げるということではないし、何回もここで議論していると思いますけれども、大きなところはやっぱり外為特会の目的以外のところに使うということ、今ちょっと法律の立て付けのお話もありましたけれども、それをいかに考えるのかということと、やっぱりドル建て国債については、結局のところ外為特会政府短期証券発行して調達した資金を復興財源に当てるということは財政規律としてどう考えるかという観点が多分一番大きな私は議論の要素ではないのかなというふうに思っておりまして、これについては丁寧な慎重な議論が必要ではないかというふうに思います。
  336. 中西健治

    中西健治君 政府短期証券発行して百十兆円以上国内でファイナンスを行っている、日本国民から調達を行っているそのお金ですので、ギリシャやポルトガルの財政支援、米国の財政支援に使うべきではないというふうに私は申し上げております。  円高になって協調介入もしてくれない若しくは介入に対して批判的な目を向けている、そうした国々の財政支援をなぜ国難のときにし続けなければならないのでしょうか。
  337. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 他国への財政支援という位置付けでは決してないというふうに思います。先ほど来出ている安全性とか流動性とか含めての観点運用であるということが基本でございます。
  338. 中西健治

    中西健治君 他国への財政支援ではないというふうにおっしゃられましたけれども、結果としてアメリカの公務員の給与にこのお金が充てられるということになっているはずですし、あと、前々回の質問のときには、欧州安定化基金の発行する債券を日本政府が世界で一番多く購入した、それは財政支援の目的もあるということを野田大臣おっしゃられたと思いますけれども、その発言とは矛盾しないでしょうか。
  339. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) EFSF債の購入の件だというふうに思います。それは全体の債券の発行規模の約二割を日本が購入をして、EUにおける経済金融安定化のために相応の貢献をしているというふうに思います。  というのも、やっぱりEUの中でいろんな問題が起こっている中、ギリシャの支援の問題を含めて、やっぱりそこの経済金融の安定化に貢献するのはEUのためというよりも世界経済のために、めぐっては日本の問題、日本のためにもなると、そういう意識でございます。
  340. 中西健治

    中西健治君 めぐっては日本のためといいますが、日本を第一に考えていただきたいなということを私は申し上げたいと思います。  続きまして、これは野田財務大臣に対して質問通告をさせていただきましたけれども、そもそも論のことでございますので、まず菅総理にお答えいただきたいなというふうに考えております。  復興財源に関連して、赤字国債復興国債の切り分けの問題があります。そもそも論というのは、そもそも今回の復興に伴う公共事業投資は、例えて言うならば、道路が三本あるところに四本目を造るといったタイプの公共事業ではありません。先ほど菅総理が役に立たない道路という言葉を使われましたけれども、そういった公共事業ではなくて、主たる一本目の道路を造る、そういう類いのものではないかというふうに思っています。  そうなりますと、経済効果が高く投資の回収も行いやすい、そういうことが言えるんじゃないかと思いますが、そういった観点からすれば、まさに建設国債になじむものではないかと思います。  今回、建設国債特例公債のほかに復興債というものが導入されることが復興基本法で決まったものの、そもそも復興にかかわるインフラ、公共事業については建設国債の追加発行で行い、それ以外は復興国債でという整理になぜしないのでしょうか、菅総理にお伺いします。
  341. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 御指摘考え方も一つの整理とは考えられるというふうに思いますが、ただ、復興基本法とそしてそれを受けた復興の基本方針において、復旧復興事業の財源については特例制度を設けることとしております。  具体的には、歳出削減、税外収入及び時限的な税制措置を財源として掲げた上で、一時的なつなぎのために国債発行する場合には従来の国債とは区分管理された復興債によることとしているということが基本的な考え方であるということを御理解をいただき、その上での今はその作業を進めているということでございます。
  342. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 私は、先ほどの議論も聞いていただいたと思いますが、国債が悪いと言っているんではないんです。結局、国債がある限度を超えると持続可能でなくなる、まさにソブリンリスク中西さんはまさにその道のプロであったと理解しておりますけれども、そういうことになるならないのリスクだと考えております。  それは、建設国債なら六十年償還でもいいという考え方、それはありますけれども、最近のこの二十年間でいうと、建設国債以上に、いわゆる赤字国債、社会保障に係る費用も事実上国債で賄っている。私は、いろいろ理屈はありますけれども、持続可能という問題でいえば、必ずしも建設国債だから、赤字国債だからという区別は、私はほとんどそういったマーケットの中では感じられないのではないかと思っております。  今回の大震災に当たっては、本当に思い切った財政出動があって私はいいと思います。しかし、その財源について国民的にどういう考え方でいくのか。つまり、六十年物にしていけば、幾ら今が必要だといっても、結局は従来の国債の積み増しですから、マーケットはGDP比二〇〇パーとか二百何十パーということになりますので、それは決して私は楽観できる問題ではない。  そこで、この復興の基本方針の中でも述べましたけれども、ある程度、現在現役の世代が自分たちの中で償還をしていこうと。ちょうど義援金を出すのと、ある意味ではそれの大型版でそれぞれが出していこうということで、もっと短い償還期限の中で償還していくという考え方は、私はそれはそれで意味のあることだと。  ですから、必ずしも、有用な道路であるから、有用な道路は、私、使うことは決して反対じゃありません。しかし、有用な道路であるから従来の建設国債に入れてもいいということは、持続可能の問題から考えると、私は、やはりこの基本方針のように区分した方が日本のマーケットにとって、経済にとって適切だと、こう考えております。
  343. 中西健治

    中西健治君 おっしゃられるとおり、マーケットでは建設国債と赤字国債を特に区別して取引はしないということですけれども、この復興に関しては、やはりインフラである、インフラの整備だということを鑑みると、やはりこちらを建設国債にして、赤字国債発行こそ抑制していくということが取るべき道なんではないかなというふうに私は考えております。  続きまして、民主党の代表選に絡んで少し質問をさせていただきたいと思います。  民主党の代表選の争点が、増税、自公との協力、マニフェストの堅持をするかどうか、こういったことが中心となっているようでありますけれども、菅総理並びに内閣が重大テーマとして掲げたTPPというものが明確な争点となっていないように思われます。  野田財務大臣TPPへの参加についてどういうお考えでしょうか。
  344. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 代表選の争点云々というお話がありましたけれども、どういう方が出てくるのかという、その出そろいの状況がない中で、またそれぞれの考え方をまだ正式に構想として打ち出していない中で、争点が何なのかということを今明確に申し上げることはちょっと困難だというふうに思いますけれども、あえてTPPについての考えを示せということでございましたが、これは先ほども経済との関係どう考えるかという舟山議員とのやり取りもありました。  当然のことながら、農業の再生との関連も当然これは大きなメーンなテーマだと思いますけれども、これはやっぱりしっかりと議論をした上で、これは政府の私は方針どおり、協定交渉参加の判断時期については総合的に検討し、情報収集も努め、これは、でもできるだけ早期に判断をした方がいいだろうというふうには思います。
  345. 中西健治

    中西健治君 先ほどの議論でも今の御答弁でも、多角的な検討ですとか詳細な分析が必要だというお答えでしたけれども、そもそも、昨年の十月の初旬に菅総理が臨時国会の所信演説でこのTPPということを表明されてもう一年近くがたつということでございますので、主要閣僚として野田財務大臣は当然賛成なのか反対なのか、そうした確固たる意見を持っていてしかるべきだと思いますが、それはいかがでしょうか。
  346. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 高いレベルの経済連携を主要国との間に進めていく、でき得るならばWTO締結に向けて力を尽くすのは基本でありますけれども、やはり高いレベルの経済連携、FTA、EPAを結んでいくというのは基本です。その中の視野としてTPPというのはありますけれども、なかなかTPPについては論点が多いですね。その論点を踏まえての判断を、でも、さっき申し上げたように、もう今まで随分時間掛かっているじゃないかという御提起ありますが、そろそろ早急に決断をしなければならない時期には来ていると思いますが、きっちりと分析と情報収集はすべきだと思います。
  347. 中西健治

    中西健治君 代表選の候補者が出そろっていないので争点というのも時期尚早じゃないかということでしたが、もう来週の月曜日というふうに伺っておりますので、是非とも、候補者になられる方はそこら辺も明確にしていただきたいなというふうに思っております。  続きまして、今の質問に関連して、菅内閣が重大テーマとして掲げたTPP参加による平成の開国ですとか脱原発依存などが新政権で承継されるかどうか、今のところは不明ですけれども、それについて菅総理はどのようにお考えになっているでしょうか。
  348. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) まず、現在の政権として、内閣として、先ほど野田大臣からもお話がありましたように、TPPについては、大震災も受けて、協定交渉の参加の判断時期について総合的に検討し、できるだけ早く、早期に判断すると。これは内閣としての合意であり、党の方にも理解をいただいていると思っております。  また、エネルギー・環境会議の七月二十九日の提案の中で、この原子力発電所の問題についても原発依存度の低減のシナリオを提案をいたしております。これも、党の議論も含めて、基本的には内閣として方向性を出したところであります。  もちろん、政策についていろいろな、代表選でそれぞれの候補者が提案されることは、それはそれぞれの候補者の考えでありますけれども、この間の議論の積み上げというものも、政権の中心になる党が民主党からがらりと他党に変わるわけではありませんので、そういうものが基本的には重要な点では引き継がれていくものと、このように理解をいたしております。
  349. 中西健治

    中西健治君 世論調査の数字を見るまでもなく、国民は菅総理そして菅内閣に対して不信の声を上げているわけですけれども、その内閣の一員であった、しかも主要ポストを占めた野田財務大臣が次期総理候補たり得るのかという疑問の声もよく耳にするところです。  これについて、野田財務大臣、そして菅総理、それぞれどのようにお考えになるか、私の最後の質問とさせていただきます。
  350. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 質疑時刻が参っておりますので、簡潔にお二人にお答えいただきたいと思います。  まず、野田財務大臣
  351. 野田佳彦

    国務大臣野田佳彦君) 代表選云々ではなくて、この特例公債という大変重要な御審議をいただいております。私は、財務大臣としての職責をしっかり菅内閣の一員として果たしていく。御批判があるならば、内閣の一員ですから共同で責任を負わなければいけないというふうに思います。
  352. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 私は、ちょっと今の質問は何か少し違っているんじゃないかと思います。私が世論調査で厳しい数字というのは、それは率直に受け止めなければなりません。ただ、私が提起している政策テーマが必ずしも否定されたのかというと、同じ世論調査でそうではないことも出ております。  それと同じように、それぞれの方が代表選に出るときに、何か、私の内閣にいたから、そしてその支持率が低いから、だから出るのはおかしいというのは、私は、余り説得力のある提起ではなくて、中身で是非ともそれぞれの候補者を見ていただければいいのではないかと思っております。
  353. 中西健治

    中西健治君 どうもありがとうございました。  質問を終わります。
  354. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門でございます。  菅総理、大変お疲れさまでございました。今日も最後まで大変だなと思って見ておりましたけれども。  公債特例の本題にちょっと入る前に、総理としての菅さんに、やはり最後の質問かなと思いますので、どうしても確認したいことがございますので先に聞かせていただきます。北海道の泊原発の問題でございます。    〔委員長退席、理事大久保勉君着席〕  これ、新聞でも連日報道されておりますが、泊原発の三号機、これはプルサーマル運転でございますけれども、営業運転を八月十七日に再開をいたしました。大震災後初めての営業運転への移行ということで大変いろんなことが起きているわけですけれども、これは要するに、始めに再運転ありきで、国も北海道も手続論ばかりに終始をして、結局、北海道が容認して経産省が再運転を認めたという形でございます。  本質的な問題はこの福島第一原発の重大事故を踏まえて対応すべきだったのではなかったかと、それが今までどおりのやり方で進んでしまったわけでございます。言えば、客観的な、やっぱり原発事故を踏まえてリスクを評価するとか、地域住民の方々にきちっと説明をして、そして合意を得て、少なくとも合意を得てから営業運転に移行するかというふうな判断をすべきだったわけですけれども、全然そういうことにならなかったわけでございます。原発事故を全然踏まえていないということだと思いますが、これで今、北海道の中では各地で抗議集会、あるいは北海道大学を含めて学者五十人の方が緊急声明を出すというような大変な事態になっております。  例えば、その北大の先生を含めて五十人の、山口二郎さんとかも入っておられますけれども、その緊急声明で言っているのは別に無理なことを言っているわけではなくて、やっぱり、例の交付金をもらっているような地元の自治体だけではなくて、福島原発の事故を踏まえると、もっと広範囲の、広い自治体の意見を聞くべきだとか、その協定も拡大すべきだとか、あるいは、泊原発というのは、私も行きましたが、積丹半島の付け根の方にあるわけですけれども、活断層の存在が指摘されております。これについてきちっとした第三者機関を設けて調査をすべきじゃないかとか、あるいは、今回の緊急対策というのは当座の処置ですから、もっと抜本的な安全対策を前倒しでやるべきではないかとか、至極当たり前のことを学者の方々が声明を出されているということでございます。  そういうことすらやらないで、経済産業省と北海道の道知事さん、この道知事さんは北海道電力の応援を受けて当選したような方ですから、元々経済産業省出身ですから、こういう人たちが経済産業省の中の人脈みたいなところで再運転を許可しちゃったということで、もう地元では怒りが爆発しているところでございます。  そこで菅総理に伺いたいのは、菅総理はそもそもこの泊原発三号機の再運転には、再開には慎重な姿勢だったというふうに伺っておりますけれども、いかがでしたでしょうか。
  355. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 私も、本質的には、今回の原発事故を踏まえて、事故調査・検証委員会などを経て新たないろいろな基準、それが新設の場合であろうが定期検査だろうが、新たな基準あるいは新たなチェックのための体制というものがつくられなければならないし、今一部は保安院を経産から切り離した新しい原子力安全庁も閣議決定をしていることは御承知のとおりです。  この泊に関しても、私が申し上げてきたのは、従来のような保安院と経産省だけで判断をするというのは、これはいずれもまずいのではないかということを言ってまいりました。そして、今回において、原子力安全委員会にこの設置法十三条に基づいて同委員会審議を行っていただきまして、そしてこの結果、原子力安全委員会の方も自ら判断をすると、そういう中で手続が進みました。  それでもまだまだ十分でないとかいろんな意見があることは、もちろんいろんな意見があることは承知しておりますけれども、少なくとも原子力保安院と経産省だけで判断をしたのではなくて、原子力安全委員会も関与をして判断をし、そして地元の道の方も了解をしたという中で、経産大臣が最終的に法律的には、今の法律では経産大臣が許可の権限を持っておりますので許可をしたと、そのことについては私も事前に了承をいたしておりました。
  356. 大門実紀史

    大門実紀史君 今総理が言われた、保安院だけでは今回の場合駄目だと、安全委員会もチェックをして二重のダブルチェックの上で考えるべきだという御指示をされたのは承知しております。  北海道の高橋はるみ知事も、保安院だけではなくて原子力安全委員会もダブルチェックをやってくれたので容認するんだと、容認したんだということを言っておりますが、そもそもこの原子力安全委員会はチェックなどいたしておりません。総理は御存じなかったんでしょうか。チェックしたと思って今おっしゃっているんでしょうか。    〔理事大久保勉君退席、委員長着席〕  実は、もうこちらで申し上げますけれども、八月十一日の原子力安全委員会の議事録、これはもう公開されておりますので御覧いただきたいと思いますけれども、班目委員長、何とおっしゃっているかというと、今回の泊の問題については、規制行政庁である保安院が責任を持ってやってくれと、適切な判断をすべきだと、原子力安全委員会としては保安院がやるべきだと、これしか言っていないんですね。何も、チェックも何もしておりません。  これで総理が言われたように、今度はダブルでチェックしてもらったからということになるのでしょうか。それとも、こういうことは御存じじゃなかったんでしょうか。
  357. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 私は、ちゃんと原子力安全委員会も関与してチェックをするようにということを指示し、そういうふうになされたという報告を受けております。  今日質問があるということで、改めて法的背景を調べてみました。そうすると、この原子力委員会及び原子力安全委員会設置法の中に、核燃料物質及び原子炉に関する規制のうち、安全の確保のための規制に関すること、あるいは原子力利用に関する安全の確保のための規制に係るものに関することというのは、十三条の中で原子力安全委員会が企画、審議及び決定するという項目の中に入っております。つまり、私は、この法律に基づいて企画、審議及び決定するという手続を原子力安全委員会がきちっと取ったという理解の下で了解をいたしました。
  358. 大門実紀史

    大門実紀史君 総理、あれじゃないですか、後ろからペーパー渡されてそのまま読んでいるんじゃないんですか。ちょっと違うんじゃないんですか。  総理の判断は、今までと違って、今まではそういうことなんですよ。だから、四半期ごとの何かで、それを後ろから出しているだけなんだけど、そうじゃなくて、今回の泊の場合は、基本的にはそういうことはあるわけですけれども、きちっと原子力安全委員会の意見を聞きなさいという指示をされて、そんなペーパーじゃないんです、後ろからちょっと要らぬのを出すなよ、本当に、政治家同士で議論しているのに。そういう指示をされたにもかかわらず班目委員長は、それは安全委員会としてはやりません、保安院でやってくださいとおっしゃっているわけだから、していないんですよ。総理の御指示どおりチェックとか審査とかしていないんですよ。総理はしろとおっしゃったわけでしょう、していないんですよ。  そんなペーパーは抜きにしてちょっと、その議事録はあるかも分かりませんから、班目委員長おっしゃったのはそのとおりでございますので、要するに総理の指示に従ってないわけですよ、経済産業省は。そのままで泊が再運転、十七日からやっちゃっているわけですね。総理をだましたのか、そうしたら、経産省は。そんな説明しているのか、やったことになっているのか。ちゃんと議事録残っているんですよ。公開されているんです。やってないんです、安全委員会は何のチェックも。しませんと言ったんです。保安院がやってくれればいいんですと、班目さんは任務放棄したわけですよ。総理の指示に従ってないわけですよ。  御存じなければ今御判断いただければいいんですけれども、その今の読んだペーパー、何の関係もありませんので。総理の指示に従ってないということを初めて知られたんですか、そうしたら、この質問通告で。だまされていたということになりますよ、総理が。
  359. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 別に後ろから資料が来たからではなくて、私がきちんと原子力安全委員会にも関与するように、すべきだと言ったときに、こういう設置法に基づいてそれが可能ですという説明を事前の段階で受けておりまして、その法律に基づいて原子力安全委員会の方に指示をしたという理解をいたしておりました。  今、議事録については確かにこの御質問いただくということで初めて見ましたけれども、もし法律に基づかない対応がなされたとすれば、それは問題ですので、私ももう一度法律にきちっと基づいた対応がなされたかどうかは確認してみたいと思っております。
  360. 大門実紀史

    大門実紀史君 総理、そもそも法律でいえば、北海道の了解すら要らないんですよ、やれるんですよ。それを、この福島原発事故が起きたから、総理だってストレステストやる等いろいろなことを言われて、きちっとやれということの中で、総理がこの泊について言っても、法律的にどうのこうのじゃなくて、ちゃんとダブルチェックしろと。保安院だけだといろいろなこと、問題起こしているわけですよね、保安院というのは。だから、原子力委員会はダブルチェックしろという、法律とはちょっと別のところで総理が指示をされたのに、今ごろ法律にのっとっているかどうかなんていうのは、何のための指示をされたんですか、そうしたら。
  361. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 言われていることがそう違っているかどうか分かりませんが、私が一般的にやったことは、御承知のように、七月十一日に三大臣に新たなルールを作ってくれということで申し上げました。  実は、この新たなルールの中では、一次評価というものは、定期検査中で停止中の原子力発電所についての運転再開の可否について判断するとなっておりまして、率直に申し上げて、定期点検中で稼働が再開されているものというものがややグレーゾーンに掛かっておりました。  そういうこともありましたので、改めて原子力安全委員会の方にきちんと関与してくれという確かに指示もいたしました。その裏付けとしての、法律にあるから指示をしたというよりも、裏付けとしての法律もきちんと確認をしたということで、もしそうした手続がちゃんと取られていないとすれば、少なくとも私の指示なりその裏付けとなる法律にのっとらないことになりますので、それについては改めて原子力安全委員会の方にどういうことであったかは聞いてみたいと思います。
  362. 大門実紀史

    大門実紀史君 もう時間がないので、申し上げたいのは、一国の総理の指示を経済産業省の中で、もう愚弄したといいますか、うそをついたといいますか、適当にあしらったということで、それは大問題だと思いますし、これは同時に、北海道の道民の皆さんも愚弄することになるわけでございます。  こういうことを繰り返しているから、もうどんどんどんどん信頼がなくなって、いろんなことが行き詰まってしまうわけでございますので、信頼を取り戻すという意味でも、もう今日、あしたということになるかも分かりませんが、総理としてもきちっと、なぜこういうことになったのか、今おっしゃっていただきましたけれども、調べていただいて、この泊原発問題、これからもありますので、二十六日には二号機が定期検査に入りますので、こんなことで押し通したからといって後が進むなんて思ったら大間違いだから、経産省は。かえって、こんなことをやるからどんどんどんどん反発が強まって、皆さんにとっては大変な事態になるわけです。  これは、ウォール・ストリート・ジャーナルがどう書いているか。これは本当に恥ずかしいことなんですけど、八月十八日付けのウォール・ストリート・ジャーナルは、この泊の運転再開を、今まで事故以降劣勢に立たされていた原発推進派の第一歩の勝利だと、こんなふうにとらえられているんですね、この問題というのは。これが結果的に逆のことになるということをよく承知した上で、本当にきちっと住民の意見を聞いて進めなきゃいけないと思います。  総理には、今おっしゃったように、きちっとした事実関係を調べていただくということをお願いして、私の質問を終わります。
  363. 中山恭子

    ○中山恭子君 たちあがれ日本・新党改革の中山恭子でございます。  一つ総理にお願いといいましょうか、考えていただけたらと思うことがございます。非常に身近な問題でございます。  総理は夜一人で夜道を歩くというようなことはないかもしれませんが、今、道路が非常に暗い道路になっています。高速道路も暗い。それから、特にトンネルに入ったときなどは、ちょっとびっくりするほど事故が起きやすくなっております。  こういう状態で日本の人々は真剣に節電に努めておりますが、節電の話が出たときから私自身非常に不思議に思っておりますのは、夜というのはどうして夜の電気の節電をしなければいけないのかという疑問がございまして、夜間の消灯によって効果があることと安全が脅かされるということを比較しますと、夜消灯する、節電のためにですね、あちらこちらの道路や公園や高速道路の電気を消す必要はないのではないかと思っておりますが、総理、いかがでございますか。
  364. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) おっしゃるように、いわゆるピーク電力の問題でいえば、一般的には夏の昼間が最も高いということでありますし、夜は一般的にはそんなに使用量が高くありませんので、おっしゃるとおりだと、このように思います。
  365. 中山恭子

    ○中山恭子君 総理御自身が民間に指示なさるということは、これはないと思いますが、閣内で担当大臣と御相談いただいて、閣内で統一の意見が出れば出していただいて、直ちに明るくなるように指示なり相談なりして、連帯で動いていただけませんでしょうか。
  366. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) できるだけ早い時期、もう余り回数はないかもしれませんが、閣議なり閣僚懇談会で、警察担当の中野大臣も含めて検討し、進めることができることについては早速進めるように伝えたい、指示したいと、こう思います。
  367. 中山恭子

    ○中山恭子君 もう事故も起きたりしておりますので、是非、総理御在任の間にでも進めていただけたらと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  それから、先ほどからコンクリートから人への問題が提起されております。総理は、役にも立たない道路や橋を造るよりは人に直接ばらまいた方が需要が喚起されるのだというお話がございました。  コンクリートから人へというのもマニフェストの大きなテーマであったかと思いますが、これ、林先生が、予算委員会だったと思いますが、乗数効果について総理に質問された経緯がございます。人に直接ばらまいて需要が出てくるというのは非常に僅かな、そのばらまいた分の何分の一かしか出てこないというのが経済学者の間ではもう常識となっておりまして、そうではなくて、やはり公共事業等の、まあ民間に需要があればよろしいんですが、今民間の方に需要がないのであれば、公共事業に資金を投入して、そこから乗数効果を起こして雇用を創出するというのが通常の考え方であろうかと思っております。  総理を囲む方々が、直接人に手当てした方がいいんだというお考えを示したのかもしれませんが、それはあり得ないことでございますので、コンクリートから人へというスローガンも外していただかないといけないと考えております。  はっきり言えば、言葉をちょっと気を付けないといけないかもしれませんが、子ども手当等の四Kはある意味では国家的な票の買収行為だと言ってもいいような問題でございまして、乗数効果のある公共事業で雇用を創出し、そして需要を喚起するという方向へ是非政策を転換していただきたいと思っております。
  368. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 大変いい御質問をいただきました。林さんとの乗数効果議論を思い起こしておりました。  私は、今、中山議員のおっしゃったこと、相当部分は賛成であります。ただ、若干の違いは、私がなぜ雇用雇用雇用ということをこれまで言ってきたかというと、同じ乗数効果でも、確かに現金を給付するのと例えば保育園を増やしてそこでまず人件費として払うのとは、乗数効果でたしか、ここは林先生おられますけれども、一が最初に立つか立たないかの差があります。  ですから、そういう意味では、まず、保育園や幼稚園やあるいは看護婦さんやそういう人をどんどん、介護の関係を拡大していくというのは、私は実はデフレを脱却する効果も最も高いのはそういうことだと、こう考えておりまして、私が予算を作るときにそういう視点でかなり努力をいたしたところです。  それから、コンクリートの場合は一定の乗数効果があることはありますけれども、しかし、御承知のように、乗数効果というのは翌年とか翌々年とか二、三年でありまして、それが例えば私の高校時代の東京—大阪の新幹線のように将来の日本経済に非常に大きな役に加わっていく長期的な問題と、例えば本州—四国のように何兆円もの金を掛けて三本の橋を造ってみても、長期的には、工事費によっての一時的な効果はありますが、長期的な形で経済成長効果は必ずしも出ておりません。  ですから、乗数効果というのは短期的なものについてそれは出るかもしれませんが、私は長期的に必ずしも今の乗数効果考え方がコンクリートできちんと出るという見方は、私は今の経済では合わないというふうに認識しております。  そういうことを含めて、今おっしゃったように、本当に長期的にも日本経済成長するような、今回の大震災においてそういったインフラ整備とかあるいは新たな町づくりとかそういうものには思い切って使っていいけれども、機械的にコンクリートから人へというのを改めて人からコンクリートにしたらいいというふうには、私は機械的にはそういうふうには思いません。中身と今申し上げたように、雇用につながるかつながらないかということを私は判断の大きな基準にすべきだと、こう考えております。
  369. 中山恭子

    ○中山恭子君 公共事業、いろいろ今やらなければいけないことが山積しております。  私自身が所属しております国際・地球環境・食糧問題に関する調査会というのが参議院の中にございまして、ここでは水問題を取り上げております。その中で、上下水道などの日本の社会インフラは大体一九六〇年代に造られたものなんです。もう今その辺りから五十年たっていますので、更新しなければいけない時期に来ているということでございます。橋も、このまま更新せずにおいたら落ちるという橋が相当数あるということもここで知らされております。  そういった意味で、日本の国の、何というか、施設をしっかりしたものにするということは、もちろんその工事自体に乗数効果があるということもありますし、将来の人々が持つ資産にもなるわけですので、長期的な観点に立って、財源も今の人が全部負う必要は全くないわけですので、長期の財源の手当てをして公共事業を行うというのが今、もう何と言うんでしょう、延ばせない時期に来ているということですので、是非その辺りもお考えいただきたいと思っていますが、いかがでしょう。
  370. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 今おっしゃったことは、私は全く反対はありません。つまり、更新需要というのはまさに必要な需要です、特に車が走ったりしているところは。  ただ、従来から、私が二十年前あるいは三十年前のある時期からの公共事業を見ておりますと、全てとは言いませんけれども、先ほど乗数効果という言葉をまさに使われましたけれども、単年度の、とにかくそこに工事があって、その地域の確かに一時的にはそこの土建屋さんとかいろんな人が潤うわけですけれども、できたものが価値が本当にあるのかないのかよりも、その造ること自体が価値があるというふうに考えてやったことについては、私は必ずしも賛成ではありません。  しかし、今おっしゃったように、橋が落ちそうになる、あるいは下水道が傷んできた、使っている、そういう更新のものについては積極的に取り組むということは全く異論はありません。
  371. 中山恭子

    ○中山恭子君 日本全体の復興といいましょうか、復興のためにもこういった公共事業が必要でございますし、さらに、東日本復興に関しては、まさにゼロのところから事業を始めないといけませんので、ここの財金の委員会でも何度か提案しておりますが、もう最新の社会インフラを地域に設置する、共同溝などを造って新しい町、美しい町、住みやすくて安全な町をつくるということを是非お考えいただきたいと思っております。  共同溝を造るということについても、これはまあ次の方々の話かもしれませんが、是非総理からも申し送りをしていただけたらと思いますが、どうでしょうか。
  372. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 今、震災復興、さらには共同溝というお話もいただきました。  先ほども申し上げましたように、震災復興は本当に被害を受けられた皆さんが必要とされているものでありますし、場合によっては、海岸沿いの道路も大変重要な道路整備だと、このように思っております。  余りもう多くを言いませんが、地域によっては、私の生まれ故郷は山口県で、林先生と同じところでありますが、帰るたんびに新しい道路がたくさんできて、飛行場から元のところに行こうと思うと何本でも道路があるんですけれども、そういうことも含めて、果たしてそれが本当に必要なものであるのかそうでないのかというのはなかなかこれは判断が難しいんですね、地元は何でも必要だと言いますから。しかし、今のおっしゃった点は、更新にしても、あるいは今度の震災復興にしても、あるいは共同溝といった新しい町づくりにしても、そういうものについては思い切って公共事業を行うべきだと、そのとおりだし、私も私の立場でできるところについては今後も努力していきたいと思っております。
  373. 中山恭子

    ○中山恭子君 東日本のための復興の基本方針でしたか、七月二十九日に出されたものでは共同溝を造っていくというようなアイデアを入れてないと思われるんです、金額からいって。  ですから、先ほど総理が大幅な金額を使ってでも東日本復興を遂げたいとおっしゃっていらっしゃいましたので、その辺りも含めて、基本方針ではとても復興できないと思いますので、あの方針もできれば新たな次の第二次基本方針といったものを作っていただきたいと考えていますが、是非お願いしたいんですけど。
  374. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) こういう席でこういうことを申し上げると後で怒られるかもしれませんが、この基本法は野党の皆さんも一緒になって成立しておりますし、できれば、まあ大連立云々というところを私がどうこう言うことではありませんけれども、復興に関しては、是非この復興基本法を共に作った政党あるいはそれ以外の政党も含めて、今のような中山先生からの提案などもしっかり受け止められる場をつくることが、これ本当に国民的な意味で必要だと思っております。  そういう意味では、余り私事を申し上げるつもりはありませんが、新たな政権が誕生する機会に、是非、中山先生のところも含めて、そういった多くの意見が実際の復興に生かされるように、十九兆円というのが多い少ないの議論はありますけれども、そうはいっても相当の金額でありますので、その中でも、今言われた共同溝とかいろんなものは、場合によってはこれからの中で十分入れられる余地のあるところですから、そういう形になるように、是非中山先生におかれても、そういう方向で与野党を超えての応援をしていただければということをお願い申し上げて、私も努力したいということを申し上げさせていただきます。
  375. 中山恭子

    ○中山恭子君 時間が来ておりますが、東日本復興に関しては、まさに最良のものを使って、技術を使って復興していかなければいけないと思っております。  これは、総理、全力を尽くしてずっとこれまでいろいろ仕事をなさってきたというふうにおっしゃっていらっしゃいますけれども、実は、これまでの総理のある意味では総括と言っていいんでしょうか、国益にとってどのようなものであったかということをいずれどなたか経済の専門の方が試算していただけたらどういう結果になるのか見ておきたいという、そんな思いもいたします。  それと、今回責任を取られるということですが、これまで総理は、自分に責任があります、責任は持っていますというお言葉が何度も使われておりました。ただ、その後で、責任を逃げるわけにはいかないので責任を果たさねばならないというお言葉がその後に続きました。で、全力を挙げて取り組んでまいりますという、そういうロジックになりました。  責任という日本語の、二つ意味がある、この二つを上手に使い分けていらしたんだろうと思いますが、やはり責任がある場合には、何か事が起きたときには責任を取るということでございまして、今回いろんな問題がございます。東日本震災への対応の問題、原子力発電所の事故の対応の問題、経済回復、雇用TPP、普天間、領土問題、円高、どれも総理在任中に問題になった案件でございまして、まだその解決に至っておりません。こういったことを考え責任を今回お取りになるんだろうと思いますが、是非これからも大きな意味日本のために尽くしていただけたらと思っております。  今日、私自身の質問はこれで終わります。
  376. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 今国会の総理としての最後の質問になるかと思いますので、どうぞ思いをおっしゃっていただいて結構でございますので。
  377. 菅直人

    内閣総理大臣(菅直人君) 本当に温かい御質問をいただきまして、ありがとうございました。  確かに責任というのには、責任を果たすという意味での責任と、何か間違ったことをやったから責任を取るという責任、若干違うと思います。私は今回、代表あるいは総理を辞すると決意したのは、別に何か間違ったことをやったから責任を取るということは全くありません。全くありません。  私が今回の決断をしたのは、六月二日の時点で、野党の皆さんが不信任案を出されたのは、これは我々もしょっちゅう出していましたから、野党は政権交代を求めて不信任案を出すものであります。しかし、残念ながら、与党の中でもその不信任案に同調する動きが広がってまいりまして、その皆さんに対して、私としては一定のめどが付いたら若い方に譲るので、それまではしっかりと責任を果たさせてくださいということを六月二日の代議士会で申し上げまして、そして大多数の、それは代議士会でありますから、代議士の皆さん、衆議院の皆さんがそれを理解していただいて、大差で不信任案を否決していただきました。  ですから、その後三か月になりますか、そういう中で私は一定のめどが付くまでしっかりと責任を果たしていこうと考えて、それから、余り数を数え上げると昨日の愛知さんに対する答弁と同じことになってしまいますが、かなりのことは責任を果たしてきたと思っております。  ですから、今回の私が代表や総理を辞するという決断をしたのは、決して何かが間違っていたから責任を取るということではなくて、党のそうした代議士会の中で、ある意味でめどが付くまで責任を果たすことが必要だと、あの段階で多くの仲間がいわゆる造反ということになると内閣としても機能がしなくなってより混乱を国民の皆さんにも与えることになると、そういう判断で私自身が申し上げた。  ある意味では党内に向けての約束をきちっと果たすことがやはりまさに政治家のけじめであろうと、こう思ったわけでありまして、そのことは御理解いただけるかどうかは別として、私の真意であることをこういう場で発言させていただく機会を与えていただきまして、どうもありがとうございました。
  378. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 以上で内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。  他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十一分散会